JP2015536919A - 抗癌剤の持続送達のためのシルクリザーバ - Google Patents
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Abstract
例えば癌治療のための、薬物の持続送達のためのシルクベースの薬物送達組成物、およびそれらを処置のために使用する方法に関する。
Description
関連出願の相互参照
本願は、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、2012年10月11日に出願された米国仮出願第61/712,571号の恩典を35 U.S.C.§119(e)の下で主張する。
本願は、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、2012年10月11日に出願された米国仮出願第61/712,571号の恩典を35 U.S.C.§119(e)の下で主張する。
本開示は、分子、例えば治療剤の持続送達のためのシルク組成物、ならびにそれを製造および使用する方法に関する。1つの局面において、本開示は、癌治療剤の持続送達のためのシルクベースの薬物送達組成物および癌を処置する方法に関する。
背景
乳癌、すなわち腺管癌および小葉癌は、世界のすべての女性の癌の症例の20%超を占めている。ホルモン受容体陽性疾患に対する処置選択肢の一つは、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、例えばARIMIDEX(商標)の使用である。ARIMIDEX(商標)の有効成分であるアナストロゾールは、中程度の水溶性(25℃で0.5mg/ml)、中程度の親油性(log P(オクタノール/水) = 1.58)、および中性pH下で非イオン性の特徴(pKa = 1.4)を有する強力な(1日1回の1mg経口投与)低分子薬(C17H19N5、m = 293.4Da)である[AstraZeneca Canada, Inc., ARIMIDEX(商標), Product Monograph, 2011]。しかし、アロマターゼ阻害剤治療に対する患者のアドヒアランスに関する関心が高まっており[Charlson, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 2010; 28: 73s. Abstract 524(非特許文献1)]、アドヒアランスに関する患者の自己申告と実際の薬物送達結果にはその初年度でさえも大きな開きがあることが報告されている[Rey-Herin et al., Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 2010; 28: 102s Abstract 643(非特許文献2)]。アドヒアランスの問題に対処するための1つの可能性のある手段は、アロマターゼ阻害剤、例えばアナストロゾールの持続送達であり得る。言うまでもなく、持続放出アナストロゾール製剤の投与頻度は十分に低いはずであり、例えば、数ヶ月という投与間期間は臨床現場でこれらの製剤を魅力的にするであろう。
乳癌、すなわち腺管癌および小葉癌は、世界のすべての女性の癌の症例の20%超を占めている。ホルモン受容体陽性疾患に対する処置選択肢の一つは、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤、例えばARIMIDEX(商標)の使用である。ARIMIDEX(商標)の有効成分であるアナストロゾールは、中程度の水溶性(25℃で0.5mg/ml)、中程度の親油性(log P(オクタノール/水) = 1.58)、および中性pH下で非イオン性の特徴(pKa = 1.4)を有する強力な(1日1回の1mg経口投与)低分子薬(C17H19N5、m = 293.4Da)である[AstraZeneca Canada, Inc., ARIMIDEX(商標), Product Monograph, 2011]。しかし、アロマターゼ阻害剤治療に対する患者のアドヒアランスに関する関心が高まっており[Charlson, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 2010; 28: 73s. Abstract 524(非特許文献1)]、アドヒアランスに関する患者の自己申告と実際の薬物送達結果にはその初年度でさえも大きな開きがあることが報告されている[Rey-Herin et al., Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 2010; 28: 102s Abstract 643(非特許文献2)]。アドヒアランスの問題に対処するための1つの可能性のある手段は、アロマターゼ阻害剤、例えばアナストロゾールの持続送達であり得る。言うまでもなく、持続放出アナストロゾール製剤の投与頻度は十分に低いはずであり、例えば、数ヶ月という投与間期間は臨床現場でこれらの製剤を魅力的にするであろう。
したがって、乳癌治療に対するコンプライアンスを改善することができる治療剤の制御された持続送達を提供する、潜在的に炎症性の分解副産物を生じない改善された薬学的組成物が必要とされている。
Charlson, Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 2010; 28: 73s. Abstract 524
Rey-Herin et al., Proc. Am. Soc. Clin. Oncol. 2010; 28: 102s Abstract 643
概要
本開示は、治療剤の持続送達を提供するシルクベースの薬物送達組成物を提供する。そのようなシルクベースの薬物送達組成物は、患者のコンプライアンスの促進に加えて、優れた生体適合性、および非炎症性分解産物、例えばペプチドおよびアミノ酸を示す。したがって、持続放出薬学的製剤における担体としてのシルクの潜在的使用は、酸性の分解副産物を生じる他のポリマー製剤(例えば、PLGA)と比較して、炎症応答を最小化し、有効成分の安定性を高めるであろう。シルク組成物は、完全に水性ベースの溶媒中で処理することができる。したがって、そのようなシルクベースの薬物送達組成物は、PLGAベースの持続放出製剤の調製において使用される有害な有機溶媒の使用を回避する。
本開示は、治療剤の持続送達を提供するシルクベースの薬物送達組成物を提供する。そのようなシルクベースの薬物送達組成物は、患者のコンプライアンスの促進に加えて、優れた生体適合性、および非炎症性分解産物、例えばペプチドおよびアミノ酸を示す。したがって、持続放出薬学的製剤における担体としてのシルクの潜在的使用は、酸性の分解副産物を生じる他のポリマー製剤(例えば、PLGA)と比較して、炎症応答を最小化し、有効成分の安定性を高めるであろう。シルク組成物は、完全に水性ベースの溶媒中で処理することができる。したがって、そのようなシルクベースの薬物送達組成物は、PLGAベースの持続放出製剤の調製において使用される有害な有機溶媒の使用を回避する。
概して、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、実質的にシルクマトリックス中にカプセル化された治療剤を含み、ここでシルクマトリックスは円筒形の形状を有し、治療剤はシルクマトリックスの内腔中に存在する。治療剤は、固体、液体またはゲルの形態であり得る。
いくつかの態様において、前記組成物はシルクチューブまたはロッドの形態であり、治療剤はシルクチューブまたはロッドの内腔中に存在する。「チューブ」および「ロッド」という用語は、本明細書で互換的に使用され、中に内腔を有する円筒形構造物を表す。シルクチューブの末端は、内腔内に治療剤を保持するために閉鎖され得る。治療剤の全量がシルクチューブの内腔中に存在する必要はないことが理解されるべきである。治療剤の一部は、シルクチューブの壁中に存在し得る、例えば分散またはカプセル化され得る。したがって、いくつかの態様において、治療剤の少なくとも50%(例えば、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%)が、シルクチューブの内腔内に存在する。いくつかの態様において、治療剤の全量がシルクチューブの内腔中に存在する、すなわち、治療剤の100%がシルクチューブの内腔中に存在する。
前記組成物は、インプラントとしてまたは注射可能な製剤として使用され得る。本明細書のシルクベースの薬物送達組成物は、通常のより頻繁な癌処置用治療剤の投与(例えば、1週間に1〜3回またはそれ以上)に代えて、1〜6ヶ月に1回(例えば、1〜2ヶ月に1回、3〜6ヶ月に1回)治療剤を投与するために使用できるという利点がある。
いくつかの態様において、治療剤は、癌の処置において当技術分野で公知の任意の薬剤であり得る。いくつかの態様において、治療剤は、乳癌の処置のための治療剤であり得る。いくつかの態様において、治療剤は、アナストロゾールであり得る。アナストロゾールは、1日1回経口投与される錠剤である。アナストロゾールの長期持続送達製剤は入手可能でない。
シルクベースの薬物送達組成物および使用説明書を含むキットも、本明細書において提供される。
別の局面において、癌を処置する方法が本明細書において提供される。この方法は、それを必要とする対象に本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物を投与する工程を含む。患者への投与のために、シルクベースの薬物送達組成物は、薬学的に許容される賦形剤または担体を用いて製剤化され得る。治療剤は、ある期間にわたって治療的に有効な量で送達され得る。
例示的な態様の詳細な説明
本開示は、慢性疾患および障害のための治療剤の毎日または毎週の投与に関連する問題に対する解決手段を提供する。反復注射に関連する課題に取り組むために、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物が開発された。この問題の解決において、本発明者らは、例示的な乳癌治療剤であるアナストロゾールの持続放出のための円筒形のシルクベースの薬物送達組成物のインビトロおよびインビボでの使用を実証した。アナストロゾールは、1日1回経口投与される錠剤である。現時点で、アナストロゾールの長期持続放出製剤は入手可能でない。
本開示は、慢性疾患および障害のための治療剤の毎日または毎週の投与に関連する問題に対する解決手段を提供する。反復注射に関連する課題に取り組むために、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物が開発された。この問題の解決において、本発明者らは、例示的な乳癌治療剤であるアナストロゾールの持続放出のための円筒形のシルクベースの薬物送達組成物のインビトロおよびインビボでの使用を実証した。アナストロゾールは、1日1回経口投与される錠剤である。現時点で、アナストロゾールの長期持続放出製剤は入手可能でない。
概して、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、治療剤を含むシルクマトリックスを含み、治療剤はシルクマトリックスの内腔中に存在する。さらに、治療剤は、任意の所望の形態であり得る。例えば、治療剤は、固体、液体またはゲルの形態であり得る。いくつかの態様において、治療剤は、溶液、粉末、圧縮粉末またはペレットの形態である。
いくつかの態様において、シルクマトリックスは、円筒形の形状を有する。「円筒形」という用語は、本明細書で使用される場合、円筒、すなわち断面積および2つの末端を有するチューブ、の形状を有することを意味する。したがって、いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物は、シルクチューブの形態であり、治療剤はシルクチューブの内腔中に存在し、シルクチューブの2つの末端は閉鎖されている。概して、シルクチューブは、所望の長さのものであり得る。例えば、シルクチューブの長さは、約1mm〜約10cmであり得る。いくつかの態様において、シルクチューブの長さは、約1mm〜約40cmであり得る。いくつかの態様において、シルクチューブの長さは、約5mm、約7.5mm、約10mm、約12.5mm、約15mm、約17.5mm、約20mm、約22.5mm、約25mm、約27.5mm、約30mm、約32.5mm、約35mm、約37.5mm、約40mm、約42.5mm、約45mm、約47.5mmまたは約50mmであり得る。いくつかの態様において、シルクチューブの長さは、チューブの末端を閉鎖するために使用されたシルクチューブの部分を除いたものである。例えば、シルクチューブの長さは、その内腔の長さであり、閉鎖された末端を含むシルクチューブの部分を除いたものである。
理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクチューブの壁厚は、シルクチューブ中にカプセル化された治療剤の放出速度に影響し得る。したがって、シルクチューブは、所望の放出速度を提供する壁厚を有するように選択され得る。例えば、壁厚は、約50μm〜約5mmの範囲であり得る。いくつかの態様において、壁厚は、約50μm〜約500μm、約50μm〜約1,000μm、約200μm〜約300μm、約600μm〜約800μm、約200μm〜約800μm、約300μm〜約700μm、約400μm〜約600μmまたは約500μmであり得る。いくつかの態様において、壁厚は、約1,000μm超であり得る。いくつかの態様において、壁厚は、約100μm未満であり得る。いくつかの態様において、壁厚は、約0.15mm、0.2mm、0.25mm、約0.5mm、約0.75mm、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mm、約3.5mm、約3.75mmまたは約4mmであり得る。いくつかの態様において、壁厚は、約0.09mm、約0.10mm、約0.15mm、約0.21mm、約0.24mmまたは約0.26mmであり得る。シルクチューブの壁の厚みは、その壁中に存在するシルクフィブロインの層の数によって調節され得る。例えば、シルクチューブの壁は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上)のシルクフィブロイン層を含み得る。いくつかの態様において、シルクチューブの壁は、1〜50、1〜45、1〜40、1〜35、1〜30、1〜25、1〜20、1〜15または1〜10のシルクフィブロイン層を含む。1つの態様において、シルクチューブの壁は9つのシルクフィブロイン層を含む。
さらに、各シルクフィブロイン層の厚みは、独立して、約1μm〜約1mmの範囲であり得る。いくつかの態様において、各層の厚みは、約5μm〜約200μm、約10μm〜約100μmまたは15〜約50μmの範囲である。いくつかの態様において、少なくとも1つの層の厚みは、約20μmである。いくつかの態様において、各層の厚みは、約20μmである。いくつかの態様において、少なくとも1つの層の厚みは、約50μmである。いくつかの態様において、各層の厚みは、約50μmである。
シルクチューブの全体断面は、例えば非限定的に、円形、実質的に円形、卵形、実質的に卵形、楕円形、実質的に楕円形、三角形、実質的に三角形、四角形、実質的に四角形、六角形、実質的に六角形等であり得る。いくつかの態様において、シルクチューブの全体断面は、実質的に円形である。シルクチューブの全体断面の直径は、約0.1mm〜約20mmの範囲であり得る。いくつかの態様において、シルクチューブの全体断面の直径は、約0.5mm〜約10mm、約1mm〜約7.5mmまたは約1.5mm〜約5mmの範囲であり得る。いくつかの態様において、シルクチューブの全体断面の直径は、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mm、約3.5mm、約3.75mm、約4mm、約4.25mm、約4.5mm、約4.75mmまたは約5mmである。いくつかの態様において、シルクチューブの直径は、約1.93mm、約1.95mm、約2.06mm、約2.17mm、約2.43mmまたは約2.66mmであり得る。シルクチューブの全体直径は、本明細書でd0とも称される。
シルクチューブは、全体に延びる内腔を有し得る。内腔は、シルクチューブのシルクの全体断面と同じ断面またはシルクチューブの全体断面と異なる断面を有し得る。例えば、内腔の断面は、円形、実質的に円形、卵形、実質的に卵形、楕円形、実質的に楕円形、三角形、実質的に三角形、四角形、実質的に四角形、六角形、実質的に六角形等であり得る。いくつかの態様において、内腔の断面は、実質的に円形である。
内腔の直径は、内腔の長さ方向に沿って変化し得ることが理解される。非限定的に、その直径は、約100nm〜約10mmであり得る。いくつかの態様において、その直径は、約0.1mm〜約5mm、約0.5mm〜約3mm、約0.75mm〜約2.5mm、約1mm〜約2mmであり得る。いくつかの態様において、内腔の直径は、約0.25mm、約0.5mm、約0.75mm、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mmまたは約3.5mmである。内腔の直径は、本明細書でdiとも称される。
概して、内腔は、シルクチューブの長さとほぼ同じ長さであり得る。しかし、いくつかの態様において、シルクチューブの末端がチューブを閉鎖して治療剤を内腔中に保持するために使用されるため、内腔の長さはシルクチューブの長さよりも短い。したがって、内腔の長さは、約1mm〜約10cmであり得る。いくつかの態様において、内腔の長さは、約1mm〜約40cmであり得る。いくつかの態様において、内腔の長さは、約5mm、約7.5mm、約10mm、約12.5mm、約15mm、約17.5mm、約20mm、約22.5mm、約25mm、約27.5mm、約30mm、約32.5mm、約35mm、約37.5mm、約40mm、約42.5mm、約45mm、約47.5mmまたは約50mmであり得る。内腔の長さは、本明細書でシルクチューブの有効長とも称される。
「実質的に円形」が意味するものは、断面の最長 対 最短垂直軸の長さの比が約1.5以下であることである。実質的に円形は、対称軸を必要としない。いくつかの態様において、その断面の最長および最短の直径の長さの比は、約1.5以下、約1.45以下、約1.4以下、約1.35以下、約1.3以下、約1.25以下、約1.20以下、約1.15以下、約1.1以下である。実質的に円形の議論は、シルクチューブの全体断面およびシルクチューブの内腔の断面の両方に適用されることを理解されたい。
いくつかの態様において、シルクチューブは多孔質であり得、シルクチューブは少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%またはそれより高い多孔度を有し得る。高すぎる多孔度は、機械的特性が低いが治療剤をより速く放出するシルクチューブをもたらし得る。しかし、低すぎる多孔度は、治療剤の放出を低下させ得る。当業者は、いくつかの要因、例えば非限定的に、治療剤の所望の放出速度、分子サイズおよび/もしくは拡散係数ならびに/またはシルクチューブ内のシルクフィブロインの濃度および/もしくは量に基づき、多孔度を適宜調節することができる。本明細書で使用される場合、「多孔度」という用語は、物質内の空隙空間の尺度であり、0〜100%の間の百分率(または0〜1の間)の、全体容積に対する空隙容積の分数である。例えば、水銀ポロシメトリーおよび気体吸着、例えば窒素吸着などの標準化された技術を用いる多孔度の決定が、当業者に周知である。
多孔質シルクチューブは、任意の孔サイズを有し得る。本明細書で使用される場合、「孔サイズ」という用語は、孔の断面の直径または有効径を表す。「孔サイズ」という用語はまた、複数の孔の測定に基づく、孔の断面の平均径または平均有効径を表し得る。円形でない断面の有効径は、非円形断面の断面積と同じ断面積を有する円形断面の直径に等しい。いくつかの態様において、シルクチューブの孔は、約50nm〜約1000μm、約250nm〜約500μm、約500nm〜約250μm、約1μm〜約200μm、約10μm〜約150μmまたは約50μm〜約100μmの範囲のサイズ分布を有し得る。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、シルクフィブロインチューブを水和させたときに膨潤し得る。孔のサイズまたはメッシュサイズは、その際、シルクフィブロイン内の含水量に依存して変化し得る。孔は、流体、例えば水または空気で満たされ得る。
シルクマトリックス内に孔を形成するための方法は、例えば、ポロゲン(porogen)浸出法、フリーズドライ法および/または気体発生法が、当技術分野で公知である。そのような方法は、例えば、米国特許出願第US 2010/0279112号、同第US 2010/0279112号および同第US 7842780号に記載されており、それらの内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
理論によって拘束されることを意味するものではないが、シルクチューブの多孔度、構造および機械的特性は、異なる紡糸後プロセス、例えば熱処理、アルコール処理、風乾、凍結乾燥等を通じて制御され得る。加えて、治療剤の任意の望ましい放出速度、プロフィールまたはキネティクスは、処理パラメータ、例えばフィルム厚、シルクの分子量、シルクチューブ中のシルクの濃度、β-シート立体構造、シルクIIβ-シート結晶化度、または多孔度および孔サイズを変化させることによって制御され得る。
本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、調製後、従来的な滅菌プロセス、例えば照射ベースの滅菌(すなわち、ガンマ線)、化学物質ベースの滅菌(エチレンオキシド)、オートクレーブまたはその他の適切な手順を用いて滅菌され得る。いくつかの態様において、滅菌プロセスは、8時間以下の時間、約52℃〜約55℃の間の温度でのエチレンオキシドによるものであり得る。シルクベースの薬物送達はまた、無菌処理され得る。滅菌された薬物送達組成物は、輸送に適した滅菌耐湿性のパッケージで梱包され得る。
本明細書で使用される場合、「シルクフィブロイン」または「フィブロイン」という用語は、カイコシルクおよび昆虫またはクモシルクのタンパク質を含む。例えば、Lucas et al., Adv. Protein Chem. 1958, 13, 107-242を参照のこと。任意のタイプのシルクフィブロインが、本発明の局面にしたがい使用され得る。多くの異なるタイプのシルクが、アンセラエア・ミリタ(Antheraea mylitta);アンセラエア・ペルニイ(Antheraea pernyi);アンセラエア・ヤママイ(Antheraea yamamai);ガレリア・メロネラ(Galleria mellonella);ボンビクス・モリ(Bombyx mori);ボンビクス・マンダリナ(Bombyx mandarina);ガレリア・メロネラ;ネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes);ネフィラ・セネガレンシス(Nephila senegalensis);ガステラカンタ・マンモーサ(Gasteracantha mammosa);アルギオープ・オーランティア(Argiope aurantia);アラネウス・ジアデマタス(Araneus diadematus);ラトロデクタス・ジオメトリカス(Latrodectus geometricus);アラネウス・ビセンテナリウス(Araneus bicentenarius);テトラグナタ・ベルシカラー(Tetragnatha versicolor);アラネウス・ベントリコサス(Araneus ventricosus);ドロメデス・テネブロサス(Dolomedes tenebrosus);ユーアグラス・チソセウス(Euagrus chisoseus);プレクトレウリス・トリスティス(Plectreurys tristis);アルギオープ・トリファシアタ(Argiope trifasciata);およびネフィラ・マダガスカリエンシス(Nephila madagascariensis)を非限定的に含む幅広い様々な種によって産生される。他のシルクは、トランスジェニックシルク、遺伝子改変シルク(組み換えシルク)、例えば細菌、酵母、哺乳動物細胞、トランスジェニック動物またはトランスジェニック植物由来のシルク、およびそれらの変種を含む。例えば、両方の内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO 97/08315および米国特許第5,245,012号を参照のこと。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、他の供給源、例えばクモ、他のカイコ、ミツバチ、合成シルク様ペプチド、およびそれらの生物工学による変種から得ることができる。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、カイコまたはトランスジェニックカイコの腺から抽出することができる。例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2007/098951を参照のこと。
いくつかの態様において、組成物は、低分子量シルクフィブロインフラグメントを含む。すなわち、組成物は、以下の点を特徴とする分子量範囲を有するシルクフィブロインフラグメントの集団を含む:集団内のシルクフィブロインフラグメントの総重量の15%以下が200kDaを超える分子量を有し、集団内のシルクフィブロインフラグメントの総重量の少なくとも50%が指定範囲内の分子量を有し、ここで指定範囲は約3.5kDa〜約120kDaの間である。非限定的に、分子量は、ピーク平均分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)または重量平均分子量(Mw)であり得る。
