以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
<1.剥離システム>
先ず、本実施形態に係る剥離システムの構成について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る剥離システムの構成を示す模式平面図である。また、図2は、ダイシングフレームに保持された重合基板の模式側面図であり、図3は、同重合基板の模式平面図である。
なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示す本実施形態に係る剥離システム1は、被処理基板Wと支持基板Sとが保護剤P、剥離剤R及び接着剤Gを介して接合された重合基板T(図2参照)を、被処理基板Wと支持基板Sに剥離する。
以下では、図2に示すように、被処理基板Wの板面のうち、保護剤P、剥離剤R及び接着剤Gを介して支持基板Sと接合される側の板面を「接合面Wj」といい、接合面Wjとは反対側の板面を「非接合面Wn」という。また、支持基板Sの板面のうち、保護剤P、剥離剤R及び接着剤Gを介して被処理基板Wと接合される側の板面を「接合面Sj」といい、接合面Sjとは反対側の板面を「非接合面Sn」という。
被処理基板Wは、例えばシリコンウェハや化合物半導体ウェハなどの半導体基板に複数の電子回路が形成された基板であり、電子回路が形成される側の板面を接合面Wjとしている。また、被処理基板Wは、例えば非接合面Wnが研磨処理されることによって薄化されている。具体的には、被処理基板Wの厚さは、約20〜50μmである。
一方、支持基板Sは、被処理基板Wと略同径の基板であり、被処理基板Wを支持する。支持基板Sの厚みは、約650〜750μmである。かかる支持基板Sとしては、シリコンウェハの他、ガラス基板などを用いることができる。
被処理基板Wと支持基板Sの間には、被処理基板W側から順に保護剤P、剥離剤R及び接着剤Gが積層されて設けられる。保護剤Pは、被処理基板Wの接合面Wjに形成された電子回路を保護するために設けられる。剥離剤Rは、被処理基板Wと支持基板Sを円滑に剥離させるために設けられる。接着剤Gは、被処理基板Wと支持基板Sを接着するために設けられる。
また、図3に示すように、重合基板Tは、ダイシングフレームFに固定される。ダイシングフレームFは、重合基板Tよりも大径の開口部Faを中央に有する略環状の部材であり、ステンレス鋼等の金属で形成される。ダイシングフレームFの厚みは、例えば1mm程度である。
重合基板Tは、かかるダイシングフレームFにダイシングテープDを介して固定される。具体的には、ダイシングフレームFの開口部Faに重合基板Tを配置し、開口部Faを裏面から塞ぐように被処理基板Wの非接合面Wn及びダイシングフレームFの裏面にダイシングテープDを貼り付ける。これにより、重合基板Tは、ダイシングフレームFに固定(保持)された状態となる。
図1に示すように、剥離システム1は、第1処理ブロック10及び第2処理ブロック20の2つの処理ブロックを備える。第1処理ブロック10と第2処理ブロック20とは、第2処理ブロック20及び第1処理ブロック10の順にX軸方向に隣接して配置される。
第1処理ブロック10では、重合基板Tの搬入、重合基板Tの剥離処理、剥離後の被処理基板Wの洗浄及び搬出等が行われる。すなわち、第1処理ブロック10は、ダイシングフレームFによって保持される基板(重合基板Tと被処理基板W)に対する処理を行うブロックである。かかる第1処理ブロック10は、搬入出ステーション11と、待機ステーション12と、第1搬送領域13と、剥離ステーション14と、第1洗浄ステーション15と、エッジカットステーション16とを備える。
搬入出ステーション11、待機ステーション12、剥離ステーション14、第1洗浄ステーション15及びエッジカットステーション16は、第1搬送領域13に隣接して配置される。具体的には、搬入出ステーション11と待機ステーション12とは、第1搬送領域13のY軸負方向側に並べて配置され、剥離ステーション14の一の剥離装置141と第1洗浄ステーション15の2つの第1洗浄装置151、152とは、第1搬送領域13のY軸正方向側に並べて配置される。また、剥離ステーション14の他の剥離装置142は、第1搬送領域13のX軸負方向側に配置され、エッジカットステーション16は、第1搬送領域13のX軸正方向側に配置される。
搬入出ステーション11には、複数のカセット載置台111が設けられており、各カセット載置台111には、重合基板Tが収容されるカセットCt又は剥離後の被処理基板Wが収容されるカセットCwが載置される。そして、搬入出ステーション11では、これらカセットCtとカセットCwが外部との間で搬入出される。
待機ステーション12には、例えばダイシングフレームFのID(Identification)の読み取りを行うID読取装置が配置され、かかるID読取装置によって、処理中の重合基板Tを識別することができる。なお、待機ステーション12では、上記のID読取り処理に加え、処理待ちの重合基板Tを一時的に待機させておく待機処理が必要に応じて行われる。かかる待機ステーション12には、後述する第1搬送装置131によって搬送された重合基板Tが載置される載置台が設けられており、かかる載置台に、ID読取装置と一時待機部とが載置される。
第1搬送領域13には、重合基板T又は剥離後の被処理基板Wの搬送を行う第1搬送装置131が配置される。第1搬送装置131は、水平方向への移動、鉛直方向への昇降及び鉛直方向を中心とする旋回が可能な搬送アーム部と、この搬送アーム部の先端に取り付けられた基板保持部とを備える。第1搬送領域13では、かかる第1搬送装置131により、重合基板Tを待機ステーション12、剥離ステーション14及びエッジカットステーション16へ搬送する処理や、剥離後の被処理基板Wを第1洗浄ステーション15及び搬入出ステーション11へ搬送する処理が行われる。
