JP2015206743A - 架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】定性的だけでなく、定量的にも、架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価が可能な架橋ゴム材料の耐劣化性能評価方法を提供する。
【解決手段】ケミルミネッセンス法により、劣化架橋ゴム材料のゴム表面の発光量を測定する工程1、前記工程1で測定された前記ゴム表面の発光量に基づいて、劣化に由来する発光量を算出する工程2、及び前記劣化架橋ゴム材料の劣化時間に対して、前記工程2で算出された前記劣化に由来する発光量をプロットし、反応速度式で近似することで、劣化の反応速度を算出する工程3を含む架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法に関する。
一般的に、酸素やオゾンによる表面の酸化劣化を評価する手法として、酸化劣化で生じるカルボニル基や水酸基量を評価できる赤外分光法が汎用されているが、劣化初期の定量評価が困難であり、例えば、クラック(ひび割れ)等の損傷の発生前後では、カルボニル基や水酸基の増加の検出が難しく、劣化後期に至らない時点での評価ができないという問題がある。他の手法でも、定性的な劣化の評価はできるものの、定量的な評価は難しいのが現状である。
酸素やオゾンによる表面の酸化劣化が生じる材料として、ゴム材料が知られているが、ゴム材料の劣化についても定量的な評価が可能な評価法も求められており、例えば、フィラーを高充填したゴム材料に有効な評価方法を提供すること、等が望まれている。
本発明は、前記課題を解決し、定性的だけでなく、定量的にも、架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価が可能な架橋ゴム材料の耐劣化性能評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、ケミルミネッセンス法により、劣化架橋ゴム材料のゴム表面の発光量を測定する工程1、前記工程1で測定された前記ゴム表面の発光量に基づいて、劣化に由来する発光量を算出する工程2、及び前記劣化架橋ゴム材料の劣化時間に対して、前記工程2で算出された前記劣化に由来する発光量をプロットし、反応速度式で近似することで、劣化の反応速度を算出する工程3を含む架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法に関する。
前記反応速度式として、凝一次反応式を用いることが好ましい。
前記工程2は、前記工程1で得られた測定時間及び発光量の発光曲線の下面積から算出された前記ゴム表面の発光量から、劣化前の架橋ゴム材料の発光曲線の下面積から算出されたゴム表面の発光量を差し引くことで、前記劣化に由来する発光量を算出するものであることが好ましい。
前記工程1は、前記ケミルミネッセンス法により、窒素雰囲気下、80〜150℃の範囲の定温又は昇温過程において、前記劣化架橋ゴム材料の前記ゴム表面の発光量を測定することが好ましい。
前記劣化架橋ゴム材料として、劣化ゴム組成物を用いることが好ましい。
前記工程1は、前記ケミルミネッセンス法で測定されるデータの一部を、下記式で近似することで、発光曲線を近似し、前記ゴム表面の発光量を求めることが好ましい。
y=Ax×Bx−1+C
(式中、A、B、Cは定数、xは測定時間、yは発光量を表す。)
本発明によれば、ケミルミネッセンス法により、劣化架橋ゴム材料のゴム表面の発光量を測定する工程1、前記工程1で測定された前記ゴム表面の発光量に基づいて、劣化に由来する発光量を算出する工程2、及び前記劣化架橋ゴム材料の劣化時間に対して、前記工程2で算出された前記劣化に由来する発光量をプロットし、反応速度式で近似することで、劣化の反応速度を算出する工程3を含む架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法であるので、定性的だけでなく、定量的にも、架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価が可能な架橋ゴム材料の耐劣化性能評価方法を提供できる。特に、劣化初期にも充分に適用可能である。
