JP2015224241A - 生体内糖化反応阻害組成物 - Google Patents

生体内糖化反応阻害組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2015224241A
JP2015224241A JP2014111702A JP2014111702A JP2015224241A JP 2015224241 A JP2015224241 A JP 2015224241A JP 2014111702 A JP2014111702 A JP 2014111702A JP 2014111702 A JP2014111702 A JP 2014111702A JP 2015224241 A JP2015224241 A JP 2015224241A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seed coat
extract
vivo
peanut
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014111702A
Other languages
English (en)
Inventor
貴晴 小酒井
Takaharu Kosakai
貴晴 小酒井
規男 鈴木
Norio Suzuki
規男 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DENROKU CO Ltd
Original Assignee
DENROKU CO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DENROKU CO Ltd filed Critical DENROKU CO Ltd
Priority to JP2014111702A priority Critical patent/JP2015224241A/ja
Publication of JP2015224241A publication Critical patent/JP2015224241A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)

Abstract

【課題】落花生の種皮由来の生体内糖化反応阻害組成物を提供すること、更には落花生の種皮から、より簡易な方法で有効成分を抽出することができ、更には、落花生を食品などに利用する際に食品廃棄物として生じる種皮を有効に活用して、食品添加物としても使用可能な生体内糖化反応阻害組成物を提供すること。【解決手段】落花生種皮の水抽出物からなり、経口摂取する事により生体内における糖化反応を阻害する生体内糖化反応阻害組成物とする。更にこの生体内糖化反応阻害組成物を含有してなる食品であって、プロアントシアニジンの含有量が0.001質量%以上、1質量%以下である食品とする。【選択図】図4

Description

本発明は落花生の種皮から水抽出した生体内糖化反応阻害組成物に関し、特に経口採取する事により生体内における糖化反応を阻害剤する生体内糖化反応阻害組成物に関する。
従来、最終糖化生成物は、生活習慣病の悪化に関与している事が報告されている。例えば、糖尿病患者では、血中糖化産物濃度が増大している。一方で、糖化タンパク質の減少が、このような糖尿病疾患などの生活習慣病の悪化の程度を減少させることも知られている。
かかる糖化反応とは、タンパク質に糖が結合し、褐色の色素を作る非酵素的な化学反応で、メイラード反応やアミノカルボニル反応などとも呼ばれている。かかる糖化反応は、従来調理科学の分野において注目されて来たが、これが体内でも起こっており、生活習慣病および老化と密接に関わっていることが分かってきた。かかる糖化反応の反応系は(1)グルコースなどの還元糖のカルボニル基(C=O)はタンパク質のアミノ基(NH2)と反応し、シッフ塩基(C=N:)を形成し、更に(2)シッフ塩基からアマドリ化合物(C−N:)が形成され、(3)アマドリ化合物は酸化、脱水および縮合を経て、最終糖化生成物(advanced glycation end products:AGEs、以下AGEs)となる。
従前において、メーラード反応を阻害する技術もいくつか提案されている。例えば特許文献1(特許第4897229号公報)では、食品廃棄物又はその抽出物のメイラード反応阻害効果に着目し、安全性が高く、長期投与が可能なAGEs産生阻害剤を提供するべく、あんかす水抽出物、そばがら水抽出物または醤油かす水抽出物を含むメイラード反応阻害剤が提案されている。そしてこの特許文献1には、使用する食品廃棄物として、「一般に、ポリフェノール類の含量の高い食品廃棄物またはその抽出物が好ましいと考えられる」事が開示されている。
一方、従前においては、落花生由来のプロアントシアニジン並びのその製造方法及び用途に関する技術も提案されている。即ち、特許文献2(特開2004−269487号公報)では、簡易な手法で高純度のプロアントシアニジンの製造方法を提供するべく、落花生の種子をそのまま、水、水混和性有機溶媒又はこれらの混合溶液で抽出することを特徴とするプロアントシアニジンの製造方法を提案している。更にこの文献には「プロアントシアニジンは多様な生理活性を示すことが知られており、該活性としては、抗腫瘍、抗炎症、抗老化、抗酸化、抗アレルギー、抗菌、ヒアルロニダーゼ活性阻害、育毛、皮膚白色化、皮膚老化防止、メイラード反応阻害等の活性が報告されている」ことが開示されている。
特許第4897229号公報 特開2004−269487号公報
上記のとおり、従前においても生体内における糖化反応を阻害するものについての研究は種々提案されており、また落花生由来のプロアントシアニジンも提供されている。
しかしながら、落花生の種皮から抽出した成分を用いた生体内糖化反応阻害組成物は、未だ提案されていない。そこで本発明は、当該落花生の種皮由来の生体内糖化反応阻害組成物を提供することを第1の課題とする。
また、前記特許文献2では、落花生由来のプロアントシアニジンを簡易な手法で製造する事が提案されているが、当該文献においては「落花生種子をそのまま、即ち、落花生種子から種皮を分離したり、落花生種子を破砕、粉砕等により粉末化処理することなく抽出を行う。これにより、プロアントシアニジンを効率よく、かつ高純度で製造することができる。落花生種子としては、種皮の全部又は一部が剥離したものを除外し、種皮が種子全体を覆っているものを選別して用いることが、得られるプロアントシアニジンの純度の点で好ましい」と記載されているように、プロアントシアニジンの純度を高める為には、「種皮の全部又は一部が剥離したものを除外」する必要があった。しかしながら、係る選別は実際には困難であり、実用上の改良が必要であった。
そこで本発明では、落花生の種皮から、より簡易な方法で有効成分を抽出することができ、更には、落花生を食品などに利用する際に食品廃棄物として生じる種皮を有効に活用して、食品添加物としても使用可能な生体内糖化反応阻害組成物を提供することを第2の課題とする。
更に本発明では、落花生の種皮から抽出した生体内糖化反応阻害組成物に、更に添加物を配合する事により、生体内における有用性を高め、或いは保存安定性などの化学的特性を向上させた生体内糖化反応阻害組成物を提供することを第3の課題とする。
