JP2016002777A - 列車制御システムの設計方法および設計用シミュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】設計・開発の早期段階において最適設計を実現させ、設計・開発期間の短期化を図ることができる列車制御システムの設計方法および列車制御システムの設計のための設計シミュレータを提供する。
【解決手段】設計方法は、列車制御システムを統計モデルで表現し、その統計モデルを用いて設計パラメータを入力してシミュレーションを行い、位置推定等の誤差を時系列フィルタにより分析して確率分布を取得し、得られた確率分布が要件を満たすかを検証し、設計パラメータを変更しながらシミュレーションと検証を繰り返して、確率分布が要件を満たしたときに設計パラメータを決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、列車制御システムの設計方法および設計用シミュレータに関する。
列車制御には、同一走行路を走行する複数の列車を追突させずに走行させる安全性と、稼働率を上げるアベイラビリティが求められる。したがって、列車制御システムの設計に当たっては、可能な限り低いコストで、安全性とアベイラビリティを確保することが最大の要請である。
列車制御システムは、制御方式の違いにより、軌道回路方式と無線式列車制御システムとに大別することができる。また、列車の在線位置検知方法には、地上位置検知方式と車上位置検知方式が存在し、前者の代表例として軌道回路を用いる方式、後者の代表例として列車に搭載されている速度発電機を用いる方式が挙げられる。
無線式列車制御システムは、最近一部で実施されている。無線式列車制御システムでは、車上位置検知方式を採用することで、移動閉塞が実現可能である。車上位置検知方式の無線列車制御システムでは、車上で算出した位置情報を無線で地上装置に送信する。地上装置は全ての列車から送信された位置情報を基に各列車のルートや停止目標位置を算出し、その情報を各列車に無線で送信する。車上の速度制御装置は地上装置から送信された情報を基に運行速度のパターン(速度照査パターン)を作成し、このパターンを超えないようにブレーキ制御を行う。
無線式列車制御システムは、列車位置や速度照査パターンなどの情報のやりとりを無線で行うため、地上設備を大幅に簡略化してメンテナンスの低減が可能になるほか、きめ細かな列車の制御が可能である。
速度発電機を用いる車上位置検知方式においては、速度発電機が発生するパルスの数と車輪径をもとに在線位置を算出(推定)する。しかし、車輪径の減少または車輪の空転や滑走その他の環境条件により、位置検知の誤差が蓄積するので、たとえば、位置補正用地上子を所定間隔ごとに設置することで、誤差の蓄積をリセットし対応している。
速度発電機以外にも、GPS、加速度センサ等の位置検知装置が実用化ないしは実用化の検討段階にある。しかし、これらの位置検知装置は、誤差の定量化に関する技術、知見が必ずしも確立されておらず、過剰な安全余裕を設ける一因となっている。
従来の列車制御システムの設計について、位置補正用地上子の設置位置の設計を例に説明する。速度発電機等の位置センサによる列車位置の累積誤差が、一定の許容値を下回るように位置補正用地上子の設置位置を設計するのが、一般的である。列車位置の累積誤差に許容値を設けるのは、許容値以上の累積誤差が発生した場合は、脱線・追突といった危険事象が許容できない確率で生じうるからである。実際には、安全性確保のために、列車で推定される累積誤差が一定値以上となった場合に、列車の非常制動を行う等の対策がとられる。したがって、許容値以上の累積誤差が発生した場合は、安全性は確保されても安定輸送が阻害され、アベイラビリティが低下する。
図9は、速度発電機を用いる車上検知方式における位置検知の誤差の推移を模式的に示す図である。列車Tの位置補正用地上子PDからの走行距離が増すにつれて、検知誤差の累積により在線位置推定値は、X1,X2,X3・・・と、広い位置範囲に分布するようになる(分布の分散が大きくなる)。そのため、従来の列車制御システムの設計においては、在線位置の分布の広がりが一定以下になるように、図8の置補正用地上子PDの設置位置、すなわち設置間隔Dを決定している。しかしながら、在線位置の分布の形状は、列車の運転状況(加減速)や線路環境などにより複雑に変動する。ゆえに、従来技術においては、在線位置の分布の広がりを直接的に評価せず、一般的には、累積誤差を、走行距離に対し安全余裕を見込んだ一定の割合(たとえば±1%)で生じるものとして設計している。結果として、最適な安全余裕を定量的に見積もることができず、過剰な安全余裕による設備コストの増大や、過小な安全余裕によるアベイラビリティの低下を招く可能性がある。地上子の再配置や増設を行えば、アベイラビリティの低下の問題は改善しうるが、地上子の再配置や増設には工費と工期を要するという課題がある。
