JP2015536764A - シリンジの特性評価 - Google Patents

Abstract

シリンジ特性評価のための装置が、流体を収容するように構成されているシリンジのための、プランジャ駆動装置を有するシリンジポンプを含むことが可能であり、このシリンジはバレルとプランジャを含む。バレルとこのバレル内のプランジャとが共にシリンジの中央縦軸線を画定する。この装置は、さらに、バレル外径センサと、シリンジがシリンジポンプ内に取り付けられている時にシリンジの中央縦軸線に対して実質的に平行な方向配置にある線形位置センサとを含む。少なくとも１つの可動マーカが線形ポテンショメータと通信状態にあることが可能であり、シリンジがシリンジポンプ内に取り付けられている時にシリンジのバレル上の選択された位置に対応する、線形ポテンショメータに沿った位置を表示することが可能である。この装置は、さらに、少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカの位置と、バレル外径センサによって検出されるバレルの直径とに関して、シリンジ特性評価を示す計算を行うためのソフトウェアを含むことが可能である。

Description

本開示は一般的に医療装置に関する。さらに特に、本開示は、シリンジの特性評価（ｃｈａｒａｃｔｅｒｉｚａｔｉｏｎ）のための装置と方法とに関する。

（関連の出願）
本出願は、２０１２年１２月７日付けで出願された米国仮特許出願第６１／７３４，５９５号明細書の利益を主張し、その全体が本明細書に参照として援用される。

いわゆる「シリンジポンプ」を含む薬剤送達装置の分野では、典型的にはプレフィルド薬剤シリンジ（ｐｒｅｆｉｌｌｅｄ ｍｅｄｉｃａｔｉｏｎ ｓｙｒｉｎｇｅ）が、そのシリンジに流体的に連結されている注入ラインを通して、処方された量又は用量の流体を制御された速度で患者に対して送達するように、マイクロプロセッサの制御下で機械的に駆動される。シリンジポンプは、典型的には、送りねじを回転させるモータを含む。この送りねじは、シリンジのバレル内のプランジャを前方に押すプランジャ駆動装置を作動させる。このようにプランジャを前方に押すことが、一定の用量の薬剤をシリンジから外に押し出して、注入ラインの中に送り込み、及び、典型的には静脈内において、患者に送り込む。シリンジポンプの例が、標題「コンピュータに対するバーコード入力を伴う注入ポンプ（Ｉｎｆｕｓｉｏｎ Ｐｕｍｐ ｗｉｔｈ Ｂａｒ Ｃｏｄｅ Ｉｎｐｕｔ ｔｏ Ｃｏｍｐｕｔｅｒ）」の特許文献１と、標題「シリンジポンプ迅速閉塞検出システム（Ｓｙｒｉｎｇｅ Ｐｕｍｐ Ｒａｐｉｄ Ｏｃｃｌｕｓｉｏｎ Ｄｅｔｅｃｔｉｏｎ Ｓｙｓｔｅｍ）」の特許文献２と、標題「シリンジポンプのためのシリンジプロファイルの更新（Ｕｐｄａｔｉｎｇ Ｓｙｒｉｎｇｅ Ｐｒｏｆｉｌｅｓ ｆｏｒ ａ Ｓｙｒｉｎｇｅ Ｐｕｍｐ）」の特許文献３とに開示されている。本開示全体において使用される場合に、術語「シリンジポンプ」は、一般的に、制御可能な形で流体をシリンジから外方に押し出すようにシリンジに対して作用する任意の装置に該当することが意図されている。

シリンジポンプは、治療薬剤、栄養素、薬剤、抗生物質と血液凝固剤と鎮痛剤のような薬剤、及び、他の流体を非限定的に含む薬剤又は流体の、患者に対する送達を調整するために使用される。この装置は、例えば、静脈内において、皮下的に、動脈内において、又は、硬膜外において、任意の幾つかの経路を使用して患者の体内に薬剤又は流体を送り込むために使用されることが可能である。

