JP2015214771A - 強化繊維基材の切断方法、繊維強化樹脂の製造方法、繊維強化樹脂の切断方法、プリフォームおよび繊維強化樹脂 - Google Patents

強化繊維基材の切断方法、繊維強化樹脂の製造方法、繊維強化樹脂の切断方法、プリフォームおよび繊維強化樹脂 Download PDF

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【課題】強化繊維基材に対する熱の影響を低減しつつ、高い寸法精度で強化繊維基材を切断する技術を提供する。【解決手段】炭素繊維等の強化繊維からなる糸を織り上げた強化繊維織布、あるいは、強化繊維織布を積層した積層材10からなる強化繊維基材にレーザビームLBを照射することにより、強化繊維基材を切断する。このとき、レーザビームLBは、強化繊維基材が切断される切断線20に複数回照射される。【選択図】図2

Description

この発明は、強化繊維基材および繊維強化樹脂を切断する技術に関し、特にレーザにより強化繊維基材および繊維強化樹脂を切断する技術に関する。
軽量で強度の高い素材として、炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)が注目されており、近年では、航空宇宙分野のみならず自動車分野等の他の産業分野においても利用が拡大しつつある。このようなCFRPは、プリプレグ/オートクレーブ法等の種々の方法で成型されるが、中でも、樹脂注入成形(RTM:Resin Transfer Molding)法は、生産性が高くコスト低減が容易で、かつ、複雑な形状への成形が容易な成型方法として期待されている。RTM法では、炭素繊維からなるプリフォームを成形型内に装入した後、成形型内のプリフォームにマトリックス樹脂を含浸し硬化させることにより、所望の形状のCFRPが形成される。
RTM法で使用されるプリフォームは、炭素繊維織布あるいは炭素繊維織布を積層した積層体からなる炭素繊維基材を、成形型の形状に合わせて切断することにより形成される。このプリフォームの形成に際して、炭素繊維基材を機械的に切断すると、切断部の炭素繊維の乱れが生じ、プリフォームの寸法精度が低下する虞がある。
プリフォームの寸法精度が低い場合、RTM法によりCFRPを形成するに際して、種々の問題が発生する。例えば、プリフォームが成形型より小さいと、成形型の中でプリフォームがずれるとともに、プリフォームと成形型との間の隙間において樹脂の流れが速くなり、成形品の中央部に樹脂が十分に浸透しない可能性がある。一方、プリフォームが成形型より大きいと、繊維配向が歪み、成形品の強度に影響を与えるとともに、樹脂の流れが乱される可能性がある。そこで、より高い寸法精度でプリフォームを形成するため、レーザにより炭素繊維基材を切断することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2011/114592号パンフレット
しかしながら、レーザにより炭素繊維基材を切断した場合、レーザの熱で分解したサイジング材による切断部の周囲の汚染や、レーザの熱による炭素繊維の黒鉛化等、炭素繊維基材に熱の影響が発生する虞がある。この問題は、炭素繊維基材を切断する場合に限らず、ガラス繊維織布およびその積層体や、アラミド繊維織布およびその積層体等の種々の強化繊維基材を切断する場合にも、同様に発生する虞がある。また、レーザによりCFRPを切断する場合においても、レーザの熱によりマトリックス材の樹脂が分解・変質し、切断部に損傷が発生する虞がある。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、切断対象である強化繊維基材あるいは繊維強化樹脂に対する熱の影響を低減しつつ、高い寸法精度で切断対象を切断する技術を提供することを目的とする。
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
強化繊維基材の切断方法であって、前記強化繊維基材が切断される切断線にレーザビームを複数回照射することによって前記強化繊維基材を切断するレーザビーム照射工程を含む、強化繊維基材の切断方法。
この適用例によれば、切断線にレーザビームを複数回照射することによって強化繊維基材を切断しているので、照射1回あたりのレーザビームの照射位置への熱の流入量を低減することができる。そのため、レーザの熱が強化繊維基材に与える影響を抑制することができる。また、レーザにより切断することで、より高い寸法精度で強化繊維基材を切断することが可能となる。
[適用例2]
前記レーザビーム照射工程は、前記切断線に沿って前記レーザビームを複数回走査することにより、前記切断線に前記レーザビームを複数回照射する、適用例1記載の強化繊維基材の切断方法
この適用例では、切断線へのレーザビームの照射をレーザビームの走査により行っているので、レーザビームの照射位置の移動速度を速くすることができる。そのため、レーザビームの出力をより高くして、強化繊維基材の切断に要する時間を短縮することができる。
[適用例3]
適用例1記載の強化繊維基材の切断方法であって、前記レーザビーム照射工程は、前記レーザビームの照射位置が、前記切断線上の切断点を含む線状領域を往復移動するように、前記レーザビームを走査する往復走査工程と、前記切断点を前記切断線に沿って移動させる切断点移動工程と、を含む、強化繊維基材の切断方法。
