JP2015518908A - リグニンの化学修飾およびリグニン誘導体 - Google Patents
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Abstract
1つの例示的な実施態様において、トランスエステル化APLは、APLおよびポリエステル鎖を含むポリエステルを含んでもよい。このポリエステルは、脂肪族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、または芳香族ポリエステルであってもよい。他の実施例では、APLの酢酸エステルを用いて、ポリエステル鎖のなかのアルコールオリゴマー単位との間でカルボン酸基を取り換えてもよい。【選択図】図1
Description
関連出願に対する相互参照
本出願は、その全体が参照によって本明細書に援用される、2012年5月11日出願の米国特許仮出願第61/646,149号「生分解性用途のためのリグニンの化学修飾およびリグニン誘導体(CHEMICAL MODIFICATION OF LIGNIN AND LIGNIN DERIVATIVES FOR BIODEGRADABLE USE)」に対して、米国特許法第119条(e)によって優先権の恩典を主張する。
本出願は、その全体が参照によって本明細書に援用される、2012年5月11日出願の米国特許仮出願第61/646,149号「生分解性用途のためのリグニンの化学修飾およびリグニン誘導体(CHEMICAL MODIFICATION OF LIGNIN AND LIGNIN DERIVATIVES FOR BIODEGRADABLE USE)」に対して、米国特許法第119条(e)によって優先権の恩典を主張する。
本開示は、一般的には、組成物の分野、より具体的には、リグニンの化学修飾およびリグニン誘導体に関する。
プラスチック材料は、成形可能であり得る、広範な合成、半合成、または天然の有機の固体の任意のものである。プラスチックは典型的には、高分子量の有機ポリマーであるが、それらは、他の物質を含む場合も多い。初期のプラスチックは、有機ポリマーである、卵および血液タンパク質のように生体由来物質であった。1800年代には、天然ゴム由来の熱硬化性材料への経路として、チャールズ・グッドイヤー(Charles Goodyear)が加硫を発見したことによってプラスチックの開発は加速された。第一次世界大戦後、化学技術の改良によって、新しい形態のプラスチックが急増した。新しいポリマーの波における最も初期の例には、ポリスチレン(PS)およびポリ塩化ビニル(PVC)があった。プラスチックの開発は、天然のプラスチック材料(例えば、チューイングガム、セラック)の使用から、化学修飾された天然の材料(例えば、ゴム、ニトロセルロース、コラーゲン、ガラライト(galalite))の使用に至り、最終的には、完全に合成の分子(例えば、ベークライト、エポキシ、PVC)まで来た。プラスチックは、耐久性があり、かつゆっくりと分解する。なぜなら、プラスチックにそのような耐久性を持たせる化学結合は、分解の自然なプロセスに対しても等しく耐性を持たせるからである。結果として、現在我々が使用するほとんどのプラスチックは、焼却処分され、または埋立地で年月を重ねることになる。
概説
リグニンは、天然に豊富なバイオポリマーであり、潜在的に、安価な原材料であって、製紙産業およびセルロース系エタノール産業の副産物として、ならびに、牧草および麦わらなど様々な低価値の農産物から入手可能である。リグニンが安価でかつ生分解性/バイオ再生可能材料としてもっと広く利用されるためには、リグニンと熱可塑性物質とをブレンドして、機械的特性及び他の有用な特性を増強する必要である。これらの増強された特性は、対応するブレンドを混ぜた場合の単純な法則によって予測できる特性を超えるべきである。本明細書において用いる場合、「熱可塑性物質(thermoplastic)」は、特定の温度より上で柔軟でありまたは成型可能であり、冷却により固体状態に戻るポリマーを包含する。ほとんどの熱可塑性物質は、高い分子量を有し、分子間力により鎖同士が結合している。
リグニンは、天然に豊富なバイオポリマーであり、潜在的に、安価な原材料であって、製紙産業およびセルロース系エタノール産業の副産物として、ならびに、牧草および麦わらなど様々な低価値の農産物から入手可能である。リグニンが安価でかつ生分解性/バイオ再生可能材料としてもっと広く利用されるためには、リグニンと熱可塑性物質とをブレンドして、機械的特性及び他の有用な特性を増強する必要である。これらの増強された特性は、対応するブレンドを混ぜた場合の単純な法則によって予測できる特性を超えるべきである。本明細書において用いる場合、「熱可塑性物質(thermoplastic)」は、特定の温度より上で柔軟でありまたは成型可能であり、冷却により固体状態に戻るポリマーを包含する。ほとんどの熱可塑性物質は、高い分子量を有し、分子間力により鎖同士が結合している。
一般に、トランスエステル化とは、アルコールの有機基R’との間でエステルの有機基R”を交換するプロセスである。酸または塩基触媒を加えることによりその反応を触媒してもよく、また酵素(生体触媒)、特にリパーゼ(E.C.3.1.1.3)の補助により達成してもよい。例えば、酸または塩基の存在下で、平衡をシフトすることにより(例えば、高級アルコールを過剰に用いることによって、または蒸留により低級アルコールを除去することによって)低級アルコールを高級アルコールで置き換えてもよい。更に具体的には、本明細書に記載されるとおり、トランスエステル化は、リグニンからなる材料を特定の熱可塑性物質と、2つのポリマー成分の間で起こる化学反応によってブレンドして、その材料の特性を増強する方法を包含し得る。
一実施例では、トランスエステル化生成物は、化学修飾されたリグニンをポリエステルとブレンドしたものから構成されてもよい。例えば、アセトキシプロピルリグニンまたはヒドロキシプロピルリグニンをトランスエステル化することにより、トランスエステル化生成物を生成してもよい。別の実施形態では、エステル交換を用いて、トランスエステル化生成物を生成してもよい。例えば、リグニンの酢酸エステルを用いて、ポリエステル鎖のなかのアルコールオリゴマー単位との間でカルボン酸基を取り換える。あるいはその逆である。その効果は、ポリエステルオリゴマー単位(長い直鎖)をリグニンに共有結合することであるが、ポリエステル鎖のいくつかは短くなり、酢酸エステルで終わる。アセトキシプロピルリグニンは、多数の利用可能な化学的官能基を有するので、この交換は、複数回生じてもよい。
一実施形態では、化学修飾されたリグニンは、ヒドロキシアルキル化リグニン(例えば、ヒドロキシプロピル化リグニン)および/またはアシル化リグニン(例えば、酢酸エステル)もしくは他のリグニン由来物質から選択されてもよい。化学修飾されたリグニンと特定の熱可塑性物質とのこのようなブレンドでは、エステル結合のなかのアルコール基を別のアルコール基で置換することに伴ってトランスエステル化が生じてもよい。その結果、ヒドロキシアルキル化リグニンが、隣接するポリエステル高分子とのトランスエステル化を受け、それによってリグニン上にポリエステルの断片が転移されてもよい。更に、アシル化リグニン(またはアシル化かつヒドロキシプロピル化リグニン)に伴ってトランスエステル化(またはエステル交換)が生じてもよい。この場合、リグニンのアルキルエステル(例えば、酢酸エステル)は、ポリエステル鎖のアルコール末端断片との間でカルボン酸基を交換してもよい。その効果は、長鎖ポリエステル断片をリグニンに共有結合し、同時にバルク特性を変化させることであり得る。
トランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドで得られる特性は、強化された引張強度、増大した弾性率、強化された圧縮強度、低減された熱膨張係数、抑制された生分解性、およびその他の特性を含んでもよい。熱可塑性を保つためには、大規模な架橋が生じないように、リグニン/熱可塑性物質ブレンドのトランスエステル化の程度を制御し、または制限することが望ましい点に注目することが重要である。大規模な架橋は、熱硬化性樹脂をもたらし、リグニン/熱可塑性物質ブレンドの加工性(例えば、フィルム、ファイバーまたは成型品への加工性)を下げ、または抑えることになるであろう。
