JP2016000557A - 自転車のハンドルステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 突上げ衝撃と突下げ衝撃の双方を独立に緩衝することができるハンドルステムを提供する。【解決手段】 ハンドルバーF6を回動動作可能に保持するとともに、ハンドルバーF6にスイング片6Tを有するバークランプ6を固定する。スイング片6Tの上面と固定部材との間、およびスイング片6Tの下面と固定部材の間にブシュ形式の弾性部材4,4を介装する。自転車に突上げ衝撃G1または突下げ衝撃G2が入力されると、グリップ部分を不動点とするようにハンドルバーF6が回動動作をし、この回動動作はスイング片6Tの上方向または下方向のスイング動作に変換される。弾性部材4,4は、このスイング動作を独立に制動することができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、前輪を支持する左右1対のフロントフォークから立ち上がるように形成されるハンドルコラムの上端部に、ハンドルバーを前方にオーバハングさせた状態で取り付けるための自転車のハンドルステムに関する。
自転車は、金属製のパイプ部材を、例えばトラス構造に組み合わせてフレームを構成し、これに前輪と後輪を取り付けて車輪走行可能にするとともに、サドルに跨った運転者の歩行動作類似の動作を入力して後輪を駆動し、前輪を操舵して任意方向に進行することができるようにした簡便な乗り物である。自転車は、2輪車であるため乗用できるようになるためには多少の練習を要するが、乗用できるようになれば、特に自動車の走行が不能または制限される領域において人の運動能力や行動範囲を大きくスケールアップしてくれる等、練習努力を償って余りある恩恵を提供してくれる。
「量が毒をなす」とは、古代ギリシャ医学の格言のようであるが、うまく言ったものである。自動車の進歩は産業社会の発展に多大な貢献をしてきた。しかし、過剰な自動車社会は、国際的視点においても通勤時間帯の深刻な渋滞問題や、化石燃料の枯渇時期の早期化、確率的に発生する避けられない悲惨な交通事故の増加、自動車に対する依存心の形成、地球温暖化の加速等の問題を浮上させている。このような状況に対応してか偶然的かは不明であるが、一時期、自動車の影になっていた自転車が最近見直されている。これに伴い、郊外などの土地状況に余裕がある地域では、公道に沿ってバイクロードと言われる小奇麗な自転車専用道路が大規模に敷設されるなど、行政レベルでの自転車環境の整備も進んでいる。
上記のような環境に恵まれてか、近年自転車は飛躍的に進化し、今日の自転車は、一昔前のそれと比べれば別物の感がある。簡潔に自転車の進化の方向性を要約すると、荷役用途を兼ねて鈍重感の強かった旧来の自転車は、より軽快でより機能的でよりスマートな人の手足の延長として人車が有機的な一体となって活動することができる方向に変化したと言えるであろう。
ところで、自転車には従来から解決が困難な問題点がある。それは、乗り心地の問題である。乗り心地を改善する方策としては、サスペンションの採用が考えられる。人は時期を同じくして同じようなことを考えるものらしく、今日ではサスペンション機構を採用した自転車が増加している。
しかし、自転車におけるサスペンション機構は、自動車におけるサスペンション機構と同じような懸架理論に服し、同じような快適性をもたらすであろうか。サスペンション機構の効果は、一般論としては、サスペンションによって支持されているバネ上重量とサスペンション下のバネ下重量の比率で定まる。バネ上重量が十分に大きくバネ下重量が十分に小さければ、路面の凹凸に追随してタイヤ等のバネ下部材がバタバタと上下運動してもバネ上部分である乗車キャビンに対する影響は少ない。これが快適性をもたらすサスペンション機構の基本的な考え方である。
上記懸架理論に基づいて自転車を観察すると、自転車においてはバネ上重量とバネ下重量の比率を大きくすることができないことが容易に理解されるであろう。すなわち、全体サイズに対してタイヤがばかでかい自転車にサスペンションを採用しても乗り心地を大きく改善することは困難である。ただし、サスペンションがないよりは良いと言える。なぜかと言えば、自転車におけるサスペンションは、自動車におけるサスペンション機構のように車体の上下振動を軽減ないし制止することはできないものの、バネ部材の緩衝作用によって上下振動の性質を柔らかく変えてくれるのである。例えて言えば、三角波的な鋭い振動を正弦波的な穏やかな振動に変えてくれるのである。これにより、自転車の硬質な乗り心地が柔らかいものへと改善されている。
上記検討結果は、自転車にサスペンション機構を採用しても、本来のサスペンション効果は希薄であり、その理由が、バネ上重量とバネ下重量の比率を大きくすることができない自転車特有の車体構成に起因するものであることを示している。そして、この検討結果をそのまま甘受すれば、自転車の乗り心地は永久に改善されないであろうことになる。
しかし、本願の発明者らは、自転車マニアの面目にかけてもこの問題を何とかしたいという強い願望を抱いていた。数日間におよぶ自転車長距離耐久ロードレースで疲労困ぱいしながら赤い顔で疾走する自分の姿を脳裏に浮かべ、あの日あの時あのシーンで、我が愛車の振動が自分の身体のどの部位にどのようなダメージを与えたか等を回想しながら考え抜いた結果、太り気味の自分の体重をバネ上重量にしてはどうか、という効果未必の着想に至った。
