JP2015209376A - 腫瘍特異的免疫増強剤 - Google Patents

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将久 地主
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秀雄 八木田
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Hisaya Akiba
久弥 秋葉
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Abstract

【課題】新たながん治療手段の提供。【解決手段】1)Tim−4陽性マクロファージでのTim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、2)Tim−4陽性マクロファージでのAMPKα1の機能阻害作用を有する薬物、又は3)Tim−4陽性マクロファージでのオートファジー活性化を抑制する薬物、を有効成分とする、マクロファージにおける腫瘍抗原提示能低下を抑制することに基づく腫瘍特異的免疫増強剤。【選択図】なし

Description

本発明は、がんの治療に有用な腫瘍特異的免疫増強剤に関する。
抗がん剤治療の主な副作用として免疫抑制が知られているが、この免疫抑制の発現メカニズムの詳細や抗がん剤の治療効果への影響などについては知られていない。この免疫抑制の発現メカニズムを解明することは、抗がん剤治療の副作用軽減手段の開発だけでなく、抗がん剤治療効果を向上させるうえでも重要である。
ところで、Tim(T細胞イムノグロブリン及びムチンドメイン)遺伝子ファミリーは、喘息を含む免疫機能不全に関与する遺伝子として同定された(特許文献1)。Tim遺伝子ファミリーとしては、Tim−1、Tim−3及びTim−4が知られており、悪性腫瘍、その診断等に有用であることが知られている(特許文献1及び2)。
特開2007−146号公報 国際公開第2013/006227号
しかしながら、Timファミリーのうち、Tim−4がどのようにして腫瘍免疫に作用しているのかその詳細については知られていない。
本発明の課題は、Tim−4の免疫機能への作用機序の詳細を解明し、新たな抗がん剤を提供することにある。
そこで本発明者は、Timファミリーのうち、Tim−4に着目し、その発現部位、その作用発現メカニズムについて検討してきたところ、Tim−4が腫瘍内マクロファージ特異的に発現すること、さらにTim−4は、腫瘍内マクロファージ特異的にAMP活性化キナーゼα1(AMPKα1)と相互作用することにより、AMPKα1リン酸化及びULK1(Atg1)リン酸化を誘導し、オートファジー応答活性化に繋がることを見出した。さらに検討した結果、AMPKα1とTim−4の相互作用を阻害する薬物、例えばAMPKα1とTim−4との相互作用を阻害する抗Tim−4抗体を用いれば、Tim−4によるAMPKα1の活性化が阻害され、ひいては腫瘍内マクロファージ特異的にオートファジーが不活性化されること、さらには腫瘍内マクロファージ特異的抗原提示能を促進することを見出した。さらには、当該抗Tim−4抗体と、腫瘍細胞傷害性抗がん剤とを併用すれば、当該抗がん剤の作用が増強され、抗がん治療抵抗性を克服できることを見出した。言い換えると、腫瘍細胞傷害性抗がん剤にさらされた事例では、当該腫瘍内にTim−4陽性腫瘍内マクロファージが高発現すること、そのTim−4陽性腫瘍内マクロファージにおいては「TIM-4−AMPKα1−オートファジー経路」が活性化し、当該マクロファージの抗原提示能を低下させ、ひいては抗腫瘍免疫の低下・癌化学療法の効果の減弱をもたらしていることを見出した。また、Tim−4陽性腫瘍内マクロファージ存在下で、当該Tim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、AMPKα1の機能を阻害する薬物、又は腫瘍内マクロファージ特異的オートファジーの機能を阻害する薬物と、腫瘍細胞傷害性抗がん剤とを併用すれば、当該抗がん剤の作用が増強され、抗がん治療抵抗性を克服できることを見出した。
さらには、AMPKα1とTim−4との相互作用を阻害する薬剤も含めた、Tim−4陽性マクロファージにおける「TIM-4−AMPKα1−オートファジー経路」に依存する抗原提示能のいずれかのプロセスに作用する薬剤をスクリーニングすることにより、新規なメカニズムによる優れた腫瘍特異的免疫増強剤をスクリーニングできることを見出した。
さらにはまた、腫瘍内マクロファージのTim−4陽性率を評価することにより、腫瘍細胞傷害性抗がん剤への抵抗性を予測できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔17〕を提供するものである。
〔1〕1)Tim−4陽性マクロファージでのTim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、
2)Tim−4陽性マクロファージでのAMPKα1の機能阻害作用を有する薬物、又は
3)Tim−4陽性マクロファージでのオートファジー活性化を抑制する薬物、を有効成分とする、マクロファージにおける腫瘍抗原提示能低下を抑制することに基づく腫瘍特異的免疫増強剤。
〔2〕Tim−4陽性腫瘍内マクロファージ存在下で腫瘍細胞傷害性抗がん剤と併用するとき、抗腫瘍効果が増強される腫瘍特異的免疫増強剤である〔1〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤。
〔3〕有効成分が、抗Tim−4抗体である〔1〕又は〔2〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤。
〔4〕抗Tim−4抗体が、受託番号NITE P−01803のハイブリドーマより産生される抗体、そのヒト化抗体またはその抗原結合性断片である〔3〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤。
〔5〕有効成分が、Compound Cまたはその誘導体である〔1〕又は〔2〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤。
〔6〕〔1〕又は〔2〕記載の有効成分が、AMPKαの特異的siRNAである〔1〕又は〔2〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤。
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の腫瘍特異的免疫増強剤と、薬学的に許容可能な担体を含む腫瘍特異的免疫増強用の医薬組成物。
〔8〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の腫瘍特異的免疫増強剤と、腫瘍細胞傷害性抗がん剤を含有するがん治療用キット製剤。
