本開示は、TBおよびその後のTB処置応答の評価のためのバイオマーカー、方法、試薬、デバイス、システム、数学モデルおよびキットを含む。本開示のバイオマーカーは、実施例1において説明される多重アプタマーベースアッセイを使用して特定された。本明細書に記載のアプタマーベースバイオマーカー特定法を使用することにより、本出願は、TBの評価および処置に有用な驚くほど多数のTBバイオマーカーを説明する。これらのバイオマーカーの特定において、個々の参加者の試料からの約1030のタンパク質が測定され、そのいくつかは、低フェムトモル範囲の濃度であった。これは、2Dゲルまたは質量分析で行われたバイオマーカー発見実験よりも約4桁低い。
説明されたTBバイオマーカーのいくつかは、TB処置に対する宿主応答の検出およびTBの診断において単独で有用となり得るが、TBを診断するため、無症状性または顕在性の薬物毒性を検出するため、および治療に対する成功裏の応答を予測するためのバイオマーカーのパネルとして有用であるTBバイオマーカーの複数のサブセットのグループ化のための方法が、本明細書に記載される。個々のバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットが特定されたら、生体試料中の選択されたバイオマーカー(複数を含む)のレベルの差を測定することができる任意のアッセイプラットフォームまたは形式を使用して、TBの検出または診断、ならびにTB処置および治療処置への応答の追跡が達成され得る。
しかしながら、本明細書に開示されるTBバイオマーカーを特定することができたのは、約1030の別個の潜在的バイオマーカー値がTBと診断された個人から個々にスクリーニングされた本明細書に記載の多重アプタマーベースバイオマーカー特定法を使用し、処置により変化するバイオマーカーを監視することによってのみである。この発見アプローチは、より患者に関連したシステムにクエリし、タンパク質を測定しRNA発現を測定しないため、動物モデルまたはin vitro系を使用したバイオマーカー発見とは著しく対照的である(Berry(Aug.2010)Nature 466,doi:10.1038/nature09247);an interferon−inducible neutrophil−driven blood transcriptional signature in human tuberculosis。
したがって、本出現の一態様において、TBを診断および処置するための、単独で、または様々な組み合わせとしての使用のための1つ以上のバイオマーカーが提供される。例示的実施形態は、表1、2、4、5および8から12に記載のバイオマーカーを含み、これらは、上述のように、実施例1および2において記載されるように多重アプタマーベースアッセイを使用して特定された。マーカーはまた、バイオマーカーに対する処置薬剤の効果を反映し得、処置毒性または効果のマーカーであることを証明し得る。
記載されるTBバイオマーカーのいくつかは、TBの評価において単独で有用であるが、それぞれ2つ以上のバイオマーカーのパネルとして有用であるTBバイオマーカーの複数のサブセットのグループ化のための方法もまた、本明細書において説明される。したがって、本出願の様々な実施形態は、N個のバイオマーカーを含む組み合わせを提供し、例えば、Nは少なくとも2であり、Nは少なくとも3であり、Nは少なくとも4であり、Nは少なくとも5であり、Nは少なくとも6であり、Nは少なくとも7であり、Nは少なくとも8であり、Nは少なくとも9であり、Nは少なくとも10であり、Nは、1個のバイオマーカーから239個のバイオマーカーの任意の数であってもよい。
本明細書において使用される場合、TBの評価は、表1、2、4、5もしくは8から12の1つ以上の少なくとも1つのバイオマーカーが、対照分布から差次的に発現したと検出されなかった場合、個人が疾患の証拠を有さないこと(NED)の第1の評価を有するかどうか、または、表1、2、4、5もしくは8から12の1つ以上の少なくとも1つのバイオマーカーが、対照分布から差次的に発現したと検出された場合、疾患の証拠(EVD)の第2の評価を有するかどうかを評価することを指す。
別の態様において、TBに関して個人を評価するための方法が提供され、方法は、個人を、TBを有する、もしくは有さないと診断すること、TBおよびその処置の未来の経過を予後診断すること、活性TBが明らかに治癒された、疾患の潜在的形態のみを有する個人におけるTBの再発を決定もしくはその再活性化を予測すること、ならびに、TBの処置に対する個人の応答を特性決定すること、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
別の実施形態において、TBに関して個人を評価する方法は、個人の生体試料における、表1、2、4、5または8から12の1つ以上のバイオマーカーに対応する検出可能な値を決定することにより、個人を診断することを含み、診断は、対照集団のバイオマーカー値に比べて個人のバイオマーカー値の差次的発現が実質的にない場合、疾患の証拠を有さないこと(NED)およびTBを有さないことの第1の診断、または、対照集団のバイオマーカー値に比べて個人のバイオマーカー値の差次的発現がある場合、疾患の証拠(EVD)およびTBの第2の診断を含む。上述のように、様々な実施形態は、N個のバイオマーカーを含む組み合わせを提供し、例えば、Nは少なくとも2であり、Nは少なくとも3であり、Nは少なくとも4であり、Nは少なくとも5であり、Nは少なくとも6であり、Nは少なくとも7であり、Nは少なくとも8であり、Nは少なくとも9であり、Nは少なくとも10であり、Nは、1個のバイオマーカーから239個のバイオマーカーの任意の数であってもよい。
一態様において、診断の方法は、個人の生体試料をアッセイして、表1、2、4、5または8から12の1つ以上の少なくとも1つのバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を決定することと、個人のバイオマーカー値を対照集団のバイオマーカー値と比較して、差次的発現があるかどうかを決定することと、対照集団に比べて差次的発現がない場合、個人を、第1の診断を有するものとして分類し、または、対照集団に比べて差次的発現がある場合、第2の診断を有するものとして分類することを含む。様々な実施形態は、N個のバイオマーカーを含む組み合わせを提供し、例えば、Nは少なくとも2であり、Nは少なくとも3であり、Nは少なくとも4であり、Nは少なくとも5であり、Nは少なくとも6であり、Nは少なくとも7であり、Nは少なくとも8であり、Nは少なくとも9であり、Nは少なくとも10であり、Nは、1個のバイオマーカーから239個のバイオマーカーの任意の数であってもよい。
別の態様において、TBを評価することは、疾患の証拠を有さないこと(NED)および好ましい予後の第1の予後、または、疾患の証拠(EVD)および好ましくない予後の第2の予後を診断することを含む。
一態様において、予後診断方法は、個人の生体試料をアッセイして、表1、2、4、5または8から12の1つ以上の少なくとも1つのバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を決定することと、個人のバイオマーカー値を対照集団のバイオマーカー値と比較して、差次的発現があるかどうかを決定することと、ならびに、差次的発現がない場合、個人を、陰性TB診断の第1の予後診断を有するものとして分類し、または、差次的発現がある場合、陽性TB診断の第2の予後診断を有するものとして分類することとを含む。様々な実施形態において、N個のバイオマーカーを含む組み合わせが提供され、例えば、Nは少なくとも2であり、Nは少なくとも3であり、Nは少なくとも4であり、Nは少なくとも5であり、Nは少なくとも6であり、Nは少なくとも7であり、Nは少なくとも8であり、Nは少なくとも9であり、Nは少なくとも10であり、Nは、1個のバイオマーカーから239個のバイオマーカーの任意の数であってもよい。
一態様において、処置に対する応答を評価する方法であって、処置されている個人の生体試料をアッセイして、表8から12の1つ以上からの少なくとも1つのバイオマーカーに対応する値を決定することと、個人のバイオマーカー値を対照集団のバイオマーカー値と比較して、差次的発現の程度を決定することと、前記バイオマーカー値の差次的発現の程度を、処置に対する陽性反応の増加した尤度と関連付けることとを含む方法が提供される。様々な実施形態において、N個のバイオマーカーを含む組み合わせが提供され、例えば、Nは少なくとも2であり、Nは少なくとも3であり、Nは少なくとも4であり、Nは少なくとも5であり、Nは少なくとも6であり、Nは少なくとも7であり、Nは少なくとも8であり、Nは少なくとも9であり、Nは少なくとも10であり、Nは、1個のバイオマーカーから122個のバイオマーカーの任意の数であってもよい。
別の態様において、処置に対する応答を評価する方法であって、処置されている個人の生体試料をアッセイして、表8から12の1つ以上からの少なくとも1つのバイオマーカーに対応する値を決定することと、結核菌を対象とした抗菌薬治療を含む処置を開始することと、処置前のバイオマーカー値を処置からのいくらかの期間後のバイオマーカー値と比較することとを含み、それによりバイオマーカー値の変化が処置の応答を示す方法が提供される。様々な実施形態において、N個のバイオマーカーを含む組み合わせが提供され、例えば、Nは少なくとも2であり、Nは少なくとも3であり、Nは少なくとも4であり、Nは少なくとも5であり、Nは少なくとも6であり、Nは少なくとも7であり、Nは少なくとも8であり、Nは少なくとも9であり、Nは少なくとも10であり、Nは、1個のバイオマーカーから122個のバイオマーカーの任意の数であってもよい。
別の態様において、評価する方法であって、活性TBが見かけ上治癒された、または感染の潜在的形態を有する個人におけるTBの再発または再活性化を決定することを含み、再発または再活性化を決定することは、疾患の証拠がないこと(NED)の第1の決定または疾患の証拠(EVD)の第2の決定を含む方法が提供される。NEDの第1の決定は、TBの再発または再活性化がないことを示し、EVDの第2の決定は、処置の失敗、TBの再発または再活性化を示す。
再発または再活性化を決定する1つの方法は、個人の生体試料をアッセイして、表1、2、4、5または8から12の1つ以上から選択される少なくとも1つのバイオマーカーに対応する値を決定することと、個人のバイオマーカー値を対照集団のバイオマーカー値と比較して、差次的発現があるかどうかを決定することと、対照集団に比べて差次的発現がない場合、個人を、TB再発または再活性化がないことの前記第1の決定を有するものとして分類し、または、対照値に比べて差次的発現がある場合、TB再発または再活性化の前記第2の決定を有するものとして分類することとを含む。様々な実施形態において、N個のバイオマーカーを含む組み合わせが提供され、例えば、Nは少なくとも2であり、Nは少なくとも3であり、Nは少なくとも4であり、Nは少なくとも5であり、Nは少なくとも6であり、Nは少なくとも7であり、Nは少なくとも8であり、Nは少なくとも9であり、Nは少なくとも10であり、Nは、1個のバイオマーカーから239個のバイオマーカーの任意の数であってもよい。
別の態様において、個人における結核感染を処置するための方法であって、個人の生体試料における表1、2、4、5または8から12の1つ以上から選択される少なくとも1つのバイオマーカーに対応する値を決定させることにより、結核感染を診断することであって、前記決定は、バイオマーカーの差次的発現に関して、個人のバイオマーカー値を、対照集団におけるバイオマーカー値と比較することを含み、バイオマーカーの差次的発現は、個人における結核感染の存在を示す、診断することと、そのようにして結核感染を診断された個人に結核感染に対する処置を施すこととを含む方法が提供される。様々な実施形態において、N個のバイオマーカーを含む組み合わせが提供され、例えば、Nは少なくとも2であり、Nは少なくとも3であり、Nは少なくとも4であり、Nは少なくとも5であり、Nは少なくとも6であり、Nは少なくとも7であり、Nは少なくとも8であり、Nは少なくとも9であり、Nは少なくとも10であり、Nは、1個のバイオマーカーから239個のバイオマーカーの任意の数であってもよい。
さらに別の態様において、個人における結核感染を診断するためのアッセイであって、個人の生体試料における表1、2、4、5または8から12の1つ以上から選択される少なくとも1つのバイオマーカーに対応する値を決定させることであって、前記決定は、バイオマーカーの差次的発現に関して、個人のバイオマーカー値を、対照集団におけるバイオマーカー値と比較することを含み、バイオマーカーの差次的発現は、個人における結核感染の存在を示す、決定させることと、前記バイオマーカーの差次的発現に基づいて、個人を、結核感染を有すると診断することとを含むアッセイが提供される。様々な実施形態において、N個のバイオマーカーを含む組み合わせが提供され、例えば、Nは少なくとも2であり、Nは少なくとも3であり、Nは少なくとも4であり、Nは少なくとも5であり、Nは少なくとも6であり、Nは少なくとも7であり、Nは少なくとも8であり、Nは少なくとも9であり、Nは少なくとも10であり、Nは、1個のバイオマーカーから239個のバイオマーカーの任意の数であってもよい。
別の態様において、個人が結核を有する、または有さないことを診断するための方法であって、個人からの生体試料を、少なくともN個のアプタマーと接触させることであって、各アプタマーは、表1、2、4、5または8から12の1つ以上から選択されるN個のバイオマーカーの1つに対応するバイオマーカーに対する特定の親和性を有する、接触させることと、生体試料におけるバイオマーカーのレベルを検出することと、前記N個のバイオマーカーのそれぞれに対するバイオマーカー値を決定することとを含み、前記個人は、前記バイオマーカー値に基づいて結核を有する、または有していないと診断され、Nは、2から239の任意の整数である方法が提供される。
一実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5から選択される。一実施形態において、少なくとも2つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5から選択される。一実施形態において、少なくとも3つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5から選択される。一実施形態において、少なくとも4つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5から選択される。一実施形態において、少なくとも5つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5から選択される。一実施形態において、少なくとも6つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5から選択される。一実施形態において、少なくとも7つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5から選択される。一実施形態において、少なくとも8つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5から選択される。一実施形態において、少なくとも9つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5から選択される。一実施形態において、少なくとも10個のバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5等から選択される。
一実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、およびLBPからなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも2つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、およびLBPからなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも3つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、およびLBPからなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも4つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、およびLBPからなる群から選択される。さらに別の実施形態において、少なくとも5つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、およびLBP等からなる群から選択される。
一実施形態において、Nは、3から239、または4から239、または5から239、または6から239、または7から239、または8から239、または9から239、または10から239、または15から239、または20から239等の任意の整数である。
別の態様において、結核感染に対する処置を患者に施すべきかどうかを決定するための方法であって、a)個人の生体試料における表1、2、4または5および表8から12の少なくとも1つのバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を決定するために、アッセイを行わせることであって、前記決定は、バイオマーカーの差次的発現に関して、個人のバイオマーカー値を、対照集団におけるバイオマーカー値と比較することを含み、バイオマーカーの差次的発現は、個人における結核感染の存在を示す、アッセイを行わせることと、b)バイオマーカーの前記差次的発現に基づいて、個人が結核感染を有すると診断することと、c)結核感染に対する処置を施すこととを含む方法が提供される。一実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5および/または表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。一実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、LBP、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNB、およびIL−7からなる群から選択される。
別の実施形態において、結核に対する処置を施すべきかどうかを決定するための方法であって、a)個人からの生体試料を、少なくともN個のアプタマーと接触させることであって、各アプタマーは、表1、2、4、5または表8から12から選択されるN個のバイオマーカーの1つに対応するバイオマーカーに対する特定の親和性を有する、接触させることと、b)生体試料におけるバイオマーカーのレベルを検出し、前記N個のバイオマーカーのそれぞれに対するバイオマーカー値を決定することと、c)前記バイオマーカー値に基づいて、個人が結核感染を有すると診断し、結核感染に対する処置を施すこととを含み、Nは、2から239の任意の整数である方法が提供される。
一実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5および/または表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。一実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、LBP、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNB、およびIL−7からなる群から選択される。
一実施形態において、Nは、3から239、または4から239、または5から239、または6から239、または7から239、または8から239、または9から239、または10から239、または15から239、または20から239等の任意の整数である。
別の態様において、個人における結核の処置のための薬物の投与から生じる薬物毒性を評価するための方法であって、a)個人に結核感染に対する処置を施すことであって、個人の生体試料における表1、2、4、5または8から12の1つ以上の少なくとも1つのバイオマーカーに対応する値が決定されている、施すことと、b)処置後の前記バイオマーカー値(複数を含む)を比較することにより、処置において使用される薬物の毒性を評価することとを含む方法が提供される。
別の態様において、個人における結核に対する処置の有効性を評価するための方法であって、a)個人に結核感染に対する処置を施すことであって、個人の生体試料における表8から12の少なくとも1つのバイオマーカーに対応する値が決定されている、施すことと、b)処置後の前記バイオマーカー(複数を含む)を比較することにより、処置の有効性を評価することとを含む方法が提供される。別の態様において、前記バイオマーカーの少なくとも1つが、表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。別の態様において、前記バイオマーカーの少なくとも2つが、表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。別の態様において、前記バイオマーカーの少なくとも3つが、表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。別の態様において、前記バイオマーカーの少なくとも4つが、表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。別の態様において、前記バイオマーカーの少なくとも5つが、表9および/または表10および/または表11および/または表12等から選択される。
さらに別の態様において、少なくとも1つのバイオマーカーが、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、SAA、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7からなる群から選択される。さらに別の態様において、少なくとも2つのバイオマーカーが、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、SAA、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7からなる群から選択される。さらに別の態様において、少なくとも3つのバイオマーカーが、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、SAA、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7からなる群から選択される。さらに別の態様において、少なくとも4つのバイオマーカーが、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、SAA、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7からなる群から選択される。さらに別の態様において、少なくとも5つのバイオマーカーが、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、SAA、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7等からなる群から選択される。
別の実施形態において、結核に対する処置の有効性を評価するための方法であって、a)個人からの生体試料を、少なくともN個のアプタマーと接触させることであって、各アプタマーは、表8から12から選択されるN個のバイオマーカーの1つに対応するバイオマーカーに対する特定の親和性を有する、接触させることと、b)生体試料におけるバイオマーカーのレベルを検出し、前記N個のバイオマーカーのそれぞれに対するバイオマーカー値を決定することと、c)前記バイオマーカー値に基づいて、個人が結核感染を有すると診断することと、d)結核感染に対する処置を施すことであって、Nは、2から23の任意の整数である、施すことと、e)処置後の前記バイオマーカー値(複数を含む)を比較することにより、処置の有効性を評価することとを含む方法が提供される。
別の態様において、前記バイオマーカーの少なくとも2つが、表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。別の態様において、前記バイオマーカーの少なくとも3つが、表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。別の態様において、前記バイオマーカーの少なくとも4つが、表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。別の態様において、前記バイオマーカーの少なくとも5つが、表9および/または表10および/または表11および/または表12等から選択される。
さらに別の態様において、少なくとも1つのバイオマーカーが、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、SAA、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7からなる群から選択される。さらに別の態様において、少なくとも2つのバイオマーカーが、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、SAA、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7からなる群から選択される。さらに別の態様において、少なくとも3つのバイオマーカーが、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、SAA、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7からなる群から選択される。さらに別の態様において、少なくとも4つのバイオマーカーが、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、SAA、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7からなる群から選択される。さらに別の態様において、少なくとも5つのバイオマーカーが、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、SAA、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7等からなる群から選択される。
一実施形態において、Nは、3から239、または4から239、または5から239、または6から239、または7から239、または8から239、または9から239、または10から239、または15から239、または20から239等の任意の整数である。
別の態様において、個人における結核感染の再発または再活性化を処置するための方法であって、個人の生体試料における表1、2、4、5または8から12のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を決定させることにより、結核感染の再発または再活性化を診断することであって、前記決定は、バイオマーカーの差次的発現に関して、個人のバイオマーカー値を、対照集団におけるバイオマーカー値と比較することを含み、バイオマーカーの差次的発現は、個人における結核感染の再発または再活性化を示す、診断することと、そのようにして結核感染の再発または再活性化を診断された個人に、結核感染の再発または再活性化に対する処置を施すこととを含む方法が提供される。
