JP2015209305A - パッケージの制動制御装置及び糸巻取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パッケージのイナーシャの大小に応じて適切にパッケージを停止させることできるパッケージの制動制御装置及び糸巻取装置を提供する。
【解決手段】パッケージの制動制御装置70は、パッケージPを回転駆動する巻取ボビン駆動モータ13と、巻取ボビン駆動モータを制御するモータドライバ74と、パッケージの径及び質量に基づいてイナーシャを算出し、算出したイナーシャの情報をモータドライバ74に出力するイナーシャ把握部73yと、を備えている。モータドライバ74は、イナーシャ把握部73yから入力されたイナーシャの情報に基づいて、パッケージPを制動停止させる。
【選択図】図1
【解決手段】パッケージの制動制御装置70は、パッケージPを回転駆動する巻取ボビン駆動モータ13と、巻取ボビン駆動モータを制御するモータドライバ74と、パッケージの径及び質量に基づいてイナーシャを算出し、算出したイナーシャの情報をモータドライバ74に出力するイナーシャ把握部73yと、を備えている。モータドライバ74は、イナーシャ把握部73yから入力されたイナーシャの情報に基づいて、パッケージPを制動停止させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、パッケージの制動制御装置及び糸巻取装置に関する。
従来、糸巻取装置のパッケージの制動制御装置として、例えば特許文献1に記載されてものが知られている。特許文献1に記載のパッケージの制動制御装置では、パッケージ径と当該パッケージ径に対応した減速条件とに基づいてパッケージ駆動モータを制御して、パッケージを制動停止させることが図られている。
通常、例えばパッケージへの糸の巻取りが進展して当該パッケージが大きくなると、そのイナーシャが大きくなるのに伴ってパッケージが停止しにくくなり、パッケージの停止に要する時間が増加する。従来想定していたよりも大きいパッケージ(例えば直径250mm以上で3kg以上の高密度巻の大玉のパッケージ)を作成しようとする場合には、停止時間の増加が各停止時で見ればわずかであっても、停止を繰り返して停止時間の増加分が累積されることにより、糸巻取装置の稼働効率に影響を与えるおそれがある。このため、従来よりも大きいパッケージの作成にも良好に対応できるように、上記パッケージの制動制御装置とは別の構成の制動制御装置の開発が期待されている。
そこで、本発明は、パッケージのイナーシャの大小に応じて適切にパッケージを停止させることができるパッケージの制動制御装置及び糸巻取装置を提供することを目的とする。
本発明のパッケージの制動制御装置は、パッケージを回転駆動するパッケージ駆動部と、パッケージ駆動部を制御するパッケージ駆動制御部と、パッケージの径及び質量に基づいてイナーシャを算出し、算出したイナーシャの情報をパッケージ駆動制御部に出力するイナーシャ把握部と、を備え、パッケージ駆動制御部は、イナーシャ把握部から入力されたイナーシャの情報に基づいてパッケージを制動停止させる。
このパッケージの制動制御装置では、パッケージの径と質量との双方に基づきイナーシャが算出され、このイナーシャの情報に基づきパッケージが減速されて停止される。これにより、パッケージのイナーシャの大小に応じて適切にパッケージを停止させることができ、例えば大玉のパッケージについても、短時間でぴたりと停止させることが可能となる。
本発明のパッケージの制動制御装置では、パッケージ駆動部は、パッケージを直接回転駆動してもよい。パッケージを直接回転駆動する場合(いわゆるダイレクトドライブ方式の場合)、パッケージの大小に伴うイナーシャの影響をパッケージ駆動部が受けやすい。よってこの場合、パッケージのイナーシャの大小に応じて適切にパッケージを停止できる上記作用効果は、特に効果的である。
本発明のパッケージの制動制御装置は、パッケージに巻き取られる糸の速度を測定する糸速測定部と、パッケージの回転速度を把握する回転速度把握部と、を備え、イナーシャ把握部は、糸速測定部で測定された糸の速度と回転速度把握部で測定された回転速度とに基づいて、パッケージの径を算出してもよい。この場合、パッケージの径を簡易かつ有効に算出することができる。
本発明のパッケージの制動制御装置は、パッケージに巻き取られた糸の巻取り長さを測定する糸長測定部と、糸の番手を設定する設定部と、を備え、イナーシャ把握部は、糸長測定部で測定された糸の巻取り長さと設定部で設定された糸の番手とに基づいて、パッケージの質量を算出してもよい。この場合、パッケージの質量を簡易かつ有効に算出することができる。
本発明のパッケージの制動制御装置では、イナーシャ把握部は、下記(1)式に基づいてイナーシャを算出してもよい。この場合、パッケージの制動制御に適したイナーシャを算出することができる。
I=(1/2)×m×r2 …(1)
I:イナーシャ、m:パッケージの質量、r:パッケージの半径。
I=(1/2)×m×r2 …(1)
I:イナーシャ、m:パッケージの質量、r:パッケージの半径。
本発明のパッケージの制動制御装置では、パッケージ駆動制御部は、パッケージの回転方向と逆向きの力がパッケージに付与されるようにパッケージ駆動部を制御することで、前記パッケージを制動停止させてもよい。この場合、パッケージを制動停止させるための別途の独立した減速機構(例えば、ブレーキドラム又はブレーキディスク等)が不要となる。
