JP2015225749A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層を設けた非水電解質二次電池において、当該無機粒子の非水電解質への溶出を抑制できる技術を提供することである。【解決手段】無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層を設けた非水電解質二次電池において、非水電解質に特定のフルオロリン酸化合物を含有させることによって、無機粒子の非水電解質への溶出を効果的に抑制できる。【選択図】図1

Description

本発明は、無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層を備える非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度が高く、携帯電話、ノート型パソコン電源等に多用されており、近年では電気自動車の電源に使用されることも検討されている。
通常、非水電解質二次電池は、正極集電体の表面に正極合剤層が形成された正極板と、負極集電体の表面に負極合剤層が形成された負極板とを、電気的に隔離するセパレータを介して対向させ、支持塩を非水溶媒に溶解した非水電解質を介して正極負極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電できるように設計されている。
また、非水電解質二次電池には、優れた充放電特性のみならず、高い安全性を備えていることが必要とされている。従来、非水電解質二次電池の安全性を高める方法として、正極と負極との間に、無機粒子を含む絶縁層を設ける方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。当該絶縁層は、加熱、連続的な充放電等によって電池温度が上昇してセパレータが溶融しても、正極と負極との絶縁性を維持させる役割を果たしたり、絶縁層付近での電解質の分解を抑制してガス発生による電池の膨れを防止する役割を果たしたりすることが知られている。
しかしながら、絶縁層に含まれる無機粒子の非水電解質への溶出等の問題については、従来検討されていないのが現状である。
特開2009−277597号公報 特開平9−190814号公報
前記絶縁層は、正極、負極、及びセパレータの中の少なくとも1つの表面に、無機粒子、バインダー、及び溶媒を含む絶縁層形成用スラリーを塗布して乾燥させることにより形成される。絶縁層の形成に使用されるバインダーは、無機粒子を結着させる接着剤の役割を果たし、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の溶剤系バインダーと、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の水系バインダーに大別される。溶剤系バインダーは、絶縁層形成用スラリーに含まれる溶媒が有機溶媒であるため、前記スラリー塗布後に乾燥させる際に有機溶媒を回収する装置が必要になり、製造簡便性の点で欠点がある。一方、水系バインダーは、スラリーに含まれる溶媒として水を使用できるので、前記絶縁層形成用スラリー塗布後に乾燥させる際に溶媒の回収が不要であり、溶剤系バインダーに比べ製造を簡易に行えるという点で利点がある。
そこで、本発明者は、水系バインダーを用いて形成させた絶縁層を備える非水電解質二次電池を開発すべく種々の機能分析を行ったところ、水系バインダーを用いて形成させた絶縁層を使用すると、絶縁層に含まれる無機粒子が非水電解質に溶出するという、従来検討されていなかった新規な課題に直面した。このような課題は、絶縁層の絶縁機能の低減を来たすことになり得るため、水系バインダーを用いて形成させた絶縁層を備える非水電解質二次電池を実用化する上では、無機粒子の溶出を抑制する技術の確立は必須である。
このような背景の下、本発明は、無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層を備える非水電解質二次電池において、無機粒子の非水電解質への溶出を抑制できる技術を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層を備える非水電解質二次電池において、非水電解質に特定のフルオロリン酸化合物を含有させることによって、無機粒子の非水電解質への溶出を効果的に抑制できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明の一態様では、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータと、非水電解質と、前記正極と前記負極との間に配置される絶縁層を備え、前記絶縁層が、無機粒子と、水系バインダーとを含み、且つ前記非水電解質が、下記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含む、非水電解質二次電池である。
Figure 2015225749
[一般式(1)中、R1はリチウム原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R2はフッ素原子、基−O−Li、又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。]
このような構成を備えることによって、絶縁層に含まれる無機粒子が非水電解質に溶出することを効果的に抑制することが可能になる。
本発明の他の一態様では、前記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物が、ジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムの1種以上である非水電解質二次電池である。このようなフルオロリン酸化合物を非水電解質に含有させることによって、より一層効果的に無機粒子の非水電解質への溶出を抑制することができる。
