JP3707580B2 - 接合方法及びその方法を用いた超音波探触子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属、セラミックなどの接合方法及び、この接合方法により製造された、音波探触子における超音波発振子,音響レンズ及び超音波吸収材相互間の接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品や光部品などは、金属やセラミックを相互に接合させた多層構造体から構成されることが多い。このような金属やセラミックを相互接合させる方法としては、例えば、エポキシ樹脂などの有機接着剤を用いる方法が使用されている。しかし、金属やセラミックを相互接合するために、エポキシ樹脂等の電気絶縁性の有機接着剤を用いる場合、接合に用いるエポキシ樹脂系接着剤が経時変化を起こすために様々な問題が生じていた。
【0003】
例えば、電子顕微鏡(SEM)の真空室に設けられるEDX(Energy Dispersion X-ray)の入射窓や蒸着装置などの真空室を有するのぞき窓などにも金属やセラミックなどの接合部があるが、これら接合部に有機接着剤を用いると、経時変化によりガスが発生し、真空室を汚染したり、剥離などにより真空度不良を起こすなどの問題があった。
【0004】
更に、半導体装置などにおいて、チップを基板に接合するときは、フラックスを使用して半田接合するが、装置の微細化に伴い、半田中のブローホールなども問題になってくる。また、光部品(例えば、光−電気変換素子など)の電極端子をセラミック基板に接合する時も同様の問題がある。
【0005】
また、超音波探触子を組立てるための、超音波発振子と音響レンズ及び超音波吸収剤を接合する方法として、主としてエポキシ樹脂などの有機接着剤を用いる方法が採用されていた。しかし、超音波発振子と音響レンズおよび超音波吸収材を接合するために、エポキシ樹脂等の電気絶縁性の有機接着剤を用いる場合、エポキシ樹脂系接着剤が経時変化を起こすため、超音波探触子の音響特性が経時的に劣化する恐れがあり、測定の信頼性を損ねるという問題があった。
【0006】
また、一般的に、エポキシ樹脂系の有機接着剤と超音波発振子および音響レンズにおける音響インピーダンスの差は極めて大きいので、エポキシ樹脂系の有機接着剤を用いて超音波発振子と音響レンズを接合すると、有機接着剤が音響境界層を形成し、その結果超音波が反射される。そのため超音波発振子から音響レンズへ超音波が充分に伝播せず、良好な音響特性を示さないという問題点もあった。
【0007】
この問題を解決するために、本願発明者は先に、超音波発振子と超音波吸収材と音響レンズを電気絶縁物を用いずに物理的な圧接により接合し、また超音波発振子と音響レンズの接合のために、真空中で接合面にイオンビームまたはアトムビームを照射した後圧接することからなる超音波探触子の製造方法を発明し、特許出願した。特に、この先願発明では、音響レンズの材料に石英を使用し、この音響レンズの超音波発振子との接合面にAu/Cr蒸着膜を配設させる。この発明は、特開平8−223695号公報に開示されている。この圧接接合法による超音波探触子は、超音波発振子と音響レンズとの間に接着剤などの音響境界層を有さないので、良好な音響特性を示す。また、この方法によれば、接合時に経時変化の恐れがある有機接着剤を使用せずに強固な圧接接合を行うことが可能であるので、性能が長期間変化しない超音波探触子を得ることができる。
【0008】
特開平8−223695号公報に記載された先願発明では、圧接接合のために3μm以上の膜厚を有するAu/Cr蒸着膜を使用する。しかし、この膜厚のAu/Cr蒸着膜を形成するには、費用も時間もかかり、製造コストの観点からは安価ではない。また、膜厚が厚すぎるために膜質的にも問題がある。更に、膜厚が厚すぎるために、音圧往復通過率が低く、感度が悪いという問題点もあった。
【0009】
また、特開昭63−194879号公報には、インサート材を用いる接合方法が開示されている。この方法によれば、金属やセラミックなどの被接合材よりも融点が低く、かつ、高融点金属インサート材(例えば、Sn箔)と低融点金属インサート材(例えば、In−Sn共晶合金)などの融点の異なる複数の金属インサート材を組合わせることにより構成した複合インサート材を被接合材間に配置し、この複合インサート材の低融点金属インサート材は溶融するが、高融点金属インサート材は溶融しない温度で接合部を加熱する。
【0010】
