JP2016002813A - スペースデブリの軌道降下方法、軌道降下システム、及び、人工衛星の軌道変換方法、軌道変換システム - Google Patents

スペースデブリの軌道降下方法、軌道降下システム、及び、人工衛星の軌道変換方法、軌道変換システム Download PDF

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Abstract

【課題】複雑で重量の大きい除去衛星なしに衝突回避運用や再突入制御を可能とするスペースデブリの軌道降下方法、システム、及び同様の原理による人工衛星の軌道変換方法、システムを提供する。【解決手段】導電性テザー7を伸展可能に保持する人工衛星を天体の周りを軌道運動するスペースデブリ27に接近させ、導電性テザーの一端を導電性テザー取り付け機構5,6によってスペースデブリに取り付け、人工衛星が導電性テザーの他端を保持した状態で導電性テザー伸展機構8により導電性テザーを伸展させて、導電性テザーが天体の周囲磁場から受ける電磁気的作用により一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道を天体に向かって降下させ、人工衛星からの制御により上記軌道運動を変化させる、軌道降下方法、関連するシステム、及び同様の原理による人工衛星の軌道変換方法、システムを提供する。【選択図】図5

Description

本発明は、ロケット上段等、大型スペースデブリ(宇宙ごみ)の除去を可能にする人工衛星の形態及び運用方法に関する。特に本発明は、導電性テザーを用いて低コストで実現可能な、スペースデブリ除去人工衛星によるスペースデブリの軌道降下方法、及び軌道降下システムに関する。
近年スペースデブリの増加が問題となっており、今、既に軌道上にあるスペースデブリ同士の衝突によりその数が増加していくと予測されているため、世界的に様々な手法によるスペースデブリ除去が研究されている。特に除去すべきスペースデブリは混雑軌道の大型スペースデブリであると、世界的に認識は共通している。大型スペースデブリとは、大型衛星やロケット上段等、典型的には長さ数m〜10m級、重さ数トン級のスペースデブリである。なお、本明細書においてスペースデブリとはなんらかの意味がある活動を行うことなく天体の衛星軌道上を周回している物体を指し、人工衛星とはなんらかの目的をもって天体の衛星軌道上を周回している物体を指す。
大型スペースデブリの除去方法の一例として、欧米の宇宙機関等は、ロボットアームによりスペースデブリを捕獲して、従来型推進系でスペースデブリの軌道を降下させる手法を検討している。しかし、この手法においてはスペースデブリの捕獲及びロボットアームの制御が困難であり、燃料も数百kg必要なことから、用いる人工衛星は数トン級となり打上コストも高くなる。このような方法は技術的のみならずコスト的にも実現が困難と考えられており、世界でもまだデブリ除去は実現していない。
またロボットアームによりスペースデブリを固定し、重心を管理しながら押していくことは、その制御が複雑であるため、代わってスペースデブリ除去人工衛星により、スペースデブリをテザーで牽引する案も検討されている。しかし、テザーは重力傾斜力(重力と遠心力のバランス)により鉛直方向には安定するが、進行方向には安定しないため、推力を付加した後には図12のようにテザーが弛んだり、回転してしまったりしてスペースデブリ除去人工衛星にぶつかり、これを損傷する恐れがある。したがって、テザーでスペースデブリを牽引する上記方法においては、そのような損傷を避けるための制御が必要である。
また従来型推進系は、スペースデブリの軌道変換に必要な燃料重量が数百kgとなり、それだけでスペースデブリ除去人工衛星が大型化し、打上費が高くなる上、万が一失敗した場合には、スペースデブリ除去人工衛星自体が燃料を大量に搭載した危険なスペースデブリとなってしまう。このような問題を避けるべく、高効率の推進系として導電性テザーを使用する案が考えられている。
導電性テザーを使用する手法においては、アルミニウム等の金属繊維、導電性繊維等から作製された数km程度の長さを有する導電性のテザー(紐)をスペースデブリに取り付けて電流を流すことにより、地球磁場との干渉でスペースデブリの高度を降下させる(図13)。
具体的には、図13に示すとおり、地球磁場(−x方向とする。)中で地球周回軌道上を軌道運動(進行方向をy方向とする。)しているロケット上段等のスペースデブリに対して、鉛直方向(−z方向とする。)に導電性テザーが取り付けられる。導電性テザーは絶縁被覆がされておらず(ベアテザー。ただし、ホローカソード等で電子コレクタを形成する場合には、絶縁被覆がされていてもよい。)、また導電性テザーの他端のエンドマス内部には、電界放出型カソード等、電子源(電子エミッタ)が設けられている。
導電性テザーがスペースデブリと共に軌道運動することで地球磁場の磁力線を横切ると、電磁誘導の法則により導電性テザー上には誘導起電力が発生して、導電性テザー上で電子源からスペースデブリに向かう方向(z方向)に誘導電流が流れる。ここで、導電性テザー両端に形成された電子源、及びベアテザー(又は電子コレクタ)は、地球周回軌道上に存在するプラズマと電子をやりとりするため、図13中の点線で示すとおり導電性テザーを含む擬似閉回路が形成される。上記誘導電流は、この擬似閉回路内を流れる。
さらに、上述の誘導電流が地球磁場からローレンツ力を受けることにより(図13中、「ローレンツ力」。−y方向。)、導電性テザーにも−y方向、すなわち進行方向とは逆向きの力が働く。この力が導電性テザー、及びスペースデブリに対する制動力として作用するため、スペースデブリの軌道運動は徐々に減速し、その軌道が降下していく。軌道が降下したスペースデブリは大気圏に突入して燃え尽きるか、地球上に落下する(特許文献1、[0003]欄参照。)。
導電性テザーを使用するこの手法においては燃料が不要であり、また発生する推力(制動力)も微小であるためスペースデブリへの取り付けが比較的容易であるという利点がある。導電性テザーが磁場を横切ることにより発生する誘導起電力を利用した上述の電流発生機構を用いれば、原理的には外部からの電力供給も不要であるため、ほぼパッシブにスペースデブリ除去を実現することが可能と考えられている。この導電性テザーを使用する手法においては、デブリ除去人工衛星が複数の導電性テザーパッケージを搭載し、混雑軌道で付近のスペースデブリにテザーパッケージを取り付けて回るという方法が可能と考えられ、一機のデブリ除去人工衛星で複数のスペースデブリを除去することによりスペースデブリ除去作業を低コスト化できると提案されている。
一方で、導電性テザーの使用により発生する推力は微小であるため、スペースデブリの除去に数か月から1年程度かかる。また導電性テザーは一般に長いため、運用衛星あるいはスペースデブリとの衝突が懸念される。衝突してしまった場合、運用衛星に損傷を与えたり、導電性テザーを切断したりして、それらにおけるその後の運用が不可能となってしまう。また、導電性テザーを長期間運用していると、振動角が徐々に拡大して軌道降下の効率が落ちるという問題がある。最悪の場合にはテザーが回転してしまい、軌道降下ができなくなってしまう。従来提案されている方法においては、これらの問題に対処する衝突回避運用や再突入制御のための方策がとられていない。再突入制御をしなければ、大型デブリの場合溶融せずに地上に落下し、被害を与える可能性がある。
