JP2015225010A - アダプタ及び標本作製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞診標本作製に好適なアダプタとこれを利用した標本作製法を提供する。
【解決手段】アダプタ1は、回転駆動軸3に係合状態で嵌装される軸着部2と、軸着部に連結された、標本作製用セルのセット部10及び遠心用チューブのセット部12をそれぞれ複数備える。標本作製用セルのセット部と遠心用チューブのセット部は、それぞれ特定の回転円周上に略等間隔に設けた。
【選択図】図1
【解決手段】アダプタ1は、回転駆動軸3に係合状態で嵌装される軸着部2と、軸着部に連結された、標本作製用セルのセット部10及び遠心用チューブのセット部12をそれぞれ複数備える。標本作製用セルのセット部と遠心用チューブのセット部は、それぞれ特定の回転円周上に略等間隔に設けた。
【選択図】図1
Description
本発明は細胞診標本及び組織診標本の作製に関する。より具体的には、標本作製に用いるアダプタ及び当該アダプタを利用した標本作製法に関する。
癌等の疾患の診断において、細胞診標本及び組織診標本が活用されている。例えば、観察対象となる細胞(「有核細胞」と表現されることもある。)や組織について、固定方法や染色方法が異なる複数の標本を作製して疾患に関する情報を多角的に入手できる。即ち、精度の高い標本作製法で作製されたこれらの標本は診断を補助できる。
また、ヒト等の動物細胞を制御する技術の進展が近年目覚ましく、多能性幹細胞やいわゆるダイレクトリプログラム等が注目されている。再生医療に使用される組織・器官等の作製、再現された病巣を用いた医薬品開発等、細胞制御技術の利用分野は多岐にわたる。細胞制御技術や再生医療等の発展を支える上で、出発となる細胞のクオリティ管理や、分化細胞・組織のクオリティ管理・検討等で細胞診標本及び組織診標本が活用される可能性がある。
標本作製に用いる細胞や組織は被験者(場合によって患者)から採取する場合が多い。検体が尿のような排泄物である場合、擦過により検体を採取できる場合、検体が乳汁や精液のような分泌物である場合等は被験者の負担が比較的小さい。一方、針やメス等を用いて検体を採取する場合は被験者の負担が比較的大きい。よって、細胞診標本及び組織診標本の作製において、被験者の侵襲を軽減すべく様々な工夫がなされてきた。例えば、組織切除に先立ち16ゲージシリンジ等の太い針を用いた穿刺で検体を取得する、更には、針を細くする(Fine−Needle Aspiration:FNA)等である。
次に、被験者の侵襲を軽減する他の工夫は、採取する検体量を少量に抑えることである。そして、少ない検体量であっても観察対象となる細胞や組織を効率的に回収する工夫もなされている。
しかし、少ない検体量で良好な標本を作製するのは困難な作業である。何故なら、検体の処理や観察対象の塗抹などで優れた技能が要求されるからである。即ち、経験豊富で優れた技能を有する者が作製しなければ、良好な標本作製自体が困難であった。
以上に鑑み、下記特許文献1及び非特許文献1に開示されるように、本願発明者はAMAPS(Aspiration Material Preparation System)と命名した手法を既に提案している。当該AMAPSは、特定組成の液状化希釈液で検体を希釈し、並びに、遠心分離後に液と細胞成分を分離するための段差構造を備えた標本作製用セルを使用する点が大きな特徴である。
Eiichi Sakakibara et al., "An Aspiration Material Preparation System: Application of a New Liquid- Based Cytology Tequnique for Fine-Needle Aspiration of the Breast", Acta Cytologica 2011; 55: 92-99
本願発明者が提案したAMAPSには例えば下記(1)〜(5)のような利点があり、これらの利点は検体の条件等によって適宜に利用される。
(1)観察対象の利用効率に優れる。まず、検体希釈液が約100μlという少量でも、観察対象を効率的に標本作製用セルのプレート上に回収できる。更に、遠心分離により観察対象を含む細胞成分と液が分離されるため、遠心分離後において、観察対象の液中への剥離を抑制できる。
(2)豊富な経験や優れた技能がなくても良好な標本を作製しやすい。また、簡便かつ迅速に実施可能である。特に、遠心分離の時間は約10〜60秒程度にまで短縮可能である。例え遠心分離時間が約10〜20秒でも、良好な標本を作製できる。よって、検体を迅速に処理したいという要求に応えることができる。
(3)AMAPSで使用する液状化希釈液は観察対象を経時で良好に保存できる。また、FNAでも細胞塊や微小な組織を得る場合があり、細胞診標本のみならず組織診標本も作製できる場合がある。
(4)悪性域/良性域の正確な判断に資する標本を作製できる。例えば、従来の手法と比較して、「細胞診で悪性を疑いと判断」かつ「その後の組織観察等で良性と判断」されるケースを顕著に減少させる。よって、不要の外科的措置や摘出等を受ける被験者数を抑制できる。
(5)赤血球等の影響を顕著に軽減できる。検体が血液を含んでいる場合、観察対象となる細胞等に比べて赤血球が圧倒的に多く存在する。まず、遠心分離等を駆使しても、観察対象を良好に保持しながら赤血球を十分に除去するのは困難である。次に、赤血球が多すぎて不適正標本となる場合がある。更に、赤血球は比重が大きいので、オートスメア法で遠心分離すると、赤血球がプレート側に並んでしまう一方で観察対象が液側に多く存在する。即ち、遠心分離後に観察対象が液中に剥離しやすいという問題があった。一方、AMAPSで使用する液状化希釈液は赤血球を破壊し、赤血球の比重が小さくなる。よって、遠心分離中、比重差によって観察対象が標本作製用セルのプレート側に優先的に並んで定着する(上記特許文献1の図2参照)。即ち、赤血球の影響を軽減し、観察対象を効率的に利用できる。その他、検体が血液を含む場合、抗凝固剤に頼らず凝固前に検体を迅速処理したいという要望があるが、AMAPS法はこの要望にも応えうる。
上記AMAPSは多くの利点を実現するが、本願発明者は更に改良の余地があると考え、鋭意検討を行って本発明を開発するに至った。
そもそも、従来の標本作製法では遠心分離機を利用することが非常に多い。その遠心分離機は手軽に持ち運べない。かつ、容器を収容するスペース(例えば、チューブ差込穴等)の形状が統一されているローターが非常に多い。
まず、遠心分離機を使用すること自体が負担となる場合がある。例えば、被験者からの検体採取は病院で行い、標本作製は別途実験室等で行う場合がある。この場合、移動を含めて検体採取から標本作製に至るまで、良好に検体を保存する必要がある。これらの手順の負担は実験室をもたない小規模医院、外来、病棟等で一層顕在化する。
次に、細胞診標本と組織診標本では遠心分離の際に形状の異なる容器を用いるが、従来の遠心分離器のローターでは、このように形状の異なる容器を同時に遠心分離することが困難であった。よって細胞診標本と組織診標本は別々に作製する必要があった。そして複数の標本を作製するために、遠心分離機やローターが複数必要となり、人手や時間も多く必要とした。
