JP2015228620A - 圧電素子、圧電デバイス、圧電素子の製造方法、及び圧電デバイスの製造方法 - Google Patents

圧電素子、圧電デバイス、圧電素子の製造方法、及び圧電デバイスの製造方法 Download PDF

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Tomoyuki Taira
智幸 平
悟利 木村
Noritoshi Kimura
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Abstract

【課題】数十メガヘルツ(MHz)程度の共振周波数を容易かつ確実に設定することができ、不良品の発生を抑制して信頼性を向上させることが可能な圧電素子及びその製造方法、並びにこのような圧電素子を有する圧電デバイス及びその製造方法を提供する。【解決手段】単結晶から所定の方位で切り出された所定厚さの板状の圧電部11と、圧電部11の表面11a及び裏面11bの少なくとも一方に接合される支持部12、13と、を有する圧電素子10であって、支持部12、13は、圧電部11の振動に対して所定の音響インピーダンスを有しかつ所定厚さの板状の第1音響インピーダンス部12a、13aと、第1音響インピーダンス部12a、13aより大きな音響インピーダンスを有しかつ所定厚さの板状の第2音響インピーダンス部12b、13bと、が交互に積層されて形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電素子、圧電デバイス、圧電素子の製造方法、及び圧電デバイスの製造方法に関する。
コンピュータや携帯端末などの電子製品は、振動子、発振器、共振子などの圧電デバイスを有している。圧電デバイスは、基板に搭載されかつ所定の周波数で振動する圧電素子を含んで構成される。このような圧電素子としては、例えば圧電薄膜に音響多層膜を積層した構成が知られている(特許文献1参照)。この音響多層膜は、低音響インピーダンス層と、高音響インピーダンス層とが交互に積層された構成を有している。これらの層は、例えば圧電薄膜と同様に薄膜の成膜により形成される。このような圧電素子によれば、音響多層膜により圧電薄膜と基板とが音響的に分離されるため、Q値の高い共振を実現することが可能となる。
特開2004−235886号公報
ところで、圧電素子を共振させるには、低周波数帯であってもその波長に合わせて圧電薄膜、低音響インピーダンス層、及び高音響インピーダンス層のそれぞれの膜厚を設定する必要がある。そのため、例えば共振周波数を数十メガヘルツ(MHz)程度に設定すると、共振周波数がギガヘルツ(GHz)の場合と比べて波長が長くなるので、圧電薄膜等をそれぞれ厚く形成して対応せざるを得ない。
しかしながら、特許文献1に示す圧電素子では、圧電薄膜、低音響インピーダンス層、及び高音響インピーダンス層のそれぞれの膜が成膜工程により形成されるので、各膜を厚く形成することが難しく、仮に厚く形成しても割れ等が生じて不良品の発生が多くなる。すなわち、特許文献1に示す圧電素子では、共振周波数を数十メガヘルツ(MHz)程度に設定することが難しいといった課題を有している。また、圧電薄膜を形成する場合、結晶方位を制御しなければ結晶方位が乱雑となり、所望の振動モードを励起(もしくは励振)することができないといった課題も有している。
以上のような事情に鑑み、本発明では、数十メガヘルツ(MHz)程度の共振周波数を容易かつ確実に設定することができ、不良品の発生を抑制して信頼性を向上させることが可能な圧電素子及びその製造方法、並びにこのような圧電素子を有する圧電デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、単結晶から所定の方位で切り出された所定厚さの板状の圧電部と、圧電部の表面及び裏面の少なくとも一方に接合される支持部と、を有する圧電素子であって、支持部は、圧電部の振動に対して所定の音響インピーダンスを有しかつ所定厚さの板状の第1音響インピーダンス部と、第1音響インピーダンス部より大きな音響インピーダンスを有しかつ所定厚さの板状の第2音響インピーダンス部と、が交互に積層されて形成される。
また、圧電部は、支持部の第1音響インピーダンス部と接合されてもよい。また、支持部は、第1音響インピーダンス部及び第2音響インピーダンス部が8層〜12層に設定されてもよい。また、圧電部は、振動の波長に対して1/2の厚さに形成され、第1音響インピーダンス部及び第2音響インピーダンス部のそれぞれは、波長に対して1/4の厚さに形成されてもよい。また、上記した圧電素子を含む圧電デバイスであってもよい。
また、本発明では、圧電素子の製造方法であって、単結晶から所定の方位で切り出した所定厚さの板状の圧電部を形成する工程と、所定の音響インピーダンスを有しかつ所定厚さの板状の第1音響インピーダンス部を形成する工程と、第1音響インピーダンス部より大きな音響インピーダンスを有しかつ所定厚さの板状の第2音響インピーダンス部を形成する工程と、第1音響インピーダンス部及び第2音響インピーダンス部を交互に積層した支持部と圧電部とを接合する工程と、を含む。
また、支持部を形成した後に圧電部を支持部に接合させてもよい。また、支持部と圧電部とを接合した後、厚さ方向に切断して複数の圧電素子を形成する工程を含んでもよい。
また、本発明では、パッケージ本体のベースに圧電素子を搭載する工程を含む圧電デバイスの製造方法であって、圧電素子は、上記した圧電素子の製造方法が用いられる。
また、集積回路が形成された回路基板に支持部を接合して圧電素子を含む圧電構造体を形成する工程と、回路基板をベースに接合して圧電構造体をベースに搭載する工程と、を含んでもよい。また、回路基板と支持部とを接合した後、厚さ方向に切断して複数の圧電構造体を形成する工程を含んでもよい。
本発明によれば、圧電部、第1音響インピーダンス部、及び第2音響インピーダンス部として、所定厚さの板状の部材が用いられるので、それぞれの板厚を調整することにより数十メガヘルツ(MHz)程度の共振周波数を容易かつ確実に設定することができ、不良品の発生を抑制して信頼性を向上させることができる。
