関連出願の相互参照
本出願は、引用をもってそのそれぞれの全文をここに援用することとする、2012年5月8日出願の米国仮出願第61/644,122号、及び2013年3月12日出願の米国仮出願第61/777,475号の優先権を主張するものである。
技術分野
この開示は、一種以上のペプチドプロテアソーム阻害剤と、シクロデキストリンもしくはシクロデキストリン混合物、特に置換デキストリン、とを含む組成物を調合するためのシクロデキストリン錯体形成法を提供する。このような方法は実質的に、これらのプロテアソーム阻害剤の可溶性及び安定性を増し、それらの製造及び投与の両方を容易にする。
背景
プロテアソームは、多発性骨髄腫を含む様々な癌の指標の処置のために、ボロン酸プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブのFDA認可に実証されるように、治療上のターゲットとしてバリデートされてきた。しかしながら、毒性の副作用がより小さいであろう、他のより高度にプロテアソーム特異的な阻害剤が最近、解説されている。これらの化合物には、引用をもってその内容をここに援用することとする米国特許第6,831,099号に解説されたエポキソミシンや、引用をもってその内容をここに援用することとする米国特許第7,232,818号に解説されたものなどのペプチドエポキシケトンがある。しかしながら、これらの化合物のなかには水溶性が低いものがあるため、所望の抗新生物効果又は他の薬理効果を挙げる実際の投与を可能にする充分に高い濃度では、組成物の調合が困難になっている。このように、ペプチドエポキシケトンを調合する付加的な方法が求められている。
概要
ここでは、ペプチドプロテアソーム阻害剤(例えば式(1)−(5)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩)を一種以上のシクロデキストリンと共に調合するシクロデキストリン錯体形成法を提供する。多くのペプチドプロテアソーム阻害剤が、水溶性が低いことが示されてきた。この可溶性の低さは、ここで提供する方法を用いて一種以上のシクロデキストリンと化合物を錯体形成させることで克服することができる。例えば、式(5)の化合物(カルフィルゾミブ)の均質な溶液は、薬学的に有用なpH(例えば約3.5)で、そして一種以上のシクロデキストリンと、ここで提供する化合物及び一種以上のシクロデキストリン間の錯体形成プロセスなしで得られるよりも高い濃度(例えば約5mg/mL)で得ることができる。ペプチドプロテアソーム阻害剤の溶液中での可溶性を増すことに加え、ここで提供する方法によって調製された調合物は、驚くべき安定性を有する医薬溶液となる。錯体形成した阻害剤の安定性は、長時間にわたり、そして熱ストレスをかけたときの均質な錯体形成阻害剤溶液のからの沈殿がないことに反映される。例えば、錯体形成した阻害剤は、一定期間、そして、無菌的に製造された注射可能な医薬製品の実際の使用に典型的な熱ストレスを超える熱ストレス下で可溶性のままでいることができる。ここで提供する処理法で達成される高濃度は熱力学的には安定とは予測されないかも知れないが、この溶液の物理的安定性は、保管温度(例えば溶液は -20 °C 乃至 25 °Cで安定であろう)、凍結解凍サイクリング、並びに凍結乾燥及び再構築の影響を受けないことが示されている。ペプチドプロテアソーム阻害剤及び一種以上のシクロデキストリンを錯体形成させた過飽和溶液の安定性は、沈殿を起こすことなく錯体形成後のpH調節するのに耐えるのに充分である。例えば、錯体形成をpH2.5乃至3の範囲で行い、その後、pHを水酸化ナトリウム溶液でpH3.5に滴定する。この溶液の物理的安定性により、錯体形成させた物質を、注射や他の薬学的目的にとって容認可能なpH範囲で使用することが可能となり、適した化学的安定性や保存寿命が得られるpH範囲で安定性を示すことができる。従って、ここで提供する方法で調製された医薬組成物は、あらゆる数の医学的用途でそれらを用いる際にも、沈殿したり、あるいは大きく濃度を低下させたりすることなく、過飽和溶液であることができる(例えば、無菌製品製造中のバルク溶液は、バイアルを充填した無菌の保持タンク内にある無菌ろ過後も数日間は沈殿しない。同様に、最終的に再構成された医薬組成物は数日間乃至数日間という範囲で安定であるため、それらを容易に薬剤として用いることができる)。
安定で高濃度のペプチドプロテアソーム阻害剤溶液を作製できることに加え、ここで提供する錯体形成法で調製される調合物は、他の調合法にある化学的分解及び安定性の限界なしで達成することができる。例えば、ここで提供する方法は、錯体形成中にpHを下げるための強酸(例えばHCl)の使用を避ける。2未満の数値まで調合物のpHを下げるとペプチドプロテアソーム阻害剤の溶解が容易となり、錯体形成前に均質な溶液を生成することができるが、溶液の酸性度はペプチドプロテアソーム阻害剤の分解を引き起こし得る。例えば、ペプチドプロテアソーム阻害剤カルフィルゾミブの場合、HClなどの強酸を用いると、生理的エポキシドの加水分解が起き、塩化物イオンによる求核性攻撃を通じて、クロロヒドリン付加物が分解生成物として形成する(CDP):
その構造に基づき、この分解生成物は、FDAによって潜在的な遺伝毒性のある不純物としてみなされたクラスの化合物であるアルキル化剤として分類される。重要なことに、規制製品の安全性という観点から、ここで提供された方法を用いると、このような強酸が避けられ、従ってこのような化合物に対するペプチドプロテアソーム阻害剤の分解反応を著しく減らすことができ、そして場合によっては無くすことすらできるかも知れない。
ある局面では、医薬組成物を調製する方法であって、
(i)(a)一種(又はそれ以上の)ペプチドプロテアソーム阻害剤(例えば式(1)−(5)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩);
(b)一種以上のシクロデキストリン(「CD」);及び
(c)水;
を含む第一の組合せであって、前記第一の組合せが不均質であり、該化合物又は塩が前記第一の組合せ中で低い可溶性を有する、第一の組合せを提供するステップと、
(ii)前記第一の組合せを酸に接触させて第二の組合せを形成させるステップであって、前記化合物が、前記第一の組合せ中よりも、前記第二の組合せ中の方が可溶性である、ステップと、
を含む方法を特徴とする。
別の局面では、医薬組成物を調製する方法であって、
(i)(a)化合物:
又は薬学的に許容可能なその塩;
(b)一種以上のシクロデキストリン(「CD」);及び
(c)水;
を含む第一の組合せであって、前記第一の組合せが不均質であり、該化合物又は塩が前記第一の組合せ中で低い可溶性を有する、第一の組合せを提供するステップと、
(ii)前記第一の組合せを酸に接触させて第二の組合せを形成させるステップであって、前記化合物が、前記第一の組合せ中よりも、前記第二の組合せ中の方が可溶性である、ステップと、
を含む方法を特徴とする。
更なる局面では、医薬組成物を調製する方法であって、
(i)(a)化合物:
又は薬学的に許容可能なその塩;
(b)SBCED;及び
(c)注射用の水;
を含む第一の組合せであって、前記第一の組合せが不均質であり、該化合物又は塩が前記第一の組合せ中で低い可溶性を有する、第一の組合せを提供するステップと、
(ii)前記第一の組合せをクエン酸水溶液に接触させて第二の組合せを形成させるステップであって、前記化合物が、前記第一の組合せ中よりも、前記第二の組合せ中の方が可溶性である、ステップと、
を含む方法を特徴とする。
ある局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を特徴とする。
ある局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の癌(例えば多発性骨髄腫、例えば再発性及び/又は難治性である多発性骨髄腫)を処置する方法を提供する。
別の局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の自己免疫疾患を処置する方法を特徴とする。
別の局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の移植片又は移植関連状態を処置する方法を特徴とする。
別の局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の神経変性疾患を処置する方法を特徴とする。
別の局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の線維関連状態を処置する方法を特徴とする。
別の局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の線維関連状態を処置する方法を特徴とする。
別の局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の虚血関連状態を処置する方法を特徴とする。
別の局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の感染症を処置する方法を特徴とする。
別の局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の感染症を処置する方法を特徴とする。
別の局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の骨消失を伴う疾患を処置する方法を特徴とする。
別の局面では、ここで解説する方法のいずれか一つで調製された医薬組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者の感染症を処置する方法を特徴とする。
実施例には以下の特徴のうちの一つ以上を含めることができる。
前記第一の組合せは、相当量のいずれの有機溶媒も含まない。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せは、引用をもってそれぞれをここに援用することとする米国特許第7,232,818号及び/又は第7,417,042号及び/又は第7,737,112 号及び/又は US-2009-0105156及び/又はUS-2011-0236428に記載された有機溶媒をいずれの量又は種類も、含まない。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せはいずれの有機溶媒も含まない(例えば5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満(w/w 又はw/v)のいずれかの有機溶媒を含有するなど)。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せはいずれの有機溶媒も実質的に含まない(例えば0.5%未満、0.2未満、0.1未満、0.05%未満(w/w 又はw/v)のいずれかの有機溶媒を含有するなど)。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せは、検出可能な量のいずれかの有機溶媒を含まない。
前記第一の組合せは相当量のいずれの緩衝剤も含まない。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せは、引用をもってそれぞれをここに援用することとする米国特許第7,232,818 号及び/又は第7,417,042号及び/又は第7,737,112 号及び/又はUS-2009-0105156 及び/又はUS-2011-0236428に記載されたいずれの緩衝剤を、いずれの量又は種類も含まない。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せはいずれの緩衝剤も含まない(例えば5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満(w/w 又はw/v)のいずれかの緩衝剤を含有する)。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せは、いずれの緩衝剤も実質的に含まない(例えば0.5%未満、0.2未満、0.1未満、0.05%未満(w/w 又はw/v)のいずれかの緩衝剤を含有するなど)。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せは、検出可能な量のいずれかの緩衝剤を含まない。
前記第二の組合せは、当該化合物と一種以上のシクロデキストリンとの錯体を含む。
酸は水溶液の形で添加される。
前記一種以上のシクロデキストリンのうちの少なくとも一つはHPBCD又はSBECD (例えば SBECD)である。
本発明は、ここで解説する方法及び医薬組成物中で塩化物イオン(又は他の求核性陰イオン)の量を抑えると有利と考えられることを発見した。
いくつかの実施態様では、(前記第一の組合せに添加される)前記一種以上のシクロデキストリンのうちの少なくとも一つは低塩化物シクロデキストリンである。ここで用いられる場合の「低塩化物シクロデキストリン」とは、0.05% w/w 以下の塩化ナトリウムを有する塩化物含有シクロデキストリンを言い、あるいは、塩化ナトリウム以外(又はそれに塩化ナトリウムに加えて)の塩化物源が存在する場合には、「低塩化物シクロデキストリン」とは、0.05% w/wの塩化ナトリウムを有するシクロデキストリン中に存在するであろう塩化物量以下である塩化物イオン含有量を有するシクロデキストリンを言う。いくつかの実施態様では、低塩化物シクロデキストリンは低塩化物SBECDである。塩化物濃度の判定は、(例えば重量技術、電位差技術など、メーカーの製品明細書から市販のシクロデキストリンについてなど)当業で公知の多様な方法により判定することができる。
いくつかの実施態様では、(前記第一の組合せに添加される)前記一種以上のシクロデキストリンのうちの少なくとも一つは検出可能な量の塩化物イオンを含まない。
いくつかの実施態様では、存在する塩化物イオン量(例えば塩化物イオン対化合物のモル比)は、2乃至8℃で保管された場合に2年間の保存寿命を提供できるように充分低い。いくつかの実施態様では、塩化物イオンが存在し、そして存在する塩化物イオン量(例えば塩化物イオン対化合物のモル比)は、2乃至8℃で保管された場合に2年間の保存寿命を提供できるように充分低い。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物対化合物のモル比は2.0以下である。特定の実施態様では、少なくともいくらかの塩化物イオンが存在(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが2.0未満である)する。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物対化合物のモル比は1.5以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが1.5未満である)。
特定の実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物対化合物のモル比は1.2未満である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが1.2未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物対化合物のモル比は1.0以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが1.0未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.9以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.9未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.8以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.8未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.7以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.7未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.6以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.6未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.5以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.5未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.4以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.4未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.3以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.3未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.2以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.2未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.1以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.1未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.2乃至1.2(例えば0.3乃至1.2、例えば0.2乃至0.4、例えば0.3乃至0.4、例えば0.32)である。
実施態様では、ここで塩化物イオン、対、ここで解説する化合物のモル比は、第二の及び/又は第三の組合せ中にも存在することができる。
ある局面では、ここに記載された方法のいずれか一つで調製され、2.0以下の塩化物対化合物のモル比を有する医薬組成物を特徴とする。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが2.0未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は1.5以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが1.5未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は1.2以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが1.2未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は1.0以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが1.0未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.9以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.9未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.8以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.8未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.7以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.7未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.6以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.6未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.5以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.5未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.4以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.4未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.3以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.3未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.2以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.2未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.1以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが0.1未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物は検出可能な量の塩化物イオンを含まない。
例を挙げると、(ここで記載する方法で調製された前記第一の組合せ、第二の組合せ、第三の組合せ、医薬組成物中の)塩化物イオン対化合物のモル比は、下に示すように、計算の基礎としてカルフィルゾミブ(「CFZ」)の乾燥粉末バイアルを用いて計算することができる:
バイアル内容物質量 = 3.212 g
CFZ 質量 = 61.8 mg
塩化物最大質量(0.03 % w/w 塩化物イオンで) = 0.0009636 g
塩化物最大モル質量= 2.714 x 10^-5
(原子質量 Cl = 35.5)
CFZ モル質量 = 8.584 x 10^-5
(MW CFZ = 719.9)
バイアル中の固体状態でのモル比Cl/CFZ = 0.32
この計算は、例えばシクロデキストランの塩化物含有量(及びいずれか他の塩化物源)や、前記第一の組合せを作製するために添加される化合物の質量を用いるなどして、前記第一の組合せについても判定することができる。
当業者であれば理解されるように、この比は、バイアル充填(凍結乾燥前)に用いられる前駆物質バルク溶液や、前記乾燥粉末バイアルの内容物が患者への投与にあたって無菌水で再構築されるときにも同じであると予想されよう。
第一の組合せの提供(ステップ(i))は、当該化合物を、一種以上のデキストリン及び水の溶液に添加するステップを含む。
当該化合物は結晶質固体である。実施態様では、結晶型の当該化合物は、6.10、9.32、10.10、12.14、13.94、18.44、20.38、及び23.30で2θ度で表される2乃至8の特徴を含むX線粉末回折パターンを有する。
本方法は更に、前記第一の組合せを酸に接触させるステップの前に、前記第一の組合せを混合するステップを含む。
ステップ(i)及び(ii)は両者とも、単一の容器中で行われる。
本方法は更に、均質な第三の組合せを達成するのに充分な時間、前記第二の組合せを混合するステップを含む。
前記第三の組合せ中に溶解させ、錯体形成させた化合物の濃度は、1 mg/mL 乃至 20 mg/mLである。
前記第三の組合せ中に溶解させ、錯体形成させた化合物の濃度は、4乃至8 mg/mLである。
前記第三の組合せのpHは2 乃至 4である。
本方法は更に、前記第三の組合せをろ過するステップを含む。
本方法は更に、前記第三の組合せを凍結乾燥させて凍結乾燥体を提供するステップを含む。
本方法は更に、前記凍結乾燥体を薬学的に許容可能な担体と混合するステップを含む。
前記薬学的に許容可能な担体は注射用の無菌水を含む。実施態様では、前記薬学的に許容可能な担体はクエン酸を更に含む。
他に定義しない限り、ここで用いる全ての技術及び科学用語は、本開示が属する当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。方法及び材料は、本開示での使用に向けてここに解説されている;当業で公知の他の適した方法及び材料も用いることができる。材料、方法、及び例は描写のみのためであり、限定を意図してはいない。ここで言及する全ての公開文献、特許公報、特許、配列、データベース・エントリー、及び他の参考文献の全文を、引用をもってここに援用することとする。矛盾がある場合は、定義を含め、本明細書を上位とする。
本開示の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面、そして請求の範囲から明らかとなるであろう。
図1は、SBECDによりCFZ-APIの錯体形成を経時的に示した線グラフである。
図2は、プロテアソーム阻害剤の物理化学的特性(例えば粒子サイズ)からの、ここで調製された医薬組成物の独立を示す。
図3は、SBECD濃度の増加に伴う、CFZ-API可溶化の増加を示す線グラフである。
図4は、処理又は保管温度からの、CFZ-API/SBECD錯体可溶性の独立を示す。
図5は、クロロヒドリン分解生成物(HDP)のレベルと、pH3.5での水及び塩化物含有量の二因子相互作用との間の相関関係を示す。
図6は、pH1.5及びpH3.5、25℃及び5℃ (5.9 mg/mL のクエン酸)でのSBECD中のカルフィルゾミブ可溶性を示す。
図7は、カルフィルゾミブの水溶性がSBF-β-CD濃度の関数として増加したおことを示すグラフである。下面凹面の水溶性プロファイルは、An型錯体形成挙動として分類することができる。低いpHで始めると水溶性が著しく向上するが、温度は無視できる効果しか有さない。実施例5を参照されたい。
図8は、pH値1.5及び3(3℃で)や5%のエタノールでの時間の関数として配合した際のカルフィルゾミブに関する可溶性データを示すグラフである。実施例5を参照されたい。
図9は、錯体形成指数なしのシクロデキストリンに対する分子可溶化カルフィルゾミブを示すグラフである。
詳細な説明
ここで提供するのは、 ペプチドプロテアソーム阻害剤(例えば式(1)−(5)化合物又はその薬学的に許容可能な塩)をシクロデキストリンと調合する、シクロデキストリン錯体形成法である。更に、ペプチドプロテアソーム阻害剤及びシクロデキストリンを含む医薬組成物であって、但し本組成物が、ここのどこかで解説する塩化物を有するような医薬組成物もここで提供する(例えば本組成物は低塩化物シクロデキストリンを用いて調製される;例えば、塩化物対化合物のモル比は0.32である)。いくつかの場合では、ここで解説する通りの低塩化物イオン含有量を有する調合物により、望ましくない分解生成物の形成量を減少させることができる。
定義
用語「Cx-yアルキル」とは、直鎖アルキル及び分枝鎖アルキルを含め、トリフルオロメチル及び2,2,2-トリフルオロエチルなどのハロアルキル基を含む、x乃至y個の炭素を鎖中に含有する置換もしくは非置換の飽和炭化水素基を言う。用語「C2-yアルケニル」及び「C2-yアルキニル」とは、上述したアルキルに長さ及び可能な置換では似ているが、それぞれ少なくとも一つの二重又は三重結合を含有する置換もしくは非置換の不飽和脂肪族基を言う。
用語「アルコキシ」とは、酸素を付着させて有するアルキル基を言う。代表的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert-ブトキシ等がある。「エーテル」は酸素によって共有結合した二つの炭化水素である。従って、アルキルをエーテルにするアルキルの置換基は、アルコキシであるか、又はアルコキシに似ている。
