JP2015214783A - 成型加工性に優れた網状構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】べたつき感が少なく、成型加工性に優れた網状構造体を提供すること。【解決手段】ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる繊維径が0.1mm以上3.0mm以下の連続線状体を曲がりくねらせランダムループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触せしめた三次元ランダムループ接合構造体であって、見かけ密度が0.005g/cm3以上0.20g/cm3以下であり、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.5重量%以下である網状構造体。【選択図】なし

Description

本発明は、オフィスチェア、家具、ソファー、ベッド等寝具、電車・自動車・二輪車・ベビーカー・チャイルドシート・車椅子等の車両用座席、フロアーマットや衝突や挟まれ防止部材等の衝撃吸収用のマット等に用いられるクッション材に好適な網状構造体に関するものである。
現在、家具、ベッド等寝具、電車・自動車・二輪車等の車両用座席に用いられるクッション材として、発泡−架橋型ウレタンが広く使われている。
発泡−架橋型ウレタンはクッション材としての耐久性は良好だが、透湿透水性や通気性に劣り、蓄熱性があるため蒸れやすいという問題点がある。さらに、熱可塑性で無いためリサイクルが困難であり、そのため焼却処分される場合は焼却炉の損傷が大きくなったり、有毒ガス除去に経費が掛かかったりするなどの問題点が指摘されている。そこで埋め立て処分されることが多いが、地盤の安定化が困難なため埋め立て場所が限定され、経費も高くなる問題点もある。また、加工性は優れるが製造中に使用される薬品の公害問題やフォーム後の残留薬品やそれに伴う臭気など種々の問題が指摘されている。
特許文献1および2には、網状構造体が開示されている。これは、上述した発泡−架橋型ウレタンに由来する諸問題を解決でき、クッション性能にも優れているものである。しかし、べたつき感を感じたり、べたついて側地のセット性が悪化したり、側地への色移りが生じたり、熱成型加工時に離型性が悪化する場合があった。特に、熱成型加工される場合では、金型からの離型性が重要であり通常は離型剤を使用するが、離型性が劣悪な場合は、熱成型加工精度や品位が悪くなったり、離型剤の使用回数が増えたりするなど生産性が悪化する問題点があった。
特開平7−68061号公報 特開2004−244740号公報
本発明は、上記の従来技術の課題を背景になされたもので、べたつき感が少なく、成型加工性に優れた網状構造体を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は以下の通りである。
1.ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる繊維径が0.1mm以上3.0mm以下の連続線状体を曲がりくねらせランダムループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触せしめた三次元ランダムループ接合構造体であって、見かけ密度が0.005g/cm以上0.20g/cm以下であり、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.5重量%以下である網状構造体。
2.メタノール抽出量が1.5重量%以下であることを特徴とする上記1に記載の網状構造体。
3.網状体の重量平均分子量が5万以上18万以下であり、分子量分布が8.0以下である上記1または2に記載の網状構造体。
4.網状体の酸価が43meq/kg以下である上記1〜3のいずれかに記載の網状構造体。
5.下記(1)で示されるQ/Nが、3以上200以下であり、下記(2)で示されるV/Qが、1以上30以下である上記1〜4のいずれかに記載の網状体の製造方法。
(1)単位吐出あたりのせん断(Q/N、単位 cm3/rev)
Q:樹脂が、ノズルから出される1分間あたりの吐出量(cm3/min)
N:Qを出すためのスクリュー回転数(rev/min)
(2)配管内通過時間(V/Q、単位 min)
V:エクストルーダーにより溶融、押し出された樹脂がエクストルーダーを出た後、配管を経由しノズルから吐出されるまでの全容積(cm3
Q:樹脂が、ノズルから出される1分間あたりの吐出量(cm3/min)
本発明による網状構造体は、べたつき感が少なく、熱成型加工性に優れており、側地を用いるオフィスチェア、家具、ソファー、ベッド等寝具、電車・自動車・二輪車等の車両用座席等に用いられる網状構造体や熱成型加工されても離型性に優れており、次工程における生産性の良好な成型加工性に優れた網状構造体を提供することが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる繊維径が0.1mm以上3.0mm以下の連続線状体を曲がりくねらせランダムループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触せしめた三次元ランダムループ接合構造体であって、見かけ密度が0.005g/cm以上0.20g/cm以下であり、メタノール抽出量が1.5重量%以下である網状構造体およびその製造方法に関するものである。
本発明におけるポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリアルキレンジオールをソフトセグメントとするポリエステルエーテルブロック共重合体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエステルブロック共重合体が例示できる。
ポリエステルエーテルブロック共重合体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および数平均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体からなるグリコール等のポリアルキレンジオールのうち少なくとも1種から構成される三元ブロック共重合体である。
ポリエステルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボン酸とジオール及び数平均分子量が約300〜5000のポリラクトン等のポリエステルジオールのうち少なくとも各1種から構成される三元ブロック共重合体である。熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮すると、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、または、及びナフタレン2,6−ジカルボン酸、ジオール成分としては1,4−ブタンジオール、ポリアルキレンジオールとしてはポリテトラメチレングリコールの3元ブロック共重合体または、ポリエステルジオールとしてポリラクトンの3元ブロック共重合体が特に好ましい。特殊な例では、ポリシロキサン系のソフトセグメントを導入したものも使うことができる。
また、上記ポリエステル系熱可塑性エラストマーに非エラストマー成分をブレンドしたもの、共重合したもの、ポリオレフィン系成分をソフトセグメントにしたもの等も本発明のポリエステル系熱可塑性エラストマーに包含される。さらに、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに各種添加剤等を必要に応じ添加したものも包含される。
本発明の目的である網状構造体の繰返し圧縮耐久性を実現するために、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのソフトセグメント含有量は好ましくは15重量%以上、より好ましくは25重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以上であり、特に好ましくは40重量%以上であり、硬度確保と耐熱耐へたり性からは好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
本発明の繰返し圧縮耐久性に優れた網状構造体を構成するポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる成分は、示差走査型熱量計にて測定した融解曲線において、融点以下に吸熱ピークを有することが好ましい。融点以下に吸熱ピークを有するものは、耐熱耐へたり性が吸熱ピークを有しないものより著しく向上する。例えば、本発明の好ましいポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、ハードセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン2,6−ジカルボン酸などを90モル%以上含有するもの、より好ましくはテレフタル酸やナフタレン2,6−ジカルボン酸の含有量は95モル%以上、特に好ましくは100モル%とグリコール成分をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次いで、ポリアルキレンジオールとして、好ましくは平均分子量が500以上5000以下、より好ましくは700以上3000以下、さらに好ましくは800以上1800以下のポリテトラメチレングリコールを15重量%以上80重量%以下、より好ましくは25重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上70重量%以下、特に好ましくは40重量%以上70重量%以下を共重合量させた場合、ハードセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン2,6−ジカルボン酸の含有量が多いとハードセグメントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐熱耐へたり性が向上するが、溶融熱接着後さらに融点より少なくとも10℃以上低い温度でアニーリング処理するとより耐熱耐へたり性が向上する。アニーリング処理は、融点より少なくとも10℃以上低い温度でサンプルを熱処理することができれば良いが、圧縮歪みを付与することでさらに耐熱耐へたり性が向上する。このような処理をしたクッション層を示差走査型熱量計で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度で吸熱ピークをより明確に発現する。なおアニーリングしない場合は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピークを明確に発現しない。このことから類推すると、アニーリングによってハードセグメントが再配列された準安定中間相を形成し、耐熱耐へたり性が向上しているのではないかと考えられる。本発明における耐熱性向上効果の活用方法としては、ヒーターが用いられる車両用のクッションや床暖房された床の敷きマット等、比較的高温になり得る用途において、耐へたり性が良好となるため有用である。
本発明に使用するポリエステル系熱可塑性エラストマーの酸価は42meq/kg以下が好ましく、41meq/kg以下がより好ましく、40meq/kg以下がさらに好ましい。酸価が42meq/kgを超えると、溶融紡糸時の分子量低下が顕著となりメタノール抽出量が増える場合がある。なお、酸価の下限値は特に規定しないが、本発明に使用するポリエステル系熱可塑性エラストマーにおいては0.5meq/kg以上である。
本発明の網状構造体を構成する樹脂の重量平均分子量は、5万以上18万以下が好ましく、6万以上17万以下がより好ましく、7万以上16万以下がさらに好ましく、8万以上15万以下が最も好ましい。重量平均分子量が5万未満では、メタノール抽出量が増加する場合がある。また、18万を超えると溶融粘度が高くなり過ぎてしまい、可紡性が悪化し品位の良好な網状構造体を得ることが難しくなる場合がある。
本発明の網状構造体を構成する樹脂の分子量分布は、8以下が好ましい。分子量分布が8を超えると、可紡性が悪化し品位の良好な網状構造体を得ることが難しくなる場合がある。分子量分布は7以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。なお、分子量分布の下限値は特に規定しないが、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。
