JP2015214072A - 高い撥水撥油性を有する複合材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】疵に対しても高い撥水撥油性を維持し、長期にわたってその機能を維持できる金属材料を提供する。【解決手段】微細孔を有する金属材料の表面に、有機分子中間層を介して、ふっ素系潤滑剤層を有した複合材料であって、前記微細孔の孔径が10 nm以上300 nm以下および孔長が100 nm以上であり、かつ前記有機分子中間層が、金属材料表面の吸着水を十分に除去した上で、フルオロアルキル鎖またはアルキル鎖を有し、一方の末端にホスホン酸もしくはりん酸の官能基をもつ吸着性有機分子の、りん系官能基と微細孔を有する金属材料の表面とが反応して形成される層であって、かつ前記ふっ素系潤滑剤層がパーフルオロアルキルエーテルまたはパーフルオロアルキルアミンまたはパーフルオロカーボンであることを特徴とする複合材料。【選択図】図2

Description

本発明は、高い撥水撥油性を長期にわたって持続し、さらに外的損傷により表面に疵が生じても、その機能を維持できる複合材料およびその製造方法に関する。
材料表面の高機能化技術の一つとして、材料表面の人工的な撥水撥油化技術がある。固体表面に撥水撥油性を付与できれば、例えば、自動車のボディや建築物の外壁であれば雨水や泥水の付着を防ぐことによる汚れや水垢の抑制、窓ガラスであれば防曇効果による視認性の向上、衣料であれば防水や防汚、標識やアンテナであれば着氷や着雪防止、携帯電話等のタッチパネルであれば指紋付着防止といった効果が期待できる。
固体表面への濡れ性は、一般的に固体表面の化学的因子(表面張力)と幾何学的因子(表面粗さ)に依存する。撥水撥油表面を作製するには、まず、固体の表面張力を小さくすることが必要となる。その上で、固体表面に凹凸構造を付与することで、さらに撥水撥油性を高めることが可能となる。例えば、非特許文献1では、ポリエチレンテレフタレート(PTFE)をコーティングすることにより、撥水撥油性を付与した事例が開示されている。非特許文献2では、平滑なガラス表面に表面張力の小さな吸着性の有機アルキル分子を化学吸着させることで撥水撥油化した例が開示されている。非特許文献3では、シリコン基板を異方性イオンエッチングすることで、表面にリエントラント(再陥没)構造と呼ばれる形状を構築し、さらにその表面を吸着性のふっ素系有機アルキル分子で化学吸着させることで撥水撥油化する例が開示されている。非特許文献1および2は化学的因子(表面張力)の効果で、非特許文献3は化学的因子(表面張力)と幾何学的因子(表面粗さ)の双方の効果を最大限に活用することを目的に提案されたものである。これらに対し非特許文献4では、エポキシ樹脂に予め粗面化したシリコン基板の表面構造を転写することで、図1のように模式される柱状の構造体(幅300 nm、高さ500 nmもしくは5 μm)が、1〜2 μm程度の間隔で並んだ凹凸構造を付与した上で、吸着性有機分子であるふっ素系有機アルキル分子を凹凸構造の基材表面に化学結合させて有機分子中間層を形成し、さらに、粘性のある液状のふっ素系潤滑剤を塗布した構造により、撥水撥油性能を発現させる方法が提案されている。この提案では、表面形状(幾何学的因子)は流動性を持つふっ素系潤滑剤層を基材表面に保持する役割を担い、さらに基材表面にふっ素系の有機アルキル分子を化学結合させた有機分子中間層を形成していることで、分子間引力によってふっ素系潤滑剤の基材表面からの流出を抑制する。高い撥水撥油性能は化学的因子のみによって発現を狙ったものであり、ふっ化炭素鎖由来の小さな表面張力と、液体由来の分子の振動による効果により、従来にない高い撥水撥油性能に加え、外的損傷により表面に疵が生じても、疵部にふっ素系潤滑剤が流れ込み、撥水撥油性能を維持の自己修復性が発現されることが開示されている。
里川孝臣監修、「最新フッ素ポリマーコーティング加工技術」、エポテック株式会社、平成元年4月発行 P. E. Hintze, L. M. Calle, Electrochim. Acta, 51, (2006), 1761. A. Tuteja, W. Choi, M. L. Ma, J. M. Mabry, G. H. McKinley, R. E. Cohen, Proc. Natl. Acad. Sci., U. S. A., 105, (2008), 18200. T. Wong, S. H. Kang, S. K. Y. Tang, E. J. Smythe, B. D. Hatton, A. Grinthal, J. Aizenberg, Nature, 477, (2011), 443-447.
