JP2015533171A - グルカゴン様ペプチド(glp−1)受容体アゴニスト治療剤の持続送達のための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
シルクベースの薬物送達組成物、またはグルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体アゴニストなどの治療剤の持続送達のための組成物、ならびにその作製および使用方法に関する。
Description
関連出願の相互参照
本願は、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、2012年10月11日に出願された米国仮出願第61/712,590号の恩典を35 U.S.C.§119(e)の下で主張する。
本願は、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、2012年10月11日に出願された米国仮出願第61/712,590号の恩典を35 U.S.C.§119(e)の下で主張する。
本開示は、概して、分子、例えば治療剤の持続送達のためのシルクベースの薬物送達組成物、ならびにそれを使用する方法に関する。1つの局面において、本開示は、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体アゴニストの持続送達のためのシルクベースの薬物送達組成物、および糖尿病を処置する方法に関する。
背景
2型真性糖尿病は、糖尿病の最も一般的な形態であり、脂肪、肝臓および筋肉細胞がインスリンを認識できないことまたは十分なインスリンを産生できないことにより特徴づけられる。このインスリン抵抗性またはインスリン欠乏により、血糖はこれらの細胞に入らず、高血糖症を発症する。数百万の米国人が2型糖尿病と診断されており、それは公衆衛生の負担として増大を続けている。
2型真性糖尿病は、糖尿病の最も一般的な形態であり、脂肪、肝臓および筋肉細胞がインスリンを認識できないことまたは十分なインスリンを産生できないことにより特徴づけられる。このインスリン抵抗性またはインスリン欠乏により、血糖はこれらの細胞に入らず、高血糖症を発症する。数百万の米国人が2型糖尿病と診断されており、それは公衆衛生の負担として増大を続けている。
現行の治療アプローチは、様々なメカニズムを通じた血中グルコースレベルの制御に着目している。これらの薬物には、インスリン増感剤、例えば、食物から吸収されるグルコース量を減らし肝臓におけるグルコース産生を低下させるメトホルミン(Glucophage、Glumetza)、および組織をインスリンに対してより感受性にするピオグリタゾン(Actos)が含まれる。他の薬物は、インスリン分泌促進物質、例えば、より多くのインスリンを産生するよう膵臓を刺激するグリブリド(DiaBeta、Glynase)、グリピジド(Glucotrol)、グリメピリド(Amaryl)、レパグリニド(Prandin)およびナテグリニド(Starlix)、またはグルカゴン放出を阻害しインスリン放出を刺激するインクレチンレベル(GLP-1)を増加させるジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害剤であるシタグリプチン(Januvia)およびサキサグリプチン(Onglyza)である。これらの薬物はすべて、典型的には1日1回摂取する経口錠剤として処方される。あるいは、GLP-1類似体、例えばエキセナチド(Byetta)およびリラグルチド(Victoza)が、毎日の皮下注射として処方される。加えて、即効型〜長時間作用型の範囲のインスリンおよびインスリンポンプというインスリン治療も、1つの選択肢である。これらの薬物には、速効型のインスリンリスプロ(Humalog)およびインスリンアスパルト(NovoLog)ならびに長時間作用型のインスリングラルギン(Lantus)およびインスリンデテミル(Levemir)が含まれる。これらの薬物は、食前もしくは食後(即効型)または皮下注射として1日1回(長時間作用型)投与される。
現在利用可能な治療剤は、経口でのまたは皮下注射による、毎日の投与を必要とすることから、1週間、1ヶ月またはそれ以上の間に1回投与され得る持続放出製剤に対する強い要望が存在する。1つのそのような製剤は、Amylin Pharmaceuticals、Eli Lilly & Co.およびAlkermesによって開発され、最近、食品医薬品局(FDA)によって認可された、エキセナチドの1週間に1回のタイプであるBydureonである。この製剤は、複雑なポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)マイクロスフェアコアセルベーション法を用いて調製され、その粒子サイズゆえに、皮下投与のために23ゲージ針を用いて注射されなければならない。さらに、乏しい薬物動態のために、1日1回のByettaと比較してより高用量のエキセナチドが必要とされる(Kwak et al., Pharmaceutical Research, 2009, 26: 2504(非特許文献1))。これらの薬物は、市場の大部分を占めており、持続性薬物送達製剤、例えばシルクフィブロインがその投与頻度を低減させる機会を提供する。これは特に、頻繁な皮下注射を必要とする治療剤にとって重要である。
したがって、有害な有機溶媒の使用を最小限に抑える方法で製造される、治療剤の持続送達を提供する、潜在的に炎症性の分解副産物を生じない改善された薬学的組成物が必要とされている。
Kwak et al., Pharmaceutical Research, 2009, 26: 2504
概要
本開示の1つの局面は、送達システムとしてシルクフィブロインを利用する。シルクは、より一般的に使用されている合成ポリマーシステム、例えばPLGAと比較して幅広い多くの利点を提供する。シルクフィブロインは、PLGAの場合の有機溶媒および高温と比較して、完全水性条件下および周囲温度下で処理され、シルクの分解副産物(アミノ酸)は、PLGAの副産物(酸)と比較して非炎症性である。これらの特徴は、温度、pHおよび有機溶媒の変化に対して感受性がある薬物、例えばタンパク質(例えば、抗体)およびペプチド(例えば、エキセナチド、リラグルチド)を、活性の喪失なしに、送達ビヒクルとしてシルクフィブロインを用いて送達できるようにする。有機溶媒を用いる処理により薬物が活性を喪失し得る、または投与後に時間と共に酸性の副産物に分解され得るPLGAベースのシステムと比較して、これらの薬物製剤を穏やかな条件下で処理することにより、これらの分子の構造はインタクトな状態で維持され、長期間薬効が保持される。
本開示の1つの局面は、送達システムとしてシルクフィブロインを利用する。シルクは、より一般的に使用されている合成ポリマーシステム、例えばPLGAと比較して幅広い多くの利点を提供する。シルクフィブロインは、PLGAの場合の有機溶媒および高温と比較して、完全水性条件下および周囲温度下で処理され、シルクの分解副産物(アミノ酸)は、PLGAの副産物(酸)と比較して非炎症性である。これらの特徴は、温度、pHおよび有機溶媒の変化に対して感受性がある薬物、例えばタンパク質(例えば、抗体)およびペプチド(例えば、エキセナチド、リラグルチド)を、活性の喪失なしに、送達ビヒクルとしてシルクフィブロインを用いて送達できるようにする。有機溶媒を用いる処理により薬物が活性を喪失し得る、または投与後に時間と共に酸性の副産物に分解され得るPLGAベースのシステムと比較して、これらの薬物製剤を穏やかな条件下で処理することにより、これらの分子の構造はインタクトな状態で維持され、長期間薬効が保持される。
したがって、1つの局面において、本開示は、治療剤の持続送達を提供するシルクベースの薬物送達組成物を提供する。そのようなシルクベースの薬物送達組成物は、患者のコンプライアンスの促進に加えて、優れた生体適合性、および非炎症性分解産物、例えばペプチドおよびアミノ酸を示す。したがって、持続放出薬学的製剤における担体としてのシルクの使用は、酸性の分解副産物を生じる他のポリマー製剤(例えば、PLGA)と比較して、炎症応答を最小限に抑え、有効成分の安定性を高めることができる。シルク組成物は、完全に水性ベースの溶媒中で処理することができる。したがって、そのようなシルクベースの薬物送達組成物は、PLGAベースの持続放出製剤の調製において使用される有害な有機溶媒の使用を回避する。
概して、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、シルクフィブロインマトリックス中に分散またはカプセル化された治療剤を含む。シルクフィブロインマトリックスは、シルクフィブロインヒドロゲルの形態であり得る。さらに、ヒドロゲルは、バルクゲルまたはゲル粒子(マイクロゲル)の形態であり得る。さらに、シルクベースの薬物送達組成物は、インビボで治療剤を持続送達することができる。
いくつかの態様において、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、生体適合性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)をさらに含み得る。
いくつかの態様において、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、アルブミンをさらに含み得る。
別の局面において、薬学的組成物が本明細書に提供される。薬学的組成物は、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物および薬学的に許容される賦形剤を含む。
シルクベースの薬物送達組成物および使用説明書を含むキットもまた、本明細書において提供される。
さらに別の局面において、治療剤のインビボでの持続送達のための方法が、本明細書において提供される。この方法は、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物を対象に投与する工程を含む。患者への投与のために、シルクベースの薬物送達組成物は、薬学的に許容される賦形剤または担体を用いて製剤化され得る。治療剤は、ある期間にわたって、治療有効量で送達され得る。
さらに別の局面において、対象において糖尿病を処置するための方法が、本明細書において提供される。この方法は、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。糖尿病の処置のために、治療剤は、糖尿病の処置に関して当技術分野で公知の任意の薬剤であり得る。いくつかの態様において、治療剤は、GLP-1受容体アゴニストであり得る。いくつかの態様において、GLP-1受容体アゴニストは、エキセナチドまたはリラグルチドを含む。本明細書のシルクベースの薬物送達組成物は、通常のより頻繁な糖尿病処置用治療剤の投与(例えば、1週間に1〜3回またはそれ以上)に代えて、1〜6ヶ月に1回(例えば、1〜2ヶ月に1回、3〜6ヶ月に1回)治療剤を投与するために使用できるという利点がある。
本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物の例示的な態様のいくつかにおいて、GLP-1受容体アゴニストであるエキセナチドおよびリラグルチドを、例示的な治療剤として使用した。このGLP-1受容体アゴニストの特定の例において、エキセナチド装填シルクヒドロゲルは、インビボで1週間およびインビトロで1ヶ月超の推定治療レベルでの持続放出を示した。治療レベルで2〜3ヶ月への放出プロフィールの改善は、ヒドロゲル中への高薬物装填を用いて行うことができる。理論によって拘束されることを望むものではないが、この製剤は、2型真性糖尿病を患っている患者への注射の回数を有意に低減させることができる。製剤の放出キネティクスはさらに、患者が3〜6ヶ月ごとの注射しか必要としないように調節され得、これは現行の1日1回の投薬からみて大きな改善である。
例示的な態様の詳細な説明
本開示は、慢性疾患および障害のための治療剤の毎日または毎週の投与に関連する問題に対する解決手段を提供する。反復注射に関連する課題に取り組むために、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物が開発された。この問題の解決にあたって、本発明者らは、インビトロで2ヶ月超およびインビボで1週間の例示的な治療剤GLP-1受容体アゴニスト(例えば、エキセナチドおよびリラグルチド)の持続放出のためのシルクベースの薬物送達組成物の使用を実証した。
本開示は、慢性疾患および障害のための治療剤の毎日または毎週の投与に関連する問題に対する解決手段を提供する。反復注射に関連する課題に取り組むために、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物が開発された。この問題の解決にあたって、本発明者らは、インビトロで2ヶ月超およびインビボで1週間の例示的な治療剤GLP-1受容体アゴニスト(例えば、エキセナチドおよびリラグルチド)の持続放出のためのシルクベースの薬物送達組成物の使用を実証した。
概して、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、シルクマトリックス中に分散またはカプセル化された治療剤を含む。非限定的に、治療剤は、シルクマトリックス内に均一または不均一に分散され得る。「分散」および「カプセル化」という用語は、本明細書において、シルクマトリックス中の治療剤の存在に関連して使用される場合、互換的に使用される。
非限定的に、シルクマトリックスは、所望の任意のサイズ、形状または寸法を有し得る。例えば、シルクマトリックスは、粒子、繊維、フィルム、ゲル、メッシュ、マット、不織マット、粉末、液体またはそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。いくつかの態様において、シルクマトリックスは、断面を有し得る。断面は、例えば、非限定的に、円形、実質的に円形、卵形、実質的に卵形、楕円形、実質的に楕円形、三角形、実質的に三角形、四角形、実質的に四角形、六角形、実質的に六角形等であり得る。
いくつかの態様において、シルクマトリックスは、ヒドロゲルの形態であり得る。本明細書で使用される場合、「ヒドロゲル」という用語は、溶解することなく相当量の液体、例えば水をその構造内に吸収することができる、共有結合的または非共有結合的架橋によってひとかたまりになっている3次元高分子ネットワークからなる膨潤可能なポリマーマトリックスを表す。いくつかの態様において、シルクマトリックスは、粒子、例えばマイクロ粒子またはナノ粒子の形態である。
本明細書で使用される場合、「シルクマトリックス」という語句は、概して、シルクを含むマトリックスを表す。いくつかの態様において、シルクは、セリシンを排除したものであり得る。いくつかの態様において、シルクは、シルクフィブロイン、シルクセリシンまたはそれらの組み合わせを含み得る。「シルクマトリックス」という用語は、シルク(またはシルクフィブロイン)がシルクマトリックス組成物全体の少なくとも約1%(w/vまたはw/w)(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%またはそれ以上)を構成するマトリックスまたは組成物を表す。いくつかの態様において、シルクマトリックスは、シルクマトリックス組成物全体の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、100%を含む100%以下、または約30%〜約100%の間の任意の百分率を構成する。
本明細書で使用される場合、「シルクフィブロイン」または「フィブロイン」という用語は、カイコシルクおよび昆虫またはクモシルクのタンパク質を含む。例えば、Lucas et al., Adv. Protein Chem. 1958, 13, 107-242を参照のこと。任意のタイプのシルクフィブロインが、本発明の局面にしたがい使用され得る。多くの異なるタイプのシルクが、アンセラエア・ミリタ(Antheraea mylitta);アンセラエア・ペルニイ(Antheraea pernyi);アンセラエア・ヤママイ(Antheraea yamamai);ガレリア・メロネラ(Galleria mellonella);ボンビクス・モリ(Bombyx mori);ボンビクス・マンダリナ(Bombyx mandarina);ガレリア・メロネラ;ネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes);ネフィラ・セネガレンシス(Nephila senegalensis);ガステラカンタ・マンモーサ(Gasteracantha mammosa);アルギオープ・オーランティア(Argiope aurantia);アラネウス・ジアデマタス(Araneus diadematus);ラトロデクタス・ジオメトリカス(Latrodectus geometricus);アラネウス・ビセンテナリウス(Araneus bicentenarius);テトラグナタ・ベルシカラー(Tetragnatha versicolor);アラネウス・ベントリコサス(Araneus ventricosus);ドロメデス・テネブロサス(Dolomedes tenebrosus);ユーアグラス・チソセウス(Euagrus chisoseus);プレクトレウリス・トリスティス(Plectreurys tristis);アルギオープ・トリファシアタ(Argiope trifasciata);およびネフィラ・マダガスカリエンシス(Nephila madagascariensis)を非限定的に含む幅広い様々な種によって産生される。他のシルクは、トランスジェニックシルク、遺伝子改変シルク(組み換えシルク)、例えば細菌、酵母、哺乳動物細胞、トランスジェニック動物またはトランスジェニック植物由来のシルク、およびそれらの変種を含む。例えば、両方の内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO 97/08315および米国特許第5,245,012号を参照のこと。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、他の供給源、例えばクモ、他のカイコ、ミツバチ、合成シルク様ペプチド、およびそれらの生物工学による変種から得ることができる。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、カイコまたはトランスジェニックカイコの腺から抽出することができる。例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、WO2007/098951を参照のこと。
いくつかの態様において、組成物は、低分子量シルクフィブロインフラグメントを含む。すなわち、組成物は、以下の点を特徴とする分子量範囲を有するシルクフィブロインフラグメントの集団を含む:集団内のシルクフィブロインフラグメントの総重量の15%以下が200kDaを超える分子量を有し、集団内のシルクフィブロインフラグメントの総重量の少なくとも50%が指定範囲内の分子量を有し、ここで指定範囲は約3.5kDa〜約120kDaの間である。非限定的に、分子量は、ピーク平均分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)または重量平均分子量(Mw)であり得る。
本明細書で使用される場合、「シルクフィブロインフラグメント」という語句は、シルクフィブロインタンパク質由来のフラグメントに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはその変種を表す。本開示との関係で、概して、シルクフィブロインフラグメントは、天然に存在する全長シルクフィブロイン対応物よりも小さいシルクフィブロインポリペプチドを表し、そのため集団または組成物内の1つまたは複数のシルクフィブロインフラグメントは300kDa未満、250kDa未満、200kDa未満、175kDa未満、150kDa未満、120kDa未満、100kDa未満、90kDa未満、80kDa未満、70kDa未満、60kDa未満、50kDa未満、40kDa未満、30kDa未満、25kDa未満、20kDa未満、15kDa未満、12kDa未満、10kDa未満、9kDa未満、8kDa未満、7kDa未満、6kDa未満、5kDa未満、4kDa未満、3.5kDa未満等である。いくつかの態様において、「シルクフィブロインフラグメントを含む組成物」は、シルクフィブロインポリペプチドのより短いフラグメントに加えて、断片化していない(すなわち、全長の)シルクフィブロインポリペプチドを含む組成物を包含する。本明細書に記載されるシルクフィブロインフラグメントは、組み換えタンパク質として製造され得るか、またはネイティブシルクフィブロインタンパク質もしくはシルク繭から取得もしくは単離(例えば、精製)され得る。いくつかの態様において、シルクフィブロインフラグメントは、所望の範囲の分子量を有するシルクフィブロインフラグメントが生じるように選択された指定条件下でシルク繭を脱ガム処理することによって取得され得る。低分子量シルクフィブロイン組成物は、2013年9月27日に出願された米国仮出願第61/883,732号に記載されており、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルクフィブロインは、そのネイティブのセリシン内容物が実質的に欠乏している(例えば、最終抽出シルク中に5%(w/w)またはそれ未満の残留セリシン)。あるいは、より高濃度の残留セリシンが、抽出後のシルクに残存し得るか、または抽出工程が省略され得る。いくつかの態様において、セリシン欠乏シルクフィブロインは、例えば、約1%(w/w)の残留セリシン、約2%(w/w)の残留セリシン、約3%(w/w)の残留セリシン、約4%(w/w)または約5%(w/w)の残留セリシンを有する。いくつかの態様において、セリシン欠乏シルクフィブロインは、例えば、最大1%(w/w)の残留セリシン、最大2%(w/w)の残留セリシン、最大3%(w/w)の残留セリシン、最大4%(w/w)または最大5%(w/w)の残留セリシンを有する。いくつかの態様において、セリシン欠乏シルクフィブロインは、例えば、約1%(w/w)〜約2%(w/w)の残留セリシン、約1%(w/w)〜約3%(w/w)の残留セリシン、約1%(w/w)〜約4%(w/w)または約1%(w/w)〜約5%(w/w)の残留セリシンを有する。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、そのネイティブのセリシン内容物を完全に含まない。本明細書で使用される場合、「完全に含まない」という用語(すなわち、「からなる」という専門用語)は、使用される機器またはプロセスの検出範囲内でその物質が検出できないまたはその存在が確認できないことを意味する。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、そのネイティブのセリシン内容物を本質的に含まない。本明細書で使用される場合、「本質的に含まない」(または「から本質的になる」)という用語は、その物質が微量しか検出できないことを意味する。
理論によって拘束されることを望むものではないが、本明細書に開示されるシルクベースの薬物送達組成物の特性は、シルクセリシンの制御された部分的除去または供給源シルクを意図的にセリシン豊富にすることを通して改変され得る。これは、シルク脱ガムプロセスの時間、温度、濃度等の条件を変更することによって達成され得る。
脱ガムシルクは、当業者に公知の任意の従来法によって調製され得る。例えば、B.モリの繭が、水溶液中で、約90分間まで、通常約10〜60分間煮沸される。1つの態様において、水溶液は、約0.02M Na2CO3である。繭は、例えば、セリシンタンパク質を抽出するために、水でリンスされる。脱ガムシルクは、乾燥されて、シルク粉末を調製するために使用され得る。あるいは、抽出されたシルクが、塩水溶液に溶解され得る。この目的で有用な塩は、臭化リチウム、チオシアン酸リチウム、硝酸カルシウム、またはシルクを可溶化させることができる他の化学物質を含む。いくつかの態様において、抽出されたシルクは、約8M〜12M LiBr溶液に溶解され得る。塩は最終的に、例えば透析を用いて除去される。
必要ならば、この溶液はその後、例えば、吸湿性ポリマー、例えばPEG、ポリエチレンオキシド、アミロースまたはセリシンに対する透析を用いて濃縮され得る。いくつかの態様において、PEGは、8,000〜10,000g/molの分子量のものであり、かつ約10%〜約50%(w/v)の濃度を有する。slide-a-lyzer透析カセット(Pierce、MW CO 3500)が使用され得る。しかし、任意の透析システムが使用され得る。透析は、シルク水溶液の終濃度を約10%〜約30%の間にするのに十分な期間行われ得る。ほとんどの例において、2〜12時間の透析で十分であり得る。例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、国際特許出願公開第WO 2005/012606号を参照のこと。濃縮されたシルク溶液を作製する別の方法は、(例えば、蒸発または凍結乾燥による)希薄シルク溶液の乾燥を含む。希薄溶液を部分的に乾燥して容積を減らし、それによってシルク濃度を高めることができる。希薄溶液を完全に乾燥させて、次いで乾燥したシルクフィブロインを希薄シルク溶液のそれと比較して少量の溶媒に溶解することができる。
いくつかの態様において、シルクフィブロイン溶液は、有機溶媒を用いて作製され得る。そのような方法は、例えば、Li, M., et al., J. Appl. Poly Sci. 2001, 79, 2192-2199; Min, S., et al. Sen'I Gakkaishi 1997, 54, 85-92; Nazarov, R. et al., Biomacromolecules 2004 5, 718-26に記載されており、それらすべての内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。シルク溶液を作製するために使用され得る例示的な有機溶媒は、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を含むがこれに限定されない。例えば、その内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる国際出願第WO2004/000915号を参照のこと。いくつかの態様において、シルク溶液は、有機溶媒、すなわち水以外の溶媒を完全に含まないかまたは本質的に含まない。
