以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の電源装置の構成例を示す図である。電源装置1は、入力された電圧を所定の電圧に変換して、負荷4に出力する。電源装置1は、電圧変換回路2a(第1の電圧変換回路)、電圧変換回路2b(第2の電圧変換回路)、電圧変換回路2c(第3の電圧変換回路)および選択回路3を有する。選択回路3には、入力側に電圧変換回路2a,2bが接続され、出力側に電圧変換回路2cが接続されている。また、選択回路3には、選択回路3の選択動作を制御する制御回路10が接続されている。
電圧変換回路2a,2b,2cは、入力された電圧をそれぞれ所定の電圧に変換し、変換した電圧を出力する。電圧変換回路の例として、DCDCコンバータやレギュレータ等の降圧回路等が挙げられる。なお、電圧変換回路2a,2bの各出力電圧は、電圧変換回路2cの出力電圧より高いものとする。
電圧変換回路2a,2bへの入力電圧は、例えば、ACDC(Alternating Current Direct Current)アダプタ(図示せず)やバッテリ(図示せず)等から供給される。また、電圧変換回路2aと電圧変換回路2bは、互いに異なる変換効率特性を有する。例えば、入力電圧に応じた変換効率の特性や、出力電流に応じた変換効率の特性が、電圧変換回路2aと電圧変換回路2bとで異なる。
電圧変換回路2a,2bの出力電圧は、選択回路3へ入力される。選択回路3は、電圧変換回路2a,2bの出力電圧を選択的に出力する。電圧変換回路2cには、選択回路3の出力電圧が入力される。
負荷4には、電圧変換回路2cを経由して電力が供給される。例えば、電圧変換回路2cと負荷4とは直接接続されていてもよいし、あるいは、電圧変換回路2cと負荷4との間には別の電圧変換回路(図示せず)が接続されていてもよい。
ここで、電圧変換回路2a,2bのいずれかを電圧変換回路2cに直列に接続する構成としたことで、直列に接続された各電圧変換回路による降圧量が小さくなる。その結果、電源装置1の全体の電圧変換効率が高くなり、消費電力が抑制される。
これに加えて、変換効率の特性が異なる電圧変換回路2a,2bの出力を、選択回路3を介して選択的に電圧変換回路2cに入力する構成としたことで、負荷4に流れる電流の状況に応じて、全体として電力損失が小さくなるような適切な電流経路を選択することが可能となる。その結果、電源装置1の消費電力を抑制することができる。
制御回路10は、電圧変換回路2cを経由して電力が供給される負荷4に流れる電流の計測値に基づいて、選択回路3の切り替え動作を制御する。このような制御回路10の制御により、負荷4に流れる電流の状況に応じて、全体として電力損失が小さくなるような適切な電流経路を選択することが可能となり、その結果、電源装置1の消費電力を抑制することができる。
なお、制御回路10は、例えば、電圧変換回路2a,2b,2cおよび選択回路3が搭載された半導体基板とは別の半導体基板上に形成される。あるいは、制御回路10は、例えば、電圧変換回路2a,2b,2cおよび選択回路3と同一の半導体基板上に搭載されていてもよい。
制御回路10は、例えば、電圧変換回路2a,2b,2cそれぞれの変換効率の特性を示す特性情報(図示せず)を参照可能になっている。ここで、特性情報として図1に示す効率特性図2a1,2b1,2c1を例示し、これらの効率特性図2a1,2b1,2c1を用いた選択回路3の制御例について説明する。
効率特性図2a1,2b1,2c1は、それぞれ電圧変換回路2a,2b,2cに対応する変換効率の特性を示す図である。各効率特性図の縦軸は、電圧変換回路の変換効率を示し、横軸は電圧変換回路の出力電流値を示す。変換効率とは、入力電力に対する出力電力の割合を示す。ここでは、変換効率の単位を“%(パーセント)"とし、出力電流値の単位を“A(アンペア)”とする。
図1では、効率特性図2a1において、入力電圧値が“19V(ボルト)”の場合の効率特性を一点鎖線で表している。また、効率特性図2b1において、入力電圧値が“19V”の場合の効率特性を二点鎖線で表している。さらに、効率特性図2c1において、入力電圧値が“2.5V”の場合の効率特性を実線で表し、入力電圧値が“5V”の場合の効率特性を破線で表している。
効率特性図2c1からわかるように、電圧変換回路2cの前段に5Vを出力する電圧変換回路2aを接続するより、2.5Vを出力する電圧変換回路2bを接続した方が、電圧変換回路2c単独での変換効率は高くなる。しかしながら、効率特性図2a1,2b1に示すように、電圧変換回路2a,2bは同じ電圧が入力されたときの変換効率が異なるため、電源装置1全体としては、電圧変換回路2cの前段に電圧変換回路2aを接続するより電圧変換回路2bを接続した方が変換効率が高くなるとは限らない。
さらに、効率特性図2a1,2b1に示すように、少なくとも電圧変換回路2aと電圧変換回路2bとは、出力電流に対する変換効率の特性が異なる。このため、負荷4に流れる電流が変化すると、電圧変換回路2cに対して電圧変換回路2a,2bのどちらを接続した方が全体の変換効率が高くなるかも変化する。そこで、制御回路10は、負荷4に流れる電流の計測値と、効率特性図2a1,2b1,2c1とに基づいて、電圧変換回路2a,2cを接続した状態における各電圧変換回路での電力損失と、電圧変換回路2b,2cを接続した状態における各電圧変換回路での電力損失とを算出する。そして、制御回路10は、算出された各電力損失に基づいて、電力損失の合計値が小さくなるように選択回路3の切り替え動作を制御する。
以下、電圧変換回路2a,2cが選択回路3を介して接続された状態を“第1の接続状態”と呼び、電圧変換回路2b,2cが選択回路3を介して接続された状態を“第2の接続状態”と呼ぶ。
<負荷電流が“0.5A”の場合>
負荷4に流れる電流の計測値が“0.5A”であった場合、制御回路10は、例えば次のような処理を行う。
まず、制御回路10は、第1の接続状態における各電圧変換回路での電力損失を求める。効率特性図2c1から、電圧変換回路2cでの変換効率は“85%”と求められる。電圧変換回路の電力損失は、“(電圧変換回路の出力電圧値)×(電圧変換回路の出力電流値)×(100−(電圧変換回路の変換効率))/100”によって算出できる。そのため、電圧変換回路2cの電力損失は、“1[V]×0.5[A]×(100−85)/100=0.07[W]”となる。
また、電圧変換回路の入力電流値は、“(電圧変換回路の出力電圧値)×(電圧変換回路の出力電流値)/(電圧変換回路の入力電圧値)”により算出できる。このため、電圧変換回路2aの出力電流値は、電圧変換回路2cの入力電流値である“1[V]×0.5[A]/5[V]=0.1[A]”となる。効率特性図2a1から、電圧変換回路2aでの変換効率は“40%”と求められる。そのため、電圧変換回路2aの電力損失は、“5[V]×0.1[A]×(100−40)/100=0.3[W]”となる。
以上より、第1の接続状態における各電圧変換回路での電力損失の合計値、すなわち電源装置1の電力損失は、“0.3[W]+0.07[W]=0.37[W]"と求められる。
次に、制御回路10は、第2の接続状態における各電圧変換回路での電力損失を求める。効率特性図2c1から、電圧変換回路2cでの変換効率は“90%”と求められる。電圧変換回路2cの電力損失は、“1[V]×0.5[A]×(100−90)/100=0.05[W]”となる。
また、電圧変換回路2bの出力電流値は、電圧変換回路2cの入力電流値である“1[V]×0.5[A]/2.5[V]=0.2[A]”となる。効率特性図2b1から、電圧変換回路2bでの変換効率は“60%”と求められる。そのため、電圧変換回路2bの電力損失は、“2.5[V]×0.2[A]×(100−60)/100=0.2[W]”となる。
以上より、第2の接続状態における各電圧変換回路での電力損失の合計値、すなわち電源装置1の電力損失は、“0.2[W]+0.05[W]=0.25[W]"と求められる。
従って、負荷4に流れる電流の計測値が“0.5A”の場合、第2の接続状態の方が電源装置1全体での電力損失が低くなる。そのため、制御回路10は、電圧変換回路2bと電圧変換回路2cとが接続されるように選択回路3を制御する。
<負荷電流が“1A”の場合>
負荷4に流れる電流の計測値が“1A”であった場合、制御回路10は、例えば次のような処理を行う。
まず、制御回路10は、第1の接続状態における各電圧変換回路での電力損失を求める。効率特性図2c1から、電圧変換回路2cでの変換効率は“85%”と求められる。そのため、電圧変換回路2cの電力損失は、“1[V]×1[A]×(100−85)/100=0.15[W]”となる。
また、電圧変換回路2aの出力電流値は、電圧変換回路2cの入力電流値である“1[V]×1[A]/5[V]=0.2[A]”となる。効率特性図2a1から、電圧変換回路2aでの変換効率は“80%”と求められる。そのため、電圧変換回路2aの電力損失は、“5[V]×0.2[A]×(100−80)/100=0.2[W]”となる。
以上より、第1の接続状態における各電圧変換回路での電力損失の合計値、すなわち電源装置1の電力損失は、“0.2[W]+0.15[W]=0.35[W]"と求められる。
次に、制御回路10は、第2の接続状態における各電圧変換回路での電力損失を求める。効率特性図2c1から、電圧変換回路2cでの変換効率は“90%”と求められる。そのため、電圧変換回路2cの電力損失は、“1[V]×1[A]×(100−90)/100=0.1[W]”となる。
また、電圧変換回路2bの出力電流値は、電圧変換回路2cの入力電流値である“1[V]×1[A]/2.5[V]=0.4[A]”となる。効率特性図2b1から、電圧変換回路2bでの変換効率は“60%”と求められる。そのため、電圧変換回路2bの電力損失は、“2.5[V]×0.4[A]×(100−60)/100=0.4[W]”となる。
以上より、第2の接続状態における各電圧変換回路での電力損失の合計値、すなわち電源装置1の電力損失は、“0.4[W]+0.1[W]=0.5[W]"と求められる。
