以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の本発明の実施の形態における電子カルテシステムSを含む院内システムAの全体構成を示すブロック図である。院内システムAは、例えば、医療機関内に構築されるシステムであり、図1では当該システムの一例を示している。院内システムAは、情報端末1と、電子カルテサーバ2と、モダリティ3と、薬剤サーバ4と、会計サーバ5とから構成される。またこれら院内システムAを構成する各部は通信ネットワークNにて互いに接続されている。
また、院内システムAの中で、情報端末1と、電子カルテサーバ2は、本発明の第1の実施の形態における電子カルテシステムSを構成している。電子カルテシステムSは、それ自体独立したシステムとして構成されても良いが、例えば、病院情報管理システム(HIS:Hospital Information System)、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)といった医療機関内に構築された各種管理システムの全て、或いは、その一部を構成するようにされていても良い。
図1においては、例えば、モダリティ3は、通信ネットワークNに複数(モダリティ3A,3B)接続されている状態が示されている。但し、通信ネットワークNに接続され電子カルテシステムS、或いは、院内システムAを構成するに当たっては、情報端末1を含め、接続される装置の数は単数、或いは、複数のいずれであっても良い。また、その他の各部についても通信ネットワークNへの接続台数は自由に設定することができる。なお、モダリティ3A,3Bについては以下適宜「モダリティ3」と表わす。
情報端末1は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)や院内システムAに単数、或いは、複数台接続されるワークステーションといった機器である。情報端末1は、電子カルテに検査データ等を入力する、例えば、医師や看護師等の医療従事者が使用する装置である。従って、医療従事者が必要とする検査データ等の様々な医療情報を電子カルテに入力することが可能な装置であれば、有線、無線といった接続方法や携帯可能の有無といった機能、形態等は自由である。
電子カルテサーバ2は、医療機関内において作成される全ての電子カルテを記憶(格納)するサーバ装置である。電子カルテに入力を行う医療従事者は、基本的に当該電子カルテサーバ2にアクセスし、記入の対象となる患者の電子カルテを読み出して情報端末1に表示させ、必要な医療情報を記入することになる。
なお本発明の実施の形態においては、医療従事者は電子カルテを開くことなく、入力した検査データを電子カルテに反映させるという処理を行うことから、上述したような手順を踏んで電子カルテの記入を行う流れについては説明しない。
モダリティ3は、例えば、X線CT装置(computed tomography:コンピュータ断層撮影装置)や、磁気共鳴診断装置(MRI:magnetic resonance imaging)等の医用画像診断装置であり、患者の内部情報を取得する(撮影する)機器である。
薬剤サーバ4は、例えば、診察によって医師が患者に対して処方した薬剤の提供の管理を司るサーバである。また、会計サーバ5は、カルテを基に患者に対して医療費を請求する際の会計を管理するサーバである。
通信ネットワークNは、情報端末1、電子カルテサーバ2、モダリティ3等、院内システムAの各部をそれぞれつなぎ、互いの間で、例えば電子カルテに関する情報や医用画像情報のやりとりを可能とする。通信ネットワークNの例としては、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを挙げることができる。また、この通信ネットワークNで使用される通信規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
図2は、第1の実施の形態における情報端末1の内部構成を示すブロック図である。情報端末1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。
さらに入出力インターフェイス1dには、入力部1fと、表示部1gと、通信制御部1hと、記憶部1iと、リムーバブルディスク1jと、テンプレート情報制御部10とが接続されている。
CPU1aは、入力部1fからの入力信号に基づいてROM1bから情報端末1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部1iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。
またCPU1aは、入力部1fや入出力インターフェイス1dを介して、図2において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU1aは、RAM1cや記憶部1i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、患者の検査データの入力処理やデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
入力部1fは、情報端末1の操作者(医療従事者)が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス1eを介してCPU1aに送信される。また、タッチパネル方式を採用し、キーボード等を備えていなくても良い。
表示部1gは、例えば液晶ディスプレイである。この表示部1gは、CPU1aからバス1eを介して出力信号を受信し、例えば患者の検査データを入力するための一覧(以下、このような一覧を「テンプレート」と表わす)の作成に当たって必要となる条件を設定する画面等、或いはCPU1aの処理結果等を表示する。
