JP2015507470A - 薬物スクリーニング法およびその使用 - Google Patents

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Abstract

ファーマコマップの作製につながる高解像度技術を使用して、非ヒト動物において薬物をスクリーニングする方法が本明細書に記載される。薬物候補化合物の治療効果および/または毒性を予測する方法がさらに本明細書に記載される。特定の実施形態では、試験薬物のファーマコマップの、既知臨床成績を有する1つまたは複数の参照薬物のファーマコマップに対する比較に基づいて、試験薬物の臨床効果を予測する方法が本明細書において提供される。【選択図】図1

Description

本出願は、全文が参照により本明細書に組み込まれる2011年11月11日に出願された米国仮出願第61/558,877号の利益を主張する。
ファーマコマップ(pharmacomap)の作製につながる高解像度技術を使用して、非ヒト動物において薬物をスクリーニングする方法が本明細書に記載される。薬物候補化合物の治療効果および/または毒性を予測する方法が、本明細書にさらに記載されている。特定の実施形態では、既知の臨床成績を有する1つまたは複数の参照薬物のファーマコマップに対する試験薬物のファーマコマップの比較に基づいて、試験薬物の臨床効果を予測する方法が本明細書において提供される。
新規薬物または薬物療法の開発は、動物での薬物または薬物療法の効果の評価を含むことが多い。ヒトでのその後の試験が安全に実施され得るよう、実験データを得るためにマウスなどの実験動物が使用される。例えば、新規薬物は、実験マウスの特定の脳細胞を活性化することができ、これは、c−fosおよびArc(活性が調節される細胞骨格タンパク質)などの前初期遺伝子(IEG)を使用して同定され得る。従来、IEG誘導は、in situハイブリダイゼーションまたは免疫組織化学と、それに続く目視検査、人観察者による脳領域のサブセットのマークアップ(markup)およびスコアリングなどの労働集約的な、誤りがちな技術によって検出される。
一態様では、(a)化合物を非ヒト動物に投与するステップと、(b)組織中の細胞の単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して、非ヒト動物の組織をイメージングするステップであり、それによって、化合物のファーマコマップを作成するステップとを含む、ファーマコマップを作成する方法が本明細書において提供される。いくつかの態様では、化合物が動物に投与されており、イメージングが、組織中の細胞の単細胞解像度を提供する、非ヒト動物の組織をイメージングするステップであり、それによって、化合物のファーマコマップを作成するステップを含む、ファーマコマップを作成する方法が、本明細書において提供される。特定の実施形態では、非ヒト動物は、組織がイメージングされる前に屠殺される。その他の実施形態では、非ヒトは、屠殺されず、イメージング技術は、生きている非ヒト動物の組織で実施される。特定の実施形態では、(a)非ヒト動物に化合物を投与するステップと、(b)動物の組織を採取するステップと、(c)組織中の細胞の単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して、採取された組織をイメージングするステップであり、それによって化合物のファーマコマップを作成するステップとを含むファーマコマップを作成する方法が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、化合物は、既知の治療効果および/または毒性効果を有する参照化合物である。特定の実施形態では、非ヒト動物は、トランスジェニック動物、例えば、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御する遺伝子調節領域を保持する非ヒト動物である。実施形態のいくつかでは、使用されるイメージング技術は、組織中のリポーター遺伝子配列を発現する細胞の単細胞解像度を提供する。
一態様では、試験化合物の治療効果および/または毒性効果を予測するために、細胞の単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して、試験化合物を投与された非ヒト動物に由来するか、または試験化合物を投与された非ヒト動物中にある組織をイメージングするステップと、機械学習アルゴリズムを使用して、試験化合物に応答して活性化される細胞を1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって同定するステップと、同定された細胞の表現を、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって連続組織空間の体積中に作製するステップと、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、統計技術を実施して、採取された組織の同定された細胞の作製された表現と、対照組織の細胞の表現との比較に基づいて、有意な相違のある領域を同定するステップと、試験化合物の治療効果および/または毒性効果を予測するために、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、有意な相違のある同定された領域に基づいて、試験化合物に応答して活性化される解剖学的組織領域を同定するステップと、試験化合物のファーマコマップを作成するステップとを含む、試験化合物のファーマコマップを作成する方法が、本明細書において提供される。特定の実施形態では、非ヒト動物は、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御するための遺伝子調節領域を含むトランスジェニック動物である。特定の実施形態では、同定された細胞の表現を連続組織空間の体積中に作製するステップは、組織イメージを連続組織空間の標準体積にワーピングして、連続組織空間内の、同定された細胞と関連している情報を登録する(register)ことと、連続組織空間のボクセル化(voxelization)を実施して、連続組織空間の個別のデジタル化を作成することとを含む。いくつかの実施形態では、ファーマコマップは、1つまたは複数のボクセルを含む連続組織空間の表現を含み、かつ組織空間中の活性化される解剖学的組織領域を同定するファーマコマップ情報を含み、活性化される解剖学的組織領域は、1つまたは複数のボクセルを含み、ボクセルは、試験化合物に応答して活性化される1つまたは複数の細胞を含む。特定の実施形態では、試験化合物のファーマコマップを作成するステップは、有意な相違のある同定された領域の解剖学的セグメンテーションを実施することを含む。いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズムを含む。特定の実施形態では、統計技術は、負の二項回帰技術、ランダム場理論技術および/または1回または複数回のt検定を含む。特定の実施形態では、イメージング技術は、連続2光子トモグラフィー(serial two-photon tomography)を含む。いくつかの実施形態では、組織は、全臓器であり、本明細書に記載されたイメージング技術は、全臓器(例えば、脳)中の細胞の単細胞解像度を提供する。一実施形態では、本明細書に記載された方法は、全臓器のファーマコマップ(脳全体のファーマコマップなど)の作製につながる。
一実施形態では、非ヒト動物に試験化合物を投与するステップと、組織中の細胞の単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して組織をイメージングするステップと、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、機械学習アルゴリズムを使用して、試験化合物に応答して活性化される細胞を同定するステップと、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、同定された細胞の表現を連続組織空間の体積中に作製するステップと、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、統計技術を実施して、採取された組織の同定された細胞の作製された表現と、対照組織の細胞の表現との比較に基づいて、有意な相違のある領域を同定するステップと、試験化合物の治療効果および/または毒性効果を予測するために、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、有意な相違のある同定された領域に基づいて、試験化合物に応答して活性化される解剖学的組織領域を同定するステップと、試験化合物のファーマコマップを作成するステップとを含む、試験化合物のファーマコマップを作成する方法は、試験化合物の治療効果および/または毒性効果を予測するために使用される。別の実施形態では、非ヒト動物に試験化合物を投与するステップと、動物の組織を採取するステップと、組織中の細胞の単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して組織をイメージングするステップと、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、機械学習アルゴリズムを使用して、試験化合物に応答して活性化される細胞を同定するステップと、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、同定された細胞の表現を連続組織空間の体積中に作製するステップと、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、統計技術を実施して、採取された組織の同定された細胞の作製された表現と、対照組織の細胞の表現との比較に基づいて、有意な相違のある領域を同定するステップと、試験化合物の治療効果および/または毒性効果を予測するために、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、有意な相違のある同定された領域に基づいて、試験化合物に応答して活性化される解剖学的組織領域を同定するステップと、試験化合物のファーマコマップを作成するステップとを含む、試験化合物のファーマコマップを作成する方法は、試験化合物の治療効果および/または毒性効果を予測するために使用される。いくつかの実施形態では、同定された細胞の表現を連続組織空間の体積中に作製するステップは、組織イメージを連続組織空間の標準体積にワーピングして、連続組織空間内の同定された細胞と関連している情報を登録することと、連続組織空間のボクセル化を実施して、連続組織空間の個別のデジタル化を作成することとを含む。いくつかの実施形態では、ファーマコマップは、1つまたは複数のボクセルを含む連続組織空間の表現を含み、かつ組織空間中の活性化される解剖学的組織領域を同定するファーマコマップ情報を含み、ここで、活性化される解剖学的組織領域は、1つまたは複数のボクセルを含み、ボクセルは、試験化合物に応答して活性化される1つまたは複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、試験化合物のファーマコマップを作成するステップは、有意な相違のある同定された領域の解剖学的セグメンテーションを実施することを含む。特定の実施形態では、機械学習アルゴリズムは、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズムを含む。いくつかの実施形態では、統計技術は、負の二項回帰技術を含む。一実施形態では、統計技術は、1回または複数回のt検定を含む。一実施形態では、統計技術は、ランダム場理論技術を含む。特定の実施形態では、イメージング技術は、連続2光子トモグラフィーを含む。これらの実施形態のうち一部では、試験化合物は、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御するための遺伝子調節領域を保持するトランスジェニック動物に投与される。これらの実施形態のうち一部では、使用されるイメージング技術は、組織中の検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子配列を発現する細胞の単細胞解像度を提供する。
別の態様では、試験化合物を非ヒト動物に投与するステップと、単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して動物の組織をイメージングするステップであり、それによって、試験化合物のファーマコマップを作成するステップと、試験化合物のファーマコマップを、参照化合物のファーマコマップのものと、または参照化合物のファーマコマップのデータベースのものと比較するステップとを含む、試験化合物の治療効果および/または毒性効果を予測する方法が、本明細書に記載される。さらに別の態様では、試験化合物が動物に投与されており、イメージングが単細胞解像度を提供する、非ヒト動物の組織をイメージングするステップであり、それによって試験化合物のファーマコマップを作成するステップと、試験化合物のファーマコマップを、参照化合物のファーマコマップのものと、または参照化合物のファーマコマップのデータベースのものと比較するステップとを含む、試験化合物の治療効果および/または毒性効果を予測する方法が、本明細書に記載される。特定の実施形態では、非ヒト動物は、組織がイメージングされる前に屠殺される。その他の実施形態では、非ヒトは、屠殺されず、イメージング技術は、生存非ヒト動物の組織で実施される。特定の実施形態では、試験化合物を非ヒト動物に投与するステップと、動物の組織を採取するステップと、単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して採取された組織をイメージングするステップであり、それによって試験化合物のファーマコマップを作成するステップと、試験化合物のファーマコマップを、参照化合物のファーマコマップのものと、または参照化合物のファーマコマップのデータベースのものと比較するステップとを含む、試験化合物の治療効果および/または毒性効果を予測する方法が、本明細書において記載される。特定の実施形態では、試験化合物の治療効果および/または毒性効果を予測する方法は、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、試験化合物に応答して活性化される組織(例えば、採取された組織)中の解剖学的組織領域を同定することによって試験化合物のファーマコマップを作成するステップであり、ファーマコマップが、組織(例えば、採取された組織)の組織空間の表現を含み、かつ組織空間中の活性化される解剖学的組織領域を同定するファーマコマップ情報を含むステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、試験化合物のファーマコマップを参照化合物の予め定められたファーマコマップと比較するステップであり、参照化合物が、参照化合物のファーマコマップと相関する既知の治療または毒性効果を有するステップと、試験化合物および参照化合物のファーマコマップの比較に基づいて試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するステップとをさらに含む。特定の実施形態では、試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するステップは、参照化合物の既知の治療効果または毒性効果と参照化合物のファーマコマップとの間の参照化合物の相関マトリックスを作成することを含む。特定の実施形態では、採取された組織の組織空間の表現は、採取された組織の三次元イメージを作成することと、三次元イメージを組織空間の標準体積にワーピングすることと、組織空間をボクセル化して、組織空間の個別のデジタル化を作成することとを含む。特定の実施形態では、活性化される解剖学的組織領域は、1つまたは複数のボクセルを含み、ボクセルは、試験化合物に応答して活性化される1つまたは複数の細胞を含む。
特定の実施形態では、機械学習アルゴリズムを使用して、イメージングされる組織中の、活性化される細胞を検出する。一実施形態では、機械学習アルゴリズムは、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズムである。
特定の実施形態では、上記で記載される方法は、イメージングされる組織(例えば、採取された組織)を連続組織空間の体積にワーピングするステップと、連続組織空間のボクセル化を実施して、連続組織空間の個別のデジタル化を作成するステップと、個別のデジタル化の際に統計技術を使用して、対照によって活性化された組織領域と、薬物によって活性化された組織領域との間の有意な相違のある領域を同定するステップと、解剖学的セグメンテーションを使用して、組織領域に有意な相違を割り当て、1つまたは複数の組織領域について活性化される細胞数を決定するステップとをさらに含み、活性化される細胞の決定された数が、試験化合物のファーマコマップを、参照化合物のファーマコマップのものと比較することにおいて使用される。
別の態様では、試験化合物が、非ヒト動物(例えば、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御するための遺伝子調節領域を含むトランスジェニック動物)に投与され、動物の組織が採取される(または採取されている)、試験化合物の治療効果または毒性効果を予測する方法であって、組織中の細胞(例えば、蛍光リポーター遺伝子配列を発現する細胞)の単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して、採取された組織をイメージングするステップと、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、機械学習アルゴリズムを使用して、試験化合物に応答して活性化される細胞を同定するステップと、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、同定された細胞の表現を連続組織空間の体積中に作製するステップと、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、統計技術を実施して、採取された組織の、同定された細胞の作製された表現と対照組織の細胞の表現との比較に基づいて、有意な相違のある領域を同定するステップと、試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するために、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、有意な相違のある同定された領域に基づいて試験化合物のファーマコマップを作成して、試験化合物に応答して活性化される解剖学的組織領域を同定するステップとを含む方法が、本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、同定された細胞の表現を連続組織空間の体積中に作製するステップは、組織イメージを連続組織空間の標準体積へワーピングして、連続組織空間内の同定された細胞と関連している情報を登録することと、連続組織空間のボクセル化を実施して、連続組織空間の個別のデジタル化を作成することとを含む。特定の実施形態では、ファーマコマップは、コンピュータで読み取り可能な保存媒体に保存され、コンピュータで読み取り可能な保存媒体は、連続組織空間を表現するボクセルデータを保存するための保存領域を含み、コンピュータで読み取り可能な保存媒体は、ボクセルデータによって表現される、組織空間中の活性化される解剖学的組織領域を同定するファーマコマップデータを保存するためのデータフィールドを含み、活性化される解剖学的組織領域は、1つまたは複数のボクセルを含み、ボクセルは、試験化合物に応答して活性化される1つまたは複数の細胞を有する組織領域を表す。特定の実施形態では、コンピュータで読み取り可能な保存媒体は、非一過性保存媒体またはメモリー装置に保存されるデータベースである。いくつかの実施形態では、コンピュータで読み取り可能な保存媒体は、組織の特定の領域での、参照化合物の治療効果または毒性効果と関連している1種または複数の参照化合物のファーマコマップデータを含み、試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するために、試験化合物のファーマコマップデータが、1種または複数の参照化合物のファーマコマップデータと比較される。特定の実施形態では、試験化合物のファーマコマップを作成するステップは、有意な相違のある同定された領域の解剖学的セグメンテーションを実施することを含む。特定の実施形態では、機械学習アルゴリズムは、以下のうち1つを含む:畳み込みニューラルネットワークアルゴリズム、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト分類器およびブースティング分類器。特別の実施形態では、統計技術は、負の二項回帰技術、1回または複数回のt検定および/またはランダム場理論技術を含む。いくつかの実施形態では、イメージング技術は、以下のうち1つを含む:一連の2光子トモグラフィー、アレンインスティチュート(Allen institute)連続顕微鏡法、全光組織学、ロボット化された広視野蛍光顕微鏡法、光シート蛍光顕微鏡法、OCPI光シートおよびマイクロ光学切片トモグラフィー。
いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、トランスジェニック動物(例えば、マウスまたはラットなどのげっ歯類)である。例えば、検出可能な(例えば、蛍光)リポーター遺伝子配列の発現を制御する遺伝子調節領域を保持するトランスジェニック動物が使用され得る。特定の実施形態では、採取された組織のイメージングは、組織中の、検出可能な(例えば、蛍光)リポーター遺伝子配列を発現する細胞(試験化合物によって活性化される細胞など)の単細胞解像度を提供する。特定の実施形態では、参照化合物は、既知の治療効果および/または毒性効果を有する。参照化合物は、1種の化合物または2、3、4種または5種以上の化合物であり得る。参照化合物が2種以上の化合物である実施形態では、試験化合物のファーマコマップは、複数の参照化合物を平均化することによって作製された参照化合物の「バーチャル」ファーマコマップに対して比較されてもよい。ファーマコマップを比較することによって、ファーマコマップの類似性に基づいて、試験化合物の治療効果または毒性効果を予測することが可能となる。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従ってイメージングされる組織は、非ヒト動物の脳、腎臓、肝臓、膵臓、胃、心臓または任意のその他の組織である。特定の実施形態では、組織は、非ヒト動物の全臓器(例えば、全脳または全肝臓)である。いくつかの実施形態では、方法は、非ヒト動物の2種以上の組織(例えば、脳組織および肝臓組織)を採取することを含む。いくつかの実施形態では、作製されるファーマコマップは、(例えば、トランスジェニック動物の)全脳のものである。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法において使用されるイメージング技術は、連続2光子トモグラフィーであるが、当技術分野で公知の、または本明細書に記載されるその他のイメージング技術(例えば、イメージングされた組織の単細胞解像度を提供するイメージング技術)も使用され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法は、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御する遺伝子調節領域を保持するトランスジェニック動物に適用される。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、前初期遺伝子(de novoタンパク質合成の不在下で外部刺激に応答して迅速に、一過性に活性化される遺伝子、例えば、活性化刺激の10分以内、20分以内または30分以内に活性化され、1、2、3、4時間または6時間以内に発現され得る遺伝子)の遺伝子調節領域である。遺伝子調節領域は、例えば、プロモーターまたはプロモーターの領域であり得る。特定の実施形態では、前初期遺伝子は、c−fos、FosB、δ FosB、c−jun、CREB、CREM、zif/268、tPA、Rheb、RGS2、CPG16、COX−2、Narp、BDNF、CPG15、アルカドリン(Arcadlin)、ホーマー(Homer)−1a、CPG2またはArcである。その他の実施形態では、遺伝子調節領域は、別の遺伝子(例えば、前初期遺伝子)の下流で活性化される、またその他の遺伝子(例えば、前初期遺伝子)のタンパク質合成を必要とし得る後期/続発性遺伝子のものである。いくつかの実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激の30分超、1時間超または2時間超後に活性化される後期/続発性遺伝子のものである。いくつかの実施形態では、後期/続発性遺伝子は、刺激後、12時間超、1、2、3、4、5日超または1、2、3、4週間超の間発現される。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、神経フィラメント軽鎖、シナプシン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、TGF−β、NGF、PDGF、BFGF、チロシンヒドロキシラーゼ、フィブロネクチン、プラスミノゲンアクチベーター阻害剤−1、スーパーオキシドジスムターゼ(SODl)またはコリンアセチルトランスフェラーゼのものである。いくつかの実施形態では、リポーター遺伝子配列は、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするが、当技術分野で公知の、または本明細書に記載される検出可能な、例えば、蛍光シグナルを提供する任意のマーカーが使用され得る。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法は、試験化合物の治療効果を予測するために使用され、参照化合物は、既知の治療効果(例えば、ヒトにおいて)を有する。その他の実施形態では、本明細書に記載された方法は、試験化合物の毒性効果を予測するために使用され、参照化合物は、既知の毒性効果を有する(例えば、ヒトにおいて)。別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法は、試験化合物の最適用量(例えば、治療上有効な用量および/または毒性もしくは副作用を引き起こさないか、最小の毒性もしくは副作用しか引き起こさない用量)を予測するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法は、試験化合物の最適用量(例えば、治療上有効な用量および/または毒性もしくは副作用を引き起こさないか、最小の毒性もしくは副作用しか引き起こさない用量)を予測するために使用され、参照化合物(異なる用量の試験化合物と同一の化合物または異なる化合物であり得る)は既知の治療効果または毒性効果を有する(例えば、ヒトにおいて)。
いくつかの実施形態では、試験化合物および/または参照化合物の治療効果は、脳の障害または状態(例えば、中枢神経系障害)に対する治療効果である。いくつかの実施形態では、試験化合物および/または参照化合物の治療効果は、脳障害または状態ではない障害または状態に対する治療効果である。特定の実施形態では、試験化合物および/または参照化合物の毒性効果は、脳機能に影響を及ぼす毒性効果である。
記載された方法論を使用して、任意の化合物がスクリーニングまたは解析され得る。いくつかの実施形態では、化合物は、障害または状態(例えば、脳障害)の治療において使用されるよう意図される化合物である。その他の実施形態では、化合物は、特定の障害または状態(例えば、脳障害または状態)の治療において使用されるよう意図されない化合物である。これらの実施形態のうち一部では、化合物は、脳疾患または状態ではない任意の疾患または状態(例えば、癌、心臓疾患など)の治療における使用のために意図され、脳のファーマコマップが本明細書に記載されるように作製される。例えば、このようなファーマコマップは、化合物が任意の脳関連副作用(例えば、中枢神経系副作用)を有するか、有すると予測されるかどうかを解析するために使用され得る。
障害の治療において現在使用されている任意の化合物(複数可)を、参照化合物として利用できる。さらに、障害の治療において使用されない任意の化合物(複数可)(例えば、毒性のために前臨床試験において失敗した化合物)を、参照化合物として利用できる。いくつかの実施形態では、参照化合物は、脳障害の治療のために使用される薬物である。その他の実施形態では、参照化合物は、脳障害の治療のために使用されない薬物である。特別の実施形態では、参照化合物は、脳障害の治療のために使用されない、既知の毒性効果(例えば、脳機能に影響を及ぼす既知の毒性)を有する薬物である。いくつかの実施形態では、試験化合物は、脳障害の治療のために使用されるか、または脳障害の治療における使用について考慮されている薬物である。特定の実施形態では、試験化合物は、脳の障害または状態(例えば、中枢神経系障害)に対する治療効果を有すると予測される。その他の実施形態では、試験化合物は、脳の障害または状態(例えば、中枢神経系障害)に対する治療効果を有さないと予測される。本明細書に記載された方法は、複数の試験化合物を用いて反復され得る。試験化合物の各々について得られたファーマコマップは、単一データベースにコンパイルされ得る。
いくつかの実施形態では、本明細書において提供された方法は、既知臨床成績を有する1つまたは複数の参照薬物のファーマコマップ(複数可)に対する(または既知臨床成績を有する参照薬物のファーマコマップのデータベースに対する)試験薬物のファーマコマップの比較の結果に基づく新規薬物の選択および/または設計のために使用され得る。
図1は、ファーマコマップデータ表現および解析プロセスの操作を例示する図である。 図2は、ユーザーがネットワークを介して1つまたは複数のサーバーをホストとするファーマコマップデータ表現および解析システムと相互作用できる、コンピュータによって実現された環境を表す図である。 図3は、ファーマコマップデータ表現を作成するための操作を例示する図である。 図4は、ファーマコマップデータ表現を作成するために使用され得る種々の技術を例示する図である。 図5は、ファーマコマップデータを含み得るデータを例示する図である。 図6は、試験化合物の可能性ある効果を同定するためなど、複数の目的のために、参照ファーマコマップを用いて試験ファーマコマップを解析するための操作を例示する図である。 図7は、試験ファーマコマップ情報および参照ファーマコマップが、別個のデータベースに保存される実現を例示する図である。 図8は、試験ファーマコマップ情報および参照ファーマコマップが、同一データベースに保存される実現を例示する図である。 図9は、試験ファーマコマップ情報が作製され、試験−参照ファーマコマップ解析を実施する予定である集団とは異なる集団によって保存されている実現を例示する図である。 図10は、試験ファーマコマップ情報が作製され、試験および参照ファーマコマップ解析を実施する予定である集団と同一の集団によって保存されている実現を例示する図である。 図11は、STPトモグラフィーを示す図である。(a)方法の図解である。コンピュータによって制御されたXYZステージは、2光子顕微鏡の対物レンズ下で脳サンプルを動かし、その結果、上面図がモザイクとしてイメージングされる。ステージはまた、脳を、切片を作るための組込型振動刃ミクロトームに送る。(b)260の冠状断片を含むGFPM STP−トモグラフィーデータセットの2Dモンタージュ。(c)3D再構築後のGFPMデータセットの冠状、横断および矢状表示。(d)0.5μmでXYサンプリングで20x対物レンズを用いてイメージングされた冠状切片。左:冠状切片の3D表示およびマウス脳中のその位置(ブレグマからおよそ−2.5mm)。パネル1および2:印を付けた領域の全表示;スケールバー=250μm。パネル1’および2’:樹状突起スパイン(1’および1’’)および微細軸索線維(2’)の可視化を実証する拡大表示;スケールバー=25μm(1’)および5μm(1’’)。 図12は、樹状突起スパインをイメージングするための種々のXYサンプリング解像度の例を示す図である。GFPMマウス脳は、(a)0.5μmおよび(b)1μm XY解像度で20x対物レンズを用いて、または(c)1μmおよび(d)2μm XY解像度でl0x対物レンズを用いてイメージングした。スケールバーの数値は、ミクロンである。列(a)(20x、0.5μm)は、図11に示されるものと同一であるということには留意されたい。左のパネル中の矢頭は、右パネル中で拡大される領域を指し示す。 図13は、軸索をイメージングするための種々のXYサンプリング解像度の例を示す図である。図12に示されるものと同一のデータセットで、軸索(矢頭によって印を付けられた)のみを含む領域が選択された。スケールバーの数字は、ミクロンである。軸索線維の反転グレースケールイメージは、最右パネル中に示されるプロットプロファイルでGFP標識された軸索をイメージングするための解像度を評価するために使用した断面を示す黒色バーを含有する(プロットプロファイルは、デジタルズームを用いずtif 16ビットイメージでImageJを用いて測定した)。各条件の5つのプロットプロファイル測定値の平均値(±SEM)は、以下であった(μm):1.2±0.1(a)、1.9±0.2(b)、2.7±0.3(c)および3.9±0.3(d)(背面口径は、大きいl0xレンズのためには、よりアンダーフィルされたということに留意されたい)。 図14は、CTB−Alexa−488による逆行性トレーシングを示す図である。(a)注入部位(1)およびいくつかの逆行性に標識された領域(2〜4)を含む冠状切片の3D表示。下部左:全脳中の切片の位置(ブレグマからおよそ−1.15mm)、(b)注入部位の冠状および矢状表示、(c)(1)一次体性感覚皮質のバレル野中の注入部位(SIBF)、(2)同側性二次体性感覚皮質(S2)、(3)顆粒性島皮質(GI)および(4)対側性SIBFを含む(a)中で印を付けた皮質領域。パネル(2〜4)は、CTB標識された細胞を含む顆粒上および顆粒下皮質層に拡大された領域を用いて示されている。スケールバーは、パネル(1)では250μmであり、パネル(2)の拡大表示では50μmである。 図15は、CTB−Alexa−488による逆行性トレーシングを示す図である(図14においてと同一の脳が示されている)。(a)逆行性に標識された脳領域を含む選択された冠状断片の3D表示。(b)(1)同側性および(2)対側性腹外側眼窩皮質(VLO)(ブレグマ=+2.2mm);(3)一次運動皮質(Ml)(ブレグマ=+1.6mm);(4)前障(Cla)および(5)Ml(ブレグマ=+1.4);(6)鼻外(ectorhinal)皮質(Ect)、(7)二次体性感覚皮質(S2)、(8)バレル野一次体性感覚皮質(SIBF)、(9)後内側腹側視床(VPM)および後側視床(PO)(ブレグマ=−1.8mm)を含む(a)中の印を付けた脳領域。