劣化架橋ゴム材料のケミルミネッセンス測定で得られる測定時間及び発光量の関係を示す発光曲線の一例。 劣化架橋ゴム材料のケミルミネッセンス測定の一部の実測値による近似発光曲線の一例。 ベースライン補正後の発光曲線の一例。 劣化架橋ゴム材料、劣化前の架橋ゴム材料の発光曲線の一例。 オゾン劣化時間及び劣化に由来する発光量の擬一次反応式による近似曲線の一例。 赤外分光法による劣化評価の一例。
本発明は、ケミルミネッセンス法により、劣化架橋ゴム材料のゴム表面の発光量を測定する工程1と、前記工程1で測定された前記ゴム表面の発光量に基づいて、劣化に由来する発光量を算出する工程2と、前記劣化架橋ゴム材料の劣化時間に対して、前記工程2で算出された前記劣化に由来する発光量をプロットし、反応速度式で近似することで、劣化の反応速度を算出する工程3とを含む架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法である。
プラスチック等の表面分析の手法として、ケミルミネッセンスアナライザーを用いたケミルミネッセンス法があり、表面に発生したカルボキシル基の定量が可能である。これは、表面のカルボキシル基が加熱により分解して過酸化物ラジカルになり、次いで、その過酸化物ラジカルの2分子反応により、アルコールの他に、生成する励起カルボニルと一重項酸素が基底状態になる際の発光を検出するものである。更に、微弱光の計測も可能であるので、赤外分光法と異なり、初期劣化の評価もできる。
従来から、このようなケミルミネッセンス法は、白色又は無色透明の樹脂材料に適用できる一方で、カーボンブラックが配合されたゴム材料では、ケミルミネッセンス法を適用できないとされていた。その理由は、ケミルミネッセンス法で観測する光は可視光であるため、カーボンブラックで黒色化されているゴム材料からは光が観測できないと一般に考えられていたためである。更に、カーボンブラックは加熱により発光するため、ゴムの発光と区別できず、正確にゴムの劣化によるものが得られないという理由もある。
本発明は、このような技術常識に反するもので、ケミルミネッセンス法を用いているにもかかわらず、例えば、種々の劣化を施した各架橋ゴム材料について、測定されたゴム表面の発光量を補正することで、その発光量中の劣化のみに由来する発光量を求め、更に劣化時間と測定された劣化のみに由来する発光量の関係をプロットし、反応速度式で近似することで、劣化の反応速度を算出できる。従って、フィラーを高充填した材料等、種々の架橋ゴム材料について、劣化後期だけでなく、酸素やオゾンによるゴム表面の酸化劣化等、劣化初期段階でも、耐劣化性能を精度良く評価することが可能となる。
以下、本発明の架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法について、具体的に説明する。
先ず、前記評価方法では、ケミルミネッセンス法により、劣化架橋ゴム材料のゴム表面の発光量を測定する工程1が実施される。これにより、種々の劣化を施した架橋ゴム材料について、各材料のゴム表面における発光量(その瞬間での発光強度)が測定される。
評価に供する劣化架橋ゴム材料(各種条件で劣化した種々の架橋ゴム材料)としては特に限定されず、オゾン等で劣化した各種劣化ゴム組成物等が挙げられる。具体的には、ゴム成分、カーボンブラックやシリカなどの充填剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを用いて作製される劣化済の加硫ゴム組成物等が挙げられる。
ゴム成分としては特に限定されず、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)等の改質天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)などのジエン系ゴムが挙げられる。
カーボンブラックやシリカとしては特に限定されず、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなど;乾式法や湿式法などにより調製されたシリカ粒子が挙げられる。また、シリカを使用する場合、更にシランカップリング剤を添加することが好ましい。
