JP2015225749A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
このような構成を備えることによって、絶縁層に含まれる無機粒子が非水電解質に溶出することを効果的に抑制することが可能になる。
図1は、本発明の一実施形態である非水電解質二次電池1の概略断面図である。図2は、本発明の一実施形態である非水電解質二次電池1のセパレータ5の概略断面図である。この非水電解質二次電池1(以下、単に「電池」ともいう)は、アルミニウム集電体に正極合剤を塗布してなる正極3と、銅集電体に負極合剤を塗布してなる負極4とがセパレータ5を介して巻回された発電要素2と、非水電解質とが電池ケース6に収納される構成である。セパレータ5は、基材層5aの一方の表面に絶縁層5bが形成される構成である。電池ケース6には、安全弁8を設けた電池蓋7がレーザー溶接によって取り付けられ、負極端子9は負極リード11を介して負極4と接続され、正極3は正極リード10を介して電池蓋と接続されている。
絶縁層は、無機粒子と、水系バインダーとを含む層であり、正極と負極との間に配置される。
本発明の非水電解質二次電池の正極には、正極集電体上に正極合剤層が形成された正極板が使用される。
本発明の非水電解質二次電池の負極には、負極集電体上に負極合剤層が形成された負極板が使用される。
本発明の非水電解質二次電池に用いられるセパレータは、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されず、微多孔性膜や不織布等が使用される。セパレータを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、その他の電池の構成部材としては、端子、電池ケース等があるが、本発明の非水電解質二次電池において、これらの構成要素は従来用いられているものをそのまま用いても差し支えない。
本発明の非水電解質二次電池の構成については、特に制限されず、例えば、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が挙げられる。
本発明の非水電解質二次電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に配置されるセパレータと、非水電解質とを用いることにより製造される。本発明の非水電解質二次電池の製造において、正極、負極、及びセパレータよりなる群から選択される少なくとも1種の部材の表面に、無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層が形成されているものが使用され、且つ非水電解質が下記一式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含むものが使用される。
(1)正極板の製造
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、導電助剤としてアセチレンブラック及び結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用い、正極活物質、導電助剤及び結着剤の比率をそれぞれ90質量%、5質量%及び5質量%とした混合物にNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を適量加えて粘度を調整し、ペースト状の正極合剤を作製した。この正極合剤を厚み20μmのアルミニウム箔の両面に塗布して乾燥させることにより正極板を作製した。正極板には正極合剤が塗布されていないアルミニウム箔が露出した部位を設け、アルミニウム箔が露出した部位と正極リードとを接合した。
負極活物質として難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用い、負極活物質及び結着剤をそれぞれ90質量%及び10質量%とした混合物にNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を適量加えて粘度を調整し、ペースト状の負極合剤を作製した。この負極合剤を厚み10μmの銅箔の両面に塗布して乾燥させることにより負極板を作製した。負極板には負極合剤が塗布されていない銅箔が露出した部位を設け、銅箔が露出した部位と負極板リードとを接合した。
無機粒子として平均粒子径が1.1μmであるアルミノシリケート、結着剤(水系バインダー)としてアクリル酸系ポリマーを用い、無機粒子及び水系バインダーをそれぞれ97質量%及び3質量%とした混合物に水を適量加えて粘度を調整し、絶縁層形成用スラリーを作製した。この絶縁層形成スラリーを厚み20μmのポリオリフィン製多孔膜(セパレータ5の基材層5a)の一方の表面にグラビアコートして乾燥させることによって、基材層の一方の表面に厚み5μmの絶縁層が形成されるセパレータを作製した。
正極板と負極板との間に、基材層の一方の表面に絶縁層を形成したセパレータを介在させて、正極板と負極板とを巻回することにより発電要素を作製した。絶縁層は正極に対向するようにした。発電要素を電池ケースの開口部から電池ケース内に収納して、正極板リードを電池蓋に接合し、負極板リードを負極端子に接合した後に、電池蓋を電池ケースの開口部に勘合させてレーザー溶接で電池ケースと電池蓋とを接合することによって非水電解質が電池ケース内に注液されていない未注液状態の二次電池を作製した。
エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=30:20:50(体積比)の混合溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させ、ジフルオロリン酸リチウムを非水電解質の総質量に対して、1.0質量%含有させて非水電解質を調整した。この非水電解質を電池ケースの側面に設けた注液口から電池ケース内部に注液した後に、注液口を栓で封口することで公称容量が800mAhである実施例1の非水電解質二次電池(以下、単に「電池」ともいう)を作製した。
絶縁層の形成箇所を、正極表面及び負極に対向するセパレータ(基材層)の表面にしたこと以外は、実施例1の電池と同じ方法にて、実施例2及び実施例3の電池を作製した。
非水電解質の総質量に対するジフルオロリン酸リチウムの含有量をそれぞれ0.1質量%、0.5質量%、2.0質量%及び0.0質量%(ジフルオロリン酸リチウムを含有しない)にしたこと以外は実施例1の電池と同じ方法にて、実施例4〜6及び比較例1の電池を作製した。
実施例1のジフルオロリン酸リチウムをモノフルオロリン酸リチウムに代えて、非水電解質の総質量に対するモノフルオロリン酸リチウムの含有量を1.0質量%にしたこと以外は実施例1の電池と同じ方法にて、実施例7の電池を作製した。
実施例1のアルミノシリケートをシリカ(平均粒径:1.5μm)に代えたこと以外は実施例1の電池と同じ方法にて、実施例10の電池を作製した。
(1)負極合剤層中の無機粒子含有量の測定方法
実施例1〜10及び比較例1〜3の各電池を用いて、以下の方法により初期容量確認試験をおこなった。実施例1〜10及び比較例1〜3の各電池を、25℃において800mA定電流で4.2Vまで、さらに4.2V定電圧で、合計3時間充電した後、800mA定電流で終止電圧2.5Vの条件で放電をおこなうことにより初期容量を測定した。
絶縁層が無機粒子と水系バインダーとを含み、非水電解質が一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含む電池(実施例1〜10)は、負極合剤層中の無機粒子含有量(Si含有量)が1000ppm以下となった。一方、絶縁層が無機粒子と水系バインダーとを含み、非水電解質が一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含まない電池(比較例1〜3)は、負極合剤層中の無機粒子含有量(Si含有量)が2500ppm以上となった。実施例1〜10の電池においては、非水電解質中のフルオロリン酸化合物がフルオロリン酸イオンを生じ、そのフルオロリン酸イオンが無機粒子表面に吸着或いは配位することによって、無機粒子の非水電解質への溶出が抑制されたために、負極合剤層中の無機粒子含有量が大幅に減少したと考えられる。溶出した無機粒子は非水電解質中にカチオンとして存在し、当該カチオンは電極の電位差によって負極板に向かって泳動し、負極板(主に負極合剤層)上で還元反応して当該カチオンの還元体が生成される。即ち、各電池(実施例1〜10及び比較例1〜3の電池)における負極合剤層中の無機粒子含有量(Si含有量)を比較することで、絶縁層から溶出した無機粒子量の相対的な関係を言及することができる。
2…発電要素
3…正極板(正極)
4…負極板(負極)
5…セパレータ
5a…基材層
5b…絶縁層
6…電池ケース
7…電池蓋
8…安全弁
9…負極端子
10…正極リード
11…負極リード
Claims (6)
- 前記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物が、ジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムの1種以上である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 前記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物が、前記非水電解質の総質量に対して5.0質量%以下含まれる、請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池。
- 前記無機粒子が、ケイ素を含む、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
- 前記絶縁層が、前記正極と前記セパレータとの間に配置されている、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
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