JP3196866U - 静電吸着地図シート及び地図表示体 - Google Patents

静電吸着地図シート及び地図表示体 Download PDF

Info

Publication number
JP3196866U
JP3196866U JP2015000294U JP2015000294U JP3196866U JP 3196866 U JP3196866 U JP 3196866U JP 2015000294 U JP2015000294 U JP 2015000294U JP 2015000294 U JP2015000294 U JP 2015000294U JP 3196866 U JP3196866 U JP 3196866U
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film layer
map
transparent film
layer
information
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015000294U
Other languages
English (en)
Inventor
高橋 功
高橋  功
祐一 舘田
祐一 舘田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yupo Corp
Zenrin Co Ltd
Original Assignee
Yupo Corp
Zenrin Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yupo Corp, Zenrin Co Ltd filed Critical Yupo Corp
Priority to JP2015000294U priority Critical patent/JP3196866U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3196866U publication Critical patent/JP3196866U/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】被着体に容易に貼り付けることができるとともに、被着体を汚さずに被着体から容易に剥がすことができ、更に、被着体に貼り付けて地図表示体とする際に地図情報を保護したり追加情報を付加したりすることが可能な、静電吸着地図シートを提供する。【解決手段】第1の樹脂層を含み且つ面2Bに地図情報4を有する不透明フィルム層2と、第2の樹脂層を含み且つ不透明フィルム層の地図情報を有する面2Bとは反対の面2Aに静電気によって吸着した透明フィルム層3と、を含む静電吸着地図シート1である。【選択図】図1

Description

本考案は、多様な被着体に静電吸着可能な静電吸着地図シートに関する。また、本考案は、地図シートが被着体に静電吸着した地図表示体にも関する。
従来、壁面、ガラス面、柱、掲示板、ロッカー、書棚等の硬質の被着体に、印刷により作製したポスター、広告等のシート状媒体を貼り付ける際に、接着剤、粘着テープ等が利用されてきた。近年、こうした広告等のシート状媒体についても、資材リサイクルの観点から使用後も再利用可能な状態で容易に回収できるものが望まれている。しかし、接着剤や両面テープを使用した場合、広告等を被着体から剥離するのが容易ではなく、破れて再利用ができない場合がある。また、広告等に接着剤や粘着剤が残っていると資源としてのリサイクルも困難となり、結局、一度使用した後は大半が廃棄物として処理されているという問題がある。更に、広告等のシート状媒体を、接着剤や両面テープを使用して壁面や柱等の被着体に貼り付けると、これを剥がした後に被着体側にも糊等が残ってしまったり、被着体の表面の塗装が剥れたりしてしまうという問題もあった。
これに対して、広告等のシート状媒体を静電吸着力により被着体へ貼り付ける技術が提案されている(下記特許文献1参照)。特許文献1には、支持体層と不透明なラベル層が互いに静電吸着したシートが記載されており、使用時にラベル層を支持体層から剥離して、その剥離して露わになった面が被着体表面と接するようにラベル層を貼り付けて静電吸着させることが説明されている。特許文献1によると、剥離前のシートは剥離前には外部に静電吸着力を発現しないために、特に印刷工程でロールへの貼り付きやシート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難いという利点があり、また、ハンドリング性が良好で、多様な印刷方式にも対応できるとされている。また、特許文献1によると、被着体に貼り付けた後は、環境湿度に影響されずに長期にわたって静電吸着力が持続し、また、使用後は容易に剥がすことができるという利点があるとされている。
特開2012−145935号公報
しかしながら、特許文献1のシートでは、被着体へ貼り付けるためにシートからラベル層を剥がした後に、支持体層が手元に残ってしまうという問題があった。このため、ラベル層を被着体へ貼り付けた後に支持体層を回収し、運搬して処理する手間がかかっていた。したがって、無駄になる資材が多量に出てしまう事態を回避することが望まれていた。
一方、ラベル層には様々な情報を印刷することが求められているが、なかでも地図を含む情報の場合は、共通の地図をベースにしながら個別の目的に応じた多様な情報を付加した印刷を行うことが必要とされる場合が多い。例えば、店舗等の場所を指し示す印刷や、目的地までの経路を示す印刷等は、共通の地図を印刷した上に更に重ねて印刷したり、共通の地図を元から改変して印刷したりしている。しかしながら、多種多様なニーズに応えるために、それぞれのニーズに合致する情報を付加した地図をその都度印刷するのは効率が悪く、手間もかかる。このため、地図そのものを共通して使用しながら、各ニーズに対応した個別の情報を地図に簡単に付加できるようなシートがあれば便利である。しかしながら、そのような便利なシートは開発されるに至っていない。
また、表示体として表示されている地図は、通行人等が指で触れることが多い。このため、要所や目的地等の特定の地点の印刷が他よりも薄くなったり、剥げたりすることが頻発している。したがって、表示された地図を適切に保護することも必要とされていた。
本考案者らは、上記の従来技術の課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、透明フィルム層と地図を印刷した不透明フィルム層とを静電吸着させたシートを用意しておいて、使用時に不透明フィルム層を剥がして被着体へ貼り付けた後に、残った透明フィルム層を地図上に貼り付けることによって課題を解決できることを見いだした。透明フィルム層に付加情報を印刷しておけば、地図上に透明フィルムを貼り付けたときに地図上に付加情報が表示され、個別のニーズに応じた情報を表示させることができる。また、透明フィルム層にマーカー等で付加情報を付与することもできる。
本考案は、これらの知見に基づいて提供されたものであり、下記の静電吸着地図シートと地図表示体に関するものである。
(1) 第1の樹脂層を含み且つ一の面に地図情報を有する不透明フィルム層と、
第2の樹脂層を含み且つ前記不透明フィルム層の前記地図情報を有する前記一の面とは反対の面に静電気によって吸着した第一の透明フィルム層と、
を含む静電吸着地図シート。
(2) 前記不透明フィルム層が記録層を有しており、前記記録層に前記地図情報を有する(1)に記載の静電吸着地図シート。
(3) 前記第一の透明フィルム層は、前記不透明フィルム層との吸着面とは反対の面に第一の付加情報を有する(1)または(2)に記載の静電吸着地図シート。
(4) 前記第一の付加情報は、前記地図情報と重ね合わせた際に一群の情報となる(3)に記載の静電吸着地図シート。
(5) 前記静電吸着地図シートから前記第一の透明フィルム層を剥離し、前記第一の透明フィルム層を裏返して前記剥離により露わになった面を前記不透明フィルム層の前記地図情報を有する面の上に重ね合わせたときに前記一群の情報が認識できるように、前記地図情報と前記第一の付加情報が相互に関連づけて形成されている(4)に記載の静電吸着地図シート。
(6) (1)〜(5)のいずれか1項に記載の静電吸着地図シートと組み合わせて用いる静電吸着シートであって、
第3の樹脂層を含み、一の面に第二の付加情報を付加することができる第二の透明フィルム層と、第4の樹脂層を含み且つ前記第二の透明フィルム層の前記第二の付加情報を付加することができる前記一の面とは反対の面に静電気によって吸着した第二の樹脂フィルム層と、