第1実施形態に係る圧電素子の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 (a)は図1の圧電素子の振動変位を示すグラフ、(b)は図1の圧電素子の密度プロファイルを示すグラフである。 図1の圧電素子の製造工程の一例を示すフローチャートである。 図1の圧電素子の製造工程の一例を示す図である。 図4に続いて、図1の圧電素子の製造工程の一例を示す図である。 第2実施形態に係る圧電素子の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。 (a)は第3実施形態に係る圧電デバイスの一例を模式的に示した断面図、(b)は(a)に示す圧電デバイスにおける電気的Q値と音響多層構造体の構成層の層数との関係を示すグラフである。 第4実施形態に係る圧電デバイスの一例を示した断面図である。 図8の圧電デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。 図8の圧電デバイスの製造工程の一例を示す図である。 図10に続いて、図8の圧電デバイスの製造工程の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の実施形態を説明するため、図面においては一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図の一部については、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、圧電素子の表面に平行な平面をXZ平面とする。このXZ平面においてX方向に直交する方向をZ方向と表記する。また、XZ平面に垂直な方向(圧電素子の厚さ方向)はY方向と表記する。X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
<第1実施形態>
(圧電素子10の構成)
圧電素子の第1実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る圧電素子の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は基板に搭載された際の概略断面図である。図1に示すように、圧電素子10は、圧電部11と支持部12、13と電極14、15とを有している。圧電素子10は、例えば所定の周波数で共振する共振器としての構造を有している。
圧電部11は、Y方向から見て矩形状かつ所定厚さを有する板状に形成される。なお、圧電部11のY方向から見た形状は、矩形状に代えて、円形状や、長円形状、楕円形状、四角形以外の多角形状などの形状であってもよい。
圧電部11は、水晶片であり、水晶の単結晶からYカットで切り出される。Yカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸、機械軸、及び光学軸のうち、機械軸に平行に切り出す加工手法である。このようなYカットの水晶片は機械軸方向に伸縮振動を生じる。圧電部11は、厚さ方向(Y方向)がこの機械軸と同一方向となっており、厚さ方向に伸縮振動する。圧電部11は、水晶材から形成されるので、機械的Q値が高く優れた振動特性を備える。圧電部11の厚さは、圧電部11の振動の波長λに対して1/2の厚さに設定される。
支持部12は、圧電部11の表面(+Y側の面)と接合される。支持部12は、圧電部11以外の部材とは接合されておらず、支持部12の+Y側端部は自由端状となっている。支持部13は、圧電部11の裏面(−Y側の面)11bと接合される。支持部13は、圧電部11を基板16上に支持する。圧電部11は、裏面11b全面が支持部13により保持されるので、基板16上に安定的に支持される。
支持部12、13は、第1音響インピーダンス部12a、13aと第2音響インピーダンス部12b、13bとが交互に積層されて形成される。第1音響インピーダンス部12a、13aと第2音響インピーダンス部12b、13bとは、互いに接合される。また、圧電部11の表面11a及び裏面11bとは、それぞれ第1音響インピーダンス部12a、13aが接合される。
第1音響インピーダンス部12a、13a及び第2音響インピーダンス部12b、13bは、支持部12、13において、それぞれ5層の計10層が設けられる。第1音響インピーダンス部12a、13aは、圧電部11の振動に対して所定の音響インピーダンスを有し、かつ所定の厚さ(Y方向の幅)を有する板状に形成される。第1音響インピーダンス部12a、13aの厚さは、第1音響インピーダンス部12a、13aにおける振動の波長λに対して1/4の厚さに設定される。
第2音響インピーダンス部12b、13bは、第1音響インピーダンス部12a、13aより大きな音響インピーダンスを有し、かつ所定厚さ(Y方向の幅)の板状に形成される。第2音響インピーダンス部12b、13bの厚さは、第2音響インピーダンス部12b、13bにおける振動の波長λに対して1/4の厚さに設定される。
このように支持部12、13は、それぞれ所定厚さの板状に形成された複数の低インピーダンスと高インピーダンス層とが交互に積層された音響多層構造体であり、かつ所定厚さの板状に形成された圧電部11に接合されている。これにより、圧電素子10の共振によって圧電部11から放出される音波は支持部12、13において反射される。よって、振動エネルギーは圧電部11において閉じ込められ、Q値の高い共振が実現できる。また、圧電素子11の支持において接着剤を使用する必要がなくなるので、このような接着剤が使用された場合に生じる振動エネルギーの損失を回避することができる。
第1音響インピーダンス部12a、13aとしては、石英ガラス(SiO)が用いられる。後述する第1音響インピーダンス部23aについても同様である。なお、第1音響インピーダンス部12a、13aは、石英ガラスに代えて例えばアルミニウム(Al)などから形成されてもよい。また、第2音響インピーダンス部12b、13bとしては、モリブデン(Mo)が用いられる。後述する第1音響インピーダンス部23bについても同様である。なお、第2音響インピーダンス部12b、13bは、モリブデンに代えてタングステン(W)などから形成されてもよい。