〔9〕1)Tim−4陽性マクロファージでのTim−4とAMPKα1との相互作用の阻害、
2)AMPKα1機能阻害、
3)オートファジーの活性化阻害、
4)抗原提示能の増強、又は
5)Tim−4陽性腫瘍内マクロファージ存在下で細胞傷害性抗がん剤との相乗効果
を指標に薬物を選択する、Tim−4陽性マクロファージにおける腫瘍抗原提示能低下を抑制することに基づく腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
〔10〕腫瘍細胞傷害性抗がん剤による死滅がん細胞を貪食させたTim−4陽性マクロファージを用いて、Tim−4とAMPKα1の局在を評価することによる、〔9〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
〔11〕腫瘍細胞傷害性抗がん剤による死滅がん細胞又はグルコース飢餓のがん細胞を用いて、Tim−4陽性マクロファージ、Tim−4欠損マクロファージ及び腹腔内マクロファージに、それらを貪食させた場合のAMPKα1のリン酸化活性を評価することによる、〔9〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
〔12〕腫瘍細胞傷害性抗がん剤による死滅がん細胞を貪食させたTim−4陽性マクロファージを用いて、オートファジー活性の指標であるLC3顆粒状変化を指標に評価することによる、〔9〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
〔13〕腫瘍細胞傷害性抗がん剤による死滅がん細胞を貪食させたTim−4陽性マクロファージで刺激されたOT−1細胞からのINFγ産生量を指標として評価することによる、〔9〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
〔14〕腫瘍内にTim−4陽性マクロファージを有する担癌動物で、腫瘍細胞傷害性抗がん剤との併用効果を評価することによる、〔9〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
〔15〕MC38大腸癌を移植したAtg5flox/floxキメラマウスにおいて、腫瘍細胞傷害性抗がん剤との併用効果を評価することによる、〔14〕記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
〔16〕腫瘍細胞傷害性抗がん剤に対する抵抗性を予測診断するために、腫瘍内Tim−4陽性のマクロファージおよび/又は樹状細胞の存在比率を評価することによるTim−4陽性細胞の検査法。
〔17〕抗Tim−4抗体を用いて評価する、〔16〕記載の検査法。
本発明の腫瘍細胞特異的免疫増強剤の作用点であるTim−4とAMPKα1との相互作用は腫瘍内マクロファージに特異的であり、他のTim−4陽性細胞には認められない分子機構である。従って、本発明の医薬を用いれば悪性腫瘍特異的な免疫を増強できるとともに、抗がん剤の副作用を軽減し、かつ抗がん剤の治療抵抗性を克服することができる。
B16−F10メラノーマ腫瘍形成マウスにおけるマクロファージでのTim−4発現の検証を示す。腫瘍所属リンパ節、および脾臓に比較して、腫瘍内マクロファージで高いTim−4発現を認める。 抗がん剤治療により死滅した腫瘍細胞由来のDAMPsは、骨髄マクロファージ上へのTim−4発現の誘導に貢献することを示す。ATP阻害剤(Apyrase)、抗HMGB1中和抗体、HSP90阻害剤(17−AAG)の単剤、あるいは3者すべて(All)の添加により、死滅がん細胞上清によるTim−4誘導は有意に抑制される。 ヒトのマクロファージまたは樹状細胞におけるTim−4陽性細胞の分布を示す。健常人(HV:図中ではHDと記載。)の末梢血リンパ球(PBL)や癌患者(PT)のPBLに比べ、腫瘍内に特異的にTim−4陽性細胞が高い比率で分布している。 Tim−4陽性マクロファージでは、抗がん剤処理により死滅したがん細胞貪食によりオートファジー活性が認められる。図2Aは、当該活性の指標であるLC3顆粒状変化を示す。それに対してアミノ酸飢餓によるオートファジー活性はTim−4に依存しない。 Tim−4陽性マクロファージでは、死滅がん細胞を取り込む二重膜構造を有するオートファジー小胞体が多数出現することを示す。一方、Tim−4欠損マクロファージは、死滅がん細胞貪食によるオートファジー小胞体形成に乏しい。 腫瘍内マクロファージのTim−4はAMPKα1との相互作用を有し、死滅EG7がん細胞貪食により、その相互作用は増強することを示す。 腫瘍内TIM−4陽性マクロファージは、抗がん剤処理により死滅したEG7がん細胞貪食によりAMPKα1リン酸化活性を誘導することを示す。その一方、Tim−4陰性マクロファージや腹腔内マクロファージでは、死滅がん細胞貪食時においてAMPKα1リン酸化活性を認めない。陽性コントロールであるグルコース飢餓では、細胞種に関わらず、AMPKα1リン酸化活性を示す。 腫瘍内マクロファージでは、死滅がん細胞貪食に伴いTim−4とAMPKα1の細胞内共局在を認めるのに対して、腹腔内マクロファージではTim−4は細胞表面に留まることで、AMPKα1との相互作用を認めないことを示す。 死滅EG7がん細胞を貪食した骨髄由来マクロファージ(BMDMs)により刺激されたOT−1細胞でのIFNγ産生を指標に、AMPKα特異的siRNAの効果、および抗Tim−4抗体の効果を示す。特に、死滅EG7がん細胞貪食したTim−4陽性マクロファージにおいては、AMPKα特異的siRNAをトランスフェクトされたマクロファージおよび抗Tim−4抗体で処理されたマクロファージにおいては、コントロールマクロファージで刺激された場合比較し、OT-1細胞での顕著に高いIFNγ産生が認められ、Tim−4陽性マクロファージにおける抗原提示能は、少なくてもTim−4およびAMPKαの両機能に依存していることを示している。 死滅EG7がん細胞を貪食した骨髄由来マクロファージ(BMDMs)の抗原提示能におけるAMPK阻害剤(Compound C)の効果を示す。すなわち、AMPKの阻害剤として知られているCompound Cで処理したTim−4陽性BMDMsでOT−1細胞を刺激した場合、非処理マクロファージにより刺激されたOT−1細胞に比べ高いIFNγ産生が認めら、AMPK阻害剤が「TIM-4−AMPKα1−オートファジー経路」を介した腫瘍抗原提示能の低下を抑制することを示している。 Tim−4欠損あるいは野生型マウスとマクロファージ特異的Atg5欠損マウス由来骨髄細胞を致死性放射線で処置した野生型マウスに1:1で混合移植したキメラモデルを作成した。さらに、このキメラマウスに対して、OVA特異的なCD8+T細胞移入とOVA発現B16メラノーマを移植することで、OVA特異的なT細胞免疫の関与を生体内で検証することが可能であることを示す。 上記骨髄キメラモデルを対象にして、抗がん剤(シスプラチン)の抗腫瘍効果に及ぼす役割を検証した図である。