JP2014044413A - 静電吸着シート、記録物ならびに該記録物を用いた表示物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂フィルム層4を含むラベル層2と、支持体層3を積層した静電吸着シート1であって、樹脂フィルム層側表面、および支持体層の少なくとも一方に帯電処理を施し、次い樹脂フィルム層と支持体層を静電吸着させて積層体とし、次いで積層体の少なくともラベル層側の面に記録層5を積層して得た静電吸着シートであり、ラベル層側の表面抵抗率が1×10-1Ω〜9×1012Ωであり、支持体層側の表面抵抗率が1×10-1Ω〜9×1012Ωである。
【選択図】図1
Description
また、本発明の静電吸着シート(iii)は、記録適性に優れ、特に印刷工程でハンドリング性が良く、インクの密着性が優れており、多様な印刷方式に対応し得るものである。
しかしながら、これらフィルムは、接着剤や粘着テープ等の代替とはなるが、それ自体は記録適性を有していないので、ポスター等の表示物として利用するためには所望の物品にこのようなフィルムを貼りあわせた上で使用しなければならない。またこれらのフィルムは、静電吸着力を維持するために特定の物質を配合しているが、持続力が不十分である等の欠点があった。
着剤を介して、帯電防止処理を施した支持体を積層して積層フィルムを形成し、次いでこの積層フィルムに電荷を与える、即ち帯電処理を施す、手法を開発した。しかしながら、同手法において与えた電荷は、樹脂フィルムと支持体の両者に分散してしまうために、樹脂フィルムの静電吸着力を充分に高められないという欠点があることが判明した。
すなわち本発明は、以下の通りのものである。
(1)樹脂フィルム層(A)を含むラベル層(i)と、樹脂フィルム層(B)を含む支持体層(ii)を積層した静電吸着シート(iii)であって、ラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)側表面、および支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)の少なくとも一方に帯電処理を施し、次いでラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)と支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)を静電吸着させて積層体とし、次いで積層体の少なくともラベル層(i)側の面に記録層(C)を積層して得た静電吸着シート(iii)であり、記録層(C)側の表面抵抗率が1×10-1Ω〜9×1012Ωであり、支持体層(ii)側の表面抵抗率が1×10-1Ω〜9×1012Ωであることを特徴とする静電吸着シート(iii)。
(3)帯電処理は直流式コロナ放電処理であるが好ましい。
(4)樹脂フィルム層(A)は熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、
(5)該熱可塑性樹脂はポリオレフィン樹脂を含むことが好ましい。
(6)樹脂フィルム層(A)は少なくとも1軸方向に延伸された延伸樹脂フィルムを含むことが好ましい。
(8)樹脂フィルム層(B)の比誘電率は1.1〜5.0であることが好ましい。
(9)記録層(C)は帯電防止機能を有するポリマーを含有することが好ましく、
(10)該帯電防止機能を有するポリマーは第四級アンモニウム塩型共重合体およびアルカリ金属塩含有ポリマーの少なくとも一方を含むことが好ましく、
(11)記録層(C)はアルカリ金属イオンを0.01〜1質量%を含むことが好ましく、
(12)該アルカリ金属イオンはリチウムイオンを含むことが好ましい。
(14)ラベル層(i)の水蒸気透過係数は0.01〜2.50g・mm/(m2・24hr)であることが好ましい。
(15)ラベル層(i)の厚みは20〜500μmであり、支持体層(ii)の厚みは20〜500μmであることが好ましい。
(16)支持体層(ii)側の表面が帯電防止機能を有するポリマーを含有することが好ましい。
(18)上記(1)〜(16)のいずれかに記載の静電吸着シート(iii)の支持体層(ii)側表面に印刷を施してなる記録物、を含む。
(19)また本発明は、上記(17)または(18)に記載の記録物より支持体層(ii)を剥がしたラベル層(i)よりなる表示物、を含む。
あって、ラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)側表面、および支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)の少なくとも一方に帯電処理を施し、次いでラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)と支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)を静電吸着させて積層体とし、次いで積層体の少なくともラベル層(i)側の面に記録層(C)を積層して得たものであり、その両面は静電気が帯びにくいものであるが、該静電吸着シート(iii)から支持体層(ii)を剥離したラベル層(i)は静電気により被着体に吸着可能なものである。
また、本発明において、(ポリ)アルキレンオキシド化合物単量体というときは、アルキレンオキシド基が1〜100個連結した(ポリ)アルキレンオキシド化合物の分子末端に後述の連結基(A)を介して(メタ)アクリロイル基が連結した構造を有する単量体を指すものとする。
また本発明において、SP値というときは、ヒルデブラントの溶解度パラメーターまたはハンセン溶解度パラメーターのいずれかを指していう。
本発明の静電吸着シート(iii)を構成するラベル層(i)は、シール、ラベル、サイン、ポスター、広告等の表示物として使用できる。ラベル層(i)は、種々の被着体に貼り付け表示することが可能であり、表示使用時には静電吸着力が高く、静電吸着力の持続性も充分で長期に亘り表示使用することができ、静電吸着力が湿度に影響され難く、且つ使用後は容易に剥がすことが可能であるという特徴を有する。ラベル層(i)は、その片面に記録層(C)を備えた樹脂フィルム層(A)を含むものとして構成される。
ラベル層(i)の厚みは20〜500μmであることが好ましく、25〜400μmであることがより好ましく、30〜200μmであることがさらに好ましく、40〜150μmであることが特に好ましい。
一方、静電吸着シート(iii)とした際のハンドリング性を高める目的から、ラベル層(i)は、樹脂フィルム層(B)と接しない面に帯電防止性能を有する必要がある。ラベル層(i)への帯電防止性能の付与は、後述の帯電防止性能を有する記録層(C)を設けることによってなされる。
本発明における樹脂フィルム層(A)はラベル層(i)を構成するものであって、内部に電荷を保持し、その静電吸着力によってラベル層(i)を表示物として被着体に貼り付けることを可能にするものである。
本発明の樹脂フィルム層(A)は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。中でも絶縁性の優れた熱可塑性樹脂を使用することにより、内部に蓄積した電荷を保持しやすく特に好ましい。
樹脂フィルム層(A)に用いる熱可塑性樹脂の種類は特に制限されない。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド
系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等のポリスチレン系樹脂等を使用することができる。これらの熱可塑性樹脂の中では、絶縁性と加工性に優れるポリオレフィン系樹脂または官能基含有ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂のより具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル−1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合体、及び、これらオレフィン類2種類以上からなる共重合体が挙げられる。
グラフト変性には公知の手法が用いることができ、具体的な例としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体によるグラフト変性が挙げられる。該不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。また、上記不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等も使用可能である。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−ジエチルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルアミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジブチルアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等が挙げられる。グラフト変性物は、グラフトモノマーをポリオレフィン系樹脂及び官能基含有ポリオレフィン系樹脂に対して、一般に0.005〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%グラフト変性したものである。
い。
更にこれらポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が、絶縁性、加工性、耐薬品性、コストの面などから好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体であり、アイソタクティックないしはシンジオタクティック及び種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレンや、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合させた共重合体を主成分として使用することが望ましい。この共重合体は、2元系でも3元系以上でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。プロピレン系樹脂には、成形性の観点からプロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を2〜25質量%配合して使用することが好ましい。そのような融点が低い樹脂として、高密度ないしは低密度のポリエチレンを例示することができる。
樹脂フィルム層(A)における熱可塑性樹脂の配合量は、熱可塑性樹脂の総質量として50〜100質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましい。熱可塑性樹脂の配合量が50質量%以上であれば、樹脂フィルム層(A)を成形しやすく、得られる樹脂フィルム層(A)中の熱可塑性樹脂に電荷を保持しやすい。
