JP2015208831A - 携帯型帯鋸盤 - Google Patents

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Yasuyuki Suzuki
康之 鈴木
五史 小川
Itsufumi Ogawa
五史 小川
正 金澤
Tadashi Kanazawa
正 金澤
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Abstract

【課題】本体サイズに対応する標準的な切断寸法を拡大できる携帯型帯鋸盤を提供する。【解決手段】モータと、駆動鋸車2と従動鋸車3をハウジングに回転可能に支持する第1及び第2の鋸車ベース4、5と、帯鋸10と、帯鋸を挟持案内する帯鋸ガイド38、48と、被切断材を案内するガイドプレート31を有する携帯型帯鋸盤において、開口部8を横に大きく形成すると共に、2つの帯鋸ガイド間の距離を調整可能な構造とした。帯鋸ガイド38は、ガイドプレート31と共に取付アーム34によって固定され、矢印41の方向に移動可能とされる。この際ガイドプレートは切断方向にも可動とされる。被切断材料の大きさに対応して2組の帯鋸ガイド38、48の間隔を調整することで切断精度が向上し、帯鋸に加わる曲げ応力、ネジリ応力を小さくして帯鋸の寿命を向上できる。【選択図】図1

Description

本発明は、材料を鋸車に張架された帯鋸により切断等の加工を行う帯鋸盤に関し、特に、携帯可能な小型の帯鋸盤において大きめの被切断材を切断できるようにしたものである。
特許文献1に示すような携帯型の帯鋸盤が広く用いられている。従来の携帯型帯鋸盤101は、図示しない給電用の電源コードにより給電される交流電力によって駆動される。給電がなされた状態で、作業者がスイッチ112を操作すると、ハウジング106内に配置されたモータ14が回転する。ハウジング106の一端部(鋸車ベース104)には駆動鋸車102が設けられ、ハウジング106の他端部(鋸車ベース105)には従動鋸車103が設けられる。モータ14は、図示しない回転伝達機構によって駆動鋸車102を回転させる。回転駆動される駆動鋸車102は、その回転力を帯鋸10に伝達し、帯鋸10を周回移動させる。従動鋸車103は、周回移動する帯鋸10によって従動的に回転する。駆動鋸車102及び従動鋸車103は円形の滑車であり、それらの間に張架されるエンドレスの帯鋸(バンドソー)10を回転させることにより鉄パイプ等の被切断材200を切断する。ハウジング106の中央部には、図10の方向から見たときに略長方形の開口部108が形成され、開口部108の左右両側には、帯鋸10を案内するための帯鋸ガイド138、148が設けられる。ハウジング106の右側の一端部にはハンドル部113が設けられ、上方左側付近(他端部)には、帯鋸10の切断方向と略垂直方向に延びる補助ハンドル115が設けられる。
携帯型帯鋸盤101によって切断作業を行う場合は、一方の手でハンドル部113を把持して、他方の手で補助ハンドル115を把持して携帯型帯鋸盤101を被切断材200の上側に移動させ、帯鋸10の面方向が、切断予定面と一致するように位置づける。そして作業者はスイッチ112を押すことにより、帯鋸10を回転方向に回転させ、この状態にて携帯型帯鋸盤101を被切断材200に向けて下方に移動させる。この際、帯鋸10の面方向が鉄パイプ等の被切断材200と正しい角度(鉄パイプならその長手方向と垂直方向)に位置させながら携帯型帯鋸盤101を移動させることが重要である。この切断の際には帯鋸10の回転によって被切断材200に対して携帯型帯鋸盤101を回転方向に移動させる力が加わるため、被切断材200が押される側にガイドプレート131を設けることによって、作業者は携帯型帯鋸盤101を被切断材200側(反回転方向側)に押さえることができ、切断予定面にて切断できる。
特開2004−345041号公報
携帯型帯鋸盤は、本体を作業者が完全に持ち上げた状態で作業を行うために軽量に構成することが重要である。携帯型帯鋸盤ではACコードによって電源を供給するタイプだけでなく、着脱可能なバッテリパックを用いたコードレス式とする場合もあり、その場合は本体に加えてバッテリパックの重量が加わるために、本体機器の一層の軽量化が望まれている。その要求を満たすためには、モータ、駆動鋸車、従動鋸車を小さくする必要があり、使用できる帯鋸のサイズも必然的に小さいものとなってしまい、切断可能幅が狭くなる。