用語「C1-6アルコキシアルキル」とは、アルコキシ基で置換されることでエーテルを形成しているようなC1-6アルキル基を言う。
用語「C1-6アラルキル」は、ここで用いられる場合、アリール基で置換されたC1-6アルキル基を言う。
用語「アミン」及び「アミノ」は当業で公知であり、一般式:
で表すことのできる部分など、非置換及び置換アミンの両者並びにその塩を言い、この場合のR9、R10 及びR10’ はそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、-(CH2)m-R8を表し、あるいはR9 及びR10 はこれらが結合したN原子と一緒になって環構造内に4乃至8個のヘテロ原子を有する複素環を完成し;R8 はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル又はポリシクリルを表し;そしてm はゼロ又は1乃至8の整数である。いくつかの実施態様では、R9 又はR10 の一方のみがカルボニルであり、例えば R9、R10、及び窒素は一緒になってイミドを形成しない。いくつかの実施態様では、R9 及びR10 (及び選択的にR10’)はそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、又は -(CH2)m-R8を表す。いくつかの実施態様では、アミノ基は塩基性であり、つまりそのプロトン化型は7.00を超えるpKa を有する。
用語「アミド」及び「アミド」は当業ではアミノ置換カルボニルとして公知であり、その中には一般式:
で表すことのできる部分が含まれ、但しこの場合のR9、R10 は上に定義した通りである。いくつかの実施態様では、アミドには不安定な可能性のあるイミドは含まれないであろう。
用語「アリール」はここで用いられる場合、環の各原子が炭素であるような5−、6−、及び7−員環の置換もしくは非置換単一環芳香族基を含む。用語「アリール」には更に、環のうちの少なくとも一つが芳香族であり、例えば他方の環状の環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであるなど、二つ以上の炭素が二つの隣接する環に共通である、二つ以上の環を有する多環式の環系も含まれる。アリール基にはベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリン等が含まれる。
用語「緩衝剤」とは、溶液中にそれが存在することで、pHに単位変化を起こさせるために添加しなければならない酸又はアルカリ量が増加するような物質である。従って、緩衝剤とは、ある組成物のpHの調節を助ける物質である。典型的には緩衝剤は、ある組成物の所望のpHや、他の成分との適合性に基づいて選択される。一般的には、緩衝剤は組成物の所望の(又は組成物が溶解時に生ずるようになる)pHよりも1単位を超えて小さくないか、又は大きくないpKaを有する。
用語「水」はここで用いられる場合、ほぼ7.0のpHを有するH2Oの溶液を言う。
用語「炭素環」及び「カルボシクリル」はここで用いられる場合、環の各原子が炭素である非芳香族の置換もしくは非置換の環を言う。用語「炭素環」及び「カルボシクリル」には、環のうちの少なくとも一つが炭素環であり、例えば他方の環状の環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであるなど、二つ以上の炭素が二つの隣接する環に共通である、二つ以上の環を有する多環式の環系も含まれる。
用語「カルボニル」は当業で公知であり、その中には一般式:
で表すことのできる部分が含まれ、但しこの場合X は結合であるか、又は酸素もしくは硫黄を表し、そしてR11 は水素、アルキル、アルケニル、-(CH2)m-R8 又は薬学的に許容可能な塩を表し、R11’ は水素、アルキル、アルケニル又は-(CH2)m-R8を表し、但しこの場合、式中の m 及びR8 は上に定義した通りである。Xが酸素であり、R11又はR11’ が水素でない場合、該式は「エステル」を表す。Xが酸素であり、R11 が水素である場合、該式は「カルボン酸」を表す。
用語「C1-6ヘテロアラルキル」はここで用いられる場合、ヘテロアリール基で置換されたC1-6アルキル基を言う。
用語「ヘテロアリール」には、環構造が一個乃至4個のヘテロ原子を含むような置換もしくは非置換の芳香族の5−乃至7−員環の環構造、例えば5−乃至6−員環が含まれる。用語「ヘテロアリール」には更に、環のうちの少なくとも一つがヘテロ芳香族であり、例えば他方の環状の環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであるなど、二つ以上の炭素が二つの隣接する環に共通である、二つ以上の環を有する多環式の環系も含まれる。ヘテロアリール基には、例えばピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジン等が含まれる。
用語「ヘテロ原子」は、ここで用いられる場合、炭素又は水素以外のいずれかの元素の原子を意味する。例えばヘテロ原子には窒素、酸素、リン、及び硫黄がある。
用語「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環基」とは、環構造が1個乃至4個のヘテロ原子を含むような置換もしくは非置換の非芳香族の3−乃至10−員環構造、例えば3−乃至7−員環を言う。用語「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環基」には更に、環のうちの少なくとも一つがヘテロ環式であり、例えば他方の環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであってよいような、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通である、2つ以上の環を有する多環式の系も含まれる。ヘテロシクリル基には、例えばピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム等がある。
用語「C1-6ヒドロキシアルキル」は、ヒドロキシ基で置換されたC1-6アルキル基を言う。
用語「チオエーテル」とは、硫黄部分をそれに付着させて有する、上に定義した通りのアルキル基を言う。いくつかの実施態様では、「チオエーテル」は-S-アルキルで表される。代表的なチオエーテル基にはメチルチオ、エチルチオ等がある。
用語「置換された」とは、置換基が、当該分子の一つ以上の非水素原子に付いた水素を置換している部分を言う。「置換」又は「で置換された」には、このような置換が、置換を受けた原子と置換基の許容電荷に従ったものであり、その置換の結果、例えば再配列、環化、除去等の変化を自発的には行わないなどの安定な化合物ができるという暗黙の前提が含まれるものと理解されよう。ここで用いられる場合の用語「置換された」は、有機化合物のあらゆる許容可能な置換基を含むと考察されている。広い意味では、許容可能な置換基には、有機化合物の非環式及び環式、分枝状及び非分枝状、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族の置換基が含まれる。適した有機化合物にとっては、許容可能な置換基は一種以上でも、同じ又は異なっていてもよい。本開示のために、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の電荷を満たす、水素置換基、及び/又は、ここで解説する有機化合物のいずれかの許容可能な置換基を有していてもよい。置換基には、例えばハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えばカルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、又はアシル)、チオカルボニル(例えばチオエステル、チオアセテート、又はチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルフォニル、ヘテロシクリル、アラルキル、又は芳香族もしくはヘテロ芳香族の部分を含めることができる。当業者であれば、炭化水素鎖上で置換される部分はそれ自体、適当であれば置換され得ることは理解されよう。
いくつかの実施態様では、ここで提供する化合物、又はその塩は、実質的に単離又は精製されている。「実質的に単離されている」とは、当該化合物が、それが形成された又は検出された環境から少なくとも部分的又は実質的に分離されていることを意味する。部分的分離には、例えば、ここで提供する化合物中に濃縮された組成物を含めることができる。実質的分離には、当該化合物又はその塩を重量で少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、又は少なくとも約99% 含有する組成物を含めることができる。化合物及びそれらの塩を単離する方法は当業において常法である。
ここで用いられる場合の用語「ペプチド」とは、約2乃至約10アミノ酸長であるアミノ酸の鎖を言う。
ここで用いられる場合の用語「天然」又は「天然発生型」アミノ酸とは、20種の最も普通に発生するアミノ酸のうちの一つを言う。天然アミノ酸は、それらの標準的な1又は3文字略語で言及される。
用語「非天然アミノ酸」又は「非天然」とは、D型並びにβ及びγアミノ酸誘導体を含む、天然アミノ酸のいずれかの誘導体又は構造類似体を言う。ヒドロキシプロリンなど、ここで非天然アミノ酸と分類されるいくつかのアミノ酸は、特定の生物又は特定のタンパク質中に天然で見られるかも知れないことは留意されよう。非天然アミノ酸の非限定的な例には:β-アラニン(β-Ala)、γ-アミノ酪酸 (GABA)、2-アミノ酪酸 (2-Abu)、α,β-デヒドロ-2-アミノ酪酸(Δ-Abu)、1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸 (ACPC)、アミノイソ酪酸 (Aib)、 2-アミノ-チアゾリン-4-カルボン酸、5-アミノ吉草酸 (5-Ava)、6-アミノヘキサン酸 (6-Ahx)、8-アミノオクタン酸 (8-Aoc)、11-アミノウンデカン酸(11-Aun)、12-アミノドデカン酸 (12-Ado)、2-アミノ安息香酸 (2-Abz)、3-アミノ安息香酸 (3-Abz)、4-アミノ安息香酸 (4-Abz)、4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン酸 (スタチン、Sta)、アミノオキシ酢酸 (Aoa)、2-アミノテトラリン-2-カルボン酸 (Atc)、4-アミノ-5-シクロヘキシル-3-ヒドロキシペンタン酸(ACHPA)、パラ-アミノフェニルアラニン(4-NH2-Phe)、ビフェニルアラニン (Bip)、パラ-ブロモフェニルアラニン (4-Br-Phe)、オルト-クロロフェニルアラニン (2-Cl-Phe)、メタ-クロロフェニルアラニン (3-Cl-Phe)、パラ-クロロフェニルアラニン (4-Cl-Phe)、メタ-クロロチロシン (3-Cl-Tyr)、パラ-ベンゾイルフェニルアラニン (Bpa)、tert-ブチルグリシン (Tle)、シクロヘキシルアラニン (Cha)、シクロヘキシルグリシン (Chg)、2,3-ジアミノプロピオン酸 (Dpr)、2,4-ジアミノ酪酸 (Dbu)、3,4-ジクロロフェニルアラニン (3,4-Cl2-Phe)、3,4-ジフルオロフェニルアラニン (3,4-F2-Phe)、3,5-ジヨードチロシン (3,5-12-Tyr)、オルト-フルオロフェニルアラニン (2-F-Phe)、メタ-フルオロフェニルアラニン (3-F-Phe)、パラ-フルオロフェニルアラニン (4-F-Phe)、メタ-フルオロチロシン (3-F-Tyr)、ホモセリン (Hse)、ホモフェニルアラニン (Hfe)、ホモチロシン (Htyr)、5-ヒドロキシトリプトファン (5-OH-Trp)、ヒドロキシプロリン (Hyp)、パラ-ヨードフェニルアラニン (4-1-Phe)、3-ヨードチロシン (3-I-Tyr)、インドリン-2-カルボン酸 (Idc)、イソニペコ酸 (Inp)、メタ-メチルチロシン (3-Me-Tyr)、I-ナフチルアラニン (1-Nal)、2 ナフチルアラニン (2-Nal)、パラ-ニトロフェニルアラニン (4-NO2-Phe)、3-ニトロチロシン (3-NO2-Tyr)、ノルロイシン (Nle)、ノルヴァリン (Nva)、オミチン (Orn)、オルト-ホスホチロシン (H2PO3-Tyr)、オクタヒドロインドール-2-カルボン酸 (Oic)、ペニシルアミン (Pen)、ペンタフルオロフェニルアラニン (F5-Phe)、フェニルグリシン (Phg)、ピペコリン酸 (Pip)、プロパルギルグリシン (Pra)、ピログルタミン酸 (pGlu)、サルコシン (Sar)、テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸 (Tic)、及び チアゾリジン-4-カルボン酸 (チオプロリン、Th)がある。アミノ酸の立体化学は名称に先行するか、又は適宜、指定「D」又は「d」又は「L」又は「l」の略語で指定される場合がある。代替的には、キラル中心が従来の(S)-、又は(R)-指定で表される場合がある。加えて、αN-アルキル化アミノ酸や、アミンがアシル化又はアルキル化されているアミン含有側鎖(例えばLys及びOrn)を有するアミノ酸が用いられる場合もある。例えば、引用をもってここに援用することとするHruby 及びBotejuの“Peptides and Mimics, Design of Conformationally Constrained” 中の Molecular Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference, ed. Robert A. Meyers, VCH Publishers (1995), pp. 658-664を参照されたい。
用語「錯体形成」は、ここで用いられる場合、溶液中の分子間包接錯体、又は分子間会合の形成や、一種以上のペプチドプロテアソーム阻害剤と一種以上のシクロデキストリン分子との間の分子間包接錯体の形成を言う。該包接又は会合により、錯体形成作用物質(即ち、一種以上のシクロデキストリン分子)なしで、同様なpH範囲の水相溶解に比較して、水溶液中で達成できる阻害剤濃度を実質的に増加させる機序としての実用性が提供される。いくつかの実施態様では、(例えば低塩化物SBECDなど、例えば低塩化物:シクロデキストリン源など由来のSBECD):阻害剤(例えばカルフィルゾミブ)比は1:1である。他の実施態様では、二種以上のシクロデキストリン(例えばSBECD、低塩化物:シクロデキストリン、及び低塩化物SBECDからそれぞれ独立に選択される)を特定の阻害剤(例えば2、3、4、5、又は6種;例えば2又は3種)シクロデキストラン(例えばSBECD、低塩化物シクロデキストリン、及び低塩化物SBECDからそれぞれ独立に選択される)に錯体形成させ、特定の阻害剤(例えばカルフィルゾミブ)に錯体形成させることができる。いくつかの実施態様では、シクロデキストリン(例えば低塩化物SBECDなど、低塩化物:シクロデキストリン源由来のSBECDなど):阻害剤(例えばカルフィルゾミブ)比は1−5:1(例えば1−4:1;1−3:1;1−2:1;2−5:1;2−4:1、2−3:1)である。錯体形成比は、例えばここで記載する方法などを用いて判定することができる。
用語「予防的又は治療的」処置は当業で公知であり、ホストへの一種以上の当該組成物の投与を包含する。それが、望ましくない状態(例えばホスト動物の疾患又は他の望ましくない状態)の臨床上の発現前に投与されるのであれば、その処置は予防的(即ち、望ましくない状態発症からホストを防御する)であり、他方、望ましくない状態の発現後にそれが投与されるのであれば、その処置は治療的である(即ち、既存の望ましくない状態又はその副作用を減らす、緩和する、又は安定させることが意図されている)。
用語「プロテアソーム」は、ここで用いられる場合、免疫-及び構成的プロテアソームを包含することが意図されている。
ここで用いられる場合の用語「阻害剤」は、ある酵素又は複数の酵素のシステム、受容体、又は他の薬理学的標的の活性を遮断する又は減少させる化合物を言うものと意図されている(例えば、LLVY-AMC、Box-LLR-AMC 及びZ-LLE-AMCなどの標準的な蛍光発生性ペプチド基質のタンパク質分解の阻害、20Sプロテアソームの多様な触媒活性の阻害)。阻害剤は、競合的、不競合的、又は非競合的阻害によって作用することができる。阻害剤は可逆的又は非可逆的に結合することができ、従ってこの用語は、ある酵素の自殺基質である化合物も包含する。阻害剤は、酵素の活性部位上の一つ以上の部位又は活性部位近傍を修飾したり、あるいは、酵素の他のどこかでコンホメーション上の変化を引き起こしたりすることができる。阻害剤という用語は、科学文献でよりもここではより広い意味で用いられており、そのため、例えばアゴニスト、アンタゴニスト、刺激剤、コファクター等、他のクラスの薬理学的又は治療上有用な作用物質も包含する。
ここで用いられる場合の「低可溶性」とは、例えば水又は別の溶液(例えば第一の組合せ)中で節約型に可溶性、僅かに可溶性、大変僅かに可溶性、実質的に不溶性、又は不溶性であることを言い;「節約型に可溶性、僅かに可溶性、大変僅かに可溶性、実質的に不溶性、又は不溶性」という用語は、意味において概算可溶性表現についての米国ファーマコペイア(USP)一般用語に相当する。例えば DeLuca and Boylan in Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, vol. 1, Avis, K.E., Lackman, L. and Lieberman, H.A., eds; Marcel Dekkar: 1084, 141-142ページを参照されたい:
ここで用いられる場合の「不均質な」とは、非均一な(多相)組成を有する溶液を言う。例えば不均質な溶液には、固体粒子が液体に浮かんだ懸濁液(例えばスラリ)を含めることができる。
ここで用いられる場合の「均質な」とは、その体積全体にわたって一貫した又は均質な(透明な溶液として観察される単相)溶液を言う。
当該の処置法に関して、ある化合物の「治療上有効量」とは、所望の投薬計画の一部として(哺乳動物、好ましくはヒト)に投与された場合に、例えばいずれかの医学的処置に適用される妥当な利益/リスク比でなど、処置しようとする障害又は状態あるいは美容目的にとって臨床上許容可能な標準に従って、症状を軽減する、状態を改善する、又は疾患状態の発症を遅らせる、製剤中の化合物量を言う。
ここで用いられる場合の用語「処置する」又は「処置」には、患者の状態を向上させる又は安定化する態様で、ある状態の症状、臨床上の兆候、及び基礎病理を逆行させる、低減する、又は停止させることが含まれる。
化合物
ここで提供するのは、水中での低い可溶性特徴を有するペプチドプロテアソーム阻害剤の調合物を調製する方法である。ペプチドプロテアソーム阻害剤は、ヘテロ原子含有3員環の開環反応が促進されるように、ヘテロ原子含有3員環に近接した基を含有する、エポキシド-又はアジリジン-含有部分を含む。このような基には、例えばカルボニルなどの電子吸引基などが含まれる。いくつかの実施態様では、ペプチドプロテアソーム阻害剤はペプチドエポキシプロテアソーム阻害剤である。ここで用いられる場合の「ペプチドエポキシプロテアソーム阻害剤」は、ケトンの一方の側にエポキシ基を、他方の側にペプチドを有する、ケトン部分を含む。
ペプチドプロテアソーム阻害剤のペプチドは2乃至10個のアミノ酸を含む。例えば、該ペプチドは2乃至8個のアミノ酸; 2乃至6個のアミノ酸;2乃至5個のアミノ酸;2乃至4個のアミノ酸;3乃至10個のアミノ酸;4乃至10個のアミノ酸;6乃至10個のアミノ酸;8乃至10個のアミノ酸;3乃至4個のアミノ酸;3乃至5個のアミノ酸;そして4乃至6個のアミノ酸を有することができる。いくつかの実施態様では、該ペプチドは3又は4個のアミノ酸を有する。
いくつかの実施態様では、ペプチドプロテアソーム阻害剤は式(1):
の化合物であって、但し式中、
X は酸素、NH、又はN(C1-6 アルキル)であり;
W は2乃至10個のアミノ酸を含むペプチドであり、但し前記アミノ酸は天然、非天然、又はこれらの組合せでもよく;そして
R は、ヒドロキシ、 ハロゲン、アミノ、 カルボキシ、 カルボニル、チオ、 スルフィド、エステル、アミド又はエーテル官能基のうちの一つ以上で置換されてもよい水素原子又はC1-4 アルキル基である;
化合物か、あるいはその薬学的に許容可能な塩である。
いくつかの実施態様では、Xは、Ntnヒドロラーゼ中のN末端求核基との相互作用を促進するように構成される。例えば、酵素阻害剤が20Sプロテアソームのβ5/Pre2 サブユニットと非可逆的に相互作用して起きる阻害は、上述の構成により促進されると思われる。他のNtnヒドロラーゼの場合、ペプチドエポキシド又はペプチドアジリジンのα-炭素の反対の立体化学が有用であろう。いくつかの実施態様では、X は酸素である。
α’-炭素 (エポキシド又はアジリジン環の一部を形成する炭素)の立体化学は(R) でも、又は (S)でもよい。化合物は、提示した上下(又は、ここで描くβがページの面の上方にある場合のβ-α)又は (R)-(S) 関係(即ち、化合物中の立体中心の全てが、提示した選択になじむ必要はない)を有する数多くの立体中心を有してもいいことに注目されたい。いくつかの実施態様では、α’炭素の立体化学は(R)であり、即ち、X原子はβ、つまり、式(1)で描かれた場合には分子の平面の上方にある。
式(1)の化合物の場合、β’炭素は二つの水素原子で置換される。立体化学に関しては、キラルα’炭素は星印で示してあり、絶対的立体化学を判定するためのカーン-インゴールド-プレローグの規則に従っている。これらの規則は例えば、当該セクションを引用をもってここに援用することとする Organic Chemistry, Fox and Whitesell; Jones and Bartlett Publishers, Boston, Mass. (1994); Section 5-6, pp 177-178に記載されている。α’炭素の立体化学は、酸素又は窒素が最も高い優先順位を有し、ペプチド-ケトン基が二番目に高い優先順位を有し、そして−CH2−X− 基が三番目に高い優先順位を有する場合には、(R)である。いくつかの実施態様では、ペプチド-ケトン、−CH2−X−、及びR基の相対的優先性が変われば、公称立体化学も変わり得るが、基の必須構成は同じの場合があり得る。即ち、すぐ上に示した一般構造を参照すると、ペプチド-ケトンは、左側からキラルα’炭素に接合し、R は右側からキラルα’炭素に接合し、そしてX原子はページの平面から飛び出る。アジリジン環の窒素原子もまた、原則的には、当該ページを引用をもってここに援用することとするMarch, Advanced Organic Chemistry, 4th Ed. (1992) Wiley-Interscience, New York, pp. 98-100に論じられているようにキラルであってもよい。
Wは2乃至10個のアミノ酸を含むペプチドであるが、この場合のアミノ酸は天然でも、非天然でも、又はこれらの組合せでもよい。例えば、当該ペプチドは2乃至8個のアミノ酸;2乃至6個のアミノ酸;2乃至5個のアミノ酸;2乃至4個のアミノ酸;3乃至10個のアミノ酸;4乃至10個のアミノ酸;6乃至10個のアミノ酸;8乃至10個のアミノ酸;3乃至4個のアミノ酸;3乃至5個のアミノ酸;及び4乃至6個のアミノ酸を有することができる。いくつかの実施態様では、当該のペプチドは3又は4個のアミノ酸を有する。プロテアソームのキモトリプシン様(CT-L)活性を阻害するのに有用ないくつかの実施態様では、4乃至8個のアミノ酸が存在し、そしてCT-L阻害のためのいくつかの実施態様では、4乃至6個のアミノ酸が存在する。プロテアソームのPGPH活性を阻害するために有用な他の実施態様では、2乃至8個のアミノ酸が存在し、そしてPGPH阻害のためのいくつかの実施態様では、3乃至6個のアミノ酸が存在する。式(1)中のWとケトン部分との間の結合は、当該ペプチドのいずれの末端の間にも作ることができる。例えばいくつかの実施態様では、ケトンはペプチドのカルボキシ末端に結合させる。代替的には、ケトンをペプチドのアミノ末端に結合させることができる。いくつかの実施態様では、ケトンはペプチドの側鎖に結合させることができる。
式(1)の化合物の例は、引用をもってその全文をここに援用することとする米国特許第7,737,112号に見ることができる。いくつかの実施態様では、式(1)の化合物は水中での低い可溶性を有する。
Ntnのキモトリプシン様(CT-L)活性の阻害のためのペプチドプロテアソーム阻害剤 には、少なくとも4個のアミノ酸を有するペプチドを含めることができる。いくつかのCT-L阻害剤実施態様では、阻害剤は、少なくとも4個のアミノ酸及びα’,β’-エポキシケトン又はα’,β’-アジリジンケトン部分(テトラペプチドエポキシケトン又はテトラペプチドアジリジンケトン)を有するペプチドを有する。
いくつかの実施態様では、低い水溶性を有するペプチドプロテアソーム阻害剤 は式(II):
を有する化合物であって、但し式中、
各A はC=O、C=S、及びSO2から独立に選択され;又は
A は、Zに隣接する場合には任意に共有結合であり;
L は存在しないか、又は C=O、C=S、及びSO2から選択され;
M は存在しないか、又はC1-12アルキルであり;
Q は存在しないか、又はO、NH、及び N(C1-6アルキル)から選択され;
X は O、NH、及び N(C1-6アルキル)から選択され;
Y は存在しないか、又はO、NH、N(C1-6アルキル)、S、SO、SO2、CHOR10、及びCHCO2R10から選択され;
各Z は O、S、NH、及び N(C1-6アルキル)から独立に選択され;あるいは
Z はAに隣接する場合には任意に共有結合であり;
R1、R2、R3、及び R4 はそれぞれ独立に C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6アルコキシコキシアルキル、アリール、及びC1-6アラルキルから選択され、但しそのいずれもアミド、アミン、カルボン酸 (又はその塩)、エステル、チオール、又はチオエーテル置換基のうちの一つ以上で任意に置換され;
R5 は N(R6)LQR7であり;
R6 は 水素、OH、及びC1-6アルキルから選択され;
R7 は 水素、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、アリール、C1-6アラルキル、ヘテロアリール、C1-6ヘテロアラルキル、R8ZAZ-C1-8アルキル-、R11Z-C1-8アルキル-、(R8O)(R9O)P(=O)O−C1-8アルキル-ZAZ-C1-6アルキル-、R8ZAZ-C1-8アルキル-ZAZ-C1-8アルキル-、ヘテロシクリルMZAZ-C1-8アルキル-、(R8O)(R9O)P(=O)O−C1-8アルキル-、(R10)2N−C1-12アルキル-、(R10)3N+-C1-12アルキル-、ヘテロシクリルM-、カルボシクリルM-、R11SO2C1-8アルキル-、及び R11SO2NHから選択されるか;あるいは
R6 及び R7 は共に C1-6アルキル-Y−C1-6アルキル、C1-6アルキル-ZAZ-C1-6アルキル、ZAZ-C1-6アルキル-ZAZ-C1-6アルキル、ZAZ-C1-6アルキル-ZAZ、又は C1-6アルキル-Aであることで一個の環を形成し;
R8 及びR9 は独立に水素、金属陽イオン、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C1-6アラルキル、及び C1-6ヘテロアラルキルから選択されるか、あるいはR8 及び R9 は共に C1-6アルキルであることで、一個の環を形成し;
各R10 は独立に水素 及びC1-6アルキルから選択され;そして