以上の問題に鑑み、本願発明者は細胞診標本及び組織診標本を同時に作製できるアダプタを開発した。当該アダプタは、遠心分離により液状検体に含まれた観察対象をプレート表面に回収する(好ましくは、更に、遠心分離後に液と細胞成分を分離するための段差構造を備えた)標本作製用セルと、従来から遠心分離に使用されてきたチューブ状等の容器と、を同時にセットできる。
即ち、表面に観察対象が回収されたガラス等のプレート(細胞診標本の作製に好適である)と、底側に観察対象が沈降した容器(組織診標本の作製に好適である)とを同時に作製できる。当該プレートはギムザ染色、パパニコロウ染色、PAS染色、免疫染色等に供することができ、当該容器に沈降した観察対象は固定処理、包埋処理、染色処理等に供することができる。よって、異なる処理を受けた標本を作製するための検体処理を当該アダプタにより同時に行うことができ、迅速な処理が実現する。
即ち、表面に観察対象が回収されたガラス等のプレート(細胞診標本の作製に好適である)と、底側に観察対象が沈降した容器(組織診標本の作製に好適である)とを同時に作製できる。当該プレートはギムザ染色、パパニコロウ染色、PAS染色、免疫染色等に供することができ、当該容器に沈降した観察対象は固定処理、包埋処理、染色処理等に供することができる。よって、異なる処理を受けた標本を作製するための検体処理を当該アダプタにより同時に行うことができ、迅速な処理が実現する。
次に、このアダプタは、遠心分離機のみならず、モーター等で回転する駆動軸を有する各種の比較的小型の装置(フードプロセッサ等)に装着して使用できる。そして、当該小型装置は簡便に持ち運びできる。よって、このアダプタをフードプロセッサ等の小型装置の駆動軸に装着すれば、ベッドサイドにて検体の採取からギムザ染色、パパニコロウ染色等をした染色標本の作製までを行うことも可能となる場合がある。
本発明は、細胞診標本及び組織診標本の標本作製に好適なアダプタを提供すること、並びに、当該アダプタを利用した標本作製法を提供することを、解決すべき課題とする。
(第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明は、
回転駆動される駆動軸に装着されて、細胞診標本及び/又は組織診標本の作製に使用されるアダプタであって、
駆動軸に係合状態で嵌装される軸着部と、当該軸着部に連結して形成された、標本作製用セルがセットされるセルセット部及び遠心用チューブがセットされるチューブセット部とを備え、
前記セルセット部及び前記チューブセット部はそれぞれ複数であり、
前記複数のセルセット部は、前記標本作製用セルに含まれるプレートの被処理面が前記駆動軸の遠心力方向に対して略垂直に固定されるようにそれぞれ設けられ、かつ各々のセルセット部は駆動軸を中心とする回転円周A1上に略等間隔に設けられ、
前記複数のチューブセット部は、駆動軸を中心とする回転円周A2上に略等間隔に設けられ、
前記回転円周A1及びA2は、(a)同一の回転円周、又は直径が異なる同心円状の回転円周であり、かつ(b)駆動軸に対する同一の高さ(軸方向)位置にある回転円周、又は異なる高さ(軸方向)位置にある回転円周である、アダプタである。
上記課題を解決するための本願第1発明は、
回転駆動される駆動軸に装着されて、細胞診標本及び/又は組織診標本の作製に使用されるアダプタであって、
駆動軸に係合状態で嵌装される軸着部と、当該軸着部に連結して形成された、標本作製用セルがセットされるセルセット部及び遠心用チューブがセットされるチューブセット部とを備え、
前記セルセット部及び前記チューブセット部はそれぞれ複数であり、
前記複数のセルセット部は、前記標本作製用セルに含まれるプレートの被処理面が前記駆動軸の遠心力方向に対して略垂直に固定されるようにそれぞれ設けられ、かつ各々のセルセット部は駆動軸を中心とする回転円周A1上に略等間隔に設けられ、
前記複数のチューブセット部は、駆動軸を中心とする回転円周A2上に略等間隔に設けられ、
前記回転円周A1及びA2は、(a)同一の回転円周、又は直径が異なる同心円状の回転円周であり、かつ(b)駆動軸に対する同一の高さ(軸方向)位置にある回転円周、又は異なる高さ(軸方向)位置にある回転円周である、アダプタである。
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明においては、前記第1発明に係るアダプタの回転時における最外縁部の回転軌道直径が200mm以下である。
上記課題を解決するための本願第2発明においては、前記第1発明に係るアダプタの回転時における最外縁部の回転軌道直径が200mm以下である。
(第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明は、下記(1)の液状化希釈液に観察対象が含まれたものである液状検体を作製する工程と、
前記液状検体が入った下記(2)の構成を備える標本作製用セル及び遠心用チューブをそれぞれ1以上、請求項1又は請求項2に記載のアダプタにセットして、これらを同時に遠心分離する遠心分離工程と、
を含み、細胞診標本及び/又は組織診標本を作製するための、標本作製法である。
(1)液状化希釈液
塩化ナトリウム:2.0〜3.0g
クエン酸:0.05〜1g
クエン酸ナトリウム:0.05〜1g
ポリエチレングリコール600:0.5〜20ml
イソプロピルアルコール:10〜200ml
ライトグリーンの色素:少々
水で1L
(2)標本作製用セル:セルの中に、遠心分離後に液と細胞成分を分離するための段差がある構造を持つ標本作製用セル。
上記課題を解決するための本願第3発明は、下記(1)の液状化希釈液に観察対象が含まれたものである液状検体を作製する工程と、
前記液状検体が入った下記(2)の構成を備える標本作製用セル及び遠心用チューブをそれぞれ1以上、請求項1又は請求項2に記載のアダプタにセットして、これらを同時に遠心分離する遠心分離工程と、
を含み、細胞診標本及び/又は組織診標本を作製するための、標本作製法である。
(1)液状化希釈液
塩化ナトリウム:2.0〜3.0g
クエン酸:0.05〜1g
クエン酸ナトリウム:0.05〜1g
ポリエチレングリコール600:0.5〜20ml
イソプロピルアルコール:10〜200ml
ライトグリーンの色素:少々
水で1L
(2)標本作製用セル:セルの中に、遠心分離後に液と細胞成分を分離するための段差がある構造を持つ標本作製用セル。
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明は、前記第3発明に係る標本作製法において、アダプタの軸着部を係合状態で嵌装できる駆動軸を備え、ヒトの手で持ち運び可能な小型装置を用いて前記遠心分離工程を行う、標本作製法である。
上記課題を解決するための本願第4発明は、前記第3発明に係る標本作製法において、アダプタの軸着部を係合状態で嵌装できる駆動軸を備え、ヒトの手で持ち運び可能な小型装置を用いて前記遠心分離工程を行う、標本作製法である。
本発明のアダプタは、複数の標本作製用セル及び遠心用チューブを同時にセットできる。よって異なる処理を受けた標本の作製を同時に行うことができ、迅速な処理が実現する。
また、本発明のアダプタはフードプロセッサ等の簡便に持ち運びできる小型装置に装着可能である。よって、検体の採取から染色標本の作製までを例えばベッドサイドにて行える場合がある。以上のように、迅速かつ保存のための負担が少ない標本作製が可能となる。また、実験室を持たない小規模医院、外来、病棟等でも標本作製が可能となる。