このように携帯型の帯鋸盤の場合、軽量かつコンパクトの要求を満たすために鋸車径をできるだけ小さくし、帯鋸ガイドと鋸車の間隔を小さめに設計することが多いが、その場合は帯鋸ガイド付近における帯鋸に加わる曲げ応力・ネジリ応力が高くなる傾向にある。この曲げ応力・ネジリ応力は、繰り返し受けることにより帯鋸が破断する原因となるため、曲げを加える度合いが大きいと帯鋸の寿命が著しく低下する原因となる。発明者らの実験によると、無負荷運転時と作業時の曲げ応力・ネジリ応力の繰り返しにより、帯鋸が約15〜36分程度の短時間で破断することもあった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、軽量かつコンパクトで長寿命な携帯型帯鋸盤を提供することにある。
本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。
本発明の一つの特徴によれば、第1の鋸車(例えば駆動鋸車)と第2の鋸車(例えば従動鋸車)と、第1の鋸車を回転させるモータと、該第1及び第2の鋸車をハウジングの両端に回転可能に支持する第1及び第2の鋸車ベースと、第1及び第2の鋸車の外周間に張架された帯鋸と、帯鋸を挟持案内する第1及び第2の帯鋸ガイドと、第1の鋸車ベース側に設けられ、被切断材を案内するガイドプレートと、を有する携帯型帯鋸盤において、第1の鋸車ベースに、ガイドプレートと第1の帯鋸ガイドを保持する第1の可動アームを、帯鋸の走行方向と平行に移動可能なように固定した。このようにガイドプレートと第1の帯鋸ガイドの鋸車に対する位置を調整できるようにしたので、通常はガイドプレートを第1の鋸車から離間させ、第1の鋸車と帯鋸ガイドとの距離を拡大させる状態で作業をし、ガイドプレートを第1の鋸車に接近させれば、通常位置では切断できない大きい被切断材を切断することができる。このため、被切断材の大きさに合わせてガイドプレートを最適な位置に調整することができ、小さな被切断材を切断する際には鋸車と帯鋸ガイド問の間隔を十分確保して、帯鋸に働くねじり応力を低く抑え、帯鋸の寿命を向上させることができる軽量かつコンパクトな携帯型帯鋸盤を実現できる。
本発明の他の特徴によれば、第2の鋸車ベースに、第2の帯鋸ガイドを保持する第2の可動アームを帯鋸の走行方向と平行方向に移動可能なように固定し、第1と第2の帯鋸ガイド間の距離を調整可能とした。これにより、切断可能な被切断材の大きさを大きくすることができると共に、小さな被切断材を切断する際に鋸車と帯鋸ガイド問の間隔を十分確保して、帯鋸に働くねじり応力を更に低く抑え、帯鋸の長寿命化を図ることができる。
本発明のさらに他の特徴によれば、第1の可動アームにガイドプレート取付部が設けられ、ガイドプレートはガイドプレート取付部に形成された長溝部に沿って摺動可能である。これによりガイドプレートの切断方向位置は、大きさの異なる被切断材に対応可能である。また、第1の可動アームは第1の鋸車ベースに形成された長穴にボルト締めされ、第2の可動アームは第2の鋸車ベースに形成された長穴にボルト締めされる。さらに、第1の鋸車ベースには第1の可動アームを収容するポケット部分が形成され、第2の鋸車ベースには第2の可動アームを収容するポケット部分が形成され、ポケット部分において第1及び第2の可動アームが第1及び第2の鋸車ベースにボルトにて固定される。このように構成することにより、第1及び第2の可動アームの大部分が帯鋸盤の筐体の内部に収容されるので、従来の携帯型帯鋸盤と比べてほぼ同等の外観とすることができ、ハウジング外部に不要な突出部を設ける必要がない。
本発明のさらに他の特徴によれば、第1と第2の帯鋸ガイドは、帯鋸の外周面及び内周面を押接する2組のガイドローラを有する。また、第1の可動アームに、ボルトをネジ止めするためのネジ穴と、第1の可動アームの長手方向と平行に延びる長穴を形成し、第1の鋸車ベースに固定されるピンを長穴に貫通させることによって第1の可動アームに作用するボルトを中心とした回転力に抗するように構成した。このように第1の可動アームを1本のボルトだけで無く、ピンを併用した2点支持としたので、ボルトを中心として第1の可動アームに働く回転方向のがたつきを大幅に抑えることができる。
