JP2015218511A - コンクリートの温度ひび割れ抑制方法 - Google Patents

コンクリートの温度ひび割れ抑制方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015218511A
JP2015218511A JP2014103844A JP2014103844A JP2015218511A JP 2015218511 A JP2015218511 A JP 2015218511A JP 2014103844 A JP2014103844 A JP 2014103844A JP 2014103844 A JP2014103844 A JP 2014103844A JP 2015218511 A JP2015218511 A JP 2015218511A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concrete
temperature
new
existing
wall
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014103844A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015218511A5 (ja
JP6347667B2 (ja
Inventor
政美 川中
Masami Kawanaka
政美 川中
誠史 白岩
Seishi Shiraiwa
誠史 白岩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hazama Ando Corp
Original Assignee
Hazama Ando Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hazama Ando Corp filed Critical Hazama Ando Corp
Priority to JP2014103844A priority Critical patent/JP6347667B2/ja
Publication of JP2015218511A publication Critical patent/JP2015218511A/ja
Publication of JP2015218511A5 publication Critical patent/JP2015218511A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6347667B2 publication Critical patent/JP6347667B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • On-Site Construction Work That Accompanies The Preparation And Application Of Concrete (AREA)

Abstract

【課題】 既設コンクリート上に打設される新設コンクリートの硬化過程に生じる温度ひび割れを、効果的に抑制する。
【解決手段】 既設コンクリートに連なって打設される新設コンクリートに温度ひび割れが生じるような構造物のコンクリートの温度ひび割れを抑制するために、新設コンクリートの打設前に既設コンクリートに給熱して、新設コンクリートにおいて想定されるコンクリート最高温度まで既設コンクリートのコンクリート温度を高める。さらに既設コンクリートの温度降下速度を、硬化時における新設コンクリートの温度降下速度とほぼ等しくするように制御する。
【選択図】 図2

