JP2015524695A - 皮膚の結合組織の充填のためのキット、その使用及び方法 - Google Patents

皮膚の結合組織の充填のためのキット、その使用及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、皮膚の結合組織にコラーゲン構造を皮内充填する治療方法に使用するためのキット及び注射器、並びに特に皮膚欠陥、特に皮膚疾患及び皮膚老化兆候の治療の領域でのその使用に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚の結合組織にコラーゲン構造を皮内充填する治療方法に使用するためのキット及び注射器、並びに特に皮膚欠陥、特に皮膚疾患及び皮膚老化兆候の治療の領域でのその使用に関する。
ドイツ特許公開DE10026789A1により、コラーゲンベースのバイオマトリックス及びその製造方法が知られている。コラーゲンバイオマトリックスはラットの尾腱から抽出したコラーゲンから調製される。そのために抽出の後に存在する酸性コラーゲン溶液を低温で血清含有緩衝液で中和し、場合によっては細胞の存在のもとで、コラーゲンゲルに注ぎ加える。後にこれがゲル化又は架橋、即ち硬化して、コラーゲン含有バイオマトリックスとなる。こうしてこのコラーゲンバイオマトリックスを既製の無細胞のコラーゲンインプラント又は軟骨細胞を埋め込んだ細胞含有コラーゲン移植片として、得ることができる。
米国特許公開US2009/0254104A1は、組織欠陥の治療のための方法及びコラーゲン含有製品を開示する。特に例えば患者の腱の再建のために導入されるコラーゲン含有マトリックスが開示される。ところがインプラントの所望の三次元構造を形成するために導入されるコラーゲン含有マトリックスの造形又は成形性能は、in situで限られた範囲でしか可能でない。
欧州特許EP1221937B1は、不溶のコラーゲン小線維、細胞及び0.1〜2mmの大きさの微小担体を含み、治療される組織に例えば注射器により液状で導入することができ、そこでin situでゲル化して固形マトリックスとなる組成物を開示する。造形可能なコラーゲンの、できるだけ無痛の皮内適用は、この粗粒組成物では不可能である。
欧州特許EP0632820B1は、治療される組織に高いコラーゲン濃度でも注入することができる高濃度の均質化コラーゲン組成物を開示する。ところが特殊な処理を施したこの高濃度の注入可能なコラーゲン組成物はゲル化可能でなく、従って治療される組織に造形可能な三次元構造を形成するのに適していない。
従って皮膚疾患及び皮膚老化兆候の環境で現れ、患者が望ましくないと認定する皮膚欠陥、例えばしわを快適に治療すること、特に患者にできる限り優しく自然の皮膚像、特に皮膚の外形輪郭のできる限り自然に忠実な再建を達成することを可能にする方法及び手段のニーズが依然として存在する。
DE 10 026 789 A1 US2009/0254104 A1 EP1221937 B1
本発明は、特にヒト又は動物の身体の皮膚欠陥の治療のために使用することができ、それとともに先行技術で周知の欠点を回避することができる、コラーゲンベースのマトリックスのin situ調製のための方法及び手段を提供するという技術的課題に対処する。
この技術的課題の解決のために本発明は、液状の、特に濃縮されたコラーゲン溶液と液状の緩衝溶液との組合せから液状のゲル化可能なコラーゲン組成物が得られる方法を提供する。この組成物は患者の真皮に直接皮内注射することができ、そこで硬化して直接にコラーゲンマトリックスとなり、これがさらに直接in situで皮膚インプラントを形成する。その場合液状のゲル化するコラーゲン組成物の真皮への導入は三次元成形、例えば当該の身体部分の外形輪郭への好適な適応を可能にする。特に注射の直後にまだ液状のコラーゲン組成物を、完全なゲル化、即ち硬化の前に成形を施す、即ち造形すること、即ち三次元変形することができる。
本発明の方法を実施するための手段としての、本発明の充填済み注射器の一実施形態を図示する。 図示される実施形態では、統合された容器内において、一方にはコラーゲン溶液を、他方には緩衝溶液を収容するための、平行する二つの別々のシリンダ状チャンバー(11、12)が形成されている。両方のチャンバーとも、前面側で、その中に混合バッフルを備えた静的ミキサー(16)を有する、共通の流出路(18)へと合流する。コラーゲン組成物の投与及び製造のため、チャンバー(11、12)を空にするために、連結された注射器プランジャー(14)が設けられている。このプランジャーは、チャンバーの体積の裏面側での境界を形成し、それ自身公知の方法でプランジャー(14)に圧力をかけることによって、両方とものチャンバー(11、12)から同時に内容物を押し出すことができる。構造上設定されている、チャンバー(11、12)の体積の比率に応じて、押し出し時に、チャンバー(11、12)内に存在する液体の、その体積比での均一な混合が起こる。図示される実施形態では、チャンバー(11、12)の体積比は、1:1である。 コラーゲンゲルを用いたレオロジー試験の結果、すなわち、前もって様々に調温された2チャンバー型注射器における試験振動数に依存した弾性率(平均値及び標準偏差)を示す。 