JP2015502155A - リキャプチャ噴霧器 - Google Patents

Abstract

本開示は１以上の対象物体を噴霧するためのシステムおよび方法に関するものである。第１の送風機システムは、空気が循環する領域の周囲に第１のエアストリームを作り出すことによって、空気が循環する比較的隔離された領域を作り出すよう構成されている。第２の送風機システムは、第２のエアストリームを第１のエアストリームと反対方向に流動させることにより、隔離された領域内で空気を循環させるよう構成されている。液体、エアロゾルの液体粒子、粒子状物質などを含む化学物質の噴霧液が領域内の循環空気中に放出され、それにより、領域内の対象物体に堆積する。本開示の実施形態は、噴霧液を放出し、閉じ込め、および／またはリキャプチャするために、農業用、自動車用、宇宙空間用、および他の用途に利用することができる。【選択図】図５

Description

関連出願の相互参照
本願は、２０１１年１２月１３日出願の米国仮特許出願第６１／６３０，４６９号、名称「果樹園の噴霧液リキャプチャのための非機械的方法（Non-Mechanical Method for Orchard Spray Recapture）」の権利を主張するものであり、その全ての内容は参照により本書に援用される。

本開示は概して、噴霧液リキャプチャシステムおよび方法に関するものである。より具体的には、本開示は噴霧放出物を噴霧し、閉じ込め、再循環させ、リキャプチャするシステムおよび方法に関するものである。

１以上の対象物体用の塗料、肥料、殺菌剤、除草剤、および殺虫剤を含む農業用化学物質、および他の種類の噴霧放出物のスプレーしぶき（ｏｖｅｒｓｐｒａｙ）を防ぐために、噴霧液リキャプチャシステムが過去に使用されてきた。このような噴霧液は、対象物体を取り囲む周辺地域に有害となりうる。したがって、このような化学物質の拡散を軽減することが望ましい。幾つかの場合では、噴霧液閉じ込め用シェルは、スプレーしぶきを閉じ込めるために使用される。しかしながら、完全に成長した樹木または航空機などの非常に大きな対象物体は、実用サイズの噴霧液閉じ込め用シェル内に適合するには大きすぎることがある。

したがって、対象物体上の噴霧液の適用範囲を拡げ、噴霧液のリキャプチャを強化しながら、スプレーしぶきを軽減する方法およびシステムが必要とされている。

一実施形態では、対象物体を噴霧する方法が開示されている。この方法は、対象空間周囲に第１のエアストリームを作り出すステップと、対象空間内に第２のエアストリームを作り出すステップであって、第２のエアストリームは第１のエアストリームと反対方向に流れるステップと、対象空間内に対象物体を配置するステップと、対象空間内に噴霧液を放出するステップと、を含む。

他の実施形態では、対象物体を噴霧する装置が開示されている。この装置は、放射状に配置された複数の通気孔を通って第１のエアフローを誘導するよう構成された第１の送風機と、第２の送風機と、噴霧ノズルとを有する。放射状に配置された通気孔は、第１の方向に第１のエアフローを誘導するよう構成される。第２の送風機は、第２の方向に第２のエアフローを誘導するよう構成される。第２の方向は、第１の方向とほぼ反対方向である。噴霧ノズルは、噴霧液を第２のエアフロー内へと放出するよう構成される。

本開示は、要約、詳細な説明、及び具体的に考察または開示された好適または特定の実施形態と併せて読むことが意図された添付の図面を参照することで、より完全に説明されるであろう。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態に組み込むことができ、本書において説明された実施形態に限定するよう解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が当該分野における当業者に本開示の全ての範囲を十分かつ完全に伝えるように、例示としてのみ与えられている。

本開示は、添付の図面と併せて以下の記載を参照することによって理解することができ、図中の同一符号は同一の構成要素を識別している。
図１は、本開示の実施形態によるリキャプチャ噴霧器の斜視図である。 図２は、一実施形態によるリキャプチャ噴霧器の側面図である。 図３は、一実施形態によるリキャプチャ噴霧器の正面図である。 図４は、一実施形態によるリキャプチャ噴霧器の等角上面図である。 図５は、使用時のリキャプチャ噴霧器の斜視図である。