また、本発明の標本作製法により、それぞれ異なる処理を受けた複数の標本を迅速に作製できる。また、フードプロセッサ等の簡便に持ち運びできる小型装置を使用し、検体の採取から染色標本の作製までをベッドサイドにて行える場合がある。この場合、検体の採取から標本作製までの時間を効果的に短縮でき、好適な標本を作製できるだけでなく検体の保存に関する負担も軽減できる。また、実験室等を持たない小規模医院等でも標本作製が可能となる。
本発明の標本作製法では、液状化希釈液に観察対象が含まれたものである液状検体を用い、並びに特定の標本作製用セルを使用するので、前記したAMAPSの利点も発揮可能である。なお、従来から遠心分離に使用されてきたチューブ状等の容器を使用する場合であっても、少ない液状検体から効率的に観察対象を回収可能である。
以下に、本発明の実施形態をその最良の形態を含めて説明する。
〔アダプタ〕
本発明のアダプタについて説明する。まず最初に、回転駆動される駆動軸と、これに対して係合状態で嵌装される軸着部との関係を述べる。次にセルセット部、チューブセット部の構成を述べ、更にアダプタの全体的構成を述べる。
本発明のアダプタについて説明する。まず最初に、回転駆動される駆動軸と、これに対して係合状態で嵌装される軸着部との関係を述べる。次にセルセット部、チューブセット部の構成を述べ、更にアダプタの全体的構成を述べる。
(駆動軸と軸着部との関係)
本発明のアダプタは、第1発明に記載したように、回転駆動される駆動軸に対してアダプタの軸着部を係合状態で嵌装することにより、駆動軸に装着される。ここで「係合状態で嵌装する」とは、要するに、駆動軸が軸着部に対して空回りしない係合状態で嵌装することをいう。従って、駆動軸がモーター等により回転駆動されるとアダプタも追従して回転し、駆動軸が回転を停止するとアダプタも回転を停止する。
本発明のアダプタは、第1発明に記載したように、回転駆動される駆動軸に対してアダプタの軸着部を係合状態で嵌装することにより、駆動軸に装着される。ここで「係合状態で嵌装する」とは、要するに、駆動軸が軸着部に対して空回りしない係合状態で嵌装することをいう。従って、駆動軸がモーター等により回転駆動されるとアダプタも追従して回転し、駆動軸が回転を停止するとアダプタも回転を停止する。
駆動軸に対して軸着部を係合状態で嵌装するための構成は限定されず、このような場合の公知の各種の係合手段を任意に用いることができる。
例えば、駆動軸に対して軸着部を外挿状態で嵌装させる場合には、駆動軸が角柱状であれば、軸着部をこれに対応する内周面を備えた筒状に形成することができる。駆動軸が円柱状であれば、駆動軸の外周面と筒状の軸着部の内周面に相互にかみ合う凸条ないし凹条を軸方向に形成したり、駆動軸の外周面と筒状の軸着部の内周面に相互に螺合する雄ネジと雌ネジの各一方を形成することもできる。
一方、駆動軸が筒状であって、これに対して軸着部を内挿状態で嵌装させる場合もある。この場合には、駆動軸と軸着部における構成は、上記の場合とは逆の関係になる。
駆動軸は、モーターその他の動力源により回転駆動されるものである限りにおいて、種類を限定されない。よって、本来は遠心分離用ではないフードプロセッサやその他の各種の小型・軽量な装置の駆動軸にアダプタを装着できる。この場合は、高価かつ大型の専用遠心分離機を装備できない小規模医院等でも、遠心分離を行なうことができ、しかも標本作製用セルと遠心用チューブを同時に遠心分離できる。加えて、小型・軽量な装置は、専用の遠心分離機とは異なり、簡便に持ち運びや移動が可能である。
更に、遠心分離機の回転駆動軸に本発明のアダプタを装着できる。この場合でも、標本作製用セルと遠心用チューブを同時に遠心分離できるという新規で有用な効果が確保される。
(セルセット部とチューブセット部)
それぞれ複数のセルセット部及びチューブセット部は、アダプタの軸着部に連結して形成される。その連結の態様は、これらの部材が常に同期して回転するように構成される限りにおいて特に限定されず、アダプタの構成を考慮して適宜選択可能である。例えば、複数のセルセット部及びチューブセット部を軸着部と一体的に形成しても良い。また、例えば後述の実施例のように、別々に作製したこれらの部材を組合わせてアダプタを構成してもよい。
それぞれ複数のセルセット部及びチューブセット部は、アダプタの軸着部に連結して形成される。その連結の態様は、これらの部材が常に同期して回転するように構成される限りにおいて特に限定されず、アダプタの構成を考慮して適宜選択可能である。例えば、複数のセルセット部及びチューブセット部を軸着部と一体的に形成しても良い。また、例えば後述の実施例のように、別々に作製したこれらの部材を組合わせてアダプタを構成してもよい。
複数のセルセット部及びチューブセット部を設ける際には、アダプタの回転時における遠心力方向での重量バランスを保つように留意すべきである。又、標本作製用セルや遠心用チューブをセットする際にも、同様に重量バランスの維持に留意すべきである。例えば、特定のセルセット部やチューブセット部のみに検体入りの標本作製用セルや遠心用チューブをセットする場合でも、他のセルセット部やチューブセット部にブランク用試料をセットする等の配慮が、カウンターバランスの点からも好ましい。
アダプタの構成材料は特に限定されず、例えば、金属製、プラスチック製、木製、セラミック製、紙製等とすることができる。材料コストの低減や、軽量化による持ち運びの容易さ及び遠心分離時間の短縮の観点からは、プラスチック製、木製、紙製が好ましい。
セルセット部の個数は限定されないが、アダプタの小型化の観点から2〜6個が好ましく、2〜4個がより好ましく、2個が更に好ましい。チューブセット部の個数も限定されないが、アダプタの小型化の観点から2〜4個が好ましく、2個がより好ましい。
セルセット部に標本作製用セルをセットする際は、標本作製用セルにおけるプレートの被処理面が、駆動軸と向かいあわせに、かつ駆動軸の回転時の遠心力方向に対して略垂直に固定する。即ち、プレートの被処理面は駆動軸と略平行の縦向きに固定される。プレートの被処理面をこのように固定できる限りにおいてセルセット部の形状・構成は特段に限定されない。セルセット部は、例えば、標本作製用セルのプレートを縦向きに挿入して固定できる穴を備える構造としても良い。
標本作製用セルにおけるプレートの被処理面が略垂直の縦向きに固定された状態で遠心分離されると、標本作製用セルに収容した液状検体中の細胞や組織といった細胞成分が、その比重に基づいて、略垂直なプレートの被処理面上に並ぶ状態で固定もしくは定着される。
プレートの被処理面は、例えば400mm2以下の広さに設定し、より好ましくは、150〜250mm2程度の広さに設定する。標本作製用セルとしては、既知のオートスメア法用セルを例示できる。又、特に好ましくは、前記の特許文献1及び非特許文献1に記載された、遠心分離後に液と細胞成分を分離するための段差構造を持つセル(以下、「自動分離セル」ともいう)を例示できる。自動分離セルを使用して遠心分離した場合、自動分離セルに収容された液状検体が遠心力によって略垂直なプレートの被処理面を覆い、液状検体中の細胞や組織がプレートの被処理面上に固定もしくは定着される。
本発明のアダプタを用いて処理する検体としては、前記の第3発明に述べる「特定の液状化希釈液に観察対象が含まれたものである液状検体」が特に好ましいが、液状化希釈液で希釈されていない通常の検体も処理対象とすることができる。
