本発明は、様々な修正および代替形式が可能であるが、その詳細が、図で例として示されており、詳細に記述される。しかし、本発明を、記述する特定の実施形態に限定することを意図していないことが理解されるべきである。反対に、本発明の精神および範囲に含まれる全ての修正、等価物、および代替物を包含することを意図する。
以下の記述および図は、例示であり、限定として解釈されるべきではない。完全な理解を提供するために、多数の具体的詳細を記述する。しかし、ある事例では、記述が不明瞭になるのを回避するために、周知または従来の詳細は説明しない。本開示の1つまたは一実施形態への言及は、必ずしも、同じ実施形態への言及ではない。また、かかる言及は少なくとも1つを意味する。
本明細書における「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関連して記述する特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書内の様々な場所での「一実施形態では(in one embodiment)」という句の出現は、必ずしも、全てが同じ実施形態への言及ではなく、また、他の実施形態と相互に排他的な別個のまたは代替的な実施形態でもない。さらに、いくつかの実施形態によって示され得るが、他では示されない、様々な特徴を説明する。同様に、いくつかの実施形態に対する要件であり得るが、他の実施形態に対する要件ではない、様々な要件を説明する。
システムおよび方法は、特に、光音響撮像データを処理するための方法および装置のブロック図、操作図およびアルゴリズムに関連して以下で説明する。ブロック図の各ブロック、操作図およびアルゴリズム、ならびにブロック図の各ブロック、操作図およびアルゴリズムの組合せは、アナログまたはデジタルハードウェアおよびコンピュータプログラム命令によって実現できることが理解される。
これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ASIC、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供でき、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行する、命令が、ブロック図、1つまたは複数の操作ブロックおよび/またはアルゴリズム内で機能/動作を実現できるようにする。
いくつかの事例では、周波数領域ベースのアルゴリズムは、性能のためにゼロまたは対称パディングを必要とする。このパディングは、本アルゴリズムの実施形態を説明するのに不可欠ではなく、そのため、処理工程の説明から時々省略される。パディングが工程で開示されている、いくつかの事例では、アルゴリズムは、それでも、パディングなしで実行され得る。しかし、いくつかの事例では、パディングは不可欠であり、データの破損なしに除去することは不可能である。
いくつかの代替実装形態では、ブロック内に記述した機能/動作は、操作図で記述した順序ではない順序で起こり得る。例えば、関係する機能/動作に応じて、連続して示される2つのブロックが、実際には、実質的に同時に実行できるか、ブロックが、時には逆の順序で実行できる。
ここで、本発明の様々な実施形態に対するより詳細な参照が行われるが、それらの例は、添付の図と、2012年6月13日に出願された関連する米国特許出願第13/507,217号において提出された添付書類と、に示す。当業者には明らかであるように、添付書類で説明するデータ構造および添付書類で説明する処理工程(擬似コードを含む)は、本明細書における本開示の精神および本発明の範囲から逸脱することなく、様々な他の方法で実現され得る。添付書類は、説明のため、および理解を容易にするために、本明細書で開示する概念を実現する1つの方法を提供することを意図する。
光音響データを提示するためのシステムおよび方法
図1を参照すると、光音響システムおよび方法という表題の下で概説されるのは、光路132および電気路108を介して、システム筐体101に接続されたプローブ102を含む、装置100である。システム筐体101内には、光サブシステム129およびコンピューティングサブシステム128が収納されている。コンピューティングサブシステム128は、特に、光音響制御および分析用の1つまたは複数のコンピューティング構成要素を含む。一実施形態では、プローブ102内のトランスデューサのサンプリングを通して、装置100は、パルス発生された光源130、131によって生じた刺激(すなわち、光音響帰還信号)、および超音波トランスデューサ要素の音響出力によって生じた刺激、に応答して受け取られたデータを取得できる。
一実施形態では、組織の体積中で生じる単一の光事象に対応する光音響帰還信号を取得するために、プローブ102内のトランスデューサは、その光事象後のある期間、サンプリングできる。一実施形態では、プローブ102内のトランスデューサは、光事象の後、音が組織内で所望の距離を進むためにかかり得る時間にほぼ等しい期間、サンプリングされ得る。一実施形態では、所望の距離は少なくとも1センチメートルであってよい。一実施形態では、所望の距離は少なくとも2センチメートルであってよい。一実施形態では、サンプリング期間は、音が、組織内を少なくとも1センチメートルであるが、15センチメートルを超えない距離を進むのにかかり得る時間に対応することになる。一実施形態では、サンプリング期間は、音が、組織内を少なくとも5センチメートルであるが、12センチメートルを超えない距離を進むのにかかり得る時間に対応することになる。一実施形態では、所望の距離は、1センチメートル未満であり得る。サンプリングレートは、光音響帰還信号内で十分な情報を取得するのに十分であるべきである。一実施形態では、サンプリングレートは、約20Mhzを超え、別の実施形態では、サンプリングレートは、約30Mhzを超える。一実施形態では、サンプリングは、少なくとも8ビットであり、より好ましくは、12ビットを超える。一実施形態では、サンプリングは14ビットで行われる。一実施形態では、サンプリングは14ビットより高い解像度で行われる。
典型的な実施形態では、光音響帰還信号を取得するために、プローブ102内の128または256のトランスデューサ(すなわち、チャネル)が、31.25Mhzのサンプリングレートで約65マイクロ秒(μs)間、14ビットでサンプリングされる。31.25Mhzでの65μsのサンプリングにより、2,000を超えるサンプルが生じる。一実施形態では、各トランスデューサまたはチャネルに対して、2,045の14ビットサンプルが格納され得る。効率のために、14ビットサンプルは、16ビットのコンピュータワードに格納できる。単一の光事象に関連するサンプルは、その光事象に関する追加のヘッダー情報と共に、128チャネルに対して約512KB(キロバイト)、または256チャネルに対して1MB(メガバイト)のフレーム内に格納できる。従って、典型的な実施形態では、ヘッダー情報を含む、光事象からの光音響帰還信号は、512KB、または1MBのいずれかに格納できる。さらに以下で説明するように、一実施形態では、装置100は、異なる光波長で動作する少なくとも2つの光源130、131を含む。異なる光波長で動作する2つの光源130、131による一実施形態では、各々の光源からの1つの光事象からの光音響帰還信号を、光音響データを提示するための方法およびシステムで使用できる。一実施形態では、装置100は、本明細書に記載するような使用のために十分迅速に波長を変更できる波長可変レーザーなどの、異なる波長で操作され得る単一の光源を含む。一実施形態では、装置100は、各々が複数の異なる波長に調節できる、少なくとも2つの光源130、131を含む。一実施形態では、装置100は、1つの光波長を操作する1つの光源130、および複数の異なる波長に調節できる少なくとも1つの追加の光源131を含む。
本明細書では、サイノグラムという用語は、単一の光事象に対応する、サンプル抽出データまたは処理されたサンプル抽出データを指す。サイノグラムという用語は、時々、元の、またはフィルタ処理されたサンプル抽出データをグレースケールまたはカラーデータとして使用することにより提示された画像を指すためにも使用され、データ内のサンプルと画像内のボクセルとの間に対応関係がある。各々が光の異なる波長に対応する、2つの異なる光事象からの光音響帰還信号を使用する一実施形態では、短サイノグラムという用語は、光事象を生成する光のより短い波長に対応するサイノグラムを指し、また、長サイノグラムという用語は、光事象を生成する光のより長い波長に対応するサイノグラムを指す。2つより多い異なる波長が使用され得るので、短い波長および長い波長という用語の使用は、任意の数の波長を有するシステムの拡張されたコンテキストを具体化することを意図する。
一実施形態では、より詳細に以下で説明するように、サイノグラムは、エンベロープ画像を生成するために処理される。本明細書では、短エンベロープ画像は、短サイノグラムに対応するエンベロープ画像を指し、長エンベロープ画像は、長サイノグラムに対応するエンベロープ画像を指す。一実施形態では、短サイノグラムおよび長サイノグラムは各々、それぞれ短エンベロープ画像および長エンベロープ画像を生成するために別々に処理される。短エンベロープ画像および長エンベロープ画像は次いで、パラメータ画像を生成するために一緒に使用される。パラメータ画像から、酸素化、ヘモグロビン、およびマスクされた酸素化のマップが作成できる。これらのマップは、実質的に同じ体積の超音波画像を表す位置合わせ(coregister)されたデータであり得、その後、酸素化画像、ヘモグロビン画像およびマスクされた酸素化画像のうちの1つまたは複数を生成できる。一実施形態では、酸素化画像、ヘモグロビン画像およびマスクされた酸素化画像は、組織の体積の組成に関する情報を反映する。パラメータマップおよびパラメータ画像という用語は、場合によっては、区別しないで使用される。マップという用語の使用は、一般に、画像と体積との間の対応関係に関連する。パラメータマップは、例えば、単一チャネル(すなわち、グレースケール)表現、カラー(すなわち、RGB)表現、または透明度をもつカラー(RGBA)表現、を含む、多数の方法で表され得る。パラメータマップは、1つまたは複数のパラメータに関する定性的または定量的な情報を伝達するために使用され得る。パラメータマップまたはパラメータ画像は、コンピュータメモリ内で表され得るか、または表示された表現として提示され得、従って、本明細書では、「画像」または「マップ」という用語は、必ずしも視覚表現を意味しない。
サイノグラムおよび他のシステムデータの格納
一実施形態では、サイノグラムは、光音響装置の使用に関して記録された他のデータと共に、レーザー光ムービー(laser optic movie)ファイルすなわちLOMに記録され得る。LOMは、名前が示すような、動画ファイルではなく、むしろ、LOMは、関連ファイルのグループ内に、より好ましくは、単一のデータファイル内に、記録され得る、記録されたデータの集合である。LOMのフォーマットに対する一考察は、LOM内への格納を必要とするデータを生成する、様々な、おそらくは非同期のプロセスである。一実施形態では、LOMは、限定はされないが、長および短光音響サイノグラム、超音波フレーム、構成データ、ユーザによって作成された注釈、またはその後で、光音響装置の使用中に行われた音声および/もしくはビデオ記録ならびに光音響システムおよびそのソフトウェアによって報告されるようなバージョン情報に関する情報を含む、光音響装置の使用に関する様々な情報を格納するために使用できる。
一実施形態では、LOMは、各々1024バイト(1K)のブロックで構築され得る。情報(例えば、サイノグラム)の各集合は、ヘッダー、および、追加のデータが必要な場合は、ヘッダーに関連した情報の1つまたは複数の追加のブロックを含み得る。一実施形態では、ヘッダーは、そのブロックをヘッダーとして識別するために使用される識別子を含み得る。一実施形態では、ヘッダーは、特定の実施態様における様々なタイプの入力および入出力システムに当てはまり得るように、たとえLOM内にばらばらの順序で記録されていても、LOMが使用される場合に、情報の集合が適切な順序で配置されるのを可能にする同期カウンタのための値も含み得る。一実施形態では、ヘッダーは、それ自身のCRCおよびその集合に関連する任意の追加データをさらに含み、そのようにしてLOM内の集合全体の整合性チェックおよび検証を可能にする。例示的なLOMに対するデータ構造が、添付書類で提供される。
サイノグラムの処理
種々の理由で、サイノグラムは、不要か、不正確か、または十分にスケーリングされていないデータを含み得る。サイノグラムデータのこられの弊害は、使用された計測器(例えば、プローブ)もしくは光の特性、体積(すなわち、組織)の特性、体積とプローブもしくは光との間の相互作用の特性、外部刺激、または他の原因を含む、無数の理由に起因し得る。原因に関わらず、サイノグラムデータの不要な態様を除去するために、様々なプロセスが使用できる。
サイノグラムデータが整数として(例えば、14ビット整数として)サンプリングされる、典型的な実施形態では、サイノグラムに関する処理工程を実行する前に、サイノグラムデータが整数から浮動小数点数に変換され得る。整数から浮動小数点への変換は、精度を向上させて、計算のダイナミックレンジを拡張するために実行される。一実施形態では、サイノグラムは、整数データとして処理され得る。一実施形態では、サイノグラムは、整数データとして処理され得るが、整数は、例えば、64ビット、または96ビット、または128ビットなどの、適切な範囲のデータに対処するのに十分なサイズに拡大される。
一般に、サイノグラムを処理するための以下の各工程では、処理は、時間領域信号に関して実行される。好ましい実施形態では(以下で説明するように)、プローブ102は、サイノグラムデータが、トランスデューサの下の平面−画像平面上にあるものにより焦点を合わせられることを可能にする音響レンズを含む。一実施形態では、プローブは、10〜40ミリメートルの間の焦点距離を有する音響レンズを含む。例示的実施形態では、プローブは、20ミリメートルの焦点距離を有する音響レンズを含む。一実施形態では、プローブは、ハードウェアで、またはソフトウェアで、ズームインまたはズームアウトできる焦点距離を有する音響レンズを含み得る。
前述のように、例示的実施形態では、サイノグラムデータの各チャネルは、体積内の約100ミリメートルの距離を表す。音響レンズは、一般に、画像平面に対して外側の(例えば、直交する)点から伝搬する信号の少なくとも一部分を拒絶する。しかし、各トランスデューサは、約100ミリメートル距離内に存在する画像平面の実質的に全ての点からの信号を受け取る。チャネルに対して受け取られた信号は、画像平面上の半径100の半円形の領域を含むと考えられ得る。
図2を参照すると、例となるプロセスの概要が示されているが、それは、データの3つのセット、すなわち、短サイノグラム(工程205)、長サイノグラム(工程210)および超音波画像(工程215)の取得から始まり、そのデータを処理して、その取得したデータの様々な態様を見る際に有用であり得る、最大で6つの別個の画像を生成する。典型的な実施形態では、取得したデータの3つのセットは、ハンドヘルド光音響プローブ102(図1)を使用して取得され得る。本明細書での説明のために、工程205、210および215で3つのセットのデータを取得する間に、プローブ102の移動は、たとえあったとしても、最小限であると仮定され得る。典型的な実施形態では、妥当なフレームレート(例えば、10hz)は、プローブを握る際に使用される十分にしっかりしたハンドと連結されて、3つのデータセットを生じさせ得、それらの間には実質的に最小限の移動が生じている。本明細書に記載するプロセスは、3つの識別されたデータセットと共に使用されることに限定されないことに留意すべきである。追加のデータセットの使用、例えば、追加の光の波長からのデータセットなどは、結果として生じる画像をさらに改善するために使用され得る。
以下でさらに詳細に説明するように、短サイノグラムデータおよび長サイノグラムデータは、使用された計測器(例えば、プローブ)もしくは光の特性、体積(すなわち、組織)の特性、体積とプローブもしくは光との間の相互作用の特性、外部刺激、または他の原因を含め、サイノグラム内の望ましくないデータを減らすか、または補正するために、1つまたは複数の別個の方法で前処理される(工程220)。前処理の後、別個の短画像および長画像が再構成される(工程225)。一実施形態では、複素短画像および長画像の別個の実成分および虚数成分が再構成工程から生じる。一実施形態では、再構成された画像の処理(工程230)が実行される。処理(工程230)は、再構成された画像内で識別できる追加のアーチファクトを除去し得、任意の事象で、短エンベロープ画像(232)および長エンベロープ画像(234)を作成する。一実施形態では、短エンベロープ画像および長エンベロープ画像(232、234)が、パラメータ画像生成(工程240)プロセスで使用される。パラメータ画像生成(工程240)プロセスは、酸素化マップ(250)、ヘモグロビンマップ(255)およびマスクされた酸素化マップ(260)を出力する。一実施形態では、3つのマップのいずれかまたは全部が位置合わせされて、超音波画像上に重ね合わされる(工程265)。工程270、275、280、285、290および295で表示される表示可能な画像の1つまたは複数の表示のために、ディスプレイが提供され得る。一実施形態では、2つ以上の画像のグループが、同じ画面上に表示され得、通常、スケーリングされて、一定のサイズにされ得る。一実施形態では、6つの画像全てのグループが、同じ画面上に表示され得、通常、スケーリングされて、一定のサイズにされ得る。
一実施形態では、光音響データについて処理を実行するシステム、および/または光音響出力を表示するシステム(サイノグラムを取得するシステムと同じであり得るが、その必要はない)は、光音響画像を処理または表示する際に、処理で使用されるパラメータを変える機能をオペレータに提供することとなる。一実施形態では、光音響データに対して処理を実行するシステム、および/または光音響出力を表示するシステムは、オペレータに対して、光音響画像の処理に使用される処理工程のスイッチをオンおよびオフし、潜在的に処理工程の順序を変更する機能を提供することになる。
前処理(220)
図3を参照すると、例となるサイノグラム前処理の概要が示されている。サイノグラムデータの取得(工程205、210)後、そのデータは、限定はされないが、装置自体のアーチファクト、装置・被験者の相互作用のアーチファクト、および不要な情報の外因を含め、サイノグラム内の望ましくないデータを減らすか、または補正するために、1つまたは複数の別個の方法で前処理される(工程220、図2)。一実施形態では、前処理は、1つまたは複数の次の工程から構成され得る:すなわち、不良なトランスデューサの検出(工程305)、コモンモードストライプフィルタ処理(工程310)、帯域通過フィルタ処理および/またはプローブ伝達関数の適用(工程315)、ダイナミックレンジの正規化(工程320)、エネルギーに対する正規化(工程325)、選択的チャネル感度(工程330)、フレーム間持続的アーチファクトの除去(工程335)およびソフトウェア減衰補正(工程340)。1つまたは複数の追加の前処理工程も、サイノグラム内の望ましくないデータを減らすか、補正するために使用され得る。特に、図3で特定された工程は、提示された順序で実行される必要がなく、任意の順序で実行され得る。さらに、図3に示す工程の全てが、例となるシステムの任意の実装形態で必要なわけではなく、むしろ、前処理は、サイノグラム内の望ましくないデータを減らすか、補正するために、任意の1つまたは複数の工程の使用から成る。
前処理(220)−不良トランスデューサの検出(305)
サイノグラム内の弊害の1つの潜在的な原因は、サンプリングプロセス中に、その上に入射する光音響帰還信号を正確に反射できないトランスデューサである。障害は一時的なこともあれば、永久的なこともあり得る。さらに、サンプル抽出データが、高過ぎるか、もしくは低過ぎる信号を反射しているか、またはノイズを反射している場合など、障害が部分的で有り得るか、またはサンプル抽出データが全てゼロもしくは名目値である場合、障害は全体的であり得る。不良なトランスデューサは、単一のサイノグラム内であっても、一貫性がないか、または片々な出力も提示し得る。不良なトランスデューサチャネルは、例えば、1つまたは複数のトランスデューサ要素の下での組織との接触不良からも生じ得る。
一実施形態では、一貫して不良なトランスデューサが識別されると、その識別が書き留められて、その後、そのトランスデューサから提供されたデータは、無視されるか、置換されるか、または別に前処理され得る。例えば、一実施形態では、トランスデューサの不正動作を補正するために、前処理プログラムが実行されて、トランスデューサの異常な応答特性を除去する。別の実施形態では、トランスデューサの不正動作を補正するために、トランスデューサのデータが2つの隣接したチャネルからのデータの平均値と置き換えられる。
一実施形態では、サイノグラムデータは、不良なチャネルの存在について分析される。不良なチャネルは、サイノグラムが「皮膚(skin)」信号(すなわち、体積の表面で、または表面近くから反射された光音響応答信号であり、それは、他のチャネルにわたって、平均より著しく弱い)を有するという事実によって検出され得る。弱い皮膚信号は、そのチャネルの真上での音響接触不良または、例えば、そのチャネルの利得を大幅に減らした電子機器に関連する何等かの問題から生じ得る。チャネルがこの挙動を示す場合、それは、「不良」と識別され得、一実施形態では、そのチャネル内のデータは、アーチファクトを避けるために、ストライプフィルタ(以下で説明)での処理後、ゼロにされる。
例示的実施形態では、不良データを識別して、データのその部分をゼロに設定し、それにより不正確な画像アーチファクトを回避するために、以下のアルゴリズムが使用され得る。
この例示的実施形態では、アルゴリズムは、強い光音響皮膚信号が各トランスデューサによって受け取られることになると仮定する。強い光音響皮膚信号は、ノイズより優位を占めると予期され、チャネルごとに振幅において近接していると予期される。
例示的なアルゴリズムは、以下のように説明される:各接続したデータチャネルが分析されて、(皮膚からの光音響信号を含む)絶対チャネルデータのいくつかの連続したサンプルのグループの平均が非常に小さく、連続したチャネルの全てにわたって比較した場合に、統計的異常値であると考えられる場合、「不良」とラベル付けされる。異常値の判断は、全てのチャネルにわたる加重標準偏差に基づく。
例示的なアルゴリズムは、次のように実行され得る:
a.信号の絶対値が計算される。
b.絶対信号内の最初のいくつかのサンプルの平均値が計算される。
c.平均値の小さい異常値が、(全ての接続したチャネルにわたる平均値)−(加重標準偏差)を閾値として使用して、識別される。
d.識別された異常値が不良チャネルとしてラベル付けされる。
添付書類の擬似コードは、当業者が、本明細書で説明する例示的なアルゴリズムを実現する際に指針となるであろう。提示したアルゴリズムは、後に光音響データについて行われる計算および操作に悪影響を及ぼし得る不良チャネルを除去するための一方法例にすぎない。前述を考慮すると、限定はされないが、チャネル間、またはチャネルのセット間で自己相関を使用する方法を含め、不良チャネル検出のために他の方法が使用できることは、当業者には明らかであり、本開示の範囲内である。
一実施形態では、トランスデューサ要素は組織の体積の表面の一部分と音響的に連結され、光パルスがその表面の1つの領域上に誘導され、その光パルスは、事前規定されたフルエンスより少量を表面上に与える。サイノグラムは、組織の体積のパルスに対する光音響応答を反映するデータを記録するために、体積の表面に音響的に連結されたトランスデューサを、光のパルス後の所定の期間サンプリングすることにより記録される。なお、各トランスデューサに対するサンプルはチャネルに対応する。サイノグラムは1つまたは複数の異常チャネルの存在を求めて分析され、異常チャネルに対応するサイノグラムサンプルは、サイノグラムから再構成された画像に対する異常チャネルの影響を減少させるために、修正される。サイノグラムを分析する工程は、各チャネルに対して、第1グループのサンプルに対するチャネル平均を決定することと、チャネル平均の平均を決定することと、チャネル平均の平均と比較して異常値であるチャネル平均を有する各チャネルを異常として識別することと、を含み得る。異常値は、チャネル平均の平均からチャネル平均の加重標準偏差を減じたものを閾値として用いて決定された統計的異常値であり得る。サイノグラムサンプルを修正する工程は、1つまたは複数の異常チャネルに対応するサンプルをゼロに設定することにより実行され得る。トランスデューサは、第1トランスデューサおよび最終トランスデューサがトランスデューサの配列の最も外側の2つのトランスデューサとなり且つ第1トランスデューサおよび最終トランスデューサが第1チャネルおよび最終チャネルに対応する状態で、互いに対してトランスデューサの中心を通る仮想平面上で全般的に配向され得る。サイノグラムサンプルを修正する工程は以下の論理を適用することにより実行され得る。チャネルが第1チャネルまたは最終チャネルである場合には1つまたは複数の異常チャネルに対応するサンプルを隣接チャネルからの対応するサンプルと置き換えるか、またはチャネルが第1チャネルまたは最終チャネルではない場合には1つまたは複数の異常チャネルに対応するサンプルを各異常チャネルの隣接チャネルからの対応するサンプルの平均と置き換える。
前処理(220)−コモンモードストライプフィルタ(310)
サイノグラム内の不要な情報の他の潜在的な原因は、全てのチャネルに同時に影響するノイズまたは他の不要な信号の形態で現れ得る。例えば、外部干渉またはプローブ特性を含む、この種のノイズまたは不要な信号の様々な原因があり得る。しかし、原因に関わらず、ノイズまたは不要な信号は、除去され得るか、または弱められ得る。サイノグラムが、チャネルを列に対応させ、サンプルを行に従って方向づけられる場合、このタイプのフィルタは、サイノグラムから水平ストライプを除去する。一実施形態では、水平ストライプが、2次元離散ウェーブレット変換(2D−DWT)に基づく方法を使用して除去され得る。一実施形態では、水平ストライプが、周波数領域フィルタ(例えば、1次元または2次元周波数領域フィルタ)またはFIRフィルタに基づく方法を使用して除去され得る。一実施形態では、データの行または他のセットにわたる平均値が、データのその行または他のセット内の各サンプルから減算される。
例示的実施形態では、以下のアルゴリズムが、水平ストライプをサイノグラムから除去するために使用され得る。一実施形態では、例示的なアルゴリズムが、次のように実行され得る:
a.各サブバンドレベルで、水平係数に対するウェーブレット係数のサイズを事前計算する。
b.各ウェーブレットサブバンドに対して1次元(1D)周波数領域ストライプフィルタの偶対称零位相伝達関数を事前計算する。
c.高域および低域ウェーブレット係数を使用して2Dウェーブレット変換を計算するが、それらの係数は、入力パラメータによって、および、ある数のレベルに対して順ウェーブレット分解(forward wavelet decomposition)を適用することによって、定義され得る。
d.各サブバンドレベルからの垂直係数で、1D伝達関数フィルタを垂直方向に沿って、各ラインに適用するが、その1D伝達関数は、ラインの各々に対する低域周波を円滑に抑制する。
e.ウェーブレット再構成を修正されたウェーブレット係数に適用することにより逆ウェーブレット変換を採用する。
添付書類の擬似コードは、当業者が、この例示的なアルゴリズムを実現する際に指針となるであろう。提示したアルゴリズムは、後に光音響データについて行われる計算および操作に悪影響を及ぼし得るデータを除去するストライプフィルタを実現するための一方法例にすぎない。一実施形態では、各チャネルに共通である干渉を除去するために、サイノグラムのチャネルに関する主成分分析を使用することにより、コモンモードストライプフィルタ処理が実行できる。一実施形態では、干渉が各チャネル上の異なる複素位相に影響され得る、各チャネルに共通である干渉を除去するために、複素分析サイノグラムのチャネルに関する主成分分析を使用することにより、コモンモードストライプフィルタ処理が実行できる。前述を考慮すると、このタイプの誤ったデータを除去するために他の方法が使用できることは、当業者には明らかであり、本開示の範囲内である。
波動が組織の表面に沿って進むにつれ、例示的に、波動の頂点がトランスデューサの各要素に次々と接触し得、その結果、測定値が線形配列プローブを使用して取得される場合、かかる波動は対角アーチファクト(diagonal artifact)をサイノグラム内に生成し得る。一実施形態では、これらおよび他のかかる対角アーチファクトを除去するために、ストライプフィルタが使用され得る。一実施形態では、かかる対角アーチファクトを除去するために、サイノグラムの各チャネルが、ストライプフィルタの適用前に、表面波の認識された移動速度に基づいてシフトされ、次いで、ストライプフィルタが適用された後に戻しシフト(un−shift)される。一実施形態では、2D帯域阻止ストライプフィルタを使用して、対角ストライプが除去され得る。
前処理(220)−帯域通過フィルタおよびプローブ伝達関数(315)
トランスデューサによって捕捉されてサイノグラムに格納された光音響帰還信号データの取得されたチャネルは、(サンプリング期間中に)そのトランスデューサが検出するデータのサンプリングを含む。前述のように、サイノグラム常駐のサンプルが、時間領域内で取得される。以下でも説明するように、光音響帰還信号トランスデューサは、従来型の超音波トランスデューサよりも広い帯域を有し得る。従って、一実施形態では、光音響帰還信号トランスデューサは、10Khz以下から、20Mhz以上までの帯域幅を有し得る。例示的実施形態では、光音響帰還信号トランスデューサは、約50Khz〜20Mhzの帯域幅を有し得る。
光音響帰還信号の選択された部分が、画像再構成における使用により適している。従って、一実施形態では、光音響帰還信号の一部が、結果として生じる光音響画像を著しく損なうことなく、除去される。一実施形態では、1次元のFFT(高速フーリエ変換)帯域通過フィルタが、結果として生じる光音響画像の著しい減損なしで、高および低周波数成分を削減または除去するために使用され得る。従って、例示的実施形態では、低周波側で、10Khz未満で実質的に完全な減衰を提供し、他方、高周波側では、12Mhzの後に実質的に完全な減衰を提供する、1次元FFT帯域通過フィルタが、採用できる。一実施形態では、低周波側で、50Khzでロールオフを開始し、他方、高周波側では、6Mhzでロールオフを開始する、1次元FFT帯域通過フィルタが、採用できる。一実施形態では、ロールオフレートは、高周波側よりも低周波側に対して急勾配である。従って、例示的実施形態では、低周波側で、50Khzで(下方に)ロールオフを開始して、10Khz未満で実質的に完全な減衰を提供し、他方、高周波側では、6Mhzでロールオフを開始して、12Mhzの後に実質的に完全な減衰を提供する、1次元FFT帯域通過フィルタが、採用できる。
結果として生じる光音響画像に重大な影響を及ぼさない光音響帰還信号の周波数部分をフィルタ処理することに加えて、例示的実施形態では、アルゴリズムが、プローブおよび電子機器の伝達関数の近似値、すなわち、実質的にシステムの伝達関数の近似値を求める機能を提供し得る。本節では、システムの伝達関数(すなわち、実質的にシステムの伝達関数の近似値を求める機能)は、プローブ形状、プローブ自体が光事象に影響を及ぼす方法、または、例えば、信号の減衰、遅延、空間応答、ノイズもしくは他の態様における変化を含む、様々な周波数での結果として生じる光音響帰還信号などの、システムの独自の応答特性のうちの少なくともいくつかを反映する伝達関数である。一実施形態では、組織および/または接触媒質の空間周波数応答特性もシステムの独自の応答特性に影響し得る。システム電子機器の周波数領域応答特性またはインパルス応答特性も、システム応答に含まれ得る。システム応答によって取り込まれ得る応答特性のようなものの例は、例えば、1Mhzの音が100Khzの音よりも大きな音で届くような、周波数の濾過;例えば、1Mhzの音が100Khzの音よりも早く届くような、遅延;および/または、例えば、トランスデューサに対して垂直から45度の位置からトランスデューサに届く音が、それがトランスデューサに垂直な方向から到着した場合よりも異なって聞こえるような、空間効果を含み得る。
例示的実施形態では、システムフィルタ全体(すなわち、特に、システム伝達関数を補正するためのフィルタ)は、音響電気インパルス応答のデコンボリューション、帯域通過フィルタ処理、および他の要因の濾過をサポートするための追加の任意の伝達関数を含む工程によって形成され得る。サイノグラムデータは、次いで、システムフィルタ関数を使用して処理できる。
この例示的実施形態では、システムの複素伝達関数が3つの部分から形成されるが、それらは、後で一緒に乗算される。第1の部分は、音響電気インパルス応答のデコンボリューションに対する周波数領域表現であり、それは、ノイズ対信号パワースペクトル比に関連する正則化パラメータをもつウィーナーデコンボリューションを使用して決定され得る。伝達関数の第2の部分は、帯域通過フィルタであり、それは、帯域通過/停止領域に関して提供された情報を使用して、二乗余弦アポダイゼーション関数で設計される。伝達関数の第3の部分は、任意選択の任意の周波数応答である。システムフィルタは、そのパラメータの1つが変化する場合に再計算される必要があるだけである。そうでなければ、フィルタは、必要に応じて、決定、格納、およびストレージからロードされ得る。要するに、サイノグラムデータは、調整されて、周波数領域に変換されるが、そこで、それが時間領域に変換して戻される前に、システムのフィルタ関数によって乗算される。
システムフィルタを作成するための例示的なアルゴリズムが、以下のように説明され得る:最後の実行から、いずれのパラメータも修正されなかった場合、システムの伝達関数は、以前に計算された入力システムの伝達関数である。そうでない場合、システムフィルタは、以下の工程に従って計算され得る。工程1で、デコンボリューションウィーナーフィルタが形成される(以下のようなウィーナーデコンボリューションフィルタが使用され得る:
式中、fは周波数(Hz)、Gはフィルタの伝達関数、Hはシステムの周波数応答、αはノイズ対信号スペクトルパワー密度比である)。工程2で、帯域通過フィルタが、二乗余弦アポダイゼーション関数および入力帯域通過/阻止周波数パラメータを使用して計算される。パラメータによって指定される場合、帯域通過フィルタは、1(unity)(1の定数値)であり得、従って、帯域通過フィルタ処理は適用されない。最後の工程として、出力システムフィルタ関数を取得するために、それら2つの複素伝達関数が、別の定義された任意の伝達関数(任意選択)と一緒に乗算される。2つの複素伝達関数を別の定義された任意の伝達関数と乗算する目的は、他の2つの方法を使用して、フィルタ処理が直ちに起こりやすくさせない、周波数領域フィルタ処理を可能にすることである。
システムフィルタ関数に従ってデータを処理するための例示的なアルゴリズムが、(データの単一チャネルに対して)以下のように説明され得る:入力データが、長さを2倍にするためにゼロ詰めされ(または、対称的にパディングされ)、高速フーリエ変換(FFT)を介して周波数領域に変換されて、システムの伝達関数によって複素乗算され、次いで、逆高速フーリエ変換(IFFT)が適用されて、時間領域にデータを返す。時間領域に返されると、パディングが除去される。
添付書類の擬似コードは、当業者が、この例示的なアルゴリズムを実現する際に指針となるであろう。
一実施形態では、全体的なシステム補正が実行され得、サイノグラムの一部を緩和、除去、または強化するために使用され得る。一実施形態では、全体的なシステム補正は、理想的な研究室状況またはプローブおよび電子機器のみに基づく要因に限定されない状況を明らかにするために使用され得;むしろ、サイノグラムの特性が、標準的な被験者の生理機能および特性によって影響を及ぼされ得、研究室では厳密に生じない非理想的状況を具体化する。モデル化し難い相互作用が、生体内の光音響測定値がモデルとは異なる現実世界の状況で生じ得る。これらは、システムの部分であるプローブの形状を伴う相互作用;プローブが、システムによって引き起こされた光事象に影響を及ぼす方法;プローブが、光音響帰還信号の減衰、遅延、空間応答、ノイズまたは他の態様に影響を及ぼす方法;撮像されている組織、およびサイノグラムの記録に関連して使用された接触媒質の空間周波数応答特性を含み得る。多くの場合、これらの状況も予測されて、複製可能であり得るが、しかしながら、それらは、例えば、ファントムなど、シミュレートされた環境を使用する場合でさえ予見する可能性が低かったであろう要因の組合せから生じ得る。その結果、一実施形態では、全体的なシステム補正または較正が、多数の取得されたデータセットに基づく分析を実行することにより、これらの要因の説明を包含でき;全体的なシステム補正を決定するためのプロセスが、性能目標を満たすために、全体的なシステム補正を経験的に調整することに基づき得る。一実施形態では、調整は、多数のデータセットを収集することおよび統計的回帰分析を実行することであって、統計的回帰の目的が、費用関数の最適化、もしくは手動オペレータ調節の使用を伴い得る、多数のデータセットを収集することおよび統計的回帰分析を実行すること;計算用のパラメータを決定するために、オフライン計算を実行すること;目的に一致するようにパラメータを適合させること;テーブルに対する空間的もしくは時間的重みを決定することであって、そのテーブルが、形状を含む要因を明らかにするための再構成で使用される、テーブルに対する空間的または時間的重みを決定すること;または、最適なフィルタの重みを決定するために、統計的もしくは手分析を使用すること、に基づき得る。一実施形態では、統計的分析は、その分析を実行するための専用コンピュータソフトウェアの使用を伴い得る。一実施形態では、統計的分析は、異なるタイプの組織に対して、または異なる生理機能の被験者に対して、異なる最適な調整パラメータをもたらし得る。調整のための方法は、これらの要因を明らかにし得る。一実施形態では、調整のための方法は、その目的として、最適な結果をもたらすこと、または異なる組織に対する機能の強化を有し得る。例えば、強化または最適な結果が、高濃度もしくは脂肪質の乳房組織または弁別可能であり得るような他の既知のタイプの組織に対して探し求められ得;同様に、強化または最適な結果が、限定はされないが:皮膚の厚い層もしくは薄い層;光が皮膚の色調に基づいて別々に吸収される機構;腫瘍もしくは病変が背景組織とは異なる周波数特性を有する場合を含む、腫瘍もしくは病変の強調;細胞もしくは非細胞の線維腺腫の相違点(もしくは他のかかる判定可能な状態)およびこれを光音響的にもっと明らかにするためのパラメータのセット;悪性と良性の病変のクラスとの間の相違および光音響シグネチャをもたらす他の不静定構造(例えば、リンパ節、脂肪壊死)ならびにかかる区別のためのシステムもしくは方法;異なるスケールもしくはサイズの機能;特徴検出分類を伴う、パケットウェーブレット係数もしくはベクトルサポート係数などの調整パラメータ;または、デコンボリューションプロセスにおける調整可能パラメータ、を含む任意のタイプの特性に対して探し求められ得る。調整のための方法は、測定手順に従って、厳密に制御された測定条件下でデータを取得することを含み得、そこで、プローブが特定または特殊な運動(例えば、掃引(sweeping)またはファニング(fanning))に従って操作されて、組織の特定の部分が捕捉される(例えば、実質)。一実施形態では、光音響調整のための方法が:測定値の収集;目的の最適化を伴う統計的または手分析;所望のシステム補正を取得するためにパラメータを調整すること;および補正をサイノグラムに適用し、このようにして結果として生じる診断オーバーレイに影響を及ぼすこと、を含み得る。一実施形態では、補正は、2つ以上の波長に対して別々に実行され得る。一実施形態では、調整分析は、予後または組織構造を展開するために、光音響画像または他のシステムデータに適用できる、規則のセットを生成するために使用され得る。そのように生成された規則は、オペレータによって、そのシステムによって、または別のシステムによって適用され得、一旦適用されると、予後または組織構造の報告書を提供し得る。一実施形態では、事前調整されたパラメータの複数のセットが、ユーザ調整可能またはユーザインタフェースによって有効にすることが可能であり、そのユーザインタフェースは、事前調整されたパラメータのセットを含み得る。
前処理(220)−ダイナミックレンジの正規化(320)
以下で説明するように、より高いダイナミックレンジを達成し、かつ/または所与の深さもしくは距離に対して信号対ノイズ比(SNR)を改善するために、減衰補正がハードウェアで適用され得る。ハードウェア適用された減衰補正は、光音響帰還信号のダイナミックレンジ全体を改善し得る。アナログハードウェア適用された減衰補正は、その他の場合はデータの完全なビット単位の表現を有効に使用し得ないであろう深い組織からの低振幅信号を増幅することにより、アナログ/デジタル変換装置によって捕捉されたデータの精度を向上させ得る。その上、アナログハードウェア適用された減衰補正は、ハードウェアTGC増幅器とアナログ/デジタル変換装置との間の経路におけるアナログノイズ制限より上の深さに弱信号を持ってくることにより、信号対ノイズ比を向上させ得る。一実施形態では、減衰補正は、光が、例えば、組織の体積の表面から、組織の体積内の領域まで透過される際に、その光に対して生じる減衰、および/または、光が組織の体積を通して透過される際に光音響帰還信号に対する減衰を補正し得る。一実施形態では、しかし、利用された画像再構成アルゴリズムは、利得に変化がない(例えば、後の、またはもっと深い信号の増幅など)と仮定する。その結果、一実施形態では、データを正規化するために、ハードウェア減衰補正が数学的に逆にされ、このようにして、画像計算からその影響を取り除く。
一実施形態では、サンプル抽出データは、14ビット整数などの、比較的大きくないサイズであるが、それは、例えば、0から16,383までの値を表すことができる。一実施形態では、サイノグラム内のデータは、本節で説明する処理の前に、整数から浮動小数点に変換され、整数から浮動小数点への変換は、計算の精度を向上させて、ダイナミックレンジを拡張するために実行され得る。一般に、ハードウェア減衰補正を逆にする場合、ダイナミックレンジの損失を防ぐために注意が払われるべきである。一実施形態では、ダイナミックレンジの正規化は、ダイナミックレンジの損失なしで、実質的に平坦な利得を反映するためにサイノグラムをフィルタ処理する。それは、サイノグラム内の各サンプルが、結果として生じる光音響画像の形成に関連して使用される場合に、その適切な寄与を合計することを可能にする。
一実施形態では、ダイナミックレンジを再正規化するために、時間依存ハードウェアTGC曲線が、各チャネルから取り除かれ得る。一実施形態では、ハードウェアTGC曲線は、システムファームウェアによって線形補間されて、ハードウェアTGC増幅器に送信されたデータ点のセットとして格納され得る。TGC曲線は、格納されたデータ点から計算され得る。
サイノグラムのダイナミックレンジを再正規化するための例示的なアルゴリズムは、以下のとおりである:TGC曲線を生成して、そのTGC曲線をハードウェアTGC増幅器に送信し、必要であれば、TGC曲線を線形補間してサンプル数と等しい長さの区分的線形曲線を生成し、計算された曲線を、数値表現から、ハードウェアによって必要とされ得るように、増幅器利得にマッピングして、利得曲線の逆数を計算し、最後に、逆数曲線内の対応するサンプルに各チャネルのサンプルを乗じて、結果を出力として格納する。
添付書類の擬似コードは、当業者が、この例示的なアルゴリズムを実現する際に指針となるであろう。
一実施形態では、システムは調節可能な増幅器と、トランスデューサ要素の配列を有するプローブとを備え、この調節可能な増幅器は、それぞれトランスデューサ要素のうちの1つまたは複数に連合される。トランスデューサ要素は体積の表面に音響的に連結される。調節可能な増幅器の利得は、光のパルス後の所定の期間、時間の経過の関数として変化される。サイノグラムは、事前規定された時間的期間の間、調節可能に増幅された複数のトランスデューサ要素をサンプリングすることにより記録される。サイノグラムは実質的に、変化させる工程を実質的に数学的に逆にすることにより、およびその結果を拡張されたダイナミックレンジサイノグラムに格納することにより、処理される。拡張されたダイナミックレンジサイノグラムは、サイノグラムにおける情報のダイナミックレンジを数学的に減少させることなく、変化させる工程を逆にすることを可能にするための十分な数値的な正確度を提供する。光音響画像は、拡張されたダイナミックレンジサイノグラムに含まれる情報に基づいて生成される。
上述の時間の経過の関数は、組織の音波伝播減衰、組織の光フルエンス減衰、および複数のトランスデューサ要素の形状のうちの少なくとも1つを考慮し得る。画像を生成するプロセスは、拡張されたダイナミックレンジサイノグラムの分析的表現と、直角位相を表す複素数値配列の虚数成分と、同相成分を表す複素数値配列の実成分と、を含む複素数値配列を生成することを含み得る。光音響画像は複素数値配列に基づいて生成され得、この光音響画像は正の実数値の非複素画像である。直角位相成分は実成分のヒルベルト変換を計算することにより形成され得る。サイノグラムの処理は、時間の経過の関数として調節可能な増幅器上の変化する利得を反映する少なくとも1つの減衰補正を生成することと、マッピングされた補正曲線の逆数を計算することと、逆数減衰補正曲線における対応するサンプルをサイノグラムにおけるデータの複数チャネルのそれぞれのサンプルで乗算することと、を含み得る。処理工程は、減衰補正曲線を対数単位から線形単位にマッピングする工程をさらに含み得る。減衰補正曲線を生成する工程は、拡張されたダイナミックレンジサイノグラムの分析的表現と、直角位相を表す複素数値配列の虚数成分と、同相成分を表す複素数値配列の実成分と、を含む複素数値配列を生成することを含み得る。この生成する工程は、複素数値配列に基づいて光音響画像を生成することを含み得、この光音響画像は正の実数値の非複素画像である。各調節可能な増幅器はトランスデューサ要素のうちの1つに連合され得るか、またはトランスデューサ要素のうちの2個以上に連合され得る。
前処理(220)−エネルギーの正規化(325)