特開2004−98959号公報
以上の状況に鑑み、本発明は、スペースデブリ除去衛星が複雑かつ重量が大きく、信頼性要求が高いためコストが高いという課題、あるいは、低コストの導電性テザーを使用する場合には衝突回避運用や再突入制御ができないという課題を解決することを目的とする。また上記課題の解決に伴い、同様の原理を、スペースデブリの除去に限らず人工衛星の軌道変換に応用することも本発明の目的である。
上記目的を達成するべく、本発明は、導電性テザーを伸展可能に保持する人工衛星を、天体の周りを軌道運動するスペースデブリに接近させる段階と、導電性テザーの一端を、導電性テザー取り付け機構によってスペースデブリに取り付ける段階と、人工衛星が導電性テザーの他端を保持した状態で、導電性テザー伸展機構により導電性テザーを伸展させて、導電性テザーが天体の周囲磁場から受ける電磁気的作用により、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道を天体に向かって降下させる段階と、人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させる段階とを備えた、スペースデブリの軌道降下方法を提供する。
上記方法においては、導電性テザーを搭載した人工衛星がスペースデブリに接近し、スペースデブリに導電性テザー端を取り付け、導電性テザーと人工衛星もスペースデブリと一体となった状態で、その軌道を降下させる。これにより、スペースデブリと一体となった人工衛星を介して、スペースデブリの軌道運動を制御しつつ軌道を降下させることが可能となる。なお、上記人工衛星として、特に小型衛星を複数クラスタとしてロケットで打ち上げ、これらが混雑軌道に散らばって複数のデブリを除去するという態様で上記方法を実施してもよいし、あるいは相乗りで他の衛星と共に人工衛星を打ち上げてもよい。
上記本発明の提供する方法において、人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させる段階は、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を人工衛星の備える推進系によって変化させる段階を含むことができる。人工衛星を介したスペースデブリの軌道運動の制御における具体的な一例として、例えば人工衛星の推進系により推力、制動力を発生させて軌道運動を変更することが可能である。これにより、例えば他のスペースデブリとの衝突が予想されるときに、除去対象のスペースデブリの軌道を推進系の動作により変更して衝突回避することができる。
上記本発明の提供する方法において、人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させる段階は、人工衛星から導電性テザーに対して電圧を印加して導電性テザーに流れる電流を変化させることにより、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させる段階を含むことができる。導電性テザーに対して働くローレンツ力は導電性テザーに流れる電流に依存するため、外部電源等を用いて当該電流を増加させることによりスペースデブリの軌道を急速に降下させる等、その軌道運動を制御することが可能となる。
上記本発明の提供する方法において、人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させる段階は、導電性テザーに流れる電流のオン状態とオフ状態を切り替えることにより、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させる段階を含むことができる。一例として、電子エミッタと導電性テザーとの間に切り替え回路を設けて、これらの間の接続・切断状態を切り替えることにより電流のオン状態とオフ状態とを切り替えれば、スペースデブリ等に対する推力・制動力の発生自体を制御することができる。これにより、スペースデブリの軌道を変更して他のスペースデブリ等との衝突を回避することが可能となる。
上記本発明の提供する方法において、人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させる段階は、スペースデブリと人工衛星が相互振動運動をしているとき、スペースデブリに対する人工衛星の速度ベクトルの軌道方向成分が正であるタイミングで、人工衛星の備える推進系によって軌道方向成分が負の制動力を発生させることにより、相互振動運動の抑制と軌道の降下を同時に行う段階を含むことができる。天体からの高度により遠心力と重力の大小関係が変わりうることや、コリオリ力、空気抵抗の存在等、様々な要因により、スペースデブリと人工衛星とは相互振動運動をすることがあるが、上述のタイミングで推進系により軌道方向成分が負の制動力を発生させれば、軌道運動が減速して軌道が降下するだけでなく、スペースデブリに対する人工衛星の相対運動にも制動力が働くため、同時に相互振動運動の抑制を行うことができる。
上記相互振動運動の抑制と軌道の降下を同時に行う段階は、スペースデブリに対する人工衛星の速度ベクトルの軌道方向成分が正であり、且つ、スペースデブリに対する人工衛星の、鉛直方向から軌道方向になす角度の大きさが所定値以下、又は所定値未満であるタイミングで、人工衛星の備える推進系によって軌道方向成分が負の制動力を発生させることにより、相互振動運動の抑制と軌道の降下を同時に行う段階であることが好ましい。スペースデブリに対する人工衛星の速度ベクトルの軌道方向成分が正であり、且つ、スペースデブリに対する人工衛星の、鉛直方向から軌道方向になす角度がゼロであるとき(導電性テザーが鉛直方向に伸びているとき)に、スペースデブリに対する人工衛星の相対速度を完全に打ち消す大きさで制動力を発生させれば、スペースデブリと人工衛星との相互振動運動を完全に停止させることができるため、上記角度がゼロのタイミングで制動力を作用させることが望ましい。しかしながら、上記スペースデブリに対して人工衛星がなす角度の計測精度や、推進系の動作タイミング制御には限界があることに鑑みれば、上記角度の大きさを厳密にゼロにすることは困難な場合がある。また、制動力をある程度の時間長に亘って発生させる場合には、上記角度がゼロとなった時点で制動力発生を開始しても遅く、ある程度早めに開始すべきである。これらに鑑みれば、計測精度、制御限界や制動力の発生時間長を初めとする個々の具体的実施条件に応じて任意に所定値(ゼロが好ましいが、ゼロ以外であってよい。)を設定し、上記角度の大きさが所定値以下、又は所定値未満であるタイミングで、上述のとおり制動力を発生させることが好ましい。