Description

本発明はコンクリートの温度ひび割れ抑制方法に係り、新設コンクリートの温度変化に対応して既設コンクリートの温度を制御して新設コンクリートの温度ひび割れ抑制を行うコンクリートの温度ひび割れ抑制方法に関する。
従来、マスコンクリート等のようにコンクリート硬化時における温度ひび割れの発生が懸念されるコンクリート構造物のコンクリート打設工事では、温度ひび割れの抑制対策がとられている。その代表的な養生手段として、パイプクーリング、エアクーリング等のポストクーリングが知られている。たとえば、パイプクーリングは、新設コンクリートの打込み後にあらかじめ配管したパイプ等に水あるいは空気を通して、温度上昇時のコンクリートを冷却する方法である。この対策は、ひび割れを発生させる拘束条件として外部拘束・内部拘束それぞれに対して有効な対策である(特許文献1、特許文献2)。
特許文献1に開示された発明では、鉛直スパイラル管を新設コンクリート内に埋設することで、新設コンクリート内部および上面の冷却を効果的に行うことができる。特許文献2に開示された発明は、打設後のコンクリートにパイプクーリングを行う際、パイプ(冷却管)内に流通させる冷媒の温度を管理し、またコンクリート温度変化に対する解析および計測を行うことによって、対象のコンクリート温度を制御するものである。しかし、これらのポストクーリング技術は、いずれも新設コンクリート側からコンクリートを冷却するため、温度制御等を行った場合でも、既設コンクリートの拘束度が大きい打ち継ぎ部近傍の新設コンクリートの内部まで十分冷却することができない。
そこで、上述のポストクーリング技術に対して、新設コンクリートを既設コンクリート上に打設する際に、既設コンクリート側の温度を高めることで、新設コンクリートに対する拘束状況を緩和するプレヒーティング技術も提案されている。特許文献3には、打設済の複数のコンクリート層のうち、少なくとも最上部に位置するコンクリート層を打設休止期間中に加熱することで、打設済の複数のコンクリート層からなる打設済コンクリート構造体の表層部と内層部との温度差を緩和するとともに、打設済コンクリート構造体の表層部とその上部に新たに増打ちされる新設コンクリート構造体の内層部との温度差を緩和するプレヒーティング技術が開示されている。このプレヒーティング技術では、同コンクリート層内に熱媒体流路を形成し、この熱媒体流路内に所定の温度に加熱された温水を通水して打設済コンクリート層の加熱が行われる。
その他の既設コンクリート表面の温度を高めるプレヒーティング技術としては、既設コンクリート側面を、たとえば断熱材と電熱線とを組み合わせたマットで覆って加熱し、マットが敷設できない既設コンクリート上面には熱湯を張ってシート等でコンクリート上方を覆って空間を作り、その空間内の雰囲気温度を高めてコンクリート温度を高める方法がある。これにより既設コンクリートと新設コンクリートとの温度差を小さくして新設コンクリートに温度ひび割れが発生するのを防止する。
特開2007−303159号公報 特開2014−5716号公報 特開2011−111849号公報
しかし、特許文献3に開示された発明は、冬季などのコンクリート打設休止期間に、打設済コンクリートの表面近くに熱媒体流路を敷設し、その期間におけるコンクリートの温度低下を防止することを目的としている。このため、長期間にわたって打設済コンクリートの温度を加熱するための継続的な通水設備が必要となる。また、マット等で既設コンクリート表面を覆って加熱する方法では、既設コンクリートの表面付近の温度上昇しか見込めず、既設コンクリート内部の温度を、新設コンクリートのひび割れ抑制が望めるまで高めることが困難であった。
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、既設コンクリートの温度を、新設コンクリートの温度変化に応じて制御して新設コンクリートの温度ひび割れ抑制を確実に行うようにしたコンクリートの温度ひび割れ抑制方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は既設コンクリートに連なって打設される新設コンクリートに温度ひび割れが生じるような構造物のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法であって、新設コンクリートの打設前に既設コンクリートに給熱し、新設コンクリートにおいて想定されるコンクリート最高温度まで既設コンクリートのコンクリート温度を高めることを特徴とする。
既設コンクリートに連なって打設される新設コンクリートに温度ひび割れが生じるような構造物のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法であって、新設コンクリートの打設前に既設コンクリートに給熱し、新設コンクリートにおいて想定されるコンクリートの最大膨張量まで既設コンクリートを膨張させることを特徴とする。
