JP2015228051A - 原子力プラントの共通故障要因検知システム及び共通故障要因検知方法 - Google Patents

原子力プラントの共通故障要因検知システム及び共通故障要因検知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既存の検出器と各種機器の配置情報や故障種別情報等を組み合わせて、早期に共通故障要因が発生したエリアを特定する。
【解決手段】複数のプラント機器A1−1、A1−2…がそれぞれ配設された複数のエリアA1、A5…と、監視制御装置2がそれぞれ設置された複数のエリアA4、A8…と、前記監視制御装置のうちの1つと前記各機器とを接続する複数の信号ケーブルのうち2以上の信号ケーブルがそれぞれ配設された複数のエリアA2、A3、A6…と、を備え、前記エリアで発生した共通故障要因を検知する原子力プラントの共通故障要因検知システム10であって、前記共通故障要因検知システムは、前記監視制御装置2から機器故障信号aが入力される共通故障要因検知装置1と、各機器毎の故障種別、関連故障情報、電源母線情報及びエリア情報が記憶された機器情報データベース4と、を備え、前記機器故障信号aと前記機器情報データベース4から、共通故障要因が発生したエリアを特定する。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は原子力プラントの共通故障要因検知システム及び共通故障要因検知方法に関する。
原子力プラントでは、非常用冷却施設などの重要なシステムは、冗長化または多様化された別の独立したシステムを有している。さらに火災、溢水事故又はポンプ等の事故が発生した場合にも冗長化されたシステムが同時に機能を喪失しないよう、格納容器内及び建屋内を複数の室で区切り、機器やケーブル等を複数の機器室又は複数のケーブル通過エリアに分散配置している。
ところで、格納容器や建屋において、ポンプ、弁等の機器や各種計測器が配設された室内の異常を監視するために、各機器及び各種計測器の信号を常時モニタすることで、室内の状態を監視する手段が提案されている(特許文献1)。
特開平11−125694号公報
近年策定された原子力プラントの新規制基準によれば、防火壁などで区切られた室(エリア)内の大規模な火災や、配管破断による溢水事故等、それぞれの配置場所における機器故障の共通要因となる事象を想定する必要がある。共通故障要因となる事象が発生した場合には、それにより故障した機器に対して冗長化され且つ分散配置された他の系列の機器でプラントを安全に停止できるよう、共通故障要因の早期検知手段やバックアップシステム等を整備する必要がある。
そのため、各室に火災検知器や漏洩検出器等を設け、火災や溢水事故を早期に検出する手段を講じることが考えられるが、格納容器や建屋には多数の室が設けられているため、多数の検出器が必要となるとともに、信号処理や誤作動防止等のために複雑な監視制御手段が必要になるという問題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、既存の検出器と各種機器の配置情報や故障種別情報等を組み合わせて、早期に共通故障要因が発生したエリアを特定することができる原子力プラントの共通故障要因検知システム及び共通故障要因検知方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本実施形態に係る共通故障要因検知システムは、複数のプラント機器がそれぞれ配設された複数のエリアと、監視制御装置がそれぞれ設置された複数のエリアと、前記監視制御装置のうちの1つと前記各機器とを接続する複数の信号ケーブルのうち2以上の信号ケーブルがそれぞれ配設された複数のエリアと、を備え、前記エリアで発生した共通故障要因を検知する原子力プラントの共通故障要因検知システムであって、前記共通故障要因検知システムは、前記監視制御装置から機器故障信号が入力される共通故障要因検知装置と、各機器毎の故障種別、関連故障情報、電源母線情報及びエリア情報が記憶された機器情報データベースと、を備え、前記機器故障信号と前記機器情報データベースから、共通故障要因が発生したエリアを特定することを特徴とする。
