以下、本発明について詳しく説明する。
反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)、(C)、(D)中に含有される反応性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、硬化触媒と水の存在下でシロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。反応性ケイ素基としては、一般式(1):
−(SiR2 2−bXbO)m−SiR1 3−aXa (1)
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1から20のアルキル基、炭素原子数6から20のアリール基、炭素原子数7から20のアラルキル基または(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基のいずれかを示し、R1またはR2が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素原子数1から20の炭化水素基であり3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1、または2をそれぞれ示す。またm個の(SiR2 2−bXbO)基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0から19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする)で表される基があげられる。
加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
反応性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。とくに、一般式(2):
−SiR1 3−cXc (2)
(式中、R1、Xは前記と同じ。cは1〜3の整数)で表される反応性ケイ素基が、入手が容易であるので好ましい。
また上記一般式(1)、(2)におけるR1およびR2の具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、 R’がメチル基、フェニル基等である(R’)3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。これらの中ではメチル基が特に好ましい。
反応性ケイ素基のより具体的な例示としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基が挙げられる。この中で、水分と共存下で安定で、硬化触媒と混合した場合に硬化がスムーズに進行するという理由から、ジメトキシメチルシリル基が好ましい。また、放出されるアルコールがエタノールという点では、トリエトキシシリル基が好ましい。
反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行えばよい。すなわち、例えば以下の方法が挙げられる。
(イ)分子中に水酸基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体を得る。もしくは、不飽和基含有エポキシ化合物との共重合により不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体を得る。ついで得られた反応生成物に反応性ケイ素基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。
(ロ)(イ)法と同様にして得られた不飽和基を含有するポリオキシアルキレン系重合体にメルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
(ハ)分子中に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。以上の方法のなかで、(イ)の方法、または(ハ)のうち末端に水酸基を有する重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法が好ましい。
(イ)の方法において用いるヒドロシラン化合物の具体例としては、たとえば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランのようなアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランのようなケトキシメートシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちではとくにハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類が好ましい。
反応性ケイ素基は、ポリオキシアルキレン系重合体分子鎖の末端あるいは内部にあってもよいし、また、両方にあってもよい。とくに、反応性ケイ素基が分子末端にあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれるポリオキシアルキレン系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
前記のポリオキシアルキレン系重合体(A)、(C)、(D)は、本質的に一般式(3):
−R3−O− (3)
(式中、R3は2価の有機基であり、炭素数1〜14の直鎖状もしくは分岐アルキレン基である。)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、一般式(3)におけるR3は、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐状アルキレン基が好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にシーラント等に使用される場合には、プロピレンオキシド重合体を主成分とする重合体から成るものが非晶質であることや比較的低粘度である点から好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−215623号に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような前期遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号、特公昭59−15336号、米国特許3278457、米国特許3278458、米国特許3278459、米国特許3427256、米国特許3427334、米国特許3427335に示される複金属シアン化物錯体触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。
上記ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中には本発明の効果を大きく損なわない範囲でウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。
上記ウレタン結合成分としては特に限定されず、例えば、トルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物とポリオールとの反応から得られるもの等を挙げることができる。
上記のようにウレタン結合やウレア結合を主鎖骨格中に有する重合体は、極性が高くなるために、基材や塗膜との接着性が高まる傾向にあり好ましい。
反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の製造方法は、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同55−13468号、同57−164123号、特公平3−2450号、米国特許3632557、米国特許4345053、米国特許4366307、米国特許4960844等の各公報に提案されているもの、また特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号、同61−218632号の各公報に提案されている数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体が例示できるが、特にこれらに限定されるものではない。上記の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
本発明では、1分子に対し平均して1.5個以上かつ2.0個未満の反応性ケイ素基を有し、数平均分子量が20,000以上である分岐構造を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)を使用する。分岐構造を有しかつ反応性ケイ素基が1.5個未満の場合は、硬化物の伸びが低く、また硬化物の残留タックが悪く好ましくない。一方、分岐構造を有しかつ反応性ケイ素基が2.0個以上の場合は、残留タックは良好なものの、硬化物の伸びが低くなり建築用シーリング材として適さない。