概して、任意の量のシルクフィブロインが、シルクベースの薬物送達組成物を形成するために使用される溶液中に存在し得る。例えば、溶液中のシルクフィブロインの量は、約0.1%(w/v)〜約90%(w/v)であり得る。いくつかの態様において、溶液中のシルクフィブロインの量は、約1%(w/v)〜約75%(w/v)、約1%(w/v)〜約70%(w/v)、約1%(w/v)〜約65%(w/v)、約1%(w/v)〜約60%(w/v)、約1%(w/v)〜約55%(w/v)、約1%(w/v)〜約50%(w/v)、約1%(w/v)〜約35%(w/v)、約1%(w/v)〜約30%(w/v)、約1%(w/v)〜約25%(w/v)、約1%(w/v)〜約20%(w/v)、約1%(w/v)〜約15%(w/v)、約1%(w/v)〜約10%(w/v)、約5%(w/v)〜約25%(w/v)、約5%(w/v)〜約20%(w/v)、約5%(w/v)〜約15%(w/v)であり得る。いくつかの態様において、溶液中のシルクフィブロインは、約25%(w/v)である。いくつかの態様において、溶液中のシルクフィブロインは、約0.5(w/v)〜約30%(w/v)、約4%(w/v)〜約16%(w/v)、約4%(w/v)〜約14%(w/v)、約4%(w/v)〜約12%(w/v)、約4%(w/v)〜約0%(w/v)、約6%(w/v)〜約8%(w/v)である。いくつかの態様において、シルクフィブロイン溶液は、約5%〜約40%、10%〜約40%または約15%〜約40%(w/v)のシルクフィブロイン濃度を有する。いくつかの態様において、シルクフィブロイン溶液は、約5%(w/v)、約7.5%(w/v)、約8%(w/v)、約10%(w/v)、約12.5%(w/v)、約15%(w/v)、約17.5%(w/v)、約20%(w/v)、約22.5%(w/v)、約25%(w/v)、約27.5%(w/v)、約30%(w/v)、約32.5%(w/v)、約35%(w/v)、約37.5%(w/v)、約40%(w/v)、約42.5%(w/v)、約45%(w/v)、約47.5%(w/v)または約50%(w/v)のシルクフィブロイン濃度を有する。シルク溶液中のシルクの正確な量は、既知量のシルク溶液を乾燥させて、その残留物の質量を測定してその溶液の濃度を計算することによって決定され得る。
概して、任意の量のシルクフィブロインが、本明細書に開示されるシルクベースの薬物送達組成物中に存在し得る。例えば、シルクベースの薬物送達組成物中のシルクフィブロインの量は、約1%(w/w)〜約90%(w/w)であり得る。いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインの量は、約0.1%(w/w)〜約75%(w/w)、約1%(w/w)〜約70%(w/w)、約1%(w/w)〜約65%(w/w)、約1%(w/w)〜約60%(w/w)、約1%(w/w)〜約55%(w/w)、約1%(w/w)〜約50%(w/w)、約1%(w/w)〜約45%(w/w)、約1%(w/w)〜約40%(w/w)、約1%(w/w)〜約35%(w/w)、約1%(w/w)〜約30%(w/w)、約1%(w/w)〜約25%(w/w)、約1%(w/w)〜約20%(w/w)、約1%(w/w)〜約15%(w/w)、約1%(w/w)〜約10%(w/w)、約5%(w/w)〜約25%(w/w)、約5%(w/w)〜約20%(w/w)、約5%(w/w)〜約15%(w/w)であり得る。いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインは、約25%(w/w)である。いくつかの態様において、組成物中のシルクは、約0.5(w/w)〜約30%(w/w)、約2%(w/w)〜約8%(w/w)、約2%(w/w)〜約7%(w/w)、約2%(w/w)〜約6%(w/w)、約2%(w/w)〜約5%(w/w)、約3%(w/w)〜約4%(w/w)である。
理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクマトリックスの調製に使用されるシルクの分子量またはシルクフィブロインの濃度は、シルクマトリックスの特性、例えば膨潤比、分解、薬物放出キネティクス等に対する影響を有し得る。
シルクマトリックスの望ましい機械的特性および/またはシルクマトリックスからの治療剤の放出プロフィールに応じて、異なる物質状態または形態のシルクマトリックスが製造され得る。例えば、シルクマトリックスは、ヒドロゲル、マイクロ粒子、ナノ粒子、繊維、フィルム、凍結乾燥された粉末、凍結乾燥されたゲル、リザーバインプラント、同種インプラント、ゲル様粒子またはゲル粒子、およびそれらの任意の組み合わせの形態で製造され得る。したがって、異なる物質状態または形態を達成するために異なる濃度のシルクフィブロインが、シルクマトリックスに含まれ得る。
いくつかの態様において、治療剤をカプセル化したシルクマトリックスは、ヒドロゲルの形態であり得る。シルクフィブロインゲルおよびヒドロゲルを調製する例示的な方法には、音波処理、ボルテックス、pH滴定、電界への曝露、溶媒浸漬、水中アニーリング、水蒸気アニーリング等が含まれるがこれらに限定されない。シルクフィブロインゲルおよびヒドロゲルを調製する例示的な方法は、例えば、WO 2005/012606、WO 2008/150861、WO 2010/036992およびWO 2011/005381;ならびに米国特許出願公開第US 2010/0178304号および同第US 2011/017239号に記載されており、これらすべての内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。電界への曝露によって形成されるゲルは、本明細書で、e-ゲル(e-gel)とも称される。e-ゲルを形成する方法は、例えば、US2011/0171239に記載されており、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルクマトリックスは、スポンジまたは発泡体の形態であり得る。いくつかの態様において、発泡体またはスポンジは、パターン加工された発泡体またはスポンジ、例えばナノパターン加工された発泡体またはスポンジである。シルク発泡体およびスポンジを調製する例示的な方法は、例えば、WO 2004/000915、WO 2004/000255およびWO 2005/012606に記載されており、これらすべての内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルクマトリックスは、円筒形マトリックス、例えばシルクチューブの形態であり得る。シルクチューブは、当技術分野で公知の任意の方法を用いて作製され得る。例えば、チューブは、モールディング、ディッピング、エレクトロスピニング、ゲル紡糸等を用いて作製され得る。ゲル紡糸は、Lovett et al. (Biomaterials 2008, 29(35):4650-4657)に記載されており、ゲル紡糸されたシルクチューブの構築は、2009年4月8日に出願されたPCT出願第PCT/US2009/039870号に記載されており、これらの両方の内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。ディップコーティング法を用いたシルクチューブの構築は、2008年8月11日に出願されたPCT出願第PCT/US2008/072742号に記載されており、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。フィルム紡糸(film-spinning)を用いたシルクフィブロインチューブの構築は、2013年3月11日に出願されたPCT出願第PCT/US2013/030206号および2012年3月20日に出願された米国仮出願第61/613,185号に記載されており、これら両方の内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルクマトリックスは、フィルム、例えばシルクフィルムの形態であり得る。本明細書で使用される場合、「フィルム」という用語は、平坦または管状の柔軟な構造物を表す。「フィルム」という用語は、総称的な意味で使用され、ウェブ、フィルム、シート、ラミネート等を含むことに留意されたい。いくつかの態様において、フィルムは、パターン加工されたフィルム、例えばナノパターン加工されたフィルムである。シルクフィブロインフィルムを調製する例示的な方法は、例えば、WO 2004/000915およびWO 2005/012606に記載されており、これら両方の内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルクマトリックスは、繊維の形態であり得る。本明細書で使用される場合、「繊維」という用語は、その長さ方向に対して垂直なその断面を横断する幅に対する長さの比が大きい、比較的柔軟な物質単位を表す。シルクフィブロイン繊維を調製する方法は、当技術分野で周知である。繊維は、シルク溶液のエレクトロスピニング、シルク溶液の引き抜き等によって調製され得る。エレクトロスピニングされたシルク材料、例えば繊維、およびそれを調製する方法は、例えば、WO2011/008842に記載されており、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。ミクロンサイズのシルク繊維(例えば、10〜600μmサイズ)およびそれを調製する方法は、例えば、Mandal et al., PNAS, 2012, doi:10.1073/pnas, 1119474109;2012年4月6日に出願された米国仮出願第61/621,209号;および2013年4月5日に出願されたPCT出願第PCT/US13/35389号に記載されており、これらすべての内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
シルクヒドロゲルが高いシルク濃度、例えば注射するのに高すぎる濃度、例えば少なくとも約5%(w/v)、少なくとも約8%(w/v)、少なくとも約10%(w/v)、少なくとも約15%(w/v)、少なくとも約20%(w/v)、少なくとも約30%(w/v)またはそれより高いシルクまたはシルクフィブロイン濃度を有するいくつかの態様において、シルクヒドロゲルは、例えば、研削、切断、破砕、篩過、ふるい分けおよび/または濾過によって、ゲル様粒子またはゲル粒子に縮小され得る。非限定的に、ゲル様粒子またはゲル粒子は、注射に適した任意のサイズ、例えば約0.5μm〜約2mm、約1μm〜約1mm、約10μm〜約0.5mmまたは約50μm〜約0.1mmのサイズのものであり得る。いくつかの態様において、ゲル様粒子またはゲル粒子は、約0.01μm〜約1000μm、約0.05μm〜約500μm、約0.1μm〜約250μm、約0.25μm〜約200μmまたは約0.5μm〜約100μmの範囲のサイズを有し得る。
したがって、いくつかの態様において、治療剤をカプセル化したシルクマトリックスは、粒子の形態であり得る。治療剤をカプセル化したシルクマトリックスが粒子の形態である場合、粒子は、任意の形状または形態のもの、例えば球形、ロッド、楕円形、円筒形、カプセルまたはディスクであり得る。
いくつかの態様において、粒子は、マイクロ粒子またはナノ粒子である。本明細書で使用される場合、「マイクロ粒子」という用語は、約0.01μm〜約1000μmの粒子サイズを有する粒子を表す。いくつかの態様において、マイクロ粒子は、約0.05μm〜約750μm、約0.1μm〜約500μm、約0.25μm〜約250μmまたは約0.5μm〜約100μmのサイズである。1つの態様において、マイクロ粒子は、約75μmの粒子サイズを有する。本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、約0.1nm〜約1000nmの粒子サイズを有する粒子を表す。例えば、ナノ粒子は、約0.5nm〜約500nm、約1nm〜約250nm、約10nm〜約150nmまたは約15nm〜約100nmの粒子サイズを有し得る。
マイクロ粒子またはナノ粒子は通常、表示された「サイズ」付近の粒子サイズ分布を示すことが当業者に理解されるであろう。別段の指定のない限り、「サイズ」という用語は、本明細書で使用される場合、マイクロ粒子またはナノ粒子のサイズ分布の様式、すなわち、そのサイズ分布において最も高頻度で見られる値を表す。例えば、動的光散乱法(例えば、光相関分光法、レーザー回折法、低角レーザー光散乱法(LALLS)および中角レーザー光散乱(MALLS))、光遮蔽法(light obscuration method)(例えば、コールター分析法)またはその他の技術(例えば、レオロジーおよび光学顕微鏡検査もしくは電子顕微鏡検査)による、マイクロ粒子またはナノ粒子のサイズを測定する方法が、当業者に公知である。
治療剤を含むシルクマトリックスが粒子の形態である場合、粒子は実質的に球形であり得る。「実質的に球形」が意味するものは、その粒子の断面の最長 対 最短垂直軸の長さの比が約1.5以下であることである。実質的に球形は、対称軸を必要としない。さらに、粒子は、表面テクスチャ、例えばその粒子の全体サイズと比較するとスケールが小さい線またはくぼみまたは突起を有し得、およびその場合でも実質的に球形であり得る。いくつかの態様において、粒子の最長軸と最短軸の長さの比は、約1.5以下、約1.45以下、約1.4以下、約1.35以下、約1.30以下、約1.25以下、約1.20以下、約1.15以下、約1.1以下である。理論によって拘束されることを望むものではないが、実質的に球形の粒子においては表面接触が最小限に抑えられ、それによって保管時の粒子の望ましくない凝集が最小限に抑えられる。多くの結晶またはフレークは、凝集がイオン性または非イオン性相互作用によって起こり得る大きな表面接触領域を生じ得る平坦な表面を有する。球形では、はるかに小さな領域上で接触が起こる。
いくつかの態様において、粒子は、実質的に同じ粒子サイズを有する。比較的大きい粒子と比較的小さい粒子の両方が存在する広いサイズ分布を有する粒子は、より小さな粒子がより大きな粒子の間の隙間を満たし、それによって新たな接触表面を形成することが可能である。広いサイズ分布は、結合性凝集のための接触の機会を多く発生させることによってより大きな球体を生成し得る。本明細書に記載される粒子は、狭いサイズ分布内にあり、それによって接触性凝集の機会を最小限に抑える。「狭いサイズ分布」が意味するものは、小さな球形粒子の90パーセンタイルの体積径 対 10パーセンタイルの体積径の比が5以下である粒子サイズ分布である。いくつかの態様において、小さな球形粒子の90パーセンタイルの体積径 対 10パーセンタイルの体積径は、4.5以下、4以下、3.5以下、3以下、2.5以下、2以下、1.5以下、1.45以下、1.40以下、1.35以下、1.3以下、1.25以下、1.20以下、1.15以下または1.1以下である。
幾何標準偏差(GSD)もまた、狭いサイズ分布を示すために使用され得る。GSDの計算は、15.9%および84.1%の百分率未満の累積に対する有効カットオフ径(ECD)の決定を含んだ。GSDは、15.9%未満のECDに対する84.17%未満のECDの比の平方根に等しい。GSDは、GSD<2.5のときに狭いサイズ分布を有する。いくつかの態様において、GSDは、2未満、1.75未満または1.5未満である。1つの態様において、GSDは1.8未満である。
シルクマイクロ粒子またはナノ粒子を製造する様々な方法が、当技術分野で公知である。いくつかの態様において、シルクマイクロ粒子またはナノ粒子は、例えば国際出願第WO2011/041395号に記載されるポリビニルアルコール(PVA)相分離法によって製造され得、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。シルクマイクロ粒子またはナノ粒子を製造する他の方法は、例えば米国出願第U.S.2010/0028451号および国際出願第WO 2008/118133号(シルクマイクロスフェアまたはナノスフェアを作製するためのテンプレートとして脂質を使用する);ならびにWenk et al. J Control Release 2008; 132: 26-34(シルクマイクロスフェアまたはナノスフェアを製造するために噴霧法を使用する)に記載されており、これらすべての内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。マイクロスケール〜ナノスケールのシルクフィブロイン粒子の特定の態様および関連技術は、2013年9月27日に出願された「SYNTHESIS OF SILK FIBROIN MICRO- AND SUBMICRON SPHERES USING A CO-FLOW METHOD」を表題とする米国仮出願第61/883,933号においても提供され、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルク粒子は、2012年10月26日に出願された米国仮出願第61,719,146号に記載されるフリーズドライ法を用いて製造され得、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。詳細には、シルク溶液をフリーズドライすることによってシルク発泡体が製造され得る。この発泡体は、次いで、粒子へと縮小され得る。例えば、シルク溶液は、液体担体が複数の固体の結晶または粒子に変換される温度まで冷却され、複数の固体の結晶または粒子の少なくとも一部が除去され、多孔質のシルク材料(例えば、シルク発泡体)が残され得る。冷却後、液体担体は、少なくとも部分的に、昇華、蒸発および/または凍結乾燥によって除去され得る。いくつかの態様において、液体担体は、減圧下で除去され得る。シルクフィブロイン発泡体は、形成後、シルク粒子を形成するために、研削、切断、破砕またはそれらの任意の組み合わせに供され得る。例えば、シルクフィブロイン発泡体は、所望のサイズのシルク粒子を形成するために、従来的なブレンダーにおいてブレンドされ得るかまたはボールミルにおいて粉砕され得る。
いくつかの態様において、治療剤を含むシルクマトリックスは、凍結乾燥またはフリーズドライされ得る。
任意で、シルクマトリックス内のシルクフィブロインの立体構造は、シルクマトリックスの形成後に変更され得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、誘導された立体構造変化は、シルクマトリックス内のシルクフィブロインの結晶化度を、例えばシルクIIβ-シート結晶化度を変更し得る。これは、シルクマトリックスからの治療剤の放出速度を変更し得る。立体構造変化は、アルコール浸漬(例えば、エタノール、メタノール)、水中アニーリング、せん断応力、超音波(例えば、音波処理による)、pH低下(例えば、pH滴定および/または電界への曝露)ならびにそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意の方法によって誘導され得る。例えば、立体構造変化は、制御された遅乾(Lu et al., Biomacromolecules 2009, 10, 1032);水中アニーリング(Jin et al., 15 Adv. Funct. Mats. 2005, 15, 1241; Hu et al., Biomacromolecules 2011, 12, 1686);ストレッチング(Demura & Asakura, Biotech & Bioengin. 1989, 33, 598);圧縮;メタノール(Hofmann et al., J Control Release. 2006, 111, 219)、エタノール(Miyairi et al., J. Fermen. Tech. 1978, 56, 303)、グルタルアルデヒド(Acharya et al., Biotechnol J. 2008, 3, 226)および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)(Bayraktar et al., Eur J Pharm Biopharm. 2005, 60, 373)を含む溶媒浸漬;pH調節、例えばpH滴定および/または電界への曝露(例えば、米国特許出願第US2011/0171239号を参照のこと);熱処理;せん断応力(例えば、国際出願第WO2011/005381号を参照のこと)、超音波、例えば音波処理(例えば、米国特許出願公開第U.S.2010/0178304号および国際出願第WO2008/150861号を参照のこと);ならびにそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の方法によって誘導され得る。上記の参考文献のすべての内容の全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルクフィブロインの立体構造は、水中アニーリングによって変更され得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、物理的温度制御式水蒸気アニーリング(TCWVA)は、シルクバイオ材料の分子構造の精密な制御を行うための簡単かつ効果的な方法を提供する。シルク材料は、4℃の条件を用いる低含量(αヘリックス優位のシルクI構造)から100℃での約60%結晶化度の高含量(β-シート優位のシルクII構造)までの結晶化度の制御を行いながら調製され得る。この物理的アプローチは、シルク材料の製造中の結晶化を支配することが以前に報告されている構造の範囲を網羅し、さらに、再現性が厳密に管理されるより簡単で環境に優しい化学的アプローチを提供する。温度制御式水蒸気アニーリングは、例えば、Hu et al., Biomacromolecules, 2011, 12, 1686-1696に記載されており、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、シルクフィブロインの立体構造の変更は、アルコール、例えばメタノール、エタノール等に浸漬することによって誘導され得る。アルコール濃度は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%であり得る。いくつかの態様において、アルコール濃度は100%である。立体構造の変更が溶媒への浸漬による場合、シルク組成物は、浸漬に使用された残留溶媒を除去するために、例えば溶媒/水勾配を用いて洗浄され得る。洗浄は、1回、例えば1回、2回、3回、4回、5回またはそれ以上の回数繰り返され得る。
あるいは、シルクフィブロインの立体構造の変更は、せん断応力を用いて誘導され得る。せん断応力は、例えば、シルク組成物を針に通すことによって適用され得る。立体構造変化を誘導する他の方法は、電界の適用、圧力の適用または塩濃度の変化を含む。
立体構造変化を誘導するための処理時間は、所望のシルクII(β-シート結晶化度)含量を提供するための任意の期間であり得る。いくつかの態様において、処理時間は、約1時間〜約12時間、約1時間〜約6時間、約1時間〜約5時間、約1時間〜約4時間または約1時間〜約3時間の範囲であり得る。いくつかの態様において、焼結時間は、約2時間〜約4時間または2.5時間〜約3.5時間の範囲であり得る。
立体構造変化の誘導が溶媒浸漬による場合、処理時間は、数分間〜数時間の範囲であり得る。例えば、溶媒への浸漬は、少なくとも約15分間、少なくとも約30分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも3時間、少なくとも約6時間、少なくとも約18時間、少なくとも約12時間、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間または少なくとも約14日間の期間であり得る。いくつかの態様において、溶媒への浸漬は、約12時間〜約7日間、約1日間〜約6日間、約2〜約5日間または約3〜約4日間の期間であり得る。
立体構造変化を誘導する処理の後、シルクフィブロインは、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約95%であるが、100%(すなわち、すべてのシルクがシルクIIβ-シート構造で存在する)でない、シルクIIβ-シート結晶化度含量を有し得る。いくつかの態様において、シルクは、完全にシルクIIβ-シート立体構造で存在する、すなわち100%のシルクIIβ-シート結晶化度である。
いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインは、β-ターンおよびβ-ストランド領域を実質的に含むタンパク質構造を有する。理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクβシート含量は、組成物の機能およびインビボ寿命に影響し得る。非βシート体を含む組成物(例えば、e-ゲル(e-gel))も使用され得ることを理解されたい。これらの態様の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約10%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約20%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様の他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、少なくとも10%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも20%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または少なくとも95%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様のさらに他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約10%〜約30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約20%〜約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%〜約50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%〜約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%〜約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約80%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約10%〜約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%〜約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または約50%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。いくつかの態様において、10%未満〜約55%のシルクβシート含量が、シルクベースの薬物送達組成物において使用され得る。
いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインは、α-ヘリックスおよびランダムコイル領域を実質的に含まないタンパク質構造を有する。これらの態様の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約5%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約45%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または約50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様の他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、最大5%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大45%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または最大50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様のさらに他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約5%〜約10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%〜約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%〜約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または約15%〜約35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。
いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインは、β-ターンおよびβ-ストランド領域を実質的に含むタンパク質構造を有する。これらの態様の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約10%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約20%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様の他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、少なくとも10%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも20%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、少なくとも90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または少なくとも95%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様のさらに他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約10%〜約30%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約20%〜約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%〜約50%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%〜約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約70%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%〜約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約80%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約10%〜約40%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約30%〜約60%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約70%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約40%〜約80%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約50%〜約90%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域、約60%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域または約50%〜約100%のβ-ターンおよびβ-ストランド領域を含むタンパク質構造を有する。
いくつかの態様において、組成物中のシルクフィブロインは、α-ヘリックスおよびランダムコイル領域を実質的に含まないタンパク質構造を有する。これらの態様の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約5%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約45%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または約50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様の他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、最大5%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、最大45%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または最大50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。これらの態様のさらに他の局面において、組成物中のシルクフィブロインは、例えば、約5%〜約10%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約15%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約40%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約5%〜約50%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%〜約20%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約10%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%〜約25%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域、約15%〜約30%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域または約15%〜約35%のα-ヘリックスおよびランダムコイル領域を含むタンパク質構造を有する。
いくつかの態様において、シルクフィブロインは、異なる用途および/または所望の機械的特性もしくは化学的特性のために(例えば、シルクフィブロインマトリックス中の治療剤の勾配の形成を容易にするために)修飾され得る。当業者は、例えばシルクフィブロインの側鎖基、シルクフィブロインの所望の反応性および/またはシルクフィブロインにおける所望の電荷密度に応じて、シルクフィブロインを修飾する適当な方法を選択することができる。1つの態様において、シルクフィブロインの修飾は、アミノ酸側鎖化学、例えば共有結合を通じた化学修飾または電荷・電荷相互作用を通じた修飾を使用することができる。例示的な化学修飾法は、カルボジイミドカップリング反応(例えば、米国特許出願第US 2007/0212730号を参照のこと)、ジアゾニウムカップリング反応(例えば、米国特許出願第US 2009/0232963号を参照のこと)、アビジン・ビオチン相互作用(例えば、国際出願第WO 2011/011347号を参照のこと)およびPEGポリマーの化学的に活性なまたは活性化された誘導体を用いるペグ化(例えば、国際出願第WO 2010/057142号を参照のこと)を含むがこれらに限定されない。
シルクフィブロインはまた、シルクタンパク質の機能性を変更する遺伝子修飾を通じて修飾され得る(例えば、国際出願第WO 2011/006133号を参照のこと)。例えば、シルクフィブロインは、有機・無機複合材料を形成するために使用され得る繊維性タンパク質ドメインおよび無機化ドメインを含む融合ポリペプチドを含めるなどの、シルクのさらなる修飾を提供し得るように、遺伝的に修飾され得る。WO 2006/076711を参照のこと。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、タンパク質、例えば治療タンパク質と融合させるために遺伝的に修飾され得る。加えて、シルクフィブロインマトリックスは、例えばマトリックスの柔軟性および/または溶解性に影響する化学物質、例えばグリセロールと組み合わされ得る。例えば、WO 2010/042798、Modified Silk films Containing Glycerolを参照のこと。
いくつかの態様において、シルクフィブロインは、正/負荷電ペプチドまたはポリペプチド、例えばポリリジンおよびポリグルタミン酸で修飾され得る。組成物中のあらゆる単一のシルクフィブロイン分子が正/負荷電分子で修飾されることは、可能ではあるが、必要ではない。シルクフィブロインを荷電分子で誘導体化または修飾する方法は、例えば、2011年3月4日に出願されたPCT出願第PCT/US2011/027153号に記載されており、その内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
修飾されたシルクフィブロイン 対 未修飾のシルクフィブロインの比は、組成物の1つまたは複数の所望の特性、例えば薬物放出速度またはキネティクス、分解速度等を最適化するように調節され得る。したがって、いくつかの態様において、組成物中の修飾 対 未修飾シルクフィブロインの比は、約1000:1(w/w)〜約1:1000(w/w)、約500:1(w/w)〜約1:500(w/w)、約250:1(w/w)〜約1:250(w/w)、約200:1(w/w)〜約1:200(w/w)、約25:1(w/w)〜約1:25(w/w)、約20:1(w/w)〜約1:20(w/w)、約10:1(w/w)〜約1:10(w/w)または約5:1(w/w)〜約1:5(w/w)の範囲であり得る。
いくつかの態様において、組成物は、例えば少なくとも1000:1、少なくとも900:1、少なくとも800:1、少なくとも700:1、少なくとも600:1、少なくとも500:1、少なくとも400:1、少なくとも300:1、少なくとも200:1、少なくとも100:1、少なくとも90:1、少なくとも80:1、少なくとも70:1、少なくとも60:1、少なくとも50:1、少なくとも40:1、少なくとも30:1、少なくとも20:1、少なくとも10:1、少なくとも7:1、少なくとも5:1、少なくとも3:1、少なくとも1:1、少なくとも1:3、少なくとも1:5、少なくとも1:7、少なくとも1:10、少なくとも1:20、少なくとも1:30、少なくとも1:40、少なくとも1:50、少なくとも1:60、少なくとも1:70、少なくとも1:80、少なくとも1:90、少なくとも1:100、少なくとも1:200、少なくとも1:300、少なくとも1:400、少なくとも1:500、少なくとも600、少なくとも1:700、少なくとも1:800、少なくとも1:900または少なくとも1:100の修飾 対 未修飾シルクフィブロインのモル比を有する。
いくつかの態様において、組成物は、例えば最大1000:1、最大900:1、最大800:1、最大700:1、最大600:1、最大500:1、最大400:1、最大300:1、最大200:1、100:1、最大90:1、最大80:1、最大70:1、最大60:1、最大50:1、最大40:1、最大30:1、最大20:1、最大10:1、最大7:1、最大5:1、最大3:1、最大1:1、最大1:3、最大1:5、最大1:7、最大1:10、最大1:20、最大1:30、最大1:40、最大1:50、最大1:60、最大1:70、最大1:80、最大1:90、最大1:100、最大1:200、最大1:300、最大1:400、最大1:500、最大1:600、最大1:700、最大1:800、最大1:900または最大1:1000の修飾 対 未修飾シルクフィブロインのモル比を有する。
いくつかの態様において、組成物は、例えば約1000:1〜約1:1000、約900:1〜約1:900、約800:1〜約1:800、約700:1〜約1:700、約600:1〜約1:600、約500:1〜約1:500、約400:1〜約1:400、約300:1〜約1:300、約200:1〜約1:200、約100:1〜約1:100、約90:1〜約1:90、約80:1〜約1:80、約70:1〜約1:70、約60:1〜約1:60、約50:1〜約1:50、約40:1〜約1:40、約30:1〜約1:30、約20:1〜約1:20、約10:1〜約1:10、約7:1〜約1:7、約5:1〜約1:5、約3:1〜約1:3、または約1:1の修飾 対 未修飾シルクフィブロインのモル比を有する。
シルクベースの薬物送達組成物はまた、標的化リガンドを含み得る。本明細書で使用される場合、「標的化リガンド」という用語は、インビボおよび/またはインビトロで組織および/または受容体に対する薬物送達組成物の標的化を促進することができる任意の物質(material)または物質(substance)を表す。標的化リガンドは、合成性のもの、準合成性のものまたは天然に存在するものであり得る。標的化リガンドとして機能し得る物質(material)または物質(substance)には、例えば、抗体、抗体フラグメント、ホルモン、ホルモン類似体、糖タンパク質およびレクチンを含むタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、アミノ酸、糖、単糖および多糖を含む糖類、炭水化物、ビタミン、ステロイド、ステロイド類似体、ホルモン、補因子、ならびにヌクレオシド、ヌクレオチド、ヌクレオチド酸構築物、ペプチド核酸(PNA)、アプタマーおよびポリヌクレオチドを含む遺伝物質、が含まれる。本開示における他の標的化リガンドには、細胞接着分子(CAM)、中でも、例えばサイトカイン、インテグリン、カドヘリン、免疫グロブリンおよびセレクチン、が含まれる。シルク薬物送達組成物はまた、標的化リガンドの前駆体を含み得る。標的化リガンドの前駆体は、標的化リガンドへと変換され得る任意の物質(material)または物質(substance)を表す。そのような変換は、例えば、標的化リガンドへの前駆体の固定を含み得る。例示的な標的化前駆体部分には、マレイミド基、ジスルフィド基、例えばオルト-ピリジルジスルフィド、ビニルスルホン基、アジド基および[agr]-ヨードアセチル基が含まれる。
標的化リガンドは、シルクベースの薬物送達組成物に共有結合(例えば架橋)または非共有結合により連結され得る。例えば、標的化リガンドは、シルクベースの薬物送達組成物を作製するために使用されるシルクフィブロインに共有結合により連結され得る。あるいはまたは加えて、標的化リガンドは、シルクベースの薬物送達組成物を作製するために使用されるシルクフィブロイン溶液中に存在する添加物に連結され得る。
いくつかの態様において、シルクマトリックスは多孔質であり得、シルクマトリックスは、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%またはそれより高い多孔度を有し得る。高すぎる多孔度は、機械的特性が低いが治療剤をより速く放出するシルクマトリックスをもたらし得る。しかし、低すぎる多孔度は、治療剤の放出を低下させ得る。当業者は、いくつかの要因、例えば非限定的に、治療剤の所望の放出速度、分子サイズおよび/もしくは拡散係数ならびに/またはシルクマトリックス内のシルクフィブロインの濃度および/もしくは量に基づき、多孔度を適宜調節することができる。「多孔度」という用語は、本明細書で使用される場合、物質、例えばシルクフィブロインなどのマトリックス内の空隙空間の尺度であり、0〜100%の間の百分率(または0〜1の間)の、全体容積に対する空隙容積の分数である。例えば、水銀ポロシメトリーおよび気体吸着、例えば窒素吸着などの標準化された技術を用いるマトリックスの多孔度の決定が、当業者に周知である。
多孔質シルクマトリックスは、任意の孔サイズを有し得る。いくつかの態様において、シルクマトリックスの孔は、約50nm〜約1000μm、約250nm〜約500μm、約500nm〜約250μm、約1μm〜約200μm、約10μm〜約150μmまたは約50μm〜約100μmの範囲のサイズ分布を有し得る。本明細書で使用される場合、「孔サイズ」という用語は、孔の断面の直径または有効径を表す。「孔サイズ」という用語はまた、複数の孔の測定に基づく、孔の断面の平均径または平均有効径を表し得る。円形でない断面の有効径は、非円形断面の断面積と同じ断面積を有する円形断面の直径に等しい。いくつかの態様において、シルクフィブロインは、シルクフィブロインスキャホールドを水和させたときに膨潤し得る。その際、孔のサイズまたはメッシュサイズは、シルクフィブロイン内の含水量に依存して変化し得る。孔は、流体、例えば水または空気で満たされ得る。
シルクマトリックス内に孔を形成するための方法は、例えば、ポロゲン(porogen)浸出法、フリーズドライ法および/または気体発生法が、当技術分野で公知である。そのような方法は、例えば、米国特許出願第US 2010/0279112号、同第US 2010/0279112号および同第US 7842780号に記載されており、それらの内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
シルクフィブロインベースのスキャホールドに孔を形成するための方法は、当技術分野で公知であり、ポロゲン浸出法、フリーズドライ法および/または気体発生法を含むがこれらに限定されない。シルクベースの材料に孔を形成するための例示的な方法は、例えば、米国特許出願公開第US 2010/0279112号および同第US 2010/0279112号;米国特許第7,842,780号;ならびにPCT出願公開第WO2004062697号に記載されており、これらすべての内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
したがって、シルクマトリックスからの治療剤の任意の所望の放出速度またはプロフィールは、シルク処理法、例えばシルクマトリックス中のシルクの濃度、シルクマトリックス中のシルクフィブロインおよび/またはβ-シート立体構造の量、シルクマトリックスの多孔度および/または孔サイズ、ならびにそれらの任意の組み合わせを変更することによって、少なくとも部分的に調節され得る。
非限定的に、シルクベースの薬物送達組成物は、任意の量のシルク、例えばシルクフィブロインを含み得る。例えば、シルクベースの薬物送達組成物は、約1%(w/v)〜約50%(w/v)のシルク、例えばシルクフィブロインを含み得る。いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物は、約1%(w/v)〜約30%(w/v)、約1%(w/v)〜約25%(w/v)、約1%(w/v)〜約20%(w/v)、約1%(w/v)〜約15%(w/v)、約1%(w/v)〜約10%(w/v)、約5%(w/v)〜約25%(w/v)、約5%(w/v)〜約20%(w/v)、約5%(w/v)〜約15%(w/v)のシルク、例えばシルクフィブロインを含み得る。いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物は、約2%(w/v)〜約32%(w/v)、約4%(w/v)〜約16%(w/v)、約2%(w/v)〜約32%(w/v)または約2%(w/v)〜約16%(w/v)のシルク、例えばシルクフィブロインを含み得る。いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物は、約2%(w/v)、約4%(w/v)、約8%(w/v)、約10%(w/v)または約16%(w/v)のシルクを含み得る。
概して、任意の治療剤が、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物中にカプセル化され得る。本明細書で使用される場合、「治療剤」という用語は、診断、治療、予防医療または獣医学的目的で生物に投与される分子、分子群、複合体または物質を意味する。本明細書で使用される場合、「治療剤」という用語は、「薬物」または「ワクチン」を含む。この用語は、臨床的および獣医学的スクリーニング、予防(prevention)、予防(prophylaxis)、治癒、健康、検出、画像化、診断、治療、手術、モニタリング、化粧品、人工装具、科学捜査等において有用な調製物を含む、外的および内的に投与される、局所的、限局的および全身的なヒトおよび動物の医薬、処置薬、治療薬、栄養補助品、薬用化粧品、生物学的物質、デバイス、診断剤および避妊薬を含む。この用語はまた、細胞受容体、膜受容体、ホルモン受容体、治療受容体、微生物、ウイルス、または植物、動物および/もしくはヒトを含むもしくはそれらと接触することができる選択された標的を認識することができる、選択された分子または選択された核酸配列を含む、農薬(agriceutical)、作業場、軍隊、工業的および環境的療法または治療薬に関連して使用され得る。この用語はまた、具体的に、治療効果を生ずる核酸および核酸を含む化合物、例えば、例えばDNAナノプレックス(nanoplex)、siRNA、shRNA、アプタマー、リボザイム、デコイ核酸、アンチセンス核酸、RNAアクチベーター等を含む、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)またはそれらの混合物もしくは組み合わせを含む。
「治療剤」という用語はまた、それを適用された生物学的系において限局的または全身的な生物学的、生理学的または治療的効果を提供することができる薬剤を含む。例えば、治療剤は、他の機能の中でも、感染または炎症を制御する、細胞成長および組織再生を増強する、腫瘍成長を制御する、鎮痛剤として作用する、抗細胞接着を促進するならびに骨成長を増強するよう作用し得る。他の適切な治療剤には、抗ウイルス剤、ホルモン、抗体または治療タンパク質が含まれ得る。他の治療剤には、投与されるときには生物学的に活性でないが対象への投与により代謝またはいくつかの他のメカニズムを通じて生物学的に活性な薬剤に変換される薬剤であるプロドラッグが含まれる。加えて、シルクベースの薬物送達組成物は、2つまたはそれ以上の治療剤の組み合わせを含み得る。
治療剤は、化学的化合物および化学的化合物の混合物、例えば有機または無機低分子;サッカリン;オリゴ糖;多糖;生体高分子、例えばペプチド、タンパク質、ならびにペプチド類似体および誘導体;ペプチド模倣体;抗体およびその抗原結合フラグメント;核酸;核酸類似体および誘導体;細菌、植物、真菌または動物細胞等の生体物質から得られる抽出物;動物組織;天然に存在するまたは合成性の組成物;ならびにそれらの任意の組み合わせを含む幅広い様々な異なる化合物を含み得る。いくつかの態様において、治療剤は、低分子である。
本明細書で使用される場合、「低分子」という用語は「天然産物様」である化合物を表し得るが、この「低分子」という用語は「天然産物様」化合物に限定されない。むしろ、低分子は、典型的に、数個の炭素・炭素結合を含み、かつ5000ダルトン(5kDa)未満、好ましくは3kDa未満、さらにより好ましくは2kDa未満、および最も好ましくは1kDa未満の分子量を有する点を特徴とする。いくつかの例において、低分子は、700ダルトン以下の分子量を有するのが好ましい。
例示的な治療剤には、Harrison's Principles of Internal Medicine, 13th Edition, Eds. T.R. Harrison et al. McGraw-Hill N.Y., NY; Physicians' Desk Reference, 50th Edition, 1997, Oradell New Jersey, Medical Economics Co.; Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th Edition, Goodman and Gilman, 1990; United States Pharmacopeia, The National Formulary, USP XII NF XVII, 1990に見出されるものが含まれるがこれらに限定されず、そのすべての完全な内容が参照により本明細書に組み入れられる。
治療剤は、本明細書に開示されるカテゴリーおよび具体例を含む。カテゴリーはその具体例によって限定されることは意図されていない。当業者はまた、そのカテゴリーに含まれかつ本開示にしたがい有用である多数の他の化合物を認識するであろう。例には、放射線増感剤、ステロイド、キサンチン、β2アゴニスト気管支拡張剤、抗炎症剤、鎮痛剤、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、β遮断剤、中枢作用性αアゴニスト、α1アンタゴニスト、抗コリン作用性/抗けいれん剤、バソプレシン類似体、抗不整脈剤、抗パーキンソン病剤、抗狭心症/抗高血圧剤、抗凝固剤、抗血小板剤、鎮静剤、抗不安剤(ansiolytic agent)、ペプチド剤、生体高分子剤、抗新生物剤、緩下剤、止痢剤、抗微生物剤、抗真菌剤、ワクチン、タンパク質または核酸が含まれる。さらなる局面において、薬学的に活性な薬剤は、クマリン、アルブミン、ステロイド、例えばベタメタゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、ヒドロコルチゾンおよび薬学的に許容されるヒドロコルチゾン誘導体;キンサンチン、例えばテオフィリンおよびドキソフィリン;β2アゴニスト気管支拡張剤、例えばサルブタモール、フェンテロール(fenterol)、クレンブテロール、バンブテロール、サルメテロール、フェノテロール;抗ぜんそく抗炎症剤、抗関節炎抗炎症剤、ならびにスルフィド、メサラミン、ブデソニド、サラゾピリン、ジクロフェナク、薬学的に許容されるジクロフェナク塩、ニメスリド、ナプロキセン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェンおよびピロキシカムがその例に含まれるがこれらに限定されない非ステロイド性抗炎症剤を含む、抗炎症剤;鎮痛剤、例えばサリチレート;カルシウムチャネル遮断剤、例えばニフェジピン、アムロジピンおよびニカルジピン;アンジオテンシン変換酵素阻害剤、例えばカプトプリル、塩酸ベナゼプリル、ホシノプリルナトリウム、トランドラプリル、ラミプリル、リシノプリル、エナラプリル、塩酸キナプリルおよび塩酸モエキシプリル;β遮断剤(すなわち、βアドレナリン作用性遮断剤)、例えば塩酸ソタロール、マレイン酸チモロール、塩酸エスモロール、カルテオロール、塩酸プロパノロール、塩酸ベタキソロール、硫酸ペンブトロール、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、塩酸アセブトロール、アテノロール、ピンドロールおよびフマル酸ビソプロロール;中枢作用性α2アゴニスト、例えばクロニジン;α1アンタゴニスト、例えばドキサゾシンおよびプラゾシン;抗コリン作用性/抗けいれん剤、例えば塩酸ジサイクロミン、臭化水素酸スコポラミン、グリコピロレート、臭化クリジニウム、フラボキセートおよびオキシブチニン;バソプレシン類似体、例えばバソプレシンおよびデスモプレシン;抗不整脈剤、例えばキニジン、リドカイン、塩酸トカイニド、塩酸メキシレチン、ジゴキシン、塩酸ベラパミル、塩酸プロパフェノン、酢酸フレカイニド、塩酸プロカインアミド、塩酸モリシジンおよびリン酸ジソピラミド;抗パーキンソン病剤、例えばドパミン、Lドパ/カルビドパ、セレギリン、ジヒドロエルゴクリプチン、ペルゴリド、リスリド、アポモルヒネおよびブロモクリプチン;抗狭心症剤および抗高血圧剤、例えば一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、プロプラノロール、アテノロールおよびベラパミル;抗凝固剤および抗血小板剤、例えばクマジン、ワルファリン、アセチルサリチル酸およびチクロピジン;鎮静剤、例えばベンゾジアザピン(benzodiazapine)およびバルビツレート;抗不安剤、例えばロラゼパム、ブロマゼパムおよびジアゼパム;ペプチド剤および生体高分子剤、例えばカルシトニン、ロイプロリドおよびその他のLHRHアゴニスト、ヒルジン、シクロスポリン、インスリン、ソマトスタチン、プロチレリン、インターフェロン、デスモプレシン、ソマトトロピン、チモペンチン、ピドチモド、エリスロポエチン、インターロイキン、メラトニン、顆粒球/マクロファージ-CSFおよびヘパリン;抗新生物剤、例えばエトポシド、リン酸エトポシド、シクロホスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ドキソルビシン、シスプラチン、ヒドロキシウレア、ロイコボリンカルシウム、タモキシフェン、フルタミド、アスパラギナーゼ、アルトレタミン、ミトタンおよび塩酸プロカルバジン;緩下剤、例えばセンナ濃縮物(senna concentrate)、カサンスラノール、ビサコジルおよびピコスルファートナトリウム;止痢剤、例えば、塩酸ジフェノキシン、塩酸ロペラミド、フラゾリドン、塩酸ジフェノキシラートおよび微生物;ワクチン、例えば細菌およびウイルスワクチン;抗微生物剤、例えばペニシリン、セファロスポリンおよびマクロライド、抗真菌剤、例えばイミダゾール誘導体およびトリアゾール誘導体;ならびに核酸、例えば生物学的タンパク質をコードするDNA配列およびアンチセンスオリゴヌクレオチド、であり得る。