なお、支持部12、13は、上記した構成に限定されず、支持部12、13の一方は形成されなくてもよい。また、支持部13が形成されない場合の基板16上における圧電部11の支持は、接着剤を介して行ってもよい。また、基板16上における圧電部11の支持は、支持部13を接着剤で固定して行ってもよい。また、圧電部11の表面11aには、第1音響インピーダンス部12aに代えて第2音響インピーダンス部12bが接合されてもよい。
また、支持部12、13における第1音響インピーダンス部12a、13a及び第2音響インピーダンス部12b、13bのそれぞれの積層数は、5層以外の層数に設定されてもよい。また、例えば、第1音響インピーダンス部12a、13aが5層かつ第2音響インピーダンス部12b、13bが4層のように、それぞれの積層数を異ならせてもよい。また、第1音響インピーダンス部12a、13a及び第2音響インピーダンス部12b、13bのそれぞれは、一部あるいは全部が異なる材料から形成されてもよい。このような第1及び第2音響インピーダンス部12a、13a、12b、13bに関する事項については、後述する実施形態に係る第1及び第2音響インピーダンス部23a、23bにおいても同様に適用可能である。
電極14、15は、X方向から圧電部11を挟むように配置される。電極14は、圧電素子10の+X側の表面において、圧電部11の+X側の表面を含む領域に設けられる。電極14は、基板16に形成された不図示の電極と電気的に接続される。電極15は、圧電素子10の−X側の表面において、圧電部11の−X側の表面を含む領域に設けられる。電極15は、基板16に形成された不図示の電極と電気的に接続される。電極14、15は、一対が形成される。
電極14、15は、導電性の金属膜であり、圧電部11との密着性を確保するための下地膜としてクロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケルクロム(NiCr)、ニッケルチタン(NiTi)、ニッケルタングステン(NiW)合金などが成膜され、その上に導電層として金(Au)や銀(Ag)を成膜した積層構造が採用される。なお、図1に示すように、電極14、15は、それぞれ矩形状に形成されるが、円形状や四角形以外の多角形状などであってもよい。電極14、15に所定の電圧が印加されことにより、圧電部11は所定の振動数で振動する。
このような圧電素子10によれば、圧電部11、第1音響インピーダンス部12a、13a、及び第2音響インピーダンス部12b、13bとして、所定厚さの板状の部材が用いられるので、それぞれの板厚を調整することにより数十メガヘルツ(MHz)程度の共振周波数を容易かつ確実に設定することができ、不良品の発生を抑制して信頼性を向上させることができる。
図2(a)は、50メガヘルツ(MHz)付近の周波数で圧電素子10が振動した際の圧電素子10のY方向の各位置における振動変位の大きさを示すグラフである。図2(a)の縦軸は、Y方向の振動変位の大きさである。なお、数値はこの大きさを規格化したものとなっている。図2(a)の横軸は、圧電素子10における圧電部11の厚さ方向の中心部を‘0’とし、この中心部を基準としたY方向の距離である。図2(b)は、圧電素子10の密度プロファイルを示すグラフである。図2(b)の縦軸は、圧電素子10の相対的な密度である。なお、縦軸における数値は、各位置における密度を第2音響インピーダンス部12b、13bの密度で除したものであり、第2音響インピーダンス部12b、13bの密度は‘1’となる。図2(b)の横軸は、図2(a)の横軸と同一であり、圧電素子10における圧電部11の厚さ方向の中心部を‘0’とし、この中心部を基準としたY方向の距離である。
図2に示すように、圧電素子10のY方向の振動変位は、圧電部11の幅方向(Y方向)の中心部分から圧電部11の+Y側及び−Y側の端部に近づくほど急激に大きくなり、圧電部11の+Y側及び−Y側の端部で最大となる。また、この振動変位は、圧電部11から数えて1層目の第1音響インピーダンス部12a、13aでは圧電部11から離れるほど急激に小さくなり、2層目の第2音響インピーダンス部12b、13bでは圧電部11から離れるにつれてやや大きくなり、3層目の第1音響インピーダンス部12a、13aでは、圧電部11から離れるにつれて再び小さくなる。さらに、4層目以降の第1及び第2音響インピーダンス部12a、13a、12b、13bにおける振動変位の大きさはほぼ‘0’に近くなる。よって、圧電素子10は、十分に減衰された−Y側端部を介して基板16に支持されるので、振動特性の悪化及び振動エネルギーの基板16への漏れが抑制される。
(圧電素子10の製造方法)
次に、圧電素子10の製造方法の一例について、図3〜図5を用いて説明する。図3は、圧電素子10の製造工程の一例を示すフローチャートである。図4及び図5は、圧電素子10の製造工程の一例を示す図である。以下の説明において、上記の実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。なお、本製造方法は、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
先ず、板状の圧電部11が形成される(ステップS01)。圧電部11は、用意された水晶の単結晶から所定のYカットの方位で切り出される。切り出された圧電部11は、所定の厚さλ/2の板状に調整される。このような圧電部11の厚さの調整は、例えばフォトリソグラフィー法及びエッチングや切削等の機械的加工などにより行われる。なお、厚さ調整後の圧電部11の表面は、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化されてもよい。圧電部11は、例えばXZ平面方向に格子状に複数が並んで配置された状態で作成される(図4(e)参照)。
また、板状の第1音響インピーダンス部12a、13aが形成される(ステップS11)。第1音響インピーダンス部12a、13aの形成工程では、先ず石英ガラス(SiО)の板状部材が用意される。この板状部材は、例えば所定の大きさのものから板状に切り出されて用意されてもよい。次に、板状部材の厚さがそれぞれ所定の厚さλ/4に調整されて形成される。この板状部材の厚さの調整は、エッチングや機械的加工などにより行われる。厚さ調整後の板状部材の表面は、例えばCMPなどにより平滑化されてもよい。第1音響インピーダンス部12a、13aは、図4(a)に示すように、複数がXZ平面方向に連なった状態で形成される。