また、本実施形態に係る共通故障要因検知方法は、複数のプラント機器がそれぞれ配設された複数のエリアと、監視制御装置がそれぞれ設置された複数のエリアと、前記監視制御装置のうちの1つと前記各機器とを接続する複数の信号ケーブルのうち2以上の信号ケーブルがそれぞれ配設された複数のエリアと、を備え、機器故障信号と、各種プラント機器毎の故障種別、関連故障情報、電源母線情報及びエリア情報が記憶された機器情報データベースとから、共通故障要因が発生したエリアを特定する原子力プラントの共通故障要因検知方法であって、複数の機器故障信号が同時に入力されたか否かを判定するステップと、前記複数の機器故障信号が同時に入力された場合、当該機器故障が関連故障であるか否かを判定するステップと、前記機器故障が関連故障でないと判定された場合、電源母線が正常であるか否かを判定するステップと、前記電源母線が正常と判定された場合、前記機器故障信号を出力した機器が同一エリア内にあるか否か、及び/又は前記機器に接続したケーブルが同一エリア内にあるか否かを判定するステップと、同一エリア内にあると判定した場合、当該エリアを共通故障要因の発生エリアとして特定することを特徴とする。
本実施形態によれば、既存の検出器と各種機器の配置情報や故障種別情報等を組み合わせて、早期に共通故障要因が発生したエリアを特定することができる。
第1の実施形態に係る共通故障要因検知システムの構成図。 第1の実施形態に係る機器情報データベースの構成例。 第1の実施形態に係る共通故障要因検知システムの検知フロー図。 第2の実施形態に係る共通故障要因検知システムの構成図。
以下、本発明に係る原子力プラントの共通故障要因検知システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る原子力プラントの共通故障要因検知システムについて、図1〜図3を用いて説明する。
(全体構成)
本実施形態に係る共通故障要因検知システム10は、例えば中央操作室に配置され共通故障要因検知装置1と、各種プラント機器の種類、配設位置、故障の相関性等に関する情報が格納された機器情報データベース4と、共通故障要因が検知された場合にその場所等を表示する表示装置8と、警報装置9と、各種データを記憶するデータ記憶装置7と、から構成される。
また、格納容器及び建屋には、弁、ポンプ、熱交換器、各種計測器等からなる複数のプラント機器(以下、「機器」ともいう。)A1−1〜A1−n、B1−1〜B1−n…がそれぞれ設置された複数の機器室(以下、「機器エリア」という。)A1、A5…が設けられ、各種機器に接続される信号ケーブルはケーブル室(以下、「ケーブルエリア」という。)A2、A3、A6、A7…を経由して、制御盤室(以下、「制御盤エリア」という。)A4、A8…内の監視制御装置2に接続される。
例えば、機器エリアA1内の機器A1−1の信号ケーブルはケーブルエリアA2、A3を経由して制御盤エリアA4の監視制御装置2に接続され、機器エリアA1内の機器A1−3の信号ケーブルはケーブルエリアA6、A7を経由して制御盤エリアA8の監視制御装置2に接続されている。
また、他の機器エリアに配設された各種機器の信号ケーブルも、図1に示すケーブルエリアを経由して監視制御装置2に接続される。
このように、各種機器及びケーブルは、機器及びケーブル配線の冗長化、多重化を図るため、機器エリア、ケーブルエリア、制御盤エリア等からなる複数のエリアに分散して配置されている。
また、制御盤エリアA4、A8…内の各監視制御装置2には、電源喪失事故で全機器が機能喪失するのを防止するために、原則、系統が異なる電源母線L1、L2…から電源が供給され、必要な電源を信号ケーブルを介して各種機器に給電される。
また、各監視制御装置2は、機器A1−1〜A1−n、B1−1〜B1−n…のうち、異常又は故障を検出した機器について機器故障信号aを共通故障要因検知装置1に出力する。
(機器情報データベース)
次に、図2により、機器情報データベース4について説明する。
機器情報データベース4は、全ての機器A1−1〜A1−n、B1−1〜B1−n…について、故障種別、関連故障の有無、電源母線の種別、並びに機器エリア、ケーブルエリア及び制御盤エリアの種別を規定したものである。
故障種別(Z1〜Zn)としては、例えば、ケーブルの断線、信号喪失、異常ノイズ、短絡、異常流量、異常温度、異常振動、異常回転数、弁の開閉異常、ポンプトリップ(緊急停止)、等があげられる。