遠心用チューブは、遠心分離によって、その底部側に比重の大きいものを集める。本発明の標本作製法では、観察対象は遠心用チューブの底部側に移動する。チューブセット部の構造としては、遠心用チューブを挿入可能な穴を備え、かつ、この遠心用チューブの底部が遠心分離中に回転軸から離れるように傾動できる構造であれば良い。更に、既知の遠心分離用ローターのように、遠心用チューブの底部を回転軸から遠心力方向へ離れるよう固定する形状としてよい。また、静止時には底部が下を向き、遠心分離中は底部が回転軸から遠心力方向へ離れるように傾く、フックを利用した形状としてもよい。ここで、遠心用チューブとして、既知の遠心用チューブを適宜使用できる。
複数のセルセット部は、駆動軸(軸着部)を中心とする一定の回転円周A1上に略等間隔に設けられる。複数のチューブセット部も、一定の回転円周A2上に略等間隔に設けられる。回転円周A1と回転円周A2とは同一の円周でもよく、互いに同心円の関係にあってもよい。セルセット部及びチューブセット部は好ましくは同数ずつ設けられ、回転方向に沿って交互に配置される。更に、これらは互いに略等角度ずつ離れている。
(アダプタの全体的構成)
本発明のアダプタのサイズは特に限定されないが、持ち運び容易、小型装置に連結して遠心分離を行う観点から小型であることが好ましい。より具体的に説明すると、アダプタの回転時における最外縁部の回転軌道直径が200mm以下となるサイズが好ましい。当該長さは50〜130mmがより好ましく、100〜130mmが更に好ましい。
本発明のアダプタのサイズは特に限定されないが、持ち運び容易、小型装置に連結して遠心分離を行う観点から小型であることが好ましい。より具体的に説明すると、アダプタの回転時における最外縁部の回転軌道直径が200mm以下となるサイズが好ましい。当該長さは50〜130mmがより好ましく、100〜130mmが更に好ましい。
〔標本作製法〕
本発明の標本作製法は、少なくとも上記第3発明に記載した構成を備える。本発明の標本作製法は、本発明のアダプタを使用し、標本作製用セル(特に好ましくは自動分離セル)及び遠心用チューブを同時に遠心分離できる。よって、被処理面に観察対象が回収されたガラス等のプレートと、底部側に観察対象が沈降した遠心用チューブ等の容器と、を同時に作製できる。
本発明の標本作製法は、少なくとも上記第3発明に記載した構成を備える。本発明の標本作製法は、本発明のアダプタを使用し、標本作製用セル(特に好ましくは自動分離セル)及び遠心用チューブを同時に遠心分離できる。よって、被処理面に観察対象が回収されたガラス等のプレートと、底部側に観察対象が沈降した遠心用チューブ等の容器と、を同時に作製できる。
次に、本発明の液状化希釈液は、赤血球を破壊し、赤血球の比重を小さくできる。よって、遠心分離中、比重差によって観察対象が自動分離セルの被処理面に優先的に並び、少量の観察対象を有効利用できる(上記特許文献1図2参照)。即ち、血液が含まれてしまう検体にも本発明の標本作製法を適用可能である。なお、検体が赤血球を含む場合、液状化希釈液に懸濁する前に、バフィーコート層を回収する、分離剤を使用する等検体中の赤血球量を減らす処理を行うのが好ましい。
〔検体〕
本発明の標本作製法の検体は、細胞診標本及び組織診標本で観察される観察対象を含む限り特に限定されない。即ち、当該検体は、後述の液状化希釈液に懸濁される成分を含むものである。検体は、上記標本作製に必要な処理が適宜なされてよい。
本発明の標本作製法の検体は、細胞診標本及び組織診標本で観察される観察対象を含む限り特に限定されない。即ち、当該検体は、後述の液状化希釈液に懸濁される成分を含むものである。検体は、上記標本作製に必要な処理が適宜なされてよい。
当該検体として例えば、被験者から採取した(1)乳汁、尿、腹水、胸水、髄液、気管支洗浄液、胆管洗浄液、膀胱洗浄液、精液、胆汁、唾液等の液性検体、(2)乳腺穿刺物、甲状腺穿刺物、リンパ節穿刺物、肝穿刺物、膵穿刺物、腎穿刺物等の穿刺物検体、(3)気管支擦過物、胆管擦過物、歯肉擦過物、舌擦過物、咽頭擦過物、子宮内膜擦過物、子宮頸部擦過物等の擦過物検体が挙げられる。なお、上記穿刺はコアニードル針を用いて行ってもよいし、FNAであってもよい。また、例えば、培養細胞、遺伝子改変を受けた細胞、化学的処理や物理的処理により形質が転換された細胞、多能性幹細胞から再現された病巣等も検体とすることができる。
少量の検体量で標本を作製可能(即ち、被験者の侵襲を軽減できる)という利点を生かす観点から、検体は被験者から採取した検体が好ましく、穿刺液状化検体、擦過液状化検体がより好ましく、FNAより得た検体が更に好ましい。また、検体は血液を含んだものであってもよく、赤血球を含んだものであってもよい。上記検体は、周知の方法に従い取得可能である。
〔液状化希釈液〕
本発明の標本作製法は、下記組成の液状化希釈液を使用する。なお、水以外の各成分は全量を1Lとした場合の含有量である。
塩化ナトリウム:2.0〜3.0g
クエン酸:0.05〜1g
クエン酸ナトリウム:0.05〜1g
ポリエチレングリコール600:0.5〜20ml
イソプロピルアルコール:10〜200ml
ライトグリーンの色素:少々
水で1Lとする
なお、液状化希釈液は更に防腐剤を含んでよい。当該防腐剤として、例えば、アジ化ナトリウム、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、ホルマリン等がある。防腐剤として好ましくはアジ化ナトリウムである。防腐剤の含有量は適宜決定可能であるが、0.3〜5g/Lが好ましい。上記アルコール系防腐剤の場合、含有量が5g/Lを超えるとギムザ染色標本で細胞質所見が変化するおそれがある。また、上記ホルマリンの場合、含有量が5g/Lを超えるとギムザ染色が汚くなり、パパニコロウ標本では細胞核が凝集するおそれがある。
本発明の標本作製法は、下記組成の液状化希釈液を使用する。なお、水以外の各成分は全量を1Lとした場合の含有量である。
塩化ナトリウム:2.0〜3.0g
クエン酸:0.05〜1g
クエン酸ナトリウム:0.05〜1g
ポリエチレングリコール600:0.5〜20ml
イソプロピルアルコール:10〜200ml
ライトグリーンの色素:少々
水で1Lとする
なお、液状化希釈液は更に防腐剤を含んでよい。当該防腐剤として、例えば、アジ化ナトリウム、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、ホルマリン等がある。防腐剤として好ましくはアジ化ナトリウムである。防腐剤の含有量は適宜決定可能であるが、0.3〜5g/Lが好ましい。上記アルコール系防腐剤の場合、含有量が5g/Lを超えるとギムザ染色標本で細胞質所見が変化するおそれがある。また、上記ホルマリンの場合、含有量が5g/Lを超えるとギムザ染色が汚くなり、パパニコロウ標本では細胞核が凝集するおそれがある。
〔液状検体の作製〕
液状検体を作製する手法は特に限定されず、観察対象や検体の条件を考慮して適宜選択可能である。穿刺物検体(例えば、1〜100μl)、擦過物検体等の比較的少量の検体の場合について説明すると、予め遠心用チューブ等の容器に入れた液状化希釈液(例えば、500〜5000μl)に検体を有する器具等を浸し、液状化希釈液で検体を有する器具等を洗浄して液状検体を作製できる。なお、穿刺物検体の場合は、針の洗浄を行うだけで観察対象を回収できる場合もある。次に、上記の液性検体や細胞培養液等比較的多量の検体の場合について説明すると、検体(例えば、10〜1000ml)を遠心分離(例えば、2000〜4000rpm・10〜30分程度の条件)して得た沈渣を1〜100μl程度回収し、100〜2000μlの液状化希釈液に懸濁させて液状検体を作製できる。作製された液状検体は、遠心分離に供される。