しかし、この方法では、使用する複合インサート材の厚さが比較的厚くなり、また、複合インサート材の作製自体も手間がかかるなどの欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、接合による悪影響を極力少なくした接合方法及び該方法により製造される超音波探触子を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、セラミックからなる被接合物同士を接合させる場合、各被接合物の接合面にAu/Cr蒸着膜を設け、一方のAu/Cr蒸着膜の表面にPb蒸着膜を設け、セラミックからなる被接合物と金属からなる被接合物とを接合させる場合、セラミック被接合物の接合面にAu/Cr蒸着膜を設け、このAu/Cr蒸着膜の表面又は金属被接合物の接合面にPb蒸着膜を設け、金属からなる被接合物同士を接合させる場合、少なくとも一方の金属被接合物の接合面にPb蒸着膜を設け、両被接合物を圧接接合させることにより解決される。
【0013】
この場合、Au/Cr蒸着膜は0.3〜0.5μmの範囲内の膜厚を有し、Pb蒸着膜は3〜8μmの範囲内の膜厚を有することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
前記のように、本発明はセラミックと金属、セラミックとセラミック又は金属と金属間の接合に適用できる。本発明の実施態様の一つとして、セラミックと金属間の接合として、超音波探触子を例に挙げて具体的に説明する。
【0015】
図1は、本発明による超音波探触子の中の超音波発振子1の断面図である。超音波発振子1の一方の面には上部電極2が設けられ、他方の面には下部電極3が設けられている。上部電極2はAu/Cr蒸着膜から形成することができる。このAu/Cr蒸着膜は、超音波発振子の面側にCr蒸着膜2aが設けられ、このCr蒸着膜2aの表面にAu蒸着膜2bを設けることにより構成されている。下部電極3のAu/Cr蒸着膜も同様に、超音波発振子の面側にCr蒸着膜3aが設けられ、このCr蒸着膜3aの表面にAu蒸着膜3bを設けることにより構成されている。
【0016】
上部電極2及び下部電極3の形成方法は特に限定されないが、例えば、スパッタリング又は真空蒸着などのベーパデポジションなどの方法により形成することができる。上部電極2及び下部電極3の厚さは特に限定されないが、一般的に、0.3μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。0.3μm未満では超音波発振子1の表面の粗さのために、上部電極2及び下部電極3の存在する箇所が無いなどの不都合が生じ、また、0.5μm超では特に問題はないが、不経済なだけである。
【0017】
上部電極2のAu蒸着膜2bの表面及び下部電極3のAu蒸着膜3bの表面には、Pb(鉛)膜40が設けられている。Pb膜は被接合物の接合面に由来するAu/Cr蒸着膜のAu膜表面の粗さを平坦化するのに有効である。また、鉛は超音波発振子に近い音響インピーダンスを有するので音響特性を改善するのに有効である。このPb膜40は例えば、スパッタリング又は真空蒸着などのベーパデポジションなどの方法により形成することができる。このような成膜方法は当業者に周知である。Pb蒸着膜40の膜厚は蒸着面の粗さなどにより特に限定されないが、一般的に、3μm以上であることが好ましい。3μm未満では表面粗さを埋めるのに不十分であるばかりか、十分な接合効果が得られない恐れがある。一方、Pb蒸着膜40の膜厚の上限値は使用する超音波発振子の厚みによるが、超音波発振子1の厚みの1/10程度であることが好ましい。例えば、25MHzであれば、上限値は8μm程度となる。これよりも厚いPb蒸着膜40を使用すると界面反射波などの不都合が生じるので好ましくない。一般的に、Pb蒸着膜の膜厚は3〜5μmの範囲内であることが好ましい。
【0018】
超音波発振子1を構成する圧電素子はPZT(Pb(Zr,Ti)03系セラミックス)又はPbTiO3(チタン酸鉛)などを使用できる。このような素材は当業者に周知である。
【0019】
図2は本発明による超音波探触子の中の音響レンズ5の断面図である。音響レンズ5の下部電極3との接合面側にはAu/Cr蒸着膜4が設けられている。Au/Cr蒸着膜4は表面にAuが露出しているため、化学的に安定している。このAu/Cr蒸着膜4はスパッタリングあるいは真空蒸着などのベーパデポジション法により成膜することができる。このような成膜方法は当業者に公知である。先ず、Cr膜を成膜し、その上にAu膜を成膜する。Cr膜はレンズと金属の結合を助長する。このAu/Cr蒸着膜4は、下部電極3と同等の膜厚で、一般的に、0.3μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。0.3μm未満では表面の粗さのために膜の存在しない箇所が発生する恐れがある。一方、0.5μm超では特に問題はないが不経済なだけである。
