JP2015232215A - 2重管用シール材 - Google Patents
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Abstract
Description
また、充填型シール材(特許文献3参照)は、2重管の間に装着して膨らますことでシールする。そして、外筒管の外側に連結した配管を介して充填材をシールされた空間に充填する。
ところが、特許文献2のリップ型シール材を内筒管に取り付けると、内筒管と外筒管との間のクリアランスが挿入精度による偏心などによって一定でなく、シール材の周長差によって円周方向に形状が変形し、皺が発生してシール材を外筒管の内周面に密着させることができないという問題がある。
また、特許文献3の充填型シール材では、内筒管への取り付けは可能であるが、充填材を充填する配管に加えてシール材を膨らますための配管を取り付ける必要があり、配管の準備などが煩雑になるという問題がある。
外筒管と、前記外筒管に挿通される内筒管との2重管の間に充填され前記外筒管と前記内筒管とを連結固定する充填材を、前記内筒管に設けたシール材取付部に取り付けてシールする2重管用シール材であって、
前記2重管用シール材は、前記シール材取付部に取り付けて固定され充填される前記充填材による荷重を支持する弾性素材で形成された環状の第1のシール部と、
前記第1のシール部に設けられ弾性素材で形成され前記外筒管との間の周長差を体積変化又は管軸方向への形状変形で吸収して前記外筒管の内周面に密着可能な環状の第2のシール部とを備える、
ことを特徴とする。
ようにしても良い。
ようにしても良い。
ようにしても良い。
ようにしても良い。
ようにしても良い。
この2重管用シール材10は、例えば水域構造物の基礎に用いられる2重管構造の外筒管1と内筒管2との間のシールに用いられる。
例として,伸縮ストラット工法では、外筒管1と内筒管2とが伸縮可能とされてストラット部材が構成される。ストラット部材は、水平方向に配置されて水域構造物の杭群の杭間に、ストラット部材の長さを調整して両端がそれぞれ取り付けられる。
2重管用シール材10は、内筒管2に取り付けられ、外筒管1と内筒管2との間にシールされた空間3を形成する。この空間3にグラウトなどの充填材4を充填することで、ストラット部材の長さが調整された外筒管1と内筒管2とが連結固定される。
これにより、ストラット部材で杭群の杭間を連結することで、水域構造物を補強する。
なお、シール材取付部5をリング状の円盤とせず、円周方向に複数に分割して取り付けるようにしても良い。
また、シール材取付部5は、円盤の内周面を内筒管2の外周面に水密状態で溶接するようにしても良い。この場合には、2重管用シール材10によって内筒管2の外周面との間を水密状態とする必要はなく、後述する内周シール部11cを省略することができる。
さらに、この第1のシール部11は、環状取付部11aの内周縁から斜めに突き出して内筒管2の外周面に密着させてシールする円錐板状の内周シール部11cを備えている。
これにより、第1のシール部11は、環状取付部11aと、その両側の外周シール部11bおよび内周シール部11cとで、横断面形状が略V字状で略厚みが一定の環状に形成されている。
外周シール部11bは、内筒管2の外周面に取り付けた状態で、充填材4の充填で押し広げられるように変形された場合に、充填材4による荷重(圧力など)に耐えることができるように弾性素材自体や硬さ(例えば、硬さが65度程度)、形状(例えば、厚みや突き出し長さや角度)が設定してある。
内周シール部11cは、図2に示すように、内筒管2の外周面に取り付けることで、斜めに突き出した状態から押し戻されるようになり、その際の弾性素材の反力で内筒管2の外周面に密着される。さらに、図4に示すように、充填材4の充填によっても内筒管2の外周面に押し付けられ、密着性を増大してシールする。
したがって、この内周シール部11cを設けた2重管用シール材10では、シール材取付部5を内筒管2の外周面に水密状態で設置しなくとも2重管用シール材10で内筒管2の外周面との間をシールすることができる。