以下の記載では、その一部を構成する添付の図面について参照しており、当該図面には、本開示を実施することができる特定の例示的な実施形態が例として図示されている。これらの実施形態は、開示されたコンセプトを当業者が実行できる程度に十分詳しく記載されており、本開示の概念および範囲から逸脱することなく、開示された様々な実施形態に対して改変をすることができると共に、他の実施形態を利用することもできる。したがって、以下の詳細な説明は、限定する意味に解釈すべきではない。

本開示の実施形態の目的は、スプレーしぶき、流出、および損失を最小限にしながら、空気が循環している領域内の対象物体に噴霧液を塗布し、噴霧液の一部をリキャプチャすることである。本開示の実施形態は、噴霧ノズル、空気圧ノズル、および給気ポートを有する、動力付き又は動力を有さない車両を具えている。

図１を参照すると、本開示の一実施形態は車両１００を具えている。一実施形態では、車両１００は、トラクタまたは同様の自己推進型車両の後方で牽引するよう構成された、非自己推進型車両を具える。代替的な実施形態では、車両１００は、自己推進型車両を具える。車両１００は、果樹園、田畑、路上、または他の様々な環境で使用するのに適合しうる。

本開示の実施形態は、ノーズ部材１１０を具えている。ノーズ部材１１０は放射状に分布した複数の通気孔１１５を具えている。一般に、この孔１１５は、プレナムを有するノーズ部材１１０の内容積と連通しているノーズ部材１１０の貫通穴を含む。ノーズ孔１１５は、車両１００の移動方向に対して略垂直の放射状に分布した複数方向に向けられている。代替的な実施形態では、ノーズ孔１１５はノーズ部材１１０の後方の地点に向けられており、これにより、放出されたエアストリームを、車両１００に対して外側かつ後方に向かう様々な角度に誘導することができる。図１に示す実施形態は、ノーズ部材１１０の周囲に略均一に分布した約４０個の孔１１５を具えている。代替的な実施形態は、本開示の範囲内となる一方、他の数の孔１１５を具えてもよい。ノーズ部材１１０のプレナムは、第１の送風機の排出管１３０を介して、第１の送風機アセンブリ１２５の出力ポートと連通している。第１の送風機の給気管１３５は第１の送風機１２５の入口に取り付けられており、車両１００の後方に位置した第１の空気取入孔１４０を具えている。第１の空気取入孔１４０は、孔用フィルタ１４５を具えている。本開示の実施形態では、ダストリキャプチャシステム（図示せず）を第１の空気取入孔１４０または給気管１３５内に配置してもよい。

図１に示す実施形態はさらに、側方支持梁１５０を具えている。この側方支持梁１５０は構脚部材１５５を具えている。車両１００の後方付近では、支柱１６０が側方支持梁１５０を支持し、側方支持梁１５０を車両１００に固定している。側方支持梁１５０は、車両１００の各側面を越えて横方向に延在する第２の空気管１６５を支持している。代替的な実施形態では、側方支持梁１５０は、第２の空気管１６５と一体的である。例えば、一実施形態では、側方支持梁１５０は、それを通ってエアストリームを運ぶことができる鋼性の管を具える。第２の空気管１６５は、第２の側方孔１７５が取り付けられる横方向先端部に下向き管１７０を具えている。図１に示す実施形態では、噴霧ノズル１８０も下向き管１７０に取り付けられて、噴霧ホース１８５に連結されており、保存タンク（図示せず）との流体連通をもたらしている。一実施形態では、保存タンクは、噴霧ホース１８５を通って流体ストリーム中のエアロゾルを伝達する前に、タンク内の液体をエアロゾルに変換するアトマイザまたは他の装置を具える。この保存タンクは、車両１００または牽引車両に設置することができる。

第２の空気管１６５は、第２の送風機の排出管１９５を介して、第２の送風機アセンブリ１９０の出力ポートと流体連通している。第２の中央孔２００もまた、第２の送風機の排出管１９５と連通している。第２の中央孔２００は、その中を通って通過するエアストリームにサイクロンの空気移動を作り出すよう構成された内部羽板部を有する大型ノズルを具えている。第２の送風機の給気管２０５は第２の送風機１９０の入口に取り付けられ、車両１００の前方付近のノーズ部材１１０の後ろに配置された第２の空気取入孔２１０との流体連通を有している。本開示の実施形態では、第２の空気取入孔２１０または第２の給気管２０５内にフィルタシステム（図示せず）を配置してもよい。