本明細書で使用される場合、「シルクフィブロインフラグメント」という語句は、シルクフィブロインタンパク質由来のフラグメントに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその変種を表す。本開示との関係で、概して、シルクフィブロインフラグメントは、天然に存在する全長シルクフィブロイン対応物よりも小さいシルクフィブロインポリペプチドを表し、そのため集団または組成物内の1つまたは複数のシルクフィブロインフラグメントは300kDa未満、250kDa未満、200kDa未満、175kDa未満、150kDa未満、120kDa未満、100kDa未満、90kDa未満、80kDa未満、70kDa未満、60kDa未満、50kDa未満、40kDa未満、30kDa未満、25kDa未満、20kDa未満、15kDa未満、12kDa未満、10kDa未満、9kDa未満、8kDa未満、7kDa未満、6kDa未満、5kDa未満、4kDa未満、3.5kDa未満等である。いくつかの態様において、「シルクフィブロインフラグメントを含む組成物」は、シルクフィブロインポリペプチドのより短いフラグメントに加えて、断片化していない(すなわち、全長の)シルクフィブロインポリペプチドを含む組成物を包含する。本明細書に記載されるシルクフィブロインフラグメントは、組み換えタンパク質として製造され得るか、またはネイティブシルクフィブロインタンパク質もしくはシルク繭から取得もしくは単離(例えば、精製)され得る。いくつかの態様において、シルクフィブロインフラグメントは、所望の範囲の分子量を有するシルクフィブロインフラグメントが生じるように選択された指定条件下でシルク繭を脱ガム処理することによって取得され得る。低分子量シルクフィブロイン組成物は、2013年9月27日に出願された米国仮出願第61/883,732号に記載されており、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルクフィブロインは、そのネイティブのセリシン内容物が実質的に欠乏している(例えば、最終抽出シルク中に5%(w/w)またはそれ未満の残留セリシン)。あるいは、より高濃度の残留セリシンが、抽出後のシルクに残存し得るか、または抽出工程が省略され得る。いくつかの態様において、セリシン欠乏シルクフィブロインは、例えば、約1%(w/w)の残留セリシン、約2%(w/w)の残留セリシン、約3%(w/w)の残留セリシン、約4%(w/w)または約5%(w/w)の残留セリシンを有する。いくつかの態様において、セリシン欠乏シルクフィブロインは、例えば、最大1%(w/w)の残留セリシン、最大2%(w/w)の残留セリシン、最大3%(w/w)の残留セリシン、最大4%(w/w)または最大5%(w/w)の残留セリシンを有する。いくつかの態様において、セリシン欠乏シルクフィブロインは、例えば、約1%(w/w)〜約2%(w/w)の残留セリシン、約1%(w/w)〜約3%(w/w)の残留セリシン、約1%(w/w)〜約4%(w/w)または約1%(w/w)〜約5%(w/w)の残留セリシンを有する。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、そのネイティブのセリシン内容物を完全に含まない。本明細書で使用される場合、「完全に含まない」という用語(すなわち、「からなる」という専門用語)は、使用される機器またはプロセスの検出範囲内でその物質が検出できないまたはその存在が確認できないことを意味する。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、そのネイティブのセリシン内容物を本質的に含まない。本明細書で使用される場合、「本質的に含まない」(または「から本質的になる」)という用語は、その物質が微量しか検出できないことを意味する。
理論によって拘束されることを望むものではないが、本明細書に開示されるシルクベースの薬物送達組成物の特性は、シルクセリシンの制御された部分的除去または供給源シルクを意図的にセリシン豊富にすることを通して改変され得る。これは、シルク脱ガムプロセスの時間、温度、濃度等の条件を変更することによって達成され得る。
脱ガムシルクは、当業者に公知の任意の従来法によって調製され得る。例えば、B.モリの繭が、水溶液中で、約90分間まで、通常約10〜60分間煮沸される。1つの態様において、水溶液は、約0.02M Na2CO3である。繭は、例えば、セリシンタンパク質を抽出するために、水でリンスされる。脱ガムシルクは、乾燥されて、シルク粉末を調製するために使用され得る。あるいは、抽出されたシルクが、塩水溶液に溶解され得る。この目的で有用な塩は、臭化リチウム、チオシアン酸リチウム、硝酸カルシウム、またはシルクを可溶化させることができる他の化学物質を含む。いくつかの態様において、抽出されたシルクは、約8M〜12M LiBr溶液に溶解され得る。塩は最終的に、例えば透析を用いて除去される。
必要ならば、この溶液はその後、例えば、吸湿性ポリマー、例えばPEG、ポリエチレンオキシド、アミロースまたはセリシンに対する透析を用いて濃縮され得る。いくつかの態様において、PEGは、8,000〜10,000g/molの分子量のものであり、かつ約10%〜約50%(w/v)の濃度を有する。slide-a-lyzer透析カセット(Pierce、MW CO 3500)が使用され得る。しかし、任意の透析システムが使用され得る。透析は、シルク水溶液の終濃度を約10%〜約30%の間にするのに十分な期間行われ得る。ほとんどの例において、2〜12時間の透析で十分であり得る。例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、国際特許出願公開第WO 2005/012606号を参照のこと。濃縮されたシルク溶液を作製する別の方法は、(例えば、蒸発または凍結乾燥による)希薄シルク溶液の乾燥を含む。希薄溶液を部分的に乾燥して容積を減らし、それによってシルク濃度を高めることができる。希薄溶液を完全に乾燥させて、次いで乾燥したシルクフィブロインを希薄シルク溶液のそれと比較して少量の溶媒に溶解することができる。
いくつかの態様において、シルクフィブロイン溶液は、有機溶媒を用いて作製され得る。そのような方法は、例えば、Li, M., et al., J. Appl. Poly Sci. 2001, 79, 2192-2199; Min, S., et al. Sen'I Gakkaishi 1997, 54, 85-92; Nazarov, R. et al., Biomacromolecules 2004 5, 718-26に記載されており、それらすべての内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。シルク溶液を作製するために使用され得る例示的な有機溶媒は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を含むがこれに限定されない。例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる国際出願第WO2004/000915号を参照のこと。いくつかの態様において、シルク溶液は、有機溶媒、すなわち水以外の溶媒を完全に含まないかまたは本質的に含まない。
概して、任意の量のシルクフィブロインが、シルクチューブを形成するためまたはシルクチューブの末端を閉鎖するために使用される溶液中に存在し得る。例えば、溶液中のシルクフィブロインの量は、約0.1%(w/v)〜約90%(w/v)であり得る。いくつかの態様において、溶液中のシルクフィブロインの量は、約1%(w/v)〜約75%(w/v)、約1%(w/v)〜約70%(w/v)、約1%(w/v)〜約65%(w/v)、約1%(w/v)〜約60%(w/v)、約1%(w/v)〜約55%(w/v)、約1%(w/v)〜約50%(w/v)、約1%(w/v)〜約35%(w/v)、約1%(w/v)〜約30%(w/v)、約1%(w/v)〜約25%(w/v)、約1%(w/v)〜約20%(w/v)、約1%(w/v)〜約15%(w/v)、約1%(w/v)〜約10%(w/v)、約5%(w/v)〜約25%(w/v)、約5%(w/v)〜約20%(w/v)、約5%(w/v)〜約15%(w/v)であり得る。いくつかの態様において、溶液中のシルクフィブロインは、約25%(w/v)である。いくつかの態様において、溶液中のシルクフィブロインは、約0.5(w/v)〜約30%(w/v)、約4%(w/v)〜約16%(w/v)、約4%(w/v)〜約14%(w/v)、約4%(w/v)〜約12%(w/v)、約4%(w/v)〜約0%(w/v)、約6%(w/v)〜約8%(w/v)である。いくつかの態様において、シルクフィブロイン溶液は、約5%〜約40%、10%〜約40%または約15%〜約40%(w/v)のシルクフィブロイン濃度を有する。いくつかの態様において、シルクフィブロイン溶液は、約5%(w/v)、約7.5%(w/v)、約8%(w/v)、約10%(w/v)、約12.5%(w/v)、約15%(w/v)、約17.5%(w/v)、約20%(w/v)、約22.5%(w/v)、約25%(w/v)、約27.5%(w/v)、約30%(w/v)、約32.5%(w/v)、約35%(w/v)、約37.5%(w/v)、約40%(w/v)、約42.5%(w/v)、約45%(w/v)、約47.5%(w/v)または約50%(w/v)のシルクフィブロイン濃度を有する。シルク溶液中のシルクの正確な量は、既知量のシルク溶液を乾燥させて、その残留物の質量を測定してその溶液の濃度を計算することによって決定され得る。
概して、任意の量のシルクフィブロインが、本明細書に開示されるシルクベースの薬物送達組成物中に存在し得る。例えば、シルクベースの薬物送達組成物中のシルクフィブロインの量は、約1%(w/w)〜約90%(w/w)であり得る。いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインの量は、約0.1%(w/w)〜約75%(w/w)、約1%(w/w)〜約70%(w/w)、約1%(w/w)〜約65%(w/w)、約1%(w/w)〜約60%(w/w)、約1%(w/w)〜約55%(w/w)、約1%(w/w)〜約50%(w/w)、約1%(w/w)〜約45%(w/w)、約1%(w/w)〜約40%(w/w)、約1%(w/w)〜約35%(w/w)、約1%(w/w)〜約30%(w/w)、約1%(w/w)〜約25%(w/w)、約1%(w/w)〜約20%(w/w)、約1%(w/w)〜約15%(w/w)、約1%(w/w)〜約10%(w/w)、約5%(w/w)〜約25%(w/w)、約5%(w/w)〜約20%(w/w)、約5%(w/w)〜約15%(w/w)であり得る。いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインは、約25%(w/w)である。いくつかの態様において、組成物中のシルクは、約0.5(w/w)〜約30%(w/w)、約2%(w/w)〜約8%(w/w)、約2%(w/w)〜約7%(w/w)、約2%(w/w)〜約6%(w/w)、約2%(w/w)〜約5%(w/w)、約3%(w/w)〜約4%(w/w)である。
理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクチューブの調製に使用されるシルクの分子量またはシルクフィブロインの濃度は、シルクチューブの特性、例えば膨潤比、分解、薬物放出キネティクス等に対する影響を有し得る。
シルクチューブを作製するためのシルクフィブロインは、シルクチューブの異なる用途または所望の機械的特性もしくは化学的特性のために修飾され得る。当業者は、例えばシルクフィブロインの側鎖基、シルクフィブロインの所望の反応性および/またはシルクフィブロインにおける所望の電荷密度に応じて、シルクフィブロインを修飾する適当な方法を選択することができる。1つの態様において、シルクフィブロインの修飾は、アミノ酸側鎖化学、例えば共有結合を通じた化学修飾または電荷・電荷相互作用を通じた修飾を使用することができる。例示的な化学修飾法は、カルボジイミドカップリング反応(例えば、米国特許出願第US 2007/0212730号を参照のこと)、ジアゾニウムカップリング反応(例えば、米国特許出願第US 2009/0232963号を参照のこと)、アビジン・ビオチン相互作用(例えば、国際出願第WO 2011/011347号を参照のこと)およびPEGポリマーの化学的に活性なまたは活性化された誘導体を用いるペグ化(例えば、国際出願第WO 2010/057142号を参照のこと)を含むがこれらに限定されない。
シルクフィブロインはまた、シルクタンパク質の機能性を変更する遺伝子修飾を通じて修飾され得る(例えば、国際出願第WO 2011/006133号を参照のこと)。例えば、シルクフィブロインは、有機・無機複合材料を形成するために使用され得る繊維性タンパク質ドメインおよび無機化ドメインを含む融合ポリペプチドを含めるなどの、シルクのさらなる修飾を提供し得るように、遺伝的に修飾され得る。WO 2006/076711を参照のこと。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、タンパク質、例えば治療タンパク質と融合させるために遺伝的に修飾され得る。加えて、シルクマトリックスは、例えばマトリックスの柔軟性および/または溶解性に影響する化学物質、例えばグリセロールと組み合わされ得る。例えば、WO 2010/042798、Modified Silk films Containing Glycerolを参照のこと。
いくつかの態様において、シルクフィブロインは、正/負荷電ペプチドまたはポリペプチド、例えばポリリジンおよびポリグルタミン酸で修飾され得る。組成物中のあらゆる単一のシルクフィブロイン分子が正/負荷電分子で修飾されることは、可能ではあるが、必要ではない。シルクフィブロインを荷電分子で誘導体化または修飾する方法は、例えば、2011年3月4日に出願されたPCT出願第PCT/US2011/027153号に記載されており、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
修飾されたシルクフィブロイン 対 未修飾のシルクフィブロインの比は、組成物の1つまたは複数の所望の特性、例えば薬物放出速度またはキネティクス、分解速度等を最適化するように調節され得る。したがって、いくつかの態様において、組成物中の修飾 対 未修飾シルクフィブロインの比は、約1000:1(w/w)〜約1:1000(w/w)、約500:1(w/w)〜約1:500(w/w)、約250:1(w/w)〜約1:250(w/w)、約200:1(w/w)〜約1:200(w/w)、約25:1(w/w)〜約1:25(w/w)、約20:1(w/w)〜約1:20(w/w)、約10:1(w/w)〜約1:10(w/w)または約5:1(w/w)〜約1:5(w/w)の範囲であり得る。
いくつかの態様において、組成物は、例えば少なくとも1000:1、少なくとも900:1、少なくとも800:1、少なくとも700:1、少なくとも600:1、少なくとも500:1、少なくとも400:1、少なくとも300:1、少なくとも200:1、少なくとも100:1、少なくとも90:1、少なくとも80:1、少なくとも70:1、少なくとも60:1、少なくとも50:1、少なくとも40:1、少なくとも30:1、少なくとも20:1、少なくとも10:1、少なくとも7:1、少なくとも5:1、少なくとも3:1、少なくとも1:1、少なくとも1:3、少なくとも1:5、少なくとも1:7、少なくとも1:10、少なくとも1:20、少なくとも1:30、少なくとも1:40、少なくとも1:50、少なくとも1:60、少なくとも1:70、少なくとも1:80、少なくとも1:90、少なくとも1:100、少なくとも1:200、少なくとも1:300、少なくとも1:400、少なくとも1:500、少なくとも600、少なくとも1:700、少なくとも1:800、少なくとも1:900または少なくとも1:100の修飾 対 未修飾シルクフィブロインのモル比を有する。
いくつかの態様において、組成物は、例えば最大1000:1、最大900:1、最大800:1、最大700:1、最大600:1、最大500:1、最大400:1、最大300:1、最大200:1、100:1、最大90:1、最大80:1、最大70:1、最大60:1、最大50:1、最大40:1、最大30:1、最大20:1、最大10:1、最大7:1、最大5:1、最大3:1、最大1:1、最大1:3、最大1:5、最大1:7、最大1:10、最大1:20、最大1:30、最大1:40、最大1:50、最大1:60、最大1:70、最大1:80、最大1:90、最大1:100、最大1:200、最大1:300、最大1:400、最大1:500、最大1:600、最大1:700、最大1:800、最大1:900または最大1:1000の修飾 対 未修飾シルクフィブロインのモル比を有する。
いくつかの態様において、組成物は、例えば約1000:1〜約1:1000、約900:1〜約1:900、約800:1〜約1:800、約700:1〜約1:700、約600:1〜約1:600、約500:1〜約1:500、約400:1〜約1:400、約300:1〜約1:300、約200:1〜約1:200、約100:1〜約1:100、約90:1〜約1:90、約80:1〜約1:80、約70:1〜約1:70、約60:1〜約1:60、約50:1〜約1:50、約40:1〜約1:40、約30:1〜約1:30、約20:1〜約1:20、約10:1〜約1:10、約7:1〜約1:7、約5:1〜約1:5、約3:1〜約1:3、または約1:1の修飾 対 未修飾シルクフィブロインのモル比を有する。
任意で、シルクチューブ内のシルクフィブロインの立体構造はさらに、シルクチューブの形成後に変更され得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、誘導された立体構造変化は、チューブ内のシルクフィブロインの結晶化度を、例えばシルクIIβ-シート結晶化度を変更する。これは、シルクフィブロインチューブからの治療剤の放出速度を変更し得る。立体構造変化は、アルコール浸漬(例えば、エタノール、メタノール)、水中アニーリング、せん断応力、超音波(例えば、音波処理による)、pH低下(例えば、pH滴定および/または電界への曝露)ならびにそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意の方法によって誘導され得る。例えば、立体構造変化は、制御された遅乾(Lu et al., Biomacromolecules 2009, 10, 1032);水中アニーリング(Jin et al., 15 Adv. Funct. Mats. 2005, 15, 1241; Hu et al., Biomacromolecules 2011, 12, 1686);ストレッチング(Demura & Asakura, Biotech & Bioengin. 1989, 33, 598);圧縮;メタノール(Hofmann et al., J Control Release. 2006, 111, 219)、エタノール(Miyairi et al., J. Fermen. Tech. 1978, 56, 303)、グルタルアルデヒド(Acharya et al., Biotechnol J. 2008, 3, 226)および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Bayraktar et al., Eur J Pharm Biopharm. 2005, 60, 373)を含む溶媒浸漬;pH調節、例えばpH滴定および/または電界への曝露(例えば、米国特許出願第US2011/0171239号を参照のこと);熱処理;せん断応力(例えば、国際出願第WO2011/005381号を参照のこと)、超音波、例えば音波処理(例えば、米国特許出願公開第U.S.2010/0178304号および国際出願第WO2008/150861号を参照のこと);ならびにそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の方法によって誘導され得る。上記の参考文献のすべての内容の全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルクフィブロインの立体構造は、水中アニーリングによって変更され得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、物理的温度制御式水蒸気アニーリング(TCWVA)は、シルクバイオ材料の分子構造の精密な制御を行うための簡単かつ効果的な方法を提供する。シルク材料は、4℃の条件を用いる低含量(αヘリックス優位のシルクI構造)から100℃での約60%結晶化度の高含量(β-シート優位のシルクII構造)までの結晶化度の制御を行いながら調製され得る。この物理的アプローチは、シルク材料の製造中の結晶化を支配することが以前に報告されている構造の範囲を網羅し、さらに、再現性が厳密に管理されるより簡単で環境に優しい化学的アプローチを提供する。温度制御式水蒸気アニーリングは、例えば、Hu et al., Biomacromolecules, 2011, 12, 1686-1696に記載されており、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルクフィブロインの立体構造の変更は、アルコール、例えばメタノール、エタノール等に浸漬することによって誘導され得る。アルコール濃度は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%であり得る。いくつかの態様において、アルコール濃度は100%である。立体構造の変更が溶媒への浸漬による場合、シルク組成物は、浸漬に使用された残留溶媒を除去するために、例えば溶媒/水勾配を用いて洗浄され得る。洗浄は、1回、例えば1回、2回、3回、4回、5回またはそれ以上の回数繰り返され得る。
あるいは、シルクフィブロインの立体構造の変更は、せん断応力を用いて誘導され得る。せん断応力は、例えば、シルク組成物を針に通すことによって適用され得る。立体構造変化を誘導する他の方法は、電界の適用、圧力の適用または塩濃度の変化を含む。
立体構造変化を誘導するための処理時間は、所望のシルクII(β-シート結晶化度)含量を提供するための任意の期間であり得る。いくつかの態様において、処理時間は、約1時間〜約12時間、約1時間〜約6時間、約1時間〜約5時間、約1時間〜約4時間または約1時間〜約3時間の範囲であり得る。いくつかの態様において、焼結時間は、約2時間〜約4時間または2.5時間〜約3.5時間の範囲であり得る。
立体構造変化の誘導が溶媒浸漬による場合、処理時間は、数分間〜数時間の範囲であり得る。例えば、溶媒への浸漬は、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも3時間、少なくとも約6時間、少なくとも約18時間、少なくとも約12時間、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間または少なくとも約14日間の期間であり得る。いくつかの態様において、溶媒への浸漬は、約12時間〜約7日間、約1日間〜約6日間、約2〜約5日間または約3〜約4日間の期間であり得る。
立体構造変化を誘導する処理の後、シルクフィブロインは、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約95%であるが、100%(すなわち、すべてのシルクがシルクIIβ-シート構造で存在する)でない、シルクIIβ-シート結晶化度含量を有し得る。いくつかの態様において、シルクは、完全にシルクIIβ-シート立体構造で存在する、すなわち100%のシルクIIβ-シート結晶化度である。
いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインは、β-ターンおよびβ-ストランド領域を実質的に含むタンパク質構造を有する。理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクβシート含量は、組成物の機能およびインビボ寿命に影響し得る。非βシート体を含む組成物(例えば、e-ゲル(e-gel))も使用され得ることを理解されたい。これらの態様の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約10%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約20%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様の他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、少なくとも10%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも20%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または少なくとも95%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様のさらに他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約10%〜約30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約20%〜約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%〜約50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%〜約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%〜約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約80%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約10%〜約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%〜約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または約50%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。いくつかの態様において、10%未満〜約55%のシルクβシート含量が、シルクベースの薬物送達組成物において使用され得る。
いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインは、α-ヘリックスおよびランダムコイル領域を実質的に含まないタンパク質構造を有する。これらの態様の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約5%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約45%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または約50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様の他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、最大5%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大45%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または最大50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様のさらに他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約5%〜約10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%〜約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%〜約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または約15%〜約35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。
いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインは、β-ターンおよびβ-ストランド領域を実質的に含むタンパク質構造を有する。これらの態様の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約10%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約20%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様の他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、少なくとも10%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも20%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または少なくとも95%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様のさらに他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約10%〜約30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約20%〜約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%〜約50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%〜約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%〜約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約80%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約10%〜約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%〜約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または約50%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。
いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインは、α-ヘリックスおよびランダムコイル領域を実質的に含まないタンパク質構造を有する。これらの態様の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約5%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約45%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または約50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様の他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、最大5%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大45%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または最大50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様のさらに他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約5%〜約10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%〜約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%〜約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または約15%〜約35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。
いくつかの態様において、シルクフィブロイン溶液は、1種または複数種(例えば、1種、2種、3種、4種、5種またはそれ以上)の添加物を含み得る。非限定的に、薬物送達組成物の調製に使用されるシルクフィブロイン溶液における1種または複数種の添加物の存在は、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物、例えばシルクチューブからの治療剤の放出キネティクスを変更し得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクベースの薬物送達組成物における添加物の存在は、組成物からの治療剤の放出を調節する拡散障壁を提供し得る。添加物は、シルクチューブ中のシルクフィブロインに共有結合または非共有結合により連結され得、シルクチューブの壁内に均一にまたは不均一に組み込まれ得る。いくつかの態様において、添加物は、シルクチューブの表面上にコーティングされ得る。
添加物は、有機または無機低分子;サッカリン;オリゴ糖;多糖;生体高分子、例えばペプチド、タンパク質、ならびにペプチド類似体および誘導体;ペプチド模倣体;抗体およびその抗原結合フラグメント;核酸;核酸類似体および誘導体;グリコーゲンまたはその他の糖;免疫原;抗原;細菌、植物、真菌または動物細胞等の生体物質から得られる抽出物;動物組織;天然に存在するまたは合成性の組成物;ならびにそれらの任意の組み合わせから選択され得る。溶液中の添加物の総量は、溶液中の総シルクフィブロインの約0.1wt%〜約70wt%、約5wt%〜約60wt%、約10wt%〜約50wt%、約15wt%〜約45wt%または約20wt%〜約40wt%であり得る。
いくつかの態様において、添加物は、生体適合性ポリマーである。例示的な生体適合性ポリマーには、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド-コ-グリコリド(PLGA)、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリカプロラクトン、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ケラチン、ポリアスパラギン酸、アルギネート、キトサン、キチン、ヒアルロン酸、ペクチン、ポリヒドロキシアルカノエート、デキストラン、およびポリ無水物、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、トリブロックコポリマー、ポリリジン、アルギネート、ポリアスパラギン酸、それらの任意の誘導体ならびにそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。本開示にしたがう使用に適した他の例示的な生体適合性ポリマーは、例えば、米国特許第6,302,848号;同第6,395,734号;同第6,127,143号;同第5,263,992号;同第6,379,690号;同第5,015,476号;同第4,806,355号;同第6,372,244号;同第6,310,188号;同第5,093,489号;同第US387,413号;同第6,325,810号;同第6,337,198号;同第US6,267,776号;同第5,576,881号;同第6,245,537号;同第5,902,800号;および同第5,270,419号に記載されているものを含み、それらすべての内容が参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、生体適合性ポリマーは、PEGまたはPEOである。本明細書で使用される場合、「ポリエチレングリコール」または「PEG」という用語は、約20〜約2000000個の連結されたモノマー、典型的には約50〜1000個の連結されたモノマー、通常約100〜300個を含むエチレングリコールポリマーを意味する。PEGは、その分子量に応じて、ポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)としても公知である。一般にPEG、PEOおよびPOEは化学的に同義であるが、歴史的にPEGは20,000g/molを下回る分子量を有するオリゴマーおよびポリマーを表し、PEOは20,000g/molを上回る分子量を有するポリマーを表し、POEは任意の分子量のポリマーを表す傾向がある。PEGおよびPEOは、それらの分子量に依存して、液体または低融点の固体である。PEGは、エチレンオキシドの重合によって調製され、300g/mol〜10,000,000g/molの幅広い範囲の分子量で市販されている。異なる分子量を有するPEGおよびPEOは異なる用途で有用でありかつ鎖長効果により異なる物理的特性(例えば、粘性)を有するが、それらの化学的特性はほぼ同一である。異なる形態のPEGも、重合プロセスに使用される開始剤に応じて入手可能であり、最も一般的な開始剤はmPEGと省略される単官能性のメチルエーテルPEGまたはメトキシポリ(エチレングリコール)である。低分子量PEGはまた、単分散、均一と称される純オリゴマー(purer oligomer)としても入手可能であり、または異なる形状を有する個別のPEGも入手可能である。
本明細書で使用される場合、PEGという用語は、内包的なものであって排他的でないことが意図されている。PEGという用語は、アルコキシPEG、二官能性PEG、多アーム型PEG、フォーク型PEG、分岐型PEG、ペンダント型PEG(すなわち、ポリマー骨格につり下げられている1つもしくは複数の官能基を有するPEGもしくは関連ポリマー)、または中に分解性の連結を有するPEGを含む、任意の形態のポリ(エチレングリコール)を含む。さらに、PEG骨格は、直鎖状または分岐状であり得る。分岐型ポリマー骨格は、一般に当技術分野で公知である。典型的に、分岐型ポリマーは、中心分枝コア部分および中心分枝コアに連結された複数の線状ポリマー鎖を有する。PEGは、一般に、様々なポリオール、例えばグリセロール、ペンタエリスリトールおよびソルビトールへの、エチレンオキシドの付加によって調製され得る分岐形態で使用される。中心分枝部分はまた、いくつかのアミノ酸、例えばリジン由来であり得る。分岐型ポリ(エチレングリコール)は、R(-PEG-OH)mの一般式で表され得、式中、Rはコア部分、例えばグリセロールまたはペンタエリスリトールを表し、mはアーム数を表す。多アーム型PEG分子、例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,932,462号に記載されるものも生体適合性ポリマーとして使用され得る。
いくつかの例示的なPEGには、PEG20、PEG30、PEG40、PEG60、PEG80、PEG100、PEG115、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG2000、PEG3350、PEG4000、PEG4600、PEG5000、PEG6000、PEG8000、PEG11000、PEG12000、PEG15000、PEG20000、PEG250000、PEG500000、PEG100000、PEG2000000等が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの態様において、PEGは、MW 10,000ダルトンのものである。いくつかの態様において、PEGは、MW 100,000のもの、すなわち、MW 100,000のPEOである。
いくつかの態様において、生体適合性ポリマーは、ペプチド、オリゴペプチドまたはタンパク質である。いくつかの態様において、生体適合性ポリマーは、アルブミンである。アルブミンは、血清中で見出される単純なタンパク質であり、約66,000ダルトンの分子量を有する。アルブミンは、肝臓で生成され、最も豊富な血漿タンパク質である。アルブミンポリペプチドは、適切なコロイド浸透圧を維持することによる血液量の調節に重要である。ヒト血清アルブミンは、585アミノ酸残基のモノマーであり、3つの相同なa-ヘリックスドメイン:ドメインI、ドメインIIおよびドメインIIIを含む。各ドメインは、10個のヘリックスを含み、逆平行の6ヘリックスおよび4ヘリックスサブドメインに分類される。欠失研究により、FcRnへの結合にはドメインIII単独で十分であることが示唆されている(Chaudhury et al., Biochemistry 2006, 45:4983-4990)。FcRnに結合せず低い血清レベルを有する切断型ヒトアルブミンが同定されている(Andersen et al., Clin Biochem., 2010, 43(45):367-72. Epub 2009 Dec.16)。
アルブミンは、脂溶性ホルモン、胆汁塩、未抱合ビリルビン、脂肪酸、カルシウム、イオン、トランスフェリン、ヘミンおよびトリプトファンを含む幅広い様々な低分子に結合しそれらを運搬することが公知である。アルブミンはまた、ワルファリン、フェノブタゾン(phenobutazone)、クロフィブラートおよびフェニトイン等の様々な薬物に結合し、その結合は薬物の薬物動態特性を変更し得る。
アルブミンは、天然に存在するアルブミン、アルブミン関連タンパク質またはその変種、例えば天然変種または人工変種、であり得る。変種は、多型、フラグメント、例えばドメインおよびサブドメイン、フラグメントならびに/または融合タンパク質を含む。アルブミンは、任意の供給源から得られるアルブミンタンパク質の配列を含み得る。典型的に、供給源は、哺乳動物、例えばヒトまたはウシである。いくつかの態様において、1つの血清アルブミンは、ヒト血清アルブミン(「HSA」)である。「ヒト血清アルブミン」という用語は、ヒトに天然に存在するアミノ酸配列を有する血清アルブミンおよびその変種を含む。HSAコード配列は、ヒト遺伝子に対応するcDNAを単離する公知の方法によって入手することができ、ならびに、例えばEP 0 073 646およびEP 0 286 424にも開示されており、その両方の内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。フラグメントまたは変種は、機能性または非機能性であり得る。例えば、フラグメントまたは変種は、アルブミン受容体、例えばFcRnに結合する能力を、その親アルブミン(該フラグメントまたは変種の起源であるアルブミン)の受容体結合能力の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%まで保持し得る。相対的な結合能力は、当技術分野で公知の方法、例えば表面プラズモン共鳴研究によって決定され得る。
アルブミンは、ヒトアルブミンまたはヒトアルブミン類似体の天然に存在する多型変種であり得る。一般に、ヒトアルブミンの変種またはフラグメントは、モル対モルで、ヒトアルブミンのリガンド結合活性(例えば、FcRN結合性)の少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%(好ましくは、少なくとも80%、90%、95%、100%、105%またはそれ以上)を有するであろう。
アルブミンは、ウシ血清アルブミンの配列を含み得る。「ウシ血清アルブミン」という用語は、例えばSwissprotアクセッション番号P02769から得られる、ウシに天然に存在するアミノ酸配列を有する血清アルブミン、および本明細書で定義されるようなそれらの変種を含む。「ウシ血清アルブミン」という用語はまた、本明細書で定義されるように、全長ウシ血清アルブミンまたはその変種のフラグメントも含む。
いくつかのタンパク質が、アルブミンファミリー内に存在することが公知である。したがって、アルブミンは、アフリカツメガエル(例えば、Swissprotアクセッション番号P08759-1を参照のこと)、ウシ(例えば、Swissprotアクセッション番号P02769-1を参照のこと)、ネコ(例えば、Swissprotアクセッション番号P49064-1を参照のこと)、ニワトリ(例えば、Swissprotアクセッション番号P19121-1を参照のこと)、ニワトリオボアルブミン(例えば、Swissprotアクセッション番号P01012-1を参照のこと)、コブラALB(例えば、Swissprotアクセッション番号Q91134-1を参照のこと)、イヌ(例えば、Swissprotアクセッション番号P49822-1を参照のこと)、ロバ(例えば、Swissprotアクセッション番号QSXLE4-1を参照のこと)、ヨーロッパミズガエル(European water frog)(例えば、Swissprotアクセッション番号Q9YGH6-1を参照のこと)、住血吸虫(例えば、Swissprotアクセッション番号AAL08579およびQ95VB7-1を参照のこと)、スナネズミ(例えば、Swissprotアクセッション番号O35090-1およびJC5838を参照のこと)、ヤギ(例えば、Swissprotアクセッション番号B3VHM9-1を参照のこと、Sigmaから製品番号A2514またはA4164として入手可能)、モルモット(例えば、Swissprotアクセッション番号Q6WDN9-1を参照のこと)、ハムスター(DeMarco et al. (2007). International Journal for Parasitology 37(11): 1201-1208を参照のこと)、ウマ(例えば、Swissprotアクセッション番号P35747-1を参照のこと)、ヒト(例えば、Swissprotアクセッション番号P02768-1を参照のこと)、オーストラリアハイギョ(例えば、Swissprotアクセッション番号P83517を参照のこと)、マカク(アカゲザル)(例えば、Swissprotアクセッション番号Q28522-1を参照のこと)、マウス(例えば、Swissprotアクセッション番号P07724-1を参照のこと)、北アメリカウシガエル(例えば、Swissprotアクセッション番号P21847-1を参照のこと)、ブタ(例えば、Swissprotアクセッション番号P08835-1を参照のこと)、ハト(例えば、Khan et al, 2002, 1112. J. Biol. Macromol, 30(3-4), 171-8によって定義される)、ウサギ(例えば、Swissprotアクセッション番号P490 65-1を参照のこと)、ラット(例えば、Swissprotアクセッション番号P02770-1を参照のこと)、サンショウウオ(例えば、Swissprotアクセッション番号Q8UW05-1を参照のこと)、サケALB1(例えば、Swissprotアクセッション番号P21848-1を参照のこと)、サケALB2(例えば、Swissprotアクセッション番号Q03156-1を参照のこと)、ウミヤツメ(例えば、Swissprotアクセッション番号Q91274-1およびO42279-1を参照のこと)、ヒツジ(例えば、Swissprotアクセッション番号P14639-1を参照のこと)、スマトラオランウータン(例えば、Swissprotアクセッション番号Q5NVH5-1を参照のこと)、ムカシトカゲ(例えば、Swissprotアクセッション番号Q8JIA9-1を参照のこと)、シチメンチョウオボアルブミン(例えば、Swissprotアクセッション番号O73860-1を参照のこと)、ニシツメガエル(Western clawed frog)(例えば、Swissprotアクセッション番号Q6D.I95-1を参照のこと)由来の血清アルブミンの1つから得られるアルブミンの配列を含み得、ならびに本明細書で定義されるようなそれらの変種およびフラグメントを含む。
多くの天然に存在する変異形態のアルブミンが公知である。多くは、その内容が参照により本明細書に組み入れられるPeters, (1996, All About Albumin: Biochemistry, Genetics and Medical Applications, Academic Press, Inc., San Diego, California, p.170-181)に記載されている。本明細書で定義されるような変種は、これらの天然に存在する変異体、例えばその内容の全体が参照により本明細書に組み入れられるMinchiotti et al., Hum Mutat 2008, 29(8): 1007-16に記載されるもののうちの1つであり得る。
「変種アルブミン」は、そのような変化によって少なくとも1つの基本的特性、例えば結合活性(活性のタイプおよび特異的活性、例えば、ビリルビン、または長鎖脂肪酸、例えばオレイン酸(C18:1)、パルミチン酸(C16:0)、リノール酸(C18:2)、ステアリン酸(C18:0)、アラキドン酸(C20:4)および/またはパルミトレイン酸(C16:1)などの脂肪酸に対する結合)、モル浸透圧濃度(膠質浸透圧、コロイド浸透圧)、特定pH範囲での挙動(pH安定性)が有意に変化していないアルブミンタンパク質が生成される限り、1つまたは複数の位置で保存的または非保存的なアミノ酸挿入、欠失または置換がなされたアルブミンタンパク質を表す。この文脈で、「有意に」とは、その変種の特性が、元のタンパク質、例えばその変種の起源であるタンパク質の特性に対して、明白ではないであろうがそれでも異なり得ると当業者が言うであろうことを意味する。そのような特徴は、本発明において付加的な選択基準として使用され得る。
アルブミンという用語はまた、上で定義された1つまたは複数のアルブミンに特有の結合部位に類似する1つまたは複数の結合部位を有するアルブミン変種、例えば遺伝子操作された形態、変異形態およびフラグメント等を包含する。本発明の文脈で、類似の結合部位によって、1つのおよび同一のリガンド構造に対する結合に関して互いに競合することができる構造が企図される。
いくつかの態様において、アルブミンは、血清もしくは血漿から抽出されたヒト血清アルブミン、またはトランスジェニック動物もしくは植物を用いて生成される組み換えヒトアルブミン(rHA)を含む、ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列をコードするヌクレオチドコード配列で生物を形質転換またはトランスフェクトすることによって生成されるrHAであり得る。1つの態様において、アルブミンは、ウシ血清アルブミンであり、それらの変種およびフラグメントを含む。
本開示と共に使用するのに適した他の添加物は、生物学的または薬学的に活性な化合物を含む。生物学的に活性な化合物の例には、細胞接着媒介物質、例えばコラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、もしくは公知のインテグリン結合ドメイン、例えば「RGD」インテグリン結合配列を含むペプチド、または細胞接着に影響することが公知のそれらの変形物(Schaffner P & Dard, Cell Mol Life Sci. 2003, 60(1):119-32; Hersel U. et al. Biomaterials 2003, 24(24):4385-415);生物学的に活性なリガンド;および特定種の細胞または組織の内方成長を増強または排除する物質が含まれるがこれらに限定されない。増殖または分化を増強する添加剤の他の例には、骨誘導物質、例えば骨形態形成タンパク質(BMP);サイトカイン、成長因子、例えば上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF-IおよびII)TGF-β1等が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの態様において、フィルム紡糸されたシルクチューブを製造するためまたはその末端をコーティングするためのシルクフィブロン溶液は、1種または複数種の治療剤を含む。シルクフィブロイン溶液中の治療剤は、シルクチューブの内腔中に存在するものと同一であるかまたは異なり得る。
概して、任意の治療剤が、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物中にカプセル化され得る。本明細書で使用される場合、「治療剤」という用語は、診断、治療、予防医療または獣医学的目的で生物に投与される分子、分子群、複合体または物質を意味する。本明細書で使用される場合、「治療剤」という用語は、「薬物」または「ワクチン」を含む。この用語は、臨床的および獣医学的スクリーニング、予防(prevention)、予防(prophylaxis)、治癒、健康、検出、画像化、診断、治療、手術、モニタリング、化粧品、人工装具、科学捜査等において有用な調製物を含む、外的および内的に投与される、局所的、限局的および全身的なヒトおよび動物の医薬、処置薬、治療薬、栄養補助品、薬用化粧品、生物学的物質、デバイス、診断剤および避妊薬を含む。この用語はまた、細胞受容体、膜受容体、ホルモン受容体、治療受容体、微生物、ウイルス、または植物、動物および/もしくはヒトを含むもしくはそれらと接触することができる選択された標的を認識することができる、選択された分子または選択された核酸配列を含む、農薬(agriceutical)、作業場、軍隊、工業的および環境的療法または治療薬に関連して使用され得る。この用語はまた、具体的に、治療効果を生ずる核酸および核酸を含む化合物、例えば、例えばDNAナノプレックス(nanoplex)、siRNA、shRNA、アプタマー、リボザイム、デコイ核酸、アンチセンス核酸、RNAアクチベーター等を含む、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)またはそれらの混合物もしくは組み合わせを含む。
「治療剤」という用語はまた、それを適用された生物学的系において限局的または全身的な生物学的、生理学的または治療的効果を提供することができる薬剤を含む。例えば、治療剤は、他の機能の中でも、感染または炎症を制御する、細胞成長および組織再生を増強する、腫瘍成長を制御する、鎮痛剤として作用する、抗細胞接着を促進するならびに骨成長を増強するよう作用し得る。他の適切な治療剤には、抗ウイルス剤、ホルモン、抗体または治療タンパク質が含まれ得る。他の治療剤には、投与されるときには生物学的に活性でないが対象への投与により代謝またはいくつかの他のメカニズムを通じて生物学的に活性な薬剤に変換される薬剤であるプロドラッグが含まれる。加えて、シルクベースの薬物送達組成物は、2つまたはそれ以上の治療剤の組み合わせを含み得る。
治療剤は、化学的化合物および化学的化合物の混合物、例えば有機または無機低分子;サッカリン;オリゴ糖;多糖;生体高分子、例えばペプチド、タンパク質、ならびにペプチド類似体および誘導体;ペプチド模倣体;抗体およびその抗原結合フラグメント;核酸;核酸類似体および誘導体;細菌、植物、真菌または動物細胞等の生体物質から得られる抽出物;動物組織;天然に存在するまたは合成性の組成物;ならびにそれらの任意の組み合わせを含む幅広い様々な異なる化合物を含み得る。いくつかの態様において、治療剤は、低分子である。
本明細書で使用される場合、「低分子」という用語は「天然産物様」である化合物を表し得るが、この「低分子」という用語は「天然産物様」化合物に限定されない。むしろ、低分子は、典型的に、数個の炭素・炭素結合を含み、かつ5000ダルトン(5kDa)未満、好ましくは3kDa未満、さらにより好ましくは2kDa未満、および最も好ましくは1kDa未満の分子量を有する点を特徴とする。いくつかの例において、低分子は、700ダルトン以下の分子量を有するのが好ましい。
