JP2016004928A - プレーナ型変圧装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ところで、プレーナトランスでは、巻線のパターン面が広くなることから漏れ磁束による渦電流が大きくなり、特に高周波駆動時には、1次及び2次巻線パターンでの抵抗損失よりも、渦電流損失が回路効率を低下させる要因となりうる。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態によるプレーナトランスの一例を示す図である。
多層基板2は、電力伝送を行う1次巻線パターン4と2次巻線パターン5とが絶縁層6を介して積層された構造を有する。なお、多層基板2は、複数の巻線パターン(1次巻線、2次巻線)が、複数の絶縁層を介して積層される構造であってもよい。
コア3は、例えば、マンガン亜鉛(Mn−Zn)系フェライト(磁性材料)であり、多層基板2に含まれる1次巻線パターン4、2次巻線パターン5の少なくとも一部を覆うように配置されている。また、コア3には磁気飽和を抑制するためのギャップ3gが設けられている。ギャップ3gが設けられている理由を以下に示す。
図1には、図1の上側に示したプレーナトランス1の断面図において矢印A方向からみた1次巻線パターン4の平面図が示されており、また、複数の開口部が形成される1次巻線パターン4の領域4a,4bが、斜線で示されている。また、1次巻線パターン4とコア3との位置関係を示すために、矢印A方向からみたコア3の配置領域が点線で示されている。
第1の実施の形態によるプレーナトランス1では、開口部opn1〜opnnの形成場所を、コア3に覆われている1次巻線パターン4の、ギャップ3gに隣接している領域4a,4bに限定しているため、抵抗損失の増大を抑えることができる。
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態によるプレーナトランスの一例を示す上方斜視図、図3は、第2の実施の形態によるプレーナトランスの一例を示す下方斜視図、図4は、第2の実施の形態によるプレーナトランスの一例を示す断面図である。なお、図4は、図2及び図3に示すプレーナトランス10をB線において切断した場合の断面図である。
多層基板11は、図1に示した多層基板2と同様に、電力伝送を行う1次巻線パターン13と2次巻線パターン14とが絶縁層15を介して積層された構造を有している。
このようなギャップ12cを設けると、ギャップ12cからの漏れ磁束が1次巻線パターン13や2次巻線パターン14に鎖交して、渦電流が生じてしまう場合がある。以下、この現象を、図5により説明する。
図6、図7において、内脚部12a1,12b1の間に設けられたギャップ12cの形成領域は、点線で示される内脚部12a1,12b1の配置領域に対応する。上記のように、ギャップ12cに近く、さらに、コア部品12a,12bに覆われた部分ほど、渦電流は生じやすい。
図8において、1次巻線パターン13に形成されている開口部opna1,opna2,…,opnanは、電流が流れる方向に垂直方向に沿って伸びるスリット形状となっている。また、1次巻線パターン13の導体部分の幅はW1、開口部opna1〜opnanの幅はI1、開口部opna1〜opnanの長さはL1である。
図9において、1次巻線パターン13に形成されている開口部opnb1,opnb2,…,opnbnは、格子状に形成されたメッシュ形状となっている。また、1次巻線パターン13の導体部分の幅はW2、開口部opnb1〜opnbnの幅はI2、開口部opnb1〜opnbnの長さはL2である。
図10において、1次巻線パターン13に形成されている開口部opnc1,opnc2,…,opncnは、電流が流れる方向に沿って伸びるスリット形状となっている。また、1次巻線パターン13の導体部分の幅はW3、開口部opnc1〜opncnの幅はI3、開口部opnc1〜opncnが形成される領域の1次巻線パターン13の表面からの長さはL3である。
以下に示す最適化処理は、プレーナトランスの設計の際に、コンピュータ上で行われる。
コンピュータ20は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。コンピュータ20に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、コンピュータ20に実行させるプログラムをHDD23に格納しておくことができる。プロセッサ21は、HDD23内のプログラムの少なくとも一部をRAM22にロードし、プログラムを実行する。またコンピュータ20に実行させるプログラムを、光ディスク26a、メモリ装置27a、メモリカード27c等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ21からの制御により、HDD23にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ21が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
最適化処理では、まず、コンピュータ20により、設計対象のプレーナトランスに対する電磁界解析が行われる。
上記のように渦電流は、漏れ磁束が巻線パターン(1次巻線パターン13または2次巻線パターン14)に鎖交することにより生じる。そこで、この漏れ磁束の大きさを電磁界解析によって算出した例を以下に示す。
次に、コンピュータ20により、表皮深さ、渦電流損失、直流抵抗損失を計算し、開口部の大きさ等を決定する方法の一例を説明する。
式(1)において、fは電流の周波数、μは導体の透磁率、δは導体の導電率である。