劣化架橋ゴム材料において、各ゴム成分、カーボンブラック、シリカなどの充填剤、シランカップリング剤の含有量は、用途等に応じて適宜設定すれば良い。例えば、劣化架橋ゴム材料において、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量を40〜95質量%、BRの含有量を0〜40質量%などに調整し、また、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量を15〜120質量部、シリカの含有量を5〜150質量部などに調整する。
なお、試料には、前記成分の他、プロセスオイル、老化防止剤など、種々の添加剤を配合してもよい。劣化前の架橋ゴム材料は、公知の方法で作製され、上記各成分を混練し、その後加硫する方法等により製造され、これにオゾン劣化等を施すことで劣化架橋ゴム材料を製造できる。また、使用後の空気入りタイヤの各種タイヤ部材(架橋ゴム材料)も適用可能である。
劣化架橋ゴム材料の形状は特に規定されず、ケミルミネッセンスアナライザーの試料セル等の大きさに応じて適宜設定すれば良い。劣化度の異なる試料等、各劣化架橋ゴム材料のゴム表面の表面積は、耐劣化性能を精度の良く測定できるという観点から、略同一にすることが好ましい。具体的な形状としては、直径5〜20mm、厚み0.5〜5mmの円筒状試料等が挙げられる。
ケミルミネッセンス法により、劣化架橋ゴム材料のゴム表面の発光量を測定する方法としては、ケミルミネッセンスアナライザーを用いた公知の方法を採用でき、例えば、特開2002−195951号公報の図1の概略図で示される装置等で測定できる。具体的には、ケミルミネッセンスアナライザー(化学発光の検出装置)としては、固体試料用容器、加熱手段、及び受光検出手段を備える装置等が挙げられる。
固体試料用容器は、内部に固体試料(劣化架橋ゴム材料、後述する劣化前の架橋ゴム材料等)を配置することが可能で、該固体試料の表面上で固体表面反応を起こさせて、その反応に伴って発せられる光を外部に伝達することが可能な設計であればよく、用いる固体試料の種類等に応じて、設計を適宜変更すれば良い。
化学発光の検出装置において、固体試料用容器は、固体試料の表面上で固体表面反応を起こさせるためのガスを供給するためのガス供給口と、反応後のガスを排出するためのガス排出口とを有することが好ましい。このようなガス供給口及びガス排出口を備えるものを用いることにより、その容器の内部に反応ガスを効率よく供給でき、固体試料の表面上で効率よく化学反応を生じさせることが可能となる。なお、ガス供給口にガス流量計及びガスポンプを接続することで、供給するガスの種類や流量を制御できる。また、ガスの流量は温度条件や固体試料の種類や量等によって適宜変更すればよく、通常、数十mL/分〜数百ml/分の範囲に調整する。
本発明では、固体試料を不活性雰囲気下に置くことが好ましい。不活性雰囲気としては特に限定されず、窒素やアルゴンガス等不活性ガス等、既知のものを使用できる。不活性気体の圧力についても大気圧等、適宜設定できる。なお、不活性気体流の流速は、試料雰囲気の置換や測定中の空気の洩れによる混入等を考慮して設定すれば良く、例えば、30mL/分程度が好ましい。
加熱手段は、固体試料用容器の内部を加熱できるものであればよく、固体試料の表面上で固体表面反応が生じる温度以上に加熱することが可能な公知の加熱手段(ヒータ等)を適宜使用できる。本発明では、劣化架橋ゴム材料のゴム表面におけるカルボキシル基が加熱により分解し、過酸化物ラジカルを生成させることが可能な温度範囲を、試料の種類、劣化の程度等に応じて適宜設定すれば良いが、高温による酸化劣化を抑制するという観点から、80〜150℃程度の範囲が好ましい。なお、温度条件は、定温、昇温過程等、適宜設定すれば良い。
受光検出手段としては、目的とする化学発光を受信して検出可能なものであれば特に限定されず、例えば、波長が700nm以下の領域にある光(より好ましくは波長が300〜700nmの領域の光(可視光領域等))を受光して検出できるものを好適に使用できる。このような受光検出手段としては、東北電子産業(株)製CLAシリーズの付属品等が挙げられる。本発明では、試料のゴム表面のカルボキシル基が加熱により分解して過酸化物ラジカルになり、その2分子反応で生成する励起カルボニルと一重項酸素が基底状態になる際の発光を、受光検出手段で検出する。