一実施形態では、サイノグラムは、レーザーの発射などの単一の光事象に対応する光音響帰還信号データを含む。使用中、システム100は、各々が別々の光事象に対応する、複数のサイノグラムを生成する。例えば、一実施形態では、別々のサイノグラムを生成して光音響帰還信号データを各々から捕捉するシステムで、単一の光源が繰返して使用できる。別の実施形態では、別々のサイノグラムを生成して光音響帰還信号データを各々から捕捉するシステムで、2つ以上の光源が、例えば、一方が使用され、次いで、他方が使用されるように、それらをインターリーブすることなどによって、離散的光事象を生成するために使用できる。例示的実施形態では、ND:YAGレーザーおよびアレキサンドライトレーザーが、一方が光事象を発生させ、次いで、他方が発生させる、インターリーブされた方法で使用される。前述の複数の光事象状況の各々では、1つの光事象のエネルギーが、別の総エネルギーから外れ得る。光事象ごとの偏差は、意図されることもあれば、意図されないこともあり、外的影響もしくはシステム設計または様々な要因の組み合わせの結果であり得る。例えば、ほとんどのレーザーは、以下でさらに詳述される方法で使用されるたびに、少なくともある程度、またしばしば大幅に、エネルギーが変動する。
原因に関わらず、一実施形態では、ショットごとの変動を減らすか、または除去することが望ましいかもしれない。かかるショットごとの変動は、例えば、一貫性のある画像を生成するためにサイノグラムデータを使用する際に問題を引き起こし得る。その上、画像が順々に示される場合、ショットごとの変動は、昔の映画に見られたのとよく似た、フリッカーを生じ得る。結果として、ショットごとの変動は、画像シーケンスの十分なレビューを阻害もしくは阻止し得るか、または前述のND:YAGレーザーおよびアレキサンドライトレーザーを使用して作成された画像ペアなどの2つの別々の光事象における異なる光によって作成された画像の十分な解釈を阻害もしくは阻止し得る。
一実施形態では、エネルギーの正規化は、サイノグラム内の各サンプルがその後、正規化された値を表し得るように、各サンプルを光事象の測定されたエネルギーに比例した値で除することにより達成できる。一実施形態では、エネルギーの正規化は、例えば、レーザー出力の初期エネルギーを指定されたレベルに設定し、そのレベルに対するエネルギー偏差を正規化することにより、較正手順とともに使用できる。
一実施形態では、光音響撮像システムはハンドヘルドプローブと、共通の出力を有する第1パルス発生された光源および第2パルス発生された光源と、を備える。第1光源は第1事前規定された主波長の光パルスを生成し、第2光源は第2事前規定された主波長の光パルスを生成する。ハンドヘルドプローブは、光音響帰還信号を受け取るためにハンドヘルドプローブの遠位端に配置されたアクティブ端部を有する超音波トランスデューサを備える。センサーは光路に沿って伝達される光の部分を測定する。データ取得は、第1光源からの光のパルス後の所定の期間、および第2光源からの光のパルス後の所定の期間、超音波トランスデューサをサンプリングする。サンプル抽出データは格納される。画像処理ユニットは、第1光源からの光のパルスに対応するサンプル抽出データに基づいて第1光音響画像を再構成し、第2光源からの光のパルスに対応するサンプル抽出データに基づいて第2光音響画像を再構成する。エネルギー非正規化ユニットは配列における各センサーからの測定値に基づいて正規化係数を計算し、光のパルスに対応するデータに対して正規化係数を適用する。エネルギー正規化ユニットは、例えばコンピューティングサブシステム128(図1)、コンピュータ、光音響処理およびオーバーレイシステム140(図1)、デジタル取得および処理ボード2818(図28)、および/またはデジタル信号処理を実行可能な任意の他の電子機器を含み得る。
一実施形態では、サンプル抽出データはサイノグラムに格納され、エネルギー正規化ユニットはサイノグラムに格納されたデータに対して正規化係数を適用する。正規化係数は、例えばセンサーからの測定値に定数を乗算した値で公称の光源エネルギーを除算することにより計算され得、サイノグラムにおける各サンプルに正規化係数を乗ずることにより適用され得る。エネルギー正規化ユニットは、正規化係数を再構成された画像に適用するようプログラムされ得る。サンプル抽出データは光音響画像に再構成される前に処理され得、エネルギー正規化ユニットは、正規化係数を処理されたサンプル抽出データに適用するようプログラムされ得る。光路に沿って伝達される光の一部分を測定するセンサーは、光学窓により反射される光を測定するよう適合され得、光フィルタを用いてフィルタ処理されたセンサー入力を含み得る。かかる光フィルタは、第1主波長におけるよりも第2主波長においてより大きい減衰を提供するよう適合され得る。
一実施形態では、システムは光の少なくとも一部分を測定するために第1センサーおよび第2センサーを備える。第1センサーは補助光路に沿って伝達される第1主波長を有する光を測定し、第2センサーは補助光路に沿って伝達される第2主波長を有する光を測定する。第1センサーおよび第2センサーは光学窓から反射された光を測定するよう適合され得る。第1センサーおよび第2センサーは同一のセンサーである。補助光路は、共通出力から第1センサーおよび第2センサーへと光を誘導するよう構成され得る。主要光路および補助光路は共通であり得る。データ取得ユニットが、光のパルス後のある期間、超音波トランスデューサをサンプリングし、サンプル抽出データをサイノグラムとして格納するために提供され得る。データ処理ユニットは、サイノグラムとして格納されたサンプル抽出データに基づいて光音響画像を再構成するために提供され得る。この点に関して、データ処理ユニットは、光のパルスの間に第1センサーおよび第2センサーのうちの少なくとも1つにより作成された測定値に基づいて正規化係数を計算し、光のパルスに対応するデータに対して正規化係数を適用するためのソフトウェアを含むことができる。データ処理ユニットは、例えばコンピューティングサブシステム128(図1)、コンピュータ、光音響処理およびオーバーレイシステム140(図1)、デジタル取得および処理ボード2818(図28)、および/またはデジタル信号処理を実行可能な任意の他の電子機器を含み得る。
データ処理ユニットは、サイノグラムとして格納されたデータに基づく分析的表現と、直角位相を表す複素数値配列の虚数成分と、同相成分を表す複素数値配列の実成分と、を含む複素数値配列を生成するためのソフトウェアを含み得る。データ処理ユニットは複素数値配列に基づいて光音響画像を再構成するためのソフトウェアを追加的に含み得、この光音響画像は正の実数値の非複素画像である。データ処理ユニットは、2つの光音響画像の部分に少なくとも基づいてマップオーバーレイを生成するためのソフトウェアを追加的に含み得る。なおこのマップオーバーレイは、光の異なるパルスに応答して吸収における差異を有する画像の少なくとも一部分内のエリアを反映する。データ処理ユニットは、2つの光音響画像の少なくとも一部分に基づいて他のマップオーバーレイを生成するためのソフトウェアも含み得る。なおこの他のマップオーバーレイは、光の両方のパルスに応答して画像内の他のエリアよりも強い吸収を有する画像の少なくとも一部分内のエリアを反映する。データ処理ユニットは、マップ内の情報および他のマップ内の情報の組み合わせを反映するマスクを生成するためのソフトウェアをさらに含み得る。なお、このマスクは、画像のエリアを除外し、マスクを補助マップに適用しパラメータマップを形成することによりマスクされたパラメータマップを生成するよう適合される。補助マップは他のマップおよび/または画像であり得る。
添付書類の擬似コードは、当業者が、この例示的なアルゴリズムを実現する際に指針となるであろう。
前処理(220)−選択的チャネル感度(330)
サイノグラムデータは、システムの特定の構成要素の性能に関連している変動を含み得る。かかる変動は、それから再構成された画像内に不正確さおよび/または不要もしくは望まない結果を生じ得る。一実施形態では、かかる変動に関する情報が格納され、その情報が、サイノグラムを処理して、チャネルごとの変動などのシステムの特定の構成要素の性能に関連している変動を除去するために使用される。一実施形態では、チャネル感度プロセスが、接触に関連した信号変動から生じた信号強度、接触媒質、および(例えば、適応的にまたは動的に実行された)他のかかる問題における変動を明らかにするような方法で実行され得る。一実施形態では、動的補正が、互いにごく接近したチャネルを使用することにより実行され得るが、それらは、各チャネルの動的補正係数を決定するために、同様の内容を有すると仮定され得る。一実施形態では、動的選択チャネル感度を実行する前に、サイノグラムがフィルタ処理される。
例示的実施形態では、光音響装置は、128または256個のトランスデューサ要素を有するプローブを含む。トランスデューサ要素の各々は、1つの増幅器に電気的に接続される。増幅器の各々は、例えば、8つの個別のトランスデューサを処理し得、従って、合計7つまたは8つの増幅器がこの例示的実施形態で必要とされ得る。DAPボード(すなわち、データ取得プロセッサボード)が8つのかかる増幅器を含み得、従って、全ての128または256個のトランスデューサ要素からデータを取得するために使用され得る。いくつかのトランスデューサ要素の応答間で変動が生じ得る。一般に、例えば、各増幅器は、それが処理している8つ全てのトランスデューサ上の利得に影響を及ぼし得る単一の利得制御を有する。その結果、トランスデューサ要素の1つまたは複数が、異なって、例えば、同一の増幅器に接続されている他のトランスデューサ要素よりも静かに、応答する場合、それは、利得制御の使用を補正できない。同様に、いくつかの増幅器の応答間で変動が生じ得、他の場合は同一であり得るトランスデューサ要素応答に変動をもたらす。変動は、プローブ上の異なる領域または要素に印加されている異なる量の圧力を含め、プローブに印加される圧力の量にも起因して生じ得る。変動は、さらに、プローブと接触する皮膚もしくは表面の質もしくは量、または使用された接触媒質の量に起因して生じ得る。粗さなどの、表面特徴、その表面近くの生理的構造、または集束収差(focusing aberration)も、チャネルごとに受け取られる信号に変動を生じ得る。一実施形態では、変動は、特定のトランスデューサの測定および較正によって決定される自動化方式または一定方法を使用して検出できる。
一実施形態では、トランスデューサ要素の相対または絶対性能を示す、プローブに対する較正データが保持され得る。同様に、増幅器の相対または絶対性能を示す、DAPボードに対する較正データが保持され得る。かかる較正データは、既知の入力または試験の使用により製造時に工場で取得され得るか、またはそうでなければ、例えば、現場で、較正装置を使用して、後で取得され得る。特定の出力信号を伝送するために較正される「ダミー」プローブが、増幅器に対する較正情報を決定するのを支援するために使用され得る。既知のファントムが、トランスデューサ要素に対する較正情報を決定するのを支援するために使用され得る。一実施形態では、プローブホルダが、較正試験を実行するため、またはシステムが一貫した方法で機能していることを確認するために使用できる既知の音響または光音響応答を有する物体を含む。
一実施形態では、各トランスデューサ要素から所与の出力Xを生成すると予期される試験サンプルが提供される。試験サンプルが試験される場合、ほとんどのチャネルからの応答が本当にXであるが、いくつかのチャネルからは0.9Xであり、1つのチャネルからは0.85Xである。一実施形態では、0.9Xチャネルに対応するサイノグラム列が、1/0.9だけ拡大され、他方、0.85Xチャネルに対応するサイノグラム列が、1/.85だけ拡大される。チャネルが1.1Xで応答する場合、それは同様に、1/1.1で乗じることができる。
前述は、予期された出力と異なる任意のチャネルが線形的にそうするであろうと仮定している。この仮定が、実際の偏差に対応するには不十分である場合、より複雑な伝達関数が、チャネルの実際の感度を補正するために使用できる。
一実施形態では、光音響撮像を制御するための方法は、サイノグラムデータを分析して変動を特定する工程と、変動に関するサイノグラムを格納する工程と、第1サイノグラムおよび第2サイノグラムを生成する工程と、サイノグラムを処理して変動の効果を緩和する工程と、を含む。分析する工程において、サイノグラムデータ値は、光音響撮像の1つまたは複数の別個の構成要素の性能に関連する1つまたは複数の変動を特定するために分析される。次に、特定された変動は格納される。第1サイノグラムが、第1波長を有する光パルスの供給後の所定の期間、体積の表面に音響的に連結されたトランスデューサ要素をサンプリングすることにより生成される。なお、この第1サイノグラムはトランスデューサ要素のそれぞれに対して1つのチャネルを含む。第2サイノグラムは、第2波長を有する光パルスの供給後の所定の期間、体積の表面に音響的に連結されたトランスデューサ要素をサンプリングすることにより生成される。なお、この第2サイノグラムはトランスデューサ要素のそれぞれに対して1つのチャネルを含む。第1サイノグラムおよび第2サイノグラムは、それぞれのサイノグラム上で特定された変動の効果を緩和するために、格納された情報を用いて処理される。特定された変動はチャネルに関連し得る。複数の増幅器が、複数のトランスデューサ要素のうちの少なくとも2つが増幅器のそれぞれ1つに関連付けられた状態で、トランスデューサ要素のそれぞれにより出力されるアナログ信号を増幅するために用いられ得る。光音響画像が処理された第1サイノグラムおよび第2サイノグラムのそれぞれにおける情報に基づいて再構成され得る。第1複素数値配列および第2複素数値配列が生成され得る。第1複素数値配列は処理された第1サイノグラムの分析的表現を含み得、第2複素数値配列は処理された第2サイノグラムの分析的表現を含み得る。なお、それぞれの複素数値配列の虚数成分は直角位相を表し、それぞれの複素数値配列の実成分は同相成分を表す。光音響画像が各複素数値配列に基づいて生成され得、これらの光音響画像は、正の実数値の非複素画像である。マップオーバーレイが、第1複素数値配列および第2複素数値配列の両方におけるデータに少なくとも部分的に基づいて生成され得る。
一実施形態では、トランスデューサ要素の配列を有する光音響撮像システムにおいて組織サイノグラムを処理することにより別個の構成要素における変動の効果を緩和するための方法が提供される。トランスデューサ要素は光パルスに対して既知の光音響応答を生成するファントムの表面の一部分に音響的に連結される。光パルスがファントムの表面の1エリア上に誘導される。ファントムサイノグラムは、光のパルス後の所定期間、トランスデューサ要素をサンプリングすることにより記録される。なおこのファントムサイノグラムは、複数のトランスデューサ要素のそれぞれに対して1つのチャネルを有する。ファントムサイノグラムは、既知の光音響応答からの偏差を特定するために分析され、かかる偏差に関する情報が格納される。次に、トランスデューサ要素は組織の表面の一部分に音響的に連結され、光パルスが組織の表面の一部分上に誘導される。組織サイノグラムが、光のパルス後の所定期間、組織の表面に音響的に連結されたトランスデューサ要素をサンプリングすることにより生成される。なお、組織サイノグラムはトランスデューサ要素のそれぞれに対して1つのチャネルを有する。組織サイノグラムは、特定された偏差の効果を緩和するために、格納された情報を用いて処理される。
一実施形態では、複数のトランスデューサ要素を含む別個の構成要素を有する光音響撮像システムにおける組織サイノグラムを処理するための方法が提供され、この方法は、別個の構成要素における変動の効果を緩和する。トランスデューサ要素はファントムの表面の一部分に連結され、光パルスがファントムの表面の1つのエリア上に誘導される。ファントムサイノグラムが、光のパルス後の所定期間、トランスデューサ要素を音響的にサンプリングすることにより記録される。なおこのファントムサイノグラムは、複数のトランスデューサ要素のそれぞれに対して1つのチャネルを有する。ファントムサイノグラムは、既知の光音響応答からの偏差を特定するために分析され、かかる偏差に関する情報が格納される。次に、トランスデューサ要素は組織の表面の一部分に音響的に連結され、第1主波長を有する第1光パルスが組織の表面の一部分上に誘導される。第1組織サイノグラムが、光のパルス後の所定期間、トランスデューサ要素をサンプリングすることにより生成される。なお、組織サイノグラムは複数のトランスデューサ要素のそれぞれに対して1つのチャネルを有する。第1組織サイノグラムは、特定された偏差の効果を緩和するために、格納された情報を用いて処理される。第2主波長を有する第2光パルスが組織の表面の1つのエリア上に誘導され、第2組織サイノグラムが、光のパルス後の所定期間、トランスデューサ要素をサンプリングすることにより生成される。なお、第2組織サイノグラムは複数のトランスデューサ要素のそれぞれに対して1つのチャネルを含む。第2組織サイノグラムが、特定された偏差の効果を緩和するために、格納された情報を用いて生成される。マップオーバーレイが、第1サイノグラムおよび第2サイノグラムの両方におけるデータに少なくとも部分的に基づいて生成される。超音波データはトランスデューサ要素を用いて伝送および受け取られ、超音波画像が受け取られた超音波データを用いて作成される。マップオーバーレイは、複合画像を形成するために超音波画像上に位置合わせおよび重ね合わされる。
一実施形態では、別個の構成要素における変動の効果を緩和するための方法が、複数の増幅器を含む別個の構成要素を有する光音響撮像システムを較正するために提供される。なお、複数の増幅器のそれぞれは複数のトランスデューサ要素からのアナログ入力を受け取るよう適合される。アナログ信号生成器が複数のチャネルのそれぞれの上で1つまたは複数の既知のアナログ出力を生成するよう適合される。アナログ信号生成器は、チャネルのそれぞれが増幅器に電気的に接続されるよう、光音響撮像システムに電気的に接続される。試験サイノグラムが、アナログ信号生成器の既知のアナログ出力をサンプリングすることにより記録される。試験サイノグラムは既知のアナログ出力からの偏差を特定するために分析され、特定された偏差に関する情報は、特定された偏差の効果を緩和するために光音響撮像システムを用いて取得されたサイノグラムを処理するために用いられ得る較正情報として格納される。
前処理(220)−フレーム間持続的アーチファクトの除去(335)
以下の説明のため、光音響帰還信号データは、3つの構成要素:所望の連成応答;望ましくない連成応答;およびノイズ、を含むと考えられ得る。本節で使用されるフレーム間持続的アーチファクトは、望ましくない連成応答を指し、他のノイズではない。補正されなければ、フレーム間持続的アーチファクトが、光およびトランスデューサ要素の両方を提供するハンドヘルドプローブを使用して作成された光音響帰還信号から作成された画像内に存在し得る。フレーム間持続的アーチファクトは、一般に、組織または体積ごとに同じでないが、フレーム間持続的アーチファクトのサブ構成要素は、所与のセットのハードウェア、または所与のプローブでさえを使用して収集された全てのデータ間で同じままであり得る。より一般的には、2つの類似のファントムが同様のフレーム間持続的アーチファクトを作成し得るが、組織はファントムとは異なるフレーム間持続的アーチファクトを作成し、また、一人の人間の組織は、別の人間の組織とは異なるフレーム間持続的アーチファクトを作成する。その上、一般に、ほとんどの共通のファントムに存在するフレーム間持続的アーチファクトの量は、ほとんどの組織に存在するフレーム間持続的アーチファクトより少ないか、または異なり得る。
フレーム間持続的アーチファクトは、所与の個人に対して比較的変動がなく、隣接する位置のデータを収集する場合にはもっとそうであることが分かっている。従って、例えば、フレーム間持続的アーチファクトにおけるショットごとの変動は、単一の個人のショットに対しては比較的低いが、異なる個人のショットに対しては、比較的ずっと高い。フレーム間持続的アーチファクトは、同じような量の接触媒質が使用される場合、また、プローブに印加される圧力、従って、プローブ接触が一貫したままである場合も比較的変動がないままであり得る。サイノグラムデータからフレーム間持続的アーチファクトを軽減する方法は、離れた、空間的に別個のフレームからの共通データの除去を含む。一実施形態では、共通データは、特異値分解(SVD)代数、主成分分析(PCA)、または他の同様の方法を使用して、離れた、空間的に別個のフレームから除去できる。一実施形態では、共通データは、主成分除去アルゴリズムを使用して、離れた、空間的に別個のフレームから除去できる。通常、特異値分解および主成分除去は、フレーム間持続的アーチファクトが実質的に一定のままであり、収集されたデータが、所与のサンプルまたは画素において変化し相関関係がない、十分な数の独立フレームを必要とするであろう。一実施形態では、3以上の相関関係がないフレーム、好ましくは20〜30を超えるフレームが、フレーム間持続的アーチファクトを除去するための分析用データセットを形成する。一実施形態では、少なくとも約50フレームが、フレーム間持続的アーチファクトを除去するためのアルゴリズムに関連して分析される。
一実施形態では、フレーム間持続的アーチファクト除去は、光源ごとに実行され、例えば、YAGおよびアレキサンドライトレーザーの両方が異なるフレームに対して使用される場合、YAGフレームのみが、フレーム間持続的アーチファクトのYAGフレームからの除去に対して分析され、また、アレキサンドライトフレームのみが、フレーム間持続的アーチファクトのアレキサンドライトフレームからの除去に対して分析されることを意味する。光源ごとという表現は、実質的に光源に対する波長を対象とすることに留意すべきである。一般に、レーザーは、単一の波長で動作せず、むしろ、レーザーは、しばしば主波長によって特徴付けられる、狭い範囲の波長で光を生成し、その波長がそのレーザーに対する参照として使用される。従って、例えば、Nd:YAGレーザー出力は、しばしば、1,064nm波長に同調されて、1,064nm波長と記述されるが、これは、そのレーザー出力が正確にその波長だけであるからではなく、むしろ、それが出力される光のその主波長であるからである。同様に、アレキサンドライトレーザーは、約700〜820nmの様々な波長に同調でき、本明細書では、一般に757nm波長に同調されて、しばしば757nm波長と記述されるが、正確な波長を記述することを意図しておらず、むしろ、かかるレーザーの狭帯域の出力における主波長である。その結果、「光源ごとに」という用語が上記で使用されたように、(事前同調ではなく)同調可能なレーザーが使用された場合、実質的に同じ波長設定で作成された全てのフレームに対して1つの光源と考えられる。
一実施形態では、各フレームに対する総光エネルギーが既知であるか、または推定できる場合、それは、同様な総光エネルギーを有するフレーム上でフレーム間持続的アーチファクト除去を実行するために好都合であり得る。従って、例えば、一実施形態では、フレーム間持続的アーチファクト除去は、平均的な光エネルギーよりも多く有するフレームに対して、平均的な光エネルギーよりも少なく有するフレームとは別に、光源ごとに実行され得る。一実施形態では、所与の光源に対するフレームが、フレームに対する総光エネルギーに基づいて複数のグループに分類され、フレーム間持続的アーチファクト除去が各複数のグループ間で実行される。一実施形態では、複数のグループ分けが、フレームを所望の数のグループに均等に分けること、すなわち、1/3を第1のグループに、1/3を第2のグループに、1/3を第3のグループに分けることに基づいて決定される。一実施形態では、フレームに対する総光エネルギーが分析されて、フレームが統計的に分類され、統計的グループに含まれるものが一緒に分析される。例えば、平均値の1つの標準偏差内の総光エネルギーを有するフレームが第1のカテゴリに分類され、平均を上回る複数の標準偏差が第2のカテゴリに分類され、残りが第3のカテゴリに分類される。
一実施形態では、フレーム間持続的アーチファクトの推定値が、サイノグラムの、例えば、50以上の、比較的大きなセットにわたり、各サンプルに対して、各チャネルに対して、平均値から作成される。一実施形態では、各波長に対するフレーム間持続的アーチファクトの推定値が、サイノグラムの、例えば、50以上の、比較的大きなセットにわたり、各サンプルに対して、各チャネルに対して、所与の波長に対して、平均値から作成される。一実施形態では、推定値セットを含むセットを形成するサイノグラムは、互いに空間的に別個−すなわち、組織の異なる領域から捕捉されている。一実施形態では、推定値の形成に使用されるサイノグラムのセットに追加するための候補である各サイノグラムは、以前のサイノグラムと空間的に別個でない場合、拒絶される。一実施形態では、フレームについて試験を実行して、それが数学的に推定値内に統合される前に、以前に使用されたフレームと空間的に別個であることを確実にする。一実施形態では、推定値は、各後続のフレーム、または所与の波長に対する各新しいフレームで更新される。一実施形態では、推定値は、所定の数の新しいフレーム(またはその波長に対する新しいフレーム)で更新され、その後、読取りに対して、またはある長期間にわたって、一貫したままである。一実施形態では、推定値は、各後続のフレーム、または所与の波長に対する各新しい(空間的に別個の)フレームで更新される。一実施形態では、推定値は、所定の数の新しい(空間的に別個の)フレーム(またはその波長に対する新しい(空間的に別個の)フレーム)で更新され、その後、読取りに対して、またはある長期間にわたって、一貫したままである。
一実施形態では、推定値は、読取りで取得される一定数の最新のフレームを表す、フレームの移動窓を使用して更新される。一実施形態では、特定の個人に対する推定値が、その個人と関連付けられて、その個人での将来の使用のために保持される。一実施形態では、所与のプローブで作成された、特定の個人に対する推定値が、その個人およびそのプローブの両方と関連付けられて、同じ個人およびプローブでの将来の使用のために保持される。
一実施形態では、プローブの運動の検出が使用されて、フレーム間持続的ノイズを推定するために収集されたフレームが独立しているか、または相互に関連していないことを判別または確実にする;すなわち、運動が全くまたはほとんど生じない場合、フレームは相互に関連していない。一実施形態では、運動が生じているかを判断するために、自動運動検出アルゴリズムが、サイノグラムについて、または再構成された画像について実行される。一実施形態では、2つ以上の再構成された画像について、それらの間で生じた運動の範囲を判断するために、位相相関が使用され得る。一実施形態では、周波数領域フィルタが、2つ以上のサイノグラムまたは画像に適用されて、フレーム間の相関関係または相違が、フレーム間で実質的な運動が生じているかを判断するために使用され得、類似のフレームが多ければ多いほど、生じている運動が少ない。一実施形態では、主要なフレーム間持続的アーチファクトが低域周波数で見られ、他方、血管などの組織内の多くの構造および組織境界は高域周波数に対応するので、運動検出の前に、低周波数が除去され得る。一実施形態では、皮膚の層(一定のままであるが、不要とは見なされない)などの構造が不注意に除去されるのを防ぐために、フレーム間持続的ノイズ推定値が、周波数領域内(または別の領域内)でフィルタ処理され得る。
「ライブ(live)」表示が提供される、一実施形態では、複数の以前のフレームを使用して推定値が形成できる。「ライブ」表示が提供される、一実施形態では、複数の以前の空間的に別個のフレームを使用して推定値が形成できる。「ライブ」表示が提供され、システムが申し分のないフレームレートを含む、一実施形態では、推定値は、過去のフレームおよび将来のフレームを含み得るが、ただし、かかるフレームの使用を可能にするために、表示の時間が遅延するという条件においてである。従って、例えば、所与のレーザーに対するフレームレートが、例えば、毎秒5フレームであり、表示がリアルタイムから約1秒遅れる場合、現在のフレーム内でフレーム間持続的アーチファクトを推定するために、4つまたは5つの「将来の」フレームを使用することが可能であり得る。当業者は、表示がオフライン(例えば、非ライブ)再生システムで提供される場合、「将来の」フレームデータは推定値に組み込まれ得ることが理解されるであろう。
表示出力が、読取りの完了後に提供される、一実施形態では、空間的に別個の全てのフレーム(または所与の波長の空間的に別個の全てのフレーム)が、フレーム間持続的アーチファクトの読取り後の推定値を作成する際に使用でき、次いで、読取り全体が再構成されて、それらの再構成の前に、サイノグラムから推定されたフレーム間持続的アーチファクトの読取り後の推定値と共に出力され得る。
一実施形態では、フレーム間持続的アーチファクトの推定および除去が、この工程をサイノグラムデータについて実行するのではなく、再構成後に、再構成された画像について、または、再構成後に形成された中間画像について実行される。一実施形態では、フレーム間持続的アーチファクトの推定および除去が、再構成後に、複素サイノグラム(complex sinogram)から再構成された複素画像の実成分、虚数成分、または両方の成分について実行される。複素画像およびサイノグラムついては、以下でさらに説明される。
一実施形態では、フレーム間持続的アーチファクトの推定値が、画像再構成の前に、サイノグラムを修正するための基礎として使用される。一実施形態では、フレーム間持続的アーチファクトの推定値が、画像再構成の前に、アーチファクトをサイノグラムから取り去るために使用される。
一実施形態では、フレーム間持続的アーチファクトに対する推定値が、独立分析フレームの第1の主成分を使用して計算できる。一実施形態では、独立成分分析が、フレーム間持続的アーチファクトを独立分析フレームから同様の方法で推定するために使用できる。
以下の処理工程は、フレーム間持続的アーチファクト除去アルゴリズムの一実施形態を示す。
a.フレーム間持続的アーチファクト推定値を計算する。
b.そのアーチファクトを含む入力データについて、フレーム間持続的アーチファクト推定値のスカラー積(P)を計算する。
c.Pによって乗算されたフレーム間持続的アーチファクト推定値内の各対応する要素を入力から減じ、その結果を出力に格納することによって、入力の各要素から、フレーム間持続的アーチファクトの入力上の投影を入力から減じる。
添付書類の擬似コードは、当業者が、この例示的なアルゴリズムを実現する際に指針となるであろう。
前処理(220)−ソフトウェア減衰補正(340)
組織内の光事象が光音響効果で音を発生させた後、音は周囲の組織を通って進むときに減衰する。音波は組織を通って伝搬するので、そのエネルギーが組織によって吸収される。一般に、音が遠くに進めば進むほど、そのエネルギーの多くが、すなわち、組織または他の伝搬媒質へと、失われる。その上、音がトランスデューサに到達するまでに時間がかかるほど、それは遠くまで進んでいる(一定の音速と仮定)。例えば、上述の例示的実施形態では、2,000を超えるサンプルが周波数31.25Mhzで取得され、従って、約65マイクロ秒の時間に対してサンプリングするが、それは、特定の組織内での音速に応じて、約100ミリメートルの距離に対応する。従って、サイノグラム内のレーザーサンプルは、高周波数があまり減衰していない、前のサンプルと比較して、高周波数が著しく減衰している。組織構造および伝搬媒質の重要な構成要素(例えば、音響レンズおよび/またはトランスデューサ)、ならびに媒質内で見られる物理的境界または層が、減衰において、すなわち、光音響帰還信号の受け取られたエネルギーにおいて、役割を果たし得る。一実施形態では、均質な媒質内の減衰が、指数関数的減衰曲線として(例えば、理想として)モデル化できるが、これが当てはまる程度は、撮像されている特定の組織または他の体積によって決まる。一実施形態では、チャネル毎に補正が実行される。一実施形態では、サンプルが、それらが受け取られた時間に関連した要因によって増幅される。
ソフトウェア減衰補正アルゴリズムの例示的実施形態は次のように提供される:
a.測定されたチャネルデータ内のサンプル数に対応する時間の関数に基づいて1D補正曲線を計算する(一実施形態では、1D補正曲線は、光音響源からトランスデューサへの音波の一方向伝搬に対応する公称の音響減衰をもつ指数関数的減衰曲線に基づき得る)。
b.サイノグラム内の各チャネルに対して
i.入力サイノグラム内の各サンプルに1D補正曲線内の対応する補正値を乗じる
ii.結果として得られる乗算された値を、対応するサンプルおよびチャネルで出力サイノグラムに入れる
添付書類の擬似コードは、当業者が、この例示的なアルゴリズムを実現する際に指針となるであろう。
前処理(220)−サブバンド音響補正(345)
通常、光音響帰還信号に含まれる高域および低域周波数情報として、高域周波数は小規模な光源および境界に対応し得、低域周波数は大規模なサイズのオブジェクトに対応し得る。しかし、組織内での音波の伝搬中に、高域周波数は通常、より多く減衰し、低域周波数は通常、あまり減衰しない。言い換えれば、高周波の音波は、同じ距離を進む低周波の音波よりも多く減衰し、従って、同時(または、ほぼ同時)に受け取られる。減衰におけるこの相違は、再構成された光音響画像内に歪みを生じ得る。その上、高周波の音波は、低周波の音波の対応物よりも幾分異なる速度で組織内を進む。その結果、再構成可能なデータ(例えば、サイノグラム)をもっと正確に提供するために、周波数毎に時間に対して、および時間毎に振幅に対して、補正が行われ得る。
周波数依存減衰の補正を実行するために、高周波数情報が増幅され得るか、または低周波数情報よりも増幅され得る。一実施形態では、かかる増幅は、各々がデータからのフィルタ処理された範囲の周波数に対応する、データのサブバンドに別々に補正を適用することにより実行され得る。個々の周波数成分ではなく、サブバンドに補正を適用することは、計算負荷、従って、計算資源に対する必要性を減らす。一実施形態では、各サブバンド内で、古いサンプル(すなわち、時間的に後で受け取られたサンプル)が、新しいサンプルよりも多く増幅される。補正値が、様々な周波数で組織サンプル内の減衰および音速を測定することにより、組織一般に対して、または対象の特定の組織に対して、推定できる。
従って、一実施形態では、サブバンド補正係数を、おおよそ、信号の周波数依存減衰に関連付ける、周波数領域サブバンドが識別される。サブバンド音響補正方法の典型的な実施形態では、特定のサブバンドに関連付けられた補正係数が、そのサブバンドに関連付けられた深さおよび中心周波数に関して計算され得る。一実施形態では、特定の深さd、および中心周波数fcの関数として、深さに関連した歪みの影響を明らかにするために、補正係数f(d、fc)が、f(d、fc)=exp(d*fc/1,000,000)として計算され得る。一実施形態では、補正係数f(d、fc)が、f(d、fc)=exp(d*fc^g/a0)として計算され得、式中、gおよびa0はパラメータである。一実施形態では、g=1.0およびa0=1,000,000である。別の実施形態では、gおよびa0は設定可能なパラメータである。一実施形態では、光音響データについて処理を実行するシステム、および/または、サイノグラムを取得するシステムと同じであり得るが、その必要はない、光音響出力を表示するシステムが、光音響画像を処理または表示する場合に、gおよび/またはa0パラメータを変化させる機能をオペレータに提供し得る。
以下の処理工程は、サイノグラムデータを処理するために実現されるようなサブバンド音響補正(345)アルゴリズムの例示的実施形態である:
a.周波数領域内の各サンプルに対応する周波数のリストを計算する。
b.受け取られた光音響信号内の各サンプルに関するトランスデューサへの光音響源の距離に対応する配列を計算する。これは、各サンプルに対する既知の時間遅延(すなわち、それが受け取られたときに基づく)を組織の体積に対する公称の音速で乗算することにより行われ得る。
c.各サブバンドに対するサブバンドフィルタを計算する。
d.出力サイノグラムを格納するための配列を作成して、各要素をゼロに初期化する。
e.周波数領域データを作成するために各チャネルに対する入力サイノグラムのフーリエ変換を計算する。
f.チャネルごとの、各サブバンドフィルタに対して、
i.周波数領域データにサブバンドフィルタを乗じる
ii.結果の逆フーリエ変換を計算する
iii.要素に関する結果にサブバンドに対する補正係数を乗じる
iv.結果を出力サイノグラムに累算する
光音響帰還信号の処理では、トランスデューサによって検出され得るできるだけ多くの音響スペクトルからの信号内の情報が、組織の体積に関する潜在的に有益な情報を含み得る。従って、一実施形態では、(以下でさらに詳述するように)光音響帰還信号を受け取るために使用されるトランスデューサは、音響周波数の広帯域に影響されやすい。広帯域感度のために、限定はされないが、電子干渉、音響干渉、および機械的干渉を含む、ある望ましくない情報も光音響帰還信号内に捕捉され得る。この望ましくない情報は、光音響帰還信号内で容易に識別されず、従って、光音響帰還信号から容易に除去されない。さらに、周波数依存減衰および周波数依存音速が、トランスデューサ感度の広帯域性のため、光音響帰還信号内でより顕著である。
広帯域性のため、一実施形態では、光音響帰還信号は、全周波数にわたって歪みを処理するための1つまたは複数の技術に依存する。一実施形態では、いくつかの狭帯域単純化がサブバンド内の光音響データに適用されるが、かかる単純化は広帯域光音響帰還信号全体に対して妥当であるとは分からない可能性がある。
従って、一実施形態では、サブバンド音響補正(345)アルゴリズムは、固定された音響減衰係数の狭帯域単純化を採用し得、単純化は広帯域光音響帰還信号にわたって有効ではないが、アルゴリズムは、この単純化をサブバンドの各々に対して別々に適用できる。別の実施形態では、狭帯域単純化は、時間領域内の2つの復調された狭帯域信号間の小さなタイムシフトを計算することにより実行でき、そのシフトは、相互相関関数の正規化モーメントを伴う効率性が劣る計算を使用するのではなく、2つの複素信号の内積の位相を使用して見つけられる。他の狭帯域単純化も、光音響帰還信号を複数のサブバンドに分割した後に採用され得、かかる単純化は、光音響帰還信号の処理に対して要求される計算負荷を削減する。以下は、狭帯域単純化を光音響データに適用するための方法の例示的実施形態である:
i)マルチフィルタのフィルタバンクが、周波数領域のサブバンドのセットを包含するために形成でき、そのため、各周波数に対するフィルタのエネルギー合計(すなわち、平方和)が1の定数値(すなわち、周波数領域内のフィルタバンクの「1の分割(partition of unity)」特性)を持ち、かつ、フィルタバンク内の各フィルタが、帯域制限された周波数範囲に準拠し、従って、本文中、フィルタはサブバンドフィルタと呼ばれる;
ii)フィルタバンクからの各サブバンドフィルタが、各サブバンドに対する光音響データのフィルタ処理された表現を作成するために、光音響帰還信号に別々に適用される;
iii)狭帯域単純化が、各サブバンドに対して処理されたデータを作成するために、光音響データの各フィルタ処理された表現に別々に適用される;
iv)各サブバンドに対して処理されたデータが、次いで、他のサブバンドに対して処理されたデータを用いて、最終的に処理された形式に再構築され得、その再構築は、各サブバンドに対して処理された全てのデータからの寄与を付加して結合することを含む。
一実施形態では、狭帯域単純化が、重畳カスケードフィルタバンクおよびダウンサンプリング動作を使用するウェーブレットパケット変換を使用することにより、光音響データに対して適用され得る。一実施形態では、ウェーブレットパケット変換は、双対木複素ウェーブレットパケット変換であり得る。別の実施形態では、狭帯域単純化が、復調が周波数領域内で直接実行される、復調されたフィルタ処理済みサブバンド上の時間領域内に適用され得る。狭帯域単純化が、復調されたフィルタ処理済みサブバンド上の時間領域内に適用される場合、任意のサブバンドフィルタが使用され得る。一実施形態では、光音響データについて処理を実行するシステム、および/または、サイノグラムを取得するシステムと同じであり得るが、その必要はない、光音響出力を表示するシステムが、光音響画像を処理または表示する場合に、狭帯域単純化で使用されるサブバンドフィルタを変更する機能をオペレータに提供し得る。一実施形態では、適切な狭帯域単純化を使用する処理方法を適用することは、必要な計算量を減らし得る。
例示的実施形態では、光音響データ処理方法が以下で説明されるが、その方法では、狭帯域単純化が、周波数領域内で復調されたデータについて時間領域内で実行される。一実施形態では、サブバンドのFFTサイズは、全信号のFFTサイズよりも著しく小さい可能性があり、サブバンド内で著しく小さいFFTサイズを有することにより、実質的に同じ結果を達成しながら、処理が実質的に速くなり得る。次の処理工程は例示である:
a.適切な場合、信号をゼロ詰めまたは対称パディングで埋め込む(任意選択);
b.入力信号を周波数領域に変換する;
c.「負の」周波数(すなわち、[−fs/2、0−]の範囲内)を除去し、「正の」周波数(すなわち、[0+、fs/2]の範囲内)を倍にして、周波数領域内に分析信号を作成する;
d.各サブバンドに対して、周波数領域内の復調された信号を格納するために、対応するサブバンドフィルタの少なくとも2倍の帯域幅の長さの、ゼロ詰めされた一時的な複素数値配列を作成する。理想的には、一時的配列の長さは、元の周波数領域信号よりも大幅に短く、従って、ダウンサンプリング動作に対応する;
e.各サブバンドに対して、周波数領域内の正の周波数係数の(サブバンドフィルタの第1の非ゼロ値からサブバンドフィルタの最後の非ゼロ値までを包含する範囲内)値を対応する一時的配列にコピーして、周波数領域復調が、コピーされた範囲の最も低い周波数成分を一時的配列内のDC周波数成分の位置に合わせることにより実行されるようにし、(一時的配列は、負の周波数成分に対応する係数に対してゼロを含み得ることに留意して)一時的配列が、また、時間領域補間に対応するコピーされた周波数成分の範囲を超えて、追加のゼロで埋め込まれ得るが、それは、復調された信号内のサンプル数をさらに増加させ得、従って、その長さは、高速フーリエ変換に対して最適な2のべき乗である;
f.各サブバンドで、サブバンドフィルタ値を、位置揃え(align)された周波数成分に対応する一時的配列値で乗じることにより、サブバンドフィルタを、対応する一時的配列に適用し、結果を一時的配列に周波数領域復調済み信号として格納する;
g.各周波数領域復調済み信号を、逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用して、時間領域に変換する;
h.時間領域内の狭帯域単純化を各時間領域復調済み信号に適用する;
i.高速フーリエ変換(FFT)を適用することにより、各時間領域復調済み信号を周波数領域に変換して戻す;
j.各処理された信号を変調して、周波数領域内に一緒に合計し、結果を新しい全長周波数領域信号として格納する(変調は、処理された信号の周波数領域値を、元の全長周波数領域信号に対応する正の周波数成分の位置に合わせることにより暗黙的に実行され得る);
k.結果として生じる周波数領域信号について逆フーリエ変換を実行する;
l.パディングが使用された場合、そのパディングを除去する。
前述の方法から生じる時間領域信号は、狭帯域単純化を光音響データ処理に適用する方法の本実施形態の出力である。
サブバンド方法を使用する場合、復調された信号は、他のサブバンドに漏出し得る。かかる漏出は、歪みおよびエイリアシングを生じ得る。各復調された信号の他のサブバンドへの漏出を防ぐことは、歪み、エイリアシングを減らし、かつ/または数学的な理由のために、1の分割を維持し得る。漏出を緩和するために、次いで、追加の工程が、FFT変換を実行する前に、周波数領域内で各処理済みの復調されたサブバンドに対して、すなわち:
a.乗法ウィンドウイングフィルタ(例えば、元のフィルタバンクフィルタ、またはかかるフィルタに対して逆のもの)を適用する;または
b.各複素係数の大きさが、各係数に対して成形関数によって定義された値を超えないように、閾値化成形関数を適用する、のいずれかが適用され得る。
一実施形態では、ウェーブレットパケット変換または双対木複素ウェーブレットパケット変換(DTCWPT)アルゴリズムが適用され得、従って、周波数領域内で直接操作するのではなく、縦列のフィルタバンク実装形態が使用できる。次の工程は、かかる実施形態を示す:
a.ウェーブレットパケット変換を適用する;
b.狭帯域単純化を時間領域サブバンドに適用する;
c.次いで、逆ウェーブレットパケット変換を適用する。
一実施形態では、サブバンドフィルタではなく、時間周波数領域処理のスペクトログラムまたは別の方法が、狭帯域単純化に適用できる。スペクトログラムの使用は、サブバンドフィルタではなく、時間領域ベースのウィンドウイングを使用する。時間領域ベースのウィンドウイングまたはサブバンドフィルタ(例えば、周波数ベースのウィンドウイング)が採用されているかに関わらず、複雑性を減らして、狭帯域単純化を可能にするために、サブバンド音響補正(345)アルゴリズムが、光音響データ(例えば、サイノグラムデータ)を処理するために実現され得る。
添付書類の擬似コードが、サブバンド音響補正(345)アルゴリズムの例示的実施形態の追加の詳細を提供するであろう。
前処理(220)−変換オペレータ(350)
以下の再構成の節でさらに詳細に説明するように、様々な理由で、本明細書で説明する2次元サイノグラムデータは、閉形式再構成の影響を受けにくい。一実施形態では、変換操作は、再構成の前に、または再構成中に実行される。変換操作は、より正確な結果をもたらすために使用される。一実施形態では、変換オペレータが、閉形式反転公式を概算するために、ヘルムホルツ方程式の伝播モデルを使用して、システムの形状を明らかにするために使用され得、それにより、理想的な再構成の事例に対して正確な数値結果をもたらす。一実施形態では、変換オペレータは、システム形状に対して、閉形式逆転公式または同様な方程式の被積分関数の内部の数学演算に一致するか類似する、離散演算から成り得る。一実施形態では、変換オペレータおよび重みの両方が別々に調整され得るので、変換オペレータが方程式の重みから分離され得る。一実施形態では、変換オペレータおよび重みの調整手順が、ファントム、または組織との比較によって実行され得、最良の結果を(主観的または客観的に)特定する。一実施形態では、変換オペレータおよび重みの調整手順が、既知の方程式に対して比較すること、重みをトランスデューサおよび患者の形状、標準的なフルエンスなどに合致させること、によって実行され得る。
一実施形態では、変換オペレータは、次の方程式によって実現され得る:
vout(t)=a(t)d/dt[b(t)vin(t)],
式中、vin(t)は入力信号であり、vout(t)は出力信号であり、d/dtは導関数演算であり、a(t)およびb(t)は定数関数である。一実施形態では、a(t)=(t)2およびb(t)=1/(t)であり、形状の一部をもつ全表示再構成公式に対する3次元事例のための被積分関数に対する単純化をおおまかに表すために、重みがa(t)項に畳み込まれる。従って、変換オペレータは、信号内の低域周波数は除去せずに、高域周波数を増幅する。一実施形態では、a(t)=(t+α)2およびb(t)=1/(t+α)であり、式中、αはゼロ除算を防ぐために小さい数である。一実施形態では、変換オペレータは、閉形式反転または同様の方程式を概算するために、前述した形式の(またはそれを踏まえた)、一連のコンボリューションおよび信号乗算演算から成り得る。一実施形態では、変換オペレータだけが、再構成方法または他の処理に対して、プレコンディショナとして、取得されたデータについて適用され得る。一実施形態では、変換オペレータは、スパースまたは二次最小化ベースの再構成アルゴリズムの前に、非線形プレコンディショナとして使用されるが、そのアルゴリズムは、より高速な収束のために、再構成された形状に合致する周波数成分を有する解の再構成された形式にデータを近づけ得る。