SIBFからの対側性VLOの逆行性標識は、先に記載されていない;比較のためにこれまでの研究を参照のこと(Welkerら、Exp. Brain research. Exp. Hirnforschung 73:411〜435頁(1988年);Aronoffら、Eur. J. Neurosc. 31 :2221〜2233頁(2010年))。スケールバーは、パネル(1)では250μmであり、パネル(1)の拡大表示では50μmである。ブレグマ推定値は、Paxinos and Franklin20によるMouse Brain Atlasに対する比較に基づいている。 図16は、AAV−GFPによる順行性トレーシングおよび脳ワーピングを示す図である。(a)注入部位(1)およびいくつかの順行性に標識された領域(2〜5)を含む冠状切片の3D表示。下部左:全脳中の切片の位置(ブレグマからおよそ−1.9mm)、(b)注入部位の冠状および矢状表示、(c)(1)注入部位(SIBF)、(2)同側性尾状核被殻(CP)、(3)内包(ic)中の軸索線維、(4)後内側腹側視床(VPM)および後側視床(PO)および(5)対側性バレル皮質(SIBF)を含む(a)中の印を付けた脳領域。拡大表示は、軸索線維およびバリコシティの良好な可視化のための反転グレースケールイメージを示す。(1)および(2)の拡大表示中のスケールバーは、250μmである。(d)CTB−Alexa−488脳でAAV−GFP脳のワーピングによって作製された、組み合わされた「バーチャル」2トレーサーデータセットの1つの切片。(e)重複する順行性(AAV−GFP)および逆行性(CTB−Alexa−488)標識を含む運動皮質(Ml)を含む(d)中の印を付けた脳領域。 図17は、AAV−GFPによる順行性トレーシングを示す図である(図16においてと同一の脳が示されている)。(a)順行性に標識された脳領域を含む選択された冠状断片の3D表示。(b)(1)および(2)腹外側眼窩皮質(VLO)(ブレグマ=それぞれ、+3.2および+2.1mm);(3)運動皮質(Ml)および(4)対側性Ml(ブレグマ=1.1mm);(5)バレル皮質(SIBF)、(6)尾状核被殻(CP)および対側性(7)SIBFおよび(8)CP(ブレグマ=−1.4mm);(9)嗅周皮質(PRh)、(10)後内側腹側視床(VPM)および後側視床(PO)および(11)不確帯(ZI)(ブレグマ=−2.5mm);(12)視蓋前域前核(APT)(ブレグマ=−3.1mm);(13)上丘(SC)および(14)橋核(PN)(ブレグマ=−4.1mm);(15)PN(ブレグマ=−4.4mm);および(16)三叉神経脊髄路核(SP5)(ブレグマ=−5.8mm)を含む(a)中の印を付けた脳領域。SIBFからの対側性運動皮質の順行性標識は、先に記載されていない;比較のためにこれまでの研究を参照のこと(Welkerら、1988年;Aronoffら 2010年)。拡大表示は、軸索線維およびバリコシティの良好な可視化のための反転グレースケールイメージを示す。(1)および(2)の拡大表示両方中のスケールバーは、250μmである。ブレグマ推定値は、Paxinos and Franklin20によるMouse Brain Atlasに基づいている。 図18は、切片作製前後のZ面一貫性の評価を示すである。(a、a’)脳表面下、z深度90μmでイメージングされた光学面。(b、b’)単一50μm厚切片を切断した後、脳表面下、z深度40μmでイメージングされた光学面。(c、c’)オーバーレイは、2つの面の忠実な重なりを示し、切片作製前後の光学Z面の高度な一貫性を実証する。標識された樹状突起(長い矢印)の忠実な重なりに留意されたい。スケールは、(a)200μmおよび(b)100μmである。イメージは、SST−ires−Cre::Ai93嗅球からとられている。 図19は、ワーピング精度の定量化を示す図である。対象とする42の目印点は、嗅球、皮質、側脳室、前交連、外側中隔、脳弓、海馬、視索、扁桃核(amygadala)および小脳領域において2つの異なる脳で手作業によって選択された。ワーピング前後の対応する点の各対の間の距離がプロットされている。ワーピング前後の移動の平均(±SEM)は、それぞれ、749.5±52.1および102.5±45.0であった(上部の線:ワーピング前;下部の線:ワーピング後)。 図20は、脳ワーピングを示す図である。AAV−GFP脳をCTB−Alexa−488脳にワーピングすることによって作製された、組み合わされた「バーチャル」2トレーサーデータセット。2つの脳中の注入部位の冠状、矢状および横断表示。2つのワーピングされた脳に由来するオーバーラップする順行性(AAV−GFP、色の濃いシグナル)および逆行性(CTB−Alexa−488、色の薄いシグナル)トレーサーを有する運動皮質が、選択された2D切片で示されている。オーバーラップは、十字線によって指摘された、色の濃いシグナルと色の薄いシグナルの間の界面の明るいシグナルとして見ることができる。 図21は、CTB−Alexaのコンピュータによる検出を示す図である。機械学習アルゴリズムを、最初のヒトマークアップに基づいてCTB−Alexa−488標識を検出し、CTB−陽性細胞を自動的に検出するよう訓練した。予測前(左)予測後(右)およびオーバーレイ(下)のイメージの例。 図22は、全載2光子顕微鏡を示す図である。全脳を、イメージングされた領域を除去するよう、ビブラトームに基づく組織切片作製と交互配置された、自動化モザイクイメージングによってイメージングした。 図23は、試験データセットを示す図である。(A)すべての細胞中にGFP標識を有するヒストンH2BGFPトランスジェニックマウス脳を、100μmで等しく間隔のあいた130の切片でイメージングした(x−y解像度1μm)。(B)9×13のモザイクから拡大した単一FOVを用いる冠状切片。(C)3Dで再編成された切片。 図24は、モーフィングを示す図である。(A)図23で作製された脳とMRI脳アトラス間の内部アラインメント。左:記載された方法によってイメージングされた切片;中央:モーフィングされたMRI切片;右:2つのオーバーレイ。(B)MRIアトラスからの解剖学的セグメンテーションの例。(C)試験サンプルの解剖学的セグメンテーションの例。 図25は、活性化された脳領域のc−fos−GFP標識を示す図である。ハロペリドール(A〜B)処理されたc−fos−GFPマウスでは、線条体(A)および外側中隔(B)において強力な標識が誘導されるが、生理食塩水(C〜D)処理されたc−fos−GFPマウスでは誘導されない。脳は、図23に示されるようにイメージングした。(スケールバー=Aでは200μm;挿入されたものでは50μm)。 図26は、c−fos−GFPの自動化された検出を示す図である。A)生c−fos−GFP発現データ(左)を、人観察者によってマークされたグラウンドトルースデータセットからc−fos−GFPを検出するよう訓練された畳み込みニューラルネットワーク(中央)によって解析した。アウトプット検出が、右に示されている。B)現アルゴリズムの代表的な結果を示す、インプットおよびアウトプットデータの拡大表示:12の細胞のうち、9が正しく同定され、1つは失われ(左側の矢印;偽陰性結果)、互いに近い2つの細胞が1つとして同定された(右側の矢印;偽陰性結果)。 図27は、(A)生理食塩水または(B)ハロペリドール(1mg/kg)を注入されたマウスの脳中のc−fos−GFPの分布を示す図である。(C)単一冠状断片あたり2つのサンプル間のc−fos−GFP細胞の予備定量化。アスタリスク(asterix)は、線条体(B、C)中のc−fos−GFP発現のおよその位置を示す。また、(C)における尾側切片におけるハロペリドールによって惹起されたc−fos−GFP誘導のより広い分布も留意されたい。 図28は、イメージボクセル化を示す図である。A〜C:19の異なる脳(A)を、1つの脳(B)に登録して、参照脳(C)(20の脳の平均)を作成した。D〜F:サンプル(D)から参照脳(E)への登録パラメータに基づいて、予測結果(F、c−fos−GFP細胞の重心)を参照脳(E)に登録する。(G)各ボクセルの直径は、100μmであり、各ボクセル間の距離は20μmである。(H)ボクセル化された脳イメージ。 図29は、実験計画の模式的フローチャートを示す図である。 図30は、一連の2D切片の再構築を示す図である。イメージングされた脳を、一連の2D切片、通常、1つのマウス脳あたり280〜300として再構築した。 図31は、c−fos−GFPのコンピュータによる検出を示す図である。(A)畳み込みニューラルネットワークは、ヒトマークアップに基づいてc−fos−GFP標識の組み入れ基準および排除基準を学習した。(B)c−fos−GFP検出の例。左、グレースケールパネルは、生データを示し、右、黒&白パネルは、コンピュータによって作成された予測を示し、下のパネルはオーバーレイを示す。 図32は、参照脳アトラスへの生データワーピングを示す図である。連続2D切片データセットを3Dで再構築し、STPトモグラフィーによってスキャンされた20の野生脳の平均として作製した3D参照脳体積にワーピングした。ワーピングは、elastixソフトウェアを使用して、組織自己蛍光に基づいて行った。 図33は、3D参照脳へのc−fos−GFPデータ登録を示す図である。参照脳へのc−fos−GFPデータの登録によって、c−fos−GFP分布の3D表現、c−fos−GFP ファーマコマップが作製される。それぞれ、176,771および545,838のc−fos−GFP細胞を有する生理食塩水およびハロペリドール(1mg/kg)脳。 図34は、3D c−fos−GFPデータのボクセル化を示す図である。3D脳体積を、X−Y−Z=450×650×300ボクセルの等しく間隔のあいた格子、20×20×50ミクロンの大きさの各ボクセルとしてボクセル化して、連続脳空間の個別のデジタル化を作成した。(A)3Dでのボクセル化された生理食塩水およびハロペリドール脳中のc−fos−GFPのヒートマップ分布。(B)2Dモンタージュでの同一脳。 図35は、統計比較を示す図である。ハロペリドール(n=7)および生理食塩水(n=7)を注入したマウス間の統計的相違のヒートマップ。2群の間の統計比較は、一連の負の二項回帰によって行った。第1種過誤は、ボクセルは、互いに、あるレベルの正の相関を有するという仮定の下で0.01の偽発見率(FDR)を設定することによって補正されている。 図36は、社会脳回路網を調べるための社会刺激を示す図である。(A)社会曝露後のc−fos−GFP変化を調べるための実験計画。(B)c−fos−GFPマウスの3つの異なる群(群あたりN=7匹のマウス)。 図37は、細胞解像度を用いて全脳を調べるための連続2光子トモグラフィーを示す図である。(A)連続2光子トモグラフィーの模式的図、(B〜D)一連の個々のイメージタイル(B)を獲得した後の連続2D再構築(C)のモンタージュ表示(D)。(E)全脳の3D再構築。 図38は、c−fos−GFP細胞の自動検出のための機械学習アルゴリズムを示す図である。(A)コンピュータは、最初のヒトマークアップに基づいて、c−fos−GFP標識の組み入れ基準および排除基準を学習し、新規データセットについて自動的に陽性細胞を検出する(予測)。(B〜D)皮質の一部(B)の予測前(C)および予測後(D)のイメージの例。 図39は、参照脳へのイメージ登録を示す図である。(A〜B)19の異なる脳(A1およびA2)を、1つの脳(A)に登録して、参照脳(B)を作製した(20種の脳の平均)。(C〜E)サンプル(C)から参照脳(D)への登録パラメータに基づいて、予測結果(E、c−fos−GFP細胞の重心)を参照脳(D)に登録した。 図40は、c−fos−GFP細胞増大を測定するためのボクセル化を示す図である。(A)各ボクセルの直径は、100μmであり、各ボクセル間の距離は、20μmである。(B〜C)各ボクセル化された脳イメージ(B)を、参照脳(C)の同一空間中に登録した。 図41は、社会曝露に応答する脳領域を同定するためのボクセル的統計分析を示す図である。(A〜D)取り扱い対照(A)、物体対照(B)および社会刺激(C)群から参照脳(D)に登録された平均化されたボクセル化結果。(E)モンタージュは、その他の2つの対照群(AおよびB)と比較して、社会曝露後に活性化される脳領域(C)を示す。(F)活性化された脳領域および参照脳の3Dオーバーレイ。 図42は、自閉症マウスモデルにおける共有される脳領域が、社会刺激後に有意なc−fos増大を示すことができないことを示す図である。(A〜B)ニューロリジン4KO(A)およびニューロリジン3R451C(B)を保持する自閉症マウスモデルにおけるc−fos密度の要約、p<0.05。脳領域の下の下線/バーは、野生型の同腹仔では有意なc−fos増大を有するが、Ngn4KO(A)およびNgn3R451C(B)では有さない脳領域を示す。 図42は、自閉症マウスモデルにおける共有される脳領域が、社会刺激後に有意なc−fos増大を示すことができないことを示す図である。(A〜B)ニューロリジン4KO(A)およびニューロリジン3R451C(B)を保持する自閉症マウスモデルにおけるc−fos密度の要約、p<0.05。脳領域の下の下線/バーは、野生型の同腹仔では有意なc−fos増大を有するが、Ngn4KO(A)およびNgn3R451C(B)では有さない脳領域を示す。 図42は、自閉症マウスモデルにおける共有される脳領域が、社会刺激後に有意なc−fos増大を示すことができないことを示す図である。(C)ニューロリジン4野生型の同腹仔におけるc−fos免疫組織化学は、中心扁桃核および下辺縁皮質において有意な増大を示したが、ニューロリジン4KOは、社会曝露後に同様の増大を示さなかった。スケールバー=200μm。 図43は、3Dイメージ再構築を示す図である。8ブロックにおいて全脳をイメージングした。定着媒体を伴わずに脳領域をちょうど包含するよう各ブロックをスキャンした。SIFTベースの方法を使用して、種々の切片のブロックを参照ブロックにアラインし、全脳を3Dで再構築した。 図44は、GAD−Cre検出および定量化を示す図である。(A)脳の種々の領域から無作為に選択された3Dタイルを、GAD−Creシグナルについて人観察者によって標識した。(B)このグラウンドトルースデータを使用して、GAD−Creシグナル検出のために畳み込みニューラルネットワークを訓練した。訓練は、イメージのサブセットを使用して行い、次いで、脳イメージの残りで使用した。 図45は、解剖学的セグメンテーションを示す図である。MRIアトラスを、制約として相互情報量を使用して、したがって、同一ワーピングパラメータを使用して、自動蛍光チャンネル(x&yでは20ミクロンで、zでは50ミクロンで再サンプリングした)で脳イメージにワーピングし、脳領域標識もワーピングした。次いで、得られた標識を元のx、y、z解像度に再サンプリングし、領域的カウントを実施した。 図46は、薬物のファーマコマップを作成するためのプロセスの例を例示する図である。 図47は、それぞれ、ハロペリドール、リスペリドンおよびアリピプラゾールのファーマコマップの例を例示する図である。 図47は、それぞれ、ハロペリドール、リスペリドンおよびアリピプラゾールのファーマコマップの例を例示する図である。 図47は、それぞれ、ハロペリドール、リスペリドンおよびアリピプラゾールのファーマコマップの例を例示する図である。 図48は、ハロペリドールの種々の投与量のファーマコマップの例を示す図である。 図48は、ハロペリドールの種々の投与量のファーマコマップの例を示す図である。 図48は、ハロペリドールの種々の投与量のファーマコマップの例を示す図である。 図49は、新規薬物の治療効果および有害効果を予測するためのファーマコマップの包括的データベースの作成の例を例示する図である。 図50は、薬物の有害効果および適応症の主成分分析(PCA)の例を例示する図である。 図51は、薬物の有害効果の表現の例を例示する図である。 図52は、ハロペリドール、リスペリドンおよびアリピプラゾールのファーマコマップにおける類似性を測定するデータの例を例示する図である。
一態様では、参照化合物を解析するための、また非ヒト動物、例えば、動物モデルにおいて薬物候補を試験するための高解像度な、定量的な方法が本明細書において提供される。一態様では、単細胞解像度での非ヒト動物の組織(例えば、全脳)中の薬物誘導性応答の不偏の、定量的マッピングのための技術が本明細書において提供される。本方法によって、試験された各化合物の三次元細胞活性パターンまたはファーマコマップの作製が可能となる。別の態様では、試験化合物のファーマコマップと既知臨床効果を有する1種または複数の参照化合物のファーマコマップ(複数可)の間の類似性のコンピュータによる解析に基づいて、試験化合物の臨床効果を予測するための技術が、本明細書において提供される。新規候補薬物(試験化合物など)および既知臨床効果を有する薬物(参照化合物など)の間の相関が、例えば、既存治療薬に対して改善する最大の機会を有する最適候補薬物を選択するために利用され得る。
本明細書に記載された方法において使用される非ヒト動物は、げっ歯類、例えば、マウスまたはラットであり得る。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、外来遺伝子を保持するよう操作された非ヒト動物などのトランスジェニック動物である。特定の実施形態では、本明細書に記載された方法において使用される非ヒト動物は、遺伝子調節領域の制御下に、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子配列を保持するよう操作されている。特定の実施形態では、解析される組織の細胞の薬物誘導性刺激は、リポーター遺伝子のタンパク質発現につながる遺伝子調節領域の転写活性化をもたらす。これらの実施形態のうち一部では、遺伝子調節領域は、遺伝子調節領域、例えば、タンパク質合成の不在下で、外部刺激に応答して迅速に活性化され、発現される遺伝子などの前初期遺伝子(IEG)のプロモーターである(例えば、IEGのmRNAは、数分以内、例えば、5、10、20、30、40、50または60分以内に産生され得、タンパク質は、薬物投与後30または45分または1、2、3、4、5または6時間以内に発現され得る)。その他の実施形態では、遺伝子調節領域は、遺伝子調節領域、例えば、前初期遺伝子活性化の下流で活性化されるか、または刺激の30分超後に活性化される遺伝子などの後期遺伝子のプロモーターである(このような遺伝子は、薬物投与後、12時間超、1、3、5日超または1、2、3、4週間超の間発現され得る)。このような実施形態では、リポーター遺伝子の発現は、薬物誘導性細胞活性化の読み出し情報を提供する。
その他の実施形態では、天然の、内因性遺伝子の薬物誘導性発現および/または活性が、非ヒト動物の組織において解析される。これらの実施形態のうち一部では、非ヒト動物は、トランスジェニック動物ではない。これらの実施形態では、細胞活性の薬物誘導性パターンの解析は、免疫組織化学またはin situハイブリダイゼーションなどの技術分野で公知の技術を使用して実施される。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法において使用される非ヒト動物は、野生型表現型の(例えば、病状と関連している突然変異を保持しない)動物である。その他の実施形態では、本明細書に記載された方法において使用される非ヒト動物は、変異株表現型の(例えば、病状と関連している突然変異を保持する)動物である。例えば、本明細書に記載されるように使用され得る非ヒト動物は、脳の疾患または状態の動物モデル、任意の種類の癌の動物モデルまたは心臓状態、糖尿病または脳卒中の動物モデルであり得る。いくつかの実施形態では、野生型表現型の非ヒト動物または変異株表現型の非ヒト動物は、本明細書に記載された方法において使用するために、遺伝子調節領域の制御下に、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子配列を保持するよう操作される。その他の実施形態では、本明細書に記載された方法において使用される、野生型表現型の非ヒト動物または変異株表現型の非ヒト動物は、遺伝子調節領域の制御下に、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子配列を保持しない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法において使用される非ヒト動物は、病状(例えば、精神病またはうつ病などの脳の疾患)と同様の状態をもたらすと知られているか、または予測される行動条件付けなどの行動条件付け(例えば、恐怖条件付けまたは「学習性無力感」条件付け)に付される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法は、病状または病状と同様の状態を誘導すると知られているか、または予測される行動条件付けに付されている非ヒト動物における薬物の治療(病状に対する)または毒性効果を予測するために使用され得る。例えば、本明細書に記載された方法は、恐怖条件付けに付された非ヒト動物において抗不安薬(anxyolitic)(複数可)を試験もしくはスクリーニングするために、または「学習性無力感」条件付けに付された非ヒト動物において抗うつ薬(複数可)を試験もしくはスクリーニングするために使用され得る。
特定の実施形態では、薬物は、非ヒト動物の群に投与され、ここで、群中の特定の数の動物が屠殺され、本明細書に記載された方法に従って解析され(例えば、ファーマコマップを作成するためにイメージングされ)、群中の特定の数の動物は、屠殺されず、代わりに、その挙動が、本明細書に記載されたか、または当技術分野で公知の任意の方法論を使用して評価および/またはモニタリングされる。このような実施形態では、本明細書に記載された方法に従って作製されたファーマコマップは、非ヒト動物における薬物に対する行動反応と比較され得るか、関連付けられ得る。
特定の実施形態では、化合物(例えば、試験化合物または参照化合物)が、非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に投与され、動物が、薬物投与後、特定の期間内(例えば、薬物投与後、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、18時間、24時間、2日、3日、5日、1週間、2週間、1カ月または2カ月内)に、本明細書に記載されたか、または当技術分野で公知の任意の方法によって屠殺される。続いて、屠殺された動物の1つまたは複数の組織が、本明細書に記載されたか、または当技術分野で公知の任意の技術を使用して採取され得る。特定の実施形態では、組織は、動物の全臓器(例えば、脳および/または肝臓)である。採取された組織は、本明細書に記載されたか、または当技術分野で公知の任意の技術を使用して解析(例えば、イメージング)され得る。特定の実施形態では、使用されるイメージング技術は、採取された組織(例えば、全臓器)の細胞の極めて高い(例えば、単細胞)解像度を提供する。
その他の実施形態では、非ヒト動物は、化合物投与後に屠殺されず、生存動物の組織(単数または複数)(例えば、全臓器)が、本明細書に記載されたか、または当技術分野で公知の任意の技術を使用して解析(例えば、イメージング)される。特定の実施形態では、非ヒト動物への化合物(例えば、参照または試験化合物)の投与後に、動物から組織(単数または複数)が、本明細書に記載されたか、または当技術分野で公知の任意の技術を使用して採取され、イメージングされるが、動物は屠殺されない。これらの実施形態のうち一部では、使用されるイメージング技術は、解析される組織の細胞の極めて高い(例えば、単細胞)解像度を提供する。
さらにその他の実施形態では、非ヒト動物は、化合物投与後に屠殺されるが、解析(例えば、イメージング)のために組織は採取されない。
いくつかの実施形態では、薬物(例えば、試験薬物または参照薬物)を用いて治療されていない非ヒト動物の組織が、本明細書に記載されたか、または当技術分野で公知の任意の技術を使用して解析(例えば、イメージング)される。解析(例えば、イメージング)されるべき組織は、屠殺された非ヒト動物から採取され得る。あるいは、解析されるべき組織は、生存動物から採取され得る。その他の実施形態では、組織は、生存動物において解析(例えば、イメージング)される。
試験薬物または参照薬物を用いて治療された動物(例えば、刺激に応答して検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子を発現するよう操作されたトランスジェニック動物)の組織の高解像度イメージングのために、自動化顕微鏡(例えば、連続2光子(STP)トモグラフィー)が使用され得る。特定の実施形態では、自動化顕微鏡は、獲得したデータセットの解析のためのイメージ処理およびコンピュータによる方法と組み合わされてもよい。使用される方法論は、イメージングされた組織の三次元空間における活性化された細胞の分布パターンに関する高解像度情報を提供し、それによって、試験された化合物のファーマコマップを作成する。特定の実施形態では、ファーマコマップは、刺激(薬物、例えば、参照化合物または試験化合物の投与など)に応答して、イメージングされた組織の特定の領域において検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子を発現する活性化された細胞の数を表す。特定の実施形態では、達成される解像度は、単細胞解像度である。いくつかの実施形態では、達成される解像度は、1ミクロンx−y解像度である。特定の実施形態では、達成される解像度は、約0.2ミクロンと約20ミクロンの間、約0.2ミクロンと約15ミクロンの間、約0.25ミクロンと15ミクロンの間、約0.25ミクロンと約10ミクロンの間、約0.25ミクロンと約7.5ミクロンの間、約0.25ミクロンと約5ミクロンの間、約0.25ミクロンと約3ミクロンの間、約0.25ミクロンと約2ミクロンの間、約0.25ミクロンと約1ミクロンの間、約0.3ミクロンと約15ミクロンの間、約0.3ミクロンと約10ミクロンの間、約0.3ミクロンと約5ミクロンの間、約0.3ミクロンと約3ミクロンの間、約0.3ミクロンと約1ミクロンの間、約0.4ミクロンと約15ミクロンの間、約0.4ミクロンと約10ミクロンの間、約0.4ミクロンと約7.5ミクロンの間、約0.4ミクロンと約5ミクロンの間、約0.4ミクロンと約3ミクロンの間、約0.4ミクロンと約2ミクロンの間、約0.4ミクロンと約1ミクロンの間、約0.5ミクロンと約15ミクロンの間、約0.5ミクロンと約10ミクロンの間、約0.5ミクロンと約7.5ミクロンの間、約0.5ミクロンと約5ミクロンの間、約0.5ミクロンと約3ミクロンの間、約0.5ミクロンと約2ミクロンの間または約0.5ミクロンと約1ミクロンの間のx−y解像度である。いくつかの実施形態では、最高の達成される解像度は、0.2、0.25、0.3、0.4または0.5ミクロンのx−y解像度である。いくつかの実施形態では、最低の達成される解像度は、20、15、12.5、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1.5、1.25、1、0.75または0.5ミクロンのx−y解像度である。
いくつかの実施形態では、イメージングされた組織は、非ヒト動物の全臓器、例えば、脳、心臓、肝臓または任意のその他の臓器である。全臓器(例えば、全脳)へのこの方法の適用によって、単細胞解像度での薬物誘導性臓器的細胞活性化(前初期遺伝子プロモーターによって調節される、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子の発現によって測定されるような)の詳細な用量−応答ファーマコマップの構築が可能となる。その他の実施形態では、イメージングされる組織は、臓器の小片、一部または切片である。
さらに、統計的手法を使用して、試験化合物によって生じた、組織の活性化パターン/ファーマコマップを、参照化合物によって生じた組織の活性化パターン/ファーマコマップと比較してもよく、これでは、参照化合物は、既知の治療効果または毒性効果(例えば、ヒトにおいて)を有する。この方法論によって、試験化合物と、1種または複数の参照化合物のファーマコマップの類似性および/または相違に基づく試験化合物の治療効果および/または毒性効果の予測が可能となる。特定の実施形態では、参照化合物(複数可)は、試験化合物と構造的または機能的に類似しており、その結果、それらはイメージングされた臓器または組織の同様の領域を活性化すると予測される。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法において使用されるイメージング技術は、STPトモグラフィーである(技術の一般的な説明については、各々、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,724,937号またはRaganら、Nature Methods 9(3):255〜258頁(2012年)を参照のこと)。STPトモグラフィーは、固定された組織の迅速な2光子イメージングおよびビブラトームに基づく切片作製を統合している。この方法を使用して、最初に、組織の全上面図が、個々の視野のモザイクとしてイメージングされ得、次いで、組織が、イメージングされた切片を切除する組込型ビブラトームに向かって動かされ得、次いで、組織が、顕微鏡下に戻され得、全組織がイメージングされるまで、モザイクイメージングおよび切片作製のサイクルが反復され得る。
特定の実施形態では、固定された組織または臓器(例えば、全脳)は、STPトモグラフィーなどのハイスループットイメージング技術を使用するイメージングのために、例えば、寒天中に埋め込まれる。組織を寒天中に包埋することは、蛍光リポーター遺伝子からの蛍光シグナルの最大保存をもたらすために有利である。いくつかの実施形態では、寒天に包埋された臓器または組織は、イメージングに先立って架橋される(例えば、共有結合によって架橋される)。一実施形態では、組織または臓器(例えば、全脳)の表面は、アガロースと共有結合によって架橋される。組織−寒天界面の架橋によって、イメージングされた組織の切片作製の際にしっかりと包埋された組織を維持することが可能になる。特定の実施形態では、本明細書では、全臓器または組織(すなわち、全脳)がSTPトモグラフィーを使用して自動的にイメージングされる全載顕微鏡が考慮される。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法は、全載モードの組織のイメージング、高速のイメージングおよびデータ採取の完全自動化を達成する。全載イメージングによって、イメージングされた領域の機械的切片作製の前に、組織または臓器(例えば、脳)の無傷の頂部のイメージングが可能となり、これによって、伝統的な連続顕微鏡における切断脳切片の取り扱いの際に生じるすべての組織損傷および歪みアーチファクトが排除される。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法は、多量のデータ(例えば、1つのマウス脳あたり100GB)の迅速な(1.4kHz)採取を達成する(例えば、STPトモグラフィーを使用して)。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書において考慮される方法によって、イメージングおよび切片作製の完全自動化が可能となり、マウス脳切片の労働集約的連続顕微鏡法が、迅速にスケールアップされ得るハイスループット法に変換される。これらの実施形態のうち一部では、使用されるイメージング技術は、STPトモグラフィーである。
別の態様では、定量的読み出し情報を提供する記載されたイメージング技術によって得られたデータの自動化されたコンピュータによる処理および解析が、本明細書において提供される。いくつかの態様では、記載された方法は、機械学習アルゴリズムによる、活性化された、検出可能な、例えば、蛍光リポーター陽性細胞の自動検出、イメージングされた組織の1つの標準組織体積へのワーピング、連続組織空間の個別のデジタル化を作成するための組織の体積のボクセル化、対照および薬物によって活性化される組織間で有意な相違のある領域を同定するための統計学の使用およびこれらの相違を、組織の特定の領域に割り当てるための、組織の解剖学的構造および領域あたりの活性化された細胞の数としてデータを表すための解剖学的セグメンテーションの使用を含めた、ソフトウェアの統合されたセットを提供する。
イメージングおよびイメージ処理のための記載された方法論は、高速で、高感度で、安価であり、最小の必要労働量しか有さない。作製されたファーマコマップ測定値によって、例えば、有効性の改善または副作用の制限を目的とした同一薬物の化学的に操作された型などの関連薬物に応じた非ヒト動物における細胞活性化の詳細な比較が可能となる。
記載された方法はまた、病院において使用されるか、もしくは使用されてきた、既知臨床成績(例えば、ヒトにおいて)を有する薬物のスクリーニングのためにも使用され得る。このようなスクリーニングは、参照ファーマコマップデータベースの構築のために使用され得る。例えば、既知の治療効果および/または毒性効果を有する参照薬物の大規模ファーマコマップデータベース(例えば、既知臨床成績を有する薬物の10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、150、200、250、300、500、750超または1000超のファーマコマップを含むデータベース)が、構築され得る。特定の実施形態では、臨床成績は、治療効果または毒性効果である。いくつかの実施形態では、参照薬物のファーマコマップと参照薬物の臨床効果を関連付けるコンピュータによる相関マトリックスのさらなる作製が、本明細書において考慮される。このようなファーマコマップデータベースは、非ヒト動物における薬物の効果と薬物の臨床効果(例えば、ヒトにおける)の間の予測的比較を提供するために使用され得る。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法は、対象に投与するための薬物の最適用量(例えば、対象に投与された場合に、最適治療効果および/または最小毒性効果を提供する用量)を調べるために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法は、2、3種またはそれ以上の投与量の薬物をスクリーニングし(例えば、試験薬物の2、3種またはそれ以上の投与量の治療効果および/または毒性効果を予測する)、治療効果を達成すると予測される、および/または最小の毒性しか引き起こさないか、毒性を引き起こさない(例えば、最小の副作用しか引き起こさない、または重篤な副作用を引き起こさない)と予測される投与量を選択するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法を使用して作製された参照ファーマコマップデータベースは、2、3種またはそれ以上の投与量(中投与量、低投与量および/または高投与量など;または治療上有効な投与量、治療上有効ではない投与量および/または1つまたは複数の副作用を引き起こすとわかっている投与量)で投与された参照薬物のファーマコマップを含む。
特別の実施形態では、本明細書に記載されたファーマコマップは、試験された化合物の構造的、物理的および化学的特性(SPCP)に関する情報と組み合わされ得る。その他の特定の実施形態では、本明細書に記載されたファーマコマップは、試験された化合物の特性(例えば、副作用)に関する任意の入手可能な情報と組み合わされ得る。例えば、本明細書に記載されたファーマコマップは、Pubchem、BioAssaysまたはChemBank(例えば、薬物−標的相互作用および/または薬物(複数可)によって誘導される細胞表現型に関する情報を含有し得る)などのデータベースによって入手可能な試験された化合物の特性に関する情報と組み合わされ得る。一実施形態では、本明細書に記載されたファーマコマップは、試験された化合物の副作用に関する情報、例えば、SIDERなどのデータベースによって入手可能な情報と組み合わされ得る。特定の実施形態では、本明細書に記載されたファーマコマップは、SIDERデータベースに由来するデータと組み合わされ得る。
