JP2015522584A - アレルギーを予防又は治療するためのスギペプチド - Google Patents

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Abstract

スギ及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを予防又は治療するために使用されてよいポリペプチドは、30アミノ酸長までであり、且つ(I)アミノ酸配列:DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1;Cry26);又は(II)7までのアミノ酸修飾(そのそれぞれは、独立して、欠失、置換若しくは挿入である)を有する該アミノ酸配列(I)である、T細胞エピトープを含むバリアント配列、を含む。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、スギ及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを予防又は治療するために使用されてよい、ポリペプチド及びその医薬製剤に関する。
発明の背景
樹木花粉アレルゲンは、ヒトにおけるアレルギー性疾患の主因と認識される。特に、スギ(Japanese cedar)樹木(クリプトメリア・ヤポニカ(Cryptomeria Japonica);日本語で「スギ」)の花粉に対するアレルギー(「花粉症」としても知られる)は、日本において、最も一般的なアレルギー性呼吸器疾患の一つである。ヒノキ(Japanese cypress)樹木(カマエキパリス・オブツサ(Chamaecyparis obtusa)、日本語で「ヒノキ」)も日本において花粉症を引き起こす。スギ花粉シーズンが2月から3月である一方、ヒノキ花粉シーズンは3月から4月である;症状は花粉のシーズンを超えて持続し得る。日本の人口のかなりの割合が、花粉症及びアレルギーの症状に罹患している。花粉症及びアレルギーはまた、スギ若しくはヒノキ樹木が在来種であるか又は当該樹木が栽培されている他の国(韓国及び中国を含む)でも起こる。
発明の要旨
本発明は、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーの予防又は治療における使用に適したポリペプチド又はその医薬上許容される塩であって、30アミノ酸長までであり、且つ
(I)アミノ酸配列:DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1;Cry26);又は
(II)7までのアミノ酸修飾(そのそれぞれは、独立して、欠失、置換又は挿入である)を有する該アミノ酸配列(I)である、T細胞エピトープを含むバリアント配列
を含む、ポリペプチド又はその医薬上許容される塩を提供する。
本発明はさらに、医薬上許容される担体(carrier)又は希釈剤、及び本発明のポリペプチド又はその医薬上許容される塩を含む医薬製剤を提供する。
追加として、本発明は、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを治療又は予防する方法において使用するための、本発明のポリペプチド、塩又は医薬製剤を提供する。
本発明はさらに、スギ花粉及び/若しくはヒノキ花粉に対するアレルギーについて個体を治療する方法、又はスギ花粉及び/若しくはヒノキ花粉に対するアレルギーを個体において予防する方法であって、治療上又は予防上有効量の本発明のポリペプチド、塩又は医薬製剤を該個体に投与することを含む、方法を提供する。
本発明はまた、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを予防又は治療するための医薬を製造するための、本発明のポリペプチド又は塩の使用を提供する。
追加として、本発明は、T細胞が本発明のポリペプチド又は塩を認識するかどうかのin vitroでの判定方法であって、該T細胞を該ポリペプチド又は塩と接触させること、及び該T細胞が、該ポリペプチド又は塩により刺激されるかどうかを検出することを含む、方法を提供する。
本発明はさらに、本発明の医薬製剤を調製する方法であって、本明細書に記載のポリペプチド又は塩を医薬上許容される担体又は希釈剤と組み合わせることを含む、方法を提供する。
配列の説明
配列番号1〜9は、詳細な説明及び実施例1〜3に記載するとおりのアミノ酸配列を提供する。配列番号1〜6は、タンパク質Cry IFRに由来するアミノ酸配列に対応する。
Cry IFRタンパク質のUniprotアクセッション番号を実施例1に提供する。
発明の詳細な説明
本発明は、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーの予防又は治療に関し、この使用に適したポリペプチド及びその医薬上許容される塩を提供する。前記ポリペプチド又は塩は、医薬製剤で提供されてよい。
アミノ酸配列及びバリアントアミノ酸配列
本発明のポリペプチドは、配列番号1に示すとおりのアミノ酸配列を含むか、該配列からなるか又は本質的に該配列からなってよい。
或いは、本発明のポリペプチドは、7までのアミノ酸修飾(そのそれぞれは、独立して、欠失、置換又は挿入である)を有する配列番号1に示すとおりのアミノ酸配列である、T細胞エピトープを含むバリアント配列を含むか、該配列からなるか又は本質的に該配列からなってよい。
バリアント配列における修飾は、対応する元のアミノ酸配列に存在するT細胞エピトープの機能特性を変化させないことが好ましい。T細胞エピトープの機能特性は、さらに以下に記載する。
好ましいバリアント配列において、対応する元のアミノ酸配列の十分に連続(contiguous)するアミノ酸が、T細胞エピトープを含むために保持される。典型的には、かかるバリアント配列は、元のアミノ酸配列の少なくとも8、好ましくは少なくとも9の連続アミノ酸を保持する。バリアント配列は、元のアミノ酸配列の8〜12アミノ酸、又は9〜12アミノ酸を保持してよい。
バリアント配列は、7未満のアミノ酸修飾を有してよい。例えば、前記バリアント配列は、6までのアミノ酸修飾、例えば、5までのアミノ酸修飾、好ましくは4までの前記アミノ酸修飾、より好ましくは3までのアミノ酸修飾、最も好ましくは1又は2のみのアミノ酸修飾を有してよい。前記修飾は全て、独立して、欠失、置換又は挿入である。
特に好ましい実施態様において、バリアント配列は、1又は2のアミノ酸修飾を有し、それ又はそのそれぞれは、独立して、欠失又は置換である。
欠失
T細胞エピトープを含むバリアント配列が、欠失であるアミノ酸修飾を有する場合、欠失されるアミノ酸は、好ましくは、対応する元のアミノ酸配列のN又はC末端から除去される。すなわち、バリアント配列は、元の配列のN及び/又はC末端から1以上の連続アミノ酸を除去することによって形成される、元のアミノ酸配列のトランケーションである。かかるバリアント配列は、任意選択で、他のいずれの欠失又は他のいずれの修飾を有さなくてもよい。
欠失されるアミノ酸が、対応する元のアミノ酸配列の内部の位置(internal position)から除去されることはあまり好ましくないかもしれない。内部の位置からの除去とは、欠失されるアミノ酸が、それ自体、元のアミノ酸配列のN又はC末端になく、また元のアミノ酸配列のN又はC末端を含む連続アミノ酸配列の一部として除去されるものでもないことを意味する。すなわち、内部の位置からの欠失であると考えられるためには、該欠失は、元のアミノ酸配列のN又はC末端からの欠失とは独立して生じなければならない。
例えば、元の配列をABCDEFGHと仮定すると、2のアミノ酸の内部欠失を有するバリアント配列の例は、ADEFGHであり得る。従って、B及びCが内部の位置から除去され、元の末端残基であるA及びHは保持される。対照的に、同じ元の配列のN末端から2の連続アミノ酸が欠失すると、バリアント配列CDEFGHがもたらされ得、ここでは、A及びBが除去され、Cが現在のN末端である。この場合におけるBの欠失は、元の配列のN末端を含む2の連続アミノ酸の1つとしてこれが除去されていることから、内部の位置からの除去ではない。
2以上の欠失がバリアント配列において生じる場合、欠失されるアミノ酸は、N末端及び/又はC末端及び/又は内部の位置の任意の組み合わせから除去されてよい。好ましいバリアント配列は、内部の位置から1以下の欠失を有する。特に好ましいバリアント配列では、内部の位置からの欠失は存在せず、欠失されるアミノ酸は、元の配列のN及び/又はC末端の任意の組み合わせから除去される。すなわち、欠失されるアミノ酸は全て、元の配列のN末端から除去されてよく、或いはそれらは全て、元の配列のC末端から除去されてよく、或いはいくつかのアミノ酸が、元の配列の各末端から除去されてよい。
従って、一実施態様において、バリアント配列は、配列番号1のアミノ酸配列のN末端から除去される1、2、3、4、5、6又は7のアミノ酸を有する配列番号1のアミノ酸配列である。
別の実施態様において、バリアント配列は、配列番号1のアミノ酸配列のC末端から除去される1、2、3、4、5、6又は7のアミノ酸を有する配列番号1のアミノ酸配列である。
別の実施態様において、バリアントアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列のN及びC末端の両方から除去されるいくつか(a number of)のアミノ酸を有する配列番号1のアミノ酸配列であるが、但し、該配列は、全体で7を超える修飾を有さない。かかるバリアント配列の好ましい実施態様は、配列番号1のアミノ酸配列のN及び/又はC末端から除去される1、2又は3のアミノ酸を有し、任意選択で他のいずれの修飾も有さなくてもよい、配列番号1のアミノ酸配列である。
少なくとも1の欠失を有するバリアントアミノ酸配列の具体的な例は以下を含む:
- N末端から除去される1のアミノ酸及びC末端から除去される6のアミノ酸を有するアミノ酸配列DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1)である、バリアント配列LKIKLRRTI(配列番号5);
- N末端から除去される3のアミノ酸及びC末端から除去される4のアミノ酸を有するアミノ酸配列DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1)である、バリアント配列IKLRRTIEA(配列番号6)。
置換
T細胞エピトープを含むバリアント配列が、置換であるアミノ酸修飾を有する場合、置換は元のアミノ酸配列の任意の位置で生じてよい。前記置換は、プロリン又はシステインを導入しないことが好ましい。前記置換はまた、保存的置換であることが好ましい。
保存的置換とは、アミノ酸が、同様の特性を有する任意の別のアミノ酸で置換され得ることを意味する。以下は、包括的でない例示のリストである:
塩基性側鎖を有するアミノ酸、例えば、リジン、アルギニン又はヒスチジンは、それぞれ独立して、互いに置換されてよい。
酸性側鎖を有するアミノ酸、例えば、アスパルテート及びグルタメートは、それぞれ独立して、互いに置換されてよく、或いはそれらのアミド誘導体、アスパラギン及びグルタミンに置換されてよい。グルタメート又はグルタミンはまた、好ましくは、ピログルタメートで置き換えられてもよい。脂肪族側鎖を有するアミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンは、それぞれ独立して、互いに置換されてよい。このカテゴリーにおける特に好ましい置換は、より小さな脂肪族側鎖を有するアミノ酸、すなわち、グリシン、アラニン、バリンに限定され、これは、好ましくは、それぞれ独立して、互いに置換されてよい。
他の好ましい置換は、メチオニンのノルロイシン(Nle)での置換を含む。
