JP2016007214A - 間葉系間質細胞生産をスケールアップする方法、その組成物及びキット - Google Patents

間葉系間質細胞生産をスケールアップする方法、その組成物及びキット Download PDF

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Abstract

【課題】臨床グレードの間葉系間質細胞(MSC)を安定生産するロバストな製造方法の提供。
【解決手段】継代2〜継代9まで培養した間質系間質細胞を塩基性線芽細胞成長因子を含む培養培地の存在下継代5〜継代10までの範囲で少なくとも2000倍増大させる間質系培養方法、及び、培養方法が継代3代まで培養した間質系細胞を塩基性線維芽細胞成長因子を含む培養培地の存在下継代5代まで培養し、細胞数が継代3の時点と比較して2000倍増大する培養方法、及び、前記培養プロセスで得られる細胞を、臨床応用又は治療用途の所定の投与形態に配合する前に、遠心分離プロセスと洗浄プロセスの組み合わせに供してBSAレベルを低減する方法、更に、該細胞を凍結混合物に供しDMSOを保存剤として貯蔵する方法。
【選択図】なし

Description

本開示は、強力な生存幹細胞の組成物が得られるように間葉系間質細胞をプロセシングする方法に関する。特に、本開示は臨床用途及び治療用途のために高細胞収率の一貫性、生存性の増大、低いHLA−DR及び間葉系間質細胞の効力を得るプロセスに関する。さらに、本開示は上記用途のための徹底した生産プロセス及び投与前又は投与時の最終組成物の操作の低減にも関する。
ヒト間葉系間質細胞(hMSC)は、有核細胞の0.001%〜0.01%を占める微量(rare)細胞集団として骨髄中に存在し、培養下でその幹細胞性を失うことなく急速に成長及び増殖することができる。hMSCは、(1)単離の容易さ、(2)高い増殖能、(3)遺伝的安定性、(4)再現特性(reproducible characteristics)、(5)組織工学原理との適合性というその特性のために、多くの損傷組織において修復を増進する可能性を有する。
MSC及びMSC様細胞は現在、脂肪組織、羊水、骨膜(periostium)及び胎児組織を含む骨髄以外の様々な組織から単離されており、表現型不均一性を示す。骨髄等のヒト供給源から得られる間葉系間質細胞(hBMSC)は、骨形成系列、脂肪生成系列及び軟骨形成系列、並びに肝細胞、心筋細胞及びニューロンを含む他の種類の組織又は細胞への比較的容易なアクセス可能性及び分化能のために、広く研究されている。その多能性及び自己複製能(self-renewal)のために、再生医療における用途を有する自己複製細胞源として、この幹細胞への関心が高まっている。加えて、培養基質への接着性に基づくその単離は、非間葉系列を除去する直接的戦略となり、特異的な表面マーカーの発現に左右される複雑な細胞単離法への依存を減らす。
さらに、治療用の接着性間葉系幹細胞は典型的にはプレーナー技術(フラスコ)を用いて生産される。幾つかの同種細胞療法用生成物を初期、中後期の臨床開発へと進めるために10層のスタック又は容器が使用されてきた。従来の実験室規模のフラスコベースの培養プロセスのスケールアップは通常、CorningのCell STACK等の市販の積層プレートシステムを必要とする。これらの多層容器が大規模細胞培養に使用されてきた。従来の10層Cell STACKは製造プロセスに採用され、適正製造基準(GMP)に従う治療用の同種間葉系間質細胞の生産においてプラットホームとして使用されている。
間葉系間質/幹細胞を用いる細胞療法は大きな将来性を示すが、骨髄由来MSCによる制限はその少ない量であり、一方で臨床用途には大量のMSCが必要とされる。間葉系間質細胞(MSC)の研究は市販の生成物を生み出すが、細胞ベースの生成物を市場に出す際の別の大きな障害は、ロバストかつ再現可能な生産プロセスの必要性並びに生体系用の低温保存培地及び貯蔵コンテナの品質である。
MSCは多能性であり、骨芽細胞、軟骨細胞及び脂肪細胞に分化することが可能である。BM由来MSCはより広く使用されおり、その臨床安全性及び実践に関する膨大な量のデータが存在する。この臨床需要を満たすために、迅速かつロバストなMSC増殖方法が均一な既製の生成物の大量の在庫の製造及び貯蔵に必要とされる。従来技術では、特許文献1が、免疫原性が低下した間葉系幹細胞を含む医薬組成物、及び遠心濾過を用いてそれを製造する方法を開示している。特許文献1は遠心濾過を用いて1つ又は複数の精製MSC医薬組成物を製造する方法に関するものであるが、細胞収率及びHLA−DR等の細胞ベースの生成物の重要な品質パラメーターを開示していない。さらに、精製MSC組成物
は55ug/ml未満の残留BSAを含む。また、特許文献1は細胞収率、生存性並びに低いHLA−DR及び純度のような品質パラメーターの増大の達成に関する見解を提示していない。特許文献2は、重要な治療可能性を有し、培養物中で安定した構造的及び機能的表現型を有する間葉系幹細胞の調製、臨床規模の治療調製物を生産するMSCの増殖方法及びその医学的使用を提供する。また、特許文献3は、細胞療法生成物を製造し、後続の手順においてBSA含量を低減する技術であるTFFを用いた減容によって細胞療法生成物を洗浄する方法及び装置に着目している。しかしながら、TFF手順中の細胞損失に関するデータは提示されておらず、更にはBSAレベルが約100ng/mlの範囲であり、治療用途に好適でないとみなされる。このため、均一な細胞分布及び増加のための培地への均一な成長因子(bFGF)の分布を確実にするプロセス、不純物を含まない培養期間及び細胞損失の低減と同時に細胞収率、生存性、一貫性を改善するプロセス、並びにその保存期間を改善する細胞生成物を保存する方法が必要とされている。
国際出願PCT/US2009/053891号 米国特許出願公開第13/267,363号 国際出願PCT/US2011/022054号
従来行われている幹細胞の増殖及び細胞ベースの生成物の最終送達の方法に見られる大きな障害は以下の通りである:
短期間で大きな細胞収率を得る安定生産の欠如、
低い細胞収率及び生存性につながる洗浄及び遠心分離プロセス中の高い細胞損失、
費用のかかる貯蔵及び輸送、
患者に投与する前の低温保存細胞の或る程度の再構成の必要性、及び、
生成物を細胞の損失又は無菌性の喪失を受けやすいものにする院内での低温保存細胞の更なる操作。
したがって、本開示は上記の問題を克服するプロセス及び手段を提供する。このため、本開示は、包括的生産プロセス及び最終生成物の貯蔵の開発に関して高まる要求を克服しようと試みるものである。したがって、現在の細胞療法に最も広く使用されている細胞型である細胞療法に即時使用可能な同種間葉系間質/幹細胞を開発するプロセス改善及び戦略に着目する。
本開示は、間葉系間質細胞を培養する方法であって、以下の工程:第1の所定の継代まで培養した間葉系間質細胞を、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培養培地の存在下で第2の所定の継代まで増殖させることを含み、上記増殖を上記細胞が少なくとも1つの所定のコンフルエンシーを達成した時点で該細胞と上記培養培地とを接触させることによって行い、該方法によって第2の所定の継代の終了時の細胞数が第1の所定の継代の時点の細胞数と比較して2000倍増大する、間葉系間質細胞を培養する方法に関する。
本開示は、細胞を培養することによって得られる間葉系間質細胞を含む、臨床用途又は治療用途で配合される所定の投与形態におけるBSA量を50ng/ml未満のレベルまで低減する方法であって、上記組成物を、該BSA量が低減するように遠心分離とリン酸緩衝生理食塩水での洗浄との組合せに供する工程を含む、BSA量を50ng/ml未満のレベルまで低減する方法にも関する。
本開示は、間葉系間質細胞を貯蔵する方法であって、該細胞を凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞の範囲の細胞密度で該凍結混合物に供する工程と、該細胞を約−75℃〜約−85℃の範囲の温度又は約−190℃〜約−200℃の範囲の温度で貯蔵する工程とを含む、間葉系間質細胞を貯蔵する方法にも関する。
本開示が容易に理解され、実用化されるように、ここでは添付の図面を参照して説明される例示的な実施形態に言及する。図面は下記の発明を実施するための形態とともに、本明細書中に引用され、本明細書の一部をなし、本開示に従って実施形態を更に説明し、様々な原理及び利点を明らかにする役割を果たす。
Aは、継代4(P4)でのバッチ当たりの間葉系間質細胞収率を示す図であり、Bは、Aの5つの個々のバッチの平均細胞収率を示す図である。 種々のバッチのP5での全細胞収率を示す図である。 本開示の種々のバッチのP5採取物の7−アミノアクチノマイシンD(7AAD)による生存率のグラフ表示である。 解凍後の生存性の顕著な一貫性を示す解凍後の本開示の治験用医薬品(IMP)の7AADによる生存率のグラフ表示である。 図3Bの5つの個々の生産バッチの解凍後のIMPの7AADによる生存率の平均を示す図である。 顕著に低いHLA−DR発現を示す本発明のプロセスの種々の生産バッチにおける採取後HLA−DR発現を示す図である。 図4Aの5つの個々の生産バッチの採取後HLA−DR発現の平均を示す図である。 本開示のプロセスを用いた種々の生産バッチの解凍後HLA−DR発現を示す図である。 図4Cの5つの個々の生産バッチの解凍後HLA−DR発現の平均を示す図である。 bFGFマスターミックスの調製を示す図である。 種マスターミックスの調製を示す図である。 bFGF及び種マスターミックスを組み入れる前(「従来既知」)及び組み入れた後(本開示の「新たなプロセス」)の種々の生産バッチにおける細胞収率の一貫性を示す図である。 bFGF及び種マスターミックスを組み入れる前(「従来既知」)及び組み入れた後(本開示の「新たなプロセス」)の種々の生産バッチにおけるHLA−DR発現の一貫性を示す図である。 培養を日数に基づいて行う従来既知のプロセス(1)と比較した、コンフルエンシーに基づく本発明のプロセス(2)の種々のバッチの個々の10Cell STACKの細胞収率に対するコンフルエンシーに基づく供給スケジュールの影響を示す図である。 培養を日数に基づいて行う従来既知のプロセス(1)と比較した、コンフルエンシーに基づく本発明のプロセス(2)の種々の生産バッチの個々の10Cell STACKにおけるHLA−DR発現を示す図である。 従来既知の洗浄工程(すなわち、各々200mlのDPBSでの洗浄I及び洗浄II)を行うことによって得られるIMPにおけるBSAレベルに対する、本開示に示す洗浄工程(すなわち、200mlのDPBSでの洗浄I及び90mlのDPBSでの洗浄II)を行うことによるIMPにおけるBSAレベルの比較を示す図である。 従来既知の洗浄工程(すなわち、各々200mlのDPBSでの洗浄I及び洗浄II)を行うことによって得られる最終生成物の細胞収率に対する、本開示に示す洗浄工程(すなわち、200mlのDPBSでの洗浄I及び90mlのDPBSでの洗浄II)を行うことによって得られる本開示の最終生成物における細胞損失の比較を示す図である。 従来既知の洗浄プロセスと比較した、本発明のプロセスによる最終生成物の解凍後の細胞回収率に対する洗浄及び遠心分離の影響を示す図である。 Cryostor 5(CS5)を用いた低温保存後のBM−MSCの7AADによる解凍後の生存性を示す図である。細胞生存性を1週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月の低温保存齢(時点)でCS5 1ml当たり500万細胞、1000万細胞、1250万細胞、1500万細胞及び2500万細胞という5つの異なる凍結濃度で評価した。 CS5を用いた低温保存後のBM−MSCの解凍後の全細胞回収率(TCR)を示す図である。細胞を1週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月の低温保存齢(時点)でトリパンブルーを用いて染色することによってTCRを評価した。全生存細胞及び非生存細胞の合計をTCRとして計数した。CS5 1ml当たり500万細胞、1000万細胞、1250万細胞、1500万細胞及び2500万細胞という5つの異なる凍結濃度でTCRを観察した。 −196℃で6ヶ月間貯蔵した25M用量、50M用量及び75M用量という異なる用量のCS5凍結混合物1ml当たりの25M細胞の7AADによる生存性を示す図である。 −196℃で6ヶ月間貯蔵した25M用量、50M用量及び75M用量という異なる用量のCS5凍結混合物1ml当たりの25M細胞の細胞回収率を示す図である。 −196℃で12ヶ月間貯蔵した1億及び2億という異なる用量のCS5凍結混合物1ml当たりの25M細胞の7AADによる生存性を示す図である。Y軸は7AAD生存性(%)を表す。 混合リンパ球反応(MLR)を抑制する能力によるIMPの免疫抑制特性を示す図である。データは6つの個々のバッチの平均である。 IMP−MLR共培養物の上清におけるプロスタグランジン−E2(PGE−2)の推定を示す図である。データは5つの個々のバッチの平均である。 産生されるPGE−2の量とIMPの免疫抑制能との相関を示す図である。 従来既知のプロセスによって生産される細胞ベースの生成物と比較したVEGFの産生に関するIMPの血管形成効力を示す図である。 従来既知のプロセスによって生産される細胞ベースの生成物と比較したsGAGの産生に関するIMPの軟骨細胞効力を示す図である。 直接安定性及び加速安定性研究の3ヶ月時点の7AADによる解凍後の生存性を示す図である。 3ヶ月の−80℃直接安定性(右側)及び加速安定性(左側)研究の解凍後の増加を示す図である。 −80℃直接安定性及び加速(対照)安定性研究の解凍後のCFU−Fを示す図である。 −80℃直接安定性及び加速安定性研究の三血球系分化を示す図である。