上記本発明の提供する方法において、人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させる段階は、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの天体に対する高度が所定値以下、又は所定値未満となったタイミングで、人工衛星の備える推進系により導電性テザーの姿勢を軌道方向に沿って延びるよう変化させる段階と、推進系により軌道方向の成分が負の制動力を発生させて、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道を天体に向かって降下させる段階とを含むことができる。スペースデブリの高度が十分落ちてから、人工衛星の推進系を用いて導電性テザーを回転させ、その方向を変えた上で再突入のための推力を与えることで、スペースデブリを狙った領域に再突入させることが可能となる。特に導電性テザーの姿勢を軌道方向に沿って延びるよう変化させれば、その後の制動力発生時にスペースデブリと人工衛星とが相互に振動することを防止できる。どの程度の高度までスペースデブリ等が降下した時点で導電性テザーの姿勢を変化させるべきかは、推進系の能力やスペースデブリのサイズ等、個々の具体的実施条件に応じて任意に設定されるべきであるが(例えば大気圏高度以下で導電性テザーが燃え尽きてしまえば姿勢変更はできない。)、一般には高度が低いほどスペースデブリ等の力学的エネルギーも小さく、姿勢変更のために必要な推力が小さくなるため、ある程度低い所定高度以下、又は未満となったタイミングで姿勢変更を行うことが好ましい。
また本発明は、人工衛星と、人工衛星に伸展可能に保持された導電性テザーと、導電性テザー取り付け機構と、導電性テザー伸展機構とを備え、天体の周りを軌道運動するスペースデブリに人工衛星が接近し、導電性テザー取り付け機構が導電性テザーの一端をスペースデブリに取り付け、更に、人工衛星が導電性テザーの他端を保持した状態で、導電性テザー伸展機構が導電性テザーを伸展させることにより、伸展した導電性テザーが天体の周囲磁場から受ける電磁気的作用によって、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道を天体に向かって降下させ、人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させるよう構成された、スペースデブリの軌道降下システムを提供する。このシステムによれば、本発明の提供する上述の方法と同様に、スペースデブリと一体となった人工衛星を介してスペースデブリの軌道運動を制御しつつ軌道を降下させることが可能となる。
一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を人工衛星の備える推進系によって変化させるよう、上記本発明の提供するシステムを構成することができる。既に述べたとおり、このような構成により人工衛星の衝突回避運用等が可能となる。
上記本発明の提供するシステムに、人工衛星から導電性テザーに対して電圧を印加する電源系を備えて、電圧の印加により導電性テザーに流れる電流を変化させ、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させるよう構成することができる。既に述べたとおり、このような構成によれば、外部電源等を用いて導電性テザーに流れる電流を増加させることによりスペースデブリの軌道を急速に降下させる等、その軌道運動を制御することが可能となる。
上記本発明の提供するシステムに、導電性テザーに流れる電流のオン状態とオフ状態を切り替える切り替え回路を備えて、オン状態とオフ状態との切り替えにより、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザー、スペースデブリの軌道運動を変化させるよう構成することができる。既に述べたとおり、このような構成によれば、スペースデブリ等に対する推力・制動力の発生自体を制御することにより、スペースデブリの軌道を変更して他のスペースデブリ等との衝突を回避することが可能となる。
また本発明は、導電性テザーを伸展可能に保持し、天体の周りを軌道運動する人工衛星から、導電性テザー伸展機構により導電性テザーを伸展させて、導電性テザーが天体の周囲磁場から受ける電磁気的作用により、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザーの軌道を変換する段階と、人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザーの軌道運動を変化させる段階とを備えた、人工衛星の軌道変換方法を提供する。スペースデブリの除去に限らず、導電性テザーへの電磁気的作用を利用すれば、上述の本発明の方法と同様の原理で人工衛星の軌道を変換することができる。一例として、木星の周りを軌道運動する人工衛星に対して本発明の方法を適用すれば、木星は自転による磁場の回転速度が大きいため、軌道降下だけでなく軌道上昇をさせることも可能である。具体的には、木星の場合、或る高度より高い軌道では、人工衛星・探査機が木星の周りを周回する速度より、木星の磁場(木星の極に固定されているため木星自転と共に回転する。)の速度の方が速く、磁場が人工衛星・探査機を追い越すため、相対的には人工衛星・探査機の周回速度が実際と逆向きである場合のような向きに、誘導起電力及びローレンツ力が発生する(図13の例を用いれば、人工衛星・探査機(エンドマス)の軌道運動における実際の進行方向はy方向であるが、木星の自転のy方向速度が軌道運動の速度よりも大きいため、木星から人工衛星・探査機を見たときの見かけの速度のy方向成分は負となり、導電性テザーが磁力線を横切る向きもy方向に負となる。これにより、導電性テザーに対しては図13と逆向きの−z方向に誘導電流が流れ、y方向成分が正のローレンツ力が作用する。人工衛星の軌道方向への運動が加速され、軌道は上昇していく。なお、この場合は誘導電流の向きが逆であるため、導電性テザーを図13とは逆方向、すなわち人工衛星・探査機(エンドマス)から−z方向に伸展させて、電子コレクタと電子エミッタの位置関係を逆にすることが必要である。)。
また本発明は、人工衛星と、人工衛星に伸展可能に保持された導電性テザーと、導電性テザー伸展機構とを備え、導電性テザー伸展機構が導電性テザーを伸展させることにより、伸展した導電性テザーが天体の周囲磁場から受ける電磁気的作用によって、天体の周りを一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザーの軌道を変換し、人工衛星からの制御により、天体の周りを一体となって軌道運動する人工衛星、導電性テザーの軌道運動を変化させるよう構成された、人工衛星の軌道変換システムを提供する。このシステムによって、上記人工衛星の軌道変換方法を実施することができる。
本発明によれば、主には地球等の磁場による電磁気的作用によってスペースデブリの軌道を降下させるため、人工衛星に大規模な推進系を搭載する必要がなく、したがって大型・複雑で高コスト化すると懸念される従来のデブリ除去衛星を小型化・簡素化し、低コスト化することが可能となる。また導電性テザーの振動を抑制しつつ軌道が降下する方向に推力(制動力)を与えることで、軌道降下時間を短縮しつつ、衝突を回避することが可能となる。導電性テザーが磁場から受ける電磁気的作用の制動力により、スペースデブリの高度が十分に落ちてから、導電性テザーを回転させて方向を変えた上で再突入のための推力を与えることにより、再突入に必要な増速度分を小さくできるので、導電性テザーの運動が不安定化して人工衛星が損傷を受ける前に再突入を完了できる。スペースデブリを複数除去する、従来提案されていた大型衛星が1つ目のスペースデブリ除去で故障した場合には、複数のスペースデブリを除去できない上、故障した大型衛星を大型スペースデブリとして軌道に残してしまうことになる。これを避けるべく、そのような大型衛星には高信頼性が必要であり高コスト化するが、スペースデブリを1つずつ除去する小型衛星を用いるならば、信頼性を下げることができるため低コスト化が図れる。さらに、上述のとおり相乗りで、あるいはクラスタとして打ち上げることで、打上コストを低減できる。また本発明によって、スペースデブリの軌道降下に限らず、人工衛星の軌道変換をすることが可能となる。