を含む静電吸着シート。
(7) 前記第二の樹脂フィルム層が第三の透明フィルム層であり且つ前記第二の透明フィルム層との吸着面とは反対の面に第三の付加情報を付加することができる(6)に記載の静電吸着シート。
(8) 被着体と、
第1の樹脂層を含み、一の面に地図情報を有し且つ他の面において静電気によって前記被着体と吸着している樹脂フィルム層と、
第2の樹脂層を含み且つ前記樹脂フィルム層の前記地図情報を有する面の上に静電気によって吸着した第一の透明フィルム層と、
を含む地図表示体。
(9) 前記第一の透明フィルム層は、前記樹脂フィルム層との吸着面とは反対の面に第一の付加情報を有する(8)に記載の地図表示体。
(10) 前記第一の付加情報と前記地図情報が重ね合うことにより一群の情報を形成している(9)に記載の地図表示体。
(11) 前記第一の透明フィルム層の前記樹脂フィルム層との吸着面とは反対の面側に他の透明フィルム層を更に有する(8)〜(10)のいずれか1項に記載の地図表示体。
(12) 前記他の透明フィルム層が、樹脂フィルム層との吸着面とは反対の面側に静電気によって吸着または再貼着可能な透明粘着層を介して第一の透明フィルム層に接着した(11)に記載の地図表示体。
(13) 前記他の透明フィルム層は、前記第一の透明フィルム層との吸着面とは反対の面に第二の付加情報を有する(12)に記載の地図表示体。
(14) 前記第二の付加情報と前記地図情報が重ね合うことにより一群の情報を形成している(13)に記載の地図表示体。
(15) 前記第一の付加情報または前記第二の付加情報が変更可能な情報である(9)〜(14)のいずれか1項に記載の地図表示体。
本考案によれば、被着体に容易に貼り付けることができるとともに、被着体を汚さずに被着体から容易に剥がすことができ、更に、地図表示体として用いた際に地図情報を保護したり追加情報を付加したりすることが可能な、静電吸着地図シートを提供することができる。
本考案の静電吸着地図シートの積層構造を示す断面図である。 本考案の静電吸着地図シートの使用方法を説明するための断面図である。 本考案の地図表示体の積層構造を示す断面図である。 本考案の地図表示体の別の積層構造を示す断面図である。 本考案における地図情報と第一の付加情報との関係を示す説明図である。
以下に記載する構成要件の説明は、本考案の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本考案はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本考案の静電吸着地図シートは、第1の樹脂層を含み且つ一の面に地図情報を有する不透明フィルム層と、第2の樹脂層を含み且つ前記不透明フィルム層の前記地図情報を有する前記一の面とは反対の面に静電気によって吸着した第一の透明フィルム層と、を含む。また、本考案の地図表示体は、被着体と、第1の樹脂層を含み且つ一の面に地図情報を有し且つ他の面において静電気によって被着体と吸着している樹脂フィルム層と、第2の樹脂層を含み且つ前記樹脂フィルム層の前記地図情報を有する前記一の面上に静電気によって吸着した第一の透明フィルム層と、を含む。
[層構造]
本考案の静電吸着地図シートについて図を用いて説明する。図1は、本考案の静電吸着地図シートの積層構造を示す断面図である。図1に示すように静電吸着地図シート1は、不透明フィルム層2と、第一の透明フィルム層3と、を含む積層体を有している。不透明フィルム層2の一の面(面2B)上には、地図情報4が付与されている。図1に示すように、不透明フィルム層2は、単独の樹脂層(第1の樹脂層)のみで形成されていてもよいし、別途樹脂層上に記録層を設けて前記記録層に地図情報4を有する態様としてもよい。
不透明フィルム層2は、地図情報4を有する面2Bとは反対の面(剥離面2A)において第一の透明フィルム層3の一の面(剥離面3A)と静電気によって吸着(静電吸着)している。図1に示すように、第一の透明フィルム層3は、単独の樹脂層(第2の樹脂層)のみで形成されていてもよいし、複数の樹脂層等から構成される多層構造であってもよい。
図1に示すように、静電吸着地図シート1の両面(図1における面2Bおよび面3B)は非帯電となっている。静電吸着地図シート1は、使用前は外部に静電吸着力を発現しないため、特に製造過程においてロールへの貼り付きやシート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難く、ハンドリング性が良好であり、また、多様な印刷方式に対応できる。本考案の静電吸着地図シートは、壁面、ガラス面、柱、掲示板、ロッカー、書棚等の被着体に吸着させて地図表示体とする前の態様であり、例えば、出荷時、搬送時、販売時等に好適な態様である。
次に、本考案の静電吸着地図シートの使用方法について説明する。図2は、本考案の静電吸着地図シートの使用方法を説明するための断面図である。上述のように静電吸着地図シート1を被着体に吸着させる際には、まず図2に示すように静電吸着地図シート1から第一の透明フィルム層3を剥離する。図2に示すように、不透明フィルム層2の剥離面2Aと、第一の透明フィルム層3の剥離面3Aとは、両面ともに静電気によって帯電している。不透明フィルム層2の剥離面2Aは、地図表示体とする際に被着体に吸着させる面となる。また、第一の透明フィルム3の剥離面3Aは、不透明フィルム層2を被着体に吸着させて地図表示体とする際に、不透明フィルム層2の地図情報4上に吸着させる面となる。第一の透明フィルム層3は、静電吸着地図シート1を地図表示体とする際に地図情報4を保護するための保護膜として機能させることができる。
本考案の地図表示体について説明する。図3は、本考案の地図表示体の積層構造例を示す断面図である。図3において図1および図2と共通する部材については同様の符号を付しその説明を省略する。図3に示すように、地図表示体は、樹脂フィルム層2’と第一の透明フィルム層3とを含む積層体10が被着体5上に静電吸着した構造を有している。樹脂フィルム層2’は第1の樹脂層を含むものであり、樹脂フィルム層2’の一の面(面2B)には地図情報4が付与されている。そして、樹脂フィルム層2’の地図情報4を有する面(面2B)上に、第一の透明フィルム層3の剥離面3Aが静電吸着している。本考案の地図表示体における樹脂フィルム層2は、透明であっても不透明であってもよく、本考案の静電吸着地図シートにおける不透明フィルム層を含む概念である。このため、樹脂フィルム層2’を構成する第1の樹脂層は、不透明フィルム層を構成する第1の樹脂層と同じであってもよい。
このため、図3の地図表示体は、例えば、上述のように第一の透明フィルム層3を不透明フィルム層2から剥離した後、静電気によって帯電している不透明フィルム層2の剥離面2Aを被着体5に吸着させ、更に、静電気によって帯電している第一の透明フィルム層3の剥離面3Aを不透明フィルム層2の地図情報4上に吸着させることによって作製することができる。但し、本考案の地図表示体の製造方法はこれに限定されるものではなく同様の構造を有するものであれば特に製造方法は限定されるものではない。地図情報4は、面3B側より観察することで第一の透明フィルム層3を介して視認することができる。図3の地図表示体では、地図情報4が第一の透明フィルム層3によって保護されている。また、積層体10は静電気によって被着体5に吸着しているため、地図表示体としての役割を果たした後に被着体5から剥がして回収する際に、被着体5側に糊が残ってしまったり、表面の塗装が剥れたりすることなく、容易に剥離させることができる。また、積層体10の最外面である第一の透明フィルム層3の面3Bは静電気によって帯電させていないため、静電気によるゴミ等の付着を抑制することができる。
図3においては、第一の透明フィルム層3を一層のみ使用した態様について説明したが、本考案は前記態様に限定されることなく、図4に示すように、第一の透明フィルム層3の樹脂フィルム層との吸着面とは反対の面3B側に他の透明フィルム層6を有していてもよい。図4において、他の透明フィルム層6の面4Aと第一の透明フィルム層3の面3Bとは静電吸着をしていてもよいし、静電吸着以外の吸着をしていてもよいし、粘着または接着をしていてもよい。また、他の透明フィルム層6の第一の透明フィルム層3側ではない面(面4B)には第二の付加情報が付加されていてもよい。他の透明フィルム層6の面4Bには、1層以上のさらに他の透明フィルム層を同様に積層することが可能である。このとき積層する各透明フィルム層には、それぞれ付加情報が付加されていてもよい。
