JP2015212494A - 建築装飾シート - Google Patents

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雄一 矢萩
小池 弘
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誠一郎 飯田
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Abstract

【課題】建築装飾シートにおいて粘着剤や接着剤といった部材を一切必要とせずに静電吸着能力のみによって被着体に容易に、且つ長期に亘り貼着することができ、接着剤等により被着体を汚染することなく、且つ容易に剥がすことができ、手間や時間をかけずに張り替えが可能な、建築装飾シートを提供する。【解決手段】片面に装飾層(C)6を設けた樹脂フィルム層(A)4を含む吸着シート(i)2と、樹脂フィルム層(B)5を含む支持体層(ii)3とを積層した静電吸着シートであって、吸着シート(i)2の樹脂フィルム層(A)4と、支持体層(ii)3の樹脂フィルム層(B)5とが静電吸着により接着している建築装飾シート(iii)1。【選択図】図1

Description

本発明は、装飾層を有し、壁やパーテーションのような被着体に貼着することで装飾を付与できる建築装飾シートに関する。
特に本発明の建築装飾シートは、静電吸着能力により被着体に容易に貼着することができ、従来の壁紙や襖紙、クロス、化粧シートを被着体に貼着するために用いた天然紙の裏打ち材や、生糊、水溶性接着剤、再湿式接着剤、及び感圧型粘着剤といった部材を必要としない。
また本発明の建築装飾シートは、静電吸着能力により長期に亘り被着体に貼着することができ、下地処理が不要であり、貼り直しや空気溜りの除去が容易であり、使用後には容易に剥がして被着体から分離することができる。
更に本発明の建築装飾シートは、粘着剤や接着剤といった部材を一切使用しないので、剥がした後の被着体にそれらの部材が残って被着体が汚染されることはなく、建築装飾シートを再度貼り替えする際の時間と手間を省くことができる。
従来、建築物の内装材として、壁や天井、パーテーションのような建築材(以後、被着体と表記)の下地の保護や、装飾を施すことを目的に、織布や紙、合成樹脂のシートが壁紙や襖紙、クロス、化粧シート(以後、建築装飾シートと表記)として用いられてきた。
これらの建築装飾シートには、木目や唐草模様のような意匠の印刷を施すとともに、更に意匠性やクッション性を付与することを目的に表面に凹凸を有するシートが好適に用いられてきた。このような建築装飾シートとしては表面凹凸の付型性の優れたビニル樹脂、オレフィン樹脂などの合成樹脂のシートに紙を裏打ちしたものがよく用いられており、これの裏打ち紙に生糊や水溶性樹脂接着剤などを塗布して被着体に貼着している。
このような建築装飾シートは、内装のリフォームなどで貼り直しする際に、裏打ち紙の凝集破壊により剥離する手法が用いられている。
しかしながらこの手法では、接着剤の塗工ムラなど施工時の状況によって、裏打ち紙の材破だけではなく樹脂シートまで材破してしまい、建築装飾シートの一部が壁面などの被着体に残ってきれいに剥離できない場合が多い。このような場合、被着体に残った建築装飾シートの一部を取り除かずに、新たな建築装飾シートを再貼り付けすると、下地の凹凸が表面に浮き出て外観が悪化してしまう問題がある。
そのため、被着体に残った建築装飾シートの一部を取り除く作業が必要となり、リフォーム作業に手間と時間がかかっていた。
上記の問題を解決する手段として、例えば特許文献1には、壁紙の裏面に薄膜の剥離層を形成して、壁紙の張替え剥離時に剥離層が壁紙側に残る分と壁面側に残る分とに二分されることで、壁面上の剥離面が略平坦となって平滑性が確保されるとする技術が記載されている。しかしながら同技術においても、剥離は剥離層の凝集破壊により実施していることから、壁面上の剥離面に凹凸を生じることなく剥離することは難しく、剥離層の一部を凹凸として壁面に残してしまうために、再貼り付け時の外観の悪化は避けきれない。
また例えば特許文献2には、静電荷と感圧接着剤を組み合わせにより、被着体に容易に貼着でき、また被着体から容易に剥がすことができる技術が記載されている。この技術は、まず静電荷により被着体に吸着させて初期接着し、次いで感圧接着剤により被着体にしっかり接着するものである。同技術によれば、貼り付けた直後は位置調整が容易であり、空気溜まりも抜きやすく初心者でも綺麗に貼ることができ、その後は確固たる接着が与えられる。しかしながら同技術においても、従来の壁紙同様に接着剤を用いて接着している以上、被着体上に接着剤が残って被着体を汚染してしまう。これは例えば被着体側の物理的性状や、施工の状況、施工後の温度環境、経時劣化などの要因により可能性が高まる。
特開2002−363898号公報 特表2004−517986号公報
本発明者らは、上記の状況を鑑み、建築装飾シートにおいて粘着剤や接着剤といった部材を一切必要とせずに静電吸着能力のみによって被着体に容易に、且つ長期に亘り貼着することができ、接着剤等により被着体を汚染することなく、且つ容易に剥がすことができ、手間や時間をかけずに張り替えが可能な、建築装飾シートを提供することを課題とした。
上記の課題を解決する為に本発明者らが鋭意検討を進めた結果、特定の構造を有する積層体よりなる建築装飾シートによって、所期の特性を有する静電吸着能力を具備した吸着シートを提供し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りのものである。
(1)片面に装飾層(C)を設けた樹脂フィルム層(A)を含む吸着シート(i)と、樹脂フィルム層(B)を含む支持体層(ii)とを積層した静電吸着シートであって、吸着シート(i)の樹脂フィルム層(A)と、支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)とが静電吸着により接着していることを特徴とする建築装飾シート(iii)。
(2)樹脂フィルム層(A)および樹脂フィルム層(B)が、熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする(1)に記載の建築装飾シート(iii)。
(3)熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂および熱可塑性ポリエステル系樹脂の何れかの樹脂を含むことを特徴とする(2)に記載の建築装飾シート(iii)。
(4)樹脂フィルム層(A)の樹脂フィルム層(B)と接する側の表面および樹脂フィルム層(B)の樹脂フィルム(A)と接する側の表面の表面抵抗率が、それぞれ1×1013〜9×1017Ωであることを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の建築装飾シート(iii)。
(5)建築装飾シート(iii)の支持体層(ii)面の表面抵抗率が、1×10-1〜9×1012Ωであることを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の建築装飾シート(iii)。
(6)装飾層(C)面の表面粗さが、0.5〜100μmであることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の建築装飾シート(iii)。
(7)装飾層(C)が、織布、不織布、発泡ポリ塩化ビニル系樹脂シート、およびポリオレフィン系樹脂シートの少なくとも一つを含むことを特徴とする(1)〜(6)の何れかに記載の建築装飾シート(iii)。
(8)吸着シート(i)の坪量が、20〜1000g/m2であることを特徴とする(
1)〜(7)の何れかに記載の建築装飾シート(iii)。
(9)吸着シート(i)のコーンカロリーメーターによる総発熱量が、1×105〜8
×106J/m2であることを特徴とする(1)〜(8)の何れかに記載の建築装飾シート(iii)。
(10)樹脂フィルム層(A)および樹脂フィルム層(B)の少なくとも一方に帯電処理を施し、両者を静電吸着により積層し、次いで樹脂フィルム層(A)側の表面上に装飾層(C)を積層することを特徴とする(1)に記載の建築装飾シート(iii)の製造方法。
(11)樹脂フィルム層(A)の片面に装飾層(C)を積層し、次いで樹脂フィルム層(A)および樹脂フィルム層(B)の少なくとも一方に帯電処理を施し、両者を静電吸着により積層することを特徴とする(1)に記載の建築装飾シート(iii)の製造方法。
(12)(1)に記載の建築装飾シート(iii)から支持体層(ii)を剥離した、吸着シート(i)よりなる装飾材。
(13)(12)に記載の装飾材を、静電吸着により被着体に貼着した装飾物。
本発明の建築装飾シート(iii)、特にこれを構成する吸着シート(i)は、静電吸着能力により被着体に容易に貼着することができ、粘着剤や接着剤を必要としない。
そのため被着体がこれらで汚染されることはなく、建築装飾シート(iii)を再度貼り替えする際の時間と手間を省くことができる。
また本発明の建築装飾シート(iii)は、静電吸着能力により長期に亘り被着体に貼着することができ、下地処理が不要であり、貼り直しや空気溜りの除去が容易であり、使用後には容易に剥がして被着体から分離することができる。
本発明の建築装飾シートの一態様の断面図である。 本発明の建築装飾シートの別の一態様の断面図である。 本発明の建築装飾シートの別の一態様の断面図である。 本発明の建築装飾シートの別の一態様の断面図である。 本発明の建築装飾シートの別の一態様の断面図である。 本発明の帯電処理に用い得るバッチ式コロナ放電処理装置の一例であり、針状印加電極を用いた例である。 本発明の帯電処理に用い得るバッチ式コロナ放電処理装置の一例であり、ワイヤー状印加電極を用いた例である。 本発明の帯電処理に用い得る連続式コロナ放電処理装置の一例であり、針状印加電極を用いた例である。 本発明の帯電処理に用い得る連続式コロナ放電処理装置の一例であり、ワイヤー状印加電極を用いた例である。 本発明の帯電処理に用い得る連続式コロナ放電処理装置の一例である。 本発明の実施例に使用した静電吸着積層体または建築装飾シート(iii)の製造装置の概略図である。 本発明の実施例に使用した吸着力測定装置の概略図である。
[建築装飾シート(iii)]
本発明の建築装飾シート(iii)は、片面に装飾層(C)を設けた樹脂フィルム層(A)を含む吸着シート(i)と、樹脂フィルム層(B)を含む支持体層(ii)を積層した静電吸着シートであって、吸着シート(i)の樹脂フィルム層(A)と、支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)が静電吸着により積層した積層体よりなるものである(図1参照)。
以降、本発明の建築装飾シート(iii)の構成について、より詳細に説明する。
[吸着シート(i)]
本発明の建築装飾シート(iii)を構成する吸着シート(i)は、片面に装飾層(C)を設けた樹脂フィルム層(A)を含むものである。
吸着シート(i)は、その樹脂フィルム層(A)側の面に静電吸着能力を有しており、その反対面に意匠性に優れた装飾層(C)を有している。
吸着シート(i)は、その樹脂フィルム層(A)側の面の静電吸着能力により、所謂粘着シートのように種々の被着体に貼り付け表示することが可能である。吸着シート(i)よりなる装飾材は、その意匠、表示内容、表示方式、寸法、形状、対象被着体に応じて、壁紙、襖紙、クロス、化粧シート、化粧紙、シール、ラベル、サイン、ポスター、広告等として適宜使用できる。また吸着シート(i)は表示使用時には、静電吸着力が高く、静電吸着力の持続性も充分で長期に亘り表示使用することができ、静電吸着力が湿度に影響され難く、下地処理が不要であり、貼り直しや空気溜りの除去が容易であり、且つ使用後には容易に剥がして被着体から分離することができるという特徴を有する。
吸着シート(i)は、詳細後述する樹脂フィルム層(A)を含むものであり、同樹脂フィルム層(A)に帯電処理を施すことによって静電吸着能力を具備しており、且つ同樹脂フィルム層(A)に装飾層(C)を積層することによって優れた意匠性を具備したものとして得ることができる。
樹脂フィルム層(A)を吸着シート(i)とするには、樹脂フィルム層(A)の片面に帯電処理を施した後に、同処理面に樹脂フィルム層(B)を含む支持体層(ii)を積層し、次いで樹脂フィルム層(A)の未処理面に装飾層(C)を設けることで達成できる。
或いは樹脂フィルム層(A)の片面に装飾層(C)を設け、該樹脂フィルム層(A)の反対面に帯電処理を施した後に、同処理面に樹脂フィルム層(B)を含む支持体層(ii)を積層することで達成できる。
吸着シート(i)における樹脂フィルム層(A)は、静電吸着能力を具備させるために、帯電処理を施し易く、且つ帯電処理による電荷を内部に保持し易い構造であることが好ましい。
樹脂フィルム層(A)における帯電処理の施し易さおよび電荷の保持性能は、表面抵抗率により整理することができる。吸着シート(i)の帯電処理を施す樹脂フィルム層(A)側の面における表面抵抗率は、1×1013〜9×1017Ωの範囲であることが好ましい。該表面抵抗率は、5×1013〜9×1016Ωの範囲であることがより好ましく、1×1014〜9×1015Ωの範囲であることが更に好ましい。
表面抵抗率が1×1013Ω未満のものは、帯電処理を施す際に与えた電荷が表面を伝って逃げ易く、帯電処理が施し難い傾向がある。また、樹脂フィルム層(A)に一旦与えた電荷が同表面を伝って外部(大気中など)に逃げ易く、吸着シート(i)が長期間電荷を保持できずに、静電吸着力が低下し易くなる傾向がある。
一方、9×1017Ωを超えるものは、性能上問題ない筈であるが、現在公知の物質を使用してこの様な高絶縁性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストとなることから実現化が困難である。
このような表面抵抗率を有する樹脂フィルム層(A)は、これを構成する熱可塑性樹脂の選定、および樹脂フィルム(A)への表面処理の有無等により達成できる。