別の実施形態では、昇温範囲、昇温時間、および/または化学的触媒の添加により、トランスエステル化がブレンド中あるいはブレンド後に生じるよう誘導してもよい。トランスエステル化が生じるための昇温範囲は、熱可塑性物質成分の融点を超える温度範囲、かつ、リグニン成分の分解温度より低い温度範囲から選択される。推定される好ましい温度範囲は、約150℃と約250℃との間で見出され得るが、本開示の状況で他の範囲が用いられてもよいことは間違いない。トランスエステル化のための好ましい昇温時間は、トランスエステル化を起こすのに十分なほど長く、かつ、望ましくない架橋および/または熱分解を制限するのに十分なほど短い時間から選択される。トランスエステル化のための推定される好ましい昇温時間は、約10分と約48時間との間で見出され得る。トランスエステル化のための化学的触媒は、アルカリ炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム)、酢酸亜鉛、およびチタン(IV)ブトキシド並びに関連化合物から選択され得る。トランスエステル化触媒の添加混合は、材料の0重量%〜20重量%の範囲であると推定されるが、本開示の状況で他の範囲が用いられてもよいことは間違いない。
1つの例示的な実施形態では、リグニンの化学修飾およびリグニン誘導体は、種々の応用のために用いられ得る。例えば、リグニンの化学修飾およびリグニン誘導体は、袋(例えば、買い物袋、ごみ袋など)、シート、ライナー、農業用フィルム、梱包材料などのようなフィルム製品;カップおよびプレート、カトラリー、ボトルなどのような形成成型品;玩具、植木鉢、コンピューターのケース、自動車部品などのような射出成型品;パイプ、ホース、チューブなどのような押出成型品、および他の様々な消費財に用いられてもよい。
リグニン成分は、細菌、真菌および放線菌による酸化プロセスを通じて腐植に生分解する。リグニンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、およびラッカーゼは、リグニンの生分解に寄与する真菌によって産生される酵素である。脂肪族ポリエステル成分は、リパーゼのような天然の酵素に対する暴露でも分解される。日光および水のような天然の要素に対する暴露もまた、分解プロセスを促進し得る。
1つの例示的な実施態様において、薄膜の構造的完全性は、自然環境に対する暴露により30〜60日以内に損なわれるだろう。しかし、構造をもっと長く持続できる異なるブレンドが生成できる。更に具体的には、ポリ(乳酸)またはポリラクチド(PLA)を加えて、分解の期間を延長し、それによって、製品の寿命を延長してもよい。PLAは、コーンスターチ、タピオカ生成物またはサトウキビのような再生可能資源由来の熱可塑性の脂肪族ポリエステルである。更に、もっと膜を厚くしても、構造をもっと長く持続できるようにできよう。
リグニンの化学修飾およびリグニン誘導体は、アセチオキシプロピルリグニン(APL)またはヒドロキシプロピルリグニン(HPL)を脂肪族ポリエステルまたは脂肪族−芳香族コポリマーとトランスエステル化したもの、またはAPLと生分解性ポリマーとの均質なブレンドを用いて、生成してもよい。脂肪族ポリエステルには、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、脂肪族−芳香族コポリマー(AAC)などが含まれてもよい。更に、脂肪族−芳香族コポリマー(AAC)は、APLまたはHPLとトランスエステル化されてもよい。HPLまたはAPLを別のポリマー(非生分解性)とブレンドしたものを用いて持続可能な樹脂を生成してもよい。芳香族ポリエステルは、修飾されたポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)などであってもよい。
[化1]
ヒドロキシプロピルリグニン(HPL)
ただし、n=1
アセトキシプロピルリグニン(APL)
ただし、全てのOH基を−Oアセチル(CO−CH3)基で置き換える
[化1]
ヒドロキシプロピルリグニン(HPL)
ただし、n=1
アセトキシプロピルリグニン(APL)
ただし、全てのOH基を−Oアセチル(CO−CH3)基で置き換える
HPLの概要
1つの例示的な実施態様において、トランスエステル化HPLは、HPLと、ポリエステル鎖を含むポリエステルとを含んでもよい。このポリエステルは、脂肪族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、または芳香族ポリエステルであってもよい。他の実施例では、HPLの酢酸エステルを用いて、ポリエステル鎖のなかのアルコールオリゴマー単位との間でカルボン酸基を取り換えてもよい。一実施態様において、ポリエステルオリゴマー単位は、HPLに共有結合されるが、1つ以上のポリエステル鎖が短くなり、酢酸エステルで終わる。更に、トランスエステル化HPLは、式R’COORで表されてもよい。ただし、R’はHPLを表し、Rはポリエステルを表す。更に、エステルのなかのアルコール基を別の異なるアルコール基で置換することに伴ってトランスエステル化が生じてもよい。
1つの例示的な実施態様において、トランスエステル化HPLは、HPLと、ポリエステル鎖を含むポリエステルとを含んでもよい。このポリエステルは、脂肪族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、または芳香族ポリエステルであってもよい。他の実施例では、HPLの酢酸エステルを用いて、ポリエステル鎖のなかのアルコールオリゴマー単位との間でカルボン酸基を取り換えてもよい。一実施態様において、ポリエステルオリゴマー単位は、HPLに共有結合されるが、1つ以上のポリエステル鎖が短くなり、酢酸エステルで終わる。更に、トランスエステル化HPLは、式R’COORで表されてもよい。ただし、R’はHPLを表し、Rはポリエステルを表す。更に、エステルのなかのアルコール基を別の異なるアルコール基で置換することに伴ってトランスエステル化が生じてもよい。
別の例示的な実施態様において、トランスエステル化HPLブレンドは、HPLと、ポリエステル鎖を含むポリエステルと、1つ以上の添加物とを含んでもよい。この1つ以上の添加物は、触媒、相溶化剤、中和消臭剤、芳香剤および加工助剤からなる群より選択され得る。このトランスエステル化HPLブレンドは、更に、可塑剤を含んでもよい。この可塑剤は、トランスエステル化HPLのガラス転移温度を低下し得る。(「ガラス転移温度」(またはガラス−液転移温度)という用語は、非晶質材料が(または半結晶材料内の非晶質性領域で)硬くかつ比較的脆弱な状態から、溶融しまたはゴム状の状態への可逆的な転移に入る温度である。)一実施態様では、このトランスエステル化HPLブレンドは、重量として:1%〜99%の範囲のHPLと;1%〜99%の範囲のポリエステルと;0%〜50%の範囲の1つ以上の添加物とを含む(ただし、組み合わされたHPL、ポリエステルおよび1つ以上の添加物の総パーセンテージは100%に等しい)。更に、このトランスエステル化HPLは、式R’COORで表されてもよい。ただし、R’はHPLを表し、Rはポリエステルを表す。更に、HPLの酢酸エステルを用いて、ポリエステル鎖のなかのアルコールオリゴマー単位との間でカルボン酸基を取り換えてもよい。