自ら苦笑しながらもこの問題を長らく考えた結果、以外に苦笑すべきではない何か可能性のようなものを感じた。スポーツタイプの自転車の車重は、13キログラムから15キログラム程度に仕上げられており、運転する人の一般的な体重は60キログラムから70キログラム程度である。このことからすれば、自転車の車体全体をバネ下重量とした場合においても、バネ上重量とバネ下重量との比率を一応のサスペンション効果が期待できる範囲に収めることができると考えられるのである。
自分の体重をバネ上重量として利用するためは、身体と自転車の間にサスペンション機構を介在させる必要がある。自転車と運転者の身体とが接する箇所は、両足裏部と対応するペダル間、臀部とサドル間、両手掌部と対応するハンドルグリップ間の3箇所である。仮に、自転車と身体との間にサスペンション機構を介在させることが現実にできるとするならば、この3箇所中のどの個所に挿入するのが最も効果的であろうか。
両足裏部と対応するペダル間に関しては、両足には膝関節という持ち前の強力な人体サスペンション機構が備わっており、しかも、両膝は、自転車走行中は、人体サスペンション機能を発揮することができる曲げられた状態であることが多く、ここに機械式のサスペンション機構を追加することは、効果的とは言えない。また、臀部とサドル間に関しては、臀筋が優秀なクッション部材として機能することができるとともに、体重の多くは両脚を介してペダルによって受け止められることから、この部分にサスペンション機構を挿入することは有効とは言えない。残る、両手掌部と対応するハンドルグリップ間が問題である。
多くのスポーツバイクにおいては、走行状況に応じて上下のグリップ位置を選択することができるドロップハンドルが採用される。運転者は、空気抵抗を少なくするためやむを得ず腕立て伏せ状態で極端な前傾姿勢で走行したり、両肘を張った姿勢で体重を支持しながら走行したりする。このいずれにしても、運転者の両腕への負担は大きい。自己責任での休憩は自由であるとしても、この状態で3日通しで高速走行を続ければどうなるであろうか。想像に難くない。
肘を張った状態のひじ関節は、単なる棒に等しく衝撃を吸収する機能を果たさないし、腕立て伏せ状態では、筋肉疲労が蓄積する。このため路面の凹凸等による車体の振動は、両腕を介してまさにストレートに上半身に入力される。両手の手掌部にはマメができ、肘や肩はガクガク、そのうち眼球を支持している筋肉にも疲労が蓄積し、眼球までがプルプルと振動する思いがする。やがて、心中にリタイヤの誘惑が頭をもたげてくる。というような過酷な体験からすれば、サスペンション機構を挿入した場合に最も効果的な箇所は、両手の手掌部とハンドルとの間であると確信を持って結論することができる。
しかしながら、手掌部とハンドルとの間にサスペンション機構を介装するにしても、人体に直接サスペンション機構を連結しておくことはできない。したがって、サスペンション機構は、自転車側に設けるしかない。また、この場合においては、運転者にできるだけ近い位置に設ける必要がある。そうでなければ、運転者の体重をバネ上重量、つまり不動点とし、自転車の車体全体をバネ下重量とするという着想から離れたものとなってしまう。このことから、サスペンション機構を介装すべき箇所は、自転車の構造必然的にハンドルバーとハンドルコラムとの間、つまり、両者を連結する部材であるハンドルステムであるという結論に落着する。
ここで、ハンドルステムに装置すべきサスペンション機構の具体的構成の概略を構想した後、このような先行技術があるのか否かを調査した。これ以上諸々の投資をしてから同一または近似の先行技術が発見されると落胆感が大きいためである。なお、本願の発明者らは発明には自信があるが、先行技術調査は何度やっても初心者の域を出ない。これは、先行技術調査に対して発明をするときほどの情熱を持てないからに他ならない。IPDL(特許電子図書館)を利用して偶然的に発見した先行技術を下欄に紹介しておく。
実開平7−43852号公報 特開平8−2468号公報 特開2006−168700号公報
先行技術を調べて落胆することには、多少免疫が形成されてきたように感じられる。本願の発明者らが何らの予備知識なしで想定した構成とは異なるものの、同じ課題を掲げた先行技術があるとがっかりするものである(特許文献1ないし3参照)。
先行技術文献に開示された技術内容は、本願の明細書を閲覧等する者が自己責任で解釈すべきものではあるが、ここで、本願の発明との相違点を明確にするのに必要な範囲で先行技術文献に記載された発明についての本願の発明者らの感想を述べる。
上記特許文献1ないし特許文献3に記載の発明は、いずれも、自転車のハンドルステムに関するものである。ハンドルステムは、ハンドルコラムにハンドルバーを前方にオーバハングさせた状態で取り付けるための連結部材である。 ハンドルコラムに対してハンドルバーを前方にオーバハングさせて取り付ける理由は、自転車のフロントフォークにキャスター角が設定されているためである。
キャスター角は、自転車に直進性を付与する目的で設定される。自転車におけるハンドリング位置の理想は、前輪の接地位置の直上位置である。しかし、キャスター角の設定によってハンドリング操作位置と前輪の接地位置との間にはずれが生じ、何らの対策も講じない場合には、前輪の接地位置の直上位置より後方でハンドリング操作をする結果となる。すなわち、このずれを補正するためにハンドルステムを介してハンドルバーをハンドルコラムの前方にオーバハングさせた状態で取り付けるのである。何が言いたいのかというと、ハンドルステムは、任意の長さに設定することができるというものではなく、理論的な最適位置と違和感のないハンドリング操作可能位置との調和点に求められる最適な長さがあるということである。そして、このことが、ハンドルステムに関する多くの発明に共通の制約条件となる。