既設コンクリートの温度降下速度を、硬化時における新設コンクリートの温度降下速度とほぼ等しくすることが好ましい。
既設コンクリートの収縮勾配を、硬化時における新設コンクリートの収縮勾配とほぼ等しくすることが好ましい。
以上の抑制方法において、前記既設コンクリートへの給熱は、既設コンクリート内に配管され利用されたクーリングパイプをヒーティングパイプとして用い、パイプ内に温水を通水させて行うことが好ましい。
打設が完了した新設コンクリートの温度降下時に、新設コンクリート内に配管されたクーリングパイプを通過して温められた水を、既設コンクリートのヒーティングパイプに通水して循環させ、新設および既設コンクリートを同じ温度勾配で温度降下させることが好ましい。
既設コンクリートの温度計測、膨張量計測、ひずみ計測、新設コンクリートの温度計測を行って各データを収集し、各データをもとに既設コンクリートの温度を遂次解析、制御することが好ましい。
以上に述べたように、本発明によれば、既設コンクリートの温度、膨張量を、新設コンクリートの温度変化に応じて管理して新設コンクリートの温度ひび割れ抑制を行うようにしたので、新設コンクリートの温度ひび割れを確実に低減することができるという効果を奏する。
本発明のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法を適用する構造物モデルの施工順序図。 図1に示した構造物モデルにおけるコンクリート温度ひび割れを抑制するための制御因子を示した模式説明図。 図1に示した構造モデルにおける温度状態変化と温度制御の状態を示したグラフ。 本発明のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法を構造物に適用した場合の施工ステップと構造物の温度ひび割れの抑制状態を示した模式説明図。 本発明のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法の効果を検証するための有限要素法解析に用いた解析モデルメッシュ図。 壁1中心温度と壁2、3用給熱温度との関係を示したグラフ(解析条件)。 壁2中心温度と壁3用給熱温度との関係を示したグラフ(解析条件)。 壁1、2、3中心温度の関係を示したグラフ(解析条件)。 最小温度ひび割れ指数分布(壁厚さ方向中央部)を示した解析モデル図。 他の実施形態としての通水循環方式による温度ひび割れ抑制方法を構造物に適用した場合の施工ステップと構造物の温度ひび割れの抑制状態を示した模式説明図。 従来のコンクリート温度ひび割れ挙動とそのメカニズムの一例を図1に当てはめて示した模式説明図。
以下、本発明のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法の一実施態様のプロセスおよび各プロセスにおけるコンクリート温度の制御について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、コンクリート壁体構造に、本発明のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法を適用した施工例を模式的に示した施工順序図である。同図は、1打設リフトのコンクリート打設量が多く、温度ひび割れの発生可能性が高いコンクリート構造物の壁体を、n段(以下、i段目のリフトの壁体i(i=1〜n)と記す。)にわたって積層して打設する場合について示している。同図に示したように、新設コンクリート(壁i)は、既設コンクリート(壁(i−1))上に、所定の養生期間をあけて積層して打設される。
このときの温度ひび割れの発生挙動とそのメカニズムについて、既設コンクリートとしての壁1上に新設コンクリートとしての壁2を構築する施工プロセスを例に、図11(a)〜(c)に示した従来技術の説明図によって簡単に説明する。図11(a)に示したような既設コンクリート(壁1)上に打設される新設コンクリート(壁2)は硬化時に所定のコンクリート温度まで発熱する発熱体として作用し、その後の温度降下により収縮するが、無対策の場合(図11(b))、新設コンクリートの下端が接する既設コンクリート(壁1)が拘束体として作用する。このため、自由端側の収縮に追従できない下面側から上方に向けて図示したような温度ひび割れが広範囲にわたって発生する。また、対策工法として新設コンクリート(壁2)側にパイプクーリングを施した場合(図11(c))、壁2側のコンクリート温度を低下させることで、無対策の場合に比べてひび割れの発生を少なくでき、ひび割れ幅も小さくできるが、壁体の打設リフト高が大きい場合には、依然として拘束された下面側と自由端である上端との間に収縮量の差が残るため、温度ひび割れを完全には防止できない。そこで、本発明では、発熱体である新設コンクリート(壁2)の打設前に、既設コンクリート(壁1)に給熱することで、壁1の温度を、壁2の最高温度と同等するとともに、新設コンクリート打設後、硬化過程においてコンクリート温度低下に伴って新設コンクリートが収縮するのに合わせて、拘束体である既設コンクリート(壁1)のコンクリート温度を調整することで、同様に収縮させて既設コンクリート(壁1)と新設コンクリート(壁2)の収縮量との差を生じさせないようにして温度ひび割れの発生を抑制することとした。