しかしながら、非特許文献1〜4で紹介されている事例は、いずれも撥水撥油性能が不足していたり、長期にわたって撥水撥油性能を維持する持続性が十分でなかったり、外的損傷により表面に疵が生じた場合の、撥水撥油性の自己修復性能が満足できるレベルではなかった。
例えば、非特許文献1では、ポリエチレンテレフタレート(PTFE)は、撥水性能は期待できても、撥油性能が低い場合が多く、また成膜時に生成するピンホールによって、ポリエチレンテレフタレート(PTFE)と基材金属板との密着性が低下し剥離することがわかっている。非特許文献2では、化学結合を導入し基材とコーティング層の密着力を確保しこのような問題を解決しており、非特許文献3では、さらにその撥水撥油性能を強化すべく基材表面に凹凸構造を導入しているが、その撥水撥油性能は基材表面に化学結合によって固定された有機アルキル分子に依存するため、外的損傷により表面に疵が生じた場合に撥水撥油性能を自己修復する機能が担保されていないため、その性能が低下することは避けられなかった。非特許文献4は、高い撥水撥油性能とそれを維持できる自己修復機能を発現するものであるが、基材の凹凸構造が大きいため、基材表面に保持された流動性のあるふっ素系潤滑剤層を、有機分子中間層によって保持する機能が十分に高くなく、長期にわたり安定して撥水撥油性能を示す持続性が十分ではなかった。
以上のように、高い撥水撥油性と自己修復性を発現させる目的で、非特許文献4のような、凹凸表面を有する基材と、流動性のある液状のふっ素系潤滑剤層と、それらを結びつける有機分子中間層とで構成される構造が好ましく提案もされていたが、さらにこの機能の持続性が高い金属板を得るためには、図1のように模式される柱状の構造体(幅300 nm、高さ500 nmもしくは5 μm)が、1〜2 μmの間隔で並んだ凹凸構造を付与した構造を、図2のように10〜300 nm程度の凹凸構造にさらに微細化して、機能を発現できる十分な量のふっ素系潤滑剤を基材表面に保持する機能を高めることが解決の一手段であると推測されたが、金属基板表面をそのような微細孔構造に加工し、上記のような有機分子中間層をその上に形成被覆し、更にその上にふっ素系潤滑剤層を形成させる実現可能な具体的な方法を見いだすことは難しく、業界の開発は、ふっ素系潤滑剤層を最表層に保持した表面の特性を利用した着氷防止などの応用検討や、異なる基板材料での効果発現に関する検討に進んでいった。
高い撥水撥油性や自己修復性の持続性を高めるには、基材の微細孔構造に有機分子中間層を形成する技術の確立が解決の一手段と推測されていたにも関わらず、実現可能な具体的な方法が提案されていなかった理由について本発明者が検討したところ、金属板表面の細孔を微細化すると、有機分子中間層を形成する吸着性有機分子が微細孔内に侵入しづらくなり、実質的に細孔内部に有機分子中間層が形成されにくいことにあることがわかった。その結果、有機分子中間層の上に形成されるふっ素系潤滑剤が十分に細孔内に浸透しないため、自己修復性や持続性が向上させられなかった。
細孔内部に有機分子中間層を形成しにくい理由について、本発明者が詳細に検討したところ、吸着性有機分子と基材との化学吸着により有機分子中間層を形成する際の、吸着性有機分子の自己縮合が原因であることを見出した。有機分子中間層の形成に用いられる吸着性有機分子は、微量の水分により加水分解し、金属材料や金属酸化物表面の水酸基と脱水縮合することで吸着するが、加水分解した吸着性有機分子同士もまた、自己縮合して重合体を形成する。そのため、吸着性有機分子は、単分子では微細孔内に侵入できる大きさであっても、重合体になると微細孔内に侵入できず、微細孔外に凝集物として析出してしまうため、微細孔内に有機分子中間層を形成することが難しい。このような理由から、有機分子中間層を介して、ふっ素系潤滑剤層を保持した微細孔を有する金属材料を作製するには、非特許文献4のような凹凸サイズの表面構造に限られていた。
そこで、本発明者は、この課題に解決には、吸着性有機分子の自己縮合を抑制し、重合体の形成を低減することが重要になると考え、鋭意検討した結果、吸着性有機分子として一般的に用いられる有機シランでは重合体を形成しやすいが、りん酸やホスホン酸のような、りん系の官能基を含む吸着性有機分子を用いると自己縮合が発生しづらい傾向にあることを見出した。
しかし、りん系官能基を有する吸着性有機分子により有機分子中間層を形成するだけでは凝集を防ぎきることはできず、さらに自己縮合を引き起こす要因となる金属材料表面の吸着水を取り除くことが重要であることを見出した。金属や金属酸化物材料の表面には吸着水が存在するが、微細孔を有する金属材料では、微細孔内にも吸着水が存在するためその量は平滑な表面に比べて多く、この吸着水が吸着性有機分子の加水分解を促し、結果として重合体の形成や凝集物としての析出を促すと考えられる。金属材料表面の吸着水を除去し、かつ、りん系の官能基を含む吸着性有機分子を有機分子中間層の形成に用いることで、吸着性有機分子の自己縮合による凝集体の生成が抑制され、さらに微細孔内にも有機分子中間層を形成でき、ふっ素系潤滑剤を微細孔内にも保持させられることを見出した。以上の手段により、本発明者は当業者が成し得なかった課題を解決し、本発明に至った。
また、自己修復性や持続性を発現させるための特定の微細孔の孔径範囲、孔長、多孔度が存在することなどを見出した。
本発明の趣旨とするところは以下の通りである。
(1)微細孔を有する金属材料の表面に、有機分子中間層を介して、ふっ素系潤滑剤層を有した複合材料であって、前記微細孔の孔径が10 nm以上300 nm以下および孔長が100 nm以上であり、かつ前記有機分子中間層が、フルオロアルキル鎖またはアルキル鎖を有し、一方の末端にホスホン酸もしくはりん酸の官能基をもつ吸着性有機分子の、りん系官能基と微細孔を有する金属材料の表面とが反応して形成される層であって、かつ前記ふっ素系潤滑剤層がパーフルオロアルキルエーテルまたはパーフルオロアルキルアミンまたはパーフルオロカーボンであることを特徴とする複合材料。