一実施形態では、離散時間型で変換オペレータ公式を実現するために、導関数演算が有限差分演算で置換され得る。一実施形態では、tの値がkTで置換され得るが、ここでTは、サンプル期間(逆サンプルレート)であり、kは、1からサンプル数までの範囲である。一実施形態では、変換処理は各チャネル上で実行される。
次の処理工程は、変換オペレータを、サイノグラムなどのデータのセットに適用する例示的実施形態である:
a.浮動小数点時間値平方配列(squared array)(TV2[])を作成し、その配列のサイズはサンプル数と同じ大きさである。時間値平方配列内の要素が、kTの二乗で充填されるが、ここで、Tはサンプルレートの逆数であり、kは、1からサンプル数までの範囲である(すなわち、第1の値TV2[0]=T*T、第2の値TV2[1]=2T*2T、など)。例えば、100Hzのサンプルレートでは、この配列は[.0001、.0004、.0009など]となるであろう。
b.同じサイズの浮動小数点時間値逆配列(reciprocal array)(TVR[])を作成する。時間値逆配列の要素が、対応する時間値配列エントリの逆数として充填される(すなわち、第1の値TVR[0]=1/T、第2の値TVR[1]=(1/2T)、など)。
c.同じサイズの2つの浮動小数点一時的配列(T1[]およびT2[])を作成する。
d.各チャネルについて繰り返す:
i.入力信号内の各サンプル(すなわち、チャネル)に、時間値逆配列内の対応するエントリを乗じる(例えば、T1[n]=入力[n]×TVR[n]);次いで
ii.各乗算されたサンプルと先行する乗算されたサンプルとの間の有限差分を形成する(例えば、T2[n]=T1[n]−T1[n−1]、T2[0]は、先行するサンプルがないのでゼロに設定され得ることに注意する)
iii.各有限差分に二乗された時間値を乗じることによって出力配列を形成する(例えば、出力[n]=T2[n]×TV2[n])
画像再構成(225)
前述は、時間領域光音響帰還信号を処理するためのいくつかの任意選択の処理工程についての記述であった。様々な理由で、本明細書で説明する2次元サイノグラムデータが、閉形式再構成の影響を受けにくいのは、特に、組織減衰、周波数依存組織減衰、伝搬速度の不均等性、他の組織特性に対する不均等性を伴う複雑性のためである。その上、サイノグラムデータを取得するために使用されるトランスデューサ要素は、理想的、すなわち、完全ではなく、むしろ、データを歪める電気機械的周波数応答を有する。トランスデューサ要素は、各画素に対応する測定された信号強度の重みに影響を及ぼす指向性および有限開口も有し、トランスデューサ配列は制限された視野を有する。さらに、いくつかの状況では、本明細書で説明するように、取得プローブは、3D組織の光音響信号を2D結像面に制限する(面外の信号を抑制する)音響レンズを使用し、このようにして、数学的形状を変更する。サイノグラムデータによって表される形状の次元は、3D事例、2D事例、または円筒対称性の事例にきちんと従わない。
ここで図4を参照すると、いくつかの任意選択の工程を含む、例示的な画像再構成プロセスが示されている。いくつかの時間領域処理関数が画像再構成の一部として説明されるが、いつ前処理が終了して画像再構成が始まるかのはっきりした区別がないことに留意されるべきである。言い換えれば、前処理は、画像再構成プロセスの一部と考えることができる。前処理と画像再構成との間で本明細書で行った区別は、編成上の便宜のために過ぎない。
一実施形態では、生のまたは前処理されたサイノグラムが、時間領域でさらに処理され得、それから画像が再構成される。さらに、処理は、直角位相の抽出(405)およびサブバンド音響補正(345)を含み得るが、その必要はない。サブバンド音響補正は上で述べられたので、再度詳細には説明されないが、前述のように、事前再構成時間領域信号処理の順序は、一般に柔軟であり、様々なプロセスが、限定はされないが、最適化、画像品質、符号化の便宜、および処理の考慮事項を含む、様々な理由のために、再編成され得る。その結果、典型的な実施形態では、変換オペレータ(350)が考慮され得、再構成ブロック内に含まれ得る。ブロックの並べ換えは、同一の結果を生じることもあれば、生じないこともあり、その結果、一実施形態では、本明細書に記載するシステムは、1つまたは複数のブロックの様々な順序での操作を可能にするほど柔軟であり得る。
一実施形態では、サイノグラムの各々(例えば、各長サイノグラムおよび短サイノグラム)が再構成される。一実施形態では、以下でさらに詳細に説明するように、長サイノグラムおよび短サイノグラムの各々は、2つの画像という結果となり、1つは、複素サイノグラムの実成分から処理され、1つは複素サイノグラムの虚数成分から処理される。一旦再構成(414)、および従って画像再構成(225)が完了すると、後処理、すなわち、以下でさらに説明されるように、画像処理(230)が、結果として生じた1つまたは複数の画像について実行される。
画像再構成(225)−直角位相の抽出(405)
プローブ102で測定値が取得されると、トランスデューサの応答が、光音響帰還信号の周波数領域位相を変更し得る。一例として、光音響帰還信号の特定の周波数成分の位相におけるシフトがある場合、それは、時間領域内の信号の対応する成分を反転(負)し得、実質的に、逆投影または他の再構成プロセス中に、信号の一部がキャンセルされる。しかし、一般に、プローブは、それがどのように信号の位相を変更するかを測定することにより較正できる。プローブがどのように周波数領域位相を変更するかが分かっていても、組織からの光音響帰還信号の位相は未知であり、実質的に予測できない。各音響源と各トランスデューサ要素の位置との間の音響経路の伝達関数が、様々な機械的条件下で、組織の、または被験者間で、異なる領域またはタイプを走査すると、変わるであろう。すなわち、これに関して、周波数領域位相は、たとえ、プローブの位相への影響が正確に分かっていても、予測できない。体積内の各音響源からトランスデューサへの周波数領域振幅応答も分かっていないが、組織の誤較正された周波数領域振幅応答から生じた歪みは、異なる性質であり、いくつかの事例では、同じ程度の問題を生じないことがあり得るか、または、他の方法を使用して補正できる。その上、応答関数が、組織体積内の各位置から各トランスデューサへの経路によって異なる。全体で、補正すべき多数の未知の伝達関数が存在する。
再構成前に、一実施形態では、再構成プロセスに影響を及ぼし得る潜在的に不要な歪みおよびキャンセレイションを妨ぐために、複素数値分析信号を修正する必要はないが、サイノグラムは、分析的表現に処理されて、複素数値配列として格納できる。負の周波数を除去すると、時間領域内の複素数値分析信号が、組織内の音響源をもっと正確に表す瞬間エネルギーを示す画像の再構成を可能にするであろう。再構成前の矯正の結果は、再構成後の矯正(すなわち、|z1|+|z2|+...+|zN|≧|z1+z2+...+zN|、式中、zNは複素数であり、Nはトランスデューサ数である)とは異なる。言い換えれば、ビーム形成(すなわち、再構成)が、エンベロープを取得することなく、帯域制限された信号について実行される場合、再構成された画像にリンギングが生じ得る。しかし、複素分析信号が再構成に使用される場合、同じリンギングは生じない。
矯正が再構成前に実行される場合、信号をキャンセルする破壊機構が存在せず、特に視野が制限される場合、画像の高コントラスト、また、高ストリーキングという結果になる傾向がある。しかし、複素分析信号が再構成される場合、(コヒーレンスに基づいて動作し得る)破壊機構が存在する。従って、任意の画素形成では、信号の寄与成分が整列する場合、それらは建設的に追加されるが、信号がランダムまたはインコヒーレントである場合、それは、様々な状況下(その源が、再構成されている画素に関連付けられた音響源から生じていない場合を含む)で起こる傾向があるが、それらは、キャンセルされる傾向があるだろう。一実施形態では、この効果は、より高い品質の画像を生成するために使用され得る。一実施形態では、実数値の非分析的サイノグラムも画像を形成するために使用され得、そのエンベロープが、必要に応じて、再構成後に抽出され得る。かかる実施形態では、実数値の帯域制限されているかフィルタ処理された再構成に関連したリンギングが生じている可能性がある。
一実施形態では、エンベロープが、非分析的な再構成された実画像から再構成後に抽出できる。エンベロープは、画像の単性表現のエンベロープを取得することにより抽出され得るが、それは、画像の水平線および垂直線のヒルベルト変換された方向導関数表面を計算し、次いで、各画素に対して、水平成分の2乗+垂直成分の2乗+元の画像の2乗の平方根を計算することにより実行され得る。
一実施形態では、エンベロープ画像/補助画像が、再構成後の画像の全ての垂直線からエンベロープを計算することにより形成できる。
一実施形態では、分析的表現を生成するために、負の周波数成分がゼロにされ、正の周波数成分が2倍にされている係数配列を乗じた、周波数領域にサイノグラムが変換され得、次いで、複素数値の分析的表現を形成するために、時間領域内に戻され得る。複素数値時間領域信号の虚数部分が、「直角位相」成分を表し、複素数値時間領域信号の実数部分が、「同相」成分を表す。次のように、「直角位相」(すなわち、虚数)成分Qは、「同相」成分Iの関数である:Q=H{I}(式中、Hはヒルベルト変換である)。一実施形態では、ヒルベルト変換オペレータが、分析信号表現を実数値データから抽出するために使用できる。一実施形態では、ヒルベルト変換は、時間領域または周波数領域で実行され得る。時間領域から周波数領域への変換は、高速フーリエ変換などのフーリエ変換を使用して行われ得、時間領域へ戻すことが、逆高速フーリエ変換などの逆演算によって達成され得る。
一実施形態では、同相および直角位相サイノグラムが、別々に再構成プロセスを通過でき、各々が、独立した、実数値構造として処理される。一実施形態では、同相および直角位相成分が、単一の複素数値サイノグラムとして処理でき、単一の再構成段階が複素数データについて動作する。一実施形態では、重み付き遅延和再構成(415)が、再構成工程を実現するために使用され得る。一実施形態では、再構成(415)の出力が、同相および直角位相の再構成された成分をもつ、複素数データとして処理される。一実施形態では、直角位相の抽出(405)工程が、実成分入力として(処理されているか、または未処理の)サイノグラムを使用して、入力サイノグラムと同じ次元を有する虚数(直角位相)成分サイノグラムを返し、このようにして、元のサイノグラムと共に、複素サイノグラムを形成し;1つが実サイノグラムであり、1つが虚(直角位相)サイノグラムである、2つのサイノグラムのうちの各々が、次いで、別々の画像を形成するために使用され得る。一実施形態では、複素サイノグラムが、再構成された複素画像の各複素数値の複素係数、または2乗された実(同相)画像成分+2乗された虚(直角位相)画像成分の平方根、から画像を形成するために使用され得る。
一実施形態では、フィルタ処理動作を含む2次元周波数領域変換が、複素画像から2次画像を作成するために使用される。一実施形態では、2次画像が、重畳またはFIRフィルタを使用して、複素画像から作成される。以下でさらに詳述するように、一実施形態では、一連の処理工程が複素画像について、それを実数値画像に変換するかまたは矯正する前に、実行され得る。
一実施形態では、サイノグラムの(負の周波数が除去された)分析的表現を、複素復調に対応して、周波数領域内でシフトさせることできる。一実施形態では、かかる復調は、フィルタ処理後に残った光音響周波数成分をDCの方に導くことにより、さらにリンギングを防ぐために使用され得る。一実施形態では、かかる復調は、特徴サイズ選択、特定の範囲の周波数またはスケールに関連付けられた特徴の表示を支援する復調の動作、を実行するために、帯域通過または平滑化フィルタとともに使用され得る。一実施形態では、周波数サイズ選択が、オペレータによって調整可能であるか、または設定の事前定義したリストから選択可能であり得る。
画像再構成(225)−再構成(415)
再構成(415)は、サイノグラム内の処理済みまたは未処理のデータを、組織の体積内の局所的特徴を表す画像に変換するプロセスを意味するために使用される用語である。典型的な実施形態では、再構成(415)は、重み付き遅延和アプローチに基づき得る。前述のように、重み付き遅延和アルゴリズムは、任意選択として、変換オペレータ(350)によって先行され得る。一実施形態では、重み付き遅延和アルゴリズムは、複素数値データについて動作できる。一実施形態では、重みは、各画素に対して使用される各サンプルからの寄与を表すために再構成(415)によって使用され得、組織的に、重みを作成するために使用される方法が、画像再構成(225)の一部とみなされ得る。一実施形態では、重みは、収集されたデータの分析に基づいて調整され得る。
一般に、再構成(415)は、入力として、処理済みまたは未処理のチャネルデータ、すなわち、サイノグラムを取り、この情報を使用して、所定の解像度の2次元画像を生成する。
個々の画素の次元(長さの単位で)が、画像の解像度を決定する。サイノグラムデータ内の最大周波数成分が、選択された解像度に対して高すぎる場合、再構成中にエイリアシングが生じ得る。従って、一実施形態では、解像度およびサンプリングレートが、再構成で使用されるであろう最大周波数成分に対する制限を計算するため、従って、選択された解像度に対して高すぎる周波数成分を避けるために、使用され得る。一実施形態では、サイノグラムが適切なカットオフ周波数に低域通過フィルタ処理されて、エイリアシングが生じるのを回避し得る。
逆に、サンプリングレートが、画像の解像度をサポートするのに低過ぎる場合、一実施形態では、より高品質の画像を生成するために、サイノグラムがアップサンプルされて補間され得る。2次元画像は任意の解像度であり得るが、典型的な実施形態では、画像は512×512画素を含み得る。別の典型的な実施形態では、画像は1280×720画素を含み得る。さらに別の典型的な実施形態では、画像は1920×1200画素を含み得る。一実施形態では、水平解像度が少なくとも512画素幅であるが、最高で2560画素幅であり、また、垂直解像度が少なくとも512画素の高さであるが、最高で1600画素の高さである。
2次元画像は、組織内の構造、血液、または他の不均質性などの、体積内の変異を表し得る。再構成は、組織内の各位置から各トランスデューサへの第1の伝搬時間および各サンプルの各画素に対する寄与強度に基づき得る。画像内の各画素に寄与する信号強度が、再構成を生成するために組み合わされる。
次の処理工程は、重み付き遅延和技術を使用した再構成アルゴリズムの例示的実施形態である:
a.出力画像配列を割り当てて、全ての値をゼロに設定する
b.各トランスデューサチャネルに対して:
i.出力画像配列内の各画素に対して:
1.そのチャネルおよび画素に対するサンプル遅延テーブルから(サンプル内の)遅延にアクセスして、チャネルおよび遅延に対応する(サイノグラムから)サンプルを取得する
2.チャネルおよび画素に対応する重みテーブルから重みにアクセスする
3.サンプルに、対応する重みを乗じる
4.結果を、目的画素に対応する出力画像配列の位置に追加および格納する
重みテーブルは、サイノグラム内の各サンプルの結果として生じる画像内の各画素に対する相対的な寄与を表すテーブルである。典型的な実施形態では、相対的な計算効率のために、同じ重みテーブルが、複素サイノグラムの実成分および虚数成分に対して使用できる。一実施形態では、別々の重みテーブルが、複素サイノグラムの成分の各々に対して使用できる。一実施形態では、1つの複素重みテーブルが、複素サイノグラムの実成分および虚数成分に対して使用できる。一実施形態では、別々の複素重みテーブルが、複素サイノグラムの成分の各々に対して使用できる。一実施形態では、複素重みテーブルが、システム形状の結果である画像内の定在波型パターンを明らかにするために使用できる。
重みテーブルは、開口と似ているものをソフトウェア内に設定するために使用できる。従って、一実施形態では、広い開口が望ましい場合、より多くの重みが中心を外れたサンプルに与えられる。言い換えれば、例えば、所与のトランスデューサに対して、通常、どのサンプルにもトランスデューサの真下にあるサンプルよりも多い重みが与えられず、また、説明のため、トランスデューサの真下にある所与のサンプルに対する重みが1であると考える。中心から15、30、および45度にあるが、トランスデューサから等距離にある、サンプルの相対的な寄与をさらに考慮する。開口を狭めるため、それらのサンプルがそれぞれ0.5、0.25、および0.12に重み付けされ得るが、他方、開口を広げるために、それらの同じサンプルがそれぞれ0.9、0.8、および0.7に重み付けされ得る。前者は、中心から45度で源から受け取られたサンプルに対してわずかな(12%)重みのみを提供し得るが、後者は同じサンプルにずっと高い(70%)重み付けを提供し得る。一実施形態では、サイノグラムを取得するシステムと同じであり得るが、その必要はない、光音響出力を表示するシステムが、光音響画像を表示する場合に、このパラメータ(すなわち、ソフトウェア開口)を変化させる機能をオペレータに提供し得る。
一実施形態では、非常に大規模なテーブルは、各画素およびトランスデューサに対する相対的な重みおよび遅延のマッピングを含む。従って、対象画像が512×512画素であり、プローブ102が128チャネル(すなわち、トランスデューサ)を有する一実施形態では、33,554,432の重みエントリおよび同数の遅延エントリがある。同様に、対象画像が1280×720画素であり、プローブ102が128チャネル(すなわち、トランスデューサ)を有する一実施形態では、117,964,800の各タイプのエントリがある。対象画像が1920×1200であり、プローブが256チャネルを有する一実施形態では、ほぼ6億の各タイプのエントリがある。
前述のように、直角位相抽出工程(405)は、虚数成分サイノグラムを提供し、一実施形態では、実成分および虚数成分サイノグラムの各々が、画像に再構成され得、このようにして、複素サイノグラムの各成分に対して1つの、2つの画像を生成する。一実施形態では、遅延および重みテーブルは、複素サイノグラムの各成分に対して同じである。一実施形態では、遅延テーブルは、複素サイノグラムの各成分に対して同じであるが、重みテーブルは、実成分および虚数成分サイノグラムに対して異なる。一実施形態では、重みテーブルは、複素サイノグラムの各成分に対して同じであるが、遅延テーブルは、実成分および虚数成分サイノグラムに対して異なる。
画像再構成(225)−重みおよび遅延の計算
前述のように、遅延和再構成アルゴリズムの例示的実施形態では、重みテーブルが採用され得る。各トランスデューサに対するサンプル遅延テーブルおよび重みテーブルを計算するために、アルゴリズムが使用され得る。一実施形態では、サンプル遅延テーブル(複数可)を構成するデータは、各トランスデューサの推定された寄与を各画素と関連付けるが、重みテーブル(複数可)を構成するデータは、その画素に対する他の寄与と比較して、各トランスデューサの各画素に対する寄与の相対的な重み付けの推定値を提供する。一実施形態では、重みテーブルは、トランスデューサの基準、レーザーの出力、減衰制御、組織内での光減衰、皮膚の厚さ、接触媒質特性、患者固有変数、波長固有変数および他の要因に関する角度アポダイゼーションを明らかにするために使用され得る。
一実施形態では、テーブルの各々は、サイズにおいて(画素において)、画像再構成によって出力された2次元画像に対応し、各チャネルに対して1つの、複数の各テーブルが作成される。前述の例示的実施形態では、各サンプル遅延テーブルは、対象画像の画素をサイノグラム内のサンプルと関連付け、従って、(チャネルに固有である)1つのサンプル遅延テーブルが、画像内の各画素に対して、その画素の計算で使用されるそのチャネル内の特定のサンプル番号を識別することになる。同様に、前述の例示的実施形態では、各重みテーブルは、対象画像の画素を、使用される予定のサンプルに与えられる重みと関連付け、従って、(チャネルに固有である)1つの重みテーブルが、画像内の各画素に対して、画素の計算時に、そのチャネルからのサンプルに与えられる重みを識別することになる。
画像画素のXおよびY座標が、画像サイズおよび位置に関する入力情報を使用して計算される。時間遅延が、画素とトランスデューサとの間の距離および音速を知ることにより、各トランスデューサおよび各画素に対して計算される。異なる音速の音響整合層が使用される場合、整合層の内部および外部で時間遅延が別々に計算され、一緒に加算されて、全体的なトランスデューサ・画素遅延という結果になる。重みは、それらの相対的な位置に応じて、各トランスデューサおよび各画素に対して計算される。トランスデューサ・画素ベクトルとトランスデューサの基準との間の距離および角度、ならびに個々の画素の深さ位置が、考慮に入れられる。一実施形態では、サイノグラムを取得するか、またはそれらから再構成された画像を表示するシステムと同じであり得るが、その必要はない、重みおよび/または遅延を計算するシステムが、処理時に使用されるパラメータを変化させる機能をオペレータに提供し得る。一実施形態では、重みを計算するシステムは、重み計算のための基礎を変化させる機能をオペレータに提供し得、従って、例えば、中心を外れた音響データに多かれ少なかれ重みを与える。一実施形態では、重みを計算するシステムは、重みの計算に線形またはべき乗関係が使用されるかどうかを制御する機能をオペレータに提供し得る。
添付書類の擬似コードは、当業者が、重みおよび遅延を計算する例示的なアルゴリズムを実現する際に指針となるであろう。
再構成(414)、すなわち、画像再構成(225)が完了すると、後処理、すなわち、画像処理(230)が、結果として生じる1つまたは複数の画像について実行され得る。
一実施形態では、画像再構成が適応ビーム形成、一般化側波帯キャンセレイション、または当技術分野で知られている他の方法に基づき得る。一実施形態では、再構成のための技術が、チャネル間の相互相関関数の決定および/または画像の目的の鮮明さの最大化に基づき得る。
一実施形態では、体積を再構成するための方法は、断面または体積を放射ウェーブレットに分解することを含み得、放射ウェーブレットは、光音響源(特に、放射光音響源の測定された光音響帰還信号が単純な閉形式方程式に従うと推定される)を表し、ウェーブレット・べーグレット(Wavelet−Vaguelette)分解の技術が、ウェーブレットおよびベーグレットを画像領域とサイノグラムとの間で関連付け、それにより画像内の放射ウェーブレットの強度を決定し、このようにして画像を再構成するために使用され得る。一実施形態では、放射ウェーブレットの画像領域からサイノグラム領域(すなわち、ベーグレット)への投影が、放射ウェーブレットの強度を決定する前に、他の画像形成技術とともに使用できる。一実施形態では、適応ビーム形成、または閾値処理を伴うウェーブレットノイズ除去が、再構成のような段階として、放射ウェーブレット投影について実行できる。
一実施形態では、再構成は、例えば、L1−最小化またはL2−最小化などの、反復最小化または反復最大化に基づき得る。再構成および強化のための反復最小化アルゴリズムは、高い計算負荷を必要とし、従って、リアルタイム画像処理に適用可能とは考えられない。体積の断面リアルタイム光音響再構成が、L1−最小化を使用して実行できる。L1−最小化再構成を体積の2D断面についてリアルタイムで実行するための典型的な実施形態では、高速ウェーブレット反復閾値化アルゴリズムが使用され、そして、周波数領域内でヘルムホルツ波動方程式と組み合わせられ、それは、対角化可能な(または、ほぼ対角化可能な)システム行列を生じる光音響波の伝搬を表すために効果的に使用できる。一実施形態では、画像の画素が放射ウェーブレットに分解され得、分解は、周波数領域内で放射サブバンドとして表され、放射サブバンドは反復閾値化で使用される。一実施形態では、高速ウェーブレット反復閾値化アルゴリズムは、システム行列が、理想的な方程式の使用を通じてではなく、経験的に見つけられる場合に使用され得る。
レーザーが、その体積の音響特性に完全に合致していない媒質に隣接している、その表面の少なくとも一部を、組織の体積に対して照射する場合、伝搬する音波は、少なくとも一部、合致していない表面に反射し、入射波面として体積内に伝搬し得る。入射波面は、組織内の音響不連続性にさらに反射して、光音響帰還信号に干渉してアーチファクトを創り出す場合がある。このアーチファクトは、例えば、対話型最小化技術を使用して、光音響帰還信号から分離できる。一実施形態では、このアーチファクトの強度をマッピングする画像が生成できる。
一実施形態では、パターン検出分類器が光音響帰還信号に適用でき、分類器出力は、時間(または距離)に応じて特定の指標の強度を反映する。結果として、複数のトランスデューサ位置から測定値を取得すると、分類器出力が、検出されたパターンを生じている原因(すなわち、現象)に局部集中するために、ビーム形成できる。ビーム形成された分類器出力から生成された画像は、不鮮明さ、再構成アーチファクト、およびストリークアーチファクトに悩まされ得るが、それは、特に、制限された視野の事例において深刻であり得る。これらのアーチファクトは、少なくとも一部は、パターン分類された信号が、パターン分類されていないサイノグラムの一部である信号強度に関する情報を欠いている可能性があるために起こり得、その強度は、パターンの存在に関連し、トランスデューサがパターンの原因から位置付けられている距離には必ずしも関連しない。しかし、分類された光音響信号の分類器出力は、分類器出力が所与の位置で瞬間的なソース項を起源としていると特徴付けられる、ヘルムホルツ方程式の伝播モデルに「適合」できる。従って、ストリーキング、不鮮明さ、およびアーチファクトを低減するために、パターン分類された信号のパラメータマップが、再構成および単純ビーム形成以外のデコンボリューションに対する技術を使用して形成できる。例えば、反復最小化技術などの適用が、ストリーキングを低減するために使用でき、従って、パターンの原因により良く集中できる。異なるタイプの分類器および再構成技術は、適用する異なる考慮事項を有し得る。典型的な実施形態では、分類された量のパラメータマップが、反復最小化技術を使用して生成でき、そこで、システム行列が、原因を光音響信号であるかのようにして形成される。一実施形態では、例えば、L1最小化によって使用されるスパースベース表現が、パターンの原因に集中する役割を果たし、従って、アーチファクトを減少し得る。このようにして、最小化技術を光音響帰還信号に適用するのではなく、分類器出力に適用し得、分類器出力は、サイノグラムの形式で表現される。一実施形態では、再構成技術が、まるで分類器出力が光音響帰還信号であるかのように適用される。一実施形態では、分類器出力の複素エンベロープの取得、フィルタ処理、または分類器出力のデコンボリューションなどの、さらなる処理が、再構成の前に実行され得る。一実施形態では、分類器は、組織内の正常な血管の分岐と異常な血管の分岐を区別するように設計され得る。
画像処理(230)
前述のように、長サイノグラムおよび短サイノグラムの取得(205、210)後、任意選択で前処理され(220)、次いで、画像を形成するために画像再構成され(225)、結果として生じた画像について、ある後処理が実行され得る。ここで図5を参照すると、フレーム間持続的アーチファクトの除去(505)、フルエンス補正(510)、および複素振幅(515)を含む、任意選択の後処理工程が示されている。一実施形態では、画像処理は、正の実数値である(複素数値ではない)エンベロープ画像を生成する(520)。
画像処理(225)−フレーム間持続的アーチファクトの除去(505)
光音響帰還信号は、望ましい情報および望ましくない情報の両方を含み、望ましくない可能性のある情報の中に、本明細書で望ましくない連成応答と呼ばれるものがある。望ましくない連成応答は、組織内を透過するときに人の皮膚に当たる光から生じるアーチファクトを含み得る。より一般的には、この工程によって対処される望ましくない連成応答は、フレーム間持続的信号またはフレーム間持続的アーチファクトである。本明細書では、フレーム間持続的アーチファクトは、一定のままであるか、または非常にゆっくりと変化する干渉信号を指し、それは、それ故、空間的にかつ/または時間的に関連した複数の画像の各々に同様の干渉を生成すると推定される。フレーム間持続的アーチファクトは同じ現象を指すが、それは再構成された画像内に現れる場合である。従って、フレーム間持続的信号およびフレーム間持続的アーチファクトという用語は、同じ現象を表すので、本明細書では、時々置き換えられ得る。フレーム間持続的信号を除去する問題は、別々のフレーム内で見られる同様の干渉が、大きさの点で定数係数によってスケーリングされ得るという事実によって複雑にされる。スケーリングは、限定はされないが、光音響帰還信号を生じるために使用された総光エネルギーにおける変動を含む、いくつかの要因に関連し得る。その上、一般に、フレーム間持続的信号は、人によって十分に変動し、所与の個人に対する複数のフレームの検査によらない限り、容易に識別可能ではない。一実施形態では、一般に同一の位置においてではないが、空間的および/または時間的に互いに比較的ごく近接して取得された複数のフレームが、フレーム間持続的信号の除去を目的に分析される。
一実施形態では、フレーム間持続的信号の除去を対象とした第1のプロセスで、その組成を推定するための工程が実行される。一実施形態では、フレーム間持続的信号は、独立フレームのセットからの第1の主成分と見なされる。第1の主成分は、任意の方法を使用して計算できるが、一実施形態では、第1の主成分は、SVD(特異値分解)または同等な反復方法を使用して計算できる。
一実施形態では、独立フレームのセットが、各フレームが独立した背景ノイズを有するように選択される。言い換えれば、一般に、プローブ102が動いていないときに取得された独立フレームは、そのセットに含まれるはずがない。その結果、一実施形態では、セット内で使用されると考えられ得る各一連のフレームが、セットへの包含に対するその適合性を示すため(またはその不適合性を示すため)にフラグ付けされ得る。フレームのセットへの包含に対する適合性または不適合性を分析するために、そのフレームが、シーケンス内でそれに先行する1つまたは複数のフレームと比較され得る。フレームの(適合または不適合としての)フラグ付けは、捕捉時に、またはその後で行われ得るが、フレーム間持続的信号を推定する工程の前である。一実施形態では、フレームの(適合または不適合としての)フラグ付けは、そのフレームをLOMファイルに書き込む前に実行される。一実施形態では、フレーム間持続的信号を推定するプロセスは、フレーム選択サブステップを含み得る。
次の処理工程は、フレーム間持続的信号推定器の例示的実施形態である:
a.初期化(sizeOfFrameBufferが変更されているか、Nr(フレーム内の行数)またはNc(フレーム内の行数)が変更されている場合、入力する)
i.各チャネルに対して、frameBufferを、sizeOfFrameBufferを持つための循環バッファとして割り当てる。
ii.各チャネルに対して、frameBuffer.start[channel]を0に、frameBuffer.end[channel]を0に設定する。これら2つの変数は、循環バッファ内のアクティブなフレームを追跡する。
iii.各チャネルに対して、estimate[channel][Nr][Nc]を割り当て、すべての要素を0に設定する。
b.captureFrameが真(従って、フレームがセットへの包含に適合するとフラグ付けされている)の場合
i.任意選択で、画像変換をframe_inに適用する(例えば、2次元ウェーブレット変換、2次元FFT、または別の同様の変換;ある周波数を計算から除去するために帯域通過フィルタが適用され得る)
ii.現在のチャネルに対して、frame_inをframeBufferに追加する。バッファが満杯の場合、バッファ内の最も古いフレームを上書きする。
c.computeFrameが真の場合
i.frameBuffer内の全てのデータを、バッファ内の各フレームが列として処理され、各行が同じ画素インデックスの値である行列にマッピングする。
ii.現在のチャネルに対して、frameBufferの主成分(または独立成分)を計算する。
iii.(画像変換がframe_inに適用された場合、以前の計算の結果に、逆変換を適用する。
d.現在のチャネルに対して、選択された主成分(または独立成分)としてestimate_outを出力し、代替選択がない限り、第1の主成分が選択される。
前述の処理工程に関連して、工程c(ii)の最適化に対して、完全なSVDの計算はリアルタイムではない可能性があることに留意されるべきである。持続的フレーム推定プロセスを全てのフレームについて実行する必要はない。一実施形態では、持続的フレーム推定プロセスは、例えば、アルゴリズムの外部のトリガーに基づいて、定期的に再更新され得る。一実施形態では、持続的フレーム推定プロセスをスレッド内で実行し、最後に終えた推定のみを利用することは有益であり得る。一実施形態では、第1の主成分が複素領域で見つかり、従って、SVD(または他の)関数は複素数値入力を受け入れなければならない。一実施形態では、フレーム間持続的信号推定値は、ゼロ平均、および単位L2−基準を有するものとする。一実施形態では、第1の主成分のみが計算される。典型的な実施形態では、第1の主成分が、効率性のため、べき乗法を使用して、複素画像について推定のために計算される。一実施形態では、フレーム間持続的信号推定値は、第1のいくつかの主成分である。一実施形態では、フレーム間持続的信号推定値は、第1のいくつかの独立成分である。一実施形態では、複数の推定値が生成される場合、各々は信号から除去される。一実施形態では、フレーム間持続的推定は、前述のように、2次元ウェーブレット変換領域または2次元FFT変換領域など、画像変換領域内で実行できる。一実施形態では、フレーム間持続的推定は、データの帯域通過されたセットについて実行できる。
フレーム間持続的信号が推定されると、それがフレームから除去できる。一実施形態では、フレーム間持続的信号がフレームから引かれ得る。前述のように、干渉はフレームごとに同一であり得るが、振幅においてスケーリングされ得る。従って、一実施形態では、フレーム間持続的信号推定値を元のフレームから引く前に、スケーリング係数が計算されるべきであり、スケーリング係数は、推定値をスケーリングするために使用されて、それを元のフレームから引くことができるようにし得る。スケーリング係数は、フレーム間持続的信号成分の投影である。一実施形態では、複数のフレーム間持続的信号が推定され得る。一実施形態では、複数のフレーム間持続的信号の各々が、計算を実行するために使用された分解方法での最も高いエネルギー成分(例えば、第1の3つのSVD成分)に対応し得る。
画像処理(230)−フルエンス補正(510)
皮膚および組織の特性は患者ごとに異なるので、特定の患者の組織内の配光は予測できない。光のフルエンスプロファイルは、1つの空間的に依存する共通光透過プロファイル成分および2つの空間的に依存する波長固有フルエンス比プロファイルに分解でき、それらは、真のフルエンスを共通光透過プロファイルに関連付ける。一実施形態では、共通光透過プロファイルおよび波長固有フルエンス比は、組織内での光の分散に影響を及ぼす患者固有の変動を補正するために使用され得る。一実施形態では、共通プロファイルおよび固有プロファイルに対するフルエンス挙動のモデルに基づく1次元曲線が、単一の患者固有のパラメータで、2次元フルエンス補正曲線を生成するために、使用され得る。一実施形態では、次の方程式のいずれかが、限定はされないが、補正曲線に関して使用され得る:
他の方程式またはシミュレートされた曲線が、補正曲線用に使用され得る。一実施形態では、実験的に測定されたフルエンス分布曲線が、補正の方法として使用できる。一実施形態では、(光音響原理を使用し得る)別個の装置または別個のセンサーが、光事象中に、フルエンス曲線をリアルタイムで測定するために採用できる。一実施形態では、フルエンス補正曲線が、シミュレーションから導出(すなわち、推定)できる。一実施形態では、測定またはシミュレートされた曲線の逆数(または修正された逆数)が、1次元フルエンス補正曲線として使用され得る。一実施形態では、測定またはシミュレートされた曲線が、フルエンス補正で使用される前に、フィルタ処理され得る。一実施形態では、統計的特徴に基づくフルエンス補正曲線が、動的に取得された単一画像または画像のセットにおける深さの関数として計算され得る。
ここで図6を参照すると、フルエンス補正(510)のためのプロセス工程のセットが示されている。一実施形態では、光音響データについて処理を実行するシステム、および/または、サイノグラムを取得するシステムと同じであり得るが、その必要はない、光音響出力を表示するシステムが、利用可能な方程式の間で選択し、光音響画像またはその派生物を表示用に処理するために使用されるパラメータを選択する機能をオペレータに提供し得る。従って、一実施形態では、オペレータは、指数関数曲線などの曲線、および/または指数などのパラメータを選択し得る。一実施形態では、曲線、および恐らくは、パラメータが、ユーザインタフェースでオペレータに対して提示された有限の選択リストから選択される。曲線およびパラメータが選択されると、共通フルエンス曲線(605)および波長固有曲線(610)が計算される。その後、一実施形態では、2次元(例えば、各画素列に対する曲線)の全体的なフルエンス正規化曲線(615)が計算される。2次元の全体的なフルエンス正規化曲線が次いで、画像に適用される(620)。一実施形態では、補正曲線が、画像統計および再構成された画像内の対象となる領域の統計値に基づく補正曲線のセットから自動的に選択される。一実施形態では、フルエンス補正曲線が、システムオペレータによってリアルタイムで識別された対象領域に基づいて計算され得、フルエンス補正曲線は、識別された対象領域の深さの測定に依存する。一実施形態では、対象領域は、対象オブジェクトの矩形対象領域を選択することにより識別され得、その領域の中心は、補正曲線を決定するために使用された深さに対応する。
次の処理工程は、理想的な線形配列に対して適用可能な1次元方程式から選択された2次元フルエンス補正曲線を生成し、それを補正されていない画像に適用する例示的実施形態である:
a.最小の画像深さから最大の画像深さまでの、画像内の各画素に対する深さを含む1次元配列を計算する。結果をベクトル「x」に格納する。
b.1次元共通フルエンス補正曲線を、共通利得パラメータ「g0」に基づき、フルエンス補正のためのf0(x,g0)に対して選択された補正関数を使用して計算する。
c.各チャネルに対して、1次元チャネル固有補正曲線を計算する
i.チャネル1曲線は、フルエンス補正のためのf1(x,g1)に対して選択された補正関数を使用して、利得パラメータ「g1」に基づく。
ii.チャネル2曲線は、フルエンス補正のためのf2(x,g2)に対して選択された補正関数を使用して、利得パラメータ「g2」に基づく。
d.全体的な2次元正規化曲線を1次元共通曲線およびチャネル固有曲線から計算する。
i.各チャネルに対して、共通曲線にチャネル固有曲線を乗じることによって全体的な1次元曲線を作成する
ii.2次元正規化曲線内の各垂直列を全体的な1次元曲線と等しく設定する
e.現在のチャネル再構成された画像に対して
i.画像内の各画素に対して、画素の値に、現在のチャネルに属する全体的な2次元正規化曲線内の対応する画素を乗じる
一実施形態では、フルエンス補正(510)は、複素画像を処理し、新しい複素画像をその出力として提供し得る。一実施形態では、フルエンス補正(510)は、実画像を処理し、修正された実画像をその出力として提供し得る。
画像処理(230)−複素振幅(515)
一実施形態では、複素振幅(515)工程は、入力として、複素画像(または、虚数成分が利用可能でない場合は実画像)を採用し、入力画像と同じ数の行および列を有するエンベロープ画像を生成する。エンベロープ画像は、入力の各要素の複素振幅を採用することにより決定され得る。実画像のみが利用可能である場合、エンベロープ画像は、その画像内の情報の絶対値である。一実施形態では、虚画像内の各垂直線が、実画像内の対応する線のヒルベルト変換である場合、エンベロープが、虚数成分画像の代わりに画像を生成することにより、実画像のみから交互に計算でき、複素振幅が同じ方法で適用される。
パラメータ画像の生成(240)
前述のように、長サイノグラムおよび短サイノグラムの取得(工程205、210)後、任意選択で、画像を形成するために前処理され(工程220)、再構成されて(工程225)、短エンベロープ(232)および長エンベロープ(234)画像を生成するために処理され(工程230)、そのエンベロープ画像が、パラメータ画像を生成する(工程240)ために使用され、より具体的には、1つまたは複数の次のパラメータ画像:酸素化マップ(250)、ヘモグロビンマップ(255)およびマスクされた酸素化マップ(260)を生成する。一実施形態では、パラメータ画像が、短および長エンベロープ画像(232、234)内から取得された定性的情報を反映するカラー化画像を提供することにより提示される。
ここで図7を参照すると、短エンベロープ画像(232)および長エンベロープ画像(234)が、パラメータ画像(250、255、260)の少なくとも1つを提供するために処理される。一実施形態では、短エンベロープ画像(232)および長エンベロープ画像(234)が、信号対ノイズ比を向上させ、かつ/または画像間により良い位置揃えを提供するために、運動および追跡(705)によって処理され得る。一実施形態では、短エンベロープ画像(232)および長エンベロープ画像(234)が、酸素化およびヘモグロビンのグレースケールマップを生成するために、酸素化およびヘモグロビン計算(720)によって処理される。より一般的には、複数のパラメータ画像(すなわち、2つ以上)が各々、複数の画像(すなわち、2つ以上)内の情報から形成され得、別のパラメータ画像が、複数のパラメータ画像の少なくとも2つの内の情報から形成され得る。複数のパラメータ画像の少なくとも2つの内の情報から別のパラメータ画像を形成するのではなく、かかる後者のパラメータマップが、複数の画像内の情報から直接作成され得ることは、本開示の範囲内である。言い換えれば、数学的処理が中間パラメータ画像の作成を必要としない事例では、それを行う唯一の理由が、それらを後者の組み合わされたパラメータマップに結合することであれば、中間マップを生成する別の工程が、一実施形態では、省略され得る。
一旦作成されると、パラメータマップがノイズ除去(735)され得る。一実施形態では、グレースケールマップが、酸素化(250)およびヘモグロビン(255)のカラーマップを生成するために統計的に、カラーマッピングされる。ヘモグロビンマップ(255)が、その後、酸素化マップ(250)と組み合わされて、透明度マスクの組合せ(750)内にマスクされた酸素化マップ(260)を提供する。一実施形態では、パラメータ画像の生成(240)の結果が、RGBA酸素化マップ、RGBAヘモグロビンマップおよびRGBA HgOマスクされた酸素化マップである。前述のように、一実施形態では、マスクされた酸素化マップと同様のカラーマッピングされた品質が、酸素化マップおよびヘモグロビンマップの透明度チャネルを結合する中間ステージを通過するのではなく、2つのエンベロープ画像内のデータから直接生成され得る。
パラメータ画像の生成(240)−運動および追跡(705)
運動および追跡(705)は、静的(または遅い運動の)場面の連続する画像が生成される際に、センサー内の運動が、場面の内容の位置を互いに相対的に「動かす」ので、必要であり得る。従って、前の画像gaの短時間(例えば、100ms)後に取得された後続の画像gbは、前の画像gaから水平および垂直寸法でいくつかの画像画素だけオフセットされ得る。同様に、後続の画像は、フレーム間に生じ得る非剛体変形を被る可能性もある。一実施形態では、補正が非剛体変形に対して行われ得る。その上、一実施形態では、さらなる運動および追跡が、プローブがどのように移動しているかを判断するために採用され得、このようにして、組織構造の3D画像を生成する基礎を提供する。一実施形態では、また、以下で詳細に説明するように、システムは、撮像中に、プローブの位置または移動に関するデータを提供するセンサー(例えば、加速度計、または定位置センサーおよび対象、または他の方法)を含み得る。位置または移動に関するかかる情報は、平行移動、回転、角偏向、またはフレームごとに変形を生じ得る他のプローブ移動に対して補正を行う際に考慮に入れられ得る。
手短に図8を参照すると、一実施形態では、運動および追跡(705)の工程が構成要素部に分割されているが、それらは、運動推定(810)、永続化(820)、および位置揃え(830)を含み得る。一実施形態では、運動推定(810)プロセスが、2つの画像間の運動を推定するために使用され得る。一実施形態では、画像間の剛体運動が、運動の回転成分を有していないと仮定される。一実施形態では、画像間の剛体運動が、運動の回転成分を有していると仮定される。一実施形態では、永続化(820)プロセスが、信号対ノイズ比を向上するために使用され得る。一実施形態では、位置揃え(830)プロセスが、短エンベロープ画像(232)および長エンベロープ画像(234)などの、2つの画像を位置揃えする。
運動推定(810)は、連続する画像取得間のプローブ運動の影響を除去する1つまたは複数の方法をサポートし得る情報を提供できる。例示的実施形態では、運動推定(810)は、短エンベロープ画像(232)と長エンベロープ画像(234)との間に生じた運動を推定する。一実施形態では、運動推定(801)プロセスは、画像内の行および列の数、ならびに二乗余弦アポダイズ済み帯域通過フィルタに対するカットオフ値の入力を必要とする。一実施形態では、フィルタ配列が、起動時または、入力パラメータに変更がある場合にはいつも、作成される。フィルタ配列は、2D周波数成分を決定し、次いで、フィルタの帯域通過特性を平滑に成形するための二乗余弦アポダイゼーション関数および/または追跡している特徴に関連する周波数が対応する帯域通過範囲を使用することにより、作成される。一実施形態では、二乗余弦アポダイゼーション関数の使用は、光音響走査の特定の性質に依存し得る、運動推定手順内で相互にあまり関連がない可能性が高い成分を抑制するために、放射2D帯域通過フィルタを周波数領域内で作成する。バッファリングされた画像および別の画像を使用して計算された相関配列が、次いで決定され得、それらから相関関係が決定される。一実施形態では、位相相関アルゴリズムが、2つの画像の内容の相対位置を推定するための周波数領域アプローチを提供し得る。一実施形態では、短時間離れて取得された2つの入力画像gaおよびgbを前提として、Ga=F{ga}およびGb=F{gb}であり、また画像gの場合、F{g}=2Dフーリエ変換とすると、位相のクロスパワースペクトルRが、次のように形成できる:
正規化された相互相関rが、逆フーリエ変換を使用して提供できる:
また、画素でのオフセットが、rにおけるピークの位置に等しい;
一実施形態では、エッジ効果を補正するため、エッジにおけるフィルタリング(2D)またはゼロ詰めが(フーリエ変換の前に)画像に適用され得る。一実施形態では、弱値に対するフィルタとして機能するため、および/またはゼロ除算を防ぐために、小さな定数が、クロスパワースペクトル項Rの分母に加算され得る。一実施形態では、帯域通過フィルタ(すなわち、前述の、2D放射二乗余弦アポダイズ済み周波数領域帯域通過フィルタ)が、クロスパワースペクトルの分子で乗算され得る。
一実施形態では、運動が水平および垂直画素で表現され、追加の相関値とともに提供され得る。相関値は、様々な方法で表現され得、一実施形態では、相互相関配列の絶対値の平均値を、相互相関配列の絶対値の最大値とともに提供することによって表現される。 一実施形態では、連続するフレーム間での画素運動は、フレームが収集されるタイミングを知ることにより、軸に沿った運動の速度を推定するために用いられ得る。一実施形態では、フィルタ処理された推定速度を作るために、運動の推定速度をフィルタ処理してエラーを除去してもよい。一実施形態では、速度の推定値は、所与の時間におけるプローブの位置を推定するために用いられ得る。一実施形態では、所与の時間におけるプローブ位置の推定値は超音波を用いて位置合わせするときに用いられ得る。その結果、位置合わせを実行する間、光音響パラメータマップまたは光音響画像の位置は、超音波フレームが収集される既知の時間に基づいて、オーバーレイに対して期待される位置に対応するよう移動される。したがって超音波情報および光音響情報が交互に収集されるとき、位置合わせされたオーバーレイの滑らかな追跡運動が作られ、それにより位置合わせされたフレーム間の位置揃え不良が低減されることができる。
次の処理工程は、運動推定の例示的実施形態である:
a.入力パラメータに基づいてフィルタ配列を、以下によって、作成(または再作成)する:
i.放射周波数成分を取得すること、
ii.二乗余弦アポダイゼーション関数を使用して、帯域通過フィルタ配列を作成すること;
b.(アルゴリズムの前の反復で格納された)以前のフレームと現在のフレームとの間の相関関係を判断し、平行移動オフセットベクトルを計算する;
c.相関値が閾値より低く、平行移動も閾値より低い場合、運動が、結像面に垂直であると仮定される;
d.現在のフレームを「以前の」フレームとして格納する;
e.プローブ速度が、フレーム間で経過した時間を使用して平行移動から推定され得る;
f.一実施形態では、平行移動または速度出力が、速度のより平滑な推定を有するために、低域通過フィルタ処理され得る。
一実施形態では、運動が推定されると、永続化(820)プロセスが、ノイズを除去し、画像内の真の信号を増強するために実行され得る。永続化(820)プロセスは、不要な信号がフレームごとに変化するのではなく、不要な信号、例えば、ノイズが、画像内に存在し得ると仮定する。一実施形態では、不要な信号は、ガウス型ホワイトノイズとしてモデル化され得る。一実施形態では、永続化(820)プロセスがそれについて実行される2つの画像が高度に相関して、真の画像内容におけるフレームごとの変化を少なくすると仮定される。当業者には、真の画像内容における変化が少なければ少ないほど、達成され得る結果が良くなることが明らかであろう。
一実施形態では、永続化(820)プロセスは、画像データについて加重移動平均(WMA)を実行するが、ここで、1つまたは複数の以前のフレームが重み付けされて、画像とともに考慮される。一実施形態では、以前の1つまたは複数のフレームに与えられた重みは、単一の入力パラメータに依存し得る。一実施形態では、以前の複数のフレームに与えられた重みは、複数パラメータに依存し得る。一実施形態では、永続化(820)プロセスは、画像データについて指数関数的加重移動平均(EWMA)を実行するが、それは、IIR(無限インパルス応答)フィルタの一種である。有限インパルス応答(FIR)フィルタの代わりに、IIRフィルタを使用すると、例えば、メモリ内に、画像の配列、および以前のフレームに対する配列のみを有するなど、計算のためにメモリ内に少ないデータを格納することを可能にする。
一実施形態では、サンプルnに対して、出力値y[n]が、入力値×[n]および以前の出力値y[n−1]から、y[n]=(1−α)×[n]+αy[n−1]として計算される。n<0の場合、y[n]=0である。
次の処理プロセス工程は、持続の例示的実施形態である:
a.初期化中、または画像サイズが変わった場合に
persistence_bufferと呼ばれる配列を割り当てて初期化する
b.平行移動運動が検出されている(かつ、バッファがフラッシュされていない)場合
i.現在のチャネルに対する持続バッファを、検出された量の線形平行移動を使用して、シフトする
c.入力画像内の各画素に対して
i.持続バッファがフラッシュされていない場合は、
persistence_buffer[channel][pixel]=(1−alpha)*input_image[pixel]+alpha*persistence_buffer[channel][pixel];
そうでない場合
入力画像画素の値、例えば、persistence_buffer[channel][pixel]=input_image[pixel]を設定することにより、チャネルに対する持続バッファをフラッシュする
ii.output_image[pixel]=persistence_buffer[channel][pixel]
一実施形態では、永続化(820)プロセスが実行されると、位置揃え(830)プロセスが、現在の画像および以前のものを位置揃えするために使用され得る。一実施形態では、位置揃え(830)プロセスは、運動推定(810)の結果(例えば、水平および垂直画素計算)に依存し得る。一実施形態では、位置揃え(830)プロセスは、以前のフレームと考慮中のフレームとの間の運動を推定し得る。位置揃え(830)プロセスは、垂直および/または水平オフセットによってシフトされた出力画像を提供する。一実施形態では、垂直および/または水平オフセットは、画素で提供される。一実施形態では、持続プロセスのための運動推定は、同様のチャネルからの画像が、運動推定を実行するためのほとんど同じ特徴を有するので、同様の波長チャネルの画像からの位相相関情報を使用する。一実施形態では、位置揃えプロセスは、似ていないチャネルからの画像が、計算前に位置揃えされるべきであるため、似ていない波長チャネルの画像について実行する。
一実施形態では、運動推定および相関が、フレーム間持続的アーチファクト手順によって使用されるフレームを自動的に検出するために使用される。
パラメータ画像の生成(240)−酸素化およびヘモグロビン計算(720)
運動および追跡(705)の後、位置揃えされた短エンベロープ画像(710)および位置揃えされた長エンベロープ画像(715)が、グレースケール酸素化マップ(725)およびグレースケールヘモグロビンマップ(730)を生成するために、酸素化およびヘモグロビン計算(720)を使用して処理できる。一般に、血液中への光吸収は、さまざまな光の波長で異なる。その上、血液中への光吸収は、血液酸素化によって影響を受ける。吸収係数のために、同じ光の波長で、所与の酸素化の血液が、より低い酸素化の血液よりも光音響的に応答するが、他の光の波長では、逆が当てはまる。例えば、酸素化血液は、約757nm波長で主出力を有する、アレキサンドライトレーザーからの刺激に応答して、非酸素化血液よりも光音響にあまり応答しないが、酸素化血液は、約1,064nm波長で主出力を有する、Nd:YAGレーザーからの刺激に応答して、非酸素化血液よりも光音響に良く応答する。
図9を参照すると、以下でさらに詳述されるが、ヘモグロビンマップおよび酸素化が、短波長および長波長での脱酸素ヘモグロビンおよび酸化ヘモグロビンに対する吸収係数に関する情報を使用して計算され得る。一実施形態では、光の組織内への透過は変動し得るので、光透過は、統計的に正規化され得る(フルエンスの正規化(910))。一実施形態では、光透過は、対象領域(ROI)内で、統計的に正規化され得る。一実施形態では、平滑化(920)が適用され得る。加えて、一実施形態では、酸素化計算(940)(ヘモグロビン計算(950)ではなく)が、ノイズ除去(930)プロセスによって強化され得る。一実施形態では、ヘモグロビンおよび/または酸素化計算のいずれかが、ノイズ除去プロセスによって強化され得る。
一実施形態では、光音響データについて処理を実行するシステム、および/または、サイノグラムを取得するシステムと同じであり得るが、その必要はない、光音響出力を表示するシステムが、対象領域を選択する機能をオペレータに提供し得る。一実施形態では、グラフィカルユーザインタフェースは、ユーザが、例えば、超音波または光音響画像内で、対象領域を識別することを可能にし得る。一実施形態では、ROIが矩形領域である。一実施形態では、ROIは非矩形であり得る。一実施形態では、ROIは、画像内および/または結果として生じるパラメータマップ内の各画素に対して、その画素が対象の計算領域の一部であるかを示すために、例えば、ブール値で指定され、このように、計算は、矩形についての実行に限定されない。一実施形態では、別個のROIが表示目的で使用され得、従って、例えば、1つのROIが計算に使用され得、別のROIが表示された画像内で境界表示として使用され得る。言い換えれば、計算ROIおよび表示ROIは、同じROIである必要がある。
一実施形態では、短エンベロープ画像(232)および長エンベロープ画像(234)内のROIにおけるフルエンスは、統計的に正規化され得る。一実施形態では、短エンベロープ画像(232)および長エンベロープ画像(234)内のROIにおけるフルエンスは、数学関数を使用して、統計的に正規化され得る。一実施形態では、エンベロープ画像のROIを用いて各画素を統計的に正規化するために、その画素の値はROIにおけるピクセル値に対する標準偏差で除算される。この正規化方法は、光の実際のフルエンスが未知であり、レーザー事象ごとだけでなく、人によって変動し得るので、組織内の特定の対象に対する光の実際のフルエンスにおける変動を補正するために使用される。一旦、統計的に正規化されると、ROIは一般に、対象の組織または体積に関する定性的情報を反映する。正規化に対する物理的な正当化は、OA原理に基づいておらず、むしろ、動作の効果は、各波長に対するヒストグラムの幅(標準偏差)が、ある条件下で不変である傾向があるという観察に基づいて、対象領域内の各波長のヒストグラムを正規化することである。その上、レーザーフルエンスは、深さで正確に定量化されない可能性があるが、波長間のヒストグラム幅は、他の未知のものに関していくらか一般的な安定性を有すると考えられる。
一実施形態では、平滑化(920)が、2次元重畳フィルタを通じて画像について実行され得る。一実施形態では、2次元重畳フィルタカーネルは、調整可能パラメータに基づき得る。一実施形態では、フィルタカーネルパラメータは、デフォルトでガウスに設定される。一実施形態では、ガウスまたは他のフィルタカーネルは、分離可能であり、これは、より効率的な実施態様を可能にし得る。一実施形態では、平滑化カーネルは、特定のサイズまたはスケールのオブジェクトに焦点を合わせることを可能にする機能を提供し得るが、それは、特徴サイズ選択に関連し得る。一実施形態では、特徴サイズ選択カーネルは、帯域通過フィルタであり得る。一実施形態では、光音響データについて処理を実行するシステム、および/または、サイノグラムを取得するシステムと同じであり得るが、その必要はない、光音響出力を表示するシステムが、2次元重畳フィルタカーネルがそれに基づく調整可能パラメータを選択する機能をオペレータに提供し得る。フィルタカーネルは、パラメータ画像、エンベロープ画像または複素数値画像に提供され得る。一実施形態では、フィルタカーネルは、処理の任意の段階で適用され得る。
次の処理工程は、平滑化の例示的実施形態である:
a.画像の次元、カーネルタイプ、およびスケーリングパラメータのシグマに従ってフィルタカーネルを計算する;
b.カーネルを使用して、データで2次元対称畳み込みを実行する。
ヘモグロビン計算(950)プロセスが、短および長エンベロープ画像を使用して実行され得る。一実施形態では、正規化されて、平滑化された短および長エンベロープ画像(922、924)が、2×2行列のヘモグロビン係数とともにヘモグロビン計算(950)プロセスで使用される。以下のk11、k12、k21、およびk22というヘモグロビン係数は、ヘモグロビンまたは血液に対する擬似逆吸収係数に比例する。一実施形態では、前方吸収係数が、ヘモグロビン係数の導出で使用され得、短波長および長波長の各々で、酸素化および非酸素化血液またはヘモグロビンの吸収に関連し得、また、水および他の吸収体の吸収にも関連し得る。一実施形態では、擬似逆係数が代わりに、直接到達され得るか、または経験的に調整もしくは調節され得る。一実施形態では、擬似逆吸収係数は、組織内の他の吸収材料の予期される値も考慮に入れ得る。この方法は、もっと多くの吸収材料が存在するか、またはもっと多くのレーザー波長が使用される状況に拡張できる。計算も異なる吸収体に対して適用できる。この方法は、もっと多くの吸収材料が存在するか、またはもっと多くのレーザー波長が使用される状況に拡張できる。添付書類にさらに示すように、一実施形態では、グレースケールヘモグロビンマップ(730)の画素が、画素ごとに、(k11+k21)*short_image+(k21+k22)*long_imageとして計算され得る。
共通ノイズ除去(930)プロセスが、短および長エンベロープ画像を使用して実行され得る。一実施形態では、正規化されて、平滑化された短および長エンベロープ画像(922、924)が、共通ノイズ除去(930)プロセスで使用される。共通ノイズを除去するプロセスの例示的実施形態が、添付書類内の擬似コードに提示されている。一実施形態では、共通ノイズ除去(930)プロセスは、正規化されて、平滑化され、共通ノイズ除去された、短および長エンベロープ画像(932、934)を生成する。一実施形態では、これらの画像(932、934)は、次いで、2×2行列の酸素化係数とともに酸素化計算(950)プロセスで使用される。以下のk11、k12、k21、およびk22という酸素化係数は、ヘモグロビンまたは血液に対する擬似逆吸収係数に比例する。一実施形態では、前方吸収係数が、ヘモグロビン係数の導出で使用され得、短波長および長波長の各々で、酸素化および非酸素化血液またはヘモグロビンの吸収に関連し得、また、水および他の吸収体の吸収にも関連し得る。一実施形態では、擬似逆係数が代わりに、直接到達され得るか、または経験的に調整もしくは調節され得る。一実施形態では、ヘモグロビン計算プロセスに関して前述したように、擬似逆吸収係数は、組織内の他の吸収材料の予期される値も考慮に入れ得る。前述のように、計算もさまざまな吸収体に対して適用できる。ヘモグロビン計算プロセスを実行するための方法と同様に、この方法も、もっと多くの吸収材料が存在するか、もっと多くのレーザー波長が使用される状況に拡張できる。添付書類にさらに示すように、一実施形態では、グレースケールヘモグロビンマップ(730)の画素が、画素ごとに、(k11+k21)*short_image/(k11+k21)*short_image+(k12+k22)*long_image)として計算され得る。一実施形態では、この方程式は、画素ベースの計算が(k01+(k11+k21)*short_image)/(k01+(k11+k21)*short_image+k02+(k12+k22)*long_image)となるよう、定数項k01およびk02を用いてさらに修正され得る。一実施形態では、項k01および項k02は対象領域の統計関数から計算される。
パラメータマップを計算するための他の方法が、前述の方法の代わりに使用され得る。一実施形態では、複数のレーザー波長が、単一フレーム内で同時に発射できるが、そのフレームはその全体として測定事象に対応する。モル濃度が、周波数ホッピングスペクトラム拡散または他の類似の技術を使用することにより、各測定事象内で発射されたレーザー波長の異なる組み合わせで、いくつかの測定事象を分析することにより復号され得る。一実施形態では、複数のレーザー波長が単一のフレーム内で発射できるが、同時にではなく、モル濃度は、ブラインド音源分離または類似の技術を使用して、フレームを分析することにより判断できる。複数波長単一フレームアプローチは、運動に対する感度を向上できる。一実施形態では、分析工程は、体積の1つまたは複数の部分内のモル濃度を判断するために、レーザー波長から吸収方程式のシステムを解決することを含み得る。
パラメータ画像の生成(240)−ノイズ除去(735)
図7を再度参照すると、ノイズ除去(735)プロセスの適用は、ガウス型ホワイトノイズに類似した特性を有するノイズを除去し得る。一実施形態では、グレースケール酸素化およびヘモグロビンマップ(725、730)が作成されて、ノイズ除去(735)プロセスが、ウェーブレット領域内のマップに適用される。一実施形態では、ノイズ除去(735)プロセスが、代替または追加として、実サイノグラムおよび/もしくは複素サイノグラムならびに/または実画像もしくは複素画像に適用され得る。対象(例えば、マップ、画像またはサイノグラム)に関わらず、ノイズ除去(735)プロセスが、処理の異なる領域に適用され得る。
一実施形態では、マルチスペクトルノイズ除去手順が使用され得るが、それは、ノイズを削減するために、複数の光波長からの情報を使用する。一実施形態では、マルチスペクトルノイズ除去は、例えば、2つの連続したマップ、画像もしくはサイノグラム、2つの非連続したマップ、画像もしくはサイノグラムなどの異なるサンプル抽出データセットからの、または、異なる波長光事象から生じるマップ、画像もしくはサイノグラムからの情報を使用してノイズ除去し得る。
一実施形態では、ノイズ除去(735)プロセスが、2次元ウェーブレット変換領域内で動作する。一実施形態では、ウェーブレットノイズ除去は、ウェーブレット領域内係数内の閾値化動作に基づく。一実施形態では、複素数値2次元ウェーブレット変換が使用され得る。一実施形態では、二変量収縮(bivariate shrinkage)方法によるウェーブレット閾値化がノイズ削減のために適用され得る。
次の処理工程は、ノイズ除去の例示的実施形態である:
a.任意選択で、(例えば、対称拡張を使用することにより)画像の境界を拡張する、
b.画像の2次元ウェーブレット変換(例えば、2次元複素双対木ウェーブレット変換)を計算する、
c.適応または固定閾値化関数に従って、ウェーブレット領域内係数を閾値化し、閾値化関数は、画像、信号、ウェーブレット係数および/またはそれらの統計的性質の特性に基づき得る、
d.修正された係数の逆2次元ウェーブレット変換を計算する、
e.元のサイズの画像に戻すために、画像の拡張された境界はいずれも削除する。
一実施形態では、ノイズ除去(735)プロセスは、例えば、ノイズ除去されたグレースケール酸素化マップまたはノイズ除去されたグレースケールヘモグロビンマップなどの、入力と同じ次元を有する、入力のノイズ除去されたバージョンを返すことになる。
パラメータ画像の生成(240)−統計的カラーマッピング(740)
統計的カラーマッピング(740)プロセスは、一実施形態では、グレースケール(例えば、単一画像チャネル(例えば、3画像チャネルRGB画像と比較して))マップを取得して、より有意義と考えられるデータを強調するためのカラーを提供するために実行され、追加的な実施形態では、特定の画素の可視性を不明瞭にするために使用できる透明度マスクを提供する。一実施形態では、統計的カラーマッピング(740)は、4つの段階、すなわち、ROIに対する統計値の計算、カラーマッピングの生成、マップの補間、および透明度マスクの生成から成る。一実施形態では、統計的カラーマッピング(740)は、マップの補間の段階が任意選択であるので、3つの段階、すなわち、ROIに対する統計値の計算、カラーマッピングの生成、および透明度マスクの生成から成り、特に、マップが、その段階を合理的に不要にするほど十分な色の深さ(すなわち、十分な数のカラー)を有している場合である。
統計値計算の段階では、対象の計算領域の統計値が、カラー計算で較正または基準点として使用されるために計算される。一実施形態では、平均および標準偏差がこの段階で計算される。前述のように、ROIは任意の形状であり得る。一実施形態では、ROIは、画像内および/または結果として生じるパラメータマップ内の各画素に対して、その画素が対象の計算領域の一部であるかを示すために、例えば、ブール値で指定され、このように、計算は、矩形についての実行に限定されず、または隣接ROIにさえも限定されない。一実施形態では、ROIは、例えば、少なくとも閾値レベルのヘモグロビン含有量を有すると判断された画素、または基準を満たす他のかかる分子もしくは生理学的指標など、1つまたは複数の基準を満たす画像内の特定の画素に対応し得る。かかるROIに対する基準は、計算のため、または表示のコントラストもしくは他の態様を向上させるために有用であり得るような基準を含み得る。
カラーマッピングの生成の段階では、事前定義したカラーマップへのカラーマッピングが、グレースケール(例えば、単一画像チャネル)画像から生成される。カラーマップは、出力画像の情報を表すために使用されるカラー(例えば、RGBカラー)の順序付きリストを決定する。一実施形態では、カラー基準点は、最初は、計算ROIの平均+オフセットとされるが、オフセットは、カラーオフセットバイアスパラメータをROIの標準偏差で除することによって計算される。次いで、統計的情報を使用して、カラー制限が計算される。カラー制限は、カラーマップ内の最初および最後のインデックスに対応するパラメータデータの数値である。カラー制限は、中点などの、計算されたかユーザ提供の参照パラメータに関する計算ROIの標準偏差に関して定義され得る。一実施形態では、カラー制限は、その平均に関する計算ROIの標準偏差に関して定義され得る。一実施形態では、カラー制限はコントラストの測定値(例えばRMSコントラスト、マイケルソンコントラスト、ウェーバーコントラスト、局部的画像コントラスト測定規準(フィルタ処理された画像に対して比較したコントラスト)、または他のコントラスト測定値)に関連して定義される。ここで、カラー制限は、計算ROIにおけるコントラスト測定値を最適化または最大化し、それにより適応定性的画像(Adaptive Qualitative Image)の表示を可能とするために、解決される。典型的な実施形態ではRMSコントラストが用いられる。一実施形態では、上限および下限値が、(平均)+または−(標準偏差)×(カラーコントラストパラメータ)に等しい。一実施形態では、カラーへのマッピングは、下限値をカラーマップ内の最初の値に、上限値をカラーマップ内の最後の値に関連付け、グレースケール画像の中間値をかかる終点間で線形にマッピングすることにより達成され得る。
例示的実施形態では、カラーマッピングは、次の工程によって実行され得るが、それは、添付書類でさらに詳細に表現され得る:
a.対象領域の標準偏差を計算する
b.カラー基準点を(対象領域の平均)+(バイアスパラメータ)/(標準偏差)に設定する
c.カラーの下限を(カラー基準点)−(標準偏差)×(カラーコントラストパラメータ)に設定する
d.カラーの上限を(カラー基準点)+(標準偏差)×(カラーコントラストパラメータ)に設定する
e.グレースケール画像内の各画素をカラーマップ内のカラー値に線形マッピングして、下限値がカラーマップ内の最初のインデックスに対応し、上限値がカラーマップ内の最後のインデックスに対応するが、上限および下限を超える値は境界カラーで満たし、中間値は上限と下限の間で線形補間される。
(任意選択の)補間工程では、カラーマップが補間される。一実施形態では、カラーマップは、中間カラー値がスムーズにマッピングされるように補間され、このようにして、むらのある表示を防ぐ。カラー制限を使用して、補間工程は、パラメータ画像をカラーマップに拡大縮小する。一実施形態では、各画素のカラーが、マップ内の2つの対応する隣接したカラー間の線形補間を使用して中間値に設定される。一実施形態では、カラーマップは、サイズ変更が補間を必要としないように、十分な深さで提供されるが、直接ルックアップを使用するために要求される解像度を提供し得る。
次の処理工程は、添付書類でさらに詳細に表現されるように、カラーマップの線形マッピングおよび補完の例示的実施形態である:
a.最大カラーマップインデックスを、カラーマップ内の最後のエントリに対応する値(すなわち、カラーの数)に設定する:
i.maximum_colormap_index=NumRGBColors−1
b.強度が、各画素に対するカラーパレットと同じ数値の範囲に対応するように、パラメータマップ内の行および列で拡大縮小する
i.B[row][col]=(parametric_map[row][col]-lower_color_limit_range)*(maximum_colormap_index)/(upper_color_limit_range-lower_color_limit_range)
ii.B[row][col]=min(max(B[row][col],0),maximum_colormap_index)
c.床関数を使用して、Bの各画素のパレットインデックスを計算し、結果として生じる配列を「インデックス」と呼ぶ:
i.index[row][col]=min(floor(B[row][col]),maximum_colormap_index)
d.カラーマップが、補間の効果を無視できるほど十分なカラーの深さを有している場合、対応するカラーマップインデックスのRGB値が、rgb_out[row][col][component]=colormap(index[row][col],component)として計算できる。しかし、このカラーマップが十分なカラーの深さを有していない場合、次の工程が実行され得る:
i.Bとインデックスとの差である剰余を計算し、結果として生じる配列を「デルタ」と呼ぶ:
1.delta[row][col]=B[row][col]−index[row][col]
ii.デルタの値を使用して、RGBカラーチャネルを提供されたカラーマップ上に補間する:
1.各カラーチャネル成分(赤、緑、青)に対して、各画素のカラー成分をrgb_out[row][col]に設定する:
a.rgb_out[row][col][component]=colormap(index[row][col],component)*(1−delta[row][col])+colormap(index+1,component)*delta[row][col]
e.RGB値が浮動小数点値によって表される場合、RGBカラーに対する値が0.0と1.0の間であることを確実にする。
透明度マスクの生成工程では、マップの透明部分を識別するために、透明度マスクが生成される。パラメータのlower_transparancy_thresholdおよびupper_transparancy_thresholdが、補間工程で計算されたカラー制限およびパラメータ画像内に存在する値に基づいて、透明度閾値を定義する。一実施形態では、中間レベルの透明度が、急激なカットオフよりもむしろ透明から不透明への段階的退色が提供されるよう、lower_transparency_thresholdまたはupper_transparency_threshold付近のピクセル値に対して用いられる。一実施形態では、ハード閾値を有するのではなく、不透明度のパラメータが、マップ内の画素をスムーズにレンダリングするために、平滑パラメータとして使用される。添付書類に示されるように、透明度が、calculate_transparency_maskサブ関数を使用して、スムーズに推移され得る。事前定義されたか、または計算されたマスクが、マップを特定の位置で透明にするために使用され得る。一実施形態では、display_roi(マップと同じ次元を有する)と呼ばれるマスクは、完全に透明であるべきマップ内の画素に対応する位置において偽(例えば、ゼロ値を有する)であろう。一実施形態では、display_roi内の画素は、それがROIの範囲外である場合、偽である。一実施形態では、display_roi内の画素は、表示オーバーレイが、例えば、画像の端部に対して設定され得る境界マージンの範囲外の場合など、示されるべきでない場合、マップ内の対応するデータを不明瞭にするために偽に設定できる。
一実施形態では、統計的カラーマッピング(740)プロセスの出力は、各々がグレースケールマップと同じ画素数を含む、4つの行列、赤、緑、および青(RGB)の値に対して1つ、ならびにアルファチャネル(A)または透明度層として1つ、を含む。従って、一実施形態では、統計的カラーマッピング(740)プロセスは、グレースケールマップの形式で1つの行列を受け取る、RGBAデータ、またはカラーマップと総称され得る、4つを返す。その結果、グレースケール酸素化マップ(725)が、統計的カラーマッピング(740)によって処理されて、酸素化マップ(250)と総称されるRGBAデータを生成し、また、グレースケールヘモグロビンマップ(730)が統計的カラーマッピング(740)によって処理されて、ヘモグロビンマップ(255)と総称されるRGBAデータを生成する。
参照名、酸素化マップ、およびヘモグロビンマップは、マップが、同名の材料の全て、またはそれのみを示すと示唆することを意図していない。代わりに、それらは、参照のためにのみ使用されている。さらに具体的に言うと、血液酸素化は、酸素化マップによって表示される重要な組織特性であり、おそらく、必ずしもではないが、酸素化マップによって表示される最も重要な組織特性であるが、酸素化マップが他の組織特性を表示しない可能性があることは本開示の範囲内であり、また、酸素化マップが実質的な追加の組織特性を表示することは本開示の範囲内である。同様に、ヘモグロビンマップは、参照のためにのみそう命名されており、その名前は内容に関する限定を意図していない。代わりに、ヘモグロビンは、組織内の強力な光吸収体であるが、ヘモグロビンマップが他の組織特性を表示しない可能性があることは本開示の範囲内であり、また、酸素化マップが実質的な追加の組織特性を表示することは本開示の範囲内である。言い換えれば、名前は限定となることを意図していないが、それらは、マップ内に反映された分子指標の少なくともかなりの割合を表すと考えられる。一実施形態では、コントラストの原因として組織の他の指標を表示するために統計的マップ技術が用いられ得る。一実施形態では、統計的マップ技術は、音速を表す計算された空間に依存する画像に基づく定性的コントラスト、光吸収、光散乱、密度、または組織の他の係る計算されたパラメータを表示するために用いられ得る。つまり、本開示の節は、その名前が暗示するように、パラメータの(またはパラメータベース)画像の生成の一部として、統計的カラーマッピングに関係する。酸素化マップおよびヘモグロビンマップを示す例は、説明のために提供されているに過ぎない。
したがって、上述のように、およびさらに以下で詳説するように、定性的画像を作成するための統計的マッピング方法が提供される。この点での定性的画像とは、特定された数値を有する定量的画像とは反対に、特定された数値を有さない画像である。
一実施形態では、相対的コントラストを用いて定性的画像を作成するシステムが提供される。ここで、体積におけるエネルギーフルエンスプロファイルは、十分に未知もしくは測定不可能であり得るか、または、その数学的または計算的モデルから十分に逸脱し得る。この状況は、方程式の劣決定セットまたは正確性の損失を生じさせ、その結果、解決されたパラメータの正確な定量的数値解を妨げるか、または計算されたパラメータ値の定量的正確性が、特定の指示的(診断的)カラーを特定レベルの解決された組織パラメータ(例えば分子の絶対的または相対的コントラスト)に割り当てることを支援するにあたり実質的に不十分となる場合を生じさせ得る。生じ得る1つの問題は、特定場所の計算された濃度の正確性が各光波長の吸収率および分散率に依存し、かかる吸収率および分散率は被験者および撮像深度に対して変動し得ることである。係る計算が各空間的位置に対して独立的に実行されると、計算された値は真の値から逸脱し、その結果、固定されたマッピングまたは非統計的マッピングが用いられる場合、カラーを不正確に表示し得る。この状況に対処するために、基準レベルが、対象領域内の体積に含まれる一般的な背景物質に対して統計的に決定される。一実施形態では、十分に一般的または基準的な乳房組織が用いられる。なお、この乳房組織は特定量の酸素化(例えば80%を越える)を有し、係る背景組織の統計情報は、残りのカラー化をそれに対して量的に比較するために用いられ、対象領域の平均は背景量の平均を表す。背景吸収を有さないいくつかのファントムにより基準レベル手順が背景ではなく前景における項目にのみ固定されることに留意すべきである。しかし、真の組織における背景は基準レベルの使用を可能にすることを能動的に支援する。背景の統計情報は、カラーに対する上限および下限を割り当てるためにも用いられる。
本発明の一実施形態に係る方法は、変動し得る電磁エネルギーを体積に印加することと、体積に印加されたエネルギーからの音響離間信号を測定することと、体積内で空間的に表される少なくとも1つのパラメータの値を推定するパラメータマップを計算することと、を含む。パラメータマップの少なくとも1つの対象領域が定義される。対象領域はパラメータマップのサブセットまたはマップ全体を表し得る。この方法は、印加されたエネルギーの空間プロファイルにおける少なくともいくつかの変動性に起因する効果を調節するためのマッピング構成を作る。マッピング構成は、パラメータマップの対象領域内の基準レベルを決定し次いでカラーマップ上限およびカラーマップ下限を特定することにより生成される。なお、カラーマップ上限またはカラーマップ下限の少なくとも1つは基準レベルに関して決定される。基準レベルは、オフセット値により偏移され得、オフセット値はユーザにより調整可能である場合も、固定式である場合もある。次に、パラメータマップは、マッピング構成のカラーマップ上限およびカラーマップ下限にしたがってパラメータマップの推定値をカラーマップにマッピングすることによりカラーマップのパレットで描画され、その結果、上述の手順にしたがって、描画されたパラメータマップが生成される。次に、描画されたパラメータマップがユーザに表示され得る。描画されたパラメータマップは、酸素飽和度、合計光音響離間信号強度、または他の特性を表し得る。一実施形態では、描画されたパラメータマップは定性的画像として表示され、そのためカラー化された表現の数値は画像とともに表示される必要はない。すなわち、パラメータマップのカラースケールはカラーに関連付けられた数値基準値を有さないパラメータマップとともに表示される。
2つ以上の波長のエネルギーが、パラメータマップに対して分子コントラストの原因を提供するために、1つまたは複数のエネルギー源により体積に対して印加され得る。二重の波長が利用される場合、パラメータマップの計算は、2つの電磁エネルギー波長のうちの第1に対する音響帰還信号に基づいて体積の空間表現を計算する工程と、2つの電磁エネルギー波長のうちの第2に対する音響帰還信号に基づいて体積の空間表現を計算する工程と、2つの電磁エネルギー波長に対する計算された空間表現の間の関係を均衡させる工程と、少なくとも2つの波長のそれぞれに対する体積の均衡された空間的表現に基づいて体積における空間的に表現されたものとして少なくとも1つのパラメータの値を推定する工程と、少なくとも1つの空間的に表現されたパラメータの推定値を出力する工程と、を含み得る。この点に関して、均衡は、計算された空間表現のうちの少なくとも1つの対象領域に適用される数学的特徴に基づいて実行され得る。次に、計算された空間表現のうちの少なくとも1つを正規化するために数学的特徴の結果を適用し、それにより、2つの波長のそれぞれに対する体積の均衡された空間表現が生成される。均衡の数学的特徴は統計関数であり得、正規化は、計算された空間表現を、統計関数の結果に比例して乗算することにより実行され得る。一実施形態では、統計関数は対象領域の標準偏差の逆数である。一実施形態では、統計関数の結果はスカラー値であり、乗算に用いられる値は対象領域全域を通して一定である。統計関数の結果はスカラー値であり得、乗算に用いられる値は、統計関数の結果に基づき、および事前規定された関係にしたがって、対象領域の全域を通して空間的に変動し得る。係る事前規定された関係は仮定された空間エネルギー分布に基づく。一実施形態では、均衡の数学的特徴は、2つの波長のうちの第1に対する対象領域における推定値の、2つの波長のうちの第2に対する対象領域における推定値上へのスカラー射影であり、正規化は、計算された空間表現のうちの少なくとも1つを、スカラー射影の結果に比例して乗算することにより実行される。
パラメータマップは、2つの波長に関係する体積内の電磁エネルギーフルエンスの分布の暗示的もしくは明示的なモデルを、または係る分布に対する理論基礎を、適用することにより計算され得る。これは、実質的に深さまたは距離の関数としてのエネルギーフルエンスによる乗算、除算、または重み付けを帰還信号または画像に対して実行することを伴い得る。エネルギーの分布は光音響帰還信号の強度に起因するものである。体積全域に分布する各波長により生じる実際の電磁エネルギーは、体積内の変動または体積の個体群内の変動により、モデル化されたまたは理論的な電磁エネルギーフルエンスとは異なる傾向を有する。基準レベルは、対象領域内のパラメータマップの数値の統計関数を用いて決定され得る。カラーマップは1つまたは複数のチャネルからなり得、マッピングする工程は、カラーマップ上限およびカラーマップ下限にしたがってパラメータマップの数値をカラーマップの各チャネルにマッピングすることを含み得る。基準レベルの決定では、対象領域内のパラメータマップの数値の特定の数学的特徴が用いられ得る。基準レベルを決定するための特定の数学的特徴は例えば、対象領域内の画素の数値の平均であってもよく、または定数であってもよい。基準値を決定するための特定の数学的特徴は、標準偏差、ヒストグラム、最大値、最小値、中央値、(最大値−最小値)/2、閾値以上の比率、尖度、歪度、分散、範囲などの統計関数であってもよく、またはマイケルソンコントラスト、ウェーバーコントラスト、局部的コントラスト、またはRMSコントラストなどのコントラスト測定値に基づいてもよい。電磁エネルギーの2つ以上の波長が体積に印加され得、パラメータマップを計算する工程は統計的マッピングの後に実行され得る。2つの波長に関連する体積内の電磁エネルギーフルエンスの分布の理論基礎を適用することにより、光音響帰還信号の強度の起因となるエネルギーの分布が計算へと因数分解され得る。描画されたマップは透明度を用いてマスクされ得、超音波画像と位置合わせされ得る。位置合わせは運動推定を伴い得る。ユーザ入力が、例えばユーザが画像上で矩形を画定することを可能にすることなどにより、対象領域を指定するために用いられ得る。この点に関して、上部深さならびに底部深さ、または上部深さならびに底部深さを定義するよう作用する深さならびに高さを定義するユーザ入力(ユーザ入力グラフィカルユーザインタフェースを介して受け取られ得る)が入力され得る。オペレータはユーザインタフェースを介して対象領域をリアルタイムで調節し得る。カラーマップ上限およびカラーマップ下限は、対象領域(複数可)の画素の数値の統計関数を計算することにより決定され得る。係る統計関数は標準偏差またはその他の係る統計関数であり得る。統計関数の結果は、カラーマップ上限およびカラーマップ下限が基準値から離れる関係を調和させるために用いられる。カラー上限は、基準レベル+第1定数×(対象領域の標準偏差)として定義され得、カラー下限は基準レベル−第2定数×(対象領域の標準偏差)として定義され得る。もちろん、第1定数および第2定数は同一の定数であってもよい。基準レベルは一定であってもよく、パラメータマップの計算は、波長毎にフルエンス較正を用いることにより、事前較正または調節されてもよい。透明度マップおよびカラーマップ上限ならびにカラーマップ下限は、基準レベルとの関係で定義されてもよい。透明度マップは透明度チャネルを反映する単一チャネルカラーマップであり得る。カラーマップは複数のカラーを含んでもよく、または単一チャネルのグレースケールマップであってもよい。
パラメータ画像の生成(240)−透明度マスクの組合せ(750)
高ヘモグロビン含有量の位置から測定された光音響帰還信号が最も強力であることが観察されている。従って信号対ノイズ比は、高ヘモグロビンの領域で最も高い。その上、高ヘモグロビン含有量の領域に焦点を合わせることは、診断上有用であり得ることが観察されている。その結果、透明度マスクの組合せ(750)プロセスは、ヘモグロビンのより高い濃度を含む、従って、より高い信号対ノイズ比を有する、領域からの酸素化の後の表示を可能にするように設計される。一実施形態では、パラメータマップは、別の方法では、組み合わされていないパラメータマップ内で容易に明らかでない、もしくは観察可能でない、または組み合わされていないパラメータマップから独立して入手可能でない、組み合わされた出力内に提示されている情報と、相乗的に組み合わされ得る。
一実施形態では、透明度マスクの組合せ(750)プロセスが、酸素化データの特定の表示を、より高いヘモグロビン含有量の領域に、従って、より高い信号対ノイズ比を有する領域に制約し得る酸素化データに対する、別個のアルファチャネル、すなわち、透明度マスクを計算する。一実施形態では、別個に計算されたアルファチャネル(A)が、酸素化マップ(250)内のRGBデータと組み合わされて、RGBAマスクされた酸素化マップ(260)を形成し得る。
別個のアルファチャネル、従って、酸素化データの特定の表示をより高いヘモグロビン含有量の領域に制約し得る酸素化データに対する透明度マスク、を計算するために、酸素化マップ(250)およびヘモグロビンマップ(255)からのAチャネル(例えば、透明度マスク)が組み合わされる。一実施形態では、酸素化マップからのRGBデータが複製されて、組み合わされた透明度マスクとともに格納され得る。一実施形態では、マスクされた酸素化マップ(260)がレンダリングされる場合、酸素化マップ(250)からのRGBデータがアクセスできる。
一実施形態では、酸素化データに対する別個のアルファチャネルを計算するために、酸素化マップ(250)およびヘモグロビンマップ(255)からのAチャネル(例えば、透明度マスク)が重み付けされ得る。一実施形態では、酸素化マップ(250)およびヘモグロビンマップ(255)からのアルファチャネルが0と1との間の実数の値として格納される場合、酸素化マップ(250)および/またはヘモグロビンマップ(255)が、正の指数によって重み付けされ得、その2つの重み付けされたマスクが、次いで一緒に乗算されて、マスクされた酸素化マップ(260)アルファチャネルを生成する。酸素化マップ(250)およびヘモグロビンマップ(255)からのアルファチャネルが整数値として格納される場合、一実施形態では、それらは、指数重み付けおよび乗算の前にスケーリングされ得る。一実施形態では、酸素化マップ(250)およびヘモグロビンマップ(255)によるアルファチャネルデータが、重み付けかつ乗算されて、その後スケーリングされる。
超音波との位置合わせマップ(265)
超音波との位置合わせマップ(265)プロセスは、パラメータ酸素化マップ(250)、ヘモグロビンマップ(255)および/またはマスクされた酸素化マップ(260)を取得された超音波画像(工程215)と位置合わせさせる。一実施形態では、位置合わせされるパラメータマップおよび取得された超音波画像が、最終出力の所望のサイズに適用するようにスケーリングされ、次いで、それぞれのパラメータマップのアルファ透明度チャネルに基づいて、取得された超音波画像とブレンドされて重ねられる。一実施形態では、光音響データについて処理を実行するシステム、および/または、サイノグラムを取得するシステムと同じであり得るが、その必要はない、光音響出力を表示するシステムが、最終出力の所望のサイズを選択する機能をオペレータに提供し得る。
次の処理工程は、添付書類でさらに詳細に表現されるように、超音波との位置合わせマップの例示的実施形態である:
a.矩形または他の形状によって定義され得る、RGB ultrasound_imageが、位置合わせされた出力画像に適合するように補間またはスケーリングされる。
b.位置合わせされる各RGBAマップ(例えば、250、255、および/または260)が、位置合わせされた出力画像に適合するように補間またはスケーリングされる。スケーリングされたRGBAマップは、関連したアルファチャネルに基づき、ブレンディング関数を使用して、スケーリングされた超音波画像の上に重ねられる。
画像を作成および表示するための方法
一実施形態では、本開示は、光音響帰還信号内の情報を表示するための方法を含む。一実施形態では、光音響帰還信号によって反射された分子情報の定性的表示のための方法が提供される。一実施形態では、光音響帰還信号から再構成された画像の画像統計値によって反射された分子情報の定性的表示のための方法が提供される。
一実施形態では、本開示は、(本アプローチに対する入力、または本アプローチの構成要素として)計算される組織内の分子情報に関するパラメータマップ(別名、パラメータ画像)を含む。しかし、生体内で光がどのように組織内を透過するかの性質における多様性のため、かつ/または測定されたデータからの方程式の劣決定セットに起因して、結果として生じるパラメータマップ内の値は、較正するのが困難である。従って、分子情報が、パラメータマップの相対値および/またはパラメータマップの統計的情報に基づいて、有用、かつ潜在的に臨床上有用な、定性的方法で表示され得ることが目的である。一実施形態では、理想的なパラメータマップは、例えば、乳房組織を含む、組織内のヘモグロビンの酸素化飽和度であり得る。その目的は、臨床上有用な情報を表示して、例えば、計算において、すべての未知数を吸収するために必要とされ得るよりも少ない情報または少ないレーザーしか有していないこと、およびさまざまな患者固有の吸収/散乱、皮膚/組織特性および形態、生理機能、構造、形状などの、完全な情報の欠如から生じる方程式の劣決定セットを補正することである。
一実施形態では、次の工程は、前述の目的を達成するために、コンピュータ処理アルゴリズムを実現するために使用され得る。
a.複数の短サイノグラム(205)、長サイノグラム(210)、および超音波画像(215)を含むデータを取得する;
b.サイノグラムデータを前処理する(220)
c.処理されたサイノグラムデータから画像を再構成する(225)
d.再構成された画像を処理して(230)、長および短エンベロープ画像(232、234)を生成する;
e.パラメータマップを作成する;
f.パラメータマップの前処理が工程(すなわち、ノイズ除去、平滑化、統計的正規化)として行われ得る