本発明のパッケージの制動制御装置では、パッケージ駆動制御部は、下記(2)式に基づいてパッケージ駆動部を駆動するための電圧制御値に関する最終制御量を算出し、算出した最終制御量に基づいてパッケージ駆動部の駆動を制御してもよい。この場合、パッケージをスムーズに駆動及び停止させることができる。
F0=F1+F2 …(2)
F0:前記最終制御量、F1:第1制御量、F2:第2制御量。
F0=F1+F2 …(2)
F0:前記最終制御量、F1:第1制御量、F2:第2制御量。
本発明のパッケージの制動制御装置では、パッケージ駆動制御部は、通常減速時には、第1制御量に0を設定して最終制御量を算出し、制動停止時には、第2制御量に0を設定して最終制御量を算出してもよい。この場合、パッケージをスムーズに通常減速及び制動停止させることができる。
本発明のパッケージの制動制御装置では、パッケージ駆動制御部は、パッケージが停止する直前における最終制御量の大きさをイナーシャに応じて異ならせてもよい。この場合、パッケージを停止させる際に、パッケージに付与されるブレーキ量が大きすぎてパッケージが逆回転してしまうのを防止することができる。また、本発明のパッケージの制動制御装置では、パッケージ駆動部は、DCブラシレスモータである場合がある。
本発明の糸巻取装置は、上記パッケージの制動制御装置と、パッケージに巻き取られる糸を供給する給糸部と、給糸部から供給された糸をパッケージに巻き取る巻取部と、を備える。
この糸巻取装置においても、上記パッケージの制動制御装置を備えているため、パッケージのイナーシャの大小に応じて適切にパッケージを停止させることができる。その結果、例えばパッケージを頻繁に停止させることがある場合、糸巻取装置の稼働効率を向上させることが可能となる。
本発明の糸巻取装置は、パッケージに巻き取られる糸をガイドした状態でパッケージ幅方向に往復駆動されることにより、当該糸をトラバースするトラバースガイドをさらに備えていてもよい。この場合、トラバースガイドのトラバース動作によりパッケージの形状を容易に変更できるために、ひいてはイナーシャが大きく変わりやすくなるために、パッケージのイナーシャの大小に応じて適切にパッケージを停止させるという上記作用効果は顕著となる。
本発明によれば、パッケージのイナーシャの大小に応じて適切にパッケージを停止させることできるパッケージの制動制御装置及び糸巻取装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示されるように、糸巻取装置(糸巻取ユニット)1は、巻取部10、トラバース装置20、糸案内部30及び給糸部40を備えている。糸巻取装置1は、給糸部40に保持された給糸ボビンB1の糸Yをトラバース装置20及び糸案内部30においてトラバース(綾振り)しながら、巻取部10に保持された巻取管T上に糸層を形成し、パッケージPを形成する。糸Yの走行方向は、給糸ボビンB1からパッケージPに向かう方向である。このような糸巻取装置1が複数台並設されることで、自動ワインダが構成されている。以下の説明では、巻取管T及びパッケージPを総称して巻取ボビンB2という場合がある。すなわち、糸層が形成されていない巻取ボビンB2が巻取管Tであり、糸層が形成された巻取ボビンB2がパッケージPである。
図2に示されるように、巻取部10は、クレードル11及び接触ローラ12を有しており、糸YをパッケージPに巻き取る。ここでのパッケージPは、両端の径が異なるコーン型(円錐型)の形状を有している。クレードル11には、ベアリング(図示せず)及び巻取ボビン駆動モータ(パッケージ駆動部)13が設けられている。クレードル11は、巻取管Tの両端を回転自在に把持するベアリングが交換されることで、異なる長さを有する巻取管Tを保持可能となっている。クレードル11は、揺動軸16を中心に揺動自在に構成されている。巻取ボビンB2に糸Yが巻き取られることで巻取ボビンB2の径が増大すると、揺動軸16を中心にクレードル11が揺動する。これにより、巻取ボビンB2の外周面と接触ローラ12の外周面との適度な接触が保たれる。
巻取ボビン駆動モータ13の駆動軸は、巻取ボビンB2をクレードル11のベアリングに把持させたときに、巻取ボビンB2と相対回転不能に連結される(いわゆるダイレクトドライブ方式)。これにより、巻取ボビン駆動モータ13は、糸Yが巻取ボビンB2に巻き取られるように巻取ボビンB2を直接的に回転させる。つまり、巻取ボビン駆動モータ13は、その駆動軸がパッケージPに相対回転不能に連結され、パッケージPを直接回転駆動する。
巻取ボビン駆動モータ13としては、DC(DIRECT CURRENT)ブラシレスモータが用いられている。巻取ボビン駆動モータ13は、コーン型のパッケージPの大径側に配置されて接続されている。これにより、巻取ボビン駆動モータ13では、伝達する力の効率が高められ、必要なモータトルクが低減される。なお、巻取ボビン駆動モータ13は、パッケージPの小径側に配置されて接続されていてもよい。
