JP2015223124A - イソプレンオリゴマー、ポリイソプレン、及びこれらの製造方法、ゴム組成物、並びに空気入りタイヤ - Google Patents

イソプレンオリゴマー、ポリイソプレン、及びこれらの製造方法、ゴム組成物、並びに空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】実質的に分子の末端部分のみに変性が加えられたイソプレンオリゴマー、ポリイソプレンの提供。また、該イソプレンオリゴマー及び/又は該ポリイソプレンを配合したゴム組成物、並びに該ゴム組成物をタイヤの各部材(トレッド、サイドウォール等)に用いた空気入りタイヤの提供。【解決手段】下記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているイソプレンオリゴマー。前記イソプレンオリゴマーをポリマー鎖の端部に有するポリイソプレン。(nは1〜10の整数,mは1〜30の整数、Yは水酸基、ホルミル基、カルボキシル基、エステル基カルボニル基または二リン酸基)【選択図】なし

Description

本発明は、イソプレンオリゴマー、ポリイソプレン、及びこれらの製造方法、イソプレンオリゴマー及び/又はポリイソプレンを含むゴム組成物、並びに該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
従来より、ゴム製品においては、本来的にゴムが有する特性に対して新たな特性を付与することを目的として、その用途に応じて様々な材質や形状の充填剤等をゴム組成物中に導入することで、所望の特性を発現させることが行われている。例えば、自動車用のタイヤにおいては、有機物であるゴム相の中にシリカ、カーボンブラック等の充填剤を導入し、耐摩耗性、低発熱性、ウェットグリップ性能などの特性の向上が図られている。
このようなゴム組成物においてゴム相に対して充填剤等を混合する際には、両者の親和性を高め、低発熱性やウェットグリップ性能等をより向上させる目的で、ゴム相に含まれるゴム分子に対して、例えば、チッ素原子含有基を有し、かつクロロスルフェニル基を有する化合物を反応させる処理等を行い、充填剤に対して親和性を示す官能基をゴム分子内に導入した変性ゴム(変性ジエン系重合体)を使用することが行われていた(例えば、特許文献1、2)。
しかしながら、ゴム分子に所定の官能基を導入する方法によっては、ゴム分子内の所定の位置に当該官能基を導入することが困難である結果、特にゴム分子を成す主鎖のランダムな位置に官能基が導入されることが知られている。このように主鎖に所定の官能基が導入されたゴム分子を用いた場合、ゴム分子と充填剤の結合状態がランダムとなって所望の効果が得られ難くなるばかりでなく、当該官能基が導入された箇所においてはゴムとしての特性が低下する結果、ゴム全体としての特性が損なわれるという問題があった。
特開2000−001573号公報 特開2000−001575号公報
本発明は、前記課題を解決し、実質的に分子の末端部分のみに変性が加えられたイソプレンオリゴマー、ポリイソプレンを提供することを目的とする。また、該イソプレンオリゴマー及び/又は該ポリイソプレンを配合したゴム組成物、並びに該ゴム組成物をタイヤの各部材(例えば、トレッド、サイドウォール)に用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1)で表されるイソプレンオリゴマーであって、下記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているイソプレンオリゴマーに関する。
Figure 2015223124
(式(1)中、nは1〜10の整数を表す。mは1〜30の整数を表す。Yは、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、エステル基、カルボニル基又は下記式(2)で表される基を表す。)
Figure 2015223124
下記式(1−1)中のI−II部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団に置換され、下記式(1−1)中のI−III部分に含まれる原子又は原子団は置換されていないことが好ましい。
Figure 2015223124
上記式(1)中のI−I部分が下記式(a)〜(j)のいずれかであることが好ましい。
Figure 2015223124
上記イソプレンオリゴマーは、下記式(3)で表され、下記式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているアリル性二リン酸と、イソペンテニル二リン酸から生合成されて得られることが好ましい。
Figure 2015223124
(式(3)中、pは1〜10の整数を表す。)
上記生合成をプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を用いて行うことが好ましい。
上記プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素が、以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質であることが好ましい。
[1]配列番号2,4,6,8,10,12,14のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2]配列番号2,4,6,8,10,12,14のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列において、1〜25個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含む配列からなり、かつ下記式(3)で表され、下記式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているアリル性二リン酸と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を有する蛋白質
[3]配列番号2,4,6,8,10,12,14のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ下記式(3)で表され、下記式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているアリル性二リン酸と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を有する蛋白質
Figure 2015223124
(式(3)中、pは1〜10の整数を表す。)
本発明はまた、下記式(3)で表され、下記式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているアリル性二リン酸と、イソペンテニル二リン酸から生合成する上記イソプレンオリゴマーの製造方法に関する。
Figure 2015223124
(式(3)中、pは1〜10の整数を表す。)
上記生合成をプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を用いて行うことが好ましい。
本発明はまた、下記式(4)で表されるポリイソプレンであって、下記式(4)中のII−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているポリイソプレンに関する。
Figure 2015223124
(式(4)中、nは1〜10の整数を表す。mは1〜30の整数を表す。qは30〜40000の整数を表す。Yは、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、エステル基、カルボニル基又は下記式(2)で表される基を表す。)
Figure 2015223124
下記式(4−1)中のII−II部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団に置換され、下記式(4−1)中のII−III部分に含まれる原子又は原子団は置換されていないことが好ましい。
Figure 2015223124
上記式(4)中のII−I部分が下記式(a)〜(j)のいずれかであることが好ましい。
Figure 2015223124
上記ポリイソプレンは、上記イソプレンオリゴマーと、イソペンテニル二リン酸から生合成されて得られることが好ましい。
本発明はまた、上記イソプレンオリゴマーと、イソペンテニル二リン酸から生合成する上記ポリイソプレンの製造方法に関する。
本発明はまた、上記イソプレンオリゴマー及び/又は上記ポリイソプレンを含むゴム組成物に関する。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明のイソプレンオリゴマーは、上記式(1)で表されるイソプレンオリゴマーであって、上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているイソプレンオリゴマーである。また、本発明のポリイソプレンは、上記式(4)で表されるポリイソプレンであって、上記式(4)中のII−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているポリイソプレンである。従って、本発明のイソプレンオリゴマー、及び本発明のポリイソプレンは、実質的に分子(ゴム分子)の末端部分のみに硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団による変性が加えられており、分子(ゴム分子)が本来有する特性を阻害されることなくシリカ等の充填剤との親和性に優れる。よって、本発明のイソプレンオリゴマー及び/又は本発明のポリイソプレンをゴム組成物に配合することにより、従来よりも高い次元でゴム分子と充填剤が複合したゴム組成物が得られ、例えば、低発熱性、ウェットグリップ性能(特に、耐摩耗性)に優れたゴム組成物を提供できる。また、該ゴム組成物をタイヤの各部材(例えば、トレッド、サイドウォール)に使用することにより、例えば、低発熱性、ウェットグリップ性能(特に、耐摩耗性)に優れた空気入りタイヤを提供することができる。
人工的にゴム分子(ポリイソプレン)を生合成する工程においては、ファルネシル二リン酸(FPP)等の開始基質とイソペンテニル二リン酸等のモノマーの混合物にプレニルトランスフェラーゼ等の酵素を作用させることで、開始基質に対して1〜8個程度のイソプレン単位が付加重合したイソプレンオリゴマーが生成する。その後、当該イソプレンオリゴマーに対して更にイソペンテニル二リン酸を付加重合する酵素を含有するラテックス成分を混合することで、オリゴマーに対して多数のイソペンテニル二リン酸が連なったポリイソプレンが生成することが知られている。
このように、開始基質に対してモノマーを順次結合させてゴム分子とする各過程においては、天然の酵素による付加重合が不可欠である。
このため、ゴム分子(ポリイソプレン)を生合成する際の開始基質やモノマーとしては、当該使用する酵素が反応を触媒するものを使用する必要がある結果、ゴム分子(ポリイソプレン)の原料として使用される開始基質やモノマーの構造が限定されていた。特に開始基質に関しては、オリゴマーを生成させるための酵素に起因する制限により、天然に存在するジメチルアリル二リン酸、ゲラニル二リン酸、ファルネシル二リン酸、ゲラニルゲラニル二リン酸等に限定されていた。
この結果、人工的に生合成されるゴム分子(ポリイソプレン)においても、その構造の自由度が限定され、天然ゴムにない機能性を付加するための自由な分子設計が困難であった。
このため、例えば、官能基等が導入されたゴム分子(ポリイソプレン)を得たい場合には、原料として合成ゴムを用いる場合と同様に、一旦生合成されたゴム分子(ポリイソプレン)に対して、例えば、チッ素原子含有基を有し、かつクロロスルフェニル基を有する化合物を反応させる処理等を行い、充填剤に対して親和性を示す官能基をゴム分子内に導入されていた。
これに対し、本発明はイソプレンオリゴマーやポリイソプレンを製造する際の開始基質として構造の一部が変性されたファルネシル二リン酸等を使用することで、末端部に機能性を付加したイソプレンオリゴマーやポリイソプレンの製造が可能であることを見出したことに基づくものである。
特に、本発明は天然に存在する開始基質であるファルネシル二リン酸等に対して下記式(I)のI部分の構造を維持することで、その他の部分に所望の構造を導入した場合であっても、天然に存在するオリゴマー生成酵素であるプレニルトランスフェラーゼや、その一部を変異した酵素を用いることで、イソプレンオリゴマーが生成可能であることを見出したことに基づくものである。この理由は必ずしも明らかではないが、プレニルトランスフェラーゼが開始基質の下記式(I)のI部分の構造に吸着を生じ、他の部分の構造には比較的鈍感であるためと考えられる。
Figure 2015223124
当該知見に基づけば、所望の特性を有する末端部を有するイソプレンオリゴマーやポリイソプレンを提供することが可能となり、イソプレンオリゴマーやポリイソプレン自体の特性を損なうことなく、様々な機能を付加したイソプレンオリゴマーやポリイソプレンを提供することが可能となる。
更に、本発明者らは、上記知見に加えて、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団による変性を末端部に加えたイソプレンオリゴマーやポリイソプレンをゴム組成物に配合することにより、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団による変性以外の変性を末端部に加えたイソプレンオリゴマーやポリイソプレンをゴム組成物に配合した場合に比べて、より高い次元でゴム分子と充填剤が複合したゴム組成物が得られ、例えば、低発熱性、耐摩耗性、破断時伸び、破断強度、ウェットグリップ性能(特に、耐摩耗性)により優れたゴム組成物を提供できることを見出した。
(イソプレンオリゴマー)
本発明のイソプレンオリゴマーは、下記式(1)で表されるイソプレンオリゴマーであって、下記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されている。また、本明細書において、下記式(2)で表される基は、リン原子に結合する3個の水酸基を有しているが、水溶液中では、これらの水酸基の一部又は全部が解離する(例えば、下記式(5)で表される基となる)。本明細書において、下記式(2)で表される基とは、このような水酸基の一部又は全部が解離している基も含む概念である。
Figure 2015223124
(式(1)中、nは1〜10の整数を表す。mは1〜30の整数を表す。Yは、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、エステル基、カルボニル基又は下記式(2)で表される基を表す。)
Figure 2015223124
Figure 2015223124
本発明のイソプレンオリゴマーは、天然ゴムに近い構造を有しており、ゴム分子との相溶性が高い。また、本発明のイソプレンオリゴマーは、実質的に分子の末端部分のみに硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団による変性が加えられている。すなわち、本発明のイソプレンオリゴマーは、一方の末端(重合停止末端)に位置する水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、エステル基、カルボニル基又は上記式(2)で表される基を有し、さらに、もう一方の末端(重合開始末端)に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているため、イソプレンオリゴマーが本来有する特性を阻害されることなくシリカ等の充填剤との相互作用が強い。このように、本発明のイソプレンオリゴマーは、ゴムとの相溶性が高く、さらに、シリカ等の充填剤との相互作用が強いため、ゴム組成物に配合することにより、従来よりも高い次元でゴム分子と充填剤が複合したゴム組成物が得られ、例えば、ゴム組成物の低発熱性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性(特に、耐摩耗性)を向上できる。
本発明のイソプレンオリゴマーは、重合開始末端や重合停止末端に近い部分にのみ極性基等が存在する。そのため、主鎖部分に極性基等を有する場合や重合停止末端部分のみに極性基等を有する場合に比べて、イソプレンオリゴマーが本来有する特性を阻害されることなくシリカ等の充填剤の分散性が高く、例えば、低発熱性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性(特に、耐摩耗性)の向上効果が高い。
また、本発明のイソプレンオリゴマーは、優れた抗菌活性を示す。これは、イソプレンオリゴマーを構成する上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているため、自然界に存在する通常のイソプレンオリゴマーと構造が異なり、菌が有する酵素もしくは補酵素の阻害、核酸合成の阻害、細胞膜合成の阻害、細胞質膜の合成の阻害、細胞膜の破壊、細胞質膜の破壊等の作用を有するためであると推測される。
式(1)のnは1〜10(好ましくは1〜4、より好ましくは2〜3)の整数を表す。
式(1)のmは1〜30(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜5)の整数を表す。
式(1)のYは、水酸基(−OH)、ホルミル基(−CHO)、カルボキシ基(−COOH)、エステル基(−COOR)、カルボニル基(―COR)又は上記式(2)で表される基を表す。
エステル基(−COOR)、カルボニル基(―COR)のRは、炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜17)のアルキル基を表す。炭素数1〜30のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられる。
式(1)のYとしては、優れた抗菌性を示すこと、及びシリカ等の充填剤との相互作用が強いことから、水酸基、カルボキシ基が好ましい。
本発明のイソプレンオリゴマーは、上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されている。なお、本発明のイソプレンオリゴマーは、上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されていればよく、上記置換に加えて、上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団が、更に硫黄原子以外の原子や他の原子団により置換されていてもよい。
上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団(置換される前の原子又は原子団)としては、例えば、水素原子、メチル基、メチレン基、炭素原子、メチン基等が挙げられる。
上記硫黄原子を含む原子団としては、例えば、メルカプト基、硫黄原子を含む環状構造を有する基(例えば、下記式(s−1)〜(s−5)で表される基)等が挙げられる。なかでも、硫黄原子を含む環状構造を有する基が好ましく、硫黄原子を含む飽和の環状構造を有する基がより好ましく、下記式(s−1)〜(s−5)で表される基が更に好ましく、下記式(s−1)で表される基が特に好ましい。なお、硫黄原子を含む環状構造とは、硫黄原子が環の一部を形成している環状構造を意味する。環状構造中、硫黄原子の数は、好ましくは1〜3、炭素原子の数は、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜5である。
Figure 2015223124