べたつき感が少なく、成型加工性に優れた本発明の網状構造体は、例えば次のようにして得られる。網状構造体は特開平7−68061号公報等に記載された公知の方法に基づき得られる。例えば、複数のオリフィスを持つ多列ノズルよりポリエステル系熱可塑性エラストマーをノズルオリフィスに分配し、該ポリエステル系熱可塑性エラストマーの融点より20℃以上120℃未満高い紡糸温度で、該ノズルより下方に向け吐出させ、溶融状態で互いに連続線状体を接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ、引取りコンベアネットで挟み込み、冷却槽中の冷却水で冷却せしめた後、引出し、水切り後または乾燥して、両面または片面が平滑化した網状構造体を得る。片面のみを平滑化させる場合は、傾斜を持つ引取ネット上に吐出させて、溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ引取ネット面のみ形態を緩和させつつ冷却すると良い。得られた網状構造体をアニーリング処理することもできる。なお、網状構造体の乾燥処理をアニーリング処理としても良い。
本発明の網状構造体を得るためには、原料として用いるポリエステル系熱可塑性エラストマーの酸価、重量平均分子量、分子量分布、酸化防止剤、滑剤が本特許の規定する範囲内とすることが好ましい。本特許の範囲内の酸価を有するポリエステル系熱可塑性エラストマーは、公知の方法によって重合され、重合時の劣化が起こりにくいようにモノマーを仕込む時に酸化防止剤を添加する方法や、重合完了後の熱履歴を極力低くする方法を用いることによって得ることができる。さらに、溶融紡糸時に熱劣化を最小にしつつ、メタノール抽出時に溶出しないような酸化防止剤や滑剤の選定や適切な量を添加することが好ましい。
酸化防止剤としては、公知のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、N−H型ヒンダードアミン系光安定剤、N−CH3型ヒンダードアミン系光安定剤の少なくとも1種類以上を添加することが望ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、1,3,5−トリス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、Sumilizer G 80、2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)メシチレンなどが挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、3,9−ビス(オクタデシルオキシ)−2,4、8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサー3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)−6−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、亜りん酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、亜リン酸トリス(4−ノニルフェニル)、4,4’−Isopropylidenediphenol C12−15 alcohol phosphite、亜りん酸ジフェニル(2−エチルヘキシル)、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリイソデシル ホスファイト、亜りん酸トリフェニルなどが挙げられる。
チオエーテル系酸化防止剤としては、ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2−ビス[[3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロピルオキシ]メチル]−1,3−プロパンジイル、3,3’−チオビスプロピオン酸ジトリデシルなどが挙げられる。
熱劣化を防ぐためには、フェノール系酸化防止剤とホスファイト系酸化防止剤を混合して使用することが望ましい。熱劣化と溶出の関係から、酸化防止剤の分子量は300以上が好ましく、添加量は0.1重量%以上、1.0重量%以下が好ましい。
滑剤は、炭化水素系ワックス、高級アルコール系ワックス、アミド系ワックス、エステル系ワックス、金属石鹸系等が選択される。滑剤は添加しなくても良く、添加する場合は0.5重量%以下であることが好ましい。
本願発明の網状構造体を得る手段としては、例えばポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂を溶融する際に、エクストルーダーを用いて加熱、せん断を与えるが、この際の単位吐出あたりのせん断、Q/Nを所定の範囲にすることが好ましい。Q/Nは、Q:ノズルから出される1分間あたりの吐出量(cm3/min)を、N:スクリュー回転数(rev/min)で除して算出され、単位はcm3/revである。この数値が小さいと単位吐出量あたりにスクリューから受けるせん断が大きくなり、分子量低下が顕著となる場合がある。Q/Nは3以上が好ましく、4以上がより好ましい。なお、Q/Nの上限値は特に規定しないが200以下であり、180以下がさらに好ましい。
さらに、本願発明の網状構造体を得る手段として、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの溶融後の「配管内通過時間」を短くする方法が挙げられる。「配管内通過時間」とは、エクストルーダーにより溶融された樹脂が、エクストルーダー出口から配管を通過してノズルから紡出されるまでの平均時間を指し、V/Qで算出される。ここでVは、エクストルーダー出口からノズル吐出孔までの全容積(cm3)を示し、Qはノズルから出される1分間あたりの吐出量(cm3/min)である(単位min)。「配管内通過時間」を短くすることで、溶融された樹脂が余分な熱を受ける時間が短くなり劣化が起こりにくくなる。「配管内通過時間」は、1min以上30min以内が好ましく、2min以上25min以内がより好ましい。「配管内通過時間」が1min未満となると溶融ポリマーの温度斑や溶融斑が発生する場合があり、30minを超えると劣化が起こり易くなり好ましくない。