本開示は、間葉系間質細胞を培養する方法であって、以下の工程:
a.第1の所定の継代まで培養した上記間葉系間質細胞を、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培養培地の存在下で第2の所定の継代まで増殖させること、
を含み、上記増殖を上記細胞が少なくとも1つの所定のコンフルエンシーを達成した時点で該細胞と上記培養培地とを接触させることによって行い、該方法によって上記第2の所
定の継代の終了時の細胞数が上記第1の所定の継代の時点の細胞数と比較して2000倍増大する、間葉系間質細胞を培養する方法に関する。
本開示の1つの実施形態では、上記細胞数の増大が最大で21日間の期間内に起こる。
本開示の別の実施形態では、上記第1の所定の継代の時点の細胞を上記第2の所定の継代まで連続継代によって増殖させ、該第1の所定の継代が継代2〜継代9の範囲であり、該第2の所定の継代が継代5〜継代10の範囲である。
本開示の別の実施形態では、上記第1の所定の継代が継代3であり、上記第2の所定の継代が継代5である。
本開示の別の実施形態では、上記増殖用に播種する細胞の数が約60万細胞〜約70万細胞の範囲であり、該増殖の後に得られる細胞の数が少なくとも約18億細胞であり、上記方法により細胞数が少なくとも2000倍増大する。
本開示の別の実施形態では、上記培養培地の成分が約75%〜95%の範囲の濃度のダルベッコ変法イーグル培地−ノックアウト(DMEM−KO)、約5%〜15%の範囲の濃度のウシ胎仔血清(FBS)、約0.5%〜2%の範囲の濃度のグルタミン、約50U/ml〜約100U/mlの濃度のペニシリンと約50μg/ml〜約100μg/mlの濃度のストレプトマイシンとを含むPen−Strep、及び約0.5ng/ml〜5ng/mlの範囲の濃度の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)である。
本開示の別の実施形態では、上記培養培地を、体積誤差を回避し、上記培地の複数のアリコートにおけるbFGFの均一な分布をもたらすように上記成分を主混合するプロセスによって調製し、該プロセスが以下の工程:
a.DMEM−KO、FBS、グルタミン及びPen−Strepを含み、bFGFを含まない「X」リットルの培養培地を調製すること、及び「X」個の1リットルのコンテナに分注すること、及び該コンテナを1〜「X」と標識すること、
b.「Z」mlの培地をコンテナNo.1から取り出すこと、及びNo.「X+1」と標識した新たな滅菌コンテナに分注すること、
c.所定量のbFGFをコンテナNo.1の「X−Z」mlの培地に添加すること、及びbFGFマスターミックスが得られるように、十分に混合すること、
d.等量の培地を2〜「X」と標識したコンテナの各々から別個に取り出すこと、及びコンテナNo.「X+1」の「Z」mlの培地に添加することであって、それによりコンテナNo.「X+1」の全培地容量を「B」mlとすること、並びに、
e.工程(c)で得られた第2の所定量のbFGFマスターミックスを別個に取り出すこと、及びコンテナ2〜「X」の各々「B」mlの培地に添加することであって、それにより該コンテナの各々の容量を等しくするとともに、上記培養培地の複数のアリコートを調製すること、
を含む。
本開示の別の実施形態では、上記少なくとも1つの所定のコンフルエンシーが約30%〜約40%、約40%〜約50%及び約60%〜約70%、又はそれらの任意の組合せを含むコンフルエンシーの範囲から選択される。
本開示の別の実施形態では、上記細胞と上記培養培地との接触による増殖が、以下の工程:
a.培養細胞を、該細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、上記培養培地を播種細胞に供給することによって連続継代
まで増殖させること、並びに、
b.上記細胞に約40%〜約50%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び増殖細胞が得られるように、上記培養培地を交換すること、
を含み、上記増殖全体で用いられる上記培養培地が約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの範囲の濃度である。
本開示の別の実施形態では、上記増殖により細胞数が少なくとも30倍増大する。
本開示の別の実施形態では、上記細胞と上記培養培地との接触による増殖が、以下の工程:
a.培養細胞を、該細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、上記培養培地を播種細胞に供給することによって連続継代まで増殖させること、
b.上記細胞に約30%〜約40%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び使用済み培地を除去することなく上記培養培地を上記細胞に添加すること、並びに、
c.上記細胞に約60%〜約70%の第2の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び増殖細胞が得られるように、上記培養培地を交換すること、
を含み、上記増殖全体で用いられる上記培養培地が約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの範囲の濃度である。
本開示の別の実施形態では、上記増殖により細胞数が少なくとも40倍増大する。
本開示の別の実施形態では、上記細胞と上記培養培地との接触による増殖が、以下の工程:
a.培養細胞を、該細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、上記培養培地を播種細胞に供給することによって連続継代まで増殖させること、
b.上記細胞に約40%〜約50%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び上記細胞の培養培地を交換すること、
c.工程(b)の細胞を、該細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、上記培養培地を播種細胞に供給することによって第2の連続継代まで更に増殖させること、
d.上記細胞に約30%〜約40%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び使用済み培地を除去することなく上記培養培地を上記細胞に添加すること、並びに、
e.上記細胞に約60%〜約70%の第2の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び増殖細胞が得られるように、上記培養培地を交換すること、
を含み、上記増殖全体で用いられる上記培養培地が約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの範囲の濃度である。
本開示の別の実施形態では、上記増殖により細胞数が少なくとも2000倍増大する。
本開示の別の実施形態では、上記培養後に得られる細胞を、凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞の範囲の細胞密度で該凍結混合物による凍結に供する。
本開示の別の実施形態では、上記凍結を約−75℃〜約−85℃の範囲の温度又は約−190℃〜約−200℃の範囲の温度で行い、上記凍結混合物が約2%〜約15%の範囲の濃度、好ましくは約5%の低温保存剤を含み、該低温保存剤が好ましくはDMSOである。
本開示の別の実施形態では、上記細胞密度での凍結により生存性及び解凍後の機能性が
保持される。
本開示の別の実施形態では、上記方法が以下の工程:
a.継代3まで培養した間葉系間質細胞を、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培養培地の存在下で継代5まで増殖させること、
を含み、上記増殖を上記細胞が少なくとも1つの所定のコンフルエンシーを達成した時点で該細胞と上記培養培地とを接触させることによって行い、上記方法によって継代5の終了時の細胞数が継代3の時点の細胞数と比較して少なくとも2000倍増大する。
本開示の別の実施形態では、上記細胞と上記培養培地との接触による増殖が、以下の工程:
a.継代3まで培養した細胞を、該継代3の細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、上記培養培地を播種細胞に供給することによって継代4まで増殖させること、
b.上記細胞に約40%〜約50%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び上記培養培地を交換すること、
c.工程(b)の終了時に得られる細胞を、該細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、上記培養培地を播種細胞に供給することによって継代5まで更に増殖させること、
d.上記細胞に約30%〜約40%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び使用済み培地を除去することなく上記培養培地を添加すること、並びに、
e.上記細胞に約60%〜約70%の第2の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び増殖細胞が得られるように、上記培養培地を交換すること、
を含み、上記増殖全体で用いられる上記培養培地が約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの範囲の濃度である。
本開示の別の実施形態では、上記培養プロセスの際に得られる細胞を、臨床用途又は治療用途の所定の投与形態に配合する前に遠心分離プロセスと洗浄プロセスとの組合せに更に供し、該組合せにより上記所定の投与形態に存在するウシ血清アルブミン(BSA)のレベルが50ng/ml未満の量まで低減し、該BSAが培養プロセスにおいて上記培養培地中のFBSによって上記細胞に供給される。
本開示は、細胞を培養することによって得られる間葉系間質細胞を含む、臨床用途又は治療用途で配合される所定の投与形態のBSA量を50ng/ml未満のレベルまで低減する方法であって、上記組成物を、該BSA量が低減するように遠心分離とリン酸緩衝生理食塩水での洗浄との組合せに供する工程を含む、BSA量を50ng/ml未満のレベルまで低減する方法にも関する。
本開示の別の実施形態では、ウシ起源の成分の使用を含む上記細胞の培養中に50ng/mlを超える量のBSAが該細胞に供給され、50ng/ml未満のレベルが上記投与形態中の細胞数に関わらない。
本開示の別の実施形態では、上記方法が以下の工程:
a.上記細胞を約1200rpm〜約1800rpmの範囲の速度で約7分間〜約10分間の範囲の期間にわたる第1の遠心分離に供すること、
b.遠心分離した細胞を約60万〜約600万の範囲の細胞数で約20mlのDPBSでの第1の洗浄に供すること、及び洗浄した細胞を約1200rpm〜約1800rpmの範囲の速度で約10分間の期間にわたって再遠心分離すること、
c.再遠心分離した細胞を約600〜約600万の範囲の細胞数で約7ml〜約9mlのDPBSでの第2の洗浄に供すること、続いて任意に細胞サンプルをプールすること、
並びに、
d.50ng/ml未満のBSAレベルを有する細胞が得られるように、工程(c)の洗浄した細胞を約1200rpm〜約1800rpmの範囲の速度で約5分間〜約7分間の範囲の期間にわたって再遠心分離すること、
を含む。
本開示は、更に、間葉系間質細胞を貯蔵する方法であって、該細胞を凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞の範囲の細胞密度で該凍結混合物に供する工程、及び該細胞を約−75℃〜約−85℃の範囲の温度又は約−190℃〜約−200℃の範囲の温度で貯蔵する工程を含む、間葉系間質細胞を貯蔵する方法に関する。
本開示の別の実施形態では、凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞の範囲の細胞密度、及び約−75℃〜約−85℃の範囲の温度での凍結混合物における間葉系間質細胞の貯蔵により、生存性及び解凍後の機能性が少なくとも1週間にわたって液体窒素なしに保持される。
本開示の別の実施形態では、凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞の範囲の細胞密度、及び約−190℃〜約−200℃の範囲の温度での凍結混合物における間葉系間質細胞の貯蔵により、生存性及び解凍後の機能性が少なくとも1ヶ月にわたって保持される。
本開示の別の実施形態では、上記凍結混合物が約4%〜約11%の範囲の濃度、好ましくは約5%の低温保存剤を含み、該低温保存剤が好ましくはDMSOである。
本開示の別の実施形態では、上記細胞密度での凍結により生存性及び解凍後の機能性が保持される。
本開示の別の実施形態では、上記間葉系間質細胞が該細胞を上記の方法により培養することによって得られる。
本開示の別の実施形態では、上記方法がそれを必要とする被験体への治療目的での投与前の上記細胞の再構成を排除する。
本開示は、一貫した高い生存細胞収率を得るための培養期間が短縮された間葉系間質細胞(MSC)の大規模製造プロセスに関する。
本開示の一実施形態は、HLA−DR発現の低いMSCを生産するプロセスに関する。
