JP2015526506A - アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分を有効成分として含有するがんの予防又は治療のための組成物 - Google Patents

アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分を有効成分として含有するがんの予防又は治療のための組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、がんを予防及び治療する組成物に関し、該組成物はアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分を有効成分として含有する。本発明によるアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分は、がん細胞株の成長及びヒト体内の免疫機能に重要な役割を果たすシグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)の活性を抑制し、そのようにして大腸がん、胃がん、前立腺がん、乳がん、腎がん、肝がん、脳腫瘍、肺がん、子宮がん、大腸がん、膀胱がん、又は膵臓がん等のがんの予防及び治療に有効に使用され得る。【選択図】図2

Description

本発明は、アルトカルプス・アルティリス(Artocarpus Altilis)の果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分を有効成分として含む、がんを予防及び治療する組成物に関する。
ヒト文明の発達によってがんの発症率が増加しているにもかかわらず、がん治療法は、いまだ外科手術、放射線療法及び約40もの非常に強い細胞毒性を持つ抗がん剤を使用する化学療法のみに頼っている。これらの治療法は、初期段階のがん患者のみに有効であるか、又は特定のがんに限定されるため、がんによる死亡率の増加を食い止めることはできない。
がんは、最も治癒しにくい疾患であり、がん発症及び進行のメカニズムは、血管疾患、免疫疾患、及びリウマチ等の他の疾患と密接に関連している。そのような考えに基づいて、様々な抗がん剤及び標的機構が研究されてきた。特定の分子を標的とする選択的な抗がん剤は、治療がより安全で効果的であるのみならず、テーラーメード医療(tailored medicine)及び併用療法に適用可能であることから注目されている。
STAT3は、様々なサイトカイン及び成長因子に関連して細胞内シグナル伝達を介して細胞の成長、分化、及びアポトーシスに関わる遺伝子の発現を調節する転写調節因子であり、また過剰発現及び異常な活性化により腫瘍細胞の悪性がん細胞への変換に或る特定の役割を果たす。STAT3の活性化は、受容体タンパク質による細胞外サイトカイン又は成長因子(例えば、EGF、PDGF、及びIL−6等)の認識、又はSrc若しくはRas等のがんを誘発するタンパク質によるリン酸化によって引き起こされる。
STAT3を活性化するため、通常は受容体タンパク質又はチロシンをリン酸化する非受容体型タンパク質によるチロシン705のリン酸化が必要である。STAT3のチロシン705をリン酸化することができる代表的なタンパク質は、上皮成長因子受容体(EGFR)、Src、ヤヌス活性化キナーゼ(JAK)活性化酵素、及び細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)等である。
上述のように、STATは、シグナル伝達兼転写調節タンパク質であり、サイトカイン、ホルモン、及び成長因子等の細胞外刺激によって活性化されてチロシン残基のリン酸化をもたらし、その間に、STATはSH2ドメインによる相互作用を介してダイマーとなり、その後、核内に移行して特定のプロモーターと結合する。核内のSTATは、がん細胞の成長に重要な役割を果たすcycline D及びsurvivinの発現を加速し、またがん細胞のアポトーシスを抑制するBcl−xL、Bcl−2、及びMcl−1の発現を誘導する。また、STATは、がん転移において重要な役割を果たすVEGFの発現を加速する。STATのシグナル系は、脱リン酸化及びタンパク質の分解によって停止され得る。
3種類のSTATタンパク質、STAT1、STAT3、及びSTAT5の活性型は、様々ながんに見出される。特に、STAT3は、白血病を含む血腫のみならず、乳がん、頭頸部がん、黒色腫、卵巣がん、肺がん、膵臓がん、及び前立腺がん等の固形腫瘍においても活性化され、がん治療の重要な標的となり得ることを示唆している(非特許文献1)。
よって、STAT3活性の抑制は、アポトーシス誘導(非特許文献2)、血管新生抑制(非特許文献3)、及び免疫回避の妨害(非特許文献4)等の抗がんメカニズムの組合せを使用する効果的で実用的な抗がん剤の開発において重要なコア技術である。したがって、モノロジックな(monologic)作用を特徴とする従来の抗がん剤よりも更に大きな治療効果を期待することができる。STATタンパク質は、腫瘍関連機構に関与するのみならず、様々な他の細胞内機能にも関与する。そのため、STAT阻害剤の開発は、免疫阻害剤、さらには抗糖尿病薬の開発に重要なコア技術となり得る。STATの主要な免疫関連機能は、特定の遺伝子ノックアウトマウスを用いた実験により開示されている。関連する標的遺伝子もまた、以下の通り情報が提供されている(非特許文献5)。
コロンビア大学の研究者らは、彼らの研究を「STAT3が異常な間葉系系統を伴う神経幹細胞をリプログラムする」(非特許文献6)と報告した。STAT3は、がん幹細胞の増殖に関わるわずかな遺伝子の1つであり、これは該遺伝子が、がんの6つの典型的な機能、すなわち成長、転移、血管新生、アポトーシスの回避、組織侵入、及び細胞の不死化を調節することを意味する。がん幹細胞が、がんの転移、治療抵抗性、及び再発に関わることが知られている。したがって、抗がん剤の開発に関する最近の研究は、主にがん幹細胞を標的としている。
パンノキ(breadfruit tree)の学名は、アルトカルプス・アルティリス(パーキンソン)フォスベルグ(Artocarpus altilis (Parkinson) Fosberg)であり、この木は、東南アジア及びアフリカで眼の痛み及び坐骨神経痛を治療する伝統的な民間薬として使用されてきた。近年、この生薬によるマラリア又はデング熱の治療も試みられている。そのため、パンノキは、眼の痛み及び坐骨神経痛の治療に使用され、マラリア、黄熱病、及びデング熱の治療に有効であることが確認され、さらには特にインドネシアで肝硬変、高血圧、及び糖尿病の治療に使用されていると言える(非特許文献7;非特許文献8)。
本発明者らは、STAT3の活性を調節し得る様々な伝統的な生薬由来の資源をスクリーニングし、後に、サルビア・ミルティオリザ(Salvia miltiorrhiza:タンジン)のクリプトタンシノンがSTATのリン酸化を調節することができ、抗がん効果をもたらすことを示す結果を報告した(非特許文献9)。
本発明者らは、STAT3の活性を調節し得る天然素材由来の資源をスクリーニングした。その結果、本発明者らは、アルトカルプス・アルティリスの抽出物又はその画分が、がん細胞の成長阻害効果を呈することによって、直腸がん、前立腺がん、乳がん及び大腸がんのがん細胞株における異常な活性又は過剰発現に関わるSTAT3の活性を効果的に抑制することができ、そのため、STAT3活性に起因する疾患及びがんの治療に有効に使用できることを確認することにより本発明を完成した。
