JP2015214783A - 成型加工性に優れた網状構造体 - Google Patents
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Abstract
Description
発泡−架橋型ウレタンはクッション材としての耐久性は良好だが、透湿透水性や通気性に劣り、蓄熱性があるため蒸れやすいという問題点がある。さらに、熱可塑性で無いためリサイクルが困難であり、そのため焼却処分される場合は焼却炉の損傷が大きくなったり、有毒ガス除去に経費が掛かかったりするなどの問題点が指摘されている。そこで埋め立て処分されることが多いが、地盤の安定化が困難なため埋め立て場所が限定され、経費も高くなる問題点もある。また、加工性は優れるが製造中に使用される薬品の公害問題やフォーム後の残留薬品やそれに伴う臭気など種々の問題が指摘されている。
1.ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる繊維径が0.1mm以上3.0mm以下の連続線状体を曲がりくねらせランダムループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触せしめた三次元ランダムループ接合構造体であって、見かけ密度が0.005g/cm3以上0.20g/cm3以下であり、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.5重量%以下である網状構造体。
2.メタノール抽出量が1.5重量%以下であることを特徴とする上記1に記載の網状構造体。
3.網状体の重量平均分子量が5万以上18万以下であり、分子量分布が8.0以下である上記1または2に記載の網状構造体。
4.網状体の酸価が43meq/kg以下である上記1〜3のいずれかに記載の網状構造体。
5.下記(1)で示されるQ/Nが、3以上200以下であり、下記(2)で示されるV/Qが、1以上30以下である上記1〜4のいずれかに記載の網状体の製造方法。
(1)単位吐出あたりのせん断(Q/N、単位 cm3/rev)
Q:樹脂が、ノズルから出される1分間あたりの吐出量(cm3/min)
N:Qを出すためのスクリュー回転数(rev/min)
(2)配管内通過時間(V/Q、単位 min)
V:エクストルーダーにより溶融、押し出された樹脂がエクストルーダーを出た後、配管を経由しノズルから吐出されるまでの全容積(cm3)
Q:樹脂が、ノズルから出される1分間あたりの吐出量(cm3/min)
そのため、適正な滑剤や酸化防止剤と適正な量の選定が必要である。基本的に、滑剤や酸化防止剤は熱可塑性ポリエステル系エラストマーとの相溶性が良好であり、単独としての分子量が高く遊離しにくいものが好ましい。滑剤や酸化防止剤を添加しない場合は
、分子量低下が顕著になったり、それ以外の工程通過生や品位の悪化を引き起こしたりする場合がある。しかしながら、必要以上に添加するとメタノール抽出量の増加に繋がる恐れがあるため、適正な添加量で管理することが好ましい。本発明において、適正な添加量とは、溶融押し出しの段階において滑剤や酸化防止剤を0.1重量%以上2.0重量%以下添加するのが好ましく、0.2重量%以上1.5重量%以下添加することがより好ましい。
(メタノール抽出量)=(b)/(a)×100:単位は重量%(n=2の平均値)
(低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量)={(d)×(b)/(b’)}/(a)×100:単位は重量%(n=2の平均値)
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、網状体からそれぞれ10箇所から線状体を約5mmの長さで採集する。採集した線状体の繊維径は、光学顕微鏡を適当な倍率で繊維径測定箇所にピントを合わせて測定する。(n=10の平均値)
試料を30cm×30cmの大きさに切断し、無荷重で24時間放置した後、高分子計器製FD−80N型測厚器にて4か所の高さを測定して平均値を試料厚みとする。試料重さは、上記試料を電子天秤に載せて計測する。また見掛け密度は、試料厚みから体積を求め、試料の重さを体積で除した値で示す。(それぞれn=4の平均値)
TAインスツルメント社製 示差走査熱量計Q200を使用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸熱ピーク(融解ピーク)温度を求めた。
試料を約5g採取し、冷凍粉砕を行った。粉砕した試料を40℃で1時間真空乾燥を行った後に秤量する(抽出前重量a:単位はg)。メタノールを溶媒としてソックスレー抽出を行った。抽出条件は90℃×4時間である。4時間経過後、試料を取り出して試料を除去した状態でさらに1時間抽出を行った。ソックスレー抽出液を窒素で噴きつけた状態で105℃にて3時間加熱して完全に乾固させ、乾固した試料の重量を秤量した(抽出物重量b:単位はg)。下記式にてメタノール抽出量を算出した。
(メタノール抽出量)=(b)/(a)×100:単位重量%(n=2の平均値)
まず、上記(4)で得られたメタノール抽出物(乾固後の試料)を0.0100g採取し、重クロロホルム/トリフルオロ酢酸=85/15(体積比)0.6mlに溶解後、内部標準物質としてジブチルヒドロキシトルエンを0.0010g加え、NMRチューブに充填し1H−NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)を行った。尚、1H−NMR測定はBRUKER社製NMR装置AVANCE−500を用いて行った。また、ロック溶媒には重クロロホルムを用い、積算回数は128回、繰り返し時間は5秒とした。次に、1H−NMR測定によって得られたH−NMRチャートから、テレフタル酸由来、1,4−ブタンジオール由来、ポリテトラメチレングリコール由来、ジブチルヒドロキシトルエン由来のピークを同定した(クロロホルムのピークを7.27ppmとした時、7.9ppm〜8.3ppmに検出されるピークをテレフタル酸由来、2.0〜2.15ppmのピークを1,4−ブタンジオール由来、3.6〜3.8ppmのピークをポリテトラメチレングリコール由来、7.02ppmのピークをジブチルヒドロキシトルエン由来と同定した)。次に、テレフタル酸由来ピークの積分値(A)、1,4−ブタンジオール由来ピークの積分値(B)、ポリテトラメチレングリコール由来ピークの積分値(C)、ジブチルヒドロキシトルエン由来ピークの積分値(D)から、下記の式(α)を用いて、1H−NMR測定サンプル中の低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量(z:単位はg)を算出した。最後に、上記(4)の抽出前重量(a:単位はg)および抽出後重量(b:単位はg)とH−NMR測定サンプル中の低分子量の熱可塑性エラストマー量(d:単位はg)から、下記の式(ベータ)を用いて、低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量(Z:単位は重量%)を算出した(N=2の平均値)。