本発明のポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値で規定できる。分岐構造のポリオキシアルキレン系重合体(A)のゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量は、20,000〜50,000、好ましくは22,000〜45,000、さらに好ましくは24,000〜40,000である。数平均分子量が20,000未満では硬化物の伸びが低く耐久性に乏しくなり、50,000を超えると高粘度となるために作業性の点で不都合な場合がある。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の1分子に対するケイ素基の数は、1.5個以上かつ2.0個未満であり、さらに1.6個以上1.95個以下が好ましく、特に1.7個以上1.9個未満が好ましい。ケイ素基導入率が2.0以上の場合は硬化物の伸びが低下する傾向にあり、一方、1.5個未満の場合は硬化物表面の残留タックが悪く好ましくない。ケイ素基の数が上記の範囲にある場合は、2.0〜2.5個程度導入された場合に比べて高い伸びを発現できる一方、残留タックの低下がほとんど見られず良好である。
本発明では、(C)成分として1分子に対し平均して1.2個以上の反応性ケイ素基を有し、数平均分子量が15,000以上である直鎖構造のポリオキシアルキレン系重合体を併用しても良い。直鎖構造のポリオキシアルキレン系重合体(C)のゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量は、15,000〜50,000、好ましくは16,000〜45,000、さらに好ましくは18,000〜40,000である。数平均分子量が15,000未満では硬化物の伸びが低く耐久性に乏しくなり、50,000を超えると高粘度となるために作業性の点で不都合な場合がある。
ポリオキシアルキレン系重合体(C)の1分子に対するケイ素基の数は、1.2個以上かつ1.9個未満であり、1.25個以上1.8個以下が好ましく、1.3個以上1.7個未満がさらに好ましい。ケイ素基導入率が1.9個以上の場合は硬化物の伸びが低下する傾向にあり、一方、1.2個未満の場合は硬化物表面の残留タックが悪く好ましくない。
分岐のポリオキシアルキレン系重合体(A)と直鎖のポリオキシアルキレン系重合体(C)を用いる場合は、重量比で100/0〜10/90が好ましく、90/10〜20/80がさらに好ましく、80/20〜30/70が特に好ましい。(C)成分を併用することで、伸びが向上するため好ましい。また(A)成分と(C)成分を併用すると、硬化物の残留タックが良くなるため好ましい。一方、反応性ケイ素基を有する分岐構造のポリオキシアルキレン系重合体(A)と反応性ケイ素基を有する直鎖構造のポリオキシアルキレン系重合体(C)を併用すると、硬化物の表面耐候性が低下する場合があり、耐候性を重視する場合は分岐構造の(A)のみを使用することが好ましい。表面耐候性に優れた硬化物を作製したい場合は、(A)成分と(C)成分との重量比は100/0〜90/10が好ましく、100/0〜95/5がさらに好ましく、100/0〜98/2が特に好ましい。
本発明では、(D)成分として1分子に対し平均して0.5個以上かつ1.2個未満の反応性ケイ素基を有し、数平均分子量が3,000以上である直鎖構造のポリオキシアルキレン系重合体を併用しても良い。(D)成分は反応性可塑剤として作用でき、例えばフタル酸エステルやポリアルキレングリコールのような汎用な可塑剤に比べて、目地に吸収されることが少なく経時での伸び低下を抑えることができる。(A)成分に(D)成分を併用すると、硬化物の伸びが向上するため好ましい。
直鎖構造のポリオキシアルキレン系重合体(D)のゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量は、3,000〜20,000、好ましくは4,000〜18,000、さらに好ましくは5,000〜15,000である。数平均分子量が3,000未満では硬化物の復元性や染み出しが悪くなる場合があり、20,000を超えると高粘度となるために作業性の点で適さない。
ポリオキシアルキレン系重合体(D)の1分子に対するケイ素基の数は、0.5個以上かつ1.2個未満であり、0.6個以上1.1個以下が好ましく、0.7個以上1.0個未満がさらに好ましい。ケイ素基導入率が1.2個以上の場合は硬化物の伸びが低下する傾向にあり、一方、0.5個未満の場合は硬化物表面の残留タックが低下する傾向にあり好ましくない。
(D)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して0〜200重量部が好ましく、10〜150重量部がさらに好ましく、30〜100重量部が特に好ましい。
本発明の硬化性組成物には、(B)成分として2価錫系硬化触媒が含まれる。これは(A)成分の硬化触媒および/または硬化促進剤として作用する。本発明に(C)成分や(D)成分を併用する場合は、これらの硬化触媒および/または硬化促進剤としても働く。
(B)成分の2価錫系硬化触媒の具体例としては、カルボン酸錫塩を挙げることができる。カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの直鎖飽和脂肪酸類;ウンデシレン酸、リンデル酸、ツズ酸、フィゼテリン酸、ミリストレイン酸、2−ヘキサデセン酸、6−ヘキサデセン酸、7−ヘキサデセン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アスクレピン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、ゴンドイン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、セラコレイン酸、キシメン酸、ルメクエン酸などのモノエン不飽和脂肪酸類; リノール酸、10,12−オクタデカジエン酸、ヒラゴ酸、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸、プニカ酸、リノレン酸、8,11,14−エイコサトリエン酸、7,10,13−ドコサトリエン酸、4,8,11,14−ヘキサデカテトラエン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、8,12,16,19−ドコサテトラエン酸、4,8,12,15,18−エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ニシン酸、ドコサヘキサエン酸などのポリエン不飽和脂肪酸類;イソ酸、アンテイソ酸、ツベルクロステアリン酸、ピバル酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、バーサチック酸などの枝分れ脂肪酸類;タリリン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、キシメニン酸、7−ヘキサデシン酸などの三重結合をもつ脂肪酸類;ナフテン酸、マルバリン酸、ステルクリン酸、ヒドノカルビン酸、ショールムーグリン酸、ゴルリン酸などの脂環式カルボン酸類;サビニン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、イプロール酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、ヤラピノール酸、ユニペリン酸、アンブレットール酸、アリューリット酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸、18−ヒドロキシオクタデカン酸、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸、リシノール酸、カムロレン酸、リカン酸、フェロン酸、セレブロン酸などの含酸素脂肪酸類;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸類等が挙げられる。これらの中では、入手性や触媒の活性の点で、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸が好ましい。
これらのカルボン酸の錫塩の中でも、バーサチック酸錫塩、2−エチルヘキサン酸錫塩、ネオデカン酸錫塩、ビバル酸錫塩などが、硬化速度が速く、硬化物の着色が少ないことからより好ましい。
(B)成分の2価錫系硬化触媒のカルボン酸錫塩は、単独で使用してもよく2種類以上を併用してもよい。これらの使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がさらに好ましく、2〜5重量部が特に好ましい。0.1重量部未満であると、硬化速度が遅くなり、また硬化反応が充分に進行しにくくなる傾向がある。一方、20重量部を超えると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られにくくなるので好ましくない。