図1に図示し、実施例4において用いた2チャンバー型注射器の写真図を示す。 本発明に従って使用するための液状コラーゲン組成物の粘度を決定するレオロジー試験の結果を示す。 本発明に従って行うことができる、ブタ皮膚モデル上の皮膚欠陥の一連の処置を、皮内適用と、その後の治癒前の注射されたゲル化可能なコラーゲンの成形と共に、写真形式で示す。 本発明に従って行うことができる、ブタ皮膚モデル上の皮膚欠陥の一連の処置を、皮内適用と、その後の治癒前の注射されたゲル化可能なコラーゲンの成形と共に、写真形式で示す。 本発明に従って行うことができる、ブタ皮膚モデル上の皮膚欠陥の一連の処置を、皮内適用と、その後の治癒前の注射されたゲル化可能なコラーゲンの成形と共に、写真形式で示す。 本発明に従って行うことができる、ブタ皮膚モデル上の皮膚欠陥の一連の処置を、皮内適用と、その後の治癒前の注射されたゲル化可能なコラーゲンの成形と共に、写真形式で示す。 本発明に従って行うことができる、ブタ皮膚モデル上の皮膚欠陥の一連の処置を、皮内適用と、その後の治癒前の注射されたゲル化可能なコラーゲンの成形と共に、写真形式で示す。 本発明に従って行うことができる、ブタ皮膚モデル上の皮膚欠陥の一連の処置を、皮内適用と、その後の治癒前の注射されたゲル化可能なコラーゲンの成形と共に、写真形式で示す。
本発明は、液状のコラーゲン組成物を治療対象の組織部位、即ち真皮に注入することを可能にし、そこで液状コラーゲン組成物のゲル化が局所的に治療部位で行われ、これが注入の直後にさらに例えば手術者により希望に応じて造形することができる、即ち三次元的に所望の形状にすることができるという利点がある。意外なことに、ごく小さな内径に仕上げられた注射器の針によって、比較的高いコラーゲン濃度にされた高い粘度の液状コラーゲン組成物を患者にほとんど無痛で、しかも針の詰まりが起こることなく、皮内投与することが可能である。特に使用される液状コラーゲン組成物がゲル化可能なコラーゲンを含むことから見ても、これは予想外である。液状のゲル化可能なコラーゲン組成物は、特に6〜10mg/mlのコラーゲン濃度に対して1〜9Pa・s、特に1.2〜8Pa・s、とりわけ2〜9Pa・s、特に3.5〜8Pa・s、特に2.7〜7Pa・s、特に2.8〜6Pa・s、特に2.9〜5.5Pa・sの粘度を有することが好ましい。
特に好ましい実施形態では、液状のゲル化可能なコラーゲン組成物は、8mg/mlのコラーゲン濃度に対して2〜9Pa・s、特に2.5〜8Pa・s、特に2.7〜7Pa・s、特に2.8〜6Pa・s、特に2.9〜5.5Pa・s、特に2.5〜3Pa・sの粘度を有することとする。
特に好ましい実施形態では、10mg/mlのコラーゲン濃度に対して、液状のゲル化可能なコラーゲン組成物の粘度はとりわけ2〜9Pa・s、特に3.5〜8Pa・s、特に2.7〜7Pa・s、特に2.8〜6Pa・s、特に2.9〜5.5Pa・s、特に5.0〜5.5Pa・sとする。
特に好ましい実施形態では、6mg/mlコラーゲンのコラーゲン濃度に対して、液状のゲル化可能なコラーゲン組成物の粘度は1〜2Pa・s、特に1.2〜1.4Pa・s、特に1.25〜1.35Pa・sとする。
粘度は実施例3に記載した方法及びそこで使用された装置により決定することが好ましい。
本発明は、未変性の、架橋可能な、天然構造のコラーゲンを高い割合で含むコラーゲン含有バイオマトリックス又はコラーゲンインプラントの患者の皮膚、とりわけ真皮へのin vivo供与を可能にする。特に本発明は、大量の高濃度のゲル化可能なコラーゲンを治療対象の組織部位に直接導入することを可能にし、このことは得られる、とりわけ造形された三次元コラーゲン構造構造の特に大きな安定性をもたらす利点があり、しかもこのコラーゲン構造構造は特に長い耐久性を特徴とする。本発明に基づく方法は調製されたコラーゲン組成物をまだ液状で適用場所、即ち真皮に輸送することを可能にするから、大きな経路があまり必要でない。本発明は改善された最小侵襲性外科手術を可能にし、従って手術処置に起因する創傷を減少する。バイオマトリックスに高い割合の天然コラーゲンが含まれるならば、現場にある皮膚細胞がコラーゲンバイオマトリックス中で特によく増殖し、その際高い比率で自家コラーゲン合成を生じさせることが判明した。従って本発明はコラーゲン変性を生じる処置を回避する。
本発明に関連して皮膚の概念は、ヒト又は動物の身体の内外の境界の役割をする、ヒト又は動物の身体の表面的な器官を意味する。この器官は表皮、その直下にある真皮(dermis)(真皮(corium)又は結合組織ともいう)及び皮下組織に分かれる。本発明によれば、皮膚の結合組織のコラーゲン構造、即ち真皮にあるコラーゲン構造を再建することが予定される。
本発明に関連して「皮膚」とは、粘膜、特に唇をも意味する。
本発明に関連して「皮内注射」とは、注射のために使用される注射器の針が皮膚の真皮、即ち結合組織に進入し、そこで液状のゲル化可能なコラーゲン組成物が皮膚内に排出されることを意味する。
