JP2015534954A - イベルメクチンおよびその誘導体の使用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、イベルメクチン、アバメクチン/アベルメクチン、ドラメクチンなどの駆虫剤の新しい使用、および前記新しい使用に向けた前記誘導体のデザイン法に関する。マクロライドのアバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、ドラメクチン、およびその誘導体を含む前記化合物は、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、肥満などの哺乳類の代謝関連疾患、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、癌などのファルネソイドX受容体性疾患の治療に用いる薬物の製造に利用することができる。【選択図】 図1
Description
本発明は、駆虫剤と比較し、イベルメクチン、ドラメクチン、およびアバメクチン/アベルメクチン、およびその誘導体など、ファルネソイドX受容体(FXR)の有効な新規リガンドの新しい使用、および前記新しい使用に向けて前記誘導体をデザインおよび最適化する方法に関する。
核内受容体はリガンドで活性化される転写因子である。FXRはヒトにおいて非常に重要な48核内受容体の中の1つであり、代謝、炎症、腫瘍などの重篤な疾患、および関連生理的機能の制御において重要な役割を果たす。FXRリガンドを介した薬理作用の原理は、前記リガンドがFXRのリガンド結合ドメイン(LBD)に結合することで、下流の標的遺伝子を制御する様々な活性化補助因子(または補抑制体)を動員することである。体内では、胆汁酸がFXRの内因性リガンドであり、FXRの活性化により、肝臓および小腸における正常な胆汁酸の循環と恒常性を維持することができ、その一方で、サッカライド、脂質、およびコレステロール値を制御することができる。FXRは代謝に関係する多数のシグナル経路に関与し、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、肥満、胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、およびアテローム性動脈硬化症などの代謝性疾患治療薬の注目すべき標的分子となった。最近、FXRが肝臓の再生を制御する可能性があり、マウスでFXRをノックアウトすると、肝臓癌が発症する可能性があることが分かった。ケノデオキシコール酸(CDCAと略される)は胆汁酸の一種であり、FXRに結合、これを活性化し、胆石の治療に利用できる可能性がある。FXRに結合することができるリガンドの中で、CDCAは臨床的に使用されている唯一の薬物である。しかし、CDCAのFXRに対する親和性はFXRの合成リガンドであるGW4064よりもはるかに低く、さらに、CDCAは胆汁酸結合タンパク質(I−BABP)、胆汁酸トランスポーターなどのタンパク質にも結合するため、CDCAはFXRを特異的に標的とする薬物ではない。既存の薬物の約13%が核内受容体を標的としており、FXRが制御する重要な生理作用に基づき、FXRを標的とする新規リガンド薬物をスクリーニングし、そのリガンド薬物を最適化、デザイン、および開発することには重要な応用上の価値がある。
イベルメクチンおよびドラメクチンは、放線菌が産生するマクロライドのアバメクチン/アベルメクチン誘導体であり、非常に効果が高く、広域スペクトルの抗寄生虫作用を有し、イベルメクチン、ドラメクチン、およびアバメクチン/アベルメクチンは主に家畜の寄生虫管理とヒトのフィラリア感染治療に利用されている。無脊椎動物におけるイベルメクチンの標的は、γ−アミノ酪酸(GABA)受容体およびグルタミン酸塩素イオンチャネル型受容体(GluClR)などの受容体であると指摘した報告は複数ある。しかし、哺乳類において、高い親和性および特異性でアバメクチン/アベルメクチンおよびその誘導体の標的があることを示した報告は、まだ今のところない。
本発明の目的は、イベルメクチン、アバメクチン/アベルメクチン、およびドラメクチン、およびその誘導体の使用を提供することである。
(構造式Iで示される)前記イベルメクチンは、放線菌が産生するマクロライドのアバメクチン/アベルメクチン誘導体であり、非常に効果が高く、広域スペクトルの抗寄生虫作用を有し、主に家畜の寄生虫管理とヒトのフィラリア感染治療に利用されている。
前記イベルメクチンは、前記抗寄生虫作用とは全く異なる新しい機能を有する。前記機能は、ファルネソイドX受容体が、イベルメクチンが哺乳類で特異的に結合する標的タンパク質であることが初めて提案されたことで特徴付けられる。イベルメクチンはファルネソイドX受容体(FXR)に高い親和性で結合し、哺乳類の血清サッカライド、脂質、およびコレステロール代謝を制御し、糖尿病動物モデルの血清サッカライド、脂質、およびコレステロール値を効果的に低下させ、対応する症状を改善する。イベルメクチンはファルネソイドX受容体を介して炎症反応も抑制することができる。したがって、イベルメクチンおよびその誘導体は、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、および肥満などの哺乳類の代謝関連疾患、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、および癌などのファルネソイドX受容体性疾患の治療薬を調製する上で、応用上の見込みが高い。
アバメクチン/アベルメクチン(構造式II)およびドラメクチン(構造式III)などの前記イベルメクチン誘導体または類似体は、イベルメクチンと類似の性質および使用を有する。
アバメクチン/アベルメクチンはイベルメクチンの構造式のC22−C23位に二重結合を有する。我々は、アバメクチン/アベルメクチンが高い親和性でFXRに特異的に結合することができ、FXRのリガンドでもあり、高脂肪食を与えたマウス血清中のサッカライド、脂質、およびコレステロール値、および精巣上体脂肪体重量を効果的に低下させることができることを見出している。したがって、アバメクチン/アベルメクチンは、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、および肥満などの哺乳類の代謝関連疾患、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、および癌などのファルネソイドX受容体性疾患の治療に新たに使用することができる。
ドラメクチンはイベルメクチンの構造式のC22−C23位に二重結合を有し、C25位がベンゼン環側鎖で置換されている。我々は、ドラメクチンが高い親和性でFXRに特異的に結合することができ、FXRのリガンドでもあり、高脂肪食を与えたマウス血清中のサッカライド、脂質、およびコレステロール値、および精巣上体脂肪体重量を効果的に低下させることができることを見出している。したがって、ドラメクチンは、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、および肥満などの哺乳類の代謝関連疾患、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、および癌などのファルネソイドX受容体性疾患の治療に新たに使用することができる。
アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体であるドラメクチンの構造および機能について請求されるとおり、FXRに結合することができるアバメクチン/アベルメクチンおよびイベルメクチンの他の構造類似体または誘導体も、同様の機能および使用を有すると推定することができる。
