JP6412426B2 - ゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、ゴルフボールの飛行性能の改良に関する。
ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。この現象は、「乱流化」と称される。乱流化によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、抗力が低減される。乱流化によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。優れたディンプルは、大きな飛距離を生む。
ディンプルに関する種々の提案が、なされている。特開2009−172192公報には、ディンプルがランダムに配置されたゴルフボールが開示されている。このゴルフボールのディンプルパターンは、ランダムパターンと称されている。ランダムパターンは、ゴルフボールの飛行性能に寄与しうる。特開2012−10822公報にも、ランダムパターンを有するゴルフボールが開示されている。
特開2007−175267公報には、高緯度領域のユニット数と低緯度領域のユニット数とが異なるディンプルパターンが、開示されている。特開2007−195591公報には、低緯度領域におけるディンプルの種類数が、高緯度領域におけるディンプルの種類数よりも多いディンプルパターンが、開示されている。特開2013−153966公報には、ディンプルの密度が大きく、かつディンプルのサイズのばらつきが小さなディンプルパターンが、開示されている。
特開2009−172192公報 特開2012−10822公報 特開2007−175267公報 特開2007−195591公報 特開2013−153966公報
ゴルフボールに対するプレーヤーの最大の関心事は、飛行性能である。プレーヤーは、飛行性能に優れたゴルフボールを望んでいる。飛行性能の観点から、ディンプルパターンには改良の余地がある。
本発明の目的は、飛行性能に優れたゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備える。これらのディンプルは、面積が8.0mm未満である複数の小ディンプルと、面積が8.0mm以上である複数の大ディンプルとを含む。ゴルフボールの仮想球の表面積に対する、小ディンプルの面積の合計の比率PSは、2.0%未満である。大ディンプルの数NLは、250以上450未満である。大ディンプルの数NLと、大ディンプルの面積(mm)の統一度Gとの間には、下記数式(II)が成り立つ。
G < 0.0032 ・ NL + 0.26 (II)
好ましくは、比率PSは、0.7%以上である。好ましくは、小ディンプルの数NSは、6以上20以下である。好ましくは、小ディンプルの数NSの、ディンプルの総数Nに対する比(NS/N)は、0.01以上0.07以下である。
好ましくは、数NLは、290以上380未満である。
好ましくは、それぞれのディンプルの最深部の、仮想球の表面からの深さは、0.10mm以上0.65mm以下である。
好ましくは、ディンプルの総容積は、450mm以上750mm以下である。
好ましくは、ゴルフボールは、下記数式(IV)を満たす。
G < 0.0032 ・ NL + 0.11 (IV)
好ましくは、ゴルフボールは、下記数式(VI)を満たす。
G < 0.0032 ・ NL − 0.04 (VI)
本発明に係るゴルフボールは、小ディンプルを有している。この小ディンプルは、ディンプルパターンの歪みを抑制する。比率PSが2.0%未満なので、この小ディンプルは、ディンプルサイズの分布を大幅にはばらつかせない。さらにこのゴルフボールでは、大ディンプルが乱流化に寄与する。このゴルフボールでは、大きな飛距離が得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された断面図である。 図2は、図1のゴルフボールが示された拡大正面図である。 図3は、図2のゴルフボールが示された背面図である。 図4は、図2のゴルフボールが示された平面図である。 図5は、図2のゴルフボールが示された底面図である。 図6は、図2のゴルフボールが示された左側面図である。 図7は、図2のゴルフボールが示された右側面図である。 図8は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。 図9は、本発明の実施例3に係るゴルフボールが示された正面図である。 図10は、図9のゴルフボールが示された平面図である。 図11は、本発明の実施例4に係るゴルフボールが示された正面図である。 図12は、図11のゴルフボールが示された平面図である。 図13は、本発明の実施例5に係るゴルフボールが示された正面図である。 図14は、図13のゴルフボールが示された平面図である。 図15は、本発明の実施例1に係るゴルフボールが示された正面図である。 図16は、図15のゴルフボールが示された背面図である。 図17は、図15のゴルフボールが示された平面図である。 図18は、図15のゴルフボールが示された底面図である。 図19は、図15のゴルフボールが示された左側面図である。 図20は、図15のゴルフボールが示された右側面図である。 図21は、本発明の実施例6に係るゴルフボールが示された正面図である。 図22は、図21のゴルフボールが示された平面図である。 