JP2015221003A - 防霜・防凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】作物近傍の温度を効率よく上昇させることが、困難であることを、省エネで解消する。
【解決手段】防霜・防凍装置は、高位置にあるファンは、高所より低所に暖気を吹降ろし、低位置にあるファンは、略水平方向に送風する。圃場には、ヒータを備える構造である。高位置にあるファンは、作物近傍の温度より、逆転層が生ずる高所の温度が高い場合にのみ運転し、その後、さらに作物近傍の温度低下が生じた場合には、ヒータを運転する。逆に、逆転層が生じうる高所の温度が、作物近傍の温度以下である場合には、高位置にあるファンは運転せず、ヒータ、及び/又は、低位置にあるファンを運転し、暖気を、略水平方向に送風し、凍霜害防止を図る。
【選択図】図1

Description

本発明は、作物の防霜・凍害防止を行う防霜・防凍装置に関する。
梨、林檎、桃、葡萄、ビワ等の農作物の防霜、防凍(凍霜害)対策として、防霜ファンによる送風法が簡便であり、重宝されている。しかしながら、昨今の近年の自然環境は、暖冬であっても、局所、又は日により、極めて、区々であり低温状況となることが多くなったのが現況である。確かに、暖冬では、農作物の生育が早まり有益である。しかし、特に、注意が必要な場合は、晩霜が発生する4月上旬から5月上旬において、農作物の低温に対する抵抗性が急速に低下する発芽期から幼果期等の時期と重なることや、例年の最低気温時よりも強い寒気が入り込み気温が低下することで晩霜被害が発生し易く、また4月下旬から5月中旬の雷雨後に凍害が同様に発生するなど、局所の微気象でも作物障害が発生し、かっ深刻化な状況に成り易いのが現況である。その他として、例えば、地形によっての影響もあり、冷気が溜まる窪地や周囲が覆われていて風当たりの少ない場所は、微気象に関係なく被害が発生し易い。
この防霜ファンによる防霜、防凍防止対策では、前記の自然環境の変化や、この自然環境による作物の生育の変化に対し、十分に対応できていないのが現況であり、例えば、気温が−3℃以下となる場合は、暖房機との併用、又は燃焼装置との併用等が考えられ、一部で実施されている。
そこで、解決策の一環として、昨今、良く議論され、一部で実施されている方法として、下記のような手段がある。固形燃料や不燃材に燃料を染込ませた物を燃焼させて行う手段と、バーナーを組込んだ暖房機等の燃焼装置を用いた燃焼法による手段、或いは、水と氷が存在している状況では気温に関係なく0℃が保たれるという原理を利用した散水氷結法の手段、等がある。
しかしながら、前記手段では、有効である反面、問題もある。例えば、燃焼法手段では、燃料費の高騰による経済的な問題と、地球温暖化防止が必要とされている状況であり(燃焼量の削減が望まれている状況であり)、問題である。また、散水氷結法手段では、散水が不十分な場合には凍霜害を助長するため、例えば、1000mで、1時間当たり4tの多量の水の確保や排水対策が必要なこと、等が問題となる。
前記併用型として、実開昭50−17442号公報の防霜ファンと暖房機との組合せ、又は実開昭54−441号公報のファンと燃焼装置との組合せ、或いは、特開平9−121695号公報の防霜ファンとヒータとの組合せ、等がある。その他として、特開平7−115855号公報の防霜ファンと温風機との組合せ、がある。また、防霜ファンの活用として、特開2007−129978号公報において、防霜ファンを効率的に使用するために、複数のセンサを利用し、凍解後の作物の細胞破壊を最小限とする発明がある。
実開昭50−17442号公報 実開昭54−441号公報 特開平7−115855号公報 特開平9−121695号公報 特開2007−129978号公報
以上で説明した文献1、2、4では、単に、併用した構造の範疇であり、例えば、発育程度別の危険限界温度を基準として、圃場に適する温度制御手段、又は方法等は開示されていない。尚、参考として、果樹別の発育程度別の危険限界温度を示した資料を図10及び図11に示す。
また、前記文献1、2、4では、温度制御のための必要条件である、例えば、温風送風始動時と、送風方向設定、又はヒータの的確な制御等に関しての説明が十分ではないと考えられる。
さらに、前記文献3、5では、圃場の周囲地域状況とか、圃場の冷気の流れ方向等の圃場独自条件設定と、防霜ファンの設置方向(柱高さ、柱に取付けるファン数等)、及び/又は、送風方向等の物理的条件設定とに関しての説明が十分ではないと考えられる。