(2)前記微細孔の孔長が1 μm以上50 μm以下である請求項1に記載の複合材料。
(3)前記微細孔を有する金属材料の多孔度が10%以上40%以下である請求項1〜2に記載の複合材料。
(4)前記有機分子中間層を形成する吸着性有機分子が、ホスホン酸またはりん酸を官能基とする炭素数6以上のフルオロアルキル鎖を有する請求項1〜3のいずれかに記載の複合材料。
(5)金属材料表面に微細孔を形成し、大気もしくは乾燥ガス雰囲気下で、100℃以上300℃以下で加熱乾燥することで前記金属材料表面の水分を除去した後、りん系官能基を有するアルキル分子またはフルオロアルキル分子を、りん系官能基を介して前記金属材料表面に有機分子中間層を形成させ、さらにパーフルオロアルキルエーテルまたはパーフルオロアルキルアミンまたはパーフルオロアルキルカーボンからなるふっ素系潤滑剤を前記金属材料にコーティングした複合材料の製造方法。
本発明によれば、疵に対しても高い撥水撥油性を維持し、長期にわたって濡れ性を維持する自己修復性能に優れた金属材料を提供することが可能となる。
先行技術の模式図を示す。 本発明の模式図を示す。 微細孔を有する表面に有機分子中間層を形成した金属材料の外観写真(凝集物による白色の模様あり)を示す。 微細孔を有する表面に有機分子中間層を形成した金属材料の外観写真(凝集物による白色の模様なし)を示す。
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明は、有機分子中間層を介して、ふっ素系潤滑剤層を保持した微細孔を有する金属材料であり、高い撥水撥油性を長期にわたって持続し、さらに外的損傷により表面に疵が生じても、その機能を維持できる特長を持つ。
<金属材料>
本発明の金属材料には、表面に微細な細孔構造を形成できる金属材料であれば使用できる。特に限定するものではないが、例としては市販されている一般的な金属材料として、JIS G 3141等に規定される冷延鋼板、SUS304、SUS430等のステンレス鋼板、JIS H 4000等のアルミニウム及びアルミニウム合金板、JIS H 4600等のチタン板をあげることができる。特に鉄鋼材料やアルミニウムやチタンであれば陽極酸化(ポーラス化成)を利用して微細な細孔構造を形成できるため好ましい。
<有機分子中間層>
本発明における有機分子中間層は、ふっ素系潤滑剤層との親和力を高めることで、外部から液滴がふっ素系潤滑剤層上に接触した際も、液滴よりもふっ素系潤滑剤層がより優先して有機分子中間層を介して基材表面に濡れることにより、ふっ素系潤滑剤層の流出を防ぐ役割を果たす。その際、有機分子中間層の表面張力が小さく、基材表面の凹凸構造に対応して高密度に形成されているほど、ふっ素系潤滑剤層は安定して基材表面に保持されやすい。これは表面張力が小さいほど、付着する液滴よりもふっ素系潤滑剤層との親和性が高まり、さらに有機分子中間層が基材表面を均一に被覆していることで、基材表面の表面張力の影響を受けにくくなるためである。そのため、本発明の金属板の有機分子中間層は、フルオロアルキル鎖またはアルキル鎖を主鎖とし、一方の末端にりん系官能基を有する直鎖または分岐鎖状(枝状)分子が、微細孔を有する金属材料の表面とりん系官能基を介し化学結合して形成される層である。
有機分子中間層は、金属材料の表面や金属材料表面に形成された微細孔の内部においても吸着性有機分子を高密度に結合させることが好ましいため、有機分子中間層を形成する吸着性有機分子は、金属板表面と結合する前に自己縮合しにくく、凝集しにくい性質の化合物が好ましい。この観点で金属材料と結合する吸着性有機分子の官能基は、りん酸やホスホン酸などのりん系官能基である。りん系官能基であれば、金属板表面と結合する前の自己縮合や凝集を避けやすくなる。また、りん系官能基であれば、金属材料表面の水酸基と脱水縮合反応により、共有結合によって固定化できる。このような結合は物理結合に比べて強固であり、ふっ素系潤滑剤層を微細構造内およびその表面に安定して保持できる。りん系官能基以外では有機シランが一般的であるが、有機シランは水との反応性が高く、分子同士が自己縮合しやすいので、凝縮物となりやすい。そのため、微細孔を有する構造体では、細孔内を均一に被覆することができず、細孔上に凝縮物として析出しやすく、疵に対する自己修復作用や持続性が得られない。
また本発明の有機分子中間層は、分子間相互作用によりふっ素系潤滑剤層を微細孔内および金属材料表面に保持する役割を担うため、吸着性有機分子の主鎖はふっ素系潤滑剤との親和性が高いフルオロアルキル鎖またはアルキル鎖である。主鎖のアルキル鎖の炭素数は、特に制限されるものではないが、6以上が好ましい。6未満では、有機分子鎖長に対する親水性のりん系官能基の占める割合が大きくなるため、表面張力が増大し、ふっ素系潤滑剤層の保持力が弱まる傾向が増大するため好ましくない。また、有機分子中間層とふっ素系潤滑剤層との分子間相互作用は、吸着性有機分子の表面張力が小さいほど高められるため、吸着性有機分子のりん系官能基の反対側の片末端は、トリフルオロメチル基、メチル基を有していることが好ましい。トリフルオロメチル基(CF3-)の表面張力は、6 mN m-1であり、メチル基(CH3-)の表面張力は22 mN m-1である。また、-CF2-CF2-の表面張力は、18 mN m-1であり、-CH2-CH2-の表面張力は31 mN m-1である。