従って、負荷4に流れる電流の計測値が“1A”の場合、第1の接続状態の方が電源装置1全体での電力損失が低くなる。そのため、制御回路10は、電圧変換回路2bと電圧変換回路2cとが接続されるように選択回路3を制御する。
以上の例のように、負荷4に流れる電流により、電圧変換回路2a,2bのどちらを電圧変換回路2cに接続した方が電源装置1全体の電力損失が小さくなるかは変化する。上記の制御回路10の処理により、負荷4に流れる電流の計測値に応じて、各電圧変換回路での電力損失の合計が小さくなるように、選択回路3の切り替え動作が制御されて電流経路が選択される。これにより、負荷4に流れる電流が変化した場合の電源装置1の消費電力を抑制できる。
なお、上記の例では、制御回路10は、負荷4に流れる電流の計測値と、各電圧変換回路の特性情報とに基づいて、第1の接続状態および第2の接続状態それぞれにおける各電圧変換回路での電力損失を算出し、算出された各電力損失に基づいて、電力損失の合計値が小さくなるように選択回路3の切り替え動作を制御した。これに対して、制御回路10は、例えば、負荷4に流れる電流の値と選択回路3の選択状態とを対応付けた対応情報を参照し、負荷4に流れる電流の計測値に対応する選択状態を対応情報から読み出して、選択回路3の切り替え動作を制御してもよい。
また、第1の実施の形態では、選択回路3は、2つの電圧変換回路のいずれかを選択可能であるが、3つ以上の電圧変換回路のいずれかを選択可能であってもよい。
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態では、図1に示した電源装置1および制御回路10が設けられた電子機器の例として、ノート型コンピュータを挙げて説明する。
図2は、第2の実施の形態のノート型コンピュータの例を示す図である。ノート型コンピュータ5は、ACDCアダプタ6と接続可能になっている。また、ノート型コンピュータ5は、バッテリ7、マザーボード8、ディスプレイ22a、HDD(Hard Disk Drive)22b、入力デバイス22cおよび通信インタフェース22dを有する。マザーボード8には、ACDCアダプタ6、バッテリ7、ディスプレイ22a、HDD22b、入力デバイス22cおよび通信インタフェース22dが接続されている。
ACDCアダプタ6は、外部電源9から供給される交流電力を、所定レベルの直流電力に変換し、変換した電圧を所定レベルの電圧に変換してノート型コンピュータ5が備えるマザーボード8へ供給する。外部電源9の電力は、例えば、電源プラグ(図示せず)を電源コンセント(図示せず)に接続することにより供給され、電源プラグが電源コンセントに接続されていない場合、外部電源9からACDCアダプタ6を介してマザーボード8へ電源が供給されない。バッテリ7は、外部電源9からノート型コンピュータ5へ電力が供給されていない場合、マザーボード8へ電力を供給する。すなわち、マザーボード8には、ACDCアダプタ6またはバッテリ7のいずれかから電力が供給される。
マザーボード8は、コネクタ11,12、バッテリ充電回路13、ダイオード14,15、プロセッサ21a、画像信号処理部21b、PCH(Platform Controller Hub)21c、VRAM(Video Random Access Memory)21d、RAM(Random Access Memory)21e、入出力インタフェース21f、変圧部100および電流経路制御回路200を有する。なお、変圧部100は、第1の実施の形態の電源装置1の一例であり、後述するように複数のDCDCコンバータを有する。
コネクタ11には、ACDCアダプタ6が接続され、コネクタ12には、バッテリ7が接続される。バッテリ充電回路13には、コネクタ11,12および、ダイオード14,15それぞれのアノードが接続されている。ダイオード14,15それぞれのカソードには、変圧部100が接続されている。また、変圧部100には、プロセッサ21a、画像信号処理部21b、PCH21c、VRAM21d、RAM21e、入出力インタフェース21fおよび電流経路制御回路200が接続されている。また、プロセッサ21a、画像信号処理部21b、PCH21c、VRAM21d、RAM21eおよび入出力インタフェース21fは、図示しないバスを介して互いに接続されている。
コネクタ11には、ACDCアダプタ6から電力が供給される。コネクタ11は、ACDCアダプタ6から供給された電力をバッテリ充電回路13へ供給する。また、コネクタ11は、ACDCアダプタ6から供給された電力を、ダイオード14を介して変圧部100へ供給する。
コネクタ12には、ACDCアダプタ6からコネクタ11へ電力が供給されている場合、バッテリ充電回路13から所定レベルの電圧で電力が供給される。このとき、コネクタ12は、バッテリ充電回路13から供給された電力をバッテリ7へ供給する。また、コネクタ12には、ACDCアダプタ6からコネクタ11へ電力が供給されていない場合、バッテリ7から所定レベルの電圧で電力が供給される。このとき、コネクタ12は、バッテリ7から供給された電力を、ダイオード15を介して変圧部100へ供給する。
すなわち、変圧部100には、ACDCアダプタ6またはバッテリ7のいずれかから所定の電圧で電力が供給される。なお、ACDCアダプタ6の電圧と、バッテリ7の電圧は、同じ電圧であってもよいし、異なる電圧であってもよい。
バッテリ充電回路13には、コネクタ11を介してACDCアダプタ6から電力が供給される。バッテリ充電回路13は、コネクタ12を介してバッテリ7へ電力を供給することで、バッテリ7を充電する。
変圧部100は、ACDCアダプタ6またはバッテリ7から供給された所定レベルの電圧を用いて、複数の電圧を生成する。複数の電圧の値は、全て異なる値でもよいし、同じ値が含まれていてもよい。
変圧部100は、生成された複数の電圧それぞれを、プロセッサ21a、画像信号処理部21b、PCH21c、VRAM21d、RAM21eおよび入出力インタフェース21fのいずれかへ供給する。以下、プロセッサ21a等、変圧部100からの電圧の供給先となるユニットを、"負荷"と記載する場合がある。なお、プロセッサ21a、画像信号処理部21b、PCH21c、VRAM21d、RAM21eおよび入出力インタフェース21fは、第1の実施の形態の負荷4の一例である。
また、変圧部100は、1つ以上の負荷のそれぞれに対する電流経路として、選択回路により切り替え可能な複数の電流経路を有する。複数の電流経路のそれぞれには、1つ以上のDCDCコンバータが含まれる。
電流経路制御回路200は、変圧部100の有する複数の電流経路それぞれの電力損失を取得し、取得した電力損失に基づいて電流経路を複数の電流経路から選択する。電流経路制御回路200は、変圧部100が有する複数の電流経路のうち、選択した電流経路に切り替えるよう変圧部100を制御する。
プロセッサ21a、画像信号処理部21b、PCH21c、VRAM21d、RAM21eおよび入出力インタフェース21fは、変圧部100から供給された電力を用いて駆動し、所定の機能を実行する。また、プロセッサ21a、画像信号処理部21b、PCH21c、VRAM21d、RAM21eおよび入出力インタフェース21fの使用電圧は、それぞれ異なる。
プロセッサ21aは、プログラムの命令を実行する演算器を含み、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ21aは、HDD22bに記憶されているプログラムやデータの少なくとも一部をRAM21eにロードしてプログラムを実行する。
画像信号処理部21bは、プロセッサ21aからの命令に従って、ディスプレイ22aに画像を出力する。ディスプレイ22aとしては、有機EL(Electro Luminescence)や液晶ディスプレイ等を用いることができる。
PCH21cは、プロセッサ21aとの通信機能や、プロセッサ21aからの命令に応じたHDD22b、入力デバイス22cおよび通信インタフェース22d等の制御機能を有する。HDD22bは、OS(Operating System)やファームウェアやアプリケーションソフトウェア等のプログラム及びデータを記憶する不揮発性の記憶装置である。入力デバイス22cは、入力信号を取得し、プロセッサ21aに通知する。入力デバイス22cの例としては、タッチパッド等のポインティングデバイスや、キーボード等を用いることができる。通信インタフェース22dは、ネットワークを介して他の情報処理装置と通信を行う。
VRAM21dは、ディスプレイ22aに表示される画像のデータの内容を一時的に記憶する揮発性メモリである。RAM21eは、プロセッサ21aが実行するプログラムやプログラムから参照されるデータを一時的に記憶する揮発性メモリである。入出力インタフェース21fは、USB(Universal Serial Bus)メモリやマウス等の周辺機器を、ノート型コンピュータ5に接続するための通信インタフェースである。
図3は、変圧部の内部構成例を示す図である。変圧部100は、入力端子IN11〜IN12、通信端子COM11、DCDCコンバータ(DDC)110a〜110j、選択回路120a〜120fおよび出力端子OUT11〜OUT19を有する。なお、DCDCコンバータ110a〜110jは、第1の実施の形態の電圧変換回路2a〜2cの一例である。また、選択回路120a〜120fは、第1の実施の形態の選択回路3の一例である。
入力端子IN11は、ACDCアダプタ6およびバッテリ7に接続されている。DCDCコンバータ110a〜110dの入力側には、入力端子IN11が接続されている。また、DCDCコンバータ110c,110dの出力側には、選択回路120a〜120fが接続されている。
DCDCコンバータ110eの入力側には、選択回路120aが接続され、DCDCコンバータ110fの入力側には、選択回路120bが接続され、DCDCコンバータ110gの入力側には、選択回路120cが接続されている。また、DCDCコンバータ110hの入力側には、選択回路120dが接続され、DCDCコンバータ110iの入力側には、選択回路120eが接続され、DCDCコンバータ110jの入力側には、選択回路120fが接続されている。