剥離ステーション14には、2つの剥離装置141、142が配置される。剥離ステーション14では、かかる剥離装置141、142によって、重合基板Tを被処理基板Wと支持基板Sに剥離する剥離処理が行われる。具体的には剥離装置141、142では、被処理基板Wを下側に配置し且つ支持基板Sを上側に配置した状態で、重合基板Tを被処理基板Wと支持基板Sに剥離する。剥離装置141、142としては、例えば特開2014−060348号公報に記載の剥離装置を用いることができる。なお、剥離ステーション14に配置される剥離装置の数は、本実施形態に限定されず、任意に設定できる。また、本実施形態の剥離装置141、142は水平方向に並べて配置していたが、これらを鉛直方向に積層して配置してもよい。
第1洗浄ステーション15には、2つの第1洗浄装置151、152が配置される。第1洗浄ステーション15では、かかる第1洗浄装置151、152によって、剥離後の被処理基板WがダイシングフレームFに保持された状態で、当該被処理基板Wの接合面Wjを洗浄する洗浄処理が行われる。なお、第1洗浄ステーション15に配置される洗浄装置の数は、本実施形態に限定されず、任意に設定できる。また、本実施形態の第1洗浄装置151、152は水平方向に並べて配置していたが、これらを鉛直方向に積層して配置してもよい。
エッジカットステーション16には、エッジカット装置が配置される。エッジカット装置は、重合基板Tにおける接着剤Gの周縁部を溶剤により溶解させて除去するエッジカット処理を行う。かかるエッジカット処理により接着剤Gの周縁部を除去することで、後述する剥離処理において被処理基板Wと支持基板Sとを剥離させ易くすることができる。なお、エッジカット装置は、例えば重合基板Tを接着剤Gの溶剤に浸漬させることにより、接着剤Gの周縁部を溶剤によって溶解させる。
また、第2処理ブロック20では、剥離後の支持基板Sの洗浄及び搬出等が行われる。すなわち、第2処理ブロック20は、ダイシングフレームFによって保持されていない基板(支持基板S)に対する処理を行うブロックである。かかる第2処理ブロック20は、第1受渡ステーション21と、第2受渡ステーション22と、第2洗浄ステーション23と、第2搬送領域24と、搬出ステーション25とを備える。
第1受渡ステーション21は、剥離ステーション14の剥離装置141のX方向負方向側であって、剥離装置142のY方向正方向側に配置される。また、第2受渡ステーション22、第2洗浄ステーション23及び搬出ステーション25は、第2搬送領域24に隣接して配置される。具体的には、第2受渡ステーション22及び第2洗浄ステーション23とは第2搬送領域24のY軸正方向側に並べて配置され、搬出ステーション25は第2搬送領域24のY軸負方向側に並べて配置される。
第1受渡ステーション21では、剥離ステーション14の剥離装置141、142から剥離後の支持基板Sを受け取って第2受渡ステーション22へ渡す受渡処理が行われる。第1受渡ステーション21には、受渡装置211が配置される。受渡装置211は、例えばベルヌーイチャック等の非接触保持部を有し、この非接触保持部は水平軸回りに回動自在に構成される。具体的に受渡装置211としては、例えば特開2014−060348号公報に記載の搬送装置を用いることができる。そして受渡装置211は、剥離後の支持基板Sの表裏面を反転させつつ、剥離装置141、142から第2処理ブロック20へ支持基板Sを非接触で搬送する。
第2受渡ステーション22には、支持基板Sを載置する載置部221と、載置部221をY方向に移動させる移動部222とが配置される。載置部221は、例えば3つの支持ピンを備え、支持基板Sの非接合面Snを支持して載置する。移動部222は、Y方向に延伸するレールと、載置部221をY方向に移動させる駆動部とを備える。第2受渡ステーション22では、第1受渡ステーション21の受渡装置211から載置部221に支持基板Sが載置された後、移動部222によって載置部221を第2搬送領域24側に移動させる。そして、載置部221から後述する第2搬送領域24の第2搬送装置241に支持基板Sが受け渡される。なお、本実施形態では、載置部221はY方向のみに移動するが、これに加えてX方向にも移動可能に構成されていてもよい。
なお、上述した第1受渡ステーション21の受渡装置211はベルヌーイチャック等の非接触保持部で支持基板Sを保持するため、搬送信頼性は高くない。このため、受渡装置211から後述する第2搬送領域24の第2搬送装置241に支持基板Sを直接受け渡そうとすると、当該支持基板Sを取り落す可能性がある。そこで、本実施形態では、第1受渡ステーション21と第2搬送領域24との間に第2受渡ステーション22を設け、当該第2受渡ステーション22で一旦支持基板Sを載置している。
第2洗浄ステーション23には、剥離後の支持基板Sの接合面Sjを洗浄する第2洗浄装置が配置される。第2洗浄装置としては、例えば特開2014−060348号公報に記載の洗浄装置を用いることができる。
第2搬送領域24には、剥離後の支持基板Sの搬送を行う第2搬送装置241が配置される。第2搬送装置241は、水平方向への移動、鉛直方向への昇降及び鉛直方向を中心とする旋回が可能な搬送アーム部と、この搬送アーム部の先端に取り付けられた基板保持部とを備える。第2搬送領域24では、かかる第2搬送装置241により、剥離後の支持基板Sを搬出ステーション25へ搬送する処理が行われる。
搬出ステーション25には、複数のカセット載置台251が設けられており、各カセット載置台251には、剥離後の支持基板Sが収容されるカセットCsが載置される。そして、搬入出ステーション11では、このカセットCsが外部との間で搬出される。
また、剥離システム1は、制御装置30を備える。制御装置30は、剥離システム1の動作を制御する装置である。かかる制御装置30は、例えばコンピュータであり、図示しない制御部と記憶部とを備える。記憶部には、剥離処理等の各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部は記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって剥離システム1の動作を制御する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置30の記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、例えばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