図23は、本発明の実施例7に係るゴルフボールが示された正面図である。 図24は、図23のゴルフボールが示された平面図である。 図25は、比較例7に係るゴルフボールが示された正面図である。 図26は、図25のゴルフボールが示された平面図である。 図27は、比較例8に係るゴルフボールが示された正面図である。 図28は、図27のゴルフボールが示された平面図である。 図29は、実施例1−7及び比較例1−8に係るゴルフボールがプロットされたグラフである。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4の外側に位置する中間層6と、この中間層6の外側に位置するカバー8とを備えている。このゴルフボール2は、その表面に多数のディンプル10を有している。ゴルフボール2の表面のうちディンプル10以外の部分は、ランド12である。このゴルフボール2は、カバー8の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
このゴルフボール2の直径は、40mm以上45mm以下が好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
コア4は、ゴム組成物が架橋されることによって形成されている。ゴム組成物の基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましく、特にハイシスポリブタジエンが好ましい。
コア4のゴム組成物は、共架橋剤を含んでいる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムである。ゴム組成物が、共架橋剤と共に有機過酸化物を含むことが好ましい。好ましい有機過酸化物として、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。
コア4のゴム組成物が、充填剤、硫黄、加硫促進剤、硫黄化合物、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤、カルボン酸塩のような添加剤を含んでもよい。ゴム組成物が、合成樹脂粉末又は架橋されたゴム粉末を含んでもよい。
コア4の直径は30.0mm以上が好ましく、38.0mm以上が特に好ましい。コア4の直径は42.0mm以下が好ましく、41.5mm以下が特に好ましい。コア4が、2以上の層を有してもよい。コア4が、その表面にリブを有してもよい。コア4が中空であってもよい。
中間層6は、樹脂組成物からなる。この樹脂組成物の好ましい基材ポリマーは、アイオノマー樹脂である。好ましいアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい他のアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。この二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。この二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。
アイオノマー樹脂に代えて、中間層6の樹脂組成物が他のポリマーを含んでもよい。他のポリマーとして、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリウレタンが例示される。樹脂組成物が、2種以上のポリマーを含んでもよい。
中間層6の樹脂組成物が、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を含んでもよい。比重調整の目的で、この樹脂組成物がタングステン、モリブデン等の高比重金属の粉末を含んでもよい。
中間層6の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。中間層6の厚みは2.5mm以下が好ましく、2.2mm以下が特に好ましい。中間層6の比重は0.90以上が好ましく、0.95以上が特に好ましい。中間層6の比重は1.10以下が好ましく、1.05以下が特に好ましい。中間層6が、2以上の層を有してもよい。
カバー8は、樹脂組成物からなる。この樹脂組成物の好ましい基材ポリマーは、ポリウレタンである。樹脂組成物が、熱可塑性ポリウレタンを含んでもよく、熱硬化性ポリウレタンを含んでもよい。生産性の観点から、熱可塑性ポリウレタンが好ましい。熱可塑性ポリウレタンは、ハードセグメントとしてのポリウレタン成分と、ソフトセグメントとしてのポリエステル成分又はポリエーテル成分とを含む。
ポリウレタンは、分子内にウレタン結合を有する。このウレタン結合は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって形成されうる。ウレタン結合の原料であるポリオールは、複数のヒドロキシル基を有する。低分子量ポリオール及び高分子量ポリオールが用いられうる。
ポリウレタン成分のイソシアネートとして、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート及び脂肪族ジイソシアネートが例示される。特に、脂環式ジイソシアネートが好ましい。脂環式ジイソシアネートは主鎖に二重結合を有さないので、カバー8の黄変が抑制される。脂環式ジイソシアネートとして、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びトランス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)が例示される。汎用性及び加工性の観点から、H12MDIが好ましい。