出力端子OUT11には、負荷としてプロセッサ21aが接続され、出力端子OUT12には、負荷として画像信号処理部21bが接続されている。また、出力端子OUT13には、負荷として画像信号処理部21bが接続され、出力端子OUT14には、負荷としてPCH21cが接続され、出力端子OUT15には、負荷としてVRAM21dが接続されている。また、出力端子OUT16には、負荷としてRAM21eが接続され、出力端子OUT17には、負荷としてRAM21eが接続されている。さらに、出力端子OUT18には、負荷として入出力インタフェース21fが接続され、出力端子OUT19には、負荷としてPCH21cが接続されている。
DCDCコンバータ110a〜110jは、入力された電圧をそれぞれ所定の電圧に変換して出力する回路である。DCDCコンバータ110a〜110jは、入力された電圧値より低い電圧値に変換する降圧側の回路である。また、DCDCコンバータ110a〜110jは、出力される電流値を計測する機能を有する。DCDCコンバータ110a〜110jは、通信端子COM11を介して電流経路制御回路200から受信される制御信号に従って、出力される電流値を計測し、計測結果を電流経路制御回路200へ出力する。また、DCDCコンバータ110a〜110jのうち、少なくとも、DCDCコンバータ110c,110dは、異なる変換効率の特性を有する。以下、変換効率の特性を"効率特性"と記載する場合がある。
DCDCコンバータ110a〜110dには、ACDCアダプタ6またはバッテリ7から入力端子IN11を介して電圧が入力される。DCDCコンバータ110aは、入力された電圧を変換し、変換した電圧を、出力端子OUT11を介してプロセッサ21aへ出力する。DCDCコンバータ110bは、入力された電圧を変換し、変換した電圧を、出力端子OUT12を介して画像信号処理部21bへ出力する。
DCDCコンバータ110cは、入力された電圧を変換し、変換した電圧を選択回路120a〜120fへ出力する。DCDCコンバータ110dは、入力された電圧を変換し、変換した電圧を選択回路120a〜120fへ出力する。さらに、DCDCコンバータ110dは、変換した電圧を、出力端子OUT18を介して入出力インタフェース21fへ出力する。
選択回路120a〜120fは、入力端子IN12を介して電流経路制御回路200から受信される制御信号に従って、入力側のDCDCコンバータ110c,110dのうち、いずれかのDCDCコンバータを選択して出力側と接続する。選択回路での切り替え動作により、その出力側に接続された負荷に対する電流経路の一部が変更される。
選択回路120a〜120fには、DCDCコンバータ110c,110dから電圧が入力される。選択回路120aは、DCDCコンバータ110c,110dのいずれかを選択し、選択したDCDCコンバータから入力された電圧を、DCDCコンバータ110eへ出力する。選択回路120bは、DCDCコンバータ110c,110dのいずれかを選択し、選択したDCDCコンバータから入力された電圧を、DCDCコンバータ110fへ出力する。
選択回路120cは、DCDCコンバータ110c,110dのいずれかを選択し、選択したDCDCコンバータから入力された電圧を、DCDCコンバータ110gへ出力する。選択回路120dは、DCDCコンバータ110c,110dのいずれかを選択し、選択したDCDCコンバータから入力された電圧を、DCDCコンバータ110hへ出力する。
選択回路120eは、DCDCコンバータ110c,110dのいずれかを選択し、選択したDCDCコンバータから入力された電圧を、DCDCコンバータ110iへ出力する。選択回路120fは、DCDCコンバータ110c,110dのいずれかを選択し、選択したDCDCコンバータから入力された電圧を、DCDCコンバータ110jへ出力する。
DCDCコンバータ110eには、選択回路120aから電圧が入力される。DCDCコンバータ110eは、入力された電圧を変換し、変換した電圧を、出力端子OUT13を介して画像信号処理部21bへ出力する。DCDCコンバータ110fには、選択回路120bから電圧が入力される。DCDCコンバータ110fは、入力された電圧を変換し、変換した電圧を、出力端子OUT14を介してPCH21cへ出力する。
DCDCコンバータ110gには、選択回路120cから電圧が入力される。DCDCコンバータ110gは、入力された電圧を変換し、変換した電圧を、出力端子OUT15を介してVRAM21dへ出力する。DCDCコンバータ110hには、選択回路120dから電圧が入力される。DCDCコンバータ110hは、入力された電圧を変換し、変換した電圧を、出力端子OUT16を介してRAM21eへ出力する。
DCDCコンバータ110iには、選択回路120eから電圧が入力される。DCDCコンバータ110iは、入力された電圧を変換し、変換した電圧を、出力端子OUT17を介してRAM21eへ出力する。DCDCコンバータ110jには、選択回路120fから電圧が入力される。DCDCコンバータ110jは、入力された電圧を変換し、変換した電圧を、出力端子OUT19を介してPCH21cへ出力する。
このように、変圧部100には、例えば、DCDCコンバータ110a〜110j等の複数のDCDCコンバータを用いて、入力端子IN11から入力された電圧を、複数の電圧に変換し、変換した電圧を出力端子OUT11〜OUT19に接続されている負荷へ出力する。これにより、変圧部100は、1の入力電圧を用いて、複数の負荷(例えば、プロセッサ21aや画像信号処理部21b等)へ、各負荷の使用電圧に応じた電圧を供給できる。
また、変圧部100には、DCDCコンバータ110c,110e等のように、直列に接続された複数のDCDCコンバータが含まれる。DCDCコンバータは、変換前の電圧と変換後の電圧との差が小さい程、電圧の変換の際の電力損失を低減できる。そのため、DCDCコンバータを直列に配置することで、ACDCアダプタ6等から入力された電圧を段階的に低い電圧に変換でき、電力損失を低減できる。
さらに、変圧部100は、複数のDCDCコンバータ(DCDCコンバータ110c,110d)のいずれかを選択する複数の選択回路(選択回路120a〜120f)を有する。これにより、プロセッサ21a等の各負荷の電力の使用状況に応じて、選択回路によるDCDCコンバータの選択の組み合わせを変更することで、電流経路を切り替えることができる。
ここで、変圧部100は、選択回路120a〜120fによるDCDCコンバータの選択の組み合わせの数分(“26=64”通り)の接続状態をとり得る。すなわち、選択回路120a〜120fがある1通りの選択状態にある場合、変圧部100はある1つの接続状態となる。そして、選択回路120a〜120fの少なくとも1つの選択状態が変化して、対応する負荷への電流経路が変更されると、接続状態も変更されることになる。また、変圧部100の接続状態は、電流経路制御回路200から選択回路120a〜120fのそれぞれに出力される制御信号に応じて変更される。
なお、変圧部100に含まれるDCDCコンバータの数は、10個未満でもよいし、11個以上でもよい。また、変圧部100に含まれる選択回路の数は、6個未満でもよいし、7個以上でもよい。また、変圧部100に含まれる選択回路は、2つのDCDCコンバータのうちのいずれかのDCDCコンバータを選択可能であるが、3つ以上のDCDCコンバータのうちのいずれかのDCDCコンバータを選択可能であってもよい。また、負荷には、プロセッサ21a等のように1つの電圧が入力されてもよいし、画像信号処理部21bやPCH21cのように、複数の電圧が入力されてもよい。
図4は、選択回路のハードウェア構成例を示す図である。なお、選択回路120a〜120fはそれぞれ同様のハードウェア構成を有するので、図4ではこれらを“選択回路120”と表す。また、これ以降、選択回路120a〜120fを区別せずに説明する場合には、“選択回路120”という表記を使用する。
選択回路120は、入力端子IN21〜IN24、出力端子OUT21、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型FET(Field Effect Transistor)121,122,124および反転回路123を有する。入力端子IN21は、DCDCコンバータ110cと接続され、入力端子IN22は、DCDCコンバータ110dと接続され、入力端子IN23,IN24は、電流経路制御回路200と接続されている。
また、MOS型FET121,122は、PチャネルのMOS型FETであり、MOS型FET124は、NチャネルのMOS型FETである。MOS型FET121のソースは、入力端子IN21に接続され、MOS型FET121のドレインは、出力端子OUT21に接続され、MOS型FET121のゲートは、入力端子IN23に接続されている。MOS型FET122のソースは、入力端子IN22に接続され、MOS型FET122のドレインは、MOS型FET124のドレインに接続され、MOS型FET122のゲートは、入力端子IN24に接続されている。反転回路123の入力側は、入力端子IN24に接続されており、反転回路123の出力側は、MOS型FET124のゲートに接続されている。MOS型FET124のソースには、出力端子OUT21が接続されている。
選択回路120には、入力端子IN23を介して制御信号#Aが電流経路制御回路200から入力され、入力端子IN24を介して制御信号#Bが電流経路制御回路200から入力される。また、制御信号#Aは、MOS型FET121へ出力され、制御信号#Bは、MOS型FET122および反転回路123へ出力される。また、制御信号#Aと制御信号#Bとは、相補的(排他的)にハイレベル/ロウレベルとなる関係である。
制御信号#Aがハイレベルで、制御信号#Bがロウレベルの場合、MOS型FET121はオフになり、MOS型FET122,124はともにオンになる。従って、DCDCコンバータ110dから入力された電圧が、入力端子IN22、MOS型FET122,124および出力端子OUT21を経由して、出力側のDCDCコンバータへ出力される。
一方、制御信号#Aがロウレベルで、制御信号#Bがハイレベルの場合、MOS型FET121はオンになり、MOS型FET122,124はともにオフになる。従って、DCDCコンバータ110cから入力された電圧が、入力端子IN21、MOS型FET121および出力端子OUT21を経由して、出力側のDCDCコンバータへ出力される。