巻取ボビン駆動モータ13は、永久磁石で構成されたロータの磁極位置を検出するものとしてステータ側に配置された複数(ここでは3つ)の位置センサ91a,91b,91cを有している。これら3つの位置センサ91a,91b,91cは、ホールICから成り、ロータ位置に応じたロータ位置検出信号を後述のモータドライバ74に出力する。ロータ位置検出信号は、ロータ1回転で数パルス(ここでは8パルス)出力される。また、巻取ボビン駆動モータ13は、上記位置センサ91a,91b,91cとは別に、1つの回転センサ92を備えている。回転センサ92は、ロータの回転軸に設けられ、巻取ボビン駆動モータ13の回転速度に応じた回転検出信号を後述の回転速度把握部73x及びモータドライバ74に出力する。回転検出信号は、ロータ1回転で数十パルス(ここでは60パルス)出力される。巻取ボビン駆動モータ13としては、特に限定されるものではなく、種々のモータを用いることができ、例えばエンコーダ付サーボモータ等を適用してもよい。接触ローラ12は、トラバース装置20とは独立して設けられている。接触ローラ12は、パッケージPの外周面と接触して従動回転する。これにより、パッケージPに糸Yを好適に巻き取ることができる。
トラバース装置20は、トラバースアーム21、トラバースガイド22及びトラバースガイド駆動モータ23を有しており、糸Yの走行方向における巻取ボビンB2の上流側近傍に設けられている。トラバースガイド22は、パッケージPに巻き取られる糸Yと係合し、当該糸YをパッケージPに応じたトラバース幅でトラバースするトラバース動作を行う。トラバースガイド22は、開口部22aを有するフック状の部材であり、揺動自在に構成されたトラバースアーム21の先端に設けられている。トラバースガイド駆動モータ23は、例えばサーボモータであり、トラバースガイド22が往復移動するようにトラバースアーム21を揺動させる。つまり、トラバースガイド22は、パッケージPに巻き取られる糸Yをガイドした状態でパッケージ幅方向に往復駆動されることにより、当該糸Yをトラバースする。なお、トラバースガイド駆動モータ23として、ステップモータ等を用いてもよい。また、トラバースガイド22のトラバース幅は、高い自由度で適宜に変更可能である。これにより、多様な幅で多様な質量のパッケージPを容易に形成することができる。
糸案内部30は、主案内プレート31、第1補助案内プレート32及び第2補助案内プレート33を有しており、糸Yの走行方向におけるトラバースガイド22の上流側近傍に設けられている。主案内プレート31は、糸Yをトラバース方向に案内する部材である。第1補助案内プレート32及び第2補助案内プレート33は、後述する上糸捕捉案内装置60によって案内される糸Yをトラバース領域(主案内プレート31と第1補助案内プレート32及び第2補助案内プレート33との間における主案内プレート31上の領域)に案内する。糸Yの走行方向における主案内プレート31の上流側には、トラバース装置20によってトラバースされる糸Yの綾振支点となるガイド34が設けられている。
図1に示されるように、給糸部40と巻取部10との間の糸走行経路上には、給糸部40側から順に、テンション付与装置2、糸継装置3及びヤーンクリアラ(糸欠陥検出装置)4が設けられている。テンション付与装置2は、糸Yに適切なテンションを付与する。ヤーンクリアラ4は、糸Yの太さを検出することにより、スラブ等の糸欠陥を検出する。ヤーンクリアラ4には、例えば糸欠陥を検出した場合に糸Yを切断するためのカッタが設けられている。なお、ヤーンクリアラ4は、糸Yに含まれる異物の有無を検出する場合もある。
糸継装置3は、例えば、ヤーンクリアラ4による糸Yの切断時又は給糸ボビンB1からの糸Yの糸切れ時等に、給糸ボビンB1側の下糸と巻取ボビンB2側の上糸とを継ぐ糸継動作を行う。このとき、給糸ボビンB1側の下糸は、下糸捕捉案内装置50によって糸継装置3に案内される。一方、巻取ボビンB2側の上糸は、上糸捕捉案内装置60によって糸継装置3に案内される。
下糸捕捉案内装置50は、給糸ボビンB1側の下糸を吸引捕捉して糸継装置3に案内する下糸捕捉案内動作を行う。下糸捕捉案内装置50は、パイプ状に構成されており、機台高さ方向において、軸51を中心に上下回動可能となっている。下糸捕捉案内装置50の先端部には、糸吸引口52が設けられている。
上糸捕捉案内装置60は、巻取ボビンB2側の上糸(巻取ボビンB2に巻き取られた糸Y)を吸引捕捉して糸継装置3に案内する上糸捕捉案内動作を行う。上糸捕捉案内装置60は、パイプ状に構成されており、機台高さ方向において、軸61を中心に上下回動可能となっている。上糸捕捉案内装置60の先端部には、糸吸引口62が設けられている。下糸捕捉案内装置50及び上糸捕捉案内装置60には、負圧源(図示せず)が接続されている。これにより、糸吸引口52及び糸吸引口62に、それぞれ、下糸及び上糸を捕捉するための吸引作用が生じさせられる。なお、上糸捕捉案内装置60の糸吸引口62は、上糸捕捉案内装置60が上側に回動して糸吸引口62がパッケージPの近傍に位置した際に、パッケージPの外周面全体に吸引作用を生じさせることができるように、巻取ボビンB2の中心線方向に沿って延在した形状を有している。
また、本実施形態の糸巻取装置1は、回転するパッケージPを制動するためのものとして、パッケージの制動制御装置70(単に「制動制御装置70」ともいう)を備えている。制動制御装置70は、上述の巻取ボビン駆動モータ13、光電式定長装置(糸速測定部,糸長測定部)71、設定部72、ユニット制御部73、及びモータドライバ(パッケージ駆動制御部)74を含んで構成されている。
光電式定長装置71は、非接触の光電式の定長装置であって、巻き取る糸Yの速度(走行速度)である糸速を糸Yに触れることなく検出する。具体的には、光電式定長装置71は、糸Yを受光素子上に投影し、その投影された糸Yが走行する際に生じる光電流の変化をいわゆる空間フィルタ原理を用いて処理することにより、糸Yの糸速を検出する。また、光電式定長装置71は、検出した糸Yの糸速を換算することにより、巻き取った糸Yの巻取り長さ(糸長)を検出する。光電式定長装置71は、糸継装置3とヤーンクリアラ4との間の糸走行経路上に設けられている。光電式定長装置71は、ユニット制御部73に接続され、検出したモニタ値である糸Yの糸速及び巻取り長さをユニット制御部73へ送信する。このような光電式定長装置71では、糸Yの糸速を高精度で検出できることから、糸速を換算することで巻取り長さを好適に求めることができる。
