JP2015228969A - 医療用シート材および医療用シート材の製造方法 - Google Patents

医療用シート材および医療用シート材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】濡れても機械的強度の低下が少なく、生体組織に誤って貼付し一旦剥がして貼り直す場合においても破断するおそれがない医療用シート材および医療用シート材の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の医療用シート材はヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを含み、且つ、前記医療用シート材は架橋処理されており、医療用シート材の吸水率が150〜800%に制御されていることを特徴とする。また、本発明の医療用シート材の製造方法は、(i)ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを水に溶解または分散させて水溶液を得る工程、(ii)前記水溶液を製膜してシート状組成物を得る工程、および(iii)前記シート状組成物を反応溶液へ浸漬し、架橋処理を行う工程、を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、医療用素材、特に生体組織同士の治癒過程で生じる癒着を防止するための癒着防止材として適用される医療用シート材および医療用シート材の製造方法に関する。
一般に、外科手術などによって生体組織同士を縫合すると、その生体組織同士はくっついて自然に治癒するものである。しかし、場合によっては、治癒の過程において本来は離れているべき生体組織同士が不用意にくっつくことがあり、外科手術後の合併症として不妊症、腹痛、腸閉塞などの原因となる場合がある。上記のような本来離れているべき生体組織同士がくっつくこと(癒着)を防止するために、従来より癒着防止材と呼ばれるフィルム状シートが提案されている(特許文献1)。前記フィルム状シートは、手術した傷口の周囲を覆って、周囲の生体組織同士がくっつくことを防ぐことにより癒着を防止するものである。そして、傷口の周囲に貼付した前記フィルム状シートは、約2週間貼付部位に保持した後、生体内の水分に溶解して最終的には生体外に排泄されるものである。
このような従来の癒着防止用のフィルム状シートは、濡れるとシートの機械的強度の低下が著しくなるため、生体組織にシートを誤って貼付した場合に、一旦剥がして貼り直そうとすると濡れたシートが破断してしまうおそれがあった。
特表平5−508161号公報
本発明は、上記現状に鑑み、濡れても機械的強度の低下が少なく、生体組織に誤って貼付し一旦剥がして貼り直す場合においても破断するおそれがない医療用シート材および医療用シート材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ヒアルロン酸およびカルボキシメチルセルロースを含む医療用シート材において、医療用シート材の吸水率を150〜800%とすることにより、医療用シート材が濡れた場合でも従来と比較して高い機械的強度を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
上記知見に基づく本発明は以下の通りである。
[1]ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを含み、架橋処理されてなる医療用シート材であって、前記医療用シート材の吸水率が150〜800%であることを特徴とする医療用シート材。
[2]前記架橋処理が、カルボジイミド化合物によって施されている[1]に記載の医療用シート材。
[3]ヒアルロン酸(a)とカルボキシメチルセルロース(b)との配合重量比(a:b)が、1:1〜3:1である[1]または[2]に記載の医療用シート材。
[4]ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを含み、架橋処理されてなる医療用シート材の製造方法であって、(i)ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを水に溶解または分散させて水溶液を得る工程、(ii)前記水溶液を製膜してシート状組成物を得る工程、および(iii)前記シート状組成物を反応溶液へ浸漬し、架橋処理を行う工程、を含む医療用シート材の製造方法。
本発明の医療用シート材は、生体内の水分に濡れても機械的強度の低下が少なく、濡れた生体組織に誤って貼付し一旦剥がして貼り直す場合においても破断するおそれがないという効果を有する。本発明の医療用シート材は、癒着防止材として有用のみならず、高い生体適合性を有することから、創傷被覆材や、止血材、保護材などの医療材料や、薬剤を含有させた徐放製剤の基剤などとしても有用である。
医療用シート材にアガロースゲルを接触させた状態を示す模式的な平面図である。 図1のアガロースゲルを取り除いた後の医療用シート材を、引張試験機のチャックに固定した状態を示す模式的な平面図である。