ハンドルステムの長さの中間部に軸連結部を設けて、ハンドルステムの先端側を軸連結部を中心にスイング動作可能とし、このスイング動作をショックアブソーバや弾性材料で制動するのがハンドルステムにサスペンション機構を採用する場合のスタンダード的な発想と言えそうである(特許文献1,2参照)。限られた寸法のハンドルステムに採用されるこの種の機構は、スイング動作のアーム長さを十分に確保することができないため、ハンドルステムの先端部が小半径の円弧運動をする。この結果、サスペンション機構の作動によって運転者に対するハンドルの角度姿勢が大きく変化してしまうのが問題である。
なお、特許文献3に開示されている技術は、上記のようにハンドルステムの一部をスイング動作させるものと異なる。このものは、自転車に加わる上下振動を吸収しようという目的は他と同じであるが、その手段として、通常の自転車のハンドルステムに相当する部材に取り付けられたハンドルバーの取付部における捩れ運動を吸収するものである。なお、ハンドルバーが車体の上下運動によって捩れ運動をするのは、多くのハンドルバーがそうであるように、グリップの位置がハンドルバーの取付位置の基準軸から偏って位置するからである。この方式のものも、動作した際にハンドルバーの角度姿勢が大きき変化してしまうのが問題である(特許文献3の図面参照)。また、転倒した場合において、この装置上に身体がのっかってしまうと、通常の自転車の場合と異なる余分な怪我をしてしまいそうな気がする。つまり、採用されている構成に伴う装置外形に危険性がある。
上記ハンドルステムをスイング動作させる方式の機構において、スイング動作の機械的限界を設定できないものは危険である(特許文献1,2参照)。制動用のダンパー圧が抜けてしまうことや、バネが折損すること、誤った注油によって軸連結部の摩擦制動部材に油が付着して制御不能になるような事態は、想定すべき事態であり、このような事態においてスイング動作範囲が限定されていないことは、最悪大きな事故の誘因となる危険がある。
また、サスペンション機構に採用される弾性部材の種類にも適否がある。捩りコイルスプリングのように大きな弾性変形範囲を有するスプリングを採用する場合、適切な使用範囲を選択的に設定するには、複雑で多段階の調節機構を必要とする(特許文献3参照)。このような複雑な機構の存在は、自転車の使用上の簡便性を損ねるとともに、軽量かつスリムであるべきハンドルステムとしては、異様な外観となる。
突上げ衝撃と突下げ衝撃のいずれか一方しか緩衝対象としないものは、機構に対する投資に応じた効果が得られないであろう(特許文献3参照)。突上げ衝撃と突下げ衝撃とは、作用と反作用の関係にあり、路面から加わると予想される一方のみの衝撃を問題にしても所期の緩衝効果は期待できないのである。ちなみに、自動車のサスペンション機構に含まれるショックアブソーバにおいては、突上げ衝撃と突下げ衝撃とで、減衰力が異なるように設定されているのが普通である。
発明という非日常的行為の性質からしても、特に発明を職務としない人による多くの発明がそうであるように、現実問題として先行技術を調査してから発明をする訳ではない。しかし、出願書類上における発明が解決しようとする課題は、上記先行技術の問題点を解決することを課題とすることが求められているように思われる。
上記のような要求記載形式に沿って本発明の課題を記述すると次のようである。解決すべき課題は、いくつかある。
課題1、動作しても、運転者に対するハンドルバーの角度変化が少ないか、生じないサスペンション機構を備えるハンドルステムを提供(開発)することである。
課題2、動作範囲が機械的に限定されており、サスペンション機構に故障等が生じても通常に近いハンドル操作が可能であるハンドルステムを提供することである。
課題3、外観に違和感がなく、ハンドルステムの存在自体による怪我の発生等の危険がなく、シンプルかつ軽量なハンドルステムを提供することである。
課題4、突上げ衝撃と突下げ衝撃の双方を独立に制動することができるサスペンション機構を備えるハンドルステムを提供することである。
上記課題を達成するために本発明が採用する手段は次のようである。
(解決手段1)
本発明の自転車のハンドルステムは、ステムアームの基端側にハンドルコラムをクランプするコラムクランプ端を備えるとともに、ステムアームの先端側にハンドルバーをクランプするハンドルクランプ端を備え、ハンドルバーをステムアームの実効長さ相当ハンドルコラムの前方にオーバハングさせた状態で取り付けるための連結部材である自転車のハンドルステムにおいて、ハンドルクランプ端は、ハンドルバーを回動動作可能に保持するフリークランプと、ハンドルバーに固定されてハンドルバーと挙動を共にするバークランプと、バークランプとステムアームとの間の間隙に介装するブシュ形式の弾性部材とを備えてなり、さらに、バークランプには、ハンドルバーの回動動作をスイング動作に変換するスイング片が形成され、弾性部材は、スイング片の上方向スイング動作と下方向スイング動作とを独立して制動することを特徴とする。