シリンジポンプの使用時には、プランジャの直線単位移動毎にシリンジから外方に送り出される流体の量の測定又は予測のために、特定の装置内に取り付けられている特定のシリンジを特性評価することが、望ましいことがあり、又は、特定の状況においては必要とされることさえある。一般に、シリンジは、外径のような予め決められた判定基準にしたがって、シリンジ及び／又はシリンジポンプの製造業者によって特性評価されている。この特性評価データは、シリンジポンプ内にロードされているシリンジデータベース内に電子的に記憶されるだろう。したがって、特定のシリンジの外径の測定が、主として、特定のシリンジの外径に近似する外径を有する、ポンプデータベースからの想定可能なシリンジのリストを限定又はフィルタリングするという役割を果たすだろう。しかし、シリンジポンプ内に取り付けられている間のシリンジの特性評価のための様々な手段及び方法も提案されている。しかし、多くの場合に、これらの既知の特性評価の手段及び方法は、単に、ポンプ上又はポンプ内に備えられている可動測定ジョー（ｍｏｖａｂｌｅ ｍｅａｓｕｒｅｍｅｎｔ ｊａｗｓ）及びクランプ等によるシリンジバレルの外径の測定にだけ焦点を当ててきた。他の既知の手段及び方法は、こうしたシリンジバレル外径センサを使用して、又は、使用せずに、ポンプに連結されている従来の定規又は他の直線刻線構成要素（ｌｉｎｅａｒｌｙ ｒｕｌｅｄ ｃｏｍｐｏｎｅｎｔ）を使用してきた。こうした基準刻線構成要素は、典型的には、ポンプ内に取り付けられているシリンジの中央縦軸線に沿って実質的に平行な配置方向に備えられてきた。こうした刻線装置の使用時には、ヘルスケア開業医が、例えば、シリンジ内に収容されている流体の体積又は「長さ」、シリンジ内のプランジャの先端の位置、シリンジバレルを伴うプランジャ先端の最大可能直線移動距離、及び／又は、任意の他の所望のパラメータを視覚的に測定するために、刻線構成要素に対してシリンジの長さを視覚的に検査するだろう。その次に、典型的には、そのユーザは、既知のシリンジのタイプとサイズとブランド等という類似のパラメータのリスト又はデータベースに対して、こうした計量値を比較するだろう。しかし、こうした場当たり的な視覚的検査は、例えば、ユーザの適切な視覚的鋭敏さの欠如、及び、パラメータの解釈及び定義における多様性のために生じる可能性がある、誤りを被る傾向がある。したがって、こうした既知の装置及び方法は、シリンジの特性評価に関して完全には満足できるものではなく、及び、幾つかのこうした装置及び方法は、人間の使用に対して危険で不適切であるとさえ判断されてきた。さらに、「未知の（ｕｎｋｎｏｗｎ）」シリンジの特性評価が、信頼性と精度と再現性との許容可能な限度内においては、困難であり、又は、不可能でさえあるだろう。これに関連して、表現「未知の」は、以前において特性評価されたことがないシリンジ、又は、例えば上述したデータベース又はルックアップテーブルにはリストされていないシリンジを意味する。

米国特許第４，９７８，３３５号明細書 米国特許第８，１８２，４６１号明細書 米国特許第８，２０９，０６０号明細書

したがって、シリンジ特性評価において、特に未知のシリンジに関して、ある程度の信頼性と精度と再現性を実現する装置及び方法を提供することが、有益であり且つ有利であるだろう。

本開示は、シリンジ特性評価の新規性があり且つ発明的である装置及び方法を説明する。

シリンジ特性評価のための装置は、流体を収容するシリンジのためのプランジャ駆動装置を有するシリンジポンプを含むことが可能であり、このシリンジはバレルとプランジャを含む。バレルとこのバレル内のプランジャとが共にシリンジの中央縦軸線を画定する。この装置は、さらに、バレル外径センサと、シリンジがシリンジポンプ内に取り付けられている時にシリンジの中央縦軸線に対して実質的に平行な方向配置にある線形位置センサとを含む。少なくとも１つの可動マーカが線形ポテンショメータと通信状態にあることが可能であり、シリンジがシリンジポンプ内に取り付けられている時にバレル上のシリンジの選択された位置に対応する、線形ポテンショメータに沿った位置を表示することが可能である。この装置は、さらに、少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカの位置と、バレル外径センサによって検出されるバレルの直径とに関して、シリンジ特性評価を示す計算を行うためのソフトウェアを含むことが可能である。

別の実施態様では、シリンジ特性評価のための装置は、流体を収容するシリンジのための、プランジャ駆動装置を有するシリンジポンプを含むことが可能であり、このシリンジはバレルとプランジャを含む。バレルとこのバレル内のプランジャとが共にシリンジの中央縦軸線を画定する。この装置は、さらに、バレル外径センサと、シリンジがシリンジポンプ内に取り付けられている時にシリンジの中央縦軸線に対して実質的に平行な方向配置にある線形位置センサとを含む。少なくとも１つの可動マーカが、その線形ポテンショメータと通信状態にあることが可能であり、シリンジがシリンジポンプ内に取り付けられている時にバレル上のシリンジの選択された位置に対応する、線形ポテンショメータに沿った位置を表示することが可能である。この装置は、さらに、少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカの位置と、バレル外径センサによって検出されるバレルの直径とに関して、シリンジ特性評価を示す計算を行うためのソフトウェアを含むことが可能である。電子入力及び表示構成要素が、シリンジがシリンジポンプ内に取り付けられている時に、シリンジの中央縦軸線に対して実質的に平行な方向配置に備えられることが可能であり、及び、この電子入力及び表示構成要素は、線形ポテンショメータと少なくとも１つの可動マーカとの代わりに使用される。