また、板状の第2音響インピーダンス部12b、13bが形成される(ステップS21)。第2音響インピーダンス部12b、13bは、モリブデンの板状部材が用意される。この板状部材は、例えば所定の大きさのものから板状に切り出されて用意されてもよく、塑性変形加工やめっきなどを用いて用意されてもよい。次に、板状部材の厚さがそれぞれ所定の厚さλ/4に調整されて形成される。この板状部材の厚さの調整は、例えばエッチングや機械的加工などにより行われる。厚さ調整後の板状部材の表面は、例えばCMPなどにより平滑化されてもよい。第2音響インピーダンス部12b、13bは、図4(b)に示すように、複数がXZ平面方向に連なった状態で形成される。
次に、第1音響インピーダンス部12a、13a及び第2音響インピーダンス部12b、13bを交互に積層して支持部12、13を形成する(ステップS12)。この工程では、先ず図4(b)に示すように、第1音響インピーダンス部12a、13aの表面(+Y側の面)側から、第2音響インピーダンス部12b、13bが、厚さ方向に重なるように接合される。このような接合には、接合材が用いられてもよい。以下に説明する接合の場合においても同様である。次に図4(c)に示すように、第1音響インピーダンス部12a、13aに接合された第2音響インピーダンス部12b、13bの表面(+Y側の面)側から、さらに第1音響インピーダンス部12a、13aが厚さ方向に重なるように接合される。このように、第1音響インピーダンス部12a、13aと第2音響インピーダンス部12b、13bとが交互に接合される工程が繰り返され、それぞれ5層の第1音響インピーダンス部12a、13aと第2音響インピーダンス部12b、13bとを有する計10層が積層された構成の支持部12、13が形成される。支持部12、13は、図4(d)に示すように、複数がXZ平面方向に連なった状態で形成される。
続いて、圧電部11と支持部12、13とが接合される(ステップS02)。図4(e)に示すように、支持部12、13は、それぞれ第1音響インピーダンス部12a、13a側を圧電部11に向けた状態で、圧電部11の表面11a及び裏面11bとそれぞれ接合される。
続いて、図5(f)に示す圧電部11と支持部12、13との接合体は、厚さ方向(Y方向)に切断される(ステップS03)。この接合体は、スクライブラインSL1に沿って、例えばダイシングソーにより切断されて、図5(g)に示すように個別化される。
続いて、個別化された接合体の表面に電極が形成される(ステップS04)。図5(h)に示すように、上記接合体の+X側及び−X側の面の所定の領域にそれぞれ電極14、15が形成される。電極14、15は、例えばメタルマスクを介したスパッタリングや真空蒸着により、クロムやタングステンなどの下地膜及び金や銀などの導電層が成膜されて形成される。以上の工程により、圧電素子10が完成する。
なお、圧電素子10の製造方法は、上記した工程に限定されない。例えば、ステップS01の圧電部11の形成工程は、ステップS12の支持部12、13の形成工程の前後のいずれであっても構わない。また、ステップS02の接合する工程は行われなくてもよい。この場合、圧電素子10は、圧電部11の表面11a及び裏面11bに、第1音響インピーダンス部12a、13a、第2音響インピーダンス部12b、13bの順に接合されて作製されてもよい。また、ステップS03の切断する工程は行われなくてもよい。この場合、圧電部11、第1音響インピーダンス部12a、13a、及び第2音響インピーダンス部12b、13bが予め個別化された大きさに形成され、その後、これらが接合されて作製されてもよい。
このような圧電素子10の製造方法によれば、圧電部11、第1音響インピーダンス部12a、13a、及び第2音響インピーダンス部12b、13bは、それぞれ所定の板厚に調整された後、これらを接合することで所定の積層構造が形成される。よって、圧電素子10において、それぞれの板厚を調整することにより数十メガヘルツ(MHz)程度の共振周波数を容易かつ確実に設定することができ、不良品の発生を抑制して信頼性を向上させることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る圧電素子について、図面を用いて説明する。以下の説明において、第1実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。図6は、第2実施形態に係る圧電素子の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。図6(a)に示すように、圧電素子20は、圧電部21と、支持部23と、励振電極24a、24bと、引出電極25a、25bと、第1接続電極27、第2接続電極28と、を有している。圧電素子20は、例えば所定の周波数で共振する共振器としての構造を有している。
圧電部21は、Y方向から見て矩形状かつ所定厚さを有する板状に形成される。また、圧電部21は、Y方向から見た矩形の+Xかつ−Z側の角部付近において、圧電部21をY方向に貫通する貫通穴21cが設けられる。なお、圧電部21のY方向から見た形状は、矩形状に代えて、円形状や、長円形状、楕円形状、四角形以外の多角形状などの種々の形状であってもよい。
圧電部21は、所定厚さを有する水晶片であり、水晶の単結晶からATカットで切り出される。ATカットは、水晶振動子や水晶発振器等の圧電デバイスが常温付近で使用されるにあたって良好な周波数特性が得られる等の利点があり、水晶の性質を示す3つの軸である電気軸、機械軸、及び光学軸のうち、IEC(International Electrotechnical Commission)基準の水晶の電気軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。このようなATカットの水晶片は厚みすべり振動を生じる。圧電部21の厚さは、振動の波長λに対して1/2の厚さに設定される。圧電部21の厚さは、例えば、圧電部21の共振周波数が50メガヘルツ(MHz)の場合、33.4マイクロメートル(μm)に設定され、共振周波数が10メガヘルツ(MHz)の場合、167.0マイクロメートル(μm)に設定される。