液状検体を作製する手法は特に限定されず、観察対象や検体の条件を考慮して適宜選択可能である。穿刺物検体(例えば、1〜100μl)、擦過物検体等の比較的少量の検体の場合について説明すると、予め遠心用チューブ等の容器に入れた液状化希釈液(例えば、500〜5000μl)に検体を有する器具等を浸し、液状化希釈液で検体を有する器具等を洗浄して液状検体を作製できる。なお、穿刺物検体の場合は、針の洗浄を行うだけで観察対象を回収できる場合もある。次に、上記の液性検体や細胞培養液等比較的多量の検体の場合について説明すると、検体(例えば、10〜1000ml)を遠心分離(例えば、2000〜4000rpm・10〜30分程度の条件)して得た沈渣を1〜100μl程度回収し、100〜2000μlの液状化希釈液に懸濁させて液状検体を作製できる。作製された液状検体は、遠心分離に供される。
〔液状検体の遠心分離〕
まず、自動分離セルと遠心用チューブに、予め作製した液状検体を入れる。次に、液状検体が入った自動分離セル及び遠心用チューブを本発明のアダプタにセットして、同時に遠心分離する。自動分離セルでは、遠心分離により液状検体に含まれた観察対象を含む細胞成分がプレートの被処理面上に並び、遠心分離後は液と細胞成分とが分離する(上記特許文献1図2左列参照)。一方、遠心用チューブでは観察対象を含む細胞成分がチューブ底側に集められる。
まず、自動分離セルと遠心用チューブに、予め作製した液状検体を入れる。次に、液状検体が入った自動分離セル及び遠心用チューブを本発明のアダプタにセットして、同時に遠心分離する。自動分離セルでは、遠心分離により液状検体に含まれた観察対象を含む細胞成分がプレートの被処理面上に並び、遠心分離後は液と細胞成分とが分離する(上記特許文献1図2左列参照)。一方、遠心用チューブでは観察対象を含む細胞成分がチューブ底側に集められる。
よって、ギムザ染色やパパニコロウ染色等に適したプレートと、包埋処理等に適した観察対象を含有する沈渣と、を同時に取得できる。即ち、同一の観察対象について、異なる処理を受けた標本を作製するための処理を効率的に行える。なお、上記第3発明の構成が備えられれば、遠心分離時にはブランク容器がアダプタにセットされてもよい。
自動分離セル及び遠心用チューブに入れられる液状検体の量は適宜選択可能である。検体量を少量に抑える観点、遠心分離時間を短くする観点、並びに、フードプロセッサ等の小型装置を使用して遠心分離を行う観点から、自動分離セルに入れられる液状検体の量は100〜2000μlが好ましく、100〜300μlがより好ましい。同様に、遠心用チューブに入れられる液状検体の量は200〜5000μlが好ましく、500〜2000μlがより好ましい。
なお、自動分離セルは、遠心分離後に液と細胞成分を分離する(言いかえると、静止時において液はプレートの被処理面から離れる)ための段差がある構造を備えている。好ましくは、自動分離セルは、そのチャンバーに当該段差構造を備えている。遠心分離用チューブは、直径7〜15mm程度のものが好ましい。また、高さ30〜50mm程度のものが好ましい。
遠心分離条件も適宜選択可能である。例えば、本発明のアダプタを連結可能な既知の遠心分離器、回転可能な駆動軸を有しヒトの手で持ち運び可能な小型装置(例えば、フードプロセッサ、ミキサ等)等を使用できる。好ましくは、上記小型装置を使用して遠心分離を行う。遠心分離時間も適宜選択可能であるが、液状検体量を少量とすれば遠心分離時間を短縮可能である。例えば、遠心分離時間を5秒〜2分程度としてよいし、5秒〜60秒程度としてもよい。遠心分離の単位時間当たりの回転数も適宜選択可能であるが、例えば、50〜3000rpmが好ましく、500〜1000rpmがより好ましい。
〔遠心分離後の自動分離セルについて〕
被処理面に細胞成分が回収されたプレートは細胞診標本及び組織診標本の作製に好適であり、細胞診標本の作製により好適である。好ましくは、一度の遠心分離で当該プレートを複数作製し、それぞれを異なる染色に供する。当該異なる染色の組合せとして、好ましくは、乾燥固定後に行う染色及び湿潤固定後に行う染色の組合せである。
被処理面に細胞成分が回収されたプレートは細胞診標本及び組織診標本の作製に好適であり、細胞診標本の作製により好適である。好ましくは、一度の遠心分離で当該プレートを複数作製し、それぞれを異なる染色に供する。当該異なる染色の組合せとして、好ましくは、乾燥固定後に行う染色及び湿潤固定後に行う染色の組合せである。
通常、自動分離セルの被処理面を含むプレートは他の構成から取り外し可能(セルが分解可能)であり、取り外した当該プレートのみを染色処理に供する。当該染色として、乾燥固定後に行う染色(例えば、ギムザ染色、PAS染色、免疫染色等)及び湿潤固定後に行う染色(例えば、パパニコロウ染色、PAS染色、免疫染色等)がある。上記乾燥固定、湿潤固定は周知の方法により行える。
〔遠心分離後の遠心用チューブについて〕
上清をスポイト処理やデカンテーション等で除いて得た沈渣は細胞診標本及び組織診標本の作製に好適であり、組織診標本の作製により好適である。好ましくは、当該沈渣を固定処理、包埋処理等に供し、その後染色し、作製された標本を顕微鏡等で観察する。特に、包埋処理後薄切りにより多数の標本を作製する場合、観察対象の立体的な情報を得やすい。観察対象が組織等細胞に比べて大きい場合はこの特徴がより生かされる。また、その他にも、より適切な標本を選択して使用することも可能となる。なお、上記包埋処理、薄切り、染色等は周知の方法により行える。
上清をスポイト処理やデカンテーション等で除いて得た沈渣は細胞診標本及び組織診標本の作製に好適であり、組織診標本の作製により好適である。好ましくは、当該沈渣を固定処理、包埋処理等に供し、その後染色し、作製された標本を顕微鏡等で観察する。特に、包埋処理後薄切りにより多数の標本を作製する場合、観察対象の立体的な情報を得やすい。観察対象が組織等細胞に比べて大きい場合はこの特徴がより生かされる。また、その他にも、より適切な標本を選択して使用することも可能となる。なお、上記包埋処理、薄切り、染色等は周知の方法により行える。
遠心分離に供した液状検体が少量の場合、上記沈渣を効率的に回収して包埋するため、以下の処理を行うことが好ましい。即ち、まず、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)、フィブリノーゲンから選ばれる1種以上、並びに、ギルヘマトキシレン、塩化カルシュウムから選ばれる1種以上を併用して沈渣が良好に分散したゼリーを得る。当該ゼリー量は50〜200μlが好ましい。得たゼリーは遠心用チューブから容易に採取可能であり(言いかえれば容器中の残量を少なくできる)、また、簡便に変形できる。当該採取は、例えば、ピンセット、スポイト等で行える。次に、小型皿(例えば、適宜な形状の凹部を備えた皿等)等を使用して当該ゼリーを適宜に成形し、固定処理、包埋処理に供する。以上のような処理により、少ない観察対象を効率的に回収でき、かつ、多数の標本を得ることができる。また、観察対象の立体的情報も得やすい。
〔作製された標本について〕
本発明の標本作製法により作製された標本は、例えば、疾患の診断の補助に利用できる。当該疾患として、癌、肉腫、原虫感染症、アクチノマイセス感染症、細菌感染症、ウイルス感染症等がある。
