JP2015215667A - 情報表示装置 - Google Patents

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裕介 清水
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Abstract

【課題】一般的な筆記具等の入力体で入力することができ、しかも、その入力の際に、上記入力体の先端入力部と、その入力体を持つ手の小指やその付け根部分等とが同時にディスプレイに触れていても、上記先端入力部を特定して感知することができる情報表示装置を提供する。
【解決手段】ディスプレイDを有する情報表示体Pと、ディスプレイDの表面に載置された、位置センサAを構成するシート状光導波路Wとを備えている。シート状光導波路Wは、格子状のコア2がシート状のアンダークラッド層とオーバークラッド層3とで挟持されており、コア2の弾性率が、アンダークラッド層の弾性率およびオーバークラッド層3の弾性率よりも大きく設定されている。また、格子状のコア2の交差部は、交差する少なくとも1方向が隙間により分断され不連続交差になっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ上にメモ等を書き込むと同時に、そのメモ等をデジタルデータ(電子データ)として上記ディスプレイに表示することができる情報表示装置に関するものである。
メモ用具には、電子メモ処理装置のように、メモ等をデジタル処理するものがある(例えば、特許文献1参照)。このものは、入力するメモ等を表示するディスプレイを備えており、そのディスプレイに、専用ペンを用いてメモ等を入力することができるようになっている。すなわち、上記ディスプレイは、上記専用ペンの先端を感知するタッチパネルになっており、そのディスプレイに、上記専用ペンの先端を接触させ、その専用ペンを動かすことにより、その専用ペンの先端の移動軌跡がメモ等として電子データ化され、上記ディスプレイに入力されて表示されるようになっている。
また、タブレット型端末やスマートフォン等も、ディスプレイを備えており、上記専用ペンではなく、指先で入力することができるようになっている。すなわち、上記タブレット型端末等におけるディスプレイは、指先で触れた際に発生する微弱な電流(人体の静電容量の変化)を感知するタッチパネルになっており、そのディスプレイに、指先を接触させ、その指先を動かすことにより、その指先の移動軌跡がメモ等として電子データ化され、上記ディスプレイに入力されて表示されるようになっている。
特許第3746378号公報
しかしながら、上記ディスプレイでは、いずれも、インクが出るペン等の一般的な筆記具やインクが出ない単なる細長い棒状体等で入力することができない。
また、指先で入力するタイプの上記ディスプレイでは、そのディスプレイに、人体の複数の部分(例えば、指先と手)が同時に触れていると、接触部分を特定することができず、適正に入力することができない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、一般的な筆記具等の入力体で入力することができ、しかも、その入力の際に、上記入力体の先端入力部と、その入力体を持つ手の小指やその付け根部分等とが同時にディスプレイに触れていても、上記先端入力部を特定して感知することができる情報表示装置の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の情報表示装置は、情報表示用のディスプレイを有し、そのディスプレイ上における入力体の先端入力部の移動を入力情報として上記ディスプレイに表示する情報表示装置であって、上記ディスプレイの表面に、下記(A)の位置センサのシート状光導波路が載置され、そのシート状光導波路の表面での上記先端入力部の移動軌跡を上記入力情報とするという構成をとる。