更に、前記落花生を熱水に浸漬して得た浸漬液は、食味において渋み等の喫食上望ましくない成分を含んでおり、そのまま食するのには適していない。そこで本発明では、渋み等の様な喫食上望ましくない成分の影響を除去した食品を提供することを第4の課題とする。
上記課題の少なくとも何れかを解決するべく、本発明では落花生食品の製造に際しての副生物として生じる種皮の浸漬液を有効に利用した生体内糖化反応阻害組成物を提供するものである。
即ち、本発明では、落花生種皮の水抽出物からなり、経口摂取する事により生体内における糖化反応を阻害する生体内糖化反応阻害組成物を提供する。
また本発明では、前記落花生種皮の水抽出物は単量体及び多量体のプロアントシアニジンを含んでおり、1〜3量体のプロアントシアニジンの含有量が50mol%以上であることを特徴とする生体内糖化反応阻害組成物を提供する。
また本発明では、前記落花生種皮の水抽出物を凍結乾燥してなる生体内糖化反応阻害組成物を提供する。
また本発明では、前記生体内糖化反応阻害組成物を含有してなる食品であって、プロアントシアニジンの含有量が0.01質量%以上、1質量%以下である事を特徴とする食品を提供する。
そして本発明では、前記生体内糖化反応阻害組成物に使用する落花生種皮の水抽出物の製造方法であって、種皮に覆われた落花生を90℃以上、100℃以下の熱水に、0.5分以上、15分以下の間浸漬し、この浸漬液を濾過して製造する事を特徴とする、落花生種皮の水抽出物の製造方法を提供する。
更に本発明では、前記生体内糖化反応阻害組成物に使用する落花生種皮の水抽出物が、豆菓子製造過程での落花生の熱水中ブラッシングにおける落花生種皮剥皮処理水を、5μmフィルターでろ過した抽出液として製造することができる。また、この抽出液中の総プロアントシアニジンおよび総遊離ポリフェノール含量は100〜1000mg/100g(n-ブタノール-塩酸法、プロシアニジンB1換算)および50〜800mg/100g(フォーリン・デニス法、カテキン換算)とする事が望ましい。熱水中ブラッシングの処理効率を高めると共に、効率的に落花生種皮抽出物を得る為である。
上記本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物によって、初めて落花生の種皮から抽出した成分を用いた生体内糖化反応阻害組成物が提供される。
また、本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物では、落花生菓子の製造過程において種皮の抽出物を得ることができるのであるから、より簡易な方法で落花生種皮中の有効成分を抽出することができ、更には、落花生を食品などに利用する際に食品廃棄物として生じる種皮を有効に活用して、食品添加物としても使用可能な生体内糖化反応阻害組成物を提供することができる。
更に本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物では、更に添加物を配合する事により、生体内における有用性を高め、或いは保存安定性などの化学的特性を向上させた生体内糖化反応阻害組成物を提供することができる。
そして前記落花生を熱水に浸漬して得た浸漬液は、食味において渋み等の喫食上望ましくない成分を含んでいることから、そのまま食するのには適していないが、本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物では、渋み等の様な喫食上望ましくない成分の影響を除去した食品を提供することができる。
実験例1における実験概要を示す略図。 実験例1における落花生種皮抽出液による経時的AGEs生成抑制効果および用量反応の結果を示すグラフ。 実験例2における実験概要を示す略図。 実験例2における異なる糖基質によるAGEs生成に対する落花生種皮抽出液の抑制効果(蛍光測定結果)を示すグラフ。 実験例3における落花生種皮凍結乾燥品によるAGEs生成抑制効果(蛍光測定結果)を示すグラフ。 実験例4における尾コラーゲン抽出およびサンプル調整の概要を示す略図。 実験例4における肝臓サンプルの調整の概要を示す略図。 実験例4における血中グルコース濃度を示すグラフ(平均値±SE、n=5、p<0.05) 実験例4における血中インスリン濃度を示すグラフ(平均値±SE、n=5、p<0.05) 実験例4における血中トリグリセリド濃度を示すグラフ(平均値±SE、n=5、p<0.05) 実験例4におけるウエスタンブロッティングの結果を示すグラフ。 実験例4における尾コラーゲンSDS-PAGEの結果を示す図面。 実験例4における尾コラーゲンウエスタンブロッティングの結果を示す図面。 実験例4における肝臓SDS-PAGEの結果を示す図面。 実験例4における肝臓ウエスタンブロッティングの結果を示す図面。
以下、本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物のより具体的な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態における生体内糖化反応阻害組成物は、落花生種皮の水抽出物からなる。かかる落花生は、ラッカセイ属に属する植物であればその種類は問わない。特に好ましいのは、ラッカセイ属に属するラッカセイ(A.hypogaea)である。本実施の形態で使用する落花生の生育地、収穫期および種類などは特に制限されない。また、実の大きさ、果皮中に入っている種子の数、果皮や種皮の色なども特に制限されない。
また、落花生から種皮を取得する方法は、特に制限されない。このため、厚い皮質を帯びた果皮を除去して種皮付きの種子を取得してから、種子と種皮を分離することによって取得してもよいし、果皮と種皮を同時に種子から分離した後に、果皮と種皮を分離することによって取得してもよい。種皮付きの種子から種皮のみを取得する方法には様々なものがあり、例えば空気流を当てて種皮を飛ばして収集する方法、種々の条件下で種皮を溶かす方法、人手によって剥く方法などがある。また、水流を当てることによって水とともに種皮を洗い流す方法や、90〜95℃の熱水中に5〜10分間浸した後に剥離機で剥く方法もある。これら方法によれば種皮の除去と水または熱水抽出を同時に行うことができるため効率的である。特に種子を水で湿らせたうえで使用する場合には、水や熱水を使用する方法は有効である。本発明の種皮はこれらのいずれの方法によって取得したものであってもよいが、落花生菓子の製造に際して生じる種皮を利用する観点では、熱水を利用して種皮の抽出液を得る方法が望ましい。
また熱水に浸漬する種皮付の落花生又は種皮は、生のまま、或いは非加熱のものである他、焙煎した物、油で揚げたものなど、その前処理如何にかかわらず使用することができる。これら加熱、非加熱を問わずポリフェノールなどの機能性画分が得られるためである。
一般に、落花生種皮の水抽出物は単量体及び多量体のプロアントシアニジンを含んでおり、1〜3量体のプロアントシアニジンの含有量が十分に多く含まれている事が望ましい。
また、上記生体内糖化反応阻害組成物は、保存安定性を高めるべく、各種添加剤を配合したり、冷凍乾燥、或いは乾燥、更にはポーションなどの密閉容器に保存する事が望ましい。特に、落花生種皮の水抽出物を凍結乾燥して形成した場合には、後述の実施例からも明らかな様に、生体内における糖化反応効果的に阻害することが確認できており、また保存安定性も向上する事から望ましいものとなる。