前記他の透明フィルム層は、単独で用意した片面を静電気によって帯電させた透明フィルムであってもよいし、静電吸着シートから剥離した透明フィルム層であってもよい。静電吸着シートから剥離した透明フィルム層として、第3の樹脂層を含み、一の面に第二の付加情報を付加することができる第二の透明フィルム層と、第4の樹脂層を含み且つ前記透明フィルム層の前記第二の付加情報を付加することができる前記一の面とは反対の面に静電気によって吸着した第二の樹脂フィルム層と、を含む静電吸着シートから剥離した前記第二の透明フィルム層を例示することができる。
[付加情報]
(第一の付加情報)
図3における地図表示体は、第一の透明フィルム層3の樹脂フィルム層2’(不透明フィルム層2)との吸着面とは反対の面に第一の付加情報を有していてもよい。前記第一の付加情報は、図3における地図表示体を形成した後に、面3B上に付与してもよいし、図1における静電吸着地図シート1の状態で、面3B上に付加しておいてもよい。また、前記付加情報は、前記地図情報と重ね合わせた際に一群の情報となることが好ましい。第一の透明フィルム層3への付加情報の付与は後述する印刷、マーカー、ラベル、付箋紙等を用いて行うことができる。
前記第一の付加情報について図5を用いて説明する。図5は、本考案における地図情報と第一の付加情報との関係を示す説明図である。ここで、図5(A)は、第一の付加情報を有する静電吸着地図シート1を面3B側から観察した説明図であり、図5(B)は、静電吸着地図シート1を面2B側から観察した説明図である。更に、図5(C)は、第一の付加情報を有する積層体10を有する地図表示体を面3B側から観察した説明図である。図5(A)に示すように、静電吸着地図シート1は、第一の透明フィルム層の不透明フィルム層との吸着面とは反対の面3B上に第一の付加情報7(「現在値」及び地点を示す矢印)が付与されている。
図5において、第一の付加情報7は、地図情報と重ね合わせた際に一群の情報となるように設計されている。図5(B)に示すように、静電吸着地図シート1の不透明フィルム層の面2B上には、地図情報4が形成されている。静電吸着地図シート1から不透明フィルム層を剥離し被着体に吸着させ、剥離した第一の透明フィルム層を不透明フィルム層に形成された地図情報上に吸着させて図3における積層体10を形成すると、図5(C)に示すように、積層体10の第一の透明フィルム層は、樹脂フィルム層(不透明フィルム層)との吸着面とは反対の面3Bに第一の付加情報7を有することとなる。積層体10を形成した場合、面3B側から第一の透明フィルム層を介して地図情報4を観察すると、地図情報4に重ねて積層体10の面3B上に形成された第一の付加情報7が表示されることとなる。図5(C)に示すように第一の付加情報7は地図情報4と重ね合わせた際に一群の情報8として表示される。例えば、共通の地図情報4を使用しつつ、第一の付加情報7を変更することで積層体10の設置者、位置、設置時期等の状況に合わせた地図表示体とすることができる。
剥離した第一の透明フィルム層を不透明フィルム層の地図情報上に重ねる態様は特に制限されない。剥離した第一の透明フィルム層は裏返して不透明フィルム層に重ねることになるが、裏返す際には任意の軸を中心に180°回転させることができる。例えば、剥離した第一の透明フィルム層が長辺と短辺を有する場合は、その長辺を軸として180°回転させた状態にしてもよいし、短辺を軸として180°回転させた状態にしてもよい。また、剥離した第一の透明フィルム層に存在する対称軸を軸として180°回転させた状態にしてもよい。第一の付加情報が使用時において非可変情報である場合、いずれかの態様で回転することを予め決めておいて、重ねたときに一群の情報が表示されるように、地図情報と第一の付加情報を相互に関連づけて付与しておくことが好ましい。ここで「第一の付加情報が使用時において非可変情報である場合」には、静電吸着地図シート1を用いて地図表示体を作製して表示させるまでの間に第一の付加情報を変更することができない場合と、第一の付加情報を変更することが可能であっても変更しない場合が含まれる。付加情報の変更には、情報の付加と削除と改変が含まれる。また、第一の付加情報が使用時において可変情報である場合、重ねたときに一群の情報が表示されるように、マーカー、ラベル、付箋紙等の方法を用いて変更可能な情報を付与することが好ましい。
本考案の地図表示体における樹脂フィルム層と被着体は、それぞれ透明の材料で構成してもよい。そうすることによって、地図情報4や第一の付加情報7を地図表示体の奥にある背景とともに視認することができるようになる。また、地図表示体の地図情報4や第一の付加情報7を、積層体10側からだけでなく、被着体5側からも視認することができるようになる。例えば、透明ガラス製や透明樹脂製のウィンドウを被着体として選択し、ウィンドウの内側に積層体10を形成すれば、ウィンドウの内側と外側の両方から地図情報4と第一の付加情報7を視認することができる。地図表示体を被着体5側から見せることを意図する場合は、地図情報4が第一の付加情報7の前面に表示されることになるため、第一の付加情報7を調整することによって地図情報の背景を変えやすくなる。
本考案における地図情報と第一の付加情報の組み合わせは、重ね合わせることにより一群の情報となるものであれば、特に制限されない。例えば、地図の上に重ねる第一の付加情報としては、防災拠点、教育要素、防犯拠点、捜査拠点、観光名所等を挙げることができる。また、住宅地図の上に重ねる第一の付加情報としては、配達先、取材ポイント、要介護者住所、工事場所等を挙げることができる。また、古地図の上に重ねる第一の付加情報として、現在の地図、防災地図、標高図、等高線等を挙げることができる。更に、路線図の上に重ねる第一の付加情報として、出先表示、新駅表示、再開発案等を挙げることができる。
(第二および第三の付加情報)
本考案において、地図の上に第一の付加情報を重ねて得られた地図表示体の第一の付加情報の上に、さらに第二の付加情報を重ねることができる。加えて、第二の付加情報の上にさらに第三の付加情報を重ねることができる。
第3の樹脂層を含み、一の面に第二の付加情報を付加することができる第二の透明フィルム層と、第4の樹脂層を含み且つ前記透明フィルム層の前記第二の付加情報を付加することができる前記一の面とは反対の面に静電気によって吸着した第二の樹脂フィルム層とを含む静電吸着シートを準備し、該静電吸着シートから前記第二の透明フィルム層を剥がすことによって、前記第二の付加情報を有する第二の透明フィルム層を得ることができる。こうして得た第二の透明フィルム層を、地図の上に第一の付加情報を重ねて得られた積層体の第一の付加情報の上にさらに積層することにより、地図と第一の付加情報と第二の付加情報を重ねた地図表示体を得ることができる。
また、前記静電吸着シートの前記第二の樹脂フィルム層が第三の透明フィルム層である場合には、該静電吸着シートから前記第二の透明フィルム層を剥がして残った第三の透明フィルム層として前記第三の付加情報を得ることができる。こうして得た第三の付加情報を有する第三の透明フィルム層を、地図の上に第一の付加情報と第二の付加情報を重ねて得られた積層体の第二の付加情報の上にさらに積層することにより、地図と第一の付加情報と第二の付加情報と第三の付加情報を重ねた地図表示体を得ることができる。
ここで、前記第二の付加情報および第三の付加情報の内容は例えば前記第一の付加情報で列記されているものの中から選択できるが、前記第一の付加情報と同じである必要はない。
第二の付加情報または第三の付加情報が使用時において非可変情報である場合、重ねたときに一群の情報が表示されるように、地図情報と第二の付加情報または第三の付加情報を相互に関連づけて付与しておくことが好ましい。
また、前記第二の付加情報または第三の付加情報は変更可能な情報であってもよい。
以下において、本考案の静電吸着地図シートに用いられる各部材について説明する。
[不透明フィルム層]
本考案の静電吸着地図シートを構成する不透明フィルム層は、第1の樹脂層を含み且つ一の面に地図情報を有する。本考案において不透明フィルム層とは、不透明度が50〜100%の層を意味する。不透明度が50%以上であれば、ラベルとして使用した際に、被着対象物の着色や絵柄・模様が透けて見えることがないという利点がある。前記不透明フィルム層の不透明度は、好ましく60〜100%であり、より好ましくは70〜100%である。本考案における不透明度は、JIS−P−8138に準拠し、測定背面に、黒色および白色標準板を当て、光の反射率の比(黒色板/白色板)を百分率で示した値で表示される。