上記硫黄原子以外の原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、炭素原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子が好ましい。すなわち、本発明のイソプレンオリゴマーは、上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団が、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されていると共に、更に酸素原子により置換されていることが好ましい。
上記他の原子団としては、例えば、エーテル基、アセトキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基、より好ましくはメトキシ基)、水酸基、アリール基(好ましくはフェニル基)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、より好ましくはエチル基、tert−ブチル基)、アセチル基、N−アルキルーアセトアミノ基(アルキルの炭素数は好ましくは1〜5)、アジド基等が挙げられる。なかでも、アルコキシ基、エーテル基、アルキル基が好ましい。すなわち、本発明のイソプレンオリゴマーは、上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団が、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されていると共に、更にアルコキシ基、エーテル基、及びアルキル基からなる群より選択される少なくとも1種の基(特に、エーテル基)により置換されていることが好ましい。
本発明のイソプレンオリゴマーは、上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているが、当該置換は、上記式(1)中のI−I部分のイソプレン単位の繰り返し部のうち、下記式(1−1)中のI−II部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団に置換され、下記式(1−1)中のI−III部分に含まれる原子又は原子団は置換されていないことが好ましい。これは、本発明者らが天然に存在する開始基質であるファルネシル二リン酸等に対して上記式(I)のI部分の構造を維持することで、その他の部分に所望の構造を導入した場合であっても、天然に存在するオリゴマー生成酵素であるプレニルトランスフェラーゼや、その一部を変異した酵素を用いることで、イソプレンオリゴマーが生成可能であることを見出したことに基づくものである。
Figure 2015223124
(式(1−1)中のn、m、Yは式(1)中のn、m、Yと同一である。)
上記式(1)中のI−I部分の具体例としては、例えば、下記式(a)〜(j)で表される構造が挙げられる。なかでも、低発熱性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性(特に、耐摩耗性)の向上効果が高いという理由から、下記式(e)、(j)で表される構造が好ましい。
Figure 2015223124
(イソプレンオリゴマーの製造方法)
本発明のイソプレンオリゴマーの製造方法としては、例えば、下記式(3)で表され、下記式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているアリル性二リン酸(以下では、アリル性二リン酸誘導体ともいう)と、イソペンテニル二リン酸から生合成する方法が挙げられる。また、本明細書において、アリル性二リン酸誘導体は、リン原子に結合する3個の水酸基を有しているが、水溶液中では、これらの水酸基の一部又は全部が解離する(例えば、上記式(5)で表される基のようになる)。本明細書において、アリル性二リン酸誘導体とは、このような水酸基の一部又は全部が解離している化合物も含む概念である。
Figure 2015223124
(式(3)中、pは1〜10の整数を表す。)
式(3)のpは1〜10(好ましくは1〜4、より好ましくは2〜3)の整数を表す。
本明細書において、式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団(置換される前の原子又は原子団)としては、上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団(置換される前の原子又は原子団)と同様のものが挙げられる。
本明細書において、式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の置換は、上記式(1)について説明した置換と同様である。
なお、置換は、上述の通り、上記式(I)のI部分の構造を維持するように置換されていることが好ましい。すなわち、下記式(3−1)中のIV部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが置換され、下記式(3−1)中のV部分に含まれる原子又は原子団は置換されていないことが好ましい。これにより、天然に存在するオリゴマー生成酵素であるプレニルトランスフェラーゼや、その一部を変異した酵素を用いることで、イソプレンオリゴマーが好適に製造可能である。
Figure 2015223124
(式(3−1)中のpは式(3)中のpと同一である。)
アリル性二リン酸誘導体の具体例としては、例えば、下記式(A)〜(J)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015223124
なお、本明細書において、OPPは、リン原子に結合する3個の水酸基を有しているが、水溶液中では、これらの水酸基の一部又は全部が解離する(例えば、上記式(5)で表される基となる)。本明細書において、OPPとは、このような水酸基の一部又は全部が解離している基も含む概念である。
上記式(A)〜(J)などで表されるアリル性二リン酸誘導体は、例えば、ジメチルアリル二リン酸、ゲラニル二リン酸、ファルネシル二リン酸、ゲラニルゲラニル二リン酸、ゲラニオール、ファルネソール、ゲラニルゲラニオール等から、実施例に記載の方法を参考に当業者であれば製造できる。
アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸とから本発明のイソプレンオリゴマーを生合成する方法としては、例えば、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を用いて行う方法が挙げられる。具体的には、アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸とをプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素の存在下に反応させればよい。
なお、本明細書において、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素とは、アリル性基質(アリル性二リン酸)とイソペンテニル二リン酸との間の縮合反応を触媒し、イソプレン単位が1単位増えた新たなアリル性二リン酸を合成することにより、アリル性基質(アリル性二リン酸)に順次イソペンテニル二リン酸を連結していく反応を触媒する活性を有する酵素を意味する。例えば、以下の反応を触媒する酵素が挙げられる。
Figure 2015223124
上記プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は、既に多くの存在が確認されている。プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素としては、例えば、ゲラニル二リン酸合成酵素、ファルネシル二リン酸合成酵素、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素、Z−ノナプレニル二リン酸合成酵素(Ishii,K.et al.,(1986)Biochem,J.,233,773.)、ウンデカプレニル二リン酸(UPP)合成酵素(Takahashi,I.and Ogura,K.(1982)J.Biochem.,92,1527.;Keenman,M.V.and Allen,C.M.(1974)Arch.Biochem.Biophys.,161,375.)等が挙げられる。各々の酵素により生成できる最大のイソプレン単位の数(上記式(1)のm)が決まっているため、目的のイソプレン単位数(上記式(1)のm)に応じて使用する酵素を変更すればよい。
上記プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素は全ての生物種が有するが、例えば、ミクロコッカス・ルテウスB−P26(Micrococcus luteus B−P26)、エシェヒリア・コリ(Escherichia coli)、サッカロマイセス・セレビジア(Saccharomyces cerevisiae)、アラビドプシス・サリアーナ(Arabidopsis thaliana)、ヘベア・ブラジリエンシス(Hevea brasiliensis)、ペリプロカ・セピウム(Periploca sepium)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bachilus Stearothermophilus)、スルフォロバス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius、ATCC49426)等が挙げられる。
アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸とをプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素の存在下に反応させることにより、本発明のイソプレンオリゴマーが得られる。プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素の存在下とは、上記生物の培養物、該培養物より分離した生物体、該生物体の処理物、該培養物若しくは該生物体から精製した酵素、遺伝子工学的手法によりプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素(この酵素には後述の変異型酵素も含まれる)を発現するように形質転換された生物体(形質転換体)の培養物、該培養物より分離した生物体、該生物体の処理物、該培養物若しくは該生物体から精製した酵素等が存在する状況を意味する。
なお、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を発現するように形質転換された生物体とは、従来公知の遺伝子工学的手法により作製された形質転換体であって、作製方法は、後述する。
上記生物の生物体を得るには、当該生物を適当な培地で培養すればよい。このための培地はその生物が増殖し得るものであれば特に制限はなく、通常の炭素源、窒素源、無機イオン、更に必要に応じ有機栄養源を含む通常の培地でよい。
例えば、炭素源としては上記生物が利用可能であればいずれも使用でき、具体的には、グルコース、フラクトース、マルトース、アミロース等の糖類、ソルビトール、エタノール、グリセロール等のアルコール類、フマル酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸類及びこれらの塩類、パラフィンなどの炭水化物類あるいはこれらの混合物などを使用することができる。
窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどの無機塩のアンモニウム塩、フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムなどの有機酸のアンモニウム塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの硝酸塩、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカーなどの有機窒素化合物あるいはこれらの混合物を使用することができる。
他に無機塩類、微量金属塩、ビタミン類、ホルモン等、通常の培地に用いられる栄養源を適宜混合して用いることができる。
培養条件にも格別の制限はなく、例えば、好気的条件下にてpH5〜8、温度20〜60℃の範囲でpHおよび温度を適当に制限しつつ12〜480時間程度培養を行えばよい。
上記生物の培養物とは、例えば、上述の培養条件にて上記生物を培養した培養液や、該培養液から生物(生物体)をろ過等により分離した培養ろ液(培養上澄液)等が挙げられる。また、上記培養物より分離した生物体とは、例えば、培養液からろ過や遠心分離等により分離された生物体(生物)等が挙げられる。
上記生物体の処理物とは、例えば、上記培養物より分離した生物体をホモジナイズした生物体破砕物、超音波処理した生物体破砕物等が挙げられる。
上記培養物又は上記生物体から精製した酵素とは、例えば、上記培養物又は上記生物体に存在する酵素を塩析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等の公知の精製操作を行うことにより得られる酵素である。なお、精製酵素の純度は、特に限定されない。
アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸とをプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素の存在下に反応させることにより、本発明のイソプレンオリゴマーが得られるが、具体的には、例えば、アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸とを含む溶液中に上記生物体の培養物や精製酵素等を添加することにより反応を行えばよい。また、反応温度は、例えば、20〜60℃、反応時間は、例えば、1〜16時間、pHは、例えば5〜8とすればよい。また、必要に応じて、塩化マグネシウム、界面活性剤、2−メルカプトエタノール等を添加してもよい。
上記反応により得られる本発明のイソプレンオリゴマーは、通常、上記式(1)のYが上記式(2)で表される基又は水酸基である。この水酸基は上記式(2)で表される基が加水分解されることにより生じる。
また、上記式(1)のYがホルミル基であるイソプレンオリゴマーは、例えば、上記式(1)のYが上記式(2)で表される基であるイソプレンオリゴマーを酸化することにより得られる。
また、上記式(1)のYがカルボキシ基であるイソプレンオリゴマーは、例えば、上記式(1)のYが上記式(2)で表される基であるイソプレンオリゴマーを酸化することにより得られる。
また、上記式(1)のYがエステル基であるイソプレンオリゴマーは、例えば、上記式(1)のYが上記式(2)で表される基であるイソプレンオリゴマーを酸化、エステル化することにより得られる。
また、上記式(1)のYがカルボニル基であるイソプレンオリゴマーは、例えば、上記式(1)のYが上記式(2)で表される基であるイソプレンオリゴマーを酸化、エステル化することにより得られる。
本発明のイソプレンオリゴマーは、開始基質であるアリル性二リン酸誘導体を有機合成する以外は、生合成により得られるため、石油資源の枯渇や環境問題に配慮できる。
上記式(1)、上記式(1−1)において、I−I部分が開始基質であるアリル性二リン酸誘導体に由来する構造に対応し、()部分が酵素反応により伸長した部分の構造に対応する。
(プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素)
次に、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素について説明する。
上記生物が有するプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素の一例として、Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素の塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号1,2に、Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素の塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号3,4に示す。
上記生物が有する酵素(プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素)の本来の基質(開始基質)は、アリル性二リン酸である。そして、本発明において開始基質として使用する上記アリル性二リン酸誘導体は、本来、上記生物が生産する酵素の阻害剤として機能するものである。従って、上記生物が生産する酵素では、上記アリル性二リン酸誘導体に対する酵素活性が低い場合が多い。そのため、本発明では、上記アリル性二リン酸誘導体に対する酵素活性を向上させた変異型酵素を使用することが好ましい。
変異型酵素を使用する場合には、遺伝子工学的手法により、変異型酵素を発現するように形質転換された生物体(形質転換体)を作製すればよい。
本発明者らは、上記Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素及びSulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素の変異型酵素を作製し、上記アリル性二リン酸誘導体に対する酵素活性を向上させることに成功した。
本発明者らは、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素(特に、ファルネシル二リン酸合成酵素、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素)において、1番目のアスパラギン酸リッチドメインの5残基上流に位置するアミノ酸残基を他のアミノ酸残基、特に、親水性のアミノ酸残基(好ましくは、グリシン、セリン、アルギニン、アスパラギン酸)に置換することにより、上記アリル性二リン酸誘導体に対する酵素活性を増大できることを見出した。上記アリル性二リン酸誘導体は、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団が導入されているため、アリル性二リン酸よりも極性が高い。そのため、上記アリル性二リン酸誘導体に含まれる硫黄原子等の極性の高い部分の近傍に位置するアミノ酸の疎水度を低減することにより、活性が向上するものと推測される。なお、本明細書において、アスパラギン酸リッチドメイン(First Aspartate−Rich Motif:FARMともいう)とは、ファルネシル二リン酸合成酵素やゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素等のトランス型プレニルニリン酸合成酵素に共通して存在するアスパラギン酸に富んだ2つの領域のうち、上流部位を意味する。
FARM配列の具体例としては、例えば、配列番号2に記載のアミノ酸配列(Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素のアミノ酸配列)の86位から92位までのアミノ酸配列、配列番号4に記載のアミノ酸配列(Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素のアミノ酸配列)の82位から86位までのアミノ酸配列に見られるDDLPSD、DDIMDからなるアミノ酸配列が挙げられる。
具体的には、以下の(1)、(2)のいずれかの変異を行うことが好ましい。
(1)Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素の81位のチロシンをアルギニン、セリン、又はアスパラギン酸に置換
(2)Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素の77位のフェニルアラニンをグリシン、又はセリンに置換
具体的には、以下の変異型酵素を作製した。