本発明のさらに他の特徴によれば、第1と第2の可動アームの可動距離を等しく設定し、第1の可動アームが第1の鋸車に最接近し、かつ、第2の可動アームが第2の鋸車に最接近した位置を基準にしてハウジングの開口部の大きさを設定した。よって、限られたサイズの携帯型帯鋸盤において、従来よりも大きい被切断材を切断できるようになった。この際、第1と第2の帯鋸ガイド間の最小の距離がW1、最大の距離がW2、開口部の高さがHとすると、W1<H≦W2の関係となるように第1と第2の帯鋸ガイドとハウジングの開口部を形成すると良い。
本発明によれば、ガイドプレートと第1の帯鋸ガイドの鋸車に対する位置を調整できるようにしたので、小さな被切断材を切断する際に、帯鋸に働くねじり応力を低く抑え、帯鋸の寿命を向上させることが軽量かつコンパクトで長寿命な携帯型帯鋸盤を実現できる。
本発明の実施例に係る携帯型帯鋸盤1の正面図である。 本発明の実施例に係る携帯型帯鋸盤1の背面図であって鋸車カバーを取り外した状態を示す図である。 図1のガイドプレート31の固定構造を示す部分正面図である(通常位置)。 図1のガイドプレート31の固定構造を示す部分正面図である(拡張位置)。 図3の状態における取付アーム34と鋸車ベース4との取り付け状態を示す図である。 図4の状態における取付アーム34と鋸車ベース4との取り付け状態を示す図である。 図1のガイドプレート31、ガイドプレート取付部32の形状を示す展開斜視図である。 携帯型帯鋸盤1の通常時の帯鋸ガイド38、48の位置を示す部分正面図である。 携帯型帯鋸盤1の拡張時の帯鋸ガイド38、48の位置を示す部分正面図である。 従来の携帯型帯鋸盤101の正面図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後左右、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
図1は本発明の実施例に係る携帯型帯鋸盤1の正面図である。携帯型帯鋸盤1において基本的な機構部分の基本構造は2つの帯鋸ガイド38、48が移動可能に固定されている点を除き図10で説明した従来の携帯型帯鋸盤101とほぼ同様である。但し、外観上は図10の従来の携帯型帯鋸盤1より更に小型化され、外観デザイン、例えばハウジング6、ハンドル部13、ガイドプレート31等の形状が異なる。携帯型帯鋸盤1のハウジング6の右側には後述する駆動鋸車を収容するための鋸車ベース4が設けられ、左側には後述する従動鋸車を収容するための鋸車ベース5が設けられる。鋸車ベース4、5は広義のハウジング(筐体)の一部を構成するものであって鋸車を軸支するためのフレームの役目を兼用し、鋸車ベース4、5とハウジング6は一体式又は別体式に製造される。鋸車ベース4、5とハウジング6と図示しない鋸車カバーによって携帯型帯鋸盤1の筐体部分が形成される。第1の鋸車たる駆動鋸車2と、第2の鋸車たる従動鋸車3は、ハウジング(筐体)の両端に回転可能に支持され、駆動鋸車2と従動鋸車3の外周面には帯鋸10が張架される。携帯型帯鋸盤1で被切断材を切断する際は、帯鋸10が図中に示す回転方向(帯鋸走行方向)に周回するため、この回転によって被切断材料が回転方向と同方向に押されるため、押される側(駆動鋸車が設けられる側)にガイドプレート31が設けられる。
ガイドプレート31は、被切断材料の大きさ・形状等に応じて最適に設定された大きさとされ、ガイドプレート取付部32に固定される。ガイドプレート31は2本の皿ネジ33によってガイドプレート取付部32に固定されるので、帯鋸10の走行方向と垂直方向(矢印42の方向)に移動調整可能である。取付アーム34はボルト35とピン36によって鋸車ベース4に固定され取付アーム34を帯鋸10の移動方向と同方向又は反対方向に移動させたのち、長穴4a内の任意の位置でボルト35を締めることでガイドプレート31の位置を固定できる。本実施例では、取付アーム34とガイドプレート取付部32が第1の可動アームを形成し、帯鋸ガイド38が鋸車ベース4に直接固定されるのでは無くて、第1の可動アーム側に、具体的にはガイドプレート取付部32の下側付近に取り付けられる。従って取付アーム34を帯鋸10の移動方向と平行に同方向又は反対方向(矢印41の方向)に移動させると、ガイドプレート31と帯鋸ガイド38も同時に移動することになる。このようにガイドプレート31と帯鋸ガイド38を可動式の第1の可動アームによって固定するようにしたので、ガイドプレート31を矢印41の方向に移動させた場合であっても、ガイドプレート31と帯鋸ガイド38との相対距離が一定であり、帯鋸10を良好にガイドすることができ、高い切削精度を維持することが可能となる。