脳機能に影響を及ぼす薬物のスクリーニング
特別の態様では、患者(例えば、ヒト)において脳機能に影響を及ぼす薬物の治療および/または毒性成績を容易に予測できる薬物スクリーニングアプローチが、本明細書において提供される。このような実施形態では、薬物投与に応じた非ヒト動物脳における細胞活性が解析される。例えば、脳機能に影響を及ぼす薬物が、非ヒト動物(例えば、マウス)に投与され得、脳組織(例えば、全脳)が当技術分野で公知の任意の技術によって採取され、薬物のファーマコマップをもたらす高解像度でイメージングされ得る。薬物によって活性化されるニューロン(例えば、マウス全脳中の)の詳細なマップの作製を使用して、非ヒト動物モデルにおける薬物によって惹起される脳活性化と、ヒトにおける薬物によって惹起される臨床効果を容易に関連付けることができる。本明細書に記載された薬物スクリーニングアプローチの1つは、1)既知ヒト成績を有する薬物(「参照薬物」または「参照化合物」)の動物脳ファーマコマップのデータベースの作製と、2)参照動物脳ファーマコマップと参照薬物のヒト効果を関連付けるコンピュータによる相関マトリックスの作製と、3)そのファーマコマップを参照ファーマコマップデータベースに対して比較することによって新規試験薬物(または参照薬物の新規組み合わせ)の治療効果を予測するための、この相関マトリックスの使用とを含む。
特定の実施形態では、上記薬物スクリーニングは、前初期遺伝子(IEG)(例えば、c−fosまたはArc)の活性が調節されたプロモーターの制御下で、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子(例えば、GFP)を発現するトランスジェニック動物の脳のex−vivoイメージングによって達成され得る。その他の特定の実施形態では、これは、後期遺伝子の活性が調節されたプロモーターの制御下で、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子(例えば、GFP)を発現するトランスジェニック動物の脳のex−vivoイメージングによって達成され得る。後期遺伝子は、下流で活性化され、別の遺伝子(例えば、前初期遺伝子)のタンパク質合成を必要とするか、またはその他の遅い(30分超)細胞シグナル伝達機序によって活性化される任意の遺伝子であり得る。自動化ハイスループットイメージング技術(例えば、全脳のイメージングを可能にする)を使用して、このようなトランスジェニック動物(スクリーニングされている薬物によって活性化されるニューロンにおけるIEG発現の細胞マーカーとして検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子を発現する)の脳組織をイメージングできる。一実施形態では、この技術は、STPトモグラフィーである。次いで、脳組織における検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子発現のコンピュータによる解析は、機械学習アルゴリズムを使用して実施され得る。次いで、3D動物モデル−脳ファーマコマップが作製され得、このようなファーマコマップは、スクリーニングされている薬物に応答して特定の脳領域においてリポーター遺伝子を発現する活性化されるニューロンの数を表す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法において使用されるイメージング技術は、細胞的脳全体解像度(例えば、1日あたり1つの全脳データセットのスループットで)を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法を使用して得られたスクリーニングされている薬物のファーマコマップは、非ヒト動物の全脳中の検出可能なリポーター遺伝子を発現する細胞(薬物によって活性化された細胞など)の正確な数および/または位置を含む。
上記の方法論を使用して、既知臨床成績(例えば、ヒトにおける)を有する参照薬物のファーマコマップをコンパイルして、参照データベースを作成できる。参照薬物は、脳障害を治療するために使用されているか、使用されてきた任意の薬物および薬物の臨床効果に関する利用可能な情報(例えば、ヒトにおける)がある限り臨床試験において失敗した薬物であってよい。次いで、各薬物のトランスジェニック動物脳ファーマコマップおよび既知臨床効果を、同一マトリックス中にプロットし、マウス脳における神経の活性化と臨床成績(例えば、ヒトにおける)の間の相関関係を作り出すことができる。特定の実施形態では、N種の異なる薬物(例えば、5、6、7、8、9、10種または5、6、7、8、9、10種超)が、マウス脳領域XおよびYにおいてオーバーラップする活性化を示し、共通の治療効果を引き起こすとわかっている場合には、マウス脳における同時XおよびYの活性化が、これらの薬物の共通のヒト成績を表すと予測される。同様に、N種の薬物(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9または10種)が、その他のn種の薬物(例えば、3、4、5、5、7、8、9、10種または3、4、5、6、7、8、9、10種超)によっては見られない治療効果を共有し、さらなる脳領域Zにおける活性化を示した場合には、マウス脳領域Zは、N種の薬物の選択的効果を表すと推測される。脳障害の治療において現在使用されている薬物のいずれも、参照データベースを作成するために利用され得る。さらに、脳障害の治療において使用されない任意の薬物(例えば、前臨床試験を失敗したもの)が、参照データベース(例えば、毒性効果などの既知臨床効果を有する薬物)を作成するために利用され得る。続いて、試験薬物のマウス脳ファーマコマップパターンを、参照データベースと比較することができ、鋳型薬物の活性化パターンのオーバーラップを使用して、試験薬物のあり得る治療効果および/または毒性効果を予測できる。この方法は、新規薬物および臨床においてすでに使用されている薬物の新規組合せに使用され得る。
任意の化合物が、記載された方法論を使用してスクリーニングまたは解析され得る。いくつかの実施形態では、化合物は、脳障害または状態の治療において使用されるよう意図される化合物である。その他の実施形態では、化合物は、脳障害または状態の治療において使用されるよう意図されない化合物である。これらの実施形態のうち一部では、化合物は、脳疾患または状態ではない任意の疾患または状態(例えば、癌、心臓疾患など)の治療において使用するために意図され、本明細書に記載されるように脳のファーマコマップが作製される。例えば、このようなファーマコマップは、化合物が、任意の脳と関連する副作用(例えば、CNS副作用)を有するか、または有すると予測されるかどうかを解析するために使用され得る。
脳機能に影響を及ぼす薬物をスクリーニングするための上記の方法論はまた、患者の任意のその他の組織または臓器の機能に影響を及ぼす薬物のスクリーニングに適用され得る。
5.1 トランスジェニック動物
本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、動物の1つまたは複数の細胞が、導入遺伝子を含む非ヒト動物である。
5.1.1 導入遺伝子
本明細書において提供された方法において使用されるトランスジェニック動物は、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子などのリポーター遺伝子配列の発現を制御できる1つまたは複数の遺伝子調節領域を含む導入遺伝子(複数可)を含む。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、前初期遺伝子、すなわち、刺激に応答して、例えば、参照薬物に応答して、一時的に、迅速に活性化される遺伝子の遺伝子調節領域である。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、後期/続発性遺伝子、例えば、別の遺伝子の下流で活性化され、別の遺伝子(例えば、前初期遺伝子)のタンパク質合成を必要とし得る遺伝子、または別の遅い細胞シグナル伝達機序によって活性化される(例えば、刺激の30分超、45分超、1時間超、3時間超または6時間超後に活性化される)遺伝子の遺伝子調節領域である。後期/続発性遺伝子は、刺激の1、2、3、4、6、8、10、12または24時間以内に発現され得る。後期/続発性遺伝子は、刺激後の12時間、1日、1週間、2週間、3週間または4週間超の間発現され得る)。
一態様では、本明細書において提供された方法において使用されるトランスジェニック動物は、1つまたは複数の前初期遺伝子の遺伝子調節領域を含む導入遺伝子を含む。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後直ちに活性化される前初期遺伝子に由来するものであり得る。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激の約10秒、20秒、30秒、40秒、50秒または1分後に活性化される前初期遺伝子に由来するものであり得る。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、45分または1時間以内に活性化される前初期遺伝子に由来するものであり得る。特定の実施形態では、前初期遺伝子は、刺激によって直接活性化され、別の遺伝子のタンパク質合成を必要としない。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後、約0秒〜約10秒、約1秒〜約10秒、約10秒〜約20秒、約30秒〜約40秒、約50秒〜約1分または約1秒〜約1分で活性化される前初期遺伝子に由来するものであり得る。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後、約1分〜約2分、約1分〜約5分、約5分〜約10分、約10分〜約20分、約20分〜約30分、約1分〜約30分、約1秒〜約30分または約1秒〜約45分で活性化される前初期遺伝子に由来するものであり得る。
特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後、約30分〜約1時間、約1時間〜約1.5時間、約1時間〜2時間、約2時間〜3時間または約3時間〜約4時間で活性化される遺伝子に由来するものであり得る。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後、約45分、約1時間、約1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間または4時間で活性化される遺伝子に由来するものであり得る。
用語「約」および「およそ」は、数値または数的範囲を修飾するために本明細書において使用される場合には、値または範囲からの妥当な偏差、一般に、10%超および10%未満の値または範囲が、列挙される値または範囲の意図される意味内に依然としてあることを示す。
遺伝子調節領域が利用され得る例示的前初期遺伝子として、制限するものではないが、CREB、c−fos、FosB、δ FosB、c−jun、CREM、zif/268、tPA、Rheb、RGS2、CPG16、COX−2、Narp、BDNF、CPG15、アルカドリン(Arcadlin)、ホーマー(Homer)−la、CPG2およびArcをコードする遺伝子が挙げられる。このような遺伝子調節領域は、当業者に周知である。特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される前初期遺伝子は、c−fosである。当業者ならば、現在知られているか、後に発見されるその他の前初期遺伝子に由来する遺伝子調節領域も、本明細書に記載された方法に従って利用され得るということは認識する。いくつかの実施形態では、遺伝子調節領域は、ヒト前初期遺伝子の遺伝子調節領域である。
別の態様では、本明細書において提供された方法において使用されるトランスジェニック動物は、1つまたは複数の後期/続発性遺伝子、すなわち、前初期遺伝子ではない遺伝子の遺伝子調節領域を含む。いくつかの実施形態では、後期/続発性遺伝子は、前初期遺伝子などの別の遺伝子の下流で活性化される(また、例えば、前初期遺伝子などの別の遺伝子のタンパク質合成を必要とする)遺伝子である。いくつかの実施形態では、後期/続発性遺伝子は、遅い細胞シグナル伝達機序によって活性化される(例えば、刺激後、30分超、45分超、1時間超、2時間超、4時間超、6時間超または12時間超で活性化される)遺伝子である。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間または24時間以内に活性化される後期/続発性遺伝子に由来するものであり得る。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後、約1時間、2時間、3時間、4時間、4.5時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間または1日に発現される後期/続発性遺伝子に由来するものであり得る。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後、約2日、3日、4日、5日、6日または1週間の間発現される後期/続発性遺伝子に由来するものであり得る。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後、約2週間、3週間、4週間、1カ月または1カ月超の間発現される後期/続発性遺伝子に由来するものであり得る。特定の実施形態では、遺伝子調節領域は、刺激後、約1時間〜約4時間、4時間〜約6時間、約6時間〜約12時間、約12時間〜約1日、約1日〜約2日、約3日〜約5日、約5日〜約1週間、約1週間〜約2週間、約2週間〜約3週間または約3週間〜約1カ月発現される後期/続発性遺伝子に由来するものであり得る。
遺伝子調節領域が利用され得る例示的後期/続発性遺伝子として、制限するものではないが、神経フィラメント軽鎖、シナプシン、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)、TGF−β、NGF、PDGF、BFGF、チロシンヒドロキシラーゼ、フィブロネクチン、プラスミノゲンアクチベーター阻害剤−1、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)およびコリンアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が挙げられる。このような遺伝子調節領域は、当業者に周知である。当業者ならば、現在知られているか、後に発見されるその他の後期/続発性遺伝子に由来する遺伝子調節領域も、本明細書に記載された方法に従って使用され得るということは認識する。いくつかの実施形態では、遺伝子調節領域は、ヒト後期/続発性遺伝子の遺伝子調節領域である。
いくつかの実施形態では、前初期遺伝子および後期/続発性遺伝子の遺伝子調節領域は、特定の組織(単数または複数)(例えば、脳、肝臓、心臓または任意のその他の組織)において活性化される。Loebnch & Nedivi、Physiol. Rev. 89:1079〜1103頁(2009年);Clayton、Neurobiology、Learning and Memory 74:185〜216頁(2000年)を参照のこと。
別の態様では、本明細書において提供された方法において使用されるトランスジェニック動物は、前初期遺伝子および後期/続発性遺伝子の遺伝子調節領域を含む導入遺伝子を含む。
特定の実施形態では、導入遺伝子は、遺伝子の完全プロモーターを含む。
特定の実施形態では、導入遺伝子は、遺伝子の完全プロモーターおよび遺伝子のさらなる核酸を含む。例えば、遺伝子調節領域は、対象とする遺伝子のプロモーターを含み、遺伝子の約または少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400、500、1000、2000、3000、4000もしくは5000種の核酸をさらに含む。
特定の実施形態では、導入遺伝子は、遺伝子の完全プロモーターならびに遺伝子および/または隣接するDNA配列のさらなる核酸(例えば、その天然状態において(例えば、対象の身体において)表れるように、または操作されたDNA構築物(例えば、プラスミドまたはDNAの増幅された小片)において表れるように、遺伝子の上流または下流のいずれかであるDNA配列、イントロンまたはエキソン)を含む。例えば、遺伝子調節領域は、対象とする遺伝子のプロモーターを含み、遺伝子および/または隣接するDNA配列の、約または少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、400、500、1000、2000、3000、4000もしくは5000種の核酸をさらに含む。
特定の実施形態では、導入遺伝子は、遺伝子のプロモーターおよび数十〜数百種の数キロベースのさらなる核酸を含む。特定の実施形態では、このような遺伝子調節領域は、細菌人工染色体(BAC)として(またはその一部として)または酵母人工染色体(YAC)として(またはその一部として)作製される。
いくつかの実施形態では、導入遺伝子は、プロモーターなどの遺伝子の遺伝子調節領域の断片(例えば、天然遺伝子プロモーターの断片)を含む。特定の実施形態では、遺伝子調節領域の断片は、遺伝子の転写を促進するのに有効である。いくつかの実施形態では、断片は、遺伝子の遺伝子調節領域(例えば、天然プロモーター)の20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、98%または99%超を構成する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法において使用される遺伝子の遺伝子調節領域は、突然変異されている天然遺伝子調節領域である(例えば、遺伝子調節領域の1種もしくは複数のヌクレオチドが、欠失または置換されているか、または1種もしくは複数のヌクレオチドが、天然調節領域に付加されている)。
特定の実施形態では、導入遺伝子は、トランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックマウス)の天然遺伝子プロモーターを含み、ここで、天然遺伝子プロモーターは、リポーター遺伝子に連結される。このようなトランスジェニックマウスを作製する方法は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載されている(例えば、節5.1.3を参照のこと)。
5.1.2 検出可能なリポーター遺伝子
当業者に公知の任意のリポーター遺伝子を、本明細書に記載された遺伝子調節領域−リポーター遺伝子構築物において使用してもよい。リポーター遺伝子とは、その存在または活性のいずれかによって容易に検出可能であるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を指す。特定の実施形態では、リポーター遺伝子は、遺伝子のコーディング領域(例えば、イントロン配列を含まない遺伝子配列)を含む。リポーター遺伝子は、入手され得、リポーター遺伝子のヌクレオチド配列は、当業者に周知の任意の方法によって決定され得る。
特定の実施形態では、リポーター遺伝子は、蛍光リポーター遺伝子である。蛍光リポーター遺伝子の例として、限定されるものではないが、緑色蛍光タンパク質(「GFP」)およびその誘導体(例えば、蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質および青色蛍光タンパク質)、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼ、遺伝子改変されたルシフェラーゼおよびコメツキムシルシフェラーゼ)およびサンゴ由来シアンおよび赤色蛍光タンパク質(ならびに、サンゴに由来する赤色蛍光タンパク質の変形、例えば、黄色、橙色および遠赤色の変形)をコードするヌクレオチド配列が挙げられる。特定の実施形態では、GFPをコードするヌクレオチド配列は、クラゲアエクオレア属(Aequorea)(例えば、オワンクラゲ(Aequorea Victoria))またはサンゴ(例えば、レニアラ・レニフォルムス(Renialla reniforms)、ガラクセイダエ(Galaxeidae))に由来する。いくつかの実施形態では、シアン蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、リーフコーラル(reef coral)(例えば、アネモニア・マジャノ(Anemonia majano)、クラブラリア(Clavularia)またはアクロパラ(Acropara))に由来する。いくつかの実施形態では、赤色蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、サンゴ(例えば、ディスコソマ(Discosoma)、シライトイソギンチャク(Heteractis crispa))に由来する。
別の特定の実施形態では、検出可能なリポーター遺伝子は、蛍光リポーター遺伝子ではない、例えば、リポーター遺伝子は、触媒作用的リポーター遺伝子である。触媒作用的リポーター遺伝子の例として、制限するものではないが、β−ガラクトシダーゼ(「β−gal」)、β−グルクロニダーゼ、β−ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(「CAT」)、西洋ワサビペルオキシダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼ(「AP」)が挙げられる。
当業者ならば、本明細書に記載された調節領域−リポーター遺伝子構築物に使用されるリポーター遺伝子は、本明細書に記載された方法を使用して容易に検出されなくてはならないことおよびこのような検出は、刺激(例えば、薬物)に応じた遺伝子調節領域の活性化を示すということは理解する。
5.1.3 調節領域−リポーター遺伝子構築物を作製する方法
本明細書に記載されたトランスジェニック動物を産生するために使用される調節領域−リポーター遺伝子構築物は、周知の分子生物学アプローチ(例えば、Sambrookら Molecular Cloning A Laboratory Manual、第2版 Cold Spring Lab. Press、1989年12月に記載されたアプローチ)を含めた当業者に公知の任意の方法を使用して作製され得る。調節領域−リポーター遺伝子構築物を含むDNA構築物(例えば、プラスミド)が作製され得る。遺伝子の選択された調節領域(例えば、c−fos調節領域)および選択されたリポーター遺伝子(例えば、GFP)に対応する核酸配列は、当技術分野で公知のアプローチ(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))を使用して得、続いて、DNA連結などの当技術分野で公知のアプローチによって互いに連結してもよい。このような構築物は、トランスジェニック動物を作製する方法において使用され得る(節5.1.3を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、調節領域−リポーター遺伝子構築物を保持するトランスジェニック動物は、細菌人工染色体(BAC)または酵母人工染色体(YAC)を使用して作製される。
5.1.4トランスジェニック非ヒト動物を作製する方法
本明細書に記載された方法に従って、任意のトランスジェニック非ヒト動物が使用され得る。例えば、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、制限するものではないが、マウス、ラット、ニワトリ、サル、ネコ、イヌ、サカナ(例えば、ゼブラフィッシュ)、モルモットまたはウサギであり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、マウスである。別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、ラットである。別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、サルである。
トランスジェニック動物の樹立系統を製造するために、当技術分野で公知の技術を使用して、所望の調節領域−リポーター遺伝子構築物を動物に導入してもよい。このような技術として、限定されるものではないが、前核マイクロインジェクション(例えば、Manipulating the Mouse Embryo、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、1986年を参照のこと);静止状態に導入される培養胚、胎児または成体細胞から得られた核の除核された卵母細胞への核移植(Campbellら、1996年、Nature 380:64; Wilmutら、Nature 385:810);生殖系列へのレトロウイルス媒介性遺伝子導入(Van der Puttenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6148〜6152頁、1985年;胚幹細胞における標的遺伝子組換え(Thompsonら、Cell 56: 313〜321頁、1989年);胚のエレクトロポレーション(Lo、Mol. Cell Biol. 3:1803〜1814頁、1983年);および精子媒介性遺伝子導入(Lavitranoら、Cell 57:717〜723頁、1989年)などが挙げられる。トランスジェニック動物を作製するための技術の概説については、Gordon、Intl. Rev. Cytol. 115:171〜229頁、1989年を参照のこと。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、すべてのその細胞中に導入遺伝子を有する。その他の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、そのすべてではない一部の細胞中に導入遺伝子を有する、すなわち、トランスジェニック動物は、モザイク動物である。導入遺伝子は、単一導入遺伝子として、またはコンカテマー中に、例えば、ヘッドトゥヘッドタンデムまたはヘッドトゥテールタンデムで組み込むことができる。導入遺伝子はまた、例えば、Laskoら(Laskoら、1992年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232頁)の教示に従うことによって特定の細胞種に選択的に導入することができ、また特定の細胞種において活性化させることができる。このような細胞種特異的活性化に必要な調節配列は、対象とする特定の細胞種に応じて変わり、当業者には明らかである。
前記の方法に従うトランスジェニック動物の作製の成功は、当技術分野で公知の方法によって、例えば、ノーザンブロットまたはPCRを使用して導入遺伝子の発現を評価することによって、または導入遺伝子によってコードされる検出可能なマーカー(例えば、緑色蛍光タンパク質)の発現もしくは機能を評価することによって測定され得る。特定の実施形態では、導入遺伝子は、安定に組み込まれたままであり、複数の世代にわたって発現される。
本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、任意の年齢または成熟度状態のものであり得る。特定の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、約0カ月〜約1カ月齢、約1カ月〜約3カ月齢、約3カ月〜約6カ月齢、約6カ月〜約12カ月齢、約6カ月〜約18カ月齢、約18カ月〜約36カ月齢、約1年〜約2年齢、約1年〜約5年齢または約5年〜約10年齢の範囲の年齢を有する。
特定の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、本明細書において提供される単一導入遺伝子を有する。その他の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、本明細書において提供される2種以上の導入遺伝子を有する。特定の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、本明細書において提供された2種の導入遺伝子を有する。別の特定の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、本明細書において提供された3種の導入遺伝子を有する。別の特定の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、本明細書において提供された4種の導入遺伝子を有する。別の特定の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、本明細書において提供された5種の導入遺伝子を有する。別の特定の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、本明細書において提供された6種以上の導入遺伝子を有する。
特定の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、本明細書に記載された方法において使用されている試験化合物の特性決定にとって有用である特徴を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、妊娠中である。別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、若年である、例えば、動物は、その特定の種類の動物について当業者によって若年と考えられる齢である。別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、高齢である、例えば、動物は、その特定の種類の動物について当業者によって高齢と考えられる齢である。別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、中年である、例えば、動物は、その特定の種類の動物について当技術分野の中年の当業者によって高齢と考えられる齢である。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、特定の疾患または状態を有するよう操作されているか、または特定の疾患または状態を発生する/獲得する傾向にある、すなわち、トランスジェニック動物は、所与の疾患または状態の動物モデルに相当する。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、脳の疾患または状態の動物モデルである。このような動物モデルとして、限定されるものではないが、うつ病(例えば、Hua-Chengら、2010年、「Behavioral animal models of depression」、Neurosci Bull August 1、2010年、26(4):327〜337頁;Vollmayrら、「Neurogenesis and depression: what animal models tell us about the link」、Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci 2007年、257:300〜303頁; Cryanら、「The tail suspension test as a model for assessing antidepressant activity: review of pharmacological and genetic studies in mice」、Neurosci Biobehav Rev 2005年、29:571〜625頁;Dulawaら、(2005年)、「Recent advances in animal models of chronic antidepressant effects: the novelty-induced hypophagia test」、 Neurosci. Biobehav. Rev. 29、771〜783頁;Willnerら、「Chronic mild stress-induced anhedonia:a realistic animal model of depression」、Neurosci Biobehav Rev 1992年、16: 525〜534頁を参照のこと);不安神経症(例えば、Holmes、(2001年)、「Targeted gene mutation approaches to the study of anxiety-like behavior in mice」、Neurosci. Biobehav. Rev. 25、261〜273頁;Blanchardら(2001年)「Animal models of social stress: effects on behavior and brain neurochemical systems」、 Physiol Behav. 73:261〜271頁;Olivierら、「New animal models of anxiety」、Eur Neuropsychopharmacol. 1994年、4(2):93〜102頁を参照のこと);気分障害(例えば、Cryanら、「Animal models of mood disorders: Recent developments」、 Curr Opin Psychiatry 2007年、20:1〜7頁を参照のこと);統合失調症(例えば、Marcotteら、「Animal models of schizophrenia: a critical review」、J Psychiatry Neurosci.、2001年、26(5):395〜410頁を参照のこと);自閉症(例えば、Moy, S.S.およびNadler, J.J.、(2008年)、「Advances in behavioral genetics: mouse models of autism」、 Molecular psychiatry 13:14〜26頁を参照のこと);卒中(例えば、Beechら、(2001年)、「Further characterisation of a thromboembolic model of stroke in the rat」、Brain Res 895(1-2):18〜24頁;Chenら、(1986年)「A model of focal ischemic stroke in the rat: reproducible extensive cortical infarction」、Stroke 17(4):738〜43頁参照のこと;アルツハイマー病および痴呆(Gotzら、「Transgenic animal models of Alzheimer's disease and related disorders: histropathology, behavior and therapy」、Mol Psychiatry. 2004年、9(7):664〜83頁;Gotzら、(2008年)「Animal models of Alzheimer's disease and frontotemporal dementia」、Nature Reviews Neuroscience 9:532〜544頁を参照のこと);および脳癌(例えば、WO2010/138659を参照のこと)の動物モデルが挙げられる。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、ヒト遺伝病または状態の動物モデルである。遺伝病の研究において使用するための動物モデルは、記載されている(例えば、HardouinおよびNagy、「Mouse models for human disease」、Clinical Genetics 57、237〜244頁(2000年);Yangら、「Towards a transgenic model of Huntington's disease in a non-human primate」、Nature 453、921〜924頁(2008年);およびSmithies、「Animal models of human genetic diseases」、Trends Genet. 1993年 9(4):112〜6頁を参照のこと)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、遺伝性認知障害(例えば、自閉症、統合失調症など)と関連付けられたか、または関連している遺伝子突然変異を保持するよう操作される。自閉症に関連付けられた多数の遺伝子が発見されており、いくつかの遺伝子マウスモデルは、社会的およびその他の複雑な行動が障害されているとわかっている(Silvermanら、2010、Nature Reviews 11:490〜502頁)。一実施形態では、遺伝性認知障害の動物モデルにおける根底にある回路の欠陥を特性決定するために、本明細書に記載されたイメージング技術(例えば、STPトモグラフィー)が使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法を使用して、遺伝性認知障害の動物モデルにおいて、このような回路欠陥を治療または逆転できるか、または正常脳機能を回復させることができる薬物を同定できる。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、癌の動物モデルである。癌の動物モデルの例として、一般に、限定されるものではないが、コンパニオンアニマルの自発的に生じる腫瘍が挙げられる(例えば、Vail & MacEwen、2000年、Cancer Invest 18(8):781〜92頁)。肺癌の動物モデルの例として、限定されるものではないが、Zhang & Roth (1994年)、In-vivo 8(5):755〜69頁)によって記載される肺癌動物モデルおよびp53機能が破壊されたトランスジェニックマウスモデル(例えば、Morrisら、1998年、J La State Med Soc 150(4):179〜85頁を参照のこと)が挙げられる。乳癌の動物モデルの一例として、限定されるものではないが、サイクリンDlを過剰発現するトランスジェニックマウスが挙げられる(例えば、Hosokawaら、2001年、Transgenic Res 10(5):471〜8頁を参照のこと)。結腸癌の動物モデルの一例として、限定されるものではないが、TCR bおよびp53二重ノックアウトマウス(例えば、Kadoら、2001年、Cancer Res. 61 (6):2395〜8頁)が挙げられる。膵臓癌の動物モデルの例として、限定されるものではないが、Panc02マウス膵臓腺癌の転移性モデル(例えば、Wangら、2001年、Int. J. Pancreatol. 29(1):37〜46頁を参照のこと)および皮下膵臓腫瘍において作製されたnu−nuマウス(例えば、Ghanehら、2001年、Gene Ther. 8(3):199〜208頁を参照のこと)が挙げられる。非ホジキンリンパ腫の動物モデルの例として、限定されるものではないが、重症複合免疫不全症(「SCID」)マウス(例えば、Bryantら、2000年、Lab Invest 80(4):553〜73頁を参照のこと)およびIgHmu−HOX11トランスジェニックマウス(例えば、Houghら、1998年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95(23):13853〜8を参照のこと)が挙げられる。食道癌の動物モデルの一例として、限定されるものではないが、ヒトパピローマウイルス16 E7型癌遺伝子についてトランスジェニックなマウスが挙げられる(例えば、Herberら、1996年、J. Virol. 70(3):1873〜81頁を参照のこと)。結腸直腸癌の動物モデルの例として、限定されるものではないが、Apeマウスモデル(例えば、Fodde & Smits、2001年、Trends Mol Med 7(8):369 73およびKuraguchiら、2000年)が挙げられる。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用されるトランスジェニック動物は、心臓状態、糖尿病または脳卒中の動物モデルである。