変異型酵素Y81R:Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素の81位のチロシンをアルギニンに置換(塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号5,6に示す)
変異型酵素Y81S:Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素の81位のチロシンをセリンに置換(塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号7,8に示す)
変異型酵素Y81D:Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素の81位のチロシンをアスパラギン酸に置換(塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号9,10に示す)
変異型酵素F77G:Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素の77位のフェニルアラニンをグリシンに置換(塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号11,12に示す)
変異型酵素F77S:Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素の77位のフェニルアラニンをセリンに置換(塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号13,14に示す)
変異型酵素のなかでも、Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素のY81D、Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素のF77Gが好ましい。
ここでは、野生型の酵素としてBachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素及びSulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素を用いる場合について説明したが、他のプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を野生型の酵素として用いた場合であっても、同様の手法により変異型酵素を作製できる。
プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素の具体例としては、下記[1]が挙げられる。
[1]配列番号2,4,6,8,10,12,14のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
また、酵素は、元のアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含む場合であっても酵素活性を有する場合があることが知られている。従って、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素の具体例としては、下記[2]も挙げられる。
[2]配列番号2,4,6,8,10,12,14のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列において、1〜25個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含む配列からなり、かつ下記式(3)で表され、下記式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているアリル性二リン酸(アリル性二リン酸誘導体)と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を有する蛋白質
Figure 2015223124
(式(3)中、pは1〜10の整数を表す。)
なお、アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を維持するためには、1〜25個のアミノ酸、好ましくは1〜12個のアミノ酸、より好ましくは1〜5個のアミノ酸、更に好ましくは1〜3個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含むアミノ酸配列であることが好ましい。
また、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素のアミノ酸配列と配列同一性の高いアミノ酸配列を有する蛋白質も同様の活性を有する場合があることが知られている。従って、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素の具体例としては、下記[3]も挙げられる。
[3]配列番号2,4,6,8,10,12,14のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつアリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を有する蛋白質
なお、アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を維持するためには、配列番号2,4,6,8,10,12,14のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列との配列同一性は、90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上である。
アミノ酸配列や塩基配列の配列同一性は、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST[Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)]やFASTA[Methods Enzymol., 183, 63 (1990)]を用いて決定することができる。
アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を有する蛋白質であることを確認する方法としては、例えば、従来公知の方法により、当該蛋白質を発現する形質転換体を作製し、該形質転換体を用いて当該蛋白質を製造する。そして、当該蛋白質を使用して、アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒できるか否かをHPLC(High Performance Liquid Chromatography)、TLC(Thin−Layer Chromatography)等により基質又は生成物の定量、定性を行うことにより確認する方法が挙げられる。
(プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードするDNA)
また、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードするDNAとしては、下記[1]〜[3]が挙げられる。
[1]上記[1]〜[3]の蛋白質をコードするDNA
[2]配列番号1,3,5,7,9,11,13のいずれかの配列番号で表される塩基配列からなるDNA
[3]配列番号1,3,5,7,9,11,13のいずれかの配列番号で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を有する蛋白質をコードするDNA
ここでいう「ハイブリダイズする」とは、特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部にDNAがハイブリダイズする工程である。したがって、該特定の塩基配列を有するDNAまたは該DNAの一部の塩基配列は、ノーザンまたはサザンブロット解析のプローブとして有用であるか、またはPCR(Polymerase Chain Reaction)解析のオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できる長さのDNAであってもよい。プローブとして用いるDNAとしては、少なくとも100塩基以上、好ましくは200塩基以上、より好ましくは500塩基以上のDNAをあげることができるが、少なくとも10塩基以上、好ましくは15塩基以上のDNAであってもよい。
DNAのハイブリダイゼーション実験の方法はよく知られており、例えばモレキュラー・クローニング第2版、第3版(2001年)、Methods for General and Molecular Bacteriology, ASM Press(1994)、Immunology methods manual, Academic press(Molecular)に記載の他、多数の他の標準的な教科書に従ってハイブリダイゼーションの条件を決定し、実験を行うことができる。
上記のストリンジェントな条件とは、例えばDNAを固定化したフィルターとプローブDNAとを50%ホルムアミド、5×SSC(750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%の硫酸デキストラン、および20μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で42℃で一晩、インキュベートした後、例えば約65℃の0.2×SSC溶液中で該フィルターを洗浄する条件をあげることができるが、より低いストリンジェント条件を用いることもできる。ストリンジェンな条件の変更は、ホルムアミドの濃度調整(ホルムアミドの濃度を下げるほど低ストリンジェントになる)、塩濃度および温度条件の変更により可能である。低ストリンジェント条件としては、例えば6×SSCE(20×SSCEは、3mol/lの塩化ナトリウム、0.2mol/lのリン酸二水素ナトリウム、0.02mol/lのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、100μg/lの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で、37℃で一晩インキュベートした後、50℃の1×SSC、0.1%SDS溶液を用いて洗浄する条件をあげることができる。また、さらに低いストリンジェントな条件としては、上記した低ストリンジェント条件において、高塩濃度(例えば5×SSC)の溶液を用いてハイブリダイゼーションを行った後、洗浄する条件をあげることができる。
上記した様々な条件は、ハイブリダイゼーション実験のバックグラウンドを抑えるために用いるブロッキング試薬を添加、または変更することにより設定することもできる。上記したブロッキング試薬の添加は、条件を適合させるために、ハイブリダイゼーション条件の変更を伴ってもよい。
上記したストリンジェントな条件下でハイブリダイズ可能なDNAとしては、例えばBLASTおよびFASTA等のプログラムを用いて、上記パラメータに基づいて計算したときに、配列番号1,3,5,7,9,11,13のいずれかの配列番号で表される塩基配列と少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の配列同一性を有する塩基配列からなるDNAをあげることができる。
上記したDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAが、アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を有する蛋白質をコードするDNAであることは、従来公知の方法により、該DNAを発現する組換え体DNAを作製し、該組換え体DNAを宿主細胞に導入して得られる生物体を培養し、得られる培養物から該蛋白質を精製する。そして、当該蛋白質を使用して、アリル性二リン酸誘導体と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒できるか否かをHPLC、TLC等により基質又は生成物の定量、定性を行うことにより確認する方法が挙げられる。
なお、変異型酵素及び該変異型酵素をコードするDNAは、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987−1997)、Nucleic Acids Research, 10, 6487(1982)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409(1982) 、Gene, 34, 315 (1985) 、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985) 、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985) 等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、例えば配列番号1で表される塩基配列(Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素の塩基配列)や配列番号3で表される塩基配列(Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素の塩基配列)に部位特異的変異を導入することにより、取得することができる。
(形質転換体)
次に、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を発現するように形質転換された生物体(形質転換体)の作製方法について簡単に説明する。ここでは、主として上記変異型酵素を発現するように形質転換された形質転換体の作製方法について簡単に説明する。このような形質転換体は、上記設計思想が決定すれば、従来公知の方法により作製することができる。
変異を導入する場合には、まず、目的の部位に変異を導入できるように、プライマーを設計する。プライマーの塩基配列は、例えば、実施例に記載の塩基配列等が挙げられる。次に、例えば配列番号1で表される塩基配列(Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素の塩基配列)を含むDNAを鋳型DNAとして、上記プライマーを用いてPCR法等により変異が導入された直鎖状のDNAを増幅する。そして、得られた直鎖状のDNAを適当な制限酵素等を用いて適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入し、組換え体DNAを作製する。そして、該組換え体DNAを該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、形質転換体を得ることができる。
また、例えば、適当な発現ベクターのプロモーターの下流に、配列番号1で表される塩基配列(Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素の塩基配列)を含むDNAを適当な制限酵素等を用いて挿入し、該発現ベクターを鋳型DNAとして、上記プライマーを用いてPCR法等により変異が導入されたDNAをポリメラーゼにより環状にし、組換え体DNAを作製する。そして、該組換え体DNAを該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、形質転換体を得ることができる。
なお、変異を導入しない場合には、例えば、適当な発現ベクターのプロモーターの下流に、配列番号1で表される塩基配列(Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素の塩基配列)を含むDNAを適当な制限酵素等を用いて挿入し、組換え体DNAを作製する。そして、該組換え体DNAを該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、形質転換体を得ることができる。
また、上記説明では、既知の配列番号1で表される塩基配列(Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素の塩基配列)を含むDNAを用いる場合について説明したが、上記生物由来の他のプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素、若しくは上記生物以外の生物由来のプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードするDNAを用いてもよい。この場合には、公知の手法により、例えば、配列番号1で表される塩基配列の一部をプローブとして用いて、スクリーニングすることにより、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードするDNAを特定し、単離すればよい。DNA分子をプローブとして用いて、目的とするDNA分子を単離する方法については、Molecular Cloning,2nd edition,Cold Spring Harbor press(1989)等に記載されている。
また、上記生物由来のプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を上述のような精製操作により、精製し、該精製酵素のアミノ酸配列を決定することにより、該酵素をコードするDNAを特定し、単離してもよい。
宿主細胞としては、微生物、酵母、動物細胞、昆虫細胞等、植物細胞等、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。
発現ベクターとしては、上記宿主細胞において自律複製可能ないしは染色体中への組込が可能で、上記組換え体DNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものを使用できる。
細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合は、上記組換え体DNAは、原核生物中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードするDNA、転写終結配列により構成された組換え体DNAであることが好ましい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
発現ベクターとしては、pColdI(タカラバイオ社製)、pCDF−1b、pRSF−1b(いずれもノバジェン社製)、pMAL−c2x(ニューイングランドバイオラブス社製)、pGEX−4T−1(ジーイーヘルスケアバイオサイエンス社製)、pTrcHis(インビトロジェン社製)、pSE280(インビトロジェン社製)、pGEMEX−1(プロメガ社製)、pQE−30(キアゲン社製)、pET−3〜pET−52(ノバジェン社製)、pKYP10(特開昭58−110600)、pKYP200[Agric. Biol. Chem., 48, 669(1984)]、pLSA1[Agric. Biol. Chem., 53, 277 (1989)]、pGEL1[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 82, 4306 (1985)]、pBluescriptII SK(+)、pBluescript II KS(−)(ストラタジーン社製)、pTrS30 [エシェリヒア・コリ JM109/pTrS30(FERM BP−5407)より調製]、pTrS32 [エシェリヒア・コリ JM109/pTrS32(FERM BP−5408)より調製]、pPAC31 (WO98/12343)、pUC19 [Gene, 33, 103 (1985)]、pSTV28(タカラバイオ社製)、pUC118(タカラバイオ社製)、pPA1(特開昭63−233798)等を例示することができる。
プロモーターとしては、エシェリヒア・コリ等の宿主細胞中で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、T7プロモーター、lacプロモーター(Plac)、Pプロモーター、Pプロモーター、PSEプロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。