以下に、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの具体的な実施形態には限定されない。
本発明は、ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを含み架橋処理されてなる医療用シート材に関するものであって、医療用シート材における吸水率を150〜800%に制御することを特徴とする。
ヒアルロン酸は、グルクロン酸とN−アセチルグルコサミンが繰り返し交互に結合した直鎖の高分子多糖類である。ヒアルロン酸は、皮膚、眼球、関節液、血管、へその緒(臍帯)など、体内のいたるところに存在するので、一般的に生体に移植または注入した場合であっても優れた生体適合性、安全性を示すことが知られている。また、ヒアルロン酸は生体内の組織の中に浸透し、それぞれの組織を一定の形に保つ働きを有することから、手術後における生体内組織に対して高い癒着防止効果を有する。
本発明に用いられるヒアルロン酸は、遊離の酸の形態であるヒアルロン酸でもよいし、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カルシウムなどの塩の形態であってもよい。また、ヒアルロン酸の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、50〜390万Daが好ましく、90〜200万Daがより好ましい。重量平均分子量が390万Daを超えると、医療用シート材を作製する工程において均一な溶液を調製することが困難になる。一方、50万Da未満だと、医療用シート材が生体内に存在する水分に溶解されやすくなるため、生体組織が修復するまでの間、癒着防止のためのシートとして形状を保持することが難しくなり、生体組織の癒着を防止する効果が低下するおそれがある。
上記したように、ヒアルロン酸は高い癒着防止効果を有する材料であるが、ヒアルロン酸単体では生体内に存在する水分に対して溶解性が高いため、医療用シート材として形状を保持することが難しい。このため、本発明の医療用シート材は、上記ヒアルロン酸に、比較的吸水性の低いカルボキシメチルセルロースを混合させることによって、生体内における医療用シートの生体内の水分への溶解性をコントロールして、生体組織が修復するまでの間、癒着防止用のシートとして形状を保持することが可能になる。
本発明の医療用シート材に用いられるカルボキシメチルセルロースは、セルロース誘導体の一つであり、セルロース骨格内のヒドロキシル基の一部もしくは全部にカルボキシメチル基が修飾した高分子多糖類である。カルボキシメチルセルロースは、一般的に増粘剤、ゲル化剤などとして用いられるものであり、創傷被覆材などの医療材料としてよく用いられ、優れた生体適合性、安全性を示すことが知られている。
本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースは、遊離の酸の形態であるカルボキシメチルセルロースでもよいし、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの塩の形態であってもよい。また、カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、5〜100万Daが好ましく、20〜80万Daがより好ましい。重量平均分子量が100万Daを超えると、医療用シート材を作製する工程において均一な溶液を調製することが困難になる。一方、5万Da未満だと医療用シート材が生体内に存在する水分に溶解されやすくなるため、癒着防止用のシートとして形状を保持することが難しくなり、生体組織の癒着を防止する効果が低下するおそれがある。
本発明の医療用シート材に含まれるヒアルロン酸(a)とカルボキシメチルセルロース(b)との配合重量比(a:b)は、1:1〜3:1が好ましく、1.5:1〜2.5:1がより好ましい。ヒアルロン酸(a)とカルボキシメチルセルロース(b)との配合重量比(a:b)が、1:1〜3:1であれば、生体組織に貼付した医療用シート材を約2週間保持し、その後、生体内の水分に溶解して最終的には生体外に排泄することが可能となる。
本発明は、医療用シート材に架橋処理を施すことによって、医療用シート材の機械的強度を向上させることができる。このような架橋処理としては、γ線照射、電子線照射などの物理的架橋処理によるもののほか、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよびその塩、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドおよびその塩、ジイソプロピルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジトリルカルボジイミド、1−t−ブチル−3−エチルカルボジイミドなどのカルボジイミド化合物による化学的架橋処理が挙げられる。