地上子(バリス)配置の最適化を実現する技術として、非特許文献1では、カルマンフィルタとGA(遺伝的アルゴリズム)を用いた手法が検討されている。ただし、非特許文献1では位置検知の最大の誤差要因であり、在線位置の分布の広がりに大きな影響を与える、空転・滑走がモデル化されていない。逆に、非特許文献1では、大きな加減速度となる場所では、空転・滑走により真値とモデルによる推定値の誤差が大きくなるので、大きな加減速度となる場所に地上子を配置することが適切であると結論付けている。
空転・滑走に対しては、電動機の制御により、それらを抑制する再粘着制御が実用化されている。また、再粘着制御の検討に適用可能な、車両運動の力学的なモデルが提案され、シミュレーションが可能となっている(たとえば、非特許文献2参照)。
特許文献1では、位置推定に加え、位置推定精度を評価することで、最適な停止目標を算出する移動体制御システムが示されている。このシステムでは、変化する推定精度に追従して最適な停止目標を算出する。この手法を速度発電機と位置補正用地上子を用いた列車制御システムに適用した場合、地上子の配置が所与の条件において、最適な列車運行の実現が期待できる。一方、期待する列車運行を実現するための地上子の配置方法については、特許文献1では言及されていない。
また、従来の列車制御システムの設計の別の例として、地上無線局の置局設計について説明する。従来の無線列車制御システムでは、安全性の確保のため、通信障害が一定時間以上継続したときは、列車を非常停止させるものがある。したがって、高いアベイラビリティを実現するためには、不感地帯をなくし、ハンドオーバーが確実に行えるように置局とチャンネル設定を設計する必要がある。
置局設計を支援するための技術として、特許文献2では、受信強度特性、遅延特性、雑音・干渉特性を評価パラメータとして用い、任意の通信環境に対する最適な基地局配置設計を実現するための基地局の通信可能エリア推定方法が示されている。また、特許文献3では、基地局候補点毎に全てのエリア評価点の受信電力をシミュレーションにより求め、GAを適用して最適な基地局配置パターンを算出する手法が示されている。
また、不確定性を含むシステム一般において、設計や分析に、ベイジアンネットワーク等を用いた確率推論や確率的シミュレーション(モンテカルロ・シミュレーション)を用いる例がある。たとえば、特許文献4では、列車の運行に関する不確定性を扱う手法として、駅での遅延状態の取り得る確率を統計処理により求めてベイジアンネットワークを作成し、特定の駅で生じた遅延状態が各駅に波及する様子を推定ないしは分析する技術が示されている。また、特許文献5では、掘削工事での土留め壁の計測における計測機器の最適配置を実現するために、モンテカルロ・シミュレーションを利用している。
数理最適化問題においては、たとえば特許文献3、非特許文献1などで利用されているGAをはじめ、シミュレーティド・アニーリング、粒子群最適化等のメタヒューリスティック手法が開発され、活用されている。
特開2012-144068号公報 特開2001-160982号公報 特開2001-285923号公報 特許第5080422号公報 特開2013−242175号公報
Mohammad Ali Sandidzadeh、Ali Khodadadi、「Optimization of balise placement in a railway track using a vehicle, an odometer and genetic algorithm」(車両、走行距離計、および遺伝的論理を使った鉄道線路内バリス設置位置の最適化)、Journal of scientific and industrial research、(インド)、2011年3月、第70巻、第3号、p.210−214 佐藤正健、外5名「空転再粘着制御におけるトルク引き下げ量計算法の一検討」、鉄道技術連合シンポジウム講演論文集、2011年、第18巻、p.301−304
列車制御システムの設計に当たっては、可能な限り低いコストで、安全性とアベイラビリティを確保することが最大の要請である。車上位置検知方式や無線式列車制御の採用は上記要請に適うものであるが、多くの場合、コストと安全性およびアベイラビリティの間にはトレードオフの関係が存在する。たとえば、無線式列車制御においては、高い安全性とアベイラビリティを実現するために、無線基地局数を増やしたり、機器の要求性能を高めたりすると、設備が高コストになる問題がある。
したがって、低コストと高安全性および高アベイラビリティを実現すること、すなわち最適設計ができる列車制御システムの設計方法が望まれている。
列車制御システムが列車走行の安全・確実な制御という目的を果たすためには、その列車制御システムの各構成要素を適切に設計することが重要である。その設計に当たって考慮すべき要素には、列車状態、地上設備状態、線路沿線状態などがある。列車状態には、たとえば駆動装置の性能、ブレーキ性能、経年劣化の程度、速度発電機の性能、車輪の摩耗の程度などがある。地上設備状態には、閉塞の境界、位置補正用地上子の設置位置、地上信号機の建植位置、踏切制御子の設置位置、踏切装置などがある。また、線路沿線状態には、線路の勾配やカーブ形状、踏切道の形態、落石危険地帯、トンネル、橋梁の種類、環境などがある。
列車制御システムを設計する場合は、上記の様々な要素を考慮して安全性が確保されるように行う必要がある。