上記のように、任意の治療剤がカプセル化され得る。いくつかの態様において、本開示において使用される治療剤は、比較的頻繁な投薬を必要とするものを含むがこれらに限定されない。例えば、糖尿病の処置に使用されるもの。いくつかの態様において、治療剤は、糖尿病の処置に関して当技術分野で公知の薬剤である。糖尿病、例えば2型糖尿病の処置のための例示的な治療剤には、メグリチニド、例えばレパグリニド(Prandin)およびナテグリニド(Starlix);スルホニル尿素、例えばグリピジド(Glucotrol)、グリメピリド(Amaryl)およびグリブリド(DiaBeta、Glynase);ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害剤、例えばサキサグリプチン(Onglyza)、シタグリプチン(Januvia)およびリナグリプチン(Tradjenta);ビグアニド、例えばメトホルミン(Fortamet、Glucophage、その他);チアゾリジンジオン、例えばロシグリタゾン(Avandia)およびピオグリタゾン(Actos);αグルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース(Precose)およびミグリトール(Glyset);アミリン模倣体、例えばプラムリンチド(Symlin);ならびにインクレチン模倣体、例えばエキセナチド(Byetta)およびリラグルチド(Victoza)が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの態様において、治療剤は、GLP-1受容体アゴニストである。「GLP-1受容体アゴニスト」は、GLP-1受容体活性を有する化合物を表す。GLP-1受容体アゴニスト化合物は、任意で、アミド化され得る。「エキセンジン」という用語は、アメリカドクトカゲの唾液分泌物において見出される天然に存在する(または天然に存在するものの合成版の)エキセンジンペプチドを含む。特に関心対象となるエキセンジンは、エキセンジン-3およびエキセンジン-4を含む。本明細書に記載される方法において使用されるエキセンジン、エキセンジン類似体およびエキセンジンアゴニストは任意でアミド化され得、ならびにこの分子の酸形態、薬学的に許容される塩形態または任意のその他の生理学的に活性な形態であり得る。本明細書で使用される場合、「GLP-1受容体アゴニスト」という用語は、当技術分野で公知の測定法、例えば受容体結合研究または例えばその内容の全体が参照により本明細書に組み入れられるHargrove et al, Regulatory Peptides, 141:113-119 (2007)に記載されるインビボ血中グルコースアッセイによって評価したときに、エキセンジン参照ペプチド(例えば、エキセンジン-4)またはGLP-1参照ペプチドの生物学的活性を誘発する化合物を含む。
概して、GLP-1受容体アゴニストは、当技術分野で公知のペプチドおよび低分子を含み得る。例示的なGLP-1受容体アゴニスト、例えばDrucker, Endocrinology 144(12):5145-5148 (2003); EP 0708179; Hjorth et al, J. Biol. Chem. 269(48): 30121-30124 (1994); Siegel et al, Amer. Diabetes Assoc. 57 Scientific Sessions, Boston (1997); Hareter et al, Amer. Diabetes Assoc. 57th Scientific Sessions, Boston (1997); Adelhorst et al, J. Biol. Chem. 269(9): 6275-6278 (1994); Deacon et al, 16th International Diabetes Federation Congress Abstracts, Diabetologia Supplement (1997); Irwin et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 94: 7915-7920 (1997); Mosjov, Int. J Peptide Protein Res. 40: 333-343 (1992); Goke et al. Diabetic Medicine 13: 854-860 (1996)におけるものが記載されている。刊行物はまた、クロゴケグモGLP-1およびSer2 GLP-1を開示している。すべての内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、Holz et al. Comparative Biochemistry and Physiology, Part B 121: 177-184 (1998)およびRitzel et al, "A synthetic glucagon-like peptide-1 analog with improved plasma stability," J. Endocrinol. 159(1):93-102 (1998)を参照のこと。
例示的なGLP-1受容体アゴニストには、エキセナチド;リラグルチド;リキシセナチド;デュラグルチド(dulaglutide);アルビグルチド;タスポグルチド;天然エキセンジン;エキセンジン類似体;エキセンジン-4;エキセンジン-4類似体;エキセンジンアゴニスト;天然GLP-1;GLP-1(7-37);GLP-1(7-37)アゴニスト;GLP-1(7-36)-アミド;Arg34,Lys26(NE-(Y-Glu(Nc'-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37);Gly8-GLP-1(7-36)アミド;Gly8-GLP-1(7-37);Val8-GLP-1(7-36)-アミド;Val8GLP-1(7-37);Val8Asp22-GLP-1(7-36)-アミド;Val8Asp22-GLP-1(7-37);Val8Glu22-GLP-1(7-36)-アミド;Val8Glu22-GLP-1(7-37);Val8Lys22-GLP-1(7-36)-アミド;Val8Lys22-GLP-1(7-37);Val8Arg22-GLP-1(7-36)-アミド;Val8Arg22GLP-1(7-37);Val8His22-GLP-1(7-36)-アミド;Val8His22GLP-1(7-37);またはそれらの機能的類似体もしくは誘導体が含まれる。
さらなるGLP-1受容体アゴニストには、例えば、米国特許出願公開第20050288248号、同第20060275288号、同第20090062192号、同第20100137212号、同第20100144621号、同第20110046071号、同第20110046071号、 同第20110098217号、同第20110257092号、同第20110306549号、同第20120021972号、同第20120046222号および同第20120148586号;ならびに米国特許第6864069号、同第6864069号、同第7041646号、同第7399745号、同第7488714号、同第7488715号、同第7488716号、同第7494978号、同第7833531号および同第8178495号に記載されるものが含まれ、これらすべての内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
GLP-1の類似体もまた、GLP-1受容体アゴニストとして有用である。したがって、いくつかの態様において、GLP-1受容体アゴニストには、非限定的に、WO 98/43658およびWO 02/098348ならびに米国特許第5512549号および同第7144863号に記載されるものが含まれ、これらすべての内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、治療剤は、メトホルミン(Glucophage、Glumetza)、ピオグリタゾン(Actos)、グリブリド(DiaBeta、Glynase)、グリピジド(GlucotrolおよびGlucotrol XL)、グリメピリド(Amaryl)、レパグリニド(Prandin)、ナテグリニド(Starlix)、シタグリプチン(Januvia)、サキサグリプチン(Onglyza)、エキセナチド(Byetta)、リラグルチド(Victoza)、インスリンリスプロ(Humalog)、インスリンアスパルト(NovoLog)、インスリングラルギン(Lantus)、インスリンデテミル(Levemir)ならびにそれらの任意の組み合わせであり得る。
概して、ある期間にわたって所望量の放出を提供するように、任意の量の治療剤がシルクマトリックス中に装填され得る。例えば、約0.1ng〜約1000mgの治療剤が、シルクマトリックス中に装填され得る。いくつかの態様において、組成物中の治療剤の量は、組成物全体の約0.001%(w/w)〜最大95%(w/w)、好ましくは、約5%(w/w)〜約75%(w/w)、および最も好ましくは約10%(w/w)〜約60%(w/w)の範囲から選択される。いくつかの態様において、組成物中の治療剤の量は、組成物全体の約0.01%〜約95%(w/v)、約0.1%〜約90%(w/v)、約1%〜約85%(w/v)、約5%〜約75%(w/v)、約10%〜約65%(w/v)または約10%〜約50%(w/v)である。
いくつかの態様において、組成物中の治療剤の量は、組成物全体の約0.01%〜約5%(w/v)、約0.05%〜約4%(w/v)、約0.1%〜約2.5%(w/v)、約0.25%〜約2%(w/v)、約0.3%〜約1.5%(w/v)、約0.4%〜約1%(w/v)である。いくつかの態様において、組成物中の治療剤の量は、組成物全体の約0.01%〜約5%(w/v)、約0.02%〜約4%(w/v)、約0.03%〜約3%(w/v)、約0.04%〜約2%(w/v)、約0.05%〜約1%(w/v)、約0.055%〜約0.1%(w/v)である。いくつかの態様において、組成物中の治療剤の量は、組成物全体の約0.42%(w/v)、約0.06%(w/v)または約0.12%(w/v)である。
いくつかの態様において、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物はさらに、少なくとも2種の生体適合性ポリマー、少なくとも3種の生体適合性ポリマーまたはそれ以上を含む、少なくとも1種の生体適合性ポリマーを含む。例示的な生体適合性ポリマーには、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド-コ-グリコリド(PLGA)、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリカプロラクトン、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ケラチン、ポリアスパラギン酸、アルギネート、キトサン、キチン、ヒアルロン酸、ペクチン、ポリヒドロキシアルカノエート、デキストラン、およびポリ無水物、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、トリブロックコポリマー、ポリリジン、それらの任意の誘導体ならびにそれらの任意の組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの態様において、生体適合性ポリマーは、シルクマトリックスのバルク中に均一または不均一に組み込まれ得る。他の態様において、生体適合性ポリマーは、シルクマトリックスの表面上にコーティングされ得る。いくつかの態様において、生体適合性ポリマーは、シルクマトリックス中のシルクに共有結合または非共有結合により連結され得る。いくつかの態様において、生体適合性ポリマーは、シルクマトリックス中でシルクとブレンドされ得る。
いくつかの態様において、生体適合性ポリマーは、PEGまたはPEOである。本明細書で使用される場合、「ポリエチレングリコール」または「PEG」という用語は、約20〜約2000000個の連結されたモノマー、典型的には約50〜1000個の連結されたモノマー、通常約100〜300個を含むエチレングリコールポリマーを意味する。PEGは、その分子量に応じて、ポリエチレンオキシド(PEO)またはポリオキシエチレン(POE)としても公知である。一般にPEG、PEOおよびPOEは化学的に同義であるが、歴史的にPEGは20,000g/molを下回る分子量を有するオリゴマーおよびポリマーを表し、PEOは20,000g/molを上回る分子量を有するポリマーを表し、POEは任意の分子量のポリマーを表す傾向がある。PEGおよびPEOは、それらの分子量に依存して、液体または低融点の固体である。PEGは、エチレンオキシドの重合によって調製され、300g/mol〜10,000,000g/molの幅広い範囲の分子量で市販されている。異なる分子量を有するPEGおよびPEOは異なる用途で有用でありかつ鎖長効果により異なる物理的特性(例えば、粘性)を有するが、それらの化学的特性はほぼ同一である。異なる形態のPEGも、重合プロセスに使用される開始剤に応じて入手可能であり、最も一般的な開始剤はmPEGと省略される単官能性のメチルエーテルPEGまたはメトキシポリ(エチレングリコール)である。低分子量PEGはまた、単分散、均一と称される純オリゴマー(purer oligomer)としても入手可能であり、または異なる形状を有する個別のPEGも入手可能である。
本明細書で使用される場合、PEGという用語は、内包的なものであって排他的でないことが意図されている。PEGという用語は、アルコキシPEG、二官能性PEG、多アーム型PEG、フォーク型PEG、分岐型PEG、ペンダント型PEG(すなわち、ポリマー骨格につり下げられている1つもしくは複数の官能基を有するPEGもしくは関連ポリマー)、または中に分解性の連結を有するPEGを含む、任意の形態のポリ(エチレングリコール)を含む。さらに、PEG骨格は、直鎖状または分岐状であり得る。分岐型ポリマー骨格は、一般に当技術分野で公知である。典型的に、分岐型ポリマーは、中心分枝コア部分および中心分枝コアに連結された複数の線状ポリマー鎖を有する。PEGは、一般に、様々なポリオール、例えばグリセロール、ペンタエリスリトールおよびソルビトールへの、エチレンオキシドの付加によって調製され得る分岐形態で使用される。中心分枝部分はまた、いくつかのアミノ酸、例えばリジン由来であり得る。分岐型ポリ(エチレングリコール)は、R(-PEG-OH)mの一般式で表され得、式中、Rはコア部分、例えばグリセロールまたはペンタエリスリトールを表し、mはアーム数を表す。多アーム型PEG分子、例えばその全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,932,462号に記載されるものも生体適合性ポリマーとして使用され得る。
いくつかの例示的なPEGには、PEG20、PEG30、PEG40、PEG60、PEG80、PEG100、PEG115、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、PEG600、PEG1000、PEG1500、PEG2000、PEG3350、PEG4000、PEG4600、PEG5000、PEG6000、PEG8000、PEG11000、PEG12000、PEG15000、PEG20000、PEG250000、PEG500000、PEG100000、PEG2000000等が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの態様において、PEGは、MW 10,000ダルトンのものである。いくつかの態様において、PEGは、MW 100,000のもの、すなわち、MW 100,000のPEOである。
シルクベースの薬物送達組成物は、任意の所望の量のPEG、PEOまたはPOEを含み得る。例えば、シルクベースの薬物送達組成物は、約0.01%〜約50%のPEG、PEOまたはPOEを含み得る。PEG、PEOまたはPOEの量は、シルクベースの薬物送達組成物全体の重量、容積またはモルに基づき得る。したがって、シルクベースの薬物送達組成物中に存在するPEG、PEOまたはPOEの量は、重量/重量、重量/容積、容積/重量またはモル/モルであり得る。いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物中のPEG、PEOまたはPOEの量は、約0.1%〜約25%(w/v)、約0.25%〜約20%(w/v)、約0.5%〜約15%(w/v)、約0.75%〜約10%(w/v)、約1%〜約9%(w/v)、約2%〜約7%(w/v)、約3%〜約6%(w/v)または約4.5〜約5.5%(w/v)の範囲であり得る。いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物中のPEG、PEOまたはPOEの量は、約0〜約10%(w/v)である。いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物中のPEG、PEOまたはPOEの量は、約0.1〜約7.5%(w/v)である。いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物中のPEG、PEOまたはPOEの量は、約0.25%(w/v)、約1%(w/v)または約5%(w/v)である。
本発明者らは、とりわけ、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物におけるアルブミンの存在がゲルからの治療剤の放出キネティクスを変化させ得ることを発見した。理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクベースの薬物送達組成物におけるアルブミンの存在は、組成物からの治療剤の放出を調節する拡散障壁を提供し得る。したがって、いくつかの態様において、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物はさらに、アルブミンを含む。
アルブミンは、血清中で見出される単純なタンパク質であり、約66,000ダルトンの分子量を有する。アルブミンは、肝臓で生成され、最も豊富な血漿タンパク質である。アルブミンポリペプチドは、適切なコロイド浸透圧を維持することによる血液量の調節に重要である。ヒト血清アルブミンは、585アミノ酸残基のモノマーであり、3つの相同なa-ヘリックスドメイン:ドメインI、ドメインIIおよびドメインIIIを含む。各ドメインは、10個のヘリックスを含み、逆平行の6ヘリックスおよび4ヘリックスサブドメインに分類される。欠失研究により、FcRnへの結合にはドメインIII単独で十分であることが示唆されている(Chaudhury et al., Biochemistry 2006, 45:4983-4990)。FcRnに結合せず低い血清レベルを有する切断型ヒトアルブミンが同定されている(Andersen et al., Clin Biochem., 2010, 43(45):367-72. Epub 2009 Dec.16)。
アルブミンは、脂溶性ホルモン、胆汁塩、未抱合ビリルビン、脂肪酸、カルシウム、イオン、トランスフェリン、ヘミンおよびトリプトファンを含む幅広い様々な低分子に結合しそれらを運搬することが公知である。アルブミンはまた、ワルファリン、フェノブタゾン(phenobutazone)、クロフィブラートおよびフェニトイン等の様々な薬物に結合し、その結合は薬物の薬物動態特性を変更し得る。
アルブミンは、天然に存在するアルブミン、アルブミン関連タンパク質またはその変種、例えば天然変種または人工変種、であり得る。変種は、多型、フラグメント、例えばドメインおよびサブドメイン、フラグメントならびに/または融合タンパク質を含む。アルブミンは、任意の供給源から得られるアルブミンタンパク質の配列を含み得る。典型的に、供給源は、哺乳動物、例えばヒトまたはウシである。いくつかの態様において、血清アルブミンは、ヒト血清アルブミン(「HSA」)である。「ヒト血清アルブミン」という用語は、ヒトに天然に存在するアミノ酸配列を有する血清アルブミンおよびその変種を含む。HSAコード配列は、ヒト遺伝子に対応するcDNAを単離する公知の方法によって入手することができ、ならびに、例えばEP 0 073 646およびEP 0 286 424にも開示されており、その両方の内容の全体は参照により本明細書に組み入れられる。フラグメントまたは変種は、機能性または非機能性であり得る。例えば、フラグメントまたは変種は、アルブミン受容体、例えばFcRnに結合する能力を、その親アルブミン(該フラグメントまたは変種の起源であるアルブミン)の受容体結合能力の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%まで保持し得る。相対的な結合能力は、当技術分野で公知の方法、例えば表面プラズモン共鳴研究によって決定され得る。
アルブミンは、ヒトアルブミンまたはヒトアルブミン類似体の天然に存在する多型変種であり得る。一般に、ヒトアルブミンの変種またはフラグメントは、モル対モルで、ヒトアルブミンのリガンド結合活性(例えば、FcRN結合性)の少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%(好ましくは、少なくとも80%、90%、95%、100%、105%またはそれ以上)を有するであろう。
アルブミンは、ウシ血清アルブミンの配列を含み得る。「ウシ血清アルブミン」という用語は、例えばSwissprotアクセッション番号P02769から得られる、ウシに天然に存在するアミノ酸配列を有する血清アルブミン、および本明細書で定義されるようなそれらの変種を含む。「ウシ血清アルブミン」という用語はまた、本明細書で定義されるように、全長ウシ血清アルブミンまたはその変種のフラグメントも含む。
いくつかのタンパク質が、アルブミンファミリー内に存在することが公知である。したがって、アルブミンは、アフリカツメガエル(例えば、Swissprotアクセッション番号P08759-1を参照のこと)、ウシ(例えば、Swissprotアクセッション番号P02769-1を参照のこと)、ネコ(例えば、Swissprotアクセッション番号P49064-1を参照のこと)、ニワトリ(例えば、Swissprotアクセッション番号P19121-1を参照のこと)、ニワトリオボアルブミン(例えば、Swissprotアクセッション番号P01012-1を参照のこと)、コブラALB(例えば、Swissprotアクセッション番号Q91134-1を参照のこと)、イヌ(例えば、Swissprotアクセッション番号P49822-1を参照のこと)、ロバ(例えば、Swissprotアクセッション番号QSXLE4-1を参照のこと)、ヨーロッパミズガエル(European water frog)(例えば、Swissprotアクセッション番号Q9YGH6-1を参照のこと)、住血吸虫(例えば、Swissprotアクセッション番号AAL08579およびQ95VB7-1を参照のこと)、スナネズミ(例えば、Swissprotアクセッション番号O35090-1およびJC5838を参照のこと)、ヤギ(例えば、Swissprotアクセッション番号B3VHM9-1を参照のこと、Sigmaから製品番号A2514またはA4164として入手可能)、モルモット(例えば、Swissprotアクセッション番号Q6WDN9-1を参照のこと)、ハムスター(DeMarco et al. (2007). International Journal for Parasitology 37(11): 1201-1208を参照のこと)、ウマ(例えば、Swissprotアクセッション番号P35747-1を参照のこと)、ヒト(例えば、Swissprotアクセッション番号P02768-1を参照のこと)、オーストラリアハイギョ(例えば、Swissprotアクセッション番号P83517)-1 22.8 101フィッシュを参照のこと)、マカク(アカゲザル)(例えば、Swissprotアクセッション番号Q28522-を参照のこと)、マウス(例えば、Swissprotアクセッション番号P07724-1を参照のこと)、北アメリカウシガエル(例えば、Swissprotアクセッション番号P21847-1を参照のこと)、ブタ(例えば、Swissprotアクセッション番号P08835-1を参照のこと)、ハト(例えば、Khan et al, 2002, 1112. J. Biol. Macromol, 30(3-4), 171-8によって定義される)、ウサギ(例えば、Swissprotアクセッション番号P490 65-1を参照のこと)、ラット(例えば、Swissprotアクセッション番号P02770-1を参照のこと)、サンショウウオ(例えば、Swissprotアクセッション番号Q8UW05-1を参照のこと)、サケALB1(例えば、Swissprotアクセッション番号P21848-1を参照のこと)、サケALB2(例えば、Swissprotアクセッション番号Q03156-1を参照のこと)、ウミヤツメ(例えば、Swissprotアクセッション番号Q91274-1およびO42279-1を参照のこと)、ヒツジ(例えば、Swissprotアクセッション番号P14639-1を参照のこと)、スマトラオランウータン(例えば、Swissprotアクセッション番号Q5NVH5-1を参照のこと)、ムカシトカゲ(例えば、Swissprotアクセッション番号Q8JIA9-1を参照のこと)、シチメンチョウオボアルブミン(例えば、Swissprotアクセッション番号O73860-1を参照のこと)、ニシツメガエル(Western clawed frog)(例えば、Swissprotアクセッション番号Q6D.I95-1を参照のこと)由来の血清アルブミンの1つから得られるアルブミンの配列を含み得、ならびに本明細書で定義されるようなそれらの変種およびフラグメントを含む。