この適用例によれば、レーザビームの走査によりレーザビームの照射位置を往復移動させているので、レーザビームの照射位置の移動速度を速くすることができる。そのため、レーザビームの出力をより高くして、強化繊維基材の切断に要する時間を短縮することができる。また、切断点を移動させることにより、レーザビームの走査範囲よりも広い範囲で強化繊維基材を切断することが可能となる。
[適用例4]
ガルバノスキャナによって前記レーザビームの走査を行う、適用例2または3記載の強化繊維基材の切断方法。
ガルバノスキャナは、他の走査手段と比較してレーザビームの走査範囲を広くすることが容易である。そのため、ガルバノスキャナによってレーザビームを走査することにより、より広い範囲で強化繊維基材を切断することができる。また、ガルバノスキャナは、レーザビームを往復走査するのに適しているので、より容易にレーザビームの照射位置を往復移動させることができる。
[適用例5]
前記レーザビームは、パルスビームである、適用例1ないし4のいずれか記載の強化繊維基材の切断方法。
レーザビームをパルスビームとすることにより、レーザビームの出力を高くしても、レーザビーム照射位置への平均的な熱の流入量が低減される。そのため、強化繊維基材にレーザの熱が与える影響を、より効果的に抑制することができる。
[適用例6]
前記レーザビームの光源は、COレーザである、適用例1ないし5のいずれか記載の強化繊維基材の切断方法。
COレーザの波長は約10μmと長いため、強化繊維基材の熱吸収率は、より短い波長のレーザビームを照射する場合よりも高くなると考えられる。そのため、レーザビームの光源としてCOレーザを用いることにより、より切断速度を速くすることができる。
[適用例7]
繊維強化樹脂の切断方法であって、レーザビームの照射位置が、前記繊維強化樹脂が切断される切断線上の切断点を含む線状領域を往復移動するように、前記レーザビームを走査する往復走査工程と、前記切断点を前記切断線に沿って移動させる切断点移動工程と、を含む、繊維強化樹脂の切断方法。
この適用例によれば、切断線にレーザビームを複数回照射することによって繊維強化樹脂を切断しているので、照射1回あたりのレーザビームの照射位置への熱の流入量を低減することができる。そのため、レーザの熱が繊維強化樹脂に与える影響を抑制することができる。また、レーザにより切断することで、より高い寸法精度で繊維強化樹脂を切断することが可能となる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、強化繊維基材の切断方法、その方法で製造されたプリフォーム、その方法を用いた繊維強化樹脂の製造方法、その製造方法で製造された繊維強化樹脂、および、繊維強化樹脂の切断方法、等の態様で実現することができる。
第1実施形態を適用したCFRPの成形工程を示す工程図。 第1実施形態において、積層織布を切断する様子を示す説明図。 積層織布が切断されて、プリフォームが切り出される過程を示す説明図。 試験片にレーザビームを照射した際の切断状況を示す写真。 レーザビームを複数回照射して切断した際の切断部の外観を示す写真。 レーザビームの照射回数を変えて試験片を切断した際の切断部付近の外観を示す写真。 円形に切断した際の試験片の外観を示す写真。 第2実施形態において、積層織布を切断する様子を示す説明図。 連続発振するCOレーザを用いて切断した試験片の外観を示す写真。 パルス発振するCOレーザを用いて切断した試験片の外観を示す写真。 プリプレグ積層体を切断した際の切断面の外観を示す写真。
以下、本発明を実施するための形態を以下の順序で説明する。
A.第1実施形態:
A1.炭素繊維強化樹脂の成形:
A2.積層織布の切断:
A3.第1実施形態の実施例:
B.第2実施形態:
B1.積層織布の切断:
B2.第2実施形態の実施例:
C.第3実施形態:
C1.CFRPの切断:
C2.第3実施形態の実施例:
D.変形例:
A1.炭素繊維強化樹脂の成形:
図1は、第1実施形態を適用した炭素繊維強化樹脂(CFRP)の成形工程を示す工程図である。このCFRPの成形工程は、樹脂注入成形(RTM)法と呼ばれる。RTM法によるCFRPの成形工程では、まず、図1(a)に示すように、複数枚の炭素繊維織布を積層した積層織布10を切断線20において切断する。これにより、所望の形状(図1の例では、円形)に切断されたプリフォーム30が得られる。なお、積層織布10の切断方法については、後述する。
次いで、得られたプリフォーム30を、下部金型40の上に配置する(図1(b))。プリフォーム30を下部金型40の上に配置した後、図1(c)に示すように、下部金型40に上部金型50を載せて型締めを行う。その後、上部金型50に設けられた吸引孔52から真空引きを行うとともに、注入孔54から熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を注入して、熱硬化性樹脂をプリフォーム30に含浸させる。熱硬化性樹脂の含浸後、金型40,50を加熱することにより、熱硬化性樹脂が硬化して、金型40,50の形状が転写されたCFRP成形品32が形成される。形成されたCFRP成形品32を金型40,50から取り外すこと(離型)により、CFRP成形品32が得られる(図1(d))。
