JP2015223165A - 認知症のバイオマーカー及び認知症の治療薬のスクリーニング方法 - Google Patents

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裕子 内田
将洋 梅原
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将洋 梅原
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Eisaku Nishimura
栄作 西村
政彦 斎
Masahiko Sai
政彦 斎
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Abstract

【課題】マイクロRNAを用いた認知症の治療用医薬のスクリーニング方法を提供すること。【解決手段】本発明にかかる認知症のバイオマーカーは、miR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、又はmiR-98-5pからなる群から選ばれる配列を有するマイクロRNAからなる。【選択図】なし

Description

本発明は、マイクロRNA(以下miRNAとも記す)からなる認知症のバイオマーカー及びmiRNAを用いた認知症の治療薬のスクリーニング方法に関する。
miRNAは、細胞内に存在する長さ20から25塩基ほどのRNAであり、現在までにヒトのmiRNAとして2000個近く報告されている。他の遺伝子の発現を調節する機能を有すると考えられているが、機能が明らかになっているものはごく一部である。例えば、いくつかのmiRNAは神経変成やアルツハイマー疾患等の神経変性疾患に関係していることが知られている(非特許文献1参照)が、認知症症状に伴って発現レベルの変動するmiRNAはまだ知られていない。
Simona Maciottaら, "The involvement of microRNAs in neurodegenerative diseases", Front. Cell. Neurosci., 19 December 2013, doi: 10.3389/fncel.2013.00265
本発明の目的は、miRNAからなる認知症のバイオマーカー及び当該miRNAを用いた認知症の治療用医薬のスクリーニング方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは、認知症の原因となる因子としてmiRNAに着目して研究を行った。そして、鋭意研究の結果、本発明者らは、miRNAからなる認知症のバイオマーカーを特定することに成功し、本発明に到った。
すなわち、本発明の一実施態様は、miR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる配列を有するマイクロRNAからなる、認知症のバイオマーカーである。
本発明の他の実施態様は、認知症のバイオマーカーの測定方法であって、認知症の非ヒト動物に被検物質を投与する工程と、前記被検物質を投与した前記非ヒト動物から採取した試料中のmiR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる配列を有する1又は2以上のマイクロRNAの発現レベルを測定する工程と、を有する方法である。前記非ヒト動物がマウスであってもよい。
本発明の他の実施態様は、認知症の治療薬のスクリーニング方法であって、被検物質を投与した認知症の非ヒト動物から採取した試料中のmiR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる配列を有する1又は2以上のマイクロRNAの第1の発現レベルと、前記被検物質を投与していない認知症の非ヒト動物から採取した試料中の前記マイクロRNAの第2の発現レベルとを比較する工程と、前記第1の発現レベルが、前記第2の発現レベルよりも低い場合に、前記被検物質を認知症の治療に有効であると判断し、前記第1の発現レベルが、前記第2の発現レベルと同じか、または高い場合に、前記被検物質を認知症の治療に有効でないと判断する工程と、を有する。前記非ヒト動物がマウスであってもよい。
被験者から採取した試料中のmiR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる配列を有する1又は2以上のマイクロRNAの第1の発現レベルを測定し、認知症の患者から採取した試料中の前記マイクロRNAの第2の発現レベルよりも前記第1の発現レベルが低い場合には、前記被験者から採取した試料が認知症のヒトから採取した試料ではなく、前記第2の発現レベルと同じか、または高い場合に、前記被験者から採取した試料が認知症のヒトから採取した試料であるという基準で、前記第1の発現レベルを前記第2の発現レベルと比較することにより、前記試料が、認知症患者から採取した試料であるか、健康人から採取した試料であるかを判定する。