野生型−マクロファージ特異的Atg5欠損マウス由来骨髄キメラマウス(LysM−Atg5-/-/WT)では、シスプラチン非投与群(図中の印:●)と比較し、シスプラチン投与群では抗腫瘍効果は認められるものの不十分であった(図中の印:■)。それに対して、Tim−4欠損−Atg5欠損マウス由来骨髄キメラマウス(LysM−Atg5-/-/TIM4−KO)においては、シスプラチン非投与群(図中の印:〇グレー)に比べ、シスプラチン単独で充分な抗腫瘍効果が発揮されていた(図中の印:□グレー)。 MC38大腸癌を移植したAtg5flox/floxキメラマウス、およびLysM-Atg5-/-キメラマウスでの抗Tim−4抗体とCDDPとの併用効果の有無を示す。Atg5flox/floxマウスにおいてはCDDPとコントロール抗体の併用投与群(図中の印:・・・●・・・)での腫瘍増殖は、非投薬群(NT)と同様で、抗腫瘍効果が殆ど認められなかった。一方、抗Tim−4中和抗体との併用群(図中の印:・・・〇・・・)では、顕著な腫瘍縮小効果が認められた。一方、LysM-Atg5-/-マウスでは、CDDPとコントロール抗体の併用投与群とCDDPと抗TIM-4抗体の併用投与群とでは、抗腫瘍効果に差異は認められなかった。 ICDを誘導する抗がん剤(CDDP等)と、ICDを誘導しない(non−ICD)抗がん剤(OXP等)とのTIM-4−オートファジー経路に与える影響を示す。いずれの群の抗がん剤においても、死滅がん細胞にさらされたTIM-4陽性マクロファージで刺激されたOT-1細胞からのINF-γの産生は、抗TIM-4抗体の添加により、TIM-4陰性マクロファージの場合と同様のレベルまで上昇することが示唆された。
本発明のマクロファージにおける腫瘍抗原提示能低下を抑制することに基づく腫瘍特異的免疫増強剤の有効成分は、1)Tim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、2)AMPKα1の機能を阻害する薬物、または3)腫瘍内マクロファージのオートファジー機能を阻害する薬物である。1)の薬物の例としてはNITE P−01803のハイブリドーマより産生される抗Tim−4モノクローナル抗体が挙げられる。
当該抗Tim−4抗体はTim−4とAMPKα1との相互作用を阻害し、腫瘍特異的免疫制御作用を示す。
AMPKα1とTim−4との相互作用を阻害する薬物としては、前記のモノクローナル抗体に限定されず、ポリクローナル抗体でもよい。医療用としては、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、又はそれらの抗原結合性断片が望ましく、それらも本発明に含まれる。また同様の活性を有するタンパク質、ペプチド、核酸(例:siRNA)、低分子化合物、及びそれらの誘導体でもよい。
また、AMPKα1の機能を阻害する薬物としては、その機能タンパク質に対する抗体、または機能タンパク質のペプチド断片等のタンパク質またはペプチド、上記機能タンパク質をコードする遺伝子のsiRNA(例えば、Santa Cruz(カタログ番号:sc-45312)、Ambion(カタログ番号:439082))等も含めた核酸、また、本実施例で述べる低分子化合物(例えば、Compound C(CAS番号:CAS 866405−64−3))、それらの誘導体、および、ぞれら化合物のDDS化物等が含まれる。
更に、腫瘍内マクロファージのオートファジーの機能を阻害する薬物としては、腫瘍内マクロファージで本機能をコードする遺伝子に対する特異的siRNA、オートファジー阻害物として報告されているルカントン(J Biol Chem. 2011 vol.286, p6602(CAS 479−50−5))、それらの誘導体、および、それら化合物のDDS化物等が挙げられる。
本明細書中で用いる用語「抗体」とは、キメラ、ヒト化、または単一鎖抗体の断片を含めた抗体の抗原結合性断片(例えば、Fab断片)をも含む。これらの抗体の種々の部分は常法の遺伝子工学技術によって組み替え作製することが可能である。例えば、キメラまたはヒト抗体を生産する技術としては、例えば、特許第2594900号、特許第2828340号、特許第2912618号、および、特許第3162055号等に掲載されており、げっ歯類由来の抗体からキメラ抗体、ヒト化抗体を作製することは容易である。
また低分子化合物も、ある基本構造から各種誘導体を常法の技術で作製し、それらの中から後述のスクリーニング方法を活用すれば、抗がん剤の治療抵抗性を克服するような新規な腫瘍特異的免疫増強剤を見出すことも容易である。
本発明者は、後記実施例に記載のように、腫瘍内に浸潤するマクロファージや樹状細胞にTim−4が高発現すること、一方、腫瘍細胞を含めた上皮系細胞、繊維芽細胞や血管内細胞、Tリンパ球など他のリンパ系細胞では発現しないことを見出した。ヒトにおいても癌患者の腫瘍にTim−4陽性マクロファージまたは樹状細胞が高発現していることを見出した。また、抗がん剤処理により腫瘍細胞から放出されるHMGB−1、ATP、S100A8、尿酸−ナトリウムなどのDAMPsが、Tim−4発現誘導に寄与していることも見出した。
さらに、腫瘍内マクロファージに発現するTim−4の機能を検討した結果、Tim−4はリソゾーム活性による死がん細胞の分化・消化を促進する機能を有すること、その死がん細胞分解機構がTim−4陽性腫瘍マクロファージでは、死がん細胞貪食により特異的に、オートファジー活性が認められることを同定した。さらに、Tim−4とAMPKα1は相互作用して、AMPKα1リン酸化及びULK1(Atg1)リン酸化を誘導し、オートファジー活性化に寄与することを明らかにした。このTim−4とAMPKα1との相互作用は、腫瘍内マクロファージに特異的で、腹腔内マクロファージなど他のTim−4陽性細胞では認められなかった。
さらに、マクロファージに発現するTim−4は、AMPKα1によるオートファジー活性化を介して、腫瘍抗原提示能を負に制御することも明らかにした。そして、これらのTim−4とAMPKα1との相互作用により生じる腫瘍特異的免疫抑制は、例えば本発明に用いる抗Tim−4抗体により改善されることを見出した。
また、シスプラチン単独で十分な抗腫瘍効果が得られなかったモデルマウスにおいて、シスプラチンに加えて、前記抗Tim−4抗体を投与したところ、抗腫瘍効果が顕著に増強されることを見出した。
従って、Tim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、例えば前記抗Tim−4抗体は、腫瘍特異的免疫増強剤として有用である。より詳細には、当該薬物は、腫瘍内マクロファージ特異的免疫増強剤、腫瘍内マクロファージのオートファジー不活性化剤、腫瘍抗原提示能促進剤として有用である。ここで腫瘍抗原提示細胞としては、マクロファージ、樹状細胞、単球が挙げられるが、腫瘍内マクロファージが好ましい。