本発明の一実施形態に係るスペースデブリ軌道降下システムの全体構成図。 図1に示す人工衛星の本体部の構成図。 ドラム型方式、スプール型方式(外抜き、内抜き)を説明する図。 図1の人工衛星に含まれる電子エミッタ(電界放出型カソード)の構成図。 図1の人工衛星に取り付けられたロボットハンドの構成図。 図1の人工衛星が対象衛星(スペースデブリ)を捕獲した時の態様を示す図。 図5とは異なり、対象衛星を捕獲せずに導電性テザーを伸展させる前段階の図。 対象衛星の捕獲後、人工衛星から導電性テザーが伸展された時の態様を示す図。 図6とは異なり、対象衛星を捕獲せずに導電性テザーを伸展させたときの図。 人工衛星の備える推進系の動作タイミングを説明するための図。 推進系により制動力を発生させた後の導電性テザーの挙動について、計算機シミュレーションを行った結果を示すグラフ。 推進系の好適な動作タイミングについて、更に説明するための図。 図9aで説明した動作タイミングに関し、導電性テザーの挙動について計算機シミュレーションを行った結果を示すグラフ。 導電性テザーの姿勢を変化させるための、推進系の動作を説明するための図。 導電性テザーの姿勢を変化させた後、再突入のための推力(制動力)を与えるための、推進系の動作を説明するための図。 図10a,図10bで説明した姿勢変更と再突入に関し、導電性テザーの挙動について計算機シミュレーションを行った結果を示すグラフ。 従来のスペースデブリ軌道降下方法において、牽引中のテザーに推力を付加した後のシミュレーション結果を示す図。 地球磁場を導電性テザーが横切ることにより制動力が発生する原理を説明するための図。
以下、図面を用いて本発明に係るスペースデブリの軌道降下方法、軌道降下システム、及び人工衛星の軌道変換方法、軌道変換システムの実施形態を説明する。ただし、本発明に係るスペースデブリの軌道降下方法、軌道降下システム、及び人工衛星の軌道変換方法、軌道変換システムは、各図面、及び関連する説明により示される特定の具体的構成へと限定されるわけではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。例えば、以下の実施例では地球の周りを軌道運動するスペースデブリに対して軌道降下を行うが、周囲磁場の存在する天体であれば、将来的に、地球以外の天体の周りを軌道運動するスペースデブリが発生した場合にも、本発明に従って軌道降下を実施することができる。スペースデブリの軌道降下に限らず、導電性テザーを有する人工衛星・探査機の軌道変換方法としても、本発明を実施することができる。また導電性テザーの長さも数km程度に限られるわけではなく、スペースデブリ(必ずしも衛星でなくてよい。)や探査機のサイズ等に応じて任意に変更してよい。以下に説明する実施形態が備える全ての要素を本発明が備える必要もない。例えば、図2の構成中、切り替え回路11を用いず、導電性テザー7のドラム8に固定された他端と電子エミッタ10を直接接続してもよいし、テザー用電源系12を用いなくてもよい。
スペースデブリ軌道降下システムの構成
図1に、本発明の一実施形態に係るスペースデブリ軌道降下システムの全体構成図を示す。スペースデブリ軌道降下システムは、人工衛星1と、人工衛星1に取り付けられたロボットアーム5と、ロボットアーム5に対して着脱可能に取り付けられたロボットハンド6と、人工衛星1の本体部2に内蔵されたドラム8に巻回されて、その一端がロボットハンド6に取り付けられ、その他端がドラム8に固定された導電性テザー7とを備えている。導電性テザー7は、アルミニウム等の金属繊維、導電性高強度繊維等、導電性材料を用いて作製された紐状体であり、網状等、その具体的構造は任意である。人工衛星1には、固体燃料エンジン、イオンエンジン等により推力(又は制動力)を発生させる推進器3、太陽光を電力に変換する太陽電池パドル4、地上のコントロールセンターから制御信号を受信したり、情報信号を送信したりするためのアンテナ9等が備えられている。
図2に、人工衛星1の本体部2の構成図を示す。ただし、推進器3や太陽電池パドル4の制御回路系、太陽電池パドル4によって変換された電力の分配回路系、アンテナ9を介して送受信するための送受信回路系、コントロールセンターから受信した制御信号等を個々の内部回路に伝達するための伝達回路系等、人工衛星1の基本的動作を行うための構成要素は省略した。当業者であれば、それらは適宜構成可能である。
図2中のロボットアーム・ハンド制御回路56aは、地上のコントロールセンターから受信した制御信号に従って(人工衛星1が自律制御型であれば、内部で生成された制御信号に従ってもよい。他の構成要素の動作についても同様。)ロボットアーム5やロボットハンド6に制御信号を送信し、それらを動作させる回路である。ドラム制御回路8aは、コントロールセンターから受信した制御信号に従ってドラム8に内蔵されたモータに制御信号を送信し、モータの動作によりドラム8を回転させるための回路である。ドラム8の回転により、導電性テザー7が、その一端から繰り出される。
なお、ドラム8を回転させて導電性テザー7を繰り出す(導電性テザー7ごと回転させる。)ドラム型方式以外にも、円筒状等の形をした芯に導電性テザー7を巻回するか、あるいは芯を用いずに導電性テザー7のみを巻回して、その一端から導電性テザー7をほどいて伸展させていくことも可能である(スプール型方式。図2a参照。)。スプール型方式の場合、ドラム8や内蔵モータ、ドラム制御回路8aは不要である。導電性テザー7の一端をロボットハンド6に取り付け、他端を切り替え回路11と(切り替え回路11を用いないならば電子エミッタ10と)接続した状態で、後述のドラム型方式と同様にロボットハンド6とロボットアーム5を分離し、推進器3を用いて人工衛星1をロボットハンド6から遠ざければ、導電性テザー7は自動的にほどけて伸展する。以下、ドラム型方式に基づいて実施形態を説明するが、スプール型方式を用いる態様においても、本発明は同様の原理で実施可能である。
導電性テザー7のうち、上述のとおりドラム8に固定された他端は、切り替え回路11を介して電子エミッタ10やテザー用電源系12に接続されている。電子エミッタ10は電界放出型カソード等の電子源であり、周囲のプラズマに対して電子を放出することにより、図13を用いて説明した擬似閉回路を形成するためのデバイスである。電界放出型カソードとして形成された電子エミッタ10の構成を図3に示す。電子エミッタ10は、基板13aとゲート電極14との間に電圧を印加することにより、基板13a上に設けられたカーボンナノチューブ等からなるエミッタ13bから、ゲート電極14の隙間を通って電子を放出する。なお、ロボットハンド6に取り付けられた導電性テザー7の一端には、当該一端をベアテザーとするか、ホローカソード等を設けることにより、電子コレクタが形成されている(不図示)。