選択回路120は、図4で説明したような回路を有することで、電流経路制御回路200から入力される制御信号#A,#Bにより接続元の切り替え動作が可能となる。また、電流経路制御回路200は、各選択回路への制御信号#A,#Bを切り替えることで、変圧部100の接続状態を切り替えることができる。なお、選択回路120は、図4で説明した構成に限定されるものではない。
ここで、DCDCコンバータは、入力電圧値と出力電圧値の差が小さいほど電力損失が小さくなる性質を有する。変圧部100では、DCDCコンバータ110e〜110jのそれぞれについて、その前段に別のDCDCコンバータを直列に接続する構成としたことで、直列に接続された2つのDCDCコンバータでの電力損失が低減されている。
また、電源装置を設計する際、直列に接続されたDCDCコンバータのうち、後段のDCDCコンバータでの電力損失を低くするためには、前段のDCDCコンバータとして、その出力電圧値が後段のDCDCコンバータの出力電圧値に近いものを選択する方法がある。しかし、この方法では、前段のDCDCコンバータの電力損失も低くなるとは限らないので、直列に接続されたDCDCコンバータ全体での電力損失は逆に高くなってしまう可能性がある。さらに、DCDCコンバータの効率特性は出力電流にも依存するので、電源装置の負荷に流れる電流の状況によって、装置全体の電力損失が低くなるような前段と後段の各DCDCコンバータの仕様の組み合わせも、変化してしまう。これらを総合すると、電源装置の設計段階で、前段と後段の各DCDCコンバータとしてどのような仕様を選択すれば装置全体の電力損失が低くなるかを、一意に決定することは困難であった。
特に、図3に示す変圧部100の構成では、それぞれ駆動電圧が異なる複数の負荷が接続されている。そして、前段のDCDCコンバータ(例えば、DCDCコンバータ110c,110d)の後段には、複数の負荷のそれぞれに対する電流経路が接続される。このような構成の場合、第1の実施の形態のように1つの負荷のみが接続された場合と比較して、各負荷に流れる電流と、電力損失が低くなるような電流経路との関係は非常に複雑になる。
そこで、電流経路制御回路200は、各負荷の電流の計測値に基づいて、変圧部100がとり得る複数の接続状態それぞれにおける電力損失を計算により求め、その中から電力損失が最小である接続状態を選択するよう選択回路120a〜120fを制御する。これにより、変圧部100は、変圧部100の各負荷に流れる電流の状況に応じて、効率よく各負荷へ電圧を供給できる。図5以降では、変圧部100の負荷に流れる電流の状況に応じて、変圧部100の最適な接続状態を選択する電流経路制御回路200について説明する。
図5は、電流経路制御回路のハードウェア構成例を示す図である。なお、DCDCコンバータ110a〜110jはそれぞれ同様のハードウェア構成を有するので、図5ではこれらを“DCDCコンバータ110”と表す。また、これ以降、DCDCコンバータ110a〜110jを区別せずに説明する場合には、“DCDCコンバータ110”という表記を使用する。
電流経路制御回路200は、プロセッサ201、RAM202、ROM(Read Only Memory)203、通信インタフェース204,205を有する。これらのユニットは、電流経路制御回路200内でバス206に接続されている。
プロセッサ201は、プログラムの命令を実行する演算器を含み、例えばCPUである。プロセッサ201は、ROM203に記憶されているプログラムやデータの少なくとも一部をRAM202にロードしてプログラムを実行する。なお、プロセッサ201は複数のプロセッサコアを備えてもよい。また、電流経路制御回路200は、複数のプロセッサを備えてもよい。また、電流経路制御回路200は、複数のプロセッサまたは複数のプロセッサコアを用いて並列処理を行ってもよい。また、2以上のプロセッサの集合、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路、2以上の専用回路の集合、プロセッサと専用回路の組み合わせ等を「プロセッサ」と呼んでもよい。
RAM202は、プロセッサ201が実行するプログラムやプログラムから参照されるデータを一時的に記憶する揮発性メモリである。なお、電流経路制御回路200は、RAM以外の種類のメモリを備えてもよく、複数個の揮発性メモリを備えてもよい。
ROM203は、OSやファームウェアやアプリケーションソフトウェア等のソフトウェアのプログラム及びデータを記憶する不揮発性の記憶装置である。なお、電流経路制御回路200は、フラッシュメモリ等の他の種類の記憶装置を備えてもよく、複数個の不揮発性の記憶装置を備えてもよい。
通信インタフェース204は、変圧部100に含まれるDCDCコンバータ110と通信を行う。通信インタフェース205は、変圧部100に含まれる選択回路120と通信を行う。
図6は、電流経路制御回路の機能例を示す図である。電流経路制御回路200は、DDC情報記憶部210、電流情報記憶部220、電力損失取得部230、経路選択部240を有する。DDC情報記憶部210および電流情報記憶部220は、RAM202またはROM203に確保した記憶領域として実現できる。DDC情報記憶部210は、ROM203を用いて実現し、電流情報記憶部220はRAM202を用いて実現することが好ましい。電力損失取得部230および経路選択部240の処理は、例えば、電流経路制御回路200が備えるプロセッサ201が所定のプログラムを実行することで実現される。
DDC情報記憶部210は、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータに関する情報を予め格納したDDC情報テーブルを記憶する。また、DDC情報記憶部210は、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータの効率特性に関する情報を予め格納した効率特性情報テーブルを記憶する。
さらに、DDC情報記憶部210は、変圧部100に含まれるDCDCコンバータや選択回路等の構成や、変圧部100における所定の配線区間を示す情報を含む回路情報を予め記憶する。配線区間は、変圧部100に含まれる配線を、例えば、DCDCコンバータや、選択回路や、配線の接点等で区切ったものである。配線区間を示す情報には、配線区間の始点および終点に存在する回路または接点や、配線区間を識別するための配線区間ID(Identification)等が含まれる。
電流情報記憶部220は、変圧部100の接続状態毎に経路上に流れる電流に関する情報を一時的に格納するための電流算出情報テーブルを記憶する。
電力損失取得部230は、次のように、変圧部100の各接続状態における電力損失を取得する。電力損失取得部230は、変圧部100の接続状態毎に一定のサンプリング期間を繰り返し、各サンプリング期間において対応する接続状態での電力損失を取得する。
初回サンプリング期間は、現時点で実際に選択されている変圧部100の接続状態について、電流経路上の電流値を実測する期間となる。まず、電力損失取得部230は、変圧部100の各DCDCコンバータから出力されている電流値を一定時間間隔(例えば、1ミリ秒間隔)で所定回数分(例えば、1000回)計測する。電力損失取得部230は、一定時間間隔毎の計測結果を電流算出情報テーブルへ一時的に登録する。なお、変圧部100の接続状態は、変圧部100に含まれる複数の選択回路によるDCDCコンバータの選択の組み合わせにより、特定される。また、各DCDCコンバータから出力されている電流値の計測は、電力損失取得部230から電流値の計測を要求する制御信号を変圧部100へ出力し、変圧部100から計測結果が入力されることで実現する。
次に、電力損失取得部230は、一定時間間隔毎に登録した各DCDCコンバータの出力電流値と回路情報とに基づいて、一定時間間隔毎の各負荷への出力電流値を算出し、一定時間間隔毎の算出結果を電流算出情報テーブルへ一時的に登録する。これにより、初回サンプリング期間における各負荷への出力電流値が電流算出情報テーブルへ登録される。
次に、2回目以降のサンプリング期間に遷移する。2回目以降のサンプリング期間では、電力損失取得部230は、各負荷への出力電流値が初回サンプリング期間と同じであると仮定して、変圧部100の接続状態が変更された場合の電流経路上の電流値を計算によって推測する。
2回目以降の各サンプリング期間において、電力損失取得部230は、初回サンプリング期間に一定時間間隔毎に登録された各負荷への出力電流値と回路情報とに基づいて、他の接続状態での一定時間間隔毎の電流経路上の電流値を算出し、算出結果を電流算出情報テーブルへ登録する。
以上のように全接続状態に対応するサンプリング期間が終了すると、電力損失取得部230は、電流算出情報テーブルへ登録された内容と、効率特性情報テーブルおよびDDC情報テーブルに予め格納されている内容に基づいて、各接続状態について、一定時間間隔毎の電力損失の合計をDCDCコンバータ毎に算出する。そして、電力損失取得部230は、各接続状態について、DCDCコンバータ毎に算出された電力損失の合計値の和を、接続状態の電力損失として算出する。
経路選択部240は、電力損失取得部230が取得した各接続状態の電力損失に基づいて、変圧部100における複数の接続状態のうち電力損失が最も小さい電流経路を選択する。経路選択部240は、図4で説明した選択回路毎に制御信号#A,#Bを出力することで、選択した接続状態に切り替えるよう変圧部100に含まれる各選択回路を制御する。
次に、図7〜9を用いて、電流経路制御回路200が用いるテーブルについて説明する。
図7は、DDC情報テーブルの例を示す図である。DDC情報テーブル211は、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータに関する情報を予め格納する。DDC情報テーブル211は、DDC情報記憶部210に記憶されている。DDC情報テーブル211は、DDCID、入力電圧、出力電圧および最大出力電流の項目を有する。