さらに、より一般論として、中性アミノ酸は別の中性アミノ酸で置換されてよく、荷電アミノ酸は別の荷電アミノ酸で置換されてよく、親水性アミノ酸は別の親水性アミノ酸で置換されてよく、疎水性アミノ酸は別の疎水性アミノ酸で置換されてよく、極性アミノ酸は別の極性アミノ酸で置換されてよく、且つ芳香族アミノ酸は別の芳香族アミノ酸で置換されてよい。適切な置換体(substituents)を選択するために使用することができる20種の主要なアミノ酸のいくつかの特性は、以下のとおりである:
いくつかのバリアント配列では、置換及び欠失が存在してよい。例えば、一実施態様において、バリアント配列は、配列番号1のアミノ酸配列のN及びC末端の両方に挿入されるいくつかのアミノ酸、並びにいくつかの欠失を有する配列番号1のアミノ酸配列であるが、但し、該配列は、全体で7を超える修飾を有さない。かかるバリアント配列の好ましい実施態様は、配列番号1のアミノ酸配列のN及び/又はC末端から欠失される1又は2のアミノ酸、並びに配列番号1の配列内で生じる1又は2の置換を有する配列番号1のアミノ酸配列である。
挿入
バリアント配列が、挿入であるアミノ酸修飾を有する場合、付加されるアミノ酸は、元のアミノ酸配列の任意の位置に挿入されてよい。挿入は、プロリン又はシステインを導入しないことが好ましい。
好ましくは、アミノ酸は、元の配列のN末端及び/又はC末端に挿入されてよい。すなわち、バリアント配列は、元のアミノ酸配列のN及び/又はC末端へのアミノ酸の付加により形成される、元のアミノ酸配列の伸長体(extension)である。かかるバリアント配列は、任意選択で、他のいずれの挿入又は他のいずれの修飾を有さなくてもよい。
あまり好ましくはないが、アミノ酸は、内部の位置に挿入されてもよい。内部の位置での挿入とは、アミノ酸が、元の配列のN末端のアミノ酸に対しC末端である任意の位置に挿入されるか、或いはアミノ酸が、元の配列のC末端のアミノ酸に対しN末端である任意の位置に挿入されることを意味する。
2以上の挿入がバリアント配列において生じる場合、付加アミノ酸は、N末端及び/又はC末端及び/又は内部の位置の任意の組み合わせにおいて挿入されてよい。好ましいバリアント配列は、内部の位置に1以下の挿入を有する。特に好ましいバリアント配列では、内部の位置にいずれの挿入も存在せず、付加アミノ酸は、元の配列のN及び/又はC末端の任意の組み合わせにおいて挿入される。すなわち、付加アミノ酸は全て、元の配列のN末端に挿入されてよく、或いはそれらは全て、元の配列のC末端に挿入されてよく、或いはいくつかのアミノ酸が、元の配列の各末端に挿入されてよい。すなわち、付加アミノ酸は、N及び/又はC末端において元の配列を伸長すると考えられ得る。
従って、一実施態様において、バリアント配列は、配列番号1のアミノ酸配列のN末端に挿入される1、2、3、4、5、6又は7のアミノ酸を有する配列番号1のアミノ酸配列である。
別の実施態様において、バリアント配列は、配列番号1のアミノ酸配列のC末端に挿入される1、2、3、4、5、6又は7のアミノ酸を有する配列番号1のアミノ酸配列である。
別の実施態様において、バリアント配列は、配列番号1のアミノ酸配列のN及びC末端の両方に挿入されるいくつかのアミノ酸を有する配列番号1のアミノ酸配列であるが、但し、該配列は、全体で7を超える修飾は有さない。かかるバリアント配列の好ましい実施態様は、配列番号1のアミノ酸配列のN及び/又はC末端に挿入される1、2又は3のアミノ酸を有し、任意選択で他のいずれの修飾を有さなくてもよい、配列番号1のアミノ酸配列である。
N及び/又はC末端に挿入される荷電アミノ酸を有するバリアント配列は、該荷電アミノ酸が、バリアント配列を含むか、該配列からなるか又は本質的に該配列からなる本発明のポリペプチドのN及び/又はC末端に相当することが特に好ましい。ポリペプチドのN及び/又はC末端の荷電残基は、ポリペプチドの溶解度を向上させ得る。好ましい荷電アミノ酸は、リジン、アルギニン及びヒスチジンを含む。リジンが特に好ましい。従って、特に好ましいバリアント配列は、配列番号1のアミノ酸配列のN及び/又はC末端に挿入される1以上の荷電アミノ酸、好ましくは1以上のリジン残基を有する配列番号1のアミノ酸配列である。
いくつかのバリアント配列では、置換及び挿入が存在してよい。例えば、一実施態様において、バリアント配列は、配列番号1のアミノ酸配列のN及びC末端の両方に挿入されるいくつかのアミノ酸、且ついくつかの置換を有する配列番号1のアミノ酸配列であるが、但し、該配列は、全体で7を超える修飾は有さない。かかるバリアント配列の好ましい実施態様は、配列番号1のアミノ酸配列のN及び/又はC末端に挿入される1又は2のアミノ酸、及び配列番号1の配列内に生じる1又は2の置換を有する配列番号1のアミノ酸配列である。
ポリペプチド
本発明のポリペプチドは、30アミノ酸長までであり、且つ先に定義したようなアミノ酸配列又はバリアント配列を含むか、該配列からなるか又は本質的に該配列からなる。
前記ポリペプチドは、好ましくは25アミノ酸長までであってよく、より好ましくは20アミノ酸長まで又は17アミノ酸長まで、最も好ましくは15アミノ酸長までであってよい。言い換えれば、ポリペプチドは、最大で30、25、20、17又は15アミノ酸長を有してよい。
本発明のポリペプチドは、好ましくは少なくとも8アミノ酸長であり、より好ましくは少なくとも9アミノ酸長、最も好ましくは少なくとも12アミノ酸長である。言い換えれば、ポリペプチドは、最小で8、9又は12アミノ酸長を有してよい。
本発明のポリペプチドは、前記最小及び前記最大長の任意の組み合わせにより定義される長さのものであってよい。例えば、ポリペプチドは、8〜30、8〜25、8〜20、8〜17又は8〜15アミノ酸長であってよい。ポリペプチドは、9〜30、9〜25、9〜20、9〜17又は9〜15アミノ酸長であってよい。ポリペプチドは、12〜30、12〜25、12〜20、12〜17又は12〜15アミノ酸長であってよい。好ましいポリペプチドは、9〜30アミノ酸長のものであり、より好ましくは9〜20アミノ酸長のものである。特に好ましいポリペプチドは、12〜17アミノ酸長のものである。
本発明のポリペプチドは、先に定義するようなアミノ酸配列又はバリアント配列を含んでよい。従って、前記ポリペプチドは、前記アミノ酸配列又はバリアント配列により定義されていない追加のアミノ酸を含んでよい。追加のアミノ酸は、前記アミノ酸配列又はバリアント配列に隣接する(flanking)と記載されてよい。すなわち、追加のアミノ酸は、前記アミノ酸配列又はバリアント配列のN末端及び/又はC末端に含まれる。
言い換えれば、本発明のポリペプチドは、いくつかのアミノ酸のN末端及び/又はC末端伸長を有する前記アミノ酸配列又はバリアント配列からなる配列を有してよい。N末端及び/又はC末端伸長の最大アミノ酸数は、先に定義するように、ポリペプチドの最大長により決定される。
前記アミノ酸配列又はバリアント配列のN末端伸長のアミノ酸は、好ましくは、それが由来するタンパク質天然配列中の前記アミノ酸配列のすぐN末端のアミノ酸に対応する。
前記アミノ酸配列又はバリアント配列のC末端伸長のアミノ酸は、好ましくは、それが由来するタンパク質天然配列中の前記アミノ酸配列のすぐC末端のアミノ酸に対応する。
N末端及び/又はC末端伸長は、それが由来するタンパク質配列中の前記アミノ酸配列のすぐN末端又はC末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の連続アミノ酸にそれぞれ対応する、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のアミノ酸であってよい。
すなわち、N末端及び/又はC末端伸長は、それが由来するタンパク質天然配列中の前記アミノ酸配列のすぐN末端又はC末端の1〜10の連続アミノ酸にそれぞれ対応する1〜10のアミノ酸のものである。
好ましくは、N末端及び/又はC末端伸長は、前記アミノ酸配列のすぐN末端又はC末端の1〜6の連続アミノ酸にそれぞれ対応する1〜6のアミノ酸のものである。
より好ましくは、N末端及び/又はC末端伸長は、前記アミノ酸配列のすぐN末端又はC末端の1〜4の連続アミノ酸にそれぞれ対応する1〜4のアミノ酸のものである。
最も好ましくは、N末端及び/又はC末端伸長は、前記アミノ酸配列のすぐN末端又はC末端の1〜2の連続アミノ酸にそれぞれ対応する1〜2のアミノ酸のものである。
アミノ酸配列又はバリアント配列に対しN末端及び/又はC末端伸長を含む、本発明のポリペプチドの具体的な例は、以下を含む:
- DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1)は、Cry IFRの天然配列中のDLKIKLRRTIEAEGIPのすぐN末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の連続アミノ酸(すなわち、アミノ酸H、A、V、E、P、M、K、S、M及びF)に対応する1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のアミノ酸のN末端伸長を有してよい。例えば、前記連続アミノ酸が10全て存在する場合、本発明のポリペプチドは、HAVEPMKSMFDLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号2;N末端伸長に下線を付す)のアミノ酸配列を有する。
- DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1)は、Cry IFRの天然配列中のDLKIKLRRTIEAEGIPのすぐC末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の連続アミノ酸(すなわち、アミノ酸H、T、Y、V、V、P、H、C、F及びA)に対応する1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のアミノ酸のC末端伸長を有してよい。例えば、前記連続アミノ酸が10全て存在する場合、本発明のポリペプチドは、DLKIKLRRTIEAEGIPHTYVVPHCFA(配列番号3;C末端伸長に下線を付す)のアミノ酸配列を有する。
- DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1)は、Cry IFRの天然配列中のDLKIKLRRTIEAEGIPのすぐN末端の1、2、3、4、5、6、7又は8の連続アミノ酸(すなわち、アミノ酸V、E、P、M、K、S、M及びF)に対応する1、2、3、4、5、6、7又は8のアミノ酸のN末端伸長を有してよい。また、それは、Cry IFRの天然配列中のDLKIKLRRTIEAEGIPのすぐC末端の1の連続アミノ酸(すなわち、アミノ酸H)に対応する1のアミノ酸のC末端伸長を有してよい。例えば、N末端伸長に8全ての連続アミン酸が存在し、且つC末端伸長に1の連続アミノ酸が存在する場合、本発明のポリペプチドは、VEPMKSMFDLKIKLRRTIEAEGIPH(配列番号4;N及びC末端伸長に下線を付す)のアミノ酸配列を有する。
N末端及び/又はC末端伸長のアミノ酸は、アミノ酸配列又はバリアント配列が由来するタンパク質天然配列中のアミノ酸と正確に一致しなくてもよい。N末端及び/又はC末端伸長は、例えば、ポリペプチドの安定性、溶解度又は製造可能性を向上させるために、修飾されている、前記天然配列由来の配列を含んでよい。例えば、天然配列におけるメチオニンは、ノルロイシンで置換されてよく、且つ/又は1以上の荷電残基が、N末端伸長のN末端に、及び/若しくはC末端伸長のC末端に付加されてよい。好ましくは、正に荷電した残基、例えばアルギニン及びリジンなどが付加される。ヒスチジン、グルタメート及びアスパルテートから選択されるアミノ酸が付加されてよい。