本発明の樹脂フィルム層(A)に使用する熱可塑性樹脂には、その透明性を阻害しない範囲で無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を添加しても良い。無機微細粉末や有機フィラーの添加により、樹脂フィルム層(A)の誘電率を向上させ、樹脂フィルム(A)の帯電性を改善できる場合がある。
樹脂フィルム層(A)における無機微細粉末の配合量は、総量として0〜50質量%であることが好ましく、0〜40質量%であることがより好ましい。配合量が50質量%以下であれば、樹脂フィルム層(A)を成形しやすく、得られる樹脂フィルム層(A)の誘電率を調整しやすい。
樹脂フィルム(A)に無機微細粉末を添加する場合は、レーザー回折による粒度分布計で測定した体積平均粒径が、通常0.01〜15μm、好ましくは0.1〜5μmのものを使用する。具体的には、炭酸カルシウム、焼成クレイ、シリカ、けいそう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、アルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワラストナイト、ガラスファイバーなどを使用することができる。
樹脂フィルム層(A)の肉厚は、20〜500μmであることが好ましく、より好まし
くは30〜400μmの範囲であり、更に好ましくは40〜300μmである。20μm未満では、樹脂フィルム層(A)単体を取り扱う際に、帯電により手などに貼り付いてしまい作業性が悪くなることがある。又、被着体に貼り付けた際にシワになり易いため外観が劣ることがある。500μmを越えてしまうと、樹脂フィルム層(A)の自重が大きくなり、静電気の力では自重を保持できず被着体から落下してしまうことがある。
樹脂フィルム層(A)は、2層構造、3層以上の多層構造のものであってもよく、この多層構造の延伸軸数が1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸であっても良い。樹脂フィルム層(A)の多層化により、耐電圧性能の向上や、筆記性、耐擦過性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。
樹脂フィルム層(A)を多層構造にする場合は公知の種々の方法が使用できるが、具体例としては、フィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等が挙げられる。又、多層ダイスと押出しラミネーションを組み合わせて使用することも可能である。
樹脂フィルム層(A)は、少なくとも1軸方向に延伸された延伸樹脂フィルム層を含むことが好ましい。樹脂フィルム層の延伸は、通常用いられる種々の方法のいずれかによって行うことができる。
延伸の温度は、樹脂フィルム層(A)に主に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂に好適な公知の温度範囲内で行うことができる。具体的には、樹脂フィルム層(A)の熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融点155〜167℃)の場合は100〜166℃、高密度ポリエチレン(融点121〜136℃)の場合は70〜135℃であり、融点より1〜70℃低い温度である。また、延伸速度は20〜350m/分にするのが好ましい。
延伸倍率は、特に限定されず、樹脂フィルム層(A)に用いる熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ないしはその共重合体を使用しこれを一方向に延伸する場合の延伸倍率は、通常1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、2軸延伸の場合には、面積倍率で通常1.5〜60倍、好ましくは4〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用しこれを一方向に延伸する場合は、1.2〜10倍、好ましくは2〜5倍であり、2軸延伸の場合には、面積倍率で1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。
このようにして得られる樹脂フィルム層(A)は、微細な空孔をフィルム内部に有しないか少量有するものであり、次式(1)で算出された空孔率が、55%以下であることが好ましく、0〜50%であることがより好ましく、0〜40%であることが特に好ましい。空孔率が55%を超えると、空孔どうしが互いに連通し、電荷の蓄積能力が劣る傾向があることから本発明の目的とする吸着力を有するラベル層(i)を得られない場合がある。
樹脂フィルム層(A)の樹脂フィルム層(B)と接する面の表面抵抗率を所望の範囲とすることは、熱可塑性樹脂として絶縁性に優れるポリオレフィン系樹脂を使用することや、これに配合する無機微細粉末の種類や量を調整することで達成できる。
本発明のラベル層(i)の不透明度は、0%以上、50%未満であり、好ましく0.1%〜48%の範囲内である。不透明度が50%未満であれば、ガラスなどの透明な被着体に使用した際に、被着体を透して印刷層(B)に施した印刷絵柄が認識でき、優れた装飾性を持ったラベルを得ることができる。
本発明において、不透明度は、JIS−P−8149:2000「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法」に準拠し、測定背面に、黒色および白色標準板を当て、光の反射率の比(黒色板/白色板)を百分率で示した値で表示する。
本発明の静電吸着シート(iii)に使用されるラベル層(i)の水蒸気透過係数は、好ましくは0.01〜2.50の範囲内であり、より好ましくは0.01〜2.00の範囲内である。水蒸気透過係数が2.50を超えると、高湿度下での帯電性の低下が激しく、ラベル層(i)の吸着性能の低下が大きく吸着ラベルとして本発明の所期の性能を発揮しない。一方、水蒸気透過率が0.01未満のラベル層(i)を用いてしまうと、電荷の維持性能は優れるものの内部の電荷が移動し難いために、吸着性能が低い傾向となり本発明の所期の性能を発揮できないものとなる。
本発明において水蒸気透過係数は、JIS−Z−0208:1976「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準拠して、40℃、90%RHの条件下にて測定し、得られた透湿度(g/(m2・24hr))とフィルムの厚み(mm)から、水蒸気透過係数(g・mm/m2・24hr)を求める。
本発明のラベル層(i)のガーレ柔軟度は、好ましくは5〜1000mgf、より好ましくは5〜700mgf、更に好ましくは5〜400mgfである。ラベル層(i)のガーレ柔軟度が5mgf未満では、腰が弱いためラベルとしての取り扱いが困難となりシワになり易く外観を損ないやすい。1000mgfを超えてしまうと腰が強いため、小さなカールが発生しても静電吸着力が弱い場合は被着体に均一に貼りつかず、吸着力の持続性が劣るものとなってしまう。支持体層(ii)のガーレ柔軟度が5mgf未満では支持体
層(ii)が掴みづらく、ラベル層(i)を剥がす際に切欠が作り難いものとなってしまう場合がある。10000mgfを超えると支持体層(ii)を変形させることが困難となり静電吸着シート(iii)の搬送性が劣り、取り扱いが難しいものとなる場合がある。
本発明において、ガーレ柔軟度は、JAPAN TAPPI No.40:2000「紙及び板紙−荷重曲げ法によるこわさ試験方法−ガーレー法」に準拠し、温度23℃湿度50%RHの環境下で、MD方向とTD方向のそれぞれのこわさを測定する。
本発明の静電吸着シート(iii)を構成する支持体層(ii)は、ラベル層(i)の静電吸着力または自身の静電吸着力によりラベル層(i)の片面に積層するものであり、静電吸着シート(iii)の使用時には感圧粘着ラベルの剥離紙の如く支持体層(ii)を剥離してラベル(i)を表示物として用いる。
支持体層(ii)は、ラベル層(i)を表示物として使用するまでの間、ラベル層(i)内部に蓄えられた電荷が外部に流出するのを堰き止めるものであり、且つラベル層(i)内部の静電吸着力が外部に発現することなく静電吸着シート(iii)を取り扱い易くするものである。
支持体層(ii)には印刷により文字や画像を設けることが可能である。かかる印刷は、オフセット印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、感熱記録印刷、熱転写印刷、電子写真印刷等の従来公知の方法で印刷を施すことができる。
支持体層(ii)の厚みが20μm未満では、ラベル層(i)と静電吸着する面から支持体層(ii)の厚みを介して電荷が流出して静電吸着シート(iii)内の電荷を封じこめられずに、ラベル層(i)の静電吸着力が弱いものとなる場合がある。逆に500μmを越えてしまうと得られる静電吸着シート(iii)も厚いものとなり、印刷工程や断裁工程での作業性が劣るものとなる場合がある。
(樹脂)
支持体層(ii)を構成する樹脂フィルム層(B)に用い得る樹脂は、誘電体であり、絶縁性があって内部に電荷を保持できる限り、その種類は特に制限されない。そのため該樹脂としては、前述の樹脂フィルム層(A)で例示した高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有ポリオレフィ
ン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを含む熱可塑性ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン等のポリスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂に加えて、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、樹脂フィルム層(B)は、樹脂フィルム層(A)と接しない面に帯電防止機能を有するポリマーを有していても良く、後述の印刷情報を有していても良い。
支持体層(ii)における樹脂フィルム(B)は、ラベル層(i)における樹脂フィルム層(A)の電荷が外部に逃げないように封じこめる役割を担っている。この電荷を封じ込める能力は、樹脂フィルム(B)の比誘電率ε(樹脂フィルム(B)の誘電率εBと真空の誘電率ε0の比(εB/ε0)で整理することができる。樹脂フィルム層(B)における比誘電率は、好ましくは1.1〜5.0、より好ましくは1.2〜4.0、更に好ましくは1.5〜3.0の範囲である。樹脂フィルム層(B)の比誘電率が5.0を超えると、樹脂フィルム層(A)が電荷を長期間保持できずに、ラベル層(i)の静電吸着力が低下し易くなる傾向がある。一方、比誘電率が1.0未満のものは性能上問題ない筈であるが、このような素材は現在の技術上、入手が困難である。本発明において、樹脂フィルム層(B)が上述の樹脂を含むことや、樹脂フィルム層(B)内部に空隙を形成する加工などにより、比誘電率を所望の範囲にすることができる。