【0020】
音響レンズ5のAu/Cr蒸着膜4の一端に電極接続用リード線6を接続させる。この接続は例えば、銀ペースト又は常温硬化性導電性樹脂などを用いることにより行うことができる。
【0021】
音響レンズ5は石英から形成されている。石英は化学的に非常に安定であり、耐食性にも優れている。従って、金属製音響レンズの場合に発生する腐食の問題は全く起こらない。
【0022】
図3は本発明の超音波探触子の製造方法の一工程を例証する模式図である。図3において、符号1は圧電素子を材料とする超音波発振子、5は石英を材料とする音響レンズ、13a及び13bはアトムビームを発生するビーム源、14a及び14bは加圧治具であり、これらは真空処理室20内に配置されている。真空処理室20の適当な箇所には、真空排気手段(図示されていない)に接続されるダクト22が設けられている。
【0023】
超音波発振子および音響レンズの接合面に真空中でイオンビームまたはアトムビームを照射することによって、接合面に付着している酸化皮膜や水分等の汚染層が除去される。これにより接合面は清浄かつ活性な面となり、加圧して密着させれば極めて良好な圧接接合が形成される。なお、この明細書の全体を通じて使用される“圧接”という用語は、接合しようとする面を清浄にして高圧で両者を接触させて面で拡散を生じさせて接合させることを意味する。
【0024】
まず、超音波発振子1及び音響レンズ5をそれぞれ加圧治具14a及び14bに装着して真空処理室20内の雰囲気をダクト22から真空排気する。次にビーム源13a及び13bからアルゴンのアトムビームを発生させ、同ビームをそれぞれ超音波発振子1及び音響レンズ5の接合面に照射して、これら接合面に存在する汚染層(例えば、自然酸化物又は物理吸着水など)を除去する。この操作により接合面は清浄かつ活性な面となるので、加圧治具14a及び14bを用いて両部材の接合面を密着させ、所定時間加圧し続けることにより、両部材の接合面で拡散が起こり、超音波発振子1と音響レンズ2とを圧接接合させることができる。加圧治具は各部材間の圧接接合を行うためのものであり、油圧シリンダなどにより構成できる。
【0025】
超音波発振子1と音響レンズ5の圧接接合が完了したら、超音波発振子1と加圧治具14aを分離する。そして、図4に示されるように、加圧治具14aに超音波吸収材7を装着する。超音波発振子1の圧接の際の真空圧を維持しながら、音響レンズ5と接合されていない超音波発振子1の他方の接合面と超音波吸収材7の接合面に、ビーム源13a及び13bから発生されたアルゴンのアトムビームを照射し、これら接合面に存在する汚染層(例えば、自然酸化物又は物理吸着水など)を除去する。この操作により接合面は清浄かつ活性な面となるので、加圧治具14a及び14bを用いて両部材の接合面を密着させ、所定時間加圧し続けることにより、両部材の接合面で拡散が起こり、超音波発振子1と超音波吸収材7とを圧接接合させることができる。斯くして、従来のようなエポキシ樹脂系有機接着剤を使用することなく、超音波発振子1を間に挟んで、音響レンズ5及び超音波吸収材7をそれぞれ一体的に圧接接合させることができる。
【0026】
本発明では、超音波発振子1,音響レンズ5及び超音波吸収材7の各接合面を清浄化する手段としてイオンビーム又はアトムビームを使用するが、その理由は、真空の状態で活性な面をつくり、かつその状態を保持しながら同一チャンバ内で接合するためである。表面清浄化手段としてはプラズマ、有機溶剤又は超純水等があるが、表面活性化と接合を同一チャンバ内で実施するにはイオンビーム又はアトムビームを使用するのが最も好ましい。イオンビーム又はアトムビームとしては、例えば、アルゴンなどのビームが好適に使用できる。
【0027】
真空処理室20を使用するのは、イオンビーム又はアトムビームによる清浄化処理を効率的に行うためである。この目的のために好適な真空圧は特に限定されないが、一般的に、10-6Torr程度であることが好ましい。真空処理室20内の真空圧がこれよりも低真空の場合には接合面の再汚染防止にならないし、またこれよりも高真空の場合には、清浄化処理自体の効果を更に高めることにはならないので不経済なだけである。