或いは、N末端及び/又はC末端伸長のアミノ酸は、アミノ酸配列又はバリアント配列が由来するタンパク質天然配列中のアミノ酸と一致しなくてよい。代わりに、それらは、好ましくはポリペプチドの安定性、溶解度又は製造可能性を向上させるために選択される、任意の適したアミノ酸であってよい。例えば、1以上の荷電残基が、配列番号1のN及び/又はC末端に付加されてよい。好ましくは、正に荷電した残基、例えばアルギニン及びリジンなどが付加される。ヒスチジン、グルタメート及びアスパルテートから選択されるアミノ酸が付加されてよい。
いくつかの実施態様において、適したポリペプチドは、1以上の欠失をさらに含む、配列番号1の前記アミノ酸配列のN又はC末端伸長からなる配列を有してよい。特に、ポリペプチドは、1つの末端(例えば、N末端)に、天然配列内の前記アミノ酸配列の伸長を含み、且つ他方の末端(例えば、C末端)にアミノ酸の欠失を含んでよい。
ポリペプチドは、それが由来するタンパク質配列中の前記アミノ酸配列のすぐN末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10又はそれ以上の連続アミノ酸にそれぞれ対応する、1、2、3、4、5、6若しくは7、8、9、10又はそれ以上のアミノ酸での前記アミノ酸配列のN末端伸長と、前記アミノ酸配列のC末端からの1、2、3、4、5、6又は7のアミノ酸の欠失とからなる配列を有してよい。
ポリペプチドは、それが由来するタンパク質配列中の前記アミノ酸配列のすぐC末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10又はそれ以上の連続アミノ酸にそれぞれ対応する、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のアミノ酸での前記アミノ酸配列のC末端伸長と、前記アミノ酸配列のN末端からの1、2、3、4、5、6又は7のアミノ酸の欠失とからなる配列を有してよい。
T細胞エピトープ
本発明のポリペプチドは、30アミノ酸長までであり、且つ先に定義するようなアミノ酸配列又はバリアント配列を含むか、該配列からなるか又は本質的に該配列からなる。アミノ酸配列及び前記各バリアント配列は、T細胞エピトープを含む。T細胞エピトープは、好ましくは、MHCクラスII結合性T細胞エピトープである。バリアント配列における修飾は、対応する元のアミノ酸配列に存在するT細胞エピトープの機能特性を変化させないことが好ましい。
好ましいバリアント配列において、対応する元のアミノ酸配列の十分に連続するアミノ酸が、T細胞エピトープを含むために保持される。典型的には、かかるバリアント配列は、元のアミノ酸配列の少なくとも8、好ましくは少なくとも9の連続アミノ酸を保持する。
T細胞エピトープの存在は、好ましくは、in silicoで実施される分析、例えば、実施例1に記載するようなバイオインフォマティックソフトウェアを用いた分析により確認されてよい。或いは、T細胞エピトープの存在は、その機能特性を直接評価することにより確認されてよい。T細胞エピトープの特定の機能特性は、エピトープを含むポリペプチドのMHC分子、好ましくはMHCクラスII分子との結合能力、及び/又はエピトープを含むポリペプチドのT細胞活性化能力(好ましくは、MHCクラスII分子と結合した場合)を含む。
ポリペプチドのMHC分子との結合能力は、任意の適した方法、例えば競合アッセイなどを用いて評価されてよい。好ましいin vitroアッセイを実施例3に記載する。
ポリペプチドのT細胞活性化能力も任意の適した方法を用いて評価されてよい。好ましい方法は、T細胞活性化と関連する1以上のパラメータ(例えば、増殖又はサイトカイン放出)の測定を含む。これらのパラメータに対する好ましいアッセイを実施例4に記載する。関連するサイトカインは、IFN-γ、IL-13及びIL-10を含む。本発明との関連で、ポリペプチドは、典型的には、IFN-γ、IL-13及びIL-10の1つ、2つ又は全ての放出(例えば、IFN-γ及びIL-13の両方の放出)を誘導する場合に、T細胞を活性化していると考えられる。ポリペプチドは、好ましくは、50 pg/ml超の所与のサイトカイン(1又は複数)の放出を誘導する。より好ましくは、ポリペプチドは、100 pg/ml超の所与のサイトカイン(1又は複数)の放出を誘導する。
上記のとおり、バリアント配列における修飾は、対応する元のアミノ酸配列に存在するT細胞エピトープの機能特性を変化させないことが好ましい。従って、バリアントアミノ酸配列を含むか、該配列からなるか又は本質的に該配列からなるポリペプチドは、対応する元のアミノ酸配列を含むか、該配列からなるか又は本質的に該配列からなるポリペプチドと、実質的に同じMHCクラスII結合特性及び実質的に同じT細胞活性化特性を有するべきである。
典型的には、ポリペプチドは、別のポリペプチドと、その両方のポリペプチドが同じMHCクラスIIアレルスーパータイプファミリーに属する1以上のMHCクラスII分子と特異的に結合できるならば、実質的に同じMHCクラスII結合特性を有する。MHCクラスIIアレルスーパータイプファミリーの例として、HLA-DR1、HLA-DR3、HLA-DR4、HLA-DR7、HLA-DR8、HLA-DR11、HLA-DR13、HLA-DR15及びHLA-DR51が挙げられる。最も好ましくは、両方のポリペプチドは、同じMHCクラスII分子、すなわち同じアレルによりコードされるMHCクラスII分子と特異的に結合するだろう。
典型的には、ポリペプチドは、別のポリペプチドと、その両方のポリペプチドが同じT細胞受容体を発現するT細胞を特異的に活性化するならば、実質的に同じT細胞活性化特性を有する。好ましくは、各ポリペプチドにより誘導される活性化レベルに有意な差は存在すべきでない。活性化レベルは、上記のように、増殖及び/又はサイトカイン放出をモニタリングすることにより評価されてよい。
バリアント配列を含むか、該配列からなるか又は本質的に該配列からなる適したポリペプチドは、実験的に導かれてよく、又は公知の基準に従って選択されてよい。単一ポリペプチド内に、MHC抗原結合溝の内部で結合に寄与する特定の残基、及びT細胞受容体の超可変領域と相互作用する他の残基が存在する(Allen et al(1987)Nature 327:713-5)。有利には、ペプチドは、T細胞増殖及び脱感作の誘導に有利であるように設計されてよい。Metzler及びWraithは、ポリペプチド-MHC親和性を増大させる置換がなされたポリペプチドの寛容誘導能の向上を実証している(Metzler & Wraith(1993)Int Immunol:1159-65)。改変されたポリペプチドリガンドが、クローン化T細胞において、長期間且つ強いアネルギーを引き起こし得ることが、Sloan-Lancaster et al(1993)Nature 363:156-9によって実証された。
配列同一性
本発明による適したT細胞エピトープを含むバリアント配列は、或いは、対応する元のアミノ酸配列とのその配列同一性に関して記載されてよい。例えば、バリアント配列は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも65%の同一性を有してよい。より好ましくは、バリアント配列は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%のアミノ酸同一性を有してよい。
配列同一性は、典型的には、元のアミノ酸配列におけるいくつかの連続アミノ酸に亘って評価される。例えば、配列同一性は、比較ペプチドのサイズに応じて、元のアミノ酸配列における少なくとも9、10、11、12、13、14又は15の連続アミノ酸に亘って測定されてよい。配列同一性は、元のアミノ酸配列における少なくとも9の連続アミノ酸に亘って測定されることが好ましい。配列同一性は、対応する元のアミノ酸配列の全長に亘って測定されることが特に好ましい。
アミノ酸配列に関連して、「配列同一性」とは、ClustalW(Thompson et al., 1994、上記)を以下のパラメータとともに用いて評価した場合に表示された値を有する配列をいう:
ペアワイズ・アライメントパラメータ-メソッド:精密(accurate)、マトリックス:PAM、ギャップオープンペナルティ:10.00、ギャップ伸長ペナルティ:0.10;マルチプル・アライメントパラメータ-マトリックス:PAM、ギャップオープンペナルティ:10.00、遅延に関する%同一性:30、末端ギャップに対するペナルティ付加:あり、ギャップ分離距離:0、陰性マトリックス:なし、ギャップ伸長ペナルティ:0.20、残基特異的ギャップペナルティ:あり、親水性ギャップペナルティ:あり、親水性残基:G、P、S、N、D、Q、E、K及びR。特定の残基での配列同一性は、単純に誘導体化されている同一残基を含むことを意図する。

本発明は、本発明のポリペプチドの任意の医薬上許容される塩を包含する。前記医薬上許容される塩としては、例えば、塩化物、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩;及び酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸塩が挙げられる。塩酸塩又は酢酸塩が好ましい。
合成
本発明のポリペプチドは、任意の適した技術により調製され得る。ペプチド固相合成法(SPPS)が好ましい技術である。これは、小さな固体ビーズ上でのペプチド形成を伴う。
SPPSを使用する場合、ペプチドは、合成の間、ビーズに共有結合されたままである。ペプチドは、カップリング-洗浄-脱保護-洗浄のサイクルを繰り返すことにより合成される。特に、固相結合ペプチドの遊離N末端アミンが、単一のN保護アミノ酸ユニットとカップリングされる。次いで、このユニットが脱保護され、新たなN末端アミンが明らかとなり、さらに保護されたアミノ酸がこれに結合される。これらのステップは、ペプチドが完了するまで繰り返される。次いで、ペプチドは、適した試薬を用いてビーズから切断される。
SPPSに関して、適した保護基、試薬、溶媒及び反応条件は当業者に周知であり、そのような条件は、ルーチンな最適化手順により当業者により決定され得る。
ポリペプチドの医薬上許容される塩は、任意の適した技術により調製され得る。典型的には、塩化は、選択される医薬上許容される塩を得るために、ポリペプチド又はその塩と、適した試薬、典型的には酸との反応を伴う。
例えば、ポリペプチドの塩酸塩は、トリフルオロ酢酸を用いて固相からポリペプチドを最初に切断することにより調製され得る。従って、ポリペプチドは、最初はトリフルオロ酢酸塩となるだろう。次いで、トリフルオロ酢酸塩は、任意の公知技術、例えば、溶離液として塩酸を用いた適したカラム上でのイオン交換などによって塩酸塩に変換することができる。
ポリペプチド又はポリペプチド塩生成物は、必要な場合には、任意の適した技術により精製され得る。例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用することができる。
用語「ポリペプチド」は、アミノ酸残基がペプチド(-CO-NH-)結合によって連結されている分子だけでなく、ペプチド結合が逆向きにされた分子も含む。かかるレトロインベルソ(retro-inverso)ペプチド模倣体は、例えば、Meziere et al(1997)J. Immunol.159, 3230-3237に記載された方法などの当分野で公知の方法を用いて調製されてよい。このアプローチは、側鎖の配向ではなく主鎖に関する変化を含む疑似ポリペプチドを調製することを含む。Meziere et al(1997)は、少なくともMHCクラスII及びヘルパーT細胞応答について、こうした疑似ポリペプチドが有用であることを示している。CO-NHペプチド結合の代わりにNH-CO結合を含むレトロインバース(retro-inverse)ポリペプチドは、タンパク質分解に対して遥かに耐性がある。