例示的な治療剤には、Harrison's Principles of Internal Medicine, 13th Edition, Eds. T.R. Harrison et al. McGraw-Hill N.Y., NY; Physicians' Desk Reference, 50th Edition, 1997, Oradell New Jersey, Medical Economics Co.; Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Edition, Goodman and Gilman, 1990; United States Pharmacopeia, The National Formulary, USP XII NF XVII, 1990に見出されるものが含まれるがこれらに限定されず、そのすべての完全な内容が参照により本明細書に組み入れられる。
治療剤は、本明細書に開示されるカテゴリーおよび具体例を含む。カテゴリーはその具体例によって限定されることは意図されていない。当業者はまた、そのカテゴリーに含まれかつ本開示にしたがい有用である多数の他の化合物を認識するであろう。例には、放射線増感剤、ステロイド、キサンチン、β2アゴニスト気管支拡張剤、抗炎症剤、鎮痛剤、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β遮断剤、中枢作用性αアゴニスト、α1アンタゴニスト、抗コリン作用性/抗けいれん剤、バソプレシン類似体、抗不整脈剤、抗パーキンソン病剤、抗狭心症/抗高血圧剤、抗凝固剤、抗血小板剤、鎮静剤、抗不安剤(ansiolytic agent)、ペプチド剤、生体高分子剤、抗新生物剤、緩下剤、止痢剤、抗微生物剤、抗真菌剤、ワクチン、タンパク質または核酸が含まれる。さらなる局面において、薬学的に活性な薬剤は、クマリン、アルブミン、ステロイド、例えばベタメタゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、ヒドロコルチゾンおよび薬学的に許容されるヒドロコルチゾン誘導体;キンサンチン、例えばテオフィリンおよびドキソフィリン;β2アゴニスト気管支拡張剤、例えばサルブタモール、フェンテロール(fenterol)、クレンブテロール、バンブテロール、サルメテロール、フェノテロール;抗ぜんそく抗炎症剤、抗関節炎抗炎症剤、ならびにスルフィド、メサラミン、ブデソニド、サラゾピリン、ジクロフェナク、薬学的に許容されるジクロフェナク塩、ニメスリド、ナプロキセン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェンおよびピロキシカムがその例に含まれるがこれらに限定されない非ステロイド性抗炎症剤を含む、抗炎症剤;鎮痛剤、例えばサリチレート;カルシウムチャネル遮断剤、例えばニフェジピン、アムロジピンおよびニカルジピン;アンジオテンシン変換酵素阻害剤、例えばカプトプリル、塩酸ベナゼプリル、ホシノプリルナトリウム、トランドラプリル、ラミプリル、リシノプリル、エナラプリル、塩酸キナプリルおよび塩酸モエキシプリル;β遮断剤(すなわち、βアドレナリン作用性遮断剤)、例えば塩酸ソタロール、マレイン酸チモロール、塩酸エスモロール、カルテオロール、塩酸プロパノロール、塩酸ベタキソロール、硫酸ペンブトロール、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、塩酸アセブトロール、アテノロール、ピンドロールおよびフマル酸ビソプロロール;中枢作用性α2アゴニスト、例えばクロニジン;α1アンタゴニスト、例えばドキサゾシンおよびプラゾシン;抗コリン作用性/抗けいれん剤、例えば塩酸ジサイクロミン、臭化水素酸スコポラミン、グリコピロレート、臭化クリジニウム、フラボキセートおよびオキシブチニン;バソプレシン類似体、例えばバソプレシンおよびデスモプレシン;抗不整脈剤、例えばキニジン、リドカイン、塩酸トカイニド、塩酸メキシレチン、ジゴキシン、塩酸ベラパミル、塩酸プロパフェノン、酢酸フレカイニド、塩酸プロカインアミド、塩酸モリシジンおよびリン酸ジソピラミド;抗パーキンソン病剤、例えばドパミン、Lドパ/カルビドパ、セレギリン、ジヒドロエルゴクリプチン、ペルゴリド、リスリド、アポモルヒネおよびブロモクリプチン;抗狭心症剤および抗高血圧剤、例えば一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、プロプラノロール、アテノロールおよびベラパミル;抗凝固剤および抗血小板剤、例えばクマジン、ワルファリン、アセチルサリチル酸およびチクロピジン;鎮静剤、例えばベンゾジアザピン(benzodiazapine)およびバルビツレート;抗不安剤、例えばロラゼパム、ブロマゼパムおよびジアゼパム;ペプチド剤および生体高分子剤、例えばカルシトニン、ロイプロリドおよびその他のLHRHアゴニスト、ヒルジン、シクロスポリン、インスリン、ソマトスタチン、プロチレリン、インターフェロン、デスモプレシン、ソマトトロピン、チモペンチン、ピドチモド、エリスロポエチン、インターロイキン、メラトニン、顆粒球/マクロファージ-CSFおよびヘパリン;抗新生物剤、例えばエトポシド、リン酸エトポシド、シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シスプラチン、ヒドロキシウレア、ロイコボリンカルシウム、タモキシフェン、フルタミド、アスパラギナーゼ、アルトレタミン、ミトタンおよび塩酸プロカルバジン;緩下剤、例えばセンナ濃縮物(senna concentrate)、カサンスラノール、ビサコジルおよびピコスルファートナトリウム;止痢剤、例えば、塩酸ジフェノキシン、塩酸ロペラミド、フラゾリドン、塩酸ジフェノキシラートおよび微生物;ワクチン、例えば細菌およびウイルスワクチン;抗微生物剤、例えばペニシリン、セファロスポリンおよびマクロライド、抗真菌剤、例えばイミダゾール誘導体およびトリアゾール誘導体;ならびに核酸、例えば生物学的タンパク質をコードするDNA配列およびアンチセンスオリゴヌクレオチド、であり得る。
上記のように、任意の治療剤がカプセル化され得る。いくつかの態様において、本開示において使用される治療剤は、比較的頻繁な投薬を必要とするものを含むがこれらに限定されない。例えば、糖尿病の処置に使用されるもの。
いくつかの態様において、治療剤は、癌の処置に関して当技術分野で公知の薬剤である。
いくつかの態様において、治療剤は、乳癌の処置に関して当技術分野で公知の薬剤である。乳癌の処置に関して当技術分野で公知の例示的な治療剤には、副腎コルチコステロイド阻害剤、例えばアミノグルテチミド(Cytadren);アルキル化剤、例えばシクロホスファミド(Cytoxan、Cytoxan lyophilized、Neosar)、チオテパ(Thioplex);アンドロゲンおよびアナボリックステロイド、例えばフルオキシメステロン(AndroxyおよびHalotestin);抗生物質/抗新生物薬、例えばドキソルビシン(Adriamycin);代謝拮抗物質、例えばフルオロウラシル(Adrucil)、カペシタビン(Xeloda)およびゲムシタビン(Gemzar);アロマターゼ阻害剤、例えばアナストロゾール(Arimidex)、エキセメスタン(Aromasin)およびレトロゾール(Femara);EGFR阻害剤およびHER2阻害剤、例えばラパチニブ(Tykerb);エストロゲン受容体アンタゴニスト、例えばフルベストラン(fluvestran)(Faslodex);エストロゲン、例えばエステル化エストロゲン(EstratabおよびMenest);HER2阻害剤、例えばトラスツズマブ(Herceptin)およびペルツズマブ(Perjeta);免疫抑制剤、例えばメトトレキサート(Trexall);有糸分裂阻害剤、例えばパクリタキセル(OnxolおよびTaxol)、タンパク質結合型パクリタキセル(Abraxane)、ドセタキセル(Docefrez、Taxotere)、イキサベピロン(Ixempra)、ビンブラスチン(Velban)およびエリブリン(Halayen);mTOR阻害剤または選択的免疫抑制剤、例えばエベロリムス(Afinitor);選択的エストロゲン受容体調節物質、例えばタモキシフェン(Nolvadex、Soltamox)およびトレミフェン(Fareston);ならびにVEGF/VEGFR阻害剤、例えばベバシズマブ(Avastin)が含まれるがこれらに限定されない。
乳癌の処置のためのさらなる例示的な薬剤には、例えば、米国特許出願公開第20030013145号;同第20030087265号;同第20040029114号;同第20060246415号;および同第20070065845号;ならびに米国特許第4383985号;同第4651749号;同第4707438号;同第5236844号;同第5855889号;同第5914238号;同第6037129号;同第6056690号;同第6179786号;同第6218131号;同第6235486号;同第6342483号;同第6368796号;同第6432707号;同第6518237号;同第6649342号;同第6730477号;同第6855554号;同第6936424号;同第7056663号;同第7056674号;同第7302292号;同第7335467号;同第7569345号;同第7725170号;同第7828732号;同第7863001号;同第7863011号;同第7879614号;同第8034565号;同第8133737号;および同第8206919号に記載されているものが含まれ、これらすべての内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、治療剤は、アロマターゼ阻害剤である。
いくつかの態様において、治療剤は、アナストロゾールである。
概して、ある期間にわたって所望量の放出を提供するように、任意の量の治療剤がシルクマトリックス中に装填され得る。例えば、約0.1ng〜約1000mgの治療剤が、シルクマトリックス中に装填され得る。いくつかの態様において、組成物中の治療剤の量は、組成物全体の約0.001%(w/w)〜95%(w/w)まで、好ましくは、約5%(w/w)〜約75%(w/w)、および最も好ましくは約10%(w/w)〜約60%(w/w)の範囲から選択される。いくつかの態様において、組成物中の治療剤の量は、組成物全体の約0.01%〜約95%(w/v)、約0.1%〜約90%(w/w)、約1%〜約85%(w/w)、約5%〜約75%(w/w)、約10%〜約65%(w/w)または約10%〜約50%(w/w)である。
いくつかの態様において、組成物中の治療剤の量は、組成物全体の約1%〜約99%(w/w)、約0.05%〜約99%(w/w)、約0.1%〜約90%(w/w)、約0.5%〜約85%(w/w)、約5%〜約80%(w/w)、約10%〜約60%(w/w)である。いくつかの態様において、組成物中の治療剤の量は、組成物全体の約0.1%〜約99%(w/w)、約1%〜約90%(w/w)、約2%〜約80%(w/w)、約5%〜約75%(w/w)、約5%〜約50%(w/w)、約0.055%〜約0.1%(w/w)である。
いくつかの態様において、シルクチューブ中の治療剤の量は、約0.5mg/mm〜約2.5mg/mm、約0.75mg/mm〜約2mg/mmまたは約0.8mg/mm〜約1.5mg/mmシルクチューブ長または内腔長である。いくつかの態様において、シルクチューブ中の治療剤の量は、約0.5mg/mm、約0.6mg/mm、約0.7mg/mm、約0.8mg/mm、約0.9mg/mm、約1mg/mm、約1.1mg/mm、約1.2mg/mm、約1.3mg/mm、約1.4mg/mmまたは約1.5mg/mmシルクチューブ長または内腔長である。
本発明者らは、特に、治療剤が、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物から持続放出様式で放出されることを発見した。換言すると、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、持続送達組成物である。本明細書で使用される場合、「持続送達」という用語は、投与後のある期間にわたるインビボまたはインビトロでの治療剤の継続的な送達を表す。例えば、持続放出は、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。いくつかの態様において、持続放出は、1ヶ月超またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。いくつかの態様において、持続放出は、少なくとも約3ヶ月またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。いくつかの態様において、持続放出は、少なくとも約6ヶ月またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。いくつかの態様において、持続放出は、少なくとも約9ヶ月またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。いくつかの態様において、持続放出は、少なくとも約12ヶ月またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。インビボでの治療剤の持続送達は、例えば、ある期間にわたる薬剤の継続的治療効果によって実証され得る。あるいは、治療剤の持続送達は、インビボで治療剤またはその代謝産物の存在またはレベルをある期間にわたって検出することによって実証され得る。一例にすぎないが、治療剤の持続送達は、投与された際に、対象の血清、組織または臓器に存在する治療剤またはその代謝産物の量を測定することによって検出され得る。
シルクベースの薬物送達組成物からの治療剤の放出速度は、いくつかの要因、例えばシルクチューブの組成および/もしくはシルクチューブの製造に使用されるシルクフィブロインの濃度、シルクチューブの多孔質特性、治療剤の分子サイズならびに/または治療剤とシルクチューブ中のシルクとの相互作用によって調節され得る。例えば、治療剤がシルクマトリックスに対してより高い親和性を有する場合、その放出速度は、通常、シルクマトリックスに対する親和性がより低いものよりも遅くなる。加えて、シルクマトリックスがより大きい孔を有する場合、カプセル化された治療剤は、一般に、より小さい孔を有するシルクマトリックスよりも速くシルクマトリックスから放出される。
シルクベースの薬物送達組成物からの治療剤の放出プロフィールは、いくつかの要因、例えばシルクチューブ中に装填される治療剤の量および/または分子サイズ、シルクチューブの多孔度、シルクチューブ中のシルクフィブロインの量および/またはシルクチューブ中のβ-シート立体構造の含量、シルクチューブに対する治療剤の結合親和性、ならびにそれらの任意の組み合わせによって調整され得る。
シルクベースの薬物送達組成物は、治療剤の推奨される投薬によって提供されるのと同様の治療効果を同一期間に提供する量の治療剤を提供するかまたは放出する。例えば、治療剤の推奨される投薬が1日1回である場合、シルクベースの薬物送達組成物は、1日1回投薬によって提供されるのと同様の治療効果を提供するのに十分な量の治療剤を放出する。
非限定的に、治療剤の1日あたりの放出は、約1ng/日〜約1000mg/日の範囲であり得る。例えば、放出される量は、1〜1000(例えば、1〜1000の各整数値)の下限と1〜1000(例えば、1〜1000の各整数値)の上限とを有する範囲であり得、ここで、下限および上限の単位は、独立して、ng/日、μg/日、mg/日またはそれらの任意の組み合わせから選択され得る。
いくつかの態様において、1日あたりの放出は、約1μg/日〜約10mg/日、約10μg/日〜約5mg/日、約100μg/日〜約2.5mg/日、約250μg/日〜約1mg/日または約250μg/日〜約750μg/日であり得る。いくつかの態様において、治療剤の1日あたりの放出は、約500μg/日〜約700μg/日である。いくつかの態様において、治療剤の1日あたりの放出は、約600μg/日である。いくつかの態様において、治療剤の1日あたりの放出は、約150μg/日〜約225μg/日である。いくつかの態様において、1日あたりの放出は、約600μg/日〜約1000μg/日であり得る。1つの態様において、1日あたりの放出は、約965μg/日であり得る。1つの態様において、治療剤の1日あたりの放出は、約190μg/日である。
本明細書に開示されるシルクベースの薬物送達組成物は、ある期間の間、毎日ほぼ同じ量の治療剤を放出する。例えば、治療剤の1日あたりの放出は、ある期間にわたる平均1日放出量の25%以内(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%または25%以内)である。
本発明者らは、シルクリザーバインプラントまたはシルク注射可能リザーバ組成物からの治療剤の放出が、ある期間にわたってほぼゼロ次の放出キネティクスを示すことを発見した。例えば、ほぼゼロ次の放出キネティクスは、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、1年またはそれ以上の期間にわたって達成され得る。
いくつかの態様において、本明細書に記載される薬物送達組成物からは、有意な見かけの初期バースト放出が観察されない。したがって、いくつかの態様において、投与の最初の48時間、24時間、18時間、12時間または6時間以内の治療剤の初期バーストは、薬物送達組成物中に装填された治療剤の総量の25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満または1%未満である。いくつかの態様において、投与の最初の6時間または12時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1週間および2週間以内に治療剤の初期バーストは存在しない。
本明細書に開示されるシルクベースの薬物送達組成物は、対象への投与後、例えば移植後にその全体の構造完全性を保持し、ある期間の間、ゼロ次の持続送達を提供する。しかし、シルクベースの薬物送達組成物は、制御された持続送達用途に好ましい生分解プロフィールで、より長い時間をかけて完全に生分解し得る。
シルクベースの薬物送達組成物は、特定の条件下、例えばインビボの生理学的条件下で、治療剤の活性、例えば生物活性を安定化し得る。例えば、両方の内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、2011年4月21日に出願された米国仮出願第61/477,737号および2012年4月23日に出願された国際特許出願第PCT/US2012/034643号を参照のこと。したがって、シルクベースの薬物送達組成物は、治療剤のインビボ半減期を増加させ得る。例えば、カプセル化された治療剤のインビボ半減期は、非カプセル化治療剤と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍またはそれ以上増加し得る。いくつかの態様において、カプセル化された治療剤のインビボ半減期は、シルクマトリックス中にカプセル化されていない場合の治療剤のインビボ半減期よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍またはそれ以上長い。
理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクベースの薬物送達組成物は、より長い治療効果を提供し得る。別の言葉で言うと、治療剤のインビボ半減期の増加は、同一の治療効果持続時間に対してより少量の治療剤の装填を可能にし得る。したがって、シルクマトリックス中に治療剤をカプセル化することにより、治療剤の効果の持続時間を増加させ得る。例えば、シルクベースの薬物送達組成物にカプセル化された治療剤の量は、同量の治療剤がシルクベースの薬物送達組成物なしで投与されたときよりも長い期間、治療効果を提供する。いくつかの態様において、治療効果の持続時間は、その治療剤がシルクベースの薬物送達組成物なしで投与されたときの効果の持続時間よりも少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも16ヶ月、少なくとも17ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも19ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも21ヶ月、少なくとも22ヶ月、少なくとも23ヶ月、少なくとも24ヶ月またはそれ以上長い。
いくつかの態様において、1回の投薬による治療効果の持続時間は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも15ヶ月、少なくとも16ヶ月、少なくとも17ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも19ヶ月、少なくとも20ヶ月、少なくとも21ヶ月、少なくとも22ヶ月、少なくとも23ヶ月、少なくとも24ヶ月であるかまたはそれより長い。
したがって、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、治療剤の1回の投薬に推奨される量よりも少ない量の治療剤を含み得る。例えば、治療剤の推奨される投薬量が量Xである場合、シルクマトリックスは約0.9X、約0.8X、約0.7X、約0.6X、約0.5X、約0.4X、約0.3X、約0.2X、約0.1Xまたはそれ未満の量の治療剤を含み得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、これにより、より少ない投薬量の治療剤のシルクマトリックスでの投与により、より多い投薬量をシルクマトリックスなしに投与した場合と同様の治療効果を得ることが可能になり得る。
いくつかの態様において、シルクマトリックス中に分散またはカプセル化される治療剤の量は、特定の適応症のために投与される同じ治療剤の1回の投薬に関して一般に推奨されている量を超えるものであり得る。例えば、治療剤の推奨される投薬量が量Xである場合、シルクマトリックスは、約1.25X、約1.5X、約1.75X、約2X、約2.5X、約3X、約4X、約5X、約6X、約7X、約8X、約9X、約10X、約20X、約30X、約40X、約50X、約60X、約70X、約80X、約90X、約100X、約200X、約300X、約400X、約500X、約600X、約700Xまたはそれ以上の量の治療剤をカプセル化し得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、これにより、シルクマトリックスでの治療剤の投与により、本明細書に記載されるシルクマトリックスなしで投与される治療剤の複数回の投与から得られるのと同様の治療効果を得ることが可能になり得る。
いくつかの態様において、シルクマトリックス中にカプセル化される治療剤の量は、その治療剤の1回の投薬で推奨される量と本質的に同じであり得る。例えば、治療剤の推奨される投薬量が量Xである場合、シルクベースの組成物は、約Xの量の治療剤を含み得る。本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、治療剤の効果の持続時間を増加させ得るので、これにより、低頻度の治療剤の投与でより長い期間にわたる治療効果を得ることが可能になり得る。
さらに、シルクベースの薬物送達組成物は、カプセル化された治療剤のバイオアベイラビリティを増加させ得る。本明細書で使用される場合、「バイオアベイラビリティ」という用語は、投与後に所与の部位で利用可能な生理学的活性の物質の量を表す。所与の物質のバイオアベイラビリティは、その物質の分解および吸収を含むがこれらに限定されないいくつかの要因に影響される。投与された物質は、完全な吸収の前に排出され、それによってバイオアベイラビリティが低下する。いくつかの態様において、カプセル化された治療剤のバイオアベイラビリティは、非カプセル化治療剤と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍またはそれ以上増加し得る。
理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクベースの薬物送達組成物は、治療剤の投与頻度をF = (Y2-Y1)/Y2倍に低減させることができ、式中、Y1は特定の適応症について推奨されるシルクマトリックスなしの治療剤の現行の投薬によって生ずる治療効果の持続時間であり、Y2は本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物中に存在する同量の治療剤によって生ずる治療効果の持続時間である。シルクマトリックスにカプセル化された治療剤の投与頻度は、式:
投与頻度 = Z x F [1]
を用いて算出され得、式中、Zは所与期間中のシルクマトリックス非存在下での治療剤の投与数である。
投与頻度 = Z x F [1]
を用いて算出され得、式中、Zは所与期間中のシルクマトリックス非存在下での治療剤の投与数である。
例えば、特定の適応症について推奨されるシルクマトリックスなしの治療剤の現行の投薬によって生ずる治療効果の持続時間が1ヶ月(Y1 = 1ヶ月)であり、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物中に存在する同量の治療剤によって生ずる治療効果の持続時間が2ヶ月である場合、投与頻度は1/2倍に低減される(例えば、Y2 = 2ヶ月およびY1 = 1ヶ月)。投与頻度は、2ヶ月に約1回に低減される。すなわち、現行の投与プロトコルによる1ヶ月に1回の治療剤の投与に代えて、本発明の方法および/または組成物は、投与頻度を2ヶ月に約1回に低減することができる。同様に、投与頻度が2/3倍に低減される(例えば、Y2 = 3ヶ月およびY1 = 1ヶ月)場合、本明細書に記載される方法および/または組成物は、投与頻度を3ヶ月に約1回に低減することができる。
いくつかの態様において、治療剤の投与頻度は、少なくとも約1/700倍、少なくとも約1/600倍、少なくとも約1/500倍、少なくとも約1/250倍、少なくとも約1/225倍、少なくとも約1/200倍、少なくとも約1/175倍、少なくとも約1/150倍、少なくとも約1/125倍、少なくとも約1/100倍、少なくとも約1/90倍、少なくとも約1/80倍、少なくとも約1/70倍、少なくとも約1/60倍、少なくとも約1/50倍、少なくとも約1/30倍、少なくとも約1/25倍、少なくとも約1/20倍、少なくとも約1/19倍、少なくとも約1/18倍、少なくとも約1/17倍、少なくとも約1/16倍、少なくとも約1/15倍、少なくとも約1/14倍、少なくとも約1/13倍、少なくとも約1/12倍、少なくとも約1/11倍、少なくとも約1/10倍、少なくとも約1/9倍、少なくとも約1/8倍、少なくとも約1/7倍、少なくとも約1/6倍、少なくとも約1/5倍、少なくとも約1/4倍、少なくとも約1/3倍、少なくとも約1/2倍、少なくとも約1/1.75倍、少なくとも約1/1.5倍、少なくとも約1/1.25倍、少なくとも約1/1.1倍に、またはそれ以上の倍数に低減され得る。
概して、シルクチューブは、当技術分野で公知の任意の方法を用いて作製され得る。例えば、チューブは、モールディング、ディッピング、エレクトロスピニング、ゲル紡糸等を用いて作製され得る。ゲル紡糸は、往復運動する回転マンドレルの周囲にシルクの水溶液を巻き取ることを伴う。最終的なゲル紡糸されたシルクチューブの多孔度、構造および機械的特性は、異なる紡糸後プロセス、例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール等・・・)処理、風乾または凍結乾燥を通じて制御され得る。
