JP2015231366A - 極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統のスクリーニング方法、およびそれを用いた極晩抽性アブラナ科植物の製造方法 - Google Patents

極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統のスクリーニング方法、およびそれを用いた極晩抽性アブラナ科植物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 交雑により極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統のスクリーニング方法、およびこれを用いた極晩抽性アブラナ科植物の製造方法の提供を目的とする。【解決手段】 本発明のスクリーニング方法は、交雑により極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統として、アブラナ科植物の候補群から、極晩抽性マーカーセットとして少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有する植物を選抜する工程を含み、前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統のスクリーニング方法、およびそれを用いた極晩抽性アブラナ科植物の製造方法に関する。
アブラナ科のモデル植物のシロイヌナズナでは、低温条件、長日条件、ジベレリン、自律系因子等が、開花誘導に関与することが報告されている(非特許文献1)。前記低温条件下で処理されたシロイヌナズナでは、FLOWERING LOCUS C遺伝子(FLC遺伝子)の発現が抑制され、これにより他の開花関連遺伝子の誘導が促進され、開花が誘導される(非特許文献2)。また、シロイヌナズナでは、FLC遺伝子の第1イントロンが、FLC遺伝子の発現抑制に関与することが報告されている(非特許文献3)。
アブラナ科植物であるダイコン(Raphanus sativus .)は、シロイヌナズナと同様に、低温条件と長日条件とにより、花芽が分化し、抽台(花茎の伸長)および開花の誘導が促進される(非特許文献4)。低温期に種を蒔くダイコン栽培では、低温条件による抽台が生じやすく、また、抽台が誘導された前記ダイコンは、根の肥大が止まるため、商品価値が著しく低下する。このため、低温条件下において、抽台および開花が誘導されにくい、いわゆる晩抽性品種が求められている。
このように、商品価値の点から育種対象のアブラナ科植物が晩抽性であることが求められる一方、さらに、後代を育種するためには、開花させて交雑を行い、後代系統(例えば、F1)を採種することも必要である。しかしながら、他家受粉の場合、第1の親系統と第2の親系統との間で晩抽性が一致しなければ、抽台および開花の時期がずれてしまい、受粉が行えず、F1の採種が困難となる。また、アブラナ科植物の品質改良において、例えば、品質Aに優れる第1の親系統と、品質Bに優れる第2の親系統とを交配し、品質Aと品質Bの両方に優れる後代系統の採種が望まれる。しかしながら、前述のように、前記第1の親系統と前記第2の親系統との間で晩抽性が一致しなければ、受粉が困難である。さらに、アブラナ科植物の抽台および開花時期は、客観的に簡便に判断することができないため、実際の育種で確認するしかなく、多大な時間とコストを要するという問題がある。
Sung and Amashino(2005) Ann.Rev.Plant.Biol. 56:491−508 Michaels,S.D.&Amashino,R.M.(1999) Plant Cell 11:949−956 Cao R et al.(2002)Science 298:1039−1043 松本正雄、村上睦朗、「IV 花成の生理」、農業技術体系 野菜編 第9巻 ダイコン・ニンジン・カブ・ゴボウ、1983年、57−61頁
そこで、本発明は、交雑により極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統のスクリーニング方法、およびこれを用いた極晩抽性アブラナ科植物の製造方法の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のスクリーニング方法は、交雑により極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統として、アブラナ科植物の候補群から、極晩抽性マーカーセットとして少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有する植物を選抜する工程を含み、前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方であることを特徴とする。
本発明の交雑により極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統アブラナ科植物は、受託番号FERM BP−22259で特定されるアブラナ科植物またはその後代系統であることを特徴とする。
本発明の製造方法は、極晩抽性の後代系統であるアブラナ科植物の製造方法であり、第1の親系統と第2の親系統とを交雑することによって、極晩抽性の後代系統であるアブラナ科植物を得る交雑工程を含み、前記第1の親系統と前記第2の親系統が、それぞれ、極晩抽性マーカーセットとして少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有するアブラナ科植物であり、前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方であることを特徴とする。
本発明の極晩抽性アブラナ科植物は、前記本発明の製造方法により得られることを特徴とする。
本発明のマーカーセットは、アブラナ科植物の極晩抽性マーカーセットであり、少なくとも2種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を含み、前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方であることを特徴とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、アブラナ科植物について、極晩抽性を示すマーカーセットとして、3種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を見出した。前記マーカーセットのうち少なくとも2種類のマーカーをホモ接合型で有するアブラナ科植物は、極晩抽性を示す。このため、本発明のスクリーニング方法によれば、例えば、アブラナ科植物の候補群から、前記少なくとも2種類のマーカーをホモ接合型で有する植物を選抜することで、極晩抽性アブラナ科植物を得ることができる。そして、前記スクリーニング方法によって得られた前記少なくとも2種類のマーカーをホモ接合型で有するアブラナ科植物を、例えば、交雑の前記第1の親系統および前記第2の親系統として使用すれば、両者は、抽台および開花の時期が重複するため、両者の交雑が可能であり、受粉により、F1を容易に採種できる。また、前記第1の親系統と前記第2の親系統とが、例えば、少なくとも2種類のマーカーをホモ接合型で共通して有している場合、ホモ接合型の前記少なくとも2種類のマーカーをホモ接合型で有する前記第1の親系統と前記第2の親系統とを交雑しているため、得られるF1についても、前記両親系統が有する極晩抽性を受け継がせることができる。さらに、本発明によれば、品種改良において、例えば、望ましい品質を有する候補群から、前記少なくとも2種類のマーカーをホモ接合型で有する植物を選抜し、親系統として使用することにより、極晩抽性を保持し且つ前記品質も有するF1の採種が可能となる。このため、本発明によれば、例えば、品質がよく、商品価値が高いアブラナ科植物を生産できる。したがって、本発明は、例えば、農業、育種等の分野におけるアブラナ科植物の採種および生産に、極めて有用である。
図1は、実施例1におけるプライマーセットの設計の概略を示す図である。 図2は、実施例1における選抜系統27−1のFLC1遺伝子、FLC2遺伝子およびFLC3遺伝子の増幅産物を示す電気泳動写真である。
(1)親系統のスクリーニング方法
本発明のスクリーニング方法は、前述のように、交雑により極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統のスクリーニング方法であり、前記親系統として、アブラナ科植物の候補群から、極晩抽性マーカーセットとして少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有する植物を選抜する工程を含み、前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方であることを特徴とする。
本発明のスクリーニング方法によれば、前記極晩抽性マーカーセットによって、極晩抽性の親系統を得ることができる。このため、本発明のスクリーニング方法により得られた親系統を、第1の親系統および第2の親系統として交雑に使用すれば、前記両者は、共に極晩抽性であるため、前述のように、抽台および開花の時期が重複し、F1を容易に採種できる。
抽台とは、一般に、花茎(花をつけた茎)が伸びだすことを意味する。本発明において、「極晩抽性」とは、前記抽台までの期間が長いこと、前記抽台に関連する花芽形成または開花までの期間が長いことを意味する。具体的に、本発明における前記極晩抽性は、例えば、アブラナ科植物を低温条件で処理した場合、前記低温条件での処理の最終日を基準として、花芽形成(花芽分化と同義)、抽台または開花までの期間により判断できる。
本発明において、「アブラナ科植物」は、Brassicaceaeである。
前記アブラナ科植物は、特に制限されず、例えば、ダイコン属(Brassicaceae Raphanus)、アブラナ属(Brassicaceae Brassica)、シナピス属(Brassicaceae Sinapis)等があげられる。前記ダイコン属は、特に制限されず、例えば、ダイコン種(Raphanus sativus)、キバナダイコン種(Raphanus raphanistrum)等があげられる。前記アブラナ属は、特に制限されず、例えば、ラパ種(Brassica rapa)、キャベツ種(Brassica oleracea)、セイヨウアブラナ種(Brassica napus)等があげられる。前記ダイコン種は、例えば、ダイコン、ハツカダイコン等があげられる。前記ラパ種は、例えば、アブラナ、ハクサイ、カブ、コマツナ、チンゲンサイ、ノザワナ、ミズナ、サイシン等があげられる。前記キャベツ種は、例えば、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、ケール、コールラビ、カイラン等があげられる。前記セイヨウアブラナ種は、例えば、ナタネ、ルタバガ等があげられる。
本発明において、FLC遺伝子は、FLC(Flowering locus C)タンパク質をコードするゲノム遺伝子であり、エキソンと、前記エキソン間のイントロンとを含む塩基配列を意味する。
本発明のスクリーニング方法における前記極晩抽性マーカーセットは、後述する本発明の極晩抽性マーカーセットである。前記極晩抽性マーカーセットは、少なくとも2種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を含み、前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方である。
本発明において、前記極晩抽性マーカーセットは、前記マーカーとして、少なくとも前記2種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を含んでいればよい。前記極晩抽性マーカーセットは、例えば、マーカーとして、アブラナ科植物が有する全てのFLC遺伝子の前記ホモ接合型の変異遺伝子を含んでもよい。前記アブラナ科植物において、前記ダイコンは、3種類のFLC遺伝子を有し、前記ハクサイは、4種類のFLC遺伝子を有する。このため、前記極晩抽性アブラナ科植物がダイコンの場合、例えば、前記2種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を、前記極晩抽性マーカーセットとしてもよいし、前記3種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を、前記極晩抽性マーカーセットとしてもよい。また、前記極晩抽性アブラナ科植物がハクサイの場合、例えば、前記2種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を、前記極晩抽性マーカーセットとしてもよいし、前記3種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を、前記極晩抽性マーカーセットとしてもよいし、前記4種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を前記極晩抽性マーカーセットとしてもよい。
以下、アブラナ科植物が3種類のFLC遺伝子を有する場合を例にあげ説明するが、前記アブラナ科植物が有するFLC遺伝子の種類数は、特に制限されない。前記3種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を、以下、第1の変異FLC遺伝子、第2の変異FLC遺伝子および第3の変異FLC遺伝子という。前記2種類の変異FLC遺伝子の組合せは、特に制限されず、例えば、前記第1の変異FLC遺伝子、前記第2の変異FLC遺伝子および前記第3の変異FLC遺伝子からなる群から選択された少なくとも2つの変異FLC遺伝子であり、より精度よく極晩抽性のアブラナ科植物を選抜できることから、好ましくは、前記第1の変異FLC遺伝子または前記第3の変異FLC遺伝子と、前記第2の変異FLC遺伝子との組合せである。具体的に、前記極晩抽性マーカーセットとして2種類の変異FLC遺伝子を含む場合、前記2種類の変異遺伝子の組合せは、例えば、前記第1の変異FLC遺伝子と前記第2の変異FLC遺伝子との組合せ、前記第1の変異FLC遺伝子と前記第3の変異FLC遺伝子との組合せ、前記第2の変異FLC遺伝子と前記第3の変異FLC遺伝子との組合せであり、より精度よく極晩抽性のアブラナ科植物を選抜できることから、好ましくは、前記第1の変異FLC遺伝子と前記第2の変異FLC遺伝子との組合せ、前記第2の変異FLC遺伝子と前記第3の変異FLC遺伝子との組合せである。前記2種類の変異FLC遺伝子は、例えば、1種類が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子であり、1種類が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子または前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子である。具体的には、例えば、前記第1の変異FLC遺伝子は、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子であり、前記第2の変異FLC遺伝子は、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子であり、前記第3の変異FLC遺伝子は、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子である。また、前記極晩抽性マーカーセットとして3種類の変異FLC遺伝子を含む場合、前記3種類の変異遺伝子の組合せは、例えば、前記第1の変異FLC遺伝子と前記第2の変異FLC遺伝子と前記第3の変異FLC遺伝子との組合せである。前記3種類の変異型FLC遺伝子は、例えば、2種類が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子であり、1種類が、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子である。具体的には、例えば、前記第1の変異FLC遺伝子は、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子であり、前記第2の変異FLC遺伝子は、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子であり、前記第3の変異FLC遺伝子は、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子である。
前記第1の変異FLC遺伝子は、例えば、正常FLC1遺伝子に対する挿入変異遺伝子であり、「変異FLC1遺伝子」または「挿入変異FLC1遺伝子」ともいい、前記第2の変異FLC遺伝子は、例えば、正常FLC2遺伝子に対する挿入変異遺伝子であり、「変異FLC2遺伝子」または「挿入変異FLC2遺伝子」ともいい、前記第3の変異FLC遺伝子は、例えば、正常FLC3遺伝子に対する欠失変異遺伝子であり、「変異FLC3遺伝子」または「欠失変異FLC3遺伝子」ともいう。本発明において、前記変異FLC1遺伝子、前記変異FLC2遺伝子および前記変異FLC3遺伝子は、例えば、イントロンが変異した変異遺伝子であり、それぞれ、前記正常FLC1遺伝子の第1イントロン、前記正常FLC2遺伝子の第1イントロンおよび前記正常FLC3遺伝子の第1イントロンが変異した変異遺伝子であることが好ましい。前記第1イントロンは、第1エキソンと第2エキソンとの間の塩基配列を意味する。
前記挿入変異遺伝子のうち前記変異FLC1遺伝子において、挿入された塩基対の個数は、下限が、1個以上であり、好ましくは、100個以上、500個以上、1000個以上、1500個以上、1800個以上であり、上限が、例えば、3000個以下、2500個以下、2200個以下であり、範囲が、例えば、1〜3000個、100〜3000個、500〜3000個、1000〜2500個、1500〜2500個、1800〜2200個、2000個前後(例えば、2000±100個)、1900個前後(例えば、1900±100個)、1910個前後(例えば、1910±100個)である。前記挿入塩基対の個数は、例えば、前記挿入変異遺伝子と前記正常遺伝子とをアライメントした際、対応する両者の所定領域における、前記挿入変異遺伝子の長さ(塩基長)と前記正常遺伝子の長さ(塩基長)との差ともいえる。本発明において、塩基数等の個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。つまり、例えば、「1〜5個」との記載は、「1、2、3、4、5個」の全ての開示を意味する(以下、同様)。