さらにバチルス属に属する微生物中で発現させるためのxylAプロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 35, 594−599 (1991)]やコリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物中で発現させるためのP54−6プロモーター[Appl. Microbiol. Biotechnol., 53, 674−679 (2000)]なども用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。
原核生物としては、エシェリヒア属、セラチア(Serratia)属、バチルス属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ミクロバクテリウム属(Microbacterium)、シュードモナス(Pseudomonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アリシクロバチルス属(Alicyclobacillus)、アナベナ(Anabena)属、アナシスティス(Anacystis)属、アスロバクター(Arthrobacter)属、アゾトバクター(Azotobacter)属、クロマチウム(Chromatium)属、エルビニア(Erwinia)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、フォルミディウム(Phormidium)属、ロドバクター(Rhodobacter)属、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属、ロドスピリウム(Rhodospirillum)属、セネデスムス(Scenedesmus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、シネコッカス(Synechoccus)属、ザイモモナス(Zymomonas)属等に属する微生物、例えば、エシェリヒア・コリXL1−Blue、エシェリヒア・コリ XL2−Blue、エシェリヒア・コリ DH1、エシェリヒア・コリ DH5α、エシェリヒア・コリ MC1000、エシェリヒア・コリ KY3276、エシェリヒア・コリ W1485、エシェリヒア・コリ JM109、エシェリヒア・コリ HB101、エシェリヒア・コリ No.49、エシェリヒア・コリ W3110、エシェリヒア・コリ NY49、エシェリヒア・コリ MP347 、エシェリヒア・コリ NM522、エシェリヒア・コリ BL21、バチルス・サチリス(Bacillus subtilis) ATCC33712、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)、ブレビバクテリウム・イマリオフィルム(Brevibacterium immariophilum) ATCC14068、ブレビバクテリウム・サッカロリティカム(Brevibacterium saccharolyticum) ATCC14066、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum) ATCC14067、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum) ATCC13869、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum) ATCC13032、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC14297、コリネバクテリウム・アセトアシドフィルム(Corynebacterium acetoacidophilum)ATCC13870、ミクロバクテリウム・アンモニアフィルム(Microbacterium ammoniaphilum) ATCC15354、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、セラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)、セラチア・リケファシエンス(Serratia liquefaciens)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.) D−0110、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・リゾジーンズ(Agrobacterium rhizogenes)、アグロバクテリウム・ルビ(Agrobacterium rubi)、アナベナ・シリンドリカ(Anabaena cylindrica)、アナベナ・ドリオルム(Anabaena doliolum)、アナベナ・フロスアクア(Anabaena flos−aquae)、アースロバクター・オーレッセンス(Arthrobacter aurescens)、アースロバクター・シトレウス(Arthrobacter citreus)、アースロバクター・グロブフォルミス(Arthrobacter globformis)、アースロバクター・ヒドロカーボグルタミカス(Arthrobacter hydrocarboglutamicus)、アースロバクター・ミソレンス(Arthrobacter mysorens)、アースロバクター・ニコチアナ(Arthrobacter nicotianae)、アースロバクター・パラフィネウス(Arthrobacter paraffineus)、アースロバクター・プロトフォルミエ(Arthrobacter protophormiae)、アースロバクター・ロセオパラフィナス(Arthrobacter roseoparaffinus)、アースロバクター・スルフレウス(Arthrobacter sulfureus)、アースロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)、クロマチウム・ブデリ(Chromatium buderi)、クロマチウム・テピダム(Chromatium tepidum)、クロマチウム・ビノサム(Chromatium vinosum)、クロマチウム・ワーミンギ(Chromatium warmingii)、クロマチウム・フルビアタティレ(Chromatium fluviatile)、エルビニア・ウレドバラ(Erwinia uredovora)、エルビニア・カロトバラ(Erwinia carotovora)、エルビニア・アナス(Erwinia ananas)、エルビニア・ヘリコラ(Erwinia herbicola)、エルビニア・パンクタタ(Erwinia punctata)、エルビニア・テレウス(Erwinia terreus)、メチロバクテリウム・ロデシアナム(Methylobacterium rhodesianum)、メチロバクテリウム・エクソトルクエンス(Methylobacterium extorquens)、フォルミディウム・エスピー(Phormidium sp.) ATCC29409、ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシュードモナス・ブラスチカ(Rhodopseudomonas blastica)、ロドシュードモナス・マリナ(Rhodopseudomonas marina)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、ロドスピリウム・リブラム(Rhodospirillum rubrum)、ロドスピリウム・サレキシゲンス(Rhodospirillum salexigens)、ロドスピリウム・サリナラム(Rhodospirillum salinarum)、ストレプトマイセス・アンボファシエンス(Streptomyces ambofaciens)、ストレプトマイセス・オーレオファシエンス(Streptomyces aureofaciens) 、ストレプトマイセス・アウレウス(Streptomyces aureus)、ストレプトマイセス・フンジシディカス(Streptomyces fungicidicus)、ストレプトマイセス・グリセオクロモゲナス(Streptomyces griseochromogenes)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans、ストレプトマイセス・オリボグリセウス(Streptomyces olivogriseus)、ストレプトマイセス・ラメウス(Streptomyces rameus)、ストレプトマイセス・タナシエンシス(Streptomyces tanashiensis)、ストレプトマイセス・ビナセウス(Streptomyces vinaceus)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)等をあげることができる。
組換え体DNAの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69, 2110 (1972)] 、プロトプラスト法(特開昭63−248394)、エレクトロポレーション法 [Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)]、ヒートショック法等をあげることができる。
酵母菌株を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)、pHS19、pHS15等を用いることができる。
プロモーターとしては、酵母菌株中で機能するものであればいずれのものを用いてもよく、例えば、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、gal 1プロモーター、gal 10プロモーター、ヒートショックポリペプチドプロモーター、MFα1 プロモーター、CUP 1プロモーター等のプロモーターをあげることができる。
宿主細胞としては、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、シワニオマイミセス(Schwanniomyces)属、ピチア(Pichia)属、またはキャンディダ(Candida)属等に属する酵母菌株をあげることができ、具体的には、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、トリコスポロン・プルランス(Trichosporon pullulans)、シワニオマイセス・アルビウス(Schwanniomyces alluvius)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、キャンディダ・ウティリス(Candida utilis)等をあげることができる。
組換え体DNAの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法[Methods Enzymol., 194, 182 (1990)]、スフェロプラスト法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 81, 4889 (1984)] 、酢酸リチウム法 [J. Bacteriol., 153, 163 (1983)] 等をあげることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、pcDNAI、pcDM8(フナコシ社より市販)、pAGE107(特開平3−22979)、pAS3−3(特開平2−227075)、pCDM8[Nature, 329, 840 (1987)]、pcDNAI/Amp(インビトロジェン社製)、pREP4(インビトロジェン社製)、pAGE103[J. Biochem, 101, 1307 (1987)]、pAGE210、pAMo、pAMoA等を用いることができる。
プロモーターとしては、動物細胞中で機能するものであればいずれも用いることができ、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーターあるいはメタロチオネインのプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーター等をあげることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
宿主細胞としては、マウス・ミエローマ細胞、ラット・ミエローマ細胞、マウス・ハイブリドーマ細胞、ヒトの細胞であるナマルバ(Namalwa)細胞またはナマルバ KJM−1細胞、ヒト胎児腎臓細胞、ヒト白血病細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、HBT5637(特開昭63−299)等をあげることができる。
マウス・ミエローマ細胞としては、SP2/0、NSO等、ラット・ミエローマ細胞としてはYB2/0等、ヒト胎児腎臓細胞としてはHEK293(ATCC CRL−1573)、ヒト白血病細胞としてはBALL−1等、アフリカミドリザル腎臓細胞としてはCOS−1、COS−7等をあげることができる。
組換え体DNAの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法[Cytotechnology, 3, 133 (1990)]、リン酸カルシウム法(特開平2−227075)、リポフェクション法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 84, 7413 (1987)] 、Virology, 52, 456 (1973) に記載の方法等をあげることができる。
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、例えばBaculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manual, W. H. Freeman and Company, New York (1992) 、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Molecular Biology, A Laboratory Manual、Bio/Technology, 6, 47 (1988) 等に記載された方法によって、蛋白質を生産することができる。
即ち、組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、蛋白質を生産させることができる。
該方法において用いられる遺伝子導入ベクターとしては、例えば、pVL1392、pVL1393、pBlueBacIII(いずれもインビトロジェン社製)等をあげることができる。
バキュロウイルスとしては、例えば、夜盗蛾科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus) 等を用いることができる。
昆虫細胞としては、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の卵巣細胞、トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)の卵巣細胞、カイコ卵巣由来の培養細胞等を用いることができる。
スポドプテラ・フルギペルダの卵巣細胞としてはSf9、Sf21(バキュロウイルス・イクスプレッション・ベクターズ ア・ラボラトリー・マニュアル)等、トリコプルシア・ニの卵巣細胞としてはHigh 5、BTI−TN−5B1−4(インビトロジェン社製)等、カイコ卵巣由来の培養細胞としてはボンビクス・モリ(Bombyx mori) N4等をあげることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への上記組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法(特開平2−227075)、リポフェクション法[Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 84, 7413 (1987)] 等をあげることができる。
植物細胞を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、Tiプラスミド、タバコモザイクウイルスベクター等をあげることができる。
プロモーターとしては、植物細胞中で機能するものであればいずれのものを用いてもよく、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、イネアクチン1プロモーター等をあげることができる。
宿主細胞としては、タバコ、ジャガイモ、トマト、ニンジン、ダイズ、アブラナ、アルファルファ、イネ、コムギ、オオムギ等の植物細胞等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、植物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を用いる方法(特開昭59−140885、特開昭60−70080、WO94/00977)、エレクトロポレーション法(特開昭60−251887)、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法(特許第2606856、特許第2517813)等をあげることができる。
宿主としては、微生物、酵母、動物細胞、昆虫細胞等、植物細胞等いずれであってもよいが、好ましくは微生物、より好ましくはエシェリヒア属に属する微生物、さらに好ましくはエシェリヒア・コリに属する微生物をあげることができる。
酵母、動物細胞、昆虫細胞または植物細胞により発現させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加された蛋白質を得ることができる。
得られた形質転換体を培地に培養し、培養物中にプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を生成、蓄積させることにより、プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を製造することができる。また、必要に応じて、上記精製操作により酵素を精製してもよい。
上記形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。例えば、上述の培地組成及び培養条件により培養を行えばよい。
(ポリイソプレン)
次に、本発明のポリイソプレンについて説明する。本発明のポリイソプレンは、下記式(4)で表されるポリイソプレンであって、下記式(4)中のII−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されている。本発明のポリイソプレンは、下記式(4)で表されるようにトランス構造部、シス構造部からなる。なお、トランス構造部は、トランス構造のイソプレン単位の繰り返し部(II−I部分と()部分を合わせた部分)を意味する。また、シス構造部は、シス構造のイソプレン単位の繰り返し部(下記式(4)中の()部分)を意味する。
なお、本明細書において、分子(ゴム分子)の末端部分を変性とは、分子(ゴム分子)の末端に存在する上記式(1)中のI−I部分や下記式(4)中のII−I部分の所定の部分に所望の官能基が導入されていること、又は、分子(ゴム分子)の末端に存在する上記式(1)中のI−I部分や下記式(4)中のII−I部分の所定の部分に異なる構造が導入されていることをいう。
Figure 2015223124
(式(4)中、nは1〜10の整数を表す。mは1〜30の整数を表す。qは30〜40000の整数を表す。Yは、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、エステル基、カルボニル基又は下記式(2)で表される基を表す。)