本発明によって、miRNAからなる認知症のバイオマーカー及び当該miRNAを用いた認知症の治療用医薬のスクリーニング方法を提供することが可能になった。
SAMR1及びSAMP8のステップスルーテストの結果を示す棒グラフである。 EGCCAを投与していないSAMP8とEGCCAを投与したSAMP8のステップスルーテストの結果を示す棒グラフである。
以下、本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、および、そのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をこれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==バイオマーカー==
本発明にかかるバイオマーカーのmiRNAおよびその代表例を表1に示す。
Figure 2015223165
本発明のバイオマーカーを用いた検査対象となる認知症とは、後天的な脳の障害によって病的に知能が低下する症状のことをいい、例えば、アルツハイマー症候群や脳血管障害などによる神経変性疾患や、代謝・栄養障害、甲状腺機能低下などが、その原因疾患となる。
本発明にかかるバイオマーカーは、ヒトまたは非ヒト動物から採取した試料中でmiR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる1又は2以上のmiRNAの発現レベルを測定することによって、使用することができる。ここで、非ヒト動物は、例えば、サル、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、モルモット、ハムスター、マウスおよびラットなどの哺乳動物を含む。
この測定方法は、例えば、以下に説明する認知症の診断方法や認知症の治療薬のスクリーニング方法に応用することができる。
==認知症の診断方法==
本発明の一実施態様は、認知症の診断方法であって、被検体から採取した試料中のバイオマーカーであるmiR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる1又は2以上のmiRNAの発現レベルを、健常体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルと比較する工程を含む。前記被検体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルが、前記健常体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルよりも高い場合は、前記被検体を認知症と判断し、前記被検体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルが、前記健常体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルと同じか、より低い場合は、前記被検体を認知症でないと判断する。以下に本実施態様を説明する。
本実施態様においては、まず、ヒトまたは非ヒト動物である被検体から採取した試料中のmiR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097 、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる1又は2以上のmiRNAの発現レベルを測定する。被検体から採取する試料は特に限定されないが、血液であることが好ましい。ここで、試料中に含まれるmiRNAは、当業者に周知の方法を用いて、あるいは市販のmiRNAのキットを用いて、抽出・精製することができる。そして、miRNAの発現レベルは、例えばマイクロアレイや、定量RT−PCR法により測定することができる。
次に、測定したmiRNAの発現レベルを健常体のmiRNAの発現レベルと比較する。健常体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルは、あらかじめ測定することもできるが、被検体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルと同時に測定することもできる。miRNAの発現レベルは、例えば、マイクロアレイを用いる場合はトータルRNAを揃えて標準化したり、定量RT−PCR法を用いる場合は内在性コントロールに基づき標準化したりすることにより、比較することができる。内在性コントロールとしては、例えば、miR-191-3p、miR-103-3p、miR-106b-5p、miR-26b-5pなどを用いることができる。ここで、 健常体とは、認知症を発症していない個体のことであって、被検体と同一の動物種であることが好ましい。調べる健常体は、複数個体であることが好ましい。被検体と比較するmiRNAの発現レベルは、範囲で表されてもよい。被検体と比較するmiRNAの発現レベルの範囲は、例えば、各健常体に対する複数回の測定値の平均値に標準偏差を減じた値から平均値に標準偏差を加えた値までの範囲としてもよく、平均値の下限値から上限値までの範囲としてもよく、特に限定されるものではない。健常体の発現レベルが範囲で表されている時、その上限より高い場合を、健常体の発現レベルより高いといい、下限より低い場合を、健常体の発現レベルより低いというものとする。
