JP2016007369A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】飛距離安定性に優れたゴルフボール2の提供【解決手段】ゴルフボール2は、その表面に多数のディンプル10を備えている。このゴルフボール2は、下記数式(I)を満たす。1.320 ≦ L1 ≦ 1.420 (I)この数式において、L1は、レイノルズ数が1.290?105でありスピンレートが2820rpmである条件で測定された揚力係数CL1の、レイノルズ数が1.290?105でありスピンレートが1740rpmである条件で測定された揚力係数CL2に対する比を表す。【選択図】図2

Description

本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、ゴルフボールの空力特性の改良に関する。
ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。この現象は、「乱流化」と称される。乱流化によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、抗力が低減される。乱流化によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。優れたディンプルは、大きな飛距離を生む。
特開平5−103846号公報には、適正化された直径、深さ及び個数を有するディンプルを備えたゴルフボールが開示されている。
特開平10−43342号公報には、直径と深さとの比が適正化されたディンプルを有するゴルフボールが開示されている。
特開平10−43343号公報には、ボールの体積に対するディンプルの体積の比率が適正化されたゴルフボールが開示されている。
特開2000−107338公報には、その直径と質量とが適正化されたゴルフボールが開示されている。
特開平5−103846号公報 特開平10−43342号公報 特開平10−43343号公報 特開2000−107338公報
クラブヘッドのフェースのセンターの近傍でゴルフボールが打撃されたとき、クラブヘッドの運動エネルギーがゴルフボールに充分に伝わる。この打撃では、ゴルフボールのスピンレートも概ね適正である。
フェースの打点は、ショットごとにばらつく。特に、アマチュアプレーヤーのショットでは、打点は大幅にばらつく。打点のばらつきは、スピンレートのばらつきを招来する。
従来のゴルフボールでは、適正なスピンレートの条件下で大きな飛距離が得られるように、ディンプルの仕様が決定されている。このゴルフボールでは、スピンレートが適正でないときは、大きな飛距離は得られない。このゴルフボールでは、打点のばらつきがスピンレートのばらつきを生み、スピンレートのばらつきが飛距離のばらつきを生む。飛距離のばらつきが大きなゴルフボールを用いたプレーヤーは、このゴルフボールを目標地点に静止させにくい。
プレーヤーは、スピンレートに対する飛距離の依存性が少ないゴルフボールを望んでいる。換言すれば、プレーヤーは、飛距離安定性に優れたゴルフボールを望んでいる。本発明の目的は、飛距離安定性に優れたゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備える。このゴルフボールは、下記数式(I)を満たす。
1.320 ≦ L1 ≦ 1.420 (I)
この数式において、L1は、レイノルズ数が1.290×10でありスピンレートが2820rpmである条件で測定された揚力係数CL1の、レイノルズ数が1.290×10でありスピンレートが1740rpmである条件で測定された揚力係数CL2に対する比を表す。
好ましくは、このゴルフボールは、下記数式(II)を満たす。
1.240 ≦ L2 ≦ 1.340 (II)
この数式において、L2は、レイノルズ数が1.771×10でありスピンレートが2940rpmである条件で測定された揚力係数CL3の、レイノルズ数が1.771×10でありスピンレートが1800rpmである条件で測定された揚力係数CL4に対する比を表す。
好ましくは、L2に対するL1の比(L1/L2)は、1.000以上である。好ましくは、比(L1/L2)は、1.060以上である。
好ましくは、ディンプルの総容積は、520mm以上720mm以下である。
本発明に係るゴルフボールでは、スピン速度が大きなときの飛距離と、スピン速度が小さなときの飛距離との差が少ない。換言すれば、このゴルフボールは、飛距離安定性に優れる。プレーヤーは、このゴルフボールを目標地点に落下させやすい。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された断面図である。 図2は、図1のゴルフボールが示された拡大正面図である。 図3は、図2のゴルフボールが示された平面図である。 図4は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。 図5は、本発明の実施例4に係るゴルフボールが示された正面図である。 図6は、図5のゴルフボールが示された平面図である。 図7は、本発明の実施例8に係るゴルフボールが示された正面図である。 図8は、図7のゴルフボールが示された平面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4の外側に位置する中間層6と、この中間層6の外側に位置するカバー8とを備えている。このゴルフボール2は、その表面に多数のディンプル10を有している。ゴルフボール2の表面のうちディンプル10以外の部分は、ランド12である。このゴルフボール2は、カバー8の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