5.2 化合物
制限するものではないが、抗体、タンパク質、ペプチド、アンチセンス、DNAまたはRNAおよびRNAiなどの小分子および生体分子を含めた、当技術分野で公知の、または後に発見される任意の化合物が、本明細書に記載された方法に従って利用され得る(例えば、試験化合物として、または参照化合物として)。
いくつかの実施形態では、化合物は、非ヒト動物におけるか、またはヒトにおける臨床研究において(好ましくは、ヒト臨床研究)、治療効果をもたらすとわかっている、および/または毒性について特性決定されている参照化合物である。いくつかの実施形態では、化合物は、試験化合物、例えば、治療効力または毒性特徴が知られていない化合物である。特定の実施形態では、化合物は、試験化合物であり、その治療効力および/または毒性特徴を、予測および/または決定することが望まれる。特定の実施形態では、試験化合物は、既知の治療効果および/または毒性効果(例えば、試験化合物が、治療または毒性特徴の改善などの、参照化合物(複数可)との比較において臨床的利益を有するかどうかを調べるための)を有する、1種または複数の参照化合物の類似体または誘導体(例えば、2、3、4、5または6種以上の化合物または化合物の混合物)である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法において2種以上の試験化合物(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11種以上の化合物)が使用される。特定の実施形態では、試験化合物は、2、3種またはそれ以上の化合物の混合物である。その他の実施形態では、試験化合物は、単一化合物であり、化合物の混合物ではない。
本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、当技術分野で公知の、またはその特定の化合物のために示される任意の手段によって投与され得る。トランスジェニック動物に投与される場合には、化合物は、所望により、医薬上許容される担体、賦形剤または希釈液を含む組成物の成分として投与され得る。投与は全身であっても、局所であってもよい。種々の送達系が公知であり(例えば、リポソーム、微小粒子、マイクロカプセル、カプセルへのカプセル封入)、化合物を投与するために使用され得る。例示的な投与の形態として、制限するものではないが、非経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、鼻腔内、大脳内、膣内、経皮、直腸性に、吸入によって、または局所的に、特に、耳、鼻、眼または皮膚が挙げられる。
本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、所望により、化合物と、任意選択の担体、賦形剤または希釈液を含む組成物の形態であり得る。用語「担体」とは、治療薬がともに投与される、希釈液、アジュバント(例えば、フロイントのアジュバント(完全および不完全))、賦形剤またはビヒクルを指す。このような担体は、水およびピーナッツオイル、ダイズオイル、無機油、ゴマ油などといった石油、動物、植物または合成起源のものを含めたオイルなどの滅菌液体であり得る。水は、組成物が静脈内に投与される場合の特定の担体である。生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液はまた、特に、注射用溶液のための液体担体として使用され得る。適した賦形剤は、薬学の当業者には周知であり、適した賦形剤の限定されない例として、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。特定の賦形剤が、組成物または投与形に組み込むことに適しているかどうかは、限定されるものではないが、投与形が対象に投与される方法および投与形中の特定の有効成分を含めた当技術分野で周知の種々の因子に応じて変わる。組成物または単一単位投与形はまた、必要に応じて、少量の湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤を含有し得る。組成物および単一単位投与形は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出製剤などの形態をとり得る。
本明細書に記載された方法の上首尾の適用において有効である化合物の量/用量は、標準的な臨床技術によって決定され得る。最適投与量範囲を同定するのに役立つよう、in vitroまたはin vivoアッセイが所望により使用され得る。使用されるべき正確な用量はまた、例えば、化合物が示される、投与の経路および疾患または障害の種類に応じて変わる。
いくつかの実施形態では、記載された方法において使用される試験化合物の量/用量は、1種または複数の参照化合物(例えば、大多数またはすべての参照化合物)の量/用量と同一(またはほぼ同一)である。特定の実施形態では、記載された方法において使用される試験化合物の量/用量は、1種または複数の参照化合物(例えば、大多数またはすべての参照化合物)の量/用量とは、参照化合物の量/用量の75%、50%、40%、30%、20%、10%または5%未満異なる。その他の実施形態では、記載された方法において使用される試験化合物の量/用量は、1種または複数の参照化合物の量/用量と同一ではない。
特定の実施形態では、化合物(例えば、試験化合物または参照化合物)の2以上の用量(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10または2、3、4、5、6、7、8、9、10超の量/用量)の効果が、記載される方法論を使用して解析される。特別の実施形態では、化合物の2以上の用量の使用によって、化合物の用量曲線の作成が可能となる。いくつかの実施形態では、用量の各々で、化合物のファーマコマップが作製される。いくつかの態様では、2種以上の化合物の2以上の用量の使用および各化合物の用量曲線の作成(例えば、試験される用量の各々でのファーマコマップ読み出し情報)によって、化合物の臨床的利益間の区別が可能となる。一実施形態では、化合物は、その他の化合物によって達成されるものよりも低い用量で治療効果(同一または改善された治療効果)を達成するその能力に基づいて選択される。別の実施形態では、化合物は、その他の化合物によって達成されるものと、同一または低い用量で、改善された治療効果を達成するその能力に基づいて選択される。さらに別の実施形態では、化合物は、その他の化合物によって達成されるものと同一またはより高い用量で、毒性がないことまたはより低い毒性に基づいて選択される。2種以上の化合物の用量曲線の作成によって、関連薬物(例えば、構造的に類似の薬物)間を区別する(例えば、最も有益な臨床成績を有すると予測される化合物を選択する)能力が増大され得る。いくつかの態様では、試験化合物の2以上の用量が、記載された方法に従って解析され得、試験化合物の用量曲線(例えば、試験される用量の各々でのファーマコマップ読み出し情報)の作製につながる。いくつかの態様では、参照化合物の2以上の用量が、記載された方法に従って解析され得、参照化合物の用量曲線(例えば、試験された用量の各々でのファーマコマップ読み出し情報)の作成につながる。いくつかの実施形態では、試験された用量の各々での試験化合物または参照化合物のファーマコマップが、データベースに保存される。特定の実施形態では、試験化合物の臨床利益(例えば、治療利益または毒性利益)の予測は、試験化合物の用量曲線と、基値臨床特徴を有する1種または複数の参照化合物の用量曲線間の類似性または相違を決定することを含む。
本明細書に記載された方法に従って使用されるべき化合物の例示的用量は、1日あたり対象またはサンプルの重量1キログラム(Kg)あたり、ミリグラム(mg)またはマイクログラム(μg)の量を含む(例えば、Kgあたり約1μg〜1日あたりKgあたり約500mg、Kgあたり約5μ〜1日あたりKgあたり約100mgまたはKgあたり約10μg〜1日あたりKg約100mg)。特定の実施形態では、1日用量は、少なくとも0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1.0mg、2.0mg、5.0mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、250mg、500mg、750mgまたは少なくとも1gである。別の実施形態では、投与量は、約0.1mg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mgまたはそれ以上の単位用量である。別の実施形態では、投与量は、約0.1mg〜約1000mg、1mg〜約1000mg、5mg〜約1000mg、約10mg〜約500mg、約150mg〜約500mg、約150mg〜約1000mg、250mg〜約1000mg、約300mg〜約1000mgまたは約500mg〜約1000mgの範囲である単位用量である。別の実施形態では、非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)は、化合物または組成物の有効量の1または複数の用量を投与され、ここで、有効量は、各用量について同一ではない。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に1回投与される。特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に2回以上投与され、例えば、化合物は、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回または11回以上投与される。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に連続的に投与され、すなわち、動物は、所望の期間、動物への化合物の連続注入を可能にする機構(例えば、ポンプ、i.v.、カテーテルまたは当業者に公知の別の適当な機構)を取り付けられる。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に、投与の間に特定の期間をもうけて2回以上投与され、例えば、化合物は、所望の期間、5分毎、10分毎、20分毎、30分毎、1時間毎、2時間毎、3時間毎、4時間毎、5時間毎、6時間毎、7時間毎、8時間毎、9時間毎、10時間毎、11時間毎、12時間毎、24時間毎(すなわち、各日、同時間に毎日)、週に1回または1カ月に1回、非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に投与され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に、投与の間に特定の期間をもうけて2回以上投与され得、ここで、前記化合物は、1〜5分毎、5〜10分毎、10〜20分毎、20〜30分毎、30〜60分毎、1〜2時間毎、2〜4時間毎、4〜8時間毎、8〜12時間毎、12〜16時間毎、16〜20時間毎、20〜24時間毎、1〜2日毎、1〜3日毎、2〜4日毎、5〜7日毎、7〜14日毎、14〜21日毎または21〜28日毎に投与される。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物が、化合物に対する動物の急性応答を解析するために非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に投与される場合には、化合物は、単一用量として、または複数回用量で投与され、本明細書に記載された方法を使用する解析がその後すぐに(例えば、数時間内に)続けられる。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物が、化合物に対する動物の長期応答を解析するために非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に投与される場合には、化合物は、単一用量として、または複数回用量で投与され、後の期間で、本明細書に記載された方法を使用する解析が続けられ得る、例えば、解析は、化合物の最初の投与後、数日、数週間または数カ月で実施され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、数日(例えば、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日または13日)、数週間(例えば、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間または7週間)または数カ月(例えば、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、18カ月、24カ月、30カ月または36カ月)間、非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に反復して、または慢性的に投与され、化合物の最後の投与の後に、本明細書に記載された方法を使用する解析が続けられる。特定の実施形態では、このような方法によって作製されたファーマコマップは、慢性効果のファーマコマップを表す。特別の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1カ月間、少なくとも2カ月間、少なくとも3カ月間、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月間、少なくとも6カ月間、少なくとも8カ月間、少なくとも10カ月間または少なくとも1年間非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)に反復して、または慢性的に投与され、化合物の最後の投与の後に、本明細書に記載された方法を使用する解析が続けられる。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物(複数可)は、血液脳関門を通過できる化合物である。別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物(複数可)は、天然には血液脳関門を通過できないものであり得るが、当業者に公知のアプローチを使用して血液脳関門を通過するようにさせられ得る。
血液脳関門を渡って化合物を輸送する物理的方法として、限定されるものではないが、血液脳関門を完全に回避することまたは血液脳関門中に開口部を作製することによってが挙げられる。回避法として、限定されるものではないが、脳への直接注入(例えば、Papanastassiouら、Gene Therapy 9: 398〜406頁(2002年)を参照のこと)および脳に送達装置を埋め込むこと(例えば、Gillら、Nature Med. 9:589〜595頁(2003年);およびGliadel Wafers(商標)、Guildford Pharmaceuticalを参照のこと)が挙げられる。関門中に開口部を作製する方法として、限定されるものではないが、超音波(例えば、米国特許出願公開第2002/0038086号)、浸透圧(例えば、高張マンニトールの投与による(Neuwelt, E. A.、Implication of the Blood-Brain Barrier and its Manipulation、第1 & 2巻、Plenum Press、N.Y. (1989年)))、例えば、ブラジキニンまたは透過処理剤A−7による透過処理(例えば、米国特許第5,112,596号、同5,268,164号、同5,506,206号および同5,686,416号)が挙げられる。
血液脳関門を渡って化合物を輸送する脂質ベースの方法として、限定されるものではないが、化合物を、血液脳関門の血管内皮上の受容体と結合する抗体結合断片とカップリングされるリポソーム中にカプセル封入することが挙げられる(例えば、米国特許出願公開第20020025313号を参照のこと)および化合物を低密度リポタンパク質粒子(例えば、米国特許出願公開第20040204354号を参照のこと)またはアポリポタンパク質E(例えば、米国特許出願公開第20040131692号を参照のこと)でコーティングすることが挙げられる。
血液脳関門を渡って化合物を輸送する受容体およびチャネルベースの方法として、限定されるものではないが、血液脳関門の透過性を高めるためにグルココルチコイドブロッカーを使用すること(例えば、米国特許出願公開第2002/0065259号、同2003/0162695号および同2005/0124533号を参照のこと);カリウムチャネルを活性化すること(例えば、米国特許出願公開第2005/0089473号を参照のこと)、ABC薬物輸送体を阻害すること(例えば、米国特許出願公開第2003/0073713号を参照のこと);化合物をトランスフェリンでコーティングすることおよび1つまたは複数のトランスフェリン受容体の活性を調節すること(例えば、米国特許出願公開第2003/0129186号を参照のこと)および化合物をカチオン化すること(例えば、米国特許第5,004,697号を参照のこと)が挙げられる。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物(複数可)は、制限するものではないが、精神病性疾患または障害、躁病、不安神経症、うつ病、統合失調症、双極性障害、多重人格障害、アルツハイマー病、認知症、脳の癌、脳卒中、外傷性脳傷害(TBI)および偏頭痛を含めた脳疾患または障害の治療において有効であるとわかっている参照化合物である。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物(複数可)は、精神病性疾患または障害の治療において有効であるとわかっている参照化合物である、すなわち、化合物は、抗精神病化合物である。抗精神病化合物の限定されないリストは、クロルプロマジン(ソラジン(Thorazine))、ハロペリドール(ハルドール(Haldol))、ペルフェナジン(トリラフォン(Trilafon))、フルフェナジン(ペルミチル(Permitil))、クロザピン(クロザリル(Clozaril))、リスペリドン(リスパダール(Risperdal))、オランザピン(ジプレキサ(Zyprexa))、クエチアピン(セロクエル(Seroquel))、ジプラシドン(ゲオドン(Geodon))、アリピプラゾール(エビリファイ(Abilify))、パリペリドン(インヴェガ(Invega))、クロルプロチキセン(タラクタン(Taractan))、ロキサピン(ロキシタン(Loxitane))、メソリダジン(セレンチル(Serentil))、モリンドン(リドン(Lidone)、モバン(Moban))、オランザピン(ジプレキサ(Zyprexa))、ピモジド(オラップ(Orap))、チオリダジン(メラリル(Mellaril))、チオチキセン(アバン(avane))、トリフルオペラジン(ステラジン(Stelazine))およびトリフルオプロマジン(trifluopromazine)(ベスプリン(Vesprin))を含む。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物(複数可)は、うつ病の治療において有効であるとわかっている参照化合物である、すなわち、化合物は、抗うつ性化合物である。抗うつ性化合物の限定されないリストは、セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、フルオキセチン(プロザック(Prozac))、シタロプラム(セレクサ(Celexa))、セルトラリン(ゾロフト(Zoloft))、フルボキサミン(ルボックス(Luvox))パロキセチン(パキシル(Paxil))およびエスシタロプラム(レクサプロ(Lexapro));セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、例えば、ベンラファキシン(エフェクソール(Effexor))およびデュロキセチン(サインバルタ(Cymbalta));ブプロピオン(ウェルブトリン(Wellbutrin));アミトリプチリン(エラビル(Elavil));アモキサピン(アセンジン(Asendin));クロミプラミン(アナフラニル(Anafranil));デシプラミン(ノルプラミン(Norpramin)、ペルトフラン(Pertofrane));ドキセピン(アダピン(Adapin)、シネクアン(Sinequan));イミプラミン(トフラニル(Tofranil));三環系抗うつ薬;四環系抗うつ薬;およびモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、例えば、イソカルボキサジド(マルプラン(Marplan));フェネルジン(ナルジル(Nardil));およびトラニルシプロミン(パルネート(Parnate))を含む。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物(複数可)は、不安神経症の治療において有効であるとわかっている参照化合物である、すなわち、化合物は、抗不安神経症化合物である。抗不安化合物の限定されないリストは、アルプラゾラム(キサナックス(Xanax))、プスピロン(ブスパー(BuSpar))、クロルジアゼポキシド(リブラックス(Librax)、リブリタブス(Libritabs)、リブリウム(Librium))、クロナゼパム(クロノピン(Klonopin))、クロラゼプ酸(アゼン(Azene)、トランキセン(Tranxene))、ジアゼパム(バリウム(valium))、ハラゼパム(パキシパム(Paxipam))、ロラゼパム(アチバン(Ativan))、オキサゼパム(セラクス(Serax))およびプラゼパム(セントラッキス(Centrax))を含む。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物(複数可)は、躁病の治療において有効であるとわかっている参照化合物である、すなわち、化合物は抗躁化合物である。抗不安薬化合物の限定されないリストは、カルバマゼピン(テグレトール(Tegretol))、ジバルプロエクスナトリウム(デパコテ(Depakote))、ガバペンチン(ニューロンティン(neurontin))、ラモトリジン(ラミクタール(Lamictal))、炭酸リチウム(エスカリス(Eskalith)、リタン(Lithane)、リトビド(Lithobid))、クエン酸リチウム(シバリス(Cibalith)-S)およびトピマラート(topimarate)(トパマックス(Topamax))を含む。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物(複数可)は、アルツハイマー病の治療において有効であるとわかっている参照化合物である。アルツハイマー病の治療において使用される化合物の限定されないリストは、制限するものではないが、ドネペジル(アリセプト(Aricept))、ガランタミン(ラザザイン(Razadyne))、メマンチン(ナメンダ(Namenda))、リバスチグミン(エクセロン(Exelon))およびタクリン(コグネックス(Cognex))を含む。
別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物(複数可)は、肝臓疾患または障害の治療において有効であるとわかっている参照化合物である。別の特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物(複数可)は、脳および/または肝臓以外の身体の組織または臓器、例えば、膵臓、心臓、脾臓、胃、肺、小腸、大腸、腎臓、膀胱、卵巣、精巣または前立腺の疾患または障害の治療において有効であるとわかっている参照化合物である。
本明細書に記載された方法に従って使用され得るその他の化合物として、制限するものではないが、ヌクレオシド類似体(例えば、ジドブジン、アシクロビル、ガングシクロビル(gangcyclovir)、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジンおよびリバビリン)、ホスカルネット、アマンタジン、ペラミビル、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、α−インターフェロンおよびその他のインターフェロン、AZT、ザナミビル(リレンザ(Relenza)(登録商標))、オセルタミビル(タミフル(Tamiflu)(登録商標))、アモキシシリン、アンホテリシン(Amphothericin)−B、アンピシリン、アジスロマイシン、バシトラシン、セファクロル、セファレキシン、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、コリスチン、ダプトマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、フルコナゾール、ゲンタマイシン、イトラコナゾール、カナマイシン、ケトコナゾール、リンコマイシン、メトロニダゾール、ミノサイクリン、モキシフロキサシン、ムピロシン、ネオマイシン、オフロキサシン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン、リファンピシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、スルバクタム、スルファメトキサゾール、テリスロマイシン、テモシリン、タイロシン、バンコマイシンおよびボリコナゾールが挙げられる。
本明細書に記載された方法に従って使用され得るその他の化合物として、制限するものではないが、アシビシン;アントラサイクリン;アントラマイシン;アザシチジン(ビダーザ(Vidaza));ビスホスホネート(例えば、パミドロネート(アレドリア(Aredria))、ナトリウムクロンドロネート(clondronate)(Bonefos)、ゾレドロン酸(ゾメタ)、アレンドロネート(フォサマックス)、エチドロネート、イバンドルネート(ibandornate)、シマンドロネト(cimadronate)、リセドロメート(risedromate)およびチルドロメート(tiludromate));カルボプラチン;クロラムブシル;シスプラチン;シタラビン(Ara−C);塩酸ダウノルビシン;デシタビン(ダコゲン(Dacogen));脱メチル化剤、ドセタキセル;ドキソルビシン;EphA2阻害剤;エトポシド;ファザラビン;フルオロウラシル;ゲムシタビン;ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC);インターロイキンII(組換えインターロイキンIIまたはrIL2を含む)、インターフェロンα;インターフェロンβ;インターフェロンγ;レナリドミド(レブリミド(Revlimid));抗CD2抗体(例えば、シプリズマブ(Medlmmune Inc.;その全文が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第WO02/098370));メルファラン;メトトレキサート;マイトマイシン;オキサリプラチン;パクリタキセル;ピューロマイシン;リボプリン;スピロプラチン;テガフール;テニポシド;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン;血管新生阻害剤;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節因子;BCR/ABLアンタゴニスト;βラクタム誘導体;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;グルタチオン阻害剤;HMG CoAレダクターゼ阻害剤;免疫賦活薬ペプチド;インスリン様成長因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;親油性白金化合物;マトリライシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;ミスマッチした二本鎖RNA;一酸化窒素モジュレーター;オリゴヌクレオチド;白金化合物;プロテインキナーゼC阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;rafアンタゴニスト;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;翻訳阻害剤;チロシンキナーゼ阻害剤;およびウロキナーゼ受容体アンタゴニストが挙げられる。
本明細書に記載された方法に従って使用され得るその他の化合物として、制限するものではないが、血管新生を低減または阻害する、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、コンジュゲート、TNF−αと特異的に結合する抗体などの抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fvs、ScFv、Fab断片、F(ab)2断片およびその抗原結合断片)、核酸分子(例えば、アンチセンス分子または三重らせん)、有機分子、無機分子および小分子を含めた抗血管新生剤;非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(例えば、セレコキシブ(CELEBREX(商標))、ジクロフェナク(VOLTAREN(商標))、エトドラック(LODINE(商標))、フェノプロフェン(NALFON(商標))、インドメタシン(INDOCIN(商標))、ケトロラック(ketoralac)(TORADOL(商標))、オキサプロジン(DAYPRO(商標))、ナブメントン(nabumentone)(RELAFEN(商標))、スリンダック(CLINORIL(商標))、トルメンチン(tolmentin)(TOLECTIN(商標))、ロフェコキシブ(VIOXX(商標))、ナプロキセン(ALEVE(商標)、NAPROSYN(商標))、ケトプロフェン(ACTRON(商標))およびナブメトン(RELAFEN(商標)))を含めた抗炎症薬、ステロイド系抗炎症薬(例えば、グルココルチコイド、デキサメタゾン(DECADRON商標)、コルチコステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン(MEDROL(商標)))、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン(プレドニゾン(商標)およびDELTASONE(商標))およびプレドニゾロン(PRELONE(商標)およびPEDIAPRED(商標)))、抗コリン薬(例えば、硫酸アトロピン、硝酸メチルアトロピンおよび臭化イプラトロピウム(ATROVENT(商標)))、β2−アゴニスト(例えば、アブテロール(abuterol)(VENTOLIN(商標)およびPROVENTIL(商標))、ビトルテロール(TORNALATE(商標))、レバルブテロール(XOPONEX(商標))、メタプロテレノール(ALUPENT(商標))、ピルブテロール(MAXAIR(商標))、テルブトライン(terbutlaine)(BRETHAIRE(商標)およびBRETHINE(商標))、アルブテロール(PROVENTIL(商標)、REPETABS(商標)およびVOLMAX(商標))、フォルモテロール(FORADIL AEROLIZER(商標))およびサルメテロール(SEREVENT(商標)およびSEREVENT DISKUS(商標)))およびメチルキサンチン(例えば、テオフィリン(UNIPHYL(商標)、THEO−DUR(商標)、SLO−BID(商標)およびTEHO−42(商標)))が挙げられる。
