JP2016001104A - 自船位置測位装置、レーダ装置、自移動体位置測位装置及び自船位置測位方法 - Google Patents

自船位置測位装置、レーダ装置、自移動体位置測位装置及び自船位置測位方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コストの増加及び他船への干渉を抑えつつ、自船の位置を高精度に測定する自船位置測位装置を提供する。【解決手段】自船位置測位装置100は、絶対位置取得部20と、相対位置取得部18と、物標特定部21と、測位部22と、を備える。絶対位置取得部20は、船外にあるレーコン3から、レーコン3及び他の基準物標の絶対位置を取得する。相対位置取得部18は、電磁波の送受信により周囲を探知することで、複数の物標の相対位置を取得する。物標特定部21は、相対位置取得部18が取得した物標の中から基準物標を特定する。測位部22は、物標特定部21が特定した基準物標の絶対位置及び相対位置に基づいて自船の絶対位置を測定する。【選択図】図1

Description

本発明は、主要には、GNSS衛星によらずに自船の位置を測定する自船位置測位装置に関する。
従来から、海上における自船の位置を測定する方法として、GNSS(全地球測位システム)が知られている。GNSSは、複数のGNSS衛星が送信する測位信号を受信し、それらを解析することで測位信号を受信した位置を測定する。GNSSとしては、GPS(全地球測位網)が良く知られている。
しかし、GNSSは、妨害波又は太陽フレアで放出された電磁波等の影響により、自船の位置を測定できなかったり、測定精度が低下することがある。そのため、GNSSを用いずに自船の位置を測定する方法が提案されている。特許文献1から3は、この種の技術を開示する。
特許文献1では、海底に設置された固定基地と、固定基地に係止されるブイと、船舶に設置されたレーダ装置と、を用いる。ブイは、音響測位により固定基地との位置関係を検出可能である。また、レーダ装置は、自らが送信したレーダ信号がリフレクタを備えるブイで反射された反射波を解析することで、ブイとの位置関係を検出可能である。以上により、位置が定められた固定基地とレーダ装置との位置関係を求めることができるので、自船の位置を測定することができる。
特許文献2の基準ブイは、陸上基地局が送信したロラン電波に基づいて自機の位置を求めるとともに、求めた自機の位置を一定周期で発信する。船舶は、基準ブイが発信した位置(絶対位置)と、レーダ装置により求めた自船に対する基準ブイの相対位置と、に基づいて自船の位置を測定する。
特許文献3では、レーダビーコンを用いて自船の位置を測定する技術が開示されている。レーダビーコンは、レーダ装置のレーダ信号に応答して所定の応答信号をレーダ装置に送信する。特許文献3では、レーダビーコンは、レーダビーコン自身の位置を含む応答信号をレーダ装置に送信する。レーダ装置は、応答信号に含まれるレーダビーコンの位置(絶対位置)と、応答波の受信タイミングに基づいて算出した自船に対するレーダビーコンの相対位置と、に基づいて自船の位置を測定する。また、特許文献3では、レーダビーコンが1つの場合、2つの場合、及び3つ以上の場合のそれぞれについて、自船の位置を測定する方法が開示されている。
実開昭62−46383号公報 特開昭61−70411号公報 特開2013−142661号公報
しかし、特許文献1から3までにおいて、基準位置となる固定基地、基準ブイ、又はレーダビーコンは、自船から比較的離れた場所に位置していることが多い。従って、1つの基準位置を用いて自船の位置を測定する場合、方位に僅かな誤差があるだけで、測定した自船の位置が大幅にズレてしまう。
また、特許文献3が開示するように、2つ以上の基準位置を用いて自船の位置を測定することで測定精度を向上させることができる。しかし、船舶が2つ以上の基準位置を取得するためには、レーダビーコン又は基準ブイを多数設置する必要があるため、コストが増大する。更に、レーダビーコンの応答信号は他船にとっては干渉源となるため、この点においてもレーダビーコンを多数設置することは好ましくない。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、コストの増加及び他船への干渉を抑えつつ、自船の位置を高精度に測定する自船位置測位装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の自船位置測位装置が提供される。即ち、この自船位置測位装置は、絶対位置取得部と、受信部と、相対位置取得部と、物標特定部と、測位部と、を備える。前記絶対位置取得部は、自船外にある無線通信装置から、複数の基準物標の絶対位置を取得する。前記受信部は、アンテナを介して電磁波の受信を行う。前記相対位置取得部は、前記受信部が受信した受信信号に基づいて、前記基準物標を含む複数の物標の自船に対する相対位置を取得する。前記物標特定部は、前記相対位置取得部が取得した物標の中から複数の前記基準物標を特定する。前記測位部は、前記物標特定部が特定した複数の前記基準物標の絶対位置及び相対位置に基づいて自船の絶対位置を測定する。