一実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5および/または表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。一実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、LBP、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNB、およびIL−7からなる群から選択される。
一実施形態において、Nは、3から239、または4から239、または5から239、または6から239、または7から239、または8から239、または9から239、または10から239、または15から239、または20から239等の任意の整数である。
さらに別の態様において、個人における結核感染の処置を修正するための方法であって、個人の生体試料における表1、2、4、5または8から12のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を決定させることにより、結核感染の状態を評価することであって、前記評価は、バイオマーカーの差次的発現に関して、個人のバイオマーカー値を、対照集団におけるバイオマーカー値と比較することを含み、バイオマーカーの差次的発現は、個人における結核感染の処置を強化する必要性を示す、評価することと、そのようにして結核感染の強化された処置が必要であると評価された個人への結核感染に対する処置を強化することとを含む方法が提供される。
一実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5および/または表9および/または表10および/または表11および/または表12から選択される。一実施形態において、少なくとも2つのバイオマーカーが、表1および/または表4および/または表5および/または表9および/または表10および/または表11および/または表12等から選択される。一実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、LBP、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNBおよびIL−7からなる群から選択される。一実施形態において、少なくとも2つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、LBP、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNB、およびIL−7等からなる群から選択される。
別の態様において、個人がNEDの第1の評価を有する、またはEVDの第2の評価を有するものとして分類するためのコンピュータ実装方法が提供される。方法は、a)コンピュータ上で個人のバイオマーカー情報を取得することであって、バイオマーカー情報は、表1、2、4、5または8から12の少なくとも1つのバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む、取得することと、b)ステップa)の前記バイオマーカー値を、対照集団のバイオマーカー値と比較して、差次的発現があるかどうか決定することと、c)対照集団に比べて個人のバイオマーカー値の差次的発現がない場合、個人を、NEDの第1の評価を有するものとして分類し、または、対象集団に比べて個人のバイオマーカー値の差次的発現がある場合、EVDの第2の評価を有するものとして分類することとを含む。
コンピュータ実装方法において、評価はTBの診断、処置、予後診断、再発もしくは再活性化の決定、および/またはそれらの組み合わせを含んでもよい。NEDの評価は、TBがないという診断、選択された未来の時点でTBがないという転帰の予後診断、TBの再発もしくは再活性化がないという決定、および/またはそれらの組み合わせを示し得る。EVDの評価は、TBの存在の診断、選択された未来の時点でのTBの転帰の予後診断、TBの再発もしくは再活性化の決定、および/またはそれらの組み合わせを示し得る。
別の態様において、コンピュータプログラム製品は、コンピュータデバイスまたはシステムのプロセッサにより実行可能なプログラムコードを具現化するコンピュータ可読媒体を含み、プログラムコードは、個人からの生体試料に帰属するデータを取得するコードであって、データは、表1、2、4、5または8から12に記載のバイオマーカーの少なくとも1つに対応するバイオマーカー値を含む、コードと、個人のバイオマーカー値を、対照集団のバイオマーカー値と比較するためのコードと、対照集団に比べて個人のバイオマーカー値の差次的発現がない場合、NEDの第1の評価を示し、または、対照集団に比べて個人のバイオマーカー値の差次的発現がある場合、EVDの第2の評価を示す分類方法を実行するコードとを備える。
別の態様において、コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体による個人のTB状態のコンピュータ実装分類は、TBの診断、処置計画、予後診断、再発もしくは再活性化の決定、および/またはそれらの組み合わせを反映し得る。NEDの評価は、TBがないという診断分類、選択された未来の時点でTBがないという転帰の予後診断分類、TBの再発もしくは再活性化がないという決定分類、および/またはそれらの組み合わせを示し得る。EVDの評価は、TBの診断分類、選択された未来の時点でのTBの転帰の予後診断分類、TBの再発もしくは再活性化の決定分類、および/またはそれらの組み合わせを示し得る。
本開示のある特定の態様において、考慮されるバイオマーカーパネルまたはバイオマーカー値の数は、例えば、少なくとも2つのバイオマーカー、少なくとも3つのバイオマーカー、少なくとも4つのバイオマーカー、少なくとも5つのバイオマーカー、少なくとも6つのバイオマーカー、少なくとも7つのバイオマーカー、少なくとも8つのバイオマーカー、少なくとも9つのバイオマーカー、少なくとも10個のバイオマーカーから選択され、Nは、1個のバイオマーカーから239個のバイオマーカーの任意の数であってもよい。
本開示の他の態様において、少なくとも1つのバイオマーカーが、表1、および/または表4、および/または表5、および/または表9、および/または表10、および/または表11、および/または表12から選択される。本開示の他の態様において、少なくとも2つのバイオマーカーが、表1、および/または表4、および/または表5、および/または表9、および/または表10、および/または表11、および/または表12から選択される。本開示の他の態様において、少なくとも3つのバイオマーカーが、表1、および/または表4、および/または表5、および/または表9、および/または表10、および/または表11、および/または表12から選択される。本開示の他の態様において、少なくとも4つのバイオマーカーが、表1、および/または表4、および/または表5、および/または表9、および/または表10、および/または表11、および/または表12から選択される。本開示の他の態様において、少なくとも5つのバイオマーカーが、表1、および/または表4、および/または表5、および/または表9、および/または表10、および/または表11、および/または表12から選択される。本開示の他の態様において、少なくとも6つのバイオマーカーが、表1、および/または表4、および/または表5、および/または表9、および/または表10、および/または表11、および/または表12から選択される。本開示の他の態様において、少なくとも7つのバイオマーカーが、表1、および/または表4、および/または表5、および/または表9、および/または表10、および/または表11、および/または表12から選択される。本開示の他の態様において、少なくとも8つのバイオマーカーが、表1、および/または表4、および/または表5、および/または表9、および/または表10、および/または表11、および/または表12から選択される。本開示の他の態様において、少なくとも9つのバイオマーカーが、表1、および/または表4、および/または表5、および/または表9、および/または表10、および/または表11、および/または表12から選択される。本開示の他の態様において、少なくとも10個のバイオマーカーが、表1、および/または表4、および/または表5、および/または表9、および/または表10、および/または表11、および/または表12等から選択される。
他の態様において、少なくとも1つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、LBP、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNB、およびIL−7からなる群から選択される。他の態様において、少なくとも2つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、LBP、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNB、およびIL−7からなる群から選択される。他の態様において、少なくとも3つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、LBP、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNB、およびIL−7からなる群から選択される。他の態様において、少なくとも4つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、LBP、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNB、およびIL−7からなる群から選択される。他の態様において、少なくとも5つのバイオマーカーが、TSP4、TIMP−2、SEPR、MRC−2、抗トロンビンIII、SAA、CRP、NPS−PLA2、LEAP−1、LBP、凝固因子V、XPNPEP1、PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、α2−抗プラスミン、ECM1、YES、IGFBP−1、CATZ、BGN、LYNB、およびIL−7等からなる群から選択される。
ここで、本発明の代表的実施形態を詳細に参照する。列挙された実施形態と併せて本発明を説明するが、本発明は、それらの実施形態に制限されることを意図しないことが理解される。逆に、本発明は、特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内に含まれ得る全ての代替、修正、および均等物を網羅することが意図される。
当業者には、本明細書に記載のものと同様または同等の多くの方法および材料が認識され、それらは、本発明の実践において使用することができ、その範囲内に含まれる。本発明は、記載される方法および材料に決して限定されない。
別段に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様もしくは同等の任意の方法、デバイス、および材料を本発明の実践または試験において使用することができるが、好ましい方法、デバイスおよび材料をここで説明する。
本出願において引用される全ての出版物、公開特許文献、および特許出願は、本出願が関連する分野における技術(複数を含む)のレベルを示す。本明細書において引用される全ての出版物、公開特許文献、および特許出願は、それぞれ個々の出版物、公開特許文献、または特許文書が参照により組み込まれるものとして具体的および個々に示されたのと同等に、参照により本明細書に組み込まれる。
添付の特許請求の範囲を含む本出願において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により別様に示されない限り複数形の言及を含み、「少なくとも1つ」および「1つ以上」と同義的に使用される。したがって、例えば、「アプタマー」の言及は、アプタマーの混合物を含み、「プローブ」の言及は、プローブの混合物を含む、等である。
本明細書において使用される場合、「約」という用語は、数値が関連する項目の基本的機能が変化しないような、数値のわずかな変更または変動を表す。
本明細書において使用される場合、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」という用語およびそれらの任意の変化形は、要素または一連の要素を備える、含む、または含有するプロセス、方法、プロダクトバイプロセス、または組成物が、それらの要素を含むだけでなく、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、プロダクトバイプロセス、もしくは組成物に固有の他の要素をも含み得るように、非限定的な包含を網羅することを意図する。
本開示は、TBの評価および処置、ならびに個人における処置に対する応答のための、バイオマーカー、方法、デバイス、試薬、システム、およびキットを含む。主題の発明の特定の意図される用途および臨床的応用は、1)TBの存在または非存在の診断、2)TBの処置、3)選択された未来の時点での、個人におけるTBの処置中、およびその転帰の予後診断、ならびに4)TBが明らかに治癒された個人におけるTBの再発または再活性化の監視を含む。
一態様において、個人におけるTBの診断、診断後のTBの処置、TBの処置の転帰の予後診断、TBの再発または再活性化の監視、または他の臨床的適応への対応を含む、TBを評価するための単独または様々な組み合わせとしての使用のための1つ以上のバイオマーカーが提供される。以下で詳細に説明されるように、例示的実施形態は、実施例1において概説されるように、およびGold et al.(2010)PLoS ONE 5(12):e15004 doi:10.1371/journal.pone.0015004の方法に従って多重アプタマーベースアッセイを使用して特定された、表1、2、4、5、または8から12に記載のバイオマーカーを含む。
表1、2、4、5、または8から12は、TBを診断された39人の個人からの血清試料の分析から得られた所見を示す。訓練群は、予後TB診断試験が大きな利益を有し得る集団に適合するように設計された。(これらの症例および対照は、U.S.Center for Disease Control’s TB Trials Consortium(CDC TBTC)Study 29に参加した、ウガンダのカンパラからの、肺TBを有する39人の患者からの血清試料から得られた)。潜在的バイオマーカーは、疾患試料をプールするのではなく、個々の試料において測定され、これにより、ベースラインおよび8週間の試験治療後の疾患の存在に関連した表現型における個人および群の変動のより良い理解(この場合TBおよびその処置)が可能であった。各試料に対して約1030のタンパク質測定を行い、疾患集団から全39の試料が全ての試料において個々に測定されたため、表1、2、4、5、または8から12は、データの比較的大きなセットの分析から得られた。測定値は、本明細書における「バイオマーカーの分類およびTB予後スコアの計算」の項で説明されている方法を使用して分析された。
説明されるTBバイオマーカーのいくつかは、TBの診断、処置、予後診断、および/または再発もしくは再活性化の決定に単独で有用であるが、バイオマーカーの複数のサブセットのグループ化のための方法もまた、本明細書において説明されており、各グループ化またはサブセット選択は、本明細書において同義的に「バイオマーカーパネル」および「パネル」と呼ばれる、2つ以上のバイオマーカーのパネルとして有用である。したがって、本出願の様々な実施形態は、N個のバイオマーカーを含む組み合わせを提供し、Nは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10等から選択される。
一実施形態において、バイオマーカーサブセットまたはパネルに有用なバイオマーカーの数は、バイオマーカー値の特定の組み合わせに対する感度および特異性値に基づく。「感度」および「特異性」という用語は、本明細書において、生体試料において検出された1つ以上のバイオマーカー値に基づいて、個人におけるTB診断、TB予後診断および明らかな治癒後のTB再発を正確に分類する能力に関して使用される。「感度」は、陽性TB診断、陽性TB予後診断(EVD)、または明らかな治癒後の陽性TB再発、すなわち疾患の証拠(EVD)を有する個人の正確な分類に関する、バイオマーカー(複数を含む)の性能を示す。「特異性」は、陰性TB診断、陰性TB予後診断(NED)、またはTBの見かけの治癒後の陰性TB再発を有する個人の正確な分類に関する、バイオマーカー(複数を含む)の性能を示す。例えば、対照試料およびTB診断試料のセットを試験するために使用されたマーカーのパネルに対する85%の特異性および90%の感受性は、対照試料の85%がパネルによりNED試料として正確に分類されたこと、および陽性試料の90%がパネルによりEVD試料として正確に分類されたことを示す。
本明細書において特定されるTBバイオマーカーは、TBに関して個人を効果的に評価するために使用され得るバイオマーカーのサブセットまたはパネルの多くの選択数を表す。所望の数のそのようなバイオマーカーの選択は、選択されるバイオマーカーの特定の組み合わせに依存する。個人におけるTBの評価のためのバイオマーカーのパネルは、表2および8から12に見られないバイオマーカーを含み得ること、ならびに表2および8から12に見られない追加のバイオマーカーの包含は、表2および8から12から選択される特定のサブセットまたはパネルにおけるバイオマーカーの数を低減し得ることに留意することが重要である。サブセットまたはパネルにおいて使用される表2および8から12からのバイオマーカーの数はまた、所与のアッセイにおいて許容される感受性および特異性値を確立するために、追加の生物医学情報がバイオマーカー値と併せて使用された場合に低減され得る。
バイオマーカーのサブセットまたはパネルにおいて使用されるバイオマーカーの数に影響し得る別の因子は、TBに関して評価されている個人からの生体試料を得るために使用される手順である。慎重に制御された試料調製環境においては、所望の感度および特異性値を満足させるために必要なバイオマーカーの数は、試料採取、処理および保存においてより多くの変動性があり得る状況よりも少ない。
一実施形態において、主題の発明は、対象となる個人(複数を含む)からの生体試料を得ることを含む。次いで、生体試料は、対象となる1つ以上(N個)のバイオマーカーの存在を検出するために、および前記N個のバイオマーカーのそれぞれに対するバイオマーカー値を決定するためにアッセイされる(典型的には、マーカーRFU(相対蛍光単位)として測定される)。バイオマーカーが検出され、バイオマーカー値が割り当てられたら、各マーカーは、本明細書において詳細に説明されるようにスコア化または分類される。次いで、マーカースコアが組み合わされて全評価スコアが生成され、これは、個人が疾患の証拠、すなわち現在のTB診断、将来のTB転帰の予後診断、または明らかな治癒後のTBの再発の明らかな証拠を有するかどうかを反映する。
「生体試料」、「試料」、および「試験試料」は、本明細書において、個人から得られた、または別様に生じた任意の物質、生体液、組織、または細胞を指すように同義的に使用される。これは、血液(全血、白血球、末梢血単核細胞、軟膜、血漿、および血清を含む)、痰、涙、粘液、鼻洗浄液、鼻吸引液、息、尿、精液、唾液、嚢胞液、髄膜液、羊水、腺液、リンパ液、乳頭吸引液、気管支吸引液、胸膜液、腹腔液、滑液、関節吸引液、腹水、細胞、細胞抽出物、ならびに脳脊髄液を含む。これはまた、上記の全ての実験的に分離された画分を含む。例えば、血液試料は、血清に、または赤血球細胞または白血球細胞(白血球)等の特定の型の血液細胞を含有する画分に分けることができる。所望により、試料は、組織および液体試料の組み合わせ等の、個人からの試料の組み合わせであってもよい。「生体試料」という用語はまた、例えば糞便試料、組織試料、または組織生検等からの均質化された固体材料を含有する材料を含む。「生体試料」という用語はまた、組織培養または細胞培養から得られる材料を含む。生体試料を得るための任意の好適な方法を使用することができ、例示的な方法は、例えば、静脈切開術、尿採取、痰採取、スワブ(例えば口腔スワブ)、洗浄、および微細針吸引生検手順を含む。顕微解剖(例えばレーザキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)またはレーザマイクロダイセクション(LMD))により、例えば痰、気管支肺胞洗浄液、肺液、リンパ節または他の関連組織等の試料もまた採取され得る。個人から得られた、または生じた「生体試料」は、個人から得られた後に任意の好適な様式で処理された任意のそのような試料を含む。
さらに、複数の個人から生体試料を採取し、それらをプールする、またはそれぞれの個人の生体試料の一定量をプールすることにより、生体試料が得られてもよいことが理解されるべきである。プールされた試料は、単一の個人からの試料として扱うことができ、TB評価がプールされた試料において疾患の証拠(EVD)を示す場合、それぞれの個々の生体試料は、どの個人がEVDを有するかを決定するために再試験され得る。
本明細書の目的において、「個人からの生体試料に帰属するデータ」という語句は、個人の生体試料からある形態のデータが得られた、またはそれを使用して生成されたことを意味するように意図される。データは、生成された後、例えば1つの測定系における単位から別の測定系における単位への変換により、ある程度再フォーマット、改訂、または数学的に改変されていてもよいが、データは、生体試料から得られた、またはそれを使用して生成されたと理解される。
「標的」、「標的分子」および「分析物」は、本明細書において、生体試料中に存在し得る任意の対象分子を指すように同義的に使用される。「対象分子」は、特定の分子の任意の僅かな差異、例えば、タンパク質の場合、例えばアミノ酸配列、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識化成分との複合化等の任意の他の操作もしくは修飾における僅かな差異を含むが、これは、分子の同一性を大きく改変しない。「標的分子」、「標的」、または「分析物」は、1つのタイプまたは種の分子または複数分子構造のコピーのセットである。「標的分子」、「標的」、および「分析物」は、そのような分子のセットの2つ以上を指す。例示的な標的分子は、タンパク質、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、多糖類、糖タンパク質、ホルモン、受容体、メチル化核酸、抗原、抗体、アフィボディ(affybodies)、抗体模倣体、ウイルス、病原体、毒性物質、基質、代謝産物、遷移状態アナログ、補因子、阻害剤、薬物、染料、栄養物、成長因子、細胞、組織、および上記のいずれかの任意の断片または一部を含む。
本明細書において使用される場合、「ポリペプチド」「ペプチド」、および「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すように同義的に使用される。ポリマーは、線形または分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、また非アミノ酸により中断されてもよい。この用語はまた、天然または介入により修飾されたアミノ酸ポリマー、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識化成分との複合化等の任意の他の操作もしくは修飾も包含する。また、例えば、アミノ酸(例えば非天然アミノ酸等を含む)の1つ以上の類似体、および当該技術分野において知られた他の修飾を含有するポリペプチドも、この定義に含まれる。ポリペプチドは、一本鎖または会合した鎖であってもよい。また、プレタンパク質および無傷成熟タンパク質;成熟タンパク質から得られたペプチドまたはポリペプチド;タンパク質の断片;スプライス変異;タンパク質の組み換え形態;アミノ酸修飾、欠失、または置換を有するタンパク質変異体;消化物;および翻訳後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化等も、この定義に含まれる。
本明細書において使用される場合、「マーカー」および「バイオマーカー」は、個人における正常もしくは異常なプロセス、または個人における疾患もしくは他の状態を示す、またはその兆候である標的分子を指すように同義的に使用される。より具体的には、「マーカー」または「バイオマーカー」は、正常または異常に関わらず、また異常である場合には、慢性または急性に関わらず、特定の生理学的状態またはプロセスの存在に関連した、解剖学的、生理学的、生化学的、または分子的パラメータである。バイオマーカーは、実験室アッセイおよび医用画像化を含む様々な方法により検出可能および測定可能である。バイオマーカーがタンパク質である場合、生体試料における対応するタンパク質バイオマーカーの量または存在もしくは非存在、あるいはバイオマーカーの発現を制御するバイオマーカーまたはタンパク質をコードする遺伝子のメチル化状態の代替的測定として、対応する遺伝子の発現を使用することもできる。
本明細書において使用される場合、「バイオマーカー値」、「値」、「バイオマーカーレベル」および「レベル」は、生体試料におけるバイオマーカーを検出するための任意の分析方法を使用して行われ、生体試料におけるバイオマーカーの、そのための、またはそれに対応する、存在、非存在、絶対量または濃度、相対量または濃度、力価、レベル、発現レベル、測定レベルの比等を示す測定を指すように同義的に使用される。「値」または「レベル」の正確な性質は、バイオマーカーを検出するために使用される特定の分析方法の具体的設計および成分に依存する。
バイオマーカーが個人における異常なプロセスまたは疾患もしくは他の状態を示す、またはその兆候である場合、そのバイオマーカーは、一般に、個人における正常なプロセスまたは疾患もしくは他の状態の非存在を示す、またはその兆候であるバイオマーカーの発現レベルまたは値と比較して、過剰発現または過小発現であると説明される。「上方調整」、「上方調整された」、「過剰発現」、「過剰発現した」、およびそれらの任意の変化形は、健常もしくは正常個人からの同様の生体試料において典型的に検出されるバイオマーカーの値もしくはレベル(または値もしくはレベルの範囲)より大きい、生体試料におけるバイオマーカーの値もしくはレベルを指すように同義的に使用される。これらの用語はまた、特定の疾患の異なる段階において検出され得るバイオマーカーの値もしくはレベル(または値もしくはレベルの範囲)より大きい、生体試料におけるバイオマーカーの値もしくはレベルを指す。
「下方調整」、「下方調整された」、「過小発現」、「過小発現した」、およびそれらの任意の変化形は、健常もしくは正常個人からの同様の生体試料において典型的に検出されるバイオマーカーの値もしくはレベル(または値もしくはレベルの範囲)より小さい、生体試料におけるバイオマーカーの値もしくはレベルを指すように同義的に使用される。これらの用語はまた、特定の疾患の異なる段階において検出され得るバイオマーカーの値もしくはレベル(または値もしくはレベルの範囲)より小さい、生体試料におけるバイオマーカーの値もしくはレベルを指す。
さらに、過剰発現または過小発現したバイオマーカーは、正常もしくは対照プロセスまたは個人における疾患もしくは他の状態の非存在を示す、またはその兆候であるバイオマーカーの「正常」または「対照」発現レベルまたは値と比較して、「差次的に発現した」、または「差次的レベル」もしくは「差次的値」を有すると呼ぶこともできる。したがって、バイオマーカーの「差次的発現」はまた、バイオマーカーの「正常」または「対照」発現レベルからの変動と呼ぶこともできる。
「差次的遺伝子発現」および「差次的発現」という用語は、正常または対照対象におけるその発現に比べ、特定の疾患に罹患した対象においてその発現がより高いまたはより低いレベルまで活性化された遺伝子(またはその対応するタンパク質発現産物)を指すように同義的に使用される。これらの用語はまた、同じ疾患の異なる段階においてその発現がより高いまたはより低いレベルまで活性化された遺伝子(または対応するタンパク質発現産物)を含む。また、差次的に発現した遺伝子は、核酸レベルまたはタンパク質レベルにおいて活性化または阻害されてもよいこと、または、異なるポリペプチド産物をもたらすように選択的スプライシングに供されてもよいことが理解される。そのような差は、mRNAレベル、表面発現、分泌またはポリペプチドの他の分配を含む、様々な変化により証明され得る。差次的遺伝子発現は、2つ以上の遺伝子もしくはその遺伝子産物の間の発現の比較;2つ以上の遺伝子もしくはその遺伝子産物の間の発現の比の比較;またはさらに、正常対象と疾患に罹患した対象との間、もしくは同じ疾患の様々な段階の間で異なる同じ遺伝子の2つの別々に処理された産物の比較を含んでもよい。差次的発現は、例えば、正常および疾患細胞の中で、または異なる疾患イベントもしくは疾患段階を経験した細胞の中での、遺伝子またはその発現産物中の時間的または細胞発現パターンにおける定量的および定性的差異の両方を含む。