(A)格子状に形成された複数の線状のコアと、このコアを支持するアンダークラッド層と、上記コアを被覆するオーバークラッド層とを有するシート状光導波路と、上記コアの一端面に接続される発光素子と、上記コアの他端面に接続される受光素子と、上記シート状光導波路の表面における入力体の先端入力部の移動軌跡を、その移動により変化したコアの光伝播量によって特定する移動軌跡特定手段とを備え、上記複数の線状のコアにより形成される格子状の一部ないし全部の交差部が、交差する少なくとも1方向を隙間により分断した状態の不連続交差に形成されており、上記コアの弾性率が、上記アンダークラッド層の弾性率および上記オーバークラッド層の弾性率よりも大きく設定され、上記シート状光導波路の表面における上記先端入力部による押圧状態で、その押圧方向のコアの断面の変形率が、オーバークラッド層およびアンダークラッド層の断面の変形率よりも小さくなるようになっている位置センサ。
なお、本発明において、「変形率」とは、押圧方向における、コア,オーバークラッド層およびアンダークラッド層の押圧前の各厚みに対する、押圧時の各厚みの変化量の割合をいう。また、ペン先の「移動」には、移動距離が0(零)の場合を含み、その場合の「移動軌跡」は、点となる。
そして、上記シート状光導波路において、上記複数の線状のコアにより形成される格子状の一部ないし全部の交差部が、交差する少なくとも1方向を隙間により分断した状態の不連続交差に形成されていると、光の交差損失を低減させることができる。このような知見を本発明者らは得ている。
本発明の情報表示装置は、入力体(ペン等)の先端入力部(ペン先等)の移動軌跡の検知手段として、複数の線状のコアが格子状に配置形成されたシート状光導波路を備えた位置センサを用いている。すなわち、上記シート状光導波路の表面におけるペン先の移動軌跡を、その移動により変化したコアの光伝播量によって特定するようになっている。そのため、入力に専用ペンは不要であり、入力体として、インクが出るペン等の一般的な筆記具やインクが出ない単なる細長い棒状体等を用いることができる。また、上記シート状光導波路は、コアの弾性率が、アンダークラッド層の弾性率およびオーバークラッド層の弾性率よりも大きく設定されている。そのため、シート状光導波路のオーバークラッド層の表面を押圧したときに、その押圧方向のコアの断面の変形率が、オーバークラッド層およびアンダークラッド層の断面の変形率よりも小さくなり、押圧方向のコアの断面積が保持される。そして、上記シート状光導波路の表面において、入力体の先端入力部を移動させることにより、文字等の情報を入力すると、その先端入力部による押圧部分では、コアの曲がり具合が入力体の先端入力部に沿った急なものとなり、コアからの光の漏れ(散乱)が発生し、入力体を持つ手の部分による押圧部分では、コアの曲がり具合が手に沿った緩やかなものとなり、上記光の漏れ(散乱)が発生しないようにすることができる。そのため、ペン先等の先端入力部で押圧されたコアでは、受光素子での光の検出レベル(受光量)が低下し、入力体を持つ手の部分で押圧されたコアでは、その検出レベルが低下しないようにすることができる。そして、その光の検出レベルの低下から、移動軌跡特定手段により、ペン先等の先端入力部の位置(座標)を検知することができ、その検出レベルが低下しない手の部分は、押圧されていない状態と同じになるため、感知されないようにすることができる。しかも、上記コアにより形成される格子状の一部ないし全部の交差部が、交差する少なくとも1方向を隙間により分断した状態の不連続交差に形成されていることから、光の交差損失を低減させることができる。そのため、上記ペン先等の先端の位置の検知感度を高めることができる。その結果、本発明の情報表示装置は、ペン先等の先端入力部の移動軌跡(入力した文字等の情報)のみを検知し、それをディスプレイに表示することができる。