また、Tim−4陽性腫瘍内マクロファージ存在下で、Tim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、AMPKα1の機能を阻害する薬物、又は腫瘍内マクロファージのオートファジー機能を阻害する薬物と、腫瘍細胞傷害性抗がん剤とを併用すれば、腫瘍細胞傷害性抗がん剤の抗がん効果が増強し、抗がん剤として有用である。
また、前記Tim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、AMPKα1の機能を阻害する薬物、又は腫瘍内マクロファージのオートファジー機能を阻害する薬物は、Tim−4陽性腫瘍内マクロファージ存在下で腫瘍細胞傷害性抗がん剤と併用するとき、腫瘍細胞傷害性抗がん剤の抵抗性克服剤および/または抵抗性化予防剤として有用である。より好ましくは、前記Tim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、AMPKαの機能を阻害する薬物、腫瘍内マクロファージのオートファジー機能を阻害する薬物、又は腫瘍内マクロファージの抗原提示機能を阻害する薬物は、Tim−4陽性腫瘍内マクロファージが約50%以上の存在下で腫瘍細胞傷害性抗がん剤と併用するとき、腫瘍細胞傷害性抗がん剤の抵抗性克服剤および/または抵抗性化予防剤として有用である。
ここで腫瘍細胞傷害性抗がん剤としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、抗生物質抗がん剤、トポイソメラーゼ阻害剤、白金製剤、分子標的薬、ホルモン剤、生物製剤等が挙げられる。アルキル化剤としては、例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、ダカルバジン、テモゾロミド、ニムスチン、ブスルファン、メルファラン、プロカルバジン、ラニムスチン等が挙げられる。代謝拮抗剤としては、例えば、エノシタビン、カルモフール、カペシタビン、テガフール、テガフール・ウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム、ゲムシタビン、シタラビン、シタラビンオクホスファート、ネララビン、フルオロウラシル、フルダラビン、ペメトレキセド、ペントスタチン、メトトレキサート、クラドリビン、ドキシフルリジン、ヒドロキシカルバミド、メルカプトプリン等が挙げられる。微小管阻害剤としては、例えば、ビンクリスチン等のアルカロイド系抗がん剤、ドセタキセル、パクリタキセル等のタキサン系抗がん剤が挙げられる。抗生物質抗がん剤としては、例えば、マイトマイシンC、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、アクラルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、ペプロマイシン、ミトキサントロン、アムルビシン、ジノスタチンスチマラマー等が挙げられる。トポイソメラーゼ阻害剤としてはトポイソメラーゼI阻害作用を有するCPT−11、イリノテカン、ノギテカン、トポイソメラーゼII阻害作用をもつエトポシド、ソブゾキサンが挙げられる。白金製剤としては、例えば、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン等が挙げられる。ホルモン剤としては、例えば、デキサメタゾン、フィナステリド、タモキシフェン、アストロゾール、エキセメスタン、エチニルエストラジオール、クロルマジノン、ゴセレリン、ビカルタミド、フルタミド、ブレドニゾロン、リュープロレリン、レトロゾール、エストラムスチン、トレミフェン、ホスフェストロール、ミトタン、メチルテストステロン、メドロキシプロゲステロン、メピチオスタン等が挙げられる。生物製剤としては、例えば、インターフェロンα、βおよびγ、インターロイキン2、ウベニメクス、乾燥BCG等が挙げられる。分子標的薬としては、例えば、リツキシマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、テムシロリムス、ベバシズマブ、VEGF trap、スニチニブ、ソラフェニブ、トシツズマブ、ボルテゾミブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、イブリツモマブ・オゾガマイシン、イブリツモマブチウキセタン、タミバロテン、トレチノイン等が挙げられる。ここに特定する分子標的薬以外にも、ヒト上皮性増殖因子受容体2阻害剤、上皮性増殖因子受容体阻害剤、Bcr−Ablチロシンキナーゼ阻害剤、上皮性増殖因子チロシンキナーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、血管内皮増殖因子受容体2阻害剤(α−VEGFR−2抗体)等の血管新生を標的にした阻害剤、MAPキナーゼ阻害剤などの各種チロシンキナーゼ阻害剤、サイトカインを標的とした阻害剤、プロテアソーム阻害剤、抗体―抗がん剤配合体等の分子標的薬なども含めることができる。これら阻害剤には抗体も含む。上記の薬剤の他にも、以下の医薬も併用し得る;サリドマイド、エベロリムス、エルプラット、ABI−007、イキサベピロン、ミリプラチン、ラパチニブ、pemetrexed、クラドリビン、リポソーマルドキソルビシン、Z−100、ハイカムチン、バンデダニブ、ZD4054、アナストロゾール、GSK1572932A、パゾパニブ、デノスマブ、S−1、モテサニブ、トラスツズマブ、Enzastaurin、イムシスト、NIK−333、アキシチニブ、ボスチニブ、E7080、ソブリドチン、デガレリクス、フルベストラント、ゾラデックス、セディラニブ、エリブリン、TSU−68、TAC−101、TAS−108、NK911、NK105、エロチニブ、LBH589、MK−0457、タミバロテン、レナリドミド、BNP1350、AZD0530、AZD1152、AZD2281、AZD4877、ABT−869、ONO−4538、OTS102、KW−0761、ARQ197、オファツムマブ、AMG655、TAK−700、TAK−683、TAK−448、CBP501、TAK−285、TAK−593、MLN8054、MLN4924、pertuzumab、R1507、NK012、BIBF1120、BIBW2992、Patupilone、MK−2461、CP751,871、PF−00299804、サトラプラチン、CMC−544、YM155、GPI21016、YHO−13351。
これらの抗がん剤のうち、細胞傷害活性を特徴とするアルキル化剤、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、抗生物質抗がん剤、トポイソメラーゼ阻害剤、白金製剤、分子標的薬等が特に好ましい。具体的には、ゲムシタビン、5−FU、CPT−11、エトポシド、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ダカルバジン、ドキソルビシン、ベバシズマブ、セツキシマブ、抗血管内皮増殖因子受容体2阻害抗体、上皮性増殖因子チロシンキナーゼ阻害剤等が特に好ましい。