【0028】
ビーム源13a及び13bとしては、例えば、アトムテックなどから市販されているビームガンなどの当業者に公知の装置を使用できる。接合面の清浄化処理に必要なイオンビーム又はアトムビームの出力は特に限定されない。部材間の圧接接合を確立するのに必要充分な清浄化度が得られる出力であればよい。一般的な指標として、イオンビーム又はアトムビームの出力は1keV,25mA程度であることが好ましい。出力が1keV,25mA未満の場合には接合面の清浄化が不十分になる可能性がある。一方、出力が1keV,25mAを大きく超えた場合には、接合面に大きな空孔等を形成するなどの不都合が生じるので好ましくない。また、ビーム照射時間は接合面の清浄化に必要充分な長さであればよく、特に限定されない。所望の接合面清浄化度を得るために、ビーム出力とビーム照射時間とは反比例の関係を有する。例えば、高出力のビームを使用すれば、照射時間は短時間となり、一方、低出力のビームを使用すれば照射時間は長くなる。単なる一般的な指標として、1keV,25mA程度の出力のビームを使用する場合、照射時間は600秒間程度である。
【0029】
加圧治具14a及び14bによる各部材の加圧圧力及び加圧時間は各部材間で圧接接合を形成させるのに必要十分な大きさ及び長さであればよく、特に限定されない。一般的に、12.5MPa以上の加圧圧力を使用する場合、加圧時間は30秒間程度である。加圧圧力が高すぎると石英製音響レンズ5が破損する恐れがある。一般的に、加圧圧力の上限は被接合物によって決定される。
【0030】
本実施例では、被接合材即ち圧電素子1、音響レンズ5及び超音波吸収材7は何れも室温で接合したが、ヒータ等を用いて被接合材の加熱を行い、接合面の温度をある範囲まで上昇させてから接合すると、接合強度はさらに上昇する。また、必要に応じて、超音波ウエルダーなども使用できる。
【0031】
また、本実施例では真空中で接合を行ったが、アトムビームの照射後、アルゴンや窒素などの不活性なガスで雰囲気を満たした後接合してもよい。不活性ガス雰囲気を形成すると、部材の再酸化及び再汚染を防止することができる。
【0032】
次に本発明を用いて製作された超音波探触子の組立構造を図5により説明する。図5において、符号1は超音波発振子、5は音響レンズ、6は下部電極接続用リード線、7は超音波吸収材、8は上部電極接続用リード線、9は充填材、10は保護ケース、11は端子をそれぞれ示す。基本的な構成部品自体は従来のエポキシ樹脂系接着剤を使用する超音波探触子と大体同じである。例えば、前記のように超音波発振子1は当業者に周知の圧電素子及びPT(チタン酸鉛)などを使用できる。音響レンズ5としては石英を使用する。超音波吸収材7としては鉛,錫などを使用できる。超音波吸収材は超音波振動を抑制する機能を果たす。下部電極用リード線6は保護ケース10の内壁面に接続されている。上部電極接続用リード線8は超音波吸収材7の上面に接続されている。超音波吸収材の下面に接続してもよい。リード線8は絶縁材12で絶縁され、保護ケース10の外部に取り出される。充填材9は例えば、エポキシ系の樹脂などを使用できる。保護ケース10は金属製であり、音響レンズ側電極の導体を兼ねる。
【0033】
次に本発明の超音波探触子の動作について説明する。超音波発振子1に端子11を介して図示しないパルス電圧発生器によってパルス電圧を印加すると、超音波パルスが発生する。発生した超音波は音響レンズ5を介して図示しない被検体に入射して超音波探傷を行う。
【0034】
また、平面で接合された3つの物質の音響インピーダンスをZ1,Z2,Z3とすると、これらの音圧往復通過率は次式で表される。
Tl '=4(Z1/Z3)/[{(Z1/Z3)+1}2cos2θ+{(Z1/Z2)+(Z2/Z3)}2sin2θ]
但し、θ=(2π/λ)・lであり、ここで、lはZ2の膜厚である。
【0035】
【表1】
前記表1において、Z1は超音波発振子の材料として代表的な圧電素子(PbTiO3系セラミックス)の音響インピーダンス(x106g/cm2・s)であり、Z3は、音響レンズの材料として使用される石英の音響インピーダンスであり、Z2は圧電素子側の蒸着膜の音響インピーダンスであり、λは上記蒸着膜中での波長である。波長λは25MHzにおける値である。従来例及び本発明ともlは3μmとした。
【0036】