従動鋸車3側には帯鋸ガイド48が設けられるが、本実施例では帯鋸ガイド48も帯鋸10の走行方向と平行方向、矢印51の方向に移動可能なように保持される。帯鋸ガイド48は、帯鋸10の移動方向と同方向又は反対方向に移動可能な可動アーム44にて鋸車ベース5にボルト45にて固定される。鋸車ベース5には、ボルト45を貫通させるための長穴5aが形成され、長穴5aの任意の位置でボルトを締めつけることにより帯鋸ガイド48を固定できる。図1は、帯鋸ガイド38、48の間隔が最も狭い状態を示しており、切断部位(帯鋸ガイド38、48の間の部分)に露出する帯鋸10の距離が一番短いため、帯鋸10のぶれが少なくて精度の良い切削を行うことができる。
作業者が一方の手でハンドル部13を把持し、他方の手で補助ハンドル15を把持してトリガスイッチ12を操作すると、ハウジング6内に配置された図示しないモータが回転し、その回転力を用いて動力伝達機構によって駆動鋸車2が駆動される。駆動鋸車2が回転することによって帯鋸10も回転し、その回転に従って鋸車ベース5側に軸支される従動鋸車3も従動して回転する。駆動鋸車2及び従動鋸車3は、外周に円筒面を有する回転する円盤であって、帯鋸10はそれらの外周面に沿って張架される。帯鋸10は周方向に連続した帯状の鋸刃(バンドソー)であって、2つの鋸車(滑車)にベルトのようにかけて用いられ、帯状の鋼板の片側に鋸歯を刻んだものである。図示していないが駆動鋸車2及び従動鋸車3の外周面には鋸車ラバーがはめ込み式で取り付けられ、帯鋸10は駆動鋸車又は従動鋸車の外周面と鋸車ラバーを介して接触する。2つの鋸車によって張架される帯鋸10の周回路のうち平行となる部分の上側はハウジング6の内部空間を通り、平行部分の下側はハウジング6の開口部8の下側付近において露出する。外部に露出する帯鋸10の両方のサイドには帯鋸ガイド38、48が設けられる。帯鋸ガイド38、48はそれぞれ2組のガイドローラを有し、駆動鋸車2又は従動鋸車3の外周面に対して所定の角度だけ斜め(60度未満)になるように帯鋸10を捻るようにして保持する。捻られた帯鋸10の角度は、ハウジング6の正立方向とほぼ平行となる角度である。この結果、開口部における露出された帯鋸10は、被切断材200に対してほぼ垂直に押し当てられることが可能となる。
鋸車ベース5には、帯鋸10による切断部分を照射するための照明装置24が設けられ、照明装置の近傍にはその点灯をオン又はオフするためのライトスイッチ25が設けられる。ここでは照明装置24をLEDにて構成できる。鋸車ベース5のほぼ中央付近には、帯鋸10の周速設定用の速度設定つまみ23が設けられ、速度設定つまみ23を回転させる事によって所望のモータの回転速度を設定できる。速度設定つまみ23の下方には従動鋸車3の位置を調整することにより帯鋸10の取付け又は取り外しをしたり、張り具合を調整するためのテンションレバー26が設けられる。
図2は本発明の実施例に係る携帯型帯鋸盤1の背面図である。背面側は開閉可能な鋸車カバー(図示せず)にて覆われるが、本図では鋸車カバーを取り外した状態を図示している。携帯型帯鋸盤1の背面側、右側上部には電源コード(図示せず)が延びるように取り付けられる。携帯型帯鋸盤1の中央付近には、循環回転する帯鋸10の一部を露出させると共に切断された被切断材が入り込むための開口部8が確保されるようにハウジング6や鋸車ベース4、5の形状が決定される。ここで、図1では駆動歯車2、従動歯車3の回転軸(図示せず)の軸線にそって斜め方向から見た図であり、図2では駆動歯車2、従動歯車3の回転軸(図示せず)の軸線方向から見た図であるため、開口部8の形状が異なるように見えるので注意されたい。