別の例示的な実施態様において、非トランスエステル化HPLブレンドは、HPLと、非トランスエステル化ポリマーと、1つ以上の添加物とを含んでもよい。「ポリマー」という用語は、連結されたモノマー単位の鎖または環でできている天然または合成の分子を包含する。例えば、ポリオレフィン類(オレフィン(アルケン)モノマーからできている)、ポリエステル類、アミド類、ウレタン類、アクリル類、など(エステル、アミド、ウレタン、アクリレート、または他の官能基によって連結されたモノマー)、天然のポリマー類(例えば、多糖類、タンパク質、DNAなど)など。この1つ以上の添加物は、触媒、相溶化剤、中和消臭剤、芳香剤、および加工助剤からなる群より選択され得る。非トランスエステル化HPLブレンドは、更に、可塑剤を含んでもよい。この可塑剤は、非トランスエステル化HPLのガラス転移温度を低下し得る。一実施態様において、非トランスエステル化HPLブレンドは、重量として:1%〜99%の範囲のHPLと、1%〜99%の範囲の非トランスエステル化ポリマーと、0%〜50%の範囲の1つ以上の添加物とを含む(ただし、組み合わされたHPL、非トランスエステル化ポリマー、および1つ以上の添加物の総パーセンテージは100%に等しい)。別の実施態様では、非トランスエステル化HPLブレンドは、重量として:1%〜99%の範囲のHPLと、1%〜99%の範囲の非トランスエステル化ポリマーと、0%〜50%の範囲の1つ以上の添加物と、約0%〜約50%の範囲の可塑剤とを含む(ここで、組み合わされたHPL、非トランスエステル化ポリマー、1つ以上の添加物、および可塑剤の総パーセンテージは100%に等しい)。更に、この非トランスエステル化ポリマーは、ポリオレフィン類、ポリエステル類、アミド類、ウレタン類、アクリル類、および多糖類からなる群より選択され得る。
HPLを生成する方法は、1つの例示的な実施形態で提供され、リグニンを沈殿させる工程と、この沈殿したリグニンを溶液に溶解する工程と、この溶液に試薬を加える工程と、この溶液のpHを調節する工程と、所定の時間の間、この溶液のなかの反応をさせておく工程と、この溶液を沈殿させて沈殿を生じさせる工程と、この沈殿を洗浄、濾過および乾燥してトランスエステル化HPLを生成する工程と、を包含する。このHPLは、リグノブースト(Lignoboost)プロセスによって沈殿されるクラフトリグニンであってもよい。一実施例では、このリグニンは、水酸化ナトリウム溶液に溶解されてもよい。更に、この水酸化ナトリウム溶液は、約4%〜約6%の水酸化ナトリウムであってもよい。また、この溶液のpHは、pH約11.5〜pH約12.5の範囲に調節されてもよい。更に具体的な実施形態では、この試薬は、酸化プロピレンである。更に、この溶液に加える酸化プロピレンの総重量は、この溶液中に沈殿したリグニンの総重量の約半分であってもよい。特定の実施態様では、pHをpH約2.5未満に低下することによってこの溶液を沈殿させ得る。この方法は、更に、硫酸を加えてpHを低下する工程を包含してもよい。
例示的な実施態様では、トランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドは、トランスエステル化HPLと熱可塑性物質とを含んでもよい。このトランスエステル化HPLは、リグニンを沈殿する工程と、この沈殿したリグニンを溶液中に溶解する工程と、この溶液に試薬を加える工程と、この溶液のpHを調節する工程と、この溶液中で所定の時間の間、反応をさせておく工程と、この溶液を沈殿させて沈殿を生成する工程と、この沈殿を洗浄、濾過および乾燥してトランスエステル化HPLを生成する工程とによって生成され得る。このHPLは、リグノブースト(Lignoboost)プロセスによって沈殿されるクラフトリグニンであってもよい。一実施例では、このリグニンは、水酸化ナトリウム溶液に溶解されてもよく、この水酸化ナトリウム溶液は、約4%〜約6%の水酸化ナトリウムであってもよい。更に、この試薬は、酸化プロピレンであってもよく、この溶液に加える酸化プロピレンの総重量は、この溶液中の沈殿したリグニンの総重量の約半分であってもよい。特定の実施例では、硫酸を加えてpHを約2.5pH未満に低下させることによってこの溶液を沈殿させてもよい。
生分解性プラスチックを生成する方法は、1つの例示的な実施形態で提供され、トランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドを押出成形する工程を包含し、このトランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドは、トランスエステル化HPLおよび熱可塑性物質を含む。このトランスエステル化HPLは、リグニンを沈殿させる工程と、この沈殿したリグニンを溶液に溶解する工程と、この溶液に試薬を加える工程と、この溶液のpHを調節する工程と、所定の時間の間、この溶液のなかの反応をさせておく工程と、この溶液を沈殿させて沈殿を生じさせる工程と、この沈殿を洗浄、濾過および乾燥してトランスエステル化HPLを生成する工程とによって生成され得る。一実施例では、HPLのアルキルエステルがポリエステル鎖のアルコール末端断片との間でカルボン酸基を交換し、その結果、長鎖ポリエステル断片がHPLに共有結合され得る。1つの特定の実施態様では、リグニン/熱可塑性物質ブレンドのトランスエステル化の程度は、熱可塑性特性を保持するため、大規模な架橋が生じないように制御され得る。また、生分解性プラスチックは、フィルム製品、形成成型品、射出成型品、または押出成型品であってもよく、一定期間にわたって酸化プロセスを通じて腐植に生分解する。更に、ポリラクチドをリグニン/熱可塑性物質ブレンドに加えて、生分解性プラスチックが生分解する期間を延ばしてもよい。
APLの概要
1つの例示的な実施態様において、トランスエステル化APLは、APLと、ポリエステル鎖を含むポリエステルとを含んでもよい。このポリエステルは、脂肪族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、または芳香族ポリエステルであってもよい。他の実施例では、APLの酢酸エステルを用いて、ポリエステル鎖のなかのアルコールオリゴマー単位との間でカルボン酸基を取り換えてもよい。一実施態様において、ポリエステルオリゴマー単位がAPLに共有結合され、1つ以上のポリエステル鎖が短くなり、酢酸エステルで終わる。更に、トランスエステル化APLは、式R’COORで表されてもよい。ただし、R’は、APLを表し、Rはポリエステルを表す。更に、エステルのなかのアルコール基を別の異なるアルコール基で置換することに伴ってトランスエステル化が生じてもよい。
1つの例示的な実施態様において、トランスエステル化APLは、APLと、ポリエステル鎖を含むポリエステルとを含んでもよい。このポリエステルは、脂肪族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、または芳香族ポリエステルであってもよい。他の実施例では、APLの酢酸エステルを用いて、ポリエステル鎖のなかのアルコールオリゴマー単位との間でカルボン酸基を取り換えてもよい。一実施態様において、ポリエステルオリゴマー単位がAPLに共有結合され、1つ以上のポリエステル鎖が短くなり、酢酸エステルで終わる。更に、トランスエステル化APLは、式R’COORで表されてもよい。ただし、R’は、APLを表し、Rはポリエステルを表す。更に、エステルのなかのアルコール基を別の異なるアルコール基で置換することに伴ってトランスエステル化が生じてもよい。
別の例示的な実施態様では、トランスエステル化APLブレンドは、APLと、ポリエステル鎖を含むポリエステルと、1つ以上の添加物とを含んでもよい。この1つ以上の添加物は、触媒、相溶化剤、中和消臭剤、芳香剤および加工助剤からなる群より選択され得る。このトランスエステル化APLブレンドは、更に、可塑剤を含んでもよい。この可塑剤は、トランスエステル化APLのガラス転移温度を低下し得る。一実施態様では、このトランスエステル化APLブレンドは、重量として、1%〜99%の範囲のAPLと、1%〜99%の範囲のポリエステルと、0%〜50%の範囲の1つ以上の添加物とを含む(ただし、組み合わされたAPL、ポリエステルおよび1つ以上の添加物の総パーセンテージは100%に等しい)。更に、このトランスエステル化APLは、式R’COORで表されてもよい。ただし、R’はAPLを表し、Rはポリエステルを表す。更に、APLのアルキルエステルを用いて、ポリエステル鎖のなかのアルコール末端断片との間でカルボン酸基を取り換えてもよい。