通信制御部1hは、LANカードやモデム等の手段であり、情報端末1をインターネットやLAN等の通信ネットワークNに接続することを可能とする手段である。通信制御部1hを介して通信ネットワークNと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
記憶部1iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。
リムーバブルディスク1jは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
テンプレート情報制御部10は、医療従事者が電子カルテを開くことなく、例えば、患者に対して行われた検査の結果を示す検査データといった入力情報を入力する際に、その入力やテンプレート(一覧)の作成を制御する。また、入力された検査データは、そのまま該当の患者についての電子カルテに反映させる機能も備えている。
図3は、実施の形態におけるテンプレート情報制御部10の内部構成を示すブロック図である。テンプレート情報制御部10は、受信部11と、入力確認部12と、入力結果反映部13と、表示指示部14と、判断部15と、テンプレートデータベース16と、テンプレート作成部17と、送信部18とから構成される。なお、テンプレート情報制御部10を構成するこれら各部の機能、働きについては、医療従事者が検査データを入力し、当該検査データを電子カルテに反映させる流れを説明する中で適宜説明する。
図4及び図5は、実施の形態における検査データを電子カルテに反映させる流れを示すフローチャートである。なお、ここで想定される場面としては、看護師等の医療従事者が、病棟に入院している患者に対して行う検査等を行うという場面である。そしてこの検査等によって把握された検査データ等の入力情報を医療従事者が情報端末1を利用して電子カルテに反映させることを前提としている。すなわち、病室内の複数の患者に対して、例えば、毎朝行われる血圧、体温、体重の測定といった検査によって得られる検査データをそれぞれの患者の電子データに反映させる場面である。
ここでまず、情報端末1の表示部1gに表示されている内容を示す。図6は、実施の形態における情報端末1の基本となる画面の一例を示す画面例である。図6の画面例においては、画面左側に3つのタブが表示されており、それぞれ「本日」、「8月4日」、「8月5日」と示されている。すなわち、それぞれの日付けにおいて、例えば検査対象となる患者が示されている。図6に示す画面例では、「本日」、検査対象となる患者の一覧が示されており、10名表示されている。
図6に示す画面例では、患者については、1行ごとに1人ずつ示されており、患者を特定する項目として7つの項目が表示されている。ここでは、左から「患者No.」、「氏名」、「生年月日」、「年齢」、「性別」、「診療科」、及び「保険」の項目である。
例えば、一番上に表示されている、「患者No.」が「100118430」の患者は、「氏名」が「AAA」であり、「生年月日」は、1971年7月5日である。また、当該画面が表示されている時点での「年齢」は「42歳」であり、「性別」は「男性」である。さらに「診療科」は「内科」であり、「保険」は「社保単」となっている。
これら患者に関する情報は、例えば、院内システムA内に構築されている、例えば、予約システムから取得しても良く、或いは、入院患者に関する情報(患者情報)を記憶している、例えばデータベースから取得しても良い。さらには、情報端末1内の記憶部1i内に予め当該データベースからダウンロードしておいても、或いは、記憶部1i内に記憶させておいても良い。なお、ここでは7つの項目を表示させているが、表示部1gに表示させる項目の数、内容については、自由に設定することができる。
まず医療従事者は、検査を行う前にこれから行う検査に関する条件を入力する。医療従事者の入力によって、情報端末1では、入力された検査条件を把握する(ST1)。検査条件としては、例えば、入院患者に対して毎朝行われる検査の項目であったり、或いは、血圧のみを行うといった条件である。このように検査条件は、検査項目で条件を入力しても良い。また、検査を行う医療従事者の、例えばIDを入力することで対応しても良い。医療従事者が担当する患者が決まっている場合、医療従事者を識別するIDを入力することで、検査対象となる患者を特定することができる。
或いは、端的に例えば、病室の番号を入力することで対応しても良い。通常、病室は診療科ごとに分かれていることが多いことから、病室が特定できれば入院している患者に対して行う検査も特定することができると考えられる。以下においては、医療従事者は、ステップST1において、検査条件として病室の番号を入力したことを前提に話を進める。
検査対象の入力は、例えば、図6に示す画面例を例に挙げると、日付けのタブの横に検索欄が設けられている。そこで、医療従事者は、当該欄に検査条件である病室の番号を入力し、当該欄の右隣に設けられている「検索」ボタンをクリックする。これで、表示されている患者の中から当該検査条件に該当する患者が抽出されることになる。
なお、ここでは予め表示部1gに本日検査の対象となる患者の一覧が既に表示されていることを前提にその中から検査条件に合致する患者を抽出することとしているが、このような事前の患者一覧が表示されていない状態から、検査条件に合致する患者を抽出することとしても良い。この場合には、例えば、抽出母体となる患者の情報を記憶しているデータベースに情報端末1がアクセスすることで、必要な情報を入手し、検査条件に合致する患者を抽出する。
情報端末1では、入力された検査条件を基に、検査対象となる患者を抽出し一覧にして表示部1gに表示する(ST2)。