Hua Yu and Richard Jove, Nature Review Cancer (2004), 8, 945 Catlett-Falcone R. et al., Immunity (1999), 10, 105 Niu, G. et al., Oncogene (2002), 21, 2000 Wang T. et al., Nature Medicine (2004), 10, 48 Nature Review Cancer 9, 798, 2009 Nature 463, 318, 2010 J. Agric. Food Chem. 60, 3867, 2012 Phytotherapy Res. 20, 1052, 2006 Cryptotanshinone Inhibits Constitutive Signal Transducer and Activator of Transcription 3 Function through Blocking the Dimerization in DU145 Prostate Cancer Cells, Cancer Research 69, 193, 2009
本発明は、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分を有効成分として含む、がんの予防及び治療のための医薬組成物、又はがんの予防及び改善のための健康機能食品を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はその画分を有効成分として含む、がんの予防及び治療のための医薬組成物を提供する。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はその画分を有効成分として含む、がんの予防及び改善のための健康機能食品組成物を提供する。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の薬学的に有効な投与量を、がんを保有する被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを治療する方法を提供する。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の薬物的に有効な投与量を、がんを保有する被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを治療する方法を提供する。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の薬学的に有効な投与量を被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを予防する方法を提供する。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の薬学的に有効な投与量を被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを予防する方法を提供する。
本発明はまた、がんの予防及び治療のための医薬組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の使用を提供する。
本発明はまた、がんの予防及び治療のための医薬組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の使用を提供する。
本発明はまた、がんの予防及び改善のための健康食品組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の使用を提供する。
本発明はまた、がんの予防及び改善のための健康食品組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の使用を提供する。
アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分は、直腸がん、前立腺がん、乳がん、及び大腸がんのがん細胞株における過剰発現及び異常な活性に関わるSTAT3の活性を効果的に抑制して、がん細胞の成長阻害効果を強化し、そのため、がんを予防又は治療する組成物、並びにがんを予防及び改善する健康機能食品に有効に使用することができる。
本発明の好ましい実施形態の適用が、添付の図面を参照して最もよく理解される。
デュアルルシフェラーゼアッセイにより測定される、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物で処理された直腸がん細胞株(HCT116)におけるSTAT3活性の抑制を説明する図である。 アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物で処理された前立腺がん細胞株(DU145)におけるSTAT3活性の抑制、並びに該細胞株における標的タンパク質であるcyclin D1、BCL−XL、BCL−2、VEGF、MCL−1、及びsurvivinの発現を説明する図である。 前立腺がんに対するアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の画分の阻害効果を説明する図である。
本発明で使用される用語を以下に説明する。
本発明で使用される「抗がん」という用語は、がん細胞の形成若しくは増殖の抑制、又はがん細胞の死滅させる能力を阻害若しくは妨害する作用若しくは機能を指す。さらに、この用語は、がんの予防及び治療を意味する。
本発明で使用される「予防」又は「予防する」という用語は、本発明の組成物を投与することによって腫瘍形成を阻害する又は腫瘍の発生を遅延する可能性のあるあらゆる活性を指す。
本発明で使用される「治療」又は「治療する」及び「改善」又は「改善する」という用語は、本発明の組成物を投与することによって上記疾患の症状を改善するか、又は症状を好ましい状態に変化することができる全ての活性を指す。
本発明で使用される「投与」又は「投与する」という用語は、或る特定の量の本発明の組成物を無作為であるが適切な方法により患者に提供する動作を指す。
本発明で使用される「患者」という用語は、本発明の組成物の投与によって改善され得る疾患を患うヒト、並びにサル、イヌ、ヤギ、ブタ、及びラットを含むあらゆる動物を指す。
本発明で使用される「薬学的に有効な投与量」という用語は、疾患を治療するのに十分な量、より正確には、疾患の種類及び重症度、薬物活性、薬物感受性、投与時間、投与経路、排出、治療期間、併用される他の薬物(other drugs co-treated)、並びに本分野の当業者によって考慮される他の要因を考慮することによって決定され得る、組成物の医学的に合理的で適用可能な量又は許容可能な危険量を指す。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物を有効成分として含む、がんの予防及び治療のための医薬組成物を提供する。
上記抽出物が、水、炭素数1〜2の低級アルコール、又はその混合溶媒を使用することにより抽出され得るが、必ずしもこれらに限定されない。
低級アルコールは、好ましくはエタノール又はメタノールであるが、必ずしもこれらに限定されない。
アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物は、以下の工程で構成される調製方法によって調製され得るが、必ずしもこれに限定されない:
1)抽出溶媒をアルトカルプス・アルティリスに添加した後、抽出する工程、
2)工程1)で得られた抽出物を冷却し、それを濾過する工程、及び、
3)工程2)で濾過された抽出物を減圧下で濃縮し、それを乾燥する工程。
上述の方法において、工程1)のアルトカルプス・アルティリスは、栽培されてもよく、又は購入されてもよい。上記アルトカルプス・アルティリスは、その木の果実、葉、又は幹を指すが、必ずしもこれらに限定されない。
アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹を抽出する方法は、濾過、熱水抽出、浸漬抽出、還流冷却抽出及び超音波抽出等の当業者によく知られている従来法のうちの1つであり得るが、好ましくは1回〜5回繰り返す、より好ましくは3回繰り返す熱水抽出であるが、必ずしもこれに限定されない。抽出溶媒の容量は、好ましくはアルトカルプス・アルティリスの乾燥重量の0.1倍〜10倍、より好ましくは上記乾燥重量の0.3倍〜5倍であるが、必ずしもこれらに限定されない。抽出温度は、好ましくは20℃〜40℃であるが、必ずしもこれに限定されない。抽出時間は、好ましくは12時間〜48時間であるが、必ずしもこれに限定されない。
上述の方法では、工程3)における減圧下の濃縮は、減圧濃縮装置又はロータリーエバポレーターを使用して行われるが、必ずしもこれらに限定されない。上述の方法では、乾燥プロセスは、好ましくは低圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥、又は凍結乾燥により行われるが、必ずしもこれらに限定されない。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物は、STAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子3)の活性を抑制すると考えられるが、必ずしもこれに限定されない。
本明細書において上記がんは、大腸がん、胃がん、前立腺がん、乳がん、腎がん、肝がん、脳腫瘍、肺がん、子宮がん、結腸がん、膀胱がん、及び膵臓がんからなる群から選択され得るが、必ずしもこれらに限定されない。
本発明はまた、50%〜100%のメタノールを用いて部分精製して得られたアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の活性画分を有効成分として含むが、必ずしもこれらに限定されない。
本発明の抽出物は、STAT3の活性を抑制すると考えられるが、必ずしもこれに限定されない。
本明細書において上記がんは、大腸がん、胃がん、前立腺がん、乳がん、腎がん、肝がん、脳腫瘍、肺がん、子宮がん、結腸がん、膀胱がん、及び膵臓がんからなる群から選択され得るが、必ずしもこれらに限定されない。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の抗がん効果は、これまで全く開示されていない新規な用途である。本発明者らは、前立腺がん、乳がん、膵臓がん、肺がん等を含むヒトがん細胞株を用いてWST−1試験を行い、該抽出物の効果を証明した。その結果、上記抽出物は、30μg/mL〜50μg/mLの濃度でそれらのがん細胞株において50%成長阻害効果(GI50)を呈した。特に、前立腺がん細胞株がアルトカルプス・アルティリスの葉若しくは幹の抽出物、又はそれらの特定の画分で処理された場合、STAT3のリン酸化が抑制された(図1を参照されたい)。
アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物から得られた特定の画分は、STAT3のリン酸化を抑制することができ、その結果、STAT3関連標的分子であるcyclin D1、Bcl−xl、Bcl−2、VEGF、及びsurvivinの発現を阻害した(図2を参照されたい)。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物は、STAT3の活性を抑制すると考えられるが、必ずしもこれに限定されない。
アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの活性画分がSTAT3の活性を抑制し得るかどうかを調べるため、直腸がん細胞株HCT116にSTAT3の活性に比例してホタルルシフェラーゼの発現を特徴的に増加するプラスミドで形質導入し、またSTAT3の活性に関わらずウミシイタケルシフェラーゼを発現するプラスミドで形質導入した。その後、STAT3の活性を測定した。その結果、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物は、50μg/mLの濃度でSTAT3の活性を50%抑制し、それら抽出物から得られた活性画分は50μg/mLの濃度でSTAT3の活性を75%抑制した。
アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物、及びそれらの活性画分がSTAT3の活性を抑制し得るかどうかを調べるため、前立腺がん細胞株DU145を20μg/mL及び50μg/mLのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の活性画分で処理し、その後、ウェスタンブロッティングを行ってSTAT3の活性を測定した。
STAT3の標的タンパク質であるcyclin D1、Bcl−xl、Bcl−2、VEGF、及びsurvivinもまた、20μg/mL及び50μg/mLのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の活性画分で処理し、その後、ウェスタンブロッティングを行ってSTAT3の活性を測定した。その結果、本発明のアルトカルプス・アルティリスの活性画分は、前立腺がん細胞株DU145においてのみならず、STAT3標的タンパク質であるcyclin D1、Bcl−xl、Bcl−2、VEGF、及びsurvivinにおいても20μg/mL及び50μg/mLの濃度でSTAT3の活性を抑制した。具体的には、上記活性画分は、50μg/mLの濃度でより強力にSTAT3の活性を抑制した。
アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの活性画分が、前立腺がんにおける腫瘍の成長を阻害し得るかどうか、また腫瘍の容積を減少し得るかどうかを調べるため、上記抽出物及び画分を試験マウスに処理した。その結果、アルトカルプス・アルティリスの画分は、該画分30mg/kgで処理された群において腫瘍の成長を35.0%(<0.05)阻害した。腫瘍DU−145を取り出して計量した。その結果、アルトカルプス・アルティリスの画分で処理された群において、腫瘍の重量が42.3%(<0.05)有意に減少された(図3を参照されたい)。
したがって、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分は、がんの成長を阻害するようにSTAT3の活性を効果的に抑制することができ、そのため、がんの予防及び治療のための医薬組成物として有効に使用され得ることが確認された。
本発明のがんの予防及び治療のための組成物は、アルトカルプス・アルティリスの抽出物、それらの画分及びそれらの混合物を含有することができ、さらに、上記のものと同一若しくは類似の機能を有する1又は複数の有効成分を含有することができる。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物、それらの画分及びそれらの混合物は、経口的に又は非経口的に投与され、一般的な医薬製剤の形態で使用され得る。すなわち、本発明の組成物は、一般的に使用される希釈剤、又は賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤及び界面活性剤等の添加剤と混合することによって経口又は非経口投与用に調製され得る。経口投与用の固形製剤は、錠剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤及びカプセル剤である。これらの固形製剤は、本発明の医薬組成物と、デンプン、炭酸カルシウム、ショ糖又は乳糖、ゼラチン等の1又は複数の好適な賦形剤とを混合することによって調製される。単純な賦形剤以外に、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク等を使用することができる。経口投与用液体製剤は、懸濁剤、液剤、乳剤及びシロップ剤であり、上述の製剤は、水及び液体パラフィン等の一般的に使用される単純な希釈剤に加えて湿潤剤、甘味料、香料及び保存剤等の様々な添加剤を含有することができる。非経口投与用製剤は、滅菌水溶液、水不溶性添加剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥調製剤及び坐剤である。水不溶性添加剤及び懸濁剤は、有効な化合物(単数又は複数)に加えて、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エチルオレイン酸のような注射可能なエステル等を含有し得る。坐剤は、有効な化合物(単数又は複数)に加えて、ウィテップゾール、マクロゴール、tween 61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロール、ゼラチン等を含有し得る。本発明の組成物は、非経口的に投与されてもよく、非経口投与として、皮下注射、静脈内注射、及び筋肉内注射が挙げられる。