本発明の標本作製法により作製された標本は、例えば、疾患の診断の補助に利用できる。当該疾患として、癌、肉腫、原虫感染症、アクチノマイセス感染症、細菌感染症、ウイルス感染症等がある。
また、作製された標本は、細胞や組織のクオリティチェックにも利用可能である。例えば、標本の観察結果からクオリティチェックを行ってもよい。また、得られた標本でFISH法を行い遺伝子や染色体を解析してよい。
以下に本発明の実施例を説明する。本発明の技術的範囲は、以下の実施例に限定されない。
〔アダプタ〕
本実施例に係るアダプタを図1、図2に示す。このアダプタはプラスチック製であり、回転駆動される駆動軸に装着されて細胞診標本及び/又は組織診標本の作製に使用されるものである。
本実施例に係るアダプタを図1、図2に示す。このアダプタはプラスチック製であり、回転駆動される駆動軸に装着されて細胞診標本及び/又は組織診標本の作製に使用されるものである。
アダプタ1の中央部には円筒状の軸着部2が構成されている。軸着部2は、フードプロセッサや遠心分離機等の装置における駆動軸3に対して外挿状態で嵌装される。軸着部2を駆動軸3に嵌装した際、図2に示すように軸着部2の内周面に軸方向に形成した凸条4が駆動軸3の凹部ないし凹条(図示省略)にかみ合って、軸着部2が駆動軸3に係合状態で嵌装される。
軸着部2の上端は、一体的に設けたフランジ5により、長方形の平面形状を有する上板部6における長手方向の中央部に固定的に接合されている。上板部6の垂直下方には、上板部6とほぼ同形同大の下板部7が平面視で重なるように設けられ、この下板部7は左右側の一対の連結板8によって上板部6と固定的に連結されている。下板部7は、長手方向の中央部に、軸着部2を通過させる軸孔9を備えている。
図2では、上板部6、下板部7、一対の連結板8が単一のプラスチック成形体であるかのように図示しているが、実際はこれらの各部材は別途に成形した後に一体的に組付けて構成されている。又、軸着部2を駆動軸3に嵌装した時、駆動軸3の垂直方向の回転軸に対して、上板部6及び下板部7が水平方向に固定される。
(セルセット部)
上板部6の長手方向の両端部には、後述の標本作製用セルの上部をセットするための一対のセット孔10を設けている。一対のセット孔10は同形、同大であり、かつ軸着部2を駆動軸3に嵌装した状態における駆動軸3の回転軸に対して等距離に設けている。
上板部6の長手方向の両端部には、後述の標本作製用セルの上部をセットするための一対のセット孔10を設けている。一対のセット孔10は同形、同大であり、かつ軸着部2を駆動軸3に嵌装した状態における駆動軸3の回転軸に対して等距離に設けている。
下板部7の長手方向の両端部にも、標本作製用セルの下部をセットするための一対のセット孔11を設けている。下板部7のセット孔11は、上板部6のセット孔10のほぼ真下に位置し、駆動軸3の回転軸に対して等距離に設けており、かつ、セット孔10よりも長手方向の幅が狭くなっている。
以上の上板部6の一対のセット孔10と、下板部7の一対のセット孔11が、第1発明で述べた複数の(この場合は2個の)セルセット部を構成する。
(標本作製用セル)
実施例に係る標本作製用セルを図3に示す。この標本作製用セルは前記した自動分離セルを用いるものである。
実施例に係る標本作製用セルを図3に示す。この標本作製用セルは前記した自動分離セルを用いるものである。
標本作製用セル19は、ガラス製のプレート20と、このプレート20上に設置するセラミック製のチャンバー21と、プレート20及びチャンバー21をセルセット部に固定的にセットするためのセルアダプタ22を備えている。
チャンバー21は、ベース板23上に液状検体を収容するためのセル室24を設けた構造を持ち、セル室24の上方が前窓部25として開口されると共に、セル室24の底部を構成するベース板23の一部も、奥窓部26として開口されている。この奥窓部26は、ガラス製のプレート20の表面に開口しており、奥窓部26の開口面積がプレートの被処理面の面積を規定する。奥窓部26の開口部を除いて、ベース板23とガラス製のプレート20との間には液体シール用の樹脂層(図示省略)を介在させている。更に、セル室24の図3における右方部(遠心分離時における下方部)には、掘込み状に拡張されたスペースとして、液状検体の貯溜用の液溜凹部27が形成されている。
セルアダプタ22は、台板28上に図3に示すような適宜な形状を持つ線条の金属バネ材29を取り付けたものである。金属バネ材29は、台板28上で一定の角度に起き上がった状態にあるが、その弾性変形性を利用して台板28上に伏した状態に倒すことができ、かつ、その状態において台板28の一対の留めフック30に係止させることができる。
(セルセット部へのセッティング)
セルセット部に標本作製用セル19をセッティングするに当り、まず、標本作製用セル19をセルアダプタ22に組付ける。即ち、標本作製用セル19のプレート20をセルアダプタ22の台板28上に載置し、金属バネ材29を倒して留めフック30に係止させる。この時、図4に示すようにチャンバー21のベース板23が金属バネ材29によってセルアダプタ22に固定される。その際のベース板23の固定法として、チャンバー21の液溜凹部27が図4の下方側に位置するように、ベース板23を固定する。
セルセット部に標本作製用セル19をセッティングするに当り、まず、標本作製用セル19をセルアダプタ22に組付ける。即ち、標本作製用セル19のプレート20をセルアダプタ22の台板28上に載置し、金属バネ材29を倒して留めフック30に係止させる。この時、図4に示すようにチャンバー21のベース板23が金属バネ材29によってセルアダプタ22に固定される。その際のベース板23の固定法として、チャンバー21の液溜凹部27が図4の下方側に位置するように、ベース板23を固定する。
そして、液溜凹部27に液状検体を注入した後、セルアダプタ22付きの標本作製用セル19を、図4に示す上下方向に保持したままで、本発明のアダプタ1の上板部6における片側のセット孔10に対して上方から差込み、次いで下板部7における同じ片側のセット孔11に差込む。このように差込む際に、標本作製用セル19の表面側(チャンバー21が形成された側)がアダプタ1の軸着部2(即ち駆動軸3)の方向に向いている必要がある。
標本作製用セル19のチャンバー21は、上板部6のセット孔10を通過するが、セット孔10よりも長手方向の幅が狭い下板部7のセット孔11を通過できないので、そこで標本作製用セル19が停止して、セルセット部にセッティングされた状態となる。そしてこの時、標本作製用セル19のガラス製のプレート20が垂直方向に固定される。
(標本作製用セルの使用時)
こうして、本発明のアダプタ1の上板部6、下板部7における他の片側のセット孔10、11にも同上の要領で標本作製用セル19をセッティングした後に、更には後述のようにチューブセット部にも遠心用チューブをセットした後に、駆動軸3を駆動回転させると、液溜凹部27に貯留した液状検体が遠心力により奥窓部26中へ移動する。
こうして、本発明のアダプタ1の上板部6、下板部7における他の片側のセット孔10、11にも同上の要領で標本作製用セル19をセッティングした後に、更には後述のようにチューブセット部にも遠心用チューブをセットした後に、駆動軸3を駆動回転させると、液溜凹部27に貯留した液状検体が遠心力により奥窓部26中へ移動する。