本発明のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法は、対象となるコンクリートの温度ひび割れの抑制を実現するために、以下の技術的な特徴点を有する。
(1) 新設コンクリートの打設前に、既設コンクリートとなるコンクリートの養生時のクーリングに使用したクーリングパイプをヒーティングパイプとして再利用して新設コンクリートに給熱することで、新設コンクリートにおいて想定される最高温度まで既設コンクリートを温める、あるいは別の制御因子として膨張量に着目し、新設コンクリートの最大熱膨張量に合わせて既設コンクリートを温めて膨張させる。
(2) 打設後の新設コンクリートの温度降下時に、新設コンクリートのクーリングパイプを通過して温められた水を、既設コンクリートのヒーティングパイプに通水し、循環させ、新設および既設コンクリートを同じ温度勾配で温度降下させる。
(3) 既設コンクリートの温度計測、全体水平膨張量計測、ひずみ計測と、新設コンクリートの温度計測を行って各データを収集し、その情報をもとに既設コンクリートの温度を遂次解析、制御する。
上述した既設コンクリート内に配管されたクーリングパイプは、対象構造物の形状、規模、求められた冷却効果等に応じて設定された配管経路であって、送り側から戻り側までの経路を円滑に循環可能なレイアウトであれば水平配管、鉛直配管のいずれでもよい。
以下、本発明の技術的特徴について、図2各図を参照して具体的に説明する。
(A)給熱による既設コンクリートの上昇温度(Tc1)または最大膨張歪みεexpc1を、発熱による新設コンクリートの最大温度(Tc2max)または最大膨張歪εexpc2maxとほぼ一致させることによって温度ひび割れを抑制する。
ここで、本発明では温度ひび割れの抑制の指標として、以下の式で定義された温度ひび割れ指数Icr(t)を採用する。
温度ひび割れ指数 Icr(t)=ft(t)/σt(t)
ここにσt(t):材齢t日における新設コンクリート内の温度応力の最大値
ft(t):材齢t日における新設コンクリートの引張強度
本発明では、温度ひび割れ指数Icr(t)の要求レベルに応じてTc2maxに対するTc1の設定値(温度)を以下の3段階で設定することが好ましい。
(1)Tc1=Tc2max
この場合、新設コンクリートを打設する前に、すでに配管されているクーリングパイプに所定温度の温水を通水して既設コンクリートを温めて熱膨張させ、新設コンクリートの熱膨張が最大になる前に既設コンクリートが同量の熱膨張を生じさせるようにする。このときの温度ひび割れの制御因子としては、それぞれのコンクリート温度か熱膨張量のいずれかを用いればよい。
(2)Tc1>Tc2max
温度ひび割れ指数における安全係数を大きく設定する必要がある場合に、既設コンクリートのコンクリート温度を新設コンクリートの最大温度(事前の温度解析によって求めることができる)より大きくすることが好ましい。この場合、温度降下時に新設コンクリートに若干のプレストレスを導入することとなり、温度ひび割れの発生確率をさらに低減することが可能である。
(3)Tc1<Tc2max
気象条件等の外的要因が良い場合には、既設コンクリートの温度設定を、想定される新設コンクリートの最大温度より小さく設定しても温度ひび割れの抑制を果たすことができる。
(B) 給熱によって所定温度まで温められた既設コンクリートの温度降下速度(温度勾配:ΔTc1)または収縮勾配(Δεsc1)を、硬化過程における新設コンクリートの温度降下速度(温度勾配:ΔTc2)または収縮勾配(Δεsc2)とほぼ等しくする。そのために、新設コンクリートのコンクリート温度が最大温度を過ぎてから、新設コンクリートに配管されたクーリングパイプ内を循環して温められた温水を既設コンクリートのヒーティングパイプ内で循環させる。同温度の温水を循環させることで、それぞれのコンクリートの境界面付近での膨張量を同調させ、その後コンクリート温度を緩やかに低下させることにより、新設コンクリートに対する既設コンクリートによる外部拘束を低減させて新設コンクリートの温度ひび割れ発生確率を低減することができる。