(B)成分の2価錫系硬化触媒を使用するにあたり、助触媒としてアミン化合物を併用することが好ましい。
アミン化合物としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)などが挙げられる。これらの中では、入手性と触媒活性の点で、ラウリルアミンとジエチルアミノプロピルアミンが好ましい。
アミン化合物は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜8重量部がさらに好ましく、0.3〜5重量部が特に好ましい。0.1重量部未満であると、硬化速度が遅くなり、また硬化反応が充分に進行しにくくなる傾向がある。一方、10重量部を超えると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、また硬化物が着色する傾向にあり好ましくない。
(B)成分以外のカルボン酸金属塩をさらに使用しても良い。カルボン酸金属塩は、前述のカルボン酸の金属塩であって、たとえばカルシウム塩、バナジウム塩、鉄塩、チタニウム塩、カリウム塩、バリウム塩、マンガン塩、ニッケル塩、コバルト塩、ジルコニウム塩、鉛塩、ビスマス塩、ハフニウム塩、セリウム塩などが挙げられる。これらの中では、入手性と触媒活性と機械物性の点で、ビスマス塩、ジルコニウム塩が好ましい。
本発明では、(E)成分として4価錫系硬化触媒を併用しても良い。(B)成分の2価錫系硬化触媒に4価錫系硬化触媒を併用すると、23℃と5℃の皮張り時間の比が小さくなり、すなわち温度の影響を受けにくくなるため好ましい。
4価錫系硬化触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫フタレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジメチルマレエート、ジブチル錫ジエチルマレエート、ジブチル錫ジブチルマレエート、ジブチル錫ジオクチルマレエート、ジブチル錫ジトリデシルマレエート、ジブチル錫ジベンジルマレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジエチルマレエート、ジオクチル錫ジオクチルマレエート、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチル錫ジノニルフェノキサイド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジオクチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセトナート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチル錫オキサイドとシリケートとの反応物等の4価の錫化合物などが挙げられる。
これらの化合物は単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部程度が更に好ましい。0.1重量部未満であると、硬化速度の比の改善効果が不十分となる。一方、20重量部を超えると、硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られにくくなるので、好ましくない。
本発明の硬化性組成物には、(F)成分としてアミノシランを使用しても良い。アミノシランは基材との接着性を上げるために使用する。
アミノシランとしては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランを挙げることができる。
アミノシランは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。アミノシランの使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がさらに好ましく、2〜5重量部が特に好ましい。0.1重量部未満であると、接着付与効果が不十分であり、一方、20重量部を超えると、硬化物の伸びが低くなる傾向にあり好ましくない。
本発明には、アミノシラン以外のシランカップリング剤、シランカップリング剤の反応物、またはシランカップリング剤以外の化合物を添加することができる。シランカップリング剤の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、α−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、α−イソシアネートメチルジメトキシメチルシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
これらシランカップリング剤は、単独で使用してもよく2種類以上を併用してもよい。シランカップリング剤の使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がさらに好ましく、2〜5重量部が特に好ましい。0.1重量部未満であると、接着や脱水効果が不十分であり、一方、20重量部を超えると、硬化物の伸びが低くなる傾向にあり好ましくない。
本発明の硬化性組成物には、膠質炭酸カルシウムを使用しても良い。膠質炭酸カルシウムは0.5μm以下、好ましくは0.01〜0.1μmの一次粒子径を有する炭酸カルシウムである。膠質炭酸カルシウムは通常、カルシウム塩水溶液に二酸化炭素や炭酸塩化合物を添加し沈降炭酸カルシウムとして製造される。膠質炭酸カルシウムは、高級脂肪酸系化合物等によって表面処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、パルミチン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸系化合物、ロジン酸などの樹脂酸系化合物、芳香族カルボン酸エステル、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アミノシランなどのシラン化合物などが挙げられる。これらの表面処理剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
膠質炭酸カルシウムの使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して10〜300重量部が好ましく、20〜250重量部がさらに好ましく、30〜200重量部が最も好ましい。使用量が上記より少ない場合は、チキソ性の発現が乏しくタレ易くなり、上記よりも多い場合は、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性が悪化するためである。
本発明の硬化性組成物には、重質炭酸カルシウムを使用しても良い。重質炭酸カルシウムは、石灰石、貝殻、白亜などを機械的に粉砕したものであり、これを使用することにより、硬化物に強靭性を与えたり、硬化物の物性を調整して接着強さを向上させたりすることができる。硬化性組成物の粘度を低くしたい場合は、粒子径が比較的大きな重質炭酸カルシウムを使用するのが好ましい。また、配合物の粘度を上げてよりチキソ性を付与したい場合は、粒子径が比較的小さいものが好ましい。それらは用途に応じて使い分けることができる。重質炭酸カルシウムの平均粒子径は、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることが特に好ましい。0.1μm未満であると粒子の凝集が起こる場合がある。また、粒子径が5μmより大きい場合は、表面の滑らかさに欠けたり、硬化物の強度が低くなる場合があり好ましくない。
重質炭酸カルシウムの使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して2〜200重量部が好ましく、10〜180重量部がさらに好ましく、20〜150重量部が最も好ましい。使用量が上記より少ない場合は、チキソ性の発現が乏しくタレ易くなり、上記よりも多い場合は、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性が悪化するためである。
本発明の硬化性組成物には、膠質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウム以外の充填剤を配合することができる。充填剤としては、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、PVC粉末、PMMA粉末など樹脂粉末の如き充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントの如き繊維状充填剤等が挙げられる。充填剤を使用する場合、その使用量は(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して1〜300重量部、好ましくは10〜200重量部、より好ましくは20〜100重量部である。
