JP2015224241A - 生体内糖化反応阻害組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、落花生の種皮から抽出した成分を用いた生体内糖化反応阻害組成物は、未だ提案されていない。そこで本発明は、当該落花生の種皮由来の生体内糖化反応阻害組成物を提供することを第1の課題とする。
また、本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物では、落花生菓子の製造過程において種皮の抽出物を得ることができるのであるから、より簡易な方法で落花生種皮中の有効成分を抽出することができ、更には、落花生を食品などに利用する際に食品廃棄物として生じる種皮を有効に活用して、食品添加物としても使用可能な生体内糖化反応阻害組成物を提供することができる。
そして前記落花生を熱水に浸漬して得た浸漬液は、食味において渋み等の喫食上望ましくない成分を含んでいることから、そのまま食するのには適していないが、本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物では、渋み等の様な喫食上望ましくない成分の影響を除去した食品を提供することができる。
即ち、落花生種皮抽出液における渋みを除去乃至は軽減する成分を添加することができる。例えば、クエン酸、アラニン、トレハロース、エリスリトール、シクロデキストリンなどのマスキング剤を使用したり、これらマスキング剤と他の食品材料(例えば、コーヒー、抹茶、ミルク、ハチミツ、グレープフルーツ、レモンなど)を併用する事ができる。
より具体的には、工場に搬入された落花生は、先ず果皮と呼ばれる殻が剥がされ、湯漬にされて種皮が剥がれやすい状態にされ、この湯漬工程を経て脱皮工程に入り、脱皮された落花生は乾燥され、以後フライ工程等の加工工程に入って、バターピーナッツ、その他の食品の製品として出荷される。この加工工程のうち熱水漬工程において、落花生を湯漬にした熱水が廃液として、また剥いた種皮が廃棄物として大量に発生する。このため落花生の加工工場はこの廃液や廃棄物たる種皮を処理するための施設、及びこの施設を運用するための経費が必要となる。
この実験では、in vitro系において、落花生種皮抽出液による最終糖化生成物阻害効果を確認するべく、落花生種皮抽出液による経時的AGEs生成抑制効果および用量反応を行った。
供試した落花生種皮抽出液(以下、抽出液)は、豆菓子製造過程における落花生の熱水中ブラッシングによって、落花生種皮剥皮処理水は排出され、さらに5μmフィルターでろ過した落花生種皮剥皮処理水を抽出液とした。排出日当日に、ろ過された抽出液は4℃で冷蔵保存し、3日以内に実験に供試した。尚、抽出液中の総プロアントシアニジンおよび総遊離ポリフェノール含量は553mg/100g(n-ブタノール-塩酸法、プロシアニジンB1換算)および367mg/100g(フォーリン・デニス法、カテキン換算)であった。
500mMグルコース(以下では「G」と略する)、500mMフルクトース(以下では「F」と略する)、100mg/mL ウシ血清アルブミン(BSA)、2%アジ化ナトリウム、50mM PBS(pH7.4)および抽出液を蓋付きの試験管に分注し総量を5mLとした。control区および抽出液区には糖基質であるグルコース、フルクトースおよびBSAを分注し、NegaCon区にはBSAのみを分注して、ネガティブコントロールとした。抽出液区の希釈倍率は最終希釈倍率を示す。つまり、総量5000μL中に抽出液原液を500μL加えた処理区が抽出液×0.1区、同様に、10倍希釈抽出液を加えた×0.01区、100倍希釈抽出液を加えた×0.001区、1000倍希釈抽出液を加えた×0.0001区とした(表1)。分注後、試験管をボルテックスにて混合し、37℃の恒温機中で3、6および9日間インキュベーションした。インキュベーション終了後、励起波長370nm、蛍光波長440nm条件下にて蛍光分光光度計(日立 650-40型)を用いて蛍光を測定した。結果は、図2に落花生種皮抽出液による経時的AGEs生成抑制効果および用量反応の結果として示した(平均値±SE、n=6 各群のcontrol区に対して*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001)。この図2において、それぞれの群のcontrol区の蛍光測定値の平均値を100%とした時の平均値±標準誤差で示した(図2)。また多群間の比較は、一元配置分散分析の後、Bonferroniの多重比較検定を用いて行い、p < 0.05で統計的有意差があると判断した。実験概要は図1に示した。