20年以上、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体は主に家畜の寄生虫管理とヒトのフィラリア感染治療に利用され、作用機序は、無脊椎動物の神経および筋肉細胞において、これらがグルタミン酸塩素イオンチャネル型受容体に選択的に結合し、筋細胞への神経インパルスの伝達を妨害することで、寄生虫を致命的に麻痺させるか、または体内から駆除する、というものである。イベルメクチンおよびその誘導体はγ−アミノ酪酸受容体にも結合し、同様に機能することができる。しかし、哺乳類にグルタミン酸塩素イオンチャネル型受容体が存在することを示した報告はなく、哺乳類のγ−アミノ酪酸受容体は中枢神経系に存在するに過ぎないが、哺乳類には血液脳関門があり、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体が前記中枢神経系に到達するのを効果的に防いでいる可能性があるため、正常なケースでは、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体は哺乳類における安全係数が高い。アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体は、ヒトにおいて20年以上臨床に応用されてきたため、ヒトでの安全性は保証されており、本発明では、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体が哺乳類の血清中のサッカライド、脂質、およびコレステロール代謝を効果的に制御でき、動物モデルの血清サッカライド、インスリン、トリグリセリド、およびコレステロール値を効果的に低下できることが分かっており、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体は、例えば糖代謝および脂質代謝などにより、ファルネソイドX受容体性疾患を治療する見込みが高い。
本発明は、哺乳類の代謝性疾患など、ファルネソイドX受容体関連疾患の治療において、十分にアバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体の新規性、安全性、有効性、高い薬物産生量、低コスト、大きな社会的価値および経済的利益を証明している。さらに、本発明は、X線結晶回折により原子レベルでイベルメクチンのファルネソイドX受容体結合の独特な構造パターンを提供し、安全なリーディング薬物としての小分子および薬物の最適化構造鋳型およびデザイン方法とともに、ファルネソイドX受容体を標的としたリガンド薬物デザインを提供する。
ファルネソイドX受容体とイベルメクチンが結合した3次元結晶構造に従い(付録1)、構造的基礎としてイベルメクチンの構造式(例えば、構造式I)を用い、薬物デザイン、薬物合成、薬物スクリーニングの方法を以下の具体的手順で行う:構造的基礎として構造式Iを用い、前記構造式のC3−C4、C8−C9、C10−C11、およびC14−C15炭素−炭素二重結合を修飾し、C5、C7、およびC4’’位のヒドロキシル基を修飾し、C4、C12、C14、C24、およびC25位の側鎖を修飾し、C13位のグリコシルを加水分解し、他の官能基を置換などにより修飾する。上記の方法は、単一の修飾または上記の様々な修飾の併用を高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、および肥満などの哺乳類の代謝関連疾患、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、および癌などのファルネソイドX受容体性疾患を調製および治療するために利用できることを特徴とする。
高速大量処理スクリーニングにより得られた駆虫剤のイベルメクチン、アバメクチン/アベルメクチン、およびドラメクチンは、FXRの特異的リガンドである。
in vitroにおける形質移入実験のルシフェラーゼレポーター遺伝子活性解析に基づき、分子構造レベルでの受容体とリガンドとの選択的認識について示され;マウスモデルにおけるマウス肝細胞の初代培養により、イベルメクチン投与後の関連標的遺伝子の発現と関連シグナル経路の制御状態が検出され、下流シグナル経路に対する影響が示され;対応するシグナル経路の変化に関連して発病分子メカニズムを示すように、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびドラメクチンを投与したマウスモデルで様々な生化学的指標の変化が検出され;高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、または肥満などの哺乳類における疾患のかかる治療薬の有効性、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、およびアテローム性動脈硬化症などのファルネソイドX受容体性代謝関連疾患の治療における使用を決定するように、糖尿病および肥満マウスモデルにアバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびドラメクチンが投与される。炎症反応の治療におけるイベルメクチンの使用については、炎症反応標的遺伝子を制御することで決定する。
同様に、いずれも高脂肪食を与えた野生型マウスとFXRノックアウトマウスに、それぞれアバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびドラメクチンを注射し、これらの誘導体が、野生型マウスの精巣上体脂肪体/体重比、および血清グルコース、トリグリセリド、およびコレステロール値を効果的に低下できることが分かっている。したがって、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、および肥満などの哺乳類の疾患、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症などのファルネソイドX受容体性疾患の治療において、FXRを介してアバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびドラメクチンを使用できると判断することができる。
FXRおよびイベルメクチンは錯体として調製し、前記錯体の結晶化、X線結晶回折、および構造解析は結晶解析により行うことで、原子レベルでFXRのイベルメクチンへの独特な結合パターンを示し、安全なリーディング薬物小分子と、前記分子構造をテンプレートとして用いた誘導体の薬物デザインおよび合成法を用い、哺乳類において前記疾患の治療用FXR標的薬のデザインを提供する。
タンパク質の精製
1.クローニング
(1)ヒトFXR発現プラスミド(pCMX−FXR)を鋳型として、0.5μlの50mMフォワードプライマー5’GATATGGATCCAATCCAGAGTCCGCTGACCTCおよび0.5μlの50mMリバースプライマー3’GATATCTCGAGCTAGTACAAGTCCTTGTAGATCをプライマーとして用い、4μlの10倍PCR緩衝液、1μlの10mM dNTP、および5U pfuの酵素(Invitrogen)用いたPCR反応を行い、水(Milli−Q)を用いて最高50μlの系を作成し、BamH IとXho Iの2つの制限酵素消化部位を含むヒトFXR LBD(リガンド結合ドメイン)(アミノ酸残基数が243〜472)のPCR生成物を得る。PCRの手順は、94℃2分、94℃30秒、58℃1分、72℃1分を30サイクルと72℃10分として行う。
1.クローニング
(1)ヒトFXR発現プラスミド(pCMX−FXR)を鋳型として、0.5μlの50mMフォワードプライマー5’GATATGGATCCAATCCAGAGTCCGCTGACCTCおよび0.5μlの50mMリバースプライマー3’GATATCTCGAGCTAGTACAAGTCCTTGTAGATCをプライマーとして用い、4μlの10倍PCR緩衝液、1μlの10mM dNTP、および5U pfuの酵素(Invitrogen)用いたPCR反応を行い、水(Milli−Q)を用いて最高50μlの系を作成し、BamH IとXho Iの2つの制限酵素消化部位を含むヒトFXR LBD(リガンド結合ドメイン)(アミノ酸残基数が243〜472)のPCR生成物を得る。PCRの手順は、94℃2分、94℃30秒、58℃1分、72℃1分を30サイクルと72℃10分として行う。