本発明の他の一態様では、前記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物が、前記非水電解質の総質量に対して5.0質量%以下含まれる非水電解質二次電池である。このような含有量でフルオロリン酸化合物を非水電解質に含有させることによって、より一層効果的に無機粒子の非水電解質への溶出を抑制することができる。
また、本発明の一態様では、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータと、非水電解質とを用い、前記正極、前記負極、及び前記セパレータよりなる群から選択される少なくとも1種の部材の表面に、無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層が形成されており、前記非水電解質が下記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含む、非水電解質二次電池の製造方法である。当該製造方法は、例えば、正極、負極、及びセパレータよりなる群から選択される少なくとも1種の部材の表面に、無機粒子と、水系バインダーと、水とを含む絶縁層形成用スラリーを塗布して乾燥することにより、絶縁層を形成する第1工程と、前記絶縁層が表面に形成された部材と、前記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含む非水電解質とを用いて非水電解質二次電池を組み立てる第2工程をおこなうことによって実施される。このような製造方法によって、無機粒子の非水電解質への溶出を抑制できる非水電解質二次電池の製造が可能になる。
Figure 2015225749
[一般式(1)中、R1はリチウム原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R2はフッ素原子、基−O−Li、又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。]
本発明によれば、無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層を備える非水電解質二次電池において、無機粒子の非水電解質への溶出を抑制する非水電解質二次電池を提供することができる。
実施形態の非水電解質二次電池の概略断面図 実施形態の非水電解質二次電池のセパレータの概略断面図
本発明の実施形態を図1及び図2によって説明する。
図1は、本発明の一実施形態である非水電解質二次電池1の概略断面図である。図2は、本発明の一実施形態である非水電解質二次電池1のセパレータ5の概略断面図である。この非水電解質二次電池1(以下、単に「電池」ともいう)は、アルミニウム集電体に正極合剤を塗布してなる正極3と、銅集電体に負極合剤を塗布してなる負極4とがセパレータ5を介して巻回された発電要素2と、非水電解質とが電池ケース6に収納される構成である。セパレータ5は、基材層5aの一方の表面に絶縁層5bが形成される構成である。電池ケース6には、安全弁8を設けた電池蓋7がレーザー溶接によって取り付けられ、負極端子9は負極リード11を介して負極4と接続され、正極3は正極リード10を介して電池蓋と接続されている。
以下、本発明の非水電解質二次電池を構成する部材について詳細に説明する。
[絶縁層]
絶縁層は、無機粒子と、水系バインダーとを含む層であり、正極と負極との間に配置される。
絶縁層に使用される無機粒子の種類については、特に制限されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ベーマイト、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物系セラミックス;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス;シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、アルミノシリケート、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス;ガラス繊維等が挙げられる。これらの無機粒子は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの無機粒子の中でも、非水電解質への溶出をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくはケイ素を含む無機粒子、更に好ましくはシリカ、アルミノシリケート、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のSiO2を主成分とする無機粒子が挙げられる。
無機粒子の平均粒子径については、水系バインダーによって分散されて所定部位に結着できることを限度として特に制限されないが、例えば、0.01〜20μm、好ましくは0.01〜10μm、更に好ましくは0.01〜5μm、より更に好ましくは0.05〜2μmが挙げられる。また、無機粒子の平均粒子径が0.05μm以上であれば、無機粒子の比表面積が増大することが抑えられることにより無機粒子の非水電解質への溶出が抑制され、好ましい。
無機粒子の平均粒子径は、体積標準の粒度分布における累積度50%(D50)の粒子径を示す。具体的には、測定装置としてレーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2200、島津製作所社製)、測定制御ソフトとしてWing SALD−2200を用いる。具体的な測定方法としては、散乱式の測定モードを採用し、測定対象試料(無機粒子)が分散溶媒中に分散する分散液が循環する湿式セルにレーザー光を照射し、散乱分布を得る。そして、散乱分布を対数正規分布により近似し、累積度50%(D50)にあたる粒子径を平均粒子径とする。