インキュベーション3、6および9日間すべて群において、NegaCon区の蛍光強度は有意に低値であった。このことから、蛍光性AGEs生成は糖およびタンパク質が共に存在する場合に促進されると考えられた。また、Control区と比較し抽出液×0.0001区において蛍光強度が増加傾向にあったが、処理濃度が高くなるにつれて蛍光強度は減弱した。このことから、抽出液の濃度依存的に蛍光性AGEs生成を抑制すると考えられた。また、この抑制効果はインキュベーション時間が長いほど強かった。特に、6および9日間の抽出液区のAGEs生成抑制は3日間処理より顕著であった。よって、今後の抽出液によるAGEs生成抑制実験におけるインキュベーション時間を6日間と定めた。
この実験では、異なる糖基質によるAGEs生成に対する落花生種皮抽出液の抑制効果を確認した。
材料および蛍光強度測定方法は、実験例1の材料および実験方法と同様とした。この実験では、抽出液のAGEs生成抑制効果の糖基質による違いを検討した。つまり、糖の違いによってどれだけ糖化が促進されるのか、そして、その糖化を抽出液がどの程度抑制するかを検討した。実験処理はグルコースおよびフルクトースを糖基質としたG+F群、グルコースを糖基質としたG群、フルクトースを糖基質としたF郡の3群を設定した。3群とも糖基質およびBSAを加えたcontrol区、糖基質を加えないNegaCon区、ポジティブコントロールとした333μM AG区および抽出液区3処理区の計6処理区を設定した(表2〜4)。インキュベーション時間は6日間とした。結果は、グルコース+フルクトース群のcontrol区の蛍光測定値の平均値を100%とした時の平均値±標準誤差で示した。多群間の比較は、一元配置分散分析の後、Bonferroniの多重比較検定を用いて行い、p < 0.05で統計的有意差があると判断した。
「サンプルの前処理」
6日間のインキュベーションの後に、サンプルを蛍光測定用とウエスタンブロット解析用のサンプルに分けた。全群のcontrol区および抽出液×0.1区を用いてウエスタンブロット解析を行った。サンプル中のタンパク質濃度は表3〜5の100mg/mL BSA分注量から10μg/μLとした。1μg/μLに希釈したサンプルに等量の2×Sample Buffer(0.1M Tris-HCl(pH6.8)、0.4%ドデシル硫酸ナトリウム、12%β-メルカプトエタノール、20%グリセロール、0.025%ブロモフェノールブルー)を加え、最終タンパク質濃度を0.5μg/μL とし、98℃で3分間ボイルした後、氷上で静置した。1サンプルあたり2μg/4μL/wellになるようにポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。
サンプルとプレステインドタンパク質マーカー(Broad Range SDS-PAGE用、ナカライテスク株式会社)は、ともに8%のポリアクリルアミドゲル(8%アクリルアミドビス混合溶液、0.375M Tris-HCl(pH8.8)、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、0.033%過硫酸アンモニウム、0.05% N,N,N',N'-tetramethylethylenediamine.)にアプライし、電気泳動した。電気泳動は、泳動槽(Mini PROTEAN(商標) 3Cell、BIO-RAD) および電源(PowerPac(商標) HC、BIO-RAD)を用い、定電流(250V、0.04Aおよび15W)条件下で、泳動Buffer(0.003%Tris、0.014%グリシン、0.001%SDS)中で室温、60分間行った。電気泳動終了後に、PDVFメンブレン(Immobilon-P Transfer Membrane、日本ミリポア)にサンプルを転写した。転写は、定電流(250V、0.04Aおよび15W)条件下で、電源(PowerPacTM HC、BIO-RAD)にセットしたブロッティング装置(AE-6678、ATTO)で、Transfer-Buffer (0.003% Tris、0.05%メタノール)を用いて室温で60分間行った。