Figure 2015223124
本発明のポリイソプレンは、天然ゴムに近い構造を有しており、ゴム分子との相溶性が高い。また、本発明のポリイソプレンは、実質的に分子の末端部分のみに硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団による変性が加えられている。すなわち、本発明のポリイソプレンは、シス構造部の末端に位置する水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、エステル基、カルボニル基又は上記式(2)で表される基を有し、さらに、上記式(4)中のII−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているため、ポリイソプレンが本来有する特性を阻害されることなくシリカ等の充填剤との相互作用が強い。このように、本発明のポリイソプレンは、ゴムとの相溶性が高く、さらに、シリカ等の充填剤との相互作用が強いため、ゴム組成物に配合することにより、従来よりも高い次元でゴム分子と充填剤が複合したゴム組成物が得られ、例えば、ゴム組成物の低発熱性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性(特に、耐摩耗性)を向上できる。
本発明のポリイソプレンは、シス構造部の末端部分やトランス構造部の末端に近い部分にのみ極性基等が存在する。そのため、主鎖部分に極性基等を有する場合やシス構造部の末端部分のみに極性基等を有する場合に比べて、ポリイソプレンが本来有する特性を阻害されることなくシリカ等の充填剤の分散性が高く、例えば、低発熱性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性(特に、耐摩耗性)の向上効果が高い。
上記式(4)のn、mは、上記式(1)のn、mと同様である。
上記式(4)のqは、30〜40000(好ましくは800〜30000、より好ましくは1000〜20000)の整数を表す。
上記式(4)のYは、上記式(1)のYと同様である。なお、Yとしては、シリカ等の充填剤との相互作用が強いことから、水酸基、カルボキシ基が好ましい。
上記式(4)中のII−I部分に含まれる原子又は原子団(置換される前の原子又は原子団)としては、上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団(置換される前の原子又は原子団)と同様のものが挙げられる。
また、上記式(4)中のII−I部分に含まれる原子又は原子団の置換は、上記式(1)について説明した置換と同様である。
上記式(4)中のII−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているが、当該置換は、イソプレンオリゴマーについて説明したのと同様に、下記式(4−1)中のII−II部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団に置換され、下記式(4−1)中のII−III部分に含まれる原子又は原子団は置換されていないことが好ましい。
Figure 2015223124
(式(4−1)中のn、m、q、Yは式(4)中のn、m、q、Yと同一である)
上記式(4)中のII−I部分の具体例としては、例えば、上記式(a)〜(j)で表される構造が挙げられる。なかでも、低発熱性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性(特に、耐摩耗性)の向上効果が高いという理由から、上記式(e)、(j)で表される構造が好ましい。
(ポリイソプレンの製造方法)
本発明のポリイソプレンの製造方法としては、例えば、本発明のイソプレンオリゴマーと、イソペンテニル二リン酸から生合成する方法が挙げられる。
本発明のポリイソプレンは、開始基質であるアリル性二リン酸誘導体を有機合成する以外は、生合成により得られるため、石油資源の枯渇や環境問題に配慮できる。
従来から、天然ゴムラテックスには、イソプレンオリゴマーとイソペンテニル二リン酸との間の縮合反応を触媒し、イソプレンオリゴマーに順次イソペンテニル二リン酸をZ型(新たに増えたイソプレン単位がシス構造)に連結していき、ポリイソプレンを生成する以下のような反応を触媒する活性を有する酵素やゴム延長因子等が含まれていることが知られている。
Figure 2015223124
本発明では、この酵素やゴム延長因子等を使用して、ポリイソプレンを製造できる。
すなわち、本発明のイソプレンオリゴマーと、イソペンテニル二リン酸から本発明のポリイソプレンを生合成する方法としては、例えば、天然ゴムラテックス中に含まれる酵素やゴム延長因子等を用いて行う方法が挙げられる。また、天然ゴムラテックスからクローニングされた酵素やゴム延長因子等を用いて行ってもよい。
すなわち、本発明のイソプレンオリゴマーと、イソペンテニル二リン酸とを上記酵素及び/又は上記ゴム延長因子の存在下で反応させればよい。具体的には、例えば、本発明のイソプレンオリゴマーと、イソペンテニル二リン酸とを含む溶液中に、天然ゴムラテックスや天然ゴムラテックスから分離した酵素、ゴム延長因子等を添加することにより反応を行えばよい。また、反応温度は、例えば、20〜40℃、反応時間は、例えば、1〜72時間、pHは、例えば、6〜8とすればよい。また、必要に応じて、塩化マグネシウム、界面活性剤、2−メルカプトエタノール等を添加してもよい。
上記反応により得られる本発明のポリイソプレンは、通常、上記式(4)のYが上記式(2)で表される基又は水酸基である。この水酸基は上記式(2)で表される基が加水分解されることにより生じる。
また、上記式(4)のYがホルミル基であるポリイソプレンは、例えば、上記式(4)のYが上記式(2)で表される基であるポリイソプレンを酸化することにより得られる。
また、上記式(4)のYがカルボキシ基であるポリイソプレンは、例えば、上記式(4)のYが上記式(2)で表される基であるポリイソプレンを酸化することにより得られる。
また、上記式(4)のYがエステル基であるポリイソプレンは、例えば、上記式(4)のYが上記式(2)で表される基であるポリイソプレンを酸化、エステル化することにより得られる。
また、上記式(4)のYがカルボニル基であるポリイソプレンは、例えば、上記式(4)のYが上記式(2)で表される基であるポリイソプレンを酸化、エステル化することにより得られる。
上記天然ゴムラテックスの由来は、特に限定されず、例えば、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)、インドゴムノキ(Ficus elastica)、カシワバゴムノキ(Ficus lyrata)、ベンジャミンゴムノキ(Ficus benjamina)、インドボダイジュ(Ficus religiosa)、ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)、キチチタケ(Lactarius chrysorrheus)等が挙げられる。なかでも、生産されているゴムの分子量が大きい、ラテックス中に含まれるゴム分量が多いという理由から、パラゴムノキが好ましい。
天然ゴムラテックスは、例えば、パラゴムノキの幹にナイフ等を用いて溝状に傷をつけて(タッピング)、切断された乳管から流出する天然ゴムラテックスを回収することにより得られる。
天然ゴムラテックスから分離した酵素、ゴム延長因子とは、例えば、天然ゴムラテックスを遠心分離することにより分離されたしょう液(Serum)や液低相(bottom fraction)やゴム相(rubber fraction)等が挙げられる。しょう液や液低相やゴム相には、上記酵素や上記ゴム延長因子等が含まれている。
上記式(4)、上記式(4−1)において、II−I部分が開始基質であるアリル性二リン酸誘導体に由来する構造、()部分、()部分が酵素反応により伸長した部分の構造に対応する。また、II−I部分と()部分を合わせた構造は、ポリイソプレンを製造する際に用いたイソプレンオリゴマーに由来する構造に対応する。
(ゴム組成物)
本発明のゴム組成物は、本発明のイソプレンオリゴマー及び/又は本発明のポリイソプレンを含む。よって、本発明のゴム組成物は、低発熱性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性(特に、耐摩耗性)に優れている。なお、本発明のポリイソプレンは、ゴム成分として使用できる。
本発明のポリイソプレンの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、100質量%であってもよい。
本発明のポリイソプレン以外に使用できるゴム成分としては、例えば、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NR、BRが好ましい。
本発明のイソプレンオリゴマーをゴム組成物に配合する場合は、イソプレンオリゴマーとの相溶性が高いという理由から、ゴム成分として、NRを使用することが好ましい。本発明のイソプレンオリゴマーとNRを併用することにより、本発明のイソプレンオリゴマーを配合した効果がより好適に得られる。
本発明のイソプレンオリゴマーをゴム組成物に配合する場合、ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、100質量%であってもよい。
本発明のイソプレンオリゴマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。1質量部未満であると、イソプレンオリゴマーを配合したことにより得られる効果が充分に得られないおそれがある。また、上記イソプレンオリゴマーの含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。20質量部を超えると、強度が低下し、また耐摩耗性も低下するおそれがある。
本発明で使用できる充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。
本発明では、充填剤としてシリカを使用することが好ましい。シリカを配合することにより、本発明のイソプレンオリゴマー及び/又は本発明のポリイソプレンを配合することにより得られる効果が充分に得られる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
また、本発明では、充填剤としてカーボンブラックを使用することも好ましい。この場合にも、本発明のイソプレンオリゴマー及び/又は本発明のポリイソプレンを配合することにより得られる効果が充分に得られる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル等の軟化剤、ワックス、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材(例えば、トレッド、サイドウォール、アンダートレッド、プライ、ブレーカー、カーカス)等に好適に使用できる。
(空気入りタイヤ)
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造できる。すなわち、ゴム組成物を未加硫の段階でタイヤの各部材(例えば、トレッド、サイドウォール)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成形機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(開始基質の調製)
(製造例1)
(上記式(A)で表される化合物の合成)
上記式(A)で表される化合物(29)の合成は、下記スキームに示したとおりである。クロロアセトン(35)に塩基触媒下でエチルメルカプタンを反応させ、ケトン(36)を得た。このケトン(36)は、ジエトキシカルボエトキシメチルホスフィンオキシドとともに、wittig反応を行い、E体、Z体不飽和カルボン酸エステルを得た。E体、Z体は、フラッシュカラムを用いて分離精製した。E体、Z体の構造確認には、H−NMRを用いた。即ち、3位のメチル基のケミカルシフトにおいて、一般に、エステルカルボニル基に対しシス位のメチル基は、トランス位より低磁場に出る。E体(37)をLiAlHで還元し、アルコール(38)が得られる。また、このアルコールにおいて、3位のメチル基のケミカルシフトは、エステルのときとは逆に、シス位のメチル基がトランス位より高磁場にでる。この事でさらに、E体、Z体を確認できた。このアルコール(38)を、Poulter等の手法により、PhP存在下CClにて塩素化し、THP(トリス(テトラ−n−ブチル)アンモニウムハイドロジェン2リン酸)を用いてピロリン酸化し、上記式(A)で表される化合物(29)を得た。各合成段階における中間体および最終生成物の確認は、TLCおよび機器による分析(IR、NMR)を用いて行った。
Figure 2015223124
(製造例2)
(上記式(B)で表される化合物の合成)
上記式(B)で表される化合物(30)の合成は、下記スキームに示したとおりである。クロロアセトン(35)にプロピルメルカプタンを塩基触媒下で反応させ、ケトン(40)を得た。得られたケトン(40)は、ジエトキシカルボエトキシメチルホスフィンオキシドとともに、Wittig反応を行い、E体、Z体不飽和カルボン酸エステルを得た。E体、Z体は、カラムで分離精製した。E体(41)をLiAlHで還元しアルコール(42)を得た。このアルコール(42)は、常法どおり塩素化し、THPを用いてピロリン酸化し、上記式(B)で表される化合物(30)を得た。各合成段階における中間体および最終生成物の確認は、TLCおよび機器による分析(IR、NMR)を用いて行った。
Figure 2015223124
(製造例3)
(上記式(C)で表される化合物の合成)
上記式(C)で表される化合物(31)の合成法は、下記スキームに示したとおりである。メチルビニルケトン(44)に塩基触媒下でエチルメルカプタンをMichael付加し、ケトン(45)を得た。このケトン(45)を、ジエトキシカルボエトキシメチルホスフィンオキシドとともに、Wittig反応を行い、E体、Z体不飽和カルボン酸エステルを得た。E体、Z体は、カラムで分離精製した。E体(46)をLiAlHで還元しアルコール(47)を得た。このアルコール(47)は、常法どおり塩素化し、THPを用いてピロリン酸化し、上記式(C)で表される化合物(31)を得た。各合成段階における中間体および最終生成物の確認は、TLCおよび機器による分析(IR、NMR)を用いて行った。
Figure 2015223124
(製造例4)
(上記式(D)で表される化合物の合成)
他の化合物と同様に上記式(D)で表される化合物を調製した。
各合成段階における中間体および最終生成物の確認は、TLCおよび機器による分析(IR、NMR)を用いて行った。
(製造例5)
(上記式(E)で表される化合物の合成)
上記式(E)で表される化合物(34)の合成法を下記スキームに示した。1,1−ジメトキシ−3−ブタノン(57)を酸触媒下で1,2−エチレンジチオールと反応させ、ケトン(58)を得た。このケトン(58)は、ジエトキシカルボエトキシメチルホスフィンオキシドとともにWittig反応を行い、E体、Z体不飽和カルボン酸エステルを得た。E体、Z体は、カラムにより分離精製された。E体(59)をLiAlHで還元し、アルコール(60)を得た。このアルコール(60)は、常法とおりクロロ化され、THPを用いてピロリン酸化し、上記式(E)で表される化合物(34)を得た。各合成段階における中間体および最終生成物の確認は、TLCおよび機器による分析(IR、NMR)を用いて行った。
Figure 2015223124
(製造例6)
(上記式(F)で表される化合物の合成)
上記式(F)で表される化合物(14)の合成法を下記スキームに示した。ゲラニオール(21)とジヒドロピランをピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)触媒下で縮合して、ゲラニオールの水酸基をテトラヒドロピラン環で保護したエーテル(22)を得た。(22)に二酸化セレンの触媒として用い、t−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)による酸化反応を行い、選択的に8位の炭素に水酸基を導入しトランス体のアルコール(23)を得た。(23)の水酸基を、ジクロロメタン中でN−クロロこはく酸イミド(NCS)を用いてクロロ化することにより塩化物(24)を得た。(24)を金属ナトリウムとエタンチオールを用いてスルフィド合成を行いスルフィド(69)を合成した。次いで(69)をPTS触媒下でテトラヒドロピラン環を外し、アルコール(70)とした。これより先は前述と同じ合成法を用いクロロ化することにより、水酸基を塩素で置換し塩化物(71)を得た。この後は塩化物(71)をTHPを用いて二リン酸化して上記式(F)で表される化合物(14)を得た。各合成段階における中間体および最終生成物の確認は、TLCおよび機器による分析(IR、NMR)を用いて行った。
Figure 2015223124
(製造例7)
(上記式(G)で表される化合物の合成)
上記式(G)で表される化合物(16)の合成法を下記スキームに示した。ゲラニオール(21)とジヒドロピランをピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)触媒下で縮合して、ゲラニオールの水酸基をテトラヒドロピラン環で保護したエーテル(22)を得た。(22)に二酸化セレンの触媒として用い、t−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)による酸化反応を行い、選択的に8位の炭素に水酸基を導入しトランス体のアルコール(23)を得た。(23)の水酸基を、ジクロロメタン中でN−クロロこはく酸イミド(NCS)を用いてクロロ化することにより塩化物(24)を得た。(24)を金属ナトリウムとブタンチオールを用いてスルフィド合成を行いスルフィド(75)を合成した。次いで(75)をPTS触媒下でテトラヒドロピラン環を外し、アルコール(76)とした。これより先は前述と同じ合成法を用いクロロ化することにより、水酸基を塩素で置換し塩化物(77)を得た。この後は塩化物(77)をTHPを用いて二リン酸化して上記式(G)で表される化合物(16)を得た。各合成段階における中間体および最終生成物の確認は、TLCおよび機器による分析(IR、NMR)を用いて行った。
Figure 2015223124
(製造例8)
(上記式(H)で表される化合物の合成)
上記式(H)で表される化合物(17)の合成法を下記スキームに示した。ゲラニオール(21)とジヒドロピランをピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)触媒下で縮合して、ゲラニオールの水酸基をテトラヒドロピラン環で保護したエーテル(22)を得た。(22)に二酸化セレンの触媒として用い、t−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)による酸化反応を行い、選択的に8位の炭素に水酸基を導入しトランス体のアルコール(23)を得た。(23)の水酸基を、ジクロロメタン中でN−クロロこはく酸イミド(NCS)を用いてクロロ化することにより塩化物(24)を得た。(24)を金属ナトリウムとペンタンチオールを用いてスルフィド合成を行いスルフィド(78)を合成した。次いで(78)をPTS触媒下でテトラヒドロピラン環を外し、アルコール(79)とした。これより先は前述と同じ合成法を用いクロロ化することにより、水酸基を塩素で置換し塩化物(80)を得た。この後は塩化物(80)をTHPを用いて二リン酸化して上記式(H)で表される化合物(17)を得た。各合成段階における中間体および最終生成物の確認は、TLCおよび機器による分析(IR、NMR)を用いて行った。
Figure 2015223124
(製造例9)