帯鋸ガイド38が保持される側の取付アーム34は、取付アーム34に形成されたネジ止めするためのネジ穴34aにボルト35を螺合させる事により固定される。同様にして、帯鋸ガイド48を取り付けるための可動アーム(第2の可動アーム)44は、可動アーム44に形成されたネジ穴44aにボルト45を螺合させるだけで固定される。帯鋸ガイド38、48は同じ形状であって、帯鋸10の外周側の帯面(帯の幅方向及び回転方向を含む面であり外周面又は内周面)を押さえながら回転する前側のガイドローラと、帯鋸10の後側の帯面を押さえながら回転する後側のガイドローラと、帯鋸10の刃先と反対側の端部(帯の厚さ方向及び回転方向を含む幅の狭い面)を回転可能に保持するガイドベアリング(図示せず)を含んで構成され、これら2つのガイドローラは取付アーム34、可動アーム44を介して鋸車ベース4、5にそれぞれ間接的に固定される。
図3は図1のガイドプレート31の固定構造を示す部分正面図である。ここで示すガイドプレート31の位置(左右位置)が通常位置である。図10にて示した従来の携帯型帯鋸盤101では、ガイドプレート取付部32が鋸車ベース4に直接取り付けられているので、矢印41への移動はできない。それに対して本実施例ではガイドプレート取付部32が取付アーム34に固定され、取付アーム34が鋸車ベース4にボルト35によって移動可能に固定される。取付アーム34の固定において、長穴4aの内部においてボルト35の固定位置を変えることができ、この固定位置の変更によって取付アーム34を矢印41の方向に移動可能とした。移動する取付アーム34を収容するために、鋸車ベース4(本体側)には窪み、即ちポケット部分が形成され、ポケット部分において取付アーム34が摺動する。ポケット部分の形状は、取付アーム34の形状とほぼ同様の直方体状の空間とすると強度の面で好ましいが、単に取付アーム34の移動場所が確保される空間があれば、ポケット部分としての機能を果たすのに十分である。
本実施例では、帯鋸ガイド38とガイドプレート31がともにガイドプレート取付部32に固定され、これらが一体となって移動するため、帯鋸ガイド38の取付アーム34に大きい荷重がかかるようになった。特に、切断作業時には被切断材を介してガイドプレート31に力が加わるため、取付アーム34に対して帯鋸10の回転方向と同方向にかかる力に加えて、ボルト35を中心軸として矢印39a、39bに示すような回転方向に更なる力が加わるようになった。このため、摺動部たる取付アーム34をボルト35の1点で固定していると矢印39a、39bに示すような回転力が加わった際には、取付アーム34にガタつきが生ずる恐れがある。そこで本実施例では、取付アーム34の剛性を高めるために固定用のボルト35に加えてピン36を追加してガタつきを抑制するようにし、回転力に抗するように構成した。ピン36は、鋸車ベース4に形成された貫通穴4bを貫通して、取付アーム34に形成された長手方向に延びる長穴34bを通して、取付アーム34の下側(鋸車ベース4面と反対側)に突き出されて、突出した部分を止め輪36bにて固定される。このように取付アーム34をボルト35とピン36による二点支持方式としたので、帯鋸ガイド38やガイドプレート31のがたつきを抑えることができ、精度の良い切断作業を行うことができるようになった。しかも、取付アーム34を二点支持としたにも関わらずにその位置調整は、1本のボルト35を緩めるだけで行うので、操作性を悪化させることがない。
図4は、図3の状態からガイドプレート31を駆動鋸車側(図では右側)に移動させて、切断部位を拡張させた状態を示している(拡張位置)。この状態では切断部位の幅が拡張され、標準位置での切断幅(図1の状態)に比べて大きな部材を切断できるようになる。しかしながら、ガイドプレート31を移動させると帯鋸ガイド38も移動するため、帯鋸ガイド38と駆動鋸車2の接入点(図2参照)との距離が短くなる。従って、帯鋸ガイド38から接入点までの短い距離内で帯鋸10が捻られることになるので、帯鋸10に作用するねじりの度合いが大きくなり、帯鋸10の寿命という観点から見たら不利な位置である。従って、本実施例の携帯型帯鋸盤1では、図3の状態を通常の使用位置とし、図3の状態では切断できないような大きい被切断材を切断する場合にだけ図4のようにガイドプレート31を移動させて作業を行うようにすることが好ましい。尚、ボルト35の固定位置を示すための目盛り4cを鋸車ベース4の表面に刻印又は印字すると好ましい。このようにボルト35の位置を示す何らかの指標を付けることにより、取付アーム34を固定する2つのボルト35の位置がどこにあるかを容易に視認できるようになる。尚、目盛りを設ける点については、鋸車ベース5のボルト45付近にも同様に設けると良い。