これにより、無線通信装置(レーダビーコン又は陸上無線装置等)から他の物標の絶対位置を取得することで、レーダビーコンを多数設置することなく、複数の基準位置に基づいて自船の位置を測定することができる。従って、設置コスト及び他船に対する干渉を防止しつつ、自船の位置を高精度に測定することができる。
前記の自船位置測位装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記無線通信装置は当該無線通信装置と当該無線通信装置以外の物標とを含む複数の前記基準物標の絶対位置を送信する。前記絶対位置取得部は、前記基準物標の絶対位置を取得する。前記相対位置取得部は、前記基準物標の相対位置を取得する。前記測位部は、前記基準物標の絶対位置及び相対位置に基づいて自船の絶対位置を測定する。
これにより、無線通信装置が自らの絶対位置を送信することで、自船の周囲に無線通信装置以外の基準物標が1つしかない場合であっても自船の絶対位置を測定することができる。また、無線通信装置の絶対位置と相対位置を容易に関連付けることができる。
前記の自船位置測位装置においては、前記物標特定部は、前記無線通信装置から当該無線通信装置以外の前記基準物標までの距離と、当該基準物標の相対位置と、に基づいて、前記相対位置取得部が取得した物標の中から前記基準物標を特定することが好ましい。
これにより、単純な方法で物標を特定することができる。
前記の自船位置測位装置においては、前記絶対位置取得部は、前記無線通信装置としてのレーダビーコンから絶対位置を取得することが好ましい。
これにより、既存のレーダビーコンを用いて本発明を実現できるので、専用の無線通信装置を別途配置する構成と比較して、コストを大幅に抑えることができる。
前記の自船位置測位装置においては、前記物標特定部は、複数の前記基準物標の絶対位置の分布と、物標の相対位置の分布と、にマッチング処理を行うことにより、前記相対位置取得部が取得した物標の中から前記基準物標を特定することが好ましい。
これにより、例えばレーダビーコンが存在しない海域においても、航路ブイ等を用いて自船の位置を精度良く特定することができる。
前記の自船位置測位装置においては、前記絶対位置取得部は、陸上に設置された前記無線通信装置から、VHFを用いた通信により前記基準物標の絶対位置を取得することが好ましい。
これにより、VHFを用いた通信は通信可能範囲が広いので、無線通信装置の数を低減することができる。また、通信可能範囲が広いため、無線通信装置を陸上に設置しても十分な範囲の海域をカバーすることができる。
前記の自船位置測位装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この自船位置測位装置は、前記測位部が測定した自船の位置の誤差範囲を算出する誤差算出部を備える。誤差算出部は、GNSS衛星によらずに自船の位置の変化を検出する位置変化検出部から自船の位置変化を取得する。誤差算出部は、前記測位部が測位することで得られた測位位置と、当該測位部が過去に測位することで得られた位置に前記位置変化検出部が検出した自船の位置の変化を加えた位置である推定位置と、を比較することで前記誤差範囲を算出する。
これにより、測位部が測定した自船の位置の誤差範囲を把握することができる。
前記の自船位置測位装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この自船位置測位装置は、表示部を備える。前記誤差算出部は、前記測位位置と前記推定位置の距離の誤差を前記基準物標毎に算出し、前記基準物標毎の距離の誤差を重ね合わせることで、前記誤差範囲を算出する。前記表示部は、前記誤差算出部が算出した前記誤差範囲を表示する。
これにより、測位部が測定した自船の位置の誤差を直感的に把握することができる。
本発明の第2の観点によれば、前記の自船位置測位装置を備えるレーダ装置が実現される。
これにより、自船位置測位装置をレーダ装置と別に設ける場合と比較して、船舶全体の構成を簡単にすることができる。
本発明の第3の観点によれば、自移動体に上記の構成を適用した自移動体位置測位装置が提供される。
これにより、無線通信装置の設置コスト及び他移動体に対する干渉を防止しつつ、自移動体の位置を高精度に測定することができる。