転写後、PDVFメンブレンをスキムミルク5% in TBS-T(0.01% Tris-HCl(pH7.5)、0.15M NaCl、0.001% Tween20)中で、室温で1時間ブロッキングし、TBS-Tで5分間3回洗浄した。その後、抗AGEsマウスモノクロナール抗体溶液(Clone No.6D12:Trans Genic Inc.をTBS-Tで1:500に希釈した抗体溶液)中で、4℃でover nightインキュベーションし、TBS-Tで5分間3回洗浄した。さらに、抗マウスIgGヤギポリクロナールぺルオキシダーゼ標識抗体(Product Number A4416:SIGMA をTBS-Tで1:10000に希釈した抗体溶液)中で、室温で1時間インキュベーションし、TBS-Tで5分間3回洗浄した。タンパク質の発光反応はECLTM Primer Western Blotting Detection Reagent (GE Healthcare)を用い、撮影装置Light-Capture Cooled CCD Camera System (COMBO AE-6970CP、ATTO)で撮影した。画像処理ソフトウェアImageJ(アメリカ国立衛生研究所NIH)を用いて、デジタルデータから各バンドの強度を測定した。結果は、図4に、異なる糖基質によるAGEs生成に対する落花生種皮抽出液の抑制効果(蛍光測定結果)として示した(平均値±SE、n=6 各群のcontrol区に対して*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001)。この図4では、G+F群のcontrol区のバンド強度を100%とした時のAGEs相対強度(%)の平均値±標準誤差で示した。多群間の比較は、一元配置分散分析の後、Bonferroniの多重比較検定を用いて行い、p < 0.05で統計的有意差があると判断した。実験の概要は図3に示した。
蛍光測定の結果(図4)において、G+F群、G群およびF群のどの群においても、特に抽出液×0.01および×0.1区の蛍光強度は有意に低値であった。また、G群の蛍光強度は全ての処理区において低値であった。また、control区において、F群の蛍光強度はG+F群と同レベルであった。よって、蛍光性AGEs生成はグルコース由来ではなくフルクトース由来であると考えられる。
この実験では、落花生種皮から熱水抽出したものを凍結乾燥して、これのAGEs生成抑制効果を確認した。
この実験において、落花生種皮凍結乾燥品によるAGEs生成抑制効果を検討した。材料および蛍光強度測定方法は、実験例1の材料および実験方法と同様とした。実験例1と同様に、豆菓子製造過程における落花生の熱水中ブラッシングによって、落花生種皮剥皮処理水を排出日当日にろ過した抽出液を4℃で冷蔵保存し、3日以内に実験に供試した。この抽出液を-20℃で予備凍結した後に、凍結乾燥器(Freeze Dryer DC400:YamatoおよびFREEZE DRYER FD-80:EYELA)を用いて凍結乾燥し、落花生種皮抽出液凍結乾燥品(以下、乾燥品)とし、-20℃で遮光保存した。乾燥品は抽出液1Lから約5gの採取された。
「サンプルの前処理」
あらかじめ、6日間のインキュべーションの後にサンプルを蛍光測定用のサンプルとウエスタンブロット解析用のサンプルに分けた。1サンプルあたり2μg/4μL/wellをウエスタンブロット解析に用いた。
実験例2と同様とした。結果は、図5の落花生種皮凍結乾燥品によるAGEs生成抑制効果(蛍光測定結果)に示した(平均値±SE、n=4 各群のcontrol区に対して*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001)。また、この図5において、F群のcontrol区のバンド強度を100%とした時のAGEs相対強度(%)の平均値±標準誤差で示した。多群間の比較は、一元配置分散分析の後、Bonferroniの多重比較検定を用いて行い、p < 0.05で統計的有意差があると判断した。実験の概要は図3に示した。
蛍光測定結果において、全ての群で、AGEs由来蛍光強度は凍結乾燥品の濃度依存的に減少した。また各糖基質群において凍結乾燥品区の蛍光強度はcontrol区と比較し有意に低値であった。また、この結果は、第二項異なる糖基質によるAGEs生成に対する落花生種皮抽出液の抑制効果の蛍光強度測定結果と同様であった。つまり、凍結乾燥品は抽出液同様に蛍光性AGEs生成抑制効果を有することが示された。