g.パラメータ画像の領域の統計的情報(例えば、領域の平均+調整可能バイアスオフセット)に基づいてカラー基準点を計算する。
h.パラメータ画像の領域の統計的情報(例えば、領域の標準偏差)に基づいて「カラーの範囲」の決定が計算される。
i.スケーリングおよびパラメータマップデータのスケーリングされた超音波または他の画像への位置合わせ;ならびに
j.検査された組織に関する診断情報の表示。
前述の実現に有用なアルゴリズムおよび方程式が前述および添付書類内で説明されている。
生物組織では、血液はNIR範囲内で強力な吸収体である。組織内のヘモグロビンの酸素化に対する計算は、計算を誤差に左右されにくくする、分母内の正規化項を伴い得る。これは、酸化ヘモグロビンおよび脱酸素ヘモグロビン(すなわち、血液中の主要な光吸収体)が帰還光音響信号に対する完全な寄与であるという概算から生じる。このことから、一実施形態では、酸素化計算は、組織内の所与の点(または深さ)に対する各波長の空間的に依存する総フルエンスではなく、波長間の空間的に依存するフルエンス比に左右されることが推定され得る。
例えば、(空間的に依存する平滑な)誤較正項(miscalibration term)を含む分子エネルギー吸収の線形モデル、および計算されたパラメータ画像の結果として生じるモデルを考える。モデル方程式が線形(またはほぼ線形)であるので、平均および標準偏差は、対象の領域内で誤較正項によって線形に影響を及ぼされる。従って、統計的方法は、誤較正項でモデル化されるシステム内で誤較正項を迂回する一方法である。一実施形態では、この平均および標準偏差(および他の潜在的な数学関数)は、モデルによって変形される場合、他のデータに関して、および誤較正の存在下で、不変のままである。従って、一実施形態では、データが誤較正される場合でさえ、(一定のフルエンス、深さ依存のフルエンス)カラー化は比較的安定したままである。
一実施形態では、前述のアプローチは、様々な較正方法とともに適用できる。一実施形態では、前述のアプローチは、他の様々な信号処理、ノイズ低減、または他のフィルタが使用される場合にも適用され得る。一実施形態では、前述のアプローチは、位置合わせおよび重ね合わせが、超音波などの、他のモダリティで実行される場合に、使用され得る。一実施形態では、前述のアプローチは、より進歩的な方法を含む、様々な方法が、パラメータマップを計算するために使用される場合でさえ適用可能である。一実施形態では、前述のアプローチは、パラメータマップがうまく較正されるが、光透過などの未知数または未決定の方程式がまだ存在する場合に適用可能である。一実施形態では、前述のアプローチは、パラメータマップがうまく較正されるが、光透過などの未知数または未決定の方程式がまだ存在するが、未知数を推定すること;未知数について明確に解くこと;未知数を取得するために最小化問題を解くこと;または他の方法によるなどの、別の方法を使用して補正される場合に適用可能である。一実施形態では、前述のアプローチは、基準点が、統計的ではなく、固定されている場合に、定量的画像(すなわち、較正されたパラメータマップ)のマッピングに適用可能である。一実施形態では、前述のアプローチは、カラーの範囲が、統計的ではなく、固定されている場合に、定量的画像(すなわち、較正されたパラメータマップ)のマッピングに適用可能である。本明細書の他の場所で説明したように、別のレーザー波長の追加は、実質的に、未知数の数を減らす。
要約すれば、前述のアプローチは、統計的カラーマッピングおよび相対的(すなわち、定性的)画像を提供する。
一実施形態では、本開示は、二重波長光音響システム内で酸素化またはヘモグロビン計算を較正する方法を含み、少なくとも複数の次の工程を適用することにより提供される:
a.基準点または参照領域を使用すること
b.本明細書に記載のような、計算、または、本明細書に記載の計算の拡張であるような、もしくは本明細書に記載の計算を考慮して当業者に明らかであるような、他のかかる計算を適用すること
c.皮膚の層、接触媒質、組織を通過する光の影響を補正すること
d.散乱、吸収における差異;2次元画像における透過の深さ;ライトバー、事前定義された配光、または動的に測定された配光からの2次元断面をもつ組織の3次元体積を補正すること
e.動脈または静脈からのアーチファクトにおける差を含む、アーチファクトからの較正
f.較正の前に、静脈または動脈の位置を見つけるための(自動または手動)代替検出方式を適用することであり、その位置が較正に使用できる
g.位置合わせされた超音波データを使用して、光音響帰還信号およびその派生物に補足的な情報を提供すること
h.(1つまたは複数のタイプの構造/組織に対して)1つの波長での領域内または基準点の強度を、第2の波長(および潜在的に追加的な波長(複数可))での(少なくとも)領域または基準点に対して比較する、かつ
i.その比較を使用して、組織の深さおよび吸収または散乱値に関する各波長間の強度比(フルエンス比)を補正する
一実施形態では、基準点または参照領域を使用する工程に対して、かかる点または領域は:血管;組織;皮膚の層;他の既知の構造;深さ;血管を通る光の波長固有の吸収(光は、静脈の中を動脈とは異なって透過するので、そのように識別でき画像内で区別できる);または1つもしくは複数の異なる画像内の基準点に対応する。一実施形態では、複数の波長での領域内または基準点の強度は、少なくとも次の1つを補正する目的で比較される:深さ(および/または位置)に関して各波長間での強度比(フルエンス比);および組織の吸収または散乱値。一実施形態では、参照領域の平均、標準偏差または他のかかる数学的特性が計算で使用され得る。一実施形態では、1つの波長における領域の特性が、第2の波長における領域の特性と比較され、さらに、組織組成の推定下で、既知の吸収パラメータと比較されて;組織組成の推定を確定することにより、連立方程式が、未知のフルエンスまたはフルエンス比を補正するために解決可能となる。
一実施形態では、組織組成の推定は、例えば、動脈、静脈、血管、背景組織、脂肪、筋肉、または他の既知の組織もしくは構造などの、組織特性に対して、標準的な範囲または値を使用することを含み得、その特性は、光学的特性、機械的特性、および/または他のかかる特性を含み得る。これらの推定は、各波長に対する公称の光吸収に関する仮定をもたらし得る。公称の光吸収は、未知のフルエンス分布の補正に有用であり得る。従って、一つの典型的な実施形態では、推定は、通常の背景乳房組織が、大部分はほぼ80%の血中酸素飽和度である血液、および公称量の水分から成り、他に重要な吸収分子がないことを含み得る。別の典型的な実施形態では、推定は、動脈(90%+)および静脈(60%〜80%)の公称の血液酸素化値が、血管のヘマトクリット値および他の物理的特性と組み合わされて、各波長において予期される光音響帰還信号に対する値をもたらし、それは、未知のフルエンス分布プロファイルを較正するために使用できることを含み得る。例えば、血液・水分比が血管における水分に対する血液の公称の比率を表すよう定義されてもよく、または血液・水分比は、水と同一の光吸収特性を有する組織(例えば20%の血液および80%の水分を含む組織)を仮定して、一般的な組織に対する血液の比を表してもよい。さらに、血液が例えば名目上80%の値に酸素化されていると仮定すると、公称の光吸収係数は、各波長に対して、仮定された組織組成に基づいて、水分、酸化ヘモグロビン、および脱酸素ヘモグロビンの公称の比率から見出され得る。したがって、一実施形態では、公称の光吸収係数は、推定される組成を有する領域に対する各波長に対し、その構成要素のそれぞれからの重み付けられた寄与を合成することにより、計算され得る。二重の波長に対して、公称の光吸収の比率が計算され得る。一実施形態では、既知の組織組成に一致すると仮定される局部的領域に対して、実際の帰還信号の比率は、フルエンス補正推定係数として用いるために、公称光吸収比で乗算され得る。一実施形態では、フルエンス補正推定係数は、パラメータマップの空間フルエンス補正のための推定値を形成するために、空間的に平滑化され得る。代替的に、一実施形態では、血管領域は既知の組成を有すると仮定され得、したがって、決定されたフルエンス補正推定係数に対してフルエンスモデルを曲線適合することにより、空間フルエンスを較正するために用いられ得る。一実施形態では、係るフルエンス補正は他の、この例と同様の方法でも実行され得る。一実施形態では、血液・水分比または血液酸素化はユーザインタフェースにより調節可能であり得る。加えて、この例は、既知の組成が変動し得る場合、カラーマッピングの統計的方法を用いて適用され得るいくつかの概念を例示説明することを支援する。一実施形態では、フルエンス補正モデルの他の方法も可能である。
一実施形態では、本開示は、臨床光音響撮像システム内で配光を補正するための方法を含み、1次元曲線、シミュレートされた曲線、測定された曲線、または特定方法の対象領域を使用してかかる補正を実行する。一実施形態では、補正は一定であり得るか、手動で操作され得る。補正方法の追加の詳細は前述されている。
一実施形態では、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)が、臨床光音響システムを操作するために提供され、GUIは、限定ではないが、対象領域のオペレータ選択または対象領域に対する基準のオペレータ選択を可能にするコントロール、および表示パラメータの調整を含む。一実施形態では、かかるコントロールは、次の調整の実行を含み得るが、それらに限定されない:カラーコントラストパラメータ;フルエンス補正曲線の選択;カラー基準点バイアスパラメータ;上限および下限のカラー透明度閾値;平滑化の量を調整するためのパラメータ;吸収、フィルタ、再構成、および表示パラメータの他の補正;および利得パラメータ。
一実施形態では、光が組織内を透過するときの光の正確なフルエンスプロファイルを完全に決定することを試みないシステムが開示される。むしろ、フルエンスモデルに対して近似パラメータを使用する、単純化が、光透過を補正するために(前述のように)使用される。一実施形態では、単純パラメータが、最初は、患者の大多数に対する最良近似配光に調整される。必要であれば、パラメータは、ユーザインタフェースで、または自動的な方法を使用して、微調整できる。総称して、光がどのように組織内を透過するかを補正するために使用されるパラメータのセット(手動または自動的に生成されたか調整されたかに関わらず)が、「フルエンス仮定」と呼ばれる。この状況では、表示される機能パラメータが、フルエンス仮定によって適切に補正される構造の機能情報を比較する際に最も正確であり得ることに留意されたい。フルエンス仮定がうまく適用され得る状況は、:
a.ROIに関する2つの比較された構造間に酸素化における強固な差がある場合と;
b.強い光吸収体の影がフルエンス仮定に干渉しないという条件で、2つの比較された構造が互いに近接していて、同様のフルエンスを有すると仮定できる場合と;
c.ROIの構造と背景組織との間に高コントラストがある場合と;
d.比較されている構造が高い光吸収を有する場合と;
e.機能マップのROI内の高コントラスト構造の他の原因の有無が、比較されている画像内で統計的に共通である場合と;
を含むが、これらに限定されない。
一実施形態では、開示されたシステムおよび方法は、組織内の酸素化(またはモル濃度)における相対的または定性的差異を検出し得る。一実施形態では、表示された値が、血中酸素飽和度または血液量の固定値に、(フルエンスプロファイルの完全な情報を必要とする)較正された方法で正確にマッピングされない場合には、それにもかかわらず、前述の方法を使用して、組織内の機能パラメータのコントラストを表示することが可能である。このようにして、前述の方法およびシステムは、臨床的に有用な定性的医療用画像を生成することも可能である。一実施形態では、情報は、カラーマッピングに対応する数値をオペレータに提示することなく量を表示するためのカラーを使用して、定性的光音響情報の有用な表示を有し、また、対応する数値を直接提示することなく、グラフで表示され得る。一実施形態では、カラーは、それらが任意の特定の固定値に対応する必要がなく、むしろ、カラーは、現在の画像に含まれる情報に基づき最大化されたコントラストを表示するように自動的に調整され得る方法で表示される。例えば、緑のカラーは固定値(例えば、80%酸素化)に対応する必要がなく、代わりに、相対的または定性的情報を表し得る。一実施形態では、フルエンス補正および較正の方法は、より正確な定量的画像を生成するために使用できる。
一実施形態では、本開示は、単にカラーを表示するのではなく、機能形態学的情報に基づき腫瘍または他の構造もしくは異常を検出するための機器を含む。一実施形態では、本開示は、単にカラーを表示するのではなく、機能形態学的情報に基づき腫瘍または他の類似の構造を定性的に検出するための機器を含む。
一実施形態では、パターン分類または係る技術が、前述の較正、定性的撮像または相対的画像処理の方法に適用され得る。一実施形態では、事前定義された規則または指針のセットが、前述のシステムおよび/または方法によって生成された画像の解釈のために使用され得る。一実施形態では、臨床システムは、自動的に同じものを適用する目的で、またはオペレータがそれらを適用するのを支援するために、規則または指針を含み得る。一実施形態では、特徴ベクトル組み立てモジュールを有するシステムは病変の複数の特徴の順序分類を含み、これらの複数の特徴は、1)内的血管分布および脱酸素、2)腫瘍周辺領域の血管分布および脱酸素、3)内的脱酸素化されたブラッシュ(blush)、4)内的全血液、5)外的腫瘍周辺の放射状に拡がる血管(radiating vessel)、および6)干渉するアーチファクト、および病変に関する特徴ベクトルに基づいて病変に対する結果の診断手段を計算するための特徴ベクトル分類器(feature vector classifier)からなる群から選択される。一実施形態では、特徴ベクトル組み立てモジュールは、病変の複数の特徴のそれぞれの存在を識別するための識別モジュールと、病変に存在する複数の特徴のそれぞれに対する序数分類を計算するための定量化モジュールと、を含み得る。一実施形態では、病変識別モジュールは、少なくとも1つの画像における病変の存在を病変の特徴に基づいて特定するためのパターン検索モジュールを含み得る。一実施形態では、診断結果は、特徴ベクトル上に対して動作するよう設計された特徴ベクトル分類器に、生成された特徴ベクトルを入力することにより生成され得る。一実施形態では、特徴の存在を求めるために光音響画像を自動的に分析するためのシステムは、トレーニング段階および特徴検出段階を含み、特徴ベクトル組み立てモジュールに対する入力として用いられるために、画像のそれぞれの空間的位置の特徴強度を出力するよう用いられ得る。
ここで、図10、図11、および図12を参照し、図2も合わせて参照すると、4つの画像の実例表示が示されている。左上に表示された画像は、識別された矩形の対象領域をもつ、短エンベロープ画像(232)の一実施形態である。右上に表示された画像は、同じ識別された矩形の対象領域をもつ、長エンベロープ画像(234)の一実施形態である。左下に表示された画像も、識別された矩形の対象領域を示す、超音波画像(295)である。左下の画像は、超音波画像と酸素化マップを位置合わせした表示(275)の一実施形態である。4つの画像表示の右側の列は、一実施形態では、オペレータ選択できる、実例となる様々なパラメータに対する値である。
ここで、図13、図14、および図15を参照し、図2も合わせて参照すると、6つの画像の実例表示が示されている。左上は超音波画像(295)であり、左下および中央は、短および長エンベロープ画像(270、290)の実施形態である。上側の中央画像は、超音波画像と酸素化マップを位置合わせした表示(275)の一実施形態であり、右上の画像は、超音波画像とヘモグロビンマップを位置合わせした表示(280)の一実施形態であり、右下の画像は、超音波画像とマスクされた酸素化マップを位置合わせした表示(285)の一実施形態である。
一実施形態では、画像上のカラー化は、相対的な酸素化を示し、従って、例えば、赤は、領域が周辺組織よりも酸素化されていないことを意味し得、緑は、それがより酸素化されていることを示し得る。一実施形態では、分子光学コントラストは、(赤で示され得る)乳がんの低酸素血と(緑で示され得る)良性腫瘤内の正常な酸素化血液との間の区別を提供する。
再生モード
上述のように、レーザー光ムービー(LOM)は、関連ファイルのグループ内に、より好ましくは単一のデータファイル内に、記録され得る記録されたデータの集合である。一実施形態では、開示されるシステムは、ライブ表示モードに加えて、オフライン(例えば、非ライブ)再生モードを含み得る。この点に関して、システムがオンラインモードでデータを表示しているとき、ライブ表示は一時停止され、上述のLOMファイル内の以前の位置に巻き戻され、LOMの以前の部分が1つまたは複数の異なるシステムパラメータを用いて処理され、再生され得る。したがって、LOM内の未処理データは、以前に閲覧された同一スキャンを、ライブモードの間にディスプレイ上に表示されたもとのは異なる画像上の情報を伝えるために異なる処理を用いて再生するために、用いられ得る。制御およびディスプレイサブシステム2810(図28)のコントロールパネルにおけるユーザ入力装置116(図1)は、上述のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の他にも、トラックボールおよび様々な他の入力装置(例えばジョグダイアル、ボタン、およびビデオ再生を制御するための従来の手段など)を備え得る。ライブ表示を一時停止させ再生モードに入るために、一時停止ボタンが含まれ得る。現在表示される時間をX秒だけ巻き戻すために、「X秒バック」ボタンが提供され得る。例えば、システムがライブモードにあり、係るボタンが「5秒バック」ボタンとして構成される場合、係るボタンを作動させると、システムは再生モードに入り、ボタンが作動された時点の5秒前に取られたデータから生成された画像の再生を開始する。
再生モードのために、最近取得された未処理データはより大きいバッファに格納される。一実施形態では、ユーザがGUIにおける「一時停止」をクリックすると、再生モードが開始され、システムは、パラメータを変更してそれにより以前のフレームを生成するために用いられた処理を変更しつつ、未処理データから以前のフレームを再生成し得る。GUIをトラックボールまたは他のユーザ入力装置と組み合わせて用いることにより、ユーザは、1フレームまたは一連のフレームを再生用に選択するために、スクロールすることができる。フレーム(複数可)がループ再生されている間、ユーザは、異なる処理により、または異なるフォーマットでフレームを閲覧するためにシステムのパラメータまたはモードを調節することができる。結果的に生成されるムービー(すなわち個別的に処理/再処理されるフレーム)はファイルにエクスポートされ得る。これはバッチ処理で実行されることができ、これは未処理データからオフライン処理を行うことを可能にする。未処理データ自体はファイルにエクスポートされ得る。再生モードは、ユーザ選択された(トラックボールまたは他のユーザ入力装置を用いて選択された)フレームの特定セットのみをファイルにエクスポートすることが可能となるよう、構成され得る。一実施形態では、システムは未処理データおよび処理済みデータを光音響電子機器サブシステム2804(図28)上に格納し、次にそれらのデータをネットワークを介して超音波サブシステム2802(図28)に送信する。超音波サブシステム2802はそれらのデータを重ね合わせ、重ね合わされた画像をユーザに対して表示する。この処理を実行するプロトコルが提供され得る。再生モード動作は、ユーザが1つのモード(例えば図13〜図15に示し上述した6画像表示モードなど)でスキャンし、モードを切り替え、他のモードで再生できるよう、構成され得る。6画像表示を用いる再生モードの使用の一例は以下の通りである。ユーザが6画像表示モードにあり、ライブ表示を一時停止させ、それにより再生モードに入ると、システムは異なる表示モード(例えば単一画像表示など)に切り替わり得る。なお係るモードでは、ユーザは単一のより大きい画像を閲覧し特定の対象領域に注目することができる。
再生モードではさらに、ユーザは、異なる生理学的特徴を見出すよう調節された異なるフィルタを、同一の格納されたデータに対して適用することができる。再生モードではさらに、再生またはエクスポートの間、異なる再構成アルゴリズムの使用が可能である。再生モード中に変化することができる1つの有用なパラメータは、上述のようにROIの深さである。上述のフレーム間持続的アーチファクト低減を一時停止されたバッファに適用することが可能となるよう構成され得る。
光音響システムおよび方法
図1を再度参照すると、一般に、装置100は、光音響および超音波システムと組み合わされた、マルチモダリティとしても採用され得る、光音響システムを提供する。一実施形態では、装置100は、光路132および電気路108を介して、システム筐体101に接続されたプローブ102を含む。システム筐体101内には、光サブシステム129およびコンピューティングサブシステム128が収納されている。コンピューティングサブシステム128は、超音波制御および分析ならびに光音響制御および分析用の1つまたは複数のコンピューティング構成要素を含み、これらの構成要素は、別個であり得るか、または統合され得る。一実施形態では、コンピューティングサブシステムは、中継システム110、光音響処理およびオーバーレイシステム140ならびに超音波機器150を含む。
一実施形態では、光システム129は、少なくとも2つの異なる波長の光のパルスを生成することができる。一実施形態では、光システム129の出力は、それらの波長の各々で短いパルスの光(例えば、約100ns未満、潜在的に約5nsの短さで持続するパルス)を発生できるものとする。本開示から当業者には明らかであるように、本明細書で開示された発明は、100nsを超えて持続するパルスを含むパルス光を使用しても実施され得る。一実施形態では、光源129は、2つの別個の光130、131を含む。光システム129の出力は、光路132を経由してプローブ102に送られる。一実施形態では、光130、131は、赤外線、近赤外線、および/または可視スペクトルで光を発生するレーザーである。一実施形態では、光130および光131の各々は、赤外線または近赤外線スペクトルで異なる波長で光を発生する。一実施形態では、光源129からプローブ102に光を送るために使用される光路132は、光ファイバーの複数の束を含む光ファイバー束である。一実施形態では、光路132は、短くて強力なパルスの光を光路132の遠位端に運ぶために十分なサイズ(直径)の十分な光ファイバーを含む。一実施形態では、光路132を通じて運ばれる総パルスエネルギーは、約1または数ミリジュールであり得る。一実施形態では、光路132から送られる光パルスごとの総エネルギーは、約100ミリジュール未満である。一実施形態では、光路132を通じて運ばれる光パルスごとの総エネルギーは、約10〜30ミリジュールの範囲内であり、光路132は、各々が約100〜300ミクロンの間の約1,000〜2,000の間の光ファイバーを含む。一実施形態では、単一のファイバーが光路として使用できる。かかる実施形態では、ファイバーは直径1000〜1500ミクロンであり得る。言うまでもなく、かかる単一ファイバーの直径は、例えば、400ミクロンより小さい可能性がある。ファイバーを通じて運ばれる必要な総パルスエネルギーを前提として、当業者は、それに応じて必要なファイバーの直径を計算できる。
例示的実施形態では、光システム129は、Nd:YAGおよびアレキサンドライトレーザーをその2つの光130、131として使用し得るが、他のタイプまたは波長、および追加の光も使用され得る。光130、131は、例えば、短いパルスの光(例えば、約100ns未満、より好ましくは約5ns、持続するパルス)を発生できるものとする。一実施形態では、2つの光130、131は、別々に発射できる。一実施形態では、光130、131によって出力された光は、一般に、1つの光130が第1の側から第2の側に通過するのを可能にする光学要素133の使用を通じて、第2の側に当たる1つの光131を反射しながら、同じ光路132に投影され得る。光学要素133または類似の要素の使用は、光路132の近位端へのレーザーなどの2つの光130、131の出力の位置揃えを可能にする。一実施形態では、光学要素133は、3つ以上のレーザーからの光出力を、例えば、複数の光学要素133の使用を通じて、位置揃えできる。
手短に図39を参照すると、図39には、組み合わされた光音響・超音波システムにおいて用いられるための光サブシステム129の一実施形態を示す概略ブロック図が示される。一実施形態では、光サブシステム129は、それぞれが光パルスを生成する能力を有する2つの光源130、131を備え、2つの光源130、131のそれぞれの出力は、光減衰器3902、3915と、同期検出器3903、3913と、パワー検出器3904、3914と、に誘導される。光が適切な角度にまだ位置揃えされていない場合、1つまたは両方の光ビームが例えばミラー3915により再誘導され、次に、光源130、131から発する光は、共通経路に光を再誘導する連結器133に通される。次に、共通光路は均質化装置3906および/またはアパーチャ3907に通され得る。アパーチャから出た後、連結された光路がまだ適切な角度および光出力ポートから出る位置に位置揃えされていない場合、光は1つまたは複数のミラー(図示せず)を用いることにより再び再誘導され得る。
一般に、光減衰器3902、3912が光源130、131により生成された光パルスを減衰させるために提供される。典型的な光源130、131はQ−スイッチNd:YAGレーザーおよびアレキサンドライトQ−スイッチレーザーを含み得る。係るレーザーは、本明細書で説明する光音響用途に対して要求される種類の良好な出力減衰を提供できない場合もある。したがって光減衰器3902、3912が用いられる。一実施形態では、光減衰器3902、3912のそれぞれは互いに対して回転可能に装着された2層の偏光物質を含む。一実施形態では、外部信号が小型モータを制御し、次に小型モータは互いに対する1つ層の角度を調節し、そのようにして、通過する光量を調節する。一実施形態では、1つの層は固定された1枚の偏光ガラスであり、第2層は小型電気モータの制御により回転可能である偏光ガラスの円形板である。一実施形態では、減衰器モータは、プローブ102から出力される光を制御するプロセスに関連して光音響処理およびオーバーレイシステム140により制御される。
同期検出器3903、3913は光源がパルスするときに信号を生成するために提供され得る。上述のように、通常の光源130および131はQ−スイッチNd:YAGレーザーおよびアレキサンドライトQ−スイッチレーザーを含み得る。係るパルスレーザー(光パルスを放出する前に特定の状況が満たされることを要求する)を用いる場合には、発射するための命令は、発射のための命令と実際の光のパルスとの間に遅延、可能性として予測不可能な遅延が生じ得るため、同期に対しては信頼できるものではない。本明細書の他の箇所で説明したように、光音響効果を検出するための音響サンプリングは、継続時間が100マイクロ秒未満であり、正確なタイミングが要求されるため、同期検出器3903、3913が光路内に配置される。一実施形態では、ビームスプリッタ(図示せず)が、少量の光パルスを同期検出器3903、3913に再誘導し、光ビームの大部分が経路上で継続することが可能となるよう、用いられる。1つの同期検出器が各光源に対して用いられるため、それぞれに対して別個の同期信号が存在し得る。一実施形態では、単一の同期検出器が用いられ得る。一実施形態では、信号同期検出器が用いられ得るが、単一の同期検出器は2つの光源の間を区別するよう設計され得、したがって、それぞれに対して別個の同期信号を単独で生成し得る。
パワー検出器3904、3914は、光路132を通過するであろう減衰後の光の量の相対的判定または絶対的判定が可能となるよう、提供され得る。一実施形態では、ビームスプリッタ(図示せず)が、少量の光パルスをパワー検出器3903、3913に再誘導するが、光ビームの大部分が経路上で継続することが可能となるよう、用いられる。係る実施形態では、検出されたパワーの量は、放出光パワーを判定するために、スケーリングされ得る。
均質化装置3906が、その区域全域で光ビームを均質化するために提供され得る。言い換えれば、フルエンスはビームの既知のエリア全域でほぼ同一である。一実施形態では、ビームは光ファイバーケーブル束に誘導され、したがってビームは、光ファイバーケーブルの各撚り線に入る光の量が他のそれぞれの撚り線に入る光の量と適度に同一となることを確実にするために、均質化される。
アパーチャ3907は、光路132のエントリーポイントに入射するための光ビームの適切な円周長を確保するために、提供され得る。
図1を再度参照すると、一実施形態では、複数の光システムおよび光路が採用され得、各光システムの光は、それらの遠位端で混ぜられ、かつ/またはランダム化され(さらに以下で詳述)、かつ/またはグループ化され得る、別々のファイバーまたはファイバーグループ上で保持される。本コンテキストで使用される、混ぜられる、は、ファイバーが一般に、遠位のグループ分けに比較的均等な方法で分散されるような、光路内のファイバーのマッピングを指す。従って、光路の近位端の複数の隣接するファイバーは、一般に、遠位端で、ほぼ均等に分けられることになる。2つの遠位グループ分けのある、例示的な例として、近位端で隣接するファイバーの十分なグループを任意に選択すると、2つの遠位グループ分けの間でほぼ均等に分割されるはずである。ランダム化、混ぜ合わせ、および/またはグループ化は、光路132上の任意の特定の位置で起こる必要がない。言い換えれば、例えば、1つの近位グループからのファイバーケーブルの2つの遠位グループへの分割は、光路132に沿って、または光路132の実質的に全長に沿って、任意の点で起こり得る。同様に、ランダム化および/または混ざり合いは、光路の全長に沿って起こる必要がなく、むしろ、例えば、光路のどちらかの端部の、例えば、数センチメートルもしくはもっと近くの距離に沿って、または、光路132に沿ったどこかで、起こり得る。光路の一方の端部と他方の端部との間でファイバーをランダム化すると、入力上のファイバーの隣接するグループに影響を及ぼす局所異常が、出力上のファイバーの著しく隣接したグループに影響を及ぼすのを防ぐ。光路の一方の端部と他方の端部との間でファイバーを混ぜ合わせると、入力上のファイバーの隣接するグループに影響を及ぼす局所異常が、出力上のファイバーの1つのグループまたはサブグループに偏って影響を及ぼすのを防ぐ。
光路が、ファイバーの複数のグループ分け(またはサブグループ分け)で終端する場合、グループ分け(またはサブグループ分け)の遠位端が融着されるか、ラップおよび研磨されるか、(取り外し可能に、または別の方法で)単に互いに固定され得る。一実施形態では、光路の遠位端が、トランスデューサ配列の各側で光を放出するのを可能にするような方法で間隔を空けられた複数のグループに形成される。一実施形態では、光路の遠位端が、トランスデューサ配列全体の周囲で光を放出するのを可能にするような方法で間隔を空けられた複数のグループに形成される。一実施形態では、光路の遠位端が2つ以上のグループに形成され、その2つ以上のグループが、ライトバーガイドによって別々に固定されるサブグループに細分され、そのライトバーガイドは、グループに関連付けられ得る。一実施形態では、光学要素133は、光パルスごとのエネルギーを判断するために、光エネルギーを測定するために使用される光学要素から成り得る。
光路から運ばれた光パルスごとの総エネルギーは約数10ミリジュールであるが、光130、131のパルスは非常に短いので、光路132から出力されたピーク電力が頻繁に近づくか、またはメガワットの範囲である。その結果、光130、131の出力は、光ファイバーおよび/または光ファイバー上のクラッディングを燃やすか、変色させるか、または他の方法で劣化させる能力を有する。かかる劣化された光ファイバーおよび/またはクラッディングは、燃えたか、変色したか、または他の方法によるかに関わらず、それらが伝送する光パワーが少なくなり始めて、より多くの発熱を生じるにつれて、問題を悪化させ得る。その結果、一実施形態では、ピーク電力負荷の処理を可能にしてファイバーのバーンアウトを回避するために、光路132内に十分な数およびサイズの光ファイバーが存在する。より高いピーク電力に対応するために、より大きなファイバー束が使用できる。当業者には、ファイバー束のピーク電力容量が、光ファイバーの数、もしくは光ファイバーの直径、またはその両方を増加させることにより、増加できることが明らかであろう。しかし、特に、ファイバー束の寸法が増加すると、光路132の重さおよび可撓性があまり望ましくなくなり得る。その上、より多くの光ファイバー、またはより大きな直径の光ファイバーを使用する場合、光源129の出力が、より幅の広い直径のより大きな束にわたる光路132に送られる必要がある。一実施形態では、光路132の近位端の最終的なサイズに関わらず、光源129の出力は、予期されるピーク電力範囲で動作する場合にバーンアウト障害を防ぐため、十分にその断面にわたって送られるべきである。
一実施形態では、光路132の近位端のファイバーが、光源129の出力のために、光路132への融着されたエントリーポイントを形成するために融着され得る。一実施形態では、ファイバー端部は、熱を印加することにより融着できる。一実施形態では、融着された端部が金属リングで囲まれる。一実施形態では、融着された端部がステンレス鋼リングで囲まれる。光路132の近位端が融着されると、実質的により高いピーク電力でのバーンアウトに耐えるであろう。例えば、融着された端部を使用すると、光路132は、ピーク電力の3、4、または5倍でさえ多くの搬送を可能にし得る。所与の光路132内で実質的により高いピーク電力を搬送する能力は、融着されていない光路132と同じピーク電力を搬送するために、より柔軟で軽い光ファイバー束の使用を可能にする。従って、一実施形態では、1/’’の光ファイバー束が、光路を形成する融着されていない光ファイバーの束で必要とされ得る場合、融着された近位端をもつ1/’’の光ファイバー束が、同じピーク電力を搬送するために使用され得る。融着された近位端を持つ1/’’の光ファイバー束は、1/’’の光ファイバー束よりも、ほぼ1/4の重さで、ずっと柔軟である。その上、光路132の近位端が融着されると、融着は、丸い断面の光ファイバーの束にされた端部内に存在していたであろうファイバー間空間を除去するので、光源132を使用して照射するためにさらに小さい融着された領域を生成し得る。その結果、次の利点のうちの1つまたは複数が、光路132を含む光ファイバーの近位端が融着されることにより、達成され得る:光路の重さの軽減;光路の可撓性の向上;故障の減少;信頼性の向上;より高いピーク電力容量。
一実施形態では、光路132の近位端が、光源132内の別々の光130、131に対する別々のグループに分割され得、光130、131によって出力された光が、光路132の異なる近位グループに投影され得る。3つ以上の別々の光が使用され得、光路132の近位端が各光に対する少なくとも1つのグループに分割され得る。光路132の近位端でのファイバーの各グループは、それが関連付けられている光に対する光路132への融着されたエントリーポイントを形成するために一緒に融着され得る。一実施形態では、近位端に複数のグループを有する光路のファイバーが、遠位端でのグループまたはサブグループに関して混ぜられる。一実施形態では、近位端に複数グループを有する光路のファイバーが、遠位端でのグループまたはサブグループに関してランダム化される。一実施形態では、光路に、融着された近位端(入力)およびその遠位端(出力)に少なくとも2つのグループが提供され、ファイバーが混ぜられてランダム化され、このようにして、光路の入力で隣接したファイバーに影響を及ぼす局所異常が:(i)出力上の相当数の隣接したファイバーに影響を及ぼす異常を生じること;および(ii)出力の1つに偏って影響を及ぼすこと;を防ぐ。一実施形態では、光路に対して、その近位端(入力)に少なくとも2つのグループおよびその遠位端(出力)に少なくとも2つのグループが提供され、ファイバーが混ぜられてランダム化され、このようにして、光路の入力で隣接したファイバーに影響を及ぼす局所異常が:(i)出力上の相当数の隣接したファイバーに影響を及ぼす異常を生じること;および(ii)出力の1つに偏って影響を及ぼすこと;を防ぐ。一実施形態では、光路に対して、その近位端(入力)に少なくとも2つの融着されたグループおよびその遠位端(出力)に少なくとも2つの融着されたグループが提供され、ファイバーが混ぜられてランダム化され、このようにして、光路の入力で隣接したファイバーに影響を及ぼす局所異常が:(i)出力上の相当数の隣接したファイバーに影響を及ぼす異常を生じること;および(ii)出力の1つに偏って影響を及ぼすこと;を防ぐ。
一実施形態では、光路132内で使用され得る光ファイバーのタイプは、より低い屈折率をもつ透明なクラッディング材料によって囲まれた透明なコアを含む。コアは、透明な材料から作られ得るが、純粋なガラス(すなわち、シリカ)を使用すると卓越した結果が観察されている。光ファイバーの束が融着される一実施形態では、融着される領域内でクラッディングが除去され得る。一実施形態では、クラッディングは化学プロセスを使用して除去され得る。例えば、あるクラッディングに対しては、高温の硫酸またはアセトンが使用され得る。クラッディング材料の粒子は光路132上の光伝導に干渉し得るので、融着の前にクラッディングを除去すると、かかるクラッディング材料の粒子が、融着された端部に埋め込まれる可能性を減らす。
一実施形態では、光130、131による光出力は、光路を経由して、光路132の近位端で融着された光ファイバー束に向かって送信されるが、それは、光源129の内部に、光学要素133を含み得る。一実施形態では、光源129は、レーザー光パルスを、1つまたは複数の波長で、光路132上に出力可能なレーザーシステムである。一実施形態では、光路132は、光源129の近位に融着された端部を有する光ファイバー束である。
一実施形態では、装置100は、プローブ102へ、および/またはプローブ102からシステム筐体101に延びる電気路108も含む。一実施形態では、電気路108は、プローブ102へ、および/またはプローブ102からシステム筐体101内の中継システム110に延びる。電気路108は、プローブ102からシステム筐体101上のそれらそれぞれの接続に向かう光路132と平行して、または同軸上に、近くを走る。一実施形態では、電気路108は、複数の別個の同軸線を含む。一実施形態では、電気路108は、光路132の少なくとも一部と共通のジャケット内を走る。電気路108が光路132の少なくとも一部と共通のジャケット内を走ると、システム筐体101からプローブ102に延びるケーブル数が減少する。電気路108が光路132の少なくとも一部と共通のジャケット内を走ると、システム筐体101からプローブ102へ延びる組み合わされたケーブル(すなわち、光路132および電気路108)の直径および重さを最小限にし得、かつその耐久性を向上させる。
一実施形態では、複数の同軸線が、光路132の少なくとも一部の周囲に編み込まれている。前述のように、多くの考慮事項が、光路132で使用される別個の光ファイバー数を論じている。以下でさらに述べるように、多数の設計上の考慮事項が、電気路108を形成する別個の導線または配線の数を論じる。一実施形態では、電気路108を形成する約256の導線(256のトランスデューサに対応する)および光路132を形成するほぼ1,000の別個の光ファイバーがあり、ファイバー:導線比を約4:1にする。明らかとされるように、光ファイバーおよび電気路内の導線または配線を、例えば、個々のファイバーのグループを単一の導線もしくは配線と束ねること、または比例的にファイバーのより大きなグループと導線を一緒に束ねることを含め、様々な方法で混合することが可能である。一実施形態では、ファイバーおよび導線または配線を束ねることは、一般に、システム内のファイバー:導線の割合で行われ得るであろう。
1つまたは複数のディスプレイ112、114は、タッチスクリーンディスプレイであり得るが、画像および装置100のユーザインタフェースの全部または一部を表示するために提供されている。キーボード、マウス、トラックボール、および様々な他の入力装置(例えば、ダイアル、ボタン、およびスイッチ)などの、1つまたは複数の他のユーザ入力装置116が、オペレータからの入力を受け取るために提供され得る。任意選択として、電力および制御信号線109が、電力をプローブ102に搬送し、プローブ102とコンピューティングサブシステム128との間の信号を制御する。
一実施形態では、プローブ102とシステム筐体101との間の接続は、可撓ケーブルに形成され得、それは、光路132、制御線(複数可)109および電気路108から成り得る。可撓ケーブルは、便宜および使い易さのために、共通の外側ジャケットまたはシース内に覆われ得る。一実施形態では、光路132の内側部は、単一の可撓ケーブルのコアを形成し、電気路108および/または制御線(複数可)109の内側部は、もしあれば、光路132の内側部の周囲に巻かれるか、または編み組まれ得る。一実施形態では、共通の外側ジャケットまたはシースは、光路132の内側部を形成する光ファイバー束、電気路108の内側部を形成する同軸束、および、もしあれば、制御線(複数可)109を囲む。一実施形態では、光路の内側部を形成するファイバー、および電気路108の内側部を形成するワイヤー、ならびに、もしあれば、制御線(複数可)109は、プローブ102とシステム筐体101との間の接続の内側部に沿って、互いに縒り合されるか、または混ぜ合わされ得る。
一実施形態では、プローブ102およびシステム筐体101を接続する可撓ケーブル(複数可)の遠位端がプローブ102に関連付けられ、プローブ102の一部として取り外し不能に統合される。代替実施形態では、プローブ102およびシステム筐体101を接続する可撓ケーブル(複数可)の遠位端がプローブ102に取り外し可能に関連付けられる。プローブ102およびシステム筐体101を接続する可撓ケーブル(複数可)を取り外し可能に関連付けるために、光路102に対する光ファイバー接続ならびに電気路108および、もしあれば、制御線(複数可)109に対する電気的接続の両方を必要とする。
一実施形態では、光路132が、2つの部分に分割され、その2つの部分は、プローブ102にごく近接して、光ファイバーコネクタを使用して一緒にまとめられる。光ファイバーコネクタは、物理的にプローブ102内に設置され得るか、開口部404(図4を参照)に及ぶ場合があるか、またはプローブ102の外部に配置され得る。一実施形態では、光ファイバーコネクタは、光が、重大な損失なしで、1つの部分から別の部分に通過できるように、光路132を構成するファイバーのコアを機械的に結合して位置揃えし得る。一実施形態では、光路132の2つの部分の向かい合う端部が融着されるが、まず、クラッディングがはがされ、次いで融着されて、コア配置の問題が軽減される。ファイバー端部が融着されているかどうかに関わらず、光ファイバーコネクタによって接続されている光路132の内部の端部は、光伝導を向上させるために、ラップおよび研磨され得る。一実施形態では、プローブ102は、プローブ内に配置された光および/または電気コネクタへのアクセスを可能にする取り外し可能アクセスパネルを有する。
電気路108および、もしあれば、制御線(複数可)109の取り外し可能性をサポートするために、取り外し可能な電気コネクタが提供され得る。一実施形態では、フレックス回路が引き延ばされて、電気路108の端部に接続されているコネクタ314が、取り外し可能アクセスパネルからアクセス可能になり、それによって電気路108の切断を可能にする。一実施形態では、電気路108(および、もしあれば、制御線109)が、2つの部分に分割され、その2つの部分は、プローブ102にごく近接して、電気コネクタを使用して一緒にまとめられる。電気コネクタは、物理的にプローブ102内に設置され得るか、または開口部404(図4を参照)に及ぶ場合があるか、プローブ102の外部に配置され得る。一実施形態では、電気コネクタは、信号が、重大な損失なしで、1つの部分から別の部分に通過できるように、電気路108の2つの部分を電気的に結合し得る。
一実施形態では、電気路108のプローブ側部分上で搬送される信号はアナログ信号であり、アナログ/デジタル変換器で終端され、電気路のもう一方の部分(システム筐体101に接続する部分)上で搬送される信号は、電気路108のプローブ側部分上で搬送されるアナログ信号のデジタル化表現である。一実施形態では、電気路108上で搬送される信号は、アナログ/デジタル変換がプローブハンドルの本体内で実行されるのであれば、デジタル信号である。
一実施形態では、光路132をシステム筐体に接続するための光コネクタ(複数可)およびシステム筐体101をプローブ102に動作可能に接続する可撓ケーブル(複数可)用の電気コネクタ(複数可)は、プローブ102をケーブルから素早く切り離すよう動作され得る単一のコネクタへと一体化され得る。一実施形態では、光路132をシステム筐体に接続する光コネクタと、電気路108および制御ライン(複数可)109をシステム筐体に接続するためのマルチピン電気コネクタとは、別個のコネクタとして提供される。一実施形態では、光コネクタおよびマルチピン電気コネクタは、オペレータまたは保守要員が工具不要に取り外しが可能となるよう手動操作し得るよう設計される。
手短に図36、図37、および図38を参照すると、ケーブル側の光ファイバーコネクタの一実施形態の未接続の図、コネクタのフェルールを示す詳細な図、およびコネクタのカラーを示す他の詳細な図が示される。光路3232は段差を有するフェルール3607の遠位端で終端する。一実施形態では、光路3232を形成するファイバー束の遠位端3608は、融着され、および/またはラップならびに研磨され得る。段差を有するフェルール3607はより広い円周エリア37Aとより狭い円周エリア37Bを有し、これら2つのエリアは段差において合流する。より狭い円周エリアは、筐体側のコネクタ(図示せず)における光出力ポート(図示せず)内に挿入されることを意図するものである。カラー3606はフェルール3608のより広い円周エリア37Aを実質的に包囲する。一実施形態では、カラー3606の遠位端は、段差とカラー3606の遠位端とが筐体側のコネクタ(図示せず)に接触するよう、実質的にフェルール3607の段差と実質的に面一となる。一実施形態では、カラー3606は2つの部品3606A、3606Bから作られ、これらの2つの部品はフェルール3607の周りで一緒に締められることができる。一実施形態では、カラー3606は半円筒体3606A、3606Bから作られ、これら2つはフェルール3607周りのネジ山に対して一緒に締められる。ケーブル側の光ファイバーコネクタはハウジング3605も備え、ハウジング3605には雌ネジが形成され得る。一実施形態では、筐体側のコネクタは円筒形開口部(光出力ポート)を備え、この円筒形開口部は、より狭い円周エリア37Bを、段差、平坦な接触表面、および雄ネジが形成された円筒形突起まで挿入することを可能にする。