これら充填剤の使用により強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラック、焼成クレー、クレー、および活性亜鉛華などから選ばれる充填剤が好ましく、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対し、1〜200重量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で破断伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、および酸化亜鉛などから選ばれる充填剤を、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して5〜200重量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。
本発明の硬化性組成物には、マイクロバルーンを使用しても良い。マイクロバルーンとしては、ガラスバルーンやシラスバルーンなど多種類が存在するが、比重低減効果が高いという理由から有機系樹脂のものが適する。特に熱可塑性化合物のものは、製造が容易という理由から適している。マイクロバルーンの組成としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、スチレン系共重合体、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、アクリルニトリル重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−メタクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル−ジビニルベンゼンが例示できる。また、これらのマイクロバルーンをそのまま使用しても良いし、表面の一部又は全部を無機微粉末で被覆したものでも良い。無機微粉末としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、タルク、クレー、カーボンブラックから選ばれる1種又は2種以上が使用可能である。マイクロバルーン表面に無機微粉末で被覆されている場合は、取り扱い時に空中に飛散する課題が低減するため好ましく、また他の配合剤との馴染みが良くなり引張特性が向上するという理由から好ましい。
マイクロバルーンの粒径は、5〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましく、10〜50μmがさらに好ましい。粒径が上記より大きい場合は、硬化性組成物の表面のざらつき感が大きくなるためであり、粒径が上記より小さい場合は、比重低減効果が下がるためである。
マイクロバルーンの真比重は、0.02〜0.50g/cm3が好ましく、0.05〜0.40g/cm3がさらに好ましく、0.10〜0.30g/cm3が最も好ましい。マイクロバルーンの配合量は、本硬化性組成物に対して、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して0.2〜30重量部使用されるのが好ましく、1〜20重量部がさらに好ましく、3〜15重量部が最も好ましい。配合量が上記より少ない場合は、比重低減効果が低下し、上記よりも多い場合は、硬化物の伸びが低減するためである。
本発明の硬化性組成物には、可塑剤を使用しても良い。
可塑剤は、硬化性組成物の粘度やスランプ性を調整する機能、得られる硬化物の引張り強度、伸び特性などの機械的な特性が調整する機能を有するものである。
可塑剤としては特に限定されず、たとえば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシルなどの非芳香族2塩基酸エステル類;ジイソノニルシクロヘキサンジカルボキシレート、ビス(2−エチルヘキシル)シクロヘキサンジカルボキシレートなどのシクロヘキサンジカルボン酸のエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチルなどの脂肪族エステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェートなどのリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニルなどの炭化水素系油;プロセスオイル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジルなどのエポキシ系可塑剤などがあげられる。さらに、上記のフタル酸エステル類を水素添加して得られる、シクロヘキサンジカルボキシレートは、安全性を憂慮せずに使用することができる。この可塑剤は、BASF社からHexamoll DINCHという商品名で販売されており、容易に入手することができる。
また、得られた硬化物の初期特性を長期にわたり維持できることや、硬化物上に塗料を塗布した場合の塗膜の汚染性を改良できることなどから、重合体成分を分子中に含む高分子可塑剤を添加することが好ましい。高分子可塑剤としては、特に限定されず、たとえば、ビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのポリアルキレングリコールのエステル類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸などの2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤;分子量500以上、さらには1000以上のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオール類あるいはこれらポリエーテルポリオール類中の水酸基をエステル基やエーテル基などに置換したポリエーテル類誘導体;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレンなどのポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレンなどがあげられる。
これら高分子可塑剤のなかでも(A)成分と相溶性の高いものが好ましく、たとえば、ポリエーテル類やビニル系重合体などがあげられる。また、本硬化性組成物の表面硬化性および深部硬化性が良好で、貯蔵後の硬化遅延も起こらないことからポリエーテル類がより好ましく、具体的にはポリプロピレングリコールが特に好ましい。
また、(A)成分との相溶性が高く、得られる硬化物の耐候性、耐熱性が良好なことからビニル系重合体が好ましく、この中でもアクリル系重合体および/又はメタクリル系重合体がより好ましく、ポリアクリル酸アルキルエステルなどアクリル系重合体が特に好ましい。
ポリアクリル酸アルキルエステルの製造方法としては、特に限定されないが、分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことからリビングラジカル重合法が好ましく、原子移動ラジカル重合法がより好ましい。また、SGOプロセスと呼ばれる特開2001−207157号などに開示されているアクリル酸アルキルエステル系化合物を高温、高圧下で連続塊状重合する方法が特に好ましい。
高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15000、800〜10000が好ましく、1000〜8000がより好ましく、1000〜5000が特に好ましく、1000〜3000が最も好ましい。高分子可塑剤の分子量が低すぎると得られる硬化物から熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、埃付着などによる汚染の原因となる可能性がある。一方、分子量が高すぎると硬化性シーリング組成物の粘度が高くなり、作業性が悪くなる傾向がある。
高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.80未満、1.70以下が好ましく、1.60以下がより好ましく、1.50以下がさらに好ましく、1.40以下が特に好ましく、1.30以下が最も好ましい。
数平均分子量はポリエーテル系重合体の場合は末端基分析法で、その他の重合体の場合はGPC法で測定される。また、分子量分布(Mw/Mn)はGPC法(ポリスチレン換算)で測定される。
可塑剤は、1種類のみを添加してもよく、複数種を組み合わせて添加してもよい。また、低分子可塑剤と高分子可塑剤を併用添加してもよい。特に、高分子量可塑剤を80wt%以上使用した場合は、上塗り塗料への汚染性が改善され好ましい。特に好ましい組み合わせとして、低分子可塑剤としてフタル酸エステル系可塑剤を使用し、高分子可塑剤としてポリオキシアルキレン系重合体を挙げることができ、硬化性組成物の良好な作業性と、硬化物からの塗膜への汚染性が改善され、かつ塗膜が剥がれにくいという良好なバランスを発現する。なお、これらの可塑剤は、(A)成分の製造時に添加してもよい。