図15は、銅の表皮深さと電流の周波数との関係の一例を示す図である。
なお、以下では、開口部として、図10に示すような電流が流れる方向に沿って伸びるスリット状の開口部opnc1〜opncnを例に用いて説明する。また、便宜上、巻線パターン(1次巻線パターン13または2次巻線パターン14)の巻線幅に等間隔でスリットを入れ、さらに、そのスリットを巻線パターン全長に入れた場合について説明する。巻線パターンの一部にスリットを形成する場合であっても、以下と同様にして計算することができる。例えば、1次巻線パターン13の一部に開口部opnc1〜opncnを形成する場合は、式(1)及び以下に示す式(2)において、1次巻線パターン13の長さ(L)及び巻線幅(パターン幅)を、領域13a,13bの大きさに合わせて設定すればよい。
図16は、合計スリット幅と巻線幅の比と、渦電流損失との関係の一例を示す図である。横軸は合計スリット幅/巻線幅を示す。合計スリット幅は、例えば、図10に示す開口部opnc1〜opncnでは、幅I3の合計であり、巻線幅は、1次巻線パターン13または2次巻線パターン14のパターン幅である。また、縦軸は巻線パターン1層の渦電流損失を示している。
渦電流損失(W/m3)=π2Bm2f2d2/6ρ (2)
式(2)において、Bmは最大磁束密度、fは電流の周波数、ρは導体の抵抗率、dは配線幅(図10の例では幅I3)である。また、図16に示す渦電流損失の計算条件は、最大磁束密度(Bm=20mT)、周波数(f=10MHz)、銅の抵抗率(ρ=1.68×10-8Ωm)である。ここで、最大磁束密度Bmは電磁界解析等から見積もることができ、また、周波数fは式(1)のfと同じである。
図17は、合計スリット幅と巻線幅の比と、直流抵抗及び直流抵抗損失との関係の一例を示す図である。
直流抵抗損失(W)=I2R=I2ρL/S (3)
式(3)において、Iは実効電流、Rは直流抵抗、ρは導体の抵抗率、Lは巻線パターンの長さ、Sは巻線パターンの断面積である。また、計算条件は、以下の通りである。
次に、渦電流損失と直流抵抗損失の合計損失について説明する。
図18は、合計スリット幅と巻線幅の比と、合計損失との関係の一例を示す図である。
横軸は合計スリット幅/巻線幅を示す。合計スリット幅は、図16と同様に、例えば、図10に示すスリット幅(例えば幅I3)の合計である。また、縦軸は巻線パターン1層の合計損失を示している。
以下、形成する複数の開口部の最適化を行う処理の一例の流れをフローチャートでまとめる。
ところで、磁気飽和抑制のためのギャップの位置は、コアの内脚部の間に限定されず、外脚部の間にあってもよい。以下、その例を、第2の実施の形態によるプレーナトランスの変形例1として説明する。
図20は、第2の実施の形態によるプレーナトランスの変形例を示す断面図である。
プレーナトランス30は、多層基板31、コア32を有する。
コア32は、図4に示したコア12と同様に、2つのコア部品32a,32bを有する。ただ、コア12と異なり、コア32は、内脚部32a1,32b1の間ではなく、外脚部32a2,32b2の間及び外脚部32a3,32b3の間に、磁気飽和抑制のためのギャップ32c,32dが設けられている。
なお、図21は、図20に示す矢印J方向からみた1次巻線パターン33の平面図であり、また、複数の開口部が形成される1次巻線パターン33の領域33a,33bが斜線で示されている。また、1次巻線パターン33とコア部品32a,32bとの配置関係を示すために、矢印J方向からみたコア32部品a、内脚部32a1,外脚部32a2,32a3の配置領域が点線で示されている。
図22は、巻線パターンの変形例を示す図である。
図22では、コア41が点線で表されている。図22に示されている巻線パターン(1次巻線パターンまたは2次巻線パターン)40では、複数の開口部が形成されている領域については図示が省略されている。
2 多層基板
3 コア
3g ギャップ
4 1次巻線パターン
4a,4b 領域
5 2次巻線パターン
6 絶縁層
opn1〜opnn 開口部
Claims (4)
- 電力伝送を行う1次巻線パターンと2次巻線パターンとが絶縁層を介して積層された多層基板と、
前記1次巻線パターンまたは前記2次巻線パターンの少なくとも一部を覆うように配置され、磁気飽和抑制のためのギャップが形成されているコアと、を有し、
前記コアに覆われている前記1次巻線パターンまたは前記2次巻線パターンの、前記ギャップに隣接している領域に、複数の開口部が形成されている、ことを特徴とするプレーナ型変圧装置。 - 前記領域における前記1次巻線パターンまたは前記2次巻線パターンの導体部分の幅は、前記1次巻線パターンまたは前記2次巻線パターンの表皮深さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のプレーナ型変圧装置。
- 前記1次巻線パターンまたは前記2次巻線パターンにおける、前記複数の開口部の大きさは、前記大きさの増加に伴い低減する渦電流損失と、前記大きさの増加に伴い増加する直流抵抗損失とを加算した合計損失に基づき、決められていることを特徴とする請求項1または2に記載のプレーナ型変圧装置。
- 前記コアに覆われていない前記1次巻線パターンまたは前記2次巻線パターンの第1のパターン幅は、前記コアに覆われている前記1次巻線パターンまたは前記2次巻線パターンの第2のパターン幅よりも狭いことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のプレーナ型変圧装置。
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