光ファイバーは、(i)段差および/またはカラー3606の遠位端が筐体側のコネクタの外部表面に係合するまで、より狭い円周エリア37Bを円筒形開口部に挿入することと、(ii)ハウジング3605をカラー3606上で摺動させ、そのネジ山を筐体側のコネクタのネジ山に係合させることと、(iii)ハウジング上のネジ山を筐体側のコネクタのネジ山に対してねじ込むことと、により接続される。一実施形態では、ハウジング3605の後方部分はカラー3606の近位端に対して筐体方向の圧力を印加し、カラー3606と筐体側のコネクタ(図示せず)との間の接触が確実とするよう付勢する。
一実施形態では、光ファイバーコネクタは、コネクタが接続される毎に光路を反復的に回転的に位置揃えされることが確実に可能となるよう、位置決め手段を備える。一実施形態では、位置決め手段は、カラー3606におけるスロット3805と、より狭い円周エリア37Bが円筒形開口部に挿入されるときにスロット3805に挿入されるキー(図示せず)と、からなる。一実施形態では、2つ以上のキーおよびスロットが存在する場合にはただ1つの正確な位置においてのみコネクタの固定が可能となるならば、位置決め手段は、少なくとも1つのキーと、少なくとも1つのスロットと、からなり得る。一実施形態では、2つ以上の棒部分および穴が存在する場合にはただ1つの正確な位置においてのみコネクタの固定が可能となるならば、位置決め手段は少なくとも1つの棒部分と少なくとも1つの穴とからなり得る。一実施形態では、位置決め手段は、ただ1つの正確な位置が存在しその正確な位置は手動で配置が可能となるよう、コネクタの1つの側部上における輪郭または形状と、他方の側部上の相補的な輪郭または形状と、からなり得る。位置決め手段は、光ファイバー束の回転的な位置揃えを反復的に可能にする全部の様式の位置決め機構を含むことを意図するものである。前述の実施形態では、当業者には明らかであるように、光ファイバーコネクタを接続する第1工程は、位置決め手段が適切に係合するまでカラーを回転させることを追加的に要求し得る。
ここで図16を参照すると、プローブ102は、音響レンズ1605によって覆われた超音波トランスデューサ(図示せず)を形成する超音波トランスデューサ要素の配列を含む。一実施形態では、超音波トランスデューサは、音響エネルギーを伝送することおよび受け取ることの両方を行うことができる圧電素子の配列を含む。一実施形態では、超音波トランスデューサ要素の少なくともいくつかが、広範囲にわたって超音波周波数を検出することが可能である。例えば、超音波トランスデューサ要素は、約50KHz〜20MHzの範囲で超音波の検出が可能であり得る。この範囲は、低周波数応答を達成するために、高インピーダンス負荷(例えば、5,000〜50,000オームの範囲で)を印加することにより達成できる。超音波トランスデューサ要素は、超音波音響エネルギーを受け取ることに応答して、電気エネルギーを生成することが可能である。超音波を受け取る超音波トランスデューサ要素によって生成される電気エネルギーは、電気路108を通ってコンピューティングサブシステム128に伝送される。
プローブ102は、光路132上で搬送される光がそれを通って3次元体積160の表面に伝導される、1つまたは複数の光学窓1603も含む。一実施形態では、光学窓1603の1つの側を音響レンズ1605に現実的に可能な限り近接して配置することが望ましい。光学窓1603の総面積は、体積160の表面に入射する所与のフルエンスに対するエネルギーを最大限にするために重要である。
一実施形態では、光路132を構成する複数の束の光ファイバーは、2つのライトバー(図示せず)内で終端される。一実施形態では、超音波トランスデューサ要素(図示せず)は、幾何平面に沿って延びる配列内に配置され、一般に、相互に等距離の間隔を空けられている。一実施形態では、ライトバー(図示せず)が、超音波トランスデューサ要素の平面配列の各々の側面上に、縦方向に向けられる。好ましくは、超音波トランスデューサ要素は、パルス光源130、131によって生じた刺激(すなわち、光音響帰還信号)に応答して受け取られる超音波音響エネルギーおよび超音波トランスデューサ要素の音響出力に応答して受け取られる超音波音響エネルギーの両方に応答して、電気エネルギーを生成する。
再度図1を参照すると、使用中、プローブ102は、有機組織、ファントム、または、例えば、腫瘍などの、1つもしくは複数の局所的不均質性161、162をその中に有し得る他の3次元体積160にごく近接して配置され得る。超音波ジェル(図示せず)または他の材料が、プローブ102と体積160の表面との間の音響結合を向上させるために使用され得る。プローブ102は、体積160の表面に近接しているとき、光学窓1603を通して光のパルスを、または音響レンズ1605を通して超音波を放出でき、次いで、放出された光または音波に応答して検出された超音波に対応する電気エネルギーを生成できる。
一実施形態では、コンピューティングサブシステム128は、光システム129から制御信号線106上の活動をトリガーできる。代替実施形態では、光システム129は、トリガー信号を作成して、コンピューティングサブシステム128にその活動を、制御信号線106によって通知できる。かかる情報は、データ取得プロセスを開始するためにコンピューティングサブシステム128によって使用できる。この点において、制御信号線106による通信は、コンピューティングサブシステム128(ならびに/または光音響処理およびその中のオーバーレイシステム140)と光システム129との間を双方向に流れることができることに留意されたい。
一実施形態では、コンピューティングサブシステム128は、制御信号線106を利用して、各光源130、131からの光パルスの開始時間および持続時間を制御できる。コンピューティングサブシステム128は、超音波音響エネルギーを、音響レンズ1605の背後の超音波トランスデューサ要素を経て放出するためにもプローブ102をトリガーできる。
一実施形態では、コンピューティングサブシステム128は、超音波トランスデューサ要素によって検出された超音波を表す電気信号を、超音波伝導信号または光学的に生成された超音波信号に応答して、音響レンズ1605の背後で電気路108を経由して、受け取る。一実施形態では、音響レンズ1605の背後で超音波トランスデューサ要素によって検出された超音波を表す電気信号は、要素自身によって作成されたアナログ電気信号である。かかる実施形態では、音響レンズ1605の背後で超音波トランスデューサ要素によって検出された超音波を表す電気信号は、電気路108を経由してコンピューティングサブシステムに伝達され、電気路108は、中継システム110によって選択的に、光音響処理およびオーバーレイシステム140、または検出された超音波処理のための超音波機器150に向けられる。かかる実施形態では、超音波機器150は、超音波プローブから受け取るのと同じ入力を(同じコネクタによって)受け取ることができる。
別の実施形態では、音響レンズ1605の背後で超音波トランスデューサ要素によって検出された超音波を表す電気信号は、プローブ102内に収容できるアナログ/デジタル変換器によってデジタル化される。かかる実施形態では、音響レンズ1605の背後で超音波トランスデューサ要素によって検出された超音波を表す時間分解電気信号は、電気路108を渡って伝達される。当業者には明らかであるように、電気信号がプローブ102でデジタル化される場合、中継システム110は、デジタルデータを光音響処理およびオーバーレイシステム140もしくは超音波機器150に送るように実現され得るか、または全く必要とされない可能性がある。
音響レンズ1605の背後で複数の超音波トランスデューサ要素の各々によって検出された超音波を表す信号は、別個のワイヤー上で電気路108を経由して搬送され得る。あるいは、音響レンズ1605の背後の複数の超音波トランスデューサ要素、または音響レンズ1605の背後の全部の超音波トランスデューサ要素によっても検出された超音波を表す信号は、プローブ内のマルチプレクサおよびコンピューティングサブシステム128内のデマルチプレクサを利用して、多重化(例えば、時分割または周波数分割)され得る。
一実施形態では、超音波機器150が、超音波誘起音響信号を処理して、超音波画像を生成し、光音響処理およびオーバーレイシステム140が、光誘起音響信号を処理して、光音響画像を生成する。一実施形態では、超音波機器150ならびに光音響処理およびオーバーレイシステム140は、両方が組み合わされた機能を実行する統合システムに結合できる。前述のように、一実施形態では、プローブ102によって検出され、電気路108を経由してコンピューティングサブシステム128に送られる超音波を表す電気信号は、信号が超音波刺激または光刺激に起因するかどうかに従い、中継システム110によって、超音波機器150と光音響機器140との間で切り替えられる。
一実施形態では、超音波誘起のデータを反映する断層画像が、超音波機器150によって生成され得、光刺激のデータを反映する断層画像が、光音響処理およびオーバーレイシステム140によって生成され得る。
光音響処理およびオーバーレイシステム140によって生成された、断層画像を含む、画像が、捕捉された画像データの順序または時間および日付に関連するデータとともに、そのシステム内のコンピュータメモリに格納できる。超音波機器150によって生成された、断層画像を含む、画像が、適切なインタフェース170を介して、光音響処理およびオーバーレイシステム140に伝送され得、そこで、それらが、光刺激のデータから生成された画像とともに、時間同期された方法で、格納できる。一実施形態では、光音響処理およびオーバーレイシステム140のメモリ内に格納された画像は、例えば、装置の内部、または外部の不揮発性メモリなど、別のメモリに記録できる。
一実施形態では、光音響処理およびオーバーレイシステム140は、メモリ内への格納および/または1つもしくは複数のモニター112、114上への表示のために、超音波機器によって生成された画像を、光音響機器140によって生成された画像と重ね合わせることができる。一実施形態では、重ね合わされた光音響画像は、それを超音波画像と区別するために別個の色で表示され得る。一実施形態では、重ね合わされた光音響画像は、例えば、血液酸素化などの、光音響撮像を通して識別できる詳細に対応するカラーを含み得る。一実施形態では、酸素化血液が青より赤でより多く示され、他方、非酸素化血液は赤より青でより多く示される。本明細書では、重ね合わされた、という表現は、画像の従来型のオーバーレイならびに混合による画像の結合を含む。
一実施形態では、装置100は、装置のモダリティの1つ(すなわち、超音波または光音響)に関連したデータを連続して生成および取得するシーケンスを含むサイクルで動作するように構成され得る。装置のモダリティの動作間の最小時間間隔は、装置100の構成要素、および完全に実行し、使用のためにリサイクルするそれらの能力に依存する。一実施形態では、ユーザは、例えば:超音波のみ;波長1のみ;波長2のみ;(例えば、別個のレーザー、または単一の迅速に同調可能なレーザーなどによって、生じ得る)波長1および2;超音波に続く波長1および2の複数の反復;ならびに/または波長1および/もしくは2が続く超音波の複数の反復などの、様々な事前プログラムされたサイクル間で選択できる。他の、およびさらなる組合せが当業者には明らかであろう。その上、装置100が、3つ以上の波長を生成できる場合、多数の追加の事前プログラムされたサイクルが望ましい場合がある。一実施形態では、追加のサイクルがマシンのオペレータによって追加できる。一実施形態では、サイクル全体のデータ収集は、一般に、体積160の実質的に同じ部分を対象として、素早く連続して達成されることを意図する。一実施形態では、装置100のサイクルは、通常、毎秒1〜50の範囲であり、前述のように、より一般的には、毎秒2〜20の範囲である。最大サイクル周波数は、サイクルおよびモダリティの機能によってのみ限定される。
一実施形態では、装置100のディスプレイ112、114が、選択された動作サイクルに応じて様々な情報を示すように構成できる。一実施形態では、任意のディスプレイ112、144、またはディスプレイの一部が、次の少なくとも1つを示すことができる:超音波のみの画像;第1の波長応答のみの画像;第2の波長応答のみの画像;第1および第2の波長応答を組み合わせた画像;ならびに/またはオーバーレイ超音波画像および波長応答もしくは組み合わせた波長応答画像。第1および第2の波長を組み合わせた画像は、画像を提供するために、微分または他の組合せ平均を含み得る。一実施形態では、画像は、サイクル内の別々のデータ集合に対応するか、またはそれらの一部もしくは全部の間の合計もしくは差異に対応する、画像が表示できる。
一実施形態では、装置は、3次元データ収集動作、超音波刺激に応答した1相生成およびデータ収集、光の第1の波長に応答した1相生成およびデータ収集、ならびに光の第2の波長に応答した1相生成およびデータ収集を使用して動作できる。一実施形態では、装置は、3次元データ収集動作、超音波刺激に応答した1相生成およびデータ収集、光の第1の波長に応答した1相生成およびデータ収集、ならびに光の第2の波長に応答した1相生成およびデータ収集を使用して動作できる。他の、およびさらなる組合せが当業者には明らかであろう。
適切な波長(複数可)を使用すると、光音響が、体積160内の血液を識別するのに効果的であり、複数の波長使用は、酸素化と非酸素化血液とを容易に区別するために使用できる。同様に、適切な波長を使用すると、光音響が、体積160内の局所的ヘモグロビン含有量を測定するために効果的である。従って、例えば、悪性腫瘍は、増加した血中濃度および減少した酸素化によって特徴付けられるが、かかる増加した血中濃度によって特徴付けられず、もっと正常な酸素化を有する、良性腫瘍とは大きく異なって光音響画像内に現れるであろう。さらに、光の特定の波長が、様々な生物組織および器官をより良く区別するために選択できる。赤外線、近赤外線、および可視波長の大きなスペクトルは、生物学的実体内に光音響応答を生成できるが、酸素化血液は、約1064nmの波長を有する光源に対して、非酸素化血液よりも光音響的に応答し、他方、非酸素化血液は、約757nmの波長を有する光源に対して、酸素化血液よりも光音響的に応答する。装置100で使用される光の数および特定の波長(複数可)は、体積の構造および対象である領域のタイプに従って選択される。
約1064nmの主波長を有する光のパルスを放出するND:Yagレーザーを採用し、約575nmの主波長を有する光のパルスを放出するアレキサンドライトレーザーを採用する実施形態では、ND:Yagレーザーが最初にパルスを発し、約50ミリ秒の遅延が続き、アレキサンドライトレーザーのパルス発生が続く。ND:Yagレーザーの次のパルスまでのサイクル長は、100ミリ秒以上であり得る。従って、一実施形態では、パルス/遅延は、次のとおり、ND:Yagパルス、50ミリ秒の遅延、アレキサンドライトパルス、50ミリ秒の遅延、であり得、約10Hzの周波数、および約100ミリ秒のサイクル時間をもたらす。一般に、総サイクル時間に関わらず、第1と第2の光事象との間の時間は、合理的に現実的なほど短いものとする。従って、別の実施形態では、パルス/遅延は、次のとおり、ND:Yagパルス、50ミリ秒の遅延、アレキサンドライトパルス、150ミリ秒の遅延、であり得、約5Hzの周波数、および約200ミリ秒のサイクル時間をもたらす。さらに別の実施形態では、パルス/遅延は、次のとおり:ND:Yagパルス、50ミリ秒の遅延、アレキサンドライトパルス、250ミリ秒の遅延、または450ミリ秒の遅延、または950ミリ秒の遅延であり得、それぞれ、約3.33、2、および1Hzの周波数、ならびに約300、500、および1,000ミリ秒のサイクル時間をもたらす。一実施形態では、アレキサンドライトレーザーがND:Yagの前にパルスを発する。一実施形態では、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)が、臨床光音響システムを動作させるために提供され、GUIは、限定はされないが、サイクル時間および/または光源のパルス発生の順序のオペレータ選択を可能にするコントロールを含む。
図17は、図16に示されるプローブ102の実施形態の分解図を示す。シェル1702、1704が、プローブ102内の構成要素を示すために分離されている。シェル1702、1704は、プラスチックまたは他の適切な材料から作成され得る。光、および特に、光サブシステム129によって発生される光にさらされ得るシェル1702、1704の表面は、好ましくは、両方とも、反射する(例えば、明るい色の)材料で、かつ光を散乱(すなわち、1〜10の間の散乱係数を有する)し得る。一実施形態では、シェル1702、1704の表面は、高度に反射的、すなわち、75%を超える反射である。一実施形態では、シェル1702、1704の表面は、高度に反射的、すなわち、90%を超える反射である。一実施形態では、シェル1702、1704の表面は、低光吸収、すなわち、25%未満の吸収性を有する。一実施形態では、シェル1702、1704の表面は、超低光吸収、すなわち、10%未満の吸収性を有する。さらに、シェル1702、1704を形成する材料は、音響エネルギーを反射または伝達するのではなく、吸収するために、音響的に吸収性にすべきである。一実施形態では、白いプラスチックシェル1702、1704が使用される。
一実施形態では、フレックス回路1712は、ケーブルコネクタ1714を、超音波トランスデューサ1710を形成する圧電超音波トランスデューサ要素の配列(図示せず)に接続する、複数の電気配線(図示せず)を含む。一実施形態では、フレックス回路1712は、折り畳まれてバッキング1711の周囲に巻かれ、シリコンなどの結合剤を使用して、それに固定され得る。一実施形態では、ブロック1713が、圧電超音波トランスデューサ要素の配列の反対側でバッキング1711に取り付けられる。一実施形態では、超音波トランスデューサ1710は、少なくとも128個のトランスデューサ要素を含むが、追加の要素は、装置100の撮像の歪みを減らし、かつ/または解像度、精度および深さを増加し得るので、多数のトランスデューサ要素を有することが望ましい場合がある。ケーブルコネクタ1714は、電気配線を、超音波トランスデューサ1710に、および従って、電気路108に動作可能に接続する。一実施形態では、電気路108は、超音波トランスデューサ配列1710内の各超音波トランスデューサ要素に対する同軸線を含む。
超音波トランスデューサ1710は、トランスデューサ要素が音響レンズ1605にごく近接しているか接触しているように、ハウジング1716内に適合する。音響レンズ1605は、室温加硫(RTV)シリコンゴムなどの、シリコンゴムを含み得る。一実施形態では、ハウジング1716および音響レンズ1605が、同じRTVシリコンゴム材料から、単一ユニットとして形成される。一実施形態では、超音波トランスデューサ1710、フレックス回路1712の一部、バッキング1711、およびブロック1713が、シリコンなどの適切な接着剤を使用して、音響レンズ1605を含むハウジング1716内に固定されて、トランスデューサ組立体1715を形成する。ブロック1713は、トランスデューサ組立体1715を他の構成要素に取り付けるか、または固定するために使用できる。
RTVシリコンゴム音響レンズ1605および/またはトランスデューサ組立体1715上の光サブシステム129によって発生された光を白くして、光音響効果を減少させるために、一実施形態では、音響レンズ1605および/またはトランスデューサ組立体1715を形成するRTVシリコンゴムが、TiO2をドープされ得る。一実施形態では、音響レンズ1605および/またはトランスデューサ組立体1715を形成するRTVシリコンゴムが、ほぼ4%のTiO2をドープされ得る。一実施形態では、音響レンズ1605の外表面および/またはトランスデューサ組立体1715の外表面が、追加で、または代替で、真鍮、アルミニウム、銅、または金などの金属の薄層でコーティングされ得る。しかし、金は、RTVシリコンゴムを剥がし落とすか、またはひびを入れる傾向があることが分かっている。一実施形態では、RTVシリコンは、まずペリレンでコーティングされ、次いで、ニッケルでコーティングされ、その後、金でコーティングされて、最後に再度、ペリレンでコーティングされ得る。一実施形態では、RTVシリコンは、まずニッケルでコーティングされ、次いで、ペリレンでコーティングされ、その後、金でコーティングされて、最後に再度、ペリレンでコーティングされ得る。一実施形態では、ペリレンの最も外側のコーティングが省略され得る。複数の層化は、音響を検出するために、音響レンズ1605の音響特性に実質的にいかなる悪影響を及ぼすことなく、かつ、トランスデューサ組立体1715に実質的にいかなる悪影響を及ぼすことなく、耐久性のある金コーティングを提供する。実際には、ニッケルおよび金の層に隣接したペリレンコーティングは、それが蒸着される金属またはゴムにうまく付着するのではなく、縁部が丸まり得ることが分かっている。従って、以下でさらに詳細に述べるように、一実施形態では、音響レンズ1603および/またはトランスデューサ組立体1715の一部は、丸まりまたは剥離を防ぐため、他の構成要素に機械的に固定可能な縁部を有する。一実施形態では、音響レンズ1605を含む、トランスデューサ組立体1715の実質的に外表面全体が、ニッケル、次いでペリレン、その後、金、それから再度ペリレンの連続的な層でコーティングされる。
一実施形態では、反射材料が、その表面上に入射し得る光路132からのいかなる光も反射するために、トランスデューサ組立体1715を、ハウジング1716の後方縁部からフレックス回路1712の端部まで取り囲む。一実施形態では、RFエネルギー用の電磁シールドが、トランスデューサ組立体1715を、ハウジング1716の後方縁部からフレックス回路1712の端部まで取り囲む。一実施形態では、光130、131が、実質的な電磁RFエネルギーを生成する実質的な(例えば、数ナノ秒に対して1,000ボルトを超える)エネルギーをプローブ102の面積内に引き込み得る。一実施形態では、トランスデューサ組立体1715が、ハウジング1716の後方縁部からフレックス回路1712の端部までホイルで囲まれるが、それは、反射材料およびRFエネルギーシールドとして機能し得る。一実施形態では、ホイルは、銅、金、銀のグループから選択される。一実施形態では、ホイルは、装置100の電気的アースに連結される。
スペーサー1720は、トランスデューサ組立体1715に関して間隔を空けて、ライトバーガイド1722を位置付ける。スペーサーは、好ましくは、光サブシステム129によって生成された光に対するその光音響応答を減らす材料から作成される。一実施形態では、スペーサー1720は、シェル1702、1704の光に接触する部分と似た材料から作られる。一実施形態では、ライトバーガイド1722は、光路132の一部である光ファイバーを包み込む。一実施形態では、光路132を構成する光ファイバーが、ライトバーガイド1722全体にわたってランダムに(または擬似ランダムに)分散され得、このようにして、光ファイバー束の光受領端部上の特定の位置を、ライトバーガイド1722によって保持される光ファイバーの光放出端部上の対応する特定の位置に関して、少なくとも擬似ランダムにする。本明細書では、光路132を構成するランダムに(または擬似ランダムに)分散された光ファイバーという用語は、光路132内の局所的干渉(例えば、隣接した光ファイバーのグループのバーンアウト)または局所的現象(例えば、光路132へのエントリーポイントでの不均一な光)が、伝達されるパワー全体に影響を及ぼすが、光路132の遠位端の任意の特定の部分に操作上著しい影響を及ぼさないように、近位端から遠位端へのファイバーのマッピングが行われることを意味する。従って、近位端で隣接する2つの光ファイバーが、光路132の遠位端で隣接する可能性は低い。光ファイバー束が近位端および遠位端で融着される場合、ランダム化は、少なくとも一方の端部が融着される前に行われる必要がある。本明細書では、ランダムに(または擬似ランダムに)分散された光ファイバーという用語は、2つの異なる光路132(すなわち、異なる装置100に対する)は、互いに異なる必要があることを意味しない。言い換えれば、単一の「ランダム」マッピングが異なる装置100の光路内で再生成されるが、依然として、ランダム化である基準を満たす。光は一般に、ガウス方式で動作するので、光路132へのエントリーポイントは、通常、決して完全に均一ではない。前述のように、ランダム化は、光の光路132への不均一な入射に対応し得る。ランダム化は、光フルエンスをより均一に分布するのを支援し得るので、光フルエンスの照らされた面積にわたる均一化も提供し得る。
一実施形態では、ライトバーガイド1722によって包み込まれた光ファイバーの全てが、実質的に同じ形状表面(例えば、曲面または平面)上で終わる。一実施形態では、遠位端でのファイバーが、所与のライトバー内で、製造中にファイバーを適切な位置に保持するのを支援し得るような方法で、グループ分けまたはサブグループ分けされ得る。かかるグループ分け(2つのライトバーに対するグループ内など)およびサブグループ分け(例えば、ライトバーごとにサブグループを有する)は、形状表面にわたって均一に分散され得る。任意の数のサブグループが使用され得る。一実施形態では、サブグループの数は、製作および製造に対して実用的であるように選択される。一実施形態では、サブグループの数は、製造プロセスを容易にするように選択される。一実施形態では、サブグループの数は、5〜20の間であり得、15であり得る。一実施形態では、ファイバーグループは、ファイバーサブグループを、ライトバーガイド1722に成形もしくは機械加工されている物理チャネル、またはその内側および/もしくは外側表面の間に配置することにより形成される。
一実施形態では、ファイバーがライトバーガイド1722に取り付けられた後、ファイバー端部が、光放出のより均一な角度を提供するために、ラップおよび研磨され得る。一実施形態では、ライトバーガイド1722は、組み立てられたプローブ102に取り付けられると、それから放出される光を、プローブ102の遠位面に対して垂直にわずかに満たない角度に、具体的には、光音響トランスデューサ配列1710の中心に対して垂直で交差する平面に向かって内側にわずかな角度に向ける。一実施形態では、光路132の遠位端(複数可)は、光音響トランスデューサ配列132の形状に合致、またはほぼ近似するものとする。
本明細書で「ライトバーガイド」として使用されるバーという用語は、特定の形状を取り込むことを意図していない。例えば、ライトバーガイド1722は、光ファイバーの遠位端を、例えば、限定はされないが、円形、楕円形、三角形、四角形、長方形、または任意の不規則形の全体または一部など、実質的に任意の形状に導き得る。
一実施形態では、1つまたは複数のライトバーガイド1722および光学窓1603は、光音響トランスデューサ組立体1715を収容するシェル1702、1704の外部であり、1つまたは複数のシェル1702、1704の外側に取り付けられるように適合される。
一実施形態では、光学窓1603から放出される光の角度が調整可能であり得る。一実施形態では、光学窓1603から放出される光が、ある範囲にわたって調整可能であり得る。範囲の一端では、光は、光学窓1603から、プローブ102の遠位面に垂直な方向で放出され得、範囲のもう一端では、光は、光学窓1603から、光音響トランスデューサ配列1710の中心に対して垂直で交差する面に向かって最大で45度以上の内側角度で放出され得る。範囲はもっと狭いことも、広いこともあり得る。この点に関して、範囲の下限は、45度未満とならないよう設定され、範囲の上限は、90度を越えることがないよう設定され得る。
プローブが2つの光学窓1603を有する実施形態では、両方の光学窓1603から放出される光の角度が、個々に、または一緒に、調整可能であり得る。両方の光学窓1603から放出される光の角度を一緒に調整する場合、光の方向は、各事例において、内側投影、すなわち、光音響トランスデューサ配列1710の中心に対して垂直で交差する面に向かっての投影の角度が、増加または減少される。このように、より大きな光フルエンスが、体積160内に(垂直方向に曲げることにより)より深く、または(より内側に曲げることにより)より浅く、向けられることができる。
光角度の向きの制御は、ライトバーガイド1722を移動させることにより行うことができるか、または光路132の後の光学素子(optics)の使用を通して光学的に達成できる。この点に関して、音響トランスデューサ組立体を収容するシェルの外部に、移動可能なライトバーガイドおよび光学窓が提供され、シェルの外側側部に取り付けられるよう適合され得る。第2移動可能ライトバーガイドもプローブの音響トランスデューサを収容するシェルに動作可能に接続され、第2セットの光ファイバーの遠位端を移動可能に保持し得る。第1移動可能ライトバーガイドおよび第2移動可能ライトバーガイドは、第1セットの光ファイバーの光伝導の角度と、第2セットの光ファイバーの光伝導の角度と、を互いに対して独立的に変動させる能力を有し得る。光学的解決策は、光路132を通って伝導されている光の方向を変えるための1つもしくは複数のレンズおよび/もしくはプリズムの使用、または、例えば、電場に応答して制御される屈折率を有する光学要素など、変動する屈折率を有する光学要素の使用によることを含み得る。方向を変えられた光は、トランスデューサ要素1710の真下の面積など、所望の面積を照射するように向けることができる。プローブ102によって伝導される光の方向を制御することは、安全性を維持し、皮膚およびトランスデューサに関して光の方向を最適化するために有用である。
制御線109は、光の方向を変えるコマンドを送信し、かつ/または光パルスが光路132から放出されているときの光の実際の方向を報告するために使用され得る。光学窓1603から放出される光の角度は、光パルスに起因する音響情報をいつ解釈するかを考慮するために重要なデータであり得る。第2移動可能ライトバーガイドおよび第2セットのファイバーを備える実施形態では、係るライトバーガイドは少なくとも第2命令に応答して第2セットの光ファイバーの光伝導の角度を変動させる能力を有し得る。
一実施形態では、装置100は、プローブ102から放出される入射するレーザー光の角度を調整できる。プローブ102から放出される入射するレーザー光の角度の調整は、制御線109を経由して送信され得るコマンドの制御下で実行され得るか、または手動で(例えばプローブ上に配置された調節機構により)実行され得る。一実施形態では、スタンドオフが、例えば、入射するレーザー光を、所望の深さに、またはスタンドオフなしで達成できるよりも表面に近接して、向けるのを支援するために使用され得る。一実施形態では、スタンドオフは、音響および光の両方に対して、好ましくは、超音波範囲の音響および光源129によって利用される1つまたは複数の波長の光に対して比較的透過的である。スタンドオフの使用は、超音波解像度が、そのトランスデューサからの公称距離でオブジェクトを検出する機能を欠いているので、体積160の表面に近接したオブジェクトの撮像を支援するために、超音波用途では既知であるが、本願でのスタンドオフの使用は、異なる目的のため、すなわち、光源をトランスデューサ要素1710の真下に向けることを可能にするためである。一実施形態では、スタンドオフは、プローブ102から分離しており、体積160と、音響レンズ1605および1つまたは複数の光学窓1603を含むプローブ102の遠位面との間に配置される。一実施形態では、スタンドオフは、プローブの一部を成す場合があり、必要に応じて、所定の位置に移動されて、取り外され得る。
光学窓1603は、プローブ102組立体の一部でもあり得る。一実施形態では、光学窓1603は、ライトバーガイド1722の端部から、従って、光路132を構成する光ファイバーの端部から間隔が空けられている。本明細書で使用されている光学窓という用語は、機械的もしくは光学的に平らな光学的物質、または単に透明な光学的物質に限定されない。代わりに、その用語は、光にそれを通過させることもあればさせないこともあるが、光路132に近位の窓の側面上に入射する光の少なくとも実質的な部分が、光学要素の特性に依存する方法で、プローブ組立体102を出ることを可能にする、光学要素に言及するために使用されている。一実施形態では、光学窓1603は透明であり得、それは、プローブ102の遠位端が体積160と接触しているか、またはごく近接しているときに、光の、具体的には、光路132の端部から放出される光の、その体積160への伝導を可能にする。一実施形態では、光学窓1603は、半透明であり得、プローブ102の遠位端が体積160と接触しているか、またはごく近接しているときに、光の、具体的には、光路132の端部から放出される光の、拡散およびその体積160への伝導を可能にする。一実施形態では、光学窓1603は、レンズであり得、プローブ102の遠位端が体積160と接触しているか、またはごく近接しているときに、光の、具体的には、光路132の端部から放出される光の、成形およびその体積160への方向づけを可能にする。
組み立てられたプローブ102では、光学窓1603の1つの縁部が、トランスデューサ組立体1715にごく近接しているか、または接触している。光学窓1603のトランスデューサ組立体1715への近接は、光学窓1603から放出される光が、音響レンズ1605に近接した、従って、トランスデューサ配列1710の面に近接した位置から放出されることを可能にする。
使用中、カップリング剤(例えば、ジェル)が、プローブ102の遠位端と体積160との間の音響接触を改善するために使用され得る。カップリング剤が、光路132を形成する光ファイバーの遠位端と接触する場合、外部からの音響信号が、光路132を通じて伝導される光に応答して生成され得る。一実施形態では、光学窓1603を含む、プローブ102の遠位端が、カップリング剤と光ファイバーの遠位端との間にギャップを作り出すことにより、光路132から放出される光に応答して、カップリング剤の潜在的な音響効果を弱める。
図18は、図16に示すプローブなどの、組み立てられたプローブ102の一実施形態の広い方の面の中心線に沿って取られた断面図を示す。シェル1702、1704は、光学窓1603およびトランスデューサ組立体1715をプローブ102の遠位端で支持する。トランスデューサ組立体1715およびシェル1702、1704によって支持されるスペーサー1720は、光学窓1603およびライトバーガイド1722を位置付けて、かつライトバーガイド1722と光学窓1603との間にギャップ1802を維持するのに役立つ。
光路132を構成する光ファイバーの遠位端は、それらが体積160への、または音響トランスデューサ1710への物理的な音響伝導路を作成しないように、位置付けられ得る。一実施形態では、ギャップ1802は、光路132を構成する光ファイバーの遠位端と体積160または音響トランスデューサ1710との間の高周波数音響伝導路を防ぐための役割を果たす。以下で述べるように、ライトバーガイド1722が、光路132を構成する光ファイバーの遠位端と体積160または音響トランスデューサ1710との間の物理的な音響伝導路を低減および/または最小化するのを確実にするために、特別に選択された材料が使用できる。
フレックス回路1712は、その上の圧電トランスデューサ要素(図示せず)とともに、バッキング1711の周囲に巻き付いて、圧電トランスデューサ要素をフレックス回路の各端部でケーブルコネクタ1714と電気的に接続する。
シェル1702、1704内の開口部1804は、プローブ102の内部に入るための、光路132(図1)、電気路108(図1)および任意選択の電力および制御線109(図1)に対する開口部を提供する。一実施形態では、ゴム製グロメット(図示せず)が、開口部1804を通ってプローブ102に入る経路または線に、安定性および張力緩和を提供するために使用され得る。
手短に図34および図35を参照すると、プローブホルダ3400が示される。新規のプローブホルダ3400は、超音波のために用いられる一般的なプローブの上向き設計とは異なる。一実施形態では、プローブホルダは、ワイヤサポート3405と、プローブサポート3406と、プローブホルダを光音響システムのカートまたは他の構成要素に固定するためのねじ穴3407を有する後方壁部3408と、を備える。プローブホルダ3400のプローブ端部包囲部分は、プローブ102のアクティブ(遠位)端を取り囲むよう作用する。一実施形態では、プローブホルダ3400のプローブ端部包囲部分は、光サブシステム129から放出される光に対して実質的に不透明であり、したがってプローブがプローブホルダ内にあるときレーザー光漏出が低減される物質から作られる。その上、一実施形態では、プローブホルダ3400のプローブ端部包囲部分は、プローブハウジングの外側壁部に対する密着嵌合を提供し、ここでも、その結果プローブがプローブホルダ内にあるときレーザー光漏出の危険性が再び低減されるよう設計される。
図面から明らかであるように、プローブサポート3406は、プローブホルダ底部3410からプローブサポート3406を離間させることにより手動による取り外しが容易であるが、しかしプローブサポート3406がハウジングの背後に配置され、そのためにプローブがプローブホルダ3400から後方に摺動することがない位置に、プローブを支持する。一実施形態では、プローブサポート3406は、その応力解放カラー3420によりプローブ102を支持するために用いられ得る。ワイヤガイド3405は、プローブ102の応力解放カラー3420上に印加される圧力を低下させ、光路132および一体化された電気路108/109の曲率の角度を和らげるために、プローブサポート3406から離間される。一実施形態では、プローブホルダは、床面に対する平行よりも大きい角度でプローブ102を保持するであろう。一実施形態では、プローブホルダ3400に着座すると、プローブ102は、水平面に対して10度〜45度の範囲の角度に保持される。
プローブホルダ3400のプローブ端部包囲部分の内側遠位端上では、プローブ102の遠位端はプローブのハウジング1702/1704から支持され得る。一実施形態では、この設計は、プローブのハウジング1702/1704(すなわち光学窓1603の近傍にある)がプローブホルダ3400のプローブ端部包囲部分の内側遠位端には接触し得るが、光学窓1603、音響レンズ1605、およびプローブのアクティブ端部における他のいかなる繊細な又は動作可能な構成要素もプローブホルダ3400に接触することも、またはプローブホルダ3400にほとんど接触することも、ないよう、プローブ102が固定的に配置されることが可能である。一実施形態では、プローブホルダ3400のプローブ端部包囲部分の内側遠位端は凹陥部を備え、そのためにプローブ102は、それと繊細なプローブ構成要素との間で接触することなく、その内部に確実に着座することが可能である。プローブホルダ3400が適切な場所に確実に取り付けられることが可能となるよう、ネジ穴3407が提供される。一実施形態では、プローブホルダ3400はカート3200に確実に締められ得る。一実施形態では、プローブホルダは、カート3200に一体化されるよう設計され得、したがってカート3200の外部にある必要はない。
一実施形態では、プローブホルダは、適切に着座したプローブの存在を検出するためにセンサー(例えば圧力センサーなど)を備える。係るセンサーが用いられる場合、センサーの出力が、例えば光音響処理およびオーバーレイシステムにより、レーザー発射を無効化するために用いられ得る。係る実施形態では、この無効化は、プローブの光学窓(複数可)から放出される光に対して実質的に不透明である物質からプローブホルダのプローブ端部包囲部分を作ることの代替として実行されてもよく、またはそのことに加えて実行されてもよい。代替的に、一実施形態では、プローブホルダのプローブ端部包囲部分は、較正、保守、または他の目的のために、適切に挿入されたプローブのアクティブ端部を、プローブから放出される光の全パワーまたはエネルギーを測定または干渉する能力を有するパワーまたはエネルギーメータから短い距離に保持し得る。係る実施形態では、プローブホルダもセンサーを備える場合、センサーの出力は、例えば光音響処理およびオーバーレイシステム140などにより、診断、較正、保守、または他の目的のためにレーザー発射を用いるために、システムソフトウェアにより使用され得る。
図19Aを参照すると、10本の光ファイバーの端部にごく近接して表面に当たる光の典型パターンが示されている。今日、標準の合理的に柔軟な光ファイバーは、直径が、約50〜200ミクロンの範囲である。光ファイバーを出る光は、ゆっくりと拡がる傾向があり、例えば、図19Bで、光ファイバーの端部を離れた後に拡がる光の実例を参照されたい。光ファイバーを離れた光ビームの拡張率は、光ファイバーの直径および光ファイバー材料の屈折率の関数であり、そのファイバーが接続されている材料の屈折率の関数でもあり得る。光ファイバーのグループが、照射される表面にごく近接して置かれる場合、図19Aに見られるような光パターンが結果として生じる。
一実施形態では、もっと小さい直径を有する光ファイバーが、照射される面積を拡大し、光路132の重さを最小限にして可撓性を向上させるために採用される。光は、それが光ファイバーを出ると発散し、それが出るときのその発散は、ファイバーの直径に反比例する、言い換えれば、光は、より小さい直径の光ファイバーから出ると、より速く発散する。従って、例えば、50ミクロン未満、および潜在的に30ミクロン未満、の範囲の光ファイバーが、照射される面積を拡大するために望ましくあり得、従って、ビーム拡大器の必要性を減らすか、潜在的に除外する。一実施形態では、光路132を構成する光ファイバーの1つまたは複数のグループの遠位端が、図19Aに示す光の特徴的なパターンを回避するために融着され得る。
一実施形態では、光音響プローブは、照射される体積の表面上に入射する比較的均一な配光を発生するものとする。光音響プローブが、比較的大きい面積の配光を発生することも望ましい場合がある。比較的大きくて均一な配光は、照射される表面の任意の所与の面積上で特定の光フルエンスを超えることなく、光音響プローブが、最大量のエネルギーを伝達できるようにするが、それは、患者の安全性を最大限にし、かつ/または信号対ノイズ比を向上できる。これらの理由のために、光ファイバー端部を、照射される体積の表面にかなり近接して配置し、従って、図19Aに見られるような、小さいか、または不均一な配光を得ることは望ましくない。
一実施形態では、光ファイバーは、照射される体積の表面から離され得る。光ファイバーの端部を、照射される体積の表面から離すと、各光ファイバーから放出されたビームが拡張されて、配光のより均一な面積が生じるであろう。光ファイバーを、照射される体積の表面から離すことに関連した1つの潜在的な問題は、拡張するビームの漂遊部分によって生じる光音響効果である。別の潜在的な問題は、(光ファイバーの端部と、照射される表面との間の)距離を拡大することの、プローブの形状またはサイズへの影響である。さらに、光ファイバーの数を増加する(従って、光を放出するファイバー束の面積を拡大する)と、光路132(図1)の費用、重さおよび可撓性が増加して、プローブのサイズにも影響し得る。
プローブ102は、ハンドヘルドであるように設計されているので、プローブの柄(プローブ102のより狭い近位部分)が体積160の表面に比較的近接するように、プローブのヘッド(プローブ102のより広い遠位部分)を短く保つことは望ましい。追加として、プローブ102は、ハンドヘルドであるように設計されているので、その全体の厚さも、快適さ、便利さ、および操作有効性に対する考慮事項である。その結果、光路132を形成する光ファイバーの遠位端を、光学窓1603から十分な距離に配置して、光学窓1603を均一な光フルエンスで満たすような拡大を可能にすることは、推奨されない。同様に、非常に多数のファイバーを使用して、光路132の遠位端でライトバーガイド1722によって保持されるファイバー束の面積を拡大し、それにより、光学窓1603を均一な光フルエンスで満たすような拡大を可能にしようと試みることも、それは、特に、過度の重さ、不撓性、サイズ、および費用を生じ得るので、推奨されない。さらに、光学窓1603のサイズの削減は、装置の潜在的な総安全エネルギー出力を減少させ、従って、推奨されない。
図20Bおよび図20Cを参照すると、一実施形態では、ビーム拡大器2001b、2001cが、光のビームを拡大するために使用され得、光のビームを短い距離を経てより均一にする。図20bは、すりガラスまたは艶消しガラスビーム拡大器2001bの使用を示し、他方、図20Cは、レンズビーム拡大器2001cの使用を示す。一実施形態では、ライトバーガイド1722が概ね矩形の場合、レンズビーム拡大器2001cは、円筒状凸レンズまたは円筒状凹レンズであり得る。一実施形態では、凸レンズ(図示せず)がビーム拡大器として使用され得る。当業者には、他のレンズ、レンズ系、もしくは他の光学系、またはそれらの組合せが、光を発散させ、より均一に分散させるために使用できることが明らかであろう。
図18を再度参照すると、一実施形態では、ライトバーガイド1722が、ファイバーの遠位端を保持する端部上の超音波結像面に向かって内側に曲げられる。ライトバーガイド1722の遠位端が内側へ曲がっていることは、そこから放出する光が、光学窓1603をより良く満たし、従って、光学窓1603に均一に照射すること可能にする。ギャップ1802は、ビーム拡大器を含み得るが、光路132を通じて伝導された光が、光学窓1603を満たすように拡大するためのスペースを提供し得る。内側に曲がっていることは、体積160の表面上に入射する光の方向を、垂直に満たない角度で表面に当てるようにさせ、従って、潜在的に、超音波トランスデューサ1710を覆う音響レンズ1605の下の体積により良く伝搬させる傾向がある。
図1に戻ると、プローブ102は、ハンドヘルド使用が意図されているので、光路132、電気路108、ならびに任意選択の電力および制御線109の重さおよび可撓性は考慮事項である。一実施形態では、光路132をもっと軽くてもっと柔軟にするために、光路132は、できる限り少ないファイバーで構築される。使用できるファイバーの数をどれだけ少なくするかの制限要因は、光路132に渡って搬送される光の量である。ファイバーを通して多すぎる光を伝導すると、ファイバーを損傷することになる。光路132は、体積160の表面上のフルエンスとなる光に、光源129と、照射される体積160の表面との間で失われる(例えば、吸収または散乱される)すべての光を加えた総量を搬送する必要がある。照射される最大面積は、光学窓1603のサイズを超えないことが知られているので、また、照射される最大面積は、単位面積あたりのフルエンス制限を受けるので、光路132によって搬送される総光エネルギーは、フルエンス制限に光学窓1603のサイズを乗じることによって概算できる。FDAは、フルエンスの人間に安全なレベルに対する数を提供する。