図3は、上述した(A)、(B)の温度ひび割れ抑制方法を、図1に示した構造モデルにおけるコンクリート打設と温度制御とに適用した一実施形態を示した経過日数と部材中心温度の変化との関係を示したグラフである。同グラフでは、横軸として施工経過を示す経過日数をあてはめ、縦軸に既設コンクリートとしての壁1、新設コンクリートとしての壁2の壁厚方向の中心温度を部材中心温度として示している。
以下、(A)、(B)の温度ひび割れ抑制方法の一実施形態での制御プロセスについて図3を参照して説明する。壁1は日付d0にコンクリート打設され、所定温度まで温度上昇した後、壁2のコンクリート打設日(日付d2)の数日前(日付d1)までに温度T1まで温度降下する。この段階で壁1のヒーティングパイプ内に温水を供給し、通水温度を温度T2まで高め、温度T2を壁2のコンクリート打設日(日付d2)まで維持する。これにより壁1のコンクリート温度は実線で示したように、温度T3まで上昇する。この温度T3は、事前解析で求められた新設コンクリートのコンクリート打設時の最高温度T3に等しい。このようにして、まず(A)の温度ひび割れ抑制制御が行われる。引き続き、壁2の温度降下の温度勾配を、壁1の温度勾配にほぼ等しくなるように、壁2内のヒーティングパイプ内を循環温水の温度を調整して通水する。これにより、新設コンクリートのコンクリート温度が最高温度を経過した後、(B)の温度ひび割れ抑制制御が機能し、新設コンクリートの温度ひび割れの抑制が果たされる。
構造モデル(図1)に上述の(A)、(B)の温度ひび割れ抑制方法を適用して壁1,壁2の施工および温度ひび割れの抑制制御を行う手順について、図4各図を参照して説明する。
(ステップ1) 硬化が進行し、コンクリート温度が定常となった既設コンクリートのヒーティングパイプ内に温水を通水し、既設コンクリートに給熱して既設コンクリートを熱膨張させる。そのときの温度制御としては、温水による温度上昇は温度差を20℃以下とすることが好ましい。また、温度勾配は15℃/6hr程度とすることが好ましい。この既設コンクリートへの給熱により、あらかじめ既設コンクリートの上面での膨張量を新設コンクリートとしての壁2が打設された際のコンクリート下面の熱膨張量と等しくする(図4(a−2)、(b−2))。
(ステップ2) 新設コンクリートとしての壁2のコンクリート打設を行う(図4(b−1)。)このとき新設コンクリートとしての壁2内にクーリングパイプを埋設し、壁2の単独冷却(パイプクーリング)を行う。これと同時に既設コンクリートとしての壁1に単独給熱して、あらかじめ熱膨張させた壁1の膨張量を保持させる(図4(b−2))。このとき壁2の最高温度は、一例として54℃まで上昇することが事前解析で確認されているため、壁1への給熱は、壁1のコンクリート温度が54℃と等しいか、上回っているように設定しておく。
(ステップ3) 新設コンクリートとしての壁2の部材中心温度が最高温度(54℃)に達して温度降下が生じたら、壁2のパイプクーリングを停止するとともに、壁1への給熱を停止する。なお、コンクリート温度のリバウンド現象を防止するために、最高温度に達してから1日程度経過してから、壁2のパイプクーリングを停止することが好ましい(図4(c))。
(ステップ4) 図4(d−1)に示したように、壁2の冷却系統と壁1の給熱系統の配管を循環配管に組み直し、通水循環のためのポンプPを設置する。そして、壁2の通水切り替えを行い、壁2から壁1に向けて温水循環させる。さらに壁1での通水切り替えを行い、壁1から壁2に向けて温水循環させる。さらに図4(d−2)に示したように、循環する温水と外気温との温度差が許容温度差(たとえば20℃程度)に達した段階で温水循環を停止する。
以上の施工ステップが完了した後、壁1に相当する既設コンクリート内のヒーティングパイプは内部の水を排水した後、パイプ内に無収縮モルタルを充填する。壁2に相当する新設コンクリート部位は、次の打設リフトでの既設コンクリートとなるため、クーリングパイプはヒーティングパイプとして使用される。
[3次元有限要素法による温度ひび割れ挙動解析]
以下、本発明のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法の効果を確認するための3次元有限要素法解析による温度ひび割れ挙動解析を行った結果について、図5〜図11を参照して説明する。
図5は、3次元有限要素法解析の解析モデルメッシュ図を示している。この解析モデルメッシュ図のもととなる構造物は、壁高が約13mの鉄筋コンクリート製L型擁壁を想定している。本発明の温度ひび割れ抑制方法の解析として、施工ステップを考慮した段階的な解析を行うために、壁体部分は3段の打設リフト(各リフト高さ4.4m、壁厚1.5m)のコンクリート打設で構築されるものと想定している。また、延長20mに対して解析モデルは幅方向1/2モデルとして境界条件を設定してある。