本工程において、被検体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルを、健常体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルと比較した結果、被検体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルが、健常体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルよりも高い場合は、前記被検体が認知症であると判断することができる。逆に、被検体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルが、健常体から採取した試料中のmiRNAの発現レベルと同じか、より低い場合は、前記被検体が認知症でないと判断することができる。
なお、この診断方法において、複数のバイオマーカーを用いて診断してもよく、既存の診断方法と組み合わせて診断してもよい。例えば、バイオマーカーを2種類用い、一方だけが認知症の可能性を示す発現レベルであれば、認知症の可能性があると診断してもよいが、両方とも認知症の可能性を示す濃度であれば、1種類の時より認知症の可能性は上昇する。
==認知症の治療薬のスクリーニング方法==
本発明の一実施態様は、認知症の治療薬のスクリーニング方法であって、被検物質を投与した認知症の非ヒト動物から採取した試料中のmiR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる1又は2以上のmiRNAの第1の発現レベルと、前記被検物質を投与していない認知症の非ヒト動物から採取した試料中の前記miRNAの第2の発現レベルとを比較する工程と、第1の発現レベルが、第2の発現レベルよりも低い場合に、前記被検物質を認知症の治療に有効であると判断し、第1の発現レベルが、第2の発現レベルと同じか、より高い場合に、前記被検物質を認知症の治療に有効でないと判断する工程と、を有する方法である。以下に本実施態様について説明する。
本実施態様においては、まず、認知症の非ヒト動物に被検物質を投与する。動物に被検物質を投与する投与方法としては、特に限定されないが、例えば、非経口的又は経口的に行うことができる。非経口経路としては、例えば、静脈内投与、小動脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、心室内投与、頭蓋内投与、鼻腔内投与、結腸内投与、経皮的投与などが挙げられる。
次に、被検物質を投与した前記非ヒト動物から得た試料中のmiRNAの発現レベルを測定する。測定するmiRNAは、miR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる1又は2以上のからなる群から選ばれる。本工程において、一般的なmiRNAの抽出・精製キットなどにより、試料中に含まれるmiRNAを抽出・精製して、miRNAを測定する。miRNAの発現レベルの測定方法は、例えばマイクロアレイを用いた測定法や、定量RT−PCR法により測定することができる。
非ヒト動物から採取する試料は、特に限定されないが、脳組織や血液が好ましく、脳組織としては海馬組織が好ましい。
次に、測定したmiRNAの発現レベルを、被検物質を投与していない認知症の非ヒト動物から採取した試料中のmiRNAの発現レベルと比較する。被検物質を投与していない認知症の非ヒト動物から採取した試料中のmiRNAの発現レベルは、被検物質を投与した非ヒト動物から採取した試料中のmiRNAの発現レベルと同様に測定することができる。miRNAの発現レベルを比較する方法は、例えば、マイクロアレイを用いる場合はトータルRNAを揃えて標準化したり、定量RT−PCR法を用いる場合は内在性コントロールに基づき標準化したりすることにより、比較することができる。内在性コントロールとしては、例えば、miR-191-3p、miR-103-3p、miR-106b-5p、miR-26b-5pなどの発現レベルを用いることができる。ここで、 健常体とは、認知症を発症していない個体のことであって、被検体と同一の動物種であることが好ましい。調べる健常体は、複数個体であることが好ましい。被検体と比較するmiRNAの発現レベルは、範囲で表されてもよい。被検体と比較するmiRNAの発現レベルの範囲は、例えば、各健常体に対する複数回の測定値の平均値に標準偏差を減じた値から平均値に標準偏差を加えた値までの範囲としてもよく、平均値の下限値から上限値までの範囲としてもよく、特に限定されるものではない。健常体の発現レベルが範囲で表されている時、その上限より高い場合を、健常体の発現レベルより高いといい、下限より低い場合を、健常体の発現レベルより低いというものとする。