関連故障とは、所定の機器同士において、一方の機器の故障と他方の機器の故障が相互に関連する故障をいう。例えば、流量計の流量異常やポンプの回転数異常が検出された場合に、それに起因して発生するポンプトリップ事象があげられる。
図2では、例えば、A1−1がポンプ、A1−2が流量計で、Z1が流量異常、Z2がポンプトリップとした場合、関連故障の欄にはそれぞれA1−2・Z1、A1−1・Z2と入力される。
電源母線の欄には、各監視制御装置2に接続される電源母線L1〜Lnの種別が入力される。
エリア(A1〜An)の欄には、全ての機器エリア、ケーブルエリア及び制御盤エリアが列挙され、各機器A1−1〜A1−n、B1−1〜B1−n…及び各機器のケーブルが配設又は経由するエリアにはマーク(○印)が付されている。
(作用)
上記のように構成された共通故障要因検知システムを用いた共通故障要因の検知フローについて、図3を用いて説明する。
まず、共通故障要因検知装置1は、各監視制御装置2からの機器故障信号aの入力の有無を常時監視する。そして、複数の機器の機器故障信号aが略同時に入力されたか否かを判定する(ステップ1;以下、「S1」という。))。複数の機器故障信号aが異なる時間帯で入力された場合は、それぞれ単独の機器故障と判断し、当該機器の修復又は他の機器への切り換等の対策を講じる。
次に、複数の機器からの機器故障信号aが略同時に入力された場合は、機器情報データベース4の関連故障のデータを参照し、それらの機器故障信号aが関連故障であれば、共通故障要因による故障ではないと判定する(S2)。
次に、S2で関連故障でないと判定された場合には、機器情報データベース4の電源母線L1、L2…の欄を参照し、機器故障信号aを出力した複数の機器が同一の電源母線から給電されているか否かを判定するとともに、当該電源母線の給電状況が正常か否かを判定する。同じ電源母線から給電されている複数の機器は、当該電源母線の給電が停止又は電圧が降下すると全て機能喪失に陥り、機器故障状態となるため、複数の機器の故障が電源母線の異常に由来するものか否かを判定する(S3)。
次に、S3で電源母線L1、L2…の異常によるものではないと判定された場合は、機器情報データベース4のエリア欄A1〜Anを参照して、機器故障信号aを出力した複数の機器及び/又は当該機器の信号ケーブルが同一の機器エリア、ケーブルエリア又は制御盤エリアに配置されているか否かを検索し、同一のエリアが存在すれば、そのエリアを特定する(S4)。
そして、当該特定されたエリアでは、火災や溢水等の共通故障要因が発生している可能性が高いため、当該エリア情報及び当該エリアに配置されている機器又は信号ケーブルを表示装置8に表示し、適宜警報装置9により警報を発生させる(ステップ5)。
また、特定されたエリアでは、火災の規模や溢水状況によって、正常に動作する機器や信号ケーブルも存在する場合もあるが、火災や溢水の進展に応じて、それらの機器等も機能喪失に陥る可能性があるため、共通故障要因検知装置1は当該エリアの全機器又は信号ケーブルを表示装置8に表示し、事故の進展状況をリアルタイムで監視する。その際、時刻データが付与された監視データをデータ記憶装置7に保存し、特定エリア内の各機種等の故障状況を時系列的に表示装置8に表示させるようにしてもよい。
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、各エリアに共通故障要因検出用の検出器を新設することなく、既存の検出器と各種機器の情報が収納された位置情報データベースとを組み合わせて、簡便かつ効率的に共通故障要因を検知することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る原子力プラントの共通故障要因検知システムについて、図4を用いて説明する。
本実施形態では、第1の実施形態の共通故障要因検知システム10に各種機器とプラントシステムとの関係をデータベース化したプラントシステムデータベース11を追加したものである。