本明細書において使用される場合、「個人」は、試験対象または患者を指す。個人は、哺乳動物または非哺乳動物であってもよい。様々な実施形態において、個人は、哺乳動物である。哺乳動物の個人は、ヒトまたはヒト以外であってもよい。様々な実施形態において、個人は、ヒトである。健常または正常な個人は、対象となる疾患または状態が従来の診断法により検出可能ではない個人である。
「診断する」、「診断すること」、「診断」およびそれらの変化形は、1つ以上の兆候、症状、データ、または個人に関連する他の情報に基づく、その個人の健康状況または状態の検出、決定、または認識を指す。個人の健康状況は、健常/正常(すなわち、疾患もしくは状態の非存在の診断)と診断されてもよく、あるいは、病気/異常(すなわち、疾患もしくは状態の存在の診断、またはその特徴の評価)と診断されてもよい。「診断する」、「診断すること」、「診断」等の用語は、特定の疾患または状態に関して、疾患の最初の検出;疾患の特性決定または分類;疾患の進行、回復、または再発もしくは再活性化の検出;および個人への処置または治療の適用後の疾患応答の検出を包含する。TBの診断は、TBを有する個人を、TBを有さない個人から区別することを含む。
「予後診断する」、「予後診断すること」、「予後診断」、およびそれらの変化形は、疾患または状態を有する個人における疾患または状態の将来の経過の予測(例えば、患者の生存を予測する)を指し、そのような用語は、個人への処置または治療の適用に対する疾患応答の評価を包含する。「予後診断すること」およびその変化形はまた、将来の事前選択された時点での個人における疾患の証拠(EVD)または疾患の証拠がないこと(NED)を予測することを意味し得る。予後診断の日付は、時点1(TP1)と呼ぶことができ、事前選択された将来の時点は、時点2(TP2)と呼ぶことができ、特定の未来の日付または日付範囲、例えば処置後経過観察を含み得る。
「評価する」、「評価すること」、「評価」およびその変化形は、「診断すること」、「処置すること」、「予後診断すること」、および処置された個人における再発を監視することを包含する。TBを「評価すること」は、1)TBを診断すること、すなわち、TBの存在もしくは非存在を最初に検出すること;2)時点1(TP1)において、時点2(TP2)におけるTB処置の未来の転帰、すなわち、TP2がTB治療に従い得ることを予後診断すること;3)TBの見かけの治癒後のTB進行もしくは再発を検出または監視すること(すなわち、「TBの見かけの治癒後の監視」は、彼もしくは彼女がTBの成功裏の処置を受けた後の時点での個人を試験することを意味する)および/または4)潜伏感染から活動性疾患への進行を検出することを含み得る。
「処置」は、本明細書において使用される場合、障害の発症の予防または病状の改変を意図して行われる介入を指す。したがって、「処置」は、治療的および予防または防止的措置の両方を指す。処置を必要とする者は、すでに障害を有する者、および障害が予防されるべき者を含む。TBに対する標準的な処置は、現在、薬物感受性TBの処置においては、イソニアジド、エタンブトールおよびピラジンアミドと組み合わせたリファンピン、または、薬物耐性TBに対しては第2の抗生物質の標準レジメンを含む。
「治療」は、本明細書において使用される場合、障害の発症の予防または病状の改変を意図して行われる介入を指す。「治療」は、病気と闘う特定の薬剤により特定の疾患を標的化する様々な方法を指す。例えば、標的化TB治療は、結核菌の根絶を目的とした抗菌薬または免疫調節薬を含んでもよい。
本明細書において使用される場合、「追加の生物医学情報」は、TBリスクに関連した、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかの使用以外での、個人の1つ以上の評価を指す。「追加の生物医学情報」は、疾患の兆候および症状、個人の身体的記述子;個人の身長および/または体重(BMI);体重の変化;個人の性別および民族性;関連した第2の診断(例えば、肺外または胸膜の関与);追加の合併疾患情報(例えば、HIV、マラリア、悪性腫瘍、肝障害、糖尿病等);現在の処方および非処方薬の使用(例えばTB処方計画および試料採取前に受けた処置の日数、他の薬物治療);タバコ、アルコール、娯楽のための薬物の使用;任意の検査結果(関連した培養結果、すなわち試料中の細菌負荷、培養陽性までの時間、または利用可能な場合は陰性喀痰塗抹結果への培養変換までの時間;利用可能な場合はCXR空洞化範囲);職業歴;家族歴;個人または家族におけるTBのより高いリスクに関連した遺伝子マーカー(複数を含む)の存在;他の臨床症状、例えば持続性の咳、熱、体重減少のいずれかを含む。追加の生物医学情報は、当該技術分野において知られた慣例的技術を使用して個人から、例えば、慣例的な患者アンケートもしくは既往歴アンケート等の使用により個人自身から、または医師等から得ることができる。代替として、追加の生物医学情報は、治験医師、データ収集用紙、面接等から得ることができる。
他の臨床検査を含む任意の追加の生物医学情報の評価と組み合わせたバイオマーカーレベルの試験は、例えば、バイオマーカー試験のみ、または追加の生物医学情報の任意の特定事項の評価のみと比較して、TBの検出(または他のTB関連の用途)の感受性、特異性、および/またはAUCを改善し得る。
「曲線下面積」または「AUC」という用語は、受信者動作特性(ROC)曲線の曲線下面積を指し、これらは共に当該技術分野において周知である。AUCの測定は、完全データ範囲にわたる分類手段の正確性の比較に有用である。より高いAUCを有する分類手段は、対象となる2つの群(例えば、TB試料および正常もしくは対照試料または異なる形態のTB疾患を有する患者からのTB試料(例えば、重度対軽度、肺対肺外疾患))の間の未知なるものを正確に分類する能力がより高い。ROC曲線は、2つの集団(例えば、TBを有する症例およびTBを有さない対照、または処置に失敗した、もしくはTB処置に対する応答が遅い傾向のある者)を区別する上で、特定の特徴(例えば、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれか、および/また処置に対する応答者対非応答者等の追加の生物医学情報の任意の項目)の性能をプロットするために有用である。典型的には、全集団(例えば、症例および対照)にわたる特徴データは、単一の特徴の値に基づいて昇順でソートされる。次いで、その特徴の各値において、そのデータの真陽性および偽陽性率が計算される。真陽性率は、その特徴に対する値を上回る症例の数を計数し、次いで全症例数で除することにより決定される。偽陽性率は、その特徴に対する値を上回る対照の数を計数し、次いで全対照数で除することにより決定される。この定義は、特徴が対照と比較して症例において高いシナリオを指すが、この定義はまた、特徴が対照と比較して症例においてより低いシナリオにも適用される(そのようなシナリオにおいては、その特徴に対する値を下回る試料が計数される)。ROC曲線は、単一の特徴に対して、および他の単一の出力に対して生成されてもよく、例えば、2つ以上の特徴の組み合わせが数学的に結合されて(例えば、加算される、減算される、乗算される等)単一の合計値を生成し、この単一の合計値がROC曲線にプロットされてもよい。さらに、複数の特徴の任意の組み合わせ(組み合わせは単一の出力値を導く)が、ROC曲線にプロットされてもよい。これらの特徴の組み合わせは、試験を含んでもよい。ROC曲線は、試験の偽陽性率(1特異性)に対する試験の真陽性率(感受性)のプロットである。
本明細書において使用される場合、バイオマーカー値に関して「検出する」または「決定する」ことは、バイオマーカー値に対応するシグナルを観察および記録するために必要な機器、ならびにそのシグナルを生成するために必要な材料(複数を含む)の両方の使用を含む。様々な実施形態において、バイオマーカー値は、蛍光、化学発光、表面プラズモン共鳴、表面音響波、質量分析、赤外分光法、ラマン分光法、原子間力顕微鏡、走査トンネル顕微鏡、電気化学検出法、核磁気共鳴、量子ドット等を含む任意の好適な方法を使用して検出される。本明細書において同義的に使用される「検出する」および「決定する」は、共に、生体試料におけるバイオマーカーの存在の特定もしくは観察、および/または、バイオマーカー値の測定を指す。
「固体担体」は、本明細書において、共有または非共有結合により分子が直接的または間接的に結合し得る表面を有する任意の基材を指す。「固体担体」は、様々な物理的形式を有してもよく、これは、例えば、膜;チップ(例えば、タンパク質チップ);スライド(例えば、スライドガラスまたはカバースリップ);カラム;中空、固体、半固体、細孔もしくは空隙含有粒子、例えばビーズ等;ゲル;光ファイバー材料を含む線維;マトリックス;および試料容器を含み得る。例示的な試料容器は、試料ウェル、管、毛細管、バイアル、および試料を保持することができる任意の他の器、溝または刻み目を含む。試料容器は、例えばマイクロタイタープレート、スライド、マイクロ流体デバイス等の複数試料プラットフォームに格納されてもよい。担体は、天然または合成材料、有機または無機材料で構成されてもよい。捕捉試薬が結合する固体担体の組成は、一般に、結合の方法(例えば、共有結合)に依存する。他の例示的な容器は、その中でアッセイおよび関連操作が行われ得る微液滴およびマイクロ流体制御またはバルク油/水型エマルジョンを含む。好適な固体担体は、例えば、プラスチック、樹脂、多糖類、シリカまたはシリカ系材料、機能化ガラス、修飾ケイ素、炭素、金属、無機ガラス、膜、ナイロン、天然繊維(例えば、絹、毛および綿等)、ポリマー等を含む。固体担体を構成する材料は、例えば、捕捉試薬の結合に使用されるカルボキシ、アミノ、またはヒドロキシル基等の反応基を含み得る。ポリマー固体担体は、例えば、ポリスチレン、ポリエチレングリコールテトラフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、(ポリ)テトラフルオロエチレン、(ポリ)フッ化ビニリデン、ポリカーボネート、およびポリメチルペンテンを含み得る。使用され得る好適な固体担体粒子は、例えば、コードされた粒子、例えばLuminex(登録商標)型コード化粒子、磁性粒子、およびガラス粒子を含む。
バイオマーカーの例示的使用
様々な例示的実施形態において、本明細書に記載の分析方法のいずれかを含む任意の数の分析方法により、血清もしくは血漿中等の個人の血液循環中に存在する、あるいは、尿中に分泌もしくは排出された、または痰中に存在する1つ以上のバイオマーカーに対応する1つ以上のバイオマーカー値を検出することにより、個人におけるTBを診断するための方法が提供される。これらのバイオマーカーは、例えば、TBを有さない個人と比較して、TBを有する個人において差次的に発現している。個人におけるバイオマーカーの差次的発現の検出は、例えば、TBの早期診断を可能にするため、一度検出されたTBを処置するため、治療後の個人におけるTBの未来の転帰を予後診断するため、および/または治療後のTB再発を監視して、潜伏感染から活動性疾患に移行し得る者を予測するため、または他の臨床的適応のために使用され得る。
本明細書に記載のバイオマーカーのいずれも、これらに限定されないが、TBの検出(例えば高リスクまたは症状を有する個人または集団);TBの処置、TB予後診断の決定;TBの進行の監視またはTB再発の監視;処置選択の監視;治療薬剤または他の処置に対する応答の監視;バイオマーカー試験と上述の追加の生物医学情報の組み合わせ;および臨床経過観察に関する決断の容易化を含む、TBの様々な臨床的適応において使用され得る。さらに、説明されたバイオマーカーはまた、TBの適応が画像化モダリティもしくは他の臨床的相関により検出される前、または症状が現れる前に、これらの使用のいくつかを可能とする上で有用となり得る。
本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかがTBの診断に使用され得る様式の例として、TBを有することが知られていない個人における説明されたバイオマーカーの1つ以上の差次的発現は、個人がTBを有することを示すことができ、それにより、おそらくはTBが他の手段により検出される前、または症状が現れる前の、処置が最も効果的である疾患の早期段階において、TBの検出を可能とすることができる。TBの経過中のバイオマーカーの1つ以上の「正常」からの増加した差次的発現(いくつかのバイオマーカーは、疾患と共に下方調整され得るため)は、TBの進行を示す(したがって不良な予後診断を示す)ことができ、一方、バイオマーカーの1つ以上が差次的に発現する程度の減少(すなわち、後のバイオマーカー試験において、個人における発現レベルが「正常な」発現レベルに向かう、または近付く)は、TB解消を示す(したがって、良好またはより良好な予後診断を示し、治療に対する陽性応答を示す)ことができる。同様に、TB治療の経過中のバイオマーカーの1つ以上が差次的に発現する程度の増加(すなわち、後のバイオマーカー試験において、個人における発現レベルが「正常な」発現レベルからさらに離れる)は、TBが進行していること、または、薬物耐性TBが存在し、したがって治療が非効果的であることを示し得る、もしくはTB細菌が、患者が治療されている薬物の1つ以上に対して耐性であることの早期指標となることができ、一方、TB治療の経過中のバイオマーカーの1つ以上の差次的発現の減少は、治療に対するTB応答を示すことができ、したがって治療が成功裏に作用していることを示すことができる。さらに、個人が見かけ上TBを治癒された後のバイオマーカーの1つ以上の差次的発現の増加または減少は、TB再発を示し得る。このような状況において、例えば、個人は治療を再開することができる。さらに、個人におけるバイオマーカーの1つ以上の差次的発現レベルは、特定の治療薬剤に対する個人の反応を予測することができる。TB再発または進行の監視において、バイオマーカー発現レベルの変化は、例えば、TB感染状態もしくは負荷を決定する、または治療の変更の必要性を決定するため、または1つの試験計画の別の試験計画に対する優位性を臨床試験医師に知らせるために、反復的なバイオマーカーアッセイまたは画像化の反復の必要性を示すことができる。個人内でバイオマーカーの変化を縦方向に監視することにより、個人的ベースラインが確立され、改変された疾患状態の臨床的な発生の前に明らかとなり得る変化を検出するための高感度の方法が提供される。
本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかの検出は、例えば、処置の成功を評価するため、または、処置後のTB、再発、再活性化、および/もしくは進行を監視するために、TB処置後に、またはそれを併用して特に有用となり得る。TB処置は、例えば、個人への1つ以上の治療薬剤の投与、または当該技術分野において使用される任意の他の種類のTB処置、ならびにこれらの処置の任意の組み合わせを含み得る。例えば、バイオマーカーのいずれも、処置後少なくとも1回検出され得る、または、処置後に(例えば定期的な間隔で)複数回検出され得る、または、処置前および処置後の両方に検出され得る。個人におけるバイオマーカーのいずれかの経時的な差次的発現レベルは、TBの進行、再発または再活性化を示すことができ、その例は、処置前のバイオマーカーの発現レベルと比較した、処置後のバイオマーカーの発現レベルの増加または減少;処置後のより早い時点でのバイオマーカーの発現レベルと比較した、処置後のより遅い時点でのバイオマーカーの発現レベルの増加または減少;および、バイオマーカーの正常レベルと比較した、処置後の単一時点でのバイオマーカーの差次的発現レベルのいずれかを含む。
関連する症状、身体的兆候、微生物学的データまたは画像化データと併せてバイオマーカーレベルを試験することに加えて、バイオマーカーに関する情報もまた、他の種類のデータ、特に、個人のTBのリスクを示すデータ(例えば、体液、TBの原因物質の組織培養物、患者の病歴、疾患のX線写真上の重症度、症状、TBの家族歴、遺伝子マーカー(複数を含む)の存在等のリスク因子、および/または他のバイオマーカーの状態、臨床症状等)と併せて評価され得る。これらの様々なデータは、自動化された方法、例えばコンピュータまたは他の装置/デバイスにおいて具現化され得るコンピュータプログラム/ソフトウェアにより評価され得る。
説明されたバイオマーカーはいずれも、画像化試験において使用されてもよい。例えば、説明されたバイオマーカーのいずれかと造影剤が結合されてもよく、これは、他の用途の中でも、TB診断を補助するため、処置後の転帰を予後診断するため、疾患の進行/回復を監視するため、疾患の再発、再活性化を監視するため、または治療に対する応答を監視するために使用することができる。
バイオマーカーおよびバイオマーカー値の検出および決定
本明細書に記載のバイオマーカーのバイオマーカー値は、様々な既知の分析方法のいずれかを使用して検出され得る。一実施形態において、バイオマーカー値は、捕捉試薬を使用して検出される。本明細書において使用される場合、「捕捉薬剤」または「捕捉試薬」は、バイオマーカーに特異的に結合することができる分子を指す。様々な実施形態において、捕捉試薬は、溶液中のバイオマーカーに暴露されてもよく、または、捕捉試薬が固体担体上に固定化されている間にバイオマーカーに暴露されてもよい。他の実施形態において、捕捉試薬は、固体担体上の第2の特徴と反応性である特徴を含有する。これらの実施形態において、捕捉試薬は、溶液中のバイオマーカーに暴露されてもよく、次いで、捕捉試薬上の特徴が固体担体上の第2の特徴と併せて使用されて、バイオマーカーを固体担体上に固定化してもよい。捕捉試薬は、行われる分析の種類に基づいて選択される。捕捉試薬は、アプタマー、抗体、アドネクチン、アンキリン、他の抗体模倣物および他のタンパク質骨格、自己抗体、キメラ、小分子、F(ab’)2断片、一本鎖抗体断片、Fv断片、一本鎖Fv断片、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、アフィボディ(affybodies)、ナノボディ、インプリントポリマー、アヴィマー(avimers)、ペプチド模倣物、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、および合成受容体、ならびにそれらの修飾および断片を含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、バイオマーカー値は、バイオマーカー/捕捉試薬複合体を使用して検出される。
他の実施形態において、バイオマーカー値は、バイオマーカー/捕捉試薬複合体から得られ、例えば、バイオマーカー/捕捉試薬相互作用に続く反応の結果として間接的に検出されるが、バイオマーカー/捕捉試薬複合体の形成に依存する。
いくつかの実施形態において、バイオマーカー値は、生体試料におけるバイオマーカーから直接検出される。
一実施形態において、バイオマーカーは、生体試料中の2つ以上のバイオマーカーの同時検出を可能とする多重形式を使用して検出される。多重形式の一実施形態において、捕捉試薬は、固体担体上の個別の場所で、直接的または間接的に、共有結合的または非共有結合的に固定化される。別の実施形態において、多重形式は、個別の固体担体を使用し、各固体担体は、例えば量子ドット等、その固体担体に関連した一意の捕捉試薬を有する。別の実施形態において、生体試料中の検出される複数のバイオマーカーのそれぞれ1つの検出のために、個々のデバイスが使用される。個々のデバイスは、生体試料中の各バイオマーカーを同時に処理させるように構成され得る。例えば、プレート内の各ウェルが、生体試料中の検出される複数のバイオマーカーの1つを一意に分析するように使用されるように、マイクロタイタープレートが使用され得る。
上記実施形態の1つ以上において、蛍光タグを使用して、バイオマーカー/捕捉複合体の成分を標識化し、バイオマーカー値の検出を可能にすることができる。様々な実施形態において、蛍光標識は、既知の技術を使用して、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかに特異的な捕捉試薬に複合化することができ、次いで、蛍光標識は、対応するバイオマーカー値を検出するために使用され得る。好適な蛍光標識は、希土類元素キレート、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、アロフィコシアニン、PBXL−3、Qdot 605、リサミン、フィコエリトリン、テキサスレッド、ならびにその他のそのような化合物を含む。
一実施形態において、蛍光標識は、蛍光染料分子である。いくつかの実施形態において、蛍光染料分子は、少なくとも1種の置換インドリウム環系を含み、インドリウム環の3−炭素上の置換基が、化学反応基または複合物質を含有する。いくつかの実施形態において、染料分子は、AlexaFluor分子、例えば、AlexaFluor 488、AlexaFluor 532、AlexaFluor 647、AlexaFluor 680、またはAlexaFluor 700を含む。他の実施形態において、染料分子は、第1の種類および第2の種類の染料分子、例えば2種の異なるAlexaFluor分子等を含む。他の実施形態において、染料分子は、第1の種類および第2の種類の染料分子を含み、2種の染料分子は異なる発光スペクトルを有する。
蛍光は、広範なアッセイ形式に適合する様々な機器で測定され得る。例えば、蛍光光度計は、マイクロタイタープレート、顕微鏡スライド、印刷アレイ、キュベット等を分析するように設計されている(Principles of Fluorescence Spectroscopy,by J.R.Lakowicz,Springer Science + Business Media,Inc.,(2004);Bioluminescence & Chemiluminescence:Progress & Current Applications;Philip E.Stanley and Larry J.Kricka editors,World Scientific Publishing Company,January(2002))。
上記実施形態の1つ以上において、バイオマーカー/捕捉複合体の成分を標識化し、バイオマーカー値の検出を可能とするために、化学発光タグが任意に使用されてもよい。好適な化学発光材料は、塩化オキサリル、Rodamin 6G、Ru(bipy)3 2+、TMAE(テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン)、Pyrogallol(1,2,3−トリヒドロキシベンゼン)、Lucigenin、ペルオキシオキサレート、アリールオキサレート、アクリジニウムエステル、ジオキセタン、およびその他のうちのいずれかを含む。
さらに他の実施形態において、検出方法は、バイオマーカー値に対応する検出可能なシグナルを生成する酵素/基質の組み合わせを含む。一般に、酵素は、分光光度法、蛍光、および化学発光を含む様々な技術を使用して測定され得る発色基質の化学的変質を触媒する。好適な酵素は、例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、リンゴ酸脱水素酵素、ウレアーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ等を含む。
さらに他の実施形態において、検出方法は、測定可能なシグナルを生成する蛍光、化学発光、放射性核種または酵素/基質の組み合わせであってもよい。多様なシグナル伝達は、バイオマーカーアッセイ形式において独特の有利な特性を有し得る。
より具体的には、本明細書に記載のバイオマーカーのバイオマーカー値は、以下で詳細に説明されるように、単一アプタマーアッセイ、多重アプタマーアッセイ、単一または多重免疫測定法、mRNA発現プロファイリング、miRNA発現プロファイリング、質量分析、組織学的/細胞学的方法等を含む、既知の分析方法を使用して検出され得る。
アプタマーベースアッセイを使用したバイオマーカー値の決定
生体試料および他の試料中の生理学的に有意義な分子の検出および定量に関するアッセイは、科学的研究およびヘルスケア分野において重要なツールである。そのようなアッセイの1つのクラスは、固体担体上に固定化された1つ以上のアプタマーを含むマイクロアレイの使用を含む。アプタマーは、それぞれ、極めて特異的に、および非常に高い親和性で標的分子に結合することができる。例えば、「Nucleic Acid Ligands」と題する、米国特許第5,475,096号を参照されたく、また、例えば、それぞれ「Nucleic Acid Ligand Diagnostic Biochip」と題する、米国特許第6,242,246号、米国特許第6,458,543号、および米国特許第6,503,715号を参照されたい。マイクロアレイが試料と接触されると、アプタマーは、試料中のそのそれぞれの標的分子に結合し、それにより、バイオマーカーに対応するバイオマーカー値の決定を可能にする。
本明細書において使用される場合、「アプタマー」は、標的分子に対する特異的結合親和性を有する核酸を指す。親和性相互作用は、程度の問題であることが認識されているが、この文脈において、アプタマーのその標的に対する「特異的結合親和性」は、アプタマーが、一般に試験試料中の他の成分に結合するよりもはるかに高い程度の親和性でその標的に結合することを意味する。「アプタマー」は、特定のヌクレオチド配列を有する核酸分子の1つのタイプまたは種のコピーのセットである。アプタマーは、任意の数の化学修飾されたヌクレオチドを含む任意の好適な数のヌクレオチドを含み得る。「アプタマー」は、そのような分子のセットの2つ以上を指す。異なるアプタマーは、同じまたは異なる数のヌクレオチドを有し得る。アプタマーは、DNAもしくはRNAまたは化学修飾された核酸であってもよく、一本鎖、二本鎖であってもよく、または二本鎖領域を含有してもよく、より高次の構造を含んでもよい。アプタマーは、低オフ速度修飾アプタマーまたはSOMAmer(商標)アプタマーであってもよい。(例えば、米国特許第7,947,447号、名称「A Method for Generating Aptamers with Improved Off−Rates」を参照されたい。)アプタマーはまた、フォトアプタマーであってもよく、光反応性または化学反応性官能基がアプタマー中に含まれ、その対応する標的に共有結合させる。本明細書において開示されるアプタマー法のいずれも、同じ標的分子に特異的に結合する2つ以上のアプタマーを含んでもよい。以下でさらに説明されるように、アプタマーは、タグを含み得る。アプタマーがタグを含む場合、アプタマーの全てのコピーが同じタグを有する必要はない。さらに、異なるアプタマーがそれぞれタグを含む場合、これらの異なるアプタマーは、同じタグまたは異なるタグを有してもよい。
アプタマーは、SELEXプロセスを含む任意の既知の方法を使用して特定され得る。一度特定されたら、アプタマーは、化学合成法および酵素合成法を含む任意の既知の方法に従って調製または合成され得る。
「SELEX」および「SELEXプロセス」という用語は、本明細書において、一般に(1)望ましい様式で標的分子と相互作用する、例えば高い親和性でタンパク質に結合するアプタマーの選択と、(2)それらの選択された核酸の増幅との組み合わせを指すように、同義的に使用される。SELEXプロセスは、特異的な標的またはバイオマーカーへの高い親和性を有するアプタマーを特定するために使用され得る。