被検物質を投与した非ヒト動物から採取した試料中のmiRNAの発現レベルを、被検物質を投与していない非ヒト動物から採取した試料中のmiRNAの発現レベルと比較した結果、被検物質を投与した非ヒト動物から採取した試料中のmiRNAの発現レベルが、被検物質を投与していない非ヒト動物から採取した試料中の対象とするmiRNAの発現レベルよりも低い場合に、非ヒト動物に投与した被検物質を認知症の治療薬として有効であると判断することができる。逆に、被検物質を投与した非ヒト動物から採取した試料中のmiRNAの発現レベルが、被検物質を投与していない非ヒト動物から採取した試料中の対象とするmiRNAの発現レベルと同じか、より高い場合に、非ヒト動物に投与した被検物質を認知症の治療薬として有効でないと判断することができる。
==そのほかの応用例==
本発明のバイオマーカーを用いた診断方法の応用例として、認知症の治療薬のスクリーニング方法以外にも、以下のようなものがある。
例えば、認知症の薬剤をテーラーメイド医療で用いる際、ある薬物が、その患者に有効かどうかについて、バイオマーカーを用いれば簡便に知ることができる。すなわち、認知症の薬剤を投与する前後で被検体から試料を採取し、投与前後で、バイオマーカーの発現レベルを比較する。投与後のバイオマーカーの発現レベルが投与前より低下したとき、この薬剤は、この患者に対して有効であると判断し、投与後のバイオマーカーの発現レベルが投与前と同じか、より高いとき、この薬剤は、この患者に対して無効であると判断することができる。
この方法を繰り返し、複数の薬剤に対して結果を出して比較し、投与後のバイオマーカーの発現レベルが投与前より最も低下した薬剤を選択することによって、この患者に最も有効な薬剤を選択することも可能である。
ここで用いる認知症の薬剤は、公知の薬剤以外に、(−)−エピガロカテキン−3−O−カフェオエイト(EGCCA)であってもよい。EGCCAは、実施例で示すように、認知症モデル動物の症状を改善することができ、認知症の薬剤として有用である。
〔実施例1〕記憶学習試験
本実施例では、特定のmiRNAは、マウスの記憶学習能力が改善した場合に発現が減少することを示す。
1.実験方法について
(マウス)
老化促進マウスSAMP8及びSAMP8と同系統の老化抵抗マウスSAMR1を実験に用いた。
(ステップスルーテスト)
仕切ドアで仕切られた明室および暗室が通路で接続され、前記仕切ドアを開けるとマウスが明室と暗室との間で移動でき、マウスの四つの足が暗室に入った際にマウスに電気刺激が与えられる装置をステップスルーテストに使用した。
ステップスルーテストでは、まず、仕切ドアを閉じた状態の装置の明室にマウスを入れ、装置の仕切ドアを開けた。ここで、仕切ドアを開けてからマウスが暗室で電気刺激を受けるまでの時間(以下、明室滞在時間とよぶ)を測定した。この結果を各図中「獲得試行」として示す。その後24時間が経過した後に、仕切ドアを閉じた装置の明室にマウスを戻し、仕切ドアを開けた。ここで、再度、明室滞在時間を測定した。この結果を各図中「再生試行」として示す。
((−)−エピガロカテキン−3−O−カフェオエイト:EGCCAの合成方法)
EGCCA(1)は次のように合成した。(−)−エピガロカテキン(EGC(2)、0.41mmol)をアセトニトリルに溶解し、トリエチルアミン(4.94mmol)と2−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(NsCl、2.47mmol)を加え、塩化メチレンにより抽出し、濃縮後、シリカゲルに吸着させ、塩化メチレン/メタノール混合溶媒を用いて、5、7、3‘、4’、5‘−Ns−EGC(3)を収率90.6%(0.37mmol)で得た。引き続き、この化合物(0.30mmol)をアセトニトリルに溶解し、N、N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.20mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(0.20mmol)および別途合成した3、4−Ns−カフェ酸(4)(0.36mmol)を加え、反応後、N、N−ジメチル−4−アミノピリジン(0.087mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(0.13mmol)および3、4−Ns−カフェ酸(0.095mmol)を加えてさらに反応させ、反応物を塩化メチレンにより抽出し、濃縮後、ODS−HPLCにより5,7,3’、4‘、5’、3“、4” −Ns−EGCCA(5)を収率62.2%(0.19mmol)で得た。