ゲル紡糸は、Lovett et al. (Biomaterials 2008, 29(35):4650-4657)に記載されており、ゲル紡糸されたシルクチューブの構築は、2009年4月8日に出願されたPCT出願第PCT/US2009/039870号に記載されており、これらの両方の内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。ディップコーティング法を用いたシルクチューブの構築は、2008年8月11日に出願されたPCT出願第PCT/US2008/072742号に記載されており、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
シルクチューブを調製する例示的な方法は、2012年3月20日に出願された米国仮出願第61/613,185号および2013年3月11日に出願されたPCT出願第PCT/US2013/030206号において本発明者らによって以前に記載された方法であり、これらの内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。USSN 61/613,185およびPCT/US2013/030206に記載された方法は、PCT出願第PCT/US2009/039870号に記載されるゲル紡糸技術の新規かつ非自明の改変に基づいている。USSN 61/613,185およびPCT/US2013/03020に記載されるフィルム紡糸されたシルクチューブの調製法は、PCT/US2009/039870に記載されるそれとは異なる。主に、紡糸中のシルクの加熱が、予想外にも、制御された形態を有するシルクチューブを提供する。したがって、USSN 61/613,185およびPCT/US2013/03020に記載されるチューブ調製技術は、インライン加熱要素を用いてシルク紡糸溶液を、治療剤の制御送達を含む用途のための制御された形態およびより制御されたチューブ壁厚を有するチューブ状のフィルムへと変換する熱処理工程を含むことから、「フィルム紡糸(film spinning)」と呼ばれる。
概して、シルクチューブを形成するためのフィルム紡糸法は、(i)自身の縦軸に沿って回転しながら水平方向に往復運動するマンドレル上にシルクフィブロイン溶液を送達して、その上にシルクコーティングを形成すること、およびマンドレルを回転させながらシルクコーティングを加熱して回転マンドレル上にシルクフィルムを形成することを含む。マンドレルは、縦軸を有する細長構造を有し得る。本発明者らは、マンドレルの回転と同時にフィルムの熱処理を行うことが予想外にもコーティング厚を均一にすることを発見した。
非限定的に、前記送達および加熱する工程は、1つまたは複数のシルクフィルムコーティングを形成するために1回または複数回(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回またはそれ以上)繰り返され得る。いくつかの態様において、前記送達および加熱する工程は、少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも50回、少なくとも100回、少なくとも250回、少なくとも500回、少なくとも1000回、少なくとも5000回、少なくとも10000回またはそれ以上の回数繰り返される。いくつかの態様において、前記送達および加熱する工程は、フィルム紡糸されたシルクチューブについて所望の壁厚が得られるまで繰り返される。
マンドレルは、当業者に公知の任意の材料から作製され得る。例えば、マンドレルは、合成フルオロポリマーでコーティングされたステンレス鋼マンドレルであり得る。
マンドレルは、約0〜約1000rpmの回転速度および約0〜約1000mm/sの軸運動速度を有し得る。
シルクフィブロイン溶液は、当技術分野で公知の任意の方法を用いてマンドレルに送達され得る。例えば、シルクフィブロイン溶液は、アプリケータを用いて適用され得る。いくつかの態様において、アプリケータは、供給物のシルク溶液を含む注射器であり得る。
シルクフィブロイン溶液は、針を用いてマンドレルに送達され得る。任意のゲージの針が、送達に使用され得る。例えば、針は、少なくとも21ゲージのものであり得る。いくつかの態様において、針は、約18〜約30のゲージのものであり得る。
非限定的に、シルクフィブロイン溶液は、任意の流速でマンドレルに送達され得る。例えば、30wt%のシルク溶液は、70rpmの速度で回転する2.7mm径のワイヤの軸方向移動1ミリメートルあたり約2μLのシルク溶液を分配するよう、0.03mL/分の流速で送達され得る。
シルクコーティングは、シルクフィブロイン溶液をマンドレルに送達している間に同時に、または送達が終了した後に加熱され得る。例えば、シルクコーティングは、マンドレルへのシルク溶液の送達から5秒以内、10秒以内、14秒以内、25秒以内、30秒以内、35秒以内、40秒以内、45秒以内、50秒以内、55秒以内、1分以内、2分以内、3分以内、4分以内、5分以内、6分以内、7分以内、8分以内、9分以内、10分以内、15分以内、20分以内、25分以内、30分以内、45分以内または1時間以内に処理され得る。
室温よりも高い任意の温度が、支持構造物上のシルクフィルムを熱処理するために使用され得る。例えば、熱処理のための温度は、約30℃〜約90℃の範囲であり得る。いくつかの態様において、熱処理のための温度は、約35℃〜約80℃、約40℃〜約75℃、約50℃〜約70℃または約55℃〜約65℃の範囲であり得る。いくつかの態様において、熱処理のための温度は、67±3℃または47±3℃である。
さらに、支持構造物上のシルクフィルムは、任意の期間熱処理され得る。例えば、熱処理は、約1分〜約6時間の期間であり得る。いくつかの態様において、熱処理は、約10分〜約300分であり得る。いくつかの態様において、熱処理は、約1、2、3、4、5、10、20、30または60分であり得る。
シルクチューブ中への装填のために、治療剤は、装填に使用される特定の方法に適した任意の形態であり得る。例えば、治療剤は、固体、液体またはゲルの形態であり得る。いくつかの態様において、治療剤は、溶液、粉末、圧縮粉末またはペレットの形態である。
いくつかの態様において、シルクチューブは、任意で、治療剤の装填前に水和され得る。例えば、シルクチューブは、完全に水和するまで脱イオン水中でインキュベートされ得る。いくつかの態様において、シルクチューブは、5、10、15、20、30、45、60、90、120、150、180、210、240、270、300分またはそれ以上の間、脱イオン水中でインキュベートされ得る。チューブは、室温でまたはそれより高温で水和され得る。したがって、いくつかの態様において、チューブは、約15℃〜約80℃の温度で水和され得る。いくつかの態様において、チューブは、約60℃の温度で水和され得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、装填前のシルクチューブの水和は、チューブを膨潤または軟化させ、それによって装填を促進し得る。
いくつかの態様において、シルクチューブは、装填中、両末端が開放された状態であり得る。この場合、水和させたシルクチューブは、治療剤が適切な大きさのピペット、スパチュラまたはピンセットを用いてそれぞれ溶液、粉末またはペレット形態で一方の末端から装填される間、ピンセットを用いて水平に保たれ得る。いくつかの態様において、チューブの一方の末端は、例えばピンチ弁、クリップまたはレンチを用いて、治療剤の装填前にクランプ留めされ得る。一方の末端でクランプ留めされたチューブは、治療剤が適切な大きさのピペット、スパチュラまたはピンセットを用いてそれぞれ溶液、粉末またはペレット形態で開放されている末端から装填される間、垂直方向に保たれ得る。装填後、チューブの開放されている末端は、例えばピンチ弁、クリップまたはレンチを用いてクランプ留めされ得る。
治療剤の装填後、クランプ留めされた水和したシルクチューブは、チューブおよび装填された治療剤を完全に乾燥させるのに適した期間(例えば、30分またはそれ以上)、周囲条件下、適切な温度(例えば、20℃またはそれより高い温度)で乾燥され得る。あるいは、クランプ留めされた水和したシルクチューブは、チューブおよび装填された薬物を完全に乾燥させるのに適した期間(例えば、10分間またはそれ以上)、急速乾燥条件下(例えば、真空中または気体流下)で乾燥され得る。乾燥条件は、治療剤の安定性を最大化するよう選択され得る。
乾燥後、シルクリザーバインプラントまたはシルク注射可能リザーバを得るために、シルクチューブの閉鎖された末端は、例えばディップコーティングを通じて、シルクフィブロイン溶液でコーティングされ得る。ディップコーティングは、所望のコーティング厚が達成されるまで数回繰り返され得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、閉鎖された末端のコーティングは、緊密な封止の形成を助け、薬物の脱落を防ぐことができる。チューブの末端は、当技術分野で公知の任意の方法を用いてシルクフィブロイン溶液でコーティングされ得る。例えば、シルクフィブロイン溶液を閉鎖された末端に噴霧することができ、または閉鎖された末端をシルクフィブロイン溶液中に浸漬することができる。1つの態様において、チューブの閉鎖された末端は、シルクフィブロイン中に浸漬される。
治療剤が装填されたシルクチューブを製造するための上記の工程はすべて、無菌条件下で行われ得る。例えば、フィルム紡糸、メタノール処理、水和、薬物装填、熱処理およびディップコーティングの手順は、層流フード内で無菌的に実施され得る。
1つの態様において、シルクチューブ中への治療剤の装填は、(i)任意でシルクチューブを水和する工程;(ii)治療剤をチューブ中に装填し、チューブの末端をクランプ留めする工程;(iii)シルクチューブを乾燥させる工程;および(iv)チューブの末端をディップコーティングする工程を含む。
さらに別の局面において、本明細書には、治療剤のインビボ持続送達方法が提供される。この方法は、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物を対象に投与する工程を含む。理論によって拘束されることを望むものではないが、治療剤は、毎日、治療有効量で放出され得る。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、所望の結果を提供するのに有効な治療剤の量を意味する。治療有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、治療有効量は、対象の病歴、年齢、状態、性別ならびに対象における医学的状態の重篤度およびタイプ、ならびに神経変性障害の病理学的プロセスを阻害する他の薬剤の投与に伴い変化し得る。
さらに、治療有効量は、当業者に認識されているように、処置される特定の疾患、投与経路、選択される賦形剤および併用療法の可能性に応じて変化するであろう。いくつかの態様において、治療有効量は、ED50とLD50(治療剤を摂取した対象の約50%が死亡する治療剤の用量)の間の範囲内であり得る。いくつかの態様において、治療有効量は、ED50(治療剤を摂取した対象の少なくとも約50%で治療効果が検出される治療剤の用量)とTD50(症例の約50%で毒性が生じる用量)の間の範囲内であり得る。いくつかの態様において、治療有効量は、非シルクマトリックス状態で投与される同じ治療剤の現行の投薬方針に基づき決定される量であり得る。例えば、治療有効量の上限は、非シルクマトリックス状態での治療剤の現行の投薬による投与の日に送達または放出される治療剤の濃度または量によって決定され得る;一方、治療有効量の下限は、非シルクマトリックス状態での治療剤の新たな投薬が必要とされる日における治療剤の濃度または量によって決定され得る。有効性および治療有効量の化合物を送達する投薬に関する手引きは、処置される状態の動物モデルから得ることができる。
毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死の用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するために、細胞培養物または実験動物において標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性作用と治療効果の間の用量の比が治療指数であり、それはLD50/ED50の比として表され得る。大きな治療指数を示す組成物が好ましい。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおいて使用するための用量範囲を決定するために使用され得る。そのような化合物の用量は、好ましくは、ほとんどまたは全く毒性を有さないED50を含む循環濃度の範囲内である。用量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変更され得る。
治療有効用量は、最初は細胞培養アッセイから概算され得る。用量は、細胞培養物において決定されたIC50(すなわち、症状の最大半量阻害を達成する治療剤の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて決定され得る。血漿中レベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィーによって測定され得る。任意の特定の投薬量の効果が、適切なバイオアッセイによってモニタリングされ得る。適切なバイオアッセイの例には、DNA複製アッセイ、転写ベースのアッセイおよび免疫学的アッセイが含まれる。
投薬量は、医師によって決定され、必要に応じて、観察される処置効果に合わせて調節され得る。一般に、治療剤は、1μg/kg〜100mg/kg、1μg/kg〜50mg/kg、1μg/kg〜20mg/kg、1μg/kg〜10mg/kg、1μg/kg〜1mg/kg、100μg/kg〜100mg/kg、100μg/kg〜50mg/kg、100μg/kg〜20mg/kg、100μg/kg〜10mg/kg、100μg/kg〜1mg/kg、1mg/kg〜100mg/kg、1mg/kg〜50mg/kg、1mg/kg〜20mg/kg、1mg/kg〜10mg/kg、10mg/kg〜100mg/kg、10mg/kg〜50mg/kgまたは10mg/kg〜20mg/kgの用量で与えられるように投与される。タンパク質治療剤の場合、1つの好ましい用量は、0.1mg/kg体重(一般に、10mg/kg〜20mg/kg)である。
本明細書で開示される場合、シルクベースの薬物送達は、治療剤がシルクベースの薬物送達組成物なしで投与された場合の期間と同様の期間またはそれより長い期間、対象に治療有効量の治療剤を提供し得る。例えば、1日にわたって放出される治療剤の量は、シルクベースの薬物送達組成物なしで投与される場合に治療剤の推奨される1日あたりの用量によって提供されるのと同様の治療効果を提供する。
対象への投与のために、シルクベースの薬物送達組成物は、薬物送達組成物を含む薬学的に許容される組成物として製剤化され得、これは1種または複数種の薬学的に許容される担体(添加物)および/または希釈剤と共に製剤化され得る。薬物送達組成物は、下記のものに適合されたものを含め、固体または液体の形態での投与のために特別に製剤化され得る:(1)経口投与、例えば水薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、ロゼンジ、糖衣錠、カプセル、丸剤、錠剤(例えば、口腔、舌下および全身吸収を標的とするもの)、ボーラス、粉末、顆粒、舌に適用するためのペースト;(2)例えば滅菌溶液もしくは懸濁液または持続放出製剤として、例えば皮下、筋内、静脈内または硬膜外注射による、非経口投与;(3)例えば皮膚に適用されるクリーム、軟膏、または制御放出パッチもしくはスプレーとして、局所適用;(4)例えば膣坐剤、クリームまたはフォームとして、膣内または直腸内;(5)舌下;(6)眼内;(7)経皮;(8)経粘膜;または(9)経鼻。加えて、化合物は、薬物送達組成物を用いて患者に移植または注射され得る。例えば、Urquhart, et al., Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 1984, 24: 199-236; Lewis, ed. "Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals" (Plenum Press, New York, 1981); 米国特許第3,773,919号; および米国特許第35 3,270,960号を参照のこと。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の及ぶ範囲で、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適しており、過度の毒性、刺激、アレルギー反応またはその他の問題もしくは合併症がなく、合理的な利益/リスク比が保たれている、化合物、物質、組成物および/または剤形を表す。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、対象化合物を1つの臓器または身体の一部から別の臓器または身体の一部に運搬または輸送するのに関与する、物質を被包する薬学的に許容される物質、組成物もしくはビヒクル、例えば液体もしくは固体のフィラー、希釈剤、賦形剤、製造補助剤(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、もしくはステアリン酸(steric acid))、または溶媒を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者にとって有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体の役割を果たし得る物質のいくつかの例には、(1)糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えばトウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロースおよび酢酸セルロース;(4)トラガカント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク;(8)賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐薬用ワックス;(9)油、例えばピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG);(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質非含有水;(17)等張食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;(22)増量剤、例えばポリペプチドおよびアミノ酸(23)血清成分、例えば血清アルブミン、HDLおよびLDL;(22)C2〜C12アルコール、例えばエタノール;ならびに(23)薬学的製剤で用いられるその他の非毒性適合性物質、が含まれる。湿潤剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、保存剤および抗酸化物質も、製剤中に存在してよい。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」等の用語は、本明細書で互換的に使用される。
薬学的に許容される抗酸化物質は、(1)水溶性抗酸化物質、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;(2)油溶性抗酸化物質、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン(lectithin)、没食子酸プロピル、アルファトコフェロール等;および(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等を含むがこれらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、薬学的に活性な薬剤を所望の部位に少なくとも部分的に局在化させる方法または経路による対象内への薬物送達組成物の配置を表す。本明細書に記載される薬物送達組成物は、対象において効果的な処置をもたらす任意の適切な経路によって投与され得る、すなわち、投与により、対象内の所望の部位への送達が行われ、そこに薬学的に活性な薬剤の少なくとも一部が送達される。例示的な投与経路には、移植、注射、注入、点滴、植え込みまたは摂取が含まれるがこれらに限定されない。「注射」は、非限定的に、静脈内、筋内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳脊髄内および胸骨内の注射および注入を含む。
いくつかの態様において、本明細書に記載される薬物送達組成物は、対象に移植され得る。本明細書で使用される場合、「移植」という用語および文法的に関連する用語は、一次的、半永久的または永久的のいずれかの、対象内の特定部位へのシルクベースの薬物送達組成物の設置を表す。この用語は、特定位置または部位へのシルクベースの薬物送達組成物の永久的固定を必要としない。例示的なインビボ部位には、創傷、外傷または疾患の部位が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの態様において、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、注射可能な経路による対象へのインビボ送達に適したものである。1つの送達経路は、静脈内、筋内、皮下、腹腔内、くも膜下腔内、硬膜外、動脈内、関節内等を含む注射可能なものである。他の送達経路、例えば局所、経口、直腸、経鼻、肺、膣、口腔、舌下、経皮、経粘膜、耳または眼球内もまた使用され得る。
注射のために、シルクベースの薬物送達組成物は、注射器内に吸引されて、約10〜約34または約12〜約30のゲージの針を通じて注射され得る。例示的な送達経路は、皮下、眼等を含む、細針を用いる注射である。細針は、少なくとも10ゲージサイズ、典型的には約12ゲージ〜約30ゲージの間およびそれより上の針を意味する。いくつかの態様において、細針は、少なくとも10ゲージ、12ゲージ、14ゲージ、16ゲージ、18ゲージ、19ゲージ、21ゲージの細さ、少なくとも22ゲージの細さ、少なくとも23ゲージの細さ、少なくとも24ゲージの細さ、少なくとも25ゲージの細さ、少なくとも26ゲージの細さまたは少なくとも28ゲージの細さであり得る。
非限定的に、本明細書に記載される持続送達方法は、対象への比較的頻繁な投与を必要とする薬剤の投与のために使用され得る。例えば、薬学的に活性な薬剤は、例えば少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年またはそれ以上の期間にわたって、少なくとも3ヶ月に1回、少なくとも2ヶ月に1回、少なくとも1週間に1回、少なくとも1日に1回の投与を必要とする。
当業者に公知のように、慢性障害または状態の処置のための多くの治療剤は、比較的頻繁な投薬を必要とする。したがって、対象における慢性疾患または障害の処置方法が、本明細書に提供される。この方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物または本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物を含む薬学的組成物を投与する工程を含む。シルクベースの薬物送達組成物は、考慮中の慢性疾患または状態の処置のために頻繁な投与が必要とされる治療剤を含む。
例示的な慢性疾患には、自己免疫性血管炎を含む自己免疫疾患、軟骨損傷、CIDP、嚢胞性線維症、糖尿病(例えばインスリン性糖尿病)、移植片対宿主疾患、血友病、感染またはその他の疾患プロセス、炎症性関節炎、炎症性腸疾患、挫傷に起因する炎症状態、炎症性関節疾患、狼瘡、狼瘡、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、整形外科手術、変形性関節症、パーキンソン病、乾癬性関節炎(psioriatic arthritis)、関節リウマチ、鎌状赤血球貧血、捻挫、移植片拒絶、外傷等が含まれるがこれらに限定されない。
「処置、予防または寛解」は、そのような障害の発症の遅延もしくは防止、またはそのような状態の進行、悪化または進行もしくは重篤度の増悪の逆転、緩和、寛解、阻害、速度低下または停止を意味する。いくつかの態様において、少なくとも1つの症状は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%緩和されるが100%ではない、すなわち完全な緩和ではない。いくつかの態様において、少なくとも1つの症状は、完全に緩和される。
いくつかの態様において、対象は、癌の処置を必要とする。本明細書で使用される場合、「癌」または「腫瘍」という用語は、癌の原因となる細胞に典型的な特徴、例えば制御されない増殖、不死性、転移能、速い成長・増殖速度、および特定の特徴的な形態学的特徴を有する細胞の存在を表す。この用語は、任意のタイプの悪性腫瘍(原発性または転移)を表す。癌は、限局的または全身的な浸潤がない早期段階の癌であり得るか、または癌は、浸潤性の癌および/もしくは転移することができる癌であり得る。典型的な癌は、固形癌または造血性の癌、例えば乳癌、胃癌、食道癌、肉腫、卵巣癌、子宮内膜癌、膀胱癌、子宮頸癌、直腸癌、結腸癌、肺癌またはORL癌、小児腫瘍(神経芽腫、多形性膠芽腫)、リンパ腫、白血病、骨髄腫、セミノーマ、ホジキンおよび悪性血液疾患である。いくつかの態様において、癌は、白血病、リンパ腫、黒色腫、肺癌、腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、脳癌、肝癌、膵癌、乳癌、前立腺癌、精巣癌および網膜芽腫からなる群より選択される。いくつかの好ましい態様において、癌は固形癌、好ましくは乳癌または前立腺癌、より好ましくは乳癌である。
本明細書で使用される場合、「癌の処置」という用語は、患者の寿命を延ばすことが意図された任意の行為、例えば疾患の治療および阻止を表す。処置は、腫瘍を根絶するよう、腫瘍の進行を停止させるよう、転移の発生を予防するよう、腫瘍の退縮を促進するよう、および/または癌の筋肉への浸潤を予防するよう設計され得る。好ましくは、「癌の処置」という用語は、本明細書で使用される場合、転移の形成、疾患の進行および/または全身への浸潤の予防または遅延を表す。
いくつかの態様において、前記方法は、癌の処置のための対象、すなわち癌を有するまたは癌を発症する疑いがある対象を選択する工程をさらに含む。
本発明の例示的な態様はまた、以下の番号が付された項目のいずれか1つによって表され得る。
1.(i)内腔を備えるシルクマトリックス;および
(ii)抗癌剤
を含む持続送達組成物であって、抗癌剤が内腔中にあり、抗癌剤を内腔内に保持するために内腔の2つの末端が閉鎖されている、組成物。
2. シルクマトリックスが、円筒形状である、第1項に記載の組成物。
3. シルクマトリックスが、約1mm〜約10cmの長さを有する、第1項または第2項に記載の組成物。
4. シルクマトリックスが、約5mm、約7.5mm、約10mm、約12.5mm、約15mm、約17.5mm、約20mm、約22.5mm、約25mm、約27.5mm、約30mm、約32.5mm、約35mm、約37.5mm、約40mm、約42.5mm、約45mm、約47.5mmまたは約50mmの長さを有する、第1〜4項のいずれかに記載の組成物。