本明細書に記載された方法に従って使用され得るその他の化合物として、制限するものではないが、アルキル化剤、ニトロソウレア、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼII阻害剤および有糸分裂阻害剤が挙げられる。アルキル化剤として、限定されるものではないが、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、コロルムブシル(cholormbucil)、シクロホスファミド、イフォスファミド、デカルバジン(decarbazine)、メクロレタミン、メファレン(mephalen)およびテモゾロミド(themozolomide)が挙げられる。ニトロソウレアとして、限定されるものではないが、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)が挙げられる。代謝拮抗剤として、限定されるものではないが、5−フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキサート、ゲムシタビン、シタラビンおよびフルダラビンが挙げられる。アントラサイクリンとして、限定されるものではないが、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびミトキサントロンが挙げられる。トポイソメラーゼ II阻害剤として、限定されるものではないが、トポテカン、イリノテカン、エトピシド(etopiside)(VP−16)およびテニポシドが挙げられる。有糸分裂阻害剤として、限定されるものではないが、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)およびビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビン)が挙げられる。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、実施例に記載される任意の1種または複数の化合物である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、実施例9、10、11および/または12に記載される任意の1種または複数の化合物である。特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される化合物は、実施例11に記載される任意の1種または複数の化合物である。
5.3 解析のための動物の調製
いくつかの実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される非ヒト動物は、当業者に公知の技術を使用して、動物を屠殺することなく組織(複数可)を採取/除去する手順のために準備される。その他の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して屠殺される。特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される非ヒト動物は、動物の組織が、所望の種類の解析に適することを確実にする方法で屠殺される。例えば、解析されるべき非ヒト動物の組織が脳である場合には、動物は、脳の組織を撹乱/破壊する方法で屠殺されるべきである。特定の実施形態では、方法に従って使用される屠殺された非ヒト動物は、1つまたは複数の導入遺伝子を有するトランスジェニック動物である。別の特定の実施形態では、方法に従って使用される屠殺された動物は、トランスジェニック動物ではない。
特定の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って使用される非ヒト動物は、心臓内灌流を使用して屠殺される。手短には、非ヒト動物、例えば、マウスは、以下のように心臓内灌流によって屠殺され得る:非ヒト動物に、麻酔薬(例えば、ケタミンおよびキシラジン)を用い、注入(例えば、腹膜内注入)によって麻酔を施し、ひとたび、深い麻酔が得られると、動物を背臥位に固定し、胸部を迅速に開き、ハサミで右心房を切断する。ニードルを左心室に入れ、右心室において切開を行う。次いで、非ヒト動物を死亡させるのに十分な期間(例えば、約4分)、ニードルを用いて生理食塩水を心臓に流し入れる。次いで、身体が堅くなるまでパラホルムアルデヒド(例えば、4%パラホルムアルデヒド)を心臓に流し入れる。特定の実施形態では、本明細書において提供された方法に従って解析される組織が、脳組織である場合には、心臓内灌流を使用して、本方法において使用される動物を屠殺する。
非ヒト動物を屠殺するその他の方法として、制限するものではないが、バルビツール酸またはその他の適した安楽死溶液を用いる動物の注入(例えば、腹膜内注入)、例えば、二酸化炭素、メトキシフルランまたはハロタンの雰囲気に対する動物の曝露および動物の頚椎脱臼が挙げられる。
非ヒト動物が屠殺されると、解析が望まれる動物の組織(例えば、脳組織)を、使用のために得ることができる−例えば、解析されるよう望まれる組織が脳組織である場合には、続いて、動物を断頭し、脳組織を単離してもよい。制限するものではないが、脳、肝臓、膵臓、心臓、脾臓、胃、肺、小腸、大腸、腎臓、膀胱、卵巣、精巣または前立腺に由来する組織を含めた、解析が望まれる任意の組織が、屠殺された非ヒト動物(複数可)から採取され得る。特定の実施形態では、複数の組織が、非ヒト動物から、それが屠殺された後に得られる−例えば、脳、肝臓および/またはその他の組織が、動物から単離される。いくつかの実施形態では、全臓器、例えば、全脳、全肝臓、全心臓(または非ヒト動物の身体の任意のその他の臓器)が採取される。その他の実施形態では、臓器(複数可)の小片、一部または切片が、非ヒト動物から得られる。
次いで、組織を、数時間またはより長く(例えば、一晩または数日から数週間)の間、適した固定液(例えば、4%パラホルムアルデヒド)中で後固定してもよい。特定の実施形態では、ひとたび、固定されると、解析の準備ができるまで、適した条件下で(例えば、4℃で)、組織を保存してもよい(例えば、数時間、数日、数週間、数カ月またはより長い間)。
5.4 イメージング
本明細書に記載された方法に従って使用される非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)から得られた組織は、当業者に公知の、検出される遺伝子発現に基づいて適した任意の方法(例えば、トランスジェニック動物の導入遺伝子中に使用されるリポーター遺伝子に基づいて適した方法)を使用してイメージングされ得る。
いくつかの実施形態では、非ヒト動物のイメージング(例えば、蛍光または酵素的リポーター遺伝子の発現を検出するために)は、光学顕微鏡によって実施され得る。その他の実施形態では、非ヒト動物のイメージング(例えば、天然遺伝子発現を検出するために)は、天然遺伝子発現が、免疫組織化学またはin situハイブリダイゼーションによって可視化された後に光学顕微鏡によって実施され得る。
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法において使用されるイメージング技術は、組織中の細胞の単細胞解像度を提供する。特定の実施形態では、使用されるイメージング技術は、導入遺伝子を発現する細胞の単細胞解像度を提供する。
特定の実施形態では、非ヒト動物は、2光子細胞数測定を使用してイメージングされる(例えば、Raganら「High-resolution whole organ imaging using two-photon cytometry」、Journal of biomedical optics 12、014015(2007年)を参照のこと)。
特定の実施形態では、組織は、本明細書に記載されるように、連続2光子(STP)トモグラフィーによってイメージングされる(例えば、節5、上記および節6.1および6.8、下記;Raganら、Nature Methods 9(3):255〜258頁(2012年)を参照のこと)。手短には、固定された寒天に包埋された非ヒト動物組織(例えば、マウス脳)を、2光子顕微鏡の対物レンズ下、XYZステージ上で水浴に入れ(例えば、Denkら、「Two-photon laserscanning fluorescence microscopy」 Science 248、73〜76頁(1990年)を参照のこと)、顕微鏡の操作ソフトウェアにイメージングパラメータを入力する。ひとたび、パラメータが設定されると、機器は、十分に自動的に作動する:1)XYZステージが対物レンズ下に脳を移動させ、その結果、光学切片(または光学Z−スタック)が、視野(FOV)のモザイクとしてイメージングされ、2)組込型振動刃ミクロトームが、頂部から機械的に切除し、3)全データセットが採取されるまで、オーバーラップする光学的および機械的切片作製ステップが反復される。振動刃ミクロトームによる切片作製によって、蛍光および組織形態学に対して最小の有害な効果しか有さないホルムアルデヒド固定および寒天包埋の簡単な手順によって調製された組織(例えば、脳)の使用が可能になる。高速検流計式スキャニングによって、迅速なイメージングおよび異なる実験のための異なるサンプリング解像度間の切り換えが可能になる。したがって、切片作製ステップの間で、乱されていない光学切片を得るために、高解像度Z−スタックを収集するために、表面より下に焦点を合わせるのに有利である2光子顕微鏡の使用によって、深組織イメージングが可能になる。STP顕微鏡は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる米国特許第7,724,937号に全般的に記載されている。
本明細書に記載された非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物)の組織をイメージングするために使用され得るその他のイメージング技術として、全光組織学(例えば、Tsai, P.S.ら All-optical histology using ultrashort laser pulses. Neuron 39、27〜41頁(2003年)を参照のこと)、マウントされた連続脳切片のロボット化された広視野蛍光顕微鏡法(例えば、Lein, E.S.ら Genome-wide atlas of gene expression in the adult mouse brain. Nature 445、168〜176頁(2007年))、光シート蛍光顕微鏡法(LSFM;選択的平面照明顕微鏡(SPIM)としても知られる)(例えば、Huisken, J.、Swoger, J.、Del Bene, F.、Wittbrodt, J. & Stelzer, E.H. Optical sectioning deep inside live embryos by selective plane illumination microscopy. Science 305、1007〜1009頁(2004年)を参照のこと)、OCPI光シート顕微鏡法、超顕微鏡法(例えば、Dodt, H.U.ら Ultramicroscopy:three-dimentiona visualization of neuronal networks in the whole mouse brain. Nature methods 4、331〜336頁(2007年))およびナイフエッジスキャニング顕微鏡法としても知られる(例えば、Mayerich, D.、Abbott, L. & McCormick, B. Knife-edge scanning microscopy for imaging and reconstruction of three-dimentional anatomical structures of the mouse brain. Journal of microscopy 231、134〜143頁(2008年))、マイクロ光学切片トモグラフィー(MOST)(例えば、Li, A.ら Micro-optical sectioning tomography to obtain a high-resolution atlas of the mouse brain. Science 330、1404〜1408頁(2011年))が挙げられる。
別の実施形態では、本明細書に記載された方法において使用されるイメージング技術は、対象とする特定の遺伝子(例えば、前初期遺伝子またはリポーター遺伝子)のin situハイブリダイゼーションである。この技術は、例えば、RNAの非コード領域を検出するために使用され得る。
5.5. ファーマコマップ:コンピュータ処理および解析:ファーマコマップのデータベース
図1は、ファーマコマップデータ表現および解析プロセスの操作を例示する。この例では、試験化合物に応じた、非ヒト動物組織の化合物によって惹起された活性化と関連するデータが、収集され、解析される。動物組織のコンピュータによって同定された活性化が、複数次元の表現で可視化される。この複数次元の表現から、ファーマコマップが作製される。試験化合物または参照化合物のファーマコマップは、それぞれ、試験化合物または参照化合物に応じた非ヒト動物組織の化合物によって惹起された活性化の独特のパターンを表す。種々の化合物のファーマコマップ、例えば、参照化合物のファーマコマップの、その他の参照化合物のものとの、または参照化合物のファーマコマップの、試験化合物のものとの比較および解析から、比較される参照ファーマコマップの既知効果に基づいて、このような化合物のあり得る効果についての洞察が得られ得る。例えば、試験化合物のファーマコマップの比較および解析から、比較される参照ファーマコマップの既知効果に基づいて、試験化合物のあり得る効果についての洞察が得られ得る。
例示として、試験化合物(例えば、候補薬物)は、トランスジェニック動物(例えば、マウス)に投与される。トランスジェニック動物の組織(例えば、脳組織)が、解析のために採取される。採取された組織は、イメージングされ、組織イメージのコンピュータによる解析が実施されて組織中の活性化された細胞が同定される。化合物によって惹起された活性化の複数次元、例えば、三次元(3D)データ表現が作製される。統計的手法によって、化合物によって惹起された活性化のデータ表現が解析されて、組織中の活性化領域が同定される。試験化合物のファーマコマップデータ表現が作製される。次いで、作製されたファーマコマップデータ表現が、試験化合物のあり得る効果の予測に使用するために、既知効果を有する参照化合物のファーマコマップデータ表現と比較される。
その他の実施形態では、既知臨床効果を有する参照化合物がトランスジェニック動物(例えば、マウス)で投与される。トランスジェニック動物の組織(例えば、脳組織)が解析のために採取される。採取された組織がイメージングされ、組織イメージのコンピュータによる解析が実施されて組織中の活性化された細胞が同定される。化合物によって惹起された活性化の複数次元、例えば、三次元(3D)データ表現が作製される。統計的手法によって、化合物によって惹起された活性化のデータ表現が解析されて、組織中の活性化領域が同定される。参照化合物のファーマコマップデータ表現が作製される。次いで、作製されたファーマコマップデータ表現が、データベースに(例えば、参照化合物ファーマコマップのデータベース)に預けられ得る。
図2は、ユーザーがファーマコマップデータ表現およびネットワークを介して1つまたは複数のサーバーでホストされる解析システムと相互作用し得るコンピュータによって実現された環境を表す。ファーマコマップデータ表現および解析システムは、試験化合物のファーマコマップデータ表現をユーザーが作製するのを手助けできる。参照化合物のファーマコマップと、参照化合物の既知の治療効果または毒性効果の間の相関関係が決定され得る。次いで、試験化合物と参照化合物のファーマコマップの比較に基づいて、試験化合物のあり得る効果が予測され得る。
図2に示されるように、ユーザーは、1つまたは複数のネットワークによってなど、いくつかの方法によって、ファーマコマップデータ表現および解析システムと相互作用できる。ネットワーク(複数可)を介してアクセスできる1つまたは複数のサーバーが、ファーマコマップデータ表現および解析システムをホストできる。サーバー(複数可)はまた、ファーマコマップデータ表現および解析システムならびにデータ表現および解析システムによって作製された任意の中間体または最終データによって解析されるべきデータを保存するための1つまたは複数のデータストアを含有できるか、またはそれにアクセスできる。
ファーマコマップデータ表現および解析システムは、ファーマコマップデータ表現および解析を実施するためのユーザー柔軟性および機能性を提供するウェブベースの解析ツールであり得る。システムはまた、ユーザーによるアクセスのための独立型コンピュータでも提供され得るということは理解されなければならない。
図3は、ファーマコマップデータ表現を作成するための操作を例示する。この実施例では、試験化合物がトランスジェニック動物に投与され、トランスジェニック動物から採取された組織が、イメージングされて、試験化合物に応じた細胞の活性化がとらえられる。同定される活性化された細胞の複数次元(例えば、3D)表現が作製され、統計解析が実施されて、有意な相違のある領域が同定される。ファーマコマップデータ表現が作製されて、試験化合物に応答して活性化される解剖学的組織領域が同定される。
具体的には、試験化合物が、検出可能な、例えば、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御する遺伝子調節領域を含むトランスジェニック動物に投与される。試験化合物の投与には、例えば、c−fosおよびArcプロモーターなどの特定のIGEプロモーターから代替マーカーとして緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックc−fos−GFP マウス)が使用され得る。トランスジェニック動物から採取された組織(例えば、脳組織)が、連続二次元切片イメージングデータセットを作製するための連続2光子(STP)トモグラフィーなどのイメージング技術を使用してイメージングされる。例えば、組織のイメージは、活性化された細胞のコンピュータによる検出のために一連の二次元切片として再構築され得る。イメージングされた組織のデータは、コンピュータによって解析され、試験化合物に応答して活性化された細胞が、機械学習アルゴリズムを使用して同定され得る。活性化された細胞のデータを使用して、同定された細胞の複数次元(例えば、3D)表現が作製される。作製された複数次元(例えば、3D)表現を解析して、対照および化合物によって活性化される組織間で有意な相違のある領域を同定するために種々の統計技術が使用され得る。有意な相違のある同定された領域に基づいて、試験化合物のあり得る治療または毒性効果を予測することなど、複数の目的のために、ファーマコマップデータ表現が作製され得る。
本明細書に含有されるその他のプロセスフロー同様、図3に提供される操作は、全体的な目的を達成するために修飾または増加されてもよいということは理解されなくてはならない。例示されるように、図4は、ファーマコマップデータ表現を作成するために使用され得るさらなる技術を例示する。例えば、トランスジェニック動物から採取された、採取された組織(例えば、脳組織)は、種々のイメージング技術を使用してイメージングされ得る。さらに詳しくは、採取された組織は、STPトモグラフィー、アレンインスティチュート(Allen institute)連続顕微鏡法、全光組織学、ロボット化された広視野蛍光顕微鏡法、光シート蛍光顕微鏡法、OCPI光シート、マイクロ光学切片トモグラフィーなどを使用してイメージングされ得る。例えば、STPトモグラフィーを使用して、固定された、寒天に包埋された動物組織の、迅速な2光子イメージングおよびビブラトームベースの切片作製を統合してもよい。
さらに、活性化された細胞の自動検出には、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズムサポートベクターマシン、ランダムフォレスト分類器およびブースティング分類器などの種々の機械学習アルゴリズムが使用され得る。例えば、採取された組織の二次元(例えば、2D)切片イメージは、各々、個々の視野のモザイク、例えば、イメージタイルを含み得る。機械学習アルゴリズム、例えば、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズムは、活性化された細胞を検出するよう訓練され得、訓練された後、活性化された細胞を自動的に検出する。例えば、機械学習アルゴリズムは、人観察者によってマークされた多数の無作為に選択されたイメージタイルに基づいて、グラウンドトルースデータから訓練され得る。訓練の人による検証または活性化された細胞の自動検出が実施され得る。畳み込みニューラルネットワークアルゴリズムのさらなる技術的詳細については、その全文が参照により本明細書に組み込まれる、2008年4月24日に出願された「Method And Apparatus For Image Processing」と題された米国特許公開第2010/0183217号を参照のこと。
ひとたび、活性化された細胞が、機械学習アルゴリズムを介してコンピュータによって同定されると、同定された細胞の複数次元(例えば、3D)表現(例えば、輝度重心の)が作製される。組織イメージが、連続組織空間の標準体積にワーピングされて、組織空間内の同定された細胞と関連する情報が登録される。例えば、組織の2D切片イメージは、3Dで再構築され、制約として相互情報量を使用して自動蛍光チャンネルで3D参照脳体積にワーピングされ得、組織領域標識も同一ワーピングパラメータを使用してワーピングされ、その後、領域的カウントを実施するために元のx、y、z解像度に再サンプリングされる。活性化された細胞と関連する情報(例えば、c−fos−GFPデータ)が、参照脳体積に登録されて、活性化された細胞の分布の複数次元(例えば、3D)表現が作製される。活性化された細胞の分布の3D表現は、ボクセル化されて、組織空間の個別のデジタル化が作製され得、これでは、種々のボクセルサイズ(例えば、50μm)が使用され得る。例えば、組織空間は、450×650×300ボクセルの等しく間隔のあいた格子、20×20×50μmの大きさの各ボクセルとしてボクセル化され得る。
対照および化合物によって活性化された組織間の有意な相違のある領域を同定するために、負の二項回帰解析、t検定およびランダム場理論(RFT)解析を含めた種々の統計技術が使用され得る。例えば、異なる組織間の最初の比較が、応答変数として活性化された細胞のカウントデータおよび説明変数としてN因子群状態を用い、負の二項回帰を使用してボクセルレベルで実施され得る。ボクセルが、互いに、あるレベルの正の相関を有するという仮定の下、第1種の過誤を補正するよう、適切な偽発見率(例えば、0.01)が設定され得る。別の例として、各ボクセルに適用される一連のt検定を用いて、対照および化合物によって活性化された組織の比較が実施され、これによって、相違の「ホットスポット」が同定される。ホットスポット領域は、隣接するボクセル間の固有の相関構造を利用して、群間の検定において有意性を決定するのに必要な閾値を低減するRFT解析に基づく順序統計量などの、機能的組織イメージングに使用される統計解析によって評価され得る。例えば、統計的に有意に異なる同定された領域が、核磁気共鳴イメージング(MRI)アトラスのセグメンテーション(例えば、62領域セグメンテーション)と対応する生イメージデータの視覚解析の両方を使用して解剖学的にアノテーションされ得る。解剖学的にセグメンテーションされた領域中の活性化された細胞の統計比較が実施され得る。ファーマコマップデータ表現を作成するためのより詳細な例は、図46に示されており、節6.8、実施例8に記載されている。
図5は、ファーマコマップデータを含み得るデータを例示する。ファーマコマップは、リポーター産物の細胞検出によって示されるような、試験化合物に応答して活性された組織中の細胞の複数次元(例えば、3D)分布を表す。ファーマコマップデータ表現は、複数次元(例えば、3D)データセットを含み得る。例えば、ファーマコマップデータ表現は、複数次元(例えば、3D)イメージおよびファーマコマップ情報を含む。複数次元イメージは、各々、座標データ、例えば、x、y、z座標データなどを含む、1つまたは複数のボクセルを含む。ファーマコマップ情報は、領域と関連している情報、例えば、解剖学的セグメンテーションデータなどを含む。領域は、1つまたは複数のボクセルを含む。さらに、ファーマコマップ情報は、活性化された細胞のデータ、例えば、領域あたりの活性化された細胞の数などを含む。細胞は、ボクセルと関連している。一例として、ボクセルは、1つまたは複数の細胞を含む。3Dデータセットと関連するさらなる技術的詳細については、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、2008年5月12日に出願された「Systems and methods for volumetric tissue scanning microscopy」と題された米国特許第7,724,937号を参照のこと。ボクセルと関連するさらなる技術的詳細については、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、2008年4月24日に出願された「Method And Apparatus For Image processing」と題された米国特許公開第2010/0183217号を参照のこと。異なる薬物のファーマコマップの詳細な例は、図47に示されており、節6.9、実施例9に記載されている。さらに、異なる用量の同一薬物のファーマコマップの詳細な例は、図48に示されており、節6.10、実施例10に記載されている。
図6は、試験化合物のあり得る効果を同定するためなど、複数の目的のために、参照ファーマコマップを用いて試験ファーマコマップを解析するための操作を例示する。既知効果を有する参照化合物の参照ファーマコマップのデータベースから、1つまたは複数の参照ファーマコマップが検索され得る。1つまたは複数の参照ファーマコマップと参照化合物の既知効果を関連付ける相関マトリックスが作製され得る。例えば、5種の異なる薬物が、非ヒト動物組織領域XおよびYにおいてオーバーラップする活性化を示し、共通の治療効果を引き起こすとわかっている場合には、組織における同時XおよびY活性化が、これら5種の薬物の共通の治療効果を表すと予測され得る。同様に、5種の薬物のうち2種が、その他の3種の薬物によっては見られない治療効果を共有し、さらなる組織領域Zにおける活性化を示す場合には、組織領域Zは、2種の薬物の選択的効果を表すと予測され得る。
試験化合物の試験ファーマコマップは、試験ファーマコマップのデータベースから検索され得る。試験ファーマコマップは、1つまたは複数の参照ファーマコマップと比較され得る。比較に基づいて、試験化合物の治療および/または毒性効果が予測され得る。例えば、1つまたは複数の参照ファーマコマップと試験ファーマコマップの間の活性化パターンのオーバーラップが、試験化合物のあり得る治療効果を予測するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、図47に示され、節6.9、実施例9に記載されるように、ファーマコマップを使用して、異なる薬物を区別できる。その他の実施形態では、図48に示され、節6.10、実施例10に記載されるように、ファーマコマップを使用して、同一薬物の異なる投与量を区別できる。特別の実施形態では、図50〜52に示され、節6.12、実施例12に記載されるように、非ヒト動物組織から作製されたファーマコマップが、ヒトでの試験化合物の治療効果または副作用を予測するために、ヒト臨床成績と関連付けられ得る。例えば、図52に示されるように、新規薬物の副作用および/または適応症(複数可)を予測するために、新規薬物のファーマコマップを、既知薬物のものと比較してもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたファーマコマップが、試験された化合物の構造的、物理的および化学的特性(SPCP)に関する情報と組み合わされ得る。その他の特定の実施形態では、本明細書に記載されたファーマコマップは、試験された化合物の特性(例えば、副作用)に関する任意の入手可能な情報と組み合わされ得る。例えば、本明細書に記載されたファーマコマップは、Pubchem、BioAssaysまたはChemBank(例えば、薬物−標的相互作用および/または薬物(複数可)によって誘導される細胞表現型に関する情報を含有し得る)などのデータベースによって入手可能な試験された化合物の特性に関する情報と組み合わされ得る。一実施形態では、本明細書に記載されたファーマコマップは、試験された化合物の副作用に関する情報、例えば、SIDERなどのデータベースによって入手可能な情報と組み合わされ得る。特定の実施形態では、本明細書に記載されたファーマコマップは、SIDERデータベースに由来するデータと組み合わされ得る。
図7は、試験ファーマコマップ情報および参照ファーマコマップが、別個のデータベースに保存される実現を示す。試験化合物の試験ファーマコマップデータ表現が、作製され、試験ファーマコマップデータベースに保存され得る。既知効果を有する参照化合物の参照ファーマコマップデータ表現は、参照ファーマコマップデータベースに保存され得る。例えば、試験ファーマコマップデータベースは、試験ファーマコマップデータなどを含み得る。参照ファーマコマップデータベースは、参照ファーマコマップデータ、薬物効果データ、毒性データなどを含み得る。試験ファーマコマップデータ表現は、複数の目的、例えば、試験化合物のあり得る効果を予測するために、参照ファーマコマップデータベースに由来する参照ファーマコマップデータ表現と比較される、試験ファーマコマップデータベースから検索され得る。
図8は、試験ファーマコマップ情報および参照ファーマコマップが、同一データベースに保存される実現を例示する。試験化合物の試験ファーマコマップデータ表現および参照化合物の参照ファーマコマップデータ表現が、作製され、同一ファーマコマップデータベースに保存され得る。例えば、ファーマコマップデータベースは、試験ファーマコマップデータ、参照ファーマコマップデータ、薬物効果データなどを含み得る。試験ファーマコマップデータ表現および参照ファーマコマップデータ表現は、複数の目的、例えば、試験化合物のあり得る効果を予測するために、比較されるファーマコマップデータベースから検索され得る。
図9は、試験ファーマコマップ情報が、試験−参照ファーマコマップ解析を実施する予定の集団とは異なる集団によって作製され、保存されている実現を例示する。試験化合物の試験ファーマコマップデータ表現は、第1の集団のサーバー(複数可)で作製され、試験ファーマコマップデータベースに保存され得る。例えば、試験ファーマコマップデータベースは、試験ファーマコマップデータなどを含み得る。参照化合物の参照ファーマコマップデータ表現は、第2の集団のサーバー(複数可)で作製され、参照ファーマコマップデータベースに保存され得る。例えば、参照ファーマコマップデータベースは、参照ファーマコマップデータ、薬物効果データなどを含み得る。
試験ファーマコマップデータ表現と関連する情報は、試験化合物のあり得る効果を同定するためなどの複数の目的のために、参照ファーマコマップデータ表現との比較のために、例えば、ネットワーク、CD−ROMなどによって、参照ファーマコマップデータベースに提供され得る。同様に、参照ファーマコマップデータ表現と関連する情報は、試験ファーマコマップデータ表現との比較のために、ネットワーク、CD−ROMなどによって、試験ファーマコマップデータベースに提供され得る。
図10は、試験−参照ファーマコマップ解析を実施する予定の同一集団によって、試験ファーマコマップ情報が作製され、保存された実現を例示する。試験化合物の試験ファーマコマップデータ表現および参照化合物の参照ファーマコマップデータ表現は、同一集団のサーバー(複数可)で作製され、同一データベースに保存され得る。例えば、データベースは、試験ファーマコマップデータ、参照ファーマコマップデータ、薬物効果データなどを含み得る。試験ファーマコマップデータ表現の、参照ファーマコマップデータベースとの比較は、試験化合物のあり得る効果を同定するためなどの複数の目的のために実施され得る。新規薬物の治療効果および副作用を予測するためにファーマコマップの包括的データベースを作成するより詳細な実施例は、図49に示されており、節6.11、実施例11に記載されている。
システムおよび方法は、命令(例えば、ソフトウェア命令)を実行して、本明細書に開示された操作を実施する種々の種類のデータプロセッサ環境で(例えば、1つまたは複数のデータプロセッサで)実現され得るということはさらに留意されたい。限定されない例として、単一の汎用コンピュータもしくはワークステーションで、またはネットワークされたシステムで、またはクライアント−サーバー設定で、またはアプリケーションサービスプロバイダー設定での実現が挙げられる。例えば、本明細書に記載された方法およびシステムは、サブシステムを処理する装置によって実行可能なプログラム命令を含むプログラムコードによって多数の異なる種類の処理装置で実現され得る。ソフトウェアプログラム命令は、ソースコード、オブジェクトコード、マシンコードまたは処理システムに、本明細書に記載された方法および操作を実施させるよう操作可能である任意のその他の保存されたデータを含み得る。しかし、本明細書に記載された方法およびシステムを実施するよう構成された、ファームウェアまたはさらに、適宜設計されたハードウェアなどのその他の実現も使用され得る。
システムおよび方法は、1つまたは複数のデータ処理装置との通信のためにネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、インターネット、それらの組合せなど)、光ファイバー媒体、搬送波、ワイヤレスネットワークなどを介して伝えられるデータシグナルを含み得るということはさらに留意されたい。データシグナルは、装置にまたは装置から提供される本明細書に開示されたありとあらゆるデータを保持し得る。