なお、図1の例では、RTM法によりCFRPの成形を行っているが、VaRTM法を用いてCFRPの成形を行うことも可能である。VaRTM法によるCFRPの成形工程では、まず、成形型の表面に配置されたプリフォームを覆うように、バッグフィルムを成形型に貼り付ける。次いで、バッグフィルムと成形型との間隙を真空引きするとともに、当該間隙に熱硬化性樹脂を注入し、熱硬化性樹脂をプリフォームに含浸させる。熱硬化性樹脂の含浸後、成形型、熱硬化性樹脂が含浸されたプリフォーム、および、バッグフィルムの全体を加熱することにより、熱硬化性樹脂が硬化し、CFRP成形品が得られる。
また、第1実施形態では、熱硬化性樹脂をプリフォームに含浸させた後、加熱することにより熱硬化性樹脂を硬化させてCFRP成形品を得ているが、熱可塑性樹脂をプリフォームに含浸させることにより繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)の成形品を製造することも可能である。この場合、樹脂の注入の前に金型40,50を加熱する。そして、樹脂を注入してプリフォームに樹脂を含浸させた後、金型40,50を冷却することによりCFRTP成形品を得ることができる。
A2.炭素繊維織布の切断:
図2は、第1実施形態において、切断装置60により積層織布10を切断する様子を示す説明図であり、図3は、積層織布10が切断されて、プリフォーム30(図1参照)が切り出される過程を示す説明図である。図3(a)は、切断を開始した時点における積層織布10の状態を示し、図3(b)および図3(c)は、切断をしている途中の時点における積層織布10の状態を示している。なお、図2および図3(c)は、同一時点における状態を示している。
切断装置60は、図示しないレーザ光源と、ガルバノスキャナ100と、X−Y方向に移動可能なテーブル210と、テーブル210上に固定され積層織布10が配置される受治具220と、を有している。第1実施形態においては、レーザ光源として、シングルモードファイバレーザを用いており、レーザビームLBとして、シングルモードファイバレーザをパルス発振させることにより射出されるパルスビームを用いている。受治具220は、積層織布10を切断する際に発生する熱がテーブル210に伝達されるのを抑制する。これにより、積層織布10からの熱の散逸による切断不良の発生と、散逸した熱によるテーブル210の損傷とが抑制される。なお、第1実施形態では、ガルバノスキャナ100と、積層織布10との位置関係を固定している。そのため、第1実施形態においては、X−Y方向に移動可能なテーブル210に換えて、X方向およびY方向の少なくとも一方向が固定されたテーブルを用いても良い。
ガルバノスキャナ100は、2つのガルバノミラー110,120と、f−θレンズ130と、を有している。ガルバノミラー110,120は、ミラー112,122と、ホルダ114,124と、シャフト116,126と、図示しない駆動部と、をそれぞれ有している。駆動部は、シャフト116,126をその軸(一点鎖線で示す)を中心として回転させる。シャフト116,126が回転することにより、ホルダ114,124を介してシャフト116,126に取り付けられたミラー112,122の反射面118,128の向きが変化する。このように、反射面118,128の向きを変えることにより、ガルバノスキャナ100に入射したレーザビームLBの方向が動的に変更(走査)される。2つのガルバノミラー110,120により走査されたレーザビームLBは、f−θレンズ130により、積層織布10上で収束され、レーザビームLBの微小なスポットSPが形成される。
切断の開始時点において、レーザ光源からレーザビームLBの射出が開始されると、図3(a)に示すように、積層織布10上にレーザビームLBのスポットSPが形成される。レーザビームLBが照射されているスポットSPは、ガルバノミラー110,120(図2)を駆動制御してレーザビームLBを走査することにより、矢印に示すように、破線で示す目標とする切断線(目標切断線)22に沿って移動する。レーザビームLBが照射されているスポットSPが移動することにより、目標切断線22の各点にはレーザビームLBが照射され、結果として目標切断線20の全体にレーザビームLBが照射されることになる。なお、以上の説明から明らかなように、スポットSPの移動方向は、目標切断線22に沿った方向であるので、切断方向ともいうことができる。
図3(b)は、スポットSPを目標切断線22に沿って移動させることにより、スポットSPが切断の開始時点(図3(a))の位置に回帰してきた状態を示している。第1実施形態においては、1回のレーザビームLBの照射では積層織布10が完全に切断されないように、レーザビームLBの出力(レーザ光源の出力)および走査速度(スポットSPの移動速度)を調整している。そのため、図3(b)に示す時点において、スポットSPが移動した経路24は、積層織布10が完全に切断されていない半切断状態となっている。なお、このようにスポットSPの移動経路24は、半切断状態の線状領域となるので、以下では、半切断線24と呼ぶ。