用量単位(dosage unit)は、例えば、1、2、3若しくは4の個別の投与量、又は個別の投与量の1/2、1/3若しくは1/4を含有し得る。個別の投与量は、好ましくは、1回の適用で投与され、通常は1日当たりの投与量の全部、1/2、1/3、又は1/4に相当する量の有効化合物を含有する。本発明の組成物の有効な用量は、0.01g/kg〜10g/kg、好ましくは0.1g〜5g/kgであり、投与頻度は好ましくは1日に1回〜6回である。しかしながら、投与経路、疾患の重症度、患者の性別、体重、及び年齢等の様々な要因を考慮して用量を調整することができる。したがって、好ましい用量は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
本発明の組成物は、経口投与により試験されたラットを用いた毒性解析により確認される推定LD50値が、ラットにおいて1g/kgよりもはるかに大きいことから安全な物質であると評価される。本発明の組成物は、単独で投与されてもよく、又はがんを予防及び治療するための外科手術、ホルモン療法、化学療法及び生物学的な調節因子と共に処理されてもよい。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物を有効成分として含む、がんの予防及び改善のための健康機能食品組成物を提供する。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の画分を有効成分として含む、がんの予防及び改善のための健康機能食品組成物を提供する。
上記抽出物が、水、炭素数1〜2の低級アルコール、又はその混合溶媒を使用することにより抽出され得るが、必ずしもこれらに限定されない。
低級アルコールは、好ましくはエタノール又はメタノールであるが、必ずしもこれらに限定されない。
アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物は、以下の工程で構成される調製方法によって調製され得るが、必ずしもこれに限定されない:
1)抽出溶媒をアルトカルプス・アルティリスに添加した後、抽出する工程、
2)工程1)で得られた抽出物を冷却し、それを濾過する工程、及び、
3)工程2)で濾過された抽出物を減圧下で濃縮し、それを乾燥する工程。
上述の方法において、工程1)のアルトカルプス・アルティリスは、栽培されてもよく、又は購入されてもよい。上記アルトカルプス・アルティリスは、その木の果実、葉、又は幹を指すが、必ずしもこれらに限定されない。
アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹を抽出する方法は、濾過、熱水抽出、浸漬抽出、還流冷却抽出及び超音波抽出等の当業者によく知られている従来法のうちの1つであり得るが、好ましくは1回〜5回繰り返す、より好ましくは3回繰り返す熱水抽出であるが、必ずしもこれに限定されない。抽出溶媒の容量は、好ましくはアルトカルプス・アルティリスの乾燥重量の0.1倍〜10倍、より好ましくは上記乾燥重量の0.3倍〜5倍であるが、必ずしもこれらに限定されない。抽出温度は、好ましくは20℃〜40℃であるが、必ずしもこれに限定されない。抽出時間は、好ましくは12時間〜48時間であるが、必ずしもこれに限定されない。
上述の方法では、工程3)における減圧下の濃縮は、減圧濃縮装置又はロータリーエバポレーターを使用して行われるが、必ずしもこれらに限定されない。上述の方法では、乾燥プロセスは、好ましくは低圧乾燥、真空乾燥、沸騰乾燥、噴霧乾燥、又は凍結乾燥により行われるが、必ずしもこれらに限定されない。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物は、STAT3の活性を抑制すると考えられるが、必ずしもこれに限定されない。
本明細書において上記がんは、大腸がん、胃がん、前立腺がん、乳がん、腎がん、肝がん、脳腫瘍、肺がん、子宮がん、結腸がん、膀胱がん、及び膵臓がんからなる群から選択され得るが、必ずしもこれらに限定されない。
本発明はまた、50%〜100%のメタノールを用いて更に精製して得られたアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の活性画分を有効成分として含むが、必ずしもこれらに限定されない。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の画分は、STAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子3)の活性を抑制すると考えられるが、必ずしもこれに限定されない。
本明細書において上記がんは、大腸がん、胃がん、前立腺がん、乳がん、腎がん、肝がん、脳腫瘍、肺がん、子宮がん、結腸がん、膀胱がん、及び膵臓がんからなる群から選択され得るが、必ずしもこれらに限定されない。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、それらの画分、又はそれらの混合物が食品添加物として使用される場合、上記抽出物、画分、又は混合物は、従来法に従ってそのままで又は他の食品成分と混合して使用され得る。アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出は、好ましくは、熱水及びエタノールを使用して行われ、この場合、エタノールの好ましい濃度は50%〜100%である。有効成分の混合比率は、使用目的(保存、健康増進又は治療)に応じて調節され得る。一般的に、健康食品又は健康飲料を製造するため、本発明の組成物を、好ましくは15重量部まで、より好ましくは10重量部まで添加する。しかしながら、健康及び衛生又は健康状態の調節のため長期間の投与を必要とする場合、上記含有量は上述の量よりも少なくてもよいが、本発明の組成物が非常に安全であることが証明されていることから、より多い量であっても同様に容認され得る。
本明細書において上記食品は限定されない。例えば、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、それらの活性画分、又はそれらの混合物を、肉、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー、スナック、クッキー、ピザ、ラーメン(ramyuns)、小麦粉製品、ガム、アイスクリームを含む乳製品、スープ、飲料、茶、ドリンク、アルコールドリンク、及び複合ビタミン剤等に添加することができ、また広義には、健康食品の製造に適用可能なほぼ全ての食品が含まれ得る。
本発明の健康飲料用組成物は、他の飲料のように、様々な香味料又は天然の炭水化物等を更に含むことができる。上記天然の炭水化物は、ブドウ糖及び果糖等の単糖、マルトース及びショ糖等の二糖、デキストリン及びシクロデキストリン等の多糖、並びにキシリトール、ソルビトール及びエリスリトール等の糖アルコールのうちの1つとすることができる。それに加えて、ソーマチン及びステビア抽出物等の天然の甘味剤、並びにサッカリン及びアスパルテーム等の合成甘味剤を甘味剤として含むことができる。天然の炭水化物の含有量は、好ましくは、本発明の組成物100mL中0.01g〜0.04g、より好ましくは0.02g〜0.03gである。