別の例示的な実施態様において、非トランスエステル化APLブレンドは、APLと、非トランスエステル化ポリマーと、1つ以上の添加物とを含んでもよい。この1つ以上の添加物は、触媒(例えば、酢酸亜鉛、チタンブトキシドなど)、相溶化剤(例えば、無水マレアイン酸など)、中和消臭剤(例えば、ADDISPERSE(登録商標)濃縮中和消臭剤など)、芳香剤(例えば、FRENCH FRAGRANCES(商標)アップル、FRENCH FRAGRANCES(商標)フレンチトースト、FRENCH FRAGRANCES(商標)マンダリンなど)、および加工助剤(例えば、スリップ剤、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、粘着防止剤、炭酸カルシウム、シリカ、滑石など)からなる群より選択され得る。非トランスエステル化APLブレンドは、更に、可塑剤(例えば、クエン酸アルキル、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、アセチルクエン酸トリエチル、アセチル化モノグリセリドなどの生分解性、または、フタル酸エステル、フタル酸ジイソオクチル(DIOP)、グリコールなどの非生分解性)を含んでもよい。この可塑剤は、非トランスエステル化APLのガラス転移温度を低下し得る。一実施態様において、非トランスエステル化APLブレンドは、重量として、1%〜99%の範囲のAPLと、1%〜99%の範囲の非トランスエステル化ポリマーと、0%〜50%の範囲の1つ以上の添加物とを含む(ただし、組み合わされたAPL、非トランスエステル化ポリマー、および1つ以上の添加物の総パーセンテージは100%に等しい)。別の実施態様では、この非トランスエステル化APLブレンドは、重量として、1%〜99%の範囲のAPLと、1%〜99%の範囲の非トランスエステル化ポリマーと、0%〜50%の範囲の1つ以上の添加物と、約0%〜約50%の範囲の可塑剤とを含む(ここで、組み合わされたAPL、非トランスエステル化ポリマー、1つ以上の添加物、および可塑剤の総パーセンテージは、100%に等しい)。更に、この非トランスエステル化ポリマーは、ポリオレフィン類、ポリエステル類、アミド類、ウレタン類、アクリル類、および多糖類からなる群より選択され得る。
APLを生成する方法は、1つの例示的な実施形態で提供され、溶媒、触媒、試薬およびHPLを混合して、溶液を作製する工程と、この溶液の温度を第一反応温度まで上昇させる工程と、この溶液の温度を第二反応温度まで上昇させる工程と、所定の時間の間、この溶液のなかの反応をさせておく工程と、この溶液を沈殿させて沈殿を生じさせる工程と、この沈殿を洗浄、濾過および乾燥してAPLを生成する工程と、を包含する。このHPLは、水分を約3パーセント含んでもよい。ある実施例では、この溶媒は、50パーセントの酢酸溶液である。また、この触媒は、酢酸ナトリウムであってもよい。更に、この試薬は、50パーセントの無水酢酸溶液であってもよい。一実施態様において、この方法は、更に、溶媒に触媒を溶解して、溶媒触媒溶液を作製する工程(この触媒は、酢酸ナトリウムであってもよい。この溶媒は、50パーセントの酢酸溶液であってもよい)と、この溶媒触媒溶液にHPLを加える工程と、HPLを含むこの溶媒触媒溶液に試薬を加える工程(この試薬は、50パーセントの無水酢酸溶液であってもよい)と、を包含してもよい。更に、この溶媒触媒溶液に加えるHPLの量は、溶媒触媒溶液の総重量の約30パーセントであってもよい。特定の実施例において、ある体積の氷水のなかに、ある体積のこの溶液を加えることにより、この溶液を沈殿させてもよい。この氷水の体積は、この溶液の体積の5倍であってもよい。この沈殿は、水分を約3パーセント含有するまあでで乾燥され得る。一実施例では、この沈殿は、対流式オーブンで乾燥される。
別の例示的な実施態様では、トランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドは、トランスエステル化リグニンと熱可塑性物質とを含んでもよい。このトランスエステル化リグニンは、溶媒、触媒および試薬をHPLに加える工程と、この溶液の温度を第一反応温度まで上昇させる工程と、この溶液の温度を第二の反応温度まで上昇させる工程と、この溶液中で所定の時間の間、反応をさせておく工程と、この溶液を沈殿させて沈殿を生じさせる工程と、この沈殿を洗浄、濾過および乾燥してAPLを生成する工程とによって生成されるAPLであってもよい。ある実施例では、この溶媒は、50%の酢酸溶液であってもよい。この触媒は、酢酸ナトリウムであってもよく、この試薬は、50%の無水酢酸溶液であってもよい。一実施態様では、この触媒を溶媒中に溶解して、溶媒触媒溶液を作製してもよく、この触媒は、酢酸ナトリウムであってもよく、この溶媒は、50パーセントの酢酸溶液であってもよい。このHPLは、この溶媒触媒溶液に加えてもよく、この試薬は、HPLを含む溶媒触媒溶液に加えてもよい。この試薬は、50パーセントの無水酢酸溶液であってもよい。更に、ある体積の氷水のなかに、ある体積のこの溶液を加えることにより、この溶液を沈殿させてもよい。この氷水の体積は、この溶液の体積の5倍であってもよい。この沈殿は、水分を約3パーセント含有するまで乾燥され得る。一実施例では、この沈殿を、対流式オーブンで乾燥する。
生分解性プラスチックを生成する方法は、1つの例示的な実施形態で提供され、トランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドを押出成型する工程を包含し、このトランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドは、トランスエステル化APLおよび熱可塑性物質を含む。このトランスエステル化APLは、溶媒、触媒および試薬をHPLに加える工程と、この溶液の温度を第一の反応温度まで上昇させる工程と、この溶液の温度を第二の反応温度まで上昇させる工程と、所定の時間の間、この溶液のなかの反応をさせておく工程と、この溶液を沈殿させて沈殿を生じさせる工程と、この沈殿を洗浄、濾過および乾燥してAPLを生成する工程とによって生成され得る。一実施例では、HPLのアルキルエステルがポリエステル鎖のアルコール末端断片との間でカルボン酸基を交換し、その結果、長鎖ポリエステル断片がHPLに共有結合され得る。1つの特定の実施態様では、リグニン/熱可塑性物質ブレンドのトランスエステル化の程度は、熱可塑性を保持するために大規模な架橋が生じないように制御され得る。また、生分解性プラスチックは、フィルム製品、形成成型品、射出成型品、または押出成型品であってもよく、一定期間にわたって酸化プロセスを通じて腐植に生分解する。更に、ポリラクチドを、リグニン/熱可塑性物質ブレンドに加えて、生分解性プラスチックが生分解する期間を延ばしてもよい。
例示的な実施形態
図1を見ると、図1は、リグニンの化学修飾およびリグニン誘導体に関連する例示的な活動を図示する簡略化したフローチャート100である。102では、リグニンを沈殿させる。例えば、クラフトリグニンを、リグノブーストプロセスまたはいくつかの他のリグニン沈殿プロセスを用いて沈殿させてもよい。104では、このリグニンを溶液中に溶解する。例えば、リグニンを水酸化ナトリウム(NaOH)溶液に溶解してもよい。この溶液は、利用可能な酸性の基(例えば、フェノール官能基およびカルボン酸官能基)を中和し、この溶液のpHをpH8超に高めることにより、リグニンをリグナート(lignate)に変換するのに十分なNaOHを含むべきである。一実施例において、NaOH溶液は、約4%〜約6%のNaOHであってもよい。106では、溶液のpHを所望の範囲に調節する。例えば、この所望の範囲は、pH約10.0〜pH約12.5の間であってもよい。108では、試薬を加える。一実施例において、この試薬は、酸化プロピレン(CH3CHCH2O)である。更に具体的には、リグニンあたりの酸化プロピレンが1対2という比(1:2)を用いてもよい(例えば、約百ポンド(100lb)のリグニンに対して約五十ポンド(約50lb)の酸化プロピレン)。