本発明の網状構造体を構成する連続線状体は、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂と組み合わせた複合線状としても良い。複合形態としては、線状体自身を複合化した場合として、シース・コア型、サイドバイサイド型、偏芯シース・コア型等の複合線状体が挙げられる。
本発明の網状構造体は、本発明の目的を損なわない範囲で、多層構造化しても良い。多層構造としては、表層と裏層を異なった繊度の線状体で構成することや、表層と裏層で異なった見掛け密度を持つ構造体で構成する等の構造体が挙げられる。多層化方法としては、網状構造体同士を積み重ねて側地等で固定する方法、加熱により溶融固着する方法、接着剤で接着させる方法、縫製やバンド等で拘束する方法等が挙げられる。
本発明の網状構造体を構成する連続線状体の断面形状は特に限定されないが、中空断面や異型断面とすることで好ましい抗圧縮性やタッチを付与することができる。
本発明の網状構造体は、性能を低下させない範囲で樹脂製造過程から成形体に加工し、製品化する任意の段階で防臭抗菌、消臭、防黴、着色、芳香、難燃、吸放湿等の機能付与を薬剤添加等の処理加工ができる。
本発明の網状構造体は、あらゆる形状に成型したものを含む。例えば、板状、三角柱、多角体、円柱、球状やこれらを多数含む構造体も含まれる。これらの成型方法は、押し出し時に規制板を用いて成型しても良いし、カット、熱プレスなどの公知な方法で行うことが出来る。
成型加工されたものは、自動車用、鉄道用の座席、あるいは椅子、ベッド、ソファー、布団等のクッション、あるいは枕等に用いることが出来る。
本発明の網状構造体の酸価は43meq/kg以下が好ましく、42meq/kg以下がより好ましく、40meq/kg以下がさらに好ましい。酸価が43meq/kgを超えると、溶融紡糸時の分子量低下が顕著となりメタノール抽出量が増える場合がある。なお、酸価の下限値は特に規定しないが、本発明で得られる網状構造体においては1meq/kg以上である。
本発明の網状構造体のメタノール抽出物は、低分子量の熱可塑性ポリエステル系エラストマー、滑剤、酸化防止剤などが主に抽出される。
そのため、適正な滑剤や酸化防止剤と適正な量の選定が必要である。基本的に、滑剤や酸化防止剤は熱可塑性ポリエステル系エラストマーとの相溶性が良好であり、単独としての分子量が高く遊離しにくいものが好ましい。滑剤や酸化防止剤を添加しない場合は
、分子量低下が顕著になったり、それ以外の工程通過生や品位の悪化を引き起こしたりする場合がある。しかしながら、必要以上に添加するとメタノール抽出量の増加に繋がる恐れがあるため、適正な添加量で管理することが好ましい。本発明において、適正な添加量とは、溶融押し出しの段階において滑剤や酸化防止剤を0.1重量%以上2.0重量%以下添加するのが好ましく、0.2重量%以上1.5重量%以下添加することがより好ましい。
本発明の網状構造体のメタノール抽出物の定量方法を以下に例示する。まず、試料を約5g採取し、冷凍粉砕を行う。続いて、粉砕した試料を40℃で1時間真空乾燥を行った後に秤量することで抽出前重量(a:単位はg)を得る。続いて、メタノールを溶媒としてソックスレー抽出を行う。このとき、抽出条件は90℃×4時間とする。4時間経過後、試料を取り出して試料を除去した状態でさらに1時間抽出を行う。続いて、ソックスレー抽出液を窒素で噴きつけた状態で105℃の温度にて3時間加熱して完全に乾固させ、乾固した試料を秤量することで抽出物重量(b:単位はg)を得る。最後に、抽出前重量と抽出物重量から次の式にてメタノール抽出量を算出する。

(メタノール抽出量)=(b)/(a)×100:単位は重量%(n=2の平均値)
本発明の網状構造体のメタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマーの定量方法を以下に例示する。まず、前段落の方法で得られたメタノール抽出物から所定量(b’:単位はg)を採取し、重クロロホルム/トリフルオロ酢酸=85/15(体積比)0.6mlに溶解し、内部標準物質を所定量(c:単位はg)加え、NMRチューブに充填し、1H−NMR測定((プロトン型核磁気共鳴分光測定))を行う。続いて、1H−NMRチャートから低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマーに由来するピークと内部標準物質に由来するピークを同定し、1H−NMR測定サンプル中の低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマーの重量(d:単位はg)を算出する。最後に、抽出前重量、抽出物重量、H−NMR測定サンプル中の低分子量の熱可塑性ポリエステル系エラストマー重量から次の式によって低分子量の熱可塑性ポリエステル系エラストマー量を算出する。

(低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量)={(d)×(b)/(b’)}/(a)×100:単位は重量%(n=2の平均値)
なお、1H−NMR測定に用いられるNMR装置としては、低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量を定量できるものであれば特に限定されるものではないが、ピーク分解能の観点から、プロトン共鳴周波数400MHz以上の能力を有する測定装置を用いることが好ましい。また、上記内部標準物質としては、低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量を定量できるものであれば特に限定されるものではないが、1H−NMRチャートで他の物質由来のピークと重ならないものを選定する方が好ましい。例えば、テレフタル酸、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコールで構成される熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる網状構造体の場合、大抵の場合、内部標準物質としてジブチルヒドロキシトルエンを使うことで低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量を定量することができるが、網状構造体にペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]が含まれる場合は、1H−NMRチャートでジブチルヒドロキシトルエン由来のピークとペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]由来のピークが重なるため、内部標準物質としてはイソフタル酸ジメチルを使う方が好ましい。