代替的な実施形態は、第２の空気取入孔２０５および／または第２の中央孔２００に、またはその付近に配置された更なる噴霧ノズル１８０を具える。代替的な実施形態では、第１の送風機アセンブリ１２５および／または第２の送風機アセンブリ１９０によって果たされる機能は、１以上の空気圧縮機および／または空気発生機によって代わりに実現することができる。

図１、２、および３に示すように、車両１００は、車軸に２つの車輪２１５を具えている。代替的な実施形態では、車両１００はさらに、１または２つの操縦可能または操縦不可の前方車輪を具える。車両１００は、牽引ヒッチ２２０を介して牽引することで動かすことができる。代替的には、車両１００は駆動車輪を具え、ひいては自己電源供給型であってもよい。

動作時、車両は、噴霧液の塗布が意図された対象物体３１０または１または２列の対象物体３１０の隣を移動する。図４を参照すると、第１の送風機１２５を作動させて、第１のエアシステム３００を作り出すことができる。その結果、エアストリームがノーズ孔１１５から放出され、周辺の空気から遮断されうる領域を形成しながら車両１００を取り囲む。車両１００が前方に移動する、あるいは周辺の風が車両１００の周囲またはその地点で吹いたときに、第１のエアシステム３００は大量の周辺空気が進入するのを防ぐことができる。同様に、対象空間１１０内で循環している空気が領域外に流れ出る可能性を最小限にするか減少させるように、循環空気の実質的に隔離された領域を第１のエアシステム３００内に維持することができる。エアストリームが第１の送風機１２５を通過し、ノーズ孔１１５を通って再循環される前に、第１のエアシステム３００のエアストリームは車両１００の外側周囲を通過し、第１の空気取入孔１４０に吸い込まれる。第１のエアシステム３００は、再循環している空気の領域周辺に層流を有しうる。

第２の送風機１９０を作動させて、第２のエアシステム３０５を作り出すことができる。第２のエアシステム３０５は、第１のエアシステム３００内に取り囲まれた領域内を循環する空気を有する。第２のエアシステム３０５内に化学物質の噴霧液、エアロゾル、粒子状物質、および／または他の物質を閉じ込めることができる。エアストリームが第２の側方孔１７５および第２の中央孔２００から放出され、第１のエアシステム３００に取り囲まれた領域内の車両１００付近を循環する。第２の中央孔２００から放出された空気は、第２の中央孔２００内の羽板によって生じるようなサイクロン混合および循環を受けうる。第２のエアシステム３０５の空気は第２の取入孔２１０に引き込まれ、第２の送風機１９０へと第２の給気管２０５を通過し、第２の側方孔１７５および第２の中央孔２００を通って再循環されうる。第２のエアシステム３０５は、領域内および対象物体３１０の周囲に乱流を有しうる。

噴霧ノズル１８０は、エアストリームに混入された粒子状物質のような液状、エアロゾル状の噴霧液を放出することができる。噴霧ノズル１８０は、静電スプレーを放出するよう構成することができる。ポンプを作動させて、噴霧ホース１８５を通って保存タンクから噴霧ノズル１８０に噴霧液を送ることができる。一実施形態では、タンク内に保存された液体は、タンク若しくはその付近、またはノズル１８０に設置されたアトマイザによってエアロゾルに変換される。液体噴霧液と比較して対象物体３１０上の適用範囲を拡張することができるような場合には、噴霧液としてエアロゾルを選択的に塗布してもよい。

空気がシステムを通って再循環するため、噴霧液は第２のエアシステム３０５に入って、その中で同伴したままとなる。代替的な実施形態は、第２の側方孔１７５に配置されたノズル１８０を有さず、第２のエアシステムのどこかに噴霧液を放出する。大型の対象物体に噴霧液を塗布するために、体積流量および空気圧を高めて、それにより、空気が再循環する領域のサイズを増大させることができる。さらに、ノーズ孔１１５のサイズ、方向、および数を変更して、空気が再循環する領域の形状を変化させることができる。