支持部23は、圧電部21の裏面(−Y側の面)21bと接合される。支持部23は、圧電部21の裏面21bの全面を保持し、圧電部21を基板16上に安定的に支持する。
支持部23は、第1音響インピーダンス部23aと第2音響インピーダンス部23bとを有し、それぞれが交互に積層されて形成される。第1音響インピーダンス部23aの厚さ(Y方向の幅)は、第1音響インピーダンス部23aにおける振動の波長λに対して1/4の厚さに設定され、例えば、圧電部21の共振周波数が50メガヘルツ(MHz)の場合、17.3マイクロメートル(μm)に、共振周波数が10メガヘルツ(MHz)の場合、86.5マイクロメートル(μm)に設定される。第2音響インピーダンス部23bの厚さ(Y方向の幅)は、第2音響インピーダンス部23bにおける振動の波長λに対して1/4の厚さに設定され、例えば、圧電部21の共振周波数が50メガヘルツ(MHz)の場合、17.5マイクロメートル(μm)に、共振周波数が10メガヘルツ(MHz)の場合、87.5マイクロメートル(μm)に設定される。なお、第1音響インピーダンス部23aの波長λと、第2音響インピーダンス部23bの波長λとは、それぞれの層における振動の波長であるので、異なる値となる。
支持部23は、それぞれ6層の第1音響インピーダンス部13a及び第2音響インピーダンス部13bを有し、計12層が積層され形成される。圧電部21の裏面21bは、支持部23の第1音響インピーダンス部13aと接合される。このように支持部23は、それぞれ所定厚さの板状に形成された複数の低インピーダンス層と高インピーダンス層とが交互に積層された音響多層構造体であり、かつ所定厚さの板状に形成された圧電部11に接合されている。これにより、圧電素子20の共振によって圧電部21から放出される弾性波は支持部23において反射される。よって、振動エネルギーは圧電部21において閉じ込められ、Q値の高い共振が実現できる。
励振電極24aは、圧電部21の表面(+Y側の面)21aにおいて中央部分を含む矩形状の領域に形成される。また、励振電極24bは、圧電部21の裏面21bにおいて中央部分を含む矩形状の領域に形成される。励振電極24a、24bは、互いにY方向から見て重なる領域に形成される。励振電極24a、24bに所定の電圧が印加されことにより、圧電部21は所定の振動数で厚みすべり振動する。励振電極24a、24b、は、上記した電極14、15と同様の構成の金属膜から形成される。なお、後述する引出電極25a、25b及び第1接続電極27についても同様の金属膜の構成である。
引出電極25aは、圧電部21の表面21aにおいて、励振電極24aの−Z側端部における−X側の部分から、圧電部21の−Z側端部付近まで−Z方向に引き出されて形成される。引出電極25aは、基板16に形成された不図示の電極と電気的に接続される。
引出電極25bは、圧電部21の裏面21bにおいて、励振電極24bの−Z側端部における+X側の部分から圧電部21の−Z側端部付近まで−Z方向に引き出され、かつ貫通穴21cを含む領域に形成される。第1接続電極27は、圧電部21の表面21aの貫通穴21cを含む領域に形成される。なお、第1接続電極27は、隣接する励振電極24a及び引出電極25aとは電気的な接続はない。第2接続電極28は、貫通穴21cに形成される。このような第2接続電極28は、貫通穴21cの内部に銅(Cu)などの金属ペーストが充填されるが、金属膜が貫通穴21cの表面に成膜された構成としてもよい。この第2接続電極28を介して、引出電極25bと第1接続電極27とは電気的に接続される。第2接続電極28は、基板16に形成された不図示の電極と電気的に接続される。なお、引出電極25bと第1接続電極27との電気的接続は、第2接続電極28を用いることに代えて、例えば、圧電部21の−Z側または+X側の側面に形成した電極を介して行ってもよい。
このような圧電素子20によれば、上記した圧電素子10と同様に、圧電部21、第1音響インピーダンス部23a、第2音響インピーダンス部23bとして、所定厚さの板状の部材が用いられるので、それぞれの板厚を調整することにより数十メガヘルツ(MHz)程度の共振周波数を容易かつ確実に設定することができ、不良品の発生を抑制して信頼性を向上させることができる。
なお、上記した圧電素子10、20については、例えば、水晶の単結晶から圧電部11、21が切り出される方位は、Yカット及びATカットに代えて、BTカットなどの他のカットであってもよい。また、圧電部11、21は、水晶片に代えて、例えばタンタル酸リチウム(LiTaO)やニオブ酸リチウム(LiNbO)などの単結晶から所定方位で切り出されたものであってもよい。また、圧電部11、21の厚さは、振動の波長λに対して1/2の厚さに設定されなくてもよい。また、第1音響インピーダンス部12a、13a、23aと第2音響インピーダンス部12b、13b、23bの厚さは、振動の波長λに対して1/4の厚さに設定されなくてもよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る圧電デバイスについて図面を用いて説明する。以下の説明において、上記の実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。図7(a)は、第3実施形態に係る圧電デバイス100の一例を示した断面図である。また、図7(b)は、圧電デバイス100における電気的Q値と、第1音響インピーダンス部23a及び第2音響インピーダンス部23bとが交互に積層した構成の音響多層構造体の構成層の層数と、の関係を示すグラフの一例である。図7(b)の縦軸は、圧電デバイス100の電気的Q値である。図7(b)の横軸は、音響多層構造体の構成層の層数である。なお、図7(b)のグラフは、圧電デバイス100における音響多層構造体の機械的Q値が‘40,000’に設定された場合を示している。なお、図7(b)のグラフでは、比較例として水晶単体の場合の電気的Q値を点線で示している。