図1を見ると、図1は、リグニンの化学修飾およびリグニン誘導体に関連する例示的な活動を図示する簡略化したフローチャート100である。102では、リグニンを沈殿させる。例えば、クラフトリグニンを、リグノブーストプロセスまたはいくつかの他のリグニン沈殿プロセスを用いて沈殿させてもよい。104では、このリグニンを溶液中に溶解する。例えば、リグニンを水酸化ナトリウム(NaOH)溶液に溶解してもよい。この溶液は、利用可能な酸性の基(例えば、フェノール官能基およびカルボン酸官能基)を中和し、この溶液のpHをpH8超に高めることにより、リグニンをリグナート(lignate)に変換するのに十分なNaOHを含むべきである。一実施例において、NaOH溶液は、約4%〜約6%のNaOHであってもよい。106では、溶液のpHを所望の範囲に調節する。例えば、この所望の範囲は、pH約10.0〜pH約12.5の間であってもよい。108では、試薬を加える。一実施例において、この試薬は、酸化プロピレン(CH3CHCH2O)である。更に具体的には、リグニンあたりの酸化プロピレンが1対2という比(1:2)を用いてもよい(例えば、約百ポンド(100lb)のリグニンに対して約五十ポンド(約50lb)の酸化プロピレン)。
110では、この溶液を監視して、溶液の温度を所望の温度範囲内に、溶液のpHを所望のpH範囲内に保つ。例えば、この溶液を約四(4)時間〜約六(6)時間監視して、(酸化プロピレンが引火しないことを確実にするため)約15℃と約25℃との間の温度範囲に、反応を容易にするためpH約10.0とpH約12.5との間のpHに保ってもよい。希硫酸(H2SO4)を用いて、pHを制御してもよい。112では、所定の時間の間、溶液中の反応をさせておく。例えば、この溶液を十二(12)時間置いておいて、反応を完了させ、またはほぼ完了させてもよい。114では、この溶液のpHを低下させることにより、この溶液を沈殿させる。例えば、濃H2SO4を加えて、pHを約pH2.5未満まで下げ、修飾されたリグニンの沈殿を誘発してもよい。116では、得られた沈殿を濾過し、洗浄し、乾燥する。例えば、この沈殿を、フィルタープレスに加圧注入し、脱イオン水(H2O)で洗浄してもよい。そして、この沈殿を乾燥機に入れてもよく、この乾燥温度は、約40℃〜約100℃またはそれ以上であってもよい。この乾燥機は、乾燥の促進を補助する1つ以上の攪拌機を備えてもよい。更に、真空を適用してこの乾燥の促進を補助してもよい。この化学修飾されたリグニンの水分が約3%未満である場合、この化学修飾されたリグニンを取り除いてもよい。一実施例において、上述したプロセスは、不活性ガス(例えば、アルゴンまたは窒素)パッドを用いて大気条件下で行われてもよい。
このリグニンの修飾は(本明細書に記載されるように)、完全に水溶液中で生じ得ることに注意するべきである。更に、このプロセスの間、温度およびpHを制御する。これによって、より大きいバッチのHPLを生成し、酸化プロピレンの利用を強化し、生成されるプロピレングリコールを減少し、濾過を改善することができる。本明細書に記載されたプロセスによって、比較的大量に、連続して生成可能な、濾過可能なHPL生成物が可能になる。
図2を見ると、図2は、リグニンの化学修飾およびリグニン誘導体と関連する例示的な活動を図示している簡略化したフローチャート200である。202では、溶媒、触媒および試薬をヒドロキシプロピル化リグニン(HPL)に加えて溶液を作製する。例えば、約50%の酢酸を溶媒として用いてもよく、酢酸ナトリウムを触媒として用いてもよく、かつ50%無水酢酸を試薬として用いてもよい。一実施例では、HPLを約3%の水分まで乾燥させる。溶媒、触媒、試薬およびHPLを加える順序は、プロセスに影響しないが、一実施態様では、最初に触媒を溶媒に溶解する。そして、リグニンを加える。ただし、加えるリグニンの量は、溶液(すなわち、触媒および溶媒)の総重量の約30%である。次に、試薬を溶液に加える。
204では、溶液の温度を第一反応温度まで上げ、溶液のpHを所望の範囲内に保持する。例えば、溶液の温度を約50℃という第一の反応温度まで上げてもよく、pHの所望の範囲は、酸性の範囲(例えば、pH2または3)であってもよい。206では、溶液の温度を第二の反応温度まで上げる。例えば、第二の反応温度は、約70℃であってもよい。208では、所定の時間の間、溶液中の反応をさせておく。例えば、この溶液を十二(12)時間置いておいて、反応を完了させ、あるいはほぼ完了させてもよい。
210では、溶液を沈殿させる。例えば、比較的大体積の氷水のなかにその溶液の小さい流れを導入することにより、その溶液を沈殿させてもよい。一実施態様において、大体積の氷水とは、溶液の体積の約五(5)倍である。ある実施例では、この溶液が氷水に入るにつれて溶液を激しく攪拌し、この氷水との接触を促進し、所望の沈殿および粒子サイズを生じる。212では、得られた沈殿を濾過し、洗浄し、乾燥する。例えば、ブフナー漏斗またはいくつかの他の同種のフィルターでこの溶液を濾過してもよい。脱イオン水で(一実施例では少なくとも2回)この沈殿を洗浄して、酢酸のような不純物を洗い流してもよい。この洗浄された沈殿の水分が約3%以下の水分になるまで、対流式オーブンのなかで沈殿を乾燥してもよい。
開示された修飾されたリグニンおよびリグニン誘導体を熱可塑性物質とブレンドして、トランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドを生成してもよい。修飾されたリグニンを分解しない温度(例えば、約110℃〜約180℃の温度範囲)で押出成型をする。ある実施例において、押出速度(押出機中の滞留時間)を十(10)分以上六十(60)分未満とし、押出プロセスの間に修飾されたリグニンの分解が生じないことを確実にする。トランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドは、袋(例えば、買い物袋、ごみ袋など)、シート、ライナー、農業用フィルム、梱包材料などのようなフィルム製品;カップおよびプレート、カトラリー、ボトルなどのような形成成型品;玩具、植木鉢、コンピューターのケース、自動車部品などのような射出成型品;パイプ、ホース、チューブなどのような押出成型品、および他の様々な消費財に用いられてもよい。
例示的な実施例では、様々なトランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドをTHEYSOHN(登録商標)TSKの21mm二軸押出機で押出成型した。トランスエステル化リグニン/熱可塑性物質ブレンドのペレットを、押出ブロー成型の前に一晩、乾燥剤乾燥機中に別々に置いた。このペレットを、2”垂直ブローフィルムエアダイを備える1.5”単軸押出機でブロー成型した。各々約10ポンドの30%HPL、70%脂肪族ポリエステルおよび30%HPL、70%メタロセン触媒低密度ポリエチレンを、ローラーを有する8”ダイを備える1.5”単軸押出機で押出成型した。修飾されたリグニンは、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ECOVIO(登録商標)、ECOFLEX(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリヒドロキシアルカノエート類(PHA類)、ポリブチルアクリレート(PBA)、ポリ乳酸またはポリラクチド(PLA)などのような熱可塑性物質とブレンドしてもよい。
HPLを五十五(55)ガロンのドラムに入れ、470mmのフィルタープレスで濾過して洗浄した。このHPLケーキは、水分率約48%だった。このケーキを外気中に約四十八(48)時間放置し、水分を約25%まで低下させた。そして、このケーキを40LのHelical乾燥機で、水分率2.5%まで乾燥した。この乾燥HPLを梱包して、処理のために輸送した。
このペレットをTHEYSOHN(登録商標)TSKの21mm二軸押出機でPCEで混合した。ホッパーを通して担体樹脂を供給し、スクリューのほぼ中間からHPL粉末を副供給した。この混合された紐状物を二(2)つの水浴で冷却し、ペレットに切断する前にエアナイフで過剰な水を吹き飛ばした。
押出ブロー成型に先立って、このペレットを乾燥剤乾燥機のなかに一晩入れて、水分を0.05%未満まで下げた。このペレットを、2”垂直ブローフィルムエアダイを備える1.5”単軸押出機でブロー成型した。約10ポンドの30:70のHPL:EcoおよびHPL:LDMをローラーを有する8”ダイを備える1.5”単軸押出機で押出成型した。HPLを混合し変換するための良好な温度範囲は、約270°F〜約350°Fである。HPLと最良にブレンドされた担体樹脂は、そのゾーン中、またはそれより下の溶融温度を有した。