DDCIDの項目には、変圧部100に含まれるDCDCコンバータを識別するための識別子が設定される。入力電圧の項目には、DCDCコンバータの入力電圧値を示す情報が設定される。第2の実施の形態において、入力電圧の項目の単位は、"V(ボルト)"とするが、上記単位に限定されるものではない。入力電圧の項目には、複数の電圧値を示す情報が設定されてもよいし、1つの電圧値を示す情報が設定されてもよい。複数の電圧値を示す情報が設定されている場合、DCDCコンバータには、複数の電圧のいずれかの電圧が入力されることを示す。例えば、“5V”または“3.3V”のいずれかの電圧がDCDCコンバータへ入力される場合、入力電圧の項目には、"5.0,3.3"が設定される。
出力電圧の項目には、DCDCコンバータの出力電圧値を示す情報が設定される。第2の実施の形態において、出力電圧の項目の単位は"V"とするが、上記単位に限定されるものではない。例えば、“1.05V”の電圧に変換して出力するDCDCコンバータが変圧部100に含まれている場合、対応する出力電圧の項目には、“1.05”が設定される。第2の実施の形態において、DDC情報テーブル211には、“DCDCコンバータ”(すなわち、降圧回路)についての入力電圧値を示す情報および出力電圧値を示す情報を格納されるため、出力電圧の項目には、入力電圧の最小値よりも小さい電圧値を示す情報が設定される。
最大出力電流の項目には、DCDCコンバータが出力可能な電流の最大値が設定される。第2の実施の形態において、最大出力電流の項目の単位は"mA(ミリアンペア)"とするが、上記単位に限定されるものではない。
図8は、効率特性情報テーブルの例を示す図である。効率特性情報テーブル212は、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータの効率特性に関する情報を予め格納する。効率特性情報テーブル212は、DDC情報記憶部210に記憶されている。効率特性情報テーブル212は、DDCID、入力電圧、電流区間および変換効率の項目を有する。
DDCIDの項目には、変圧部100に含まれるDCDCコンバータを識別するための識別子が設定される。入力電圧の項目には、DCDCコンバータの入力電圧値を示す情報が設定される。第2の実施の形態において、入力電圧の項目の単位は"V"とするが、上記単位に限定されるものではない。
電流区間の項目には、DCDCコンバータについての電流区間を示す情報が設定される。電流区間は、DCDCコンバータについて、0Aから出力電流の最大値までの間を段階的に区切った区間を意味する。出力電流の最大値は、図7のDDC情報テーブル211の最大出力電流の項目の値となる。第2の実施の形態において、電流区間の項目の単位は"mA"とするが、上記単位に限定されるものではない。
変換効率の項目には、入力電圧および電流区間の組み合わせに対応する、DCDCコンバータの変換効率が設定される。第2の実施の形態において、変換効率の項目の単位は"%(パーセント)"とするが、上記単位に限定されるものではない。
図8の効率特性情報テーブル212がDDC情報記憶部210に記憶されているとき、DDCIDが"DDC#1"であるDCDCコンバータについて、入力電圧値が“5V”であり、かつ、出力電流値が“300mA”である場合、変換効率は"70%"となる。以下、DDCIDが"DDC#1"であるDCDCコンバータを、DCDCコンバータ“DDC#1”と記載する場合がある。
なお、電流区間は、電流区間内の各電流に対応する変換効率がほぼ一定になるように設定されることが好ましい。
図9は、DCDCコンバータの有する効率特性の例を示す図である。効率特性図213は、図8に示す効率特性情報テーブル212に登録されているDCDCコンバータ“DDC#1”が有する効率特性を示す図である。効率特性図213の縦軸は、DCDCコンバータ“DDC#1”の変換効率を示し、効率特性図213の横軸は、DCDCコンバータ“DDC#1”の出力電流値を示す。また、効率特性図213において一点鎖線で示される効率特性は、DCDCコンバータ“DDC#1”の入力電圧値が“3.3V”であるときの効率特性を示す。また、効率特性図213において二点鎖線で示される効率特性は、DCDCコンバータ“DDC#1”の入力電圧値が“5V”であるときの効率特性を示す。
DCDCコンバータ“DDC#1”の有する効率特性のいずれについても、出力電流値が区間A(ここでは、1000〜2000mA以下である区間)に属する場合、変換効率は、出力電流値の増加に伴って増加する。同様に、出力電流値が区間B(ここでは、1000〜2000mAより大きく、かつ、45000mA〜50000mA未満である区間)に属する場合、変換効率は、出力電流値に関わらず電力効率がほぼ一定となる。また、出力電流値が区間C(例えば、45000mA〜50000mA以上である区間)に属する場合、変換効率は、出力電流値の増加に伴って区間Aの場合と比較して緩やかに減少する。
また、図9の効率特性図213に示すように、入力電圧値が“3.3V”である場合の効率特性の方が、入力電圧値が“5V”である場合の効率特性より、全体的に変換効率が高くなる。これは、DCDCコンバータは降圧回路であるため、DCDCコンバータにおいて、入力電圧値が小さくなるほど出力電圧値との差が小さくなり、変換効率が高くなることを示す。
図10は、電流算出情報テーブルの例を示す図である。電流算出情報テーブル221は、変圧部100の接続状態毎に経路上に流れる電流に関する情報を一時的に格納する。電流算出情報テーブル221は、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータの出力電流値を、電力損失取得部230が接続状態毎に取得するために用いられる。電流算出情報テーブル221は、変圧部100の接続状態毎に電流情報記憶部220に記憶されている。例えば、図10の電流算出情報テーブル221は、識別情報が"接続状態#1"である電流経路に対応するテーブルとなる。
電流算出情報テーブル221は、計測時刻および配線区間IDの組み合わせに対応する電流値の項目を有する。計測時刻は、サンプリング期間の開始時を基準とした電流の計測時刻を示す。例えば、計測時刻が“1”である場合、サンプリング期間の開始時から1ミリ秒経過後の計測時刻であることを示す。計測時刻の間隔は、初回サンプリング期間における電流経路上の電流値の計測間隔と同じである。
配線区間IDは、変圧部100に含まれる配線の区間を識別するための識別子である。配線の区間は、変圧部100に含まれる配線を、例えば、DCDCコンバータや、配線の接点や、選択回路等で区切ったものである。第2の実施の形態では、配線区間IDが"L#n"(nは1以上の整数)である配線区間は、配線区間の終点が負荷であることを示し、配線区間IDが"P#n"である配線区間は、配線区間の終点が負荷以外(例えば、選択回路やDCDCコンバータ)であることを示す。以下、配線区間IDが"L#n"である配線区間を「配線区間"L#n"」と記載する場合があり、配線区間IDが"P#n"である配線区間を「配線区間“P#n”」と記載する場合がある。
各配線区間IDおよび計測時刻の組み合わせにより示される電流値の項目には、計測時刻において配線区間に流れる電流値が設定される。図10の電流算出情報テーブル221には、計測開始時から"1ミリ秒”経過時に配線区間"L#1"に流れる電流値は、"1170"であることが示されている。
次に、図11を用いて、電流経路制御回路200が変圧部100の最適な接続状態を選択する処理について説明する。
図11は、接続状態を選択する処理の例を示すフローチャートである。以下、図11に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
(S11)電力損失取得部230は、変圧部100において現時点で選択されている接続状態について、各DCDCコンバータの出力電流値を計測する。具体的には、電力損失取得部230は、まず、電力損失取得部230から電流値の計測を要求する制御信号を、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータへ出力する。次に、電力損失取得部230は、各DCDCコンバータから計測結果を示す情報が入力される。
電力損失取得部230は、計測した各DCDCコンバータの出力電流値に基づいて、各配線区間に流れる電流値を算出し、現在の接続状態に対応する電流算出情報テーブル221へ一時的に登録する。配線区間IDは、DDC情報記憶部210に記憶されている回路情報を参照することで取得でき、以下同様とする。また、計測時刻は、例えば、初回のステップS11の処理の開始時から、直近に実行したステップS11の処理を実行時までに経過した時間により特定できる。
(S12)電力損失取得部230は、ステップS11で登録された各配線区間の電流値と、DDC情報記憶部210に記憶されている回路情報とに基づいて、変圧部100に接続された各負荷への出力電流値を算出する。各負荷への出力電流値の算出方法の詳細については、図12で後述する。電力損失取得部230は、算出した各負荷への出力電流値を、現在の接続状態に対応する電流算出情報テーブル221へ一時的に登録する。
(S13)電力損失取得部230は、直近に実行したステップS11による各DCDCコンバータの出力電流値の計測時から、一定時間(例えば、1ミリ秒)が経過したか判定する。一定時間が経過した場合、処理をステップS14へ進める。一定時間が経過していない場合、処理をステップS13へ進める。すなわち、電力損失取得部230は、直近のステップS11による各DCDCコンバータの出力電流値の計測時から、一定時間が経過するまで待機する。
(S14)電力損失取得部230は、ステップS12による出力電流値の算出回数(すなわち、ステップS12の実行回数)が閾値以上であるか判定する。出力電流値の算出回数が閾値(例えば、“1000”)以上である場合、処理をステップS15へ進める。出力電流値の計測回数が閾値未満である場合、処理をステップS11へ進める。
すなわち、電力損失取得部230は、ステップS11〜S14により、一定時間間隔毎で所定回数分、変圧部100の各負荷への出力電流値を算出する。