よって、より好ましい吸着性有機分子は、りん系官能基を有し、その反対側の片末端がトリフルオロメチル基(CF3-)で、フルオロアルキル鎖(-CF2-CF2-)からなる有機ふっ素分子である、パーフルオロアルキルホスホン酸(ポリフルオロアルキルホスホン酸)やパーフルオロアルキルりん酸(ポリフルオロアルキルりん酸)があげられる。例えば、具体的に示すとすれば以下のような化合物が例示される。1H,1H',2H,2H'-Perfluorododecyl-1-phosphonic acid、1H,1H',2H,2H'-Perfluorodecyl-1-phosphonic acid、1H,1H',2H,2H'-Perfluorooctyl-1-phosphonic acid、1H,1H',2H,2H'-perfluorododecyl phosphate、1H,1H',2H,2H'-perfluorodecylphosphate、1H,1H',2H,2H'-perfluorooctyl phosphate、n-Octadecylphosphonic acid、n-Tetradecylphosphonic acid、n-Dodecylphosphonic acid、n-Decylphosphonic acid、n-Octylphosphonic acid、n-Hexylphosphonic acid、Octadecyl dihydrogen phosphate、Tetradecyl dihydrogen phosphate、Mono-n-dodecyl phosphate、Decyl hydrogen phosphate、Octyl dihydrogen phosphate、Hexyl dihydrogen phosphate。
<ふっ素系潤滑剤層>
本発明におけるふっ素系潤滑剤層は、有機分子中間層を有する金属材料表面に保持され、外部から接触する液滴に対し、高い撥水撥油性を持続して示すだけでなく、基材表面に疵が生じた際も、疵部にふっ素系潤滑剤が浸透して、撥水・撥油性を維持することが必要となる。その実現に求められる特性として、ふっ素系潤滑剤層は低表面張力である必要がある。外部から接触する液滴との撥水撥油性は、潤滑剤層の表面張力が小さいほど高まる。また、ふっ素系潤滑剤層は粘性のある液体であることで、最表面は平滑かつ分子レベルで振動できるため、部位に寄らない均一な濡れと、高い撥水撥油性が可能となる。また、流動性を有するため、疵が生じても疵部に浸透すること、自己修復性も可能となる。ただし、ふっ素系潤滑剤は接触する液滴と混ざらないことも求められる。これらの特性を満たすものとして、本発明におけるふっ素系潤滑剤層は、フルオロカーボンを主成分とした揮発性の低い、液状のパーフルオロアルキルエーテルやパーフルオロアルキルアミン、パーフルオロカーボンである。これらであれば基材に付着する液滴と混ざることがなく、低表面張力の有機分子中間層によって基材表面にも保持される。さらに粘性のある液体であることで、疵に対する自己修復性を実現するだけでなく、分子レベルでの振動により、付着した液滴との親和力を小さくすることで高い撥水撥油性が得られる。
ふっ素系潤滑剤は、一般に分子量が高くなると揮発性は低下するが、粘性は高まり、逆に分子量が低下すると揮発性は上昇するが、粘性は低くなる。パーフルオロアルキルエーテルやパーフルオロアルキルアミンのような本発明におけるパーフルオロアルキル化合物においては、平均分子量は500以上11000以下が好ましい。500未満では揮発性が高く、持続性が不十分な傾向があり、11000超では粘度が高くなり、外的損傷により疵が生じた際、疵部へ浸透しにくく、自己修復性が弱い傾向が見られるためである。このとき、ふっ素系潤滑剤の揮発速度としては、特に限定されるものではないが、上述のパーフルオロアルキルエーテルのような一般的なふっ素系潤滑剤の場合、微細孔上に有機分子中間層を介して、ふっ素系潤滑剤層を保持した金属材料を、電気炉中で大気開放下、66℃で1時間保持した時の、蒸発前後でのふっ素系潤滑剤層の蒸発減量が50 g m-2以下が好ましい。これは、例えばASTM規格であれば、ASTM D972-02(2003)における66℃での22時間あたりのふっ素系潤滑剤の蒸発減量が、重量比で約2%以下に相当する。
基材表面に疵が生じると、疵部の微細孔構造および有機分子中間層の構造は破壊されるが、疵部近傍に保持されたふっ素系潤滑剤が疵部へ浸透し、疵部表面を覆うことで、自己修復性が発現する。ふっ素系潤滑剤としては、例えば、DuPont社製Krytox(R)(GPL 100, 101, 102, 103, 104)、3M社製FluorinertTM(FC-70, 43, 40)が好適なものとして例示される。
<微細孔構造の孔径>
本発明の金属板に形成する微細孔構造の平均孔径は、微細孔内に形成した有機分子中間層による孔内のふっ素系潤滑剤層の保持力に影響する。孔径が大きすぎると、微細孔表面に形成した有機分子中間層のふっ素系潤滑剤への分子間力が小さくなり、ふっ素系潤滑材の散逸が増大する傾向がある。一方、孔径が小さい場合、有機分子中間層によるふっ素系潤滑剤層の拘束力が高まり、ふっ素系潤滑剤層の十分な効果が得られない。本発明の平均孔径は、10 nm以上300 nm以下である。
10 nm未満では、分子間相互作用により有機分子中間層に拘束されるふっ素系潤滑剤の割合が多くなりふっ素系潤滑剤の運動性が損なわれやすくなり、外的損傷により表面に疵が生じた際の自己修復性が十分に得られない傾向がある。また、本発明によっても有機分子中間層を均一に形成することが難しい。300 nm超では、分子間相互作用により有機分子中間層によって拘束されるふっ素系潤滑剤の割合が少なくなり、ふっ素系潤滑剤の細孔内からの散逸が多くなり、撥水撥油性を安定して維持することが難しくなる。より好ましくは、50 nm以上200 nm以下である。この範囲であれば、分子間相互作用により有機分子中間層による拘束力と、ふっ素系潤滑剤の流動性を保つことができるため、撥水撥油性能を持続して発現すると同時に外的損傷により疵が生じても、その機能を維持させることができる。ここで平均孔径とは、微細孔構造の表面SEM(走査型電子顕微鏡)観察において、任意の視野で観察された10個以上の孔について測定された孔径の平均値を意味する。