(2)酵素消化はPCRにより得られたDNAフラグメントと原核細胞発現ベクターpET24a(Novagen)で行い、前記PCR生成物とpET24aベクターはBamH IおよびXho Iにより消化する。前記酵素消化系はFXR LBD PCR生成物またはpET24aベクター1μg(10μl)、BamH I(Thermo)0.5μl、Xho I(Thermo)0.5μl、10倍酵素消化緩衝液(Thermo)4μl、およびddH2O(Milli−Q)25μlを有する。前記系は37℃で1.5時間インキュベートする。前記消化されたPCR生成物およびpET24aベクターはSYBR DNA色素を用いた1%アガロースゲルで分離し、DNAはPromegaゲル抽出キットにより回収する。
(3)回収したフラグメントとベクターはモル比3:1で連結する。前記連結系はFXR LBD DNAフラグメント2μl、pET24a(Novagen)ベクター2μl、5倍連結緩衝液(Invitrogen)2μl、およびT4 DNAリガーゼ(Invitrogen)0.5μlを有し、ddH2Oにより最高10μlとする。前記系は室温で30分反応させる。
(4)前記連結生成物2μlを50μlのTrans109適格細胞に形質転換し、30分間氷浴に入れた後、42℃で30秒間熱ショックをかける。抗生剤を含まない250μlのLB液体培地を加え、225rpm、37℃で40分間予め振盪した後、150μlの形質転換生成物を採取し、これを50μg/mlのカナマイシンとともにLB固形培地プレートに塗布し、37℃で一晩培養する。翌日、コロニー1つを選び、50μg/mlのカナマイシンを含む2mlのLB液体培地に入れ、37℃で10時間振盪培養する。
(5)Qiagen MiniPrep Plasmid Minipreparation Kitを用い、前記振盪した細菌液でプラスミドを抽出する。
(6)前記抽出したプラスミドは酵素消化により同定する。前記酵素消化同定系は、プラスミド1μg(2μl)、BamH I(Thermo)0.5μl、Xho I(Thermo)0.5μl、10倍酵素消化緩衝液(Thermo)2μl、およびddH2O(Milli−Q)15μlを有する。前記発現ベクターへの標的フラグメントの挿入が成功したかを判断するため、前記系は37℃で30分間、インキューベーター中で酵素消化反応を行い、1%アガロースゲルで検出する。最後に、得られたプラスミドを配列決定により同定する。ヘキサヒスチジン標識したヒト核受容体FXR LBDの発現プラスミドが得られ、pET24a−His6−FXR LBDと表記する。
2.標的タンパク質の発現と精製
(1)形質転換。pET24a−His6−FXR LBDはBL21(DE3)適格細胞に形質転換する。プラスミド1μlを取り、50μlのBL21適格細胞に形質転換し、30分間氷浴に入れた後、42℃で30秒間、水浴で熱ショックをかける。抗生剤を含まない250μlのLB液体培地を加え、225rpm、37℃で40分間予め振盪した後、15μlの生成物を採取し、これを50μg/mlのカナマイシンとともにLB固形培地プレートに塗布し、37℃で一晩培養する。
(1)形質転換。pET24a−His6−FXR LBDはBL21(DE3)適格細胞に形質転換する。プラスミド1μlを取り、50μlのBL21適格細胞に形質転換し、30分間氷浴に入れた後、42℃で30秒間、水浴で熱ショックをかける。抗生剤を含まない250μlのLB液体培地を加え、225rpm、37℃で40分間予め振盪した後、15μlの生成物を採取し、これを50μg/mlのカナマイシンとともにLB固形培地プレートに塗布し、37℃で一晩培養する。
(2)培地の振盪。翌日、コロニー1つを選び、50μg/mlのカナマイシンを含む50mlのLB液体培地に入れ、37℃で8時間予め振盪し、50μg/mlのカナマイシンを含む1.5lのLB液体培地に移し、OD600がおよそ1.0に達した時点で、0.1mM IPTGを加え、16℃の低温で発現を誘導する。
(3)誘導された標的タンパク質を含む細菌細胞を回収する。一晩で誘導および発現された細菌液1.5lを3,000rpm、4℃で10分遠心分離して前記細菌を回収し、前記細菌液は100mlの精製緩衝液(20mM Tris pH8.0、150mM NaCl、10%グリセロール、25mMイミダゾール)で再懸濁し、−80℃で凍結保存する。
(4)タンパク質の抽出。Fisher Scientific Sonic Dismembrator超音波細胞破壊器を用い、振動幅60%、5秒運転、10秒休憩の頻度で10分間、超音波処理を行う。生成物は20,000rpm、4℃で30分間遠心分離した後、上清を採取する。
(5)タンパク質の精製。前記上清を5mlのニッケルイオン交換カラム(NiSO4−loaded HisTrap HPカラム、GE Healthcare)に通し、前記ニッケルカラムに標的タンパク質を充填させる。GE Co.のAKTAタンパク質精製系とUNICORNソフトウェアを操作に用いる。ポンプの洗浄:ポンプは最初に水、次に緩衝液で洗う。操作方法:System ControlウインドウでManual→Pump→Pumpwashbasic→PumpAとし、続いてPumpB→On→Excuteを選択する。クロマトグラフィーカラムの連結:まずシステムポンプを運転し、溶液が流れ出てきたら、クロマトグラフィーカラムを系に動的に連結し、流出したタンパク質のピーク値をUVで検出できるようにし、UNICORNソフトウェアを開いてタンパク質溶出の手順を編集する:20mlの溶出緩衝液でカラムを平衡化し;25〜500mMの勾配でイミダゾールを用いてカラムに競合的に結合させることで標的タンパク質を溶出させ;15mlの緩衝液でカラムを平衡化する。タンパク質の溶出:カラム上のタンパク質は、溶出緩衝液AおよびB(溶出緩衝液Aの成分:25mM Tris、150mM NaCl、25mMイミダゾール、および10%グリセリン、pH 7.5、溶出緩衝液Bの成分:25mM Tris、150mMイミダゾール、および10%グリセリン、pH 7.5)により勾配溶離にかけ、イミダゾールと同様の構造でヒスチジン標識を含む標的タンパク質は、イミダゾールの濃度勾配を25〜500mMで変化させて管理することで、適切な濃度で競合させて溶出することができる。ニッケルイオン交換カラムから溶出した標的タンパク質溶液は、Hiload26分子篩クロマトグラフィーカラム(GE Healthcare)を用い、異なる分子量で請求される通り、標的タンパク質をさらに精製し、手順は以下の通りとする:ニッケルカラムから回収したタンパク質溶液をAKTAサンプル充填リングにシリンジで注入した後、上記と同じ方法でプログラムを実行開始する。前記タンパク質溶出緩衝液は、10mM NaClを含む溶出緩衝液Cに変更する(溶出緩衝液C:25mM Tris、pH 7.5)。
(6)タンパク質錯体の調製。GenScriptおよびFXR LBDタンパク質から生産した合成NcoR2ポリペプチド(PASNLGLEDIIRKALMGS)は、以下の通り錯体の調製に使用する:分子篩クロマトグラフィーから得られたタンパク質20ml、NcoR2ポリペプチド、およびイベルメクチンを1:1:1のモル比で混合し、10kDのMILLIPORE 15ml濃縮試験管に加え、濃縮し、4,000rpm、4℃で遠心分離をかけ、濃縮し、前記タンパク質を最終濃度10mg/mlになるまで濃縮する。
3.タンパク質の結晶化、結晶データの収集、および構造解析
水滴法により結晶化スクリーニングを行い、FXR/イベルメクチン/NcoR2錯体を室温の条件とし、水滴法の成分は上述のタンパク質ポリペプチドリガンド錯体溶液1.0μlと結晶化緩衝液1.0μl(50mM HEPES pH 7.0、3.5Mギ酸ナトリウム)の混合物とする。十分に成長した結晶を液体窒素で急速に凍結保存する。上海放射光施設のBL17U1ラインステーションでデータを得る。X線による放射線処理後、得られた回折データをHKL2000ソフトウェアで処理し、各非対称ユニットが2つの分子を有するようにし、結晶空間群はI 21 21 21(a=53.01、b=161.76、c=169.02、α=90°、β=90°、およびγ=90°)、空間構造解析はMolrep、Phaserなどを用い、CCP4ソフトウェアパッケージ(http://www.ccp4.ac.uk)にて行い、これにより、一般構造モデルを分子置換を通して決定することができ、Cootの人工モデルの微細構成およびREFMACとphenix.refineによりさらに修正を数サイクル行うことで、最終的なタンパク質錯体構造を得ることができ、この構造モデルのRworkおよびRfreeはそれぞれ25.4%および28.2%、分解能は2.81Åである。具体的な3次元結晶構造の空間要素は、付録1で参照することができる。