本開示の別の実施形態は不純物を除去し、遠心分離中の細胞損失を低減する/最小限に抑える改良された洗浄プロセスを提供する。
本開示の更に別の実施形態は、臨床用途に極めて効果的な最終細胞組成物を調製するために免疫抑制及び免疫増強MSC集団を生産するプロセスに関する。
本開示は、解凍後の生存性に影響を与えることなくMSCを低容量、高細胞密度で低温保存する方法を更に提供する。
本開示の別の実施形態では、解凍後の細胞の生存性及び効力に影響を与えることなくMSCを低温保存溶液中、高密度で低温保存する方法を開示する。
本開示の一実施形態は、再構成又は操作の必要なしに最終細胞生成物を貯蔵、輸送及び送達する手段を開示する。
本開示の非限定的な実施形態では、本開示において使用される間葉系間質細胞(MSC)という用語は、骨髄、脂肪組織、ホウォートンゼリー、歯髄等を含むが、これらに限定されない様々な供給源に由来する間葉系幹細胞及び成体幹細胞を含むが、これらに限定されない。本開示の一実施形態では、本開示の範囲内のMSCは好ましくは骨髄に由来する間葉系幹細胞を含む。
一実施形態では、本開示で用いられる間葉系間質細胞は骨髄、脂肪組織、ホウォートンゼリー、歯髄等の種々のヒト供給源から当該技術分野において確立されている従来の方法によって単離される。骨髄由来MSCを用いる本開示の一実施形態では、健常ボランティアから得られる骨髄を、生理食塩水/ハンクス液を用いる代わりにDMEM−KO、FBS、グルタミン及びペニシリン−ストレプトマイシンを含む希釈培養培地で希釈する。任意の細胞ストレスを低減するために、完全培養培地が単離工程から培養、採取及び低温保存のプロセス全体にわたって使用される。
本開示の更に別の実施形態は、細胞収率の一貫性、優れた細胞生存性、良好な細胞回収率、細胞増加の改善、低いHLA−DR発現、臨床試験施設での培養期間の短縮及び操作の低減と同時の純度及び効力を達成するための適切な培養、製造並びに最終細胞生成物の低温保存及び貯蔵を含む最終間葉系間質細胞組成物又はIMP(治験用医薬品)の徹底した生産プロセスに関する。
本開示は、培養プロセスが完了するまでに最初の培養細胞の数が数倍に増え、それにより高いMSCの収率がもたらされるようにMSCを培養する方法を提供する。本開示の洗浄プロセスは、上記の培養によって得られるMSCに対する有益な効果を更にもたらし、培養プロセスにおけるウシ成分の使用のために存在し得る残留BSAレベルを細胞から低減又は完全に排除する。続いて、これらのMSCを当該技術分野で既知の好適な低温保存溶液とともに貯蔵するか、又は様々なビヒクル/賦形剤を用いて配合する。本開示の一実施形態では、細胞組成物という用語は、適切なビヒクル/賦形剤とともに本開示の上述の培養プロセスによって得られる同種間葉系間質細胞を含む最終組成物を指す。細胞組成物は治験用医薬品/治験薬とも称される。本明細書で使用される場合、「治験用医薬品(IMP)又は治験薬(IP)又は治療組成物又は組成物」という用語は全て、主に骨髄由来同種間葉系間質細胞、好ましくは間葉系幹細胞をCryoStor 5及びCryoStor 10等の市販の即時使用可能な低温保存溶液、又はヒト血清アルブミン、Plasmalyte A及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含む自家作製低温保存溶液とともに含む組成物を意味する。さらに、本開示の組成物又はIMP又はIPに含まれる同種MSCは、単一のドナー又は複数のドナーに由来する細胞を含み得る。細胞が2人以上のドナーから提供される場合、細胞はプールされる。細胞組成物/IMP/IPがCS5中にプールされたMSCを含むのが好ましい。
一実施形態では、本開示の培養プロセスによって培養したMSC又は本開示のMSCから配合されたIMPの臨床用途及び/又は治療用途は拡張型心筋症、変形性関節炎(OA)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、虚血性心筋症(ICM)、重症虚血肢(CLI)、肝硬変(LC)、真性糖尿病及び急性心筋梗塞(AMI)を含むが、これらに限定されない。
本開示の別の実施形態では、本開示によって提供されるMSCを培養するプロセスは拡張可能であり、結果は培養を行う規模に関わらず再現可能である。説明及び実験を容易にするために、本開示の範囲内で提示される値は表面積が約600cm〜700cm
範囲のセルコンテナ又はセルスタックに関するものである。本開示で用いられる播種密度は約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲である。本開示の範囲内の「スタック」という用語は上述の表面積を有し、細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの播種密度で培養するセルコンテナに関する。さらに、各培養段階で供給される培養培地は約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの範囲の濃度であるため、培地の量はそのように培養される細胞の量に関わらず細胞の培養に用いられる表面積に従う。したがって、当業者は本開示のプロセスをスケールアップするために、コンテナ又はスタック及びそれぞれの表面積は変化し得るが、本開示において開示される播種密度及び相対細胞数及びそれぞれの培養培地の量がかかるスケールアップと一致する限りにおいて、得られる結果が同じであることを理解するであろう。
本開示は骨髄由来MSCの治療用途のための大規模増殖の方法を提示する。本開示は、新たに採取した間葉系間質細胞(MSC/凍結融解MSC)を、移植中/移植前にその生存性及び多能性を特定の期間維持するのに最適な条件で保存/貯蔵する基本的な方法も開示する。本開示は、間葉系間質/幹細胞(MSC)をCS5、CS10又はヒト血清アルブミン、Plasmalyte A及びジメチルスルホキシド(DMSO)、並びに臨床用途の細胞組成物に使用される他の薬学的に許容可能な賦形剤とともに含む組成物にも関する。
本開示の別の実施形態では、骨髄から単離された間質細胞を完全細胞培養培地で培養する。完全細胞培養培地(表2)はDMEM−KO、FBS、グルタミン、Pen−Strep及び塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む。骨髄由来単核細胞(MNC)は従来技術で確立されているいずれかの方法によって得られる。
本開示の更に別の実施形態では、P1での播種密度は好ましくは約6666細胞/cmであり、P2〜P5での播種密度は好ましくは約1000細胞/cmである。細胞がコンフルエントになった時点で断続的に培地を交換しながら細胞を培養し、その後採取する。
細胞増殖のプロセスは概して、各継代での細胞培養、細胞採取及び解凍の工程を含む。これらの工程は細胞を骨髄等の生物学的供給源から吸引し、続いて上記で繰り返されるように細胞培養培地で希釈した後に行われる。希釈の一般的プロセスに続いて下記に開示の培養、採取及び低温保存を継代3まで行う。
細胞培養:
細胞培養プロセスは、細胞を完全培養培地が入った培養プレート/セルスタック/フラスコに播種し、約10日間〜14日間という或る特定の期間にわたって増殖させることを含む。培地交換の工程は使用済み培地を断続的に新たな完全培地に交換することによって行われる。細胞が80%〜85%のコンフルエンシーを達成した時点で細胞を採取する。
細胞採取:
細胞採取工程は使用済み培地を除去した後、細胞をDPBSで洗浄し、続いて細胞を0
.25%トリプシン/EDTAで数分間(2分間〜3分間)処理することを含む。これはトリプシン処理と称される。トリプシン処理した細胞を中和する、又は、言い換えると、細胞に対するトリプシンの作用/効果を、中和培地を用いて中和する。中和培地はダルベッコ変法イーグル培地−ノックアウト(DMEM−KO)、約10%のウシ胎仔血清(FBS)、約50U/ml〜約100U/mlのペニシリン及び約50μg/ml〜約100μg/mlのストレプトマイシンを含む。中和の後、中和培地中の細胞懸濁液を遠心分離してMSCペレットを得て、これを更なる継代のために培養培地に懸濁する。この段階で細胞は継代1にあるといえる。一方で低温保存培地を用いてMSCペレットを低温保存することができる。低温保存培地は、約85%〜約95%の範囲のウシ胎仔血清(FBS)及び約5%〜約15%の範囲のジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。
本開示の一実施形態では、低温保存培地はcryostro−5若しくはcryostro−10又はそれらの組合せである。
解凍:
液体窒素中のcryostorの細胞バイアル/バッグを取り出し、37℃の水浴内で3分間〜4分間回復させる。
本開示によると、骨髄を複数の健常ドナーから別個に単離するが、継代0(P0)で骨髄から単離した細胞集団は不均質な細胞集団である。P0細胞を継代し、主に間葉系間質細胞からなるP1細胞を得る。P1細胞を継代してP2を得て、これを更に継代してP3細胞を得る。各継代で数個のバイアルを低温保存する。一実施形態では、複数のドナーのP1細胞をプールし、同じ割合でP2まで継代してプールされたサンプルを得て、これをP3まで更に継代する。
本開示のまた別の実施形態では、細胞をプールすることなく継代2に続いて継代3(P3)まで直接継代してもよい。
継代3で採取した細胞を低温保存するか、又はP4まで更に継代することができる。
低温保存したP3細胞を解凍し、完全細胞培養培地に播種する。細胞を更に培養し、採取してP4を得る。培養及び細胞採取を上記に開示した細胞培養及び採取のプロセスのように行うか、又は更には当該技術分野で既知の任意のプロセスを用いてもよい。P4細胞を解凍し、更に記載される大規模プロセスを用いて大規模培養して、粒子/不純物等を含まない強力な生存MSCを含む細胞組成物を得る。
プロセスの最適化は商品原価(COG)を最小限に抑えることにより、製品の全体的な商業的実現性を改善することである。しかしながら、IMP製造プロセスの最適化は産業上の要件及び/又はGMP実務基準に基づく必要がある。治療用の間質/幹細胞生成物の開発及び製造は、細胞の純度を確保するために広範な品質管理(QC)を必要とする。本開示は細胞を培養及び増殖させ、続いて採取し、DPBSで洗浄し、遠心分離して高い生存細胞収率を得るとともに、製造プロセスの更なる最適化を容易にする最終生成物中のBSAレベルを低減することに関する。さらに、細胞を培養及び採取して継代3の細胞を得る上記のプロセスとは別に、従来用いられてきたプロセスを本開示の範囲内で用いてもよい。このため、当業者はP3細胞を得て下記に開示される大規模生産へと進めるのに最適な培養プロセスを認識するであろう。
大規模生産:
本開示における大規模生産は、必要な成分を正確な割合で含む完全培養培地を調製し、臨床品質の細胞を大規模で一貫して製造するのに最適な細胞培養培地を達成することから始まる。bFGFは細胞培養培地において重要な成分の1つであり、その濃度は細胞増加及びHLA−DR発現のプロセスにおいて非常に重要である。正確で均一なbFGF濃度を得て、任意の体積誤差を回避するためにbFGFマスターミックスを調製し、これを他の成分とともに培養培地と混合して、完全培養培地を得る。従来のプロセスでは、bFGFが存在する場合、これを各々の培養フラスコ/容器に添加することで細胞品質の大きな変動が生じる。
本発明のプロセスでは、大規模増殖における培地調製、種調製及び培地供給サイクルの重要な意味はIMPの効率及び一貫性を最大化することである。bFGFマスターミックスの調製により体積誤差を回避し、培地への均一なbFGFの分布を得る。さらに、bFGF培地を全てのセルスタックに供給することで、成長特徴及び細胞収率の一貫性を改善する。したがって、bFGFマスターミックスは生産プロセスにおいてより高い細胞収率及び細胞品質に関する一貫性の維持に大きく貢献する。
次に重要な工程は、全てのセルスタックへの均一な細胞分布をもたらすことにより、大規模増殖において均一なMSCの増加を向上させ、セルスタック全体の均一なコンフルエンシーを達成する種マスターミックスを調製することである。
大規模増殖の別の重要な態様は培養を行う際の供給スケジュール/供給サイクルである。供給サイクルの頻度は培養容器における細胞コンフルエンシーによって規定される。これにより高い細胞増加、細胞収率の一貫性及び培養期間の短縮が確実となる。
IMP投与配合物に必要とされる細胞数に応じて、特定数のP3バイアルを任意に回復させ(低温保存時)、計数する。
培養の各段階で供給される培養培地は約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの範囲の濃度であるため、培地の量はそのように培養される細胞の量に関わらず細胞の培養に用いられる表面積に応じて与えられる。
次いで、細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種し、培養1日目に細胞に約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの培地を補充し、約40%〜50%のコンフルエンシーが達成された時点で細胞に約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの培地を更に補充することによって継代3の細胞を継代4まで増殖させる。この段階での細胞数は、継代3の終了時の細胞数と比較して少なくとも約30倍増大している。