図3(b)に示すように、スポットSPが切断の開始時点(図3(a))の位置に回帰してきた後、さらにスポットSPを半切断線24に沿って移動させる。これにより、図3(c)に示す時点において、スポットSPが移動した経路26では、半切断線24において半切断状態となっていた積層織布10は、完全に切断される。なお、半切断線24に沿って移動したスポットSPの経路26は、積層織布10が完全に切断された線状領域となるので、以下では、全切断線26と呼ぶ。スポットSPが、再度、切断の開始時点(図3(a))におけるスポットSPの位置に回帰すると、全切断線26が閉じて、全切断線26の内外で積層織布10が分離され、円形のプリフォーム30(図1(a))が切り出される。なお、図3から明らかなように、目標切断線22、半切断線24および全切断線26は、いずれも同一の線状領域となるので、これらを切断線20と総称する。
図3の例では、スポットSPを切断線20に沿って2回移動させること、すなわち、レーザビームLBを2回照射することにより、積層織布10を完全に切断しているが、一般的には、レーザビームLBを切断線20に沿って複数回照射することにより、積層織布10を完全に切断すれば良い。このように、レーザビームLBを複数回照射して積層織布10を切断することにより、照射1回あたりのレーザビームLBの照射位置(スポットSPの位置)への熱の流入量を抑制することができるので、プリフォーム30に対する熱の影響を低減することができる。
なお、第1実施形態では、レーザビームLBの走査(すなわち、スポットSPの移動)に、ガルバノスキャナ100を用いている。これにより、スポットSPの径(10〜100μm)に対して十分に高い精度でスポットSPの位置を調整することが可能となっている。但し、ガルバノスキャナ100と同等以上の精度でスポットSPの位置を調整可能であれば、他の走査装置を用いることも可能である。このような走査装置としては、例えば、音響光学素子を使用した走査装置を用いることができる。但し、走査範囲を広くし、より大きなプリフォーム30を得ることが容易である点で、ガルバノスキャナを用いるのが好ましい。
また、第1実施形態では、レーザビームLBを走査して積層織布10上のスポットSPを移動させているが、スポットSPの位置を十分に高い精度で調整可能であれば、レーザビームLBを走査することなく、機械的にスポットSPを移動させるものとしても良い。この場合、テーブル210を移動させてもよく、積層織布10にレーザビームLBを直接照射する照射ヘッドを移動させても良い。但し、スポットSPの移動速度をより速くすることができるので、レーザビームLBの出力をより高くして、積層織布10の切断に要する時間を短縮することが可能である点で、レーザビームLBを走査するのが好ましい。また、一般的に、レーザビームLBを切断対象に直接照射する照射ヘッドにおいてレーザビームLBを収束させるレンズ(収束レンズ)の焦点距離は、走査装置の収束レンズの焦点距離よりも短い。このように、収束レンズの焦点距離が短くなると、Z方向の位置が変化した際のスポットSPの径の変化量が大きくなる。そのため、スポットSPの径の変化を抑制することができる点で、レーザビームLBの走査によりスポットSPの移動を行うのがより好ましい。
第1実施形態では、レーザ光源として、シングルモードファイバレーザを用いているが、マルチモードファイバレーザを用いることも可能である。但し、シングルモードファイバレーザを用いる方が、レーザビームLBをより細く絞ることができる点で、マルチモードファイバレーザを用いるよりも好ましい。さらに、レーザ光源としては、ファイバレーザのほか、COレーザ、YAGレーザ等の高出力のレーザビームLBを射出可能な種々のレーザ光源を使用することができる。なお、ファイバレーザは、他のレーザ光源よりも射出されるレーザビームを光ファイバ内に通すことが容易であり、光学系の取り回しが容易となる。そのため、機械的にスポットSPを移動させる場合には、ファイバレーザを用いるのが好ましい。
ファイバレーザ以外のレーザ光源では、積層織布10の熱吸収率が高い波長(約10μm)のレーザビームLBを射出可能なCOレーザを用いるのが好ましい。より好適には、レーザビームLBを細く絞ることで切断速度を速くすることができる、シングルモードでパルス発振が可能なCOレーザが使用される。このような、COレーザでは、パルス発振させることによりシングルモードで焦点のビーム径の小さなレーザビームLBが射出される。但し、一般的に、シングルモードでパルス発振が可能なCOレーザは、射出されるレーザビームLBの出力に限界があるため、厚肉(例えば、厚さが4mm以上)の積層織布10を切断するのは必ずしも容易ではない。そのため、シングルモードでパルス発振が可能なCOレーザは、薄肉(例えば、厚さが4mm未満)の積層織布10を高速切断するために用いるのが好ましい。
第1実施形態では、レーザビームLBとして、レーザ光源をパルス発振させることにより射出されるパルスビームを用いているが、レーザ光源を連続発振させることにより射出される連続ビームを用いても良い。但し、レーザビームLBの出力を高くしても、レーザビーム照射位置への平均的な熱の流入量が低減され、積層織布10にレーザの熱が与える影響をより効果的に抑制することができる点で、パルスビームを用いるのが好ましい。なお、薄肉(例えば、厚さが4mm未満)の積層織布10を切断する場合には、レーザビームLBの出力を低くすることが可能であるため、連続ビームを用いてもレーザビーム照射位置への平均的な熱の流入量を低減することができる。