また、本実施の形態にかかる生体内糖化反応阻害組成物には、必要に応じて薬理学的、製剤学的。或いは栄養学的に許容しうる添加物を添加することができる。例えば、賦形剤、崩壊剤または崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤または溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、粘着剤、湿潤剤などを使用することができる。これらの添加剤を適宜組み合わせて使用することによって、本発明の生体内糖化反応阻害組成物にさまざまな付加的機能を持たせることができる。例えば、必要に応じて本発明の生体内糖化反応阻害組成物における有効成分が徐放されるように設計することができる。また、体内の必要な個所において本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物の有効成分が集中的に放出されるように設計することもできる。このような徐放性製剤やドラッグデリバリーシステムは、製剤業界において周知の方法にしたがって設計のうえ製造することができる。
また、本発明の生体内糖化反応阻害組成物には、有機物または無機物の担体を使用することができる。そのような担体として、乳糖、でんぷん、植物性および動物性脂肪や油脂を例示することができる。
特に、本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物においては、以下の特性や改良を実現するように、添加剤や性状を調整することができる。
即ち、落花生種皮抽出液における渋みを除去乃至は軽減する成分を添加することができる。例えば、クエン酸、アラニン、トレハロース、エリスリトール、シクロデキストリンなどのマスキング剤を使用したり、これらマスキング剤と他の食品材料(例えば、コーヒー、抹茶、ミルク、ハチミツ、グレープフルーツ、レモンなど)を併用する事ができる。
また、腸内での吸収を促進するためのコーティングを施す事もできる。即ち、抽出液をコーティングすることで胃酸による分解などをふせぎ、腸管へそのまま流下することで、効率よく吸収することが考えられる。このようなコーティング剤は、脂肪酸カルシウムやミネラル、ゲル顆粒などを使用でき、周知のコーティング剤を使用することができる。但し、胃腸管の生理学として、通過速度には比重とサイズが重要であることから、これらのパラメータを考慮の上、適宜設計する事が望ましい。
また、本発明の生体内糖化反応阻害組成物の好適な摂取量は、治療または予防の目的、患者の性別、体重、年齢、疾患の種類や程度、剤型、投与経路、投与回数などの種々の条件に応じて適宜決定する。例えば、経口投与する場合には、本発明の生体内糖化反応阻害組成物(総プロアントシアニジンおよび総遊離ポリフェノール含量は100〜1000mg/100g (n-ブタノール-塩酸法、プロシアニジンB1換算)および50〜800mg/100g(フォーリン・デニス法、カテキン換算))の1日当たりの摂取量は、体重1kgあたり0.2mg〜20gとする事が望ましく、一日一回から数回に分けて摂取することができる。
また、本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物は、これを配合した食品として実用化する事もできる。かかる生体内糖化反応阻害組成物を含む食品を調製する場合には、例えば、コーヒー、紅茶、清涼飲料水、ジュース、あめ、澱粉質食品、各種加工食品等にすることができる。その際、生体内糖化反応阻害組成物の添加量は、約0.1〜99重量%の範囲内に設定することができ、食味や効能を考慮した上で適宜調整することができる。また、食品の調整に際しては、プロアントシアニジンを基準に生体内糖化反応阻害組成物の配合量を設定する事もでき、この場合には、プロアントシアニジンの含有量が0.01質量%以上、1質量%以下とする事が望ましい。プロアントシアニジンの含有量を0.01質量%以上、望ましくは0.002質量%以上とする事により、生体内における抗糖化反応作用を有し、一方で1質量%、望ましくは0.01質量%以下であると、食品の食味に与える影響を減じることができる。また、本発明の食品には、必要に応じて、ゲル化剤やコーティング剤などの添加剤を加えることもできる。
更に、本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物は、これを配合した家畜飼料や愛玩動物用の餌として実用化する事もできる。かかる生体内糖化反応阻害組成物を含む飼料を調製する場合には、例えば、乳用牛、肉用牛、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ニワトリ等用の飼料や、犬、猫、ウサギ、鳥などの餌とすることができる。その際、生体内糖化反応阻害組成物の添加量は、約0.1〜99重量%の範囲内に設定することができ、食味や効能を考慮した上で適宜調整することができる。また、飼料や餌の調整に際しては、プロアントシアニジンを基準に生体内糖化反応阻害組成物の配合量を設定する事もでき、この場合には、プロアントシアニジンの含有量が0.01質量%以上、1質量%以下とすることが望ましい。プロアントシアニジンの含有量を0.01質量%以上、望ましくは0.002質量%以上とする事により、生体内における抗糖化反応作用を有し、一方で1質量%、望ましくは0.01質量%以下であると、食品の食味に与える影響を減じることができる。また、本発明の飼料や餌には、必要に応じて、ゲル化剤やコーティング化剤などの添加剤を加えることもできる。
そして本発明にかかる生体内糖化反応阻害組成物の製造に使用する落花生種皮の抽出液は、落花生食品の製造に際して産出するものであり、従前において廃棄されていたものを有効に活用するものである。即ち、原料となる落花生種皮について考えると、落花生の加工工場では種皮と呼ばれる渋皮を剥く工程があり、この工程から大量の廃液が発生している。
より具体的には、工場に搬入された落花生は、先ず果皮と呼ばれる殻が剥がされ、湯漬にされて種皮が剥がれやすい状態にされ、この湯漬工程を経て脱皮工程に入り、脱皮された落花生は乾燥され、以後フライ工程等の加工工程に入って、バターピーナッツ、その他の食品の製品として出荷される。この加工工程のうち熱水漬工程において、落花生を湯漬にした熱水が廃液として、また剥いた種皮が廃棄物として大量に発生する。このため落花生の加工工場はこの廃液や廃棄物たる種皮を処理するための施設、及びこの施設を運用するための経費が必要となる。
そこで本発明では、この廃棄物となっていた落花生種皮の浸漬液を有効に活用し、且つ種皮を除いた落花生種子を食品の加工に利用するようにした製造方法を提供する。即ち、上記した生体内糖化反応阻害組成物に使用する落花生種皮の水抽出物の製造方法であって、種皮に覆われた落花生を90℃以上、100℃以下の熱水に、0.5分以上、15分以下の間浸漬し、この浸漬液を濾過して製造する落花生種皮の水抽出物の製造方法である。浸漬時間が0.5分以上、望ましくは1分以上とする事により、生体内における抗糖化反応に寄与する成分を効果的に抽出することができ、一方で15分以下、望ましくは5分以下とする事により、種子ごと浸漬した場合において、種子をその後の食品加工に使用でき、また抽出時間の無駄を省くことができる。
かかる製造方法によれば、落花生の種皮の一部又は全部が剥離したものを除外する必要がなく、しかも効果的に生体内糖化反応阻害組成物における有効成分、即ちプロアントシアニジン等を抽出することができる。