図2中、切り替え回路11は、MOSFET等のスイッチ、及びその制御回路からなる切り替え回路であり、コントロールセンターから受信した制御信号に従って、導電性テザー7と電子エミッタ10、テザー用電源系12の電気的な接続・切断状態を切り替える回路である。テザー用電源系12は、導電性テザー7に対して電圧を印加し、導電性テザー7に流れる電流を変化させるための電源系である。一例として、テザー用電源系12は、電子エミッタ10と切り替え回路11との間に直列接続された可変直流電源、及び当該可変直流電源を制御して出力電圧を変化させる制御回路からなり、導電性テザー7と周囲プラズマを含んで形成される擬似閉回路に任意の直流電圧を印加することで、導電性テザー7に流れる電流を変化させる。
図4に、ロボットハンド6の構成図を示す。ロボットハンド6の構成は、特許文献1の図1に示されるテザー装置1と同様の構成であってよいが、特許文献1におけるテザー機構30は不要である。なお、本発明において用いるロボットハンド6は特許文献1に記載の構成と異なっていてもよく、スペースデブリの対象部位を捕獲可能であればどのような構成であってもよい。
ロボットハンド6は4つの指部17a〜17dを有し(17c,17dは不図示)、スペースデブリの対象部位26にガイド部16が当接して位置案内した上で指部17a〜17dを閉じて、対象部位26を把持する。これにより、導電性テザー7の一端がスペースデブリに対して固定される。指部17a〜17dの動作は、歯車伝動機構やその後続のラック・ピニオンのような動力伝達・変換機構18と、電動モータ及び回転角度センサで構成されるアクチュエータ19とによって制御される(特許文献1、[0017]欄参照。)。アクチュエータ19の電動モータの駆動による回転出力が動力伝達・変換機構18で伝達・変換され、棒状のギア18aが回転すると、基部20の歯車がこれと噛み合って回転し、指部17a,17bが開いたり閉じたりする。指部17c,17dに対しても、同様に基部を介して棒状のギアが取り付けられており、同様の原理で開閉動作する。なお、ロボットハンド6全体はケーシング15で覆われているが、指部17a〜17dが露出し、且つ開閉動作が妨げられないよう、ケーシング15にはスリットが設けられている。ここで、アクチュエータ19の動作は、ロボットアーム・ハンド制御回路56aからの制御信号が、ロボットアーム5の把持機構24に設けられた電気コネクタ25から、ロボットハンド6の取っ手21に設けられた電気コネクタ22を介してアクチュエータ19へと入力されることにより制御される。
ロボットハンド6とロボットアーム5とは、ロボットハンド6の取っ手21に形成された凹部23に、ロボットアーム5の把持機構24を嵌め合わせたり、嵌め合わせを解除したりすることにより着脱可能である。嵌め合せた状態においては適宜ロック機構(不図示)を作用させて、ロボットハンド6とロボットアーム5の結合を強固にすることが好ましい。これら着脱動作も、ロボットアーム・ハンド制御回路56aからの制御信号に従って行われる。凹部23に対して把持機構24を嵌め合せた状態では、ロボットハンド6側の電気コネクタ22とロボットアーム5側の電気コネクタ25が結合され、ロボットハンド6に対する電力供給や制御信号、情報信号の送受信等が可能となる。
スペースデブリ軌道降下システムの動作
次に、本発明のスペースデブリ軌道降下方法の一実施形態として、図1に示すスペースデブリ軌道降下システムの動作を説明する。
スペースデブリ軌道降下システムは、ロケット等により打ち上げられて地球周回軌道上を軌道運動する。地上のコントロールセンターからの制御信号に従い、人工衛星1の推進器3により推力・制動力を適宜発生させることにより、スペースデブリ軌道降下システムは投棄すべきスペースデブリ(以下、対象衛星27)に接近する。必要であれば対象衛星27に対して発射物を発射し、角運動量を低減させる等した後、ロボットアーム・ハンド制御回路56aからの制御信号によりロボットアーム5を動作させて、ロボットハンド6のガイド部16によって対象部位26を挟み、さらに指部17a〜17dを閉じて対象部位26を把持することにより、対象衛星27を捕獲する(図5。対象衛星27の下部に中空領域が存在し、その外壁である対象部位26を把持する。)。導電性テザー7の一端はロボットハンド6に取り付けられているため、当該捕獲により、導電性テザーの当該一端が対象衛星27に取り付けられることとなる。対象衛星27、導電性テザー7、人工衛星1は一体となって地球の周りを軌道運動する。
次に、ドラム制御回路8aからの制御信号によりドラム8の内蔵モータが回転して、導電性テザー7がその一端から繰り出される。併せて、ロボットアーム・ハンド制御回路56aからの制御信号により、ロボットハンド6の凹部23とロボットアーム5の把持機構24の嵌め合せが解除され、ロボットアーム5とロボットハンド6とが分離される。さらに、人工衛星1の推進器3によって推力を発生させることにより、人工衛星1は対象衛星27から遠ざかる方向に移動する。以上の動作により、図6に示すとおり導電性テザー7を伸展させる。地球の重力により、導電性テザー7は概ね鉛直方向(地球の重力方向)に沿って伸展される。伸展した後にも人工衛星1が上記遠ざかる方向に移動し続ける場合は、推進器3によって適宜制動力を発生させて、その移動を抑制する。
ドラム8に固定された導電性テザー7の他端と電子エミッタ10とが、切り替え回路11により電気的に接続された状態においては、ロボットハンド6に固定された導電性テザー7の一端が電子コレクタとして周囲プラズマから電子を吸収し、電子エミッタ10が周囲プラズマに電子を放出することにより、図13を用いて説明したとおり擬似閉回路が形成されて、地球磁場の電磁気的作用により擬似閉回路内に誘導電流が流れる。この誘導電流が地球磁場からローレンツ力を受けることにより、導電性テザー7、及びこれと一体となって軌道運動する対象衛星27と人工衛星1に制動力が働き、それらの軌道が降下していく。
地球磁場からのローレンツ力による軌道降下中も、推進器3によって推力・制動力を発生させることにより、一体となって軌道運動する人工衛星1、導電性テザー7、対象衛星27の軌道運動を変化させることができる。一例として、軌道運動の進行方向に推力を発生させれば軌道降下を遅らせることができるし、その逆方向に推力(制動力)を発生させれば軌道降下を早めることができる。それ以外の方向に推力・制動力を発生させて軌道を変更し、他のスペースデブリとの衝突を避けることも可能である。これら推進器3の制御は、地上のコントロールセンターから送信される制御信号(人工衛星1が自律制御型であれば、内部の制御システムからの制御信号)により行われる。
また、テザー用電源系12を用いて導電性テザー7に流れる電流を変化させることによっても、一体となって軌道運動する人工衛星1、導電性テザー7、対象衛星27の軌道運動を変化させることができる。具体的には、テザー用電源系12により、図6において人工衛星1から対象衛星27へと電流を流す極性の電圧を印加すれば(磁場や軌道運動の向きは、図13においてエンドマスを人工衛星1で置き換えた場合と同様であるとする。)、テザー電流が増加し、地球磁場からのローレンツ力が強められて軌道降下が早められるし、逆の極性の電圧を印加すれば軌道降下を遅くする(誘導電流よりも大きい電流を流す電圧を印加する場合には軌道を上昇させることもできる。ただし、電子コレクタと電子エミッタの位置関係を逆にするために、推進器3により人工衛星1を移動させる等して、対象衛星27と人工衛星1の位置関係を逆にする。)ことができる。