前記Tim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、AMPKα1の機能を阻害する薬物、又は腫瘍内マクロファージのオートファジー機能を阻害する薬物、例えば抗Tim−4抗体と細胞傷害性抗がん剤は、一の製剤として用いてもよいし、それぞれ別の製剤の形態で用いてもよい。別の製剤にする場合、例えば注射剤と経口剤のように、投与ルートの異なる製剤の組み合せであってもよい。また、これらは同時に投与してもよいし、いずれか一方を先に投与し、他方を後に投与してもよい。
ところで、本発明の腫瘍特異的免疫増強用医薬組成物及びがん治療用医薬組成物としては、様々な剤型にすることができる。例えば、注射剤、経口剤、経鼻剤、および坐剤などの剤型が含まれる。従って、本医薬組成物で使用される「薬学的に許容可能な担体」には、生理学的に適合可能な任意の、または全ての溶媒、分散媒、コーティング、等張剤、安定化剤および吸収遅延剤などが含まれる。
本発明のがん治療用医薬組成物は、ヒトを含む哺乳類の、多岐にわたるがんに対して有効であり、例えば咽頭癌、喉頭癌、舌癌、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、大腸癌、子宮癌、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、腎臓癌、前立腺癌、悪性黒色腫、甲状腺癌などの上皮がん;骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、繊維肉腫、白血病や悪性リンパ腫、骨髄腫などの非上皮がんが挙げられる。
前記抗Tim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、AMPKα1の機能を阻害する薬物、又は腫瘍内マクロファージのオートファジー機能を阻害する薬物、例えばTim−4抗体の投与量は、患者の症状、投与経路、体重、年令等によっても異なるが、例えば成人1日あたり1μg〜500mgであるのが好ましい。また、腫瘍細胞傷害性抗がん剤の投与量は、それぞれの抗がん剤の有効量またはその有効量の0.01〜1倍までが好ましい。
更に、本発明は、AMPKα1とTim−4との相互作用を阻害する新たな薬剤を見出す方法を提供し、新規な、優れた抗腫瘍免疫増強剤の発見に大きく寄与するものであると共に、癌化学療法に新たな展開をもたらすものであり、AMPKα1とTim−4との相互作用の阻害、それらの直接的な結合阻害、AMPKα1の機能阻害、オートファジーの活性化阻害、抗原提示能の増強、および、抗がん剤との相乗効果を指標に実施する腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法は、「TIM-4−AMPKα1−オートファジー経路」のいずれかの工程をブロックする新たな腫瘍特異的免疫増強剤を見出すものであり、それらスクリーニング法も本発明に含まれる。具体的には、下記のような方法が挙げられるが、それに制限されるものではない。
(A)In vitroでのスクリーニング系
A1)Tim−4とAMPKα1との結合:
・Tim−4陽性腫瘍内マクロファージに対して、抗がん剤(例えば、CDDP)で処理された死滅EG7がん細胞貪食後におけるTIM−4とAMPKα1の局在を、共焦点顕微鏡にて可視化することにより腫瘍特異的免疫増強物質を検出する方法(実施例3、図3A参照)。
A2)AMPKα1の活性:
・死滅EG7がん細胞又はグルコース飢餓(glucose starvation:GS)のEG7がん細胞を用いて、Tim−4陽性マクロファージ、Tim−4欠損マクロファージ及び腹腔内マクロファージにそれらを貪食させた場合のAMPKα1のリン酸化活性を評価する方法(実施例3、図3B)
A3)オートファジー活性:
・Tim−4陽性マクロファージを用い、抗がん剤(例えば、CDDP)処理により死滅したがん細胞貪食によりオートファジー活性の指標であるLC3顆粒状変化を評価することにより腫瘍特異的免疫増強物質を検出する方法(実施例2、図2A参照)。
・Tim−4陽性マクロファージでは、死滅したがん細胞を取り込む二重膜構造を有するオートファジー小胞体が多数出現するが、この系を用いて腫瘍特異的免疫増強物質を検出する方法(実施例2、図2B参照)。
A4)腫瘍抗原提示能:
・死滅EG7がん細胞を貪食させたTim−4陽性マクロファージで刺激されたOT−1細胞からのINFγ産生量を、Tim−4欠損マクロファージまたはAMPK特異的siRNAでその発現が阻害されたマクロファージで刺激されたOT-1細胞をコントロールとして、腫瘍抗原提示能を評価する方法(実施例4、図4B参照)。
(B)In vivoでのスクリーニング系
B1) MC38大腸癌を移植したAtg5flox/floxキメラマウスでの抗Tim−4抗体と抗腫瘍剤(例えば、CDDP)との併用効果(実施例6、図6A参照)
また、本発明は、腫瘍細胞傷害性抗がん剤の抵抗性になった癌患者を診断する手段を提供するものであり、例えば、抗Tim-4抗体を用いた腫瘍内Tim−4陽性マクロファージの存在率の検出は、腫瘍細胞傷害性抗がん剤抵抗性を予測するために有用な方法である。Tim-4陽性の検出は、抗体以外にもPCRを用いる方法等もあり、本実施例で採用した方法に限定されず、高感度でかつ再現性良くTim-4陽性細胞の存在割合を評価できる方法であれば、いずれの方法でもよい。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。詳細は、Muhammad,B, et al., Immunology,2013, p1070−1081および、そのSupplement Informationを参照。
なお、以下に示す実施例で使用した実験動物、細胞、および評価方法等に関してあらかじめ概説する。
(1)実験動物:C57BL/6マウスは、日本エスエルシー株式会社から購入した。Tim−4欠損(Timd4-/-)マウス、OT−1マウス、P85α-/-マウス、GFP−LC3マウス、AMPKα1−欠損(Prkaa1-/-)マウス、AMPKα2−欠損(Prkaa2-/-)マウス、LysM−Prkaa1flox/floxおよびLysM−Atg5flox/floxマウスなどは、既に報告されている下記の文献に従って作成した。
(2)ヒト由来サンプルの取得:北海道大学病院の倫理委員会の承認を得たプロトコールに従って、インフォームド・コンセントを取得後、癌患者および健常人から細胞を採取した。
(3)腫瘍細胞:各種腫瘍細胞(B16−F10メラノーマ、MC38大腸癌、3LL肺癌、EL4胸腺腫、およびEG7胸腺腫)は、ATCCから入手した。B16−OVA細胞は、下記の文献に従って作成した。また、マイコプラズマの汚染の有無を公益財団法人実験動物中央研究所(川崎市、日本)の検査を受け使用した。