第2のシール部12は、第1のシール部11の弾性素材にくらべて軟質の弾性素材が用いられ、平面的な変形に加えて立体的に形状変形できる一定量の厚みを備えている。すなわち、第2のシール部12は、周長差によって円周方向に圧縮力が加わると、円周方向と直交する管軸方向に伸びるように変形することができる。
第2のシール部12は、弾性素材として、例えば硬度が40度以下、好ましくは35度以下とされ、ゴムや合成樹脂、これらゴムや合成樹脂の発泡材が用いられる。また、第2のシール部12は体積変化した状態で外筒管1の内周面に密着させることができる厚みとしてある。
第2のシール部12の第1のシール部11への取り付けは、接着剤などが用いられる。また、第2のシール部12の弾性素材を、例えば、軟質ゴムとし、第1のシール部11を同一素材のゴムとすることで、プレス金型を用いて第1のシール部11と同時に成形して一体とすることができる。
すなわち、第2のシール部12の外周面は、円錐体頂部側の角度が急で長い円錐面12bと、これに続く角度の緩やかで短い円錐面12cとで構成されている。
これにより、第2のシール部12は、底面12d側が最も厚く体積も大きく、円錐体頂部側に向かって薄く体積も小さくなっている。これにより、第2のシール部12は、略円錐体状の最も体積が大きい底面12d側の縁部が外筒管1の内周面に最初に接触することになる。
そして、2重管用シール材10の環状取付部11aを内筒管2の外周面のシール材取付部5に当てて、取付孔11dとボルト孔5aとを合わせてボルト・ナット6で締め付けて固定する。
すると、内周シール部11cが弾性素材の弾性力と斜めに突き出した形状が押し広げられる形状効果によって内筒管2の外周面に密着されて水密状態となる。
次に、2重管用シール材10を内筒管2に取り付けた後、外筒管1に内筒管2を挿入する。外筒管1への挿入に際しては、シール材取付部5が挿入方向前方に位置し、後方に2重管用シール材10が位置するようにする。
しかし、この2重管用シール材10では、図3に示すように、軟質の第2のシール部12の体積変化又は管軸方向への形状変形によってこれを吸収して密着させてシールすることができる。
第2のシール部12に周長差による周方向の力が加わると、第2のシール部12に周方向への圧縮と同時に、内筒管2の軸方向への伸びと管軸方向への圧縮とが生じる。これらの形状変形は、軟質で一定量の厚みを有する第2のシール部12が体積変化又は管軸方向への形状変形することで吸収され、皺などを発生することなく、管軸方向の反力として外筒管1の内周面に密着されることになる。
また、外筒管1と内筒管2の間に2重管用シール材10を設置した状態では、図3に示すように、第1のシール部11の外周シール部11bが外側に広がろうとする力が生じ、これによっても第2のシール部12が外側に押され、第2のシール部12が外筒管1の内周面に密着される。
この第2のシール部12では、軟質であることおよび一定量の厚みを有することで、円周方向への形状変形に比べ体積変化を生じ易い。また、円周方向への形状変化に比べ外筒管1の挿入方向への形状変化が生じ易くなる。
これらの作用によって第2のシール部12は、周長差があっても円周方向への変形による皺の発生が防止され、外筒管1の内周面に密着させることができるのである。
内筒管2の挿入方向後方の2重管用シール材10は、図4に示すように、外筒管1への挿入距離も短いことから第2のシール部12を滑らすようにしながら外筒管1に挿入すれば良い。
空間3への充填材4の充填は、図4に示すように、ストラット工法の場合のように、水平に配置された外筒管1と内筒管2の場合には、外筒管1の下方の充填口7から充填し、外筒管1の上方にエア抜き口8を設けて行う。
2つの2重管用シール材10でシールされた空間3に充填材4を充填すると、図4に示すように、第1のシール部11の外周シール部11bを押し広げるように充填材4の荷重が加わる。第1のシール部11の外周シール部11bは、第2のシール部12に比べ硬質の弾性素材で構成され、充填材4の荷重に耐えることができるように弾性素材自体および形状などが設計してあるので、充填材4を水密状態で保持することができる。また、第2のシール部12にも充填材4の荷重が加わり、押し縮められるように変形し、水密状態を保持する。
これにより、外筒管1と内筒管2とをグラウトなどの充填材4で連結固定することができ、ストラット工法では、杭群の杭間を連結して補強することができる。