本発明の情報表示装置の一実施の形態を模式的に示す説明図である。 上記情報表示装置を構成する位置センサを模式的に示す平面図である。 (a)は、上記位置センサにおける格子状のコアの交差部を拡大して模式的に示す拡大平面図であり、(b)は、上記位置センサの中央部の断面を拡大して模式的に示す拡大断面図である。 (a)は、連続交差部における光の進路を模式的に示す拡大平面図であり、(b)は、不連続交差部における光の進路を模式的に示す拡大平面図である。 (a)は、入力体により押圧された上記位置センサのシート状光導波路の状態を模式的に示す断面図であり、(b)は、手により押圧された上記シート状光導波路の状態を模式的に示す断面図である。 (a)〜(e)は、上記格子状のコアの交差部の変形例を模式的に示す拡大平面図である。
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
図1は、本発明の情報表示装置の一実施の形態を示している。この実施の形態の情報表示装置は、四角形のディスプレイDを有する情報表示体Pと、上記ディスプレイDの表面に載置される位置センサAとを備えている。そして、この位置センサAの表面にペン等の入力体10で入力された文字等の情報が、上記ディスプレイDに表示されるようになっている。
上記情報表示体Pは、タブレット型端末,スマートフォン,ノート型パーソナルコンピュータ等の、情報表示用の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のディスプレイDを有するコンピュータ等である。
上記位置センサAは、その平面図を図2に示すように、格子状のコア2を有する四角形のシート状光導波路Wと、上記格子状のコア2を構成する線状のコア2の一端面に接続される発光素子4と、上記線状のコア2の他端面に接続される受光素子5とを備えている。そして、上記発光素子4から発光された光は、上記コア2の中を通り、上記受光素子5で受光されるようになっている。なお、図2では、コア2を鎖線で示しており、鎖線の太さがコア2の太さを示している。また、図2では、コア2の数を略して図示している。さらに、図2の矢印は、光の進む方向を示している。
また、この実施の形態では、上記発光素子4および受光素子5は、CPU(中央処理装置)(図示せず)により制御され、そのCPUは、上記発光素子4および受光素子5とともに、回路基板(図示せず)に搭載されている。そして、上記CPU等が搭載された回路基板は、上記情報表示体P(図1参照)の内部に配置されている。そのため、上記CPU,発光素子4,受光素子5,回路基板は、図1では、図示されていない。また、上記発光素子4やCPU等に必要な電源は、上記情報表示体Pに備えられている電源を利用するようになっている。
そして、この実施の形態では、上記シート状光導波路Wにおける格子状のコア2の各交差部は、図3(a)に平面図で示すように、交差する4方向の全てが、隙間Gにより分断され、不連続になっている。上記隙間Gの幅dは、0(零)を超え(隙間Gが形成されていればよく)、通常、20μm以下に設定される。そして、上記シート状光導波路Wは、図3(b)に断面図で示すように、上記格子状のコア2がシート状のアンダークラッド層1で支持されシート状のオーバークラッド層3で被覆された状態で形成されており、そのアンダークラッド層1が上記ディスプレイDの表面に接している。また、この実施の形態では、上記隙間Gは、オーバークラッド層3の形成材料で形成されている。
このように、上記格子状のコア2において、交差部を不連続とすると、光の交差損失を低減させることができる。すなわち、図4(a)に示すように、交差する4方向の全てが連続した交差部では、その交差する1方向〔図4(a)では上方向〕に注目すると、交差部に入射する光の一部は、その光が進んできたコア2と直交するコア2の壁面2aに到達し、その壁面での反射角度が大きいことから、コア2を透過する〔図4(a)の二点鎖線の矢印参照〕。このような光の透過が、交差する上記と反対側の方向〔図4(a)では下方向〕でも発生する。これに対し、図4(b)に示すように、交差する1方向〔図4(b)では上方向〕が隙間Gにより不連続になっていると、上記隙間Gとコア2との界面が形成され、図4(a)においてコア2を透過する光の一部は、上記界面での反射角度が小さくなることから、透過することなく、その界面で反射し、コア2を進み続ける〔図4(b)の二点鎖線の矢印参照〕。このような光の反射が、交差する上記と反対側の方向〔図4(b)では下方向〕でも発生する。このことから、先に述べたように、交差部を不連続とすると、光の交差損失を低減させることができるのである。