(S15)電力損失取得部230は、次のように、現時点で選択されている接続状態での電力損失を算出する。まず、電力損失取得部230は、ステップS12で登録した各配線区間の電流値に基づいて、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータについて、計測時刻毎の出力電流値を算出する。そして、電力損失取得部230は、DCDCコンバータ毎に算出された出力電流値と、効率特性情報テーブル212とに基づいて、各DCDCコンバータについての計測時刻毎の電力損失を算出する。
DCDCコンバータの電力損失は、“(DCDCコンバータの出力電圧値)×(DCDCコンバータの出力電流値)×(100−DCDCコンバータの変換効率)/100”により算出する。また、DCDCコンバータの変換効率は、次のように取得する。まず、DCDCコンバータのDDCIDおよびDCDCコンバータへの入力電圧値を含むレコードを、効率特性情報テーブル212から検索する。次に、検索したレコードから、DCDCコンバータの出力電流値が属する電流区間を含むレコードを検索し、検索されたレコードの変換効率を読み出す。
電力損失取得部230は、各DCDCコンバータについて、算出された計測時刻毎の電力損失を合計する。そして、電力損失取得部230は、変圧部100に含まれるすべてのDCDCコンバータについて算出された電力損失の合計値を、すべて加算することで、ステップS15で選択した接続状態に対応する電力損失を算出する。
以上のステップS11〜S15により、初回サンプリング期間における処理が終了する。続いて、ステップS16〜S18の処理は、2回目以降の各サンプリング期間の処理に対応する。
(S16)電力損失取得部230は、変圧部100において選択可能な複数の接続状態から、現在の接続状態を除く接続状態を1つ選択する。ただし、この処理では、変圧部100内の選択回路の選択状態を実際に切り替えるのではなく、現在の接続状態以外の他の接続状態が仮想的に選択されるのみである。
なお、変圧部100において選択可能な接続状態は、例えば、変圧部100に含まれる各選択回路によるDCDCコンバータの選択の組み合わせにより特定できる。各選択回路による現在のDCDCコンバータの選択の組み合わせは、変圧部100に含まれる選択回路毎に経路選択部240が出力している制御信号#A,#Bの内容を参照することにより、取得できる。
(S17)電力損失取得部230は、ステップS16で選択した接続状態について、変圧部100に含まれる各配線区間に流れる電流値を、電流算出情報テーブル221に設定されている計測時刻毎に算出する。すなわち、電力損失取得部230は、各負荷への計測時刻毎の出力電流値がステップS12で算出された計測時刻毎の出力電流値であると仮定して、ステップS16で選択した接続状態について、各配線区間の電流の推定値を計測時刻毎に算出する。
このとき、電力損失取得部230は、ステップS12で登録された各負荷への出力電流値と、DDC情報記憶部210に記憶されている回路情報と、DDC情報テーブル211とに基づいて、上記各配線区間の電流値の算出を行う。各配線区間の電流値の算出方法の詳細については、図12〜13で後述する。
電力損失取得部230は、算出した各配線区間の電流値を、ステップS16で選択した接続状態に対応する電流算出情報テーブル221へ一時的に登録する。
(S18)電力損失取得部230は、次のように、ステップS16で選択した接続状態での電力損失を算出する。まず、電力損失取得部230は、ステップS17で登録した各配線区間の電流値に基づいて、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータについて、計測時刻毎の出力電流値を算出する。そして、電力損失取得部230は、DCDCコンバータ毎に算出された出力電流値と、効率特性情報テーブル212とに基づいて、各DCDCコンバータについての計測時刻毎の電力損失を算出する。
DCDCコンバータの電力損失は、ステップS15と同様の方法により、算出する。また、DCDCコンバータの変換効率は、ステップS15と同様の方法により、取得する。
電力損失取得部230は、各DCDCコンバータについて、算出された計測時刻毎の電力損失を合計する。そして、電力損失取得部230は、変圧部100に含まれるすべてのDCDCコンバータについて算出された電力損失の合計値を、すべて加算することで、ステップS16で選択した接続状態に対応する電力損失を算出する。なお、算出される電力損失は、各負荷に流れる電流の状況が初回サンプリング期間と仮定した場合の、該当接続状態における電力損失の推定値を示す。
(S19)電力損失取得部230は、変圧部100において選択可能な全接続状態を選択済か判定する。全接続状態を選択済である場合、処理をステップS20へ進める。未選択の接続状態が存在する場合、処理をステップS16へ進める。
すなわち、電力損失取得部230は、ステップS16〜S19の処理を繰り返すことで、変圧部100において選択可能な全接続状態についての電力損失を算出する。
(S20)経路選択部240は、ステップS15,S18での電力損失の算出結果に基づいて、電力損失が最小である接続状態を選択する。経路選択部240は、選択した接続状態に切り替えるよう、変圧部100を制御する。具体的には、経路選択部240は、選択した接続状態に対応する、選択回路によるDCDCコンバータの選択の組み合わせを特定し、特定した組み合わせになるよう、選択回路毎に出力される制御信号#A,#Bを切り替える。
次に、図12〜13を用いて、電流経路制御回路200が接続状態毎の電力損失を算出する例について説明する。
図12は、接続状態毎の電力損失を算出する処理の例を示す図である。図12〜13では、説明を簡単にするために、上記の変圧部100の内部構成を簡略化した変圧部100aを例示し、変圧部100aにおいて選択し得る各接続状態での電力損失を算出する例について説明する。
変圧部100aには、図示しないACDCアダプタ6および図示しないバッテリ7が接続されている。また、変圧部100aには、負荷21g〜21iが接続されている。さらに、変圧部100aには、図示しない電流経路制御回路200が接続されている。
変圧部100aには、ACDCアダプタ6またはバッテリ7から電圧が入力される。変圧部100aは、入力された電圧を複数の異なる電圧に変換して、変換した複数の電圧それぞれを、対応する負荷21g〜21iへ出力する。変圧部100aは、DCDCコンバータ110k〜110mおよび選択回路120gを有する。
DCDCコンバータ110k,110lは、ACDCアダプタ6およびバッテリ7に接続されている。また、DCDCコンバータ110kは、負荷21gに接続され、DCDCコンバータ110lは、負荷21iに接続されている。選択回路120gは、DCDCコンバータ110k,110lに接続されている。DCDCコンバータ110mは、選択回路120gおよび負荷21hに接続されている。
DCDCコンバータ110kのDDCIDは、"DDC#1"であり、DCDCコンバータ110kの出力電圧値は、"5V"である。DCDCコンバータ110lのDDCIDは、"DDC#2"であり、DCDCコンバータ110lの出力電圧値は、"3.3V"である。DCDCコンバータ110mのDDCIDは、"DDC#3"であり、DCDCコンバータ110mの出力電圧値は、"1.05V"である。
DCDCコンバータ110kの入力電圧値は、“19V”である。DCDCコンバータ110kは、入力された電圧を“5V"の電圧に変換する。また、DCDCコンバータ110kは、変換した電圧を負荷21gへ出力する。さらに、DCDCコンバータ110kは、変換した電圧を選択回路120gへ出力する。
DCDCコンバータ110kと同様に、DCDCコンバータ110lには、“19V”の電圧が入力される。DCDCコンバータ110lは、入力された電圧を“3.3V"の電圧に変換する。また、DCDCコンバータ110lは、変換した電圧を負荷21iへ出力する。さらに、DCDCコンバータ110lは、変換した電圧を選択回路120gへ出力する。
選択回路120gには、DCDCコンバータ110k,110lから電圧が入力される。選択回路120gは、DCDCコンバータ110k,110lのいずれかのDCDCコンバータを選択し、選択したDCDCコンバータから入力された電圧をDCDCコンバータ110mへ出力する。
DCDCコンバータ110mには、選択回路120gにより選択されたDCDCコンバータ110k,110lのいずれかの電圧が選択回路120gから入力される。DCDCコンバータ110mは、入力された電圧を“1.05V”の電圧に変換し、変換した電圧を負荷21hへ出力する。
電流経路制御回路200の回路情報には、図12上段の回路の構成等を示す情報や、その回路に含まれる配線区間を示す情報等が含まれる。配線区間としては、配線区間“L#1"〜配線区間“L#3"、および、配線区間“P#1"〜配線区間“P#5"が設定される。配線区間“L#1"〜配線区間“L#3"は、配線区間の終点が負荷であることを示し、配線区間“P#1"〜配線区間“P#5"は、配線区間の終点が負荷以外であることを示す。
配線区間"L#1"は、始点が接点31aであり、かつ、終点が負荷21gである区間を示す。接点31aは、DCDCコンバータ110kから出力された電流が負荷21gおよび選択回路120gに分岐する点である。配線区間"L#2"は、始点がDCDCコンバータ110mであり、かつ、終点が負荷21hである区間を示す。配線区間"L#3"は、始点が接点31bであり、かつ、終点が負荷21iである区間を示す。接点31bは、DCDCコンバータ110lから出力された電流が負荷21iおよび選択回路120gに分岐する点である。
配線区間"P#1"は、始点がDCDCコンバータ110kであり、かつ、終点が接点31aである区間を示す。配線区間"P#2"は、始点が接点31aであり、かつ、終点が選択回路120gである区間を示す。また、配線区間"P#3"は、始点がDCDCコンバータ110lであり、かつ、終点が接点31bである区間を示す。配線区間"P#4"は、始点が接点31bであり、かつ、終点が選択回路120gである区間を示す。さらに、配線区間"P#5"は、始点が選択回路120gであり、かつ、終点がDCDCコンバータ110mである区間を示す。