多くの天然に存在する変異形態のアルブミンが公知である。多くは、その内容が参照により本明細書に組み入れられるPeters, (1996, All About Albumin: Biochemistry, Genetics and Medical Applications, Academic Press, Inc., San Diego, California, p.170-181)に記載されている。本明細書で定義されるような変種は、これらの天然に存在する変異体、例えばその内容の全体が参照により本明細書に組み入れられるMinchiotti et al. (2008). Hum Mutat 29(8): 1007-16に記載されるもののうちの1つであり得る。
「変種アルブミン」は、そのような変化によって少なくとも1つの基本的特性、例えば結合活性(活性のタイプおよび特異的活性、例えば、ビリルビン、または長鎖脂肪酸、例えばオレイン酸(C18:1)、パルミチン酸(C16:0)、リノール酸(C18:2)、ステアリン酸(C18:0)、アラキドン酸(C20:4)および/またはパルミトレイン酸(C16:1)などの脂肪酸に対する結合)、モル浸透圧濃度(膠質浸透圧、コロイド浸透圧)、特定pH範囲での挙動(pH安定性)が有意に変化していないアルブミンタンパク質が生成される限り、1つまたは複数の位置で保存的または非保存的なアミノ酸挿入、欠失または置換がなされたアルブミンタンパク質を表す。この文脈で、「有意に」とは、その変種の特性が、元のタンパク質、例えばその変種の起源であるタンパク質の特性に対して明白ではないであろうがそれでも異なり得ると当業者が言うであろうことを意味する。そのような特徴は、本発明において付加的な選択基準として使用され得る。
アルブミンという用語はまた、上で定義された1つまたは複数のアルブミンに特有の結合部位に類似する1つまたは複数の結合部位を有するアルブミン変種、例えば遺伝子操作された形態、変異形態およびフラグメント等を包含する。本発明の文脈で、類似の結合部位によって、1つのおよび同一のリガンド構造に対する結合に関して互いに競合することができる構造が企図される。
いくつかの態様において、アルブミンは、血清もしくは血漿から抽出されたヒト血清アルブミン、またはトランスジェニック動物もしくは植物を用いて生成される組み換えヒトアルブミン(rHA)を含む、ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列をコードするヌクレオチドコード配列で生物を形質転換またはトランスフェクトすることによって生成されるrHAであり得る。
1つの態様において、アルブミンは、ウシ血清アルブミンであり、それらの変種およびフラグメントを含む。
シルクベースの薬物送達組成物は、任意の所望の量のアルブミンを含み得る。例えば、シルクベースの薬物送達組成物は、約0.1%〜約50%のアルブミンを含み得る。アルブミンの量は、シルクベースの薬物送達組成物全体の重量、容積またはモルに基づき得る。したがって、シルクベースの薬物送達組成物中に存在するアルブミンの量は、重量/重量、重量/容積、容積/重量またはモル/モルであり得る。いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物中のアルブミンの量は、約0.5%〜約25%(w/v)、約1%〜約20%(w/v)、約2%〜約15%(w/v)、約3%〜約10%(w/v)、約4%〜約8%(w/v)、約5%〜約7%(w/v)の範囲であり得る。いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物中のアルブミンの量は、0〜約20%(w/v)の範囲であり得る。1つの態様において、シルクベースの薬物送達組成物中のアルブミンの量は、約5%(w/v)である。
いくつかの態様において、アルブミンは、シルクマトリックスのバルク中に均一または不均一に組み込まれ得る。他の態様において、アルブミンは、シルクマトリックスの表面上にコーティングされ得る。いくつかの態様において、アルブミンは、シルクマトリックス中のシルクに共有結合または非共有結合により連結され得る。いくつかの態様において、アルブミンは、シルクマトリックス中のシルクとブレンドされ得る。
いくつかの態様において、シルクベースの薬物送達組成物は、添加物をさらに含み得る。いくつかの例示的な添加物は、生物学的または薬学的に活性な化合物を含む。生物学的に活性な化合物の例には、細胞接着媒介物質、例えばコラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、もしくは公知のインテグリン結合ドメイン、例えば「RGD」インテグリン結合配列を含むペプチド、または細胞接着に影響することが公知のそれらの変形物(Schaffner P & Dard 2003 Cell Mol Life Sci. Jan; 60(1):119-32; Hersel U. et al. 2003 Biomaterials. Nov; 24(24):4385-415);生物学的に活性なリガンド;および特定種の細胞または組織の内方成長を増強または排除する物質が含まれるがこれらに限定されない。増殖または分化を増強する添加剤の他の例には、骨誘導物質、例えば骨形態形成タンパク質(BMP);サイトカイン、成長因子、例えば上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF-IおよびII)TGF-β1が含まれるがこれらに限定されない。本明細書で使用される場合、添加物という用語は、抗体、DNA、RNA、修飾されたRNA/タンパク質複合物、グリコーゲンまたは他の糖、およびアルコールも包含する。
本発明者らは、特に、治療剤が、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物から持続放出様式で放出されることを発見した。換言すると、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、持続送達組成物である。本明細書で使用される場合、「持続送達」という用語は、投与後のある期間にわたるインビボまたはインビトロでの治療剤の継続的な送達を表す。例えば、持続放出は、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。いくつかの態様において、持続放出は、1ヶ月超またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。いくつかの態様において、持続放出は、少なくとも約3ヶ月またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。いくつかの態様において、持続放出は、少なくとも約6ヶ月またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。いくつかの態様において、持続放出は、少なくとも約9ヶ月またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。いくつかの態様において、持続放出は、少なくとも約12ヶ月またはそれ以上の期間にわたって行われ得る。
インビボでの治療剤の持続送達は、例えば、ある期間にわたる薬剤の継続的治療効果によって実証され得る。あるいは、治療剤の持続送達は、インビボで治療剤またはその代謝産物の存在またはレベルをある期間にわたって検出することによって実証され得る。一例にすぎないが、治療剤の持続送達は、投与された際に、対象の血清、組織または臓器に存在する治療剤またはその代謝産物の量を測定することによって検出され得る。
シルクベースの薬物送達組成物からの治療剤の放出速度は、いくつかの要因、例えばシルクマトリックスの組成および/もしくは濃度、シルクマトリックスの多孔質特性、治療剤の分子サイズならびに/または治療剤とシルクマトリックスとの相互作用によって調節され得る。例えば、治療剤がシルクマトリックスに対してより高い親和性を有する場合、その放出速度は、通常、シルクマトリックスに対する親和性がより低いものよりも遅くなる。加えて、シルクマトリックスがより大きい孔を有する場合、カプセル化された治療剤は、一般に、より小さい孔を有するシルクマトリックスよりも速くシルクマトリックスから放出される。
シルクマトリックスからの治療剤の放出プロフィールは、いくつかの要因、例えばシルクマトリックス中に装填される治療剤の量および/または分子サイズ、シルクマトリックスの多孔度、シルクマトリックス中のシルクフィブロインの量および/またはシルクマトリックス中のβ-シート立体構造の含量、シルクマトリックスに対する治療剤の結合親和性、ならびにそれらの任意の組み合わせによって調整され得る。
シルクベースの薬物送達組成物は、治療剤の推奨される投薬によって提供されるのと同様の治療効果を同一期間に提供する量の治療剤を提供するかまたは放出する。例えば、治療剤の推奨される投薬が1日1回である場合、シルクベースの薬物送達組成物は、1日1回投薬によって提供されるのと同様の治療効果を提供するのに十分な量の治療剤を放出する。
治療剤の1日あたりの放出は、約1ng/日〜約1000mg/日の範囲であり得る。例えば、放出される量は、1〜1000(例えば、1〜1000の各整数値)の下限と1〜1000(例えば、1〜1000の各整数値)の上限とを有する範囲であり得、ここで、下限および上限の単位は、独立して、ng/日、μg/日、mg/日またはそれらの任意の組み合わせから選択され得る。
いくつかの態様において、1日あたりの放出は、約1μg/日〜約10mg/日、約0.25μg/日〜約2.5mg/日、または約0.5μg/日〜約5mg/日であり得る。いくつかの態様において、治療剤の1日あたりの放出は、約100ng/日〜1mg/日、例えば、または約500ng/日〜5mg/日、または約100μg/日の範囲であり得る。いくつかの態様において、治療剤の1日あたりの放出は、約5〜約60μg/日である。いくつかの態様において、治療剤の1日あたりの放出は、約10μg/日である。
本発明者らは、シルクリザーバインプラントまたはシルク注射可能リザーバ組成物からの治療剤の放出が、ある期間にわたってほぼゼロ次の放出キネティクスを示すことを発見した。例えば、ほぼゼロ次の放出キネティクスは、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、1年またはそれ以上の期間にわたって達成され得る。
いくつかの態様において、本明細書に記載される薬物送達組成物からは、有意な見かけの初期バースト放出が観察されない。したがって、いくつかの態様において、投与の最初の48時間、24時間、18時間、12時間または6時間以内の治療剤の初期バーストは、薬物送達組成物中に装填された治療剤の総量の25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満または1%未満である。いくつかの態様において、投与の最初の6時間または12時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1週間および2週間以内に治療剤の初期バーストは存在しない。
シルクベースの薬物送達組成物は、特定の条件下、例えばインビボの生理学的条件下で、治療剤の活性、例えば生物活性を安定化し得る。例えば、両方の内容の全体が参照により本明細書に組み入れられる、2011年4月21日に出願された米国仮出願第61/477,737号および2012年4月23日に出願された国際特許出願第PCT/US2012/034643号を参照のこと。したがって、シルクベースの薬物送達組成物は、治療剤のインビボ半減期を増加させ得る。例えば、カプセル化された治療剤のインビボ半減期は、非カプセル化治療剤と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍またはそれ以上増加し得る。いくつかの態様において、カプセル化された治療剤のインビボ半減期は、シルクマトリックス中にカプセル化されていない場合の治療剤のインビボ半減期よりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍またはそれ以上長い。
理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクベースの薬物送達組成物は、より長い治療効果を提供し得る。別の言葉で言うと、治療剤のインビボ半減期の増加は、同一の治療効果持続時間に対してより少量の治療剤の装填を可能にし得る。したがって、シルクマトリックス中に治療剤をカプセル化することにより、治療剤の効果の持続時間を増加させ得る。例えば、シルクベースの薬物送達組成物にカプセル化された治療剤の量は、同量の治療剤がシルクベースの薬物送達組成物なしで投与されたときよりも長い期間、治療効果を提供する。いくつかの態様において、治療効果の持続時間は、その治療剤がシルクベースの薬物送達組成物なしで投与されたときの効果の持続時間よりも少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月またはそれ以上長い。
いくつかの態様において、1回の投薬による治療効果の持続時間は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月であるかまたはそれより長い。
したがって、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、治療剤の1回の投薬に推奨される量よりも少ない量の治療剤を含み得る。例えば、治療剤の推奨される投薬量が量Xである場合、シルクマトリックスは約0.9X、約0.8X、約0.7X、約0.6X、約0.5X、約0.4X、約0.3X、約0.2X、約0.1Xまたはそれ未満の量の治療剤を含み得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、これにより、より少ない投薬量の治療剤のシルクマトリックスでの投与により、より多い投薬量をシルクマトリックスなしに投与した場合と同様の治療効果を得ることが可能になり得る。
いくつかの態様において、シルクマトリックス中に分散またはカプセル化される治療剤の量は、特定の適応症のために投与される同じ治療剤の1回の投薬に関して一般に推奨されている量を超えるものであり得る。例えば、治療剤の推奨される投薬量が量Xである場合、シルクマトリックスは、約1.25X、約1.5X、約1.75X、約2X、約2.5X、約3X、約4X、約5X、約6X、約7X、約8X、約9X、約10Xまたはそれ以上の量の治療剤をカプセル化し得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、これにより、シルクマトリックスでの治療剤の投与により、本明細書に記載されるシルクマトリックスなしで投与される治療剤の複数回の投与から得られるのと同様の治療効果を得ることが可能になり得る。
いくつかの態様において、シルクマトリックス中にカプセル化される治療剤の量は、その治療剤の1回の投薬で推奨される量と本質的に同じであり得る。例えば、治療剤の推奨される投薬量が量Xである場合、シルクベースの組成物は、約Xの量の治療剤を含み得る。本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、治療剤の効果の持続時間を増加させ得るので、これにより、低頻度の治療剤の投与でより長い期間にわたる治療効果を得ることが可能になり得る。
さらに、シルクベースの薬物送達組成物は、カプセル化された治療剤のバイオアベイラビリティを増加させ得る。本明細書で使用される場合、「バイオアベイラビリティ」という用語は、投与後に所与の部位で利用可能な生理学的活性の物質の量を表す。所与の物質のバイオアベイラビリティは、その物質の分解および吸収を含むがこれらに限定されないいくつかの要因に影響される。投与された物質は、完全な吸収の前に排出され、それによってバイオアベイラビリティが低下する。いくつかの態様において、カプセル化された治療剤のバイオアベイラビリティは、非カプセル化治療剤と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍またはそれ以上増加し得る。
理論によって拘束されることを望むものではないが、シルクベースの薬物送達組成物は、治療剤の投与頻度をF = (Y2-Y1)/Y2倍に低減させることができ、式中、Y1は特定の適応症について推奨されるシルクマトリックスなしの治療剤の現行の投薬によって生ずる治療効果の持続時間であり、Y2は本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物中に存在する同量の治療剤によって生ずる治療効果の持続時間である。シルクマトリックスにカプセル化された治療剤の投与頻度は、式:
投与頻度 = Z x F [1]
を用いて算出され得、式中、Zは所与期間中の投与数である。
投与頻度 = Z x F [1]
を用いて算出され得、式中、Zは所与期間中の投与数である。
例えば、特定の適応症について推奨されるシルクマトリックスなしの治療剤の現行の投薬によって生ずる治療効果の持続時間が1ヶ月(Y1 = 1ヶ月)であり、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物中に存在する同量の治療剤によって生ずる治療効果の持続時間が2ヶ月である場合、投与頻度は1/2倍に低減される(例えば、Y2 = 2ヶ月およびY1 = 1ヶ月)。投与頻度は、2ヶ月に約1回に低減される。すなわち、現行の投与プロトコルによる1ヶ月に1回の治療剤の投与に代えて、本発明の方法および/または組成物は、投与頻度を2ヶ月に約1回に低減することができる。同様に、投与頻度が2/3倍に低減される(例えば、Y2 = 3ヶ月およびY1 = 1ヶ月)場合、本明細書に記載される方法および/または組成物は、投与頻度を3ヶ月に約1回に低減することができる。
いくつかの態様において、治療剤の投与頻度は、少なくとも約1/500倍、少なくとも約1/250倍、少なくとも約1/225倍、少なくとも約1/200倍、少なくとも約1/175倍、少なくとも約1/150倍、少なくとも約1/125倍、少なくとも約1/100倍、少なくとも約1/90倍、少なくとも約1/80倍、少なくとも約1/70倍、少なくとも約1/60倍、少なくとも約1/50倍、少なくとも約1/30倍、少なくとも約1/25倍、少なくとも約1/20倍、少なくとも約1/19倍、少なくとも約1/18倍、少なくとも約1/17倍、少なくとも約1/16倍、少なくとも約1/15倍、少なくとも約1/14倍、少なくとも約1/13倍、少なくとも約1/12倍、少なくとも約1/11倍、少なくとも約1/10倍、少なくとも約1/9倍、少なくとも約1/8倍、少なくとも約1/7倍、少なくとも約1/6倍、少なくとも約1/5倍、少なくとも約1/4倍、少なくとも約1/3倍、少なくとも約1/2倍、少なくとも約1/1.75倍、少なくとも約1/1.5倍、少なくとも約1/1.25倍、少なくとも約1/1.1倍に、またはそれ以上の倍数に低減され得る。
さらに別の局面において、本明細書には、治療剤のインビボ持続送達方法が提供される。この方法は、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物を対象に投与する工程を含む。理論によって拘束されることを望むものではないが、治療剤は、毎日、治療有効量で放出され得る。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、所望の結果を提供するのに有効な治療剤の量を意味する。治療有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、治療有効量は、対象の病歴、年齢、状態、性別ならびに対象における医学的状態の重篤度およびタイプ、ならびに神経変性障害の病理学的プロセスを阻害する他の薬剤の投与に伴い変化し得る。
さらに、治療有効量は、当業者に認識されているように、処置される特定の疾患、投与経路、選択される賦形剤および併用療法の可能性に応じて変化するであろう。いくつかの態様において、治療有効量は、ED50とLD50(治療剤を摂取した対象の約50%が死亡する治療剤の用量)の間の範囲内であり得る。いくつかの態様において、治療有効量は、ED50(治療剤を摂取した対象の少なくとも約50%で治療効果が検出される治療剤の用量)とTD50(症例の約50%で毒性が生じる用量)の間の範囲内であり得る。いくつかの態様において、治療有効量は、非シルクマトリックス状態で投与される同じ治療剤の現行の投薬方針に基づき決定される量であり得る。例えば、治療有効量の上限は、非シルクマトリックス状態での治療剤の現行の投薬による投与の日に送達または放出される治療剤の濃度または量によって決定され得る;一方、治療有効量の下限は、非シルクマトリックス状態での治療剤の新たな投薬が必要とされる日における治療剤の濃度または量によって決定され得る。有効性および治療有効量の化合物を送達する投薬に関する手引きは、処置される状態の動物モデルから得ることができる。
毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死の用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するために、細胞培養物または実験動物において標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性作用と治療効果の間の用量の比が治療指数であり、それはLD50/ED50の比として表され得る。大きな治療指数を示す組成物が好ましい。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおいて使用するための用量範囲を決定するために使用され得る。そのような化合物の用量は、好ましくは、ほとんどまたは全く毒性を有さないED50を含む循環濃度の範囲内である。用量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存してこの範囲内で変更され得る。
治療有効用量は、最初は細胞培養アッセイから概算され得る。用量は、細胞培養物において決定されたIC50(すなわち、症状の最大半量阻害を達成する治療剤の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて決定され得る。血漿中レベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィーによって測定され得る。任意の特定の投薬量の効果が、適切なバイオアッセイによってモニタリングされ得る。適切なバイオアッセイの例には、DNA複製アッセイ、転写ベースのアッセイおよび免疫学的アッセイが含まれる。
投薬量は、医師によって決定され、必要に応じて、観察される処置効果に合わせて調節され得る。一般に、治療剤は、1μg/kg〜100mg/kg、1μg/kg〜50mg/kg、1μg/kg〜20mg/kg、1μg/kg〜10mg/kg、1μg/kg〜1mg/kg、100μg/kg〜100mg/kg、100μg/kg〜50mg/kg、100μg/kg〜20mg/kg、100μg/kg〜10mg/kg、100μg/kg〜1mg/kg、1mg/kg〜100mg/kg、1mg/kg〜50mg/kg、1mg/kg〜20mg/kg、1mg/kg〜10mg/kg、10mg/kg〜100mg/kg、10mg/kg〜50mg/kgまたは10mg/kg〜20mg/kgの用量で与えられるように投与される。タンパク質治療剤の場合、1つの好ましい用量は、0.1mg/kg体重(一般に、10mg/kg〜20mg/kg)である。
本明細書で開示される場合、シルクベースの薬物送達は、治療剤がシルクベースの薬物送達組成物なしで投与された場合の期間と同様の期間またはそれより長い期間、対象に治療有効量の治療剤を提供し得る。例えば、1日にわたって放出される治療剤の量は、シルクベースの薬物送達組成物なしで投与される場合に治療剤の推奨される1日あたりの用量によって提供されるのと同様の治療効果を提供する。
対象への投与のために、シルクベースの薬物送達組成物は、薬物送達組成物を含む薬学的に許容される組成物として製剤化され得、これは1種または複数種の薬学的に許容される担体(添加物)および/または希釈剤と共に製剤化され得る。薬物送達組成物は、下記のものに適合されたものを含め、固体または液体の形態での投与のために特別に製剤化され得る:(1)経口投与、例えば水薬(水性または非水性の溶液または懸濁液)、ロゼンジ、糖衣錠、カプセル、丸剤、錠剤(例えば、口腔、舌下および全身吸収を標的とするもの)、ボーラス、粉末、顆粒、舌に適用するためのペースト;(2)例えば滅菌溶液もしくは懸濁液または持続放出製剤として、例えば皮下、筋内、静脈内または硬膜外注射による、非経口投与;(3)例えば皮膚に適用されるクリーム、軟膏、または制御放出パッチもしくはスプレーとして、局所適用;(4)例えば膣坐剤、クリームまたはフォームとして、膣内または直腸内;(5)舌下;(6)眼内;(7)経皮;(8)経粘膜;または(9)経鼻。加えて、化合物は、薬物送達組成物を用いて患者に移植または注射され得る。例えば、Urquhart, et al., Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 24: 199-236 (1984); Lewis, ed. "Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals" (Plenum Press, New York, 1981); 米国特許第3,773,919号; および米国特許第35 3,270,960号を参照のこと。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の及ぶ範囲で、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適しており、過度の毒性、刺激、アレルギー反応またはその他の問題もしくは合併症がなく、合理的な利益/リスク比が保たれている、化合物、物質、組成物および/または剤形を表す。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、対象化合物を1つの臓器または身体の一部から別の臓器または身体の一部に運搬または輸送するのに関与する、物質を被包する薬学的に許容される物質、組成物もしくはビヒクル、例えば液体もしくは固体のフィラー、希釈剤、賦形剤、製造補助剤(例えば、滑沢剤、タルクマグネシウム、カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、もしくはステアリン酸(steric acid))、または溶媒を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者にとって有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体の役割を果たし得る物質のいくつかの例には、(1)糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えばトウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロースおよび酢酸セルロース;(4)トラガカント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク;(8)賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐薬用ワックス;(9)油、例えばピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG);(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質非含有水;(17)等張食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;(22)増量剤、例えばポリペプチドおよびアミノ酸(23)血清成分、例えば血清アルブミン、HDLおよびLDL;(22)C2〜C12アルコール、例えばエタノール;ならびに(23)薬学的製剤で用いられるその他の非毒性適合性物質、が含まれる。湿潤剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、保存剤および抗酸化物質も、製剤中に存在してよい。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」等の用語は、本明細書で互換的に使用される。