絶縁層に使用される水系バインダーとは、水に溶解可能、又はエマルジョンの形成等により水に分散可能であって、前記無機粒子を結着させ得る成分である。水系バインダーとして、具体的には、セルロース類、アクリル酸系ポリマー、メタクリル酸系ポリマー、アルギン酸系ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの水系バインダーの中でも、非水電解質への無機粒子の溶出をより一層効果的に抑制するという観点から、好ましくはアクリル酸系ポリマー、メタクリル酸系ポリマー、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
絶縁層における水系バインダーの含有量については、無機粒子を結着できる範囲で適宜設定すればよいが、例えば、無機粒子と水系バインダーの合計量に対して、水系バインダーが0.1〜50質量%、好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは2〜10質量%が挙げられる。絶縁層における無機粒子の含有量については、適宜設定すればよいが、例えば、無機粒子と水系バインダーの合計量に対して、無機粒子が50〜99.9質量%、好ましくは80〜99質量%、更に好ましくは90〜98質量%が挙げられる。
絶縁層は、無機粒子、水系バインダー、及び水を含む絶縁層形成用スラリーを所定部位に、所定の厚みになるように塗布し、乾燥させて水を除去することによって形成される。塗布、乾燥等の方法や条件については周知のものを採用すればよい。絶縁層の形状は特に制限されず、例えば、セパレータの片側又は両側の表面の略全体を覆うように形成される形状、合剤層の表面の略全体を覆うように形成される形状、又は合剤層と集電体露出部との境界部分の近傍を覆うように形成される形状等、適宜設定することができる。
本発明では、絶縁層の形成に水系バインダーを使用するため、溶剤系バインダーを使用する場合のように、乾燥時に有機溶媒を回収する工程が不要であり、製造工程の簡略化、製造時の環境負荷軽減等が可能になる。また、水系バインダーは、溶剤系バインダーと比較して耐酸化性に優れているため、水系バインダーを含む絶縁層は、電池が高電圧状態であっても安定して存在することができる。
前記絶縁層形成用スラリーにおける無機粒子と水系バインダーの含有量については、形成させる絶縁層の組成、厚み等に応じて適宜設定される。
絶縁層の厚みについては、絶縁層が配置される位置等に応じて適宜設定すればよいが、例えば1〜20μm、好ましくは1〜10μm、更に好ましくは3〜6μmが挙げられる。絶縁層の厚みが当該所定範囲より小さい場合、セパレータがポリエン化した際に正極負極間が短絡することを防ぎきれない虞がある。絶縁層の厚みが当該所定範囲より大きい場合、電池の容量が低下するため好ましくない。
絶縁層は、正極と負極との間に配置されていることを限度として、その配置部位及び数については特に制限されず、例えば、正極、負極、及びセパレータのいずれか少なくとも1つの表面に設けられていればよい。また、絶縁層が正極とセパレータとの間に配置されている態様は、絶縁層が負極とセパレータとの間に配置されている態様と比較して、絶縁層中の無機粒子に正極電位がかかりやすくなることにより無機粒子が非水電解質へ溶出しやすくなる虞がある。即ち、絶縁層が正極とセパレータとの間に配置されている態様では、一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を用いることで無機粒子の溶出を抑制する本発明の有用性が向上し、好ましい。
[非水電解質]
本発明の非水電解質二次電池に用いられる非水電解質は、下記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含む。
Figure 2015225749
一般式(1)中、R1はリチウム原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。R1として、好ましくはリチウム原子或いは炭素数1又は2のアルキル基、更に好ましくはリチウム原子である。
また、R2はフッ素原子、基−O−Li、又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。R2として、好ましくはフッ素原子、基−O−Li、或いは炭素数1又は2のアルコキシ基、更に好ましくはフッ素原子又は基−O−Liである。
一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物として、具体的には、ジフルオロリン酸リチウム[一般式(1)中、R1はリチウム原子、R2はフッ素原子]、モノフルオロリン酸リチウム[一般式(1)中、R1はリチウム原子、R2は基−O−Li]、ジフルオロリン酸メチル[一般式(1)中、R1はメチル基、R2はフッ素原子]、ジフルオロリン酸エチル[一般式(1)中、R1はエチル基、R2はフッ素原子]、ジフルオロリン酸プロピル[一般式(1)中、R1はプロピル基、R2はフッ素原子]、モノフルオロリン酸ジメチル[一般式(1)中、R1はメチル基、R2はメトキシ基]、モノフルオロリン酸ジエチル[一般式(1)中、R1はエチル基、R2はエトキシ基]、モノフルオロリン酸エチル・メチル[一般式(1)中、R1はメチル基、R2はエトキシ基]、モノフルオロリン酸メチル・リチウム[一般式(1)中、R1はリチウム原子、R2はメトキシ基]等が挙げられる。これらのフルオロリン酸化合物の中でも、無機粒子の非水電解質への溶出をより一層効果的に抑制させるという観点から、好ましくは、ジフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸リチウム、更に好ましくはジフルオロリン酸リチウムが挙げられる。