上述の原料に加えて、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、それらの活性画分、又はそれらの混合物は、様々な栄養素、ビタミン、ミネラル、香味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド粘稠化剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸水への添加に使用される炭酸塩(carbonators)等を含むことができる。本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物、それらの活性画分、又はそれらの混合物は、天然果汁、果実飲料、及び野菜飲料に添加することができる果肉を含むことも可能である。言及された全ての原料を単独で又は共に添加することができる。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の薬学的に有効な投与量を、がんを保有する被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを治療する方法を提供する。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の薬物的に有効な投与量を、がんを保有する被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを治療する方法を提供する。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の薬学的に有効な投与量を被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを予防する方法を提供する。
本発明はまた、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の薬学的に有効な投与量を被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを予防する方法を提供する。
本明細書において薬学的に有効な投与量は、1日当たり0.0001mg/kg〜100mg/kg、好ましくは1日当たり0.001mg/kg〜10mg/kgであるが、必ずしもこれらに限定されない。有効な投与量は、体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与頻度、投与方法、排出及び疾患の重症度に応じて決定され得る。
本発明の組成物を経口的に又は非経口的に投与することができ、非経口投与として、腹腔内注射、直腸内注射、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、子宮内注射、及び脳室内注射が挙げられる。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は本発明のそれらの画分は、がんの成長を阻害するようにSTAT3の活性を効果的に抑制することができ、その結果、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は上記画分を治療用医薬組成物の有効成分。
本発明はまた、がんの予防及び治療のための医薬組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の使用を提供する。
本発明はまた、がんの予防及び治療のための医薬組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の使用を提供する。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は本発明のそれらの画分は、がんの成長を阻害するようにSTAT3の活性を効果的に抑制することができ、したがって、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は上記画分を治療用医薬組成物の有効成分。
本発明はまた、がんの予防及び改善のための健康食品組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の使用を提供する。
本発明はまた、がんの予防及び改善のための健康食品組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の使用を提供する。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は本発明のそれらの画分は、がんの成長を阻害するようにSTAT3の活性を効果的に抑制することができ、したがって、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は上記画分をがんの治療のための医薬組成物及びがんの予防のための健康食品組成物の有効成分。
本発明の実用的な実際の好ましい実施形態は、以下の実施例に示される通り説明される。
しかしながら、当業者であれば、本開示を考慮し、本発明の趣旨及び範囲の中で変更及び改良を行い得ることを理解するであろう。
実施例1:アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の調製
<1−1>アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹のメタノール抽出物の調製
乾燥アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹(ナイジェリア、イバダン、イバダン大学)1kgを砕き、4Lのメタノールに浸漬した。混合物を室温に5日間置いた。粗抽出物を濾過し、減圧下で濃縮した。その結果、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹のメタノール抽出物60gを得た。
<1−2>アルトカルプス・アルティリスのエタノール抽出物の調製
乾燥アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹1kgを砕き、4Lのエタノールに浸漬した。混合物を室温に5日間置いた。粗抽出物を濾過し、減圧下で濃縮した。その結果、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹のエタノール抽出物60gを得た。
<1−3>アルトカルプス・アルティリスの熱水抽出物の調製
乾燥アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹1kgを砕き、4Lの水に浸漬した。混合物を100℃に5時間置いた。粗抽出物を濾過し、減圧下で濃縮した。その結果、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の熱水抽出物60gを得た。
実施例2:アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の活性画分の調製
実施例<1−1>で調製したアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹のメタノール抽出物10gを50mLのメタノールに溶解し、500gのC18に吸収させた。それぞれ1リットルの50%メタノール、70%メタノール、及び100%メタノールをこの順に用いて連続溶出を行った。その結果、70%メタノールから560mgの活性画分を得た。