可塑剤を添加する場合、その添加量としては、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して5〜150重量部が好ましく、10〜120重量部がより好ましく、20〜100重量部が特に好ましい。5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しなくなる傾向があり、150重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する傾向がある。
本発明の硬化性組成物には、エポキシ化合物を使用しても良い。
エポキシ化合物としては、エポキシ基を有していれば特に限定されない。エポキシ基を有する化合物を使用すると硬化物の復元性を高めることができる。エポキシ基を有する化合物としてはエポキシ化不飽和油脂類、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル類、脂環族エポキシ化合物類、エピクロルヒドリン誘導体に示す化合物及びそれらの混合物等が例示できる。 具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化あまに油、ジ−(2−エチルヘキシル)4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカーボキシレート(E−PS)、エポキシオクチルステアレ−ト、エポキシブチルステアレ−ト等があげられる。これらのなかではE−PSが特に好ましい。硬化物の復元性を高める目的には分子中にエポキシ基を1個有する化合物を用いるのが好ましい。エポキシ化合物の使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して1〜100重量部が好ましく、5〜80重量部がより好ましく、10〜70重量部が特に好ましい。1重量部未満では復元性を高める効果が発現しなくなる傾向があり、100重量部を超えると接着性が低下する傾向がある。
本発明の硬化性組成物には、成分として加水分解してトリメチルシラノールを生成する化合物を使用しても良い。
この化合物を添加すると、硬化物表面のべたつきを悪化させずにモジュラスを下げ、伸びを向上させる効果が一般的に見られる。この伸び向上効果が耐久性に良い影響を与えると推定される。加水分解により分子内にトリメチルシラノールを生成する化合物としては、特開平5−117521号公報に記載されている化合物をあげることができる。また、ヘキサノール、オクタノール、デカノール等のアルキルアルコールの誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールを生成するシリコン化合物を生成する化合物、特開平11−241029号公報に記載されているトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールあるいはソルビトール等のヒドロキシ基数が3以上の多価アルコールの誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールを生成するシリコン化合物を生成する化合物をあげることができる。
また、特開平7−258534号公報に記載されているようなオキシプロピレン重合体の誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールを生成するシリコン化合物を生成する化合物もあげることができる。更に特開平6−279693号公報に記載されている架橋可能な反応性ケイ素含有基と加水分解によりトリメチルシラノール含有化合物となりうるケイ素含有基を有する重合体を使用することもできる。この中でも、トリメチルフェノキシシランは入手し易く、上記に述べた効果に加えて耐久性を向上させる効果があり好ましい。
この成分の使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.2〜10重量部がより好ましく、0.3〜5重量部が特に好ましい。0.1重量部未満では伸び改善効果が小さく、20重量部を超えると硬化物の強度が弱くなる傾向がある。
本発明の硬化性組成物には、乾性油を使用しても良い。
乾性油は、主成分である不飽和脂肪酸にいくつかの二重結合を持ち、空気中の酸素と徐々に反応して酸化される物質である。酸化の過程で過酸化物やラジカルが生じ、これが開始剤となって油の分子同士が互いに結合し、分子量の大きな網目状の高分子物質となるため、本発明の硬化性組成物の耐久性向上に寄与していると推定される。さらに硬化物表面のべたつきを低下させ、表面へのゴミやホコリの付着を防止する作用を有する。乾性油の具体的な物質として、桐油、アマニ油、ケシ油、シソ油、ゴマ油、エゴマ油、ベニバナ油、ヒマワリ油などで代表される乾性油や、該化合物を変性してえられる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコン樹脂;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどのジエン系化合物を重合または共重合させて得られる1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、C5からC8ジエンの重合体などの液状重合体や、これらジエン系化合物と共重合性を有するアクリロニトリル、スチレンなどの単量体とをジエン系化合物が主体となるように共重合させてえられるNBR、SBRなどの液状共重合体や、さらにはそれらの各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのうちでは桐油や液状ジエン系重合体が好ましく、桐油が最も好ましい。
乾性油として、ヨウ素価が130以上のものが硬化性に優れるため好ましい。また、ヨウ素価が100〜130程度の半乾性油としてコーン油、綿実油等を併用しても良い。
この成分の使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましく、1.5〜7重量部が特に好ましい。0.5重量部未満では耐久性改善効果が小さく、20重量部を超えると硬化物表面にヒビ割れを生じる傾向がある。
本発明の硬化性組成物には、光硬化性物質を使用しても良い。
光硬化性物質を使用すると硬化物表面に光硬化性物質の皮膜が形成され、硬化物のべたつきや耐候性を改善できることがわかっており、良い効果が出ると考えられる。光硬化性物質とは、光の作用によってかなり短時間に分子構造が化学変化をおこし、硬化などの物性的変化を生ずるものである。この種の化合物には有機単量体、オリゴマー、樹脂或いはそれらを含む組成物等多くのものが知られており、市販の任意のものを採用し得る。代表的なものとしては、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が使用できる。不飽和アクリル系化合物としては、アクリル系またはメタクリル系不飽和基を1ないし数個有するモノマー、オリゴマー或いはそれ等の混合物であって、プロピレン(またはブチレン、エチレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の単量体または分子量10,000以下のオリゴエステルが例示される。具体的には、例えば特殊アクリレート(2官能)のアロニックスM−210,アロニックスM−215,アロニックスM−220,アロニックスM−233,アロニックスM−240,アロニックスM−245;(3官能)のアロニックスM−305,アロニックスM−309,アロニックスM−310,アロニックスM−315,アロニックスM−320,アロニックスM−325,および(多官能)のアロニックスM−400などが例示できるが、特にアクリル官能基を含有する化合物が好ましく、また1分子中に平均して3個以上の同官能基を含有する化合物が好ましい。(以上アロニックスはいずれも東亞合成株式会社の製品である。)。
ポリケイ皮酸ビニル類としては、シンナモイル基を感光基とする感光性樹脂でありポリビニルアルコールをケイ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリケイ皮酸ビニル誘導体が例示される。アジド化樹脂は、アジド基を感光基とする感光性樹脂として知られており、通常はジアジド化合物を感光剤として加えたゴム感光液の他、「感光性樹脂」(昭和47年3月17日出版、印刷学会出版部発行、第93頁から、第106頁から、第117頁から)に詳細な例示があり、これらを単独または混合し、必要に応じて増感剤を加えて使用することができる。なお、ケトン類、ニトロ化合物などの増感剤やアミン類などの促進剤を添加すると、効果が高められる場合がある。この成分は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましく、1〜7重量部が特に好ましい。0.1重量部未満では耐久性を高める効果は乏しく、20重量部を超えると硬化物表面にヒビ割れを生じる傾向がある。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加しても良い。物性調整剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用いることにより、本発明に用いる組成物を硬化させた時の硬度を上げたり、逆に硬度を下げ、破断伸びを出したりし得る。上記物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