また、落花生種皮の抽出に際しては、メタノール、エタノール、アセトン、エーテル類、クロロホルムなどの有機溶媒を使用することができる。特に落花生を種子毎浸漬し、且つその後食用に供する場合には、エタノールを使用するのが望ましい。また水溶性有機溶媒にあっては、30質量%〜90質量%に調整することができる。この有機溶媒の濃度を調整する事により、有効成分と考えられるポリフェノールの抽出効率を高めることができる。更に、この有機溶媒による抽出は、熱水抽出後の落花生種皮に対して行っても良い。例えば、アセトンやエーテル類などの有機溶媒を使用することにより、熱水には抽出されない成分を抽出する事も考えられる。また、抽出時の温度も、当該ポリフェノールの抽出効率を高める温度に設定して行う事が望ましい。
落花生種皮はカテキンおよびプロシアニジンなどのポリフェノールを豊富に含み、抗酸化能やフリーラジカル除去能力を有する。しかしながら、落花生種皮抽出物の機能性、特に抗糖化作用については、いまだ明確な効果が確認されていない。そこで、本実施例では、落花生種皮抽出物がAGEs生成に及ぼす影響を確認することを目的とし、in vitro(イン・ビトロ)系における落花生種皮抽出液のAGEs生成阻害効果を、更にin vivo(イン・ビボ)系の糖尿病モデル動物(KKAyマウス)における、落花生種皮抽出物の給与による体内AGEs生成阻害効果をそれぞれ検討した。
〔実験例1〕
この実験では、in vitro系において、落花生種皮抽出液による最終糖化生成物阻害効果を確認するべく、落花生種皮抽出液による経時的AGEs生成抑制効果および用量反応を行った。
<材料>
供試した落花生種皮抽出液(以下、抽出液)は、豆菓子製造過程における落花生の熱水中ブラッシングによって、落花生種皮剥皮処理水は排出され、さらに5μmフィルターでろ過した落花生種皮剥皮処理水を抽出液とした。排出日当日に、ろ過された抽出液は4℃で冷蔵保存し、3日以内に実験に供試した。尚、抽出液中の総プロアントシアニジンおよび総遊離ポリフェノール含量は553mg/100g(n-ブタノール-塩酸法、プロシアニジンB1換算)および367mg/100g(フォーリン・デニス法、カテキン換算)であった。
<実験方法>
500mMグルコース(以下では「G」と略する)、500mMフルクトース(以下では「F」と略する)、100mg/mL ウシ血清アルブミン(BSA)、2%アジ化ナトリウム、50mM PBS(pH7.4)および抽出液を蓋付きの試験管に分注し総量を5mLとした。control区および抽出液区には糖基質であるグルコース、フルクトースおよびBSAを分注し、NegaCon区にはBSAのみを分注して、ネガティブコントロールとした。抽出液区の希釈倍率は最終希釈倍率を示す。つまり、総量5000μL中に抽出液原液を500μL加えた処理区が抽出液×0.1区、同様に、10倍希釈抽出液を加えた×0.01区、100倍希釈抽出液を加えた×0.001区、1000倍希釈抽出液を加えた×0.0001区とした(表1)。分注後、試験管をボルテックスにて混合し、37℃の恒温機中で3、6および9日間インキュベーションした。インキュベーション終了後、励起波長370nm、蛍光波長440nm条件下にて蛍光分光光度計(日立 650-40型)を用いて蛍光を測定した。結果は、図2に落花生種皮抽出液による経時的AGEs生成抑制効果および用量反応の結果として示した(平均値±SE、n=6 各群のcontrol区に対して*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001)。この図2において、それぞれの群のcontrol区の蛍光測定値の平均値を100%とした時の平均値±標準誤差で示した(図2)。また多群間の比較は、一元配置分散分析の後、Bonferroniの多重比較検定を用いて行い、p < 0.05で統計的有意差があると判断した。実験概要は図1に示した。
<考察>
インキュベーション3、6および9日間すべて群において、NegaCon区の蛍光強度は有意に低値であった。このことから、蛍光性AGEs生成は糖およびタンパク質が共に存在する場合に促進されると考えられた。また、Control区と比較し抽出液×0.0001区において蛍光強度が増加傾向にあったが、処理濃度が高くなるにつれて蛍光強度は減弱した。このことから、抽出液の濃度依存的に蛍光性AGEs生成を抑制すると考えられた。また、この抑制効果はインキュベーション時間が長いほど強かった。特に、6および9日間の抽出液区のAGEs生成抑制は3日間処理より顕著であった。よって、今後の抽出液によるAGEs生成抑制実験におけるインキュベーション時間を6日間と定めた。
〔実験例2〕
この実験では、異なる糖基質によるAGEs生成に対する落花生種皮抽出液の抑制効果を確認した。
<実験方法:糖基質と実験区>
材料および蛍光強度測定方法は、実験例1の材料および実験方法と同様とした。この実験では、抽出液のAGEs生成抑制効果の糖基質による違いを検討した。つまり、糖の違いによってどれだけ糖化が促進されるのか、そして、その糖化を抽出液がどの程度抑制するかを検討した。実験処理はグルコースおよびフルクトースを糖基質としたG+F群、グルコースを糖基質としたG群、フルクトースを糖基質としたF郡の3群を設定した。3群とも糖基質およびBSAを加えたcontrol区、糖基質を加えないNegaCon区、ポジティブコントロールとした333μM AG区および抽出液区3処理区の計6処理区を設定した(表2〜4)。インキュベーション時間は6日間とした。結果は、グルコース+フルクトース群のcontrol区の蛍光測定値の平均値を100%とした時の平均値±標準誤差で示した。多群間の比較は、一元配置分散分析の後、Bonferroniの多重比較検定を用いて行い、p < 0.05で統計的有意差があると判断した。
<実験方法:サンプル処理と各測定項目>
「サンプルの前処理」
6日間のインキュベーションの後に、サンプルを蛍光測定用とウエスタンブロット解析用のサンプルに分けた。全群のcontrol区および抽出液×0.1区を用いてウエスタンブロット解析を行った。サンプル中のタンパク質濃度は表3〜5の100mg/mL BSA分注量から10μg/μLとした。1μg/μLに希釈したサンプルに等量の2×Sample Buffer(0.1M Tris-HCl(pH6.8)、0.4%ドデシル硫酸ナトリウム、12%β-メルカプトエタノール、20%グリセロール、0.025%ブロモフェノールブルー)を加え、最終タンパク質濃度を0.5μg/μL とし、98℃で3分間ボイルした後、氷上で静置した。1サンプルあたり2μg/4μL/wellになるようにポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。
「ウエスタンブロッティング」