なお、切り替え回路11により導電性テザー7と電子エミッタ10、テザー用電源12との電気的接続を解除すれば、導電性テザー7には電流が流れなくなるため、地球磁場からのローレンツ力による制動力も作用しなくなり、軌道降下を停止することができる。推進器3やテザー用電源系12、切り替え回路11を用いた運動制御により、例えば他のスペースデブリとの衝突を回避することが可能である。
スペースデブリと人工衛星の相互振動運動の抑制
既に述べたとおり、一体となって軌道運動する対象衛星27と人工衛星1とは様々な要因により相互振動運動をすることがある。以下、相互振動運動を抑制しつつ軌道降下を行うためのシステムの動作を説明する。
図7に、対象衛星27と人工衛星1が相互振動をしつつ、一体となって軌道運動している様子を示す(座標系は図13と同様。)。地球磁場から導電性テザー7に作用するローレンツ力により、軌道は降下し続けている。図7に示すタイミングにおいて、対象衛星27と人工衛星1とは、それぞれ矢印に示すとおり互いに対して相対速度を有している。すなわち、対象衛星27に対する人工衛星1の速度ベクトルの軌道方向成分は正である。このタイミングで、推進系3a,3bから燃料を噴射する等して軌道方向成分が負の制動力を発生させれば、この制動力により人工衛星1、導電性テザー7、対象衛星27の軌道を降下させると同時に、対象衛星27に対する人工衛星1の相対運動をも抑制することができる。すなわち、軌道の降下と相互振動運動の抑制が同時に実現される。
このような動作を行った時の導電性テザー7の挙動について数値シミュレーションを行った。地球上空、軌道高度800kmの円軌道(軌道傾斜角98度)において、重量3400kgのスペースデブリと350kgの除去衛星とが長さ10000mの導電性テザーを介して一体化し(磁場の向きが図7中の向きと逆であるとした。これに伴い、スペースデブリと除去衛星の上下位置関係も、図7の構成と逆である。このとき、図13に示す方向とは逆に電流が流れるが、磁場の向きも逆であるため図13と同方向にローレンツ力が生じる。)、相互振動運動をしながら軌道運動しているという条件で、時刻0秒におけるテザー回転角を−50度(鉛直方向から反時計まわりを正とする)とし、テザーは反時計回りに回転するものとした。時刻800秒から、軌道運動の進行方向(反時計回り方向)逆向きに推力9.2Nのスラストを約610秒間(速度変化ΔV=1.5m/s)付与した(時計回り方向に制動力を発生させた。)。図8の上側のグラフに、このときの導電性テザーの挙動を示し、また導電性テザーの回転角の時間変化を、図8の下側のグラフに示す。図8からわかるとおり、時刻800秒においてテザーは反時計周りに速度を有しており(軌道方向成分が正)、このタイミングで時計回り方向に制動力を受けることで、その振動運動が弱められた。図8の下側のグラフが示すとおり、テザー振動の振幅は約4度に低下した。同時に、制動力の付与により、近地点高度を6km(軌道長半径を3km)下げることができた。
軌道の降下と相互振動運動の抑制を同時に実現する上述の実施態様においては、特に、対象衛星27に対する人工衛星1の速度ベクトルの軌道方向成分が正であり、且つ、図7中の回転角θ=0のタイミングで制動力を発生させることが好ましい。このタイミングで対象衛星27に対する人工衛星1の相対速度を完全に打ち消す制動力を発生させれば、対象衛星27と人工衛星1との相互振動運動を完全に停止させることができるからである。図9aを用いて、このタイミングを説明する(磁場の向きが図7中の向きと逆であるとした。これに伴い、対象衛星27と人工衛星1の上下位置関係も、図7の構成と逆である。座標系は図13と同様。)。対象衛星27と人工衛星1は相互振動運動をしており、対象衛星27を固定して見たとき、人工衛星1は、(1),(2),(3),(4)の順で振動運動をしている。人工衛星1が(2)の位置にあるとき回転角θはゼロであるが、対象衛星27に対する人工衛星1の速度ベクトルの軌道方向成分が負であるため、推進器3による制動力の発生タイミングとしては不適である(このタイミングで制動力を発生させれば、導電性テザー7の振動を促進してしまう。)。一方で人工衛星1が(4)の位置にあるときは、回転角θがゼロであり、且つ対象衛星27に対する人工衛星1の速度ベクトルの軌道方向成分が正であるため、制動力の発生タイミングとして適している。ただし、既に述べたとおり、制動力をある程度の時間長に亘って発生させる場合や、角度の計測精度、推進器3の動作タイミング制御に限界がある場合には、回転角θとして任意に所定値を設定し、上記角度の大きさが所定値以下、又は所定値未満であるタイミングで、制動力を発生させればよい。回転角や相対速度の計測は人工衛星1に搭載された任意のセンサで行い(例えば、人工衛星1に搭載したカメラで撮影してもよい)、情報信号として地上のコントロールセンターに通知される。この情報信号に基づき、コントロールセンターで適切な制動力発生タイミングを計算した上で、当該タイミングで制動力を発生させるよう、人工衛星1に制御信号が送信される(自律制御型の人工衛星1である場合は、コントロールセンターではなく人工衛星1内の制御システムで推進器3を制御し、上述の動作を実現する。)。図9bに、(1)〜(4)の各タイミングで制動力を作用させたとき、回転角の時間変化を数値シミュレーションした結果を示す(丸囲みの数字1〜4が、図9aの(1)〜(4)に対応。)。(4)のタイミングで制動力を付加したときに、最も振動を抑制できていることがわかる。
姿勢変更、及びその後の再突入動作
図7等に示すとおり、導電性テザー7が鉛直方向、あるいは軌道に対して斜めに横切る方向に伸びた状態で推進器3により推力・制動力を発生させる場合、そのタイミングや大きさを制御しなければ対象衛星27と人工衛星1の相互振動運動を引き起こす恐れがある。したがって、対象衛星27等の高度が低下し、再突入のための推力を付加する段階においては、事前に導電性テザー7の姿勢を、軌道方向に沿って延びるよう変更しておくことが好ましい。
具体的には、図10aに示すとおり、推進器3c,3dから燃料を噴射する等して人工衛星1に推力を与えると、図10bに示すとおり人工衛星1が対象衛星27を中心に回転し、対象衛星27、導電性テザー7、人工衛星1が軌道方向に沿って延びるよう姿勢が変化する。この状態で推進器3e,3fにより再突入のための推力(制動力)を発生させれば、対象衛星27と人工衛星1とが相互に振動することなく、これらを地球へと再突入させることができる。なお、図10aのタイミングにおいて導電性テザー7が紙面垂直方向(図13のx方向)に傾いている場合も、人工衛星1に備えられた各々の推進器によって姿勢を微調整すれば、導電性テザー7の姿勢を軌道方向に沿うよう変更できる。導電性テザー7の姿勢検出は人工衛星1に搭載された任意のセンサで行い(例えば、人工衛星1に搭載したカメラで撮影してもよい)、情報信号として地上のコントロールセンターに通知される。この情報信号に基づき、コントロールセンターで適切な推力の大きさ、発生時間長等を計算した上で、最適な推力を発生させるよう、人工衛星1に制御信号が送信される(自律制御型の人工衛星1である場合は、コントロールセンターではなく人工衛星1内の制御システムで推進器3を制御し、上述の動作を実現する。)。図11に、このような姿勢変更と再突入動作の数値シミュレーション結果を示す。なお代替案として、デブリを捕獲する際にロボットハンド6に爆破手段等を設けておき、十分に高度が下がった時点で、対象衛星27を破壊してもよい。