本発明の第4の観点によれば、以下の自船位置測位方法が提供される。即ち、この自船位置測位方法は、絶対位置取得工程と、相対位置取得工程と、物標特定工程と、測位工程と、を含む。前記絶対位置取得工程では、船外にある無線通信装置から、複数の基準物標の絶対位置を取得する。前記相対位置取得工程では、アンテナを介して受信された受信信号に基づいて、前記基準物標を含む複数の物標の自船に対する相対位置を取得する。前記物標特定工程では、前記相対位置取得工程で取得した物標の中から複数の前記基準物標を特定する。前記測位工程では、前記物標特定工程で特定した複数の前記基準物標の絶対位置及び相対位置に基づいて自船の絶対位置を測定する。
これにより、無線通信装置(レーダビーコン又は陸上無線装置等)から基準物標の絶対位置を取得することで、レーダビーコンを多数設置することなく、複数の基準位置に基づいて自船の位置を測定することができる。従って、設置コスト及び他船に対する干渉を防止しつつ、自船の位置を高精度に測定することができる。
第1実施形態のレーダ装置及びレーコンの構成を示すブロック図。 レーコンが送信する応答信号に含まれる情報の例を示す説明図。 第1実施形態の方法により自船の位置を測定する際の周囲の様子を示す図。 第1実施形態の方法により自船の位置を測定する処理を示すフローチャート。 2つの基準物標に基づいて自船の位置を測定する方法を示す図。 第2実施形態のレーダ装置及びレーコンの構成を示すブロック図。 基準物標の絶対位置の分布と、相対位置の分布と、を示す図。 基準物標の絶対位置の分布と、相対位置の分布と、にマッチング処理を行って重ね合わせた結果を示す図。 第3実施形態のレーダ装置及びレーコンの構成を示すブロック図。 測定誤差の算出方法及び表示方法を示す図。
次に、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
初めに、本実施形態のレーダ装置1及びレーコン3の概要について説明する。図1に示すレーダ装置1は、レーダ信号(電磁波)を送受信することで周囲の物標を探知する。レーコン(レーダビーコン、無線通信装置)3は、レーダ装置1のレーダ信号を受信した場合、レーコン3自身及び他の基準物標(航路ブイ等)の絶対位置を含む応答信号をレーダ装置1へ送信する。レーダ装置1は、レーコン3の応答信号及びレーダ信号の送受信により得られた結果に基づいて、GNSS衛星等によらずに自船の位置を測定する。
図1に示すように、レーコン3は、レーコンアンテナ31と、サーキュレータ32と、受信部33と、送信タイミング設定部34と、送信部35と、位置情報データベース36と、位置情報設定部37と、送信波形生成部38と、を備える。
レーコンアンテナ31は、レーダ装置1が送信したレーダ信号を受信する。レーコンアンテナ31が受信したレーダ信号は、サーキュレータ32へ出力される。サーキュレータ32は、レーダ信号を受信部14へ出力するとともに、送信部35から入力された応答信号(レーダ信号へ応答する信号)をレーコンアンテナ31へ出力する。
受信部33は、入力されたレーダ信号に増幅等の処理を行った後に、送信タイミング設定部34へ出力する。送信タイミング設定部34は、応答信号を送信するタイミングを決定する。送信タイミング設定部34は、例えばレーダ信号のパルスの立上がり又は立下りのエッジ検出し、検出したエッジから所定期間経過後に応答信号のトリガを生成して送信部35へ出力する。
送信部35は、送信タイミング設定部34からトリガが入力されたタイミングで応答信号をサーキュレータ32を介してレーコンアンテナ31から外部へ送信する。なお、送信部35が送信する応答信号は、位置情報データベース36、位置情報設定部37、及び送信波形生成部38によって生成される。
位置情報データベース36は、基準物標の位置情報(絶対位置、即ち緯度経度情報)が登録されたデータベースである。ここで、基準物標とは、船舶の位置を測定するために利用される物標である。位置情報データベース36には、レーコン3自身の位置情報に加え、他の基準物標の位置情報も少なくとも1つ登録されている。なお、基準物標は、位置が変化せず、かつレーダ信号の送受信により検出可能であることが好ましい。具体的には、航路ブイ又は海上に設置されたリフレクタ等を基準物標として利用することができる。
位置情報設定部37は、位置情報データベース36から前記レーコン3自身の位置情報及び前記他の基準物標の位置情報を読み出し、送信波形生成部38へ出力する。送信波形生成部38は、送信部が送信する応答信号の波形を生成する。送信波形生成部38は、前記レーコン3自身の位置情報に加え、前記他の基準物標の位置情報を含めた応答信号を生成する。