なお、2重管用シール材10によるシール構造として、2重管用シール材10による空間3の外側の外筒管1の内周面に、内側に突き出す反転防止金具を溶接などで設けておくようにすれば、充填材4の圧力が2重管用シール材10に加わった際に反転することを防止でき、高圧力であっても確実にシールすることができる。
2重管用シール材10Aは、図5および図6に部分横断面構造を示すように、シール材取付部5に取り付けて固定され充填される充填材4による荷重を支持する弾性素材で形成された環状の第1のシール部11Aの構成が異なるものである。なお、第1のシール部11Aに設けられ弾性素材で形成され外筒管1との間の周長差を体積変化又は管軸方向への形状変形で吸収して外筒管1の内周面に密着可能な環状の第2のシール部12は、既に説明したものと同一に構成してある。
このように外周シール部11bの角度θを変えて成形することで、外筒管1に挿通する場合の弾性反力を変えることができ、角度θを大きくすることで大きな弾性反力を得て第2のシール部12の外筒管1への押し付け力を高めることができる。
なお、2重管用シール材10Aでは、内筒管2の外周面に密着させてシールする内周シール部11cが省略してある。したがって、シール材取付部5を内筒管2の外周面に水密状態で設置することで、2重管用シール材10Aと内筒管2の外周面との間をシールするようにする。
2重管用シール材10Bでは、第1のシール部11Bの環状取付部11aが内筒管2の外周面に当てられる円筒状に形成される。そして、図7の場合には、円筒状の環状取付部11aのシールすべき空間3側の周縁から外周シール部11bが斜めに突き出して形成してある。一方、図8の場合には、円筒状の環状取付部11aのシールすべき空間3と反対側の周縁から外周シール部11bが、横断面形状をL字状として形成されるとともに、その先端から斜めに突き出すように形成され、全体として略コ字状に形成してある。そして、円筒状の環状取付部11aに取付孔11dがボルト孔5aに合わせて形成してある。
なお、第1のシール部11B以外の構成は、既に説明したものと同一に構成してある。
ただし、内周シール部11cの代用として内筒管2の外周面と外周シール部11bとの間をシールするために押え板13をボルトで締付する必要がある。
また、シール材取付部5は、ボルト孔5aを形成するだけで良く、内周シール部11cを内筒管2に設けることなく、2重管用シール材10Bと内筒管2の外周面との間をシールすることができ、2重管用シール材10Bの構成を一層簡素化することができる。
なお、シール材取付部5を内筒管2の外周面とし、環状取付部11aを内筒管2の外周面に接着することで取り付けるようにすることもできる。この場合には、構造を一層簡素化することができる。
また、2重管用シール材10の環状取付部11aを予め金属製のリング状の取付筒に接着しておき、内筒管2の外周面をシール材取付部5として取付筒を溶接して取り付けるようにすることもできる。
2つの支持金具5b、5cのうち、シールすべき空間3の外側に位置する支持金具5bは、内筒管2の外周面に溶接される。もう一方の支持金具5cは内筒管2に形成したボルト孔5aにボルト・ナット6により取り付けるようにしたり、溶接によって取り付けられる。
2重管用シール材10Cでは、第1のシール部11Cの環状取付部11aが内筒管2の外周面に当てられる円筒部と垂直部とで横断面形状が略逆T字状に形成され、円筒状の環状取付部11aの中央部から突き出した垂直部の端縁部に外周シール部11bが斜めに突き出して形成してある。
なお、シール材取付部5および第1のシール部11C以外の構成は、既に説明したものと同一に構成してある。
あるいは、環状取付部11aを支持金具5b、5cの間から押し込むことに代えて、一方の支持金具5bを予め内筒管2に取り付けておき、2重管用シール材10Cの片方の環状取付部11aを装着した後、もう一方の支持金具5cで押えるようにし、内筒管2のボルト孔5aにボルト・ナット6で締め付けて取り付けるようにしたり、溶接で取り付けるようにする。
このような1対の支持金具5b、5cの間に2重管用シール材10Cを装着した場合には、充填材4が充填されることで、第1のシール部11Cが押されることで、支持金具5bに押し付けられ、これによって内筒管2の外周面と第1のシール部11Cとの間がシールさせることになる。