照射される体積160は、一般に、それ独自の光音響応答を有するが、それは、光フルエンスが最大であるところ、すなわち、体積160の表面で、特に明らかである。体積160の表面に照射される面積が(例えば、光学窓1603のサイズおよびビームを増やすことにより)増えると、体積160自体の表面によって生成された光音響影響が減り、従って、不均質性161、162を表す所望の信号と比較して、体積160自体の表面によって生成された望ましくない光音響信号を減らし得る。
体積160自体の表面によって生成された不必要な光音響信号に加えて、光学窓1605とそれぞれのライトバーガイド1722との間のスペースを囲む側壁、音響レンズ1605、およびトランスデューサハウジング1716の一部などの、超音波トランスデューサによって検出できる望ましくない光音響信号の他の原因があり得る。光学窓1603およびいずれの任意選択のビーム拡大器2001B、2001Cも、超音波トランスデューサによって検出できる望ましくない光音響信号の原因であり得る。
一実施形態では、光学窓1605とそれぞれのライトバーガイド1722との間のスペースを囲む壁は、高吸音特性を有し、かつ/または白くて、かつ/または高光散乱および/もしくは反射特性を有する、材料から作られ得る。これらの特性を有する材料を使用すると、超音波トランスデューサによって検出できる望ましくない光音響信号を減らし得る。一実施形態では、スペーサー1722は、Micro−Mark CR−600、乾くと白色になる2部分の高性能注型用樹脂などの、樹脂材料から作ることができる。
一実施形態では、高吸音特性を有し、かつ/または白くて、かつ/または高光散乱特性を有する材料の層(図示せず)が、組み立てられたプローブ102内でトランスデューサ組立体1715とライトバーガイド1722との間に配置される。あるいは、その層は、組み立てられたプローブ102内で2つの部分が接触するところで、トランスデューサ組立体1715またはライトバーガイド1722に直接適用され得る。この層は、超音波トランスデューサによって検出できる望ましくない光音響信号を減らし得る。一実施形態では、その層は、Micro−Mark CR−600、乾くと白色になる2部分の高性能注型用樹脂などの、樹脂材料から作ることができる。一実施形態では、その層(図示せず)は、反射コーティングも含み得る。一実施形態では、金の反射コーティングがその層に適用されて、そうでなければその層に当たる光を反射する。
一実施形態では、非反射コーティングが、光学窓1603および/またはビーム拡大器2001B、2001Cの光音響的特性を減らすために使用され得る。一実施形態では、フッ化マグネシウムが、光学窓1603および/またはビーム拡大器2001B、2001C上の非反射コーティングとして使用され得る。非反射コーティングは、光学窓1603によって吸収されるか反射されるエネルギーを減少および/または最小限にするために使用され得る。
一実施形態では、トランスデューサ組立体1715および/または音響レンズ1605の光音響的シグナチャーが、白化によって低減できる。一実施形態では、RTVシリコンゴムから成る音響レンズ1605が、約4%のTiO2をドープされることにより、白くされて、その光音響的シグナチャーが低減され得る。TiO2をドープすることは、音響レンズの反射率、従って、吸収を向上させ、また、RTVシリコンゴムの光音響応答を拡散する傾向がある散乱効果も有していて、その応答を、もっと容易にフィルタ処理できる低い周波数に下げることが考えられる。前述のように、トランスデューサ組立体1715および/または音響レンズ1605の外側表面が、金、銅、アルミニウム、または真鍮などの、金属コーティングが施され得る。一実施形態では、金属コーティング、特に、金は、トランスデューサ組立体1715および/または音響レンズ1605の光音響的特性を減少させる。金は、光スペクトルにおけるその高反射率のために、音響レンズ1605の光音響的特性を減少させることが考えられる。一実施形態では、音響レンズは、白くされず、その自然の色を保持し得るか、または、1つもしくは複数の特定の波長での光吸収を最小限にするために別の色にされ得る。一実施形態では、音響レンズは、例えば、ブナNゴム(すなわち、ニトリルゴム)またはラテックスゴムなどの、RTVシリコンゴム以外の材料から作られ得る。
前述のように、光路132の端部の光ファイバーが、ライトバーガイド1722によって保持されて、ライトバーガイド1722によって保持される全てのファイバーが実質的に同じ平面上に配置される。一実施形態では、ファイバー端部が、機械的力、接着剤、または機械的力および接着剤の組合せを使用して所定の位置に固定され得る。ファイバーは、それらを所望の位置およびパターンに保つため、ならびに/またはレーザー発射に起因する機械的エネルギーの出力を減らすために、それらの遠位端の近くで接着され得る。一実施形態では、ライトバーガイド1722内で固定された光ファイバー間のスペースが、次の特性の1つまたは複数を有する材料で充填され得る:吸音、光散乱、白、および/または光反射。一実施形態では、光路132の遠位端でライトバーガイド1722によって包み込まれ得る、光ファイバーが融着される。光路132の遠位端でのファイバーの融着は、光路から放出する光がより均一にされるのを可能にすることができる。
一実施形態では、反射コーティングが、組み立てられたプローブを含む、シェル1702、1704の、光路132から発散するレーザー光がその上に当たり得る面積、ならびに、皮膚を、例えば、光学窓1603およびプローブ102の遠位端の他の部分の近くに接触させるように設計された面積内に、配置される。一実施形態では、シェル1702、1704が、光路132から発散するレーザー光がそれに当たり得るか、またはそれに当たる可能性がある場所に、金でコーティングされる。一実施形態では、シェル1702、1704の一部が金で作られ得るが、現在のところ、これは法外な費用がかかり得る。
一実施形態では、近接検出器システム(図示せず)は、プローブ102の遠位端が、体積の表面の上または非常に近くにあることを判断するために使用される。理由の中で特に、かかる近接検出器システムが望ましいのは、プローブ102が、検査中または検査される予定の体積160にそれほど近接していない場合に、光源129がパルスを発するのを防ぐために、それを使用できることである。これは、光源129が、例えば、目に害を及ぼし得るレベルで光を発生し得るので、安全性の問題であり得る。近接検出器システムは次の形で実現され得る:プローブの遠位端における機械的接触スイッチ;無害のビームの反射を体積160の表面から見る光学的スイッチ;体積160および/または体積160とプローブの遠位端との間の任意の音響ジェルもしくは他の材料との接触によって閉じられる伝導性スイッチ;伝導性スイッチおよびプローブ102の遠位端との接触用の導電性表面を含むスタンドオフ;伝導性スイッチおよび対象の体積160の表面に適用された薄く、光学的かつ光音響的に透明な導電性表面;特定の時間内で音を伝導し、その反射を探すことによって、体積160の近接近を検出できる音響トランスデューサスイッチ;狭い形状の音声送信器および受信器の使用ならびに近接を検出するための反射の使用によって、体積160の近接近を検出できる音響トランスデューサスイッチ;信号リターンを探すことにより、トランスデューサ配列内の1つあるいは複数のトランスデューサを近接検出器として使用すること;または装置100を超音波モードで操作して、超音波画像を探すことによる。
一実施形態では、出力エネルギーがそこから推定または推測できる測定値を取得するために、光学検出器(図示せず)がプローブ102内に配置され得る。一実施形態では、光学検出器は、ビーム拡大器または光学窓によって反射されたエネルギーなどの、反射エネルギーを測定する。一実施形態では、光学検出器は、ギャップ1802を取り囲んでいる材料によって散乱されたエネルギーなどの、散乱エネルギーを測定する。光学検出器の測定値は、制御信号線109を経由してシステム筐体101に伝達でき、そこで、それは、プローブ102の光出力を推測または推定するために分析できる。一実施形態では、システム筐体101内の制御機能が、光システム129の光出力、従って、光学検出器によって行われた測定値に基づくプローブ102の光出力を制御または調整できる。一実施形態では、システム筐体101内の制御機能が、光学検出器によって行われた測定値に基づきプローブ102の光出力の変動を補正するために、トランスデューサ受信器内の利得を制御または調整できる。一実施形態では、コンピューティングシステム128は、光学検出器によって行われた測定値に基づき、異なる活動を、制御信号線106を通じて光システム129からトリガーできる。一実施形態では、光学検出器によって出された測定値が、装置101に対する電気システムまたは電力における変動を制御するために使用できる。同様に、一実施形態では、光学検出器によって作成された測定値が、装置100の光路132または他の光学要素における変動を制御するために使用できる。一実施形態では、光学検出器は、プローブ102によって出力された光のフルエンスを、安全限界を超えるか、またははるかに下回らせ得る、電気的または光学的特性における変動に対応させることにより、安全限界に近接してはいるが下回らせるために使用できる。
一実施形態では、安全機能は、システムが作動中に(例えば、レーザーが発射されているとき)、プローブ102の可撓ケーブルからの切断を防ぐものとされる。この安全機能を実現するために、一実施形態では、システム100は、制御線(複数可)109を使用して、プローブと可撓コネクタとの間のコネクタに機械的なロックを作動できる。一実施形態では、フェールセキュアな機械的ロックが、特定の制御線(複数可)109が事前指定された量よりも大きい電圧であった場合に、プローブ102の可撓ケーブルからの切断を可能にするに過ぎない。
前述のように、装置100は、一実施形態では、超音波および光の両方を体積160に伝導することが可能であり、伝導された超音波および光に対する超音波応答を受け取ることおよび処理が可能である、プローブ102を含む。伝導された超音波に対する超音波応答は、通常、送信周波数のあたりの狭い帯域幅であり、約70%のパーセント帯域幅で、2Mhzを下回る有意義な応答を持たないが、他方、伝導された光に対する超音波応答は、通常、6MHz〜8MHzの範囲に中心が置かれた、約50KHz〜20MHzの範囲またはそれ以上など、通常、ずっと広い範囲である。一実施形態では、超音波は、トランスデューサ1710によって伝導および受け取られるが、他方、光は、光130、131によって伝導され、光路132をわたり、そして光学窓1603または他の開口部を経て、それに対する超音波応答が、光音響効果によって標準的に生成されるより高い周波数範囲を受け取るように調整された別個のトランスデューサ(図示せず)によって受け取られる。別々のトランスデューサは、例えば、200オームを超え、好ましくは、約500オーム以上である、インピーダンスを有する、高インピーダンス増幅器とともに操作される。光音響応答が別々のトランスデューサによって、または超音波応答に対する使用とは異なるインピーダンス負荷を使用する同じトランスデューサによって受け取られる場合、超音波応答を表す信号は、光音響応答を表す信号とは別の電気路108のワイヤー上で、システム筐体101に戻され得る。
一実施形態では、超音波が、トランスデューサ1710によって伝導されて、それに対する超音波応答がトランスデューサ1710によって受け取られ、また、光は、光130、131によって伝導され、光路132をわたり、光学窓1603を出て、それに対する超音波応答も、トランスデューサ1710によって受け取られる。かかる実施形態では、トランスデューサ1710は、1Kオームを超えて約100K未満、より好ましくは、2K〜10Kオームの間の入力インピーダンスを有する、高インピーダンス増幅器とともに操作される。例示的実施形態では、トランスデューサ1710は、5Kオーム入力インピーダンス増幅器とともに操作され得る。
プローブ102が、超音波トランスデューサ1710および光音響効果によって標準的に生成されるより高い(より広い)周波数範囲を受け取るように調整された別個のトランスデューサ(図示せず)を備える一実施形態では、光130、131によって伝導され、光路132をわたり、光学窓1603を出る光に対する光音響応答は、トランスデューサ1710および別個のトランスデューサの両方によって受け取られ得る。光音響効果に応答した超音波を受け取るためにトランスデューサの両方のセットを使用すると、体積160内のターゲット161、162をより良く分析するために使用できる追加のデータを捕捉し得る。
図21〜図23を参照すると、プラスチゾルから形成されたファントムが、登録および較正に有用である。図21は、光音響撮像装置ならびに/またはマルチモーダルな超音波および光音響撮像装置に関連して使用されるファントム2100を示す。ファントム2100は、いくつかのターゲット2102、2104、2106を含む。一実施形態では、ターゲット2102、2104、2106は異なっており、1つは第2の刺激ではなく、特に第1の刺激に応答し、1つは第1の刺激ではなく、特に第2の刺激に応答し、そして1つは、特に第1および第2の両方の刺激に応答する。一実施形態では、第1の刺激は、第1の波長での光音響パルスであり得、第2の刺激は、第2の波長での光音響パルスであり得る。一実施形態では、第1の刺激は従来型の超音波信号であり、第2の刺激は、1つまたは複数の波長での光音響パルスであり得る。材料を様々な刺激に応答させるようにするため、ドーピングが一般に使用される。光音響応答に対して、材料が、関連する1つまたは複数の周波数で、吸収体をドープされる。超音波応答に対して、材料が、より高密度になるようにドープされる。ファントム2100を使用すると、第1または第2の刺激に対する応答が明示できるか、またはターゲット2102、2104、および/もしくは2106がドープされる程度に応答して較正できる。これにより、ターゲット応答を区別するのが困難なドーピング割合の判断が可能になる。
図23は、光音響撮像装置ならびに/またはマルチモーダルな超音波および光音響撮像装置に関連して使用されるファントム2300を示す。ファントム2300は、プラスチゾルに埋め込まれたいくつかのターゲット2302、2302を含む。一実施形態では、ターゲット2302、2304は、一般に線形であり似ている。一実施形態では、ターゲット2302、2304は、天然または合成の馬の毛である。ファントム2300を使用すると、光音響または超音波などの複数のモダリティを位置合わせすることができる。一実施形態では、マルチモダリティプローブが、ファントムに結合されて、各モダリティの出力を示す画像が、相互に重ね合わされて画面上に提示される。ジョイスティックまたは他の入力装置を使用して、オペレータは手動で画像を位置合わせすることができ、このようにして、マルチモダリティプローブに対して位置合わせを提供する。一実施形態では、モダリティの各々の画像が、コンピュータによって比較されて、自動的に位置合わせされる。
図22は、光音響撮像装置ならびに/またはマルチモーダルな超音波および光音響撮像装置に関連して使用されるアクティブなファントム2200を示す。ファントム2200は、プラスチゾルに埋め込まれたアクティブなターゲット2212、およびターゲット制御2201を含む。一実施形態では、アクティブなターゲット2212は、バッキング2211上のトランスデューサ2210の線形配列を含み、トランスデューサ2210は、アクティブなターゲット2212の本体、コネクタ2214を通じ、電気路2208によってターゲット制御2201に動作可能に接続されている。ターゲット制御2201は、トランスデューサ2210を駆動する信号を生成できる。一実施形態では、ターゲット制御801は、既知の超音波パターンを出力し、かつ/または光音響帰還信号をシミュレートするために、信号を選択的に作成する。ファントム2200を使用すると、光出力システムの整合性を気にすることなく、光音響装置100の光音響帰還信号受けとりおよび処理部分の試験および較正を可能にする。
前述および、前述の図に示すように、プローブ102は、光音響帰還信号を音響レンズ1605を通して受け取るように適合されている、トランスデューサ1710の線形配列を有し得る。他のトランスデューサ形状も望ましい。図24A〜図24Cを参照すると、様々な実施形態では、線形トランスデューサ配列が、配列の中心部分の平面からの角度で、突き出るか、または、概ね楕円もしくは半円の形状であり得る側面によって配向され得る。図25A〜図25Cを参照すると、様々な実施形態では、トランスデューサ配列が、大まかに示すように、2次元形状で提供され得る。図は、少数のトランスデューサのみ、例えば、1行あたり7つ、を示すが、実際には、もっと多くのトランスデューサが使用され得る。前述のように、一実施形態では、1行あたり128以上のトランスデューサが使用され得る。例えば、図25Aでは、アスタリスク型構成の単純なデカルト座標上に整列され、共通の中心トランスデューサを共有する、トランスデューサの4つの概ね線形配列を含む、例示的配列が示されている。図25Bでは、トランスデューサの3つの概ね線形配列を含む例示的配列が示されており、そこでは、トランスデューサが、様々な配列において同心円上に互いに同様に離れて配置され、また、アスタリスク型構成で共通の中心トランスデューサを共有して整列されてもいる。図25Cでは、単純なグリッドに配置されているトランスデューサの3つの概ね線形配列を含む、例示的配列が示されている。
示された多数の形状の各々に関して、光音響帰還信号から画像を展開するために、(i)トランスデューサが、光音響帰還信号を検出するために使用される場合、対象のターゲット(複数可)を含む体積160に結合されていること、および(ii)検出された光音響帰還信号が、トランスデューサのスペース内での互いの相対位置に関する情報を使用して処理されること、を必要とする。トランスデューサのスペース内での互いの相対位置が分かっていて、光音響帰還信号を処理する際に使用されるという条件で、トランスデューサは、体積160に結合されている場合、その体積160の形状に適合する柔軟な配列で使用され得る。
一実施形態では、光音響プローブが、レーザーなどの、光音響刺激が採用された後のある期間、トランスデューサをサンプリングすることにより光音響帰還信号を検出するために使用できる。一実施形態では、光音響帰還信号の所望の内容の少なくとも一部は、約100KHz〜12MHzの周波数範囲内である。従って、光音響帰還信号は、30MHzでサンプリングされ得るが、それは、信号の所望の内容の少なくとも一部に対して十分なサンプリングレートである。一実施形態では、サンプリング機器は、65MHzで最大256までのチャネルをサンプリングできる。一実施形態では、光音響プローブは、128または256個のトランスデューサを有する場合があり、30MHzで、またはその前後でサンプリングされ得る。
一実施形態では、光音響プローブは、複数のトランスデューサ要素を通して、またはトランスデューサ要素の複数のグループを通して、掃引することにより、光音響帰還信号を検出できる。例えば、図25Aに戻ると、25の図示された例示的トランスデューサ要素が、7つの、4グループ2510、2515、2520、2525で示されていて、各グループが共通の中心要素を共有することに留意されたい。一実施形態では、レーザーからなどの、光音響パルスの後、光音響帰還信号の検出の第1のサイクルが、まず1つのグループ2510を、次いで、第2のグループ2515、その後、第3のグループ2520、そして第4のグループ2525を通して実施できる。光音響帰還信号の検出のその第1のサイクルが完了すると、第2のサイクル、第3のサイクルなどが継続し得る。65MHzで最大256までのチャネルをサンプリング可能な前述の実施形態で述べたサンプリング機器は、30MHzで256のトランスデューサの2つの別々の配列、または30MHzで128のトランスデューサの4つの配列のサンプリングも可能である。その結果、図25A〜図25Cに示すような実施形態では、サンプリング機器は、重なり合う2つ以上のグループ(例えば、図25A〜図25B)、または固有(例えば、図25C)のトランスデューサを通して掃引するために使用され得、従って、単一のレーザーパルスの発射などの、単一の光音響事象に応答して光音響帰還信号をサンプリングし得る。
当業者には明らかであるように、サンプリング機器は、前述した例示的な1つよりも高いレートでのサンプリングが可能である。もっと多くのチャネルまたはもっと速いレートでサンプリングできるサンプリング機器を使用すると、多数の総サンプルが、単一の光音響事象に応答して生成されるのを可能にする。その結果、単一の光音響事象に応答して、そこから掃引される、前述で例示したよりも、大きなグループ、および/または多くのグループのトランスデューサを使用することは、本明細書および本明細書で開示される発明の範囲内である。
前述の異なるトランスデューサの形状の各々に関連して、利点がある。真っ直ぐな線形配列は、コンパクトで、費用効率が高くて、扱いやすく、標準的な超音波Bモード撮像で最も一般に使用される。曲線状または翼状の線形配列は、照射された体積により良く適合し得、従って、より良い結合を提供する。非線形(複数行、1.5次元としても知られている)配列は、所与のボクセルからの光帰還信号を解決するための追加の角度を可能にするが、それは、解像度を向上させ、かつ/もしくは明瞭さおよびコントラストを画像に追加し得、ならびに/または3次元撮像用途をより良くサポートし得る。可撓性配列は体積に対するより良い結合を提供することもできる。非線形配列は、超音波用に最適化されているトランスデューサ要素が、光音響用に最適化されているトランスデューサ要素と同じプローブ内に共存可能にできる。異なるトランスデューサ要素が、USまたはOA画像のいずれかを作成するために使用される。
光音響帰還信号は、一般に、約100マイクロ秒未満の窓内で取得できる。約1,500m/秒の組織内の音速に対して一般に認められている近似値を使用すると、100マイクロ秒の取得窓は、約15センチメートルまでの深さに対応し得る。一実施形態では、光音響帰還信号が、約65マイクロ秒の窓内で取得でき、約10センチメートルの深さからの情報を含む。一実施形態では、光事象の頻度が、一般に、約50〜100ミリ秒(0.05〜0.1秒)ごとであると予測される。その結果、データ取得は、時間の1%未満、時間の0.1%または0.2%の間により近く、で起こり得、データ取得が生じていない99%を超える時間が残る。電気的ノイズが、システム100の光サブシステム129および/または他の構成要素に電力を供給することにより作成され得る。その結果、一実施形態では、電気的ノイズがデータ取得に影響を及ぼすのを防ぐために、同期化を利用して、その期間中に不必要な構成要素に電力を供給するのを防ぎ、前置増幅器、アナログ/デジタル変換器およびマルチプレクサに対してのみ電力を残す。一実施形態では、電力とデータ取得との間の同期化は、電力システムが、取得期間中、最適に電気的に静かであることを可能にする。一実施形態では、これは、この期間中に騒がしいデジタル構成要素の電源を落とすか、またはこの時に充電されたコンデンサが取得ハードウェアに電力を供給することを可能にすることにより達成され得る。一実施形態では、これは、取得サイクルを開始するのと同じトリガーによってトリガーされ、取得サイクルに含まれない周辺構成要素のオン/オフを制御するために、マスタープロセッサによって制御される。一実施形態では、これには、数ナノ秒〜数マイクロ秒かかる。一実施形態では、同じ同期化信号が、OAシステム内および/またはOAシステムに関連した、1つまたは複数の他のスイッチング電力供給を同期させるために使用できる。1つまたは複数のかかるスイッチング電力供給を制御することにより、電力供給によって生成される電気的ノイズ(例えば、スイッチング過渡現象)が、同時に生じさせられ得る。一実施形態では、同期化信号を使用することにより、OAシステム内の電力供給によって生成される電気的ノイズを、意図的にずらすことができ、その間にデータが取得され得る、電気的に静かな一時的な窓を残す。
一実施形態では、光源130、131のための電力を生成する少なくとも1つのスイッチング電力供給は、そのスイッチング動作を妨げるための外部制御(これ以後、ブランキング信号)を備える。データ取得は、光源からの光のパルスの後の特定期間の間、サンプリングするよう適合される。例えば、一実施形態では、サンプリングは光パルスの10μs後に開始し、サンプリングは31.25Mhzのサンプリングレートで約65μs間継続するであろう。一実施形態では、同期検出器3903、3913は光事象を検出するために用いられ得る。他の実施形態では、サンプリングは、第1光源からの光パルスの5μs後に、しかし第2光源からの光パルスの7μs後に開始し、第1光源に対しては31.25Mhzのサンプリングレートで約65μs間継続し、第2光源に対しては31.25Mhzのサンプリングレートで約63μs間継続し得る。ここでも、同期検出器3903、3913は光事象を検出し光源間を区別するために用いられ得る。
一実施形態では、光音響処理およびオーバーレイシステム140は、光音響システムにおける特定動作(光源130および131からの光事象の開始、データサンプリング動作のトランスデューサデータのサンプリング開始、データ取得期間におけるスイッチング電源のスイッチング動作を妨げるためのブランキング信号の利用を含む)の順序を制御することができる。一実施形態では、データの取得を開始する前に、光音響処理およびオーバーレイシステム140は光事象を発生させ、ブランキング信号を開始する。たとえ毎秒20フレームであったとしてもデータ取得期間はきわめて短時間(すなわち65μsの20倍、または電源切り替えの合計動作時間の精々0.2%未満)であり、安全マージンが用いられ得、ブランキング信号はデータサンプリングが開始する前に(すなわち同期検出後にまったく遅延なく)発行され得、100μs以上の間保持され得る。
前述のように、一実施形態では、同一のトランスデューサが、音響生成超音波を受け取る、光音響帰還信号を受け取るために使用される。音響生成超音波トランスデューサの形状は、光音響帰還信号を受け取ることに最適ではない。したがって、一実施形態では、別個のトランスデューサが、音響生成超音波および光音響帰還信号に対して使用される。音響生成超音波トランスデューサは、トランスデューサ自身が、検出するためにそれが必要とする信号を送信するので、より狭い帯域を有し得る。光音響帰還信号トランスデューサは、例えば、50KHz〜20MHzなどの、より広い帯域を有し得る。このより広い帯域が好まれるのは、特に、利得が、光音響帰還信号上で深さに伴ってより速く低下するからである。従って、一実施形態では、複数のトランスデューサが、音響生成超音波を受け取るために使用され、別の複数のトランスデューサが、光音響帰還信号を受け取るために使用される。一実施形態では、音響生成超音波を受け取るために使用される複数のトランスデューサおよび、光音響帰還信号を受け取るために使用される別の複数のトランスデューサが、ほぼ同数のトランスデューサを含む。一実施形態では、音響生成超音波を受け取るために使用される複数のトランスデューサおよび、光音響帰還信号を受け取るために使用される別の複数のトランスデューサの各々は、少なくとも128のトランスデューサを含み、より好ましくは、少なくとも192のトランスデューサを含み得る。一実施形態では、音響生成超音波を受け取るために使用される複数のトランスデューサおよび、光音響帰還信号を受け取るために使用される別の複数のトランスデューサの各々は、少なくとも256のトランスデューサを含む。一実施形態では、光音響帰還信号を受け取るために使用されるトランスデューサが、音響生成超音波を受け取るために使用される別のトランスデューサよりも広い帯域周波数応答を有する。かかる実施形態では、光音響帰還信号を受け取るために使用されるトランスデューサは、少なくとも約1MHz〜5MHz、より好ましくは、約100KHz〜約10MHz、さらにもっと好ましくは、約50KHz〜約20MHzの周波数応答を有する。かかる実施形態では、光音響帰還信号を受け取るために使用されるトランスデューサは、1KΩ以上、より好ましくは、5KΩ以上などの、高インピーダンス増幅器を使用し得る。かかる実施形態では、音響生成超音波を受け取るために使用されるトランスデューサは、1KΩ未満、より好ましくは、約200Ωのインピーダンスを有する増幅器を使用し得る。別々のトランスデューサの使用は、中継システム110、およびトランスデューサ出力の切替え、従って、光音響処理およびオーバーレイシステム140と超音波機器150との間の切替えに対する必要性を取り除く。
前述のように、一実施形態では、同一のトランスデューサが、音響生成超音波を受け取る、光音響帰還信号を受け取るために使用される。同一のトランスデューサが、音響生成超音波を受け取る、光音響帰還信号を受け取るために使用される場合、約1〜10KΩの範囲内のインピーダンスを有する増幅器が使用されるべきであり、より好ましくは、ほぼ5KΩのインピーダンスを有する増幅器が使用されるべきである。
一実施形態では、光音響帰還信号のサンプリングが様々な方法で実行され得、サンプリングされたチャネルの各々に関連付けられた増幅器の利得が、時間とともに調整されるが、以後、それを減衰補正またはTGCと呼ぶ。TGCは、光音響帰還信号が弱くなるにつれて、音響入力での利得を増加させ、従って、より正確に信号をサンプリングし、信号が弱くなったときにもっと正規化された収集データを提供して良好な信号対ノイズ比を維持する。光音響帰還信号は、後の光音響帰還信号が一般により遠くまで進むことを含め、いくつかの理由で、時間とともに弱まる。従って、一般に、光音響帰還信号は、ターゲットの深さが増すにつれて弱くなる。しかし、光音響帰還信号の振幅(および、従って必要とされる利得)は、照射の位置および光源によっても影響を受ける。一般に、光は深い深さまであまり透過せず、従って、光音響帰還信号は弱まるが、これは、体積の表面で生じる光音響事象が、一般に、深さが深くなればより小さい応答を誘発するためである。TGCは、後のより弱い光音響帰還信号を補正するために利用される。
光音響装置100は、光サブシステム129の電力を測定し、それから、総電力およびピーク電力の両方、および光路132の性能および効率を推測できるセンサー(図示せず)を含み得る。一実施形態では、光検出器などのセンサーが、光サブシステム129内またはそれにごく近接して、かつ、プローブ102内またはそれにごく近接して、配置できる。各事例では、センサーは、総電力およびピーク電力の推測に使用できる光130、131の照射中に測定を行う。この目的のため、1つまたは複数のセンサーが、光学窓からの反射を測定するために、プローブ102の内部に配置できる。同様に、1つまたは複数のセンサーが、光サブシステム129内に配置されて、その中で反射される光を測定できる。2つのセンサー位置間で推測される測定値における経時的な偏差は、光路132内の異常を示し得る。
ここで、プローブ102内またはそれにごく近接した光検出器などのセンサー(図示せず)を有するシステムの一実施形態を述べる。一実施形態では、1つまたは複数のセンサーが、光学窓からの反射を測定するために、プローブ内部の、ギャップ1802内に配置され得る。代替または追加として、一実施形態では、1つまたは複数のセンサーが、光路132を構成する、1つまたは少数の複数の光ファイバーからなど、光路132の構成要素から直接光を提供され得る。代替または追加として、一実施形態では、1つまたは複数のセンサーが、プローブ内に提供されている別の経路によって光を提供され得る。従って、例えば、1つまたは複数のセンサーが、光学窓1603の反対側のプローブの端部内に配置でき、補助光路(図示せず)が、例えば、光路132から直接、または光学窓からもしくは他の方法で反射された、光を、1つもしくは複数のセンサーに搬送する。代替または追加として、一実施形態では、1つまたは複数のセンサーが、光路132内で生じた光を、それが3次元体積160の表面から反射された後、検出するように配置され得る。3次元体積160の表面から反射された光を検出するように配置されたセンサーからの情報を、光学窓1603を経て体積160に向かって伝導された光に関する情報(光サブシステム129または光学窓1603からの出力を測定するセンサーからの情報など)と組み合わせて使用して、体積160に関する診断情報を提供できる。かかる診断情報は、体積160の吸収性、または暗さを含み得る。
一実施形態では、前述のセンサーが、光学フィルタの使用を通じて、特定の波長に調整できる。従って、例えば、プローブ102内またはそれにごく近接したセンサー、光サブシステム129内またはそれにごく近接したセンサー、補助光路からの光を受け取るセンサーおよび/または体積160の表面から反射された光を検出するように配置されたセンサーは、光サブシステム129によって発生された光の波長および/または任意の外部からの光を区別するためにフィルタ処理できる。その結果、センサーは、2つの光源130、131の1つからの光などの、特定の光周波数を検出するため(または潜在的に拒絶するため)に提供され得る。
一実施形態では、プローブ102内またはそれにごく近接した1つまたは複数のセンサーが、光音響帰還信号データ検出を開始するためのトリガーシステムおよび方法の一部として使用できる。かかるトリガーシステムまたは方法では、1つまたは複数のセンサーによって光の特定の閾値を検出すると、検出制御信号をコンピューティングサブシステム128に送信できる。一実施形態では、検出制御信号は、電力および制御信号線109を通じて、光音響処理およびオーバーレイシステム140に送信される。検出制御信号は、光音響帰還信号データを取得するプロセスを、例えば、超音波トランスデューサ要素からのデータを「サンプリング」することにより、(もしあれば、任意の適切な遅延の後に)開始するために、コンピューティングサブシステム128によって使用される。前述のように、1つまたは複数のセンサーは、特定の光周波数を検出するために光学的にフィルタ処理できるので、検出制御信号は、光の1つまたは複数の周波数に固有であり得、光の異なる周波数に基づいて、異なるサンプリングレート、または遅延を開始し得る。
一実施形態では、プローブ102内またはそれにごく近接した1つまたは複数のセンサーが、光音響システム100を安全に開始し、次いで、レーザーをその安全な出力ポテンシャルにするためのシステムおよび方法の一部として使用できる。レーザー光源(例えば、130、131)は、一般に、制御可能なパワー出力を有するが、その設定に関わらず、多くの要因が、光源による総パワー出力に影響し得る。例えば、周囲温度が、レーザーによるパワー出力に影響し得る。同様に、電力における変動も、レーザーによるパワー出力に影響し得る。加えて、光路132が、レーザー光源(例えば、130、131)の光出力に悪影響を与え得る。光路132内のファイバーが、それらが古くなるか、または使用されるにつれて、バーンアウトするか、または透過特性を喪失し得る。さらに、曲がって位置付けられているファイバーは、透過特性を喪失し得る。従って、光源(例えば、130、131)を特定の出力レベルに設定することは、光路132の他方の端部、最終的には、体積160に達する光を必ずしも決定しない。その結果、一実施形態では、光源(例えば、130、131)は、比較的低パワーに設定される。比較的低パワーは、すべてがそのピーク出力または透過性で機能している場合に、体積160上の所望の最大フルエンスを超えないパワーになるように選択されるべきである。一旦、光源(例えば、130、131)がパルスを発すると、1つまたは複数のセンサーからの測定値が、体積160に伝導される光のフルエンスを推測するために使用される。この推測されたフルエンスが所望のフルエンスレベル(または所望の範囲のフルエンスレベル)よりも低い場合、光源からの出力が増加でき、プロセスが繰り返される。同様に、推測された光フルエンスが所望の最大値よりも高い場合、光源からの出力が減少できる。システム100は、毎秒、かなりの数のレーザー事象が可能であるので、光出力に対する増加率、従って、レーザー事象間のフルエンスレベルにおける潜在的な増加を、比較的小さく保つことできる。一実施形態では、光源からの出力における変化量が、推測されたフルエンスが所望のフルエンスレベル(またはフルエンスレベルの所望の範囲)とかけ離れている場合により大きくなり得、また推測されたフルエンスが所望のフルエンスレベルに近接している場合にはより小さくなり得る。
光音響システムを安全に開始して、レーザーをその安全な出力ポテンシャルにするための方法を提供することに加えて、同じプロセスが、レーザーフルエンスが監視および制御されていること、ならびに、それが、安全限界の何らかのマージンに近づく事前定義された閾値を超える範囲で、その出力パワーが低下できることを確実にするために、閉ループ制御として実行できる。同様に、そのプロセスを閉ループ制御として操作することは、システム100の動作条件(例えば、周囲温度および電力)が変化する時でさえも、また、光路132の既存または変化する条件に関わらず、レーザー出力が最大限の好ましい設定にセットされていることも確実にする。レーザーをその最高安全レベルで、またはそれに近接して維持することは、最大の光フルエンス、従って最強の光帰還信号を可能にする。一実施形態では、ターゲットのフルエンスレベル、ターゲットのフルエンスレベル近くの許容可能なヒステリシス、および最大フルエンスレベルの1つまたは複数が、ユーザ選択可能であり、選択される場合、レーザーを指定通りに維持するために閉ループ制御として実行する処理によって使用できる。閉ループ制御プロセスは、パルスごとのパワー出力を正規化するために使用できる。
一実施形態では、1つまたは複数のプローブに近接したセンサーで取得された測定値が、所与のレーザー出力に対する事前定義された閾値を下回る場合、フェイルセーフとして、レーザーは遮断される場合がある。かかるレベルは、光路132の障害もしくは脱離、または他の安全でない状態を反映し得る。
プローブ102内またはそれにごく近接した1つまたは複数のセンサーおよび光サブシステム129内またはそれにごく近接した1つまたは複数のセンサーを有する一実施形態では、センサーは、光路132内の障害を検出するため、または光路内の障害に対して安全制御を提供するためのシステムまたは方法の一部として利用できる。一実施形態では、光サブシステム129の光出力は、光路132の光出力および光学窓1603を出る光フルエンスに比例すると予測される。1つまたは複数の光サブシステムに近接したセンサーの使用は、いくつかのセンサー上に入射する光の予期される量における差異の検出を可能にできる。前述のように、光路132は、レーザー光源(例えば、130、131)の光出力に悪影響を与え得る。例えば、光路132は、束内のバーンアウトしたか、古いか、または損傷したファイバーによって悪影響を与えられ得る。従って、光源(例えば、130、131)を特定の出力レベルに設定することは、光路132の他方の端部、最終的には、体積160に達する光を必ずしも決定しない。1つまたは複数の光サブシステムに近接したセンサーおよび1つまたは複数のプローブに近接したセンサーの両方を採用することにより、光路132の性能を検出および監視できる。
一実施形態では、1つまたは複数の光サブシステムに近接したセンサーが、光路132に入る光のパワーを測定するために使用され、1つまたは複数のプローブに近接したセンサーが、光路132を通って伝導されている光のパワーを測定するために使用される。1つまたは複数の光サブシステムに近接したセンサーで取得された測定値が、1つまたは複数のプローブに近接したセンサーでの測定値を予測するために使用され得る。一実施形態では、1つまたは複数のプローブに近接したセンサーでの予測された測定値からの偏差が、光路132で潜在的な問題を識別するために使用できる。一実施形態では、センサー測定値が、その事象に関する他のデータとともに記録される。一実施形態では、偏差が査定されて、処置を講ずる必要があるかどうか、例えば、ユーザが光路132の接続をチェックする必要があるかどうか、または光路132が保守(例えば、矯正、クリーニング、ラッピングおよび研磨、または他の保守)、あるいは交換さえ、を必要としているかどうかを判断する。一実施形態では、1つまたは複数のプローブに近接したセンサーで取得された測定値が、事前定義された量を上回って、その予測された測定値から外れている場合、フェイルセーフとして、レーザーは遮断される場合がある。かかる偏差は、光路132の障害もしくは脱離、または他の障害もしくは安全でない状態を表し得る。
プローブ102内もしくはそれにごく近接した1つもしくは複数のセンサーおよび/または光サブシステム129内またはそれにごく近接した1つまたは複数のセンサーを有する一実施形態では、そのセンサーからの測定値が、(指示された光出力を含む)マシンの他の設定に加えて、光音響帰還信号などの、光パルスに関連する他のデータとともに、格納されるべきである。
一実施形態では、1つまたは複数の埋め込まれた感光センサーを含む較正ファントムが提供される。前述のセンサーと同様に、ファントム内のセンサーが、配光だけでなく、総電力およびピーク電力を推測するために使用できる。ファントムセンサーと他のセンサーとの間で推測された測定値における経時的な偏差は、同様に、異常を示し得る。さらに、ファントム内とプローブ内の様々なセンサーの測定値との間の経時的な変化が、プローブの光出力の均一性に関する問題を示し得る。システムトランスデューサではなくかかるセンサーを使用すると、音響的に困難な事柄を回避し、従って、トランスデューサ自体によって取り込まれる誤差を除去する。
一実施形態では、第2の較正ファントムに、センサーではなく音響ターゲットが提供され得る。かかるファントムの使用は、センサー自体によって取り込まれ得るいかなる誤差も除去する。音響ターゲットおよびセンサーファントムの両方を使用した較正は、クロスチェックを提供して、較正誤差の可能性を弱める。減衰補正は、適切に較正される必要がある。
手短に図40を参照すると、較正システム収容ユニット4000の一実施形態が示される。較正システム収容ユニット4000は、プローブ102を受け入れるための十分な高さおよび幅を有する開口部4006と、プローブ102が較正システム収容ユニットに挿入されたときにプローブ102の存在を検出するためのセンサー4005と、プローブ102の過剰挿入を防止し、プローブ102の挿入をメータ4007から一定距離で停止させるための止め具4008と、を備える。一実施形態では、メータ4007は光サブシステム129により出力される主波長のそれぞれに較正されたセンサーである。一実施形態では、メータ4007は、光エネルギーの測定が可能であり、且つND:YAGレーザーおよびアレキサンドライトレーザーに対して較正されたセンサーである。一実施形態では、メータ4007は光検出器である。一実施形態では、メータ4007は熱測定装置である。一実施形態では、メータ4007は、プローブ102の光出力全体を測定するために十分な大きさを有する。一実施形態(図示せず)では、パワーメータは、プローブ102の光出力全体を測定するために十分な大きさを有さないが、出力全体は、メータ4007のエリアと光学窓(複数可)106のエリアとの重ね合わせに基づいて推定される。光サブシステムが、光パルスがプローブの遠位(アクティブ)端部から放出されるよう、光パルスを出力すると、センサーは光エネルギーおよび/またはパワーに比例する測定値を提供する。一実施形態では、光サブシステムおよびQ−スイッチ遅延に対する電圧は一定であり、したがって、電力出力を調節するために光減衰器3902、3912が用いられる。
一実施形態では、光音響処理およびオーバーレイシステム140の較正モードは、プローブセンサー4005が較正システム収容ユニット4000においてプローブ120の存在を検出した場合のみに、光サブシステム129の光源130、131のうちの少なくとも一方で動作する。光源130、131の少なくとも一方が光事象を発生させた後、光音響処理およびオーバーレイシステム140はメータ4007により測定されたパワーまたはエネルギーを判定し、調節が適切であるかどうかを判定する。メータ4007によりプローブ102において測定されたパワーまたはエネルギーが、高すぎるかまたは低すぎる場合、プローブ102においてより多くの出力エネルギーまたはより少ない出力エネルギーを要求する光源130、131に連合された光減衰器3902、3912を調節する(例えば回転させる)ことにより、調節は行われ得る。一実施形態では、同期検出器3903、3904の出力が、調節を必要とする状況が光源130、131のうちのいずれの原因によるものであるかを判定し、次に較正機能が光減衰器3902、3912を調節することができるよう、較正において用いられ得る。
一実施形態では、メータ4007は、第1主波長および第2主波長におけるパワーを判定するために較正され、第1光源における光事象を反映する同期信号が検出された後少なくとも1つの光学窓106の近傍で第1主波長におけるパワーを測定し、第2光源における光事象を反映する同期信号が検出された後少なくとも1つの光学窓106の近傍で第2主波長におけるパワーを測定するよう適合され、装置光音響システムは、必要に応じて、パワーメータにより測定されたパワーに基づいて、適切な光減衰器を電気的に減衰させる。
一実施形態では、メータは光学窓106の近傍に配置されてもよく、または別様に光路132から出力された光を測定でき得る。係る実施形態では、光音響処理およびオーバーレイシステム140は、光源の各動作後に(または所望により他の係る便利な間隔で)メータからの測定値を含み、係る測定値に基づいて適宜光減衰を増大化または減少化させ得る。光学窓106の近傍で動作中のメータは、エネルギーまたはパワー全体を推定するために、光学窓からの内部反射を用い得る。光路132から出力された光を測定するよう動作するメータは、エネルギーまたはパワー全体を推定するために、光路からの専用のファイバー(複数可)を用い得る。一実施形態では、光路132から出力された光を測定または推定するよう動作するメータの読取値はパワーメータ3904、3914の読取値と比較されるかまたは係る読取値に対して監視され得る。なぜなら、これら2つの測定値の相対的強度における変化は保守または安全問題を示し得るためである。
一実施形態では、較正履歴が保守目的のために記録される。例えば、較正履歴を用いると、光減衰器が耐用年数の終了時期に近づきつつあり、したがって交換が必要となるときを、または必要であるかどうかを知ることが支援される。同様に、突然の変化を識別することにより、システム障害(例えば光路における燃えたファイバーまたは光出力ポートにおける位置合わせの損失など)が示され得る。