上述したように、ここでは患者の検査を行う医療従事者が検査対象となる複数の患者が入院している病室の番号を入力しているので、この病室の番号を検査条件として検査対象となる患者が抽出される。この検査条件の下では、同一の番号を持つ病室に入院している患者は全て検査対象となる。また、さらに検査条件を追加することで、同一の番号を持つ病室に入院している患者の中でさらに検査条件として挙げられた検査を受ける患者のみが抽出することも可能である。
なお、上述した処理は、例えば、テンプレート情報制御部10内の入力確認部12が検査条件の入力を把握し、当該検査条件に合致する患者を抽出する処理は、入力内容を確認した入力確認部12からの指示に基づいて、例えば表示指示部14において行われる。但し、このような処理方法に限らず、例えば、情報端末1のCPU1aが検査条件を確認し該当する患者を抽出することとしても良い。
図7は、実施の形態における情報端末1の画面1g上において検査データを入力する際の画面例である。図7に示す表示部1gにおいては、検査条件を入力する欄に病室の番号である「813」が入力され、当該検査条件に基づいて患者が抽出され一覧表示されている状態が示されている。ここでは、検査対象となる813号室に入院している患者は男性ばかり4名である。
入力確認部12は、医療従事者が検査データを入力するためのテンプレートが用意されているか否かを確認する(ST3)。ここで「テンプレート」とは、表示部1g上に表示される、医療従事者が患者の検査を行った後、当該患者の検査データを入力するための入力欄、或いは、入力シートと言えるものである。テンプレートの一例は、例えば、図7の画面1g例に示されている。図7に示す画面例においては、テンプレートT1は画面右側に表示されており、テンプレートT1上に検査データを入力するための項目が表示されている。
入力確認部12によるテンプレートTの有無は、例えば、テンプレートデータベース16にその作成の有無を問い合わせることで行われる。テンプレートデータベース16では、これまで作成されたテンプレートに関する情報を記憶しており、当該情報を確認することで、テンプレートTの有無を確認することができる。或いは、入力確認部12は、テンプレート作成部17を介してテンプレートデータベース16にアクセスしても良い。
テンプレートTが既に作成されている場合には(ST3のYES)、医療従事者によって検査内容を示すテンプレートボタンTB1が押し下げられたか否かが確認される(ST4)。テンプレートボタンTBが押し下げられたことが確認できるまでテンプレート情報制御部10は待機となり(ST5のNO)、確認後、該当するテンプレートTを表示部1gに表示させる(ST6)。
テンプレートTを表示するに当たっては、入力確認部12は、押し下げられたテンプレートボタンTBがいずれのテンプレートボタンTBであるかを確認し、該当するテンプレートTをテンプレートデータベース16から取得する。テンプレートデータベース16には、これまで作成されたテンプレートTがその項目に関する情報とともに記憶されている。
なお、ここではテンプレート情報制御部10内にテンプレートデータベース16を設けた形態を前提に説明を行っているが、例えば、テンプレートデータベース16の機能を記憶部1i内に設けても良い。この場合、入力確認部12は記憶部1iにアクセスして必要なテンプレートTを入手し、表示指示部14を介して画面上に表示させる。
このようにして表示されたテンプレートボタンBT1が、図7に示されている。図7の画面例において、最上段の検査条件の入力欄横に「朝検査」と表示されているボタンが示されている。このボタンがテンプレートボタンTB1である。テンプレートボタンTB1を医療従事者がクリックすると、当該テンプレートボタンTB1に割り当てられているテンプレートTが画面1g上に表示される。このように表示されたのが、図7の画面例右側のテンプレートTである。
なお、画面1g上に患者を特定する各項目を表示させるとともに、テンプレートT1も併せて表示させる必要があることから、項目の数は、例えば、図6に示す画面例における項目の数よりも少なくなっている。
また、ここでテンプレートボタンTB1とされるボタンには、「朝検査」との表示が示されている。これは後述するが、テンプレートTを作成する際に付与される(つけられる)名称であり、ここでは入院患者に対して毎朝行われる検査の項目を備えるテンプレートTを表示させるための名称である。このように、例えば、いつどのような検査を行うのかという内容を名称としてテンプレートボタンTBに設定しておくことで、医療従事者もテンプレートの内容を即座に認識することができ、処理を迅速に行うことができる。
図7の画面例においては、医療従事者が「朝検査」との名称が付された当該テンプレートボタンTB1をクリックしたことでテンプレートT1が表示された状態が示されている。テンプレートT1上には入力項目が3つ(「血圧1」、「体温」、及び「体重」)が表示されている。これらの項目は、検査対象となる患者に対して毎朝行われる検査の項目である。
すなわち、各患者ごとにそれぞれ3つの項目が毎朝検査され、その検査結果である検査データがテンプレートT1を利用して入力されることになる。例えば、医療従事者は、情報端末1を携えて813号室に入院している患者を一人一人回り、検査を行っていく。図7の画面例を参照すると、これまで2人の患者(患者No.が「100118430」と「111008973」の2人)についてそれぞれ「血圧1」、「体温」、「体重」の3つの検査が終了し、検査データが入力されている。そして、現在、患者No.が「100055134」の患者に対する検査が行われている。詳細には、血圧に関する検査データが入力されているので、血圧に関する検査は終了し、体温、或いは、体重が計測されている状態であると推察することができる。