本発明の網状構造体のメタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量は1.5重量%以下であり、1.4重量%以下が好ましく、1.3重量%以下がより好ましい。メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.5重量パーセントを超えると、網状構造体の使用時のべたつき感や熱成型加工時の離型性の悪化などが増える場合がある。なお、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量の下限値は特に規定しないが、本発明で得られる網状構造体においては0.1重量%以上である。
本発明の網状構造体のメタノール抽出量は1.5重量%以下が好ましく、1.4重量%以下がより好ましく、1.3重量%以下がさらに好ましい。メタノール抽出量が1.5重量%を超えると、網状構造体の使用時のべたつき感や側地への色移り、熱成型加工時の離型性の悪化などが増える場合がある。なお、メタノール抽出量の下限値は特に規定しないが、本発明で得られる網状構造体においては0.1重量%以上である。
本発明の網状構造体は、酸価が43meq/kg以下、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量は1.5重量%以下となる特性を有している。メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量を上記範囲にすることで、べたつき感が少なく、熱成型加工時の離型性が良好な、網状構造体を得ることが出来る。これまで知られていた網状構造体と本発明の網状構造体との違いは、本発明の網状構造体では、酸価を小さくすることで、溶融加工時の分子量低下を起こしにくくし、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量を少なくしたことである。すなわち、これまで知られていた網状構造体は酸価が本発明で規定する量よりも多く、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が多くなる場合があったと考える。
本発明の網状構造体を構成する樹脂は、重量平均分子量が5万以上18万以下であり、分子量分布が8以下となる特性を有している。重量平均分子量と分子量分布を上記範囲にすることで、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が少なく、良好な品位を有する網状構造体がはじめて得られる。メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量を少なくし、良好な可紡性を有するためには、重量平均分子量が高く分子量分布ができるだけ狭い方が好ましい。重量平均分子量が小さい、または分子量分布が広い場合は、低分子量成分が多くなり、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が増加する場合がある。重量平均分子量が高いとメタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量は小さくなるが、可紡性が悪化する場合がある。これらのメタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量と可紡性を両立させるためには、本発明に規定した重量平均分子量と分子量分布にすることが望ましいと考える。
本発明の網状構造体を構成する連続線状体の繊維径は、繊維径が小さいとクッション材として使用する際に必要な硬度が保てなくなり、逆に繊維径が大きすぎると硬くなり過ぎてしまうため、適正な範囲に設定する必要がある。繊維径は0.1mm以上であり、0.2mm以上が好ましい。繊維径が0.1mm未満だと細すぎてしまい、緻密性やソフトな触感は良好となるが網状構造体として必要な硬度を確保することが困難である。また、繊維径は3.0mm以下であり、2.5mm以下が好ましい。繊維径が3.0mmを超えると網状構造体の硬度は十分に確保できるが、網状構造が粗くなり、他のクッション性能が劣る場合がある。
本発明の網状構造体の見かけ密度は、0.005g/cm3以上0.20g/cm3以下であり、0.01g/cm3以上0.18g/cm3以下が好ましく、0.02g/cm3以上0.15g/cm3以下がより好ましい。見かけ密度が0.005g/cm3より小さいとクッション材として使用する際に必要な硬度が保てなくなり、逆に0.20g/cm3を越えると硬くなり過ぎてしまいクッション材に不適なものとなる場合がある。
本発明の網状構造体の厚みは、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましい。厚みが10mm未満ではクッション材に使用すると薄すぎてしまい底付き感が出てしまう場合がある。厚みの上限は製造装置の関係から、300mm以下が好ましく、200mm以下がより好ましく、120mm以下がさらに好ましい。
かくして得られた本発明の網状構造体は、べたつきや成型加工性が良好なものである。例えばマットとして使用する際に、側地内に網状構造体を入れて使用することが多く見られるが、べたつきにより、作業性が著しく悪化し、品位を損なうことが生じるが、本願発明の範囲であれば、これらの問題を解決することが可能となる。
以下に、実施例を例示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。実施例中における特性値の測定及び評価は下記のように行った。なお、試料の大きさは以下に記載の大きさを標準とするが、試料が不足する場合は可能な大きさの試料サイズを用いて測定を行った。
(1)繊維径