上記解決手段1について説明する。発明の対象は、自転車のハンドルステムである。ハンドルステムは、基端側にコラムクランプ端を備えるとともに、先端側にハンドルクランプ端を備えるアーム状部材である。ハンドルステムは、通常一体成形された一部材であり、このため、ステムアームとコラムクランプ端との境界、およびステムアームとハンドルクランプ端との境界が判然としない場合が多いが、その機能は、次のように判然としている。
コラムクランプ端は、フロントフォークから立ち上がる操舵用の軸であるハンドルコラムを把持する部分であり、また、ハンドルクランプ端は、ハンドルバーをクランプする部分である。また、ステムアームは、コラムクランプ端とハンドルクランプ端とを一定の間隔を保って一体化する部分である。ハンドルステムは、このようにステムアームの両端の把持機能によってハンドルコラムとハンドルバーとの間に介在することができる。この際、ステムアームはハンドルコラムから自転車の前方に向けて突出する姿勢で取り付けられ、この結果、ステムアームの実効長さ相当前方にオーバハングしたハンドルバーの取付け状態が実現される。
本発明のハンドルステムにおけるハンドルクランプ端は、フリークランプとバークランプとブシュ形式の弾性部材とを備える。なお、フリークランプは、一般的なハンドルステムのそれと異なってハンドルバーをロックする機能はなく、回動動作可能に保持することができる。
ハンドルクランプ端を構成するバークランプは、ハンドルバーに固定される部材であり、したがって、ハンドルバーと挙動を共にする。つまり、フリークランプによって回動動作可能に保持されたハンドルバーが回動動作をすると、バークランプも回動動作をする。また、バークランプには、バークランプの回動動作をスイング動作に変換するスイング片が形成されている。変換する理由は、弾性部材によって小径のハンドルバーの回動動作を希望どおりに制御することは極めて難しいのに対して、スイング動作を弾性部材によって制御することは容易であるからである。なお、ブシュ形式の弾性部材は、バークランプから見て固定部材であるステムアームとの間に介装されている。
バークランプとステムアームとの間の間隙に介装されたブシュ形式の弾性部材は、最終的に、スイング片の上方向スイング動作と下方向スイング動作との双方を独立して制動する。スイング片のスイング動作が制動されれば、必然的にハンドルバーの回動動作が制動される。これによって運転者がハンドルバーを握った状態において、つまり、ハンドリング操作可能な状態において、自転車の車体の衝撃的な上下運動が運転者に伝達されるのを大幅に緩和することができる。この際、弾性部材がスイング片の上方向スイング動作と下方向スイング動作との双方を独立して制動することができるようにされていることにより、運転者の体重や自転車の車重、その他走行条件等に対応した最適な制動加減を突上げ衝撃と突き下げ衝撃とに対応して独立に最適化することができる。なお、制動用のブシュ形式の弾性部材は、複数個用いられる場合もあれば、一個の弾性部材がスイング片の上方向スイング動作と下方向スイング動作との双方に対応することができる形態である場合もある。
(解決手段2)
本発明の自転車のハンドルステムは、上記解決手段1に記載の発明を基本発明とし、ハンドルステムにおけるステムアームが、中空断面形状に形成されるとともに、バークランプのスイング片は、ステムアーム内に突出するように組み合わされ、弾性部材は、スイング片の上面とステムアームの内壁面間およびスイング片の下面とステムアームの内壁面間とに介装されていることを特徴とする。
上記解決手段2について説明する。本発明では、ステムアームの断面形状と、ステムアームとバークランプのスイング片との組合せに特徴がある。基本発明においてバークランプとステムアームとの間の間隙に介装されることが条件とされた弾性部材は、それがブシュ形式のものであるためにある物体と他の物体との間に挟み込まれる必要がある。ある物体をスイング片とすれば、他の物体をどこにするかが問題になる。この問題に対するスマートな解答が本発明である。
すなわち、バークランプから突出するスイング片は、中空断面形状のステムアーム内に収納される状態に組み合わされる。そして、弾性部材は、スイング片の上面とステムアームの内壁面間およびスイング片の下面とステムアームの内壁面間とに介装される。想像することが容易であるように、この状態のハンドルステムは、サスペンション機構を備えない経験則的に安全である一般的な自転車のハンドルステムと大差ない外観に仕上げることができる。これにより、転倒時の安全性の確保や、違和感のない外観および軽量化に大きく寄与することができる。
(解決手段3)
本発明の自転車のハンドルステムは、ステムアームの基端側にハンドルコラムをクランプするコラムクランプ端が形成されるとともに、ステムアームの先端側にハンドルバーをクランプするハンドルクランプ端が形成され、ハンドルバーをステムアームの実効長さ相当ハンドルコラムの前方にオーバハングさせた状態で取り付けるための連結部材である自転車のハンドルステムにおいて、ステムアームのコラムクランプ端は、ハンドルコラムに固定する固定クランプと、この固定クランプとステムアームとの間の間隙に介装するブシュ形式の弾性部材とを備えてなり、固定クランプには、ハンドルコラムの後方に位置する軸連結部が形成されるとともに、ステムアームのコラムクランプ端は、二股に分岐してハンドルコラムの側方を通過して固定クランプの軸連結部に至ってその軸連結部にスイング動作可能に連結され、また、弾性部材は、ステムアームの上方向スイング動作と下方向スイング動作との双方を独立して制動することを特徴とする。