また、上記シート状光導波路Wは、上記コア2の弾性率が、上記アンダークラッド層1の弾性率および上記オーバークラッド層3の弾性率よりも大きく設定されている。これにより、上記シート状光導波路Wの表面を押圧したときに、その押圧方向のコア2の断面の変形率が、オーバークラッド層3およびアンダークラッド層1の断面の変形率よりも小さくなるようになっている。
このような構成の上記情報表示装置では、上記シート状光導波路Wの、格子状のコア2に対応する部分が、入力領域となっている。そして、ペン等の入力体10(図1参照)による上記シート状光導波路Wへの情報の入力は、その入力領域におけるオーバークラッド層3の表面に文字等を書くように、そのオーバークラッド層3の表面で、入力体10の先端入力部(ペン先等)10a(図1参照)を移動させることにより行われる。すなわち、図5(a),(b)に断面図で示すように、上記シート状光導波路Wのオーバークラッド層3の表面に、手20に持ったペン等の入力体10で文字等の情報を書き込む等して入力すると、ペン先等の先端入力部10aによる押圧部分〔図5(a)参照〕も手20の小指やその付け根部分(小指球)等による押圧部分〔図5(b)参照〕も、その押圧方向の断面では、弾性率の小さいオーバークラッド層3がつぶれるように変形し、弾性率の大きいコア2は、断面積を保持したまま、先端入力部10aや手20の部分に沿って、弾性率の小さいアンダークラッド層1に沈むように曲がる。
そして、先端入力部10aによる押圧部分では、図5(a)に示すように、その先端入力部10aが尖っていることから、コア2の曲がり具合が急なものとなり、コア2からの光の漏れ(散乱)が発生する〔図5(a)の二点鎖線の矢印参照〕。一方、入力体10を持つ手20による押圧部分では、図5(b)に示すように、その手20が上記先端入力部10aと比較してかなり大きくて丸くなっていることから、コア2の曲がり具合が緩やかなものとなり、上記光の漏れ(散乱)が発生しない(光はコア2内を漏れることなく進む)〔図5(b)の二点鎖線の矢印参照〕。そのため、先端入力部10aで押圧されたコア2では、受光素子5での光の検出レベルが低下し、入力体10を持つ手20で押圧されたコア2では、その検出レベルが低下しないようにすることができる。そして、その光の検出レベルの低下から、先端入力部10aの位置(座標)を検知することができる。その検出レベルが低下しない手20の部分は、押圧されていない状態と同じであるため、感知されない。
このとき、先に述べたように、上記コア2により形成される格子状の交差部は、不連続交差に形成されていることにより、光の交差損失が低減された状態になっていることから、上記ペン先等の先端入力部10aの位置の検知感度が高くなっている。
そこで、上記CPUには、上記受光素子5での光の検出レベルの低下に基づいてその受光素子5から出力される電気信号から、その電気信号に対応する位置をたどったものを先端入力部10aの移動軌跡として特定するプログラム(移動軌跡特定手段)が組み込まれている。すなわち、上記位置センサAは、情報の入力に用いる入力体(ペン等)10の先端入力部(ペン先等)10aの位置を検知するセンサになっている。そして、上記入力体10の先端入力部10aの移動軌跡を示すデータは、上記情報表示体PのCPU(図示せず)に出力され、その情報表示体PのCPUで適正に画像化処理され、上記移動軌跡がディスプレイDに表示されるようになっている。
このように、上記情報表示装置では、入力体(ペン等)10の先端入力部(ペン先等)10aの移動軌跡の検知手段として、複数の線状のコア2が格子状に配置形成されたシート状のシート状光導波路Wを用いているため、入力に専用ペンは不要であり、入力体10として、インクが出るペン等の一般的な筆記具やインクが出ない単なる細長い棒状の物等を用いることができる。