このゴルフボール2の直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
コア4は、ゴム組成物が架橋されることによって形成されている。ゴム組成物の基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましく、特にハイシスポリブタジエンが好ましい。
コア4のゴム組成物は、共架橋剤を含んでいる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムである。ゴム組成物が、共架橋剤と共に有機過酸化物を含むことが好ましい。好ましい有機過酸化物として、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。
コア4のゴム組成物が、充填剤、硫黄、加硫促進剤、硫黄化合物、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤、カルボン酸、カルボン酸塩等の添加剤を含んでもよい。ゴム組成物が、合成樹脂粉末又は架橋されたゴム粉末を含んでもよい。
コア4の直径は30.0mm以上が好ましく、38.0mm以上が特に好ましい。コア4の直径は42.0mm以下が好ましく、41.5mm以下が特に好ましい。コア4が、2以上の層を有してもよい。コア4が、その表面にリブを有してもよい。コア4が中空であってもよい。
中間層6は、樹脂組成物からなる。この樹脂組成物の好ましい基材ポリマーは、アイオノマー樹脂である。好ましいアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい他のアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。この二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。この二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。
アイオノマー樹脂に代えて、中間層6の樹脂組成物が他のポリマーを含んでもよい。他のポリマーとして、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリウレタンが例示される。樹脂組成物が、2種以上のポリマーを含んでもよい。
中間層6の樹脂組成物が、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を含んでもよい。比重調整の目的で、この樹脂組成物がタングステン、モリブデン等の高比重金属の粉末を含んでもよい。
中間層6の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。中間層6の厚みは2.5mm以下が好ましく、2.2mm以下が特に好ましい。中間層6の比重は0.90以上が好ましく、0.95以上が特に好ましい。中間層6の比重は1.10以下が好ましく、1.05以下が特に好ましい。中間層6が、2以上の層を有してもよい。
カバー8は、樹脂組成物からなる。この樹脂組成物の好ましい基材ポリマーは、ポリウレタンである。樹脂組成物が、熱可塑性ポリウレタンを含んでもよく、熱硬化性ポリウレタンを含んでもよい。生産性の観点から、熱可塑性ポリウレタンが好ましい。熱可塑性ポリウレタンは、ハードセグメントとしてのポリウレタン成分と、ソフトセグメントとしてのポリエステル成分又はポリエーテル成分とを含む。
ポリウレタン成分のイソシアネートとして、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートが例示される。特に、脂環式ジイソシアネートが好ましい。脂環式ジイソシアネートは主鎖に二重結合を有さないので、カバー8の黄変が抑制される。脂環式ジイソシアネートとして、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びトランス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)が例示される。汎用性及び加工性の観点から、H12MDIが好ましい。
ポリウレタンに代えて、カバー8の樹脂組成物が他のポリマーを含んでもよい。他のポリマーとして、アイオノマー樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル及びポリオレフィンが例示される。樹脂組成物が、2種以上のポリマーを含んでもよい。
カバー8の樹脂組成物が、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を含んでもよい。
カバー8の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。カバー8の厚みは2.5mm以下が好ましく、2.2mm以下が特に好ましい。カバー8の比重は0.90以上が好ましく、0.95以上が特に好ましい。カバー8の比重は1.10以下が好ましく、1.05以下が特に好ましい。カバー8が、2以上の層を有してもよい。
ゴルフボール2が、中間層6とカバー8との間に、補強層を備えてもよい。補強層は、中間層6と堅固に密着し、カバー8とも堅固に密着する。補強層は、中間層6からのカバー8の剥離を抑制する。補強層の基材ポリマーとして、二液硬化型エポキシ樹脂及び二液硬化型ウレタン樹脂が例示される。