設定部72は、オペレータが所定の設定値を入力することで、各糸巻取装置1に対する各種設定を行う。ここでの設定部72は、少なくとも、巻き取られる糸Yの番手を設定する。設定される番手には、糸Yの糸種も反映されている。すなわち、例えば綿番手、毛番手、麻番手等、糸種に応じて単位系が異なる番手種類のうち、任意の番手種類の番手数(例えば綿番手40番)をオペレータが設定部72で設定できるようになっている。設定部72としては、例えば、機台の運転条件の設定入力等の操作や、機台効率や糸品質管理等の生産状況のモニタを行うためのタッチパネル式の設定管理装置(ビジュアルオンデマンドシステム)を採用することができる。設定部72は、機台制御装置80に設けられている。設定部72は、ユニット制御部73に接続されており、設定した糸Yの番手に関する情報をユニット制御部73へ送信(出力)する。
ユニット制御部73は、回転速度把握部73xと、イナーシャ把握部73yと、目標制御量設定部73zと、記憶部73mと、を有している。
記憶部73mには、通常減速制御に用いる減速時間と、通常減速制御から制動停止制御へと切り替える閾値として用いる巻取ボビン駆動モータ13の回転速度(制動開始回転速度)と、が予め記憶されている。この巻取ボビン駆動モータ13の制動開始回転速度は、図4に示すパッケージPの回転速度N2に対応している。記憶部73mに記憶されている減速時間や回転速度N2は、モータドライバ74に送信される。
ここで、「通常減速」とは、減速開始から巻取ボビン駆動モータ13の回転速度が所定回転速度(制動開始回転速度)となるまでの減速であって、制動停止に先立って実施される。具体的には、図4に示すt2〜t3の期間に行われる減速である。また、「制動停止」とは、巻取ボビン駆動モータ13の回転速度が所定回転速度(制動開始回転速度)以下のときにおけるパッケージPへのブレーキ力(制動力)付与による停止であって、通常減速の後に実施される。具体的には、図4に示すt3以降の期間に行われる制動による停止である。
回転速度把握部73xは、巻取ボビン駆動モータ13の現在の回転速度(実回転速度)を把握する。具体的には、回転速度把握部73xは、回転センサ92から出力された検出信号の時間間隔に基づいて、巻取ボビン駆動モータ13の実回転速度を算出し、当該巻取ボビン駆動モータ13の実回転速度からパッケージPの回転速度を算出する。回転速度把握部73xは、算出したパッケージPの回転速度をイナーシャ把握部73yへ出力する。
イナーシャ把握部73yは、後述するような停止要求がある毎に、パッケージPの慣性モーメントであるイナーシャを算出して把握する。具体的には、イナーシャ把握部73yは、次の処理を実行する。すなわち、光電式定長装置71で測定された糸Yの糸速と回転速度把握部73xで算出されたパッケージPの回転速度とに基づいて、パッケージPの径を算出する。なお、トラバースガイド駆動モータ23のモータドライバがパッケージPの径を算出してもよい。具体的には、トラバース速度と糸速とからまず綾角を算出し、次いで、綾角と糸速とに基づいてパッケージPの周速を算出し、パッケージPの周速とパッケージPの回転速度とに基づいてパッケージPの径を算出してもよい。
なお、パッケージPには、例えばコーン型や、両端の径が同一であるチーズ型(直円柱型)等が存在することから、同じパッケージP内においても、パッケージPの形状によっては、径が軸方向位置で変化する。そのため、イナーシャ把握部73yは、パッケージPの形状に応じたパッケージPの径を算出する。本実施形態では、パッケージPがコーン型であるところ、トラバース装置20で綾振りされる糸Yの平均糸速が光電式定長装置71によって測定されるため、パッケージPにおける軸方向の中央径がパッケージPの径として算出される。
イナーシャ把握部73yは、光電式定長装置71で測定された糸の巻取り長さと設定部72で設定された糸Yの番手とに基づいて、パッケージPの質量を算出する。そして、イナーシャ把握部73yは、算出したパッケージPの径及び質量に基づいて、パッケージPの慣性モーメントであるイナーシャを算出する。ここでは、下記(1A)式に基づいてイナーシャを算出する。
I=(1/2)×m×r2 …(1A)
I:イナーシャ、m:パッケージの質量、r:パッケージの半径。
I=(1/2)×m×r2 …(1A)
I:イナーシャ、m:パッケージの質量、r:パッケージの半径。
イナーシャ把握部73yは、算出したイナーシャの実値を、複数(例えば0〜255の256区分)に区分けされた擬似イナーシャ値に換算し、当該疑似イナーシャ値をモータドライバ74に出力する。
目標制御量設定部73zは、制御期間に応じて、巻取ボビン駆動モータ13の目標回転速度を設定する。加速時〜定速時(図4に示す0〜t2の期間)には、最適な形状のパッケージPを作成できる値に目標回転速度が設定される。目標制御量設定部73zは、例えば設定部72に入力された糸速に対応したパッケージPの回転速度となるように、巻取ボビン駆動モータ13の目標回転速度を設定する。減速時には、目標回転速度として例えばゼロが設定される。減速時間については、前述のように記憶部73mに予め適切な値が記憶されている。