これらの一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
非水電解質中に一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物が存在すれば、無機粒子の非水電解質への溶出を抑制することが可能になる。一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物の含有量は、非水電解質の総質量に対して5.0質量%以下の場合、電池特性及びコストのバランスが両立でき、好ましい。また、一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物の含有量は、非水電解質の総質量に対して、3.0質量%以下であることがより好ましく、0.05〜2.0質量%であることがさらにより好ましく、0.5〜1.0質量%であることがさらにより一層好ましい。
本発明のように、非水電解質に、特定のフルオロリン酸化合物を含むことによって、無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層から無機粒子が非水電解質へ溶出するのを抑制し、絶縁層の機能低下を防止することが可能になる。これは、非水電解質中のフルオロリン酸化合物がフルオロリン酸イオンを生じ、そのフルオロリン酸イオンが無機粒子表面に吸着或いは配位することによって、無機粒子の非水電解質への溶出が抑制されるためであると考えられる。また、絶縁層中の無機粒子の溶出は、支持塩(フッ素原子を含む化合物)が非水電解質中に残存する微量の水分により加水分解されて生じるフッ酸(HF)が無機粒子に作用すること、或いは絶縁層に正極電位がかかり無機粒子が高電位にさらされることによって起こり得ると考えられる。本発明の絶縁層は、無機粒子、水系バインダー、及び水を含む絶縁層形成用スラリーをもちいて形成されるため、残存する水分量が多く、HFによって無機粒子が溶出する課題が深刻になり得る。また、支持塩(フッ素原子を含む化合物)は、フッ素原子を構造中に含む支持塩を表す。
非水電解質には、支持塩が含まれる。支持塩としては、特に制限されるものではなく、一般に非水電解質二次電池に使用される広電位領域において安定であるリチウム塩が使用できる。当該支持塩として、例えば、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(CF3SO23、LiB(C242、LiC(C25SO23等が挙げられる。これらの支持塩は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。非水電解質における支持塩の含有量については、特に制限されず、使用する支持塩の種類や非水溶媒種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜5.0mol/L、好ましくは0.8〜2.0mol/Lが挙げられる。
非水電解質には、前述する成分を溶解させるために、非水溶媒が含まれる。非水電解質の非水溶媒としては、特に制限されるものではなく、一般に非水電解質の非水溶媒として使用される有機溶媒が使用できる。当該非水溶媒として、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。これらの非水溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
更に、非水電解質には、一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物、支持塩及び非水溶媒の他に、必要に応じて、過充電防止剤、負極被膜形成剤、正極保護剤等の添加剤が含まれていてもよい。過充電防止剤としては、具体的には、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン等が挙げられる。また、負極被膜形成剤としては、具体的には、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。また、正極保護剤としては、具体的には、プロパンスルトン等が挙げられる。これらの添加剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、非水電解質におけるこれらの添加剤の含有量については、特に制限されず、当該添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%が挙げられる。
[正極]
本発明の非水電解質二次電池の正極には、正極集電体上に正極合剤層が形成された正極板が使用される。
正極合剤層には、正極活物質が含まれる。正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出できることを限度として、特に制限されず、無機化合物であってもよく、また有機化合物であってもよい。正極活物質として使用される無機化合物として、具体的には、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2等)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2等)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1-yCoy2等)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNixCoyMn1-x-y2等)、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物(LixMn24等)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4等)等が挙げられる。