薬学的に許容される抗酸化物質は、(1)水溶性抗酸化物質、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等;(2)油溶性抗酸化物質、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン(lectithin)、没食子酸プロピル、アルファトコフェロール等;および(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等を含むがこれらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、薬学的に活性な薬剤を所望の部位に少なくとも部分的に局在化させる方法または経路による対象内への薬物送達組成物の配置を表す。本明細書に記載される薬物送達組成物は、対象において効果的な処置をもたらす任意の適切な経路によって投与され得る、すなわち、投与により、対象内の所望の部位への送達が行われ、そこに薬学的に活性な薬剤の少なくとも一部が送達される。例示的な投与経路には、移植、注射、注入、点滴、植え込みまたは摂取が含まれるがこれらに限定されない。「注射」は、非限定的に、静脈内、筋内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳脊髄内および胸骨内の注射および注入を含む。
いくつかの態様において、本明細書に記載される薬物送達組成物は、対象に移植され得る。本明細書で使用される場合、「移植」という用語および文法的に関連する用語は、一次的、半永久的または永久的のいずれかの、対象内の特定部位へのシルクベースの薬物送達組成物の設置を表す。この用語は、特定位置または部位へのシルクベースの薬物送達組成物の永久的固定を必要としない。例示的なインビボ部位には、創傷、外傷または疾患の部位が含まれるがこれらに限定されない。
いくつかの態様において、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、注射可能な経路による対象へのインビボ送達に適したものである。1つの送達経路は、静脈内、筋内、皮下、腹腔内、くも膜下腔内、硬膜外、動脈内、関節内等を含む注射可能なものである。他の送達経路、例えば局所、経口、直腸、経鼻、肺、膣、口腔、舌下、経皮、経粘膜、耳または眼球内もまた使用され得る。
したがって、いくつかの態様において、組成物は、注射可能な組成物の形態である。本明細書で使用される場合、「注射可能な組成物」という用語は、概して、最小限の侵襲性の手順で組織に送達または投与され得る組成物を表す。「最小限の侵襲性の手順」という用語は、可能な限り小さな損傷(例えば、小さな切開部、注射)しか与えずに、皮膚を通じてまたは体腔もしくは解剖学的開口部を通じて対象の身体に進入することによって実行される手順を表す。いくつかの態様において、注射可能な組成物は、注射によって組織に投与または送達され得る。いくつかの態様において、注射可能な組成物は、皮膚上の小さな切開部を通じて、針、カニューレおよび/または管、例えばカテーテルを挿入することによって組織に送達され得る。限定されることを望むものではないが、注射可能な組成物は、手術、例えば移植によって組織に投与または設置され得る。いくつかの例示的な注射可能な組成物には、溶液、ヒドロゲル、ゲル様粒子および/またはマイクロスフェアが含まれるがこれらに限定されない。
明確にするために、「注射可能な製剤」および「注射可能物」における「注射可能」という用語は、針または任意の他の適当な手段を通過する十分な溶液の流れが存在するような、および使用者によって妥当な容易さでそのような流れが作られるような、注射による投与に適した溶液(例えば、製剤)の物理的特性を表す。対象への注射物の送達のために、注射器が一般に利用されている。いくつかの態様において、注射可能な製剤は、充填済み注射器として提供され得る。いくつかの態様において、注射可能な製剤は、使用準備済み製剤として提供され得る。いくつかの態様において、注射可能な製剤は、キットとして提供され得る。
いくつかの態様において、注射可能な組成物はさらに、薬学的に許容される担体を含み得る。注射に適した組成物は、滅菌水溶液または分散物を含む。担体は、例えば水、細胞培養培地、緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、それらの適当な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。いくつかの態様において、薬学的担体は、緩衝溶液(例えば、PBS)であり得る。
さらに、抗菌性保存剤、抗酸化物質、キレート剤および緩衝液を含む注射可能な組成物の安定性、滅菌性および等張性を増強する様々な添加物が、添加され得る。微生物の活動の抑止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等によって保証され得る。多くの場合、等張剤、例えば糖、塩化ナトリウム等を含めることが望まれ得る。注射可能な組成物はまた、望まれる調製物に応じて、補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、ゲル化添加物または粘度増強添加物、保存剤、着色剤等を含み得る。
注射可能な組成物の粘度は、(i)〜(xviii)の部分範囲の分子量を有するシルクフィブロインフラグメントの重量パーセントを制御することによって調整され得る。いくつかの態様において、注射可能な組成物の粘度はさらに、薬学的に許容される増粘剤を用いて選択されたレベルで維持され得る。1つの態様において、容易かつ経済的に利用できおよびそれを用いた作業が容易であるという理由で、メチルセルロースが使用され得る。他の適当な増粘剤には、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー等が含まれる。増粘物質の好ましい濃度は、注射のために選択される薬剤および所望の粘度に依存するであろう。重要な点は、選択された粘度を達成する量を使用すること、例えば、注射可能な組成物のいくつかの態様へのそのような増粘剤の添加、である。
注射のために、シルクベースの薬物送達組成物は、注射器内に吸引されて、約10〜約34または約18〜約30のゲージの針を通じて注射され得る。例示的な送達経路は、皮下、眼等を含む、細針を用いる注射である。細針は、少なくとも10ゲージサイズ、典型的には約18ゲージ〜約30ゲージの間およびそれより上の針を意味する。いくつかの態様において、細針は、少なくとも10ゲージの細さ、少なくとも12ゲージの細さ、少なくとも14ゲージの細さ、少なくとも16ゲージの細さ、少なくとも18ゲージの細さ、少なくとも21ゲージの細さ、少なくとも22ゲージの細さ、少なくとも23ゲージの細さ、少なくとも24ゲージの細さ、少なくとも25ゲージの細さ、少なくとも26ゲージの細さまたは少なくとも28ゲージの細さであり得る。
非限定的に、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、対象への比較的頻繁な投与を必要とする薬剤の投与のために使用され得る。例えば、薬学的に活性な薬剤は、例えば少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年またはそれ以上の期間にわたって、少なくとも3ヶ月に1回、少なくとも2ヶ月に1回、少なくとも1週間に1回、少なくとも1日に1回の投与を必要とする。
当業者に公知のように、慢性障害または状態の処置のための多くの治療剤は、比較的頻繁な投薬を必要とする。したがって、対象における慢性疾患または障害の処置方法が、本明細書に提供される。この方法は、それを必要とする対象に、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物または本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物を含む薬学的組成物を投与する工程を含む。シルクベースの薬物送達組成物は、考慮中の慢性疾患または状態の処置のために頻繁な投与が必要とされる治療剤を含む。
例示的な慢性疾患には、貧血、自己免疫性血管炎を含む自己免疫疾患、軟骨損傷、CIDP、嚢胞性線維症、糖尿病(例えばインスリン性糖尿病)、移植片対宿主疾患、血友病、感染またはその他の疾患プロセス、炎症性関節炎、炎症性腸疾患、挫傷に起因する炎症状態、炎症性関節疾患、狼瘡、狼瘡、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、整形外科手術、変形性関節症、パーキンソン病、乾癬性関節炎(psioriatic arthritis)、関節リウマチ、鎌状赤血球貧血、捻挫、移植片拒絶、外傷等が含まれるがこれらに限定されない。
「処置、予防または寛解」は、そのような障害の発症の遅延もしくは防止、またはそのような状態の進行、悪化または進行もしくは重篤度の増悪の逆転、緩和、寛解、阻害、速度低下または停止を意味する。いくつかの態様において、少なくとも1つの症状は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%緩和されるが100%ではない、すなわち完全な緩和ではない。いくつかの態様において、少なくとも1つの症状は、完全に緩和される。
いくつかの態様において、対象は、糖尿病の処置を必要としている。「糖尿病」および「真性糖尿病」という用語は、本明細書で互換的に使用される。世界保健機関は、真性糖尿病に関して、7.0 mmol/l(126 mg/dl)およびそれ以上の空腹時血漿グルコース濃度の診断値(全血6.1 mmol/lもしくは110mg/dl)または2時間グルコースレベル≧11.1 mmol/L(≧200 mg/dL)と定義している。真性糖尿病のリスクの高さを示唆するまたは示す他の値は、≧140/90 mm Hgの上昇した動脈圧;上昇した血漿トリグリセリド(≧1.7 mmol/L;150 mg/dL)および/または低いHDL-コレステロール(男性の場合<0.9 mmol/L、35 mg/dl、女性の場合<1.0 mmol/L、39 mg/dL);中心性肥満(男性;ウェストヒップ比>0.90;女性:ウェストヒップ比>0.85)および/または30kg/m2を超えるボディマスインデックス;尿アルブミン排せつ率≧20μg/分もしくはアルブミン:クレアチニン比≧30mg/gのミクロアルブミン尿を含む。
「前糖尿病状態」は、正常なグルコース恒常性、代謝と真性糖尿病において見られる状態との間の中間の代謝状態を表す。前糖尿病状態は、非限定的に、代謝症候群(「症候群X」)、耐糖能異常(IGT)および空腹時高血糖(IFG)を含む。IGTは、食後のグルコース調節異常を表し、IFGは空腹状態で測定される異常を表す。世界保健機関は、IFGの値を、6.1 mmol/L(100 mg/dL)またはそれ以上(全血5.6 mmol/L;100 mg/dL)であるが7.0 mmol/L(126 mg/dL)(全血 6.1mmol/L;110 mg/dL)未満の空腹時血漿グルコース濃度と定義している。ナショナルコレステロール教育プログラム(NCEP)基準にしたがう代謝症候群は、以下の少なくとも3つを有するものと定義される:血圧≧130/85 mm Hg;空腹時血漿グルコース≧6.1 mmol/L;胴囲>102 cm(男性)または>88 cm(女性);トリグリセリド≧1.7 mmol/L;およびHDLコレステロール<1.0 mmol/L(男性)または1.3 mmol/L(女性)。
「耐糖能異常」(IGT)は、正常より高いが真性糖尿病に分類するには十分高くない血中グルコースレベルを有するものと定義される。IGTを有する対象は、75 g経口ブドウ糖負荷試験において140〜199 mg/dL(7.8〜11.0 mmol)の2時間グルコースレベルを有するであろう。これらのグルコースレベルは、正常よりも上であるが、糖尿病と診断されるレベルよりも下である。耐糖能異常または空腹時グルコース異常を有する対象は、糖尿病を発症する顕著なリスクを有し、したがって一次予防の重要な標的グループである。
「正常グルコースレベル」は、「正常血糖」という用語と互換的に使用され、6.1 mmol/L(110 mg/dL)未満の空腹時静脈血漿グルコース濃度を表す。この量は任意のものであるが、そのような値は、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)による測定でIGTを有する者もいるかもしれないが、正常な耐糖能が証明された対象において観察されたものである。本発明との関係でおよび本明細書で定義されるベースライン値、インデックス値または参照値は、例えば、「正常グルコースレベル」を含み得る。
一般に、糖尿病の処置は、標準医療法によって決定される。糖尿病処置の目標は、安全に実施できる限り糖レベルを正常付近まで降下させることである。一般的に設定されている目標は、食前で1デシリットルあたり80〜120ミリグラム(mg/dl)および就寝時で100〜140 mg/dlである。特定の医師は、他の要因、例えば患者がどのくらいの頻度で低血糖反応を有するかに応じて、患者ごとに異なる目標を設定し得る。有用な医学的試験は、患者の血液および尿において血糖レベルを決定する試験、グリコシル化ヘモグロビンレベル(HbA1c;過去2〜3ヶ月間の平均血中グルコースレベルの尺度、正常範囲は4〜6%)の試験、コレステロールおよび脂肪レベルの試験、ならびに尿中タンパクレベルの試験を含む。そのような試験は、当業者に公知の標準試験である(例えば、American Diabetes Association, 1998を参照のこと)。有効な処置プログラムはまた、そのプログラムにおいて数名の患者しか糖尿病に関連する合併症、例えば眼の疾患、腎臓疾患または神経疾患を有さないことによって決定され得る。
真性糖尿病には2つの一般的な形態:(1)インスリン依存性または1型糖尿病(別名、若年性糖尿病、不安定型糖尿病、インスリン依存性糖尿病(IDDM))および(2)インスリン非依存性またはII型糖尿病(別名、NIDDM)、がある。1型糖尿病は、若い人で発症することが最も多いが、成人でも見られ得る。2型糖尿病は、中年および老齢の成人で発症することが最も多いが、若い人でも見られ得る。糖尿病は、複数の原因要素に起因する疾患であり、空腹状態でのまたは経口ブドウ糖負荷試験中のグルコース投与後の、上昇した血漿グルコースレベル(高血糖症)によって特徴づけられる。β細胞量の減少は、1型および2型の両方の糖尿病において起こる。
1型糖尿病は、膵臓のインスリン産生β細胞が破壊される自己免疫疾患である。インスリンの欠如は、尿において現れ始める、腎閾値(大部分の人で約190〜200 mg/dL)を上回る空腹時血中グルコース(非糖尿病者でおよそ70〜120 mg/dl)の増加を引き起こす。1型糖尿病は、以下を含むがこれらに限定されない様々な診断試験を用いて診断され得る:(1)糖化ヘモグロビン(A1C)試験、(2)無作為血中グルコース試験および/または(3)空腹時血中グルコース試験。
糖化ヘモグロビン(A1C)試験は、過去2ヶ月または3ヶ月間の対象の平均血中グルコースレベルを反映する血液試験である。この試験は、ヘモグロビンに付着した血中グルコースの比率を測定し、これは血中グルコースレベルと相関する(例えば、血中グルコースレベルが高いほど、より多くのヘモグロビンがグリコシル化される)。2つの別々の試験における6.5パーセントまたはそれ以上のA1Cレベルは、糖尿病を示す。6〜6.5パーセントの間の結果は、前糖尿病とみなされ、これは糖尿病を発症するリスクが高いことを示す。
無作為血中グルコース試験は、糖尿病を有することが疑われる対象から無作為の時点で血液サンプルを取得することを含む。血中グルコース値は、1デシリットルあたりのミリグラム数(mg/dL)または1リットルあたりのミリモル数(mmol/L)で表され得る。200 mg/dL(11.1 mmol/L)またはそれ以上の無作為血中グルコースレベルは、特に糖尿病の任意の兆候および症状、例えば頻尿および極度の口渇と組み合わせたときに、対象が糖尿病を有する可能性が高いことを示す。
空腹時血中グルコース試験の場合、血液サンプルは、一晩の絶食の後に取得される。100 mg/dL(5.6 mmol/L)未満の空腹時血中グルコースレベルは、正常とみなされる。100〜125 mg/dL(5.6〜6.9 mmol/L)の空腹時血中グルコースレベルは、前糖尿病とみなされ、2つの別々の試験における126 mg/dL(7 mmol/L)またはそれ以上のレベルは糖尿病を示す。
1型糖尿病はまた、内因的なインスリン産生の尺度であるC-ペプチドアッセイを用いて2型糖尿病から区別され得る。多くの2型糖尿病は内部でインスリンを産生し続けており、すべて、ある程度のインスリン抵抗性を有しているため、(グルタミン酸デカルボキシラーゼ、インスリノーマ関連ペプチド-2もしくはインスリンに対する)抗islet抗体の存在またはブドウ糖負荷試験によって決定されるインスリン抵抗性の欠如もまた、1型を示す。
免疫系が1型糖尿病の病因に関与していると思われるため、1型と2型糖尿病の間を区別するための改善された試験としてGAD 65抗体の試験が提案されている。
非肥満糖尿病(NOD)マウスは、1型糖尿病の自然発症の動物モデルを提供する。NODマウスは、膵島への白血球の浸潤の結果として膵島炎を発症し、これはその後に膵島の破壊および1型糖尿病の表現型を誘導する(Makino S, et al., (1980) Jikken Dobutsu 29 (1): 1-13; Kikutani H, and Makino S (1992) Adv. Immunol. 51: 285-322)。
いくつかの態様において、前記方法は、1型糖尿病を有する対象を選択する工程をさらに含む。そのような対象は、1型糖尿病、1型糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または前糖尿病状態を患っているかまたは有すると以前に診断または同定されており、必要ではないが任意で、1型糖尿病、1型糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または前糖尿病状態に対する処置をすでに受けている者であり得る。対象はまた、1型糖尿病または前糖尿病状態を患っていない者であり得る。対象はまた、1型糖尿病、1型糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または前糖尿病状態を患っていると診断または同定されているが、1型糖尿病、1型糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または前糖尿病状態に対する1つまたは複数の処置を受けた結果として1型糖尿病の既知のリスク因子の改善を示している者であり得る。あるいは、対象はまた、1型糖尿病、1型糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または前糖尿病状態を有すると以前に診断されていない者であり得る。例えば、対象は、1型糖尿病、1型糖尿病に関連する合併症もしくは前糖尿病状態の1つもしくは複数のリスク因子を示す者、または1型糖尿病のリスク因子を示さない対象、または1型糖尿病、1つもしくは複数の1型糖尿病関連合併症もしくは前糖尿病状態に関して無症候性の対象であり得る。対象はまた、1型糖尿病または前糖尿病状態を患っているかまたはそれを発症するリスクがある者であり得る。対象はまた、本明細書で定義される1型糖尿病または前糖尿病状態に関連する1つまたは複数の合併症を有すると診断または同定された者であり得、あるいは、対象は、1型糖尿病または前糖尿病状態に関連する1つまたは複数の合併症を有すると以前に診断または同定されていない者であり得る。
1型糖尿病との関係で、「処置する」または「処置」とは、対象における、1型糖尿病、前糖尿病状態および1型糖尿病または前糖尿病状態に関連する合併症の進行の少なくとも部分的な阻害、遅延または予防;2型糖尿病、前糖尿病状態または1型糖尿病もしくは前糖尿病状態に関連する合併症の再発の阻害、遅延または予防;または1型糖尿病、前糖尿病状態または1型糖尿病または前糖尿病状態に関連する合併症の発現または発症の予防(化学的予防)を表す。
1型糖尿病との関係で、「治療有効量」とは、1型糖尿病の少なくとも1つの症状、例えばグリコシル化ヘモグロビンレベル、空腹時血中グルコースレベルおよび低インスリン血症における統計的に有意で測定可能な変化を生じるのに十分な、対象に投与される治療剤の量を表す。ペプチドによる処置の有効性は、血中グルコースおよび/もしくはインスリンレベルの変化を測定することによってまたは以下に記載されるようにして評価され得る。
1型糖尿病に対する所与の処置の有効性は、医師によって決定され得る。しかし、1型糖尿病の兆候または症状、例えば高血糖症、の任意の1つまたはすべてが有益な様式で変化し、他の臨床的に許容される兆候または疾患マーカーが、例えば本明細書に記載されるペプチドによる処置後に少なくとも10%、改善または向上さえする場合、処置は、本明細書で使用される意味で「有効な処置」であるとみなされる。有効性はまた、入院によって評価される個体の悪化または医学的介入の必要性の欠如(すなわち、疾患の進行が停止または少なくとも鈍化すること)によって測定され得る。これらの指標を測定する方法は、当業者に公知であり、および/または本明細書に記載されている。処置は、個体または動物(いくつかの非限定的な例はヒトまたは哺乳動物を含む)における糖尿病の任意の処置を含み、(1)疾患の阻害、例えばβ細胞の喪失の停止もしくは鈍化;または(2)疾患の軽減、例えば症状の退行、膵臓β細胞量の増加;および(3)1型糖尿病の合併症、例えば糖尿病性網膜症の発症の予防、鈍化、もしくはその発症の可能性の低減、を含む。
1型糖尿病の処置における有効量は、それを必要とする対象に投与されたときに、本明細書で定義される意味での有効な処置を実現するのに十分な量を意味する。ペプチドの有効性は、1型糖尿病の身体的指標、例えば高血糖症、正常血糖、ケトン体、低インスリン血症等を評価することによって決定され得る。
1つの態様において、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物による処置は、処置開始後にアディポネクチンのレベルの少なくとも10%の増加またはインターロイキン-6(IL-6)の少なくとも10%の減少が対象において測定された場合に、有効であるとみなされる。別の態様において、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物による処置は、処置開始後にレジスチンのレベルの少なくとも10%の増加が測定された場合に、有効であるとみなされる。本明細書に記載されるペプチドは、1型糖尿病を処置するために使用される追加の治療剤と共に投与され得る。
本明細書で使用される場合、「1型糖尿病を有する対象を選択する」という用語は、本明細書に記載されるペプチドによる対象の処置開始前の対象の1型糖尿病を有するとの診断を表す。1型糖尿病は、グリコシル化ヘモグロビン(A1C)試験、無作為血中グルコース試験および/または空腹血中グルコース試験を用いて診断され得る。糖尿病診断のためのパラメータは、当技術分野で公知であり、過度の労力なしに当業者に利用可能である。
本明細書で使用される場合、「増加した膵臓β細胞量」という用語は、処置開始前の対象における膵臓β細胞量と比較して、本明細書に記載されるペプチドで処置された対象における膵臓β細胞量の少なくとも5%の増加を表す。好ましくは、β細胞量の増加は、処置開始前の対象における膵臓β細胞量と比較して、本明細書に記載されるペプチドで処置された対象において少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍またはそれ以上である。1つの態様において、β細胞量は、処置された対象から血液サンプルを取得し、インスリンレベルを測定することによって決定される。対象のβ細胞からのインスリン産生の増加は、処置された対象におけるβ細胞数の間接的尺度である。
本明細書で使用される場合、「アディポネクチンレベルの増加」という用語は、処置開始前の対象におけるアディポネクチンレベルと比較または未処置対象におけるアディポネクチンレベルと比較して、本明細書に記載されるペプチドにより処置された対象における少なくとも10%の(例えばアディポネクチンELISAアッセイによって測定される)アディポネクチンレベルの増加を表す。好ましくはアディポネクチンレベルの増加は、処置開始前の対象におけるアディポネクチンレベルと比較して、本明細書に記載されるペプチドにより処置された対象において少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍またはそれ以上である。
本明細書で使用される場合、「インターロイキン-6(IL-6)レベルの減少」という用語は、処置開始前の対象におけるIL-6レベルと比較して、本明細書に記載されるペプチドにより処置された対象における少なくとも10%の(例えばIL-6 ELISAアッセイによって測定される)IL-6レベルの減少を表す。好ましくはインターロイキン-6の減少は、本明細書に記載されるペプチドによる処置の前の対象におけるインターロイキン-6レベルと比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上である。
本明細書で使用される場合、「HBA1c」という用語は、グリコシル化ヘモグロビンまたは糖化ヘモグロビンを表し、ある期間(例えば、2〜3ヶ月間)にわたる血中グルコースレベルの指標である。HBA1cのレベルは、対象における処置開始前のHBA1cレベルと比較して、本明細書に記載されるペプチドによる処置により少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上の減少があった場合に、「低減」されている。同様に、ケトン体は、本明細書に記載されるペプチドによる処置により少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上の減少があった場合に、「低減」されている。
本明細書で使用される場合、対象において「1型糖尿病の発症を遅らせる」という用語は、1型糖尿病の少なくとも1つの症状(例えば、高血糖症および/または低インスリン症)の発症の、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも5年、少なくとも10年、少なくとも20年、少なくとも30年、少なくとも40年またはそれ以上の遅延を表し、対象の一生涯を含み得る。