(上記式(I)で表される化合物の合成)
上記式(I)で表される化合物(18)の合成法を下記スキームに示した。ゲラニオール(21)とジヒドロピランをピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)触媒下で縮合して、ゲラニオールの水酸基をテトラヒドロピラン環で保護したエーテル(22)を得た。(22)に二酸化セレンの触媒として用い、t−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)による酸化反応を行い、選択的に8位の炭素に水酸基を導入しトランス体のアルコール(23)を得た。(23)の水酸基を、ジクロロメタン中でN−クロロこはく酸イミド(NCS)を用いてクロロ化することにより塩化物(24)を得た。(24)を金属ナトリウムとヘキサンチオールを用いてスルフィド合成を行いスルフィド(81)を合成した。次いで(81)をPTS触媒下でテトラヒドロピラン環を外し、アルコール(82)とした。これより先は前述と同じ合成法を用いクロロ化することにより、水酸基を塩素で置換し塩化物(83)を得た。この後は塩化物(83)をTHPを用いて二リン酸化して上記式(I)で表される化合物(18)を得た。各合成段階における中間体および最終生成物の確認は、TLCおよび機器による分析(IR、NMR)を用いて行った。
Figure 2015223124
(製造例10)
(上記式(J)で表される化合物の合成)
他の化合物と同様に上記式(J)で表される化合物を調製した。
各合成段階における中間体および最終生成物の確認は、TLCおよび機器による分析(IR、NMR)を用いて行った。
<Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素を使用した実験例>
(製造例11)
(変異導入酵素の作製)
Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素(塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号1,2に示す)に変異を導入し、変異導入酵素の作製を行なった。
試薬はStratagene社のQuickChange Site−Directed Mutagenesis Kitを用いた。目的の部位に変異を導入できるようにプライマーを設計した。なお、変異導入用プライマーは株式会社医学生物学研究所(製造元:XX IDT)より購入した。設計したプライマーは、以下に示すとおりである。
変異型酵素Y81R作製用プライマー
センスプライマー 5’−caaatcatcatggatcaaagagcgcgtatggatcatttcaatcgcg−3’(配列番号15)
アンチセンスプライマー 5’−cgcgattgaaatgatccatacgcgctctttgatccatgatgatttg−3’(配列番号16)
変異型酵素Y81S作製用プライマー
センスプライマー 5’−caaatcatcatggatcaaagagctcgtatggatcatttcaatcgcg−3’(配列番号17)
アンチセンスプライマー 5’−cgcgattgaaatgatccatacgagctctttgatccatgatgatttg−3’(配列番号18)
変異型酵素Y81D作製用プライマー
センスプライマー 5’−aatcatcatggatcaaagagtccgtatggatcatttcaatcgc−3’(配列番号19)
アンチセンスプライマー 5’−gcgattgaaatgatccatacggactctttgatccatgatgatt−3’(配列番号20)
dsDNA templateはBachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素(以下、野生型酵素ともいう)が組み込まれたpEX(pEX/BS−FPS)を用いた。
なお、pEX/BS−FPSは、東北大学多元物質科学研究所の古山種俊教授より譲渡して頂いた。10x Pfu polymerase bufferを 2μl、dsDNA template 2−20ng、sense primer 50ng、antisense primer 50ng、2.5mM each dNTP 0.4μl、ddHO up to 20μl、Pfu polymerase (2.5U/μl) 0.4mlを混合し、PCR反応を行なった。PCR反応は、95℃ 30 secを1サイクル、95℃ 30 sec−55℃ 1 min−68℃ 8 minを15サイクル行った。PCR後、PCR反応液にDpn Iを0.4μl入れ、37℃1時間、Dpn I処理を行なった。Dpn I処理液1−10μl を用いヒートショック法によってE.coli DH5αを形質転換し、該形質転換体を50μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布した後37℃で一晩培養し、形質転換株を選択した。該形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で終夜培養し、得られた培養液からアルカリSDS法によりプラスミドを調製した。該プラスミドは、シークエンサーを用いて変異導入を確認した。
(製造例12)
(プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質の生産)
得られたE.coli BL21 (DE3)/pEX/BS−FPS(野生型および変異型)を50μg/mLのアンピシリンを含む3mLのLB培地が入った試験管に接種し、37℃で5時間振盪培養した。得られた培養液のうち1mLを50μg/mLのアンピシリンを含むLB培地100mLが入った500mL三角フラスコに接種し、37℃で3時間振盪培養後、0.1mmol/LになるようにIPTG を添加し、30℃で18時間振盪培養した。該培養液を遠心分離し、湿菌体を取得した。
上記で得られた湿菌体を超音波処理により破砕した後、遠心分離して得られた上清から、Butyl−Toyopearlカラム、およびDEAE−Toyopearlカラムを用いてプレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質を精製した。精製した蛋白質は、SDS−PAGEにより精製を確認した。
(実施例及び比較例)
(イソプレンオリゴマーの調製)
精製した各蛋白質を10mg、50 mM Tris−HCl Buffer (pH 8.5)、50 mM 塩化アンモニウム、5 mM 塩化マグネシウム、50 mM 2−メルカプトエタノール、25 mM 開始基質(ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)、ゲラニル二リン酸(GPP)、製造例1〜10で調製した各開始基質)、25 mM [1−14C]イソペンテニル二リン酸を含む反応液を調整し、55℃のwater bathで30分反応させた。
反応終了後、塩酸、ヘキサンを加え、攪拌後、静置した。その後、上清(ヘキサン層)をエバポレーションにより濃縮乾固した。その一部をNMRにより構造を確認し、イソプレンオリゴマーを得た。
得られたイソプレンオリゴマーの詳細(式(1)中のn、m)は、表1,2に示す通りであった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
なお、式(1)中のn、mは、使用した開始基質の情報と、TLCによるイソプレン鎖長を基に算出した。また、Yは、NMRまたIRにより構造を同定した。
Figure 2015223124
Figure 2015223124
Figure 2015223124
(実施例及び比較例)
(野生型酵素と変異型酵素の活性の比較(基質別の相対活性))
製造例1〜10で調製した開始基質、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)、及びゲラニル二リン酸(GPP)を用いて、以下の条件で反応を行い、各開始基質に対する各変異型酵素の活性を野生型酵素(Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素)ゲラニル二リン酸に対する活性を100として指数表示した(表3)。
精製した蛋白質を500ng、50 mM phosphate Buffer(pH 5.8)、50 mM 塩化アンモニウム、0.01% TritonX−100、50 mM 2−メルカプトエタノール、25 mM 開始基質(製造例1〜10で調製した各開始基質、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)、ゲラニル二リン酸(GPP))、25 mM [1−14C]イソペンテニル二リン酸を含む反応液を調製し、55℃のwaterbathで15分反応させた。反応後、液体シンチレーションの値とTLCを定量することにより、各酵素の活性を測定した。
Figure 2015223124
(実施例及び比較例)
(ポリイソプレンの調製)
ラテックス成分を10μl、50 mM Tris−HCl Buffer (pH7.5)、2.5 mM 塩化マグネシウム、40 mM 2−メルカプトエタノール、40 mMフッ化カリウム、50 μM イソプレンオリゴマー、25 mM [1−14C]イソペンテニル二リン酸、を含む反応液を調整し、30℃のwaterbathで3日間反応させた。反応後、GPCにより分子量を測定した。そして、測定した分子量と、使用した開始基質の情報を基に、式(4)中のn、qを算出した。得られたポリイソプレンの詳細(式(4)中のn、q)は、表4,5に示す通りであった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。また、Yの同定は、実施例(イソプレンオリゴマーの調製)と同様に行った。
なお、ラテックス成分としては、パラゴムノキから得られたラテックスを超遠心分離することにより調製したしょう液を使用した。
なお、使用したイソプレンオリゴマーは、実施例(イソプレンオリゴマーの調製)と同様の条件で、変異型酵素Y81R等を用いて、各開始基質(ゲラニル二リン酸、ジメチルアリル二リン酸、製造例1〜10で調製した各開始基質)を用いて得られたイソプレンオリゴマーを使用した。
なお、以下の表4、5において、開始基質として、ゲラニル二リン酸、ジメチルアリル二リン酸、上記式(A)で表される化合物、上記式(B)で表される化合物、上記式(C)で表される化合物、上記式(D)で表される化合物、上記式(E)で表される化合物、上記式(F)で表される化合物、上記式(G)で表される化合物、上記式(H)で表される化合物、上記式(I)で表される化合物、上記式(J)で表される化合物を用いて、実施例(イソプレンオリゴマーの調製)と同様の条件で変異型酵素Y81R等を使用して得られたイソプレンオリゴマーをそれぞれ、イソプレンオリゴマー(GPP)、イソプレンオリゴマー(DMAPP)、イソプレンオリゴマー(A)、イソプレンオリゴマー(B)、イソプレンオリゴマー(C)、イソプレンオリゴマー(D)、イソプレンオリゴマー(E)、イソプレンオリゴマー(F)、イソプレンオリゴマー(G)、イソプレンオリゴマー(H)、イソプレンオリゴマー(I)、イソプレンオリゴマー(J)とする。
Figure 2015223124
Figure 2015223124
次に、本発明のイソプレンオリゴマー、ポリイソプレンをゴム組成物に配合し、性能評価を行うために、まず、当該評価に供するイソプレンオリゴマー、ポリイソプレンを調製した。基本的には、上述の実施例(イソプレンオリゴマーの調製)、実施例(ポリイソプレンの調製)に従って調製したが、得られるイソプレンオリゴマー、ポリイソプレンの分子量を調整するために、上述の(イソプレンオリゴマーの調整)、(ポリイソプレンの調製)に記載の条件を調整して反応を行った。
(製造例13)
(ゴム組成物評価用のイソプレンオリゴマーの調製)
まず、製造例1〜10で調製した開始基質、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)、及びゲラニル二リン酸(GPP)を用いて、イソプレンオリゴマーの調製を行なった。なお、得られたイソプレンオリゴマーの詳細(式(1)中のn、m、Y)は、実施例(イソプレンオリゴマーの調製)と同様の方法により決定した。
(イソプレンオリゴマー(1−GPP)の調製)
開始基質として、ゲラニル二リン酸を用いて、イソプレンオリゴマー(1−GPP)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−GPP)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=2であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−DMAPP)の調製)
開始基質として、ジメチルアリル二リン酸を用いて、イソプレンオリゴマー(1−DMAPP)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−DMAPP)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=2であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−A)の調製)
開始基質として、上記式(A)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(1−A)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−A)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=2であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−B)の調製)
開始基質として、上記式(B)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(1−B)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−B)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=2であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−C)の調製)
開始基質として、上記式(C)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(1−C)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−C)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=2であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−D)の調製)
開始基質として、上記式(D)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(1−D)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−D)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=2であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−E)の調製)
開始基質として、上記式(E)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(1−E)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−E)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=2であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−F)の調製)
開始基質として、上記式(F)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(1−F)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−F)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−G)の調製)
開始基質として、上記式(G)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(1−G)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−G)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=2であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−H)の調製)
開始基質として、上記式(H)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(1−H)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−H)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−I)の調製)
開始基質として、上記式(I)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(1−I)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−I)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(1−J)の調製)
開始基質として、上記式(J)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(1−J)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(1−J)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(製造例14)
(ゴム組成物評価用のポリイソプレンの調製)
次に、製造例13で得られたイソプレンオリゴマーを用いて、ポリイソプレンを調製した。なお、得られたポリイソプレンの詳細(式(4)中のn、m、q、Y)は、実施例(ポリイソプレンの調製)と同様の方法により決定した。