(4)Tim−4発現:マクロファージ上のTim−4発現の有無は、CD68陽性細胞上のTim−4の有無をフローサイトメトリー法で測定した。その際の検出プローブには、マウス由来Tim−4に対する抗Tim−4抗体(RMT4−53)およびヒト由来Tim−4に対する抗Tim−4抗体(Clone344823;R&D Systems,Inc.)を使用した。
(5)マウスでの抗腫瘍効果の評価においては、抗Tim−4抗体の投与は、250μg/マウス/day;days8、10および12で腹腔内投与で実施された。
(6)下記の実施例で使用された主要な薬剤の入手先および(カタログ番号又は製品番号)を以下に記載する。
1)Compound C:MerckMillipore(171260-1MG)
2)AMPKα siRNA:Ambion(4390827)
実施例1:Tim−4陽性マクロファージおよび樹状細胞分布の腫瘍特異性
(1)Tim−4陽性細胞群は主に腹腔内マクロファージ、CD8α陽性樹状細胞など、一部のミエロイド細胞に限局するという特徴を有する。そこで、B16−F10メラノーマ腫瘍形成マウスを用いてマクロファージTim−4発現をフローサイトメトリー法により検証した。尚、腫瘍組織としては、C57BL/6マウスの皮下にB16−F10メラノーマを1×105細胞移植、腫瘍が十分形成されたものを使用した。マウス細胞でのTim−4陽性細胞の検出には、抗マウスTim−4抗体(RMT4-53)を使用し、フロー・サイトメトリーで分析した。その結果、腫瘍所属リンパ節、および脾臓に比較して、腫瘍内マクロファージで高いTim−4発現を認めた(図1A)。
(2)その一方、腫瘍内マクロファージの起源とされる骨髄前駆細胞や炎症性単球などはTim−4発現を認めないため、腫瘍内でTim−4発現を誘導する仕組みが作動しているものと想定される。そこで、抗がん剤など様々な刺激(CDDP、X線)を受けた腫瘍細胞株の培養上清を刺激したうえで、Tim−4陰性骨髄由来マクロファージ(BMDM)におけるTim−4誘導能を検証したところ、抗がん剤刺激により細胞死に陥った腫瘍細胞上清の刺激によるTim−4誘導は、無治療腫瘍細胞上清に比較して3〜4倍のTim−4誘導活性を有することが判明した。この誘導能の差に寄与する因子を検索したところ、抗がん剤処理(CDDP)により腫瘍細胞より放出されるHMGB−1、ATP、S100A8、Monosodium urateなど多様なDAMPsが、Tim−4発現誘導に重要な役割を果たしていることを明らかとした(図1−B)。
(3)更にまた、健常人(HV)の末梢血(PBL)、ならびにステージIVの癌患者の末梢血、および当該癌組織由来のマクロファージおよび樹状細胞において、それらの中でのTim−4陽性細胞の存在割合を調べた。尚、癌組織及び癌患者の末梢血は、インフォームド・コンセントを得たステージIVの3人の癌患者(非小細胞肺癌、大腸癌、および胃癌)から採取した。その中からFicoll−Hypaqueによる密度勾配遠心処理等で、マクロファージ(Mφ)および樹状細胞(DC)を取得。Tim−4陽性細胞の検出には、抗ヒトTim−4抗体(Clone 344823)を使用し、フロー・サイトメトリーで分析した。その結果、ヒトの場合においても明らかに癌組織由来のマクロファージまたは樹状細胞においてTim−4陽性細胞の存在比率が非常に高い(約80%)ことが判明した(図1C)。
(4)以上より、腫瘍内自然免疫応答を司る重要な因子であるDAMPsは、免疫抑制因子であるTim−4発現誘導に寄与することによって、腫瘍内炎症応答のNegative feedbackに関与している可能性がある。
実施例2:Tim−4陽性マクロファージにおけるオートファジー小胞体の存在
(1)この腫瘍内マクロファージに発現するTim−4の機能的意義を明らかにするため、我々は野生型マウスおよびTim−4遺伝子欠損マウスから腫瘍内マクロファージを各々分離し、抗がん剤処理後アポトーシス細胞死を誘導した腫瘍細胞(以後死がん細胞)の貪食活性を比較検証したところ、Tim−4欠損マクロファージは野生型マクロファージ同様に、死がん細胞の貪食に貢献することを見出した。その一方で、リソゾームによるがん細胞の消化分解能は、Tim−4欠損マクロファージで明らかに劣っていた。これらの結果から、Tim−4は、リソゾーム活性による死がん細胞の分化・消化を促進する機能を有することが明らかとなった。
(2)リソゾームによる細胞内器官や死細胞分解機構として、オートファジーの役割が注目されている。その他、オートファジーは発がん抑制、免疫応答修飾など多様な生体制御に影響を及ぼす点で重要な生理学的特性であると考えられている。我々は、Tim−4陽性腫瘍マクロファージでは、死がん細胞貪食により特異的に、オートファジー活性が認められることを同定した。すなわち、Tim−4陽性マクロファージでは、抗がん剤(CDDP)処理により死滅したがん細胞貪食によりオートファジー活性の指標であるLC3顆粒状変化を呈する。それに対してアミノ酸飢餓によるオートファジー活性はTim−4に依存しない(図2A)。Tim−4陽性マクロファージでは、死滅細胞を取り込む二重膜構造を有するオートファジー小胞体が多数出現する。一方、Tim−4欠損マクロファージは、死滅がん細胞貪食によるオートファジー小胞体形成に乏しい(図2B)。
実施例3:オートファジー活性の「Tim−4−AMPKα1相互作用」依存性
(1)このオートファジー活性は、Tim−4による死がん細胞の貪食反応に遅れること45〜60分で認められることから、細胞貪食に続くTim−4活性がオートファジー応答の引き金となることが想定された。この応答を仲介する分子メカニズムとして、オートファジー応答制御に関わるPI3K−mTOR経路に着目し、阻害剤によるスクリーニングを施行したところ、Tim−4がAMP−activated kinase−α1 (AMPKα1)との相互作用を介して、AMPKα1リン酸化およびULK1(Atg1)リン酸化を誘導し、オートファジー活性化に繋がることが明らかとなった。興味深いことに、このTim−4とAMPKα1相互作用は腫瘍内マクロファージに特異的で、腹腔内マクロファージなど他のTim−4陽性細胞には認められない分子機構であった。
より詳細には、CDDPで処理されたEG7がん細胞を用いて、EG7がん細胞貪食の4時間後におけるTIM−4とAMPKα1の局在を、共焦点顕微鏡にて可視化することで検証した。その結果、腫瘍内マクロファージのTim−4はAMPKα1との相互作用能を有し、死滅EG7がん細胞貪食により、その相互作用能は増強する(図3A)。
また、CDDPで処理されたEG7がん細胞又はグルコース飢餓(glucose starvation:GS)のEG7がん細胞を用いて、Tim−4陽性マクロファージ、Tim−4欠損マクロファージ及び腹腔内マクロファージにおけるAMPKα1のリン酸化活性を検討した。その結果、腫瘍内TIM−4陽性マクロファージは、抗がん剤処理により死滅したEG7がん細胞貪食によりAMPKα1リン酸化活性を誘導する。その一方、Tim−4陰性マクロファージや腹腔内マクロファージでは、死滅がん細胞貪食時においてAMPKα1活性を認めない。陽性コントロールであるグルコース飢餓では、細胞種に関わらず、AMPKα1活性を示す(図3B)。