の範囲であることがより好ましく、1×1014〜9×1015Ωの範囲であることが更に好ましい。表面抵抗率が1×1013Ω未満の場合には、樹脂フィルム層(A)の電荷が該表面を伝って外部に逃げ易く、樹脂フィルム層(A)が電荷を長期間保持できずに、ラベル層(i)の静電吸着力が低下し易くなる傾向がある。一方、9×1017Ωを超えるものは、性能上問題ない筈であるが、現在公知の物質を使用してこの様な高絶縁性の表面を形成することは困難であり、実現できたとしても高コストとなることから実現化は困難である。
支持体層(ii)への帯電防止性能の付与は、支持体層(ii)を構成する樹脂フィルム層(B)に、帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを用いる方法や、後述する記録層(C)と同等のものを設ける方法や、導電性塗料を塗工して導電層を設ける方法や、直接蒸着、転写蒸着、蒸着フィルムのラミネート等により金属薄膜を設ける方法や、帯電防止処理した紙、合成紙、樹脂フィルム、織布、不織布や、帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを貼合積層する方法などが挙げられる。
帯電防止剤を練り込んだ樹脂フィルムを用いる様態においては、同フィルム面にコロナ放電表面処理やフレーム表面処理を行わないと帯電防止効果が発現しない場合があり、特に延伸フィルムでは表面処理の処理面と未処理面とでは帯電防止効果が大きく異なる場合がある。この現象を利用して、帯電防止剤を練り込んだ熱可塑性樹脂を延伸したものを樹脂フィルム層(B)とし、この片面にコロナ放電等の表面処理を行うことで、単層構造ながら片面に帯電防止性能を有する支持体層(ii)を形成することも可能である。
本発明の静電吸着シート(iii)は、前述の積層体の、少なくともラベル層(i)側の面に記録層(C)を備えたものである。
本発明における記録層(C)は、ラベル層(i)に帯電防止性能を付与することによって印刷工程でのトラブルを発生し難くしてハンドリング性を改善させるとともに、ラベル層(i)の印刷インキとの密着性を向上させて、その記録適性を向上させるものである。結果として本発明の静電吸着シート(iii)は多様な印刷方式に対応することができる。
記録層(C)が帯電防止性能を有することにより、樹脂フィルム層(A)が内部に電荷を有している場合であっても、ラベル層(i)の記録層(C)面は静電吸着力が低いものとなり、更に静電吸着シート(iii)の状態では静電吸着性能を発揮しないものとなる
。したがって、静電吸着シート(iii)は印刷工程でロールへの貼り付きやシート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難いものとなる。
記録層(C)は、これら成分を含む塗工層として、積層体の樹脂フィルム層(A)上に直接塗工により設けるか、或いは予め別のフィルム上に記録層(C)を形成して、これを積層体の樹脂フィルム層(A)上にラミネートすることで形成することが好ましい。
帯電防止剤は、記録層(C)に帯電防止性能を付与するために添加するものであり、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、アルキルジエタノールアミン、ソルビタンモノラウレート、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸塩などに代表される低分子量有機化合物系の帯電防止剤;ITO(インジウムドープド酸化錫)、ATO(アンチモンドープド酸化錫)、グラファイトウィスカなどに代表される導電性無機充填剤;ポリチオフェン、ポリピーロイル、ポリアニリンなどの分子鎖内のパイ電子により導電性を発揮するいわゆる電子導電性ポリマー;そしてポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン等の非イオン性ポリマー系の帯電防止剤;ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物等の第四級アンモニウム塩型共重合体;アルキレンオキシド基および/または水酸基含有ポリマーへのアルカリ金属イオン添加物等のアルカリ金属塩含有ポリマーに代表される帯電防止機能を有するポリマー;などが挙げられる。
帯電防止機能を有するポリマーは、インキの密着性、転移性への影響も小さく、着色も殆ど無いことから本発明における帯電防止剤として好ましい。
中でも、第四級アンモニウム塩型共重合体やアルカリ金属塩含有ポリマーは帯電防止性能が良好であり、環境湿度の帯電防止性能への影響が小さい為、より好ましい。
第四級アンモニウム塩型共重合体としては、下記一般式(化1)で表される第四級アンモニウム塩型単量体構造単位(a)、下記一般式(化6)で表される疎水性単量体構造単位(b)、及びこれらと共重合可能な単量体からなる構造単位(c)を含有し、これら構造単位の質量割合を、(a):(b):(c)=30〜70:70〜30:0〜40(wt%)の範囲として、これらを共重合してなる第四級アンモニウム塩型共重合体である。
各構造単位(a)、(b)及び(c)の質量割合は、好ましくは35〜65:65〜35:0〜20(wt%)、特に好ましくは40〜60:60〜40:0〜10(wt%)である。なお、上記質量割合において、(a)、(b)及び(c)の合計は100wt%である。
構造単位(a)を形成する第四級アンモニウム塩型単量体は、下記一般式(化1)で表されるアクリル酸乃至メタクリル酸のエステル乃至アミドである。該単位は構造内の2以上のカチオンにより該共重合体の帯電防止機能に寄与する成分である。該共重合体中の同成分が30質量%より少ないと、十分な帯電防止効果を与えることが出来ない。また70質量%を超えると過度に水溶性となり、高湿度条件下でべたつきの原因となる。
構造単位(b)を形成する疎水性単量体は、下記一般式(化6)で表されるアクリル酸乃至メタクリル酸のエステルである。該単位は、該共重合体に親油性を付与するものであり、耐水性や印刷インキ転移性に寄与する成分である。印刷適性と帯電防止性の両立から、疎水性単量体との共重合が必要となる。ポリマー中の同成分が30質量%より少ないと、上記の効果が低下する。また70質量%を超えると相対的に帯電防止効果が低下する。
上記一般式(化6)で表される構造単位を形成する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、必要に応じて共重合に使用される、上記単量体(a)成分及び単量体(b)成分と共重合可能な他の単量体単位としては、下記一般式(化7)〜(化11)で表されるスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル等の疎水性単量体や、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド等の親水性単量体が挙げられる。これらの単量体は第四級アンモニウム塩型共重合体中に構造単位(c)として好適に組み込むことができる。該単位は該共重合体の共重合を容易とし、また塗工液調整時の溶媒への溶解性を調整するものである。
上記共重合体を得るための製造方法としては、ラジカル開始剤を用いた、塊状重合、溶液重合、乳化重合等の公知の重合方法を採用することができる。これらの中で好ましい重合方法は溶液重合法であり、該重合は、各単量体を溶媒に溶解し、これにラジカル重合開始剤を添加して、窒素気流下において加熱攪拌することにより実施される。溶媒は水、乃至はメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、セロソロブ等のアルコール類が好ましく、またこれらの溶媒を混合して使用してもよい。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなどのアゾ化合物が好適に用いられる。重合時の単量体固形分濃度は通常10〜60質量%であり、重合開始剤の濃度は単量体に対し通常0.1〜10質量%である。第四級アンモニウム塩型共重合体の分子量は、重合温度、重合時間、重合開始剤の種類及び量、溶剤使用量、連鎖移動剤等の重合条件により任意のレベルとすることができる。
本発明で用い得る第四級アンモニウム塩型共重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した数平均分子量が1千〜100万の範囲内であることが一般的であるが、1千〜50万の範囲が好ましい。
本発明で用い得る帯電防止機能を有するポリマーの別の一例として、アルカリ金属塩含有ポリマーが挙げられる。該共重合体は下記一般式(化12)で表されるポリアルキレンオキシド化合物単量体構造単位(d)、上記一般式(化6)で表される疎水性単量体構造単位(b)、及びこれらと共重合可能な単量体からなる構造単位(c)を含有し、これら構造単位の質量割合を、(d):(b):(c)=1〜99:0〜99:0〜40(wt
%)の範囲として、これらを共重合してなるアルカリ金属塩含有ポリマーである。
各構造単位(d)、(b)及び(c)の質量割合は、好ましくは20〜70:80〜30:0〜20(wt%)、特に好ましくは30〜60:70〜40:0〜10(wt%)である。なお、上記質量割合において、(d)、(b)及び(c)の合計は100wt%である。
構造単位(d)を形成するポリアルキレンオキシド化合物単量体は、下記一般式(化12)で表されるアクリル酸乃至メタクリル酸のエステルである。該単位は構造内のアニオン及びアルカリ金属イオンによりポリマー(C)の帯電防止機能に寄与する成分である。ポリマー中の同成分が1質量%より少ないと、十分な帯電防止効果を与えることが出来ない。また99質量%を超えると過度に水溶性となり、高湿度条件下でべたつきの原因となる。
<1群>置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、
置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリーレン基
<2群>−CONH−、−NHCO−、−OCONH−、−NHCOO−、
−NH−、−COO−、−OCO−、−O−
また、<2群>から選択される連結基としては、ウレタン基やエステル基を好ましく選択することができる。
表される連結基などが挙げられる。後者の場合は、2種類の(1群から選択される連結基)は互いに同一であっても異なっていてもよく、また、2種類の(2群から選択される連結基)は互いに同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(化12)において、Mはアルカリ金属であり、Li、Na、Kなどを挙げることができ、イオン半径の小さいLiを用いることが導電性の観点で好ましい。
また、これらの具体例において、さらに上記一般式(化12)のAに相当する箇所に単結合以外の連結基を有するアルキレンオキシドモノマーも挙げられる。例えば、特開平09−113704号公報には、Aにウレタン結合を有する化合物が記載されている。