(ポリイソプレン(1−GPP)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−GPP)を用いて、ポリイソプレン(1−GPP)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−GPP)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=2、q=3000〜15000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−DMAPP)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−DMAPP)を用いて、ポリイソプレン(1−DMAPP)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−DMAPP)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=2、q=3000〜15000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−A)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−A)を用いて、ポリイソプレン(1−A)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−A)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=2、q=1000〜5000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−B)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−B)を用いて、ポリイソプレン(1−B)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−B)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=2、q=1000〜5000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−C)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−C)を用いて、ポリイソプレン(1−C)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−C)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=2、q=1000〜8000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−D)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−D)を用いて、ポリイソプレン(1−D)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−D)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=2、q=1000〜12000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−E)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−E)を用いて、ポリイソプレン(1−E)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−E)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=2、q=1000〜12000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−F)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−F)を用いて、ポリイソプレン(1−F)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−F)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=1、q=4000〜10000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−G)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−G)を用いて、ポリイソプレン(1−G)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−G)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=2、q=1500〜7000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−H)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−H)を用いて、ポリイソプレン(1−H)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−H)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=1、q=2000〜7000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−I)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−I)を用いて、ポリイソプレン(1−I)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−I)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=1、q=1500〜5000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(1−J)の調製)
製造例13で調製したイソプレンオリゴマー(1−J)を用いて、ポリイソプレン(1−J)の調製を行った。得られたポリイソプレン(1−J)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=1、q=1500〜5000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
<Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素を使用した実験例>
(製造例15)
(変異導入酵素の作製)
Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素(塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列表配列番号3,4に示す)に変異を導入し、変異導入酵素の作製を行なった。
試薬はStratagene社のQuickChange Site−Directed Mutagenesis Kitを用いた。目的の部位に変異を導入できるようにプライマーを設計した。なお、変異導入用プライマーは株式会社医学生物学研究所(製造元:XX IDT)より購入した。設計したプライマーは、以下に示すとおりである。
変異型酵素F77G作製用プライマー
センスプライマー 5’−ataatatcatcatgcacaagcgtaccagtatgaagaacttcaatagctgca−3’(配列番号21)
アンチセンスプライマー 5’−tgcagctattgaagttcttcatactggtacgcttgtgcatgatgatattat−3’(配列番号22)
変異型酵素F77S作製用プライマー
センスプライマー 5’−ataatatcatcatgcacaagcgtactagtatgaagaacttcaatagctgca−3’(配列番号23)
アンチセンスプライマー 5’−tgcagctattgaagttcttcatactagtacgcttgtgcatgatgatattat−3’(配列番号24)
dsDNA templateはSulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素(以下、野生型酵素ともいう)が組み込まれたpUC119(pUC119/SA−GGPS)を用いた。
なお、pUC119/SA−GGPSは、東北大学工学部の西野徳三教授より譲渡して頂いた。10x Pfu polymerase bufferを 2μl、dsDNA template 2−20ng、sense primer 50ng、antisense primer 50ng、2.5mM each dNTP 0.4μl、ddHO up to 20μl、Pfu polymerase (2.5U/μl) 0.4mlを混合し、PCR反応を行なった。PCR反応は、95℃ 30 secを1サイクル、95℃ 30 sec−55℃ 1 min−68℃ 8 minを15サイクル行った。PCR後、PCR反応液にDpn Iを0.4μl入れ、37℃1時間、Dpn I処理を行なった。Dpn I処理液1−10μl を用いヒートショック法によってE.coli DH5αを形質転換し、該形質転換体を50μg/mLのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布した後37℃で一晩培養し、形質転換株を選択した。該形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で終夜培養し、得られた培養液からアルカリSDS法によりプラスミドを調製した。該プラスミドは、シークエンサーを用いて変異導入を確認した。
(製造例16)
(プレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質の生産)
得られたE.coli BL21 (DE3)/pUC119/SA−GGPS(野生型および変異型)を50μg/mLのアンピシリンを含む3mLのLB培地が入った試験管に接種し、37℃で5時間振盪培養した。得られた培養液のうち1mLを50μg/mLのアンピシリンを含むLB培地100mLが入った500mL三角フラスコに接種し、37℃で3時間振盪培養後、0.1mmol/LになるようにIPTG を添加し、30℃で18時間振盪培養した。該培養液を遠心分離し、湿菌体を取得した。
上記で得られた湿菌体を超音波処理により破砕した後、遠心分離して得られた上清から、Butyl−Toyopearlカラム、およびDEAE−Toyopearlカラムを用いてプレニルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質を精製した。精製した蛋白質は、SDS−PAGEにより精製を確認した。
(実施例及び比較例)
(イソプレンオリゴマーの調製)
精製した各蛋白質を10mg、50 mM phosphate Buffer(pH 5.8)、5 mM 塩化マグネシウム、50 mM 塩化アンモニウム、0.01% Triton X−100、50 mM 2−メルカプトエタノール、25 mM 開始基質(ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)、ゲラニル二リン酸(GPP)、製造例1〜10で調製した各開始基質)、25 mM [1−14C]イソペンテニル二リン酸を含む反応液を調整し、55℃のwater bathで30分反応させた。
反応終了後、塩酸、ヘキサンを加え、攪拌後、静置した。その後、上清(ヘキサン層)をエバポレーションにより濃縮乾固した。その一部をNMRにより構造を確認し、イソプレンオリゴマーを得た。
得られたイソプレンオリゴマーの詳細(式(1)中のn、m)は、表6,7に示す通りであった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
なお、式(1)中のn、mは、使用した開始基質の情報と、TLCによるイソプレン鎖長を基に算出した。また、Yは、NMRまたIRにより構造を同定した。
Figure 2015223124
Figure 2015223124
(実施例及び比較例)
(野生型酵素と変異型酵素の活性の比較(基質別の相対活性))
製造例1〜10で調製した開始基質、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)、及びゲラニル二リン酸(GPP)を用いて、以下の条件で反応を行い、各開始基質に対する各変異型酵素の活性を野生型酵素(Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素)の活性を100として指数表示した(表8)。
精製した蛋白質を500ng、50 mM phosphate Buffer(pH 5.8)、50 mM 塩化アンモニウム、0.01% TritonX−100、50 mM 2−メルカプトエタノール、25 mM 開始基質(製造例1〜10で調製した各開始基質、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)、ゲラニル二リン酸(GPP))、1 mM [1−14C]イソペンテニル二リン酸を含む反応液を調製し、55℃のwaterbathで30分反応させた。反応後、液体シンチレーションの値とTLCを定量することにより、各酵素の活性を測定した。
Figure 2015223124
(実施例及び比較例)
(ポリイソプレンの調製)
ラテックス成分を10μl、50 mM Tris−HCl Buffer (pH7.5)、2.5 mM 塩化マグネシウム、40 mM 2−メルカプトエタノール、40 mMフッ化カリウム、50 μM イソプレンオリゴマー、25 mM [1−14C]イソペンテニル二リン酸、を含む反応液を調整し、30℃のwaterbathで3日間反応させた。反応後、GPCにより分子量を測定した。そして、測定した分子量と、使用した開始基質の情報を基に、式(4)中のn、qを算出した。得られたポリイソプレンの詳細(式(4)中のn、q)は、表9,10に示す通りであった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。また、Yの同定は、実施例(イソプレンオリゴマーの調製)と同様に行った。
なお、ラテックス成分としては、パラゴムノキから得られたラテックスを超遠心分離することにより調製したしょう液を使用した。
なお、使用したイソプレンオリゴマーは、実施例(イソプレンオリゴマーの調製)と同様の条件で、変異型酵素F77G等を用いて、各開始基質(ゲラニル二リン酸、ジメチルアリル二リン酸、製造例1〜10で調製した各開始基質)を用いて得られたイソプレンオリゴマーを使用した。
なお、以下の表9、10において、開始基質として、ゲラニル二リン酸、ジメチルアリル二リン酸、上記式(A)で表される化合物、上記式(B)で表される化合物、上記式(C)で表される化合物、上記式(D)で表される化合物、上記式(E)で表される化合物、上記式(F)で表される化合物、上記式(G)で表される化合物、上記式(H)で表される化合物、上記式(I)で表される化合物、上記式(J)で表される化合物を用いて、実施例(イソプレンオリゴマーの調製)と同様の条件で変異型酵素F77G等を使用して得られたイソプレンオリゴマーをそれぞれ、イソプレンオリゴマー(GPP)、イソプレンオリゴマー(DMAPP)、イソプレンオリゴマー(A)、イソプレンオリゴマー(B)、イソプレンオリゴマー(C)、イソプレンオリゴマー(D)、イソプレンオリゴマー(E)、イソプレンオリゴマー(F)、イソプレンオリゴマー(G)、イソプレンオリゴマー(H)、イソプレンオリゴマー(I)、イソプレンオリゴマー(J)とする。
Figure 2015223124
Figure 2015223124
次に、本発明のイソプレンオリゴマー、ポリイソプレンをゴム組成物に配合し、性能評価を行うために、まず、当該評価に供するイソプレンオリゴマー、ポリイソプレンを調製した。基本的には、上述の実施例(イソプレンオリゴマーの調製)、実施例(ポリイソプレンの調製)に従って調製したが、得られるイソプレンオリゴマー、ポリイソプレンの分子量を調整するために、上述の(イソプレンオリゴマーの調整)、(ポリイソプレンの調製)に記載の条件を調整して反応を行った。
(製造例17)
(ゴム組成物評価用のイソプレンオリゴマーの調製)
まず、製造例1〜10で調製した開始基質、ジメチルアリル二リン酸(DMAPP)、及びゲラニル二リン酸(GPP)を用いて、イソプレンオリゴマーの調製を行なった。なお、得られたイソプレンオリゴマーの詳細(式(1)中のn、m、Y)は、実施例(イソプレンオリゴマーの調製)と同様の方法により決定した。
(イソプレンオリゴマー(2−GPP)の調製)
開始基質として、ゲラニル二リン酸を用いて、イソプレンオリゴマー(2−GPP)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−GPP)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−DMAPP)の調製)
開始基質として、ジメチルアリル二リン酸を用いて、イソプレンオリゴマー(2−DMAPP)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−DMAPP)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=2であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−A)の調製)
開始基質として、上記式(A)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(2−A)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−A)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−B)の調製)
開始基質として、上記式(B)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(2−B)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−B)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−C)の調製)
開始基質として、上記式(C)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(2−C)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−C)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−D)の調製)
開始基質として、上記式(D)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(2−D)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−D)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−E)の調製)
開始基質として、上記式(E)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(2−E)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−E)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=2、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−F)の調製)
開始基質として、上記式(F)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(2−F)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−F)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−G)の調製)
開始基質として、上記式(G)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(2−G)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−G)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−H)の調製)
開始基質として、上記式(H)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(2−H)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−H)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−I)の調製)