上記解決手段3について説明する。既に説明した解決手段1および解決手段2に記載のハンドルステムは、ハンドルクランプ端にサスペンション機構を組み込んだ構成であるのに対して、本発明は、コラムクランプ端にサスペンション機構を組み込んだ構成であることが基本的に異なる。したがって、本発明においては、ステムアーム自体がスイング動作をし、これを弾性部材が制動する仕組みである。ここで注目すべきことは、ステムアームがスイング動作をする際の動作支点の位置である。
コラムクランプ端の構成部材である固定クランプは、ハンドルコラムに固定される。この固定クランプは、ステムアームをスイング動作可能に連結するための軸連結部を有する。本発明における軸連結部は、ハンドルコラムの後方に位置している。すなわち、スイング動作をする際のステムアームの動作上の長さは、ハンドルコラムとハンドルバーとの距離によって定まるステムアームの実効長さより長いのである。これにより、ステムアームの中間部に揺動支点を設ける従来方式に比べて動作時のハンドルバーを姿勢変化を減少させることが可能となる。なお、弾性部材の機能は、既述の発明と同様である。
(解決手段4)
本発明の自転車のハンドルステムは、上記解決手段3に記載の発明を基本発明とし、そのステムアームは、中空断面形状に形成されるとともに、固定クランプ部材は、ハンドルクランプ端側に向けてステムアーム内に突出する固定舌片を備えてなり、さらに弾性部材は、固定舌片の上面とオフセットアームの内壁面間および固定舌片の下面とステムアームの内壁面間とに介装されていることを特徴とする。
上記解決手段4は、中空断面形状に形成されたステムアームの内部空間を利用しての弾性部材のスマートな組み込み手段を提供する。これは、解決手段2に記載の発明と同趣旨である。
(解決手段5)
本発明の自転車のハンドルステムは、解決手段1または解決手段2に記載のハンドルクランプ端と、解決手段3または解決手段4に記載のコラムクランプ端との双方を備えることを特徴とする。つまり、ハンドルクランプ端にサスペンション機構を備えるとともに、コラムクランプ端にもサスペンション機構を備えるハンドルステムである。
上記発明の動作は、自転車に上下振動が入力された際に、いずれか作動し易い方のサスペンション機構が作動するであろう、あるいは、双方が共に働いてサスペンション機能の作動範囲が拡大されるであろうというような作用にとどまらない。従来のサスペンション機構付きハンドルステムにおいては、その作動によって必ずハンドルバーの角度姿勢が変化するのであるが、本発明のハンドルステムでは、ハンドルバーの角度姿勢を変化させることなくハンドルバーを上下動させることが可能である。
例えば、自転車に突上げ衝撃が入力されてハンドルコラムが瞬間的に上昇すると、ステムアームは、先端部が下降する方向にスイング動作をする。この際、運転者がハンドルバーを握っていれば、ハンドルバーは、ハンドルクランプ端のサスペンション機構によってグリップの位置が不動点となる方向に回動動作をすることができる。つまり、ステムアームのスイング動作とハンドルバーの回動動作の組合せによって、運転者から見た場合のハンドルの角度姿勢を一定に維持することができるのである。
本発明の自転車のハンドルステムは、ハンドルクランプ端にサスペンション機構を備えるタイプのものと、コラムクランプ端にサスペンション機構を備えるタイプのものと、ハンドルクランプ端とコラムクランプ端との双方にサスペンション機構を備えるタイプのものとに大別できるが、いずれの発明においても、突上げ衝撃と突下げ衝撃の双方を独立に緩衝することができるハンドルステムが提供される。これは、サスペンション機構に突上げ衝撃と突下げ衝撃とに対応してスイング動作をする部材が設けられ、この部材の上方向スイング動作と下方向スイング動作とを独立して制動する基本構成が採用されていることによる。なお、スイング動作をする部材は、スイング片である場合もあれば、ステムアームである場合もある。
本発明中、中空断面形状を採用したステムアーム内にスイング片や固定舌片、およびブシュ形式の弾性部材等のサスペンション機構構成部材を組み込む形式の発明においては、サスペンション機構に故障等が生じても通常に近い安全なハンドル操作が可能であるとともに、外観に違和感がなく、ハンドルステムの存在自体による怪我の発生等の危険がなく、シンプルかつ軽量なハンドルステムが提供される。これは、サスペンション機構の動作範囲がステムアーム内部に機械的に限定されるとともに、サスペンション機構が外部に現れない構成によりもたらされる効果である。
本発明中、ハンドルコラムの後方に位置する軸連結部を支点としてステムアームをスイング動作させる形式の発明においては、必要とされるハンドルコラムとハンドルバーとの距離によって決定されるステムアームの実効長さを適正範囲に固定しながら、スイング動作上のステムアームの動作半径を自由に延長することができるので、動作しても、運転者に対するハンドルバーの角度変化が少ないハンドルステムが提供される。
本発明中、ハンドルクランプ端とコラムクランプ端との双方にサスペンション機構を備える発明においては、ハンドルクランプ端のサスペンション機構とコラムクランプ端のサスペンション機構とが、例えば、反対の動作をすることが可能であることにより、動作しても、運転者に対するハンドルバーの角度変化が生じないハンドルステムを提供することができる。