実験例1:アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物、及びそれらの画分の直腸がん細胞株におけるSTAT3の活性に対する阻害効果
直腸がん細胞株におけるSTAT3の活性に対する、実施例1及び実施例2で調製されたアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物、及びそれらの画分の阻害効果を調べるため、デュアルルシフェラーゼアッセイを行った。
具体的には、直腸がん細胞株(米国ATCCのHCT116)にSTAT3の活性に比例してホタルルシフェラーゼの発現を増加するプラスミドで形質導入し、またSTAT3の活性に関わらずウミシイタケルシフェラーゼを発現するプラスミドで形質導入した。上記プラスミドによって形質導入されたそれら直腸がん細胞を0.05%トリプシン−EDTAを使用して剥離し、10,000細胞/ウェルの密度で96ウェル試験プレートの各ウェルに播種した。10%FBSを添加した培地中、37℃、5%COのインキュベーターで3時間、細胞を維持した。その後、細胞を1%DMSO(対照)で処理するか、又は種々の濃度(1/100希釈)のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分(DMSO中に溶解した)で処理した。ホタルルシフェラーゼ特異的基質及びウミシイタケルシフェラーゼ特異的基質(甲虫ルシフェリン及びセレンテラジン)を段階的に添加して12時間後又は24時間後にSTAT3の活性を測定した。基質の分解に応じて呈される光度をルミノメーター(Wallac 1420)を使用して測定した。測定されたホタルルシフェラーゼ活性はSTAT3の活性を反映し、STAT3の活性に比例した。そして、非特異的な細胞毒性及び各実験で生じる内部偏差(internal deviation)を、ウミシイタケルシフェラーゼを使用することにより補正した。
結論として、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分の直腸がん細胞株におけるSTAT3の活性に対する阻害効果を調べるために行われたデュアルルシフェラーゼアッセイの結果より、実施例<1−1>で調製されたアルトカルプス・アルティリスの果実、葉又は幹のメタノール抽出物が、50μg/mLの濃度でSTAT3の活性を50%抑制することが確認された。また、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物から70%メタノールを使用して溶出された画分は、50μg/mLの濃度でSTAT3の活性を75%抑制した(図1)。
実験例2:アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物、及びそれらの画分の前立腺がん細胞株におけるSTAT3の活性に対する阻害効果
前立腺がん細胞株におけるSTAT3の活性に対する、実施例1及び実施例2で調製されたアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物、及びそれらの画分の阻害効果を調べるため、ウェスタンブロッティングを行った。
具体的には、3つの60mmプレートに各プレート当たり800,000細胞の前立腺がん細胞(米国ATCCのDU145)を入れて培養した。10%FBSを添加した培地中、37℃、5%COのインキュベーターで細胞を維持した。24時間後、プレートを0.25%DMSO(対照)、並びに20μg/mL及び50μg/mLの濃度のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の画分でそれぞれ処理し、更に24時間培養した。その後、各プレートから培地を捨て、細胞をPBSで洗浄し、洗浄後PBSも捨てた。1プレート当たり200μLのRipa lysisバッファーを添加し、その後、プレートに付着した細胞をスクレーパーを使用して回収した。回収した溶解細胞を1.5mLチューブに移し、4℃にて15分間ローテーターで回転させた。その後、4℃にて約15分〜約30分間、13,000rpmでチューブを遠心分離した。遠心分離の完了に際し、チューブから上清を得て、新たな1.5mLチューブに移した。そのようにして各溶解物を調製し、各溶解物中のタンパク質を測定した。800μLの脱イオン水及び10μLの各溶解物を1.5mLチューブに入れ、そこに200μLのブラッドフォードアッセイ試薬を添加し、その後ボルテックスに供した。調製した溶解物を96ウェルプレートの3つのウェルに入れた(200μL/ウェル)。各溶解物中のタンパク質を定量するため、ELISAリーダーを使用してOD595を測定した。上記溶解物、ripa lysisバッファー、及び5×dyeを用い、各サンプルについてタンパク質が等量となるように揃えて、ローディングサンプルを調製した。調製したローディングサンプルを80℃にて10分間煮沸し、その後インキュベートした(不活性化)。標的タンパク質のサイズに合うようにアクリルアミドSDSゲルを調製し、その後、調製したローディングサンプルとマーカーをゲル上にロードした。ゲル中のタンパク質をメンブレン上に移すためロードしたゲルを0.25Aで2時間転写した。スキムミルクを使用して1時間メンブレン上に転写されたタンパク質のブロッキングを行った。標的タンパク質に対応する一次抗体を2時間処理した後、その抗原として各一次抗体を認識する二次抗体(HRP)を1時間一次抗体に結合させた。その後、HRP基質をメンブレンに噴霧した。LAS画像解析装置(Fuji Co)を使用して化学発光を測定し、各タンパク質の発現を調べるために写真を撮影した。
その結果、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実の画分は、20μg/mL及び50μg/mLの濃度で、前立腺がん細胞株DU145においてのみならず、STAT3標的タンパク質であるcycline D1、Bcl−xl、Bcl−2、VEGF、及びsurvivinにおいてもSTAT3の活性を抑制した。具体的には、アルトカルプス・アルティリスの活性画分が、50μg/mLの濃度でSTAT3の活性をより強力に抑制した(図2)。
実験例3:アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分の前立腺がん細胞株における腫瘍成長に対する阻害効果
前立腺がん細胞株における腫瘍成長に対する、実施例1及び実施例2で調製されたアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分の阻害効果を調べるため、動物実験を行った。
具体的には、ヒト前立腺がん細胞株DU−145(腺癌;前立腺がん)を5週齢〜6週齢のBALB/C SPFヌードマウス(雌、Nara Biotech Co.)に移植し、ヒト腫瘍異種移植片モデルを構築した。ヌードマウスにDU−145細胞を移植するため、まず初めに細胞を数え、無血清培地を使用して細胞の密度を3×10細胞/mLに調整した。調製した細胞培養溶液を0.3mL(9×10細胞/マウス)の濃度で右肩と胸壁との間の腋窩に皮下注射により注入した。細胞移植の次の日(1日目)から、試験薬を投与した。14日目〜23日目に各動物の腫瘍サイズを腫瘍の3つの異なる辺からノギスを使用して5回測定した。腫瘍サイズは以下の式:長さ×幅×高さ/2により示した。実験の最終日、マウスを屠殺し、各マウスの腫瘍を摘出して化学天秤で計量した。アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分を、3mg/mLの濃度で混合溶液(ジメチルアセトアミド10%、Tween−80 10%、及び20%の2−ヒドロキシプロピルβ−シクロデクストリンを含有する蒸留水80%)に溶解した。この混合溶液を、10mL/kgの濃度で合計17回(1日目〜22日目、1週間に5回)腹膜注射によりマウスに投与した。