本発明の好ましい実施形態は、コラーゲン溶液を収容する少なくとも1個の容器、中和緩衝溶液を収容する少なくとも1個の容器、並びにコラーゲン溶液及び緩衝溶液の皮内注射に適した注射器を備え、注射器の針が0.3〜0.4mm、特に0.32〜0.38mm、とりわけ0.35mmの外径(以下では針、特に針カニューレの直径ともいう)を有する、患者の皮膚の結合組織にコラーゲン構造を皮内充填する治療方法に使用するためのキットを提供する。
本発明に基づき使用される注射器の針の外径は、本発明に基づき0.3mm(30ゲージに相当する)の直径を有することが好ましい。
別の好ましい実施形態では、注射器がチャンバーとして作られた少なくとも2個の別個の容器を有し、これらの容器が注射器内に配置された混合装置及び注射器の針と流体接続され、少なくとも1個の第1のチャンバーはコラーゲン溶液で満たされ、それと別個の少なくとも1個の第2のチャンバーは中和緩衝溶液で満たされ、注射器の針、特に針カニューレが0.3〜0.4mm、とりわけ0.3mm、特に0.32〜0.38mm、とりわけ0.35mmの直径を有する本発明のキットが提供される。
別の好ましい実施形態では、混合装置が静止型ミキサーである本発明のキットが提供される。
本発明は、a)キットの上記の容器が注射器と別個のものであるか、あるいはb)上記の容器が注射器から切り離されて、かつ注射器に可逆的又は不可逆的に取り付けられるように形成されているか、あるいはc)上記の容器が注射器の一体の構成部分であるようにすることができる。
本発明の好ましい実施形態では、本発明に基づくキットは上記に明確に示された部品、即ち注射器、場合によっては別個に存在するチャンバー並びに緩衝溶液及びコラーゲン溶液のほかに、さらに梱包品及び/又は取扱説明書、特に皮膚欠陥、例えば皮膚老化兆候又は皮膚疾患を有する患者の皮膚の結合組織にコラーゲン構造を皮内充填する治療方法においてキット及び/又はその部品の使用の仕方を指示する取扱説明書を有する。
本発明の好ましい実施形態は、注射器内に配置された混合装置及び注射器の針と流体接続されたチャンバーとして構成された少なくとも2個の別個の容器を備え、少なくとも1個の第1のチャンバーがコラーゲン溶液で満たされ、それとは別個の少なくとも1個の第2のチャンバーが中和緩衝溶液で満たされ、注射器の針が0.3〜0.4mm、とりわけ0.3mm、特に0.32〜0.38mm、とりわけ0.35mmの直径を有する、患者の皮膚の結合組織にコラーゲン構造を皮内充填する治療方法に使用するための注射器を提供する。
本発明の好ましい実施形態は、以下のステップ:
a)コラーゲン溶液と中和緩衝溶液を別個に準備するステップ、
b)コラーゲン溶液と中和緩衝溶液を混合し、その際ゲル化可能なコラーゲン組成物が得られるステップ、
c)液状のゲル化可能なコラーゲン組成物をそのゲル化の前に皮内注射するステップ、
d)注射された液状のゲル化可能なコラーゲン組成物を皮内の標的部位で成形し、その際成形されたコラーゲンゲルがその標的部位で硬化するステップ
を含む、コラーゲンゲルを利用して患者の皮膚の結合組織にコラーゲン構造を皮内充填する方法を提供する。
別の好ましい実施形態では、方法ステップa)でコラーゲン溶液と緩衝溶液がそれぞれ別個に20℃〜37℃の温度に温度調整され、温度調整されたコラーゲン溶液と温度調整された緩衝溶液が方法ステップb)で混合されて、液状のゲル化可能なコラーゲン組成物が得られる、本発明の方法が提供される。
別の好ましい実施形態では、混ぜ合わされたコラーゲン溶液と中和緩衝溶液、即ち液状のゲル化可能なコラーゲン組成物が、方法ステップb)で20〜37℃の温度に温度調整される、本発明の方法が提供される。
別の好ましい実施形態では、方法ステップa)で準備されるコラーゲン溶液及び中和緩衝溶液が、温度調整即ち加熱される前に-15〜19℃、とりわけ0〜4℃、特に2〜19℃、特に3〜18℃、とりわけ4〜15℃の温度であることが提供される。
別の好ましい実施形態では、方法ステップc)による皮内注射が直径0.3〜0.4mm、特に0.32〜0.38mm、とりわけ0.35mmの針を備えた注射器によって行われる、本発明の方法が提供される。
別の好ましい実施形態では、方法ステップa)による準備、方法ステップb)による混合及び方法ステップc)による皮内注射が、混合装置及び直径0.3〜0.4mm、とりわけ0.3mm、特に0.32〜0.38mm、とりわけ0.35mmの針を備えた注射器、特に少なくとも2チャンバー型注射器で行われる、本発明の方法が提供される。
別の好ましい実施形態では、混合が最大5秒の期間内に完了する、本発明の方法が提供される。
別の好ましい実施形態では、調製されたコラーゲン組成物のゲル化が混合の後10秒以内に始まる、本発明の方法が提供される。
別の好ましい実施形態では、コラーゲン組成物の皮内注射及び成形が最大4分、とりわけ最大2分かかる、本発明の方法が提供される。
別の好ましい実施形態では、溶液を注射器のチャンバーから押し出し、注射器に組み込まれた混合装置で溶液流を合流させ、調製されたコラーゲン組成物が混合装置から出ることによって、コラーゲン溶液と緩衝溶液の混合が行われる、本発明の方法が提供される。