同様に、アミノ酸残基の炭素原子間の間隔を保持する適切なリンカー部分が使用されることを条件として、ペプチド結合を完全になくしてよい;該リンカー部分がペプチド結合と実質的に同じ電荷分布及び実質的に同じ平面性を有している場合、特に好ましい。エキソ型タンパク質分解消化(exoproteolytic digestion)に対する感受性を減少させる助けとなるように、ペプチドをそのN末端又はC末端でブロックすることが好都合であり得ることも理解されるであろう。例えば、ポリペプチドのN末端アミノ基をカルボン酸と反応させることによって保護してよく、ペプチドのC末端カルボキシル基をアミンと反応させることによって保護してよい。修飾の他の例としては、グリコシル化及びリン酸化が挙げられる。別の可能な修飾は、R又はKの側鎖アミンの水素をメチレン基で置き換えてもよい(-NH2(R)-NH(Me)又は-N(Me)2)。
本発明によるポリペプチドのアナログは、ポリペプチドのin vivo半減期を増加又は減少させるペプチドバリアントも含んでよい。本発明に従って使用される、ポリペプチドの半減期を増加させることが可能なアナログの例としては、該ペプチドのペプトイドアナログ、該ペプチドのD-アミノ酸誘導体及びペプチド-ペプトイドハイブリッドが挙げられる。本発明に従って使用される、バリアントポリペプチドのさらなる実施態様は、D-アミノ酸形態のポリペプチドを含む。L-アミノ酸ではなくD-アミノ酸を用いてポリペプチドを調製することで、通常の代謝過程によるかかる薬剤の望まれない分解が大きく減少し、その投与頻度とともに、投与することが必要な薬剤量が減少する。
本発明により提供されるポリペプチドは、親タンパク質鎖をコードする一次転写物の選択的スプライシングによって生成するmRNAによってコードされる親タンパク質のスプライスバリアントに由来してよい。ポリペプチドはまた、親アレルゲンタンパク質のアミノ酸変異体(mutant)、グリコシル化バリアント及び他の共有結合誘導体に由来してもよい。例示的な誘導体としては、本発明のポリペプチドが、置換、化学的手段、酵素的手段又は他の適切な手段により、天然に存在するアミノ酸以外の部分について共有結合的に修飾されている分子が挙げられる。さらに、親タンパク質の天然に存在するバリアントアミノ酸配列が挙げられる。かかるバリアントアミノ酸配列は、対立遺伝子バリアントによってコードされていてもよく、或いは選択的スプライシングバリアントを表していてもよい。
上記のような修飾は、ペプチドの合成の間に若しくは生成後の修飾により、又はポリペプチドが組換え型である場合には部位特異的変異誘発、ランダム変異誘発若しくは核酸の酵素による切断及び/若しくはライゲーションという公知の技術を用いて、調製されてよい。
本明細書に記載のポリペプチドはまた、物理化学的特性を向上させるために修飾されてもよい。従って、例えば、元のアミノ酸配列は、その溶解度を向上させるために改変されてよく、従って、バリアント配列を有する本発明のポリペプチドは、好ましくは、対応する元のアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも、同等条件下で、より可溶性であるだろう。ポリペプチドの溶解度を評価する方法は、当分野で周知である。
溶解し難い薬剤を対象に投与すると、望ましくない非寛容化炎症反応を引き起こすため、溶解度の向上は、本発明のポリペプチドが由来するアレルゲンに対して対象を寛容化するのに有利である。ポリペプチドの溶解度は、T細胞エピトープを含む領域に隣接する残基を改変することによって向上されてよい。例えば、T細胞エピトープに隣接するポリペプチド残基のN及びC末端において、アルギニン、リジン、ヒスチジン、グルタメート及びアスパルテートから選択される少なくとも1つのアミノ酸が付加されてよい。他の例では:
i)ポリペプチドの天然配列のN若しくはC末端における3までのアミノ酸の中の、T細胞エピトープに含まれていない任意の疎水性残基が欠失し;且つ/又は
ii)ポリペプチドの天然配列のN若しくはC末端における4までのアミノ酸の中の配列Asp-Glyを含む、T細胞エピトープに含まれていない任意の2の連続したアミノ酸が欠失し;且つ/又は
iii)1以上の正に荷電した残基が、ポリペプチドの天然配列のN及び/若しくはC末端に付加される。
任意選択で、システイン残基を含む任意のポリペプチドは、任意のシステイン残基がセリン又は2-アミノ酪酸で置き換えられるように、ダイマー形成を予防するために操作されてよい。
ポリペプチドの組み合わせ
本発明のポリペプチド又はその塩は、1以上の更なるポリペプチド又はその塩と組み合わせて提供されてよい。
かかるポリペプチドの組み合わせは、寛容化によりスギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを予防又は治療するのに適している。かかるポリペプチドの組み合わせは、典型的には、少なくとも1つの更なるポリペプチドであって、30アミノ酸長までであり、且つ(I)スギ花粉アレルゲン若しくはヒノキ花粉アレルゲンに由来する、T細胞エピトープ含むアミノ酸配列;又は(II)7までのアミノ酸修飾(そのそれぞれは、独立して、欠失、置換又は挿入である)を有する該アミノ酸配列(I)である、T細胞エピトープを含むバリアント配列を含む、ポリペプチドを含む。
(I)の天然のT細胞エピトープを含む配列は、典型的には、アレルゲン全体の配列内に連続配列として存在し且つ1以上のT細胞エピトープを含む、9〜20、9〜17、12〜17又は12〜20アミノ酸長のアミノ酸配列である。
T細胞エピトープを含むバリアント配列は、配列番号1を参照して先に記載するように、対応する天然のT細胞エピトープを含むアミノ酸配列の任意のバリアントであってよい。T細胞エピトープを含むバリアント配列は、アレルゲンのT細胞エピトープを構成するコアの8又は9アミノ酸を保持する、スギ花粉アレルゲン又はヒノキ花粉アレルゲンのトランケーションにより得られるフラグメントであってよい。
ポリペプチドの組み合わせは、上記のような更なるポリペプチドを2、3、4、5、6、7又はそれ以上含んでよい。ポリペプチドの組み合わせは、好ましくは、全体で12ポリペプチド又はそれ以下を含み、より典型的には10ポリペプチド又はそれ以下、好ましくは7若しくは6ポリペプチド又はそれ以下を含む。
更なるポリペプチドは、典型的には、スギ及びヒノキ花粉アレルゲンCry IFR、Cry j1、Cry j2、Cha 01若しくはCha 02、又はそのバリアントに由来する。好ましくは、ポリペプチドの組み合わせは、2以上のアレルゲンに由来するポリペプチドを含むだろう。従って、Cry IFRに由来する本発明のポリペプチドに加えて、組み合わせは、Cry j1及び/又はCry2に由来する1以上のポリペプチドを含んでよい。組み合わせは、Cha o1及び/又はCha 02に由来する1以上のポリペプチドを含んでよい。
先に記載のポリペプチドの組み合わせのいずれかを、以下に詳述するように、本発明の医薬製剤に組み込んでよい。
医学的用途及び方法
本発明のポリペプチド 塩又は医薬製剤は、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを治療又は予防するために使用される。それは、寛容化によりアレルギーを予防又は治療してよい。寛容化は、クリプトメリア(Cryptomeria)及び/又はカマエキパリス(Chamaecyparis)属の1以上のタンパク質アレルゲンに対するものであってよい。寛容化は、典型的には、クリプトメリア・ヤポニカ(Cryptomeria Japonica)の花粉アレルゲンCry IFR(イソフラボンレダクターゼ)に対する。
従って、スギ花粉及び/若しくはヒノキ花粉に対するアレルギーについて個体を治療するか、又はスギ花粉及び/若しくはヒノキ花粉に対するアレルギーを個体において予防する方法を提供する。前記方法は、治療上又は予防上有効量の本発明のポリペプチド若しくは塩又は本発明の医薬製剤を前記個体に投与することを含む。従って、前記方法は、アレルギーに罹患した個体において、アレルギー症状を低下又は改善してよい。前記方法は、アレルギーに罹患した個体の状態を向上させてよい。前記方法は、個体において、アレルギー症状の出現を予防又は遅延させてよい。スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギー症状は以下に記載する。
ポリペプチド又は塩の組み合わせは、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを治療又は予防するために使用され得る。組み合わせにおけるポリペプチド及び/又は塩は、一緒に投与される必要はなく、且つ/又は同じ医薬製剤の一部でない必要はない。
従って、本発明は、上記のように、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを予防又は治療する方法であって、さらに、上記のように、スギ花粉又はヒノキ花粉に由来する少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の追加のポリペプチドを投与することを含む、方法で使用するための本発明のポリペプチド又は塩を提供する。この方法の複数のペプチドは、それぞれ、同時に(simultaneously)、連続的に、又は同時期に(concurrently)投与されてよい。従って、それらは、別々に投与されてよい。
本発明のポリペプチド、塩又は医薬製剤は、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対する脱感作又は寛容化によりアレルギーを治療又は予防してよい。本発明のポリペプチドは、それが由来するアレルゲンに対して個体を寛容化又は脱感作するために使用されてよい。アレルゲンに対して個体を脱感作することは、適切に感作された個体において、アレルゲンによって誘導されるアレルギー性組織反応を抑制すること又は弱めることを意味する。用語「寛容化」とは、タンパク質アレルゲンに対するアレルギー反応などの抗原に対する反応を抑制又は無効にする能力をいう。寛容化はまた、望ましくない免疫反応を弱める若しくは無効にするか、又はタンパク質アレルゲンに対して対象を脱感作する能力である。寛容化は、T細胞応答のin vitro分析により、又は個体における症状の減少を観察することにより決定されてよい。
より詳細には、T細胞は選択的に活性化され得、次いで非応答性の状態にされ得る。さらに、これらのT細胞をアネルギー化すること(anergising)又はなくすことは、特定のアレルゲンに対して患者を脱感作することにつながる。脱感作は、アレルゲン又はアレルゲン由来ペプチドの二度目の投与及び更なる投与の際に、そのアレルゲン又はアレルゲン由来ペプチドに対する応答の減少、又は好ましくはかかる応答の消失として現れる。この二度目の投与は、脱感作を起こさせるために、適切な期間が経過した後になされてよい;これは1日〜数週間の任意の期間であることが好ましい。約4週間の間隔が好ましい。
ポリペプチド、塩又は医薬製剤が投与される個体は無症候性であってよい。かかる個体には予防上有効量のポリペプチド又は医薬製剤が投与される。予防上有効量は、1以上のアレルギー症状の発症を予防する量である。
或いは、ポリペプチド、塩又は医薬製剤が投与される個体は、それを必要としてよい。すなわち、個体は、1以上のアレルギー症状を呈してよい。かかる個体には、治療上有効量のポリペプチド又は医薬製剤が投与される。治療上有効量は、1以上のアレルギー症状を改善するのに有効な量である。