別の実施態様では、シリンジ特性評価のための装置は、流体を収容するシリンジのための、プランジャ駆動装置を有するシリンジポンプを含むことが可能であり、このシリンジはバレルとプランジャを含む。バレルとこのバレル内のプランジャとが共にシリンジの中央縦軸線を画定する。この装置は、さらに、バレル外径センサと、シリンジがシリンジポンプ内に取り付けられている時にシリンジの中央縦軸線に対して実質的に平行な方向配置にある線形位置センサとを含む。少なくとも１つの可動マーカが線形ポテンショメータと通信状態にあることが可能であり、シリンジがシリンジポンプ内に取り付けられている時にバレル上のシリンジの選択された位置に対応する、線形ポテンショメータに沿った位置を表示することが可能である。この装置は、さらに、少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカの位置と、バレル外径センサによって検出されるバレルの直径とに関して、シリンジ特性評価を示す計算を行うためのソフトウェアを含むことが可能である。バレル外径センサと、少なくとも１つの可動マーカと、このソフトウェアは、共に、プランジャの選択された直線移動から、シリンジから送達される選択された量の流体を測定するためのシリンジ特性評価を実現する機能を果たすことが可能である。

シリンジ特性評価の方法が、上述したシリンジ特性評価のための装置を提供することと、その装置のユーザに対してバレル外径センサを連結するように指示し、それによってシリンジのバレルの外径をセンサが検出することと、シリンジのバレルの概算的な内径を計算することと、シリンジのバレルに沿った特定の体積位置に対応する第１の位置に少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを移動させるように、ユーザに対して指示することと、シリンジのバレルに沿った別の体積位置に対応する第２の位置を計算し、及び、少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカをこの第２の位置に移動させるように、且つ、その完了時にその装置にフィードバックを提供するように、ユーザに対して指示することと、シリンジのバレルの見掛け上の実際の壁厚さを計算することと、シリンジのバレルのこの計算された壁厚さが許容可能な範囲内にあるかどうかを確認し、及び、この計算された厚さが許容可能な範囲内にない場合には、この計算された厚さが許容可能な範囲内に収まるまで、シリンジのバレルの見掛け上の実際の厚さを計算することによって、シリンジのバレルに沿った特定の体積位置に対応する第１の位置に少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを移動させるように、ユーザに対して指示することに戻り、その計算された厚さが許容可能な範囲内にある場合には、厚さ計算の精度を向上させる必要があるかどうかを判定することと、計算された厚さの精度を向上させる必要が無い場合には、シリンジのバレルの内径と、したがって、シリンジのバレル内のプランジャ先端が前進する直線距離当たりにシリンジから外方に送達可能である流体の概算的体積とを計算することと、計算された厚さの精度を向上させる必要がある場合には、あらゆる先行して計算された厚さを、最も最近に計算された厚さと共にグループ化し、及び、計算された厚さのグループ化が十分に整合的であるかどうかを判定することと、計算された厚さのグループ化が十分には整合的ではない場合には、シリンジのバレルに沿った特定の体積位置に対応する第１の位置に、少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを移動させるようにユーザに対して指示することに戻ることと、計算された厚さのグループ化が十分に整合的である場合には、必要とされる回数の計算が行われ終わったかどうかを判定することと、必要とされる回数の計算が行われ終わっていない場合には、シリンジのバレルに沿った特定の体積位置に対応する第１の位置に、少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを移動させるようにユーザに対して指示することに戻ることと、必要とされる回数の計算が行われ終わっている場合には、計算された厚さの精度を向上させる必要が無いならば、シリンジのバレルの内径と、したがって、シリンジのバレル内のプランジャ先端が前進する直線距離当たりにシリンジから外方に送達可能である流体の概算的体積とを計算することに戻ることと、及び、採用随意に、シリンジのバレル上のゼロ体積位置を識別することと、シリンジ内のプランジャ先端に対応する位置に少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを移動させるようにユーザに対して指示することと、及び、シリンジ内に収容されている流体の実際の体積を計算することとを含む。

シリンジ特性評価の装置及び方法が、添付図面の各図において、例示的に且つ非限定的に示されている。

シリンジ特性評価のための装置の略図である。 シリンジ特性評価のための方法の概略的な流れ図又はプロセス図である。

本明細書において例示の形でさらに詳細に説明されている装置及び方法は、従来のシリンジバレル外径センサと組み合わせた、線形位置センサとソフトウェアとの新規性があり且つ発明的である使用によって、選択された特性評価パラメータの判定及び通信をユーザに対して提供する。この機能性が、本明細書で例示的に説明されている比較的コンパクトで且つ人間工学的な医療装置において有利な形で実現されることが可能である。

シリンジ特性評価のための装置及び方法の実施形態の一例では、上述の機能性が、上述した外径シリンジバレルセンサと線形ポテンショメータとを含むシリンジポンプによって達成される。少なくとも１つの可動マーカが線形ポテンショメータと通信状態にある形で提供される。この少なくとも１つの可動マーカは、シリンジがポンプ内に取り付けられている時に、シリンジバレル上の選択された位置に対応する位置に移動させられることが可能である。このポンプは、選択されたシリンジパラメータである、少なくとも１つの可動マーカの位置とシリンジバレルの検出された外径とに関して計算を行うためのソフトウェアを含む。このポンプは、さらに、ユーザに対してこれらのパラメータを通信するための表示手段と、採用随意に、例えばシリンジのタイプ、サイズ、及び／又は、ブランドのような、選択されたパラメータによって特性評価された様々なシリンジのデータベースとを含む。