5. シルクマトリックスが、約50μm〜約5mmの壁厚を有する、第1〜5項のいずれかに記載の組成物。
6. シルクマトリックスが、約0.09mm、約0.10mm、約0.15mm、約0.21mm、約0.24mm、約0.25mm、約0.26mm、約0.5mm、約0.75mm、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mm、約3.5mm、約3.75mmまたは約4mmの壁厚を有する、第1〜6項のいずれかに記載の組成物。
7. シルクマトリックスが、約0.5mm〜約10mmの直径を有する、第1〜6項のいずれかに記載の組成物。
8.シルクマトリックスが、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約1.93mm、約1.95mm、約2mm、約2.06mm、約2.17mm、約2.25mm、約2.43mm、約2.5mm、約2.66mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mm、約3.5mm、約3.75mm、約4mm、約4.25mm、約4.5mm、約4.75mmまたは約5mmの直径を有する、第1〜7項のいずれかに記載の組成物。
9. 内腔が、約100nm〜約10mmの直径を有する、第1〜8項のいずれかに記載の組成物。
10. 内腔が、約0.25mm、約0.5mm、約0.75mm、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mmまたは約3.5mmの直径を有する、第1〜9項のいずれかに記載の組成物。
11. 内腔が、約1mm〜約10cmの長さを有する、第1〜10項のいずれかに記載の組成物。
12. 内腔が、約5mm、約7.5mm、約10mm、約12.5mm、約15mm、約17.5mm、約20mm、約22.5mm、約25mm、約27.5mm、約30mm、約32.5mm、約35mm、約37.5mm、約40mm、約42.5mm、約45mm、約47.5mmまたは約50mmの長さを有する、第1〜11項のいずれかに記載の組成物。
13. シルクマトリックス中のシルクフィブロインが、少なくとも5%のシルクIIβ-シート結晶化度を備える、第1〜12項のいずれかに記載の組成物。
14. シルクマトリックス中のシルクフィブロインが、約47%のシルクIIβ-シート結晶化度を備える、第1〜13項のいずれかに記載の組成物。
15. 抗癌剤が、抗乳癌剤である、第1〜14項のいずれかに記載の組成物。
16. 抗癌剤が、副腎コルチコステロイド阻害剤、アルキル化剤、アンドロゲンおよびアナボリックステロイド、抗生物質/抗新生物薬、代謝拮抗物質、アロマターゼ阻害剤、EGFR阻害剤およびHER2阻害剤、エストロゲン受容体アンタゴニスト、エストロゲン、HER2阻害剤、免疫抑制剤、有糸分裂阻害剤、mTOR阻害剤、選択的免疫抑制剤、選択的エストロゲン受容体調節物質、およびVEGF/VEGFR阻害剤、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、第1〜15項のいずれかに記載の組成物。
17. 抗癌剤が、アナストロゾールである、第1〜16項のいずれかに記載の組成物。
18. 約0.01%〜約95%(w/w)の抗癌剤を含む、第1〜17項のいずれかに記載の組成物。
19. シルクマトリックスまたは内腔の長さ1mmあたり約0.5mg〜約2.5mgの抗癌剤を含む、第1〜18項のいずれかに記載の組成物。
20. シルクマトリックスまたは内腔の長さ1mmあたり約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mgまたは約1.5mgの抗癌剤を含む、第1〜19項のいずれかに記載の組成物。
21. シルクマトリックスが生体適合性ポリマーをさらに含む、第1〜20項のいずれかに記載の組成物。
22. 移植可能または注射可能である、第1〜21項のいずれかに記載の組成物。
23. シルクマトリックスが、
(i)約10mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径;
(ii)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径;
(iii)約20mmの長さ、約1.0mmの内腔直径、および約2.0mmの外径;
(iv)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約3.5mmの外径;
(v)約46mmの長さ、約3.2mmの内腔直径、および約3.9mmの外径;または
(vi)約36mmの長さ、約3.9mmの内腔直径、および約3.5mmの外径
の寸法を有する、第1〜22項のいずれかに記載の組成物。
24. (i)約10mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約1.3mgもしくは約1.4mgの抗癌剤;
(ii)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約0.6mgの抗癌剤;
(iii)約20mmの長さ、約1.0mmの内腔直径、および約2.0mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約0.8mgもしくは約0.7mgの抗癌剤;
(iv)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約3.5mmの外径を有するシルクマトリックス;シルクマトリックスの長さ1mmあたり約0.9mgもしくは約1.3mgの抗癌剤;または
(v)約46mmの長さ、約3.2mmの内腔直径、および約3.9mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約6mgの抗癌剤
を含む、第1〜23項のいずれかに記載の組成物。
25. シルクマトリックスが、
(i)約10mmの内腔長、約1.75mmの内腔直径、および約1.93mmの外径;
(ii)約20mmの内腔長、約1.75mmの内腔直径、および約1.95mmの外径;
(iii)約30mmの内腔長、約1.76mmの内腔直径、および約2.06mmの外径、ならびに約0.15mmの壁厚;
(iv)約40mmの内腔長、約1.75mmの内腔直径、および約2.17mmの外径;
(v)約40mmの内腔長、約1.95mmの内腔直径、および約2.43mmの外径;
(vi)約40mmの内腔長、約2.14mmの内腔直径、および約2.66mmの外径;
(vii)約46mmの内腔長、約3.2mmの内腔直径、および約3.9mmの外径;または
(viii)約36mmの内腔長、約3.5mmの内腔直径、および約3.9mmの外径
の寸法を有する、第1〜22項のいずれかに記載の組成物。
26. 少なくとも約1週間の期間にわたる抗癌剤の持続放出を提供する、第1〜25項のいずれかに記載の組成物。
27. 抗癌剤が、約1μg/日〜約10mg/日の速度で組成物から放出される、第1〜26項のいずれかに記載の組成物。
28. 抗癌剤が、約600〜約1000μg/日の速度でシルクマトリックスから放出される、第27項に記載の組成物。
29. 抗癌剤が、シルクマトリックスの非存在下での治療効果持続時間と比べて少なくとも1日長い治療効果持続時間を有する、第1〜28項のいずれかに記載の組成物。
30. 第1〜29項のいずれかに記載の持続送達組成物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
31. 対象において癌を処置するための方法であって、それを必要とする対象に第1〜29項のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
32. 組成物の投与頻度が、同量の抗癌剤をシルクマトリックスの非存在下で投与する場合よりも少ない、第31項に記載の方法。
33. 投与頻度が、抗癌剤をシルクマトリックスの非存在下で投与する場合と比べて1/2倍に低減される、第32項に記載の方法。
34. 投与が、1ヶ月に1回以下、2週間に1回以下、3週間に1回以下、1ヶ月に1回以下、2ヶ月に1回以下、4ヶ月に1回以下または6ヶ月に1回以下である、第31〜33項のいずれかに記載の方法。
35. 第1〜29項のいずれかに記載の組成物を含む、薬物送達デバイス。
36. 注射針を有する注射器である、第35項に記載の薬物送達デバイス。
37. インプラントである、第36項に記載の薬物送達デバイス。
38. 第1〜28項のいずれかに記載の組成物または第35〜37項のいずれかに記載の薬物送達デバイスを含む、キット。
39. 少なくとも注射器および注射針をさらに含む、第38項に記載のキット。
40. 麻酔薬をさらに含む、第38〜39項のいずれかに記載のキット。
41. 消毒剤をさらに含む、第38〜40項のいずれかに記載のキット。
42. 使用説明書をさらに含む、第38〜41項のいずれかに記載のキット。
43. 以下の工程を含む、第1〜29項のいずれかに記載の持続送達組成物を調製する方法:
(i)シルクチューブを形成する工程であって、
a.アプリケータを用いてシルク溶液を支持構造物上に送達する工程であって、支持構造物が縦軸を有する細長構造物であり、かつ支持構造物を、その縦軸に沿って回転させながら水平方向に往復運動させて、その上にシルクコーティングを形成する、工程;
b.ワイヤを回転させながらシルクコーティングを加熱し、シルクフィルムを形成する工程;ならびに
c.任意で、前記送達する工程および加熱する工程を繰り返して、その上に1つまたは複数のシルクフィルムのコーティングを形成する工程
を含む、工程;
(ii)シルクコーティングの立体構造変化を誘導する工程;
(iii)任意で、シルクチューブを水和させる工程;
(iv)シルクチューブに抗癌剤を装填する工程;
(v)前記治療剤が中に密封されるように、シルクチューブの末端を閉鎖する工程。
1.(i)内腔を備えるシルクマトリックス;および
(ii)抗癌剤
を含む持続送達組成物であって、抗癌剤が内腔中にあり、抗癌剤を内腔内に保持するために内腔の2つの末端が閉鎖されている、組成物。
2. シルクマトリックスが、円筒形状である、第1項に記載の組成物。
3. シルクマトリックスが、約1mm〜約10cmの長さを有する、第1項または第2項に記載の組成物。
4. シルクマトリックスが、約5mm、約7.5mm、約10mm、約12.5mm、約15mm、約17.5mm、約20mm、約22.5mm、約25mm、約27.5mm、約30mm、約32.5mm、約35mm、約37.5mm、約40mm、約42.5mm、約45mm、約47.5mmまたは約50mmの長さを有する、第1〜4項のいずれかに記載の組成物。
5. シルクマトリックスが、約50μm〜約5mmの壁厚を有する、第1〜5項のいずれかに記載の組成物。
6. シルクマトリックスが、約0.09mm、約0.10mm、約0.15mm、約0.21mm、約0.24mm、約0.25mm、約0.26mm、約0.5mm、約0.75mm、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mm、約3.5mm、約3.75mmまたは約4mmの壁厚を有する、第1〜6項のいずれかに記載の組成物。
7. シルクマトリックスが、約0.5mm〜約10mmの直径を有する、第1〜6項のいずれかに記載の組成物。
8.シルクマトリックスが、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約1.93mm、約1.95mm、約2mm、約2.06mm、約2.17mm、約2.25mm、約2.43mm、約2.5mm、約2.66mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mm、約3.5mm、約3.75mm、約4mm、約4.25mm、約4.5mm、約4.75mmまたは約5mmの直径を有する、第1〜7項のいずれかに記載の組成物。
9. 内腔が、約100nm〜約10mmの直径を有する、第1〜8項のいずれかに記載の組成物。
10. 内腔が、約0.25mm、約0.5mm、約0.75mm、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mmまたは約3.5mmの直径を有する、第1〜9項のいずれかに記載の組成物。
11. 内腔が、約1mm〜約10cmの長さを有する、第1〜10項のいずれかに記載の組成物。
12. 内腔が、約5mm、約7.5mm、約10mm、約12.5mm、約15mm、約17.5mm、約20mm、約22.5mm、約25mm、約27.5mm、約30mm、約32.5mm、約35mm、約37.5mm、約40mm、約42.5mm、約45mm、約47.5mmまたは約50mmの長さを有する、第1〜11項のいずれかに記載の組成物。
13. シルクマトリックス中のシルクフィブロインが、少なくとも5%のシルクIIβ-シート結晶化度を備える、第1〜12項のいずれかに記載の組成物。
14. シルクマトリックス中のシルクフィブロインが、約47%のシルクIIβ-シート結晶化度を備える、第1〜13項のいずれかに記載の組成物。
15. 抗癌剤が、抗乳癌剤である、第1〜14項のいずれかに記載の組成物。
16. 抗癌剤が、副腎コルチコステロイド阻害剤、アルキル化剤、アンドロゲンおよびアナボリックステロイド、抗生物質/抗新生物薬、代謝拮抗物質、アロマターゼ阻害剤、EGFR阻害剤およびHER2阻害剤、エストロゲン受容体アンタゴニスト、エストロゲン、HER2阻害剤、免疫抑制剤、有糸分裂阻害剤、mTOR阻害剤、選択的免疫抑制剤、選択的エストロゲン受容体調節物質、およびVEGF/VEGFR阻害剤、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、第1〜15項のいずれかに記載の組成物。
17. 抗癌剤が、アナストロゾールである、第1〜16項のいずれかに記載の組成物。
18. 約0.01%〜約95%(w/w)の抗癌剤を含む、第1〜17項のいずれかに記載の組成物。
19. シルクマトリックスまたは内腔の長さ1mmあたり約0.5mg〜約2.5mgの抗癌剤を含む、第1〜18項のいずれかに記載の組成物。
20. シルクマトリックスまたは内腔の長さ1mmあたり約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mgまたは約1.5mgの抗癌剤を含む、第1〜19項のいずれかに記載の組成物。
21. シルクマトリックスが生体適合性ポリマーをさらに含む、第1〜20項のいずれかに記載の組成物。
22. 移植可能または注射可能である、第1〜21項のいずれかに記載の組成物。
23. シルクマトリックスが、
(i)約10mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径;
(ii)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径;
(iii)約20mmの長さ、約1.0mmの内腔直径、および約2.0mmの外径;
(iv)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約3.5mmの外径;
(v)約46mmの長さ、約3.2mmの内腔直径、および約3.9mmの外径;または
(vi)約36mmの長さ、約3.9mmの内腔直径、および約3.5mmの外径
の寸法を有する、第1〜22項のいずれかに記載の組成物。
24. (i)約10mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約1.3mgもしくは約1.4mgの抗癌剤;
(ii)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約0.6mgの抗癌剤;
(iii)約20mmの長さ、約1.0mmの内腔直径、および約2.0mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約0.8mgもしくは約0.7mgの抗癌剤;
(iv)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約3.5mmの外径を有するシルクマトリックス;シルクマトリックスの長さ1mmあたり約0.9mgもしくは約1.3mgの抗癌剤;または
(v)約46mmの長さ、約3.2mmの内腔直径、および約3.9mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約6mgの抗癌剤
を含む、第1〜23項のいずれかに記載の組成物。
25. シルクマトリックスが、
(i)約10mmの内腔長、約1.75mmの内腔直径、および約1.93mmの外径;
(ii)約20mmの内腔長、約1.75mmの内腔直径、および約1.95mmの外径;
(iii)約30mmの内腔長、約1.76mmの内腔直径、および約2.06mmの外径、ならびに約0.15mmの壁厚;
(iv)約40mmの内腔長、約1.75mmの内腔直径、および約2.17mmの外径;
(v)約40mmの内腔長、約1.95mmの内腔直径、および約2.43mmの外径;
(vi)約40mmの内腔長、約2.14mmの内腔直径、および約2.66mmの外径;
(vii)約46mmの内腔長、約3.2mmの内腔直径、および約3.9mmの外径;または
(viii)約36mmの内腔長、約3.5mmの内腔直径、および約3.9mmの外径
の寸法を有する、第1〜22項のいずれかに記載の組成物。
26. 少なくとも約1週間の期間にわたる抗癌剤の持続放出を提供する、第1〜25項のいずれかに記載の組成物。
27. 抗癌剤が、約1μg/日〜約10mg/日の速度で組成物から放出される、第1〜26項のいずれかに記載の組成物。
28. 抗癌剤が、約600〜約1000μg/日の速度でシルクマトリックスから放出される、第27項に記載の組成物。
29. 抗癌剤が、シルクマトリックスの非存在下での治療効果持続時間と比べて少なくとも1日長い治療効果持続時間を有する、第1〜28項のいずれかに記載の組成物。
30. 第1〜29項のいずれかに記載の持続送達組成物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
31. 対象において癌を処置するための方法であって、それを必要とする対象に第1〜29項のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
32. 組成物の投与頻度が、同量の抗癌剤をシルクマトリックスの非存在下で投与する場合よりも少ない、第31項に記載の方法。
33. 投与頻度が、抗癌剤をシルクマトリックスの非存在下で投与する場合と比べて1/2倍に低減される、第32項に記載の方法。
34. 投与が、1ヶ月に1回以下、2週間に1回以下、3週間に1回以下、1ヶ月に1回以下、2ヶ月に1回以下、4ヶ月に1回以下または6ヶ月に1回以下である、第31〜33項のいずれかに記載の方法。
35. 第1〜29項のいずれかに記載の組成物を含む、薬物送達デバイス。
36. 注射針を有する注射器である、第35項に記載の薬物送達デバイス。
37. インプラントである、第36項に記載の薬物送達デバイス。
38. 第1〜28項のいずれかに記載の組成物または第35〜37項のいずれかに記載の薬物送達デバイスを含む、キット。
39. 少なくとも注射器および注射針をさらに含む、第38項に記載のキット。
40. 麻酔薬をさらに含む、第38〜39項のいずれかに記載のキット。
41. 消毒剤をさらに含む、第38〜40項のいずれかに記載のキット。
42. 使用説明書をさらに含む、第38〜41項のいずれかに記載のキット。
43. 以下の工程を含む、第1〜29項のいずれかに記載の持続送達組成物を調製する方法:
(i)シルクチューブを形成する工程であって、
a.アプリケータを用いてシルク溶液を支持構造物上に送達する工程であって、支持構造物が縦軸を有する細長構造物であり、かつ支持構造物を、その縦軸に沿って回転させながら水平方向に往復運動させて、その上にシルクコーティングを形成する、工程;
b.ワイヤを回転させながらシルクコーティングを加熱し、シルクフィルムを形成する工程;ならびに
c.任意で、前記送達する工程および加熱する工程を繰り返して、その上に1つまたは複数のシルクフィルムのコーティングを形成する工程
を含む、工程;
(ii)シルクコーティングの立体構造変化を誘導する工程;
(iii)任意で、シルクチューブを水和させる工程;
(iv)シルクチューブに抗癌剤を装填する工程;
(v)前記治療剤が中に密封されるように、シルクチューブの末端を閉鎖する工程。
いくつかの選択された定義
別段の指定のない限り、または文脈から暗示されていない限り、以下の用語および語句は以下に提供される意味を含んでいる。別段の明示的な指定のない限り、または文脈から明白でない限り、以下の用語および語句は、その用語または語句が自身の属する技術分野において獲得している意味を排除しない。これらの定義は、特定の態様の説明を補助するために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載の発明を限定することは意図されておらず、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、文脈による特段の必要のない限り、単数形の用語はその複数形を包含し、複数形の用語はその単数形を包含している。
別段の指定のない限り、または文脈から暗示されていない限り、以下の用語および語句は以下に提供される意味を含んでいる。別段の明示的な指定のない限り、または文脈から明白でない限り、以下の用語および語句は、その用語または語句が自身の属する技術分野において獲得している意味を排除しない。これらの定義は、特定の態様の説明を補助するために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載の発明を限定することは意図されておらず、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、文脈による特段の必要のない限り、単数形の用語はその複数形を包含し、複数形の用語はその単数形を包含している。
本明細書で使用される場合、「含んでいる(comprising)」または「含む(comprise)」という用語は、ある態様に有用な組成物、方法およびそれらの各成分に関連して使用されるが、特定されていない要素についても、それが有用であるかそうでないかによらず、含む余地を残している。
「a」、「an」および「the」という単数形は、文脈による別段の明らかな指示のない限り、複数の指示対象を包含する。同様に、「または、もしくは(or)」という単語は、文脈による別段の明らかな指示のない限り、「および、ならびに(and)」を包含することが意図されている。
実施例を実施する以外では、または別段の指示のない場合、本明細書で使用される成分の量または反応条件を表すすべての数値は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されることを理解されたい。「約」という用語は、百分率に関連して使用される場合、参照される値の±5%を意味し得る。例えば、約100は、95〜105を意味する。
本開示の実施または試験においては、本明細書に記載されているのと同様または同等の方法および材料を使用することができるが、以下には適当な方法および材料が記載されている。「含む(comprises)」という用語は、「含む(includes)」を意味する。「例えば(e.g.)」という略語は、ラテン語のexempli gratiaを語源とするものであり、本明細書においては非限定的な例を示すのに使用される。したがって、「例えば(e.g.)」という略語は、「例えば(for example)」という用語と同義である。
「PEG」は、約20〜約2000000個の連結されたモノマー、典型的には約50〜1000個の連結されたモノマー、通常約100〜300個を含むエチレングリコールポリマーを意味する。ポリエチレングリコールは、様々な数の連結されたモノマーを含むPEG、例えば、PEG20、PEG30、PEG40、PEG60、PEG80、PEG100、PEG115、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG2000、PEG3350、PEG4000、PEG4600、PEG5000、PEG6000、PEG8000、PEG11000、PEG12000、PEG2000000およびそれらの任意の混合物を含む。
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、脊椎動物、例えば霊長類、げっ歯類、家畜動物または狩猟動物である。霊長類は、チンパンジー、カニクイザル、クモザルおよびマカク、例えばアカゲザルを含む。げっ歯類は、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギおよびハムスターを含む。家畜および狩猟動物は、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ種、例えばイエネコ、イヌ種、例えばイヌ、キツネ、オオカミ、鳥種、例えばニワトリ、エミュー、ダチョウ、ならびに魚、例えばマス、ナマズおよびサケを含む。患者または対象は、上記の中の任意のサブセット、例えば、1つまたは複数のグループまたは種、例えばヒト、霊長類またはげっ歯類を除く上記のすべて、を含む。ある態様において、対象は、哺乳動物、例えば霊長類、例えばヒトである。「患者」および「対象」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
「低下」、「低減された」、「低減」、「低下する」または「阻害する」という用語はすべて、本明細書において、概して、統計的に有意な量の低下を意味するものとして使用される。しかし、疑念を避けるために言うと、「低減された」、「低減」または「低下する」または「阻害する」は、参照レベルと比較して少なくとも10%の低下、例えば参照レベルと比較して少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の低下、または100%の低下(例えば、参照サンプルと比較して非存在レベル)を含む100%以下の低下、または10〜100%の間の任意の低下を意味する。
「増加した」、「増加する」または「増強する」または「活性化する」という用語はすべて、本明細書において、概して、統計的に有意な量の増加を意味するものとして使用され;疑念を避けるために言うと、「増加した」、「増加する」または「増強する」または「活性化する」という用語は、参照レベルと比較して少なくとも10%の増加、例えば参照レベルと比較して少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の増加、もしくは100%の増加を含む100%以下の増加、もしくは10〜100%の間の任意の増加、または参照レベルと比較して少なくとも約2倍、もしくは少なくとも約3倍、もしくは少なくとも約4倍、もしくは少なくとも約5倍、もしくは少なくとも約10倍の増加、もしくは2倍〜10倍の間の任意の増加、もしくはそれ以上を意味する。
「統計的に有意」または「有意」という用語は、統計的有意性を表し、概して、参照レベルから少なくとも2標準偏差(2SD)離れていることを意味する。この用語は、差が存在するという統計的証拠を表す。これは、帰無仮説が実際に真であったときにその帰無仮説を却下する決定が為される確率として定義される。