本発明において吸着シート(i)は、その樹脂フィルム層(A)側の面を未処理として表面抵抗率を1×1013〜9×1017Ωの範囲とし、他方の面には帯電防止の表面処理を行い、帯電防止性能を持たせることが好ましい。片面に帯電防止性能を持たせることによって、吸着シート(i)の樹脂フィルム層(A)側の面に帯電処理を施した後に、これに装飾層(C)を設ける加工工程において、樹脂フィルム層(A)への埃等の付着や樹脂フィルム層(A)のロールへの貼り付きなどを効果的に防止することが可能となり、生産性をより高めることが可能となる。
吸着シート(i)の一方の面に帯電防止性能を付与する手法としては、例えば樹脂フィルム層(A)に帯電防止剤を練り込む手法がある。樹脂フィルム層(A)に帯電防止剤を練り込む場合は、コロナ放電表面処理やフレーム表面処理を行わないと帯電防止効果が発現しない場合があり、特に延伸されたフィルムは、表面処理の処理面と未処理面で帯電防止効果が大きく異なる場合がある。この現象を利用して片面に帯電防止性能を有する樹脂フィルム層(A)を形成することも可能である。
また吸着シート(i)の一方の面に帯電防止性能を付与する手法としては、樹脂フィルム層(A)に帯電処理を施す前に、樹脂フィルム層(A)の片面に予め帯電防止性能を有する装飾層(C)を設けておく手法がある。
本発明の吸着シート(i)の坪量は20〜1000g/m2であることが好ましく、30〜800g/m2であることがより好ましく、40〜700g/m2であることが更に好ましく、80〜350g/m2であることが特に好ましい。坪量が20g/m2未満では厚みが薄くなり充分な意匠性が得られない場合がある。一方、1000g/m2を超えてしまうとハンドリングが悪くなり被着体への貼り付け加工が困難となり、又、自重が重くなり、樹脂フィルム層(A)の静電吸着力では、吸着シート(i)を支えられない場合がある。
[樹脂フィルム層(A)]
本発明において樹脂フィルム層(A)は、吸着シート(i)を構成するものであって、これに直接帯電処理を施すことや、帯電処理を施した支持体層(ii)に含まれる樹脂フィルム層(B)に接して誘電されることによって、内部に電荷を保持し、その静電電荷によって吸着シート(i)の静電吸着を可能とするものである。
樹脂フィルム層(A)は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。特に絶縁性の優れた熱可塑性樹脂を使用することにより、そのフィルム層は内部に蓄積した電荷を保持しやすくなり好ましい。
樹脂フィルム層(A)に用いる熱可塑性樹脂は、絶縁性があり内部に電荷を保持できる限り、その種類は特に制限されない。熱可塑性樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル、またはポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等を使用することができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、絶縁性と加工性に優れるポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂を用いることがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂を用いることが特に好ましい。
ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ブチレン、ヘキセン、オクテン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル−1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合体、及びこれらオレフィン類2種類以上からなる共重合体が挙げられる。
更にこれらポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が、絶縁性、電荷保持性、加工性、機械的強度、コストなどの面から好ましく用いられる。プロピレン系樹脂としては、アイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレン(プロピレン単独重合体)や、プロピレンを主成分とし、これとエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合させたプロピレン系共重合体を、主成分として使用することが望ましい。プロピレン系共重合体は、プロピレンを主に含む2元系よりなるものでも3元系以上よりなるものでもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。またプロピレン系樹脂には、プロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を2〜25重量%配合して使用することも可能である。そのような融点が低い樹脂としては高密度ないしは低密度のポリエチレンを例示することができる。
官能基含有ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、前記オレフィン類と共重合可能な官能基含有モノマーとの共重合体が挙げられる。かかる官能基含有モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類(或いは共重合後にこれらカルボン酸ビニルエステル類を鹸化して得られるビニルアルコール);アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メタロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;が特に代表的である。これら官能基含有モノマーの中から必要に応じ1種類もしくは2種類以上を適宜選択し共重合したものを用いることができる。
またこれらのポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂は、その絶縁性や帯電圧の調整のため、そのグラフト変性物を必要に応じて使用することもできる。
樹脂のグラフト変性には公知の手法を用いることができる。具体的には、不飽和カルボン酸またはその誘導体によるグラフト変性を挙げることができる。該不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等を挙げることができる。また上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等を挙げることができる。
具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N‐ジエチルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジブチルアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等を挙げることができる。
グラフト変性物は、グラフトモノマーをポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂に対して、通常0.005〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%用いてグラフト変性したものを使用し得る。
樹脂フィルム層(A)に用いる熱可塑性樹脂としては、上記の熱可塑性樹脂の中から1種を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
また樹脂フィルム層(A)には、無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を添加したものであっても良い。無機微細粉末または有機フィラーの添加により、フィルムの誘電率を調整することや、熱可塑性樹脂シート同士を貼り付きにくくすることができる。また、後述の延伸工程との組み合わせにより内部に空孔を形成することが容易となり、樹脂フィルム層(A)の軽量化が可能となる。
無機微細粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバーなどを使用することができる。無機微細粉末を添加する場合には、レーザー回折による粒度分布計で測定した平均粒径が通常は0.01〜15μm、好ましくは0.1〜5μmのものを使用する。
有機フィラーを添加する場合には、樹脂フィルム層(A)の主成分である熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、有機フィラーとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、環状ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹脂の融点よりも高い融点(例えば170〜300℃)ないしは高いガラス転移温度(例えば170〜280℃)を有し、熱可塑性樹脂との溶融混練により相中への微分散が可能であり、かつ非相溶のものを使用することができる。
これら無機微細粉末または有機フィラーの樹脂フィルム層(A)中への配合量は、総量として、0〜70重量%であることが好ましく、0〜50重量%であることがより好ましく、0〜40重量%であることが特に好ましくい。同配合量が70重量%を超えると、空孔同士が互いに連通して電荷が逃げ易い構造となるために好ましくない。
更に樹脂フィルム層(A)には、必要に応じて、熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤、核剤などを添加することができる。熱安定剤を添加する場合は、通常0.001〜1重量%の範囲内で使用する。具体的には、立体障害フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤等の安定剤を使用することができる。光安定剤を添加する場合は、通常0.001〜1重量%の範囲内で使用する。具体的には、立体障害アミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、およびベンゾフェノン系光安定剤等の光安定剤を使用することができる。分散剤や滑剤は、例えば無機微細粉末を分散させる目的で使用する。使用量は通常0.01〜4重量%の範囲内にする。具体的には、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を使用することができる。
[多層化]
樹脂フィルム層(A)は、単層構造であってもよく、2層構造、3層以上の多層構造のものであってもよい。樹脂フィルム層(A)は多層化により耐電圧性能の向上や、2次加工適性の向上等の様々な機能の付加が可能となる。樹脂フィルム層(A)を多層構造にする場合には、公知の種々の方法が使用できるが、具体例としては、種々の接着剤を使用したドライラミネート方式、ウェットラミネート方式および溶融ラミネート方式や、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式(共押出方式)や、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式や、種々のコーターを使用した塗工方法等が挙げられる。また、多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用することも可能である。
[延伸]
樹脂フィルム層(A)は、少なくとも1軸方向に延伸された延伸樹脂フィルムを含むことが好ましい。延伸により得られる熱可塑性樹脂フィルムは、軽量な薄膜であり、厚みの均一性に優れているため面方向に均一で帯電によるムラのない静電吸着力を達成しやすい。樹脂フィルム層(A)が多層構造である場合には、これを構成する各層の延伸軸数は、1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸であっても良い。
樹脂フィルム層(A)の延伸は、通常用いられる種々の方法のいずれかまたはその組み合わせによって行うことができる。具体的な延伸方法としては、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、縦延伸と横延伸を組み合わせた逐次2軸延伸、圧延、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時2軸延伸、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時2軸延伸などを挙げることができる。また、インフレーションフィルムの延伸方法として、チューブラー法による同時2軸延伸を挙げることができる。
延伸の倍率は、特に限定されず、樹脂フィルム層(A)に用いる熱可塑性樹脂の特性および得られる樹脂フィルム層(A)の物性等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用し、これを一方向に延伸する場合の延伸倍率は、通常1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、2軸延伸の場合には面積倍率で通常1.5〜60倍、好ましくは4〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用しこれを一方向に延伸する場合の延伸倍率は通常1.2〜10倍、好ましくは2〜5倍であり、2軸延伸の場合には面積倍率で、通常1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。
延伸の温度は、樹脂フィルム層(A)に主に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂に好適な公知の温度範囲内で適宜決定する。具体的には、樹脂フィルム層(A)の熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)である場合は100〜166℃、高密度ポリエチレン(融点121〜136℃)である場合は70〜135℃であり、融点より1〜70℃低い温度である。また延伸の速度は、20〜350m/分にするのが好ましい。
樹脂フィルム層(A)が前述する無機微細粉末または有機フィラーを含み、且つ延伸されたものであれば、フィルム内部に微細な空孔が形成される場合がある。下記式(1)で求められる本発明の樹脂フィルム層(A)の空孔率は、0〜70%が好ましく、0〜45%がより好ましい。空孔率が70%を超えると、内部の空孔同士が互いに連通して、樹脂フィルム層(A)の内部の電荷が逃げ易い構造となり、吸着性能が低下する場合があるために好ましくない。