前記挿入変異遺伝子のうち前記変異FLC2遺伝子において、挿入された塩基対の個数は、下限が、1個以上であり、好ましくは、100個以上、500個以上、1000個以上、1300個以上であり、上限が、例えば、2500個以下、2000個以下、1700個以下であり、範囲が、例えば、1〜2500個、100〜2500個、500〜2500個、1000〜2500個、1000〜2000個、1300〜1700個、1500個前後(例えば、1500±100個)、1600個前後(例えば、1600±100個)、1626個前後(例えば、1626±100個)である。前記挿入塩基対の個数は、例えば、前記挿入変異遺伝子と前記正常遺伝子とをアライメントした際、対応する両者の所定領域における、前記挿入変異遺伝子の長さ(塩基長)と前記正常遺伝子の長さ(塩基長)との差ともいえる。
前記欠失変異遺伝子である前記変異FLC3遺伝子において、欠失した塩基対の個数は、下限が、1個以上であり、好ましくは、10個以上、20個以上、30個以上であり、上限が、例えば、300個以下、200個以下、100個以下、70個以下であり、その範囲が、例えば、1〜300個、10〜300個、20〜200個、20〜100個、30〜50個、50個前後(例えば、50±10個)、55個前後(例えば、55±10個)、57個前後(例えば、57±10個)である。前記欠失塩基対の個数は、例えば、前記欠失変異遺伝子と前記正常遺伝子とをアライメントした際、対応する両者の所定領域における、前記欠失変異遺伝子の長さ(塩基長)と前記正常遺伝子の長さ(塩基長)との差ともいえる。
本発明において、前記第1の変異FLC遺伝子、前記第2の変異FLC遺伝子および前記第3の変異FLC遺伝子は、例えば、それぞれ、配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマーとの組合せである下記プライマーセット1、配列番号3の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号4の塩基配列からなるリバースプライマーとの組合せである下記プライマーセット2、および、配列番号5の塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号6の塩基配列からなるリバースプライマーとの組合せである下記プライマーセット3で、所定の長さの断片が増幅される遺伝子である。
プライマーセット1
フォワードプライマー (配列番号1)
5'-GTTTCCTAACTGATTCTTAATTTCC-3'
リバースプライマー (配列番号2)
5'-GAAGAAAAAGGTTTTGGTGAGGTGG-3'
プライマーセット2
フォワードプライマー (配列番号3)
5'-GCAGATCTCTTGTGGATTTCTCGG-3'
リバースプライマー (配列番号4)
5'-CTTCAGATCCTCAAGGAGTTCTAAG-3'
プライマーセット3
フォワードプライマー (配列番号5)
5'-GTAGTTTTGAAATTTTGTTAGGC-3'
リバースプライマー (配列番号6)
5'-CCACTTCTTAATTATTTTTAGC-3'
すなわち、前記第1の変異FLC遺伝子は、前述のように挿入変異遺伝子であるため、例えば、前記プライマーセット1で前記第1の正常FLC遺伝子を増幅した断片よりも、長い断片が得られる。前記第1の変異FLC遺伝子は、例えば、プライマーセット1で断片が増幅される遺伝子であり、前記断片長の下限が、例えば、1.2kbp以上、1.5kbp以上、2kbp以上、2.3kbp以上であり、前記断片長の上限が、例えば、4kbp以下、3kbp以下、2.8kbp以下であり、その範囲が、例えば、1.2kbp〜4kbp、1.2kbp〜3kbp、2kbp〜2.8kbp、2.6kbp前後(例えば、2.6±0.2kpb、2.6±0.1kbp)、2.55kbp前後(例えば、2.55±0.2kpb、2.55±0.1kbp)である。他方、前記第1の正常FLC遺伝子は、例えば、前記プライマーセット1で増幅した場合、前記第1の変異FLC遺伝子よりも短い断片が増幅される遺伝子であり、前記断片長の下限は、例えば、0.3kbp以上、0.4kbp以上であり、前記断片長の上限は、例えば、1kbp以下、0.8kbp以下であり、その範囲は、例えば、0.3kbp〜1kbp、0.4kbp〜1kbp、0.4kbp〜0.8kbp、0.6kbp前後(例えば、0.6±0.1kbp、0.6±0.05kbp)である。
また、前記第2の変異FLC遺伝子は、前述のように挿入変異遺伝子であるため、例えば、前記プライマーセット2で前記第2の正常FLC遺伝子を増幅した断片よりも、長い断片が得られる。前記第2の変異FLC遺伝子は、例えば、プライマーセット2で断片が増幅される遺伝子であり、前記断片長の下限は、例えば、1.2kbp以上、1.5kbp以上、1.8kbp以上であり、前記断片長の上限は、例えば、4kbp以下、3kbp以下、2.8kbp以下、2.5kbp以下であり、その範囲は、例えば、1.2kbp〜4kbp、1.2kbp〜3kbp、1.5kbp〜2.5kbp、1.8kbp〜2.5kbp、2kbp前後(例えば、2±0.2kbp、2±0.1kbp)、2.2kbp前後(例えば、2.2±0.2kbp、2.2±0.1kbp)である。他方、前記第2の正常FLC遺伝子は、例えば、前記プライマーセット2で増幅した場合、前記第2の変異FLC遺伝子よりも短い断片が増幅される遺伝子であり、前記断片長の下限は、例えば、0.3kbp以上、0.4kbp以上、0.5kbp以上であり、前記断片長の上限は、例えば、1kbp以下、0.8kbp以下であり、その範囲は、例えば、0.3kbp〜1kbp、0.4kbp〜1kbp、0.4kbp〜0.8kbp、0.5kbp前後(例えば、0.5±0.1kbp、0.5±0.05kbp)である。
また、前記第3の変異FLC遺伝子は、前述のように欠失変異遺伝子であるため、例えば、前記プライマーセット3で第3の正常FLC遺伝子を増幅した断片よりも、短い断片が得られる。前記第3の変異FLC遺伝子は、例えば、プライマーセット3で、断片が増幅される遺伝子であり、前記断片長の下限は、例えば、100bp以上、120bp以上であり、前記断片長の上限は、例えば、180bp以下、170bp以下であり、その範囲は、例えば、100〜180bp、100〜170bp、120〜170bp、150bp前後(例えば、150±10bp)、140bp前後(例えば、140±10bp)である。他方、前記第3の正常FLC遺伝子は、例えば、前記プライマーセット3で増幅した場合、前記第3の変異FLC遺伝子よりも長い断片が増幅される遺伝子であり、前記断片長の下限は、例えば、190bp以上、前記断片長の上限は、例えば、300bp以下、250bp以下、230bp以下であり、その範囲は、例えば、190〜300bp、190〜250bp、200bp前後(例えば、200±10bp)である。
前記第1の変異FLC遺伝子において、挿入された塩基対の塩基配列は、特に制限されず、例えば、下記(a)のポリヌクレオチドである。前記(a)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(a1)、(a2)、または(a3)のポリヌクレオチドである。前記(a2)および前記(a3)は、それぞれ、前記アブラナ科植物の極晩抽性に関して前記(a1)と同等の機能を有するポリヌクレオチドである。前記(a1)のポリヌクレオチドは、例えば、後述する受託番号FERM BP−22259で寄託されたアブラナ科植物から得ることができる。
(a) 下記(a1)、(a2)、または(a3)のポリヌクレオチド
(a1)配列番号10の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(a2)配列番号10の塩基配列において、1もしくは数個の塩基対が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド
(a3)配列番号10の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド
配列番号10
5'-GCCCTAATTTGTAAACGCTCCCAGGCACATATTACGAGGCCGCCGCACTTCATCTTCCCCCTCGACGCCGGCGGCGGATCTGCTTGCCGGCGTCGCCATCCTTCCTTTTCTCTCATGTCTAGCTTCATCGTCCTCATCATGTATCTCGTTTTCCTCCATTTTCGTCATCAAATCCCTCCGCCACCTGGCAAAAACCCACCCGGAAATCCTATTTTTATTTCTCTTCTTTCCCCGCTTCGTTCTTCGTTTACTTGGTTCACACCCTCTATCTCCGTTTCGTTACTGTACGCTACTACCTACAACGCCTACGCCGTCATCACTACCTACCTACTACGCCGTCGTCACTACCTACCTACTCGCCGTCGTCACTACCCGCATCCCGTTTACACCGTACGTCACTACCCCATCCCGTCTCACCGTCGTCACTACCCCCATCCCGCCTCGCCGTCGTCACTTACTACATCTCGTCTCGCCGCCGTCACCTCCTCCATCTCGCCTCGCCGCCGCTCTTCCATCTCGCCTCGCCGCCGCTCCTCCATCACGTCTCGACTTTGCTTCCCCAGTTCGTCTTGCCGCCGTTACCTTCCAAGCGCATCGTTGAGACCGCGACTCCACCTAGTTCGAGCGGAAACCCCGGAGCTTCTCAGTCTGAGCGTGGGCCCAACAGAGTCATTCATTGTTCTGTGGCCGCCGCACCTCCGCCTGCTCTCCTCCTCCGACTGGAACGAGCTAGGTTCAGACAAGGAGTCCGCCGCTCTGCTGTGCTTTTTCACCCCTTGATAGCTGCCTCTCCGGTCTTTCTACCACAGACTTTATACCTGACAATCGAGGCAGGCCTATCTAGCCCAAGGTTTCTATGGAGCTAAAGTTACATTGTCTTAATCTCATTCTCCTAGTGACCGCCGGATCTATTGTGCAAGAGTGTTGTTTCGCCAGGTTAACTCATTATTATTTCACCGATGCGACTCTATCACACTACGCCGTCTCAAGCATCGACGGTTCTTCACATGGCCGGACCTATGGCCCTCCCATTCTCCTCGTCGCTAGAACTACTGTGCAAGAGTGTAGATTCGCCAGATCTATAAACTCCATCACCGTTGCGAGTCCATCACATTATGCCGTCTCAAGCATCGACGGTTCTTCACAGAGTCAACTATACGACCTAACTGAAACTGCTATCCTCAACAGAGGTTCCCCATGGAATATTACACCAACTCAATCACTGTACTTCAACTACAACTCAGATGGTCTATGCCTCATCTCCAAGTTGACAGGTTCCGTAAATCAGCCTTTCAGACTCGGTTTCACAAAAGCTCGCGTACCCCGGCACGGTAATGTTGGTGTTAGATGCTTTGATTTGACCAAAGTTCTGGCTGTATCATCGTATCCAGTTAACCTCCTCTCTATTGGCTGCTCTGAAGCAAGTATTGGTATTTTTGAGACTCACCTAGTCTCATCATCTTCCTCACGGGATAGTTATGTTCTTCATTGTACTTGAGATTCACCCAGTCTCTTCAGTGAGTTTTGCCGGTTTCAGAGTTAATCATGGTTGTTTCAATGCCAAATCAAGTCAGTTAGGACTTCATATCCTCGATGAGTATGTTGCATACGGATCTGGAGCTTCTCACCAAAAGTTCTTGCCAGCCAACATTCCAATCTCAACGGTGCATCAACGTCGTTTCGACTATCATCAATTGTTCTATGAAACAATAGTTTTTGGACCTCAAGTGAAGTATCTCTCTGGGTTCCTTCACTCCTTAAACATATCTATCTCTCTTGTTGTAGTGTTTGTTTTTCAGCTTGTTGCCGTTGAGTTTTTCTTCGGTTGTACTTTTTAAGTTTCTCGGACCGTTAGATTAATATAATCATTCAGTTGACAAAAAAAAAAAAAAAAATATAGATGATTTTCT-3'
前記(a2)のポリヌクレオチドにおいて、前記「1もしくは数個」は、例えば、1〜382個、1〜287個、1〜191個、1〜96個、1〜77個、1〜58個、1〜39個、1〜20個、1〜10個、1〜5個、1個、2個、3個、または4個である。
前記(a3)のポリヌクレオチドにおいて、前記「同一性」は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。前記「同一性」は、2つの塩基配列をアライメントすることによって求めることができる(以下、同様)。
前記第2の変異FLC遺伝子において、挿入された塩基対の塩基配列は、特に制限されず、例えば、下記(b)のポリヌクレオチドである。前記(b)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(b1)、(b2)、または(b3)のポリヌクレオチドである。前記(b2)および前記(b3)は、それぞれ、前記アブラナ科植物の極晩抽性に関して前記(b1)と同等の機能を有するポリヌクレオチドである。前記(b1)のポリヌクレオチドは、例えば、後述する受託番号FERM BP−22259で寄託されたアブラナ科植物から得ることができる。
(b) 下記(b1)、(b2)、または(b3)のポリヌクレオチド
(b1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b2)配列番号11の塩基配列において、1もしくは数個の塩基対が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド
(b3)配列番号11の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド
配列番号11
5'-TTTTTTGTAACACAGCTTATATTATAAAAGGTTCAAGGAGCATCATCGGTTACAACTGAAGTAAAAGATTCCGGAGCCATGCTCGACGGTCTAACGAAGCTAAAAGACATTACAAAACAACTAAAGATAAAACCATCTAGGGGCGAGTCATGCTCAGCGAAATGAAGAAACCCGAAAGGAAGCTCCACTTTTGATCCCATGGCGATTGTTCCTAAGAACAATTGATAGTCGAAAACGACGTTGATACACCTTGTGTTGTTGACTGGCCAGAGCTTAAGGTGAGAAGCTCTAGAAACGTAGACGACACTGAAAGTACGGAGTCCTATCTGACTTGATTTGGCGCTGAAACAAGAACACTTAGCTTTAAACCCAACACAGCTTACCGAAGAGACTAGGTGAATCTCAAGCTCTAGCTTCACCTCCAAAGAGGTGCTTAGGATGAAGATTGATGACGGAGATGAAAGTTTAATTGGGTCCAAACCTCGGAACTCGACATTACCGTGTTGAGCCCAACAAGTTATACCCAAAAGAGAACTAATCATACAGTCATCGTACTCATTCAACCTGAACGTGTGTGAGCAAACATCGGATAAAAGGTAAAAAGCTTTGAGGAGATTGGGTCTTCGTGTACCAACTCCGGTTTGAAGGTCGCATAGTTGACTCTGTGAAGAACCGTCGATGCTTGAGACGGCGTAATGTGATAGAAGCGCAGCTGTGACATAATAGCAAACAAATCTGGCGCGTCTACACTCTTGCACAATAGTCCTGGCGACGAGGAAAAAGGTGAGAGGATCACGCCGTGAAGAACCGTCGATGCTTGAGACGGCGTAATGTGTTGGAAACGCAACGTTGACATAGTAACAAGCAAAACTGGCGAGTCCACATTCTTGCACGGTAGATCCGGTGATAAGGCGAGTGGTAAAAGAGGCGACGAAAGGGGCGAGAGAGGTGGTGGCGGTTGATACTCTCTTCATCTCCGGTTCCATAAATGTATATGAGACTAGATACTGCAGTATGGATGAATAAATCGGAGGGATTCGTCGAAGGAGGCCGTAGTGGTGAAGCTTTAGAACTCGTGAAGCGTAGGCCTGTGGAGACTCGACGGAGCTTGGCGGATTTACAGCGACTGAGAGACTCACAGATCTGTTGAGTCCAACCTCATGCTTAGAAGATCCAGCTTTCTCCCTTGAACTAAGCGGAGTAAGAGCGACGACGGTGAGGCGATGAGCAGCGGCGACGGTAGGGAGCCGAACAGATCCTGTGAACTCACACCGGAACTGAGAAGATTTTACGGTGAGGCGCGGAGTGACTTCGACGGTGACACTAGAAGATGAAACAATGTCGTTGAAAGATTTGACTTTCAGTGTTATTGACATACAGCTTTCTTCCTGGATGCACGATGTCCTCAAGATATCAGAGCAGCAGCTATGGTGAGGGGAGATGAAGCTTGAGCAGGTTGACCCAAAGATATGACTCATCTCCATCAGAGAAGTGAGTAGATCTAGAGGTGATGAAACAAGGACTGGAGAAAACGAGAACAGAGCGTTGGAGAGGATGACCTGAGAAGAGGAACAGTGGCGACGCCGGCAAGCTAGGCCGGCAAGAGGAACAGTGTCTCGATGAGCT-3'