圧電デバイス100は、図7(a)に示すように、圧電素子20とパッケージ本体130とを有している。パッケージ本体130は、ベース140とリッド150とを有している。パッケージ本体130は、圧電素子20を保持しかつ収容する。この圧電デバイス100は振動子である。
ベース140は、安価で形成が容易なセラミック材料から形成されるが、ガラス、シリコン(Si)、樹脂、金属などが用いられてもよい。ベース140は、Y方向から見て矩形状に形成される。ベース140の表面(+Y側の面)には、凹部141と、凹部141を囲む接合面142とが形成される。凹部141は、キャビティー(収容空間)180として用いられる。なお、ベースとしては、+Y側に設けられた凹部141とともに、さらに−Y側にも凹部が設けられた構成のものが採用されてもよい。この場合、−Y側の凹部には、ICや、LSI、サーミスタなどの付属デバイスが収容されてもよい。上記したベース140に関する事項は、後述するベース240についても同様に適用可能である。
凹部141の底面141aには、圧電素子20が配置されており、底面141aは、圧電素子20の支持部23の裏面(−Y側の面)23bと接合される。また、底面141aには、X方向に並んで接続パッド143a、143bが設けられている。接続パッド143a、143bは、導電性の金属膜が用いられ、例えば上記した電極14、15と同様の構成である。接続パッド143aは、ボンディングワイヤ161を介して圧電素子20の第1接続電極27と電気的に接続される。また、接続パッド143bは、ボンディングワイヤ162を介して圧電素子20の引出電極25aと電気的に接続される。なお、接続パッド143b及びボンディングワイヤ162は、それぞれ接続パッド143a及びボンディングワイヤ161の−X側に配置される。なお、これらの電気的接続は、ワイヤボンディングに代えて、電極を引き回して行ってもよい。
ベース140の裏面(−Y側の面)140bには、外部電極144a、144bが形成される。外部電極144a、144bは、基板等に実装される際の一対の実装端子として用いられる。ベース140には、Y方向に貫通する貫通孔145a、145bがX方向に並んで設けられる。外部電極144a、144bは、導電性の金属膜が用いられ、例えば上記した電極14、15と同様の構成である。貫通孔145a、145bには、貫通電極146a、146bが形成される。貫通電極146a、146bは、例えば銅などの金属ペーストが貫通孔145a、145bに充填されて形成される。なお、外部電極144b、貫通孔145b、貫通電極146bは、それぞれ外部電極144a、貫通孔145a、貫通電極146aの−X側に配置される。貫通電極146aを介して、接続パッド143aと外部電極144aとが電気的に接続される。また、貫通電極146bを介して、接続パッド143bと外部電極144bとが電気的に接続される。
リッド150は、Y方向から見てX方向を長辺かつZ方向を短辺とする矩形状の板状部材である。リッド150としては、例えば鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、42アロイ(FeNi)、コバール(FeNiCo)などの金属材料が用いられるが、セラミックス、シリコン、ガラスなどが用いられてもよい。リッド150は、裏面(−Y側の面)外周に沿って接合面151が形成される。この接合面151は、ベース140の接合面142に、シールリング170を介して接合される。シールリング170は、環状に形成され、ベース140の接合面142に、例えば銀ろうなどのろう材(不図示)を介して接合される。なお、ベース140とリッド150との接合は、シールリング170を用いて行うことに限定されず、例えば、ろう材、はんだ、各種接合材を介して接合されてもよく、接合材などを用いずに直接接合されてもよい。これにより、パッケージ本体130においてキャビティー180が形成される。キャビティー180は、真空雰囲気あるいは窒素などの不活性なガス雰囲気に設定される。
このような圧電デバイス100によれば、上記した圧電素子20が備えることにより、数十メガヘルツ(MHz)程度の共振周波数を圧電デバイスにおいて容易かつ確実に設定することができ、不良品の発生を抑制して信頼性を向上させることができる。
また、図7(b)に示すように、圧電デバイス100の電気的Q値は、第1音響インピーダンス部23a及び第2音響インピーダンス部23bの合計した層数が8層よりも少ない場合、水晶単体の場合に比べて著しく低いものとなるが、8層以上の場合、十分な電気的Q値が得られる。また、層数が12層よりも多い場合であっても電気的Q値はほとんど上昇しない。そのため、12層の層数の圧電デバイス100の構成によれば、層数をより少なくして製造コストを抑えるとともに振動特性に優れた品質の高い圧電デバイスを提供することができる。
<第4実施形態>
(圧電デバイス200の構成)
続いて、第4実施形態に係る圧電デバイスについて図面を用いて説明する。以下の説明において、上記の実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。図8は、第4実施形態に係る圧電デバイスの一例を示した断面図である。図8に示すように、圧電デバイス200は、圧電構造体30とパッケージ本体230とを有している。パッケージ本体230は、ベース240とリッド150とを備え、圧電構造体30を保持しかつ収容する。この圧電デバイス200は発振器である。
圧電構造体30は、圧電素子20と回路基板40とを有し、それぞれ圧電構造体30において+Y側、−Y側に配置される。回路基板40は、表面(+Y側の面)に集積回路41が形成される。回路基板40は、シリコン基板であるが、ガラス製、金属製、セラミック製などの基板が用いられてもよい。また、集積回路41は、ICであるが、LSIなどでもよい。圧電構造体30は、回路基板40上に圧電素子20が接合されて一体化した構成となっている。圧電構造体30は、圧電素子20の裏面(−Y側の面)、すなわち圧電素子20の最下層(最も−Y側の層)の第2音響インピーダンス部23bの裏面(−Y側の面)と、回路基板40の表面(+Y側の面)とが接合されて形成される。