サンプルとプレステインドタンパク質マーカー(Broad Range SDS-PAGE用、ナカライテスク株式会社)は、ともに8%のポリアクリルアミドゲル(8%アクリルアミドビス混合溶液、0.375M Tris-HCl(pH8.8)、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、0.033%過硫酸アンモニウム、0.05% N,N,N',N'-tetramethylethylenediamine.)にアプライし、電気泳動した。電気泳動は、泳動槽(Mini PROTEAN(商標) 3Cell、BIO-RAD) および電源(PowerPac(商標) HC、BIO-RAD)を用い、定電流(250V、0.04Aおよび15W)条件下で、泳動Buffer(0.003%Tris、0.014%グリシン、0.001%SDS)中で室温、60分間行った。電気泳動終了後に、PDVFメンブレン(Immobilon-P Transfer Membrane、日本ミリポア)にサンプルを転写した。転写は、定電流(250V、0.04Aおよび15W)条件下で、電源(PowerPacTM HC、BIO-RAD)にセットしたブロッティング装置(AE-6678、ATTO)で、Transfer-Buffer (0.003% Tris、0.05%メタノール)を用いて室温で60分間行った。転写後、PDVFメンブレンをスキムミルク5% in TBS-T(0.01% Tris-HCl(pH7.5)、0.15M NaCl、0.001% Tween20)中で、室温で1時間ブロッキングし、TBS-Tで5分間3回洗浄した。その後、抗AGEsマウスモノクロナール抗体溶液(Clone No.6D12:Trans Genic Inc.をTBS-Tで1:500に希釈した抗体溶液)中で、4℃でover nightインキュベーションし、TBS-Tで5分間3回洗浄した。さらに、抗マウスIgGヤギポリクロナールぺルオキシダーゼ標識抗体(Product Number A4416:SIGMA をTBS-Tで1:10000に希釈した抗体溶液)中で、室温で1時間インキュベーションし、TBS-Tで5分間3回洗浄した。タンパク質の発光反応はECLTM Primer Western Blotting Detection Reagent (GE Healthcare)を用い、撮影装置Light-Capture Cooled CCD Camera System (COMBO AE-6970CP、ATTO)で撮影した。画像処理ソフトウェアImageJ(アメリカ国立衛生研究所NIH)を用いて、デジタルデータから各バンドの強度を測定した。結果は、図4に、異なる糖基質によるAGEs生成に対する落花生種皮抽出液の抑制効果(蛍光測定結果)として示した(平均値±SE、n=6 各群のcontrol区に対して*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001)。この図4では、G+F群のcontrol区のバンド強度を100%とした時のAGEs相対強度(%)の平均値±標準誤差で示した。多群間の比較は、一元配置分散分析の後、Bonferroniの多重比較検定を用いて行い、p < 0.05で統計的有意差があると判断した。実験の概要は図3に示した。
<考察>
蛍光測定の結果(図4)において、G+F群、G群およびF群のどの群においても、特に抽出液×0.01および×0.1区の蛍光強度は有意に低値であった。また、G群の蛍光強度は全ての処理区において低値であった。また、control区において、F群の蛍光強度はG+F群と同レベルであった。よって、蛍光性AGEs生成はグルコース由来ではなくフルクトース由来であると考えられる。
ウエスタンブロット解析の結果において、AGEsタンパクのバンドが分子量62kDaに検出できた。これはウシ血清アルブミンBSA(分子量66kDa)由来であると考えられる。この実験においても、control区において、G+F群のAGEs相対強度はF群のそれと同レベルであったが、G群のみ低値であった。この結果は、蛍光性のAGEsのみならず、多くのAGEs生成がフルクトース由来であることを示している。本実験でも、フルクトースはグルコースに比べ10 倍以上強いグリケーション活性を持ちうる結果が得られた。また、フルクトース群において、抽出液×0.001区は有意に低値であった。この結果から、0.1%抽出液(1000倍に希釈された抽出液)はフルクトース誘導性のAGEsタンパク質生成を抑制することを示した。
〔実験例3〕
この実験では、落花生種皮から熱水抽出したものを凍結乾燥して、これのAGEs生成抑制効果を確認した。
<実験方法:凍結乾燥品と実験区>
この実験において、落花生種皮凍結乾燥品によるAGEs生成抑制効果を検討した。材料および蛍光強度測定方法は、実験例1の材料および実験方法と同様とした。実験例1と同様に、豆菓子製造過程における落花生の熱水中ブラッシングによって、落花生種皮剥皮処理水を排出日当日にろ過した抽出液を4℃で冷蔵保存し、3日以内に実験に供試した。この抽出液を-20℃で予備凍結した後に、凍結乾燥器(Freeze Dryer DC400:YamatoおよびFREEZE DRYER FD-80:EYELA)を用いて凍結乾燥し、落花生種皮抽出液凍結乾燥品(以下、乾燥品)とし、-20℃で遮光保存した。乾燥品は抽出液1Lから約5gの採取された。
80mLの抽出液から採取された凍結乾燥品を8mLのDMSOで溶解させ、抽出液の10倍濃度の濃い凍結乾燥品溶液原液を作成した。凍結乾燥品区の希釈倍率は抽出液としての最終希釈倍率を示す。つまり、総量5000μL中に凍結乾燥品溶液原液(抽出液の10倍濃い濃度)を500μL加えた処理区が凍結乾燥品×1区、同様に、10倍希釈凍結乾燥品溶液(抽出液原液と同様の濃度)を加えた×0.1区、100倍希釈凍結乾燥品溶液(抽出液の10倍希釈濃度)を加えた×0.01区、1000倍希釈凍結乾燥品溶液(抽出液の100倍希釈濃度)を加えた×0.001区とした(表5〜7)。インキュベーション時間は6日間とした。結果は、それぞれの群のcontrol区の蛍光測定値の平均値を100%とした時の平均値±標準誤差で示した。多群間の比較は、一元配置分散分析の後、Bonferroniの多重比較検定を用いて行い、p < 0.05で統計的有意差があると判断した。
<実験方法:サンプル処理と各測定項目>
「サンプルの前処理」
あらかじめ、6日間のインキュべーションの後にサンプルを蛍光測定用のサンプルとウエスタンブロット解析用のサンプルに分けた。1サンプルあたり2μg/4μL/wellをウエスタンブロット解析に用いた。
「ウエスタンブロッティング」
実験例2と同様とした。結果は、図5の落花生種皮凍結乾燥品によるAGEs生成抑制効果(蛍光測定結果)に示した(平均値±SE、n=4 各群のcontrol区に対して*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001)。また、この図5において、F群のcontrol区のバンド強度を100%とした時のAGEs相対強度(%)の平均値±標準誤差で示した。多群間の比較は、一元配置分散分析の後、Bonferroniの多重比較検定を用いて行い、p < 0.05で統計的有意差があると判断した。実験の概要は図3に示した。
<結果および考察>
蛍光測定結果において、全ての群で、AGEs由来蛍光強度は凍結乾燥品の濃度依存的に減少した。また各糖基質群において凍結乾燥品区の蛍光強度はcontrol区と比較し有意に低値であった。また、この結果は、第二項異なる糖基質によるAGEs生成に対する落花生種皮抽出液の抑制効果の蛍光強度測定結果と同様であった。つまり、凍結乾燥品は抽出液同様に蛍光性AGEs生成抑制効果を有することが示された。