なお、ユニット制御部73には、糸巻取装置1の各部(巻取部10、トラバース装置20、下糸捕捉案内装置50、上糸捕捉案内装置60、テンション付与装置2、糸継装置3及びヤーンクリアラ4等)が接続されている。ユニット制御部73は、糸巻取装置1の各部の動作を制御する。ユニット制御部73は、自動ワインダを構成する複数の糸巻取装置1を統括して制御する統括制御部75に接続されている。統括制御部75は、設定部72と同様に、機台制御装置80に設けられている。
モータドライバ74は、巻取ボビン駆動モータ13の駆動を制御するものであり、巻取ボビン駆動モータ13及びユニット制御部73に接続されている。モータドライバ74は、ユニット制御部73から運転指令(加速指令)と目標回転速度と加速時間とが入力されることで、巻取ボビン駆動モータ13の加速制御を開始する。また、モータドライバ74は、ユニット制御部73から運転指令(停止指令)と目標回転速度と減速時間とイナーシャ情報とが入力されることで、巻取ボビン駆動モータ13の減速制御を開始する。モータドライバ74は、巻取ボビン駆動モータ13のステータのコイル(U,V,Wの3相のコイル)に印加する電圧の値を、PWM(パルス幅変調)のデューティ比の調整によって可変し、巻取ボビン駆動モータ13に流れる電流の値(モータ電流値)を変化させている。
モータドライバ74は、下記(2A)式に基づいて、巻取ボビン駆動モータ13を駆動するための電圧制御値に関する最終制御量F0を算出する。
F0=F1+F2 …(2A)
F0:最終制御量、F1:第1制御量、F2:第2制御量。
F0=F1+F2 …(2A)
F0:最終制御量、F1:第1制御量、F2:第2制御量。
モータドライバ74は、算出した最終制御量F0に基づき巻取ボビン駆動モータ13の駆動を制御する。具体的には、モータドライバ74は、算出した最終制御量F0を、コイルに印加する電圧のデューティ比に変換する。次いで、モータドライバ74は、デューティ比を示すスイッチング信号を、位置センサ91a,91b,91cから入力されるロータ位置信号によってタイミングを計って巻取ボビン駆動モータ13に出力する。巻取ボビン駆動モータ13は、各コイルの印加電圧に応じた電流が流れることで、適宜の回転速度で回転する。
モータドライバ74は、制動停止時を除く定常運転時において、第1制御量F1を0とした上で最終制御量F0を算出する、すなわち、通常減速時においては第2制御量F2のみを最終制御量F0として用いる。一方、モータドライバ74は、制動停止時において、第2制御量F2を0とした上で最終制御量F0を算出する。すなわち、制動停止時においては第1制御量F1のみを最終制御量F0として用いる。
第1制御量(制動制御量)F1は、パッケージPのイナーシャに応じて算出されたブレーキ量に基づいて算出される制御量である。モータドライバ74は、制動停止時には、自身の記憶部に予め格納されたブレーキ量テーブルZを用いて、イナーシャ把握部73yから入力された疑似イナーシャ値に応じてブレーキ量を算出する。ブレーキ量テーブルZは、イナーシャからブレーキ量を算出するためのテーブルである。ブレーキ量テーブルZは、前述の擬似イナーシャ値とブレーキ量とを対応付けてテーブル化している。これによって、モータドライバ74は、パッケージPが停止するためのブレーキ量をイナーシャの大小に応じて異ならせることができる。なお、ここでのブレーキ量テーブルZは疑似イナーシャ値とブレーキ量とを対応づけているが、イナーシャ把握部73yが算出したイナーシャの実値とブレーキ量とを対応づけたテーブルであってもよい。この場合、イナーシャ把握部73yは、算出したイナーシャの実値をそのままモータドライバ74に出力する。
モータドライバ74は、巻取ボビン駆動モータ13の実回転速度が停止したら、制動制御を停止する。モータドライバ74は、位置センサ91a,91b,91c及び/又は回転センサ92から出力された検出信号の時間間隔に基づいて、巻取ボビン駆動モータ13が停止したことを把握する。例えば、モータドライバ74は、位置センサ91a,91b,91c及び/又は回転センサ92の検出信号を所定時間を超えても受信できなかった場合、巻取ボビン駆動モータ13は停止したと認定する。
第2制御量(定常制御量)F2は、回転速度把握部73xから入力された実回転速度と目標制御量設定部73zから入力された目標回転速度との偏差に基づいて算出される制御量である。モータドライバ74は、実回転速度と目標回転速度との偏差がゼロになるように第2制御量F2を算出する。なお、第2制御量F2を算出する際にもイナーシャ情報を用いてもよい。
次に、糸巻取装置1におけるパッケージPの駆動制御の一例について説明する。
図4に示されるように、まず、モータドライバ74からの出力電圧に応じて巻取ボビン駆動モータ13の電流値が上昇され、これにより、停止状態のパッケージPが始動してその回転速度が上昇される。そして、パッケージPの回転速度が目標回転速度N1に達したとき(時間=t1)、パッケージPの回転速度が目標回転速度N1を維持するように、モータ電流値が制御される。