水滴法により結晶化スクリーニングを行い、FXR/イベルメクチン/NcoR2錯体を室温の条件とし、水滴法の成分は上述のタンパク質ポリペプチドリガンド錯体溶液1.0μlと結晶化緩衝液1.0μl(50mM HEPES pH 7.0、3.5Mギ酸ナトリウム)の混合物とする。十分に成長した結晶を液体窒素で急速に凍結保存する。上海放射光施設のBL17U1ラインステーションでデータを得る。X線による放射線処理後、得られた回折データをHKL2000ソフトウェアで処理し、各非対称ユニットが2つの分子を有するようにし、結晶空間群はI 21 21 21(a=53.01、b=161.76、c=169.02、α=90°、β=90°、およびγ=90°)、空間構造解析はMolrep、Phaserなどを用い、CCP4ソフトウェアパッケージ(http://www.ccp4.ac.uk)にて行い、これにより、一般構造モデルを分子置換を通して決定することができ、Cootの人工モデルの微細構成およびREFMACとphenix.refineによりさらに修正を数サイクル行うことで、最終的なタンパク質錯体構造を得ることができ、この構造モデルのRworkおよびRfreeはそれぞれ25.4%および28.2%、分解能は2.81Åである。具体的な3次元結晶構造の空間要素は、付録1で参照することができる。
4.補因子結合実験
核受容体を誘導して様々なタイプの共調節因子を動員するために利用されるリガンドの結合能は、Alphascreen解析法により、Alpha Screenニッケルキレート検出キット(PerkinElmer)を用いて検出する。この実験の反応系50μlは、20nMの融合ヒスチジン標識受容体LBDタンパク質、20nMビオチン標識補因子ポリペプチド、ドナー、および受容体ビーズ(5μg/ml)、および緩衝液(50mM MOPS、50mM NaF、0.05mM CHAPS、および0.1mg/mlウシ血清アルブミン、pH 7.4)を有し、前記反応系は室温で1時間、384ウェルプレート中で反応させた後、AlphaScreen検出器を用い、680nmの励起光および520〜620nmの放射限度でシグナルを読む。AlphaScreen解析でのビオチン標識ポリペプチドはSRC1−2、その配列はSPSSHSSLTERHKILHRLLQEGSPである。
核受容体を誘導して様々なタイプの共調節因子を動員するために利用されるリガンドの結合能は、Alphascreen解析法により、Alpha Screenニッケルキレート検出キット(PerkinElmer)を用いて検出する。この実験の反応系50μlは、20nMの融合ヒスチジン標識受容体LBDタンパク質、20nMビオチン標識補因子ポリペプチド、ドナー、および受容体ビーズ(5μg/ml)、および緩衝液(50mM MOPS、50mM NaF、0.05mM CHAPS、および0.1mg/mlウシ血清アルブミン、pH 7.4)を有し、前記反応系は室温で1時間、384ウェルプレート中で反応させた後、AlphaScreen検出器を用い、680nmの励起光および520〜620nmの放射限度でシグナルを読む。AlphaScreen解析でのビオチン標識ポリペプチドはSRC1−2、その配列はSPSSHSSLTERHKILHRLLQEGSPである。
5.一時的形質移入実験
1.プラスミド:
(1)FXR全長プラスミド:ヒトFXR全長cDNA発現配列を、古典的なクローニング法によりpCMX発現ベクターにクローニングする。
1.プラスミド:
(1)FXR全長プラスミド:ヒトFXR全長cDNA発現配列を、古典的なクローニング法によりpCMX発現ベクターにクローニングする。
(2)重要な結合部位に点突然変異があるFXRの発現ベクターを得る。Quick−Change site−directed mutagenesisキット(Stratagene)を突然変異に利用し、突然変異反応系は、野生型プラスミドpCMX−FXR(50ng)0.5μl、変異プライマー(100μM)0.2μl、pfu DNAポリメラーゼ(Invitrogen)(2U)1μl、10mM dNTP 1μl、10倍PCR緩衝液5μl、ddH2O 43μlとする。PCRの手順は、94℃2分、94℃30秒、55℃1分、72℃7分を15サイクルとして行う。20μlのPCR生成物をDpn Iメチラーゼで消化した後、2μlの消化生成物を採取、大腸菌Trans 109適格細胞に形質転換し、氷浴に30分、42℃で30秒間熱ショックをかける。抗生剤を含まない250μlのLB液体培地を加え、225rpm、37℃で40分間予め振盪した後、150μlの生成物を採取し、これを100μg/mlのアンピシリンとともにLB固形培地プレートに塗布し、37℃で一晩培養する。翌日、コロニー1つを選び、100μg/mlのアンピシリンを含む2mlのLB液体培地に入れ、37℃で一晩培養する。Qiagen MiniPrep Plasmid Minipreparation Kitを用い、前記振盪した細菌液でプラスミドを抽出する。プラスミドを配列決定により同定する。
2.形質移入:
サル腎臓上皮細胞のCOS−7細胞の培養に10%ウシ胎仔血清を含むDMEM培地を用い、形質移入の前日、COS−7細胞を24ウェルプレートに播種し(播種密度は5×104細胞/ウェル)、翌日、形質移入する。形質移入は、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて一時的に行う。レポーター遺伝子の解析実験では、200ngの核受容体全長発現プラスミドまたはその変異体の発現プラスミド、200ngの内在性プロモーターレポーター遺伝子、および30ngのRenillaルシフェラーゼ発現プラスミドを同時形質移入に用いる。500μlのOpti−MEMを各ウェルに加え、5時間培養した後、Opti−MEMで希釈したリガンド薬物を加えて対応する濃度とし、18時間処理する。使用する様々な核受容体および対応するレポーター遺伝子は、ヒトFXR、EcRE−Luc;ヒトPPARs(α、β、およびγ)、PPRE−Luc;ヒトRORs(α、β、およびγ)、Pcp2/RORE−Luc;ヒトGR、およびPR、MMTV−Luc;ヒトRARαおよびRARβ、およびβRE−Lucである。
サル腎臓上皮細胞のCOS−7細胞の培養に10%ウシ胎仔血清を含むDMEM培地を用い、形質移入の前日、COS−7細胞を24ウェルプレートに播種し(播種密度は5×104細胞/ウェル)、翌日、形質移入する。形質移入は、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用いて一時的に行う。レポーター遺伝子の解析実験では、200ngの核受容体全長発現プラスミドまたはその変異体の発現プラスミド、200ngの内在性プロモーターレポーター遺伝子、および30ngのRenillaルシフェラーゼ発現プラスミドを同時形質移入に用いる。500μlのOpti−MEMを各ウェルに加え、5時間培養した後、Opti−MEMで希釈したリガンド薬物を加えて対応する濃度とし、18時間処理する。使用する様々な核受容体および対応するレポーター遺伝子は、ヒトFXR、EcRE−Luc;ヒトPPARs(α、β、およびγ)、PPRE−Luc;ヒトRORs(α、β、およびγ)、Pcp2/RORE−Luc;ヒトGR、およびPR、MMTV−Luc;ヒトRARαおよびRARβ、およびβRE−Lucである。
3.受容体遺伝子の解析:
前記形質移入後4〜6時間にて、前記形質移入法で処理した細胞にリガンド薬物を追加し、レポーター遺伝子解析の全イベルメクチン濃度は、前記実施例では0.5μMである。図2では、各核受容体に特異的なリガンドおよびその濃度が、FXR、0.5μM GW4064;PPARα、1μM GW590735;PPARδ、1μM GW0472;PPARγ、1μMロシグリタゾン;グルココルチコイド受容体(GR)、0.1μMデキサメタゾン;プロゲステロン受容体(PR)、0.1μMプロゲステロン;RARおよびRARβ、1μMオールトランス型レチノイン酸;PXR、10μMリファンピシン;CAR、5μM CITCO((6−(4−クロロフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−5−ホルムアルデヒド−O−(3,4−ジクロロベンジル)エチルケトキシム)である。前記リガンド薬物を18時間処理後、Promega Coのダブルルシフェラーゼレポーター遺伝子解析キットを用い、前記レポーター遺伝子の活性解析を行う。ルシフェラーゼ検出実験用に細胞を溶解し、溶解した細胞10μlを96ウェルプレートに移し、ルシフェラーゼ反応液50μlを加えた後、EnSpire(商標)2300 Multimode Reader(PerkinElmer)を用いて560nmの発光シグナルを検出し、前記ルシフェラーゼの反応を停止させるためにStop & Glo(登録商標)反応液を加え、ウミシイタケルシフェラーゼ活性を検出する。ウミシイタケ活性をレポーター遺伝子活性の内部標準として用いる。
前記形質移入後4〜6時間にて、前記形質移入法で処理した細胞にリガンド薬物を追加し、レポーター遺伝子解析の全イベルメクチン濃度は、前記実施例では0.5μMである。図2では、各核受容体に特異的なリガンドおよびその濃度が、FXR、0.5μM GW4064;PPARα、1μM GW590735;PPARδ、1μM GW0472;PPARγ、1μMロシグリタゾン;グルココルチコイド受容体(GR)、0.1μMデキサメタゾン;プロゲステロン受容体(PR)、0.1μMプロゲステロン;RARおよびRARβ、1μMオールトランス型レチノイン酸;PXR、10μMリファンピシン;CAR、5μM CITCO((6−(4−クロロフェニル)イミダゾ[2,1−b][1,3]チアゾール−5−ホルムアルデヒド−O−(3,4−ジクロロベンジル)エチルケトキシム)である。前記リガンド薬物を18時間処理後、Promega Coのダブルルシフェラーゼレポーター遺伝子解析キットを用い、前記レポーター遺伝子の活性解析を行う。ルシフェラーゼ検出実験用に細胞を溶解し、溶解した細胞10μlを96ウェルプレートに移し、ルシフェラーゼ反応液50μlを加えた後、EnSpire(商標)2300 Multimode Reader(PerkinElmer)を用いて560nmの発光シグナルを検出し、前記ルシフェラーゼの反応を停止させるためにStop & Glo(登録商標)反応液を加え、ウミシイタケルシフェラーゼ活性を検出する。ウミシイタケ活性をレポーター遺伝子活性の内部標準として用いる。
6.マウス試験
9〜10週齢の野生型C57BL/6Jマウスと、背景が同一のFXR遺伝子欠失ホモ接合性マウス(FXR−/−)および糖尿病および肥満マウスモデルのマウス(KK−Ay)を使用し、厦門大学の実験動物施設にあるSPF級飼育室で高脂肪食(Research Diets、D12492)を給餌し、水は自由に摂取させる。マウスは、対照群、イベルメクチンまたはその誘導体投与群、および/またはGW4064投与群に分け、対照溶液(40% HBC(2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン))、対照溶液で希釈したイベルメクチンまたはその誘導体(注入量は薬物重量/マウス体重で計算すると1.3mg/kg)、および対照溶液で希釈したGW4064(30mg/kg)をそれぞれ腹腔内注射する。腹腔内注射は毎朝9時に1回行い、14日間継続し、2日ごとにマウスの体重と食餌摂取量を測定する。14日目の最後にマウスに自由に水を摂取させ、6時間飢餓状態とした後、マウスの体重を測定、注射試験処置前の初期体重と比較した最終体重の割合がマウスの体重変化を示している。次に、眼球から採血を行い、血清を分取する。血清の成分は、それぞれ糖−オキシダーゼ法(Beijing Applygen);インスリン(Crystal Chem.Inc.、米国);総コレステロールおよび高/低密度リポタンパク質コレステロール(Bioassay Systems、米国);トリグリセリド(Beijing Applygenおよび和光純薬工業、日本);遊離脂肪酸(Bioassay Systems、米国);およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼ(Biosino Bio−technologyおよびScience Inc.、中国北京)のキットにより検出する。マウス肝臓を採取し、その一部をパラホルムアルデヒド固定、パラフィン包埋、切片化し、ヘマトキシリンおよびエオシン染色し、また一部を蛍光定量PCRにより遺伝子発現測定用のRNA抽出に使用するため、液体窒素で凍結保存する。
9〜10週齢の野生型C57BL/6Jマウスと、背景が同一のFXR遺伝子欠失ホモ接合性マウス(FXR−/−)および糖尿病および肥満マウスモデルのマウス(KK−Ay)を使用し、厦門大学の実験動物施設にあるSPF級飼育室で高脂肪食(Research Diets、D12492)を給餌し、水は自由に摂取させる。マウスは、対照群、イベルメクチンまたはその誘導体投与群、および/またはGW4064投与群に分け、対照溶液(40% HBC(2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン))、対照溶液で希釈したイベルメクチンまたはその誘導体(注入量は薬物重量/マウス体重で計算すると1.3mg/kg)、および対照溶液で希釈したGW4064(30mg/kg)をそれぞれ腹腔内注射する。腹腔内注射は毎朝9時に1回行い、14日間継続し、2日ごとにマウスの体重と食餌摂取量を測定する。14日目の最後にマウスに自由に水を摂取させ、6時間飢餓状態とした後、マウスの体重を測定、注射試験処置前の初期体重と比較した最終体重の割合がマウスの体重変化を示している。次に、眼球から採血を行い、血清を分取する。血清の成分は、それぞれ糖−オキシダーゼ法(Beijing Applygen);インスリン(Crystal Chem.Inc.、米国);総コレステロールおよび高/低密度リポタンパク質コレステロール(Bioassay Systems、米国);トリグリセリド(Beijing Applygenおよび和光純薬工業、日本);遊離脂肪酸(Bioassay Systems、米国);およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼ(Biosino Bio−technologyおよびScience Inc.、中国北京)のキットにより検出する。マウス肝臓を採取し、その一部をパラホルムアルデヒド固定、パラフィン包埋、切片化し、ヘマトキシリンおよびエオシン染色し、また一部を蛍光定量PCRにより遺伝子発現測定用のRNA抽出に使用するため、液体窒素で凍結保存する。
7.蛍光定量PCRによる遺伝子発現の測定
肝組織は対照(40% HBC)またはイベルメクチンを投与した野生型マウス、およびFXRノックアウトマウスモデルから、また対照、GW4064、またはイベルメクチンを投与したKK−Ayマウスモデルから採取し、次に−80℃の冷凍庫で凍結保存する。RNA抽出キット(Omega Bio−Tek、GA)を用い、組織から全RNAを抽出する。TAKARA逆転写キットを用いて逆転写を行い、CFX(商標)96(BIO−RAD)リアルタイムモニタリングシステムとSYBR緑色蛍光色素を用いて蛍光定量PCRを行い、遺伝子発現レベルを分析できるようにする。アクチン遺伝子の発現レベルを結果の内部標準として用いる。反応系はSYBR Premix Ex Taq(2×)12.5μl、PCRフォワードプライマー(10μM)1μl、PCRリバースプライマー(10μM)1μl、cDNA鋳型2μl、および滅菌蒸留水8.5μlを有し、全量を25μlとする。2段階増幅PCR法は、変性前に95℃30秒、PCR反応は95℃5秒、60℃40秒とし、40サイクル行う。