Figure 2015212494
(ρは樹脂フィルム層(A)の真密度を示し、ρは樹脂フィルム層(A)の密度を示す)
また樹脂フィルム層(A)は、その厚みが10〜200μmの範囲であることが好ましい。該厚みは、15〜150μmの範囲であることがより好ましく、20〜100μmの範囲であることが更に好ましい。樹脂フィルム層(A)の厚みが10μm未満では、該層(A)の機械的強度が弱くなり、吸着シート(i)を被着体に貼り付ける際にシワが入り易く、上手く貼着できずに外観が劣りやすくなる。逆に200μmを越えてしまうと内部まで充分に静電電荷を注入できず、且つ吸着シート(i)の自重が大きくなり、静電吸着力では自重を保持できず被着体から落下しやすくなる。
また樹脂フィルム層(A)は、その坪量が5〜200g/m2の範囲であることが好ましい。該坪量は、7〜150g/m2の範囲であることがより好ましく、10〜100g/m2の範囲であることが更に好ましい。樹脂フィルム層(A)の坪量は、同層(A)内部に保持可能な静電電荷の容量と比例関係にある。そのため、樹脂フィルム層(A)の坪量が5g/m2未満では、該層(A)の静電容量も小さくなり、吸着シート(i)が被着体から落下しやすくなる。逆に200g/m2を越えてしまうと静電容量の観点では充分なものの、樹脂フィルム層(A)を含む吸着シート(i)の燃焼熱量(例えば、コーンカロリーメーターによる総発熱量に代表される)が大きくなり易く、吸着シート(i)を壁紙や化粧紙として使用し、火災などが発生した場合に重大な災害に発展する恐れがある。
[コート層(D)]
本発明の建築装飾シート(iii)を構成する樹脂フィルム層(A)には、その片面に帯電防止性能を付与する目的からコート層(D)を設けることが好ましい。この場合吸着シート(i)における装飾層(C)は、コート層(D)を介して樹脂フィルム層(A)上に設けられる(図2参照)。
例えば片面にコート層(D)を設けた樹脂フィルム層(A)を用いて、これの樹脂フィルム層(A)側の面に帯電処理を施し、次いで片面にコート層(E)を設けた樹脂フィルム層(B)の樹脂フィルム層(B)側の面と接合して静電吸着による両者の積層体を一旦作製する。該積層体はその両表面が帯電防止性能を有しているため、内部の電荷が外部に発現しない。本発明の建築装飾シート(iii)を得るために、次いで該積層体の樹脂フィルム層(A)側のコート層(D)上に装飾層(C)を積層するが、同工程で該積層体は機器への貼り付きなどトラブルが生じにくく、非常に取扱いやすいものであり、作業が平易となるという利点がある。
コート層(D)は、樹脂フィルム層(A)に帯電防止性能を付与する為に用いる。コート層(D)はその組成として、帯電防止剤0.1〜100重量%と、高分子バインダー0〜99.9重量%と、顔料粒子0〜70重量%とを含むことが好ましい。コート層(D)は、これら成分を含む塗工剤として、樹脂フィルム層(A)上に直接塗工により設けるか、或いは予め別のフィルム上に塗工してコート層(D)を形成しておき、これを樹脂フィルム層(A)にラミネートすることで設けることができる。
帯電防止剤は、コート層(D)に帯電防止性能を付与するために添加するものである。具体的には、ステアリン酸モノグリセリド、アルキルジエタノールアミン、ソルビタンモノラウレート、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸塩などに代表される低分子量有機化合物系の帯電防止剤、ITO(インジウムドープド酸化錫)、ATO(アンチモンドープド酸化錫)、グラファイトウィスカなどに代表される導電性無機充填剤、ポリチオフェン、ポリピーロイル、ポリアニリンなどの分子鎖内のパイ電子により導電性を発揮するいわゆる電子導電性ポリマー、そしてポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン等の非イオン性ポリマー系の帯電防止剤、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物等の第四級アンモニウム塩型共重合体、アルキレンオキシド基および/または水酸基含有ポリマーへのアルカリ金属イオン添加物等のアルカリ金属塩含有ポリマーに代表される帯電防止機能を有するポリマーなどが挙げられる。
これらの帯電防止剤はそれぞれに特性がある。例えば、低分子量有機化合物系の帯電防止剤は、環境湿度に帯電防止性能が大きく影響されやすく、最表面にブリードアウトしやすい特徴がある。帯電防止剤のブリードアウトにより、当該樹脂フィルム層(A)の静電吸着力が低下する場合がある。またブリードアウトした帯電防止剤が他方フィルムの表面へ転移して帯電防止性能が発現してしまい、結果的に安定した静電吸着力を有する樹脂フィルム層(A)が得られない場合がある。
導電性無機充填剤は、少量の添加では充填剤同士が接触しないため帯電防止効果が充分に得られない場合がある。また導電性無機充填剤は、充填剤同士が接触しあう程度の量を添加するとバインダー量が著しく少なくなる為、コート層(D)の凝集力が低下し、コート層(D)の樹脂フィルム層(A)への接着力の低下や、コート層(D)を介した装飾層(C)の接着力の低下が発生する場合がある。
電子導電性ポリマーは、共役系に由来する着色により一般的には黒色、緑色、或いは青灰色の着色が有り、これを用いれば優れた帯電防止効果は得られるものの、くすんだ色の樹脂フィルム層(A)となり、吸着シート(i)の意匠性を低下させるために、装飾シートには適さない場合がある。
帯電防止機能を有するポリマーは、帯電防止性能が安定しており、他方フィルムの表面への転移性も小さく、着色も殆ど無いことから本発明の静電吸着シートに用いるコート層(D)を構成する帯電防止剤として好ましい。中でも第四級アンモニウム塩型共重合体やアルカリ金属塩含有ポリマーは、帯電防止性能が良好であり、環境湿度の帯電防止性能への影響が小さい為、より好ましい。
コート層(D)は、必要に応じて高分子バインダーを含んでいても良い。該高分子バインダーはその凝集力によって、コート層(D)とこれを設ける樹脂フィルム層(A)との間に良好な密着性を持たせることができる。
高分子バインダーの具体例としては、ポリエチレンイミン、炭素数1〜12のアルキル変性ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)、ポリ(エチレンイミン−尿素)のエチレンイミン付加物、ポリアミンポリアミド、ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、およびポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物等のポリエチレンイミン系重合体;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミドの誘導体、およびオキサゾリン基含有アクリル酸エステル系重合体等のアクリル酸エステル系重合体;ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等、加えて、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、塩素化エチレン樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、ニトロセルロース樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
これらの高分子バインダーは、いずれか1種を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの高分子バインダーは、有機溶剤または水に希釈または分散した様態で用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンイミン系重合体、ポリエーテルウレタン、ポリエステルポリウレタン、アクリルウレタンなどのウレタン樹脂、若しくはアクリル酸エステル共重合体が、前述の帯電防止機能を有するポリマーとの相性(相溶性)がよく、混溶して塗料とした際に安定しており、塗工しやすく好ましい。
コート層(D)は、顔料粒子を含んでいても良く、含まなくても良い。コート層(D)への顔料粒子の添加により形成されるコート層(D)表面の凹凸付与によるブロッキング防止等の性能向上、紫外線反射材として耐光性や耐候性等の性能付与を図ることができる。顔料粒子はこれら求める性能を考慮し適宜選択して使用するものであり、必要に応じて添加される。
顔料粒子としては、公知の有機ないし無機の微細粒子が使用できる。具体的な例としては、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、焼成クレイ、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、珪藻土、アクリル粒子、スチレン粒子、ポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子等を使用することができる。顔料粒子の粒子径は、好ましくは20μm以下のものであり、より好ましくは15μm以下のものであり、更に好ましくは3μm以下のものである。顔料粒子の粒子径が20μmを超えると形成したコート層(D)から顔料粒子が脱落しやすくなり粉吹き現象が発生する。コート層(D)中の顔料粒子含有量は、好ましくは0〜70重量%であり、より好ましくは0〜60重量%であり、更に好ましくは0〜50重量%である。顔料粒子の含有量が70重量%を超えると、相対してバインダー樹脂量が不足して、コート層(D)の凝集力が低下し、樹脂フィルム層(A)への接着力の低下や、吸着シート(i)の層間強度の低下が発生する場合がある。
コート層(D)は、上記成分を含む塗工液を調製し、樹脂フィルム層(A)上に塗工し、これを乾燥、固化させて塗工層として設けることが可能である。塗工には、従来公知の手法や装置を利用することができる。
またコート層(D)は、樹脂フィルム層(A)上にラミネートにより設けることも可能である。この場合はあらかじめコート層(D)を設けた別のフィルムを作成し、樹脂フィルム層(A)上にこれをラミネート加工すればよい。ラミネート加工は、通常のドライラミネート、または溶融ラミネート等の手法により行うことができる。
樹脂フィルム層(A)へのコート層(D)の設置は、後述する帯電処理を実施する前に行うことが好ましい。コート層(D)の持つ帯電防止性能により、帯電処理後であっても建築装飾シート(iii)の外部への静電吸着力を抑止することが可能となる。
コート層(D)は、樹脂フィルム層(A)の片面に帯電防止性能を付与するものである。具体的には、コート層(D)はその表面抵抗率を1×10-1〜9×1012Ω、好ましくは1×103〜9×1011Ω、更に好ましくは1×106〜9×1010Ωの範囲内に調整する。
コート層(D)の表面抵抗率が9×1012Ωを超えてしまうと静電吸着積層体や静電吸着シートが持つ静電吸着力を充分に抑止できずに、静電吸着積層体同士の貼合加工の際にロールへの貼り付きやシート同士の貼り付き等のトラブルが発生し易い傾向があり、静電吸着シート同士の貼り付き等のトラブルが発生し易い傾向がある。一方、表面抵抗率が1×10-1Ωを下回る様な高導電性を有するコート層(D)を形成することは技術的に困難であり、形成できたとしても、吸着シート(i)の意匠性が低くなり本発明の所期の性能を満たさない恐れがある。また吸着シート(i)の静電吸着力が損なわれる恐れもある。
コート層(D)の坪量(塗工量)は、固形分換算で、0.01〜50g/m2であることが好ましく、0.05〜30g/m2であることがより好ましく、0.1〜10g/m2であることが更に好ましく、0.3〜8g/m2であることが特に好ましい。坪量が0.01g/m2に満たない場合には、コート層(D)の均一性を維持することが難しく、安定した帯電防止性能が得られない場合がある。一方50g/m2を超える場合には、これを樹脂フィルム層(A)に設けると、樹脂フィルム層(A)の静電吸着力が損なわれる傾向があり、また樹脂フィルム層(A)が重くなりその静電吸着力では自重を支えることができず剥れ落ちやすくなる傾向があり、また樹脂フィルム層(A)と支持体層(ii)間の静電吸着力が低下しやすくなる可能性がある。
[装飾層(C)]
本発明の装飾層(C)は、吸着シート(i)に意匠性を付与する為に樹脂フィルム層(A)上に積層される層である。従って装飾層(C)は、通常は印刷が可能であり、表面に凹凸による意匠性を持っているシートであることが好ましい。
装飾層(C)としては、従来から壁紙や化粧シートとして使用されているシートをそのまま流用することができる。装飾層(C)を構成する材料としては、例えば紙、織布、不織布、木材、合成樹脂のシート、無機物の薄膜、金属薄膜、あるいはこれらを組み合わせた複合材料が挙げられる。
紙のより具体的な例としては、上質紙、中性紙、酸性紙、塗工紙、アート紙、軽量コート紙、耐水紙、和紙、コットン紙などが挙げられる。
織布の具体的な例としては、綿、麻、絹、羊毛、レーヨン、キュプラ、アセテートなどの天然繊維、エステル樹脂、ナイロン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エーテル樹脂、プロピレン樹脂、エチレン樹脂、ハロゲン化ビニル樹脂、ハロゲン化ビニリデン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体などの合成樹脂繊維、ガラス繊維、ロックウール、鉄線、ステンレス線、銅線、アルミ線などの無機繊維などの繊維を単体あるいは混ぜ合わせて織り込んだものが挙げられる。
より具体的には、木綿、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等からなる、20〜150デニール、好ましくは40〜100デニールの径を有する織糸を、平織、斜文織、朱子織、メリヤス織、綾織、ポロ織、レース織等の手法で織り込んだ織布を好ましく例示できる。織糸を経糸、緯糸として1本おきに交差させる平織の場合は、上記織糸を経糸、緯糸としてそれぞれ2.54cm当たり50〜140本、好ましくは60〜100本の割合で織り込んだ坪量が50〜200g/m2、好ましくは60〜100g/m2の織布を好ましく例示できる。