開始基質として、上記式(I)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(2−I)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−I)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(イソプレンオリゴマー(2−J)の調製)
開始基質として、上記式(J)で表される化合物を用いて、イソプレンオリゴマー(2−J)の調製を行った。得られたイソプレンオリゴマー(2−J)の詳細(式(1)中のn、m)は、n=3、m=1であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(製造例18)
(ゴム組成物評価用のポリイソプレンの調製)
次に、製造例17で得られたイソプレンオリゴマーを用いて、ポリイソプレンを調製した。なお、得られたポリイソプレンの詳細(式(4)中のn、m、q、Y)は、実施例(ポリイソプレンの調製)と同様の方法により決定した。
(ポリイソプレン(2−GPP)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−GPP)を用いて、ポリイソプレン(2−GPP)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−GPP)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=1、q=1000〜12000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−DMAPP)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−DMAPP)を用いて、ポリイソプレン(2−DMAPP)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−DMAPP)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=2、q=3000〜15000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−A)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−A)を用いて、ポリイソプレン(2−A)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−A)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=1、q=1000〜18000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−B)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−B)を用いて、ポリイソプレン(2−B)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−B)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=1、q=3000〜10000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−C)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−C)を用いて、ポリイソプレン(2−C)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−C)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=1、q=3000〜10000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−D)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−D)を用いて、ポリイソプレン(2−D)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−D)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=1、q=3000〜17000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−E)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−E)を用いて、ポリイソプレン(2−E)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−E)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=2、m=1、q=1000〜8000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−F)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−F)を用いて、ポリイソプレン(2−F)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−F)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=1、q=800〜8000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−G)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−G)を用いて、ポリイソプレン(2−G)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−G)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=1、q=3000〜12000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−H)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−H)を用いて、ポリイソプレン(2−H)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−H)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=1、q=3000〜17000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−I)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−I)を用いて、ポリイソプレン(2−I)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−I)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=1、q=1500〜10000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
(ポリイソプレン(2−J)の調製)
製造例17で調製したイソプレンオリゴマー(2−J)を用いて、ポリイソプレン(2−J)の調製を行った。得られたポリイソプレン(2−J)の詳細(式(4)中のn、m、q)は、n=3、m=1、q=4500〜18000であった。なお、Yは、水酸基、又は上記式(2)で表される基であった。
<ゴム組成物の評価>
次に、本発明のイソプレンオリゴマー、ポリイソプレンをゴム組成物に配合し、性能評価を行った。
以下、実施例1〜40及び比較例1〜4で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
BR:JSR(株)製のBR01
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラック(N220)
イソプレンオリゴマー:製造例13、17で得られたイソプレンオリゴマー
ポリイソプレン:製造例14、18で得られたポリイソプレン
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラ−NS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
シリカ:日本シリカ(株)製のニップシールAQ(湿式シリカ)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N−ジフェニルグアニジン)
実施例1〜40及び比較例1〜4
表11〜14に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をスチーム加硫プレスを用いて圧力80kgf/cmにて150℃で30分間加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた加硫ゴム組成物について下記の評価を行った。結果を表11〜14に示す。なお、表11、12の基準配合は比較例2、表13、14の基準配合は比較例4とした。
(粘弾性試験)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、70℃、歪み2%時(初期伸度)の条件でtanδの測定を行ない、基準配合のtanδを100として指数表示した。指数が大きいほど発熱が大きいことを表す。指数が100以下のとき、耐発熱性(低発熱性)は向上したものとみなした。すなわち、指数が小さいほど低発熱性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗試験)
(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用いて、荷重3kg、スリップ率40%および砂量15g/分の条件で5分間摩耗試験を実施した。サンプルの形状は厚さ5mm、直径50mmとし、砥石は、粒度#80のGCタイプ砥粒を使用した。試験結果を、基準配合を100(基準)として指数化した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れ、指数が100を超えるとき耐摩耗性は向上したものとみなした。
(引張試験)
JIS K6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、上記加硫ゴムシートからなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施し、破断強度(TB)(MPa)、破断時伸び(EB)(%)を測定した。試験結果を、基準配合を100(基準)として指数化した。破断強度、破断時伸び共に指数が大きいほど、破断強度、破断時伸びに優れることを示す。
Figure 2015223124
Figure 2015223124
Figure 2015223124
Figure 2015223124
表11、12より、上記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているイソプレンオリゴマーを使用した実施例では、低発熱性、耐摩耗性、破断時伸び(特に、耐摩耗性)に優れていた。
表13、14より、上記式(4)中のII−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているポリイソプレンを使用した実施例では、低発熱性、耐摩耗性、破断強度(特に、耐摩耗性)に優れていた。
(配列表フリーテキスト)
配列番号1:Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素(野生型酵素)の塩基配列
配列番号2:Bachilus stearothermophilus由来ファルネシル二リン酸合成酵素(野生型酵素)のアミノ酸配列
配列番号3:Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素(野生型酵素)の塩基配列
配列番号4:Sulfolobus acidocaldarius由来ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素(野生型酵素)のアミノ酸配列
配列番号5:変異型酵素Y81Rの塩基配列
配列番号6:変異型酵素Y81Rのアミノ酸配列
配列番号7:変異型酵素Y81Sの塩基配列
配列番号8:変異型酵素Y81Sのアミノ酸配列
配列番号9:変異型酵素Y81Dの塩基配列
配列番号10:変異型酵素Y81Dのアミノ酸配列
配列番号11:変異型酵素F77Gの塩基配列
配列番号12:変異型酵素F77Gのアミノ酸配列
配列番号13:変異型酵素F77Sの塩基配列
配列番号14:変異型酵素F77Sのアミノ酸配列
配列番号15:変異型酵素Y81R作製用センスプライマー
配列番号16:変異型酵素Y81R作製用アンチセンスプライマー
配列番号17:変異型酵素Y81S作製用センスプライマー
配列番号18:変異型酵素Y81S作製用アンチセンスプライマー
配列番号19:変異型酵素Y81D作製用センスプライマー
配列番号20:変異型酵素Y81D作製用アンチセンスプライマー
配列番号21:変異型酵素F77G作製用センスプライマー
配列番号22:変異型酵素F77G作製用アンチセンスプライマー
配列番号23:変異型酵素F77S作製用センスプライマー
配列番号24:変異型酵素F77S作製用アンチセンスプライマー

Claims (15)

  1. 下記式(1)で表されるイソプレンオリゴマーであって、下記式(1)中のI−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているイソプレンオリゴマー。
    Figure 2015223124
    (式(1)中、nは1〜10の整数を表す。mは1〜30の整数を表す。Yは、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、エステル基、カルボニル基又は下記式(2)で表される基を表す。)
    Figure 2015223124
  2. 下記式(1−1)中のI−II部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団に置換され、下記式(1−1)中のI−III部分に含まれる原子又は原子団は置換されていない請求項1記載のイソプレンオリゴマー。
    Figure 2015223124
  3. 上記式(1)中のI−I部分が下記式(a)〜(j)のいずれかである請求項1記載のイソプレンオリゴマー。
    Figure 2015223124
  4. 下記式(3)で表され、下記式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているアリル性二リン酸と、イソペンテニル二リン酸から生合成されて得られる請求項1〜3のいずれかに記載のイソプレンオリゴマー。
    Figure 2015223124
    (式(3)中、pは1〜10の整数を表す。)
  5. 前記生合成をプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を用いて行う請求項4記載のイソプレンオリゴマー。
  6. 前記プレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素が、以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質である請求項5記載のイソプレンオリゴマー。
    [1]配列番号2,4,6,8,10,12,14のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
    [2]配列番号2,4,6,8,10,12,14のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列において、1〜25個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、又は付加を含む配列からなり、かつ下記式(3)で表され、下記式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているアリル性二リン酸と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を有する蛋白質
    [3]配列番号2,4,6,8,10,12,14のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ下記式(3)で表され、下記式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているアリル性二リン酸と、イソペンテニル二リン酸との反応を触媒する活性を有する蛋白質
    Figure 2015223124
    (式(3)中、pは1〜10の整数を表す。)
  7. 下記式(3)で表され、下記式(3)中のイソプレン単位に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているアリル性二リン酸と、イソペンテニル二リン酸から生合成する請求項1〜3のいずれかに記載のイソプレンオリゴマーの製造方法。
    Figure 2015223124
    (式(3)中、pは1〜10の整数を表す。)
  8. 前記生合成をプレニルトランスフェラーゼ活性を有する酵素を用いて行う請求項7記載のイソプレンオリゴマーの製造方法。
  9. 下記式(4)で表されるポリイソプレンであって、下記式(4)中のII−I部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが、硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団により置換されているポリイソプレン。
    Figure 2015223124
    (式(4)中、nは1〜10の整数を表す。mは1〜30の整数を表す。qは30〜40000の整数を表す。Yは、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、エステル基、カルボニル基又は下記式(2)で表される基を表す。)
    Figure 2015223124
  10. 下記式(4−1)中のII−II部分に含まれる原子又は原子団の少なくとも1つが硫黄原子又は硫黄原子を含む原子団に置換され、下記式(4−1)中のII−III部分に含まれる原子又は原子団は置換されていない請求項9記載のポリイソプレン。
    Figure 2015223124
  11. 上記式(4)中のII−I部分が下記式(a)〜(j)のいずれかである請求項9記載のポリイソプレン。
    Figure 2015223124
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載のイソプレンオリゴマーと、イソペンテニル二リン酸から生合成されて得られる請求項9〜11のいずれかに記載のポリイソプレン。
  13. 請求項1〜6のいずれかに記載のイソプレンオリゴマーと、イソペンテニル二リン酸から生合成する請求項9〜11のいずれかに記載のポリイソプレンの製造方法。
  14. 請求項1〜6のいずれかに記載のイソプレンオリゴマー及び/又は請求項9〜11のいずれかに記載のポリイソプレンを含むゴム組成物。
  15. 請求項14記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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