肝組織は対照(40% HBC)またはイベルメクチンを投与した野生型マウス、およびFXRノックアウトマウスモデルから、また対照、GW4064、またはイベルメクチンを投与したKK−Ayマウスモデルから採取し、次に−80℃の冷凍庫で凍結保存する。RNA抽出キット(Omega Bio−Tek、GA)を用い、組織から全RNAを抽出する。TAKARA逆転写キットを用いて逆転写を行い、CFX(商標)96(BIO−RAD)リアルタイムモニタリングシステムとSYBR緑色蛍光色素を用いて蛍光定量PCRを行い、遺伝子発現レベルを分析できるようにする。アクチン遺伝子の発現レベルを結果の内部標準として用いる。反応系はSYBR Premix Ex Taq(2×)12.5μl、PCRフォワードプライマー(10μM)1μl、PCRリバースプライマー(10μM)1μl、cDNA鋳型2μl、および滅菌蒸留水8.5μlを有し、全量を25μlとする。2段階増幅PCR法は、変性前に95℃30秒、PCR反応は95℃5秒、60℃40秒とし、40サイクル行う。
特定の実施例を以下に提供する。
イベルメクチンは、高い親和性と高い特異性を持つ新規FXRリガンドであることが証明されている。
リガンドはFXRを誘導し、FXR結合後に共調節因子を動員することができるため、FXRに対する親和性を検査することができる。FXRの特異的リガンドはAlphaScreenによりスクリーニングし、イベルメクチン、アバメクチン/アベルメクチン、およびドラメクチンのFXRに対する親和性が合成GW4064の親和性とは1桁未満異なることが分かり、GW4064のFXRに対する親和性の50%効果濃度(EC50)は140nMであり、この実験におけるイベルメクチン、ドラメクチン、およびアバメクチン/アベルメクチンのEC50はそれぞれ400nM、500nM、1.25μMである(図1)。イベルメクチン、アバメクチン/アベルメクチン、およびドラメクチンは非常に高い親和性でFXRに結合することが示唆される。イベルメクチンがFXRに特異的に結合できることを証明するため、我々は、FXRの内因性レポーター遺伝子EcREとプラスミド発現全長FXRを用い、COS−7細胞を同時形質移入する。この結果は、検出された異なる核受容体について、イベルメクチンがFXRの転写活性を特異的に活性化させることができ、他の検出された核受容体には作用しないことを示す(図2)。このことは、FXRリガンドとしてのイベルメクチンの特異性が高いことを示す。
FXR/イベルメクチン錯体の結晶構造解析
分子レベルでのイベルメクチンとFXR間の認識および結合の分子的メカニズムを明らかにするため、FXR/イベルメクチンにより形成した錯体および補抑制体NCoRの核受容体結合モチーフの結晶構造を解析し、分解能は2.8である(付録1および図3)。前記構造は、イベルメクチンとFXRリガンドの結合ドメインが古典的な「サンドイッチ」構造に一致することを示す。電子雲の図から、イベルメクチンがFXRのリガンド結合ポケットに明らかに存在していることを確認することができる(図4)。前記構造から、イベルメクチンが結合することで、FXRカルボキシ末端AF−2の古典的らせん構造が変化していることを確認でき(図3)、これは、FXRを誘導し、活性化補助因子および補抑制体を動員、結合するという点で、イベルメクチンが合成FXRリガンドGW4064とは異なる機能様式を有し、イベルメクチンが独特の結合様式でFXRの機能を制御している可能性があることを示している。FXRのイベルメクチンへの結合パターンに関する具体的な情報については、付録1を参照することができる。
分子レベルでのイベルメクチンとFXR間の認識および結合の分子的メカニズムを明らかにするため、FXR/イベルメクチンにより形成した錯体および補抑制体NCoRの核受容体結合モチーフの結晶構造を解析し、分解能は2.8である(付録1および図3)。前記構造は、イベルメクチンとFXRリガンドの結合ドメインが古典的な「サンドイッチ」構造に一致することを示す。電子雲の図から、イベルメクチンがFXRのリガンド結合ポケットに明らかに存在していることを確認することができる(図4)。前記構造から、イベルメクチンが結合することで、FXRカルボキシ末端AF−2の古典的らせん構造が変化していることを確認でき(図3)、これは、FXRを誘導し、活性化補助因子および補抑制体を動員、結合するという点で、イベルメクチンが合成FXRリガンドGW4064とは異なる機能様式を有し、イベルメクチンが独特の結合様式でFXRの機能を制御している可能性があることを示している。FXRのイベルメクチンへの結合パターンに関する具体的な情報については、付録1を参照することができる。
FXRリガンド結合ポケットの独特なイベルメクチン結合部位
イベルメクチンが直接結合することのできるFXRリガンド結合ポケットのアミノ酸部位を検証するため、FXR−イベルメクチン錯体の構造に従い、FXRのイベルメクチンへの結合に重要な部位を点突然変異させ、イベルメクチンのFXRに対する結合に対するこれらの結合部位の重要性を決定するため、前記リガンドにより制御される変異したFXRの転写活性の変化を検出する。
イベルメクチンが直接結合することのできるFXRリガンド結合ポケットのアミノ酸部位を検証するため、FXR−イベルメクチン錯体の構造に従い、FXRのイベルメクチンへの結合に重要な部位を点突然変異させ、イベルメクチンのFXRに対する結合に対するこれらの結合部位の重要性を決定するため、前記リガンドにより制御される変異したFXRの転写活性の変化を検出する。
291位のアラニン(A)は、FXRリガンド結合ドメインのサイズを制御する重要な役割を果たす。A291をトリプトファン(W)に変異させると、アラニンよりもはるかに大きいトリプトファンの側鎖官能基が前記リガンド結合ポケットの空間を占めることで、FXRリガンド結合ポケットが小さくなり、FXRリガンドの結合に影響するようになる。予想と一致し、レポーター遺伝子の解析実験結果は、A291Wが変異したことでGW4064となり、イベルメクチンはFXRの転写活性を活性化させることができないことを示している(図5)。これは、FXRの291位のアラニン残基がGW4064またはイベルメクチンの結合とFXRの転写活性の活性化に非常に重要であることを示している。
疎水性鎖284位のフェニルアラニン(F)は、それぞれGW4064およびイベルメクチンと疎水性相互作用を形成することができ、前記リガンドと受容体の結合を安定化させる。F284がヒスチジン(H)に変異すると、これら2種類の疎水性相互作用が消失する。しかし、他の態様では、GW4064についてヒスチジンへの変異後、ヒスチジン側鎖がGW4064と塩素による結合相互作用を形成する可能性があるため、疎水性相互作用が消失することで、イベルメクチンがFXRの転写活性を活性化することができなくなるが、GW4064の活性化能力に影響はない(図5)。これは、イベルメクチンのFXRリガンド結合ポケットへの結合パターンが独特であり、GW4064とは異なっていることを示している。
さらに、L287TおよびH447Fの変異はGW4064を介したFXRの転写活性を有意に低下させるが、イベルメクチンによるFXR転写活性の活性化を有意に亢進させる(図5)。これも、GW4064とイベルメクチンはFXRに対する結合様式が大きく異なっていることを示しており、FXR機能の制御も大幅に異なる。
イベルメクチンは哺乳類のサッカライドおよび脂質の代謝を効果的に制御することができる。
重要な核受容体としてのFXRは、肝臓および小腸における胆汁酸の循環と平衡状態を制御する、胆汁酸の受容体として最初に利用されている。最近、FXRは微生物のサッカライドおよび脂質の代謝を制御できることが分かった。合成FXRリガンドのGW4064はFXRを介して血中の脂質およびコレステロール値を低下させることができるが、GW4064には細胞毒性と有効性の限界があるため、臨床的には使用できず、さらに、GW4064は高血糖および肥満を軽減することができることを示した報告があるが、同時に、GW4064は体内の血糖値に有意な効果を示さないと提示している論文もあり、GW4064を長期的に摂取すると、マウスでは肥満になると示唆した報告さえある。したがって、GW4064による血糖値の制御については議論されている。FXRの新規リガンド薬物を見つける方が重要で意味のあることであるかもしれない。