さらに、細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種することによって、これらの細胞を継代5まで増殖させる。培養初日にこれらの細胞に約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの培養培地を補充する。約30%〜40%のコンフルエンシーが達成された時点で、約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの培養培地を、使用済み培地を除去せずに添加する(培地追加)。その後、培養物が約60%〜70%のコンフルエンシーに達した時点で完全培地交換の工程を行い、使用済み培地を全TCSから完全に除去し、0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの培養培地を添加する。この段階での細胞数は、継代3の終了時の最初の細胞数と比較して少なくとも約2000倍増大している。
より具体的には、例示的な実施形態として、細胞を1セルスタック(約636cmの表面積を有する)に約1000細胞/cmの播種密度で播種し、培養1日目に細胞に約150mlの培地を補充し、約40%〜50%のコンフルエンシーが達成された時点で細胞に約150mlの培地を更に補充することによって継代3の細胞を継代4まで増殖させる。この段階で得られる収率は1CS当たり約25×10細胞〜40×10細胞であり、このプロセスに必要とされる全期間は約8日〜9日である(図1A及び図1B)。
さらに、細胞を10セルスタック(約636cm×10=6360cmの表面積を有する)に1セルスタック当たり約1000細胞/cmの播種密度で播種することによって、これらの細胞を継代5まで増殖させる。培養初日にこれらの細胞に1セルスタック当たり約1.5Lの培地を補充する。約30%〜40%のコンフルエンシーが達成された時点で、0.5Lの培地を各々のセルスタックに使用済み培地を除去せずに添加する(培地追加)。その後、培養物が約60%〜70%のコンフルエンシーに達した時点で完全培地交換の工程を行い、使用済み培地を全TCSから完全に除去し、約2Lの新たな培地を各セルスタックに添加する。この段階で得られる収率は、10セルスタック当たり約450×10細胞〜600×10細胞であり、このプロセスに必要とされる全期間は約10日〜11日である(図2)。
上述の培養の計算は以下のように表すことができる。
1セルスタックの容量は約600cm〜約700cmである。約1000細胞/cmの播種密度では、1セルスタックに継代4の初めに播種される全細胞数は約600000細胞〜約700000細胞、すなわち約60万細胞〜約70万細胞である。継代4の終わりまでの細胞増殖により、細胞数は1セルスタック当たり約2500万細胞〜約4000万細胞まで増大する。
次いで、これらの細胞を継代5への更なる増殖のために再度約1000細胞/cmの播種密度で種々のセルスタックに播種する。1セルスタックは約60万細胞〜約70万細胞を収容することができるため、約2500万細胞〜約4000万細胞を収容するのに必要とされるセルスタックの数は約40セルスタック〜約70セルスタックである。ここで上述のように、継代4の終わりから継代5の終わりまでの細胞増殖により10セルスタック当たり約450×10細胞〜600×10細胞、すなわち1セルスタック当たり4
500万細胞〜6000万細胞の細胞収率が得られるため、約40セルスタック〜約70セルスタックの各々についての増殖は18億細胞〜約42億細胞の範囲の全細胞数をもたらす。このため、最初の約60万細胞〜約70万細胞からの継代4及び継代5における増殖は、約18億細胞〜約42億細胞の範囲の全細胞数をもたらし、したがって細胞は少なくとも2000倍増加する。
しかしながら、細胞は約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の密度で播種することができる。播種密度が増大する場合、培養期間はそれに応じて変化し、実際には短縮され得る。さらに、より多くの細胞を播種するのに必要とされるセルスタックの数が少なくなるために培地消費も減少し得る。
上述の培地供給プロセスは、約30%〜40%のコンフルエンシーでの培地追加がMSCの増加を改善するため、大規模増殖において重要な役割を果たす。さらに、約60%〜70%のコンフルエンシーでの完全培地交換(CMC)は、大規模培養物の生存性及び品質を損なうことなく増加を向上させる。さらに、CMCは細胞収率の一貫性を改善し、培養期間を短縮する。
次いで、大規模増殖プロセスから採取された細胞を洗浄プロセスに供し、全ての不純物/粒子、とりわけ細胞培養中のFBSの使用のために採取された細胞中に見られるBSAを除去する。臨床用途及び/又は治療用途に使用される細胞組成物は異種(xeno)成分が全て除かれている必要があり、BSAレベルは細胞数又はかかる組成物の容量に関わらず、かかる組成物の各々について常に50ng未満である必要がある。本明細書で行われる洗浄プロセスは以下の工程を含む:
1. 細胞を初めに約1200rpm〜約1800rpmで約10分間遠心分離する。次いで、細胞を10セルスタック当たり約200mlのDPBSで洗浄し、約1200rpm〜約1800rpmで約10分間再遠心分離する。
2. 二度目の洗浄では、10セルスタック当たり約70ml〜約90mlの洗浄緩衝液−DPBSを添加し、続いて全てのセルスタックから細胞サンプルをプールする。
3. プールした細胞を約1200rpm〜約1800rpmで約5分間〜約7分間再び遠心分離する。
4. 最後に、細胞ペレットを約25M細胞/mlでCS5に配合し、2ml、4ml及び8mlの容量で凍結する。
上記の洗浄工程は、主に骨髄由来同種間葉系間質細胞、CS5若しくはCS10、又はヒト血清アルブミン、Plasmalyte A及びジメチルスルホキシド(DMSO)を含む組成物である最終生成物の生産プロセスにおいてBSAレベルを最小限に抑え(すなわち50ng未満)、良好な生存性を維持し、細胞損失を低減する。ここで、先に示したように本開示のプロトコルに従う細胞の培養及び洗浄後に、細胞を臨床用途及び/又は治療用途に必要とされる投与量に従うIMP又は細胞組成物として配合することに留意することが重要である。任意のかかるIMP又は細胞組成物におけるBSAレベルは、細胞数又は組成物の容量に関わらず常に50ng未満に維持される。
細胞組成物をPlasmalyte−A、DMSO及びヒト血清アルブミン(HSA)を含む凍結ミックス/低温保存ミックスを用いて低温保存することが当該技術分野で知られている。臨床要件では低温保存した細胞を解凍し、臨床投与の投与量の要件に従って再構成する。再構成プロセスは高度に調節された環境を有するクリーンルーム内で行われ、非常に費用及び時間のかかるプロセスを行うために熟練者も必要とされる。
一方、本開示は、臨床投与の場で再構成プロセスを必要とすることなく細胞組成物を容易に投与することができる方法を開示する。これは、比較的少量のDMSOを含む凍結混
合物中に本開示の培養プロセスによって得られるMSCを直接貯蔵することによって行われる。かかる好適な凍結混合物の1つはCryostor 5(CS5)である。したがって、本開示のIMPは、MSCをCrystal Zenithバイアル(CZバイアル)内の低DMSO低温保存培地、好ましくはCryostor 5(CS5)に直接保存することによって得られる。この工程はIMPを調製する又は本開示の培養工程によって必要細胞数を得るプロセスに必須ではないが、臨床用及び/又は治療用に市販される細胞生成物の最終送達に重要である。この工程では、細胞の高い凍結密度は凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜2500万細胞である。
従来既知のプロセスによると、細胞を通常は任意の期間にわたって−196℃で低温保存するが、本開示では低容量で高い細胞密度(低温保存混合物/凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜2500万細胞)を−80℃で短期間、−196℃でより長期間低温保存する。安定性試験は、生成物の保存期間を検査する直接安定性研究を用いて行われる。
さらに、本開示はMSCをCZバイアルにおいてCryoStor 5 1ml当たり2500万細胞で凍結し、−80℃で直接貯蔵するIMPの保存期間を改善する「直接安定性」と呼ばれる概念にも関する。この細胞の貯蔵方法は、従来行われるような−196℃での液体窒素への曝露を含まない。この手順は、−80℃で約1ヶ月間にわたるMSCの優れた短期貯蔵をもたらし、有害で費用のかかる液体窒素ベースの低温貯蔵手順を含まない。一方で、IMPをより長時間、例えば数週間又は数ヶ月超、好ましくは1ヶ月超貯蔵する必要がある場合、本開示の培養及び洗浄プロセスにより得られる細胞を低温保存溶液、好ましくはCS5 1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞という高い細胞密度で−196℃にて低温保存する。高い凍結密度と−196℃での貯蔵との組合せは、解凍時の細胞の生存性及び細胞回収率に影響を与えない。
−80℃又は−196℃での貯蔵における高い凍結密度とCS5との組合せは、解凍時の細胞の生存性及び細胞回収率に影響を与えない。このため、DPBS洗浄後に様々な用量のIMPを調製する上記で用いられるプロセスにより得られる細胞は、至適結果の要件に応じてCS5中、−80℃又は−196℃にて高い凍結密度で貯蔵される。
したがって、本開示は、MSCの全培養及び貯蔵プロセスにおいて複数の最適化を適用することによって様々な臨床用途及び/又は治療用途のための改良された最終組成物を提供する。上記の本開示の最適化は下記のように要約される。
培養段階:
最初の比較的少数の前培養MSC(継代3等の所定の継代まで前培養した)を、bFGFを含む培養培地を用いる増殖に供する。上記の培養培地は成分を主混合する(master mixing)ことによって調製するが、これは細胞を迅速に増殖させるために培養が複数のコンテナ(セルスタック)で同時に行われることによる成分、特にbFGFの体積誤差及び不一致を排除する。従来の成分の混合では培地中のbFGFの等しく一貫した容量は得られず、それにより異なるコンテナにおける細胞の成長差が生じる。したがって、主混合は全培養プロセスに対して利点をもたらす。
増殖プロセスの別の重要な態様は、細胞懸濁液を同様に成分の体積誤差及び不一致並びにバッチ間又はコンテナ間の変動を回避/排除するように播種することである。
培養培地の主混合及び本開示の播種プロトコルを行った後、或る継代から別の継代への細胞の増殖を行い、培養培地を従来既知の培養日数ではなく細胞のコンフルエンシーに基づいて補充又は追加する。
上述の全態様は全体として高いMSC収率をもたらし、細胞数の初期数からの数倍の増大をもたらすとともに、そのようにして得られるMSCの品質、一貫性、免疫抑制特性及び免疫増強特性が高く、HLA−DR等の陰性マーカーが低いことを確実にする。
貯蔵段階:
細胞を上述の培養プロセスによって得た後、貯蔵のために配合しても又は臨床目的及び/又は治療目的での即時投与のために配合してもよい。
従来、MSCを貯蔵する目的では、低温保存溶液が細胞の凍結に最も一般的に使用されている。MSCを低温保存溶液中で凍結し、液体窒素中で貯蔵し、必要となった場合に解凍し、再構成し、臨床目的及び/又は治療目的に使用する。通常は、かかる低温保存溶液は、投与後にヒトに対する毒性を引き起こす可能性があるDMSOの濃度が高いことに留意することが重要である。したがって、細胞が臨床目的及び/又は治療目的に使用され得る前に、低温保存細胞からDMSOを希釈するか又は洗浄するか又は完全に除去することによって毒性を低減する必要がある。さらに、従来既知の方法による凍結及び貯蔵は液体窒素の使用を必要とするため、このプロセスはクリーンルーム施設及び熟練者(液体窒素は有害であるため慎重に扱う必要がある)、並びに問題となる高価な装置を必要とする。さらに、これにより細胞を貯蔵すると同時に輸送することも実質的に不可能となり得るため、プロセス全体が不便で冗長で困難なものとなる。
本開示は、DMSO量がより少ない低温保存混合物を用いて細胞を高い凍結密度で凍結し、−80℃で貯蔵することによって再構成要件を回避/排除し、細胞の安定性、生存性、免疫特性、並びに解凍後の生存性及び回収率を保持することを可能にする。この細胞の凍結プロセスは細胞の短期貯蔵に最適である。
したがって、本開示は、高いMSCの収率を得るための上記に開示のプロトコルに従う細胞の培養を提供する。次いで、これらのMSCをCryostor 5(CS5)中でCS5 1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞の範囲の高い凍結密度で低温保存し、好ましくはCZバイアル内で約1ヶ月間にわたって約−70℃〜約−80℃の範囲の温度で凍結する。一方、より長期の貯蔵については、同じ細胞密度及び低温保存溶液を使用して細胞を−196℃で貯蔵する。
細胞が臨床用途及び/又は治療用途に必要となった場合に、凍結したバイアルを−80℃又は場合によっては−196℃の貯蔵温度から取り出し、単に解凍する。細胞の再構成は必要とされず、臨床用途及び/又は治療用途のために細胞をCS5とともにそれを必要とする被験体に直接投与することができる。
付加的な洗浄工程:
任意のウシ成分を含む任意の培養培地を用いて培養したMSCには、通常は最終培養段階であっても必ず或る特定量のウシ成分が存在する。言い換えると、任意の段階でのMSCの培養に任意のウシ成分が使用される場合、最終段階での細胞採取で幾らかの残留ウシ成分が細胞に付随する。このため細胞はヒトへの投与に適さず、したがってかかるウシ成分の適当な洗浄及び除去が必要とされる。