別の好ましい実施形態では、使用されるコラーゲン溶液から調製された液状のゲル化可能なコラーゲン組成物が6〜12mg/ml、特に7〜11mg/ml、とりわけ6〜10mg/ml、特に9〜11mg/ml、特に7〜9mg/ml、とりわけ8〜10mg/ml、特に8mg/mlの濃度を有する、本発明の方法、注射器又はキットが提供される。
特に好ましい実施形態では、使用されるコラーゲン溶液は、中和緩衝溶液と混合の後に液状のゲル化可能なコラーゲン組成物をもたらすものであって、8〜16mg/ml、とりわけ9〜16mg/ml、特に8〜12mg/ml、特に10〜15mg/ml、とりわけ9〜13mg/ml、好ましくは9〜11mg/ml、特に10mg/mlのコラーゲン濃度を有することが提供される。
別の好ましい実施形態では、コラーゲン溶液のpH値が(21℃の温度基準で)6以下である本発明の方法又はキットが提供される。
別の好ましい実施形態では、コラーゲン溶液、特に方法ステップa)で準備されるコラーゲン溶液が、コラーゲン含有組織、特にラットの尾から酵素活性を使用せずに酸抽出によって調製されたものである、本発明の方法、注射器又はキットが提供される。
酵素活性を使用せずに酸抽出によってコラーゲン含有組織から生成されるこのようなコラーゲン溶液を、中和剤、例えば中和緩衝溶液と混合することによってゲル化可能にし、こうして生じたpH値の上昇に基づいてゲル化過程を開始することが好ましい。従って本発明のコラーゲン溶液は潜在的にゲル化可能である。本発明の液状コラーゲン組成物はゲル化可能である。
特に好ましい実施形態では、コラーゲン溶液のコラーゲンは天然コラーゲンである。
別の好ましい実施形態では、コラーゲン溶液、液状のゲル化可能なコラーゲン組成物又は両者が無細胞である、本発明の方法、注射器又はキットが提供される。
特に好ましい実施形態では、本方法は少なくとも以下のステップを有する。即ち、別個に準備され、特に予め低温で貯蔵されたコラーゲン溶液と緩衝溶液をそれぞれ20℃〜約37℃、とりわけ約30℃の温度に温度調整し、温度調整されたコラーゲン溶液と温度調整された緩衝溶液をとりわけ引き続き直ちに混合し、その際液状のゲル化可能なコラーゲン組成物が得られ、コラーゲン組成物は患者の真皮への注射の後、直ちにゲル化し始め、硬化してコラーゲンバイオマトリックスとなることができる。
コラーゲン溶液と緩衝溶液が適用の際に、即ち特にコラーゲン組成物の適用時に初めて混合され、差当たりまだ液状のゲル化するコラーゲン組成物が適用時に初めて形成されるようにすることが特に好ましい。こうしてゲル化する、しかしまだ液状のコラーゲン組成物が、本発明に基づきin situで発生期に適用され、次いで適用部位、即ち真皮で硬化しうることが好ましい。
本発明に基づきとりわけ8〜16mg/ml、とりわけ9〜16mg/ml、特に10〜15mg/ml、とりわけ8〜12mg/ml、特に10mg/mlのコラーゲン濃度を有する濃縮コラーゲン溶液と緩衝溶液とを準備し、これらを混合せずに、但し一体の容器に一緒に納めて、周知のように低温で、特に約0℃〜約4℃の温度で貯蔵することが好ましい。本発明の方法の範囲内で、これらの溶液はコラーゲンバイオマトリックスのin situ作製のために使用する直前に、まず例えば室温、即ち特に20℃以上、又は体温、即ち特に約30℃、特に20〜37℃に温度調整される。
コラーゲン溶液と緩衝溶液の温度調整が同時に、特に本発明に基づく混合と排出の直前に初めて行われることが特に好ましい。保温器に短時間貯蔵し、又は場合によっては手で温めることによって温度調整を行うことができる。本発明はとりわけ37℃以上のコラーゲン溶液温度を回避することが好ましい。
本発明において、温度調整された溶液はとりわけ皮内の標的部位に適用する直前に初めて混合されて、ゲル化可能なコラーゲン組成物を形成し、コラーゲン組成物は適用の際に直ちにゲル化し始め、適宜行われる造形の後に標的部位で完全にゲル化し、即ち硬化する。
コラーゲン溶液も緩衝溶液も使用又は適用の前は液状である。コラーゲン溶液及び/又は緩衝溶液は水溶液であることが好ましい。その粘度は変性を招く追加的処置、例えば加熱をせずに直接混合することを可能にする利点がある。緩衝液の動的粘度は水又は易動性水溶液の動的粘度の範囲内、即ち約1〜5mPa・sであることが好ましい。
コラーゲン溶液と緩衝溶液をまず別個に、とりわけ多チャンバー型注射器で準備することが好ましく、注射器内でそれぞれ別個に温度調整し、注射器から排出するときに直接混合することが特に好ましい。また本発明の別の実施形態では、コラーゲン溶液と緩衝溶液を混ぜ合わせ、次いでこの混合された形のゲル化可能なコラーゲン組成物を温度調整するようにすることもできる。溶液を注射器のチャンバーから押し出し、注射器内部で、注射器に組み込まれた混合装置で溶液流を合流させることによって、コラーゲン溶液と緩衝溶液の合体と混合が行われ、新たに調製されたコラーゲン組成物が混合装置の出口から出るようにすることが特に好ましい。