図2(a)から図2(c)は、それぞれレーコン3の応答信号に含まれる情報の例を示す説明図である。図2(a)は、プリアンブルの後に、レーコン3の緯度経度情報(絶対位置)が含まれ、その後、他の基準物標の緯度経度情報が含まれた後に、誤り検出符号が含まれる。このように図2(a)では、複数の緯度経度情報を1つの応答信号により送信する。
図2(b)は、レーコンの緯度経度情報と、基準物標の緯度経度情報と、を別の応答信号で送信する(応答信号毎に送信する情報を変化させる)。なお、それぞれの応答信号には、送信する情報に応じた識別符号が含まれているため、レーコンの緯度経度情報か基準物標の緯度経度情報かを区別することができる。また、図2(c)に示すように、プリアンブルの内部に、送信する情報に応じた開始符号を含ませた場合であっても、応答信号毎に送信する情報を変化させることができる。
以上のようにして、レーコン3は、自機及び他の基準物標の絶対位置を応答信号に含めて送信する。
次に、レーダ装置1について説明する。図1に示すように、レーダ装置1には、表示部91と、船首方位センサ92と、が接続されている。また、レーダ装置1は、物標を探知するための構成として、送信部11と、レーダアンテナ(アンテナ)12と、サーキュレータ13と、受信部14と、信号処理部15と、エコー代表位置算出部16と、を備える。
送信部11は、レーダ装置1が外部に送信するレーダ信号を生成する。送信部11は、半導体発信器を有しており、周波数変調させた高周波信号を生成可能に構成されている。なお、送信部11は、マグネトロンを用いてレーダ信号を生成する構成であっても良い。送信部11は、生成したレーダ信号を増幅して、サーキュレータ13を介してレーダアンテナ12へ出力する。
レーダアンテナ12は、所定の回転周期で水平面内を回転しながら、送信部11から入力されたレーダ信号を外部へ送信する。また、レーダアンテナ12は、送信したレーダ信号が物標で反射した反射波を受信する。
サーキュレータ13は、送信部から入力されたレーダ信号をレーダアンテナ12へ出力するとともに、レーダアンテナ12から入力された反射波を受信信号としてを受信部14へ出力する。なお、この受信信号には、レーコン3が送信した応答信号も含まれる。
受信部14は、レーダアンテナ12を介してレーダ信号(電磁波)を受信信号として受信する。また、受信部14は、受信信号に増幅処理、周波数変調処理、及びパルス圧縮処理等を行う。受信部14が処理した信号は、信号処理部15、レーコン代表位置算出部17、及び復調部19へ出力される。
信号処理部15は、不要波抑圧処理及び感度調整処理等を行う。不要波抑圧処理は、海面反射及び雨雪反射等の不要波を抑圧する処理である。感度調整処理は、反射波の信号レベル及びユーザの指示等に基づいて、レーダ装置1の感度を調整する処理である。信号処理部15は、上記の信号処理後の信号に基づいてレーダ映像を作成し、表示部91に表示する。
エコー代表位置算出部16は、レーダ信号の受信信号に基づいて、物標を示すエコーの代表位置(相対位置)を算出する。各エコーの代表位置は、代表距離及び代表方位から構成される。例えば代表距離は、そのエコーが検出された距離のうち最も近い部分とすることができる。また、代表方位は、そのエコーが検出された方位のうち中央とすることができる。なお、代表位置の算出方法は任意であり、エコーが検出された距離のうち中央を代表距離としても良い。エコー代表位置算出部16は、算出した各エコーの代表位置を相対位置取得部18へ出力する。
レーコン代表位置算出部17は、レーコン3からの応答信号に基づいて、レーコン3の代表位置(相対位置)を算出する。レーコン代表位置算出部17は、例えばエコー代表位置算出部16と同様の処理で代表距離及び代表方位を算出する。ただし、レーコン3がレーダ信号を受信してから応答信号を送信するまで若干のタイムラグがあるので、レーコン代表位置算出部17は、このタイムラグを考慮して相対位置を算出する。レーコン代表位置算出部17は、算出したレーコン3の代表位置を相対位置取得部18へ出力する。
復調部19は、応答信号を復調して、当該応答信号に含まれる情報、具体的には上述したレーコン緯度経度情報及び基準物標緯度経度情報を求める。復調部19は、求めた情報(絶対位置)を、絶対位置取得部20へ出力する。
このように相対位置取得部18は、レーコン3を含む基準物標の相対位置と、他の物標の相対位置と、を取得する。絶対位置取得部20は、レーコン3を含む基準物標の絶対位置を取得する。相対位置取得部18及び絶対位置取得部20は、取得した情報を物標特定部21へ出力する。