ポリペプチド、塩又は医薬製剤が投与される個体は、好ましくはヒトである。個体は、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉アレルゲンに感作されているか、感作される危険性があるか、又は感作されている疑いがあることが分かっているものであってよい。個体は、当分野で周知の技術及び本明細書に記載するような技術を用いて感作について試験することができる。或いは、個体はスギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーの家族歴を有してもよい。
個体はスギ花粉及び/又はヒノキ花粉に曝露されるとアレルギー症状を示し得るため、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対する感作について個体を試験することは必要ではないことがある。曝露とは、例えば、樹木若しくは花粉、又は樹木若しくは花粉に由来する物質若しくは製品に近接することを意味する。近接とは、上記の物品から10メートル以下、5メートル以下、2メートル以下、1メートル以下又は0メートルを意味する。アレルギー症状は、鼻のかゆみ、くしゃみ、流涙(ocular tearing)、喉のかゆみ、口蓋のかゆみ、眼のかゆみ、鼻水、呼吸困難、気管支痙攣、喘息、赤い皮膚のかゆみ又は発疹を含み得る。
個体はどのような年齢のものであってもよい。しかしながら、個体は、好ましくは1〜90歳、5〜60歳、10〜40歳、又はより好ましくは18〜35歳の年齢群に入っていてよい。
個体は、少なくとも2週間、1ヶ月間、6ヶ月間、1年間、5年間、又は5年間超、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを有していたものであってよい。個体は、アレルギーによって引き起こされる発疹、鼻づまり、鼻汁及び/又は咳嗽で罹患していてよい。個体は、アレルギーによって引き起こされる鼻のかゆみ、くしゃみ、眼のかゆみ、流涙、喉のかゆみ、口蓋のかゆみ、気管支痙攣及び/又は喘息に罹患していてよい。
個体は、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉アレルギーを治療する他の組成物/化合物を投与されていたものであってもよく、又は投与されていなかったものであってもよい。個体は、温帯気候、亜熱帯気候又は熱帯気候を有する地理的領域に住んでいてよい。個体は、典型的には、特定のシーズンに、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーに罹患しているが、アレルギーは通年性であってよい。スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対する季節性アレルギーは、一般に、極東においては晩冬又は春のいずれかに生じ得る。
アレルギー個体は、スギ及び/又はヒノキ樹木由来の樹木花粉に対してアレルギーがあり、従って、クリプトメリア(Cryptomeria)属の樹木(特にクリプトメリア・ヤポニカ(Cryptomeria Japonica))及び/又はカマエキパリス(Chamaecyparis)属の樹木(特にカマエキパリス・オブツサ(Chamaecyparis obtusa))由来の花粉に対してアレルギーがある。アレルギー個体は、クリプトメリア・ヤポニカ及びカマエキパリス・オブツサの両方の樹木花粉に対してアレルギーがあってよい。
本発明のポリペプチド、塩又は医薬製剤は、使用に対するその適合性を確認するために、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉アレルギー個体のパネルにおいてスクリーニングされてよい。スギ花粉及び/又はヒノキ花粉アレルギー個体のパネルは、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対してアレルギーがあることがわかっているか又はわかっていない個体を含んでよい。特に、複数のポリペプチドが医薬製剤において組み合わせて提供される場合、それらは、T細胞サンプルの少なくとも20%においてT細胞増殖を引き起こす能力についてスクリーニングされてよく、ここで各サンプルは、集団において異なるスギ花粉及び/又はヒノキ花粉アレルギー個体から得られるものである。好ましくは、医薬製剤は、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉アレルギーの個体のパネルから得られたT細胞のサンプルの少なくとも30%において、T細胞増殖を誘導するだろう。より好ましくは、医薬製剤は、パネルにおけるサンプルの35%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上又は90%以上において、T細胞増殖を誘導するだろう。スギ花粉及び/又はヒノキ花粉アレルギーの個体のパネルにおける個体数は、1よりも大きい任意の数であってよく、例えば、少なくとも2、3、5、10、15、20、30、50、80、又は少なくとも100の個体であってよい。
また、本発明のポリペプチド、塩及び医薬製剤は、T細胞増殖は引き起こすが、感作された個体に由来する白血球サンプルからのヒスタミン放出はもたらさないことが好ましい。従って、ポリペプチド、塩又は医薬製剤のヒスタミン放出プロファイルが確認されてよい。適した白血球サンプルは、豊富(enriched)な好塩基球又はマスト細胞の調製物を含む。ヒスタミンはいくらか放出され得るが、好ましくは、放出される量は有意でない。
有意なヒスタミン放出は、個体からの白血球サンプルが、in vitroにて医薬製剤により刺激された場合に、利用できる全白血球ヒスタミンの20%以上を放出することであると考えられ得る。本発明のポリペプチド、塩又は医薬製剤は、個体からの白血球サンプルが、in vitroで組成物により刺激された場合に、好ましくは、利用できる全白血球ヒスタミンの5%未満、4%未満、3%未満、2%未満又は1%未満の放出をもたらす。正常な個体は、典型的には、およそ150 ng/107細胞の白血球ヒスタミン含量を有する。
医薬製剤
本発明のポリペプチド又は塩はそれぞれ、単離された形態、実質的に単離された形態、精製された形態又は実質的に精製された形態で個体に提供されてよい。例えば、他のポリペプチド又はその塩を実質的に含まずに、本発明のポリペプチド又は塩を個体に提供してよい。ポリペプチド又は塩は、未加工の形態で提示されることが可能であり得るが、これらを医薬製剤として提示することが好ましい。
従って、本発明の更なる側面によれば、本発明はさらに、医薬上許容される担体又は希釈剤と、本発明のポリペプチド又はその医薬上許容される塩とを含む医薬製剤を提供する。医薬製剤は、上記のように、本発明のポリペプチド又は塩の任意の組み合わせを含んでよい。
医薬製剤中に存在する担体(1又は複数)又は希釈剤(1又は複数)は、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害ではないという意味で「許容される(acceptable)」ものでなければならない。典型的には、注射用担体及び最終的な製剤は滅菌であり、発熱物質を含まない。好ましくは、担体又は希釈剤は水である。担体又は希釈剤は、チオグリセロール、チオアニソール又はメチオニンを含んでよい。
本発明の1以上のポリペプチド又は塩を含む組成物は、医薬製剤を製造するために、1以上の医薬上許容される賦形剤又はビヒクルと組み合わせることができる。賦形剤又はビヒクルの中には、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質が存在していてよい。これらの賦形剤、ビヒクル及び補助物質は、一般に、組成物を受ける個体において免疫応答を誘導しない製薬用薬剤であり、過度の毒性なしで投与され得る。医薬上許容される賦形剤は、液体、例えば、水、食塩水(saline)、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、グリセロール、チオグリセロール及びエタノールなどを含むが、これらに限定されない。その中に、医薬上許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩;及び酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸塩も含めることができる。医薬上許容される賦形剤、ビヒクル及び補助物質の詳細な考察は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub. Co., N.J. 1991)において利用可能できる。
ポリペプチド又は塩は、典型的には、医薬製剤中、0.1重量%〜50重量%で存在し、より好ましくは0.1重量%〜5重量%で存在する。ポリペプチド又は塩は、医薬製剤中、0.1重量%未満で存在してもよい。
医薬上許容される担体又は希釈剤は、典型的には、医薬製剤中、50重量%〜99.9重量%で存在し、より好ましくは95重量%〜99.9重量%で存在する。医薬上許容される担体又は希釈剤は、医薬製剤中、99.9重量%超で存在してもよい。
医薬製剤は、医薬上許容される溶液、凍結乾燥物(lyophilisates)、懸濁液、油性又は水性ビヒクル中のエマルション、ペースト、及び埋め込み型の徐放性製剤又は生分解性製剤を含むが、これらに限定されない。かかる医薬製剤は、懸濁剤、安定化剤又は分散剤を含むがこれらに限定されない、1以上の更なる成分をさらに含んでよい。凍結乾燥物は、トレハロース、チオグリセロール及びチオアニソールの1以上を含んでよい。非経口投与用医薬製剤の一実施態様において、活性成分は、適切なビヒクル(例えば、滅菌した発熱物質を含まない水)を用いて再構成するための乾燥形態(例えば、凍結乾燥物、粉末又は顆粒)で提供され、その後、再構成された医薬製剤が非経口投与される。
本発明はさらに、本発明の医薬製剤を調製する方法であって、上記のようなポリペプチド又は塩を、医薬上許容される担体又は希釈剤と組み合わせることを含む、方法を提供する。好ましくは、前記方法は、非経口投与用医薬製剤を調製し、且つ前記ポリペプチド又は塩を乾燥形態で提供すること、及び前記ポリペプチド又は塩を、前記医薬上許容される担体又は希釈剤で再構成することを含む。
医薬製剤は、滅菌の注射用の水性若しくは油性の懸濁液若しくは溶液の形態で、調製し、包装し、又は販売されてよい。この懸濁液又は溶液は、公知の技術に従って製剤化されてよく、活性成分に加えて、本明細書に記載の分散剤、湿潤剤又は懸濁剤などの更なる成分を含んでよい。かかる滅菌の注射製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒、例えば水又は1,3-ブタンジオールなどを用いて調製されてよい。他の許容される希釈剤及び溶媒は、リンガー溶液、等張塩化ナトリウム溶液、及び合成モノグリセリド又はジグリセリドなどの不揮発性油を含むが、これらに限定されない。
有用な他の非経口的に投与できる(parenterally-administrable)医薬製剤は、微結晶形態で、リポソーム製剤で、又は生分解性高分子系の構成成分として、活性成分を含むものを含む。徐放用又は埋め込み用の医薬製剤は、エマルション、イオン交換樹脂、難溶性のポリマー又は難溶性の塩などの医薬上許容されるポリマー材料又は疎水性材料を含んでよい。
或いは、本発明のポリペプチドは、粒子状担体に封入し、吸着させ、又は結合させてよい。適した粒子状担体は、ポリメチルメタクリレートポリマーに由来するもの、並びにポリ(ラクチド)及びポリ(ラクチド-コ-グリコリド)に由来するPLG微粒子を含む。例えば、Jeffery et al.(1993)Pharm. Res. 10:362-368を参照。他の粒子状の系及びポリマー、例えば、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、スペルミン、スペルミジンなどのポリマー並びにこれらの分子のコンジュゲートも使用することができる。