さて、図１を参照すると、この図には、シリンジの特性評価のための装置１０の一実施形態の例が示されている。装置１０は、シリンジバレルＢと、プランジャ先端ＰＴを有するプランジャＰとを有する、シリンジＳのためのシリンジポンプ１００を含む。シリンジＳはサイズ又は直径（Ｎ）（例えば、３０ｍＬシリンジ）であり、当業で公知であるプランジャ駆動装置（図１に示されていない）によってシリンジＳに作用するポンプから患者に送達されるべき薬剤又は他の流体を収容するように構成されている。バレルＢと、その中のプランジャＰとが、シリンジＳの中央縦軸線を画定することが可能である。装置１０は、さらに、シリンジＳがポンプ１００内に取り付けられている時に中央縦軸線に対して概ね平行な方向配置の形で、シリンジバレル外径センサ１１０と線形位置センサ１２０とを含む。装置１０は、さらに、線形位置センサ１２０と通信している少なくとも１つの可動マーカを含む。図１の例では、この少なくとも１つの可動マーカは、２つの個別のマーカ１３０Ａ、１３０Ｂによって表されており、これらのマーカ１３０Ａ、１３０Ｂは、線形位置センサに沿って所望の位置に移動させられることが可能であるように、線形位置センサ１２０に滑動自在に連結されている。この点で、少なくとも１つの可動マーカは、装置１０の動作で説明するように、シリンジＳがポンプ１００内に取り付けられている時にバレルＢ上の選択された位置に対応するポテンショメータ１２０に沿った位置を表示することが可能である。装置１０は、さらに、一実施形態において、それぞれに少なくとも１つの可動マーカの位置に関する計算を行うための且つこの計算結果をユーザに対して通信するための、ポンプ１００内又はポンプ１００上の適切な計算構成要素と表示スクリーン又はグラフィカルユーザインタフェース（図１には示されていない）とによって実現されることが可能である、ソフトウェア及び表示手段（図１には示されていない）を含む。したがって、概して、少なくとも１つの可動マーカは、線形位置センサ及びソフトウェアと共に、特定の位置の測定を可能にし、及び、さらには、シリンジのバレルに沿った、選択された箇所の相互間の距離の測定とを可能にするということが理解されなければならない。このソフトウェアは、さらに、例えば上述のタイプとサイズとブランドのような選択されたパラメータによって特性評価された様々なシリンジのデータベースを含むことが可能であり、及び、このデータベースはその後でソフトウェア及び表示手段によってユーザに通信されることが可能である。