受光検出手段は、通常、計数手段に接続されている。計数手段としては、公知のもの適宜使用でき、例えば、光パルス弁別器、アナログ計数器や画像処理ソフトを用いることができる。このような計数手段は、出力手段(ディスプレー、プリンター等)に接続され、計数手段から入力されたデータに基づいて発光スペクトルのグラフ等を出力できる。つまり、受光検出手段が受光した際の信号が計数手段に送られると、その信号は計数手段により全発光強度や発光強度分布等のデータに変換され、そのデータに基づいて出力手段により発光スペクトルのグラフ等が出力されるように構成されている。
前記のようなケミルミネッセンスアナライザーを用いたケミルミネッセンス法により、図1で示されるような発光曲線が得られる。これは、劣化架橋ゴム材料について、所定条件でケミルミネッセンスアナライザーを用いて、そのゴム表面の酸素劣化やオゾン劣化に起因して生成する励起カルボニルや一重項酸素の基底状態になる際の発光量を測定して得られるスペクトルで、測定時間及び発光量の関係を示す発光曲線の一例を示している。
なお、図1のように、一般にケミルミネッセンスの発光挙動は、固体試料が室温から昇温され、表面の酸化物等により固有の時間に発光量の極大ピークが存在し、その後、一定値まで減少するものであるが、発光挙動は表面の酸化物によって異なるため、充分な時間の経過後、一定値になるまで測定すると、非常に長時間を要する。また、測定時間がバラバラであると実験計画を立てにくく、効率的に実験できない。
そのため、前記工程1では、ケミルミネッセンス法で測定されるデータの一部を、下記式で近似することで、発光曲線を近似し、劣化架橋ゴム材料のゴム表面における発光量を求めても良い。
y=Ax×Bx−1+C
(式中、A、B、Cは定数、xは測定時間、yは発光量を表す。)
これにより、測定時間の短縮や一定時間化が可能となり、実験を効率化できる。
具体的には、図1−1のように、ケミルミネッセンス法で測定されるデータ(発光曲線の全部)の一部のみをピックアップした実測値を用いて、前記式で記述できるようにA、B、Cの定数を変更して最適な値を算出し、実測値の発光曲線を近似することにより、良好なフィッティングが可能となる。これにより、近似式に基づく発光曲線が得られ、実験の効率化が可能となる。
前記工程2では、前記工程1で測定された前記ゴム表面の発光量に基づいて、劣化に由来する発光量が算出される。これにより、劣化架橋ゴム材料における劣化のみに由来する発光量が得られる。前記工程2の手法は、前記工程1で測定されたゴム表面の発光量から、劣化のみに由来する発光量を算出できる方法であれば特に限定されず、以下の方法等を採用できる。
先ず、前記工程1で得られた図1の発光曲線について、破線で示されているベースラインを補正する。具体的には、前記工程1の劣化架橋ゴム材料のケミルミネッセンス測定で、充分に時間が経過し、発光量が一定になった際の図1の破線で示される値(発光量)を、該工程1で得られた発光量(発光曲線)から、差し引いて、発光曲線にベースライン補正を施す。図2は、図1のベースラインを補正した発光曲線を示すものであり、斜線で示すベースライン補正後の発光曲線の下面積を測定することで、ケミルミネッセンス法に供した劣化架橋ゴム材料の過剰発光量(劣化によって発生した発光強度)が算出される。
次に、劣化前の架橋ゴム材料についても、同様に、ケミルミネッセンス法を用いてゴム表面の発光量を測定するとともに、ベースライン補正を施して補正後の発光曲線を得、更にベースライン補正後の発光曲線の下面積を測定することで、劣化前の架橋ゴム材料の過剰発光量(劣化前に発生する発光強度)が算出される。これは、劣化前の架橋ゴム材料自体にも発光が生じ、劣化のみに由来する発光量を算出するには、劣化後の過剰発光量から劣化前の過剰発光量を差し引く必要があるため、劣化前の架橋ゴム材料の発光量も測定するものである。つまり、工程2では、工程1で得られた測定時間及び発光量の発光曲線の下面積から算出されたゴム表面の発光量から、劣化前の架橋ゴム材料の発光曲線の下面積から算出されたゴム表面の発光量を差し引くことで、好適に劣化に由来する発光量の算出が可能となる。