本発明では、上記カルボジイミド化合物のうち、反応後の操作性の観点から、水溶性カルボジイミドを用いることが好ましい。このような水溶性カルボジイミドとしては、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、1−シクロへキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−メト−p−トルエン硫酸塩などを例示することができ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)が好適に使用される。
本発明における医療用シート材の吸水率は、150〜800%であり、より好ましくは400〜600%である。上記吸水率は、次の通り算出される。医療用シート材を15mm×15mmに裁断し、50hPa以下の減圧環境下に2時間放置した後、その重量を測定する(吸水前重量(g))。その後、医療用シート材を23℃の超純水10mL中に、振盪速度:120rpm、振盪幅:25mmの条件で1時間振盪する。1時間振盪後、医療用シート材を取り出し、表面の水分を軽く拭いた後、直ちにその重量を測定する(吸水後重量(g))。下記式に基づいて吸水率を求めた。
吸水率(%)=(吸水後重量(g))/(吸水前重量(g))×100
医療用シート材の吸水率を150〜800%の範囲に制御することによって、濡れた生体組織にでも貼り付けることができる高い接着性を有すると共に、医療用シートが湿潤しても高い機械的強度を有し、貼り直す場合でも破れることなく容易に剥がすことができる。
本発明の医療用シート材の吸水率は、医療用シート材の主な構成材料であるヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロースの重量平均分子量、ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとの配合重量比、架橋処理の条件などによって好適に調整することができる。なお、架橋処理としてカルボジイミド化合物による化学的架橋処理を施す場合には、後述する反応溶液中のカルボジイミド化合物の濃度、反応溶液の温度、反応時間(浸漬時間)などにより、本発明の医療用シート材の吸水率を好適に調整することができる。
本発明の医療用シート材の厚さは、20〜100μmが好ましく、40〜60μmがより好ましい。厚さが20μm未満であると、医療用シート材を取り扱う際に破れやすくなり、一方で100μmを超えると医療用シート材の柔軟性が十分ではなく、使用に際して変形しにくくなるため、凹凸のある生体組織へ貼付しづらいものとなる。
本発明の医療用シート材の製造方法は特に限定されないが、例えば次の工程を含むことにより製造することができる。すなわち、(i)ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを水に溶解または分散させて水溶液を得る工程、(ii)前記水溶液を製膜してシート状組成物を得る工程、および、(iii)前記シート状組成物を反応溶液へ浸漬し、架橋処理を行う工程、を含むことにより本発明の医療用シート材を得ることができる。
このような本発明の医療用シート材の製造方法も本発明の一つである。
上記の製造方法により、医療用シート材の機械的強度が格段に向上し、取扱い時の破断が生じにくくなる。以下に、各工程について詳述する。
(i)ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを水に溶解または分散させて水溶液を得る工程では、ヒアルロン酸(a)とカルボキシメチルセルロース(b)との配合重量比が好ましくは1:1〜3:1、より好ましくは1.5:1〜2.5:1になるように採取し、水を加えて撹拌混合し、水溶液を得る。ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとの混合物を水溶液中に均一に混合するためには、水溶液中における混合物の濃度が、0.1〜40重量%が好ましく、0.5〜20重量%がより好ましい。
(ii)前記水溶液を製膜してシート状組成物を得る工程において、製膜方法は特に限定されないが、例えば、流延法、押出法、塗布法などの公知の製膜方法が挙げられる。ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを水に溶解または分散させて得られる水溶液は比較的高粘度になることから、上記の公知の製膜方法の中でも、特に押出法または流延法が好適に用いられる。
押出法による製膜方法は、材料のヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロースおよび水を混錬押出機へ投入し、溶解または分散して水溶液を得た後、得られた水溶液をドラム上またはベルト上へ押し出してシート状組成物に製膜する方法である。押出法による製膜方法は、短時間で材料を混合、溶解または分散することができ、溶媒量の少ない高ベースの均一な溶液を得ることができるので、溶媒を乾燥除去する際に要する時間を大幅に短縮することが可能となり、経済的に有利である。
また、流延法による製膜は、得られた水溶液を型枠へ流し込み、厚みが均一になるように広げられて、シート状組成物に製膜される方法である。流延法による製膜は、簡易な設備で製膜がすることができるという特徴を有する。