尚、本考案の地図表示体の樹脂フィルム層も、本考案の静電吸着地図シートにおける不透明フィルム層と同様の構成とすることができる。但し、本考案の地図表示体における樹脂フィルム層は、不透明度が50〜100%であるものに限定されるものではなく、不透明度が50%未満であってもよい。即ち、本考案の地図表示体における樹脂フィルム層に用いられる樹脂としては、第1の樹脂の同様の樹脂や後述する透明フィルム層に用いられる第2の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。
不透明フィルム層は、種々の被着体に貼り付け表示することが可能であり、地図表示体として使用する際に静電吸着力が高く、静電吸着力の持続性も充分で長期に亘り表示使用することができ、静電吸着力が湿度に影響され難く、且つ使用後は被着体を汚さずに容易に剥がすことができることが好ましい。上述のように不透明フィルム層はその片面に記録層を備えることができる。
不透明フィルム層の厚みは20〜500μmであることが好ましく、25〜400μmであることがより好ましく、30〜200μmであることが更に好ましく、40〜150μmであることが特に好ましい。不透明フィルム層の厚みが20μm以上であると、不透明フィルム層を被着体に貼り付ける際にシワが入りづらく、上手く貼り付けやすい。また、不透明フィルム層の厚みが500μm以下であると不透明フィルム層の自重が大きくなりすぎず、静電吸着力で自重を保持できずに被着体から落下してしまうのを防止することができる。
[第1の樹脂層]
本考案における第1の樹脂層は、不透明フィルム層を構成するものであって、帯電処理を施すことによって内部に電荷を保持し、その静電吸着力によって不透明フィルム層を表示物として被着体に貼り付けることを可能にするものである。
本考案の第1の樹脂層は熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。特に絶縁性の優れた熱可塑性樹脂を使用することにより、内部に蓄積した電荷を保持しやすく好ましい。
第1の樹脂層に用いる熱可塑性樹脂の種類は特に制限されず、例えば、特開2012−145935号公報に記載の第1の樹脂層に用いられる樹脂を適宜用いることができる。これらの熱可塑性樹脂の中では、絶縁性と加工性に優れるポリオレフィン系樹脂、官能基含有ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。第1の樹脂層の熱可塑性樹脂としては、前記の熱可塑性樹脂の中から1種を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。更にこれらポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂が、絶縁性、加工性、耐薬品性、コストの面等から好ましい。プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体であり、アイソタクティックないしはシンジオタクティックおよび種々の程度の立体規則性を示すポリプロピレンや、プロピレンを主成分とし、これと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンとを共重合させた共重合体を主成分として使用することが望ましい。この共重合体は、2元系でも3元系以上でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。プロピレン系樹脂には、プロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を2〜25質量%配合して使用することが好ましい。そのような融点が低い樹脂として、高密度ないしは低密度のポリエチレンを例示することができる。
本考案における第1の樹脂層に使用する熱可塑性樹脂には、特開2012−145935号公報に記載の無機微細粉末および有機フィラーの少なくとも一方を添加したものであっても良い。無機微細粉末や有機フィラーの添加および後述の延伸工程により、第1の樹脂層内部に空孔を形成することが容易となる。第1の樹脂層における熱可塑性樹脂の配合量は、総量として50〜100質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましい。配合量が50質量%以上であれば、第1の樹脂層を成形しやすく、得られる第1の樹脂層中の熱可塑性樹脂に電荷を保持しやすい。
第1の樹脂層には、必要に応じて熱安定剤(酸化防止剤)、光安定剤、分散剤、滑剤等を添加することができる。熱安定剤を添加する場合は、通常0.001〜1質量%の範囲内で添加する。具体的には、立体障害フェノール系、リン系、アミン系等の安定剤等を使用することができる。光安定剤を使用する場合は、通常0.001〜1質量%の範囲内で使用する。具体的には、立体障害アミン系やベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系の光安定剤等を使用することができる。分散剤や滑剤は、例えば無機微細粉末を分散させる目的で使用する。使用量は通常0.01〜4質量%の範囲内にする。具体的には、シランカップリング剤、オレイン酸やステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等を使用することができる。
第1の樹脂層の肉厚は、20〜500μmであることが好ましく、より好ましくは30〜400μmの範囲であり、更に好ましくは40〜300μmである。第1の樹脂層の肉厚が20μm以上であると、第1の樹脂層単体を取り扱う際に、帯電により手等に貼り付きにくく作業性を向上させることができる。また、被着体に貼り付けた際にシワになりにくく外観性に優れる。また、肉厚が500μm以下であると第1の樹脂層の自重が大きくなりすぎず、静電吸着力で自重を保持できずに被着体から落下してしまうのを防止することができる。
[多層化]
第1の樹脂層は、2層構造、3層以上の多層構造のものであってもよく、この多層構造の延伸軸数が1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/2軸/2軸であっても良い。第1の樹脂層の多層化により耐電圧性能の向上や、筆記性、耐擦過性、2次加工適性等の様々な機能の付加が可能となる。
第1の樹脂層を多層構造にする場合は公知の種々の方法が使用でき、特開2012−145935号公報に記載の方法を適宜用いることができる。
[延伸]
第1の樹脂層は、少なくとも1軸方向に延伸された延伸樹脂フィルム層を含むことが好ましい。樹脂フィルム層の延伸は、例えば、特開2012−145935号公報に記載されているように通常用いられる種々の方法のいずれかによって行うことができる。
このようにして得られる第1の樹脂層は、微細な空孔をフィルム内部に多数有するものであり、特開2012−145935号公報に記載の式(1)で算出された空孔率が5〜60%であることが好ましく、10〜45%であることがより好ましい。空孔の存在により、樹脂フィルム内の界面数が増加し、内部に電荷を保持しやすくなる。これと空孔が存在しない樹脂フィルムとを比較すると内部に電荷を蓄積できる性能が向上することから、高湿な環境下でも吸着性能の低下が少ないものとなる。又、空孔による光拡散率の向上効果により、不透明度の高い第1の樹脂層を得ることが可能となる。
第1の樹脂層の地図情報を設けない面の表面抵抗率は、1×1013〜9×1017Ωの範囲であることが好ましい。前記表面抵抗率は、5×1013〜9×1016Ωの範囲であることがより好ましく、1×1014〜9×1015Ωの範囲であることが更に好ましい。
第1の樹脂層の記録層を設けない面の表面抵抗率を所望の範囲とすることは、熱可塑性樹脂として絶縁性に優れるポリオレフィン系樹脂を使用することや、これに配合する無機微細粉末の種類や量を調整することで達成できる。
[記録層]
本考案の静電吸着地図シートを構成する不透明フィルム層は、上述の不透明フィルム層の片面に記録層を設けることができる。前記記録層としては、特開2012−145935号公報に記載の記録層を適宜用いることができる。前記記録層は、不透明フィルム層に帯電防止性能を付与することによって印刷工程でのトラブルを発生し難くしてハンドリング性を改善させるとともに、不透明フィルム層の印刷インキとの密着性を向上させて、その記録適性を向上させることができる。結果として本考案の静電吸着地図シートは多様な印刷方式に対応することができる。前記記録層は、帯電防止剤0.1〜100質量%と高分子バインダー0〜99.9質量%と顔料粒子0〜70質量%を含むことが好ましく、帯電防止剤0.5〜70質量%と高分子バインダー30〜99.5質量%と顔料粒子0〜69.5質量%を含むことがより好ましく、帯電防止剤1〜50質量%と高分子バインダー50〜99質量%と顔料粒子0〜49質量%を含むことが更に好ましい。