ここで、例えばクリアラによる欠陥除去時、オペレータによる停止操作実行時、パッケージPの満巻時、何らかのアラームの作動時、又は停電時等のパッケージPの停止要求がある時において(時間=t2)、次のパッケージPの制動制御が実施される。すなわち、ユニット制御部73からモータドライバ74へ、停止指令、目標回転速度(ここでは、ゼロの値)、イナーシャ情報、減速時間が出力される。そして、モータドライバ74により、上記(2A)式において、第1制御量F1に0が設定されると共に、パッケージPの実回転速度と目標回転速度との偏差に応じて第2制御量F2が設定されて、通常減速に係る最終制御量F0が算出される。次いで、当該最終制御量F0に基づく電圧がモータドライバ74から巻取ボビン駆動モータ13へ印加され、パッケージPが減速される。
例えば図4に示す一例では、通常減速時、目標回転速度プロファイルに追従するように出力電圧を変化させ、パッケージPの回転速度が直線的に低下される。このとき、パッケージPの回転方向と逆向きの力がパッケージPに付与されるように巻取ボビン駆動モータ13が制御され、パッケージPが定常減速されている。なお、図4の例ではパッケージPに逆向きの力が付与されているが、ケースによっては、逆向きの力までは付与されない。
続いて、パッケージPの回転速度が所定回転速度N2まで低下したとき、すなわち、巻取ボビン駆動モータ13の回転速度が制動開始回転速度N2まで低下したとき(時間=t3)、モータドライバ74により、上記(2A)式において、第2制御量F2に0が設定されると共に第1制御量F1が算出されて、制動停止に係る最終制御量F0が算出される。モータドライバ74は、当該最終制御量F0に基づいて巻取ボビン駆動モータ13に流れる電流を調整し、これにより、パッケージPが停止される。
具体的には、パッケージPの停止要求がある毎に、イナーシャ把握部73yにおいてリアルタイムでイナーシャが算出され、イナーシャ情報がモータドライバ74に送信される。イナーシャの算出では、光電式定長装置71で測定された糸Yの糸速と回転速度把握部73xで測定された回転速度とに基づいて、パッケージPの径が算出される。これと共に、光電式定長装置71で測定された糸Yの巻取り長さと設定部72で設定された糸Yの番手とに基づいて、パッケージPの質量が算出される。そして、算出されたパッケージPの径及び質量に基づいて、上記(1A)式によりイナーシャが算出される。
続いて、モータドライバ74において、イナーシャ把握部73yから送信(入力)されたイナーシャ情報に基づいて、ブレーキ量が算出される。ここでは、イナーシャの実値が擬似イナーシャ値に割り当てられ、図3に示されるブレーキ量テーブルZに基づいて、当該擬似イナーシャ値に対応するブレーキ量が求められる。モータドライバ74では、このブレーキ量に対応する第1制御量F1が算出される。そして、第2制御量F2を働かせないために第2制御量F2に0が設定されることにより、最終制御量F0が算出され、この最終制御量F0でもって巻取ボビン駆動モータ13が制御され、パッケージPが減速停止される。
これにより、パッケージPが停止する直前において、最終制御量F0の大きさがイナーシャに応じて異なることなる。例えば図4に示されるように、イナーシャが小さい場合における最終制御量F0の大きさ(図中の線分X1と横の時間軸と縦の電流値の軸とで囲まれる三角形の面積)が、イナーシャが大きい場合における最終制御量F0の大きさ(図中の線分X2と横の時間軸と縦の電流値の軸とで囲まれる三角形の面積)よりも小さくされる。その結果、パッケージPのイナーシャの大小に応じてブレーキ量が変化され、ブレーキ量の過不足がなく、パッケージPがぴたりと停止される。図示する例では、イナーシャが小さい場合におけるパッケージPの回転速度K1は、イナーシャが大きい場合におけるパッケージPの回転速度K2に対して先だって(早い時点で)0となる。
以上、本実施形態の制動制御装置70及び糸巻取装置1によれば、パッケージPの径と質量との双方に基づきイナーシャが算出され、このイナーシャに基づきパッケージPが制動停止される。これにより、パッケージPのイナーシャの大小に応じて適切にパッケージPを停止させることができる。例えば、3kg以上で直径250mm以上の大玉のパッケージPについても、制動停止時にブレーキ量が大きすぎてパッケージPが逆回転してしまうことなく、短時間でぴたりと停止させることが可能となる。その結果、大容量モータを巻取ボビン駆動モータ13として用いる必要がなく(換言すると、低容量モータを巻取ボビン駆動モータ13として用いることができ)、ひいては、低負荷時に効率が悪化するという大容量モータのデメリットを回避することが可能となる。その結果、糸巻取装置1の稼働効率を向上させることが可能となる。
ところで、巻取ボビン駆動モータ13でパッケージPを直接駆動させる場合、パッケージPを間接回転駆動する場合に比べ、パッケージPの大小に伴うイナーシャの影響を巻取ボビン駆動モータ13が受けやすい。これは、パッケージPを間接回転駆動させる場合、巻取ボビン駆動モータ13は巻取ボビンB2の表面に接触させられたドラム(回転ドラム)を介してパッケージPを従動回転させることから、当該ドラムは径が変化せず、パッケージPに及ぶイナーシャの大小の影響が少ないためである。また、パッケージPを間接回転駆動させる場合、当該ドラムをパッケージPから離隔させ、別の減速機構(ブレーキドラム又はブレーキディスク等)で減速させることからも、パッケージPに及ぶイナーシャの大小の影響が少ないためである。よって、パッケージPを直接回転駆動させる本実施形態では、パッケージPのイナーシャの大小に応じて適切にパッケージPを停止できる上記作用効果は顕著となる。