(解析温度条件)
以下、解析に用いる施工ステップごとに変化する温度条件について図6〜図8を参照して説明する。図6は、各施工ステップにおけるヒーティングパイプへの通水、給熱によって温度上昇した壁1の中心温度の変化と、壁1の通水温度との関係を示した温度変化のグラフである。壁1の通水温度は、
(1)壁1の中心温度が、壁2の最高温度と同温度にほぼ同一時点で達する、
(2)壁1の中心温度の温度降下勾配(収縮勾配)と、壁2,壁3におけるコンクリート最高温度からの温度降下勾配とがほぼ一致する、
ように解析条件を設定する。図7は、既設コンクリートとしての壁2の中心温度と新設コンクリートとしての壁3への給熱状態を示したグラフである。この施工ステップにおいても、図6の場合と同様の設定を行う。図8は、図5に示した壁1、壁2、壁3のそれぞれの中心温度を重ね合わせて示したグラフである。同図に示したように、新設コンクリート(壁3)の膨張量、温度降下勾配に合わせて既設コンクリート(壁2、壁1)の温度履歴を設定する。
(解析結果)
図9は図5に示した解析モデルに対して図6〜図8に示した壁1〜壁3での通水温度、部材中心温度の設定温度条件を用いて施工ステップごとの解析を行った結果の部材中央断面位置での温度ひび割れ指数Icr(t)(壁2,3内の所定の2位置(要素)での指数値を図中にプロットした。)の等指数値ラインと値の分布(高低)を濃淡で表示したコンター図である。同図に示したように、本発明の温度ひび割れの抑制方法では、壁2の対応する位置でIcr(t)=1.84、壁3の対応する位置でIcr(t)=2.79となり、温度ひび割れを確実に防止できることが確認できた。これに対して無対策の場合、上記点と同位置のIcr(t)=0.66、0.69となり、温度ひび割れの発生確率がきわめて高いことが確認された。またパイプクーリングのみでの対策ではIcr(t)=1.01、1.09で温度ひび割れの発生の可能性が依然として懸念されることが確認できた。
図10各図は、他の実施形態として、新設コンクリートのためのクーリングパイプと既設コンクリートのヒーティングパイプとを一系統配管として、循環水の熱交換によって新設コンクリートの冷却と、既設コンクリートの温めを実現させるようにした施工ステップを示している。
(ステップ1) 図10(a)は既設コンクリートとしての壁1を施工した段階でのパイプクーリング状態を示している。この配管を新設コンクリート打設時のヒーティングパイプとして用いる。
(ステップ2) 図10(b)は新設コンクリートとしての壁2を打設する際に配管されたクーリングパイプと、壁1内でクーリングパイプとして用いられたパイプをヒーティングパイプとして機能させ、壁2のクーリングパイプと壁1のヒーティングパイプとを一系統の配管とさせた状態を示している。
(ステップ3) 壁2のコンクリート打設前から一系統を構成するパイプ内に水を循環させ、壁2のコンクリート打設中まで通水循環させる。新設コンクリートの打設中、クーリングパイプ内の水がコンクリートの発熱により温められることとなる。そして温められた通水(温水)は既設コンクリート内のパイプに送られ、既設コンクリートが温められ、所定量だけ膨張する(図10(c))。さらに温度を上げたい場合には、公知の給熱装置等を介して温度を上げることもできる。
(ステップ4) 壁2のコンクリート打設の際、壁2内にパイプクーリングを行うために通水を行うが、壁2のコンクリート発熱を利用して、壁1用の温水を作ることができる。そして給熱源としての温水を既設コンクリートとしての壁1に通水する。そして温水は壁1を通過する際に放熱され、温度が下がり、壁2用の冷却水として利用できる。この冷却水を壁2側のクーリングパイプに循環させ、壁2のパイプクーリングを進めることができる。壁2用の冷却水としてさらに温度を下げたい場合には、この段階で公知の冷却装置等を介して温度を下げることもできる。このように通水を循環させることで、パイプクーリングとヒーティングとを同時に行え、熱膨張量が壁1、壁2が等しくなり、温度ひび割れが抑制できる。以後、コンクリート打設後の所定期間、通水循環を行うが、循環水温度が外気温と許容温度差(20℃程度)以内になった時、通水循環を停止する。この状態で壁2のコンクリート温度降下は、壁1のそれとほぼ等しくなっているため、硬化の進行における温度ひび割れの発生を防止することができる。
なお、本発明は上述した実施形態(構造物種類、既設コンクリートと新設コンクリートとの位置関係、給熱時、冷却時の設定温度、設定膨張量等)に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。