また、先に述べたように、上記シート状光導波路Wにおいて、コア2の弾性率が、アンダークラッド層1の弾性率およびオーバークラッド層3の弾性率よりも大きく設定されているため、入力体10を持つ手20がシート状光導波路Wを押圧しても、上記のように、先端入力部10aの位置のみを検知し、手20の部分は感知されないようにすることができる。しかも、格子状のコア2の交差部が不連続交差に形成されているため、光の交差損失を低減することができ、上記ペン先等の先端入力部10aの位置の検知感度を高くすることができる。
さらに、上記シート状光導波路Wへの入力時には、入力体10の先端入力部10aが押圧するシート状光導波路Wの部分が、上記のように変形するため、紙に近い感触で入力することができ、書き味が良好である。
また、上記タブレット型端末等の情報表示体Pは、通常、メモリ等の情報記憶媒体を予め備えているため、入力された情報(上記ディスプレイDに表示された情報)は、上記情報記憶媒体に記憶することができる。
なお、上記入力体10の先端入力部10aによる押圧が解除される(先端入力部10aが移動したり書き込み等の入力が終了したりする)と、上記アンダークラッド層1,コア2およびオーバークラッド層3は、各自の復元力により、元の状態〔図3(b)参照〕に戻る。そして、上記コア2の、アンダークラッド層1への沈み込み深さLは、最大で2000μmまでとすることが好ましい。それを超えると、上記アンダークラッド層1,コア2およびオーバークラッド層3が元の状態に戻らなくなったり、シート状光導波路Wに割れが発生したりするおそれがある。
ここで、上記コア2,アンダークラッド層1およびオーバークラッド層3の弾性率等について、より詳しく説明する。
上記コア2の弾性率は、1GPa〜10GPaの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、2GPa〜5GPaの範囲内である。コア2の弾性率が低過ぎると、ペン先等の先端入力部10aの形状により、その先端入力部10aの圧力で、コア2の断面積が保持されない(コア2がつぶれる)傾向にあり、先端入力部10aの位置を適正に検知できないおそれがある。一方、コア2の弾性率が高過ぎると、先端入力部10aの圧力によるコア2の曲がりが、その先端入力部10aに沿った急な曲がりにならずに緩やかな曲がりになる傾向にある。そのため、コア2からの光の漏れ(散乱)が発生せず、受光素子5での光の検出レベルが低下しなくなることから、先端入力部10aの位置を適正に検知できないおそれがある。なお、コア2の寸法は、例えば、厚みが5〜100μmの範囲内、幅が5〜500μmの範囲内に設定される。
上記オーバークラッド層3の弾性率は、0.1MPa以上10GPa未満の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、1MPa以上5GPa未満の範囲内である。オーバークラッド層3の弾性率が低過ぎると、柔らかすぎて、ペン先等の先端入力部10aの形状により、その先端入力部10aの圧力で、オーバークラッド層3が破損する傾向にあり、コア2を保護することができなくなるおそれがある。一方、オーバークラッド層3の弾性率が高過ぎると、先端入力部10aや手20の圧力によっても、オーバークラッド層3がつぶれるように変形しなくなる傾向にあり、それにより、コア2がつぶれ、先端入力部10aの位置を適正に検知できないおそれがある。なお、オーバークラッド層3の厚みは、例えば、1〜200μmの範囲内に設定される。
上記アンダークラッド層1の弾性率は、0.1MPa〜1GPaの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、1MPa〜100MPaの範囲内である。アンダークラッド層1の弾性率が低過ぎると、柔らかすぎて、ペン先等の先端入力部10aで押圧した後、アンダークラッド層1が元の状態に戻り難く、入力が連続的に行えない傾向にある。一方、アンダークラッド層1の弾性率が高過ぎると、先端入力部10aや手20の圧力によっても、アンダークラッド層1がつぶれるように変形しなくなる傾向にあり、それにより、コア2がつぶれ、先端入力部10aの位置を適正に検知できないおそれがある。なお、アンダークラッド層1の厚みは、例えば、20〜2000μmの範囲内に設定される。