本実施形態では、イナーシャ把握部73yにおいて、光電式定長装置71で測定された糸Yの糸速と回転速度把握部73xで測定された回転速度とに基づいて、パッケージPの径が算出される。この場合、パッケージPの径を簡易かつ有効に算出することができる。また、イナーシャ把握部73yにおいて、光電式定長装置71で測定された糸Yの巻取り長さと設定部72で設定された糸Yの番手とに基づいて、パッケージPの質量が算出される。この場合、パッケージPの質量を簡易かつ有効に算出することができる。また、イナーシャ把握部73yにおいて、上記(1A)式に基づいてイナーシャが算出される。この場合、パッケージPの制動制御に適したイナーシャを算出することができる。
本実施形態では、モータドライバ74により、パッケージPの回転方向と逆向きの力がパッケージPに付与されるように巻取ボビン駆動モータ13が制御され、パッケージPが制動停止させられる。この場合、パッケージPを制動停止させるための別途に独立した減速機構が不要となる。また、高速回転する大径・大質量のパッケージPを停止させる際に、特に有効となる。
本実施形態では、モータドライバ74において、上記(2A)式に基づいて最終制御量F0が算出され、算出された最終制御量F0に基づいて巻取ボビン駆動モータ13の駆動が制御される。この場合、パッケージPをスムーズに駆動及び停止させることができる。
本実施形態では、モータドライバ74において、通常減速時には、第1制御量F1に0が設定されて最終制御量F0が算出され、制動停止時には、第2制御量F2に0が設定されて最終制御量F0が算出される。これにより、パッケージPをスムーズに通常減速及び制動停止させることができる。
本実施形態では、モータドライバ74により、パッケージPが停止する直前における最終制御量F0の大きさがイナーシャに応じて異なっている。これにより、パッケージPを停止させる際に、ブレーキ量が大きすぎてパッケージPが逆回転してしまうのを防止できる。
ちなみに、本実施形態のように、巻取ボビン駆動モータ13としてDCブラシレスモータが適用され、そのホールICから成る位置センサからの検出信号に基づき巻取ボビン駆動モータ13の回転速度が把握される場合、分解能が粗いことから、低回転領域にて回転速度の検出精度が低くなる傾向がある。よってこの場合、低回転領域であるパッケージPの制動停止時、検出した回転速度に応じた第2制御量F2のみで巻取ボビン駆動モータ13の制御を行うと、回転速度の検出精度の低下に起因して、パッケージPの停止性能が悪化することがある。この点、本実施形態では、低回転領域であるパッケージPの制動停止時、パッケージPの回転速度に応じた第2制御量F2のみで巻取ボビン駆動モータ13を制御するのではなく、イナーシャに応じた第1制御量F1を含む最終制御量F0で巻取ボビン駆動モータ13を制御できる。したがって、巻取ボビン駆動モータ13にDCブラシレスモータを適用した場合でも、回転速度の検出精度低下によるパッケージPの停止性能の悪化を抑制でき、パッケージPを適切に停止させることが可能となる。
本実施形態の糸巻取装置1では、パッケージPを頻繁に停止させることがある場合、パッケージPの大小に応じて適切にパッケージPを停止させることができることから、稼働効率を向上させることができる。
本実施形態の糸巻取装置1においては、トラバースガイド22のトラバース動作により、パッケージPの形状が適宜に変更され、ひいてはイナーシャが変動されやすいところ、パッケージPのイナーシャの大小に応じて適切にパッケージを停止させるという上記作用効果は顕著となる。
なお、コーン型のパッケージPの場合、このパッケージPの径として最大径又は最小径を算出すると、パッケージPの径を実際よりも大きく又は小さく見積もってしまうことが懸念される。この点、本実施形態では、コーン型のパッケージPの径として中央径が算出されるため、パッケージPの径を適切に把握することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、巻取ボビン駆動モータ13によってパッケージPを直接回転駆動させたが、パッケージPを間接回転駆動させてもよい。パッケージPの形状は特に限定されるものではなく、コーン型に代えてチーズ型等であってもよい。
上記実施形態では、モータドライバ74の機能をユニット制御部73により実行してもよい。この場合、モータドライバ74は不要となる。また、ユニット制御部73の回転速度把握部73x,イナーシャ把握部73y,目標制御量設定部73zに係る機能をモータドライバ74により実行し、ユニット制御部73の記憶部73mに記憶されている情報(例えば、加減速時間等の巻取ボビン駆動モータ13の制御に必要な情報)をモータドライバ74の記憶部に記憶してもよい。この場合、モータドライバ74内で制動停止制御を完結でき、制御処理速度を高めることができる。上記実施形態では、パッケージPの径として中央径を算出したが、最大径又は最小径を算出してもよい。
上記実施形態では、光電式定長装置71により糸Yの巻取り長さを検出したが、糸Yの巻取り長さを測定する糸長測定部は特に限定されるものではない。例えば、パッケージが直接駆動される場合、パッケージPに接触して従動回転する接触ドラムの1回転毎のパルス(ドラムパルス)を検出するセンサを備え、ユニット制御部73により当該パルス数をカウントすることにより巻取り長さを算出してもよい。また、パッケージが間接駆動される場合、回転駆動される綾振ドラムの1回転毎のパルスを検出するセンサを備え、ユニット制御部73により当該パルス数をカウントすることにより巻取り長さを算出してもよい。