前記(b2)のポリヌクレオチドにおいて、前記「1もしくは数個」は、例えば、1〜326個、1〜244個、1〜163個、1〜82個、1〜66個、1〜49個、1〜33個、1〜17個、1〜8個、1〜4個、1個、2個、または3個である。
前記(b3)のポリヌクレオチドにおいて、前記「同一性」は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記第3の変異FLC遺伝子において、欠失された塩基対の塩基配列は、特に制限されず、例えば、下記(c)のポリヌクレオチドである。前記(c)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(c1)、(c2)、または(c3)のポリヌクレオチドである。前記(c2)および前記(c3)は、それぞれ、前記アブラナ科植物の極晩抽性に関して前記(c1)と同等の機能を有するポリヌクレオチドである。前記(c1)のポリヌクレオチドは、例えば、正常FLC3遺伝子を有するアブラナ科植物(例えば、後述する固定系統76−1系統)から得ることができる。
(c) 下記(c1)、(c2)、または(c3)のポリヌクレオチド
(c1)配列番号12の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(c2)配列番号12の塩基配列において、1もしくは数個の塩基対が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド
(c3)配列番号12の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド
配列番号12
5'-CACAATCTTTGTGTGCATATTCGATTATGATGTAAATATTTCTTATAAAGCATCAGA-3'
前記(c2)のポリヌクレオチドにおいて、前記「1もしくは数個」は、例えば、1〜12個、1〜9個、1〜6個、1〜3個、1個、または2個である。前記(c2)のポリヌクレオチドにおいて、1もしくは数個の塩基対が欠失されている場合、前記塩基対の欠失は、例えば、連続した塩基対の欠失および不連続の塩基対の欠失のいずれでもよく、好ましくは、連続した塩基対の欠失であり、特に、5’末端および3’末端の少なくとも一方の塩基対から連続した塩基対の欠失であることが好ましい。また、前記(c2)のポリヌクレオチドにおいて、1もしくは数個の塩基対が付加されている場合、前記付加された塩基対は、例えば、前記正常FLC3遺伝子における配列番号12の塩基配列と対応する塩基配列の5’末端の塩基対から5’側に連続する1もしくは数個の塩基対、および3’末端の塩基対から3’側に連続する1もしくは数個の塩基対の少なくとも一方と同じであることが好ましい。具体的には、配列番号12の塩基配列の5’末端に1もしくは数個の塩基対が付加される場合、前記付加された1もしくは数個の塩基対の塩基配列は、前記正常FLC3遺伝子における配列番号12の塩基配列と対応する塩基配列の5’末端の塩基対から5’側およびに連続する1もしくは数個の塩基対の塩基配列と同じであることが好ましい。また、配列番号12の塩基配列の3’末端に1もしくは数個の塩基対が付加される場合、前記付加された1もしくは数個の塩基対の塩基配列は、前記正常FLC3遺伝子における配列番号12の塩基配列と対応する塩基配列の3’末端の塩基対から3’側およびに連続する1もしくは数個の塩基対の塩基配列と同じであることが好ましい。
前記(c3)のポリヌクレオチドにおいて、前記「同一性」は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
本発明のスクリーニング方法において、前記選抜工程は、前述のように、親系統として、アブラナ科植物の候補群から、極晩抽性マーカーセットとして少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有する植物を選抜する工程である。ここで、前記極晩抽性マーカーセットの確認方法は、特に制限されず、例えば、前記各変異FLC遺伝子の配列のシーケンシングでもよいし、制限酵素断片長多型(RFLP)法でもよいし、プライマーを用いた遺伝子増幅による増幅断片長の解析でもよいし、前記各変異FLC遺伝子にハイブリダイズするプローブを用いた解析等でもよい。前記増幅断片長の解析の場合、例えば、前述のようなプライマーセットを用いて、候補群のアブラナ科植物について、遺伝子増幅を行い、得られた増幅断片長によって、前記極晩抽性マーカーセットを有するか否かを判断することができる。
前記プライマーセットは、前記正常FLC遺伝子において、挿入および変異が生じる領域を挟むように設定すればよく、例示した前記プライマーセットの配列には限定されない。すなわち、前記正常FLC遺伝子の配列情報から、例示した前記プライマーセットで増幅される領域を含むようなプライマーセットを設計可能である。
前記プライマーセット1、2および3は、中でも、ダイコン属の場合、FLC1遺伝子、FLC2遺伝子およびFLC3遺伝子について、それぞれ、前記変異FLC1遺伝子、前記変異FLC2遺伝子および前記FLC3遺伝子をホモ接合型で有しているか否かを判別する場合に使用することが好ましい。
以下に、アブラナ科植物がダイコン属である場合を例にあげて説明するが、本発明は、これらの例示には制限されない。
アブラナ科植物がダイコン属の場合、例えば、前記第1の変異遺伝子は、正常FLC1遺伝子に対する挿入変異遺伝子であり、前記第2の変異遺伝子は、正常FLC2遺伝子に対する挿入変異遺伝子であり、前記第3の変異遺伝子は、正常FLC3遺伝子に対する欠失変異遺伝子である。以下に、2種類のダイコン属の正常FLC1遺伝子(RsFLC1遺伝子)、正常FLC2遺伝子(RsFLC2遺伝子)および正常FLC3遺伝子(RsFLC3遺伝子)の各第1イントロンの配列を例示するが、本発明は、これらの記載には制限されない。第1のダイコン属の場合、前記変異FLC1遺伝子は、例えば、前記正常FLC1遺伝子の第1イントロン(配列番号7)の650〜1293番目(下記配列の下線部)の領域内に挿入変異を有し、前記変異FLC2遺伝子は、例えば、第1イントロン(配列番号8)の141〜688番目(下記配列の下線部)の領域内に挿入変異を有し、前記変異FLC3遺伝子は、例えば、第1イントロン(配列番号9)の801〜996番目(下記配列の下線部)の領域内に欠失変異を有する。第2のダイコン属の場合、前記変異FLC1遺伝子は、例えば、前記正常FLC1遺伝子の第1イントロン(配列番号16)の656〜1299番目(下記配列の下線部)の領域内に挿入変異を有し、前記変異FLC2遺伝子は、例えば、第1イントロン(配列番号17)の141〜689番目(下記配列の下線部)の領域内に挿入変異を有し、前記変異FLC3遺伝子は、例えば、第1イントロン(配列番号18)の796〜991番目(下記配列の下線部)の領域内に欠失変異を有する。
第1のダイコン属 正常FLC1遺伝子の第1イントロン(配列番号7)
RsFLC1(1st intron)
5'-GTACGACTTTTCCTATTCTGGCTTTTCCATTTTTTATTGTTAATTACTAACCTTTTCAGAAAAAATATTAATTATTTTTTAAAAAAATATTTCCTGCGAATCTTATGTGGTTTTATTGGTTTGTGTGTTGCTACTGTGTTTTCTATGGCCATGAGAGATACATGAGACAACCAAATCAAAGGAAGAACAATTTTGTGATGAGCTAAAGCTTCTTACTTTTTTTTTCTTTTCTCTCTCTTCTTCTTCTTCTTCTTACAATTTTTTCTGCATGGATTTTTTTTTATTTGAATTTTTTTGCATGTCCTTCAAGATCCTTTGACACGCTGTGATGCATACTTGATGCTACTTTGTGAAGTTTATATCCATCTTTGATTGTTAGTTCATCAGCTGTTTAGCTTTAGGAACTCCTTTTGTTTCAGTAGAGTTTTATGTCAAAATAATTATTGATTCATGTTTCTCTTTGTAGAGTAATTAAATCCATTGGATCTCTCAGATTTGTATGCAATGAAATGCACTTCGGGGAGATCTATAGAATGGCTGTGAGGTTGCTGCTGAATAATAGATAAAGAGTTTTGTAGATTCTTCTAGATCAATTCTTGTAATTTCTCTCTTTACCATGAGGTTATTACTTGAAGCTTACCAATATAAAGTTTCCTAACTGATTCTTAATTTCCATAAAGAATTTTGGTGTAGCTTCTAGAAAACACAGACTCACAGTTACTTACTTATTTGATCCAGTGTCGATTGCGGTTCTTTTAATCGCAAGCGTTGTGTGCATATATAACTCTTTGTCCCAGACATAATGTACACTAATTGGTCTACTTTTAGACTAATTAAATTTTCTCTCGGATTTTCGTACAATACAATGCAAATCCATGTAGAAATAATAAGTGGGATATTATTGGTGGTATATTAATAGATCAACAATTAGGCTGGTTTATAGGTATGCGCCGTATGCCAGTGTAAATGATTTTAGGTATAGATGATTTTCTAGAAGTTTTCTCTCCCCTTTATTGATTTGTTGCTATAATATTATCCCAGGCTTTAGTTTCGCACCCTAGTAATTACGGTACATGCATATGGTACATCATGTAATTGGATTATAGCTTTTAATCTTTGTAGCTTTGTTCGTTTGATATGCCAACCAACAAAATAGTAGCTTTTGTTATGGAAATGTACAATCACACAACCTTGCATCTCGTTGTGTTTGTTGCTGTGGAAATTGACAATAACATAACGTGTTTCTTTTCGTGCCTTTTGGAAACCAACCACCTCACCAAAACCTTTTTCTTCATGGGAAAATTCCAACACCTTTCAGAATTTAAAATTTGGTGTAGTGTTTACTTAACCCTATAATATTAACCAACTGGTTGTAGTGGTTTGGCGATGTTAGTGAAGATCGCAGGTCATGTCTCACTTAATTAATACTTGTTCACTCCTCAGACTGAATGTTAGGTCAAGCCTTGGAATAGCTAGTCGAGATTAGTTGTATGAGCAAAAGAAGAAAGGCTTTTGGAACCTGGAATTTGACCTTTGGTTACTTATTAACTCATTTGTGCATCCTTGATTTTGTTGCAAAGAGCTTAACTCCACGGTGGAATTGAAACCTAGTTACAACTGTTGAATTAGTGAACTGTTTTTCAAATTTACTTGGGACTTCTATAAAGTCATAAATAGGAAAAAAAATCTGTGTGCAACTGATGCTTGTATGGATTACCTTTACACCTTAATAGTTTGTTTGCATTTACATTTAGATTGCGTTTCCATGTTYTAGTTTTYTAGTTACTTAAAATGTCCGAAGCACAAACCTGTTGGGAAAAGAAACAATTGGGGCCTTAGTAGCAAAATGTCTTCCCTTTGAGACTAGGGGGTGTGTCTCTTAGTTTTAAGTGAATCAAAGCCAGTATAATTATAAATGGATTAATAGGTTAAAAGATAACATGTGAAATCTTTAATTTTATTACAATTTTTTACATTGAGTGGGAATTTCCTTTTCATTATAATATACATGTAAAGCCACAAGATTCATGAGACAACCAAACTTAGGGTAATTCCTGGTAAATATTAGAATTTTTTCTTTTCCTTAGAAGAGATTAAAAGATCATGTGGCCACTAAAATATTGCTTATGGGAGTGAGAGGTATAAAATAAGAATGGAAAACCAAATGTGGTTCTGCTTAAACGTAAATACTAGTTTTCTAGAATGTTAATGAAAATTATATATGTGAATTTTTTTTGTCCTGATTGTCTCTTCTGTGCCTTATACATGTTTCATAGTTTCAAGTGCGGCTTTCGACGGTTAGCTGGTACTTTTGATCCTAACATACTTTGATATATATTTTTGTCTTCTCTCCAG-3'
第1のダイコン属 正常FLC2遺伝子の第1イントロン(配列番号8)
RsFLC2(1st intron)
5'-GTATTGACTTCTCCACTTCTGGGTTTTACTTTATTTGCCCTTTTAGCTTCCGTTCCTCTTCTCTTTACTATTTATAGGAAAATAAAATAAAGTACAAGTAAAATAAAATAAAACAATTAAAAGACACTTTGATTTTTCCGGCAGATCTCTTGTGGATTTCTCGGTTTTGTGTTTGTTATTGTTTCTTCTATGGCCATGAGAGATACATGAGGTAACCAGATTTGAGGAAGAACAATGTCTCGATGAGCTAAAGCTTCTTACTTTCTTCATTTCTTCTCTCCCACAGTCCCACTCTCTCTCAATCTTTTTCTGCATGGATTTTTTTTATTTGTAAAAAAAACTGCATGTCATTCAAGGTCTTTTTTTGATAAGCTGTGACGCAGACTTGATGTTGTGGTGTGAAGTTTCAATACATCTTTGATTTTTCAATTGGATTTAGGATTCCTTAAGTATTTTAAGAGTTCTTTATCAGAATAAGTATTGGTGTTTTTCTTTTTAGAGTAATTTAAGTGAACGGATCTCTTGATTTGTAATGCAATGCACTTCGGGGAGATCTATAAAATTGATGTAGGACTAATGCAAAAATTTACCACGGATTAATGCAATTCTCTCTTAAAGAGTTTTAATTTGAATGTATGCCACATTGTGTGGCAAATATGAATCCTTAGAACTCCTTGAGGATCTGAAGAGTTCTTTACAAGAATATAAGTTATTATTGATGTTTCTATTTCTAGAATAATTTAAGTCAATGGATCTCTTGGATTTGTATGCATTACACTTCGGGGAGGTCTATAAAATTGATGTAGGACTAATGCGGAATAATAGATCAAGAGTTTAAATTTGAATGTATATACGTCACATTGTGCAGCCATTGATCTAAAAGATAATTGTATATCTTCAAAAGAATCTCTCTCTTTACCACGGATTTATTGCTTGAAGGTTATCCAAATTATAAGGTTACTAGTTGGTTCTTAGTTTTCAGATATATATATGTAAAGTAATTTTGAATTTTGGTAGGTTTAAGAAAACTCATCCTCACAATTAGTACTTAACCACACGTATTCTACACTAATTAGGTTCTCCAAAATTTCCATTAGAATGGGGTTGATCAAGGATTAGCTAGTAGTTTTGATCCTAACTTGTTTTGTTTTGTCTCCTCTTCAG-3'
第1のダイコン属 正常FLC3遺伝子の第1イントロン(配列番号9)
RsFLC3(1st intron)
5'-GTATGACTTCTCTTCTTCGGTGTCTCCCTTTATTTGCCTTTTGAGCTTCTGTTTACTTTCTCTTCACTTTTCTGATAAAATAATTAAAGATATAATAAAATAATTAAAATATAATAAGATAATTAAAAGACACTTTGATTTTTCCGACAAATCACTTGTGGATTTCTCGATTATGTGCTTTTTTTTTTGTTTCTTCTATGGCCATATACATGAGATAACCAAATCTGAGGAAGAACAAGGTCGTGATGAGCTAAACCTTCTTACTTTCTTCATTTTTCTCTCTTTTTTTTTCTTCTTTTGATTTTTCTGCATGGATTTTATTTTGTTTGTAAAAATTTGCATGTCCTCCAAGATCCTTCTGAAACGTTGTGATGCATACTTGATGTTGTCTAGTGAAGTTTCCAAGACCGTCTTTGATTGTTAGTTCATCAGTTGTTGGTTGTCCTTAGCTAGGGATTCCTTATGAGAAATAATCGATTACTGATTTTTTTATCATAGTGATTATTTATTTGCGTTTTCTGTTTTAGAGTAATTAAAATAGTTGGATCTGTCAGATTTTTGTGCAATGCAGTCCACTGCACTTCGAAGAGATCTATAAAATCGATATAGGGTTCATGATGCTGAATAGTGAATAGTAGATCAAGAGTTTTGATCTGAATGTAAGCGACATTGTGCAGCTATTGACTAAAAGATAGTTGCAGATCTTCAAAAAAATGTTATCTGTTTAACATGGATTTATGACTTCGAGATTATACAAATTGTAAATTTTCTAATTTATTCTTAATTACATTTATAAGATAGTAGTTTTGAAATTTTGTTAGGCTTAAGAAAACTCAGCCTCACATTTAGTACTTAATTACCGCACATATGCTACACTATTTATGTGATAATGTATCTATTTCTATTCTTCAAT[CACAATCTTTGTGTGCATATTCGATTATGATGTAAATATTTCTTATAAAGCATCAGA]GGATGCTAAAAATAATTAAGAAGTGGTAATTCAAATGTGCCGCTGCTTGAACATGATTACTACAGTTTTTTCTGAAGTTTTAGCTAATCTTAGGGGCCGGGAAATTAACAGTAAAAAAAAAAATCTCTTCTGATGTTTCATAGATTCCAATTGTGTTTCCGTGGTTAACTAGTAGTTTTGTTCTTAACAATATTTTTGTTTTTTCTTCTCCAG-3'
第2のダイコン属 正常FLC1遺伝子の第1イントロン(配列番号16)