本明細書で言及したポリペプチドのいずれかの製剤は、ポリペプチドの性質及びデリバリー方法などの要因に依存することになる。医薬製剤は、種々の投薬形態で投与されてよい。それは、経口で(例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性若しくは油性の懸濁液、分散性の散剤若しくは顆粒剤として)、局所的に、非経口的に、皮下に、吸入により、静脈内に、筋肉内に、リンパ内に(intralymphatically)(例えば、鼠径部リンパ節に)、胸骨内に(intrasternally)、経皮的に、皮内に、表皮に、舌下に、鼻腔内に、口腔内に、又は点滴技術によって、投与されてよい。投与は扁桃内(intratonsillar)であってよい。投与は坐剤としてであってよい。投与は、イオントホレシスによってなされてよい。好ましくは、投与は、皮内、表皮又は経皮である。投与は、マイクロチン(microtine)パッチなどのパッチによりなされてよい。
医師は、特定の個体それぞれに対し、必要とされる投与経路及び手段を決定することができるだろう。
本発明の医薬製剤は、好ましくは、容器中シールされて提供される。医薬製剤は、典型的には、単位用量形態、例えば、単回投与形態で提供される。或いは、それらは複数回投与(multi-dose)形態で提供されてよい。医薬製剤が医薬上許容される溶液である場合、該溶液は、アンプル、シールされたバイアル、シリンジ、カートリッジ、フレキシブルバッグ又はガラスボトルにて提供されてよい。医薬製剤が凍結乾燥物である場合、それは、好ましくは、シールされたバイアルにて提供される。
本発明の医薬製剤は、有害反応を引き起こすことなく有効である、適した濃度の各ポリペプチドを含むだろう。医薬製剤が、例えば、凍結乾燥物である場合、関連濃度は、再構成後の各ポリペプチドのものであるだろう。典型的には、溶液である場合、医薬製剤中の各ポリペプチドの濃度は0.03〜200 nmol/mlの範囲内となるだろう。各ポリペプチドの濃度は、より好ましくは、0.3〜200 nmol/ml、3〜180 nmol/ml、5〜160 nmol/ml、10〜150 nmol/ml、50〜200 nmol/ml又は30〜120 nmol/mlの範囲内であってよく、例えば約100 nmol.mlであってよい。医薬製剤は、95%若しくは98%よりも高い純度、又は少なくとも99%の純度を有するべきである。
アジュバント又は更なる治療剤を、本発明の1以上のポリペプチドと組み合わせて使用してよい。アジュバントは、好ましくは、本発明のポリペプチド(1又は複数)の効果を高めるのに十分な量で投与され、その逆も同様である。アジュバント又は更なる治療剤は、本発明のポリペプチドの効果を増強する薬剤であってもよい。例えば、更なる治療剤は、本発明のポリペプチドに対する応答を高める免疫調節性分子であってよい。アジュバントの非限定的な例としては、ビタミンD、ラパマイシン、並びにデキサメタゾン、フルチカゾン、ブデソニド、モメタゾン、ベクロメタゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン及びトリアムシノロンなどのグルココルチコイドステロイドが挙げられる。好ましいグルココルチコイドはデキサメタゾンである。
本発明の1以上のポリペプチドが、1以上の他の治療剤又はアジュバントと組み合わせて治療に使用される一実施態様において、他の治療剤又はアジュバントは、別々に、同時に、又は連続的に投与されてよい。それらは、同一又は異なる医薬製剤中で投与されてよい。従って、本発明のポリペプチドを含み、且つ1以上の他の治療剤又はアジュバントも含む医薬製剤が調製され得る。或いは、本発明の医薬製剤は、併用治療の一部として1以上の他の治療用組成物と同時に、連続的に、又は別々に使用されてよい。従って、下記のような、本発明によるアレルギーの予防又は治療方法において、対象はまた、更なる治療剤で治療されてもよい。
投与経路
本発明のポリペプチド又は塩が、医薬製剤で個体に投与されるべき場合、該ポリペプチド又は塩が、適切な抗原提示細胞と接触する能力を有することになり、且つそれ又はそれらが個体のT細胞と接触する機会を有することになる、個体の体内の部位に該製剤を投与することが好ましい。
本発明の医薬製剤は、製剤化された後、種々の公知の経路及び技術を用いてin vivoで対象にデリバリーされ得る。例えば、医薬製剤は、注射用溶液、懸濁液又はエマルションとして提供され得、通常のニードル及びシリンジ、マイクロニードル及びシリンジを用いて、又は液体ジェット式注射システムを用いて、非経口注射、皮下注射、表皮注射、皮内注射、筋肉内注射、リンパ内注射、動脈内注射、腹腔内注射又は静脈内注射によって投与され得る。投与は、マイクロチン(microtine)パッチなどのパッチを用いてなされてもよい。組成物はまた、皮膚又は粘膜組織に局所的に、例えば鼻腔内、扁桃内(intratonsillarly)、気管内、腸管内(intestinal)、直腸内、又は膣内などに投与され得、又は呼吸器投与若しくは肺内投与に適した微細に分割されたスプレーとして提供され得る。他の投与様式は、経口投与、坐剤、舌下投与、及び能動的又は受動的な経皮デリバリー技術を含む。
投与量
本発明のポリペプチド、塩又は医薬製剤の投与は、上記のような任意の適した方法によるものであってよい。投与されるべきポリペプチド又は塩の適した量は、実験的に決定されてよいが、典型的には以下に示す範囲内である。各ポリペプチド又は塩の単回投与が、患者に対し有益な効果を有するのに十分であってよいが、ポリペプチド又は塩が1回よりも多く投与される場合、有益となり得ることが理解されるであろうし、この場合、典型的な投与レジームは、例えば、1週間に1回又は2回を6ヶ月毎に2〜4週間、又は1日1回を4〜6ヶ月毎に1週間のものであってよい。理解されるように、ポリペプチド又は塩と組み合わせる各ポリペプチド又は塩は、単独で又は組み合わせて患者に投与されてよい。
投与用量は、ペプチド、塩又は医薬製剤の性質、投与経路、並びに投与レジームのスケジュール及びタイミングを含む、多くの要因に依存することとなる。本発明のポリペプチド又は塩の適した用量は、投与1回あたり、およそ10μgまで、15μgまで、20μgまで、25μgまで、30μgまで、50μgまで、100μgまで、500μgまで、又はそれよりも多い用量程度のものであってよい。適した用量は、15μg未満であってよいが、少なくとも1 ng、又は少なくとも2 ng、又は少なくとも5 ng、又は少なくとも50 ng、又は少なくとも(least)100 ng、又は少なくとも500 ng、又は少なくとも1μg、又は少なくとも10μgであってよい。或いは、使用される用量はより多くてもよく、例えば1 mgまで、2 mgまで、3 mgまで、4 mgまで、5 mgまで、又はそれよりも多い用量であってもよい。用量は、選択経路による投与に対し適切な容量を可能にするのに適した濃度で、液体製剤で提供されてよい。上記用量は、ペプチド又は塩の組み合わせである場合、全用量(total dose)をいうことが理解されるだろう。例えば、「35μgまで」とは、組み合わせ、又は2以上のペプチド若しくは塩を含む組成物中、ペプチド又は塩の全濃度が35μgまでであることをいう。
核酸及びベクター
本発明のポリペプチドは、直接投与されてよく、又はコード配列からの発現により間接的に投与されてもよい。例えば、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供されてよい。従って、本発明のポリペプチドは、それをコードし且つ発現することができるポリヌクレオチドから製造されてよく、又は該ポリヌクレオチドの形態でデリバリーされてよい。本発明のペプチドの使用、デリバリー又は投与への本明細書におけるどの言及も、それをコードするポリヌクレオチドからの発現を介した、かかるペプチドの間接的な使用、デリバリー又は投与を含むことが意図される。
この側面において、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列又はそれに由来するバリアントを含むか、それからなるか又は本質的にそれからなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
用語「核酸分子」及び「ポリヌクレオチド」は、本明細書において交換可能に使用され、任意の長さの重合体形態のヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドのいずれか、又はそのアナログをいう。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、遺伝子、遺伝子フラグメント、メッセンジャーRNA(mRNA)、cDNA、組換えポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ及びプライマーが挙げられる。ポリヌクレオチドは、単離された形態又は精製された形態で提供されてよい。
ポリヌクレオチドは、Sambrookら(1989, Molecular Cloning - a laboratory manual;Cold Spring Harbor Press)において例として記載されるような、当分野で周知の方法に従って合成され得る。
上記ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドの製造において、in vitro、ex vivo又はin vivoで使用されてよい。かかるポリヌクレオチドは、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーの予防又は治療において投与又は使用されてよい。
遺伝子デリバリーの方法は当分野で公知である。例えば、米国特許第5,399,346号、第5,580,859号及び第5,589,466号を参照。核酸分子は、例えば、標準的な筋肉内若しくは皮内注射により;経皮的粒子デリバリーにより;吸入により;局所的に、又は経口、鼻腔内若しくは粘膜投与方法などにより、レシピエント対象内に直接的に導入することができる。或いは、該分子は、対象から取り出された細胞中にex vivoで導入することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット又はベクターは、ex vivoで個体のAPC中に導入されてよい。目的の核酸分子を含む細胞は、核酸分子によってコードされるペプチドに対して免疫応答が開始され得るように対象内に再導入される。かかる免疫化に使用される核酸分子は、一般に、本明細書において「核酸ワクチン」という。
抗原提示細胞(APCs)
本発明は、本発明のポリペプチドをその表面上に提示するAPC集団の産生方法のin vitroの使用を包含する。前記APC集団は、その後治療に使用されてよい。前記産生方法は、患者から得られた細胞のサンプルで、ex vivoで実施されてよい。従って、このようにして産生されたAPCは、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーの治療又は予防に使用され得る医薬品を形成する。該細胞は個体の免疫系に認容されるはずである。なぜなら、それらはその個体に由来するからである。従って、このようにして産生された細胞の、それがもともと得られた個体へのデリバリーは、本発明の治療に関する実施態様を形成する。
APCが投与されるべき場合、そのAPCが個体の適切なT細胞と接触し、且つ該T細胞を活性化する能力を有することになる体内の部位に該APCを投与することが好ましい。
in vitroの方法