上記コア2,アンダークラッド層1およびオーバークラッド層3の形成材料としては、シート状光導波路Wを通してディスプレイDの表示情報を見る必要性から、透光性を有する感光性樹脂,熱硬化性樹脂等があげられる。そして、その形成材料に応じた製法により、シート状光導波路Wを作製することができる。また、上記コア2の屈折率は、上記アンダークラッド層1およびオーバークラッド層3の屈折率よりも大きく設定されている。そして、上記弾性率および屈折率の調整は、例えば、各形成材料の種類の選択や組成比率を調整して行うことができる。
また、上記アンダークラッド層1の裏面に、透光性を有する弾性層を設けてもよい。この場合、アンダークラッド層1,コア2およびオーバークラッド層3の復元力が弱くなったり、それらが元々復元力の弱い材料からなるものであったりしても、上記弾性層の弾性力を利用して、上記弱い復元力を補助し、入力体10の先端入力部10aによる押圧が解除された後、元の状態に戻すことができる。
また、上記のように、ペン先等の先端入力部10aの位置のみが検出され、ペン等の入力体10を持つ手20が感知されないようにするためには、先端入力部10aによる押圧部分でのコア2の急な曲がりによる光の漏れ(散乱)量が重要である。そこで、例えば、ペン先等の先端入力部10aの曲率半径R(単位:μm)と、コア2の厚みT(単位:μm)との比S(=R/T)を用い、コア2とアンダークラッド層1およびオーバークラッド層3との間の屈折率差Δを規定すると、その屈折率差Δの最大値Δmax は、下記の式(1)のようになる。すなわち、屈折率差Δがこの最大値Δmax よりも大きいと、先端入力部10aで押圧しても、光の漏れ(散乱)量が少なく、受光素子5での光の検出レベルが充分に低下しないため、先端入力部10aの位置と手20の位置との区別が困難になる。
Figure 2015215667
一方、屈折率差Δの最小値Δmin は、下記の式(2)のようになる。すなわち、屈折率差Δがこの最小値Δmin よりも小さいと、手20による押圧部分でも、光の漏れ(散乱)が発生し、先端入力部10aの位置と手20の位置との区別が困難になる。
Figure 2015215667
そのため、上記屈折率差Δは、最小値Δmin と最大値Δmax との間に設定することが好ましい。ここで、例えば、上記先端入力部10aの曲率半径R(単位:μm)を100〜1000の範囲内、コア2の厚みT(単位:μm)を10〜100の範囲内、比Sを1〜100の範囲内とすると、屈折率差Δは、1.0×10-3〜7.95×10-2の範囲内となる。なお、比Sが100を超える場合は、最小値Δmin を1.0×10-3(一定)とする。
なお、上記実施の形態では、格子状のコア2の交差部を、交差する4方向の全てが不連続になっている不連続交差〔図3(a)参照〕としたが、他の不連続交差でもよい。例えば、図6(a)に示すように、交差する1方向のみが、隙間Gにより分断され、不連続になっているものでもよいし、図6(b),(c)に示すように、交差する2方向〔図6(b)は対向する2方向、図6(c)は隣り合う2方向〕が不連続になっているものでもよいし、図6(d)に示すように、交差する3方向が不連続になっているものでもよい。さらに、図3(a),図6(a)〜(d)に示す上記不連続交差、および交差する4方向の全てが連続した連続交差〔図6(e)参照〕のうちの2種類以上の交差を備えた格子状としてもよい。
また、上記実施の形態では、CPU,発光素子4,受光素子5,回路基板を情報表示体Pの内部に配置したが、それら全部ないし一部を、情報表示体Pの外部に配置してもよい。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
〔オーバークラッド層の形成材料〕
成分a:エポキシ樹脂(四日市合成社製、エポゴーセーPT)30重量部。
成分b:エポキシ樹脂(ダイセル社製、EHPE3150)70重量部。