A3.第1実施形態の実施例:
[試験片の準備]
第1実施形態の切断方法により切断した積層織布の状態を評価するため、切断対象の積層織布10(図1(a))に相当する試験片を準備した。具体的には、まず、積層織布(試験片)を構成する炭素繊維織布として、12000本の長い炭素繊維のフィラメントを束ねた糸を平織に織り上げた炭素繊維織布を準備した。準備した炭素繊維織布は、厚さが0.22mmで、重量が210g/mであった。次いで、準備した炭素繊維織布を複数枚積層して、試験片を得た。炭素繊維織布の積層枚数は、8枚および16枚とした。なお、以下では、炭素繊維織布の積層枚数を明示する場合、積層枚数が8枚の試験片を「8プライの試験片」と呼び、積層枚数が16枚の試験片を「16プライの試験片」と呼ぶ。
[レーザビームの照射回数と積層織布の切断状況]
レーザビームの照射回数と、積層織布の切断状況との関係を評価した。照射回数と切断状況との関係の評価は、16プライの試験片に、予め設定した回数だけレーザビームを直線状に照射し、レーザビーム照射後の試験片の外観を観察することによって行った。レーザ光源としては、シングルモードファイバレーザを用い、1500Hzのパルス周波数でパルス発振させた。また、レーザビームの出力は500Wとし、スポットの移動速度(レーザビームの走査速度)は750mm/minとした。
図4は、試験片にレーザビームを照射した際の切断状況を示す写真である。図4(a)ないし図4(c)は、それぞれ、レーザビームを1回ないし3回照射したときの試験片の側面外観を示す写真である。図4(a)ないし図4(c)において、矢印は、レーザビームの照射位置、すなわち、切断線(切断部)の位置を示している。
図4(a)に示すように、レーザビームを1回照射した試験片では、レーザビームの照射面(以下、単に「照射面」とも呼ぶ)側の表層部分のみしか切断されていなかった。また、図4(b)に示すように、レーザビームを2回照射した試験片においても、切断された領域は深くなったものの、試験片は完全には切断されなかった。一方、レーザビームを3回照射した試験片では、図4(c)に示すように、試験片は完全に切断された。なお、図4(a)ないし図4(c)では、矢印で示す切断部が毛羽立っているようにみえるが、この毛羽立ちは、側面の外観を観察した際に発生したものであり、切断したままの状態では、切断部に繊維の乱れは生じなかった。
[切断部の形態評価]
レーザビームを複数回照射して積層織布を切断した際の、切断部の形態を評価した。評価は、8プライの試験片に2回レーザビームを照射して試験片を切断した後、照射面と、切断部の断面(切断面)との外観を観察することにより行った。レーザ光源の種類とその発振条件、レーザビームの出力、および、レーザビームの走査速度は、照射回数と切断状況との関係を評価した際と同じである。
図5は、レーザビームを複数回照射して切断した際の切断部の外観を示す写真である。図5(a)および図5(b)は、それぞれ、照射面の外観、および、切断面の外観を示している。図5(a)から分かるように、切断部に繊維の乱れは生じなかった。また、試験片には、2回レーザビームを照射しているものの、切断幅の拡がりは見られず、ガルバノスキャナ100(図2)によるレーザビームLBの走査精度は、十分に高いことが確認できた。さらに、図5(b)に示すように、切断面では炭素繊維が密集し、切断部に繊維の乱れが生じていないことが確認できた。
[熱の影響の評価]
レーザビームを照射して切断した際の、積層織布に与えられる熱の影響を評価した。評価は、8プライの試験片を用いて、比較例としてレーザビームを1回照射して試験片を切断した場合と、実施例としてレーザビームを2回照射して試験片を切断した場合とで、切断部付近の照射面に現れる外観の変化を観察することにより行った。レーザ光源の種類とその発振条件、および、レーザビームの出力は、照射回数と切断状況との関係を評価した際と同一とした。レーザビームの走査速度は、レーザビームを1回照射して切断した際には、1回の照射で試験片が完全に切断できるように、400mm/minとした。一方、レーザビームを2回照射して切断した際には、照射回数と切断状況との関係を評価した際と同じ750mm/minとした。
図6は、レーザビームの照射回数を変えて試験片を切断した際の切断部付近の外観を示す写真である。図6(a)および図6(b)は、それぞれ、レーザビームを1回照射して切断した試験片(比較例)と、レーザビームを2回照射して切断した試験片(実施例)との切断部付近の照射面の外観を示している。図6(a)および図6(b)から分かるように、切断部の近傍で変色が見られる領域の拡がりは、レーザビームを1回照射して切断した比較例よりも、レーザビームを2回照射して切断した実施例の方が狭くなった。このことから、レーザビームを複数回照射して積層織布を切断することにより、プリフォームに対する熱の影響が低減されることを確認できた。
[レーザビームの複数回照射によるプリフォームの形成]