リグニン化学修飾反応
HPLの第一調製
3.0Lの三つ首丸底フラスコをオーバーヘッド攪拌器と組み合わせ、フリードリヒ冷却器および水ジャケット付滴下漏斗を装備した。この冷却器およびこの滴下漏斗のジャケットを通して冷却水を循環させた。この反応装置を6重量%の水酸化ナトリウム水溶液(500mL)で充填した。リグニンを、完全に溶けて粘性の濃褐色混合物になるまで少しずつ加えた。蒸留水でわずかに湿らせたpHYDRION(登録商標)のpH1〜14の指示紙で指示したところ、pHは約11.0であった。滴下漏斗に酸化プロピレン125gを加え、これをその後1時間にわたって攪拌混合物に滴下した。反応物は、室温で48時間攪拌した。反応が完了したら、この混合物を通してアルゴンを約30分間バブリングして、過剰な酸化プロピレンを除去した。氷浴中でフラスコを冷却しながら、混合物のpHが約2.0(pHYDRION(登録商標)指示紙pH範囲1〜14で指示)になるまで希(約7%)硫酸を加えた。この混合物を一晩静置し、上清を沈殿物から傾瀉した。脱イオン水約1.0Lを攪拌しながら加えた。黄色い濁った上清懸濁液を遠心分離によって除去した。洗浄を更に2回繰り返した。そして、この褐色の不溶性の材料を水に再懸濁し、凍結乾燥して淡褐色の粉末を65g(元の重量の26%)生成した。
HPLの第一調製
3.0Lの三つ首丸底フラスコをオーバーヘッド攪拌器と組み合わせ、フリードリヒ冷却器および水ジャケット付滴下漏斗を装備した。この冷却器およびこの滴下漏斗のジャケットを通して冷却水を循環させた。この反応装置を6重量%の水酸化ナトリウム水溶液(500mL)で充填した。リグニンを、完全に溶けて粘性の濃褐色混合物になるまで少しずつ加えた。蒸留水でわずかに湿らせたpHYDRION(登録商標)のpH1〜14の指示紙で指示したところ、pHは約11.0であった。滴下漏斗に酸化プロピレン125gを加え、これをその後1時間にわたって攪拌混合物に滴下した。反応物は、室温で48時間攪拌した。反応が完了したら、この混合物を通してアルゴンを約30分間バブリングして、過剰な酸化プロピレンを除去した。氷浴中でフラスコを冷却しながら、混合物のpHが約2.0(pHYDRION(登録商標)指示紙pH範囲1〜14で指示)になるまで希(約7%)硫酸を加えた。この混合物を一晩静置し、上清を沈殿物から傾瀉した。脱イオン水約1.0Lを攪拌しながら加えた。黄色い濁った上清懸濁液を遠心分離によって除去した。洗浄を更に2回繰り返した。そして、この褐色の不溶性の材料を水に再懸濁し、凍結乾燥して淡褐色の粉末を65g(元の重量の26%)生成した。
HPLの第二調製
12Lの底栓付三つ首丸底フラスコを、5フィートの内径3/8のポリエチレン内部冷却コイル、フリードリヒ冷却器、100mLのジャケット付滴下漏斗、および可変速度攪拌モーターに可撓性機械ケーブルで接続されたオーバーヘッド攪拌器と組み合わせた。
12Lの底栓付三つ首丸底フラスコを、5フィートの内径3/8のポリエチレン内部冷却コイル、フリードリヒ冷却器、100mLのジャケット付滴下漏斗、および可変速度攪拌モーターに可撓性機械ケーブルで接続されたオーバーヘッド攪拌器と組み合わせた。
この内部コイルを再循環加熱/冷却装置に接続した。フリードリヒ冷却器およびジャケット付滴下漏斗を互いに直列に、第二の再循環加熱/冷却装置に接続した。12Lのフラスコに、脱イオン水4.0Lに水酸化ナトリウム60gの溶液を入れた。そして、10%の塩酸を注意深く加えることにより、、溶液のpHをpH11.5(pHYDRION(登録商標)指示紙(pH9〜13範囲)で指示)に調節し、これによって、溶液の体積は約4.4Lに増大した。冷却した(20℃)冷却液(エチレングリコール/水)を、内部コイルを通して循環することにより、この溶液を冷却した。その後、溶液を激しく攪拌しながら、大型の首長漏斗を通して、使用済アルカリ性パルプ液(1.3kg)から単離したリグニン粉末を少しずつ加えた。全てのリグニンを加え終わったら、そして、pHをpH11.0に再調節した。フリードリヒ冷却器および滴下漏斗を、冷却した(0℃)冷却液(エチレングリコール/水)を循環することによって冷却した。滴下漏斗の頂部に一穴栓を配置し、リングで支持した分液漏斗の首をこの穴を通して配置した。(したがって、滴下漏斗のなかの液体が反応混合物中に一滴ずつ分配されるにつれて、これをこの分液漏斗からの液体で補充できた)。
分液漏斗およびジャケット付滴下漏斗に酸化プロピレン(SIGMA−ALDRICH(登録商標)Chemical社、冷蔵庫で事前に一晩冷却)を500mL加えた。約2時間にわたって、この攪拌した反応混合物にこの冷たい酸化プロピレンを滴下した。0℃に冷却した還流冷却器のもと、この混合物の攪拌を20℃で一晩続けた。翌日、10%の塩酸を加えることにより、混合物のpHを再度pH11.0(pH9〜13範囲のpHYDRION(登録商標)指示紙で指示)に調節し、攪拌は、更に24時間(全部で48時間)25℃で継続した。反応の最終に、還流(フリードリヒ)冷却器を外して、内部コイルの温度を45℃まで上昇させ、同時にアルゴンの活発な流れ(>5L/分)を反応混合物に30分間通して、未反応の酸化プロピレンを追い出した。
そして、底栓を通して、この反応混合物を20Lのポリエチレンバケツ(沈殿タンク)に排出した。大きな翼を備えたオーバーヘッド攪拌器を用いて、バケツ中の混合物を激しく攪拌し、同時に、室温の希硫酸(150mLの蒸留水中に約150mL)を、pH2.0(pHYDRION(登録商標)1−14指示紙で指示)が達成されるまで少しずつ加えた。酸性化が完了したら、最初に濃い褐色だった溶液は、リグニンが沈殿するにつれて薄い褐色の懸濁物になった。
この褐色の懸濁物で250mLのポリエチレンボトル4つを満たし、反対側のボトル同士を釣り合わせて、4000rpmで30分間遠心分離することにより、約1.0Lのなかの上清から、修飾されたリグニンを分離した。8つのボトルに褐色固体のペレットを集めた。このペレットを蒸留水に再懸濁し、再遠心分離することにより、それぞれのボトルの中身を3×200mLの水で洗浄した。収集された固体を二等分(ボトル4つずつ)に分けた。各々を約1Lの水に再懸濁し、ステンレス鋼メッシュで濾過して塊を除去し、299g(最初の重量の23%)の微細な淡褐色の粉末が得られるまで、凍結乾燥した(−86℃冷却器,0.007トール、48時間)。
HPLの第三調製
水酸化ナトリウムの濃度を5%まで下げ、希釈した4N硫酸を使ってpHを制御した(沈殿段階では、濃硫酸を用いた)。100ガロンのRossミキサーにアンカー攪拌機および分散攪拌機を装備した。
水酸化ナトリウムの濃度を5%まで下げ、希釈した4N硫酸を使ってpHを制御した(沈殿段階では、濃硫酸を用いた)。100ガロンのRossミキサーにアンカー攪拌機および分散攪拌機を装備した。
リグニンを加える前に、Rossミキサーのなかの氷冷水に水酸化ナトリウムペレットを加えた。全ての水酸化ナトリウムペレットが溶解した時点で、約1時間半の時間をかけてリグニンを一度に20〜23ポンドずつ加えた。表1は、経時的なリグニンの添加を示す。
[表1]
[表1]
全てのリグニンが溶解した時点で、4N硫酸を加えて溶液のpHを調節し、pH11.5まで下げた。図3は、経時的なpH調節を示す。
この混合物をドラムに入れ、濾過および乾燥のためにケンタッキー州フローレンスのANDRITZ(登録商標)に送った。濾過は、フィルタープレスを介して行った。フィルタープレスのなかでケーキを形成し、フィルタープレス中に置いたまま、このケーキを通して水を加圧注入することにより洗浄した。スクリュー式乾燥機(helical dryer)を用いた。しかし、フィルタープレスからのケーキをそのまま乾燥することはできなかった。ケーキを崩して広げ、空気乾燥しなければならなかった。ケーキが水分約25%まで空気乾燥した時点で、スクリュー式乾燥機で生成物を水分3%未満まで乾燥できた。
リグニンは、麦わらから石にいたるまでの混入物を有しており、これは、反応を補助せず、またRossミキサーから55ガロンドラムへ生成物を加圧注入するために用いられる移送ポンプの障害を生じた。温度を注意深く監視し制御することにより、連続して生成物を生じ得る。核磁気共鳴(NMR)により、クラフトリグニンがHPLへ完全に反応したことが示された。