次に、以上のように構成された剥離システム1を用いて行われる被処理基板Wと支持基板Sの剥離処理方法について説明する。図4は、かかる剥離処理の主な工程の例を示すフローチャートである。なお、剥離システム1は、制御装置30の制御に基づき、図4に示す各処理手順を実行する。
先ず、複数枚の重合基板Tを収容したカセットCtと、空のカセットCwとが、搬入出ステーション11の所定のカセット載置台111に載置されると共に、空のカセットCsが、搬出ステーション25の所定のカセット載置台251に載置される。そして、剥離システム1では、第1処理ブロック10の第1搬送装置131が、搬入出ステーション11に載置されたカセットCtから重合基板Tを取り出す。このとき、重合基板Tは、被処理基板Wが下面に位置し、支持基板Sが上面に位置した状態で、第1搬送装置131の基板保持部に上方から保持される。そして、第1搬送装置131は、カセットCtから取り出した重合基板Tを待機ステーション12へ搬入する基板搬入処理を行う(図4のステップA101)。
続いて、待機ステーション12では、ID読取装置が、ダイシングフレームFのIDを読み取るID読取処理を行う(図4のステップA102)。ID読取装置によって読み取られたIDは、制御装置30へ送信される。その後、重合基板Tは、第1搬送装置131によって待機ステーション12から取り出されて、エッジカットステーション16へ搬入される。
エッジカットステーション16では、エッジカット装置が、重合基板Tに対してエッジカット処理を行う(図4のステップA103)。かかるエッジカット処理によって接着剤Gの周縁部が除去されることにより、後段の剥離処理において被処理基板Wと支持基板Sとが剥離し易くなる。したがって、剥離処理に要する時間を短縮させることができる。
このように本実施形態にかかる剥離システム1では、エッジカットステーション16が第1処理ブロック10に組み込まれているため、第1処理ブロック10へ搬入された重合基板Tを第1搬送装置131を用いてエッジカットステーション16へ直接搬入することができる。したがって、一連の剥離処理のスループットを向上させることができる。また、エッジカット処理から剥離処理までの時間を容易に管理することができ、剥離性能を安定化させることができる。
なお、例えば装置間の処理時間差等により処理待ちの重合基板Tが生じる場合には、待機ステーション12に設けられた一時待機部を用いて重合基板Tを一時的に待機させておくことができ、一連の工程間でのロス時間を短縮することができる。
続いて、エッジカット処理後の重合基板Tは、第1搬送装置131によってエッジカットステーション16から取り出されて、剥離ステーション14の剥離装置141へ搬入される。剥離ステーション14では、剥離装置141が、重合基板Tに対して剥離処理を行う(図4のステップA104)。かかる剥離処理により、重合基板Tは、被処理基板Wと支持基板Sに剥離される。このとき、重合基板Tは、剥離剤Rと接着剤Gの界面で被処理基板Wと支持基板Sに剥離される。このように剥離するのは、支持基板Sと接着剤Gとの接着力の方が、剥離剤Rと保護剤Pとの接着力より強いためである。そして、被処理基板Wの接合面Wjには保護剤Pと剥離剤Rが残存し、支持基板Sの接合面Sjには接着剤Gが残存する。
その後、剥離システム1では、剥離後の被処理基板Wについての処理が第1処理ブロック10で行われ、剥離後の支持基板Sについての処理が第2処理ブロック20で行われる。なお、剥離後の被処理基板Wは、ダイシングフレームFによって保持されている。
第1処理ブロック10では、剥離後の被処理基板Wは、第1搬送装置131によって剥離ステーション14の剥離装置141から取り出されて、第1洗浄ステーション15の第1洗浄装置151へ搬入される。第1洗浄ステーション15では、第1洗浄装置151が、剥離後の被処理基板Wに対して洗浄処理を行う(図4のステップA105)。かかる洗浄処理によって、被処理基板Wの接合面Wjに残存する保護剤Pと剥離剤Rが除去される。
洗浄処理後の被処理基板Wは、第1搬送装置131によって第1洗浄ステーション15の第1洗浄装置151から取り出されて、搬入出ステーション11に載置されたカセットCwに収容される。その後、複数の被処理基板Wを収容したカセットCwは、搬入出ステーション11から搬出されて、回収される(図4のステップA106)。こうして、被処理基板Wについての処理が終了する。
一方、第2処理ブロック20では、ステップA105及びステップA106の処理と並行して、剥離後の支持基板Sに対する処理(後述するステップA107〜ステップA109)が行われる。
第2処理ブロック20では、先ず、第1受渡ステーション21の受渡装置211が、剥離後の支持基板Sの受渡処理を行う。具体的には、受渡装置211が、剥離後の支持基板Sを剥離ステーション14の剥離装置141から取り出して、第2受渡ステーション22へ搬入する(図4のステップA107)。
ここで、剥離後の支持基板Sは、剥離装置141によって上面側すなわち非接合面Sn側が保持された状態となっており、受渡装置211は、支持基板Sの接合面Sj側を下方から非接触で保持する。その後、受渡装置211は、保持した支持基板Sを反転させたうえで、第2受渡ステーション22の載置部221へ載置する。これにより、支持基板Sは、接合面Sjを上方に向けた状態で載置部221に載置される。
第2受渡ステーション22では、支持基板Sが載置された載置部221が移動部222によって第2搬送領域24側の所定の位置まで移動する。この所定の位置とは、第2搬送装置241の搬送アーム部が載置部221上の支持基板Sを受け取ることができる位置である。
続いて、支持基板Sは、第2搬送装置241によって第2受渡ステーション22から取り出されて、第2洗浄ステーション23へ搬入される。第2洗浄ステーション23では、第2洗浄装置が、剥離後の支持基板Sに対して洗浄処理を行う(図4のステップA108)。かかる洗浄処理によって、支持基板Sの接合面Sjに残存する接着剤Gが除去される。