R11 は独立に水素、C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C1-6アラルキル、及びC1-6ヘテロアラルキルから選択され、
条件として R6 がH 又はCH3 であり、Qが存在しない場合、LR7 は 水素、非置換 C1-6アルキルC=O、更なるアミノ酸鎖、t-ブトキシカルボニル (Boc)、ベンゾイル (Bz)、フルオレン-9-イルメトキシカルボニル (Fmoc)、トリフェニルメチル (トリチル)、ベンジルオキシカルボニル (Cbz)、トリクロロエトキシカルボニル (Troc);又は 置換もしくは非置換 アリール又はヘテロアリールではなく;そして
配列ZAZがある場合はいずれも、前記配列の少なくとも一つのメンバーは共有結合以外でなくてはならない;
化合物か、又は、薬学的に許容可能なその塩であってよい。
いくつかの実施態様では、 R6 が Hであり、L がC=Oであり、そしてQ が存在しない場合、R7 は 水素、C1-6アルキル、又は置換もしくは非置換 アリール又はヘテロアリールではない。いくつかの実施態様では、R6 がH であり、そしてQ が存在しない場合、R7 はGreene, T. W. and Wuts, P. G. M., “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley & Sons, 1999 又は Kocienfski, P. J., “Protecting Groups”, Georg Thieme Verlag, 1994に記載されたものなどの保護基ではない。
いくつかの実施態様では、R1、R2、R3、及び R4 はC1-6アルキル 又は C1-6アラルキルから選択される。例えばR2 及びR4 はC1-6アルキルであり、そして R1 及び R3 はC1-6アラルキルである。該いくつかの実施態様では、R2 及び R4 はイソブチルであり、R1 は2-フェニルエチルであり、そしてR3 はフェニルメチルである。
いくつかの実施態様では、L 及び Q は存在せず、そしてR7 は C1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、C1-6アラルキル、及びC1-6ヘテロアラルキルから選択される。例えば、R6 はC1-6アルキルであり、そしてR7 はブチル、アリル、プロパルギル、フェニルメチル、2-ピリジル、3-ピリジル、及び4-ピリジルから選択される。
いくつかの実施態様では、L はSO2であり、Q は存在せず、そして R7 はC1-6アルキル及びアリールから選択される。例えば、R7 はメチル及びフェニルから選択することができる。
いくつかの実施態様では、L はC=O であり、そしてR7 はC1-6アルキル、C1-6アルケニル、C1-6アルキニル、アリール、C1-6アラルキル、ヘテロアリール、C1-6ヘテロアラルキル、R8ZA-C1-8アルキル-R11Z-C1-8アルキル-、(R8O)(R9O)P(=O)O−C1-8アルキル-、(R8O)(R9O)P(=O)O−C1-8アルキル-ZAZ-C1-8アルキル-、(R8O)(R9O)P(=O)O−C1-8アルキル-Z-C1-8アルキル-、R8ZA-C1-8アルキル-ZAZ-C1-8アルキル-、ヘテロシクリルMZAZ-C1-8アルキル-、(R10)2N−C1-8アルキル-、(R10)3N+−C1-8アルキル-、ヘテロシクリル-M カルボシクリルM-、R11SO2C1-8アルキル-、及びR11SO2NH-から選択され、但しこの場合、Z 及び Aはそれぞれの箇所において独立に、共有結合以外である。いくつかの実施態様では、L はC=Oであり、Q は存在せず、そして R7 はHである。
いくつかの実施態様では、R6 はC1-6アルキルであり、R7 はC1-6アルキルであり、Q は存在せず、そしてL はC=Oである。いくつかのこのような実施態様では、R7 はエチル、イソプロピル、2,2,2-トリフルオロエチル、又は 2-(メチルスルホニル)エチルである。
いくつかの実施態様では、L はC=Oであり、Q は存在せず、そしてR7 はC1-6アラルキルである。例えば、R7 は2-フェニルエチル、フェニルメチル、(4-メトキシフェニル)メチル、(4-クロロフェニル)メチル、及び (4-フルオロフェニル)メチルから選択することができる。
いくつかの実施態様では、L はC=Oであり、Q は存在せず、R6 はC1-6アルキルであり、そしてR7 はアリールである。例えば、R7 は置換もしくは非置換 フェニルであってよい。
いくつかの実施態様では、L はC=Oであり、Q は存在しないか、又はOであり、n は0 又は1であり、そしてR7 は−(CH2)nカルボシクリルである。例えば、R7 はシクロプロピル又はシクロヘキシルであってよい。
いくつかの実施態様では、L 及びA はC=Oであり、Q は存在せず、Z はOであり、n は1乃至8 の整数(例えば1)であり、そしてR7 はR8ZA-C1-8アルキル-、R11Z-C1-8アルキル-、R8ZA-C1-8アルキル-ZAZ-C1-8アルキル-、(R8O)(R9O)P(=O)O−C1-8アルキル-ZAZ-C1-8アルキル-、(R8O)(R9O)P(=O)O−C1-8アルキル-Z-C1-8アルキル-、及びヘテロシクリルMZAZ-C1-8アルキル-から選択され、但しこの場合、Aは存在する各箇所において独立に共有結合以外である。例えば、R7 はヘテロシクリルMZAZ-C1-8アルキル-であってよく、但しこの場合のヘテロシクリルは置換もしくは非置換オキソジオキソレニル又は N(R12)(R13)であり、この場合、R12 及びR13 は共に、例えばC1-3アルキル-Y−C1-3アルキルなどのC1-6アルキル-Y−C1-6アルキルであることで一個の環を形成する。
いくつかの実施態様では、L はC=Oであり、Q は存在せず、n は1乃至8の整数であり、そしてR7 は (R8O)(R9O)P(=O)O−C1-8アルキル-、(R10)2NC1-8アルキル、(R10)3N+(CH2)n−、及びヘテロシクリル-M-から選択される。いくつかのこのような実施態様では、R7 は−C1-8アルキルN(R10)2 又は −C1-8アルキルN+(R10)3であり、但しこの場合の R10 はC1-6アルキルである。例えば、R7 はヘテロシクリルM-であり、但しこの場合のヘテロシクリルは モルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ、及びピロリジノから選択される。
いくつかの実施態様では、L はC=Oであり、R6 はC1-6アルキルであり、Q は O 及び NH から選択され、そしてR7 は C1-6アルキル、シクロアルキルM、C1-6アラルキル、及びC1-6ヘテロアラルキルから選択される。いくつかの実施態様では、L はC=Oであり、R6 はC1-6アルキルであり、Q はO 及びNHから選択され、そしてR7 はC1-6アルキルであり、但しこの場合の C1-6アルキルはメチル、エチル、及びイソプロピルから選択される。いくつかの実施態様では、 Lは C=Oであり、R6 はC1-6アルキルであり、Q はO 及び NH から選択され、そしてR7 はC1-6アラルキルであり、但しこの場合のアラルキルはフェニルメチルである。いくつかの実施態様では、L はC=Oであり、R6 は C1-6アルキルであり、Q はO 及び NHから選択され、そしてR7 はC1-6ヘテロアラルキルであり、但しこの場合のヘテロアラルキル は(4-ピリジル)メチルである。
いくつかの実施態様では、L は存在しないか、又はC=Oであり、そして R6 及びR7 は共に、C1-6アルキル-Y−C1-6アルキル、C1-6アルキル-ZA-C1-6アルキル、又は C1-6アルキル-Aであり、但しこの場合、Z及びAは存在する各箇所において独立に共有結合以外であることで一個の環を形成する。いくつかの実施態様では、L はC=Oであり、Q 及び Yは存在せず、そして R6 及びR7 は共に、C1-3アルキル-Y−C1-3アルキルである。いくつかの実施態様では、L 及びQ は存在せず、そして R6 及び R7 は共に C1-3アルキル-Y−C1-3アルキルである。いくつかの実施態様では、L は C=Oであり、Q は存在せず、Y は NH 及び N−C1-6アルキルから選択され、そしてR6 及びR7 は共にC1-3アルキル-Y−C1-3アルキルである。いくつかの実施態様では、 L は C=Oであり、Yは存在せず、そしてR6 及びR7 は共に C1-3アルキル-Y−C1-3アルキルである。いくつかの実施態様では、L 及びA はC=Oであり、そして R6 及びR7は共に、C1-2アルキル-ZA-C1-2アルキルである。いくつかの実施態様では、L 及び A は C=O であり、そしてR6 及び R7 は共に C2-3アルキル-Aである。
式(2)の化合物は以下の立体化学:
を有することができる。
式(2)の化合物の更なる非限定的な例は、例えばその全文を引用をもってここに援用することとする米国特許第7,232,818号に見ることができる。いくつかの実施態様では、式(2)の化合物は水溶性が低い。
いくつかの実施態様では、ペプチドプロテアソーム阻害剤は式(3)
の化合物であって、但し式中、
X は酸素、NH、又はN(C1-6 アルキル)であり;
Y はNH、N(C1-6 アルキル)、O、又はC(R9)2であり;
Z は O 又は C(R9)2であり;
R1、R2、R3、及び R4 はすべて水素であり;
各 R5、R6、R7、R8、及び R9 は独立に水素、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6アルコキシアルキル、アリール、及び C1-6アラルキルから選択され、そのそれぞれは任意に、アルキル、アミド、アミン、カルボン酸又は薬学的に許容可能なその塩、カルボキシルエステル、チオール、及びチオエーテルのうちの一つ以上で置換され;
m は0乃至2の整数であり;そして
n は0乃至2の整数である、
化合物か、又は薬学的に許容可能なその塩であってよい。
いくつかの実施態様では、X はOである。いくつかの実施態様では、Y は N(C1-6 アルキル)、O、又は C(R9)2である。いくつかの実施態様では、Z は C(R9)2である。いくつかの実施態様では、R5、R6、R7、及び R8 は独立にC1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、及び C1-6アラルキルから選択され、そして各 R9 は水素である。例えば、R6 及びR8 は独立にC1-6アルキルであり、R5 及び R7 は独立に C1-6アラルキルであり、そして各R9 はHである。 いくつかの実施態様では、nは0又は1である。
いくつかの実施態様では、X はO であり、そしてR5、R6、R7、及び R8 は独立に C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、及び C1-6アラルキルから選択される。例えば、R6 及び R8 は独立に C1-6アルキルであり、そして R5 及び R7 は独立に C1-6アラルキルである。
いくつかの実施態様では、X はOであり、R6 及び R8 は両者ともイソブチルであり、R5 は フェニルエチルであり、そしてR7 はフェニルメチルである。
いくつかの実施態様では、R5、R6、R7、及びR8 は独立に 水素、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6アルコキシアルキル、アリール、及びC1-6アラルキルから選択され、そのそれぞれは任意に、アルキル、アミド、アミン、カルボン酸又は薬学的に許容可能なその塩、カルボキシルエステル、チオール、及びチオエーテルから選択される基で置換される。いくつかの実施態様では、 R5 及び R7 の少なくとも一方は 、ペルハロアルキルなどのアルキルで置換されたC1-6アラルキルである。例えば、R7 はトリフルオロメチルで置換されたC1-6アラルキルである。
いくつかの実施態様では、Y はN-アルキル、O、及びCH2から選択される。 いくつかのこのような実施態様では、Zは CH2であり、そしてm及びnは両者とも 0である。いくつかの実施態様では、Z は CH2であり、m は 0であり、そして n は 2 又は 3である。いくつかの実施態様では、Z は Oであり、m は 1であり、そしてn は 2である。
いくつかの実施態様では、式(3)の化合物は式(4):
の化合物であって、但し式中、
X はO、NH、又は N-アルキルであり、好ましくは Oであり;
R1、R2、R3、及び R4 はすべて 水素であり;そして
R5、R6、R7、及び R8 は独立に水素、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C1-6アルコキシアルキル、アリール、及び C1-6アラルキルから選択され、そのそれぞれは任意に、アミド、アミン、カルボン酸 又は薬学的に許容可能なその塩、カルボキシルエステル、チオール、及びチオエーテルから選択される基で置換される、
化合物か、又は薬学的に許容可能な塩である。
いくつかの実施態様では、R5、R6、R7、及びR8 は独立に、C1-6アルキル, C1-6ヒドロキシアルキル、及びC1-6アラルキルから選択される。例えば、R6 及び R8 は独立に C1-6アルキルであり、そしてR5 及び R7 は独立に C1-6アラルキルである。
いくつかの実施態様では、X は O であり、そしてR5、R6、R7、及び R8 は独立に、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、及びC1-6アラルキルから選択される。例えば、R6 及び R8 は独立に C1-6アルキルであり、そして R5 及び R7 は独立に C1-6アラルキルである。
いくつかの実施態様では、X は Oであり、R6 及び R8 は両者ともイソブチルであり、R5 はフェニルエチルであり、そして R7 はフェニルメチルである。
いくつかの実施態様では、式IIIの化合物は以下の立体化学:
を有する。
式(3)及び(4)の化合物の非限定的な例は、例えば引用をもってその全文をここに援用することとする米国特許第7,417,042号に見ることができる。いくつかの実施態様では、式(3)又は(4)の化合物は水溶性が低い。
いくつかの実施態様では、ペプチドプロテアソーム阻害剤 は式(5):
の化合物又は薬学的に許容可能なその塩である。式(5)の化合物はカルフィルゾミブとしても公知である。
ここで解説する化合物のいずれも、非晶質又は結晶質型で単離することができる。ここで提供する結晶質化合物の調製及び精製は、例えば引用をもってその全文をここに援用することとする米国公報No. 2009/0105156号に解説された通り、当業で公知のように行うことができる。
いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は実質的に純粋である。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物の融点は約200乃至約220°C、約 205 乃至約 215°C、約 211乃至約213°C、又は更には約212°Cより上の範囲内である。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は約205乃至約215℃の融点を有することができる。例えば、該化合物は、約211乃至約213℃の融点を有することができる。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物のDSCは、結晶質型化合物の融解及び分解などが原因で起きる、約212℃で鋭い吸熱最大温度を有する。
式(5)の結晶質化合物のX線粉末回折パターンは、2シータ(2θ)度で表される特徴的な回折ピークを有する。例えば、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを6.10に有することができる。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は2θ度で表される特徴的なピークを9.32に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを10.10に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを12.14に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを13.94に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを18.44に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを20.38に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを23.30に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを6.10、9.32、10.10、12.14、13.94、18.44、20.38、及び 23.30の2乃至8箇所に含むX線粉末回折パターンを有する。例えば、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを6.10、9.32、10.10、12.14、13.94、18.44、20.38、及び23.30に含むX線粉末回折パターンを有することができる。
いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを約6.1に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを約9.3に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを約10.1に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを約12.1に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを約13.9に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを約18.4に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを約20.4に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを約23.3に有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを約6.1、9.3、10.1、12.1、13.9、18.4、20.4、及び 23.3の2乃至8箇所に含むX線粉末回折パターンを有する。いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを約6.1、9.3、10.1、12.1、13.9、18.4、20.4、及び 23.3に含むX線粉末回折パターンを有する。
いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを 6.10; 8.10; 9.32; 10.10; 11.00; 12.14; 12.50; 13.64; 13.94; 17.14; 17.52; 18.44; 20.38; 21.00; 22.26; 23.30; 24.66; 25.98; 26.02; 27.84; 28.00; 28.16; 29.98; 30.46; 32.98; 33.22; 34.52; 及び 39.46に有するX線粉末回折パターンを有する。
いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θ度で表される特徴的なピークを 6.1; 8.1; 9.3; 10.1; 11.0; 12.1; 12.5; 13.6; 13.9; 17.1; 17.5; 18.4; 20.4; 21.0; 22.3; 23.3; 24.7; 25.9; 26.0; 27.8; 28.0; 28.2; 30.0; 30.5; 33.0; 33.2; 34.5; 及び 39.5に有するX線粉末回折パターンを有する。
X線粉末回折 (XRPD) 解析は、シマヅXRD-6000 X線粉末回折計を用いて Cu Kα線を用いて行われた。該装置は、長い微細焦点X線チューブを備える。チューブの電圧及びアンペアはそれぞれ40 kV 及び40 mAに設定された。拡散及び散乱スリットは1°に設定され、受光スリットは0.15mmに設定された。回折した光線はNAI シンチレーション検出器で検出された。2.5 乃至 40° 2θから3°/分 (0.4 秒/0.02°) のθ-2θ連続スキャンを用いた。シリコン標準を分析して装置のアライメントをチェックした。データは、XRD-6100/7000 v.5.0を用いて収集及び解析された。シリコン・インサートの付いたアルミ製ホルダー内に試料を配置することで、それらを解析にむけて準備した。
いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、式(5)の化合物の結晶塩である。例えば、式(5)の化合物の結晶塩は:クエン酸塩、酒石酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、塩酸塩、及び臭化水素酸塩から成る群より選択することができる。いくつかの実施態様では、式(5)の化合物の結晶塩はクエン酸塩である。いくつかの実施態様では、当該の結晶質の固体は共結晶として存在してもよい。
いくつかの実施態様では、式(5)の化合物の結晶質クエン酸塩は実質的に純粋である。 いくつかの実施態様では、式(5)の化合物の結晶質クエン酸塩の融点は、例えば約184 乃至約188°Cなど、約180乃至190℃の範囲内である。いくつかの実施態様では、式(5)の化合物の結晶質クエン酸塩のDSCは、例えば結晶質型の融解及び分解を原因とする、鋭い吸熱最大値を約187℃に有する。
いくつかの実施態様では、式(5)の結晶質化合物は、2θで表される特徴的なピークを 4.40; 7.22; 9.12; 12.36; 13.35; 14.34; 15.54; 16.14; 16.54; 17.00; 18.24; 18.58; 19.70; 19.90; 20.30; 20.42; 21.84; 22.02; 23.34; 23.84; 24.04; 24.08; 24.48; 24.76; 25.48; 26.18; 28.14; 28.20; 28.64; 29.64; 31.04; 31.84; 33.00; 33.20; 34.06; 34.30; 34.50; 35.18; 37.48; 37.90; 及び 39.48のうちの二か所以上に含むX線粉末回折パターンを有する。例えば、式(5)の化合物の結晶質クエン酸塩は、2θで表される特徴的なピークを 4.40; 7.22; 9.12; 12.36; 13.35; 14.34; 15.54; 16.14; 16.54; 17.00; 18.24; 18.58; 19.70; 19.90; 20.30; 20.42; 21.84; 22.02; 23.34; 23.84; 24.04; 24.08; 24.48; 24.76; 25.48; 26.18; 28.14; 28.20; 28.64; 29.64; 31.04; 31.84; 33.00; 33.20; 34.06; 34.30; 34.50; 35.18; 37.48; 37.90; 及び 39.48に有するX線粉末回折パターンを有することができる。
医薬組成物
ここで提供する方法は、ここで提供する化合物のいずれかを含む医薬組成物の製造及び使用を包含する。更に、当該の医薬組成物自体も含まれる。
いくつかの実施態様では、ここで提供する化合物は米国特許第7,737,112号に解説された通りに調合することができる。
更に、ペプチドプロテアソーム阻害剤(例えば、式(1)−(5)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩、溶媒和化合物、水和物、共結晶、もしくは多形)の医薬組成物を調製するためのシクロデキストリン錯体形成法もここで提供される。本方法は、ペプチドプロテアソーム阻害剤、一種以上のシクロデキストリン、及び水を有する第一の組合せを提供するステップであって、前記第一の組合せが不均質であり、前記第一の組合せ中の前記ペプチドプロテアソーム阻害剤又は塩が低い水溶性を有する、ステップ、を含む。本方法は、更に、前記第一の組合せのpHを変化させて第二の組合せを形成するステップであって、前記第二の組合せ中のペプチドプロテアソーム阻害剤の可溶性が、前記第一の組合せ中の前記ペプチドプロテアソーム阻害剤の可溶性よりも大きい、ステップ、を含む。例えば、本方法は、前記第一の組合せを酸に接触させて前記第二の組合せを形成するステップを含むことができる。前記第二の組合せもまた不均質でもよく、それでも尚、錯体形成プロセスが開始及び進行できるように、可溶性が充分に上昇するのを促進することができる。これにより、阻害剤の大半が、部分的な錯体形成を通じて不均質な混合液のままで錯体形成すること、あるいは、均質な溶液を形成する完全な錯体形成をすることが可能になる。不均質に錯体形成した混合液の場合、所望の程度の可溶化及び錯体形成がいったん達成されたら、過剰な溶液を濾して、均質な溶液を生じさせることができる。
用語「錯体形成」とは、ここで用いられる場合、溶液中、そして一種以上のペプチドプロテアソーム阻害剤と一種以上のシクロデキストリン分子との間での、分子間包接錯体又は分子間会合の形成を言う。包接及び会合により、錯体形成作用物質(即ち、一種以上のシクロデキストリン分子)なしで、同様なpH範囲の水相分解に比較して、水溶液中で達成可能な阻害剤濃度を実質的に上昇させる機序としての実用性がもたらされる。いくつかの実施態様では、シクロデキストリン(例えば低塩化物SBECDなど、低塩化物:シクロデキストリン源由来などのSBECDなど):阻害剤(例えばカルフィルゾミブ)比は1:1である。他の実施態様では、二種以上のシクロデキストラン(例えばそれぞれSBECD、低塩化物:シクロデキストリン及び低塩化物SBECDから独立に選択される)を特定の阻害剤(例えば2、3、4、5、又は6種;例えば2又は3種)シクロデキストラン(例えばそれぞれSBECD、低塩化物:シクロデキストリン及び低塩化物SBECDから独立に選択される)に錯体形成させ、特定の阻害剤(例えばカルフィルゾミブ)に錯体形成させることができる。いくつかの実施態様では、当該のシクロデキストリン(例えば低塩化物SBECDなど、低塩化物:シクロデキストリン源由来などのSBECDなど):阻害剤(例えばカルフィルゾミブ)比は1−5:1(例えば1−4:1;1−3:1;1−2:1、2−5:1、2−4:1、2−3:1)である。錯体形成比は、例えばここで解説する方法などを用いて判定することができる。
錯体形成した、又は会合した状態は、阻害剤の溶解後の濃度が、HPLCなどの適した従来の分析方法で測定可能であることで明白であり、該濃度は、シクロデキストリンなしで阻害剤を水に溶解させて達成できる濃度を実質的に超える。阻害剤及びシクロデキストリンの錯体形成又は会合溶液は、注射体積及び送達用量が便利な医薬化合物を調合するために有用であるシクロデキストリンが存在しない水溶液中での濃度を超えるように調製することができる。更に、阻害剤の錯体形成又は会合溶液は、シクロデキストリンのない阻害剤溶液で典型的な期間よりも長期間、当該阻害剤が(固体粒子の沈殿又は結晶化のない)均質な溶液のままでいるという物理的安定性(又は転移可能性として記載される)を呈する。このように長期間、透明な溶液のままでいられるために、結晶の核形成、及びそれに続く過飽和の枯渇は、医薬調合物として使用するすべての実用条件で起きない。ここで記載する指針アプローチは、シクロデキストラン:阻害剤比をモデリングし、判定するために用いることができる。