また、正極活物質として使用される有機化合物として、具体的には、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、フッ化カーボン等が挙げられる。これらの正極活物質は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、正極合剤層には、正極活物質の他に、必要に応じて、導電剤、結着剤、フィラー等の添加剤が含まれていてもよい。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料が挙げられる。これらの導電剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル、フッ素ゴム等が挙げられる。これらの結着剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、結着剤としてスチレンブタジエンゴム(SBR)を使用する場合、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を添加することが好ましい。
正極に使用される正極集電体としては、特に制限されないが、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、及びこれらの金属を含む合金等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料等が挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが好ましい。
本発明で使用される正極は、正極集電体上に所定の形状となるように正極合剤を塗工し、乾燥、ロールプレス等で正極合剤層の密度及び厚みを調整することによって調製される。塗布、乾燥等の方法や条件については周知のものを採用すればよい。
[負極]
本発明の非水電解質二次電池の負極には、負極集電体上に負極合剤層が形成された負極板が使用される。
負極合剤層には、負極活物質が含まれる。負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出できることを限度として、特に制限されない。負極活物質として、具体的には、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)等の非晶質炭素;黒鉛;Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd等の金属とリチウムとの合金;酸化タングステン;酸化モリブデン;硫化鉄;硫化チタン;チタン酸リチウム等が挙げられる。これらの負極活物質は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、負極合剤層には、負極活物質の他に、必要に応じて、導電剤、結着剤、フィラー等の添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤の種類については、正極合剤層に配合されるものと同様である。
負極に使用される負極集電体としては、特に制限されないが、例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、クロムメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。これらの中でも、加工し易さとコストの点から、銅が好ましい。
本発明で使用される負極は、負極集電体上に所定の形状となるように負極合剤を塗工し、乾燥、ロールプレス等で負極合剤層の密度及び厚みを調整することによって調製される。塗布、乾燥等の方法や条件については周知のものを採用すればよい。
[セパレータ]
本発明の非水電解質二次電池に用いられるセパレータは、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されず、微多孔性膜や不織布等が使用される。セパレータを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[他の構成部材]
また、その他の電池の構成部材としては、端子、電池ケース等があるが、本発明の非水電解質二次電池において、これらの構成要素は従来用いられているものをそのまま用いても差し支えない。
[非水電解質二次電池の構成]
本発明の非水電解質二次電池の構成については、特に制限されず、例えば、正極、負極及びロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が挙げられる。
[製造方法]
本発明の非水電解質二次電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に配置されるセパレータと、非水電解質とを用いることにより製造される。本発明の非水電解質二次電池の製造において、正極、負極、及びセパレータよりなる群から選択される少なくとも1種の部材の表面に、無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層が形成されているものが使用され、且つ非水電解質が下記一式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含むものが使用される。
Figure 2015225749
[一般式(1)中、R1はリチウム原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R2はフッ素原子、基−O−Li、又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。]