<HPLCの条件>
カラム:Mightysil RP−18GP 20×250mm(粒子径:5μm)関東科学株式会社製
検出波長:210nm
流速:5.0mL/min
展開溶媒:24% HO+5%AcOH/MeCN+5%AcOH
Figure 2015223165
引き続き、この化合物(0.14mmol)をアセトニトリルに溶解し、炭酸セシウム(0.013mol)と2−アミノチオフェノール(0.18mol)を加え、酢酸エチルにより抽出し、濃縮後、ODS−HPLCによりEGCCA(1)を収率38.7%(0.054 mmol)で得た。
Figure 2015223165
<HPLCの条件>
カラム:Mightysil RP−18GP 20×250mm(粒子径:5μm)関東科学株式会社製
検出波長:210nm
流速:5.0mL/min
展開溶媒: HO+5%AcOH/MeCN+5%AcOH
グラディエント:
Figure 2015223165
得られたEGCCAは、H−NMRおよび13C−NMRの測定、並びに、質量分析によって、目的物であると同定した。
1H-NMR (500 MHz, CD3OD): 2.81 (1H, dd, J = 17.4, 2.2 Hz), 2.95 (1H, dd, J = 17.4, 4.8 Hz), 4.93 (1H, bs), 5.44 (1H, m), 5.94 (1H, d, J = 2.4 Hz), 5.96 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.17 (1H, d, J = 15.8 Hz), 6.49 (2H, s), 6.72 (1H, d, J = 8.2 Hz), 6.89 (1H, dd, J = 8.2, 1.9 Hz), 6.98 (1H, d, J = 1.9 Hz), 7.41 (1H, d, J = 15.8 Hz); 13C-NMR (125 MHz, CD3OD): 26.7, 69.8, 78.4, 95.8, 96.5, 99.4, 106.8 (2C), 115.1, 115.2, 116.4, 123.1, 127.8, 130.7, 133.8, 146.6, 146.7 (2C), 147.2, 149.4, 157.1, 157.8, 157.9, 168.6.
MS(ESI) :m/z : 467.6 (M-)

2.認知症症状とmiRNAの発現レベルについて
28週齢のSAMR1及びSAMP8の記憶学習能力を示す。SAMR1及びSAMP8に対するステップスルーテストの結果を図1に示す。
図1に示すように、SAMR1の再生試行の明室滞在時間は、SAMP8の再生試行の明室滞在時間と比較して有意に長く、SAMP8は認知症症状を示す。
次に、SAMR1及びSAMP8から海馬組織を採取した。そして、海馬組織をRNAlaterで1晩インキュベートして−80度で保存した。そして、miRNeasy Mini Kit(Qiagen社)を用いてトータルRNAを抽出した。
次に、各試料中のmiRNAの発現レベルをExiqon社、miRCURY LNATM microRNA Array Kitを用いて測定し、各試料間の同一のmiRNAの発現レベルについて、比較解析を行った。その結果、mmu-miR-29b-3p、mmu-miR-1983、mmu-let-7f-5p、mmu-miR-207、mmu-miR-122-5p、mmu-miR-1186b、mmu-miR-5097、及びmmu-miR-98-5pは、SAMR1の海馬組織における発現レベルと比較して、SAMP8の海馬組織における発現レベルが有意に高かった(Fold change>1.25、p<0.05、ANOVA)。このように、mmu-miR-29b-3p、mmu-miR-1983、mmu-let-7f-5p、mmu-miR-207、mmu-miR-122-5p、mmu-miR-1186b、mmu-miR-5097、及びmmu-miR-98-5pの発現レベルは、認知症症状の有無と相関している。
3.認知症症状の改善とmiRNAの発現レベルについて