図2及び3に示されるように、ディンプル10の輪郭は円である。このゴルフボール2は、直径が4.6mmであるディンプルAと、直径が4.4mmであるディンプルBと、直径が4.2mmであるディンプルCと、直径が4.0mmであるディンプルDと、直径が3.9mmであるディンプルEと、直径が2.6mmであるディンプルFとを備えている。ディンプル10の種類数は、6である。ゴルフボール2が円形ディンプル10に代えて、又は円形ディンプル10と共に、非円形ディンプルを有してもよい。
ディンプルAの数は42個であり、ディンプルBの数は72個であり、ディンプルCの数は66個であり、ディンプルDの数は126個であり、ディンプルEの数は12個であり、ディンプルFの数は12個である。ディンプル10の総数は、330個である。
図4には、ディンプル10の中心及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った断面が示されている。図4における上下方向は、ディンプル10の深さ方向である。図4において二点鎖線で示されているのは、仮想球14である。仮想球14の表面は、ディンプル10が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。ディンプル10は、仮想球14の表面から凹陥している。ランド12は、仮想球14の表面と一致している。本実施形態では、ディンプル10の断面形状は、実質的には円弧である。
図4において両矢印Dmで示されているのは、ディンプル10の直径である。この直径Dmは、ディンプル10の両側に共通の接線Tgが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル10のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル10の輪郭を画定する。図4において両矢印Dpで示されているのは、ディンプル10の深さである。この深さDpは、ディンプル10の最深部と仮想球14との距離である。
それぞれのディンプル10の直径Dmは、2.0mm以上6.0mm以下が好ましい。直径Dmが2.0mm以上であるディンプル10は、乱流化に寄与する。この観点から、直径Dmは2.5mm以上がより好ましく、2.8mm以上が特に好ましい。直径Dmが6.0mm以下であるディンプル10は、実質的に球であるというゴルフボール2の本質を損ねない。この観点から、直径Dmは5.5mm以下がより好ましく、5.0mm以下が特に好ましい。
ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル10の深さDpは0.10mm以上が好ましく、0.13mm以上がより好ましく、0.15mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、深さDpは0.60mm以下が好ましく、0.55mm以下が特に好ましい。
ディンプル10の球面面積sは、ゴルフボール2の仮想球14の表面のうち、ディンプル10の輪郭線に囲まれたゾーンの面積である。図2及び3に示されたゴルフボール2では、ディンプルAの球面面積sは16.61mmであり、ディンプルBの球面面積sは15.20mmであり、ディンプルCの球面面積sは13.85mmであり、ディンプルDの球面面積sは12.56mmであり、ディンプルEの球面面積sは11.94mmであり、ディンプルFの球面面積sは5.31mmである。
全てのディンプル10の球面面積sの合計の、仮想球14の表面積に対する比は、占有率と称される。乱流化の観点から、占有率は0.780以上が好ましく、0.800以上がより好ましく、0.840以上が特に好ましい。占有率は、0.950以下が好ましい。図2及び3に示されたゴルフボール2では、球面面積sの合計は4495.3mmである。このゴルフボール2の仮想球14の表面積は5728.0mmなので、占有率は0.785である。
十分な占有率が達成されるとの観点から、ディンプル10の総数は250個以上が好ましく、280個以上がより好ましく、300個以上が特に好ましい。個々のディンプル10が乱流化に寄与しうるとの観点から、総数Nは450個以下が好ましく、400個以下がより好ましく、380個以下が特に好ましい。
本発明において「ディンプルの容積」とは、仮想球14とディンプル10の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル10の総容積は480mm以上が好ましく、500mm以上がより好ましく、520mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、総容積は750mm以下が好ましく、730mm以下がより好ましく、720mm以下が特に好ましい。
このゴルフボール2は、下記の数式(I)を満たす。
1.320 ≦ L1 ≦ 1.420 (I)
この数式においてL1は、揚力係数CL1と揚力係数CL2との比(CL1/CL2)である。揚力係数CL1と揚力係数CL2とは、USGAが定めるITR(Indoor Test Range)に準拠して測定される。揚力係数CL1は、レイノルズ数が1.290×10であり、スピンレートが2820rpmである条件で、測定される。揚力係数CL2は、レイノルズ数が1.290×10であり、スピンレートが1740rpmである条件で、測定される。
レイノルズ数は、流体力学の分野にて用いられる無次元数である。レイノルズ数(Re)は、下記数式によって算出されうる。
Re = ρvL/μ
この数式において、ρは流体の密度を表し、vは物体の速度を表し、Lは特性長さを表し、μは流体の粘性係数を表す。