ところで、検査データを入力するに当たっては、検査(入力)対象となる患者が選択されたか否かを確認する必要がある(ST7)。入力対象となる患者の選択には、例えば、該当する患者の行にカーソルを当ててクリック等させることで行われる。
ここでは、画面上、「現入力」という項目が設けられている。この「現入力」は、医療従事者が実際にいずれの患者に関する検査データを入力しているのかを示している。図7の画面例では、上述した患者No.が「100055134」の患者に対する検査が行われており、当該患者に関する検査データの入力がなされているところである。そのため、患者No.が「100055134」の患者の「現入力」の欄に印(ここでは星印)が表示されている。この印を表示させるためには、医療従事者が検査データを入力しようとしている患者を選択する必要がある。
換言すれば、医療従事者は検査データの入力対象とする患者を選択し、現入力の欄に印を表示させた後でなければテンプレートT上に検査データを入力することはできないようにされている。例えば、図7に示すように検査対象となる患者が複数一覧として表示されている場合、テンプレートT上、いずれの患者の欄にも入力可能であるとすると、誤って別の患者の該当欄に他の患者の検査データを入力してしまう可能性が考えられる。医療の現場において、データの取り違えはあってはならないのであり、当該取り違え、入力ミスをできるだけ排除するべく、このように、選択した患者についてのみ入力を可能としている。
なお、本発明の実施の形態においては、図7に示すように「現入力」の欄を設けて、入力対象となる患者が選択され、検査データの入力が可能となっている旨、示しているが、例えば、患者を選択したことで、当該患者の表示が反転し、この反転表示をもって入力対象となる患者であることを表示させても良い。また、直接画面上の患者を選択することで検査データの入力対象となる患者を特定するのではなく、例えば、患者が身につけているリストバンドのバーコード等の識別タグを読み取ることで、患者を選択、特定することとしても良い。そして、このような患者を選択、特定する処理が、すなわち、これまでの検査データを入力するに当たって患者ごとの電子カルテを開くと同等の意味を有することになる。
テンプレートT1上入力された検査データは、入力確認部12において確認される(ST8)。入力された検査データは、表示指示部14に送られて、テンプレートT1上に表示するよう処理される。
さらに入力確認部12は、テンプレートTに設けられている「反映」ボタンが押し下げられたか否か、確認する(ST9)。ここで「反映ボタン」とは、入力された検査データを該当する患者の電子カルテに反映させるためのボタンである。本発明の実施の形態においては、検査の際、患者が替わっていく度に電子カルテを開いて検査データを入力し閉じる、という処理を行うことによる、入力までの待機時間の発生、ひいては検査終了までの時間の長時間化を回避するべく、都度電子カルテを開くことなく検査データを該当の電子カルテに反映させることを目的としている。ここでの反映ボタンの押し下げ処理が、正にこの電子カルテを開かずに入力内容を反映させるための処理、ということになる。
医療従事者によって反映ボタンが押される(クリックされる)までは(ST9のNO)、テンプレートT1に入力された検査データは、あくまでも情報端末1に入力されたに過ぎず、電子カルテには反映されていない。医療従事者が反映ボタンをクリックしたことを入力確認部12が確認した場合に(ST9のYES)、その旨の信号が入力結果反映部13に伝えられ、検査データが入力された対象となる患者の電子カルテにその内容が反映される(ST10)。
ここで入力された検査データは、患者個人の情報、例えば、図7の画面例に表示されている患者を特定する項目で言えば、例えば「患者No.」と紐付けられている。入力結果反映部13は、検査データとこの紐付けられている患者を特定する項目(情報)とをまとめて送信部18を介して電子カルテサーバ2に送信する。これらの情報を受信した電子カルテサーバ2では、患者を特定する情報を基に受信した検査データを当該患者の電子カルテに反映させる。
なお、反映ボタンをクリックしたことですぐに検査データを電子カルテに反映させる方法も採用することができるが、例えば、一旦、反映ボタンをクリックした後に、検査データを電子カルテに反映させても良いか、医療従事者に問い合わせる画面を表示させて、改めて反映の意思確認を医療従事者に求めるようにしても良い。この方法を採用すると、医療従事者は入力した検査データを改めて患者を紐づけて確認することができる。
また、入力された検査データを電子カルテに反映させる場合、1人の患者に対する検査が終了する度に反映ボタンを押し下げて反映処理を行っても良い。或いは、検査条件を基に抽出された患者の全てについて検査が完了し、全ての検査項目について検査データが揃った時点で反映処理を行っても良い。
図8は、実施の形態における情報端末1の画面1g上において検査データを入力する際の別の画面例である。図8に示す画面例では、図7に示す画面例とは異なるテンプレートT2が表示されている。このテンプレートT2は、その画面上部に示されている「血圧検査」というテンプレートボタンTB2を押し下げることで表示されるテンプレートである。このテンプレートT2には3つの項目が設定されており、それぞれ「血圧1」、「血圧2」、「血圧3」とされている。このテンプレートT2は例えば、同日の異なった時間に3回計測される血圧を入力する際に利用されるテンプレートである。図8に示す画面例では、現在医療従事者が患者No.が「100185746」の患者に対して血圧の計測を行い、その検査データを入力しようとしている状態が示されている。そのため「現入力」の欄には上述した患者の欄に印が表示されている。