人工衛星軌道変換システムの構成
図1のスペースデブリ軌道降下システムは、本発明による人工衛星軌道変換システムとしても利用可能である。本発明の人工衛星軌道変換システムは、一例において、実施例1で図1〜図4を用いて説明したとおりの構成、動作原理に従う。図2の構成中、少なくとも切り替え回路11とテザー用電源系12を備えなくてもよいことや、ドラム型方式に限らず、スプール型方式(外抜き、内抜き)で導電性テザー7を伸展してよいことも同様である。
人工衛星軌道変換システムの動作
本発明による人工衛星軌道変換システムの動作は、実施例1で図5,図6,図7〜図11を用いて説明したスペースデブリ軌道降下システムの動作と比べ、対象衛星27を捕獲する必要がない点で異なる。
人工衛星軌道変換システムは、ロケット等により打ち上げられて、例えば木星周回軌道上を軌道運動する。実施例1とは異なり、スペースデブリへの接近動作は不要である(図5a)。
次に、ドラム制御回路8aからの制御信号によりドラム8の内蔵モータが回転して、導電性テザー7がその一端から繰り出される。併せて、ロボットアーム・ハンド制御回路56aからの制御信号により、ロボットハンド6の凹部23とロボットアーム5の把持機構24の嵌め合せが解除され、ロボットアーム5とロボットハンド6とが分離される。さらに、人工衛星1の推進器3によって推力を発生させることにより、人工衛星1はロボットハンド6から遠ざかる方向に移動する。以上の動作により、図6aに示すとおり導電性テザー7を伸展させる(この態様以外にも、例えば導電性テザー7のロボットハンド6側の一端に、ロボットハンド6ではなく弾丸のような質量体を固定し、当該質量体を人工衛星1から任意の射出機構で射出することによっても、導電性テザー7を伸展させることが可能である。この場合、ロボットハンド6とロボットアーム5は不要である。ドラム型方式であれば導電性テザー7は射出前にドラム8から繰り出しておく。スプール型方式であれば、質量体を射出するのみで導電性テザー7を伸展可能である。)。木星の重力により、導電性テザー7は概ね鉛直方向(木星の重力方向)に沿って伸展される。伸展した後にも人工衛星1が上記遠ざかる方向に移動し続ける場合は、推進器3によって適宜制動力を発生させて、その移動を抑制する。
ドラム8に固定された導電性テザー7の他端と電子エミッタ10とが、切り替え回路11により電気的に接続された状態においては、ロボットハンド6に固定された導電性テザー7の一端が電子コレクタとして周囲プラズマから電子を吸収し、電子エミッタ10が周囲プラズマに電子を放出することにより、図13を用いて説明したとおり擬似閉回路が形成されて、木星磁場の電磁気的作用により擬似閉回路内に誘導電流が流れる(既に説明したとおり、図13のような進行方向、磁場の向きである場合、木星の自転による磁場の速度(磁力線の移動速度)が人工衛星1の速度よりも速い場合は、図13の場合とは逆向きの誘導起電力が発生し、誘導電流の向きも図13と逆になる。)。この誘導電流が木星磁場からローレンツ力を受けることにより、導電性テザー7、及びこれと一体となって軌道運動する人工衛星1に制動力(図13の例において、木星から見た人工衛星の見かけの速度のy方向成分が正の場合)又は推力(図13の例において、木星から見た人工衛星の見かけの速度のy方向成分が負の場合)が働き、それらの軌道が降下又は上昇していく(上昇の場合は、電子コレクタと電子エミッタの位置関係を逆にするために、推進器3により人工衛星1の向きを変えて導電性テザー7の伸びる方向を変えるか、あるいは最初から導電性テザー7を、図13とは逆方向に伸展させる。)。
木星磁場からのローレンツ力による軌道降下又は上昇中も、推進器3によって推力・制動力を発生させることにより、一体となって軌道運動する人工衛星1、導電性テザー7の軌道運動を変化させることができる。一例として、軌道運動の進行方向に推力を発生させれば軌道降下を遅らせる、又は軌道上昇を早めることができるし、その逆方向に推力(制動力)を発生させれば軌道降下を早める、又は軌道上昇を遅らせることができる。それ以外の方向に推力・制動力を発生させて軌道を変更し、他のスペースデブリとの衝突を避けることも可能である。これら推進器3の制御は、地上のコントロールセンターから送信される制御信号(人工衛星1が自律制御型であれば、内部の制御システムからの制御信号)により行われる。
また、テザー用電源系12を用いて導電性テザー7に流れる電流を変化させることによっても、一体となって軌道運動する人工衛星1、導電性テザー7の軌道運動を変化させることができる。具体的には、テザー用電源系12により、図13の+z方向に電流を流す極性の電圧を印加すれば(磁場や軌道運動の向きは、図13においてエンドマスを人工衛星1で置き換えた場合と同様であるとする。ただしロケット上段デブリは不要。)、誘導電流が同じ向きに流れて制動力が作用している場合にはテザー電流が増加し、木星磁場からのローレンツ力が強められて軌道降下が早められるし、木星磁場の速度が速く、誘導電流が逆向きに流れて推力が作用している場合にはテザー電流が減少し、木星磁場からのローレンツ力が弱められて軌道上昇が遅れる(誘導電流よりも大きい電流をテザー用電源系12により逆向きに流せば、軌道の上昇が停止して降下に転じる。ただし、電子コレクタと電子エミッタの位置を逆にするべく、推進器3による人工衛星1の移動等が必要なことは既に述べたとおり。)。逆の極性の電圧を印加すれば、軌道降下を遅くしたり軌道上昇を早めたりすることができる。
なお、切り替え回路11により導電性テザー7と電子エミッタ10、テザー用電源12との電気的接続を解除すれば、導電性テザー7には電流が流れなくなるため、木星磁場からのローレンツ力による推力・制動力も作用しなくなり、軌道変換を停止することができる。推進器3やテザー用電源系12、切り替え回路11を用いた運動制御により、例えば他のスペースデブリとの衝突を回避することが可能である。
本発明はスペースデブリを除去するために利用可能である。持続可能な宇宙開発のためには、スペースデブリ除去技術の確立が必須である。さらに本発明は、人工衛星の軌道変換のために利用可能である。
1 人工衛星
2 本体部
3 推進器
4 太陽電池パドル
5 ロボットアーム
6 ロボットハンド
7 導電性テザー
8 ドラム
9 アンテナ
10 電子エミッタ
11 切り替え回路
12 テザー用電源系
13a 基板
13b エミッタ
14 ゲート電極
15 ケーシング
16 ガイド部
17a〜17d 指部
18 動力伝達・変換機構
18a ギア
19 アクチュエータ
20 基部
21 取っ手
22 電気コネクタ
23 凹部
24 把持機構
25 電気コネクタ
26 対象部位
27 対象衛星