<微細孔構造の多孔度>
本発明の金属板に形成する微細孔構造における平均多孔度は、金属板の見かけの面積あたりに占める微細孔の面積率(%)であるが、金属材料上に保持するふっ素系潤滑剤量に影響する。すなわち、微細孔構造の孔長が好ましい範囲にある場合、多孔度が大きいほど、基材表面に保持されるふっ素系潤滑剤量は増大させることができる。そのため、本発明の平均多孔度は、10%以上40%以下が好ましい。この範囲であれば、微細孔構造の強度を保持した上で、幾何学的因子に起因する表面粗さによるふっ素系潤滑剤層の保持力の向上効果が得られる。10%未満では金属板の平滑部の占める割合が大きいため、疵に対する自己修復性も低くなる傾向となり、本発明を実現できる許容値を下回る。一方、40%超では実質的に微細構造の形成が難しくなるほか、細孔構造体の強度も低下する。例えば、陽極酸化で微細孔構造を形成する場合、細孔は最密充填配列するが、40%を超えると細孔同士が結合したり、細孔壁が欠けたりするため、機械的耐久性が低くなる。より好ましくは、20%以上30%以下である。この範囲であれば、基材の強度を高いレベルで保つことができるうえ、工業的に作りやすい。ここで、平均多孔度とは、微細孔構造の表面SEM(走査型電子顕微鏡)観察において、任意の10視野で測定された、1視野あたりの金属板平面に占める細孔の面積率(空隙率)の平均値である。
<微細孔構造の孔長>
本発明の金属板に形成する微細孔構造の平均孔長は、基材表面に生じる疵に対する微細孔構造の維持、および、ふっ素系潤滑剤の保持量に影響する。すなわち、孔長が大きければ、外的要因により金属材料表面に疵が生じても、疵部の下に微細孔構造が残存する可能性が高まり、また、自己修復性を維持するのに必要なふっ素系潤滑剤を供給することができる。一方、孔長が小さすぎると、疵により有機分子中間層を有する微細孔構造が失われ、下地の金属材料が露出してしまうため、自己修復性の効果が低下する。本発明の平均孔長は、100 nm以上50 μm以下である。
100 nm未満では、疵に対する微細孔構造の損傷が大きく、また、孔内に保持できるふっ素系潤滑剤量も多くないため、自己修復性が不十分となる。50 μm超では、孔長を大きくすることによる撥水撥油性能や自己修復性についての向上効果が飽和してくるため、経済的ではない。より好ましくは、1 μm以上50 μm以下である。この範囲であれば、疵に対する高い自己修復性と長期安定性を維持しつつ経済性も両立できる。本発明の平均孔長とは、微細孔構造の断面SEM(走査型電子顕微鏡)観察において、任意の視野で観察された20個以上の孔について測定された孔長の平均値を意味する。
<微細孔の形成方法>
微細孔の形成方法は、特に限定されるものではなく、金属材料表面に上述の微細孔構造が形成できるような手法であれば、ドライプロセスやウェットプロセス、また、トップダウンプロセスやボトムアッププロセスを問わない。これらの例としては、陽極酸化(ポーラス化成)、フォトリソグラフィー、イオンエッチング、化学エッチング、電解エッチング等があげられる。また、金属材料表面に自然酸化皮膜をはじめとする金属酸化物や金属水酸化物を表面に有した金属材料や、微細孔構造の形成過程で表面に金属酸化物や金属水酸化物が生成するものも、本発明に含まれる。
<水分の除去方法>
本発明では、微細孔構造を有する金属材料表面に有機分子中間層を形成する際、基材表面の水分除去が必須となる。水分が微細孔内をはじめ基材表面に残存していると、吸着性有機分子の自己縮合が促進され、凝集体が基材表面上に形成されるだけでなく、微細孔内の均一な有機分子中間層の形成が阻害される。また、表面に水和酸化物が形成した金属材料の場合、加熱などにより水分が離脱し、吸着性有機分子が凝集体を形成する要因となることもある。
水分を除去する方法は、特に限定されないが、加熱、減圧、湿度の制御があげられる。例えば、電気炉で加熱する場合、加熱温度は100℃以上300℃以下が好ましい。この温度であれば、基板表面上の水分は蒸発し、また基材への影響もない。加熱時間は、1時間以上が好ましい。100℃未満では、吸着水は蒸発するが、その速度は遅く、長時間の保持が必要となり、経済的でない。300℃超では、陽極酸化により形成した微細孔構造では、熱酸化によって一部でクラックが生じたりすることがある。加えて、減圧化や乾燥空気下で加熱することも、脱水を促進する手段となる。加熱以外では、真空乾燥機による減圧、酸素プラズマ洗浄、オゾンプラズマ洗浄、真空紫外光照射で微細孔内の表面吸着水を除去する手法があげられる。プラズマ洗浄や真空紫外光を用いる手法であれば、表面の水分を除去できるだけでなく、表面に付着する有機物の分解や表面水酸基が生成するため、より均一な有機分子中間層の形成において有利である。
<有機分子中間層の形成方法>
有機分子中間層の形成方法は、特に限定されるものではないが、液相法と気相法の二つがある。例えば、液相法では、吸着性有機分子が溶解した有機溶媒中に、基材を浸漬して形成することができる。さらに浸漬後に、未反応の吸着性有機分子と基材を反応させるため、加熱することもある。一方、気相法では、例えば、密閉容器中に吸着性有機分子と金属基材を入れ、一定時間加熱することで、気化した吸着性有機分子を基材と反応させる手法がある。液相法、気相法のいずれも、基材表面の水酸基と吸着性有機分子が反応し、吸着性有機分子が基材表面に自己組織化することで有機分子層が形成する。このとき、形成する有機分子膜は、水分の影響を受けやすい。これは吸着性の有機分子が微量の水によって加水分解し、吸着性有機分子同士が自己縮合してしまうためであり、均一な有機分子中間層を形成するためには、金属材料の水分除去のみならず、液相法では脱水した有機溶媒を用いたり、気相法であれば密閉容器内を低湿度に保持したりするなど、反応場中の水分量が制御された条件で行うことが望ましい。微細孔構造表面に有機分子中間層を形成するまでの水分管理が重要となる。