RsFLC1(1st intron)
5'-GTACGACTTTTCCTATTCTGGCTTTTCCATTTTTTATGTGTTAATTACTAACCTTTTCAGAAAAAATATGAATTATGTTTTTAAAAAAATATGTTCCTGCGAATCTTATGTGGTTTTATTGGTTTGTGTGTTGCTACTGTGTTTTCTATGGCCATGAGAGATACATGAGACAACCAAATCAAAGGAAGAACAATTTTGTGATGAGCTAAAGCTTCTTACTTTTTTTTTCTTTTCTCTCTCTTCTTCTTCTTCTTCTTACAATTTTTTCTGCATGGATTTTTTTTTATTTGAATTTTTTTGCATGTCCTTCAAGATCCTTTGACACGCTGTGATGCATACTTGATGCTACTTTGTGAAGTTTATATCCATCTTTGATTGTTAGTTCATCAGCTGTTTAGCTTTAGGAACTCCTTTTGTTTCAGTAGAGTTTTATGTCAAAATAATTATTGATTCATGTTTCTCTTTGTAGAGTAATTAAATCCATTGGATCTCTCAGATTTGTATGCAATGAAATGCACTTCGGGGAGATCTATAGAATGGCTGTGAGGTTGCTGCTGAATAATAGATAAAGAGTTTTGTAGATTCTTCTAGATCAATTCTTGTAATTTCTCTCTTTACCATGAGGTTATTACTTGTTGAAGCTTACCAATATAAAGTTTCCTAACTGATTCTTAATTTCCATAAAGAATTTTGGTGTAGCTTCTAGAAAACACAGACTCACAGTTACTTACTTATTTGATCCAGTGTCGATTGCGGTTCTTTTAATCGCAAGCGTTGTGTGCATATATAACTCTTTGTCCCAGACATAATGTACACTAATTGGTCTACTTTTAGACTAATTAAATTTTCTCTCGGATTTTCGTACAATACAATGCAAATCCATGTAGAAATAATAAGTGGGATATTATTGGTGGTATATTAATAGATCAACAATTAGGCTGGTTTATAGGTATGCGCCGTATGCCAGTGTAAATGATTTTAGGTATAGATGATTTTCTAGAAGTTTTCTCTCCCCTTTATTGATTTGTTGCTATAATATTATCCCAGGCTTTAGTTTCGCACCCTAGTAATTACGGTACATGCATATGGTACATCATGTAATTGGATTATAGCTTTTAATCTTTGTAGCTTTGTTCGTTTGATATGCCAACCAACAAAATAGTAGCTTTTGTTATGGAAATGTACAATCACACAACCTTGCATCTCGTTGTGTTTGTTGCTGTGGAAATTGACAATAACATAACGTGTTTCTTTTCGTGCCTTTTGGAAACCAACCACCTCACCAAAACCTTTTTCTTCATGGGAAAATTCCAACACCTTTCAGAATTTAAAATTTGGTGTATTGTTTATTAACCCTATAATATAACGTGTTTACTTAACCCTATAATATTAACCAACTGGTTGTAGTGGTTTGGCGATGTTAGTGAAGATCGCAGGTCATGTCTCACTTAATTAATACTTGTTCACTCCTCAGACTGAATGTTAGGTCAAGCCTTGGAATAGCTAGTCGAGATTAGTTGTATGAGCAAAAGAAGAAAGGCTTTTGGAACCTGGAATTTGACCTTTGGTTACTTATTAACTCATTTGTGCATCCTTGATTTTGTTGCAAAGAGCTTAACTCCACGGTGGAATTGAAACCTAGTTACAACTGTTGAATTAGTGAACTGTTTTTCAAATTTACTTGGGACTTCTATAAAGTCATAAATAGGAAAAAAAATCTGTGTGCAACTGATGCTTGTATGGATTACCTTTACACCTTAATAGTTTGTTTGCATTTACATTTAGATTGCGTTTCCATGTTCTAGTTTTCTAGTTACTAAAATGTCCGAAGCACAAACCTGTTGGGAAAAGAAACAATTGGGGCCTTAGTAGCAAAATGTCTTCCCTTTGAGACTAGGGGGTGTGTCTCTTAGTTTTAAGTGAATCAAAGCCAGTATAATTATAAATGGATTAATAGGTTAAAAGATAACATGTGAAATCTTTAATTTTATTACAATTTTTTACATTGAGTGGGAATTTCCTTTTCATTATAATATACATGTAAAGCCACAAGATTCATGAGACAACCAAACTTAGGGTAATTCCTGGTAAATATTAGAATTTTTTCTTTTCCTTAGAAGAGATTAAAAGATCATGTGGCCACTAAAATATTGCTTATGGGAGTGAGAGGTATAAAATAAGAATGGAAAACCAAATGTGGTTCTGCTTAAACGTAAATACTAGTTTTCTAGAATGTTAATGAAAATTATATATGTGAATTTTTTTTGTCCTGATTGTCTCTTCTGTGCCTTATACATGTTTCATAGTTTCAAGTGCGGCTTTCGACGGTTAGCTGGTACTTTTGATCCTAACATACTTTGATATATATTTTTGTCTTCTCTCCAG-3'
第2のダイコン属 正常FLC2遺伝子の第1イントロン(配列番号17)
RsFLC2(1st intron)
5'-GTATTGACTTCTCCACTTCTGGGTTTTACTTTATTTGCCCTTTTAGCTTCCGTTCCTCTTCTCTTTACTATTTATAGGAAAATAAAATAAAGTACAAGTAAAATAAAATAAAACAATTAAAAGACACTTTGATTTTTCCGGCAGATCTCTTGTGGATTTCTCGGTTTTGTGTTTGTTATTGTTTCTTCTATGGCCATGAGAGATACATGAGGTAACCAGATTTGAGGAAGAACAATGTCTCGATGAGCTAAAGCTTCTTACTTTCTTCATTTCTTCTCTCCCACAGTCCCACTCTCTCTCAATCTTTTTCTGCATGGATTTTTTTTTATTTGTAAAAAAAACTGCATGTCATTCAAGGTCTTTTTTTGATAAGCTGTGACGCAGACTTGATGTTGTGGTGTGAAGTTTCAATACATCTTTGATTTTTCAATTGGATTTAGGATTCCTTAAGTATTTTAAGAGTTCTTTATCAGAATAAGTATTGGTGTTTTTCTTTTTAGAGTAATTTAAGTGAACGGATCTCTTGATTTGTAATGCAATGCACTTCGGGGAGATCTATAAAATTGATGTAGGACTAATGCAAAAATTTACCACGGATTAATGCAATTCTCTCTTAAAGAGTTTTAATTTGAATGTATGCCACATTGTGTGGCAAATTTGAATCCTTAGAACTCCTTGAGGATCTGAAGAGTTCTTTACAAGAATATAAGTTATTATTGGTGTTTCTATTTCTAGAATAATTTAAGTCAATGGATCTCTTGGATTTGTATGCATTACACTTCGGGGAGGTCTATAAAATTGATGTAGGACTAATGCGGAATAATAGATCAAGAGTTTAAATTTGAATGTATATACGTCACATTGTGCAGCCATTGATCTAAAAGATAATTGTATATCTTCAAAAGAATCTCTCTCTTTACCACGGATTTATTGCTTGAAGGTTATCCAAATTATAAGGTTACTAGTTGGTTCTTAGTTTTCAGATATATATATGTAAAGTAATTTTGAATTTTGGTAGGTTTAAGAAAACTCATCCTCACAATTAGTACTTAACCACACGTATTCTACACTAATTAGGTTCTCCAAAATTTCCATTAGAATGGGGTTGATCAAGGATTAGCTAGTAGTTTTGATCCTAACTTGTTTTGTTTTGTCTCCTCTTCAG-3'
第2のダイコン属 正常FLC3遺伝子の第1イントロン(配列番号18)
RsFLC3(1st intron)
5'-GTATGACTTCTCTTCTTCGGTGTCTCCCTTTATTTGCCTTTTGAGCTTCTGCTTACTTTCTCTTCACTTTTCTGATAAAATAATTAAAGATATAATAAAATAATTAAAATATAATAAGATAATTAAAAGACACTTTGATTTTTCCGACAAATCACTTGTGGATTTCTCGATTATGTGCTTTTTTTTTGTTTCTTCTATGGCCATATACATGAGATAACCAAATCTGAGGAAGAACAAGGTCGTGATGAGCTAAACCTTCTTACTTTCTTCATTTTTCTCTCTTTTTTTTTCTTCTTTTGATTTTTCTGCATGGATTTTATTTTGTTTGTAAAAATTTGCATGTCCTCCAAGATCCTTCTGAAACGTTGTGATGCATACTTGATGTTGTCTAGTGAAGTTTCAAGCCGTCTTTGATTGTTAGTTCATCAGTTGTTGGTTGTCTTTAGCTAGGGATTCCTTATGAGAATAATCGATTACTGATTTTTTTATCATAGTGATTATTTATTTGCGTTTCTGTTTTAGAGTAATTAAAATAGTTGGATCTGTCAGATTTTTGTGCAATGCAGTCCACTGCACTTCGAAGAGATCTATAAAATCGATATAGGGTTCATGATGCTGAATAGTGAATAGTAGATCAAGAGTTTTGATCTGAATGTAAGCGACATTGTGCAGCTATTGACTAAAAGATAGTTGCAGATCTTCAAAAAAATGTTATCTGTTTAACATGGATTTATGACTTCGAGATTATACAAATTGTAAATTTTCTAATTTATTCTTAATTACATTTATAAGATAGTAGTTTTGAAACTTTGTTAGGCTTAAGAAAACTCAGCCTCACATTTAGTACTTAATTACCGCACATATGCTACACTATTTATGTGATAATGTATCTATTTCTATTCTTCAAT[CACAATCTTTGTGTGCATATTCGATTATGATGTAAATATTTCTTATAAAGCATCAGA]GGATGCTAAAAATAATTAAGAAGTGGTAATTCAAATGTGCCGCTGCTTGAACATGATTACTACAGTTTTTTCTGAAGTTTTAGCTAATCTTAGGGGCCGGGAAATTAACAGTAAAAAAAAAAATCTCTTCTGATGTTTCATAGATTCCAATTGTGTTTCCGTGGTTAACTAGTAGTTTTGTTCTTAACAATATTTTTGTTTTTTCTTCTCCAG-3'
前記正常FLC1遺伝子の第1イントロンに挿入変異を有する前記変異FLC1遺伝子としては、例えば、前記FLC1遺伝子の第1イントロンが、下記(d)のポリヌクレオチドである変異FLC1遺伝子があげられる。前記(d)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(d1)、(d2)、または(d3)のポリヌクレオチドである。前記(d2)および前記(d3)は、それぞれ、前記アブラナ科植物の極晩抽性に関して前記(d1)と同等の機能を有するポリヌクレオチドである。
(d) 下記(d1)、(d2)、または(d3)のポリヌクレオチド
(d1)配列番号13の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(d2)配列番号13の塩基配列において、1もしくは数個の塩基対が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド
(d3)配列番号13の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド
配列番号13(ダイコン属 変異FLC1遺伝子の第1イントロン)
5'-GTACGACTTTTCCTATTCTGGCTTTTCCATTTTTTATTGTTAATTACTAACCTTTTCAGAAAAAATATAATTATTTTTTAAAAAAATATTTCCTGCGAATCTTATGTGGTTTTATTGGTTTGTGTGTWGCTACTGTGTTTTCTATGGCCATGAGAGATACATGAGACAACCAAATCAAAGGAAGAACAATTTTGTGATGAGCTAAAGCTTCTTACTTTTTTTTTCTTTTCTCTCTCTTCTTCTTCTTCTTCTTACAATTTTTTCTGCATGGATTTTTTTTTATTTGAATTTTTTTGCATGTCCTTCAAGATCCTTTGACACGCTGTGATGCATACTTGATGCTACTTTGTGAAGTTTATATCCATCTTTGATTGTTAGTTCATCAGCTGTTTAGCTTTAGGAACTCCTTTTGTTTCAGTAGAGTTTTATGTCAAAATAATTATTGATTCATGTTTCTCTTTGTAGAGTAATTAAATCCATTGGATCTCTCAGATTTGTATGCAATGAAATGCACTTCGGGGAGATCTATAGAATGGCTGTGAGGTTGCTGCTGAATAATAGATAAAGAGTTTTGTAGATTCTTCTAGATCAATTCTTGTAATTTCTCTCTTTACCATGAGGTTATTACTTGAAGCTTACCAATATAAAGTTTCCTAACTGATTCTTAATTTCCATAAAGAATTTTGGTGTAGCTTCTAGAAAACACAGACTCACAGTTACTTACTTATTTGATCCAGTGTCGATTGCGGTTCTTTTAATCGCAAGCGTTGTGTGCATATATAACTCTTTGTCCCAGACATAATGTACACTAATTGGTCTACTTTTAGACTAATTAAATTTTCTCTCGGATTTTCGTACAATACAATGCAAATCCATGTAGAAATAATAAGTGGGATATTATTGGTGGTATATTAATAGATCAACAATTAGGCTGGTTTATAGGTATGCGCCGTATGCCAGTGTAAATGATTTTAGGTATAGATGATTTTCTGCCCTAATTTGTAAACGCTCCCAGGCACATATTACGAGGCCGCCGCACTTCATCTTCCCCCTCGACGCCGGCGGCGGATCTGCTTGCCGGCGTCGCCATCCTTCCTTTTCTCTCATGTCTAGCTTCATCGTCCTCATCATGTATCTCGTTTTCCTCCATTTTCGTCATCAAATCCCTCCGCCACCTGGCAAAAACCCACCCGGAAATCCTATTTTTATTTCTCTTCTTTCCCCGCTTCGTTCTTCGTTTACTTGGTTCACACCCTCTATCTCCGTTTCGTTACTGTACGCTACTACCTACAACGCCTACGCCGTCATCACTACCTACCTACTACGCCGTCGTCACTACCTACCTACTCGCCGTCGTCACTACCCGCATCCCGTTTACACCGTACGTCACTACCCCATCCCGTCTCACCGTCGTCACTACCCCCATCCCGCCTCGCCGTCGTCACTTACTACATCTCGTCTCGCCGCCGTCACCTCCTCCATCTCGCCTCGCCGCCGCTCTTCCATCTCGCCTCGCCGCCGCTCCTCCATCACGTCTCGACTTTGCTTCCCCAGTTCGTCTTGCCGCCGTTACCTTCCAAGCGCATCGTTGAGACCGCGACTCCACCTAGTTCGAGCGGAAACCCCGGAGCTTCTCAGTCTGAGCGTGGGCCCAACAGAGTCATTCATTGTTCTGTGGCCGCCGCACCTCCGCCTGCTCTCCTCCTCCGACTGGAACGAGCTAGGTTCAGACAAGGAGTCCGCCGCTCTGCTGTGCTTTTTCACCCCTTGATAGCTGCCTCTCCGGTCTTTCTACCACAGACTTTATACCTGACAATCGAGGCAGGCCTATCTAGCCCAAGGTTTCTATGGAGCTAAAGTTACATTGTCTTAATCTCATTCTCCTAGTGACCGCCGGATCTATTGTGCAAGAGTGTTGTTTCGCCAGGTTAACTCATTATTATTTCACCGATGCGACTCTATCACACTACGCCGTCTCAAGCATCGACGGTTCTTCACATGGCCGGACCTATGGCCCTCCCATTCTCCTCGTCGCTAGAACTACTGTGCAAGAGTGTAGATTCGCCAGATCTATAAACTCCATCACCGTTGCGAGTCCATCACATTATGCCGTCTCAAGCATCGACGGTTCTTCACAGAGTCAACTATACGACCTAACTGAAACTGCTATCCTCAACAGAGGTTCCCCATGGAATATTACACCAACTCAATCACTGTACTTCAACTACAACTCAGATGGTCTATGCCTCATCTCCAAGTTGACAGGTTCCGTAAATCAGCCTTTCAGACTCGGTTTCACAAAAGCTCGCGTACCCCGGCACGGTAATGTTGGTGTTAGATGCTTTGATTTGACCAAAGTTCTGGCTGTATCATCGTATCCAGTTAACCTCCTCTCTATTGGCTGCTCTGAAGCAAGTATTGGTATTTTTGAGACTCACCTAGTCTCATCATCTTCCTCACGGGATAGTTATGTTCTTCATTGTACTTGAGATTCACCCAGTCTCTTCAGTGAGTTTTGCCGGTTTCAGAGTTAATCATGGTTGTTTCAATGCCAAATCAAGTCAGTTAGGACTTCATATCCTCGATGAGTATGTTGCATACGGATCTGGAGCTTCTCACCAAAAGTTCTTGCCAGCCAACATTCCAATCTCAACGGTGCATCAACGTCGTTTCGACTATCATCAATTGTTCTATGAAACAATAGTTTTTGGACCTCAAGTGAAGTATCTCTCTGGGTTCCTTCACTCCTTAAACATATCTATCTCTCTTGTTGTAGTGTTTGTTTTTCAGCTTGTTGCCGTTGAGTTTTTCTTCGGTTGTACTTTTTAAGTTTCTCGGACCGTTAGATTAATATAATCATTCAGTTGACAAAAAAAAAAAAAAAAATATAGATGATTTTCTAGAAGTTTTCTCTCCCCTTTATTGATTTGTTGCTATAATATTATCCCAGGCTTTAGTTTCGCACCCTAGTAATTACGGTACATGCATATGGTACATCATGTAATTGGATTATAGCTTTTAATCTTTGTAGCTTTGTTCGTTTGATATGCCAACCAACAAAATAGTAGCTTTTGTTATGGAAATGTACAATCACACAACCTTGCATCTCGTTGTGTTTGTTGCTGTGGAAATTGACAATAACATAACGTGTTTCTTTTCGTGCCTTTTGGAAACCAACCACCTCACCAAAACCTTTTTCTTCATGGGAAAATTCCAACACCTTTCAGAATTTAAAATTTGGTGTAGTGTTTACTTAACCCTATAATATTAACCAACTGGTTGTAGTGGTTTGGCGATGTTAGTGAAGATCGCAGGTCATGTCTCACTTAATTAATACTTGTTCACTCCTCAGACTGAATGTTAGGTCAAGCCTTGGAATAGCTAGTCGAGATTAGTTGTATGAGCAAAAGAAGAAAGGCTTTTGGAACCTGGAATTTGACCTTTGGTTACTTATTAACTCATTTGTGCATCCTTGATTTTGTTGCAAAGAGCTTAACTCCACGGTGGAATTGAAACCTAGTTACAACTGTTGAATTAGTGAACTGTTTTTCAAATTTACCTTGGGACTTCTATAAAGTCATAAATAGGAAAAAAAATCTGTGTGCAACTGATGCTTGTATGGATTACCTTTACACCTTAATAGTTTGTTTGCATTTACATTTAGATTGCGTTTCCATGTTCTAGTTTTCTAGTTACTAAAATGTCCGAAGCACAAACCTGTTGGGAAAAGAAACAATTGGGGCCTTAGTAGCAAAATGTCTTCCCTTTGAGACTAGGGGGTGTGTCTCTTAGTTTTAAGTGAATCAAAGCCAGTATAATTATAAATGGATTAATAGGTTAAAAGATAACATGTGAAATCTTTAATTTTATTACAATTTTTTACATTGAGTGGGAATTTCCTTTTCATTATAATATACATGTAAAGCCACAAGATTCATGAGACAACCAAACTTAGGGTAATTCCTGGTAAATATTAGAATTTTTTCTTTTCCTTAGAAGAGATTAAAAGATCATGTGGCCACTAAAATATTGCTTATGGGAGTGAGAGGTATAAAATAAGAATGGAAAACCAAATGTGGTTCTGCTTAAACGTAAATACTAGTTTTCTAGAATGTTAATGAAAATTATATATGTGAATTTTTTTTGTCCTGATTGTCTCTTCTGTGCCTTATACATGTTTCATAGTTTCAAGTGCGGCTTTCGACGGTTAGCTGGTACTTTTGATCCTAACATACTTTGATATATATTTTTGTCTTCTCTCCAG-3'
前記(d1)のポリヌクレオチドは、例えば、前記正常FLC1遺伝子の第1イントロン(配列番号7)の塩基配列と比較して、配列番号7の塩基配列の992番目の塩基(T)と993番目の塩基(A)との間に、配列番号10の塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号13の下線部)が挿入されている。また、前記(d1)のポリヌクレオチドは、例えば、前記正常FLC1遺伝子の第1イントロン(配列番号16)の塩基配列と比較して、配列番号16の塩基配列の998番目の塩基(T)と999番目の塩基(A)との間に、配列番号10の塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号13の下線部)が挿入されている。前記(d1)のポリヌクレオチドは、例えば、後述する受託番号FERM BP−22259で寄託されたアブラナ科植物から得ることができる。
前記(d2)のポリヌクレオチドにおいて、前記「1もしくは数個」は、例えば、1〜852個、1〜639個、1〜426個、1〜214個、1〜171個、1〜128個、1〜86個、1〜43個、1〜21個、1〜11個、1〜5個、1個、2個、3個、または4個である。
前記(d3)のポリヌクレオチドにおいて、前記「同一性」は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記正常FLC2遺伝子の第1イントロンに挿入変異を有する前記変異FLC2遺伝子としては、例えば、前記FLC2遺伝子の第1イントロンが、下記(e)のポリヌクレオチドである変異FLC2遺伝子があげられる。前記(e)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(e1)、(e2)、または(e3)のポリヌクレオチドである。前記(e2)および前記(e3)は、それぞれ、前記アブラナ科植物の極晩抽性に関して前記(e1)と同等の機能を有するポリヌクレオチドである。
(e) 下記(e1)、(e2)、または(e3)のポリヌクレオチド
(e1)配列番号14の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(e2)配列番号14の塩基配列において、1もしくは数個の塩基対が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド
(e3)配列番号14の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド
配列番号14(ダイコン属 変異FLC2遺伝子の第1イントロン)
5'-GTATTGACTTCTCCACTTCTGGGTTTTACTTTATTTGCCCTTTTAGCTTCCGTTCCTCTTCTCTTTACTATTTATAGGAAAATAAAATAAAGTACAAGTAAAATAAAATAAAACAATTAAAAGACACTTTGATTTTTCCGGCAGATCTCTTGTGGATTTCTCGGTTTTGTGTTTGTTATTGTTTCTTCTATGGCCATGAGAGATACATGAGGTAACCAGATTTGAGGAAGAACAATGTCTCGATGAGCTTTTTTTGTAACACAGCTTATATTATAAAAGGTTCAAGGAGCATCATCGGTTACAACTGAAGTAAAAGATTCCGGAGCCATGCTCGACGGTCTAACGAAGCTAAAAGACATTACAAAACAACTAAAGATAAAACCATCTAGGGGCGAGTCATGCTCAGCGAAATGAAGAAACCCGAAAGGAAGCTCCACTTTTGATCCCATGGCGATTGTTCCTAAGAACAATTGATAGTCGAAAACGACGTTGATACACCTTGTGTTGTTGACTGGCCAGAGCTTAAGGTGAGAAGCTCTAGAAACGTAGACGACACTGAAAGTACGGAGTCCTATCTGACTTGATTTGGCGCTGAAACAAGAACACTTAGCTTTAAACCCAACACAGCTTACCGAAGAGACTAGGTGAATCTCAAGCTCTAGCTTCACCTCCAAAGAGGTGCTTAGGATGAAGATTGATGACGGAGATGAAAGTTTAATTGGGTCCAAACCTCGGAACTCGACATTACCGTGTTGAGCCCAACAAGTTATACCCAAAAGAGAACTAATCATACAGTCATCGTACTCATTCAACCTGAACGTGTGTGAGCAAACATCGGATAAAAGGTAAAAAGCTTTGAGGAGATTGGGTCTTCGTGTACCAACTCCGGTTTGAAGGTCGCATAGTTGACTCTGTGAAGAACCGTCGATGCTTGAGACGGCGTAATGTGATAGAAGCGCAGCTGTGACATAATAGCAAACAAATCTGGCGCGTCTACACTCTTGCACAATAGTCCTGGCGACGAGGAAAAAGGTGAGAGGATCACGCCGTGAAGAACCGTCGATGCTTGAGACGGCGTAATGTGTTGGAAACGCAACGTTGACATAGTAACAAGCAAAACTGGCGAGTCCACATTCTTGCACGGTAGATCCGGTGATAAGGCGAGTGGTAAAAGAGGCGACGAAAGGGGCGAGAGAGGTGGTGGCGGTTGATACTCTCTTCATCTCCGGTTCCATAAATGTATATGAGACTAGATACTGCAGTATGGATGAATAAATCGGAGGGATTCGTCGAAGGAGGCCGTAGTGGTGAAGCTTTAGAACTCGTGAAGCGTAGGCCTGTGGAGACTCGACGGAGCTTGGCGGATTTACAGCGACTGAGAGACTCACAGATCTGTTGAGTCCAACCTCATGCTTAGAAGATCCAGCTTTCTCCCTTGAACTAAGCGGAGTAAGAGCGACGACGGTGAGGCGATGAGCAGCGGCGACGGTAGGGAGCCGAACAGATCCTGTGAACTCACACCGGAACTGAGAAGATTTTACGGTGAGGCGCGGAGTGACTTCGACGGTGACACTAGAAGATGAAACAATGTCGTTGAAAGATTTGACTTTCAGTGTTATTGACATACAGCTTTCTTCCTGGATGCACGATGTCCTCAAGATATCAGAGCAGCAGCTATGGTGAGGGGAGATGAAGCTTGAGCAGGTTGACCCAAAGATATGACTCATCTCCATCAGAGAAGTGAGTAGATCTAGAGGTGATGAAACAAGGACTGGAGAAAACGAGAACAGAGCGTTGGAGAGGATGACCTGAGAAGAGGAACAGTGGCGACGCCGGCAAGCTAGGCCGGCAAGAGGAACAGTGTCTCGATGAGCTAAAGCTTCTTACTTTCTTCATTTCTTCTCTCCCACAGTCCCACTCTCTCTCAATCTTTTTCTGCATGGATTTTTTTTTATTTGTAAAAAAAACTGCATGTCATTCAAGGTCTTTTTTTGATAAGCTGTGACGCAGACTTGATGTTGTGGTGTGAAGTTTCAATACATCTTTGATTTTTCAATTGGATTTAGGATTCCTTAAGTATTTTAAGAGTTCTTTATCAGAATAAGTATTGGTGTTTTTCTTTTTAGAGTAATTTAAGTGAACGGATCTCTTGATTTGTAATGCAATGCACTTCGGGGAGATCTATAAAATTGATGTAGGACTAATGCAAAAATTTACCACGGATTAATGCAATTCTCTCTTAAAGAGTTTTAATTTGAATGTATGCCACATTGTGTGGCAAATTTGAATCCTTAGAACTCCTTGAGGATCTGAAGAGTTCTTTACAAGAATATAAGTTATTATTGATGTTTCTATTTCTAGAATAATTTAAGTCAATGGATCTCTTGGATTTGTATGCATTACACTTCGGGGAGGTCTATAAAATTGATGTAGGACTAATGCGGAATAATAGATCAAGAGTTTAAATTTGAATGTATATACGTCACATTGTGCAGCCATTGATCTAAAAGATAATTGTATATCTTCAAAAGAATCTCTCTCTTTACCACGGATTTATTGCTTGAAGGTTATCCAAATTATAAGGTTACTAGTTGGTTCTTAGTTTTCAGATATATATATGTAAAGTAATTTTGAATTTTGGTAGGTTTAAGAAAACTCATCCTCACAATTAGTACTTAACCACACGTATTCTACACTAATTAGGTTCTCCAAAATTTCCATTAGAATGGGGTTGATCAAGGATTAGCTAGTAGTTTTGATCCTAACTTGTTTTGTTTTGTCTCCTCTTCAG-3'
前記(e1)のポリヌクレオチドは、例えば、前記正常FLC2遺伝子の第1イントロン(配列番号8)の塩基配列と比較して、配列番号8の塩基配列の249番目の塩基(T)と250番目の塩基(A)との間に、配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号14の下線部)が挿入されている。また、前記(e1)のポリヌクレオチドは、例えば、前記正常FLC2遺伝子の第1イントロン(配列番号17)の塩基配列と比較して、配列番号17の塩基配列の249番目の塩基(T)と250番目の塩基(A)との間に、配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号14の下線部)が挿入されている。前記(e1)のポリヌクレオチドは、例えば、後述する受託番号FERM BP−22259で寄託されたアブラナ科植物から得ることができる。
前記(e2)のポリヌクレオチドにおいて、前記「1もしくは数個」は、例えば、1〜559個、1〜419個、1〜280個、1〜140個、1〜112個、1〜84個、1〜56個、1〜28個、1〜14個、1〜7個、1〜3個、1個、または2個である。
前記(e3)のポリヌクレオチドにおいて、前記「同一性」は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
前記正常FLC3遺伝子の第1イントロンに欠失変異を有する前記変異FLC3遺伝子としては、例えば、前記FLC3遺伝子の第1イントロンが、下記(f)のポリヌクレオチドである変異FLC3遺伝子があげられる。前記(f)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(f1)、(f2)、または(f3)のポリヌクレオチドである。前記(f2)および前記(f3)は、それぞれ、前記アブラナ科植物の極晩抽性に関して前記(f1)と同等の機能を有するポリヌクレオチドである。
(f) 下記(f1)、(f2)、または(f3)のポリヌクレオチド
(f1)配列番号15の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(f2)配列番号15の塩基配列において、1もしくは数個の塩基対が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド
(f3)配列番号15の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド
配列番号15(ダイコン属 変異FLC3遺伝子の第1イントロン)
5'-GTATGACTTCTCTTCTTCTGTGTCTCCCTTTATTTGCCTTTTGAGCTTCTGTTTACTTTCTCTTCACTTTTCTGATATAATAATTAAAGATATAATAAAATAATTAAAATATAATAAGATAATTAAAAGACACTTTGATTTTTCCGACAAATCTCTTGTGGATTTCTCGATTTTTTGTGTGTTTTTATTGTTTCTTCTATGGTCATATATACATGAGATAACCAAATCTGAGGAAGAACAAGGTCGTGATGAGCTAAACCTTCTTACTTTCTTCCCTTTTCTCTCTCTTTTTTTTGTTCTTAATTTTGATTTTTCTGCATGGATTTTATTTTATTTGTGAAAATTTGCATGTCCTTCAAGATCTTTCTGAAACATTGTGATGCATACTTGATGTTGTTTAGTGAAGTTTCAAGCCGTCTTTGATTGTTGGTTCATCAGTTATTAGTTGTCTTTAGGGATACCTTATGAGAATAATCGATTACTGAATTTTTTTTTATCATAGTGATTATTTATTTGCGTTTCTGTTTTAGAGTAATTAAAATAGTTGGAACTGTCAGATTTTTGTGCAATGCAGTCCACTGCACTTCGAAGAGATCTATAAAATTGATATAGGGTTCATGATGCTGAATAGTGAATAGTATAGTACATCAAGAGTTTTGATCTGAATGTAAGCGACATTGTGCAGCTATTGACTAAAAGATAATTGCATATCTTCAAAAAAGAGTTATCTGTTTACCATGGATTTATGACTTCAAGGTTATACAAATTGTAAATTTTCTAATTTATTCTTAATTACATATATAAAAATAGTAGTTTTGAAATTTTGTTAGGCTTAAGAAAACTCAGCCTCACATTTAGTACTTAATTACCGCACATATGCTACACTATTTATGTGATAATGTATCTTATAAAGCATCAGAGAATGCTAAAAATAATTAAGAAGTGGTAATCCAAATGTGCGGCTGCTTGAACATGATCACTACAGTTTTTCCTGAAGTTTTAGCAAATCTTAGGGGACGGGAAATTAACATTTAAAAAAAAAAAATCTCTTCTGATGTTTCATAGATTCCAGTTGTGTTTCCGGGTTTAACTAGTAGTTTTGTCCTTAACATTTTTTTTGTTTTTTTTCTCCAG-3'