試料を20cm×20cmの大きさに切断し、網状体からそれぞれ10箇所から線状体を約5mmの長さで採集する。採集した線状体の繊維径は、光学顕微鏡を適当な倍率で繊維径測定箇所にピントを合わせて測定する。(n=10の平均値)
(2)試料厚みおよび見かけ密度
試料を30cm×30cmの大きさに切断し、無荷重で24時間放置した後、高分子計器製FD−80N型測厚器にて4か所の高さを測定して平均値を試料厚みとする。試料重さは、上記試料を電子天秤に載せて計測する。また見掛け密度は、試料厚みから体積を求め、試料の重さを体積で除した値で示す。(それぞれn=4の平均値)
(3)融点(Tm)
TAインスツルメント社製 示差走査熱量計Q200を使用し、昇温速度20℃/分で測定した吸発熱曲線から吸熱ピーク(融解ピーク)温度を求めた。
(4)メタノール抽出量
試料を約5g採取し、冷凍粉砕を行った。粉砕した試料を40℃で1時間真空乾燥を行った後に秤量する(抽出前重量a:単位はg)。メタノールを溶媒としてソックスレー抽出を行った。抽出条件は90℃×4時間である。4時間経過後、試料を取り出して試料を除去した状態でさらに1時間抽出を行った。ソックスレー抽出液を窒素で噴きつけた状態で105℃にて3時間加熱して完全に乾固させ、乾固した試料の重量を秤量した(抽出物重量b:単位はg)。下記式にてメタノール抽出量を算出した。
(メタノール抽出量)=(b)/(a)×100:単位重量%(n=2の平均値)
(5)メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量
まず、上記(4)で得られたメタノール抽出物(乾固後の試料)を0.0100g採取し、重クロロホルム/トリフルオロ酢酸=85/15(体積比)0.6mlに溶解後、内部標準物質としてジブチルヒドロキシトルエンを0.0010g加え、NMRチューブに充填し1H−NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)を行った。尚、1H−NMR測定はBRUKER社製NMR装置AVANCE−500を用いて行った。また、ロック溶媒には重クロロホルムを用い、積算回数は128回、繰り返し時間は5秒とした。次に、1H−NMR測定によって得られたH−NMRチャートから、テレフタル酸由来、1,4−ブタンジオール由来、ポリテトラメチレングリコール由来、ジブチルヒドロキシトルエン由来のピークを同定した(クロロホルムのピークを7.27ppmとした時、7.9ppm〜8.3ppmに検出されるピークをテレフタル酸由来、2.0〜2.15ppmのピークを1,4−ブタンジオール由来、3.6〜3.8ppmのピークをポリテトラメチレングリコール由来、7.02ppmのピークをジブチルヒドロキシトルエン由来と同定した)。次に、テレフタル酸由来ピークの積分値(A)、1,4−ブタンジオール由来ピークの積分値(B)、ポリテトラメチレングリコール由来ピークの積分値(C)、ジブチルヒドロキシトルエン由来ピークの積分値(D)から、下記の式(α)を用いて、1H−NMR測定サンプル中の低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量(z:単位はg)を算出した。最後に、上記(4)の抽出前重量(a:単位はg)および抽出後重量(b:単位はg)とH−NMR測定サンプル中の低分子量の熱可塑性エラストマー量(d:単位はg)から、下記の式(ベータ)を用いて、低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量(Z:単位は重量%)を算出した(N=2の平均値)。

式(α):d=0.0010×(A×132/4+B×88/4+C×72/4)/(D×220/2)

式(β):Z={d×(b/0.0100)}/a×100
(6)酸価
樹脂の酸価の定量は共鳴周波数500MHzの1H−NMR測定(プロトン型核磁気共鳴分光測定)にて行った。測定装置はBRUKER社製NMR装置AVANCE−500を用い、測定液の調製方法は以下の通りに行った。
試料10〜20mgを重クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール=1/1(体積比)0.12mlに溶解後、重クロロホルム0.48mlを加え、よく撹拌した後、その溶液をNMRチューブに充填しH−NMR測定を行った。(測定i)。
測定i終了後の溶液に、トリエチルアミンの濃度が0.2mol/Lとなるよう調製した重クロロホルム溶液を25μL加え、再度、1H−NMR測定を行った(測定ii)。ロック溶媒はいずれも重クロロホルムを用い、積算回数は128回とした。
酸価定量は以下の通り実施した。クロロホルムのピークを7.27ppmとした時、測定i、iiの8ppmのピークがテレフタル酸(A)、2ppmのピークが1,4−ブタンジオール(B)、3.5ppmのピークがポリテトラメチレングリコール(C)のピークであり、測定iの7.87〜7.96ppmのピークがテレフタル酸のサテライトピーク(D)、測定iiの7.87〜7.96ppmのピークがテレフタル酸末端およびテレフタル酸のサテライトピーク(E)として算出した。括弧内のA〜Eを各ピークの積分値とし、酸価を下記式より求めた。
A/4×132 + B/4×88 + C/4×72 = (a)
酸価(eq/ton)=(E−D)/2×1000000/(a)
:単位meq/kg(n=2の平均値)。
(7)分子量および分子量分布
試料4mgを秤量し、0.4mlのクロロホルム/HFIP=3/2(v/v:容積比率)に溶解後、7.6mlのクロロホルムで希釈して試料溶液を調製した。0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、得られた試料溶液のGPC分析を以下の条件で実施した。
装置:TOSOH HLC−8320GPC、カラム:TSKgel SuperHM−H×2+TSKgel SuperH2000(TOSOH)、溶媒:クロロホルム/HFIP=98/2(v/v)、流速:0.6ml/min、濃度:0.05%、注入量:20μL、温度:40℃、検出器:UV(254nm)、分子量はポリスチレン換算で算出した。
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、Mw<1000とMn<1000を外して算出した(n=2の平均値)。分子量分布も上記と同様に1000以下を除いた重量平均分子量と数平均分子量を用いて、重量平均分子量を数平均分子量で除すことで算出した(n=2の平均値)。