数多くの低分子有機化合物薬物がpH依存的可溶性を有する。ある薬物の投与に適したpH範囲が(寛容可能なpH範囲が、静脈内投与の場合には3乃至10.5と一般的に考えられている注射による場合など)、その薬物の充分な可溶性が水溶液中で見られるpHと同じではないことがしばしばある(例えばpH2以下など)。(例えば注射による)投与にとって許容可能かつ寛容可能なpH範囲で、薬学的に有用な薬物濃度レベルを溶液中で可能にするには、ここで請求項に記載した通り、当該薬物のシクロデキストリンとの錯体形成又は会合が実用的な方法である。それにより、投与にとって寛容可能なpH範囲内で達成できる、溶液中濃度を上昇させることができる。濃度におけるこのような上昇は、例えばシクロデキストリンなしでの当初の1ミリリットル当り 1− 100 マイクログラムから、シクロデキストリンありで1ミリリットル当り最高 500 − 10,000 マイクログラムまでに至るであろう。こうして錯体形成又は会合は、さもなければ水溶性の乏しい化合物の可溶性を充分にし、薬学的に有用な化合物として開発可能にする技術である。当業者であれば、所望の濃度及び物理的安定性状態を達成するのに必要なシクロデキストリン量は様々であることを理解されよう。従って、シクロデキストリン量を、公知の方法を用いて個々の組合せについて判定してもよい。
塩基性の薬物分子の場合、可溶性はpHが低くなると通常、向上する。これはまた、シクロデキストリンなどの錯体形成又は会合剤なしで用いられた場合には、場合によっては安定性及び保存寿命に対して課題を投げかける。例えば、充分な可溶性は、溶液のpHを酸で低下させることによって達成されようが、このようなpHの低減は、酸性状態からの分解反応につながりかねない。pHを低減させたことによる、可溶性のいくらか中程度の上昇を示す、カルフィルゾミブについての固有の水溶性データに関する表1を参照されたい。
例えばアミドのより小型の不活性なペプチドフラグメントへの加水分解、又は、官能性エポキシド部分の加水分解による開環など、数多くの酸媒介性分解反応経路が、低分子薬物及び生物学的分子には存在する。酸媒介性分解の生成物は薬理活性に欠けることがあり、微量であっても毒性又は遺伝毒性化合物であることがある。著しい分解が防がれるpH条件での錯体形成又は会合化合物はシクロデキストリンの実用性を更に拡大して、pH依存的安定性特徴を有する化合物の臨床上及び商業的開発を促す。
低pHで起きる酸媒介性分解副反応を避けるという必要性と、pHを下げることで錯体形成速度を上げるという必要性という、競合する必要性のバランスを取るために、独自のpH条件が見出された。
驚くべきことに、クエン酸など(pH2.5乃至3.0)の特定の濃度の酸の添加により達成された水溶液のpHが、有意なレベルの分解副反応を開始させることなく、錯体形成を開始させるためのpH低減には充分であることが見出された。この状態で、阻害剤はpH条件によって部分的には可溶化していたが、全体的に可溶化している訳ではなかった。その結果、阻害剤の不均質な混合物(例えばスラリ)が部分的にシクロデキストリン及びクエン酸の水溶液中に溶解した形で存在し、そして部分的には阻害剤の固体粒子(結晶)として存在していた。時間の経過と共に(典型的には数時間から1日)、溶解分の阻害剤は、シクロデキストリンと錯体形成するか、又は会合するであろう。このプロセスにより、阻害剤のうちでより多量の固体粒子が溶解でき、その後錯体形成することができるようになると考えられる。時間の経過と共に、当初は固相だった阻害剤から、溶解した相の阻害剤へ、シクロデキストリン−阻害剤という、溶解して錯体形成した状態へと物質移動が起き得る。より普通では、シクロデキストリン錯体形成は、錯体形成させようとする化合物の均質な溶液の形成を通じて達成される。カルフィルゾミブの場合、均質な溶液の形成には、潜在的な遺伝毒性のある不純物を形成する強酸塩化水素によるものなど、分解反応が起きるであろう、大変低いpHが必要となるであろう。この場合、弱いカルボン酸であるクエン酸を用いて、2.5−3.0という温和なpH条件で不均質な状態で錯体形成プロセスを行うことが実際的かつ有用であった。錯体形成後の阻害剤の標的濃度が達成されたら、阻害剤のうちで溶解していない固体粒子をろ過して除くことで、スラリ錯体形成プロセスを終了させた。その後、こうしてできた均質な溶液のpHを、静脈内投与に適したpH範囲に必要に応じて調節してもよいであろう(例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH3.5に)。更に、均質な、pH調節済み錯体形成溶液を水で希釈して、次の製品製造ステップに望ましいちょうどの濃度にして、医薬製品のラベル強度が確実に精確になるようにしてもよいであろう。
シクロデキストリン濃度とpHの、錯体形成に対する組合せの効果は、いずれかの技術を単独で用いた場合よりも可溶化能力が大きくなることである。可溶化の程度は温度から比較的に独立であるため、無菌の製品製造により好ましい低温条件を維持し、温度で加速する分解反応を抑えるためにも、製造上好都合である。
第二の組合せはペプチドプロテアソーム阻害剤及びシクロデキストリンの錯体を含む。このような錯体はペプチドプロテアソーム阻害剤単独よりも向上した水溶性を有する。例えば、式(5)(カルフィルゾミブ)の化合物の均質な溶液は、医学的に有用なpH(例えば約3.5)で、そして一種以上のシクロデキストリンと、ここで提供する当該化合物及び一種以上のシクロデキストリン間の錯体形成プロセスなしで得られるであろう濃度よりも高い濃度(例えば約5mg/ml)で、得ることができる。
溶液中でのペプチドプロテアソーム阻害剤の可溶性を高めることに加え、ここで提供する方法で調製された調合物は、驚くべき安定性を有する医薬溶液となる。ここで提供する処理方法で達成される高濃度のプロテアソーム阻害剤は、熱力学的に安定であるとは予測されないかも知れないが、当該溶液は、保管温度(例えば当該溶液は-20 °C 乃至 25 °Cで安定であろう)、凍結解凍サイクル、及び凍結乾燥及び再構成によって影響を受けないことが示されている。錯体形成したペプチドプロテアソーム阻害剤及びシクロデキストリンの安定性は、沈殿を起こさずに、錯体形成後のpHの調節に耐えるために充分である。この溶液安定性により、注射に許容できるpH範囲での錯体形成材料の使用、製品の安定性、及び他の医薬目的が可能となる。従って、ここで提供する方法で調製された医薬組成物は、例えば、医薬用途に向けては、いずれの数の医薬用途におけるそれらの使用中に沈殿しないか、又は、著しい程度濃度を低下させない、過飽和溶液であるとみなすことができる(例えば、最終的な医薬組成物は、少なくとも1乃至5日間の範囲、そしておそらくはより長期間、安定であろう)。
第一の組合せは、固形型のペプチドプロテアソーム阻害剤を、一種以上のシクロデキストリンの水溶液に添加することで調製することができる。いくつかの実施態様では、ペプチドプロテアソーム阻害剤が式(5)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩である場合、溶液中の一種以上のシクロデキストリンの濃度は、約1% 未満から、例えば約40%など、当該シクロデキストリンの可溶性限界まで、可能な限り高い濃度である。いくつかの実施態様では、製造目的のために、溶液中の一種以上のシクロデキストリンの濃度は、約15%乃至約30%である。いくつかの実施態様では、最終薬物製品を治療投与用の溶液として再構成することを目的として、あるいは、投与前の更なる希釈の準備用として、溶液中の一種以上のシクロデキストリンの濃度は、約5%乃至約15%であり、例えばほぼ10%、である。注射又は他の薬物送達経路にとって適当だと思われれば、更なる希釈をすれば、この濃度は更に低下させてもよいであろう。溶液中の一種以上のシクロデキストリンの、式(5)の化合物に対するモル比は、約0.5 乃至約100である。いくつかの実施態様では、この比はシクロデキストリンがモル過剰になるように存在することで、錯体形成安定性平衡は、非錯体形成状態ではなく錯体形成状態に有利になるようにシフトする。例えば、該モル比(シクロデキストリンモルを、プロテアソーム阻害剤モルで除算したもの)は約10乃至約20である。いくつかの実施態様では、シクロデキストリン対プロテアソーム阻害剤の重量/重量比は約30乃至約60である。シクロデキストリン溶液の過剰な発泡は、強健な製造プロセスにとっては厄介な問題に成り得る。驚くべきことに、ペプチドプロテアソーム阻害剤をシクロデキストリンの水溶液に添加すると、当該の第一の組合せ中の溶液の発泡を制御することができる。
いくつかの実施態様では、第一の組合せは基本的にペプチドプロテアソーム阻害剤、シクロデキストリン、及び水から成る。
シクロデキストリン及び水の溶液に添加される固体型のペプチドプロテアソーム阻害剤は、ここで解説される通りの結晶型の化合物であってもよい(例えば化合物は、ここで解説する通りの多形状又は特定の多形であってよい)。いくつかの実施態様では、前記固体型のペプチドプロテアソーム阻害剤は非晶質である。
前記第一の組合せは不均質(例えば懸濁液又はスラリ)である。このような溶液は、当該溶液の総固体重量パーセント及び粒子サイズ分布によって特徴づけることができる。例えば、当該ペプチドプロテアソーム阻害剤が式(5)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩である場合、前記第一の組合せは、約1%乃至約45%(例えば約1% 乃至約 40%;約1% 乃至約 35%;約1% 乃至約 30% ;約 1% 乃至約 25%乃至;約1% 乃至約 20%;約 1% 乃至約 15%; 約 1% 乃至約 10%; 約 5% 乃至約 45%; 約 10% 乃至約 45%; 約 12% 乃至約 45%; 約 15% 乃至約 45%; 約 20% 乃至約 45%; 約 25% 乃至約 45%; 約 30% 乃至約 45%; 約 35% 乃至約 45%; 約 5% 乃重量パーセント至約 35%; 約 10% 乃至約 40%; 約 15% 乃至約 37%;及び約 18% 乃至約 36%)重量パーセントの総固体を有することができる。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せは約 20% 乃至約 33%重量パーセントの固体を有することができる。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せは、約 30% 乃至約 33 %重量パーセントの固体を有することができる。製造の過程において、溶解した固体、対、溶解していない部分との比率が、可溶性及び錯体形成の程度に応じてばらつくであろう。当所は、前記一種以上のシクロデキストリンは大変水溶性が高く、そして当該阻害剤は、節約型に可溶性であるため、大半が不均質な混合物又はスラリのままである。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せは、約1マイクロメートル未満乃至約 300 マイクロメートル以上(例えば約 1μm乃至約200μm; 約 1μm 乃至約 150μm; 約 1μm 乃至約 125μm; 約 1μm 乃至約 100μm; 約 1μm 乃至約 50μm; 約 1μm 乃至約10μm; 約 5μm 乃至約 300μm; 約 25μm乃至約300μm; 約50μm 乃至約300μm; 約 60μm 乃至約 300μm; 約 75μm 乃至約 300μm; 約 100μm 乃至約 300μm; 約 125μm 乃至約 300μm; 約150μm 乃至約300μm; 約 200μm乃至約 300μm; 約225μm乃至約300μm; 約 250μm 乃至約 300μm; 約 5μm 乃至約 150μm; 約 25μm 乃至約 200μm; 約 50μm 乃至約 125μm; 約 10μm 乃至約 100μm; 約 75μm 乃至約 225μm;及び約 100μm 乃至約 200μm)の範囲の直径の粒子が主である粒子サイズ分布を有する。主粒子は離散した粒子として存在しても、又は、一種又は数多くの主粒子から成る凝集体として存在してもよい。主粒子の凝集体は、主粒子よりも実質的に大きいサイズを有するであろう。よって、一般的な懸架式インペラー・混合器に加え、高せん断力混合器(しばしばローター・ステーター混合器として構成される)などの高エネルギー混合器を取り入れると便利である。高エネルギー・混合器は、約 5 分間 乃至約 90 分間 (例えば 約 5 分間 乃至約 80 分間; 約 5 分間 乃至約 75 分間; 約 5 分間 乃至約 60 分間; 約 5 分間 乃至約 45 分間; 約 5 分間 乃至約 30 分間; 約 10 分間 乃至約 90 分間; 約 15 分間 乃至約 90 分間; 約 30 分間 乃至約 90 分間; 約 45 分間 乃至約 90 分間; 約 50 分間 乃至約 90 分間; 約 75 分間 乃至約 90 分間; 約 15 分間 乃至約 75 分間; 約 20 分間 乃至約 70 分間; 約 30 分間 乃至約 70 分間; 約 45 分間 乃至約 75 分間; 及び約 10 分間 乃至約 45 分間)、例えば約60分間の時間にわたって大型の凝集体を破壊して、シクロデキストリン溶液中に主粒子を分散させるであろう。更なる混合は、主粒子を破壊して、より小さい主粒子断片にすることにより促すことができる。このプロセス・デザインにより、混合システムが、プロテアソーム阻害剤固体のサイズ分布や凝集程度とは独立に約1マイクロメートル未満から、例えば最高で約 10 マイクロメートルなど、最高で約 30 マイクロメートルの範囲のサイズ分布の、基本的に分散した主粒子を達成する強健な方法が促進される。従って、本混合システムが凝集体及び主粒子を好ましい粒子サイズ分布範囲に基本的に減らすために、当該プロテアソーム阻害剤の粒子サイズ分布のバッチ間のばらつきはプロセス性能にとって大きな意味を持たない。例えば、前記第一の組合せは、当初の約1マイクロメートル未満乃至最高で約 10,000 マイクロメートルというサイズ分布から、高エネルギー混合ステップの適用後の約1マイクロメートル未満乃至最高で約 30 マイクロメートルというサイズ分布を有することができる。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せは実質的に有機溶媒を含まない。例えば、前記第一の組合せ中の水は、注射用水(WFI)であってよい。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せは、緩衝剤を実質的に含まない(例えば前記第一の組合せは酸性緩衝剤又は塩基性緩衝剤に欠ける)。
本方法は更に、高せん断力混合器及び通常のインペラーを用いるなどにより、前記第一の組合せのpHを変える前に、前記第一の組合せを混合するステップを含むことができる。一般的な混合器は、例えば混合器タンクの底から粒子を浮かせて懸濁したままに維持するために充分ないずれかの回転速度などで、作動させることができる。混合速度は、他の因子の中でもとりわけ、タンク及びインペラーの幾何学の関数であり、混合中のスラリ又は溶液の視覚的外観を通じて、当業者であれば充分に判定される。同様に、高せん断力混合器の速度は、例えば、混合素子の直径、ステータの幾何学、ギャップの幅、及び他の因子に依存する。スラリに印加されるエネルギーは、理論計算又は経験的測定を通じて判断することができる。代替的には、必要な高せん断力混合速度及び高速運転の時間は、多様な混合速度及び時間の組合せ後のスラリ試料を顕微鏡観察することで、当業者であれば判断することができる。ディスアグロメレーション(原語:disagglomeration)及び主粒子が減少したら、当該プロセスを損なうことなく、過剰な高せん断力混合速度及び時間を印加してもよい。例えば、いくつかの実施態様では、混合ステップに、前記第一の組合せを約500 rpm 乃至約 10,000 rpmの速度で撹拌するステップを含めることができる。例えば、高せん断力混合は、約2,000 rpm 乃至約 3,500 rpmの速度で行うことができる。より小さな及び大きな混合器及びタンクの直径については、関連する速度を大きく変えることができる。
前記第一の組合せの混合は、約0°C 乃至約 30 °C(例えば約5°C 乃至約 25 °C;約 10 °C 乃至約 30 °C; 約15 °C 乃至約 25 °C; 約5 °C 乃至約 20 °C; 約 2 °C 乃至約 22 °C; そして約 20 °C 乃至約 30 °C)の温度で行うことができる。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せの混合は、前記第一の組合せ中で約1マイクロメートル未満 乃至約 30 マイクロメートルという範囲の粒子サイズ分布を達成するために充分な時間、行われる。前記第一の組合せの混合は、例えば60分間など、約30 分間 乃至約 90 分間の時間、行われる。
前記第一の組合せのpHを変更するステップに、酸又は塩基の添加により、前記第一のpHを上昇させる又は低下させるステップを含むことができる。いくつかの実施態様では、当該のペプチドプロテアソーム阻害剤が式(5)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩である場合、前記第一の組合せのpHは約4 乃至約 7である。いくつかの実施態様では、無機又は有機酸などの酸を添加してpHを変える。酸の非限定的な例には、乳酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、尿酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、酒石酸、塩酸グリシン、重硫酸塩(例えばナトリウム、カリウム、又はアンモニア塩として存在する)、及びリン酸又はリン酸の塩がある。いくつかの実施態様では、前記酸は有機酸である。いくつかの実施態様では、前記酸はクエン酸である。適した酸は一種以上のpKa値を有することができ、第一のpKa は約 -6 乃至約 +5である。例えば、前記酸は約 +1 乃至約 +4.5の範囲の第一pKaを有する。 いくつかの実施態様では、前記酸は 約+1.5 乃至約 +3.5の範囲の第一pKaを有する。例えば引用をもってその全文をここに援用することとする Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, Eds. P. Heinrich Stahl and Camille G. Wermuth, Verlag Helvetica Chimica Acta (Switzerland) 2002, 336-341を参照されたい。
いくつかの実施態様では、可溶性及び錯体形成が実際にpHの上昇により高められる化合物では、pHは、例えば無機もしくは有機塩基などの、塩基の添加により変更される。無機塩基の非限定的な例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及びナトリウム、カリウム又はアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩がある。有機塩基の非限定的な例には、ピリジン、メチルアミン、トリエチルアミン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ヒスチジン、及びホスファゼン塩基がある。有機塩基は約 -6 乃至約 +10のpKb又は第一pKbを有することができる。酸又は塩基のそれぞれ関連するpKa 又は pKb は当該阻害剤の可溶性の何らかの上昇を達成するために充分な範囲内にある必要がある。いくつかの実施態様では、酸又は塩基を水溶液(例えば酸の水溶液)の形で添加する。
前記第一の組合せのpHを変えると、当該ペプチドプロテアソーム阻害剤が前記第一の組合せ中でよりもより可溶性である第二の組合せが形成される。例えば、ペプチドプロテアソーム阻害剤は、前記第一の組合せ中での当該阻害剤の可溶性に比較して、前記第二の組合せ中では少なくとも約 10%、より可溶性(例えば少なくとも約 100%、少なくとも約 150%、少なくとも約 200%、少なくとも約 250%、少なくとも約 400%、少なくとも約500%、少なくとも約 1000%、少なくとも約 1250%、 少なくとも約 1500%、少なくとも約 2000%、 少なくとも約 2500%、少なくとも約 3000%、少なくとも約 4000%、少なくとも約 5000%、 少なくとも約 5500%、少なくとも約 6000%、少なくとも約 7500%、少なくとも約 8000%、 少なくとも約 9000%、及び少なくとも約 10,000% 、より可溶性)である。
理論に縛られる訳ではないが、前記第一の組合せのpHを変えると、前記一種以上のシクロデキストリン及びペプチドプロテアソーム阻害剤の錯体形成が開始する。錯体形成が増加すると溶液の平衡が変化して、更なる錯体形成が惹起され、最終的には当該ペプチドプロテアソーム阻害剤の可溶化が起きる。添加剤の添加後、前記第二の組合せを、充分に可溶化して錯体形成した阻害剤の不均質な混合液か、又は、全ての阻害剤が錯体形成して未溶解の固体が残っていない均質な第三の組合せのいずれかを達成するために充分な時間、混合することができる。例えば、前記第三の組合せ中のプロテアソーム阻害剤の濃度は、約1 乃至約 18 mg/mLであってよく、例えば約 2 乃至約 8 mg/mL、約 4 乃至約 6 mg/mL、又は約 5 乃至約 6 mg/mLであってよい。いくつかの実施態様では、前記第三の組合せのpHは約 1.5 乃至約 4であり、例えば約 2 乃至約 3.5 又は約 2.5 乃至約 3.5である。阻害剤の全体量を必ずしも溶解及び錯体形成させてスラリにすることなく、充分な錯体形成が達成できる場合を考えると、標的濃度が達成されたら、錯体形成プロセスを終了することが有用かも知れない。これらの場合、阻害剤の所望の濃度の均質な溶液を、阻害剤の過剰な固体含有物をろ過することで、達成することができる。これにより、錯体形成及び可溶化の力学的平衡が熱力学的には不安定な状態を意味したとしても、錯体形成後の阻害剤及びシクロデキストリンは機能的には安定な溶液のままとなる。
前記第三の組合せ中のペプチドプロテアソーム阻害剤の錯体形成は、少なくとも約 50% (例えば少なくとも約 55%、少なくとも約 60%、少なくとも約 65%、少なくとも約 70%、少なくとも約 75%、少なくとも約 80%、少なくとも約 85%、少なくとも約 90%、少なくとも約 92%、少なくとも約 94%、少なくとも約 95%、少なくとも約 96%、少なくとも約 97%、少なくとも約 98%、少なくとも約 99%)である。いくつかの実施態様では、前記第三の組合せ中のペプチドプロテアソーム阻害剤の錯体形成は少なくとも約 99%である。おそらくは、シクロデキストリン濃度、阻害剤濃度、pH、及び錯体形成時間の何らかの組合せでは、混合液が均質となる、阻害剤の100%の錯体溶液を調製することができる。
いくつかの実施態様では、上述した方法は単一の容器内で行われる。例えば、本方法における、錯体形成スラリを混合するステップは、温度を制御されたジャケットで覆われた混合タンク内のプローブ型高せん断力混合器(例えばホモジナイザー)を用いて行うことができる。
ここでは、式(5)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩型の医薬組成物を調製する方法であって、式(5)の化合物と、一種以上のシクロデキストリンと、水との第一の組合せを提供するステップを含み、前記第一の組合せが不均質であり、そして前記化合物又は塩型が前記第一の組合せ中で低い可溶性を有する、方法を提供する。いくつかの実施態様では、前記一種以上のシクロデキストリンのうちの少なくとも一つはSBECDであり、そして水はWFIである。本方法は更に、前記第一の組合せを酸に接触させて第二の組合せを形成するステップであって、前記化合物は、前記第一の組合せ中よりも前記第二の組合せ中で可溶性がより高い、ステップを含む。いくつかの実施態様では、前記酸はクエン酸である(例えばクエン酸の水溶液)。
本方法の非限定的な例は、水(例えばWFI)、SBECD、及び式(5)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩を含む第一の組合せを容器内に提供するステップを含む。 いくつかの実施態様では、前記水及びSBECDを前記化合物の添加前に混合する。前記第一の組合せは、不均質な溶液が達成されるまで(例えば約 30 乃至約 90 分間、約 40 乃至約 80 分間、そして約 50 乃至約 70 分間)、混合することができる。いくつかの実施態様では、前記第一の組合せを、約 60 分間、混合する。当該化合物が前記第一の組合せ中で凝集したら、いずれかの凝集した化合物の粒子サイズを減少させることができる。不均質な混合液(例えばスラリ)が達成されたら、酸(例えばクエン酸などの有機酸)を前記第一の組合せに添加して、第二の組合せを調製する。いくつかの実施態様では、前記酸を水溶液として添加する。その後、均質な第三の組合せが調製されるまで、あるいは、所望の程度の錯体形成及び可溶性を持つ不均質な混合液が達成される、より短い時間、混合を続けることができる。いくつかの実施態様では、前記第二の組合せの混合は、約 1 乃至約 48 時間の範囲の時間、例えば最高で18時間、行われる。いくつかの実施態様では、前記の第二の組合せの混合は、約 12 時間、行われる。例えば、混合を約6時間、行うことができる。いくつかの実施態様では、第三の組合せ中の化合物の濃度は約 1 乃至約 15 mg/mL (例えば約 3 乃至約 12 mg/mL、約 4 乃至約 8 mg/mL、約 5 mg/mL)の範囲内である。いくつかの実施態様では、本方法を、注射用の化合物の溶液を調製するために用いる。他の実施態様では、本方法を、保管、輸送、そして患者への注射に向けて準備ができたときに水又は他の賦形剤で再構成することのできる無菌の完成医薬品として、凍結乾燥用の溶液を調製するために用いる。
ここで解説する手法を用いて無菌の製品として得られる医薬組成物は、調製に無菌ステップが含まれず、かつ使用前に汚染が起きない限り、典型的には、一次包装単位(例えばガラス製バイアル)への充填前に、無菌技術及び滅菌ろ過を適用して製造される。
無菌ろ過後などに水性の緩衝液又は水溶液中に溶解させたペプチドプロテアソーム阻害剤組成物は、任意に(無混入物及び混入防止溶液内で)凍結乾燥させ、使用直前に適した水性の希釈剤で再構成することができる。特定の実施態様では、ここで提供する通りの凍結乾燥させた医薬組成物は、60 mgのカルフィルゾミブ、3000 mg のスルホブチルエーテル、ベータ-シクロデキストリン、57.7 mg のクエン酸、及びpH調節(目標はpH3.5)用の水酸化ナトリウムを含む、KYPROLISなどのカルフィルゾミブを含む。いくつかの実施態様では、特定の実施態様では、希釈剤は注射用の無菌水(WFI)である。いくつかの実施態様では、希釈剤は無菌の緩衝液(例えばクエン酸塩緩衝剤)である。いくつかの実施態様では、希釈剤はクエン酸を含む。特定の実施態様では、再構成は、(例えば2mg/mLのカルフィルゾミブ濃度を達成するなどのために)以下のプロトコルに従って行うことができる:
1. 使用直前に冷蔵庫からバイアルを取り出す。
2. 発泡を抑えるために、注射用の29mLの無菌水、USP、を、バイアルの内側に溶液を向けながらゆっくりと注射することで各バイアルを無菌再構成する。
3. 約1分間、又はいずれかのケーキ又は粉末が完全に溶解するまで、バイアルをゆっくりと優しく渦流及び/又は反転させる。発泡生成を避けるために振盪してはならない。発泡したら、発泡が落ち着くまで、約2乃至5分間、溶液をバイアル中に静置する。
4. 再構成後、KYPROLISは静脈内投与の準備ができている。再構成済みの製品は透明で無色の溶液のはずである。何らかの変色又は微粒子物質が観察されたら、当該再構成済みの製品を用いてはならない。