SELEXは、一般に、核酸の候補混合物を調製すること、候補混合物を所望の標的分子に結合させ、親和性複合体を形成すること、未結合候補核酸から親和性複合体を分離すること、親和性複合体から核酸を分離および単離すること、核酸を精製すること、ならびに特定のアプタマー配列を特定することを含む。このプロセスは、選択されたアプタマーの親和性をさらに精密化するために複数のラウンドを含んでもよい。プロセスは、プロセスの1つ以上の点で増幅ステップを含んでもよい。例えば、米国特許第5,475,096号、名称「Nucleic Acid Ligands」を参照されたい。SELEXプロセスは、その標的に共有結合するアプタマー、およびその標的に非共有結合的に結合するアプタマーの両方を生成するために使用され得る。例えば、米国特許第5,705,337号、名称「Systematic Evolution of Nucleic Acid Ligands by Exponential Enrichment:Chemi−SELEX」を参照されたい。
SELEXプロセスは、アプタマー上の改善された特性、例えば、改善されたin vivo安定性または改善された送達特性等を付与する修飾されたヌクレオチドを含有する高親和性アプタマーを特定するために使用され得る。そのような修飾の例は、リボースおよび/またはホスフェートおよび/または基底位置における化学置換を含む。修飾されたヌクレオチドを含有するSELEXプロセスで特定されたアプタマーは、米国特許第5,660,985号、名称「High Affinity Nucleic Acid Ligands Containing Modified Nucleotides」に記載されており、これは、ピリミジンの5’−および2’−位置において化学修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドを説明している。米国特許第5,580,737号(上記参照)は、2’−アミノ(2’−NH2)、2’−フルオロ(2’−F)、および/または2’−O−メチル(2’−OMe)で修飾された1つ以上のヌクレオチドを含有する極めて特異的なアプタマーを説明している。また、拡張された物理的および化学的特性を有する核酸ライブラリ、ならびにSELEXおよびphotoSELEXにおけるその使用を説明している、米国特許出願公開第2009/0098549号、名称「SELEX and PHOTOSELEX」を参照されたい。
このアッセイの変形例は、アプタマーが共有結合する、またはその標的分子を「光架橋」することを可能にする光反応性官能基を含むアプタマーを使用する。例えば、米国特許第6,544,776号、名称「Nucleic Acid Ligand Diagnostic Biochip」を参照されたい。これらの光反応性アプタマーは、フォトアプタマーとも呼ばれる。例えば、米国特許第5,763,177号、米国特許第6,001,577号、および米国特許第6,291,184号、それぞれ名称「Systematic Evolution of Nucleic Acid Ligands by Exponential Enrichment: Photoselection of Nucleic Acid Ligands and Solution SELEX」を参照されたく;また、米国特許第6,458,539号、名称「Photoselection of Nucleic Acid Ligands」も参照されたい。マイクロアレイが試料と接触され、フォトアプタマーがその標的分子に結合する機会を得た後、フォトアプタマーが光活性化され、任意の非特異的に結合した分子を除去するために固体担体が洗浄される。フォトアプタマー上の光活性化された官能基(複数を含む)により形成された共有結合のために、フォトアプタマーに結合した標的分子は一般に除去されないため、激しい洗浄条件が使用されてもよい。このようにして、アッセイは、試験試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値の検出を可能にする。
これらのアッセイ形式の両方において、アプタマーは、試料と接触される前に固体担体上に固定化される。しかしながら、ある特定の状況下で、試料との接触前のアプタマーの固定化は、最適なアッセイを提供しない可能性がある。例えば、アプタマーの事前固定化は、固体担体の表面上でのアプタマーと標的分子との非効率的な混合をもたらす可能性があり、恐らくは、長い反応時間、ひいてはその標的分子へのアプタマーの効率的な結合を可能とするためのインキュベーション期間の延長をもたらし得る。さらに、フォトアプタマーがアッセイにおいて使用される場合、および固体担体として使用される材料に依存して、固体担体は、フォトアプタマーとその標的分子との間の共有結合の形成を実現するために使用される光を散乱または吸収する傾向を有し得る。さらに、使用される方法に依存して、固体担体の表面もまた、使用される任意の標識化薬剤に暴露され、またそれにより影響され得るため、そのアプタマーに結合した標的分子の検出は、不正確性の影響を受ける可能性がある。最後に、固体担体上のアプタマーの固定化は、一般に、アプタマーの試料への暴露前のアプタマー調製ステップ(すなわち固定化)を含み、この調製ステップは、アプタマーの活性または官能性に影響し得る。
アプタマーに溶液中のその標的を捕捉させ、次いで検出前にアプタマー−標的混合物の特定の成分を除去するように設計された分離ステップを使用するアプタマーアッセイもまた、説明されている(米国特許第7,947,447号、名称「Multiplexed Analyses of Test Samples」を参照されたい)。説明されたアプタマーアッセイ法は、核酸(すなわちアプタマー)を検出および定量することにより、試験試料中の非核酸標的(例えばタンパク質標的)の検出および定量を可能にする。説明された方法は、非核酸標的の検出および定量のための核酸の代理(すなわちアプタマー)を形成し、したがってこれにより増幅を含む広範な核酸技術が、タンパク質標的を含むより幅広い範囲の所望の標的に適用され得る。
アプタマーは、アプタマーバイオマーカー複合体(またはフォトアプタマーバイオマーカー共有結合複合体)からのアッセイ成分の分離を促進するように、ならびに検出および/または定量のためにアプタマーの単離を可能とするように構築され得る。一実施形態において、これらのコンストラクトは、アプタマー配列内に切断可能または解放可能な要素を含み得る。他の実施形態において、追加の官能性、例えば、標識化もしくは検出可能な成分、スペーサ成分、または特異的結合タグもしくは固定化要素がアプタマーに導入されてもよい。例えば、アプタマーは、切断可能な部分、標識、標識を分離するスペーサ成分、および切断可能な部分を介してアプタマーに接続されたタグを含んでもよい。一実施形態において、切断可能な要素は、光切断可能なリンカーである。光切断可能なリンカーは、ビオチン部分およびスペーサセクションに結合してもよく、アミンの誘導体化のためのNHS基を含んでもよく、アプタマーにビオチン基を導入するために使用されてもよく、それにより、アッセイ方法の後の部分でアプタマーの解放を可能とし得る。
溶液中の全てのアッセイ成分と共に行われる均質アッセイは、シグナルの検出前に試料および試薬の分離を必要としない。これらの方法は、迅速で使用が容易である。これらの方法は、その特異的標的と反応する分子捕捉または結合試薬に基づいてシグナルを生成する。TBの場合、分子捕捉試薬は、アプタマーまたは抗体等であり、特異的標的は、表2または8から12のTBバイオマーカーである。
一実施形態において、シグナル生成のための方法は、フルオロフォア標識化捕捉試薬のその特異的バイオマーカー標的との相互作用による異方性シグナル変化を利用する。標識化捕捉因子がその標的と反応すると、増加した分子量が、複合体に結合したフルオロフォアの回転運動をもたらし、異方性値をはるかに遅く変化させるようになる。異方性変化を監視することにより、結合イベントを使用して、溶液中のバイオマーカーを定量的に測定することができる。他の方法は、蛍光偏光アッセイ、分子指標法、時間分解蛍光消光、化学発光、蛍光共鳴エネルギー移動等を含む。
生体試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を検出するために使用され得る例示的な溶液ベースアプタマーアッセイは、(a)第1のタグを含み、バイオマーカーに対する特異的親和性を有するアプタマーに生体試料を接触させることにより、混合物を調製することであって、アプタマー親和性複合体は、試料中にバイオマーカーが存在する場合に形成される、調製することと;(b)第1の捕捉要素を含む第1の固体担体に、混合物を暴露し、第1のタグを第1の捕捉要素に関連させることと;(c)第1の固体担体に関連していない混合物の任意の成分を除去することと;(d)アプタマー親和性複合体のバイオマーカー成分に第2のタグを結合させることと;(e)第1の固体担体からアプタマー親和性複合体を解放させることと;(f)解放されたアプタマー親和性複合体を、第2の捕捉要素に関連した第2の固体担体に暴露し、第2のタグを第2の捕捉要素に関連させることと;(g)アプタマー親和性複合体から非複合化アプタマーを分配することにより、混合物から任意の非複合化アプタマーを除去することと;(h)固体担体からアプタマーを溶出することと;(i)アプタマー親和性複合体のアプタマー成分を検出することにより、バイオマーカーを検出することとを含む。
SELEXはまた、所望のオフ速度特性を有するアプタマーを特定するために使用され得る。標的分子に結合し得るアプタマーを生成するための改善されたSELEX法を説明している米国特許第7,947,447号、名称「Method for Generating Aptamers with Improved Off−Rates」を参照されたい。それぞれの標的分子からのより遅い解離速度を有するアプタマーおよびフォトアプタマー(本明細書においてSOMAmer(商標)アプタマーとも呼ばれる)が説明されている。その方法は、候補混合物を標的分子と接触させることと、核酸−標的複合体の形成を生じさせることと、低オフ速度濃縮プロセスを行うこととを含み、速い解離速度を有する核酸標的複合体は、解離して再形成せず、一方遅い解離速度を有する複合体は、無傷のままとなる。さらに、方法は、改善されたオフ速度性能を有するアプタマーを生成するための、候補核酸混合物の生成における修飾されたヌクレオチドの使用を含む。
診断用途でのその使用に関して、低オフ速度アプタマーを含むアプタマーは、より低い分子量、より高い多重化能力(低い交差反応性、普遍的に適用可能なアッセイ条件)、化学安定性(熱、乾燥、および溶媒に対するもの、可逆的な再生)、試薬製造の容易性、一貫したロット間性能およびより低いコスト(完全合成)を含む、抗体に勝るいくつかの利点を有する。それらは、室温で、生理化学的条件の範囲にわたり安定である。
当該技術分野において知られた任意の手段を使用して、アプタマー親和性複合体のアプタマー成分を検出することによりバイオマーカー値を検出することができる。いくつかの異なる検出方法、例えばハイブリダイゼーションアッセイ、質量分析、またはQPCR等が、親和性複合体のアプタマー成分を検出するために使用され得る。いくつかの実施形態において、核酸配列決定法を使用して、アプタマー親和性複合体のアプタマー成分を検出し、それによりバイオマーカー値を検出することができる。簡潔に述べると、試験試料は、試験試料中に存在する1つ以上のアプタマーの配列(複数を含む)を特定および定量するために、任意の種類の核酸配列決定法に供することができる。
いくつかの実施形態において、配列は、アプタマー分子全体、または、分子を一意に特定するために使用され得る分子の任意の部分を含む。他の実施形態において、特定する配列決定は、アプタマーに付加される特定の配列であり、そのような配列は、しばじば「タグ」、「バーコード」、または「ジップコード」と呼ばれる。
いくつかの実施形態において、配列決定法は、アプタマー配列を増幅させるため、または、任意の位置への化学修飾を含有するRNAおよびDNAを含む任意の種類の核酸を、配列決定に適切な任意の他の種類の核酸に変換するための、酵素的ステップを含む。
いくつかの実施形態において、配列決定法は、1つ以上のクローニングステップを含む。他の実施形態において、配列決定法は、クローニングなしでの直接配列決定法を含む。
いくつかの実施形態において、配列決定法は、試験試料中の1つ以上のアプタマーを標的化する特異的プライマーを用いた方向性のあるアプローチを含む。他の実施形態において、配列決定法は、試験試料中の全てのアプタマーを標的化する強制的アプローチを含む。
いくつかの実施形態において、配列決定法は、配列決定のために標的化された分子を増幅する酵素的ステップを含む。他の実施形態において、配列決定法は、単一分子を直接配列決定する。
生体試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を検出するために使用され得る例示的な核酸配列決定ベースの方法は、(a)化学修飾されたヌクレオチドを含有するアプタマーの混合物を、酵素的ステップにより非修飾核酸に変換することと;(b)得られた非修飾核酸を、例えば454 Sequencing System(454 Life Sciences/Roche)、Illumina Sequencing System(Illumina)、ABI SOLiD SequencingSystem(Applied Biosystems)、HeliScope Single Molecule Sequencer(Helicos Biosciences)、またはPacific Biosciences Real Time Single−Molecule Sequencing System(Pacific BioSciences)もしくはPolonator G Sequencing System(Dover Systems)等の大量並行配列決定プラットフォームを用いて強制配列決定することと;(c)特異的配列および配列カウントにより混合物中に存在するアプタマーを特定および定量することとを含む。
免疫測定法を使用したバイオマーカー値の決定
免疫測定法は、抗体のその対応する標的または分析物との反応に基づき、特定のアッセイ形式に依存して試料中の分析物を検出することができる。免疫反応性に基づいてアッセイ方法の特異性および感度を改善するために、その特異的エピトープ認識という理由により、モノクローナル抗体がしばしば使用される。ポリクローナル抗体もまた、モノクローナル抗体と比較したその標的に対する増加した親和性により、様々な免疫測定法において成功裏に使用されている。免疫測定法は、広範な生体試料マトリックスとの使用のために設計されている。免疫測定形式は、定性的、半定量的、および定量的な結果を提供するように設計されている。
定量的結果は、検出される既知の濃度の特異的分析物により作成される標準曲線の使用により生成される。未知試料からの反応またはシグナルが標準曲線上にプロットされ、未知試料中の標的に対応する量または値が確立される。
数多くの免疫測定形式が設計されている。ELISAまたはEIAは、分析物の検出に関して定量的となり得る。この方法は、分析物または抗体のいずれかに対する標識の結合に依存し、標識成分は、直接的または間接的に酵素を含む。ELISA試験は、分析物の直接的、間接的、競合的、またはサンドイッチ検出用の形式にされ得る。他の方法は、例えば、放射性同位体(I125)または蛍光等の標識に依存する。追加的な技術は、例えば、凝集、ネフェロメトリー、比濁法、ウェスタンブロット、免疫沈降法、免疫細胞化学、免疫組織化学、フローサイトメトリー、Luminexアッセイ、およびその他(ImmunoAssay:A Practical Guide、Brian Law編、Taylor & Francis,Ltd発行、2005年版を参照されたい)を含む。
例示的なアッセイ形式は、酵素免疫測定法(ELISA)、放射免疫測定法、蛍光、化学発光、および蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)または時間分解FRET(TR−FRET)免疫測定法を含む。バイオマーカーを検出するための手順の例は、サイズおよびペプチドレベル識別を可能とする、バイオマーカー免疫沈降法に続く定量法、例えばゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、平面電気クロマトグラフィー等を含む。
検出可能な標識またはシグナル生成材料を検出および/または定量する方法は、標識の性質に依存する。適切な酵素により触媒される反応の生成物は(検出可能な標識が酵素である場合;上記参照)、限定されることなく、蛍光性、発光性もしくは放射性であってもよく、または、可視光または紫外光を吸収してもよい。そのような検出可能な標識を検出するために好適な検出器の例は、限定されることなく、x線フィルム、放射能カウンタ、シンチレーションカウンタ、分光光度計、比色計、蛍光光度計、照度計、および密度計を含む。
検出のための方法のいずれも、任意の好適な調製、処理、および反応の分析を可能とする任意の形式で行うことができる。これは、例えば、マルチウェルアッセイプレート(例えば、96ウェルもしくは384ウェル)内であってもよく、または、任意の好適なアレイもしくはマイクロアレイを使用してもよい。各種薬剤の原液は、手作業で、またはロボット操作により作製されてもよく、その後の全てのピペット操作、希釈、混合、分配、洗浄、インキュベーション、試料読出し、データ収集および分析は、市販の分析ソフトウェア、ロボット工学、および検出可能な標識を検出することができる検出機器を使用して、ロボット操作により行うことができる。
遺伝子発現プロファイリングを使用したバイオマーカー値の決定
生体試料中のmRNAの測定を、生体試料中の対応するタンパク質のレベルの検出の代理手段として使用することができる。したがって、本明細書に記載のバイオマーカーまたはバイオマーカーパネルはまた、適切なRNAを検出することにより検出され得る。
mRNA 発現レベルは、逆転写定量的ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCRに続くqPCR)により測定される。RT−PCRは、mRNAからcDNAを形成するために使用される。cDNAは、DNA増幅プロセスが進行するにつれて蛍光を生成するために、qPCRアッセイにおいて使用される。標準曲線との比較により、qPCRは、細胞当たりのmRNAのコピー数等の絶対測定を生成し得る。ノーザンブロット、マイクロアレイ、インベーダーアッセイ、およびキャピラリー電気泳動と組み合わせたRT−PCRは、全て、試料中のmRNAの発現レベルを測定するために使用されている。Gene Expression Profiling:Methods and Protocols,Richard A.Shimkets,editor,Humana Press,2004を参照されたい。
miRNA分子は、非コードであるが遺伝子発現を制御し得る小RNAである。また、mRNA発現レベルの測定に好適な方法のいずれも、対応するmiRNAに使用され得る。近年、多くの研究室が疾患のバイオマーカーとしてのmiRNAの使用を調査している。多くの疾患には、広範な転写調節が関与し、miRNAのバイオマーカーとしての役割が見出され得ることは驚くべきことではない。miRNA濃度と疾患との間のつながりは、多くの場合、タンパク質レベルと疾患との間のつながりよりも不明瞭であるが、miRNAバイオマーカーの価値は実質的となり得る。当然ながら、疾患の間差次的に発現した任意のRNAと同様に、in vitro診断製品の開発が直面している問題としては、疾患細胞においてmiRNAが存続し、分析のために容易に抽出されること、または、miRNAが血液もしくは他のマトリックス中に放出され、測定されるために十分長期間存続しなければならないことの要件が含まれる。タンパク質バイオマーカーは、同様の要件を有するが、多くの潜在的タンパク質バイオマーカーは、疾患の間中、傍分泌形式で病変および機能の部位において意図的に分泌される。多くの潜在的タンパク質バイオマーカーは、その中でそれらのタンパク質が合成される細胞の外で機能するように設計される。
In Vivo分子画像化技術を使用したバイオマーカーの検出
また、説明されたバイオマーカー(表1、2、4、5および8から12を参照されたい)のいずれも、分子画像化試験において使用され得る。例えば、造影剤は、説明されたバイオマーカーのいずれかに結合することができ、これは、他の用途の中でも、TB診断、予後診断を補助するため、疾患の進行を監視するため、疾患の再発を監視するため、または、治療に対する応答を監視するために使用され得る。
In vivo画像化技術は、個人の身体における特定の疾患の状態を決定するための非侵襲的方法を提供する。例えば、身体の部分の全体、またはさらに全身を、3次元画像として見ることができ、それにより、身体内の形態および構造に関連する貴重な情報を提供することができる。そのような技術は、本明細書に記載のバイオマーカーの検出と組み合わせて、TB状態に関する情報、特に個人のTB状態を提供することができる。
in vivo分子画像化技術の使用は、技術における様々な進歩により拡大している。これらの進歩には、体内で強力なシグナルを提供し得る、新たな造影剤または標識、例えば放射線標識および/もしくは蛍光標識の開発;ならびに、有用な情報を提供するのに十分な感度および正確性をもって身体外からこれらのシグナルを検出および分析することができる、強力な新画像化技術の開発が含まれる。造影剤は、適切な画像化システムにおいて可視化され、それにより、造影剤が位置する身体の部分(複数を含む)の画像が提供され得る。造影剤は、例えばアプタマーもしくは抗体等の捕捉試薬、ならびに/あるいはペプチドもしくはタンパク質、またはオリゴヌクレオチド(例えば、遺伝子発現の検出用)、または1つ以上の巨大分子および/もしくは他の粒子形態を有するそれらのいずれかを含有する複合体と、結合または関連することができる。
造影剤はまた、画像化に有用な放射性原子を特徴とし得る。好適な放射性原子は、シンチグラフ検査用のテクネチウム−99mまたはヨウ素−123を含む。他の容易に検出可能な部分は、例えば、磁気共鳴画像化(MRI)用のスピン標識、例えば、再びヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガンまたは鉄等を含む。そのような標識は、当該技術分野において周知であり、当業者により容易に選択され得る。
標準的画像化技術は、限定されないが、核磁気共鳴画像化、造影腹腔内または経膣超音波、コンピュータ断層撮影(CT)走査、ポジトロン放出断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)等を含む。診断in vivo画像化では、利用可能な検出機器の種類が、所与の放射性核種等の所与の造影剤、および標的(タンパク質、mRNA等)に使用される特定のバイオマーカーの選択における主要な要因である。選択される放射性核種は、典型的には、所与の種類の機器により検出可能な崩壊の種類を有する。さらに、in vivo診断のために放射性核種を選択する場合、その半減期は、標的組織による最大取り込みの時間において検出を可能とするのに十分長いが、宿主の有害な放射が最小限化となるのに十分短くなるべきである。
例示的な画像化技術は、これらに限定されないが、PETおよびSPECTを含み、これらは、放射性核種が合成的または局所的に個人に投与される画像化技術である。放射性追跡子のその後の取り込みが経時的に測定され、標的化組織およびバイオマーカーに関する情報を得るために使用される。使用される特定の同位体の高エネルギー(ガンマ線)放出、ならびにそれらを検出するために使用される機器の感度および精巧さのため、身体の外からの放射能の2次元分布が推測され得る。
PETにおいて一般的に使用されるポジトロン放出各種は、例えば、炭素−11、窒素−13、酸素−15、およびフッ素−18を含む。電子捕捉および/またはガンマ放出により崩壊する同位体は、SPECTにおいて使用され、例えば、ヨウ素−123およびテクネチウム−99mを含む。テクネチウム−99mでアミノ酸を標識化するための例示的方法は、不安定なテクネチウム−99m−前駆体複合体を形成するための、キレート前駆体の存在下での過テクネチウム酸塩の還元であり、次いでこの複合体は、二官能性修飾走化性ペプチドの金属結合基と反応し、テクネチウム−99m−走化性ペプチド複合体を形成する。
そのようなin vivo画像化診断法には抗体がしばしば使用される。in vivo診断のための抗体の調製および使用は、当該技術分野において周知である。表2および8から12中のバイオマーカーのいずれかに特異的に結合する標識化抗体は、個人の疾患状況を診断または評価することを目的として、使用される特定のバイオマーカーにより検出可能なある特定の種類の疾患(例えば、TB)を有することが疑われる個人に注射され得る。使用される標識は、前述のように、使用される画像診断法に従って選択される。器官または組織内の標識の量もまた、器官または組織内の疾患の存在または非存在の決定を可能にする。
同様に、アプタマーは、そのようなin vivo画像診断法に使用され得る。例えば、表2および8から12に記載の特定のバイオマーカーを特定するために使用された(したがってその特定のバイオマーカーに特異的に結合する)アプタマーは、個人のTB状態を診断または評価することを目的として、適切に標識化され、特定のバイオマーカーにより検出可能なTBを有することが疑われる個人に注射され得る。使用される標識は、前述のように、使用される画像診断法に従って選択される。器官または組織内の標識の量もまた、器官または組織内のTBの存在または非存在の決定を可能にする。アプタマーを対象とした造影剤は、組織透過性、組織分布、動態学、排除、効力、および選択性に関連する、他の造影剤と比較して独特の有利な特性を有し得る。
そのような技術はまた、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた画像化による遺伝子発現の検出のため、標識化オリゴヌクレオチドを使用して任意に行われてもよい。これらの方法は、例えば、標識として蛍光分子または放射性核種を用いて、in situハイブリダイゼーションに使用される。遺伝子発現の検出のための他の方法は、例えば、レポーター遺伝子の活性の検出を含む。
別の一般的な種類の画像化技術は、光学的画像化であり、対象内の蛍光シグナルが、対象の外にある光学デバイスにより検出される。これらのシグナルは、実際の蛍光および/または生物発光によるものであってもよい。光学的検出デバイスの感度の改善は、in vivo診断アッセイのための光学的画像化の有用性を増加させている。
臨床試験等において、例えば、新たな疾患治療のための臨床試験においてより迅速に臨床的有効性を測定するために、および/またはそれらの疾患、例えば多発性硬化症のためのプラセボによる長期的処置を回避するために(そのような長期的処置は倫理的に問題があると見なされ得る)、in vivo分子バイオマーカー画像化の使用が増加している。
他の技術の考察に関しては、N.Blow,Nature Methods,6,465−469,2009を参照されたい。
組織学的または細胞学的方法を使用したバイオマーカー値の決定
TBの評価のために、様々な組織および体液試料が、組織学的または細胞学的方法において使用され得る。試料選択は、疾患の場所および試料の入手可能性に依存する。例えば、痰採取、微細針吸引、カッティング針、コア生検、および切除、サンプリングまたは生検された感染体液または組織を、組織学試験に使用することができる。TB EVDを有する個人において上方調整されることが示された、本明細書において特定されるバイオマーカーのいずれも、疾患の指標として組織学的検体を染色するために使用され得る。
一実施形態において、対応するバイオマーカーに特異的な1種以上の捕捉試薬が、TB試料の細胞学的評価において使用され、痰もしくは他の体液または組織細胞試料を採取すること、細胞試料を固定すること、脱水すること、清浄化すること、顕微鏡スライド上に細胞試料を固定化すること、細胞試料を透過化すること、分析物回復のために処理すること、染色すること、脱染色すること、洗浄すること、ブロックすること、および緩衝液中で1種以上の捕捉試薬と反応させることのうちの1つ以上を含み得る。別の実施形態において、細胞試料は、細胞ブロックから生成される。