また、腫瘍内マクロファージ及び腹腔内マクロファージのAMPKα1、Tim−4、及びそれらの結合体を測定した。その結果、腫瘍内マクロファージでは、死滅がん細胞貪食に伴いTim−4とAMPKα1の細胞内共局在を認めるのに対して、腹腔内マクロファージではTim−4は細胞表面に留まることで、AMPKα1との相互作用を認めない(図3C)。
(2)以上より、腫瘍内マクロファージによる免疫抑制メカニズムとして、Tim−4−AMPK相互作用を中心とした腫瘍微小環境に特異的な分子経路(以下、「TIM-4−AMPKα1−オートファジー経路」と称する。)の存在を明らかとした。
実施例4:Tim−4陽性マクロファージにおける抗原提示能
(1)マクロファージをはじめとした抗原提示細胞は、ファゴゾームにて消化分解された死がん細胞から、免疫プロテアソームなど他の細胞分解経路を利用することで、がんに特異性の高い抗原・ペプチドを生成する仕組みを潜在的に備えていると想定できる。そこで、Tim−4−AMPKα1相互作用を介したオートファジー活性が、死がん細胞貪食・分解経路による抗原提示機構に及ぼすインパクトを検証するため、死滅EG7癌細胞を貪食したBMDMsで刺激されたOT−1細胞でのINFγ産性能を指標に、AMPKα特異的siRNAの効果、もしくは抗Tim−4抗体の効果を調べた。死滅EG7がん細胞を貪食したTIM-4陽性マクロファージのコントロール群では、抗TIM-4抗体の添加によりINF-γの顕著な産生向上が認められ、抗原提示能が上昇し腫瘍特異免疫活性の向上が生じたことがうかがえる。一方、同じくTIM-4陽性マクロファージでもAMPKαのsiRNAを添加した場合は、抗TIM-4抗体添加の有無に係らず高いINF-γの産生が認められており、TIM-4-AMPKαの系が抗原提示能に係っていること、すなわち、抗TIM-4抗体はオートファジー活性化に負の影響を与えていることが示唆される(図4A)。また、AMPKの阻害剤であるCompound Cの添加がTim−4陽性BMDMsで刺激されたTCR-Vβ5陽性 OT−1細胞のINFγ産性能を増強することが示された(図4B)。これらのことからも、腫瘍特異的マクロファージにおける「TIM-4−AMPKα1−オートファジー経路」を介した腫瘍抗原提示システムの存在が示される。
実施例5:OVA発現B16メラノーマ移植マウスにおけるシスプラチンの抗腫瘍効果
抗がん剤による腫瘍細胞死の誘導は、炎症性DAMPsの産生亢進を介して、腫瘍内炎症応答の活性化をもたらすとともに、腫瘍内マクロファージによるTim−4発現誘導に寄与することが判明している。以上より、抗がん剤はDAMPsによるTim−4発現制御を介して、マクロファージの腫瘍抗原提示能と特異的CTL活性の抑制を引き起こし、宿主免疫応答を負に制御しているものと想定される。この仮説を検証するため、Tim−4欠損あるいは野生型マウスとマクロファージ特異的Atg5欠損マウス由来骨髄細胞を致死性放射線で処置した野生型マウスに1:1で混合移植したキメラモデルを作成することで、マクロファージ特異的オートファジーによる機能にTim−4が果たす役割を生体内で明らかにすることが可能となる。さらに、このキメラマウスに対して、OVA特異的なCD8+T細胞移入とOVA発現B16メラノーマ(B16−OVA)を移植することで、OVA特異的なT細胞免疫の関与を生体内で検証できる系を構築した(図5A)。
上記骨髄キメラモデルを対象にして、抗がん剤(シスプラチン)の抗腫瘍効果に及ぼす役割を検証した。野生型−マクロファージ特異的Atg5欠損マウス由来骨髄キメラマウス(LysM−Atg5-/-/WT)では、シスプラチン単独による抗腫瘍効果は不十分であったが、Tim−4欠損−Atg5欠損マウス由来骨髄キメラマウス(LysM−Atg5-/-/TIM4−KO)においては、シスプラチン単独で充分な抗腫瘍効果が発揮された。以上より、マクロファージTim−4はオートファジー活性を介して抗腫瘍免疫応答を抑制することによって、抗がん剤による抗がん効果を負に制御している(図5B)。
以上よりTim−4陽性マクロファージは、AMPKα1とオートファジー活性を介して腫瘍抗原の提示能や抗原特異的T細胞応答を負に制御することにより、抗がん剤の治療応答の抑制に大きな役割を果たしていることを明らかとした。
実施例6:MC38大腸癌移植マウスにおける癌化学療法剤と抗Tim−4抗体の併用効果
更に、in vivoでの抗Tim−4抗体(RMT4-53)の効果を調べるためにMC38大腸癌を移植したAtg5flox/floxキメラマウスにおける抗腫瘍効果を、シスプラチンとコントロール抗体投与およびシスプラチンと抗Tim−4抗体の併用投与の場合で比較した(図6A)。腫瘍組織としては、マウスの皮下にMC38大腸癌を1×105細胞移植、移植後8日目、10日目、および12日目に抗Tim−4抗体とCDDPを共に腹腔内投与し、経時的に腫瘍のサイズを計測、抗腫瘍効果を評価した。Atg5flox/floxマウスにおいてはCDDPとコントロール抗体の併用投与群での腫瘍増殖は、非投薬群(NT)と同様であり抗腫瘍効果が殆ど認められなかったが、抗Tim−4抗体とCDDPの併用投与群では、顕著な腫瘍縮小効果が認められた。一方、LysM-Atg5-/-マウスでは、CDDPとコントロール抗体の併用投与群とCDDPと抗TIM-4抗体の併用投与群とでは、抗腫瘍効果に差異は認められなかった。すなわち、「TIM-4-AMPKα1−オートファジ経路」が機能しているTIM-4陽性マクロファージが腫瘍内に存在する担癌動物においては、抗Tim−4抗体は、CDDPの抗腫瘍作用を増強する効果があることを明らかにした。
尚、近年の研究により,オキサプラチン(OXP)やドキソルビシン(DOX)等の一部の腫瘍細胞傷害性抗がん剤は、免疫原性の高い細胞死(imuunogenic cell death:ICD)を誘導することにより,自然免疫におけるシグナル伝達や抗腫瘍能を誘導することが報告されている。一方、CDDPやマイトマイシン(MMC)等は、ICDを誘導しない抗がん剤(non−ICD)群に属することが知られている。これら両者について、TIM-4−オートファジー経路に与える影響に差異があるか否か調べた。図6Bに示すようにいずれの群の腫瘍細胞傷害性抗がん剤においても、死滅がん細胞にさらされたTIM-4陽性マクロファージで刺激されたOT-1細胞からのINF-γの産生は、抗TIM-4抗体の添加により、同様に大幅に向上することが確認された。すなわち、これらの結果は、図6AのCDDPで示された抗TIM-4抗体との併用投与における担癌動物での併用効果は、ICD群のみならずnon−ICD群の腫瘍細胞傷害性抗がん剤においても同様であると考えられる。ちなみに、OXPでも同様の併用効果が確認された(Muhammad,B, et al., Immunology,2013, p1070−1081のSupplement Information中のFig.S5-Cを参照。)