本発明で用い得るアルカリ金属塩含有ポリマーは、上記一般式(化12)で表されるポリアルキレンオキシド化合物単量体構造単位(d)と、上記一般式(化6)で表される疎水性単量体構造単位(b)と、これらと共重合可能な上記一般式(化7)〜(化11)等の単量体構造単位(c)とを共重合させることにより製造することができる。
このアルカリ金属塩含有ポリマーの製造方法は特に制限されず、公知の重合手法を単独乃至組み合わせて適宜用いることができるが、前出の第四級アンモニウム塩型共重合体と同様、ラジカル開始剤を用いた、塊状重合、溶液重合、乳化重合等の公知の重合方法を採用することが好ましい。
本発明で用い得るアルカリ金属塩含有ポリマーの分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定した数平均分子量が1万〜100万の範囲内であることが好ましい。分子量が1万以上であれば、形成した塗工層から同ポリマーが染み出し難くなるため、十分な耐水性が得られやすい傾向がある。分子量が100万以下であれば、バインダー成分と混和しやすいため塗工欠陥が生じにくくなり均一な帯電防止効果が得られやすい傾向がある。
本発明の記録層(C)は、必要に応じて、高分子バインダーを含んでいても良い。該高分子バインダーは、記録層(C)を設ける樹脂フィルム層(A)、或いは別のフィルムとの密着性を有し、かつ印刷インキとの密着性を向上させる効果を奏する。
高分子バインダーとしては、ポリエチレンイミン、炭素数1〜12のアルキル変性ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)、ポリ(エチレンイミン−尿素)のエチレンイミン付加物、ポリアミンポリアミド、ポリアミンポリアミドのエチレンイミン付加物、ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物等のポリエチレンイミン系重合体;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミドの誘導体、オキサゾリン基含有アクリル酸エステル系重合体等のアクリル酸エステル系重合体およびポリビニルピロリドン、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体樹脂、塩素化エチレン樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体等のラジカル重合系重合体;ポリエチレングリコール、シリコーン樹脂等の縮合系重合体;テルペン樹脂、石油樹脂、酢酸セルロース、ニトロセルロース樹脂等の天然系重合体などが挙げられる。
重合体が、前述のイオン性ポリマー系の帯電防止機能を有するポリマーとの相性、即ち相溶性、がよく、混溶して塗料とした際に安定しており、塗工しやすく好ましい。
本発明の記録層(C)は、必要に応じて顔料粒子を含んでいても良い。記録層(C)には0〜70質量%の範囲で顔料粒子を含むことが可能である。即ち70質量%以下の顔料粒子を含んでいても良く、含まなくても良い。
顔料粒子は、その吸油性による印刷インキの定着性向上、体質顔料として表面の風合いや光沢感向上、白色顔料として白色度向上、表面凹凸付与によるブロッキング防止性能向上、紫外線反射材として耐光性や耐候性向上、等の性能付与を考慮し適宜選択して使用できる。
記録層(C)は、上記成分を含む塗工液を調製し、積層体の樹脂フィルム層(A)上に塗工し、これを乾燥、固化させて塗工層として設けることが可能である。塗工には、従来公知の手法や装置を利用することができる。
記録層(C)はラミネートにより積層体の樹脂フィルム層(A)上に設けることも可能である。この場合は、あらかじめ記録層(C)を設けた別のフィルムを作成し、これを樹脂フィルム層(A)上にラミネート加工すればよい。ラミネート加工は、通常のドライラミネート、ウェットラミネート、溶融ラミネート、または熱ラミネート等の手法により行うことができる。
樹脂フィルム層(A)上への記録層(C)の設置は、上述の帯電処理を実施後に行う。記録層(C)の持つ帯電防止性能により、ラベル層(i)の記録層(C)面側の静電吸着力を抑止することが可能となる。
本発明の記録層(C)は帯電防止性能を有するものである。結果として記録層(C)側表面の表面抵抗率は1×10-1Ω〜9×1012Ωの範囲内に、好ましく1×103〜9×1011Ωの範囲内に、更に好ましくは1×106〜9×1010Ωの範囲内に調整されている。
記録層(C)の表面抵抗率が9×1012Ωを超えてしまうと、ラベル層(i)が持つ静電吸着力を充分に抑止できずに、静電吸着シート(iii)が印刷工程でロールへの貼り付きやシート同士のブロッキング等のトラブルが発生し易いものとなる場合がある。一方、記録層(C)の表面抵抗率が1×10-1Ωを下回った場合は、ラベル層(i)の静電吸着力が損なわれる恐れがあり、またこの様な高導電性を有する記録層(C)を形成することは技術的に困難であるか、形成できたとしても、高コストとなってしまうことから、現実的ではない。
均一性を維持することが難しく、印刷インキの密着性が低下する可能性がある。一方50μmを超えてしまうと、記録層(C)が重くなり、樹脂フィルム層(A)の静電気による吸着力では、自重を支えることができず剥れ落ちやすくなってしまい、本発明の所期の性能を達成しづらい。
記録層(C)には、その上に施される印刷方式に適した性質を付与することができる。印刷方式の例としては、感熱記録方式、水性インクジェット記録方式、油性インクジェット記録方式、紫外線硬化性インクジェット記録方式、昇華熱転写方式、溶融熱転写方式、電子写真方式等が挙げられる。これらの印刷方式に適した記録層は、公知の製造方法を転用することによって得られる。
本発明の静電吸着シート(iii)は、ラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)側表面、および支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)の少なくとも一方に帯電処理を施し、次いでラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)と支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)を静電吸着させて積層体とし、次いで積層体の少なくともラベル層(i)側の面に記録層(C)を積層して得る。
本発明の静電吸着シート(iii)は、これを構成するラベル層(i)と支持体層(ii)との間、即ち樹脂フィルム層(A)と樹脂フィルム層(B)との間、にさらに接着剤層を設けたものでも良い。ここで接着剤層とは、ラベル層(i)と支持体層(ii)との積層において、ラベル層(i)の静電吸着力に加えて、両者をより強く接着させる目的から介在させるものである。
中でも、支持体層(ii)のラベル層(i)と接する面に接着剤を塗工し、乾燥して接着剤層を設け、次いで、ラベル層(i)に帯電処理を施した後に支持体層(ii)を積層し、圧着ロール(ニップロール)で加圧接着して静電吸着シート(iii)を得る方法が簡便で好ましい。
ドライラミネートを行う場合の接着剤としては、例えば、エーテル樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、ウリア樹脂、アクリル樹脂、アミド樹脂、エポキシ樹脂等からなる樹脂成分を、従来公知の溶剤を用いてその相の中に溶解、分散、乳濁分散、希釈して、流動性があり塗工を可能とした、溶液型やエマルジョン型の様態の液状の接着剤が代表的である。
エーテル樹脂の例としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ビスフェノールA等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合させることにより得られるポリエーテルポリオール、より具体的には、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
の複素環式アミン等が挙げられる。
アミド樹脂の例としては、前述の多塩基酸と前述のアミン化合物の縮合反応物が挙げられる。
これら接着剤層は、ダイコーター、バーコーター、コンマコーター、リップコーター、ロールコーター、ロッドコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、リバースコーター、エアーナイフコーター、スライドホッパー等で塗工し、その後必要によりスムージングを行い、乾燥工程を経て形成される。
接着剤層を塗工で設ける場合、乾燥後の接着層厚みが好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.2〜50μm、さらに好ましくは0.5〜25μmである。接着剤層厚みが0.1μm未満では、部分的に接着剤が無い箇所が生じて、接着剤層を設けた効果が得られない場合がある。一方100μmを超えてしまうと、接着剤層層内の乾燥状態と硬化状態が不均一となり、ラベル層(i)と支持体層(ii)とを剥離する際に接着剤層層内での破壊が生じやすくなり、ラベル層(i)に接着剤が部分的に残ってしまい、ラベル層(i)の吸着力を阻害する場合がある。
ホットメルト型接着剤を使用する場合は、前述の樹脂を支持体層(ii)の表面上にダ
イより溶融フィルム状に押し出してラミネートし、次いで、ラベル層(i)に後述する帯電処理を施した後に支持体層(ii)を積層し、圧着ロールで加圧接着すれば静電吸着シート(iii)が得られる。
接着剤層は接着力が弱いことが好ましい。本来、ラベル層(i)と支持体層(ii)はラベル層(i)の静電吸着力により接着剤層なしに接着が可能であり、接着剤層は両者間の接着力を調整する目的から設ける。
接着剤層に使用する架橋剤の添加量は、ラベル層(i)との接着力や支持体(ii)との接着力により適宜決定することができる。イソシアネート系化合物やウレタン樹脂系イソシアネートは単独でも縮合する特性がある。架橋剤の添加量を増すと接着力は低下する傾向にある。
本発明の静電吸着シート(iii)は、ラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)に帯電処理を施し、次いで支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)と樹脂フィルム層(A)とを接触させて静電吸着させた積層体を含むもの、または支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)に帯電処理を施し、次いでラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)と樹脂フィル
ム層(B)とを接触させて静電吸着させた積層体を含むものである。
帯電処理の手法としては、特に制限されず、公知の種々の方法にしたがって行なうことができる。例えば、樹脂フィルム層(A)または(B)の表面にコロナ放電やパルス状高電圧を加える方法や、樹脂フィルム層(A)または(B)の両面を誘電体で保持し、両面に直流高電圧を加える方法(エレクトロエレクトレット化法)、樹脂フィルム層(A)または(B)にγ線や電子線等の電離放射線を照射してエレクトレット化する方法(ラジオエレクトレット化法)、などが挙げられる。中でも、エレクトロエレクトレット化法が好ましい。