5. 静脈用バッグで投与する場合、計算された用量をバイアルから引き抜き、50 mL 5% デキストロース注射液 USP静脈用バッグに希釈する。
6. 未使用の部分を含有するバイアルをすぐに廃棄する。
ここで提供する組成物においては、pH制御の一つのソースは緩衝剤である。典型的には、緩衝剤は酸又は塩基とし、及びその結合塩基又は酸としてそれぞれ存在する。ある実施態様では、緩衝塩の範囲は1-100 mMである。例えば緩衝塩の範囲は 5-50 mM (例えば 約 10 mM (固体調合中では、緩衝剤の量は再構成/希釈後にこの濃度を生じるように選択される))であってよい。緩衝剤の濃度及び溶液のpHは可溶性及び安定性の最適なバランスが生じるように選択することができる。
適した緩衝剤の例には、弱酸の混合物や、酒石酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウムなどの弱酸の結合塩基のアルカリ金属塩(例えばナトリウム、カリウム)がある。いくつかの実施態様では、緩衝剤はクエン酸ナトリウム/クエン酸である。
水溶性の乏しい薬物の、シクロデキストリン錯体形成による可溶化は広範に研究されてきた。シクロデキストリンは、α-1,4結合によって接合された6、7、又は8グルコース単位(α-CD、β-CD、及びγ-CD) から成る環状のオリゴ糖である。α-CD、β-CD、及びγ-CDの内径はそれぞれほぼ5Å、6Å、及び8Åである。内側の空洞はCH2 及びエーテル基のために比較的疎水性であるが、一次及び二次ヒドロキシル基から成る外側はより極性である。空洞内の水はより非極性の分子によって置換される傾向がある。シクロデキストリンが、その非極性の空洞内に部分的に嵌め合う分子と非共有結合包接錯体を形成する能力は、薬物可溶化につながる。
薬学的に興味のある二つの水溶性β-CD誘導体は、両者とも安全かつ寛容性が良好であることが示されているスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン(SBECD) 及びヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリン (HPCD)である。SBECD(商品名Captisol(登録商標))及び HPCD (商品名Kleptose(登録商標))の両者は市販の静脈内製品に用いられている。
ここで提供されるシクロデキストリンには、アルファ-、ベータ-及びガンマ-シクロデキストリンが含まれる。ある実施態様では、前記一種以上のシクロデキストリンは、例えば5-35% (w/v)存在する、置換もしくは非置換β-シクロデキストリンである。いくつかの実施態様では、シクロデキストリンの量は 約 25% (w/v)である。ある特定の実施態様では、注射用に適した調合物中のシクロデキストリン量は約 10% (w/v)である。別の実施態様では、前記一種以上のシクロデキストリンは置換β-シクロデキストリンである。置換シクロデキストリンは、シクロデキストリンの可溶性を上昇させ、非置換シクロデキストリンに伴う毒性効果を緩和する。置換β-シクロデキストリンの例には、例えば単糖(例えばグルコシル、マルトシル)、カルボキシアルキル(例えばカルボキシルメチル、カルボキシエチル)、ヒドロキシアルキル置換(例えば ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル)及びスルホアルキルエーテル置換ベータ-シクロデキストリンなど一種以上の親水性の基で置換されたものがある。特に適したベータ-シクロデキストリンには、ヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリン (HPBCD) 及びスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン (SBECD)がある。いくつかの実施態様では、当該のシクロデキストリンはSBECDである。しかしながら、アルキルなどの疎水性基による置換を含め、シクロデキストリンへのいずれかの置換により、典型的には、固体のシクロデキストリンの結晶格子内の水素結合ネットワークが破壊されることでその固体の格子エネルギーが低下してその水溶性が向上することが理解されている。置換の程度は重要だとは考えられていない;しかしながら、いくつかの実施態様では、置換の程度は少なくとも 1% であり、典型的には例えば 3% 乃至 6%など2%乃至10%である。
いくつかの実施態様では、一種以上のシクロデキストリンを用いてもよい。例えば、二種以上のシクロデキストリンの混合物を用いて、ここで提供するペプチドプロテアソーム阻害剤を錯体形成することができる。いくつかの実施態様では、カプチゾール及びクレプトースを用いて、カルフィルゾミブなどのペプチドプロテアソーム阻害剤を錯体形成できよう。
本発明者は、ここで提供する方法及び医薬組成物中の塩化物イオン(又は他の求核性陰イオン)の量を抑えると有利である可能性を発見した。
いくつかの実施態様では、(第一に組合せに添加される)前記一種以上のシクロデキストリンのうちの少なくとも一つは低塩化物シクロデキストリンである。ここで用いられる場合の「低塩化物シクロデキストリン」とは、0.05% w/w 以下の塩化ナトリウムを有する塩化物含有シクロデキストリンを言い、あるいは、塩化ナトリウム以外に(又は塩化ナトリウムに加えて)塩化物源が存在する場合には、「低塩化物シクロデキストリン」とは、0.05% w/w の塩化ナトリウムを有するシクロデキストリン中に存在するであろう塩化物量以下である塩化物イオン含有量を有する塩化物含有シクロデキストリンを言う。いくつかの実施態様では、低塩化物シクロデキストリンは低塩化物SBECDである。塩化物濃度の判定は、当業で公知の多様な方法によって判定することができる(例えば重量分析技術により、例えば電位差技術により、メーカーの製品明細書から市販のシクロデキストランに関するものなど)。
いくつかの実施態様では、(前記第一の組合せに添加される)前記一種以上のシクロデキストリンのうちの少なくとも一つは、検出可能な量の塩化物イオンを含まない。
いくつかの実施態様では、存在する塩化物イオン量は、2乃至8℃で保管された場合に2年の保存寿命を提供するように充分に低い。特定の実施態様では、塩化物イオンが存在し、存在する塩化物イオン量は、2乃至8℃で保管された場合に2年の保存寿命を提供するように充分に低い。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は2.0以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、2.0未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は1.5以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、1.5未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は1.2以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、1.2未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は1.0以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、1.0未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.9以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.9未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.8以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.8未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.7以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.7未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.6以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.6未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.5以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.5未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.4以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.4未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.3以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.3未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.2以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.2未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.1以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.1未満である)。
いくつかの実施態様では、前記第一の組合せ中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.2 乃至1.2 (例えば 0.3乃至 1.2、例えば 0.2 乃至0.4、例えば 0.3 乃至 0.4、例えば 0.32)である。
実施態様では、ここで解説する、塩化物イオン対化合物のモル比は前記第二及び/又は第三の組合せ中にもあってよい。
ある局面では、ここで記載する方法のいずれか一つにより調製され、2.0以下の塩化物対化合物のモル比を有する医薬組成物を特徴とする。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、2.0未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は1.5以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、1.5未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は1.2以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、1.2未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は1.0以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、1.0未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.9以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.9未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.8以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.8未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.7以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.7未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.6以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.6未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.5以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.5未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.4以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.4未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.3以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.3未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.2以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.2未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0.1以下である。特定の実施態様では、少なくとも何らかの塩化物イオンが存在する(即ち、前記医薬組成物中の塩化物イオン対化合物のモル比は0以外であるが、0.1未満である)。
いくつかの実施態様では、前記医薬組成物は検出可能な量の塩化物イオンを含まない。
ここで解説する方法において、ここで提供する組成物(例えばシクロデキストリン、第一の組合せ、第二の組合せ、第三の組合せ、及び医薬組成物の溶液)は、低濃度のいずれかの強力な求核性イオン(例えば塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、及びヨウ化物イオン)を有する。例えば、溶液は 、最高8.5×10-3 Mまでの求核性イオン濃度を有することができる。いくつかの実施態様では、低い求核性イオンを有する溶液は市販のものを購入することができ、あるいは、例えばナノろ過、限外濾過、ダイアフィルトレーション、イオン交換クロマトグラフィー、逆浸透法、及び電気分解を含め、当業で公知の技術を用いて調製してもよい。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物は、最高8.5×10-3 Mまでの求核性イオンを含む。 いくつかの実施態様では、該求核性イオンは、例えばナトリウム塩などの塩として存在するが、求核性の塩は、ナトリウム以外の他の陽イオン(例えば水素、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム陽イオン)と一緒に溶液中に存在し得るかも知れない。いくつかの実施態様では、ここで提供する通りの医薬組成物は、最高で8.5×10-3 Mの求核性イオンを含む。例えば医薬組成物は8.5×10-3 M未満の求核性イオンを含む。
ここで解説する方法において、ここで提供する組成物(例えばシクロデキストリン、第一の組合せ、第二の組合せ、第三の組合せ、及び医薬組成物の溶液)は、低い濃度の塩化物イオンを有する。例えば溶液は最高 0.03% (w/v) までの(例えば0 乃至 0.03%;0.01 乃至 0.03%;0.015 乃至 0.03%;0.02 乃至 0.03%;0.025 乃至 0.03%;0 乃至 0.025%;0 乃至 0.2%;0 乃至 0.01%;0.005% 乃至 0.025%;及び0.015%乃至 0.025%)塩化物イオン濃度を有することができる。いくつかの実施態様では、低塩化物イオンを有する溶液は、市販のものを購入することができ、あるいは、 例えばナノろ過、限外濾過、ダイアフィルトレーション、イオン交換クロマトグラフィー、逆浸透、及び電気分解を含め、当業で公知の技術を用いて調製してもよい。
いくつかの実施態様では、ここで提供する通りの医薬組成物は、最高0.03% (w/v)までの塩化物イオンを含む。いくつかの実施態様では、塩化物イオンは、例えば塩化ナトリウムなどの塩として存在するが、塩化物の塩は、ナトリウム以外の他の陽イオン(例えば水素、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム陽イオン)と一緒に溶液中に存在し得るかも知れない。いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物は、最高0.03% (w/v) の塩化物イオンを含む。例えば、医薬組成物は 0.03% (w/v) 未満の塩化物イオンを含む。
ここで解説する方法において、ここで提供する組成物(例えばシクロデキストリン、第一の組合せ、第二の組合せ、第三の組合せ、及び医薬組成物の溶液)は低濃度の塩化ナトリウムを有する。例えば、溶液は最高0.05% (w/v) (例えば0乃至 0.05%;0.01 乃至 0.05%;0.015 乃至 0.05%;0.02 乃至 0.05%;0.025 乃至 0.05%;0.03 乃至 0.05%;0.04 乃至 0.05%;0 乃至 0.045%;0 乃至 0.04%;0 乃至 0.035%;0 乃至 0.03%;0 乃至 0.025%;0 乃至 0.2%;0 乃至 0.01%;0.01% 乃至 0.04%; 0.025% 乃至 0.045%;及び0.02% 乃至 0.03%)を含む塩化ナトリウム濃度を有することができる。いくつかの実施態様では、低塩化ナトリウム濃度を有する溶液は市販のものを購入することができ、あるいは、例えばナノろ過、限外濾過、ダイアフィルトレーション、イオン交換クロマトグラフィー、逆浸透法、及び電気分解を含め、当業で公知の技術を用いて調製してもよい。
いくつかの実施態様では、ここで提供するある医薬組成物は、最高0.05% (w/v) までの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施態様では、ここで提供するある医薬組成物は、最高 0.05% (w/v) までの塩化ナトリウムを含む。例えば、ある医薬組成物は0.05% (w/v) 未満の塩化ナトリウムを含む。
いくつかの実施態様では、低濃度の、いずれかの強い求核性イオン(例えば塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、及びヨウ化物イオン)を有するシクロデキストリン溶液を用いて、ここで提供するペプチドプロテアソーム阻害剤(例えば式(1)乃至(5)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩)を調合する。例えば、ペプチドプロテアソーム阻害剤調合するために用いられるシクロデキストリン溶液は、最高8.5×10-3 Mまでの求核性イオン濃度を有することができる。このような溶液は、市販のものを購入することができ、あるいは、当業で公知の技術を用いて調製してもよい。例えばナノろ過、限外濾過、ダイアフィルトレーション、イオン交換クロマトグラフィー、逆浸透法、及び電気分解である。
いくつかの実施態様では、ペプチドプロテアソーム阻害剤を調合するために用いられる一種以上のシクロデキストリンの溶液は、最高8.5×10-3 Mまでの求核性イオンを含む。いくつかの実施態様では、前記求核性イオンは、例えばナトリウム塩などの塩として存在するが、当該の求核性の塩は、ナトリウム以外の陽イオン(例えば水素、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム陽イオン)として溶液中に存在してもよいであろう。いくつかの実施態様では、ここで提供する通りの医薬組成物は、最高8.5×10-3 Mの求核性イオンを含む。例えば、ある医薬組成物は、8.5×10-3 M 未満の求核性イオンを含む。
いくつかの実施態様では、低濃度の塩化物イオンを有するシクロデキストリン溶液を用いて、ここで提供するペプチドプロテアソーム阻害剤(例えば式(1)乃至(5)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩)を調合する。例えば、ペプチドプロテアソーム阻害剤 を調合するために用いられるシクロデキストリン溶液は、最高 0.03% (w/v)(例えば 0 乃至 0.03%; 0.01 乃至 0.03%; 0.015 乃至 0.03%; 0.02 乃至 0.03%; 0.025 乃至 0.03%; 0 乃至 0.025%; 0 乃至 0.2%; 0 乃至 0.01%; 0.005% 乃至 0.025%; 及び 0.015% 乃至 0.025%)までの塩化物イオン濃度を有することができる。このような溶液は、市販のものを購入することができ、あるいは、当業で公知の通りの技術を用いて調製してもよい。例えばナノろ過、限外濾過、ダイアフィルトレーション、イオン交換クロマトグラフィー、逆浸透法、及び電気分解である。
いくつかの実施態様では、ペプチドプロテアソーム阻害剤を調合するために用いられる一種以上のシクロデキストリンの溶液は、最高0.03% (w/v) までの塩化物イオンを含む。いくつかの実施態様では、該塩化物イオンは、例えば塩化ナトリウムなどの塩として存在するが、該塩化物塩は、ナトリウム以外の陽イオン(例えば水素、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム陽イオン)として溶液中に存在してもよいであろう。いくつかの実施態様では、ここで提供する通りの医薬組成物は、最高 0.03% (w/v) の塩化物イオンを含む。例えば、ある医薬組成物は0.03% (w/v) 未満の塩化物イオンを含む。
いくつかの実施態様では、低濃度の塩化ナトリウムを有するシクロデキストリン溶液を用いて、ここで提供するペプチドプロテアソーム阻害剤(例えば式(1)乃至(5)の化合物又は薬学的に許容可能なその塩)を調合する。例えば、ペプチドプロテアソーム阻害剤を調合するために用いられるシクロデキストリン溶液は、最高 0.05% (w/v) (例えば 0 乃至 0.05%;0.01 乃至 0.05%;0.015 乃至 0.05%;0.02 乃至 0.05%;0.025 乃至 0.05%;0.03 乃至 0.05%;0.04 乃至 0.05%;0 乃至 0.045%;0 乃至 0.04%;0 乃至 0.035%;0 乃至 0.03%;0 乃至 0.025%;0 乃至 0.2%;0 乃至 0.01%;0.01% 乃至 0.04%;0.025% 乃至 0.045%;及び0.02% 乃至 0.03%)までの塩化ナトリウム濃度を有することができる。このような溶液は、市販のものを購入することができ、あるいは、当業で公知の通りの脱塩技術を用いて調製してもよい。例えばナノろ過、限外濾過、ダイアフィルトレーション、イオン交換クロマトグラフィー、逆浸透法、及び電気分解である。
いくつかの実施態様では、ペプチドプロテアソーム阻害剤を調合するために用いられる一種以上のシクロデキストリン溶液は、最高0.05% (w/v) までの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施態様では、ここで提供する通りの医薬組成物は最高 0.03% (w/v) の塩化ナトリウムを含む。例えば、ある医薬組成物は、0.03% (w/v) 未満の塩化ナトリウムを含む。
安定で、高度に濃縮されたペプチドプロテアソーム阻害剤溶液の作製に加え、ここで提供された方法で調製された調合物は、他の錯体形成及び調合法の化学的分解及び安定性の限界なしで達成することができる。例えば、ここで提供する方法は、錯体形成中、pHを下げるための強酸(例えばHCl)の使用を避ける。2未満の数値まで、調合物のpHを減らすと、錯体形成前にペプチドプロテアソーム阻害剤の溶解を促し、均質な溶液を生成することができるが、溶液の酸性度は、ペプチドプロテアソーム阻害剤の分解を引き起こしかねない。更に、当該のペプチドプロテアソーム阻害剤はケトエポキシド官能基を含有し、該阻害剤は、塩化物イオンなどの強い求核性イオンによる加水分解を受け易い。エポキシド環の加水分解と、エポキシド部分の酸触媒求核性開環は化合物分解の経路である。例えば式(5)の化合物が分解すると、クロロヒドリン分解生成物 (CDP) 不純物が形成される。この分解生成物は、その構造に基づき、アルキル化剤として分類されるため、世界的な規制機関はこれを潜在的な遺伝毒性不純物とみなしている。加えて、いくつかの実施態様では、塩化物イオンは更にエポキシドを分解してクロロヒドリン付加物を形成させることができる。実施例2に示すように、式(5)の化合物の調合物中で塩化物イオンレベルを減少させるとこのような加水分解経路を抑えるか、又は消失させることができ、こうして製品の安定性及び品質を高めることができる。しかしながら、ここに提供する方法を用いると、このような強酸及び求核性イオンが避けられ、従ってペプチドプロテアソーム阻害剤がこのような分解生成物に分解されてしまうことが著しく減少し、そして場合によっては無くなる場合まであるだろう。
注射に適した医薬組成物には、無菌の水溶液(水溶性の場合)又は分散液や、無菌の注射可能な溶液又は分散液の即時調製用の無菌粉末を含めることができる。静脈内投与の場合、適した担体には、注射用の無菌水、クエン酸塩緩衝液などの無菌緩衝剤、静菌水、及びクレモフォア EL(登録商標) (ニュージャージー州パーシパニー、BASF社)がある。全ての場合において、当該組成物は無菌でなければならず、注射筒への投入が容易な程度に流動性でなければならない。当該組成物は製造及び保管条件下で安定でなくてはならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されていなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)及びこれらの適した混合物などを含有する溶媒又は分散媒であってよい。適正な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングを用いたり、分散液の場合には必要な粒子サイズを維持したり、界面活性剤を用いるなどにより、維持することができる。微生物の活動の防止は、例えばパラベン、クロロブタノール、アスコルビン酸、チメロサール等の多様な抗菌剤及び抗カビ剤により、達成することができる。多くの場合、糖類、マンニトール、ソルビトール、などの多価アルコール及び塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含めることが好ましいであろう。注射可能な組成物の吸収を長引かせるには、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなど、吸収を遅らせる物質を組成物中に含めることにより行うことができる。
無菌の注射可能な溶液は、必要量の活性化合物を適した溶媒に、必要に応じて、上に列挙した一種又は組合せの成分を取り入れ、ろ過滅菌することにより、調製することができる。一般的には、分散液は、無菌の注射可能な溶液の調製用の無菌粉末の場合、好適な調製法は、活性成分と、予め滅菌ろ過されたその溶液から出た付加的な所望の成分と粉末が生じる凍結乾燥(凍結乾燥)である。無菌の注射可能な溶液の調製用の無菌粉末の場合、好適な調製法は、活性成分と、予め滅菌ろ過されたその溶液から出た付加的な所望の成分との粉末が生じる凍結乾燥(凍結乾燥)である。