本発明の自転車のハンドルステムの実施の形態を示す動作説明図である。 上記自転車のハンドルステムの構成部品の平面図である。 上記自転車のハンドルステムの構成部品の側面図である。 上記自転車のハンドルステムの別の構成部品の平面図である。 上記自転車のハンドルステムの構成部品の側面図である。 本発明の自転車のハンドルステムの他の実施の形態を示す動作説明図である。 上記自転車のハンドルステムの構成部品の平面図である。 上記自転車のハンドルステムの構成部品の側面図である。 上記自転車のハンドルステムの別の構成部品の平面図である。 上記自転車のハンドルステムの構成部品の側面図である。 上記自転車のハンドルステムの構成部品の断面図である。 本発明の自転車のハンドルステムの他の実施の形態を示す断面図である。
以下、図面を引用しながら本発明の本発明の自転車のハンドルステムの実施の形態例について説明する。
自転車のフレームFにおけるフロント周りは、一般的に、トップチューブF2とダウンチューブF3とによってヘッドチューブF1の角度姿勢を固定し、角度姿勢が決定されたヘッドチューブF1内に、左右1対のフロントフォークF4を1本にまとめて立ち上がるハンドルコラムF5を回転自在に挿通し、ヘッドチューブF1から上方に突出したハンドルコラムF5にハンドルステム90Aを介してハンドルバーF6を取り付けた構成である(図1)。
ハンドルステム90Aは、その機能必然的にステムアーム9の基端側にハンドルコラムF5と連結するための構造からなるコラムクランプ端Cを備えるとともに、他端側にハンドルバーF6と連結するための構造からなるハンドルクランプ端Aを備える。ハンドルコラムF5やハンドルバーF6の太さは規格化されているが、ハンドルステム90Aの構成は、一般家庭用の実用車を除きさまざまである。ただし、ステムアーム9は、単なるハンドルコラムF5とハンドルバーF6の連結部材ではなく、その実効長さL1によって所定の機能を営む重要な部材であり、実効長さL1には、メーカごとに大きく異なるというようなことないと言える。
上記前提下における本発明の自転車のハンドルステムには、ハンドルクランプ端Aにサスペンション機構を組み込んだタイプのハンドルステム90A(図1)と、コラムクランプ端Cにサスペンション機構を組み込んだハンドルステム90B(図6)と、ハンドルクランプ端Aとコラムクランプ端Cの双方にサスペンション機構を組み込んだハンドルステム90C(図12)とがある。これらは、いずれもアルミダイカスト製である。以下、これらの実施の形態例を順次に説明する。
ハンドルクランプ端Aにサスペンション機構を備えるハンドルステム90Aにおいては、そのコラムクランプ端Cは、単にハンドルコラムF5と固定的に連結することができることをもって足りる。ステムアーム9は、中空断面形状に形成され、角型の内部空間9Sを有する(図1)。コラムクランプ端Cは、ステムアーム9の基端側に、上下二股に分岐した把持筒部8,8と、把持筒部8,8の分割端にそれぞれ対峙姿勢で突設する1対のボルト座8J,8Jと、各対のボルト座8J,8Jを連結するボルト8B,8Bとからなる摺り割ボルト締め構造のものとして形成されている(図1〜図3)。ボルト8B,8Bを締め込むと把持筒部8,8の分割端が互いに引き寄せられ、ハンドルコラムF5をクランプする構造である。
ハンドルステム90Aのハンドルクランプ端Aは、ハンドルバーF6を回動動作可能に保持するフリークランプ7,7と、ハンドルバーF6に固定されてハンドルバーF6と挙動を共にするバークランプ6と、ブシュ形式の弾性部材6B,6Bとの各構成部品からなる(図1〜図5)。
フリークランプ7,7は、二股に分岐する態様でステムアーム9の先端部に一体成形される(図2,図3)。各フリークランプ7は、対応するボルト座7J,7Jを有する割り輪7R,7Rをボルト座7J,7J間に挿通するボルト7Bによって一体化するように締め付ける割り輪方式である。ただし、対応するボルト座7J,7J間にはシム7Sが介装され、ハンドルバーF6は、一対のフリークランプ7,7によって一定間隔離れた2箇所をガタ付きなく回動動作可能にクランプされる。なお、ガタ付きなく回動動作可能にというクランプ状態が実現できる場合には、ボルト座7J,7J間にシム7Sを要しないことは言うまでもない。
一方、バークランプ6は、フリークランプ7,7と同様の割り輪6R,6Rによるクランプ方式であるが(図4,図5)、バークランプ6の場合には、ボルト座6J,6Jを十分に締めつけてハンドルバーF6に強固に固定される。この結果、バークランプ6は、ハンドルバーF6の回動動作に伴って回動動作をする。また、対をなす割り輪6R,6Rの一方には、径方向にスイング片6Tが突設され、スイング片6Tは、割り輪6R,6Rの中心を中心にカンチレバー動作、つまりスイング動作をする。なお、スイング片6Tの基部には補強リブ6Mが付設されている。また、バークランプ6の幅寸法は、1対のフリークランプ7,7間の間隔に対応している。
ハンドルクランプ端Aは、次のように組み立てられる。先ず、バークランプ6のスイング片6Tの上下面に、強力タイプの両面粘着テープを用いてブシュ形式の弾性部材4,4が取り付ける(図1)。弾性部材4,4の材質は、特に限定されないが、一般的には、例えば、発泡ゴム系の素材が耐久性および耐候性の観点から推奨できる。なお、スイング片6Tの上下の弾性部材4,4は、同じ材質であることを要しない。弾性部材4,4を取り付けたバークランプ6をハンドルバーF6の幅中央位置にバークランプ6を固定する。この際、固定用のボルト6B,6Bは、軽く仮締めしておく程度の方が都合がよい。