本発明の非水電解質二次電池の製造方法の一態様としては、正極、負極、及びセパレータよりなる群から選択される少なくとも1種の部材の表面に、無機粒子と、水系バインダーと、水とを含む絶縁層形成用スラリーを塗布して乾燥することにより、絶縁層を形成する第1工程と、当該絶縁層が表面に形成された部材と、一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含む非水電解質とを用いて非水電解質二次電池を組み立てる第2工程とを含む製造方法が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。図1に示す非水電解質二次電池、及び図2に示すセパレータを以下により作製した。
1.実施例1の非水電解質二次電池の作製
(1)正極板の製造
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/32、導電助剤としてアセチレンブラック及び結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用い、正極活物質、導電助剤及び結着剤の比率をそれぞれ90質量%、5質量%及び5質量%とした混合物にNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を適量加えて粘度を調整し、ペースト状の正極合剤を作製した。この正極合剤を厚み20μmのアルミニウム箔の両面に塗布して乾燥させることにより正極板を作製した。正極板には正極合剤が塗布されていないアルミニウム箔が露出した部位を設け、アルミニウム箔が露出した部位と正極リードとを接合した。
(2)負極板の製造
負極活物質として難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用い、負極活物質及び結着剤をそれぞれ90質量%及び10質量%とした混合物にNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を適量加えて粘度を調整し、ペースト状の負極合剤を作製した。この負極合剤を厚み10μmの銅箔の両面に塗布して乾燥させることにより負極板を作製した。負極板には負極合剤が塗布されていない銅箔が露出した部位を設け、銅箔が露出した部位と負極板リードとを接合した。
(3)絶縁層の形成(基材層の一方の表面に絶縁層が形成されるセパレータの作製)
無機粒子として平均粒子径が1.1μmであるアルミノシリケート、結着剤(水系バインダー)としてアクリル酸系ポリマーを用い、無機粒子及び水系バインダーをそれぞれ97質量%及び3質量%とした混合物に水を適量加えて粘度を調整し、絶縁層形成用スラリーを作製した。この絶縁層形成スラリーを厚み20μmのポリオリフィン製多孔膜(セパレータ5の基材層5a)の一方の表面にグラビアコートして乾燥させることによって、基材層の一方の表面に厚み5μmの絶縁層が形成されるセパレータを作製した。
(4)未注液二次電池の作製
正極板と負極板との間に、基材層の一方の表面に絶縁層を形成したセパレータを介在させて、正極板と負極板とを巻回することにより発電要素を作製した。絶縁層は正極に対向するようにした。発電要素を電池ケースの開口部から電池ケース内に収納して、正極板リードを電池蓋に接合し、負極板リードを負極端子に接合した後に、電池蓋を電池ケースの開口部に勘合させてレーザー溶接で電池ケースと電池蓋とを接合することによって非水電解質が電池ケース内に注液されていない未注液状態の二次電池を作製した。
(5)非水電解質の調整及び注液
エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=30:20:50(体積比)の混合溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解させ、ジフルオロリン酸リチウムを非水電解質の総質量に対して、1.0質量%含有させて非水電解質を調整した。この非水電解質を電池ケースの側面に設けた注液口から電池ケース内部に注液した後に、注液口を栓で封口することで公称容量が800mAhである実施例1の非水電解質二次電池(以下、単に「電池」ともいう)を作製した。
2.実施例2及び実施例3の非水電解質二次電池の作製
絶縁層の形成箇所を、正極表面及び負極に対向するセパレータ(基材層)の表面にしたこと以外は、実施例1の電池と同じ方法にて、実施例2及び実施例3の電池を作製した。
3.実施例4〜6及び比較例1の非水電解質二次電池の作製
非水電解質の総質量に対するジフルオロリン酸リチウムの含有量をそれぞれ0.1質量%、0.5質量%、2.0質量%及び0.0質量%(ジフルオロリン酸リチウムを含有しない)にしたこと以外は実施例1の電池と同じ方法にて、実施例4〜6及び比較例1の電池を作製した。
4.実施例7〜9及び比較例2の非水電解質二次電池の作製
実施例1のジフルオロリン酸リチウムをモノフルオロリン酸リチウムに代えて、非水電解質の総質量に対するモノフルオロリン酸リチウムの含有量を1.0質量%にしたこと以外は実施例1の電池と同じ方法にて、実施例7の電池を作製した。
実施例1のジフルオロリン酸リチウムをジフルオロリン酸メチルに代えて、非水電解質の総質量に対するジフルオロリン酸メチルの含有量を1.0質量%にしたこと以外は実施例1の電池と同じ方法にて、実施例8の電池を作製した。
実施例1のジフルオロリン酸リチウムをジフルオロリン酸エチルに代えて、非水電解質の総質量に対するジフルオロリン酸エチルの含有量を1.0質量%にしたこと以外は実施例1の電池と同じ方法にて、実施例9の電池を作製した。
実施例1のジフルオロリン酸リチウムをビニレンカーボネートに代えて、非水電解質の総質量に対するビニレンカーボネートの含有量を1.0質量%にしたこと以外は実施例1の電池と同じ方法にて、比較例2の電池を作製した。
5.実施例10及び比較例3の非水電解質二次電池の作製
実施例1のアルミノシリケートをシリカ(平均粒径:1.5μm)に代えたこと以外は実施例1の電池と同じ方法にて、実施例10の電池を作製した。