本開示の培養プロセスではウシ胎仔血清をプロセス中に使用する。FBSはウシ血清アルブミン(BSA)を含有するため、細胞の採取時にかかるBSAを除去する必要がある。従来既知の洗浄プロセスは複数回の遠心分離及び洗浄プロセスを含み、複数回の遠心分離のために細胞損失及び生存性が低減するリスクを有するだけでなく、MSCに付随するBSAの量を所望のレベルまで低減することが不可能である。本開示の新たな洗浄プロセス及び遠心分離は、複数回の洗浄及び遠心分離における細胞損失の低減及び生存性の増大をもたらすことで、細胞損失を低減し、最終生成物の細胞生存性を増大する。
したがって、本開示は従来既知の技法の上記の欠点を克服し、より少ない遠心分離サイクルでBSAレベルの更なる低減を可能にする洗浄プロセスを提供する。
したがって、本開示のプロセスの利点は以下の通りである:
i.10セルスタック全てにおける細胞数、生存性及びHLA−DR発現に関するバッチ間の一貫性
a.細胞収率の増大
b.細胞生存性の増大(図3A〜図3C)
c.低いHLA−DR発現(すなわち5%未満)(図4A〜図4D)
ii.生産プロセスにおける細胞損失の低減
iii.最終生成物中の不純物の低減
iv.臨床試験施設での操作の低減。言い換えると、細胞組成物を再構成/希釈する必要なしに患者に投与されるベンチからベッドサイドへの(bench to bedside)生成物を製造する。
v.最終生成物が医薬品のようにベンチサイドで即時使用可能である。
以下の実施例及び図面によって本開示を更に詳述する。しかしながら、これらの実施例は本開示の範囲を限定すると解釈されるものではない。
実施例1:
骨髄由来MSCの単離及び継代3(P3)までの細胞培養:
20歳〜40歳の年齢範囲の健常ボランティアの約60ml〜70mlの骨髄を、インフォームドコンセントを得た後、一般手術室において全身麻酔下でヘパリン化注射器を用いて腸骨稜上後部から吸引し、個々の血液バッグに回収する。20ml容の注射器を使用して、サンプルをセルストレーナー(100μm)に通して骨片、血餅及び細胞集合体を除去し、遠心分離管に回収する。骨髄を採取する前に、強制スクリーニング試験としてボランティアをヒト免疫不全ウイルス(HIV1)、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)及びサイトメガロウイルス(CMV)についてスクリーニングした。
骨髄のプロセシング及びその後の培養を医薬品適正製造基準(cGMP)で行う。簡潔に述べると、骨髄を80%のダルベッコ変法イーグル培地ノックアウト(DMEM−KO)、ウシ胎仔血清(10%)、1Mのグルタミン、並びに50U/ml〜100U/mlのペニシリン及び50μg/ml〜100μg/mlのストレプトマイシンを含む完全培養培地で希釈し(1:1)、約1200rpm〜約1800rpmで約10分間〜約20分間遠心分離して、抗凝固剤を除去する。上記の希釈に使用する完全培養培地はbFGFを含まない。上清を除去し、骨髄を、bFGFを含まない完全培養培地で再度希釈する。骨髄由来単核細胞(MNC)を、50ml容の遠心分離管(Falcon、BectonDickinson)内でLymphoprepを用いた密度勾配法によって分離する。このプロセスは別の遠心分離管にlymphoprep(密度勾配溶液)を取り、2倍量の希釈骨髄を添加し、約1200rpm〜1800rpmで約10分間〜20分間、20℃〜25℃の室温で遠心分離することを含むものであった。バフィー層界面に蓄積した骨髄MNCを単離し、bFGFを含まない完全培養培地で再度洗浄する。継代0(P0)の単離単核細胞をT−75培養フラスコ(Falcon、BectonDickinson)にプレーティングし、10%のウシ胎仔血清(HyClone)、200mMのglutamax(Gibco-Invitrogen)、50U/ml〜100U/mlのペニシリン及び50μg/ml〜100μg/mlのストレプトマイシンを添加したDMEM−KO中で培養し、37℃及び5%加湿COでインキュベートする。非接着性細胞を48時間後に除去し、培養培地の最初の完全交換を行う。その後培地を48時間ごとに補充する。頻繁な培地交換によって主にMSCが特有のプラスチック接着特性により表面に付着することを確実にする。約80%〜85%という所望のコンフルエンシーで完全培地を吸引し、細胞をダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)で2回洗浄する。1つのT−75フラスコにつき約1ml〜2mlのトリプシンを添加し、37℃で約2分間〜3分間インキュベートする。トリプシンの作用をDMEM
KO、10%FBS及びPen−Strep(50U/ml〜100U/mlのペニシリン及び50μg/ml〜100μg/mlのストレプトマイシン)を含む中和培地で中和し、中和したサンプルを回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離する。ペレットに完全培地を添加した後、細胞計数を行う。その
後、約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結培地を用いて、MSCを1ml当たり約100万細胞の濃度でバイアル内において凍結させる。これを継代0(P0)細胞(すなわち1本又は2本のバイアル)と称する。細胞の残りをセルスタック内で1平方cm当たり約6666細胞の播種密度で培養/増殖させ、7日目又は8日目(培養齢)に完全培地を交換し、14日目〜18日目に細胞を0.25%トリプシン/EDTA(Gibco-Invitrogen)で採取する。トリプシン処理した細胞をDMEM KO、10%FBS及びPen−Strep(50U/ml〜100U/mlのペニシリン及び50μg/ml〜100μg/mlのストレプトマイシン)を含む中和培地で中和し、遠心分離管に回収し、約1200rpm〜1500rpmで約10分間〜20分間遠心分離する。ペレットを完全培地に再懸濁して、細胞数を評価する。採取した細胞を、約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結培地中、1ml当たり約100万細胞〜300万細胞の濃度でバイアル内において凍結させる。これを継代1(P1)細胞と称する。
継代1のMSCを単一のセルスタック内で1平方cm当たり約6666細胞の播種密度で再プレーティングし、10%のウシ胎仔血清(HyClone)、200mMのglutamax(Gibco-Invitrogen)、50U/ml〜100U/mlのペニシリン及び50μg/ml〜100μg/mlのストレプトマイシンを添加したDMEM−KO中で培養し、37℃及び5%加湿COでインキュベートする。簡潔に述べると、プロセスは以下の通りである。各々1バイアルのP1細胞を取り、計数し、最初の骨髄を2人以上のドナーから吸引した場合に任意に各ドナーについて均等にプールする。ドナー細胞の計数及び任意のプーリングの後、細胞を生存性について確認し、生存細胞を得られた細胞数に従って2個〜10個のチャンバーにプレーティングする。その後、培養チャンバーを約37℃の5%COインキュベーターに移す。48時間〜72時間ごとにセルスタックを顕微鏡下で観察し、2枚の代表的な顕微鏡写真を撮影する。7日〜8日ごとに、完全培養培地にDMEM−KO、FBS、グルタミン、Pen−Strep及び塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む新たに調製した完全培地を補充する。チャンバー内の細胞が約80%〜85%コンフルエントになるまで細胞を培養する。
継代1培養物がコンフルエントになった時点で、コンフルエントな培養物を採取し、1000細胞/cmの播種密度で播種し、10%のウシ胎仔血清(HyClone)、200mMのglutamax(Gibco-Invitrogen)、50U/ml〜100U/mlのペニシリン及び50μg/ml〜100μg/mlのストレプトマイシンを添加したDMEM−KO中で培養し、付加的に2ng/mlの塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の成長因子を添加することによって継代3まで更に増殖させ、37℃及び5%加湿COでインキュベートする。大規模生産については、P3のMSCを1つの10セルスタック(Corning Life Sciences)にプレーティングする。簡潔に述べると、プロセスは以下の通りである。P1細胞が約80%〜85%のコンフルエンシーに達した時点で、完全培地を吸引し、セルスタックをDPBSで2回洗浄する。洗浄後、トリプシンを添加し、細胞を約37℃で約4分間〜5分間インキュベートした後、中和培地で中和する。中和したサンプルを回収し、約1200rpm〜1800rpmで約10分間〜20分間、室温で遠心分離する。それにより得られたペレットに完全培地を添加し、細胞を計数する。その後、セルスタック内の細胞を別の継代のために培養/増殖させ、細胞を採取し、遠心分離する。得られたペレットに完全培地を添加し、細胞を計数する。各バイアルが約85%〜95%のFBS及び約5%〜15%のDMSOを含む凍結ミックス中に約100万〜300万のMSCを含有するようにし、バイアルを約−196℃で凍結する。これにより継代3(P3)の細胞が形成され、これをその後の大規模増殖に使用する。
IMP組成物の調製
継代3の後にIMP又は骨髄由来間質細胞の最終組成物を調製するプロセス
IMP又は骨髄由来MSCの最終組成物を調製するプロセスは、最初に継代3を超えた細胞を培養し、高い品質及び免疫特性を有する高収率のMSCを得ることから始まる。継代3後のプロセスは、最初に体積誤差のないbFGFの均一な分布のためのbFGFマスターミックス及びこのマスターミックスを含む培養培地を調製することから始まる。その後、プロセスは更なる細胞増殖の規定のスケジュールに従う種マスターミックスの調製、続く細胞の播種、培養及び培地交換を含む。次いで、増殖させた培養物を洗浄してBSAを除去し、細胞を所要の臨床用途及び/又は治療用途に従う最終組成物又はIMPの調製へと進める。プロセスは下記で順に更に規定される。
1. 継代3後の細胞の培養及びプロセシングに使用されるbFGFマスターミックスを含む培養培地の調製:
bFGFマスターミックスの調製により体積誤差を回避し、細胞培養/増殖に使用される完全細胞培養培地への均一なbFGFの分布をもたらす。このように調製された完全細胞培養培地をセルスタックに添加すると、均一な濃度のbFGFを細胞に供給することが確実となる。このプロセス(図5A)は全ての10層スタックにおける成長特徴及び細胞収率の一貫性を改善する。したがって、bFGFマスターミックスは生産プロセスにおける一貫性の維持、高い細胞収率及び細胞品質に大きく貢献する。
2ng/mlのbFGFを含む培養培地の調製:
1. KO−DMEM、FBS、Glutamax及びPen/Strepを含むが、bFGFを含まない8Lの培地を調製し、8つの1L容Stericup(滅菌カップ)に分注し、1〜8と標識する。
2. 培地コンテナNo.1から200mlの培地を取り出し、No.9と標識された滅菌コンテナに分注する。
3. 1600ulのbFGF(すなわち16000ngのbFGF)をコンテナNo.1の800mlの培地に添加し、十分に混合し、bFGFマスターミックスと標識する。4. 100mlの培地を2〜8と標識された各々のコンテナから取り出し、200mlの培地コンテナNo.9に添加し、それによりコンテナNo.9の全培地容量を900mlにする(コンテナNo.1からの200ml+コンテナNo.2〜No.8の各々のからの100ml)。
5. 100mlのbFGFマスターミックスを取り、900mlの培地の各々(すなわちコンテナNo.2〜No.9)に添加し、それにより上記のコンテナの各々の容量を1000mlにする。
ここで、2〜9と標識された各々のコンテナは、均一なbFGFマスターミックスの分布を有する1Lの培地を含む(2000ngのbFGFを含む1000mlの培地、すなわち2ng/mlのbFGF濃度)。
このプロセスは図5Aによって表される。
2. 継代3後の細胞の培養及びプロセシングに使用される種マスターミックスの調製:
種マスターミックスの調製により体積誤差を回避し、全てのセルスタックへの均一な細胞分布をもたらす。種マスターミックス(図5B)は全TCSにおける均一な増加のプロセス及び細胞収率の一貫性に大きく貢献する。
1. 各々の10CSに636万の生存細胞を播種する。5つの10CSの播種に必要とされる全細胞は3180万の生存細胞及び1ml当たり100万細胞の細胞懸濁液である。
2. 2ng/mlのbFGF培地を含有する1つの培地コンテナを取り、31.8mlの培地を取り出し、31.8mlの細胞懸濁液を添加する。200mlの培地をNo.3
〜No.7と標識されたbFGF培地を含む各コンテナから取り出し、滅菌コンテナNo.10に別個に貯蔵する。
3. 200mlの種マスターミックスを回収し、コンテナNo.3〜No.7の各800mlの培地に移す。
4. ここで、各コンテナは細胞懸濁液を含む1000mlの培地を含む。1000mlの細胞懸濁液を各々1つの10CSに播種し、10CSの全コンパートメントに分配させる。
5. 最後に、更に500mlの培地をコンテナNo.8〜No.10の各10CSに添加する。各々の10CSの最終容量は1.5Lである。
このプロセスは図5Bによって表される。
図6A及び図6Bは、大規模生産においてbFGF及び種マスターミックスを用いたバッチ一貫性データ及びHLA−DR発現の低減の詳細を提示する。これらの図は、かかるbFGFマスターミックス及び種マスターミックスを含まない従来既知のプロセスとの比較も示す。
3. 細胞播種、培養及び培地交換のスケジュール:
細胞を1セルスタックに1000細胞/cmの播種密度で播種し、培養1日目に細胞に150mlの上記で調製した培地を補充し、40%〜50%のコンフルエンシーが達成された時点で細胞に150mlの培地を更に補充することによって、継代3の細胞を継代4まで増殖させる。この段階で得られる収率は1CS当たり約25×10細胞〜40×10細胞であり、このプロセスに必要とされる全期間は約8日〜9日である。
4. 更なる細胞の増殖:
さらに、細胞を10セルスタックに1000細胞/cmの播種密度で播種することによって、これらの細胞を継代5まで増殖させる。培養初日にこれらの細胞に1.5Lの培地を補充する。約30%〜40%のコンフルエンシーが達成された時点で、0.5Lの培地を、使用済み培地を除去せずに各セルスタックに添加する(培地追加)。培養物が約60%〜70%のコンフルエンシーに達した時点で完全培地交換の工程を行い、使用済み培地を全TCSから完全に除去し、2Lの培地を各セルスタックに添加する。この段階で得られる収率は10CS当たり450×10細胞〜600×10細胞であり、このプロセスに必要とされる全期間は従来既知のプロセスの14日間に対して約9日〜10日である。継代4の終了時に得られる全ての細胞を約40セルスタック〜約70セルスタックの範囲の異なるセルスタック内で1セルスタック当たり60万細胞〜約70万細胞の同じ播種密度で増殖させるため、継代5の終了時に得られる全細胞数は約18億細胞〜約42億細胞の範囲である。
5. 洗浄プロセス:
次いで、これらの細胞を以下の工程を含む洗浄プロセスに供する:
細胞を初めに約1200rpm〜約1800rpmで約7分間〜約10分間遠心分離する。次いで、細胞を10セルスタック当たり約200mlのDPBSで洗浄し、約1200rpm〜約1800rpmで約10分間再遠心分離する。
2回目の洗浄では、10セルスタック当たり約70ml〜約90mlの洗浄緩衝液−DPBSを添加した後、細胞サンプルをプールする。
プールした細胞を約1200rpm〜約1800rpmで約5分間〜約7分間再び遠心分離する。
継代3後の細胞増殖に使用する完全細胞培養培地(表2に提示される)ではFBSを補助剤として用いるが、これはウシ起源であるため、ウシ血清アルブミン(BSA)を臨床
使用の前に生成物から除去する必要がある。上記の洗浄工程は、主にCS5中の骨髄由来同種MSCを含む組成物である最終生成物中のBSAレベルを低減する(すなわち50ng未満)。また、細胞組成物をCS10と組み合わせて又はヒト血清アルブミン、Plasmalyte A及びジメチルスルホキシド(DMSO)と組み合わせて使用することができる。最終細胞組成物は約1ml〜約8mlのCS5中に約2500万〜約2億の間葉系間質細胞を含むのが好ましい。最終組成物の1ml当たりの細胞密度は1mlのCS5中に2500万細胞、2mlのCS5中に5000万細胞、4mlのCS5中に1億細胞、及び/又は8mlのCS5中に2億細胞である。図8Aは上記で開示した洗浄手順後のIMPにおけるBSAの低減を明らかに示す。
最終生成物の送達及び貯蔵:
このようにして得られるIMPを、Crystal Zenithバイアル(CZバイアル)において配合培地Cryostor 5(CS5)中で低温保存する。IMPはバッグ/バイアル及び細胞保存に使用される任意の他の低温保存培地中でも低温保存することができる。この工程はIMPの調製プロセスに必須ではないが、最終送達に重要である。この工程では、細胞の高い凍結密度は凍結混合物1ml当たり500万細胞〜2500万細胞であり、MSCを−80℃で直接貯蔵する。この細胞の貯蔵方法はより短い期間で理想的であり、−196℃での液体窒素への曝露を含まない。このプロセスは、解凍時の高い細胞生存性及び細胞回収率を含む優れた細胞の短期貯蔵を確実にする。
一方で、IMPをより長時間、例えば数週間又は数ヶ月超、好ましくは1ヶ月超貯蔵する必要がある場合、本開示の培養及び洗浄プロセスにより得られる細胞を、低温保存溶液1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞という高い細胞密度で−196℃にて低温保存する。高い凍結密度と−196℃での貯蔵との組合せは、解凍時の細胞の生存性及び細胞回収率に影響を与えない。
上記の手順は主に、即時使用可能なベッドサイド生成物としての市場への最終送達に関する。細胞ベースの生成物の最大の課題は、細胞ベースの生成物を更なる操作なしに使用することができるように送達することである。従来の手順によると、液体窒素中で貯蔵した細胞生成物を解凍し、患者に投与する前に再構成のために処理する。このプロセスはクリーンルーム施設及び熟練者を必要とし、最終市場送達に問題となる。細胞生成物の貯蔵及び輸送への液体窒素の使用は費用のかかる方法であるため、細胞組成物を−80℃で貯蔵及び輸送する本発明の手順はコスト効率がよい。
したがって、本開示は細胞組成物を配合、貯蔵及び輸送する手順を提供するが、この場合、多数の細胞を少量の低温保存溶液中で凍結し、細胞をCryoStor 5 1ml当たり500万細胞〜2500万細胞の細胞密度で低温保存し、これらを短期間要件では−80℃で直接貯蔵する。
CS5中での高い凍結密度と−80℃での貯蔵との組合せは細胞の生存性及び回収率を低下させない。IMPはCryoStor 5凍結混合物1ml当たり2500万細胞の凍結濃度で2500万細胞〜2億細胞を含み、凍結又は貯蔵の所要期間に応じて−80℃又は−196℃で充填サイズ5ml〜10mlのCZバイアルに貯蔵される。
実施例2:
供給サイクルの重要性−培養コンフルエンシーに基づく大規模増殖における追加及び完全培地交換:
30%〜40%のコンフルエンシーでの培地追加はMSCの増加を改善するため、培地供給は大規模増殖において重要な役割を果たす。さらに、60%〜70%のコンフルエンシーでの完全培地交換(CMC)は、大規模培養の生存性及び品質を損なうことなく増加
を向上させる。さらに、CMCは細胞収率の一貫性を改善し、培養期間を短縮する。
改善の利点
i)10セルスタック全てにおける生存性、細胞数及びHLA−DRに関するバッチ間一貫性
ii)細胞収率の増大
iii)低いHLA−DR発現
HLA−DR発現の一貫性:
したがって、種々の生産バッチにおける全細胞収率及びHLA−DR発現を示す図7A及び図7Bに示されるように、コンフルエンシーに基づく培地交換を行う本開示のプロセスは、日数に基づく従来既知の培地交換プロセスと比較して顕著に良好な結果を示す。
実施例3:
MSCの大規模増殖における本開示の洗浄工程の重要性:
不純物/粒子を除去する洗浄プロセスは非常に重要であり、洗浄工程プロセスの微調整は所要の細胞品質を一貫して達成するのに不可欠であり、僅かな変動であっても結果の変化を生じ得る。このため、洗浄及び遠心分離に関する製造プロセスの最適化は細胞損失を最小限に抑える一方で、BSAレベルを低減し、最終生成物の解凍後の生存性を一貫して改善する。多くの細胞療法剤は静脈内投与され、粒子又は無傷のマイクロキャリアの最終生成物へのキャリーオーバーが深刻な安全性リスクをもたらす。全ての粒子が細胞懸濁液から確実に除去されるようにする大規模培養物のプロセシングに関する広範な最適化及び検証は、システムの有効収率を増大する。DPBSでの連続洗浄工程及び遠心分離は細胞分離を容易にし、粒子状物質の除去に有用であり得る。
本開示の洗浄プロセスの利点
i.洗浄工程はIMPの純度を改善する。
ii.細胞損失の低減
iii.洗浄工程は最終生成物の生存性及び品質を向上させる。
最終生成物におけるBSAレベルは、従来既知のプロセスでは200mlのDPBS及び1800rpmで10分間の遠心分離による第1の洗浄(洗浄−I)、その後の200mlのDPBS及び1800rpmで10分間の遠心分離による第2の洗浄(洗浄−II)を含む洗浄プロセスを行うことによって最小限に抑えられる。これを、200mlのDPBS、1800rpmで10分間の遠心分離による第1の洗浄(洗浄−I)、その後の90mlのDPBS、1800rpmで7分間の遠心分離による第2の洗浄(洗浄−II)を含む本開示のプロセスに用いられる洗浄プロセスと比較する。本開示の新たな洗浄プロセスを行うと細胞損失が低減し(図8B)、BSAレベルが有意に低減することにより最終生成物の生存性が改善する(図8A)ことが観察される(ウシアルブミンELISAキット(BSAキット)カタログ番号:8100、Alpha Diagnostics製により推定した)。さらに、上記の洗浄(洗浄−II)工程により細胞損失が最小限に抑えられ、最終生成物の解凍後の生存性/細胞回収率が改善する(図8B及び図8C)。従来既知のプロセスでは、細胞損失が高く生存性が低いことから細胞品質に影響があった。本発明の改良/改善された洗浄プロセスは細胞損失を低減することが可能であり、細胞の生存性は該プロセスに影響を受けず、細胞品質が改善する。
実施例4:
高い凍結密度は臨床試験施設での操作を低減する:
本開示は、解凍後の優れた細胞生存性及び多能性機能を向上させる完全に異種成分を含まない(xenofree)血清無含有凍結培地を用いる高い凍結密度の開発を目的とする。解凍
後の生存性が高い細胞療法生成物の凍結状態での貯蔵(−196℃で数年に及ぶ貯蔵)を可能にする。MSCの種々の凍結濃度を厳密に評価し、CryoStor 5 1ml当たり25M細胞の濃度が最終細胞療法生成物の貯蔵及び送達のための凍結濃度に理想的であることが見出された。
7AADによる生存性及び細胞回収率:
BM−MSCをCryoStor 5を用いて低温保存培地CryoStor 5 1ml当たり500万細胞、1000万細胞、1250万細胞、1500万細胞及び2500万細胞という種々の濃度で凍結する。解凍後の細胞回収率及び生存性を0、1週間、2週間、4週間、12週間及び24週間という種々の時点で分析する。全ての時点で、生存性及び細胞回収率(図9A及び図9B)は98%超であると示される。
さらに、25M(100万)、50M(100万)及び75M(100万)という種々の用量の生成物の安定性を、IMPを5ml容のCZバイアル内でCryoStor 5
1ml当たり25M細胞で凍結することによって分析し、−196℃で最大12ヶ月の種々の時点まで貯蔵する。
1ml当たり25M細胞で凍結した25M細胞、50M細胞及び75M細胞の全ての用量は、最大12ヶ月の全ての時点まで生存性及び細胞回収率が85%超であることが示された(図10A及び図10B)。図10Cは、−196℃で貯蔵する12ヶ月間の1億及び2億の種々の用量のCS5凍結混合物1ml当たり25M細胞についての7AADによる生存性を示す。
本開示のプロセスを用いてそのように製造された細胞は低免疫原性(hypoimmunogenic)及び免疫調節性である。細胞のこれらの特徴を下記の実施例において更に分析する。
実施例5:
IMPの低免疫原特性、免疫調節特性及び血管形成特性:
本発明のプロセスによって開発されるIMPのMSCは低免疫原特性、免疫調節特性及び血管形成特性を示す。
IMPの免疫原性及び免疫抑制能の推定:
間葉系間質細胞(MSC)は、その重要な免疫修飾特性のために主要組織適合性遺伝子複合体(MHC/HLA)障壁を越える既製の治療剤として使用される可能性を有する。MSCはマイトジェン活性化又は同種(allo-activated)リンパ球の増加を抑制する。したがって、MSCは同種レシピエントにおけるT細胞応答の刺激に非効率的であり、ヒトにおいてHLA障壁を越えて移植した場合に良好な耐容性を示す。MSCによる免疫抑制機構は主に免疫調節サイトカインの分泌によるものである。プロスタグランジン−E2(PGE−2)はMSC媒介免疫抑制の重要な調節因子の1つである。
最終生成物の免疫抑制能及び最終生成物により産生されるPGE−2の量がIMPの免疫学的効力を決定することが推定された。
IMPの免疫抑制能は以下の方法によって決定した:
本開示のプロセスにより得られるIMP細胞の免疫抑制特性を、混合リンパ球反応(MLR)を抑制するその能力を試験することによって決定する。MLRをHLA不適合ドナーに由来する末梢血単核細胞(PBMC)を用いて確立し、種々のMSC:MLR比の成長停止MSCの存在下又は非存在下で培養する。免疫抑制アッセイのプロトコルは以下の通りである。
IMPのマイトマイシンC処理細胞を96ウェルプレートに1.6×10細胞/ウェル〜2.5×10細胞/ウェルの範囲の様々な細胞数で播種し、一晩付着させた。次いで、1:2.5の刺激:応答比での一方向MLRを各ウェルに付加した。MLRを生じさせるために、2×10の応答PBMCを25mg/mlのマイトマイシンCで0.5時間予め処理した8×10の同種刺激PBMCと混合した。培養物を5日間維持し、最後の24時間に5−ブロモ−2−デオキシウリジン(BrdU)をパルスした。細胞増加を、BrdU取込みの定量化に比色免疫測定キット(Calbiochem)をメーカーの使用説明書に従って用いて測定した。IMP細胞の非存在下で培養した一連のMLRウェルを増加対照とみなした。全てのアッセイについて、処理を10%FBS(Hyclone)、2mMグルタミン(Invitrogen)及び0.05mM b−メルカプトエタノール(Sigma-Aldrich)を添加したRPMI 1640培地(Invitrogen)中、三連で行った。
結果からIMPがMLRにおける同種リンパ球の増加を用量依存的に抑制することが示される(図11A)。
PGE−2の推定:
MLRをHLA不適合ドナーに由来する末梢血単核細胞(PBMC)を用いて確立し、上記のプロトコルを用いて種々のMSC:MLR比の成長停止MSCの存在下又は非存在下で培養した。5日間のインキュベーションの終わりに、IMP−MLR共培養物の上清を96ウェルプレートのウェルから回収し、回収した培地を1500rpmで遠沈し、使用時まで−80℃で貯蔵した。上清におけるPGE−2のレベルを、PGE−2の定量的決定のための競合的免疫測定キット(PGE−2 EIAキット、Enzo Lifesciences)を用いてメーカーの使用説明書に従ってアッセイした。