(8)べたつき評価
5人のモニターに対して、網状体を素手で触った際の感覚を下記記載の4段階の点数で評価した。5人のモニターの平均点を評価点とした。
3点・・・べたつきを感じない。
2点・・・べたつきを少し感じるが、不快ではない。
1点・・・べたつきを感じ、少し不快に感じる。
0点・・・べたつきを感じ、不快に感じる。
なお、2点以上であれば、実使用として問題ない。
(9)離型性評価
170℃×6minの処理条件で、40cm角の座布団型にプレスした。10回のプレスを行い、プレス終了後の解放圧力解放時に、外力を加えることなく金型から製品が分離する回数を測定した。10回全て分離したものは◎、8〜9回、金型から分離したものは○、7回以下であったものは×とした。
[実施例1]
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、ジメチルテレフタレ−ト(DMT)と1,4−ブタンジオ−ル(1,4−BD)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)を添加して昇温減圧しつつ重縮合せしめポリエ−テルエステルブロック共重合エラストマ−を生成させ、次いで酸化防止剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥して得られた熱可塑性弾性樹脂原料の処方を表1に示す。
幅方向の幅1150mm、厚み方向の幅62mmのノズル有効面にオリフィスの形状は外径2mm、内径1.6mmでトリプルブリッジの中空形成性断面としたオリフィスを孔間ピッチ5mmの千鳥配列としたノズルに、得られたポリエステル系熱可塑性エラストマーA−1を溶融温度230℃にて、単孔吐出量3.2g/minの速度でノズル下方に吐出させ、スクリュー回転数は70rpm、Q/Nは73.1cm3/rev、配管内通過時間は1min、ノズル面27cm下に冷却水を配し、幅150cmのステンレス製エンドレスネットを平行に開口幅50mm間隔で一対の引取りコンベアを水面上に一部出るように配して、その水面上のコンベアネット上に、該溶融状態の吐出線状を曲がりくねらせル−プを形成して接触部分を融着させつつ3次元網状構造を形成し、該溶融状態の網状体の両面を引取りコンベアで挟み込みつつ1.2m/minの速度で冷却水中へ引込み、固化させることで厚み方向の両面をフラット化した後、所定の大きさに切断して110℃熱風にて15分間乾燥熱処理して、網状構造体を得た。
得られた熱可塑性弾性樹脂からなる網状構造体の特性を表2に示す。
得られた網状体は、断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率が36%、繊維径が1.2mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.074g/cm、表面が平坦化された厚みが49mm、酸価が42meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.1重量%、メタノール抽出量が1.2重量%、重量平均分子量が91000、分子量分布が3.5であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、べたつき感や離型性評価の結果が良好で、成型加工性に優れていた。
[実施例2]
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−1を用い、紡糸温度を220℃、単孔吐量を0.8g/min、スクリュー回転数を80rpm、Q/Nを16.0cm3/rev、配管内通過時間を4min、ノズル面−冷却水間の距離を29cm、引き取り速度を1.1m/minにした以外、実施例1と同様にして得た網状構造体は、断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率が34%、繊維径が0.7mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.020g/cm3、表面が平坦化された厚みが50mm、酸価が40meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が0.9重量%、メタノール抽出量が1.0重量%、平均分子量が93000、分子量分布が3.5であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、べたつき感や離型性評価の結果が良好で、成型加工性に優れていた。
[実施例3]
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−2を用い、紡糸温度を220℃、単孔吐量を1.3g/min、スクリュー回転数を70rpm、Q/Nを29.7cm3/rev、配管内通過時間を2min、引き取り速度を1.0m/minにした以外、実施例1と同様にして得た網状構造体は、断面形状が三角おむすび型の中空断面で中空率が27%、繊維径が0.7mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.036g/cm3、表面が平坦化された厚みが50mm、酸価が39meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が0.8重量%、メタノール抽出量が0.8重量%、平均分子量が124000、分子量分布が4.3であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、べたつき感や離型性評価の結果が良好で、成型加工性に優れていた。
[実施例4]