本発明は、本発明に基づく方法、キット又は注射器に関連して準備された、とりわけ濃縮されたコラーゲン溶液が、コラーゲン含有組織から直接に、変性を招く処置をせずに抽出されるようにする利点がある。好ましい実施形態では、コラーゲン含有溶液がコラーゲン含有組織から、酵素を使用せずに得られる。特に好ましい実施形態では、コラーゲン含有溶液がコラーゲン含有組織から、アルカリ(塩基)を使用せずに得られる。特に好ましい実施形態では、コラーゲン含有溶液がコラーゲン含有組織から、酵素及びアルカリ(塩基)を使用せずに得られる。特に好ましい実施形態では、得られるコラーゲンを機械的に損傷する処置を使用せずに、例えば均質化を使用せずに、コラーゲン含有組織からコラーゲン含有溶液が得られる。好ましいコラーゲン含有組織は調製ラット尾腱である。さらにコラーゲンを酸抽出、特に酢酸抽出によって得ること、特にコラーゲンをもっぱら、即ちその他の方法ステップなしで酸抽出によって得ることが好ましい。
特に好ましい実施形態では、本発明に基づき使用されるコラーゲン溶液はラットの尾から次のようにして得られる。即ち皮膚を除いたラットの尾からコラーゲン線維を溶離し、酢酸溶液中で特に低温でインキュベートし、コラーゲンの不溶画分をコラーゲンの溶解画分から遠心分離及び濾別し、コラーゲンの溶解画分を沈殿させ、これを緩衝溶液で洗浄し、冷凍し、冷凍乾燥する。続いて、得られた冷凍乾燥コラーゲン調製物を酢酸中で再構成して、8〜16mg/ml、とりわけ9〜16mg/ml、特に10〜15mg/ml、とりわけ8〜12mg/ml、特に10mg/mlのコラーゲン含量を得る。
特に好ましい実施形態では、本発明に基づき使用されるコラーゲン溶液は実施例1、ステップi)により生成される。
特に好ましい実施形態では、得られるコラーゲン含有溶液、即ちコラーゲン溶液は原則として、即ち潜在的にゲル化能力があり、即ちゲル化(硬化)することができる。好ましい実施形態では、コラーゲン含有溶液がコラーゲン含有組織から酸抽出によって得られ、その際この実施形態ではpH値上昇剤、特に中和する特性を持つ緩衝溶液を添加することによって実際のゲル化能力を得る。
好ましい実施形態では、コラーゲン溶液として酸性コラーゲン溶液、特に8mg/ml以上、特に約9mg/ml以上、又はとりわけ約16mg/ml以下のコラーゲン含量(コラーゲン濃度)を有するコラーゲン溶液が準備される。特に好ましい実施形態では、とりわけ濃縮されたコラーゲン溶液、特に酸性コラーゲン溶液のコラーゲン濃度は、8〜16mg/ml、とりわけ9〜16mg/ml、特に10〜15mg/ml、特に8〜12mg/ml、特に9〜11mg/ml、とりわけ10mg/mlである。とりわけ濃縮されたコラーゲン溶液は酸性であることが好ましい。これは特にその粘度を得るためである。その場合このコラーゲン溶液のpH値は(21℃の温度基準で)pH6以下、特にpH5〜pH3.5である。
特殊な実施態様では、このコラーゲン溶液はその他の添加物又は補助物質、例えば細胞、細胞成分、成長因子、例えばサイトカイン、免疫促進物質、抗生物質又は安定剤、例えば多糖類を含まない。別の実施態様では、コラーゲン溶液に少なくとも1つの上記添加物又は補助物質が含まれる。
本発明の別の実施態様では、このコラーゲン溶液は粒子状物質、特に微小担体(マイクロキャリア)、ビーズ(小球)等を含まない。
ゲル化するコラーゲン組成物を得るために、とりわけ酸性のこのコラーゲン溶液は、中和剤、特に緩衝液と混合される。最も簡単な場合には、中和緩衝液は周知の緩衝塩溶液であり、それによって中性領域、特にpH7.0〜pH7.5(21℃の温度基準で)のコラーゲン組成物のpH値が得られる。周知のように調製されるpH8.3のHEPES緩衝食塩水を使用することが好ましい。本発明において、緩衝溶液はさらにゲル化コラーゲン組成物の所望の最終濃度を得るために、このコラーゲン溶液を希釈することに利用される。緩衝組成物は、このコラーゲン溶液との所定の混合比率に応じて少なくとも2倍に濃縮(1+1)、最大10倍に濃縮(9+1)、とりわけ5倍に濃縮(4+1)されることが好ましい。
特殊な実施態様では、緩衝溶液又はコラーゲン溶液はその他の添加物又は補助物質、例えば細胞、細胞成分、成長因子、例えばサイトカイン、免疫促進物質又は安定剤、例えば多糖類を含まない。別の実施態様では、緩衝溶液又はコラーゲン溶液に細胞及び場合によっては少なくとも1つのその他の添加物又は補助物質が含まれ、本発明に基づき濃縮コラーゲン溶液と混合されると、ゲル化する細胞含有コラーゲン組成物を作り、これが硬化して細胞含有コラーゲン移植物となる。その特殊な変型では、細胞は線維芽細胞、とりわけ自家細胞又は幹細胞である。
また本発明の特に好ましい実施形態では、緩衝溶液も粒子状物質、例えばビーズ(小球)及び/又は微小担体等を含まない。
コラーゲン溶液と緩衝溶液を1対1〜9対1(コラーゲン溶液対緩衝溶液)の容積比で混合することが好ましい。4対1、即ちコラーゲン溶液4部対緩衝溶液1部の混合比が好ましい。
調製された液状、特に含水ゲル化可能コラーゲン組成物のコラーゲン含量は、少なくとも6mg/ml以上、特に6〜12mg/ml、特に6〜10mg/mlであることが好ましい。その好ましい変型では、ゲル化可能なコラーゲン組成物のコラーゲン含量は約8mg/mlである。