別の実施形態において、対応するバイオマーカーに特異的な1種以上の捕捉試薬が、TB組織試料の組織学的評価において使用され、組織検体を採取すること、組織試料を固定すること、脱水すること、清浄化すること、顕微鏡スライド上に組織試料を固定化すること、組織試料を透過化すること、分析物回復のために処理すること、染色すること、脱染色すること、洗浄すること、ブロックすること、水分補給すること、および緩衝液中で捕捉試薬と反応させることの1つ以上を含み得る。別の実施形態において、固定すること、および脱水することは、凍結することと置き換えられる。
別の実施形態において、対応するバイオマーカーに特異的な1つ以上のアプタマーを、組織学的または細胞学的試料と反応させ、核酸増幅法における核酸標的として機能させることができる。好適な核酸増幅法は、例えば、PCR、q−ベータレプリカーゼ、ローリングサークル増幅、鎖置換、ヘリカーゼ依存性増幅、ループ媒介性等温増幅、リガーゼ鎖反応、ならびに制限および環化補助ローリングサークル増幅を含む。
一実施形態において、組織学的または細胞学的評価における使用のための対応するバイオマーカーに特異的な1種以上の捕捉試薬が、遮断物質、競合物質、洗浄剤、安定剤、担体核酸、ポリアニオン物質等のいずれをも含み得る緩衝溶液中に混合される。
「細胞学プロトコル」は、一般に、試料採取、試料固定、試料固定化、および染色を含む。「細胞調製」は、調製された細胞の染色のための1つ以上の低オフ速度アプタマーの使用を含む、試料採取後のいくつかの処理ステップを含み得る。
試料採取は、処理されていない移送容器内に試料を直接入れること、ある種の媒体を含有する移送容器内に試料を入れること、またはいかなる処理もしくは固定も行わずに試料を直接スライド上に設置すること(固定化)を含み得る。
試料固定化は、採取された検体の一部をポリリシン、ゼラチン、またはシランで処理されたスライドガラスに塗布することにより改善され得る。スライドは、細胞の薄い均一な層をスライドに塗ることにより調製され得る。一般に、機械的変形および乾燥アーチファクトを最小限化するように注意される。細胞ブロック法においては、液体検体を処理することができる。代替として、室温で約10分間、液体検体を1:1で固定液と混合することができる。
細胞ブロックは、残留浸出物、痰、尿沈渣、胃腸液、細胞剥離物、腹水、または微細針吸引から調製され得る。細胞は、遠心分離または膜濾過により濃縮または充填される。細胞ブロック調製のためのいくつかの方法が開発されている。代表的な手順は、固定沈渣、細菌寒天、または膜濾過法を含む。固定沈渣法においては、細胞沈渣を、Bouins、ピクリン酸、または緩衝ホルマリン等の固定剤と混合し、次いで混合物を遠心分離して固定細胞をペレット化する。上澄みを除去し、可能な限り完全に細胞ペレットを乾燥させる。ペレットを回収し、レンズペーパーで包み、次いで組織カセット内に設置する。組織カセットを、追加の固定剤を有する瓶内に入れ、組織試料として処理する。寒天法は、非常に類似しているが、ペレットが除去され、ペーパータオル上で乾燥され、次いで半分に切断される。切断面をスライドガラス上の溶融寒天の滴に設置し、次いで、寒天内に気泡が形成しないようにしながら、ペレットを寒天で被覆する。寒天を硬化させ、次いで任意の過剰の寒天を切り取る。これを組織カセット内に設置し、組織プロセスが完了する。代替として、ペレットを65℃の2%液体寒天中に直接懸濁させ、試料を遠心分離してもよい。寒天細胞ペレットを4℃で1時間固化させる。固体寒天を遠心管から除去し、半分にスライスすることができる。寒天を濾紙で包み、次いで組織カセットに入れる。この時点以降の処理は、上述の通りである。任意のこれらの手順において、遠心分離は、膜濾過と置き換えることができる。これらのプロセスのいずれも、「細胞ブロック試料」を生成するために使用され得る。
細胞ブロックは、Lowicryl樹脂、LR White、LR Gold、Unicryl、およびMonoStepを含む特別な樹脂を使用して調製され得る。これらの樹脂は、低粘度を有し、低温で紫外(UV)光を用いて重合され得る。包埋プロセスは、脱水中の試料の漸進的冷却、樹脂への試料の移動、および、適切なUV波長での最終的な低温度でのブロックの重合に依存する。
細胞ブロック切片は、細胞形態学的検査のためにヘマトキシリン−エオシンで染色することができ、一方、追加の切片が、特異的マーカーの検査に使用される。
プロセスが細胞学的であるかまたは組織学的であるかに関わらず、試料は、試料分解を防止するために追加的処理の前に固定され得る。このプロセスは、「固定」と呼ばれ、同義的に使用され得る広範な材料および手順を説明する。試料固定プロトコルおよび試薬は、検出される標的および分析される特定の細胞/組織型に基づいて実験的に最も良く選択される。試料固定は、エタノール、ポリエチレングリコール、メタノール、ホルマリンまたはイソプロパノール等の試薬に依存する。試料は、採取およびスライドへの付着後可能な限り速やかに固定されるべきである。しかしながら、選択される固定剤は、様々な分子標的に構造的変化を導入し、それらのその後の検出をより困難なものにする可能性がある。固定および固定化プロセス、ならびにそれらの順番は、細胞の外見を変化させる可能性があり、これらの変化は、細胞検査技師により予測および認識されなければならない。固定剤は、ある特定の細胞型の収縮をもたらし、細胞質を粒状または網状に見せる可能性がある。多くの固定剤は、細胞成分の架橋により機能する。これは、特定のエピトープを損傷または改質し、新たなエピトープを生成し、分子集合をもたらし、膜透過性を低減し得る。ホルマリン固定は、最も一般的な細胞学的および組織学的アプローチの1つである。ホルマリンは、隣接タンパク質の間、またはタンパク質内でメチル架橋を形成する。沈殿または凝集もまた固定に使用され、この種の固定においてはエタノールが頻繁に使用される。架橋および沈殿の組み合わせもまた、固定に使用され得る。強力な固定プロセスは、形態学的情報を保存するのに最善であり、一方より弱い固定プロセスは、分子の保存に最善である。しかしながら、悪性のヒト型結核菌は、バイオセーフティレベル3の微生物であることを考慮して、エアロゾル生成のリスクを有するいかなる処理も、実験室スタッフへの偶発的な暴露を防止するために、除染効率が確実とされるべきである。
代表的固定剤は、50%の無水エタノール、2mMのポリエチレングリコール(PEG)、1.85%のホルムアルデヒドである。この製剤に関する変形例は、エタノール(50%から95%)、メタノール(20%〜50%)、およびホルマリン(ホルムアルデヒド)のみを含む。別の一般的な固定剤は、2%のPEG1500、50%のエタノール、および3%のメタノールである。スライドは、室温で約10から15分間固定剤に入れられ、次いで取り出されて乾燥される。スライドが固定されたら、PBS等の緩衝溶液で濯ぐことができる。
細胞、細胞内、および組織の特徴または形態学的構造を差次的に強調および対比させる、または「染色」するために、広範な染料を使用することができる。核を青色または黒色に染色するために、ヘマトイリンが使用される。Orange G−6およびEosin Azureは、共に細胞の細胞質を染色する。Orange Gは、ケラチンおよびグリコーゲン含有細胞を黄色に染色する。Eosin Yは、核小体、繊毛、赤血球、および表面の扁平上皮細胞を染色するために使用される。Romanowsky染料は、空気乾燥スライドに使用され、多形性の向上および細胞質内物質からの細胞外物質の区別において有用である。
染色プロセスは、染料に対する細胞の透過性を増加させるための処理を含み得る。透過性を増加させるために、洗浄剤による細胞の処理を使用することができる。細胞および組織透過性を増加させるために、固定試料をさらに溶媒、サポニン、または非イオン性洗浄剤でさらに処理してもよい。また、酵素消化は、組織試料中の特定の標的の接近性を改善することができる。
染色後、試料は、アルコール濃度を増加させながらアルコールで連続的に濯ぐことにより脱水される。最終洗浄は、スライドに適用されるカバースリップの屈折率に近い屈折率を有する、キシレンまたはシトラステルペン等のキシレン代替物により行われる。この最終ステップは、清浄化と呼ばれる。試料が脱水および清浄化されたら、封入剤が適用される。封入剤は、ガラスに近い屈折率を有するように選択され、カバースリップをスライドに接着することができる。また、細胞試料の追加的な乾燥、収縮、または退色を阻害する。
使用される染料または処理とは無関係に、腎臓の細胞学的検体の最終的評価は、形態の目視検査およびマーカーの存在または非存在の決定を可能とするように、ある種の顕微鏡法により行われる。例示的な顕微鏡法は、明視野、位相差、蛍光、および微分干渉コントラストを含む。
検査後に試料に対し二次試験が必要である場合、カバースリップを取り外してスライドを脱染色してもよい。脱染色は、元々スライドの染色において使用された元の溶媒系を、染料の追加なしで、および元の染色手順と逆の手順で使用することを含む。脱染色はまた、スライドを酸アルコール中に細胞が無色となるまで含浸することにより完了され得る。無色となったら、スライドを水浴中で十分濯ぎ、第2の染色手順を適用する。
さらに、抗体または核酸プローブまたはアプタマー等の特定の分子試薬の使用により、細胞形態分析と併せて特定の分子差別化も可能となり得る。これは、診断細胞学の正確性を改善する。顕微解剖を使用して、さらなる評価のため、特に、異常染色体、遺伝子発現、または突然変異の遺伝子評価のために、細胞のサブセットを単離することができる。
組織学的評価のための組織試料の調製は、消毒、固定、脱水、浸潤、包埋、および切片化を含む。組織学において使用される固定試薬は、細胞学において使用されるものと非常に類似または同一であり、個々のタンパク質等の分子的特徴を犠牲にして、形態学的特徴を保存するという同じ問題を有する。組織試料が固定および脱水されないが、代わりに凍結され、次いで凍結中に切片化されれば、時間が節約され得る。これはより穏やかな処理手順であり、個々のマーカーをより多く保存することができる。しかしながら、凍結は、氷の結晶の導入に起因して細胞内の情報が失われるため、組織試料の長期保存には許容されない。また、凍結組織試料中の氷により、切片化プロセスは非常に薄いスライスを生成することができず、したがってある程度の微視的解像度および細胞内構造の画像化が失われる可能性がある。ホルマリン固定に加え、リン脂質(膜)を固定および染色するために、四酸化オスミウムが使用される。
組織または痰もしくは他の液体の脱水は、増加するアルコール濃度での連続的洗浄により達成される。清浄化は、アルコールおよび包埋材料と混和性の材料を使用し、50:50アルコール清浄化試薬で開始し、次いで100%清浄化剤(キシレンまたはキシレン代替物)での段階的プロセスを含む。浸潤は、最初に50:50包埋剤:清浄化剤および100%包埋剤で、液体形態の包埋剤(温かいろう、ニトロセルロース溶液)と共に組織をインキュベートすることを含む。包埋は、組織を型またはカセット内に設置し、ろう、寒天、またはゼラチン等の溶融した包埋剤を充填することにより完了する。包埋剤を硬化させる。次いで、硬化した組織試料は、染色およびその後の検査のために薄い切片にスライスされ得る。
染色前、組織切片を脱ろうし、水分補給する。切片を脱ろうするためにキシレンが使用され、キシレンの1回以上の交換が使用されてもよく、組織は、減少する濃度のアルコール中での連続的洗浄により水分補給される。脱ろうの前、組織切片をガラススライドに約80℃で約20分間熱固定化してもよい。
レーザキャプチャーマイクロダイセクションは、さらなる分析のために、細胞のサブセットの組織切片からの分離を可能にする。
細胞学の場合のように、微視的特徴の可視化を向上させるために、組織切片またはブロックまたはスライスは、様々な染料で染色することができる。膨大な種類の市販の染料を使用して、特定の特徴を向上または特定することができる。
分子試薬の細胞学的または組織学的試料との相互作用をさらに増加させるために、「分析物回復」のためのいくつかの技術が開発されている。第1のそのような技術は、固定試料の高温加熱を使用する。この方法はまた、加熱エピトープ回復法またはHIERとも呼ばれる。蒸気加熱、マイクロ波照射、オートクレーブ処理、水浴、圧力処理またはそれらの加熱方法の組み合わせを含む、様々な加熱技術が使用されている。分析物回復溶液は、例えば、水、クエン酸塩、および緩衝生理食塩水を含む。分析物回復の鍵は、高温での時間であるが、より低い温度でより長期間もまた成功裏に使用されている。分析物回復の別の鍵は、加熱溶液のpHである。低pHは、最善の免疫染色を提供することが判明しているが、陰性対照とし第2の組織切片の使用をしばしば必要とする背景も生じる。最も一貫した利益(背景の増加を伴わない増加した免疫染色)は、一般に、緩衝液組成に関わらず高いpH溶液により得られる。特定の標的のための分析物回復プロセスは、プロセス最適化のための変数として熱、時間、pH、および緩衝液組成を使用して、標的に合わせ実験的に最適化される。マイクロ波分析物回復法の使用は、抗体試薬による異なる標的の連続染色を可能とする。しかしながら、染色ステップ間の抗体および酵素の複合体を達成するために必要な時間もまた、細胞膜分析物を劣化させることが示されている。マイクロ波加熱法は、in situハイブリダイゼーション法もまた改善させている。
分析物回復プロセスを開始するために、まず切片を脱ろうし、水和させる。次いで、スライドを、皿または瓶内の10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液pH6.0中に入れる。代表的な手順は、1100Wマイクロ波を使用し、100%出力で2分間マイクロ波照射し、続いてスライドが液体中にカバーされていることを確認した後、20%出力で18分間スライドをマイクロ波照射する。次いで、カバーのない容器内でスライドを冷却し、次いで蒸留水で濯ぐ。HIERは、免疫化学試薬への標的の反応性を改善するために、酵素消化と組み合わせて使用されてもよい。
1つのそのような酵素消化プロトコルは、プロテイナーゼKを使用する。プロテイナーゼKの20μg/ml濃度は、50mMトリス塩基、1mM EDTA、0.5%Triton X−100、pH8.0緩衝液中で調製される。そのプロセスは、まず、それぞれ5分間の2回交換によるキシレン中での脱ろうを含む。次いで、試料を、それぞれ3分間の2回交換により100%エタノール中で水和させ、それぞれ1分間95%および80%エタノール中で水和させ、次いで蒸留水中で濯ぐ。切片をプロテイナーゼK希釈標準溶液で覆い、加湿チャンバ内で37℃で10〜20分間インキュベートする(最適なインキュベーション時間は、組織型および固定の程度に依存して変動し得る)。切片を室温で10分間冷却し、次いで、PBS Tween 20中で2×2分間濯ぐ。所望により、切片をブロックして、内因性化合物および酵素からの緩衝の可能性を排除することができる。次いで、切片を、1次抗体希釈緩衝液中、適切な希釈率で、室温で1時間または4℃で一晩、1次抗体と共にインキュベートする。次いで、切片をPBS Tween 20で2×2分間濯ぐ。特定の用途において必要な場合は、追加のブロックを行うことができ、続いてPBS Tween 20で3×2分追加的に濯ぎ、次いで最後に免疫染色プロトコルを完了することができる。
室温での1%SDSによる簡単な処理もまた、免疫組織化学的染色を改善することが示されている。スライドに載せた切片および浮遊切片に対し、分析物回復法が適用されている。別の処理の選択肢は、pH6.0のクエン酸および0.1 Nonident P40を含有する瓶内にスライドを入れ、95℃に加熱することである。次いで、スライドをPBS等の緩衝溶液で濯ぐ。
組織の免疫学的染色のために、血清または無脂肪乾燥乳等のタンパク質溶液中に切片を含浸させることにより、抗体の組織タンパク質との非特異的会合をブロックすることが有用となり得る。
反応をブロックすることは、単独で、または組み合わせて、内因性ビオチンのレベルの低減;内因性電荷効果の排除;内因性ヌクレアーゼの不活性化;およびペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼ等の内因性酵素の不活性化のいずれかを行う必要性を含み得る。内因性ヌクレアーゼは、プロテイナーゼKによる分解により、熱処理、EDTAまたはEGTA等のキレート剤の使用、担体DNAまたはRNAの導入、尿素、チオ尿素、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、過塩素酸リチウム等、またはピロ炭酸ジエチル等のカオトロープによる処理により、不活性化され得る。アルカリホスファターゼは、室温で5分間の0.1NのHClによる処理、または1mMのレバミゾールでの処理により不活性化され得る。ペルオキシダーゼ活性は、0.03%過酸化水素による処理により排除され得る。内因性ビオチンは、アビジン(ストレプトアビジン、ニュートロアビジンで置き換えることができる)溶液中に、室温で少なくとも15分間スライドまたは切片を含浸することによりブロックされ得る。次いで、スライドまたは切片は、少なくとも10分間緩衝液中で洗浄される。これは、少なくとも3回反復することができる。次いで、スライドまたは切片は、ビオチン溶液中に10分間含浸される。これは、毎回新鮮なビオチン溶液で少なくとも3回反復することができる。緩衝液洗浄手順が繰り返される。細胞もしくは組織構造、または対象標的(複数を含む)への損傷を防止するために、ブロッキングプロトコルは最小限化されるべきであるが、これらのプロトコルの1つ以上が、1つ以上の低オフ速度アプタマーとの反応の前にスライドまたは切片を「ブロック」するために組み合わされてもよい。Basic Medical Histology:the Biology of Cells,Tissues and Organs,authored by Richard G.Kessel,Oxford University Press,1998を参照されたい。
質量分析法を使用したバイオマーカー値の決定
質量分析計の様々な構成を使用して、バイオマーカー値を検出することができる。いくつかの種類の質量分析計が利用可能であり、または、様々な構成で形成することができる。一般に、質量分析計は、試料入口、イオン源、質量分析器、検出器、真空システムおよび機器制御システム、ならびにデータシステムという主要な構成要素を有する。試料入口、イオン源、および質量分析器における差異は、一般に、機器の種類およびその能力を決定付ける。例えば、入口は、キャピラリカラム液体クロマトグラフィー源であってもよく、または、マトリックス支援レーザ脱離において使用されるような直接プローブまたはステージであってもよい。一般的なイオン源は、例えば、ナノスプレーおよびマイクロスプレーを含むエレクトロスプレー、またはマトリックス支援レーザ脱離である。一般的な質量分析器は、四重極マスフィルター、イオントラップ質量分析器、および飛行時間型質量分析器を含む。追加的な質量分析法は、当該技術分野において周知である(Burlingame et al.(1998)Anal.Chem.70:647 R−716R;Kinter and Sherman,New York(2000)を参照されたい)。
タンパク質バイオマーカーおよびバイオマーカー値は、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)、ESI−MS/MS、ESI−MS/(MS)n、マトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI−TOF−MS)、表面増強レーザ脱離/イオン化飛行時間型質量分析(SELDI−TOF−MS)、シリコン上での脱離/イオン化(DIOS)、2次イオン質量分析(SIMS)、四重極飛行時間型(Q−TOF)、ウルトラフレックスIII TOF/TOFと呼ばれるタンデム型飛行時間型(TOF/TOF)技術、大気圧化学イオン化質量分析(APCI−MS)、APCI−MS/MS、APCI−(MS)N、大気圧光イオン化質量分析(APPI−MS)、APPI−MS/MS、およびAPPI−(MS)N、四重極質量分析、フーリエ変換質量分析(FTMS)、定量質量分析、ならびにイオントラップ質量分析のいずれかにより検出および測定され得る。
試料調製戦略が、タンパク質バイオマーカーの質量分析特性決定およびバイオマーカー値の決定の前に試料を標識化および濃縮するために使用される。標識化方法は、相対的および絶対的定量化のための同重体タグ(iTRAQ)および細胞培養物中のアミノ酸での安定同位体標識化(SILAC)を含むが、これらに限定されない。質量分光分析前に候補バイオマーカータンパク質の試料を選択的に濃縮するために使用される捕捉試薬は、アプタマー、抗体、核酸プローブ、キメラ、小分子、F(ab’)2断片、一本鎖抗体断片、Fv断片、一本鎖Fv断片、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、アフィボディ(affybodies)、ナノボディ、アンキリン、ドメイン抗体、代替的な抗体骨格(例えば二特異性抗体等)、インプリントポリマー、アヴィマー(avimer)、ペプチド模倣物、ペプトイド、ペプチド核酸、トレオース核酸、ホルモン受容体、サイトカイン受容体および合成受容体、ならびにそれらの修飾物および断片を含むが、これらに限定されない。
近接ライゲーションアッセイを使用したバイオマーカー値の決定
近接ライゲーションアッセイを使用して、バイオマーカー値を決定することができる。簡潔に述べると、試験試料が、抗体の対またはアプタマーの対であってもよい親和性プローブの対と接触され、対の各メンバーはオリゴヌクレオチドで伸長されている。親和性プローブの対のための標的は、1つのタンパク質上の2つの異なる決定基または2つの異なるタンパク質のそれぞれの1つの決定基であってもよく、これは、ホモまたはヘテロ多量体として存在し得る。プローブが標的決定基に結合すると、オリゴヌクレオチド伸長部の遊離端は、十分密接に近接して互いにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチド伸長部のハイブリダイゼーションは、オリゴヌクレオチド伸長部が十分近接して位置した際にそれらを互いに架橋するように作用する、一般的な連結オリゴヌクレオチドにより促進される。プローブのオリゴヌクレオチド伸長部がハイブリダイズされたら、伸長部の末端が酵素DNAライゲーションにより互いに連結される。
各オリゴヌクレオチド伸長部は、PCR増幅のためのプライマーを含む。オリゴヌクレオチド伸長部が互いにライゲーションされたら、オリゴヌクレオチドは、連続DNA配列を形成し、これは、PCR増幅により、標的タンパク質の同一性および量に関する情報、ならびにタンパク質−タンパク質相互作用に関する情報を明らかにするが、標的決定基は2つの異なるタンパク質上にある。近接ライゲーションは、リアルタイムPCRの使用により、リアルタイムのタンパク質濃度および相互作用情報の極めて感度の高い特異的なアッセイを提供することができる。対象決定基に結合しないプローブは、近接させられる対応するオリゴヌクレオチド伸長部を有さず、ライゲーションまたはPCR増幅は進行することができず、シグナルは生成されない。
アプタマーベースアッセイ
SomaLogicプロテオミクス技術は、長い解離速度(>30分)、および標準RNAまたはDNAアプタマーと比較したこれらの試薬の比類ない親和性をもたらす修飾ヌクレオチドの組み込みにより改善された結合特性を有するアプタマー(低オフ速度アプタマーとも呼ばれる)の使用を含み得る、アプタマーベースアッセイである。低オフ速度アプタマーは、典型的には、アミノ酸側鎖を模倣するようにその5−位において修飾されたピリミジン残基を含有し得る一本鎖DNA(ssDNA)から作製される。これらのアプタマーのその標的に対する親和性は、ヌクレオチド配列ではなく3次元形状およびこれらの側鎖修飾の結果である(
低オフ速度アプタマーは、SELEXプロセス(上で詳細に説明される)によりin vitroで選択される。現在まで、ヒトタンパク質に結合するように開発された1000を超える低オフ速度アプタマーがある。診断用途でのその使用に関して、低オフ速度アプタマーを含むアプタマーは、より良好な性能(親和性、正確性)、より高い多重化能力(低い交差反応性、同一のアッセイ条件)、化学安定性(熱、乾燥、再生)、試薬製造の容易性および再現性、ならびにより低いコスト(完全合成)を含む、抗体に勝るいくつかの利点を有する。
本明細書に記載のアプタマーベースアッセイの現在のバージョンは、僅か8μLの試料(血清、血漿、CSF、血液、尿、痰、洗浄液、または組織溶解物)を使用して、定量的に約1,030のヒトタンパク質を同時に測定する。少ない試料体積は、アッセイの高い感度(アレイに対するハイブリダイゼーションおよび蛍光走査)を反映するが、実際の初めの試料体積は限定されず、より多量の試料(例えば、0.5ml血清)を使用することができる。アッセイは、病原体分析物および病原体自体の濃縮のための親和性カラムを含んでもよい。そのような濃縮手順は、非常に低い存在度のバイオマーカーを検出するために試料を濃縮する(例えば、0.5mlから50μL未満に)ための、ビーズ固定化標的特異的アプタマーにより成功裏に行われている。
このアッセイを使用して、現在血清が3つの異なる濃度(5%、0.3%、0.01%)で試験されている。これらの血清希釈は、単に、それぞれ低、中、および高存在度タンパク質の正確な測定を得るためという実際的な目的で使用される。血清中の分析物の定量的決定のために、データ点は、アッセイの直線範囲内、および定量下限(LLOQ)と定量上限(ULOQ)との間に十分収まるべきである。血清の希釈は、最も豊富なタンパク質に対して望ましくなり得、アッセイの直線領域は、典型的には0.003%から0.1%の間の血清であり、シグナルは、1%以上の血清濃度でプラトーに達する。
対照的に、低い存在量のタンパク質は、希釈度の低い血清において、より正確に測定され、検出がより容易である。アッセイは、現在、5%血清中の試験されるほぼ全ての低存在量ヒトタンパク質を測定するのに完璧に機能するが、そのような血清の20倍希釈はそのアッセイには必要ない。実際、アッセイは、50%血清中で良好に機能し、5%血清におけるシグナルと比較して数倍増加したシグナルをもたらす。より多い試料サイズおよびより希釈の少ない血清の使用は、共に、ヒト型結核菌(Mtb)(病原体由来)マーカーの場合そうであり得るように、極めて低い存在量のタンパク質の検出の感度をさらに改善する。
低オフ速度アプタマーは、100fMの平均感度を有し、アプタマーベースアッセイは、5対数を超えるダイナミックレンジ、ならびに血清および血漿試料の反復実行において繰り返し測定された個々のタンパク質に対して5%の中央変動係数(%CV)を有する。1000を超える低オフ速度アプタマーの全てに対して、精製タンパク質を緩衝液に注入することにより得られた標準曲線において測定されたシグナル、およびLLOQとULOQとの間の濃度範囲にわたる%CVを示す正確なプロファイルを含む性能データが利用可能である。
アプタマーの感度は優れており、単一のアッセイにおいて1000を超える分析物の多重化により悪影響を受けない。中央LLOQは300fMであり、これは、小20kDaタンパク質に対して6pg/mLである。各アプタマーの検出限界(LOD)は、標的に対するその親和性(Kd)によく相関する。過去数年にわたり、アプタマーの親和性(Kd)は、数桁改善した。高ナノモル範囲内のKdを有する標準DNAまたはRNAアプタマーと比較して、低オフ速度アプタマーは、ピコモル範囲内の典型的なKdを有する。そのような高親和性アプタマーは、アッセイにおいて低フェムトモルLODをもたらす。血液中のMtb病原体マーカーの濃度はおおむね未知であり;痰中の抗原85レベルは、100pg/ml範囲内であり、これは、3pMであり、したがって十分アッセイの感度内である。さらに、試薬の親和性は、交互の5−位修飾ヌクレオチドをアプタマーに組み込むことによりさらに増加され得る。このアッセイの実用性は、腫瘍学、心臓血管、腎臓、神経および感染性疾患において実証されている(Ostroff et al.(2010)PloS one 5:e15003)。