前記(ii)の工程を経て得られたシート状組成物は一旦乾燥してもよい。前記乾燥時の温度は40〜100℃が好ましい。乾燥温度が40℃未満の場合、シート状組成物の乾燥が完了するまでの時間が長くなるため経済的に不利であり、乾燥温度が100℃を超えると、原材料の分子量低下が生じるおそれがあり、医療用シート材の機械的強度低下などが生じる可能性がある。
(iii)前記シート材を反応溶液へ浸漬し、架橋処理を行う工程において、反応溶液には架橋剤が含まれていることが好ましい。前記架橋剤としてはカルボジイミド化合物が好適に用いられる。反応溶液を構成する溶媒としては、前記シート状組成物が溶解しないアセトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのケトンまたはアルコール系有機溶媒と、水とを混合した混合溶媒が好ましく、中でも生体組織に対する安全性の観点からエタノールおよび/またはイソプロピルアルコールである有機溶媒と、水とを混合した混合溶媒がより好ましい。混合溶媒中の有機溶媒の含有量は、50〜90重量%が好ましく、70〜80重量%がより好ましい。混合溶媒中の有機溶媒の含有量が90重量%を超えると、反応溶液中においてカルボジイミド化合物による架橋反応が進みにくくなり、50重量%未満だと未架橋のシート状組成物が反応溶液中に溶解し、本発明の医療用シート材が得られなくなるおそれがある。
反応溶液中のカルボジイミド化合物の濃度は、5〜100mMが好ましく、10〜40mMがより好ましい。カルボジイミド化合物の濃度が5mM未満だと十分な架橋反応を行うことが難しいため、このような医療用シート材を生体組織に貼付すると生体内の水分によって溶解しやすくなり、生体組織が修復するまでの間、医療用シートとして形状を保持することが困難になる。一方、カルボジイミド化合物の濃度が100mMを超えると、過剰なカルボジイミド化合物が医療用シート材に残留するおそれがあり、生体組織に対する安全性が低下する可能性がある。
反応溶液の温度は4〜50℃が好ましく、25〜40℃がより好ましい。反応溶液の温度が4℃未満だとカルボジイミド化合物の反応効率が低下し、十分な架橋反応を行うことができない。一方、反応溶液の温度が50℃を超えると原材料の分子量低下が生じる恐れがあり、医療用シート材の機械的強度低下などが生じる可能性がある。
さらに、反応時間(浸漬時間)は0.1〜24時間が好ましく、0.5〜7時間がより好ましい。反応時間(浸漬時間)が0.1時間未満だと十分な架橋処理を行うことができない。一方、反応時間(浸漬時間)が24時間を超えると、カルボジイミド化合物の反応性が低下するため、経済的に不利になる。
前記(iii)の架橋処理を行う工程の後、シート状組成物に残留するカルボジイミド化合物やその副生成物を除去するために、シート状組成物を洗浄溶媒によって洗浄することが好ましい。このような洗浄溶媒としては、水、アセトン、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択された1種以上の溶媒が好ましく、中でも、生体組織に対する安全性の観点から、水、エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群より選択された1種以上の溶媒がより好ましい。また、洗浄方法としては、前記洗浄溶媒にシート状組成物を浸漬し、温度:4〜50℃、振盪速度:0〜40rpm、振盪幅:20〜30mm、時間:5〜60分の条件にて洗浄することが好ましい。
また、前記のシート状組成物を洗浄した後、シート状組成物を乾燥することが好ましい。乾燥方法としては特に限定されないが、例えば、恒温恒湿器、ホットプレートなど公知の乾燥方法が挙げられる。例えば、ホットプレートによる乾燥方法では、30〜80℃に加熱したホットプレート上に、洗浄後のシート状組成物を載置し、3〜60分加熱する。その後、室温になるまで放冷した後、減圧乾燥(50hPa以下、10分)を行うことによって、本発明の医療用シート材を得ることができる。
本発明の医療用シート材は、さらに放射線、滅菌ガスなどによる滅菌処理を施すことが好ましい。放射線による滅菌処理としては、特に限定されないが、例えば、γ線、X線、電子線などの放射線が用いられる。滅菌処理における放射線の照射線量は、例えばγ線の場合は、10〜50kGyの照射線量が好ましい。
また、滅菌ガスとしては、殺菌作用を有するガスであれば特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイドガス(EOG)などを有効成分とする滅菌ガスが用いられる。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
ヒアルロン酸ナトリウム塩粉末(重量平均分子量0.9×10)4.8gと、カルボキシメチルセルロース(重量平均分子量0.7×10)2.4gとを600mLの超純水へ添加し、撹拌、溶解させて水溶液を得た。この水溶液をガラス板上に流延してシート状組成物を形成し、シート状組成物が形成されたガラス板をホットプレート上に静置し、80±5℃、90分の条件で加熱させて未架橋のシート状組成物を得た。