HPLの第四調製
水酸化ナトリウムの濃度を5%まで下げ、希釈した4N硫酸を使ってpHを制御した(沈殿段階については、濃硫酸を用いた)。氷(または氷浴)を用いて、反応の間、温度を制御した。リグニンは、水酸化ナトリウム溶液に加える前に篩にかけた。100ガロンのRossミキサーに、アンカー攪拌機および分散攪拌機を装備した。
水酸化ナトリウムの濃度を5%まで下げ、希釈した4N硫酸を使ってpHを制御した(沈殿段階については、濃硫酸を用いた)。氷(または氷浴)を用いて、反応の間、温度を制御した。リグニンは、水酸化ナトリウム溶液に加える前に篩にかけた。100ガロンのRossミキサーに、アンカー攪拌機および分散攪拌機を装備した。
リグニンを加える前に、Rossミキサーのなかの氷冷水に水酸化ナトリウムペレットを加えた。全ての水酸化ナトリウムペレットが溶解した時点で、約1時間15分の時間をかけてリグニンを加えた。表5は、経時的なリグニンの添加を示す。
[表5]
[表5]
全てのリグニンが溶解した時点で、4N硫酸を加えて溶液のpHを調節し、pH11.5まで下げた。図6は、経時的なpH調節を示す。
pHを調節した後、Rossミキサーの頂部のポートを通じて酸化プロピレン(PO)を加えた。表6に示したように、このPOは、1時間20分の期間にわたって加えた。添加全体にわたってpHを監視し、必要に応じて4N硫酸で調節した。
[表6]
[表6]
この混合物をドラムに入れ、濾過および乾燥のためにケンタッキー州フローレンスのANDRITZ(登録商標)に送った。濾過は、フィルタープレスを介して行った。フィルターしたプレスのなかでケーキを形成し、フィルタープレス中に置いたまま、このケーキを通して水を加圧注入することにより洗浄した。このバッチに用いた乾燥機は、スクリュー式乾燥機であった。このスクリュー式乾燥機は、フィルタープレスからのケーキをそのまま乾燥することはできず、ケーキを崩して広げ、空気乾燥しなければならなかった。ケーキが水分約25%まで空気乾燥した時点で、スクリュー式乾燥機で生成物を水分3%未満まで乾燥できた。
リグニンを篩にかけることにより、リグニンをアルカリ溶液中にかなり容易に溶解することが可能になった。反応全体にわたって温度およびpHを制御することにより、より良い沈殿が生成され、かつ沈殿された粒子がより大きかった。NMRにより、クラフトリグニンがHPLへ完全に反応したことが示された。
APLの第一調製
1.0Lの三つ首フラスコに、磁気攪拌器と、大きいフットボール型の攪拌棒と、水道水冷却された還流冷却器とを装備した。フラスコ中に、無水酢酸(100mL、約1.0mol)、酢酸(100mL)および酢酸ナトリウム(8.04g、約0.1mmol)を入れた。そして、全てのリグニンが溶解されるまで、攪拌した溶液にHPL(約40.0g)を少しずつ加えた。装置の開口部をゴム製セプタムで塞ぎ、そして、ニードル、ニードル・チューブアダプター、およびオイルバブラーを用いて、その装置内のアルゴン雰囲気(無水、工業用)を確立した。この混合物を室温で48時間攪拌し、そして1時間還流した。室温まで冷却した際、この混合物を2.0Lの氷水に注ぎ、得られた沈殿を、気孔率が中度の焼結ガラスブフナー漏斗上に集めて吸引した。この収集された固体をガラス容器に入れた。水酸化ナトリウム乾燥剤約100gのトレイを入れた真空オーブンに、この収集された固体が入ったガラス容器を入れ、そして72時間40℃で真空乾燥し、濃褐色の固体粒子を39.3g(最初の重量の98.3%)生成した。
1.0Lの三つ首フラスコに、磁気攪拌器と、大きいフットボール型の攪拌棒と、水道水冷却された還流冷却器とを装備した。フラスコ中に、無水酢酸(100mL、約1.0mol)、酢酸(100mL)および酢酸ナトリウム(8.04g、約0.1mmol)を入れた。そして、全てのリグニンが溶解されるまで、攪拌した溶液にHPL(約40.0g)を少しずつ加えた。装置の開口部をゴム製セプタムで塞ぎ、そして、ニードル、ニードル・チューブアダプター、およびオイルバブラーを用いて、その装置内のアルゴン雰囲気(無水、工業用)を確立した。この混合物を室温で48時間攪拌し、そして1時間還流した。室温まで冷却した際、この混合物を2.0Lの氷水に注ぎ、得られた沈殿を、気孔率が中度の焼結ガラスブフナー漏斗上に集めて吸引した。この収集された固体をガラス容器に入れた。水酸化ナトリウム乾燥剤約100gのトレイを入れた真空オーブンに、この収集された固体が入ったガラス容器を入れ、そして72時間40℃で真空乾燥し、濃褐色の固体粒子を39.3g(最初の重量の98.3%)生成した。
APLの第二調製
HPLを使う前に真空オーブンで乾燥し、試験の結果、水分が3%未満になった。溶媒として酢酸を用いた。試薬として無水酢酸を用いた。触媒として酢酸ナトリウムを加えた。
HPLを使う前に真空オーブンで乾燥し、試験の結果、水分が3%未満になった。溶媒として酢酸を用いた。試薬として無水酢酸を用いた。触媒として酢酸ナトリウムを加えた。
用いた装置は、12Lの底栓付三つ首丸底フラスコであった。オーバーヘッド攪拌器を用いてこの混合物を攪拌した。アルゴンパッドを用いて、大気由来の水分と反応する無水酢酸の量を減らした。
酢酸3.5Lを量り分け、この12Lのフラスコに加えた。次に、このフラスコを攪拌しながら酢酸ナトリウムを加えた。そして、酢酸を攪拌しながら酢酸ナトリウム100gおよび触媒を加えた。約20分後に酢酸ナトリウムは溶解した。そして、このフラスコにHPLを1.75kg加えた。約30分後、HPLは溶解していた。そして、試薬である無水酢酸を3.5L加えた。全ての成分を溶液に加えた後、この溶液を50℃まで加熱した。これには、約1時間かかった。そして、この溶液を70℃まで加熱した。この溶液を加熱しながら一晩攪拌して、完全な反応を確実にした。
一晩反応させておいた後、この溶液を冷却して50℃未満にし、沈殿の準備をした。そして、栓を開いて溶液を細い一定の流れにし、激しく撹拌された5ガロンのバケツの氷水の中へ流し込んで加えることにより、APLを沈殿させた。この氷水は、氷約5kgと水8kgから構成された。溶液の半分を氷水のバケツ1つに沈殿させた。二つ目の氷水のバケツを用いて溶液の残りを沈殿させた。
沈殿したAPLのバケツを、直径2フィートのブフナー漏斗に注いで濾過した。フィルターを通して濾液が排出されるにつれて、APLが多孔質のケーキを形成した。そして、APLケーキをブフナー漏斗のなかに置いたまま、水を加えて洗浄した。そして、約25ガロンの水をブフナー漏斗に加えて排出させた。濾液が透明になり、酢酸のにおいがあまり知覚できなくなるまで、この洗浄工程を2〜5回繰り返した。そして、このケーキをアルミニウムパンに集め、対流式オーブンに入れて、50℃で乾燥した。
過剰な水分は無水酢酸と反応して酢酸になるので、反応前にHPLを乾燥することによって、無水酢酸の使用を少なくできた。加熱によって反応が加速する。また、触媒を加えることでも、反応が加速する。APLは、HPLよりも吸湿性が小さく、HPLと異なり対流式オーブンのなかできれいに乾燥する。得られた生成物は、砕けやすく、かつ微細な粉末に砕ける。NMRにより、HPLがAPLへ完全に反応したことが示された。
APLおよび脂肪族ポリエステルのブレンド
Haake Rheoflex 90レオメータ/ミキサーに装填できる量(約65g、ミキサー製造者の処方による)ずつ、APL粉末(55重量%)とEcoflex(商標)脂肪族ポリエステルペレット(45重量%)との混合物を乾燥ブレンドした。ゆっくりした混合速度で、その混合物および触媒/添加物(もしあれば)を、少しずつ加え、そして、Haakeミキサーのなかで130℃、混合速度約75rpmで十五(15)分間ブレンドし、そして、各々のバッチをミキサーから取り出して、冷却させた。以下のように条件を変更しながら、Haakeミキサーに各々のバッチを約60g再導入することにより、トランスエステル化の実験をした:
a.化学的触媒:
i.触媒なし
ii.酢酸亜鉛(1重量%)およびチタン(IV)ブトキシド(1重量%)
b.トランスエステル化の温度
i.200℃
ii.225℃