ベース240の凹部141の底面141aには、圧電構造体30が配置されており、底面141aは、圧電構造体30の裏面(−Y側の面)30bと接合される。また、底面141aには6つの端子が形成される。これら6つの端子のうち2つの端子243a、243bは、それぞれ引出電極25a、第1接続電極27とボンディングワイヤ161、162を介して電気的に接続される。なお、端子243bは、端子243aの−X側に配置される。6つの端子のうち残る4つの端子は、それぞれ、集積回路41からの出力用端子、駆動用電圧用端子、グラウンド用端子、スタンバイ機能用端子であり、これらは回路基板40の裏面(−Y側の面)に形成された不図示の裏面端子を介して集積回路41と電気的に接続される。なお、図8では、上記した残る4つの端子のうち、端子243cのみを示し、他の3つの端子については図示を省略している。また、端子243a、243bは、回路基板40の裏面端子(不図示)を介して集積回路41と電気的に接続される。なお、集積回路41の端子のうち、引出電極25aや第1接続電極27と接続する端子の位置は任意であり、例えば、集積回路41と同一面や回路基板40の裏面中央付近であってもよい。
ベース240の裏面(−Y側の面)240bには、4つの外部電極244a、244b、244c、244dが形成される。外部電極244a、244bは、それぞれX方向に並んで配置されている。また、外部電極244c、244dは、それぞれ外部電極244a、244bの−Z側に配置されている。外部電極244aは、後述する貫通電極246を介して、端子243cと電気的に接続される。また、外部電極244b、244c、244dは、不図示の引回し電極を介して、上記した他の3つの端子と電気的に接続される。なお、引回し電極は、貫通電極246と同様の構成としてもよく、あるいはベース240の角部又は側面部においてY方向に沿って形成されるキャスタレーション電極などを含んで形成されてもよい。
ベース240には、Y方向に貫通する貫通孔245が形成される。貫通孔245には、貫通電極246が形成される。貫通電極246は、例えば銅などの金属ペーストが貫通孔245に充填されて形成されるが、貫通孔245の表面に成膜された金属膜の構成であってもよい。
このような圧電デバイス200によれば、上記した圧電デバイス100の効果と同様の効果を有する。また、圧電素子20と集積回路41とは、一体となってキャビティー180に収容されるので、パッケージ本体230をコンパクト化することができる。
(圧電デバイス200の製造方法)
続いて、圧電デバイス200の製造方法の一例について、図9〜図11を用いて説明する。図9は、圧電デバイス200の製造工程の一例を示すフローチャートである。図10及び図11は、圧電デバイス200の製造工程の一例を示す図である。以下の説明において、上記の実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。なお、本製造方法は、図9に示すフローチャートに沿って説明する。
先ず、板状の圧電部21が形成される(ステップS31)。この工程は上記したステップS01とほぼ同様に行われるが、水晶の単結晶から切り出す方位はATカットであり、切り出された水晶板の所定の位置には、フォトリソグラフィー法及びエッチングなどにより貫通穴21cが形成される。
ステップS31に続いて、圧電部21に電極が形成される(ステップS32)。圧電部21の表面の所定領域に、メタルマスクを介したスパッタリングまたは真空蒸着等により、下地層、主電極層の順で金属膜が成膜され、端子243c、引回し電極、及び外部電極244a等が形成される。また、貫通孔245には銅などの金属ペーストが充填され、貫通電極246が形成される。
また、板状の支持部23が形成される(ステップS41)。この工程は、上記したステップS11、ステップS21、及びステップS12と同様である。
また、回路基板40が用意される(ステップS51)。この工程では、薄板状のシリコン基板が用意される。この状態では、図10(a)に示すように、回路基板40は、複数がXZ平面方向に連なった状態で形成される。
ステップS51に続いて、回路基板40には集積回路41が形成される(ステップS52)。集積回路41は、図10(a)に示すように、それぞれの回路基板40の表面(+Y側の面)に、例えば、フォトリソグラフィー法及びエッチングにより所定の回路パターンが形成され作製される。次いで、図示しないが、集積回路41の端子は回路基板40の表面側から裏面側へ配線が引き出されて形成される。
また、パッケージ本体230のベース240が形成される(ステップS61)。本工程では、先ず、ベース240を多面取りする、所定の位置に貫通孔245が形成された板状の第1グリーンシートと、凹部141が形成される領域が抜かれた第2グリーンシートとが用意される。続いて、第1グリーンシートと第2グリーンシートとが積層され、これが切断されて個別化された後、加熱され焼成されてベース240の本体が形成される。続いて、ベース240の本体の表面の所定の領域に、メタルマスクを介したスパッタリングまたは真空蒸着等により下地層、主電極層の順で金属膜が成膜され、端子243a等、引回し電極、外部電極244a等が形成される。また、貫通孔245には、銅などの金属ペーストが充填されて貫通電極246が形成される。また、ベース240の接合面142には、シールリング170が、例えば銀ろうなどのろう材を介して接合される。
また、パッケージ本体230のリッド150が形成される(ステップS71)。本工程では、先ず、所定の厚さに形成された板状の金属部材が用意される。次に、この金属部材が所定の矩形状に切断されることによりリッド150が形成される。
次に、ステップS52に続いて、回路基板40に支持部23が接合される(ステップS53)。図10(c)に示すように、支持部23の最下層(最も−Y側の層)の第2音響インピーダンス部23bの裏面(−Y側の面)と、回路基板40の表面(+Y側の面)とが接合される。接合は、接合材などを介して行ってもよく、あるいは接合材などを用いずに直接接合により行われてもよい。後述するステップS54の接合においても同様である。
ステップS53に続いて、支持部23に圧電部21が接合される(ステップS54)。図10(d)に示すように、支持部23の+Y側の第1音響インピーダンス部23aと、圧電部21の裏面21bとが接合される。