2型糖尿病は、インスリン抵抗性およびインスリン分泌障害の組み合わせにより引き起こされるが、最終的には2型糖尿病を有する多くの人々は、膵臓β細胞量および機能の著しい低減を示し、膵臓β細胞は一定のインスリンを産生するがそのインスリンはエネルギーを生産するためにグルコースを細胞に十分に送るには少なすぎるかまたは適切に働かないかのいずれかであるため、それによって2型糖尿病の人は、「相対的な」インスリン欠乏状態になる。最近の剖検研究は、2型糖尿病を有する人における継続的なβ細胞の死(アポトーシス)の明確な証拠を示した。したがって、より多くのβ細胞を提供する治療アプローチは、2型糖尿病を逆転させるまたは治癒する重要な処置を提供し得る。
管理されていない2型糖尿病は、血中のグルコースを過剰にし、高血糖症または高い血糖を引き起こす。2型糖尿病を有する人は、倦怠感、のどの渇きの増加、頻尿、乾燥、皮膚のかゆみ、視界のぼやけ、傷口または痛みの治癒の鈍化、通常より多い感染、足のしびれおよび刺痛を経験する。処置しなければ、2型糖尿病の人は、脱水状態となり、血液量が危険な低さになるであろう。2型糖尿病が長期間の間管理されないままだと、重度の高血糖症(600 mgを超える血糖)嗜眠、混乱状態、ショック状態および最終的には「高浸透圧性高血糖性非ケトン性昏睡」を含む、より深刻な症状が生じ得る。持続性のまたは管理されていない高血糖症は、増加したおよび早期の罹患および死亡と関連する。そのため、グルコース恒常性、脂質代謝、肥満および高血圧の治療的制御が、真性糖尿病の臨床的管理および処置において極めて重要である。
本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物および方法は、対象において2型真性糖尿病もしくは前糖尿病状態を処置するために、または対象において2型糖尿病もしくは前糖尿病状態を予防するために有用である。当業者は、2型真性糖尿病がインスリン非依存性糖尿病としても公知であることを熟知している。1つの局面において、本発明は、本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物を投与する工程を含む、対象において2型糖尿病を処置する方法を提供する。
この局面のいくつかの態様において、前記方法は、2型糖尿病または前糖尿病状態を有する対象を選択する工程をさらに含む。そのような対象は、2型糖尿病、2型糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または前糖尿病状態を患っているかまたは有すると以前に診断または同定されており、必要ではないが任意で、2型糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または前糖尿病状態に対する処置をすでに受けている者であり得る。対象はまた、2型糖尿病または前糖尿病状態を患っていない者であり得る。そのような対象は、そうでなければ糖尿病のリスクがある状態、例えば、糖尿病を発症する可能性を増加させる1つまたは複数の素因的変異のキャリアであり得る。対象はまた、2型糖尿病、2型糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または前糖尿病状態を患っていると診断または同定されているが、2型糖尿病、2型糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または前糖尿病状態に対する1つまたは複数の処置を受けた結果として2型糖尿病の既知のリスク因子の改善を示している者であり得る。あるいは、対象はまた、2型糖尿病、2型糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症または前糖尿病状態を有すると以前に診断されていない者であり得る。例えば、対象は、2型糖尿病、2型糖尿病に関連する合併症もしくは前糖尿病状態の1つもしくは複数のリスク因子を示す者、または2型糖尿病のリスク因子を示さない対象、または2型糖尿病、1つもしくは複数の2型糖尿病関連合併症もしくは前糖尿病状態に関して無症候性の対象であり得る。対象はまた、2型糖尿病または前糖尿病状態を患っているかまたはそれを発症するリスクがある者であり得る。対象はまた、本明細書で定義される2型糖尿病または前糖尿病状態に関連する1つまたは複数の合併症を有すると診断または同定された者であり得、あるいは、対象は、2型糖尿病または前糖尿病状態に関連する1つまたは複数の合併症を有すると以前に診断または同定されていない者であり得る。
「2型糖尿病に関連する合併症」または「前糖尿病状態に関連する合併症」とは、非限定的に、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、失明、記憶喪失、腎不全、心臓血管疾患(冠動脈疾患、末梢動脈疾患、脳血管疾患、アテローム性動脈硬化および高血圧を含む)、神経障害、自律神経機能障害、高血糖性高浸透圧性昏睡またはそれらの組み合わせを含み得る。
2型糖尿病との関係で、「処置する」または「処置」とは、対象における、2型糖尿病、前糖尿病状態および2型糖尿病もしくは前糖尿病状態に関連する合併症の進行のいくらかの阻害、遅延もしくは予防;2型糖尿病、前糖尿病状態または2型糖尿病もしくは前糖尿病状態に関連する合併症の再発の阻害、遅延もしくは予防;または2型糖尿病、前糖尿病状態または2型糖尿病もしくは前糖尿病状態に関連する合併症の発現もしくは発症の予防(化学的予防)を表す。
2型糖尿病との関係で、「治療有効量」とは、本明細書で定義される2型真性糖尿病または前糖尿病状態に関連する1つまたは複数のキナーゼからのキナーゼ活性の阻害を誘導するのに効果的な量を表し得る。阻害量は、キナーゼ活性の阻害を測定することによって直接的に決定され得、または、例えば所望の効果が糖尿病もしくは前糖尿病状態に関与する1つもしくは複数のキナーゼを含む経路における特定のキナーゼ活性の下流の活性に対する効果である場合、阻害は、下流の効果を測定することによって測定され得る。したがって、キナーゼ活性の阻害は、キナーゼ活性に関与する阻害される経路またはプロセスの性質および所与の生物学的背景の下でキナーゼ活性の阻害が有する効果に部分的に依存するであろう。
本明細書に記載される薬学的組成物の投与によりもたらされ得るインビボでのインスリンシグナル伝達の増強は、臨床エンドポイントとしてモニタリングされ得る。原理的に、患者においてインスリンの増強を観察する方法は、経口ブドウ糖負荷試験を行うことである。絶食後、グルコースが患者に与えられ、循環血液からのグルコースの消失(すなわち、細胞によるグルコースの取り込み)の速度が、当技術分野で周知のアッセイによって測定される。(健常な対象と比較して)遅いグルコースクリアランス速度は、インスリン抵抗性を示すであろう。インスリン抵抗性の対象への本発明の阻害剤の1つまたは複数のペプチドの投与は、非処置対象と比較してグルコース取り込みの速度を増加させ得る。シルクベースの薬物送達組成物は、より長い期間、インスリン抵抗性の対象に投与され得、(通常高い)循環血液中のインスリン、グルコースおよびレプチンのレベルが決定され得る。グルコースレベルの低下は、シルクベースの薬物送達組成物が、インスリン作用を増強したことを示すであろう。インスリンおよびレプチンレベルの低下は、単独では必ずしもインスリン作用の増強を示すものではないかもしれないが、むしろ他の機構による疾患状態の改善を示すであろう。
本明細書に記載されるシルクベースの薬物送達組成物は、本明細書で定義されるような2型糖尿病または前糖尿病状態を有する患者において糖尿病または前糖尿病状態を治療的に処置するために使用され得る。治療有効量の治療剤、例えばGLP-1受容体アゴニストが患者に投与され得、臨床マーカー、例えば血糖レベルおよび/またはIRS-1のリン酸化がモニタリングされ得る。
本発明の例示的な態様はまた、以下の番号が付された項目のいずれか1つによって表され得る:
1. (i)シルクフィブロインを含むシルクマトリックス;および
(ii)グルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体アゴニスト
を含む持続性薬物送達組成物であって、該アゴニストがシルクマトリックス中に分散またはカプセル化されている、組成物。
2. シルクマトリックスが、ヒドロゲル、マイクロ粒子、ナノ粒子、繊維、フィルム、凍結乾燥された粉末、凍結乾燥されたゲル、リザーバインプラント、同種インプラント、ゲル様粒子またはゲル粒子、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、第1項に記載の組成物。
3. 約0.1%〜約50%(w/vまたはw/w)のシルクフィブロインを含む、第1〜2項のいずれかに記載の組成物。
4. 約1%〜約30%(w/vまたはw/w)のシルクフィブロインを含む、第1〜3項のいずれかに記載の組成物。
5. GLP-1受容体アゴニストが、メトホルミン(Glucophage、Glumetza)、ピオグリタゾン(Actos)、グリブリド(DiaBeta、Glynase)、グリピジド(Glucotrol)、グリメピリド(Amaryl)、レパグリニド(Prandin)、ナテグリニド(Starlix)、シタグリプチン(Januvia)、サキサグリプチン(Onglyza)、エキセナチド(Byetta)、リラグルチド(Victoza)、インスリンリスプロ(Humalog)、インスリンアスパルト(NovoLog)、インスリングラルギン(Lantus)、インスリンデテミル(Levemir)およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、第1〜4項のいずれかに記載の組成物。
6. GLP-1受容体アゴニストが、エキセナチドまたはリラグルチドである、第1〜5項のいずれかに記載の組成物。
7. 約0.01%〜約95%(w/vまたはw/w)のGLP-1受容体アゴニストを含む、第1〜6項のいずれかに記載の組成物。
8. 約0.01%〜約5%(w/vまたはw/w)のGLP-1受容体アゴニストを含む、第1〜7項のいずれかに記載の組成物。
9. 約0.06%〜約0.42%(w/vまたはw/w)のGLP-1受容体アゴニストを含む、第8項に記載の組成物。
10. シルクマトリックスが、生体適合性ポリマーをさらに含む、第1〜9項のいずれかに記載の組成物。
11. 生体適合性ポリマーが、シルクマトリックス中に分散またはカプセル化されている、第10項に記載の組成物。
12. 生体適合性ポリマーが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド-コ-グリコリド(PLGA)、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリカプロラクトン、ゼラチン、コラーゲン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、トリブロックコポリマー、ポリリジンおよびそれらの任意の誘導体からなる群より選択される、第10項または第11項に記載の組成物。
13. 生体適合性ポリマーが、分子量約10,000のPEGまたは分子量約100,000のPEOである、第12項に記載の組成物。
14. 約0.1%〜約25%(w/v)の生体適合性ポリマーを含む、第10〜13項のいずれかに記載の組成物。
15. 約0.25%〜約5%(w/vまたはw/w)の生体適合性ポリマーを含む、第14項に記載の組成物。
16. アルブミンをさらに含む、第1〜15項のいずれかに記載の組成物。
17. アルブミンが、シルクマトリックス中に分散またはカプセル化されている、第16項に記載の組成物。
18. アルブミンが、ウシ血清アルブミンである、第16項または第17項に記載の組成物。
19. アルブミンが、ヒト血清アルブミンである、第16項または第17項に記載の組成物。
20. 組成物中のアルブミンの量が、約0.5%〜約25%(w/vまたはw/w)である、第16〜19項のいずれかに記載の組成物。
21. 組成物中のアルブミンの量が、約5%(w/vまたはw/w)である、第20項に記載の組成物。
22. 注射可能である、第1〜20項のいずれかに記載の組成物。
23. (i)約2%、約4%、約8%、約10%または約16%(w/v)のシルクフィブロイン;
(ii)約0.06%(w/v)、約0.12%(w/v)または約0.42%(w/v)のGLP-1受容体アゴニストであって、エキセナチドまたはリラグルチドである、GLP-1受容体アゴニスト;および
(iii)任意で、約1%(w/v)のPEO(MW 100,000)または5%(w/v)のPEG(MW 10,000)
を含む、第1〜22項のいずれかに記載の組成物。
24. (i)約2%、約4%、約8%、約10%または約16%(w/v)のシルクフィブロイン;
(ii)約0.06%(w/v)、約0.12%(w/v)または約0.42%(w/v)のGLP-1受容体アゴニストであって、エキセナチドまたはリラグルチドである、GLP-1受容体アゴニスト;および
(iii)任意で、約5%(w/v)のアルブミン
を含む、第1〜22項のいずれかに記載の組成物。
25. 少なくとも約1週間の期間にわたるGLP-1受容体アゴニストの持続放出を提供する、第1〜24項のいずれかに記載の組成物。
26. GLP-1受容体アゴニストが、約5μg/日〜約60μg/日の速度でシルクマトリックスから放出される、第1〜25項のいずれかに記載の組成物。
27. GLP-1受容体アゴニストが、約10μg/日の速度でシルクマトリックスから放出される、第26項に記載の組成物。
28. GLP-1受容体アゴニストが、シルクマトリックスの非存在下での治療効果持続時間と比べて少なくとも1日長い治療効果持続時間を有する、第1〜27項のいずれかに記載の組成物。
29. 第1〜28項のいずれかに記載の持続送達組成物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
30. 対象における糖尿病または前糖尿病状態を処置するための方法であって、それを必要とする対象に第1〜29項のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
31. 組成物の投与頻度が、同量のGLP-1受容体アゴニストをシルクマトリックスの非存在下で投与する場合よりも少ない、第30項に記載の方法。
32. 投与頻度が、GLP-1受容体アゴニストをシルクマトリックスの非存在下で投与する場合と比べて1/2倍に低減される、第31項に記載の方法。
33. 投与が、1ヶ月に1回以下、2週間に1回以下、3週間に1回以下、1ヶ月に1回以下、2ヶ月に1回以下、4ヶ月に1回以下または6ヶ月に1回以下である、第30〜32項のいずれかに記載の方法。
34. 第1〜28項のいずれかに記載の組成物を含む、薬物送達デバイス。
35. 注射針を有する注射器である、第34項に記載の薬物送達デバイス。
36. インプラントである、第35項に記載の薬物送達デバイス。
37. 第1〜28項のいずれかに記載の組成物または第34〜36項のいずれかに記載の薬物送達デバイスを含む、キット。
38. 少なくとも注射器および注射針をさらに含む、第37項に記載のキット。
39. 麻酔薬をさらに含む、第37〜38項のいずれかに記載のキット。
40. 消毒剤をさらに含む、第37〜39項のいずれかに記載のキット。
41. 使用説明書をさらに含む、第37〜40項のいずれかに記載のキット。
42. (i)シルクフィブロインとグルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体アゴニストとを含むシルク溶液を提供する工程;および
(ii)シルク溶液中でゲル化を誘導し、シルクヒドロゲルを形成する工程
を含む、第1〜28項のいずれかに記載の持続送達組成物を調製するための方法であって、GLP-1受容体アゴニストがシルクヒドロゲル内に分散またはカプセル化されるようになる、方法。
43. ゲル化を誘導する工程が、せん断応力を適用すること、音波処理もしくは超音波処理を適用すること、シルク溶液のpHを調整することまたはそれらの任意の組み合わせによる、第42項に記載の方法。
1. (i)シルクフィブロインを含むシルクマトリックス;および
(ii)グルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体アゴニスト
を含む持続性薬物送達組成物であって、該アゴニストがシルクマトリックス中に分散またはカプセル化されている、組成物。
2. シルクマトリックスが、ヒドロゲル、マイクロ粒子、ナノ粒子、繊維、フィルム、凍結乾燥された粉末、凍結乾燥されたゲル、リザーバインプラント、同種インプラント、ゲル様粒子またはゲル粒子、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、第1項に記載の組成物。
3. 約0.1%〜約50%(w/vまたはw/w)のシルクフィブロインを含む、第1〜2項のいずれかに記載の組成物。
4. 約1%〜約30%(w/vまたはw/w)のシルクフィブロインを含む、第1〜3項のいずれかに記載の組成物。
5. GLP-1受容体アゴニストが、メトホルミン(Glucophage、Glumetza)、ピオグリタゾン(Actos)、グリブリド(DiaBeta、Glynase)、グリピジド(Glucotrol)、グリメピリド(Amaryl)、レパグリニド(Prandin)、ナテグリニド(Starlix)、シタグリプチン(Januvia)、サキサグリプチン(Onglyza)、エキセナチド(Byetta)、リラグルチド(Victoza)、インスリンリスプロ(Humalog)、インスリンアスパルト(NovoLog)、インスリングラルギン(Lantus)、インスリンデテミル(Levemir)およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、第1〜4項のいずれかに記載の組成物。
6. GLP-1受容体アゴニストが、エキセナチドまたはリラグルチドである、第1〜5項のいずれかに記載の組成物。
7. 約0.01%〜約95%(w/vまたはw/w)のGLP-1受容体アゴニストを含む、第1〜6項のいずれかに記載の組成物。
8. 約0.01%〜約5%(w/vまたはw/w)のGLP-1受容体アゴニストを含む、第1〜7項のいずれかに記載の組成物。
9. 約0.06%〜約0.42%(w/vまたはw/w)のGLP-1受容体アゴニストを含む、第8項に記載の組成物。
10. シルクマトリックスが、生体適合性ポリマーをさらに含む、第1〜9項のいずれかに記載の組成物。
11. 生体適合性ポリマーが、シルクマトリックス中に分散またはカプセル化されている、第10項に記載の組成物。
12. 生体適合性ポリマーが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド-コ-グリコリド(PLGA)、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリカプロラクトン、ゼラチン、コラーゲン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、トリブロックコポリマー、ポリリジンおよびそれらの任意の誘導体からなる群より選択される、第10項または第11項に記載の組成物。
13. 生体適合性ポリマーが、分子量約10,000のPEGまたは分子量約100,000のPEOである、第12項に記載の組成物。
14. 約0.1%〜約25%(w/v)の生体適合性ポリマーを含む、第10〜13項のいずれかに記載の組成物。
15. 約0.25%〜約5%(w/vまたはw/w)の生体適合性ポリマーを含む、第14項に記載の組成物。
16. アルブミンをさらに含む、第1〜15項のいずれかに記載の組成物。
17. アルブミンが、シルクマトリックス中に分散またはカプセル化されている、第16項に記載の組成物。
18. アルブミンが、ウシ血清アルブミンである、第16項または第17項に記載の組成物。
19. アルブミンが、ヒト血清アルブミンである、第16項または第17項に記載の組成物。
20. 組成物中のアルブミンの量が、約0.5%〜約25%(w/vまたはw/w)である、第16〜19項のいずれかに記載の組成物。
21. 組成物中のアルブミンの量が、約5%(w/vまたはw/w)である、第20項に記載の組成物。
22. 注射可能である、第1〜20項のいずれかに記載の組成物。
23. (i)約2%、約4%、約8%、約10%または約16%(w/v)のシルクフィブロイン;
(ii)約0.06%(w/v)、約0.12%(w/v)または約0.42%(w/v)のGLP-1受容体アゴニストであって、エキセナチドまたはリラグルチドである、GLP-1受容体アゴニスト;および
(iii)任意で、約1%(w/v)のPEO(MW 100,000)または5%(w/v)のPEG(MW 10,000)
を含む、第1〜22項のいずれかに記載の組成物。
24. (i)約2%、約4%、約8%、約10%または約16%(w/v)のシルクフィブロイン;
(ii)約0.06%(w/v)、約0.12%(w/v)または約0.42%(w/v)のGLP-1受容体アゴニストであって、エキセナチドまたはリラグルチドである、GLP-1受容体アゴニスト;および
(iii)任意で、約5%(w/v)のアルブミン
を含む、第1〜22項のいずれかに記載の組成物。
25. 少なくとも約1週間の期間にわたるGLP-1受容体アゴニストの持続放出を提供する、第1〜24項のいずれかに記載の組成物。
26. GLP-1受容体アゴニストが、約5μg/日〜約60μg/日の速度でシルクマトリックスから放出される、第1〜25項のいずれかに記載の組成物。
27. GLP-1受容体アゴニストが、約10μg/日の速度でシルクマトリックスから放出される、第26項に記載の組成物。
28. GLP-1受容体アゴニストが、シルクマトリックスの非存在下での治療効果持続時間と比べて少なくとも1日長い治療効果持続時間を有する、第1〜27項のいずれかに記載の組成物。
29. 第1〜28項のいずれかに記載の持続送達組成物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
30. 対象における糖尿病または前糖尿病状態を処置するための方法であって、それを必要とする対象に第1〜29項のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
31. 組成物の投与頻度が、同量のGLP-1受容体アゴニストをシルクマトリックスの非存在下で投与する場合よりも少ない、第30項に記載の方法。
32. 投与頻度が、GLP-1受容体アゴニストをシルクマトリックスの非存在下で投与する場合と比べて1/2倍に低減される、第31項に記載の方法。
33. 投与が、1ヶ月に1回以下、2週間に1回以下、3週間に1回以下、1ヶ月に1回以下、2ヶ月に1回以下、4ヶ月に1回以下または6ヶ月に1回以下である、第30〜32項のいずれかに記載の方法。
34. 第1〜28項のいずれかに記載の組成物を含む、薬物送達デバイス。
35. 注射針を有する注射器である、第34項に記載の薬物送達デバイス。
36. インプラントである、第35項に記載の薬物送達デバイス。
37. 第1〜28項のいずれかに記載の組成物または第34〜36項のいずれかに記載の薬物送達デバイスを含む、キット。
38. 少なくとも注射器および注射針をさらに含む、第37項に記載のキット。
39. 麻酔薬をさらに含む、第37〜38項のいずれかに記載のキット。
40. 消毒剤をさらに含む、第37〜39項のいずれかに記載のキット。
41. 使用説明書をさらに含む、第37〜40項のいずれかに記載のキット。
42. (i)シルクフィブロインとグルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体アゴニストとを含むシルク溶液を提供する工程;および
(ii)シルク溶液中でゲル化を誘導し、シルクヒドロゲルを形成する工程
を含む、第1〜28項のいずれかに記載の持続送達組成物を調製するための方法であって、GLP-1受容体アゴニストがシルクヒドロゲル内に分散またはカプセル化されるようになる、方法。
43. ゲル化を誘導する工程が、せん断応力を適用すること、音波処理もしくは超音波処理を適用すること、シルク溶液のpHを調整することまたはそれらの任意の組み合わせによる、第42項に記載の方法。
いくつかの選択された定義
利便性を考慮して、本願の明細書、実施例および添付の特許請求の範囲において用いられている特定の用語をここにまとめる。別段の指定のない限り、または文脈から暗示されていない限り、以下の用語および語句は、以下に提供される意味を含む。別段の明示的な指定のない限り、または文脈から明らかでない限り、以下の用語および語句は、その用語または語句が自身の属する技術の分野において獲得している意味を排除しない。定義は、特定の態様の説明を補助するために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載の発明を限定することは意図されておらず、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、文脈による特段の必要のない限り、単数形の用語は複数形を包含し、複数形の用語は単数形を包含する。
利便性を考慮して、本願の明細書、実施例および添付の特許請求の範囲において用いられている特定の用語をここにまとめる。別段の指定のない限り、または文脈から暗示されていない限り、以下の用語および語句は、以下に提供される意味を含む。別段の明示的な指定のない限り、または文脈から明らかでない限り、以下の用語および語句は、その用語または語句が自身の属する技術の分野において獲得している意味を排除しない。定義は、特定の態様の説明を補助するために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載の発明を限定することは意図されておらず、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、文脈による特段の必要のない限り、単数形の用語は複数形を包含し、複数形の用語は単数形を包含する。
別段の指定のない限り、または文脈から暗示されていない限り、以下の用語および語句は以下に提供される意味を含んでいる。別段の明示的な指定のない限り、または文脈から明白でない限り、以下の用語および語句は、その用語または語句が自身の属する技術分野において獲得している意味を排除しない。これらの定義は、特定の態様の説明を補助するために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載の発明を限定することは意図されておらず、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、文脈による特段の必要のない限り、単数形の用語はその複数形を包含し、複数形の用語はその単数形を包含している。
本明細書で使用される場合、「含んでいる(comprising)」または「含む(comprise)」という用語は、ある態様に有用な組成物、方法およびそれらの各成分に関連して使用されるが、特定されていない要素についても、それが有用であるかそうでないかによらず、含む余地を残している。
「a」、「an」および「the」という単数形は、文脈による別段の明らかな指示のない限り、複数の指示対象を包含する。同様に、「または、もしくは(or)」という単語は、文脈による別段の明らかな指示のない限り、「および、ならびに(and)」を包含することが意図されている。
実施例を実施する以外では、または別段の指示のない場合、本明細書で使用される成分の量または反応条件を表すすべての数値は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されることを理解されたい。「約」という用語は、百分率に関連して使用される場合、参照される値の±5%を意味し得る。例えば、約100は、95〜105を意味する。