しかし、たとえば速度発電機やGPS、加速度センサなどを用いる車上位置検知手法は、精度・確度が動的に変化するため、実際的な安全性の検証が困難である。そのため、過剰な安全余裕距離が設定されがちである。また、位置検知手法が有する不確定性は、位置検知手法と不可分である、位置補正用地上子の設置位置、閉塞の境界、速度パターン等の最適設計を困難にしている。
非特許文献1における真値とモデルによる推定値の誤差に基づく手法は、真値が決定論的に与えられる場合に有効である。しかし、事実上、空転・滑走が確率論的に不確定に生じることを踏まえると、効果は限定的である。
また、特許文献2などの従来の無線基地局の置局設計支援技術は、検討範囲が通信システムで閉じており、通信の可否の評価あるいは通信品質が規定値を満たすかの評価しか行われない。すなわち、無線列車制御という通信システムの応用に対し、通信の可否、通信品質が与える具体的な影響については考慮されていない。これは、列車の制御パラメータや制御方法を、通信品質に応じて変化させるシステムを設計する際においては、機能的に不十分である。
列車制御システムの不確定性を扱う上で、確率推定や確率的シミュレーションは有効である。しかし、従来の列車制御に関係する確率的シミュレーションの適用範囲は、運行ダイヤや運転曲線の水準に留まっており、列車制御システムおよびその構成機器の動作に関する確率的シミュレーションは十分に検討されていない。
設計においては、シミュレーションに基づく検証だけでなく、実機による検証も有効である。ただし、実機による検証においては、最も危険側となる最悪の条件は、再現困難である。仮に技術的に再現が可能であっても、検証に用いる設備が高コストとなったり、試験に危険が伴ったりするため、実施困難な場合がある。また、実機検証段階で問題が発覚した場合は、設計・開発のやり直し(手戻り)が大きいことで、設計・開発期間やコストの増加に繋がりうる。
本発明は、設計・開発の早期段階において最適設計を実現させること、および設計・開発期間の短期化を図ることができる、列車制御システムの設計方法を提供することを目的とする。また、その列車制御システムの設計およびその合理性を確認するための設計シミュレータを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明による列車制御システムの設計方法は、列車制御システムを統計モデルで表現し、設計パラメータを入力してその統計モデルを用いてシミュレーションを行い、位置推定等の誤差を時系列フィルタにより分析して確率分布を取得し、得られた確率分布が要件を満たすかを検証し、設計パラメータを変更しながらシミュレーションと検証を繰り返して、確率分布が要件を満たしたときの設計パラメータを適切な設計パラメータとして決定することを特徴とする。
すなわち、本発明は、列車制御システムを統計モデルで表現することで、実質的な安全余裕をシミュレーションにより明確にすることを特徴とする。そして、設計パラメータ(地上子位置、無線基地局位置等)を入力して列車制御システムの統計モデルを用いてシミュレーションを行う。この際の各種不確定要素による結果のばらつきは、時系列フィルタにより列車の状態等の条件によって成り立つ確率分布として考慮される。そして、シミュレーション結果が要件(危険な状態に至る確率が閾値以下となる等)を満たすか検証する。さらに、設計パラメータを変更しながら、シミュレーションと検証を繰り返し、要件を満たすときの設計パラメータを適切な設計パラメータとして決定する。さらに、短時間かつ少ない労力で適切な設計パラメータを得るために、メタヒューリスティック手法(GA等)を組合せることで、設計パラメータの最適化を行うことが望ましい。
上記シミュレーションを行う本発明に係る設計シミュレータは、設計対象について設計パラメータを入力するための設計パラメータ入力装置と、データベースから各列車の性能・走行パターン等の固定データを読取って出力するデータ出力装置と、データ出力装置から入力された固定データおよび設計パラメータ入力装置から入力された設計パラメータを、列車状態または環境状態等の設計対象に係る状態の推定に用いられるセンサの観測値に見立てて取得するセンサ観測装置と、取得されたセンサ観測値を時系列フィルタを用いて分析して列車状態または環境状態等の設計対象に係る状態を確率分布により推定する状態推定装置と、その状態推定装置の推定結果を表示するモニタ装置とを有することを特徴とする。
上記センサ観測装置および状態推定装置は、計算機シミュレーションに用いられるので、実機ではなく、模擬機(数値モデル)である。しかし、以下には、用語簡明化のため、模擬の冠詞を省略する。もっとも、模擬機を設計して利用するよりも、実機を用いる方が有益であれば、シミュレーションに実機を組み込むHILS(Hardware−In−the−Loop Simulation)の技術を適用してもよい。
設計対象が列車の間隔制御に関係しない場合は、センサ観測装置と状態推定装置は、それぞれ自列車用の装置のみを設ける。