本発明はさらに、T細胞が本発明のポリペプチド又は塩を認識するかどうかのin vitroでの判定方法であって、該T細胞を該ポリペプチド又は塩と接触させること、及び該T細胞が、該ポリペプチド又は塩により刺激されるかどうかを検出することを含む、方法を提供する。好ましくは、前記方法は、配列番号1のアミノ酸配列又はそれに由来するバリアントを含むか、それからなるか又は本質的にそれからなるポリペプチド又はその塩の使用を含む。
上記方法は、個体が、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを有するか、又はそれを有する危険性があるかどうかを判定するために実施されてよい。
以下の実施例により本発明を説明する。
実施例1
MHCクラスII結合性調査
この研究の目的は、7種の最も一般的なヒトMHCクラスII HLA-DRB1*アロタイプに対して強い親和性を有する配列を有するポリペプチドを同定することである。
クリプトメリウム・ヤポニカ(Cryptomerium Japonica)アレルゲンにおいて前記ポリペプチドを同定するために、市販のEpiMatrixアルゴリズム(EpiVax Inc.)を使用して、「ペプチドスレディング(peptide threading)」として公知のin silicoアプローチを実施した。これは、MHCクラスII HLA-DR分子の結合溝の内部に収容される可能性について、所与の配列を有するポリペプチドを分析するバイオインフォマティックな方法である。
EpiMatrixは、選択されたMHC分子のそれぞれに結合する推定確率によって、任意のポリペプチド配列に由来する、9アミノ酸重複する10アミノ酸長(long)のセグメントをランク付けする、マトリクスに基づくアルゴリズムである。(De Groot et al., AIDS Research and Human Retroviruses 13:539-41(1997))。マトリクスモチーフをつくり出す手順は、Schafer et al, 16 Vaccine 1998(1998)によって公開された。この実施例においては、HLA DR1、DR2、DR3、DR4、DR7、DR8、DR11、DR13及びDR15について結合可能性を評価する。ポリペプチド配列中の各10マーのフレームをスコア化することにより推定MHCリガンドを選択する。このスコアは、10マーの配列を、各MHCアレルに結合することが知られている10アミノ酸配列のマトリクスと比較することによって得られる。遡及研究により、EpiMatrixが、公開されたMHCリガンドを正確に予測することが実証されている(Jesdale et al., in Vaccines '97(Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1997))。複数のMHC分子と結合するポリペプチドをうまく予想することも確認されている。
選択したMHC分子に結合する推定確率を、EpiMatrixにより、以下のように計算する。既知のMHC結合物(binders)と比較して、各アミノ酸について、所与のMHCアレルに対する結合の相対的な促進又は阻害を推定することにより、所与の配列を有するポリペプチドをスコア化する。この情報を、ポリペプチドにわたって総計し、要約したスコア(EMXスコア)をポリペプチド全体に割り当てる。EpiMatrixは、EMXスコアを既知のMHCリガンドのスコアと比較した後、「推定結合確率(estimated binding probability)」(EBPと略記するが、厳密には確率ではない)に到達する。EBPは、所与のMHC分子に結合することになるほど高いか、又はより高いEpiMatrixスコアを有するポリペプチドの割合を記述するものである。EBPは、100%(結合する可能性が非常に高い)から1%未満(結合する可能性が非常に低い)の範囲にわたる。
EpiMatrix解析を、Cry IFRの既知のアイソフォーム(Uniprotアクセッション番号:Q8RYC0)の全配列について実施した。これらの解析により、良好なMHCクラスII結合性を有すると予測される、上記配列由来のコアポリペプチド(及び隣接(flanking)配列)が同定された。該配列を下表2に示す。
表2において、「配列中の残基」は、解析したポリペプチド配列内の配列の位置を示す。コア配列(中央部の太字のアミノ酸)によって、解析中に同定された実際の結合性配列が規定される。安定化する隣接部(flanks)(N末端及びC末端、太字ではない)は、コア配列とともに使用するために含めたものであり、典型的には、ポリペプチドの製造を助けるのに必要である。「ヒット数」は、試験した全てのMHCの種類に対する、配列内の高い予測結合親和性の数をいう。「EpiMatrixクラスタースコア」は、クラスターの長さに対して正規化したヒット数から得られる。従って、クラスタースコアは、ランダムポリペプチド標準に対する、予測された凝集MHC結合特性の過剰又は不足である。10を超えるスコアは広範なMHC結合特性を示すものとみなされる。
Epimatrix解析により、4以上のHLAアレルに対する結合可能性を有するものとして、ペプチドLKIKLRRTI(配列番号5)及びIKLRRTIEA(配列番号6)をさらに同定した。
実施例2
本発明者らは、実施例1で実施した解析、並びに溶解度及び他の物理化学的特性の考慮に基づき、所望の特性を有するものとして表3に記載の配列を選択した。表3の配列からなるポリペプチドを製造し、これは、その後のアッセイにおけるスクリーニングに対し特に好ましかった。
実施例3
in vitro結合解析
実施例1及び2で同定された配列を有するポリペプチドを、水性の酸性環境での溶解性についてプレスクリーニングし、該ペプチドをin vitro MHCクラスII結合アッセイにおいて試験する。
方法
使用するアッセイは競合的MHCクラスII結合アッセイであり、このアッセイでは、それぞれのポリペプチドを、調べるそれぞれのヒトMHCクラスIIアロタイプから既知のコントロール結合物(binder)を置換するその能力について解析する。この研究で使用するアロタイプ及びコントロールポリペプチドは以下に示したものである。
競合アッセイにおいて、各ポリペプチドを解析し、コントロールポリペプチドと比較した相対的結合性についてスクリーニングする。競合アッセイの性質に起因して、各ポリペプチドのデータは、コントロールポリペプチドのIC50に対するそれ自体のIC50の比として測定する。従って、コントロールポリペプチドと同等のIC50値を有するポリペプチドは同一の結合親和性を有するが、1未満の比を有するペプチドはより高い親和性を有し、1よりも大きな比を有するものはより低い親和性を有する。
水溶液中での溶解性は、ポリペプチドが効果的な治療剤であるための必須の基準である。従って、溶解性スクリーニングの結果として、多数の結合性の記録(registers)における、大きな疎水性アミノ酸残基の頻度が高い、非常に疎水性の高いポリペプチドは排除されることになる。このことは、雑多なHLA-DRB1*結合物(binders)の特徴である。1つ以上のMHCクラスIIアロタイプに結合するポリペプチドを同定する。かかるポリペプチドは、MHC構造の相同性により、試験していない同様のアロタイプに結合する能力を有することが期待される。
実施例4
以下の方法を用いて、実施例1及び2で同定された配列を有するポリペプチドのT細胞活性化特性を評価する。
細胞増殖アッセイ
PBMC(試験する全てのパラメータについて140×106個の細胞を要する)で、細胞増殖アッセイを行う。放射標識化合物3H-チミジンの取り込みによって増殖を測定する。より詳細には、適切な抗原又はポリペプチド濃縮物100μlを96ウェルプレートの適切なウェルの中に分配する。次いで、プレートを37℃、5%CO2の加湿インキュベーターの中に最長4時間まで置く。上記のように単離されたPBMCを室温で、完全培地中2×106細胞/mlの濃度に調製する。次いで、抗原/ポリペプチドを含む96ウェルプレートの各ウェルの中に、細胞溶液100μlを分配する。次いで、プレートを6〜8日間インキュベートする。各ウェルにトリチウム化チミジンストック溶液(無血清RPMI培地中1.85 MBq/ml)10μlを添加することによって、培養物をトリチウム化チミジン溶液でパルスする。次いで、プレートを8〜16時間インキュベーターに戻しておく。次いで、Canberra Packard FilterMate 196セルハーベスターを用いて培養物を集める。適切なβ線シンチレーションカウンターを用いて、乾燥させたろ過マットをカウントする。
ポリペプチドを含むウェルからのカウントを、培地単独を含むウェル(1つのグループにつき12ウェル)と統計的に比較する。ノンパラメトリックマンホイットニー(Mann-Whitney)検定を使用する。全ての対象について同じ統計的検定を使用する。培地のみのウェルとポリペプチドで刺激したウェルとの間の統計的に有意な差は、ポリペプチドによるPBMCの陽性刺激とみなす。
サイトカイン放出アッセイ
このアッセイで使用するためのポリペプチドを小規模で製造した(およそ10 mgのバッチサイズ、非GMP)。各ポリペプチドの純度はHPLCにより少なくとも95%であった。ポリペプチド及びコントロール(ネガティブコントロールは培地であり、ポジティブコントロールはブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)25 ng/ml及びスギ花粉アレルゲン全体の抽出物100μg/mlであった)を含む96ウェル培養プレートを予め調製し、アッセイ日前に-20℃で保存した。200μg/ml濃度のポリペプチドを含む100μl体積でポリペプチドをウェルに添加し、その後100μlの細胞を添加して最終アッセイ濃度が100μg/mlとなるようにした。
フィコール(Ficoll)密度勾配遠心分離によって、ヘパリン処置した血液から末梢血単核細胞(PBMCs)を単離した。次いで、5×106細胞/mlのPBMC懸濁液の100μlアリコートを各ウェルに添加し、プレートを37℃、5%CO2加湿インキュベーター中に5日間置いた。刺激の後、多重ビーズアッセイ(multiplex bead assay)により試験するために培養上清(100μl)を集めた。
解凍した培養上清に対して多重サイトカインビーズアッセイ(IL-10、IL-13、インターフェロンガンマ(IFN-g))を製造者の指示に従って実施した。各培養上清サンプルについて単一の測定を実施した。多重アッセイ完了後、アッセイで作成された検量線から内挿法によって個々のサイトカインレベルを決定した。IL-13、IL-10及びIFN-gアッセイの1以上において、100 pg/ml超のサイトカイン放出を陽性の結果とみなした。試験した53のスギ花粉アレルギー対象(subjects)のうち応答する数を、各サイトカインに対し、各ポリペプチドについて計算した。
ネガティブコントロール(培地のみ)は、試験した3対象において、100 pg/ml超のIL-13又はIFN-g応答をもたらした。
サイトカイン放出アッセイは、アレルゲン全体のポジティブコントロールに対して弱い応答しか示さず、100 pg/ml超のIL-13又はIFN-g応答を有する対象は24のみであった。応答の不良は、PBMC調製物が、輸送/保存中に、いくらかの活性を喪失している可能性があることに起因すると疑われる。従って、サイトカイン放出アッセイを、新鮮なPBMCサンプルを用いて繰り返すために計画する。
同一条件下、ペプチドCRY26は、試験した対象のうち11において、100 pg/ml超のIL-13又はIFN-g応答を示した。この応答の値は、ネガティブコントロール値よりも遥かに高い。従って、CRY26ペプチド又はそのバリアントは、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉アレルギーの治療又は予防に好ましい。