不織布の具体的な例としては、短繊維を絡み合わせたものを加熱加圧して得たシート、または短繊維を絡み合わせたものに熱可塑性樹脂粉末を散布および/または熱可塑性樹脂シートを積層してこれを加熱加圧して得たシートが挙げられる。
より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂の開繊した短繊維(例えば、繊維径0.2〜15デニール、繊維長1〜20mm)を水中に分散させた紙料を短網または長網もしくは円網抄紙機を用いて抄造した後、この抄造紙にロールやプレス等を用いて120〜270℃の温度と5〜200kgf/cm2の圧力をかけることで製造したものを好ましく例示できる。
また、同様の熱可塑性樹脂の溶融したものをノズルより連続した長繊維状に吐出したものを重ね合わせ、これにロールやプレス等を用いて同様に加熱加圧して製造したものを好ましく例示できる。
また、抄造法により得られた短繊維を絡み合わせたものに熱可塑性樹脂粉末を散布および/または熱可塑性樹脂シートを積層し、次いでこれを加熱加圧一体化して不織布シートを製造してもよい。更に、特公昭48−32986号公報に記載される製造方法、即ち熱可塑性樹脂のフィラメントを非溶解性の加熱流体中で自己接合し、冷却後に流体を除去する方法により得られた不織布合成紙を好ましく例示できる。
木材の具体的な例としては、ウォールナット、マホガニー、チーク、タモ、ローズウッド、ブラックチェリー、オーク、松、桜、コルクなどの天然木材をシート状に加工したものが挙げられる。またこれらの天然木材からなるウッドチップを、ウレタン系接着剤やゴム系接着剤で接合してシート状に加工したものが挙げられる。木材からなる装飾層(C)であって木材の風合い自体が装飾の意匠として求められる場合は、これに印刷を施す必要はない。
合成樹脂のシートの具体的な例としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール等のビニル系樹脂のシートが挙げられる。これらは化学発泡や物理発泡により発泡させたシートであることが好ましい。これらの樹脂シートは柔軟であり、エンボス加工等による凹凸の付与が容易であるという利点がある。
また合成樹脂のシートの具体的な例としては、樹脂フィルム層(A)と同様に、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル、あるいはポリブチレンサクシネートやポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレンよりなるシートが挙げられる。
無機物の薄膜の具体的な例としては、ガラスウールやロックウールを加熱加圧して得た柔軟なシートが挙げられる。また剛直なものとしては、ガラス板、ガラスウール板、ロックウール板や、モルタル、漆喰、石(大理石や御影石等)、陶磁器、タイル、レンガ、コンクリート等の素材からなる薄板が挙げられる。無機物からなる装飾層(C)であって無機物の風合い自体が装飾の意匠として求められる場合は、これに印刷を施す必要はない。
金属薄膜の具体的な例としては、アルミ、金、銀、銅等の金属の金属箔、直接蒸着膜、転写蒸着膜が挙げられる。また剛直なものとしては、鉄、銅、真鍮、アルミ、SUSなどの金属板が挙げられる。
装飾層(C)の主原料が可燃性のものである場合は、これに難燃処理を施す事も可能である。難燃処理は公知の難燃剤を、混合、塗布、含浸することにより行われる。例えば、装飾層(C)の主原料に合成樹脂を使用する場合は、難燃剤を合成樹脂中に予め配合し、分散しておくことも可能である。
係る難燃剤の具体例としては、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBBA・エポキシオリゴマー、TBBA・カーボネートオリゴマー、TBBA・ビス(ジブロモプロピルエーテル)、TBBA・ビス(アリールエーテル)、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、1,2−ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,6−ジブロモフェノール、2,4−ジブロモフェノール、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレートなどの臭素系難燃剤;
トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、トリス(i−プロピルフェニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、2,2−ビス(クロロメチル)トリメチレンビス(ビス(2−クロロエチル)ホスフェート)、ポリオキシアルキレンビスジクロロアルキルホスフェート、赤リンなどのリン系難燃剤;
メラミンシアニュレート、スルファミン酸グアニジン、燐酸グアニジン、燐酸グアニル尿素、硫酸メラミン、ポリ燐酸メラミンなどの窒素系難燃剤;N,N’,N'''−トリス{2,4−ビス[(1−ヒドロカルビルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アルキルアミノ]−s−トリアジン−6−イル}−3,3’−エチレンジイミノジプロピルアミンに代表されるNOR系難燃剤;三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウなどの無機系難燃剤などが挙げられる。これら難燃剤は難燃性を付与する材料との相性により、適宜選択して使用される。
装飾層(C)は上記素材を単体で使用しても良いし、複合して使用しても良い。また、意匠性を高める為に印刷処理による装飾や、エンボス加工やシボ加工により表面に起伏を持たせる加工を加えたものであっても良い。更には感光性樹脂に干渉縞を露光して表面に起伏を現像するホログラムの成形方法によるものであっても良い。
このような装飾層(C)の代表的な例として、ポリ塩化ビニル樹脂に可塑剤、充填剤、着色剤、安定剤、発泡剤、難燃剤、溶剤などを加えて溶液とし、これを紙の片面に塗工した後、乾燥炉を経て乾燥して被膜とし、ポリ塩化ビニル樹脂面にグラビア印刷機などで絵柄を印刷した後に、過熱炉で過熱して発泡剤によりポリ塩化ビニルを発泡させ、更にこれにエンボス加工することにより得られる発泡ポリ塩化ビニル系樹脂シートからは、意匠性が優れた装飾層(C)を得ることができる。
また別の例としては、ポリオレフィン系樹脂に安定剤、難燃剤などを加え、押出機で溶融混練したものをダイよりシート状に押出し、シボ加工を施した金属ロール上で挟圧し冷却して一方の表面にシボ模様を転写したシートを作製し、グラビア印刷機などでもう一方の平坦面に絵柄を印刷することにより得られるポリオレフィン系樹脂シートからは、意匠性が優れた装飾層(C)を得ることができる。
本発明における装飾層(C)としては、前述の織布や不織布、発泡ポリ塩化ビニル系樹脂シートやポリオレフィン系樹脂シートを含むことが望ましい。これらの素材を含む装飾層(C)からは特に優れた意匠性、装飾性が得られる。
本発明の装飾層(C)は、意匠性の観点から、最外面の表面粗さ(JIS−B−0601に準拠して測定される算術平均粗さRa)が0.5〜100μmであることが好ましい。同表面粗さは、1μm以上であることがより好ましく、1.2μm以上であることが更に好ましく、1.4μm以上であることが特に好ましい。また同表面粗さは、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましく、30μm以下であることが特に好ましい。表面粗さが0.5μm未満では吸着シート(i)の意匠性が劣るものとなる場合がある。一方、表面粗さが100μmを超えると吸着シート(i)の吸着面が装飾層(C)の起伏の影響を受けて平滑性を保てなくなり、静電吸着能力が低下する場合がある。装飾層(C)の表面粗さを所望の値にする為には、素材自体が上記範囲のものを選定するか、或いは前述のエンボス加工やシボ加工により表面に上記範囲の起伏を加えることが好ましい。
装飾層(C)の坪量は、5〜995g/m2であることが好ましく、7〜793g/m2であることがより好ましく、10〜600g/m2であることが更に好ましい。装飾層(C)の坪量が5g/m2未満では厚みが薄くなり充分な意匠性が得られない場合がある。一方、995g/m2を超えてしまうと吸着シート(i)の剛性が高くなりすぎ、同シートのハンドリング性が悪化して被着体への貼り付け加工が難しくなる場合がある。また吸着シート(i)が重くなり、樹脂フィルム層(A)の静電吸着力では、吸着シート(i)を支えられない場合がある。
[積層]
本発明の建築装飾シート(iii)における吸着シート(i)は、上述の通り樹脂フィルム層(A)に装飾層(C)を積層することにより構成される。
樹脂フィルム層(A)と装飾層(C)の積層は、接着剤層を介して実施することが工程上容易であり好ましい。
樹脂フィルム層(A)と装飾層(C)を積層するタイミングは、樹脂フィルム層(A)と後述する支持体層(ii)の積層前でも良いし、樹脂フィルム層(A)と支持体層(ii)の積層後でも良い。
[接着剤層]
接着剤層を用いる場合は、樹脂フィルム層(A)上に水系接着剤、溶剤系接着剤あるいはホットメルト型接着剤等の接着剤を、塗工、散布、溶融押出成形等の手法により接着剤層として設け、装飾層(C)をラミネートするか、装飾層(C)上に水系接着剤、溶剤系接着剤あるいはホットメルト型接着剤等の接着剤を、塗工、散布、溶融押出成形等の手法により接着剤層として設け、樹脂フィルム層(A)をラミネートするか、または、樹脂フィルム層(A)と装飾層(C)の間に接着剤層を溶融押出して圧着しラミネートする等の通常の手法により行うことができる。
ドライラミネートを行う場合の接着剤としては、例えば、エーテル樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、ウリア樹脂、アクリル樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂、ゴム系接着剤等からなる樹脂成分を、従来公知の溶剤を用いてその相の中に溶解、分散、乳濁分散、希釈して、流動性があり塗工の可能な、溶液型やエマルジョン型の様態の液状の接着剤が代表的である。
エーテル樹脂の例としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールA等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られるポリエーテルポリオール、より具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
エステル樹脂の例としては、多塩基酸と多価アルコールの脱水反応物が挙げられる。多塩基酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上使用し、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチルペンタン1,3−ジオール、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上使用して重合される。
ウレタン樹脂の例としては、前述の多価アルコール、エーテル樹脂及びエステル樹脂の少なくとも一種と、イソシアネート化合物の縮合反応物が挙げられる。イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネート−1−1−メチルシクロヘキサン、ジイソシアネートシクロブタン、テトラメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、m−もしくはp−フェニレンジイソシアネート、o−、m−もしくはp−キシリレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートカーボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ジフェニルエーテルジイソシアネート等のイソシアネートモノマー類;等が挙げられる。さらに、イソシアネート化合物は、ウレタン樹脂の分子量を上げると共に、接着力や安定性などの種々の性能を付与するために、多価アルコールで変性したポリイソシアネート化合物を使用することもできる。
ウリア樹脂の例としては、前述のイソシアネート化合物と、アミン化合物の縮合反応物が挙げられる。アミン化合物としては、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソプロピリデンビス−4−シクロヘキシルジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等の脂環式アミン;ピペラジン、メチルピペラジン、アミノエチルピペラジン等の複素環式アミン等が挙げられる。
アクリル樹脂の例としては、有機過酸化物を重合開始剤として、アクリル化合物を重合したものが挙げられる。アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上使用して重合される。
アミド樹脂の例としては、前述の多塩基酸と前述のアミン化合物の縮合反応物が挙げられる。
エポキシ樹脂の例としては、多価フェノール類と、エピハロヒドリン及び低分子量エポキシ化合物の少なくとも一方を反応して得られるポリグリシジルエーテルの単独縮合反応や前述のエーテル樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、ウリア樹脂、アクリル樹脂、アミド樹脂との縮合反応によって得られる縮合反応物が挙げられる。
多価フェノール類の具体的な例としては、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールB(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン)、ビスフェノールE(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン)、ビスフェノールS(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−フェニルエタン、ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビスフェノール類が挙げられる。