前記(f1)のポリヌクレオチドは、例えば、前記正常FLC3遺伝子の第1イントロン(配列番号9)の塩基配列と比較して、配列番号9の塩基配列の914番目の塩基(C)から970番目の塩基(A)までの塩基配列、すなわち、配列番号12の塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号9のかっこで囲んだ下線部)が欠失されている。また、前記(f1)のポリヌクレオチドは、例えば、前記正常FLC3遺伝子の第1イントロン(配列番号18)の塩基配列と比較して、配列番号18の塩基配列の909番目の塩基(C)から965番目の塩基(A)までの塩基配列、すなわち、配列番号12の塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号18のかっこで囲んだ下線部)が欠失されている。前記(f1)のポリヌクレオチドは、例えば、後述する受託番号FERM BP−22259で寄託されたアブラナ科植物から得ることができる。
前記(f2)のポリヌクレオチドにおいて、前記「1もしくは数個」は、例えば、1〜227個、1〜171個、1〜114個、1〜56個、1〜46個、1〜35個、1〜23個、1〜12個、1〜6個、1〜3個、1個、または2個である。
前記(f3)のポリヌクレオチドにおいて、前記「同一性」は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
本発明において、前記第1の変異FLC遺伝子、前記第2の変異FLC遺伝子および前記第3の変異FLC遺伝子を有するか否かは、例えば、それぞれのFLC遺伝子に対して、プライマーセットを使用した遺伝子増幅を行い、増幅断片の長さから、挿入変異の変異FLC遺伝子および欠失変異の変異FLC遺伝子を判断してもよいし、それぞれのFLC遺伝子の第1イントロンの塩基配列を決定し、前記塩基配列から挿入変異の変異FLC遺伝子および欠失変異の変異FLC遺伝子を判断してもよい。
前者の場合、具体例として、前記第1の変異FLC遺伝子、前記第2の変異FLC遺伝子および前記第3の変異FLC遺伝子は、例えば、それぞれ、前述した前記プライマーセット1、2および3を使用した遺伝子増幅により、所定の範囲の長さの断片が増幅される。前記プライマーセット1によれば、例えば、FLC1遺伝子の増幅により、正常か挿入変異かを確認でき、プライマーセット2によれば、例えば、FLC2遺伝子の増幅により、正常か挿入変異かを確認でき、プライマーセット3によれば、例えば、FLC3遺伝子の増幅により正常か欠失変異かを確認できる。
本発明において、「極晩抽性」とは、前述のように、花芽形成、抽台または開花までの期間が長いことを意味し、具体的には、例えば、アブラナ科植物を低温条件で処理した場合、前記低温条件での処理の最終日を基準として、花芽形成、抽台または開花までの期間により判断できる。より具体的には、例えば、評価対象のアブラナ科植物を播種し、所定期間の栽培を行った後、所定期間の低温処理を行い、再度、栽培を行い、前記低温処理の最終日を基準として、花芽形成、抽台または開花までの期間を確認することで、前記極晩抽性を評価できる。
前記極晩抽性の程度は、例えば、後述する実施例2の記載の方法に準じて、開花度により表すことができる。具体的に、対象となるアブラナ科植物について、自殖系統の複数の種子または同一クローンの複数の種子を播種し、所定の低温条件下で低温処理した後、所定の栽培条件下で栽培を続ける。そして、前記低温条件下の処理最終日を基準として、所定の日数後(例えば、30〜60日後)における花芽形成、抽台(花茎の伸長)および開花を、下記基準に基づき分類することで、前記開花度を算出する。前記低温条件は、例えば、2〜12℃、8〜16時間日長であり、前記低温条件での処理期間は、例えば、20〜60日であり、前記栽培条件は、例えば、15〜25℃、8〜16時間日長である。前記極晩抽性の評価において、前記低温処理および前記栽培は、例えば、野外および室内のいずれでもよい。
開花度1:花芽が見られない(不抽台)
開花度2:花茎長1cm未満
開花度3:花茎長3cm未満
開花度4:花茎長5cm未満
開花度5:花茎長10cm未満
開花度6:花茎長20cm未満
開花度7:花茎長20cm以上
開花度8:主枝に開花がみられる
開花度9:主枝並びに側枝に開花がみられる
そして、例えば、前記複数の種子から得られた全アブラナ科植物の75%以上が開花度1である場合を、優れた極晩抽性と判断できる。また、前記親系統として、抽台の程度がより高い(すなわち、抽台がより遅い)アブラナ科植物を使用する場合、例えば、前記スクリーニング方法により得られた親系統から、さらに、前記全アブラナ科植物の80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、99%以上または100%が開花度1であるものを、より優れた極晩抽性の親系統として選択することもできる。
この他にも、前記極晩抽性の程度は、例えば、後述する実施例3の記載の方法に準じて、花芽組織が形成されるまでの日数により表すこともできる。具体的に、対象となるアブラナ科植物について、前述のような種子を播種し、所定の栽培条件下で約1ヵ月(例えば、30日)栽培し、さらに、所定の低温条件下で低温処理した後、再度、前記栽培条件下で栽培を続ける。前記栽培条件は、例えば、15〜25℃、8〜16時間日長であり、前記低温条件は、例えば、4〜6℃、8〜16時間日長であり、前記低温処理の処理時間は、例えば、20〜60日である。そして、前記低温条件下の処理最終日を基準として、所定の大きさの花芽組織(例えば、長さ5mm)が形成されるまでの日数を計測する。そして、例えば、前記基準から所定日数以内(例えば、60日以内)には花芽を形成しない場合、優れた極晩抽性と判断する。前記極晩抽性の評価において、前記栽培および前記低温処理は、例えば、野外および室内のいずれでもよい。
本発明のスクリーニング方法により得られた前記極晩抽性マーカーセットを有する親系統は、前述のように、極晩抽性を有する。前記極晩抽性の程度は、例えば、前述の方法で表すことができる。本発明のスクリーニング方法においては、例えば、前記選抜工程の後、さらに、前記選抜工程で得られた選抜した植物(以下、「極晩抽性候補植物」ともいう)について、前記極晩抽性の程度を確認する工程を含んでもよい。極晩抽性の程度は、例えば、前述のように、花芽形成(花芽分化)、抽台または開花の確認により評価することができる。
前述のように、本発明のスクリーニング方法により得られた前記マーカーセットを有するアブラナ科植物を、前記第1の親系統および前記第2の親系統とした場合、前記両者は、ともに極晩抽性を有しており、開花時期が重複するため、受粉可能である。本発明において、前記両親系統の開花時期が重複するとは、例えば、前記第1の親系統の開花日を基準として、前記第2の親系統の開花日が、例えば、前記基準の26日前〜26日後、好ましくは12日前〜12日後、より好ましくは9日前〜9日後である。また、前記F1品種の種子の採種数がさらに向上することから、前記第2の親系統の開花日が、前記第1の親系統の開花日を基準として、例えば、さらに好ましくは5日前〜5日後、特に好ましくは3日前〜3日後、最も好ましくは同日である。
(2)親系統の極晩抽性アブラナ科植物
本発明の親系統の極晩抽性のアブラナ科植物は、交雑により極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統であり、前記極晩抽性マーカーセットとして少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有し、前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方であることを特徴とする。本発明の親系統の極晩抽性のアブラナ科植物は、例えば、前記本発明の親系統のスクリーニング方法等の説明を援用できる。
本発明の親系統を、例えば、第1の親系統および第2の親系統として使用することにより、例えば、両方の親系統の開花時期が重複するため、後代系統(F1)を容易に採種することができる。また、両方の親系統が、前記ホモ接合型の前記極晩抽性マーカーセットを有することから、例えば、得られる後代系統についても、親系統の有する極晩抽性を保持することができる。前記第1の親系統と前記第2の親系統とは、例えば、少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で共通して有することが好ましく、全ての変異FLC遺伝子をホモ接合型で共通して有することがより好ましい。
本発明の親系統の極晩抽性アブラナ科植物は、例えば、前記本発明のスクリーニング方法により得ることができる。本発明の親系統の極晩抽性アブラナ科植物は、一例として、受託番号FERM BP−22259で寄託されたアブラナ科植物またはその後代系統があげられる。寄託の情報を以下に示す。
寄託の種類:国際寄託
寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター
あて名:日本国 〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 120号室
受託番号:FERM BP−22259
識別のための表示:Takii5
受領日:2013年12月19日
本発明において、前記後代系統とは、例えば、自殖交雑後代でもよいし、戻し交雑後代でもよい。
また、本発明の親系統は、例えば、アブラナ科植物に、前記本発明の極晩抽性マーカーセットを導入することによっても製造できる。前記アブラナ科植物への前記マーカーセットの導入方法は、特に制限されず、例えば、従来公知の遺伝子工学的手法があげられる。導入する前記マーカーセットは、前記アブラナ科植物由来の極晩抽性マーカーセットであればよく、前述のようなものが例示できる。
(3)極晩抽性アブラナ科植物の製造方法
本発明の極晩抽性アブラナ科植物の製造方法は、前述のように、極晩抽性の後代系統であるアブラナ科植物の製造方法であり、第1の親系統と第2の親系統とを交雑することによって、極晩抽性の後代系統であるアブラナ科植物を得る交雑工程を含み、前記第1の親系統と前記第2の親系統が、それぞれ、極晩抽性マーカーセットとして少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有するアブラナ科植物であり、前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方であることを特徴とする。本発明の極晩抽性アブラナ科植物の製造方法は、例えば、前記本発明の親系統のスクリーニング方法等の説明を援用できる。
本発明の製造方法は、前記極晩抽性マーカーセットを有するアブラナ科植物を、第1の親系統および第2の親系統として使用することが特徴であって、その他の工程および条件は、何ら制限されない。前記極晩抽性マーカーセットは、前述の通りである。本発明の製造方法は、例えば、育成方法ということもできる。
本発明の製造方法において、前記第1の親系統と前記第2の親系統とは、例えば、少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で共通して有することが好ましく、全ての変異FLC遺伝子をホモ接合型で共通して有することがより好ましい。
本発明における前記第1の親系統および前記第2の親系統は、例えば、前記本発明のスクリーニング方法により得ることもできる。このため、本発明の製造方法は、例えば、前記交雑工程の前に、さらに、アブラナ科植物の候補群から、少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有する植物を、前記第1の親系統または前記第2の親系統として選抜する選抜工程を含んでもよい。また、本発明においては、前記第1の親系統および前記第2の親系統の両方を、それぞれ、前記選抜工程により選抜してもよい。前記親系統の選抜は、例えば、前記本発明のスクリーニング方法を援用できる。
本発明において、前記第1の親系統と前記第2の親系統との交雑は、例えば、同一個体間の交雑(正自家受粉)でもよいし、同一クローン個体間または近交系で維持されている系統の個体間の交雑(準自家受粉)でもよいし、異なる個体間の交雑(他家受粉)でもよい。前記正自家受粉の場合、前記第1の親系統および前記第2の親系統は、例えば、いずれか一方が同一個体における雌器官であり、他方が、同一個体における花粉である。前記準自家受粉とは、例えば、自家不和合性に関するS遺伝子型が同じである場合があげられ、前記他家受粉は、例えば、自家不和合性に関するS遺伝子型が異なる場合があげられる。アブラナ科植物の交雑においては、前記第1の親系統と前記第2の親系統とが、異なるS遺伝子型であり、前記交雑が他家受粉であることが好ましい。
本発明において、前記第1の親系統および前記第2の親系統の少なくとも一方として、例えば、前述のような受託番号FERM BP−22259で寄託されたアブラナ科植物またはその後代系統が使用できる。
本発明の製造方法においては、例えば、前記第1の親系統および前記第2の親系統の少なくとも一方として、前記極晩抽性の性質以外に、育種上または品質上望ましい性質を有する植物を使用してもよい。従来、品質の良いアブラナ科植物を用いて、新たにF1品種を作成する場合、市販品種または伝統的地方品種の形質に類縁である品質は良いが晩抽性の程度が低い親系統に対して、野生種の形質に類縁である品質は悪いが晩抽性の程度が高い親系統を交雑させることで、前者の品質を導入することが試みられていた。しかしながら、前記交雑により作製されたF1品種は、前者の親系統よりも品質が低下し、また、後者の親系統よりも晩抽性の程度が低下するため、結果的に、晩抽性および品質を両立したF1品種の作製は困難という問題あった。また、前者の親系統と後者の親系統は、開花時期が重複し難いことからも、依然、前記F1品種の種子の採種および生産は困難であった。しかしながら、本発明によれば、前記極晩抽性マーカーセットを有する第1の親系統および第2の親系統を使用することにより、両親系統の開花時期が重複するため、F1品種の種子を得ることがでる。また、前記第1の親系統と前記第2の親系統とが、例えば、少なくとも2種類のマーカーをホモ接合型で共通して有している場合、F1品種も、前記極晩抽性を維持させることができる。このため、所望の品質を有するアブラナ科植物のうち、前記極晩抽性マーカーセットを有するものを使用することで、前記所望の品質を有するF1品種を新たに得ることができ、且つ、得られたF1品種自体に、前記極晩抽性を維持させることができる。
前記交雑工程において得られた後代系統について、極晩抽性か否かは、例えば、前記極晩抽性マーカーセットの確認により、間接的に確認できる。また、前記後代系統の極晩抽性の程度は、例えば、前述したような方法により表すことができる。
本発明によれば、前述のように、前記極晩抽性マーカーセットを有する前記第1の親系統および前記第2の親系統を使用するため、両者は、同様の極晩抽性で且つ開花時期も重複する。開花時期の重複とは、例えば、前述の通りである。
本発明の製造方法は、例えば、前記交雑工程の後、さらに、前記交雑工程で得られた後代系統を育成する工程を有してもよい。
本発明の極晩抽性アブラナ科植物について、花芽形成、抽台または開花の時期に関する極晩抽性以外の特徴、例えば、形質的、生態的特徴等は、特に限定されない。具体例として、極晩抽性アブラナ科植物が、ダイコンである場合、38cm以上の根長を有する、7〜8cmの根径を有する、肥大性がよい、す入りが遅い、食味がよい、根の表皮色がよい、胚軸の表皮色がよい、葉の形がよい、草型がよい、生育が旺盛である、耐病性、耐暑性、耐寒性、耐生理障害であることが例示できる。
本発明において、「植物」は、植物全体を示す植物個体および前記植物個体の部分のいずれの意味であってもよい。前記植物個体の部分は、例えば、器官、組織、細胞または栄養繁殖体等があげられ、いずれでもよい。前記器官は、例えば、花弁、花冠、花、葉、種子、果実、茎、根等があげられる。前記組織は、例えば、前記器官の部分である。前記植物体の部分は、例えば、一種類の器官、組織および/または細胞でもよいし、二種類以上の器官、組織および/または細胞でもよい。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に記載された態様に限定されるものではない。
[実施例1]
極晩抽性ダイコンを選抜し、前記極晩抽性ダイコンについて、FLC遺伝子の遺伝子解析を行い、極晩抽性マーカーセットとして、少なくとも2つの変異FLC遺伝子を有することを確認した。
(1)極晩抽性ダイコンの選抜
タキイ種苗株式会社農場で継代育種により採種されたダイコン種子について、自家受粉するよう、セルトレイに1系統あたり8個体を播種し、所定の栽培条件(20℃、16時間日長)に設定したガラス温室で1ヵ月栽培した。前記栽培後、所定の低温条件(6℃、16時間日長)に設定した低温室で、2ヵ月低温処理した。前記低温処理後、さらに前記栽培条件のガラス温室で栽培し、開花の時期が最も遅かった1系統(1個体)を選抜した(第1選抜個体)。前記第1選抜個体から自殖種子を採種し、前述と同様にして、100個体の播種、栽培、低温処理および栽培を行い(自家受粉)、開花の時期が最も遅かった1個体から、自殖種子を採種した(第2選抜個体)。さらに、前記第2選抜個体から採種した自殖種子(50個体)を、前述と同様にして、播種、栽培、低温処理および栽培を行い、開花の時期が最も遅かった個体を選抜した(第3選抜個体)。そして、前記第3選抜個体から、自殖種子を採種した。採種した前記第3選抜個体由来の自殖種子(3個体)を、前述と同様にして、播種、栽培、低温処理および栽培を行い(自家受粉)、最も開花の遅かった個体を、晩抽性の選抜系統27−1(第4選抜個体)とした。そして、前記選抜系統27−1について2回自殖を行った。
(2)FLC遺伝子の遺伝子型
前記自殖後の選抜系統27−1の葉から、常法によりゲノムDNAを抽出した。つぎに、前記ダイコン属の正常RsFLC1遺伝子の第1イントロンの塩基配列(配列番号7)に基づき、650〜1293番目の塩基配列を増幅する下記プライマーセット1、前記ダイコン属の正常RsFLC2遺伝子の第1イントロンの塩基配列(配列番号8)に基づき、141〜688番目の塩基配列を増幅する下記プライマーセット2、および前記ダイコン属の正常RsFLC3遺伝子の第1イントロンの塩基配列(配列番号9)に基づき、801〜996番目の塩基配列を増幅する下記プライマーセット3を、それぞれ作製した。そして、前記ゲノムDNAについて、前記プライマーセットを用いて、PCRを行った。プライマーセットの設計に関して、図1に概略を示す。図1に示すように、各プライマーセットは、各正常遺伝子に対して、挿入または欠失の変異が生じる位置の5’端から3’方向および3’端から5’方向に位置するように、それぞれ、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを設計した。