成分c:光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI200K)4重量部。
成分d:乳酸エチル(和光純薬工業社製)100重量部。
これら成分a〜dを混合することにより、オーバークラッド層の形成材料を調製した。
〔コアの形成材料〕
成分e:エポキシ樹脂(ダイセル社製、EHPE3150)80重量部。
成分f:エポキシ樹脂(新日鉄化学社製、YDCN700−10)20重量部。
成分g:光酸発生剤(ADEKA社製、SP170)1重量部。
成分h:乳酸エチル(和光純薬工業社製)50重量部。
これら成分e〜hを混合することにより、コアの形成材料を調製した。
〔アンダークラッド層の形成材料〕
成分i:エポキシ樹脂(四日市合成社製、エポゴーセーPT)75重量部。
成分j:エポキシ樹脂(三菱化学社製、JER1007)25重量部。
成分k:光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI200K)4重量部。
成分l:乳酸エチル(和光純薬工業社製)50重量部。
これら成分i〜lを混合することにより、アンダークラッド層の形成材料を調製した。
〔シート状光導波路の作製〕
ガラス製基材の表面に、上記オーバークラッド層の形成材料を用いて、スピンコート法により、オーバークラッド層を形成した。このオーバークラッド層の厚みは5μm、弾性率は1.2GPa、屈折率は1.503であった。
ついで、上記オーバークラッド層の表面に、上記コアの形成材料を用いて、フォトリソグラフィ法により、格子状のコアを形成した。この格子状の各交差部は、交差する4方向の全てが隙間により分断され不連続になっている不連続交差とした〔図3(a)参照〕。。上記隙間の幅は10μmとした。また、上記コアの厚みは30μm、格子状部分のコアの幅は100μm、ピッチは600μm、弾性率は3GPa、屈折率は1.523であった。
つぎに、上記コアを被覆するように、上記オーバークラッド層の表面に、上記アンダークラッド層の形成材料を用いて、スピンコート法により、アンダークラッド層を形成した。このアンダークラッド層の厚み(オーバークラッド層の表面からの厚み)は200μm、弾性率は3MPa、屈折率は1.503であった。
そして、PET製基板(厚み1mm)の片面に、両面テープ(厚み25μm)を貼着したものを準備した。ついで、その両面テープのもう一方の粘着面を上記アンダークラッド層の表面に貼着し、その状態で、上記オーバークラッド層を上記ガラス製基材から剥離した。
〔比較例〕
〔オーバークラッド層の形成材料〕
成分m:エポキシ樹脂(四日市合成社製、エポゴーセーPT)40重量部。
成分n:エポキシ樹脂(ダイセル社製、2021P)60重量部。
成分o:光酸発生剤(ADEKA社製、SP170)4重量部。
これら成分m〜oを混合することにより、オーバークラッド層の形成材料を調製した。
〔コアの形成材料〕
成分p:エポキシ樹脂(四日市合成社製、エポゴーセーPT)30重量部。
成分q:エポキシ樹脂(DIC社製、EXA−4816)70重量部。
成分r:光酸発生剤(ADEKA社製、SP170)4重量部。
これら成分p〜rを混合することにより、コアの形成材料を調製した。
〔アンダークラッド層の形成材料〕
成分s:エポキシ樹脂(四日市合成社製、エポゴーセーPT)40重量部。
成分t:エポキシ樹脂(ダイセル社製、2021P)60重量部。
成分u:光酸発生剤(ADEKA社製、SP170)4重量部。
これら成分s〜uを混合することにより、アンダークラッド層の形成材料を調製した。
〔シート状光導波路の作製〕
上記実施例と同様にして、同寸法のシート状光導波路を作製した。ただし、弾性率は、オーバークラッド層が1GPa、コアが25MPa、アンダークラッド層が1GPaであった。また、屈折率は、オーバークラッド層が1.504、コアが1.532、アンダークラッド層が1.504であった。
〔位置センサの作製〕