そして液状検体中の細胞や組織が、その比重に基づいて、垂直に固定されたプレート22の表面(被処理面)に並ぶ状態で固定・定着される。次に、遠心分離が終了すると、液状検体は重力に従って下方(液溜凹部27)へ流れ落ちるが、プレート22の表面に固定もしくは定着された細胞や組織はプレート22の表面上にとどまるので、自動的に液状検体から分離される。
(チューブセット部)
上板部6の長手方向の中央部の左右側には同形、同大の切欠き部12を形成して、これらの切欠き部12の開放側の端部には各一対のフック部13を対向させて突出形成している。そして各一対のフック部13の対向面には軸受け用の凹部14を設けている。
上板部6の長手方向の中央部の左右側には同形、同大の切欠き部12を形成して、これらの切欠き部12の開放側の端部には各一対のフック部13を対向させて突出形成している。そして各一対のフック部13の対向面には軸受け用の凹部14を設けている。
これらの部材が、第1発明で述べた遠心用チューブをセットするための複数の(この場合は2個の)チューブセット部を構成している。即ち、遠心用チューブ15を、図1の矢印Aに示すように、チューブアダプタ16のチューブセット用の孔17に挿入する。そして、チューブアダプタ16に設けた一対の軸支用突起18を、図1の矢印Bに示す方向から、一対のフック部13の軸受け用の凹部14に嵌め込む。
チューブセット部に遠心用チューブ15をセットした際は、遠心用チューブ15は垂下した状態にある。しかし、チューブアダプタ16が一対のフック部13の軸受け用の凹部14によって回転可能に軸支されているので、遠心分離を開始すると、遠心用チューブ15の下端部は遠心力によって外側へ水平に近い状態まで変位し、チューブ内の液状検体の遠心分離が行なわれる。
〔少ない検体量での標本作製法(One Drop Systems)〕
〔検体及び遠心分離装置〕
試験には甲状腺癌細胞の培養液(細胞懸濁液)を使用した。図1に示したアダプタ1及び遠心用チューブ15、図3に示した標本作製用セル19(自動分離セル)、並びに、フードプロセッサ(パナソニック社製、商品名MK−KB−W)を使用して遠心分離装置を構成した。遠心分離装置には2つの遠心用チューブ及び2つの自動分離セルが備えられ、これらは同時に遠心分離に供される。なお、アダプタの回転時における最外縁部(上板部6、下板部7の長手方向の両端の角部)の回転軌道直径は長さ12.5cmである。また、自動分離セルにおけるプレートの被処理面は縦14mm×横14mmの正方形である。また、遠心用チューブは直径10mm×長さ48mmで底部が尖った形状である。
〔検体及び遠心分離装置〕
試験には甲状腺癌細胞の培養液(細胞懸濁液)を使用した。図1に示したアダプタ1及び遠心用チューブ15、図3に示した標本作製用セル19(自動分離セル)、並びに、フードプロセッサ(パナソニック社製、商品名MK−KB−W)を使用して遠心分離装置を構成した。遠心分離装置には2つの遠心用チューブ及び2つの自動分離セルが備えられ、これらは同時に遠心分離に供される。なお、アダプタの回転時における最外縁部(上板部6、下板部7の長手方向の両端の角部)の回転軌道直径は長さ12.5cmである。また、自動分離セルにおけるプレートの被処理面は縦14mm×横14mmの正方形である。また、遠心用チューブは直径10mm×長さ48mmで底部が尖った形状である。
〔標本の作製〕
甲状腺癌細胞の培養液を遠心分離し、沈渣50μlを下記組成の液状化希釈液600μlに懸濁し、液状検体を得た。なお、当該沈渣の添加及び懸濁は上記の2つの内の一方の遠心用チューブ内で行った。
甲状腺癌細胞の培養液を遠心分離し、沈渣50μlを下記組成の液状化希釈液600μlに懸濁し、液状検体を得た。なお、当該沈渣の添加及び懸濁は上記の2つの内の一方の遠心用チューブ内で行った。
−液状化希釈液の組成−
塩化ナトリウム 2g
クエン酸 1g
クエン酸ナトリウム 1g
イソプロピルアルコール 10ml
アジ化ナトリウム 0.6g
ポリエチレングリコール(分子量600) 1ml
ライトグリーンの色素 少々
水で1Lとする
2つの自動分離セルのチャンバー21に、それぞれ約100μl(スポイトで2滴程度)の液状検体を入れ、アダプタのセルセット部にセットした。10%ホルマリン水溶液1mlを残りの液状検体に添加し、撹拌した後、前記の遠心用チューブを一方のチューブセット部にセットした。また、上記の2つの内の他方の遠心用チューブには、ブランクとして液状化希釈液のみを入れ、これを他方のチューブセット部にセットした。
塩化ナトリウム 2g
クエン酸 1g
クエン酸ナトリウム 1g
イソプロピルアルコール 10ml
アジ化ナトリウム 0.6g
ポリエチレングリコール(分子量600) 1ml
ライトグリーンの色素 少々
水で1Lとする
2つの自動分離セルのチャンバー21に、それぞれ約100μl(スポイトで2滴程度)の液状検体を入れ、アダプタのセルセット部にセットした。10%ホルマリン水溶液1mlを残りの液状検体に添加し、撹拌した後、前記の遠心用チューブを一方のチューブセット部にセットした。また、上記の2つの内の他方の遠心用チューブには、ブランクとして液状化希釈液のみを入れ、これを他方のチューブセット部にセットした。
次に、フードプロセッサの駆動スイッチを入れ、10秒間アダプタを回転させて遠心分離した。自動分離セルでは、遠心分離中は液状検体が被処理面を覆い、遠心分離後には液がチャンバーの液溜凹部27に戻った。また、遠心分離後において、甲状腺癌細胞が入った遠心用チューブの底側に沈渣が確認された。
−自動分離セル(標本作製用セル)について−
遠心分離後、各自動分離セルを分解して2枚のプレートを回収した。1枚のプレートは湿潤固定し、パパニコロウ染色した。当該操作は上記特許文献1の段落0015(エイマップス)と同様である。また、もう一枚のプレートは乾燥固定し、ギムザ染色した。当該操作は、アルコール固定15秒、その後ギムザ液(武藤化学社製)で20分染色である。
遠心分離後、各自動分離セルを分解して2枚のプレートを回収した。1枚のプレートは湿潤固定し、パパニコロウ染色した。当該操作は上記特許文献1の段落0015(エイマップス)と同様である。また、もう一枚のプレートは乾燥固定し、ギムザ染色した。当該操作は、アルコール固定15秒、その後ギムザ液(武藤化学社製)で20分染色である。
非特許文献1に記載したとおり、AMAPSの細胞回収率はギムザ染色標本99.1%、パパニコロウ標本96.8%である。これに対し、従来のオートスメア法ではギムザ染色標本42.3%、パパニコロウ染色標本で40.9%であった。作製した各標本を観察したところ、本実施例でも同等程度の細胞回収率であると思われた。即ち、図1のアダプタ及び小型装置を用いた本実施例の方法は少量の検体から良好な標本を作製できた。
−遠心用チューブについて−
遠心用チューブの上清をデカンテーションで除き、沈渣を得た。当該沈渣に1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液を1滴(約50μl)滴下し、撹拌した。その後、ギルのヘマトキシレン(武藤化学社製)を更に1滴(約50μl)滴下して撹拌し、沈渣が良好に分散したゼリーを得た。遠心用チューブからピンセットにて当該ゼリーを採取し、余分な液をふき取り、丸く成形した。その後、小型皿に当該ゼリーを入れて立方体(縦2〜3mm、横2〜3mm、厚さ0.3〜2mm)に成形した。当該立方体に成形したゼリーを再固定・包埋処理し、ミクロトームで薄切り(厚さ約5μm)して標本を得た。当該標本は観察対象となる甲状腺癌細胞が観察できる良好な標本であった。