上記に鑑み、本発明は、: 第1に、果樹別の発育程度別の危険限界温度を基本とし、作物の近傍の温度を効率よく上昇させることが可能な防霜・防凍装置を提供する。:第2に、温風送風始動時と、送風方向等の設定に関したプログラムを備え、かつ作物毎の生育段階、又は品種、環境等で、危険限界温度が異なることを考慮し、最適な運転状況が図れるシステムを備えた防霜・防凍装置を提供する。: 第3に、圃場温度条件と、作物毎の生育段階、又は品種、環境等で、危険限界温度が異なることを考慮し、最適な運転状況が図れるシステムを備えた防霜・防凍装置を提供する。: 第4に、作物体温は、夜間は葉面から熱を放射するので、表面温度が、外気より1〜1.5℃下がる。そこで、空気を拡散し、作物葉面の体温(作物の近傍の温度)低下を防ぎ、かつ外気との温度差を少なくし、生育環境が確保できる防霜・防凍装置を提供する。: 第5は、ファンとヒータとの相乗効果が期待できるシステムを備えた防霜・防凍装置を提供する。
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1〜3に係る防霜・防凍装置を提供する。
請求項1の発明は、
圃場に立設された柱の先端部近傍位置に、圃場の所定範囲に風を吹き下ろす第1のファンと、柱の第1ファンの下方数メートルの位置に第2ファンを配設するとともに、第1のファンからの風の影響を受けない位置で、少なくとも、逆転層の生ずる高所に第1センサを、地表に近い高さで第1、第2のファンの風の影響を受けない位置に第2センサを、圃場で栽培する作物の略中心辺りに第3センサを、それぞれ設け、圃場には一基または数基のヒータを配置した構成であって、
第1センサの検出値と、第2センサの検出値との間における温度が、第2センサの温度よりも第1センサの温度が高い状況では、第1ファンを運転し、第1ファン運転後において、第1設定温度以下で、かつ第3センサの検出値が、第2設定温度以下であればヒータを運転、及び/又は、第2ファンを運転する構成と、
また、第3センサの検出値が、第2設定温度以下で、かつ第1センサの検出値と、第2センサの検出値との間における温度が、第2センサの温度よりも第1センサの温度が低い状況では、ヒータ、及び/又は、第2ファンを運転し、ヒータ運転と第2ファン運転後において、第3センサの検出値が、第2設定温度を超えている場合は、ヒータと、第2ファン運転を停止させることを、少なくとも、備えた制御を可能とすることを特徴とする構成とした防霜・防凍装置である。
これにより、請求項1では、前記第1〜第5の目的と効果を、ファンとヒータとを利用して達成できる。
請求項2の発明では、
圃場には、圃場で栽培される作物の側方からの空気の流入、流出を妨げるとともに、ヒータからの熱風のロスをなくすために、第2ファン、及び/又は、第1ファンで送る送風域を、遮蔽物で仕切る構成とした請求項1に記載の防霜・防凍装置である。
これにより、請求項2では、前記第1〜第5の目的と効果を、補助手段を併用することで、確実に達成できる。
請求項3の発明では、
第1・第2ファンの双方か、又は何れか一方に、この第1・第2ファンを囲む保護部材を設ける構成とした請求項1に記載の防霜・防凍装置である。
これにより、請求項3では、前記第1〜第5の目的と効果、並びに安全性が担保される。
第1実施形態に係る柱が定寸で、第1ファンとヒータによる防霜・防凍装置の構成を示す図である。 第2実施形態に係る柱が定寸で、第1・第2ファンとヒータによる防霜・防凍装置の構成を示す図である。 ファンの実施形態の拡大模式図であり、(a)は保護部材無し、(b)は保護部材付きを示す。 第3実施形態に係る柱が伸縮式で、伸びた状態の防霜・防凍装置の第1実施形態の第1ファンに代替する構成を想定した模式図である。 第3実施形態に係る柱が伸縮式で、縮んだ状態の防霜・防凍装置の第2実施形態の第2ファンに代替する構成を想定した模式図である。 第1実施形態に係る防霜・防凍装置の動作を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る防霜・防凍装置の動作を示すフローチャートである。 第2実施形態のその他1に係る防霜・防凍装置において、防鳥・防災ネットを、地面の上側(第1ファンの下側)に張装した状態の模式図である。 第2実施形態のその他2に係る防霜・防凍装置において、防鳥・防災ネットを、圃場の所定エリア(第1/第2ファンの送風エリア)に張装した状態の模式図である。 