実施例5 - CRY26ペプチド、その塩及び医薬製剤の調製
CRY26ペプチドは以下のように調製する。合成は、ペプチド固相合成(SPPS)リアクター中で実施し、置換される樹脂(substituted resin)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中に懸濁することにより開始する。樹脂をDMFで洗浄後、DMF中N-[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)(ジメチルアミノ)メチレン]-N-メチルメタンアミニウム テトラフルオロボレート N-オキシド(TBTU)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、又は塩化メチレン(DCM)とDMFとの混合物中ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の存在下、N-α-保護されたアミノ酸誘導体又はN-α-保護されたジペプチドを先のアミノ酸に付加することにより各カップリング手順を実施する。各単一ステップについて、溶媒及び/又は試薬を添加し、反応混合物を撹拌し、その後濾過して、樹脂から溶媒及び/又は試薬を除去する。
カップリング又はキャッピング手順がそれぞれ成功した後、Fmoc脱保護手順を実施する。これは、DMFでの樹脂の洗浄、DMF又は1-メチル-2-ピロリドン(NMP)のいずれか中20%(V/V)ピペリジンでのFmoc基の切断、並びにDMF及びイソプロパノール(IPA)でのその後の洗浄からなる。各単一ステップについて、溶媒及び/又は試薬を添加し、反応混合物を撹拌し、次いで濾過して、樹脂から溶媒及び/又は試薬を除去する。
樹脂が、必要なペプチドの完全なペプチド配列を保持するまで、Fmoc脱保護及びカップリング手順を繰り返す。最終的なFmoc脱保護、及び減圧下でのペプチド樹脂の乾燥により、SPPSを完了する。
特定のペプチドの酢酸塩又は塩酸塩を以下の方法により調製する。1,2-エタンジチオール(EDT)、トリイソプロピルシラン(TIS)及び水の存在下、ペプチド樹脂を冷トリフルオロ酢酸(TFA)で室温、1.5〜3時間処理する。濾去及びTFAでの樹脂の洗浄後、生成物を冷ジイソプロピルエーテル(IPE)に沈殿させる。次いで、これを濾去し、IPEで洗浄し、減圧下で乾燥する。次いで、生成物を再構成し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製する。
酢酸塩の調製のために、トリフルオロ酢酸塩を5%(V/V)酢酸水(aqueous acetic acid)で再構成し、イオン交換樹脂上にロードする。5%(V/V)酢酸水で溶出を実施する。0.2μmのメンブレンフィルターを通して酢酸塩を濾過し、凍結乾燥して、白色からオフホワイト色の粉末として最終生成物を得る。
塩酸塩の調製のために、トリフルオロ酢酸塩を、精製水中0.01 M HClで再構成し、必要に応じて濾過する。塩酸塩へとイオン交換するために、溶液を分取HPLCカラム上にロードする。カラムを0.1 M塩化アンモニウム溶液、それに続いて0.01 M HClで洗浄することによりイオン交換を実施する。その後、0.2μmのメンブレンフィルターを通して塩酸塩を濾過し、凍結乾燥して、白色からオフホワイト色の粉末として最終生成物を得る。
本発明の例となる医薬製剤は、CRY26ペプチドを含む。該ペプチド塩は、典型的には、酢酸塩又は塩酸塩である。該ペプチド塩は、典型的には、40〜220μMの名目濃度(nominal concentration)で存在する。医薬製剤はさらに、任意選択で、抗酸化剤としてL-メチオニン(任意選択で、1〜15 mM、典型的には5 mMの名目濃度で);pH調整のために、リン酸、塩酸又はアンモニア水(必要に応じて);及び等張化剤としてトレハロース二水和物(任意選択で、260 mMの名目濃度で)の1以上を含んでもよい。医薬製剤を溶液中で調製し、その後、これを凍結乾燥に供して、凍結乾燥物を製造する。

Claims (27)

  1. 30アミノ酸長までであり、且つ
    (I)アミノ酸配列:DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1;Cry26);又は
    (II)7までのアミノ酸修飾(そのそれぞれは、独立して、欠失、置換又は挿入である)を有する該アミノ酸配列(I)である、T細胞エピトープを含むバリアント配列
    を含む、ポリペプチド又はその医薬上許容される塩。
  2. ポリペプチドが、1又は2のアミノ酸修飾を有する前記バリアント配列(II)を含み、該修飾又は該修飾のそれぞれが、独立して、欠失又は置換である、請求項1に記載のポリペプチド又は塩。
  3. 前記置換又は前記置換のそれぞれが保存的置換である、請求項1又は2に記載のポリペプチド又は塩。
  4. 前記置換又は前記置換のそれぞれが、
    - リジン若しくはアルギニンの互いの置換;
    - アスパルテート若しくはグルタメートの互いの置換、若しくはそれらのアミド誘導体、アスパラギン及びグルタミンでの置換;並びに/又は
    - グリシン、アラニン、ロイシン及びイソロイシンの互いの置換、若しくはバリンでの置換
    であってよい、請求項4に記載のポリペプチド又は塩。
  5. ポリペプチドが、N末端から欠失される2までのアミノ酸及び/又はC末端から欠失される2までのアミノ酸を有する前記バリアント配列(II)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチド又は塩。
  6. ポリペプチドが20アミノ酸長までである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリペプチド又は塩。
  7. 前記配列(I)が由来するタンパク質天然配列中の前記配列(I)のすぐN末端又はC末端の1〜6アミノ酸にそれぞれ対応する1〜6アミノ酸のN末端及び/又はC末端伸長を有する前記配列(I)又は(II)からなるアミノ酸配列をポリペプチドが有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチド又は塩。
  8. ポリペプチドがアミノ酸配列DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1;Cry26)を有する、請求項1に記載のポリペプチド又は塩。
  9. 30アミノ酸長までであり、且つ
    (I)アミノ酸配列:DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1;Cry26);又は
    (II)7までのアミノ酸修飾(そのそれぞれは、独立して、欠失、置換又は挿入である)を有する該アミノ酸配列(I)である、T細胞エピトープを含むバリアント配列
    を含む、ポリペプチド又はその医薬上許容される塩と、医薬上許容される担体又は希釈剤を含む、医薬製剤。
  10. ポリペプチドが、1又は2のアミノ酸修飾を有する前記バリアント配列(II)を含み、該修飾又は該修飾のそれぞれが、独立して、欠失又は置換である、請求項9に記載の医薬製剤。
  11. 前記置換又は前記置換のそれぞれが保存的置換である、請求項9又は10に記載の医薬製剤。
  12. 前記置換又は前記置換のそれぞれが、
    - リジン若しくはアルギニンの互いの置換;
    - アスパルテート若しくはグルタメートの互いの置換、若しくはそれらのアミド誘導体、アスパラギン及びグルタミンでの置換;並びに/又は
    - グリシン、アラニン、ロイシン及びイソロイシンの互いの置換、若しくはバリンでの置換
    であってよい、請求項11に記載の医薬製剤。
  13. ポリペプチドが、N末端から欠失される2までのアミノ酸及び/又はC末端から欠失される2までのアミノ酸を有する前記バリアント配列(II)を含む、請求項9〜12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  14. ポリペプチドが20アミノ酸長までである、請求項9〜13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  15. 前記配列(I)が由来するタンパク質天然配列中の前記配列(I)のすぐN末端又はC末端の1〜6アミノ酸にそれぞれ対応する1〜6アミノ酸のN末端及び/又はC末端伸長を有する前記配列(I)又は(II)からなるアミノ酸配列をポリペプチドが有する、請求項9〜14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  16. ポリペプチドがアミノ酸配列DLKIKLRRTIEAEGIP(配列番号1;Cry26)を有する、請求項9に記載の医薬製剤。
  17. 容器中シールされる、請求項9〜16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  18. 医薬上許容される溶液、又は凍結乾燥物である、請求項9〜17のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  19. 溶液が、皮内投与、皮下投与、経口投与、経鼻投与、局所投与、舌下投与、口腔内投与又は表皮投与のために製剤化される、請求項18に記載の医薬製剤。
  20. 溶液が、アンプル、シールされたバイアル、シリンジ、カートリッジ、フレキシブルバッグ又はガラスボトルにて提供される、請求項18又は19に記載の医薬製剤。
  21. 凍結乾燥物が、シールされたバイアルにて提供される、請求項18に記載の医薬製剤。
  22. スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを治療又は予防する方法で使用するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリペプチド若しくは塩、又は請求項9〜21のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  23. スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを予防又は治療するための医薬を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項で定義されたとおりのポリペプチド又は塩の使用。
  24. T細胞が、請求項1〜8のいずれか一項で定義されたとおりのポリペプチド又は塩を認識するかどうかのin vitroでの判定方法であって、該T細胞を該ポリペプチド又は塩と接触させること、及び該T細胞が該ポリペプチド又は塩により刺激されるかどうかを検出することを含む、方法。
  25. 個体が、スギ花粉及び/又はヒノキ花粉に対するアレルギーを有するか、又は有する危険性があるかどうかを判定するために実施される、請求項24に記載の方法。
  26. スギ花粉及び/若しくはヒノキ花粉に対するアレルギーについて個体を治療するか、又はスギ花粉及び/若しくはヒノキ花粉に対するアレルギーを個体において予防するための方法であって、治療上又は予防上有効量の、請求項1〜8のいずれか一項で定義されたとおりのポリペプチド若しくは塩、又は請求項9〜21のいずれか一項で定義されたとおりの医薬製剤を該個体に投与することを含む、方法。
  27. 請求項1〜8のいずれか一項で定義されたとおりのポリペプチド又は塩を、医薬上許容される担体又は希釈剤と組み合わせることを含む、医薬製剤の調製方法。
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