本考案における記録層は、必要に応じて高分子バインダーを含んでいても良い。前記高分子バインダーは、記録層を設ける第1の樹脂層、或いは別のフィルムとの密着性を有し、かつ印刷インキとの密着性を向上させる目的から、適宜使用することができる。前記高分子バインダーとしては、特開2012−145935号公報に記載のものを適宜用いることができる。
本考案における記録層は、必要に応じて顔料粒子を含んでいても良い。記録層には0〜70質量%の範囲で顔料粒子を含むことが可能である。即ち70質量%以下の顔料粒子を含んでいても良く、含まなくても良い。
顔料粒子は、その吸油性による印刷インキの定着性向上、体質顔料として表面の風合いや光沢感向上、白色顔料として白色度向上、表面凹凸付与によるブロッキング防止性能向上、紫外線反射材として耐光性や耐候性向上、等の性能付与を考慮し適宜選択して使用できる。前記顔料粒子としては、特開2012−145935号公報に記載のものを適宜用いることができる。
[透明フィルム層]
(第一の透明フィルム層)
本考案の静電吸着地図シートを構成する第一の透明フィルム層は、第2の樹脂層を含み且つ前記不透明フィルム層の前記地図情報を有する前記一の面とは反対の面に静電気によって吸着されている。第一の透明フィルム層は、不透明フィルム層に後述する帯電処理を施し、内部に電荷を蓄積した不透明フィルム層の第1の樹脂層と接触させて静電吸着により積層するものである。本考案において透明フィルム層とは、不透明度が50%未満の層を意味する。透明フィルム層の不透明度が50%を超えると、本考案の静電吸着地図シートを地図表示体とした際に、透明フィルム層を介して地図情報を観察するのが困難となる。
また、本考案の静電吸着地図シートを構成する第一の透明フィルム層が、上述する不透明フィルム層と同様の樹脂フィルムを含む場合には、これに帯電処理を施し、内部に電荷を蓄積した第一の透明フィルム層とした後に、不透明フィルム層の第1の樹脂層と接触させて静電吸着により積層して本考案の静電吸着地図シートとすることもできる。
第一の透明フィルム層は、不透明フィルム層と同様に、その片面に帯電防止性能を持つことにより、不透明フィルム層と組み合わせた静電吸着地図シートがその両面に帯電防止性能を持つように構成することができる。その結果、積層体である静電吸着地図シートは外部に静電吸着力を発現せずに、静電吸着地図シートの運送、保管、印刷等の取扱時に周囲への貼り付きや、静電吸着地図シート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難く、ハンドリング性が良好なものとなる。
第一の透明フィルム層は、不透明フィルム層との静電吸着や、帯電防止性能の付与を考慮して公知の素材からなるものが、適宜選択される。
第一の透明フィルム層は、単層構成でもよく、2層以上からなる複層構成でも良い。上述の通り第一の透明フィルム層は、その片面が不透明フィルム層と接触させて静電吸着可能であり、またその反対面が帯電防止性能を持つように構成することから、複層構造を有することが好ましい。
また第一の透明フィルム層は、これらの材料から構成されることや、内部に空隙を形成する加工等により、その比誘電率が1.1〜5.0の範囲にあることが好ましい。不透明フィルム層と第一の透明フィルム層とを積層した際に、第一の透明フィルム層の比誘電率は、1.1〜5.0であることが好ましく、1.2〜4.0であることがより好ましく、1.5〜3.0であることが更に好ましい。第一の透明フィルム層の比誘電率が5.0以下であると、不透明フィルム層が長期間電荷を保持でき、静電吸着力が低下しにくくなる。一方、技術上の観点から比誘電率が1.1以上であることが好ましい。
更に第一の透明フィルム層は、電荷の移動を少なくする観点から絶縁性が優れている樹脂から構成し、第一の透明フィルム層の不透明フィルム層と接する面の表面抵抗率が1×1013〜9×1017Ωの範囲であることが好ましい。前記表面抵抗率は、5×1013〜9×1016Ωの範囲であることがより好ましく、1×1014〜9×1015Ωの範囲であることが更に好ましい。表面抵抗率が1×1013Ω以上であると、不透明フィルム層の電荷が同表面を伝って外部(大気中等)に逃げにくく、不透明フィルム層が長期間電荷を保持でき、静電吸着力が低下しにくくなる。一方、コストおよび技術上の観点から表面抵抗率が9×1017Ω以下であることが好ましい。
一方、第一の透明フィルム層は、その片面に帯電防止性能を持たせるといった目的から、静電吸着地図シートの外層にくる面には帯電防止性能を付与することができる。
第一の透明フィルム層への帯電防止性能の付与は、不透明フィルム層に用いた前記記録層(B)と同様のものを設ける方法や、導電性塗料を塗工して導電層を設ける方法や、直接蒸着、転写蒸着、蒸着フィルムのラミネート等により金属薄膜を設ける方法、第一の透明フィルム層を構成する樹脂へ帯電防止剤を練り込む方法等が挙げられる。
前記方法により、第一の透明フィルム層の静電吸着地図シートの外層にくる面の表面抵抗率は1×10-1〜9×1012Ωの範囲内であることが好ましい。前記表面抵抗率は1×100〜9×1011Ωの範囲であることが好ましい。
第一の透明フィルム層の静電吸着地図シートの外層にくる面の表面抵抗率が9×1012Ω以下であると、帯電防止性能が充分であり、静電吸着地図シートの周囲への貼り付きや、静電吸着地図シート同士のブロッキング等のトラブルが発生しにくい。一方、技術上の観点から表面抵抗率が1×10-1Ω以上であることが好ましい。
第一の透明フィルム層の厚みは20〜500μmであることが好ましく、25〜400μmであることがより好ましく、30〜200μmであることが更に好ましく、35〜150μmであることが特に好ましい。
第一の透明フィルム層の厚みが20μm以上では、不透明フィルム層と静電吸着する面から第一の透明フィルム層の厚みを介して電荷が流出しにくく、不透明フィルム層の静電吸着力を高めることができる。また、前記厚みが逆に500μm以下であると、得られる静電吸着地図シートも厚みをおさえることができ、印刷工程や断裁工程での作業性を向上させることができる。
(第二および第三の透明フィルム層)
本考案の静電吸着地図シートを構成する第二の透明フィルム層は、第3の樹脂層を含み且つ第二の樹脂フィルム層に静電気によって吸着して静電吸着シートを構成している。第二の透明フィルム層は、第二の樹脂フィルムとの静電吸着や、帯電防止性能の付与を考慮して公知の素材からなるものが、適宜選択される。また、前記第二の樹脂フィルムは第三の透明フィルム層であってよい。第二および第三の透明フィルム層には前記第一の透明フィルム層と同様の材料を用いることができ、第二の透明フィルム層を含む静電吸着シートは静電吸着地図シートと同様の製法、例えば特開2012−145935号公報に記載の方法で製造することができる。
[帯電処理]
本考案の静電吸着地図シートは、不透明フィルム層に帯電処理を施し、次いで第一の透明フィルム層と接触させて静電吸着させた積層体や、第一の透明フィルム層に帯電処理を施し、次いで不透明フィルム層に接触させて静電吸着させた積層体を含むものである。
帯電処理の手法としては、特に制限されず、公知の種々の方法にしたがって行なうことができる。例えば、特開2012−145935号公報に記載のように、不透明フィルム層を成形した後、不透明フィルム層の表面にコロナ放電やパルス状高電圧を加える方法や、不透明フィルム層の両面を誘電体で保持し、両面に直流高電圧を加える方法(エレクトロエレクトレット化法)、不透明フィルム層にγ線や電子線等の電離放射線を照射してエレクトレット化する方法(ラジオエレクトレット化法)等が挙げられる。
本考案において帯電処理は、直流式コロナ放電処理であることが好ましい。本考案において使用できる直流式コロナ放電処理とは、特開2012−145935号公報の図4〜7に例示するように針状やワイヤー状の主電極(印加電極)と平板状やロール状の対電極(アース電極)を直流高圧電源に繋げた装置を用い、対電極上に不透明フィルム層または第一の透明フィルム層を設置し、主電極と対電極の間に直流高電圧をかけることで発生するコロナ放電により、不透明フィルム層または第一の透明フィルム層に電荷を注入する処理である。
[積層]