ポリウレタンに代えて、カバー8の樹脂組成物が他のポリマーを含んでもよい。他のポリマーとして、アイオノマー樹脂、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル及びポリオレフィンが例示される。樹脂組成物が、2種以上のポリマーを含んでもよい。
カバー8の樹脂組成物が、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を含んでもよい。
カバー8の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。カバー8の厚みは2.5mm以下が好ましく、2.2mm以下が特に好ましい。カバー8の比重は0.90以上が好ましく、0.95以上が特に好ましい。カバー8の比重は1.10以下が好ましく、1.05以下が特に好ましい。カバー8が、2以上の層を有してもよい。
ゴルフボール2が、中間層6とカバー8との間に、補強層を備えてもよい。補強層は、中間層6と堅固に密着し、カバー8とも堅固に密着する。補強層は、中間層6からのカバー8の剥離を抑制する。補強層は、ポリマー組成物からなる。補強層の基材ポリマーとして、二液硬化型エポキシ樹脂及び二液硬化型ウレタン樹脂が例示される
図2−7に示されるように、ディンプル10の輪郭は円である。このゴルフボール2は、直径が4.50mmであるディンプルAと、直径が4.40mmであるディンプルBと、直径が4.30mmであるディンプルCと、直径が4.20mmであるディンプルDと、直径が3.00mmであるディンプルEとを備えている。ディンプル10の種類数は、5である。ゴルフボール2が円形ディンプル10に代えて、又は円形ディンプル10と共に、非円形ディンプルを有してもよい。
ディンプルAの数は80個であり、ディンプルBの数は74個であり、ディンプルCの数は62個であり、ディンプルDの数は96個であり、ディンプルEの数は12個である。ディンプル10の総数は、324個である。これらのディンプル10とランド12とにより、ディンプルパターンが形成されている。
図8には、ディンプル10の中心及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った、ゴルフボール2の断面が示されている。図8における上下方向は、ディンプル10の深さ方向である。図8において二点鎖線14で示されているのは、仮想球である。仮想球14の表面は、ディンプル10が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。仮想球14の直径は、ゴルフボール2の直径と同一である。ディンプル10は、仮想球14の表面から凹陥している。ランド12は、仮想球14の表面と一致している。本実施形態では、ディンプル10の断面形状は、実質的には円弧である。
図8において矢印Dmで示されているのは、ディンプル10の直径である。この直径Dmは、ディンプル10の両側に共通する接線Tgが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル10のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル10の輪郭を画定する。図8において両矢印Dp1で示されているのは、ディンプル10の第一深さである。この第一深さDp1は、ディンプル10の最深部と仮想球14の表面との距離である。図8において両矢印Dp2で示されているのは、ディンプル10の第二深さである。この第二深さDp2は、ディンプル10の最深部と接線Tgとの距離である。
それぞれのディンプル10の直径Dmは、2.0mm以上6.0mm以下が好ましい。直径Dmが2.0mm以上であるディンプル10は、乱流化に寄与する。この観点から、直径Dmは2.5mm以上がより好ましく、2.8mm以上が特に好ましい。直径Dmが6.0mm以下であるディンプル10は、実質的に球であるというゴルフボール2の本質を損ねない。この観点から、直径Dmは5.5mm以下がより好ましく、5.0mm以下が特に好ましい。
ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル10の第一深さDp1は0.10mm以上が好ましく、0.13mm以上がより好ましく、0.15mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、第一深さDp1は0.65mm以下が好ましく、0.60mm以下がより好ましく、0.55mm以下が特に好ましい。
ディンプル10の面積sは、無限遠からゴルフボール2の中心を見た場合の、ディンプル10の輪郭に囲まれた領域の面積である。円形ディンプル10の場合、面積Sは下記数式によって算出される。
S = (Dm / 2) * π
図2−7に示されたゴルフボール2では、ディンプルAの面積は15.9mmであり、ディンプルBの面積は15.2mmであり、ディンプルCの面積は14.5mmであり、ディンプルDの面積は13.9mmであり、ディンプルEの面積は7.1mmである。