危険限界温度の第1の例を示す図である。 危険限界温度の第2の例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る防霜・防凍装置1の構成を示す図である。防霜・防凍装置1は、圃場Aに屹立している多数の柱101(建柱、伸縮する建柱)、102………(柱101とする。以後、多数は、単独で説明する)と、この柱101の上部101aに設けた、一基、又は数基の第1ファン110a(高所ファン)と、該柱101の下部101b、又は圃場A内の適所に設けた一基、又は数基のヒータ120と、また、柱101の近傍で、かつ上部101aに設けた第1センサ130a(第1温度センサ)、及び、下部101bに設けた第2センサ130b(第2温度センサ)と、圃場Aの作物200の近傍の温度(作物200の葉面の温度)を検出する一基、又は数基の第3センサ130c(第3温度センサ)と、で構成する。
この第1センサ130a(Hセンサ)は、少なくとも、第1ファン110aからの風、及び/又は、自然風等を受けない位置に設ける。そして、望ましくは、ヒータ120の温度の影響を受けない位置に設ける。また、この第2センサ130b(Lセンサ)で、第1ファン110aからの風、及び/又は、ヒータ120の温度等の影響を受けない位置に設ける。そして、望ましくは、自然風の影響を受けない位置に設ける。例えば、この第2センサ130b(Lセンサ)は、本出願人に係る特許文献5における、凍霜害を受けやすい位置に設置したLセンサとは、全く異なる。しかし、後述する、今回の第3センサの設置位置は、原則として、特許文献5のLセンサに近いと考えられる。
この第1センサ130aと、第2センサ130b、並びに第3センサ130c(後述する)を設ける位置は、その目的と役割により決定される。例えば、温度(気温)を正確に測定すること、暖気を確実に送風することによって(目的に適合するように)、第1ファン110aと、第2ファン110b、或いはヒータ120を、運転、又は運転停止すること、並びに、防霜、及び/又は、防凍(凍霜害)を、確実に達成することにある。
この第1ファン110aは、モータと首振り・俯角機構等を内設する。第1ファン110aは、図示しない、コントローラからの指令でON、OFFされる。
第1センサ130aは、逆転層Xの生じうる高所の温度を検出する。また、第2センサ130bは、地面、及び/又は、その近傍の温度を検出する。尚、後述するようにヒータ120の運転時は、検出しないようにコントロールする制御も有り得る。例えば、後述する第1設定温度B以上か未満かの判断を行わないようにすることで、自然に吹く風(気流の変化)の影響を受けてしまった際に、第2センサ130bがヒータ120の暖気を検出し、第1ファン110aの送風が有効な状況下にも関わらず誤って停止させることをなくする。
この第1センサ130aの検出値と、第2センサ130bの検出値との温度差が、第1センサ130aの検出値>第2センサ130bの検出値では、経験則よりして、空中の所定箇所に、逆転層Xが生じていると推定できる。換言すれば、経験則よりして、第1設定温度B以上では、空中の所定箇所に、逆転層Xがあること、また、第1設定温度B未満では、逆転層Xがないこと、をそれぞれ示す。
第3センサ130cは、圃場Aの作物200の葉面付近か、又は作物の近傍の温度(気温)『作物200の近傍の温度とする』を検出し、逆転層Xの有無に関係なく、ヒータ120をON、OFFする。例えば、逆転層Xがあっても外気の冷え込みが厳しく、逆転層Xの暖かい空気を第1ファン110aで第1送風しても圃場Aに対しての熱量供給が足りず、圃場Aの温度が危険限界温度まで下がる危険性が高まっている場合、又は逆転層Xが無く、圃場Aの温度が危険限界温度まで下がる危険性が高まっている場合等に働く機能を備えている。
前記第1設定温度Bとは、第1センサ130aの検出値と比較し、制御装置に対して制御を開始する温度であり、第1設定温度B以上か(含むかもしくは超えるか)、又は未満か(超えないか)の基準として、コントローラより、制御装置に対して、ON、OFFの指令を行い、第1ファン110a、第2ファン110b、又はヒータ120の運転停止を図る。
第2設定温度Cは、第3センサ130cの検出値と比較し、ヒータ120に対してON、OFFの指令を出す温度であり、第2設定温度C以上か(含むかもしくは超えるか)、又は未満か(超えないか)の基準として、コントローラより、ヒータ120に対してON、OFFの指令を行う。