この実験では、in vivo系における落花生種皮抽出液の凍結乾燥品を2週間給与した時の最終糖化物生成抑制効果を確認した。
「処理区および飼育条件」
5週齢のKKAyオスマウスを計36匹(平均体重30.6±1.3g)供試した。1処理区6匹として、1)落花生種皮抽出液凍結乾燥品を加えていない自家精製飼料を与えたP0.0区、2)0.5%凍結乾燥品を混合した自家精製飼料を与えたP0.5区、3)1.0%凍結乾燥品を混合した自家精製飼料を与えたP1.0区を設定した。加えて、それぞれに水または20%フルクトース水を与えた計6処理区を設定した。1ゲージにつき1個体とし、自由採食および自由飲水で、12時間の明暗条件(明期;7:00−19:00,暗期;19:00−7:00)で飼育を2週間行った。
飼育開始から2週間(14日)後にサンプリングを実施した。サンプリングは、イソフルラン麻酔下で行い、下大静脈よりG20注射針とツベルクリン1mL注射筒にて採血した。血液は氷上のナンバリング済み1.5mLチューブに回収された後、室温で2時間静置して凝固させた。凝固させた後に、4℃で保存し、24時間後に血清を回収した。
タンパク質、脂肪および遺伝子解析のために、肝臓および尾を摘出した。尾は付け根から解剖用ハサミでカットし、氷上のユニパックに保存した。全てのサンプリング終了時にコラーゲン抽出した。タンパク質測定および脂肪測定用の肝臓摘出において、肝臓組織を摘出する前にあらかじめ1.5 mlチューブのナンバリングとチューブの重量測定をした。遺伝子解析用の肝臓摘出においては、重量測定をせずに1.5mLチューブにナンバリングした。摘出した肝臓組織を生理的食塩水で洗浄した後、約0.2 gに小片化し、余分な水分をキムワイプで吸い取り、それぞれのチューブに回収した。タンパク質測定および脂肪測定のために肝臓湿重量を計測し、解析が行われるまで-80 ℃で保存した。遺伝子解析用は、回収した後ただちに液体窒素にて急速凍結させて、供試まで-80℃に保存した。
「自家精製飼料」
コンスターチ(澱粉分解物 TK16:松谷化学工業株式会社)、カゼイン(ミルクカゼイン:オリエンタル酵母工業株式会社)、ショ糖(スクロース:和光純薬工業株式会社)、セルロース(セルロースパウダー:オリエンタル酵母工業株式会社)、AIN-93G塩混合物(Na2SeO4 10.255ppm含有:オリエンタル酵母工業株式会社)、AIN-93Gビタミン混合物(重酒石酸コリン非添加:オリエンタル酵母工業株式会社)、L-シスチン(L(-)-シスチン:和光純薬工業株式会社)、塩化コリン(和光純薬工業株式会社)、大豆油(大豆サラダ油:オリエンタル酵母工業株式会社)および凍結乾燥品を表8に従い混合した。PP0.0%飼料は凍結乾燥品を含まず、PP0.5%飼料およびPP1.0 %飼料はコンスターチ5.0%および10.0%を凍結乾燥品で置換した。凍結乾燥品は実験例3と同じである。あらかじめ、供試凍結乾燥品の糖化抑制反応のロットチェックを、蛍光分光光度計を用いた蛍光測定により行い、実験例3で用いた凍結乾燥品と同様にAGEs生成抑制効果を確認した上で供試した(凍結乾燥品×0.1区(抽出液の10倍希釈サンプルと同濃度)・・・抑制率21.6%)。
フルクトース(純果糖:加藤化学株式会社)800 g を鍋に計りとり、実験水3200 mlを加えて溶解させ、20 %フルクトース水としてマウスに供試した。フルクトース水は4 Lプラスチックボトルに入れ、4 ℃で保存し、1週間ごとに1匹あたり200 mLずつ給与した。2週間給与実験の条件を表10に示した。水給与区は実験水を用いて、20%フルクトース水給与区同様に実験を実施した。
氷上で回収した血液を凝固させるために室温で2時間静置し、凝固させた。血液回収後4 ℃で24時間静置し、遠心分離(4 ℃、12000 rpm、20分)した。分離した血清を回収し、供試まで-20 ℃で保存した。グルコース濃度はグルコースキット(グルコースCII‐テストワコー、和光純薬工業株式会社)を用い、ムタロターゼ・GOD法にて測定した。インスリン濃度はインスリン測定キット(モリナガ マウスインスリ測定キット ラットインスリン測定キット、株式会社森永生科学研究所)を用い、サンドイッチELISA法にて測定した。トリグリセリド濃度はトリグリセリドキット(トリグリセライドE-テストワコー、和光純薬工業株式会社)を用いて、GPO-DAOS法にて測定した。