本考案の静電吸着地図シートは、これを構成する不透明フィルム層と第一の透明フィルム層とを接触させて積層した積層体を含むものである。両者の積層は、例えば特開2012−145935号公報に記載の方法で作製することができる。
[印刷]
本考案の静電吸着地図シートは、不透明フィルム層の一の面に地図情報を付与する場合、不透明フィルム層表面に印刷を施すことで地図情報を作製可能である。係る印刷としてはオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、インクジェット記録方式、感熱記録方式、熱転写記録方式、電子写真記録方式等の従来公知の手法を用いることが可能であるが、デザインやサイズの変更が容易であるオフセット印刷、インクジェット記録方式が好ましい。更に印刷インキとしては、油性インキ、水性インキならびにUVインキが使用可能であるが、乾燥速度が速いUVインキが好ましい。
[厚み]
本考案における厚みは、JIS−K−7130に準拠し、定圧厚さ測定器((株)テクロック製、商品名:PG−01J)を用いて測定した値である。成形した第1の樹脂層が多層構造である場合に、各層の厚みは、測定対象試料を液体窒素にて−60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(シック・ジャパン(株)製、商品名:プロラインブレード)を直角に当て切断し断面観察用の試料を作製し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、商品名:JSM−6490)を使用して断面観察を行い、組成外観から熱可塑性樹脂組成物ごとの境界線を判別して、第1の樹脂層全体の厚みと観察される層厚み比率を乗算して求めた。
[表面抵抗率]
本考案における表面抵抗率は、23℃、相対湿度50%の条件下で、表面抵抗率が1×107Ω以上の場合は、JIS−K−6911に準拠し2重リング法の電極を用いて測定した値である。表面抵抗率が1×107Ω未満の場合は、JIS−K−7194に準拠し、4深針法で測定することによって求めた抵抗(R)に、補正係数Fを乗じてこれを表面抵抗率とした。
[水蒸気透過係数]
本考案におけるJIS−Z−0208に準拠して、カップ法により、40℃、90%RHの条件下にて測定した値である。得られた透湿度(g/(m2・24hr))とフィルムの厚み(mm)から、水蒸気透過係数(g・mm/m2・24hr)を求めた。本考案の静電吸着地図シートに使用される不透明フィルム層の水蒸気透過係数は、好ましくは0.01〜2.50の範囲内であり、より好ましくは0.01〜2.00の範囲内である。水蒸気透過係数が2.50以下であると、高湿度下での帯電性の低下を抑制でき、不透明フィルム層の吸着性能を高めることができる。一方、水蒸気透過率が0.01以上の不透明フィルム層を用いると、吸着性能が高くすることができる。
[ガーレ柔軟度]
本考案におけるガーレ柔軟度は、JAPAN TAPPI No.40:2000に準拠し、温度23℃湿度50%RHの環境下で、MD方向とTD方向それぞれを測定した値である。本考案における不透明フィルム層のガーレ柔軟度は、好ましくは5〜1000mgf、より好ましくは5〜700mgf、更に好ましくは5〜400mgfであり、第一の透明フィルム層のガーレ柔軟度は、好ましくは5〜10000mgf、より好ましくは5〜7000mgf、更に好ましくは5〜3000mgfである。不透明フィルム層のガーレ柔軟度が5mgf以上だと、腰が強く取り扱い性が高く、シワになりにくいため外観性を保ちやすい。また、1000mgf以下であると、腰が強すぎず、吸着力の持続性が高い。第一の透明フィルム層のガーレ柔軟度が5mgf以上だと、第一の透明フィルム層が掴みやすく、不透明フィルム層を剥がす際に切欠等を作りやすい。また、10000mgf以下であると、第一の透明フィルム層を変形しやすく静電吸着地図シートの搬送性および取り扱い性が向上する。
[比誘電率]
比誘電率の測定法は、測定周波数範囲により選定される。測定周波数が10Hz以下の場合には、超低周波ブリッジを用い、10Hz〜3MHzの場合には変成器ブリッジを用い、1MHzを越える場合には、並列T型ブリッジ、高周波シェリングブリッジ、Qメーター、共振法、定在波法、空洞共振法を用いる。又、測定周波数の交流信号に対して、回路部品に対する電圧・電流ベクトルを測定し、この値から静電容量を算出するLCRメーター等でも測定できる。
第一の透明フィルム層の比誘電率を測定する測定装置としては、平行に配設した平板状印可電極と平板状ガード電極との間に試料を一定圧力で挟み込み、5V程度の電圧が印加でき、測定周波数が任意に選定できる測定装置が好ましい。このような測定機によれば、周波数を変更することにより、試料の周波数依存性が把握でき、適性使用範囲の指標にできる。試料は、できるだけ厚みが均一で表面が平滑なものが好ましい。表面状態が悪いと、試料と電極との間に空隙(空気層)が形成され、測定値に大きな誤差を与える。この場合、試料と電極との電気的接触を完全にするために、銀導電性塗料を塗工するか、真空蒸着することが好ましい。測定装置の具体例としては、Agilent Technologies社の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」、横河電機(株)社の「LCRメーター4274A」、日置電機(株)社の「HIOKI 3522 LCRハイテスター」等が挙げられる。
本考案の第一の透明フィルム層の比誘電率の測定には、Agilent Technologies社の「4192A LF IMPEDANCE ANALYZER」を使用し、温度23℃、相対湿度50%の環境条件下で、直径38mmの主電極と直径56mmの対電極との間に電極直径より大きい試料を表面抵抗率が高い面が主電極側になる様に挟み込み、5Vの電圧を印加し、10Hz〜1MHzの範囲の周波数で測定し、周波数100Hzの測定値を代表値とした。
[被着体]
上述の記録物より、第一の透明フィルム層を剥がした不透明フィルム層よりなる表示物を吸着させる被着体としては、掲示版、看板、サインボード、ホワイトボード、壁、天井、柱、ドア、パーティション、床、ロッカー、机、棚、窓(ガラス製、樹脂製)、冷蔵庫(金属面、ガラス面、プラスチック面)、各種機器(工作機、印刷機、成形機等)、および車内(自動車、バス、電車)、船舶内、航空機内の壁面等を例示することができ、何れも利用可能である。特に被着体はその表面の平滑性が高い場合に本考案の静電吸着地図シートとの密着面積が大きくなり、得られる静電吸着力も高まることから好ましく適用することができる。
以下に実施例を記載して、本考案を更に具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、操作等は、本考案の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本考案の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。なお、以下に記載される「%」は、特記しない限り質量%である。
[第1の樹脂層の製造]
下記熱可塑性樹脂組成物aと下記熱可塑性樹脂組成物bを230℃に設定した3台の押出機にてそれぞれ溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給し、ダイ内でb/a/bとなるように積層してシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを135℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向(MD)に5倍延伸した。次いで、この5倍延伸シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再び約155℃に加熱して横方向(TD)に8倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。
次いで60℃まで冷却し、耳部をスリットした後、この2軸延伸フィルムの両面にコロナ放電による表面処理を施し、肉厚が40μmで、空孔率が18%である3層構造の第1の樹脂層を得た〔各層樹脂組成(b/a/b)、各層厚み(5μm/30μm/5μm)、各層延伸軸数(2軸/2軸/2軸)〕。
−熱可塑性樹脂組成物aの組成−
プロピレン単独重合体・・・80質量部
(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP FY4,MFR(230℃、2.16kg荷重):5g/10分間、融点:165℃)