表1に示された数値を前記数式に代入して計算すると、従来例の音圧往復通過率は0.797であるのに対し、本発明の音圧往復通過率は1.349となる。従って、本発明によれば、音圧往復通過率は約70%も改善される。
【0037】
図6は被接合物がセラミック同士の場合を示す概要断面図である。セラミック30a及び30bの各接合面をAu/Cr蒸着膜でメタライジングする。2b又は3bの何れか一方のAu膜の表面にPb膜40を蒸着する。所望により、両方のAu膜の表面にPb膜40を蒸着することもできる。Pb膜はセラミック表面に由来する表面粗さを埋めるために使用される。使用されるAu/Cr蒸着膜の膜厚は0.3〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。同様に、Pb膜の膜厚は3〜8μm、好ましくは、3〜5μmの範囲内である。
【0038】
図7は被接合物が金属同士の場合を示す概要断面図である。金属32a及び32bの何れか一方の接合面にPb膜40を蒸着する。所望により、両方の金属接合面にPb膜40を蒸着することもできる。金属同士の場合、Pb膜は金属の表面粗さを埋めるためだけでなく、接合材自体としても機能する。Pb膜の膜厚は3〜8μm、好ましくは、3〜5μmの範囲内である。金属同士の圧接接合のための接合材としてPb膜を使用することの利点は、Pb膜はAu/Cr蒸着膜に比べて、非常に安価であり、しかも、時間当たりの堆積度が高いので短時間で成膜することができ、結果的にスループットの向上に寄与することである。セラミック同士の接合及び金属同士の接合のどちらの場合も、前記のセラミックと金属との接合と同様の表面清浄化処理を施すことができる。圧接接合処理自体も大体同様な方法に従って行われる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、接合による悪影響を極力少なくした圧接接合方法が得られる。特に、本発明の圧接接合法により製造される超音波探触子は、超音波発振子と音響レンズとの間に接着剤などの音響境界層を有さないので、良好な音響特性を示す。また、本発明によれば、接合時に経時変化の恐れがある有機接着剤を使用せずに強固な圧接接合を行うことが可能であるので、性能が長期間変化しない超音波探触子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波探触子における超音波発振子の一例の概要断面図である。
【図2】本発明の超音波探触子における音響レンズの一例の概要断面図である。
【図3】本発明の超音波探触子の製造方法の一工程を例証する模式図である。
【図4】本発明の超音波探触子の製造方法の別の工程を例証する模式図である。
【図5】本発明の超音波探触子の組立構造の一例の模式的断面図である。
【図6】本発明の圧接接合方法により接合されたセラミック同士の概要断面図である。
【図7】本発明の圧接接合方法により接合された金属同士の概要断面図である。
【符号の説明】
1 超音波発振子
2 上部電極
2a Cr蒸着膜
2b Au蒸着膜
3 下部電極
3a Cr蒸着膜
3b Au蒸着膜
4 Au/Cr蒸着膜
5 音響レンズ
6 下部電極接続用リード線
7 超音波吸収材
8 上部電極接続用リード線
9 充填材
10 保護ケース
13a,13b ビーム源
14a,14b 加圧治具
20 真空処理室
22 排気ダクト
30a,30b セラミック部材
32a,32b 金属部材
40 Pb蒸着膜
Claims (9)
- セラミックからなる被接合物同士を接合させる方法であって、
各被接合物の接合面に、0.3〜0.5μmの範囲内の膜厚のAu/Cr蒸着膜を設け、一方のAu/Cr蒸着膜の表面に、3〜8μmの範囲内の膜厚のPb蒸着膜を設け、
両被接合物の接合面に真空中でイオンビームあるいはアトムビームを照射して各接合面を清浄化し、
その後、両被接合物を加圧しながら密着させることにより、両被接合物を相互に圧接接合させることを特徴とする接合方法。 - 超音波吸収材と、両面にAu/Cr蒸着膜からなる電極形成用金属膜を有する超音波発振子と、超音波発振子との接合面側にAu/Cr蒸着膜を有する音響レンズとからなり、前記超音波発振子を間に挟んで、超音波吸収材と音響レンズとが相互に圧接接合されている超音波探触子において、前記超音波発振子の各接合面側のAu/Cr蒸着膜の表面にはPb(鉛)の蒸着膜が更に設けられており、Au/Cr蒸着膜の膜厚は0.3μm〜0.5μmの範囲内であり、Pb蒸着膜の膜厚は3〜8μmの範囲内であることを特徴とする超音波探触子。
- 音響レンズは石英からなる請求項2の超音波探触子。