「血清サンプルの調整」
血清回収方法は第二節第一項材料および方法と同様とした。ミリQ水で400倍希釈した血清のタンパク質濃度を、Pierce(r) BCATM Protein Assay kit(Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いて測定し、希釈倍率から血清サンプルのタンパク質濃度を算出した。その上で、ミリQ水を用いて1μg/μLに調整した血清サンプルにサンプルと等量の2×Sample Buffer(0.1M Tris-HCl(pH6.8)、0.4%ドデシル硫酸ナトリウム、12%β-メルカプトエタノール、20%グリセロール、0.025%ブロモフェノールブルー)を加え、タンパク質濃度を0.5μg/μL とし、98℃で3分間ボイルし、タンパク質を変性させた。氷上で静置したのちに、1サンプルあたり4μg/8μL/レーンづつウエスタンブロット解析に供試した。
20 %フルクトース水給与区の3処理区の尾サンプルを供試した。サンプリング24時間後までにコラーゲン抽出した。尾からマウス1匹分の腱を回収したら、腱をPBS入り遠沈管に入れて、よく撹拌して血液やゴミなどの汚れを落とした。キムワイプで腱の水分を軽く落とし、あらかじめ準備しておいたコラーゲン抽出用遠沈管に腱を入れ、0.1%酢酸5mLを加え、ローター式撹拌機(MIX ROTOR VMR-5R、AS ONE)を用い、4℃で2日間インキュベーションした。48時間後に4℃、12000rpm、60分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清のコラーゲンのタンパク質濃度をPierce(r) BCATM Protein Assay kit(Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いて測定した。算出したタンパク質濃度を元に、ミリQ水を用いて0.5μg/μLに調整したコラーゲンサンプルに、サンプルと等量の2×Sample Bufferを加え、タンパク質濃度を0.25μg/μL とし、98℃で3分間ボイルした後、氷上で静置した。1サンプルあたり4μg/16μL/レーンづつウエスタンブロット解析に用いた。尾コラーゲン抽出およびサンプル調整の概要を図6に示した。
20%フルクトース水3処理区の給与群の肝臓サンプルを実験に供試した。作業はできる限り氷上で行われた。1.5 mlチューブに保存された肝臓組織1mgあたり4℃に冷やしたミリQ水10μLを加え、アセタール樹脂性のホモジナイザー(バイオマッシャーII、和光純薬工業株式会社)でホモジナイズした。さらに、18G針を付けた1mLシリンジで50回ホモジナイズし、遠心分離(1000rpm×4℃×15分間)した。上清を回収して、10倍希釈した後に、Pierce(r) BCATM Protein Assay kit(Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いてタンパク質濃度を測定した。さらに、サンプル中のタンパク質濃度はミリQ水を用いて、1μg/μLに調整された。これらの濃度調整済み肝臓サンプルにサンプルと等量の2×Sample Bufferを加え、タンパク質濃度を0.5μg/μLとし、98℃で3分間ボイルしタンパク質を変性させた後、氷上で静置した。1サンプルあたり8μg/16μL/レーンづつウエスタンブロット解析に用いた。肝臓サンプルの調整の概要を図7に示した。
ウエスタンブロッティングの方法は、実験例1〜3と同様である。ただし、検出感度を上げるために、抗マウスIgGヤギポリクロナールぺルオキシダーゼ標識抗体(Product Number A4416:SIGMA)の希釈倍率を1:10000から1:5000に変更し、この抗体溶液中でのインキュベーションを室温で2時間とした。結果はWP0.0区もしくはFP0.0区を100%とした時のAGEs相対強度(%)の平均値で示した。
「グルコース」
血中グルコース濃度はWP0.0区で218.6±17.0mg/dL、WP0.5区で211.4±23.3mg/dL、WP1.0区で228.8±21.6mg/dL、FP0.0区で219.9±27.1mg/dL、FP0.5区で257.3±18.4mg/dLおよびFP1.0区で214.2±22.3mg/dLであった。それぞれの群の3処理区間に有意な差は認められなかった。また、各処理区でW群とF群間に有意な差は認められなかった。この結果は、落花生種皮抽出物は血中グルコース濃度に影響しないことを示している。結果は図8の血中グルコース濃度(平均値±SE、n=5、p<0.05)に示した。