このアプタマーベースアッセイは、対象となる医学的状態に典型的な血清プロテオームシグニチャーを特定し、次いで検証するための強力なツールである。バイオマーカーのサブセットが特定されたら、対応する「スモールプレックス(small−plex)」アプタマーパネルを組み立てることができる(すなわち、いくつかの分析物からなるパネル)。アプタマーアッセイは、標準臨床検査室アッセイ(例えば、Luminex)を含む、スライドアレイへのハイブリダイゼーション以外の複数の形式およびプラットフォームに容易に適合されるが、ビーズ、プレート、または膜を用いた非常に単純なサンドイッチ型アッセイ、ならびに様々なシグナル増強および検出方法も使用され得る。後者の方法は、ポイントオブケア用途に十分好適である。想定されるアプタマーベースTB試験は、染色、または、分子増幅アッセイに典型的に必要とされる高価な機器を必要としない。また、この試験は、試薬の冷蔵のための電気、または、検出デバイスへの電力供給の必要性からの独立の可能性を有する。診断試薬およびプロテオミクスプラットフォームのこれらの相対的な利点は、この世界的な健康問題に対する非常に好ましい影響を有し得る、単純、迅速、および安価なTB試験の開発に向け有望である。
前述のアッセイは、TBの評価または診断のための方法において有用なバイオマーカー値の検出を可能にし、方法は、個人からの生体試料において、表2および8から12に記載のバイオマーカーからなる群から選択されるバイオマーカーにそれぞれ対応する少なくともN個のバイオマーカー値を検出することを含み、以下で詳細に説明されるように、バイオマーカー値を使用した分類は、個人がTB EVDを有するかどうかを示す。説明されたTBバイオマーカーのいくつかは、TBの検出、評価および診断に単独で有用であるが、それぞれ2つ、3つ、4つまたはそれ以上のバイオマーカーのパネルとして有用なTBバイオマーカーの複数のサブセットのグループ化のための方法もまた、本明細書において説明される。本明細書に記載の方法のいずれかによれば、バイオマーカー値が個々に検出および分類され得るか、または、例えば多重アッセイ形式の場合のように集合的に検出および分類され得る。
別の態様において、TBの非存在を検出するための方法であって、個人からの生体試料において、表2および8から12に記載のバイオマーカーからなる群から選択されるバイオマーカーにそれぞれ対応する少なくともN個のバイオマーカー値を検出することを含み、以下で詳細に説明されるように、バイオマーカー値の分類は、個人におけるTBの非存在を示す方法が提供される。本明細書に記載の方法のいずれかによれば、バイオマーカー値が個々に検出および分類され得るか、または、例えば多重アッセイ形式の場合のように集合的に検出および分類され得る。
バイオマーカーの分類およびTB予後スコアの計算
所与の評価試験に対するバイオマーカー「シグニチャー」は、マーカーのセットを含有し、各マーカーは、対象の集団において異なるレベルを有する。これに関して、異なるレベルは、2つ以上の群における個人のマーカーレベルの異なる平均、または2つ以上の群における異なる変動性、またはその両方の組み合わせを指し得る。評価試験の最も単純な形式においては、これらのマーカーは、個人からの未知試料を、疾患または非疾患の2つの群の1つに割り当てるために使用され得る。2つ以上の群の1つへの試料の割り当ては、分類として知られ、この割り当てを達成するために使用される手順は、分類手段または分類法として知られる。分類法はまた、スコア化法と呼ぶこともできる。バイオマーカー値のセットから評価分類手段を構築するために使用され得る多くの分類方法がある。一般に、分類法は、教師あり学習技術を使用して最も容易に実行され、区別したい2つ(複数分類状態の場合はそれ以上)の異なる群内の個人から得られた試料を使用してデータセットが収集される。各試料が属するクラス(群または集団)は、各試料に対して予め知られているため、分類法は、所望の分類反応を示すように訓練され得る。また、教師なし学習技術を使用して、予後分類手段を生成することも可能である。
評価分類手段を開発するための一般的アプローチは、決定木;バギング+ブースティング+フォレスト;ルール推論に基づく学習;Parzen Windows(登録商標);線形モデル;記号論理学;ニューラルネットワーク法;教師なしクラスタリング;K平均法;階層的昇順/降順分類法;半教師あり学習;プロトタイプ法;最近隣法;カーネル密度推定;サポートベクターマシン;隠れマルコフモデル;ボルツマン学習法を含み、分類手段は、単純に、または特定の目的関数を最小限化する様式で組み合わされてもよい。考察については、例えば、Pattern Classification,R.O.Duda,et al.,editors,John Wiley & Sons,2nd edition,2001を参照されたく、また、The Elements of Statistical Learning−Data Mining,Inference,and Prediction,T.Hastie,et al.,editors,Springer Science+Business Media,LLC,2nd edition,2009も参照されたいが、これらはそれぞれ、参照によりその全体が組み込まれる。
教師あり学習技術を使用して分類手段を生成するために、訓練データと呼ばれる試料のセットが得られる。予後試験に関して、訓練データは、未知の試料が後に割り当てられる異なる群(クラス)からの試料を含む。例えば、対照集団における個人および特定疾患集団にける個人から採取された試料は、訓練データを構成し、未知試料(または、より具体的には試料が得られる個人)を疾患を有する、または疾患を有さないものとして分類し得る分類手段を開発することができる。訓練データから分類手段の開発は、分類手段の訓練として知られる。分類手段訓練に関する特定の詳細は、教師あり学習技術の性質に依存する。例示を目的として、ランダムフォレスト分類手段の訓練の例を以下で説明する(例えば、Pattern Classification,R.O.Duda,et al.,editors,John Wiley & Sons,2nd edition,2001を参照されたく、また、The Elements of Statistical Learning−Data Mining,Inference,and Prediction,T.Hastie,et al.,editors,Springer Science+Business Media,LLC,2nd edition,2009も参照されたい)。
典型的には、訓練セット内の試料よりもさらに多くの潜在的バイオマーカー値があるため、過剰適合を回避するように注意しなければならない。過剰適合は、統計モデルが根本的関係の代わりに確率的誤差またはノイズを説明する場合に生じる。過剰適合は、例えば、分類手段の開発において使用されるマーカーの数を制限することによる、マーカー反応が互いに独立していると仮定することによる、使用されている根本的統計モデルの複雑性を制限することによる、および根本的統計モデルがデータに適合するのを確実にすることによる等の様々な様式で回避され得る。
バイオマーカーのセットを使用した評価試験の開発の実例は、ランダムフォレスト分類手段の適用を含む(Shi and Horvath(2006)Unsupervised Learning with Random Forest Predictors.(March 2006)Journal of Computational and Graphical Statistics 15(1):118−138)。RF予測因子は、個々の分類ツリー予測因子の集合である(Breiman(2001)Machine Learning 45(1):5−32)。各観察について、それぞれの個々のツリーが、1つのクラスに投票し、フォレストが、複数の票を有するクラスを予測する。ユーザは、各ノードでの最善の分割のために検索されるべきランダムに選択される変数の数を指定しなければならない。Gini指数(Breiman et al.(1984),Classification and Regression Trees,Chapman and Hall,New York.)は、分割基準として使用される。可能な最大のツリーが成長し、剪定されない。フォレスト内の各ツリーのルートノードは、訓練セットとしてのオリジナルデータからのブートストラップ試料を含有する。訓練セット内にない観察、オリジナルデータセットのおよそ1=3は、アウトオブバッグ(OOB)観察と呼ばれる。以下のようにOOB予測に到達し得る:オリジナルデータにおける場合では、対応するブーストラップ試料における場合を含有しないそれらのツリーのみを含む複数の投票により結果を予測する。これらのOOB予測を訓練セット結果と対比させることにより、OOB誤差率と呼ばれる予測誤差率の推定に到達し得る。
各バイオマーカーは、各クラスにおける測定されたRFU値またはlog RFU(相対蛍光単位)値のクラス依存性確率密度関数(pdf)により説明される。1つのクラス内のマーカーのセットに対する連結pdfは、各バイオマーカーの個々のクラス依存性pdfの積と仮定される。クラス依存性pdfの任意の根本的モデルを使用することができるが、モデルは、一般に訓練セット内に観察されるデータに適合すべきである。
ランダムフォレスト分類手段の性能は、分類手段を構築および訓練するために使用されるバイオマーカーの数および質に依存する。単一のバイオマーカーは、本明細書において例示されるそのKS距離(コルモゴロフ−スミルノフ)およびそのPCA値に従い機能する。分類手段性能メトリクスが感度(真陽性の割合、fTP)および特異性(1−偽陽性の割合、1−fFP)の和として定義される場合、完璧な分類手段は、2のスコアを有し、ランダムな分類手段は、平均して、1のスコアを有する。KS距離の定義を使用すると、cdf関数における差を最大化するその値x*は、
をxに関して解くことにより見出すことができ、これにより
となり、すなわち、KS距離は、クラス依存性pdfが交差する点で生じる。このx*の値をKS距離の表現に代入すると、KSの以下の定義が得られる。
S距離は、x*でのカットオフによる試験を使用した1−全誤差割合、本質的には単一分析物ベイジアン分類手段である。我々は、
のスコアを定義しているので、KS距離の上記の定義を組み合わせることにより、
となる。我々は、分類手段の構築に本質的に適した統計値を有するバイオマーカーを選択する。
良好なKS距離(例えば>0.3)を有するその後のマーカーの添加は、一般に、その後に添加されたマーカーが第1のマーカーと独立している場合、分類性能を改善する。分類手段スコアとして感度および特異性を使用して、多くの高スコア分類手段を生成することが分かりやすい。
関連バイオマーカーを特定するための別の手法は、主成分分析(PCA)によるものである。PCAは、因子間の共分散分析を実行することによりデータの次元を低減する方法である。したがって、これは、タンパク質または遺伝子発現における大規模な実験等の複数次元のデータセットに好適である。PCAは、直交変換を使用して、関連している可能性のある変数の観察のセットを、主成分と呼ばれる関連していない変数の値のセットに変換する。これは、探索的データ分析における、および予測モデルのためのツールとして使用される。主成分分析(PCA)の中心となる考えは、データセットに存在する可能な限り多くの変動性を維持しながら、大量の相関した変数からなるデータセットの次元を低減することである。これは、変数の新たなセット、すなわち主成分(PC)への変換により達成され、これらは相関しておらず、最初のいくつかが元の変数の全てに存在する変動のほとんどを維持するように順序付けられる(Joliffe IT.(2002)Principal Component Analysis,2nd Edition.Springer)。
分類手段性能を表現する別の手法は、受信者動作特性(ROC)、または単にROC曲線によるものである。ROCは、その弁別閾値が変動するため、二項分類手段系に対する感度、または真陽性率対偽陽性率(1−特異性もしくは1−真陰性率)の図式プロットである。ROCはまた、陽性のうちの真陽性の割合(TPR=真陽性率)対陰性のうちの偽陽性の割合(FPR=偽陽性率)をプロットすることにより、同等に表現することができる。これは、基準の変化に伴う2つの動作特性(TPRおよびFPR)の比較であるため、相対的動作特性曲線としても知られる。ROC曲線下面積(AUC)が、診断の正確性の集約尺度として一般的に使用される。これは、0.0から1.0の値をとることができる。AUCは、重要な統計学的特性を有し、すなわち、分類手段のAUCは、分類手段が、ランダムに選択された陽性インスタンスをランダムに選択された陰性インスタンスより高く順位付けする確率に等しい(Fawcett T(2006)Pattern Recognition Letters 27:861−874)。これは、ウィルコクソン順位検定と同等である(Hanley and McNeil(1982)Radiology 143:29−36)。
ここで使用されるアルゴリズムアプローチが、本明細書において例示される。簡潔に述べると、全ての単一分析物分類手段が、潜在的バイオマーカーの表から生成され、リストに追加される。続いて、格納された単一分析物分類手段のそれぞれへの第2の分析物の全ての可能な追加が次いで実行され、最善スコアの対の所定の数、例えば1000が、新たなリスト上に保存される。全ての可能な3マーカー分類手段が、最善の2マーカー分類手段のこの新たなリストを使用して調査され、再びこれらの最善の1000が保存される。このプロセスは、さらなるマーカーが追加された際にスコアが停滞する、または低下し始めるまで継続する。集束後に残るそれらの高スコア化分類手段は、使用目的における所望の性能に関して評価され得る。例えば、1つの予後診断用途において、高い感度および適度の特異性を有する分類手段は、適度の感度および高い特異性よりも望ましくなり得る。別の予後診断用途において、高い特異性および適度の感度を有する分類手段がより望ましくなり得る。所望のレベルの性能は、一般に、特定の予後診断用途においてそれぞれ容認され得る偽陽性および偽陰性の数の間でなされなければならないトレードオフに基づいて選択される。そのようなトレードオフは、一般に、偽陽性または偽陰性の誤差の医学的結果に基づく。
当該技術分野において様々な他の技術が知られており、ランダムフォレスト分類手段を使用してバイオマーカーのリストから多くの潜在的分類手段を生成するために使用され得る。一実施形態において、上で定義される適合性スコアを使用して異なるマーカーを組み合わせるために、遺伝的アルゴリズムとも呼ばれるものを使用することができる。遺伝的アルゴリズムは、潜在的分類手段の大規模で多様な集団の探索に特に良好に適合する。別の実施形態において、いわゆる蟻コロニー最適化を使用して、分類手段のセットを生成することができる。例えば、他の進化戦略、ならびに模擬アニーリングおよび他の確率的探索法を含む、当該技術分野において知られている他の戦略もまた使用することができる。メタヒューリスティクス法、例えばハーモニーサーチ等を使用することもできる。
表1、2、4、5、および8から12に列挙されるマーカーは、多くの手法で組み合わされて、TBを評価および診断するための分類手段を生成し得る。いくつかの実施形態において、バイオマーカーのパネルは、選択される特定の診断性能基準に基づいて異なる数の分析物を含む。例えば、バイオマーカーのある特定の組み合わせは、他の組み合わせよりも高感度の(またはより特異的な)試験をもたらす。
パネルが表2および8から12からのバイオマーカーの特定のセットを含むように定義され、訓練データのセットから分類手段が構築されたら、診断試験の定義は完了である。生体試料は適切に希釈され、次いで、分類に使用される関連した定量的バイオマーカーレベルを生成するように1つ以上のアッセイにおいて使用される。測定されたバイオマーカーレベルは、分類、およびクラス割り当ての確実性を反映する試料の任意のスコアを出力する分類法に対する入力として使用される。
表8から12は、TB処置効果の評価に有用な122のバイオマーカーを特定している。我々は、これらのマーカーの(TB特異的マーカーとの)任意の組み合わせを、TB疾患の推定診断シグニチャーとして考える。これは、バイオマーカー発見作業中に典型的に見出されるものと比較して、予測よりも驚異的に大きい数であり、説明された研究の規模に起因し得、これは、いくつかの場合においては低フェムトモル範囲内の濃度で、数百もの個人試料において測定された1,030を超えるタンパク質を包含した。推定上、多数の発見されたバイオマーカーは、TB生物学、ならびにTBの存在に対する身体の反応およびその後の処置または薬物に対する身体の反応の両方に関わる広範な生化学的経路を反映し、各経路およびプロセスには多くのタンパク質が関与する。結果は、タンパク質の小さい群の単一のタンパク質は、そのような複雑なプロセスに関して一意に情報を与えるものではなく、むしろ、関連したプロセス、例えば炎症、凝固カスケード、組織再構築、抗微生物タンパク質機能、アポトーシスまたは細胞外基質代謝回転および修復または線維症瘢痕および治癒等において、複数のタンパク質が関与することを示す。
説明された研究中に特定されるバイオマーカーの数を考慮すると、様々な診断法において使用され得る十分な数の高性能分類手段を得ることができることが予測される。表2および8から12に示されるバイオマーカーの多くのサブセットが、互いに、またはTB特異的マーカーと組み合わされて、有用な分類手段を生成し得ることが判明した。
分類手段評価試験の結果は、ある特定の考えられる結論を示唆する:まず、多数のバイオマーカーの特定は、同様に高い性能を提供する広範な数の分類手段への集合を可能とする。第2に、分類手段は、根本的疾患プロセスの複雑性に疑いなく浸透する冗長性を反映する様式で、特定のバイオマーカーが他のバイオマーカーに置換され得るように構築され得る。すなわち、表2および8から12において特定される任意の個々のバイオマーカーにより寄与される疾患に関する情報は、表2および8から12中の特定のバイオマーカーまたはバイオマーカーの小さな群が任意の分類手段に含まれなくてもよい可能性があるように、他のバイオマーカーにより寄与される情報と重複する。
例示的な実施形態は、未知試料を分類するために、表2および8から12中のデータから構築されるランダムフォレスト分類手段を使用する。一実施形態において、生体試料は、任意に希釈され、多重化アプタマーアッセイにおいて使用される。アッセイからのデータは正規化および較正され、得られたバイオマーカーレベルは、ランダムフォレスト分類スキームへの入力として使用される。
アプタマーベースプロテオームアッセイを行うための一般的方法が、実施例1に記載される。実施例2は、活性TBに関連し、また4剤処置に応答して変化するタンパク質マーカーを特定および定量するために使用された、標的化プロテオームアッセイを説明している。実施例2を参照すると、効果的抗TB治療を伴う治癒プロセスが、線維症治癒プロセスと極めて関連しているようであり、TB治療により生じることが知られているX線写真の変化に一致することが分かる。特定された多様な経路のうち、最も優勢なのは、抗菌防御および組織再構築/治癒機能の中心的な生物学的テーマを表すものであった。
炎症および抗菌防御のバイオマーカー
抗菌機能の原因とされている自然および適応免疫に関与する差次的に発現したタンパク質が特定された。特定されたタンパク質のいくつは、これらに限定されないが、補体カスケード成分、CRP、α−1抗トリプシン(AAT)、ヘプシジン(LEAP)、殺菌性透過性増加タンパク質(BPI)、リポ多糖類結合タンパク質(LBP)、およびホスホリパーゼA2(NPS−PLA2)を含み、これらは全て大半の患者において経時的に減少した。C9およびC3分解産物(C3bおよびC3d)は、大半の患者において治療により減少した。MTB菌の成分は、鉄処理および抗菌特性の両方を有することが報告されている抗菌分子ヘプシジン(LEAP)を誘導することが知られている。8週目試料をベースライン試料から区別する上位マーカーとしてのNPS−PLA2の所見は、このタンパク質の重要性を強調しており、これは、宿主において抗菌および脂肪分解機能の両方を有している。NPS−PLA2は、アラキドン酸および脂肪酸生成に関与する自然免疫抗菌分子であり、肺TBに関して見られるリポイド肺炎に関与し得る。低酸素TB肉芽腫において見られる抗菌分子およびセリンプロテアーゼであるカテプシンGは、大半の患者において治療後減少した。TBに関与して自然免疫系を活性化することが知られている別のパターン認識分子であるマンノース受容体Cタイプ2(MRC−2)は、ベースラインと8週目との間で差次的に発現した上位3つのマーカーの1つであった。
組織再構築のバイオマーカー
プロテアーゼおよび抗プロテアーゼ、線維形成プロセスタンパク質、コラーゲンおよび細胞外基質(ECM)の再構築、ならびに凝集カスケードのメンバーを含む組織治癒に関与するいくつかのタンパク質もまた特定された。全ての分析物において見出されるマーカーである、プラスミノーゲンは、免疫反応を回避するためにMTBおよび他の呼吸器病原体に取り込まれることが報告されている。活性化されたら、プラスミノーゲンは、フィブリンを分解して補体を活性化し得るセリンプロテアーゼであるプラスミンに変換される。プラスミンはまた、宿主の病変を改変し、結核菌をより容易に広めさせることができる、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)およびTGF−βを含む多くのタンパク質の活性を増加させることが報告されている。トロンボスポンジン−4(TSP4)は、対および不対分析の両方において顕著に出現する。トロンボスポンジンは、細胞−細胞間および細胞−マトリックス間相互作用を媒介する細胞外基質糖タンパク質のファミリーである。それらは、肺接着、線維症、新血管形成および心臓組織再構築に関与することが報告されているが、現在まで、活性TBとは関連していないと考えられている。線維芽細胞活性化タンパク質(SEPR)もまた、コラーゲンおよび細胞外基質分解に関与する。追加的なMMPおよびその内因性阻害剤、メタロプロテイナーゼ(TIMP)の組織阻害剤は共に、線維症および肉芽腫性炎症の適切な形成、組織再構築ならびに正常および病変状態における細胞外基質物質の代謝回転に関与する酵素のクラスである。これらのタンパク質の差次的発現は、薬物毒性、根本的な空洞性疾患、液状化の解消および線維症による完全な治癒に関連し得る。
血管形成および凝固のバイオマーカー
血管形成は、陽性および陰性シグナルの両方により制御される複雑な生物学的現象である。経時的に変化する上位マーカーのうちの3つの形態の血管内皮成長因子(VEGF)またはその受容体の発見は、血管形成および血管再構築のための興味深い役割を支持し、最近では、他者によりTBに関連することが示されている。凝固カスケードのタンパク質メンバー(例えば抗トロンビンIII)のレベルにおける顕著な変化が見出されており、TBの経過におけるそのようなカスケードの重要性が強調されている。TBにおいて凝固促進状態が存在し、他者により、血液学的/凝固因子がTB感染のバイオマーカーとなり得ることが示されている。実際に、ヒトの肺組織病理学および実験的MTB感染の慎重な研究により、損傷形成に寄与する血管炎および血管内微小血栓の領域が明らかとなっている。
疾患重症度に関連したバイオマーカー
疾患の重症度に関連したマーカーを考慮すると、いくつかのタンパク質を具体的にコメントする価値がある。様々な細胞−マトリックス間相互作用を制御するタンパク質であるトロンボスポンジン−2(TSP−2)のレベルは、より空洞性の疾患の兆候を有する者においてより高いことが判明した。DKK−1、血清アミロイドPおよびアディポネクチンの3つの追加的なマーカーが、疾患重症度のロジスティック回帰分析において突出していた。wntシグナル伝達の阻害剤であるDKK−1はまた、線維症を改変することが示されており、発現は、クラミジア感染モデルにおいて上方調整される。血清アミロイドPは、パターン認識および補体活性化に関与するタンパク質のペントラキシンファミリーのメンバー(CRPと同様)であり、レベルは、疾患重症度および熱傷治癒の迅速性と相関することが示されている。アディポネクチンは、代謝症候群およびインスリン耐性に関連し、減少した体脂肪と共に増加することが知られており、したがって、重度の疾患における低レベルの発見は、我々の患者における低BMIのみに起因している関連性と相反する。このアディポカインの受容体は、肺において示されており、低レベルのアディポネクチンが他の重篤な肺疾患(例えば喘息)の発達に関連しているため、アディポネクチンは、肺においても重要となり得る。特定されたいくつかの神経学的および他のマーカーは、薬物毒性に関連し得る。
実施例4を参照すると、「低応答者」(8週目までにまだ反応していない対象)、およびベースラインまたは8週間のTB処置後の応答者の治療の間で差次的に存在したいくつかのタンパク質が特定されたことが分かる(表8)。「応答者」とは、本明細書において使用される場合、固体および液体培養培地上で、8週目に陰性痰培養結果を有する者を指し、「低応答者」とは、8週目において一方または両方の培地タイプにおいて陽性を有する者を指す。
血清アミロイドA(SAA)タンパク質は、実行された複数の分析における処置応答の強い予測因子であった。予想外ではないが、gp−130、TNF経路分子、補体成分、カタラーゼ、IgG、IFN−λ、PSME1、PSD7を含む、自然および適応免疫に関与する多くのタンパク質が差次的に発現した。ベースラインにおいて、処置応答を予測する最も強力なマーカーは、免疫プロテアソームのIFN−γ−誘導性成分、PSME1であった。このタンパク質のレベルは、強化された免疫反応の条件下で増加することが知られており、効率的な抗原処理に重要である。IL−11 Rαは、IL−11の受容体であり、高親和性gp130形質導入ドメインを使用するが、これはまたベースラインおよび8週目データの両方に出現し、共に急性期反応タンパク質である。APRILは、TNFファミリーリガンドであり、TGF−βシグナル伝達に関与することができ、病原体に対する応答における役割を有することが示されている。TGF−βおよびTNFは両方とも、TBにおける重要なサイトカインである。APRILはまた、T細胞増殖および生存の促進に関与することが示されている。MMP−12およびMMP−13は、ベースラインにおいて差次的に発現した。MMP−12の主要な基質は、肺結合組織の主要タンパク質であるエラスチンであり、肺疾患において検出されている。マトリックスプロテオグリカン(BGN)およびBGH3もまた、細胞外基質および組織再構築に関与し得る。応答者における高いECM1の発見は興味深いが、関連性の強さは、年齢に関して調節すると幾分弱くなる(データは示さず)。アミロイド/フィブリル(BGH3)に関与するタンパク質、および潜在的にHSP70は、より注目に値し、TB損傷の構成に関連する可能性があり、治療により変化し得る。XPNPEP1は、神経ペプチドの分解に関与するメタロアミノペプチダーゼであり、これらの分析におけるVIPの発見は、TBの治療における神経ペプチドの役割に関して興味深い。8週間での最も強力なマーカーとしての凝固因子Vの発見は、応答者におけるより良好なタンパク質カロリー栄養素、またはその組織再構築、線維素溶解における変化、および肺TB損傷の解消が、これまで述べられていない凝固カスケードとのつながりを有することを示唆し得る。
我々は、8週間培養状態の予測のためのいくつかの数学モデルを構築した。一例は、ベースラインにおける血清タンパク質レベルの測定中に得られた4つの特徴を、対象年齢と併せて使用したロジスティック回帰モデルである。このモデルは、試料分類において極めて正確に機能し、AUC=0.96のROC曲線をもたらした(図21を参照されたい)。KS距離に基づくベースラインでの上位5つの血清タンパク質マーカーを含有するモデルに対して、同様の性能が観察された(図21を参照されたい)。別個に、我々はまた、大きなKS距離(≧0.5)に基づく8週間での上位マーカーを選択し、単純ベイズ分類手段において5つの特徴のシグニチャー(凝固因子V、XPNPEP1、gp130、TIMP−2およびECM1)を組み合わせて処置応答を「予測」したが、これはAUC=0.88のROC曲線を示した(図19を参照されたい)。
血清タンパク質測定値の培養時間との相関は、以前の分析において見出されたマーカーのいくつかを裏付け、いくつかの他のタンパク質を好中球機能に関連付けた。
キット
表1、2、4、5、および8から12のバイオマーカーの任意の組み合わせ(ならびに追加の生物医学情報)は、例えば本明細書において開示される方法の実践における使用のための好適なキットを使用して検出され得る。さらに、いかなるキットも、例えば蛍光部分等の本明細書に記載の1つ以上の検出可能な標識を含有することができる。