イベルメクチンによるマウスモデルの生理的制御機能を検出するため、野生型およびFXRノックアウトマウスを用い、試験を行う。高脂肪食を与えたマウスに腹腔内注射を行った後、特定の実施形態で説明したとおり、2週間、対照薬、イベルメクチン、またはその誘導体を使用し、前記薬物がマウスの食餌摂取量に影響を与えない場合(図6)、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体のドラメクチンの投与が野生型マウス血清のグルコース(図6および7)およびコレステロール(図7、8、および9)値を有意に低下させるが、FXRノックアウトマウスでは有意な変化が生じないことが分かっている。イベルメクチンの投与は野生型マウスの血清インスリン値を有意に低下させるが(図7)、これは、イベルメクチンがインスリン感受性を上昇させることで、血糖値を低下させる作用を持つことを示している。ただし、FXRノックアウトマウスでは、前記薬物の投与により血糖値、インスリン値、およびコレステロール値に有意な変化はなく、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体のドラメクチンがFXRを介して血清の血糖値、インスリン値、およびコレステロール値を制御していることを示している。アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体のドラメクチンはマウスの血清コレステロール値をダウンレギュレートし、これには高密度リポタンパク質コレステロール値の有意なダウンレギュレートだけでなく、低密度および超低密度リポタンパク質コレステロール値のダウンレギュレートも含む。さらに、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体のドラメクチンは野生型マウスの血清トリグリセリド(Tg)値も有意に低下させる(図10)。重要なことに、アバメクチン/アベルメクチンおよびドラメクチンを投与したマウス体内の精巣上体脂肪体特有の重量も有意に減少し(図10)、これは肥満に対する治療効果を示している。血清アラニンアミノトランスフェラーゼおよびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性の検出は(図11)、イベルメクチンがトランスアミナーゼ活性に影響しないことを示している。イベルメクチンを投与したマウスの肝臓をパラフィン包埋し、ヘマトキシリンおよびエオシン染色するが(図12)、これは、イベルメクチンが肝細胞を損傷しないことを示している。
リガンド薬物を投与したマウス肝臓におけるサッカライド、脂質、およびコレステロール代謝と関連した遺伝子の発現を、蛍光定量リアルタイムPCRで検出する。この結果は、サッカライド、脂質、およびコレステロール代謝に関連した遺伝子の発現制御と一致し、イベルメクチンが血糖値、血中脂質、およびコレステロール低下の生理的機能を達成できることを示しており(図13)、イベルメクチンがFXRを介して代謝関連遺伝子の発現を制御でき、生理的機能を制御できることを示している。これらの結果は、イベルメクチンがFXRの特異的リガンドであることを示しており、また、in vivoでのイベルメクチンによる生理的機能の制御がFXRにより達成されることも証明している。
アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体のドラメクチンの糖尿病マウスモデルにおける作用
アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体のドラメクチンは、FXRのリガンドとして正常なマウス体内の代謝制御に重要な役割を果たしている可能性があり、問題は、病的マウスでも治療効果の改善を示す可能性があるか否かである。アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体のドラメクチンの糖尿病および肥満マウスモデル体内における有効性を検出するため、糖尿病および肥満マウスモデルであるKK−Ayマウスを被験動物として選択している。上記マウスは約8〜12週齢で重大な高血糖および糖尿病症状を示すことができる。実験では、9〜10週齢のKK−Ayマウスを使用し、高脂肪食を与え、14日間薬物を腹腔内注射し、マウスの食餌摂取量に影響がなければ(図14)、イベルメクチンおよびGW4064は血清コレステロール、トリグリセリド、および遊離脂肪酸の内容量を有意に低下させているが(図16)、血糖値の態様では、イベルメクチンは血清サッカライドおよびインスリン値を有意に低下させており、これは、イベルメクチンがインスリン感受性の亢進により血糖値を低下させる作用を発揮していることを示しており、この態様では、イベルメクチンはFXRリガンドとしての機能がGW4064よりも有意に優れている(図15)。さらに、イベルメクチンの投与はKK−Ayマウスの体重を有意に低下させ、この点もGW4064より明らかに優れていることを示している(図14)。これらの結果は、イベルメクチンが血糖値、血中脂質、およびコレステロールを平衡化し、糖尿病および肥満モデルマウスの体重増加を抑制する優れた作用を持ち、合成リガンドのGW4064よりも機能および治療効果が優れていることを示している。
アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体のドラメクチンは、FXRのリガンドとして正常なマウス体内の代謝制御に重要な役割を果たしている可能性があり、問題は、病的マウスでも治療効果の改善を示す可能性があるか否かである。アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、およびその誘導体のドラメクチンの糖尿病および肥満マウスモデル体内における有効性を検出するため、糖尿病および肥満マウスモデルであるKK−Ayマウスを被験動物として選択している。上記マウスは約8〜12週齢で重大な高血糖および糖尿病症状を示すことができる。実験では、9〜10週齢のKK−Ayマウスを使用し、高脂肪食を与え、14日間薬物を腹腔内注射し、マウスの食餌摂取量に影響がなければ(図14)、イベルメクチンおよびGW4064は血清コレステロール、トリグリセリド、および遊離脂肪酸の内容量を有意に低下させているが(図16)、血糖値の態様では、イベルメクチンは血清サッカライドおよびインスリン値を有意に低下させており、これは、イベルメクチンがインスリン感受性の亢進により血糖値を低下させる作用を発揮していることを示しており、この態様では、イベルメクチンはFXRリガンドとしての機能がGW4064よりも有意に優れている(図15)。さらに、イベルメクチンの投与はKK−Ayマウスの体重を有意に低下させ、この点もGW4064より明らかに優れていることを示している(図14)。これらの結果は、イベルメクチンが血糖値、血中脂質、およびコレステロールを平衡化し、糖尿病および肥満モデルマウスの体重増加を抑制する優れた作用を持ち、合成リガンドのGW4064よりも機能および治療効果が優れていることを示している。
アバメクチン/アベルメクチンおよびドラメクチンに関する同様の試験をKK−Ayマウスで行い、マウスの食餌摂取量に影響がなければ(図17)、アバメクチン/アベルメクチンおよびドラメクチンはKK−Ayマウス血清のグルコース値(図17)、高密度リポタンパク質および低密度/超低密度リポタンパク質コレステロール、およびトリグリセリド(図18)を有意に低下させることもでき、肥満マウスの相対的体重も有意に低下できることが分かっている。これらのデータは、イベルメクチンおよびその誘導体が糖尿病および肥満に良好な治療効果を持つことを示している。
イベルメクチンはFXRを介してLPS誘導性炎症性反応を阻害する
最近、一部の報告で、イベルメクチンがLPS誘導性炎症性反応を阻害し、過剰なLPSにより誘導されるマウスの死亡を抑制することができることが示された。一方で、イベルメクチンはアレルギー性喘息の治療に有意な治療効果を示すが、具体的な作用機序は分かっていない。イベルメクチンおよびLPSは、野生型およびFXRノックアウトマウス肝細胞の治療に使用される。野生型マウス肝細胞では、イベルメクチンが例えばiNOS、TNFa、IL−6、およびMIP−1aなどの炎症性因子の発現を明らかに抑制する可能性があるが(図19)、FXRノックアウトマウスの肝細胞では明らかな変化は認められない。この結果は、イベルメクチンによるLPS誘導性炎症性反応の抑制は、FXRを介して達成されることを示している。