iii.250℃
c.トランスエステル化の時間
i.10分
ii.30分
iii.60分
Haake Rheoflex 90レオメータ/ミキサーに装填できる量(約65g、ミキサー製造者の処方による)ずつ、APL粉末(55重量%)とEcoflex(商標)脂肪族ポリエステルペレット(45重量%)との混合物を乾燥ブレンドした。ゆっくりした混合速度で、その混合物および触媒/添加物(もしあれば)を、少しずつ加え、そして、Haakeミキサーのなかで130℃、混合速度約75rpmで十五(15)分間ブレンドし、そして、各々のバッチをミキサーから取り出して、冷却させた。以下のように条件を変更しながら、Haakeミキサーに各々のバッチを約60g再導入することにより、トランスエステル化の実験をした:
a.化学的触媒:
i.触媒なし
ii.酢酸亜鉛(1重量%)およびチタン(IV)ブトキシド(1重量%)
b.トランスエステル化の温度
i.200℃
ii.225℃
iii.250℃
c.トランスエステル化の時間
i.10分
ii.30分
iii.60分
各々のバッチをミキサーから取り出し、冷却して、分析した。
実施例1で調製した溶融混合したサンプルを、TETRAHEDRON(登録商標)Associates社のプログラム可能な加熱圧搾機を用い、FREECOAT(商標)770−NC離型剤を用いて、6インチ×6インチ×0.05インチの鋼金型で加熱圧搾した。このシートを、260°F、9000psiで15分間加圧した。マニエルバンピングサイクルを適用して、均一な空隙のないシートを生成した。
ASTM D412ダイパンチを用いてシートから「ドッグボーン」試料を型抜きして、ASTM D412試験規格にしたがって試験した(「ドッグボーン」という用語は、引張試験の当該分野で公知であるとおり用いられる)。結果は、下の表9〜18に示す:
[表9]
[表10]
[表11]
[表12]
[表13]
[表14]
[表15]
[表16]
[表17]
[表18]
[表9]
[表10]
[表11]
[表12]
[表13]
[表14]
[表15]
[表16]
[表17]
[表18]
上のデータおよび図9によれば、55%/45%のAPL/Ecoflexブレンド添加について、約200℃で30分未満加熱してブレンドすることにより、ブレンドされた材料の引張強度を改善し得ることが示される。また、データおよび図10によれば、130℃で15分間ブレンドされた材料について、1%の酢酸亜鉛および1%のチタン(IV)ブトキシド触媒を添加することにより、このブレンドの引張強度を改善し得ることが示される。
前述の図面を参照して記載された操作および工程は、本開示のシステムによって、またはそこにおいて実行され得る可能なシナリオのいくつかを例示しているに過ぎないことに注意することは必須である。これらの操作のいくつかは、必要に応じて削除もしくは除去されてもよく、またはこれらの工程は、論じられた概念の範囲から逸脱することなく、大幅に修正もしくは変更されてもよい。更に、これらの操作のタイミングをかなり変更しても、本開示が教示する結果を達成し得る。前述の議論は、例示および議論の目的のために提供された。任意の適切な配置、順序、構成およびタイミングの機序が、論じられた概念の教示から逸脱することなく提供され得るという点で、このシステムではかなりの柔軟性が提供される。同様の方針で、その範囲(例えば、タイミング、温度、濃度などに関する)は、本開示の範囲から逸脱することなくかなり変化してもよい。
多くの他の変化、置換、バリエーション、変更および修正が、当業者に確認され得る。本開示は、すべてのこのような変化、置換、バリエーション、変更および修正を、添付の請求項の範囲内に含むものとして包含するものとする。米国特許商標庁(USPTO)、更には、本願について発行された任意の特許の読者が本明細書に添付の請求項を解釈するのを助けるため、本出願人が:(a)添付の任意の請求項は、「〜のための手段」または「〜のための工程」という言葉が当該請求項で具体的に用いられない限り、その出願日に存在する米国特許法第112条の第六(6)段落を行使するつもりはなく;(b)さもなければ添付の請求項に反映されていないいかなる方法でも、本明細書の任意の言及により、本開示を限定することを意図しない、ということを出願人は指摘しておく。
Claims (20)
- APLと、
ポリエステル鎖を含むポリエステルと、
を有する、トランスエステル化アセチオキシプロピルリグニン(APL)。 - 前記ポリエステルは、脂肪族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、または芳香族ポリエステルであってもよい、請求項1記載のトランスエステル化APL。
- APLの酢酸エステルを用いて、ポリエステル鎖のなかの前記アルコールオリゴマー単位との間でカルボン酸基を取り換える、請求項1記載のトランスエステル化APL。
- ポリエステルオリゴマー単位が前記APLに共有結合され、1つ以上の前記ポリエステル鎖が短くなり、酢酸エステルで終わる、請求項1記載のトランスエステル化APL。
- 前記トランスエステル化APLは、前記式R’COORで表され、R’はAPLを表し、Rはポリエステルを表す、請求項1記載のトランスエステル化APL。
- 前記エステルのなかのアルコール基を別の異なるアルコール基で置換することに伴ってトランスエステル化が生じる、請求項1記載のトランスエステル化APL。
- APLと、
ポリエステル鎖を含むポリエステルと、
1つ以上の添加物と、
を有する、トランスエステル化アセチオキシプロピルリグニン(APL)ブレンド。 - 前記1つ以上の添加物は、触媒、相溶化剤、中和消臭剤、芳香剤および加工助剤からなる群より選択される、請求項7記載のトランスエステル化APLブレンド。
- 更に、可塑剤を有する、請求項7記載のトランスエステル化APLブレンド。
- 前記可塑剤は、前記トランスエステル化APLのガラス転移温度を下げる、請求項9記載のトランスエステル化APLブレンド。
- 前記トランスエステル化APLブレンドは、重量として
1%〜99%の範囲のAPLと、
1%〜99%の範囲のポリエステルと、
0%〜50%の範囲の1つ以上の添加物と、
を有する、請求項7に記載のトランスエステル化APLブレンド。 - 前記トランスエステル化APLは、式R’COORで表され、R’は前記APLを表し、Rは前記ポリエステルを表す、請求項9に記載のトランスエステル化APLブレンド。
- 前記APLのアルキルエステルを用いて、ポリエステル鎖のなかのアルコール末端断片との間でカルボン酸基を取り換える、請求項9に記載のトランスエステル化APLブレンド。
- APLと、
非トランスエステル化ポリマーと、
1つ以上の添加物と、
を有する、非トランスエステル化アセチオキシプロピルリグニン(APL)ブレンド。 - 前記1つ以上の添加物は、触媒、相溶化剤、中和消臭剤、芳香剤、および加工助剤からなる群より選択される、請求項14記載の非トランスエステル化APLブレンド。
- 更に、可塑剤を有する、請求項14記載の非トランスエステル化APLブレンド。
- 前記可塑剤は、前記非トランスエステル化APLのガラス転移温度を下げる、請求項16記載の非トランスエステル化APLブレンド。
- 前記非トランスエステル化APLブレンドは、重量として
1%〜99%の範囲のAPLと、
1%〜99%の範囲の非トランスエステル化ポリマーと、
0%〜50%の範囲の1つ以上の添加物と、
を有する、請求項14記載の非トランスエステル化APLブレンド。 - 前記非トランスエステル化APLブレンドは、重量として
約1%〜約99%の範囲のAPLと、
約1%〜約99%の範囲の非トランスエステル化ポリマーと、
約0%〜約50%の範囲の1つ以上の添加物と、
約0%〜約50%の範囲の可塑剤と、
を有する、請求項14記載の非トランスエステル化APLブレンド。 - 前記非トランスエステル化ポリマーは、ポリオレフィン類、ポリエステル類、アミド類、ウレタン類、アクリル類および多糖類からなる群より選択される、請求項14記載の非トランスエステル化APLブレンド。
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