幅方向の幅190mm、厚み方向の幅46mmのノズル有効面にオリフィスの形状は外径0.8mmの円断面としたオリフィスを孔間ピッチ5mmの千鳥配列としたノズルを用い、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−2を用い、紡糸温度220℃、単孔吐量を1.7g/min、スクリュー回転数を80rpm、Q/Nを3.9cm3/rev、配管内通過時間を16min、ノズル面−冷却水距離を26cm、幅60cmのステンレス製エンドレスネットを平行に開口幅40mm、引き取り速度を0.9m/minにした以外、実施例1と同様にして得た網状構造体は、断面形状が円形で、繊維径が0.5mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.046g/cm3、表面が平坦化された厚みが39mm、酸価が43meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.1重量%、メタノール抽出量が1.4重量%、平均分子量が119000、分子量分布が4.1であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たし、べたつき感や離型性評価の結果が良好で、成型加工性に優れていた。
[比較例1]
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−1を用い、紡糸温度を230℃、単孔吐量を0.8g/min、Q/Nを1.8cm3/rev、配管内通過時間を34min、ノズル面−冷却水距離を29cm、引き取り速度を1.1m/minにした以外、実施例4と同様にして得た網状構造体は、断面形状が円形で、繊維径が0.4mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.018g/cm3、表面が平坦化された厚みが40mm、酸価が49meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.7重量%、メタノール抽出量が1.8重量%、平均分子量が82000、分子量分布が3.3であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たさないため、べたつき感と離型性評価の結果が好ましくなく、成型加工性に優れていないものであった。
[比較例2]
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−3を用い、紡糸温度を250℃、単孔吐量を1.2g/min、スクリュー回転数を90rpm、Q/Nを2.4cm3/rev、配管内通過時間を23min、引き取り速度を1.0m/minにした以外、実施例4と同様にして得た網状構造体は、断面形状が円形で、繊維径が0.7mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.029g/cm3、表面が平坦化された厚みが39mm、酸価が47meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.6重量%、メタノール抽出量が1.6重量%、平均分子量が182000、分子量分布が8.1であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たさないため、べたつき感と離型性評価の結果が好ましくなく、成型加工性に優れていないものであった。
[比較例3]
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしてA−2に紡糸時に滑剤としてエルカ酸アミドを0.6重量%になるように添加した以外、実施例4と同様にして得た網状構造体は、断面形状が円形で、繊維径が0.5mmの線条で形成しており、見かけ密度が0.046g/cm3、表面が平坦化された厚みが40mm、酸価が42meq/kg、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.6重量%、メタノール抽出量が1.7重量%、平均分子量が121000、分子量分布が4.3であった。得られた網状構造体の特性を表2に示す。得られた網状構造体は、本発明の要件を満たさないため、べたつき感と離型性評価の結果が好ましくなく、成型加工性に優れていないものであった。
本発明の網状構造体は、網状構造体が従来から有する快適な座り心地や通気性を損なわずに、従来品の課題であったべたつき感、熱成型加工性を改良したものであり、製品のべたつきが少なく、成型加工性が良好な、オフィスチェア、家具、ソファー、ベッド等寝具、電車・自動車・二輪車・ベビーカー・チャイルドシート等の車両用座席、フロアーマットや衝突や挟まれ防止部材等の衝撃吸収用のマット等に用いられるクッション材に好適な網状構造体を提供できるため、産業界に寄与すること大である。

Claims (5)

  1. ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる繊維径が0.1mm以上3.0mm以下の連続線状体を曲がりくねらせランダムループを形成し、夫々のループを互いに溶融状態で接触せしめた三次元ランダムループ接合構造体であって、見かけ密度が0.005g/cm3以上0.20g/cm3以下であり、メタノールによって抽出される低分子量のポリエステル系熱可塑性エラストマー量が1.5重量%以下である網状構造体。
  2. メタノールによる抽出量が1.5重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の網状構造体。
  3. 網状体の重量平均分子量が5万以上18万以下であり、分子量分布が8.0以下である請求項1または2に記載の網状構造体。
  4. 網状体の酸価が43meq/kg以下である請求項1〜3のいずれかに記載の網状構造体。
  5. 下記(1)で示されるQ/Nが、3以上200以下であり、下記(2)で示されるV/Qが、1以上30以下である請求項1〜4のいずれかに記載の網状体の製造方法。
    (1)単位吐出あたりのせん断(Q/N、単位 cm3/rev)
    Q:樹脂が、ノズルから出される1分間あたりの吐出量(cm3/min)
    N:Qを出すためのスクリュー回転数(rev/min)
    (2)配管内通過時間(V/Q、単位 min)
    V:エクストルーダーにより溶融、押し出された樹脂がエクストルーダーを出た後、配管を経由しノズルから吐出されるまでの全容積(cm3
    Q:樹脂が、ノズルから出される1分間あたりの吐出量(cm3/min)
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