その結果、溶媒対照と比較すると、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の画分の腫瘍成長に対する阻害効果は、30mg/kgの該画分で処理された群において有意であった(35.0%、<0.05)。腫瘍DU−145を摘出して計量した場合、結果より、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分が、30mg/kgの該画分で処理された群において有意に腫瘍の重量を減少することが示された(42.3%、<0.05)。したがって、上記画分が前立腺がんにおいて腫瘍成長に対して阻害効果を有することが確認された(図3)。
製造例1:医薬製剤の調製
<1−1>散剤の調製
実施例<1−1>のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹のメタノール抽出物 0.1g
ラクトース 1.5g
タルク 0.5g
上記成分の全てを混合して散剤を調製し、散剤を調製する従来法に従って気密性パックに充填した。
<1−2>錠剤の調製
実施例<1−1>のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹のメタノール抽出物 0.1g
ラクトース 7.9g
結晶セルロース 1.5g
ステアリン酸マグネシウム 0.5g
直打法により、上記成分の全てを混合して錠剤を調製した。
<1−3>カプセル剤の調製
実施例2のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の50%メタノール抽出物 0.1g
コーンスターチ 5g
カルボキシセルロース 4.9g
上記成分の全てを混合してカプセル剤を調製し、カプセル剤を調製する従来法に従って硬カプセル剤に充填した。
<1−4>注射用液剤の調製
実施例2のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の70%メタノール抽出物 0.1g
滅菌注射用DW 適量
pH調整剤 適量
注射用液剤を上記成分の全てを混合して調製し、注射用液剤を調製する従来法に従ってアンプル(2mL/アンプル)に充填した。
<1−5>液体製剤の調製
実施例2のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の100%メタノール抽出物 0.1g
異性化糖 10g
マンニトール 5g
精製水 適量
上記成分の全てを精製水に溶解した。レモン風味を添加した後、精製水を添加して総容量を100mLに調整した。この混合物を褐色瓶に入れ、液体製剤を調製する従来法によりそれを滅菌して液体製剤を調製した。
製造例2:健康食品の調製
<2−1>小麦粉食品の調製
実施例<1−3>のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の熱水抽出物0.5重量部〜5.0重量部を小麦粉に添加した。従来法に従い、該小麦粉混合物を用いてパン、ケーキ、クッキー、クラッカー及び麺類等の健康増進用食品を調製した。
<2−2>スープ及びグレービーの調製
実施例<1−3>のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の熱水抽出物0.1重量部〜5.0重量部をスープ及びグレービーに添加した。この混合物を用いて従来法により健康増進用の肉製品であるスープ及びグレービーを調製した。
<2−3>牛挽肉の調製
実施例<1−3>のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の熱水抽出物10重量部と牛挽肉とを従来法に従って混合し、健康増進用の挽肉を調製した。
<2−4>乳製品の調製
実施例<1−3>のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の熱水抽出物5重量部〜10重量部を牛乳に添加した。従来法に従い、牛乳混合物を用いてバター及びアイスクリーム等の健康増進用の乳製品を調製した。
<2−5>禅食(Sun-Sik:ソンシク)の調製
従来法に従って玄米、オオムギ、モチ米及びハトムギ(Yulmu:ジュズダマ(Job's tears))を糊化し、乾燥し、粉砕して60メッシュ粉末を得た。
従来法に従って黒豆、黒ゴマ及びエゴマを蒸して乾燥させ、粉砕して60メッシュ粉末を得た。
実施例<1−3>のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の熱水抽出物を減圧下で濃縮し、噴霧乾燥して粉砕し、60メッシュ乾燥粉末を得た。
穀物、種子及び実施例<1−3>のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の熱水抽出物の乾燥粉末を下記比率に従い混合して禅食を調製した。
穀物(玄米:30重量部、ハトムギ:15重量部、オオムギ:20重量部、モチ米:10重量部)、
種子(エゴマ:7重量部、黒豆:8重量部、黒ゴマ:7重量部)、
実施例<1−3>のアルトカルプス・アルティリスの葉又は幹の熱水抽出物の乾燥粉末(1重量部)、
ガノデルマ・ルキドゥム(Ganoderma lucidum:レイシ)(0.5重量部)、
リューマニア・グルチノーザ(Rehmannia glutinosa:アカヤジオウ)(0.5重量部)
<2−6>健康補助食品の調製
実施例<1−3>のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の熱水抽出物 100mg
複合ビタミン 適量
ビタミンAアセテート 70μg
ビタミンE 1.0mg
ビタミンB1 0.13mg
ビタミンB2 0.15mg
ビタミンB6 0.5mg
ビタミンB12 0.2μg
ビタミンC 10mg
ビオチン 10μg
ニコチン酸アミド 1.7mg
葉酸 50μg
パントテン酸カルシウム 0.5mg
ミネラル 適量
硫酸第一鉄 1.75mg
酸化亜鉛 0.82mg
炭酸マグネシウム 25.3mg
一塩基性リン酸カリウム 15mg
二塩基性リン酸カリウム 55mg
クエン酸カリウム 90mg
炭酸カルシウム 100mg
塩化マグネシウム 24.8mg
ビタミン及びミネラルを健康食品の好ましい組成比率に従って混合した。しかしながら、組成比率を調整することができる。健康食品を調製する従来法に従って構成要素を混合し、その後、健康食品用組成物を従来法に従って調製した。
製造例3:健康飲料の調製
実施例<1−3>のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の熱水抽出物 100mg
クエン酸 100mg
オリゴ糖 100mg
ウメ(プルヌス・ムメ(Prunus mume))抽出物 2mg
タウリン 100mg
精製水 500mLまで
健康飲料を調製する従来法に従って上記構成要素を混合した。混合物を85℃にて1時間、撹拌しながら加熱し、その後濾過した。濾過物を1Lの滅菌容器に入れ、密閉して再度滅菌し、滅菌容器を健康飲料用組成物の調製に使用するまで冷蔵庫で保管した。
嗜好性飲料に適した構成要素は、好ましい混合比率に従って混合されるが、地域及び国の好み等に応じて組成比率を調整することができる。
上述のように、本発明は、大腸がん、胃がん、前立腺がん、乳がん、腎がん、肝がん、脳腫瘍、肺がん、子宮がん、結腸がん、膀胱がん、及び膵臓がんからなる群から選択されるがんの予防及び治療のための医薬組成物であって、アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又はそれらの画分を有効成分として含む、医薬組成物として有効に使用され得る。
