JP2015205820A - パテ材および目地処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐水性と壁材に対する接着性を充分に両立した上塗りを形成できる上塗り用パテ材、およびそのような上塗り用パテ材を用いた目地処理方法を提供する。【解決手段】本発明の上塗り用パテ材は、焼石膏及び炭酸カルシウムの少なくとも一方からなるパテ材主成分と、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体と、α澱粉とを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば石膏ボード間の目地を平滑に仕上げるための上塗り用パテ材及び当該パテ材を用いた目地処理方法に関する。
建築物の壁や天井を作製するための建材として石膏ボードを用いることがある。石膏ボードを用いて壁を作製する際には、まず、多数の石膏ボードを建築物の躯体に固定し、次いで、躯体に固定した石膏ボード間に形成された目地を塞ぐように石膏ボードに目地用補強テープを貼り付ける。そして、その目地補強用テープおよび石膏ボードの表面に下塗り用パテ材を塗り付け、下塗り用パテ材によって形成された下地の表面に上塗り用パテ材を塗り付けて、目地部分の表面と石膏ボードの表面とをほぼ同一平面にする。さらに、石膏ボードおよび上塗り用パテ材の表面には、壁紙等の壁材が貼り合わされる。
目地を処理するためのパテ材としては、例えば、焼石膏および炭酸カルシウムの少なくとも一方と接着性樹脂とを含むものが用いられる(特許文献1及び2)。
特開平6−287544号公報 特開2007−191970号公報
ところで、上塗り用パテ材によって形成された上塗りに壁材を貼り付ける際には、水性の糊を用いることがある。また、上塗りに水性塗料を直接塗布することもある。しかし、上塗りの耐水性が低いと、水性糊や水性塗料を塗布した際に剥離して凹凸が形成されてしまうことがある。表面に凹凸が形成されると、壁材との密着性が損なわれるから、上塗りには耐水性が求められる。さらに、上塗りには壁材が貼り合わされるため、上塗り用パテ材としては、壁材に対する接着性に優れる上塗りを形成できることも求められる。
しかしながら、従来の上塗り用パテ材は、耐水性と壁材に対する接着性とを充分に両立した上塗りを形成できるものとは言えなかった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、耐水性と壁材に対する接着性とを充分に両立した上塗りを形成できる上塗り用パテ材、およびそのような上塗り用パテ材を用いた目地処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
本発明のパテ材は、焼石膏及び炭酸カルシウムの少なくとも一方からなるパテ材主成分と、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体と、α澱粉とを含有することを特徴とする。
本発明の目地処理方法は、以下の工程を含む。
(1)上記パテ材に水を添加してペースト状パテ材を調製する工程
(2)前記ペースト状パテ材を凹部に充填する工程
本発明のパテ材は、耐水性と壁材に対する接着性とを充分に両立した上塗りを形成できる。
本発明の目地処理方法によれば、耐水性と壁材に対する接着性とを充分に両立した上塗りを形成できる。
(1)パテ材主成分
本発明のパテ材は、焼石膏及び炭酸カルシウムの少なくとも一方(以下、焼石膏及び炭酸カルシウムのことを、総称して「パテ材主成分」という。)と、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体とを含有する。
焼石膏とは、CaSO4 ・1/2H2 Oで示される、α型又はβ型の半水石膏である。
この半水石膏は、水と混合すると水和硬化反応を起こして二水石膏(CaSO4 ・2H2 O)になる。
酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体は、下記式(1)で表される共重合体である。
式(1)におけるR,Rは各々C1〜6の炭化水素基である。当該炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等である。RとRで示される炭化水素基の炭素数の合計は7である。p,qは各々1以上の整数である。
Figure 2015205820
本発明のパテ材における酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体の含有量は、パテ材主成分100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましい。酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体の含有量が1質量部以上、かつ、10質量部以下であれば、耐水性と壁材に対する接着性を充分に両立した上塗りを確実に形成できる。なお、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体の含有量が前記範囲を外れる場合には、耐水性および壁材に対する接着性のいずれかが損なわれる傾向にある。
(2)添加剤
本発明のパテ材は、その性能を向上させることを目的として、添加剤を添加することができる。
本発明のパテ材は、接着性樹脂を含有することが好ましい。接着性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、下地への接着性を高くできることから、ポリビニルアルコールが好ましい。