前述の通り、揚力係数CL1及びCL2の測定時のレイノルズ数は、1.290×10である。空気中を飛行するゴルフボール2に関しては、このレイノルズ数は、比較的低速度での飛行に該当する。前述の通り、揚力係数CL1の測定時のスピンレートは、2820rpmである。このスピンレートは、比較的高い。前述の通り、揚力係数CL2の測定時のスピンレートは、1740rpmである。このスピンレートは、比較的低い。揚力係数CL1及びCL2は、それぞれ、下記の条件での揚力係数に該当する。
CL1:ヘッドスピードが遅いプレーヤーが打撃したゴルフボール2が、高スピンレートで飛行する条件(条件1)
CL2:ヘッドスピードが遅いプレーヤーが打撃したゴルフボール2が、低スピンレートで飛行する条件(条件2)
本発明者が得た知見によれば、上記数式(I)を満たすゴルフボール2は、低速で打ち出されたときの飛距離安定性に優れる。換言すれば、L1が1.320以上1.420以下であるゴルフボール2は、低速で打ち出されたときの飛距離安定性に優れる。
L1が1.320以上であるゴルフボール2では、条件1での揚力が過小ではなく、条件2での揚力が過大でもない。この観点から、L1は1.330以上がより好ましく、1.340以上が特に好ましい。L1が1.420以下であるゴルフボール2では、条件1での揚力が過大ではなく、条件2での揚力が過小でもない。この観点から、L1は1.400以下がより好ましく、1.390以下が特に好ましい。
ディンプル10の仕様の適正化により、上記範囲内のL1が達成されうる。具体的には、
(1)ディンプル10の深さの適正化
(2)ディンプル10の面積の適正化
(3)ディンプル10の容積の適正化
(4)ディンプル10の個数の適正化
(5)ディンプル10の占有率の適正化
等の手段により、上記範囲内のL1が達成されうる。
好ましくは、このゴルフボール2は、下記の数式(II)を満たす。
1.240 ≦ L2 ≦ 1.340 (II)
この数式において、L2は、揚力係数CL3と揚力係数CL4との比(CL3/CL4)である。揚力係数CL3と揚力係数CL4とは、USGAが定めるITR(Indoor Test Range)に準拠して測定される。揚力係数CL3は、レイノルズ数が1.771×10であり、スピンレートが2940rpmである条件で、測定される。揚力係数CL4は、レイノルズ数が1.771×10であり、スピンレートが1800rpmである条件で、測定される。
揚力係数CL3及びCL4の測定時のレイノルズ数は、1.771×10である。空気中を飛行するゴルフボール2に関しては、このレイノルズ数は、比較的高速度での飛行に該当する。前述の通り、揚力係数CL3の測定時のスピンレートは、2940rpmである。このスピンレートは、比較的高い。前述の通り、揚力係数CL4の測定時のスピンレートは、1800rpmである。このスピンレートは、比較的低い。揚力係数CL3及びCL4は、それぞれ、下記の条件での揚力係数に該当する。
CL3:ヘッドスピードが速いプレーヤーが打撃したゴルフボール2が、高スピンレートで飛行する条件(条件3)
CL4:ヘッドスピードが速いプレーヤーが打撃したゴルフボール2が、低スピンレートで飛行する条件(条件4)
本発明者が得た知見によれば、上記数式(II)を満たすゴルフボール2は、高速で打ち出されたときの飛距離安定性に優れる。換言すれば、L2が1.240以上1.340以下であるゴルフボール2は、高速で打ち出されたときの飛距離安定性に優れる。
L2が1.240以上であるゴルフボール2では、条件3での揚力が過小ではなく、条件4での揚力が過大でもない。この観点から、L2は1.260以上がより好ましく、1.290以上が特に好ましい。L2が1.340以下であるゴルフボール2では、条件3での揚力が過大ではなく、条件4での揚力が過小でもない。この観点から、L2は1.330以下がより好ましく、1.320以下が特に好ましい。
ディンプル10の仕様の適正化により、上記範囲内のL2が達成されうる。具体的には、
(1)ディンプル10の深さの適正化
(2)ディンプル10の面積の適正化
(3)ディンプル10の容積の適正化
(4)ディンプル10の個数の適正化
(5)ディンプル10の占有率の適正化
等の手段により、上記範囲内のL2が達成されうる。
L2に対するL1の比(L1/L2)は、1.000以上が好ましい。比(L1/L2)が1.000以上であるゴルフボール2は、低速条件下及び高速条件下において、スピンレートがばらついても飛距離がばらつきにくい。この観点から、比(L1/L2)は1.060以上が特に好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、22.5質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、5質量部の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド及び0.6質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃で18分間加熱して、直径が38.5mであるコアを得た。
50質量部のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1605」)、50質量部の他のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミランAM7329」)及び4質量部の二酸化チタンを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を形成した。この中間層の厚みは、1.6mmであった。