システムおよび方法のデータ(例えば、関連、マッピング、データ入力、データ出力、中間データ結果、最終データ結果など)は、種々の種類の保存装置およびプログラミング構築物(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、フラットファイル、データベース、プログラミングデータ構造、プログラミング変数、IF−THEN(または同様の種類の)文の構成物など)などの、1つまたは複数の種々の種類のコンピュータによって実現されるデータストアで保存および実現され得る。データ構造は、コンピュータプログラムによって使用するための、データベース、プログラム、メモリーまたはその他のコンピュータで読み取り可能な媒体にデータを組織し、保存するのに使用するためのフォーマットを記載するということは留意されたい。
システムおよび方法は、本明細書に記載された、方法の操作を実施し、システムを実現するためのプロセッサによる実行において使用するための命令(例えば、ソフトウェア)を含有するコンピュータ保存機構(例えば、CD−ROM、ディスケット、RAM、フラッシュメモリ、コンピュータのハードドライブなどといった非一過性媒体)を含めた、多数の異なる種類のコンピュータで読み取り可能な保存媒体で提供され得る。
本明細書に記載されたコンピュータの構成要素、ソフトウェアモジュール、機能、データストアおよびデータ構造は、それらの操作に必要なデータのフローを可能にするよう、互いに直接的または間接的に接続され得る。また、モジュールまたはプロセッサは、限定されるものではないが、ソフトウェア操作を実施する、例えば、サブルーチンコード単位として、またはソフトウェア機能コード単位として、またはオブジェクト(オブジェクト起源のパラダイムにおけるような)として、またはアプレットとして、またはコンピュータスクリプト言語で、または別の種類のコンピュータコードとして実施され得るコード単位を含むということも留意されたい。ソフトウェアの構成要素および/または機能は、目前の状況に応答して、単一コンピュータに位置づけられてもよく、または複数のコンピュータにわたって分配されてもよい。
5.6 その他の種類の解析
特定の実施形態では、本明細書に記載された方法に従って使用される非ヒト動物の組織は、遺伝子発現(例えば、天然遺伝子の発現または導入遺伝子の発現)を決定することを可能にするか、または任意のその他の方法(例えば、形態学的に)で組織の細胞を特性決定することを可能にする任意のアプローチを使用して調べられる。このようなアプローチとして、制限するものではないが、免疫組織化学(IHC)、生化学的解析およびin situハイブリダイゼーションが挙げられ、それらの各々は、当技術分野で周知である。これらの実施形態のいくつかにおいて、使用される非ヒト動物は、トランスジェニック動物である。その他の実施形態では、使用される非ヒト動物は、トランスジェニック動物ではない。
6. 実施例
6.1 実施例1:連続2光子トモグラフィー:ex−vivoマウス脳イメージングの自動化法
近年、完全全脳データセットの系統的作製、例えば、遺伝子発現のためのAllenマウス脳アトラス(Allen Mouse Brain Atlas)(Leinら、Nature 445、168〜176頁(2007年))およびメゾスコピック結合性のための現在進行中のマウス脳アーキテクチャプロジェクト(Mouse Brain Architecture Project)(Bohlandら、PLoS Computational Biology 5、el000334 (2009年))への関心の増大によって、ハイスループット全脳イメージングのための新規機器の開発に対して差し迫った必要性が生じた。
この実施例は、2光子顕微鏡および組織切片作製を統合する連続2光子(STP)トモグラフィーを使用する、蛍光標識全マウス脳の自動化ハイスループットイメージング記載する。STPトモグラフィーは、全載2光子顕微鏡法(Tsaiら、Neuron 39、27〜41頁(2003年);Raganら、Journal of Biomed. Optics 12、014015 (2007年))を使用し、正確にアラインされた、高解像度の、連続光学切片のデータセットの作製を可能にする。この実施例は、STPトモグラフィーが、歪みのない、例えば、異なる全脳解剖学的トレーシングの直接比較のために、3Dに容易にワーピングされ得る全脳イメージングの高解像度データセットを作成したことを示す。
材料および方法
組織調製。以下のマウス系統を使用した:ChAT−GFP Tg(Chat−EGFP)およびMobp−GFP Tg(Gongら、Nature 425、917〜925頁(2003年);GFPM(Fengら、Neuron 28、41〜51頁(2000年));SST−ires−Cre::Ai9(Taniguchiら、Neuron 71 、995〜1013頁(2011年));および野生型マウス。解剖学的トレーサーとして、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)Alexa Fluor−488(リン酸バッファー中、0.5% wt/vol)およびシナプシンプロモーターを有するAAV−GFPを使用した(Kuglerら、Virology 311、89〜95頁(2003年);Dittgenら、PNAS 101、18206〜18211頁(2004年))。AAVは、キメラ1/2血清型として製造され(Hauckら、Mol Ther 7、419〜425頁(2003年))、ヨードキシナール(iodoxinal)勾配によって精製され、1mlあたり5.3×1011のゲノムコピーに濃縮される。トレーサーの定位注入を記載されるように行った(Cetinら、Nat. Protocols 1、3166〜3173頁(2007年))。手短には、マウスを1%イソフラン吸入によって麻酔した。小開頭(およそ300×300μm)を左一次体性感覚皮質上に開き、約50nlのウイルスまたは50nlの0.05% CTB Alexa Fluor(登録商標)488を、定位座標:ブレグマに対して尾側1.6、外側3.2、腹側0.3mmで、2/3層バレル皮質中に注入した。次いで、皮膚切開を絹糸縫合で閉じ、マウスを回復させ、食物および水を自由に摂取させた(鎮痛のために、メロキシカムを1mg/kgでs.c.で与えた)。10〜14日後に、脳をイメージングのために調製した(以下参照のこと)。
マウス脳を、以下のようにSTPトモグラフィーのために調製した。マウスを、ケタミン(60mg/kg)およびメデトミジン(0.5mg/kg)の混合物の腹膜内(i.p.)注入することによって深く麻酔し、約15mlの冷生理食塩水(0.9% NaCl)と、続いて約30mlの冷中性緩衝ホルムアルデヒド(NBF、リン酸バッファー中4%w/v、pH7.4)を用いて経心的に灌流した。脳を解剖し、4℃、4% NBFで一晩後固定した。ホルムアルデヒド誘導性自己蛍光を低減するために、脳を、0.1Mグリシン(1M Tris塩基を用いてpH7.4に調整した)中、4℃で2〜5日間インキュベートした。次いで、記載されるように、脳をリン酸バッファー(PB)で洗浄し、3〜5%の酸化アガロース中に包埋した(Shainoffら、The Clevelend Clinic Foundation、US、1982年;Sallee & Russell、Biotech Histochem 68、360〜368頁(1993年))。手短には、アガロースを、10mM過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)溶液中、室温で2時間で撹拌することによって酸化し、3回洗浄し、PBに再懸濁し、終濃度を3〜5%にした。マウス脳を軽く押さえて水気を切り、立方体形状の金型を使用して融解した酸化アガロースに包埋した。室温で2〜4時間、穏やかに振盪しながら(または4℃で一晩)、過剰量の0.5〜1%水酸化ホウ素ナトリウム(NaBH)の0.05Mホウ酸ナトリウムバッファー(pH=9.0〜9.5)溶液で平衡化することによって、脳表面とアガロース間の共有結合による架橋を活性化させた(すすいだ後、活性化されたアガロースは、4℃、PB中で最大1週間保存され得る;水酸化ホウ素ナトリウムバッファーは、新しく調製されなければならない)。寒天−脳界面の共有結合による架橋は、切片作製の間、脳がしっかりと包埋されているのを維持するために、髄膜を不十分に切断することによるシャドーイングアーチファクトを制限するのに役立つ。
機器およびソフトウェア。実験は、ビブラトーム切片作製が統合された高速多光子顕微鏡で実施した。チタンサファイアレーザーからのレーザー光は、チューブおよびスキャンレンズ集合体を通って、1対の検流計ミラーに向けられ、ショートパスダイクロックによって顕微鏡対物レンズ(20×レンズ、NA 1.0または10×レンズ、NA 0.6)に向かって反射された。サンプルからの蛍光シグナルは、同一対物レンズによって収集され、ダイクロイックを通って通過し、一連のミラーおよびレンズによって光電子増倍管検出システムに向けられる。2−および3−チャンネル多色配置では、発光がダイクロイックミラー(複数可)によって、それぞれ、2および3PMTに分けられ、同時マルチチャンネルデータ獲得が可能になる。Z−体積スタックの3Dスキャニングは、サンプルに関して顕微鏡対物レンズを平行移動する顕微鏡対物レンズピエゾによって達成された。レーザー光強度は、型枠目的のために、サンプル中のイメージング深度の関数として液晶コントローラーによって変更され得る。
頑強な機械的切片作製は、イメージングシステムに統合された振動刃ミクロトームによって達成された。それは、新規二重フレクシャー(flexure)設計に基づいている。フレクシャーは、力を加えられると幾何学的に十分に定義された動きを生じるよう設計されている対応した要素と接続されている一連の剛体からなる対応した機構である。フレクシャーは、寄生動作をほとんど伴わず、サブミクロンレベル下への滑らかな移動を達成できる。ミクロトームは、刃が搭載される主要なフレクシャーおよび主要なフレクシャーをアクチュエータと接続する第2のフレクシャーからなる。アクチュエータは、シャフトに取り付けられたオフセンターカムを有するDCモーターからなる。第2のフレクシャーは、切断方向において強固であり、すべてのその他の方向において対応するように設計される。このようにして、切断方向に沿った力のみが主要なフレクシャーに伝達され、主要なフレクシャーは、ミクロトームの刃を保持し、動作の不要な軸に沿った任意のあり得る寄生動作を低減する。この設計については、容量センサーを用いて動作を直接測定することによって、寄生Z−垂直偏向が2μm RMS未満であると実験的に検証された。振動数は、0〜60Hzの間で設定でき、刃の角度は5〜30度の間で設定できる。種々のカムの使用によって、振幅を0.8mmから2mmの間で調整できる。脳組織の切片作製パラメータは、60Hzで、また11度の刃の角度で0.8mmの振幅であるよう決定された。切片作製の信頼度は、脳表面の測定および全脳データセットの間、切片作製の前後にZ面をオーバーラップさせることによって検証した(図18)。信頼できる切片作製を達成するためには、酸化アガロース中の共有結合によって架橋された脳を使用することが重要である。
機器は、C++およびC#で書かれた特別注文のソフトウェアによって制御された。それは、スキャニング、ステージ動作、ミクロトーム制御およびデータ獲得を取り扱った。ソフトウェアは、いくつかの別個のサービスからなり、その各々は、機器の特定のハードウェア成分または機能を制御した。事象の順序は、マスターオーケストレーターサービスによって調製された。例えば、切片をスキャンするために、レーザーのシャッターを開き、イメージをスキャンするよう指令する指令が、オーケストレーターサービスから検流計スキャナーサービスに送られる。オーケストレーターサービスは、スキャナーサービスが、イメージ獲得が完了したと報告するまで待機し、次いで、XYステージに、サンプルを次の位置に移動するよう指令を送る。XYステージが要求された動作を完了すると、指令がオーケストレーターサービスに戻され、これが、次に、スキャナーサービスに第2のイメージを獲得するよう指令を出す。イメージングの間に、バックグラウンドサービスが、データ獲得および保存装置とローカルまたはネットワーク接続された保存装置への16ビットTIFFイメージの保存を取り扱った。全切片が獲得されるまでプロセスを継続した。同様に、全脳データセットを獲得するために、各モザイク切片獲得の最後に、オーケストレーターサービスが、Z−ステージサービスに、サンプルを所望のスライス厚分、上方へ移動するよう指令した。同時に、XYステージサービスによってサンプルをミクロトームに向けた。ひとたび、適所となると、ミクロトームのスイッチが入り、サンプルがミクロトームによって移動され、組織切片が切断された。次いで、サンプルが対物レンズの下に戻され、次の切片がイメージングされた。すべての切片がイメージングされるまで、このプロセスが反復された。ソフトウェアは、高度にモジュール式であり、さらなるサービスが導入されてもよく、または高レベルの決められた動作には最小の変化しかもたらさず、特定のハードウェアが交換されてもよい。例えば、切片作製後のスライスの獲得などのさらなる特性を自動化するサービスが、将来付け加えられてもよい。
初期の原型(Raganら、Journal of Biomed. Optics 12、014015(2007年))に対する比較では、この実施例において使用される機器の設計において相当な数の改善がある。旧版では、パラフィンに包埋された組織の表面を機械加工するためにフライス盤が使用された。パラフィンは蛍光をクエンチするので、この実施例では、統合された振動刃ミクロトームが使用された。これによって、寒天中に包埋された、ホルムアルデヒド固定された脳のイメージング、低クエンチングしか伴わない組織学的手順が可能となる。さらなる利点として、フライス加工プロセスによってはもはや破壊されないので、切片をさらなる組織化学的解析に使用できる(切片は、水浴の底に沈み、実験の最後に回収され、取り出され得る)。低倍率(10〜20X)の高開口数(NA 0.6〜1.0)レンズを組み込むことによって、大きなイメージング深度での解像度を損なうことなく、標準的な60×対物レンズと比較して蛍光収集が増大した(Oheimら、Journal of Neuroscience Methods 111、29〜37頁(2001年))。大きな開口光学(aperture optics)を有する低倍率レンズの組合せによって、約200〜1400μmの照明を用いてでも、スキャンされ得るイメージ視野が増大した。高速検流計スキャニングが、多角形のスキャニングアプローチに代わった。検流計式スキャナーは、多角形のスキャナーよりもはるかに柔軟性があり、これによってサンプルの必要条件に応じて設定される広範なピクセルサイズおよび滞留時間が可能となる。最後に、サブミクロン精度での、数センチにわたる移動のサンプルの位置調整が可能となるよう、高速の特別注文のXYZステージが構築された。特別注文のZ−ステージは、2つの市販のXおよびYステージを保持するよう、XおよびYステージ集合体の全移動範囲にわたって、1ミクロン未満のピッチおよびヨーを有し、回転に強固であるよう設計した。XおよびY軸は、0.1μmの位置精度、0.1msの設定時間および最大50mm/sの速度を有する。高速の、小さい設定時間によって、サンプルの迅速な位置調整が可能となり、切片の獲得時間が最小となり、一方で、位置精度が後処理登録時間を低減する。Z軸は、0.15μmの精度および1mm/sの最大速度を有する。このステージは、サンプルをミクロトーム刃および対物レンズに向けて上げるためだけに使用されるので、その速度は、イメージング時間に対して無視できる影響しか有さなかった。
機器操作。ひとたび、脳が対物レンズ下に位置調整されると、イメージングおよび切片作製パラメータが選択され(以下の参照のこと)、機器が完全自動化モードで操作される。脳を、コンピュータで制御されたXYZステージ上に置かれた水浴中、生理食塩水(50mM PB、pH7.4)中にマウントした。対物レンズ下の脳表面のZ位置を同定した後、ソフトウェアで以下のパラメータを設定した:FOVサイズ、FOVモザイクサイズ、ピクセルサイズ、ピクセル滞留時間、レーザーパワー、切片作製速度、切片作製頻度、各切片作製サイクルのZステップおよびいくつかのZ切片。イメージング面は、全体に乱されていない光学切片を確実にするよう脳表面の下に設定した。通常、表面の50μm下が使用されるが、同等なイメージ解像度は、レーザーパワーにわずかな調整を行って表面の約100μm下まで得られる。レーザーパワーは、各切片作製ステップ間で単一の光学切片のイメージングのために一定に設定した。Z−解像度2.5μmでイメージングされたSST−ires−Cre::Ai9嗅球のデータセットなどの、切片作製ステップ間のZ−体積の収集のために、深度の増大に伴う光散乱の増大を補うよう、レーザーパワーをZ深度に基づいて調整した。
モザイクあたりのFOVタイルの数は、サンプルの広がりをカバーし、後処理ステッチング(以下参照のこと)のためにFOVタイル間の小さいオーバーラップを可能にするよう設定した。10X対物レンズを用いる実験は、1.66×1.66mm FOVの6×8オーバーラップするモザイク使用し、XYステージは、1.5mmであり、ピクセルサイズは、1または2μmであり、ピクセル滞留時間は、0.4から1.0μsの間である。20×対物レンズを用いる実験は、0.83×0.83mm FOVの11×17モザイクを使用し、XYステージ移動は、0.7mmであり、ピクセルサイズは、0.5または1μmであり、ピクセル滞留時間は、0.4から1.0μsの間である。ひとたび、モザイクが完了すると、モザイクイメージングのために使用される同一XYZステージが、サンプルを、顕微鏡対物レンズから振動刃ミクロトームに向かって移動させて、組織の最上部の切片を作製する。260切片のマウス脳データセットのイメージングのための時間が、表1に示されている。
イメージ処理。イメージは、PMTシグナルから構築し、タイルおよびピクセルサイズは、スキャン角度およびピクセルサンプリング速度の組合せによって設定された。タイルは、tifファイルとして保存され(Tile_Z{zzz}_Y{yyy}_X{xxx}.tifと名づけられた)、以下の方法で処理された。最初に、各タイルは、エッジ付近の照射アーチファクトを除去するようクロップされ(クロップされるピクセルの数は、使用される対物レンズおよびFOVに基づいて経験的に決定され、例えば、832×832ピクセルFOVに対して、XおよびY方向の両側で、それぞれ、15および10ピクセルがクロップされた)。第2に、1つの脳データセットに由来するすべてのタイル(例えば、280切片の11×17モザイクについて52,360タイル)をFiji ImageJベースの画像処理ソフトウェアにロードし、Zプロジェクト機能による照明補正のために平均強度イメージを作成するために使用した。第3に、不均等な照明の補正のために、すべてのタイルを平均輝度イメージによって除した(Plugins>Tissue Vision>Divide sequence by image)。第4に、照射が補正されたタイルを使用して、一連のモザイクイメージをステッチングした(Plugins>Stitch>Stitch Sequence of Grids of Images;融合法=リニア混合、融合α=1.5、回帰閾値=0.3、最大/平均変位=2.5、絶対変位=3.5;「コンピュータオーバーラップ」を選択)。タイル間の変換は、平行移動変換としてモデル化した。各切片について、XおよびY平行移動は、タイル間の相互相関(Kuoら、Proceedings of the Optical Society of America Meeting on Understanding and Machine Vision 7376頁(1989年))によって決定した。オーバーラップする領域では、ピクセルをリニア混合した(Preibischら、Bioinformatics 25、1463〜1465頁(2009年);Cardonaら、The Journal of Neuroscience 30、7538〜7553頁(2010年))。低蛍光を有するサンプルに大きな電力(150mW超)が使用される場合には、オーバーラップする領域が、幾分か光退色を示す場合もある。このような場合には、退色が主に第2のオーバーラップするタイルで起こるので、第1のタイルから得られるイメージをディスプレイし、第2のタイルは、XY登録のためにのみ使用することがより好ましい。これは、タイルを、顕微鏡によってスキャンされるものの逆の順序でモザイクにすることによって達成され得る。最初にスキャンされたタイルのピクセルが、第2に後にスキャンされた同一ピクセルを上書きする。生タイルの280切片の11×17モザイクの全脳データセットを16ビット深度でスキャンし、40GBを占めた。最終のステッチングされたスライスは、最終のステッチングされたTIFFスライスでLZW圧縮を用いて約25GBを占めた。すべてのイメージ処理は、RAMに少なくとも8GBを有するMac/Linuxデスクトップマシンで実施した。
イメージワーピング。ワーピングは、20倍でダウンサンプリングされたSTPトモグラフィーデータセットから得た自己蛍光シグナルを使用して、アフィン登録と、それに続く弾性Bスプラインベースの変換(Kleinら、IEEE Transactions on Medical Imaging 29、196〜205頁(2010年))によって行った(解像度20×20×50μm)。登録は、より効率的な、頑強なアラインメントのためにマルチ解像度アプローチで行った(Lesterら、Pattern Recognition 32、129〜149頁(1999年))。アフィン変換は、4解像度レベルを使用して算出したのに対し、弾性ステップは、6解像度ステップを使用する。Advanced Mattes mutual information(Mattesら、IEEE Transactions in Medical Imaging 22、120〜128頁(2003年))を、登録の類似性を測定するための測定基準として使用した。このパラメトリック登録法では、Mattes Mutual informationが、移動するイメージおよび固定されたイメージ間の類似性尺度として使用される。登録問題は、最適化問題としてもたらされ、これでは、1セットの変換パラメータについてのイメージの食い違い/類似性関数が最小化される。次いで、変換パラメータは、単一解像度アプローチと比較してより頑強なアプローチを確実にするマルチ解像度アプローチで推定される。各解像度でのイメージを反復方法で用いて、イメージ類似性関数が、1セットのランダムに選択されたサンプルについて推定され、最小化される。16GB RAMを有する8コアCPUで、登録は、20×20×50ミクロンピクセルスペーシングを有する650×450×300サイズのイメージに関して12時間かかる。全イメージワーピング実験は、エラスティクス(elastix)(Kleinら、IEEE Transactions on Medical Imaging 29、196〜205頁(2010年))、KitwareのITKに基づくイメージ登録ツールを、使用されるデータセットに従ってパラメータ設定を用いて使用して設定した。ワーピング手順の有効性を決定するために、対象とする42の解剖学的に手作業で同定された目印点の変位を、1つのデータセットを他のものにワーピングした前後の2つのマウス脳スキャンにおいて比較した(図19)。2つの脳における対応する点間の平均(±SEM)距離は、ワーピングの前後でそれぞれ、749.5±52.1および102.5±45μmであった(図19中、上の線はワーピング前であり、下の線はワーピング後である)
実験設計および結果
STPトモグラフィーの多用途性を、細胞種特異的蛍光タンパク質発現およびマウス体性感覚皮質の系統的マッピングインプットおよびアウトプット関係を用いて4つのマウス脳をイメージングすることによって試験した。これらの実験は、STPトモグラフィーは、ここで、熱心なアトラス作成主導に限定されるまで(Leinら、Nature 445、168〜176頁(2007年); Bohlandら、PLoS Computational Biology 5、el000334(2009年))、系統的全脳解剖所見の新興分野を、例えば、標準実験室設定においてヒト脳障害のマウスモデルの研究に適用可能な日常的な方法論に変換できる頑強なイメージング法であるということを示した。
STPトモグラフィーは、以下に記載されるように、また、図11に表されるように働く。第1に、固定され寒天に包埋されたマウス脳を、2光子顕微鏡の対物レンズ下の XYZステージ上の水浴中に入れ(Denkら、Science 248、73〜76頁(1990年))、イメージングパラメータを操作ソフトウェアに入力する(MaterialsおよびMethods、前掲を参照のこと)。パラメータが設定されると、機器は、十分に自動的に作動する:1)XYZステージが対物レンズ下に脳を移動させ、その結果、光学切片(または光学Z−スタック)が、視野(FOV)のモザイクとしてイメージングされ、2)組込型振動刃ミクロトームが、頂部から組織切片を機械的に切除し、3)全データセットが収集されるまで、オーバーラップする光学的および機械的切片作製ステップが反復される。機器は、フライス盤に代わる特別注文で作られた振動刃ミクロトームの組込みおよび回転式多角形スキャナー(Materials and Methods、前掲を参照のこと)に代わる高速検流計式スキャナーの使用を含む、蛍光標識されたマウス脳のイメージングのために再設計された、先の原型(Raganら、Journal of Biomedical Optics 12、014015(2007年))を改変したものである。振動刃ミクロトームによる切片作製によって、蛍光および脳形態学に対して最小の有害な効果しか有さない、ホルムアルデヒド固定および寒天包埋の簡単な手順によって調製された脳の使用が可能となる。高速検流計式スキャニングによって、迅速なイメージングおよび異なる実験のための異なるサンプリング解像度間の切り換えが可能になる(以下参照のこと)。
第1セットの実験では、主に、海馬および皮質錐体ニューロンにおいて緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するThyl−GFPMマウス(Fengら、Neuron 28、41〜51頁(2000年))を使用して、種々のサンプリング解像度でマウス脳をイメージングするための最適条件を決定した。GFPM脳を、XYイメージング解像度2.0、1.0および0.5μmで10×および20×対物レンズを用い、50μmだけ等しく間隔のあいた260の冠状断片のデータセットとしてイメージングした(図11および12)。10×対物レンズ(0.6NA)によって、その樹状突起および軸索を含めて、GFP標識したニューロンの分布および形態学を可視化するのに十分な解像度での迅速なイメージングが可能となった(図12)。260の冠状断片の1O×対物レンズデータセットのデータ収集時間は、それぞれ、2および1μmのx−yサンプリングで、約6 1/2および8 1/2時間であった(表1)。20×対物レンズ(1.0NA)によって、樹状突起スパインおよび微細軸索分岐の可視化が可能となった(図11および12);この適用では、軸索は、各切片間の50μmの間隔のために、単一XY光学切片内で検出されるが、Zでは追跡されないということには留意されたい)。20×対物レンズを使用する260の切片データセットのデータ収集時間は、それぞれ、1および0.5μmのx−yサンプリングで、約15 1/2および24時間であった(表1)。総合すると、これらの実験は、STPトモグラフィーは、固定され蛍光標識されたマウス脳の高分解能データセットの収集のための自動ハイスループット法として使用され得ることを示した。
細胞種特異的蛍光タンパク質発現を有するトランスジェニックマウスによって、種々の種類のニューロンおよびグリアの容易な同定が可能となる。第2セットの実験では、種々の細胞種の全脳マッピングを、2匹のBACトランスジェニックマウスおよび1匹の遺伝子組換え(ノックイン)マウスにおいて実施した。Mobp−GFP(Gongら、Nature 425、917〜925頁(2003年))マウスは、ミエリン関連乏突起神経膠細胞塩基性タンパク質(Mobp)のプロモーターからの乏突起神経膠細胞におけるGFP発現の結果として全脳ミエリン形成のパターンを示した。ChAT−GFPマウスによって、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)プロモーターからのコリン作動性ニューロンにおけるGFP発現の結果として、全脳コリン作動性神経支配の可視化が可能となった。SST−ires−Cre::Ai9(Taniguchiら、Neuron71、995〜1013頁(2011年))マウスは、Ai9 tdTomatoベースのリポーターを活性化する(Madisen、L.ら、Nature neuroscience 13、133〜140頁(2010年))、ソマトスタチン(SST)遺伝子からのCreリコンビナーゼ発現の結果として、ソマトスタチン発現介在ニューロンの脳全体の分布を示した。これらの実験は、GFP発現トランスジェニックマウスのSTPトモグラフィーによって、細胞種分布および神経支配の脳アトラス様データセットを作成することの容易性を示した。さらに、特定の細胞種分布のより完全な可視化は、機械的組織切片作製のステップの間で、単一光学切片の代わりにZ−スタック体積をイメージングすることによって達成され得る。この適用の一例として、SST−ires−Cre::Ai9マウスの嗅球におけるすべてのソマトスタチン発現介在ニューロンの分布を示す、800の光学切片(2.5μmのZ−間隔)のデータセットが記載される。高Z解像度を有するイメージングでは、もちろん、獲得時間が増大し、現在、同一解像度で全マウス脳をイメージングするのに約7日かかる。しかし、例えば、レゾナントスキャナー(Wiltら、Annual review of neuroscience 32、435〜506頁(2009年))の組込みによってイメージング速度を増大すること(現在の0.4μsピクセル滞留時間で)は、STPトモグラフィーによる全マウス脳の高Z解像度イメージングを、将来、より実用的にするはずである。
最後のセットの実験では、脳結合性をマッピングするためのSTPトモグラフィーの使用が、体性感覚バレル皮質、逆行性および順行性トレーサーの両方によって十分に示された投影を有する脳領域に解剖学的トレーサーを注入されたマウス脳をイメージングすることによって示された(Aronoffら、The European journal of neuroscience 31、2221〜2233頁(2010年);Welkerら、Experimental brain research. Experimentelle Hirnforschung 73、411〜435頁(1988年);Hofferら、The Journal of comparative neurology 488、82〜100頁(2005年))。1μm XY解像度(20×対物レンズ)で、CTB−Alexa−488を注入された脳を、逆行性トレーシングについてイメージングし、順行性トレーシングについては、GFPを発現するアデノ随伴ウイルス(AAV−GFP)をイメージングした。予測されるとおり、Alexa−488標識されたニューロンは、マウスバレル皮質に投影するとわかっている脳領域において見られ(Aronoffら 2010年;Welkerら 1988年;Hofferら 2005年)、GFP標識された軸索は、バレル皮質投影を受け取るとわかっている脳領域において検出された(Aronoffら 2010年;Welkerら 1988年)(図14〜17)。実験はまた、文献ではこれまでに報告されていない、低密度な結合性を有する2つの脳領域:逆行性に標識された対側性眼窩皮質(図15b、パネル2)および順行性に標識された対側性運動皮質(図17b、パネル2)を示した。総合すると、対側性皮質領域における、これまでに記載された結合性のパターンの複製および推定上の新規結合の検出は、STPトモグラフィーが、全マウス脳における解剖学的トレーシングのためのハイスループットおよび高感度両方のイメージング法であるということを実証する。さらに、データセットの3Dアラインメントによって、異なるサンプル間の直接比較が容易になる。これは、順行性および逆行性トレーシングの直接比較のために、AAV−GFP脳をCTB Alexa−488脳にワーピングすることによって実証された(図16;材料および方法、前掲を参照のこと)。2つの脳間の解剖学的目印の同時登録の精度は、およそ100μmであると推定された(図18)。複数の脳の、1つの空間へのワーピングは、複数のトレーサーの注入の簡単な代替手段をこのように提供し、バーチャルブレインボウ(brainbow)様トレーシングにおいて多数の脳を含む拡張され得る(Livetら、Nature 450、56〜62頁(2007年))。
要約すると、この実施例は、複数の脳を比較するために、容易にワーピングされ得る高解像度解剖学的データセットを作成するためにSTPトモグラフィーが使用され得ることを示す。STPトモグラフィーは、自閉症および統合失調症などの認知障害の遺伝子マウスモデルにおける、脳解剖所見の系統的研究のために使用され得る。このような研究の定量的測定値を提供するために、解剖学的登録(Hawrylyczら、PLoS computational biology 7、el001065(2011年))およびSTPトモグラフィーによって作製された全脳データセットにおける蛍光シグナルの検出のためのコンピュータによる方法の開発に焦点が当てられている。
6.2 実施例2:連続2光子トモグラフィーを使用するマウス脳における神経回路の定量的マッピング
この実施例は、全マウス脳における神経回路の定量的な、迅速なex−vivo 3Dマッピングのための、2光子イメージングを組込型ブラトームと組み合わせる、連続2光子(STP)トモグラフィーの使用を記載する。
この実施例では、アウトプットおよびインプット投影標識のために、順行性(AAV)または逆行性(CTB−AFおよびラテックス微粒子)蛍光ニューロントレーサーの定位送達(Cetinら、2007年)を使用した。3Dイメージ再構築後、標準脳アトラスを、サンプル脳体積にワーピングして、対象とする脳領域を描写し、領域あたりの細胞数をカウントした。全マウス脳における逆行性および順行性に標識されたニューロンの定量的マップを作成し、種々のトレーサー種についての蛍光ニューロンの分布を比較した。
STPトモグラフィーイメージングおよび逆行性/順行性トレーシングを、実施例1に記載されるように実施し、図11〜17および表1に示されている。図20は、AAV−GFP脳をCTB−Alexa−488脳にワーピングすることによって作製された、組み合わされた「バーチャル」2トレーサーデータセットを示す。
次に、CTB−Alexaのコンピュータによる検出を実施した。機械学習アルゴリズムは、最初のヒトマークアップに基づいてCTB−Alexa−488標識を検出し、CTB−陽性細胞を自動的に検出するよう訓練した。図21は、このようなイメージの予測前(左パネル)および予測後(右パネル)およびオーバーレイ(下のパネル)の例示的イメージを示す。
この実施例は、STPトモグラフィーが、蛍光標識されたマウス脳の十分に自動化された高解像度イメージングのために使用され得る方法であることを実証する。逆行性および順行性トレーシングの試験脳は、これまでに記載された領域ならびに以前に報告されていない低密度に標識された領域、すなわち、逆行性対側性VLOおよび順行性対側性Mlを示した。この実施例はまた、複数の脳サンプルのお互いへのワーピングを使用して、バーチャル「ブレインボウ様」データセットを作成できるということも示す。第4に、この実施例は、機械学習アルゴリズムによるコンピュータによる検出を使用して、全脳における順行性および/または逆行性トレーシングの解析を自動化できるということを示す。