本明細書で互換的に使用される場合、「本質的」および「実質的」という用語は、少なくとも約60%、もしくは好ましくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%もしくは少なくとも約99%もしくはそれ以上、または70%〜100%の間の任意の整数、の比率を意味する。いくつかの態様において、「本質的」という用語は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくはそれ以上、または90%〜100%の間の任意の整数、の比率を意味する。いくつかの態様において、「本質的」という用語は、100%を含み得る。
本明細書には好ましい態様が示され記載されているが、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更、付加、置換等がなされ得ること、したがってこれらも添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲に含まれるとみなされることが、関連分野の当業者に明らかであろう。さらに、本明細書に記載され例示されている様々な態様の任意の1つはさらに、すでに示されていない程度まで、本明細書に開示される任意の他の態様に示される特徴を取り込むよう変更され得ることが、当業者に理解されるであろう。
本開示は以下の実施例によってさらに説明されるがこれらは限定するものとして解釈されるべきではない。実施例は例示にすぎず、どのような形式であれ、本明細書に記載される任意の局面を限定することは意図されていない。以下の実施例は、いかなる方法でも、本発明を限定するものではない。
いくつかのシルクタンパク質ベースの素材形態(例えば、マイクロ/ナノ粒子懸濁液、注射可能なヒドロゲル、エアロゲル、インプラント(Rockwood et al., Nature Protocols, 2011, 6, 1612; Wang et al., Biomaterials, 2010, 31, 1025; Yucel et al., Biophysical Journal, 2009, 97, 2044)が、それらの望ましい水性、周囲温度処理、高い生体適合性、および分子構造を通じた制御可能な生分解キネティクスによる、持続的な薬物送達に関して調査されている(Wang et al., Biomaterials, 2010, 31, 1025; Guziewicz, Biomaterials, 2011, 32, 2642; Pritchard et al., Expert Opinion on Drug Delivery, 2011, 8, 797)。例えば、シルクマイクロ/ナノスフェア懸濁液からのモデル薬物の14日間の持続放出が、インビトロで実証された(Wang et al., Biomaterials, 2010, 31, 1025)。重要なことは、シルクスフェアからの薬物放出キネティクスが、薬物の物理化学的特性、例えば疎水性、電荷および分子量、ならびにシルク・薬物相互作用の強度または寿命に強く依存したということである。別の例において、シルクフィブロインでコーティングしたペレットインプラントからの低分子薬物の14日間のほぼゼロ次の持続放出が、インビトロで実証された(Pritchard et al., Journal of Controlled Release, 2010, 144, 159)。全体として、シルクリザーバ持続送達技術の概念実証を行うには、製剤の全体寸法および構造の厳格な制御ならびに最小限の侵襲性の投与手順の開発が必須である。
シルクチューブは、以前に、モールディング、ディッピング、エレクトロスピニングおよびゲル紡糸を用いて、主として組織工学用途、例えば複雑な複合生物材料マトリックス、血管移植片および神経ガイドのために製造されている(Lovett et al., Biomaterials, 2008, 29, 4650)。ゲル紡糸は、往復運動する回転マンドレルの周囲にシルクの水溶液を巻き取ることを伴う。最終的なゲル紡糸されたシルクチューブの多孔度および機械的特性は、異なる紡糸後プロセス、例えば、メタノール処理、風乾または凍結乾燥を通じて操作され得る。薬物送達のためのシルクリザーバロッドの調製方法が、最近報告された(Kaplan et al. 米国仮出願第61/613,185号, 2012)。この方法は、ゲル紡糸法の改変法であるフィルム紡糸、薬物装填、および薬物装填したチューブの末端を封止するディップコーティングの組み合わせを使用する。フィルム紡糸において、シルク紡糸溶液は、制御された流速で回転マンドレル上に射出されて、ただちにインライン加熱要素を用いる重要な熱処理工程に供され、均一かつ制御された厚みおよび全体的なシルクII、β-シート結晶化度を有するチューブ状のシルクフィルムが得られる。そのような全体寸法および構造に対する厳格な制御は、制御された薬物送達の用途に必須である。次に、水和させたシルクフィルムチューブに、粉末または溶液形態の所望の薬物が装填され、その後にチューブ端がクランプ留めされる。最後に、完全な封止を確実にし薬物の脱落を防ぐために、シルクフィルムのチューブ端がディップコーティングされる。
材料および方法
脱ガムシルク繊維は、Suho Biomaterials Technology (Suzhou, China)から購入した。アナストロゾール、クロルフェニラミンおよびすべての他の化学物質は、Sigma-Aldrich(St.Louis, MO)から購入した。
脱ガムシルク繊維は、Suho Biomaterials Technology (Suzhou, China)から購入した。アナストロゾール、クロルフェニラミンおよびすべての他の化学物質は、Sigma-Aldrich(St.Louis, MO)から購入した。
再生シルクフィブロイン溶液:9.3M LiBr水溶液中20wt.%の脱ガムシルク繊維溶液を、Slide-A-Lyzer透析カセット(3kDa MWCO, Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)を用いて、48時間、脱イオン水
に対して透析した。脱塩の完了を確認するために、透析水の伝導率を調査した。再生シルク溶液の終濃度は、7±1 wt.%であった。シルク溶液の抵抗率、pHおよび高せん断粘度(5wt.%シルク)の値は、それぞれ、25℃で25±5 kΩcm、8.5±0.5 pHUおよび3.1±0.5 cPであった(平均±SD、n=3)。サイズ排除クロマトグラフィーを通じて分子量分布を特徴づけた。1マイクログラムのシルクタンパク質を、Agilent 1200シリーズHPLCポンプおよび移動相として0.05wt.% NaN3を含む1 x PBSを用いる分析カラム(SEC-3、4.6mm x 300mm、300Å、Agilent, Santa Clara, CA)に注入した。分子量標準は、シチジン(243Da)、ウシ血清アルブミン(67kDa)、γ-グロブリン(158kDa)およびサイログロブリン(660kDa)とした。算出された重量平均分子量(MW)および単量体分布の多分散値は、それぞれ、198±15 kDaおよび19.9±1.1(平均±SD、n=3)であった。シルクフィブロイン溶液を、3kDa MWCO Slide-A-Lyzer透析カセットを用いる16〜24時間の15〜20wt.%PEG(10kDa)水溶液に対する透析を通じて28〜35wt.%に濃縮した。シルク濃度は、重量測定により、Bradford Assayを通じて、±0.5wt.%以内であることを測定した。
に対して透析した。脱塩の完了を確認するために、透析水の伝導率を調査した。再生シルク溶液の終濃度は、7±1 wt.%であった。シルク溶液の抵抗率、pHおよび高せん断粘度(5wt.%シルク)の値は、それぞれ、25℃で25±5 kΩcm、8.5±0.5 pHUおよび3.1±0.5 cPであった(平均±SD、n=3)。サイズ排除クロマトグラフィーを通じて分子量分布を特徴づけた。1マイクログラムのシルクタンパク質を、Agilent 1200シリーズHPLCポンプおよび移動相として0.05wt.% NaN3を含む1 x PBSを用いる分析カラム(SEC-3、4.6mm x 300mm、300Å、Agilent, Santa Clara, CA)に注入した。分子量標準は、シチジン(243Da)、ウシ血清アルブミン(67kDa)、γ-グロブリン(158kDa)およびサイログロブリン(660kDa)とした。算出された重量平均分子量(MW)および単量体分布の多分散値は、それぞれ、198±15 kDaおよび19.9±1.1(平均±SD、n=3)であった。シルクフィブロイン溶液を、3kDa MWCO Slide-A-Lyzer透析カセットを用いる16〜24時間の15〜20wt.%PEG(10kDa)水溶液に対する透析を通じて28〜35wt.%に濃縮した。シルク濃度は、重量測定により、Bradford Assayを通じて、±0.5wt.%以内であることを測定した。
シルク-アナストロゾールリザーバロッド:シルクチューブをフィルム紡糸するためのカスタム設定を構築した(Kaplan et al., 米国仮出願第61/613,185号、2012)。簡潔に説明すると、濃縮されたシルク溶液(28〜35wt.%)を、細いゲージの針(≧21G)を通じて0.15〜0.50mm3/sの間の流速でPTFEコートステンレス鋼ワイヤ(McMaster-Carr, Atlanta, GA)上に射出した。射出速度は、注射器用ポンプ(KD Scientific, Holliston, MA)を用いて制御した。射出の間、ワイヤを、その軸に沿って1Hzで回転させながら同時に水平方向に0.33mm/sで往復運動させた。ワイヤの動作を、別の注射器用ポンプ(KD Scientific, Holliston, MA)に接続されたACギアモーター(McMaster-Carr, Atlanta, GA)を通じて制御した。シルク溶液の射出の直後に、回転ワイヤをチューブオーブンに移し、典型的には80±5℃で300秒間シルク溶液を熱処理し、0.05〜0.10mm厚のフィルムを得た。フィルムの熱処理中にワイヤを同時に回転させることで、厚みを均一(チューブ長に沿って≦10%の厚みのばらつき)にした。その後、所望のチューブ直径が達成されるまで、コーティングおよび乾燥を繰り返した。シルクフィルムチューブをメタノール:水(9:1、v/v)に60s/コートの間、浸し、シルクII、β-シート結晶化を誘導した。フィルム紡糸されたチューブを脱イオン水中で膨潤させ、PTFEワイヤから取り外して、所望の長さ(典型的には10〜40mm)に切断した。アナストロゾールを粉末形態で装填し、PTFEワイヤを用いて詰め込み、チューブの両端から
を、ピンチ弁を用いてクランプ留めした。乾燥後、各々のクランプ留めしたチューブ端を、28〜35wt.%シルク溶液中、2mm/sでディップコーティングして、60℃で30分間乾燥させて、シルク-アナストロゾールリザーバロッドを得た。その全手順を、非発熱性の消耗品を用いてバイオセーフティキャビネット中で無菌的に実施した。
を、ピンチ弁を用いてクランプ留めした。乾燥後、各々のクランプ留めしたチューブ端を、28〜35wt.%シルク溶液中、2mm/sでディップコーティングして、60℃で30分間乾燥させて、シルク-アナストロゾールリザーバロッドを得た。その全手順を、非発熱性の消耗品を用いてバイオセーフティキャビネット中で無菌的に実施した。
フーリエ変換赤外分光法:フィルム紡糸されたチューブにおけるシルクの2次構造を、セレン化亜鉛減衰全反射(ATR)サンプリングモジュールを有するフーリエ変換赤外分光計(Alpha-Eco FT-IR, Bruker, Billerica. MA)を用いて調査した。水和させたフィルム紡糸されたチューブをそれらの長さに沿って切断し、室温にて、真空下で加圧乾燥させて平らなフィルムにした。各サンプルのスペクトルは、解像度4cm-1の128回のスキャンのフーリエ変換であった。アミドI領域(1590〜1710cm-1)の半定量のために、フーリエセルフデコンボリューション(FSD)スペクトルを、以前に公開されたプロトコル(Hu et al., Macromolecules, 2008, 41,3939)にしたがいOPUSソフトウェア(Bruker, Billerica, MA)を用いて曲線フィッティングした。共通のシルク2次構造形態に対する波数の割り当ては、β-シートに対して1610〜1635および1696〜1705、ランダムコイルに対して1640〜1650、α-ヘリックスに対して1650〜1660ならびにβ-ターンに対して1661〜1695とした。分子全体の立体構造に対する各2次構造形態の相対的寄与を、対応するピーク面積 対 全FSDスペクトルのそれ、の比から概算した。
インビトロ放出アッセイ:シルク-アナストロゾールロッドを、所望の研究期間の間、0.02wt.% NaN3を含む200〜400mlの脱イオン水中で37℃にてインキュベートした。放出量は、
にしたがう完全バースト放出の場合に完全シンク条件(perfect sink condition)を保証するように決定された;式中、V、LおよびSはそれぞれ放出量、薬物装填量および水への溶解度である。予め決定された時点において、1mlの放出媒質をサンプリングした。各サンプリングの後、全媒質を新鮮な緩衝液と交換した。1週間の最長サンプルリング間期間の間に、研究された放出条件の下でLC-MS/MSを通じてアナストロゾールの有意な分解は検出されなかった。
にしたがう完全バースト放出の場合に完全シンク条件(perfect sink condition)を保証するように決定された;式中、V、LおよびSはそれぞれ放出量、薬物装填量および水への溶解度である。予め決定された時点において、1mlの放出媒質をサンプリングした。各サンプリングの後、全媒質を新鮮な緩衝液と交換した。1週間の最長サンプルリング間期間の間に、研究された放出条件の下でLC-MS/MSを通じてアナストロゾールの有意な分解は検出されなかった。
アナストロゾールの定常状態目標放出速度RTは、1コンパートメント連続注入モデル:
を仮定して算出した;式中、t1/2は最終消滅半減期であり、Vは分配量であり、CSSは定常状態血漿濃度である。目標アナストロゾール放出速度は、t1/2、VおよびCSS値をそれぞれ50h、74 lおよび25ng/mlとして0.6mg/dと算出した(AstraZeneca Canada, Inc., ARIMIDEXTM, Product Monograph, 2011)。ここで、CSS値は、報告されている3倍のアナストロゾール蓄積を考慮に入れている。
を仮定して算出した;式中、t1/2は最終消滅半減期であり、Vは分配量であり、CSSは定常状態血漿濃度である。目標アナストロゾール放出速度は、t1/2、VおよびCSS値をそれぞれ50h、74 lおよび25ng/mlとして0.6mg/dと算出した(AstraZeneca Canada, Inc., ARIMIDEXTM, Product Monograph, 2011)。ここで、CSS値は、報告されている3倍のアナストロゾール蓄積を考慮に入れている。
インビボ薬物動態:91日の薬物動態研究を、メスのSprague-Dawleyラット(≧250g)において行った。試験物動物に、単一のロッドの移植による投薬を行い、一方、陽性薬物対照動物には等用量のエタノール:水(3:7、v/v)溶液の1回の注射によって投薬した。投薬前に、すべての動物を、ケタミンHCl(75mg/kg)およびキシラジンHCl(5mg/kg)を含むカクテルの腹腔内注射によって麻酔した。麻酔後、すべての動物の背面を剃毛し、ベタジンおよび70%イソプロピルアルコールによる拭き取り(各々3回)によって無菌投与の準備をした。動物を滅菌した手術台に載せ、SteridrapeTMを被せた。投薬部位を、創傷クリップで閉鎖した。後で位置を特定するために、投与部位を、不滅インクを用いて円で囲んだ。投薬後、すべての動物を、暖かい回復エリアに置き、麻酔から回復し歩行するまで観察した。すべての動物を、投薬および各々の計画された収集の間中、観察した。体重は、研究期間の間、投薬前体重に加えて、毎週収集した。投薬前、2h、6h、24h(1d)、2d、4d、7d、10d、14d、21d、28d、35d、42d、49d、56d、63d、70d、77d、84dおよび91dに尾静脈または頸動脈を通じて連続的な血液サンプルを収集し、LC-MS/MSにより分析した。血液サンプルは、収集の30分以内に遠心分離によって血漿へと処理するまでは湿った氷上で保管した。血漿は、LC-MS/MS分析まで-80℃で保管した。
液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析を用いたバイオ分析:バイオ分析のために、アナストロゾールのヒト血漿薬物動態に関して以前に公開されているプロトコル(Mendes et al., Journal of Chromatography B, 2007, 850, 553)の改変版を使用した。簡潔に説明すると、150μlの凍結したインビボサンプルまたはブランク血漿(2重ブランク、ブランクおよび標準用)を完全に解凍して、軽く遠心分離した(2000G、3分間、4℃)。微小遠心管内でアナストロゾール水溶液をブランク血漿により20倍希釈することによって、0.21〜450ng/mlの間の8つの濃度標準を準備した。抽出のために、ガラス製血清用ピペットを用いて、1mlのジエチルエーテル:ジクロロメタン(7:3、v/v)を、ガラス製遠心管内の25μlの血漿(ブランク、標準またはサンプル)および10μlの内部標準水溶液(100ng/mlクロルフェニラミン)または脱イオン水(2重ブランク用)に添加し、40秒間ボルテックスした。軽く遠心分離(2000G、2分間、4℃)した後、有機上清を清潔なガラス製遠心管に移して、40℃にて、窒素ガス流下で完全に乾燥させた。このペレットを200μlの脱イオン水に再懸濁し、1分間ボルテックスして、軽く遠心分離した(2000G、2分間、4℃)。LC-MS/MS分析のために、175マイクロリットルの上清を96ウェルプレートに移し、蓋をして、オートサンプラーに設置した。
LCシステムのオートサンプラーを5℃で維持した。10マイクロリットルのサンプルを、0.1%酢酸および10mM酢酸アンモニウムを含むアセトニトリル:メタノール:水:アセトン(60:20:15:5、v/v/v/v)の定組成移動相を用いて25℃でC18分析用カラム(Zorbax Eclipse Plus, 2.1mm x 100mm, 3.5μm, Agilent, Santa Clara, CA)に注入した。流速は、0.4ml/分とした。これらの条件下で、典型的な標準保持時間は、アナストロゾールについては0.75分、クロルフェニラミンについては0.69分であった。タンデム質量分析は、Agilent 6410 3段4重極質量分析計を用いてポジティブエレクトロスプレーイオン化モードで行った。質量分析計は、アナストロゾールおよびクロルフェニラミン濃度を定量するためにそれぞれ294.2>225.2および275.2>230.1のピーク面積の遷移を用いる多重反応モニタリング(MRM)モードを用いて運用した。ソースブロック温度は、衝突ガスとして窒素を用いて300℃に設定した。MRMパラメータを、Agilent Optimizerソフトウェアを用いてアナストロゾールおよびクロルフェニラミンの両方に最適化させた。1/x2の重み指数(weighting index)で線形最小二乗回帰を用いて、濃度標準ピーク面積について8点標準曲線を作製した。バッチ内精度は、100±20%以内であった。定量限界(LOQ)は、0.6ng/mlであった。
分配係数:シルクチューブ(i.d., o.d., l. = 1.5, 2.0, 10mm)を、溶液(VS)対 水和させたシルクチューブ(VT)の容積比
で、穏やかな(〜1Hz)円軌道振盪を行いながら、0.1または1mg/mlのアナストロゾール水溶液中で室温にてインキュベートした。シルクチューブを含まないアナストロゾール水溶液を、容器に対するアナストロゾールの結合の可能性を計上するための対照として用いた。
で、穏やかな(〜1Hz)円軌道振盪を行いながら、0.1または1mg/mlのアナストロゾール水溶液中で室温にてインキュベートした。シルクチューブを含まないアナストロゾール水溶液を、容器に対するアナストロゾールの結合の可能性を計上するための対照として用いた。
アリコートを、見かけの平衡まで上清から収集し、LC-MS/MSを通じてアナストロゾール濃度について分析した。分配係数(Kd)を、
を用いて算出した;式中、VS、VT、CTおよびCBは、それぞれ、溶液およびチューブの容積、ならびにシルクチューブ陽性サンプルおよびシルクチューブブランクサンプルの見かけの平衡の上清濃度である。
を用いて算出した;式中、VS、VT、CTおよびCBは、それぞれ、溶液およびチューブの容積、ならびにシルクチューブ陽性サンプルおよびシルクチューブブランクサンプルの見かけの平衡の上清濃度である。
結果および考察
リザーバロッドの形態および構造:シルク-アナストロゾールリザーバロッドを、実験の節に記載されるように、以前に記載されたフィルム紡糸・末端封止法(Kaplan et al.米国仮出願第61,613,185号、2012)を用いて調製した。本研究において、チューブの内径diを1.0〜1.5mmの間で変化させ、一方、チューブの外径do値を2.0〜3.5mmの間で変化させ、壁厚Δr値を0.25〜1.0mmの間にした(典型的なシルクフィルムの厚みのばらつきは≦10%であった)。ロッド長lは、1つのインビトログループでl = 40mmとしたことを除きすべてのグループにおいて20mmとした。
リザーバロッドの形態および構造:シルク-アナストロゾールリザーバロッドを、実験の節に記載されるように、以前に記載されたフィルム紡糸・末端封止法(Kaplan et al.米国仮出願第61,613,185号、2012)を用いて調製した。本研究において、チューブの内径diを1.0〜1.5mmの間で変化させ、一方、チューブの外径do値を2.0〜3.5mmの間で変化させ、壁厚Δr値を0.25〜1.0mmの間にした(典型的なシルクフィルムの厚みのばらつきは≦10%であった)。ロッド長lは、1つのインビトログループでl = 40mmとしたことを除きすべてのグループにおいて20mmとした。
フィルム紡糸されたシルクチューブの断面SEM画像は、制御送達に使用されるシルクフィルムに関して以前に報告されているように(Pritchard et al., Journal of Controlled Release, 2010, 144, 159)、均一なシルクフィルムコーティング層を示し、明らかなフィルムの欠陥(例えば、微小の亀裂)またはフィルム層の剥離の証拠は有さなかった(図1)。フィルム紡糸されたシルクチューブの分子立体構造を、フーリエ変換赤外(FT-IR)分光法により調査した(図2)。FT-IRスペクトルのフーリエセルフデコンボリューション、およびその後のシルクタンパク質で同定される共通2次構造形態ピークにしたがう曲線フィッティングにより、分子立体構造全体に対する高いシルクII、β-シートの寄与
が示された。この値は、メタノール:水(9:1、v/v)中で24時間処理されたシルクフィルムから測定される高いβ-シート含量に近いものであった。立体構造全体に対するβ-シート、β-ターン、α-ヘリックスおよびランダムコイル構造の相対的寄与は、それぞれ、47%、19%、14%、13%であり、スペクトルの7%が側鎖および凝集したストランドに起因するものであった。
が示された。この値は、メタノール:水(9:1、v/v)中で24時間処理されたシルクフィルムから測定される高いβ-シート含量に近いものであった。立体構造全体に対するβ-シート、β-ターン、α-ヘリックスおよびランダムコイル構造の相対的寄与は、それぞれ、47%、19%、14%、13%であり、スペクトルの7%が側鎖および凝集したストランドに起因するものであった。
図3は、1.5x2.0x20mm(di,d0,l)のフィルム紡糸されたシルクチューブの、室温、脱イオン水中での膨潤キネティクスを示している。水膨潤比は、インキュベートから2h以内にq=1.50±0.07の値に達し(n=3)、第1日の後に1.46±0.02(n=3)への有意でないわずかな減少が観察され、q値は1週間のインキュベートの残りの間、本質的に一定に保たれた。全体として、
の見かけの平衡値へのフィルムの膨潤は、PK研究に関連する時間枠(例えば数ヶ月)に対して本質的に即座であった。
の見かけの平衡値へのフィルムの膨潤は、PK研究に関連する時間枠(例えば数ヶ月)に対して本質的に即座であった。
薬物動態および生体適合性:図4は、シルクリザーバロッドに関するパイロットインビトロ溶解試験におけるアナストロゾール1日放出速度Rおよび累積放出比CA(t)の時間発展を示している。ここで、CA(t)=mR(t)/mAであり、式中、mR(t)は時間tにおける放出された累積アナストロゾール質量であり、mAは総アナストロゾール装填量である(CA(t)=1は完全な放出を示す)。ロッド全体の寸法は、1.5x2.0x20mm(di,d0,l)であり、有効アナストロゾール装填量mA'= mA/le値は1.0mg/mm(n=3)であった。ここで、leは、ディップコーティングによるチューブ端の封止に使用した長さを除いた有効ロッド長である。第2〜37日の間で、
の累積放出値まで190±31μg/日(平均±標準偏差)の本質的に一定のR値のゼロ次の放出キネティクスが、観察された。膨潤データと合わせると、PK結果は、シルクフィルムの膨潤および平衡の成立、最初の2日間のシルクフィルムの厚みに沿った直線的な濃度勾配、ならびにその後の1ヶ月までのゼロ次の放出キネティクスを示している。
の累積放出値まで190±31μg/日(平均±標準偏差)の本質的に一定のR値のゼロ次の放出キネティクスが、観察された。膨潤データと合わせると、PK結果は、シルクフィルムの膨潤および平衡の成立、最初の2日間のシルクフィルムの厚みに沿った直線的な濃度勾配、ならびにその後の1ヶ月までのゼロ次の放出キネティクスを示している。
インビボ薬物動態追跡研究を、メスのSprague-Dawleyラットにおいて行った。インビボ研究の間中、試験物に関連する観察可能な免疫応答または注射部位の問題はなく、これによりシルクロッドが高度に生体適合性であることが示された。さらに、研究の全期間にわたって収集された正規化された体重データの時間発展(図5)は、あらゆる研究グループ間に有意差がないことを示した。表1は、シルクリザーバロッドの寸法および皮下移植された試験物の有効アナストロゾール装填値をまとめたものである。高用量(mA=14mg)および低用量(mA=5.8mg)のアナストロゾール陽性対照は、1ml溶液(水:エタノール、7:3 v/v)として皮下注射した。
図6は、高用量または低用量アナストロゾール陽性対照溶液、シルク-アナストロゾールリザーバロッド(グループA〜D)またはプラセボロッドのラットあたり1回の投与後の血漿アナストロゾール濃度の時間発展を示している(すべてのグループでn=3)。高用量および低用量の両方のアナストロゾール溶液注射グループにおいて、血漿濃度は6hでピークに達し、96h以内にバックグラウンドレベルまで急速に低下し、見かけの最終消失半減期はおよそ6hであった。他方、すべてのシルク-アナストロゾールリザーバロッドグループ(グループA〜D)は、このインビボPK研究の少なくとも最初の28日間、本質的に一定の血漿濃度を示した。プラセボシルクロッドグループでは、血漿濃度は、LC-MS/MSの定量限界