16プライの試験片にレーザビームを複数回照射することにより、プリフォームが形成できることを確認した。具体的には、直径が30mmの円形の切断線に沿って、レーザビームを3回照射し、試験片を円形に切断した。レーザ光源の種類とその発振条件、および、レーザビームの出力と走査速度は、照射回数と切断状況との関係を評価した際と同じである。
図7は、円形に切断した際の試験片の外観を示す写真である。図7(a)は、切断線の外側の外観を示し、図7(b)は、切断線の内側の外観を示している。図7(a)および図7(b)から分かるように、切断線の内外のいずれにおいても、切断部の形態は良好な状態であることが確認できた。また、ガルバノスキャナ100(図2)でレーザビームを走査することにより、高い寸法精度で積層織布を切断することが可能であることが確認できた。
このように、レーザビームを複数回照射して積層織布を切断することにより、切断対象の積層織布に対する熱の影響と、切断部の繊維の乱れを抑制としつつ、高い寸法精度で積層織布を切断することが可能であることが確認できた。また、ガルバノミラーを用いて、十分に高い精度でレーザビームを走査することにより、切断幅の拡がりを抑制することが可能であることが確認できた。
B1.炭素繊維織布の切断:
図8は、第2実施形態において、第1実施形態と同一の切断装置60により積層織布10を切断する様子を示す説明図である。第2実施形態は、切断線20aの形状が異なっている点と、テーブル210を移動させている点と、ガルバノスキャナ100によるレーザビームLBの走査態様が異なっている点とで、第1実施形態と異なっている。他の点は、第1実施形態と同じである。なお、図8では、図示の便宜上、閉じた切断線20aの一部分のみを図示している。
第2実施形態では、ガルバノスキャナ100のシャフト116,126を駆動制御してミラー112,122の少なくとも一方を回転振動させている。これにより、レーザビームLBの照射位置であるスポット(図示しない)は、切断線20a上の切断点CPを中心とし、切断線20aの接線方向(切断方向)に伸びる直線領域内で往復振動(往復移動)する。スポットを直線領域(以下、「往復領域」とも呼ぶ)内で往復振動させると、切断点CPの近傍ではレーザビームLBが複数回照射されるので、積層織布10が完全に切断される。そして、切断点CPが目標切断線22aに沿って移動するようにテーブル210を移動させると、切断点CPの移動した経路では、積層織布10が完全に切断されるので、全切断線26aが形成される。なお、第2実施形態では、スポットを直線状の往復領域内で往復振動させているが、往復領域は、切断点CPを含む線状領域であれば、直線状でなくとも良い。例えば、切断点CP近傍における切断線20aの一部分を往復領域とすることも可能である。また、切断点CPは、往復領域内に位置していればよく、必ずしも往復領域の中間点である必要はない。
第2実施形態では、往復領域内におけるスポットをガルバノスキャナ100により往復振動させている。そのため、往復振動の半周期分だけレーザビームLBを照射した場合、すなわち、レーザビームLBを1回照射した場合に、積層織布10が切断されない程度までスポットの移動速度を速くすることができる。このように、1回のレーザビームLBの照射では積層織布10が切断されない程度までスポットの移動速度を速くすることにより、スポットSPの位置、すなわち、レーザビームLBの照射位置への熱の流入量を抑制することができるので、プリフォームへの熱の影響を低減することができる。
このように、第2実施形態においても、レーザビームLBを複数回照射して積層織布10を切断している。そのため、レーザビームLBの照射位置への熱の流入量を抑制することができるので、プリフォームに対する熱の影響を低減することができる。また、第2実施形態においても、レーザビームLBにより積層織布10を切断しているので、高い寸法精度で積層織布10を切断することが可能となる。
第2実施形態では、切断点CPを、テーブル210を移動させることにより移動させている。一般に、テーブル210等の機械的移動装置の移動範囲は、ガルバノスキャナ100等の走査装置によるレーザビームLBの走査範囲よりも広い。そのため、第2実施形態は、より広い範囲にレーザビームLBを照射して、より大きなプリフォームを切り出すことができる点で第1実施形態よりも好ましい。一方、第1実施形態は、ガルバノスキャナ100によるレーザビームLBの走査のみでプリフォームを切り出すことができるので、制御がより容易となる点で、第2実施形態よりも好ましい。
なお、第2実施形態においても、ガルバノスキャナ100に換えて、音響光学素子を使用した走査装置等の種々の走査装置を用いてレーザビームLBを走査しても良い。但し、ガルバノスキャナ100は、その構造部の構造上、所定の方向(原点方向)を中心として往復走査することが容易にできる。そのため、レーザビームLBの走査は、ガルバノスキャナ100を用いて行うのが好ましい。また、第2実施形態では、切断点CPを移動させるためにテーブル210を移動させているが、テーブル210を移動させる代わりに、ガルバノスキャナ100を移動させるものとしても良い。
B2.第2実施形態の実施例:
[切断した積層織布の状態評価]