経口用組成物は一般的に、不活性の希釈剤又は食用の担体を含む。経口治療投与の目的のために、活性化合物を医薬品添加物と一緒に取り入れることができ、錠剤、トローチ、又はゼラチンカプセルなどのカプセルの形で用いることができる。経口組成物は更に、口内洗浄剤として用いるための流動性の担体を用いて調製することもできる。薬学的に適合性ある結合剤、及び/又はアジュバント材料を組成の一部として含めることもできる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等は以下の成分、又は同様な性質の化合物のいずれかを含有することができる:微結晶セルロース、トラガカントゴム、又はゼラチンなどの結合剤;でんぷん又は乳糖などの医薬品添加物、アルギン酸、プリモゲル、又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はステロートなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの推進剤;ショ糖又はサッカリンなどの甘味料;又は、ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香料などの香料。
吸入による投与の場合、本化合物を、二酸化炭素などの気体などの適した推進剤を含有する加圧容器又はディスペンサー、あるいはネブライザーから、エーロゾル・スプレーの形で送達することができる。このような方法には、米国特許第6,468,798号に記載されたものがある。
ここで記載した通りの治療用化合物の全身投与は経粘膜又は経皮的手段によることもできる。経粘膜又は経皮投与の場合、透過させようとする障壁に適した浸透剤を調合物中に用いる。このような浸透剤は当業で一般に公知であり、その中には、例えば経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体がある。経粘膜投与は、鼻腔用スプレー又は座薬の使用を通じて達成することができる。経皮投与の場合、活性化合物を当業で一般に公知の通りに、軟膏、軟膏剤、ゲル、又はクリーム中に調合する。
更に医薬組成物は、座薬(例えばココアバター又は他のグリセリドなどの従来の座薬用基剤で)又は直腸送達用の滞留浣腸剤の形で調製することもできる。
加えて、鼻腔内送達が、なかでも Hamajima et al., Clin. Immunol. Immunopathol., 88(2), 205-10 (1998)に解説されている通りに可能である。リポソーム(例えば米国特許第No. 6,472,375号に解説されている通り)及びマイクロ封入法も用いることができる。生分解性で標的決定の可能なマイクロ粒子送達系も用いることができる(例えば米国特許第 6,471,996号に解説されている通り)。
ある実施態様では、インプラント及びマイクロ封入送達系を含め、制御放出調合物など、身体からの急速な消失から治療用化合物を保護するであろう担体と一緒に、治療用化合物を調製する。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性で生体適合性のあるポリマーを用いることができる。このような調合物は、標準的な技術を用いて調製することができ、あるいは、例えばAlza Corporation 及びNova Pharmaceuticals社などから市販のものを得ることができる。リポソーム懸濁液(所定の細胞をモノクローナル抗体で細胞抗原に向けて標的決定するリポソームを含め)も、薬学的に許容可能な担体として用いることができる。これらは例えば米国特許第4,522,811号に解説されている通り、当業で公知の方法に従って調製することができる。
医薬組成物は一回で投与しても、あるいは、間隔を置いて投与できるように、より少量の複数回分に分けてもよい。精確な投薬量及び処置期間は処置しようとする疾患の関数であり、公知の検査プロトコルを用いて経験的に判断しても、あるいは、in vivo又はin vitro検査データから外挿してもよいと理解される。濃度及び投薬値はまた、緩和しようとする状態の重篤度によっても様々であろうことは留意されねばならない。更に、いずれか特定の患者向けに、具体的な投薬経過は個々のニーズや、当該組成物を投与しようとする、又は投与を監視する人物の職業的判断に従って経時的に調節されねばならず、また、ここで挙げる濃度範囲は単に例示的なものであり、本請求項記載の組成物の範囲又は実際を制限することを意図していないことは、理解されねばならない。
ここで記載する通りの化合物を0.005% 乃至 100%の範囲含有し、その残りを非毒性の担体から成る剤形又は組成物を調製してもよい。これらの組成物の調製法は当業者に公知である。考えられる組成物は、0.001%-100% 、ある実施態様では 0.1-95%、別の実施態様では 75-85%の活性成分を含有するであろう。
本医薬組成物は容器、パック、又はディスペンサーに、投与に関する指示と一緒に含めることができる。
使用法
プロテアソーム阻害の生物学的結果は多数であろう。プロテアソーム阻害は、限定はしないが、増殖性疾患、神経毒性/変性疾患、アルツハイマー病、虚血状態、炎症、自己免疫疾患、HIV、癌、臓器移植拒絶、敗血性ショック、抗原提示の阻害、ウィルス遺伝子発現の減少、寄生生物感染、アシドーシスに関連する状態、黄斑部変性、肺状態、筋肉疲労性疾患、線維性疾患、骨及び毛髪の成長の疾患を含め、多数の疾患の防止及び/又は処置として示唆されてきた。従って、エポキシケトン・クラスの分子など、大変強力な、プロテアソーム特異的化合物のための医薬調合物は患者に薬物を投与し、これらの状態を処置する手段となる。
細胞レベルでは、ポリユビキチン化タンパク質の蓄積、細胞の形態変化、及びアポトーシスが、多様なプロテアソーム阻害剤で細胞を処置したときに報告されてきた。プロテアソーム阻害はまた、可能性のある抗腫瘍治療戦略としても示唆されてきた。エポキソミシンが抗腫瘍化合物のスクリーニングで最初に同定されたという事実は、抗腫瘍化学療法ターゲットしてプロテアソームを実証している。従って、これらの組成物は癌を処置するために有用である。
in vitro 及びin vivoモデルの両者で、悪性細胞は一般にプロテアソーム阻害の影響を受けやすいことが示されている。実際、プロテアソーム阻害は、多発性骨髄腫の処置の治療的戦略として既にバリデートされている。これは、部分的には、増殖性の高い悪性細胞が、タンパク質を急速に除去するためにはプロテアソーム系に依存していることが原因かもしれない (Rolfe et al., J. Mol. Med. (1997) 75:5-17; Adams, Nature (2004) 4: 349-360)。従って、ここで提供する通りのペプチドプロテアソーム阻害剤を治療上有効量、このような処置を必要とする患者に投与するステップを含む、癌を処置する方法をここで提供する。
ここで用いられる場合の用語「癌」には、限定はしないが、血液で生じた充実性腫瘍が含まれる。癌とは、限定はしないが、膀胱、血液、骨、脳、乳房、子宮頸部、胸部、結腸、子宮内膜、食道、眼、頭部、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、口、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、腎臓、皮膚、胃、精巣、喉、及び子宮の癌を含む、血液、骨、臓器、皮膚組織及び血管系の疾患を言う。具体的な癌には、限定はしないが、白血病(急性リンパ性白血病 (ALL)、急性リエロジェナス(原語:lyelogenous )白血病 (AML)、慢性リンパ性白血病 (CLL)、慢性骨髄性白血病 (CML)、ヘアリー細胞白血病)、成熟B細胞新生物(小リンパ性リンパ腫、B細胞前リンパ性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫(例えばウォルデンストローム大グロブリン血症)、脾臓辺縁体リンパ腫、形質細胞骨髄腫、形質細胞腫、モノクローナル免疫グロブリン沈着病、重鎖病、結節外辺縁体B細胞リンパ腫 (MALT リンパ腫、結節辺縁体B細胞リンパ腫(NMZL)、濾胞性リンパ腫、外套細胞リンパ腫、びまん性B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺) 大B細胞リンパ腫、血管内大B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫及びバーキットリンパ腫/白血病)、成熟T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞新生物(T細胞前リンパ性白血病、T細胞大顆粒性リンパ球性白血病、進行性NK細胞白血病、成人性T細胞白血病/リンパ腫、結節外NK/T 細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、芽細胞性NK 細胞リンパ腫、菌状息肉症(セザリー症候群)、原発性皮膚性異形成性大細胞リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫、不特定の末梢T細胞リンパ腫及び異形成性大細胞リンパ腫)、ホジキンリンパ腫(結節性硬化症、混合細胞充実性、リンパ球豊富性、リンパ球枯渇性もしくは非枯渇性、結節性リンパ球優勢性)、骨髄腫(多発性骨髄腫、無痛性骨髄腫、くすぶり型骨髄腫)、慢性骨髄増殖性疾患、脊髄形成異常性/骨髄増殖性疾患、脊髄形成異常性症候群、免疫不全関連リンパ増殖性障害、組織球及び樹状細胞新生物、肥満細胞症、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、悪性大細胞腫瘍、骨髄腫骨疾患、骨肉腫、乳癌(ホルモン依存性、ホルモン非依存性)、婦人科の癌(子宮頸管、子宮内膜、輸卵管、妊娠栄養性疾患、卵巣、腹腔、子宮、膣及び外陰)、基底細胞癌(BCC)、扁平細胞癌 (SCC)、悪性黒色腫、隆起性皮膚線維肉腫、メルケル細胞癌腫、カポジ肉腫、星状細胞腫、毛様細胞性星状細胞腫、胎児奇形性神経上皮腫瘍、乏突起膠腫、上衣細胞腫、多形性グリア芽細胞腫、混合型神経膠腫、乏星状細胞腫、髄芽細胞腫、網膜芽細胞腫、神経芽細胞腫、胚細胞腫、奇形腫、悪性中皮腫(腹腔中皮腫、心膜中皮腫、胸膜中皮腫)、胃−腸−膵又は胃腸膵管経神経内分泌腫瘍 (GEP-NET)、カルチノイド、膵臓内分泌腫瘍 (PET)、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌、進行性神経内分泌腫瘍、平滑筋肉腫粘液性腺癌、印鑑細胞腺癌、肝細胞癌腫、胆管癌、肝芽腫、血管腫、肝腺腫、限局性結節性過形成症(結節性再生過形成、過誤腫)、非小細胞肺癌 (NSCLC) (扁平細胞肺癌腫、腺癌、大細胞肺癌腫)、小細胞肺癌腫、甲状腺癌腫、前立腺癌(ホルモン不応性、アンドロゲン非依存性、アンドロゲン依存性、ホルモン非感受性)、及び軟組織肉腫(線維肉腫、悪性線維性組織球腫、皮膚線維肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、血管肉腫、滑膜肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍/神経線維肉腫、骨格外骨芽細胞性肉腫)がある。
いくつかの実施態様では、ここで提供する通りのペプチドプロテアソーム阻害剤又は同阻害剤を含む医薬組成物は、患者の多発性骨髄腫を処置するために投与することができる。例えば、多発性骨髄腫には、治療抵抗性及び/又は難治性多発性骨髄腫を含めることができる。
造血系及びリンパ系組織の数多くの腫瘍は、細胞増殖、又は特定の細胞種の増加で特徴付けられる。慢性骨髄増殖性疾患 (CMPD) は、骨髄系譜の一つ以上の骨髄中の増殖を特徴とするクローン性造血系幹細胞の障害であり、末梢血中の顆粒球、赤血球及び/又は血小板の数の増加に至る。従って、このような疾患の処置のためのプロテアソーム阻害剤の使用は魅力的であり、調査中である (Cilloni et al., Haematologica (2007) 92: 1124-1229)。CMPD には、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病、真正赤血球増加症、慢性特発性骨髄線維症、本態性血小板減少症、及び未分類の慢性骨髄増殖性疾患を含めることができる。ここでは、ここで開示するプロテアソーム阻害剤化合物を有効量、このような処置を必要とする患者に投与するステップを含む、CMPDを処置する方法を提供する。
慢性骨髄単球性白血病、非定型慢性骨髄白血病、若年性骨髄単球性白血病及び未分類の骨髄異形成性/骨髄増殖性疾患などの骨髄異形成性/骨髄増殖性疾患は、骨髄系譜の一つ以上での増殖を原因とする、骨髄の過剰な細胞充実性を特徴とする。ここで解説する組成物によるプロテアソームの阻害は、このような処置を要する患者に有効量の当該組成物を提供することにより、これらの骨髄異形成性/骨髄増殖性疾患を処置するために役立てることができる。
骨髄異形成症候群(MDS)とは、主要骨髄細胞系の一つ以上における異形成及び非効率的な造血を特徴とする一群の造血系幹細胞障害を言う。これらの造血系の悪性疾患においてNF-kBをプロテアソーム阻害剤で標的とするとアポトーシスが誘導されることで、悪性細胞を致死させる (Braun et al. Cell Death and Differentiation (2006) 13:748-758)。更にここでは、ここで提供する化合物を有効量、このような処置を必要とする患者に投与するステップを含む、MDSを処置する方法を提供する。MDSには、難治性貧血、筒状担鉄芽球を伴う難治性貧血、多系譜異形成を伴う難治性血球減少症、過剰な芽細胞を伴う難治性貧血、未分類の骨髄異形成症候群、及び、孤立性del(5q)染色体異常を伴う骨髄異形成症候群がある。
肥満細胞症は、一つ以上の臓器系における肥満細胞の増殖と、それらのその後の蓄積である。肥満細胞症には、限定はしないが、皮膚肥満細胞症、無痛性全身性肥満細胞症 (ISM)、クローン性血液学的非肥満細胞系譜疾患を伴う全身性肥満細胞症 (SM-AHNMD)、進行性全身性肥満細胞症 (ASM)、肥満細胞白血病 (MCL)、肥満細胞肉腫 (MCS) 及び皮膚外肥満細胞腫ある。更にここでは、ここで開示する化合物を有効量、肥満細胞症と診断された患者に投与するステップを含む、肥満細胞症を処置する方法を提供する。
プロテアソームはNF-κBを調節するが、ひいては免疫及び炎症応答に関与する遺伝子を調節する。例えばNF-κBは免疫グロブリン軽鎖κ遺伝子、IL-2 受容体α-鎖遺伝子、クラスI主要組織適合性複合体遺伝子、及び、例えば IL-2、IL-6、顆粒球コロニー刺激因子、及びIFN-βをコードする数多くのサイトカイン遺伝子の発現に必要である(Palombella et al., Cell (1994) 78:773-785)。このように、ここでは、IL-2、MHC-I、IL-6、TNFα、IFN-β又は他の前に言及したタンパク質のいずれかの発現レベルに影響を与える方法を提供するが、この場合、各方法は、ここに開示したプロテアソーム阻害剤組成物を有効量、患者に投与するステップを含む。
更にここでは、ここに解説する化合物を治療上有効量、投与するステップを含む、患者の自己免疫疾患を処置する方法も提供する。ここで言う「自己免疫疾患」とは、ある個体自身の組織から生じ、また同組織に対抗する疾患又は障害である。自己免疫疾患及び障害の例には、限定はしないが、乾癬及び皮膚炎(例えばアトピー性皮膚炎)を含む炎症性皮膚疾患などの炎症性応答;全身性強皮症及び硬化症;炎症性腸疾患を伴う応答(例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎);呼吸不全症候群(成人呼吸不全症候群を含む;ARDS);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;結腸炎;腎炎;湿疹及び喘息などのアレルギー状態並びT細胞浸潤を含む他の状態並びに慢性炎症性応答;アテローム性硬化症;白血球接着不全;リウマチ様関節炎;全身性ループス (SLE);糖尿病(例えばI型糖尿病又はインシュリン依存性糖尿病);多発性硬化症;レイノー症候群;自己免疫甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェーグレン症候群;若年発症性糖尿病;並びに; 結核、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽腫症及び血管炎に典型的に見られるサイトカイン及びTリンパ球が媒介する急性及び遅発性過敏症を伴う免疫応答;悪性貧血(アジソン病);白血球漏出を含む疾患;中枢神経系 (CNS) 炎症性障害;多臓器損傷症候群;溶血性貧血(限定はしないが寒冷グロブリン血症又はクームス陽性貧血を含む);重症筋無力症;抗原−抗体複合体媒介性疾患;抗糸球体基底膜疾患;抗ホスホリピド症候群;アレルギー性神経炎;グレーブズ病;ランバート−イートン筋無力症候群;水疱性類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫多腺性内分泌障害;ライター病;スティフマン症候群;ベーチェット病;巨細胞性動脈炎;免疫複合体腎炎;IgAニューロパチー;IgM 多発性神経炎;紫斑性免疫性血小板減少症 (ITP)又は自己免疫性血小板減少症がある。
ウィルス感染した自己由来細胞を感知した免疫系は腫瘍原性形質転換を起こすか、又は、異質のペプチドをそれらの表面に提示する。細胞内タンパク質分解により、Tリンパ球が提示する小型のペプチドが生成されて、MHCクラスI媒介性免疫応答が誘導される。このように、ここでは、ここで提供する化合物に細胞を暴露する(又は患者に投与する)ステップを含む、該細胞中の抗原提示を阻害する又は変化させる免疫調節性作用物質として、ここで提供するプロテアソーム阻害剤を用いる方法を提供する。具体的な実施態様には、ここで解説する化合物を治療上有効量、投与するステップを含む、患者における移植片対宿主疾患又は宿主体移植片疾患などの移植片又は移植体関連疾患を処置する方法が含まれる。ここで用いられる場合の用語「移植片」とは、レシピエントへの移植に向けてドナーから得られた生物学的物質を言う。移植片には、例えば島細胞などの分離細胞;新生児の羊膜などの組織、骨髄、造血幹細胞、及び角膜組織などの眼の組織;並びに皮膚、心臓、肝臓、脾臓、膵臓、甲状腺葉な、腎臓、管状臓器(例えば腸管、血管、又は食道)などの臓器などの多様な物質が含まれる。管状の臓器は、食道、血管、又は胆管の損傷部分を置換するために用いることができる。皮膚移植片は、火傷だけでなく、損傷した腸管を覆ったり、又は、横隔膜ヘルニアなどの特定の欠陥を閉鎖したりするためにも用いることができる。移植片は、死体又は生きたドナーに関係なく、ヒトを含むいずれかの哺乳動物源から得られる。場合によっては、ドナー及びレシピエントは同じ患者である。いくつかの実施態様では、移植片は骨髄又は心臓などの臓器であり、移植片のドナー及びホストは HLA クラスII抗原が適合している。
組織球及び樹状細胞新生物は、抗原のプロセッシング及びリンパ球への提示において主要な役割を果たす貪食細胞及び補助細胞を由来とする。樹状細胞においてプロテアソーム含有量を枯渇させると、それらの抗原誘導性応答が変化することが示されている (Chapatte et al. Cancer Res. (2006) 66:5461-5468)。いくつかの実施態様では、ここで提供する組成物を、組織球又は樹状細胞新生物のある患者に投与することができる。組織球及び樹状細胞新生物には、組織球肉腫、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、ランゲルハンス細胞肉腫、指状突起樹状細胞肉腫/腫瘍、濾胞性樹状細胞肉腫/腫瘍及び未特定の樹状細胞肉腫がある。
プロテアソームの阻害は、ある細胞種が増殖する疾患や免疫障害を処置するために有益であることが示されており、従っていくつかの実施態様では、開示された化合物を有効量、これを必要とする患者に投与するステップを含む、一次免疫障害(PID)を伴うリンパ増殖性疾患(LPD)の処置が提供される。B細胞及びT細胞新生物及びリンパ腫を含め、リンパ増殖性障害の発症増加に関連する免疫不全の最もよくある臨床上の状況は、一次免疫不全症候群や、他の一次免疫障害、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)感染、実質臓器又は骨髄同種移植を受けた患者における医原性免疫抑制、及び、メトトレキセート処置に関連する医原性免疫抑制である。限定はしないが、LPDに通常関連する他のPIDは、毛細血管拡張性運動失調症(AT)、ウィスコット−アルドリッチ症候群(WAS)、分類不能型免疫不全 (CVID)、重症複合型免疫不全 (SCID)、X連鎖リンパ増殖性障害 (XLP)、ナイミヘン染色体不安定症候群 (NBS)、高-IgM 症候群、及び自己免疫リンパ増殖性症候群 (ALPS)である。
更にプロテアソーム阻害は、NF-κB活性化の阻害やp53 レベルの安定化とも関連付けられている。このように、ここで提供する組成物を用いて、細胞培養物でNF-κB活性化を阻害したり、p53 レベルを安定化したりしてもよい。NF-κBは炎症の鍵となる調節物質であるため、抗炎症性治療的介入にとってそれは魅力的なターゲットである。このように、ここで提供する組成物は、限定はしないが、COPD、乾癬、喘息、気管支炎、肺気腫、及び嚢胞性線維症を含む炎症に関連する状態の処置にとって有用であろう。
開示された本組成物を用いて、筋肉疲労など、プロテアソームのタンパク質分解機能によって直接媒介される、あるいは、NF-κBなど、プロテアソームによってプロセッシングされるタンパク質を通じて間接的に媒介される、状態を処置することができる。プロテアソームは、細胞調節(例えば細胞周期、遺伝子転写、及び代謝経路)、細胞間コミュニケーション、及び免疫応答(例えば抗原提示)に関与するタンパク質(例えば酵素)の急速な消失及び翻訳後プロセッシングに参与する。以下で論じる具体的な例には、β-アミロイドタンパク質及び調節性タンパク質、例えばサイクリン及び転写因子 NF-κB、がある。
いくつかの実施態様では、ここで提供する組成物は、限定はしないが、卒中、神経系への虚血性損傷、神経外傷(例えば振盪性脳損傷、脊髄損傷、及び神経系の外傷)、多発性硬化症及び他の免疫媒介性神経障害(例えばギラン-バレー症候群及びその変型、急性運動軸索ニューロパチー、急性炎症性脱髄性多発性神経炎、及びフィッシャー症候群)、HIV/AIDS 複合痴呆、アキソノミー、糖尿病性神経障害、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、細菌、寄生生物、真菌、及びウィルス性髄膜炎、脳炎、血管性痴呆、多発梗塞性痴呆、レヴィー小体痴呆、ピック病などの前頭葉痴呆、皮質下痴呆(例えばハンチントン又は進行性核下麻痺)、限局性皮質委縮症候群(例えば一次性失語症)、代謝毒性痴呆(例えば慢性甲状腺機能低下症又はB12 欠乏)、及び感染によって引き起こされる痴呆(例えば梅毒又は慢性髄膜炎)を含む神経変性疾患及び状態の処置に有用である。
アルツハイマー病は、老人斑及び脳血管のβ-アミロイドタンパク質(β-AP)の細胞外沈着を特徴とする。β-APは、アミロイドタンパク質前駆体(APP)を由来とする39乃至42アミノ酸のペプチド・フラグメントである。少なくとも3種のアイソフォームのAPPが知られている(695、751、及び770 アミノ酸)。mRNAの選択的スプライシングにより、このアイソフォームが生じる;正常なプロセッシングはβ-AP配列の一部分に影響することで β-APの生成を防ぐ。プロテアソームによる異常なタンパク質プロセッシングが、アルツハイマー脳のβ-APの豊富度に寄与していると考えられている。ラットのAPPプロセッシング酵素は、約10種の異なるサブユニット (22 kDa-32 kDa)を含有する。 25 kDaのサブユニットはX-Gln-Asn-Pro-Met-X-Thr-Gly-Thr-SerのN末端配列を有するが、これはヒトマクロペインのβ-サブユニットと同一である (Kojima, S. et al., Fed. Eur. Biochem. Soc., (1992) 304:57-60)。 APPプロセッシング酵素は Gln15--Lys16結合で切断する;カルシウムイオンの存在下では、この酵素は Met-1--Asp1結合でも切断し、この Asp1--Ala2 が結合してβ-APの細胞外ドメインを遊離させる。
従ってある実施態様は、ここで提供する組成物を有効量、患者に投与するステップを含む、アルツハイマー病を処置する方法である。このような処置には、β-APプロセッシング速度を下げる、β-AP斑形成速度を下げる、β-AP生成速度を下げる、及びアルツハイマー病の臨床上の兆候を減らすことが含まれる。
更にここでは、悪液質及び筋肉疲労疾患を処置する方法も提供する。プロテアソームは、成熟中の網状赤血球及び成長中の線維芽細胞で数多くのタンパク質を分解する。インシュリン及び血清を枯渇させた細胞では、タンパク質分解の速度はほぼ二倍である。プロテアソームを阻害するとタンパク質分解が低下するため、筋肉タンパク質の消失と、腎臓又は肝臓に対する窒素性負荷の両者が減少する。ここで提供する通りのペプチドプロテアソーム阻害剤は、癌、慢性感染性疾患、熱、筋肉廃用委縮(委縮)及び脱神経、神経損傷、飢餓、アシドーシスに伴う腎不全、及び肝不全などの状態を処置するために有用である。例えば、Goldbergの米国特許第 No. 5,340,736号を参照されたい。処置の方法には:細胞内の筋肉タンパク質分解の速度を低下させる;細胞内タンパク質分解の速度を低下させる;細胞内のp53タンパク質の分解の速度を低下させる;及びp53関連癌の成長を阻害する、ことが含まれる。これらの方法の各々には、細胞(例えば患者の筋肉など、in vivo 又は in vitro )を、有効量の、ここで開示する医薬組成物に接触させるステップを含む。
線維症は、線維芽細胞の過剰増殖性成長が原因で起きる瘢痕組織の過剰かつ永続的な成長であり、TGF-βシグナル伝達経路の活性化を伴う。線維症には、細胞外マトリックスの広範な沈着が関与しており、実質的にあらゆる組織に、又は、複数の異なる組織にまたがって起き得る。通常、TGF-β刺激時に標的遺伝子の転写を活性化する細胞内シグナル伝達タンパク質(Smad)のレベルは、プロテアソーム活性の調節を受ける。しかしながら、癌及び他の過剰増殖性状態で、TGF-βシグナル伝達成分の分解の加速が観察されている。従って、特定の実施態様では、糖尿病性網膜症、黄斑部変性、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、IgA腎症、肝硬変、胆管閉塞、うっ血性心不全、強皮症、放射線誘導性線維症、及び肺線維症(特発性肺線維症、コラーゲン性血管疾患、サルコイドーシス、間質性肺疾患及び外因性肺障害)などの過剰増殖性状態を処置する方法を提供する。火傷の被害者の処置はしばしば線維症によって妨げられるため、いくつかの実施態様では、ここで提供する阻害剤を、火傷を処置するために局所又は全身投与してもよい。手術後の創傷閉止もまた、醜い瘢痕を伴うことがしばしばあるが、このような瘢痕は線維症を阻害すれば妨げられよう。このように、特定の実施態様では、瘢痕の防止又は低減のための方法がここで提供される。
プロテアソームによってプロセッシングされる別のタンパク質は、Relタンパク質ファミリーの一員であるNF-κBである。Relファミリーの転写活性化タンパク質は二つのグループに分けることができる。一番目のグループにはタンパク質分解プロセッシングが必要であり、その中には p50 (NF-κB1、105 kDa) 及び p52 (NF-κ2、100 kDa)がある。二番目のグループにはタンパク質分解プロセッシングは必要ではなく、その中には p65 (RelA、Rel (c-Rel)、及びRelB)がある。ホモ-及びヘテロ-二量体の両者ともRel ファミリーのメンバーには見られる;例えばNF-κBはp50-p65 ヘテロ二量体である。IκB及びp105のリン酸化及びユビキチン化後、この二つのタンパク質はそれぞれ分解し、プロセッシングされて活性なNF-κBを生じ、このNF-κBが細胞質から核へと移動する。ユビキチン化したp105 はまた、精製されたプロテアソームによってもプロセッシングされる (Palombella et al., Cell (1994) 78:773-785)。活性な NF-κBは、他の転写活性化物質と、例えばHMG I(Y))と共に立体特異的なエンハンサー複合体を形成して、特定の遺伝子の選択的発現を誘導する。