28 天体周回軌道

Claims (13)

  1. 導電性テザーを伸展可能に保持する人工衛星を、天体の周りを軌道運動するスペースデブリに接近させる段階と、
    前記導電性テザーの一端を、導電性テザー取り付け機構によって前記スペースデブリに取り付ける段階と、
    前記人工衛星が前記導電性テザーの他端を保持した状態で、導電性テザー伸展機構により該導電性テザーを伸展させて、該導電性テザーが前記天体の周囲磁場から受ける電磁気的作用により、一体となって軌道運動する該人工衛星、該導電性テザー、前記スペースデブリの軌道を該天体に向かって降下させる段階と、
    前記人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する該人工衛星、前記導電性テザー、前記スペースデブリの該軌道運動を変化させる段階と
    を備えた、スペースデブリの軌道降下方法。
  2. 前記人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する該人工衛星、前記導電性テザー、前記スペースデブリの該軌道運動を変化させる前記段階は、一体となって軌道運動する該人工衛星、該導電性テザー、該スペースデブリの該軌道運動を該人工衛星の備える推進系によって変化させる段階を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する該人工衛星、前記導電性テザー、前記スペースデブリの該軌道運動を変化させる前記段階は、該人工衛星から該導電性テザーに対して電圧を印加して該導電性テザーに流れる電流を変化させることにより、一体となって軌道運動する該人工衛星、該導電性テザー、該スペースデブリの該軌道運動を変化させる段階を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する該人工衛星、前記導電性テザー、前記スペースデブリの該軌道運動を変化させる前記段階は、該導電性テザーに流れる電流のオン状態とオフ状態を切り替えることにより、一体となって軌道運動する該人工衛星、該導電性テザー、該スペースデブリの該軌道運動を変化させる段階を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する該人工衛星、前記導電性テザー、前記スペースデブリの該軌道運動を変化させる前記段階は、該スペースデブリと該人工衛星が相互振動運動をしているとき、該スペースデブリに対する該人工衛星の速度ベクトルの軌道方向成分が正であるタイミングで、該人工衛星の備える推進系によって該軌道方向成分が負の制動力を発生させることにより、該相互振動運動の抑制と軌道の降下を同時に行う段階を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記相互振動運動の抑制と軌道の降下を同時に行う前記段階は、前記スペースデブリに対する前記人工衛星の速度ベクトルの軌道方向成分が正であり、且つ、該スペースデブリに対する該人工衛星の、鉛直方向から軌道方向になす角度の大きさが所定値以下、又は所定値未満であるタイミングで、該人工衛星の備える推進系によって該軌道方向成分が負の制動力を発生させることにより、該相互振動運動の抑制と軌道の降下を同時に行う段階である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する該人工衛星、前記導電性テザー、前記スペースデブリの該軌道運動を変化させる前記段階は、一体となって軌道運動する該人工衛星、該導電性テザー、該スペースデブリの前記天体に対する高度が所定値以下、又は所定値未満となったタイミングで、該人工衛星の備える推進系により該導電性テザーの姿勢を軌道方向に沿って延びるよう変化させる段階と、
    前記推進系により前記軌道方向の成分が負の制動力を発生させて、一体となって軌道運動する前記人工衛星、前記導電性テザー、前記スペースデブリの軌道を前記天体に向かって降下させる段階と
    を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 人工衛星と、
    前記人工衛星に伸展可能に保持された導電性テザーと、
    導電性テザー取り付け機構と、
    導電性テザー伸展機構と
    を備え、
    天体の周りを軌道運動するスペースデブリに前記人工衛星が接近し、前記導電性テザー取り付け機構が前記導電性テザーの一端を該スペースデブリに取り付け、更に、該人工衛星が該導電性テザーの他端を保持した状態で、前記導電性テザー伸展機構が該導電性テザーを伸展させることにより、
    伸展した前記導電性テザーが前記天体の周囲磁場から受ける電磁気的作用によって、一体となって軌道運動する前記人工衛星、該導電性テザー、前記スペースデブリの軌道を該天体に向かって降下させ、
    前記人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する該人工衛星、前記導電性テザー、前記スペースデブリの該軌道運動を変化させる
    よう構成された、スペースデブリの軌道降下システム。
  9. 一体となって軌道運動する前記人工衛星、前記導電性テザー、前記スペースデブリの該軌道運動を該人工衛星の備える推進系によって変化させるよう構成された、請求項8に記載のシステム。
  10. 前記人工衛星から前記導電性テザーに対して電圧を印加する電源系を備え、該電圧の印加により該導電性テザーに流れる電流を変化させ、一体となって軌道運動する該人工衛星、該導電性テザー、前記スペースデブリの該軌道運動を変化させるよう構成された、請求項8又は9に記載のシステム。
  11. 前記導電性テザーに流れる電流のオン状態とオフ状態を切り替える切り替え回路を備え、該オン状態と該オフ状態との切り替えにより、一体となって軌道運動する前記人工衛星、該導電性テザー、前記スペースデブリの該軌道運動を変化させるよう構成された、請求項8乃至10のいずれか一項記載のシステム。
  12. 導電性テザーを伸展可能に保持し、天体の周りを軌道運動する人工衛星から、導電性テザー伸展機構により該導電性テザーを伸展させて、該導電性テザーが該天体の周囲磁場から受ける電磁気的作用により、一体となって軌道運動する該人工衛星、該導電性テザーの軌道を変換する段階と、
    前記人工衛星からの制御により、一体となって軌道運動する該人工衛星、前記導電性テザーの該軌道運動を変化させる段階と
    を備えた、人工衛星の軌道変換方法。
  13. 人工衛星と、
    前記人工衛星に伸展可能に保持された導電性テザーと、
    導電性テザー伸展機構と
    を備え、
    前記導電性テザー伸展機構が前記導電性テザーを伸展させることにより、
    伸展した前記導電性テザーが天体の周囲磁場から受ける電磁気的作用によって、該天体の周りを一体となって軌道運動する前記人工衛星、該導電性テザーの軌道を変換し、
    前記人工衛星からの制御により、前記天体の周りを一体となって軌道運動する該人工衛星、前記導電性テザーの該軌道運動を変化させる
    よう構成された、人工衛星の軌道変換システム。
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