第2実施形態の切断方法で切断した積層織布の状態を評価した。評価では、第1実施形態の実施例と同様にして準備した8プライの試験片(積層織布)を、直線状に切断した。レーザビームLB(図8)の光源としては、連続発振するCOレーザを用い、レーザビームLBの出力を250Wに調整した。そして、試験片を5mm/sで一方向に移動させるとともに、ガルバノスキャナ100により、レーザビームLBのスポットを試験片の移動方向に沿って振幅10mm、振動数1Hzで往復振動させた。また、比較のため、スポットを往復振動させずに試験片を切断した。
図9は、連続発振するCOレーザを用いて切断した試験片の外観を示す写真である。図9(a)は、切断部近傍における照射面の外観を示している。図9(b)および図9(c)は、それぞれ、スポットを往復振動させなかった場合(振動無)と、スポットを往復振動させた場合(振動有)とにおける切断部の側面の外観を示している。図9(a)から分かるように、切断部の近傍で変色が見られる領域の拡がりは、スポットを往復振動させなかった場合よりも、スポットを往復振動させた場合の方が狭くなった。このことから、スポットを往復振動させることにより、プリフォームに対する熱の影響が低減されることが確認できた。また、図9(b)および図9(c)から分かるように、スポットを往復振動させた場合においても、スポットを往復振動させなかった場合と同様に、完全に試験片を切断できることが確認できた。
図10は、パルス発振するCOレーザを用いて切断した試験片の外観を示す写真である。図10(a)は、切断部近傍における照射面の外観を示し、図10(b)は、切断部の側面の外観を示している。図10に示す試験片の切断条件は、COレーザをパルス発振させている点と、レーザビームの出力を500Wとした点で、図9に示す試験片の切断条件と異なっている。他の点は、図9に示す試験片の切断条件と同じである。なお、COレーザのパルス発振条件は、パルス周波数を1500Hzとし、パルス幅を0.2μsとした。
図10(a)から分かるように、切断部の近傍で変色が見られる領域の拡がりは、スポットを往復振動させなかった場合よりも、スポットを往復振動させた場合の方が狭くなった。このことから、スポットを往復振動させることにより、プリフォームに対する熱の影響を低減されることが確認できた。また、往復振動の有無にかかわらず、COレーザをパルス発振させることにより、連続発振させた場合よりも、変色領域の拡がりが狭く、プリフォームに対する熱の影響をより低減できることが分かった。これは、レーザビームをパルスとしたために、レーザビームの出力が高いにもかかわらず、平均的な熱の流入量が低減されたためと考えられる。また、図10(b)から分かるように、スポットを往復振動させた場合においても、スポットを往復振動させなかった場合と同様に、完全に試験片を切断できることが確認できた。
C1.CFRPの切断:
第3実施形態は、積層織布10(図8)の代わりにCFRPを切断する点で第2実施形態と異なっている。他の点は、第2実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。第3実施形態においても、スポットを往復振動させて、1回のレーザビームLBの照射ではCFRPが切断されない程度までスポットの移動速度を速くすることにより、スポットSPの位置、すなわち、レーザビームLBの照射位置への熱の流入量を抑制することができるので、CFRPへの熱の影響を低減することができる。
また、第3実施形態における切断の対象は、炭素繊維を強化繊維として用い、マトリックス材として熱硬化性樹脂を用いたCFRPに限らず、種々の繊維強化樹脂としても良い。本発明は、例えば、炭素繊維を強化繊維として用い、マトリックス材として熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)、ガラス繊維を強化繊維として用い、マトリックス材として熱硬化性あるいは熱可塑性を用いたガラス繊維強化樹脂、および、アラミド繊維を強化繊維として用い、マトリックス材として熱硬化性あるいは熱可塑性を用いたアラミド繊維強化樹脂の切断に適用することも可能である。
C2.第3実施形態の実施例:
[試験片の準備]
第3実施形態の切断方法により切断したCFRPの状態を評価するため、切断対象のCFRPに相当する試験片を準備した。具体的には、まず、厚さが0.2mmの炭素繊維が一方向に配列されたプリプレグを準備した。次いで、準備したプリプレグを、隣接するプリプレグの炭素繊維方向が互いに異なるように8枚積層して、疑似等方的なプリプレグの積層体(プリプレグ積層体)を得た。そして、得られたプリプレグ積層体を、厚さが0.2mmのアルミ板で挟み込むことにより、試験片を得た。
[熱の影響の評価]
レーザビームを照射して切断した際の、熱の影響を評価した。評価は、比較例としてレーザビームをスポットを往復振動させずに切断した場合と、スポットを往復振動させて切断した場合とで、試験片の切断面に現れる外観の変化を観察することにより行った。レーザ光源としては、連続発振するシングルモードファイバレーザを用い、レーザビームの出力を250Wに調整した。そして、試験片を10mm/sで一方向に移動させるとともに、ガルバノスキャナにより、レーザビームのスポットを試験片の移動方向に沿って振幅10mm、振動数1Hzで往復振動させた。また、比較のため、スポットを往復振動させずに試験片を切断した。