NF-κBは、免疫及び炎症応答や有糸分裂事象に関与する遺伝子を調節する。例えば、NF-κBは、免疫グロブリン軽鎖κ遺伝子、IL-2受容体α-鎖遺伝子、クラスI主要組織適合性複合体遺伝子、及び、例えばIL-2、IL-6、顆粒球コロニー刺激因子、及びIFN-βをコードする数多くのサイトカイン遺伝子の発現に必要である(Palombella et al., Cell (1994) 78:773-785)。いくつかの実施態様には、IL-2、MHC-I、IL-6、TNFα、IFN-β、又は前に言及した他のタンパク質のいずれかの発現レベルに影響する方法が含まれ、同方法の各々は、ここに開示した組成物を有効量、患者に投与するステップを含む。p50を含む複合体は、急性炎症及び免疫応答の急速な媒介物質である (Thanos, D. and Maniatis, T., Cell (1995) 80:529-532)。
NF-κBはまた、E-セレクチン、P-セレクチン、ICAM、及びVCAM-1 をコードする細胞接着遺伝子の発現にも参与する(Collins, T., Lab. Invest. (1993) 68:499-508)。いくつかの実施態様では、細胞接着(例えばE-セレクチン、P-セレクチン、ICAM、又は VCAM-1により媒介される細胞接着)を阻害する方法が提供され、同方法は、細胞を有効量のここで開示する医薬組成物に接触させる(又は患者に投与する)ステップを含む。
虚血及び再潅流損傷の結果、身体の組織に到達する酸素が欠乏する状態である低酸素症が起きる。この状態は、Iκ-Bαの分解増加を引き起こすことで、NF-κBの活性化に至らせる。低酸素症に至る損傷重症度は、プロテアソーム阻害剤の投与で低下させることができることが実証されてきた。従って、ここでは、ここで開示する化合物を有効量、このような処置を必要とする患者に投与するステップを含む、虚血状態又は再潅流損傷を処置する方法を提供する。このような状態又は損傷の例には、限定はしないが、急性冠動脈症候群(脆弱性プラーク)、動脈閉塞性疾患(心臓、脳、末梢動脈及び血管閉塞)、アテローム性硬化症(冠動脈硬化症、冠動脈疾患)、梗塞、心不全、膵臓炎、心筋肥大症、狭窄、及び再狭窄がある。
NF-κBはまた、HIV-エンハンサー/プロモーターに特異的に結合する。mac239のNefに比較すると、pbj14 のHIV調節タンパク質は、タンパク質キナーゼ結合を制御する領域の二つのアミノ酸で異なる。タンパク質キナーゼはIκBのリン酸化をシグナル伝達することで、ユビキチン−プロテアソーム経路を通じてIκB分解を惹起すると考えられる。分解後、NF-κBは核内に放出されることで、HIVの転写を亢進する (Cohen, J., Science, (1995) 267:960)。ここでは、患者のHIV感染を阻害又は減らす方法と、ウィルス遺伝子の発現レベルを低下させる方法を提供し、このとき各々の方法は、ここで開示する組成物を有効量、患者に投与するステップを含む。
ウィルス感染は、数多くの疾患の病理に寄与する。進行性の心筋炎及び拡張型心筋症などの心臓の状態はコックサッキーウィルスB3に関連付けられている。感染マウス心の相対的全ゲノム・マイクロアレイ解析では、特定のプロテアソーム・サブユニットが、慢性心筋炎を発症したマウスの心臓で均一に上方調節していた (Szalay et al, Am J Pathol 168:1542-52, 2006)。数種のウィルスが、ウィルスがエンドソームからサイトゾルに放出されるウィルス進入ステップでユビキチン−プロテアソーム系を利用している。マウス肝炎ウィルス (MHV) はコロナウィルス・ファミリーに属するが、このコロナウィルス・ファミリーには、重症急性呼吸症候群 (SARS) コロナウィルスも含まれる。Yu and Lai (J Virol 79:644-648, 2005) は、MHVに感染した細胞をプロテアソーム阻害剤で処置したところウィルスの複製が減少したことを実証しており、未処置の細胞のそれに比較して、ウィルス力価の減少と相関づけた。ヒトB型肝炎ウィルス (HBV)はヘパドナウィルス・ウィルスファミリーの一員であり、増殖には同様に、ウィルスにコードされたエンベロープタンパク質を必要とする。プロテアソーム分解経路を阻害すると、分泌されるエンベロープタンパク質量が著しく減少する (Simsek et al, J Virol 79:12914-12920, 2005)。HBVに加え、他の肝炎ウィルス(A、C、D 及び E)もまた、分泌、形態発生及び病理にユビキチン−プロテアソーム分解経路を利用しているかも知れない。従っていくつかの実施態様では、細胞を有効量のここで開示する化合物に接触させる(又は患者に投与する)ステップを含む、SARS又は肝炎 A、B、C、D 及びEなどのウィルス感染を処置する方法を提供する。
TFNαなどのリポ多糖(LPS)誘導性サイトカインの産生過剰が敗血性ショックに関連するプロセスにとって中心的だと考えられている。更に、LPSによる細胞活性化の最初のステップは、LPSの特異的膜受容体への結合であることは広く受け容れられている。20Sプロテアソーム複合体のα-及びβ-サブユニットはLPS結合性タンパク質であると同定されていることから、LPS誘導性シグナル伝達経路は、敗血症の処置又は防止における重要な治療ターゲットである可能性が示唆された (Qureshi, N. et al., J. Immun. (2003) 171: 1515-1525)。従って、いくつかの実施態様では、ここで提供する通りの組成物を、敗血症ショックを防止及び/又は処置するために、TNF-αの阻害に用いてもよい。
細胞内タンパク質分解は、MHCクラスI媒介性免疫応答を誘導するためにTリンパ球が提示する小型のペプチドを生じる。この免疫系は、ウィルス感染した又は腫瘍原性形質転換を起こした自己由来細胞をふるいにかける。ある実施態様は、当該細胞を、ここで解説する組成物に暴露するステップを含む、細胞の抗原提示を阻害する方法である。更なる実施態様は、ここで開示する組成物を有効量、患者に投与するステップを含む、患者の免疫系を抑制する(例えば移植片拒絶、アレルギー、喘息を阻害するなど)方法である。ここで提供する組成物は更に、ループス、リウマチ様関節炎、多発性硬化症、並びに潰瘍性大腸炎及びクローン病などの炎症性腸疾患などの自己免疫疾患を処置するためにも用いることができる。
別の実施態様は、プロテアソーム、又は、多重触媒活性を持つ他のNtnが産生する抗原性ペプチドのレパートリーを変える方法である。例えば、20SプロテアソームのPGPH活性が選択的に阻害されると、酵素阻害がない場合、又は、例えばプロテアソームのキモトリプシン様活性の選択的阻害がある場合に産生及び提示されるのとは異なる組の抗原性ペプチドがプロテアソームによって産生され、細胞表面上のMHC分子に提示される。
いくつかのプロテアソーム阻害剤は、in vitro及びin vivoにおいてユビキチン化NF-κBの分解及びプロセッシングの両者を遮断する。プロテアソーム阻害剤はまた、IκB-α分解及びNF-κB活性化も遮断する (Palombella, et al. Cell (1994) 78:773-785; 及び Traenckner, et al., EMBO J. (1994) 13:5433-5441)。いくつかの実施態様では、ここで解説する組成物に細胞を接触させるステップを含む、IκB-α分解を阻害する方法を提供する。更なる実施態様は、細胞、筋肉、臓器、又は患者をここで解説する組成物に接触させるステップを含む、前記細胞、筋肉、臓器又は患者のNF-κBの細胞含有量を減少させる方法である。
タンパク質分解プロセッシングを必要とする他の真核生物転写因子には、一般的な転写因子 TFIIA、単純疱疹ウィルスVP16補助タンパク質(ホスト細胞因子)、ウィルス誘導性IFN調節性因子2 タンパク質、及び膜結合型ステロール調節因子結合タンパク質1がある。
更にここでは、細胞(in vitro又はin vivo)をここで開示する組成物に接触させるステップを含む、サイクリン依存性真核生物細胞周期に影響を与える方法を提供する。サイクリンは、細胞周期制御に関与するタンパク質である。プロテアソームはサイクリンの分解に参与する。サイクリンの例には有糸分裂サイクリン、G1 サイクリン、及びサイクリンBがある。サイクリンの分解により、細胞は一つの細胞周期段階(例えば有糸分裂)から脱出して別のもの(例えば分裂)に入ることができる。サイクリンはすべて、p34cdc2 タンパク質キナーゼ又は関連するキナーゼに関係していると考えられる。 タンパク質分解のターゲティング・シグナルはアミノ酸42-RAALGNISEN-50(破壊ボックス)に局在している。有糸分裂中、サイクリンが転化してユビキチン・リガーゼに弱くなるか、又は、サイクリン特異的リガーゼが活性化するという証拠がある (Ciechanover, A., Cell, (1994) 79:13-21)。プロテアソームの阻害はサイクリンの分解を阻害するため、細胞増殖を、例えばサイクリン関連癌などで阻害する (Kumatori et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1990) 87:7071-7075)。ここでは、ここで開示する組成物を有効量、患者に投与するステップを含む、患者の増殖性疾患(例えば癌、乾癬、又は再狭窄)を処置する方法を提供する。更にここでは、ここで解説する組成物を治療上有効量、患者に投与するステップを含む、患者のサイクリン関連性炎症を処置する方法も提供する。
更なる実施態様には、腫瘍タンパク質のプロテアソーム依存性調節に影響を与える方法や、癌成長を処置又は阻害する方法が含まれ、このとき各々の方法は、細胞(患者内などのin vivo又はin vitro)をここで開示する組成物に接触させるステップを含む。HPV-16 及びHPV-18-由来E6 タンパク質は ATP- 及びユビキチン依存性結合及びp53の分解を粗網状赤血球ライセート中で刺激する。劣性腫瘍遺伝子p53は、易熱性のE1が変異した細胞株において非許容温度で蓄積することが示されている。p53レベルの上昇はアポトーシスにつながりかねない。ユビキチン系により分解する腫瘍原遺伝子の例には、c-Mos、c-Fos、及びc-Junがある。ある実施態様は、有効量のここで開示する組成物を患者に投与するステップを含む、p53関連アポトーシスを処置する方法である。
別の実施態様では、開示された本組成物は、原虫寄生体より引き起こされる感染など、寄生生物感染の処置に有用である。これらの寄生生物のプロテアソームは、細胞分化及び複製活性に主に関与していると考えられる (Paugam et al., Trends Parasitol. 2003, 19(2): 55-59)。更に、エントアメーバ種が、プロテアソーム阻害剤に暴露された場合に被嚢能を失うことが示されている (Gonzales, et al., Arch. Med. Res. 1997, 28, Spec No: 139-140)。いくつかのこのような実施態様では、開示された本組成物は、パラスモジウム種(マラリアを起こすP.ファルシパルム、P.ヴィヴァックス、P.マラリア、及びP.オヴァールを含む)、トリプトソーマ種(シャーガス病を起こすT.クルージ、及びアフリカ睡眠病を濾すT.ブルセイを含む)、リーシュマニア種(L.アマゾネス、L.ドノヴァニ、L.インファトゥム、L.メキシカーナ等を含む)、ニューモシスティス・カリニー(AIDSや他の免疫抑制患者で肺炎を起こすことが知られている原虫)、トキソプラズマ-ゴンジー、エントアメーバ-ヒストリティカ、エントアメーバ-インヴァデンス、及びジアルジア-ランブリアから選択される原虫寄生体によって引き起こされるヒトの寄生生物感染処置にとって有用である。いくつかの実施態様では、開示された本組成物は、プラスモジウム-ヘルマニ、クリプトスポリジウム種、エキノコッカス-グラニュロサス、エイメリア-テネラ、サルコシスティス-ニューロナ、及びネウロスポラ-クラッサから選択される原虫寄生体によって引き起こされる、動物及び家畜の寄生生物感染の処置にとって有用である。寄生生物疾患の処置においてプロテアソーム阻害剤として有用な他の化合物は、引用をもってその全文をここに援用することとする WO 98/10779に解説されている。
いくつかの実施態様では、開示された本組成物は、寄生生物においてプロテアソーム活性を非可逆的に阻害する。このような非可逆的な阻害は、赤血球及び白血球での回復なしに、酵素活性のシャットダウンを誘導することが示されている。いくつかのこのような実施態様では、血球の長い半減期が、寄生生物への繰り返しの暴露についても長期の保護を提供すると考えられる。いくつかの実施態様では、血球の長い半減期は将来の感染に対する化学的予防についても長期の防御を影響すると考えらえる。
原核生物は、真核生物の20Sプロテアソーム粒子に等価なものを有する。しかしながら、原核生物の20S粒子のサブユニットの組成は、真核生物のそれよりも簡単であり、それは、同様な態様でペプチド結合を加水分解する能力を有する。例えば、ペプチド結合に対する求核性の攻撃は、β-サブユニットのN末端にあるスレオニン残基で起きる。いくつかの実施態様では、ここで開示するプロテアソーム阻害剤組成物を有効量、患者に投与するステップを含む、原核生物感染を処置する方法を提供する。原核生物感染には、マイコバクテリア(例えば結核、らい病又はブルーリ潰瘍)又は古代細菌によって引き起こされる疾患が含まれよう。
更に、20Sプロテアソームに結合する阻害剤は骨器官培養物において骨形成を刺激することも実証されている。更に、このような阻害剤をマウスに全身投与したところ、いくつかのプロテアソーム阻害剤は骨体積や骨形成速度を、70%を超えて増加させた(Garrett, I. R. et al., J. Clin. Invest. (2003) 111: 1771-1782)ため、ユビキチン-プロテアソーム機序は骨芽細胞分化及び骨形成を調節することが示唆された。従って、開示された本組成物は、骨粗鬆症など、骨消失を伴う疾患の処置及び/又は防止において有用であろう。
ここでは、ここで提供する通りのプロテアソーム阻害剤を投与するステップを含む、癌、自己免疫疾患、移植片もしくは移植体関連状態、神経変性疾患、線維関連状態、虚血関連状態、感染(ウィルス、寄生生物又は原核生物)及び骨消失に関連する疾患から選択される疾患又は状態を処置する方法を提供する。例えば式(5)の化合物である。
骨組織は骨細胞刺激能を有する因子の優れた源である。よって、ウシ骨組織の抽出物は、骨の構造的一体性を維持することを担う構造タンパク質だけでなく、骨細胞を刺激して増殖させることのできる生物学的に活性な骨成長因子も含有する。これらの格子因子の中には、最近解説された、骨形態発生タンパク質(BMP)と呼ばれるタンパク質ファミリーがある。これらの成長因子はすべて、他の細胞種や骨細胞に対して効果を有し、Hardy, M. H., et al., Trans Genet (1992) 8:55-61 は、骨形態発生タンパク質(BMP)が発生中の毛嚢で示差的に発現するという証拠を解説している。Harris, S. E., et al., J Bone Miner Res (1994) 9:855-863 は、骨細胞中のBMP-2及び他の物質の発現に対するTGF-βの効果を解説している。成熟毛嚢でのBMP-2発現はまた、成熟中及び細胞増殖期間後にも起きる (Hardy, et al. (1992, 上掲)。従って、ここで提供する化合物は、毛嚢成長刺激にとっても有用であろう。
最後に、開示された本組成物は、プロテアソームを含め、Ntnヒドロラーゼによってプロセッシングされるタンパク質(例えば酵素、転写因子)をスクリーニングするための診断薬(例えば診断キット中、又は臨床研究室での使用に向けた)としても有用である。開示された本組成物はまた、X/MB1サブユニット又はα-鎖に特異的結合してそれに関連するタンパク質分解活性を阻害する研究試薬としても有用である。例えば、プロテアソームの他のサブユニットの活性(及び特異的阻害剤)を判定することができる。
大半の細胞内タンパク質は、成熟中又は活性化中にタンパク質分解によるプロセッシングを受ける。ここで開示する酵素阻害剤を用いると、ある細胞内、発生上、又は生理的プロセス又は出力が、特定のNtnヒドロラーゼのタンパク質分解活性によって調節されているかどうかを判定することができる。このような方法の一つは、ある生物、インタクト細胞標品、又は細胞抽出物を得るステップ;前記生物、細胞標品、又は細胞抽出物を、ここで開示する組成物に暴露するステップ;前記化合物に暴露済みの生物、細胞標品、又は細胞抽出物をシグナルに暴露するステップ、及び当該プロセス又はアウトプットを観察するステップ、を含む。ここで開示する化合物の高い選択性により、ある細胞内、発生上、又は生理的プロセスにおいてNtn(例えば20Sプロテアソーム)を高速かつ精確に消去又は関与付けすることができる。
投与
ここで解説する通りに調製された組成物は、処置しようとする障害、患者の年齢、状態、及び体重に応じて、当業で公知のように多様な形で投与することができる。例えば、本組成物を経口投与する場合、それらを錠剤、カプセル、顆粒、粉末、又はシロップとして調合してもよく;あるいは非経口投与の場合には、それらを注射液(静脈内、筋肉内、又は皮下)、点滴製剤、又は座薬として調合してもよい。眼粘膜経路による適用の場合、それらを目薬又は眼用軟膏として調合してもよい。これらの調合物は、ここで解説する方法との関係から従来の手段によって調製することができ、そして必要であれば、シクロデキストリン及び緩衝剤に加え、活性成分をいずれかの従来の添加剤又は医薬品添加物、例えば結合剤、崩壊剤、潤滑剤、矯正薬、可溶化剤、懸濁補助剤、乳濁剤、又はコーティング剤など、と混合してもよい。投薬量は一般に、患者の症状、年齢及び体重、処置又は防止しようとする障害の性質及び重篤度、投与経路及び薬物の形状に応じて様々であろうが、成人のヒトの患者の場合には0.01 乃至 2000 mg の化合物という一日当たりの投薬量が推奨され、これは、一回分の用量で投与されても、又は分割された用量にして投与されてもよい。一回分の剤形を作製するために担体材料と組み合わせることのできる活性成分量は、一般的には、治療効果を生じる化合物量であろう。一般的には、非経口使用(例えば静脈内、皮下注射)に意図された組成物は、置換シクロデキストリンを含む。他の経路、特に経口経路を通じて投与される組成物は置換もしくは非置換シクロデキストリンを含む。
ある患者において処置の効験という点で最も有効な結果を生じることになる、投与の精確な時間及び/又は組成物量は、ある特定の化合物の活性、薬物動態、及び生物学的利用能、患者の生理的条件(年齢、性別、疾患の種類及び段階、全体的な身体状態、投薬量への応答性、及び医薬の種類を含む)、投与経路等に依るであろう。しかしながら、上記の指針は、例えば患者を観察することと、投薬量及び/又はタイミングを調節することから成る、ごく慣例的な実験を要することとなる、最適な時間及び/又は投与量を判定することなる、処置の微調整の基本として用いることができる。
文言「薬学的に許容可能な」は、ここでは、健全な医学的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー性応答、又は他の問題もしくは合併を引き起こすことなく、ヒト及び動物の組織に接触させて用いるのに適した、妥当な利益/リスク比に合致したリガンド、材料、組成物、及び/又は剤形を言う。
文言「薬学的に許容可能な担体」とは、ここで用いられる場合、例えば液体又は固体の充填剤、希釈剤、医薬品添加物、溶媒又は封入材料など、薬学的に許容可能な材料、組成物、又は賦形剤を意味する。各担体は、調合物の他の成分に対して適合性があり、患者にとって有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。薬学的に許容可能な担体として役立てることのできる材料のいくつかの例には:(1)乳糖、ブドウ糖、及びショ糖などの糖類;(2)コーンスターチ、いもでんぷん、及び置換もしくは非置換のβ-シクロデキストリンなどのでんぷん;(3)セルロース、及び、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのその誘導体;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバター及び座薬用ろうなどの医薬品添加物;(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油などの油類;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチル及びラウリル酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)無発熱源水;(17)等張生理食塩水;(18)リンガー液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;及び(21)医薬調合物中に用いられる他の非毒性の適合性物質、がある。いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物は非発熱源性であり、即ち、患者に投与されたときに著しい温度上昇を誘導しない。
用語「薬学的に許容可能な塩」とは、阻害剤の比較的に非毒性の、無機及び有機酸添加塩を言う。これらの塩は、阻害剤の最終的な単離及び精製中にin situで調製することも、あるいは、精製済みのペプチドプロテアソーム阻害剤をその遊離塩基形のままで適した有機もしくは無機酸に別々に反応させ、こうして形成された塩を単離することにより調製することもできる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオネート、ラウリルスルホン酸塩、及びアミノ酸塩等々がある。(例えば Berge et al. (1977) “Pharmaceutical Salts”, J. Pharm. Sci. 66: 1-19.を参照されたい)。
いくつかの実施態様では、ここで提供するペプチドプロテアソーム阻害剤は、一種以上の酸性官能基を含んでもよく、従って薬学的に許容可能な塩基と一緒に薬学的に許容可能な塩を形成することができる。これらの場合の用語「薬学的に許容可能な塩」とは、阻害剤の比較的に非毒性の無機及び有機塩基添加塩を言う。これらの塩も同様に、阻害剤の最終的な単離及び精製中にin situで調製することも、あるいは、精製済みの阻害剤をその遊離酸形のままで適した塩基、例えば薬学的に許容可能な金属陽イオンの水酸化物、炭酸化物、又は重炭酸化物、アンモニア、に、又は薬学的に許容可能な有機一級、二級、又は三級アミン、に別々に反応させることにより調製することもできる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム塩等がある。塩基添加塩の形成に有用な代表的有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等がある(例えば上記のBerge et al.を参照されたい)。
ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳濁剤、及び潤滑剤や、着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味料、着香料及び香料、保存剤、及び抗酸化剤も、本組成物中にあってよい。
薬学的に許容可能な抗酸化剤の例には;(1)水溶性の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等;(2)油溶性の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール (BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン (BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール等;及び(3)金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸 (EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等、がある。
経口投与に適した調合物は、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(通常はショ糖及びアカシアゴム又はトラガカントゴムである、着香した基剤を用いて)、粉末、顆粒の形であってよく、あるいは、水性又は非水性の液体に溶かした溶液又は懸濁液として、あるいは水中油又は油中水の液体乳濁液として、あるいはエリキシル又はシロップとして、あるいは、香錠(ゼラチン及びグリセリン、又はショ糖及びアカシアゴムなどの不活性のマトリックスを用いて)として、及び/又は、口内洗浄剤としてなど、それぞれ所定量の阻害剤を活性成分として含有する形にしてもよい。更に組成物を巨丸剤、舐剤、又はペーストとして投与してもよい。
経口投与用の固体剤形(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒等)の場合、活性成分を、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなどの一種以上の薬学的に許容可能な担体、及び/又は、以下のうちのいずれかと混合してもよい:(1)充填剤又は増量剤、例えばでんぷん、シクロデキストリン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、及び/又は珪酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、及び/又は、アカシアゴム;(3)湿潤剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、いも又はタピオカでんぷん、アルギン酸、特定の珪酸塩、及び炭酸ナトリウム;(5)パラフィンなどの溶解遅延剤;(6)四級アンモニウム化合物などの吸収加速剤;(7)例えばアセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイト・クレイなどの吸収剤;(9)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物;並びに(10)着色剤。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合、医薬組成物は更に緩衝剤を含んでもよい。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合、医薬組成物は更に緩衝剤を含んでもよい。同一の種類の固形組成物も、乳糖又は乳糖などの医薬品添加物や、高分子量ポリエチレングリコールなどを用いて軟質及び硬質の充填ゼラチン・カプセル中の充填剤として用いてよい。
錠剤は、圧縮又は成型により、一種以上の付属成分と一緒に作成してよい。圧縮錠剤は結合剤(例えばゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性の希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えばでんぷんグリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤を用いて調製できよう。成型錠剤は不活性の液体希釈剤で湿らせた粉末状の阻害剤の混合物を適した機械で成型することにより、作成できよう。