ゴム系接着剤の例としては、天然ゴム、クロロプレンゴム、テルペン樹脂、ロジンフェノール樹脂、石油樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリルニトリル・ブタジエン共重合体などが挙げられる。
これら接着剤の塗工は、樹脂フィルム層(A)の装飾層(C)に接する面か、或いは装飾層(C)の樹脂フィルム層(A)と接する面に、ダイコーター、バーコーター、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ロッドコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、リバースコーター、エアーナイフコーター、スライドホッパー等を用いて行われる。その後必要によりスムージングを行い、乾燥工程を経て、接着剤層が形成される。
ホットメルト型接着剤としては、低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(いわゆるサーリン)、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・エチレン・ブチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン共重合体などのスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリブチラール系樹脂、ウレタン系樹脂などを例示できる。
ホットメルト型接着剤を使用する場合は、樹脂フィルム層(A)の装飾層(C)に接する面か、或いは装飾層(C)の樹脂フィルム層(A)と接する面に、ダイより溶融フィルム状に押し出してラミネートするか、加熱装置を持つダイコーターやグラビアコーターを使用して塗工し、接着剤層が形成される。
接着剤層の坪量は、何れの接着剤においても、固形分として好ましくは0.1〜100g/m2、より好ましくは0.2〜50g/m2、さらに好ましくは0.5〜30g/m2となるように設けられる。接着剤層の坪量が0.1g/m2未満では、部分的に接着剤が無い箇所が生じてしまい、十分な接合が得られない場合がある。一方100g/m2を超えてしまうと、吸着シート(i)の自重が重くなり、静電吸着による吸着では吸着シート(i)が支えられず、剥がれ易いものとなってしまうか、接着剤層の凝集力が弱くなり装飾層(C)が樹脂フィルム層(A)から剥がれ落ち易くなる場合がある。
[支持体層(ii)]
本発明の建築装飾シート(iii)を構成する支持体層(ii)は、吸着シート(i)の静電吸着力または自身の静電吸着力により吸着シート(i)の片面に積層するものであり、吸着シート(i)の使用時には感圧粘着ラベルの剥離紙の如く除去される。
支持体層(ii)は、吸着シート(i)を装飾材として使用するまでの間、吸着シート(i)内部に蓄えられた電荷が外部に流出するのを堰き止めるものであり、且つ吸着シート(i)内部の静電吸着力が外部に発現することなく吸着シート(i)を取扱い易くするものである。
支持体層(ii)は樹脂フィルム層(B)を含むものであり、樹脂フィルム層(B)が誘電体である樹脂よりなり、樹脂フィルム層(B)の樹脂フィルム層(A)と接する面が樹脂フィルム層(A)または自身の静電吸着力によって樹脂フィルム層(A)を接着可能としている。
一方、支持体層(ii)のもう片面は、帯電防止性能を有することが好ましい。支持体層(ii)がその片面に帯電防止性能を有することによって、吸着シート(i)と支持体層(ii)を積層した建築装飾シート(iii)は外部に静電吸着力を発現せずに、建築装飾シート(iii)の運送、保管、印刷、加工などの取扱時に周囲への貼り付きやシート同士の貼り付き等のトラブルが発生し難く、ハンドリング性が良好なものとなる。
従って支持体層(ii)は、吸着シート(i)を使用する際には感圧粘着ラベルにおける剥離紙と同様に取り除かれるものであるが、その前段階において樹脂フィルム層(A)の高い静電吸着力を保護しながら、建築装飾シート(iii)の加工等の取扱いを容易とする働きをするものである。
支持体層(ii)は、単層構造でもよく、2層以上からなる多層構造でも良い。前述の通り支持体層(ii)は、樹脂フィルム層(B)を含み、該樹脂フィルム層(B)側の面が樹脂フィルム層(A)と接触して静電吸着可能であり、またその反対面が帯電防止性能を持つように構成することが好ましいことから、多層構造とすることが好ましい。
支持体層(ii)は、樹脂フィルム層(A)と接する面は樹脂フィルム層(A)からの電荷の移動を少なくする観点から絶縁性が優れている樹脂フィルム層(B)を含むものであるが、支持体層(ii)を多層構造とする場合、他方の面は帯電防止性能の付与を考慮して、紙、合成紙、組成の異なる樹脂フィルム、織布、不織布、或いは帯電防止コート層などの公知の素材が適宜選択され、積層することができる。
また支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)側の面は、これに直接帯電処理を施して静電吸着力を持たせ、その静電吸着力のより無処理の樹脂フィルム層(A)に貼り合せて建築装飾シート(iii)とすることも可能である。この場合、樹脂フィルム層(A)側が支持体層(ii)の電荷により誘電され、静電吸着力を帯びるものになる。
また支持体層(ii)は、その坪量が20〜500g/m2の範囲であることが好ましい。該坪量は、30〜400g/m2の範囲であることがより好ましく、40〜300g/m2の範囲であることが更に好ましい。支持体層(ii)は、樹脂フィルム層(A)が内部に保持する電荷と同等の電荷を保持する必要があり、支持体層(ii)の坪量が20g/m2未満では、該層(ii)の静電容量が小さくなり電荷が逃げ易いものとなってしまい、吸着シート(i)が被着体から落下しやすくなる。逆に500g/m2を超えてしまうと、静電容量の観点では充分なものの、建築装飾シート(iii)の重量が重くなり取扱いが困難になる傾向がある。
[樹脂フィルム層(B)]
支持体層(ii)を構成する樹脂フィルム層(B)に用い得る樹脂は、誘電体であり、絶縁性があって内部に電荷を保持できる限り、その種類は特に制限されない。そのため該樹脂としては、前述の樹脂フィルム層(A)で例示した高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを含む熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等の熱可塑性樹脂に加えて、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
これらの中でも加工性に優れるポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂等を用いることがより好ましく、ポリオレフィン系樹脂を用いることが特に好ましい。
支持体層(ii)における樹脂フィルム(B)は、吸着シート(i)における樹脂フィルム層(A)の電荷が外部に逃げないように封じ込める役割を担っている。この電荷を封じ込める能力は、比誘電率で整理することができる。樹脂フィルム層(B)における比誘電率は、好ましくは1.1〜5.0、より好ましくは1.2〜4.0、更に好ましくは1.5〜3.0の範囲である。樹脂フィルム層(B)の比誘電率が5.0を超えると、樹脂フィルム層(A)が電荷を長期間保持できずに、吸着シート(i)の静電吸着力が低下し易くなる傾向がある。一方、比誘電率が1.1未満のものは性能上問題ない筈であるが、空気(真空)の比誘電率よりも低くなる為、このような素材は現在の技術上、入手が困難である。
このような比誘電率は、樹脂フィルム層(B)が上述の樹脂から構成されることや、内部に空隙を形成する加工などにより、所望の範囲を達成することができる。
また支持体層(ii)における樹脂フィルム層(B)側の面(吸着シート(i)と接する側の面)は、電荷の移動を少なくする観点から、樹脂フィルム層(A)と同様にその表面抵抗率が高いほど好ましい。具体的には支持体層(ii)における樹脂フィルム層(B)側の面の表面抵抗率は1×1013〜9×1017Ωの範囲であることが好ましい。該表面抵抗率は、5×1013〜9×1016Ωの範囲であることがより好ましく、1×1014〜9×1015Ωの範囲であることが更に好ましい。表面抵抗率が1×1013Ω未満の場合には、樹脂フィルム層(A)の電荷が該表面を伝って外部に逃げ易く、樹脂フィルム層(A)が電荷を長期間保持できずに、吸着シート(i)の静電吸着力が低下し易くなる傾向がある。一方、9×1017Ωを超えるものは、性能上問題ない筈であるが、現在公知の物質を使用してこの様な高絶縁性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストとなることから実現化が困難である。
一方、建築装飾シート(iii)とした際のハンドリング性を高める目的から、支持体層(ii)はその片面(吸着シート(i)と接しない側の面)に帯電防止性能を有することが好ましい。支持体層(ii)への帯電防止性能の付与は、支持体層(ii)を構成する樹脂フィルム層(B)に、帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを用いる方法や、後述するコート層(D)を設ける方法や、導電性塗料を塗工して導電層を設ける方法や、直接蒸着、転写蒸着、蒸着フィルムのラミネート等により金属薄膜を設ける方法や、帯電防止処理した紙、合成紙、樹脂フィルム、織布、不織布や、帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを貼合積層する方法、などが挙げられる。
帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを用いる様態においては、同フィルム面にコロナ放電表面処理やフレーム表面処理を行わないと帯電防止効果が発現しない場合があり、特に延伸フィルムでは表面処理の処理面と未処理面とでは帯電防止効果が大きく異なる場合がある。この現象を利用して、帯電防止剤を練り込んだ熱可塑性樹脂を延伸したものを樹脂フィルム層(B)とし、この片面にコロナ放電等の表面処理を行うことで、単層構造ながら片面に帯電防止性能を有する支持体層(ii)を形成することも可能である。
上記の種々の方法により、支持体層(ii)における樹脂フィルム層(A)と接しない面、即ち建築装飾シート(iii)の外層にくる面に帯電防止性能を付与し、その表面抵抗率は1×10-1〜9×1012Ωの範囲内とすることが好ましい。該表面抵抗率は1×100〜9×1012Ωの範囲とすることがより好ましい。支持体層(ii)の樹脂フィルム層(A)と接しない面の表面抵抗率が9×1012Ωを超えてしまうと、帯電防止性能が充分ではなく、建築装飾シート(iii)の周囲への貼り付きやシート同士の貼り付き等のトラブルが発生し易くハンドリング性が劣るものとなり、本発明の所期の性能が得られにくい傾向がある。一方、表面抵抗率が1×10-1Ωを下回る場合は、静電吸着シートとして性能上問題ない筈であるが、現在公知の物質を使用してこの様な高導電性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストとなることから実現化が困難である。
[コート層(E)]
本発明の建築装飾シート(iii)を構成する樹脂フィルム層(B)には、その片面に帯電防止性能を付与する目的からコート層(E)を設けることが好ましい。
かかるコート層(E)としては、上記コート層(D)にて記載と同様の組成のものを、同様の手法で設け、同様の厚さで使用することができる。コート層(E)に用いられる組成、積層方法、坪量(塗工量)はコート層(D)のそれと同じでもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
コート層(E)は、樹脂フィルム層(B)の片面に帯電防止性能を付与するものである。具体的には、コート層(E)の表面抵抗率を1×10-1〜9×1012Ω、好ましくは1×103〜9×1011Ω、更に好ましくは1×106〜9×1010Ωの範囲内に調整する。
コート層(E)の表面抵抗率が9×1012Ωを超えてしまうと、積層体や建築装飾シート(iii)が持つ静電吸着力を充分に抑止できずに、積層体の加工の際にロール等への貼り付きやシート同士の貼り付き等のトラブルが発生し易い傾向があり、建築装飾シート(iii)同士の貼り付き等のトラブルが発生し易い傾向がある。一方、表面抵抗率が1×10-1Ωを下回る様な高導電性を有するコート層(E)を形成することは技術的に困難である。
コート層(E)の坪量(塗工量)は、固形分換算で0.01〜50g/m2であることが好ましく、0.05〜30g/m2であることがより好ましく、0.1〜10g/m2であることが更に好ましく、0.3〜8g/m2であることが特に好ましい。坪量が0.01g/m2に満たない場合には、コート層(E)の均一性を維持することが難しく、安定した帯電防止性能が得られない場合がある。一方50g/m2を超える場合には安定したコートを施す事が難しく、表面抵抗率の均一性やコート層(E)の凝集破壊などの問題が発生する場合がある。
[帯電処理]
本発明の建築装飾シート(iii)は、吸着シート(i)の樹脂フィルム層(A)面ならびに支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)面の少なくとも一方に帯電処理を施し、次いで両者を静電吸着力によって貼合して得た、(A)/(B)の積層体を含むものである。
帯電処理は、樹脂フィルム層(A)や樹脂フィルム層(B)の内部に電荷を注入することで、これに静電吸着力を持たせるために実施する。
帯電処理は、公知の種々の方法に従って行なうことができる。処理方法としては、例えば、該フィルムを成形した後、該フィルムの表面にコロナ放電やパルス状高電圧を加える方法(エレクトロエレクトレット化法)や、同フィルムの両面を誘電体で保持し、両面に直流高電圧を加える方法(エレクトロエレクトレット化法)や、同フィルムにγ線や電子線等の電離放射線を照射してエレクトレット化する方法(ラジオエレクトレット化法)などが挙げられる。