図11は、試験片(プリプレグ積層体)を切断した際の切断面の外観を示す写真である。図11(a)および図11(b)は、それぞれ、比較例としてスポットを往復振動させずに(振動無)切断した試験片と、実施例としてスポットを往復振動させて(振動有)切断した試験片との切断面の外観を示している。図11(a)および図11(b)から分かるように、スポットの往復振動の有無にかかわらず、レーザビームの照射によりプリプレグ積層体は完全に切断された。一方、矢印で示す熱影響部の大きさは、スポットを往復振動させることにより小さくなった。このことから、スポットを往復振動させることにより、プリプレグ積層体(CFRP)に対する熱の影響が低減されることが確認できた。
このように、第3実施形態では、スポットを往復振動させることにより、レーザビームの照射位置への熱の流入量が抑制されるので、レーザビームを照射して切断する際の、切断対象であるCFRPに対する熱の影響を低減することができる。また、第3実施形態においても、レーザビームによりCFRPを切断しているので、高い寸法精度でCFRPを切断することが可能となる。
D.変形例:
なお、本発明は上記各実施形態や各実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
第1および第2実施形態では、閉じた切断線20,20a(図2および図8)に沿って積層織布10(図1)を切断することによりプリフォームを切り出している。しかしながら、本発明は、プリフォームを得るために閉じた切断線20,20aに沿って切断する場合に限らず、積層織布を切断する場合一般に適用可能である。本発明は、例えば、積層織布の不要部分を除去するために、その周辺部の一部を切断する場合や、3次元的な形状を形成しやすくするためのプリフォーム中に切れ目を入れる場合、さらに、プリフォームを切り出すための積層織布を準備する際に、当該積層織布を予め適当な大きさに切断する場合等、種々の場合に適用することが可能である。
D2.変形例2:
第1および第2実施形態では、切断対象を複数枚の炭素繊維織布を積層した積層織布10(図1)としているが、切断対象は、この限りでない。第1および第2実施形態は、例えば、積層していない炭素繊維織布や、ガラス繊維の糸を織り上げたガラス繊維織布およびその積層体や、アラミド繊維の糸を織り上げたアラミド繊維織布およびその積層体等の、種々の強化繊維基材の切断に適用することも可能である。
10…積層織布
20,20a…切断線
22,22a…目標切断線
24…半切断線
26,26a…全切断線
30…プリフォーム
32…CFRP成形品
40…下部金型
50…上部金型
52…吸引孔
54…注入孔
60…切断装置
100…ガルバノスキャナ
110,120…ガルバノミラー
112,122…ミラー
114,124…ホルダ
116,126…シャフト
118,128…反射面
130…f−θレンズ
210…テーブル
220…受治具
CP…切断点
LB…レーザビーム
SP…スポット

Claims (10)

  1. 強化繊維基材の切断方法であって、
    前記強化繊維基材が切断される切断線にレーザビームを複数回照射することによって前記強化繊維基材を切断するレーザビーム照射工程を含む、
    強化繊維基材の切断方法。
  2. 前記レーザビーム照射工程は、前記切断線に沿って前記レーザビームを複数回走査することにより、前記切断線に前記レーザビームを複数回照射する、請求項1記載の強化繊維基材の切断方法
  3. 請求項1記載の強化繊維基材の切断方法であって、
    前記レーザビーム照射工程は、
    前記レーザビームの照射位置が、前記切断線上の切断点を含む線状領域を往復移動するように、前記レーザビームを走査する往復走査工程と、
    前記切断点を前記切断線に沿って移動させる切断点移動工程と、
    を含む、
    強化繊維基材の切断方法。
  4. ガルバノスキャナによって前記レーザビームの走査を行う、請求項2または3記載の強化繊維基材の切断方法。
  5. 前記レーザビームは、パルスビームである、請求項1ないし4のいずれか記載の強化繊維基材の切断方法。
  6. 前記レーザビームの光源は、COレーザである、請求項1ないし5のいずれか記載の強化繊維基材の切断方法。
  7. 繊維強化樹脂の製造方法であって、
    請求項1ないし6のいずれか記載の方法により前記強化繊維基材を切断して、プリフォームを形成する工程と、
    前記プリフォームに樹脂を含浸させる工程と、
    を含む、
    繊維強化樹脂の製造方法。
  8. 請求項1ないし6のいずれか記載の方法により前記強化繊維基材を切断して得られ、繊維強化樹脂の補強材として利用されるプリフォーム。
  9. 請求項8記載のプリフォームと、マトリックス材としての樹脂と、を有する繊維強化樹脂。
  10. 繊維強化樹脂の切断方法であって、
    レーザビームの照射位置が、前記繊維強化樹脂が切断される切断線上の切断点を含む線状領域を往復移動するように、前記レーザビームを走査する往復走査工程と、
    前記切断点を前記切断線に沿って移動させる切断点移動工程と、
    を含む、
    繊維強化樹脂の切断方法。
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