物標特定部21は、取得した情報に基づいて、相対位置取得部18が取得した物標の中から、絶対位置取得部20が取得した物標(基準物標)を特定する。測位部22は、物標特定部21が特定した基準物標(レーコン3を含む)の相対位置及び絶対位置に基づいて、必要に応じて船首方位センサ92から入力される船首方位を考慮して、自船の位置(絶対位置)を測定する(詳細は後述)。
なお、相対位置取得部18、絶対位置取得部20、物標特定部21、及び測位部22を含んだ部分が自船位置測位装置100に該当する。このように第1実施形態では、レーダ装置1に自船位置測位装置100が含まれている。
次に、物標特定部21及び測位部22が行う処理について、図3から図5を参照して詳細に説明する。以下では、図3に示す状況において、基準物標を特定する方法及び自船の位置を測定する方法について詳細に説明する。
図3には、レーコン3、船舶41、他基準物標42、及び物標43〜45が示されている。上記で説明したレーダ装置1は、船舶41に搭載されている。他基準物標42は、レーコン3の位置情報データベース36に登録されている基準物標(レーコン3以外の基準物標)である。
船舶41のレーダ装置1は、上述のようにレーダ信号を送信するとともに、レーダ信号の反射波及びレーコン3からの応答信号を受信する(S101)。レーダ装置1は、レーダ信号の反射波に基づいてエコーの代表位置を算出するとともに、レーコン3の代表位置を算出する(S102)。図3において、レーコン3、他基準物標42、及び物標43〜45に重ねて付した黒丸が代表位置に該当する。なお、この代表位置を算出する際に、船舶41からレーコン3までの距離R1、他基準物標42までの距離R3、物標43〜45までの距離R4〜R6も同時に算出される。この段階では、他基準物標42を示すエコーが特定されていないので、距離R3〜R6のうち何れが他基準物標42までの距離を示すかは特定できない。
次に、レーダ装置1は、応答信号を復調して、レーコン3及び他基準物標42の絶対位置を求める(S103)。レーダ装置1は、レーコン3及び他基準物標42の絶対位置に基づいて、公知の方法により、レーコン3から他基準物標42までの距離R2を算出する(S104)。
次に、レーダ装置1は、レーダ信号の送受信により得られたエコーから、他基準物標42を示すエコーを特定する(S105)。具体的には、レーダ装置1は、物標の相対位置を示す図(レーダ映像等)に、レーコン3を中心とし、半径を距離R2±αとして仮想円C1,C2を描く。次に、レーダ装置1は、この仮想円C1,C2の間に代表点が位置するエコーを特定する。これにより、図3に示すように、複数のエコーの中から他基準物標42のエコーを特定することができる。これにより、自船から他基準物標42までの距離R3を特定することができる。
なお、仮想円C1,C2の間にエコーが存在しない場合、2つの仮想円の間にエコーが存在するまでαの値を段階的に大きくしても良い。また、仮想円C1,C2の間に複数のエコーが存在する場合、船首方位に基づいて基準物標のおおよその相対方位を算出し、この相対方位を考慮して基準物標のエコー特定することができる。更には、初めから基準物標のおおよその相対方位と基準物標までの距離とに基づいて基準物標のエコーを特定しても良い。
次に、レーダ装置1は、レーコン3の絶対位置、レーコン3までの距離、他基準物標42の絶対位置、他基準物標42までの距離に基づいて、自船の位置を算出(測定)する(S106)。2つの基準物標の絶対位置及び距離に基づいて、自船の位置を算出する方法は既知であり、例えば特許文献1に記載されている。
即ち、図5に示すように、基準物標A及び基準物標Bが存在し、基準物標Aの絶対位置を(xA,yA)、基準物標Aまでの距離をLA、基準物標Bの絶対位置を(xB,yB)、基準物標Bまでの距離をLBとする。そして、これらの値が全て求められているとする。自船は、基準物標Aから距離LAであって、かつ、基準物標Bから距離LBの位置に存在することは明らかである。従って、自船の絶対位置を(x,y)としたとき、図5の式(1)及び式(2)が成り立つ。これにより、自船の絶対位置を求めることができる。
本実施形態では、レーコン3と他基準物標42の絶対位置及び距離が求められているため、上記の方法を用いて自船の絶対位置を算出することができる。ここで、2つの基準物標に基づいて自船の位置を算出する方法は、1つの基準物標に基づいて自船の位置を算出する方法と比較して精度が非常に高い。本実施形態では、レーコン3が他の基準物標の絶対位置も送信するため、レーコンの設置数を抑えつつ、2つの基準物標を用いた測位が可能となる。
なお、レーコン3の応答波にレーコン3以外に2つ以上の基準物標の絶対位置が含まれている場合、それらの基準物標を上記と同様に特定し、3つ以上の基準物標を用いて測位を行っても良い。