多チャンバー型注射器を使用することが好ましい。これは特に周知の使い捨て注射器であることが好ましい。好ましい変型では、注射器は混合装置として周知の静止型ミキサーを備える。そのほか当業者は、適用の際に別個の溶液の混合を可能にするその他の一体形混合装置を知っている。別の実施態様では、このようなその他の構成も本発明である。
コラーゲン溶液と緩衝溶液が多チャンバー型注射器で準備される場合、注射器がそれぞれ約0.1〜約10mlのチャンバー容積を有することが特に好ましい。その場合、本発明に基づき好ましい溶液の温度調整は注射器の内部で行われ、またコラーゲン溶液と緩衝溶液の混合も溶液を注射器から排出するときに行われることが好ましい。注射器の混合装置は周知の静止型ミキサーであることが好ましい。当業者は、注射器に関連して使用することができる代替混合装置を知っている。排出過程は、注射器容積及び排出速度に応じて約1〜60秒かかることになる。本発明において、混合時間は2つのチャンバーから出るそれぞれの無限小容積部につき約0.5〜約2秒であることが好ましい。
発生期組成物は直ちに、即ちとりわけ混合の後10秒以内に、とりわけ5秒以内にゲル化し始める。ゲル化する組成物はなお液状であり、とりわけなお流動性がある。コラーゲン組成物が硬化して固形バイオマトリックスになれば、ゲル化過程が完了する。バイオマトリックスへの硬化は2〜4分以内に完了することが好ましい。差当たりなお流動性のコラーゲン組成物の硬化は、真皮に注入されるまで起こらないことが好ましく、ゲル化過程が完了する前に、希望があればそこで成形、即ち三次元造形を行うことができるようにすることが好ましい。
またこの点に関連して、本発明は特に使い捨て注射器の形の充填済み注射器を提供する。その場合、注射器は少なくとも2個の別個のチャンバーを備え、これらのチャンバーは注射器に組み込まれた注入機構に接続し、この注入機構によって各チャンバーの内容物をとりわけ同時に放出(投与)することができ、かつ注射器は外径0.3〜0.4mm、とりわけ0.3mm、とりわけ0.32〜0.38mm、特に0.35mmの針を有する。本発明に基づき注射器は少なくともさらに次の特徴を有する。即ち少なくとも1個の第1のチャンバーが液状の濃縮コラーゲン溶液で満たされ、これと別個の少なくとも1個の第2のチャンバーが緩衝溶液で満たされている。そのほかに別のこのようなチャンバーを注射器に設け、添加物又は補助物質で満たすことができる。
本発明に基づく少なくともコラーゲン溶液及び緩衝溶液で満たされた注射器は、皮膚欠陥、例えば皮膚疾患又は皮膚老化兆候に関連した皮膚欠陥の治療のための皮内適用についての当該の指示を示す同梱品とともに1つのキットをなし、直ちにゲル化するコラーゲン組成物の調製のために、このキットを使用することができる。
好ましい実施形態では、このようなキットはコラーゲン溶液を収容する容器及び中和緩衝溶液を収容する容器を含むことができる。
なお本発明は、充填済み多チャンバー型注射器の使用に限定されない。濃縮コラーゲン溶液及び緩衝溶液を別個に貯蔵し、続いてゲル化コラーゲン組成物の調製のためにこれらの溶液を直接混合させる実施態様も提供される。一つの別の実施態様は、特に周知のカプセルミキサーに関連して使用することができる使い捨て多チャンバー型混合カプセルである。
また医学的治療に適用するための本発明に基づく充填済み注射器又は本発明に基づくキットの使用も本発明である。一つの特殊な用途は、身体の皮膚の結合組織へのコラーゲン構造の皮内充填によるヒト又は動物の身体の皮膚欠陥、特に皮膚疾患及び皮膚老化兆候の予防的又は治療的処置である。
本発明に関連して、皮膚欠陥とは特に皮膚疾患及び皮膚老化兆候を意味する。本発明の意味の皮膚欠陥は、皮膚疾患及び皮膚老化兆候の一部として又はその環境で現れる症状、あるいはこれらの症状に随伴する症候でもある。
本発明に関連して皮膚欠陥とは、皮膚のコラーゲン構造の皮内充填によって予防的に(即ち防止)又は治療的に処置される、特に修復される、健康なヒト又は動物の身体の皮膚の正常状態と異なるすべての皮膚兆候を意味する。このような皮膚欠陥、例えば皮膚疾患又は皮膚老化兆候は、損傷、老化過程、外的影響、例えば放射線、熱、火、液体等の作用に由来することが可能である。このような皮膚欠陥は美容的性質の皮膚欠陥、即ちむしろ視覚的であり健康(医療)にはあまり関係のない性質の皮膚欠陥をも意味する。美容的性質の皮膚欠陥は、患者又はその周辺が、治療のために健康上の必要はないが、改善、特に美化が可能と認める皮膚の兆候でもある。特に本発明はしわの形の皮膚欠陥に関する。
本発明を、図及び以下の例示的実施形態を参照しながら詳細に説明するが、それらは限定的に理解されるものではない。
実施例1:即時ゲル化性液状コラーゲン組成物の製造
i)濃縮コラーゲン溶液を製造するために、ラット尾を約マイナス20℃で保管し、続いて数分間約70%アルコール中で表面的に消毒する。皮膚を引きはがし、個々のコラーゲン繊維を分離する。コラーゲン繊維をもう一度アルコール中で表面的に消毒してからPBSで洗浄し、続いて約0.1%(0.5mol/l)酢酸溶液に移してその中でインキュベートする。コラーゲン繊維を酢酸溶液中で少なくとも7日間、冷温で(約0〜4℃において)撹拌する。不溶性のコラーゲン部分をインキュベーション時間の終了時に分離してから、コラーゲンをろ過し、沈殿させる。沈殿物を緩衝溶液ですすぎ、凍結してから、凍結乾燥する。凍結乾燥したコラーゲンを0.1%酢酸中で所定通り再生し、8〜16mg/ml 、特に9〜16mg/mlのコラーゲン含有量を得る。濃縮コラーゲン溶液のpH値は、約4.0である。