設計対象が列車の間隔制御に関係する場合は、センサ観測装置には、先行列車用センサ観測装置と後続列車用センサ観測装置とを設ける。先行列車用センサ観測装置には、データ出力装置からの先行列車用固定データおよび設計パラメータ入力装置からの先行列車用設計パラメータが入力される。後続列車用センサ観測装置には、データ出力装置からの後続列車用固定データおよび設計パラメータ入力装置からの後続列車用設計パラメータが入力される。そして、各センサ観測装置に入力される固定データおよび設計パラメータは、実際の列車状態または環境状態等の設計対象に係る状態の推定に用いられるセンサの観測値に見立てて取得され、状態推定装置に入力される。
設計対象が列車の間隔制御に関係する場合は、状態推定装置にも、先行列車の列車状態(環境状態等を含む設計対象に係る状態。以下、同じ。)を推定する先行列車状態推定装置と、後続列車の列車状態を推定する後続列車状態推定装置とを設ける。先行列車状態推定装置は、先行列車用センサ観測装置から取得されたセンサ観測値を時系列フィルタを用いて分析して先行列車の列車状態を確率分布として推定する。また、後続列車状態推定装置は、後続列車用センサ観測装置から取得されたセンサ観測値を時系列フィルタを用いて分析して後続列車の列車状態を確率分布として推定する。
シミュレーション結果、すなわち、状態推定装置により推定された自列車、あるいは先行列車および後続列車の列車状態は、モニタ装置に入力され、そのモニタ装置により列車状態の確率分布を表す曲線グラフやコンター図に変換され、シミュレーション係員による評価のために表示される。センサ観測値には一定の誤差があり、その誤差は列車の在線位置に応じて変動する。したがって、列車状態の確率分布を表す曲線グラフやコンター図も変動する。シミュレーション係員は、モニタ装置に表示された先行列車と後続列車の確率分布を表す曲線グラフやコンター図の表示状態から、入力した設計パラメータが適切か否かを判断することができる。適切と判断した場合の設計パラメータを正式な設計パラメータと決定することができる。
シミュレーション結果は、推定された先行列車の列車状態と後続列車の列車状態とに基づいて後続列車の速度を制御する速度制御装置にも入力するようにしてもよい。なお、この速度制御装置も模擬機でよい。そして、その制御内容を別のモニタ装置に入力して、シミュレーション係員による評価のために表示するようにしてもよい。
シミュレーション係員による評価のためのモニタ装置は、計算機による評価のための評価装置に置き換えてもよい。その評価装置には、シミュレーション係員の評価に相当する評価関数を予め計算機演算可能な形式で与えておく。評価装置はシミュレーション結果に対し、評価関数を適用する。メタヒューリスティック手法を用いて、評価関数の結果を設計パラメータにフィードバックすることで、適切な設計パラメータを得るために、シミュレーション係員の労力を費やす必要がなくなる。
本発明によれば、列車制御システムを統計モデルで表現することで、実質的な安全余裕をシミュレーションにより明確にし、設計・開発の早期段階において、最適設計を実現させること、および設計・開発期間の短期化を図ることができる。
また、安全性・アベイラビリティの議論をより定量的に行うことが可能となる。そして、設計・開発の手戻りが減ることで、設計・開発期間の短期化が期待できる。さらに、列車制御システムを統計モデルにより抽象化することが、統計モデルや要素技術の再利用性を高め、設計・開発期間の短期化に貢献しうる。
本発明に係る列車制御システムの設計方法の基本概念を示すフローチャートである。 本発明に係る列車制御システムの設計シミュレータの構成のうち、設計対象が間隔制御に関係しない場合の一例を示すブロック図である。 本発明に係る列車制御システムの設計シミュレータの構成のうち、設計対象が間隔制御に関係する場合の一例を示すブロック図である。 時系列フィルタによる確率論を位置補正用地上子の設置設計に適用する場合の設計思想を説明する図である。 図3の設計シミュレータの動作を説明するフローチャートである。 設計対象が位置補正用地上子の設置位置である場合の設計パラメータの決定方法を説明する、図4と同様の図である。 速度および加速度に対する空転・滑走継続時間の関係の2次元テーブル表現を説明する図である。 空転・滑走を想定した場合の速度と空転・滑走に起因するノイズの関係を示す図である。 速度発電機を用いる車上検知方式における位置検知の誤差の推移を模式的に示す図である。
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による列車制御システムの設計方法は、計算機により所定のプログラムに基づく設計処理を実行することにより行われる。図1に示すように、まず、列車制御システムを統計モデルで表現する(S1。Sはステップを意味する。以下、同じ。)。次に、シミュレーション係員が列車制御システムの設計パラメータを入力する(S2)。設計パラメータは、設計対象により異なる。設計対象がたとえば位置補正用地上子の設置位置、信号機の設置位置等であれば、それぞれ線路起点からのキロ程であり、たとえばm単位で入力される。また、設計対象がたとえば列車の走行速度であれば、最高走行速度であり、たとえばm/秒単位の速度データが入力される。設計パラメータの取る値に制約があれば、制約を満たす設計パラメータのみを入力する。あるいは、予め本設計手法とは別の手法で、設計パラメータの候補を制限しておいてもよい。解として有望でない設計パラメータのシミュレーションを行わないことで計算資源を有効に活用することができる。