この第1設定温度B以上(含むかもしくは超えている)か、又は未満(第1設定温度Bを含まず)かを決定する基準は、次のような、状況を考え設定する。例えば、樹種や生育ステージを考慮するが、一般的には、図10、図11である。これを参考として、説明すると、開花から幼果期の場合には、経験則よりして、作物200の近傍の温度が−1℃未満(−1℃を含まず)になると凍霜害が発生する状況であって、被害が発生するので、この温度を基準とし、予め、かつ早めに対応することと逆転層Xがある場合を考慮し、2℃とする。また、後述する、第2設定温度Cの基準は、燃焼量を抑えることを考慮し、0℃とする。
図6に示した、第1実施形態においては、
『1』圃場Aにおいて第2センサ130bの検出値が、第1設定温度B以下か、越えているか、を判断する(ST−1)。例えば、第2センサ130bの検出値が、2℃以下であれば、第1設定温度B以下となり、凍霜害発生の危険性があるので、YESとなり、次(ST−2)に進む。一方、第2センサ130bの検出値が、2℃を超えていれば、第1設定温度Bを超えているので、NOとなり、凍霜害発生の危険性がなく、元に戻る。
『2−y』(ST−2)において、第2センサ130bの検出値と、第1センサ130aの検出値とを比較検討する。例えば、第1センサ130aの検出値が、第2センサ130bの検出値を超えていれば、YESとなり、温度差が有り、逆転層Xがあると考えられるので、次(ST−3)に進む。即ち、第1ファン110aを運転する(ST−3)。
『2−n』また、温度差がないと、NOとなり、逆転層Xがないと考えられ、同温または冷たい空気を送り込む必要はないので、第1ファン110aを運転させず、(ST−3)の先に進む。
『3−y』続いて、第3センサ130cが作物200の近傍の温度を検出する(ST−4)。逆転層がなく、第1ファン110aが運転されていない『2−n』の場合は、圃場Aに対しての熱量供給がなく、圃場Aを取り巻く外気の温度が下がるにつれ、この第3センサ130cの検出値(温度)が低くなっていく。また、『2−y』の逆転層Xが存在(第1ファン110aを運転)し、この暖かい空気を第1ファン110aで送っている場合であっても、冷え込みが厳しくなって、第1ファン110aの送風による、圃場Aに対しての熱量供給では足りず、圃場の温度が危険限界温度まで下がる危険性が高まっている場合もあり、この場合も、この第3センサ130cの検出値(温度)が低くなっていく。従って、『2−n』及び『2−y』の後において、共に0℃になった時は、ヒータ120の運転が必要なためYESとなり、ヒータ120の運転をする(ST−5)。
『3−n』一方、第3センサ130cの検出値が、0℃を超えていれば、第2設定温度Cを超えているので、NOとなり、凍害発生の危険性がなく、さらに先の後述する(ST−8)の前に進む。
『4−y』(ST−5)のヒータ120の運転『3−y』後において、第3センサ130cが作物200の近傍の温度を検出する(ST−6)。検出値が、0℃を超えている時は(第2設定温度Cを超えており)、凍害の危険性がないので、YESとなり、ヒータ120の運転を停止する(ST−7)。
『4−n』尚、検出値が、0℃以下の時は(第2設定温度C以下であり)、凍害の危険性があるので、NOとなり、(ST−5)の前に戻る(ヒータ120運転の継続)。
『5−y』ヒータ120停止(ST−7)後、第1ファン110aが運転しているか確認し、(ST−8)、第1ファン110aが運転している場合には、ヒータ120停止後も第1ファン110aを運転させ、第2センサ130bの気温を検出し(ST−9)、検出値が、2℃を超えるまで(第1設定温度Bを超えるまで)運転を継続し、2℃を超えることで、YESとなり、第1ファン110aの運転を停止する(ST−10)。
『5−n』この(ST−8)において、第1ファン110aが運転していない場合は、NOであり、最初に戻る。
前述の内容、即ち、ループの趣旨を説明すると、『(ST−2)のNO判定『2−n』(第1ファンは運転せず)を経由した』(ST−4)のNO判定『3−n』(ヒータ120は運転せず)後の場合は、(ST−8)はNO判定となる。これは、ヒータ120を運転する必要が無いものの、(ST−1)YES判定となる状態が続いていれば、凍霜害の危険性が継続されていることとなるので(ST−1)の前に戻るが、引き続いて(ST−1)YES、(ST−2)NOを経て、第3センサ130cの温度が第2設定温度C以下にならないかの確認を繰り返す。この繰り返しは、圃場Aを取り巻く外気の温度(外気温)が上がって(ST−1)に戻り、繰り返すが、第2センサ130bの温度が第1設定温度Bを超え、凍霜害の危険性が完全になくなるまで繰り返される。