洗浄処理後の支持基板Sは、第2搬送装置241によって第2洗浄ステーション23から取り出されて、搬出ステーション25に載置されたカセットCsに収容される。その後、複数の支持基板Sを収容したカセットCsは、搬出ステーション25から搬出されて、回収される(図4のステップA109)。こうして、支持基板Sについての処理も終了する。
以上のように本実施形態に係る剥離システム1は、重合基板T及び被処理基板Wに対する処理を行う第1処理ブロック10と、支持基板Sに対する処理を行う第2処理ブロック20とを備える。このため、重合基板T及び被処理基板Wに対する処理と、支持基板Sに対す処理とを並列に行うことが可能となるため、一連の基板処理を効率的に行うことができる。より具体的には、本実施形態に係る剥離システム1は、ダイシングフレームFに保持された基板(重合基板T及び剥離後の被処理基板W)用のフロントエンド(搬入出ステーション11及び第1搬送領域13)と、ダイシングフレームFに保持されない基板(剥離後の支持基板S)用のフロントエンド(搬出ステーション25及び第2搬送領域24)とを備える。これにより、被処理基板Wを搬入出ステーション11へ搬送する処理と、支持基板Sを搬出ステーション25へ搬送する処理とを並列に行うことが可能となる。したがって、従来の基板の搬送待ちを軽減でき、剥離処理のスループットを向上させることができる。
また、本実施形態によれば、重合基板Tと被処理基板WがダイシングフレームFに保持されていても、ダイシングフレームFで保持された重合基板T及び被処理基板Wの搬送と、ダイシングフレームFに保持されない支持基板Sの搬送とは、それぞれ別個の第1搬送装置131と第2搬送装置241とで行われる。したがって、従来のように1つの搬送装置でダイシングフレームに保持された基板とダイシングフレームに保持されない基板を搬送する場合に比べて、本実施形態では、重合基板T、被処理基板W、支持基板Sを搬送する際の制御を簡易化することができ、剥離処理を効率よく行うことができる。
さらに、本実施形態に係る剥離システム1では、剥離ステーション14、第2洗浄ステーション23及び第2搬送領域24が第1受渡ステーション21と第2受渡ステーション22を介して接続される。これにより、第1搬送領域13を経由することなく、剥離後の支持基板Sを剥離ステーション14から第2搬送領域24へ直接搬入することが可能となるため、剥離後の支持基板Sの搬送を円滑に行うことができる。
しかも、第2受渡ステーション22は、支持基板Sを載置する載置部221と、載置部221を水平方向に移動させる移動部222とを備える。これにより、第1受渡ステーション21と第2搬送領域24との間で支持基板Sを受け渡す際、支持基板Sを載置した載置部221を移動できるので、当該第1受渡ステーション21の受渡装置211の非接触保持部や第2搬送領域24の第2搬送装置241の搬送アーム部を伸長させる必要がない。したがって、第1受渡ステーション21と第2搬送領域24の専有面積を小さくでき、剥離システム1全体の専有面積を小さくすることができる。
なお、以上の剥離システム1において、第1処理ブロック10は、重合基板TにダイシングフレームFを取り付けるためのマウント装置を備えていてもよい。かかる場合、ダイシングフレームFが取り付けられていない重合基板TをカセットCtから取り出してマウント装置へ搬入し、マウント装置において重合基板TにダイシングフレームFを取り付けた後、ダイシングフレームFに固定された重合基板Tを剥離ステーション14へ搬送することとなる。なお、マウント装置は、第1処理ブロック10の任意の位置に配置すればよい。
また、以上の剥離システム1の第1処理ブロック10に設けられた第1洗浄ステーション15とエッジカットステーション16は、剥離システム1の外部に設けられていてもよい。さらに、第2処理ブロック20に設けられた第2洗浄ステーション23は、剥離システム1の外部に設けられていてもよい。
また、以上の剥離システム1において、各処理ステーションの処理装置や搬送領域の配置は任意に設計することができ、水平方向に並べて配置してもよいし、鉛直方向に積層して配置してもよい。
<2.第1洗浄装置の構成>
次に、第1洗浄ステーション15に設置される第1洗浄装置151、152の構成について図5及び図6を参照して説明する。図5は本実施形態に係る第1洗浄装置151の構成を示す縦断面図であり、図6は第1洗浄装置151の構成を示す横断面図である。なお、第1洗浄装置152の構成は、第1洗浄装置151の構成と同様であるので説明を省略する。
図5に示すように、第1洗浄装置151は処理容器300を有する。処理容器300の側面には、被処理基板Wの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられる。
処理容器300内の中央部には、被処理基板Wを保持して回転させる保持部310が設けられる。保持部310には、例えばポーラスチャックが用いられる。保持部310は、例えばアルミニウムなどの金属部材で構成される。
保持部310の表面には、吸着面311が設けられる。吸着面311は、被処理基板Wと略同径であり、被処理基板Wの非接合面WNと当接する。この吸着面311は、例えば炭化ケイ素等の多孔質体や多孔質セラミックで形成される。
保持部310の内部には、吸着面311を介して外部と連通する吸引空間312が形成される。吸引空間312には、配管313が接続される。配管313は、バルブ314を介して2本の配管に枝分かれしている。一の配管313には、例えば真空ポンプなどの吸気装置315が接続される。吸気装置315には、その吸気圧力、すなわち保持部310で被処理基板Wを吸引する際の吸引圧力を測定するセンサ(図示せず)が設けられる。他の配管313には、内部に気体、例えば窒素ガスや大気を貯留する気体供給源316が接続される。