高密度ポリエチレン・・・10質量部
(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HJ360、MFR(190℃、2.16kg荷重):5g/10分間、融点:131℃)
重質炭酸カルシウム・・・10質量部
(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800,平均粒子径:1.2μm)
−熱可塑性樹脂組成物bの組成−
プロピレン単独重合体・・・70質量部
(日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックPP FY4,MFR(230℃、2.16kg荷重):5g/10分間、融点:165℃)
高密度ポリエチレン・・・10質量部
(日本ポリエチレン(株)製、商品名:ノバテックHD HJ360、MFR(190℃、2.16kg荷重):5g/10分間、融点:131℃)
重質炭酸カルシウム・・・20質量部
(備北粉化工業(株)製、商品名:ソフトン1800,平均粒子径:1.2μm)
[帯電防止機能を有するポリマー溶液の調製]
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、商品名:ブレンマーPE−350)100質量部、過塩素酸リチウム(和光純薬工業(株)製、試薬)20質量部、ヒドロキノン(和光純薬工業(株)製、試薬)1質量部およびプロピレングリコールモノエチルエーテル(和光純薬工業(株)製、試薬)400質量部を、攪拌装置、還流冷却管(コンデンサー)、温度計、および滴下ロートを装着した四つ口フラスコに導入し、系内を窒素置換し、60℃で40時間反応させた。これにステアリルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)5質量部、n−ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)5質量部、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製、試薬)1質量部を添加し、80℃で3時間重合反応した後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを添加して固形分を20質量%に調整し、重量平均分子量約30万、固形分中のリチウム濃度0.6質量%のアルカリ金属塩含有ポリマーよりなる帯電防止機能を有するポリマーの溶液を得た。
[高分子バインダー溶液の調製]
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)15質量部、メチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)50質量部、エチルアクリレート(和光純薬工業(株)製、試薬)35質量部およびトルエン(和光純薬工業(株)製、試薬)100質量部を、攪拌機、環流冷却管、温度計、および滴下ロートを装着した四つ口フラスコに仕込み、窒素置換後、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬工業(株)製、試薬)0.6質量部を開始剤として導入し80℃で4時間重合させた。得られた溶液は、水酸基価65の水酸基含有メタクリル酸エステル系重合体の50%トルエン溶液であった。次いで、この溶液100質量部に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(新第1塩ビ(株)製、商品名:ZEST C150ML)20%メチルエチルケトン溶液を30質量部加え、メチルエチルケトン(和光純薬工業(株)製、試薬)を添加して固形分を20質量%に調整し、高分子バインダー溶液を得た。
[記録層用の塗工溶液の調製]
メチルエチルケトンをカウレスミキサーにて静かに攪拌しながら、沈降性シリカ(水澤化学工業(株)製、商品名:ミズカシルP−527)30質量部と表面処理硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、商品名:BARIACE B−32)15質量部を少しずつ加え、固形分濃度が20質量%になるように調整した後、カウレスミキサーの回転数を上げて30分間攪拌し顔料分散液を作製した。次いでカウレスミキサーの回転数を落とし、この顔料分散液に、前記高分子バインダー溶液42質量部、前記帯電防止機能を有するポリマー溶液10質量部、およびヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートHL)の酢酸エチル溶液(固形分20質量%)をこの順に添加し、そのまま20分間攪拌して混合し、その後100メッシュのフィルターを通し粗粒径物の除去を行い、メチルエチルケトンで固形分濃度が20%となる様に希釈し、記録層用の塗工溶液を得た。
[不透明フィルム層の製造]
記録層用の塗工溶液を、上で製造した第1の樹脂層の片面に、全体厚みが42μm(第1の樹脂層40μm、記録層2μm)となるようにバーコーターで塗工し、70℃のオーブンで30秒乾燥後、更に40℃で8時間硬化させて、不透明フィルム層を得た。得られた不透明フィルム層の不透明度は50〜100%の範囲内であった。
[第一の透明フィルム層の製造]
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:ダイヤホイル O300、厚み:100μm)の片面に、導電性塗料(大日静化工業(株)製、商品名:ネオコンコート 565DR2)を乾燥後の固形分量が2g/m2となるように塗工して外側に導電層を設けた第一の透明フィルム層を形成した。更に導電層上にスクリーン印刷により付加情報を印刷した。第一の透明フィルム層の厚みは102μmであり、比誘電率は2.9であった。また、不透明フィルム層と接する面の表面抵抗は2×1014Ωであり、不透明フィルム層と接しない面の表面抵抗は3×105Ωであった。得られた第一の透明フィルム層の不透明度は0〜50%の範囲内であった。
[積層体の作製]
特開2012−145935号公報の図8に概略図を示す製造装置を用い、得られた不透明フィルム層をロールより巻きだし、前記不透明フィルム層の第1の樹脂層側の面に、直流式のコロナ放電による電荷注入処理を実施した。電荷注入処理の条件として、ワイヤー状電極と対電極ロールの距離を1cmに設定し、12kV放電電圧を用いた。別に第一の透明フィルム層をロールより巻きだし、前記で電荷注入処理を実施した不透明フィルム層の第1の樹脂層面と、第一の透明フィルム層の内側面(非塗工面)が接するように積層し、両者を圧着ロールで加圧接着して不透明フィルム層と第一の透明フィルム層との積層体を得た。次いで、得られた積層体を打ち抜き刃を用い200mm×220mmのサイズに打ち抜いた。この際、得られた積層体を1m×1mのガラス板上にランダムに広げて、手でかき集めて100枚の束を作製したところ、4辺がきれいにそろった束を作製でき、紙揃え性が良好であった。
[静電吸着地図シートの作製]
得られた積層体を、温度23℃,相対湿度50%の雰囲気下で1日間保管した後、積層体の記録層面に、印刷試験機((株)明製作所社製、商品名:RI−III型印刷適性試験機)を用いて、印刷インキ((株)T&K TOKA社製、商品名:ベストキュアー161墨)を1.5g/m2の厚さとなるよう地図情報に印刷し、メタルハライド灯(アイグラフィック(株)製、出力:80W/cm)下でUV照射強度が0.04W/cm2となるようにUV照射し、印刷インキを乾燥固化して本考案の静電吸着地図シートを作製した。
[地図表示体の作製]
得られた静電吸着地図シートを、相対湿度50%の雰囲気下で1日間保管した後、同雰囲気下で、静電吸着地図シートより不透明フィルム層を剥がして、特開2012−145935号公報の図9に概略図を示す吸着力測定装置のガラス板上に、吸着面積が200mm×200mmとなり不透明フィルム層の下端20mm幅分がはみ出す様に貼り付けた。更に、剥がした後の第一の透明フィルム層を長辺を軸として180°回転させることにより裏返して、不透明フィルム層の地図情報上に貼り付けて地図表示体とした。地図表示体の第一の透明フィルム層側から視認することにより、第一の付加情報と地図情報が重なって、意味のある一群の情報として認識することができた。
不透明フィルム層の下端分にクリップを取り付け、糸を取り付けた10gの分銅を1つずつクリップに追加して行き、不透明フィルム層が滑り落ちた時の分銅の重さから吸着力を平米当りに換算して求めたところ、吸着力が5000g/m2以上を示した。