<ふっ素系潤滑剤層の形成方法>
ふっ素系潤滑剤層の形成方法は、特に限定されるものではないが、有機分子中間層を形成した微細孔構造表面にふっ素系潤滑剤を塗布することで、基材表面に担持すれば良い。有機分子中間層により金属材料表面の表面張力が低下していれば、ふっ素系潤滑剤は毛管現象により容易に微細孔構造表面に浸透させることができる。基材表面全体に塗布する方法としては、例えば、ふっ素系潤滑剤の基板上への滴下や、ふっ素系潤滑剤中への金属材料の浸漬といった手法をはじめ、バーコーター、ロールコーター、刷毛を使った手法などがあげられる。ふっ素系潤滑剤の粘度が高く、基材表面全体にわたって潤滑剤を浸透させにくい場合は、減圧することで微細孔内へふっ素系潤滑剤の浸透を促進することも有効となる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
<金属板の種類>
金属材料としては、アルミニウム板(純度99.99%、300 μm厚)、チタン板(純度99.5%、500 μm厚)、鉄板(純度99.99%、200 μm厚)、ステンレス鋼板(SUS304、SUS430、50 μm厚)を、アセトン中で超音波脱脂処理を施した後、使用した。
<微細孔構造の作製方法>
金属材料表面への微細孔の形成は、陽極酸化(ポーラス化成)または電解エッチングにより行い、対極(陰極)には白金板を用いた。
アルミニウム板は、陽極酸化の場合、15℃の0.3 mol dm-3しゅう酸水溶液中もしくは15℃の0.3 mol dm-3りん酸水溶液中、10−200 Vの範囲で定電圧電解を行い、基材表面に酸化物の微細孔構造を形成した。その後、30℃の5 wt% りん酸水溶液中に、金属材料を浸漬して化学溶解することで、孔径を制御した。また、電解エッチングの場合、80℃の塩酸(0.23 mol dm-3)および硫酸(1.88 mol dm-3)およびアルミニウムイオン(0.37 mol dm-3)の混合溶液中、0.2 A cm-2の定電流電解を行い、基材表面に微細孔構造を形成した。
チタン板は、160℃の0.6 mol dm-3りん酸水素カリウムと0.2 mol dm-3りん酸カリウムを含むグリセリン溶液中、3−120 Vの範囲で定電位電解した。
鉄板は、20℃の0.1 mol dm-3のふっ化アンモニウムを含むエチレングリコール溶液中、0.1−0.5 mol dm-3の範囲で水を添加し、10−150 Vの範囲で定電位電解を行った。
ステンレス鋼板は、0.1 mol dm-3ふっ化アンモニウムを含むエチレングリコール溶液中、0.1−0.5 mol dm-3の範囲で水を添加し、10−150 V範囲で定電位電解した。
電解したアルミニウム板、チタン板、鉄板、ステンレス鋼板は、直ちに試料を水洗し、乾燥させた。
<細孔径、細孔長、多孔度の判定>
微細孔構造の細孔径、細孔長、多孔度の測定は走査型電子顕微鏡(JEOL社、JSM-6500F)観察により行い、1000倍〜5万倍の表面あるいは断面観察において測定した。陽極酸化により形成した微細孔構造の細孔径は、表面SEM観察において、任意の視野で観察された20個以上の孔についてnm単位で測定した孔径の平均値を算出した。細孔長は、断面SEM観察において、任意の視野で観察された20個以上の孔についてnm単位で測定した細孔長の平均値を算出し、1桁目を四捨五入して求めた。多孔度は、表面SEM観察において、任意の10視野で測定された、1視野あたりの微細孔の占有面積の平均値から算出した。電解エッチングにより形成した微細孔構造の細孔径は、表面SEM観察において、任意の視野で観察された100個以上の孔についてnm単位で測定した孔径の平均値を算出した。細孔長は、断面SEM観察において、任意の視野で観察された100個以上の孔についてnm単位で測定した細孔長の平均値を算出し、1桁目を四捨五入して求めた。多孔度は、表面SEM観察において、任意の10視野で測定された、1視野あたりの微細孔の占有面積の平均値から算出した。
<基板の水分除去>
微細孔構造を形成した金属材料は、水分除去のため、大気中もしくは窒素(露点-70℃以下、流量5 L/min)雰囲気中、80、100、200、300、350℃で1時間加熱した。
あるいは、プラズマクリーナー(Harrick Plasma製、PDC-32G)を用いて、1時間以上、真空下に保持した後、5分間プラズマ洗浄を行った。
<有機分子中間層の形成>
有機分子中間層の形成は、吸着性有機分子を溶解した脱水エタノール溶液中に、金属材料を一日間浸漬することで形成した。吸着性有機分子にはn-dodecylphosphonic acid、1H,1H',2H,2H'-perfluorodecyl-1-phosphonic acid、1H,1H',2H,2H'-perfluorodecyl phosphate、1H,1H',2H,2H'-perfluorododecyl-1-phosphonic acidを用い、それぞれを1 wt%の濃度で脱水エタノール溶液中に溶解させた。浸漬後は脱水エタノールで洗浄し、温風乾燥した。また、比較のため、同様に加熱乾燥処理した金属材料をn-octyltriethoxysilaneを1 wt%溶解したヘキサン溶液中にも一日間浸漬した。浸漬後、ヘキサンで洗浄した後、乾燥炉中150℃で一時間加熱処理し、残存する溶媒を除去した。