このように、同じ検査を複数の患者に対して行った場合には、例えば、全ての患者に対する検査が終了してから反映ボタンを押して反映処理を行うと、医療従事者の処理は効率的に行える。
医療従事者によって入力された検査データは、入力確認部12においてその入力が確認され(ST8参照)、この入力された検査データは、入力結果反映部13、表示指示部14に送信されることは上述した通りである。併せて、この検査データは、判断部15にも送信される。判断部15は、入力確認部12から送信された検査データを受信し、当該検査データが異常値を示しているか否かを判断する(図5のST11)。
本発明の実施の形態においては、患者に検査を処置した場合に個々の患者の電子カルテを都度開くことなく検査データを入力し、当該入力された検査データは、それぞれの患者の電子カルテに反映される。従って、検査データを入力して反映処理を行うだけでは、電子カルテを開くことはない。この処理の流れは、検査の流れを阻害せず、スムーズに検査を行うために採用されたものであるが、検査結果である検査データが異常値を示した場合にまで電子カルテを開くことを認めない、ということではない。
つまり、検査データが異常値を示していると判断できる場合には、当然のことながら当該異常値を示した検査データが得られた患者の電子カルテを開いて、その理由を解析、或いは、今後の治療方針を検討等することが必要となる。そこでこのような場合には、以下に説明するような手順で、医療従事者が電子カルテを開くように促す。
なお、どのような判断基準をもって判断部15が検査データに異常値が含まれているかを判断するのか、という点については、任意に設定することができる。すなわち、例えば、当該異常値を示す検査データが得られた患者の過去の検査データとの比較で異常値であるか否かを判断しても良い。或いは、当該異常値を示す検査データが得られた患者が罹患している疾病において異常値とされる値を予め取得しておき、当該値との比較によって異常値であるか否かを判断しても良い。また、比較の対象となるデータについては、判断部15内に記憶させておいても、或いは、別途、例えば、記憶部1i等に記憶されていても良い。
判断部15によって判断が行われた結果、入力確認部12から受信した検査データが異常値である場合には(ST11のYES)、医療従事者に対してその旨報知する(ST12)。医療従事者への異常値の報知の仕方については、様々な方法を採用することができる。例えば、音声によって異常値である旨知らせたり、或いは、表示指示部14を介して該当の検査データが入力された患者の欄を表示部1g上の一覧において点滅させたり反転させることで報知しても良い。
図9は、実施の形態における情報端末1の画面1g上において検査データを入力した結果、異常と判断された際の画面例である。図9に示す画面例においては、現在患者No.が「100055134」の患者に対して3回目の「血圧検査」が行われ、その検査データが入力されている状態が示されている。この画面例によると、当該患者の欄が反転して、或いは、色付きで示されている。これは、当該患者の血圧を計測し、検査結果を入力したところ、判断部15が入力された検査データが異常値であると判断したことを示している。
医療従事者は、このように異常値である旨、情報端末1から報知された場合、確認のため当該患者に関する電子カルテを開くことが多い。そこで、入力確認部12は医療従事者によって電子カルテが開かれたか否かを確認する(ST13)。電子カルテが開かれたか否かの確認は、例えば、情報端末1が電子カルテサーバ2にアクセスしたか否かを確認することで確認することができる。或いは、予め規定されている時間内に該当する患者の欄がダブルクリックする等の処理がなされたか否かを確認することであっても良い。
ここで電子カルテを開く処理としては、例えば、異常値であることを報知された患者の欄をダブルクリックする等が考えられる。このような処理が行われることをトリガーとして、情報端末1は電子カルテサーバ2にアクセスし、必要な電子カルテを表示部1g上に表示する。
またこのような方法を採用するのではなく、例えば、異常値を示す検査データが入力された場合には、強制的に当該患者の電子カルテを開くように設定されていても良い。
なお、異常値であると判断された場合には、このように基本的に医療従事者は当該患者に関する電子カルテを開くことになることが多い。一方、検査の途中である場合等には、医療従事者がここで該当の電子カルテを開くのではなく、全ての検査を終了させてから電子カルテを開く、との判断を行うことも考えられる。このような場合も想定されることから、例えば、判断部15は、電子カルテが開かれない場合には(ST13のNO)、医療従事者に対して電子カルテを後で開くか否かを問う(ST14)。この問いかけは、例えば、表示部1g上に「電子カルテを後で開く?」といったメッセージを表示させることで医療従事者に確認をしても良い。
この確認の結果、医療従事者が電子カルテを後で開く旨回答した場合には(ST14のYES)、再度これまで行われてきた処理を続行する。すなわち、検査データの入力であるが、入力確認部12は当該処理を続行するに当たって、一旦、未だ他の患者に関する検査データを入力する処理が残っているか否か、医療従事者に確認する(ST15)。
検査データが異常値である場合の報知が検査データの入力の最後に入力された検査データに対してなされた場合には、この後に新たに検査データを入力することはないので、この段階でテンプレートTを利用した検査データの入力は完了する(ST15のNO)。一方、例えば、図9のテンプレートT2に示されているように、異常が報知された患者の後ろに未だ検査が完了していない患者が控えている場合には、再度ステップST7に戻って、検査の続行、及び、得られた検査データの入力がなされる。
図10は、実施の形態における電子カルテの構成について説明する説明図である。電子カルテは、カルテであることから、患者ごとに作成される。図10に示す説明図の最上段、一番左に「患者」と示されているのは、この点を示している。