ここで図５を参照すると、送風機アセンブリ１２５、１９０は第１のエアシステム３００および第２のエアシステム３０５（図４に示す）を作り出し、それにより、第２のエアシステム３０５の領域内に対象物体３１０を取り囲むように、車両１００は対象物体３１０の列の間を通ることができる。要求により、噴霧液は、殺虫剤、栄養素、殺菌剤、除草剤、枯葉剤などを含みうる。第２のエアシステム３０５の再循環およびその乱流特性により、中に同伴された噴霧液は多角度で対象物体３１０と接触し、ひいては多面をカバーすることができ、これにより、例えば、葉の上面と底面の双方に適用することができる。トラクタ、他の牽引車両によって牽引されるか、自己電源供給型であるかに関わらず、車両１００の速度は既存の噴霧方法の一般的なものであり、通常は時速４乃至５マイルとなりうる。

本開示の代替的な実施形態は、自動車用、宇宙空間用などの用途での塗料を噴霧するために利用することができる。複数の実施形態は、宇宙空間用などの用途での着氷防止噴霧液を噴霧する、路面に塗料を噴霧する、または噴霧液を対象物体に塗布する他の用途に利用することができる。

本実施形態の代替的な実施形態では、第１のエアシステム３００の層流を向上させて、第１のエアシステム３００と第２のエアシステム３０５が互いに混合するのを回避すべく、車両１００は前部および／または後部に湾曲した表面を具える。

本開示のシステムおよび方法は、従来の噴霧技術および方法に優る多くの利点を示している。噴霧液を対象物体３１０上により正確に塗布することができ、これにより、より少ないノズルを使用してもよい。噴霧液は、従来の方法よりも放出される化学物質が少なく、低い体積流量を用いて低い圧力で放出することができる。第２のエアシステム３０５でリキャプチャされ、再利用される噴霧液は、無駄な化学物質を少なくすることができ、これにより、大気中に放出される化学物質が少なくなり、全体的な費用が下がることとなる。

他の利点は、本開示のシステムは、大型の噴霧液リキャプチャシェルがないため、電力線などの障害物が頭上にある場合であっても、田畑に利用できる点である。他の利点は、第１のエアシステム３００がその中に閉じ込められた領域を隔離することができるため、比較的強い横風を受ける環境でも本開示の実施形態を利用することができる点である。

本開示は特定の実施形態の条件を使用しているが、本書に説明された全ての利点および特徴を提供しない実施形態を含む他の実施形態は、本開示の利益を有する当業者には明らかであり、そのような実施形態も本開示の範囲内に含まれる。本開示の概念および範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができると理解されたい。

Claims (10)

1. 対象物体を噴霧する方法において：
   対象空間の周囲に第１のエアストリームを作り出すステップと；
   前記対象空間内に第２のエアストリームを作り出すステップであって、前記第２のエアストリームは前記第１のエアストリームと反対方向に流動する、ステップと；
   前記対象空間内に対象物体を配置するステップと；
   前記対象空間内に噴霧液を放出するステップと、を具えることを特徴とする方法。
2. 請求項１に記載の方法がさらに、スプレーしぶきの少なくとも一部をリキャプチャするステップを具えることを特徴とする方法。
3. 請求項１に記載の方法において、前記噴霧液がエアロゾルを含むことを特徴とする方法。
4. 請求項１に記載の方法において、前記噴霧液が、中に混入された微粒子を有するエアストリームを含むことを特徴とする方法。
5. 請求項１に記載の方法において、前記噴霧液が液体を含むことを特徴とする方法。
6. 請求項１に記載の方法において、前記噴霧液が塗料を含むことを特徴とする方法。
7. 請求項１に記載の方法において、前記噴霧液が着氷防止剤を含むことを特徴とする方法。
8. 対象物体を噴霧する装置において：
   放射状に分布した複数の通気孔を通って第１のエアフローを誘導するよう構成された第１の送風機であって、前記放射状に分布した通気孔は、第１の方向に前記第１のエアフローを誘導し、且つ、対象空間の周囲に前記第１のエアフローを誘導するよう構成されている、第１の送風機と；
   第２の方向および前記対象空間内に第２のエアフローを誘導するよう構成された第２の送風機であって、前記第２の方向は前記第１の方向と略反対方向である、第２の送風機と；
   噴霧液を前記第２のエアフロー内に放出するよう構成された噴霧ノズルと；
   を具えることを特徴とする装置。
9. 請求項８に記載の装置がさらに車両フレームを具えており、
   前記第１の送風機、前記第２の送風機、および前記噴霧ノズルが、前記車両フレームに取り付けられていることを特徴とする装置。
10. 請求項９に記載の装置において、前記第１の方向が、前記車両フレームの前進方向と略平行であることを特徴とする装置。

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