該フィルムへの帯電処理は、好ましくは上記コロナ放電や高電圧を加える方法(エレクトロエレクトレット化法)により行うことが好ましい。エレクトロエレクトレット化法の好ましい例としては、直流高圧電源に繋がった印加電極とアース電極の間に、フィルムを固定して電圧をかける方法(バッチ式、図6、7参照)や、フィルムを通過させて電圧をかける方法(連続式、図8、9、10参照)が挙げられる。本手法を用いる場合には、主電極(印加電極)に針状のものを等間隔で多数配置したものや、金属ワイヤーを使用し、対電極(アース電極)に平坦な金属板や金属ロールを使用することが望ましい。
樹脂フィルム層(A)の片面にコート層(D)を設けている場合、または樹脂フィルム層(B)の片面にコート層(E)を設けている場合に、同コート層表面へのコロナ放電等の帯電処理は与えた電荷が周囲に散逸してしまう可能性が高く効果的ではない。但し、この帯電防止性能を有している面がアース側(金属板や金属ロール)に接している場合は、特にこのような問題は生じない。
本発明の建築装飾シート(iii)を構成する樹脂フィルム層(A)または樹脂フィルム層(B)は、帯電処理後に除電処理を行うことも可能である。除電処理を行なうことにより過剰な帯電を除去して断裁工程、印刷工程等の加工工程でのトラブルを回避することが可能となる。係る除電処理には、電圧印加式除電器(イオナイザ)や自己放電式除電器など公知の手法を用いることができる。これら一般的な除電器は、表面の電荷の除去はできるが、樹脂フィルム層(A)または樹脂フィルム層(B)の内部に蓄積した電荷までは除去できない。したがって除電処理により、樹脂フィルム層(A)または樹脂フィルム層(B)の静電吸着力が大きく損なわれることはない。
[印刷]
本発明の建築装飾シート(iii)は、装飾層(C)表面に印刷を施すことが可能である。係る印刷としてはオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、電子写真記録方式などの従来公知の手法を用いることが可能であるが、広幅での印刷が可能なグラビア印刷やインクジェット記録方式が好ましい。さらに印刷インキとしては、油性インキ、水性インキならびにUVインキが使用可能である。
装飾層(C)に印刷を行うことにより、吸着シート(i)の装飾性がより向上する。装飾層(C)へ印刷を施すタイミングは、装飾層(C)と樹脂フィルム層(A)の積層前でも良いし、装飾層(C)と樹脂フィルム層(A)の積層後でも良い。
[装飾材]
本発明の建築装飾シート(iii)を構成する吸着シート(i)は、被着体に貼り付けることにより壁紙、襖紙、クロス、化粧シート、化粧紙、シール、ラベル、サイン、ポスター、広告等の装飾材として使用することができる。
この装飾材は樹脂フィルム層(A)の静電吸着力によって被着体に貼着することから、貼り直しが容易であり、被着体との間に空気溜りが生じたとしても手で除けばどの方向からも空気を抜くことが容易であり、最終的な仕上がりが良好であるという利点がある。また同装飾材は、使用時には静電吸着力が高く、静電吸着力の持続性も充分で長期に亘り被着体上に表示使用することができ、且つ使用後は容易に被着体から装飾材を分離することができる。
更に装飾材の具体的な用途例として、POP(ポスター、ディスプレイ等)、ラベル、ネーマー、店舗案内(パンフレット、会社案内、品書き、メニュー等)、下敷き(ランチマット、テーブルマット等)、マニュアル(職務、作業、操作等の各種マニュアル、工程表、時間割等)、チャート類(海図、天気図、図表、罫線表等)、カタログ、地図(海図、路線図、屋外用地図等)、店頭価格表、登山ガイド、料理のレシピ、案内板(売り場案内、方向・行き先案内等)、スケジュール表、ロードサイン(葬式・住宅展示場所等)、室名札、表示板(立ち入り禁止、林道作業等)、表札、カレンダー(画像入り)等を例示することができ、何れも利用可能である。特に屋内使用を前提とした用途に好適に用いることができる。
[物性測定方法]
(厚み)
本発明における厚みは、JIS−K−7130に準拠し、定圧厚さ測定器((株)テクロック製、商品名:PG−01J)を用いて測定した。
形成した樹脂フィルム層(A)が多層構造である場合に、各層の厚みは、測定対象試料を液体窒素にて−60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、商品名:プロラインブレード)を直角に当て切断し断面測定用の試料を作成し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6490)を使用して断面観察を行い、組成外観から熱可塑性樹脂組成物ごとの境界線を判別して、樹脂フィルム層(A)全体の厚みと観察される層厚み比率を乗算して求めた。
(坪量)
本発明における建築装飾シート(iii)およびこれを構成する樹脂フィルム層、装飾層の夫々の坪量は、JIS−P−8124に準拠し、100mm×100mmのサイズに打抜いたサンプルを電子天秤で秤量して測定した。
(表面抵抗率)
本発明における表面抵抗率は、温度23℃、相対湿度50%の条件下で、表面抵抗率が1×107Ω以上の場合は、JIS−K−6911に準拠し、2重リング法の電極を用いて測定した。表面抵抗率が1×107Ω未満の場合は、JIS−K−7194に準拠し、4端針により測定することによって測定した。
(表面粗さ)
JIS−B−0601:1994に準拠し、装飾層(C)表面の算術平均粗さRa(μm)を、三次元粗さ測定装置(型番:SE−3AK、(株)小坂研究所製)および解析装置(型番:SPA−11、(株)小坂研究所製)を用いて測定した。
(総発熱量)
建築装飾シート(iii)を温度23℃、相対湿度50%の環境下で一週間保管し、これを100mm×100mmのサイズに断裁し、次いで建築装飾シート(iii)から支持体層(ii)を剥離して吸着シート(i)を得て、この吸着シート(i)の総発熱量をISO5660−1:2002に準拠し、コーンカロリーメーター(型番:CONEIII、(株)東洋精機製作所製)を用いて測定した。比較例1の建築装飾シート(iii)は剥離紙を剥がした状態で測定した。
本発明の吸着シート(i)の総発熱量は、0.1〜8MJ/m2であることが好ましく、1〜7.5MJ/m2であることがより好ましく、2〜7MJ/m2であることが更に好ましく、4〜6MJ/m2であることが特に好ましい。吸着シート(i)の総発熱量が8MJ/m2を超えると吸着シート(i)を建築物の内装材料に使用し火災などが発生した場合に燃焼性が高いことから大災害に繋がる可能性がある。一方、総発熱量が0.1MJ/m2未満にする為には、吸着シート(i)の有機物である熱可塑性樹脂成分を極力減らさなくてはならず、電荷保持性能の低下から吸着性能が低下する場合がある。
(吸着力)
建築装飾シート(iii)を、200mm×220mmのサイズに断裁し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で1日間保管した後、同環境下で、建築装飾シート(iii)から支持体層(ii)を剥離して吸着シート(i)を得て、これを図12に概略図を示す吸着力測定装置のガラス板上に、吸着面積が200mm×200mmとなり吸着シート(i)の下端20mm幅分がはみ出す様に貼り付け、吸着シート(i)の下端分にクリップを取り付け、糸を取り付けた10gの分銅を1つずつクリップに追加していき、吸着シート(i)がガラス板から滑り落ちた時の分銅の重さから、吸着力を平米当りに換算して求めた。比較例1の建築装飾シート(iii)は剥離紙を剥がして粘着剤により貼り付けた。
本発明の吸着シート(i)の吸着力は、1000〜100000g/m2であることが好ましく、5000〜50000g/m2であることがより好ましく、6000〜30000g/m2であることが更に好ましい。吸着シート(i)の吸着力が1000g/m2未満であると、吸着シート(i)を被着体に貼り付けた後に自然に剥がれてしまう可能性がある。一方、吸着力が100000g/m2になると、吸着シート(i)を一度被着体に貼り付けた後に吸着シート(i)を移動させる事が困難になり、吸着シート(i)の位置合わせが難しく、吸着シート(i)の位置合わせの際にシワが入り易い。
以下に、調製例、製造例、実施例、比較例および試験例を用いて、本発明を更に具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
本発明の樹脂フィルム層(A)、樹脂フィルム層(B)および装飾層(C)の製造例などに使用する熱可塑性樹脂組成物を表1にまとめて示す。これらは予め表1に記載した使用原料を表1に記載した割合で混合した熱可塑性樹脂組成物(a)〜(g)を、210℃に設定した2軸混練機にて溶融混練し、次いで230℃に設定した押出機にてストランド状に押し出し、冷却後にストランドカッターにて切断して樹脂組成物(a)〜(g)のペレットを作成して、以降の製造例で使用した。
Figure 2015212494
[帯電防止機能を有するポリマーの調製例1]
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名:ブレンマーPE−350)100重量部、過塩素酸リチウム(和光純薬工業(株)製、試薬)20重量部、ヒドロキノン(和光純薬工業(株)製、試薬)1重量部およびプロピレングリコールモノエチルエーテル(和光純薬工業(株)製、試薬)400重量部を、攪拌装置、還流冷却管(コンデンサー)、温度計、及び滴下ロートを装着した四つ口フラスコに導入し、系内を窒素置換し、60℃で40時間反応させた。これにステアリルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)5重量部、n−ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)5重量部、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製、試薬)1重量部を添加し、80℃で3時間重合反応した後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを添加して固形分を20重量%に調整し、重量平均分子量約30万、固形分中のリチウム濃度0.6重量%のアルカリ金属塩含有ポリマーよりなる帯電防止機能を有するポリマーの溶液を得た。
[帯電防止機能を有するポリマーの調製例2]
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(三菱ガス化学(株)製)35重量部、エチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)20重量部、シクロヘキシルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)20重量部、ステアリルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)25重量部、エチルアルコール150重量部と、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製、試薬)1重量部を、攪拌装置、還流冷却管(コンデンサー)、温度計、及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコに導入し、系内を窒素置換し、窒素気流下にて80℃の温度で6時間重合反応を行なった。次いで3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの50重量%水溶液85重量部(和光純薬工業(株)製、試薬)を加え、更に80℃の温度で15時間反応させた後、水を滴下しながらエチルアルコールを留去し、最終固形分として20重量%の第四級アンモニウム塩型共重合体よりなる帯電防止機能を有するポリマーの溶液を得た。
[高分子バインダーの調製例3]
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)15重量部、メチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)50重量部、エチルアクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)35重量部およびトルエン(和光純薬工業(株)製、試薬)100重量部を、攪拌機、環流冷却管、温度計、及び滴下ロートを装着した四つ口フラスコに仕込み、窒素置換後、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製、試薬)0.6重量部を開始剤として導入し80℃で4時間重合させた。得られた溶液は、水酸基価65の水酸基含有メタクリル酸エステル系重合体の50%トルエン溶液であった。次いで、この溶液100重量部に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(新第1塩ビ(株)製、商品名:ZEST C150ML)20%メチルエチルケトン溶液を30重量部加え、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製、試薬)を添加して固形分を20重量%に調整し、高分子バインダー溶液を得た。
[高分子バインダーの調製例4]
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン(日本触媒(株)製、商品名:エポミン P−1000)25重量%水溶液100重量部、1−クロロブタン(和光純薬工業(株)製、試薬)10重量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製、試薬)10重量部を導入して窒素気流下で攪拌し、80℃の温度で20時間変性反応を行い、次いでこの溶液に水を添加して固形分を20重量%に調整し、高分子バインダー溶液を得た。
[コート層の調製例1]
メチルエチルケトンをカウレスミキサーにて静かに攪拌しながら、これに表2に記載の顔料粒子のそれぞれ計量したものを少しずつ加え、固形分濃度20重量%になるように調整した後、カウレスミキサーの回転数を上げて30分間攪拌し顔料分散液を作成した。
次いでカウレスミキサーの回転数を落とし、この顔料分散液に、上記調製例に記載の高分子バインダー溶液、帯電防止機能を有するポリマー溶液、および表2に記載の硬化剤の溶液(酢酸エチルにて固形分20重量%に希釈したもの)をこの順に、表2に記載した配合割合となるように添加し、そのまま20分間攪拌して混合し、その後100メッシュのフィルターを通し粗粒径物の除去を行い、メチルエチルケトンで表2に記載の固形分濃度となる様に希釈し、コート層用の塗工溶液(調製例1)を得た。