次に、入力された設計パラメータと統計モデルを用いて列車制御のシミュレーションを行う(S3)。すなわち、データベースから読み出した既定の列車運行プログラムを実行し、仮想列車を実際の線路パターンを模したデータ上の仮想線路に沿って、設定された速度で走行させる。続いて、そのシミュレーションにより得られる観測値、たとえば速度発電機が発生するパルス数や車輪径に基づいて計算される速度データ及び位置検知データ等を時系列フィルタを用いて分析して確率分布を得る(S4)。時系列フィルタには、たとえば、パーティクルフィルタやカルマンフィルタ等を用いることができる。中でも最も好ましいのは、パーティクルフィルタである。パーティクルフィルタについては、後に詳述する。
次に、設計パラメータ入力後の時系列フィルタによる分析により得られた確率分布が安全性を保証する要件を満たすか否かを判断する(S5)。S5において、要件を満たさないと判断した場合(S5においてNoの場合)は、S2に戻り、設計パラメータを変更して入力する。要件が満たされるまで入力値の変更とシミュレーションを繰り返す。要件を満たすか否かは、たとえば、確率分布を確率分布図によりイメージ的に表示することにより、または、確率分布の要約統計量(たとえば平均、分散、尖度、分位数、最頻値)を数字で表すことにより、シミュレーション係員が判断できるようにすることがよい。あるいは、得られた確率分布を閾値と比較して、閾値を超える場合にフラップを上げて表示するなどの表示手段を備えてもよい。S5において、要件が満たされた場合は、その時の入力値を適切な設計パラメータと決定する(S6)。1つの設計パラメータが決定されれば、その設計対象についての設計処理は終了する。
他の設計対象について設計を行う場合は、その設計対象についての設計処理をS1から上記の場合と同様に行なう。
続いて、上記設計方法を実施するために使用される列車制御システムの設計シミュレータについて説明する。
図2は、設計対象が間隔制御に関係しない場合の設計シミュレータの構成の一例を示す。この設計シミュレータは、設計パラメータ入力装置1と、データ出力装置2と、自列車用センサ観測装置3Bと、自列車の列車状態推定装置4Bと、モニタ装置5とを有する。
図3は、設計対象が間隔制御に関係する場合の設計シミュレータの構成の一例を示す。この設計シミュレータは、設計パラメータ入力装置1と、データ出力装置2と、先行列車用センサ観測装置3Aと、後続列車用センサ観測装置3Bと、先行列車の列車状態推定装置4Aと、後続列車の列車状態推定装置4Bと、モニタ装置5とを有する。図3の設計シミュレータは、図2の設計シミュレータを、より一般化させたものである。よって、以下では、図3の構成例に従って説明する。
設計パラメータ入力装置1は、設計対象を指定するための設計対象指定部11と、設計パラメータを入力するための設計パラメータ入力部12とを含む。設計対象指定部11は、たとえば、位置補正用地上子の設置位置、地上信号機の植設位置等、あるいは列車の走行速度等のいずれか一つを選択して設計対象として指定する。設計パラメータ入力部12から入力される設計パラメータは、既述したように、設計対象がたとえば位置補正用地上子の設置位置、地上信号機の植設位置等であれば、それぞれ線路起点からのキロ程であり、たとえばm単位で入力される。
また、設計パラメータ入力部12からは、設計パラメータとして、安全余裕距離、すなわち、同一走行路を走行する先行列車と後続列車が衝突せずに走行できる列車間隔の余裕分をたとえばm単位で入力することができる。
データ出力装置2は、指定された列車の運行プログラムを図示されていないデータベースから走行パターンデータを順次連続的に読み出す。そして、シミュレーションの時間分解能に対応する所定のタイミングで出力し、先行列車用センサ観測装置3Aと後続列車用センサ観測装置3Bに入力する。走行パターンデータは、列車状態を決定する、時刻と列車位置の組を配列として表現したものなどである。なお、時刻と列車位置から算出可能であるが、速度や加速度を走行パターンデータに含めてもよい。また、必要によりノッチ情報や電車電流といった列車状態、信号現示や走行箇所の線形といった環境状態を含めてもよい。そして、データ出力装置2は、設計パラメータ入力部12から入力された設計パラメータを先行列車用センサ観測装置3Aと後続列車用センサ観測装置3Bに入力する。さらに、各列車の性能等の固定データを先行列車用センサ観測装置3Aと後続列車用センサ観測装置3Bに入力する。
先行列車用センサ観測装置3Aと後続列車用センサ観測装置3Bは、実際の列車制御システムにおいて列車状態の推定に必要なセンサの観測値を観測するセンサ観測装置の模擬版である。そして、データ出力装置2から入力される走行パターンデータを、列車状態の推定に必要なセンサの観測値に見立てて取得する。センサの観測値は、たとえば在線位置推定に必要な速度発電機からのパルスや位置補正用地上子の検知有無などである。