ウエスタンブロット解析の結果において、AGEsタンパクのバンドが分子量61kDaに検出された。このバンドはウシ血清アルブミンBSA(分子量66kDa)由来であると考えられる。凍結乾燥品×0.01、×0.1および×1区のAGEs相対強度はcontrol区と比較して有意に低値であった。これらの結果は、抽出液同様に落花生種皮凍結乾燥品が蛍光性AGEsだけでなく、AGEs生成を抑制することを示している。この実験結果を踏まえて、動物実験の際に給与する自家精製飼料には凍結乾燥品を混合させることとした。
〔実験例4〕
この実験では、in vivo系における落花生種皮抽出液の凍結乾燥品を2週間給与した時の最終糖化物生成抑制効果を確認した。
即ち、実験例1〜3のin vitro系実験において確認された、落花生種皮抽出液の抗糖化作用をin vivo系実験で検討する。この実験では生活習慣病、特に糖尿病を標的としているため、糖尿病モデル動物KKAyマウスを用いて実験を行った。KKAyマウスは、KKマウスにAy遺伝子を導入した合併モデルで、KKマウスより早期(7〜8週齢)かつ重度な肥満・高血糖を発現する。さらに、フルクトース誘導性の生活習慣病を誘導するための20%フルクトース水給与区を水給与区と並んで設定した。欧米人はフルクトースを好んで摂取していると言われているが、食生活が欧米化した日本人も清涼飲料水などからフルクトースを過剰摂取していると考えられる。フルクトースは、グルコースと異なり、直接的に血糖値を上げないが、肝臓でトリグリセリドに変えられ、VLDLなどを増加させるため、フルクトースの過剰摂取は高脂血症などを来たす恐れがある。この実験では、フルクトースを給与したマウスにおける、落花生種皮抽出物の生活習慣病低減効果、特に体内のAGEs生成抑制効果を確認するべく、凍結乾燥品の短期給与(2週間)によるAGEs生成抑制効果を検討した。
<供試動物>
「処理区および飼育条件」
5週齢のKKAyオスマウスを計36匹(平均体重30.6±1.3g)供試した。1処理区6匹として、1)落花生種皮抽出液凍結乾燥品を加えていない自家精製飼料を与えたP0.0区、2)0.5%凍結乾燥品を混合した自家精製飼料を与えたP0.5区、3)1.0%凍結乾燥品を混合した自家精製飼料を与えたP1.0区を設定した。加えて、それぞれに水または20%フルクトース水を与えた計6処理区を設定した。1ゲージにつき1個体とし、自由採食および自由飲水で、12時間の明暗条件(明期;7:00−19:00,暗期;19:00−7:00)で飼育を2週間行った。
「サンプリング」
飼育開始から2週間(14日)後にサンプリングを実施した。サンプリングは、イソフルラン麻酔下で行い、下大静脈よりG20注射針とツベルクリン1mL注射筒にて採血した。血液は氷上のナンバリング済み1.5mLチューブに回収された後、室温で2時間静置して凝固させた。凝固させた後に、4℃で保存し、24時間後に血清を回収した。
タンパク質、脂肪および遺伝子解析のために、肝臓および尾を摘出した。尾は付け根から解剖用ハサミでカットし、氷上のユニパックに保存した。全てのサンプリング終了時にコラーゲン抽出した。タンパク質測定および脂肪測定用の肝臓摘出において、肝臓組織を摘出する前にあらかじめ1.5 mlチューブのナンバリングとチューブの重量測定をした。遺伝子解析用の肝臓摘出においては、重量測定をせずに1.5mLチューブにナンバリングした。摘出した肝臓組織を生理的食塩水で洗浄した後、約0.2 gに小片化し、余分な水分をキムワイプで吸い取り、それぞれのチューブに回収した。タンパク質測定および脂肪測定のために肝臓湿重量を計測し、解析が行われるまで-80 ℃で保存した。遺伝子解析用は、回収した後ただちに液体窒素にて急速凍結させて、供試まで-80℃に保存した。
<飼料条件>
「自家精製飼料」
コンスターチ(澱粉分解物 TK16:松谷化学工業株式会社)、カゼイン(ミルクカゼイン:オリエンタル酵母工業株式会社)、ショ糖(スクロース:和光純薬工業株式会社)、セルロース(セルロースパウダー:オリエンタル酵母工業株式会社)、AIN-93G塩混合物(Na2SeO4 10.255ppm含有:オリエンタル酵母工業株式会社)、AIN-93Gビタミン混合物(重酒石酸コリン非添加:オリエンタル酵母工業株式会社)、L-シスチン(L(-)-シスチン:和光純薬工業株式会社)、塩化コリン(和光純薬工業株式会社)、大豆油(大豆サラダ油:オリエンタル酵母工業株式会社)および凍結乾燥品を表8に従い混合した。PP0.0%飼料は凍結乾燥品を含まず、PP0.5%飼料およびPP1.0 %飼料はコンスターチ5.0%および10.0%を凍結乾燥品で置換した。凍結乾燥品は実験例3と同じである。あらかじめ、供試凍結乾燥品の糖化抑制反応のロットチェックを、蛍光分光光度計を用いた蛍光測定により行い、実験例3で用いた凍結乾燥品と同様にAGEs生成抑制効果を確認した上で供試した(凍結乾燥品×0.1区(抽出液の10倍希釈サンプルと同濃度)・・・抑制率21.6%)。
「20%フルクトース水」
フルクトース(純果糖:加藤化学株式会社)800 g を鍋に計りとり、実験水3200 mlを加えて溶解させ、20 %フルクトース水としてマウスに供試した。フルクトース水は4 Lプラスチックボトルに入れ、4 ℃で保存し、1週間ごとに1匹あたり200 mLずつ給与した。2週間給与実験の条件を表10に示した。水給与区は実験水を用いて、20%フルクトース水給与区同様に実験を実施した。
<一般血液成分>
氷上で回収した血液を凝固させるために室温で2時間静置し、凝固させた。血液回収後4 ℃で24時間静置し、遠心分離(4 ℃、12000 rpm、20分)した。分離した血清を回収し、供試まで-20 ℃で保存した。グルコース濃度はグルコースキット(グルコースCII‐テストワコー、和光純薬工業株式会社)を用い、ムタロターゼ・GOD法にて測定した。インスリン濃度はインスリン測定キット(モリナガ マウスインスリ測定キット ラットインスリン測定キット、株式会社森永生科学研究所)を用い、サンドイッチELISA法にて測定した。トリグリセリド濃度はトリグリセリドキット(トリグリセライドE-テストワコー、和光純薬工業株式会社)を用いて、GPO-DAOS法にて測定した。
<AGEsタンパク質>
「血清サンプルの調整」
血清回収方法は第二節第一項材料および方法と同様とした。ミリQ水で400倍希釈した血清のタンパク質濃度を、Pierce(r) BCATM Protein Assay kit(Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いて測定し、希釈倍率から血清サンプルのタンパク質濃度を算出した。その上で、ミリQ水を用いて1μg/μLに調整した血清サンプルにサンプルと等量の2×Sample Buffer(0.1M Tris-HCl(pH6.8)、0.4%ドデシル硫酸ナトリウム、12%β-メルカプトエタノール、20%グリセロール、0.025%ブロモフェノールブルー)を加え、タンパク質濃度を0.5μg/μL とし、98℃で3分間ボイルし、タンパク質を変性させた。氷上で静置したのちに、1サンプルあたり4μg/8μL/レーンづつウエスタンブロット解析に供試した。
「尾コラーゲン抽出およびサンプル調整」