上記実施例および比較例の各シート状光導波路のコアの一端面に、発光素子(Optowell社製、XH85-S0603-2s )を接続し、コアの他端面に、受光素子(浜松ホトニクス社製、s10226)を接続し、上記発光素子,上記受光素子,それら素子を制御するCPU(マイクロチップ社製、dsPIC33FJ128MC706 )等を搭載した回路を設け、実施例および比較例の各位置センサを作製した。
〔情報表示装置の作製〕
タブレット型端末(acer社製、ICONIA TAB W500 )を準備し、そのディスプレイの表面に、上記位置センサのシート状光導波路を貼り付けた。このとき、アンダークラッド層が上記ディスプレイの表面に接するようにした。また、上記位置センサの、上記CPU等を搭載した回路は、上記タブレット型端末の内部に配置し、その回路に必要な電源は、上記タブレット型端末に備えられている電源を利用した。このようにして、上記位置センサを使用可能にした。なお、上記タブレット型端末のディスプレイは、人体の静電容量の変化を感知するセンサを備えているが、そのセンサが働かないようそのセンサへの電源供給を止めた。
〔情報表示装置の作動確認〕
そして、入力者がボールペン(ペン先の曲率半径350μm)を手に持ち、上記入力装置の入力領域内で、文字を入力した。
その結果、実施例のシート状光導波路を用いた情報表示装置では、入力した文字のみが、上記ディスプレイに表示された。それに対して、比較例のシート状光導波路を用いた情報表示装置では、入力した文字だけでなく、ボールペンを持つ手の部分も、上記ディスプレイに表示された。
また、上記ボールペンに代えて、単なる棒体(先端の曲率半径550μm)を使用して上記と同様に入力しても、上記と同様の結果が得られた。
これらの結果から、実施例の位置センサは、入力体を代えても、入力された情報のみを検知でき、不要な情報は検知しないようにできることがわかる。
さらに、格子状のコアの各交差部を、交差する1〜3方向が不連続になっている不連続交差〔図6(a)〜(d)参照〕としても、上記実施例と同様の傾向を示す結果が得られた。さらに、交差する1〜4方向が不連続になっている不連続交差〔図3(a),図6(a)〜(d)参照〕、および交差する4方向の全てが連続した連続交差〔図6(e)参照〕のうちの2種類以上の交差を備えた格子状としても、上記実施例と同様の傾向を示す結果が得られた。
本発明の情報表示装置は、ディスプレイ上において一般的な筆記具等で入力したものを、ディスプレイに表示することに利用可能である。
A 位置センサ
D ディスプレイ
P 情報表示体
W シート状光導波路
2 コア
3 オーバークラッド層
10 入力体

Claims (1)

  1. 情報表示用のディスプレイを有し、そのディスプレイ上における入力体の先端入力部の移動を入力情報として上記ディスプレイに表示する情報表示装置であって、上記ディスプレイの表面に、下記(A)の位置センサのシート状光導波路が載置され、そのシート状光導波路の表面での上記先端入力部の移動軌跡を上記入力情報とすることを特徴とする情報表示装置。
    (A)格子状に形成された複数の線状のコアと、このコアを支持するアンダークラッド層と、上記コアを被覆するオーバークラッド層とを有するシート状光導波路と、上記コアの一端面に接続される発光素子と、上記コアの他端面に接続される受光素子と、上記シート状光導波路の表面における入力体の先端入力部の移動軌跡を、その移動により変化したコアの光伝播量によって特定する移動軌跡特定手段とを備え、上記複数の線状のコアにより形成される格子状の一部ないし全部の交差部が、交差する少なくとも1方向を隙間により分断した状態の不連続交差に形成されており、上記コアの弾性率が、上記アンダークラッド層の弾性率および上記オーバークラッド層の弾性率よりも大きく設定され、上記シート状光導波路の表面における上記先端入力部による押圧状態で、その押圧方向のコアの断面の変形率が、オーバークラッド層およびアンダークラッド層の断面の変形率よりも小さくなるようになっている位置センサ。
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