ステップS54に続いて、厚さ方向に切断して圧電構造体30が形成される(ステップS55)。図10(d)に示すスクライブラインSL2に沿って、例えばダイシングソーにより厚さ方向(Y方向)に沿って切断されて、図10(e)に示すように個々の圧電構造体30が形成される。
ステップS55に続いて、圧電構造体30がベース240に搭載される(ステップS62)。図10(f)に示すように、ベース240の凹部141の底面141aの所定領域と、圧電構造体30の裏面30bとが接合されるとともに、回路基板40の裏面端子と、ベース240の底面141aに形成された端子とが電気的に接続される。これらの端子の電気的接続は、導電接合材や、バンプ、ボンディングワイヤなどを介してもよい。
ステップS62に続いて、リッド150が接合される(ステップS63)。図10(g)に示すように、真空雰囲気あるいは窒素などの不活性なガス雰囲気において、ベース240に接合されたシールリング170の表面とリッド150の接合面151とが、シーム溶接により接合される。このようにして、圧電構造体40がキャビティー180に収容される。以上の工程により、圧電デバイス200が完成する。
なお、圧電デバイス200の製造方法は、上記した工程に限定されない。例えば、ステップS55の切断する工程は行われなくてもよい。この場合、圧電部21、支持部23、回路基板40は予め個別化された大きさに形成され、その後、これらが接合されて圧電構造体30が作製されてもよい。また、圧電構造体30は、回路基板40上に支持部23、圧電部21の順に接合されて形成されることに代えて、圧電部21と支持部23とを接合して圧電素子20を形成した後、これを回路基板40と接合して形成されてもよい。
このような圧電デバイス200の製造方法によれば、圧電構造体30を容易に作製することができるとともに、圧電構造体30をパッケージ本体230に収容するだけで、集積回路41を含む構成の圧電デバイスを容易に作製することができる。
なお、第4実施形態の圧電デバイスにおいては、集積回路41が回路基板40の裏面(−Y側の面)に作製されてもよい。この場合には、回路基板40の表面(+Y側の面)側に支持部23が接合され、集積回路41と同一面側に形成された配線が、底部141aの端子243a等と接合する。この構成においては、回路基板40の表面側から裏面側まで配線を引き出す必要がない。
以上、本発明の圧電素子及びその製造方法、並びにこのような圧電素子を有する圧電デバイス及びその製造方法について説明したが、本発明は、上記した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施形態の構成を組み合わせたものでもよい。また、圧電デバイス100、200は、振動子や発振器に限定されず、フィルタやSAWデバイスなどであってもよい。
λ…波長
10、20…圧電素子
11、21…圧電部
11a、21a…表面
11b、21b…裏面
12、13、23…支持部
12a、13a、23a…第1音響インピーダンス部
12b、13b、23b…第2音響インピーダンス部
30…圧電構造体
40…回路基板
41…集積回路
100、200…圧電デバイス
130、230…パッケージ本体
140、240…ベース

Claims (11)

  1. 単結晶から所定の方位で切り出された所定厚さの板状の圧電部と、前記圧電部の表面及び裏面の少なくとも一方に接合される支持部と、を有する圧電素子であって、
    前記支持部は、前記圧電部の振動に対して所定の音響インピーダンスを有しかつ所定厚さの板状の第1音響インピーダンス部と、前記第1音響インピーダンス部より大きな音響インピーダンスを有しかつ所定厚さの板状の第2音響インピーダンス部と、が交互に積層されて形成される圧電素子。
  2. 前記圧電部は、前記支持部の前記第1音響インピーダンス部と接合される請求項1記載の圧電素子。
  3. 前記支持部は、前記第1音響インピーダンス部及び前記第2音響インピーダンス部が8層〜12層に設定される請求項1または請求項2記載の圧電素子。
  4. 前記圧電部は、振動の波長に対して1/2の厚さに形成され、
    前記第1音響インピーダンス部及び前記第2音響インピーダンス部のそれぞれは、前記波長に対して1/4の厚さに形成される請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の圧電素子。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の圧電素子を含む圧電デバイス。
  6. 単結晶から所定の方位で切り出した所定厚さの板状の圧電部を形成する工程と、
    所定の音響インピーダンスを有しかつ所定厚さの板状の第1音響インピーダンス部を形成する工程と、
    前記第1音響インピーダンス部より大きな音響インピーダンスを有しかつ所定厚さの板状の第2音響インピーダンス部を形成する工程と、
    前記第1音響インピーダンス部及び前記第2音響インピーダンス部を交互に積層した支持部と前記圧電部とを接合する工程と、を含む圧電素子の製造方法。
  7. 前記支持部を形成した後に前記圧電部を前記支持部に接合する請求項6記載の圧電素子の製造方法。
  8. 前記支持部と前記圧電部とを接合した後、厚さ方向に切断して複数の圧電素子を形成する工程を含む請求項6または請求項7記載の圧電素子の製造方法。
  9. パッケージ本体のベースに圧電素子を搭載する工程を含む圧電デバイスの製造方法であって、
    前記圧電素子は、請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の圧電素子の製造方法が用いられる圧電デバイスの製造方法。
  10. 集積回路が形成された回路基板に前記支持部を接合して前記圧電素子を含む圧電構造体を形成する工程と、
    前記回路基板を前記ベースに接合して前記圧電構造体を前記ベースに搭載する工程と、を含む請求項9記載の圧電デバイスの製造方法。
  11. 前記回路基板と前記支持部とを接合した後、厚さ方向に切断して複数の前記圧電構造体を形成する工程を含む請求項10記載の圧電デバイスの製造方法。
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