次に、図２を参照し、及び、図１の参照を続けると、これらの図には、シリンジ特性評価の方法２０の一実施形態の例が示されており、及び、本明細書では、括弧付きの番号が図２に示されている方法の一例に対応する。方法２０のこの例では、上述した装置１０が提供され、及び、特定のシリンジＳがポンプ１００内に取り付けられる（２００）。装置１０の動作の起動時に、装置１０のユーザが、シリンジＳのバレルＢに外径センサ１１０を連結するように、上述のソフトウェア及びディスプレイ（以下では、装置１０及び／又は方法２０の特定の構成要素又は構成要素にしたがってディスプレイを含むか又は省略するかに関わらず、単純に「ソフトウェア」と呼称される）によって指示される（２００）。センサ１１０は、ソフトウェアと協働して、シリンジＳのバレルＢの外径を測定する（２０５）。その次に、ソフトウェアは、センサ１１０によってそのように測定された外径と、典型的なシリンジの典型的なバレル厚さに基づいたバレルＢの壁厚さの推定値とを使用して、シリンジＳのバレルＢの概算的な内径を計算又は推測する（２０５）。その次に、ソフトウェアが、シリンジＳのバレルＢに沿った特定のシリンジ体積位置に対応する位置センサ１２０に沿った第１の位置に少なくとも１つの可動マーカ（例えば、図１では、１３０Ａ又は１３０Ｂ）の中の選択された可動マーカを移動させるようにユーザに対して指示する（２１０）。幾つかの実施形態では、このことは、バレルＢ上のゼロ体積位置、及び／又は、プランジャ先端ＰＴがシリンジＳ内をそれ以上遠くに前進することが不可能である位置に対応する、バレルＢ上の印刷された目盛りを基準とすることが可能である（２１５）。その次に、先行して計算された、又は、予想された、シリンジＳのバレルＢの概算的な内径を使用することによって、ソフトウェアは、少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカをその位置に移動させることが可能であるシリンジＳの別の体積位置に対応するバレルＢの印刷された目盛りに沿った第２の位置を計算又は予想する（２２０）。その次に、ソフトウェアは、シリンジＳの目盛りに対応する線形位置センサに沿った第２の位置にその選択された可動マーカを移動させ、及び、それが完了した時にフィードバックを例えばソフトウェア及び表示手段によって装置１０に送るように、ユーザに対して指示する。ユーザが、このようにして少なくとも１つの可動マーカの位置がその第２の位置にあることを表示し終わった時に、その次に、ソフトウェアは、シリンジＳのバレルＢの見掛け上の実際の壁厚さを計算するために第１の位置と第２の位置との間の測定距離を使用する（２３０）。その次に、このソフトウェアは、バレルＢの計算された壁厚さが許容可能な範囲内にあるかどうかを確認するために、ユーザに対して質問するか、又は、その代わりに、関連のデータベースに対する比較又は他の内部プロセスを行うことが可能である（２３５）。計算された壁厚さが許容可能な範囲内にない場合（図２における「ＮＯ」）には、この方法は、計算された壁厚さが許容可能な範囲内に収まるまで上述のステップ（２２５）−（２３５）に戻るだろう。図示してはいないが、本明細書で具体例として説明されているか又は他の形で想定されている、シリンジ特性評価の方法の特定の実施形態に応じて、計算された壁厚さが許容可能な範囲内にあるかどうかの判定が、装置１０のソフトウェアに対するユーザの入力によってユーザによって行われること、及び／又は、そのソフトウェア自体によって自動的に行われることが可能である。計算された壁厚さが許容可能な範囲内にある（図２における「ＹＥＳ」）場合には、同様にユーザ及び／又はソフトウェアによって、壁厚さの計算の精度を向上させる必要があるかどうかの判定が行われる（２４０）。その次に、壁厚さ計算の精度を向上させる必要がない（図２における「ＮＯ」）場合には、バレルＢの内径と、したがって、患者に対する流体の送達中に装置１０の使用においてバレルＢ内のプランジャ先端ＰＴが前進する直線距離当たりのシリンジＳから外方に送達可能である流体の概算的な体積とを計算するために、ソフトウェアが、そのようにして確認されたバレルＢの壁厚さを使用する（２４５）。この点に関して、円筒形横断面の典型的なシリンジバレルに関して、バレル内の流体の体積が、ｐｉにバレルの半径の２乗を乗算し、その次にバレル内の流体の「長さ」を乗算した積として、計算されることが可能である（即ち、Ｖ＝Πｒ^２ｌ）。バレル内の流体の「長さ」は、流体を収容するバレル内のプランジャの先端から、プランジャの先端がそれ以上遠くに前進させられることが不可能であるシリンジ内の位置までの測定距離によって表されることが可能である。シリンダの半径がその直径の半分に等しいので、その体積は、ｐｉにバレルの直径の２乗を乗算し、その次にバレルの「長さ」を乗算した積を、さらに４で除算したものとして、計算されることが可能である（即ち、Ｖ＝Πｄ^２ｌ／４）。

図２の（２４０）を再び参照すると、しかし、壁厚さの計算の精度を向上させる必要がある（図２における「ＹＥＳ」）場合には、あらゆる先行の壁厚さ計算値が、最も間近の壁厚さ計算値と共にソフトウェアによってグループ化され（２５０）、及び、壁厚さ計算値のグループが十分に整合的であるかどうかの判定が、この場合も同様にユーザ及び／又はソフトウェアによって行われる（２５５）。壁厚さ計算値のグループが十分には整合的ではない（図２における「ＮＯ」）場合には、この方法は（２５５）に戻る。しかし、壁厚さ計算値のグループが十分に整合的である（図２における「ＹＥＳ」）場合には、必要とされる回数の測定又は計算が行われ終わっているかどうかの判定が、この場合も同様にユーザ及び／又はソフトウェアによって行われる（２６０）。必要とされる回数の測定又は計算が行われ終わっていない（図２における「ＮＯ」）場合には、この方法は（２５５）に再び戻る。しかし、必要とされる回数の測定又は計算が行われ終わっている（図２における「ＹＥＳ」）場合には、この方法は上述のステップ（２４５）に戻る。

図２をさらに参照すると、ソフトウェアと表示手段は、採用随意に、シリンジＳのバレルＢ上のゼロ体積位置を表示するようにユーザに対して指示することが可能であり（２６５）、及び／又は、ソフトウェアは、先行のステップ（２００）−（２６０）の測定及び計算からゼロ体積位置をそれ自体で推測することが可能である。その次に、このソフトウェアは、シリンジＳのプランジャ先端ＰＴに対応する位置に少なくとも１つの可動マーカを移動させるようにユーザに対して指示することが可能である（２７０）。その次に、このソフトウェアは、シリンジＳ内に収容されている流体の実際体積を計算することが可能である（２７５）。

図示はされていないが、ポンプの使用時にプランジャを前進させる働きをするポンプ内の駆動アームが、この駆動アームの現在位置を検出するための位置センサを含むことが可能である。こうして判明した駆動アームの位置と、上述したように測定されたプランジャ先端の位置とを用いて、ソフトウェアがプランジャアームの長さを計算することが可能である。