物性調整剤は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲で使用される。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。また、垂れ防止剤としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドワックス類;水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げられる。これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。チクソ性付与剤は(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲で使用される。
本発明の硬化性組成物には、酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。酸化防止剤を使用すると硬化物の耐候性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系が例示できるが、特にヒンダードフェノール系が好ましい。同様に、チヌビン622LD,チヌビン144;CHIMASSORB944LD,CHIMASSORB119FL(以上いずれもBASFジャパン株式会社製);アデカスタブLA−57,アデカスタブLA−62,アデカスタブLA−67,アデカスタブLA−63,アデカスタブLA−68(以上いずれも株式会社ADEKA製);サノールLS−770,サノールLS−765,サノールLS−292,サノールLS−2626,サノールLS−1114,サノールLS−744(以上いずれも三共ライフテック株式会社製)に示されたヒンダードアミン系光安定剤を使用することもできる。酸化防止剤の具体例は特開平4−283259号や特開平9−194731号にも記載されている。酸化防止剤の使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。
本発明の硬化性組成物には、光安定剤を使用することができる。光安定剤を使用すると硬化物の光酸化劣化を防止できる。光安定剤としてベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が例示できるが、特にヒンダードアミン系が好ましい。光安定剤の使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。光安定剤の具体例は特開平9−194731号にも記載されている。
本発明の硬化性組成物において、光硬化性物質として不飽和アクリル系化合物を用いる場合、特開平5−70531号に記載されているようにヒンダードアミン系光安定剤として3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤を用いるのが組成物の保存安定性改良のために好ましい。3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤としてはチヌビン622LD,チヌビン144;CHIMASSORB119FL(以上いずれもBASFジャパン株式会社製);アデカスタブLA−57,LA−62,LA−67,LA−63(以上いずれも株式会社ADEKA製);サノールLS−765,LS−292,LS−2626,LS−1114,LS−744(以上いずれも三共ライフテック株式会社製)などの光安定剤が例示できる。
本発明の硬化性組成物には、紫外線吸収剤を使用することができる。紫外線吸収剤を使用すると硬化物の表面耐候性を高めることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系、置換トリル系及び金属キレート系化合物等が例示できるが、特にベンゾトリアゾール系が好ましい。紫外線吸収剤の使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.2〜5重量部である。フェノール系やヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用して使用するのが好ましい。
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、難燃剤、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、溶剤、防かび剤などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本明細書にあげた添加物の具体例以外の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開2001−72854号の各公報などに記載されている。シーリング材として使用される場合は、顔料は着色目的のために使用され、無機顔料が好適に使用される。例として、カーボンブラック、酸化チタン、カオリン、酸化亜鉛、カドミウム、ニッケルチタン、ストロンチウム、含水酸化クロム、酸化クロム、アルミ酸コバルト、合成ウルトラマリンなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。酸化チタンは、耐候性を向上させる能力もあることから好適に使用される。
本発明の硬化性組成物には、水を添加しても良い。水としては、純水、水道水、工業用水、井戸水などから選択することができる。水を(A)成分と共存しておくことで、硬化剤と混合した際に速やかに反応が進むため好ましい。水の使用量は、(A)成分(C)成分(D)成分の合計100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で使用するのがよく、さらに好ましくは0.3〜7重量部である。
本発明の硬化性組成物は、(A)成分を含む主剤と、硬化剤成分を分けて保存しておき、使用する直前に混合する、いわゆる2成分型として使用することが好ましい。(A)成分と硬化剤が別に保存されていると、長期にわたり粘度上昇が生じず、性能の良い硬化性組成物を得られる期間が長く産業上有利である。
本発明の硬化性組成物の比重は、0.9以上1.3以下であることが好ましい。下限は1.0が好ましく、上限は、1.28が好ましい。0.9未満であると、炭酸カルシウム等のフィラーを多く充填できず、硬化物の強度が低いものとなってしまうためであり、1.3を越えると、体積あたりの重量が重いために、垂直目地に施工した場合にシーリング材が垂れる可能性が生じるためである。
また、本発明の施行方法では、前記硬化性組成物を成分として含むシーリング材を施工し、硬化した後、表面に水系アクリル塗料を塗布する場合にも有用である。
本発明の硬化性組成物は、建造物・船舶・自動車・道路などのシーリング材、接着剤、粘着剤、コーティング材、型取剤、防振材、制振材、防音材、発泡材料、塗料、吹付材などに使用できる。本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、低モジュラス高伸びで復元性が高いことから、これらの中でも、建築用シーリング材、特にワーキングジョイント用シーリング材として好適に使用できる。また、カーテンウォール用のシーリング材、ベランダ窓枠用シーリング材、石材用のシーリング材、橋梁用のシーリング材にも適している。また建築用に幅広く使用されているサイディングボードなどの外装材の目地用シーリング材にも適している。
さらに、シーリング材以外にも使用でき、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料;電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料;弾性接着剤;コンタクト型接着剤;スプレー型シール材;クラック補修材;タイル張り用接着剤;粉体塗料;注型材料;医療用ゴム材料;医療用粘着剤;医療機器シール材;食品包装材;コーティング材;プライマー;電磁波遮蔽用導電性材料、熱伝導性材料;ホットメルト材料;電気電子用ポッティング剤;フィルム;ガスケット;各種成形材料;および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材;自動車部品、電機部品、各種機械部品などにおいて使用される液状シール剤など様々な用途に利用可能である。