本発明では、全てのディンプル10の面積Sの合計の、仮想球14の表面積に対する比率は、占有率と称される。十分な乱流化が得られるとの観点から、占有率は80%以上が好ましく、81%以上がより好ましく、82%以上が特に好ましい。占有率は、95%以下が好ましい。図2−7に示されたゴルフボール2では、ディンプル10の合計面積は4712.8mmである。このゴルフボール2の仮想球14の表面積は5728.0mmなので、占有率は82.3%である。
十分な占有率が達成されるとの観点から、ディンプル10の総数Nは250個以上が好ましく、280個以上がより好ましく、300個以上が特に好ましい。個々のディンプル10が乱流化に寄与しうるとの観点から、総数Nは450個以下が好ましく、400個以下がより好ましく、380個以下が特に好ましい。
本発明において「ディンプルの容積」とは、仮想球14の表面とディンプル10の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。ゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル10の総容積は450mm以上が好ましく、480mm以上がより好ましく、500mm以上が特に好ましい。ゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、総容積は750mm以下が好ましく、730mm以下がより好ましく、710mm以下が特に好ましい。
本発明では、その面積が8.0mm未満であるディンプル10は、「小ディンプル10S」と称される。図2−7に示されたゴルフボール2において、ディンプルEは、小ディンプル10Sである。このゴルフボール2において、小ディンプル10Sの数NSは、12個である。
本発明では、その面積が8.0mm以上であるディンプル10は、「大ディンプル10L」と称される。図2−7に示されたゴルフボール2において、ディンプルA−Dは、大ディンプル10Lである。このゴルフボール2において、大ディンプル10Lの数NLは、312個である。数NSと数NLとの合計は、総数Nと等しい。
大ディンプル10Lのみを有するディンプルパターンでは、仮想球14の表面において、ランド12の偏りが生じる傾向がある。この偏りは、本明細書では、歪みと称される。本発明に係るゴルフボール2では、小ディンプル10Sが歪みを抑制する。このゴルフボール2では、小ディンプル10Sが乱流化を促進する。このゴルフボール2の飛距離は、大きい。
小ディンプル10Sが過剰に存在するパターンでは、ディンプル10のサイズのばらつきが大きい。このばらつきが大きなパターンでは、乱流化は不十分である。適切な数の小ディンプル10Sを有するゴルフボール2において、十分な乱流化が得られる。適切な数の小ディンプル10Sを有するゴルフボール2の飛距離は、大きい。
飛距離の観点から、仮想球14の表面積に対する、小ディンプル10Sの面積の合計の比率PSは、0.7%以上が好ましく、0.9%以上がより好ましく、1.0%以上が特に好ましい。飛距離の観点から、この比率PSは2.0%未満が好ましく、1.8%以下がより好ましく、1.7%以下が特に好ましい。図2−7に示されたゴルフボール2では、この比率PSは1.5%である。
飛距離の観点から、小ディンプル10Sの数NSは6個以上が好ましく、8個以上がより好ましく、10個以上が特に好ましい。飛距離の観点から、この数NSは20個以下が好ましく、18個以下がより好ましく、16個以下が特に好ましい。
飛距離の観点から、小ディンプル10Sの数NSの、ディンプル10の総数Nに対する比(NS/N)は、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上が特に好ましい。飛距離の観点から、この比(NS/N)は0.07以下が好ましく、0.06以下がより好ましく、0.05以下が特に好ましい。図2−7に示されたゴルフボール2では、この比(NS/N)は、0.04である。
前述の通り、ディンプルパターンの歪みの抑制の観点から、小ディンプル10Sの存在は必須である。一方、小ディンプル10Sの乱流化への寄与度は、大ディンプル10Lのそれよりも小さい。適切な数の小ディンプル10Sが存在し、かつ十分な数の大ディンプル10Lが存在するディンプルパターンでは、大きな占有率が達成されうる。このディンプルパターンを有するゴルフボール2は、飛行性能に優れる。
大きな占有率が達成されるとの観点から、大ディンプル10Lの数NLは250以上が好ましく、290以上がより好ましく、310以上が特に好ましい。個々の大ディンプル10Lが乱流化に寄与しうるとの観点から、数NLは450個以下が好ましく、400個以下がより好ましく、380個以下が特に好ましい。
ディンプルのサイズのばらつきが大きなパターンでは、乱流化が不十分である。十分な乱流化が得られるとの観点から、大ディンプル10Lの面積の統一度Gは1.15以下が好ましく、1.10以下がより好ましく、1.05以下が特に好ましい。
統一度Gは、大ディンプル10Lの面積(mm)の標準偏差である。図2−7に示されたゴルフボール2では、大ディンプル10Lの面積の平均は、14.9mmである。このゴルフボール2の統一度Gは、下記の数式に基づいて算出される。
G = (((15.9 - 14.9) * 80 + (15.2 - 14.9) * 74 + (14.5 - 14.9) * 62