さらに、図示されてはいないが、このソフトウェアは、さらに、シリンジＳの上述の特性（例えば、外径、内径、及び、プランジャの先端ＰＴが前進する直線距離当たりに送達可能である流体の体積等）を、先行して特性評価されており且つ既知であるシリンジのデータベースに対して比較することと、表示手段を通じて、シリンジＳとそのデータベース内の既知のシリンジとの間のあらゆる一致をユーザに知らせることとが可能である。

さらには、図示されてはいないが、シリンジ特性評価の装置及び方法は、既知のシリンジを用いて、品質管理確認と患者の安全とのために利用されることが可能である。既知のシリンジが装置１０内に取り付けられることが可能であり、及び、上述のシリンジ特性評価方法が、予想されたシリンジのブランド及びサイズを確認するために行われることが可能である。表示されたシリンジ特性評価パラメータが、ユーザによって期待された特性評価パラメータに一致しない場合には、ユーザは、その特定のシリンジが不適合的であるか又は非標準的であり使用されるべきでないという表示を得ることが可能である。

図示されていないが、適切な押しボタンが、少なくとも１つの可動マーカに関連付けられた位置をユーザがより確実に確認することを可能にするために、少なくとも１つの可動マーカを備えることが可能である。別の実施形態では、図示されていないが、電子入力及び表示構成要素が、シリンジポンプ内に取り付けられている時にシリンジ内の中央縦軸線に対して実質的に平行な方向配置の形で備えられることが可能である。このような実施形態では、電子入力及び表示構成要素は、線形ポテンショメータと少なくとも１つの可動マーカとの代わりに使用されることが可能である。特定の表示構成要素の場合に、横列及び／又縦列のピッチがソフトウェアによって知られている。このソフトウェアは、表示装置上のインジケータの間の、又は、表示装置の端縁からの、横列及び／又縦列の数を測定することが可能であり、及び、それから、マーカの位置、２つのマーカの間の距離、又は、３つ以上のマーカの間の距離を計算することが可能である。したがって、その装置の表示装置とユーザインタフェースは、１つ又は複数の線形位置センサの機能を果たすことが可能である。さらには、この電子入力及び表示構成要素は、例えば、適切なタッチスクリーン又はＬＣＤ技術を備えることが可能である。タッチスクリーン装置の具体例が、標題「マルチポイント型タッチスクリーン（Ｍｕｌｔｉｐｏｉｎｔ Ｔｏｕｃｈｓｃｒｅｅｎ）」の米国特許出願公開第２００６／００９７９９１号明細書と、標題「タッチ又はモーション入力に応答するグラフィカルオブジェクト（Ｇｒａｐｈｉｃａｌ Ｏｂｊｅｃｔｓ ｔｈａｔ Ｒｅｓｐｏｎｄ ｔｏ Ｔｏｕｃｈ ｏｒ Ｍｏｔｉｏｎ Ｉｎｐｕｔ）」の米国特許出願公開第２０１１／０１９３７８８号明細書とに概略的に開示されている。タッチスクリーン装置を使用する新規性があり且つ発明的である薬物注入ポンプ技術の例が、標題「ポンプシミュレーション装置（Ｐｕｍｐ Ｓｉｍｕｌａｔｉｏｎ Ａｐｐａｒａｔｕｓ）」の米国特許第５，４８５，４０８号明細書と、標題「医薬剤注入ポンプのための安全機能（Ｓｅｃｕｒｉｔｙ Ｆｅａｔｕｒｅｓ ｆｏｒ ａ Ｍｅｄｉｃａｌ Ｉｎｆｕｓｉｏｎ Ｐｕｍｐ）」の米国特許出願公開第２００９／０２７０８１０号明細書とに開示されている。したがって、例えば、ユーザは、具体例によって説明されているか又は他の形で本明細書で想定されているシリンジ特性評価の方法の実行時に、スクリーン上で、シリンジに沿った距離をマークし且つ測定することが可能である。これに追加して、又は、代替策として、ユーザは、スクリーン上で（シリンジバレル上の目盛りの全部又は一部の表示を含む）グラフィカルアイコン（ｇｒａｐｈｉｃａｌ ｉｃｏｎ）を動かすことが可能であり、又は、本方法の実行時に、シリンジのスクリーン画像をズーム拡大縮小するか、又は、他の形で拡大縮小することが可能である。