20 %フルクトース水給与区の3処理区の尾サンプルを供試した。サンプリング24時間後までにコラーゲン抽出した。尾からマウス1匹分の腱を回収したら、腱をPBS入り遠沈管に入れて、よく撹拌して血液やゴミなどの汚れを落とした。キムワイプで腱の水分を軽く落とし、あらかじめ準備しておいたコラーゲン抽出用遠沈管に腱を入れ、0.1%酢酸5mLを加え、ローター式撹拌機(MIX ROTOR VMR-5R、AS ONE)を用い、4℃で2日間インキュベーションした。48時間後に4℃、12000rpm、60分間遠心分離し、上清を回収した。回収した上清のコラーゲンのタンパク質濃度をPierce(r) BCATM Protein Assay kit(Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いて測定した。算出したタンパク質濃度を元に、ミリQ水を用いて0.5μg/μLに調整したコラーゲンサンプルに、サンプルと等量の2×Sample Bufferを加え、タンパク質濃度を0.25μg/μL とし、98℃で3分間ボイルした後、氷上で静置した。1サンプルあたり4μg/16μL/レーンづつウエスタンブロット解析に用いた。尾コラーゲン抽出およびサンプル調整の概要を図6に示した。
「肝臓サンプルの調整」
20%フルクトース水3処理区の給与群の肝臓サンプルを実験に供試した。作業はできる限り氷上で行われた。1.5 mlチューブに保存された肝臓組織1mgあたり4℃に冷やしたミリQ水10μLを加え、アセタール樹脂性のホモジナイザー(バイオマッシャーII、和光純薬工業株式会社)でホモジナイズした。さらに、18G針を付けた1mLシリンジで50回ホモジナイズし、遠心分離(1000rpm×4℃×15分間)した。上清を回収して、10倍希釈した後に、Pierce(r) BCATM Protein Assay kit(Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いてタンパク質濃度を測定した。さらに、サンプル中のタンパク質濃度はミリQ水を用いて、1μg/μLに調整された。これらの濃度調整済み肝臓サンプルにサンプルと等量の2×Sample Bufferを加え、タンパク質濃度を0.5μg/μLとし、98℃で3分間ボイルしタンパク質を変性させた後、氷上で静置した。1サンプルあたり8μg/16μL/レーンづつウエスタンブロット解析に用いた。肝臓サンプルの調整の概要を図7に示した。
<ウエスタンブロッティング>
ウエスタンブロッティングの方法は、実験例1〜3と同様である。ただし、検出感度を上げるために、抗マウスIgGヤギポリクロナールぺルオキシダーゼ標識抗体(Product Number A4416:SIGMA)の希釈倍率を1:10000から1:5000に変更し、この抗体溶液中でのインキュベーションを室温で2時間とした。結果はWP0.0区もしくはFP0.0区を100%とした時のAGEs相対強度(%)の平均値で示した。
<結果および考察>
「グルコース」
血中グルコース濃度はWP0.0区で218.6±17.0mg/dL、WP0.5区で211.4±23.3mg/dL、WP1.0区で228.8±21.6mg/dL、FP0.0区で219.9±27.1mg/dL、FP0.5区で257.3±18.4mg/dLおよびFP1.0区で214.2±22.3mg/dLであった。それぞれの群の3処理区間に有意な差は認められなかった。また、各処理区でW群とF群間に有意な差は認められなかった。この結果は、落花生種皮抽出物は血中グルコース濃度に影響しないことを示している。結果は図8の血中グルコース濃度(平均値±SE、n=5、p<0.05)に示した。
「インスリン」
血中インスリン濃度はWP0.0区で4.21±0.37ng/mL、WP0.5区で4.72±0.48ng/mL、WP1.0区で5.14±0.85ng/mL、FP0.0区で6.40±0.98ng/mL、FP0.5区で6.45±1.01ng/mLおよびFP1.0区で5.39±0.60ng/mLであった。それぞれの群の3処理区間においては相対的な低下はみられるものの、有意な差は認められなかった。また、各処理区でW群とF群間に有意な差は認められなかった。この結果は、落花生種皮抽出物は血中インスリン濃度に影響しないことを示している。結果は図9の血中インスリン濃度(平均値±SE、n=5、p<0.05)に示した。
「トリグリセリド」
血中トリグリセリド濃度はWP0.0区で253.2±22.0mg/dL、WP0.5区で260.5±13.1mg/dL、WP1.0区で269.1±25.5mg/dL、FP0.0区で285.8±28.9mg/dL、FP0.5区で259.4±20.9mg/dLおよびFP1.0区で217.8±18.8mg/dLであった。それぞれの群の3処理区間に相対的な低下は認められるが、有意な差は認められなかった。また、各処理区でW群とF群間に有意な差は認められなかった。この結果は、落花生種皮抽出物は血中トリグリセリド濃度に影響しないことを示している。結果は図10の血中トリグリセリド濃度(平均値±SE、n=5、p<0.05)に示した。
「血中AGEsタンパク質」
血清AGEsのSDS-PAGEの結果、分子量192、145、77、67および51kDaにバンドが検出できた。また、ウエスタンブロッティングの結果、分子量51kDaにバンドが検出できた。水給与群間のバンド強度に統計的有意差は認められなかったが、20%フルクトース水給与群間において、FP0.5区およびFP1.0区のバンド強度は、FP0.0区より有意に減少し、それぞれ29.1%および25.6%であった。ウエスタンブロッティングの結果を図11に示した。図11は血中AGEs相対強度(%)を示している(平均値±SE、n=5、水給与区(W)間もしくは20%フルクトース水給与(F)間において異なるアルファベット間で有意差あり)。この結果は、落花生種皮抽出物の2週間給与がフルクトース誘導性の血中AGEs生成を抑制することを示している。
「尾コラーゲンAGEsタンパク質」
KKAyマウス尾コラーゲンのSDS-PAGEの結果、コラーゲンβ鎖(2本鎖)だと推定される234および213kDaのタンパク質バンドおよびα鎖(1本鎖)だと推定される119および100kDaのバンドを検出した(図12)。しかし、ウエスタンブロッティングの結果、コラーゲン鎖のバンドからAGEs陽性反応は認められず、51~64kDaのバンドが薄く検出される場合があった(図13)。この結果は、落花生種皮抽出物は尾コラーゲン、つまり皮膚の糖化反応に影響しないことを示している。
「肝臓AGEsタンパク質」
KKAyマウス肝臓のSDS-PAGEの結果、タンパク質のバンドが複数出現した(図14)。しかし、ウエスタンブロッティングの結果、どの20%フルクトース水給与区のどの処理区のバンドも認められなかった(図15)。なお、control区は実験例1のin vitro実験G+F群のcontrol区(ウシ血清アルブミン)を用いた。この結果は、尾コラーゲンと同様に落花生種皮抽出物は肝臓のAGEs産生に影響しないことを示している。
本発明は落花生の種皮に由来する生体内糖化反応阻害組成物として利用することができる。特に落花生食品の製造加工分野において、従来は廃棄物となっていた落花生種皮及びその洗浄液を有効に利用できることから、落花生食品の製造加工分野において有効に利用することができる。

Claims (4)

  1. 落花生種皮の水抽出物からなり、経口摂取する事により生体内における糖化反応を阻害する生体内糖化反応阻害組成物。
  2. 前記落花生種皮の水抽出物を凍結乾燥してなる、請求項1に記載の生体内糖化反応阻害組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の生体内糖化反応阻害組成物を含有してなる食品であって、プロアントシアニジンの含有量が0.001質量%以上、1質量%以下である事を特徴とする食品。