プライマーセット1
フォワードプライマー (配列番号1)
5'-GTTTCCTAACTGATTCTTAATTTCC-3'
リバースプライマー (配列番号2)
5'-GAAGAAAAAGGTTTTGGTGAGGTGG-3'
プライマーセット2
フォワードプライマー (配列番号3)
5'-GCAGATCTCTTGTGGATTTCTCGG-3'
リバースプライマー (配列番号4)
5'-CTTCAGATCCTCAAGGAGTTCTAAG-3'
プライマーセット3
フォワードプライマー (配列番号5)
5'-GTAGTTTTGAAATTTTGTTAGGC-3'
リバースプライマー (配列番号6)
5'-CCACTTCTTAATTATTTTTAGC-3'
前記増幅産物を、それぞれ電気泳動に供し、前記FLC1遺伝子、前記FLC2遺伝子および前記FLC3遺伝子のバンドを確認した。
また、比較例として、早抽性の自殖固定系統76−1(宮重総太大根由来)および在来品種12種類について、同様にPCRを行い、得られた増幅産物について、電気泳動によりバンドを確認した。
これらの結果を図2に示す。図2は、前記増幅産物の電気泳動の結果を示す写真であり、上段は、RsFLC1遺伝子に対する前記プライマーセット1の増幅産物、中段は、RsFLC2遺伝子に対する前記プライマーセット2の増幅産物、下段は、RsFLC3遺伝子に対する前記プライマーセット3の増幅産物を示す写真である。図2の各段において、各レーンは、左から、DNAマーカー、選抜系統27−1、固定系統76−1、および在来品種12種類を示す。前記在来品種1〜12は、以下の通りである。
1 大阪四十日大根
2 みの早生大根
3 宮重総太
4 守口大根
5 練馬大根
6 三浦大根
7 白上り京大根
8 小瀬菜大根
9 晩生春若大根
10 二年子大根
11 Frenchbreakfast3
12 Sckerlet globe
図2に示すように、前記自殖固定系統76−1では、前記プライマーセット1の増幅産物は、正常RsFLC1遺伝子であることを意味する約0.6kbpの位置にホモ接合型の単一バンドが確認され(上段の黒矢印)、前記プライマーセット2の増幅産物は、正常RsFLC2遺伝子であることを意味する約0.5kbpの位置にホモ接合型の単一バンドが確認され(中段の黒矢印)、前記プライマーセット3の増幅産物は、正常RsFLC3遺伝子であることを意味する約200bpの位置にホモ接合型の単一バンドが確認された(下段の黒矢印)。これに対し、前記選抜系統27−1では、前記プライマー1の増幅産物は、約2.6kbpの位置にホモ接合型の単一のバンドが確認され(上段の白矢印)、正常RsFLC1遺伝子に対して約2kbpの挿入変異(つまり、塩基対約2000個の挿入変異)が起こった挿入変異RsFLC1遺伝子であることがわかった。また、前記プライマー2の増幅産物は、約2kbpの位置にホモ接合型の単一のバンドが確認され(中段の白矢印)、正常RsFLC2遺伝子に対して約1.5kbpの挿入変異(つまり、塩基対約1500個の挿入変異)が起こった挿入変異RsFLC2遺伝子であることがわかった。また、前記プライマー3の増幅産物は、約150bpの位置にホモ接合型の単一のバンドが確認され(下段の白矢印)、正常RsFLC3遺伝子に対して約50bpの欠失変異(つまり、塩基対約50個の欠失変異)が起こった欠失変異RsFLC3遺伝子であることがわかった。なお、在来品種に関しては、前記プライマーセット1、前記プライマーセット2および前記プライマーセット3のうち2つまたは全てについて、前記選抜系統27−1と同じ位置にホモ接合型のバンドを示したものはなかった。
[実施例2]
前記実施例における選抜系統27−1、固定系統76−1、F1品種および在来種について、FLC遺伝子の遺伝子型および開花度を確認し、前記極晩抽性マーカーセットである少なくとも2つのホモ接合型の変異FLC遺伝子を有する品種が、極晩抽性を示すことを確認した。
(1)遺伝子型
前記実施例1における選抜系統27−1、固定系統76−1、在来品種およびF1品種について、前記実施例1(2)と同様にして、FLC遺伝子の遺伝子型を確認した。これらの結果を表1、表2A、表2Bおよび表3に示す。
表1、表2A、表2Bおよび表3において、「A」は、前記変異FLC遺伝子がホモ接合型であることを示し、「B」は、前記正常FLC遺伝子がホモ接合型であることを示し、「H」は、前記正常FLC遺伝子と前記変異FLC遺伝子とのヘテロ接合型であることを示す。
(2)開花度
つぎに、4月16日に、青森県上北郡の畑において、前記自殖後の選抜系統27−1、春神楽、つや風、およびトップランナーについて、それぞれ4個体、8個体、10個体、10個体を播種し、そのまま野外で約2ヵ月(6月19日まで)栽培した。約2ヵ月の屋外での栽培において、1〜30日目の温度は、平均10℃前後(2〜12℃)の低温条件であり、その後の温度は、8〜18℃であった。また、日長時間は、平均8〜16時間であった。
約2ヵ月後の6月19日に、各品種について、目視で開花度を確認した。前記開花度は、下記基準に基づき分類し、開花度1の個体を極晩抽性の個体であると評価した。これらの結果を下記表4に示す。
開花度1:花芽が見られない(不抽台)
開花度2:花茎長1cm未満
開花度3:花茎長3cm未満
開花度4:花茎長5cm未満
開花度5:花茎長10cm未満
開花度6:花茎長20cm未満
開花度7:花茎長20cm以上
開花度8:主枝に開花がみられる
開花度9:主枝並びに側枝に開花がみられる
前記表4に示すように、春神楽、つや風およびトップランナーは、栽培開始から約2ヵ月目の時点で、全ての個体が開花度2以上であり、抽台(花茎の伸長)または開花の開始が確認された。これに対して、選抜系統27−1は、栽培開始から約2ヵ月目の時点で、全ての個体が開花度1の不抽台であった。
このように、実施例の選抜系統27−1は、3つのFLC遺伝子が、ホモ接合型の前記変異FLC遺伝子であるが、その他の在来品種およびF1品種は、少なくとも2つのFLC遺伝子について、ホモ接合型の前記変異FLC遺伝子を有するものは存在しなかった。これらの結果から、少なくとも2つのFLC遺伝子について、ホモ接合型の前記変異FLC遺伝子を有することで、極晩抽性を示し、これらの変異遺伝子が極晩抽性マーカーセットとなることがわかった。
[実施例3]
前記極晩抽性マーカーセットは、前述のように少なくとも2種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子である。そこで、極晩抽性の前記選抜系統27−1と早抽性のダイコン植物とを交配してF2分離集団を作製し、FLC1遺伝子、FLC2遺伝子およびFLC3遺伝子について、少なくとも2種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を有する系統とそれ以外の系統とを含むF2分離集団において、少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型でもつ系統のみが、極晩抽性を示すことを確認した。
前記選抜系統27−1と早抽性の固定系統76−1とを交雑し、800個体のF2分離集団(以下、800個体という)を得た。前記800個体の葉から、前記実施例1(2)と同様にして、ゲノムDNAを抽出し、FLC遺伝子の遺伝子型を確認した。
前記FLCの遺伝子型を基に、前記F2分離800個体から、FLC1、FLC2およびFLC3の遺伝子型を、前記晩抽系統27−1型と同じホモ接合型で固定した個体(8個体)、前記早抽系統76−1型で固定した個体(5個体)、ならびに、前記晩抽系統27−1型と前記早抽系統76−1型とのヘテロ接合型である個体(4個体)を、それぞれ選抜した。また、コントロールとして、前記27−1系統(3個体)、前記76−1系統(3個体)、および、これらを交雑したF1(3個体)を使用した。そして、それぞれの種子を、前記実施例1(1)と同様に播種し、20℃、16時間日長のガラス温室で1ヵ月栽培し、播種後1ヶ月の植物体を、6℃、40日間、16時間日長の条件下で低温処理を行った。その後、20℃、16時間日長の温室において、前記植物体をポットで栽培し、花芽形成が確認できるまでの日数を計測した。具体的には、低温条件下の処理最終日を0日目とし、5mmの花芽が形成されるまでの日数を確認した。そして、下記評価基準に基づき、極晩抽性か否かを判断した。この結果を、FLC遺伝子の遺伝子型とあわせて下記表5に示す。
(花芽形成日数の評価基準)
60日以内には花芽形成が見られない:極晩抽性である
A:27−1(晩抽系統)型
B:76−1(早抽系統)型
H:AとBとのヘテロ接合型
○: 極晩抽性である
×: 極晩抽性でない
前記表5に示すように、前記F2分離集団において、少なくとも2種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を有する系統(A、A、A)は、いずれも60日以内では花芽形成が見られなかった。これは、ポジティブコントロールとして用いた前記27−1系統と同様の結果であった。一方、前記F2分離集団において、正常FLC遺伝子をホモ接合型でもつF2個体(B、B、B)は、早抽系統76−1と同等の早い日数で花芽の形成が確認され、またヘテロ接合型のF2個体(H、H、H)は、前記F1個体(前記27−1系統と前記76−1系統とのF1個体)と同等の早い日数で、花芽の形成が確認された。具体的に、早抽系統76−1、F2個体(B、B、B)およびF2個体(H、H、H)は、いずれも12日〜33日の間に花芽形成が確認された。以上の結果から、前記27−1系統の極晩抽性は、ホモ接合型である変異FLC1遺伝子、変異FLC2遺伝子および変異FLC3遺伝子に起因することがわかった。
[実施例4]
前記極晩抽性ダイコンについて、FLC遺伝子の遺伝子解析を行い、第1の変異FLC遺伝子および第2の変異FLC遺伝子が、挿入変異遺伝子であり、第3の変異FLC遺伝子が、欠失変異遺伝子であることを確認した。
前記3種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を有する選抜系統27−1および前記3種類のホモ接合型の正常FLC遺伝子を有する固定系統76−1の葉から、常法によりゲノムDNAを抽出した。そして、前記選抜系統27−1および前記固定系統76−1のゲノムDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼ(Phusion(登録商標) High fidelity DNA polymerase、Finnzyme社製)および下記プライマーセットを用い、添付のプロトコルに従い、RsFLC1遺伝子、RsFLC2遺伝子およびRsFLC3遺伝子をPCRにより増幅した。各プライマーセットは、各正常遺伝子の第1エキソンから5’側の5’非翻訳領域において、5’から3’方向にプライマーの一部が位置するように、フォワードプライマーを、また各正常遺伝子の第7エキソンから3’側の3’非翻訳領域において、3’から5’方向にプライマーの一部が位置するように、リバースプライマーを設計した。また、下記プライマーセットを用いて、対応する各遺伝子を増幅した場合、正常FLC1遺伝子では、約4kbp、変異FLC1遺伝子では、約6kbp、正常FLC2遺伝子では、約3.3kbp、変異FLC2遺伝子では、約4.9kbp、正常FLC3遺伝子では、約3kbp、変異FLC3遺伝子では、約2.9kbpの増幅産物が得られる。
RsFLC1遺伝子用プライマーセット
フォワードプライマー (配列番号19)
5'-CTCTAGAGGATCCCCGGGCACAAAGCCCTGTCGGAG-3'
リバースプライマー (配列番号20)
5'-TCGAGCTCGGTACCCTGACTAATTAAGCAATGGGAG-3'
RsFLC2遺伝子用プライマーセット
フォワードプライマー (配列番号21)
5'-CTCTAGAGGATCCCCAGGGCACAAAGGCTTCTCGG-3'
リバースプライマー (配列番号22)
5'-TCGAGCTCGGTACCCAGGTGGCTAATAAAGCAGTGG-3'
RsFLC3遺伝子用プライマーセット
フォワードプライマー (配列番号23)
5'-CTCTAGAGGATCCCCGGCACGAAGTCCTCTCGGAG-3'
リバースプライマー (配列番号24)
5'-TCGAGCTCGGTACCCGGCTAATTAAGCAGCGGGAG-3'
得られた増幅産物について、アガロースゲルを用いて電気泳動後、エチジウムブロマイドにより染色した。前記染色により、増幅産物の増幅を確認後、前記増幅産物を含む分画を前記アガロースゲルから切り出し、DNA抽出キット(UltraClean(登録商標) DNA purification kit、MO Bio Laboratories社製)を用いて、前記アガロースゲルから前記増幅産物を回収した。回収した増幅産物を制限酵素(SmaI)で処理し、クローニングキット(In-Fusion(登録商標) HD Cloning Kit、Clontech社製)を用いて、前記制限酵素で処理したpUC18ベクター(タカラバイオ社製)にクローニングすることにより、前記増幅産物を含むベクターを得た。上記クローニングは、3回行った。前記ベクターを大腸菌に形質導入後、アンピシリンによりセレクションを行った。そして、得られたポジティブクローンからプラスミド精製キット(QIAprep Spin Miniprep Kit、QIAGEN社製)を用い、前記ベクターを精製した。得られたベクターについて、シーケンサー(CEQ(商標)8800、Beckman coulter社製)を用い、添付のプロトコルに従い、サンガー法により塩基配列を決定した。得られた配列データは、解析ソフト(SEQUENCHER(登録商標) 4.0、Gene Codes Corporation社製、GENETYX(登録商標) Ver.11、GENETYX CORPORATION社製)を用いて、塩基配列をアセンブルおよび解析した。なお、前記固定系統76−1については、2個の個体(以下、それぞれ、「第1の固定系統76−1」および「第2の固定系統76−1」ともいう。)について、それぞれ、塩基配列を決定した。
この結果、前記選抜系統27−1の変異FLC1遺伝子、変異FLC2遺伝子、および変異FLC3遺伝子の第1イントロンの塩基配列は、それぞれ、配列番号13、配列番号14、および配列番号15の塩基配列であることがわかった。また、前記第1の固定系統76−1の正常FLC1遺伝子、正常FLC2遺伝子、および正常FLC3遺伝子の第1イントロンの塩基配列は、それぞれ、配列番号7、配列番号8、および配列番号9の塩基配列であることがわかった。前記第2の固定系統76−1の正常FLC1遺伝子、正常FLC2遺伝子、および正常FLC3遺伝子の第1イントロンの塩基配列は、それぞれ、配列番号16、配列番号17、および配列番号18の塩基配列であることがわかった。さらに、前記選抜系統27−1の変異FLC1遺伝子の第1イントロンの塩基配列は、前記第1および第2の固定系統76−1の正常FLC1遺伝子の第1イントロンの塩基配列に対して、前記配列番号10の塩基配列からなるポリヌクレオチドが挿入されている点で共通することがわかった。さらに、前記選抜系統27−1の変異FLC2遺伝子の第1イントロンの塩基配列は、前記第1および第2の固定系統76−1の正常FLC2遺伝子の第1イントロンの塩基配列に対して、前記配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチドが挿入されている点で共通することがわかった。そして、前記選抜系統27−1の変異FLC3遺伝子の第1イントロンの塩基配列は、前記第1および第2の固定系統76−1の正常FLC3遺伝子の第1イントロンの塩基配列に対して、前記配列番号12の塩基配列からなるポリヌクレオチドが欠失されている点で共通することがわかった。以上の結果から、前記極晩抽性ダイコンにおいて、第1の変異FLC遺伝子および第2の変異FLC遺伝子が、挿入変異遺伝子であり、第3の変異FLC遺伝子が、欠失変異遺伝子であることがわかった。
[実施例5]
前記極晩抽性マーカーセットは、前述のように少なくとも2種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子である。そこで、極晩抽性の前記選抜系統27−1と早抽性のダイコン植物とを交配してF2分離集団を作製し、FLC1遺伝子、FLC2遺伝子およびFLC3遺伝子について、少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有する系統とそれ以外の系統とを含むF2分離集団において、少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型でもつ系統のみが、極晩抽性を示すことを確認した。
前記選抜系統27−1と前記固定系統76−1とを交雑し、96個体のF2分離集団(以下、「96系統」ともいう。)を得た。前記96系統をセルトレイに播種し、所定の栽培条件(20℃、16時間日長)に設定したガラス温室で3週間栽培した。前記栽培後、所定の低温条件(6℃、16時間日長)に設定した低温室で、40日間低温処理した。前記低温処理後、さらに、前記栽培条件のガラス温室で栽培し、開花の時期が最も遅かった1系統(1個体)を選抜した(F2選抜個体)。さらに、前記F2選抜個体から採種した自殖種子(32個体、F3個体)について、前述と同様にして、栽培および低温処理した。前記低温処理後、さらに、前記栽培条件のガラス温室で30日間栽培した。そして、各個体について、目視で開花度を確認した。前記開花度は、前記実施例2(2)の基準に基づき分類し、各遺伝子型において、開花度1の個体の割合が75%以上の場合、極晩抽性であると評価した。また、各個体について、前記実施例1(2)と同様にして、ゲノムDNAを抽出し、FLC遺伝子の遺伝子型を決定した。なお、少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有さない個体は、比較例として分類した。さらに、前記96系統について、前記実施例1(2)と同様にして、ゲノムDNAを抽出し、FLC遺伝子の遺伝子型を決定し、3種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を有する2系統を選抜した(それぞれ、「F2−1系統」および「F2−2系統」ともいう。)。そして、前記F2選抜個体から採種した自殖種子に代えて、前記F2−1系統の自殖種子(36個体)および前記F2−2系統の自殖種子(36個体)を用いた以外は同様にして、開花度を確認した。また、ポジティブコントロールとして、前記F2選抜個体から採種した自殖種子に代えて、前記選抜系統27−1(32個体)を用いた以外は同様にして、開花度を確認した。これらの結果を下記表6に示す。