この説明図において明らかなように、電子カルテは階層構造となっており、左から右に移るに従って階層が深くなっていく。例えば、「患者基本情報」は、「診察、所見情報」といった電子カルテを構成する各領域の項目よりも上位に位置づけられる。一方で「患者基本情報」は3つの階層から構成される(「患者基本情報1」ないし「患者基本情報N」)が、同じ列に規定されていることから、これらの「患者基本情報」はいずれも同じ位置付け(同列)にある。図10における説明図では、「患者基本情報1」内の「検査情報」の中に、検査データとして入力される「血圧」や「体温」といった項目が含まれている。
一方、これまで説明してきた、「検査テンプレート」は、あくまでも電子カルテを開くことなく検査データを入力することを可能とする、いわば、入力ツールとしての役割を果たす。従って、図10に示すような電子カルテの構成といった観点からすると、テンプレートTは電子カルテを構成するものではない。そのため、テンプレートTは患者、或いは当該患者の電子カルテを紐づけられているものの、上述した階層構造を構成していない。また、検査データに基づいてその異常値を報知する「検査結果異常値検知情報」も、テンプレートT上に入力された検査データを基に判断されることから、「検査テンプレート」に紐づけられているものの、医療従事者に電子カルテを開くことを促すための情報に留まり、電子カルテを構成するものではない。
しかしながら、上述したように、テンプレートTを利用して医療従事者が入力した検査データは、電子カルテに反映される。そのため、テンプレートTごとに入力内容が反映される先が決まっている。例えば、「検査テンプレート」として作成された「朝検査」というテンプレートT1は、図7にも示されているように、「血圧」、「体温」、及び「体重」の3つの項目を設定している。ということは、これら各項目に入力された検査データは、それぞれ、「患者基本情報1」内の「検査情報」の中に位置づけられる、「血圧」、「体温」、「体重」の欄に反映されることになる。この関係については、図10においては破線で示している。
医療従事者が検査データを入力する際に利用するテンプレートTは、電子カルテにおいて上述したような位置づけにあるが、テンプレートTは医療従事者によって作成されなければ利用することができない。そこで以下においては、テンプレートTの作成の流れについて説明する。
これまで説明してきた実施の形態における検査データを電子カルテに反映させる流れの中では、図4に示すステップST3に示される場面である。すなわち、医療従事者が患者に対してなした検査の結果を検査データとして電子データに反映させるべく入力を行う場合に、適切なテンプレートTが存在しない場合である。この場合に(ST3のNO)、テンプレートTを作成する処理が開始される(ST20)。
なお、このように検査データを入力する際に適当なテンプレートTがない場合にテンプレートTを作成するという流れだけではなく、事前に必要なテンプレートTを作成することができるようにされていても良い。
図11は、実施の形態におけるテンプレートTの作成の流れを示すフローチャートである。ここまでは例えば、「朝検査」や「血圧検査」といった名称が付けられたテンプレートを例に挙げて説明してきた。このテンプレートを如何に作成するか、が以下の説明となる。
なお、テンプレートTの作成の流れを説明するに当たっては、画面例も併せて参照する。図12及び、図13は、実施の形態におけるテンプレートT作成の際における、情報端末1上の画面1gの一例を示す画面例である。
図12の画面例を見ると、基本となる画面構成は、図6に挙げた画面例と同様である。なお、テンプレートTを作成する際のスタート画面は、いずれの画面であっても良い。本発明の実施の形態においては、上述したように医療従事者が患者に対してなした検査の結果を検査データとして電子データに反映させるべく入力を行う場合に、適切なテンプレートTが存在しない場合を例に挙げて説明するため、図12に示す画面は図6に挙げた画面例と同様の画面となる。
画面最上段にタブや検索欄が設けられている。そしてこの最上段の最も右側に、「テンプレート作成ボタン」が設けられている。このテンプレート作成ボタンDをクリックすることが、テンプレートTを新たに作成する際のスタートとなる。従って、テンプレート情報制御部10では、医療従事者がテンプレート作成ボタンDを押し下げたか否か、確認する(ST21)。この確認は、入力確認部12が行う。
入力確認部12が医療従事者によってテンプレート作成ボタンDが押し下げられたと確認した場合(ST21のYES)、画面1g上にテンプレート名入力画面を表示するよう、表示指示部14に指示する(ST22)。
図12に示す画面例には、テンプレートTを作成する際の最初のステップとしてテンプレート名を入力するためのテンプレート名入力画面が表示されている。この画面では、新たに作成するテンプレートに付する名称を入力する欄と、当該欄に入力した名称が適切であるとして承認するのか、或いは、キャンセルするのかの意思表示のためのボタンが設けられている。前者が「OKボタン」であり、後者が「キャンセルボタン」である。
医療従事者は、テンプレート名を入力し、「OKボタン」、或いは、「キャンセルボタン」のいずれをクリックする。テンプレート情報制御部10の入力確認部12においては、テンプレート名が入力されたか否かを確認する(ST23)。すなわち、OKボタンが押し下げられたか確認する。
なお、図11に示すフローチャートでは、テンプレート名入力画面が表示されたものの最終的にキャンセルボタンが押された場合については示されていないが、この場合には、テンプレートの作成が終了することになる。