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係る防霜・防凍装置1の構成を示す図である。防霜・防凍装置1は、圃場Aに屹立している多数の柱101と、柱101の上部101aに設けた、一基、又は数基の第1ファン110a(ファン)と、及び、柱101の中間101cに設けた、一基、又は数基の第2ファン110b(中間箇所ファン)、並びに柱101の下部101b、又は圃場A内の適所に設けた一基、又は数基のヒータ120と、柱101の近傍で、かつ前記下部101bに設けたコントローラ、並びに上下部101a、101bに設けた第1センサ130aと、第2センサ130bと、圃場Aの作物200の近傍の温度を検出する一基、又は数基の第3センサ130cと、で構成する。
各構成の仕組みは、前述の第1実施形態に準ずる。その他として、第2実施形態では、第2ファン110bは、原則として、水平設置であり、水平方向への首振りは可能である。
図7に示した、第2実施形態においては、(ST−11)〜(ST−14)は、前記第1実施形態の(ST−1)〜(ST−4)と同じである。
この(ST−14)において、第3センサ130cが作物200の近傍の温度を検出し、検出値が、0℃以下の時は(第2設定温度C以下であって)、危険限界温度まで下がり、凍害が発生する危険性が高まっているので、YESとなる。続いて、第1ファン110aが運転しているか確認する(ST−15)。例えば、第1ファンが運転していれば、YESとなる。これは、その前の(ST−12)にてYES(逆転層あり)の状態であることを示しているので、そのまま第1ファンの運転を継続した状態で(ST−17)へ進む。
逆に第1ファンが運転していなければNOとなる。これは、その前の(ST−12)にてNO(逆転層なし)の状態であることを示しているので、第2ファン110bを運転(ST−16)した状態で(ST−17)へ進む。この第2ファン110bの運転により、送風方向161(151)の風の流れを利用し、作物200の周辺に吹出された暖気を、上方に逃がさないようにする(図2、図8、図9参照)。
また、(ST−14)において、第3センサの検出値が0℃を超える場合は、NOとなり、ヒータを運転する必要が無いものの、(ST−11)にてYES判定となる状態が続いていれば、凍霜害の危険性が継続されていることとなるので後述する(ST−21)の前に到る。
(ST−17)を経由した後において、第3センサ130cが作物200の近傍の温度を検出する(ST−18)。検出値が、0℃を超えている時は(第2設定温度Cを超えているので)、圃場Aの温度が危険限界温度まで下がる危険性が少なくなり、YESとなり、ヒータ120の運転をする停止する(ST−19)。この検出値が、0℃以下の時は(第2設定温度C以下であって)、圃場Aの温度が危険限界温度まで下がる危険性が高いままなので、NOとなり、(ST−17)の前に戻る。
ヒータ120の運転を停止(ST−19)したのちは、第1ファン110aが運転しているか確認する(ST−20)。第1ファンが運転していない時は、NOとなり、第2ファンが運転していることを示しているので第2ファンを停止させる(ST−23)。この後は、最初に戻る。
逆に第1ファン110aが運転している時は、YESとなり、ヒータ停止後も第1ファンの運転を継続させ、第2センサの気温を検出し(ST−21)、検出値が、2℃(第1設定温度B)を超えて(凍霜害の危険性がなくなって)いれば、YESとなり、第1ファン110aの運転を停止する(ST−22)。また第2センサの気温を検出し(ST−21)、検出値が、2℃以下ならばNOとなり、(ST−12)の前に戻り、第1ファンの運転を継続させるか、またはヒータや第2ファンを再度運転させるか(ST−12)以降の監視および動作を繰り返す。
図3(a)は、第1ファン110aの拡大側面図であり、下向きに吹き降ろす状態を矢視しており、図3(b)は、第1ファン110a、又は、第2ファン110b、その他のファンの羽根等の破損時の飛散防止、又は人体や物に対しての保護を意図して、ガード114を設ける。図中111は回転軸、112は羽根、図中151と161は送風方向を示す。