一実施形態において、キットは、(a)生体試料における1つ以上のバイオマーカーを検出するための1種以上の捕捉試薬(例えば、少なくとも1種のアプタマーまたは抗体)であって、バイオマーカーは、表1、2、4、5、および8から12に記載のバイオマーカーのいずれかを含む捕捉試薬と、任意に(b)TB状態の評価のために、生体試料が得られる者から個人を分類するための1つ以上のソフトウェアまたはコンピュータプログラム製品とを含む。代替として、1つ以上のコンピュータプログラム製品ではなく、人間により上記ステップを手作業で実行するための1つ以上の説明が提供されてもよい。
固体担体の対応する捕捉試薬およびシグナル生成材料との組み合わせは、本明細書において、「検出デバイス」または「キット」と呼ばれる。キットはまた、デバイスおよび試薬を使用する、試料を取り扱う、ならびにデータを分析するための説明を含んでもよい。さらに、キットは、生体試料を分析し、その分析の結果を報告するために、コンピュータシステムまたはソフトウェアと共に使用されてもよい。
キットはまた、生体試料を処理するための1種以上の試薬(例えば、可溶化緩衝液、洗浄剤、洗浄液、または緩衝液)を含有してもよい。また、本明細書に記載のキットはいずれも、例えば、緩衝液、遮断薬、質量分析マトリックス材料、抗体捕捉剤、陽性対照試料、陰性対照試料、ソフトウェアならびにプロトコル、指針および参照データ等の情報を含んでもよい。
一態様において、本発明は、TB状態の分析のためのキットを提供する。キットは、表1、2、4、5、および8から12から選択される1つ以上のバイオマーカーのPCRプライマーを含む。キットは、さらに、使用およびバイオマーカーのTBとの相関に関する説明を含んでもよい。キットはまた、単独または組み合わせとして、表1、2、4、5、および8から12から選択されるバイオマーカーの1つ以上の補体を含有するDNAアレイ、および試料DNAを増幅または単離するための酵素のいずれかを含んでもよい。キットは、リアルタイムPCR用の試薬、例えばTaqManプローブおよび/またはプライマー、ならびに酵素等を含んでもよい。
例えば、キットは、(a)試験試料中の1つ以上のバイオマーカーを定量するための少なくとも捕捉試薬を含む試薬であって、前記バイオマーカーは、表1、2、4、5、および8から12に記載のバイオマーカー、または本明細書に記載の任意の他のバイオマーカーもしくはバイオマーカーパネルを含む試薬と;任意で、(b)試験試料において定量された各バイオマーカーの量を、1つ以上の所定のカットオフと比較し、前記比較に基づいて定量された各バイオマーカーに対しスコアを割り当て、定量された各バイオマーカーに対する割り当てられたスコアを組み合わせて全スコアを得、全スコアを所定のスコアと比較し、前記比較を使用して個人におけるTB状態を評価するための、1つ以上のアルゴリズムまたはコンピュータプログラムとを備えてもよい。代替として、1つ以上のアルゴリズムまたはコンピュータプログラムではなく、人間により上記ステップを手作業で実行するための1つ以上の説明が提供されてもよい。
コンピュータ方法およびソフトウェア
バイオマーカーまたはバイオマーカーパネルが選択されたら、TB状態に関して個人を評価するための方法は、1)生体試料を採取または別様に得ることと;2)分析方法を実行して、生体試料におけるパネル内のバイオマーカー(複数を含む)を検出および測定することと;3)バイオマーカー値を収集するために使用される方法に必要な任意のデータ正規化または標準化を実行することと;4)マーカースコアを計算することと;5)マーカースコアを組み合わせて、全診断スコアを得ることと;6)個人の診断スコアを報告することとを含んでもよい。このアプローチにおいて、診断スコアは、疾患の存在または非存在の指標である所定の閾値と比較される、全てのマーカー計算の合計から決定される単一の数であってもよい。または、診断スコアは、それぞれバイオマーカー値を表す一連のバーであってもよく、応答のパターンは、疾患の存在または非存在の決定のための所定のパターンと比較され得る。
本明細書に記載の方法の少なくともいくつかの実施形態は、コンピュータの使用により実現され得る。コンピュータシステム100の例を、図3に示す。図3を参照すると、システム100は、バス108を介して電気的に結合されるハードウェア要素から構成されるように示されており、プロセッサ101、入力デバイス102、出力デバイス103、記憶デバイス104、コンピュータ可読記憶媒体リーダ105a、通信システム106、処理促進(例えば、DSPまたは特殊用途プロセッサ)107およびメモリ109を含む。コンピュータ可読記憶媒体リーダ105aは、コンピュータ可読記憶媒体105bにさらに結合され、この組み合わせは、総合的に、一時的および/またはより永久的にコンピュータ可読情報を含有するための、遠隔、ローカル、固定および/または取り外し可能な記憶デバイスと記憶媒体、メモリ等を表し、これは、記憶デバイス104、メモリ109および/または任意の他のそのようなアクセス可能なシステム100リソースを含み得る。システム100はまた、オペレーティングシステム192および他のコード193、例えばプログラム、データ等を含む、ソフトウェア要素(現在作業メモリ191内に位置しているように示されている)を備える。
図3に関して、システム100は、広範囲に及ぶ柔軟性および設定可能性を有する。したがって、例えば、単一のアーキテクチャを使用して、現在望ましいプロトコル、プロトコルの変形型、拡張等に従ってさらに構成され得る1つ以上のサーバを実装することができる。しかしながら、当業者には、実施形態が、より特定のアプリケーション要件に従って良好に使用され得ることが明らかである。例えば、1つ以上のシステム要素がシステム100コンポーネント内(例えば、通信システム106内)の部分要素として実装され得る。カスタマイズされたハードウェアもまた使用され得、および/または特定の要素がハードウェア、ソフトウェアもしくはその両方において実装され得る。さらに、ネットワーク入力/出力デバイス(図示せず)等の他のコンピュータデバイスへの接続が使用されてもよいが、他のコンピュータデバイスへの有線、無線、モデム、および/または他の接続(複数を含む)もまた使用され得る。
一態様において、システムは、TBのバイオマーカー特性の特徴を含有するデータベースを含み得る。バイオマーカーデータ(またはバイオマーカー情報)は、コンピュータ実装方法の一部としての使用のためのコンピュータへの入力として使用され得る。バイオマーカーデータは、本明細書に記載のデータを含み得る。
一態様において、システムは、1つ以上のプロセッサに入力データを提供するための1つ以上のデバイスをさらに備えてもよい。
システムは、さらに、順位付けされたデータ要素のデータセットを格納するためのメモリを備える。
別の態様において、入力データを提供するためのデバイスは、データ要素の特性を検出するための検出器、例えば質量分析計または遺伝子チップリーダ等を備える。
さらに、システムは、データベース管理システムを備えてもよい。ユーザのリクエストまたはクエリは、訓練セットのデータベースから関連情報を抽出するためにクエリを処理するデータベース管理システムにより理解される適切な言語でフォーマットされ得る。
システムは、ネットワークサーバおよび1つ以上のクライアントが接続されるネットワークに接続可能であってもよい。ネットワークは、当該技術分野において知られているように、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)であってもよい。好ましくは、サーバは、コンピュータプログラム製品(例えば、ソフトウェア)を実行して、ユーザのリクエストを処理するためのデータベースデータにアクセスするために必要なハードウェアを含む。
システムは、データベース管理システムからの指示を実行するためのオペレーティングシステム(例えば、UNIX(登録商標)またはLinux(登録商標))を含み得る。一態様において、オペレーティングシステムは、インターネット等のグローバル通信ネットワーク上で動作し、そのようなネットワークに接続するためにグローバル通信ネットワークサーバを使用することができる。
システムは、当該技術分野において知られているグラフィカルユーザインターフェースにおいて慣例的に見られるように、ボタン、プルダウンメニュー、スクロールバー、テキスト入力欄等のインターフェース要素を備えるグラフィカル表示インターフェースを備える1つ以上のデバイスを含んでもよい。ユーザインターフェース上で入力されたリクエストは、システムデータベースの1つ以上の中の関連情報を検索するためのフォーマットのため、システム内のアプリケーションプログラムに伝送され得る。ユーザにより入力されたリクエストまたはクエリは、任意の好適なデータベース言語で構築され得る。
グラフィカルユーザインターフェースは、オペレーティングシステムの一部としてのグラフィカルユーザインターフェースコードにより生成されてもよく、データを入力するため、および/または入力されたデータを表示するために使用され得る。処理されたデータの結果は、インターフェース内に表示され、システムと通信しているプリンタ上にプリントされ、メモリデバイス内に保存され、および/もしくはネットワークを介して伝送され得るか、または、コンピュータ可読媒体の形態で提供され得る。
システムは、データ要素に関するデータをシステムに提供するための入力デバイスと通信し得る(例えば発現値)。一態様において、入力デバイスは、例えば、質量分析計、遺伝子チップまたはアレイリーダ等を含む遺伝子発現プロファイルシステムを含んでもよい。
様々な実施形態によるTBバイオマーカー情報を分析するための方法および装置は、任意の好適な様式で、例えば、コンピュータシステム上で動作するコンピュータプログラムを使用して実装され得る。プロセッサおよびランダムアクセスメモリを備える従来のコンピュータシステム、例えば遠隔アクセス可能なアプリケーションサーバ、ネットワークサーバ、パーソナルコンピュータまたはワークステーションが使用されてもよい。追加的なコンピュータシステム構成要素は、メモリデバイスまたは情報記憶システム、例えば大容量記憶システムならびにユーザインターフェース、例えば従来のモニタ、キーボードおよび追跡装置を含み得る。コンピュータシステムは、スタンドアロン型システム、またはサーバおよび1つ以上のデータベースを含むコンピュータネットワークの一部であってもよい。
TBバイオマーカー分析システムは、データ収集、処理、分析、報告および/または診断等のデータ分析を完了するための機能および動作を提供し得る。例えば、一実施形態において、コンピュータシステムは、TBバイオマーカーに関連した情報を受け取り、保存、検索、分析、および報告し得るコンピュータプログラムを実行することができる。コンピュータプログラムは、様々な機能または動作を実行する複数のモジュール、例えば未処理データを処理し補足データを生成するための処理モジュール、ならびに未処理データおよび補足データを分析してTB状態および/または診断を生成するための分析モジュールを備えてもよい。TB状態の評価は、TBに対する個人の状態に関する、追加の生物医学情報を含む任意の他の情報を生成または収集すること、さらなる試験が望ましくなり得るかどうかを特定すること、または、別様に個人の健康状態を評価することを含んでもよい。
ここで、図4を参照すると、開示される実施形態の原理に従いコンピュータを使用する方法の例を見ることができる。図4において、フローチャート3000が示されている。ブロック3004において、個人に対してバイオマーカー情報が取得され得る。バイオマーカー情報は、例えば個人の生体試料の試験が行われた後に、コンピュータデータベースから取得され得る。バイオマーカー情報は、表1、2、4、5、および8から12に記載のバイオマーカーにおいて提供されるバイオマーカーからなる群から選択される、少なくともN個のバイオマーカーのうちの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を含んでもよい。ブロック3008において、コンピュータは、バイオマーカー値のそれぞれを分類するために使用され得る。ブロック3012において、複数の分類に依存してTB状態に関して評価が行われ得る。個人により視認可能なように、表示がディスプレイまたは他の指示デバイスに出力され得る。したがって、例えば、表示は、コンピュータのディスプレイ画面または他の出力デバイス上に表示され得る。
ここで、図5を参照すると、別の実施形態によるコンピュータの代替の使用方法が、フローチャート3200により示され得る。ブロック3204において、コンピュータは、個人に対するバイオマーカー情報を取得するために使用され得る。バイオマーカー情報は、表1、2、4、5、および8から12に記載のバイオマーカーの群から選択されるバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む。ブロック3208において、バイオマーカー値の分類は、コンピュータにより実行され得る。ブロック3212において、分類に依存して個人のTB状態に関して表示がなされ得る。個人により視認可能なように、表示がディスプレイまたは他の指示デバイスに出力され得る。したがって、例えば、表示は、コンピュータのディスプレイ画面または他の出力デバイス上に表示され得る。
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、コンピュータプログラム製品を含むように実現され得る。コンピュータプログラム製品は、アプリケーションプログラムをデータベースを有するコンピュータ上で実行させるための、媒体に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体を含み得る。
本明細書において使用される場合、「コンピュータプログラム製品」という用語は、任意の性質の物理媒体上に含有され(例えば、記述された、電子的な、磁気的な、光学的な、または別様の)、コンピュータまたは他の自動化されたデータ処理システムと共に使用され得る、自然またはプログラミング言語の記述の形態の系統的な指示のセットを指す。そのようなプログラミング言語記述は、コンピュータまたはデータ処理システムにより実行された場合、コンピュータまたはデータ処理システムを、記述の特定の内容に従い機能させる。コンピュータプログラム製品は、限定されることなく、ソースおよびオブジェクトコード内のプログラム、ならびに/またはコンピュータ可読媒体に埋め込まれた試験もしくはデータライブラリを含む。さらに、コンピュータシステムまたはデータ処理機器デバイスが予め選択された様式で機能することを可能にするコンピュータプログラム製品が、これらに限定されないが、オリジナルソースコード、アセンブリコード、オブジェクトコード、機械言語、上記の暗号化または圧縮されたバージョン、およびありとあらゆる均等物を含むいくつかの形態で提供されてもよい。
一態様において、個人のTB状態を評価するためのコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、コンピュータデバイスまたはシステムのプロセッサにより実行可能なプログラムコードを具現化するコンピュータ可読媒体を含み、プログラムコードは、個人からの生体試料に帰属するデータを取得するコードであって、データは、表1、2、4、5、および8から12に記載のバイオマーカーの群から選択される生体試料中の少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を含む、コードと、バイオマーカー値の関数として個人のTB状態を示す分類方法を実行するコードとを含む。
さらに別の態様において、TB状態を評価するためのコンピュータプログラム製品が提供される。コンピュータプログラム製品は、コンピュータデバイスまたはシステムのプロセッサにより実行可能なプログラムコードを具現化するコンピュータ可読媒体を含み、プログラムコードは、個人からの生体試料に帰属するデータを取得するコードであって、データは、表1、2、4、5、および8から12に記載のバイオマーカーの群から選択される生体試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む、コードと、バイオマーカー値の関数として個人のTB疾患状態を示す分類方法を実行するコードとを含む。
様々な実施形態を方法または装置として説明したが、実施形態は、コンピュータと結合したコード、例えば、コンピュータ上に存在するコードまたはコンピュータによりアクセス可能なコードを介して実現され得ることが理解されたい。例えば、ソフトウェアおよびデータベースが、上述の方法の多くを実現するために使用され得る。したがって、ハードウェアにより達成される実施形態に加えて、これらの実施形態は、本説明において開示された機能を有効にすることをもたらす、具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する、コンピュータにより使用可能な媒体を含む製造品の使用により達成され得る。したがって、実施形態はまた、そのプログラムコード手段においても同様に、本特許により保護されると見なされることが望まれる。さらに、実施形態は、限定されることなく、RAM、ROM、磁気媒体、光学媒体、または磁気光学媒体を含む、事実上任意の種類のコンピュータ可読メモリ内に保存されたコードとして具現化され得る。さらにより一般的には、実施形態は、これらに限定されないが、汎用プロセッサ、マイクロコード、PLA、またはASIC上で動作するソフトウェアを含め、ソフトウェアとして、ハードウェアとして、またはそれらの任意の組み合わせとして実装されてもよい。
また、実施形態は、搬送波に具現化されたコンピュータシグナル、および伝送媒体を介して伝搬されるシグナル(例えば、電気および光学)として達成され得ることが想定される。したがって、上述の様々な種類の情報が、データ構造等の構造でフォーマットされ、伝送媒体を介して電気シグナルとして伝送されるか、またはコンピュータ可読媒体上に保存され得る。
実施例2を参照すると、ベースラインまたはTB処置から8週間後の処置低応答者と応答者との間に差次的に存在したいくつかのタンパク質が特定されたことが分かる(表1、2、4、5、および8から12)。炎症、免疫、凝固、組織再構築、液状化、線維素溶解および組織修復を中心としたある特定のテーマが現れている。予想外ではないが、抗菌機能の原因とされている自然および適応免疫に関与する多くのタンパク質が、差次的に発現する(これらに限定されないが、gp−130、TNF経路分子、補体成分、カタラーゼ、IgG、IFN−λ、PSME、PSD7等を含む)。ベースラインにおいて、処置応答を予測する最も強力なマーカーは、免疫プロテアソームのIFN−γ−誘導性成分である、PSMEである。このタンパク質のレベルは、強化された免疫反応の条件下で増加することが知られており、効率的な抗原処理に重要である(Kohda et al.(1998)Journal of immunology 160:4923−4935)。
また、本明細書において列挙された構造、材料、および行為の多くは、機能を実行するための手段または機能を実行するためのステップとして列挙され得る。したがって、そのような表現は、本明細書内に開示される全てのそのような構造、材料、または行為、および、参照により組み込まれる事項を含むそれらの均等物を網羅することが認められることを理解されたい。
実施例
以下の例は、例示のみを目的として示され、添付の特許請求の範囲により定義される本出願の範囲を限定することを意図しない。本明細書に記載の全ての実施例は、当業者には周知であり慣例的である標準的技術を使用して行われた。以下の実施例において説明される慣例的な分子生物学的技術は、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd.ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(2001)等の標準的実習マニュアルに記載のように実行することができる。
結果を生成するためのアレイおよび方法
本明細書において示される試験において使用されるSomaLogicアプタマーベースプロテオミクス発見プラットフォームは、少ない試料体積からの血清、血漿、CSF組織溶解物または血液を使用して同時に約1030のタンパク質を定量的に測定するが、これはアッセイの高感度を反映する(アレイへのハイブリダイゼーションおよび蛍光走査)(Gold et al.(2010)PloS One 5:e15004)。全1030のタンパク質にわたり、中央定量下限は0.3pMであり、5対数を超えるダイナミックレンジ、および5%の中央変動係数(%CV)を有する(Ostroff et al.(2010)Journal of proteomics 73:649−666)。
SomaLogicプロテオミクス発見プラットフォームは、多重プロテオミクスアッセイであり、これは、特定のタンパク質の量を、等価または比例する量のその同族アプタマーに変換することによりタンパク質を測定するが、この同族アプタマーがアッセイにおいて捕捉され、カスタムAgilentマイクロアレイへのハイブリダイゼーションにより定量される(任意のDNAチップが使用され得る)。低オフ速度アプタマー試薬およびSomaLogic多重プロテオミクスアッセイのプロセスおよび性能の完全な説明は、Gold et al.(2010)PLoS One 5:e15004に記載されている(図2を参照されたい)。
試験デザインおよびデータ分析
試験対象母集団
参加者は、リファンピン、イソニアジド、ピラジンアミドおよびエタンブトールを含む標準TB治療の有効性および安全性を、リファンピンを置換したリファペンチンと比較する、United States Centers for Disease Control Tuberculosis(TBTC)Study 29、プロスペクティブ多施設非盲検フェーズ2B臨床試験(clinicaltrials.gov NCT00694629)から登録された(Dorman et al.(2012)J Infect Dis
206:1030−40)。この予備計画に含まれた39名の参加者は、全て、Kampala、UgandaをベースとするTBTCサイトからのものであり、喀痰塗抹陽性およびHIV非感染であった。この試験に含まれる患者試料は、登録時に報告された有意な共存症を含まないように選択され(2008年12月から2009年7月)、合理的に正常な腎臓、肝臓および血液機能を有した。39名の試験参加者の年齢は、19歳から53歳までの範囲であり、28名は男性であり、平均ボディマスインデックス(BMI)は19.3kg/m
2であり、22名(56%)は空洞性疾患を有し、そのうち3名は、両側性空洞を有していた。
参加者は、6ヶ月から24ヶ月の抗TB処置を完了した。処置の終わりまでの経過観察は、いかなる処置の失敗も示さなかった。1名の参加者は、INHおよびRIF耐性結核を有し;1名の参加者は、INHへの単剤耐性を有し、1名は二剤耐性(ストレプトマイシンおよびリファンピンに対して)を有したが、全て参加者が集中期処置を完了した後に検出された。4名の参加者は、登録前に標準的化学治療である3〜5日の間の4剤処置を受けた。
ベースライン(登録時)、および8週間(40投薬)の集中期治療後に、血清を収集し、処理し、保存した。計画の有効性を、Lowenstein−Jensen(LJ)固体培地およびMGIT 960システムを使用したBACTEC Mycobacterial Growth Indicator Tube(MGIT、Becton Dickinson and Co.、Franklin Lakes、NJ)液体培地の両方に対する痰培養状態の決定により評価した。この分析において、両方の培地タイプに対する8週間の処置の完了時に培養陰性であった患者は、「応答者」として分類され、一方、培養培地のいずれか(または両方)において培養陽性を維持した患者は、「低応答者」と見なされた。TBTC Study 29のIRB承認は、全ての参加機関およびCenters for Disease Control and Prevention(CDC)から得られた。さらに、この予備計画はまた、Committee on Human Research of the University of California、San Francisco(H45279−34102−02A)により承認された。39名の参加者のうち、25名の患者がリファペンチン治療群にランダムに割り当てられ、14名がリファンピン治療群に割り当てられた。4名の患者は、登録前に3〜5日の間の治療を受けた。設計上、この分析に選択された対象の半分が、LJおよびMGIT液体培地上での培養状態により定義されるように、8週間後(8週)の治療に反応した。ベースラインおよび集中期治療(8週)の終わりの血清試料の全39対が、それぞれ、1030のタンパク質を測定するためのプロテオームアッセイに含まれた。臨床的、X線写真および微生物学的データは、全てのプロテオーム測定が完了し、結果がCDCに送られた後まで受容されなかった。処置の全期間および処置の最後の治癒状態を含む追加の情報は、Kampala、UgandaにおいてGMにより患者カルテから取得された。
プロテオーム法
アプタマーは、複数ラウンドの選択、分配、および増幅からなるSELEXプロセスによりin vitro で選択された(Brody and Gold(2000)Journal of biotechnology 74:5−13;Gold,L.(1995)The Journal of biological chemistry 270:13581−13584)。上で詳述したように、SELEXの成功および得られたアプタマーの親和性は、in vitro選択のためのDNAの化学を拡大するための修飾されたヌクレオチドの使用により大きく改善された(Vaught et al.(2010)Journal of the American Chemical Society 132:4141−4151)。現在まで、1000を超えるヒト血清タンパク質に対する優れた親和性を有するアプタマー(サブナノモルKd)が生成されており、本明細書に記載の極めて多重化されたアプタマーベースアッセイにおいて使用されている。血清は、それぞれ低、中、および高存在度タンパク質のダイナミックレンジ内の正確な測定値を得るために、3つの異なる濃度(5%、0.3%、0.01%)で試験された。試験のために提供された血清試料の完全性は、既知の試料処理アーチファクトに関して監視された(Ostroff et al.(2010)Journal of proteomics 73:649−666)。アプタマーベースプロテオームアッセイは、Gold et al.((2010)PloS one 5:e15004)に詳細に説明されている。簡潔に述べると、アッセイは、フルオロフォア標識化アプタマーおよび溶液中の血漿または血清中のタンパク質の平衡結合、ならびにその同族タンパク質と複合化したアプタマーのみを捕捉するための自動化された分配ステップからなる。本質的に、アッセイは、スライド当たり8つのマイクロアレイを有するハイブリダイゼーションガスケットスライドを使用したアンチセンスプローブアレイへのハイブリダイゼーション(Agilent Technologies)により、タンパク質の測定値を、対応するアプタマー(DNA)の測定値に変換する。アッセイ(タンパク質結合)の液体処理ステップは、Biomekロボットにより行われ、ハイブリダイゼーションステップにおいて生成された蛍光シグナルは、蛍光スライドスキャナ(Agilent Technologies)を使用して捕捉される。タンパク質濃度は、相対蛍光単位(RFU)で報告される。
統計分析
統計演算のためのMatlab(商標)およびR環境(http://www.r−project.org/)が、統計分析に使用された。フィッシャーの正確確率検定を使用して、応答者および非応答者におけるX線写真における発見の割合を比較した。線形回帰分析を使用して、log RFUで測定されたタンパク質レベルと培養変換時間との間の関連性を評価した。ノンパラメトリックコルモゴロフ−スミルノフ(KS)試験を、急速および低応答者におけるタンパク質分布の非対比較に適用した。KS統計値は、符号のない量であるが、「符号付」の値は、差次的発現の方向性、すなわち、対象となる所与の比較における増加または減少したタンパク質レベルのそれぞれ正または負のKS距離を伝えるために報告される。