上記実施形態では、例えばクレードル11に設けられた回転速度センサにより、パッケージPの回転速度を測定し、測定したパッケージPの回転速度から巻取ボビン駆動モータ13の実回転速度を算出してもよい。また、例えば糸Yの糸種及び巻取り長さに基づいて、パッケージPの質量を算出してもよい。また、クレードル11の回転角を検出する角度センサを設け、クレードルの回転角に基づいてパッケージPの径を算出してもよい。要は、上記実施形態では、パッケージPの径とパッケージPの質量とを別々に算出した上で、当該径及び質量に基づいてイナーシャを算出することができる。
上記実施形態では、糸巻取装置1が自動ワインダを構成するものであったが、エアジェット精紡機、オープンエンド精紡機等の他の糸巻取装置に本発明を適用することも可能である。
1…糸巻取装置、10…巻取部、13…巻取ボビン駆動モータ(パッケージ駆動部)、22…トラバースガイド、40…給糸部、70…パッケージの制動制御装置、71…光電式定長装置(糸速測定部,糸長測定部)、72…設定部、73x…回転速度把握部、73y…イナーシャ把握部、74…モータドライバ(パッケージ駆動制御部)、P…パッケージ。
Claims (12)
- パッケージを回転駆動するパッケージ駆動部と、
前記パッケージ駆動部を制御するパッケージ駆動制御部と、
前記パッケージの径及び質量に基づいてイナーシャを算出し、算出した前記イナーシャの情報を前記パッケージ駆動制御部に出力するイナーシャ把握部と、を備え、
前記パッケージ駆動制御部は、前記イナーシャ把握部から入力された前記イナーシャの情報に基づいて前記パッケージを制動停止させる、パッケージの制動制御装置。 - 前記パッケージ駆動部は、前記パッケージを直接回転駆動する、請求項1に記載のパッケージの制動制御装置。
- 前記パッケージに巻き取られる糸の速度を測定する糸速測定部と、
前記パッケージの回転速度を把握する回転速度把握部と、を備え、
前記イナーシャ把握部は、前記糸速測定部で測定された前記糸の速度と前記回転速度把握部で測定された回転速度とに基づいて、前記パッケージの径を算出する、請求項1又は2に記載のパッケージの制動制御装置。 - 前記パッケージに巻き取られた糸の巻取り長さを測定する糸長測定部と、
前記糸の番手を設定する設定部と、を備え、
前記イナーシャ把握部は、前記糸長測定部で測定された前記糸の巻取り長さと前記設定部で設定された前記糸の番手とに基づいて、前記パッケージの質量を算出する、請求項1〜3の何れか一項に記載のパッケージの制動制御装置。 - 前記イナーシャ把握部は、下記(1)式に基づいて前記イナーシャを算出する、請求項1〜4の何れか一項に記載のパッケージの制動制御装置。
I=(1/2)×m×r2 …(1)
I:前記イナーシャ、m:前記パッケージの質量、r:前記パッケージの半径。 - 前記パッケージ駆動制御部は、前記パッケージの回転方向と逆向きの力が前記パッケージに付与されるように前記パッケージ駆動部を制御することで、前記パッケージを制動停止させる、請求項1〜5の何れか一項に記載のパッケージの制動制御装置。
- 前記パッケージ駆動制御部は、下記(2)式に基づいて前記パッケージ駆動部を駆動するための電圧制御値に関する最終制御量を算出し、算出した前記最終制御量に基づいて前記パッケージ駆動部の駆動を制御する、請求項6に記載のパッケージの制動制御装置。
F0=F1+F2 …(2)
F0:前記最終制御量、F1:第1制御量、F2:第2制御量。 - 前記パッケージ駆動制御部は、
通常減速時には、前記第1制御量に0を設定して前記最終制御量を算出し、
制動停止時には、前記第2制御量に0を設定して前記最終制御量を算出する、請求項7に記載のパッケージの制動制御装置。 - 前記パッケージ駆動制御部は、前記パッケージが停止する直前における前記最終制御量の大きさを前記イナーシャに応じて異ならせる、請求項7又は8に記載のパッケージの制動制御装置。
- 前記パッケージ駆動部は、DCブラシレスモータである、請求項1〜8の何れか一項に記載のパッケージの制動制御装置。
- 請求項1〜10の何れか一項に記載のパッケージの制動制御装置と、
前記パッケージに巻き取られる糸を供給する給糸部と、
前記給糸部から供給された糸を前記パッケージに巻き取る巻取部と、を備える、糸巻取装置。 - 前記パッケージに巻き取られる糸をガイドした状態でパッケージ幅方向に往復駆動されることにより、当該糸をトラバースするトラバースガイドをさらに備える、請求項11記載の糸巻取装置。
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JP2014091675A JP2015209305A (ja) | 2014-04-25 | 2014-04-25 | パッケージの制動制御装置及び糸巻取装置 |
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WO2019035293A1 (ja) * | 2017-08-16 | 2019-02-21 | 村田機械株式会社 | 糸巻取ユニット |
-
2014
- 2014-04-25 JP JP2014091675A patent/JP2015209305A/ja active Pending
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CN111032549A (zh) * | 2017-08-16 | 2020-04-17 | 村田机械株式会社 | 纱线卷绕单元 |
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