エレクトロエレクトレット化法のより具体的な例としては、直流高圧電源に繋がった印加電極とアース電極の間に樹脂フィルム層(A)または(B)を固定する方法(バッチ式、図4、5参照)か、又は通過させる方法(連続式、図6、7参照)が好ましい。本手法を用いる場合の主電極は針状のものを等間隔で無数に配置するか金属ワイヤーを使用し、対電極には平な金属板か金属ロールを使用することが好ましい。
本発明において帯電処理は、直流式コロナ放電処理であることが好ましい。本発明において使用できる直流式コロナ放電処理とは、図4〜7に例示するように針状やワイヤー状の主電極(印加電極)と平板状やロール状の対電極(アース電極)を直流高圧電源に繋げた装置を用い、対電極上にラベル層(i)または支持体層(ii)を設置し、主電極と対電極の間に直流高電圧をかけることで発生するコロナ放電により、ラベル層(i)または支持体層(ii)に電荷を注入する処理である。
主電極と対電極の間隔は1〜50mmが好ましく、2〜30mmがより好ましく、5〜20mmが更に好ましい。電極間が1mm未満では電極間距離を均一に保つ事が難しく、幅方向に均一な帯電処理が得られない場合がある。一方、50mmを超えるとコロナ放電が発生し難くなり、ラベル層(i)または支持体層(ii)への帯電処理が不均一となる場合がある。
主電極と対電極の材質は、導電性の物質から適宜選択されるが、鉄、ステンレス、銅、真鍮、タングステンなどの金属製またはカーボン製のものが好ましい。
これらの帯電処理によってラベル層(i)または支持体層(ii)に導入される電荷の量は、処理時に主電極と対電極間に流れた電流量に依存する。該電流量は両電極間の電圧が高いほど多くなることから、印加電圧はラベル層(i)または支持体層(ii)が絶縁破壊しない程度に高く設定することが好ましい。
着シート(iii)とでは両者を区別することはできず、また、静電吸着シート(iii)を剥離してラベル層(i)と支持体層(ii)とに分離した場合、ラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)に電荷注入したか、支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)に電荷注入したかを区別することはできない。どちらの手法で製造しても同等の性能の静電吸着シート(iii)が得られる。
本発明の静電吸着シート(iii)は、これを構成するラベル層(i)と支持体層(ii)とを接触させて静電吸着により積層した積層体を含むものである。
両者の積層は、例えば図8に示すように、ラベル層(i)を長尺の巻き取り(41)とし、これを巻き出しながら電極(45)、(46)間を通過させて帯電処理を行い、別に支持体層(ii)を長尺の巻き取り(42)としたものを巻き出し、両者を貼合ロール(49)で加圧接着すれば積層体が得られる。
両者間にさらに接着剤層を設けるのであれば、例えば、図8中のニップロール(48)の箇所で支持体層(ii)上に接着剤を塗工することが容易である。
本発明の記録物は、本発明の静電吸着シート(iii)の記録層(C)表面に、および支持体層(ii)側の表面の少なくとも一方に、印刷を施すことにより得ることができる。
[印刷]
本発明の静電吸着シート(iii)は、ラベル層(i)の記録層(C)表面に印刷を施すことが可能である。係る印刷としては、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、電子写真記録方式などの従来公知の手法を用いることが可能であるが、デザインやサイズの変更が容易であるオフセット印刷、インクジェット記録方式が好ましい。さらに印刷インキとしては、油性インキ、水性インキならびにUVインキが使用可能であるが、乾燥速度が速いUVインキが好ましい。
本発明の静電吸着シート(iii)の記録層(C)表面に印刷を施した記録物の用途としては、POPカード(ポスター、ステッカー、ディスプレイ等)、店舗案内(パンフレット、会社案内、品書き、メニュー等)、下敷き(ランチマット、テーブルマット、文房具用品等)、マニュアル(職務、作業、操作等の各種マニュアル、工程表、時間割等)、チャート類(海図、天気図、図表、罫線表等)、カタログ、地図(海図、路線図、屋外用地図等)、店頭価格表、登山ガイド、名刺、迷子札、料理のレシピ、案内板(売り場案内、方向・行き先案内等)、スケジュール表、ロード・サイン(葬式・住宅展示場所等)、室名札、校内記録表、表示板(立ち入り禁止、林道作業等の)、区画杭、表札、カレンダー(画像入り)、簡易ホワイトボード、マウスパッド、包装資材(包装紙、箱、袋等)、コースター、等を例示することができ、何れも利用可能である。特に屋内使用を前提とした用途に好適に用いることができる。
上述の記録物より、支持体層(ii)を剥がしたラベル層(i)よりなる表示物を吸着させる被着体としては、掲示版、看板、サインボード、ホワイトボード、壁、天井、柱、ドア、パーティション、床、ロッカー、机、棚、窓(ガラス製、樹脂製)、冷蔵庫(金属面、ガラス面、プラスチック面)、各種機器(工作機、印刷機、成形機等)、および車内(自動車、バス、電車)、船舶内、航空機内の壁面等を例示することができ、何れも利用可能である。特に被着体はその表面の平滑性が高い場合に本発明の記録物との密着面積が大きくなり、得られる静電吸着力も高まることから好ましく適用することができる。
ラベル層(i)のみに帯電処理を行うために、ラベル層(i)への帯電をより効果的に行え、静電吸着力が高く、静電吸着力の持続性も充分で長期に亘り表示使用することが可能なラベル層(i)を得ることができたこと、
ラベル層(i)と支持体層(ii)との積層は、ラベル層(i)の帯電処理後に行うため、該積層はラベル層(i)の静電吸着力のみで達成可能であり、必ずしも接着層が必要ではなくなったこと、
好ましくはラベル層(i)が帯電防止性能を有する記録層(C)を有することによって、静電吸着シート(iii)の様態では外部に静電吸着力を発現しないことから、特に印刷工程でのトラブルが発生し難く、ハンドリング性が良好な静電吸着シート(iii)が得られたこと、
といった効果の観点で、より優れたものとなる。
[製造例]
(熱可塑性樹脂組成物(a))
プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP FY4)を210℃に設定した2軸混練機にて溶融混練し、次いで230℃に設定した押出機にてストランド状に押し出し、冷却後にストランドカッターにて切断して熱可塑性樹脂組成物(a)のペレットを作成して、以降の製造において使用した。
プロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP FY4)80%、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HJ360)10%、重質炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800)10%を混合し、)210℃に設定した2軸混練機にて溶融混練し、次いで230℃に設定した押出機にてストランド状に押し出し、冷却後にストランドカッターにて切断して熱可塑性樹脂組成物(b)のペレットを作成して、以降の製造例で使用した。
プロピレン単独重合体、高密度ポリエチレン、重質炭酸カルシウムの配合比率を表1に記載したとおりに変更した以外は、熱可塑性樹脂組成物bの製造と同様に熱可塑性樹脂組成物(c)〜(f)のペレットを作成して、以降の製造例で使用した。
また、使用原料の物性を表1に示す。
[製造例]
樹脂フィルム層(A)(製造例1)
熱可塑性樹脂組成物(b)を230℃に設定した1台の押出機にて溶融混練するとともに、熱可塑性樹脂組成物(c)を230℃に設定した2台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、それぞれの熱可塑性樹脂組成物を250℃に設定した押出ダイに供給し、熱可塑
性樹脂組成物をダイ内でc/b/cの3層に積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して3層構造の無延伸シートを得た。
この無延伸シートを135℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が40μm、空孔率が18%、3層構造〔各層樹脂組成(c/b/c)、各層厚み(5μm/30μm/5μm)、各層延伸軸数(2軸/2軸/2軸)〕の製造例1の樹脂フィルム層(A)を得て、積層体の製造に供した。
熱可塑性樹脂組成物(c)を230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを135℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。次いで可塑性樹脂組成物(d)を250℃に設定した2台の押出機にて溶融混練した後、シート状に押し出して上で調製した5倍延伸シートの両面にそれぞれに積層し、3層構造の積層シートを得た。次いで、この積層シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加熱して横方向に8.5倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃に冷却し、耳部をスリットした後、この積層シートの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が50μm、空孔率が29%、3層構造〔各層樹脂組成(d/c/d)、各層厚み(10μm/30μm/10μm)、各層延伸軸数(1軸/2軸/1軸)〕の製造例2の樹脂フィルム層(A)を得て、積層体の製造に供した。
熱可塑性樹脂組成物(d)を230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを140℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に4.5倍延伸した。次いで可塑性樹脂組成物(e)を250℃に設定した2台の押出機にて溶融混練した後、シート状に押し出して上で調製した4.5倍延伸シートの両面にそれぞれに積層し、3層構造の積層シートを得た。次いで、この積層シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約135℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃に冷却し、耳部をスリットした後、この積層シートの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が80μm、空孔率が37%、3層構造〔各層樹脂組成(e/d/e)、各層厚み(10μm/60μm/10μm)、各層延伸軸数(1軸/2軸/1軸)〕の製造例3の樹脂フィルム層(A)を得て、積層体の製造に供した。