より下であった。28日間の放出の後、グループBの血漿濃度は、おそらくアナストロゾールの完全な放出により、ベースライン値まで徐々に低下し、これは同じロッド寸法および同様のmA値の下で収集されたインビトロデータと一致するものであった(図4)。他方、最初の1ヶ月の後に、グループA、CおよびDの血漿濃度において、アナストロゾールの蓄積またはシルクの生分解に起因するとみられる、漸進的増加が観察された。
より下であった。28日間の放出の後、グループBの血漿濃度は、おそらくアナストロゾールの完全な放出により、ベースライン値まで徐々に低下し、これは同じロッド寸法および同様のmA値の下で収集されたインビトロデータと一致するものであった(図4)。他方、最初の1ヶ月の後に、グループA、CおよびDの血漿濃度において、アナストロゾールの蓄積またはシルクの生分解に起因するとみられる、漸進的増加が観察された。
インビトロ-インビボ相関(IVIVC):表1のグループA〜Dにおいて、並行インビトロ放出アッセイも実施した。図7は、インビトロアナストロゾール1日放出速度の時間発展を示している。最初の29日間に、すべてのグループにおいて本質的にゼロ次の持続放出キネティクスが観察された。29日以降、グループBでは1日放出速度が(完全なアナストロゾール放出のために)急速に低下し、一方グループA、CおよびDの放出速度は、これらのグループのインビボサンプルの血漿濃度の増加と対照的に、60日まで本質的に一定に維持された。最初の1ヶ月の後の血漿濃度の増加は、アナストロゾールの蓄積またはシルクロッドの生分解によるものであり得る。本発明者らは、その相対的に長い、報告されている最終半減期(AstraZeneca Canada, Inc., ARIMIDEXTM, Product Monograph, 2011)に起因するアナストロゾールの有限の蓄積が、観察された血漿濃度の増加をもたらし得るという仮説をたてた。そのような蓄積効果は、放出媒質がサンプリングごとに完全に交換されたインビトロ溶解系では検出可能でないであろう。あるいは、血漿濃度の増加は、インビトロとインビボの間のシルクの分解の差に起因し得る。例えば、シルクマトリックスに関する以前の研究は、シルクフィブロイン材料が、主として、現在のインビトロ溶解系には存在しないインビボでのタンパク質分解酵素の作用を通じて生分解し得ることを示した(Altman et al., Biomaterials, 2003, 24, 401)。シルクロッドのそのような酵素生分解は、有効フィルム厚を減少させ、アナストロゾールのインビボ放出速度および見かけの血漿濃度を増加させ得る。
図8は、表1の研究グループにおいて、第7〜28日の間の平均インビボアナストロゾール血漿濃度Cp,aveが第8〜29日の間の平均インビトロ1日放出速度Raveに依存することを示している。放出速度およびその後の血漿濃度の厳密な制御は、単に表1にしたがいロッド寸法を変更することによって達成され得る。さらに、強いIVIVCが、簡単な経験的な式:
によって観察された。
によって観察された。
放出メカニズム:平均インビトロ1日放出速度R値は、
の逆数と共に直線的に増加した;式中、r0およびr1はそれぞれ外側および内側のロッド半径である(図9)。このロッド寸法に対する放出キネティクスの依存性は、円筒形のリザーバからの拡散律速の見かけの平衡放出キネティクスと良く一致する。さらに、
および10または30mmの異なる有効長le値を有するリザーバロッドからのアナストロゾール放出速度間で有意差はなかった。したがって、シルクリザーバロッドからのアナストロゾールの有効定常状態拡散係数Deは、(Crank, Mathematics of Diffusion, Oxford: Clarendon Press, 1979)
を用いて計算され得、式中、Rはアナストロゾールの放出速度であり、leは有効ロッド長であり、Kdはシルクと水の間のアナストロゾールの分配係数
であり、Csは水中でのアナストロゾールの水溶解度(5mg/ml)であり、r0およびr1は外側および内側のロッド半径である。式6を用いて、本発明者らは、シルクリザーバロッドにおけるアナストロゾールの拡散について、2.4 x 10-8 cm2/sのDe値を得た。アナストロゾールの自由流体力学拡散係数は、球体粒子形状を仮定するストークス-アインシュタインの式:
を用いて、
と概算することができ、式中、kはボルツマン定数であり、Tは絶対温度であり、rは流体力学半径(球体形状および
の比容積と仮定して
と概算される)であり、ηは水の粘度である。したがって、
であり、これはアナストロゾールとシルクフィルムの間の物理的相互作用の可能性および/またはサイズ排除効果(シルクフィルムにおける相関長がアナストロゾールの流体力学半径に相当することに起因する)を示している。シルク
と中程度に親油性のアナストロゾールの間の主要な物理的相互作用は、後者が中性pHで荷電しないことから、疎水性力であると考えられる。しかし、アナストロゾールとシルクの間の可能性のある物理的相互作用の正確な起源は、さらに研究されるべきである。サイズ排除効果の可能性に取り組むために、本発明者らは、アナストロゾールの相対的サイズと高密度シルクネットワーク、例えばシルクフィルムにおける可能性のある相関長を考慮する必要がある。アナストロゾールの流体力学半径は、
と概算され得、一方シルクフィブロインは流体力学半径が
の高分子量タンパク質
である(Nagarkar et al. Physical Chemistry Chemical Physics, 2010, 12, 3834)。他方、低密度シルクフィブロインネットワークに関する1つの公開されているSAXS報告は、複数の相関長の可能性を示唆している(Nagarkar et al. Physical Chemistry Chemical Physics, 2010, 12, 3834)。単一フィブロイン分子の流体力学サイズ(10nm)からネットワークの相関長(>100nm)までの、アナストロゾールの流体力学サイズよりもかなり大きい長さスケールにおいて、分岐したネットワークを示す
のフラクタル次元が観察され、一方ナノメートル〜ナノメートル以下の長さスケールでは
であった。このことは、シルクフィブロイン分子が、その流体力学半径よりも小さい長さスケールで、本質的に1次元の延びたロッド様ナノ構造へと組織化され、低密度メッシュを形成し得ることを暗示している(Nagarkar et al. Physical Chemistry Chemical Physics, 2010, 12, 3834)。したがって、サイズ排除効果が、ナノメートル〜ナノメートル以下のスケールの高密度シルクフィルムにおけるアナストロゾールの拡散に対して作用していることが考えられる。
の逆数と共に直線的に増加した;式中、r0およびr1はそれぞれ外側および内側のロッド半径である(図9)。このロッド寸法に対する放出キネティクスの依存性は、円筒形のリザーバからの拡散律速の見かけの平衡放出キネティクスと良く一致する。さらに、
および10または30mmの異なる有効長le値を有するリザーバロッドからのアナストロゾール放出速度間で有意差はなかった。したがって、シルクリザーバロッドからのアナストロゾールの有効定常状態拡散係数Deは、(Crank, Mathematics of Diffusion, Oxford: Clarendon Press, 1979)
を用いて計算され得、式中、Rはアナストロゾールの放出速度であり、leは有効ロッド長であり、Kdはシルクと水の間のアナストロゾールの分配係数
であり、Csは水中でのアナストロゾールの水溶解度(5mg/ml)であり、r0およびr1は外側および内側のロッド半径である。式6を用いて、本発明者らは、シルクリザーバロッドにおけるアナストロゾールの拡散について、2.4 x 10-8 cm2/sのDe値を得た。アナストロゾールの自由流体力学拡散係数は、球体粒子形状を仮定するストークス-アインシュタインの式:
を用いて、
と概算することができ、式中、kはボルツマン定数であり、Tは絶対温度であり、rは流体力学半径(球体形状および
の比容積と仮定して
と概算される)であり、ηは水の粘度である。したがって、
であり、これはアナストロゾールとシルクフィルムの間の物理的相互作用の可能性および/またはサイズ排除効果(シルクフィルムにおける相関長がアナストロゾールの流体力学半径に相当することに起因する)を示している。シルク
と中程度に親油性のアナストロゾールの間の主要な物理的相互作用は、後者が中性pHで荷電しないことから、疎水性力であると考えられる。しかし、アナストロゾールとシルクの間の可能性のある物理的相互作用の正確な起源は、さらに研究されるべきである。サイズ排除効果の可能性に取り組むために、本発明者らは、アナストロゾールの相対的サイズと高密度シルクネットワーク、例えばシルクフィルムにおける可能性のある相関長を考慮する必要がある。アナストロゾールの流体力学半径は、
と概算され得、一方シルクフィブロインは流体力学半径が
の高分子量タンパク質
である(Nagarkar et al. Physical Chemistry Chemical Physics, 2010, 12, 3834)。他方、低密度シルクフィブロインネットワークに関する1つの公開されているSAXS報告は、複数の相関長の可能性を示唆している(Nagarkar et al. Physical Chemistry Chemical Physics, 2010, 12, 3834)。単一フィブロイン分子の流体力学サイズ(10nm)からネットワークの相関長(>100nm)までの、アナストロゾールの流体力学サイズよりもかなり大きい長さスケールにおいて、分岐したネットワークを示す
のフラクタル次元が観察され、一方ナノメートル〜ナノメートル以下の長さスケールでは
であった。このことは、シルクフィブロイン分子が、その流体力学半径よりも小さい長さスケールで、本質的に1次元の延びたロッド様ナノ構造へと組織化され、低密度メッシュを形成し得ることを暗示している(Nagarkar et al. Physical Chemistry Chemical Physics, 2010, 12, 3834)。したがって、サイズ排除効果が、ナノメートル〜ナノメートル以下のスケールの高密度シルクフィルムにおけるアナストロゾールの拡散に対して作用していることが考えられる。
投与頻度の制御:現在市販されている1mg/日製剤で観察されるのと同じ範囲の臨床的定常状態血漿レベルを達成するために、定常状態での1コンパートメント連続注入を仮定して、
の目標インビトロアナストロゾール1日放出速度を算出した(式3)。この計算は、シルクリザーバロッドからの持続的なゼロ次の放出によるインビボでのアナストロゾールの蓄積がないことを仮定しており、したがって、本願のインビボデータがアナストロゾール蓄積の可能性を示唆している(図6)ため、必要とされる1日放出速度を過大評価している可能性があることに留意されたい。式7、高目標放出レベル
および現在達成可能な有効アナストロゾール装填量mA'値を用いて、本発明者らは、異なる期間の目標レベルでのゼロ次の持続放出を実現するリザーバロッドの寸法を概算することができ、これによりこれらの製剤のより長い投与間期間を実現できるであろう。表2は、目標レベルでのアナストロゾールの1〜12ヶ月の間の持続送達のためのいくつかの例示的なシルクリザーバロッドの寸法を提供する。
の目標インビトロアナストロゾール1日放出速度を算出した(式3)。この計算は、シルクリザーバロッドからの持続的なゼロ次の放出によるインビボでのアナストロゾールの蓄積がないことを仮定しており、したがって、本願のインビボデータがアナストロゾール蓄積の可能性を示唆している(図6)ため、必要とされる1日放出速度を過大評価している可能性があることに留意されたい。式7、高目標放出レベル
および現在達成可能な有効アナストロゾール装填量mA'値を用いて、本発明者らは、異なる期間の目標レベルでのゼロ次の持続放出を実現するリザーバロッドの寸法を概算することができ、これによりこれらの製剤のより長い投与間期間を実現できるであろう。表2は、目標レベルでのアナストロゾールの1〜12ヶ月の間の持続送達のためのいくつかの例示的なシルクリザーバロッドの寸法を提供する。
目標レベルでの360日間の持続送達のための概算寸法(le,d0,Δr(mm)=36,3.87,0.35)を有するシルク-アナストロゾールロッドに対する41日のインビトロパイロット放出アッセイは、964±262μg/日の平均インビトロ1日放出速度およびおよそ8ヶ月の推定持続放出期間を示した(図10)。これらの結果は、シルクリザーバロッドを用いることで6ヶ月を超えて目標放出速度またはそれ以上での持続的なアナストロゾール送達を実現できることを示唆している。
ロッドの生分解:図11は、シルクフィブロインロッドの乾燥質量、FT-IR分光法によって測定されたβ-シート含量およびSECによって測定された見かけの質量平均分子量の時間発展を、ラットにおける移植期間の関数として示している(n=3、値は移植前の値に対して正規化された)。正規化された見かけの質量平均分子量値は徐々に低下した(102および182日間でそれぞれ66±7%および52±7%)。対照的に、正規化された乾燥質量値(102および182日間でそれぞれ92±1%および92±2%)ならびに正規化されたβ-シート含量値(102および182日間でそれぞれ110±1%および106±2%)は、本質的に一定に維持された。簡潔に言うと、シルクフィブロインリザーバロッドは、ラットへの移植の6ヶ月後に、その全体の構造完全性を維持しており、数ヶ月の長さのゼロ次の持続送達用途に十分な時間を提供した。182日間にわたる見かけのシルクフィブロイン分子量の漸進的減少は、このロッドが、制御された持続送達用途に好ましい生分解プロフィールで、より長い期間をかけて完全に生分解し得ることを示唆している。
ゼロ次でかつ長期間の持続的薬物送達用途のためにシルク・タンパク質ベースのリザーバロッドを開発した。シルクリザーバロッド製剤を、3工程で処理した。第1に、ランダムコイル含量が高い再生シルクフィブロイン溶液を、「フィルム紡糸」により、注射可能なサイズ〜インプラントサイズの範囲の望ましい寸法、均一なフィルム形態およびシルクII、β-シート含量が高い構造を有するチューブ状のシルクフィルムへと変換した。第2に、膨潤させたシルクチューブ中に薬物粉末を装填し、その後にチューブ端をクランプ留めした。最後に、クランプ留めしたシルクチューブ端を、ディップコーティングにより完全に封止した。乳癌処置用としてFDAに承認されている有効成分であるアナストロゾールを、持続送達のためのシルクリザーバロッド技術の実行可能性を調査するためのモデル薬物として使用した。液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析を通じて分析されたインビトロおよびインビボ(メスのSprague-Dawleyラット)薬物動態データは、数ヶ月間のゼロ次の放出を示した。インビトロアナストロゾール放出速度は、単にシルクロッドの寸法を変更することによって制御することができ、インビボ結果は、強いインビトロ・インビボ相関およびシルクロッドの生体適合性を示した。シルクフィルムの膨潤およびゼロ次のアナストロゾール放出キネティクスは、事実上フィルムの即時の水和およびシルクフィルム厚に沿う直線的なアナストロゾール濃度勾配の形成を示した。ロッド全体の寸法に対するアナストロゾール放出速度の依存性は、リザーバの円筒形の形状からの、本質的に拡散制御されたゼロ次の持続放出と十分に一致した。全体として、シルクリザーバロッドは、乳癌治療の持続放出のための実行可能な候補であり得る。
薬物投与の頻度を下げることは、薬学研究の大きな目標である。投与頻度を下げる利益は、患者のコンプライアンス、利便性およびクオリティ・オブ・ライフ全体の改善を含む。本明細書に記載される成果は、持続送達のための多目的の材料プラットフォームとして、フィルム紡糸されたシルクベースの材料を提供する。アナストロゾールから得られる数ヶ月間のほぼゼロ次の持続送達は、フィルム紡糸されたシルクベースの材料が乳癌治療に利用可能であることを示している。
本明細書および実施例で特定されているすべての特許およびその他の刊行物は、すべての目的で、明示的に、参照により本明細書に組み入れられる。これらの刊行物は、単に本願の出願日より前に開示されていたために提供されるにすぎない。これに関していかなるものも、先行発明であることを理由としてまたは任意のその他の理由で本発明者らがそのような開示よりも先の日付を主張する権利を有さないことの承認と解釈されるべきではない。これらの文献の日付に関する言及または内容に関する表示はすべて、出願人が入手し得た情報に基づいており、これらの文献の日付または内容の正確さに関する承認を構成するものではない。
本明細書には好ましい態様が示され詳細に説明されているが、本発明の精神から逸脱することなく様々な改変、付加、置換等を行うことができること、したがってこれらは添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲に含まれるとみなされることが、関連分野の当業者に明らかであろう。さらに、本明細書に記載され例示されている様々な態様の任意の一つはさらに、すでに示されていない程度まで、本明細書に開示される任意の他の態様に示される特徴を組み入れるよう改変され得ることが、当業者に理解されるであろう。
Claims (43)
- (i)内腔を備えるシルクマトリックス;および
(ii)抗癌剤
を含む持続送達組成物であって、抗癌剤が内腔中にあり、抗癌剤を内腔内に保持するために内腔の2つの末端が閉鎖されている、組成物。 - シルクマトリックスが、円筒形状である、請求項1に記載の組成物。
- シルクマトリックスが、約1mm〜約10cmの長さを有する、請求項1に記載の組成物。
- シルクマトリックスが、約5mm、約7.5mm、約10mm、約12.5mm、約15mm、約17.5mm、約20mm、約22.5mm、約25mm、約27.5mm、約30mm、約32.5mm、約35mm、約37.5mm、約40mm、約42.5mm、約45mm、約47.5mmまたは約50mmの長さを有する、請求項3に記載の組成物。
- シルクマトリックスが、約50μm〜約5mmの壁厚を有する、請求項1に記載の組成物。
- シルクマトリックスが、約0.09mm、約0.10mm、約0.15mm、約0.21mm、約0.24mm、約0.25mm、約0.26mm、約0.5mm、約0.75mm、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mm、約3.5mm、約3.75mmまたは約4mmの壁厚を有する、請求項5に記載の組成物。
- シルクマトリックスが、約0.5mm〜約10mmの直径を有する、請求項1に記載の組成物。
- シルクマトリックスが、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約1.93mm、約1.95mm、約2mm、約2.06mm、約2.17mm、約2.25mm、約2.43mm、約2.5mm、約2.66mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mm、約3.5mm、約3.75mm、約4mm、約4.25mm、約4.5mm、約4.75mmまたは約5mmの直径を有する、請求項7に記載の組成物。
- 内腔が、約100nm〜約10mmの直径を有する、請求項1に記載の組成物。
- 内腔が、約0.25mm、約0.5mm、約0.75mm、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mmまたは約3.5mmの直径を有する、請求項9に記載の組成物。
- 内腔が、約1mm〜約10cmの長さを有する、請求項1に記載の組成物。
- 内腔が、約5mm、約7.5mm、約10mm、約12.5mm、約15mm、約17.5mm、約20mm、約22.5mm、約25mm、約27.5mm、約30mm、約32.5mm、約35mm、約37.5mm、約40mm、約42.5mm、約45mm、約47.5mmまたは約50mmの長さを有する、請求項11に記載の組成物。
- シルクマトリックス中のシルクフィブロインが、少なくとも5%のシルクIIβ-シート結晶化度を備える、請求項1に記載の組成物。
- シルクマトリックス中のシルクフィブロインが、約47%のシルクIIβ-シート結晶化度を備える、請求項13に記載の組成物。
- 抗癌剤が、抗乳癌剤である、請求項1に記載の組成物。
- 抗癌剤が、副腎コルチコステロイド阻害剤、アルキル化剤、アンドロゲンおよびアナボリックステロイド、抗生物質/抗新生物薬、代謝拮抗物質、アロマターゼ阻害剤、EGFR阻害剤およびHER2阻害剤、エストロゲン受容体アンタゴニスト、エストロゲン、HER2阻害剤、免疫抑制剤、有糸分裂阻害剤、mTOR阻害剤、選択的免疫抑制剤、選択的エストロゲン受容体調節物質、およびVEGF/VEGFR阻害剤、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
- 抗癌剤が、アナストロゾールである、請求項1に記載の組成物。
- 約0.01%〜約95%(w/w)の抗癌剤を含む、請求項1に記載の組成物。
- シルクマトリックスまたは内腔の長さ1mmあたり約0.5mg〜約2.5mgの抗癌剤を含む、請求項1に記載の組成物。
- シルクマトリックスまたは内腔の長さ1mmあたり約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、約1.3mg、約1.4mgまたは約1.5mgの抗癌剤を含む、請求項19に記載の組成物。
- シルクマトリックスが生体適合性ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
- 移植可能または注射可能である、請求項1に記載の組成物。
- シルクマトリックスが、
(i)約10mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径;
(ii)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径;
(iii)約20mmの長さ、約1.0mmの内腔直径、および約2.0mmの外径;
(iv)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約3.5mmの外径;
(v)約46mmの長さ、約3.2mmの内腔直径、および約3.9mmの外径;または
(vi)約36mmの長さ、約3.9mmの内腔直径、および約3.5mmの外径
の寸法を有する、請求項1に記載の組成物。 - (i)約10mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約1.3mgもしくは約1.4mgの抗癌剤;
(ii)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約2.0mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約0.6mgの抗癌剤;
(iii)約20mmの長さ、約1.0mmの内腔直径、および約2.0mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約0.8mgもしくは約0.7mgの抗癌剤;
(iv)約20mmの長さ、約1.5mmの内腔直径、および約3.5mmの外径を有するシルクマトリックス;シルクマトリックスの長さ1mmあたり約0.9mgもしくは約1.3mgの抗癌剤;または
(v)約46mmの長さ、約3.2mmの内腔直径、および約3.9mmの外径を有するシルクマトリックス;ならびにシルクマトリックスの長さ1mmあたり約6mgの抗癌剤
を含む、請求項1に記載の組成物。 - シルクマトリックスが、
(i)約10mmの内腔長、約1.75mmの内腔直径、および約1.93mmの外径;
(ii)約20mmの内腔長、約1.75mmの内腔直径、および約1.95mmの外径;
(iii)約30mmの内腔長、約1.76mmの内腔直径、および約2.06mmの外径、ならびに約0.15mmの壁厚;
(iv)約40mmの内腔長、約1.75mmの内腔直径、および約2.17mmの外径;
(v)約40mmの内腔長、約1.95mmの内腔直径、および約2.43mmの外径;
(vi)約40mmの内腔長、約2.14mmの内腔直径、および約2.66mmの外径;
(vii)約46mmの内腔長、約3.2mmの内腔直径、および約3.9mmの外径;または
(viii)約36mmの内腔長、約3.5mmの内腔直径、および約3.9mmの外径
の寸法を有する、請求項1に記載の組成物。 - 少なくとも約1週間の期間にわたる抗癌剤の持続放出を提供する、請求項1に記載の組成物。
- 抗癌剤が、約1μg/日〜約10mg/日の速度で組成物から放出される、請求項1に記載の組成物。
- 抗癌剤が、約600〜約1000μg/日の速度でシルクマトリックスから放出される、請求項27に記載の組成物。
- 抗癌剤が、シルクマトリックスの非存在下での治療効果持続時間と比べて少なくとも1日長い治療効果持続時間を有する、請求項1に記載の組成物。
- 請求項1に記載の持続送達組成物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
- 対象において癌を処置するための方法であって、それを必要とする対象に請求項1に記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
- 組成物の投与頻度が、同量の抗癌剤をシルクマトリックスの非存在下で投与する場合よりも少ない、請求項31に記載の方法。
- 投与頻度が、抗癌剤をシルクマトリックスの非存在下で投与する場合と比べて1/2倍に低減される、請求項32に記載の方法。
- 投与が、1ヶ月に1回以下、2週間に1回以下、3週間に1回以下、1ヶ月に1回以下、2ヶ月に1回以下、4ヶ月に1回以下または6ヶ月に1回以下である、請求項31に記載の方法。
- 請求項1に記載の組成物を含む、薬物送達デバイス。
- 注射針を有する注射器である、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
- インプラントである、請求項36に記載の薬物送達デバイス。
- 請求項1に記載の組成物または請求項35に記載の薬物送達デバイスを含む、キット。
- 少なくとも注射器および注射針をさらに含む、請求項38に記載のキット。
- 麻酔薬をさらに含む、請求項38に記載のキット。
- 消毒剤をさらに含む、請求項38に記載のキット。
- 使用説明書をさらに含む、請求項38に記載のキット。
- 以下の工程を含む、請求項1に記載の持続送達組成物を調製する方法:
(i)シルクチューブを形成する工程であって、
a.アプリケータを用いてシルク溶液を支持構造物上に送達する工程であって、支持構造物が縦軸を有する細長構造物であり、かつ支持構造物を、その縦軸に沿って回転させながら水平方向に往復運動させて、その上にシルクコーティングを形成する、工程;
b.ワイヤを回転させながらシルクコーティングを加熱し、シルクフィルムを形成する工程;ならびに
c.任意で、前記送達する工程および加熱する工程を繰り返して、その上に1つまたは複数のシルクフィルムのコーティングを形成する工程
を含む、工程;
(ii)シルクコーティングの立体構造変化を誘導する工程;
(iii)任意で、シルクチューブを水和させる工程;
(iv)シルクチューブに抗癌剤を装填する工程;
(v)前記治療剤が中に密封されるように、シルクチューブの末端を閉鎖する工程。
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