さらに、上述の例示的な実施形態のタイプと構成要素と寸法と製造プロセスと他の特定の詳細事項とパラメータとが必要に応じて他のものと置き換えられることが可能であるということと、上述の実施形態に付属品が加えられることが可能であるということとが、理解されなければならない。例えば、シリンジバレル外径センサが、Ｓｍｉｔｈｓ Ｍｅｄｉｃａｌ ＡＳＤ，Ｉｎｃ．からＭｅｄｆｕｓｉｏｎ（登録商標）３５００ Ｓｅｒｉｅｓ薬剤注入ポンプの形で製品として入手可能である「シリンジサイズセンサ」を備えることが可能である。この装置では、位置センサが、ポンプ内に取り付けられているシリンジのバレルの外径に比例している電圧（抵抗）を生じさせる高精度のポテンショメータである。しかし、一般的に、線形位置センサが、そのセンサの軸線に沿った絶対的距離又は相対的距離を測定する能力を有する任意の適切な及び／又は市販品として入手可能なセンサ（抵抗タイプ、容量タイプ、誘導タイプ、又は、別のタイプである）を含むことが可能であり、及び、可動マーカがそのセンサの対応する可動部分を備えることが可能である。

個別の実施形態に係わらずに、本明細書で例示されているか又は他の形で想定されているシリンジ特性評価のための装置及び方法の実施形態において、シリンジバレル外径センサと、線形位置センサと通信する少なくとも１つの可動マーカと、ソフトウェアとが、共に、シリンジのプランジャの選択された直線的移動から、シリンジから送達される選択された体積の流体の測定のためのシリンジ特性評価を実現する機能を果たすということが理解されなければならない。この点において、上述したシリンジバレルの内径を計算又は予測する新規性があり且つ発明的である装置及び方法が、同様に上述されている未知のシリンジのこうした特性評価を可能にするということが、特に認識され理解されなければならない。したがって、本明細書で例示されているか又は他の形で想定されているシリンジ特性評価のための装置及び方法が、以前には未知であった可能性があるシリンジの場合に、患者に対する流体の送達において、有利な形で精度を向上させ、及び、したがって安全性と有効性とを向上させることが可能である。

個別の構成要素又は動作形態に係わらずに、本明細書で例示されているか又は他の形で想定されているようなシリンジ特性評価のための装置及び方法が、特定のプランジャの特定の直線移動又は進行に関して、どれだけ多くの流体が最終的に送達されるのかを、向上した精度をもって測定することが可能である。例えば、特定のシリンジの場合に、１ミリメートル（１ｍｍ）のプランジャ移動が、１０ミリリットル（１０ｍｌ）の流体が患者に送達されることを結果的に生じさせることが可能である。

しかし、シリンジ特性評価の装置及び方法が添付図面と明細書とを参照して詳細に示され且つ説明されてきたが、当然であるが、この装置及び方法に対する他の変更例が可能であり、及び、こうした変更例のすべてが、本明細書で説明されている新規性があり且つ発明的である装置及び方法の真の着想と範囲との範囲内に含まれることが意図されているということが理解されなければならない。したがって、様々な特徴要素の構成と設計とが、個別の実施形態に応じて変更又は変化させられることが可能である。例えば、本明細書で例示されているか又は他の形で想定されている様々な方法の各ステップの順序付けが、個々の実施形態において必要とされるように、再順序付けされることが可能である。

本明細書における図面の寸法記入と縮尺が、例示的な実施形態の詳細を示すために選択されているということも理解されなければならない。したがって、幾つかの実施形態では、様々な特徴要素の間隔と方向配置とが可変的であり、及び、図示されているものとは視覚的に異なっていることが想定可能である。いずれにしても、寸法記入と縮尺は、シリンジ特性評価の装置及び方法の個々の実施形態において大きく変化する可能性がある。

さらに、一般的に、任意の適切な代替案が、本明細書で例示されているか又は他の形で想定されているシリンジ特性評価のための新規性があり且つ発明的である装置及び方法を提供するために使用されることがあるということが理解されなければならない。

最後に、本明細書で例示されているか又は他の形で想定されているシリンジ特性評価のための装置及び方法の構成とサイズと強度とのすべてが、その意図されたユーザに応じた設計上の選択の問題である。

したがって、添付されている特許請求項によって定義されることが可能であるシリンジ特性評価のための装置及び方法の真の着想と範囲から逸脱することなしに、形態及び詳細事項におけるこれらの変化又は変更と他の変化及び変更とが加えられるだろう。

Claims (4)