さらに、単独あるいはプライマーの助けをかりてガラス、磁器、木材、金属、樹脂成形物などの如き広範囲の基質に密着しうるので、種々のタイプの密封用組成物および接着用組成物としても使用可能である。
また、本発明の硬化性組成物は、内装パネル用接着剤、外装パネル用接着剤、タイル張り用接着剤、石材張り用接着剤、天井仕上げ用接着剤、床仕上げ用接着剤、壁仕上げ用接着剤、車両パネル用接着剤、電気・電子・精密機器組立用接着剤、としても使用可能である。
つぎに実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(合成例1)
ポリプロピレントリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量約26,000(送液システムとして東ソー製HLC−8120GPCを用い、カラムは東ソー製TSK−GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)の分岐構造の水酸基末端ポリオキシプロピレン重合体を得た。続いて、この水酸基末端ポリプロピレンオキシドの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に1.3倍当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。以上により、末端がアリル基である数平均分子量約26,000、分子量分布(Mw/Mn)1.39のポリプロピレンオキシドを得た。
得られた未精製のアリル基末端ポリプロピレンオキシド100重量部に対し、n−ヘキサン300重量部と、水300重量部を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液に更に水300重量部を混合攪拌し、再度遠心分離により水を除去した後、ヘキサンを減圧脱揮により除去し、精製されたアリル基末端ポリプロピレンオキシド(以下、アリルポリマー)を得た。得られたアリルポリマー100重量部に対し、白金ビニルシロキサン錯体の白金含量3wt%のイソプロパノール溶液150ppmを触媒として、メチルジメトキシシラン1.0重量部と90℃で2時間反応させ、メチルジメトキシシリル基末端ポリプロピレンオキシド(ポリオキシプロピレン系重合体A−1)を得た。1H−NMR(日本電子製JNM−LA400を用いて、CDCl3溶媒中で測定)の測定により、1分子あたりのメチルジメトキシシリル基は1.9個であった。
(合成例2)
合成例1で得られたアリルポリマー100重量部に対し、メチルジメトキシシランを1.1重量部に変更したこと以外は、合成例1と同様の方法で、メチルジメトキシシリル基末端ポリプロピレンオキシド(ポリオキシプロピレン系重合体A−2)を得た。1H−NMRの測定により、1分子あたりのメチルジメトキシシリル基は2.2個であった。
(合成例3)
ポリプロピレントリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量約16,000(合成例1と同様の方法で測定したポリスチレン換算分子量)の分岐構造の水酸基末端ポリオキシプロピレン重合体を得た。続いて、この水酸基末端ポリプロピレンオキシドの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に1.3倍当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。以上により、末端がアリル基である数平均分子量約16,000、分子量分布(Mw/Mn)1.32のポリプロピレンオキシドを得た。
得られた未精製のアリル基末端ポリプロピレンオキシド100重量部に対し、n−ヘキサン300重量部と、水300重量部を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液に更に水300重量部を混合攪拌し、再度遠心分離により水を除去した後、ヘキサンを減圧脱揮により除去し、精製されたアリル基末端ポリプロピレンオキシド(以下、アリルポリマー)を得た。得られたアリルポリマー100重量部に対し、白金ビニルシロキサン錯体の白金含量3wt%のイソプロパノール溶液150ppmを触媒として、メチルジメトキシシラン1.8重量部と90℃で2時間反応させ、メチルジメトキシシリル基末端ポリプロピレンオキシド(ポリオキシプロピレン系重合体A−3)を得た。1H−NMR(日本電子製JNM−LA400を用いて、CDCl3溶媒中で測定)の測定により、1分子あたりのメチルジメトキシシリル基は2.3個であった。
(合成例4)
ポリプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量約21,000(合成例1と同様の方法で測定ポリスチレン換算分子量)の直鎖構造の水酸基末端ポリオキシプロピレン重合体を得た。続いて、この水酸基末端ポリプロピレンオキシドの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に1.3倍当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。以上により、末端がアリル基である数平均分子量約21,000、分子量分布(Mw/Mn)1.17のポリプロピレンオキシドを得た。
得られた未精製のアリル基末端ポリプロピレンオキシド100重量部に対し、n−ヘキサン300重量部と、水300重量部を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液に更に水300重量部を混合攪拌し、再度遠心分離により水を除去した後、ヘキサンを減圧脱揮により除去し、精製されたアリル基末端ポリプロピレンオキシド(以下、アリルポリマー)を得た。得られたアリルポリマー100重量部に対し、白金ビニルシロキサン錯体の白金含量3wt%のイソプロパノール溶液150ppmを触媒として、メチルジメトキシシラン1.1重量部と90℃で2時間反応させ、メチルジメトキシシリル基末端ポリプロピレンオキシド(ポリオキシプロピレン系重合体A−4)を得た。1H−NMRの測定により、1分子あたりのメチルジメトキシシリル基は1.5個であった。
(合成例5)
分子量約1,200のポリオキシプロピレングリコールモノブチルエーテル(三洋化成工業(株)製、商品名:ニューポールLB−285)を開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、数平均分子量約7,500(合成例1と同様の方法で測定ポリスチレン換算分子量)の直鎖構造の片末端のみに水酸基を有するポリオキシプロピレン重合体を得た。続いて、このポリプロピレンオキシドの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に1.3倍当量の塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。以上により、片末端がアリル基である数平均分子量約7,500、分子量分布(Mw/Mn)1.15のポリプロピレンオキシドを得た。
得られた未精製のポリプロピレンオキシド100重量部に対し、n−ヘキサン300重量部と、水300重量部を混合攪拌した後、遠心分離により水を除去し、得られたヘキサン溶液に更に水300重量部を混合攪拌し、再度遠心分離により水を除去した後、ヘキサンを減圧脱揮により除去し、精製されたアリル基を片末端に有するポリプロピレンオキシド(以下、アリルポリマー)を得た。得られたアリルポリマー100重量部に対し、白金ビニルシロキサン錯体の白金含量3wt%のイソプロパノール溶液150ppmを触媒として、メチルジメトキシシラン2.0重量部と90℃で2時間反応させ、メチルジメトキシシリル基を片末端のみに有するポリプロピレンオキシド(ポリオキシプロピレン系重合体A−5)を得た。1H−NMRの測定により、1分子あたりのメチルジメトキシシリル基は0.8個であった。
(実施例1)
合成例1で得られたポリオキシプロピレン系重合体(A−1)を100重量部、可塑剤としてジイソデシルフタレート可塑剤((株)ジェイ・プラス製、商品名:DIDP)70重量部、膠質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名:白艶華CCR)140重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬(株)製、商品名:マツモトマイクロスフェアーMFL−80GCA)10重量部、タレ防止剤として水添ヒマシ油(楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン308)2重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン製、商品名:TINUVIN326)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン製、商品名:TINUVIN770)1重量部、接着性付与剤としてγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(EVONIK社製、商品名:Dynasylan DAMO)1重量部を計量し、3本ペイントロールに3回かけて分散させたものを主剤とした。一方、2価錫系硬化触媒であるオクチル酸錫(日東化成工業(株)製、商品名:ネオスタンU−28)3重量部、助触媒のラウリルアミン(和光純薬(株)製、試薬名:ドデシルアミン)0.75重量部を計量し、よく混合したものを硬化剤とした。この主剤と硬化剤を計量して均一に混合し、硬化性組成物を得た。