本開示の実施または試験においては、本明細書に記載されているのと同様または同等の方法および材料を使用することができるが、以下には適当な方法および材料が記載されている。「含む(comprises)」という用語は、「含む(includes)」を意味する。「例えば(e.g.)」という略語は、ラテン語のexempli gratiaを語源とするものであり、本明細書においては非限定的な例を示すのに使用される。したがって、「例えば(e.g.)」という略語は、「例えば(for example)」という用語と同義である。
本明細書で使用される場合、「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。通常、動物は、脊椎動物、例えば霊長類、げっ歯類、家畜動物または狩猟動物である。霊長類は、チンパンジー、カニクイザル、クモザルおよびマカク、例えばアカゲザルを含む。げっ歯類は、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギおよびハムスターを含む。家畜および狩猟動物は、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ種、例えばイエネコ、イヌ種、例えばイヌ、キツネ、オオカミ、鳥種、例えばニワトリ、エミュー、ダチョウ、ならびに魚、例えばマス、ナマズおよびサケを含む。患者または対象は、上記の中の任意のサブセット、例えば、1つまたは複数のグループまたは種、例えばヒト、霊長類またはげっ歯類を除く上記のすべて、を含む。ある態様において、対象は、哺乳動物、例えば霊長類、例えばヒトである。「患者」および「対象」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
「低下」、「低減された」、「低減」、「低下する」または「阻害する」という用語はすべて、本明細書において、概して、統計的に有意な量の低下を意味するものとして使用される。しかし、疑念を避けるために言うと、「低減された」、「低減」または「低下する」または「阻害する」は、参照レベルと比較して少なくとも10%の低下、例えば参照レベルと比較して少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の低下、または100%の低下(例えば、参照サンプルと比較して非存在レベル)を含む100%以下の低下、または10〜100%の間の任意の低下を意味する。
「増加した」、「増加する」または「増強する」または「活性化する」という用語はすべて、本明細書において、概して、統計的に有意な量の増加を意味するものとして使用され;疑念を避けるために言うと、「増加した」、「増加する」または「増強する」または「活性化する」という用語は、参照レベルと比較して少なくとも10%の増加、例えば参照レベルと比較して少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の増加、もしくは100%の増加を含む100%以下の増加、もしくは10〜100%の間の任意の増加、または参照レベルと比較して少なくとも約2倍、もしくは少なくとも約3倍、もしくは少なくとも約4倍、もしくは少なくとも約5倍、もしくは少なくとも約10倍の増加、もしくは2倍〜10倍の間の任意の増加、もしくはそれ以上を意味する。
「統計的に有意」または「有意」という用語は、統計的有意性を表し、概して、参照レベルから少なくとも2標準偏差(2SD)離れていることを意味する。この用語は、差が存在するという統計的証拠を表す。これは、帰無仮説が実際に真であったときにその帰無仮説を却下する決定が為される確率として定義される。
本明細書で互換的に使用される場合、「本質的」および「実質的」という用語は、少なくとも約60%、もしくは好ましくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%もしくは少なくとも約99%もしくはそれ以上、または70%〜100%の間の任意の整数、の比率を意味する。いくつかの態様において、「本質的」および「実質的」という用語は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%もしくはそれ以上、または90%〜100%の間の任意の整数、の比率を意味する。いくつかの態様において、「本質的」および「実質的」という用語は、100%を含まない。いくつかの態様において、「本質的」および「実質的」という用語は、100%を含み得る。
本明細書には好ましい態様が示され記載されているが、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更、付加、置換等がなされ得ること、したがってこれらも添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲に含まれるとみなされることが、関連分野の当業者に明らかであろう。さらに、本明細書に記載され例示されている様々な態様の任意の1つはさらに、すでに示されていない程度まで、本明細書に開示される任意の他の態様に示される特徴を取り込むよう変更され得ることが、当業者に理解されるであろう。
本開示は以下の実施例によってさらに説明されるがこれらは限定するものとして解釈されるべきではない。実施例は例示にすぎず、どのような形式であれ、本明細書に記載される任意の局面を限定することは意図されていない。以下の実施例は、いかなる方法でも、本発明を限定するものではない。
毎日投与される血中グルコースレベルを制御するために使用される薬物は、メトホルミン(Glucophage、Glumetza)、ピオグリタゾン(Actos)、グリブリド(DiaBeta、Glynase)、グリピジド(Glucotrol)、グリメピリド(Amaryl)、レパグリニド(Prandin)、ナテグリニド(Starlix)、シタグリプチン(Januvia)およびサキサグリプチン(Onglyza)を含めて多種存在し、これらはすべて経口錠剤として処方される。他の毎日の選択肢は、エキセナチド(Byetta)およびリラグルチド(Victoza)を含み、これらは毎日の皮下注射として処方される。加えて、即効型〜長時間作用型の範囲のインスリン治療およびインスリンポンプが、最も一般的に処方されるものの中でもインスリンリスプロ(Humalog)、インスリンアスパルト(NovoLog)、インスリングラルギン(Lantus)およびインスリンデテミル(Levemir)を含む薬物により使用され得る。これらの薬物は、食前/食後または皮下注射として1日1回(長時間作用型)投与される。1つの長時間製剤は、Amylin Pharmaceuticals, Eli Lilly & Co.およびAlkermesによって開発されたPLGAマイクロスフェアを用いるエキセナチドの長時間作用性放出タイプであるBydureonである。それは最近、FDAの承認を得た。それは、1週間に1回の皮下注射として投与される。
材料および方法
低内毒素滅菌シルクフィブロイン水溶液の調製:シルクフィブロイン水溶液(6〜8%(w/v))は、滅菌技術を用いてSoho Biomaterials Co.(Suzhou, China)製の脱ガムシルク繊維から無菌的に調製した。簡潔に説明すると、滅菌シルク繊維を9.3M臭化リチウムに溶解して、脱イオン水に対して48時間透析した。得られたシルク溶液を、必要に応じて、ポリ(エチレングリコール)(PEG)に対して透析することによって20〜35%(w/v)シルクフィブロイン溶液となるように濃縮した。すべての溶液を、薬物製剤の作製に使用するまで4℃で保管した。
低内毒素滅菌シルクフィブロイン水溶液の調製:シルクフィブロイン水溶液(6〜8%(w/v))は、滅菌技術を用いてSoho Biomaterials Co.(Suzhou, China)製の脱ガムシルク繊維から無菌的に調製した。簡潔に説明すると、滅菌シルク繊維を9.3M臭化リチウムに溶解して、脱イオン水に対して48時間透析した。得られたシルク溶液を、必要に応じて、ポリ(エチレングリコール)(PEG)に対して透析することによって20〜35%(w/v)シルクフィブロイン溶液となるように濃縮した。すべての溶液を、薬物製剤の作製に使用するまで4℃で保管した。
リラグルチド装填シルクヒドロゲル製剤の調製:リラグルチド装填シルクヒドロゲル製剤は、ゲル製剤におけるシルクおよびリラグルチドの所望の終濃度を達成するようにシルク(4〜16%(w/v))およびリラグルチド(0.6%(w/v))溶液を混合することによって調製した。ゲル化を誘導するため、これらの溶液を、デジタルsonifier(Branson)を用いて音波処理し、その後にこの溶液を、16〜18G針を用いて1mL注射器に吸い上げ、注射器から空気を抜き取り、針を注射に適した21〜30G針に交換することによって、注射のために準備した。この注射器を37℃で1〜2日インキュベートし、その後に注射前の保管(必要な場合)のために4℃に切り替えた。
エキセナチド装填シルクヒドロゲル製剤の調製:エキセナチド装填シルクヒドロゲル製剤は、ゲル製剤におけるシルクおよびエキセナチドの所望の終濃度を達成するようにシルク(4〜32%(w/v))およびエキセナチド(0.12〜0.48%(w/v))溶液を混合することによって調製した。例として、4%シルク/0.06%エキセナチドゲルの場合、等量の滅菌8%シルクおよびエキセナチド(0.12%)を混合して、それぞれ、4%および0.06%の最終濃度を達成した。いくつかの製剤は、ポリエチレングリコール(PEG、MW 10,000、0〜5%(w/v))、ポリエチレンオキシド(PEO、MW 100,000、0〜1%(w/v))およびウシ血清アルブミン(BSA、0〜5%(w/v))を含む、放出キネティクスを調整するための異なる添加物を用いて調製した。ゲル化を誘導するため、これらの溶液を、デジタルsonifier(Branson)を用いて滅菌条件下で音波処理し、その後にこの溶液を、16〜18G針を用いて1mL注射器に吸い上げ、注射器から空気を抜き取り、針を注射に適した21〜30G針に交換することによって、注射のために準備した。この注射器をゲル化するまで37℃でインキュベートし、その後に注射前の保管(必要な場合)のために4℃に切り替えた。
薬物装填シルクヒドロゲル製剤のインビトロ評価:リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液中および/またはSprague-Dawleyラット血漿中で薬物装填シルクヒドロゲル製剤を最大67日間インキュベートすることによって、インビトロ放出キネティクスを決定した。簡潔に説明すると、リラグルチドまたはエキセナチド装填シルクヒドロゲルを、ピペットにより、4mLの0.02%(w/v)アジ化ナトリウム含有PBSまたはSprague-Dawleyラット血漿(Innovative Research)中に注入(100μL/注入)または等分し、2、6および24時間の時点ならびにその後1〜3日ごとに放出媒質をサンプリング(3.6 mL/サンプル)および交換した。市販の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キット(AB Biolabs, Ballwin, MO; Phoenix Pharmaceuticals, Burlingame, CA)をキットの説明書にしたがい用いて、サンプルをリラグルチドまたはエキセナチド濃度について分析した。
エキセナチド装填シルク製剤の薬物動態の評価:エキセナチド装填シルクヒドロゲルの薬物動態特性を、Sprague-Dawleyラットへの皮下注射後に評価した。血漿中のエキセナチドのレベルを、この研究の前臨床契約研究組織および実施研究機関であるAgilux Laboratories(Worcester, MA)によって概説されているプロトコルにしたがい、実験過程を通して評価した。各サンプルにおけるエキセナチドの量を、ELISAキット(AB Biolabs、Ballwin、MO)を用いて決定した。
結果および考察
リラグルチド装填シルクヒドロゲル製剤のインビトロ製剤開発:リラグルチド装填ヒドロゲル製剤を、異なるシルクゲル濃度(2%および4%(w/v))を用いて調製した。リラグルチドは、0.42%(w/v)の終濃度でゲル中に装填した。図1に示されるように、4%シルクゲルは、最初の5日間で、2%ゲルと比較してわずかに低いバースト放出を示し、両方のゲルは第7〜19日までの持続放出を実証した。この初期概念実証データは有望なものであるので、将来の研究は、より高いリラグルチド装填量(最大10%(w/v))およびより高いシルク濃度(最大24%(w/v))に向けられるであろう。
リラグルチド装填シルクヒドロゲル製剤のインビトロ製剤開発:リラグルチド装填ヒドロゲル製剤を、異なるシルクゲル濃度(2%および4%(w/v))を用いて調製した。リラグルチドは、0.42%(w/v)の終濃度でゲル中に装填した。図1に示されるように、4%シルクゲルは、最初の5日間で、2%ゲルと比較してわずかに低いバースト放出を示し、両方のゲルは第7〜19日までの持続放出を実証した。この初期概念実証データは有望なものであるので、将来の研究は、より高いリラグルチド装填量(最大10%(w/v))およびより高いシルク濃度(最大24%(w/v))に向けられるであろう。
エキセナチド装填シルクヒドロゲル製剤の薬物動態評価:Sprague-Dawleyラットにおけるエキセナチド装填シルクヒドロゲルの薬物動態評価は、Agilux Laboratoriesによって実施された。この研究の投薬デザインおよびサンプル収集スケジュールが、それぞれ、表1および2に提供される。
1 mL/動物の1回の皮下注射により、オスのSprague-Dawleyラット(300g+)に投薬した。試験物の吸収、反応性および治癒を評価するため、研究過程を通じて、投与部位に特別な注意を払いつつ動物を観察した。表2に示されるスケジュールにしたがい尾静脈または頸静脈を通じて連続的な血液サンプルを収集し、これを研究プロトコルにしたがい処理して血漿を得た。ELISA法を用いてデータを分析し、それを図2にプロットした。
図2に示されるように、2つの実験グループ(2%および4%シルク、0.06%エキセナチド)における第7日のエキセナチド濃度レベルは、陽性対照グループ(0.06%エキセナチド溶液の注射)における第1日のエキセナチド濃度にほぼ等しい。これは、これらの2つのゲル製剤が、溶液対照の期間を超える長期間の間ほぼ治療レベルのエキセナチドを提供し得ることを示唆している。陽性溶液対照の場合、エキセナチドレベルは、第3日以降で定量レベル未満となった。このことはシルクゲル製剤を用いたエキセナチドの送達の持続性の改善をさらに強調している。
エキセナチド装填シルクヒドロゲル製剤のインビトロ製剤の開発:ゲル製剤のさらなる改善を、インビトロ放出研究を用いて評価した。これらのシルクヒドロゲルサンプルでは、高い薬物装填量(最大0.24%(w/v)エキセナチド)、高いシルク濃度(最大16%シルク)ならびにその放出キネティクスを変化させる異なるゲル添加物(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドおよびウシ血清アルブミン)に着目した。ポリエチレングリコール(PEG、MW 10,000)の製剤濃度は0〜5%(w/v)の範囲とし、ポリエチレンオキシド(PEO、MW 100,000)の濃度は0〜1%(w/v)とし、およびウシ血清アルブミン(BSA)の濃度は、0〜5%(w/v)の範囲とした。67日までの過程を通じて、上記のようにしてサンプルを収集および分析した。最も魅力的な放出キネティクスを示した製剤が図3に示されている。PEG、PEOおよびBSAを含むおよびそれらを含まない製剤の例が、図4および5に提供されている。
このリラグルチドおよびエキセナチド装填シルク製剤の開発ならびにそれに付随するパイロットラット薬物動態研究の結果に基づき、本明細書に記載される成果は、シルクヒドロゲル製剤を用いてGLP-1受容体アゴニスト治療剤を送達することおよび1〜2ヶ月間またはそれ以上の持続放出を達成することが可能であることを示している。2%および4%シルクゲルを用いることで、エキセナチド放出は1週間持続し、より高濃度のシルクゲル(最大16%(w/v))によりインビトロでさらなる改善が見られ、これにより目標治療剤範囲でのまたはほぼ目標治療剤範囲での1ヶ月までの持続放出が実証された。投薬量は、5〜60μg/日の目標範囲および100〜385 pg/mLの血漿濃度を達成するように調節され得る(Fineman et al., Clinical Pharmacokinetics 50 (2011), 65)。本明細書に報告される成果はエキセナチドに注目したものであるが、他のGLP-1受容体アゴニスト治療剤、例えばリラグルチドも使用することができる。したがって、本明細書に記載される組成物および方法は、抗体、ペプチド、低分子および核酸ベースの治療剤(例えば、RNAi治療剤)の持続送達のために使用することができ、真性糖尿病以外の幅広い範囲の疾患の処置に使用することができる。
本明細書に記載されるように、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体アゴニスト治療剤を持続放出のために製剤化するための組成物および方法が開発された。この製剤は、現在これらのGLP-1受容体アゴニストを用いる処置を受けている患者に対して、投薬頻度を低減させるために使用され得る。組成物の態様において、この組成物は、異なる濃度のシルクヒドロゲル(最大24%(w/v))中に装填された異なる濃度のGLP-1受容体アゴニスト(最大0.42%(w/v))を含むものとした。このゲルは、以前のIP開示物(Wang et al., US 12/601,845;PCT/US2008/065076を参照のこと)にしたがい音波処理を用いて形成され、注射用の注射器中に装填される。例示的な組成物は、ヒドロゲル中のGLP-1受容体アゴニストとしてエキセナチドおよびリラグルチドを用いて作製され、インビトロ実験において最大2ヶ月間およびSprague-Dawleyラットにおける皮下注射モデルを用いるインビボで1週間の放出キネティクスが決定された。インビボ用の1つの製剤は、4%シルクヒドロゲル中に装填された0.06%エキセナチドであった。これらの製剤は、第7日に、陽性対照(0.06%エキセナチド溶液の注射)を用いて第1日時点で達成されたのと等しい放出濃度を実証した。インビトロ実験において、製剤のさらなる改良は、ヒドロゲルにおける高いシルク濃度(最大24%(w/v))がエキセナチドの放出を最大2ヶ月まで延長することができることを示し、これにより患者の注射が現行の標準治療よりも低い頻度で(例えば、2ヶ月またはそれ以上ごとに1回の注射)繰り返され得ることが示された。
本明細書および実施例で特定されているすべての特許およびその他の刊行物は、すべての目的で、明示的に、参照により本明細書に組み入れられる。これらの刊行物は、単に本願の出願日より前に開示されていたために提供されるにすぎない。これに関していかなるものも、先行発明であることを理由としてまたは任意のその他の理由で本発明者らがそのような開示よりも先の日付を主張する権利を有さないことの承認と解釈されるべきではない。これらの文献の日付に関する言及または内容に関する表示はすべて、出願人が入手し得た情報に基づいており、これらの文献の日付または内容の正確さに関する承認を構成するものではない。
本明細書には好ましい態様が示され詳細に説明されているが、本発明の精神から逸脱することなく様々な改変、付加、置換等を行うことができること、したがってこれらは添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲に含まれるとみなされることが、関連分野の当業者に明らかであろう。さらに、本明細書に記載され例示されている様々な態様の任意の一つはさらに、すでに示されていない程度まで、本明細書に開示される任意の他の態様に示される特徴を組み入れるよう改変され得ることが、当業者に理解されるであろう。
Claims (43)
- (i)シルクフィブロインを含むシルクマトリックス;および
(ii)グルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体アゴニスト
を含む持続性薬物送達組成物であって、該アゴニストがシルクマトリックス中に分散またはカプセル化されている、組成物。 - シルクマトリックスが、ヒドロゲル、マイクロ粒子、ナノ粒子、繊維、フィルム、凍結乾燥された粉末、凍結乾燥されたゲル、リザーバインプラント、同種インプラント、ゲル様粒子またはゲル粒子、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
- 約0.1%〜約50%(w/vまたはw/w)のシルクフィブロインを含む、請求項1に記載の組成物。
- 約1%〜約30%(w/vまたはw/w)のシルクフィブロインを含む、請求項3に記載の組成物。
- GLP-1受容体アゴニストが、メトホルミン(Glucophage、Glumetza)、ピオグリタゾン(Actos)、グリブリド(DiaBeta、Glynase)、グリピジド(Glucotrol)、グリメピリド(Amaryl)、レパグリニド(Prandin)、ナテグリニド(Starlix)、シタグリプチン(Januvia)、サキサグリプチン(Onglyza)、エキセナチド(Byetta)、リラグルチド(Victoza)、インスリンリスプロ(Humalog)、インスリンアスパルト(NovoLog)、インスリングラルギン(Lantus)、インスリンデテミル(Levemir)およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
- GLP-1受容体アゴニストが、エキセナチドまたはリラグルチドである、請求項5に記載の組成物。
- 約0.01%〜約95%(w/vまたはw/w)のGLP-1受容体アゴニストを含む、請求項1に記載の組成物。
- 約0.01%〜約5%(w/vまたはw/w)のGLP-1受容体アゴニストを含む、請求項7に記載の組成物。
- 約0.06%〜約0.42%(w/vまたはw/w)のGLP-1受容体アゴニストを含む、請求項8に記載の組成物。
- シルクマトリックスが、生体適合性ポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
- 生体適合性ポリマーが、シルクマトリックス中に分散またはカプセル化されている、請求項10に記載の組成物。
- 生体適合性ポリマーが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド-コ-グリコリド(PLGA)、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリカプロラクトン、ゼラチン、コラーゲン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、トリブロックコポリマー、ポリリジンおよびそれらの任意の誘導体からなる群より選択される、請求項10に記載の組成物。
- 生体適合性ポリマーが、分子量約10,000のPEGまたは分子量約100,000のPEOである、請求項12に記載の組成物。
- 約0.1%〜約25%(w/v)の生体適合性ポリマーを含む、請求項10に記載の組成物。
- 約0.25%〜約5%(w/vまたはw/w)の生体適合性ポリマーを含む、請求項14に記載の組成物。
- アルブミンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
- アルブミンが、シルクマトリックス中に分散またはカプセル化されている、請求項16に記載の組成物。
- アルブミンが、ウシ血清アルブミンである、請求項16に記載の組成物。
- アルブミンが、ヒト血清アルブミンである、請求項16に記載の組成物。
- 組成物中のアルブミンの量が、約0.5%〜約25%(w/vまたはw/w)である、請求項16に記載の組成物。
- 組成物中のアルブミンの量が、約5%(w/vまたはw/w)である、請求項20に記載の組成物。
- 注射可能である、請求項1に記載の組成物。
- (i)約2%、約4%、約8%、約10%または約16%(w/v)のシルクフィブロイン;
(ii)約0.06%(w/v)、約0.12%(w/v)または約0.42%(w/v)のGLP-1受容体アゴニストであって、エキセナチドまたはリラグルチドである、GLP-1受容体アゴニスト;および
(iii)任意で、約1%(w/v)のPEO(MW 100,000)または5%(w/v)のPEG(MW 10,000)
を含む、請求項1に記載の組成物。 - (i)約2%、約4%、約8%、約10%または約16%(w/v)のシルクフィブロイン;
(ii)約0.06%(w/v)、約0.12%(w/v)または約0.42%(w/v)のGLP-1受容体アゴニストであって、エキセナチドまたはリラグルチドである、GLP-1受容体アゴニスト;および
(iii)任意で、約5%(w/v)のアルブミン
を含む、請求項1に記載の組成物。 - 少なくとも約1週間の期間にわたるGLP-1受容体アゴニストの持続放出を提供する、請求項1に記載の組成物。
- GLP-1受容体アゴニストが、約5μg/日〜約60μg/日の速度でシルクマトリックスから放出される、請求項1に記載の組成物。
- GLP-1受容体アゴニストが、約10μg/日の速度でシルクマトリックスから放出される、請求項26に記載の組成物。
- GLP-1受容体アゴニストが、シルクマトリックスの非存在下での治療効果持続時間と比べて少なくとも1日長い治療効果持続時間を有する、請求項1に記載の組成物。
- 請求項1に記載の持続送達組成物および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
- 対象における糖尿病または前糖尿病状態を処置するための方法であって、それを必要とする対象に請求項1に記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
- 組成物の投与頻度が、同量のGLP-1受容体アゴニストをシルクマトリックスの非存在下で投与する場合よりも少ない、請求項30に記載の方法。
- 投与頻度が、GLP-1受容体アゴニストをシルクマトリックスの非存在下で投与する場合と比べて1/2倍に低減される、請求項31に記載の方法。
- 投与が、1ヶ月に1回以下、2週間に1回以下、3週間に1回以下、1ヶ月に1回以下、2ヶ月に1回以下、4ヶ月に1回以下または6ヶ月に1回以下である、請求項30に記載の方法。
- 請求項1に記載の組成物を含む、薬物送達デバイス。
- 注射針を有する注射器である、請求項34に記載の薬物送達デバイス。
- インプラントである、請求項35に記載の薬物送達デバイス。
- 請求項1に記載の組成物または請求項34に記載の薬物送達デバイスを含む、キット。
- 少なくとも注射器および注射針をさらに含む、請求項37に記載のキット。
- 麻酔薬をさらに含む、請求項37に記載のキット。
- 消毒剤をさらに含む、請求項37に記載のキット。
- 使用説明書をさらに含む、請求項37に記載のキット。
- (i)シルクフィブロインとグルカゴン様ペプチド(GLP-1)受容体アゴニストとを含むシルク溶液を提供する工程;および
(ii)シルク溶液中でゲル化を誘導し、シルクヒドロゲルを形成する工程
を含む、請求項1に記載の持続送達組成物を調製するための方法であって、GLP-1受容体アゴニストがシルクヒドロゲル内に分散またはカプセル化されるようになる、方法。 - ゲル化を誘導する工程が、せん断応力を適用すること、音波処理もしくは超音波処理を適用すること、シルク溶液のpHを調整することまたはそれらの任意の組み合わせによる、請求項42に記載の方法。
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