次に、図6から図8を参照して第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態及び後述の第3実施形態の説明においては、第1実施形態と同一又は類似の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
第1実施形態のレーダ装置1は、レーコン3が送信した基準物標の絶対位置を取得する。これに対し、第2実施形態のレーダ装置1aは、陸上無線通信装置6が送信した基準物標の絶対位置を船舶無線通信装置7を介して取得する。以下、詳細に説明する。
陸上無線通信装置6は、陸上の沿岸部等に設置され、VHF等のデジタル通信が可能な装置である。陸上無線通信装置6は、位置情報データベース61と、デジタル変調部62と、送信部63と、アンテナ64と、を備える。
位置情報データベース61には、第1実施形態の位置情報データベース36と同様に、基準物標の絶対位置が登録されている。デジタル変調部62は、位置情報データベース61から基準物標の絶対位置を取得し、送信のためのデジタル変調を施して送信部63へ出力する。送信部63は、基準物標の絶対位置を含む信号を、アンテナ64を介して外部へ送信する。
船舶無線通信装置7は、レーダ装置1と同じ船舶に設置され、レーダ装置1と通信可能に構成されている。船舶無線通信装置7は、アンテナ71と、受信部72と、絶対位置取得部73と、を備える。
受信部72は、アンテナ71を介して、船舶無線通信装置7が送信した信号を受信し、デジタル復調を行うことで、基準物標の絶対位置を読み出す。受信部72は、読み出した基準物標の絶対位置を絶対位置取得部73へ出力する。絶対位置取得部73は、基準物標の絶対位置を取得し、例えば有線LAN又は無線LAN等によりレーダ装置1の物標特定部21へ送信する。
物標特定部21aは、第1実施形態と同様に、エコー代表位置算出部16が算出した周囲の物標の相対位置を、相対位置取得部18を介して取得する。物標特定部21aは、物標の相対位置と絶対位置とでマッチング処理を行うことで、基準物標を特定する。このように、第2実施形態では、レーダ装置1の一部と船舶無線通信装置7の一部で自船位置測位装置100aが構成されている。
以下、図7及び図8を参照して、物標特定部21aが行うマッチング処理について説明する。図7(a)は、船舶の周囲の様子を示す図であり、船舶81、陸上無線通信装置6、基準物標82a〜82dが表示されている。なお、図7(a)では、基準物標以外の物標については図示を省略している。
図7(b)は、船舶81に搭載されたレーダ装置1が、レーダ信号の送受信により生成したレーダ映像である。レーダ映像には、多数のエコーが表示されている。それぞれのエコーには、上記と同様の方法により算出された代表位置を示す代表点83a〜83gが重畳されている。代表点83a〜83gには、基準物標82a〜82dに該当するものが含まれている。
物標特定部21aは、基準物標82a〜82dの絶対位置を取得しているため、それぞれの基準物標の位置関係を算出することができる。また、物標特定部21aは、レーダ映像等に基づいて、自船を中心とした基準物標の位置関係を把握できる。物標特定部21aは、基準物標82a〜82dの位置関係と、レーダ映像の代表点83a〜83gの位置関係と、にマッチング処理行うことで、代表点83a〜83gの何れが基準物標82a〜82dに該当するかを特定する。
図8は、基準物標82a〜82dと、これらの基準物標に該当する代表点83a〜83dと、を重畳させた図である。このように、基準物標82aが代表点83aに対応し、基準物標82bが代表点83bに対応し、基準物標82cが代表点83cに対応し、基準物標82dが代表点83dに対応する。これにより、物標特定部21aは、基準物標の絶対位置と相対位置とを対応付けることができる。従って、それぞれの基準物標について、基準物標の絶対位置と、基準物標までの距離と、を求めることができる。測位部22は、これらに基づいて、上記と同様に自船の位置を算出することができる。
次に、図9及び図10を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態のレーダ装置1bは、算出した自船の位置の誤差範囲を表示部91に表示可能である。
レーダ装置1bは、第1実施形態のレーダ装置1の構成に加え、誤差算出部23を備える。また、レーダ装置1bには、モーションセンサ93が接続されている。モーションセンサ93は、自船の速度ベクトルを検出し、誤差算出部23へ出力する。誤差算出部23は、モーションセンサ93から入力される速度ベクトルに基づいて、測定した自船の位置の誤差範囲を算出する。