また、図12左下側に示すように、電流経路制御回路200には、効率特性情報テーブル212aが予め記憶されている。
このとき、電流経路制御回路200は、変圧部100aの電流経路の電力損失を次のように算出する。なお、図11に示した処理では、電流経路制御回路200は、各DCDCコンバータについて、計測時刻毎の電力損失を算出してそれらの合計値を算出し、DCDCコンバータ毎に算出された電力損失の合計値をすべて加算した値を、接続状態における電力損失として算出する。一方、図12に示す処理では、説明を簡略化するため、初回の計測結果についてのみ、接続状態における電力損失を算出する。図13に示す処理についても、同様である。
まず、電流経路制御回路200は、DCDCコンバータの出力電流値の計測結果の出力を要求する制御信号を用いて、識別情報が"接続状態#1"である接続状態(以下、接続状態#1)について、DCDCコンバータ110k〜110mそれぞれの出力電流値を計測する。接続状態#1は、図12上段に示すように、選択回路120gがDCDCコンバータ110lを選択しているときの接続状態である。
次に、電流経路制御回路200は、計測した各DCDCコンバータの出力電流値に基づいて、配線区間"L#1"〜"L#3"に流れる電流値(すなわち、各負荷への出力電流値)を算出する。例えば、図12において、DCDCコンバータ110kの出力電流値が“4000mA”であり、DCDCコンバータ110lの出力電流値が“7590mA”であり、DCDCコンバータ110mの出力電流値が“5000mA”であるとする。
この場合、まず、選択回路120aがDCDCコンバータ110kを選択していないため、配線区間"L#1"に流れる電流値は、DCDCコンバータ110kの出力電流値と同じ値である"4000mA"となる。また、配線区間"L#2"に流れる電流値は、DCDCコンバータ110mの出力電流値である"5000mA"となる。
さらに、配線区間"L#3"に流れる電流値は、DCDCコンバータ110lの出力電流値からDCDCコンバータ110mの入力電流値を減算した値となる。DCDCコンバータの入力電流値は、“(DCDCコンバータの出力電流値)×(DCDCコンバータの出力電圧値)/(DCDCコンバータの入力電圧値)”により算出できるため、DCDCコンバータ110mの入力電流値は、“5000×1.05/3.3=1590[mA]”となる。よって、配線区間"L#3"に流れる電流値は、"7590−1590=6000[mA]"となる。
なお、DCDCコンバータの出力電圧値は、そのDCDCコンバータのDDCIDを含むレコードをDDC情報テーブル211から検索し、検索したレコードの出力電圧の項目の値を読み出すことで取得できる。また、DCDCコンバータの入力電圧値は、次のように取得できる。まず、電流経路制御回路200が有する回路情報と、選択回路120gに出力されている制御信号#A,#Bとに基づいて、入力元のDCDCコンバータを特定する。次に、特定された入力元のDCDCコンバータのDDCIDを含むレコードをDDC情報テーブル211から検索し、検索したレコードの入力電圧の項目の値を読み出す。
次に、電流経路制御回路200は、算出した配線区間"L#1"〜配線区間"L#3"に流れる電流値を、接続状態#1に対応する電流算出情報テーブル221aへ登録する。
次に、電流経路制御回路200は、登録した配線区間"L#1"〜配線区間"L#3"に流れる電流値に基づいて、配線区間"P#1"〜配線区間"P#5"に流れる電流値を、例えば、次のように算出する。配線区間"P#5"に流れる電流値は、DCDCコンバータ110mの入力電流値となるため、“5000×1.05/3.3=1590[mA]”となる。配線区間"P#4"に流れる電流値は、選択回路120gがDCDCコンバータ110lを選択しているため、配線区間"P#5と同様の"1590mA”となる。また、配線区間"P#3"に流れる電流値は、配線区間"P#4"に流れる電流値と、配線区間"L#3"に流れる電流値とを合計した"7590mA”となる。さらに、配線区間"P#2"に流れる電流値は、選択回路120gがDCDCコンバータ110lを選択していないため、“0mA”となる。配線区間"P#1"に流れる電流値は、配線区間"P#2"に流れる電流値と、配線区間"L#1"に流れる電流値とを合計した"4000mA”となる。電流経路制御回路200は、算出された配線区間“P#1"〜配線区間“P#5"に流れる電流値を、電流算出情報テーブル221aへ登録する。
なお、図12〜13では、配線区間"P#5"→配線区間"P#4"→配線区間"P#3"→配線区間"P#2"→配線区間"P#1"の順に配線区間に流れる電流値を計算するが、配線区間に流れる電流値の計算順は、上記に限定されるものではない。例えば、配線区間"P#5"→配線区間"P#2"→配線区間"P#4"→配線区間"P#1"→配線区間"P#3"のように、変圧部100aの出力側に配置された配線区間から順に電流値を計算してもよい。
次に、電流経路制御回路200は、各DCDCコンバータの出力電流値に基づいて、計測時刻"0"における、各DCDCコンバータの電力損失を算出する。ここで、各DCDCコンバータの出力電流値は、始点がDCDCコンバータである配線区間の電流値として特定される。
図12の場合、DCDCコンバータ110kは、配線区間"P#1"の始点であるため、DCDCコンバータ110kの出力電流値は、"4000mA"となる。DCDCコンバータ110lは配線区間"P#3"の始点であるため、DCDCコンバータ110lの出力電流値は、"7590mA"となる。また、DCDCコンバータ110mは配線区間"L#2"の始点であるため、DCDCコンバータ110mの出力電流値は、"5000mA"となる。
DCDCコンバータの電力損失は、“(DCDCコンバータの出力電圧値)×(DCDCコンバータの出力電流値)×(100−(DCDCコンバータの変換効率))/100”により算出される。DCDCコンバータの出力電圧値は、前述した方法により、DDC情報テーブル211から取得できる。
また、DCDCコンバータの変換効率は、次のように取得できる。まず、前述した方法によりDCDCコンバータの入力電圧値を取得する。次に、そのDCDCコンバータのDDCIDと、そのDCDCコンバータの入力電圧値とを含むレコードを効率特性情報テーブル212aから検索する。そして、検索されたレコードから、そのDCDCコンバータの出力電流値が属する電流区間を含むレコードを検索し、検索したレコードの変換効率の項目の値を読み出す。
図12の場合、DCDCコンバータ110kの出力電流値は、"4000mA"であるため、DCDCコンバータ110kの出力電流値が属する電流区間は"3000−4999"となる。そのため、図12下段の効率特定情報テーブル212aから、DCDCコンバータ110kの変換効率は“90%”となる。よって、DCDCコンバータ110kの電力損失は、"5×(4000/1000)×(100−90)/100=2[W]"となる。
また、DCDCコンバータ110lの出力電流値は、"7590mA"であるため、DCDCコンバータ110lの出力電流値が属する電流区間は"6000−7999"となる。そのため、DCDCコンバータ110lの変換効率は“78%”となる。よって、DCDCコンバータ110lの電力損失は、"3.3×(7590/1000)×(100−78)/100=5.25[W]"となる。
さらに、選択回路120gはDCDCコンバータ110lを選択しているため、DCDCコンバータ110mの入力電圧値は"3.3V"となる。また、DCDCコンバータ110mの出力電流値は、"5000mA"であるため、DCDCコンバータ110mの出力電流値が属する電流区間は"5000−6999"となる。そのため、DCDCコンバータ110lの変換効率は“90%”となる。よって、DCDCコンバータ110mの電力損失は、"1.05×(5000/1000)×(100−90)/100=0.53[W]"となる。
したがって、接続状態#1での、計測時刻“0”における電力損失は、"2+5.25+0.53=7.78[W]"となる。
なお、接続状態#1のように、各DCDCコンバータの出力電流値が計測済である接続状態(すなわち、現時点での接続状態)については、配線区間“P#1"〜配線区間“P#5"に流れる電流値を算出する処理を省略してもよい。この場合、電流算出情報テーブル221aには、終点が負荷である配線区間"L#1"〜配線区間“L#3"に流れる電流値、および、始点がDCDCコンバータである配線区間“P#1”および配線区間“P#3”に流れる電流値のみが登録される。
図13は、接続状態毎の電力損失を算出する処理の例を示す図(続き)である。図13において、図12と同じ点は説明を省略する。
次に、電流経路制御回路200は、図12で算出された各負荷への出力電流値と同じ出力電流値が計測されたと仮定し、かつ、変圧部100aが接続状態#2を選択していると仮定して、各DCDCコンバータの出力電流値を算出する。接続状態#2は、図13上段に示すように、選択回路120gがDCDCコンバータ110kを選択しているときの接続状態である。
具体的には、まず、電流経路制御回路200は、図12で算出された配線区間“L#1"〜配線区間“L#3"に流れる電流値を、接続状態#2に対応する電流算出情報テーブル221bに登録する。その結果、図13の電流算出情報テーブル221bに示すように、配線区間"L#1"に対応する項目には、"4000mA"が登録され、配線区間"L#2"に対応する項目には、"5000mA"が登録され、配線区間"L#3"に対応する項目には、"6000mA"が登録される。
次に、登録した配線区間“L#1"〜配線区間“L#3"の電流値に基づいて、図12で説明した方法で、接続状態#2についての配線区間“P#1"〜配線区間“P#5"に流れる電流値を算出し、算出した各電流値を電流算出情報テーブル221bに登録する。その結果、図13の電流算出情報テーブル221bに示すように、配線区間"P#1"に対応する項目には、"5050mA"が登録され、配線区間"P#2"に対応する項目には、"1050mA"が登録され、配線区間"P#3"に対応する項目には、"6000mA"が登録される。また、配線区間"P#4"に対応する項目には、"0mA"が登録され、配線区間"P#5"に対応する項目には、"1050mA"が登録される。