6.3 実施例3:自動化イメージングおよびデータ解析パイプラインを使用する、トランスジェニックc−fos−GFPマウス脳におけるc−fos−GFP発現のマッピング
この実施例は、トランスジェニックc−fos−GFPマウス脳におけるc−fos−GFP発現のマッピングのための、全載顕微鏡およびデータ解析パイプラインの適用を実証する。
トランスジェニックc−fos指示マウスの作製。前初期遺伝子(IEG)誘導のハイスループット全脳イメージングを、c−fos−GFPおよびArc−GFPトランスジェニックマウスにおいてc−fosおよびArcプロモーターなどの特異的IEGプロモーターからGFPを発現するトランスジェニック「指示」マウスにおいて使用した((Barth ら、J eurosci 24、6466〜6475頁(2004年);Grinevichら、Journal of Neuroscience Methods 184、25〜36頁(2009年))。これらのマウスでは、GFPは、天然遺伝子の発現の、容易に検出可能な代理物に相当する。
顕微鏡。全載2光子顕微鏡を、自動化マウス脳イメージングに使用した。機器は以下のとおりに作動する:第1に、寒天ブロック中に包埋された固定されたマウス脳を、コンピュータ制御されたx−y−zステージの頂部上の水浴中に入れる。ステージが、脳を対物レンズ下に移動させ、その結果、頂部が個々の視野(「タイル」)のモザイクとしてイメージングされる。次に、組込型ビブラトームが、イメージングされた頂部領域を切除し、イメージングおよび切片作製のサイクルが、全データセットが収集されるまで反復される(図22および23)。
脳モーフィング。次に、イメージングされた脳切片を高解像度核磁気共鳴イメージング(MRI)によって作製されたマウス脳アトラスにモーフィングした(Dorrら、Neurolmage 42、60〜69頁(2008年))(図24)。これは、以下に記載されるように、サンプル間のボクセル化ベースの統計比較に使用される鋳型X−Y−Z体積内の総解剖学的登録を提供した。
c−fos−GFPのコンピュータによる検出。トランスジェニックc−fos−GFP脳のイメージング条件は、抗精神病薬物ハロペリドールの全身送達を使用してこれまでに最適化された(Dragunowら、Neuroscience 37、287〜294頁(1990年))。図25に示されるように、ハロペリドールの注入(i.p. 1mg/kg)は、線条体および外側中隔におけるc−fos−GFPの予測された誘導を引き起こしたが、生理食塩水を注入された対照動物は、これらの領域において最小のc−fos−GFP標識しか示さなかった(Barthら、2004年;Wanら、Brain research 688、95〜104頁(1995年))。
次に、実験データセットを、指揮された機械学習アプローチ、すなわち、畳み込みニューラルネットワークによるコンピュータによる検出の訓練のために使用した(Jainら、In CVPR (2010);Turagaら、Neural computation 22、511〜538頁(2010年))。2人の人観察者が、無作為に選択されたタイルを手作業で標識して、c−fos−GFPシグナルのグラウンドトルースデータを作成し、次いで、これを使用して畳み込みニューラルネットワークを訓練した(図26)。訓練の5倍検証を行った。ネットワークは、人実施の約86%の精度を有していた。
データ処理の全パイプラインを検証するために、訓練された神経ネットワークを適用して、2匹のマウス、生理食塩水を注入した1匹および1mg/kgのハロペリドールを注入したもう1匹の脳においてc−fos−GFPシグナルを抽出した(図27)。3時間後、マウスを安楽死させ、その脳を、全載2光子顕微鏡によってイメージングし、c−fos−GFP陽性細胞をコンピュータによって検出し、輝度重心の三次元表現として可視化した(図17)。この実験は、尾状核被殻(線条体;図27BおよびC中、アスタリスク(asterix)によって印が付けられた)(Dragunowら、1990年)におけるc−fos−GFPの予測される強い誘導ならびに多数の尾側冠状断片におけるc−fos−GFP−陽性細胞数の増大(図27C)を示した。
これらの実験は、処置あたり1匹の動物を用いて実施し、それらは、抽出されたデータの3D表現を実証した。
統計学:マウス脳データセットにおけるc−fos−GFPの比較。サンプル間の統計比較のために、以下のアプローチが確立された。標準化された脳体積内のc−fos−GFPシグナルの分布の登録のために、コンピュータによって抽出されたデータセット(図27)を高解像度MRIアトラスにモーフィングする(図24)。第2に、脳体積を、ボクセル化して、連続脳空間の個別のデジタル化を作成する。次に、別個の処置群間のあり得る相違の「ホットスポット」を同定するために、各ボクセルに適用される一連のi検定を用いて最初の比較を実施する(ボクセルサイズは、任意に選択され、50、100および200立方マイクロメートルで分割されたデータセットが比較されるということに留意されたい)。しかし、このようにして有意なp値を得ることは、多数の多重比較のために可能ではない。代わりに、ランダム場理論(RFT)に基づく順序統計量などの、機能的脳イメージングデータセットのために開発された統計解析を使用する。RFTアプローチは、隣接するボクセル間の固有の相関構造を利用して、群間の検定において有意性を決定するのに必要な閾値を低減する(Nichols & Hayasaka、Statistical methods in medical research 12、419〜446頁(2003年))。最後に、統計的に相違のある同定された領域が、MRIアトラスのセグメンテーションおよび対応する生イメージデータの視覚解析の両方を使用して解剖学的にアノテーションされる。
このデータは、マウス脳におけるIEG誘導のハイスループット解析のための方法パイプラインの妥当性を実証する。パイプラインは、1日あたり2つのマウス脳の処理能力で試験された。
6.4 実施例4:野生型マウスにおける抗精神病薬物によって惹起される神経活性化のc−fosベースの全脳表現の作製
この実施例は、マウス脳におけるc−fos発現のマッピングの伝統的な方法を、不偏の、ハイスループットな、高解像度薬物スクリーニングアッセイに変換する。
実験設計
この実施例では、げっ歯類脳におけるc−fos誘導によってこれまでに試験された6種の抗精神病薬物(表2)を
1)これまでに同定された脳領域における個々の薬物の多岐にわたる効力を同定する(効力は、薬物用量あたりの脳領域あたりのGFP陽性ニューロンの数である)、
2)過去には検出できなかった脳活性化の新規領域を発見する
ために選択した。
以下の試験手順を使用する:
1)雄のマウス(8週齢)を、1週間単一収容し、その間、マウスを、1日1回、短時間取り扱う(手の中に拘束し、ホームケージに戻す)。この処置は、ベースライン発現および取り扱いによるc−fos−GFP誘導の可変性を制限するよう設計されている。この実験において使用される動物の数および使用されるトランスジェニック動物の種類は変わり得る。
2)すべての薬物が腹膜内に(i.p)注入され;対照マウスは、生理食塩水を用いてi.p.注入される。
3)注入後、マウスをホームケージに戻し、3時間後、安楽死させた(この時間間隔は、パイロット実験において、ハロペリドールに応じたc−fos−GFP蛍光にとって最適として決定した)。
4)脳を、4%ホルムアルデヒドを用いる経心的灌流によって固定し、抽出し、実施例3に記載される全載顕微鏡用に調製する。
薬物は以下のとおりに試験する:
1)各薬物を、4用量で試験し(表2)、生理食塩水対照と比較する;
2)各用量は、6匹のマウスに投与され、その結果、薬物あたり5×6=30の脳が得られた。6種の抗精神病薬物すべての脳の総数は、6×30=180である。使用される各機器は、280の冠状断片のサンプリング速度で1日あたり1つの脳の処理能力を有する(図27に示されるように)。いくつかの薬物について統計的有意性を達成するために、結果に応じて、用量あたりの試験動物の数が増大されるか、より多くの用量応答曲線データ点を加える場合もある。
実施例3に記載のとおりに、脳をイメージングし、コンピュータによって処理する。MRIアトラスにモーフィングされた脳(Dorr ら、Neurolmage 42、60〜69頁(2008年))を、まず、ボクセル化された脳体積のレベルで比較し(図28を参照のこと)、薬物対対照サンプルにおいて有意なc−fos−GFP誘導のある領域を同定する。このような領域が決定されると、活性化された細胞を有するボクセルを含む解剖学的領域がマークアップされる。いくつかの場合には、62の脳領域のセグメンテーションを含むMRIアトラスから解剖学的領域を直接推察することが可能である(Dorrら、2008年)。しかし、小さい脳構造は、MRIアトラスおよびAllenマウス脳参照アトラスを用いる得られたスキャンのモーフィングに基づいて、MRI鋳型内で手作業によって輪郭が描かれる必要がある(Leinら、Nature 445、168〜176頁(2007年))。
これらの実験から得たデータは、用量応答曲線において各薬物の解剖学的脳領域における活性化されたGFP陽性ニューロンの数を含有するスプレッドシートとして組織化される(対照脳に由来するGFPカウントを差し引いた後)。
6.5 実施例5 c−fos発現の、ハイスループット顕微鏡によるマウス脳における抗精神病薬物の解析
この実施例では、薬物をスクリーニングするために定量的、高解像度の、自動方法においてc−fosマッピングを使用した。
この実施例は、全マウス脳における神経回路活性に対する抗精神病薬物の効果を解析する。方法は、以下のステップを含む:(1)自動化全脳顕微鏡法、STPトモグラフィーを使用して、天然c−fosのマーカーとしてGFPを発現するc−fos−GFPマウスの脳をイメージングした;(2)活性化されたc−fos−GFP陽性ニューロンの分布を、畳み込みニューラルネットワークによってコンピュータによって検出した;(3)処理されたデータセットを、統計比較のために、ワーピングし、3D参照脳において登録し、ボクセル化した。特に、この実施例は、ハロペリドール、通常の抗精神病薬をスクリーニングするための記載された方法の適用を示す。
図29は、実験設計の模式的フローチャートを示す。実験は、以下のとおりに実施した:
動物作業および組織調製。天然c−fosの代替マーカーとしてGFPを発現するトランスジェニックc−fos−GFPマウス(Reijmersら、Science 317: 1230〜1233頁(2007年))を、ハロペリドール(1mg/kg)または生理食塩水(対照)を用いて腹膜内に注入した。マウスをホームケージに戻し、3時間、c−fos−GFPの誘導およびフルオロフォア成熟に必要な期間、乱されないようにする。次に、マウスを深く麻酔し、生理食塩水および脳固定化のためのパラホルムアルデヒドを用いる心臓内灌流によって安楽死させた。マウスを断頭し、STPトモグラフィーのために脳を抽出し、後固定し、寒天中に包埋した。STPトモグラフィーに使用される機器は、図22に示されるものと本質的に同一であった。3つのPMT(C1〜C3)が、マルチカラーイメージングに使用され得る。
一連の2D切片の再構築。イメージングされた脳を、一連の2D切片、図30に示されるように、1つのマウス脳あたり通常、280〜300として再構築した。
c−fos−GFPのコンピュータによる検出。図31Aに示されるように、畳み込みニューラルネットワーク(Turagaら、Neural computation 22:511〜538頁(2010年))は、ヒトマークアップに基づいて、c−fos−GFP標識の組み入れ基準および排除基準を学習した。次いで、c−fos−GFPを検出した(s−fos−GFP検出の例は、図31Bに示されている)。
参照脳アトラスへの生データワーピング。連続2D切片データセットを、3Dで再構築し、図32に示されるように、STPトモグラフィーによってスキャンされた20種の野生型脳の平均として作製された3D参照脳体積にワーピングした。ワーピングは、エラスティクス(elastix)ソフトウェアを使用して組織自己蛍光に基づいて行った。
3D参照脳へのc−fos−GFPデータ登録。参照脳へのc−fos−GFPデータの登録によって、c−fos−GFP分布、c−fos−GFPファーマコマップの3D表現を作成した。それぞれ、176,771および545,838個のc−fos−GFP細胞を有する生理食塩水およびハロペリドール(1mg/kg)脳のc−fos−GFPファーマコマップが、図33に示されている。
3D c−fos−GFPデータのボクセル化。3D脳体積を、X−Y−Z=450×650×300ボクセルの等しく間隔のあいた格子、サイズ20×20×50ミクロンの各ボクセルとしてボクセル化して、連続脳空間の個別のデジタル化を作成した。図34では、上部の2列は、3Dでのボクセル化された生理食塩水およびハロペリドール脳におけるc−fos−GFPのヒートマップ分布を示し(図24A)、下のパネルは、2Dモンタージュでの同一脳を示す(図34B)。
統計比較。図35は、ハロペリドール(n=7)および生理食塩水(n=7)を注入されたマウス間の統計的相違のヒートマップを示す。一連の負の二項回帰によって、2群間の統計比較を行った。第1種過誤は、ボクセルが、互いに、あるレベルの正の相関を有するという仮定の下、0.01の偽発見率(FDR)を設定することによって補正した。
結果。この実施例は、これまでに同定されたすべての脳領域が、記載された方法論を使用して検出されたことを実証する。:前頭前皮質、帯状回皮質、嗅皮質、主要なカジェハ島(Major Islands of Calleja)、側坐核(全体、シェル、コア)、外側中隔、線条体(全体)、内側視索前野、室傍核、分界条床核、内側視床(Sumnerら、Psychopharmacology 171、306〜321頁(2004年))。さらに、これまでに同定されていなかったさらなる領域が、記載された方法論を使用して検出された。統計的相違のあるさらなる領域は、背側蓋ひも、背側脚皮質、腹側淡蒼球、嗅結節、灰白層、運動皮質、正中核群(Reunions thalamic nc)、視床外側中心核、視床下部背内側核、内側頭頂部連合皮質、頭頂葉皮質、一次および二次聴覚野、視床下部弓状核、エクトリナル・コルテックス(Ectorhinal Cx)、視床下部後核、黒質緻密部、海馬台、扁桃体ー梨状葉移行、乳頭体内側核、脳梁膨大後方皮質顆粒部を含んでいた。
この実施例は、記載された方法論が、細胞解像度での全マウス脳における薬物によって惹起される活性化のマッピングのための最初の自動化された不偏法を提供することを示す。具体的には、現実験は、これまでの結果を再現し、いくつかの新規作用領域を同定する、ハロペリドール誘導性脳活性化の定量的な、標準化された解析を実証する。したがって、記載された方法を使用する臨床において使用される薬物(既知ヒト成績を有する)のスクリーニングは、前臨床研究および開発における新規薬物の定量的比較に使用できる、c−fos−GFPファーマコマップの「鋳型」または参照データベースの作製を可能にする。
6.6 実施例6. 自閉症のマウスモデルにおける社会行動によって惹起される神経活性化のC−fosベースの全脳解析
社会的相互作用の障害は、自閉症スペクトラム障害の顕著な特徴である。この実施例では、自閉症の遺伝子マウスモデルを使用して、社会行動に関与している脳回路網を同定し、これらの回路が、自閉症候補遺伝子突然変異誘発によってどのように影響を受けるかを調べた。c−Fos、種々の形態の外部刺激に応答して誘導される前初期遺伝子を、社会相互作用の間の脳活性化のリポーターとして使用した。c−fos−GFPマウスを用い、連続2光子(STP)トモグラフィーによって、全脳におけるc−fos誘導の解析を行った。STPトモグラフィーは、2光子モザイクイメージングと組込型ビブラトームによる機械的切片作製を組み合わせることによってマウス脳を一連の冠状断片としてイメージングする。したがって、この方法によって、全マウス脳中のc−fos−GFP変化を調べることが可能となり、これは、社会行動刺激後にc−fos−GFP標識の増大した脳領域を系統的に調べるのに役立つ。自閉症マウスモデルにおける脳回路を解析した。結果は、それぞれの野生型同腹仔のうちの一匹に対して比較された、ニューロリジン3R451C突然変異体マウスおよびニューロリジン4ノックアウトマウスは、社会曝露後にいくつかの脳領域におけるc−fos増大を示すことができなかったということを示す。
社会脳回路網を調査するために、社会的単離に7日間維持されたマウスを、90秒の社会刺激に付した。3つの異なる群のマウス:取り扱い対照(ニセ取り扱い)、物体対照(無生物新規物体)および社会刺激(不慣れな卵巣切除した雌)を使用した;群あたり7匹のマウスを使用した。刺激の3時間後、マウスを屠殺し、灌流した。実験設計は、図36に示されている。次に、連続2光子トモグラフィーを使用して、細胞解像度を用いて全脳を調べた(STPトモグラフィーを使用する全脳の3D再構築を示す図37を参照のこと)。次いで、c−fos−GFP細胞の自動検出のために機械学習アルゴリズムを使用した(最初に、コンピュータが、最初のヒトマークアップに基づいて、c−fos−GFP標識の組み入れ基準および排除基準を学習し、次いで、新規データセットについて自動的に陽性細胞を検出する(予測)ことを示す図38を参照のこと)。
続いて、参照脳へのイメージ登録を実施した(19種の異なる脳(A1およびA2)を、1つの脳(A)に登録して、参照脳(B)(20種の脳の平均)を作製すること;およびサンプル(C)から参照脳(D)への登録パラメータに基づいて、予測結果(E、c−fos−GFP細胞の重心)を、参照脳(D)に登録したことを示す図39を参照のこと)。次いで、c−fos−GFP細胞を測定するためのボクセル化を、図40に示されるように実施し、ボクセル化された脳イメージ(B)を、参照脳(C)の同一空間に登録し、ボクセル的統計分析を実施して、社会曝露に応答する脳領域を同定した。図41は、取り扱い対照(A)、物体対照(B)および社会刺激(C)群から参照脳(D)に登録された、平均化ボクセル化結果、および活性化された脳領域および参照脳(F)の3Dオーバーレイを示す。
以下の脳領域が、社会曝露によって活性化された:
(i)mPFC領域:内側眼窩皮質、前頭前皮質、下辺縁皮質、帯状回皮質;
(ii)無顆粒性島皮質;
(iii)クラストラム(clastrum);
(iv)梨状葉皮質;
(v)嗅結節;
(vi)外側中隔;
(vii)側坐核;
(viii)内側視索前野;
(ix)体性感覚皮質;
(x)扁桃体:扁桃体基底外側部、扁桃体基底内側部、扁桃体内側部、後側内側皮質扁桃体;
(xi)視床下部:視床下部室傍部、視床下部腹側内側核、視床下部背側内側核;
(xii)背側内梨状葉核;
(xiii)前乳頭核;
(xiv)扁桃体海馬領域;
(xv)視覚野;
(xvi)海馬台。
図42は、野生型マウスならびにニューロリジン4KO(A)およびニューロリジン3R451Cを保持する自閉症マウスモデルにおけるc−fos密度の要約を示す。野生型同腹仔のうちの一匹において有意なc−fos増大を有するが、Ngn 4KOおよびNgn 3R451Cでは有さない脳領域を示す。特に、野生型同腹仔のうちの一匹は、中心扁桃核および下辺縁皮質において有意な増大を示したが、ニューロリジン4KOは、社会曝露後に同様の増大を示さなかった。図42は、自閉症マウスモデルにおいて共有される脳領域が、有社会刺激後に有意なc−fos増大を示すことができないことを実証する。
この実施例は、不偏法で、脳全体中の外部刺激に反応するc−fos−GFP変化を調べるためのシステムが作られたことを示す。特に、STPトモグラフィーによって、脳全体中のc−fos−GFP変化を見ることができるようになり、機械学習アルゴリズムは、c−fos−GFP陽性細胞を自動的に頑強に検出できた。さらに、イメージ登録法によって、異なる脳に由来する同一脳領域を比較することが可能になり、ボクセル的統計分析は、社会曝露によって活性化された脳領域を示した。さらに、予備的c−fos免疫組織化学研究は、特定の脳領域が、社会曝露によって活性化になることができないことを示し、このことは、自閉症候補遺伝子突然変異によって共通して影響を受ける潜在的収束脳回路を示唆する。
6.7 実施例7 連続2光子トモグラフィーを使用するマウス 脳における機械学習をベースにする細胞カウント
現在までに、線虫(C.elegans)神経系などの単純生物についてのみ、全神経系中のニューロンの正確な数が決定されている。げっ歯類脳などのより複雑な神経系中のニューロンの数は、手作業でカウントされた小さい脳領域から得られた細胞密度の解釈に基づいておよそのみで推定されている。
この実施例では、マウス脳中の種々のクラスの介在ニューロンの完全数を作成する新規方法が示される。特定の介在ニューロン細胞種の蛍光標識した核を有する二重トランスジェニックマウスを使用し、Creリコンビナーゼの細胞種特異的発現を保持するマウスを、Creベースの組換えおよびlox−stop−loxカセットの欠失後に核内標的EGFPを発現する蛍光リポーターマウスと交雑した。これらのマウスの脳を、1ミクロン×1ミクロン×2ミクロンなどの高分解能で完全脳スキャンを作成した連続2光子(STP)トモグラフィーによってイメージングした。全3D体積が再構築されると、訓練された畳み込みニューラルネットワークを使用して、核標識を予測した。次いで、標準MRIマウス脳を、解剖学的セグメンテーションのための標識とともにSTPトモグラフィーデータセットにワーピングした。GAD−Creトランスジェニックマウスを使用する完全介在ニューロンカウントの解析が実施されている。
3Dイメージ再構築が、図43に示されている。全脳を、8ブロックでイメージングした。各ブロックを、定着媒体を用いず、脳領域を全く同様に包含するようスキャンした。異なるスライスのブロックを、スケール不変特徴変換(Scale-invariant feature transform)(SIFT)ベースの方法を使用して参照ブロックに対してアラインし、全脳を3Dで再構築した。
GAD−Cre検出および定量化が、図44に示されている。脳の異なる領域に由来する無作為に選択された3Dタイルを、GAD−Creシグナルについて人観察者によって標識した。このグラウンドトルースデータを使用して、GAD−Creシグナル検出のために畳み込みニューラルネットワークを訓練した。訓練は、イメージのサブセットを使用して行い、次いで、脳イメージの残りで使用した。
解剖学的セグメンテーションが図45に示されている。MRIアトラスを、制約として相互情報量を使用して、従って、同一ワーピングパラメータを使用して自己蛍光チャンネルで脳イメージにワーピングし(x&yでは20ミクロンで、zでは50ミクロンで再サンプリングした);脳領域標識もワーピングした。次いで、得られた標識を元のx、y、z解像度に再サンプリングし、領域的カウントを行った。
次いで、脳表面の再構築および検出されたGAD−Cre−GFPシグナルの重心のプロッティングを実施する。脳を、1ミクロンの方位解像度で50ミクロン離れた300の切片でイメージングする。
記載された方法によって、GAD−Creノックインマウスの蛍光標識された核のコンピュータによる検出と組み合わされたSTPトモグラフィーイメージングを使用して複雑な脳を研究することが可能となる。
6.8 実施例8. ファーマコマップの作製。図46は、薬物のファーマコマップを作成する1つの例示的方法を例示する。この代表的な例では、c−fos発現がマッピングされる。例示的方法は、ファーマコマップを作成するためのステップA〜Hを含む。ステップAでは、c−fos−GFPトランスジェニックマウス(Yassinら、Neuron 68: 1043〜1050頁(2010年))に薬物を注入する(例えば、腹膜内に)。対照マウスには生理食塩水を注入する(例えば、腹膜内に)。例えば、注入前に、ベースラインc−fos−GFP発現の可変性を制限するために、雄のマウス(8週齢)を5日間単一収容する。ステップBでは、予め定められた期間(例えば、3時間)の後マウスを安楽死させて、ピークc−fos駆動GFP発現を可能にする。ステップCでは、マウス脳を固定し(例えば、4%ホルムアルデヒドを用いる経心的灌流によって)、抽出し、STPトモグラフィーのために調製し、マウス脳における薬物によって惹起された活性化を、細胞解像度でイメージングする(Raganら、Nature Methods 9:255〜258頁(2012年))。次いで、ステップDでは、全脳データセットをマウス脳のイメージから作製した。例えば、c−fos−GFP脳を、2光子顕微鏡および組織切片作製を統合するSTPトモグラフィーによる280の冠状断片のデータセットとしてイメージングする。
ステップEでは、c−Fos−GFP陽性ニューロンを、機械学習アルゴリズムによって(例えば、ニューラルネットワークベースのアルゴリズムによって)検出して、c−fos−GFP細胞カウントに有意な相違のある脳全体の「ヒートマップ」を作成する。例えば、最初のヒトマークアップに基づいて核c−fos−GFP標識の組み入れ基準および排除基準を認識するよう訓練された畳み込みニューラルネットワークによってc−fos−GFPシグナルを解析する(Turagaら、Neural computation 22:511〜538頁(2010年))。訓練の5倍検証を行った後、コンピュータベースの予測は、人観察者間可変性に匹敵する実施レベルに到達し、約10%の第II種過誤(低シグナル対のイズ比で弱く標識された細胞を検出できないこと)および極めて低い第1種過誤(偽陽性細胞の検出)を有する。したがって、畳み込みニューラルネットワークは、STPトモグラフィーデータセットにおけるc−Fos−GFP−陽性細胞の自動化された、高度に正確な検出を提供する。
ステップFでは、3次元(3D)脳全体のc−Fos−GFP分布が再構築される。ステップGでは、データセットを、標準「参照」脳体積にワーピングし(例えば、同時登録する)、統計比較のためにボクセル化する。例えば、ITKエラスティックス(elastix)ソフトウェア(Kleinら、IEEE Transactions on Medical Imaging 29:196〜205頁(2010年))によって、20種の野生型脳の組織自己蛍光シグナルを平均化することによって「参照」マウス脳を作製する。将来の各データセットの同一組織自己蛍光シグナルを使用して、データセットを参照脳にワーピングし、c−Fos−GFP分布のコンピュータによって作製された予測を登録する。すべてのデータが、参照脳にワーピングされると、3D脳体積をボクセル化して、連続空間の個別のデジタル化を作成する。例えば、データセットは、450×650×300の要素(ボクセル)の等しく間隔のあいた格子、サイズ20×20×50ミクロンの各々内にある重心(c−fos−GFP細胞)の数として表される。
さらに、ステップHでは、ボクセル化された対照および実験脳におけるc−Fos−GFP分布を比較して、c−Fos−GFP発現において有意な相違のある解剖学的脳領域を決定して、ファーマコマップを作成する。例えば、一連の負の二項回帰を実施して、種々の薬物群間の相違を検出してもよい。試験は、どのボクセル位置にも適用されるので、低い第1種過誤であっても、試験結果が有意であるが、実験群間に真の生理学的相違がない多数の位置がある。偽発見率(FDR)は、ボクセルは、互いに、あるレベルの正の相関を有するという仮定の下で0.01に設定する。負の二項回帰分析は、群間の統計的相違の「ホットスポット」を示す。このような領域を、次に、参照脳と同時登録された、参照アトラスを使用して解剖学的に同定する(例えば、Allen参照アトラス(Hawrylyczら、PLoS computational biology 7、el001065 (2011年)))。
試験されている一部の薬物は、その他のものよりも、マウスにおける脳活性化に対して、より可変性の効果を有し得る。さらに、腹膜内薬物送達自体が、経験のある実験主義者の管理下にあっても幾分かの可変性をもたらし得る。しかし、ファーマコマップの解剖学的セグメンテーションによって、種々の脳領域にわたって薬物によって誘導されるc−Fos活性化の標準偏差(SD)を決定することが可能となる。薬物によって惹起される反応の可変性は、モニタリングできる。平均の、より均一な推定を達成するために、例えば、通常のSDより高い場合には薬物群に余分の動物を加えてもよい。さらに、マウスを、事前の30分間および薬物送達後全期間(例えば、3時間)(動物が、STPトモグラフィーのために安楽死される前)ビデオでモニタリングしてもよく、記録は、一連の標準ホームケージ行動について自動的に解析され得る。したがって、例えば、注入の標的を誤ったための、高度に非定型の行動反応は検出され、特定の場合は、データの解析の前に選別される。
さらに、一例として、ファーマコマップパターンを、薬物化合物の構造的、物理的および化学的特性(SPCP)に関する情報と組み合わせてもよい。分子の3D立体構造に関する情報は、SDFファイルの形態でPubChemから入手可能であり、EDRAGONオンラインコンピュータ化学ツール(TetkoおよびTachuk、Virtual Computational Chemistry Laboratory (2005年))に提出して、SPCPを評価することもできる。ファーマコマップを規定する神経応答のセットに、化合物毎の一連のSPCPを加えてもよい。予測の質を改善するために、ファーマコマップにSPCPをさらに含めてもよく、薬物−構造関連合理的薬物設計原則も示し得る。
6.9 実施例9.ハロペリドール、リスペリドンおよびアリピプラゾールファーマコマップの作製
この実施例は、3種の異なる薬物のファーマコマップを作成する能力およびファーマコマップを比較して、細胞解像度での、マウス脳における薬物によって惹起される活性化に関する情報を得る能力を実証する。
通常の、非定型(二次作製)抗精神病薬は、同一治療薬ファミリーの薬物によって共有される臨床効果および副作用の複雑性の良好な例に相当する。通常の抗精神病薬ハロペリドール(主に、D2アンタゴニスト)は、主に、その強力な錐体外路副作用(EPSE)のために、急性の、重篤な精神病の治療のために単独で準備されることが多い(Irvingら、Cochrane Database of Systematic Reviews 4 (2006))。対照的に、非定型(二次作製)抗精神病薬は、かなり少ない頻度でしかEPSEを引き起こさず、広範な適応症に処方されることが多い。例えば、リスペリドン(主に、D2/5HT2Aアンタゴニスト)は、双極性障害における躁状態および自閉症における被刺激性を治療するために使用される(Scottら、Pediatric Drugs 9、343〜354頁(2007年))が、中でも、体重増加、傾眠および高プロラクチン血症を引き起こし得る(Komossaら、Cochrane Databas of systematic reviews (オンライン)、CD006626(2011);Kuhnら、Molecular systems biology 6、343(2010年))。アリピプラゾール(主に、D2/5HT2Aアンタゴニストおよび5HT2A部分アゴニスト)は、双極性障害、大うつ病障害および自閉症における被刺激性(Farmerら、Expert opinion on pharmacotherapy 12、635〜640頁(2011年))を治療するために使用されるが、中でも、頭痛、不眠症、悪心および疲労を引き起こし得る(Kuhnら、Molecular systems biology 6、343頁(2010年))。
この実施例では、図47に示されるように、ハロペリドール、リスペリドンおよびアリピプラゾールのファーマコマップ(例えば、A、BおよびC)を、それぞれ作製して、中程度の投与量:ハロペリドール0.25mg/kg、リスペリドン1.0mg/kgおよびアリピプラゾール1.0mg/kgの3種の抗精神病薬によって惹起されたマウス脳活性化をアッセイした。各薬物について、5匹のマウスの脳を使用した。表3および図47に示されるように、薬物のファーマコマップと、対照(生理食塩水を注入した)マウスのものの間の3種の薬物の統計比較によって、マウスおよびヒトの両方でこれまでに十分に記載されている尾状核被殻および側坐核の共通の活性化が同定された(atesanら、Neuropsychopharmacology 31:1854〜1863頁(2006年)、およびMawlawiら、J. Cerebr Blood Flow Metab 21 : 1034〜1057頁(2001年))。さらに、3種のファーマコマップは、各薬物に独特の、並外れたレベルの差次的皮質および皮質下活性化パターンを示した。
ハロペリドールのファーマコマップAに示されるように、ハロペリドールは尾状核被殻(CP)および側坐核(ACB)の大部分ならびに嗅結節(OT)、前辺縁皮質(PL)、外側中隔(LS)および視床下部背内側部(HYP)を活性化した。リスペリドンのファーマコマップBに示されるように、リスペリドンは、前辺縁(PL)、眼窩(ORB)、梨状葉(PIR)および味覚(GU)皮質、背側および腹側CP、ACB、前障(CLA)および上丘(SC)を活性化した。皮質およびCLA間の相互連絡、皮質からCPおよびACBへの一方向性の連絡およびSCおよびCP間の多シナプス性経路が示されている。皮質領域(左)および脳幹領域(右)が、波線の楕円でグループに分けられている。アリピプラゾールのファーマコマップCに示されるように、アリピプラゾールは、聴覚性関連および嗅内領域の顕著な活性化を含めた、より多くの皮質領域を有する部分的にオーバーラップするパターンを活性化した。扁桃体(AMG)、海馬形成(HF)および視床正中部(PVTおよびRE)の部分も活性化を示した。皮質領域のサブセットもまた、海馬形成と関連して左下部で反復されている。SC、間接的経路による線条体への重要なインプット構造が、リスペリドンおよびアリピプラゾールの両方によって活性化されたことは留意されたい。灰色で強調されたCPおよびACBは、3種の薬物すべてによって活性化された共通構造である。
したがって、この実施例は、ファーマコマップを作成し、比較して、細胞解像度での脳の種々の領域の活性化に関する情報を得ることができることを実証する。さらに、この実施例は、ファーマコマップを使用して、3種の異なる薬物を区別できることを実証する。
特に、この実施例において示された、薬物によって惹起されたc−Fos活性化のデータは、本明細書に記載された方法によって、3種の異なる抗精神病薬(1種は通常の、2種は、非定型)間を区別できることを実証する。薬物によって惹起されたパターンは、活性化された脳領域の数および領域内の活性化の強度の両方を反映していた。この実施例に記載された方法を使用して脳全体のc−Fos誘導をマッピングすることは、使用された3種の薬物各々の脳活性化の個別の、リッチパターンを示す独特の脳活性パターンを示した。
これらのデータは、薬物によって誘導されるニューロン活性のフィンガープリント様サインは、脳および行動に対する薬物の効果を反映し、したがって、このようなサインは、臨床効果と相関し得るということを示唆する。
6.10 実施例10.ハロペリドール用量−応答ファーマコマップの作製
この実施例は、異なる用量の同一薬物のファーマコマップを作成できることおよびそれらのファーマコマップを比較して、異なる用量での脳活性化を区別できることを実証する。