フリークランプ7,7の割り輪7R,7Rを割っておき、二股に分岐したフリークランプ7,7間にバークランプ6を位置決めし、スイング片6Tをステムアーム9の内部に差し入れるように押し込み、フリークランプ7,7の割り輪7R,7Rを閉じる。この際、ボルト座7J,7J間のシム7Sの厚みを調節し、ハンドルバーF6がガタ付きなく円滑に回るかを確認する。最後に、運転者の好みの角度にハンドルバーF6の姿勢を調節し、仮締めしてあったバークランプ6を完全に固定する。これにより、図1に示す組立て状態が実現される。
自転車のフレームFに突上げ衝撃G1、または突下げ衝撃G2が加わると、運転者の両手によって拘束されている図示しないハンドルグリップは、瞬間的にはその位置を保持しようとする。また、多くの場合、ハンドルグリップの位置は、ハンドルバーF6の中心には位置しない。この結果、フリークランプ7,7によって支持されたハンドルバーF6には、いずれかの回転方向(R1,R2)の捩れ運動が生じる。この捩れ運動は、ステムアーム9内に突出したスイング片6Tの上下運動に変換され、スイング片6Tの上下運動は、ブシュ形式の弾性部材4,4によって制動される。この際、スイング片6Tの上下の弾性部材4,4が異なる特性であれば、突上げ衝撃G1と突下げ衝撃G2とで異なる特性で制動されることになる。つまり、運転者には、弾性部材4,4によって制動された穏やかな衝撃しか伝達されないのである。
サスペンション機構は、ステムアーム9のコラムクランプ端C側に組み込むこともできる(図6)。
コラムクランプ端Cにサスペンション機構を備えるハンドルステム90Bの部品構成は、ハンドルクランプ端Aおよびコラムクランプ端Cを有するステムアーム9と、コラムクランプ端Cの構成部品である固定クランプ5と、ステムアーム9と固定クランプ5との間に介装されるブシュ形式の弾性部材4である。
ハンドルステム90Bにおけるステムアーム9は、基端側のみを中空構造とした側面視において先細り形状に形成され(図8)、このため、ステムアーム9の内部空間9Sは、後方に向けて拡大する形状である。ステムアーム9の先端部には、ハンドルバーF6を固定的に把持するためのバークランプ6が一体成形されている。バークランプ6は、1対の割り輪6R,6R間にハンドルバーF6を位置決めしてボルト6B,6Bによって締め付ける構造である(図7,図8)。一方、ステムアーム9のコラムクランプ端Cは二股に分岐し、徐々に側面積が増大する形状に形成されるとともに、ハンドルコラムF5の後方位置に軸孔5H,5Hが設けられている。
ハンドルステム90Bにおけるコラムクランプ端Cを形成する固定クランプ5は、ハンドルコラムF5の上端キャップ状のブロック体である。固定クランプ5は、通常、ハンドルコラムF5に内装されるクイルと称する部品を引き上げるために用いられるクイル牽引ボルト5Bを利用してハンドルコラムF5に固定される(図9〜図11)。固定クランプ5には、前方に向けて突出する固定舌片5Tが一体成形されている。固定クランプ5は、後方に膨出する形状に形成され、その両側面は、互いに平行な平面に加工した上、軸孔5Hを設けた軸連結部5Xとされている。軸連結部5Xにおける固定クランプ5の幅は、二股に分岐したステムアーム9のコラムクランプ端Cの間隔に対応している。
このような部品構成のハンドルステム90Bは、一般の家庭用自転車にも極めて簡単に組み付けることができる。一般の自転車に取り付けるには、既に取り付けられているハンドルコラムF5の上端キャップを取外し、ハンドルステム90Bの固定クランプ5を固定舌片5Tを前方に向けて取り付ける(図10に示す状態)。
次いで、固定クランプ5の固定舌片5Tの先端部を弾性部材4で被覆するように取り付ける。次いで、固定クランプ5の前方側から二股に分岐したコラムクランプ端Cで固定クランプ5の軸連結部5Xを両側から挟み込むようにして軸孔5H,5Hを一致させる。この時点で、弾性部材4を取り付けた固定舌片5Tの先端部はステムアーム9の内部に差し込まれた状態となる(図6)。ここで、軸孔5Hに適当な軸部材を挿通して両者を連結する。
このようにして取り付けられたステムアーム9は、軸部材を中心に弾性部材4を変形させながらスイング動作をすることができる(図6)。この結果、自転車のフレームに加わる突上げ衝撃G1に対しては、ハンドルクランプ端Aが相対的に下降動作G3し、また、突下げ衝撃G2に対してはハンドルクランプ端Aが相対的に上昇動作G4するように作動する。つまり、ハンドルバーF6につかまっている運転者に対する衝撃は、大幅に緩和される。ここで重要なことは、ステムアーム9がスイング動作をする際のアーム長さL2がステムアーム9の実効長さL1より長いということである。これにより、ステムアーム9のスイング動作に伴うハンドルバーF6の姿勢変化を最小限に抑え込むことができるのである。
ハンドルクランプ端Aにサスペンション機構を組み込んだハンドルステム90Aが可能であり(図1)、また、サスペンション機構をコラムクランプ端Cに組み込んだハンドルステム90B(図6)が可能であれば、ハンドルクランプ端Aとコラムクランプ端Cとの双方にサスペンション機構を組み込んだハンドルステム90Cの態様が可能であることは当然である(図12)。したがって、この態様のハンドルステム90の構造については、ごく簡単に説明する。このハンドルステム90Cの大きな特徴は、むしろその動作にあると言える。