(実施例2)
ポリオキシプロピレン系重合体(A−1)の使用量を50重量部にし、合成例4で得られたポリオキシプロピレン系重合体(A−4)を50重量部使用すること以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例3)
ジイソデシルフタレートの使用量を35重量部にし、合成例5で得られたポリオキシプロピレン系重合体(A−5)を35重量部使用すること以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例4)
実施例3に4価錫系硬化触媒としてジブチル錫ビスアセチルアセトナート(日東化成(株)製、商品名:ネオスタンU−220H)1重量部を使用すること以外は、実施例3と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例1)
実施例1のポリオキシプロピレン系重合体(A−1)を使用しない代わりに、合成例2で得られたポリオキシプロピレン系重合体(A−2)を100重量部使用すること以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例2)
実施例1のポリオキシプロピレン系重合体(A−1)を使用しない代わりに、合成例3で得られたポリオキシプロピレン系重合体(A−3)を100重量部使用すること以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例3)
実施例1のポリオキシプロピレン系重合体(A−1)を使用しない代わりに、合成例4で得られたポリオキシプロピレン系重合体(A−4)を100重量部使用すること以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例4)
実施例3の2価錫系硬化触媒とラウリルアミンのいずれも使用せず、4価錫系硬化触媒のジブチル錫ビスアセチルアセトナートを1重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例5)
合成例1で得られたポリオキシアルキレン系重合体(A−1)を100重量部、可塑剤としてジイソデシルフタレート可塑剤((株)ジェイ・プラス製、商品名:DIDP)40重量部、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2−エチルヘキシル(新日本理化(株)製、商品名:サンソサイザーE−PS)20重量部、膠質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名:白艶華CCR−B)120重量部、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、商品名:ホワイトンSB)20重量部、表面改質剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM−309)3重量部、タレ防止剤として水添ヒマシ油(楠本化成(株)製、商品名:ディスパロン308)3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン製、商品名:TINUVIN326)1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン製、商品名:TINUVIN770)1重量部を計量し、3本ペイントロールに3回かけて分散させたものを主剤とした。一方、2価錫系硬化触媒であるオクチル酸錫(日東化成工業(株)製、商品名:ネオスタンU−28)3重量部、助触媒のラウリルアミン(和光純薬(株)製、試薬名:ドデシルアミン)0.6重量部、ジイソデシルフタレート6.4重量部、重質炭酸カルシウムであるホワイトンSBを15重量部、カオリン(BASF製、商品名:ASP−170)5重量部を計量し、よく混合したものを硬化剤とした。さらに、ジイソデシルフタレート4重量部と酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:タイペークR−820)5重量部を計量し、よく混合したものをトナーとした。この主剤と硬化剤とトナーを計量して均一に混合し、硬化性組成物を得た。
(比較例5)
実施例5のポリオキシアルキレン系重合体(A−1)を使用しない代わりに、合成例2で得られたポリオキシアルキレン系重合体(A−2)を100重量部使用すること以外は、実施例5と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例6)
実施例5のポリオキシアルキレン系重合体(A−1)を使用しない代わりに、合成例2で得られたポリオキシアルキレン系重合体(A−2)50重量部と、合成例4で得られたポリオキシアルキレン系重合体(A−4)50重量部を用いること以外は、実施例5と同様にして硬化性組成物を得た。
上記実施例1〜4と比較例1〜4で得られた硬化性組成物を用いて、23℃50%RHと、5℃でのそれぞれの条件下で硬化性組成物の表面が皮を張るまでの時間を測定した。また、硬化物表面の残留タック、硬化物の引張物性を測定した。各物性について以下の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
また、実施例5、比較例5、比較例6で得られた硬化性組成物を用いて、硬化物の引張物性と、硬化物表面の耐候性評価を行った結果を表2に示す。
(表面の皮張り時間)
23℃、50%RH条件下にて上記硬化性組成物を厚みが約3mmになるようヘラを用いて伸ばし、ミクロスパテュラを用いて経時で硬化性組成物の表面に軽く触れ、組成物がミクロスパテュラについてこなくなるまでの時間を測定した。5℃に設定した乾燥機の中でも同様の測定を行った。
(残留タック)
23℃、50%RH条件下において、厚さ約3mmの平滑なシート状試験体を作製し、1日後、3日後、7日後に硬化した表面を指で触り、べたつきを数字で評価した。8は全くべたつきがない状態、5は少しべたつきあり、3はべたつきがひどいという指標に基づき評価した。
(硬化物の引張物性)
上記硬化性組成物を厚さ3mmのシート状試験体にして23℃、50%RH条件に3日間、50℃に4日間置いて硬化養生を行った。3号ダンベル型に打ち抜いた後、島津(株)製オートグラフを用いて引張速度200mm/分で引張試験を行い、100%モジュラス、破断時の強度、破断時の伸びを測定した。
(硬化物表面の耐候性)
上記硬化性組成物を厚さ3mmのシート状試験体にして23℃、50%RH条件に3日間、50℃に4日間置いて硬化養生を行った。これを約30mm×40mmの長方形に切り取り、促進耐候性試験機(スガ試験機(株)製サンシャインウェザーメーター)に入れた。240時間、600時間、840時間照射後にそれぞれの表面の様子を目視で観察し、初期と変化ないものを「良好」、クラック(ひび)が生じたものを「クラック」と判定した。
表1に示す通り、重合体(A−1)は同じ分岐構造の重合体(A−2)や(A−3)に比べて100%モジュラスが低いにも関わらず、1日後と3日後の残留タックが悪化していない。また(A−1)の硬化物はこの2つの比較例に比べて高い伸びを発現する。実施例2は、重合体(A−1)と直鎖の重合体(A−4)を併用しているが、(A−4)のみを用いた比較例3と比べて残留タックが良好であった。実施例3は、実施例1のフタル酸エステル系可塑剤の一部を、片末端のみにシリル基を有する反応性可塑剤に置換したものであるが、モジュラスが低下しているにも関わらず残留タックが良くなり、しかも硬化物の伸びが著しく向上している。実施例4は、実施例3に4価錫を添加したものであるが、23℃と5℃での表面硬化性の比が小さくなっている。比較例2は、分岐で1分子中のシリル基が2.3個の重合体(A−3)を用いているが、モジュラスが高く、伸びが330%と低いため建築用シーリング材には適さない。比較例3は直鎖構造の重合体(A−4)を用いているが、23℃での硬化性は実施例と同レベルにも関わらず、1日後の残留タックが悪い。比較例4は硬化触媒として2価錫を使用せずに4価錫を用いたが、硬化物の伸びが低く、表面硬化性が速いにも関わらず1〜7日後まですべての期間にわたって残留タックが悪かった。
表2には、別配合で評価した結果を示す。本発明の請求項に入る実施例5は、硬化物の伸びが高く、耐候性も良好である。一方、シリル化率の高い重合体(A−2)を用いた比較例5は、硬化物の伸びが低かった。重合体(A−2)と直鎖の重合体(A−4)を併用した比較例6は、硬化物が高い伸びを示すものの表面耐候性は悪かった。