先行列車の列車状態推定装置4Aは、先行列車用センサ観測装置3Aにより取得されたセンサ観測値から、時系列フィルタを用いて先行列車の列車状態、ここでは一例として、在線位置の確率分布を算出し、先行列車の在線位置を推定する。そして、先行列車の列車状態推定装置4Aが得た確率分布はモニタ装置5に出力される。後続列車の列車状態推定装置4Bは、後続列車用センサ観測装置3Bにより取得されたセンサ観測値から、時系列フィルタを用いて分析して後続列車の列車状態の確率分布、ここでは一例として、在線位置の確率分布を得て、後続列車の在線位置を推定する。そして、後続列車の列車状態推定装置4Aが得た確率分布もモニタ装置5に出力される。
モニタ装置5は、先行列車の列車状態推定装置4Aから先行列車の列車状態の確率分布(この例の場合は先行列車の在線確率分布)を入力したときは、その在線確率分布をデータ変換(画像処理)して確率分布グラフを作成する。そして、その確率分布グラフを画面に表示する。モニタ装置5は、後続列車の列車状態推定装置4Bから後続列車の列車状態の確率分布(この例の場合は後続列車の在線確率分布)を入力したときも、その在線確率分布をデータ変換(画像処理)して確率分布グラフを作成する。そして、モニタ装置5は、その確率分布グラフを、図4に示すように画面に表示する。
図4は、設計パラメータ入力装置1の設計対象指定部11で、設計対象として位置補正用地上子の設置位置を指定した後、設計パラメータとして走行路の起点からその位置補正用地上子の設置位置までのキロ程を入力した場合に、モニタ装置5の画面に表示される確率分布グラフの一例を示す。
図4において、縦軸は在線確率であり、横軸は列車の走行路の起点からのキロ程である。一つの列車の在線確率分布Xの形状は、列車が一つの位置補正用地上子を通過した直後は急峻であるが、その位置補正用地上子から離れる距離が大きくなるにつれて緩慢になることは既に述べた。
続いて、上記列車制御システムの設計シミュレータの動作を図5のフローチャートを用いながら説明する。本実施の形態においては、設計対象指定部11で、設計対象として位置補正用地上子の設置位置を指定する(S21)。次に、設計パラメータ入力部11において、設計パラメータの一つとして各位置補正用地上子の設置位置をキロ程で入力し、その後または前に、もう一つの設計パラメータとして、安全余裕距離D1を入力して安全余裕距離を仮設定する(S22)。この安全余裕距離D1は、列車の最高速度とブレーキ性能、線路勾配などを参酌して、衝突を予防できる最小列車間隔となるように決められる。
設計パラメータの入力をした後、シミュレーションを開始させる(S23)。このシミュレーションにおいては、データベースから走行パターンデータを読み出して仮想列車を走行させ、設計パラメータ入力部11から入力された設計パラメータを先行列車用センサ観測装置3Aおよび後続列車用センサ観測装置3Bにおいて観測値として取り込み、その観測値を先行列車用推定装置4Aおよび後続列車用推定装置4Bにおいてパーティクルフィルタを用いて分析して先行列車と後続列車の在線確率分布を得るとともに、二つの確率分布の積算値を求める。そして、最後にその得られた積算値を閾値と比較する。
シミュレーション(S23)が終了すると、先行列車の列車状態推定装置4Aおよび後続列車の列車状態推定装置4Bが出力する推定結果(確率分布およびその積算値のデータ)がモニタ装置5に出力される。そして、モニタ装置5の画像処理部において確率分布およびその積算値のデータが画像処理される(S24)。すなわち、確率分布およびその積算値が確率分布グラフに変換され、その確率分布グラフが図5に示すように、モニタ装置5の表示部に表示される(S25)。
図6はモニタ装置5の表示部の表示内容の一例を示している。Xa,Xbは、先行列車と後続列車が仮に決定された安全余裕距離D1を保ちつつ特定の走行パターンに従って走行する場合に、一つの位置補正用地上子PD1を通過した直後の二つの列車の在線確率分布である。Xa’,Xb’は、同じく、次の位置補正用地上子PD2に到達する直前の二つの列車の在線確率分布である。そして、Xcは、在線確率分布Xa’,Xb’の積算値、すなわち、二つの列車の衝突確率分布であるが、図6では、その衝突確率Xcは危険回避の必要性を意味する閾値TLを超えている。
すなわち、安全余裕距離をD1とした場合、位置補正用地上子PD1,PD2間の距離を図6の例のようにL1に設定した場合は、衝突の確率が高いので、衝突を回避するには、位置補正用地上子PD1,PD2間の距離を、L1よりも小さくする必要があることがわかる。すなわち、衝突確率Xcが生じない位置、または衝突確率Xcが閾値TLを超えない位置L2が、補正用地上子PD2の設置位置として適切である。
他の実施の形態として、図2および図3に示すように、上記構成に加えて、速度制御装置6と、モニタ装置7を備えてもよい。図3の速度制御装置6には、図6に示すように、先行列車の列車状態推定装置4Aおよび/または後続列車の列車状態推定装置4Bから後続列車の列車状態の確率分布、この例の場合は在線確率分布Xa’,Xb’および衝突確率に相当する、先行列車と後続列車が同位置に存在する確率分布Xc’が入力される(S26)。これにより、速度制御装置6は、この衝突確率Xc’の最頻値が閾値TLを超えないように後続列車の速度制限を行うことができる(S27)。速度制限には、減速と非常停止が含まれる。