ここで図41を参照すると、図41は光音響システムの特定部分を試験するときに用いるためのハードウェア試験システムの一実施形態を示す概略図を示す。一実施形態では、ハードウェア試験システムは、光音響システムの筐体(例えばカート3200など)の光出力ポートから出力された光を検出し、その検出に応答して、光音響処理およびオーバーレイシステム140に動作可能に接続された複数の導線上で信号を伝達するよう適合された光パルスセンサー4107を備える。一実施形態では、ハードウェア試験システムにより用いられる複数の導線は、束に組み立てられ、プローブ102からの電気路108および制御ライン(複数可)109をシステム筐体に接続するためのマルチピン電気コネクタと同一の形状因子を有するマルチピンコネクタで終端される。ハードウェア試験システムは信号出力ユニット4100も備える。一実施形態では、信号出力ユニット4100は複数の信号セットを格納し、トリガー事象に応答して、係る信号セットのうちの1つを出力し得る。一実施形態では、光パルスセンサー4107は、異なる波長で発生する光事象を区別することができ(例えばND:YAGレーザーから発したパルスとアレキサンドライトレーザーから発したパルスとを区別することが可能である)、対応するトリガーを1つまたは複数のトリガーワイヤ4106上で送信することができる。一実施形態では、光パルスセンサー4107は2つのセンサーを備える。一方のセンサーはそのトリガーワイヤ4106上で、ND:YAGレーザーパルスに対するトリガーを送信するが、アレキサンドライトレーザーパルスに対するトリガーは送信しない。他方のセンサーはそのトリガーワイヤ4106上で、アレキサンドライトレーザーパルスに対するトリガーを送信するが、ND:YAGレーザーパルスに対するトリガーは送信しない。一実施形態では、単一のトリガーワイヤが2つの別個の区別可能なトリガーを搬送する。一実施形態では、光パルスセンサーは信号出力ユニット4100内に存在し得、光出力ポートに接続された導波管は光パルスを光パルスセンサーに誘導し得る。
一実施形態では、信号出力ユニット4100により格納された信号セットのうちの少なくともいくつかは、トリガーする光源の結果として正常光音響モードで受信された場合には既知の光音響画像(例えば組織中の特定質量の光音響画像など)に解決されるであろうデータに対応し得る。一実施形態では、信号セットはペアとなっている。一方の信号セットは一方の光源に応答し、他方の信号セットは他方の光源に応答し、それにより、各光源の1つのパルスの後に既知の光音響画像および関連するパラメータデータに解決されるであろう(言い換えると、プローブ102が用いられないことを除いて、実際のライブ光音響画像からシステムを通して閲覧されると実質的に区別不可能である)情報が提供される。信号セットは、光音響システムのADCによりサンプリングエラーが生じることのないよう、伝達されるべきである。一実施形態では、例えばデジタルに格納された信号セットは、サンプリングと非同期である場合にはADCサンプリングレートの少なくとも2倍のレートで伝達されるべきである。一実施形態では、信号セットペアは、被験者の組織に対して光音響システムが動作することに応答して光音響システムにより実際に受け取られたデータを含むサイノグラムから作られ得る。一実施形態では、信号セットペアは、被験者の組織に対して光音響システムが動作することに応答して光音響システムにより実際に受け取られたデータを含むサイノグラムをアップサンプリングすることから作られ得る。これらの信号セットを有する光音響装置を使用することは、異なる組織に起因し得る変動または他の機能的変動のない既知のデータのシステムの処理に対する外部検証を可能にする。さらに、これらの信号セットを有する光音響装置の使用は、プローブ102、光路132、または電気路108に存在し得る問題を、排除することにより、抑制し得る。
一実施形態では、信号出力ユニット4100により格納された信号セットのうちの少なくともいくつかは、光音響システムの動作の結果としては当然生じ得ないデータ(これ以後、診断信号セット)に対応し得る。診断信号セットの例としては、光音響システムの動作の結果としては当然生じ得ない任意の1つまたは1グループのチャネル上で生じ得る特定のサイン波が挙げられ得る。ほぼ無数の他の診断信号セットが作られ得る。一実施形態では、光音響処理およびオーバーレイシステム140はこれらの診断信号セットのうちの1つまたは複数を認識することができ、係る認識に応答して、受信された特定の診断信号セットに関連する1つまたは複数のシステム診断を実行することができる。
一実施形態では、信号出力ユニット4100は選択器4108を備える。選択器4108は信号セット間で、または信号セットペア間で選択するために用いられ得る。選択器4108は機械的スイッチであってもよく、または適切なユーザインタフェース(例えばタッチスクリーンなど)を用いてソフトウェアで実装されてもよい。一実施形態では、信号出力ユニットは、様々な信号セットペアを有し、信号セットペアのうちの少なくともいくつかは、両方の光源の動作に応答して既知の画像およびパラメータデータを表示することを光音響システムに実行させ、信号セットペアのうちの少なくともいくつかは、光源の一方または両方の動作に応答して特定の診断を実行することを光音響システムに実行させる。
一実施形態では、ハードウェア試験システムは、超音波エネルギーを受け取り超音波エネルギーに応答するよう適合され得る。一実施形態では、既知の超音波画像を反映する少なくとも1つの超音波信号セットが、マルチピンコネクタおよび電気路4105を介して光音響システムから超音波エネルギーを受け取ることに応答して、光音響システムに戻る。一実施形態では、超音波信号セットは、光パルスに応答して用いられる信号セットペアのうちの1つまたは複数に対応し得、このようにして、光音響システムは、ハードウェア試験システムから戻った信号から計算されたオーバーレイされた画像を提示し得る。実質的に、光音響システムは、戻った信号が、実際の光音響動作からよりもむしろ試験システムから来たことを認識する必要はない。同様に、信号出力ユニット4100上の選択器4108は、光エネルギーに応答して送信された信号セットペアと、超音波エネルギーに応答して送信された超音波信号セットと、の両方を含むグループ間で選択するために用いられ得る。
一実施形態では、信号出力ユニット4100により格納された信号セットのうちの少なくともいくつかは、トリガーする超音波エネルギーの結果として正常光音響モードで受信された場合には既知の超音波画像(例えばビーム形成により)に解決されるであろうデータに対応し得る。信号セットは、光音響システムのADCによりサンプリングエラーが生じることのないよう、伝達されるべきである。一実施形態では、例えばデジタルに格納された信号セットは、サンプリングと非同期である場合にはADCサンプリングレートの少なくとも2倍のレートで伝達されるべきである。超音波信号セットを有する光音響装置を使用することは、異なる組織に起因し得る変動または他の機能的変動のない既知のデータのシステムの処理に対する外部検証を可能にする。さらに、これらの信号セットを有する光音響装置の使用は、超音波トランスデューサまたは電気路108に存在し得る問題を、排除することにより、抑制し得る。一実施形態では、診断信号セットのうちの少なくともいくつかは超音波エネルギーに応答して送信され得る。
さらなる実施形態では、線形または非線形配列が、物理的に互いに分離され得るが、それらからのデータは、同じ光音響事象に応答して回収され得る。図26を参照すると、実例として、2本アーム(またはそれ以上)の鉗子状のプローブ2600が、使用時に、摘み2605、2610を使用して、例えば、照射される体積の各側面上に物理的に位置付けることができるアーム2615から延出する線形または非線形のトランスデューサ配列2620を含み得る。別の例(図示せず)では、グローブの2本以上の指が、手動で位置付けることができるトランスデューサの線形または非線形の配列を含む。各事例において、使用中、一方の配列の他の配列に対する向きを知ることは、好ましくはあるが、必要ではない。また、体積に組み合わされたトランスデューサ配列の少なくとも一部が光音響帰還信号を検出することを可能にするために、光音響事象が体積を十分に照射することは必要であるが、光音響事象がプローブから生成されることは必要ではない。
図27を参照すると、データを前方伝送モードで取得することにより光音響画像を生成する際に使用するための、鉗子状のプローブ2700が示されている。プローブ2700は、レーザーなどの適切な光源からの光出力を投影できる光学窓2730の真向かいに位置付けられた線形または非線形のトランスデューサ配列2720を含み得る。光学窓をトランスデューサ配列から分離すると、光音響帰還信号のサンプリングプロセスを干渉するノイズの多数の原因を緩和する。
プローブ102内の各トランスデューサは、動作中にわずかな変動を示し得る。その結果、一実施形態では、一旦完了すると、プローブ102は、ファントム(図7〜図9を参照)など1つまたは複数の既知の試験対象に関連して検査され、試験対象からのプローブの測定された応答が記録される。一実施形態では、試験対象は、既知の光音響事象に応答して、またはファントムのアクティブ制御によってのいずれかで、既知の光音響帰還信号を生成することになる。既知/予期される光音響帰還信号からの変動が識別されて、その変動を含む各特定のチャネル(例えば、トランスデューサ)に関連付けられ得る。このようにして、プローブ独自の応答特性が、プローブごとに異なる範囲で、吸収でき、後の処理で正規化され得る。従って、特定のトランスデューサが、予期された信号と異なる信号を生成する場合、その差異が吸収でき、次いで、後に正規化される。
一実施形態では、プローブ独自の応答特性に関連する情報が、プローブ自身内に格納され得、電力および制御信号線109を介して、光音響処理およびオーバーレイシステム140に報告できる。代替実施形態では、プローブ独自の応答特性に関連する情報が、プローブの外部に格納され得、プローブのシリアル番号または他の識別子で関連付けされ得る。光音響処理およびオーバーレイシステム140は、使用のためにプローブを識別した後、プローブ応答特性を取得できる。一実施形態では、プローブ応答特性が、ローカルディスク、ネットワーク、またはインターネット上のいずれかの、ネットワークアクセス可能な位置に格納され得、そのディスク、ネットワーク、またはインターネットへの接続(図示せず)を経由して、光音響処理およびオーバーレイシステム140にアクセス可能にされる。一実施形態では、光音響処理およびオーバーレイシステム140は、プローブから一意の識別子を取得し、その後、ローカル装置、ネットワーク上のデータベースまたはインターネット介して問合せを行い、その一意の識別子に関連付けられたプローブに対する応答特性を取得する。プローブ応答特性は、プローブが製造される時またはそれに近い時間に記録されて格納され得る。一実施形態では、プローブ応答特性は、プローブ上で特殊な検査(既知/予期される応答を有する検査)を実行することにより更新され得る。
プローブ識別子は、マシンの起動後であるが、光出力を行う前に、光音響処理およびオーバーレイシステム140によって取得され得る。一実施形態では、プローブ識別子が、プローブ上のバーコード上に記録され、そのバーコードが、装置が光出力を生じる前にスキャンされる。一実施形態では、プローブ識別子が、プローブ内のコンピュータ可読メモリ上に記録され、起動後であるが、光出力を行う前に、光音響処理およびオーバーレイシステム140によって、問合せが行われるか、またはそれに対して報告される。
プローブ識別子が既知であるので、装置は、プローブ使用の統計情報を保持できる。例えば、一実施形態では、装置は、例えば、生じた光出力事象の数およびタイプ、ならびに生じた超音波事象の数を含め、光音響モードにおけるプローブの操作の統計情報を保持し得る。(図示されていない、内部光学センサーから推定され得る)プローブからの総光エネルギー出力に関する統計情報も保持できる。一実施形態では、プローブの応答特性およびプローブ統計情報が、プローブ102がその上に取り付けられている任意の装置100に対して利用可能にできる。従って、例えば、かかる特性および統計情報が、インターネットを介してアクセス可能な方法で格納できる。一実施形態では、VPNが、インターネット上でセキュリティのために使用される。
光路132がプローブ102に固定して取り付けられている実施形態では、プローブ使用統計情報は、光ファイバーにも関連し得る。例えば、光路132内のファイバーは、例えば、損傷したか、または燃えたファイバーなど、何らかの透過率の低下をもたらす、時間および/または使用に伴い劣化し得る。その結果、一実施形態では、装置は、総光エネルギー、ピーク光エネルギー、および光路132を通過したパルス数に関連した統計情報を保持できる。一実施形態では、プローブ内のセンサーは、光路のエネルギー出力に関する情報を検出でき、光サブシステム129内のセンサーは、光サブシステム129のエネルギー出力に関する情報を検出できる。2つの端部でのセンサーにおける経時的な変動を検出することにより、保守問題が特定できる。例えば、光サブシステム側センサーと比較して、プローブ側センサーでの減少を見ると、光路132が劣化していて、交換が必要であることを示し得る。さらに、プローブ側センサーと光サブシステム側センサーとの間の特定の差異は、装置100に、それが保守を必要としていることを示させるという結果となり得る。一実施形態では、差異が特定の安全閾値よりも大きい場合、装置100は、継続して光事象を放出し得ない。一実施形態では、これらのセンサーによって報告された情報が、使用統計情報とともに格納され得る。
光路132がプローブ102から完全にまたは部分的に取り外し可能な場合、光路132の取り外し可能な部分は、それ独自の一意の識別子を有し得る。光路の取り外し可能な部分がそれ独自の一意の識別子を有する場合、光路のその部分に関連する使用統計情報が、プローブに対する使用統計情報とほぼ同じ方法であるが、光路またはその部分に関連して、保持され得る。
一実施形態では、シリアル番号が振られた構成要素(例えばプローブ102または光路132などの構成要素)は、シリアル番号が振られた構成要素の利用に関するデータを格納するためのメモリを備え得る。ログファイルが係るメモリに書き込まれ得る。一実施形態では、メモリは構成要素に固定され、パワーおよび制御信号線109を介して光音響処理およびオーバーレイシステム140に対してアクセス可能である。一実施形態では、メモリは構成要素に固定され、当業者には明らかであるように、他の電気(例えば導線ワイヤ)、光(例えば光ファイバー導波管または赤外線伝送)、無線周波数(例えばBluetooth(登録商標)または他の無線周波数伝送)を介して、ログに対する読み出しおよび書き込みを実行するための他のソフトウェア(光音響処理およびオーバーレイシステム140上で実行され得る)にアクセス可能である。
手短に図32および図33を参照すると、可搬性のための車輪3282を有するカート3200の形態の光音響システムの一実施形態が実現される。光音響システムは、オペレータに対する何らかの種類の出力のためのディスプレイ3212、3214と、オペレータからの入力を受け取るためのキーボードおよびトラックボールならびにダイアル、ボタン、およびスイッチを含むユーザ入力装置3216と、を備える。一体化された電気路およびパワー・制御信号線108/109は、一方端上でプローブ102(大部分が安全カバーにより隠されている)と、マルチピンコネクタ3208を介してカート3200と、に接続される。同様に、被覆された光路3232は、一方端上でプローブ102と、光ファイバーコネクタを介してカート3200と、に接続3250される。足踏みスイッチ3300はハードワイヤ接続3260によりカート3200に接続され、光音響システムの係合および分離のためのハンズフリー手段を提供する。
一実施形態では、プローブ構成要素(プローブ102と、一体化された電気路108/109およびそのマルチピンコネクタ3208と、被覆された光路3232および光路側の光ファイバーコネクタ3250と、からなる)は、メモリ(図示せず)をさらに備える。一実施形態では、メモリはプローブ102のハウジング内に、マルチピンコネクタ3208のハウジング内に、配置され得る。他の実施形態では、メモリはプローブ構成要素内、またはプローブ構成要素上の任意の場所に配置され得、さらにはプローブ構成要素の外部にさえも配置され得る。メモリはプローブ構成要素の利用に関するデータを格納し得る。一実施形態では、一意的な識別子がプローブ構成要素に関連付けられ、メモリ内に格納されるか、またはプローブ構成要素に連合された他のメモリ内に格納され得る。一実施形態では、一意的な識別子がプローブ構成要素上に印字されるか、またはバーコードもしくは他の光学認識可能なコンピュータコードの形でプローブ構成要素上に配置され得る。一実施形態では、一意的な識別子が、埋め込まれた、またはプローブ構成要素に連合されたRFIDタグに格納され得る。
光音響装置が例えば光音響画像を作るために動作するとき、光音響処理およびオーバーレイシステム140で動作し得るソフトウェアまたは他のプロセッサ上で動作し得るソフトウェアは、プローブ構成要素の使用および応答に関する情報を蓄積し得る。次に、命令により、または特定の間隔で、係る情報、または係る情報の一部または要約はプローブ構成要素メモリにログ項目として書き込まれ得る。一実施形態では、特定の間隔は、光路109を通る光事象(すなわち光パルス)ごと、事前指定された個数の光事象が光路を通るごと、光音響システムを動作するために足踏みスイッチ3300が用いられる間隔ごと、患者の治療作業(オペレータによりユーザ入力装置3216を用いて指定され得る)ごと、光音響システムの電源サイクル(すなわち、電源投入時から電源遮断時まで)ごと、または時間間隔(例えば1秒、1分、または10分など)の経過ごと、のうちの1つまたは複数を含み得る。
一実施形態では、ログ項目は、時間/日付;プローブ構成要素に関連付けられた一意的な識別子;光音響システムを含む任意のハードウェアまたはソフトウェアに対するバージョン情報;光エネルギー全体に関する、ピーク光エネルギーに関する、および以前に指定された時間(例えばプローブ構成要素の最終保守時間など)以降またはプローブ構成要素が保守作業に入った時間以降に時間間隔の間に光路132を通ったパルスの個数に関する、カウンタ、測定値、ならびに統計情報;光路の性能もしくは特性に関する、もくしはカートの光出力からプローブの光出力までの伝達損失に関する、カウンタ、測定値、もしくは統計情報;プローブの超音波トランスデューサまたはその要素の性能もしくは特性に関するカウンタ、測定値、もしくは統計情報;またはプローブの任意の他の別個の構成要素の性能もしくは特性に関するカウンタ、測定値、もしくは統計情報、のうちの1つまたは複数を含み得る。
一実施形態では、以前に書き込まれたログは光音響システムの通常動作の前に、読み出しおよび/または分析が実行され得る。以前に書き込まれたログから読み出された情報は、システムの安全且つ効率的な動作を保証するための、および保守に対する必要性を判定するための、ベースラインを形成するために用いられ得る。一実施形態では、以前に書き込まれたログは、光音響システムに対する保守機能の一部として、読み出しおよび/または分析が実行され得る。性能または特性に関連する測定値または統計情報における顕著な変化は保守に対する必要性を示し得る。一実施形態では、プローブ構成要素またはその構成部品の性能または特性に関する測定値または統計情報における顕著な変化は、システムオペレータに、または保守要員に、報告される。
一実施形態では、プローブ102が、光路132、電気路109および/またはパワーおよび制御ライン108から分離可能である場合、これら構成部品のいずれにも別個にシリアル番号が振られ、組み立てられたプローブ構成要素とは別個のメモリが部品自体内に保持され得る。例えば一実施形態では、分離可能な光路132は一意的な識別子と、一体化された電気路108/109およびそのマルチピンコネクタ3208を含むプローブ構成要素のメモリとは別個のメモリと、を備える。他の例における一実施形態では、分離可能な光路132およびマルチピンコネクタ3208を有する電気路109のそれぞれは、一意的な識別子と、パワーおよび制御ライン108を含むプローブ構成要素のメモリとは別個のメモリと、を有する。同様に、使用統計情報および動作情報が要求される他の構成要素にも別個にシリアル番号が振られ、それら自体の一意的な識別子およびメモリが与えられ得る。
装置100の1つの用途は、乳がん検出のために人間に対して画像検査を実行することである。臨床装置100は、光音響撮像機能および超音波撮像機能を包含するマルチモダリティシステムであり得る。光音響撮像が超音波撮像に勝る利点は、それが腫瘍の直接機能評価を提供し得る超高コントラスト画像を提供することだけである。
臨床システムの一実施形態のブロック図が、主要なサブシステム間のやりとり、およびそれらが表す信号のタイプを例示する図28に示されている。一実施形態では、装置100は、次のサブシステムから成る統合システムを提供する:超音波サブシステム2802、光音響電子サブシステム2804、電力供給サブシステム2806、1つのコンソール内に収容され得る、プローブ102および照射/レーザーサブシステム2808、ならびに、コンソールに取り付けることができる制御およびディスプレイサブシステム2810。超音波サブシステム2802、光音響電子サブシステム2804、ならびに制御およびディスプレイサブシステム2810は、以下、UOAと総称されることとする。
超音波サブシステム2802は、例えば、完全に機能的なスタンドアロンの超音波システムであり得る。超音波サブシステム2802は、組織を刺激するために使用される超音波信号を出力する超音波送信器2812を含む。超音波送信器2812は、その出力を、超音波信号をプローブ102に切り替える光音響電子サブシステム2804内の中継ボード2814に提供する。超音波サブシステムは、超音波信号を中継ボード2814から受け取り、それらをコンピュータ2816に伝送し、それによってさらに処理するために処理する、データ取得ボード、またはDAQをさらに含む。コンピュータ2816は、ソフトウェアを通じて、信号処理、ユーザインタフェース、ならびにコマンドおよび制御機能を提供する。コンピュータ2816は、システムによって生成されたデータのみならずプログラミングを格納するための、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、揮発性および/または不揮発性RAM、ROM、ソリッドステートドライブ、光媒体、磁気媒体(例えば、ハードドライブ)もしくは他の記憶装置の形であり得る。メモリおよびストレージは、コンピュータの残りの構成要素に統合され得るか、または物理的に分離され得る。コンピュータ2816は、さらに、コマンドおよび制御信号を受け取る、データ取得プロセスの制御用のDAQおよび超音波送信器に送信する。
光音響電子サブシステム284は、受け取られた超音波信号を超音波サブシステム2802のDAQに、また、受け取られた光音響信号をデジタル取得および処理(DAP)ボード2818に交互に切り替えるための切替え機能を提供する中継ボード2814を含む。中継ボード2814は、切替え制御およびタイミング制御の両方のためのファームウェアを含む。一実施形態では、超音波信号を送ることおよび受け取ることの両方を行うための超音波トランスデューサを形成するフレックス回路が、中継ボード2814に統合される。DAP 2818はOA信号を受け取って処理し、処理されたOA信号をコンピュータ2816に出力する。コンピュータ2816は、コマンドおよび制御信号をバックプレーンを経由してDAP 2818および中継ボード2814に提供し、タイミング信号をバックプレーンを経由して照射/レーザーサブシステム2808に提供する。
図29は、その一実施形態に従った、システム100の照射サブシステム2808および制御インタフェースを例示するブロック図を示す。トリガーは、アクティブ化のためにTTL正極性である。照射サブシステム外部制御およびインタフェースのいくつかは、インターロック、光ダイオードベースの出力(6)、アース、RS232、電力および光ポートを含む。
図30は、システム100内の放射制約を例示するパルス図を示す。
一実施形態では、装置100は、トランスデューサの配列およびレーザー光がそこを通過できる開口部を含むハンドヘルドプローブ102を使用する。使用中、オペレータは、重大な画像特性を識別するために、プローブ102を身体または他の体積上を移動させながら、コントロールを操作し、ディスプレイを見る。超音波モードでは、レーザー光源は放出しない。光音響モードでは、レーザーは、特定の事前構成および/またはオペレータ設定パラメータに従って光を放出する。一実施形態では、ハンドヘルドプローブは、超音波プローブの操作に似た方法で操作され得る。一実施形態では、装置100は、オペレータ選択可能な操作モードを含み、それにより光音響モードおよび超音波モードがインターレースされる。
一実施形態では、臨床装置100は、特定の事前構成および/またはオペレータ設定パラメータに従って、2つの出力波長を提供可能な照射源1408を含む。一実施形態では、オペレータは、1064nmでのNd:YAGレーザー出力または757nmでのアレキサンドライトレーザー出力のいずれかを選択すること、または両方のレーザー出力の使用を選択することが可能であろう。2つの波長が選択される場合、レーザーサブシステムは、特定の事前構成および/またはオペレータ設定パラメータに従って、2つの波長間で交互に、または、他の事前構成もしくはオペレータ設定サイクルで、交替して行い得る。一実施形態では、エネルギー、パルスレート、および波長などの、レーザー動作パラメータがオペレータ選択可能であるが、特定の事前構成パラメータに依存する。
一実施形態では、レーザーエネルギーの伝達は、取り外し可能機構をもつ光ファイバー束を経由するであろう。レーザー出力の光ファイバー束に対するインタフェースをとるための取り外し可能機能は、切断された場合の安全インターロック/レーザーシャットダウンを含む。一実施形態では、レーザーサブシステム構成要素は、熱交換、パルスドライバ、直接レーザーコントロール、レーザーパワー供給、レーザーパワー管理、レーザーヘッド(複数可)、空洞および光学素子、制御およびドライブ電子機器、電子インタフェースポート、およびレーザー出力ポートを含む。
一実施形態では、レーザーは、UOA制御システムによって完全に制御される。臨床装置は、ユーザ制御パネルの近くに配置された低電流キースイッチの使用によって電源をオン/オフされ得る。この低電流スイッチの動作を通して、閉じると、絶縁トランスの230VACの二次出力が、レーザーを含む、サブシステムの各々に適用される。このスイッチを開くと、サブシステムの各々から電力を取り除く。
一実施形態では、レーザーサブシステムは、光ファイバー束を取り付けるように設計された共通の同心円出力コネクタをもつ、Q−スイッチNd:YAGレーザーおよびアレキサンドライトQ−スイッチレーザーから成る。それは、全ての必要な電子機器、冷却、電力管理、光学系、および操作要件を満たすために必要な接続を含む。
前述のように、特定の事前構成パラメータに従って、一実施形態では、オペレータは、Nd:YAG(1064nm)レーザーのみからの臨床装置100のレーザー光出力を選択すること、またはアレキサンドライト(757nm)のみからのレーザー光出力を選択すること、または両方の波長のレーザー光出力を交互に行うことを選択できる。一実施形態では、選択は、UOAからのRS232コマンドを介して行われることになる。
一実施形態では、波長が変化する間の時間は、好ましくは0.05秒未満であり、波長変化に対する応答を開始するために時間遅延は、0.01秒未満(これは、波長を変化されるための0.05秒に含まれる)であるものとする。これは、実際の波長変更が行われる前に、コマンドに0.01秒を許可する。このタイミングパラメータは、装置100が、毎秒20回までのレートで、波長出力を交替できるようにして、毎秒10パルスで動作する各別々の波長をインターリーブする。
一実施形態では、Nd:YAGに対するレーザー出力パルス幅はほぼ7nsであるが、実用的である限り、かつ任意の事例では、最良のパルス安定性のためには、25ns未満にすべきである。アレキサンドライトレーザーに対するレーザー出力パルス幅はほぼ6Ons未満、より好ましくはほぼ5Ons未満であり得る。一実施形態では、どちらのレーザーに対してもテサライトパルス(一次パルスの直後に生じる二次レーザーパルス)は許可されない。前述のように、一実施形態では、Nd:YAGまたはアレキサンドライトレーザー以外の1つまたは複数の光源が採用され得る。従って、例えば、一実施形態では、装置の作動中に、2つ以上の別々の波長を連続光パルスで生成するために、1つの迅速に同調可能なレーザーが採用され得る。
パルスレートは、オペレータ選択可能であり得る。一実施形態では、パルスレートは、各波長に対して、2、5、10PPSからオペレータ選択可能であり得、インターレースが選択される場合、パルスレートは、2倍の4、10、20PPSになるであろう。一実施形態では、パルスレート間で選択するための最大時間は、10秒となる。各レーザー波長に対するパルスレートは、単一波長またはインターレース動作と無関係となる。
一実施形態では、ファイバー束に向けられるパルス(レーザー出力)ごとのエネルギーは、各波長に対して最低でも15段階で、25mj〜250mjの間で変化するであろう。一実施形態では、制御は、RS232ポートを経由するであろう。パルスごとのエネルギーは、各波長に対して独立して調整可能とされる。一実施形態では、選択後、各出力エネルギーが影響を受けるまでの最大時間はほぼ2秒となる。
意図しないパルスごとの変動を最小限にすることが望ましい。その結果、一実施形態では、(制御されていない)パルスごとのエネルギー変動は、50レーザーパルス後、いずれのレーザー出力からも3% RMS未満となる。
一実施形態では、各パルス(両方の波長)の出力エネルギーの測定が行われて、アナログ出力パルスとともにUOAに伝達されることになる。一実施形態では、パルスは、光学的に検出されたパルスの引き延ばされた表現となる。振幅は、各出力パルスのエネルギーの表現となる。一実施形態では、振幅は、予期される最大エネルギーに等しい5Vピークをもつ、0〜5Vピークとなる。一実施形態では、これらの信号に対するドライバは、全体を通してDC結合され、0〜5ボルトの1000オーム終端を駆動し得る。一実施形態では、パルスは、ピーク検出されて、少なくとも200nsで引き延ばされ得るが、20Mサンプル/秒での6.8MHzエイリアス除去フィルタを採用する場合、ピークは、少なくとも2つのサンプルが捕捉されることを可能にするために、2us前に生じる必要がある。一実施形態では、20Mサンプル/秒サンプリング単位が、UOA電子機器内に配置される。インタフェースコネクタは、レーザーサブシステム上でBNCを使用し得る。コネクタ出力が、単一のBNCコネクタまたは一対のBNCコネクタ上のいずれかに提供できる。
一実施形態では、レーザーパルスの各立ち上がりエッジが検出され、BNCコネクタをもつ同軸ケーブルを経由して、TTLフォーマットでUOAに伝達されることになる。一実施形態では、別個の信号、同軸ケーブル、およびコネクタが、各追加の波長に対して使用され得る。一実施形態では、信号は、少なくとも1マイクロ秒の持続時間を有する正相入力(positive going)TTL信号となる。一実施形態では、UOA終端は50オームに組み合わされたACとなる。
一実施形態では、同期パルスジッター試験があるものとする。その試験は、TTL同期パルスを使用するトリガーをもつオシロスコープを使用し得る。入力は、レーザーパルスの出力をサンプリングする広帯域光学試験検出器の出力となる。光学的に検出された波形のRMSジッターは、好ましくは約6ns未満である。
一実施形態では、各波長に対して各検出された光パルスが、レーザーシステムの外部の2つの試験コネクタで利用可能にされる。一実施形態では、試験コネクタは、BNCコネクタであり、信号に対するドライバは、50オーム範囲の負荷を駆動できるべきである。これらの試験信号は、システム試験および評価をサポートするために使用され得る。一実施形態では、50オーム出力負荷に対して、同期検出器からアナログドライバまで、各波長に対する別々の出力があり、その振幅は、光学検出器からの実際のパルスの割合であり得る。
一実施形態では、光ファイバー束は、組み合わされたレーザー出力ポートに連結される。一実施形態では、光出力は、光学ユニットの前方右で水平となる。急速着脱コネクタが、ファイバー束をレーザー出力ポートに接続するために使用され得る。
一実施形態では、ファイバーケーブル用のマウントは、レーザーエネルギー出力に対する自己整合を提供する。一実施形態では、6mmの中心開口のあるセラミック円板が、ファイバー束への損傷を最小限にするために、光ファイバーマウントの出力に取り付けられるであろう。一実施形態では、ファイバー束が接続されるとき、マイクロスイッチが係合される。マイクロスイッチは、安全インターロックとして機能し、マイクロスイッチが閉じられていない限り、レーザーが発射できないことを確実にするために使用される。
一実施形態では、レーザー出力ビームの形状は、円形となる。一実施形態では、ビームプロファイルは、光ファイバーの均一な照射を確実にするために、ほぼシルクハット形状に平らにされることになる。一実施形態では、ビーム幅は、10%レベルで直径6mmであろう。安全性および一貫性のため、ビーム形状は、この形状から大幅に外れるべきでなく;一実施形態では、ビーム形状は、経時的およびパルスごとに、3%RMS以上この形状から外れない。
一実施形態では、各レーザーの出力は、光ファイバーに対してほぼ6.25mmであり、ビームは、フル活用の後を含め、ホットスポット(複数可)を有するべきでない。一実施形態では、(Nd:YAGおよびアレキサンドライトに対して)両方のビーム形状は、6mm直径の5%以内で、直径が等しくなる。本明細書での目的のため、ホットスポットは、ビーム断面の任意の2mm区分にわたるエネルギー密度における15%変動と定義される。一実施形態では、レーザービームは、出力エネルギーの98%がファイバーケーブル内に伝達されるように、出力コネクタを狙う必要がある。一実施形態では、現地でレーザービーム調整を達成するための機構が提供される。
一実施形態では、レーザースペクトル幅が、FWHM(Full Wave Half Maximum:全波半値)レベルで30nm未満であり、スペクトル特性が好ましくは安定していて、パルスごとに3nm RMS以上変動しない。
一実施形態では、臨床装置100の主な動作モードは:
a.オフモード:全ての電力がオフにされて、レーザーサブシステム内を電流が流れていてはならない。これは、主回路ブレーカーをオフにするか、または電力キースイッチをオフにすることによって達成できる。この場合、電力はまだ絶縁トランスに接続されている可能性がある。
b.スリープモードまたは超音波のみモード:ほとんど全ての電力が、全ての操作に対して停止されているが、レーザーサブシステムを「オン」モードにするだけの十分なエネルギーを除く。例えば、レーザー制御ユニットだけが電源を入れられている。
c.オンモード:ウォームアップ期間:全ての必要な電力をオンにして、レーザーがウォームアップされるのを可能にする。レーザーは、レーザーヘッドの温度を測定して、UOAに報告する。レーザーヘッドの温度が事前に決定された値に達すると、UOAはレーザーシステムを「スタンバイモード」にする。一実施形態では、レーザーサブシステムは、十分なウォームアップが行われるまで、「スタンバイモード」に移行することが許可されない。
d.スタンバイモード:レーザーが、準備完了モードコマンドから迅速に「準備完了モード」にされることを可能にする。
e.準備完了モード:レーザーを放出モードにするが、シャッターは閉じたままである。一実施形態では、放出モードは、放出モードコマンドの後、事前に指定された間隔で、例えば、1秒以内または20パルス後に、開始できる。
f.放出モード:このモードが指示されている限り、指定された出力エネルギーを提供する。このモードでは、レーザーは、外部コマンドから決定されたように、そのランプ同期およびドライバ、Q−スイッチ遅延およびドライバ、ならびにパルスレートを提供する。波長出力は、外部コマンドから決定されるとおりである。
一実施形態では、レーザーサブシステムは、任意の動作モードから任意の低い動作モードへ直接移行する機能を有し:「オフ」が一番低い動作モードであり、「放出」が最も高い動作モードである。例えば、一実施形態では、オペレータは、放出モードから、スタンバイ、オン、スリープ、またはオフモードに直接移行することが可能であろう。好ましくは、オペレータは、オフから放出モードには、まず、その間のモードに移行することなく、直接移行することはできなくなる。
一実施形態では、レーザーは、内部同期で動作し、UOAはその同期をレーザーからその同期信号出力を通して導き出すとされる。一実施形態では、時間依存インタフェース(同期信号)は、TTL信号を使用してインタフェースをとられるが、コンピュータインタフェース情報はRS232インタフェースを経由することになる。一実施形態では、波長選択モード(単一YAG、単一ALEX、インターレースモード)がRS232を通じて選択され、制御ユニットは内部コマンドを、正しいタイミングで、インターレースまたは単一モードで生成することになる。一実施形態では、電子機器が、エネルギー光ダイオードおよび/または同期パルスおよび/またはQ−スイッチTTL同期出力を通して、現在のレーザー発光を有効にする。
一実施形態では、シャッターが、(放出モードで定義されるように)レーザー光が放出されるのを可能にするために、開かれることになる。一実施形態では、シャッターは、2つの条件−足踏みスイッチの閉鎖およびRS−232コマンド、が存在しない限り、閉じたままとされる。しかし、足踏みスイッチが閉じたままであり、RS232コマンドが存在する限り、放出は存続することになる。足踏みスイッチの閉鎖およびRS232コマンドの両方は、放出を達成するために両方とも存在する必要がある。足踏みスイッチの閉鎖は、図31に示すように、三線式インタフェースを使用して、スイッチ内に二重接点、NCおよびNOを提供し得る。足踏みスイッチおよびRS232コマンドの一方または両方が変わると、放出は、シャッターの閉鎖によって、好ましくは、約0.5秒以内に、存続を停止することになる。レーザーサブシステムは、別に指示されるまで、準備完了モードのままであり得る。
一実施形態では、レーザーオペレーティングシステムは、説明責任およびトラブルシューティングの目的のため、エラーコード、ランプショット、および動作事象の不揮発性タイムスタンプ付きレコードを保持するものとする。不揮発性レコードは、RS−232コマンドによって、可読で、おそらくは、消去可能であり得る。一実施形態では、不揮発性レコードの消去は、パスワードまたは他のアクセス装置を必要とする。一実施形態では、50事象以上からなるログが十分であり得る。一実施形態では、UOAは、メッセージの数をポーリングしてそれらを読むことができる。
一実施形態では、レーザーサブシステムは、レーザーヘッドの温度を監視して、各々を定期的にUOAに報告し、レーザーヘッドが許容可能な温度に達していない限り、レーザーが準備完了モードに移行するように指示することを、UOAが回避することを可能にし、温度が予想外にその適切な動作範囲外であれば、自動的にレーザーサブシステムをオフモードにする。
一実施形態では、ポッケルセルへのワイヤーおよび全ての内部高放射信号はシールドされるべきである。臨床装置100の撮像時間の間、電磁放射線を弱めるために、ランプドライバの再充電は、Q−スイッチの後、70マイクロ秒以上遅延されるべきである。図16を参照されたい。再充電中、電磁放射線は、超音波またはOA撮像に干渉しないよう、十分に低い必要がある。
代替実施形態では、制御信号が、OAデータ取得中、およびUSデータ取得中にも、電力供給スイッチングノイズを抑制するために使用できる。例えば、論理HIGHが、内部スイッチング電力供給に、フラッシュランプ回路に電力を供給するスイッチングPWM(パルス幅変調)を駆動するその内部発振器、および/または任意の他のスイッチング動作を停止させ、論理LOWの場合に、通常の操作を再開するように、レーザー回路内からのTTLトリガーが生成され得る。一実施形態では、この制御は、あるオン時間(例えば、100マイクロ秒)を超えてアサートされず、また、あるデューティサイクルを超えない可能性がある。一実施形態では、トリガー信号は負論理であり得、論理LOWが発振器を停止し、論理HIGHがその再開を許可する。一実施形態では、トリガー信号は、OAシステム内のレーザー内および/または他の場所で、1つまたは複数の他のスイッチング電力供給に適用でき、それは、非振動間隔中に、電気的ノイズを電力供給から抑制し得る。一実施形態では、データ取得期間は、その間、1つまたは複数のスイッチング電力供給が、スイッチング回路を抑制させている間隔内にすべきである。スイッチング電力供給が、PWM制御されないタイプである場合でも、トリガーは、いずれにしても、スイッチング機能を制御するために使用される内部発振器の動作を抑制するために使用できる。
一実施形態では、ユーザインタフェースコンソールは、レーザーシステムに対する全てのAC電力を取り除くことによりレーザーをオフモードにするための「パニックボタン」を含むであろう。
一実施形態では、レーザーサブシステムおよび他の全てのサブシステムは、230+1−10%VAC、単相、60/50+/−3Hz、最大で4000VAから動作するであろう。一実施形態では、幹線(mains)電圧は、www.toroids.comによって製造された部品番号925.1202、または均等物などの、絶縁トランスの使用によって、様々なサブシステムから分離され、一次側の切替え可能AC回路ブレーカーで保護され得る。このトランスの二次側は、4つのAC電源方式サブシステムの各々に、突入電流問題を回避するために、ソフトスタート絶縁トランスを通して、AC電力を供給するであろう。一実施形態では、レーザーサブシステムは、損傷を生じること、再調整を必要とすること、調整すること、または安全でない動作を生じることなく、入力電力の突然の喪失または電圧低下に対応するように適合される。
一実施形態では、全てのオペレーティングシステムコントロールは、UOA電子機器を介して提供され得る。
本システムおよび方法が、光音響プローブを含む方法および装置のブロック図および操作上の具体例を参照して前述されている。ブロック図または操作上の具体例の各ブロック、およびブロック図または操作上の具体例のブロックの組合せが、アナログまたはデジタルハードウェアおよびコンピュータプログラム命令によって実現され得ることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータのプロセッサ、専用コンピュータ、ASIC、FPGA、または他のプログラム可能データ処理装置に提供され得、これにより、コンピュータのプロセッサまたは他のプログラム可能データ処理装置によって実行される、命令が、ブロック図または操作ブロックもしくは複数のブロックで指定された機能/動作を実現する。ある代替実施態様では、ブロック内に記述された機能/動作は、操作上の具体例に記述された順序とは異なる順序で生じ得る。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、関与する機能/動作に応じて、実質的に同時に実行され得るか、またはブロックは時々、逆の順序で実行され得る。
本記述および以下の請求項では、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、特に指示のない限り、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。さらに、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数参照を含む。従って、例えば、「1つの化合物(a compound)」は、2つ以上の化合物の混合物を含む。
本明細書および添付の請求項では、「または(or)」という用語は、一般に、その内容について別段の明確な指示がない限り、「および/または(and/or)」を含む意味で採用される。
終点による数値範囲の本明細書における列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
特に指示のない限り、明細書および請求項内で使用される、成分の量、特性の測定などを表す全ての数は、その内容について別段の明確な指示がない限り、「約(about)」という用語によって、全ての場合において修正されるとして理解されるべきである。その結果、それとは反対の指示がない限り、前述の明細書および添付の請求項に記載された数値パラメータは、本発明の技術を利用する当業者によって得られようとする所望の特性に応じて変わり得る。最低限でも、また、請求項の範囲を制限しようとする試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮し、また、普通の丸め技術によって、解釈されるべきである。しかし、任意の数値は、それらそれぞれの試験測定値で見られた標準偏差に必ず起因するある誤差を本質的に含む。
当業者は、本開示の方法およびシステムは、多くの方法で実現され得、そのため前述の典型的な実施形態および例によって制限されないことを理解するであろう。言い換えれば、ハードウェアおよびソフトウェアまたはファームウェアの様々な組み合わせで、単一または複数の構成要素によって実行されている機能要素、および個々の機能は、臨床レベルもしくはサーバーレベルまたは両方のいずれかで、ソフトウェアアプリケーション間に分散され得る。これに関して、本明細書に記載されている異なる実施形態の任意の数の特徴が、単一または複数の実施形態に組み合わされ得、また、本明細書に記載されている特徴の、より少ないか、より多いか、またはその全てを有する代替実施形態が可能である。機能も、全体または一部において、現在知られているか、または知られるようになる方法で、複数の構成要素間に分散され得る。従って、本明細書に記載されている機能、特徴、インタフェースおよび好みの達成において、無数のソフトウェア/ハードウェア/ファームウェアの組合せが可能である。さらに、本開示の範囲は、当業者によって現在または将来に理解され得るように、記載されている特徴および機能およびインタフェースを実行するための従来から知られている方法、ならびに本明細書に記載されているハードウェアまたはソフトウェアまたはファームウェア構成要素に行われ得る変更および修正、を包含する。
その上、本開示内でフローチャートとして提示および記述された方法の実施形態は、本技術のより完全な理解を提供するために一例として提供されている。開示された方法は、本明細書に提示されている操作および論理的な流れに限定されない。様々な操作の順序が変更され、また、より大きな操作の一部として記述されている下位操作が独立して実行される、代替実施形態が検討される。
本発明に対する様々な修正および代替が、当業者には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、明らかになるであろう。本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態および例によって不当に限定されることを意図しないこと、ならびにかかる実施形態および例は、単に本発明を例示するために提示されており、本発明の範囲は本明細書に添付の請求項によってのみ限定されることを意図することが理解されるべきである。従って、本発明は、その好ましい実施形態を参照して、具体的に示され、記述されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において様々な変更が本明細書において行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。