本発明の上塗り用パテ材における接着性樹脂の含有量は、パテ材主成分100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、3〜7質量部であることがより好ましい。接着性樹脂の含有量が0.5質量部以上であれば、下地に対する充分な接着性を確保でき、10質量部以下であれば、上塗りの耐水性をより高くできる。
また、本発明のパテ材には、増量材(例えば、タルク、珪酸マグネシウム等)、軽量化材(例えば、バーミキュライト、珪藻土、シリカバルーン、雲母粉末等)、中和剤(例えば、炭酸ナトリウム等)、消泡剤(例えば、シリコーン系油脂、鉱物油系混合物、シリカとポリエーテルの混合物等)、防かび剤、α澱粉などの他の成分を添加できる。
(3)目地処理方法
本発明の目地処理方法は、パテ材に水を添加してペースト状パテ材を調製する工程と、前記ペースト状パテ材を凹部に充填する工程とを含む。ここで、凹部とは、石膏ボード間に形成された溝部だけでなく、ビスや釘穴等の凹部も含む。
ペースト状上塗り用パテ材を調製する際の上塗り用パテ材への水の添加量は、上塗り用パテ材100質量部に対して50〜110質量部とすればよい。水の添加量が50質量部以上であれば、塗り付ける際の軽快性が高くなり、110質量部以下であれば、塗り付けの際の作業性に優れる。
パテ材を水と混和する方法は限定されず、十分に混和されればどのような方法でもよい。例えば、コテやヘラ等を用いて(手で)混ぜてもよく、ミキサーを用いて(機械で)混ぜても良い。
目地処理方法の一例としては、例えば、まず、躯体に固定した石膏ボード間に形成された目地を塞ぐように石膏ボードに目地用補強テープを貼り付け、その目地補強用テープおよび石膏ボードの表面に液状下塗り用パテ材を塗り付け、下塗り用パテ材によって形成された下地の表面にペースト状上塗り用パテ材を塗り付けて、目地の表面を平滑にする方法が挙げられる。
パテ材を塗り付ける方法としては、例えば、コテやヘラ等を用いる方法が挙げられる。
本発明の目地処理方法では、上記パテ材を用いるため、耐水性と壁材に対する接着性を充分に両立した上塗りを形成できる。
本発明のパテ材は、水と練り合わせて使用され、例えば、躯体に取り付けられた石膏ボード間の目地の処理に使用される。また、コンセントボックスや配管等の穴埋め、くぎ頭部の目隠し、出隅、入隅の目地の補強、平滑化に適用することもできる。なお、本発明のパテ材は、上塗り・下塗り兼用のものであっても構わない。
以上説明した、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体を含む本発明の上塗り用パテ材は、耐水性が高い上塗りを形成できる。そのため、得られる上塗りは、水性糊や水性塗料を塗布した際に凹凸が形成されにくく、壁材との密着性が高い。また、本発明のパテ材は、壁材に対する接着性が高い上塗りを形成できる。したがって、本発明のパテ材は、耐水性と壁材に対する接着性を充分に両立した上塗りを形成できる。
(製造例1〜9)
表1に示す配合で、焼石膏、炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、超微粒子炭酸カルシウム)、珪酸マグネシウム粉末(クロライト粉末)、雲母粉末、シリカバルーン、ポリビニルアルコール(PVA)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MC)、α澱粉、及びバーサチック酸ビニルエステル(ニチゴー・モビニール社製;酢酸ビニル系共重合体1という。)又はバーサチック酸ビニルエステル(ワッカーポリマー社製;酢酸ビニル系共重合体2という。)を配合し、攪拌機で混合して、パテ材を得た。
[耐水性評価]
石膏ボード面に塗布したパテ(厚さ約0.5mm)が硬化乾燥した後(24時間後)、サンドペーパー(#180)で表面をサンディングし、この上に糊付けした壁紙を貼り付け圧着した。10分後に壁紙を手ではがし、壁紙裏面におけるパテの付着状況を観察した。また、比較試験では10分後、20分後、30分後での状態を観察した。壁紙裏面にパテが付着していない面積の割合(%)を耐水性(%)として求めた。耐水性の評価結果を表1に示す。
[壁材に対する接着性評価]
石膏ボード面に塗布したパテ(厚さ約0.5mm)が硬化乾燥した後(24時間後)、サンドペーパー(#180)で表面をサンディングした。この上に糊付けした壁紙を貼り付け圧着し室内で乾燥した。24時間後、カッターナイフで壁紙を1辺40mmの三角形に切りはがし、接着した面積の割合(%)を接着性(%)として求めた。
また、壁紙を貼り付ける代わりに、パテ塗り面に水性ペイントをローラーで塗布し室内で乾燥した。24時間後、水性ペイント塗布面にガムテープを圧着し、手ではがし、接着性(%)を求めた。接着性の評価結果を表1に示す。
[研磨作業性]
サンドペーパーでの研磨作業性を下記のように評価した。パテ材においては、研磨作業性が高いことが好ましい。
最良:5
良好:4
普通:3
やや不適:2
不適:1
Figure 2015205820
焼石膏および炭酸カルシウムと、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体とを含有する製造例2〜9のパテ材では、耐水性と壁材に対する接着性を充分に両立した上塗りを形成できた。

Claims (2)

  1. 焼石膏及び炭酸カルシウムの少なくとも一方からなるパテ材主成分と、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル共重合体と、α澱粉とを含有することを特徴とするパテ材。
  2. 以下の工程を含む目地処理方法。
    (1)請求項1に記載のパテ材に水を添加してペースト状パテ材を調製する工程(2)前記ペースト状パテ材を凹部に充填する工程
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