薬物は、異なる投与量では、異なる効果および副作用を有する。ファーマコマップが、脳において用量依存性薬物効果を示すことができるかどうかを調べるために、3投与量:0.05(低)、0.25(中)および1.0(高)mg/kgの通常の抗精神病薬ハロペリドールによって惹起された脳活性化パターンを比較した。図48は、異なる投与量のハロペリドールのファーマコマップを例示する。ファーマコマップ(例えば、それぞれ3種の投与量に対応するA、B、C)の比較によって、明確な相違が示され、投与量が増大するにつれ、観察された活性化された領域の数が増大した。ファーマコマップAに示されるように、0.05mg/kgハロペリドールは、視床下部背内側部(HYP)、ACBおよびCPを活性化した。CPについては、活性化は、背側および腹側小部分に限定された。ファーマコマップBに示されるように、0.25mg/kgハロペリドールは、ファーマコマップAに示されるものと同一の構造ならびにOT、LSおよびPLを活性化した。ACBおよびCPの大きな部分が関与していた。ファーマコマップCに示されるように、1.0mg/kgハロペリドールは、さらに、前辺縁(PL)、下辺縁(IL)および外側嗅内(ENT)領域、BST、中心扁桃核(CEA)およびPVTを含む、より広範な活性化を示した。2つのより低い用量と比較して、ACBおよびCPのより大きな部分が活性化された。さらに、共通に活性化される領域(尾状核被殻および側坐核)内で、投与量を増大するにつれ、c−Fos誘導の強度が有意に増大した(示されていないデータ)。
したがって、この実施例において示された、薬物によって惹起されたc−Fos活性化のデータは、本明細書に記載された方法は、単一の通常の抗精神病薬の3種の投与量間を区別できるということを実証する。薬物によって惹起されたパターンは、活性化された脳領域の数および領域内の活性化の強度の両方を反映していた。特に、c−Fos誘導の強度および活性化された領域の数の両方とも、使用されたハロペリドールの投与量が増大するにつれ、増大した。したがって、これらのデータは、ファーマコマップが、脳における用量依存性薬物効果を示すことができることを示す。
6.11 実施例11. ファーマコマップの包括的データベースの作製
図49は、薬物、例えば、新規薬物の治療効果および有害効果を予測するための、ファーマコマップの包括的データベースを作成する実施例を例示する。複数の薬物(例えば、精神治療薬物)のファーマコマップが、作製され、包括的データベース(例えば、動物対ヒトデータベース)に保存され得る。複数の薬物の治療効果または有害効果に関連する情報が、データベースにコンパイルされ、保存される。新規薬物のファーマコマップを作成し、データベースに保存する。次いで、新規薬物のファーマコマップを、複数の薬物のファーマコマップと比較する。比較に基づいて、新規薬物の治療効果または有害効果を予測できる。例えば、データベースは、マウス脳の神経活性化から作製された、多数の広く使用される精神病薬物療法(例えば、61種の最も代表的な神経精神病薬物)のファーマコマップを含む動物対ヒト(A2H)データベースである。A2Hデータベースは、精神病薬物療法のファーマコマップと有害効果を関連付け、したがって、新規薬物のヒト臨床成績を予測するのに使用され得る。
一例として、20種の精神病薬物療法について、公開文書(例えば、副作用資源(Side Effect Resource)(SIDER)データベース(Kuhnら、Molecular systems biology 6:343頁(2010年))から決定されるような個別の臨床効果および副作用プロフィールを有するA2Hデータベースを作成してもよい。20種の精神病薬物療法は、10群にわけることができる、1)通常の抗精神病薬:ハロペリドールおよびピモジド;2)非定型抗精神病薬:パリペリドンおよびオランザピン;3)SSRI抗うつ薬:セルトラリンおよびパロキセチン;4)三環系抗うつ薬:ドキセピンおよびクロミプラミン;5)MAOI抗うつ薬:イソカルボキサジドおよびフェネルジン;6)四環系抗うつ薬:ミルトラザピンおよびマプロチリン;7)SNRI抗うつ薬:ベンラファキシンおよびデスベンラファキシン;8)抗不安薬:クロナゼパムおよびクロルジアゼポキシド;9)ADHD投薬:メチルフェニデートおよびメタンフェタミン;および10)精神安定剤および抗痙攣薬投薬:ガバペンチンおよびカルバマゼピン。薬物の用量は、既存の文献に基づいて、臨床と関連する用量に対応するよう選択される。これらの薬物のファーマコマップは、実施例8において上記で記載されるように作製される。20種の薬物は各々、5匹のマウスにおいてスクリーニングされ、薬物群は、生理食塩水対照群およびその他の薬物と比較される。
例えば、両方とも上記で列挙した薬物の10群間をわたり、10群内にある薬物の対が比較される。薬物のどの対についても、薬物による(一致)、または両薬物による(オーバーラップ)、偽発見率(FDR)によって制御される、統計的に有意な応答を示す脳領域のリストが作製される。オーバーラップ/一致×100%に匹敵する、部分オーバーラップ(ジャッカード(Jaccard)類似性係数)を評価することによって、ファーマコマップ間の類似性が測定される。2種の薬物の非オーバーラップ/同一応答については、この尺度は、それぞれ、0/100%に匹敵する。観察されたオーバーラップの値が統計的に有意であるかどうかを調べるために、ブーストトラップ法が使用される。
既知薬物のファーマコマップおよび臨床効果および副作用をデータベースに加えることによって、前臨床薬物スクリーニングのためのA2Hデータベースの値が連続的に増大する。例えば、NIMHデータベースから得られる、以下を含む61種の薬物療法の包括的セットをスクリーニングできる。
1)通常の抗精神病薬:クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、イオキサピン(ioxapine)、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン;
2)非定型抗精神病薬:アリピプラゾール、クロザピン、オランザピン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン;
3)SSRI抗うつ薬:シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン;
(4)三環系抗うつ薬:アミトリプチリン、アモキサピン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミン;
(5)MAOI抗うつ薬:トラニルシプロミン、フェネルジン、イソカルボキサジド;
(6)SNRI抗うつ薬:デスベンラファキシン、デュロキセチン、ベンラファキシン;
(7)四環系抗うつ薬:マプロチリン、ミルトラザピン;
(8)その他の抗うつ薬:ブプロピオン、トラゾドン、セレギリン;
(9)ベンゾジアゼピン抗不安薬:アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、イオラゼパム(iorazepam)、オキサゼパム、ジアゼパム;
(10)その他の抗不安薬:ブスピロン;
(11)精神安定剤および抗痙攣薬:カルバマゼピン、ガバペンチン、ラモトリジン、炭酸リチウム、オキシカルバゼピン、トピラメート、バルプロ酸;
(12)ADHD薬物療法:アンフェタミン、アトモキセチン、グアンファシン、メタンフェタミンHC1、メチルフェニデート。
61種の薬物の各々は、2投与量、ヒトにおいて使用される臨床的に関連する用量に対応する1つおよびヒトでは相当な副作用を引き起こすとわかっている高用量(治療域より上)でスクリーニングされる。治療量を超える用量の目的は、許容されない副作用を表すファーマコマップを作成することである。これらのマップは、臨床試験に失敗した薬物のファーマコマップによって補完され、その結果、A2Hデータベースは、並行して増える許容されるおよび許容されないファーマコマップの両方を含む。A2Hデータベースを作成するために、ファーマコマップデータは、800超の副作用の発生率データを提供するSIDERデータベース(Kuhnら、Molecular systems biology 6:343頁(2010年))などの公開文書から得られるこれらの薬物の利用可能な臨床効果および副作用のデータと関連付けられる。これらのデータによって、臨床試験に関する「いく/いかない」を決定するための基盤を作ることを超えて、臨床効果および副作用を、前例のない解像度でのニューロン活性化と関連付けるための基盤が作られている。
一例として、61種の薬物の中でも、個別の臨床効果および副作用プロフィールを有する20種の精神病薬物療法を高用量(治療域より上)で、残りの41種の薬物は、ヒトにおいて使用される臨床的に関連する用量および高用量(治療域より上)の両方でスクリーニングできる。各薬物の2種の投与量は、げっ歯類モデルにおける行動薬物試験に関する既存の広範な文献(例えば、いくつかの抗精神病薬の投与量研究(Kellyら、J eurosci 18、3470〜3479頁、(1998年);Natesanら、Neuropsychopharmacology 31、1854〜1863頁(2006年);Okaら、Life sciences 76、225〜237頁(2004年);Robertson and Fibiger、Neuroscience 46、315〜328頁(1992年);Simonら、Eur Neuropsychopharmacol 10、159〜164頁(2000年);Wanら、(Brain research 688、95〜104頁)1995年)を参照のこと)から精選され得る。群あたり5つの脳を使用して、スクリーニングされる薬物によって処置される脳の合計は、(1×20+2×41)×5=510である。さらに、条件の任意の変化を管理するために4つの生理食塩水群(6カ月毎に1;合計20の脳)が含まれる。したがって、スクリーニングされる脳の合計数は、530であり得る。
適当な薬物投与量を選択する目的で、薬物適用の前後でマウスをビデオモニタリングしてもよく、その行動を、自動行動解析ソフトウェアによって、休息、歩行、毛づくろい、ぶら下がり、立ち上がり、飲む、食べるなどのカテゴリーでスコアリングしてもよい。マウス行動における変化を使用して、特に、治療用量を超える範囲について、予測される臨床的に関連する副作用に関連して使用される薬物用量を評価できる。薬物によって誘導される行動変化の小さいモジュールを構築し、臨床において同様の副作用を引き起こすと予測される薬物の比較のために使用してもよい。
6.12 実施例12. マウス脳ファーマコマップの、ヒト臨床成績との関連付け
ますます増大する量の化合物の特性に関する公的に入手可能なデータは、これらのデータを薬物効果の予測モデルに統合するための機会をもたらす。NIH 分子ライブラリーロードマップ主導(Molecular Libraries Roadmap Initiative)は、化合物のPubChemリポジトリの作製につながった(Sayersら、Nucleic Acids research 40、D13〜25頁(2012年))。Pubchem、BioAssaysおよびChemBankなどのデータベースは、薬物−標的相互作用(Seilerら、Nucleic Acids research 36、D351〜359頁(2008年))および小分子に対する曝露によって誘導される細胞表現型に関する情報を含有している。SIDERデータベースは、薬物−標的相互作用を予測する(Campillosら、 Science 321、263〜266頁(2008年))薬物の副作用に関する詳細な情報を含有している(Kuhnら、Molecular systems biology 6、343頁(2010年))。
ファーマコマップを臨床データと関連付けるために、800種超の薬物を含有する、SIDERデータベース(Kuhnら、Molecular systems biology 6、343頁(2010年))から得られる有害効果(AE)データの構造が解析される。実施例11に記載される、61種の精神病薬物について、SIDERデータベースは、834のAEおよび56の適応症を含有し、平均して各化合物は、およそ130のAEおよびおよそ3の適応症と関連している。61×834のバイナリーテーブルとして表すと、AEを、化合物の対間で比較して、距離行列を得ることができ、これは、対における2種の薬物間でAEプロフィールがどの程度類似しているかを示す。
図52に示されるように、新規薬物のファーマコマップを、既知薬物のものと比較して、新規薬物のAEおよび/または適応症(複数可)を予測できる。ファーマコマップがどの程度予測するかを調べるために、まず、薬物の有害効果および適応症の主成分分析(PCA)を実施した。図50は、薬物の有害効果および適応症の例示的主成分分析(PCA)を例示し、図51は、薬物の有害効果の例示的表現を例示する。
図50に示されるように、PCAによってペアワイズ距離を解析し、図51に示されるように、凝集型階層ツリーを使用してクラスター化した。類似の適応症を有する化合物が、PCA空間および階層ツリーの両方で一緒にクラスター化するのは明らかである。図50では、4種の主要な薬物療法の群が例示されている。通常の抗精神病薬(+)および三環系抗うつ薬(▽)は、そのAEに従って別個の群としてクラスター化した。抗不安神経症医薬(*)は、ADHD薬物(o)およびその他の種類の抗うつ薬(その他の三角)とクラスターを形成した。非定型抗精神病薬(x)は、大部分、精神安定剤および抗痙攣薬薬物療法(点)およびSSRI抗うつ薬(四角)とクラスター化した。化合物のクラスター化はまた、図51に示されている。しかし、診断薬のクラス内でさえ、各分子は、個別のAEプロフィールを示し、ファーマコマップの予測される多様性と相関する十分な可変性を提供した。
図52は、ハロペリドール、リスペリドンおよびアリピプラゾールのファーマコマップにおける類似性を測定するデータの一例を例示する。HAL、RISPおよびARIPは、それぞれ、ハロペリドール、リスペリドンおよびアリピプラゾールの略語である。図52に示されるように、ARIPおよびRISPのファーマコマップは、ARIP−HALおよびRISPHAL対について、より類似していた。したがって、これらのクラスの化合物について示されるように、ファーマコマップの類似性は、AE/適応症の類似性を反映していた。例えば、活性間の類似性を決定するために、2種の薬物によって同時に影響を受けた脳領域の画分(共通部分/一致×100%)を比較した。薬物の対間の共通の効果の画分を決定して、AE/適応症における類似性を定義した。したがって、新規薬物のファーマコマップを、既知薬物のものと比較して、新規薬物のAEおよび/または適応症(複数可)を予測できる。
61種の薬物データセットに対する予測解析を拡張するために、そのファーマコマップおよびAEにおける類似性の点で薬物間のペアワイズ距離を比較した。ファーマコマップが、AEおよび適応症を予測するものであるか、または原因となるものであるあれば、類似の活性パターンは、類似のAEをもたらすものである。上記の61種の薬物について、ファーマコマップ空間およびAE空間の両方において1830のペアワイズ類似性を決定した。これら2つの空間間の関係度を説明するために、ペアワイズ類似性間のピアソン相関係数を計算した。高い相関係数は、ファーマコマップがAEを予測するものであるということを暗示する。薬物の効果をより十分に調査するために、ペアワイズ距離の解析に臨床適応症を含めた。ファーマコマップ空間およびAE+適応症空間におけるペアワイズ距離間の相関は、適応症が、ファーマコマップのいくつかの特徴と関連している場合があり、相関関係へのさらなる寄与につながるので、AE空間単独よりも良好であった。神経応答およびAEの空間間のペアワイズ距離の比較の利点は、このような解析が、これら2つの空間間のマッピングのモデルを構築することを含まないことである。ファーマコマップ空間とAE空間間のマッピングの予測モデルは、構築されてもよい。各AEは、独立可変性として処理される。SIDERデータベースにおいて頻度情報が利用可能でないAEは、AEが存在/不在である場合に、1/0に匹敵するバイナリー可変性として処理される。
例えば、61種の薬物を、所与のAEを有するか、有さないものに分類してもよい。ファーマコマップは、61種の薬物の各々について80超の脳領域における細胞数によって表されるので、各AEの予測変数の構築では、パラメータの数(80超)は、データ点の数(61)よりも大きい。貪欲疎化(greedy sparsification)アルゴリズム(Koulakovら、Frontiers in systems neuroscience 5、65(2011年);Haddadら、Nature methods 5:425〜429頁(2008年);Saitoら、Science signaling 2、ra9 (2009年))を使用して、各AEの強い予測変数ではない脳領域を考慮から除去することによってパラメータ数を低減し、オーバーフィッティングを避けてもよい。貪欲疎化アルゴリズムは、脳領域のすべてを1つずつ進み、単一脳領域に基づいて予測変数を構築することによって開始する。特定のAEについて最良の脳領域が見出されると、予測の精度を最大にする第2の脳領域が選択される。予測およびデータの間で実質的に低い誤り率または高い相関が達成されると貪欲補充が停止される。この解析によって、正確な予測に必要なパラメータ数を劇的に低減することが可能となる(Koulakovら、Frontiers in systems neuroscience 5:65頁(2011年))。
ジャックナイフ法(Koulakovら、Frontiers in systems neuroscience 5:65頁(2011年);Saitoら、Science signaling 2、ra9(2009年))を使用して、これらの条件における予測変数の質を検証してもよい。例えば、1種の薬物を、データセットから完全に除去する。予測変数が、その他の薬物に対する応答に基づいて構築され、除去された薬物についての予測が作製される。次いで、この手順を、データセット中のどの化合物についても反復する。次いで、すべての化合物の予測を、AEの実際の値と比較する。誤り率およびピアソン相関係数に基づいて予測の質が判断される。
それ自体の分類を実現するために、線形判別分析またはフィッシャーの線形判別(Raudys、Statistical and neural classifiers: an integrated approach to design、Springer Verlag (2001年))、二次判別分析内のベイズ最適予測変数(Raudys、Statistical and neural classifiers: an integrated approach to design、Springer Verlag (2001年))およびサポートベクターマシン(Cristianiniら、An introduction to support Vector Machines: and other kernel-based-learning methods、Cambridge Univ Pr (2000年))などのいくつかの方法を使用してもよい。異なる種類の予測変数を、上記のジャックナイフ法を使用して誤り率に基づいて比較してもよい。
AEの予測に加えて、ファーマコマップを使用して、薬物適応症の予測モデルを構築してもよい。各薬物の適応症のセットは、SIDERデータベースから入手可能である。ジャックナイフ法を用いる検証を使用して、予測誤差を計算することによって予測の質を決定することができる。ジャックナイフ解析では、どの薬物もde novo予測として処理されるので、含まれるカテゴリーの内/外の薬物の予測誤差を比較できる。この試験によって、マウス脳活性パターンを、異なるクラスの薬物療法の適応症中に一般化できるかどうかが決定され得る。このような予測アルゴリズムは、前臨床薬物開発において有用であり得るが、これは、特定の適応症のために開発されている薬物が、その適応症を越えた使用を有するようになることが多いからである。予測アルゴリズムは、これらのさらなる適応症を予測する方法を提供し得る。
参考文献の組込み
特許、特許出願および刊行物などの種々の参考文献が本明細書に引用されており、その開示内容は、その全文が参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (52)

  1. 試験化合物の治療効果または毒性効果を予測する方法であって、
    (a)試験化合物を、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御する遺伝子調節領域を含むトランスジェニック動物に投与するステップと、
    (b)トランスジェニック動物の組織を採取するステップと、
    (c)組織中の蛍光リポーター遺伝子配列を発現する細胞の単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して、採取された組織をイメージングするステップであり、それによって、試験化合物のファーマコマップ(pharmacomap)を作成するステップと、
    (d)(c)におけるファーマコマップを、既知の治療効果または毒性効果を有する参照化合物のファーマコマップのものに対して比較するステップであり、それによって、ファーマコマップの類似性に基づいて試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するステップと
    を含む、方法。
  2. トランスジェニック動物が、マウスである、請求項1に記載の方法。
  3. 組織が、脳、腎臓、肝臓、膵臓、胃または心臓組織である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 組織が脳組織である、請求項3に記載の方法。
  5. 脳組織が、全脳である、請求項4に記載の方法。
  6. 組織が、肝臓組織である、請求項3に記載の方法。
  7. 肝臓組織が、全肝臓である、請求項6に記載の方法。
  8. ステップ(b)が、2種の組織を採取することを含む、請求項1または2に記載の方法。
  9. 組織が、脳、腎臓、肝臓、膵臓、胃および心臓組織から選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 2種の組織が、脳組織および肝臓組織である、請求項9に記載の方法。
  11. イメージング技術が、連続2光子トモグラフィーである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 遺伝子調節領域が、前初期遺伝子の遺伝子調節領域である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 遺伝子調節領域が、刺激後30分以内に活性化される前初期遺伝子のものである、請求項12に記載の方法。
  14. 前初期遺伝子が、c−fos、FosB、δ FosB、c−jun、CREB、CREM、zif/268、tPA、Rheb、RGS2、CPG16、COX−2、Narp、BDNF、CPG15、アルカドリン(Arcadlin)、ホーマー(Homer)−1a、CPG2またはArcである、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前初期遺伝子が、c−fosである、請求項14に記載の方法。
  16. 前初期遺伝子が、Arcである、請求項14に記載の方法。
  17. 遺伝子調節領域が、前初期遺伝子の下流で活性化される遺伝子のものである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  18. 遺伝子調節領域が、刺激後30分超で活性化される遺伝子のものである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  19. 遺伝子調節領域が、刺激後1時間超で活性化される遺伝子のものである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  20. リポーター遺伝子配列が、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 比較ステップが、統計的有意性の解析を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 試験化合物の治療効果を予測するために使用され、参照化合物が、既知の治療効果を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 参照化合物が、ヒトにおいて既知の治療効果を有する、請求項22に記載の方法。
  24. 試験化合物の毒性効果を予測するために使用され、参照化合物が、既知の毒性効果を有する、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 参照化合物が、ヒトにおいて既知の毒性効果を有する、請求項24に記載の方法。
  26. 参照化合物が、脳障害を治療するために使用される薬物である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. (d)におけるファーマコマップが、複数の参照化合物ファーマコマップを含むデータベース中に存在する、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 複数の試験化合物を用いて反復される、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 試験化合物の各々について得られたファーマコマップが、単一データベースにコンパイルされる、請求項28に記載の方法。
  30. 比較ステップにおいて試験化合物の各々について得られるデータが、単一データベースにコンパイルされる、請求項28または29に記載の方法。
  31. イメージングされた組織と関連している活性化された細胞を検出するために、機械学習アルゴリズムを使用するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  32. 機械学習アルゴリズムが、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズムを含む、請求項31に記載の方法。
  33. ファーマコマップが、トランスジェニック動物の全脳のものである、請求項1に記載の方法。
  34. イメージングされた採取された組織を、連続組織空間の体積にワーピングすることと、
    連続組織空間のボクセル化を実施して、連続組織空間の個別のデジタル化を作成することと、
    個別のデジタル化の際に統計技術を使用して、対照によって活性化される組織領域と薬物によって活性化される組織領域の間で有意な相違のある領域を同定することと、
    解剖学的セグメンテーションを使用して、有意な相違を組織領域に割り当てて、1つまたは複数の組織領域について活性化された細胞の数を決定することと
    を含み、
    活性化された細胞の決定された数が、(c)におけるファーマコマップの、参照化合物のファーマコマップのものに対する前記比較に使用される、請求項1に記載の方法。
  35. 試験化合物の治療効果または毒性効果を予測する方法であって、
    (a)試験化合物を、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御する遺伝子調節領域を含むトランスジェニック動物に投与するステップと、
    (b)トランスジェニック動物の組織を採取するステップと、
    (c)組織中の蛍光リポーター遺伝子配列を発現する細胞の単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して、採取された組織をイメージングするステップであり、それによって、試験化合物のファーマコマップを作成するステップと、
    (d)(c)におけるファーマコマップを、既知の治療効果または毒性効果を有する参照化合物のファーマコマップのデータベースのものに対して比較するステップであり、それによって、ファーマコマップの類似性に基づいて試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するステップと
    を含む、方法。
  36. ファーマコマップを作成する方法であって、
    (a)化合物を、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御する遺伝子調節領域を含むトランスジェニック動物に投与するステップと、
    (b)トランスジェニック動物の組織を採取するステップと、
    (c)組織中の蛍光リポーター遺伝子配列を発現する細胞の単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して、採取された組織をイメージングするステップであり、それによって、化合物のファーマコマップを作成するステップと
    を含む、方法。
  37. 化合物が、既知の治療効果または毒性効果を有する参照化合物である、請求項36に記載の方法。
  38. 試験化合物が、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御する遺伝子調節領域を含むトランスジェニック動物に投与され、トランスジェニック動物の組織が採取される、試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するために、試験化合物のファーマコマップを作成する方法であって、
    組織中の、蛍光リポーター遺伝子配列を発現する細胞の単細胞解像度を提供するイメージング技術を使用して、採取された組織をイメージングするステップと、
    1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、機械学習アルゴリズムを使用して、試験化合物に応答して活性化される細胞を同定するステップと、
    1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、同定された細胞の表現を連続組織空間の体積中に作製するステップと、
    1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、統計技術を実施して、採取された組織の同定された細胞の作製された表現と、対照組織の細胞の表現との比較に基づいて、有意な相違のある領域を同定するステップと、
    試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するために、1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、有意な相違のある同定された領域に基づいて、試験化合物のファーマコマップを作成して、試験化合物に応答して活性化される解剖学的組織領域を同定するステップと
    を含む、方法。
  39. 同定された細胞の表現を連続組織空間の体積中に作製するステップが、
    組織イメージを連続組織空間の標準体積にワーピングして、連続組織空間内の、同定された細胞と関連する情報を登録することと、
    連続組織空間のボクセル化を実施して、連続組織空間の個別のデジタル化を作成することと
    を含む、請求項38に記載の方法。
  40. ファーマコマップが、コンピュータで読み取り可能な保存媒体に保存され、
    コンピュータで読み取り可能な保存媒体が、連続組織空間を表すボクセルデータを保存するための保存領域を含み、
    コンピュータで読み取り可能な保存媒体が、ボクセルデータによって表される組織空間中の活性化された解剖学的組織領域を同定するファーマコマップデータを保存するためのデータフィールドを含み、
    活性化された解剖学的組織領域が、1つまたは複数のボクセルを含み、ボクセルが、試験化合物に応答して活性化される1つまたは複数の細胞を有する組織領域を表す、請求項39に記載の方法。
  41. コンピュータで読み取り可能な保存媒体が、非一過性保存媒体に保存されたデータベースまたはメモリー装置である、請求項40に記載の方法。
  42. コンピュータで読み取り可能な保存媒体が、組織の特定の領域での、参照化合物の治療効果または毒性効果と関連している1種または複数の参照化合物のファーマコマップデータを含み、試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するために、試験化合物のファーマコマップデータが、1種または複数の参照化合物のファーマコマップデータと比較される、請求項40に記載の方法。
  43. 試験化合物のファーマコマップを作成するステップが、有意な相違のある同定された領域の解剖学的セグメンテーションを実施することを含む、請求項38に記載の方法。
  44. 機械学習アルゴリズムが、以下:畳み込みニューラルネットワークアルゴリズム、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト分類器およびブースティング分類器のうち1種を含む、請求項38に記載の方法。
  45. 統計技術が、負の二項回帰技術を含む、請求項38に記載の方法。
  46. 統計技術が、1回または複数回のt検定を含む、請求項38に記載の方法。
  47. 統計技術が、ランダム場理論技術を含む、請求項38に記載の方法。
  48. イメージング技術が、以下:連続2光子トモグラフィー、アレンインスティチュート(Allen institute)連続顕微鏡法、全光組織学、ロボット化された広視野蛍光顕微鏡法、光シート蛍光顕微鏡法、OCPI光シートおよびマイクロ光学切片トモグラフィーのうち1種を含む、請求項38に記載の方法。
  49. 試験化合物が、蛍光リポーター遺伝子配列の発現を制御する遺伝子調節領域を含むトランスジェニック動物に投与され、トランスジェニック動物の組織が採取される、試験化合物の治療効果または毒性効果を予測する方法であって、
    1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、試験化合物に応答して活性化される、採取された組織中の解剖学的組織領域を同定することによって、試験化合物のファーマコマップを作成するステップであり、ファーマコマップが、採取された組織の組織空間の表現を含み、かつ組織空間中の活性化された解剖学的組織領域を同定するファーマコマップ情報を含むステップと、
    1つまたは複数のデータプロセッサの使用によって、試験化合物のファーマコマップを、参照化合物の予め定められたファーマコマップに対して比較するステップであり、参照化合物が、参照化合物のファーマコマップと相関する既知の治療効果または毒性効果を有するステップと、
    試験化合物および参照化合物のファーマコマップの比較に基づいて、試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するステップと
    を含む、方法。
  50. 試験化合物の治療効果または毒性効果を予測するステップが、
    参照化合物の既知の治療効果または毒性効果と、参照化合物のファーマコマップとの間の参照化合物の相関マトリックスを作成すること
    を含む、請求項49に記載の方法。
  51. 採取された組織の組織空間の表現が、採取された組織の三次元イメージを作成することと、三次元イメージを、組織空間の標準体積にワーピングすることと、組織空間をボクセル化して、組織空間の個別のデジタル化を作成することとを含む、請求項49に記載の方法。
  52. 活性化された解剖学的組織領域が、1つまたは複数のボクセルを含み、
    ボクセルが、試験化合物に応答して活性化される1つまたは複数の細胞を含む、請求項51に記載の方法。
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