このプラントシステムデータベース11には、各エリアA1〜An内に配設された複数の機器やケーブルが共通故障要因によって同時に故障した場合に、当該故障した機器やケーブルの代替機器、代替ケーブル及び/又は代替システムが予め登録されている。すなわち、各エリア毎に冗長性、多重性、代替性を確保するための機器情報やシステム情報がプラントシステムデータベース11に保存されている。
したがって、あるエリアで共通故障要因が発生した場合に、機能不全となる機器やシステム等を特定、表示し、プラントシステムデータベース11を参照することにより、バックアップ機器、バックアップシステムを特定し、表示装置に表示するとともに、故障機器等及び故障システムのバックアップを行う。
本実施形態によれば、故障機器及び故障システムのバックアップ情報が記録されたプラントシステムデータベース11を用いることで、原子力プラントの安全性を高めるとともに、運転員に対し的確な運転支援を行うことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、組み合わせ、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…共通故障要因検知装置、2…監視制御装置、4…機器情報データベース、7…データ記憶装置、8…表示装置、9…警報装置、10…共通故障要因検知システム、11…プラントシステムデータベース、A1〜An…エリア、L1〜Ln…電源母線、Z1〜Zn…故障種別。

Claims (5)

  1. 複数のプラント機器がそれぞれ配設された複数のエリアと、監視制御装置がそれぞれ設置された複数のエリアと、前記監視制御装置のうちの1つと前記各機器とを接続する複数の信号ケーブルのうち2以上の信号ケーブルがそれぞれ配設された複数のエリアと、を備え、前記エリアで発生した共通故障要因を検知する原子力プラントの共通故障要因検知システムであって、
    前記共通故障要因検知システムは、前記監視制御装置から機器故障信号が入力される共通故障要因検知装置と、各機器毎の故障種別、関連故障情報、電源母線情報及びエリア情報が記憶された機器情報データベースと、を備え、
    前記機器故障信号と前記機器情報データベースから、共通故障要因が発生したエリアを特定することを特徴とする原子力プラントの共通故障要因検知システム。
  2. 共通故障要因検知システムは、さらに故障機器及び故障システムのバックアップ情報が記録されたプラントシステムデータベースを具備したことを特徴とする請求項1記載の共通故障要因検知システム。
  3. 複数のプラント機器がそれぞれ配設された複数のエリアと、監視制御装置がそれぞれ設置された複数のエリアと、前記監視制御装置のうちの1つと前記各機器とを接続する複数の信号ケーブルのうち2以上の信号ケーブルがそれぞれ配設された複数のエリアと、を備え、
    機器故障信号と、各種プラント機器毎の故障種別、関連故障情報、電源母線情報及びエリア情報が記憶された機器情報データベースとから、共通故障要因が発生したエリアを特定する原子力プラントの共通故障要因検知方法であって、
    複数の機器故障信号が同時に入力されたか否かを判定するステップと、
    前記複数の機器故障信号が同時に入力された場合、当該機器故障が関連故障であるか否かを判定するステップと、
    前記機器故障が関連故障でないと判定された場合、電源母線が正常であるか否かを判定するステップと、
    前記電源母線が正常と判定された場合、前記機器故障信号を出力した機器が同一エリア内にあるか否か、及び/又は前記機器に接続したケーブルが同一エリア内にあるか否かを判定するステップと、
    同一エリア内にあると判定した場合、当該エリアを共通故障要因の発生エリアとして特定することを特徴とする原子力プラントの共通故障要因検知方法。
  4. 共通故障要因の発生エリアを特定した際に、当該エリア内の全ての機器又はケーブルを表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項3記載の原子力プラントの共通故障要因検知方法。
  5. 共通故障要因の発生エリアを特定した際に、当該エリア内の故障機器及び故障システムのバックアップ情報を表示するステップをさらに有することを特徴とする請求項3又は4に記載の原子力プラントの共通故障要因検知方法。
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