実施例1のアルミノシリケートをシリカ(平均粒径:1.5μm)に代え、非水電解質にジフルオロリン酸リチウムを含有させなかった(含有量:0.0質量%)こと以外は実施例1の電池と同じ方法にて、比較例3の電池を作製した。
6.評価試験
(1)負極合剤層中の無機粒子含有量の測定方法
実施例1〜10及び比較例1〜3の各電池を用いて、以下の方法により初期容量確認試験をおこなった。実施例1〜10及び比較例1〜3の各電池を、25℃において800mA定電流で4.2Vまで、さらに4.2V定電圧で、合計3時間充電した後、800mA定電流で終止電圧2.5Vの条件で放電をおこなうことにより初期容量を測定した。
初期容量測定後の各電池について、高温保管試験を以下の方法によりおこなった。初期容量測定後の各電池を、25℃において800mA定電流で4.2Vまで、さらに4.2V定電圧で合計3時間充電した後に、60℃環境下で180日間保管した。保管後の各電池を、800mA定電流で2.75Vまで放電した。
高温保管試験後の各電池を、ドライルーム内で解体し、負極板を取り出した。取り出した負極板をジメチルカーボネート(DMC)で洗浄し、真空下で4時間乾燥させた。その後、負極集電体(銅箔)から負極合剤層を剥離させ、負極合剤中の無機粒子含有量(Si含有量)を、誘導結合プラズマ原子発光分析装置(ICP−AES)により定量分析した。
以上のようにして測定した各電池(実施例1〜10及び比較例1〜3)の負極合剤層中の無機粒子含有量の測定結果を表1に示す。
Figure 2015225749
7.考察
絶縁層が無機粒子と水系バインダーとを含み、非水電解質が一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含む電池(実施例1〜10)は、負極合剤層中の無機粒子含有量(Si含有量)が1000ppm以下となった。一方、絶縁層が無機粒子と水系バインダーとを含み、非水電解質が一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含まない電池(比較例1〜3)は、負極合剤層中の無機粒子含有量(Si含有量)が2500ppm以上となった。実施例1〜10の電池においては、非水電解質中のフルオロリン酸化合物がフルオロリン酸イオンを生じ、そのフルオロリン酸イオンが無機粒子表面に吸着或いは配位することによって、無機粒子の非水電解質への溶出が抑制されたために、負極合剤層中の無機粒子含有量が大幅に減少したと考えられる。溶出した無機粒子は非水電解質中にカチオンとして存在し、当該カチオンは電極の電位差によって負極板に向かって泳動し、負極板(主に負極合剤層)上で還元反応して当該カチオンの還元体が生成される。即ち、各電池(実施例1〜10及び比較例1〜3の電池)における負極合剤層中の無機粒子含有量(Si含有量)を比較することで、絶縁層から溶出した無機粒子量の相対的な関係を言及することができる。
また、実施例1、実施例8及び実施例9の電池から、一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物であるジフルオロリン酸化合物であるジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸メチル及びジフルオロリン酸エチルの中でも、ジフルオロリン酸リチウムを用いた実施例1の電池の負極合剤層中の無機粒子含有量(Si含有量)が最も小さくなった。即ち、無機粒子の非水電解質への溶出を抑制するには、ジフルオロリン酸リチウムを用いることが好ましいことがわかった。これと同様に、一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物であるモノフルオロリン酸化合物の中では、ジフルオロリン酸リチウムのように、化合物中にリチウム原子を含むモノフルオロリン酸リチウム[一般式(1)中、R1はリチウム原子、R2は基−O−Li]が好ましいと考えられる。
また、実施例1〜3の電池から、絶縁層を正極とセパレータとの間に配置した電池は、絶縁層を負極とセパレータとの間に配置した電池と比較して、負極合剤層中の無機粒子含有量が小さくなり、無機粒子の非水電解質への溶出をより一層効果的に抑制できることがわかった。また、絶縁層を正極とセパレータとの間に配置している電池は、絶縁層を負極とセパレータとの間に配置している電池と比較して、絶縁層が正極付近に配置されて高電位下に晒されることにより無機粒子の溶出が増加する虞がある。即ち、絶縁層を正極とセパレータとの間に配置している電池に、無機粒子の溶出を抑制する本発明を適用することで、本発明の有用性は向上することが考えられる。
また、実施例1及び実施例2の電池から、絶縁層をセパレータの表面(正極に対向するセパレータの表面)に形成した電池は、絶縁層を電極の表面(正極の表面)に形成した電池と比較して、負極合剤層中の無機粒子含有量(Si含有量)が小さく、無機粒子の非水電解質への溶出をより一層効果的に抑制できることがわかった。これから、無機粒子の非水電解質への溶出を抑制するには、絶縁層をセパレータの表面に形成する態様が好ましいことが考えられる。
また、実施例1及び比較例1の電池から、絶縁層に含まれる無機粒子としてアルミノシリケートをもちいる場合において、非水電解質に一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含有させることにより、無機粒子の非水電解質への溶出を抑制できることがわかった。そして、実施例10及び比較例3の電池から、絶縁層に含まれる無機粒子としてシリカをもちいる場合において、非水電解質に一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含有させることにより、無機粒子の非水電解質への溶出を抑制できることがわかった。これらから、絶縁層に種々の無機粒子を用いても、非水電解質に一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含有させることにより、無機粒子の非水電解質への溶出を抑制できることが考えられる。