図5は図3の状態における取付アーム34と鋸車ベース4との取り付け状態を示す図であって、取付アーム34部分についてはボルト35の軸方向を含む面の断面図にて示している。取付アーム34は金属製の角柱状の部材であって、ボルト35と螺合するために雌ねじが形成されるネジ穴34aと、ピン36を収容するための長穴34bが形成される。ボルト35は、フランジ付き六角ボルトを用いるか、ワッシャを介した六角ボルトを用いると好ましく、鋸車ベース4に形成された長穴4aを貫通させてネジ穴34aに締めつけられる。ボルト35を緩めた状態では、鋸車ベース4と取付アーム34が矢印41の方向に相対移動が可能となる。ピン36は、一方の端部に円板状の頭部が形成され、円柱状の本体部が鋸車ベース4に形成された貫通穴4b、及び、取付アーム34の長穴34bを貫通し、他方の端部には円周方向に連続した溝(図示せず)が形成され、その溝に帯鋸ガイド止め輪36bを嵌めることによりピン36が抜けないように保持される。止め輪36bの大きさは長穴34bの狭い方の幅よりも大きい直径にする。取付アーム34のガイドプレート31側の先端部には、ガイドプレート31を取り付けるための平板状の部材であるガイドプレート取付部32が設けられる。ガイドプレート取付部32はガイドプレート31を矢印42の方向に移動可能に保持する略L形の部材であって、帯鋸10の外周面及び内周面を押接することにより挟持しながら案内する2つのガイドローラ38a、38bを有する帯鋸ガイド38の取り付け基台としての機能も果たす。
図6は図5の状態から第1の可動アーム(取付アーム34等)を鋸車ベース4側へ矢印41aに移動させた状態を示す図であって、これらはボルト35の軸方向を含む面の断面図にて示している。ここではボルト35は長穴4aの左端(ガイドプレート側端部)から右端(駆動鋸車側端部)に移動している。同様にして、ピン36は、右端(駆動鋸車側端部)から左端(ガイドプレート側端部)に移動している。このような取付アーム34の鋸車ベース4への固定方法を、ボルト35とピン36を用いる構造としたために、ガイドプレート31を通常位置よりもさらに駆動鋸車2に接近させることができ、しかもこの際には帯鋸ガイド38もガイドプレート31と一緒に移動するので、切断部位の幅を標準状態から拡大させて、通常状態では切断不能となるサイズの被切断材に対して切断作業を行うことが可能となった。
図7は図1のガイドプレート31、ガイドプレート取付部32の形状を示す展開斜視図である。ガイドプレート取付部32はガイドプレート31と対面する平面部分を有し、その平面部分においてガイドプレート31の可動方向(切断方向と平行)に延びる長い溝32aが形成される。ガイドプレート取付部32は取付アーム34に接続されるが、これらは溶接、ネジ止め等の任意の固定方法で接続可能であり、また、ガイドプレート取付部32と取付アーム34ら構成される可動アームを金属の一体品として製造しても良い。溝32aの内部には2つのナット37が挿入されるが、ナット37は回転不能であるが溝32aの長手方向には移動可能なようにして保持される。ガイドプレート31側の皿ネジ33はナット37と螺合し、ナット37を溝32aの長手方向に移動させることによりガイドプレート31を矢印42の方向に調整可能である。また、所望の位置にて皿ネジ33を締めつけることによりガイドプレート31を固定することができる。ガイドプレート31は平板状の金属部材であって、その一部を強度向上のためにL字状に曲げた折り曲げ部31bとしたものである。また、ガイドプレート31の一部には、帯鋸10を案内するためのJ字状の切り欠き溝31aが形成される。切り欠き溝31aの両側(帯鋸10からみて外周側と内周側)における端辺31c、31dは、帯鋸10の交換作業がし易いように端辺31dは短辺31cよりも短くなるように形成される。本実施例では、ガイドプレート31を移動可能としたので、被切断材の大きさに合わせてガイドプレート31を最適な位置に調整することができ、使いやすい携帯型帯鋸盤1を実現できる。なお、皿ネジ33を緩めた状態とし、ガイドプレート31が溝32aに沿って摺動可能な状態として、ガイドプレート31と被切断材を帯鋸10に対して相対移動させながら切断作業を行うことも可能である