- 超音波吸収材は鉛又は錫からなる請求項2の超音波探触子。
- 超音波吸収材と、両面にAu/Cr蒸着膜からなる電極形成用金属膜を有し、各Au/Cr蒸着膜の表面にはPb蒸着膜が更に設けられている超音波発振子と、超音波発振子との接合面側にAu/Cr蒸着膜を有する音響レンズを準備し、
前記各Au/Cr蒸着膜の膜厚は0.3μm〜0.5μmの範囲内であり、前記Pb蒸着膜の膜厚は3〜8μmの範囲内であり、
超音波発振子の音響レンズとの接合面,前記音響レンズの前記超音波発振子との接合面,前記超音波発振子の超音波吸収材との接合面,および前記超音波吸収材の前記超音波発振子との接合面に真空中でイオンビームあるいはアトムビームを照射して各接合面を清浄化し、
超音波発振子のPb蒸着膜を有するAu/Cr蒸着膜側を前記音響レンズとの接合面側に配置し、超音波発振子の他方のPb蒸着膜を有するAu/Cr蒸着膜側を前記超音波吸収材との接合面側に配置し、前記超音波吸収材,前記超音波発振子,及び前記音響レンズを加圧しながら密着させることにより、超音波発振子を間に挟んで、超音波吸収材と、超音波発振子と音響レンズとを相互に圧接接合させることを特徴とする超音波探触子の製造方法。 - 音響レンズは石英からなり、超音波吸収材は鉛又は錫からなる請求項5の方法。
- 超音波吸収材と超音波発振子と音響レンズとの圧接接合において、前記超音波発振子と前記音響レンズとを圧接接合させた後に、前記超音波発振子と前記超音波吸収材とを圧接接合させる請求項5の方法。
- セラミックからなる被接合物と金属からなる被接合物とを接合させる方法であって、
セラミック被接合物の接合面に、0.3〜0.5μmの範囲内の膜厚のAu/Cr蒸着膜を設け、このAu/Cr蒸着膜の表面又は金属被接合物の接合面に、3〜8μmの範囲内の膜厚のPb蒸着膜を設け、
両被接合物の接合面に真空中でイオンビームあるいはアトムビームを照射して各接合面を清浄化し、
その後、両被接合物を加圧しながら密着させることにより、両被接合物を相互に圧接接合させることを特徴とする接合方法。 - 金属からなる被接合物同士を接合させる方法であって、
少なくとも一方の金属被接合物の接合面に、3〜8μmの範囲内の膜厚のPb蒸着膜を設け、
両被接合物の接合面に真空中でイオンビームあるいはアトムビームを照射して各接合面 を清浄化し、
その後、両被接合物を加圧しながら密着させることにより、両被接合物を相互に圧接接合させることを特徴とする接合方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP11025897A JP3707580B2 (ja) | 1997-04-11 | 1997-04-11 | 接合方法及びその方法を用いた超音波探触子 |
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JPH10282073A JPH10282073A (ja) | 1998-10-23 |
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JP (1) | JP3707580B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3586757A1 (en) * | 2012-06-13 | 2020-01-01 | Seno Medical Instruments, Inc. | Optoacoustic imaging system with fiber optic cable |
-
1997
- 1997-04-11 JP JP11025897A patent/JP3707580B2/ja not_active Expired - Lifetime
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EP3586757A1 (en) * | 2012-06-13 | 2020-01-01 | Seno Medical Instruments, Inc. | Optoacoustic imaging system with fiber optic cable |
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JPH10282073A (ja) | 1998-10-23 |
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