熱可塑性樹脂組成物(b)を230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを150℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。次いで可塑性樹脂組成物(b)を250℃に設定した2台の押出機にて溶融混練した後、シート状に押し出して上で調製した5倍延伸シートの両面にそれぞれに積層し、3層構造の積層シートを得た。次いで、この積層シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約145℃に加熱して横方向に7倍延伸した後、更に160℃まで加熱
して熱処理を行った。
次いで60℃に冷却し、耳部をスリットした後、この積層シートの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が60μm、空孔率が8%、3層構造〔各層樹脂組成(b/b/b)、各層厚み(10μm/40μm/10μm)、各層延伸軸数(1軸/2軸/1軸)〕の製造例4の樹脂フィルム層(A)を得て、積層体の製造に供した。
熱可塑性樹脂組成物(c)を230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを135℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に4倍延伸した。次いで可塑性樹脂組成物(e)を250℃に設定した2台の押出機にて溶融混練した後、シート状に押し出して上で調製した4倍延伸シートの両面にそれぞれに積層し、3層構造の積層シートを得た。次いで、この積層シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加熱して横方向に9倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃に冷却し、耳部をスリットした後、この積層シートの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が140μm、空孔率が36%、3層構造〔各層樹脂組成(e/c/e)、各層厚み(30μm/80μm/30μm)、各層延伸軸数(1軸/2軸/1軸)〕の製造例5の樹脂フィルム層(A)を得て、積層体の製造に供した。
熱可塑性樹脂組成物(a)を230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、シート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを約145℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸し、60℃まで冷却した。次いでこの1軸延伸フィルムを、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱し、横方向(TD)に9倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が40μm、空孔率が0%、単層構造の製造例6の樹脂フィルム層(A)を得て、積層体の製造に供した。
熱可塑性樹脂組成物aと熱可塑性樹脂組成物(b)を230℃に設定した3台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内で積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを約145℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸し、60℃まで冷却した。次いでこの1軸延伸フィルムを、テンターオーブンを用いて再び約145℃に加熱し、横方向(TD)に9倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が60μm、空孔率が1%、3層構造〔各層樹脂組成(b/a/b)、各層厚み(5μm/50μm/50μm)、各層延伸軸数(2軸/2軸/2軸)〕の製造例7の樹脂フィルム層(A)を得て、積層体の製造に供した。
熱可塑性樹脂組成物(a)を230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、シート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを約145℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸し、60℃まで冷却した。次いでこの1軸延伸フィルムを、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱し、横方向(TD)に9倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が20μm、空孔率が0%、単層構造の製造例8の樹脂フィルム層(A)を得て、積層体の製造に供した。
熱可塑性樹脂組成物(e)を230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。
この無延伸シートを140℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に4倍延伸した。次いで可塑性樹脂組成物(f)を250℃に設定した2台の押出機にて溶融混練した後、シート状に押し出して上で調製した4倍延伸シートの両面にそれぞれに積層し、3層構造の積層シートを得た。次いで、この積層シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約140℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃に冷却し、耳部をスリットした後、この積層シートの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が80μm、空孔率が57%、3層構造〔各層樹脂組成(f/e/f)、各層厚み(15μm/50μm/15μm)、各層延伸軸数(1軸/2軸/1軸)〕の製造例9の樹脂フィルム層(A)を得て、積層体の製造に供した。
(厚み)
本発明における厚みは、JIS−K−7130に準拠し、定圧厚さ測定器((株)テクロック製、商品名:PG−01J)を用いて測定した。
成形した樹脂フィルム層(A)が多層構造である場合に、各層の厚みは、測定対象試料を液体窒素にて−60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、商品名:プロラインブレード)を直角に当て切断し断面観察用の試料を作成し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6490)を使用して断面観察を行い、組成外観から熱可塑性樹脂組成物ごとの境界線を判別して、樹脂フィルム層(A)全体の厚みと観察される層厚み比率を乗算して求めた。
水中置換法により樹脂フィルム(A)の密度ρを計算するとともに、使用原料それぞれの密度と配合比率から樹脂フィルム(A)の真密度ρ0を求めた。次いで下記式(1)により空孔率(%)を算出した。
記録層(C)用塗料に配合する材料は以下のとおりである。各材料の物性を表3に示す。
[製造例]
(帯電防止機能を有するポリマーm)]
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名:ブレンマーPE−350)100質量部、過塩素酸リチウム(和光純薬工業(株)製、試薬)20質量部、ヒドロキノン(和光純薬工業(株)製、試薬)1質量部およびプロピレングリコールモノエチルエーテル(和光純薬工業(株)製、試薬)400質量部を、攪拌装置、還流冷却管(コンデンサー)、温度計、及び滴下ロートを装着した四つ口フラスコに導入し、系内を窒素置換し、60℃で40時間反応させた。これにステアリルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)5質量部、n−ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)5質量部、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製、試薬)1質量部を添加し、80℃で3時間重合反応した後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを添加して固形分を20質量%に調整し、質量平均分子量約30万、固形分中のリチウム濃度0.6質量%のアルカリ金属塩含有ポリマーよりなる帯電防止機能を有するポリマーmの溶液を得て、記録層(C)用塗料の製造に供した。
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(三菱ガス化学(株)製)35質量部、エチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)20質量部、シクロヘキシルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)20質量部、ステアリルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)25質量部、エチルアルコール150質量部と、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製、試薬)1質量部を、攪拌装置、還流冷却管(コンデンサー)、温度計、及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコに導入し、系内を窒素置換し、窒素気流下にて80℃の温度で6時間重合反応を行なった。次いで3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドの50質量%水溶液85質量部(和光純薬工業(株)製、試薬)を加え、更に80℃の温度で15時間反応させた後、水を滴下しながらエチルアルコールを留去し、最終固形分として20質量%の第四級アンモニウム塩型共重合体よりなる帯電防止機能を有するポリマーnの溶液を得て、記録層(C