錠剤や、例えば糖衣錠、カプセル、丸剤及び顆粒などの他の固形剤形は、選択に応じ、切り目を入れたり、腸溶コーティング及び薬剤調合業で公知の他のコーティングなど、コーティング及びシェル剤と一緒に調製したりしてもよい。更にこれらは、所望の放出曲線を提供するために様々な比率にしたヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム、及び/又はマイクロスフィアなどを用いて、中の活性成分の放出を遅くしたり、あるいは制御できるように調合したりしてもよい。これらは、例えば細菌保持フィルターを通したろ過などで滅菌したり、あるいは、無菌水や他の無菌の注射可能な媒質中に使用直前に溶解させることのできる無菌の固形組成物の形の滅菌剤を導入することにより、滅菌したりしてもよい。これらの組成物はさらに選択的に不透明剤を含有してもよく、また、活性成分のみを放出する、又は、胃腸管の特定の部分で優先的に、選択によっては遅れて放出する、組成物であってもよい。使用することのできる包埋組成物の例にはポリマー物質及びろうがある。更に活性成分は、適当であれば上述した医薬品添加物のうちの一種以上と一緒に、マイクロ被包型であってもよい。
経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容可能な乳液、マイクロ乳液、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルがある。活性成分に加え、液体剤形には、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳濁剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油類(特に綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、ごま油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物など、当業で通常用いられる不活性の希釈剤を含めてもよい。
不活性の希釈剤のほかに、経口用組成物には更に、湿潤剤、乳濁剤及び懸濁剤などのアジュバント、甘味料、着香料、着色剤、芳香剤及び保存剤も含めることができる。
活性阻害剤に加え、懸濁液には、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント、並びにこれらの混合物などの懸濁剤を含有させてもよい。
直腸又は膣投与に向けた調合物は、座薬として提供してもよく、この座薬は、室温では固体であるが体温では液体であるため直腸又は膣腔内では融解して活性物質を放出するような、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、座薬用ろう又はサリチル酸などを含む一種以上の適した非刺激性医薬品添加物又は担体に、一種以上の阻害剤を混合することにより、調製できよう。
膣内投与に適した調合物には、更に、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、又は、当業において適切であることが公知の担体を含有するスプレー調合物もある。
阻害剤の局所又は経皮投与用の剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、及び吸入剤がある。活性成分を、薬学的に許容可能な担体、そして必要かも知れないいずれかの保存剤、緩衝剤、または推進薬と、無菌条件下で混合してもよい。
軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、阻害剤に加え、例えば動物及び植物性脂肪、油、ろう、パラフィン、でんぷん、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、珪酸、タルク、及び酸化亜鉛、あるいはこれらの混合物などの医薬品添加物を含んでもよい。
粉末及びスプレーには、阻害剤に加え、乳糖、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、及びポリアミド粉末、あるいはこれらの物質の混合物などの医薬品添加物を加えることができる。スプレーには更に、例えばクロロフルオロハイドロカーボン、並びに、ブタン及びプロパンなどの揮発性の非置換炭化水素など、従来の推進薬を含めることができる。
ペプチドプロテアソーム阻害剤はエーロゾルで投与することもできる。これは、本組成物を含有する水性のエーロゾル、リポソーム性製剤、又は固形粒子を調製することにより、達成される。非水性の(例えばフルオロカーボンの推進薬)懸濁液も用いることができよう。いくつかの実施態様では、当該化合物の分解を引き起こしかねないせん断力への薬剤の暴露が抑えられるため、音波ネブライザーが好ましい。
通常、水性のエーロゾルは、従来の薬学的に許容可能な担体及び安定化剤と一緒に薬剤の水溶液又は懸濁液を調合することによって作製される。担体及び安定化剤は、特定の組成物の要件によって異なるであろうが、典型的にはその中には、非イオン性の界面活性剤(トゥイーン、プルロニックス、ソルビタンエステル、レシチン、クレモフォル)、薬学的に許容可能な共溶媒、例えばポリエチレングリコール、血清アルブミンなどの無害のタンパク質、ソルビン酸エステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝液、塩類、糖類、又は糖アルコールがある。エーロゾルは一般に等張液から調製される。
経皮パッチは、阻害剤の身体への制御された送達を提供するという付加的な利点を有する。このような剤形は、適した溶媒に薬剤を溶解又は分散させることにより、作製することができる。吸収促進剤を用いて、皮膚を横切る阻害剤のフラックスを増すこともできる。このようなフラックスの速度は、速度制御メンブレンを設けるか、あるいは、ポリマーマトリックス又はゲル中に阻害剤を分散させることにより、制御することができる。
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、一種以上のペプチドプロテアソーム阻害剤を、一種以上の薬学的に許容可能な無菌の水性又は非水性溶液、分散液、懸濁液又は乳濁液と組み合わせて、あるいは、使用直前に無菌の注射可能な溶液又は分散液に再構築してもよい無菌粉末と組み合わせて、含み、その中には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、目的のレシピエントの血液と調合物を等張にする溶質、又は懸濁剤もしくは増粘剤を含めてもよい。
ここで提供する医薬組成物中に用いてもよい適した水性及び非水性の担体の例には、注射用の水(例えば注射用の無菌水)、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、緩衝剤(例えばクエン酸緩衝剤)、及びこれらの適した混合物、オリーブ油などの植物油、並びにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルがある。適した流動性は、例えばレシチンなどのコーティング材料を用いたり、分散液の場合には必要な粒子サイズを維持したり、そして界面活性剤を用いるなどして、維持することができる。
医薬組成物は、典型的には薬学的に許容可能な担体を含む。ここで用いられる場合の言語「薬学的に許容可能な担体」には、薬剤投与に適合性のある緩衝剤、注射用の無菌水、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗カビ剤、等張剤及び吸収遅延剤等が含まれる。いくつかの実施態様では、薬学的に許容可能な担体は緩衝剤(例えばクエン酸緩衝剤)である。いくつかの実施態様では、薬学的に許容可能な担体は注射用の無菌水である。いくつかの実施態様では、薬学的に許容可能な担体はクエン酸を含む。
これらの組成物には更に、保存剤、湿潤剤、乳濁剤及び分散剤などのアジュバントも含めてよい。微生物の活動を防ぐには、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等の多様な抗菌剤及び抗カビ剤を含めることで確実にできよう。更に、糖類等の張性調節剤を組成物中に含めることも好ましいであろう。加えて、注射可能な薬剤型の吸収を長引かせるには、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなど、吸収を遅らせる物質を含めることにより行ってもよい。
場合によっては、薬物の効果を長引かせるために、皮下又は筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが好ましい。例えば非経口投与された薬物型の吸収を遅らせるには、油性賦形剤中に薬物を溶解又は懸濁させることにより、達成される。
注射可能なデポー型はポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性のポリマー中に阻害剤のマイクロカプセル・マトリックスを形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比、そして用いる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性のポリマーの例にはポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)がある。デポー型の注射用調合物はまた、身体組織と適合性あるリポソーム又はマイクロ乳濁液中に薬物を捕獲することによっても調製される。
薬剤の製剤は経口、非経口、局所、又は直腸によって投与されてもよい。これらはもちろん、各投与経路に適した形で投与される。例えば、これらは錠剤又はカプセル型、注射、吸入、眼用ローション、軟膏、座薬、輸注によって投与されたり;ローション又は軟膏によって局所投与されたり;座薬によって直腸投与されたりする。いくつかの実施態様では、投与は経口である。
ここで用いられる場合の文言「非経口投与」及び「非経口投与する」とは通常、限定はしないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内及び胸骨内注射及び輸注を含む、注射による腸管及び局所投与以外の投与形態を意味する。
ここで用いられる場合の文言「全身投与」、「全身投与する」、「末梢投与」、及び「末梢投与する」とは、例えば皮下投与など、患者の全身に入り、代謝等のプロセスを受けるようにリガンド、薬物、又は他の物質を、中枢神経系に直接投与する以外の方法で投与することを意味する。
ここで解説するペプチドプロテアソーム阻害剤は、経口、スプレーなどによる鼻腔、直腸、膣内、非経口、槽内、及び、バッカル剤及び舌下剤を含む粉末、軟膏又は滴剤などによる局所などを含め、いずれかの適した投与経路により、治療に向けてヒト及び他の動物に投与できよう。
選択された投与経路に関係なく、適した水和型で用いてもよいペプチドプロテアソーム阻害剤及び/又はここで提供する医薬組成物は、当業者に公知の従来の方法により、薬学的に許容可能な剤形に調合される。
ここで提供する医薬組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、患者にとって毒性となることなく、特定の患者、組成物、及び投与形態にとって所望の治療的応答を達成するのに有効な活性成分量が得られるよう、変更してもよい。
薬学的に許容可能な混合物中の開示された化合物の濃度は、投与しようとする化合物の投薬量、用いる化合物の薬物動態上の特徴、及び投与経路を含め、複数の因子に応じて異なるであろう。一般的には、ここで提供する組成物は、非経口投与の場合、他の物質の中でもここで開示した化合物を約0.1-10% w/v 含有する水溶液の形で提供されよう。典型的な投薬範囲は、1乃至4回分に分割された用量で、一日当たり体重1キログラム当たり約0.01 乃至約50 mg/kg である。各分割された用量は、同じ又は異なる化合物を含有していてもよい。投薬量は、患者の全体的健康、及び調合物、並びに選択された化合物の投与経路を含め、複数の因子に応じた有効量となるであろう。
別の実施態様では、本医薬組成物は経口用溶液又は非経口用溶液である。別の実施態様は、投与前に再構成することのできる凍結乾燥製剤である。固体としては、この調合物には、錠剤、カプセル又は粉末も含まれよう。
更にここでは、一種以上の他の治療薬がペプチドプロテアソーム阻害剤と一緒に、又は、ペプチドプロテアソーム阻害剤を含む医薬組成物と一緒に投与される同席療法を提供する。このような併用処置は、当該処置の個々の成分の同時、逐次、又は別々の投薬によって達成してもよい。
いくつかの実施態様では、ここで提供する組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上の他のプロテアソーム阻害剤と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上の化学療法薬と同席投与する。適した化学療法薬には、ビンカアルカロイド(即ちビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビン)などの天然生成物、タキサン類(例えばドセタキセル、パクリタキセル、(例えばドセタキセル)、エピジポドフィロトキシン(即ちエトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン;例えばドキソルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びミトマイシン、酵素(L-アスパラギンを全身代謝して、それら自身のアスパラギン合成能を有さない細胞を枯渇させるL-アスパラギナーゼ);抗血小板剤;抗増殖性/抗有糸分裂アルキル化剤、例えばナイトロジェン・マスタード(メクロレタミン、イフォスファミド、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン、クロラムブシル、例えばメルファラン)、エチレンイミン及びメチルメラミン(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、アルキルスルホネート(ブスルファン)、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)及び類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン-ダカルバジニン (DTIC);抗増殖性/抗有糸分裂性抗代謝産物、例えば葉酸類似体(メトトレキセート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスリジン、及びシタラビン)、プリン類似体及び関連阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン及び2-クロロデオキシアデノシン);アロマターゼ阻害剤(アナストロゾール)、エキセメスタン、及びレトロゾール);プラチナ配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;DNE結合性/細胞傷害性薬物(例えばザリプシス);ヒストンデアセチラーゼ (HDAC) 阻害剤(トリコスタチン、酪酸ナトリウム、アピシダン、スベロイルアニリドヒドロアミックアシッド、(原語:suberoyl anilide hydroamic acid)(SAHA(ヴォリノスタット))、トリコスタチンA、デプシペプチド、アピシジン、A-161906、スクリプタイド、PXD-101、CHAP、酪酸、デプデシン、オキサムフラチン、フェニルブチレート、バルプロン酸、MS275(N-(2-アミノフェニル)-4-[N-(ピリジン-3-イルメトキシ-カルボニル)アミノメチル]ベンズアミド)、LAQ824/LBH589、CI994、MGCD0103, ACY-1215、パノビスタット);ホルモン(即ちエストロゲン)及びホルモンアゴニスト、例えば黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH) アゴニスト(ゴセレリン、ロイプロリド及びトリプトレリン)がある。他の化学療法薬には、メクロレタミン、カンプトテシン、イフォスファミド、タモキシフェン、ラロキシフェン、ゲムシタビン、ナベルビン、又は前述のもののいずれかの類似体もしくは誘導体バリアントが含まれよう。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) 阻害剤(例えばトリコスタチン、酪酸ナトリウム、アピシダン、スベロイルアニリドヒドロアミック酸(原語:suberoyl anilide hydroamic acid) (「SAHA」 (ヴォリノスタット))、トリコスタチンA、デプシペプチド、アピシジン、A-161906、スクリプタイド、PXD-101、CHAP、酪酸、デプデシン、オキサムフラチン、フェニルブチレート、バルプロン酸、MS275 (N-(2-アミノフェニル)-4-[N-(ピリジン-3-イルメトキシ-カルボニル)アミノメチル]ベンズアミド)、LAQ824/LBH589、CI994、MGCD0103、ACY-1215、パノビノスタット;例えばSAHA, ACY-1215、パノビスタット)を同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のナイトロジェン・マスタード(メクロレタミン、イフォスファミド、シクロホスファミド及び類似体、メルファラン、クロラムブシル、例えばメルファラン)を同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のDNA結合性/細胞傷害性作用物質(例えばザリプシス)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のタキサン(例えばドセタキセル、パクリタキセル、例えばドセタキセル)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上の抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン;例えばドキソルビシン)と一緒に同席投与する。
特定の実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のサイトカインと同席投与する。サイトカインには、限定はしないが、インターフェロン-γ、-α、及び-β、インターロイキン1-8、10、及び12、顆粒球単球コロニー 刺激因子 (GM-CSF)、TNF-α、及び-β、及びTGF-βがある。
特定の実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のステロイドと同席投与する。適したステロイドには、限定はしないが、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノル、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコルト、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフプレドネート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロンアセテート、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾンプロピオネート、フォルモコルタル、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオネート、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンナトリウムホスフェート、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソノロン、チクソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド(例えばヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン及びプレドニゾロン;例えばデキサメタゾン)、並びにこれらの塩及び/又は誘導体が含まれよう。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)をデキサメタゾンと一緒に同席投与する。いくつかの
いくつかの実施態様では、同席療法は、KYPROLISラベルなどに提供された投薬計画を含む。
1. KYPROLISは3週間にわたって各週(1日目、2日目、8日目、9日目、15日目及び16日目)二日間連続で2乃至10分、静脈内投与した後、12日間(17日目から28日目)の休止期間とする。各28日間の期間を一処置サイクルとみなす(表A)。
サイクル1では、KYPROLISを20 mg/m2の用量、投与する。 サイクル1で寛容されれば、該用量をサイクル2で 27 mg/m2 まで上昇させ始め、次のサイクルでは27 mg/m2 に維持すべきである。処置は、疾患が進行するまで、又は許容できない毒性が起きるまで続行してよい。
該用量は、基線で患者の実際の体表面積を用いて計算する。2.2 m2 を超える体表面積を持つ患者には、2.2 m2の体表面積に基づいた用量を投与すべきである。用量調節は20%以下の体重変化の場合には行う必要はない。
2. 患者に水分補給して、KYPROLISによる腎毒性及び腫瘍溶解症候群(TLS)のリスクを減らす。処置全体を通じて充分な流体体積状態を維持し、血液化学をよく観察する。サイクル1の各用量前に、250 mL 乃至 500 mL の静脈内通常生理食塩水又は他の適した静脈用流体を投与する。KYPROLIS投与後に必要に応じて付加的な250 mL 乃至 500 mL の静脈用流体を投与する。その後のサイクルでは必要に応じて静脈内水分補給を続行する。流体負荷のこの期間の間も、患者を観察する。
3. サイクル1中のKYPROLISの全用量前に、そして27 mg/ml2に用量を上昇させる最初のサイクル中のすべてのKYPROLIS用量の前に、デキサメタゾン4mgを経口又は静脈内予備投与して、輸注反応の発生及び重篤度を抑える。これらの症状がその後のサイクルで発生又は再発したらデキサメタゾン予備投与(4mgを経口又は静脈内)を再開する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上の免疫治療薬と同席投与する。適した免疫治療薬には、限定はしないが、MDR調節物質(ヴェラパミル、ヴァルスポルダー、ビリコルダー、タリキダー、ラニキダー)、シクロスポリン、ポマリドマイド、サリドマイド、CC-4047(アクチミド)、レナリドマイド(レブリミド)及びモノクローナル抗体が含まれよう。モノクローナル抗体は裸でもよく、又はリツキシマブ、トシツモマブ、アレムツズマブ、エプラツズマブ、イブリツモマブチウレキセタン、ゲムツズマブオゾガミシン、ベバシズマブ、セツキシマブ、エルロチニブ及びトラスツズマブなどに結合させることもできる。特定の実施態様では、ここで提供する医薬組成物をレナリドマイド(レブリミド)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のトポイソメラーゼ阻害剤(例えばイリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、ラメラリンD、及びエトポシド)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のm-TOR阻害剤(例えば CCI-779、AP23573 及び RAD-001)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のプロテインキナーゼ阻害剤(例えばソラフェニブ、イマチニブ、ダサチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、及びニロチニブ;例えばソラフェニブ)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のCDK阻害剤(例えばジナシクリブ)と同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のKSP(Eg5)阻害剤(例えばアレイ520)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)をPI13デルタ阻害剤(例えばGS-1101PI3K)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上の二重阻害剤:PI3K デルタ及びガンマ阻害剤(例えば CAL-130)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のマルチ-キナーゼ阻害剤(例えばTG02)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を一種以上のPI3Kデルタ阻害剤(例えばTGR-1202)と一緒に同席投与する。
いくつかの実施態様では、ここで提供する医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を
(i)以下のうちの一つ以上:
● 一種以上の第二の化学療法薬(例えば一種以上のHDAC阻害剤、例えばSAHA、ACY-1215、パノビノスタット;一種以上のナイトロジェン・マスタード、例えばメルファラン;一種以上のDNA結合性/細胞傷害性作用物質、例えばジラプシス;一種以上のタキサン類、例えばドセタキセル;一種以上の抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン;例えばドキソルビシン);
● 一種以上の他のプロテアソーム阻害剤(例えば式(1)−(5)の別の化合物);
● 一種以上のサイトカイン;
● 一種以上の免疫療法薬(例えばレブリミド);
● 一種以上のトポイソメラーゼ阻害剤;
● 一種以上のm-TOR阻害剤;
● 一種以上のプロテインキナーゼ阻害剤(例えばソラフェニブ);
● 一種以上のCDK阻害剤(例えばジナシクリブ);
● 一種以上のKSP(Eg5)阻害剤(例えばアレイ520);
● 一種以上のPI13デルタ阻害剤(例えばGS-1101 PI13);
● 一種以上の二重阻害剤:PI13デルタ及びガンマ阻害剤(例えばCAL-130);
● 一種以上のマルチキナーゼ阻害剤(例えばTG02);
● 一種以上のPI3Kデルタ阻害剤(例えばTGR-1202);
及び
(ii)一種以上のステロイド(例えばデキサメタゾン)
と同席投与する。
いくつかの実施態様では、カルフィルゾミブを含む医薬組成物(例えば、60mgのカルフィルゾミブを含有するKYPROLISなどのカルフィルゾミブ、3000mgのスルホブチルエーテルベータ-シクロデキストリン、57.7mgのクエン酸及びpH調整用の水酸化ナトリウム(目的pH3.5)を含む医薬組成物など)を
(i)以下のうちの一つ:
● 一種以上の第二の化学療法薬(例えば一種以上のHDAC阻害剤、例えばSAHA、ACY-1215、パノビノスタット;一種以上のナイトロジェン・マスタード、例えばメルファラン;一種以上のDNA結合性/細胞傷害性作用物質、例えばジラプシス;一種以上のタキサン類、例えばドセタキセル;一種以上の抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)ダウノルビシン、ドキソルビシン及びイダルビシン;例えばドキソルビシン);
● 一種以上の他のプロテアソーム阻害剤(例えば式(1)−(5)の別の化合物);
● 一種以上のサイトカイン;
● 一種以上の免疫療法薬(例えばレブリミド);
● 一種以上のトポイソメラーゼ阻害剤;
● 一種以上のm-TOR阻害剤;
● 一種以上のプロテインキナーゼ阻害剤(例えばソラフェニブ);
● 一種以上のCDK阻害剤(例えばジナシクリブ);
● 一種以上のKSP(Eg5)阻害剤(例えばアレイ520);
● 一種以上のPI13デルタ阻害剤(例えばGS-1101 PI13);
● 一種以上の二重阻害剤:PI13デルタ及びガンマ阻害剤(例えばCAL-130);
● 一種以上のマルチキナーゼ阻害剤(例えばTG02);
● 一種以上のPI3Kデルタ阻害剤(例えばTGR-1202);
及び
(ii)デキサメタゾン
と一緒に同席投与する。