一方、75重量%のミックスエタノール(商品名:ミックスエタノールSPK、山一化学工業株式会社製)水溶液を準備し、そこへ1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(商品名:EPCI、東洋紡株式会社製)を濃度が52.4mMとなるように添加し、溶解させて反応溶液とした。
調製した反応溶液を反応漕へ投入し、反応溶液の温度を30±2℃に調整した後、反応溶液中へ未架橋のシート状組成物を60分間浸漬し架橋処理を行った。架橋処理後、反応溶液を除去し、次いで超純水を添加して、30±2℃、27rpm、10分の条件で振盪させ、超純水による洗浄を行った。前記超純水を除去した後、再度超純水を添加して、前記と同様の条件にて超純水による洗浄を行った。超純水を除去し、次いで75重量%ミックスエタノール水溶液を添加して、温度:30±2℃、振盪速度:27rpm、振盪幅:25mm、時間:10分の条件で振盪させ、洗浄を行った。洗浄後、シート状組成物を取り出し、温度:60℃±2、時間:10分の条件で乾燥させた後、γ線照射(25kGy)により滅菌処理を行い、本発明の医療用シート材(厚さ:40μm)を得た。
[実施例2]
実施例1の未架橋のシート状組成物を60分間浸漬し架橋処理を行ったことに代えて、30分間浸漬し架橋処理を行ったことに変更した以外は実施例1と同様の方法にて、本発明の医療用シート材を得た。
[比較例1]
実施例1の未架橋のシート状組成物を60分間浸漬し架橋処理を行ったことに代えて、15分間浸漬し架橋処理を行ったことに変更した以外は実施例1と同様の方法にて、医療用シート材を得た。
[比較例2]
既に販売されている市販品(ヒアルロン酸およびカルボキシメチルセルロースを含む癒着防止シート)を得、これを比較例2とした。
[試験]
実施例および比較例にて得られた医療用シート材について、後述の試験を行った。
(湿潤時の引張強度)
長さ30mm、幅15mmに医療用シート材を裁断した。図1に示すように裁断した医療用シート材の中央部(長さ10mm、幅15mm)を覆うように0.5重量%アガロースゲル(長さ10mm、幅20mm)を接触させ、23±2℃、65±5%R.H.の環境下で5分間静置した。その後、接触させたアガロースゲルを静かに取り除き、図2に示すように医療用シート材の長さ方向両端をチャック間距離20mmになるように引張試験機にセットした。長さ方向に10mm/分の速さで引っ張った時の最大応力を測定した。同様の試験を3回行い、測定した最大応力の平均値を算出し、湿潤時の引張強度とした。結果を表1に示した。
(濡れた生体組織からの剥離性(生体組織のモデル試験))
長さ10mm、幅20mmに医療用シート材を裁断した。別途、生体組織のモデルとして、11.7重量%のゼラチンゲル(30mm×30mm、厚さ:2mm)を用意し、23±2℃の環境下でこのゼラチンゲルの表面(30mm×30mmの面)に、裁断した医療用シート材を静かに接触させて貼付した。貼付30秒後、ゼラチンゲルの表面に貼付した医療用シート材を、ピンセットを用いて剥離した。剥離した際の医療用シート材の破損の有無を目視で評価した。同様の評価を5回行い、破損した回数を表1に示した。破損した回数が少ないものが剥離性良好であることを示す。
Figure 2015228969
表1の結果から明らかなように、実施例品は湿潤時の引張強度が比較的高く、濡れた生体組織から剥離する場合においても、シートを破損することなく剥離することができた。このため、実施例品は、誤って生体組織へ貼付した場合においても、容易に貼り直すことができるものであった。
一方、比較例品は湿潤時の引張強度が低く、濡れた生体組織から剥離する際にシートが破損する場合があり、きれいに剥離することが困難であった。
1 医療用シート材
2 アガロースゲル
3 中央部
10 チャック

Claims (4)

  1. ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを含み、架橋処理されてなる医療用シート材であって、
    前記医療用シート材の吸水率が150〜800%であることを特徴とする医療用シート材。
  2. 前記架橋処理が、カルボジイミド化合物によって施されている請求項1記載の医療用シート材。
  3. ヒアルロン酸(a)とカルボキシメチルセルロース(b)との配合重量比(a:b)が、1:1〜3:1である請求項1または2に記載の医療用シート材。
  4. ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを含み、架橋処理されてなる医療用シート材の製造方法であって、
    (i)ヒアルロン酸とカルボキシメチルセルロースとを水に溶解または分散させて水溶液を得る工程、(ii)前記水溶液を製膜してシート状組成物を得る工程、および
    (iii)前記シート状組成物を反応溶液へ浸漬し、架橋処理を行う工程、
    を含む医療用シート材の製造方法。

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