前記表6に示すように、3種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有するF3個体(A、A、A)、ならびに2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有するF3個体(A、A、H)、F3個体(A、A、B)、およびF3個体(H、A、A)は、前記低温処理後30日の時点で、75%以上の個体が開花度1の不抽台であり、極晩抽性であり、特に、前記F3個体(A、A、A)、前記F3個体(A、A、H)、および前記F3個体(A、A、B)は、全ての個体が開花度1の不抽台であり、優れた極晩抽性であることがわかった。また、3種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有する前記F2−1系統および前記F2−2系統、ならびにポジティブコントロールとして用いた前記選抜系統27−1においても、全ての個体が開花度1の不抽台であり、極晩抽性であることがわかった。他方、少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有さない比較例は、78%以上の個体が開花度2以上であった。これらの結果から、少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型でもつ系統のみが、極晩抽性を示すことがわかった。
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
この出願は、2014年5月15日に出願された日本出願特願2014−101514を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
以上のように、本発明のスクリーニング方法によれば、例えば、アブラナ科植物の候補群から、前記マーカーセットを有する植物を選抜することで、極晩抽性アブラナ科植物を得ることができる。そして、前記スクリーニング方法によって得られた前記少なくとも2種類のマーカーをホモ接合型で有するアブラナ科植物を、例えば、交雑の前記第1の親系統および前記第2の親系統として使用すれば、両者は、抽台および開花の時期が重複するため、両者の交雑が可能であり、受粉により、F1を容易に採種できる。また、前記第1の親系統と前記第2の親系統とが、例えば、少なくとも2種類のマーカーをホモ接合型で共通して有している場合、ホモ接合型の前記少なくとも2種類のマーカーを有する前記第1の親系統と前記第2の親系統とを交雑しているため、得られるF1についても、前記両親系統が有する極晩抽性を受け継がせることができる。さらに、本発明によれば、品種改良において、例えば、望ましい品質を有する候補群から、前記少なくとも2種類のマーカーをホモ接合型で有する植物を選抜し、親系統として使用することにより、極晩抽性を保持し且つ前記品質も有するF1の採種が可能となる。

Claims (28)

  1. 交雑により極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統として、アブラナ科植物の候補群から、極晩抽性マーカーセットとして少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有する植物を選抜する工程を含み、
    前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方であることを特徴とする、スクリーニング方法。
  2. 前記2種類の変異FLC遺伝子が、第1の変異FLC遺伝子または第3の変異FLC遺伝子と、第2の変異FLC遺伝子とを含み、
    前記第1の変異FLC遺伝子および前記第2の変異FLC遺伝子が、それぞれ前記挿入変異遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子が、前記欠失変異遺伝子である、請求項1記載のスクリーニング方法。
  3. 前記極晩抽性マーカーセットとして少なくとも3種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有する植物を選抜する工程を含み、
    前記3種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方である、請求項1または2記載のスクリーニング方法。
  4. 前記3種類の変異FLC遺伝子が、第1の変異FLC遺伝子、第2の変異FLC遺伝子および第3の変異FLC遺伝子であり、
    前記第1の変異FLC遺伝子および前記第2の変異FLC遺伝子が、それぞれ前記挿入変異遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子が、前記欠失変異遺伝子である、請求項3記載のスクリーニング方法。
  5. 前記第1の変異FLC遺伝子は、下記プライマーセット1で、1.2kbp〜4kbpの断片が増幅される遺伝子であり、
    前記第2の変異FLC遺伝子は、下記プライマーセット2で、1.2kbp〜4kbpの断片が増幅される遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子は、下記プライマーセット3で、100bp〜180bpの断片が増幅される遺伝子である、請求項2から4のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
    プライマーセット1
    配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマー
    配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマー
    プライマーセット2
    配列番号3の塩基配列からなるフォワードプライマー
    配列番号4の塩基配列からなるリバースプライマー
    プライマーセット3
    配列番号5の塩基配列からなるフォワードプライマー
    配列番号6の塩基配列からなるリバースプライマー
  6. 前記第1の変異FLC遺伝子は、下記(a)のポリヌクレオチドが挿入された挿入変異遺伝子であり、
    前記第2の変異FLC遺伝子は、下記(b)のポリヌクレオチドが挿入された挿入変異遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子は、下記(c)のポリヌクレオチドが欠失された欠失変異遺伝子である、請求項2から5のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
    (a) 下記(a1)のポリヌクレオチド
    (a1)配列番号10の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    (b) 下記(b1)のポリヌクレオチド
    (b1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    (c) 下記(c1)のポリヌクレオチド
    (c1)配列番号12の塩基配列からなるポリヌクレオチド
  7. 前記アブラナ科植物が、ダイコン属(Brassicaceae Raphanus)、アブラナ属(Brassicaceae Brassica)およびシナピス属(Brassicaceae Sinapis)からなる群から選択された少なくとも一つのアブラナ科植物である、請求項1から6のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
  8. 前記アブラナ科植物が、種子である、請求項1から7のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
  9. 受託番号FERM BP−22259で特定されるアブラナ科植物またはその後代系統であることを特徴とする、交雑により極晩抽性アブラナ科植物を生産するための親系統アブラナ科植物。
  10. 第1の親系統と第2の親系統とを交雑することによって、極晩抽性の後代系統であるアブラナ科植物を得る交雑工程を含み、
    前記第1の親系統と前記第2の親系統が、それぞれ、極晩抽性マーカーセットとして少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有するアブラナ科植物であり、
    前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方であることを特徴とする、極晩抽性の後代系統であるアブラナ科植物の製造方法。
  11. 前記2種類の変異FLC遺伝子が、第1の変異FLC遺伝子または第3の変異FLC遺伝子と、第2の変異FLC遺伝子とを含み、
    前記第1の変異FLC遺伝子および前記第2の変異FLC遺伝子が、それぞれ前記挿入変異遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子が、前記欠失変異遺伝子である、請求項10記載の製造方法。
  12. 前記第1の親系統と前記第2の親系統が、それぞれ、極晩抽性マーカーセットとして少なくとも3種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有するアブラナ科植物であり、
    前記3種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方である、請求項10または11記載の製造方法。
  13. 前記3種類の変異FLC遺伝子が、第1の変異FLC遺伝子、第2の変異FLC遺伝子および第3の変異FLC遺伝子であり、
    前記第1の変異FLC遺伝子および前記第2の変異FLC遺伝子が、それぞれ前記挿入変異遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子が、前記欠失変異遺伝子である、請求項12記載の製造方法。
  14. 前記第1の変異FLC遺伝子は、下記プライマーセット1で、1.2kbp〜4kbpの断片が増幅される遺伝子であり、
    前記第2の変異FLC遺伝子は、下記プライマーセット2で、1.2kbp〜4kbpの断片が増幅される遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子は、下記プライマーセット3で、100bp〜180bpの断片が増幅される遺伝子である、請求項11から13のいずれか一項に記載の製造方法。
    プライマーセット1
    配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマー
    配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマー
    プライマーセット2
    配列番号3の塩基配列からなるフォワードプライマー
    配列番号4の塩基配列からなるリバースプライマー
    プライマーセット3
    配列番号5の塩基配列からなるフォワードプライマー
    配列番号6の塩基配列からなるリバースプライマー
  15. 前記第1の変異FLC遺伝子は、下記(a)のポリヌクレオチドが挿入された挿入変異遺伝子であり、
    前記第2の変異FLC遺伝子は、下記(b)のポリヌクレオチドが挿入された挿入変異遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子は、下記(c)のポリヌクレオチドが欠失された欠失変異遺伝子である、請求項11から14のいずれか一項に記載の製造方法。
    (a) 下記(a1)のポリヌクレオチド
    (a1)配列番号10の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    (b) 下記(b1)のポリヌクレオチド
    (b1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    (c) 下記(c1)のポリヌクレオチド
    (c1)配列番号12の塩基配列からなるポリヌクレオチド
  16. 前記第1の親系統および前記第2の親系統の少なくとも一方が、受託番号FERM BP−22259で特定されるアブラナ科植物またはその後代系統である、請求項10から15のいずれか一項に記載の製造方法。
  17. 前記交雑工程の前に、さらに、アブラナ科植物の候補群から、少なくとも2種類の変異FLC遺伝子をホモ接合型で有する植物を、前記第1の親系統または前記第2の親系統として選抜する選抜工程を含む、請求項10から16のいずれか一項に記載の製造方法。
  18. 前記第1の親系統と前記第2の親系統とが、異なるS遺伝子型であり、前記交雑が他家受粉である、請求項10から17のいずれか一項に記載の製造方法。
  19. 前記アブラナ科植物が、ダイコン属(Brassicaceae Raphanus)、アブラナ属(Brassicaceae Brassica)およびシナピス属(Brassicaceae Sinapis)からなる群から選択された少なくとも一つのアブラナ科植物である、請求項10から18のいずれか一項に記載の製造方法。
  20. 前記アブラナ科植物が、種子である、請求項10から19のいずれか一項に記載の製造方法。
  21. さらに、前記交雑工程により得られた前記後代系統から、種子を採種する採種工程を含む、請求項10から20のいずれか一項に記載の製造方法。
  22. 請求項10から21のいずれか一項に記載の製造方法により得られることを特徴とする、極晩抽性のアブラナ科植物。
  23. 少なくとも2種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を含み、
    前記2種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方であることを特徴とする、アブラナ科植物の極晩抽性マーカーセット。
  24. 前記2種類の変異FLC遺伝子が、第1の変異FLC遺伝子または第3の変異FLC遺伝子と、第2の変異FLC遺伝子とを含み、
    前記第1の変異FLC遺伝子および前記第2の変異FLC遺伝子が、それぞれ前記挿入変異遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子が、前記欠失変異遺伝子である、請求項23記載の極晩抽性マーカーセット。
  25. 少なくとも3種類のホモ接合型の変異FLC遺伝子を含み、
    前記3種類の変異FLC遺伝子が、正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が挿入された挿入変異遺伝子、および、前記正常FLC遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基対が欠失された欠失変異遺伝子の少なくとも一方である、請求項23または24記載の極晩抽性マーカーセット。
  26. 前記3種類の変異FLC遺伝子が、第1の変異FLC遺伝子、第2の変異FLC遺伝子および第3の変異FLC遺伝子であり、
    前記第1の変異FLC遺伝子および前記第2の変異FLC遺伝子が、それぞれ前記挿入変異遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子が、前記欠失変異遺伝子である、請求項25記載の極晩抽性マーカーセット。
  27. 前記第1の変異FLC遺伝子は、下記プライマーセット1で、1.2kbp〜4kbpの断片が増幅される遺伝子であり、
    前記第2の変異FLC遺伝子は、下記プライマーセット2で、1.2kbp〜4kbpの断片が増幅される遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子は、下記プライマーセット3で、100bp〜180bpの断片が増幅される遺伝子である、請求項24から26のいずれか一項に記載の極晩抽性マーカーセット。
    プライマーセット1
    配列番号1の塩基配列からなるフォワードプライマー
    配列番号2の塩基配列からなるリバースプライマー
    プライマーセット2
    配列番号3の塩基配列からなるフォワードプライマー
    配列番号4の塩基配列からなるリバースプライマー
    プライマーセット3
    配列番号5の塩基配列からなるフォワードプライマー
    配列番号6の塩基配列からなるリバースプライマー
  28. 前記第1の変異FLC遺伝子は、下記(a)のポリヌクレオチドが挿入された挿入変異遺伝子であり、
    前記第2の変異FLC遺伝子は、下記(b)のポリヌクレオチドが挿入された挿入変異遺伝子であり、
    前記第3の変異FLC遺伝子は、下記(c)のポリヌクレオチドが欠失された欠失変異遺伝子である、請求項24から27のいずれか一項に記載の極晩抽性マーカーセット。
    (a) 下記(a1)のポリヌクレオチド
    (a1)配列番号10の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    (b) 下記(b1)のポリヌクレオチド
    (b1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド
    (c) 下記(c1)のポリヌクレオチド
    (c1)配列番号12の塩基配列からなるポリヌクレオチド
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