かかる保持部310は、吸気装置315の吸気によって発生する負圧を利用し、被処理基板Wの非接合面WNをダイシングテープDを介して吸着面311に吸着させる。これにより、保持部310は被処理基板Wを保持する。また、保持部310は、表面から気体を噴出して被処理基板Wを浮上させながら保持することもできる。なお、ここでは、保持部310がポーラスチャックである場合の例を示したが、保持部310は、例えば静電チャック等であってもよい。
保持部310の下方には、支持部材317を介して、回転機構320が設けられる。回転機構320は例えばモータなどの駆動部を備え、保持部310を鉛直軸回りに回転させる。また、回転機構320には例えばシリンダなどの昇降駆動部が設けられており、この昇降駆動部により保持部310が昇降する。
また、保持部310の下方には、支持部材317を囲う環状のガイドリング330が設けられる。ガイドリング330の周縁部は下方側に屈曲して伸びている。保持部310及びガイドリング330の周囲には、被処理基板Wから飛散又は落下する物体を受け止め、回収するカップ340が設けられる。
カップ340の上面にはダイシングフレームFより大径の開口部が形成されると共に、カップ340の側周面とガイドリング330の周縁部との間に排出路をなす隙間341が形成される。カップ340の下部は、ガイドリング330の周縁部分と共に屈曲路を形成して気液分離部を構成している。
カップ340の下部に形成された気液分離部の外側領域には、当該カップ340で回収した液体を排出するための排液管342が接続される。排液管342は、回収した廃液を貯留する廃液容器(図示せず)に連通する。
また、カップ340の下部に形成された気液分離部の内側領域には、当該カップ340内の雰囲気を排気するための排気管343が接続される。排気管343は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に連通する。
図6に示すようにカップ340のX方向負方向(図6中の下方向)側には、Y方向(図6中の左右方向)に沿って延伸するレール350が設けられる。レール350は、例えばカップ340のY方向負方向(図6中の左方向)側の外方からY方向正方向(図6中の右方向)側の外方まで形成される。レール350には、例えば2本のアーム351、352が取り付けられる。
第1アーム351には、図5及び図6に示すように保護剤Pの溶剤を供給する溶剤ノズル353が支持される。第1アーム351は、図6に示すノズル駆動部354により、レール350上を移動自在である。これにより、溶剤ノズル353は、カップ340のY方向正方向側の外方に設置された待機部355から、カップ340内の被処理基板Wの上方を径方向に移動できる。また、第1アーム351は、ノズル駆動部354によって昇降自在であり、溶剤ノズル353の高さを調節できる。
溶剤ノズル353には、図5に示すように当該溶剤ノズル353に保護剤Pの溶剤を供給する供給管356が接続される。供給管356は、内部に保護剤Pの溶剤を貯留する溶剤供給源357に連通する。また、供給管356には、保護剤Pの溶剤の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群358が設けられる。
第2アーム352には、被処理基板Wの接合面Wjから剥離した剥離剤Rを吸引する吸引ノズル360が支持される。第2アーム352は、図6に示す移動機構としてのノズル駆動部361によってレール350上を移動自在である。これにより、吸引ノズル360は、カップ340のY方向負方向側の外側に設けられた待機部362から、カップ340内の被処理基板Wの上方を径方向に移動できる。また、第2アーム352は、ノズル駆動部361によって昇降自在であり、吸引ノズル360の高さを調節できる。
吸引ノズル360には、図7に示すように接続部材363を介して、剥離剤Rを吸引する吸引管364が接続される。吸引ノズル360の内部と接続部材363の内部には、ぞれぞれ剥離剤Rの流通路360a、363aが形成される。すなわち、流通路360a、流通路363a、吸引管364が連通する。吸引管364は、図5に示すように内部に剥離剤Rを貯留可能な廃棄容器365に連通する。廃棄容器365には、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)が設けられ、この負圧発生装置によって剥離剤Rは吸引管364を介して廃棄容器365内に回収される。
図7に示すように吸引ノズル360と接続部材363には、それぞれ細断部としてのメッシュ板370が設けられる。メッシュ板370は、図8に示すように円環形状の枠371と、枠371の内側に設けられた格子状のメッシュ372とが一体に構成されている。枠371とメッシュ372は、剥離剤Rや溶剤Mに耐性を有する材料、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)などが用いられる。このメッシュ372によって、枠371の内側に複数の開口部373が形成される。また、メッシュ板370は、図7に示すように枠371が吸引ノズル360と接続部材363に支持され、複数の開口部373が流通路360a、363aに位置するように設けられる。そして、図9に示すように吸引ノズル360に吸引された剥離剤Rは、吸引ノズル360のメッシュ板370を通過する際に細断され、さらに接続部材363のメッシュ板370を通過する際にも細断される。このため、吸引ノズル360から廃棄容器365までの間が詰まるのを抑制できる。
なお、メッシュ板370を吸引ノズル360と接続部材363に設けると、設けた部分に微小な隙間が生じる可能性があるが、吸引ノズル360で吸引される剥離剤Rは負圧発生装置によって真空引きされるため、当該剥離剤Rが吸引ノズル360や接続部材363から漏れることはない。
また、本実施形態のメッシュ372は枠371と一体に構成されているが、メッシュ板370の構成はこれに限定されない。例えば図10に示すようにメッシュ372にはワイヤが用いられてもよい。ワイヤには、剥離剤Rや溶剤Mに耐性を有する材料、例えばSUS(ステンレス鋼)、ナイロンなどが用いられる。
また、本実施形態の第1洗浄装置151では吸引ノズル360は1つ設けられていたが、複数設けられてもよい。かかる場合、さらに効率よく剥離剤Rを除去することができる。