図3は、前記で得られた劣化架橋ゴム材料、劣化前の架橋ゴム材料の各発光曲線を示し、斜線部、灰色部の各面積が、劣化架橋ゴム材料、劣化前の架橋ゴム材料のそれぞれの過剰発光量を示している。そして、劣化架橋ゴム材料で算出された過剰発光量と、劣化前の架橋ゴム材料の過剰発光量との差、すなわち、図3の両発光曲線の面積差が、劣化のみに由来する発光量に相当する。
前記工程3では、前記劣化架橋ゴム材料の劣化時間に対して、前記工程2で算出された劣化に由来する前記発光量をプロットし、反応速度式で近似することで、劣化の反応速度を算出する。これにより、架橋ゴム材料の劣化の反応速度、最大過剰発光量(劣化によって発生しうる最大の発光強度)が算出される。
例えば、種々のオゾン劣化時間で劣化した各劣化架橋ゴム材料について、それぞれのオゾン劣化時間と、前記工程1〜2で算出された劣化のみに由来する各発光量とをプロットし、反応速度式として以下の擬一次反応式を用いて、ゴム劣化反応を近似する。
CL(t)=CL(t){1−exp(−kt)}
CL(t):劣化時間に依存する発光量
CL(t):劣化時間を無限大にした時の最終的に到達する発光量(最大過剰発光量)
k:擬一次反応速度定数
図4は、各オゾン劣化時間t(2、4、6、8時間)と、各試料で算出された劣化のみに由来する各発光量CL(t)とをプロットし、前記擬一次反応式で近似して得られた曲線を示すものである。得られた曲線から、反応速度定数、最大過剰発光量が算出され、これにより、劣化反応の定量的な評価が可能になる。
以上のとおり、本発明によれば、例えば、ゴムの劣化反応を擬一次反応式で近似することで劣化速度を定量的に評価することが可能となる。特に、クラック(ひび割れ)等の損傷の発生前の劣化初期でも定量評価できるので、耐劣化性に優れたゴム材料の開発も促進できる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:LANXESS社製 Buna VSL 2525−0(スチレン量25mol%、ビニル量25mol%)
BR:宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B(シス含量97質量%、ML1+4(100℃)40、Mw/Mn3.3)
シリカ:デグッサ社製のUltrasil VN3(NSA:175m/g)
カーボンブラック:三菱化学株式会社製のダイアブラックI(ISAFカーボン、平均粒子径23nm、DBP吸油量114ml/100g)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69
プロセスオイル:(株)ジャパンエナジー製のTDAEオイル
粉末硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(加硫ゴム組成物の調製)
表1に示す配合処方にしたがい、工程1の材料を(株)神戸製鋼製のバンバリーに充填し、140℃で5分間混練した。工程1で得られた混練物に、工程2に示す硫黄及び加硫促進剤を添加し、50℃で1分間ロール練りした後、170℃で12分間加硫することにより、加硫ゴム組成物(劣化前試料)を得た。
Figure 2015206743
(劣化架橋ゴム材料の作製)
上記で得られた劣化前試料を以下の条件で劣化処理を施し、各劣化試料(2、4、6、8時間オゾン劣化)を作製した。
試験装置:スガ試験機(株)製オゾンウェザーメーターOMS−L
試料形状:60mm×60mm×2mm厚
試験温度:40℃
オゾン濃度:50pphm
ひずみ:0%
劣化時間:2、4、6、8時間
(ケミルミネッセンス測定)
上記で得られた劣化前試料、各劣化試料を、以下の条件でケミルミネッセンス測定により評価した。
測定装置:東北電子産業(株)製Chemiluminescence Spectrometer CLA−FS3
試料形状:直径13mm×2mm厚
流入ガス:窒素
温度条件:定温100℃
測定時間:300秒
測定回数:3回
〔実施例1〕