ii)4部のコラーゲン溶液を1部の中和性緩衝溶液と混合するために(4+1)、5倍濃縮緩衝溶液を調合する。特に、NaCl 35.6gを超純水937.5ml及び3mol/lのHEPES溶液62.5mlに溶かした溶液を、5倍濃縮緩衝溶液とする。使用前に、緩衝溶液をNaOHでpH8.3に調整する。
チャンバー体積比1:4を有する多チャンバー型注射器のそれぞれ別々のチャンバーに、コラーゲン溶液及び緩衝溶液を充填し、さらに使用するまで、冷温、約-15℃以下で保管する。
iii)コラーゲン含有バイオマトリックスを製造するために、多チャンバー型注射器を短時間加熱キャビネット又は水浴に入れ、緩衝溶液及びコラーゲン溶液を約30℃の温度に加温する。両溶液を混合するために、連結された注射器プランジャーを介してこれらの溶液をチャンバー型注射器から押し出す。その際、両方の溶液とも、チャンバーと結合された混合装置を通る。注射器からは、混合された、即時ゲル化性コラーゲン組成物が流出する。この組成物をまだ液体のままで鋳型に注入する。適用するとコラーゲン組成物はこの鋳型を完全に充填し、数分以内に硬化して固体のコラーゲン含有バイオマトリックスになる。混合により生成した液状コラーゲン組成物の、約8mg/mlというコラーゲン含有量及び約30℃の温度では、この組成物は、2分以内に完全に硬化する。
実施例2:コラーゲン組成物のゲル化
実施例1に基づき製造されたコラーゲン組成物をレオロジー試験し、弾性率を決定する。2チャンバー型注射器(例えば、Medmix Systems社、スイス)内に、コラーゲン溶液(10mg/ml)及び緩衝溶液を、実施例1のように充填し(コラーゲンチャンバー:4部のコラーゲン溶液、2ml;緩衝液チャンバー:1部の五倍濃縮緩衝液、0.5ml)、凍結する。
室温(20.5℃)での1時間かけた穏やかな解凍に続いて、20〜40℃の範囲の、異なる温度の水浴中で注射器の10分間の調温を行う(表1)。
Figure 2015524695
調温に続き両成分を混合するために、注射器の栓を混合用アダプタと交換し、12ウェル組織培養プレートのウェルに内容物を慎重に放出し、その際、流出する最初の二滴を捨てる。
コラーゲン組成物(8mg/mlのコラーゲン)の完全なゲル化、すなわち固体ゲルへの硬化は、20.5℃において15分以内に起こった。続いて、質感の目視評価(visual consistency rating)を行った(表2)。
続いて、ウェル外部でのゲルの弾性率を、振動数法により算出する(Bohlin CVO R 150、Malvern Instruments GmbH社、ドイツ)(図2)。
Figure 2015524695
図2から、算出された弾性率平均値の最高値は、20℃と30℃との間の温度範囲にあることが読み取れる。37℃に温められたコラーゲンの曲線は、いくぶん下方を延びるが、このゲルも目視観察では堅い質感を示した。38℃に加熱すると、ゲルは、半固体でしかなく、振動測定では、変動の大きい、非常に低い値を示した。40℃のコラーゲンは、もはやゲル化しない。
実施例3:粘度の決定のための流動学的(レオロジー)測定
装置:
・エアフィルターユニットを備えたレオメーターシステムC-VOR 150 CE/WIN、 BohlinPforzheim社
・温度−30℃〜180℃のCVOのためのPeltierシステム180°
・水冷却ユニット
・コーンプレート形測定システムCP4°/40mm
・コンピューター;06SOP-01-010を参照
ソフトウエア:粘度測定(Viscometry)ソフトウエアモジュール
コラーゲンの粘度測定
測定は0.32〜56.23s-1のずり速度で行う。コラーゲンの粘度を測定する。プレートの清浄と新規充填の後に再現性測定を行う。
第一段階でレオメーターに1,000,000kg/m3の材料密度(23℃でのコラーゲンのおよその密度)を指定する。続いて試料(少なくとも2mLのコラーゲン)を下側プレートの中央に仕掛け、測定機構を下へ動かす(150μmの予め設定したギャップ間隔で自動停止)。
粘度測定を次のパラメータで行う:
予備ずり操作:100s-1
適用時間:10s
平衡時間:30s
粘度測定モード:ずり速度表0.1〜100s-1(対数オーダー値25)
遅延時間:5s 一定
積算時間:5s
一次測定及び再現性測定について0.32〜56.23s-1のずり速度測定の生データをエクセル表にまとめ、図形で表示する。図4に6、8及び10mg/mlコラーゲンのコラーゲン濃度についての結果が示してあり、その際コラーゲン溶液は実施例1に従って調製された。
4.217/sのずり速度の場合、6mg/mlのコラーゲン溶液では粘度1.34Pa・s、8mg/mlのコラーゲン溶液では粘度2.93Pa・s、10mg/mlのコラーゲン溶液では粘度5.48Pa・sとなる。
実施例4:ブタ皮膚での適用