また、本実施形態の第1洗浄装置151では、溶剤ノズル353と吸引ノズル360は別々に設けられていたが、これらは一体に設けられていてもよい。
<3.第1洗浄装置の動作>
次に、第1洗浄装置151を用いて行われる被処理基板Wの接合面Wjの洗浄方法について説明する。図11は、かかる洗浄処理の主な工程の例を示すフローチャートである。また、図12〜図17は、洗浄処理の説明図である。なお、第1洗浄装置151は、制御装置30の制御に基づき、図11に示す各処理手順を実行する。
先ず、第1搬送装置131によって第1洗浄装置151に搬入された被処理基板Wは、図12に示すように保持部310に受け渡され保持される(図11のステップA201)。
続いて、図13に示すように第1アーム351によって待機部355の溶剤ノズル353を被処理基板Wの中心部上方まで移動させる。その後、図14に示すように回転機構320によって保持部310(被処理基板W)を回転させながら、溶剤ノズル353から被処理基板Wの接合面Wjに溶剤Mを供給する(図11のステップA202)。供給された溶剤Mは遠心力により被処理基板Wの接合面Wjの全面に拡散される。
所定時間経過後、図15に示すように被処理基板Wの接合面Wjの保護剤Pは、溶剤Mによって溶解して除去される(図11のステップA203)。このとき、例えば剥離剤Rが溶剤Mに溶解しない、或いは剥離剤Rが溶剤Mに溶解し難い場合、剥離剤Rは被処理基板Wの接合面Wjから浮遊した状態になる。なお、剥離剤Rは保護剤Pと同様に溶剤Mに溶解する場合も考えられるが、かかる場合、溶剤Mによって保護剤Pと剥離剤Rが溶解することで被処理基板Wの接合面Wjの洗浄処理が終了する。
なお、ステップA203において保護剤Pが溶解して除去されると、溶剤ノズル353からの溶剤Mの供給を停止し、第1アーム351によって被処理基板Wの中心部上方の溶剤ノズル353を待機部355に移動させる。
その後、図16に示すように回転機構320によって保持部310(被処理基板W)を回転させ、この遠心力によって溶剤Mを被処理基板Wの接合面Wjから外方に飛散させて除去する(図11のステップA204)。飛散した溶剤Mはカップ340に回収され、排液管342から排出される。このとき、被処理基板Wの接合面Wjには剥離剤Rが残存するが、剥離剤Rは接合面Wjに存するだけであり、接合面Wjに接着されていない。
その後、図17に示すように第2アーム352によって待機部362の吸引ノズル360を被処理基板Wの外周部上方まで移動させる。続けて、回転機構320によって保持部310(被処理基板W)を回転させながら、吸引ノズル360を被処理基板Wの一端W1から他端W2まで径方向に移動させる。そして、この吸引ノズル360の一端W1から他端W2までの移動中、当該吸引ノズル360によって剥離剤Rを吸引する。そうすると、吸引ノズル360は被処理基板Wの接合面Wjの全面で剥離剤Rを吸引することができ、被処理基板Wの接合面Wjから剥離剤Rが除去される(図11のステップA205)。
このステップA205では剥離剤Rと共に、上記ステップA204で除去しきれなかった溶剤Mが吸引ノズル360から吸引されて除去される。このように溶剤Mを吸引することによって、周囲の外気が吸引されるのを抑制でき、剥離剤Rが引っ張られて吸引ノズル360に吸引される。
そして、ステップA205では、吸引ノズル360に吸引された剥離剤Rは、吸引ノズル360のメッシュ板370を通過する際に細断され、さらに接続部材363のメッシュ板370を通過する際にも細断される。このように細断された剥離剤Rは吸引管364を通って廃棄容器365内に回収される。こうして、第1洗浄装置151における一連の洗浄処理が終了する。
本実施形態によれば、ステップA202において溶剤ノズル353から被処理基板Wの接合面Wjに保護剤Pの溶剤Mを供給するので、ステップA203において当該接合面Wj上の保護剤Pが溶剤Mによって溶解されて除去される。そうすると、被処理基板Wの接合面Wj上の剥離剤Rが接合面Wjから浮遊した状態となり、その後のステップA205において、吸引ノズル360により剥離剤Rが吸引除去される。したがって、剥離剤Rの材質によらず、保護剤Pと剥離剤Rを共に除去することができ、被処理基板Wの接合面Wjを適切に洗浄することができる。
しかも、本実施形態では被処理基板Wの接合面Wjに溶剤Mを供給するだけでよく、剥離剤Rを溶解させずに除去するので、被処理基板Wの接合面Wjを短時間で洗浄することが可能となる。
また、吸引ノズル360と接続部材363にはメッシュ板370が設けられるので、吸引ノズル360に吸引された剥離剤Rはメッシュ板370によって細断され、吸引ノズル360から廃棄容器365までの間が詰まるのを抑制できる。しかも、メッシュ板370が複数(2つ)設けられるので、吸引ノズル360から廃棄容器365までの間が詰まるのをより確実に抑制することができる。したがって、吸引ノズル360によって剥離剤Rを適切に除去することができる。
<4.その他の実施形態>
次に、他の実施形態の細断部の構成について説明する。
例えば図18に示すように吸引ノズル360の先端部には、当該先端部の外側面を覆うように中空のパッド400が設けられてもよい。パッド400は、吸引ノズル360の先端部から、当該吸引ノズル360に対向する剥離剤Rに向かって径が拡大するテーパ形状を有する。
かかる場合、ステップA205において、図19に示すように吸引ノズル360で剥離剤Rを吸引する際、パッド400は剥離剤Rに当接する。またパッド400は、負圧発生装置による剥離剤Rの真空引きによって下方に撓む。そうすると、吸引ノズル360で剥離剤Rを吸引する際、周囲の外気を吸引するのをさらに抑制できる。また、吸引ノズル360で剥離剤Rが吸引される範囲Aは、パッド400が剥離剤Rに当接する範囲に限定される。しかも、パッド400の構成は簡易である。したがって、吸引ノズル360で剥離剤Rをさらに効率よく吸引することができる。
また、例えば図20に示すように吸引ノズル360の先端部には、他の形状を有する中空のパッド410が設けられてもよい。パッド410は、吸引ノズル360の先端部から、当該吸引ノズル360に対向する剥離剤Rに向かって径が縮小するテーパ形状を有する。