モニタ装置7は、シミュレーション結果、すなわち模擬の速度制御装置6による制御内容(速度制限)をシミュレーション係員による評価のために表示する(S28)。シミュレーション係員は、その表示された制御内容から、入力した設計パラメータが適切か否かを判断することもできる。
センサ観測装置3A,3Bおよび列車状態推定装置4A,4Bでは、統計モデルとそのシミュレーションを適用する。統計モデルとそのシミュレーションを適用することで、センサが有する、従来は簡単化のため考慮していなかった、より詳細な特性を設計に反映可能である。必要最小限の安全余裕で地上子位置を設計することで、地上子数の削減や、位置補正不良による列車非常停止の頻度を低減するといったことが可能である。
たとえば、位置センサを、100m進んだ場合の誤差が平均0、分散1の正規分布N(0,1)[m]に従うとモデル化すれば、1km進んだ時の誤差は、N(0,10)[m]と見積もることが可能であり、その誤差が特定の範囲に収まる確率が計算可能である。実際には、誤差モデルに正規分布が適用できるとは限らない。より複雑な非線形なモデルや、実験的な統計に基づくモデルを容易に扱うためには、パーティクルフィルタを用いればよい。
以下に、センサ観測装置3A,3Bおよび列車状態推定装置4A,4Bにおいて用いられる時系列フィルタの一例としてのパーティクルフィルタについて説明する。ここでは、位置補正用地上子の配置設計を例に、速度発電機と位置補正用地上子のみの簡易なモデルを示す。この例では、簡単のため間隔制御は考慮せず、図2の構成をとる。
時刻tにおける状態ベクトルxtを以下のように、列車位置(車上子位置)ptと、速度vtからなるベクトルとして定義する。
Figure 2016002777

また、状態ベクトルxtに基づく拡大状態ベクトルXtを以下のように定義する。
Figure 2016002777

ここで、kは、速度発電機による速度算出(一定時間パルス計数方式)における平滑化の時間窓に相当する係数である。
時刻tにおける観測ベクトルytを以下のように、速度発電機の平滑化時間窓内のパルスカウントctと、地上子検知有無btからなるベクトルとして定義する。
Figure 2016002777
システムモデルは、
Figure 2016002777

と定義する。ここで、ΔTはシミュレーションの時間刻み、Randpは積分誤差相当のノイズ、Randvは加速度および空転・滑走相当のノイズである。
観測モデルは、
Figure 2016002777

と定義する。ここで、nは速度発電機の歯数、Dは車輪径、Randcはサンプリングタイミングによる誤差に相当するノイズ、Randsは空転・滑走に起因するノイズである。また、Baliseはパラメータで指定した位置を、パラメータで指定した速度で通過した際に、地上子を検知するかを真偽値で返す関数である。地上子の検知は、地上子の個体差や環境条件に左右されるため、一定のノイズRandbを含む。
Randsを定めるためには、速度および加速度(減速度)に対する空転・滑走発生確率の関係、および空転・滑走が発生した場合の空転・滑走継続時間の関係を、計算機で扱える形で定義する。たとえば、空転・滑走継続時間の関係については、図7に示すような、速度および加速度の2次元テーブルとしてデータベース化する。空転・滑走発生確率の関係、および空転・滑走が発生した場合の空転・滑走継続時間の関係を取得する方法としては、過去の走行結果に基づいての統計をとる方法が挙げられる。また、非特許文献2で示されているような、力学的モデルの理論式やシミュレーション結果を用いてもよい。ここでは、一般的な情報として加速度(2つの速度の差)を採用してモデリングしたが、たとえばノッチ情報が観測可能ないしは推定可能であれば、加速度の代わりにノッチ情報を用いてもよい。
ただし、Randsを参照する際に、毎回、様々な空転・滑走状態を確率論的に想定し、尤度を求めるのは、計算負荷の観点から実際的ではない。そこで、予め様々な空転・滑走状態を確率論的に想定しておき、Randsの近似分布を求めておく。図8に、特定の空転・滑走を想定した場合の速度とRandsの関係を模式的に示す。
列車状態推定装置4Bは、初期化処理として、拡大状態ベクトルXtで表現される粒子を所定の数だけ生成する。これら粒子の集合は、拡大状態ベクトルXtの分布のモンテカルロ近似を表す。粒子の初期値は、たとえば、列車が停止している前提で、列車位置は特定範囲内の値、速度はゼロとする。
列車状態推定装置4Bは、シミュレーション周期毎に、数4で示したシステムモデルに従って、前回時刻t−1の状態ベクトルxt−1から、当該時刻tの状態ベクトルxtを予測し、さらに、拡大状態ベクトルXt−1からXtを求める。この操作を、すべての粒子に適用する。
センサ観測装置3Bは、シミュレーション周期毎に、走行パターン(時刻、位置)および位置補正用地上子の設置位置リストから、観測ベクトルytを生成し、列車状態推定装置4Bに入力する。