)用塗料の製造に供した。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)15質量部、メチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)50質量部、エチルアクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)35質量部およびトルエン(和光純薬工業(株)製、試薬)100質量部を、攪拌機、環流冷却管、温度計、及び滴下ロートを装着した四つ口フラスコに仕込み、窒素置換後、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製、試薬)0.6質量部を開始剤として導入し80℃で4時間重合させた。得られた溶液は、水酸基価65の水酸基含有メタクリル酸エステル系重合体の50%トルエン溶液であった。次いで、この溶液100質量部に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(新第1塩ビ(株)製、商品名:ZEST C150ML)20%メチルエチルケトン溶液を30質量部加え、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製、試薬)を添加して固形分を20質量%に調整し、高分子バインダーpの溶液を得て、記録層(C)用塗料の製造に供した。
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(三菱ガス化学(株)製)62.9質量部、ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)71質量部、ラウリルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)25.4質量部およびイソプロピルアルコール(和光純薬工業(株)製、試薬)200質量部を攪拌機、還流冷却器、温度計、及び滴下ロートを装置した四つ口フラスコ内に仕込み、窒素ガス置換後、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製、試薬)0.9質量部を重合開始剤として添加し、80℃にて4時間重合反応を行った。次いで、酢酸(和光純薬工業(株)製、試薬)24質量部で中和した後、イソプロピルアルコール(和光純薬工業(株)製、試薬)を溜去しながら、水を添加し、最終的に固形分35%の粘調な分散剤(a)の水溶液を得て、記録層(C)用塗料の製造に供した。
同方向かみ合い型二軸押出機((株)池貝製、商品名:PCM45φ)に、エチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポンケミカル(株)製、商品名:ニュクレルN1035)を100部/時間の割合で連続的に供給した。また、同押出し機の第一の注入口より上記分散剤(a)の水溶液を、22.9部/時間(分散剤の固形分としては8部/時間)の割合で連続的に供給し、更に第二の注入口から水を70部/時間の割合で連続的に供給しながら加熱温度(シリンダー温度)130℃で連続的に混練して押出し、乳白色の樹脂水性分散液を得た。この樹脂水性分散液を250メッシュのステンレス製金網でろ過後、水を添加して固形分を45質量%に調整し、高分子バインダーqの溶液を得て、記録層(C)用塗料の製造に供した。
攪拌機、環流冷却器、温度計および窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、ポリエチレンイミン(日本触媒(株)製、商品名:エポミン P−1000)25質量%水溶液100質量部、1−クロロブタン(和光純薬工業(株)製、試薬)10質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬工業(株)製、試薬)10質量部を導入して窒素気流下で攪拌し、80℃の温度で20時間変性反応を行い、次いでこの溶液に水を添加して固形分を20質量%に調整し、高分子バインダーrの溶液を得て、記録層(C)用塗料の製造に供した。
ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂溶液(星晃PMC(株)製、商品名:WS4024、固形分25質量%)を記録層(C)用塗料の製造に供した。
(硬化剤v)
ヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネート HL)を硬化剤vとして記録層(C)用塗料の製造に供した。
沈降法シリカ(水澤化学工業(株)製、商品名:ミズカシル P−527)を顔料粒子xとして記録層(C)用塗料の製造に供した。
(顔料粒子y)
表面処理硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、商品名:BARIACE B−32)を顔料粒子yとして記録層(C)用塗料の製造に供した。
(塗料1)
メチルエチルケトンをカウレスミキサーにて静かに攪拌しながら、これに顔料粒子xを少しずつ加え、固形分濃度20質量%になるように調整した後、カウレスミキサーの回転数を上げて30分間攪拌し顔料分散液を作成した。
次いでカウレスミキサーの回転数を落とし、顔料粒子xの分散液に、高分子バインダーpの溶液、帯電防止機能を有するポリマーmの溶液、および硬化剤vの溶液(酢酸エチルにて固形分20質量%に希釈したもの)をこの順に、表3に記載した配合比率となるように添加し、そのまま20分間攪拌して混合し、その後100メッシュのフィルターを通し粗粒径物の除去を行い、メチルエチルケトンで固形分濃度20質量%となる様に希釈し、記録層(C)用塗料1を得て記録層(C)の製造に供した。
メチルエチルケトンをカウレスミキサーにて静かに攪拌しながら、これに高分子バインダーpの溶液、帯電防止機能を有するポリマーmの溶液、および硬化剤vの溶液(酢酸エチルにて固形分20質量%に希釈したもの)をこの順に、表3に記載した配合比率となるように添加し、20分間攪拌して混合し、その後メチルエチルケトンで固形分濃度20質量%となる様に希釈し、記録層(C)用の塗料2を得て記録層(C)の製造に供した。
(塗料3)
攪拌機を備えた容器中に、高分子バインダーrおよびsの溶液、および帯電防止機能を有するポリマーnの溶液をこの順に、表3に記載した配合比率となるように添加し、次いで水で固形分濃度3質量%となる様に希釈し、そのまま20分間攪拌し混合して記録層(C)用の塗料3を得て記録層(C)の製造に供した。
塗料3の製造において、配合比率を表3に記載したものに変更したこと以外は塗料3の製造と同様にして塗料4を得て記録層(C)の製造に供した。
(塗料5)
塗料1の製造において、配合比率を表3に記載したものに変更したこと以外は塗料1の製造と同様にして塗料5を得て記録層(C)の製造に供した。
[製造例]
(樹脂フィルム層(B))
樹脂フィルム層(B)として下記材料を支持体層(ii)の製造に供した。各材料の物性を表4に示す。
材料α:二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:
ダイヤホイルO300)
材料β:二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学(株)製、商品名:FOP−K)
材料γ:上質紙(フタムラ化学(株)製、商品名:FOP−K)
塗料6として、導電性塗料(大日精化工業(株)製、商品名:ネオコンコート 565DR2)を支持体層(ii)の製造に供した。
(製造例I)
材料αの片面に、塗料6を乾燥後の固形分が2g/m2になるように塗工して、製造例Iの支持体層(ii)を得て積層体の製造に供した。
(製造例II)
材料βの片面にコロナ放電表面処理(100W・h/m2)を行った後、塗料1を乾燥後の固形分が2g/m2になるように塗工して、製造例IIの支持体層(ii)を得て積層体の製造に供した。
材料βの片面にコロナ放電表面処理(100W・h/m2)を行った後、ポリウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−8Bとの等量混合液)を乾燥後の固形分が3g/m2になるように塗工し、乾燥後にアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(尾池工業(株)製、商品名:テトライトPC、厚み12μm)のポリエチレンテレフタレートフィルム面をドライラミネートして、外側にアルミ蒸着面を有する製造例IIIの支持体層(ii)を得て積層体の製造に供した。
(製造例IV)
材料αをそのまま積層体の製造に供した。
(製造例V)
材料γをそのまま積層体の製造に供した。
(比誘電率)
本発明の支持体層(ii)の比誘電率の測定には、Agilent Technologies社の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」を使用し、温度23℃、相対湿度50%の環境条件下で、直径38mmの主電極と直径56mmの対電極との間に電極直径より大きい試料を表面抵抗率が高い面が主電極側になる様に挟み込み、5Vの電圧を印加し、10Hz〜1MHzの範囲の周波数で測定し、周波数100Hzの測定値を代表値とした。
本発明の表面抵抗率は23℃、相対湿度50%の条件下で、表面抵抗率が1×107Ω以上の場合は、JIS−K−6911に準拠し、2重リング法の電極を用いて測定する。表面抵抗率が1×107Ω未満の場合は、JIS−K−7194に準拠し、4深針法で測定することによって求めた抵抗(R)に、補正係数Fを乗じてこれを表面抵抗率とした。
(製造例A)
図8に概略図を示す積層体の製造装置(101)を用い、製造例1の樹脂フィルム層(
A)をロール(41)より巻きだし、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。針状印加電極(45)と対電極ロール(46)の距離を1cm、放電電圧を12kVに設定した。
一方、製造例Iの支持体層(ii)をロール(42)より巻きだし、上記で電荷注入処理を実施した製造例1の樹脂フィルム層(A)と、製造例Iの支持体層(ii)の非塗工面(樹脂フィルム層(B))が接するように積層し、両者をニップロール(49)で加圧接着して静電吸着させ、製造例Aの積層体を得て、実施例に供した。
(製造例B〜G、J〜L)
製造例Aにおいて、製造例1の樹脂フィルム層(A)の代わりに表5記載の製造例2〜7、9の樹脂フィルム層(A)を使用し、製造例Iの樹脂フィルム層(B)の代わりに表5記載の製造例II〜Vの樹脂フィルム層(B)を使用したこと以外は製造例Aと同様に製造例B〜G、J〜Lの積層体を得て、実施例に供した。
図8に概略図を示す積層体の製造装置(101)を用い、製造例IIで得た支持体層(ii)をロール(41)より巻きだし、支持体層(ii)の非塗工面(樹脂フィルム層(B))に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。針状印加電極(45)と対電極ロール(46)の距離を1cmに設定し、放電電圧を15kVに設定した。
一方、製造例2の樹脂フィルム層(A)をロール(42)より巻きだし、上記で電荷注入処理を実施した製造例IIの支持体層(ii)の非塗工面(樹脂フィルム層(B))と、樹脂フィルム層(A)が接するように積層し、両者をニップロール(49)で加圧接着して静電吸着させ、製造例Hの積層体を得た。
(製造例A〜H)における積層体の構成(樹脂フィルム層(A)と支持体層(ii)の組み合わせ)、加工条件(電荷注入処理の際の処理基材および放電電圧)を表5にまとめて示す。
[実施例1]