  4. 請求項1又は2に記載の生体内糖化反応阻害組成物に使用する落花生種皮の水抽出物の製造方法であって、
    種皮に覆われた落花生を90℃以上、100℃以下の熱水に、0.5分以上、15分以下の間浸漬し、この浸漬液を濾過して製造する事を特徴とする、落花生種皮の水抽出物の製造方法。
JP2014111702A 2014-05-29 2014-05-29 生体内糖化反応阻害組成物 Pending JP2015224241A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014111702A JP2015224241A (ja) 2014-05-29 2014-05-29 生体内糖化反応阻害組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014111702A JP2015224241A (ja) 2014-05-29 2014-05-29 生体内糖化反応阻害組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015224241A true JP2015224241A (ja) 2015-12-14

Family

ID=54841271

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014111702A Pending JP2015224241A (ja) 2014-05-29 2014-05-29 生体内糖化反応阻害組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015224241A (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004277350A (ja) * 2003-03-17 2004-10-07 Efuekuto:Kk 眼精疲労改善・予防剤
JP2008156265A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Yamagata Prefecture A型プロアントシアニジンオリゴマー画分及びその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004277350A (ja) * 2003-03-17 2004-10-07 Efuekuto:Kk 眼精疲労改善・予防剤
JP2008156265A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Yamagata Prefecture A型プロアントシアニジンオリゴマー画分及びその製造方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
倉兼 静江 ほか: "2型糖尿病モデルマウスにおける落花生種皮成分の抗糖尿病作用", 日本栄養・食糧学会大会講演要旨集 64回, JPN6017049893, May 2010 (2010-05-01), pages p.83 *
倉兼 静江 ほか: "落花生ポリフェノールが食餌誘発性肥満モデルマウスに及ぼす影響", 日本栄養・食糧学会大会講演要旨集 63回, JPN6017049892, May 2009 (2009-05-01), pages p.171 *
岩本 珠美 ほか: "落花生種皮の抗糖化作用に関する検討", 機能性食品と薬理栄養, vol. 第8巻,第1号, JPN6017049891, 1 December 2013 (2013-12-01), pages p.105 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101727112B1 (ko) 한약재박과 식이유황을 이용한 사료 첨가제
Berry et al. The Middle Eastern and biblical origins of the Mediterranean diet
NO861673L (no) Fremgangsmaate for bearbeidelse av en matvare eller et dyrefor.
JP6353034B2 (ja) 糖尿病予防または改善剤
JP2008237117A (ja) 抗疲労食品素材及び抗疲労食品
JP5594819B2 (ja) 脂質代謝改善用組成物
Mazur et al. Effect of yerba mate (Ilex paraguariensis A. St.-Hil.) supplementation on oxidative stress in ruminants
JP6127545B2 (ja) ガレート型カテキンとタンパク質との複合体およびカフェインを含む抗肥満組成物の製造方法
JP2009523453A (ja) 動物に対する投与のためのモリンダ・シトリフォリア(ヤエヤマアオキ)強化製品
JP5984386B2 (ja) 食品組成物
FR2905827A1 (fr) Additif antioxydant naturel d&#39;origine vegetale destine a la nutrition animale
JP2011037811A (ja) 脂肪低減用組成物
JP2015224241A (ja) 生体内糖化反応阻害組成物
JP5742060B2 (ja) ネギ属由来の成分を含む免疫賦活剤及び免疫賦活剤の製造方法
JP6518744B2 (ja) 経口用組成物
WO2015190682A1 (ko) 쿠마린산을 유효성분으로 포함하는 성장 촉진용 조성물
JP2010105923A (ja) アカシア属樹皮由来物を含有するPPARδ発現促進剤
JPWO2008123417A1 (ja) 抗疲労剤
JP2010043036A (ja) 糖代謝促進剤
JP4873605B2 (ja) 穀類由来の成分を有効成分とする血管新生阻害の作用を有する組成物
JP2021513327A (ja) フッ化物及びトリメチルアミン含量の低い海洋タンパク質加水分解物
JP2019180412A (ja) 経口組成物
Daimari et al. Ethnotherapeutic Uses of Aquatic Animals in the North Eastern Region of India: A Preliminary Observation
KR102184823B1 (ko) 블랙커런트, 링곤베리 및 씨벅손 추출물을 포함하는 항산화 조성물
JP2019176828A (ja) 経口組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170529

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20170529

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180109

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180309

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180703