<ふっ素系潤滑剤層の形成>
ふっ素系潤滑剤層には、市販のふっ素系溶剤であるDuPont社製 Krytox100、Krytox103もしくは、3M社製Fluorinert FC-70、FC-43を用いた。ふっ素系潤滑剤は、マイクロピペットで有機分子中間層を形成した微細孔構造を有する金属材料表面に微量滴下したのち、刷毛で試料全面に塗り拡げた。
<吸着性有機分子の自己縮合による凝集体の析出について>
有機分子中間層の形成において、吸着性有機分子の自己縮合による凝集体の析出について調査するため、評価試験1を行った。凝集物が析出している場合、有機分子中間層を形成した金属材料表面に白色の模様が生じることがわかっており、微細孔を有する金属材料の水分除去の有無、および吸着性有機分子の種類が、有機分子中間層の形成に及ぼす影響について評価した(表1)。その結果、有機分子中間層を形成する吸着性有機分子が有機シランの場合、微細孔を有する金属材料表面に化学吸着しても、表面に白色模様が認められ、有機シラン分子の凝集物が金属材料上に生成した(実験No.1-7)。また、吸着性有機分子が有機ホスホン酸の場合であっても、適切な基板の乾燥処理を行わなかった場合、表面の一部で白色の模様が確認された(実験No.8-14)(図3)。一方、微細孔を形成した金属材料を乾燥窒素雰囲気中もしくは大気中100-300℃で加熱乾燥により水分除去を行うと、吸着性有機分子を形成しても、目視観察では白色模様の発生は見られなかった(実験No.15-21、25-30、34-36)(図4)。ただし、加熱温度が100℃未満の場合においては白色の模様が見られたり、300℃を超える場合においては皮膜にクラックの発生が認められることがあった。(実験No.22-24、31-33)。また、加熱乾燥による水分除去だけでなく、プラズマ洗浄により微細孔を有する基材を処理しても、有機分子中間層を形成した際、表面に白色模様は確認されなかった(実験No.37-39)。ただし、プラズマ洗浄による表面水酸基の生成効果ついては、本評価試験では確認できなかった。以上のことから、吸着性有機分子にりん系官能基を有する有機アルキル分子を用い、かつ、微細孔を有する金属材料を適切に乾燥処理すれば、凝集物の発生を抑制して有機分子中間層を形成できることがわかった。
<自己修復性および持続性について>
表2は、評価試験1により有機分子中間層が凝集することなく形成できる条件で有機分子中間層を形成し、さらにふっ素系潤滑剤層を形成した金属材料について、自己修復性および持続性を評価するため、評価試験2〜4を行った結果を示したものである。ここで、評価試験2は、微細孔上に有機分子中間層を介して、ふっ素系潤滑剤層を保持した金属材料にカッターナイフで切り込み疵を入れたときの自己修復性を確認するためのものであり、自己修復性が発現すれば、疵部にもふっ素系潤滑剤が浸透することで撥水撥油性は維持される。評価試験3は、評価試験2と同様に自己修復性を確認するものであるが、摩耗試験により疵部の面積を大きくすることで、評価試験2よりもさらに厳しい条件で自己修復性について調査したものである。また、評価試験4は撥水撥油効果の持続性を確認するため、高温の水中に金属材料を浸漬させたときの、ふっ素系潤滑剤層の散逸および蒸発について調査したものである。
表2より、微細孔の孔径が10 nm以上300 nm以下および孔長が100 nm以上である場合、評価試験2〜4に対する評点はいずれも2以上となった(実験No.41-42, 44-47)。特に、微細孔構造の孔径が50 nm以上300 nm以下のとき、評価試験2の水滴に対して、評点は3となった。ただし、孔径が50 nm以上であっても、孔長が100 nm以下のとき、評価試験3および4に対して、いずれも評点は1となった(実験No.43)。また、孔径が10 nm以下の場合も評価試験3および4は評点1となり(実験No.40)、300 nm超の場合は、評価試験2および3は評点2以上であったが、評価試験4では、油滴に対して評点1となった(実験No.48)。この傾向は、微細孔構造を陽極酸化ではなく電解エッチングにて形成した場合(実験No.49)、金属基材が鉄系金属やチタンの場合も、同様の傾向が見られた(実験No.50-61)。ふっ素系潤滑剤は、パーフルオロアミンやパーフルオロカーボン、粘度・揮発性の異なるパーフルオロエーテルにおいても自己修復性や持続性が確認された(実験No.62-70)。
また、孔長が1 μmを超えるとき、評価試験2の評点は4以上となり、さらに多孔度も10%以上40%以下であるとき、評価試験3における水滴に対する評点が4以上となった(実験No.71-77)。これは多孔度が適正範囲にあり、孔長が増大することで、基材表面でのふっ素系潤滑剤の保持量が増えたことと、疵が生じても、その下部に微細孔が残存していることにより、高い自己修復性を示したためと推定される。
また、多孔度が10%以上40%以下で孔長が1 μm未満のとき、評価試験2、および評価試験3における水滴に対する評点が3以上となった(実験No.79-82)。さらに、多孔度が20%以上30%以下のとき、評価試験3における菜種油に対する評点は3以上となり、多孔度が10%未満40%超である場合に比べて、評価試験3での評点が高かった(実験No.80-81)。この多孔度の範囲では、基材の強度を保ちつつ、基材上のふっ素系潤滑剤の量が多くなることで、疵部へのふっ素系潤滑剤の染み出しによる補修が容易に行われたためと推定される。
<有機分子中間層を形成する吸着性有機分子について>