次に、電流経路制御回路200は、電流算出情報テーブル221bへ登録された各配線区間のうち、始点がDCDCコンバータである配線区間に流れる電流値を、始点であるDCDCコンバータの出力電流値として特定する。図13の場合、DCDCコンバータ110kの出力電流値は、配線区間"P#1"に流れる電流値である"5050mA"となる。また、DCDCコンバータ110lの出力電流値は、配線区間"P#3"に流れる電流値である"6000mA"となる。さらに、DCDCコンバータ110mの出力電流値は、配線区間"L#2"に流れる電流値である"5000mA"となる。
次に、電流経路制御回路200は、算出された各DCDCコンバータの出力電流値に基づいて、図12と同様の方法で、計測時刻"0"における、各DCDCコンバータの電力損失を算出する。
図13上段に示すように、まず、DCDCコンバータ110kの出力電流値は"5050mA"であるため、DCDCコンバータ110kの出力電流値が属する電流区間は"5000−6999"となる。そのため、図13下段に示すように、DCDCコンバータ110kの変換効率は“89.8%”となる。よって、DCDCコンバータ110kの電力損失は、"5×(5050/1000)×(100−89.8)/100=2.58[W]"となる。
また、DCDCコンバータ110lの出力電流値は"6000mA"であるため、DCDCコンバータ110lの出力電流値が属する電流区間は"3000−5999"となる。そのため、DCDCコンバータ110lの変換効率は“81%”となる。よって、DCDCコンバータ110lの電力損失は、"3.3×(6000/1000)×(100−81)/100=3.76[W]"となる。
さらに、選択回路120gはDCDCコンバータ110kを選択しているため、DCDCコンバータ110mの入力電圧値は"5V"となる。また、DCDCコンバータ110mの出力電流値は"5000mA"であるため、DCDCコンバータ110mの出力電流値が属する電流区間は"5000−6999"となる。そのため、DCDCコンバータ110mの変換効率は“80%”となる。よって、DCDCコンバータ110mの電力損失は、"1.05×(5000/1000)×(100−80)/100=1.05[W]"となる。
したがって、接続状態#2の電力損失は、"2.58+3.76+1.05=7.39[W]"となる。
以上の図12〜13の例では、電流経路制御回路200は、接続状態#2より接続状態#1の方が変圧部100a全体での電力損失が小さいと判定し、選択回路120gの選択状態を図12の状態から変化させないように制御する。
ここで、負荷21g〜21iに流れる電流値が同一であると仮定した場合、接続状態#1を選択した場合のDCDCコンバータ110mの電力損失は“0.53W”であり、接続状態#2を選択した場合のDCDCコンバータ110mの電力損失である“1.05W”と比較して小さくなる。しかし、接続状態#1を選択した場合の変圧部100a全体の電力損失は"7.78W"であり、接続状態#2を選択した場合の電力損失である“7.39W”と比較して大きくなる。
このように、DCDCコンバータ110mの電力損失のみを考慮して、DCDCコンバータ110k,110lのいずれかを選択回路120gを用いて選択する方法では、負荷21g〜21iに流れる電流の状況によっては、変圧部100a全体の電力損失が効率よく低減されない場合があった。すなわち、負荷21g〜21iに流れる電流の状況によっては、負荷21g〜21iに効率よく電力が供給されない場合がある。
第2の実施の形態によれば、電流経路制御回路200は、変圧部100の各負荷に流れる電流値に基づいて、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータの出力電流値を接続状態毎に取得する。そして、取得した各出力電流値と、効率特性情報テーブル212により特定されるDCDCコンバータの効率特性とに基づいてDCDCコンバータ毎の電力損失を接続状態毎に算出し、算出した各電力損失の合計が最小である接続状態を選択するよう変圧部100を制御する。これにより、各負荷に流れる電流の状況に応じて、効率よく各負荷に電力を供給でき、変圧部100における消費電力を低減できる。
また、電流経路制御回路200は、変圧部100の各負荷に流れる電流値を測定する。そして、その測定時と同じ電流値である電流が各負荷に流れると仮定して、変圧部100の複数の接続状態それぞれの電力損失を算出し、算出した電力損失が最小である接続状態を選択させるよう変圧部100を制御する。これにより、各接続状態に実際に切り替えながら、各DCDCコンバータの出力電流値を変圧部100から取得する方法と比較して、変圧部100の各DCDCコンバータが出力電流値を電流経路制御回路200へ出力する処理負荷と、変圧部100との間の通信の処理負荷とが低減される。また、接続状態が最適化されるまでの間に、接続状態が一時的に現在よりさらに効率の低い状態に変化してしまう可能性がなくなるので、消費電力を抑制できる。
さらに、複数の計測時刻について計測された変圧部100の各負荷に流れる各電流値に基づいて、各DCDCコンバータについての計測時刻毎の電力損失を算出し、計測時刻毎の各DCDCコンバータの電力損失に基づいて、接続状態を切り替える。これにより、接続状態毎の電力損失を精度よく算出でき、各負荷へ効率よく電力を供給できる。
なお、第2の実施の形態では、変圧部100の各負荷に流れる電流値に基づいて、各電流経路について各配線区間の電流値を算出することで、各配線区間の電流値を取得するが、各配線区間の電流値を取得する方法は上記に限定されるものではない。例えば、前回電力損失を算出したときの電流経路の各配線区間に流れる電流値と、電流値が異なる配線区間に流れる電流値のみを算出して、電流値が同じ配線区間については前回算出された電流値をそのまま用いてもよい。これにより、各配線区間に流れる電流値を算出する処理を軽減できるため、プロセッサ201の負荷を軽減できる。特に、変圧部100に含まれるDCDCコンバータや選択回路の数が多い場合、この方法を用いることが好ましい。
また、第2の実施の形態では、変圧部100に接続された各負荷に流れる電流値に基づいて、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータの電力損失を算出するが、各DCDCコンバータの電力損失の取得方法は上記に限定されるものではない。例えば、変圧部100に含まれる各DCDCコンバータが電力損失を計測し、計測結果を電流経路制御回路200へ出力するようにしてもよい。この場合、各DCDCコンバータは、電力損失を計測するためのセンサデバイスを備える。
また、第2の実施の形態では、電流経路制御回路200が各DCDCコンバータの出力電流値を変圧部100から収集し、収集した各出力電流値に基づいて、変圧部100に接続された各負荷への出力電流値を計測するが、各負荷への出力電流値の計測方法は上記に限定されるものではない。例えば、電流経路制御回路200が変圧部100に接続された各負荷への出力電流値を直接計測してもよいし、変圧部100が各負荷への出力電流値を計測し、計測結果を電流経路制御回路200へ出力するようにしてもよい。前者の場合、電流経路制御回路200が各負荷の出力電流値を計測するセンサデバイスを備え、後者の場合、変圧部100が各負荷の出力電流値を計測するセンサデバイスを備える。
また、第2の実施の形態では、現在の接続状態において計測された変圧部100の各負荷への出力電流値のままであると仮定して、他の接続状態についての各DCDCコンバータの出力電流値を算出する。しかしながら、各DCDCコンバータの出力電流値を算出する方法は、上記に限定されるものではない。例えば、接続状態を実際に切り替えて、切り替えた接続状態について各負荷への出力電流値を計測し、計測された各出力電流値に基づいて、各DCDCコンバータの出力電流値を算出してもよい。
また、DCDCコンバータ110a,110bのように選択回路を含まない経路上にのみ存在するDCDCコンバータについては、選択回路の選択による電力損失の影響がない。そのため、接続状態毎の電力損失を算出する際、電力損失の算出を省略し、DCDCコンバータ110c〜110jのように選択回路を含む経路上に存在するDCDCコンバータの電力損失のみを合計してもよい。
また、第2の実施の形態では、現在の接続状態において計測された変圧部100の各負荷への出力電流値に基づいて、接続状態毎の電力損失を計算し、その計算結果に基づいて最適な接続状態への切り替えを行う。しかしながら、例えば、各負荷に流れる電流値と、最も高効率の接続状態とを対応付けた対応情報を予め記憶装置に記憶しておき、電流経路制御回路200は、各負荷への出力電流値の計測結果に対応する、最も高効率の接続状態を対応情報から読み出すことで、最適な接続状態への切り替えを行ってもよい。
なお、前述のように、第2の実施の形態の情報処理は、電流経路制御回路200にプログラムを実行させることで実現できる。このようなプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等を使用できる。磁気ディスクには、FD(Flexible Disk)およびHDDが含まれる。光ディスクには、CD(Compact Disc)、CD−R(Recordable)/RW(Rewritable)、DVD(Digital Versatile Disc)およびDVD−R/RWが含まれる。
プログラムを流通させる場合、例えば、当該プログラムを記録した可搬記録媒体が提供される。コンピュータは、例えば、可搬記録媒体に記録されたプログラムを、記憶装置(例えば、ROM203)に格納し、当該記憶装置からプログラムを読み込んで実行する。ただし、可搬記録媒体から読み込んだプログラムを直接実行してもよい。また、上記の情報処理の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現することも可能である。