(第3実施形態)
図4、図5は、第1ファン110a(第2ファン110bを代替する)は、伸縮する柱101の上部101aに取り付けられている。例えば、柱101は、コントローラの制御によって伸縮可能であり、第1ファン110aは、柱101の伸縮に伴って上下方向に移動する。図4は第1ファン110aが高位置にある状態を示し、図5は第1ファン110aが中部101cにある状態を示す。即ち、第2実施形態に準じた働きを、代替した第1ファン110aで行うことで、省設備と省コスト化等を図る。
(第2実施形態のその他1、2)
図8、図9は、本発明の第2実施形態に係る防霜・防凍装置1の構成であり、その他の1、2を示す図である。
図8のその他1の防霜・防凍装置1では、圃場Aに設けた果樹棚Bを、第1ファン110a、或いは第2ファン110bの下側(上側も可能))に、防鳥・防災ネットC等の保護資材を、圃場Aに張装する構造である。従来の果樹棚Bと同様な効果を期待できる。この第2実施形態のその他1では、前述した第1実施形態に比し、暖気の圃場Aからの拡散防止と、霜の発生とか、冷気の圃場Aへの侵入防止や抑制等が期待でき、かつ凍害の防止効果と、省エネに有効である。
また、図9のその他2の防霜・防凍装置1では、圃場Aの周辺で、望ましくは、第1ファン110aとか第2ファン110bの送風エリア(送風範囲152、162)の範囲内に、保護資材を設けた構造であって、暖気の圃場Aからの拡散防止と、効率的な防霜・防凍達成等を図る。
図10は、刊行物より引用した、危険限界温度の第1の例を示すものである。また、図11も同様に、刊行物より引用した、危険限界温度の第2の例を示すものである。本発明において、有益な資料として示した。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
また、請求項に第1ファン110aと第2ファン110b、或いは第1センサ130a〜第3センサ130c等の如く、区別するための、記号を入れたが、台数に限定されるものでない。
1 防霜・防凍装置
101 柱
101a 上部
101b 下部
101c 中部
110a 第1ファン
110b 第2ファン
111 回転軸
112 羽根
114 ガード
120 ヒータ
130a 第1センサ
130b 第2センサ
130c 第3センサ
151、161 送風方向
152、162 送風範囲
200 作物
A 圃場
B 果樹棚
C 防鳥・防災ネット
X 逆転層

Claims (3)

  1. 圃場に立設された柱の先端部近傍位置に、圃場の所定範囲に風を吹き下ろす第1のファンと、柱の第1ファンの下方数メートルの位置に第2ファンを配設するとともに、第1のファンからの風の影響を受けない位置で、少なくとも、逆転層の生ずる高所に第1センサを、地表に近い高さで第1、第2のファンの風の影響を受けない位置に第2センサを、圃場で栽培する作物の略中心辺りに第3センサを、それぞれ設け、圃場には一基または数基のヒータを配置した構成であって、
    第1センサの検出値と、第2センサの検出値との間における温度が、第2センサの温度よりも第1センサの温度が高い状況では、第1ファンを運転し、第1ファン運転後において、第1設定温度以下で、かつ第3センサの検出値が、第2設定温度以下であればヒータを運転、及び/又は、第2ファンを運転する構成と、
    また、第3センサの検出値が、第2設定温度以下で、かつ第1センサの検出値と、第2センサの検出値との間における温度が、第2センサの温度よりも第1センサの温度が低い状況では、ヒータ、及び/又は、第2ファンを運転し、ヒータ運転と第2ファン運転後において、第3センサの検出値が、第2設定温度を超えている場合は、ヒータと、第2ファン運転を停止させることを、少なくとも、備えた制御を可能とすることを特徴とする構成とした防霜・防凍装置。
  2. 前記圃場には、当該圃場で栽培される作物の側方からの空気の流入、流出を妨げるとともに、前記ヒータからの熱風のロスをなくすために、前記第2ファン、及び/又は、前記第1ファンで送る送風域を、遮蔽物で仕切る構成とした請求項1に記載の防霜・防凍装置。
  3. 前記第1・第2ファンの双方か、又は何れか一方に、この第1・第2ファンを囲む保護部材を設ける構成とした請求項1に記載の防霜・防凍装置。
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