表3は、有機分子中間層を形成する吸着性有機分子に、ふっ素化した有機ホスホン酸またはりん酸を用いた場合の結果について示したものである。有機分子中間層がふっ素化していることで、評価試験4における評点が4以上となった(実験No.84-92)。これは、ふっ素系潤滑剤層に対する物理的な相互作用が増すことで、ふっ素系潤滑剤の保持力が増したためと考えられる。また、ふっ素系潤滑剤層を形成するふっ素系潤滑剤が、より揮発性の低いパーフルオロアルキルエーテルであるとき、評価試験4における評点はいずれも5となった。これは、ふっ素系潤滑剤の散逸や蒸発による損失が減少したためと考えられる。
<評価試験1の方法と判定方法>(表1)
評価試験1は、有機分子中間層の形成において、吸着性有機分子の自己縮合による凝集体の析出について調査したものである。凝集物が析出している場合、有機分子中間層を形成した金属材料表面に白色の模様が生じることから、微細孔を有する金属材料の水分除去の有無、および吸着性有機分子の種類による影響について調査した。凝集物の析出有無については、有機分子中間層の形成した金属材料表面を目視で観察することで評価した。評点3を合格とした。
評点3:基材表面に斑状の模様の発生なし
評点2:基材表面に斑状の模様が一部で発生
評点1:基材表面に斑状の模様がほぼ全面で発生
<評価試験2の方法と判定方法>(表2, 3)
評価試験2は、孔長が1 μm以上50 μm以下である微細孔上に有機分子中間層を介して、ふっ素系潤滑剤層を保持した金属材料の自己修復性を確認するため、切り込み疵を入れたときの撥水撥油性について調査したものである。評価試験2は、金属材料表面に、カッターナイフで1 mm角の間隔、切り込み深さ約0.001 mmから0.005 mmの範囲で格子状の切り込みを入れた後、切り込み上に、水または菜種油をマイクロピペットで10 μL滴下した。その後、接触角計(協和界面化学株式会社、DM-301)を用いて、金属材料を水平方向に対して1度ずつ傾け、液滴が金属材料表面上を動き始めるときの角度を測定し、作製した材料の撥水撥油性能の自己修復性について評価した。評点2以上を合格とした。
評点5:5°以下
評点4:5°超、10°以下
評点3:10°超、20°以下
評点2:20°超、45°以下
評点1:45°超
<評価試験3の方法と判定方法>(表2, 3)
評価試験3は、多孔度が10%以上40%以下である微細孔上に有機分子中間層を介して、ふっ素系潤滑剤層を保持した金属材料の自己修復性を確認するため、摺動試験により疵部の面積を大きくすることで、評価試験2よりもさらに厳しい条件で自己修復性について調査したものである。評価試験3は、金属材料表面に、摩耗試験機(CSM社、TRB-S-DU-0000)を用いて、SUS304ボール、ボールサイズ6 mmφ、荷重1 N、移動距離5 m、10 mm s-1の速度で500秒間往復動させて金属材料表面を摩耗させた後、摩耗部に水または菜種油をマイクロピペットで10 μL滴下した。その後、接触角計(協和界面化学株式会社、DM-301)を用いて、金属材料を水平方向に対して1度ずつ傾け、液滴が金属材料表面上を動き始めるときの角度を測定し、作製した材料の撥水撥油性能の自己修復性について評価した。評点2以上を合格とした。
評点5:5°以下
評点4:5°超、10°以下
評点3:10°超、20°以下
評点2:20°超、45°以下
評点1:45°超
<評価試験4の方法と判定方法>(表2, 3)
評価試験4は、微細孔上に、種々の材料の有機分子中間層を介して、ふっ素系潤滑剤層を保持した金属材料の持続性を確認するため、高温水中に浸漬させたときの撥水撥油性を調査したものである。評価試験4は、金属材料表面を、50℃に加熱した水の中に5分間浸漬した後、金属材料上に水または菜種油をマイクロピペットで10 μL滴下した。その上で、接触角計(協和界面化学株式会社、DM-301)を用いて、金属材料を水平方向に対して1度ずつ傾け、液滴が金属材料表面上を動き始めるときの角度を測定し、作製した材料の撥水撥油性能の持続性について評価した。評点2以上を合格とした。
評点5:5°以下
評点4:5°超、10°以下
評点3:10°超、20°以下
評点2:20°超、45°以下
評点1:45°超

Claims (5)

  1. 微細孔を有する金属材料の表面に、有機分子中間層を介して、ふっ素系潤滑剤層を有した複合材料であって、前記微細孔の孔径が10 nm以上300 nm以下および孔長が100 nm以上であり、かつ前記有機分子中間層が、フルオロアルキル鎖またはアルキル鎖を有し、一方の末端にホスホン酸もしくはりん酸の官能基をもつ吸着性有機分子の、りん系官能基と微細孔を有する金属材料の表面とが反応して形成される層であって、かつ前記ふっ素系潤滑剤層がパーフルオロアルキルエーテルまたはパーフルオロアルキルアミンまたはパーフルオロカーボンであることを特徴とする複合材料。
  2. 前記微細孔の孔長が1 μm以上50 μm以下である請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記微細孔を有する金属材料の多孔度が10%以上40%以下である請求項1〜2に記載の複合材料。
  4. 前記有機分子中間層を形成する吸着性有機分子が、ホスホン酸またはりん酸を官能基とする炭素数6以上のフルオロアルキル鎖を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料。
  5. 金属材料表面に微細孔を形成し、大気もしくは乾燥ガス雰囲気下で、100℃以上300℃以下で加熱乾燥することで前記金属材料表面の水分を除去した後、りん系官能基を有するアルキル分子またはフルオロアルキル分子を、りん系官能基を介して前記金属材料表面に有機分子中間層を形成させ、さらにパーフルオロアルキルエーテルまたはパーフルオロアルキルアミンまたはパーフルオロアルキルカーボンからなるふっ素系潤滑剤を前記金属材料にコーティングした複合材料の製造方法。
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