かかる場合、ステップA205において吸引ノズル360で剥離剤Rを吸引する際、パッド410は剥離剤Rに当接し、負圧発生装置による剥離剤Rの真空引きによって上方に撓む。そうすると、上記パッド400を設けた実施形態と同様の効果を享受でき、すなわち吸引ノズル360で剥離剤Rをさらに効率よく吸引することができる。しかも、パッド410が上方に撓み、被処理基板Wから離れる方向に移動する。このため、パッド410が被処理基板Wに接触するのを抑制でき、当該被処理基板Wの電子回路が損傷を被るのを抑制することができる。
また、例えば図21に示すように接続部材363に振動機構420を設けてもよい。振動機構420は例えば超音波を発生させて、吸引ノズル360に吸引された剥離剤Rに振動を付与する。なお、振動機構420の構成は本実施形態に限定されず、超音波を発生する以外の方法で溶剤Mに振動を付与してもよい。また、振動機構420の配置も本実施形態に限定されず、任意の位置に設定できる。例えば吸引ノズル360に振動機構420を設けてもよい。
かかる場合、ステップA205においてメッシュ板370を通過する剥離剤Rに振動が付与され、当該剥離剤Rがより確実に細断される。また、メッシュ板370に剥離剤Rが引っかかるのを抑制し、メッシュ板370に剥離剤Rがより確実に通過する。したがって、吸引ノズル360で剥離剤Rをさらに効率よく吸引することができる。
また、この振動機構420を用いて、ステップA202及びA203で被処理基板Wの接合面Wjの保護剤Pを溶剤Mによって溶解除去する際、当該溶剤Mに振動を付与してもよい。かかる場合、溶剤Mによる保護剤Pの溶解が促進されるので、より短時間で被処理基板Wの接合面Wjを洗浄することができる。なお、溶剤Mに振動を付与する場合、振動機構420は保持部310側、例えば保持部310の下面に設けられてもよいし、或いは溶剤ノズル353に設けられてもよい。
また、例えば図22に示すように接続部材363の流通路363aには、細断部としてのスクリュー430が設けられてもよい。スクリュー430は、スクリュー軸431の外周面に形成される。またスクリュー軸431は、接続部材363の外部に設けられ、例えばモータなどを備えた駆動部432によって回転自在に構成される。なお、流通路363aにおいてスクリュー430の下流側には、さらにメッシュ板370が設けられる。
かかる場合、ステップA205において吸引ノズル360に吸引された剥離剤Rは、回転するスクリュー430によって細断され、さらにメッシュ板370を通過する際にも細断される。したがって、吸引ノズル360から廃棄容器365までの間が詰まるのを抑制でき、剥離剤Rを適切に除去することができる。
なお、スクリュー430及びスクリュー軸431は、図23に示すように吸引ノズル360の流通路360aに設けられてもよい。かかる場合でも、上記実施形態と同様の効果を享受でき、すなわち吸引ノズル360から廃棄容器365までの間が詰まるのを抑制でき、剥離剤Rを適切に除去することができる。
次に、他の実施形態の第1洗浄装置151の構成について説明する。
以上の実施形態では、ステップA202及びA203において保持部310(被処理基板W)を回転させながら、溶剤ノズル353から被処理基板Wの接合面Wjに溶剤Mを供給して、当該接合面Wjの保護剤Pを除去していたが、保護剤Pの除去方法はこれに限定されない。例えばダイシングフレームFを上昇させて、溶剤ノズル353から供給された溶剤Mに接合面Wjの保護剤Pを浸漬させて除去してもよい。
かかる場合、例えば図24に示す第1洗浄装置151が用いられる。第1洗浄装置151の処理容器300内には、保持部310の周囲において、ダイシングフレームFを昇降させる昇降機構500が設けられる。昇降機構500は、ボールベア501と、支持部材502と、駆動部503とを備える。支持部材502の先端部にボールベア501が支持され、支持部材502の基端部に駆動部503が設けられる。駆動部503は例えばモータなどを備え、支持部材502を介してボールベア501を昇降させる。ボールベア501はダイシングフレームFの下方に配置され、当該ダイシングフレームFに貼り付けられたダイシングテープDに当接して、当該ダイシングフレームFを昇降させる。
昇降機構500は複数設けられ、ベース部510に支持される。ベース部510は、その内側に支持部材317を挿通させるように構成される。また、ベース部510は、固定機構(図示せず)によって後述するカップ340に固定される。
なお、昇降機構500の構成は本実施形態に限定されず、ダイシングフレームFを昇降させる構成であれば、任意の構成を取り得る。また、第1洗浄装置151の他の構成については、上記実施形態(図5)の第1洗浄装置151の構成と同様であるので、説明を省略する。
次に、図24に示した第1洗浄装置151を用いて行われる被処理基板Wの接合面Wjの洗浄方法について説明する。図25は、かかる洗浄処理の主な工程の例を示すフローチャートである。また、図26〜図32は、洗浄処理の説明図である。なお、第1洗浄装置151は、制御装置30の制御に基づき、図25に示す各処理手順を実行する。
先ず、第1搬送装置131によって第1洗浄装置151に搬入された被処理基板Wは、図26に示すように保持部310に受け渡され保持される(図25のステップA301)。このとき、昇降機構500のボールベア501はダイシングフレームFを支持していない。
続いて、図27に示すように第1アーム351によって待機部355の溶剤ノズル353を被処理基板Wの中心部上方まで移動させる。また、昇降機構500によってダイシングフレームFを上昇させ、当該ダイシングフレームFを被処理基板Wに対して上方に配置する(図25のステップA302)。ダイシングフレームFの高さ位置は任意に設定できるが、保持部310によって被処理基板Wが適切に保持される位置であって、後述するように少なくとも被処理基板Wの接合面Wjの保護剤Pが、溶剤ノズル353から供給される保護剤Pの溶剤に浸漬する位置に設定される。具体的には、ダイシングフレームFの表面と被処理基板Wの接合面Wjの間の距離Hが、例えば5mm〜10mmになるようにダイシングフレームFは配置される。そして、このようにダイシングフレームFを被処理基板Wの上方に配置することにより、ダイシングテープDが伸び、被処理基板Wの接合面Wjには、後述する保護剤Pの溶剤を一時的に貯留可能な貯留空間520が形成される。