Claims (7)

  1. 既設コンクリートに連なって打設される新設コンクリートに温度ひび割れが生じるような構造物のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法であって、
    新設コンクリートの打設前に既設コンクリートに給熱し、新設コンクリートにおいて想定されるコンクリート最高温度まで既設コンクリートのコンクリート温度を高めることを特徴とするコンクリートの温度ひび割れ抑制方法。
  2. 既設コンクリートに連なって打設される新設コンクリートに温度ひび割れが生じるような構造物のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法であって、
    新設コンクリートの打設前に既設コンクリートに給熱し、新設コンクリートにおいて想定されるコンクリートの最大膨張量まで既設コンクリートを膨張させることを特徴とするコンクリートの温度ひび割れ抑制方法。
  3. 既設コンクリートの温度降下速度を、硬化時における新設コンクリートの温度降下速度とほぼ等しくすることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法。
  4. 既設コンクリートの収縮勾配を、硬化時における新設コンクリートの収縮勾配とほぼ等しくすることを特徴とする請求項2に記載のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法。
  5. 前記既設コンクリートへの給熱は、既設コンクリート内に配管され利用されたクーリングパイプをヒーティングパイプとして用い、パイプ内に温水を通水させて行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法。
  6. 打設が完了した新設コンクリートの温度降下時に、新設コンクリート内に配管されたクーリングパイプを通過して温められた水を、既設コンクリートのヒーティングパイプに通水して循環させ、新設および既設コンクリートを同じ温度勾配で温度降下させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法。
  7. 既設コンクリートの温度計測、膨張量計測、ひずみ計測、新設コンクリートの温度計測を行って各データを収集し、各データをもとに既設コンクリートの温度を遂次解析、制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリートの温度ひび割れ抑制方法。
JP2014103844A 2014-05-19 2014-05-19 コンクリートの温度ひび割れ抑制方法 Active JP6347667B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014103844A JP6347667B2 (ja) 2014-05-19 2014-05-19 コンクリートの温度ひび割れ抑制方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014103844A JP6347667B2 (ja) 2014-05-19 2014-05-19 コンクリートの温度ひび割れ抑制方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015218511A true JP2015218511A (ja) 2015-12-07
JP2015218511A5 JP2015218511A5 (ja) 2017-03-09
JP6347667B2 JP6347667B2 (ja) 2018-06-27