4匹のSAMP8に対して10週齢から4ヶ月間0.12g/LのEGCCAを飲水投与した。その後、ステップスルーテストを行った。その結果を図2に示す。図2中、「SAMP8」はEGCCAを投与していないSAMP8の結果を示し、「SAMP8_EGCCA」はEGCCAを投与したSAMP8についての結果を示す。図2に示されるように、EGCCAを投与していないSAMP8と比較して、EGCCAを投与したSAMP8の明室滞在時間は長くなり認知症症状が改善した。
そこで、EGCCAを投与し、認知症状が改善したSAMP8と、EGCCAを投与せず、認知症状を有するSAMP8について、各miRNAの発現レベルを調べた。
各マウスから海馬組織を摘出し、海馬組織をRNAlaterで1晩インキュベートして−80度で保存した。そして、miRNeasy Mini Kit(Qiagen社)を用いてトータルRNAを抽出した。
各試料中のmiRNAの発現レベルをExiqon社、miRCURY LNATM microRNA Array Kitを用いて測定し、各試料間の同一のmiRNAの発現レベルについて比較解析を行った。表2に、EGCCAを投与し認知症状が改善したSAMP8から採取した試料中のmiRNAの発現レベルの、EGCCAを投与せず認知症状を有するSAMP8から採取した試料中のmiRNAの発現レベルに対する比(fold change)を示す。
Figure 2015223165
表2に示されるように、認知症状が改善したSAMP8の海馬組織におけるmmu-miR-1983、mmu-let-7f-5p、mmu-miR-207、mmu-miR-122-5p、mmu-miR-1186b、mmu-miR-5097、mmu-miR-29b-3p、及びmmu-miR-98-5pの発現レベルは、認知症状を有するSAMP8の海馬組織におけるこれらのmiRNAの発現レベルと比較して、有意に低い(p<0.05、ANOVA)。
このように、mmu-miR-1983、mmu-let-7f-5p、mmu-miR-207、mmu-miR-122-5p、mmu-miR-1186b、mmu-miR-5097、mmu-miR-29b-3p、及びmmu-miR-98-5p の発現レベルは、認知症症状の改善に伴い減少する。

Claims (6)

  1. miR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、 miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる配列を有するマイクロRNAからなる、認知症のバイオマーカー。
  2. 認知症のバイオマーカーの測定方法であって、
    認知症の非ヒト動物に被検物質を投与する工程と、
    前記被検物質を投与した前記非ヒト動物から採取した試料中のmiR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる配列を有する1又は2以上のマイクロRNAの発現レベルを測定する工程と、を有する方法。
  3. 前記非ヒト動物がマウスである、請求項2に記載の認知症のバイオマーカーの測定方法。
  4. 認知症の治療薬のスクリーニング方法であって、
    被検物質を投与した認知症の非ヒト動物から採取した試料中のmiR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる配列を有する1又は2以上のマイクロRNAの第1の発現レベルと、前記被検物質を投与していない認知症の非ヒト動物から採取した試料中の前記マイクロRNAの第2の発現レベルとを比較する工程と、
    前記第1の発現レベルが、前記第2の発現レベルよりも低い場合に、前記被検物質を認知症の治療に有効であると判断し、前記第1の発現レベルが、前記第2の発現レベルと同じか、より高い場合に、前記被検物質を認知症の治療に有効でないと判断する工程と、を有する方法。
  5. 前記非ヒト動物がマウスである、請求項4に記載の認知症のバイオマーカーの測定方法。
  6. 被験者から採取した試料中のmiR-1983、let-7f-5p、miR-207、miR-122-5p、miR-1186b、miR-5097、miR-29b-3p、及びmiR-98-5pからなる群から選ばれる配列を有する1又は2以上のマイクロRNAの第1の発現レベルを測定し、認知症の患者から採取した試料中の前記マイクロRNAの第2の発現レベルよりも前記第1の発現レベルが低い場合には、前記被験者から採取した試料が認知症のヒトから採取した試料ではなく、前記第1発現レベルが前記第2の発現レベルと同じか、より高い場合には、前記被験者から採取した試料が認知症のヒトから採取した試料であるという基準で、前記第1の発現レベルを前記第2の発現レベルと比較することにより、前記試料が、認知症患者から採取した試料であるか、健康人から採取した試料であるかを判定する方法。
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