二液硬化型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE)を調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とからなる。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の二酸化チタンとからなる。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、23℃の雰囲気下で6時間保持して、補強層を得た。この補強層の厚みは、10μmであった。
100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(BASFジャパン社の商品名「エラストランXNY85A」)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。このハーフシェル2枚で、コア、中間層及び補強層からなる球体を被覆した。このハーフシェル及び球体を、共に半球状キャビティを備え、キャビティ面に多数のピンプルを備えた上型及び下型からなるファイナル金型に投入し、圧縮成形法にてカバーを得た。カバーの厚みは、0.5mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。このカバーの周りに二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装し、直径が約42.7mmであり質量が約45.6gである実施例1のゴルフボールを得た。YAMADA式コンプレッションテスターにて測定された、荷重が98N−1274Nである場合の圧縮変形量は、4.10mmであった。このゴルフボールのディンプルの仕様が、下記の表1に示されている。
[実施例2−3及び比較例1−4]
ディンプルの仕様を下記の表1−2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−3及び比較例1−4のゴルフボールを得た。
[実施例4−7]
正面図が図5に示され、平面図が図6に示されるディンプルパターンを採用した他は実施例1と同様にして、実施例4−7のゴルフボールを得た。
[実施例8]
正面図が図7に示され、平面図が図8に示されるディンプルパターンを採用した他は実施例1と同様にして、実施例8のゴルフボールを得た。
[実験1]
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、チタン合金製のヘッドを備えたドライバー(ダンロップスポーツ社の商品名「XXIO」、シャフト硬度:R、ロフト角:11°)を装着した。ヘッド速度が40m/secであり、バックスピン速度が約2820rpmである条件でゴルフボールを打撃して、発射地点から静止地点までの距離を測定した。テスト時は、ほぼ無風であった。20回の測定で得られたデータの平均値が、下記の表3−5に示されている。
[実験2]
バックスピン速度が約1740rpmである条件でゴルフボールを打撃した他は実験1と同様にして、飛距離の平均値を得た。この結果が、下記の表3−5に示されている。
[飛距離の差の算出]
実験1で得られた飛距離の平均値と実験2で得られた飛距離の平均値との差を算出した。この差の絶対値が、下記の表3−5に示されている。
Figure 2016007369
Figure 2016007369
Figure 2016007369
Figure 2016007369
Figure 2016007369
表3−5に示されるように、各実施例のゴルフボールは、飛距離の差が少ない。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
前述のディンプルは、スリーピースゴルフボールのみならず、ワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、フォーピースゴルフボール、ファイブピースゴルフボール、シックスピースゴルフボール、糸巻きゴルフボール等、様々な構造を有するゴルフボールに適用されうる。
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・中間層
8・・・カバー
10・・・ディンプル
12・・・ランド
14・・・仮想球

Claims (5)

  1. その表面に多数のディンプルを備えており、下記数式(I)を満たすゴルフボール。
    1.320 ≦ L1 ≦ 1.420 (I)
    (この数式において、L1は、レイノルズ数が1.290×10でありスピンレートが2820rpmである条件で測定された揚力係数CL1の、レイノルズ数が1.290×10でありスピンレートが1740rpmである条件で測定された揚力係数CL2に対する比を表す。)
  2. 下記数式(II)を満たす請求項1に記載のゴルフボール。
    1.240 ≦ L2 ≦ 1.340 (II)
    (この数式において、L2は、レイノルズ数が1.771×10でありスピンレートが2940rpmである条件で測定された揚力係数CL3の、レイノルズ数が1.771×10でありスピンレートが1800rpmである条件で測定された揚力係数CL4に対する比を表す。)
  3. 上記L2に対する上記L1の比(L1/L2)が1.000以上である請求項2に記載のゴルフボール。
  4. 上記比(L1/L2)が1.060以上である請求項3に記載のゴルフボール。
  5. 上記ディンプルの総容積が520mm以上720mm以下である請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
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