遠心用チューブの上清をデカンテーションで除き、沈渣を得た。当該沈渣に1質量%アルギン酸ナトリウム水溶液を1滴(約50μl)滴下し、撹拌した。その後、ギルのヘマトキシレン(武藤化学社製)を更に1滴(約50μl)滴下して撹拌し、沈渣が良好に分散したゼリーを得た。遠心用チューブからピンセットにて当該ゼリーを採取し、余分な液をふき取り、丸く成形した。その後、小型皿に当該ゼリーを入れて立方体(縦2〜3mm、横2〜3mm、厚さ0.3〜2mm)に成形した。当該立方体に成形したゼリーを再固定・包埋処理し、ミクロトームで薄切り(厚さ約5μm)して標本を得た。当該標本は観察対象となる甲状腺癌細胞が観察できる良好な標本であった。
−再現性について−
上記手法でn=10試験を行い、自動分離セル及び遠心用チューブのいずれでも、良好な再現性を示した。
上記手法でn=10試験を行い、自動分離セル及び遠心用チューブのいずれでも、良好な再現性を示した。
以上のとおり、本実施例では、高い精度で、少ない検体からそれぞれ異なる処理を受けた複数の標本を迅速に作製できた。
〔考察〕
上記方法に必要な細胞/組織量は、ギムザ染色標本及びパパニコロウ染色標本で約2μl(各約1μl)、包埋・薄切り標本作製では約1μlである。
上記方法に必要な細胞/組織量は、ギムザ染色標本及びパパニコロウ染色標本で約2μl(各約1μl)、包埋・薄切り標本作製では約1μlである。
プレートの被処理面の面積(14mm×14mm)×厚さ5μmで約1mm3、つまり約1μlである。
自動分離セルを使用する場合に必要な細胞の考え方は、「被処理面に立体の細胞を重積なしでどれだけ貼り付け(定着)できるか」である。例えば、赤血球の直径は8μm、その面積は4×4×πで約50μm2である。被処理面の面積を赤血球面積で割ると、392万個程度の赤血球を被処理面に貼り付けできることとなる。赤血球392万個は血液に換算すると約1μlである。
遠心用チューブを使用してセルブロックを作製した場合、縦1mm、横1mm、厚さ1mmの立方体とすると、1μlである。この立体を5μmの厚さで薄切りすると200枚の標本を作製できる。200枚の全標本において立体構造の細胞を1個観察するために、当該立体中に必要な細胞数は、直径5μmの球状細胞で200個、直径10μmの球状細胞で100個、直径100μmの球状細胞で10個となる。
本実施例で作製された標本は、いずれも狭い面積/体積中に細胞が集められており、少ない検体を効率的に利用できるのみならず、鏡検負担も軽減できる。
本願により、標本作製に好適なアダプタ、並びに、当該アダプタを使用した標本作製法が提供される。
1 アダプタ
2 軸着部
3 駆動軸
4 凸条
5 フランジ
6 上板部
7 下板部
8 連結板
9 軸孔
10 セット孔
11 セット孔
12 切欠き部
13 フック部
14 凹部
15 遠心用チューブ
16 チューブアダプタ
17 孔
18 軸支用突起
19 標本作製用セル
20 プレート
21 チャンバー
22 セルアダプタ
23 ベース板
24 セル室
25 前窓部
26 奥窓部
27 液溜凹部
28 台板
29 金属バネ材
30 留めフック
2 軸着部
3 駆動軸
4 凸条
5 フランジ
6 上板部
7 下板部
8 連結板
9 軸孔
10 セット孔
11 セット孔
12 切欠き部
13 フック部
14 凹部
15 遠心用チューブ
16 チューブアダプタ
17 孔
18 軸支用突起
19 標本作製用セル
20 プレート
21 チャンバー
22 セルアダプタ
23 ベース板
24 セル室
25 前窓部
26 奥窓部
27 液溜凹部
28 台板
29 金属バネ材
30 留めフック
Claims (4)
- 回転駆動される駆動軸に装着されて、細胞診標本及び/又は組織診標本の作製に使用されるアダプタであって、
駆動軸に係合状態で嵌装される軸着部と、当該軸着部に連結して形成された、標本作製用セルがセットされるセルセット部及び遠心用チューブがセットされるチューブセット部とを備え、
前記セルセット部及び前記チューブセット部はそれぞれ複数であり、
前記複数のセルセット部は、前記標本作製用セルに含まれるプレートの被処理面が前記駆動軸の遠心力方向に対して略垂直に固定されるようにそれぞれ設けられ、かつ各々のセルセット部は駆動軸を中心とする回転円周A1上に略等間隔に設けられ、
前記複数のチューブセット部は、駆動軸を中心とする回転円周A2上に略等間隔に設けられ、
前記回転円周A1及びA2は、(a)同一の回転円周、又は直径が異なる同心円状の回転円周であり、かつ(b)駆動軸に対する同一の高さ(軸方向)位置にある回転円周、又は異なる高さ(軸方向)位置にある回転円周である、アダプタ。 - 前記アダプタの回転時における最外縁部の回転軌道直径が200mm以下である請求項1に記載のアダプタ。
- 下記(1)の液状化希釈液に観察対象が含まれたものである液状検体を作製する工程と、
前記液状検体が入った下記(2)の構成を備える標本作製用セル及び遠心用チューブをそれぞれ1以上、請求項1又は請求項2に記載のアダプタにセットして、これらを同時に遠心分離する遠心分離工程と、
を含み、細胞診標本及び/又は組織診標本を作製するための、標本作製法。
(1)液状化希釈液
塩化ナトリウム:2.0〜3.0g
クエン酸:0.05〜1g
クエン酸ナトリウム:0.05〜1g
ポリエチレングリコール600:0.5〜20ml
イソプロピルアルコール:10〜200ml
ライトグリーンの色素:少々
水で1L
(2)標本作製用セル:セルの中に、遠心分離後に液と細胞成分を分離するための段差がある構造を持つ標本作製用セル。 - 前記アダプタの軸着部を係合状態で嵌装できる駆動軸を備え、ヒトの手で持ち運び可能な小型装置を用いて前記遠心分離工程を行う請求項3に記載の標本作製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014111026A JP2015225010A (ja) | 2014-05-29 | 2014-05-29 | アダプタ及び標本作製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014111026A JP2015225010A (ja) | 2014-05-29 | 2014-05-29 | アダプタ及び標本作製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015225010A true JP2015225010A (ja) | 2015-12-14 |
Family
ID=54841849
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014111026A Pending JP2015225010A (ja) | 2014-05-29 | 2014-05-29 | アダプタ及び標本作製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015225010A (ja) |
-
2014
- 2014-05-29 JP JP2014111026A patent/JP2015225010A/ja active Pending
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