ハンドルステム90Cにおけるハンドルクランプ端Aは、ハンドルバーF6を回動動作可能に支持するフリークランプ7,7と、ハンドルバーF6に固定するバークランプ6との組合せにより、バークランプ6のスイング片6Tを制動する方式である(図1参照)。また、ハンドルステム90Cにおけるコラムクランプ端Cは、ハンドルコラムF5に固定される固定クランプの固定舌片5Tを固定部材として軸連結部5Xを中心とするステムアーム9自体のスイング動作を制動する方式である(図6参照)。
なお、ハンドルコラムF5に対する固定クランプ5の固定手段には、押し子方式が採用されている(図12)。固定クランプ5内には、ハンドルコラムF5に向かって進退動作可能な押し子5Pが組み込まれ、この押し子5Pは、駆動ネジPBによって固定クランプ5の外部からロックと解除の操作することができる。このような押し子方式には、ハンドルコラムF5に対するハンドルステム90Cの上下位置をごく短時間で調節することができるという利点がある。
ハンドルステム90Cには、ステムアーム9の実効長さL1よりステムアーム9のスイング動作のアーム長さL2をデザイン可能な範囲で自由に長く設定することができるという動作上の利点に加え、例えば、コラムクランプ端C側のサスペンション機構の作動によってステムアーム9のハンドルクランプ端Aが下降し、このためにハンドルバーF6が下向き姿勢に姿勢変化しようとする際において、ステムアーム9のハンドルクランプ端A側のサスペンション機構がハンドルバーF6の角度変化を制止する向きにハンドルバーF6を回動動作させることができるので、全体として、ハンドルバーF6が姿勢変化しないサスペンション機構付きのハンドルステム90Cを提供することができる。
なお、上記いずれの形態のハンドルステム90A,90B,90Cにおいても、運転者の好み等に応じて弾性部材4に対する予圧を調節する必要がある場合の簡便な方法として、バークランプ6のスイング片6Tまたは固定クランプ5の固定舌片5Tに適切な厚みのシムを取り付ける方法が推奨できる。
F5 ハンドルコラム
F6 ハンドルバー
90A ハンドルステム
90B ハンドルステム
90C ハンドルステム
A ハンドルクランプ端
C コラムクランプ端
9 ステムアーム
5 固定クランプ
4 弾性部材
5X 軸連結部
6 バークランプ
6B 弾性部材
6T スイング片

Claims (5)

  1. ステムアームの基端側にハンドルコラムをクランプするコラムクランプ端を備えるとともに、ステムアームの先端側にハンドルバーをクランプするハンドルクランプ端を備え、ハンドルバーをステムアームの実効長さ相当ハンドルコラムの前方にオーバハングさせた状態で取り付けるための連結部材である自転車のハンドルステムにおいて、
    前記ハンドルクランプ端は、ハンドルバーを回動動作可能に保持するフリークランプと、ハンドルバーに固定されてハンドルバーと挙動を共にするバークランプと、該バークランプと前記ステムアームとの間の間隙に介装するブシュ形式の弾性部材とを備えてなり、
    前記バークランプには、ハンドルバーの回動動作をスイング動作に変換するスイング片が形成され、前記弾性部材は、前記スイング片の上方向スイング動作と下方向スイング動作とを独立して制動することを特徴とする自転車のハンドルステム。
  2. 前記ステムアームは、中空断面形状に形成されるとともに、前記バークランプのスイング片は、前記ステムアーム内に突出するように組み合わされ、前記弾性部材は、前記スイング片の上面と前記ステムアームの内壁面間および前記スイング片の下面と前記ステムアームの内壁面間とに介装されていることを特徴とする請求項1に記載の自転車のハンドルステム。
  3. ステムアームの基端側にハンドルコラムをクランプするコラムクランプ端が形成されるとともに、ステムアームの先端側にハンドルバーをクランプするハンドルクランプ端が形成され、ハンドルバーをステムアームの実効長さ相当ハンドルコラムの前方にオーバハングさせた状態で取り付けるための連結部材である自転車のハンドルステムにおいて、
    前記コラムクランプ端は、ハンドルコラムに固定する固定クランプと、該固定クランプと、前記ステムアームとの間の間隙に介装するブシュ形式の弾性部材とを備えてなり、
    前記固定クランプには、ハンドルコラムの後方に位置する軸連結部が形成されるとともに、前記ステムアームのコラムクランプ端は、二股に分岐してハンドルコラムの側方を通過して前記軸連結部に至って前記軸連結部にスイング動作可能に連結され、前記弾性部材は、前記ステムアームの上方向スイング動作と下方向スイング動作とを独立して制動することを特徴とする自転車のハンドルステム。
  4. 前記ステムアームは、中空断面形状に形成されるとともに、前記固定クランプは、前記ハンドルクランプ端側に向けて前記ステムアーム内に突出する固定舌片を備えてなり、
    前記弾性部材は、前記固定舌片の上面と前記ステムアームの内壁面間および前記固定舌片の下面と前記ステムアームの内壁面間とに介装されていることを特徴とする請求項3に記載の自転車のハンドルステム。
  5. 請求項1または請求項2に記載のハンドルクランプ端と、請求項3または請求項4に記載のコラムクランプ端との双方を備えることを特徴とする自転車のハンドルステム。
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