なお、本実施例で用いた抗Tim−4抗体の調製方法は、次のとおりである。
ICR−nu(Crlj:CD1−Foxn1nu)マウスに500μLの2,6,10,14−テトラメチルペンタデカンを腹腔内投与する。3日後、300μLのリン酸緩衝生理食塩水(Phosphate Buffered Saline:PBS)に懸濁した1×107個RMT4−53ハイブリドーマ(NITE P−01803)を腹腔内投与する。1・2週間後、腹水を採取。採取した腹水の2倍量の0.06M Acetate buffer(pH4.0)を撹拌しながら少量ずつ加える。1N NaOHを適量加え、pHを4.8に調整する。Octanoic acidを330μL/腹水10mLの分量で撹拌しながら少量ずつ加える。室温で30分撹拌。8,000g、室温30分遠心。遠心上清を濾紙で濾過して、HEPES緩衝液(4−(2−HydroxyEthyl)−1−PiperazineEthaneSulfonic acid)を20mM(4.7662mg/mL)になるように加える。pH7.4に調整。硫酸アンモニウムを3.13g/10mLになるように撹拌しながら少量ずつ加える。室温で30分撹拌。8,000g、室温30分遠心。遠心上清を捨て5mLのPBSで溶解後、孔径(ポアサイズ)50 Angstroms(分画分子量(MWCO)14,000)の透析チューブに入れ、2L PBSで5時間以上、5回以上繰り返し透析を行う。透析後、抗体を含む溶液は0.2μmシリンジフィルターを通して、無菌状態にしてから使用する。
なお、本発明者らが作製した抗TIM-4抗体(RMT4−53)を産生するハイブリドーマは、独立行政法人製品評価技術基盤機構、特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に平成26年2月20日に寄託されており、その受託番号はNITE P−01803である。

Claims (17)

  1. 1)Tim−4陽性マクロファージでのTim−4とAMPKα1との相互作用を阻害する薬物、
    2)Tim−4陽性マクロファージでのAMPKα1の機能阻害作用を有する薬物、又は
    3)Tim−4陽性マクロファージでのオートファジー活性化を抑制する薬物、を有効成分とする、マクロファージにおける腫瘍抗原提示能低下を抑制することに基づく腫瘍特異的免疫増強剤。
  2. Tim−4陽性腫瘍内マクロファージ存在下で腫瘍細胞傷害性抗がん剤と併用するとき、抗腫瘍効果が増強される腫瘍特異的免疫増強剤である請求項1記載の腫瘍特異的免疫増強剤。
  3. 有効成分が、抗Tim−4抗体である請求項1又は2記載の腫瘍特異的免疫増強剤。
  4. 抗Tim−4抗体が、受託番号NITE P−01803のハイブリドーマより産生される抗体、そのヒト化抗体またはその抗原結合性断片である請求項3記載の腫瘍特異的免疫増強剤。
  5. 有効成分が、Compound Cまたはその誘導体である請求項1又は2記載の腫瘍特異的免疫増強剤。
  6. 請求項1又は2記載の有効成分が、AMPKαの特異的siRNAである請求項1又は2記載の腫瘍特異的免疫増強剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の腫瘍特異的免疫増強剤と、薬学的に許容可能な担体を含む腫瘍特異的免疫増強用の医薬組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の腫瘍特異的免疫増強剤と、腫瘍細胞傷害性抗がん剤を含有するがん治療用キット製剤。
  9. 1)Tim−4陽性マクロファージでのTim−4とAMPKα1との相互作用の阻害、
    2)AMPKα1機能阻害、
    3)オートファジーの活性化阻害、
    4)抗原提示能の増強、又は
    5)Tim−4陽性腫瘍内マクロファージ存在下で細胞傷害性抗がん剤との相乗効果
    を指標に薬物を選択する、Tim−4陽性マクロファージにおける腫瘍抗原提示能低下を抑制することに基づく腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
  10. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤による死滅がん細胞を貪食させたTim−4陽性マクロファージを用いて、Tim−4とAMPKα1の局在を評価することによる、請求項9記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
  11. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤による死滅がん細胞又はグルコース飢餓のがん細胞を用いて、Tim−4陽性マクロファージ、Tim−4欠損マクロファージ及び腹腔内マクロファージに、それらを貪食させた場合のAMPKα1のリン酸化活性を評価することによる、請求項9記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
  12. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤による死滅がん細胞を貪食させたTim−4陽性マクロファージを用いて、オートファジー活性の指標であるLC3顆粒状変化を指標に評価することによる、請求項9記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
  13. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤による死滅がん細胞を貪食させたTim−4陽性マクロファージで刺激されたOT−1細胞からのINFγ産生量を指標として評価することによる、請求項9記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
  14. 腫瘍内にTim−4陽性マクロファージを有する担癌動物で、腫瘍細胞傷害性抗がん剤との併用効果を評価することによる、請求項9記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
  15. MC38大腸癌を移植したAtg5flox/floxキメラマウスにおいて、腫瘍細胞傷害性抗がん剤との併用効果を評価することによる、請求項14記載の腫瘍特異的免疫増強剤のスクリーニング法。
  16. 腫瘍細胞傷害性抗がん剤に対する抵抗性を予測診断するために、腫瘍内Tim−4陽性のマクロファージおよび/又は樹状細胞の存在比率を評価することによるTim−4陽性細胞の検査法。
  17. 抗Tim−4抗体を用いて評価する、請求項16記載の検査法。
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