[コート層の調整例2]
攪拌機を備えた容器中に、表2に記載の高分子バインダー溶液、および帯電防止機能を有するポリマー溶液をこの順に、表2に記載した配合割合となるように添加し、次いで水で表2に記載の固形分濃度となる様に希釈し、そのまま20分間攪拌し混合してコート層用の塗工溶液(調製例2)を得た。
Figure 2015212494
[樹脂フィルム層の製造例1、3]
熱可塑性樹脂組成物aを230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、シート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを、150℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを、60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、表3に記載の坪量の2軸延伸樹脂フィルムを得て、これを樹脂フィルム層とした。
[樹脂フィルム層の製造例2]
熱可塑性樹脂組成物aを230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、シート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを、150℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを、60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットして肉厚が40μm、坪量が36g/m2の2軸延伸樹脂フィルムを得た。次いでこの2軸延伸フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、次いでコロナ放電による処理表面上に、コート層の調製例1で得た塗工溶液をグラビアコーターにて塗工し、乾燥させて坪量2g/m2のコート層を有する樹脂フィルム層とした。
[樹脂フィルム層の製造例4]
熱可塑性樹脂組成物bと熱可塑性樹脂組成物aとを、230℃に設定した3台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃に加熱して縦方向に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを、60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃に冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、厚みが50μm、坪量が44g/m2、空孔率が5%、3層構造〔各層樹脂組成(a/b/a)、各層厚み(2μm/46μm/2μm)、各層延伸軸数(2軸/2軸/2軸)〕の2軸延伸樹脂フィルムを得て、これを樹脂フィルム層とした。
[樹脂フィルム層の製造例5]
熱可塑性樹脂組成物cと熱可塑性樹脂組成物aとを、230℃に設定した3台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを150℃に加熱して縦方向に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを、60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃に冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、厚みが45μm、坪量が41g/m2、空孔率が0%、3層構造〔各層樹脂組成(a/c/a)、各層厚み(2μm/41μm/2μm)、各層延伸軸数(2軸/2軸/2軸)〕の2軸延伸樹脂フィルムを得て、これを樹脂フィルム層とした。
[樹脂フィルム層の製造例6]
熱可塑性樹脂組成物dと熱可塑性樹脂組成物eとを、230℃に設定した3台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを145℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、更に160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃まで冷却し、耳部をスリットして肉厚が45μm、坪量が36g/m2、空孔率が20%、3層構造〔各層樹脂組成(e/d/e)、各層厚み(2μm/41μm/2μm)、各層延伸軸数(2軸/2軸/2軸)〕の2軸延伸樹脂フィルムを得た。
次いでこの2軸延伸フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、コロナ放電による処理表面上に、コート層の調製例1で得た塗工溶液をグラビアコーターにて塗工し、乾燥させて坪量2g/m2のコート層を有する樹脂フィルム層とした。
[樹脂フィルム層の製造例7]
熱可塑性樹脂組成物eを230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを145℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。次いで可塑性樹脂組成物fを250℃に設定した2台の押出機にて溶融混練した後、シート状に押し出して上で調製した5倍延伸シートの両面にそれぞれに積層し、3層構造の積層シートを得た。次いで、この積層シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加熱して横方向に8.5倍延伸した後、更に160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。
その後60℃まで冷却し、耳部をスリットして肉厚が50μm、坪量が38g/m2、空孔率が29%、3層構造〔各層樹脂組成(f/e/f)、各層厚み(10μm/30μm/10μm)、各層延伸軸数(1軸/2軸/1軸)〕の延伸樹脂フィルムを得た。
次いでこの延伸樹脂フィルムの片面にコロナ放電による表面処理を施し、コロナ放電による処理表面上に、コート層の調製例2で得た塗工溶液をスクイズコーターにて塗工し、乾燥させて坪量0.1g/m2のコート層を有する樹脂フィルム層とした。
[樹脂フィルム層の製造例8]
熱可塑性樹脂組成物eを230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを135℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。次いで熱可塑性樹脂組成物aと熱可塑性樹脂組成物fとを250℃に設定した2台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出して、上で調製した5倍延伸シートの片面に組成物aが最外層となるように積層した。別に、可塑性樹脂組成物fを250℃に設定した押出機にて溶融混練した後、シート状に押し出して上で調製した5倍延伸シートのもう一方の面に積層し、4層構造の積層シートを得た。次いで、この積層シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加熱して横方向に8.5倍延伸した後、更に160℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。
その後60℃まで冷却し、耳部をスリットして肉厚が70μm、坪量が68g/m2、空孔率が23%、4層構造〔各層樹脂組成(a/f/e/f)、各層厚み(20μm/10μm/30μm/10μm)、各層延伸軸数(1軸/1軸/2軸/1軸)〕の延伸樹脂フィルムを得た。
次いでこの延伸樹脂フィルムの組成物fの側の面にコロナ放電による表面処理を施し、コロナ放電による処理表面上に、コート層の調製例1で得た塗工溶液をグラビアコーターにて塗工し、乾燥させて坪量2g/m2のコート層を有する樹脂フィルム層とした。
各製造例で得た樹脂フィルム層の物性を表3にまとめて示す。
Figure 2015212494
[装飾層の製造例I]
塩化ビニル樹脂((株)カネカ製、商品名:カネビニルペーストPSL−675)100重量部に対して、可塑剤((株)ジェイプラス製、商品名:DINP)50重量部、発泡剤(永和化成工業(株)製、商品名:ビニホールAC−#3)5重量部、減粘剤(ビッグケミ(株)製、商品名:BYK−511)5重量部、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名:カルファイン200)70重量部、酸化チタン(堺化学工業(株)製、商品名:R−21)15重量部、バリウム−亜鉛系安定剤((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブOF−23)3重量部を、ディゾルバー混練機で混練することにより、ポリ塩化ビニル系樹脂ペーストを得た。
坪量52g/m2の中質紙(王子製紙(株)製、商品名:OKエバーライトW)の片面に該ポリ塩化ビニル系樹脂ペーストを塗工量が220g/m2になる様にコンマコーターで塗布し、240℃のオーブンで1分間加熱して発泡させた後、塗工面側にエンボスロールを用いてエンボス加工し、坪量が272g/m2、厚みが630μm、表面平均粗さが12.7μmの発泡ポリ塩化ビニル系樹脂シートを含む装飾層を得た。
[装飾層の製造例II]
麻布((株)タケミクロス製、商品名:T4099)にリン・窒素複合系難燃剤(丸菱油化(株)製、商品名:ノンネン6412)を乾燥後の塗工量が30g/m2になる様にロールコーターにて塗工し、120℃に設定したドライヤーにて1分間乾燥して、坪量が270g/m2、厚みが300μm、表面平均粗さが16.9μmの織布を含む装飾層を
得た。
[装飾層の製造例III]
ポリエステル系不織布(東洋紡(株)製、商品名:エクーレ3301A)にハロゲン・リン・窒素複合系難燃剤(丸菱油化(株)製、商品名:ノンネンR974−3)を乾燥後の塗工量が10g/m2になる様にグラビアコーターで塗工し、90℃に設定したドライヤーにて1分間乾燥して、坪量が40g/m2、厚みが180μm、表面平均粗さが13.9μmの不織布を含む装飾層を得た。
[装飾層の製造例IV]
熱可塑性樹脂組成物gを230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給してシート状に押し出し、シボ加工を施した金属ロールとシリコンゴムロールからなる冷却装置を用いて挟圧しながら冷却し、無延伸シートを得た。
この無延伸シートのシリコンゴムロールで冷却した側の面にコロナ放電による表面処理を施し、コロナ放電による処理表面上に、グラビア印刷機を用いて木目調の印刷を施し、更に120℃に設定したエンボス加工機を用いて金属ロール面に木目調のエンボス加工を行って、坪量が76g/m2、厚みが80μm、表面平均粗さが1.5μmのポリオレフィン系樹脂シートを含む装飾層を得た。
各製造例で得た装飾層の物性を表4にまとめて示す。
Figure 2015212494
[実施例1]
図11に概略図で示す製造装置を用い、上記樹脂フィルム層の製造例1で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(A)としてこれをロール(31)より巻きだし、該樹脂フィルム層(A)の未処理面に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、図11中の針状電極(35)と対電極ロール(36)の距離を1cmに設定し、放電電圧を10kVとし、処理幅を1mとし、処理速度を100m/minとした。
別に製造例8で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(B)としてこれをロール(32)より巻きだし、上記で電荷注入処理を実施した樹脂フィルム層(A)面と、樹脂フィルム層(B)の未処理面(非コート面)が接するように積層し、両者を圧着ロール(38、39)で加圧接着して静電吸着積層体を得た。
次いで、上記静電吸着積層体の樹脂フィルム層(A)側に接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液)を固形分量が3g/m2となるように塗工し、40℃で1分間乾燥した後に、上記装飾層の製造例Iで得た装飾層を装飾層(C)として、中質紙側の面を貼り合わせて、実施例1の建築装飾シート(iii)を得た。
[実施例2]
実施例1において、樹脂フィルム層(A)として製造例2で得た樹脂フィルム層を用い、放電電圧を15kVとした以外は、実施例1と同様にして実施例2の建築装飾シート(iii)を得た。
[実施例3]
図11に概略図で示す製造装置を用い、上記樹脂フィルム層の製造例3で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(A)としてこれをロール(31)より巻きだし、該樹脂フィルム層(A)の未処理面に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、図11中の針状電極(35)と対電極ロール(36)の距離を1cmに設定し、放電電圧を20kVとし、処理幅を0.5mとし、処理速度を10m/minとした。
別に製造例8で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(B)としてこれをロール(32)より巻きだし、上記で電荷注入処理を実施した樹脂フィルム層(A)面と、樹脂フィルム層(B)の未処理面(非コート面)が接するように積層し、両者を圧着ロール(38、39)で加圧接着して静電吸着積層体を得た。
次いで、上記静電吸着積層体の樹脂フィルム層(A)側に接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液)を固形分量が3g/m2となるように塗工し、40℃で1分間乾燥した後に、上記装飾層の製造例IIIで得た装飾層を装飾層(C)として、これを貼り合わせて、実施例3の建築装飾シート(iii)を得た。
[実施例4]
実施例3において、樹脂フィルム層(A)として製造例4で得た樹脂フィルム層を用い、放電電圧を15kVとした以外は、実施例3と同様にして実施例4の建築装飾シート(iii)を得た。