以下、図10を参照して誤差範囲の算出方法について説明する。図10(a)には、基準物標Aと、基準物標Bと、測位位置(n−1)と、測位位置(n)と、移動ベクトルと、推定位置(n)と、が表示されている。
基準物標A及びBは、上記実施形態で説明したレーコン及び航路ブイ等である。測位位置(n−1)は、レーダ装置1がn−1回目に測位を行って求めた位置である。測位位置(n)は、レーダ装置1がn回目に測位を行って求めた位置である。移動ベクトルは、モーションセンサ93の速度ベクトルを積分することで求めた値である。移動ベクトルは、n−1回目に測位を行った時からn回目に測位を行った時までに自船が移動した距離及び方向を示す。推定位置(n)は、測位位置(n−1)に移動ベクトルを加えた位置を示す。
また、図10(a)には、Δra,nとΔrb,nが表示されている。Δra,nは、基準物標Aから測位位置(n)までの距離と、基準物標Aから推定位置(n)までの距離と、の差(距離の誤差)を示す値である。Δrb,nは、基準物標Bから測位位置(n)までの距離と、基準物標Bから推定位置(n)までの距離と、の差(距離の誤差)を示す値である。
誤差算出部23は、現在及び過去のΔra,nを移動平均又はIIR(無限パルス応答)フィルタ等で平滑化し、基準物標Aに対する誤差範囲を算出する。誤差算出部23は、Δrb,nについても同様に基準物標Bに対する誤差範囲を算出する。図10(b)には、誤差範囲の図示例が示されている。各基準物標の誤差範囲は、基準物標からの距離範囲で表されるので、図10(b)に鎖線で示すように基準物標を中心とした円環である。これらの円環を重ね合わせることで、レーダ装置1の測位に対する誤差範囲を求めることができる。誤差算出部23は、求めた誤差範囲を図10(b)に太線で示すように表示する。
以上に説明したように、自船位置測位装置100,100aは、絶対位置取得部20,73と、受信部14と、相対位置取得部18と、物標特定部21,21aと、測位部22と、を備える。絶対位置取得部20,73は、船外にあるレーコン3又は船舶無線通信装置7から、複数の基準物標の絶対位置を取得する。受信部14は、レーダアンテナ12を介して電磁波の受信を行う。相対位置取得部18は、電磁波の送受信により周囲を探知することで、複数の物標の相対位置を取得する。物標特定部21,21aは、相対位置取得部18が取得した物標の中から基準物標を特定する。測位部22は、物標特定部21,21aが特定した基準物標の絶対位置及び相対位置に基づいて自船の絶対位置を測定する。
これにより、レーコン3又は陸上無線通信装置6から他の物標の絶対位置を取得することで、レーコン3等を多数設置することなく、複数の基準位置に基づいて自船の位置を測定することができる。従って、設置コスト及び他船に対する干渉を防止しつつ、自船の位置を高精度に測定することができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記では、レーコン3の応答信号又は陸上無線通信装置6のVHF通信により、複数の基準物標の絶対位置を取得する構成であるが、これら以外の方法により基準物標の絶対位置を取得しても良い。例えばAIS(自動船舶識別装置)を用いて基準物標の絶対位置を取得することができる。
上記では、自船位置測位装置100,100aは、少なくとも一部がレーダ装置1,1a内に位置していたが、レーダ装置1,1aとは別個の構成であっても良い。
第3実施形態では、モーションセンサ93の検出結果に基づいて自船の移動ベクトルを算出したが、他のセンサにより自船の移動ベクトルを算出しても良い。
上記では、移動体の例として船舶を挙げて説明したが、他の移動体(例えば航空機)にも本発明を適用できる。航空機に本発明を適用する場合、無線通信装置及び基準物標としては、無線標識等が用いられる。
1,1a,1b レーダ装置
3 レーコン(無線通信装置)
6 陸上無線通信装置(無線通信装置)
12 レーダアンテナ(アンテナ)
14 受信部
15 信号処理部
16 エコー代表位置算出部
17 レーコン代表位置算出部
18 相対位置取得部
19 復調部
20、73 絶対位置取得部
21,21a 物標特定部
22 測位部
23 誤差算出部
100,100a 自船位置測位装置
91 表示部
92 船首方位センサ
93 モーションセンサ(位置変化検出部)

Claims (12)

  1. 自船外にある無線通信装置から、複数の基準物標の絶対位置を取得する絶対位置取得部と、
    アンテナを介して電磁波の受信を行う受信部と、
    前記受信部が受信した受信信号に基づいて、前記基準物標を含む複数の物標の自船に対する相対位置を取得する相対位置取得部と、