結果から本開示の細胞を含むIMPがリンパ球の存在下で培養した場合に大量のPGE−2を産生することが示される(図11B)。PGE−2の分泌は、IMP細胞と同種PBMCとの比率によって変化する明らかな用量応答を示す。産生されるPGE−2の量とIMPの免疫抑制能との間に正相関が見られ、PGE−2の量が多いほどより大きな免疫抑制が得られる(図11C)。
したがって、本開示の細胞を含むIMPは強力な免疫抑制能を有し、大量の免疫調節サイトカインPGE−2を分泌した。これらの特性によりIMPは非関連レシピエントにおける移植、並びに移植片対宿主病(GvHD)等の免疫関連疾患及び他の自己免疫疾患の治療に好適である。
最終生成物によって産生されるVEGF及びsGAGの量を、重症虚血肢(CLI)及び変形性関節炎(OA)のそれぞれに対するIMPの効力を分析することによって推定する。
VEGFの推定:
本開示のプロセス(コンフルエンシーに基づく培地交換計画、洗浄−IIの洗浄プロセスを含み、実施例1のマスターミックス及び種ミックスの調製を考慮する)を行うことによって得られるIMPを継代5で解凍し、T75フラスコに100万細胞の密度でプレーティングする。馴化培地を48時間及び72時間の時点で回収し、VEGF含量をELISAによって推定する。これを、プロセス培地交換をコンフルエンシーではなく日数に基づいて行い、洗浄−Iの洗浄プロセスを行い、マスターミックス及び種ミックスの調製を行わない従来既知の最終細胞組成物を得るプロセスと比較する。
VEGFレベルの差を示す結果が図12に提示され、従来既知のプロセス及び本開示のプロセスを行った場合、本開示のプロセスを行うことによって得られる細胞中のVEGF
含量が高まる。
血管形成効力についてVEGFを推定するプロトコルは以下の通りである:
強力な血管形成マーカーであるVEGF及びBM MSCによるそれらの放出は、パラクリン機構が患者における長期血管形成の生物学的効果の基礎となるという考えを支持するものであった。ここで、本発明のIMP(BM MSC)−P5培養物の馴化培地におけるVEGFの量を推定した。BM MSCをT−75フラスコ(BD)に1×10細胞の密度で二連にてプレーティングした。馴化培地を48時間後及び72時間後に、DMEM−KO、10%のFBS、グルタミン(Glutamax)(100U/ml)、Penstrep(50U/ml〜100U/mlのペニシリン及び50μg/ml〜100μg/mlのストレプトマイシン)及び2ng/mlのbFGFを供給したT75フラスコから回収した。馴化培地を、継代5で80%〜90%コンフルエンシーの採取日にセルスタック内で培養した大規模生産バッチからも回収した。回収した培地を1500rpmで遠沈し、0.22μシリンジフィルター(Millipore)で濾過し、使用時まで−80℃で貯蔵した。
ヒトVEGF Quantikine ELISAキット(R&D Systems,Minneapolis,MN)をメーカーの指示に従って使用した。200μlの馴化培地をアッセイに使用した。分離標準が各実験で含まれていた。吸光度をSpectramax M3プレートリーダーを用いて450nmで読み取った。
sGAGの推定:
本開示のプロセス(コンフルエンシーに基づく培地交換計画、洗浄−IIの洗浄プロセスを含み、実施例1のマスターミックス及び種ミックスの調製を考慮する)を行うことによって得られるIMPを継代5で解凍し、軟骨細胞分化を誘導した。21日間の分化の後、sGAG及びDNAを推定する。最終GAG値をDNA含量に対して正規化する。これを、プロセス培地交換をコンフルエンシーではなく日数に基づいて行い、洗浄−Iの洗浄プロセスを行い、マスターミックス及び種ミックスの調製を行わない従来既知の最終細胞組成物を得るプロセスと比較する(図13)。明らかなように、従来既知のプロセスの値は平均して22.54±2.983ug/ugのDNAであり、本開示のプロセスについては、値は平均して39.38±5.212ug/ugのDNAであり、値は有意に高まっている。
軟骨細胞が軟骨の形成及び再生に必要とされるため、軟骨細胞の分化に対するBM MSCの効力を測定した。軟骨細胞によって産生されるsGAGは軟骨構造の安定化を助けるため、本開示の方法によって生産されるMSCが軟骨細胞に分化し、sGAGをin vitro条件下で産生するか否かを決定するのに重要である。重要な軟骨成分の1つであり、全軟骨成分の約3%〜6%を占めるsGAGを測定する生化学的アッセイを確立する。GAG含量を推定するプロトコルは以下の通りである:
1. 細胞を6ウェルプレートに1平方cm当たり1000細胞の密度でプレーティングした(対照1セット及び分化用1セット)。
2. sGAG推定用の2ウェル、DNA推定用の2ウェル、RNA用の1ウェル及び染色用の1ウェルを含むアッセイを二連で行った。
3. 70%のコンフルエンシーで対照ウェルの細胞をトリプシン処理し、ペレットをsGAGウェルの使用済み培地とともに−80℃で貯蔵した。
4. 軟骨細胞分化をGIBCOのSTEM PROキットを用いて誘導した。培地交換を48時間ごとに行った。
5. さらに細胞を21日間分化させた。21日目に細胞をトリプシン処理し、回収し、1100rpmで遠沈し、アッセイ時まで乾燥ペレットを−80℃で貯蔵した。
6. アッセイの日にサンプルを氷上で解凍し、BLYSCANキットのプロトコルを用
いてsGAGを推定した。このプロトコルに従い、細胞ペレットを、パパインを用いて65℃で3時間溶解させた後、ジメチルメチレンブルーで染色した。sGAGは酸性pHで染料と反応し、550nmで吸収極大に差を示すGAG−染料複合体を生じる。
sGAGレベルの差を示す結果が図13に提示され、従来既知のプロセス及び本開示のプロセスを行った場合、本開示のプロセスを行うことによって得られる細胞中のsGAG含量が高まる。
実施例6:
−80℃での直接安定性:
低温保存後の本開示のMSCの効率を、凍結融解生存性、細胞回収率、解凍後の増加、CFU−F及び分化能によって評価する。低温保存MSCの長期的な安定性は低温保存培地及び低温保存のプロセス又は方法に応じて異なる。
加速安定性:
加速安定性研究の標準的技法は、加速安定性条件を確立するために速度制御凍結(−80℃)、及びその後の液体窒素貯蔵への、更に1週間後の液体窒素貯蔵から−80℃の急速(deep freezing)凍結へのバイアルの移行を含む。通常は速度制御凍結後にMSCを液体窒素中に入れる必要があり、細胞はCRF後に−80℃で極めて不安定である。
直接安定性:
一方で、本開示は、より高いMSCの凍結濃度と安定性のプロセス/条件とが標準的な加速方法よりも優れた性能、効率及び安定性を可能にするという直接安定性の概念を提供する。概して、この研究は、CRF後に−196℃の液体窒素に曝露しない−80℃の直接加速条件でCZバイアルにおける製剤の活性物質(MSC)の保存期間を確立することを可能にする。これらの研究はCZバイアルにおいてCS5培地中、1ml当たり2500万細胞という高密度でMSCを貯蔵することで行った。
MSCは、主に生成物の輸送のための短期貯蔵に関して従来既知の加速安定性研究よりも有望な又は優れた結果を示す。他の細胞療法産業の大半では速度制御凍結は−135℃で終わり、その後MSCは液体窒素へと移される。一方、−80℃でのMSCの安定化は独特であり、高価な液体窒素を使用しない短期貯蔵及び輸送に対して利点をもたらす。
加速手順及び直接安定性手順の7AAD生存性
プロトコル:
BM−MSCを採取し、1×10細胞/mLの濃度で洗浄緩衝液に再懸濁した。洗浄緩衝液は、1%(v/v)FBS及び1%(w/v)アジ化ナトリウムを添加したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)からなるものであった。細胞生存性を7−アミノアクチノマイシンD(7AAD、死細胞の細胞膜を貫通することができる)を用いるフローサイトメトリーによって測定した。100μlの細胞懸濁液を暗所で10分間、室温で96ウェルプレートの1ウェルに3μlという7AADの飽和濃度でインキュベートし、別のウェルの非染色細胞を自己(auto)としてインキュベートする。フローサイトメトリーを初めに自己を用いて行い、電圧及び補償パラメーターがヒストグラムに含まれるように設定及び調整する。試験サンプルを7AADとして先の設定に固定しながら実験する。
結果:
結果(図14A)から、直接安定性が3ヶ月の時点で84.52%の生存性を示し、加速条件が79.02%を示すことが示される。
3ヶ月の時点での解凍後増加
加速安定性培養条件:T−25フラスコ(n=3)、p=0.0991、1K播種密度、採取培養齢:8日目で行う解凍後増加研究。直接安定性培養条件:T−25フラスコ(n=3)、**p<0.001、1K播種で行う解凍後増加研究。対照は同じバッチのBM−MSC(低温バイアル)の100万細胞バイアルの解凍後増加を表し、通常の標準手順で低温保存する。全体的な結果から、解凍後の増加速度及び収率が加速条件と比較して直接安定性条件で高いことが示される(採取培養齢:8日目)。
結果:
直接安定性研究の解凍後増加(図14B)は加速安定性よりも良好な生存性を示した。
加速手順及び直接安定性手順でのCFU−Fアッセイ
プロトコル:
CFU−Fアッセイについては、100MSCを直接安定性研究バイアル及び加速安定性バイアル(各条件でn=2)から100mm細胞培養皿にプレーティングした。14日間のインキュベーション後にプレートをクリスタルバイオレットで染色し、可視コロニーを計数した。
結果:
加速条件のCFU−Fは21日目の時点であっても任意のコロニーを示すことができない(図14C)。
三血球系分化能研究
プロトコル:
BM−MSCの骨芽細胞分化を、細胞に10−8Mのデキサメタゾン(Sigma-Aldrich)、30μg/mLのアスコルビン酸(Sigma-Aldrich)及び10mMのβ−グリセロホスフェート(Sigma-Aldrich)を3週間添加することによって誘導した。カルシウム蓄積をフォンコッサ染色によって評価した。分化した細胞をPBSで洗浄し、10%ホルマリンで30分間固定した。固定した細胞を5%AgNOとともにUV光下で60分間インキュベートした後、2.5%チオ硫酸ナトリウムで5分間処理し、画像を取り込んだ。
プロトコル:
脂肪細胞分化を誘導するために、BM−MSCに1μMのデキサメタゾン、0.5mMのイソブチルメチルキサンチン、1μg/mLのインスリン及び100μMのインドメタシン(全てSigma-Aldrich)を21日間添加した。次いで、上清を吸引し、細胞を10%ホルマリンで20分間固定した。さらに、200μlのオイルレッドO染色溶液を添加し、室温で10分間インキュベートした。細胞を蒸留水で5回リンスし、画像を取り込んだ。
プロトコル:
軟骨細胞分化を誘導するために、直接安定性及び加速安定性バイアルのBM−MSCをSTEMPRO(Invitrogen)軟骨形成分化培地(軟骨形成補助剤を含む軟骨細胞分化基本培地)中で培養した。軟骨形成分化培地を3日ごとに補充した。染色のために、細胞を4%ホルマリンで30分間固定した。サフラニンO染色溶液を添加し、5分間インキュベートした。細胞を蒸留水でリンスし、画像を取り込んだ。BM−MSCは骨形成、軟骨形成及び脂質生成細胞に分化し、画像をNikon Eclipse 90i顕微鏡(株式会社ニコン、日本、www.nikon.com)及びImage−Pro Expressソフトウェア(Media Cybernetics, Inc,Silver Spring,MD,www.mediacy.com)を用いて取り込んだ。
概要:
直接安定性研究が、7AAD、CFU−F及び多分化能に関する加速安定性と比較して加速条件よりも高い生存性を示すことが観察される。
結果:
直接安定性研究の解凍後増加(図14D)は加速安定性よりも良好である。

Claims (34)

  1. 間葉系間質細胞を培養する方法であって、以下の工程:
    a.第1の所定の継代まで培養した前記間葉系間質細胞を、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培養培地の存在下で第2の所定の継代まで増殖させること、
    を含み、前記増殖を前記細胞が少なくとも1つの所定のコンフルエンシーを達成した時点で該細胞と前記培養培地とを接触させることによって行い、該方法によって前記第2の所定の継代の終了時の細胞数が前記第1の所定の継代の時点の細胞数と比較して2000倍増大する、間葉系間質細胞を培養する方法。
  2. 前記細胞数の増大が最大で21日間の期間内に起こる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の所定の継代の時点の細胞を前記第2の所定の継代まで連続継代によって増殖させ、該第1の所定の継代が継代2〜継代9の範囲であり、該第2の所定の継代が継代5〜継代10の範囲である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記第1の所定の継代が継代3であり、前記第2の所定の継代が継代5である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記増殖用に播種する細胞の数が約60万細胞〜約70万細胞の範囲であり、該増殖の後に得られる細胞の数が少なくとも約18億細胞であり、前記方法により細胞数が少なくとも2000倍増大する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記培養培地の成分が約75%〜95%の範囲の濃度のダルベッコ変法イーグル培地−ノックアウト(DMEM−KO)、約5%〜15%の範囲の濃度のウシ胎仔血清(FBS)、約0.5%〜2%の範囲の濃度のグルタミン、約50U/ml〜約100U/mlの濃度のペニシリンと約50μg/ml〜約100μg/mlの濃度のストレプトマイシンとを含むPen−Strep、及び約0.5ng/ml〜5ng/mlの範囲の濃度の塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記培養培地を、体積誤差を回避し、前記培地の複数のアリコートにおけるbFGFの均一な分布をもたらすように前記成分を主混合するプロセスによって調製し、該プロセスが以下の工程:
    a.DMEM−KO、FBS、グルタミン及びPen−Strepを含み、bFGFを含まない「X」リットルの培養培地を調製すること、及び「X」個の1リットルのコンテナに分注すること、及び該コンテナを1〜「X」と標識すること、
    b.「Z」mlの培地をコンテナNo.1から取り出すこと、及びNo.「X+1」と標識した新たな滅菌コンテナに分注すること、
    c.所定量のbFGFをコンテナNo.1の「1リットル−Z」mlの培地に添加すること、及びbFGFマスターミックスが得られるように、十分に混合すること、
    d.等量の培地を2〜「X」と標識したコンテナの各々から別個に取り出すこと、及びコンテナNo.「X+1」の「Z」mlの培地に添加することであって、それによりコンテナNo.「X+1」の全培地容量を「B」mlとすること、並びに、
    e.工程(c)で得られた所定量のbFGFマスターミックスを別個に取り出すこと、及びコンテナ2〜「X」の各々「B」mlの培地に添加することであって、それにより該コンテナの各々の容量を等しくするとともに、前記培養培地の複数のアリコートを調製すること、
    を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 工程(c)におけるbFGFの所定量が培地1ml当たり約1ng〜約3ng、好まし
    くは培地1ml当たり約2ngである、請求項7に記載の方法。
  9. 工程(d)において、該工程(d)の完了時に前記コンテナ2〜「X」及び「X+1」の各々が等量の培地を含有するように等量の培地を取り出す、請求項7に記載の方法。
  10. 工程(e)において、該工程(e)の完了時に前記コンテナ2〜「X」及び「X+1」の各々が1Lの培地を含有するように所定量のbFGFを添加する、請求項7に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1つの所定のコンフルエンシーが約30%〜約40%、約40%〜約50%及び約60%〜約70%、又はそれらの任意の組合せを含むコンフルエンシーの範囲から選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記細胞と前記培養培地との接触による増殖が、以下の工程:
    a.培養細胞を、該細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、前記培養培地を播種細胞に供給することによって連続継代まで増殖させること、並びに、
    b.前記細胞に約40%〜約50%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び増殖細胞が得られるように、前記培養培地を交換すること、
    を含み、前記増殖全体で用いられる前記培養培地が約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの範囲の濃度である、請求項1に記載の方法。
  13. 前記増殖により細胞数が少なくとも30倍増大する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記細胞と前記培養培地との接触による増殖が、以下の工程:
    a.培養細胞を、該細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、前記培養培地を播種細胞に供給することによって連続継代まで増殖させること、
    b.前記細胞に約30%〜約40%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び使用済み培地を除去することなく前記培養培地を前記細胞に添加すること、並びに、
    c.前記細胞に約60%〜約70%の第2の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び増殖細胞が得られるように、前記培養培地を交換すること、
    を含み、前記増殖全体で用いられる前記培養培地が約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの範囲の濃度である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記増殖により細胞数が少なくとも40倍増大する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記細胞と前記培養培地との接触による増殖が、以下の工程:
    a.培養細胞を、該細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、前記培養培地を播種細胞に供給することによって連続継代まで増殖させること、
    b.前記細胞に約40%〜約50%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び前記細胞の培養培地を交換すること、
    c.工程(b)の細胞を、該細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、前記培養培地を播種細胞に供給することによって第2の連続継代まで更に増殖させること、
    d.前記細胞に約30%〜約40%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び使用済み培地を除去することなく前記培養培地を前記細胞に添加すること、並びに、
    e.前記細胞に約60%〜約70%の第2の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び増殖細胞が得られるように、前記培養培地を交換すること、
    を含み、前記増殖全体で用いられる前記培養培地が約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの範囲の濃度である、請求項1に記載の方法。
  17. 前記増殖により細胞数が少なくとも2000倍増大する、請求項16に記載の方法。
  18. 前記培養後に得られる細胞を、凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞の範囲の細胞密度で該凍結混合物による凍結に供する、請求項1に記載の方法。
  19. 前記凍結を約−75℃〜約−85℃の範囲の温度又は約−190℃〜約−200℃の範囲の温度で行い、前記凍結混合物が約2%〜約15%の範囲の濃度、好ましくは約5%の低温保存剤を含み、該低温保存剤が好ましくはDMSOである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記細胞密度での凍結により生存性及び解凍後の機能性が保持される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記方法が以下の工程:
    a.継代3まで培養した間葉系間質細胞を、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培養培地の存在下で継代5まで増殖させること、
    を含み、前記増殖を前記細胞が少なくとも1つの所定のコンフルエンシーを達成した時点で該細胞と前記培養培地とを接触させることによって行い、前記方法によって継代5の終了時の細胞数が継代3の時点の細胞数と比較して少なくとも2000倍増大する、請求項1に記載の方法。
  22. 前記少なくとも1つの所定のコンフルエンシーが約30%〜約40%、約40%〜約50%及び約60%〜約70%、又はそれらの任意の組合せを含むコンフルエンシーの範囲から選択される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記細胞と前記培養培地との接触による増殖が、以下の工程:
    a.継代3まで培養した細胞を、該継代3の細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、前記培養培地を播種細胞に供給することによって継代4まで増殖させること、
    b.前記細胞に約40%〜約50%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び前記培養培地を交換すること、
    c.工程(b)の終了時に得られる細胞を、該細胞を約1000細胞/cm〜約7000細胞/cmの範囲の播種密度で播種するとともに、前記培養培地を播種細胞に供給することによって継代5まで更に増殖させること、
    d.前記細胞に約30%〜約40%の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び使用済み培地を除去することなく前記培養培地を添加すること、並びに、
    e.前記細胞に約60%〜約70%の第2の所定のコンフルエンシーを達成させること、及び増殖細胞が得られるように、前記培養培地を交換すること、
    を含み、前記増殖全体で用いられる前記培養培地が約0.15ml/cm〜約0.35ml/cmの範囲の濃度である、請求項1に記載の方法。
  24. 前記培養プロセスの際に得られる細胞を、臨床用途又は治療用途の所定の投与形態に配合する前に遠心分離プロセスと洗浄プロセスとの組合せに更に供し、該組合せにより前記所定の投与形態に存在するウシ血清アルブミン(BSA)のレベルが50ng/ml未満の量まで低減し、該BSAが培養プロセスにおいて前記培養培地中のFBSによって前記細胞に供給される、請求項1に記載の方法。
  25. 細胞を培養することによって得られる間葉系間質細胞を含む、臨床用途又は治療用途で配合される投与形態のBSA量を50ng/ml未満のレベルまで低減する方法であって、前記組成物を、該BSA量が低減するように遠心分離とリン酸緩衝生理食塩水での洗浄との組合せに供する工程を含む、BSA量を50ng/ml未満のレベルまで低減する方法。
  26. ウシ起源の成分の使用を含む前記細胞の培養中に50ng/mlを超える量のBSAが該細胞に供給され、50ng/ml未満のレベルが前記投与形態中の細胞数に関わらない、請求項25に記載の方法。
  27. 前記方法が以下の工程:
    a.前記細胞を約1200rpm〜約1800rpmの範囲の速度で約7分間〜約10分間の範囲の期間にわたる第1の遠心分離に供すること、
    b.遠心分離した細胞を約60万〜約600万の範囲の細胞数で約20mlのDPBSでの第1の洗浄に供すること、及び洗浄した細胞を約1200rpm〜約1800rpmの範囲の速度で約10分間の期間にわたって再遠心分離すること、
    c.再遠心分離した細胞を約600〜約600万の範囲の細胞数で約7ml〜約9mlのDPBSでの第2の洗浄に供すること、続いて任意に細胞サンプルをプールすること、並びに、
    d.50ng/ml未満のBSAレベルを有する細胞が得られるように、工程(c)の洗浄した細胞を約1200rpm〜約1800rpmの範囲の速度で約5分間〜約7分間の範囲の期間にわたって再遠心分離すること、
    を含む、請求項25に記載の方法。
  28. 間葉系間質細胞を貯蔵する方法であって、該細胞を凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞の範囲の細胞密度で該凍結混合物に供する工程と、該細胞を約−75℃〜約−85℃の範囲の温度又は約−190℃〜約−200℃の範囲の温度で貯蔵する工程とを含む、間葉系間質細胞を貯蔵する方法。
  29. 凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞の範囲の細胞密度、及び約−75℃〜約−85℃の範囲の温度での凍結混合物における間葉系間質細胞の貯蔵により、生存性及び解凍後の機能性が少なくとも1週間にわたって液体窒素なしに保持される、請求項28に記載の方法。
  30. 凍結混合物1ml当たり約500万細胞〜約2500万細胞の範囲の細胞密度、及び約−190℃〜約−200℃の範囲の温度での凍結混合物における間葉系間質細胞の貯蔵により、生存性及び解凍後の機能性が少なくとも1ヶ月にわたって保持される、請求項28に記載の方法。
  31. 前記凍結混合物が約4%〜約11%の範囲の濃度、好ましくは約5%の低温保存剤を含み、該低温保存剤が好ましくはDMSOである、請求項28に記載の方法。
  32. 前記細胞密度での凍結により生存性及び解凍後の機能性が保持される、請求項28に記載の方法。
  33. 前記間葉系間質細胞が該細胞を請求項1に記載の方法により培養することによって得られる、請求項28に記載の方法。
  34. それを必要とする被験体への治療目的での投与前の前記細胞の再構成を排除する、請求項28に記載の方法。
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