式(α):d=0.0010×(A×132/4+B×88/4+C×72/4)/(D×220/2)
式(β):Z={d×(b/0.0100)}/a×100
樹脂の酸価の定量は共鳴周波数500MHzの1H−NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)にて行った。測定装置はBRUKER社製NMR装置AVANCE−500を用い、測定液の調製方法は以下の通りに行った。
試料10〜20mgを重クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール=1/1(体積比)0.12mlに溶解後、重クロロホルム0.48mlを加え、よく撹拌した後、その溶液をNMRチューブに充填しH−NMR測定を行った。(測定i)。
測定i終了後の溶液に、トリエチルアミンの濃度が0.2mol/Lとなるよう調製した重クロロホルム溶液を25μL加え、再度、1H−NMR測定を行った(測定ii)。ロック溶媒はいずれも重クロロホルムを用い、積算回数は128回とした。
酸価定量は以下の通り実施した。クロロホルムのピークを7.27ppmとした時、測定i、iiの8ppmのピークがテレフタル酸(A)、2ppmのピークが1,4−ブタンジオール(B)、3.5ppmのピークがポリテトラメチレングリコール(C)のピークであり、測定iの7.87〜7.96ppmのピークがテレフタル酸のサテライトピーク(D)、測定iiの7.87〜7.96ppmのピークがテレフタル酸末端およびテレフタル酸のサテライトピーク(E)として算出した。括弧内のA〜Eを各ピークの積分値とし、酸価を下記式より求めた。
A/4×132 + B/4×88 + C/4×72 = (a)
酸価(eq/ton)=(E−D)/2×1000000/(a)
:単位meq/kg(n=2の平均値)。
試料4mgを秤量し、0.4mlのクロロホルム/HFIP=3/2(v/v:容積比率)に溶解後、7.6mlのクロロホルムで希釈して試料溶液を調製した。0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、得られた試料溶液のGPC分析を以下の条件で実施した。
装置:TOSOH HLC−8320GPC、カラム:TSKgel SuperHM−H×2+TSKgel SuperH2000(TOSOH)、溶媒:クロロホルム/HFIP=98/2(v/v)、流速:0.6ml/min、濃度:0.05%、注入量:20μL、温度:40℃、検出器:UV(254nm)、分子量はポリスチレン換算で算出した。
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、Mw<1000とMn<1000を外して算出した(n=2の平均値)。分子量分布も上記と同様に1000以下を除いた重量平均分子量と数平均分子量を用いて、重量平均分子量を数平均分子量で除すことで算出した(n=2の平均値)。
5人のモニターに対して、網状体を素手で触った際の感覚を下記記載の4段階の点数で評価した。5人のモニターの平均点を評価点とした。
3点・・・べたつきを感じない。
2点・・・べたつきを少し感じるが、不快ではない。
1点・・・べたつきを感じ、少し不快に感じる。
0点・・・べたつきを感じ、不快に感じる。
なお、2点以上であれば、実使用として問題ない。
170℃×6minの処理条件で、40cm角の座布団型にプレスした。10回のプレスを行い、プレス終了後の解放圧力解放時に、外力を加えることなく金型から製品が分離する回数を測定した。10回全て分離したものは◎、8〜9回、金型から分離したものは○、7回以下であったものは×とした。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、ジメチルテレフタレ−ト(DMT)と1,4−ブタンジオ−ル(1,4−BD)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧しつつ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合エラストマ−を生成させ、次いで酸化防止剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥して得られた熱可塑性弾性樹脂原料の処方を表1に示す。
得られた熱可塑性弾性樹脂からなる網状構造体の特性を表2に示す。
得られた網状体は、断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率が36%、繊維径が1.2mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.074g/cm3、表面が平坦化された厚みが49mm、酸価が42meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.1重量%、メタノール抽出量が1.2重量%、重量平均分子量が91000、分子量分布が3.5であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、べたつき感や離型性評価の結果が良好で、成型加工性に優れていた。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−1を用い、紡糸温度を220℃、単孔吐量を0.8g/min、スクリュー回転数を80rpm、Q/Nを16.0cm3/rev、配管内通過時間を4min、ノズル面−冷却水間の距離を29cm、引き取り速度を1.1m/minにした以外、実施例1と同様にして得た網状構造体は、断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率が34%、繊維径が0.7mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.020g/cm3、表面が平坦化された厚みが50mm、酸価が40meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が0.9重量%、メタノール抽出量が1.0重量%、平均分子量が93000、分子量分布が3.5であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、べたつき感や離型性評価の結果が良好で、成型加工性に優れていた。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−2を用い、紡糸温度を220℃、単孔吐量を1.3g/min、スクリュー回転数を70rpm、Q/Nを29.7cm3/rev、配管内通過時間を2min、引き取り速度を1.0m/minにした以外、実施例1と同様にして得た網状構造体は、断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率が27%、繊維径が0.7mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.036g/cm3、表面が平坦化された厚みが50mm、酸価が39meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が0.8重量%、メタノール抽出量が0.8重量%、平均分子量が124000、分子量分布が4.3であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、べたつき感や離型性評価の結果が良好で、成型加工性に優れていた。