[実施例5]
図11に概略図で示す製造装置を用い、上記樹脂フィルム層の製造例5で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(A)としてこれをロール(31)より巻きだし、該樹脂フィルム層(A)の未処理面に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、図11中の針状電極(35)と対電極ロール(36)の距離を1cmに設定し、放電電圧を15kVとし、処理幅を1mとし、処理速度を20m/minとした。
別に製造例8で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(B)としてこれをロール(32)より巻きだし、上記で電荷注入処理を実施した樹脂フィルム層(A)面と、樹脂フィル
ム層(B)の未処理面(非コート面)が接するように積層し、両者を圧着ロール(38、39)で加圧接着して静電吸着積層体を得た。
次いで、上記静電吸着積層体の樹脂フィルム層(A)側に接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液)を固形分量が3g/m2となるように塗工し、40℃で1分間乾燥した後に、上記装飾層の製造例IVで得た装飾層を装飾層(C)として、グラビア印刷面側の面を貼り合わせて、実施例5の建築装飾シート(iii)を得た。
[実施例6]
図11に概略図で示す製造装置を用い、上記樹脂フィルム層の製造例6で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(A)としてこれをロール(31)より巻きだし、該樹脂フィルム層(A)の未処理面に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、図11中の針状電極(35)と対電極ロール(36)の距離を1cmに設定し、放電電圧を18kVとし、処理幅を1.2mとし、処理速度を50m/minとした。
別に製造例2で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(B)としてこれをロール(32)より巻きだし、上記で電荷注入処理を実施した樹脂フィルム層(A)面と、樹脂フィルム層(B)の未処理面(非コート面)が接するように積層し、両者を圧着ロール(38、39)で加圧接着して静電吸着積層体を得た。
次いで、上記静電吸着積層体の樹脂フィルム層(A)側に接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液)を固形分量が3g/m2となるように塗工し、40℃で1分間乾燥した後に、上記装飾層の製造例IIで得た装飾層を装飾層(C)として、これを貼り合わせて、実施例6の建築装飾シート(iii)を得た。
[実施例7]
図11に概略図で示す製造装置を用い、上記樹脂フィルム層の製造例7で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(A)としてこれをロール(31)より巻きだし、該樹脂フィルム層(A)の未処理面に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、図11中の針状電極(35)と対電極ロール(36)の距離を1cmに設定し、放電電圧を18kVとし、処理幅を1.3mとし、処理速度を30m/minとした。
別に製造例2で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(B)としてこれをロール(32)より巻きだし、上記で電荷注入処理を実施した樹脂フィルム層(A)面と、樹脂フィルム層(B)の未処理面(非コート面)が接するように積層し、両者を圧着ロール(38、39)で加圧接着して静電吸着積層体を得た。
次いで、上記静電吸着積層体の樹脂フィルム層(A)側に接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液)を固形分量が3g/m2となるように塗工し、40℃で1分間乾燥した後に、上記装飾層の製造例Iで得た装飾層を装飾層(C)として、中質紙側の面を貼り合わせて、実施例7の建築装飾シート(iii)を得た。
[実施例8]
実施例7において、樹脂フィルム層(A)として製造例8で得た樹脂フィルム層を用いた以外は、実施例7と同様にして実施例8の建築装飾シート(iii)を得た。
[実施例9]
製造例2で得た樹脂フィルムを樹脂フィルム層(A)とし、このコート層面側の面に接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液)を固形分量が3g/m2となるように塗工し、40℃で1分間乾燥した後に、上記
装飾層の製造例Iで得た装飾層を装飾層(C)として、中質紙側の面を貼り合わせて吸着シート(i)を得た。
図11に概略図で示す製造装置を用い、上記吸着シート(i)をロール(31)より巻きだし、該吸着シート(i)の樹脂フィルム層(A)面に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、図11中の針状電極(35)と対電極ロール(36)の距離を1cmに設定し、放電電圧を27kVとし、処理幅を0.5mとし、処理速度を5m/minとした。
別に製造例8で得た樹脂フィルム層を樹脂フィルム層(B)としてこれをロール(32)より巻きだし、上記で電荷注入処理を実施した樹脂フィルム層(A)面と、樹脂フィルム層(B)の未処理面(非コート面)が接するように積層し、両者を圧着ロール(38、39)で加圧接着して実施例9の建築装飾シート(iii)を得た。
[比較例1]
上記実施例1〜9に挙げた建築装飾シート(iii)との比較として、従来から用いられる粘着剤を使用した建築装飾シートを得た。
具体的には、片面ポリラミグラシン剥離紙(王子タック製、商品名:GB80)のポリラミ面に、再剥離型感圧接着剤(トーヨーケム(株)製、商品名:サイアバインSH101)100重量部と硬化剤(トーヨーケム(株)製、商品名:T−501B)3重量部を混合した塗工液を、コンマコーターを用いて乾燥後の塗工量が30g/m2になる様に塗工し、90℃に設定したオーブンで2分間乾燥後、上記装飾層の製造例Iで得た装飾層を装飾層(C)として、中質紙側の面が感圧接着剤と接するように積層し貼り合わせて、比較例1の建築装飾シート(iii)を得た。
本発明の実施例1〜9および比較例1で用いた樹脂フィルム層(A)、樹脂フィルム層(B)、および装飾層(C)の組み合わせ、電荷注入処理の際の放電電圧、ならびに下記評価例に基づく評価結果を表5にまとめて示す。
Figure 2015212494
[評価例]
(施工性)
建築装飾シート(iii)を、420mm×297mmのサイズに断裁し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で1日間保管した後、同環境下で、建築装飾シート(iii)から支持体層(ii)を剥離して吸着シート(i)を得て、これを幅455mm×高さ455mm×厚み2mmの鏡面仕上げアルミ板に貼り付け、貼り付けた後に位置調整を実施し、更に、吸着シート(i)とアルミ板の間にある空気溜りを手でしごいて追い出して、所望の位置に綺麗に貼れるかを以下の基準で評価した。
○ : 良好 位置調整が容易で、空気が残らない。
△ : やや良好 位置調整が容易だが、空気が抜け難い。
× : 不良 位置調整が困難
(剥離性)
前述の施工性の評価で作製した吸着シート(i)を貼り付けたアルミ板を、温度60℃、相対湿度80%の環境下で1ヶ月間保管し、次いで吸着シート(i)をアルミ板から手で引き剥がしてアルミ板からの剥離のしやすさを以下の基準で評価した。
○ : 良好 軽く容易に剥せる。
△ : やや良好 剥離がやや重いが、シートの破壊は無い。
× : 不良 剥離が重く、剥離中にシートが破壊してしまう。
(被着体の汚染性)
前述の剥離性を評価した後のアルミ板の表面にライトの光を斜め方向から当て、表面の変化を目視にて観察して汚染の跡を以下の基準で評価した。
○ : 良好 元の状態から変化が無い
△ : やや良好 ライトの当て方によっては跡が見える
× : 不良 吸着シートの跡がはっきりと残っている。
(耐火性)
前述の耐火性試験に従い、耐火性を以下の基準で評価した。
◎ : 特に良好 総発熱量が6MJ/m2未満
○ : 良好 総発熱量が6MJ/m2以上、7MJ/m2未満
△ : やや良好 総発熱量が7MJ/m2以上、8MJ/m2未満
× : 不良 総発熱量が8MJ/m2以上
(吸着性)
前述の吸着力試験に従い、吸着性を以下の基準で評価した。
○ : 良好 吸着力が5000g/m2以上
△ : やや良好 吸着力が1000g/m2以上、5000g/m2未満
× : 不良 吸着力が1000g/m2未満
以上の結果から明らかなように、本発明の建築装飾シート(iii)は優れた施工性、吸着性、剥離性、非汚染性を具備している。そのため壁紙や化粧紙として使用した場合に容易に貼り換えが可能であり、被着体への汚染性が極めて低く、被着体を何度も繰り返して使用できる特徴がある。
また、本発明の建築装飾シート(iii)は適度な表面粗さによる優れた意匠性を具備しており、更には耐火性にも優れたものである。
また、本発明の建築装飾シート(iii)より得られる装飾物は、貼り付け後に表示位置の調整が容易であり、吸着シート(i)と被着体との間に空気溜りが発生しにくくその意匠性が損なわれにくい。
静電吸着力により被着体を装飾する装飾材としての吸着シート(i)は、表示使用時には吸着力が高く、吸着力の持続性も充分で長期に亘り表示使用することができ、吸着力が湿度に影響され難く、且つ使用後は容易に剥がすことができるという特徴を有している。
1 建築装飾シート(iii)
2 吸着シート(i)
3 支持体(ii)
4 樹脂フィルム層(A)
5 樹脂フィルム層(B)
6 装飾層(C)
7 接着剤層
8 コート層(D)
9 コート層(E)
10 印刷
11 静電吸着による接着面
21 樹脂フィルム層(A)または樹脂フィルム層(B)
22 直流高圧電源
23 針状印加電極(面状配列)
24 板状アース電極
25 ワイヤー状印加電極
26 針状印加電極
27 ロール状アース電極
28 ワイヤー状印加電極
29 針状電極(横一列配置)
31 樹脂フィルム層(A)または吸着シート(i)
32 樹脂フィルム層(B)または支持体層(ii)または吸着シート(i)
33 静電吸着積層体または建築装飾シート(iii)
34 直流高圧電源
35 針状印加電極(横一列配置)
36 ロール状アース電極
37 ガイドロール(グランドアース接続)
38 ニップロール(貼合ロール)
39 ニップロール(貼合ロール)
41 吸着シート(i)
42 ガラス板
43 支柱
44 クリップ
45 釣り糸
46 加重

Claims (13)

  1. 片面に装飾層(C)を設けた樹脂フィルム層(A)を含む吸着シート(i)と、樹脂フィルム層(B)を含む支持体層(ii)とを積層した静電吸着シートであって、吸着シート(i)の樹脂フィルム層(A)と、支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)とが静電吸着により接着していることを特徴とする建築装飾シート(iii)。
  2. 樹脂フィルム層(A)および樹脂フィルム層(B)が、熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の建築装飾シート(iii)。
  3. 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂および熱可塑性ポリエステル系樹脂の何れかの樹脂を含むことを特徴とする請求項2に記載の建築装飾シート(iii)。
  4. 樹脂フィルム層(A)の樹脂フィルム層(B)と接する側の表面および樹脂フィルム層(B)の樹脂フィルム(A)と接する側の表面の表面抵抗率が、それぞれ1×1013〜9×1017Ωであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の建築装飾シート(iii)。
  5. 建築装飾シート(iii)の支持体層(ii)面の表面抵抗率が、1×10-1〜9×1012Ωであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の建築装飾シート(iii)。
  6. 装飾層(C)面の表面粗さが、0.5〜100μmであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の建築装飾シート(iii)。
  7. 装飾層(C)が、織布、不織布、発泡ポリ塩化ビニル系樹脂シート、およびポリオレフィン系樹脂シートの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の建築装飾シート(iii)。
  8. 吸着シート(i)の坪量が、20〜1000g/m2であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の建築装飾シート(iii)。
  9. 吸着シート(i)のコーンカロリーメーターによる総発熱量が、1×105〜8×106J/m2であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の建築装飾シート(iii)。
  10. 樹脂フィルム層(A)および樹脂フィルム層(B)の少なくとも一方に帯電処理を施し、両者を静電吸着により積層し、次いで樹脂フィルム層(A)側の表面上に装飾層(C)を積層することを特徴とする請求項1に記載の建築装飾シート(iii)の製造方法。
  11. 樹脂フィルム層(A)の片面に装飾層(C)を積層し、次いで樹脂フィルム層(A)および樹脂フィルム層(B)の少なくとも一方に帯電処理を施し、両者を静電吸着により積層することを特徴とする請求項1に記載の建築装飾シート(iii)の製造方法。
  12. 請求項1に記載の建築装飾シート(iii)から支持体層(ii)を剥離した、吸着シート(i)よりなる装飾材。
  13. 請求項12に記載の装飾材を、静電吸着により被着体に貼着した装飾物。
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