その後、図28に示すように溶剤ノズル353から被処理基板Wの接合面Wjに保護剤Pの溶剤Mを供給する(図25のステップA303)。供給された溶剤Mは貯留空間520に貯留される。そして、被処理基板Wの接合面Wjの保護剤Pは、この貯留空間520の溶剤Mに浸漬される。なお、所定量の溶剤Mが貯留空間520に貯留されると、溶剤ノズル353からの溶剤Mの供給を停止し、第1アーム351によって被処理基板Wの中心部上方の溶剤ノズル353を待機部355に移動させる。
所定時間経過後、図29に示すように被処理基板Wの接合面Wjの保護剤Pは、溶剤Mによって溶解して除去される(図25のステップA304)。このとき、例えば剥離剤Rが溶剤Mに溶解しない、或いは剥離剤Rが溶剤Mに溶解し難い場合、剥離剤Rは被処理基板Wの接合面Wjから浮遊した状態になる。なお、剥離剤Rは保護剤Pと同様に溶剤Mに溶解する場合も考えられるが、かかる場合、溶剤Mによって保護剤Pと剥離剤Rが溶解することで被処理基板Wの接合面Wjの洗浄処理が終了する。
その後、図30に示すように昇降機構500によってダイシングフレームFを下降させる(図25のステップA305)。そして、ダイシングテープDが平坦になる位置にダイシングフレームFを戻す。
その後、図31に示すように回転機構320によって保持部310(被処理基板W)を回転させ、この遠心力によって溶剤Mを被処理基板Wの接合面Wjから外方に飛散させて除去する(図25のステップA306)。飛散した溶剤Mはカップ340に回収され、排液管342から排出される。このとき、被処理基板Wの接合面Wjには剥離剤Rが残存するが、剥離剤Rは接合面Wjに存するだけであり、接合面Wjに接着されていない。
その後、図32に示すように第2アーム352によって待機部362の吸引ノズル360を被処理基板Wの外周部上方まで移動させる。続けて、回転機構320によって保持部310(被処理基板W)を回転させながら、吸引ノズル360を被処理基板Wの一端W1から他端W2まで径方向に移動させる。そして、この吸引ノズル360の一端W1から他端W2までの移動中、当該吸引ノズル360によって剥離剤Rを吸引する。そうすると、吸引ノズル360は被処理基板Wの接合面Wjの全面で剥離剤Rを吸引することができ、被処理基板Wの接合面Wjから剥離剤Rが除去される(図25のステップA307)。こうして、第1洗浄装置151における一連の洗浄処理が終了する。
本実施形態においても、上記実施形態と同様の効果を享受できる、すなわち、被処理基板Wの接合面Wjの保護剤Pが溶解することにより、剥離剤Rが接合面Wjから浮遊する。このため、剥離剤Rの材質によらず、保護剤Pと剥離剤Rを共に除去することができ、被処理基板Wの接合面Wjを適切に洗浄することができる。しかも、被処理基板Wの接合面Wjに溶剤Mを供給するだけでよいので、被処理基板Wの接合面Wjを短時間で洗浄することが可能となる。
また、本実施形態のようにステップA303及びA304において貯留空間520の溶剤Mに接合面Wjの保護剤Pを浸漬させて除去する場合、例えば上記実施形態のようにいわゆるスピン法を用いた場合に比べて、さらに短時間で被処理基板Wの接合面Wjを洗浄することができる。具体的に発明者らが調べたところ、従来の方法を用いた場合には接合面Wjを洗浄するのに約900秒かかったのに対し、本実施形態の方法を用いた場合、60秒〜600秒で接合面Wjを洗浄することができた。
また、上記実施形態のスピン法では被処理基板Wを回転させながら溶剤Mを供給するため、供給された溶剤Mは被処理基板Wから飛散し、多量の溶剤Mが必要となる。これに対して、本実施形態によれば、供給された溶剤Mは貯留空間520に貯留され、すべての溶剤Mが保護剤Pを溶解させるのに使用されるので無駄がない。したがって、溶剤Mの供給量を少量に抑えることができる。
さらに、本実施形態のように貯留空間520に溶剤Mを貯留する場合、当該溶剤MがダイシングフレームFの裏面に回り込むのを抑制することができる。
以上の実施形態の第1洗浄装置151では、ステップA303及びA304において貯留空間520の溶剤Mに接合面Wjの保護剤Pを浸漬させて除去する際、保持部310(被処理基板W)は静止しているが、この保持部310を回転させてもよい。
図33に示すように貯留空間520に溶剤Mが貯留された状態で、回転機構320によって保持部310(被処理基板W)を回転させる。このとき、ボールベア501は回転自在に構成されているため、当該ボールベア501に支持されたダイシングフレームFも回転する。かかる場合、貯留空間520内の溶剤Mに振動が付与され、当該溶剤Mによる保護剤Pの溶解が促進される。したがって、本実施形態によれば、さらに短時間で被処理基板Wの接合面Wjを洗浄することができる。
また、ステップA303及びステップA304において保持部310を回転させるため、例えば図34に示す第1洗浄装置151を用いてもよい。この第1洗浄装置151では、昇降機構500を支持するベース部510は、複数の支持部材530を介して保持部310も支持する。また、上記実施形態で保持部310を直接支持していたが支持部材317は、本実施形態ではベース部510を支持する。そして、回転機構320によってベース部510が回転することで、保持部310及び支持部材317(被処理基板W)と昇降機構500(ダイシングフレームF)が一体に回転する。かかる場合においても、貯留空間520に溶剤Mが貯留された状態で、被処理基板WとダイシングフレームFが回転するので、より短時間で被処理基板Wの接合面Wjを洗浄することができる。
上述した実施形態では、重合基板Tが、ダイシングフレームFに保持される場合の例について説明したが、重合基板Tは、必ずしもダイシングフレームFに保持されることを要しない。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。