製造例Aの積層体の樹脂フィルム層(A)の面に、記録層(C)用塗料3を、乾燥後の固形分が0.05g/m2となるようにバーコーターで塗工し、70℃のオーブンで30秒乾燥後、更に40℃で8時間硬化させて、実施例1の静電吸着シート(iii)を得た。
[実施例2〜8、比較例2〜4]
実施例1において、表6記載のとおり、製造例Aの積層体を製造例B〜H及びJ〜Kの積層体に変更し、記録層(C)用塗料3を記録層(C)用塗料1、2、4および5に変更したこと以外は実施例1と同様にして施例2〜8、比較例2〜4の静電吸着シート(iii)を得た。
(記録層(C)を有するフィルム1の製造)
製造例8の樹脂フィルム層(A)の片面に、記録層(C)用塗料1を乾燥後の固形分が2g/m2となるようにグラビアコーターで塗工し、70℃のオーブンで30秒乾燥後、更に40℃で8時間硬化させて、記録層(C)を有するフィルム1を得て、次の貼合に供した。
(貼合)
上記で得た記録層(C)を有するフィルム1の記録層(C)が無い面(樹脂フィルム層(A))にポリウレタン系接着剤(東洋モートン(株)製、商品名:TM−329と商品名:CAT−18Bの等量混合液)を固形分量が3g/m2となるように塗工し、40℃で1分間乾燥した後に、製造例1の樹脂フィルム層(A)と製造例Iの支持体層(ii)とを積層して得た製造例の積層体を樹脂フィルム層(A)の面が記録層(C)を有するフィルム1の接着剤と接する様に貼り合わせて、実施例9の静電吸着シート(iii)を得た。
実施例9において、製造例Aの積層体を製造例B、CおよびFの積層体に変更したこと以外は実施例9と同様にして実施例10〜12の静電吸着シート(iii)を得た。
[比較例1]
実施例2および10において、得られた製造例Bの積層体に記録層(C)を設けずそのまま比較例1の静電吸着シート(iii)として使用した。
本発明の実施例1〜12および比較例1〜4における静電吸着シートの構成(積層体と記録層(C)の組み合わせ)および得られたラベル層(i)の物性を表6に示す。
(インキ密着性)
静電吸着シート(iii)を、温度23℃,相対湿度50%の雰囲気下で1日間保管し
た後、静電吸着シート(iii)の記録層(C)面に、印刷試験機((株)明製作所社製、商品名:RI−III型印刷適性試験機)を用いて、印刷インキ((株)T&K TOKA社製、商品名:ベストキュアー161墨)を1.5g/m2の厚さとなるよう均一に印刷し、メタルハライド灯(アイグラフィック(株)製、出力:80W/cm)下でUV照射強度が0.04W/cm2となるようにUV照射し、印刷インキを乾燥固化した。
再びこの静電吸着シート(iii)を、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で1日間保管した後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン(株)製、商品名:CT−18)を貼り付け、JAPAN TAPPI No.18−2(内部結合強さ試験方法)に準じてインターナルボンドテスター(熊谷理機工業(株)社製、商品名)を用い、インキの剥離強度を測定し、2回の測定結果の平均値を密着強度とした。同結果より以下の基準で合否評価した。
○ : 合格 密着強度が1.4kg・cm以上
× : 不合格 密着強度が1.4kg・cm未満
静電吸着シート(iii)を、打ち抜き刃を用いて長手89mm×幅57mmのサイズに打ち抜き、100枚のカードを作成した。作成したカードを1m×1mのガラス板上にランダムに広げて、手でかき集めて100枚の束を作成し、きれいな束にできるかを以下の基準で評価した。
○ : 良好 4辺がきれいに揃った束が作成可能
△ : やや良好 4辺は揃えられないが束は作成可能
× : 不良 カードがガラス板に張り付いてしまい束の作成が困難
静電吸着シート(iii)を、200mm×220mmのサイズに断裁し、相対湿度50%の雰囲気下で1日間保管した後、同雰囲気下で、静電吸着シート(iii)よりラベル層(i)を剥がして、図9に概略図を示す吸着力測定装置のガラス板上に、吸着面積が200mm×200mmとなりラベル層(i)の下端20mm幅分がはみ出す様に貼り付け、ラベル層(i)の下端分にクリップを取り付け、糸を取り付けた10gの分銅を1つずつクリップに追加して行き、ラベル層(i)が滑り落ちた時の分銅の重さから吸着力を平米当りに換算して求め、以下の基準で評価した。
○ : 良好 吸着力が5000g/m2以上
△ : やや良好 吸着力が1000g/m2以上、5000g/m2未満
× : 不良 吸着力が1000g/m2未満
上記試験例に基づく実施例及び比較例の評価結果を表7にまとめて示す。
またラベル層(i)の表示使用時には静電吸着力が充分に高い。これはラベル層(i)中の樹脂フィルム内部に導入された電荷に由来するものであることから、同静電吸着力は湿度に影響され難く、持続性は充分で長期に亘り表示使用することができ、且つラベル層(i)は使用後、容易にこれを剥がすことができる。
として非常に有用である。
2、12、22 ラベル層(i)
3、13、23 支持体層(ii)
a 帯電による吸着面
4、14、24、25 樹脂フィルム層(A)
5、15、26 記録層(C)
16 記録層(C)作成用フィルム層
17、27 接着剤層
31 静電吸着シート(iii)
32 直流高圧電源(松定プレシジョン製)
33 針状印加電極
34 対電極
35 ワイヤー状電極
36 針状電極
37 対電極ロール
38 ワイヤー状電極
41 ラベル層(i)
42 支持体層(ii)
43 静電吸着シート(iii)
44 直流高圧電源(松定プレシジョン製)
45 針状印加状電極
46 対電極ロール
47 ガイドロール(グランド接続)
48 ニップロール
49 ニップロール
51 ラベル層(i)
52 ガラス板
53 支柱
54 クリップ
55 釣り糸
56 加重
101 積層体の製造装置
Claims (19)
- 樹脂フィルム層(A)を含むラベル層(i)と、樹脂フィルム層(B)を含む支持体層(ii)を積層した静電吸着シート(iii)であって、ラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)側表面、および支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)の少なくとも一方に帯電処理を施し、次いでラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)と支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)を静電吸着させて積層体とし、次いで積層体の少なくともラベル層(i)側の面に記録層(C)を積層して得た静電吸着シート(iii)であり、記録層(C)側の表面抵抗率が1×10-1Ω〜9×1012Ωであり、支持体層(ii)側の表面抵抗率が1×10-1Ω〜9×1012Ωであることを特徴とする静電吸着シート(iii)。
- ラベル層(i)の樹脂フィルム層(A)側の面の表面抵抗率が1×1013Ω〜9×1017Ωであり、且つ、支持体層(ii)の樹脂フィルム層(B)側の面の表面抵抗率が1×1013Ω〜9×1017Ωであることを特徴とする請求項1に記載の静電吸着シート(ii)。
- 帯電処理が直流式コロナ放電処理であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電吸着シート(iii)。
- 樹脂フィルム層(A)が熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の静電吸着シート(iii)。
- 樹脂フィルム層(A)の熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂または官能基含有ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項4に記載の静電吸着シート(iii)。
- 樹脂フィルム層(A)が少なくとも1軸方向に延伸された延伸樹脂フィルムを含むことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の積層フィルム(iii)。
- 樹脂フィルム層(B)が熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の静電吸着シート(iii)。
- 樹脂フィルム層(B)の比誘電率が1.1〜5.0であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の静電吸着シート(iii)。
- 記録層(C)が帯電防止機能を有するポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の静電吸着シート(iii)。
- 記録層(C)の帯電防止機能を有するポリマーが第四級アンモニウム塩型共重合体およびアルカリ金属塩含有ポリマーの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項9に記載の静電吸着シート(iii)。
- 記録層(C)がアルカリ金属イオンを0.01〜1質量%を含むことを特徴とする請求項10に記載の静電吸着シート(iii)。
- 記録層(C)のアルカリ金属イオンがリチウムイオンを含むことを特徴とする請求項10または11に記載の静電吸着シート(iii)。
- ラベル層(i)が、そのガーレ柔軟度が5〜1000mgfであることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の静電吸着シート(iii)。
- ラベル層(i)が、その水蒸気透過係数が0.01〜2.50g・mm/(m2・24hr)であることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の静電吸着シート(iii)。
- ラベル層(i)が、その厚みが20〜500μmであり、支持体層(ii)が、その厚みが20〜500μmであることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の静電吸着シート(iii)。
- 支持体層(ii)側の表面が帯電防止機能を有するポリマーを含有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の静電吸着シート(iii)。
- 請求項1〜16の何れか1項に記載の静電吸着シート(iii)の記録層(C)側表面に印刷を施してなる記録物。
- 請求項1〜16の何れか1項に記載の静電吸着シート(iii)の支持体層(ii)側表面に印刷を施してなる記録物。
- 請求項17または18に記載の記録物より支持体層(ii)を剥がしたラベル層(i)よりなる表示物。
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- 2013-07-26 JP JP2013155584A patent/JP2014044413A/ja active Pending
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