本考案の静電吸着地図シートは、剥離して使用する前は外部に静電吸着力を発現せず、シート同士のブロッキング等のトラブルが発生し難くハンドリング性が良好であった。また、不透明フィルム層を剥離して被着体に貼り付けた後の静電吸着力は充分に高かった。この静電吸着力は湿度に影響され難く、持続性が充分で長期に亘り地図表示体として使用することができた。また、地図情報は第一の透明フィルム層により十分に保護されており、第一の付加情報と重ねて見ることにより一群の情報を認識することができた。更に、使用後には第一の透明フィルム層と不透明フィルム層の積層体を被着体から容易に剥がすことができ、且つ、剥離後の被着体表面に積層体の断片や目立った異物は認められなかった。
[第二の透明フィルム層を有する静電吸着シートの作成]
上記静電吸着地図シートの作製において、得られた積層体に印刷を施さず、該積層体をそのまま静電吸着シートとした。これによって、印刷を施していない(付加情報を有さない)第二の透明フィルム層を有する静電吸着シートを得た。
[地図表示体の作製]
上記静電吸着シートから第二の透明フィルム層を剥離し、上記地図表示体の作成で得られた第一の付加情報の上からこれを静電気によって吸着させた。さらに、第二の透明フィルム層の表面にホワイトボードマーカーで地図情報として表示されている建物の名称を記入した。
1 静電吸着地図シート
2 不透明フィルム層(第1の樹脂層)
2’樹脂フィルム層(第1の樹脂層)
3 第一の透明フィルム層(第2の樹脂層)
4 地図情報
5 被着体
6 第二の透明フィルム層(第3の樹脂層)
7 第一の付加情報
10 積層体

Claims (15)

  1. 第1の樹脂層を含み且つ一の面に地図情報を有する不透明フィルム層と、
    第2の樹脂層を含み且つ前記不透明フィルム層の前記地図情報を有する前記一の面とは反対の面に静電気によって吸着した第一の透明フィルム層と、
    を含む静電吸着地図シート。
  2. 前記不透明フィルム層が記録層を有しており、前記記録層に前記地図情報を有する請求項1に記載の静電吸着地図シート。
  3. 前記第一の透明フィルム層は、前記不透明フィルム層との吸着面とは反対の面に第一の付加情報を有する請求項1または2に記載の静電吸着地図シート。
  4. 前記第一の付加情報は、前記地図情報と重ね合わせた際に一群の情報となる請求項3に記載の静電吸着地図シート。
  5. 前記静電吸着地図シートから前記第一の透明フィルム層を剥離し、前記第一の透明フィルム層を裏返して前記剥離により露わになった面を前記不透明フィルム層の前記地図情報を有する面の上に重ね合わせたときに前記一群の情報が認識できるように、前記地図情報と前記第一の付加情報が相互に関連づけて形成されている請求項4に記載の静電吸着地図シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の静電吸着地図シートと組み合わせて用いる静電吸着シートであって、
    第3の樹脂層を含み、一の面に第二の付加情報を付加することができる第二の透明フィルム層と、第4の樹脂層を含み且つ前記第二の透明フィルム層の前記第二の付加情報を付加することができる前記一の面とは反対の面に静電気によって吸着した第二の樹脂フィルム層と、
    を含む静電吸着シート。
  7. 前記第二の樹脂フィルム層が第三の透明フィルム層であり且つ前記第二の透明フィルム層との吸着面とは反対の面に第三の付加情報を付加することができる請求項6に記載の静電吸着シート。
  8. 被着体と、
    第1の樹脂層を含み、一の面に地図情報を有し且つ他の面において静電気によって前記被着体と吸着している樹脂フィルム層と、
    第2の樹脂層を含み且つ前記樹脂フィルム層の前記地図情報を有する面の上に静電気によって吸着した第一の透明フィルム層と、
    を含む地図表示体。
  9. 前記第一の透明フィルム層は、前記樹脂フィルム層との吸着面とは反対の面に第一の付加情報を有する請求項8に記載の地図表示体。
  10. 前記第一の付加情報と前記地図情報が重ね合うことにより一群の情報を形成している請求項9に記載の地図表示体。
  11. 前記第一の透明フィルム層の前記樹脂フィルム層との吸着面とは反対の面側に他の透明フィルム層を更に有する請求項8〜10のいずれか1項に記載の地図表示体。
  12. 前記他の透明フィルム層が、樹脂フィルム層との吸着面とは反対の面側に静電気によって吸着または再貼着可能な透明粘着層を介して第一の透明フィルム層に接着した請求項11に記載の地図表示体。
  13. 前記他の透明フィルム層は、前記第一の透明フィルム層との吸着面とは反対の面に第二の付加情報を有する請求項12に記載の地図表示体。
  14. 前記第二の付加情報と前記地図情報が重ね合うことにより一群の情報を形成している請求項13に記載の地図表示体。
  15. 前記第一の付加情報または前記第二の付加情報が変更可能な情報である請求項9〜14のいずれか1項に記載の地図表示体。
JP2015000294U 2015-01-26 2015-01-26 静電吸着地図シート及び地図表示体 Active JP3196866U (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015000294U JP3196866U (ja) 2015-01-26 2015-01-26 静電吸着地図シート及び地図表示体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015000294U JP3196866U (ja) 2015-01-26 2015-01-26 静電吸着地図シート及び地図表示体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP3196866U true JP3196866U (ja) 2015-04-09

Family

ID=52986486

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015000294U Active JP3196866U (ja) 2015-01-26 2015-01-26 静電吸着地図シート及び地図表示体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3196866U (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012086791A1 (ja) 静電吸着シート
JP6363432B2 (ja) 静電吸着シートおよびそれを用いた表示物
WO2009154177A1 (ja) 静電吸着シート
EP2865520B1 (en) Electrostatically adsorptive sheet and method for producing the same
JP5455459B2 (ja) 積層フィルム
JP4988062B1 (ja) 静電吸着シート
JP4988063B1 (ja) 透明静電吸着シート
JP6144972B2 (ja) 静電吸着シート、その製造方法、並びに該静電吸着シートを用いた表示物
JP2020073317A (ja) 静電吸着積層シート及び表示物
JP2010266474A (ja) 静電吸着シート
JP3196866U (ja) 静電吸着地図シート及び地図表示体
JP6159158B2 (ja) 掲示シート、その製造方法、並びに該掲示シートを用いた表示物
JP2014044413A (ja) 静電吸着シート、記録物ならびに該記録物を用いた表示物
JP6504833B2 (ja) 情報シート、情報シートの製造方法、及び情報表示体
JP3198373U (ja) ごみ出しカレンダー
JP2017206682A (ja) 自己粘着性合成紙
JP3180095U (ja) 救急医療情報提供シート
JP2023125987A (ja) 静電吸着シート
JP6636346B2 (ja) 静電吸着シート及びその製造方法
JP3200382U (ja) 静電吸着シートおよびそれを用いた表示物

Legal Events

Date Code Title Description
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3196866

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250