また、比較例2の電池から、絶縁層が無機粒子と水系バインダーとを含み、非水電解質が一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含まず、一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物以外の化合物(ビニレンカーボネート)を含む電池においては、無機粒子の溶出を抑制することが難しいことがわかった。即ち、無機粒子が非水電解質へ溶出することを抑制するには、一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を用いることが効果的であることがわかった。
以上から、絶縁層が無機粒子と水系バインダーとを含み、非水電解質が一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含むことにより、無機粒子の非水電解質への溶出を抑制できることがわかった。
本明細書において開示された実施形態及びそれを具体化した実施例は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、上述した実施形態及び実施例に基づき、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜改変が可能であることは容易に理解できる。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も本発明の範囲に含まれる。
例えば、正極や負極等は、非水電解質二次電池に求められる性能・仕様等に応じて適宜選択することができる。
また例えば、非水電解質二次電池の形状に関しては、角型に限定されることなく、円筒型やラミネート型の非水電解質二次電池とすることができる。また、本発明は、当該非水電解質二次電池を複数備える蓄電装置を実現することができる。当該蓄電装置は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として用いる場合には、複数の電池を有するバッテリーモジュール(組電池)として搭載することができる。
また例えば、電気伝導の役割を担う主体に関しては、リチウムイオンに限定されることなく、ナトリウム、カリウム、セシウム等のアルカリ金属の陽イオン;カルシウムやバリウム等のアルカリ土類金属の陽イオン;及びマグネシウム、アルミニウム、銀、亜鉛などの他の金属の陽イオンを用いることができる。即ち、他のアルカリ金属イオン二次電池等とすることができる。
本発明は、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池に利用することができる。
1…非水電解質二次電池
2…発電要素
3…正極板(正極)
4…負極板(負極)
5…セパレータ
5a…基材層
5b…絶縁層
6…電池ケース
7…電池蓋
8…安全弁
9…負極端子
10…正極リード
11…負極リード

Claims (6)

  1. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータと、非水電解質とを備える非水電解質二次電池であって、
    前記正極と前記負極との間に配置される絶縁層を備え、
    前記絶縁層が、無機粒子と、水系バインダーとを含み、
    前記非水電解質が、下記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含む、非水電解質二次電池。
    Figure 2015225749
    [一般式(1)中、R1はリチウム原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R2はフッ素原子、基−O−Li、又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。]
  2. 前記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物が、ジフルオロリン酸リチウム及びモノフルオロリン酸リチウムの1種以上である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物が、前記非水電解質の総質量に対して5.0質量%以下含まれる、請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記無機粒子が、ケイ素を含む、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記絶縁層が、前記正極と前記セパレータとの間に配置されている、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
  6. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータと、非水電解質とを用い、
    前記正極、前記負極及び前記セパレータよりなる群から選択される少なくとも1種の部材の表面に、無機粒子と水系バインダーとを含む絶縁層が形成されており、
    前記非水電解質が下記一般式(1)で表されるフルオロリン酸化合物を含む、非水電解質二次電池の製造方法。
    Figure 2015225749
    [一般式(1)中、R1はリチウム原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R2はフッ素原子、基−O−Li、又は炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。]
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