+ (13.9 - 14.9) * 96) / 312)1/2
このゴルフボール2の統一度Gは、0.80である。
図29のグラフにおいて、横軸は大ディンプル10Lの数NLであり、縦軸は大ディンプル10Lの面積の統一度Gである。このグラフにおいて符号L1で示されている直線は、下記数式(I)で表される。
G = 0.0032 ・ NL + 0.26 (I)
図29のグラフにおいて、直線L1よりも下側のゾーンに含まれるゴルフボール2は、下記数式(II)を満たす。
G < 0.0032 ・ NL + 0.26 (II)
このゴルフボール2は、大ディンプル10Lの数NLの割には、大ディンプル10Lの面積のばらつきが小さい。このゴルフボール2は、飛行性能に優れる。
図29のグラフにおいて符号L2で示されている直線は、下記数式(III)で表される。
G = 0.0032 ・ NL + 0.11 (III)
このグラフにおいて、直線L2よりも下側のゾーンに含まれるゴルフボール2は、下記数式(IV)を満たす。
G < 0.0032 ・ NL + 0.11 (IV)
上記数式(IV)を満たすゴルフボール2は、大ディンプル10Lの数NLの割には、大ディンプル10Lの面積のばらつきが小さい。このゴルフボール2は、飛行性能に優れる。
図29のグラフにおいて符号L3で示されている直線は、下記数式(V)で表される。
G = 0.0032 ・ NL − 0.04 (V)
このグラフにおいて、直線L3よりも下側のゾーンに含まれるゴルフボール2は、下記数式(VI)を満たす。
G < 0.0032 ・ NL − 0.04 (IV)
上記数式(VI)を満たすゴルフボール2は、大ディンプル10Lの数NLの割には、大ディンプル10Lの面積のばらつきが小さい。このゴルフボール2は、飛行性能に優れる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、22.5質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、5質量部の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド及び0.6質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、170℃で18分間加熱して、直径が38.5mであるコアを得た。
50質量部のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1605」)、50質量部の他のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミランAM7329」)及び4質量部の二酸化チタンを二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を形成した。この中間層の厚みは、1.6mmであった。
二液硬化型エポキシ樹脂を基材ポリマーとする塗料組成物(神東塗料社の商品名「ポリン750LE)を調製した。この塗料組成物の主剤液は、30質量部のビスフェノールA型固形エポキシ樹脂と、70質量部の溶剤とからなる。この塗料組成物の硬化剤液は、40質量部の変性ポリアミドアミンと、55質量部の溶剤と、5質量部の二酸化チタンとからなる。主剤液と硬化剤液との質量比は、1/1である。この塗料組成物を中間層の表面にスプレーガンで塗布し、23℃の雰囲気下で6時間保持して、補強層を得た。この補強層の厚みは、10μmであった。
100質量部の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(BASFジャパン社の商品名「エラストランXNY85A」)及び4質量部の二酸化チタンを二軸押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物から、圧縮成形法にて、ハーフシェルを得た。2枚のハーフシェルで、コア、中間層及び補強層からなる球体を被覆した。これらのハーフシェル及び球体を、共に半球状キャビティを備え、キャビティ面に多数のピンプルを備えた上型及び下型からなるファイナル金型に投入し、圧縮成形法にてカバーを得た。カバーの厚みは、0.5mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。このカバーの周りに二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装し、直径が約42.7mmであり質量が約45.6gである実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールの、荷重が98N−1274Nである場合の圧縮変形量は、2.45mmであった。このゴルフボールのディンプルの仕様が、下記の表1に示されている。
[実施例2−7及び比較例1−8]