本発明に基づき準備された液状のゲル化可能なコラーゲン組成物の30ゲージ針による注入性能を、ブタ皮膚で、8mg/mlの天然コラーゲン濃度を有する実施例1による液状のゲル化可能なコラーゲン−緩衝液混合物を用いて調べた。8mg/mlの天然コラーゲン−緩衝液混合物の試料を2チャンバー型注射器(図1及び3:チャンバー11は2mlの10mg/mlコラーゲン溶液で満たされ、チャンバー12は0.5mlの緩衝溶液で満たされている)によりブタ皮膚に皮内注射した(図5〜7)。続いて、皮内適用された、なお液状のコラーゲン−緩衝溶液(図8)を外部から造形した(図9)。造形されたゲルの結果を図10に示す。コラーゲン−緩衝溶液は30ゲージの針で皮内注射することができ、そこでゲル化し、造形の後、その形状を保持した。

Claims (15)

  1. コラーゲン溶液を収容する少なくとも1個の容器、中和緩衝溶液を収容する少なくとも1個の容器、並びにコラーゲン及び緩衝溶液の皮内注射に適した注射器を備え、患者の皮膚の結合組織にコラーゲン構造を皮内充填する治療方法に使用するためのキットであって、注射器の針が0.3〜0.4mmの直径を有する、キット。
  2. 注射器がチャンバーとして構成された少なくとも2個の別個の容器を有し、これらの容器が注射器の中に配置された混合装置及び注射器の針と流体接続されており、少なくとも1個の第1のチャンバーはコラーゲン溶液で満たされ、これと別個の少なくとも1個の第2のチャンバーは中和緩衝溶液で満たされている、請求項1に記載のキット。
  3. 混合装置が静止型ミキサーである、請求項2に記載のキット。
  4. 患者の皮膚の結合組織にコラーゲン構造を皮内充填する治療方法に使用するための注射器であって、注射器の中に配置された混合装置及び注射器の針と流体接続され、チャンバーとして構成された少なくとも2個の別個の容器を備え、少なくとも1個の第1のチャンバーがコラーゲン溶液で満たされ、これと別個の少なくとも1個の第2のチャンバーが中和緩衝溶液で満たされ、注射器の針が0.3〜0.4mmの直径を有する、注射器。
  5. 下記のステップ:
    a)コラーゲン溶液と中和緩衝溶液を別個に準備するステップ、
    b)コラーゲン溶液と中和緩衝溶液を混合し、その際ゲル化可能なコラーゲン組成物が得られるステップ、
    c)液状のゲル化可能なコラーゲン組成物をそのゲル化の前に皮内注射するステップ、
    d)注射された液状のゲル化可能なコラーゲン組成物を皮内の標的部位で成形し、その際成形されたコラーゲンゲルが標的部位で硬化するステップ
    を含む、コラーゲンゲルを利用して患者の皮膚の結合組織にコラーゲン構造を皮内充填する方法。
  6. 方法ステップa)でコラーゲン溶液と緩衝溶液がそれぞれ別個に20℃〜37℃の温度に温度調整され、方法ステップb)で温度調整されたコラーゲン溶液及び温度調整された緩衝溶液が混合され、その際液状のゲル化可能なコラーゲン組成物が得られる、請求項5に記載の方法。
  7. 方法ステップc)による皮内注射が直径0.3〜0.4mmの針を備えた注射器によって行われる、請求項5〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 混合が最大5秒の期間内に完了する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 調製されたコラーゲン組成物のゲル化が混合の後10秒以内に始まる、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. コラーゲン組成物の皮内注射及び成形が最大4分、とりわけ最大2分かかる、請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 注射器のチャンバーから溶液を押し出し、注射器に組み込まれた混合装置で溶液流を合流させることによってコラーゲン溶液と緩衝溶液の混合が行われ、その際調製されたコラーゲン組成物が混合装置から出る、請求項5〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 液状のゲル化可能なコラーゲン組成物が6〜10mg/mlのコラーゲン濃度を有する、請求項5〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. コラーゲン溶液のpH値が(21℃の温度基準で)6以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のキット、注射器又は方法。
  14. コラーゲン溶液が酵素活性を使用せずに酸抽出によりコラーゲン含有組織、特にラットの尾から生成されたものである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のキット、注射器又は方法。
  15. コラーゲン溶液若しくは液状のゲル化可能なコラーゲン組成物又は両者が無細胞である、請求項1〜14のいずれか1項に記載のキット、注射器又は方法。
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