また、シール材取付部5の支持金具5b,5cを予め溶接しておくことで、2重管用シール材10Cの取り付けの際にボルト・ナットの締め付け作業が不要となる。
また、一方の支持金具5bを予め取り付けておくことで、2重管用シール材10Cの取り付けの際の位置決めが支持金具5bに当てるだけで行われ、施工が容易にできる。
また、同一素材を用いているので、金型成型で一体にすることができ、製造も容易となる。
また、第1のシール部の形状や第2のシール部の形状は、上記実施の形態に示したものに限るものではなく、第1のシール部では、主として充填材の荷重を支持できる耐圧性を有するものであれば良く、第2のシール部では、体積変化又は管軸方向への形状変形を許容して外筒管の内周面に密着させることができ、柔軟性と一定量の厚みがあれば良い。
また、上記実施の形態では、第1のシール部は、一定の厚みの板状の弾性素材で横断面形状を略V字状としたり、略L字状としたが、これらに限らず、横断面形状を中空の台形状など周囲が閉じられた形状にするようにしても良い。
第1のシール部は中空部内を複数に分割することで、耐圧強度を高めることができ、特に外筒管と内筒管との隙間が大きい場合で第1のシール部を長くする必要がある場合に有効となる。
また、第2のシール部は、軟質ゴムなどに蜂の巣状などの中空部を備えたもので構成することもできる。
2 内筒管
3 空間
4 充填材
5 シール材取付部
5a ボルト孔
5b 支持金具
5c 支持金具
6 ボルト・ナット
7 充填口
8 エア抜き口
10 2重管用シール材
10A 2重管用シール材
10B 2重管用シール材
10C 2重管用シール材
11 第1のシール部
11A 第1のシール部
11B 第1のシール部
11C 第1のシール部
11a 環状取付部
11b 外周シール部
11c 内周シール部
11d 取付孔
12 第2のシール部
12a 中空内面
12b 第1円錐面
12c 第2円錐面
12d 底面
13 押え板
θ 外周シール部の管軸方向に対する角度
Claims (6)
- 外筒管と、前記外筒管に挿通される内筒管との2重管の間に充填され前記外筒管と前記内筒管とを連結固定する充填材を、前記内筒管に設けたシール材取付部に取り付けてシールする2重管用シール材であって、
前記2重管用シール材は、前記シール材取付部に取り付けて固定され充填される前記充填材による荷重を支持する弾性素材で形成された環状の第1のシール部と、
前記第1のシール部に設けられ弾性素材で形成され前記外筒管との間の周長差を体積変化又は管軸方向への形状変形で吸収して前記外筒管の内周面に密着可能な環状の第2のシール部とを備える、
ことを特徴とする2重管用シール材。 - 前記第1のシール部と前記第2のシール部とは、前記第1のシール部に比べ前記第2のシール部を軟質かつ管軸方向への形状変形を可能とする厚みを有する前記弾性素材で構成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の2重管用シール材。 - 前記第1のシール部と前記第2のシール部とを同一弾性素材として一体に成形されて構成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の2重管用シール材。 - 前記第1のシール部は、前記内筒管の外周面に密着してシールする内周シール部を有して構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の2重管用シール材。 - 前記第2のシール部は、ゴム、合成樹脂、ゴム・合成樹脂の発泡材のいずれかで形成されて構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の2重管用シール材。 - 前記第2のシール部は、前記内筒管の前記シール材取付部から前記外筒管の内周面に向かって厚さが次第に厚く形成されて構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の2重管用シール材。
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