図8は携帯型帯鋸盤1の通常時の帯鋸ガイド38、48の位置を示す部分正面図である。ここでは被切断材として直径の小さなパイプ201を切断する際の状況を示している。図8の状態は帯鋸ガイド38、48の通常の切断位置を示しており、この際の帯鋸ガイド38と駆動鋸車2の接入点との距離A1と、帯鋸ガイド48と従動鋸車3の離反点との距離B1は十分な距離を有するため、距離A1、B1における帯鋸10の捻り具合は緩やかであり、帯鋸10の耐久性を低下させる恐れは少ない。また、切断部位となる帯鋸ガイド38と帯鋸ガイド48は最接近した状態であって、それらの距離W1は、比較的小さいので帯鋸10が帯鋸ガイド38、48によって安定して保持されるため、帯鋸10の走行が安定し精度の良い切断作業を行うことができる。ここで、切断後のパイプ201が開口部8の内部に入り込んで、切断作業を完了させるために、開口部8の高さHは、切断幅W1よりも大きくなるように設定することが重要である(Hは切断部位における帯鋸10の切断面と同一面におけるハウジング6と帯鋸10の下端部との距離である)。
図9は携帯型帯鋸盤1の拡張時の帯鋸ガイド38、48の位置を示す部分正面図である。ここでは被切断材として直径の大きなパイプ202を切断する際の状況を示している。図9の状態は帯鋸ガイド38を駆動鋸車2側に移動し、帯鋸ガイド48を従動鋸車3に移動させた状態であって、切断部位を拡大させて切断幅W2(>W1)とした状態を示している。この際の帯鋸ガイド38と駆動鋸車2の接入点との距離A2(<A1)と、帯鋸ガイド48と従動鋸車3の離反点との距離B2(<B1)はやや小さめとされるので、帯鋸10のねじり具合はやや厳しくなるが、図8の切断幅W1では切断できないような太径のパイプ202でも切断可能となるので、大変使いやすい携帯型帯鋸盤を実現できる。尚、本実施例では、最大切断幅W2の被切断材でも切断作業ができるように、開口部の幅も最低でもW2とすることが好ましく、少なくともW1<H≦W2の関係となるようにして、取付アーム34が駆動鋸車2に最接近し、かつ、可動アーム44が従動鋸車4に最接近した位置を基準にしてハウジングの開口部8の大きさを設定すると良い。スペース的に許容できるならばW2<Hとなるように開口部8の高さHを設定しても良い。
本実施例によれば、従動側と駆動側の帯鋸ガイドを移動可能構造としたことにより、帯鋸ガイド間の間隔が大きくなり最大切断寸法を拡大することができる。また、小さい材料切断時には帯鋸ガイド間の間隔を小さくできるため、帯鋸の座屈剛性が高くなり、切断精度向上がはかれる上に、鋸車と帯鋸ガイド間の間隔を長くできるため、帯鋸に働くネジリ応力が低くなり、帯鋸の寿命を向上させることができる。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば上述の実施例では取付アーム34と可動アーム44をボルトにて鋸車ベース4、5を固定するようにしたが、ボルト締めだけでなく、その他の固定方法を用いて2つの帯鋸ガイド間の距離を調整可能としても良い。また、上述の実施例では携帯型帯鋸盤について説明したが、携帯できない帯鋸盤であっても同様に適用できる。
1 携帯型帯鋸盤 2 駆動鋸車(第1の鋸車)
3 従動鋸車(第2の鋸車) 4 鋸車ベース(第1の鋸車ベース)
4a 長穴 4b 貫通穴
4c 目盛り 5 鋸車ベース(第2の鋸車ベース)
5a 長穴 6 ハウジング
8 開口部 10 帯鋸
12 トリガスイッチ 13 ハンドル部
14 モータ 15 補助ハンドル
24 照明装置 25 ライトスイッチ
26 テンションレバー 31 ガイドプレート
31a 切り欠き溝 31b 折り曲げ部
31c 端辺 31d 端辺
32 ガイドプレート取付部 32a 溝