ディンプルの仕様を下記の表1−5に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−7及び比較例1−8のゴルフボールを得た。比較例1に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2005−137692公報の比較例2に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例2に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2006−20820公報の比較例4に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例3に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2013−153966公報の実施例1に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例4に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2005−137692公報の実施例4に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例5に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2005−137692公報の実施例2に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例6に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2005−137692公報の比較例3に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、チタン合金製のヘッドを備えたドライバー(ダンロップスポーツ社の商品名「SRIXON Z−TX」、シャフト硬度:X、ロフト角:8.5°)を装着した。ヘッド速度が50m/secであり、打ち出し角度が約10°であり、バックスピン速度が約2500rpmである条件でゴルフボールを打撃して、発射地点から静止地点までの距離を測定した。テスト時は、ほぼ無風であった。20回の測定で得られたデータの平均値が、下記の表6−8に示されている。
Figure 0006412426
Figure 0006412426
Figure 0006412426
Figure 0006412426
Figure 0006412426
Figure 0006412426
Figure 0006412426
Figure 0006412426
表6−8に示されるように、各実施例のゴルフボールは、飛行性能に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
前述のディンプルは、スリーピースゴルフボールのみならず、ワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、フォーピースゴルフボール、ファイブピースゴルフボール、シックスピースゴルフボール、糸巻きゴルフボール等、様々な構造を有するゴルフボールに適用されうる。
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・中間層
8・・・カバー
10・・・ディンプル
10S・・・小ディンプル
10L・・・大ディンプル
12・・・ランド
14・・・仮想球

Claims (7)

  1. その表面に多数のディンプルを備えており、
    上記ディンプルの総数が280以上380以下であり、
    その仮想球の表面積に対する、上記ディンプルの合計面積の比率が、82.0%以上であり、
    上記ディンプルが、面積が8.0mm未満である複数の小ディンプルと、面積が8.0mm以上である複数の大ディンプルとを含んでおり、
    上記小ディンプルの数NSが6以上20以下であり、
    その仮想球の表面積に対する、上記小ディンプルの面積の合計の比率PSが、0.9%以上1.7%以下であり、
    上記大ディンプルの数NLが260以上374以下であり、
    上記大ディンプルの数NLと、上記大ディンプルの面積(mm)の統一度Gとの間に、下記数式(II)が成り立つゴルフボール。
    G < 0.0032 ・ NL + 0.26 (II)
  2. 上記小ディンプルの数NSの、上記ディンプルの総数Nに対する比(NS/N)が0.01以上0.07以下である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 上記数NLが290以上374以下である請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. それぞれのディンプルの最深部の、上記仮想球の表面からの深さが、0.10mm以上0.65mm以下である請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
  5. 上記ディンプルの総容積が450mm以上750mm以下である請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
  6. 下記数式(IV)を満たす請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。
    G < 0.0032 ・ NL + 0.11 (IV)
  7. 下記数式(VI)を満たす請求項6に記載のゴルフボール。
    G < 0.0032 ・ NL − 0.04 (VI)
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