ウィルコクソン順位和検定を使用して、それぞれ応答者および低応答者におけるベースラインと8週目との間の対(対象内)差次的反応を有するタンパク質を特定した。偽発見率(FDR)方法(Storey(2002)J Royal Stat Soc,Series B 64:479−498)を使用して、複数の比較補正を行った。各統計値において、p値、およびRパッケージq値で演算された関連したFDR補正「q値」の両方(Dabney et al.qvalue:Q−value estimation for false discovery rate control.R package version 1.26.0 2011:http://CRAN.R−project.org/package=qvalue)が報告される。q値は、p値に類似しており、偽陽性の確率ではなく偽陽性の予測される数に関して、特定の観察の統計的優位性を測定する。注釈、可視化および統合された発見(DAVID)分析を、機能的クラスタリングおよび注釈に使用した(http://david.abcc.ncifcrf.gov/)(Huang et al.(2009)Nucleic acids research 37:1−13;Huang et al.(2009)Nature protocols 4:44−57;Jiao et al.(2012)Bioinformatics 28:1805−1806)。
正規化ロジスティック回帰モデルを使用して、応答者を低応答者から区別する変数を選択した。ランダム化lassoを使用した安定性選択(Meinshausen and Buhlmann(2006)The Annals of Statistics 34:1436−1462)を使用して、広範な正規化パラメータにわたる高い選択確率を有するタンパク質を特定した。選択確率は、ランダム化lassoを使用した観察の500のランダム分割から演算された。「応答者」および「低応答者」の100のランダム置換を使用して、安定性選択のための偽発見率に対する下限を予測した。最終的なロジスティック回帰モデルは、最も高い選択確率を有するマーカーに再フィッティングされ(正規化なし)、処置応答により対象を分類する際の得られた感度および特性が、階層化交差検証を使用して推定された。
試料処理
SomaLogic Inc.,(Boulder、CO)が全てのプロテオーム評価を行い、本試験のために血清を得た参加患者の臨床的特徴は知らされていなかった。親和性ベースプロテオーム技術は、時点毎、対象当たり、血清から1,030のタンパク質を成功裏に測定した。単回アッセイにおいて試料を分析し、時点、臨床的または微生物学的詳細の事前の知識なしで、内部アッセイ対照を使用してデータ検証を行った。ベースラインと8週目試料セットとの間の全体的タンパク質濃度における僅かな系統的差異(4%)は、正規化の間除去された。3つの試料は、共に他の対照と比較して、ヘモグロビンレベルを、それに対応して低ハプトグロビンレベルを上昇させ、内部アッセイ補正手段が、ある程度の溶血を示唆している。試料処理誤差の他の証拠(Ostroff et al.(2010)Journal of Proteomics 73:649−666)は観察されず、したがって全ての試料は、その後のデータ分析への包含に適合すると見なされた。
活性TBの非特異的マーカー
ベースラインのTB患者における血清タンパク質濃度を、治療8週間後の同じ患者において測定された血清タンパク質濃度と比較した。急性期反応物質C反応性タンパク質(CRP)および血清アミロイドAタンパク質(SAA)が、1人を除く全ての対象において、ベースラインから8週目にかけて減少した(図6)。血清アルブミンが、1人を除く全ての対象において、ベースラインと8週目との間で増加した。ハプトグロビン、アルファ−1抗トリプシン(AAT)および血清アミロイド A タンパク質を含む、他の既知の重要な急性期反応物質は、疾患の負担の低減と一致して、ベースラインから8週目にかけて下降した。
疾患の重症度との相関
微生物学的およびX線写真パラメータを使用して、TB疾患の重症度を評価する。ベースラインにおいて、全空洞体積およびMGIT培養における検出までの時間が、それぞれ疾患の重症度および痰中の細菌負荷のマーカーである。本試験に関与する患者に対して利用可能なデータのうち、CXRクラス(ベースラインCXR上の空洞化の存在およびサイズにより定義され、クラス1=空洞化なし;クラス2=空洞化が存在、<4cmのサイズ;クラス3=空洞化が存在、>4cmのサイズ)が、ボディマスインデックス(BMI、図7A)およびMGIT培養における検出までの時間(TTD、図7B)等の他のパラメータとの最も強い関連性を示し、予測されたように、両方とも、空洞性疾患を有さない(CXRクラス1)17名の患者と比較して、大型および/または両側性の空洞(CXRクラス3)を有する13名の患者においてより低かったが、群間に大幅な重複があった。クラス1と比較してCXRクラス3においてより低かったプラスミノーゲン(図7C)およびクラス1と比較してCXRクラス3においてより高いトロンボスポンジン−2(TSP−2)(図7D)は、CXRクラス1をクラス3患者から最も良く識別するが、これらの効果は、18%偽発見率を有していた。
ベースラインでより重度の疾患(スコア>0.60)を有する13名の患者、およびより重症度の低い疾患(スコア<0.40)を有する13名の患者を区別する上位マーカーは、CRP、SAA、およびNPS−PLA2であり、中央値の約2倍増加したレベルを有した。
回帰分析を使用して、測定された増加する疾患重症度と共に変化したタンパク質を特定した。線形モデルにおける反応としてベースライン(log)RFUを、および5%偽発見率を使用して、ヘパリン補因子2、血小板因子−4(PF−4)、G−タンパク質結合受容体関連選別タンパク質−2(GASP−2)、およびα2−抗プラスミンが、我々の疾患重症度スコアと相関するベースライン濃度を有していた(図8A−D)。低レベルのヘパリン補因子2およびGASP2が、共に、より重度の疾患と関連していた。興味深いことに、8週間でのα2−抗プラスミンレベルもまた、重症度スコアの増加と共に減少した(図8E)。対照的に、8週間で測定されたフィブリノゲンレベルは、重度の疾患を有する患者においてより高かった(図8F)。ベースライン濃度に対する8週目の(log2)比および5%偽発見率を使用した回帰分析は、その変化率が疾患重症度と関連する追加的なタンパク質を明らかにした。上位マーカーは、DKK−1、アディポネクチンおよび血清アミロイドP成分(SAP)であった(図3G−I)。DKK−1レベルは、軽度の疾患を有する患者において、ベースラインから8週目にかけて減少したが、より重度の疾患を有する患者においては高いままであったか、またはさらに増加した。アディポネクチンは、軽度の疾患を有する患者の大半において増加したが、最も高い疾患重症度スコアを有する患者においては変化しなかった(データは示さず)。
ベースライン対TB治療8週目における血清タンパク質の対分析
0.01%偽発見率(q<0.0001)において、ウィルコクソン符号順位検定を使用して、測定された1,030のタンパク質のうちの239がベースラインと処置8週目との間で差次的に発現したと特定された。16のタンパク質が、39名の患者全てにおいてベースラインから8週目にかけて同じ方向にシフトし、多くの他のタンパク質が、患者の少なくとも4分の3(39名のうち30名)において、ベースラインから8週目にかけて一貫したシフトを示した。患者内シフトは、上方または下方調整を示す患者の数を示す。上位患者内マーカー(q<10−6)を、表1に示す。0.01%偽発見率(q<10−4)を有する239のタンパク質の完全なリストを、表2に示す。また、未加工p値、および複数試験補正を反映する最終的FDR補正「q値」も示される。
符号順位検定は、測定の順位に基づいているため、これらのタンパク質のいくつかに対する変化の大きさを理解するのは困難である。図9において、ベースラインと8週目との間の中央倍数変化を使用した上位順位のタンパク質が示されている。SAA(血清アミロイドAタンパク質)、NPS−PLA2(ホスホリパーゼA2)、およびCRP(C反応性タンパク質)は、それぞれ、6.8倍、5.9倍、および4.7倍の中央対象内減少を示した。16の追加のタンパク質が、少なくとも1.5倍(中央倍数変化)降下し、TSP−4、抗トロンビンIII、マンノース受容体2(MRC−2)、フェチュイン様タンパク質(FETUB)および血漿セリンプロテアーゼ阻害剤(PCI)を含むいくつかのマーカーが、ベースラインと8週目との間で増加した。
次いで、注釈、可視化および統合された発見のためのデータベース(DAVID)を使用して、対データを分析した。表2に示される239のタンパク質を、全タンパク質およびタンパク質内の領域に関する構造関数情報を含有するDAVIDに入力した。DAVID分析は、機能的類似性に基づいて239のタンパク質をクラスタ化した。ボンフェローニ補正p値≦0.05を有する>1.3の濃縮スコアを有するそれらのクラスタが、有意であると見なされた。クラスタ(遺伝子オントロジーコードで注釈されている)は、創傷に対する応答、炎症反応、防御反応および凝固に関与する経路におけるタンパク質が、特定された239のタンパク質の中でもよく見られることを示した。注釈されたクラスタの完全なリストを、下の表3に示す。
不対分析
予後診断用途において、目的は、単一試料のみを使用して処置応答を予測することができることである。不対分析により、8週目の分布と異なるベースライン測定分布を有するタンパク質を特定することが行われた。0.1%偽発見率(q<0.001)で、KS試験により、1,030タンパク質のうちの116が、ベースラインと8週目との間で差次的に発現したと特定された。全てのタンパク質に対するKS距離を、図10に記載する。上位60マーカー(q<10−4)を表4に示し、全116マーカー(q<10−3)を表5に示す。全55/116の特徴が経時的に上方調整され、61/116が下方調整された。最も有意な変化は、TSP−4、線維芽細胞活性化タンパク質α(SEPR)、MRC−2、抗トロンビンIII、PCI、LPS結合タンパク質(LBP)、α2−HS−糖タンパク質、およびホスホリパーゼA2(NPS−PLA2)において見られた。上位8マーカーのベースラインおよび8週目タンパク質測定に対する実験的累積分布関数(分布間のKS距離の表示と共に)が図11に示され、51の追加のタンパク質のプロットが、図12において見ることができる。ベースラインと8週目試料との間に差次的に発現した上位2マーカーを使用した散布図を、図13に見ることができる。これらのタンパク質の1つ以上の測定値を使用して、このデータセット内の各試料を、90%を超える感度および特異性をもって、ベースライン群(TB)または8週目群(治療されたTB)に属するものとして分類することができる。
疾患重症度スコアの計算
血清の分析および臨床データの受領後、胸部X線(CXR)の範囲および空洞性疾患(非存在、全ての空洞の直径の和が4cm未満または4cm超)(Falk et al.(1969)Classification of pulmonary tuberculosis.Diagnostic standards and classification of tuberculosis.New York:National Tuberculosis and Respiratory Disease Association);喀痰塗抹標本グレード(Kent and Kubica GP(1985)Public Health Mycobacteriology:A Guide for the Level III Laboratory.Atlanta,GA:Centers for Disease Control);接種後の液体培地中の陽性培養の検出までの日数ならびにボディマスインデックス[体重(kg)/身長(m)]2に基づき、カスタム疾患重症度スコアを計算した。疾患重症度のさらなる精密化が、より重度の疾患に関連したマーカーを解明し得るかを見出すために、重症度の臨床スペクトルを決定した。BMI(Zachariah et al.(2002)Transactions of the Royal Society of Tropical Medicine and Hygiene 96:291−294)および両側性空洞化(Pakasi et al.(2009)European journal of clinical nutrition 63:1130−1135)の臨床的重要性を考慮して、これらの因子を2の倍数で加重した。
以下の8つのパラメータを単一の疾患重症度スコアに組み合わせた。
疾患の重症度との相関
微生物学的およびX線写真パラメータを使用して、TB感染の重症度を評価した。全空洞体積およびMGIT培養における検出までの時間は、それぞれ疾患の重症度および痰中の細菌負荷のマーカーである。試験に関与する患者に対して利用可能なデータから、CXRクラスは、ボディマスインデックス(BMI、図14A)およびMGIT培養における検出までの時間(TTD、図14B)等の他のパラメータとの強い関連性を示した。予期されたように、両方とも、空洞性疾患を有さない(CXRクラス1)17名の患者と比較して、大型および/または両側性空洞を有する(CXRクラス3)13名の患者においてより低かった。CXRクラス3においてクラス1と比較してより低かったプラスミノーゲン(図14C)、およびCXRクラス3においてクラス1と比較してより高かったトロモスポンジン−2(TSP−2)(図14D)は、CXRクラス1をクラス3患者から最も良く識別するが、これらの効果は、18%偽発見率を有し、したがって、6つのそのような効果の平均的に約1つは、「偽」の発見であることが予測される。
血清タンパク質レベルおよび疾患重症度のより総合的な関連性に向けて、8つの臨床パラメータ(CXRクラス、CXR範囲、検出までの時間、塗抹標本の状態、任意の空洞の存在、両側性空洞の存在または異常、BMI)を、上述のように連続的疾患重症度スコアに組み合わせた。ベースラインでより重度の疾患(スコア>0.60)を有する13名の患者、およびより重症度の低い疾患(スコア<0.40)を有する13名の患者を区別する上位マーカーは、CRP、SAA、およびPLA2であり、中央値の約2倍増加したレベルを有した。
回帰分析を使用して、我々の複合スコアにより測定されるような増加する重症度と共に増加/減少したタンパク質を特定した。線形モデルにおける反応としてベースライン(log)RFUを、および5%偽発見率を使用して、ヘパリン補因子2、血小板因子−4(PF−4)、G−タンパク質結合受容体関連選別タンパク質−2(GASP−2)、およびα2−抗プラスミンが、我々の疾患重症度スコアと相関するベースライン濃度を有していた(図15A〜D)。低レベルのヘパリン補因子2およびGASP2は、共に、より重度の疾患と関連していた。興味深いことに、8週間でのα2−抗プラスミンレベルもまた、重症度スコアの増加と共に減少した(図15E)。対照的に、8週間で測定されたフィブリノゲンレベルは、重度の疾患を有する患者においてより高かった(図15F)。ベースライン濃度に対する8週目の(log2)比および5%偽発見率を使用した回帰分析は、その変化率が疾患重症度と関連する追加的なタンパク質を明らかにした。上位マーカーは、DKK−1、アディポネクチンおよび血清アミロイドP成分(SAP)であった(図15G〜I)。DKK−1レベルは、軽度の疾患を有する患者において、ベースラインから8週目にかけて減少したが、より重度の疾患を有する患者においては高いままであったか、またはさらに増加した。アディポネクチンは、軽度の疾患を有する患者の大半において増加したが、最も高い疾患重症度スコアを有する患者においては変化しなかった。
処置応答を予測するタンパク質
基本的な人口統計学的パラメータおよびその処置応答との相関
年齢は、TB処置応答の重要な予測因子であった(図15A)。応答者は、低応答者よりも若かった(中央年齢25.7歳対31.8歳、p=0.01)。応答者は、低応答者より若干高いBMIを有した(19.7対18.8のBMI(図15B))が、差は有意ではなく(p>0.1)、また液体培養における検出までの日数として決定されるベースラインにおける定量的培養分析における差も有意ではなかった(p>0.1)(図15C)。TB感染の程度または重症度を評価するために使用されたX線写真パラメータのうち、胸部X線(CXR)範囲は、応答者と低応答者との間で異なり(p=0.02)、図15Dに示されるように、2倍の数の応答者がCXR範囲B(中程度)を有し、2倍の数の低応答者がCXR範囲C(広範囲)を有していた。
処置応答に基づくベースラインにおけるタンパク質マーカー
一実施形態において、ベースラインにおいて応答者を低応答者から区別するタンパク質が、コルモゴロフ−スミルノフ(KS)試験を使用して特定された。図16Aおよび表8は、1030のタンパク質のそれぞれにおける応答者と低応答者との間の比較のためのKS距離を示す。図16Bは、応答者(R)および低応答者(S)との間の最大KS距離を有する上位20タンパク質の相対蛍光単位(RFU)の実験的累積分布関数のプロットを示す。表9(上部セクション)は、全1030タンパク質のうちの、応答者と低応答者との間の比較のための最大KS距離を有する上位10タンパク質を示す。上位5タンパク質は、29%の偽発見率を有し、これは、これらの5つのうち2つが、偽発見であると予測され得ることを示す。応答者は、プロテアソーム活性化因子複合体サブユニット1(PSME1)、熱ショック70kDa同族タンパク質8(HSP70)、α2−抗プラスミン、インターフェロンラムダ2(IFN−λ)、およびマトリックスメタロプロテイナーゼ12(MMP−12)の低応答者よりも高いレベルを有していた。一方、低応答者は、急速応答者と比較してより高いレベルのインターロイキン11受容体拮抗薬(IL−11 Rα)、ガレクチン−8、マトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP−13)、iC3b、およびTNFリガンドファミリーの増殖誘発性リガンド(APRIL)を有した。
処置応答に基づく8週間でのタンパク質マーカー
8週目試料において測定された全てのタンパク質に対して、応答者と低応答者との間のKS距離が決定され(図17A)、応答者(R)と低応答者(S)との間の最大KS距離を有する上位20タンパク質に対して、累積分布関数プロット(図17B)が示される。表9(中央セクション)は、KS距離に基づき、8週目に応答者と低応答者との間の最大差次的発現を示したタンパク質を示す。凝固因子Vが、最も有意な差を示し、低応答者と比較して応答者において上昇した。Xaa−Proアミノペプチダーゼ1(XPNPEP1)、可溶性gp130、形質転換成長因子−ベータ−誘発性タンパク質ig−h3(BGH3)、メタロプロテイナーゼ阻害剤2(TIMP−2)、細胞外基質タンパク質1(ECM−1)、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、インターフェロンアルファ−2(IFN−αA)、IL−11もまた、低応答者と比較して応答者において上昇した。表2のこのセクションに列挙した他のタンパク質のうち、腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー13(APRIL)のみが、低応答者よりも応答者において低かった。
応答者および低応答者の「対」分析が、「倍数変化」メトリクスとして対象内ベースラインから8週目の反応の対数比を使用して行われた(図18)。この分析は、低応答者(S)と比較して応答者(R)において2つの時点の間の差次的変化を示すタンパク質を標的とする。2つの群における対数比の分布に関連したKS距離によるタンパク質の順位付けを、表9に示す(下部セクション)。上位2つの特徴は、EphA1(エフリンタイプA受容体1)およびgp130であったが、両方とも、以前に不対分析において特定されている。また、TIMP−1、MMP−8(メタロプロテイナーゼ−8、好中球コラゲナーゼとしても知られる)、AMPM2(メチオニンアミノペプチダーゼ 2)、およびMMP−12(マクロファージメタロエラスターゼ)も見られる。
その後、ウィルコクソン順位和検定を使用してタンパク質を順位付けし、応答者および低応答者において異なる中央倍数変化を有するものを特定した。最も差次的な変化を有する10のタンパク質を、表10に列挙する。これらのタンパク質の最初の9つにおいて、ベースラインから8週目までのシグナルにおける倍数変化は、低応答者よりも応答者において大きかった。これらの特徴は、ネクチン様タンパク質1、EphA1(エフリンタイプA受容体1)、gp130、CATZ、CNDP1、TGF−b RIII、MRC2、ADAM9、およびCDONであった。IL−2 sRαは、両方の群において減少した唯一のタンパク質であるが、低応答者と比較して応答者においてより大きな程度まで減少した。
表11は、8週目の低応答者と全てのベースライン試料との間よりも、8週目の応答者と低応答者との間でより大きな程度まで変化したいくつかの追加のマーカーを示す。これらのタンパク質のレベルは、ベースラインおよび8週目の低応答者において互いに近い軌跡をとるが、8週目の応答者においては明確に異なる。
マーカーの組み合わせによる処置応答の予測
処置応答のシグニチャーを特定するため、具体的には血清タンパク質測定値を8週間での培養状態の予測に使用するためのいくつかの戦略を探索した。最初のアプローチにおいて、8週間で、応答者対低応答者を区別する上位マーカーが、低シグナル強度(<500 RFU)を有するマーカーを排除した後に、大きなKS距離(≧0.5)に基づいて選択された。凝固因子V、XPNPEP1、gp130、TIMP−2およびECM1を含む5つの特徴のシグニチャーが、単純ベイズ分類手段において組み合わされ、8週目データを使用して処置応答が「予測」された。手順は、図1AおよびBにおいて概略的に示されている。一実施形態において、生体試料が、任意に希釈され、多重化アプタマーアッセイにおいて使用される。この5つの特徴の分類手段は、0.89のAUC値および0.75〜0.98の信頼性区間を有するROC曲線を示した(図19A)。訓練試料の対応する分類を、19Bに示す。モデルは、安定したパラメータ推定を使用してlog RFU値にフィッティングされた。共変量調整は行わなかったが、対象の年齢およびBMIは共に処置応答の強力な予測因子である。この予備試験は、分類手段性能を評価するための独立した試験セットを保持するには小さすぎたため、5倍階層化交差検証を使用して、性能推定値を生成した。感度および特異性は、0.85+/−0.1および0.95+/−0.05であり、AUCは0.88+/−0.07であった。
第2のアプローチにおいて、8週目の低応答者と全てのベースライン試料との間よりも8週目の応答者と低応答者との間でより大きな程度まで変化したマーカーが特定された。図20Aは、ベースライン試料の8週目の低応答者との比較のためのKS距離対8週目の応答者および低応答者の比較のためのKS距離の散布図を示す。処置応答に関連したマーカーは、8週目の低応答者とベースラインとの間よりも、8週目においてより大きな差次的発現(より大きいKS距離)があるため、右下の領域に集合する。上で特定されたタンパク質の多くは、右下の角に現れ、さらに、BGN(マトリックスプロテオグリカン)、YESおよびLYNB(チロシンキナーゼ)およびIL−7が、その領域に位置する。図20Bは、4つの代表的マーカー(BGN、IL−7、凝固因子V、およびLYNB)に対する実験的累積分布関数(CDF)を示し、これらのタンパク質のレベル、ベースラインおよび8週目の低応答者において互いに近い軌跡をとるが、8週目の応答者においては明確に異なることを示している。
さらに別の実施形態において、年齢、性別、BMI、塗抹標本の状態、CXRクラス、CXR範囲および検出までの時間と組み合わされた1030のタンパク質測定値のセットから共変量のサブセットを特定するために、安定性選択が使用された。ベースラインにおける最も安定した予測マーカーは、IL−11 Rα、α2−抗プラスミン、PSME1、SAA、および対象年齢であった(図21A)。それらのタンパク質の3つ、上述のように応答者と低応答者との間の大きなKS距離を有するものに含まれ、伴うq値は、平均してこれらのうちの少なくとも1つが偽発見であることを示唆した。この評価は、異なる選択確率での安定性選択により予測された偽発見の平均数に一致する(図21A)。8週間において、処置応答の最も予測的な安定マーカーは、ECM1、YES、IGFBP1、CATZ、凝固因子V、およびSAA(図21B)であった。
処置応答を「予測」するための5−マーカーシグニチャーの例として、IL−11 Rα、α2−抗プラスミン、PSME1、およびSAAのベースライン測定値を、ロジスティック回帰モデルにおける対象年齢と組み合わせた。対応する試料分類(図21C)および得られたROC曲線(図21D)は、訓練データに対するこのモデルの性能を示す。本試験における試料は、独立した「試験セット」を保持するには少なすぎたため、5倍階層化交差検証を使用して、モデル性能を推定した。交差検証下、推定されたAUCは0.9±0.05であり、感度は0.9±0.06、および特異性は0.95±0.05であった。同様の性能が、最善のKS距離を有する表9中の最初の5つのタンパク質(PSME1、IL−11 Rα、HSP70、ガレクチン−8、およびα2−抗プラスミン)のベースライン測定値を使用して構築された単純ベイズモデルから観察された。
最終分析は、低応答者から応答者を区別する8週目のマーカーを検索したが、これは、8週目の低応答者と全てのベースライン試料との間に大きな変化を示さなかった(図21E)。8週目の低応答者のベースライン試料との比較のためのKS距離対8週目の応答者および低応答者の比較のためのKS距離のこの散布図において、処置応答と関連するマーカーは、右下の領域に集合する。凝固因子V、XPNPEP1、YES、血管作動性腸管ペプチド、ECM1、BGN(マトリックスプロテオグリカン)、LYNB(チロシンキナーゼ)、およびIL−7等の、上で特定されたタンパク質の多くが見られる。これらのマーカーの実験的累積分布関数は、これらのタンパク質のレベルが、ベースラインおよび8週目の低応答者において互いに近い軌跡をとるが、8週目の応答者においては異なる(図21F)ことを示している。
培養変換までの時間に関連したマーカー
処置応答の代理マーカーの特定に向けて、メタデータおよび血清タンパク質データを、陰性培養(固体および液体)が得られた少なくとも2つの連続した時点の最初として定義される培養変換までの時間(TTCC)に関して分析した。39名の患者のうち、4週間(n=3)、6週間(n=4)、8週間(n=12)、12週間(n=10)、16週間(n=9)、および20週間(n=1)のTTCCを有する6つの応答者群があった。TTCCは、塗抹標本/培養物結果、胸部X線分類、空洞の存在、またはBMI(データは示さず)等のベースラインで得られた臨床データと相関しなかった。TTCCに対するベースラインおよび8週目のタンパク質測定値(log RFU)の一変量回帰分析を行い、統計的優位性によりソートした(表12)。ベースラインにおいて、より低いレベルのERP29、ペルオキシレドキシン−5、HSP−70、およびα2−抗プラスミンが、より長いTTCCと関連していた(図22A)。8週間で、NKG2D(KLRK1)およびCDK8が、より長いTTCCを有する患者からの試料において増加したレベルを示したが、一方XPNPEP1およびBGH3(TGFBI)レベルは、より低かった(図22B)。異なる応答者群内の全ての8週間測定値の中央値の比較は、好中球機能に関連した大量のタンパク質を示した(図22C)。BPI(殺菌性透過性増加因子)およびIL−1 R4は、低応答者と比較して高速応答者においてより高く、カテプシンDは、低応答者と比較して高速応答者においてより低かった。応答者群間の最大の差は、8週間で測定されたSAAに対するものであり、ベースラインデータおよび8週目データを使用したより詳細な回帰分析は、シグナルがベースラインから8週目にかけてほぼ10分の1に降下したことを示したが、高速応答者からの試料において、はるかに急激な減少が観察された(図22D)。
aスケール/正規化
b重み因子
c(bmi−12)/4