    前記相対位置取得部が取得した物標の中から複数の前記基準物標を特定する物標特定部と、
    前記物標特定部が特定した複数の前記基準物標の絶対位置及び相対位置に基づいて自船の絶対位置を測定する測位部と、
    を備えることを特徴とする自船位置測位装置。
  2. 請求項1に記載の自船位置測位装置であって、
    前記無線通信装置は当該無線通信装置と当該無線通信装置以外の物標とを含む複数の前記基準物標の絶対位置を送信し、
    前記絶対位置取得部は、前記基準物標の絶対位置を取得し、
    前記相対位置取得部は、前記基準物標の相対位置を取得し、
    前記測位部は、前記基準物標の絶対位置及び相対位置に基づいて自船の絶対位置を測定することを特徴とする自船位置測位装置。
  3. 請求項2に記載の自船位置測位装置であって、
    前記物標特定部は、前記無線通信装置から当該無線通信装置以外の前記基準物標までの距離と、当該基準物標の相対位置と、に基づいて、前記相対位置取得部が取得した物標の中から前記基準物標を特定することを特徴とする自船位置測位装置。
  4. 請求項2又は3に記載の自船位置測位装置であって、
    前記絶対位置取得部は、前記無線通信装置としてのレーダビーコンから絶対位置を取得することを特徴とする自船位置測位装置。
  5. 請求項1に記載の自船位置測位装置であって、
    前記物標特定部は、複数の前記基準物標の絶対位置の分布と、物標の相対位置の分布と、にマッチング処理を行うことにより、前記相対位置取得部が取得した物標の中から前記基準物標を特定することを特徴とする自船位置測位装置。
  6. 請求項5に記載の自船位置測位装置であって、
    前記絶対位置取得部は、陸上に設置された前記無線通信装置から、VHFを用いた通信により前記基準物標の絶対位置を取得することを特徴とする自船位置測位装置。
  7. 請求項1から6までの何れか一項に記載の自船位置測位装置であって、
    前記測位部が測定した自船の位置の誤差範囲を算出する誤差算出部を備え、
    誤差算出部は、
    GNSS衛星によらずに自船の位置の変化を検出する位置変化検出部から自船の位置変化を取得し、
    前記測位部が測位することで得られた測位位置と、当該測位部が過去に測位することで得られた位置に前記位置変化検出部が検出した自船の位置の変化を加えた位置である推定位置と、を比較することで前記誤差範囲を算出することを特徴とする自船位置測位装置。
  8. 請求項7に記載の自船位置測位装置であって、
    表示部を備え、
    前記誤差算出部は、前記測位位置と前記推定位置の距離の誤差を前記基準物標毎に算出し、前記基準物標毎の距離の誤差を重ね合わせることで、前記誤差範囲を算出し、
    前記表示部は、前記誤差算出部が算出した前記誤差範囲を表示することを特徴とする自船位置測位装置。
  9. 請求項1から8までの何れか一項に記載の自船位置測位装置を備えることを特徴とするレーダ装置。
  10. 自移動体外にある無線通信装置から、複数の基準物標の絶対位置を取得する絶対位置取得部と、
    前記基準物標を含む複数の物標の前記自移動体に対する相対位置を取得する相対位置取得部と、
    前記相対位置取得部が取得した物標の中から複数の前記基準物標を特定する物標特定部と、
    前記物標特定部が特定した複数の前記基準物標の絶対位置及び相対位置に基づいて自移動体の絶対位置を測定する測位部と、
    を備えることを特徴とする自移動体位置測位装置。
  11. 請求項10に記載の自移動体位置測位装置であって、
    前記無線通信装置は、当該無線通信装置と当該無線通信装置以外の物標とを含む複数の基準物標の絶対位置を送信し、
    前記絶対位置取得部は、前記基準物標の絶対位置を取得し、
    前記相対位置取得部は、前記基準物標の相対位置を取得し、
    前記測位部は、前記基準物標の絶対位置及び相対位置に基づいて自移動体の絶対位置を測定することを特徴とする自移動体位置測位装置。
  12. 船外にある無線通信装置から、複数の基準物標の絶対位置を取得する絶対位置取得工程と、
    アンテナを介して受信された受信信号に基づいて、前記基準物標を含む複数の物標の自船に対する相対位置を取得する相対位置取得工程と、
    前記相対位置取得工程で取得した物標の中から複数の前記基準物標を特定する物標特定工程と、
    前記物標特定工程で特定した複数の前記基準物標の絶対位置及び相対位置に基づいて自船の絶対位置を測定する測位工程と、
    を含むことを特徴とする自船位置測位方法。
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