Family

ID=54778126

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014103844A Active JP6347667B2 (ja) 2014-05-19 2014-05-19 コンクリートの温度ひび割れ抑制方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6347667B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180011916A (ko) * 2016-07-25 2018-02-05 동아대학교 산학협력단 콘크리트의 수화열에 의한 외부 구속 균열 방지 방법 및 이를 이용한 콘크리트 균열 방지 시스템
JP2018071217A (ja) * 2016-10-31 2018-05-10 鹿島建設株式会社 コンクリートの打設方法
CN110955276A (zh) * 2019-09-11 2020-04-03 保利长大工程有限公司 大体积混凝土冷却水智能自动循环控制系统
CN112252466A (zh) * 2020-10-20 2021-01-22 粤水电轨道交通建设有限公司 一种分层混凝土结构防裂缝施工方法
CN113221400A (zh) * 2021-04-14 2021-08-06 武昌理工学院 低热衬砌混凝土温差控制通水冷却控温方法及系统

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07145668A (ja) * 1993-11-24 1995-06-06 Ohbayashi Corp コンクリート打設方法
US5707179A (en) * 1996-03-20 1998-01-13 Bruckelmyer; Mark Method and apparaatus for curing concrete

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07145668A (ja) * 1993-11-24 1995-06-06 Ohbayashi Corp コンクリート打設方法
US5707179A (en) * 1996-03-20 1998-01-13 Bruckelmyer; Mark Method and apparaatus for curing concrete

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180011916A (ko) * 2016-07-25 2018-02-05 동아대학교 산학협력단 콘크리트의 수화열에 의한 외부 구속 균열 방지 방법 및 이를 이용한 콘크리트 균열 방지 시스템
KR101864768B1 (ko) * 2016-07-25 2018-06-07 동아대학교 산학협력단 콘크리트의 수화열에 의한 외부 구속 균열 방지 방법 및 이를 이용한 콘크리트 균열 방지 시스템
JP2018071217A (ja) * 2016-10-31 2018-05-10 鹿島建設株式会社 コンクリートの打設方法
CN110955276A (zh) * 2019-09-11 2020-04-03 保利长大工程有限公司 大体积混凝土冷却水智能自动循环控制系统
CN112252466A (zh) * 2020-10-20 2021-01-22 粤水电轨道交通建设有限公司 一种分层混凝土结构防裂缝施工方法
CN113221400A (zh) * 2021-04-14 2021-08-06 武昌理工学院 低热衬砌混凝土温差控制通水冷却控温方法及系统
CN113221400B (zh) * 2021-04-14 2024-04-30 武昌理工学院 低热衬砌混凝土温差控制通水冷却控温方法及系统

Also Published As

Publication number Publication date
JP6347667B2 (ja) 2018-06-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6347667B2 (ja) コンクリートの温度ひび割れ抑制方法
JP6043510B2 (ja) 温度応力解析に基づいたコンクリート養生管理方法
JP5308316B2 (ja) マスコンクリート構造体の構築方法
JP6108434B2 (ja) トンネル覆工コンクリートの養生方法
JP4108544B2 (ja) マスコンクリートのパイプクーリング方法
JP6762847B2 (ja) コンクリートの打設方法
JP2014088743A (ja) 覆工コンクリートの温度制御方法
JP6678488B2 (ja) コンクリート堤体の構築方法
JP6261995B2 (ja) コンクリート温度の制御方法
KR20150110437A (ko) 온도 조절이 가능한 슬립폼
CN107558504A (zh) 一种控制混凝土构件开裂的施工方法
CN108425685B (zh) 一种基于现浇隧道的混凝土裂缝控制方法
JP6094064B2 (ja) 給熱養生によるマスコンクリートのひび割れ抑制工法
KR101718807B1 (ko) 공동주택 측벽 단열구조
CN110835930A (zh) 一种焦炉炉底大体积高强浇注料分层分块施工方法及结构
JP6181436B2 (ja) 打設コンクリートの養生方法およびコンクリート構造物
JP5261508B2 (ja) 鉄筋コンクリート部材の製造方法
JP6473721B2 (ja) コンクリートひび割れ制御方法
JP4999608B2 (ja) 超高強度コンクリート部材の製造方法、及び脱枠手順解析方法
JP2012092633A (ja) 鉄筋コンクリート構造物のひび割れを低減する工法
CN112359805B (zh) 预防闸室薄壁结构长时间间歇后产生裂缝的方法
JP5702167B2 (ja) 温度プレストレス導入コンクリートのひび割れ抑制方法
JP4918176B1 (ja) コンクリート構造物の養生方法および養生装置
JP2000327450A (ja) コンクリート打設方法
CN212248330U (zh) 一种焦炉炉底大体积高强浇注料分层分块施工结构及模具

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170201

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180502

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180529

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6347667

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250