上記で作製した劣化前試料(オゾン劣化無し)、各劣化試料(2、4、6、8時間オゾン劣化)について、前記条件で、ケミルミネッセンス法により発光量を時系列で測定した。これらの時系列の発光量から過剰発光量(X軸:ケミルミネッセンス(CL)測定時間、Y軸:発光量をプロットし、X軸と測定点をつないだ線で囲まれる面積)を求めた。各劣化試料の発光量から劣化前試料の発光量を減算し、総過剰発光量(Excess CL count:過剰発光量の積分値)を求めた(図1〜3参照)。
次いで、X軸にオゾン劣化時間、縦軸に総過剰発光量(Excess CL count)をプロットし、擬一次反応式(CL(t)=CL(t){1−exp(−kt)})で回帰した(図4参照)。
図4のように、ゴムとオゾンの劣化反応は、ケミルミネッセンス法により、擬一次反応式で近似され、実験結果から、反応速度定数k0.55(h−1)、最大過剰発光量5.1×10(−)が算出され、定量的な劣化評価が可能であることが明らかとなった。特に、ひずみ0%のオゾン劣化試験で、8時間後でも架橋ゴム表面にクラックが発生していないにもかかわらず、劣化初期の劣化を評価できた。
〔比較例1〕
上記劣化前試料(オゾン劣化無し)、各劣化試料(2、4、6、8時間オゾン劣化)を、赤外分光法により劣化評価し、結果を図5に示した。
図5のように、赤外分光法では、クラック発生前〜直後までの劣化初期の段階ではカルボニル基でも水酸基でも変化を検出できず、劣化評価が不可能であった。
〔実施例2〕
実施例1のケミルミネッセンス法による発光量の時系列測定において、得られる発光量データの一部(実測値)を用い、前記のy=Ax×Bx−1+Cで示される式で近似し、フィッティングすることにより、発光曲線が得られた(図1−1参照)。そして、これを用いることで、実施例1と同様の方法での劣化評価が可能であった。

Claims (6)

  1. ケミルミネッセンス法により、劣化架橋ゴム材料のゴム表面の発光量を測定する工程1、
    前記工程1で測定された前記ゴム表面の発光量に基づいて、劣化に由来する発光量を算出する工程2、及び
    前記劣化架橋ゴム材料の劣化時間に対して、前記工程2で算出された前記劣化に由来する発光量をプロットし、反応速度式で近似することで、劣化の反応速度を算出する工程3
    を含む架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法。
  2. 前記反応速度式として、凝一次反応式を用いる請求項1記載の架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法。
  3. 前記工程2は、前記工程1で得られた測定時間及び発光量の発光曲線の下面積から算出された前記ゴム表面の発光量から、劣化前の架橋ゴム材料の発光曲線の下面積から算出されたゴム表面の発光量を差し引くことで、前記劣化に由来する発光量を算出する請求項1又は2記載の架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法。
  4. 前記工程1は、前記ケミルミネッセンス法により、窒素雰囲気下、80〜150℃の範囲の定温又は昇温過程において、前記劣化架橋ゴム材料の前記ゴム表面の発光量を測定する請求項1〜3のいずれかに記載の架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法。
  5. 前記劣化架橋ゴム材料として、劣化ゴム組成物を用いる請求項1〜4のいずれかに記載の架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法。
  6. 前記工程1は、前記ケミルミネッセンス法で測定されるデータの一部を、下記式で近似することで、発光曲線を近似し、前記ゴム表面の発光量を求める請求項1〜5のいずれかに記載の架橋ゴム材料の耐劣化性能の評価方法。
    y=Ax×Bx−1+C
    (式中、A、B、Cは定数、xは測定時間、yは発光量を表す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021241469A1 (ja) * 2020-05-27 2021-12-02 京セラ株式会社 有機絶縁体および配線基板

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