よって、STAT3活性の抑制は、アポトーシス誘導(非特許文献2)、血管新生抑制(非特許文献3)、及び免疫回避の妨害(非特許文献4)等の抗がんメカニズムの組合せを使用する効果的で実用的な抗がん剤の開発において重要なコア技術である。したがって、モノロジックな(monologic)作用を特徴とする従来の抗がん剤よりも更に大きな治療効果を期待することができる。STATタンパク質は、腫瘍関連機構に関与するのみならず、様々な他の細胞内機能にも関与する。そのため、STAT阻害剤の開発は、免疫阻害剤、さらには抗糖尿病薬の開発に重要なコア技術となり得る。STATの主要な免疫関連機能は、特定の遺伝子ノックアウトマウスを用いた実験により開示されている。関連する標的遺伝子もまた、以下の通り情報が提供されている(非特許文献5)。
STAT3の標的タンパク質であるcyclin D1、Bcl−xl、Bcl−2、VEGF、及びsurvivinもまた、20μg/mL及び50μg/mLのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の活性画分で処理し、その後、ウェスタンブロッティングを行ってSTAT3の活性を測定した。その結果、本発明のアルトカルプス・アルティリスの活性画分は、前立腺がん細胞株DU145、STAT3標的タンパク質であるcyclin D1、Bcl−xl、Bcl−2、VEGF、及びsurvivinにおいて20μg/mL及び50μg/mLの濃度でSTAT3の活性を抑制した。具体的には、上記活性画分は、50μg/mLの濃度でより強力にSTAT3の活性を抑制した。
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は本発明のそれらの画分は、がんの成長を阻害するようにSTAT3の活性を効果的に抑制することができ、その結果、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は上記画分を治療用医薬組成物の有効成分として使用できる
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は本発明のそれらの画分は、がんの成長を阻害するようにSTAT3の活性を効果的に抑制することができ、したがって、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は上記画分を治療用医薬組成物の有効成分として使用できる
本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は本発明のそれらの画分は、がんの成長を阻害するようにSTAT3の活性を効果的に抑制することができ、したがって、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、若しくは幹の抽出物、又は上記画分をがんの治療のための医薬組成物及びがんの予防のための健康食品組成物の有効成分として使用できる
その結果、本発明のアルトカルプス・アルティリスの果実の画分は、20μg/mL及び50μg/mLの濃度で、前立腺がん細胞株DU145、STAT3標的タンパク質であるcycline D1、Bcl−xl、Bcl−2、VEGF、及びsurvivinにおいてSTAT3の活性を抑制した。具体的には、アルトカルプス・アルティリスの活性画分が、50μg/mLの濃度でSTAT3の活性をより強力に抑制した(図2)。

Claims (19)

  1. アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物を有効成分として含む、がんの予防及び治療のための医薬組成物。
  2. 前記抽出物が、水、炭素数1〜2の低級アルコール、又はその混合溶媒を溶媒として使用することにより抽出される、請求項1に記載のがんの予防及び治療のための医薬組成物。
  3. 前記低級アルコールがメタノール又はエタノールである、請求項2に記載のがんの予防及び治療のための医薬組成物。
  4. 前記抽出物が、STAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子3)の活性を抑制することを特徴とする、請求項1に記載のがんの予防及び治療のための医薬組成物。
  5. 前記がんが、大腸がん、胃がん、前立腺がん、乳がん、腎がん、肝がん、脳腫瘍、肺がん、子宮がん、結腸がん、膀胱がん、及び膵臓がんからなる群から選択される、請求項1に記載のがんの予防及び治療のための医薬組成物。
  6. 50%〜100%のメタノールを使用することによるアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の更なる精製から得られた活性画分を有効成分として含む、がんの予防及び治療のための医薬組成物。
  7. 前記画分が、STAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子3)の活性を抑制することを特徴とする、請求項6に記載のがんの予防及び治療のための医薬組成物。
  8. 前記がんが、大腸がん、胃がん、前立腺がん、乳がん、腎がん、肝がん、脳腫瘍、肺がん、子宮がん、結腸がん、膀胱がん、及び膵臓がんからなる群から選択される、請求項6に記載のがんの予防及び治療のための医薬組成物。
  9. アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物を有効成分として含む、がんの予防及び改善のための健康食品組成物。
  10. アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分を有効成分として含む、がんの予防及び改善のための健康食品組成物。
  11. 前記がんが、大腸がん、胃がん、前立腺がん、乳がん、腎がん、肝がん、脳腫瘍、肺がん、子宮がん、結腸がん、膀胱がん、及び膵臓がんからなる群から選択される、請求項9又は10に記載のがんの予防及び改善のための健康食品組成物。
  12. アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の薬学的に有効な投与量を、がんを保有する被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを治療する方法。
  13. アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の薬物的に有効な投与量を、がんを保有する被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを治療する方法。
  14. アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の薬学的に有効な投与量を被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを予防する方法。
  15. アルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の薬学的に有効な投与量を被験体に投与する工程を含む、被験体のがんを予防する方法。
  16. がんの予防及び治療のための医薬組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の使用。
  17. がんの予防及び治療のための医薬組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の使用。
  18. がんの予防及び改善のための健康食品組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の使用。
  19. がんの予防及び改善のための健康食品組成物の有効成分としてのアルトカルプス・アルティリスの果実、葉、又は幹の抽出物の画分の使用。
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