幅方向の幅190mm、厚み方向の幅46mmのノズル有効面にオリフィスの形状は外径0.8mmの円断面としたオリフィスを孔間ピッチ5mmの千鳥配列としたノズルを用い、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−2を用い、紡糸温度220℃、単孔吐量を1.7g/min、スクリュー回転数を80rpm、Q/Nを3.9cm3/rev、配管内通過時間を16min、ノズル面−冷却水距離を26cm、幅60cmのステンレス製エンドレスネットを平行に開口幅40mm、引き取り速度を0.9m/minにした以外、実施例1と同様にして得た網状構造体は、断面形状が円形で、繊維径が0.5mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.046g/cm3、表面が平坦化された厚みが39mm、酸価が43meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.1重量%、メタノール抽出量が1.4重量%、平均分子量が119000、分子量分布が4.1であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、べたつき感や離型性評価の結果が良好で、成型加工性に優れていた。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−1を用い、紡糸温度を230℃、単孔吐量を0.8g/min、Q/Nを1.8cm3/rev、配管内通過時間を34min、ノズル面−冷却水距離を29cm、引き取り速度を1.1m/minにした以外、実施例4と同様にして得た網状構造体は、断面形状が円形で、繊維径が0.4mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.018g/cm3、表面が平坦化された厚みが40mm、酸価が49meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.7重量%、メタノール抽出量が1.8重量%、平均分子量が82000、分子量分布が3.3であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たさないため、べたつき感と離型性評価の結果が好ましくなく、成型加工性に優れていないものであった。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−3を用い、紡糸温度を250℃、単孔吐量を1.2g/min、スクリュー回転数を90rpm、Q/Nを2.4cm3/rev、配管内通過時間を23min、引き取り速度を1.0m/minにした以外、実施例4と同様にして得た網状構造体は、断面形状が円形で、繊維径が0.7mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.029g/cm3、表面が平坦化された厚みが39mm、酸価が47meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.6重量%、メタノール抽出量が1.6重量%、平均分子量が182000、分子量分布が8.1であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たさないため、べたつき感と離型性評価の結果が好ましくなく、成型加工性に優れていないものであった。
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−2に紡糸時に滑剤としてエルカ酸アミドを0.6重量%になるように添加した以外、実施例4と同様にして得た網状構造体は、断面形状が円形で、繊維径が0.5mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.046g/cm3、表面が平坦化された厚みが40mm、酸価が42meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.6重量%、メタノール抽出量が1.7重量%、平均分子量が121000、分子量分布が4.3であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たさないため、べたつき感と離型性評価の結果が好ましくなく、成型加工性に優れていないものであった。
Claims (5)
- ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる繊維径が0.1mm以上3.0mm以下の連続線状体を曲がりくねらせランダムループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触せしめた三次元ランダムループ接合構造体であって、見かけ密度が0.005g/cm3以上0.20g/cm3以下であり、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.5重量%以下である網状構造体。
- メタノールによる抽出量が1.5重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の網状構造体。
- 網状体の重量平均分子量が5万以上18万以下であり、分子量分布が8.0以下である請求項1または2に記載の網状構造体。
- 網状体の酸価が43meq/kg以下である請求項1〜3のいずれかに記載の網状構造体。
- 下記(1)で示されるQ/Nが、3以上200以下であり、下記(2)で示されるV/Qが、1以上30以下である請求項1〜4のいずれかに記載の網状体の製造方法。
(1)単位吐出あたりのせん断(Q/N、単位 cm3/rev)
Q:樹脂が、ノズルから出される1分間あたりの吐出量(cm3/min)
N:Qを出すためのスクリュー回転数(rev/min)
(2)配管内通過時間(V/Q、単位 min)
V:エクストルーダーにより溶融、押し出された樹脂がエクストルーダーを出た後、配管を経由しノズルから吐出されるまでの全容積(cm3)
Q:樹脂が、ノズルから出される1分間あたりの吐出量(cm3/min)
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