血中インスリン濃度はWP0.0区で4.21±0.37ng/mL、WP0.5区で4.72±0.48ng/mL、WP1.0区で5.14±0.85ng/mL、FP0.0区で6.40±0.98ng/mL、FP0.5区で6.45±1.01ng/mLおよびFP1.0区で5.39±0.60ng/mLであった。それぞれの群の3処理区間においては相対的な低下はみられるものの、有意な差は認められなかった。また、各処理区でW群とF群間に有意な差は認められなかった。この結果は、落花生種皮抽出物は血中インスリン濃度に影響しないことを示している。結果は図9の血中インスリン濃度(平均値±SE、n=5、p<0.05)に示した。
血中トリグリセリド濃度はWP0.0区で253.2±22.0mg/dL、WP0.5区で260.5±13.1mg/dL、WP1.0区で269.1±25.5mg/dL、FP0.0区で285.8±28.9mg/dL、FP0.5区で259.4±20.9mg/dLおよびFP1.0区で217.8±18.8mg/dLであった。それぞれの群の3処理区間に相対的な低下は認められるが、有意な差は認められなかった。また、各処理区でW群とF群間に有意な差は認められなかった。この結果は、落花生種皮抽出物は血中トリグリセリド濃度に影響しないことを示している。結果は図10の血中トリグリセリド濃度(平均値±SE、n=5、p<0.05)に示した。
血清AGEsのSDS-PAGEの結果、分子量192、145、77、67および51kDaにバンドが検出できた。また、ウエスタンブロッティングの結果、分子量51kDaにバンドが検出できた。水給与群間のバンド強度に統計的有意差は認められなかったが、20%フルクトース水給与群間において、FP0.5区およびFP1.0区のバンド強度は、FP0.0区より有意に減少し、それぞれ29.1%および25.6%であった。ウエスタンブロッティングの結果を図11に示した。図11は血中AGEs相対強度(%)を示している(平均値±SE、n=5、水給与区(W)間もしくは20%フルクトース水給与(F)間において異なるアルファベット間で有意差あり)。この結果は、落花生種皮抽出物の2週間給与がフルクトース誘導性の血中AGEs生成を抑制することを示している。
KKAyマウス尾コラーゲンのSDS-PAGEの結果、コラーゲンβ鎖(2本鎖)だと推定される234および213kDaのタンパク質バンドおよびα鎖(1本鎖)だと推定される119および100kDaのバンドを検出した(図12)。しかし、ウエスタンブロッティングの結果、コラーゲン鎖のバンドからAGEs陽性反応は認められず、51~64kDaのバンドが薄く検出される場合があった(図13)。この結果は、落花生種皮抽出物は尾コラーゲン、つまり皮膚の糖化反応に影響しないことを示している。
KKAyマウス肝臓のSDS-PAGEの結果、タンパク質のバンドが複数出現した(図14)。しかし、ウエスタンブロッティングの結果、どの20%フルクトース水給与区のどの処理区のバンドも認められなかった(図15)。なお、control区は実験例1のin vitro実験G+F群のcontrol区(ウシ血清アルブミン)を用いた。この結果は、尾コラーゲンと同様に落花生種皮抽出物は肝臓のAGEs産生に影響しないことを示している。
Claims (4)
- 落花生種皮の水抽出物からなり、経口摂取する事により生体内における糖化反応を阻害する生体内糖化反応阻害組成物。
- 前記落花生種皮の水抽出物を凍結乾燥してなる、請求項1に記載の生体内糖化反応阻害組成物。
- 請求項1又は2に記載の生体内糖化反応阻害組成物を含有してなる食品であって、プロアントシアニジンの含有量が0.001質量%以上、1質量%以下である事を特徴とする食品。
- 請求項1又は2に記載の生体内糖化反応阻害組成物に使用する落花生種皮の水抽出物の製造方法であって、
種皮に覆われた落花生を90℃以上、100℃以下の熱水に、0.5分以上、15分以下の間浸漬し、この浸漬液を濾過して製造する事を特徴とする、落花生種皮の水抽出物の製造方法。
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