列車状態推定装置4Bは、センサ観測装置3Bから入力された観測ベクトルytを用いて、粒子のフィルタリングを行う。フィルタリングにおいては、観測モデルに基づき、各粒子の尤度、すなわち、ytが与えられた条件において、各粒子の状態を取りうる確率を求める。これは、各粒子の重みが均一であれば、粒子が与えられた条件において、ytが観測される確率を求めることと本質的に同義である。
列車状態推定装置4Bは、算出された尤度(尤度比)に基づいて、粒子のリサンプリングを行う。これにより、時刻tにおける列車位置ptの分布のモンテカルロ近似が得られる。すなわち、在線確率分布が得られる。この分布をモニタ装置5に入力する。
モニタ装置5は、列車状態推定装置4Bから入力された在線確率分布を、グラフ化して表示する。このとき、たとえば、カーネル密度推定を行うことで、モンテカルロ近似から連続確率分布を得ることができる。
シミュレーション係員は、在線確率分布の広がりが、所望の範囲か判断することで、設計パラメータ、すなわち、地上子配置の良否を判断する。
簡単のため上記のモデルには組み込んでいないが、実際の列車制御システムにおいては、空転・滑走を検知した際に、最大加速度や最大減速度に従って速度を補正する機能を持つものがある。パーティクルフィルタでは、このような条件に応じて計算式が変化するような非線形モデルも扱えるという利点がある。
統計モデルとそのシミュレーションを適用することで、究極的には、累積誤差の許容値という概念すら不要となる。累積誤差に許容値を設けるのは、許容値以上の誤差が発生した場合に、脱線・追突といった危険事象が許容できない可能性・頻度で生じうるからである。たとえば、図6のXc’のように、列車の脱線・追突を統計モデルで表現し、定量評価が可能であれば、安全性の検討において、危険事象の発生可能性や頻度について直接的な議論が可能となる。この場合、危険事象に至る一要因に過ぎない累積誤差がいくつであるかは、安全性の本質ではなくなる。
1 設計パラメータ入力装置
11 設計対象指定部
12 設計パラメータ入力部
2 データ出力装置
3A 先行列車用センサ観測装置
3B 自列車または後続列車用センサ観測装置
4A 先行列車状態推定装置
4B 自列車または後続列車状態推定装置
5 モニタ装置
6 速度制御装置
7 速度制御結果表示用のモニタ装置
図6において
D1 安全余裕距離
Xa,Xa’ 先行列車(最後尾)の在線確率分布
Xb,Xb’ 後続列車が非常制動で停止した際の後続列車(最前部)の在線確率分布
Xc’ 先行列車と後続列車が同位置に存在する確率分布
TL 閾値
PD1,PD2 位置補正用地上子
L1,L2 地上子の設置間隔

Claims (3)

  1. 列車制御システムを統計モデルで表現し、その統計モデルを用いて設計パラメータを入力してシミュレーションを行い、位置推定等の誤差を時系列フィルタにより分析して確率分布を取得し、得られた確率分布が要件を満たすかを検証し、設計パラメータを変更しながらシミュレーションと検証を繰り返して、確率分布が要件を満たしたときに設計パラメータを決定することを特徴とする列車制御システムの設計方法。
  2. 設計対象について設計パラメータを入力するための設計パラメータ入力装置と、各列車の性能・走行パターン等の固定データをデータベースから読取って出力するデータ出力装置と、データ出力装置から入力された固定データおよび設計パラメータ入力装置から入力された設計パラメータを、列車状態または環境状態等の設計対象に係る状態の推定に用いられるセンサの観測値に見立てて取得するセンサ観測装置と、取得されたセンサ観測値を時系列フィルタを用いて分析して列車状態または環境状態等の設計対象に係る状態を確率分布として推定する状態推定装置と、その状態推定装置の推定結果を表示するモニタ装置とを有することを特徴とする設計シミュレータ。
  3. 請求項2記載の設計シミュレータにおいて、センサ観測装置は、先行列車用センサ観測装置と後続列車用センサ観測装置とがあり、先行列車用センサ観測装置にはデータ出力装置からの先行列車用固定データおよび設計パラメータ入力装置からの先行列車用設計パラメータが入力され、後続列車用センサ観測装置にはデータ出力装置からの後続列車用固定データおよび設計パラメータ入力装置からの後続列車用設計パラメータが入力され、各センサ観測装置に入力される固定データおよび設計パラメータは、実際の列車状態または環境状態等の設計対象に係る状態の推定に用いられるセンサの観測値に見立てて取得され、状態推定装置に入力されるとともに、状態推定装置にも、先行列車の列車状態または環境状態等の設計対象に係る状態を推定する先行列車状態推定装置と、後続列車の列車状態を推定する後続列車状態推定装置とがあり、先行列車状態推定装置は、先行列車用センサ観測装置から取得されたセンサ観測値を時系列フィルタを用いて分析して先行列車の列車状態または環境状態等の設計対象に係る状態を確率分布として推定し、後続列車状態推定装置は、後続列車用センサ観測装置から取得されたセンサ観測値を時系列フィルタを用いて分析して後続列車の列車状態または環境状態等の設計対象に係る状態を確率分布として推定することを特徴とする設計シミュレータ。
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