ステップST23においては、テンプレート名が入力されるまで待機し、テンプレート名が入力されてOKボタンが押し下げられたかを確認した後、テンプレートを作成するとの信号は入力確認部12からテンプレート作成部17へと送信され、テンプレート作成部17は、新たに作成されるテンプレートTに挙げる項目を選択するための画面を表示させる(ST24)。
この状態を示すのが図13に示す画面例である。図13に示す画面例は、例えば、電子カルテのひな形を示した画面例である。テンプレートTを利用するのは、検査データを入力する度に電子カルテを開かないようにするためである。一方、入力された検査データは確実に該当の電子データに反映させる必要がある。そこで、テンプレートTに設けることが可能な項目は、電子カルテにおいて入力が求められる項目に限られる。
もちろんテンプレートTにおいて入力された項目を電子カルテのいずれの項目に反映させるかを明確にしてあれば、電子カルテに入力されない項目であってもテンプレートTの項目として設定することは不可能ではない。但し、テンプレートTにおいて入力された検査データを電子カルテに反映させることを考慮すれば、電子カルテにおいて入力が求められる項目とテンプレートTにおいて入力可能な項目は一致させておく方が医療従事者も処理が簡便である。そこで、本発明の実施の形態においては、テンプレートTにおいて入力可能な項目は、電子カルテにおいて入力が求められる項目であることを前提とする。
そしてこの前提に立てば、新たに作成されるテンプレートTにおいて入力可能な項目を設定する場合には、電子カルテに設けられている項目から設定する項目を直接選択できた方が簡便、かつ、確実である。そのため、上述したように、新たに作成されるテンプレートTの項目を設定するに当たっては、電子カルテのひな形を表示させ、このひな形に表示されている項目からテンプレートTに表示させる項目を医療従事者に選択させることとしている。
図13に示す電子カルテのひな形のうち、左上部に示されている「体重」、「血圧H」、或いは、「体温」といった項目には、いわゆるラジオボタンが項目の先頭に表示されている。そして、「体重」、「血圧H」、「体温」の項目に関するラジオボタンは選択されて黒く表示されている。一方「心拍数」の項目に設けられているラジオボタンについては、選択されていないことから白く表示されている。
また、「身長」等についてはラジオボタン自体が設けられていない。これは、本発明の実施の形態におけるテンプレートTを利用した検査項目としては想定されていないからであるが、当然、「身長」等の項目についてもラジオボタンが設けられ、テンプレートTにおける記入項目として選択可能とされていても良い。
図13に示されている画面上には、「保存テンプレート選択」と題されたウィンドゥが表示されている。当該ウィンドゥには、作成されてテンプレートデータベース16内に記憶されているテンプレートTが示されている。
なお、ここでは、今回作成している「朝検査」に関するテンプレートの他、「血圧検査」のテンプレートについてもウィンドゥ内に表示されている。但し、ウィンドゥに表示されるテンプレートは、作成途中のテンプレートに関する情報のみを表示させることとしても良い。一方、既に記憶されているテンプレートTの入力項目を変更することまで考慮するならば、図13に表示されているウィンドゥのように、テンプレートデータベース16内に記憶されている全てのテンプレートの情報を表示させることも可能である。
「保存テンプレート選択」のウィンドゥ上では、「朝検査」の名称が付されたテンプレートに関するラジオボタンにチェックが入っている。すなわち、現在保存の対象とするテンプレートはこの「朝検査」のテンプレートである。そして、当該「朝検査」のテンプレートにおいて入力する項目としては、このウィンドゥの奥の画面に示されているように、「体重」、「血圧」、「体温」の3つの項目が選択されている。
この状態でウィンドゥ下部に設けられた「保存ボタン」が押されると、テンプレート作成部17は、入力項目が選択されたと判断して(ST25のYES)、この内容で「朝検査」のテンプレートが新たにテンプレートデータベース16内に記憶される(ST26)。以上で、新たにテンプレートTを作成する流れが終了する。
なお、この場面でキャンセルボタンが押された場合の処理であるが、テンプレートの作成処理自体を終了させてしまっても良く、或いは、1つ前の画面、すなわち図12の画面例に示す、テンプレート名入力画面に戻る処理としても良い。
以上のような構成、機能を備えることで、患者に対して行われた検査結果を入力する際に都度電子カルテを開かなくても複数人分の検査データを入力することができるとともに、入力された検査データは個々の電子カルテに反映させることが可能な電子カルテシステム及び電子カルテ端末装置を提供することができる。
特に検査対象となる患者を一覧で表示させつつ、検査データのみを入力することが可能なテンプレートを設け、当該テンプレートに検査データを入力するようにするとともに、入力された検査データは該当する患者の電子カルテに自動的に反映させることとしたため、通常の検査であれば電子カルテを開く必要はない。従って、検査対象が替わる度に電子カルテを閉じて開き直す手間が省け、検査効率を高めることができる。
また、テンプレートへの検査データの入力に当たっては、選択された患者1名のみ入力が可能とされている。すなわち、一覧表示されているその他の患者に関するテンプレートには検査データを入力することができない。従って、患者と検査データとを取り違えるという危険性を最小限に抑えることができる。
さらに、テンプレートに入力された検査データについては、異常の有無が判断され、異常値であると判断された場合には、その旨医療従事者に対して報知されることから、この報知を受けて医療従事者は該当の電子カルテを開くことができる。このように電子カルテを必要に応じて開き、或いは、不要な場合には開かずとも検査データを反映させることができるため、これまで以上に電子カルテの使い勝手が向上する。