1. シリンジ特性評価のための装置であって、
   流体を収容するように構成されているシリンジのための、プランジャ駆動装置を有するシリンジポンプであって、前記シリンジはバレルとプランジャを含み、前記バレルと前記バレル内の前記プランジャは共に前記シリンジの中央縦軸線を画定する、シリンジポンプと、
   バレル外径センサと、
   前記シリンジが前記シリンジポンプ内に取り付けられている時に前記シリンジの前記中央縦軸線に対して実質的に平行な方向配置にある線形位置センサと、
   前記線形位置センサと通信している少なくとも１つの可動マーカであって、前記シリンジが前記シリンジポンプ内に取り付けられている時に前記シリンジの前記バレル上の選択された位置に対応する、前記線形位置センサに沿った位置を表示することが可能である少なくとも１つの可動マーカと、
   前記少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカの位置と、前記バレル外径センサによって検出される前記バレルの直径とに関して、シリンジ特性評価を示す計算を行うためのソフトウェアと、
   を備える
   シリンジ特性評価のための装置。
2. 電子入力及び表示構成要素が、前記シリンジが前記シリンジポンプ内に取り付けられている時に、前記シリンジの前記中央縦軸線に対して実質的に平行な方向配置に備えられており、
   前記電子入力及び表示構成要素は、前記線形位置センサと前記少なくとも１つの可動マーカとの代わりに使用される、
   請求項１に記載のシリンジ特性評価のための装置。
3. 前記バレル外径センサと、前記少なくとも１つの可動マーカと、前記ソフトウェアとは共に、前記プランジャの選択された直線移動から、前記シリンジから送達される選択された量の流体の測定のためのシリンジ特性評価を提供するように機能する、
   請求項１に記載のシリンジ特性評価のための装置。
4. シリンジ特性評価の方法であって、
   シリンジ特性評価のための装置を提供することにおいて、前記装置は、
   流体を収容するように構成されているシリンジのための、プランジャ駆動装置を有するシリンジポンプであって、前記シリンジはバレルとプランジャを含み、前記バレルと前記バレル内の前記プランジャは共に前記シリンジの中央縦軸線を画定する、シリンジポンプと、
   バレル外径センサと、
   前記シリンジが前記シリンジポンプ内に取り付けられる時に前記シリンジの前記中央縦軸線に対して実質的に平行な方向配置にある線形位置センサと、
   前記線形位置センサと通信している少なくとも１つの可動マーカであって、前記シリンジが前記シリンジポンプ内に取り付けられている時に前記シリンジの前記バレル上の選択された位置に対応する、前記線形位置センサに沿った位置を表示することが可能である、少なくとも１つの可動マーカと、
   前記少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカの位置と、前記バレル外径センサによって検出される前記バレルの直径とに関して、シリンジ特性評価を示す計算を行うためのソフトウェアと、
   を含む、前記装置を提供することと、
   前記装置のユーザに対して、バレル外径センサを連結するように指示し、それによって前記シリンジのバレルの外径を前記センサが検出することと、
   前記シリンジの前記バレルの概算的な内径を計算することと、
   前記シリンジの前記バレルに沿った、特定の体積位置に対応する第１の位置に前記少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを移動させるように、ユーザに対して指示することと、
   前記シリンジの前記バレルに沿った別の体積位置に対応する第２の体積位置を計算して、前記少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを前記第２の位置に移動させるように、且つ、その移動の完了時に前記装置に対してフィードバックを提供するように、ユーザに対して指示することと、
   前記シリンジの前記バレルの見掛け上の実際の壁厚さを計算することと、
   前記シリンジの前記バレルのこの計算された壁厚さが許容可能な範囲内にあるかどうかを確認することと、
   前記計算された厚さが許容可能な範囲内にない場合には、この計算された厚さが前記許容可能な範囲内に収まるまで、前記シリンジの前記バレルの見掛け上の実際の厚さを計算することによって、前記シリンジの前記バレルに沿った特定の体積位置に対応する第１の位置に、前記少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを移動させるようにユーザに対して指示することに戻り、前記計算された厚さが前記許容可能な範囲内にある場合には、前記厚さ計算の精度を向上させる必要があるかどうかを判定することと、
   前記計算された厚さの精度を向上させる必要が無い場合には、前記シリンジの前記バレルの内径と、したがって、前記シリンジの前記バレル内の前記プランジャ先端が前進する直線距離当たりの、前記シリンジから外方に送達可能である流体の概算的体積とを計算することと、
   前記計算された厚さの精度を向上させる必要がある場合には、あらゆる先行して計算された厚さを最も最近に計算された厚さと共にグループ化し、前記計算された厚さのグループ化が十分に整合的であるかどうかを判定することと、
   前記計算された厚さのグループ化が十分には整合的ではない場合には、前記シリンジの前記バレルに沿った特定の体積位置に対応する第１の位置に前記少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを移動させるように、ユーザに対して指示することに戻ることと、
   前記計算された厚さのグループ化が十分に整合的である場合には、必要とされる回数の計算が行われ終わったかどうかを判定することと、
   前記必要とされる回数の計算が行われ終わっていない場合には、前記シリンジの前記バレルに沿った特定の体積位置に対応する第１の位置に前記少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを移動させるように、ユーザに対して指示することに戻ることと、
   前記必要とされる回数の計算が行われ終わっている場合には、前記計算された厚さの精度を向上させる必要が無ければ、前記シリンジの前記バレルの内径と、したがって、前記シリンジの前記バレル内の前記プランジャ先端が前進する直線距離当たりの、前記シリンジから外方に送達可能である流体の概算的体積とを計算することに戻ることと、
   採用随意に、前記シリンジの前記バレル上のゼロ体積位置を識別することと、前記シリンジ内の前記プランジャ先端に対応する位置に前記少なくとも１つの可動マーカの中の選択された可動マーカを移動させるようにユーザに対して指示することと、前記シリンジ内に収容されている流体の実際の体積を計算することと、
   を含む、
   シリンジ特性評価の方法。

Images