最近、一部の報告で、イベルメクチンがLPS誘導性炎症性反応を阻害し、過剰なLPSにより誘導されるマウスの死亡を抑制することができることが示された。一方で、イベルメクチンはアレルギー性喘息の治療に有意な治療効果を示すが、具体的な作用機序は分かっていない。イベルメクチンおよびLPSは、野生型およびFXRノックアウトマウス肝細胞の治療に使用される。野生型マウス肝細胞では、イベルメクチンが例えばiNOS、TNFa、IL−6、およびMIP−1aなどの炎症性因子の発現を明らかに抑制する可能性があるが(図19)、FXRノックアウトマウスの肝細胞では明らかな変化は認められない。この結果は、イベルメクチンによるLPS誘導性炎症性反応の抑制は、FXRを介して達成されることを示している。
FXR/イベルメクチン錯体の構造に基づくイベルメクチン誘導体の薬物デザイン
上記の例から、イベルメクチンは駆虫剤とは全く異なる機能を有し、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、および肥満などの哺乳類の代謝関連疾患、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、および癌などのファルネソイドX受容体性疾患の治療に新しい使用を有することが分かる。さらに、FXRがイベルメクチンに結合したところを構造解析した3次元結晶構造パターンに従い(付録1)、イベルメクチンを安全なリーディング化合物として、イベルメクチンの分子構造を薬物デザインの鋳型として、イベルメクチンとFXRの結合部位とともに、またその構造機能関係を補助に用い、一部のイベルメクチンの官能基を適切に修飾することで、前記リガンドと受容体との結合親和性および特異性が改善する可能性があり、最適な有効性を達成し、リガンド薬物の量を最小限として最適な薬剤治療効果を達成し、細胞および微生物体に対する薬物の毒性を低下させるようにする。イベルメクチンの構造式は以下の通りである。
上記の例から、イベルメクチンは駆虫剤とは全く異なる機能を有し、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、および肥満などの哺乳類の代謝関連疾患、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、および癌などのファルネソイドX受容体性疾患の治療に新しい使用を有することが分かる。さらに、FXRがイベルメクチンに結合したところを構造解析した3次元結晶構造パターンに従い(付録1)、イベルメクチンを安全なリーディング化合物として、イベルメクチンの分子構造を薬物デザインの鋳型として、イベルメクチンとFXRの結合部位とともに、またその構造機能関係を補助に用い、一部のイベルメクチンの官能基を適切に修飾することで、前記リガンドと受容体との結合親和性および特異性が改善する可能性があり、最適な有効性を達成し、リガンド薬物の量を最小限として最適な薬剤治療効果を達成し、細胞および微生物体に対する薬物の毒性を低下させるようにする。イベルメクチンの構造式は以下の通りである。
前記構造式を構造的基礎として用い、前記構造式のC3−C4、C8−C9、C10−C11、およびC14−C15炭素−炭素二重結合を修飾し、C5、C7、およびC4’’位のヒドロキシル基を修飾し、C4、C12、C14、C24、およびC25位の側鎖を修飾し、C13位のグリコシルを加水分解し、他の官能基を置換などにより修飾する。単一の修飾または上記の様々な修飾の併用は、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、および肥満など、哺乳類の代謝関連疾患、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、および癌などのファルネソイドX受容体性疾患を治療する上で、応用上の価値を有する可能性がある。上記のデザインの法則に従い、アバメクチン/アベルメクチン、ドラメクチンなどは前記法則と一致した誘導体でもあり、マウスの試験では、これらの化合物が哺乳類のサッカライドおよび脂質代謝において、良好な制御機能および治療効果を有することも証明されている。
産業上の適用性
本発明は、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、および肥満などの哺乳類の代謝関連疾患治療薬、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、および癌などのファルネソイドX受容体性疾患の治療薬調製における、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、ドラメクチンおよび他の誘導体またはこれらのいずれか1つを含む組成物の使用について提供する。
本発明は、高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、および肥満などの哺乳類の代謝関連疾患治療薬、および胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、および癌などのファルネソイドX受容体性疾患の治療薬調製における、アバメクチン/アベルメクチン、イベルメクチン、ドラメクチンおよび他の誘導体またはこれらのいずれか1つを含む組成物の使用について提供する。
出願日前の本発明に関連した参考資料
1.中国特許CN 1933856
2.中国特許CN 1777433
1.中国特許CN 1933856
2.中国特許CN 1777433
Claims (15)
- 請求項1、2または3記載の使用において、前記化合物または組成物がイベルメクチン、アバメクチン/アベルメクチン、およびドラメクチンの誘導体を有することを特徴とする使用。
- 請求項1、2または3記載の使用において、代謝関連疾患、胆汁うっ滞、胆石、非アルコール性脂肪肝、アテローム性動脈硬化症、炎症、および癌を有するファルネソイドX受容体関連疾患を治療するための薬剤を調製する際に、前記イベルメクチン、アバメクチン/アベルメクチン、およびドラメクチンを使用することを特徴とする使用。
- 請求項1、2または3記載の使用において、哺乳類における代謝関連疾患を治療するための薬剤を調製する際に使用することを特徴とする使用。
- 請求項6記載の使用において、前記代謝関連疾患が高血糖、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、糖尿病、または肥満を有することを特徴とする使用。
- 請求項6記載の使用において、前記代謝関連疾患が糖代謝関連疾患を有することを特徴とする使用。
- 請求項6記載の使用において、前記代謝関連疾患が脂質代謝関連疾患を有することを特徴とする使用。
- 請求項5〜9記載の使用において、前記誘導体がイベルメクチン、アバメクチン/アベルメクチン、およびドラメクチンを基にデザインおよび合成された新規誘導体であることを特徴とする使用。
- 請求項10記載の新規誘導体をデザインおよび合成する方法であって、特に、この方法では、イベルメクチン、アバメクチン/アベルメクチン、およびドラメクチンの構造式が構造的基礎として利用され、前記構造式のC3−C4、C8−C9、C10−C11、C14−C15、およびC22−C23の炭素−炭素二重結合が修飾され、C5、C7、およびC4’’位のヒドロキシル基が修飾され、C4、C12、C14、C24、およびC25位の側鎖が修飾され、C13位のグリコシルが加水分解され、他の官能基が置換により修飾されることを特徴とする方法。
- 請求項10記載の新規誘導体をデザインおよび合成する方法であって、特に、前記新規誘導体が高い親和性を有するファルネソイドX受容体に特異的に結合することによってデザインおよび合成されることを特徴とする方法。
- 請求項11または12記載の新規誘導体をデザインおよび合成する方法において、前述の任意の単一の修飾および様々な修飾の組み合わせを有することを特徴とする方法。
- 請求項1〜10のいずれか1つに記載の使用において、請求項1〜3および10〜12に記載される化合物の薬学的に許容される塩を有することを特徴とする使用。
- 請求項1〜10のいずれか1つに記載の使用において、請求項1〜3および10〜12に記載される化合物の薬学的に許容される賦形剤を有することを特徴とする使用。
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