また、適宜テンプレートも追加作成することができるため、医療機関ごとの実情に応じたテンプレートの作成が可能である。このようなテンプレートが予め作成されて使用されることによって、検査効率の向上、誤入力の削減を図ることができる。
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
図14は、第2の本発明の実施の形態における電子カルテシステムS1を含む院内システムA1の全体構成を示すブロック図である。電子カルテシステムS1は、情報端末1Aと電子カルテサーバ2Aとから構成されている。
これまで説明した第1の実施の形態においては、医療従事者が検査データを入力する際に使用する情報端末1が検査データの入力のみならず、入力された検査データを電子カルテに反映させる処理、或いは、テンプレートを作成する処理も行っていた。第2の実施の形態においては、この第1の実施の形態における情報端末1が行っていた処理、機能を電子カルテサーバ2Aが備えている点が相違する。
すなわち、第2の実施の形態における情報端末1Aは、あくまでも検査データを入力するだけの端末に過ぎず、入力された検査データを電子カルテに反映させる等の処理は、情報端末1Aにおいて入力された検査データを受信した電子カルテサーバ2Aが行う。
図15は、第2の実施の形態における電子カルテサーバ2Aの内部構成を示すブロック図である。電子カルテサーバ2Aは、受信部21と、テンプレート情報制御部22と、電子カルテデータベース23と、送信部24とから構成されている。このうち、テンプレート情報制御部22は、第1の実施の形態における情報端末1が備えていたテンプレート情報制御部10と同じ機能、働きを有する。また、電子カルテデータベース23は、医療機関内において作成される全ての電子カルテを記憶(格納)するデータベースである。
電子カルテサーバ2Aはこのような構成を採用しているが、入力された検査データを電子カルテに反映する流れ、検査データを入力する際に用いるテンプレートTの作成の流れは、第1の実施の形態において説明した流れと略同様である。
以上のような構成を採用することで、患者に対して行われた検査結果を入力する際に都度電子カルテを開かなくても複数人分の検査データを入力することができるとともに、入力された検査データは個々の電子カルテに反映させることが可能な電子カルテシステム及び電子カルテ端末装置を提供することができる。
特に情報端末1Aは入力された検査データを電子カルテに反映させるといった処理を行わずに済むので、検査データを過不足なく入力する処理を行うことができれば足りる。従って、高度な機能を備えている必要がないことから、低価格なより低いスペックの機器であっても対応できるため、医療機関にとって導入が容易になる。
(第3の実施の形態)
次に本発明における第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態において、上述の第1、或いは第2の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
ところで、これまでは情報端末は電子カルテシステムを構成する機器であることを前提として説明してきた。但し、テンプレートを利用して検査データを入力するための装置は特に電子カルテシステムを構成する機器である必要は必ずしもない。特に携帯情報端末の利用が拡大している現在にあっては、一般的な端末を検査データを入力するための装置として利用することも考えられる。
例えば、図16は、医療機関内に構築される本発明の第3の実施の形態における電子カルテシステムS1を含む院内システムA1の別の全体構成を示すブロック図である。第3の実施の形態における電子カルテシステムS2は、情報端末1Bと電子カルテサーバ2Aから構成されている。但しここでの「情報端末1B」は、検査データを入力するために利用される端末ではなく、電子カルテを作成するため、或いは、読影等の処理を行うために設けられているワークステーションである。また、第3の実施の形態においては、電子カルテサーバは、第2の実施の形態における電子カルテサーバ2Aと同じ機能を備えていることを前提としている。
さらに、図16には、電子カルテシステムS2にアクセスして、検査データを入力するための電子カルテ端末装置Xが示されている。この電子カルテ端末装置Xは、医療従事者が検査を行う際に使用する装置であり、検査データを入力し電子カルテに反映させることが可能とされている。すなわち、電子カルテ端末装置Xの機能、内部構成は上述した情報端末1と同様である。従って、入力した検査データを電子カルテに反映させる流れやテンプレートを作成する流れについても上述した通りである。
このように既存の電子カルテシステムが院内システムとして構築されている場合に、後から端末を導入しても、当該端末を電子カルテ端末装置として利用することによって、電子カルテシステムを構成する情報端末と同様の機能、使い勝手を得ることができる。またこの電子カルテ端末装置であれば、既存の電子カルテシステムを改造等する必要がないことから、導入も容易になるものと考える。
なお、第3の実施の形態においては、電子カルテサーバ2Aにおいて入力された検査データを電子カルテに反映させる処理等を行うことを前提として説明したが、例えば、反映処理やテンプレートの作成処理を、例えば、通信ネットワークNに接続されているクラウドサーバーにおいて行わせるという構成も採用することができる。この場合には、電子カルテサーバも反映処理等の各種処理を行わずに済むので、それだけ装置構成を簡便にすることができる。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。