33 皿ネジ 34 取付アーム(第1の可動アーム)
34a ネジ穴 34b 長穴
35 ボルト 36 ピン
36b 止め輪 37 ナット
38 帯鋸ガイド(第1の帯鋸ガイド) 38a、38b ガイドローラ
39a、39b 回転方向の力 44 可動アーム(第2の可動アーム)
44a ネジ穴 45 ボルト
48 帯鋸ガイド(第2の帯鋸ガイド) 101 携帯型帯鋸盤
102 駆動鋸車 103 従動鋸車
104、105 鋸車ベース 106 ハウジング
108 開口部 112 スイッチ
113 ハンドル部 115 補助ハンドル
131 ガイドプレート 138 帯鋸ガイド
200 被切断材 201 パイプ
202 パイプ

Claims (10)

  1. 第1及び第2の鋸車と、
    前記第1の鋸車を回転させるモータと、
    該第1及び第2の鋸車をハウジングの両端に回転可能に支持する第1及び第2の鋸車ベースと、
    前記第1及び第2の鋸車の外周間に張架された帯鋸と、
    前記帯鋸を挟持案内する第1及び第2の帯鋸ガイドと、
    前記第1の鋸車ベース側に設けられ、被切断材を案内するガイドプレートと、を有する携帯型帯鋸盤において、
    前記第1の鋸車ベースに、前記ガイドプレートと前記第1の帯鋸ガイドを保持する第1の可動アームを、前記帯鋸の走行方向と平行に移動可能なように固定したことを特徴とする携帯型帯鋸盤。
  2. 前記第2の鋸車ベースに、前記第2の帯鋸ガイドを保持する第2の可動アームを前記帯鋸の走行方向と平行方向に移動可能なように固定し、
    前記第1と第2の帯鋸ガイド間の距離を調整可能としたことを特徴とする請求項1に記載の携帯型帯鋸盤。
  3. 前記ガイドプレートは、前記帯鋸の移動方向と垂直方向に移動可能なように前記第1の可動アームに固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型帯鋸盤。
  4. 前記第1の可動アームにガイドプレート取付部が設けられ、前記ガイドプレートは前記ガイドプレート取付部に形成された長溝部に沿って摺動可能であることを特徴とする請求項3に記載の携帯型帯鋸盤。
  5. 前記第1の可動アームは前記第1の鋸車ベースに形成された長穴にボルト締めされ、
    前記第2の可動アームは前記第2の鋸車ベースに形成された長穴にボルト締めされることを特徴とする請求項2に記載の携帯型帯鋸盤。
  6. 前記第1の鋸車ベースには前記第1の可動アームを収容するポケット部分が形成され、
    前記第2の鋸車ベースには前記第2の可動アームを収容するポケット部分が形成され、前記ポケット部分において前記第1及び第2の可動アームが前記第1及び第2の鋸車ベースにボルトにて固定されることを特徴とする請求項5に記載の携帯型帯鋸盤。
  7. 前記第1と第2の帯鋸ガイドは、前記帯鋸の外周面及び内周面を押接する2組のガイドローラを有することを特徴とする請求項5又は6に記載の携帯型帯鋸盤。
  8. 前記第1の可動アームに、前記ボルトをネジ止めするためのネジ穴と、前記第1の可動アームの長手方向と平行に延びる長穴を形成し、
    前記第1の鋸車ベースに固定されるピンを前記長穴に貫通させることによって前記第1の可動アームに作用する前記ボルトを中心とした回転力に抗することを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の携帯型帯鋸盤。
  9. 前記第1と第2の可動アームの可動距離を等しく設定し、
    前記第1の可動アームが前記第1の鋸車に最接近し、かつ、前記第2の可動アームが前記第2の鋸車に最接近した位置を基準に前記ハウジングの開口部の大きさを設定することを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載の携帯型帯鋸盤。
  10. 前記第1と第2の帯鋸ガイド間の最小の距離がW1、最大の距離がW2、前記開口部の高さがHとすると、W1<H≦W2の関係となるように前記第1と第2の帯鋸ガイドと前記ハウジングの前記開口部を形成することを特徴とする請求項9に記載の携帯型帯鋸盤。
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